カーボンプライシングの活用に関する小委員会(第6回)議事録

日  時

平成31年2月18日(月)  15 :00 ~ 18:00

場  所

全国都市会館 大ホール
(東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館2階)

議  題

(1)これまでの議論

(2)カーボンプライシングについて(炭素税)

配付資料

資料1  カーボンプライシングの活用の可能性に関するこれまでの議論

資料2  カーボンプライシングについて(炭素税)

参考資料1  カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員名簿

参考資料2  カーボンプライシングの活用に関する小委員会第5回議事概要

参考資料3-1  温暖化対策税制の具体的な制度の案~国民による検討・議論のための提案~

参考資料3-2 温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する論点についての取りまとめ

参考資料3-3 環境税等のグリーン税制に係るこれまでの議論の整理

参考資料3-4 地球温暖化対策のための税について(平成22年政府税調第8回資料)

参考資料3-5 平成24年度税制改正大綱(抄)

議事録

午後3時03分 開会

鮎川市場メカニズム室長

それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会地球環境部会カーボンプライシングの活用に関する小委員会を開催いたします。

本日、河口委員、高村委員、土居委員、少し遅れていらっしゃるというご連絡をいただいていますので始めさせていただきます。

まず、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第にあります資料一覧をご覧くださいませ。資料1といたしまして、カーボンプライシングの活用の可能性に関するこれまでの議論ということで、昨年12月に開催いたしました本小委でご議論いたしましたものにつきまして、そこで出た意見及びその後書面でいただいたご意見を踏まえて、アップデートしたものでございます。次の資料2といたしまして、カーボンプライシングについて(炭素税)というものでございます。以下、参考資料1といたしまして、カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員名簿、これ以降はお手元のタブレットに格納をさせていただいております。参考資料2といたしまして、前回の議事概要。参考資料の3から5までがご参考ということでございまして、現行の地球温暖化対策のための税が導入されるまでに至る審議会あるいは税制大綱等々に関する参考資料でございます。参考資料3-1といたしまして、温暖化対策税制の具体的な制度の案~国民による検討・議論のための提案~ということで、これは中央環境審議会の資料でございます。参考資料3-2、温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する論点についての取りまとめ、これも同じ中央環境審議会の資料でございます。資料3-3といたしまして、環境税等のグリーン税制に係るこれまでの議論の整理、これも中央環境審議会の資料でございます。参考資料3-4といたしまして、地球温暖化対策のための税についてということで、これは環境省から政府税調に説明いたしました平成22年の政府税調の資料でございます。五つ目の資料3-5といたしまして、これらを踏まえまして、平成24年度の税制改正大綱の中で、温暖化対策税に関するもの、記述の抜粋でございます。

以上、タブレット含めまして、もし落丁等ございましたらお申しつけくださいませ。

それでは、浅野委員長、以後の進行をお願いいたします。

マスコミの関係の方におかれましては、撮影はここまでということでよろしくお願いしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

浅野委員長

それでは、第6回の委員会を始めます。

お手元にあります資料の2をおあけいただけませんでしょうか。資料の2の最初にあけたところにカーボンプライシングの活用に関する小委員会設置要綱というのが出ています。これは、実は地球環境部会の内規のようなものがここに出ているわけですが、これの第2項のところに、ちょっと異例なことですが、大変長ったらしい説明があります。普通、委員会の設置規定にこんなものを書くことはないのが、ここには、実は諮問のあった内容をそのままそっくり写してあります。つまり、この委員会がどういう委員会かということが、これでわかるようになっているのですが、カーボンプライシングの導入の是非について論ずるということは要求されてませんで、こういう役割を果たすためにカーボンプライシングがどんな可能性を持っているかを審議してほしいと、こういうふうに言われてますから、ここでは、これにのっとれば、かなり自由に幅のあるご報告を書くことはできるわけです。これまでにこの小委員会では、このカーボンプライシングというものの持っている効用とか意味とか、あるいはどういう点が問題かというようなことについては、かなり議論を重ねてまいりました。ので、これまでのご議論をまとめてしまえば、この諮問に答える報告が書けないことはないのですが、それではちょっとあまりにも芸がありませんし、今までの議論の中で、皆様方から具体的な制度案について議論をしなくてはいけないのではないかというご指摘が多数ありました。そこで、今回から直接に制度案の議論を、ということではないのですが、カーボンプライシングを制度化していくとすれば、どういうことになるのかという点を見なくてはいけないと思いますし、過去にも当審議会等の多くの委員会での検討も行われておりますからそれらも参考にしつつ、今日は、まず税という手法によってカーボンプライシングを取り入れるとすればどういうことになるか。次回は排出枠取引ということになると思いますが、恐らく、その二つについてどういうやり方があり得るんだろうかと、どういう点が問題になるのだろうかという点をもう一度整理してみたいと思います。というわけで、本日はまず、税について取り上げて、議論するということにしております。本日は、これからこういう制度をつくるといったことを直接に議論するというわけじゃありませんので、その辺りはぜひ誤解のないようにお願いいたします。

大分、事務方も資料の作り方についていろいろ考えておりまして、見出しをつくるのにも苦労したというようなことがございますので、よろしくご理解をお願いいたします。

では、事務局から、まず今日の資料についてのご説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

鮎川市場メカニズム室長

それでは、まず議題1につきまして、資料1、カーボンプライシングの活用の可能性に関するこれまでの議論に沿って説明いたします。先ほど申し上げましたが、昨年12月27日の小委員会における議論、あるいはその後、委員からいただいたご議論を踏まえまして、追記・修正を行ったものでございます。追記・修正を行った部分を拾って、ご説明したいと思います。

まず、資料1をお開きいただきまして、1ページでございます。中ほどの23行目辺りからでございますが、ここはバックキャスティングで将来どのような日本のあり方にすべきなのかというご指摘に加えまして、カーボンプライシングをやらなかった場合に2030年にどうなっているのかという視点があわせて必要ではないかというご指摘がございましたので、これを追記させていただいております。

続きまして、お開きいただきまして、2ページでございます。こちら気候変動問題の基本認識のところでございますが、こちら温室効果ガスの長期削減目標について言及をしているところでございますが、より事実をきちんと正確に記述すべきと、こういう意見をいただきましたので、地球温暖化対策計画の文章を前後含めて引用するという形で追記をさせていただいております。

続きまして、3ページでございます、中ほどの15行目のところでございます。カナダやアメリカ連邦議会下院で炭素税に反対する動きもあるというところで、ほかにもこういった反対する動きもある旨の指摘をされているということでご指摘をいただきましたので、全部ここにずらずらと書くわけにはいきませんので、ちょっと参考ということで、下により詳しく具体的にフランスの事例、アメリカの事例、カナダの事例を追記させていただいております。

続きまして、ちょっと飛びまして、11ページでございます。こちらカーボンプライシングのCO2排出量削減効果というパラグラフの次の11ページのところでございますが、こちらのブリティッシュ・コロンビア州、カナダでございますが、炭素税以降、エネルギー消費量の削減を達成したと書いてあるけれども、もう少しきちんとCO2排出量がそれほど削減をしていないということも含めて記述すべきというご指摘をいただきましたので、こちら正確に事実を確認した上で、追記をさせていただいております。

続きまして、12ページでございます。こちらも19行から20行目辺りでございますが、米国で排出量取引を導入した州に関する記述で、若干誤解のあるような記述というふうなご指摘をいただいておりましたので、こういった形で排出量削減を達成しつつ、GDPは上昇しているという事実を客観的に述べる文章に修正をさせていただいております。

続きまして、22ページ目でございます。実効炭素価格を巡る意見というところでございます。こちら、中央環境審議会、同じ地球環境部会の低炭素ビジョン小委の中でスティグリッツ教授へのヒアリングがあった際にこういったやりとりがあったということについて、きちんと指摘をしているので、追記すべきということでしたので、議事録をほぼそのまま引用する形で追記をさせていただきました。

25ページでございます。こちら省エネ法や高度化法につきまして、事実関係として勧告がほとんどないというような指摘を原文では書いておりますが、その後、12月のご指摘で1件もないということでご指摘をいただきましたので、その旨修正をしてございます。

続きまして、29ページでございます。最後の国際競争力への配慮や炭素リーケージの懸念への対処を巡る意見という中の27行目からのパラグラフでございますが、この28行目の仕向地主義炭素税というところを、ちゃんと意味がわかるように注書きを入れるべしというご意見をいただきましたので、こういった形で追記をしてございます。

最後でございます、31ページでございますが、この一番上のリード文でございますが、こちらは、リード文は基本的に事務局から紹介している事実関係と、それ以下が意見という整理でございましたので、何々という意見があったという文章は、リード文としてはちょっと整理が悪いということで、こちらは削除をさせていただいております。

以上、12月にいただいたご意見及びその後の書面でいただいたご意見を踏まえまして、このような形でアップデートをさせていただいております。

新原市場メカニズム室室長補佐

続きまして、資料2についてご説明をさせていただきます。議題の2、資料の2、カーボンプライシングについて(炭素税)という資料をお手元にご用意いただければと思います。この資料は、これまでの議論を踏まえまして、カーボンプライシングについて、より具体的な検討の段階に入っていただくためにご用意したものでございます。カーボンプライシング導入ありきの議論ではなくて、あくまでも仮に我が国で導入するとしたならば、このようなことを考えるべきではないか、このようなことが考えられるのではないかといったような点をこれまでの委員の御指摘を踏まえてご提示しているというものでございます。カーボンプライシングにつきましては、次回以降も引き続き議論を積み重ねていくべきものでございますけれども、まずはお手元の資料を題材としながら、議論を進めていっていただければというふうに思っております。

それでは、おめくりいただきまして、最初の2ページ目でございます。先ほど小委員長からご説明もありましたとおり、この小委員会はカーボンプライシングの可能性について、ご議論いただくというものでございます。

そして、今後、その制度検討に当たって踏まえるべき基本的視点ということで、次の3ページ目から提示をしてございますけれども、3ページ目から、この資料全体を通じてでございますけれども、資料の中の点線で囲った斜字体、イタリックの部分が小委員会でのこれまで委員の皆様からご発言いただいた意見を引用したものでございます。まとめたものでございます。

3ページ目でいきますと、まず一つ目は、基本的視点ということで、こちらがカーボンプライシングについて、炭素に価格をつけて、新たな経済に移行していくというメッセージが必要であると、こういったご意見がございました。また、企業行動を変えていく効果が期待をされるといったようなこと、また、石炭火力発電の新増設、こういった問題がある中で、価格シグナルが働いてないのではないかといったようなご指摘がございました。また、イノベーションを進めていくために何をするかといったようなこと、需要家へのシグナルの一つの候補としての期待をするご意見ですとか、こういったご指摘がございました。

こういった議論を踏まえまして、一つ目の基本的視点として、まずはカーボンプライシングによって脱炭素社会への移行を実現するため、あらゆる主体に価格シグナルを発出していくと、これによってCO2排出削減を促すということが重要ではないかという、これが一つ目の視点でございます。

続きまして、次の4ページ目のスライドでございます。制度検討に当たって踏まえるべき基本的視点、二つ目の視点でございますけれども、温暖化対策だけではなくて、我が国の経済成長に貢献をしていく、そのために価格シグナルを発出していくということが重要ではないかということでございます。カーボンプライシングによって、カーボンに係るあらゆる財ですとか、それらの価格が波及した先の財の相対価格が変化をする、これによって経済や産業の構造が転換をしていくのではないかと。あるいは、また脱炭素需要を創出していくとか、脱炭素レピュテーションを向上させていく、需要家にシグナルを送っていくと、こういった効果も期待をする指摘があるというところでございます。こういったものを踏まえて、二つ目の視点として提示をさせていただいているところでございます。

続きまして、三つ目、5ページ目でございます、制度検討に当たって踏まえるべき基本的視点③でございますけれども、カーボンプライシングの導入によって、懸念をされるさまざまな負の影響も考えられ得るわけでございますけれども、そういったものを課題として捉えまして、これに適切に対処をしていくということも重要であろうということでございます。これまで、たびたびご指摘のあるところですけれども、我が国で元々エネルギーの本体価格が高いという指摘も相次いでおります。こういった中でカーボンプライシングが入ることによって、エネルギーコストの上昇であるとか、企業の国際競争力の喪失、炭素リーケージの発生ですとか、それから、低所得者層の方々に対する逆進性ですとか、こういった課題が生じうるとこれまでにも指摘をされてきていると。こういった課題に対して適切に対処をしていくということも、これからの検討に当たって踏まえるべき視点であろうということでございます。

以上、三つの視点を提示させていただきます。

これらの視点に続きまして、次の6ページ目でございます、課税の対象ということで、6ページ目のほうから、上流・中流・下流と、エネルギーの流通段階に応じて課税のパターンというものをご提示しているものでございます。

一つ目、一番上が上流課税ということで、我が国に化石燃料を輸入してきた段階で課税をする。原油ですとか石炭といった生のエネルギー源の段階で課税をするというところになります。納税義務者の例としては、輸入者ですとか、また、国内で採れる場合は、その採取者ということになります。

続きまして、中ほどの中流課税でございます。こちらは燃料等の製造所からの出荷時点で課税をするといったようなことが考えられるということでございます。ガソリン等の揮発油といったような石油精製品、それから電気といったような形で、エネルギーの形に変わった状態で、その製造者に対して納税義務を課すといったようなことが考えられるのではないでしょうかと。

そして、三つ目のパターンとしまして、下流課税ということで、こちらが一番消費者に近い段階ですけれども、需要家へのエネルギーの供給段階で課税をするといったようなことが考えられるのではないかということでございます。納税義務者の例としては、小売電気事業者さんですとか需要家を対象とすることが考えられるのではないでしょうかということでございます。

続きまして、これら上・中・下の段階について、それぞれ、いろんな特徴が考えられるわけですけれども、幾つかの切り口で事務局として整理させていただいたのが、7ページ目でございます。

一つ目が、価格シグナルの発出先ということで、7ページ目の下半分でございますけれども、左から上・中・下と並べてございますけれども、まず上流、左端からいきますと、化石燃料の需要家に対しては価格転嫁を通じて、需要家に対して価格シグナルが送られるであろうと。反対に発電事業者さんに対しては直接的に価格シグナルが送られるであろうといったようなことでございます。

一方で、下流側にいきますと、一番右側でございますが、ちょうど上流と反対で、需要家に対しての価格シグナルというのは、直接的に下流であれば届くであろうと。また、発電に関しては、発電事業者さんへの価格シグナルというのは、やや間接的な形で価格シグナルが送られると。これは需要家がどういった電気を選ぶか、どういった小売事業者さんを選ぶかということでもって間接的にシグナルが送られるであろうといったようなことでございます。

続きまして、8ページ目でございます。8ページ目、課税段階ごとの特徴②と整理してございます。上の段に行きまして、減免税・還付措置についてでございます。一番左から上流・中流・下流と右に向かって並べておりますけれども、一番左上、上流課税ですと、一定の用途について減免、それから還付を行う際ですけれども、用途の特定が難しいといったような特徴があるかと思います。

反対に、ちょうど右端ですけれども、下流の課税ですと、こちらは消費者に一番近い、ニーズに一番近いということで用途の特定が比較的簡単であるといったような特徴がございます。

続きまして、この下に行きまして徴税の仕組みでございますけれども、徴税の仕組み、左端、上流ですと、納税義務者となられる方が比較的少なくて済むと。この結果、政府としても徴税コスト、それから徴税漏れのリスクが少ないということが言えるのではないかというふうに考えてございます。また、現行の石石税、石油石炭税や温対税が上流で課税をしていますので、こういったスキームをもし流用するとなれば、徴税にかかる追加的なコストも少なくすることができるのではないかいったようなことでございます。

反対に下流課税に行きますと、一番右端でございますけれども、課税対象が非常に数が多くなってしまうということで、徴税にかかるコスト、それから徴税漏れのリスク、こういったものも大きくなってしまうのではないかということ。また、電気については、その電源構成が取引所等を通じて取引される電気については把握をするのが難しくなることも懸念をされるといったような特徴があるかと思います。

以上、課税段階ごとの特徴でございますけれども、ご参考までに次の9ページ目に、世界銀行グループのほうで提出されている「Carbon Tax Guide」という資料の中で、課税段階についても提言がなされているというところでございます。向かって左側の緑の箱の中でございますけれども、二つ目の矢羽根に、価格シグナルに反応しやすい事業者を対象として課税段階を考えることが重要であろうと。また、価格転嫁が行われる限り、上流であっても消費者の行動を対象とすることができるであろうといったようなことが提言されているというところでございます。

