中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会(第3回) 議事録

開催日時

令和4年4月26日(火)15時00分 ~ 17時00分

開催場所

WEBによる開催

議題

(1)2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)に関する分析について

(2)委員からの情報提供

(3)その他

資料一覧

議事次第

資料1:中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会委員名簿

資料2:2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)に関する分析について

資料3:折茂委員説明資料

資料4:増井委員説明資料

資料5:下田委員長説明資料

参考資料1:2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)に関する分析について(資料集)

参考資料2:地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会の目的等と今後の予定

議事録

午後3時00分 開会

脱炭素社会移行推進室長

 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会第3回を開催いたします。

 環境省地球環境局総務課脱炭素社会移行推進室長の小岩です。よろしくお願いいたします。

 本日の専門委員会は、新型コロナウイルス感染症対策のため、WEBにより開催させていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信し、動画は会議後、議事録公開までの間、WEB上で公開予定です。

 WEB会議の開催に当たり、何点かご協力をお願いいたします。

 通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフにしていただき、ご発言の際のみオンにしていただきますようお願いいたします。事務局側も発言する場合を除きオフにさせていただきます。

 また、ハウリング等を防ぐため、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようご協力をお願いいたします。

 ご発言を希望される場合には、ご自身のお名前の右側にある手のアイコン(挙手ボタン)をクリックしてください。また、発言を終えられましたら、ボタンを再度クリックし、挙手を解除いただきますようお願いいたします。

 もし、挙手ボタンを押しているのに事務局側が気づかない等ございましたら、チャットでお知らせください。

 通信トラブル等何かありましたら、右下にありますチャットにご記入いただきますか、事務局までお電話をいただきますようお願いいたします。

 本日は6名全員の委員にご出席をいただいておりまして、定足数の要件を満たし、専門委員会として成立していることをご報告いたします。

 なお、勢一委員が30から40分ほど遅れてのご参加予定、日本商工会議所の大下様が16時頃に一度中座されるご予定です。また、日本経済団体連合会の長谷川様が16時半過ぎ頃にご退出される予定とお伺いしております。

 今回は、本委員会における議論の参考とするため、下田委員長、折茂委員、増井委員から情報提供いただけることになっております。お忙しい中、情報提供のご準備をいただき、ありがとうございます。

 それでは、以降の議事進行を下田委員長にお願いしたいと思います。下田委員長、お願いいたします。

 

下田委員長

 下田でございます。本日、よろしくお願いいたします。

 本日は、議事次第にありますとおり、まず1番目に、2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)に関する分析について。2番目として、委員からの情報提供、3番目、その他となっております。

 本日は、まず、資料2につきまして、事務局から説明をいただいた後に、1回目の討議を行い、続けて、折茂委員から海外の事例及び国民の意識調査について、増井委員から先日公表されたIPCCWGⅢ報告書の内容についてご発表いただき、その後、私からも民生家庭部門の要因分析について発表させていただきたいと思います。そしてこの三つの発表の後に、再度討議を行う形とさせていただきたいと思います。

 それでは、まず、資料2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

 

脱炭素社会移行推進室長

 資料2をご覧ください。2020年度の温室効果ガス排出量の確報値が出てきましたので、それに関する分析について、ご報告をさせていただきたいと思います。

 まず、全体像の概観でございます。2020年度の温室効果ガス排出量の確報値の概要ですが、2020年度の総排出量は11億5,000万トンで、前年度比5.1%減となっております。今回、新しく、速報値に加えて、森林等の吸収源対策による吸収量が、数字としては新しく追加されております。吸収量は4,450万トンになっておりまして、総排出量から吸収量を引くと11億600万トンとなっておりまして、前年度から6,000万トン減、2013年度の総排出量比で21.5%減ということになっております。

 次のスライドが2030年度目標に向けた進捗ということで、表をつけております。第1回目にも同じような表をつけておりましたが、2013年度実績が14億800万トンという排出量でして、2030年度目標が吸収源を加えて7億6,000万トンになっております。2020年度の実績が、先ほど申し上げたとおり、11億600万トンになっておりまして、この確報値の数字を使いますと、22%減というところまで来ております。ご承知のとおり、2030年度の削減率は46%減になっておりますので、今、22%減のところまで来ているという状況でございます。

 部門別のところをご覧いただきますと、エネルギー起源のCO2とか、産業、業務その他部門とか、家庭部門とか、運輸部門、エネルギー転換部門、大体、2割減ぐらいになっているのかなというふうに思っております。一方で、フロン類、代替フロンの関係のところが少し増えてしまっていて、プラス47%ということになっているという状況でございます。

 めくっていただきまして、2013年度からの削減量の内訳でございますが、こちらも、第1回で似たような資料をお出ししておりますけれども、2013年度から2020年度にかけて、温室効果ガスの排出量は、活動量の増減によって、0.05億トン、CO2が増加をしておりまして、一方、削減対策によって、2.6億トン減少をしております。今回付け加えたものとしては、吸収量でさらに0.45億トン減少しているということになりまして、2020年度が11.1億トンということになっているということでございまして、ここから差引き、削減対策等によって、3.5億トン減少すると、目標を達成するといったようなところになっております。

 次のスライドをお願いします。こちらが、総排出量の推計値をグラフにして示しているものでございます。こちらも第1回の専門委員会でお示しをしているところでございますが、事実関係としては、2013年度から2020年度の直近7年間の年平均減少量が3,700万トンになるんですけれども、これが今後も続くと仮定をして、単純に線を延ばすと、2030年度の総排出量は、2013年度比で45%減ということになっております。どういうふうにグラフを評価するかというところは、なかなか難しいところではあるんですけれども、事務局のほうでは、第1回にはなかった記載を追加させていただいておりまして、2020年度に製造業の生産量とか、旅客・貨物輸送量が大きく減少しておりまして、新型コロナウイルスの感染症の影響もかなりあったのかなということが考えられますので、単純にこの直線のままに行くということはないのかなということで、引き続き取組を継続する必要があるというふうに考えているところでございます。

 この辺り、この後、いろんな要因分析の結果等もお示ししますけれども、どういうふうにここを評価するかといったところも、いろいろご意見をいただければと思っております。

 続きまして、諸外国との比較でございます。G7と比較をしておりますが、温室効果ガスの総排出量の推移を2013年を100%として比較をしたものでございます。こちらを見ていただくと、日本が2018年、19年ぐらいまで順調に下がってきておりまして、2020年でまたさらに下がって、マイナス18.4%減というところに、これは総排出量のほうの数字になっておりますけれども、マイナス18.4%となっております。ほかの国も、2019年から2020年にかけては、新型コロナの関係で、一様にぐっと下がっておりまして、ドイツとかイギリスとかフランスとかイタリアとか、ほかの国は、結構、下がり方が日本に比べると、より急になっているところでございます。結果として、ドイツとかフランスに少し、2019から2020年に抜かされたような形に、削減率で見るとなっているということでございます。

 次のスライドが、総排出量で見たものでございます。こちらも、アメリカが一番かなり多いということで、そこと比較すると、アメリカがかなり目立ってしまっているような状況ではございますが、下の赤いところが日本になっておりまして、ちょっと増減が分かりにくいグラフになってしまっておりますけれども、2009年辺り、この辺りは、多分、リーマンショックの影響だと思いますが、これは少し一旦下がって、震災の後、少し上がってきた、上がっているようなところもございますが、2013年以降は少し下がってきているといったようなグラフになっているのかなというふうに思います。

 細かく見ていくと、結構、ドイツとかイギリスとかというのは、何か1990年ぐらいからずっと順調に下がってきたような雰囲気があるのかなとか、いろいろ見えるところはあるのかなと思いますし、アメリカも2007年辺りからは減少の傾向に、どちらかと言えば、なっているのかなと思ったりもします。

 次のスライドをお願いいたします。要因分析のほうを細かく、確報値の数字を使って、もう一度行っているところでございます。第1回のものと少しかぶるところもございますが、まず、総排出量全体、温室効果ガス総排出量全体につきましては、6.5ガスと言われているエネルギー起源CO2以外のところが少し増加となっているというところがございます。

 エネルギー起源CO2については、次のスライドで詳しく見ておりまして、まず、全体で見ますと、2013から2020年度のこの推移がこれなんですけれども、こちらを見ますと、省エネ機器の普及とか、生産効率の向上とか、あとは、再エネの増加とか、原発の再稼働で電力の原単位が改善をしたといったようなところが、排出量が減少した大きな要因になっているのかなと、こういうことでございまして、一方で、1人当たりのGDPの要因については、1人当たりGDPの増加に伴って、少し上がっているといったような状況になっております。

