中央環境審議会地球環境部会・総合政策部会炭素中立型経済社会変革小委員会(第5回) 議事録

日時

 令和4年4月21日(木)13時00分~14時58分

場所

 WEBによる開催

議事

(1)炭素中立型経済社会変革に向けた中間整理について

(2)その他

議事録

午後1時00分 開会

地球環境局脱炭素社会移行推進室長
 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会、地球環境部会・総合政策部会炭素中立型経済社会変革小委員会(第5回)を開催いたします。
 環境省地球環境局脱炭素社会移行推進室長の小岩と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の小委員会はWebでの開催とし、youtubeの環境省動画チャンネルで同時配信しております。
 本日は、委員総数17名中14名の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、小委員会として成立していることをご報告いたします。
 また、オブザーバーにもご出席いただいておりまして、さらに関係省庁として、農林水産省、経済産業省、国土交通省、内閣府、金融庁にご参加いただいております。
 最後に、山口大臣は遅れての出席となります。
 それでは、以降の進行を大塚委員長にお願いいたします。
 
大塚小委員長
 こんにちは。本日も活発なご議論をどうぞよろしくお願いいたします。
 早速議事に入りたいと思います。まず、議題の1、炭素中立型経済社会変革に向けて(中間整理)につきまして、事務局から説明をいただいた後で、ご議論を賜りたく存じます。
 まずは、事務局から資料を端的にご説明、お願いいたします。
 
地球環境局総務課長
 地球環境局総務課長の西村でございます。お待たせいたしました。
 これまで4回にわたりまして、ご議論いただきました内容を中間整理の案ということで取りまとめをさせていただきました。分量が多いので、時間の限りもありますので、かいつまんでご説明をさせていただきます。
 中間整理の構成でございます。今回の検討のきっかけになった総理のご指示でございます。クリーンエネルギー戦略をまとめていこうという総理のご指示。環境省に対しては、地域社会が主体的に進める脱炭素の取組の後押しや、国民一人一人の理解の促進、暮らしの変革について具体策の検討をしてほしいと、そういうご指示があったものでございます。
 ここから数枚にわたりまして、気候変動対策の現在地点というスライドをつけてございます。2月にもお示ししたものでございますので、追加になった部分だけご紹介をしたいと思います。
 まず、今出ている日本というスライドでございますけれども、先週の金曜日に2020年の最新の排出量が公表になりました。7年連続削減と。2013年の基準年に対して21.5%の削減ということで、削減は進んできているところでございます。
 その要因の分析なども行っております。基準年から省エネ、再エネ、さらには原子力の再稼働と、そういった要因で減ってきているところでございます。2020年は大きく減りましたが、新型コロナウイルスによる経済活動の低迷による寄与は非常に大きいので、今後も引き続きしっかりと削減を進めていく必要があるという状態でございます。
 それから、新たにIPCCのレポート、2月、3月に出ましたので、その情報も加えております。やはり今回の新しいレポートを見ても、世界全体でできるだけ早くピークアウトをしていく必要があるということがメッセージとして出ております。
 また、何よりここのところ、ロシアとウクライナの危機を受けまして、エネルギーの需給が逼迫をし、価格が高騰しております。エネルギーの安全保障、3Eの重要性を再認識するとともに、徹底した省エネ、それから自立分散型の再エネなど、カーボンニュートラルに向けた取組も加速をしていく必要があるというような形にさせていただいております。
 ここから何枚か総論的な部分でございます。
 前回のご議論で、やはり目指すべき社会の像というのを示し、そこに至る道筋を示していくべきではないかというようなご議論をいただきました。目指すべきゴールとして、「サステナブルな経済社会」ということで、シンプルに置かせていただいております。
 具体的にブレイクダウンしたものを少しこの紙の下のほうにつけてございますけれども、「経済」、強い経済があり、そのために将来への投資を行っている。そして、「環境」、カーボンニュートラルが実現をされていると。同時に、環境と経済の好循環が回っていると。気候変動問題のみならず、我が国の自然環境ですとか、伝統的文化ですとか、より幅広い価値がしっかり保存されていると。それから、環境省のテーマである「地域」ですけれども、地域がしっかり自立をして取組をしていると。さらに「世界」に向けて、うまく取組をしている。これらが個々人の「幸福」につながっていると。こういうようなところを目指していくという点について、大きなコンセンサスが得られていくといいなというふうに思っているところでございます。
 そこに向けた道筋を非常に詳細に示すことはなかなか難しいのですけれども、足元からの方向性というものを示していくべきではないかというご議論を受けて、このペーパーを作っております。
 その方向性を示すに当たりましては、今後の社会をつくっていく大きな軸として、投資を増やしていくということ。それから人材をしっかり育成していくということ。それから重要なインフラであるDX、これを推進していくという話。こうした四つの軸について、よい経済社会をつくるという意味で、これらを推進するときに、カーボンニュートラルにもウィン・ウィンになるような形で進めていくと、そういうような方向性で書かせていただいております。
 こうした要素は国境を越えて動くものでございますので、海外の影響を受けるということもあるでしょうし、あるいは逆に、我が国が海外に打って出ていくということも可能なものだと思いますので、経済安全保障の観点なんかもしっかり念頭に置きながら進めていくというようなことを書かせていただいております。
 それから、我が国の国土につきましても、将来の社会をつくっていくに当たって、非常にその使い方は重要になってくるんだろうと思います。その際に、カーボンニュートラルともウィン・ウィンになるような方向で、持続可能な国土の在り方というものを目指していくべきではないかと、そういうご議論があったかというふうに思っておりますので、そのように記載をしております。
 ここから、今の四つの軸それぞれについて、コンパス①、②、③ということでペーパーを用意させていただいておりますけれども、時間の関係で詳細の説明は割愛をさせていただきます。
 以後、各論に入ってまいりますが、各論に入る前に1ページ、こういう図をつけております。この図のメッセージは、環境省地域とライフスタイルを中心にしっかりカーボンニュートラルの取組を進めていくということでございますけれども、それに当たっても、やはり経済社会全体を俯瞰して進めていくことが必要であるということでございまして、民生部門、運輸部門、産業部門、それぞれ3割、2割、3割というような排出をしているわけでございまして、そしてこれらが非常に密接につながりながら経済活動が行われておりますので、うまく連携しながら取組を進めていく必要があるというふうに思っております。
 エネルギーのインフラのトランジションを進めていくというのが、まず非常に重要でございまして、これについては、今、並行して検討は行われている、経済産業省のほうでも精力的にトランジションの在り方、カーボンニュートラルの在り方を検討されておりますけれども、それと整合するような図にしているところでございます。
 そのエネルギーのインフラのトランジションに加えて、経済社会全体のトランジションを進めることで、これがエネルギー消費の削減、省エネに効果が効いてくるということで、こういうものを一体として、それぞれ技術が出てくる時間軸ですとか、インフラが整備される時間軸というのは異なりますので、その辺をよく俯瞰しながら、迅速かつ計画的に進めていくべきであろうということで、1枚こういう図をつけさせていただいております。
 ここからが各論でございます。まず、第一に地域のトランジションを進めていくという話でございます。これにつきましては、これまでも様々な取組を昨年来進めてきたところでございまして、地域脱炭素ロードマップに基づきまして、今、少なくとも100か所指定をしようという先行地域の第一弾の指定の作業を進めているところでございます。そういったところを中心に支援するための交付金の予算はいただけておりますし、また、今、国会に出資制度の創設を法案として提出をしているところでございます。
 そうした取組を今後もしっかり続けていくということで、今、画面に図が出ておりますでしょうか。すみません、ちょっと私の手元が白くなってしまったんですけれども。
 23ページというスライドをご説明いたしますけれども、今後この地域の取組をしっかり進めていくということで、幾つかの取組を書かせていただいております。先行地域をますます進化をしていくということで、DXとグリーントランスフォーメーションを組み合わせたようなモデル、あるいは都市と地方の連携のモデル、あるいは脱炭素と資源循環を組み合わせたようなモデル。こうしたものをますます作っていきたいというふうに考えておりますし、少々お持ちください。画面が今出ていないようですので、少しちょっとお待ちください。
 失礼いたしました。画面が出たかと思います。説明を続けさせていただきます。
 先行地域の深化・加速化を続けるとともに、関係省庁と連携をし、公共建築物、あるいは、空港・港湾・鉄道、様々なインフラに関わるような取組も進めてまいりたいというふうに思っております。
 また、今の先行地域は、民生部門の電力をゼロにしていこうというところから着手をしておりますけれども、よりカーボンニュートラル化が難しい民生部門における熱の利用ですとか、あるいは、条件の厳しい寒冷地や離島における脱炭素のモデルづくり、あるいは、モビリティーですとか、地域の企業とカップリングしたような取組、こういったような形でモデルを広げていきたいなというふうに考えているところでございます。
 また、地域主導の脱炭素移行ということで、都道府県、市町村、あるいは、金融、地域企業、こうしたプレーヤーの皆様にしっかりとした取組を進めていただけるような支援策をそれぞれ打っていきたいなというふうに考えております。
 また、基盤も整備していきたいというふうに考えております。とりわけ令和3年6月に交付をされた温対法の改正によりまして、地域に貢献する再エネを促進する仕組みが創設をされ、今年の4月から施行されております。これをしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 人材も重要だというふうに思っております。地域脱炭素を進めるための即戦力が自治体においても、企業においても、金融機関においても求められているというふうに思っておりますので、こうした育成に取り組むとともに、中長期的な人材育成を教育機関とも連携をして進めていきたいというふうに考えております。
 こちらのほうから、次にライフスタイルのトランジションでございます。ライフスタイルのトランジションにつきましては、ぐるっと回った絵が出ておりますけれども、消費者の行動が変わっていくというのが必要であって、その消費者が変わることで、様々なものの選び方、使い方というのが変わってくると。そういうものが供給されることで、また消費者の行動も変わっていくというような、よいサイクルが回っていくようにというふうに考えております。
 そういう中で、まず一つは、意識・行動面の取組ということで、これまでも進めてまいりましたが、実証を進めてきたナッジの手法をより社会に実装していくですとか、あるいは、それにインセンティブをつけるようなポイントの事業、こうしたものを進めていきたいというふうに考えております。
 また、ハードものといたしましては、住宅、あるいは電動車、こういったもののグリーン化も進めていきたいというふうに思っております。住宅については、新築のZEB・ZEH設置も進んでいるところですけれども、既存の住宅ストックの改良が非常に鍵になるというご議論がここでもあったかと思いますけれども、断熱リフォーム、今も補助金がございますが、家全体のリフォームはかなりハードルが高いんですが、人が集まって暮らしている一部の居室でも対象にするというような仕組みの改良をすることで、さらに推進をしていきたいというふうに考えております。
 ここからは、国際的な取組でございます。冒頭のほうにもペーパーがございましたけれども、2030年までの「勝負の10年」ということで、世界全体でとにかく早く、大きく減らしていくことが何より重要というふうに考えております。
 この図の右のほうに具体的なアプローチということで、ある程度、目次的なことが書いてございますけれども、第一にパリ協定のルールが昨年のCOP26でできましたので、この早期実施に我が国として、しっかり貢献をしていきたいというふうに考えております。
 また、具体的な世界全体の排出削減につながるような包括的な途上国、新興国への協力も進めてまいりたいというふうに考えております。
 さらに、資源循環インフラ・技術の国際展開、こういったものも進めてまいりたいというふうに考えております。
 第一にパリ協定6条市場メカニズムの早期の実施ということで、「質の高い炭素市場」というのが早期かつ着実に実施されていくように、我が国として引き続きリードをしてまいりたいというふうに考えております。JCMなど日本の制度の経験を国際標準になってしていけるように取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
 また、透明性の向上という言葉を使っておりますけれども、国内でもCO2排出量の見える化というのが大きな課題になっておりますし、これが全ての基盤になっているというふうに思っております。我が国でそういう取組をしっかり進めるとともに、これを途上国に普及をすることで、我が国の経験を生かしていきたいというふうに考えております。
 また、まだ長期的な戦略を持っていない途上国もございますので、そうした支援もしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。
 そのような形で、また、今出ておりますのがJCMですね、JCMもパートナー国の拡大、あるいは、民間資金を中心としたJCMの拡大という形で広げてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 国内のところでも、地域について力点を置いて、先ほどご説明をさせていただきましたが、地域脱炭素ロードマップに基づいて、国内によい先行事例をたくさん作っていくと同時に、これを世界全体に広げていくという発想で内外一体で進めたいなというふうに考えております。これまでも2013年以降、もう10年近く、日本の優れた自治体と海外の都市をマッチングして、こういう取組を始めておりますので、そういう流れに乗せていきたいというふうに考えております。
 以下、少し割愛いたしますけれども、最後に、アジア・ゼロエミッション共同体ということで、岸田総理がこういうテーマを掲げております。①から④まで、総理が掲げられた柱が立っておりますけれども、黒い字で書いてございますのが経済産業省の政策でございます。水素・アンモニアのサプライチェーンの構築をはじめ、様々な取組がプロットされております。
 また、赤い字で書いておりますのが環境省の取組でございまして、今ご紹介したようなJCMですとか、都市間の連携ですとか、そういったものを中心に記載をしているところでございます。これも今後、政府内で検討して、アジア・ゼロエミッションの考え方として形づくっていきたいというふうに考えております。
 次に、横断的な視点ということで、幾つかご紹介をしたいと思います。
 まず、脱炭素に向けた金融でございます。これについても様々なご議論をいただきました。トランジションのためにどういうファイナンスが必要なのかということについて、具体例を積み上げつつ、国際的なルールづくりに参画していくことが必要なんじゃないかと。あるいは、「ウォッシング」とみなされないような取組が必要なんじゃないかというようなご意見もあったところでございます。こうした点について、これまでも様々な取組を進めてきておりますので、ご紹介をしております。
 また、地域の取組におきましては、金融機関の役割も非常に重要というご議論があったところでございまして、それについても国内の地銀、信金、様々なところと既にいろんな取組を始めておりますので、少しご紹介をしております。
 今後の取組の方向性ということで、今出てきたような、先ほど申し上げたような課題に則しまして、国内のルールをしっかり整備していくということ。また、国際的なルール形成に対して、積極的に貢献していく。こういう取組を今後も進めていきたいと思っております。
 また、金融機関の支援ということで、これまでもグリーンボンド発行の支援をやってまいりましたが、こうしたもののリニューアルを進めていくということもございますし、予算、税制、政策金融、様々な手法を駆使しまして環境を整備していきたいと思っております。また、アワードなどを活用して、うまく褒めて伸ばすと、そういったようなお取組もさせていただきたいというふうに考えております。
 地域への展開というところでございますけれども、地域金融機関はやはり地域の企業に対して大きな影響力、コンサル力を持っておりますので、中小企業の脱炭素化の投資支援、あるいは、脱炭素化に関する金融機関の職員が顧客に対してうまくアドバイスをできるような資格制度の検討ですとか、そういう人材育成にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 今の金融機関の取組の裏返しになりますけれども、企業の脱炭素経営、こちらもセットで支援を進めてまいりたいというふうに考えております。
 真ん中ら辺の課題にございますけれども、再三出てまいりましたCO2の排出量の算定、それを受けての削減というのが非常に大きな課題になっているところでございます。今後の取組の方向性としては、国の役割としては、これらの課題を踏まえまして、脱炭素経営の取組を中小を含む企業の実務に落とし込み、また、その取組が評価されて、投融資や事業の拡大、ひいては、地域の脱炭素化・ライフスタイル転換につながるように、必要な環境整備を行ってまいりたいというふうに考えております。
 この辺りについては、具体的な事例を伺っておりますと、企業として取組を進めると、例えばですけれども、地域全体の廃棄物を企業の中で引き取って、それを熱として活用すると、そういう取組をした場合に、地域全体の排出量というのは、効率化されて減っていくわけだけれども、その企業としては排出が減っているように見えないと、こういう課題もあるようなお話を伺っております。どういう取組の仕方があるかというのはこれからですけれども、これらの課題に応えて、企業が脱炭素に向けてやれることをやっていけるような環境整備を進めてまいる必要があるというふうに考えております。
 また、2030年に向けては、全ての中小企業が、温室効果ガス排出量を簡易に測定して、削減取組も含めて公表できるように、国のシステム整備も含めて、あるいは、その中小企業を支援する人材の育成も含めて行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
 今申し上げたようなことを具体的な政策と合わせて図解したのがこちらのページでございます。
 次に、カーボンプライシングでございます。カーボンプライシングにつきましては、これまでも検討を進めてきたところですが、我が国の競争力強化につながるように、脱炭素投資への支援策などと合わせて、制度の検討を進めていきたいというふうに考えております。それに当たりましては、ウクライナの情勢、あるいは、社会全体における負担の在り方、こうしたものにも、目配りしながら進めていきたいというふうに考えております。
 こちらにつきましては、これも申しておりますとおり、カーボンプライシングについての小委員会が別途中央環境審議会のほうで立っておりますので、そちらの議論の状況も含めたペーパーをつけさせていただいております。
 次に、より幅広い視野ということで、資源循環、自然共生などについてのご紹介でございます。
 資源循環と炭素の排出を削減していくというものが大きな関わりがあると、資源の効率的な活用が脱炭素化に大きな寄与をするというような図を載せております。2030年、2050年に向けた方向性として、サーキュラーエコノミーの規模を80兆円以上としていくというようなことも書かせていただいております。
 具体的な取組ですけれども、プラスチック、バイオマス、それから金属と、三つ掲げておりますけれども、プラスチックにつきましては、4月1日に施行された新しい法律に基づきまして、回収量を2030年までに倍増していくというようなこと。バイオマスにつきましては、持続可能な航空燃料、大きな課題になっておりますので、こうした取組をしっかり推進をしていきたいというふうに考えております。また、金属につきましては、非常に重要な金属をしっかり確保していくというような観点がありますので、国内での金属資源循環を強化するとともに、我が国の優れた技術を活用して、国際的な資源循環ネットワークを構築すると、こういったことで金属のリサイクル原料の処理量を2030年度までに倍増を目指す。こういったことも記載をさせていただきました。
 自然資本につきましては、経済社会の全ての基盤でありまして、また、CO2については、吸収源でもあり、また、適応していく力の源でもあるというようなことを書いております。2030年、2050年に向けましては、ネイチャーポジティブを達成していくということで、陸と海、それぞれの30%を保全するというような30by30の目標をしっかり達成し、同時に質の高い経済成長も目指していくというようなことを記述させていただいております。
 具体的な取組としては、30by30に向けたOECMの認定ですとか、あるいは、TNFDの動きが強まっておりますので、TNFD、あるいはSBTsといったものをTCFDやSBTiなど脱炭素の枠組みと統合して企業が同一目線で取り組んでいけるような支援をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、次に、適応でございます。適応につきましては、国と地方が一体となって、気候レジリエントな経済・社会・国土をつくってまいりたいというふうに考えております。それに当たっては、地域課題と同時解決という視点が重要だと思っておりますし、また、政府、自治体の取組だけではなくて、民間企業のTCFDの物理的リスク対応も含めて、民間企業もしっかり取組を進めていただけるような支援も進めてまいりたいというふうに思っております。
 それから、適応については、より脆弱な途上国がございますので、国際貢献もしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
 最後に、地域循環共生圏のペーパーをつけております。ここまでのご説明でも、経済社会全体の話から、環境でも気候、それから資源循環、自然と非常に多岐にわたる中間整理をまとめさせていただいておりますが、こういうもの全体を見ながら、よい社会をつくっていこうというのが、この地域循環共生圏の考え方だったなというふうに思っております。4年ぐらい前からこの概念を閣議決定をして、曼陀羅の図を書いて、官民、多岐にわたる皆様方と対話を進めさせていただいておりますけれども、引き続き、そういう取組を進めながら環境省として、少しずつ炭素中立社会に向けて、また地域循環共生圏の実現に向けて取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
 ご説明は以上でございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 ただいまのご説明を踏まえまして、委員及びオブザーバーの皆様からご意見等を頂戴できればと思います。挙手ボタンをクリックしてくださいますようにお願いいたします。
 馬奈木委員、お願いします。
 