続きまして、10ページ目でございますけれども、こちらご参考までに、現行のエネルギー課税が上・中・下、どの段階でどのような税が何に対してかかっているかというものを整理したものでございます。10ページ目のスライド、左から上・中・下と並んでございます。上流課税ですと、最初の輸入の段階等々から石油石炭税、それから地球温暖化対策のための税がかかっているという状況でございます。ここから中流に行きまして、製造場からの出荷時点で、ガソリンにつきましては揮発油税・地方揮発油税、それから自動車用の石油ガス税、そして、電気については電源開発促進税がkWh単位でかかっていると。そして、また下流については需要家への供給時点で軽油引取税と航空機燃料税、こういったものがかかっているということで、上・中・下いずれの段階についても現行の税制で前例はあるということでございます。

続きまして、11ページ目でございます、課税の水準①ということでございます。課税の水準につきましても、いろんな考え方があるかと思いますけれども、これまでのこの小委員会の中でのご発言を踏まえて、こういったことが考えられるのではないかなというものを、四つほどご提示をさせていただいております。そのいくつかあるうちの一つ目が最初の11ページ目でございますけれども、我が国の実効炭素価格が国際的に見ても高くないのではないかというご意見がございました。また、スティグリッツ教授らが出している報告書の中でも、2030年までに100ドルといったような炭素税の水準が示されていて、日本の現行の温対税とのギャップが大きいといったようなご議論がありました。

そして、また一方で、ジョセフ・スティグリッツ教授へのヒアリング、先ほどのこれまでの議論の中でもありましたけれども、本委員会にもご出席いただいております手塚委員との間でご議論もあったということで、こういったご指摘ですとかご意見も踏まえまして、この国際機関が提唱する水準というものを念頭に置いてはどうかということで、次の12ページ目でございますけれども、一つの考え方として脱炭素化に必要な炭素価格として国際機関などが提唱する水準を念頭に置いて検討することが考えられるのではないでしょうかということでございます。

いくつか国際機関が提示している文献を三つ提示してございます。一番上の表がCPLCにより設立された委員会が出しております報告書でございます。この報告書の中にパリ協定の目標達成に一致する明示的な炭素価格ということで、2020年までに少なくとも40から80ドル、2030年までに50から100ドルといったような数字が書かれているというところでございます。

2段目にいきまして、OECDですと、こちらが2020年の中位水準及び2030年の下限水準でトン当たり60EURといったようなことが書かれているというところでございます。

そして、一番下がIEAでございますけれども、IEAが幾つかシナリオを提示している中で、2℃目標と整合的な「持続可能な開発シナリオ」というものを提示していますけれども、このシナリオの中で幾つかの部門について、先進国で2025年に63ドル、2040年に140ドルといったような数字を提示しているといったようなことでございます。こういった国際機関が提唱する水準を念頭に置きながら、検討していくということも一つの考え方としてあり得るのではないでしょうかということでございます。

続きまして、13ページ目でございます。今度はまた先ほどとは別な考え方ですけれども、課税の水準②ということで、これまでの議論の中でもIPCCの1.5℃報告書などで、エネルギー転換が脱炭素化に向けて非常に重要とされていると。カーボンプライシングを議論する上でエネルギーが脱炭素に向かっているかという観点から考える必要があると。また、石炭火力の新増設が非常に大きな問題であるという指摘がなされてきたところでございました。

こういったご指摘を踏まえましたのが、右下のグラフを見ていただければと思いますけれども、現行の発電コストが石炭火力発電とガス火力発電、比較をしますと資本費、運転維持費込みで燃料費が石炭火力発電のほうが安くなっていると、エネルギー本体価格を含めてもですけれども、安くなっていると。これを、炭素税を課すことによって、両者の発電コストが同等になる水準にしてはどうかということをご提示しているというところでございます。これによって、石炭よりもガスをというように比率を変えていくということが考えられるのではないかということでございます。

また、ここはあくまでガスへの転換でございますけれども、将来的には脱炭素化に向けて、再生可能エネルギーを使った発電、こういったものについても念頭に置いて議論していくことも必要であろうということで、まずは喫緊の課題への対処ということで、この②番のご提案ということでございます。

ご参考といたしまして、次の14ページ目に、IEAが出しております「World Energy Outlook」での資源価格の長期見通しを提示してございます。細かいことは割愛をしますけれども、最近の価格見通しですと、石炭とLNGの価格差、だんだん縮まっている傾向にあるというようなところでございます。

続きまして、15ページ目でございます、課税の水準③ということで、三つ目の考え方でございます。これまでの議論の中で、税制全体のグリーン化、それから、環境の観点で公平性を考えて、税制を立て直すことが必要である、こういった議論がありました。また、その一方で、エネルギーコストの上昇というものがカーボンプライシングによって避けられないだろうと。また、電気料金が上昇する、国際競争力が喪失をする、リーケージを招く、こういった悪影響の声もあるというところでございます。

こういったことを踏まえまして、三つ目の考え方として、既存の税制とあわせて炭素比例になるように水準を考えてはどうかということでございます。

15ページ目の下のグラフをご覧いただければと思いますけれども、オレンジ色で書いております石油石炭税が、原油が一番高くて、次がガス、最後に石炭ということで、左から三つ並んでございます。このでこぼこを右下のグラフにありますように、ピンク色の炭素税ででこぼこを埋めると、これによってCO2トン当たりの税率を炭素比例の形にしていくと。こうすることによって、既存の税と相まって、より少ない追加課税で価格シグナルを送ることができるのではないでしょうか。こういったことが考えられるのではないかということでお示しをしている案でございます。

続きまして、16ページ目でございます。課税の水準④ということで、また別の切り口での考え方でございますけれども、これまでの議論の中で、いきなり高率の税率をかけてしまっては、リーケージなどの問題が起きると。また、一番の問題は弱者にしわ寄せが行くことであるといったようなご指摘がございました。また、移行プロセスの中でカーボンプライシングをどのように位置づけて、その中で出てくる負の作用をどのように緩和していくか、これを考えていくべきではないかと、こういったご意見がありましたので、これを踏まえまして、課税の水準についての考え方④ということで、例えば当初の段階では課税水準を低目に設定をすると。あらかじめ最終的な水準までの道筋を政府としても示しておくと。これから脱炭素化に向かいますということを、政府が長期的な見通しを示した上で段階的に税率を引き上げていく、こういったことも考えていくべきではないでしょうかということでございます。

16ページ目の右下のほうに一つ前例として、ご参考までに温対税の段階的な施行というものを引用してございます。こちらも税率が3年半かけて、3段階に分けて引き上げが行われたといったような事例があったということで、炭素税についても同じようなことを考えてもよいのではないでしょうかということでございます。

続きまして、17ページ目からが課題への対処策ということでございます。これまで何度か申し上げておりますけれども、繰り返しになりますけれども、カーボンプライシングによって、エネルギー多消費産業や中小企業の国際競争力に悪影響を与えると、こういった懸念の声があるということ。また、日本の電力価格、国際的に高い水準であるという中で、どのように課税ができるかどうかということを考えるべきであると。それから、また弱者に対する配慮であるとか、あるいは鉄鋼などエネルギーをたくさん使う産業も重要であるということで、国際競争力に配慮をして減税ということも考えなければならないのではないか、こういったご意見がありました。このようなご意見を踏まえまして、我が国のエネルギー本体価格、国際的にも高いということで、たびたびご意見もいただいておりますので、こういった本体価格も加味した上で、炭素税導入によるエネルギーコスト全体の上昇による負の影響が特に大きい産業、配慮が必要と考えられるものに対しては税の減免・還付を講ずるべきではないかということでございます。

また、こういった減免・還付措置が難しい場合は、別途何らかの手当てで負担軽減を実質的に図っていくべきではないかということをご提示しているというところでございます。

ご参考までに次のスライドと、そのまた次のスライド、18ページ目、19ページ目にかけまして、現行の石油石炭税、それから、地球温暖化対策税でどのようなものが免税・還付の対象になっているかというものをお示ししているものでございます。18ページ目が実際に措置をとられているものについて、列挙したものでございます。

これをどのような考え方でもって措置が講じられているかを整理したのが次の19ページ目でございます。19ページ目をご覧いただきますと、一番上の表が鉄鋼製造用、それからセメント製造用といったような石炭につきましては、製造用の原料として、石炭の使用が不可欠であると。製品価格に占める石炭のコストの割合が高いということで、国際競争力に配慮をして、このような措置の対象になっていると。また、石油化学の製品用の原油につきましても同様に、国際競争力に配慮をして措置が講じられているといったようなところでございます。それから、苛性ソーダの製造、それからイオン交換膜法による塩の製造、これについてもエネルギー集約度が極めて高い、それから雇用に与える影響が大きいといったようなこと、また、国際競争力にさらされているといったようなことから措置の対象になっております。それから、農林漁業等につきましても、中小の事業者が多いということで、漁船の燃料、それからビニールハウスの燃料で化石燃料が使われるということでしたので、ここも対象になってございます。

こういったような形で、これまでの税制につきましても考え方が整理をされているということで、今後、炭素税を議論する上でも参考にしてはいかがかということでございます。

続きまして、最後に20ページ目でございます。基本的視点にかなった効果を得られているかということでございます。これまでの議論の中でもカーボンプライシングが導入をされたことによって、これまで遅れていた取組がどの程度加速されるかといったようなこと、また、時間軸で、柔軟に制度を変えていくということも含めて、いろんな設計を検討してみるべきであるといったようなご指摘がございましたので、これを踏まえて基本的視点にかなった効果が得られているかどうかについても、ご議論いただければというふうに思っているところでございます。

20ページ目の下でございますけれども、ご議論いただきたい点ということで、一つ目は、あらゆる主体への価格シグナルの発出ということ。脱炭素化に向かってCO2排出削減の促進という観点から、それから、経済成長を促進していくということを踏まえたときに、価格シグナルの発出ということで、実際に効果も持ち得るかどうか、また、懸念されているさまざまな課題への対処ということで、どのような制度のあり方があるかということについて、ご議論いただければというふうに思ってございます。

以上、駆け足ではございましたけれども、私からの説明は以上でございます。

浅野委員長

それでは、これまでのこの小委員でのご議論をとりまとめた資料、それから、今日新たにつくられた資料と、二つについて、ご説明いただきました。この資料に基づいて、これから意見交換をしたいと思いますが、前回は有村委員からご発言をいただきましたので、今回は吉村委員のほうから順次ご発言いただきたいと思っております。

その前に、中途退室ということで、事前にお申し出をいただきましたのが、大橋委員と遠藤委員でいらっしゃいますので、まず大橋委員からお願いします。次に遠藤委員、そして、吉村委員から順次ご発言を、ご希望の方にご発言をいただきます。

では、どうぞ大橋委員、お願いいたします。

大橋委員

すみません、心の準備が。こういう話だと知らなかったもので、すみませんが。ちょっと5分ぐらいいただけませんか。

浅野委員長

はい。では、5分きっかりでお願いいたします。

大橋委員

5分間しゃべっていただけますという趣旨という理解でいらっしゃいますか。

浅野委員長

失礼いたしました。今からじゃなくて5分後に発言したい、はい、わかりました。

それでは、遠藤委員は、もう準備はお済みでございましょうか。どうぞ。

遠藤委員

心の準備というか、質問をさせていただきたいと思いまして、ご発言させていただきます。炭素税のところの13ページですね。課税の水準のところで、現在と炭素税導入後の比較の棒グラフがありますが、具体的に現在というのは、例えば民主党政権下と自民党政権下、安倍政権下で試算された発電コストとかの数字のどちらをとっておられるのかとか、具体的にこれが幾ら幾らで、炭素税、これ幾ら乗せると、この黄色の状態になっているのかという数値がないと、ちょっとよくわからないので、これを教えていただけますか。

同じように、15ページ目の、これもイメージ図だとは思うんですが、こちらも埋めるということは、つまり現在の760、780、670のところにどう加えるというイメージで上に、温対税との差のところ、具体的に幾らなのかというのを、この二つの表について、まず教えていただけませんでしょうか。でないと、ちょっと何となくイメージが湧かず。

浅野委員長

わかりました。

遠藤委員

よろしくお願いします。

浅野委員長

事務局は、むしろ数字を出すことによって、議論が混乱するのを避けるために、これでイメージがわかるというつもりで書いているのですが。実際の数字があるのですか。今、数字を示せと言われたから出せるかどうか、まず、事務局は、遠藤委員のご質問にお答えになれますか。

鮎川市場メカニズム室長

この13ページの広い黄色い部分と、あと15ページのピンクの部分については、申し訳ございません、今手元に事務局としての試算値がございませんが、その前提として、まず13ページのほうの、このコストの部分はいつの段階のものを使っているかというのは、自民党政権下のコスト検証委員会をイメージとしておりますが、ただ、この高さが正確にそれを0.1ミリの単位で表しているかというと、そうではなくて、あくまでイメージとして、石炭火力のほうが資本費、維持費は高いけれども、燃料費は安い、ガス火力はその逆であると。石炭のほうが大体2倍の炭素を出していますので、同じ炭素比率で課税していけば、いつか逆転をするだろうというところの考え方として、一つのイメージとして出しております。今この高さを幾らと言われると、ちょっと今すぐには数字は出ません、申し訳ありません。

遠藤委員

すみません。それはわかるんですけれども、じゃあ、このコストは、例えば石炭は10円ぐらいだと思うんですが、それと同時に、そのOECDやIEAのプライスが12ページに示されていて、その具体的な制度設計の議論に入るというのであれば、大体その御省というか、事務局がこの数字と比較して、この黄色を乗せているイメージのボリュームが、ある程度のレンジがあっても見えてこないと、例えばそれが経済的にインパクトがあるないというような議論にも、多分なっていくのが難しいのではないかというふうに思われますので、例えば12ページに記されているような額なのか、それともそのころ合いをどんなふうに考えているのかというのがわからないと、ほんのちょっと乗せるぐらいであれば、別にそんなにインパクトはないとも言えますので、イメージ感が共有化されないと非常に議論が難しいなという印象がしております。

鮎川市場メカニズム室長

ちょっと申し訳ありません、今回も、ちょっと数字が今手元にないので、ただ他方で、今おっしゃったように、例えば14ページ、燃料費の部分にいたしましても、14ページで資料にお示ししたように、毎年のようにIEA、見通しを変えておりますので、この見通しをどういうふうに捉まえるべきかとか、まずはその水準を導くためのどういうような考え方、意見、留意点があるのかというのを、むしろ今日ご意見をいただいて、次回以降、議論を深めていくための、さらに材料とさせていただければというふうに思っております。

浅野委員長

ご理解いただけましたでしょうか。つまり今日何か具体的な制度案の原案を出して、これについて議論してくださいというのではないというのは、最初に申し上げたとおりなんですね。まだ、あくまでも考え方を整理するということを専ら事務局は考えていて、これについて、ご意見いただきたいということですから、ちょっとそれ以上は多分、今日は答えられないだろうと思います。まだ少し何を議論しようとしているかということについての委員と事務局、あるいは小委員長も含めてですが、少し認識のずれがあるような気もして、今お話を伺っておりました。幾ら幾らにしたらどうかというようなことを議論するのは、恐らく神野先生のところが、主に引き受けてくださる仕事なので、こちらはどちらかというと政策として、どう考えるかということをまずは固めようというお話なので、税調の議論とはちょっと違うという認識を持って、事務局も議論してきていると思うのです。ただ、この高さの根拠がどうかということについては、これはもう事実の問題ですから明確にしろと言われれば、それはすべきだろうと思いますが、そこはきちっと出していただきたいと思います。

それから、この事務局のペーパーは、何度も申し上げていますように、具体案をこういうものでどうかということよりは考え方を示したいということが主なものですから、いろいろ言っておりますが、ちらちらと出てくるのは、国際レベルはこんなものだということであったり、それから、やっぱり一遍にこれにやるわけにいかんから段階を追ってやるという考え方もあるのではないかとか、というようなところに何となくイメージが出てないわけでもないとは思うのですが、決め打ちでこれというようなことを全然今のところは出してないということについては、ご理解いただけませんでしょうか。