 12枚目のスライド、次のスライドのほうが、2019から2022年度の変化の部分だけを見たものでございます。こちらについても大きく減少、6,120万トン、5.9%減ということなんですけれども、減少の主な要因として、経済活動の停滞というのが非常に大きく利いているというところがございまして、あとは、エネルギー消費効率の改善と、電力以外のエネルギー消費効率の改善といったようなところがございまして、新型コロナの影響が表れているのかなというふうに思います。

 一方で、エネルギー消費効率の電力の部分の効率が少し悪化しておりまして、これは、家庭でやっぱりエネルギーの需要が増加したところに要因があるのかなというふうに考えているところでございます。これも、コロナの影響があるのかなと思っております。

 続きまして、次のスライドが、ちょっと部門別に、今のツリー図を見ていくと、非常に時間がかかってしまいますので、少し1枚にまとめた表を作っております。参考資料のほうに、個々のツリー図は載せておりますので、またお時間あるときにご覧いただければと思いますが、こちらで全体を概観させていただきますと、2013年から2020年度のところでは、活動量の要因として、例えば、産業とかは生産額が増加しているというような要因がある一方で、運輸のところは、輸送量の減少というところが見られます。これも、次のスライドも併せて見ていくと分かるんですけれども、結構、新型コロナの影響で、どんと2019から2020年度に下がっておりまして、旅客の輸送なんかは、実は、2019年までは少しずつ回復していたというか、増加していったところが、少しずつ増加したものが全部一気に帳消しになるぐらい、2019から2020年度で減少しているといったような傾向が、ここでも出ているということがございます。

 それから、原単位の要因のところをご覧いただくと、産業とかでは、燃料の転換のところが削減に大きく寄与しているとか、エネルギー消費効率の改善とかのところで、節電とか省エネの効果が出てきているのかなということが見られます。

 一方で、運輸のところは、これも新型コロナの影響なんですけれども、新型コロナで輸送効率が落ちまして、その部分で増加する、エネルギー効率が悪化すると、増加するというような要因になっています。

 次のスライドをお願いいたします。ごめんなさい。もう一個、戻してもらって、そうですね、2019から2020年度のところをご覧いただきますと、この活動量要因のところが、コロナ禍における経済の停滞ということで、産業部門も含めて、産業部門、運輸部門が大きく下がっているということがございます。

 もう一つは、エネルギーの消費効率のところで、コロナ禍において、エネルギーの多消費産業のシェアが低下したとか、あと、輸送効率の悪化とか、そういったところが見られるということでございます。

 じゃあ、次のスライドをお願いします。家庭のCO2統計のほうにつきましても、少し細かめの資料を用意させていただきました。世帯当たりの年間CO2の排出量の推移なんですけれども、CO2の排出量は、前年度比で5.9%増ということで、少し、これも先ほどコロナの関係で、在宅が増えたからだということの影響が出ているのかなと思っております。

 用途別に見ますと、排出の大部分を占める照明・家電とか給湯、暖房が2017年度から排出量が減少していっているというところが見られるのかなと思っております。

 17枚目のスライドが、地域別に少し分けてみたものでございます。地方別に見ますと、やはり北海道、東北、北陸など、寒い地域のエネルギーの消費量が多いということで、北海道、東北で灯油の割合が半分前後と大きくて、中国、四国、九州、沖縄では、電気の割合が大きいといったような地域の差が見えているのかなという結果になっております。

 それから、18枚目のスライドですけれども、こちらも似たような傾向で、北海道、東北、北陸において、暖房による消費量が多いということで、暖房とか冷房が占める割合というのは、やっぱり当たり前ですけれども、地方別で差が非常に大きいのかなということでございます。一方で、給湯も結構な割合を占めるんですけれども、これはどの地方でも一定の割合を占めているといったような結果になっております。

 資料1については、以上でございまして、参考資料1として、非常に細かい分析の結果ですとか、あるいは、ファクトの情報を集めておりますので、またお時間があるときにご覧いただければと思います。

 以上でございます。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からのご説明を踏まえまして、ご意見等を頂戴できればと思います。ご発言希望の方は、挙手ボタンをクリックお願いいたします。ぜひ、幅広く委員の皆様、それから、オブザーバーの皆様のご意見をいただきまして、議論を深めていきたいと思っておりますので、忌憚のないご意見をお願いいたします。

 なお、ご発言は5分以内にまとめていただくよう、ご協力をお願いします。

 堀井委員、お願いします。

 

堀井委員

 大阪大学の堀井です。

 非常に分かりやすい説明をどうもありがとうございました。

 大きく2点、コメントさせていただきたいと思います。

 まず、資料2の7ページです。G7各国の温室効果ガス総排出量の推移というグラフがありますけれども、とても興味深い結果だと思います。先ほどご説明のとおり、日本は2013年から18年ぐらいにかけて、イギリスに次ぐ削減ペースで、かなりよいペースで削減が進んでいました。しかし、2019年から20年にかけて、日本のペースも下がってはいませんが、それ以上にほかのG7各国の削減ペースが非常に大きく上がって、日本は第4位になってしまいました。

 もちろんこの差が出たのはコロナの結果と思いますが、コロナによって、ほかの6か国が急速に下がっているのに、日本がなぜそこまでではないかということは、今回初めて知った興味深い結果と思いますので、今後、その研究を進めていただきたいと思っています。もちろん今は十分なデータはないと思いますが、コロナによるGDPの減少そのものは、欧米と日本でそれほど大きな差はなかったと承知していますので、それにもかかわらず、CO2の排出減になぜ大きな差が出たかということは非常に興味深いと思います。

 一つの理由は、私見ですけれども、恐らく日本以外の国では、日本に比べると、かなりテレワークが進んで、通勤の旅客利用が結構減ったのではないかなというような気がしています。東京の場合は、非常に公共交通機関が発達していますので、それほど大きなCO2削減はなかったかもしれませんが、ほかの国では、まだまだ自動車による交通、通勤が主流ですので、通勤の減少が日本よりもダイレクトにCO2に効いてきているというのは、もしかしたらあるのかなと思いました。もしそうだとすると、今後、例えば、日本でも、自動車通勤が主流の地方部で、仮にテレワークが進むと、こういう欧米みたいなパターンが進む可能性があるので、参考になると思いました。

 もう一つ、先ほどの点と関連して、要因分析の12ページに、日本ではテレワークとか、ステイホームが進んだけれども、その代わり、家庭の冷暖房エネルギーが増えたという話がありました。そのため、もしかすると日本全体ではそれほどコロナ禍でCO2排出が減らなかったという可能性もあります。確かに比較しますと、G7のほかの国ですと、住宅はセントラルヒーティングがかなり普及していまして、人がいてもいなくても、電源が入っているという状況の国が多いと思います。そういう各国では、テレワークが進んでも、それほど冷暖房によるCO2排出の変化というのがなかったかもしれないです。そういう差も、可能であれば、見ていただけると非常にいいかなと思います。

 もし、日本は間欠空調、つまり、空調をつけたり消したりするのが一般的だというのが、日本と外国の排出パターンの差だとすると、その根本には日本の住宅の断熱性が低いという問題があると思います。しかし今後は、CO2削減の意味でも、断熱性を高めていこうという動きが進むと思いますから、もし、断熱性が高まっていくと、日本も空調パターンが欧米型に近づくという可能性があると思います。そうすると、今回のG7におけるほかの国のCO2削減の結果というのは、将来、日本にも当てはまる可能性があるので、参考になるのではないかと思います。

 すみません。もう一点ですが、資料2の17ページの世帯当たりエネルギー消費量・構成比(地方別)というグラフ、これも貴重な情報で、興味深く拝見しました。先ほどおっしゃられましたとおり、日本では、寒冷な地方ですね、北海道、東北、それから、北陸ですか、そういうところでエネルギーの消費が多いですが、その要因は、石油の消費が多いということが、この図は明白に示しているということで、非常に分かりやすい図だと思いました。

 さらに、次のページに行きますと、それらの地方では、暖房によるエネルギー消費が多いということですので、恐らく暖房で石油暖房を使っているということが結構大きな要因ではないかと思われます。もちろん寒冷な地方だと、暖房の必要が高いのは当然ですけれど、例えば、比較しますと、北欧とか、もっと日本よりも寒い国ではCO2排出が多いかというと、必ずしもそうではないわけです。ということは、日本でもやはり寒い地方においても、CO2を減らしていくにはどうしたらいいかと考えると、石油暖房の排出をいかに減らしていくかというのが非常に重要なテーマになって、それが非常に明らかになったという重要な結果だなと思います。

