中央環境審議会地球環境部会・総合政策部会炭素中立型経済社会変革小委員会(第4回) 議事録

日時

 令和4年4月8日(金)17時00分~19時30分

場所

 WEBによる開催

議事

(1)炭素中立型経済社会への変革・トランジションに関する論点の深掘り

(2)これまでの議論を踏まえた素案について

(3)その他

議事録

午後5時00分 開会

脱炭素社会移行推進室長
 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会・総合政策部会炭素中立型経済社会変革小委員会(第4回)を開催いたします。
 私、環境省地球環境局脱炭素社会移行推進室室長の小岩と申します。4月1日付で着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の小委員会はWebでの開催とし、YouTubeの環境省動画チャンネルで同時配信しております。
 本日は、委員総数17名中16名の委員にご出席いただいておりまして、定足数の要件を満たし、小委員会として成立していることをご報告いたします。なお、三日月委員は17時15分からの出席、発表後は公務のためご退席となります。また、本日は務台副大臣にもご出席いただいております。
 それでは、以後の進行を大塚委員長にお願いいたします。
 
大塚委員長
 こんにちは。夕方から恐れ入ります。本日は、活発なご議論をどうぞよろしくお願いいたします。
 では、早速議事に入りたいと思います。
 まず、議題の1でございますが、炭素中立型経済社会への変革・トランジションに関する論点の深掘りについてでございます。まず、資源循環につきまして浅利委員から、地域脱炭素につきまして山本委員、太田委員、三日月委員からご発表をお願いいたしまして、その後でご議論をいただければと考えております。
 次に、議題の2でございますけれども、これまでの議論を踏まえた素案につきまして事務局から説明をいただき、その後でご議論いただければと考えております。
 それでは、浅利委員、山本委員、太田委員、三日月委員の順番にお願いしたいと思います。資料の2-1から4につきまして、まず浅利委員からご発表いただければと思います。5分以内でお願いいたします。
 