馬奈木臨時委員
 馬奈木です。ありがとうございます。
 3点ほど短めでコメントをさせていただきます。最初に目指すべき将来像、二つ目に重要なキーワード、三つ目にトランジションの3点です。
 まず、最初に11ページで、目指すべき社会経済像で、Well-beingが大事であると。それは、幸福QOLということを書いていただいております。そこはすごく、どういう方にもつながりやすいし、すばらしいことだと思います。
 それを踏まえて、その次の12ページで、何を大事にしていくかというキーワードが入ってまいります。現状では、この「サステナブルな経済社会」の実現に対して、人材育成、それと同列で投資拡大、DX、国土・土地利用とあるんですね。ぜひ、その国土・土地利用のところを、環境省なので、自然資本と言い直したほうがよいのかと思っています。後で、55ページに出てきます自然資本は、どちらかというと、土地・国土利用を含めていない、それ以外のどちらかというと生物多様性のほうに絞ってやっているので、それは問題ないと思いますけれども、大きな「サステナブルな経済社会」の実現のほうは、通常の国連での自然資本の用語は、国土・土地利用、農林水産も含んでおりますので、そういう人的資本と並列で自然資本という言葉があったほうがいいのかと思っています。
 二つ目のトランジションについてですけれども、再生エネルギーのポテンシャルをより精度を高くということでおっしゃられておりました。ぜひ、その中にCO2吸収源として、森林や農地処理もございますので、比較的広範な意味も含めて、炭素中立に役立つことも含めていっていただければと思います。
 その際に、後で別のアジア共同体のほうでやられていますように、海外展開も考えておられますので、43ページでした。すみません。計測技術、衛星画像の活用でありますとか、こういうのは、比較的海外に協力を日本がしやすい点ですね。それはこの技術の科学技術を含めてです。そういう面もありますので、計測技術を国内だけじゃなくて、海外ということもぜひ検討いただきたいと思います。
 最後に、トランジションの点です。30ページに住宅等の設備面の取組がございます。ぜひ、まず公的な建物の省エネなどの技術の義務化なども検討いただき、そのための推進する最後の政策としての51ページのカーボンプライシングなどありますけど、既に進められているGXリーグに加えて、自主的なクレジット取引も書いていただいております。この際に大事なのは、企業からすると、先ほど簡易なサプライチェーンなどということもありましたけど、簡易ですと、自主的なクレジット取引でも実際使えませんので、簡易版で少し普及しやすいものと、実質その後に使える精度が高い両方を同時に進めていただければよいかと思います。
 そういうことで、途中の43ページのアジア・ゼロエミッション共同体も含めますと、地域循環共生圏という58ページの言葉は、ぜひ、プラネタリーヘルスなど大きめの概念で炭素中立社会というときの国際線へのつながりもありますので、ぜひ、大きめの概念と地域循環共生圏、両方を最後に並列して終わっていただければと思います。
 以上です。ありがとうございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 では、竹ケ原委員、お願いします。
 