 その方法ですけれども、一つの方法としては、例えば、石油ではなくて、ヒートポンプを使ったエアコンなんかの暖房にシフトしていくという方法が考えられます。ただ、寒冷地のほうでは、エアコン暖房が温まらないという認識が多く持っておられまして、それは恐らく住宅の断熱が不足しているということが原因だと思うので、そういう断熱の促進が非常に重要だというのは、このグラフも表していると思えます。現在、灯油には、もちろん、石油石炭税などの温暖化対策税がかかっていますが、一方、現在の例ですけれども、原油高対策の補助金が出たりとか、合計としてはそれほど重い税金がかかっていない。むしろ補助金がかかっている状況になります。一方、電力については、再エネ賦課金とか、燃料費調整額でかなり今後上がっていく方向になるので、場合によっては、税制として必ずしも石油暖房からヒートポンプに促進するというのを促す方向に向いていない可能性があります。その政策設計の上でも、やはりこういうデータを基に、どういう方向にシフトをさせることが望ましいのかという分析に利用いただけると良いと思いました。

 そういう分析結果をぜひ国民とか行政の皆さんにより強いメッセージをもって出していただきたいと思います。

 以上です。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 続きまして、増井委員、お願いします。

 

増井委員

 ありがとうございます。

 聞こえていますでしょうか。

 

下田委員長

 はい、聞こえています。

 

増井委員

 今回お示しいただきまして、どうもありがとうございます。

 マクロな観点からの進捗ですとか実績の評価として、どういったところでどれぐらいの効果があったのかということを知る上で、非常に貴重な資料になるのではないかなと思っています。一方で、今後、どれぐらいの取組を続けていけばいいのかということを知る一つの目安にもなるのかなと思いますし、また、さらに目標達成のためにはどういうふうな取組をしていかないといけないのかなという、そういうことにもつながってくるのかなと思っています。

 とにかく今後のことを考えますと、より分かりやすい情報、特に、今日は示されていませんでしたけれども、電力の排出係数ですとか、あるいは、サービス量そのものを抑えるといった、そういったことのために、何をすればいいのかということが情報として必要になってくるのではないかなと考えています。

 あと、前回も少し触れたかと思いますが、各取組のコストに関する情報も示されると、よりいいのかなと。なかなかコストの情報を評価するというのは難しいんですけれども、できる限り、コストに関する情報も提示されると、目標の実現に向けて、取組が加速するのではないかなと思います。

 ちょっと何点か質問があるんですけれども、今回の資料の中で、4枚目のスライドですかね、家庭と運輸が平均よりやや低い。メタンとフロンについては、もう明らかに平均よりも悪いということで、この辺り、どうするのか。どういう取組をするのかということについて、今、現時点で何か検討されているものがあれば、教えていただきたいなというのが1点目です。

 先ほども触れましたけれども、電力の排出係数、これは全ての部門に関わってきますので、ぜひ、電力の排出係数がどういうふうに変化しているのかというのも、併せて示していただければなと思います。

 同じ4枚目のスライドのところに、吸収源、あるいは、二国間クレジット制度(JCM)の情報も示されておりますけれども、特に、クレジットをどう使うのか。今の時点で、何か検討されている内容があれば、教えていただければと思います。

 最後が、7枚目のスライド、G7各国の温室効果ガス排出量の推移ということなんですけれども、各国それぞれもう既に2030年の目標というのを出していますので、それぞれの目標の達成度という観点から見て、それぞれの国はどうなのか、日本はおよそ半分ぐらいまで来ているというような、そういうご説明でしたけれども、それぞれの国がどういうような達成度になっているのかといったところもあると、各国の比較、ほかの国との比較という意味では分かりやすいのかなと思いました。

 以上です。どうもありがとうございました。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 ほかに委員からご質問ございませんでしょうか。

 

山下委員

 すみません。山下です。

 

下田委員長

 お願いします。

 

山下委員

 ありがとうございます。

 ご説明ありがとうございました。2020年度の確報値の分析につきましては、2019年度からさらにエネルギー起源二酸化炭素排出量の減少が大きく寄与して、温室効果ガス全体も減少したということが分かりました。また、その背景には、エネルギー利用効率の向上に加えて、コロナ禍による経済活動の停滞がマイナス要因として寄与していることも示されました。

 1点、代替フロンについて質問があります。2019年度確報と比べますと、代替フロンの増分が減少したようですが、その原因について教えていただきたいと思います。

 なお、前回、同様の分析を議論した際に述べたことの繰り返しは避けたいと思いますけれども、コロナ禍の影響で何らかの変革が起きたことで、この減少傾向が今後も続くのか。あるいは、足元の減少は一過性のものであって、さらなる対策が必要なのかということについて、部門や分野、エネルギーや用途ごとに見極めること、また、資料2のスライド6の図のように、足元のコロナ禍の影響による排出量の減少で、2030年目標の達成が容易であるかのような誤った認識が独り歩きしないように、注意が必要であると思います。

 今ご説明はなかったのですが、本日の参考資料2の今後の予定によれば、次回以降も、データの整備状況を踏まえて、開催を予定するということになっていますが、前回、環境省の施策あるいは対策の進捗状況について確認をしたのと同様に、今後は、他省庁の対策の進捗状況についてもお示しいただけるものと理解しています。その上で、本専門委員会のミッションに照らした今後のスケジュールについて、改めて伺いたいと考えます。地球温暖化対策推進本部への2020年度確報値の報告は、近く行われる予定であり、本専門委員会で今回検討している見せ方などの議論は、来年度以降の発表や報告に反映するものであるという認識です。また、その途上で、先ほど申しました2020年度の他省庁の施策・対策の進捗状況についても、本専門委員会で共有されるものと想像いたします。その後のスケジュール、あるいは、目指す方向について、改めてご教示いただきたく存じます。

 大きな考え方については、既に委員の皆様から様々な意見が述べられておりますが、その考え方をどう反映するのかという点が、今後、重要なのかと思います。また、日本全体での進捗管理をする上で、あるいは、国民の理解を深め、積極的な関与を喚起し、社会変革や行動変革を通じたさらなる温室効果ガスの削減を実現するためには、環境省だけでなく、関係する他の省庁、あるいは、自治体と連携して、見せ方の工夫やさらなる削減につながる行動促進に向けた働きかけが大切だと思います。

 以上になります。ありがとうございました。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 次は、大下様。

 

大下氏

 ご説明ありがとうございます。

 私から2点申し上げたいと思います。

 初めに、2030年度までの温室効果ガス総排出量の推移について、6ページのグラフを順調な削減と評価するかというところですが、何人かの方がおっしゃっているとおり、コロナ禍による経済活動停滞の影響は確かかと思います。削減目標達成に向けて、このグラフをずっとこのまま斜めに下ろしていくためにはということも必要ですが、同時に、我々の立場からは、いつも「環境と経済の好循環」ということを申し上げています。技術革新によって削減を進めて、同時に、1人当たりのGDPを引き上げながら、トータルとしてCO2排出削減が進むようにしなければいけないと思いますので、これを順調と見るのではなく、まだまだ加速しなければならないというメッセージをしっかり出していく必要があると思っています。

 二つ目ですが、17ページと18ページで、地域別の分析をしていただきました。ありがとうございます。大変重要かと思います。3月には、ご案内のとおり、東京エリアで電力の逼迫があって、その直後には、九州や四国で太陽光発電の出力抑制がありました。地域によって事情は様々というのが、このグラフでもよく分かると思います。環境省さんがお勧めになられる地域脱炭素先行地域の取組で、各地域がどういうエネルギー源を活用して、どういう技術を使って、脱炭素地域を実現していくのかを考えていき、なおかつ、先ほど申し上げた地域間の需給のバランスをしっかり取っていくということを考えていく上でも、こうしたデータの分析を地域別で行うことも非常に大事かと思います。ぜひ、さらなる検討と活用をお願いしたいと思います。

 私からは以上です。ありがとうございます。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 ほか、堀井委員、手が挙がっておられるのは、もう一度ご発言、よろしいですか。

 

堀井委員

 いいです。すみません。間違って押してしまいました。すみません。

 

下田委員長

 じゃあ、一度、ここまでの質問につきまして、事務局から回答をお願いいたします。

 

脱炭素社会移行推進室長

 ご指摘をいろいろ挙げていただきまして、ありがとうございます。

 まず、7ページのところで、諸外国との比較をしておりますけれども、事務局のほうも、これは、あれ、日本だけそんなに下がっていないなということで、疑問に思っておりまして、今後、ちょっと分析をさらに深めていきたいと思っておりますけれども、輸送関係で下がっている部分がほかの国は多いとかというのが、ちらっと見た段階ではありまして、先ほど堀井委員からもいろいろアドバイスがございましたけれども、やっぱりテレワークの影響ですとか、あと、ロックダウンとか、その辺のところで違いが出ているのかなとか、そういうところは、ちょっと今のところ思ったりはしておりますけれども、さらに分析を深めていきたいと思っております。