浅利専門委員
 ありがとうございます。事務局のほうで画面共有はしていただいてもいいでしょうか。
 皆様、ありがとうございます。5分ということで、かなり駆け足になるかもしれませんけれど、よろしくお願いいたします。
 炭素中立型経済社会の変革に向けて、資源循環分野から、どんなことが考えられるかということでお話ししたいと思います。京都大学の浅利です。
 私自身は、長くごみの研究に携わらせていただいてきましたので、一つはごみという視点、次、お願いいたします。
 それから、学生の頃からライフワークのような形で環境教育、最近ではSDGsをテーマにした教育、特に若い世代、それから世代を超えて取り組んでまいりましたので、そのような視点と、あと次、お願いいたします。
 特にコロナで海外に出れなくなったということもあったんですけれども、京都の中にも中山間地域、里山というところがございまして、人口がどんどん減っていると。それを目の当たりにして、地域での活動も始めたところですので、このような視点からも少し考えさせていただきました。
 まず、最初に結論を申し上げておきますと、炭素中立の実現には、資源循環分野の貢献可能性というのは約4割近くあるというふうに試算いただいておりますので、結構大きいと思っております。この後、太田市長のほうからのお話の中でも資源循環、触れていただいていますけれども、結構、自治体さんとか、いろんなところで考えられるに当たって、必ずしも大きく捉えていただいていないところもあるかもしれませんので、ここは、ぜひ今後、非常に重く考えていただきたいという意味合いを含めて、今日、ご紹介していきたいと思っております。
 特に、具体的に注目すべき資源というところでは、もう皆さんもよく聞いていただいているかもしれませんけれども、4月1日からプラスチック資源循環法が出来たてほやほやでスタートいたしました。プラスチックというのは、かなり大きな存在だと思っております。それに加えまして、今日はバイオマス資源と、あと金属、鉱物資源ですね、こちらをご紹介したいと思っております。
 ごみといいますか、資源、製品、廃棄物というものを見ていますと、本当に私たちの社会、暮らし、そのものだと思っておりますので、そこにどんな変革を求めていくのか。その変革に必要なことということを私なりの視点で考えましたので、この中でご紹介できればと思います。
 次、お願いいたします。
 まず、一つ目の点です。資源循環が炭素中立に果たす役割、貢献できる役割、可能性というところでは、これは環境省が、数日前に開かれました中環審の循環部会でもご紹介いただきましたけれども、濃いピンクにしている部分、約36%ぐらい、廃棄物、工業製品の分野のみならず、特に、幅広い製造業でも貢献できる可能性が非常に高いということで、しっかりと一つの大きな分野として捉えていただきたいというところでございます。
 次、お願いいたします。
 その中で、既に、特に昨年度を中心として、脱炭素に向けた廃棄物資源循環分野の対策として、どういうところが重要かというところは、かなり細かく検討が進められております。左のほうにございますとおり、大きな方向性としては、リデュース、リユース、リサイクルの3Rに加えまして、特にプラスチックでよく使われるようになりましたけれどもリニューアブルという考え方。それに対しての対策の方向性と、それを個別に落とし込んだときのほうが具体的によりご想像いただけるかなということで、一番右には重点対策領域ということで、主に製品別、資源別に整理をしていただいているところです。今日は、そこでどんな動きがあるのか、どういうところに注目すべきかということで、プラスチック、それから廃油も含めたバイオマス資源、そして鉱物資源について、ご紹介したいと思います。
 次、お願いいたします。
 まず、一つ目のプラスチックでございます。4月1日、プラスチック資源循環法がスタートいたしました。大きな方向性としては、2019年のプラ戦略制定というのがありまして、かなり意欲的なマイルストーンがあるわけですけれども、それをちゃんと法律的にもオールジャパンで達成できることを考えていこうということです。先ほど申し上げました3R+Renewable、左にございますが、まずはプラスチックを焼却せずに資源循環する。それから、原料から見直そうということで化石資源に頼らずにバイオマスに切り替えていく。そんな中で、炭素中立への貢献も非常に大きいというふうに捉えられているかと思います。
 「プラスチックは、えらんで、減らして、リサイクル」をキーワードに、本当に事業者、消費者、行政、オールジャパンで取り組む、かなり象徴的な取組にもなるんではないかと思っております。下には、ソフト掛けるハード、オールジャパンといいますか、バリューチェーンを超えて取り組むいろんな事例についても少し貼らせていただきましたので、また、お時間があれば見ていただければと思います。
 次、お願いいたします。
 それから、もう一つ、バイオマスですね。私も20年以上、ごみとずっと向き合っているんですけれども、中でも大切にしているのが家庭ごみの調査で、1980年から始まって40年以上続く調査がございます。その調査をずっと見ていましても、やはり家庭ごみでは特にですけれど、食料品が、いわゆる生ごみが非常に多いと。重さでは、特にですね。
 これは、やっぱり水分が8割、9割ですので、この水分たっぷりのものを、今、現状では、日本の場合は燃やしている。場合によっては助燃をしながら、石油資源をより使いながら燃やしてしまっていると。これを抜本的に見直す時期が、今、来ているのかなと思っております。一つには、バイオガス化というバイオ的な処理をすることでガスを取ったり、液肥、堆肥を使っていくという視点が必要でしょうし、それは食料確保の問題であったり窒素循環という、ほかの利益ももたらすものかと思います。今までの燃やすのが当たり前のごみというのを、いま一度、見直すというのが非常に重要かと思っております。
 あと、下のほうに「注目!」というふうに書かせていただきましたが、ほかの、生ごみ以外にも、いわゆる廃油とか廃溶剤というのも廃棄物の分野の炭素排出量というところでは非常に大きくなってございます。約25%ということですので、これもしっかりと処理に向き合っていかなければいけないということです。現状として、バイオマス利活用するということもそうですし、それぞれの種類、特性に応じて、技術が確立しているものも、それから可能性があるものもございますので、それに応じて、マテリアルリサイクルであったりエネルギー利用をしていくという考え方が必要かと思います。
 また特に、今後の投資とか技術開発という視点では、ちょっと下、切れちゃっていますけれども、航空分野で注目されているサステナブルな燃料、こちらの問題とも直結するところかと思います。こういう燃料にも数割、こういうバイオマス系の廃棄物が貢献できる可能性があるという試算も出てきておりますので、ここは今後、投資というところ、技術開発というところでもポイントになってくるのかなと思います。