大橋委員はご準備はいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

大橋委員

すみません、失礼いたしました。ありがとうございます。ちょっと途中で退席するということで早めの発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。今の遠藤委員のところと関連しているかもしれませんけれど、その効果についてですが、例えば弾力性が小さければ、かなり上げないと効果が出ないとか、そういうふうな話もあるのかもしれませんが。他方で、この金額の話というのは、やはりシグナルというお話もありますけど、我が国としての姿勢を示す部分もあるんだろうと思います。今回、斜線で書いてある、これ以前の委員のご意見ということで、例えばですけれど、石炭火力の新増設について懸念する声があるわけですけど、ただ、足元、私が聞こえる範囲では、やっぱり石炭火力に対する逆風というのは、かなり強いんじゃないかなという感じはします。それについて別に何か税とかを、その価格とか、そういうふうなものをかけたわけじゃなくて、やはり世論なり、あるいは投資家の長期的リターンの向上とか、いろんな考え方の中で、そういうふうな流れでいろんなものが動くということもあるのかなという感じがします。

そんな中で、例えば15ページは、石石税の関連として、より石炭にかけるという、一つの考え方をお示しになったもので、炭素税の考えで言うと、こういうふうな考え方も、今回の流れで言うと一つあるのかとも思いますが、他方で、今の石炭火力の置かれている状況とかを見たときに、我が国における石炭技術の位置づけを、一体どういうふうに考えるのか、あるいは、ここの辺りは、多分しっかり議論されているのかどうかというのはよくわからないんですけれど、場合によると国際的な貢献ができるというふうな視点もあるかもしれませんし、あるいは石炭火力について、もっと厳しくいくべきだという考え方もあるのかもしれませんが、そこの辺り、やはりちょっとそういうふうな火力の位置づけも多分視野に入れながら、どういうふうな炭素税のようなものを目指すのか議論していかないといけないのかなと。いずれにしても、おっしゃったように金額の多寡で効果を見るというような極めて厳しいこともあり得ると思うので、我が国の姿勢を示しながら世論の動きを喚起するというのも非常に大きな役割の一つとしてあるんじゃないかという気はいたしました。

以上です。すみません、発言の機会をありがとうございました。

浅野委員長

ありがとうございました。

今ご指摘をいただいたということでよろしいですか。事務局、これはいいですね。

では、吉村委員からご発言いただきます。前回、時間切れで、本当に最後の方にご発言いただいた委員の皆様には大変申し訳ないことをいたしました。どうぞ。

吉村委員

この炭素税の整理ということは、非常にきれいにまとまっているように思いました。その上で、今回、具体案までは、具体案を示したものではないということですので、あまり気にする必要はないのかもしれませんけれども、ちょっと技術的なところでお尋ねしたい点がございます。15ページのところで、課税の水準として、可能性として、既存の税制と組み合わせて炭素比例となるような仕組みが、水準が考えられないかということで示してあるんですけれども、この場合に、その既存の税制との関係で、何といいますか、徴税インフラといいますか、その前の7ページ、8ページのところで出てくるような、その段階で課税するかという議論とどういう関係に立つのかと。例えば既存税制に組み合わせて炭素比例にしますよといった場合に、既存の税制の仕組み方と切り離して、こういう設計って可能なのかどうかというところを、少し技術的なところになるので、ちょっと今回どうこうということはないんですけれども、ちょっとお伺いできればなというのが1点です。

あと、それと、ちょっと私、しばらく欠席していたので資料1についてもコメントといいますか、気づいた点で、29ページのところで、今回直された点として、仕向地主義炭素税ということで、仕入れ税額控除と輸出免税を入れることが導入されれば全く問題ないという話が触れられているんですけれども、こういう中でリベートをするということになりますと、やはりWTO協定との関係で、それが維持可能なものでなければ意味がないと思いますので、そういったWTO協定との関係についても触れていただければなというふうに思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

神野委員

ちょっと関連で。

浅野委員長

どうぞ。

神野委員

すみません、ちょっと吉村委員に、租税法の専門家なので確認したいんですが、大きな問題ではないのかもしれませんが、この資料の10ページ、これは軽油引取税が下流段階の課税になっていて、道府県税のね。揮発油税と地方揮発油税が中流になっていますよね。あんまりこだわる必要ないのかもしれないけれども、あるときに、ちょっと決定的な、このあれが問題になったときの考え方から、なるといけないので、軽油引取税というのは、私の理解では製造場から出荷時点に課税されるんだけれども、引取業者に課税されると。この場合には下流と、この資料の性格は、この場合には下流とし、つまり製造場から出荷時点に課税するんだけど、製造業者のほうに納税義務がある場合には、中流だというふうにみなしているのかなと思うんですが、普通、財政学の常識から言えば、軽油引取税は中流と。この需要家というのは最終需要家なのかどうかというのがちょっとよくわからないんですが、つまり、卸の業者が引き取るときに課税してるわけですよね、卸の業者に。で、直接小売というか、この需要家というのは、最終需要者かどうかわかりませんけれども、この需要家というのがガソリンスタンドみたいな、その元売り業者であれば需要家が取ったんだというふうに理解できなくもないんだけど、この分類、これでいいですかねと。つまり、逆に揮発油税のほうは中流になっていて、軽油引取税のほうは下流になっていると。いいですかね。

浅野委員長

すみません、ご質問です。はい、吉村委員。

吉村委員

そうですね、これはまさに中流課税、下流課税をどういう観点から区別するかということであろうと思います。その8枚目のスライドのほうで具体的な数字が出ていますけれども、例えばその課税上の数で分けるんだとすると、むしろ、この中流課税として示したほうが、その数が実は少ないという税も中流課税のほうに振り分けられていますし、ちょっともう少し本当はおっしゃるとおり、徴税コストの観点あるいは徴税の仕組みとしてどうかという観点から、もう少し違う仕組みもあり得るのかもしれませんし、また、おっしゃったように、最終需要家との距離というふうに理論的な整理であれば、あまり中流・下流を分ける意味もそれほどないのかなという気もするんですけれども。

神野委員

分けるのが、あまり意味がないというふうに、じゃあ。

吉村委員

でも、それは還付とか、あの。

神野委員

決定的な意味があるのか、意味がないのかちょっとよくわからないんですが、いずれにしても、これはこのままでいいですか。租税法の観点からいって、いいですか。

吉村委員

あとはお任せします。

神野委員

はい、すみません。

浅野委員長

困ったな。財政学では、これは違うというご指摘をいただいたのでしょうか。

神野委員

というか、これは分類の仕方なので。

鮎川市場メカニズム室長

ご指導いただきまして、必要に応じて修正をさせていただきます。

浅野委員長

ありがとうございました。ちょっと、よくその辺は概念の整理をしっかりして、あまりこんな表ぐらいで、異論を出されないようにしなきゃいけませんので、よろしくお願いいたします。

鮎川市場メカニズム室長

申し訳ありません。

浅野委員長

はい。委員会の段階ですから、ご指摘、むしろありがとうございました。ただ、何か下流がないと格好がつかないという気もしたのだろうと思ったのですが、ありがとうございました。

森澤委員、どうぞ。

森澤委員

ありがとうございます。エネルギー転換が重要だということで、発電コストが同等以上となるというように、これから、どのように石炭を石油へ、また、石油をですね、それからガスへ、ガスから、また再生可能エネルギーへ進めていくかという中では、今日のこの資料、すごく一歩も二歩もわかりやすくなっていると思ってます。金額につきましては、今後試算いただくということですのでいただければと思っておりますし、それをまた明示していただければと思うんですが、段階的な引き上げは、温対税の成功事例がありますので、それはいいかとは思うんですね。ただ、この石炭火力の新設については、日本全体のレピュテーションを落としていると。この海外の人から、なぜに日本は石炭火力を新設するんだということをよく言われるわけなんですね。ここに経済学の先生たち、たくさんいらっしゃるかと思うんですけれども、このレピュテーションを落としている部分について、どれぐらい日本に対してマイナスイメージがあるのかというのを試算していただきたいぐらいのですね、それは誰が支払うべきなのかと。そういうレピュテーションを落としてまで石炭火力を新設するんであれば、本来であれば、新設するところにもかけていくべきではないのかと。どれぐらいの金額になるんだろうということを試算いただきたいと。そうした場合には、そこの石炭火力に関しては段階的ということを言っている場合ではなく、反対に、もっと最初から高くしていただくようなことも必要なんではないかなということを少し、あまりにも日本だけが突出して石炭火力を新設するということが言われていることに対して、どう対応するのかということを考えた場合には、そこも少し考えていただきたいということでお話、私の意見として言わせていただきました。ありがとうございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

増井委員、どうぞ。

増井委員

どうもありがとうございます。2点あるんですけれども、まず1点目は、このカーボンプライシング、次回が排出量取引ということではあるんですが、その目的は、やはり温室効果ガスの削減であると、8割減ないしはゼロ排出に向けてということだと思いますので、その排出削減に向けて、この税なり排出量取引、こういうカーボンプライシングというのがどういう役割を持っているのかということは、やっぱり改めて一般の国民の方にもきちんと明示をしておく必要があるだろうと思います。そういう意味で、単に税金をかけて終わりということではなくて、その追加的にどういう情報がやっぱり必要になってくるのか、プラスアルファとして、どういう情報を一般国民の方に提示するのか、そういうことも踏まえて書いていただくと、より効果というのも得られるのではないかなというふうに思います。

浅野委員長

増井委員その追加的に提示すべき情報を例示してもらえるとわかりやすいのですがいかがですか。

増井委員

いわゆる炭素の見える化みたいな形で、単に税金幾らですよということだけではなくて、実際に炭素が。

浅野委員長

炭素がトン当たり幾らになっているという、値を見せる。

増井委員

はい、ということだけではなくて、この製品をつくるためにはどれぐらいのCO2が出てきたのかとか、というようなそういう情報もあって、それを見て消費者の方が具体的に選択できるということもあって、それはちょっと税とは全く違う話ではあるかもしれませんけれども、そういう情報があって初めて伝わるのではないかなと思います。

2点目が、制度設計そのものではないのですが、制度設計に向けてということで、1点目とも関わるんですが、誰に対するメッセージなのかというところも明確にしたほうが議論としてはやりやすいのかなと思っております。それが、誰に対するメッセージかということで、それが明確になると、どの段階で課税すればいいのかといったことも、おのずと決まってくるのではないかなと思いますので、その辺りもどういったところに、誰に対するメッセージなのかということをぜひ明確にしていただければと思います。

ちょっと最後は追加的な話になるんですが、こういう議論をして、制度設計に向けた議論をということで、議論していくに当たりまして、やっぱりできるだけ曖昧な言葉は使わないほうがいいかなと思っております。だから、例えば、今回のお話でもイノベーションが必要になるということで書かれているんですけれども、やはりイノベーションという言葉を使ってしまうと、何となくできた気分になってしまうというところが、これは以前からも指摘されていることではありますので、具体的にどういう技術、どれぐらいの削減ポテンシャルがあって、どれだけこの炭素税ないしは排出量取引制度といったことで、その削減というのを実現していくのか。できるだけその具体的な目標というのを定めて、その効果というのも適宜調査していきながら、税率を変えていくというような、そういう議論というのが、やっぱり必要ではないかなと思いますので、その辺り、ぜひ具体的に書いていただければと思います。

以上です。

浅野委員長

増井委員、この諮問を受けているときには、どの主体というふうに特定しないで、あらゆる主体と書いてあるんですね。というふうに考えた場合はどうなるのでしょうか。

増井委員

一つのやり方としては、ちょっと、かなり作業としては膨大になってしまうかもしれないですけれども、一般国民向けの議論として、産業あるいは企業に対するやり方の場合、それぞれの主体別に議論をしていくということは必要ではないかなと思います。

浅野委員長

わかりました。事務局、大変ですけど、しっかりよくお聞しておいてください。

前田委員、どうぞ。 

前田委員

前田と申します。今日のカーボンプライシングについて(炭素税)という資料2のところですけれども、これを見ていて、大変よく、今までの議論が反映されているなと思っていました。

それとあわせて、今日の参考資料にあった参考資料の3-1とか2とか、それから3とかもあわせて、少し自分なりに読んでみたところではあります。このタブレットでも読めますけど、それもあわせて少し読んでみたところで、特に参考資料の3-1なんかを見てみると、ほぼ15年くらい前に、ほぼ同じような議論をしているんだなというのが、正直思うところです。何がどう変わっているのかというような、ぱっと見た限りではあまり変り映えしないとも言えます。ただ、そうは言っても、実は全く変わってないわけではないなというのが、正直な感想です。それは、この15年前の資料、参考資料3-1など、まだ詳しくは読んではいないんですが、ざっと見た印象で、このときの議論というのは、やはり京都議定書を中心にして、いかに排出を減らすかが論点で、具体的にはどれだけ減らすかということを中心に、特にヨーロッパでは排出の規制、あるいはその取引の制度を入れていて、これで日本はどれだけ減らすためにはどうするんだという議論でした。そして、そのためには省エネ、新エネを推進するんだというような議論が中心になっているように思います。そういう意味ではいくつかの点でとても限られている。

まず議論の俎上に乗る技術が限られている。また、議論の社会的背景も少し限られている。それから視野とか範囲とかいったもの、それも限られている。そうした点で比べてみて、今回のこの議論というのは、大分違う。今申し上げたうちの社会的背景という意味では、京都議定書を中心にするイメージ、具体的な排出の上限を遵守するというイメージからもう少しパリ協定的な自主性というか、一律の規制から離れたようなイメージに少し社会的背景が変わっている。それから、制度面で見てみると、排出を抑制する制度とそのカバーするべき範囲というんですか、そういうものも少し変わってきています。15年前はエネルギー由来の炭素を中心とするGHGをとにかく削減するというところが中心であったのに比べて、今回のところは、もう少し広く社会全体の脱炭素化というんですか、あるいはグリーン化というんですか、そういうところが少し強調されていると思います。それから、技術的な面についても変化があります。エネルギー技術は、コアな部分はあんまり進歩がないんですよね。省エネ技術、あるいは新エネ技術って、15年前から大きく変わっているところはあんまりないと思います。しかしながら、その周辺のところが変わってきています。エネルギー以外のテクノロジー、インフォメーションテクノロジー、ICTであるとか、それからIoTであるとか、より根本的にはデジタル化、スマート化というところが大きく変わってきています。さらには、そのようにエネルギーに附属するところのテクノロジーが変わっているので、エネルギーの使い方が変わってきている。たとえば、太陽光の技術そのものは全然変わってないけれども、その電力をどう使うかは変わってきているというところだと思います。

そういう社会的背景、制度の範囲・視野、それに技術に違いがあって、それで今日も小委員長の最初のご説明にもありましたけど、この小委員会の検討すべき内容というのが、資料2の2ページ目のようにあるわけです。そこの2点目のところに長い文章がずっと書いてあります。この長い文章、霞が関文学のすばらしい文章だなと思うところなんですが、「カーボンプライシングの活用に関する小委員会は」で始まって、句点の丸まで何行ですか、7行でしょうか、すばらしい霞が関文学と思うんですが大変読みにくい。それでも、これもよくよく読んでみると、確かにパリ協定等々理念を謳っており、それからあらゆる視点からとかイノベーションとかいうことがいろいろ書いてあります。今しがた申し上げたようなイメージは、確かに議論の対象にきちんとなってきたんだなというふうには思うところです。

こういうことを踏まえますと、私は今の時点で炭素税それ自体について賛成とか反対とかというわけではありませんけども、もしこれまでの議論を踏まえて炭素税について、もう少し設計というようなところに入っていくとしたら、やはりこういう15年前とは違う要素というものを、はっきりと組み込んでいく必要があるんじゃないかというふうに思うところです。

具体的には、先ほど申し上げたようにカバーする視野とか範囲とかというのは、大分違うということを踏まえて、特定の産業であるとか特定の上流、中流、下流であるとか、そういうところにぐっと絞り込んでしまうようなものではなくて、もう少し広く、社会全体どこにでもかかるようなものであるべきだと思うし、それから決め打ちではなくて、社会の早い変化に合わせて、変えていける柔軟性のあるもの、可変性のあるもの、あるいはそういう要素を少しだけでも残しておく。ただ税を入れて、それ以降入れっ放し、というのではなくて、徐々に上げていくとか、または徐々に上げつつも状況を見て、何年か後に見直して変えられるとか、そういうような可変性、柔軟性みたいなものも組み込んだような制度というのが必要なのだろうと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。15年前に同じような委員会で委員をした人が聞いたら、前田委員のご指摘を伺って、よくわかってくださいましたと言うと思います。大分状況が変わっていることは間違いないですね。