竹ケ原臨時委員
 ご指名ありがとうございます。
 ご説明ありがとうございました。非常に多岐にわたるコンテンツをまとめていただきまして、お疲れさまでございます。
 全体構成と各論のところについて、簡単にコメントをできればと思います。
 資料を拝見していて、一番重点分野としては、11ページに掲げられたゴール、そして12ページのコンパス。そのコンパスを構成する要素として、13ページでサステナブル投資、人的投資、DX、国土計画という部分が並んでいて、多分これが一番の最重要コンテンツということだと理解したんですけれども、これ、サステナブル投資、人的投資、DXはもとよりなんですけど、一番地域性が出る国土パートにおいても、やはりカーボンニュートラルな国土・土地利用への転換とか移行に総合的なアプローチが必要だよということが強調されていたように、ここだけだと、多分この小委員会がカバーするより超える全体像が示されているような気がします。
 この小委員会のアウトプットとして考えたら、やっぱりこの課題に対して、地域とライフスタイルからどうアプローチするかという部分に、もう少しフォーカスをしてもいいのかなという気がしていまして、その観点から考えると、これはひょっとしたら消し忘れかもしれません。先ほど西村課長のご説明にもあった17ページなんですけれども、ここは今、参考とついているんですけど、これ参考じゃなくて、これこそメインコンテンツに据えるべきじゃないかなという気がしております。17ページの地域の脱炭素トランジションの構造という部分ですね。
 このまさに、現状の左側からオレンジ色の地域とライフスタイル、右側から企業活動ということで、それぞれ寄与度がイメージしやすいような絵が入っていて、これはまさに、総合の理で、地域とライフスタイルといったって、必ずしも民生部門にだけ限定される話ではなくて、運輸も産業も当然関わってくる。また逆も真なりで、企業活動の議論も当然民政に関わってくると。この辺のイメージが非常に視覚的に分かりやすく書かれていますので、前段で申し上げたゴール、コンパスという大きな課題について、まさに地域とライフスタイルから攻めていくと、こういうことになるんだということは、まずここできちんと分かる。その上で、各論に展開する上で、より重要な入り口として、18ページのいわゆる経済の好循環の話が大事なんだという、この17と18が、大きなマクロの話とこの小委員会のテーマをつなぐ非常に重要なパートになると思うので、ここは強調していてもいいのかなという気がいたします。
 その上で、今回の改訂版から落ちちゃったんですが、好循環を考える上では、地域での所得循環の極大を図るんだという資料が、前の資料にあったと思うんですけど、これは残してもよかったのかなというのが気になったところです。
 以上までを総論として、各論につないでいく。もしエグゼクティブサマリーみたいなものを作るのであればそういうイメージかなというのが、全体を拝見したときの印象であります。主に3のaについてのコメントになります。
 あと、各論ですが、本当に細部に至り、目配せいただいていて、大変すばらしい、感銘を受けました。特に、ご説明のあった44ページの資本市場に近いようなところから、45ページの地域の金融まで、言わばプラットフォームを構成する金融機関の役割について、非常に幅広く捉えていただいていて、非常にありがたいなと思った次第です。
 特に、先ほどもご説明がありましたけれども、地域の金融機関をEMSの担い手として、アドバイザリー機能を発揮するような制度を講じていくというお話があったんですけど、これ具体的にその地域における環境に貢献する人的資本をどう活用するかとか、人的投資をどう考えるかというところの具体例になると思うので、そういう位置づけとして捉えてもいいのかなという気がしました。
 最後です。一番最後のdのトータルな環境保全と炭素中立型の経済社会の部分、これ、極めて重要な視点だと思います。やっぱり自然資本とか、カーボンニュートラルと炭素中立社会への移行というのは不可分一体だというのは、多分この小委員会らしいメッセージだと思いますので、ここは最後ではありますけれど、強調しておいていいのかなという話と、国際協力のパートのところにも、この視点ってもう少し入れてもいいのかなという感じがした次第でございます。
 長々と失礼しました。以上になります。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 淡路委員、お願いします。
 
淡路臨時委員
 ありがとうございます。千葉銀行の淡路でございます。
 各論の各論のところになってしまうかもしれません。2点お話ししたいと思います。
 47ページのところに、中小企業の取組の課題や方向性についてまとめていただいております。課題のところでは、中小企業も積極的に脱炭素に対応することが重要で、その意識は十分浸透しているものの、知見やリソースが限られていて、具体的な取組につながらないというふうにまとめていただいております。
 ここで一つ申し上げたいのは、投資、脱炭素に対して、中小企業は投資というよりは、コストという意識がまだまだ前に出てしまうんじゃないかなと思います。特に、Scope3のところですけれども、大企業は、もう削減するということで、人材的にも、体力的にも大手企業は対応できると思いますが、大手企業からの要請に伴って、中小企業が脱炭素に取り組むという構図になりますと、どうしても脱炭素の取組に係るコストを例えば商品価格に転嫁するというような構図になろうかと思います。
 その際に、商品を仕入れるのは大企業であって、コストを上乗せした商品を大企業が受け、仕入れてくれるのかどうかというところが問題なのではないかというふうに考えますと、逆にそういった製品を購入するところに対して、大手企業に補助金を出して、中小企業が価格転嫁させやすいというような補助金の使い方ができないかなというふうに思います。そうすると、脱炭素イコールコストというふうな考え方から、少し転換できるのではないかと思います。
 もう一点です。その前の46ページのところに、金融の機能発揮支援のところに、アワード、アオードというんでしょうか、取り上げていただいております。国や自治体に評価されるというのは、非常に私どもにとってもモチベーションが上がるところなんですが、中小企業の経営者から聞いた印象的な言葉として、中小企業は悪いことをしたときだけ新聞に出るというふうにおっしゃっている経営者もいらっしゃいました。よい取組をしたときに、大手金融、大手の銀行や企業は、新聞に載せていただいたりいろいろありますけれども、中小企業はなかなかそういう機会がない。悪いときだけ新聞に出る。そういうことを考えますと、むしろこのアワードというような制度は、中小企業にスポットライトが当たるような制度にしたらどうかなというふうに考えます。
 私どものほうで開発しましたSDGsや脱炭素に関する制度融資の第1号を利用していただいている企業は、いずれも、例えばリサイクル業ですとか、産業廃棄物処理業というような、産業構造の下支えをするような中小企業の方が先んじて利用していただいていて、大変環境に対する意識も高いというふうに捉えております。そういった企業にスポットライトを当てるためには、以前ご紹介申し上げた千葉県でやっておりますSDGs推進ネットワークというのがありまして、その中から、例えば、推薦企業を出して、国のほうに推薦して、全国の中から非常に特徴ある取組を認定する、あるいは表彰するというような制度があれば、中小企業も非常にモチベーションが上がって、脱炭素のネットワークも広がるんじゃないかなと思います。ぜひ、その表彰認定制度を中小企業を対象に創設いただけないかなと思います。
 以上2点でございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 では、森田委員、お願いします。
 
森田専門委員
 ありがとうございます。
 私のほうからは、3点ほどコメントさせていただきます。
 一つ目は、DXに関連するものなんですけれども、IPCCのほうでも、投資とファイナンスの章などで、新しいビジネスモデルとつなげることの重要性が書かれています。例えば、ICTと組み合わせたようなエネルギー・アズ・ア・サービスとか、モビリティー・アズ・ア・サービスとか、あとは金融関係ですと、フィンテックといったものの可能性も書かれています。DXの関連について、もう少しこういった分野の専門家の方々と議論して、今後充実させていただけるとよいのではないかなと感じました。
 2点目ですけれども、ESGのファイナンスの流れや議論がどんどん高まっている中で、TCFD、TNFD、ESGなどの金融関連の議論と、気候変動枠組条約や生物多様性条約の議論に関わっている人たちが異なる部分があると思います。ESG、企業や金融機関の動きや取り組みが、条約などで議論されている気候変動の目標や、生物多様性の目標を達成する道筋になっているのだということを、もう少し明確に見えるように今後考えていく、明確に位置づける方法を考えていく必要があるかと思います。
 3点目が、気候変動と生物多様性の関係も今回いろいろ含まれており、TCFDとTFND、今後一緒に議論されていくようですけれども、それらにオーバーラップしている部分についてです。特に私の扱っている森林などは、この二つに分野に関わってくるのですが、信頼性の高い評価をしていく必要もある一方で、生物多様性などは本当に厳密に図ろうとすると、かなり複雑です。信頼性の高い評価が重要である一方で、(民間セクターからの資金動員などを考えて)ある程度柔軟性を持ったクライテリアにするなど、そういったバランスも今後かなり議論をする必要があると思います。
 特に、森林に関しては、髙村先生もよくご存じのとおり、REDD+という途上国の森林減少や劣化を食い止めることによる排出削減策の取組がありますが、それも排出削減量をしっかり評価することもそうですが、生物多様性のセーフガードも考えるとか、しっかりとした評価を考えていく中で、その評価の方法はかなり複雑になっていて、それにより信頼性は高まる一方で、企業などの民間セクターにとっては、その分野に関わるのがとても難しいものとなってしまい、敬遠されてしまったという部分もあると思います。その辺のバランスに関して、気候変動と生物多様性、両方が大事ということが明記されたのはとてもよかったのですが、今後具体的にどうしていくかと考えるときには、科学的な知見も必要だと思っています。
 以上です。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 では、日商の大下様、お願いします。
 