 次、お願いいたします。
 それから、次、三つ目に上げさせていただきます鉱物資源です。これ、左のほうの図にございますのが脱炭素につながるようなインフラ、例えば、電気自動車であったり、風力発電とか太陽光パネル、そういったものにどれぐらい鉱物資源が必要かと見ていきますと、従来型の技術に比べて一桁、二桁近く必要になるものがある。つまり、脱炭素のインフラには、鉱物資源が、かなり必要になると。ですので、これを実現しようと思うと、鉱物資源をいかに安定的に持続的に確保していくかというところが課題になってくるかと思います。
 小電リサイクルとか、いろいろなことが進んでおりますし、日本の場合は、そういう、もともと業界的にも非常に強いところですので、鉱物資源の確保を生命線と考えて、しっかり回収という、ソフトも含めて回していくこと、それから、場合によっては海外からもこういう資源を獲得していくという考え方が必要なのかなと考えておりますので、ここもぜひ特筆させていただきたいと思っております。
 次、お願いいたします。
 私自身は、ごみに関わって20年なんですけれども、こちらのグラフのほうは、京都市のごみの排出量の100年以上の推移となっておりまして、例えば真ん中より少し左辺りにごみゼロのところがあると思いますが、これがちょうど第2次世界大戦のときですね。データがなかったということもありますが、ほとんどごみがゼロだった。戦後10年ちょっとぐらいは戦前レベルだったのが、ぐぐっと増えております。ここで大量生産、大量消費、大量廃棄の、いわゆるリニアエコノミーと言われるような経済状態になったと。時代としては非常によかった時代で、オリンピックあり、前の万博ありということで、「行け行け、どんどん」だったと思うんですけれども、ここで大きく変わってしまった。
 その後、ドルショック、オイルショックでがたがたしながら、2000年がピークとなっております。京都の場合は、ここから半減以下にするという目標で取り組んでまいりまして、昨年度、無事達成して、また次の高みを目指そうとしております。日本全体として見ても2000年がピークで、そこから一、二割、減っているかと思いますけれども、そんな状況です。
 本当に、ごみを見ていましても、資源、製品、そして廃棄、もう、そのものでつながっておりますし、裏を返せば、これ人が要らないと思ったものがごみになりますので、価値観、マインドセット、暮らし、社会を映しているなというふうに思っております。そんな視点から声を上げ続けたいと思っていますし、自治体に処理責任があるものですので、本当に自治体の方々と一緒に寄り添いながら、SDGsの実現、脱炭素社会の実現に向けて考えていきたい重要な指標にしていきたいなと思っているところです。
 次、お願いいたします。
 40年来、研究室でごみ調査が続いてきました。ごみ調査を始められた高月先生、引き継いでこられた、今、中環審の循環部会の座長であられます酒井先生ともども、ごみに向き合ってきましたが、高月先生、High Moonという名前で、ペンネームで環境漫画も書かれる先生です。その先生の作品、1枚、貼らせていただきました。本当に「塵類(じんるい)」、ちりあくたの「塵」が、こういう人類になっているのではないかという、そういうご指摘に真摯に向き合って、この先、いい絵が描けるような形を目指さなければいけないなと思っています。昨今のウクライナの状況を見ていますと、本当に戦争みたいなものが一番の環境破壊でもあり社会の破壊ということでは、いま一度、足元から見直せることもあるんじゃないかなというふうに考えて暮らしている今日この頃です。
 次、お願いいたします。
 最後になりますが、これもかなり私見が入っているんですけれども、これまでのほかの皆様方のご発表もお聞きして、ご質問とか、意見も言わせていただいたところですけれども、今、変革・トランジションに必要なことということで、ごみもそうですし、環境教育、SDGs、実践する中で感じていることを書かせていただきました。
 漫画のほうもご覧ください。意識に関しては、脱炭素、SDGs、いろいろなものの認知というのは、もう8割、9割、来ていると思います。ただ、行動となると、がくっと減るんですね。逆に、1割、2割というような実践率という行動も多いかと思います。ここのギャップを埋める、それは、個人においては自分ごと化かもしれませんし、埋めることができるような、つなぐことができるようなシステムということ、制度、技術、そういうこともあろうかと思います。意識から行動に、今、その過渡期にあるんではないかというところを強く感じております。
 次に、これは私自身も含めて、研究者にも跳ね返ってくる部分なんですけれども、やっぱり中長期的、それから科学的にしっかり効果を可視化していく、評価していく、自分たちが今どこにいるのか、この行動がどういう効果をもたらすのか、そこがしっかり腑に落ちるための、努力をたゆまずやらなければいけないですし、大至急、用意していく必要があるのかなと思っております。
 また、最後に、誰一人取り残さないというコンセプトも非常に重要かなと思っております。SDGsのコンセプトでもあるわけですけれども、教育の中でもそうですし、思いやり。それから、やはりこの後、自治体の皆様方からのご発表が続きますけれども、これは本当に地域密着、みんなの身の回りから考えていくべき必要があるのかなと感じております。こういったキーワードの中で変革・トランジション、急激な変革が必要なんですけれども、取り残されないように適度なマイルド感も持ってやっていく必要があるのかなというふうに考えております。
 ご参考にということで、また追加で環境省様のほうから情報提供があるかもしれませんが、今現在、ちょうど循環基本計画の進捗点検の評価等が行われております。その過程においては、それこそ、みんなを巻き込んでということでパブリックコンサルテーション等も実施し、私も加わらせていただきました。間もなく、それを踏まえた循環経済工程表というのが出てまいります。
 先ほど、この分野、4割近く貢献できるというふうに申し上げましたが、経済的にも、裏を返せば、今まで活用していなかった資源の活用も含めて、大きな可能性があると思いますので、ぜひ、この分野にもご注目を続けていただき、みんな一緒に持続可能な社会の構築に向けたトライアルができたらなというふうに思っております。
 最後、1枚だけ、おまけが入っておりますが、これはご笑覧いただければと思います。
 以上で私からの話題提供とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
 