それでは廣江委員、どうぞお願いいたします。

廣江委員

ありがとうございます。冒頭、委員長のほうから、今日は、もう是非は議論しないんだと釘を刺されてしまいましたんですけど、あえて反論させていただければ、やはり、前回申し上げましたようにカーボンプライシングの果たす温室効果ガス抑制効果がどの程度あるのか、あるいはデカップリングといわれる事象の因果関係はどうなのかということについては、まだまだ私どもは十分には納得できてないといいますか、十分論証ができてないというふうに思っていますので、やはり幅広く議論をする必要があるのではないかなというふうに考えています。

特に電力で申しますと、ご承知かもしれませんが、非化石価値あるいはゼロエミッションの取引というものがもう既に始まっております。これはエネルギー供給高度化法の達成を確実にするため、2030年の目標だけではなく、現在、既に中間評価についての議論も、総合資源エネルギー調査会の傘下の委員会で議論が始まっていますので、こういったものを含めた総合的な、あらゆる可能性を検討していくべきじゃないかなというのが基本的な考え方でございます。

その上で、本日の資料につきまして1点発言させていただき、1点質問させていただきたいと思います。ともに13ページに関わる部分であります。

13ページの最初の箱のほうにイギリスのカーボンプライスサポートの議論がございました。イギリスでは、こういったものを入れることによって、石炭から天然ガスへの転換が進んだというような表現になっております。私ども自身は、石炭火力につきましては、環境特性だけでははかれない価値、先ほど大橋委員からは国際貢献という話がありましたけども、こういうことも含めての価値を持っていると思いますが、それは、ひとまず本日は置いておきまして、その上で、じゃあ転換するとした場合でも少し、この議論というのは短絡的な部分があるのではないかなと感じています。

といいますのは、ご承知のようにイギリスは転換いたしましたが、これは、ちょうどそのときには非常に効率の悪い石炭火力が大量に更新期を迎えていたというような特殊な事情があったと思います。さらに申せば、北海油田から天然ガスがかなり安定的に大量に出てくるというような状況だった。したがって、比較的カーボンプライスサポートが低いレベルであっても、転換が進んだということだと思います。一方、我が国は、果たしてそうなるのかどうか。日本の場合には、かなり効率の高い石炭火力もございますし、相当程度、これを上げなければならない可能性が高いのではないかというふうに思います。そうなれば、製造業を中心としました日本の産業界が耐えられるのか、これは先ほど基本的な視点の中にも入っておりましたけれども、あるいは国民の皆さん方、社会が納得されるのかというところにつきましては、十分に慎重に検討する必要があるというふうに考えています。

もう一点は、質問であります。同じ13ページの下の箱の二つの矢尻でありまして、再生可能エネルギーと火力電源だということだと思いますけども、これらの関係から申せば、火力のコストを再エネと同じぐらいまで上げるような課税にしないと再エネが入らないのではないかとの論旨だと考えています。遠い将来のことをおっしゃっているのかもしれませんが、そのように読めます。

これもご存じかもしれませんが、現在、もう既に日本では再生可能エネルギーは、優先給電をするという大前提があります。火力電源をまず絞るということ。もし仮に大量に再生可能エネルギーが入ってきた場合には、まず火力電源を絞る。それでも絞り切れない場合に、昨年あるいは今年の正月に九州電力がいたしました再生可能エネルギーの抑制ということもやっていただきますけども、基本的には、優先的に再生可能エネルギーを給電するというのが、もう既に運用されています。もちろん送配電線の容量の限界等がありまして、少し時間は待ってもらわないといけない、運開を待ってもらっているというようなケースもありますけど、基本的にはできたものにつきましては、優先的に給電するというのがルールでありまして、この辺りの点をどう考えて、このような記述になっているかということにつきまして、後ほどお教えいただければ幸いでございます。

以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。今の点について踏まえて、これを書いたのかというご指摘です。後で答えをという猶予をいただきましたから、事務局は考えておいてください。

それでは、根本委員どうぞ。

根本委員

ありがとうございます。これまでも繰り返し申し上げてきたとおり、カーボンプライシングは、エネルギー問題そのものですので、エネルギー政策の大前提であるS+3Eという考え方を崩すわけにはいかないと思っております。3Eのうち、特にコスト部分につきましては、繰り返し話題に出ているように、この国のエネルギーコストはかなり高い水準になっており、産業競争力の観点からは、これ以上のコスト上昇は極めて危険だと考えております。関連して、カーボンプライシングでイノベーションをしっかりと起こすから大丈夫というご意見もありますが、私自身、この場で繰り返し申し上げてきたように、カーボンプライシングがむしろイノベーションの原資を奪う方向に働くのではないかという懸念があります。これは時間的な問題もあり、イノベーションが起こるまで、産業がその間持続するのかという問題も出てきますので、そこも、もう少し議論したほうがいいと思っております。これだけ申し上げると、まだ制度論議には入れないということになってしまいますが、それを言うと身もふたもなくなってしまうので、各論についても少しだけ申し上げます。

まず、なぜ炭素税を入れたいかという導入の目的、それから削減効果を十分に考える必要があるだろうと考えます。さらに、ここでも繰り返し申し上げてきましたが、日本に閉じた考え方は全く意味がなく、この点は常に忘れてはならないと思っております。資料に出てくる色々な炭素税の水準についても、グローバルに、これらの水準で課税するという前提があることを忘れてはならないと思っております。

それから、「あらゆる主体に価格シグナルを発出する」と資料に書かれていますが、既に温対税という炭素税が、この国には導入されているという現状があります。では、その温対税の削減効果はどうだったのかということについては、残念ながらどこにも資料がないし、議論もこの場ではなされていないという状況です。

その上で、今の議論は、追加的な炭素税を検討するとしたらどうかということがテーマになっていると思いますが、やはり先ほども意見が出ていましたが、水準の議論なしに制度の議論をすることは、まず不可能なのではないかと思います。具体的な水準が出てきたとして、その水準の炭素税による削減効果のみならず、3Eのそれぞれに対し、どのようなパスを通じて、どのような影響を与えるのかということを考えないといけないと思っております。

加えて、温対税については、集めた税金の使途は一体どうなっているのかということは、繰り返しお伺いしていますが、なかなか資料として出てきません。炭素税の使途としては、様々な配慮を必要とするところに使うという資料になっていますが、どういう配慮をどういうところで、どういう形でするのかということについても、詳しく議論しないと、税というものを検討するには、まだ少し漠然とし過ぎており、現状、極めて違和感のある状況だと思っております。

資料について一点だけ、これを本当に事務局がお考えになのかどうか確認ですが、15ページの右下の図は、原油と石炭で炭素税率として3倍ほどの差をつけるものであり、例えば原油に2%の税率をかけるのであれば石炭には6%の税率をかけるという図になっていますが、本当にそういうことをお考えでしょうか。この図を描いた意味を確認させていただければと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では手塚委員、どうぞ。

手塚委員

どうもありがとうございます。既に、産業界の委員の方から私が指摘しようと思っていることは大分指摘されているので、同じことを少し別な言い方でお話ししたいと思います。最初に委員長のほうから、これは導入ありきの議論ではないということをおっしゃっていただきましたので、ここから申し上げる話というのは、仮に制度を導入するとしても炭素税にはこういう課題があるのではないかという観点であって、決して炭素税が必要だとか、有効であると思って発言しているわけではないということを、念のため申し上げておきます。現在日本にかかっていると言われているCO2トン当たり4,000円程度の炭素税について、これ以上に新たな税金を導入する必要はないという立場であるということを、あらかじめ申し上げておきます。

最初に、資料15ですけども、根本委員のほうからもご指摘がありましたけども、原油、天然ガス、石炭に逆進的にかかっている税金を炭素税でもって、かけ直して均一化するというアイデアが書かれていると思いますけれども、これはCO2排出に対してコストをかけるという観点では、多分そういう考え方もあるかと思いますが、一方で経済の外部性は気候変動の外部性だけではなくて、例えば安定供給を長期に確保するとか、あるいは日本の安全保障を確保するという、逆に言うとエネルギーのいじり方によっては、そういうものが脅かされるという意味での外部不経済も存在するわけです。そうしますと、ここの部分をならしてしまったときに出てくる安全保障上あるいは安定供給上の不均衡をどういう手段でもって埋め合わせるのかということも、あわせて検討しないと、日本全体のエネルギー供給は、先ほどのS+3Eが崩れてくるという問題が発生するのではないかというふうに考えます。

それから、石炭に関するお話で、石炭火力を抑制するというのは喫緊の課題であるというふうに13ページに書かれておりますが、現実を見ますと、2017年以後、日本で検討あるいは計画されていた石炭火力の計画が7件、既に中止を発表しております。何でこれが中止になっているかというと、大体いずれの事案のアナウンスでも、経済的に成立しないということになったという判断が行われたというふうに書かれております。裏には、先ほど廣江委員のほうからございましたように、再エネの優先給電というルールが既にございますので、将来にわたって、初期投資が非常に大きく、かつ長期にわたって投資を回収しなきゃいけないようなこうした投資案件のキャッシュフローが果たして確保できるだろうかという懸念があるのだと思います。一方で、省エネ法でもって、火力発電の効率を44.3%以上にしましょうという縛りがあるんですけれども、これも通常の石炭火力発電では達成できないような数字になっています。また、同じく供給高度化法のもとで、非化石電源比率を44%にするということが取り決められていて、これも石炭火力単独では当然できない話になっているわけでして、既にそれだけの法的な措置がなされているわけですね。そういう中で、果たして、ここに追加的に炭素価格を何らかの形でかけることによって、石炭火力の新設を追加的に抑制する効果というのは何を期待されて、こういう議論になっているかということを、もし見解がおありでしたら教えていただきたいと思います。

それから、12ページのいわゆる課税の水準について、国際機関が提唱する水準というのがございましたけども、これも根本委員が先ほどおっしゃったとおり、世界全体にカーボンプライスをかけたときにパリ協定の目標に一致するには、これぐらいの価格でしょうということを各国際機関は提唱されていて、IEAの場合は先進国と途上国で数字を若干変えていますけれども、日本が単独でこれをかけたときに、日本国民にどういうメリットが来るかということは、必ずしもここでは担保されていないわけです。他国がやらなければ、日本がより多くやらなければ、日本国民に温暖化の抑止というグローバルなメリットは来ないわけです。そういう意味で国際機関の提唱する水準を比較参照するのであるとすると、特に大量排出国であるアメリカ、中国、インドといったような国々がどういう水準のカーボンプライスを導入するかということとあわせて考えないと、日本国民は課税負担のメリットを裨益できない、こういうことになろうかと思います。

最後に価格シグナルが重要だということで、カーボンプライシングの議論が最初のページのほうにかなり出てきているわけですけども、果たしてどういう水準の具体的な数字を議論するかということは、今日の案の中には提示しておらず、コンセプトの議論をしているというお話だったんですけれども、参考資料の3-1とか3-3のほうにヒントになるようなことが書かれておりまして、あくまで炭素税は価格効果ではなくて、財源効果の発現のほうが大きいというようなことが書かれているわけです。現実に、今かかっております289円の地球温暖化対策税も、導入の際に環境省さんのホームページのQ&Aで書かれている数字をそのまま引用しますと、価格シグナルでもって、下げられるトン数は176万トン、財源でもって、つまり入ってきた財源を温暖化対策に使うことによって下げられるトン数が393~2,175万トンということで、3倍から10倍以上の効果は財源効果で期待できるというふうに書かれているわけですね。そうしますと、ここで価格シグナルが重要だと言っている、その価格シグナルはどれぐらいのレベルのことを言っておられるのかということが疑問になるのと同時に、現実に今かかっている289円の炭素税、税収が2,600~2,800億円あると思いますけど、これで一体、2,350万トンレベルの削減が実現できているのかどうか、これは、もう既に平成28年からこの税額がかかっていますので、実績は出ていると思いますので、そういう分析の結果をぜひ共有いただければというふうに考える次第でございます。

どうもありがとうございました。

浅野委員長

ありがとうございました。

先ほどから出ているご質問ですが、事務局は、今の段階で何か答えることがありますか。

鮎川市場メカニズム室長

それでは、まず廣江委員の13ページの左側の箱の2番目のところの部分についてのご質問。

まず、全体的に審議の前提を我々もしっかり守っておりまして、ここに書いてあるのは、あくまで、これまでご意見をいただいたもの、ご指摘を踏まえると、どういうようなものが考えられるかというふうに、上半分をこれまでの議論について、それに対して、それを事務局なりに翻訳したものということなので、これらを事務局として、導入ありきで書いているわけではないというのは、まずご理解いただきたいということの上で、まず最初の部分でございますが。

これにつきましては、先ほど優先給電ルール、よく存じております。実は、それは、今既にグリッドにつながっている電気を供給する中でどこから止めていくか、あるいは最後に止めるのはどこかということなので、他方で、こちらはむしろ、シフトと書いておりますので、将来、割とちょっと目の遠いところでどういうふうに電源構成が変わっていくか、どれが新設されて、どれが縮んでいくかといったところを中心に議論しておりますので、ちょっと足元のグリッドにつながっている電気をどう優先するかというのとちょっと違うかなと思っておりますが、もちろん廣江委員がおっしゃるとおり、今でも再エネがつながっている部分については、優先的に給電されるというのは、もちろん踏まえた上での議論でございます。

続きまして、根本委員の事務局に対するご質問として、15ページの右下の図ですね、これも炭素の部分についてのみ、現行の石油石炭税をベースにするとすると、こういうことも考えられるという意味であって、これを事務局がお勧めというわけでも何でもございませんで、炭素に着目して、それを比例にするというときに、乗っける部分、温対税を含めた特例の部分のみを炭素比例にするのか、本則も含めて炭素比例にするか、技術的にはどちらもあり得るという程度の意味でございます。もちろん、あわせて手塚委員からご指摘がありましたように、ほかの石油石炭本則やその他のエネルギー関連書税は、それぞれ税金の理屈と目的があって入っているものでございますので、もちろん日本が考えるべき、日本国民が考えるべき公益というのは、気候変動だけではございませんので、安定供給その他も含めて、さまざまな公益がある中で考えていくというのはおっしゃるとおりだと思いますので、そういった観点も含めて、今後また議論を深めていただければというふうに思います。

浅野委員長

まあ、このぐらいでとりあえず。

鮎川市場メカニズム室長

よろしいでしょうか。

浅野委員長

あとは、ご指摘いただいたことは、今後の資料の中で生かしてください。

土居委員、ご発言の準備はございますか。よろしゅうございますか。ではどうぞ。

土居委員

遅参して申し訳ございませんでした。今までの各委員のご発言がどういうご発言だったか、全く承知していないので、多少、私の一方的な意見になるのかもしれませんけれども、まずファーストラウンドとして申し上げたいと思います。

今日、この資料2をお出しいただいて、そういう意味では炭素税の課題なり、導入に向けての克服すべき論点などが盛り込まれているというふうに、私は理解しております。その意味では、まず一つ、上流か中流か下流かというところの課税ポイントについての議論というのは一つ、今後の議論を深める上では、さらに議論が必要なところではないかというふうに思います。

資料2の6ページ以降に論点があるんですが、1点、事務局にお願いしたいのは、今日、すぐに数字が出てくるということではないと思いますので、次回以降ということでお願いしたいということですけれども、例えば10ページの図のような形で、今の税制で上流、中流、下流にそれぞれ税があるということですね。かつ、その上流、中流、下流で課税対象となっている資源の消費に対して、資源の利用に対して、どれだけCO2が発生しているかということが、例えば、上流で石油石炭税の課税対象になっているものからどれぐらいCO2が排出されているか、それから中流ではこれらの税、三つの税で課税対象となっているものからCO2がどれぐらい排出されているか、下流ではどれぐらい排出されているのかというところを、課税対象とCO2排出量との対応関係に関しての数字を少し知りたいというふうに思います。もちろん全てのCO2排出活動に対して、税が課されているというわけではないということは承知していますから、当然、三つの上流、中流、下流で課税されているものから排出されているCO2が日本全体の排出量に相当するものにはならないと思いますから、量的な比較も数字を出していただくことで見ることができるのではないか。つまり、どれぐらいが全体に占めるCO2排出に対して課税対象となっているかということも、そこで明らかにできるのではないかというふうに思いますので、少しその点を、まず教えていただきたいと思いまして、次回以降、その数字を出していただければ幸いです。