大下氏
 ありがとうございます。
 今までの会合で申し上げたことと重なるかもしれませんが、本日ご説明いただいた内容について3点ほどコメントいたします。
 初めに、12ページに示されている四つのコンパス、投資の拡大と人材の育成、DX、それから国土・土地利用、これらの分野で脱炭素と経済成長を目指していくという整理は非常に良いと思いました。各省庁も検討されていると思いますので、しっかり連携して進めていただきたいと思いますし、その際には、5ページで示されている要因分析、どういった部分が脱炭素に効果を生んでいるのか、あるいはこれから効果を生む可能性があるのか、こうした点をしっかりデータを踏まえながら重点化を図っていく、さらには、実際に施策を実行する際にPDCAを回していく、数字を基に検証していく、こうしたことが非常に大事ですので、ぜひお願いしたいと思います。
 今回示された四つの点はいずれも大事なテーマであり、特に国土・土地利用は一つの鍵ではないかと思っております。高度成長期には、霞が関で大きな円を描いて、国土の均衡ある発展に向けて、全国に道路・鉄道網を張り巡らせ、それが成長につながったわけですけれども、カーボンニュートラル時代の国土の発展のありようというのは、恐らくそういうものではないはずであると思います。各地域が、それぞれ地元で知恵を集めて、この四つのコンパスを、どうやって自分たちの町で、今ある産業や地域資源を生かしながらデザインできるかということが非常に大事であると思っています。
 その際に重要な点は、各地域において、自治体、地域の産業界、大学などが連携しながら自ら考えるということであると思っています。こうした点を踏まえ、地域自らが自分たちで考えるんだよ、ということを少し強調していただくと良いかと思っています。
 先ほど淡路委員から、中小企業が取組を進めていく上では表彰のようなものが良いのではないかというお話がありました。私も賛成ですけれども、こうした場に中小企業が参画し自分事として捉え、地域への貢献として取り組んでいくということが、中小企業の取組を進める一つの鍵になると思っています。
 2点目、43ページのアジア・ゼロエミッションについて、今申し上げた各地域で脱炭素の取組を進めていく上で様々な脱炭素関連の技術を実装し普及していくと同時に、東南アジア等、各国で同じ技術を実装・普及していく。これらを同時並行的に一気に進めていくことが非常に大事であると思っています。スピードで各国に負けないために、地域と国際、ローカルとグローバルを同時でやっていくべきであり、JCMもうまく戦略的に活用していただきたいと思っています。他国に劣後することのないようなスピード感を持った取組でアジア・ゼロエミッションを進めていく、という点を強調いただけると良いかと思います。
 最後に中小企業の脱炭素経営について、47ページで書いていただいている方向性で進めていただきたいと思っています。まずは、脱炭素がなぜ必要なのかということを知る、それから自社の排出量を測る、どうやって減らすのかという点をしっかり理解した上で、設備導入等を通じ減らす。知る、測る、減らす、これをパッケージで分かりやすく伝えて、使いやすい制度にしていただくことが非常に重要です。ぜひ、よろしくお願いします。
 私からは以上です。ありがとうございました。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 では、中村委員、お願いします。
 
中村専門委員
 ありがとうございます。
 聞こえますでしょうか。
 
大塚小委員長
 聞こえます。ありがとうございます。
 
中村専門委員
 すみません。取りまとめいただきありがとうございます。
 全体的に、内容については、異論はございませんが、幾つかコメントさせていただきたいと思います。
 先ほど、今、大下委員からもご意見がありましたとおり、まずデータの点についてですが、これまでにも申し上げましたとおり、実データによる分析、それによる提案、改善は、これからも重要となりますので、その点に関連して、5ページに参考資料として、排出量変化をお示しいただいています。
 家庭用に関しては、ここに示されている統計が実態を把握するには唯一だと思いますけど、家庭に次いで、削減目標の高い業務の分野となりますと、事務所ですとか、物販、飲食店等、用途によって消費傾向は異なりまして、それに対する対策も本来はばらばらなはずです。業務でこういった統計データが現時点では存在しておりませんので、細かく把握するにもかなり大変なことではございますが、これから取るべき対策がますます厳しくなってきた際には、こういったデータが進捗管理の点では非常に有効にもなってきますので、できるだけ細かに実態をつかむ。可能であれば、統計データなどの整備も視野に入れて進めていただければと思いました。
 続いて、17ページに、脱炭素のトランジションについてまとめていただいていますが、左下の快適な暮らしのところで括弧書きで(断熱熱など)とありまして、断熱改修、断熱の性能向上というのは費用もかかりまして、これらが多大な、大きな課題ではありますが、それだけで脱炭素が進むものではなく、それ以外の取組も重要でありますので、再度この点はコメントしておきたいと思います。
 あとは、27ページについて、ここに書かれているとおり、効果的な働きかけにより、主体的に動いていただくように取り組まなければならないと思いますが、示していただいた①から④の取組については、もう既に実証データやその効果の知見が得られているものもありますので、そういった効果をどう見せるのか、例えば、住宅の既存の断熱化を進めるに当たって、そのメリットは快適性の向上だけではなくて、健康面にも影響があるということが分かっています。どう伝えるか、そう見せるか、これまでの資料や本日の参考資料にもありますが、官民の調査でも関心を持っている世代、そうでない世代なども分かっていますし、訴求する世代、年代によっても、その方法は異なると思いますので、細かな点はこれからだと思いますが、ぜひ、効果的な手法を構築していっていただければと思います。
 最後に、今回、非常に多くのご意見があったかと思いますが、取りまとめのこれらの資料に書かれている内容は、そのエッセンスを抽出したもののみであると思います。ですので、これらの内容をきちんと拾っていただいて、実際の対策や取組にまで落としていかなければ意味はありませんので、その辺りは、今後スピード感を持って、さらには省庁間の垣根を越えて取り組んでいただくことに期待したいと思います。
 以上です。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 では、連合の冨田様、お願いします。
 
冨田氏
 ありがとうございます。
 初めに、これまで委員会の中で共有された知見や意見を網羅し、体系的に取りまとめていただいた事務局のご尽力に敬意を表したいと思います。
 その上で、私からは3点コメントさせていただきます。
 まず、1点目が、目指すべき社会像についてです。脱炭素の実効性を高めるためには、11ページに記載のあるゴールに対して、いかに広く国民の共感を得られるのかだというふうに思います。実際の行動変化につなげていくためにも、こうした文書や文字だけではなくて、全体的にイメージが湧いてくるような見せ方などの工夫なども引き続きご検討をお願いしたいというふうに思います。
 あわせて、12ページには、重要な要素が記載をされておりますが、この要素の中に経済の一端を担う消費者の役割なども記載をいただくと、より理解が深まるのではないかと思いました。
 2点目が、38ページにあります脱炭素化・強靱化についてです。
 上段の枠囲みの二つ目のところに、脱炭素で強靱な社会の実現のためには、様々なセクターを統合し、地域の経済・特性に応じた計画立案や対策を実施可能な地方政府の取組が重要というふうに書かれているんですが、この点、ここの国際展開や国際協力だけに限らないというふうに思いますので、例えば、その一つ前の地域とライフスタイルから捉えるグランドデザイン、こうしたところにも通底する考えだと思います。なので、もし可能であれば、もう少し全体にかかるようなところに記載をいただいたらよいのではないかというふうに思いました。
 3点目が、20ページの地域における体制図についてです。ちょうど真ん中のサークルのところに、主体的に参画する各主体の例示がされておりますが、この中小企業など、後ろの「など」のこの中には、例えば、57ページの地域循環共生圏の中にもある地域のNPOや福祉分野の公的セクター、労働団体など市民社会が含まれているという理解で間違いがないかということを改めて確認をさせていただければと思います。
 これまでも発言してまいりましたが、グリーンでリーセントな雇用の創出や失業なき労働移動など、公正な意向を実行するには、地域の幅広い、各主体が参画する中で、対話と政策立案の取組が重要と考えておりますので、その観点で確認をさせていただければと思います。
 以上でございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 では、三宅委員、お願いします。
 
三宅氏
 ありがとうございます。
 まずは、取りまとめ、ありがとうございました。本当にここ数回、4回ですか、議論がうまく網羅的に取り入れて記載いただいたと思います。
 特に、時間軸へのコメント、「勝負の10年」というふうに、はっきり書いていただいたということに関しては、大変ありがたく思いますし、これは今後もずっと主張し続けていかなければいけないポイントだと思います。
 それと、二つ目が、ライフスタイルを今回いろいろ書いていただいて、そのとおりだと思いますし、国民全体の消費者一人一人の感覚がどれだけ重要なのかというポイントもそのとおりだと思いますし、これをどうやって伝えていくのかというのは、まだまだ課題が残っているとは思いますけれども、やっていかなければならない、いろんな取組だというふうに思っております。
 その中で、カーボンプライシングに関しても記載をいただいたページ、最後のほうに出てくるんですけれども、これも実は、消費者へのコミュニケーションという意味では、一つ、カーボンプライシングがあるから別に消費者に伝わるというわけではないんですけれども、国民全体で見える化をすること、これ、途中でサプライチェーンの見える化というところのコメントも書いていただいて、それも今後は、どうやってデータを一次データを拾っていくのか、仕組みにしていくのかという課題はもちろんあるんですけど、結構そこに課題があって、それをみんなでやっていかなければいけないという記載ということに関しては、記載いただいたということは評価しますし、その中の一つにカーボンプライシングもあって、それも使いながら、どうやって見える化をして、みんなで共通認識をしていくかというのは、すごく大切なポイントだというふうに考えております。
 あと、最後に、これを今後みんなでやっていくということなんですけれども、消費者に対してもやらなきゃいけないということを伝えるとともに、消費者に対しても、結果どうなったのか。PDCAって何回かほかの委員の先生方も発言いただいておりますが、これはすごく大切で、どうやってフィードバックをして、どれだけできたのかということを消費者まで伝わるようにやっていく。しかもそれが、ちゃんと公正な目で、科学的な独立した機関がちゃんとこういう結果でしたよということをフィードバックして、それがちゃんと消費者まで伝わるという、この辺りの仕組みをきちんともう一回、そこにも言及していただければ、全体として進んでいくというのが、すごくポジティブに感じられるかなというふうに考えております。
 以上になります。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 では、広井委員、お願いします。
 
広井専門委員
 ありがとうございます。
 全体として、非常に充実した報告書になっていると思いますし、特に、冒頭で目指すべき社会像を示した点、これは非常に重要な意義の大きいことだと思います。それを踏まえて、2点ほど個別的なことと、理念的なこと、2点ほどコメントさせていただきます。
 一つは、やはりウオーカブルシティー、歩行者中心の歩いて楽しめるまちについて、何らかの言及をいただければありがたく思います。これは言い換えますと、地方都市の再生に脱炭素が有効であるという視点です。
 つまり現状は、地方都市の多くがシャッター通り、シャッター通りというのは、言い換えると、自動車と道路中心、郊外ショッピングモール型、ここでも、この委員会でも話題になりましたように、公共交通が不足している。そういう姿を改編していくことがにぎわいのある中心市街地につながり、また、それが脱炭素にも、また今回の報告書にもあります個人のWell-being、ひいては地域経済にもプラスになるというような、そういう視点を盛り込んでいただければ幸いというのが1点目です。
 それから、2点目は、多少理念的なことなのですが、割と最初のほうで、拡大というような表現が割と多くて、官民の投資を大幅に拡大という、これはこれで私はよいことで賛成なんですけど、他方で、やはり環境の問題の本質というのは、有限な地球環境という、環境の有限性の認識というのが、やはり一つ本質にあると思うんですね。そこと、限りない拡大を目指すという方向は、やはりどこかでぶつかるところがあると思うのです。ですので、いわゆる足るを知る経済というような視点、幸い自然資本、先ほどからも話題になっておりますけれども、要するに自然環境というものがまずあって、その上に経済は乗っかっているものなんだというような、そういう認識、あるいは、サステナブルということについて言えば、サステナブルのもともとの定義は、ブルントラント委員会でも、将来世代が現在の世代と同じようなニーズや豊かさを享受できるということですので、そういった視点がもうちょっと示されるような表現にできないかなということも思いました。
 以上です。ありがとうございました。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 では、浅利委員、お願いします。
 