 それから、17ページ、18ページのところで、暖房とかというところがございますけれども、やっぱりこれは石油から電化とかヒートポンプ、あるいは断熱を高めていくといったようなところが事務局としても重要なのかなということを考えておりまして、そういったところの対策は引き続きやっていく必要があるのかなと思っております。

 それから、増井先生のほうからメタンとかフロンとか、あるいは、家庭・運輸のところが非常に悪いということで、こちらもやっぱり我々も不安なところの対策の強化が必要なのかなというふうに考えておりまして、フロンなんかはやっぱり使用時とか、廃棄のときに漏れるということがございますので、そこの対策をしっかり徹底していくということが重要なのかなとか、家庭とかに関しては、まさに環境省がしっかり取り組む分野でございますので、その取組をしっかりと進めていく、いきたいということを考えているところでございます。

 あと、電力の排出係数については、ちょっと今回つけていなくて、申し訳なかったんですけれども、また次の機会にお示しをしたいと思っております。

 あと、括弧の達成度のところを見たいということでございますので、この辺りも、ちょっと情報が得られるかどうか、今後、整理をしていければと思っております。

 あと、JCMについて、ここをどういうふうに使っていくのかというところなんですけど、これは分かりますか。

 

脱炭素社会移行推進室室長補佐

 JCMに関しましては、46%について、今お示ししていますけども、資料、4ページに記載のとおりでして、2030年度までに累積で1億トン程度の活用ということになってございます。どうしても相手国がある話でもございますし、累積というカウンティングの問題もございますので、これがすぐに数字として何万トンという計上は、これからの話でございますけども、いずれにしましても、国際展開、国際協力の観点からも非常に重要なことだと思ってございますので、引き続き、しっかりと施策を進めてまいりたいなと考えてございます。

 

脱炭素社会移行推進室長

 それで、あと、何人かの先生から、6ページの図で2030年度までの、これは排出量の推計の直線的なグラフをどのように評価するかというようなご指摘をいただいておるかと思います。やっぱりこれは新型コロナでかなりがくっと下がったところがございまして、2021年のデータをしっかりちゃんと精査をまたしていかないといけないなということを考えております。やっぱり景気が回復したりとか、2020年に比べれば、新型コロナに伴う行動制限というか、そういったものもかなり緩くなる方向で、経済活動も活発にしていこうといったような流れがございますので、その辺り、よく見ていなければいけないと思っておりまして、このまま順調に下がっていくといったようなことではないのかなということがございます。

 それから、大下様からもございましたけれども、経済が悪化したから下がるというのは、あまり喜ばしい状況ではないと我々も思っておりますので、いかにGDPを上げつつ、CO2を下げていくかといったようなことのために、どういう技術を使っていくかというところがやっぱり重要なのかなということを考えておりまして、この要因分析の中でも、エネルギー消費の効率をどう上げていくかとか、CO2の排出量の原単位をどう改善していくかとか、そういったところをより改善させる方向で、技術も含めて、しっかりやっていく必要があるのかなと思っております。

 それから、今後の予定について、どうなのかというご質問がございました。本委員会の最後にご説明しようかと思っていたんですけれども、参考資料2にありますとおり、これまで第1回から第3回まで排出量の分析ですとか、環境省関連の対策・施策の進捗等についてお示しして、いろいろご意見をいただいてきたところでございます。この参考のところにも書かれておりますけれども、政府全体では、地球温暖化対策推進本部のほうで、政府全体の進捗の点検等、こういったことを今後予定しておりますので、これまでの、第3回までのお示ししたデータや資料を使って、それに加えて、政府全体のものも加わる形で、この本部のほうで、全体の進捗の点検が行われる予定になっております。

 このフォローアップ委員会そのものは、そこに第4回を開催予定と書いておりますとおり、これまでいただいたいろんなご意見を基に、事務局のほうでさらにデータの分析とか、整理を進めまして、準備が整った段階で、第4回を開催させていただければと思っております。フォローアップ委員会、いろんなご意見をいただいて、見せ方ですとか、分析の方法とか、いろんなご示唆をいただいておりますので、この委員会の議論の成果につきましては、一度取りまとめをして、地球部会のほうにご報告をすることも考えておりまして、それらを基に、また来年、2021年のデータの分析とかというところに、来年度の進捗のフォローアップに生かしていきたいというふうに考えているところでございます。

 

脱炭素社会移行推進室室長補佐

 私から少しだけ。参考資料1で、少しだけ補足させていただきますと、増井委員のほうからいただきました、電力の係数は、今回、記載をしておらず、大変失礼いたしました。参考資料1の25ページに総合エネルギー統計における電源構成の推移というもの、それから、26ページに発電に伴う燃料種別のCO2排出量、それから、27ページに再生可能エネルギーの種別の発電量の推移と、あと、増減率というものを今データとしては記載させていただいておりまして、ご指摘の係数についても、記載をさせていただくことになるかと考えてございます。

 それから、増井委員から家庭部門あるいはメタン、フロンは山下委員からもご指摘、ご質問いただきましたけれども、それに関しては、まず、家庭については、室長が申し上げたとおり、全て引き続きしっかり分析をしていかなきゃいけないと、あるいは、対策をしっかりやっていかなきゃいけないということですけれども、参考資料1、50ページに、家庭部門からのエネルギー起源CO2排出量の内訳というものを掲載させていただいております。これも2020年度の確報値のものでございますけども、3分の2、66%が電力由来ということでございまして、電力がやはり非常に鍵になってくるということでございますので、もちろんそれ以外の省エネ等の取組と併せて、しっかりと推進してまいりたいというふうに考えてございます。

 それから、もう一つ、メタンあるいはフロン等、エネルギー起源CO2以外でございますが、88ページから参考として掲載させていただいております。今回、ちょっと要因分析まではできておりませんけれども、例えば、92ページがメタンの内訳でございます。約42%が稲作、水田から出ていると。あるいは、27%が家畜、牛のげっぷとか、そういったところから27%、また、廃棄物からも16%くらい出ていて、全体で2,840万トンということでございます。

 フロンに関しても、95ページ以降で、代替フロン、HFCsですね、96ページに内訳、あるいは、推移を95ページですが、記載させていただいてございます。こうしたデータを集めながら、かつ、フロンに関して申し上げれば、法改正等も行ってございますので、そういった状況も見ながら、しっかり引き続き対策を進めていくということかなと思ってございます。

 以上になります。

 

下田委員長

 よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 ほかにご意見いかがでしょうか。

 私は、山下委員がおっしゃったこととほぼ同じ意見を持っておりまして、この専門委員会の目的が参考資料2にございますけれども、先ほどの6ページですか、にありましたようなインベントリで出てきた排出量と、それから、地球温暖化対策計画に書いてある対策の効果、それから、気象の影響ですとか、それから、マクロフレームの変化というようなものの関係を明らかにすることによって、2030年の目標、あるいは、2050年カーボンニュートラルに向けた、我々の立ち位置がどうなっているのかということを分かりやすく示すということ。それを分かりやすく示していくことで、国民の皆様の関心を高めていくということが、この委員会の目的だと思っております。

 私としては、この委員会を立ち上げるときの中環審の地球部会で、委員の方からこの専門委員会に対するいろいろな注文をいただいておりますので、それに対して、今回の成果を見ながら、成果をまとめてお示しするということ、それから、やはり最終的には、目的にありました国民の関心を高めるためにどういうふうに見せていったらいいかというところにつなげていきたいと思っておりまして、それに関しては、この後、折茂委員からいただく資料の中にありますし、それから、どういう分析するかについては、増井委員とか私からお示しさせていただく資料等でご議論いただきたいんですけれども、もしよろしければ、ちょっとこの今話題になりました6ページの資料に、これをどういうふうに解釈して説明すべきかというようなところも含めて、今ご発言のありました委員も含めて、ほかの委員の皆様、それから、オブザーバーの皆様から何かご意見いただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

 じゃあ、山下委員、お願いします。

 

山下委員

 ありがとうございます。

 まずは、ここは、実線になっているのがよろしくないと思うので、線を引いてしまっていることによって、予見を持たせるといいましょうか、ここに向かっているということになるので、この図をまだ使う場合ですけれども、もっと違う見せ方、点だけにするとか、この46%減というのは、2013年の数字で、もう決まっていますので、それだけにするとか、線を引くことによって、順調にいっていますということを示してしまうことになるのではないかなと。図を見たときの自分の印象を受ける理由としては、そういうことを考えておりました。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 折茂委員、お願いします。

 