それから、もう一つは、18ページですけれども、いわゆる租税特別措置とかで減免還付措置が行われているということだと思います。18ページは措置の期限みたいなものが書かれているということですけれども、恐らくは、それぞれの措置の金額、税収がそれだけ減少するということなので税収の減収見込み額とか、ないしは実際の金額があるかどうかわかりませんけれども、実際の金額ということになると、多分、租税特別措置透明化法に基づく報告書で、どれぐらい所得が活用されたかというところが、もし数字があればですけれども、なければ、いわゆる予算段階での減収見込み額が幾らぐらいのものであるのかということを、ここで、この18ページの表に平仄を合わせる形で数字をいただければと思います。その数字は、今日でなくて結構ですので、次回以降、数字が出てくると、幾らぐらいの規模で、今実際、既に減免措置が行われているか、ないしは還付措置が行われているかということも、金額の度合いとしてはわかるだろうと思います。

そういう意味では、先ほど、私が10ページで、これらの税がCO2排出量とどう対応しているかというところとあわせて、だけども実際10ページの表では明記されていないけれども、一部の経済活動に対しては、既に18ページのような減免措置が講じられているというような状況での効果というのが、今現れている効果であるということですから、当然ながら、CO2排出量に比例する形で課税しているということのつもりなんだけれども、実は18ページのような形で、減免措置が既に講じられているということですから、そういう意味では、何といいますか、政策的配慮というか、ないしは別の意味でいうと、もしかすると、本当はそこに減免措置を与えない形で課税したほうがCO2排出量を抑制できたかもしれないけれども、それができてないということになっている可能性も、18ページの中にはあるかもしれない。そういうことなので、少し数字をまずお示しいただきたいという、そういうご提案でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、小西委員どうぞ。

小西委員

ありがとうございます。手短に3点お話させていただければと思います。

まず最初は、今回はカーボンプライシングの中で、まず炭素税ということで、その次に、先ほど委員長が排出量取引制度とおっしゃっていたんですけれども、これは恐らく世界を見てもポリシーミックスで、炭素税と排出量取引制度の両方を組み合わせて、それぞれ最適を図っていくという形も一つ、とても大きなオプションだと思います。ですので、今後ポリシーミックスでも検討されるかどうかということを、まず伺いたいと思います。

例えば、その場合、それぞれの産業ごとに、どちらのほうが適しているかということもあるのではないかと思います。例えば、電力セクターだったらば、より排出量取引制度のほうが、効果が高いんじゃないか、中国とかは今そうしてますけれども、みたいなこともあると思うので、せっかくこの委員会は産業界の方もいらっしゃるので、今、土居委員がお話になったような税の免除、還付措置も含めて、産業ごとにどういう形のポリシーミックスならば、自らの産業によりCO2削減効果と、かつ国際競争力も失わないような形のプライシングがあり得るのか、まさに、ここは可能性を話し合う場と、先ほど委員長も強調されていますので、その可能性について、より具体的に産業ごとにお考えいただけるような機会もあることを願っております。それが、まず第1点。

そして、次が、やはりカーボンプライシングといった場合、CO2の排出量、それぞれに見合うレベルをかけて、初めて経済的効果ははかれるというのが経済学的に見たら基本なんだと思っております。ですので、今の日本の場合は、今後どうするかは別にして、今それぞれ最もCO2排出量の多い石炭が、15ページでも明確になっているように、税レベルが低いということはもう否めないことですので、これをやはり化石燃料間の価格差を縮めるような水準にしていくというのが、カーボンプライシングを議論する、まず前提になるんだと思います。そうでないと、効果もはかれないんだと思います。ですので、化石燃料間の価格差を縮めるような水準でどれぐらいをかけていかれるのか、先ほどから遠藤委員とかもおっしゃっているように、具体的な相場観というものが、ある程度見えるような議論ができればいいなと思っております。

そのときに一つのバロメーターといいますか、インディケートになるのが、やっぱり日本が突出して多い石炭火力の新設計画、これは明らかに今後も日本はカーボンプライシングがかからないという前提で、これだけの新設計画が生まれているということは否めないのではないかと思います。先ほど手塚委員が最近の計画は中止になっているものが多いとおっしゃっておられて、それはそのとおり、ESG投資の流れですとか、ダイベストメントとか、先ほど森澤委員がおっしゃったような世界の逆風ですとか、そういった要因はあるんだと思いますが、そこに、カーボンプライシングがかかることによって、今まだやはり40基以上の新設計画がありますので、それがやはり今後40年という期間で考えた場合に、どの程度のレベルのカーボンプライシングがかかってくるならば新設計画というのは、やはり縮小していくのかといったシミュレーションがもし可能ならば、そういった税のレベルでのシミュレーションというものが見えると非常にありがたいなと思っております。

その場合は、恐らく、たった今の税のレベルだけではなく、いずれこれぐらいに上がっていく、スティグリッツが言っているような2030年レベル、2050年レベルみたいな、そういったダイナミックな、たった今のスタティックな現状ではなく、ダイナミックに、将来30年、40年、これぐらいのレベルにすれば、こうなるんではないかというような、ダイナミックな形でのお示しもあるといいなと思っております。つまり、現状レベルでの税レベルと、それから今後のダイナミックに変化していくレベル、その両方があればいいなと思っております。

あと最後にもう一つが、これは税収の使い方というのも一つ、考えていくことになるのかなと思っております。今回はそうじゃないのかとは思うんですけれども、例えば税収、そして、排出量取引制度の場合は、制度設計次第ですけど、オークション収入とかがある場合、こちらにまとめていただいた資料でも、やっぱりどれだけ、14ページでも書いてありますけれども、どれだけ国民に受け入れてもらえるような制度設計にしていくかというのは、一つの大きなテーマになると思いますので、くしくも昨年、ようやく日本でも適応法が施行されています。ただ、適応法は非常にいい内容ではあるんですけれども、問題の、大きな課題の一つとして、ここに、いわゆる補助金とか、そういったお金の措置がついていません。ですので、やっぱり汚染者負担原則から言いましても、例えばカーボンプライシングの税収を適応に回していくといったようなことで、国民全体の福祉向上に資するような形での理解を求めるということも、非常に関係があると思いますので、もちろん一般税に入れるかどうかということもありますけれども、税収の使い道ということも、また一つ、どこかで検討できればいいのかなと思っております。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

河口委員、どうぞ。

河口委員

ありがとうございます。皆さんの議論を聞いている中で、だんだん私も考えがまとまってきました。

それで一つ思ったのは、そもそもカーボンプライシングは何のためにやるのかなというところが抜けてしまっている。基本的には外部経済の効果を明示化することによって、それが価格シグナルということで、経済活動に影響を及ぼす、税金でやれば、その分の税収が入るので、それを実体経済のところに活用するということがある。それが実態の活動、要するにCO2排出量へのインパクトがどのぐらいあるのかということになってくる。

今のお話の中でも、小西委員のほうから適応策のほうに税収を使えるんじゃないかとか、あとCO2排出量の影響というのは、それぞれ税金別で考えたらどうかというお話もあったんですけれども、どうしても、やっぱり経済的な要素に話が集中しているなと。それは、ある意味、しようがないんですけれども、やることは経済的にスタートするんですが、インパクトというのは、社会環境へのインパクトというのが、大きいというところがちょっと抜けて、あまり議論されていないのではないか。こういうことをやらないことによって、社会がどうなるのかなということが、何となくなんですけど、飛んでいるわけですね。

ただ、昨年、今年、さらに気候変動がひどくなっていて、洪水ですとか、干ばつですとか、カリフォルニアの山火事では、電力会社が倒産してしまったりですとか、最近は、アメリカじゃない、イギリスの報告書では、温暖化によって農産物にどのぐらいの被害が出ているというような、環境のものが環境ではなくて経済のほうへはね返ってきているという循環が、もう既に見え始めているというものがある中で、カーボンプライシングを入れたら全てなくなるとは思いませんけれども、そこで今までのようにカーボンプライシングによる外部不経済を入れるという経済の仕組みがないと、経済的にはコストが安いとか、こっちのが競争力があるということはあるかもしれないんですけど、経済の外から、もう経済を破壊的にするような要因がこれから増えてくるということを考えますと、カーボンプライシングの意義という最初のところに、このまま出していると、どのぐらいひどいことがあるか、結構、今までは抽象的だったんですけれども、今言いましたように、実際にカリフォルニアの会社が倒産したりですとか、実際に農作物にこのぐらいの被害があるというようなことで、一つの手段として、温暖化を止める一つの手段として、これをどう位置づけるか、やらないときの社会経済全体のコストをどう考えるか。

先ほども経済界の委員の方からエネルギーの安定供給というような、別な外部性も必要であるという議論もあって、確かにエネルギーの安定供給というのは、大変重要なテーマでもあるわけですけれども、それを考えるのであれば、海外からの輸入に頼る石油、石炭ではなくて、早急に再生可能エネルギー、できれば地熱とか地中熱とかを利用するとか、もっとそちらのほうへシフトすることによって、船で遠いところから運んでこなきゃいけないエネルギーに頼ることもなくなるので、エネルギー安定供給ということから考えるのであれば、エネルギー安全保障という観点も入れるのであれば、早急に再生可能エネルギーにシフトするというのが、日本としても正しいかなと。

ご存じだと思いますけれども、戦前、日本は9割自給していたんですよね、エネルギーは。エネルギーは輸入するものだという認識になっていますけれども、社会構造が変わっていた時代には、9割自給していたということもある等々を考えれば、これから、本当に再生可能エネルギーにシフトして、エネルギーのかなりの部分を自給するというようなビジョンを書くことも可能かなという気がいたしております。

それから、経済社会への影響、これをやらないことによるというか、このときのコストというのは、どういうものがあるかというのを考える上で、今言ったものに加えて、森澤委員からも言われました国際的なレピュテーションというものも決して無視できないものだと思いますし、例えば全て、もう既に始まっていますけれども、新設の石炭火力に関しては、保険の引き受けを拒否すると。融資されないというよりも、保険の引き受けを拒否されたら、そもそも事業をやりたい人は誰もいなくなるよねとか、違った理由で、こういう高炭素的なビジネスができなくなっているという状況もあるということを踏まえた上で、カーボンプライシングのコストとベネフィット、確かにおっしゃるとおり、経済的なデメリットもあると思います。その際に、国際競争力でマイナスになるというお話を聞くのですけれども、業種業態によって、エネルギーコストの割合は、コストに占める割合がどのぐらいかということを考えますと、それの何%がどのぐらい上がるのかなということを考えると、どれだけそれが効いてくるのか。業種によっても、全然違ってくると思うので、その辺りの情報がないと、一律に、バンとやっていいのかとか、この税金で、ここはこうだという話になると思いますので、そういうふうなインパクトのある程度の変化率、特に国際競争力というのは、よく産業界の方が言われるのですが、どのぐらい影響があるのかなというのがあまり見たことがないので、実質的には。そういうことも業種ごとに見せていただければなと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

大野委員、どうぞ。

大野委員

私も3点か4点、お話を申し上げるんですが。

最初に、資料1のほうなんですけども、これは前回、一回、いろいろと議論があって、おまとめいただいたものなので、これから、ここを直してくださいという話をするんじゃないんですけども、本来ちょっと少し書き方がとに思った点があるので、お話をさせていただいたんですが。それは、何かというと、一番最初の気候変動の基本認識と脱炭素化における国内外の動向なんですけども、ここでIPCCの1.5度報告書のことを全く書いてないんですよね。あの報告書というのは、非常に大きな影響を世界に与えていて、1.5度というのは、なかなか非常に高い目標で確かに実現は簡単じゃないんだけども、やっぱりそれは新しい目標なんじゃないかということが、かなり広範に受け止められている。そういう状況認識が、書いてないということですね、環境省が出す、環境省の委員会が出すレポートとしては少し、ちょっと残念だったなという感じがいたしますので、今度、何らかの機会にどこかで補完していただくといいんじゃないかなというふうに思いました。

あとは、資料2のほうなんですけども、まず、どういうふうな設計をしていくかということなんですが、今日は、再三お話があるように、あまり細かい具体的な制度の話をするとかということじゃないということなんですけども、基本的な考え方として、どういう考え方が必要なのかということで考えると、実はIPCC1.5度報告書の話が関係してくると思います。あの報告書は、大きく二つの新しい、目標というか、ターゲットを持っていて、一つは、2050年に実質脱炭素化、80%削減ではなくて、もう実質的排出量をゼロにするんだという目標を提起した、要するに1.5度を実現するためには、これが一つであると。もう一つは、その2050年に至る道として、2030年までに2010年比で45%削減しなきゃいけないと。こういう二つのことを言っていることが、非常に大事だと思うんです。そう思うと、今度カーボンプライシングを設計していくと、これはカーボンタックス、炭素税という手法と、それから排出量取引制度、この二つをうまく組み合わせて、あるいは一つになるかもしれないけども、いずれにしろ、この二つの目標にどうアプローチするかという観点から設計していく必要があると思うんです。

一つは、やはり今世紀の後半、2050年には脱炭素化するんだというふうに考えると、あらゆる主体が行動するときにカーボンの排出を考える、そういうものとしてのインセンティブということが一つだと思うんです。そういう意味で考えると、やっぱり、かなり幅広い層に影響を与えるようなものが必要だと。これが一つと。

あともう一つは、やっぱり2030年までに、既にこの段階で大幅な排出削減をしなきゃいけないということを考えると、やはり、これは大量に実際に排出しているところに直接効果があるような、そういう制度設計をしなきゃいけない。日本で考えると、やはり、これは電力部門と素材産業ですから、この部分に、特に実際に実効性が効くようなものにしていかなきゃならない。

そういう二つの関連から炭素税と排出量取引制度の両方か、あるいはどちらか一方か、うまく組み合わせて、制度設計していくということかなと思います。ですから、今日は、まだ、それがどうなのかということは申し上げられないんですけども、そういう観点から検討していく必要があるんじゃないかなというふうに思いました。

それから3点目ですね、何人かの方が触れられている石炭火力の話でございます。確かに、石炭火力は新設計画が幾つかストップになりました。あと残っているのは幾つかあるんですけども、大きいものは四つです。この四つを含めて、4.5ギガワットぐらいかな、新設計画がありますので、これは、こういうカーボンプライシングを早く導入していくというメッセージを出すことも含めて、プロジェクトを再検討していく必要があると思うんです。ただ、新設プロジェクトが、全部四つ止まると、それで万々歳かというと、そういうことは全然ございません。これは、前にも委員会で資料を、私はお願いして出していただきましたが、プライシングの導入がなかなか進まない中で、既に3.11以降に発表されたものの中で、9ギガワットかな、今、建設中でございます。ですから、9ギガワットについても、なかなか途中段階でやめるのは難しいと思うんですけども、やはりできるだけ使わない方向に持っていくことが必要だということがあります。

それから、もう一つは、既に稼働しているものですね。これが日本では自家発電も含めて45ギガワットあります。そういうものを前提として、今の政府の計画では、2030年にも26%の電力を石炭火力で供給するというふうになっているわけです。これは、もう、もちろん1.5度報告書の、さっきの大きな削減には見合いませんし、世界全体では、石炭のフェーズアウトというのは、もちろん新設だけの話じゃなくて、既設も含めてフェーズアウトしていくということですから、そういう意味で考えると、やはりカーボンプライシングというものが早く入っていかないと、石炭からのフェーズアウトができないということかなというふうに思います。

それから、あとは、これは皆さんも何人かの方がおっしゃっていたところですけども、私も、もう少し具体的な数値をやはり出していただかないと、なかなか議論が進みづらいんじゃないかというふうに思います。