浅利専門委員
 ありがとうございます。
 まずは、皆様同様、うまくまとめていただき、ありがとうございます。私の関心を持っていた環境教育とか、教育であったり、それから循環経済というところもしっかり資料も含めて、作り込んでいただけて感謝しております。
 あと、先ほどの何人かからのご意見がありましたけれども、これをどう伝えるかというところは、次のフェーズにも入るのかなというふうにも感じています。私も事前に記者の方とかから、どんなまとめになるんですかということを聞かれて、なかなか難しいなと。一つには、11スライド目とかにもございましたとおり、従来の資本主義から、何がどう変わるのかというところをもう少ししっかり見せられたらいいのかなというところが1点かなと思っております。
 それでいきますと、ちょっと細かな文言になってしまう部分もあるんですけれども、11枚目でいきますと、やはり経済社会像が絶えず柔軟に変化を続けるという部分、太字でも書かれていますし、下線も引かれているので、やっぱりここは一つポイントなのかなと思うんですが、下のゴールの文章の経済の中では、人々の豊かな暮らしを支える強い経済という表現になっているんですけれども、この辺り、ちょっと文言もしなやかなのか、多様ななのか分かりませんが工夫できるのかなという印象も持ったりしております。
 そういうところも含めて、やはり従来と変わる部分というのを結構明確に整理するというのは、一つの方向性なのかなというふうに感じて、改めて拝見をしておりました。
 以上です。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 では、武藤委員、お願いします。
 
武藤専門委員
 どうもありがとうございます。
 まず、私からは、国際展開だけではなくて、国際協力の言葉を並列で書いていただいたことに対して、特に感謝を申し上げたいと思います。
 国際展開となりますと、どちらかというと主語は日本というふうになりますけれども、途上国を支援するODAの国際協力も書いていただいて、そこが両方手を取り合って、いい脱炭素社会への、またレジリエントな社会への道筋を協力してつくれるということで、非常によくなっていると思います。ありがとうございます。
 1点、コメントと、それから、あと幾つか感想でございます。
 コメントは、ページ36辺りの戦略・ビジョンのところで、ぜひ、髙村先生がおっしゃってくださった伴走から先導へというようなニュアンスを、どこかに書き加えてえいただければと思っております。要は、ポジショニングがふらつきますと、やっぱり個別のところでもいろいろな判断が揺れますので、ぜひ、主軸のポジショニングを書いていただければと思っております。
 感想としては、国際展開、国際協力のところは、本当に非常に充実した内容を書いてくださっているんですけれども、改めて全体の中で見ますと、国際協力の中で、それこそESG金融、グリーンファイナンス、脱炭素に向けた金融、これをどうしていくのか、情報開示をどうしていくのか、自然資本、生物多様性、それから、もっと深掘りすれば防災と適応との関係をどうやって途上国に伝えていくのか、そういったところも次の大きな課題としてめじろ押しでございます。そういったところ、背中を押していただけるような表現を工夫いただければと思います。ありがとうございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 では、西尾委員、お願いします。
 
西尾臨時委員
 ありがとうございます。
 皆様、おっしゃっていらっしゃるように、11ページで目指すべくサステナブルな経済社会とは何かを明確に定義されたこと、その下で体系的にまとめられていることを高く評価いたします。
 それから、特に私は消費者行動とマーケティングの研究者ということもありまして、25ページのところで目指すべきサステナブルな経済社会の実現に向けては、消費者も当事者として主体的に役割を果たすことが必要であるということを明記してくださったことは大変重要だと思っております。
 さらに、消費者の行動変容を促すために、27ページでナッジだけではなくて、消費者へのインセンティブをもたらすような「食と暮らしのグリーンライフポイント」等の促進策の提示や、消費生活の中でCO2への負荷が大きい住宅や車を対象に低炭素化・脱炭素化が進むような規制を提示されていると点も有用だと思います。
 このようにサステナブルな社会の実現には、消費者の主体的な取組が不可欠です。一方で、消費者のエコロジー行動には個人のエコロジー意識も影響します。したがって、環境への負荷が大きく、早急な取組が求められる場合には、消費者のエコロジー意識の多寡にかかわらず、行動変容とその定着が促進されるような仕組みが必要ではないかと考えます。そのためには法規制も積極的に活用すべきではないかと思います。
 例えば、今回の提言で示されている住宅や車に対する規制は消費者向けではなく、どちらかというとメーカーや事業者側への規制です。一方、すでに施行されているレジ袋の有料化は消費者を対象とした規制です。このように、どのような消費者にとっても毎日の生活と密接にかかわっており、地球環境問題との関連性を考えるのに象徴的なものについては、法規制という対策の方がよいように思います。なぜなら、消費者のエコロジー意識の多寡にかかわらず、フリーライダーを排除して、すべての消費者の行動の底上げにもつながることが期待できるからです。すなわち、あめとむちというのでしょうか、望ましい行動を自発的に引き出す促進策と、すべての消費者に公平に一定の負担や協力を求める法規制をうまく使い分けて、バランスよく進めることが重要だと考えます。
 以上、コメントでございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。実施の手法についてまでお話しいただきまして、大変重要なご指摘だと思います。
 では、宮下委員、お願いします。
 
宮下専門委員
 宮下です。ありがとうございます。コメント、3点、申し上げます。
 皆様、おっしゃっておられますが、11ページにおきまして、サステナブルな経済社会、ゴールはこのような考え方であるというものを示していただきました。やはり本件の大きな課題、多面的な要素があるので、ここに経済、環境、あるいは地域、世界、幸福、いろいろな切り口で文章を紡いでいただいておりますが、私が関係する経済のところでは、やはり我々の豊かな暮らしを支えるための強い経済、これを成立させていくことに本件の活動が最終ゴールとしてつながっていくということを明記していただいたことについては、大変ありがたいと思っております。
 それから、2点目は、金融につきましては、いろいろな側面からの議論をしっかりと包含しながら取り込んでいただいたと思っております。特に、46ページには、脱炭素へのトランジションに向けて必要な資金動員をどのように実施していくのか、そのためには足元で、ルールと基盤の整備並びに金融の機能発揮支援が大事だということで示していただきました。まさに、我々金融機関が日々直面しているところを取り上げていただいたと思います。この点については官民一体で、しっかり足元から急ぎ取り組むべき課題だと共感をいたしました。
 それから、最後に、後段のほうで自然資本や生物多様性についての言及、それからカーボンプライシングの議論についてもコメントをしていただいています。私どもの認識から致しますと、これらに関する取組の方向性等々がなかなか大きなコンセンサスにはまだなっていない領域かと思いますが、非常に重要な観点だと思っております。2022年、この辺りが、しっかりと国内で議論が活性化して進んでいくことを期待したいと思います。
 以上でございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 事務局に冨田様からのご質問がございましたので、その点、あとで、何かもしコメントいただくことがあればお願いします。
 
地球環境局総務課長
 大塚委員長、ありがとうございます。冨田委員のご質問にもお答えしようと思いますし、多岐にわたるコメントをいただきましたので、できれば事務局のほうから多少分担をしてご回答させていただきたいと思います。
 馬奈木先生ですとか、あるいは中村先生、それから西尾先生からはライフスタイルに関するご指摘がありましたので、後で小笠原課長からお話しいただきたいと思いますし、また、武藤先生をはじめ、国際の議論も幾つかありましたので、大井課長あるいは水谷参事官にお話しいただければと思います。それから、自然関係のご指摘もございましたので、自然局からも入っていただいているかと思いますので、後ほどお答えいただければと思います。私のほうから、それ以外、お答えできるところをお答えしてまいりたいというふうに思います。
 まず、馬奈木先生からのプラネタリーヘルスというキーワードの位置づけ、お話しいただきましたので、少し検討させていただきたいと思います。どこかに書ければなというふうに思いました。
 それから、竹ケ原さんのほうからは地域脱炭素のトランジションの構造という図について、参考から本編に昇格したらどうかというご指摘をいただきましてありがとうございます。ぜひ、そうさせていただきたいと思います。
 また、所得の向上と地域の脱炭素がウィン・ウィンになっているという図について、ご言及いただきました。あれは、確かに、ちょっと図を差し替えておりまして、もともとあったものから、今、21ページのスライドになっていますけれども、所得の向上以外にも防災力の向上ですとか、快適な暮らしの向上ですとか、様々なウィン・ウィン事例を二つの事例から八つに増やしてデザインが変わっておるんですけれども、実は、今日もこの現場に真庭市長さんに来ていただいておりますが、真庭市のバイオマス産業の事例についても引き続き掲載をさせていただいているところでございます。
 それから、資格制度などについて、これまでもアドバイスいただいてまいりましたけれども、ありがとうございます。
 それから、淡路さんのほうから、中小企業にとっては脱炭素がまだコストであるという点ですとか、あるいはアワードをうまく活用するという点についてアドバイスをいただきましたので、今後の取組の中で生かしてまいりたいなというふうに思っております。
それから、森田先生のほうから、DXについては、もう少し専門家と深掘り議論してはどうかというご指摘をいただきまして、全くおっしゃるとおりだと思っております。我々、多岐にわたるものに取り組んでまいりたいと思っておりますが、勉強不足なことばかりですので、少しずつ、今回、おまとめいただいた中間整理に載っているようなことについて、掘り下げていきたいなというふうに思っているところでございます。
 それから、大下さんのほうからもいろいろご指摘をいただきました。各省と連携して進めてまいりたいというのも、おっしゃるとおりだと思っておりますし、要因分析、これは、ほかでもご指摘いただきましたけれども、今、まさに中央環境審議会の下で、温暖化対策計画のフォローアップをいかにうまく進めてうまく見せていくかという専門委員会、別途立っております。そちらの検討中のものを今日、先ほど、一旦、ご紹介させていただきましたけれども、今後、より分かりやすいご説明、あるいは分析ができるようにしてまいりたいなというふうに思っているところでございます。
 それから、大下さんのほうからは地域が自ら取組を進めていくことが大事であるというご指摘もいただいておりまして、これについては、ちょっとご説明のときには触れなかったんですけれども、12ページのコンパスという図の中で、上のボックスの中で、地域がそれぞれの事情を踏まえて自ら方向を考えていくべきではないかというような記述もさせていただいているところでございます。
 それから、中村委員のほうから、ああ、中村委員があれですね、要因分析。よりしっかりやっていくようにと、業務部門も含めてというご指摘をいただきましたので、こういうことも今後の課題として、ぜひ取り組ませていただきたいというふうに思っております。
それから、冨田さんのほうから消費者の役割についてご指摘いただきました。全く触れていないわけではなくて、14ページですかね、14ページにコンパス②人材育成というペーパーがございますけれども、このペーパーの左側のコンパスの中で、下から二つ目のポツのところで消費者も脱炭素の担い手としてということで、しっかり取り組んでいただきたい旨、記載させていただいているところでございます。
 それから、強靱化の話ですね。国際のパートに強靱化の話が書いてあるけれども、これ、より全体を包括する概念ではないかというご指摘をいただきましたので、少し考えてみたいというふうに思っております。
また、23ページのところを見ながら、自治体、金融、企業、いろいろな主体の取組とその支援が書いてあるけれども、NPOですとか市民社会も包含されているんですねというご質問だったかと思います。当然、そのように考えております。ご指摘いただいた地域循環共生圏の図にも出てまいりますし、また、14ページの人材育成のパートにも、実は、図の中で地域の軸となるということで自治体ですとか企業、金融機関、列挙しておりますが、そこでもソーシャルビジネス、NPO等という形で触れさせていただいているところでございます。
 それから、三宅さんのほうからもご指摘いただきまして、消費者にPDCAの結果をどう見せていくかというご指摘をいただきまして、これは先ほど述べましたけれども大変重要なポイントだと思っておりますので、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
それから、広井先生のほうから、ウオーカブルな町と、それが個人の豊かさにどうつながるかというご指摘をいただきました。キーワードとしては、一応、1か所、書かせていただいておりまして、16ページですけれども、コンパス④国土・土地の利用というページの中で、二つ目のポツですけれども、ウオーカブルでコミュニティー空間を重視した都市・地域づくりは有効であるというようなことで触れさせていただいているところではございます。
 また、投資の拡大、あるいは経済の拡大というものと環境の有限性、どこかでぶつかるのではないかというご指摘をいただきました。おっしゃるとおりでございまして、であるからこそ、今、循環というものをいかにうまく回していけるかということで環境行政を進めているところでございますが、おっしゃっていただいたような趣旨、少し、どこかで触れられるのかどうか、考えてみたいというふうに思います。
 それから、浅利先生のほうからは、そうですね、どう伝えていくのかがこれから大事だねということと合わせて、これまでと何が違ったのかということで、「強い経済」という言葉とサステナブルな経済社会というのがうまくかみ合っているのかどうかというご指摘があったかと思います。その後で、宮下さんのほうからは強い経済という位置づけ、よいのではないかというご指摘もいただいておりまして、ちょっと、この後、考えたいと思いますけれども、「強靱」という言葉は、どちらも強い、強いと訓読みすると読みますけれども、今は「強」のほうで書いておりますが、「靱」のほうにしても大丈夫かどうかとか、少し考えてみたいなというふうに思っております。
 それから、武藤さんのほうからは国際のお話をいただきましたので、後で水谷さんか大井さんからお答えいただければと思います。
 そうですね。西尾先生には、小笠原課長からお願いしたいと思います。
 宮下さんのご指摘につきまして、先ほど触れた点に加えて、自然ですとか、あるいはカーボンプライシング、まだまだ方向性は出ていないけれども、しっかり検討、議論を活性化してほしいというご指摘、大変ありがたく受け止めさせていただきたいと思います。別途、検討の場もございますけれども、しっかり議論していきたいというふうに思っております。
 では、すみません、環境省サイドから順にお話しいただければと思います。
 