折茂委員

 ありがとうございます。

 こちら、政府としてどういったメッセージを出していくのかというところにもダイレクトに効いてくることかと思いますけれども、これはコロナの影響というのが一体どういうふうに今後振れてくるのか、ウクライナの問題等もございますので、この辺り、相当見通せない部分というのがあろうかと思います。そういった中で、この実線というのは、今、山下委員からもあったように、ちょっと誤解を招く部分があるというところだと思いますし、場合によっては、例えばこういう場合にはこうなるというような、シナリオの三つぐらいの例えばパターンをお示ししていくと。例えばコロナに影響によって、コロナ前の状況とほとんど経済活動が同じになってしまうと。ないしは、例えばコロナ後でも大きな技術革新が起きて、その前の状況には戻らない場合とか、幾つかのパターンでお示ししていって、そのために各種施策、どういうふうに尽力をしていくべきかと。こういったところとセットで、シナリオとしてお見せするというのも、一つあり得るかなというふうに考えてございます。

 以上です。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 増井委員、お願いします。

 

増井委員

 どうもありがとうございます。

 排出量の変化、推移ということで、非常にシンプルな図で、分かりやすいとは思うんですが、今、各委員がおっしゃったように、誤解を招くといけないということと、あと、どういうふうな取組を今後進めていく必要があるのかということで、やっぱり過去において、特に過去においてどういう取組で減ってきたのか、そういうところを、既にこの資料の後半部で、そういう要因分析は行われていますけれども、そういう要因分析から得られたような成果、知見というのも、この図の中に盛り込めるといいのかなと思うんですけれども、一方で、そういう、いろいろ付け加えていくと、なかなかメッセージが伝わらないというのもありますので、その点、留意しながら作るというか、修正が必要なのではないかなと思っています。

 以上です。

 

下田委員長

 ありがとうございます。

 ほかにいらっしゃいませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは一度、ここで質疑を終了いたしまして、議題の(2)番、各委員からの情報提供に入ります。その後、また最後にご議論をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 説明の順番は、折茂委員、増井委員、それから私ということで、1人最大7分で説明をお願いいたします。

 それでは、折茂委員、よろしくお願いいたします。

 

折茂委員

 ありがとうございます。

 この度は大変貴重な機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。本日、地球温暖化対策に関する国内外の動向ということで、国内外の状況についてお話をさせていただきます。

 それでは、1枚おめくりいただきまして、既にここまでの議論でも何度も上がってきていることですけれども、温対計画のフォローアップというものが実効性を帯びたものになるためには、改めての確認となりますけれども、多くの国民、それから産業界の皆様にとって、分かりやすくて、きちんと目を引いて、自分事化できる、こういったフォローアップをしていくということが重要ではないかと考えてございます。

 まず1点目ですけれども、全体の大きな構造・要因、こういった分析は既に環境省さんのほうでもご提供いただいておりますけれども、その要因のところと、それからフォローアップ対象施策の構造関係、こういったところがしっかりと可視化されていると。こういった分かりやすいフォローアップであるということが1点。

 それから、そういった中でキーになるような重要な指標というものが、きちんと目を引く形で可視化をされているということが2点目。

 そして最後に、これは特に国民の一人一人ということを念頭に置いておりますけれども、それぞれにとっての温暖化対策の意味というものが明確になっていて、取るべきネクストアクションというものが明示化されているという、自分事化できるフォローアップと。

 この大きく三つが重要ではないかというふうに考えてございまして、その観点で、諸外国のフォローアップの状況及び弊社のほうで実施している、消費者の定点観測のようなものを行っておりますので、まず、フォローアップを行っていく上で、今、国民の意識がどういうふうになっているのかというところを少しご紹介させていただきたいというふうに思います。

 それでは、2ページですけれども、まず諸外国のフォローアップの状況ということで、こちらは英国のCCCの事例となってございます。

 これは非常に分かりやすく、目を引くキーワードということで、事例としてお示ししておりますけれども、2019年に出されたものですが、インフォグラフィックを活用して、非常に分かりやすくまとまっていると。対策の状況が分かりやすくまとまっているということと、それから、幾つかキーになる数字、オントラックになっている施策の数ですとか、そういったことを分かりやすい形で示しながら、キーメッセージをシンプルに整理をしていると。当然、この後ろには何百ページにもわたるフォローアップの内容があるわけですけども、それをぎゅっと、こうやってコンパクトにまとめるというのが、一つ示し方のサンプルとしてあり得るかなと考えてございます。

 そして、次のページですけれども、こちらはアイルランドの同様のClinate Action Dashboardという例になりますが、排出削減に対する六つ主要なセクター、交通から公的機関までというところの目標・行動計画・進捗、これらをそれぞれのセクター、4枚程度にまとめていて、計24枚のスライドにしてお示ししていると。かつ、そのスライドはアニメーション形式で、グラフも非常に分かりやすいような形でまとまっていて、目も引きやすいようなものになってございます。

 こちらはTransportということで、交通のほうの例になっておりますけれども、大きく三つの固まりの要素が入っておりまして、まずは交通においてどういう目標を置いているのかということがクリアに語られているということ。EV化を進めるというものなんですけれども、それを進めていくと、どんな世界になっていくのかというのが二つ目の段落になっていて、そういった世界を実現するために、どういった施策をしなければいけないのかと。各セクターにおいて、主要な三つないしは二つの施策というものが示されていて、それぞれ、その施策の進捗というものを示していっていると。

 この右側にあるのが、EVへのスイッチの状況というもの、これが主要施策の一つになっておりますけれども、その進捗をお示ししたもので、この円全体が2025年のターゲットになっておりますけれども、水色部分は2021年、どこまで進捗をしたのかというふうな形で、非常にビジュアルにも分かりやすく示されていると。そして、大事なものがシンプルにまとまっているというのも、非常にポイントかと思います。

 そして、4ページですけれども、こちらはEUの全体の例になっておりますが、気候変動対策に関するファクトシート、2枚にまとまってお示しされていますけども、ポイントは、少し拡大したものを右側にお示ししておりますが、これは気候変動対策というものが結局、人々一人一人の生活にとってどういう意味があるのかということを定量化をもって示しておりまして、例えばエナジーラベルという、こういった商品を買うと、1人(1家庭)当たり1年間で150ユーロもお得になるんですよ、コスト削減になるんですよといった形で、人々の生活に引きつけた形で、気候変動対策の意味というものを示しているというのがポイントとなってございます。

 ここまでが海外の事例でして、次からは、日本国内の消費者の動向というところをお示ししたいと思います。

 こちらは調査の概要ですけれども、昨年、大体三、四か月に一遍、弊社のほうで1万人に対してアンケートをしてございまして、都市部・地方、それから男性・女性、20代から60代までという形で、非常に幅広く捉えてみまして、環境問題を初めとしてサステナブルな動向について、消費者の意識がどうなっているのかというものを見たものでございます。

 次、6ページが調査のサマリーになっておりますが、これ以降、ちょっとグラフを見ながらのほうが分かりやすいと思いますので、7ページから、それぞれ簡単にご説明申し上げたいと思います。

 まず、SDGsですとかカーボンニュートラル・脱炭素社会、こういったキーワードに対する認知率は、8割を既にもう超えている状態であると。認知は一定できているということが見えてきてございます。

 次、8ページですが、これを年代別、それから認知と行動変容という、二つで見ているものですけれども、まず左側、認知・興味というところは、若い20代・30代よりは、年齢が上がっていくにつれて、より興味も高まっているということが見えてございます。一方で、認知していて、かつ行動も変容させているという人になってくると、あまり年代に差が出ていないというような結果が見てとれます。

 9ページですけれども、とはいえ、二、三十代全員が環境に無関心であるかというと、そうではなくて、右側の三角形に書いてございますように、下側が環境意識が高くて、しかも購買行動が変わっているという方、上に行くに従って環境意識が低い方というふうにプロットしてございますけれども、二、三十代を見ていただくとお分かりのように、真ん中というよりは、無関心層と先進層、ここが突出して多くなっていて、ここの二極化というものが起きているというのが二、三十代の傾向でございます。

 次のページですけれども、性別・年代別で見ていくと、女性のほうが環境意識も高く行動変容も起こしているということですとか、年代が上がっていくほうが、実際に行動していく割合の人が多くなっているということも見てとれます。

 そして、11ページですけれども、こちら、とはいえ二、三十代も、何も動かないのかというと、そうではなくて、例えばCOP26、一つのきっかけではありますけれども、こういったきっかけがあると、二、三十代の方も、左側にあるように、COP26をきっかけにこういったことへの関心は高まったか、イエスと答えている方が、ほかの年代層よりも高いですし、実際に買物するときなんかも、行動変容に移しているかというと、ほかの世代よりも二、三十代のほうがイエスというふうに答えておりまして、こういったきっかけがあれば若い人たちも動いていくということが、もう一つ見えてきているところでございます。