以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、大塚委員どうぞ。

大塚委員

ちょっと5点ありますけども、短く話したいと思います。

まず上流、中流、下流の問題でございますけれども、先ほど、平成15年のときの報告書との関係をご指摘いただいたところがございましたが、今回の検討との最大の違いは、電力の自由化が進んでいることではないかと私は思っていますけども、そういう観点から電源構成を変えることが、当時に比べて比較的容易になったというところが、多分一番大きいところかなと思います。そういう意味で、省エネももちろん重要なんですけれども、上流のところで、電源構成を変えるというところが、非常にやりやすくなっているところがありますので、その点も含めて、この点について考える必要があると思います。既に温対税は平成15年の検討を踏まえて、かなり激しい議論をしたと思いますけども、下流という議論もあったんですけども、上流のほうにしたということで、そのときの最大のポイントは、この徴税コストの問題が、多分最大の問題だったというふうに私は認識していますが、加わらせていただきましたけども、認識しておりますが。その点は今も変わっておらず、温対税はそれだけ機能しているというところもございますので、特に問題がなければ、上流にするということもあると思いますし、さらに先ほど申し上げた電力自由化の結果、電源構成のところが、かなり自由に変えられることになっているというところを考えると、上流がやはり適切ではないかというのが第1点です。

それから、第2点ですけども、減免還付の問題でございますけれども、これは、ご説明いただいたように温対税でもう既にやっているということで、今回の炭素税では、さらに対象が広がる可能性もあるのではないかと思っています。そのときは、EUがやっているように、炭素強度と貿易強度を考えるというのが基本だと思いますので、あまり政治的に検討されてしまうと、ちょっと困ったことになると思いますが、炭素強度と貿易強度を考えながら決めていくということかと思います。

例えば鉄鋼さんは、私は非常に日本の産業として重要だと思っていますが、CO2を当面はかなり出さざるを得ないというところがあると思いますので、国際競争の観点も含めて、ぜひ減免していただく対象になってくると思いますけども、そういう産業がある一方で、日本の社会全体を脱炭素化、低炭素化に持っていって、イノベーションを進めていくということが、非常に重要になっていますので、そこは、もう完全に分けて考える必要があるかなというふうに思っているところでございます。

それから、第3点でございますけれども、既に高度化法とか省エネ法があって、44%非化石の率とか決まっているので、これ以上、カーボンプライシングの必要はないんじゃないかというご意見もありましたが、これは電力のほうの評価の検討会に入れさせていただいているので、そこで得た情報ですけども、やはりカーボンプライシングが一番大事だと。というか、それが決め手になるという話は産業界のほうの方から伺っているところでございます。現在、高度化法とか省エネ法の仕組みはもちろんあるんですけれども、具体的な最後のところで、もし石炭火力しか発電されていないような事業者さんについて、44%は当然達成できないわけですけども、どう扱うかという問題とか、協議会の中のメンバーについて、どういうふうに、責任分担されるかという辺りは、はっきりは決まっていないものですから、残念ながら、なかなか決めるのは難しいと思って、伺っていますけども。ですから、そこは残念ながら二つの法律の水準が44%になっているからといって、直ちに石炭火力が減っていくようなインセンティブが与えられているわけでは、残念ながらないというような状況がございますので、それは、ちょっとご説明しておきたいと思います。

それから4点目ですけれども、15ページのところにあるような従量税的に既存の税制も含めて変えていくというのは一つの理想形だということで、この議論は、1980年代から既にあった議論では、世界的にはありますけども、理想形ではあると考えています。エネルギーの安定供給は、私も極めて重要だと思っていますけども、これは河口委員がまさにおっしゃっていただいたとおり、再エネが、まさに安定供給のために非常に重要だというところもございますので、その辺はもちろん考慮して決めていく必要があると思いますけれども、エネルギー安定供給が重要だからといって、この14ページの考え方が直ちにおかしいということではないと思っています。

それから、最後に第5点ですけども、最後の20ページのところで、基本的視点にかなった効果を得られているかというのは、これも重要な問題だと思いますけれども、税は、排出量取引と違って、量で明確に決まるものではなくて、むしろ価格のほうで決めるということで、産業界の方にとっては、むしろ予測可能性がつくというところがメリットだと思いますけれども、逆に、そのために効果がどうなるかというのは、予想はもちろんして、やっていく必要がありますけども、幅が出てくる可能性はありますので、そこは効果を見ながら目標量と比較しながら再検討するということは、当然あり得ることかなというふうに思っているところでございます。

以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

遠藤委員、5時までというふうに伺っていまして、まだ一応、7分ぐらいありますが、さっきご質問でしたが、ご発言があるようでしたら、どうぞ。

遠藤委員

再び心の準備ができておりませんでした。いろんなコメントを、皆様の委員の方のコメントを拝聴させていただいて、1点だけ。

現在のところ、今、温対税が入っていて、その温対税が入っているということにおいての、いわゆる炭素税的なものの導入については、実際、石炭が減ってないということで、恐らく、効果がなかったんだということは、ある程度のコンセンサスになっているような気がします。そうすると、どの程度のレベルに持っていかなくてはならないのかということの、やっぱりボリューム感がないと、経済に対するインパクトとか産業に対するインパクトというのが、なかなかやっぱり議論しにくいなということは、先ほども申し上げた次第でございます。ですので、それが恐らく価格シグナルになるためには、極めて高いプライスが設定されなくてはならないのだろうということは、漠然と想像ができるわけであります。それをもって、それを産業界が受け入れられるかということについては、また同時的に極めて難易度が上がろうかということも見えてまいろうと思っています。

よく使う数字ですけれども、ある種、中小零細企業が電気料金が幾ら上がるということに対して、ある種、許容範囲があるのかということにおいては、57%の企業が、1円でも上がると、これはその企業としてもたないというような回答をしているというデータは幾つも示されていると思います。このような中で、エネルギー価格が高い、それで、また、そこに炭素価格が乗ってくるということと、あと、それ以外の、価格シグナル以外のもので削減できる可能性があるオプションがほかにあるとすれば、それは冷静に比較していく必要があるのではないかなというふうには思います。

エネルギーの供給構造について、いわゆる電源構成ですね、いろんなお話をされておられる方がいると思うんですけれども、前提として、日本の置かれているロケーションの問題であったりとか、地政学上の問題であったりとか、いろんな電源構成はどうあるべきだという議論の中には前提があると思うんですけれども、私も、いろいろとエネルギーのことを勉強しておりまして、感じますのは、なかなか日本においては、これは要らないというような電源というものがつくり出せるような余裕はないというような状況にあると思っています。例えば石炭にしろ、石油にしろなんですが、ある種の破局的な事故が起きた場合に稼働しやすい電源というのは、原材料というのは、やっぱりエネルギーの中では、電源構成の中では石炭とか石油に頼らざるを得ないところがあります。

なので、石炭ゼロということも、もちろんナンセンスであり、そういったような現状がある中でバランスをとっていかなくちゃいけないということを前提にして考えないと、ある種、再生可能エネルギーだけで日本の電源が賄われるというような、ある種、リアリティーのないような議論になってしまいますので、ある種、再生可能エネルギーを増やしていかなくてはならない、そのための蓄電、ある種の地産地消の電源を整える、そういう政策が必要であるということは、もう間違えはないですが、かといって、再生可能エネルギーが8割、9割、もっとで、それで、ほかはないんだというような議論にならないように、それだけはちょっとエネルギーの電源構成を考える上では注意しなくてはならないかなというふうに、依然として思っております。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

牛島委員、どうぞ。

牛島委員

私のほうからも申し上げようと思ったことというのは、ある程度、出ているんですけれども、かねてより感じているところとしては、端的に言ってしまうと、カーボンプライシングそもそもが、誰か何かに罰を与えるとか、あるいは全く痛みを伴わない、経済的なインパクトもない変革ということもあり得ないんだろうなというふうに思います。ですので、その一方で、視点として、ぜひ、これからもう少し厚みを持って、入れていただければありがたいなと思っているのは、もっと、よりバックキャスティング思考に基づく、先ほど小西委員もおっしゃいましたけれども、ポジティブなインパクトのほうを、つまりは税で回収するのであれば、それは何のために、どのように使うのかというふうなことだと思います。

冒頭で、これはカーボンプライシングの是非を問うものではない、政策としてのカーボンプライシングをどう扱うかというふうなところでは、私の中では、やはり資金の流れを変えていく一つのトリガーにしていけるのではないかなと。それは会計上も見える化すること、外部不経済が内部化されて見えるというふうなところで投資判断に影響が出るとか、あるいは購買決定に影響が出るというふうなこともそうですし、国として、税で集めたお金をどこに再投資するのかというふうなところも一つの財源になるかなと。考える上では経済的な、今ネガティブなインパクトに注目が集まっていますけれども、当然ながらネガティブなインパクトを最小にしていきながら、むしろポジティブなインパクトをどのように最大にし、最終的には脱炭素社会というものを実現するというふうなことで、これを否定しては、もう何も始まらない。

平成15年の、先ほど資料を拝見させていただいたところでは、省エネと新エネと燃料転換という、この三つだったんですけれども、私的には、一つは、やはり省エネのさらなる推進というのは引き続き必要なんだろうというふうに思いますし、エネルギー構成の変更というふうなことも必要なんだろうというふうに思うんですけれども、個人的には産業構造の変更というふうなところもやはり考えていかなければいけないのではないかなと。既に投資家の間では、有形資産から無形資産がバリュードライバーであるというふうなことで、かなり知的資産ですとか、人的資本というところに企業価値というのを見出している。日本の稼ぎ方というふうなものを、2050年ぐらいまでの間にどういうふうに変えていくのか、その財源をどういうふうに回していくのか、そこに、適切な投資の意思決定をするためにカーボンプライシングというふうなものをどういうふうに利用していくのかというふうな文脈で、もう少し全体最適な視点も入ってきていいのかなと。既存の産業が生き残れるかどうかだけを見たのでは、かなり、この議論というのは、袋小路に入ってしまうのではないかなと。

私の周りでも、例えば銀行なども、もはやキャッシュも要らない、AI化して人も要らない、窓口も要らないというふうになれば、これは嫌が応でも業態を変えなければいけないというふうな、こういった時代に入っていると思います。ですので、そういう意味では、2050年という、GDP比で日本というのは、5位に落ちるというふうなことも予測されている中で、何で食べていく、どういうふうに生活していく。そのためにどのように産業構造を含めて、こう移行をさせていくのかというふうなところにネガティブなインパクトだけではなくて、ポジティブなインパクトをそこでどういうふうに生み出していくのかというふうな視点もあると、もう少しいいかなというふうに感じた次第です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、岩田委員、どうぞ。

岩田委員

それでは、すみません。3点ほど申し上げたいと思います。1点目は、10ページの我が国のエネルギー課税の課税段階ということで、大変興味深く拝見したんですが、ここでエネルギーに関する課税がいろんな段階で行われて、しかも、もう一つの特徴は、これを見るとおわかりのように、揮発油税には突出して高い税がかかっておりまして、5万3,000円。ほかの例えば石炭とかというと、トン当たり1,370円とか、このギャップがものすごいと思うんですね。それで、この席でも税制のグリーン化ということを既におっしゃっていたとすると、日本の税制は、いかにグリーン化から離れているかということが、まず1点申し上げたいんですね。

それで、グリーン化を進める場合に、方法論としては、この話題に出ております15ページで、炭素税の税率を調整していけばいいのか、あるいは、今の税制を炭素税に変えてそれで炭素税を一律にするという方法もありうる。私はどっちかというと、そちらのほうが望ましいと思っていまして、例えば、エネルギー税制全体を炭素税に換算すると、先ほど手塚先生のお話がありました4,000円ということなんですけど、揮発油税、つまりガソリンに対する課税を炭素税に変えると、我々の計算では1トン当たりの排出で2.5万円なんですよ。2万5,000円なんです。今入っている温暖化対策税は289円なんです。問題は、2050年の時点で2℃以下、あるいは1.5℃以下にするというのに、それに見合ったカーボンプライスは幾らなのかというのが、実は不確実性がいろいろと多いものですから、はかるのは難しいんですが、カナダの政府は、これはスティグリッツさんの報告書に引用してありますけれども、幅がありますが、350ドルから500ドルぐらい。幅がいろいろと政策の対応で違います。50年の時点ですね。日本は、実はガソリンについては、もう2万5,000円払っているんですよね。炭素税に換算すればですね。というのも、やっぱり考える必要があるというのが一つで、私の望ましい税制の考え方は、やっぱり炭素税は一律のほうがいい、どちらかといえば、前回地球温暖化対策税をお入れになって、一律に近いような形をどうもとられたような印象を持っていますが、そのときのいろんなポリティカルプロセスもいろいろとおありになったと思いますけど、私は、今の税制をやっぱりグリーン化して、そして炭素税を一律で課すというほうが、透明性が高いやり方じゃないかというふうに思うんですね。

というのは、まず1点目に申し上げたいことで、2点目に申し上げたいことは、この12ページのIEAの見方なんですけど、IEAは大体報告書をつくるときに加盟国には大体了解を得た上で出しているんですよね。私はとてもいいと思っているのは、2050年までの原油の見通しをずっと出しているんですよ。大体同じ数字なんですけどね。短期的にはいろいろといじるんですが、2050年には大体285ドルといいますね。それは変えていないんです。でも、私は、それはとても正しい政策だと思っていて、それは企業に覚悟してもらっているわけですよね。2050年には今50ドルだって、285ドルになりますよと。それに備えて、一生懸命、省エネ、あるいは脱化石というような、炭素というようなことを今から準備しなさいよということを言っているんですよね。言い続けているのは、非常に正しいと思っていて、今回、私が伺って、140ドルというカーボンプライスのほうで、今度は40年、先進国は140ドル。これをIEAが出されたというのも、とても正しい政策だと思うんですね。つまり、カーボンプライスというのは原油価格が動いても動くんですよ。それから、税が動いても動くんですよ。だから、両方やっぱり必要なんですよね。実は、両方が整合的でないと困るんですけど。そこまで、なかなか詰め切れていないと思いますが、コンセプトとしては、非常に正しいことなんだと思うんです。

私、この小委員会の一つの意義というのは、プライシングというものを明確にすることだと思うんですよ。IEAが原油で出しているなら、日本の環境省は2050年のカーボンプライスは幾らですかというのを私は義務に近いんじゃないかと思っているんですが、それから申し上げたいことは、政府が出すんじゃなくて、本当に重要なことは国民の一人一人、あるいは企業がどのくらいのカーボンプライシングをこれから2050年に向けて覚悟しなければいけないかということをどのくらい深く理解するかということなんじゃないかと思うんですね。

そういう意味では、今の段階では、税率というよりは、むしろプライシングの重要性、しかも、それはクリアなメッセージで、将来どのくらいのプライシングが必要なんですか。それは税でやる場合もあるし、排出権でも。これは、やり方はいろいろとあるとは思いますけど、ポイントは価格づけをすると。それから、その効果について経済学というのは、やっぱりプライスが高ければ量は減るんですよね、基本的には。だからトータルですけど、カーボンプライスですね。もう過去の経験があると思うんです。EUの場合でも、エネルギー課税を炭素税に変えたりして、それからカーボンプライス、つまり炭素税が非常に高いスウェーデンの場合とか、あるいは、EUのケースでもいいんですけども、ケーススタディは幾らでもあるので、それで、カーボンタックスを動かしたときにどのくらいというような、それは、日本の場合は現状の税額が非常に小さいので、その効果が出にくいということがあると思いますけれども、基本的には、私はカーボンプライシングが上がれば、それは、理由は税かもしれない、あるいは原油かもしれないんですけど、効果の大きさは調べることは可能だというふうに思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

石田委員、どうぞ。

石田委員

現在、ESG投資でインターナルカーボンプライスの導入が評価されるなど、世界はカーボンプライシングを避けられないと判断して動いていると感じます。今後も日本がそのような状況の中でカーボンプライシングを導入しなくてもいいのならともかく、脱炭素に向けて動くということは、カーボンプライシングが必要だと思います。この意味では、今回の委員会でカーボンプライシングを導入するとかしないとかではなく、導入する場合にはどうしたらいいかという次の議論ができたことは大きな前進であると思います。

我々JCLPは、CO2削減に積極的な企業の集まりですから、日本政府に対して、より明確で具体的な対策を明示して欲しいとお願いしていますが、その中にカーボンプライシングも含まれています。カーボンプライシングは、恐らく政府の姿勢を示すものとしては、非常に重要だと思います。それによって、企業は安心して投資ができます。どっちになるかわからないと、なかなか投資に踏み切れないので、政府の意思を示していただきたい。

先程、岩田委員の発言では、政府ではなく国民が決めるべきだとのことですが、これはハードルが高く、我々自身では決められないので、政府にお願いしたいのです。

これは余談ですが、ある人に政府で明確な方針を出して欲しいとお願いすると、アメリカは大統領が温暖化対策をださないが、企業はきちんと対応している、日本企業は何で政府が明確な方針を出さないと温暖化対策ができないのかと言われたのですが、日本企業は、それほど力がないのだと思います。このため政府の指導力が必要なのです。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