地球環境局地球温暖化対策課長
 そうしましたら、小笠原、よろしいでしょうか。聞こえていますでしょうか。
 
大塚小委員長
 聞こえています。どうぞ。
 
地球環境局地球温暖化対策課長
 温暖化対策課長の小笠原でございます。ライフスタイル関係について、お答えをします。
 馬奈木委員から、公的建物における取組についてご指摘をいただきました。公的建物における取組、重要だと考えております。そのために、政府の実行計画というものの中で、新築の建物については、新築の政府庁舎については2030年にZEB Readyという目標を掲げております。それから、新築も含めて、2030年までに設置可能な建築物の5割に太陽光を設置しようという目標を立てております。それから、自治体についても、それに準じて取り組んでいただくということにしております。
 加えて、国交省さんのほうにおいては、公営住宅について、今後、建てるものについては省エネ性能についてZEH水準、それから太陽光発電設備は原則設置ということに、国交省さん、住宅局さんのほうでも積極的に取り組んでいただいているところでございます。
 それから、中村委員のほうから住宅について訴求する上で快適性のみならず健康面といったご指摘、ありがとうございます。そういった消費者メリットをいかに的確に、そのときに「健康自体にもいいんですよ」とか、「ヒートショックのリスクも減らします」とか、そういったことも含めて訴求をしていきたいと思います。27ページのところでも、健康面といったことも一言、触れさせていただいております。
 それから、三宅さんのほうから消費者へのフィードバックというご指摘をいただきまして、消費者への適切なフィードバック、非常に重要な視点だと思います。どのようにフィードバックをするかというのも、いろいろな視点があるので、すみません、ちょっとご指摘に対して適切に答えているのかどうか、必ずしも自信はないんですけれども、ライフスタイル関係の施策の一環としては、例えば、ナッジ&デジタルの事業の中で把握したものを、デジタルの部分も含めて、消費者にどう的確にフィードバックして、さらに消費者行動を誘発するかといった取組をやっていきたいというふうに考えています。
 それから、西尾委員のほうから、普及啓発に加えて規制、支援といったいろいろな施策をやっていくことが必要というご指摘をいただきました。そのとおりだと思います。メーカーに対するものだけではなくて、消費者とのフロントでの、まさにご指摘いただきましたレジ袋のようなものは、法規制としては容リ法に基づく事業者さんに対する規制なんですけれども、それによって消費者行動が変わるといった、消費者の行動をインターフェースのところでの法制度というか、プラスチック資源循環法、4月から施行されているものも、そういった視点でございますし、そういったものも含めて今後も検討していきたいと思います。
 ライフスタイル関係、以上でございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 
地球環境局総務課長
 国際関係、いかがでしょうか。
 
地球環境局国際連携課長
 続きまして、国際連携課長の大井です。国際関係につきまして、ご回答いたします。
 まず、武藤委員のほうから様々なコメントをいただきまして、ありがとうございました。伴走から先導へという国際的な脱炭素推進に当たっての立ち位置でございます。ご指摘のとおりだと思いますし、何らか、そういったキーワードを入れ込めるように考えたいと思っております。物によっては、引き続き伴走が必要なもの、それから先導していけるもの、いろいろありそうな気がしますけれども、いずれにしましても、基本的な考え方として、そういうものが国際貢献の中で書ければというふうに思っております。
 それから、同じく武藤委員のほうから、例えば、自然資本であるとか、あるいは防災・適応の関係であるとか、より幅広い視点を入れ込む必要であるということ。同様の指摘を竹ケ原委員からも、特に今、dで書いてあるような内容を国際展開のほうにも入れられないかという、そういうご指摘をいただいたかと思います。これにつきましては、ご指摘のとおり、今、現状の資料の3のbが脱炭素と、それから資源循環のところにかなり特化したような書き方になっておりますけれども、資料をご覧いただきますと、例えば、55ページ、自然資本のところで、それらを国際展開することで云々と書いてございます。全体の整理をもう少し見直しまして、国際展開の中に脱炭素、資源循環、さらには自然資本、そういったものを全部ひっくるめた形で入れ込めるように考えたいと思っております。
 取りあえず、以上でございます。ありがとうございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 
地球環境局総務課長
 あとは、自然局、入っておりますでしょうか。
 
自然環境局生物多様性戦略推進室長
 はい。自然環境局生物多様性戦略推進室長の中澤でございます。
 自然資本、それから生物多様性についてのご指摘、ありがとうございました。
 まず、馬奈木先生から国土・土地利用と自然資本の関係の整理が必要ではないかといった話、私どもも、この自然資本はベースになる重要なものだと思っていますので、こういった辺り、考え方の整理等をさせていただきたいと思います。
 同じような意見は広井先生からもいただきました。自然資本の上に経済が成り立っているということで、まさにSDGsのウェディングケーキ図のことをご指摘いただいていると思います。そういったことも踏まえながら、国土利用、それから自然資本の関係について考え方を整理していきたいと思います。
 それに関連いたしまして、宮下委員から、生物多様性について、まだまだコンセンサスができていない、重要であるけれども、もっとしっかり議論していく必要があるといったご指摘をいただいています。現在、生物多様性に関する次の世界目標、ポスト2020生物多様性枠組の議論、それから、それを踏まえて次の生物多様性国家戦略の検討も進めているところでございます。こういった中でも、カーボン、それから循環型も含めた幅広い視野で考え方を深めてまいりたいと思っております。
 さらに、国際協力の関係で先ほど大井課長からございました。国際協力については自然資本と一体不可分であると、そういったご意見を竹ケ原委員のほうからもいただきまして、自然資本の関係で言うと、SATOYAMAイニシアティブという私どもが取り組んでいるイニシアティブがございます。そういったものの中でも、循環型、カーボンも踏まえてやっていく。先ほど大井課長のほうから国際協力の中でもということがございましたので、地球環境局とも一緒に考えてまいりたいと思います。
 それから、森田委員から、ESG投資、TCFD、TNFD、それから、それをつなぐ森林の関係がございました。これについては、谷貝室長のほうからコメントいたします。よろしくお願いします。
 
自然環境局生物多様性主流化室長
 谷貝です。ご指摘いただきありがとうございます。
 TCFDとTNFD、一体的に検討すべきということは、まさにおっしゃるとおりでございますし、国際的にも、例えば、ISSBといった場では恐らく統合されていくと考えてございます。国内的にも環境省内、地球局とも連携してまいりますし、他省庁とも連携をして、なるだけ統合的に議論をしていきたいと思ってございます。
 また、REDD+についてお話がございました。現時点では、まだ具体的な枠組みがしっかりと見えてきているわけではございませんが、少なくとも、TNFD事務局の主張を踏まえれば、基本的には既存の指標とか枠組みをベースに作っていくとなってございまして、そこまで厳しいものにはならないという認識はしてございますが、そうしたご指摘を踏まえまして、可能な限り柔軟な枠組みとなるように対応してまいりたいと思ってございます。どうもありがとうございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 環境省さん、そのぐらいでよろしいですか。
 
地球環境局総務課長
 取りあえず、今は。
 
大塚小委員長
 一言だけ申し上げておくと、先ほど広井委員からおっしゃった将来世代との衡平というのは結構大事なポイントだと思いますが、他方で、強い経済というのをどうするかというのも一つポイントになっていると思います。これは、将来世代との衡平が大事であると同時に、この20年ぐらい、ほかの国に比べて、日本はカーボンプライシングをほとんど入れていないにもかかわらず、1人当たりの個人所得がほとんど増えていないという状況がありますので、その辺を踏まえながら考えていく必要があるかなというふうには思います。両方とも大事だということですね。
 では、まだご発言いただいていない委員の方がいらっしゃいますので、ちょっと無理をお願いすることになるのかもしれませんが、当ててしまってよろしいでしょうか。
 太田委員は、いかがでしょうか。
 
太田専門委員
 私は、断片的なことしか申し上げられません。本当に、ここまでまとめていただいて感謝しております。それから、私も申し上げたこと、いろいろ入れていただいております。
 入っているんですけれども、もうちょっと目立ったほうがいいかなと思うのが1点ありまして、森林等の吸収源なんですが、4ページに、これだけ効果があるといいますか、非常に吸収源として大事なものだということで、4ページにデータとしては出ておりますし、それから部分的には書いてあり、記述していただいています。特に57ページにもあるんですが、もう少し森林の持つ吸収源の面での重要性、それから都市緑化がまたそれに役に立つとかという辺りが、もうちょっと強調されてもいいのかなと私は思いましたが。
 それと、木材のことが、住宅に関して木材利用とかも22ページとか30ページとかにいろいろ書いてあるんですけれども、いわゆる固定化させる、長期的にCO2を固定化させるということもあります。そこが、もう少し記述されてもということが1点です。
 それと、これを実行する上で地方で、都道府県、市町村、そしてまた金融機関とかが連携を取り、これも書いてあるんですが、連携で体制という図がどこかにあったんですけど、推進体制というか、もうちょっと。これは強制はできませんけれども、地方でのそういう組織をつくって連携しながら推進してもらうというのが実践的だと思いますので、体制というところは出てくるんですけど、細かい話で恐縮です。推進体制とか、そういう言葉、20ページですね、「地域において、地方自治体・金融機関・中核企業等が主体的に参画した体制を構築し」で、何か、もうちょっと推進していくみたいなイメージがもう少し入っていたらいいのではないかというふうに思いました。
 以上です。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 当てさせていただいて恐縮ですが、よろしいでしょうか。小野委員、いかがでしょうか。
 