 そして最後、12ページになりますけれども、じゃあ、実際にどういった行動をしているのかということをお示ししているものでございまして、左側が割と節約にもつながるような行動、こちらは緑側のグラフのように実践率が高いと。一方で、右側に行けば行くほど、実行するに当たって、お金ないしは行動のコストがかかっているというものになってございます。こういった中で、フォローアップ、施策を行っていくというときにも、いかに節約にもつながるのかと。先ほどのEUの話ではないですけれども、そういった、しっかりメッセージ、うたい方ということが重要になってくるというふうに思いますし、あと、コストを払わないかというと、そうではなさそうということが見えてきているのが、右から四つ目ですね、代金の一部が環境保護に寄付される商品を買うと。こういったコスト転嫁はされているけれども、一定意味のあるコストであるというふうに消費者が認識すると、こういった動きも出てくるというのが見えてきておりますので、こういった意味づけみたいなことも含めて、施策の効果をお示ししていくと、より国民一人一人に浸透していくものになっていくのではないかなというふうに考えてございます。

 以上でございます。すみません。駆け足になりましたけれども、ありがとうございました。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 それでは、続きまして増井委員、お願いいたします。

 

増井委員

 本日は、こうした機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 この委員会の本来の目的は日本の温対計画のフォローアップということですけれども、地球全体の脱炭素、あるいは1.5℃目標という観点から、日本が取り組むべきところですとか、あるいは世界全体から見た立ち位置も見据えておく必要があるだろうということで、資料を準備させていただきました。ただ、今、折茂委員のほうからご説明があったように、分かりやすさ、目を引く、自分事化できるといった観点からすると、まだまだだなというのを思ったところなので、その点はご了承いただければと思います。

 次のスライドをお願いいたします。

 スライドのほうは、結構枚数があるんですけれども、今日は、時間も限られておりますので、この1枚で説明させていただきます。また、お時間のあるときに、後ろのほうをご覧いただければと思います。

 今日は二つ、資料のほうを準備させていただきました。まず1点目が、日本についての我々の試算結果ということで、こちらは昨年6月に総合エネ調基本政策分科会で報告させていただいたものです。環境研究総合推進費1-2002という予算を使って実施したものですけれども、ここのスライドにあります1から5の五つの観点、こういった、それぞれの要因から取組の強化というのが必要であって、特にフォローアップ委員会の主な論点でありますエネルギーの需要側の観点からは、1から4が重要であろうというふうに認識しております。

 今回の前半の資料では、社会変容といったところについては、明確に言及されてはおりませんでしたけれども、やはり無駄をなくすというようなこと、こういったことが脱炭素にもつながるということをメッセージとして明らかにしていくということは重要ではないかなと思っていますし、技術、もちろん技術は重要なんですけれども、新しい技術を待って対策をするというのではなくて、技術だけに頼るというのではなく、今ある取組というのを精力的に実行していくということが、メッセージとして国民の皆さんに伝わるということが必要ではないかなと思っています。

 特にカーボンバジェットというような観点から、累積のCO2、温室効果ガスの排出量というのが気温の変化には重要になってきますので、そういったところのメッセージというのが極めて重要であろうというふうに認識しております。

 各部門におる対策ですとかエネルギーの消費量は、この後の1-6から1-15のスライドをご参照いただければと思いますし、2050年脱炭素社会を実現するような電源構成の姿、こういったところは1-19に示しておりますので、またご覧いただければと思います。

 一方、グローバルな観点からということで、前回、この委員会でもご紹介がありましたIPCCのWorking Group Ⅲの報告というのが、この4月の頭に出されました。その主要なメッセージというものを、改めてこのスライドの中に記載させていただいております。詳細のほうも、この後の資料のほうに、ほかのリードオーサーと一緒に作成いたしましたので、ご覧いただければと思いますが、やっぱり主要なメッセージとしましては、今、世界全体では1.5℃という排出経路上には我々はいないということ。この数年というのが、非常に正念場になるということであります。

 一方で、我々には手がないのかというと、そうではなくて、排出削減に向けたオプションは十分に存在するということで、全ての部門・地域で早期に野心的な削減をどういうふうにすれば実現できるのか、日本としても検討する必要があるということです。

 先ほどのグラフで、日本は2013年以降排出量が削減しておりますけれども、世界全体を見たときには、まだまだ増えているということで、特に途上国に対して日本がどういうふうな役割を担うべきなのかといったことも重要な検討課題ではないかなと思っています。

 また、こうした緩和に向けた取組というのは、SDGsとも大きく関連してまいりますので、生産ですとか消費、我々の暮らしの質を向上させるといった意味でも、脱炭素社会をどう実現していくのか、こういった議論を、このフォローアップの機会を通じて議論していきたいと思っています。

 最後に、長期的な世界全体の目標を共有して、その実現に向けて今どういうふうな取組ができるのかということを考えて実行するということ、まさに折茂委員の言う自分事化できるということ、そういうことを踏まえて実行していくということが重要であって、政府としても、こうしたことを後押しするような仕組みづくりというのが求められているのではないかなと思っています。

 以上になります。どうもありがとうございました。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 では、私のほうから少しご説明をさせていただきたいと思います。

 温対計画のフォローアップは、ずっと温対計画ができてから行われているわけですけれども、要因分析には分かりにくいところがあって、それで、私のほうで、これも環境研究総合推進費のお金を頂いて研究しているんですけれども、これまで将来予測などに使っていたボトムアップシミュレーションを、後追いといいますか、これまでの年度を再現するような形で回してみると、何が分かるかということでございます。

 1枚めくっていただきまして、家庭部門のCO2排出量、2013年以来順調に減ってきているんですけれども、これが家庭部門の対策がどれくらい効いているのかということをはっきりする必要があるだろうと。家庭部門のエネルギー消費の変化要因は、家庭部門の対策として挙げられている省エネルギー対策の進展もございます。ただ、これは、今日の議論にありましたように、世帯の大きさとか、それから地域によって違うものですから、やはりそれも考慮してやる必要があると。それから、電力のCO2排出原単位の変化というのは大きく影響を受けますし、それから毎年の気象変化の影響を強く受けていると。よく、分析結果として、今年は暖冬だったからとか、寒冷だったからとかということが出るわけですが、やはりこれを除いてやらないと、本当の対策効果は見えない。先ほどの折茂委員の資料にもありましたイギリスの気候変動委員会の資料だと、気温変動を補正してから対策効果を見るというようなことをやっておりまして、そういうことをできないかということでございます。

 我々、ボトムアップ型のかなり詳細なシミュレーション、TREESというのですけれども、これを回しておりまして、これは全国の世帯の一人一人の生活行動から機器稼働を結びつけてエネルギー需要を求めるという、そういうモデルを作っております。

 1枚めくっていただきますと、その概要がございまして、全国5,300万世帯を47都道府県に分けた後、それぞれの都道府県の世帯を縮約、一部を取り出しまして、その地域を反映した世帯の状況の分布を与えてやることで、1軒1軒のエネルギーシミュレーションを解きまして、その結果をまた積み上げて、都道府県、そして全国のエネルギー消費を求めているものでございます。

 1枚めくっていただきまして、これを都道府県ごとの気象データを、毎年の実データを設定して入れてやる。シミュレーションで住宅の省エネルギー化の進展、それから高効率給湯器の普及や照明の普及、それから、家電の普及は現在冷蔵庫とテレビしか取り上げられておりませんけれども、こういうものを、これまでの温対計画の進捗状況のデータ、あるいは家庭CO2統計のデータから、毎年の値を決定して計算をしております。まだ2020年の進捗状況は出ておりませんので、ここは外挿で推計値を入れております。

 エネルギー消費量の計算値を総合エネルギー統計と比較いたしますと、下のグラフに示しておりますように、2割くらい誤差があるのですけれども、ただ、毎年の変動は、割とよく統計値を再現できているものですから、2013年を基準とした変動値で比較をいたしましたものが、最後の5ページのグラフでございます。

 左側がエネルギーベースですけど、右側のCO2排出量ベースで見ていただきますと、折れ線で示しました温室効果ガスの排出量の値に対して棒グラフのシミュレーション結果が、ほぼ傾向を捉えられていると、一致しているというふうに考えられますので、そういたしますと、この内訳として出ている要因も、大体実態を反映しているんじゃないかというふうに考えております。