有村委員どうぞ。

有村委員

ありがとうございます。全体、資料の取りまとめ、概ねよい方向にまとまっているのではないかなと思いました。それで何点か、3点ぐらい申し上げたいと思います。

一つ目は、水準の考え方についてなんですけれども、今回、課税の水準1から4というのが示されておりますが、必ずしもこれは矛盾しないのではないのかなと。それぞれ並列して成立するものではないかなというふうに思っています。例えば、ページ15にありますように、基本的に化石燃料間のばらつきをなくすという③の視点というのは、一つの方向性だというふうに、税の場合は理解をしております。ただ、これをやっていくことによって、結果的に、この②の課税の水準で、石炭から天然ガスへ転換を促すということも可能になり得る水準もあるんだろうというふうに思いますし、それをいきなりやるのではなくて、長期的に実施するという④の視点ですね、つまり、先ほどからあるように、アナウンスとして長期的にこういうスケジュールで、価格づけは行われていくんだということをしっかりと政府が示すことによって、当初の導入段階は低くても、その価格の長期的なシグナルを見て、投資行動というのが変わっていく。そういった石炭火力が促進されるような状況は回避されつつ、短期的な負担は急激には起きないというようなことが可能なのではないのかなというふうに思います。いずれにしろ、この転換も含めた話で、具体的な水準というのも一つお示ししていただきたいなというのは、ほかの委員の方と同じ意見です。

それから、2番目については、踏まえるべき視点ということで、ページ5の減免措置、緩和措置というのが挙げられておりますけれども、この辺は、少なくとも短期的には国際競争力やエネルギー集約度の視点で減免措置が必要になってくるということだと思うんですけれども、私は、以前、排出量取引でどうするかという研究をしていましたけども、税のほうでも、既にそういう制度が国内にあるということで、そういったことで実施が可能であるんだということがわかるよい資料だというふうに思いました。

それから、家計への逆進性についても問題が指摘されていますけれども、これに関しては、既に資料1のほう、これまで何回もここの場で挙がってきていましたけども、幾つかの国で、対策が実施されていて、今回も資料1のページ30に既に幾つかの事例が紹介されていてよいと思いました。

それから、あと、ちょっとここに載っていない視点で、もう一つ考えるべき点は、既に東京都と埼玉県で排出量取引制度は実施されておりまして、そういった対象事業者さんは、もしかすると、例えば税の場合は、減免措置の対象になるというような制度づくりもやって、これは、小西委員がおっしゃられたポリシーミックス的な感じの世界かもしれないんですけども、一部はそういったETS、都道県府県レベルのETSがあって、税を免除されるというような仕組みづくりというものも検討すべきではないかなと思いました。

3番目が、過去の議論との相違ということで、今回、今までちょっと気がつかなかったんですけども、過去のいろんな資料が用意されていて、皆さん熱心に読まれていて、前田先生も、何か前と同じ議論をしているなというお話があって、いろんな方が見られて、私自身も懐かしい先生方のお名前が出てきて、おもしろい、興味深いなと思っていましたけども。多分、論点は基本的に常に同じような話だと思うんですけども、やはり周辺状況がかなり変わっているということは、我々も踏まえるべきだろうと。電力産業が自由化されたこと、それから気候変動に関しての被害というのが、かなりリアルになってきてしまっているということ、それから15年前には、多分カーボンプライシングというか、炭素税にしても排出量取引にしても、こんなことをやったらどうなってしまうんじゃないかというようなことを思われた方もいらっしゃったとは思うんですけども、各国やってみて、そんなひどいことは起きていないと。削減しつつ、経済も生きているというような状態だという辺りの周辺状況が違っている。それから、日本だけがこういう政策をするのはおかしい、心配だという懸念を持つ人も多いかとは思うんですが、むしろ今は中国や韓国もやっていて、日本だけがやらないじゃないかというふうに思っている方も海外だといるかもしれないという辺りが大分変わってきているんだろうというふうなところは思いました。

あとは、最後に本日の議論ではありませんけれども、やっぱりポジティブなことも議論すべきだということでいうと、税収の使い方というのも、多分、今後の検討課題になっているということなので、重要になってくるだろうというふうに思いました。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

神野委員長代理、どうぞ……。

神野委員

それでは、私のほうは、環境政策の専門家ではないので、ここを受けながら、別途、環境税のまとめ役もやらされているので、ここと行きつ戻りつだと思いますが、私のやっているドイツ財政学のほうからこういう問題を税としてどう整理していくのかということを少しお話ししておこうかなと思います。

まず、カーボンプライシングの考え方なんですが、私のような素人の立場から言えば、価格機構を環境にフレンドリーな方向に変えていくということがカーボンプライシングだろうと思っておりまして、そのときの手段として租税と、つまり環境税と排出権取引等々が使われると、そのように理解しております。

そういう手段として、租税を使う場合、どういうふうに考えるかということをまず申し上げておくと、まず環境税というのは個別消費税なんですね。つまり、一般消費税、日本でいえば、消費税のように価格にかけられるわけではありません。つまり従量、何トンに幾らとか、お酒でいえば何キロリットルに幾ら、個別消費税は全て従量税でかけられていくんですね。一時期、従価税が入ってしまうと、従量税というのは租税体系の中で意味がないのではないかと言われてきたんですけれども、私は意義があると思うのは、従量税でかけられるということを利用して、環境政策的な、これは私どもの公正の原則ですが、正義の原則として入れ込めるというのが一つでございます。

そういう観点からすると、個別消費税の目的税という考え方には、私どものやっている財政学では、作用目的税と使途目的税と二つに分けます。作用目的税というのは、税そのものが作用して価格を上げたり、下げたりとかを含めて作用して、それを目的にしてやると。環境税と想定するときには、作用目的税として想定していると。もちろん、使途目的税として構想するということはできないわけではありませんので、環境政策のための財源調達としてつくる税金というのは幾らでも構想できますし、使途目的税として使えないわけではない。逆に、作用目的税と使途目的税ということを組み合わせてもいいわけですけれども、その場合、ちょっと、私ども税の専門家からいうと、ある程度、環境政策を前提にしなくちゃいけないので、どういうふうに使うのかとか、何とかということに関して言うと、いろいろ議論が、二重配当とかって、いろいろ議論があるので、ここはあまり踏み込まないということにしておくと、まず、その点を一つ。

それから、もう一つは、税金というのは、あまり変わらないように見えるんですけれども、ある時点をとってもらうとものすごく変わるんですね。明治時代だったら、ほとんどお酒の税金だったという収入の時代があれば、所得税が出てきて、付加価値税が出てきて、そして、今から50年後どういう税金になるかというのは、なかなか難しいのですが、私の予測では、もう世界の租税体系の中で、環境税が存在感のある租税になっているということは、ほぼ見通せるんじゃないかというふうに思っています。

それで、ここでは今、効率性の議論というのが非常に多かったと思うんですけれども、租税の場合には、ご案内のとおり、効率性と同時に公平性を最も重視します。正義の原理から言うと、今言いましたように個別間接消費税における公正の原則は何かといえば、当然のことですが、好ましくない租税を重く課税し、あるいは好ましくない消費、あるいは好ましくない消費行為を重く課税し、好ましい消費行為、ないしは消費や消費行為を軽く課税するというのが個別間接税の原則です。一般消費税に複数税率を入れるときの考え方もそうのはずで、そこには、何と言ったらいいのかな、経済的な負担の逆進性をカバーするとかなんとかって、本来は、あまりないんですね。区別ができませんので、間接税は。

そういう観点からして、私がなぜ環境税というのが、恐らくこれからの20年、30年後には存在感のある税金になってくるだろうというふうになっていくと、公正の原則として、明らかに環境という軸が入るんじゃないかと思っているからです。グリーン化とかといわれるのは、みんなそうですね。ある一定のときだと、健康上よくないものについては重く課税する、軽いものにはやるという原理もずっと支配的だったわけですけれども、現在は変わるだろうと。もちろん、そうじゃない場合もあります。ご存じのとおり、ポテトチップス税とか、さまざまな税金がいまだにつくられますから、そうでない場合もありますが、基本的には公正の原則として環境というのが入ってくるだろうというふうに考えているからなんですね。

それから、最後の一つは、我々が、財政学者が財政的な手段を環境政策の手段として考える場合に何をするかといえば、当然のことですが、直ちに人間の命に害を及ぼすというようなものは、当然、規制でぼんと止めるしかないわけですね。その次に使うのは、租税じゃなくて、課徴金です。課徴金と租税の違いは、租税というのは収入を目的にしていないと租税とは言いません。つまり、交通違反の罰則金とか、これは強制的に何の対価もなく取られるという点では、税金と同じことですけれども、租税では収入を目的にするのに対して、罰金というのは、収入を目的にしない。むしろ少ないほうがいい、ゼロのほうがいいという書き方をする。これは、環境政策としてあり得ない話ではなく、一時期、緑の課徴金という言葉がはやったときに、スウェーデンでは、みんな課徴金ですから、課徴金を課税していくというやり方もあるわけですね。

租税を環境政策の手段として使う場合にはどうしたらいいかというと、存在していないと困るものでないと、税収は上がりませんから、CO2はゼロでいいかというと、ゼロになったら死ぬし、一定限度、少なくなってしまうと、とんでもない寒い国とか、地球になってしまいますので、ある一定程度存在するということを条件にすると、税収をかけられるわけですね。ゼロにするというわけじゃなくて、コントロールするということになるわけですので、そういう観点から、私たちは、つまりどういう環境政策の手段として、どういう財政政策を利用するかというのに今のような禁止とか、それから課徴金とか、そういうようなことを組み合わせますが、今回の場合には、先ほど最初に言いましたように、カーボンプライシングのときには、ある価格機構をゆがめていくというと怒られちゃいますが、価格機構をフレンドリーな方向に変えていくということであるとすれば、税収を目的にした課税ということで行くということが望ましいのではないかと思っておりますので、こちらの議論を受けてからデザインをしていこうかなというふうに思っています。

浅野委員長

ありがとうございました。

さて、前半でご発言になった方でご発言ご希望がありましたら。

それでは、まず、廣江委員、どうぞ。

廣江委員

ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。一つは、鮎川室長、どうも懇切丁寧なご説明をありがとうございます。その上で、やっぱり少し腑に落ちないところがございます。といいますのは、将来にわたりましても、先ほど手塚委員がおっしゃいましたように、火力発電所をつくる立場からは、価格差は全く関係なく、再エネというのは、入れば必ず優先的に給電されますから、動くかどうかということで判断をします。一方で、FIT、あるいは再エネの事業者の方といいますのは、火力発電所が一体幾らで発電するんだと、これに勝てるか負けるかというような判断は基本的にはされない。FITの買い取り価格で20年なり、10年で事業がペイするかどうかの判断をされるということでありまして、基本的には、火力との価格差というものは導入にはほとんど、全くと言っていいほど影響はないと思います。

一方で、じゃあそのFITの買い取り価格がどんどん下がっているじゃないかという話がありますが、これはご承知のように、もう既に日本のFITの賦課金は燃料費とかを一切無視して、追加的に国民の皆さん方が負担をいただいており、その金額は今、年間で2.4兆円、もう電力料金の10%以上に達しているというような国民の負担の観点や、それから相当思い切って価格は下げてこられましたけど、それでも、やはりドイツ等々の買い取り価格に比べれば相当高い、場合によっては2倍という説もありますけども、そういうことから今FITの価格が下げられているという話があります。繰り返しになりますけども、基本的に火力の発電コストと再エネのコスト差というのは、再エネの導入には影響を与えるものじゃないのではないかというふうに考えます。これが1点目であります。

それから2点目でございますが、これは大塚委員のほうから供給高度化法について、義務のかかっている人たちが、非常に曖昧ではないかというようなご指摘がありました。これは、供給高度化法と多分低炭素協議会とを少し混同していらっしゃるのではないかと思いますが、少なくとも供給高度化法というのは、全ての小売事業者に個々に義務としてかかってまいります。法律の改正がない限りはそうだと思います。もちろん共同達成という方法は残されていますし、それ以外であるならば、もし仮に火力発電しかお持ちじゃない方については非化石価値の市場で、これを買うということで達成をするということしか、多分この法律の罰則といいますか、違反を免れる方法はないんだろうというふうに考えております。

以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、土居委員、どうぞ。

土居委員

先ほどは、事務局への資料要求だけだったので、ちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。この小委員会で議論が重ねられてきて、カーボンプライシング、特に今日のテーマである炭素税に関しては、それなりに議論が深まっているというふうに思いますが、導入云々という話になると、いかんせん、なかなか私の五感で言えば、単発のエンジンだけでは離陸しないというような、そういうような印象を持っております。今日の議論もそういう感じが拭えないと。

そうすると、やはり炭素税を炭素税だけで考えるというのは、確かに、この小委員会ではそういう議論が大事で、それを貫くべきではありますが、さらにその先の議論ということを考えると、やはり税制の中で炭素税をどう位置づけていくかということを考えるというのが、そういう視点がないと、なかなか導入に向けた議論も深まらないというふうに思います。

端的に言えば、もし、さらなる税収確保が必要なときに、消費税を10%超の税率にするほうがいいのか、それとも炭素税をないしは温対税をさらに増税するのがいいのか、どちらがいいのかという、そういう比較考量も合わせてないと、なかなか炭素税がいいという話にならない可能性があるというふうに思うわけです。炭素税を入れるか入れないか、ないしは温対税を拡大するかしないかという、そういう話だけで捉えると、どうしても当然負担増になるということだけがクローズアップされてしまうので、それは嫌だという話になるということだと思いますが、我が国の財政というのは、もう圧倒的に税収が足らないと。とにかく財政赤字がこれだけ膨らんでしまっていて、これからの課題は財政赤字をいかに減らすかと。そのためには、もちろん歳出削減も必要なんだけれども、税収確保もますます重要になってくると。もちろん消費税だけがその手段なのかといわれると、そんなわけはなくて、いろいろと法人税や所得税があると思います。場合によっては、経済界からすれば、法人税をこれ以下は下げられないということぐらいだったら、炭素税を上げてでもいいから法人税を下げてほしいということだって、今後出てくるかもしれないということもあり得るわけで。そういう意味では、税制の中で、炭素税というもので、どういうふうに財源を調達するかと。ほかの税と比べて、まだ経済的な負担は伴うんだけれども、まだ炭素税のほうがましだというような状況というのが、今後あり得ると私は思いますけれども、そういうことになったときにきちんと炭素税の合理性、ないしは炭素税は何ゆえ意味のあるものなのかということを、しっかり論点をここで、この小委員会で出して議論を深めるということは、非常に大事なことかなと思います。炭素税単体で、これは地球温暖化防止のためなんだと、だから導入してはどうかといったところで、うまく議論が、賛同者を集められれば、それにこしたことはないんですけれども、今の議論を聞いていると、なかなかそんな感じが私自身には湧き上がってこないというか、そういう手応えを感じられないということなので、もう少し単発のエンジンじゃなくて、もう一つエンジンをつけて、双発のエンジンで離陸するということを考えないと、なかなか単発のエンジンだけだと、今の状況だと議論が深まらないのかなというふうに思います。

それから、もう一つは、先ほど来、何人かの委員がご指摘されていますけれども、2050年とかという、その先のことを考えると、炭素価格というのは、今よりも明らかに上がると。そうしたときに、我が国が政策的対応として何もしていないということになったとすると、いきなり炭素税が低いままで、ないしは温対税が低いままで、ある種の外圧で、その炭素価格を人為的に上げろというふうに、外国から言われたときにどうなるのかということを考えると、むしろ早目に上げておいて、外国から仮に炭素税をもっと上げるべきだというふうに言われても、急上昇しないような国内的な対応というのは必要で、そういう意味でも炭素税だけではありませんけれども、カーボンプライシングの議論というのは、早目に、早目に対応しておく必要があるのではないかというふうに思います。