小野専門委員
 ありがとうございます。
 私も皆様のお話を聞きながら、ほとんど一緒だなと思って手を挙げていなかったんですけれども、まずは、すごく丁寧にまとめていただいてありがとうございます。私も、2030年までの勝負の10年というところを書き切ってくださったところが、すごくいいなと思って拝見していました。私は今回、若い世代としてというので、今回、ここに参加させていただいていると思うので、その視点で1点だけ意見を述べさせていただくと、皆様、ほかの委員の方々もおっしゃっていただいてたように、これから先、どうアクションしていくかというところと、あとはアクションをどう行っていったかということを、皆さん、消費者の方々に見える化していくという、そこのアクセスしていくところがすごく重要だなと思っています。
 やっぱり若い世代、特に若い世代には、まだまだ、国としてどういう施策を取っているのかだったり、その結果、どういうふうな影響を及ぼしているのかみたいなところが、まだ情報として行き届いていないところが多いのかなと思っているので、特に若い世代がアクセスできるような形で、やっぱり若い世代の人たちが自分たちで主体的に情報を取りに行くというのがなかなか今、難しい現状だと思っているので、ある程度、主体的に取りに行かなくても自動的に情報が届くような、そういう動線設計というのが必要なのかなと思っています。
 ちょっと具体的なすごい案が出なくて申し訳ないんですけれども、例えば、若い人たちがよく使うSNSを駆使したりだとか、若い世代に今、流行しているような例えばアニメとタイアップしてそういう情報を届けていくだったりというような、少し、そういう設計をしてもいいのかなというのは感じていました。
 ありがとうございます。以上になります。
 
大塚小委員長
 では、山本委員、お願いします。いかがでしょうか。恐れ入ります。
 
山本臨時委員
 私は、最初の「過渡の効率性重視による市場の失敗、持続可能性の欠如、富める国と富まざる国の環境格差、資本主義の負の側面が凝縮しているのが気候変動問題であり」、非常に、ここの文章が感銘いたしました。それで、新しい資本主義の実現によって克服すべき最大の課題でもあるという位置づけですね。ここで、今回は脱炭素ということでございますので、新しい資本主義の実現ということを、私は、具体的に言い換えれば、再生可能エネルギーの推進と、それから、また省エネですよね。省エネは1970年代から、オイルショックで非常に日本は進んでおります。
 そこで、あとは自然資本として山林の活用ですよね。これは、日本の国土の6割以上が山林でございます。そして、非常に森林資源、非常に活発に行われますので、こういったことを、これから一つの自然循環としての活用、そういったところをきちんと定義づけながらやっていっていただければなと思います。
 特に、これはこの中には出てこないんですが、ぜひ原発の位置づけも少し議論していただきながら、そして食糧、それから、またエネルギーの安全保障、自給率を高めていく、そういったところに一つ視点を置いて推進していただければなというふうに思います。
 以上であります。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 オブザーバーの長谷川様、いかがでしょうか。
 
長谷川氏
 ご指名、ありがとうございます。
 私も、基本的に、今までの議論を踏まえて、構成も含め、非常によくまとめていただいており、概ねこの内容でよろしいかと思っております。
 若干、細かいところで、せっかく機会ですので2点申し上げられればと思います。
 9ページで、ウクライナの危機を受けたスライドを入れていただいたのは非常にいいと思いますが、ご議論はあるかと思いますけれども、純国産エネルギーとしての原子力の重要性についても、上の枠書きの三つ目の四角の「そのためにも」という文章かと思いますけれども、加筆していただくことについて、ご検討いただければというのが一つです。
 もう一つは、サステナブルファイナンスの枠組みについて、35ページで、透明性の向上という言葉があります。排出量の把握が重要だというのは、そのとおりだと思いますが、むしろ、この文脈における透明性は、ファイナンスの情報開示、すなわち、投融資の参考に資する材料としての情報の透明性という意味で重要だと思っていまして、「行政の透明性」といった意味の透明性とは若干意味合いが違うような気がします。国際的には、そういった言葉の使われ方があるかもしれないのですけれども、若干、違和感がございました。
 以上です。ありがとうございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございます。
 
地球環境局総務課長
 また、ご指摘、いろいろありがとうございました。
 大塚委員長自ら、将来との公平性、あるいは強い経済のお話をいただきましたので、どのように直していくのか、終わった後、大塚座長とも相談させていただきたいと思っております。
 それから、私からも幾つかお答えしたいと思いますが、太田市長、それから山本町長からもご発言いただきましたので、できれば環境計画課長の松田さんからも一言、地域での推進体制などについてお話しいただければと思いますし、透明性の話は、また大井課長のほうからお話しいただければと思います。
 吸収源、それから木材の利用、山林の活用、太田市長さん、それから山本町長さんからご指摘いただきました。あちこちにちりばめたつもりではございましたが、多分、まだまだパンチが足りないというご指摘だと思いますので、少し工夫を考えてみたいというふうに思っております。
 それから、小野さんのほうからは若い人への見える化とか伝え方についてのアドバイスをいただきまして、ありがとうございます。びっくりするかもしれませんが、実は、環境のアニメを作ったりというようなことは環境省は既にやっているんですけれども、ますます、そういうことも工夫を重ねていきたいというふうに思っております。
 それから、原子力について、山本町長と長谷川さんからいただきました。おっしゃるとおり、46%削減という目標は温対計画で積み上げておりまして、それが立脚をしているエネルギー基本計画の中では日本のエネルギーミックスが決まっており、2030年の時点で20から22の原子力、その貢献を受けて46%が達成されるという構造になっておりますので、重要な我が国の脱炭素電源の一つであるというのは、おっしゃるとおりかと思います。役所の所掌もありますので、うちの役所の審議会でどこまで書くのがいいのかというのは、ちょっと、よく、また相談させていただきたいというふうに思っております。
 それでは、よろしければ松田課長と大井課長のほうからお願いできればと思います。
 
環境計画課長
 計画課長の松田です。
 太田市長から3点、ご指摘がございました。まず、木造住宅の件については、おっしゃるとおりCO2の固定化にも貢献できるということですので、こちらについては少し表現ぶりを、このCO2の固定化という部分を少し目出しできるような形で対応できないか、検討していきたいと思います。
 加えて、連携体制の話、こちらも推進という部分、少し強調したような表現にできないかということについて、少し検討したいと思います。
 加えて、最後、吸収源の取組、こちらが非常に重要だということについては、我々も当然認識しております。また、山本町長からも山林の活用の話がございました。ここは非常に重なる部分ではあるんでございますけれども、前回の議論でも、こういった農業政策、あと林業政策に関する部分について、農林水産省とも議論をしていまして、明日の、今後、クリーンエネルギー戦略を議論していく中で、農水省のほうからもクリーンエネルギー戦略にこういった農業や林業に関する政策をインプットしていくと。
 その過程で、これまで「みどりの食料システム戦略」などで、こういう吸収源対策の取組とかもしっかり打ち込んでいくということになっていますので、農水省のほうからも、ここはクリーンエネルギー戦略の中でしっかり位置づけをしていこうということでありますので、環境省と農水省の役割分担の中で、こちらのほうに記載していないというところでございます。
 私からは以上です。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 
地球環境局総務課長
 大井課長、いかがでしょうか。
 
地球環境局国際連携課長
 透明性につきまして、ご指摘をいただきましてありがとうございます。資料の35ページかと思います。ご推察のとおり、「透明性」という言葉はパリ協定などをはじめとする国際交渉の中で使われている表現でございます。パリ協定、ご案内のとおり、世界全体の目標達成に向けて各国が目標を掲げて取り組むという、そういう基本的な発想になっておりまして、そのためにも各国が実際にどういう取組をしているのか、あるいは、それによってどれぐらい温室効果ガスが減っているのかというところをつまびらかにするということが大事でございます。そういうことでトランスパレンシー、透明性という言葉が使われていると。
 それが国レベルだけではなくて企業レベル、いろいろなレベルで重要だということで、同じ言葉をそのまま当てはめてしまったんですけれども、ご指摘のとおり、透明性という言葉はいろいろな形で使われますし、企業レベルでいきますと、まさに排出量などを明らかにするということかと思います。そんな意味ですので、ちょっと表現ぶりは考えさせていただければと思っておりますけれども、いずれにしましても、そういうことだということでご理解いただければと思います。ありがとうございました。
 