 こういうふうに見ますと、気象影響ですね、右側のCO2排出量ベースの上から2番目のところになりますけれども、エネルギーではこれが毎年の省エネ対策とほぼ同程度ですね。CO2排出量ベースでも、省エネ対策効果の2割から、多い年は7割くらいを占めているということで、やはりこれをしっかり補正してやらないと、正しい対策効果は出てこないということでございます。それから、やはり一番効いておりますのは、電力のCO2排出係数の変化の影響でありまして、ここが大きい。

 そういうことを除いていきますと、インベントリで出てきます温室効果ガスの排出削減量の中の3割、4割くらいが、家庭で努力した、省エネで努力した結果として表れているというところで、また、その中でどういうものが効いているかというと、給湯とか冷蔵庫、それから住宅の省エネが効いているというようなことが分かります。

 2020年で排出量が、インベントリの値が下がっているのにシミュレーションで下がっていないのは、本日議論されているコロナ禍の影響だということで考えておりまして、これもシミュレーションで人間の行動を在宅中心に設定し直すと再現できるのではないかというふうに思っておりまして、そういうこともこれからやっていきたいと思っております。

 ただ、2017年のように少し統計と外れているところは、説明できないところもありまして、これは地方別の暖房の習慣の違いとか、24時間暖房、先ほど堀井委員からご指摘がありましたけど、そういうものを丁寧に反映してやると、もう少し精度が上がってくるのかなというふうに思っておりまして、こういうこともやっていきたいというふうに考えてございます。

 以上です。どうもありがとうございました。

 それでは、今の3件の発表、それから初めの資料も含めて、ご意見を頂戴できればというふうに思います。ご発言を希望の方は、挙手ボタンのクリックをお願いいたします。この後、ご発言、そうですね、3分以内ということですけど、もう少し時間がございますので、ご自由にご発言いただければと思います。いかがでしょうか。

 山下委員、お願いします。

 

山下委員

 ありがとうございます。

 それぞれの委員のご発表、情報量が多くて、関心を持って聞かせていただきました。今後の議論にも大いに参考になるものだと思います。

 その中で、最初の折茂委員からご紹介のありました海外の事例、大変簡潔に、かつグラフィックに示してあることで、一般の国民も含めて、皆さんの行動を自分事にして、アクションを起こすというきっかけになりそうだということは、非常によく分かりました。

 これはご質問なんですけれども、コンピュータの画面上、インターネットの画面上といいましょうか、役所のウェブサイト、あるいは委員会のウェブサイトの画面上で見られるような仕様になっていて、かつ、そこから取り出したものがパンフレットになっていると。そういった感じで使われているんでしょうか。

 

折茂委員

 ご質問くださり、ありがとうございます。

 いずれもパソコン上で見られるものになっておりますけれども、英国の事例と、それからEUの事例は、それぞれ、CCCのウェブサイト、EUのウェブサイト、ここからレポート及び概要版みたいな感じでダウンロードできるようになってございます。こちら、アイルランドのものにつきましては、こちら、Climate Action Dashboardというもの、これ自体がインタラクティブなウェブサイトになっておりますので、ちょうど左上に丸くて三角ボタンがございますけれども、ここと定期的に画面がスクロールしていったりですとか、あと、グラフによっては、時系列でだだだだだっと動いたアニメーションのような形でグラフが見えてきたり、シナリオ別にこうだよみたいなことが見えてきたりして、そういったウェブサイトになってございます。

 

山下委員

 ありがとうございます。ちょっと重ねてよろしいでしょうか。

 アニメーションがあるというのは、もちろんインタラクティブで、見る方にとって、すごく印象深いものだと思うんですけれども、これを、まずはウェブサイトあるいはインターネット上の資料を作ることによって、そこからさらに活用するということが容易になるのかなというふうにも、ちょっと拝見して思っていたんですけれども、日本で今、我々は環境省でご用意いただいたスライドにはなっておりますけれども、その資料を見ながら議論をしておりますが、やはり皆様が簡単にスマホでも見られる、あるいはパソコンでも見られるといったような、そういう情報提供の仕方のほうが、国民にアプローチしやすいといいましょうか、より広い方に見ていただけるというようなお考え、お持ちですか。

 

折茂委員

 ありがとうございます。

 まさにそのとおりだと思いまして、いずれもそうなんですけれども、例えば今映っているアイルランドの事例なんかも、それぞれのセクターで、ほかにもたくさんいろんな大事な要素というのはあるわけですけれども、人間、そんなに覚えていられませんから、そうすると、やはりもう、こういうゴールを目指したくて、こういう世界を創り出したくて、そのために三つ頑張って、今、ここまで来たよという、極めて分かりやすいものというのが、結果として、例えばメディアに取り上げられるとしても、この三つですというのと、この100個ですというのとでは、全然違うと思いますので、そういう意味で、すごくシンプルに、シンプリファイしているというところが、これらの事例のポイントかなというふうに思ってございます。

 

山下委員

 ありがとうございました。

 これでおしまいにしたいと思いますけれども、恐らくは、もっと知りたいという方にとっては、さらにどこかに、もっと知りたい方へというリンクをつけるなどすれば、発展も広がりも深みも出てくるのかなと思いました。ご紹介ありがとうございました。

 

折茂委員

 ありがとうございます。

 1点だけ、それで申し上げると、一つ前のCCCの事例も、この1枚紙の後ろには、毎年毎年二、三百ページのレポートがございますので、まさに今おっしゃっていただいたような形で、様々なステークホルダーともコミュニケーションを取られているようにお見受けしました。

 以上でございます。

 

山下委員

 ありがとうございました。失礼いたします。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 それでは、この後、増井委員、その後、勢一委員で、それからインベントリオフィスのほうからお願いします。

 

増井委員

 どうもありがとうございます。

 まず、折茂委員にご質問なんですけども、今日ご紹介いただいたようなデータというのは、毎年毎年更新されているのか、あるいは、もうちょっと長い期間、データが継続して残っているものなのか、それはどうなんでしょうか。

 

折茂委員

 配信している形でいきますと、まず、CCCとアイルランドの事例、こちらにつきましては、毎年、レポートという形では更新がなされています。CCCは毎年何百ページもレポートが出ていると。インフォグラフィック的なものは、これは2019年よりも後のほうはちょっと拝見できておりませんが、そういった形で、定期的にデータはアップデートされているという状況でございます。

 

増井委員

 はい、ありがとうございます。

 次に、下田委員長のご説明、どうもありがとうございました。今回使われているモデルというのは、あくまで家庭部門ということで、自家用車は対象にはなっていないということでよろしいでしょうか。

 

下田委員長

 今のところ、私どもの研究室で扱っているのは、このモデルと、それから業務部門ですね、ビルのモデル等は持っております。今のところ、自動車については持てていないです。

 

増井委員

 どうもありがとうございます。

 今、業務部門ということでしたけれども、業務部門も同じような構成で、都道府県別に推計されているということでいいんでしょうかね。

 

下田委員長

 はい、そうです。

 

増井委員

 分かりました。ありがとうございます。

 以上です。

 

下田委員長

 ありがとうございました。

 では、勢一委員、お願いいたします。

 

勢一委員

 ありがとうございます。勢一です。

 今日は遅れての参加になりまして、どうも失礼いたしました。それでも、皆様のご報告を伺うことができて、非常に勉強になりました。簡単にコメントと、若干質問をさせていただければと思います。

 折茂委員から示していただきました、分かりやすく、可視化するという事例、非常に参考になりました。消費者が各自の消費の意味を理解して消費を行うと。こういうクレバーな消費者が、これから育っていくことは非常に大事なことだと思いますし、そのために、どのような形で情報を提供していけるのか。先ほどのシンプルなデータを出すというのは、すごく分かりやすくていいと思うのですけれども、恐らくシンプルなデータを出すだけでは足りなくて、データから読み取れるストーリーのようなものをしっかり伝えていくというのが大事なのかなと思いました。

 前半のほうの最後で、6ページのグラフの見せ方のところで、皆さん議論されているところを拝聴したんですけれども、やはりグラフの中で、時間軸も含めたストーリー、既に削減しやすい部分は削減済みになっている中で、さらに減らすことが難しいとかというようなことを、データと、それの分かりやすい説明とで見せていくというような工夫は大事なのかなと、お話を伺って思いました。ありがとうございました。

 増井委員のご説明の中では、カーボンバジェットという考え方が非常に重要だと私も思っておりまして、実は、日本では、カーボンバジェットの考え方、一般的にはあまり認識されていない、まだ十分に認識されていないのではないかと思っています。ドイツなどでは、カーボンバジェットの考え方は、憲法の議論になって、訴訟にもつながっているところがありまして、すなわち世代間公平の考え方に関わっています。ですので、カーボンバジェットが何を意味するのか、それが各個人にどのようにつながっていくのかというようなことも、ストーリーをもって示すということは大事なのではないかと。ご報告を伺っていて、改めて思いました。