以上です。

浅野委員長

大塚委員もご発言をご希望ですが、森澤委員が先でしたのでどうぞ先にご発言ください。

森澤委員

このエネルギーの転換は日本だけで言われているわけではなくて、世界中での議論なわけなのですが、皆さんご存じのとおり、気候変動と公正な移行ということ、これは先週も日本でそういったセミナーをハーバードの先生をお招きして、お話をさせていただいて、ステークホルダーでの皆さんの知見を高めるということをさせていただいたのですが、日本は、やはりここの部分では炭鉱はもう閉じていると。これはもう連合の方も出てきていただきましたけれども、石炭は出てきていない。それはオーストラリアとか、もう、そこの産業の方々の雇用をどうしようかというところとは全く違うわけですけれども、河口委員がおっしゃったとおりに、エネルギーの自立のチャンスがあるわけなんですね、日本に、これからにおいて。今まで輸入しないといけなかったと。今ある税制をもとにどうしようかではなくて、こういうふうな大きく変わるときに、どのような未来を想像できるかということが重要になってくると思うんですね。

先ほど、岩田委員がおっしゃったように、IEAが明示していらっしゃるカーボンプライシング、2040年に幾らになるかということも明示されているわけですから、これは、世界中でそういうことを考えていらっしゃると。そちらにどう向かっていくかということで、今あるものをどう変えていくかではなく、そういう世界に向かって、どういうようなカーボンプライシングを考えていくべきかと。そのためにどういうような税制を考えないといけないかと。投資家からも、既に日本の電力会社の幾つかは、海外の投資家からダイベストメントされていると。まだ日本の投資家はエンゲージメントしているので変えたほうがいいです。再生可能エネルギーに切りかえていったほうが、企業としてもたないです。そうでないと続いていかないですという、もう石炭に対して、そういった部分の内示的なカーボンプライシングを考えないといけない。インターナルカーボンプライシングを考えないといけないというセクターの企業というのは、たくさんあるわけです。

そういった中で、はっきりと、ここの委員会の中で、それが幾らであるかということを出していく。これがいい機会だと思いますので、日本の中でそういった切迫していないセクターもあるかもしれませんが、その方々にも気づいていただく機会ですし、切迫しているセクターであれば、石炭のセクターはあまりないですけれども、電力会社さんであっても、自分たちのビジネスモデルを変えていけば、生き残っていけるわけです。石炭の発掘産業とか、そちらでは採掘していらっしゃるところではないわけですから。どのように変えていくかということを、カーボンプライシングをもとに考えていただきたいと。それのための委員会からのいろんな提案、提示だと思いますので、そこの部分は下から積み上げていくのではなく、そこから、どのようなカーボンプライシングを考えるべきかということの議論に向けていっていただきたいと思います。

浅野委員長

ちょっと話が行きつ戻りつになるかもしれません。大塚委員、どうぞ。

大塚委員

先ほどの廣江委員のお話は、ちょっと私の見方が違うかもしれませんが、仕組みとしては、共同達成の仕組みはあり得るんですけども、具体的方策は決まっていないので、そこは問題ではないかということです。協議会と別に混同はしていません。それぞれの法律があり、基準が決まっていますけども、協議会は、それを実施するためにやっていただいている、まさに電力さんにやっていただいているものでございます。

あと、非化石価値取引市場はもちろん期待されますけども、目標が決まらないと、なかなか量が増えていかないという問題がございますので、期待はしていますが、それの共同達成を実際にやるためにどのぐらい使えるかというのは、まさに未知数であるということだと思います。以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

手塚委員、どうぞ。

手塚委員

皆さんのいろんなコメントを聞いていて、ちょっと違和感があるのは、私がこの委員会の最初の会で申し上げたと思うんですけども、日本の炭素価格って、今幾らかかっているんですかということが全く共通認識がないと、話がかみ合いませんよということです。例えば、経済産業省の長期温暖化対策プラットフォームの報告書では、日本ではCO2がトン当たり4,000円かかっているという話が書かれておりますし、先ほど岩田委員からガソリンに関しては、2万5,000円かかっているというお話があったわけですね。一方、一部のご発言を聞いていると、日本にはカーボンプライスがないので、このまま行くと世界で批判されるというお話があるんですけども、じゃあ、どっちが本当なんですかという議論をしないと、これからどうするかという議論が建設的な議論にならないんじゃないのかというのが1点目です。

それから、石炭火力の新設の問題で、いろいろ外圧がかかったり、ESG投資の圧力があったりということで、7機の新設案件が止まりつつあるとご紹介したところ、これでは不十分というお話があったと思うんですけども、先ほど申し上げたように石炭火力の建設計画を中止した発表をされているケースは、いずれも経済性が担保できないからという結論であって、ESG投資の圧力があったとか、ダイベストメントの圧力を受けたからやめたとは皆さんおっしゃっていないと思います。その経済性が担保できない理由が、将来にわたって、この事業を続けても、初期投資を回収できるという目途が、今のさまざまな優先給電ルールであったり、高度化法であったり、省エネ法の規制の中では、確証が持てないと、こういうことだったというふうに申し上げたつもりです。

一方、大塚委員のほうから、この高度化法とか省エネ法とかの規制というのは、必ずしも実施、ないしは有効性が100%保証できないので、石炭火力の新設が全部止まるという保障はないというお話があったんですけど、これは一方で、神野委員がおっしゃられたように、炭素税をかけても存在することがどうしても必要なものに関しては、コストが高くても、社会は使い続けるわけで、逆にどうしても止めねかればならにということであったらば、規制でもって禁止するということをやるのが、いわゆる行政コストが最もかからずに、即翌日から実施できる方策だろうと思います。それをカーボンプライスでもってやるというのは、非常に間接的なディスインセンティブのかけ方ですし、一方、カーボンプライスでもって石炭火力が止まるところまでかけていくと、他の化石燃料、天然ガス等のエネルギーコストも同時に上がっていきますので、社会全体のエネルギーコストは上がってしまうということになりかねません。少なくとも石炭だけを議論するのであったら、単純な石炭禁止というのは、一つのオプションとして、本当は提示されていなければおかしいのではないかと思います。ただ、もちろん、その是非に関しては、いろいろと議論が出てくるだろうと思います。

最後に、財源の話で、先ほど土居先生から日本の財源は非常に厳しいということで、消費税の次に財源を確保する手段として、炭素税はあり得るのではないかというお話だったと思いますけども、そういう考え方があるということは承知いたしますが、一方で、本日お配りいただいている参考資料の3-1、3-2、3-3、あるいは環境省さんがホームページで公開されている情報を見ますと、カーボンプライスのCO2抑制の価格効果というのは、財源効果の10分の1以下ということになっているようでございますので、財源効果、つまり入ってきた税収を低炭素投資の補助金等に回すということをやらないで一般財源に回すというのであれば、このカーボンプライスを導入することによる環境価値のほう、環境メリットのほうが発現しないリスクが出てくるのではないでしょうか。多分、これはどういう目的で、このカーボンプライス、あるいは炭素税をかけるのかということの議論をきちんとしないと、何のためにやっているかということの目的と制度とが乖離してくるというリスクがあるのではないかと思いました。

以上です。

浅野委員長

わかりました。また、これは議論になりそうですが、まだ多少時間があります。有村委員、何かありますか。

有村委員

ご指名いただきましたので、今の価格効果と財源効果のところで、多分、ここはきちんと整理すべきところかと思います。炭素価格が低いうちは、価格効果が当然なくて、それをうまく税収で、省エネとか再エネとかに配分したほうがいいというようなことがあるということで、多分、今までの過去15年前の議論とかされていたと思うんですけども、多分、この財源効果というのは、いわゆるだんだん費用が高くなっていって、最初は費用対効果のいいものがあっても、だんだん難しくなってくると思うんですよね。そうすると、多分ある時点でそこは諦めて、むしろ一般財源でほかのことに使ったほうが、いろんな可能性があるのではないかというようなことが、経済学的にはあり得るんじゃないかなというふうに思います。

浅野委員長

ありがとうございました。

大塚委員、どうぞ。

大塚委員

手塚委員との議論は楽しいので何度もやらせていただきたいぐらいですが。だから、別に何か、それはそういう考え方はあると思います。ただ、一言だけ憲法の考え方を申し上げておくと、比例原則がありますので、何か国が措置をおとりになるときには、目的との関係で手段が過剰になってはいけないということがありますので、石炭を例えば禁止するとかというのは、ちょっと実際にはとれないものですから、その方法はとらずに、価格効果で、まさに間接的にですが、やることを考えているということなんだろうと思いまして、おっしゃることを別に否定する気は全くないですけども、そういうことが憲法上あるということをちょっと申し上げておきます。

浅野委員長

河口委員、どうぞ。

河口委員

ありがとうございます。手塚委員のお話で、確かにカーボンプライスに関する考え方が違うんだよと。それで、もう既にいろんな税金が入っているから、カーボンプライスの一種であるというのと違うというのは、平行線といえば平行線なんですけれども、どうして平行線になっているかというと、カーボンプライスという仕組みを入れることが最終目的なのか、それを通じて経済の仕組みだとか、社会の仕組みを変えていって、脱炭素化にするということが、最終目的なのかということで、その違いなのではないかなと思うわけです。遠藤委員はお帰りになりましたけれども、今の値段では別に石炭をどんどんつくっているということであれば、抑止力としてのカーボンプライスにはなっていないと。お金は入っているけどと。これは今後、幾らにすれば効果的かという議論にもなると思うのですが、ということであれば、カーボンプライスのメカニズムはありやなしやを議論するのではなくて、脱炭素社会に向かえるような経済政策としてのカーボンプライスを議論していると。じゃなかったら、禁止をすればいいんじゃないかみたいな提案もあって、それはもっとドラスティックな政府として、取り得るんだろうと思うんですけど、そこまで行かないレベルでやるという発想なのではないかなと思いましたので、カーボンプライスを議論するんだけど、それが最終目的ではなくて、その上にある議論ということが、私はこの会の目的だというふうに思っていたので、その辺りの皆様の参加されている人たちの意識というか、どのレベルなのかというのをもう一回。皆さん、ちゃんとどうなのということを確認しないと、そのままどんどん、どんどん次の議論へ行ってしまうと思いました。

浅野委員長

わかりました。今日の資料がちょっと誤解を与えたかもしれないですね。あたかも石炭火力を潰すために税を課すと考えたわけでもないのですが、ちょっと結果を強調し過ぎた部分があるのかもしれません。そのことを目的に税を導入するとは書いていないはずなのですが、そうとられてしまって、議論がそっちに行ってしまったことは、ちょっと残念だったと思っています。

岩田委員、どうぞ。

岩田委員

すみません。ちょっと1点だけ、補足したい点がありまして。それは、プライスとちょっと反対側の量のほうなんですけども、カーボンバジェットというのは、これはIPCCの報告書でも、化石燃料の賦存量と、それから1.5℃以下、あるいは2℃以下に抑えるためのバジェットの大きさの違いというのが、実はカーボンバジェットは3分の1から5分の1だというんですよね。つまり、石炭も石油もたくさんあります。たくさんありますけど、それは、本当に2℃以下に抑えたかったら、使えないんですよ。あっても燃やすことができない化石燃料がたっぷりと残るということで、これは、多分IEAだったと思うんですが、30年代にはそのバジェットが尽きてしまう。尽きてしまうということは、もし本当に2℃以下にしたかったらもう使えなくなるんですよね。というのは、やっぱりよく考えないといけないと思うんです。つまり、石炭火力の問題もそうなんですけど、使えないかもしれないんですね。それがそんなに遠くでもない、30年代。おもしろいと思ったのは、アメリカの若手の女性議員オカシオ・コルテスさん。10年以内に化石燃料を全部やめると主張する。これは、やや過激であるとは思いますが、ですけど、バジェットの大きさというのをどこかで考えないと、そのときに、私、もう一つ、付随する問題は資産価格がものすごく動くと思うんですね。化石燃料に依存している産業の例えば株価がものすごく大きく動くとか、そういうことは、やっぱりこれはリスクとして認識しておかないと危ないと。先ほど土居先生のほうから外国からの圧力があってとのお話がありましたが、私は経済のメカニズムからそういう予測しなかったリスクが生じるんじゃないかと思っています。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございます。

小西委員、どうぞ。

小西委員

2点だけ。1点目は、先ほどおっしゃった日本はCO2で割り戻すと大体4,000円ぐらいかかっているという、じゃあここで何を話しているんだということなんですけれども、これは、やっぱりそれぞれの今まである税、いろいろな仕組みというものは、排出量に応じて、炭素を見える化して、それによって炭素の排出を抑制するという効果のものではないので、OECDの資料にもあるように、日本の場合は、ロード、道路のところが非常に高いけれども、ほかは非常に低いと出ています。ですので、それが炭素の排出を抑制するためのものとして機能していないという事実があるので、それをどのように是正していくかというのが、今回のこのカーボンプライシングの議論なのかなと思っております。

あともう一点、石炭火力の新設というのは、一つのシンボルで、今先ほど私もお話ししたんですけど、石炭火力を抑制するような一つのインディケーターとして、石炭火力というものは使えるかなと思いますので、石炭火力だけが悪いのではなく、高排出の産業構造からいかにより国際競争力のある脱炭素型のパリ協定時代の構造に変わっていけるかということの話し合いなんだと思っております。

浅野委員長

ほかに、まだご発言ご希望の方はいらっしゃいますか。

はい、根本委員、どうぞ。

根本委員

冒頭で発言させていただきましたが、「日本に閉じた議論は、地球温暖化がグローバルな課題である以上、意味がない」ということを、もう一度想起しながら、議論を続けさせていただければと思います。

それから、先ほども、今も石炭の話題が出ましたが、資料2の15ページの右下に出ている図ですと、要は石炭火力をなくすための政策として炭素税を検討するということにどうしてもなります。そうではなくて、「炭素に幾ら課税をするのですか」という議論をしていたはずだと思っていたのですが、「いや、石炭をなくすための議論です」としか聞こえなくなってきているので、非常に議論を懸念いたします。

それから、エネルギーの供給構造自体は単純なものではなく、今日決めたから、明日からはこうなりますということはあり得ません。日本で供給できる電力の成り立ちについては、廣江委員に解説してもらったほうがいいかもしれませんが、使えるエネルギー源は、ごくごく限られており、今、手塚委員がご指摘になられたように、高くても使わなくてはいけない要素はかなりあります。リニューアブル100%という夢物語を語るのであれば、どこか別のところでお話したほうがいいという感覚を覚えます。

政策論として、カーボンプライシングがあり得るということは、当然ですが、それを全世界で一緒に実行していかないとだめだということも明らかですので、ここはやはり環境省さんには相当の外交的な力技も発揮していただかなければならないと考えます。後で結論が出てきたときには、そういうことも求められるという覚悟もしていただかないと、議論にならないのではないかという気がします。

この後、恐らくカーボンプライシングの中身もさらに議論していくものと思いますので、前提として、もう一度申し上げます。

以上です。

浅野委員長

大野委員、どうぞ。

大野委員

こういう話をすれば、幾らでも終わりがないので、あまり意味ないんですけども、一つだけ申し上げたいのは、今日何人かの委員の発言で、自然エネルギーで全て、あるいはほとんど全てのエネルギーを供給するというのは、全くそれは夢物語であるかのような、極めて非常識であるかのような、そういうことを前提にしたご発言があったようにも聞こえたんですけども、そんなことはなくて、要するにもう2050年に実質排出ゼロで、実際に、もう少なくとも、まず電気については、できるだけ早く全て、あるいはほとんど全てといってもいいですが、自然エネルギーでやっていこうと。それ以外のものについても自然エネルギーに転換をしていこうというのは、別に何というかな、変わった思想ではなくて、普通に世の中で世界的には流れている話なんです。もうエネルギーの安定供給が必要だから、化石燃料を使い続けなければならないという考え方のほうが、むしろ世界的には少数派になってきていると思います。ですから、その辺は、最後に申し上げておきたいと思います。

浅野委員長

ほかにございますか。では、今日はこのぐらいで閉会にさせていただきます。

次回は、今度は排出量取引についても、勉強しようということになっていますから、それも、またこれをやろうということを前提にしての議論をするわけではございませんので、くれぐれもその辺はよくご理解の上で議論に参加していただきたいと思います。

よろしいでしょうか。それでは、事務局からどうぞ。

鮎川市場メカニズム室長

ありがとうございます。

次回につきましては、また委員長とご相談した上で、追って正式にはご連絡いたしますが、3月27日の水曜日、15時からということで、最終調整をしておりますので、またご日程のほう、よろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

浅野委員長

では、どうも今日はありがとうございました。

午後5時54分 閉会