大塚小委員長
 ほかにはよろしいでしょうか。
 では、髙村委員長代理、お願いします。
 
髙村委員長代理
 ありがとうございます。
 まず、事務局がこの間、非常に豊かな報告、議論、意見を出していただいているものを本当にうまくまとめてくださったというふうに思っております。何人かの先生からもありましたけれども、恐らく、見せ方といいましょうか、どこを分かりやすく伝えるかというところで幾つかリクエストをいただいているというふうに思いますけれども、私も幾つか、そういう観点からは気になるところ、先生方と共感するところがございました。
 特に、今回のクリーンエネルギー戦略についての総理指示でいけば、炭素中立型の経済社会に向けた変革の全体像、共有する、そうした全体像を見せるという点。あるいは、特に投資を早急に少なくとも倍増させて、新しい時代の成長を生み出すエンジンとする。その経済社会変革の道筋の全体像を示すという宿題をいただいているというふうに思っておりまして、幾つか、その観点から、この辺り、もっとフォーカス、ハイライトしたらいいんじゃないかというご指摘をいただいたというふうに思います。
 私の個人のまず印象として最初に申し上げると、カーボンニュートラル、あるいは炭素中立型経済社会の変革に向けた取組を早く、いかに早く、いかにうまくできるかということが、日本の、あるいは産業の競争力の問題だということが共有をされたと思いますし、同時に、特に、この委員会の委員の先生方や、それから、とりわけですけど、今日も真庭市の太田市長、軽米町の山本町長、来てくださっております。滋賀県の三日月知事もそうですけれども、うまくできると、実際に地域の再生や活性化、こうした日本の諸課題にも対応ができるという、そういう方向性を示していただいた、あるいは共有できたのではないかというふうに思っております。
 これ、事務局が随分苦労してまとめてくださっていると思うので、若干、ない物ねだりをしてしまいますけれども、一つは、2050年カーボンニュートラルに向けた炭素中立型経済社会、その実現と、そこに向けた変革というものが、もちろん気候変動対策としても、まさに勝負の10年で、2025年までに世界の排出量ピークアウトといったようなIPCCの報告もあるわけですけれども、しかしながら、今、企業が置かれている状況、気候変動対策が企業価値そのものを左右するような今の状況と地域の直面する諸課題を解決するという観点からすると、今、まさに今、やらなきゃいけないという、そこを一つ強調していただけるといいなと思っています。
 それは気候変動対策だけでなく、まさに総理からの指示に応える、その前提として、この委員会はそういう問題意識、そういう認識を共有したというのをうまく入れていただけないかというふうに、見せていただけないかというふうに思っております。
 もう一つは、あと二つほどあるんですけれども、もう一つ、IPCCの第6次評価報告書を見ても、大変印象的なのは、もちろん様々な政策、あらゆる政策を取らないといけないんですけれども、やはり低炭素、脱炭素のエネルギー源の拡大、さらに加えて、今回、私がとても印象的だったのは、エンドユース、需要側の対策の重要性という点です。もちろん、日本の排出量の85%が二酸化炭素、エネルギー起源の二酸化炭素ですけれども、エネルギー政策は極めて重要なんですが、しかし、具体的に、これらの政策を取り込んで展開できるのは地域だけだというふうに思っております。言い方を変えると、地域でこれができなければ、日本の脱炭素化はないというふうに思います。
 本日のご発言、委員のご発言も、そうしたご発言が非常に多かったと思っております。特に、具体的に、日商の大下さん、それから連合の冨田さんがご指摘されたと思いますけれども、地域が地域の主体と共に、自ら、どういう地域をつくっていくか、脱炭素でレジリエントな社会に向けた道筋を作っていくかということが非常に重要だというご指摘は、冨田さんが具体的に国際のスライドの36ですかね、これは地域のところにも関わるとおっしゃっていたと思いますけれども、全体の基調として重要な点として入れていただいて、それゆえに環境省の果たす役割もあると同時に、ほかの省庁や自治体、地域の様々な主体との連携が必要であるということだというふうに思っています。
 最後の点は国際のところなんですけれども、アジア・ゼロエミッション共同体に向けた、その取組の一環でもあると思いますが、スライドの33のところで適切に、世界の気候変動対策の観点からすると、排出を減らして気候変動問題に対処するという観点からの国際支援、あるいは、とりわけアジアの脱炭素化支援が重要だということかと思います。
 ただ、もう一つ二つ重要だと思いますのは、アジア諸国自身が非常に脆弱で、気候変動の影響やリスクにですね。このアジア諸国が脆弱なアジア諸国をしっかり適応の観点でも支援をするということが同時に必要ではないか。というのは、これは気候変動影響評価委員会での議論の今回の評価報告書、国の評価報告書の一つのメッセージでもありますけれども、複合リスクというのを取り上げていて、例えばサプライチェーン、海外のサプライチェーンで起こる影響が、ひいては日本の企業の活動や生活にも影響がある。これは、2011年、タイの洪水で一度、大きく影響を受けていると、経験をしたことがあると思いますけれども、その意味で、アジアをはじめとした国際的な気候変動分野の支援というのは、日本企業のレジリエンスを高めるという点でも非常に重要ですし、当然、サプライチェーンの排出量を減らすという点でも日本の企業の競争力を高めることができる。こうした理由づけは、特に総理からいただいた指示との関係で盛り込んでいただけるといいのではないかというふうに思います。
 今の理由で、できればスライドの42のアジア・ゼロエミッション共同体のところに、いろいろな施策レベルで整理をしていただいているように拝見するんですけれども、やはり適応分野の支援というのは非常に重要ではないかというふうに思っております。排出量を減らすというのは、もちろん重要なんですけれども、アジア諸国の気候変動影響やリスクに対するレジリエンスを高める、そうした支援というのが必要だということです。ありがとうございます。
 これは経産省さんのところで、もう適応ビジネスなど、日本企業の適応分野での産業育成、製品・サービスの展開ということもやっていらして、ここは、ですから、省庁を超えて協力して進めていけるところではないかというふうに思います。
 本当の最後ですけれども、今回、タイトルは中間整理となっていまして、今日、これまでもすごく豊かな議論をいただいたんですけれども、改めて、やはり具体的な国の政策と施策が重要で、特に、その施策、政策は予見可能性を民間に対して高める、地域に対して予見可能性を高めるものであるべきだというご意見だったと思います。その意味で、今回、非常に豊かな報告書を取りまとめていただいておりますけれども、今日の議論も含めて座長の下で取りまとめをしていただくということだと思うんですけれども、ぜひ、ここまでの取りまとめを踏まえて、総理からいただいた、どの分野で、いつまでに、どういう仕掛けで、どれぐらい投資を引き出すのかという道筋の、さらに深掘りした議論というのをしていくことが必要ではないかなというふうに思っております。これは期待でありますけれども。
 以上です。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。
 では、どうぞ。環境省から、何かございましたら。
 
地球環境局総務課長
 髙村先生、どうもありがとうございました。大井課長からもお答えいただきたいというふうに思いますが、今、山口大臣がちょうど到着されましたので、その前に髙村先生のお答えだけさせていただきたいと思います。
 一つ目は、炭素中立に向けて、まさに今、取組が重要だということに加えて、経済社会全体の変革、あるいは企業の取組、地域の課題、これらについても、まさに今というところを強調してはどうかというご指摘をいただきましたので、その辺りについて加筆できるように検討させていただきたいというふうに思っております。
 それから、最後におっしゃっていただきました総理の大きな宿題。私どもも、今回の中間整理では、まだ途上だというのは十分自覚をしておりますので、今後、たくさんの検討課題がむしろ洗い出されたというふうに感じておりますので、今後もしっかり検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
 それでは、大井課長のほうから、適応、その他について、お話しいただければと思います。
 
地球環境局国際連携課長
 髙村委員、ありがとうございます。アジア・ゼロエミッション共同体の中で、適応あるいはレジリエンスの強化というところで、もう少し入れ込めないかということかと思います。現状の42ページ、スライドの中でも、インフラ導入時のレジリエンス強化支援など、若干、レジリエンス強化的な視点は入っているのですけれども、ご指摘いただいたとおりと思いますので、もう少し入れ込み方といいますか、書きぶりといいますか、検討したいと思います。どうもありがとうございます。
 
大塚小委員長
 ありがとうございました。よろしいですかね。
 そうしましたら、ただいまご議論いただきました炭素中立型経済社会変革に向けて(中間整理)につきまして、本日いただきましたご意見も踏まえて、委員長代理とも相談して対応していきたいと思いますので、私にお任せいただければと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。
 
(異議なし)
 
大塚小委員長
 ご発声いただければ幸いです。ありがとうございました。
 では、ご異議なしと認めまして、本中間整理につきましては委員長一任とさせていただきます。
 最後に、議題の2、その他につきまして、何かございましたら事務局からお願いいたします。
 
地球環境局総務課長
 一言だけ申し上げたいと思います。今、委員長一任としていただきましたけれども、この後、今日、様々にまたいただきましたご意見を踏まえた修正をやってまいりたいと思いますが、2段階でさせていただきたいと思っております。といいますのは、ちょうど明日、経済産業省のほうのクリーンエネルギーの合同会合がございまして、そちらに今日の中間整理を小野局長が行ってご説明をするという機会がございますので、ちょっと、そこは1日しか時間がありませんので、すぐ直せるものにとどめさせていただきたいと思います。その後、ゆっくり考えながら、委員長、委員長代理とご相談をしながら改定をして、中間整理という形で委員の皆様にもご確認をさせていただいて進めたいというふうに考えております。
 
大塚小委員長
 では、以上で議事が全て終了いたしました。
 本日は、大変熱心なご議論を賜りまして、また、円滑な進行にご協力いただきまして誠にありがとうございました。
 それでは、事務局にお返しいたします。
 
地球環境局脱炭素社会移行推進室長
 委員、オブザーバーの皆様におかれましては、大変ご活発なご議論を賜り、厚く御礼申し上げます。
 なお、資料2-2、これまでの意見の整理につきましては、本日は時間の関係上、あまり触れられませんでしたので、ご確認をいただきまして、お気づきの点、コメント等、ございましたら、来週27日までに事務局にご連絡いただけると大変助かります。よろしくお願いいたします。
 それでは、最後に山口大臣より一言、ご挨拶申し上げます。
 
環境大臣
 改めまして、こんにちは。今日は第5回の炭素中立型経済社会変革小委員会ということで、本当にありがとうございます。環境大臣の山口壯です。
 本審議会には、自治体、学識経験者、あるいは金融、企業、労働界、そして若者世代など多様な分野の有識者の皆様にお集まりいただき、本当に短期集中と言える中でしたけれども、計5回にわたり精力的に議論を行っていただいたこと、改めて厚く御礼申し上げます。ゲストスピーカーの有識者の方々にも議論に参加いただき、全ての関係者のお力によって炭素中立型経済社会への変革に向けて、地域、暮らし、国際、そしてカーボンプライシングを含む幅広い領域をカバーしたグランドデザインを整理いただいたこと、改めて多大なる敬意と感謝を表したいと思います。本当にお疲れさまでした。ありがとうございます。
 今、中間整理ということで、先ほど小野局長のほうからもありましたけれども、やはり経済産業省のほうと我々環境省の部分と統合して、脱炭素をやることによって、さらに競争力が高まっていくというところまで、ぜひグランドデザインを書かせていただければというふうに思います。
 今回、取りまとめいただいた副題、「脱炭素で我が国の競争力強化を」というメッセージは、その意味で私からお願いさせていただいたものです。カーボンニュートラルは経済社会の大変革が必要ですけれども、そのプロセスでイノベーションにも力を注ぐことによって、脱炭素が次の時代を制する競争力を確保するチャンスになるというふうに思っています。「脱炭素を制する者が次の時代を制する」と言っても過言ではないと思います。また、「グリーンを制する者は世界を制する」ということも言えるのではないかと思います。
 いただいた内容は、私から新しい資本主義実現会議の場で岸田総理に報告させていただきます。そして、政府の戦略にしっかりと反映させていただきます。改めて皆様方のご尽力に深く感謝を申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
 そういうことで、結局、例えば、カーボンプライシングの議論をする際にも、グランドデザインを示してくれという話がありました。要するに、イノベーションをやっていくということとカーボンプライシングというものが相反することにならないように、そういう意味で、何を具体的にやっていくのか。だからこそカーボンプライシング、炭素税を受け入れてということの走りがあったものですから、そういう中で岸田総理からもグランドデザインというキーワードを述べておられるし、我々も、それはしっかりと認識しているつもりです。
 ウクライナの情勢はありますけれども、日本としては、やはり乱気流という中で、例えば、再生可能エネルギーをしっかり進めることによって自前の国産の自立した形のエネルギー、そういうことにもつながると思いますし、そういういろいろな意味でのグランドデザイン、国家戦略としての大きな柱になると思いますので、本当に大きなお力を今回、お借りしているわけですけれども、改めてありがとうございます。ここから経産省のやつと統合していきますので、その際、また、いろいろな意味でお知恵をお貸しいただければと思います。よろしくお願いします。本当にありがとうございます。
 
地球環境局脱炭素社会移行推進室長
 ありがとうございました。
本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただき次第、ホームページに掲載をさせていただきます。
 それでは、以上で第5回炭素中立型経済社会変革小委員会を閉会とさせていただきます。誠にありがとうございました。

午後14時58分 閉会