 最後、下田委員長のご報告、非常にデータを興味深く拝見いたしまして、やはり地域差が実は大きいであろうというのは、前半の環境省のデータでも示されていたところで、今回の報告の資料は、シンプルにまとめていただきましたけれども、詳細な部分を丁寧に分析して検討すると、各地域のライフスタイルの傾向みたいなものが見えてきます。恐らく地域のライフスタイルはそれぞれかなり違うんですけれども、各地域が違うと思って暮らしていないので、テレビで話題になる県民性ではないですけれども、自分のところが普通にやっていることが、他地域では普通ではないかもしれないということも知ってもらって、自分の生活を見直すということも大事だと思うので、このような研究成果をしっかり共有していくというのは、意味があるのかなと改めて思いました。その点では、環境省の前半の資料と先生のご研究との合わせた分析というのは、既にされておられるのでしょうかというところを少し教えていただければと思います。

 以上です。

 

下田委員長

 ありがとうございます。

 まだちょっと、環境省の資料というか、いろんな資料との統合というのはできていなくて、ただ、家庭CO2統計に関しては、こういう研究をするために非常に有用なデータで、既にシミュレーションの中に、かなりこのデータを反映してシミュレーションをやっているという状況でございます。ありがとうございます。

 

勢一委員

 ありがとうございました。

 

下田委員長

 インベントリオフィスですよね、手を挙げていただいているので、お願いします。

 

畠中氏

 インベントリオフィス、畠中です。

 下田委員長以下3名の方のご報告、大変興味深く拝聴しておりました。

 折茂委員の資料の中で、前の方も触れておられましたけれども、イギリスの気候変動関連施策の進捗状況ですとか、アイルランド、あとEUのファクトシートに関してなんですけれども、どういう人がアクセスしているのかという辺り、もし情報がございましたらと思った次第です。

 その理由は、私ども国立環境研究所の温室効果ガスインベントリオフィスでは、国のインベントリを出すときに、情報提供という形で、インベントリのデータをブレークダウンして見せるようなものを提供しているんですけれども、アクセスしてくる人は、やはりある程度細かい情報を知りたくてアクセスしてくるようなところもありまして、どこまでの細かさで情報提供すべきなのかというのは、いつも考えさせられているところでして、先ほど、多分、山下委員へのご回答の中でもカバーもされてしまっていたかとは思うんですけれども、表面上はシンプルに見えても、いろいろバックデータがかなりありますよというお話ではあったので、実はざっくりしたところも細かいところもカバーした内容であるというようにお聞きしました。ですので、実際、狙ったとおりのターゲット層にアクセスできているのかなというのが興味深く、関心を持って聞いていたところですが、いかがでしょうか。

 

折茂委員

 ご質問くださり、ありがとうございます。

 非常に重要なポイントだと思いますが、残念ながら、すみません、正しくお答えできるほどの情報を持ち合わせておりませんので、ここですというふうには申し上げられないんですけれども、一方で、この辺りは、先ほどのCOP26の分析が非常に面白いなと思っておりまして、あれは、要はSNSですとかメディアで相当取り上げられたがゆえに、きちんと正しく各世代に情報がリーチされて、そこで、先ほど勢一委員からもお話のあった、ストーリーというものが一定後ろについているがゆえに、二、三十代も行動に移していったということがあると思います。これは翻っていくと、やはりメディアにも、それがマスメディアなのか、こういったネットメディアなのかというのはありますけれども、そこにおいて、戦略的に巻き込んで取り上げていってもらうということを日本においてもしていくと、相当意識が高まるのではないかなというふうに思っておりますので、そういったところが重要かなと考えてございます。

 すみません。ダイレクトにはお答えできなかったかもしれませんけれども、その辺りかなと思います。

 

畠中氏

 すみません。ありがとうございます。

 

下田委員長

 ほかにいかがでしょうか。ご発言ありませんか。ぜひ……。よろしいですかね。委員の方で、もう一回補足とか、何かありませんか。

 私、1回ちょっと、今までの話で申し上げていない、折茂委員が出していただいた資料のように、特に家庭に関しては、やはりこういうことをやったから今これくらい減ったんだという、そういうことは、やっぱりフォローアップとしてしっかり返してあげる必要があるかなと思います。なかなか、それぞれの家がどんな努力をしたからというのは出ないかも分からないけど、例えば少なくとも再生可能エネルギーがかなり普及しているというのはあって、これはやはりFITという制度で国民全体で支えた成果ですから、やっぱりそういうことは何か情報として返してあげないといけないのかなというふうに思いました。

 その中で特に、やはり温室効果ガスを減らすだけではなくて、それが私たちの豊かさにどう響いてきたかという、コベネフィットの考え方についても挙げていただいていて、そこは私は非常に大事なポイントだと思って、2050年まで対策を引っ張っていくためには、多分、そこも含めた魅力的なカーボンニュートラル社会の姿というのを示してあげる必要があると思っていて、そういう意味で非常に勉強になりました。ありがとうございます。

 まだ、もう少し時間がございますけれども、いかがでしょうか。

 堀井委員、お願いします。

 

堀井委員

 すみません。大した意見ではありませんが、お時間があるということですので。

 以前、ちょっと話題になっていました、削減が順調にいっているかどうかという図がありますね。点線を書くべきかどうかという図が資料にもあったと思いますが、これは、リニアな、直線的な線を描いているわけですよね。ただ、一般的に何かを削減していくという場合は、普通の状況だと、パーセンテージでの削減、例えば年間何%削減という形になるのが一般的です。その場合、直線ではなくて、むしろだんだん傾きは緩くなる、数学的には指数関数的と言いますが、そのような形状になるのが普通です。ですので、直線的な線だと削減の見通しが楽観的過ぎるという誤解が心配であれば、もし毎年同じパーセンテージで削減したら、こういうふうになると示す方法もあると思います。でも、もちろん同じパーセンテージで削減すると、2050年にゼロにはなりません。2050年ゼロにするためには、直線的に行く必要があるので、率でいうと、毎年と削減率を上げないといけないことになります。毎年、今年度の排出量に対して何%減らすという、その率はどんどん上げていかないといけない、容易なことではないがやらなければいけない、そういうメッセージを出してみるというのも、誤解をもし若干でも防ぎたいのであれば、いいかなというふうに思いました。

 以上です。

 

下田委員長

 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 なかなか、日本全体で言うと、いろんな部門でいろんな効果が重なって出ているので、なかなか分かりにくいところがあって、先ほどからの家庭部門の話に収斂すると、家庭部門でこういうものを独立して書くというのも、ちょっと電源の分離のところは難しいですけれども、家庭がどういうふうに進んでいて、それがみんながどういうところで頑張った成果だというところをしっかり返してあげると、少なくとも家庭部門の対策の以降の進捗には、いい効果があるのかなという気がいたしました。

 いかがでしょうか。よろしいですか。

 堀井委員は、もう、今の挙げていただいた手が……。

 そしたら、これまで出てきた議論等を踏まえて、これからちょっとどうしていくのかについて、また事務局から、もう一度、今後の計画等を見ていただければと思いますが、まず、こちらで……。

 じゃあ、もう議題の(3)というところに進ませていただいてよろしいでしょうか。

 では、議題の(3)その他につきまして、何かありましたら、事務局から説明をお願いいたします。

 

脱炭素社会移行推進室長

 先ほど質疑応答の中で、ご説明はさせていただきましたけれども、今後の予定としましては、まず、温対本部のほうで政府全体の取りまとめというのが挟まりますけれども、今日も、様々なご意見、情報提供もございましたので、これを基にデータの整理・分析をしっかり進めまして、準備が整った段階で、第4回目の専門委員会、開催させていただきたいと思っております。これまで3回にわたりまして、様々なご意見をいただきましてありがとうございました。その意見を踏まえて、事務局のほうでしっかりやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 第4回以降で、フォローアップ委員会の結果をまとめまして、地球部会のほうに報告をさせていただければと思っておりますので、引き続き、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

下田委員長

 以上でよろしいでしょうか。

 ほか、何か委員からご発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、以上で本日の議事は全て終了とさせていただきます。円滑な進行にご協力いただきまして、誠にありがとうございました。

 それでは、事務局にお返しをいたします。

 

脱炭素社会移行推進室長

 委員、オブザーバーの皆様におかれましては、活発なご議論を賜りありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認をいただきまして、ホームページに掲載をさせていただきます。

 次回につきましては、先ほど申し上げましたとおり、準備が整いましたら開催をしたいと思います。詳細が決まりましたら、別途、ご連絡を申し上げます。

 それでは、本日は以上で閉会とさせていただきます。本日は、ありがとうございました。

午後4時36分 閉会