大塚委員長
 浅利委員、ありがとうございました。
 では、続きまして、山本委員からお願いします。恐れ入りますが、5分以内でお願いします。
 
山本臨時委員
 スライドは、そちらでお願いいたします。大体30秒おきにスライドをめくっていただければいいと思います。
 それでは、岩手県軽米町、町長の山本でございます。
 軽米町は、北岩手循環共生圏の構成自治体のうちの一つであります。北岩手循環共生圏は2019年2月に、岩手県の県北地域の小さな九つの自治体でありますけれども、神奈川県とほぼ同じ面積に人口11万人の人々が暮らし続けております。従来の郷制の枠を超えて、各自治体の持つ大自然と豊かな大地、豊穣の海からの恵み、すなわち品質の高い第一次産業の宝庫であります。広大な林野と高原、果てしなく続く太平洋は、多様な再生可能エネルギーの宝庫でもあり、そのポテンシャル量は6,600%となっております。
 令和元年度及び令和2年度の環境白書、循環型社会白書、生物多様性白書にもトピックとして掲載されたとおり、小さな九つの自治体は人々の暮らしにとって欠くことのできない食料とエネルギーの宝庫となっております。今般のウクライナ問題で明らかになったことは、現在、問われている食とエネルギーの安全保障上からも極めて重要な位置にあり、食料とエネルギーの自給率を上げていくことを国家として優先すべきということであります。
 軽米町では、その北岩手循環共生圏の先導的な役割を果たし、再生可能エネルギーと食料自給率を高めることが日本の安全保障にもつながります。つまり、それは地方が主役を担うことになります。
 こうした観点からも、地方における再生可能エネルギーの導入を促進するため、抜本的な支援をお願いしたいと考えております。また、予算的な支援だけでなく、人材育成、後に述べるような制度的な支援も含めて、国において主導的な政策を進めていただきたいと考えております。さらに、再生可能エネルギーの需給のマッチングの観点から、多極集中型の国土構造を推進するため、再生可能エネルギーの豊富な地方への事業所の移転などについても積極的に検討していただきたいと考えております。
 軽米町が、今回環境省が公募した脱炭素社会実現モデルに手を挙げさせていただきました。これまで、東日本大震災前から取り組んできた軽米町の主産業である鶏ふん焼却発電を皮切りに、長年、利用価値の見だせなかった雑木林を安全で、かつ安定したメガソーラー施設にと変え、風力発電も導入し、北岩手の森林や丘陵を再生可能エネルギーの宝庫としてきました。軽米町が再生可能エネルギーによる発電事業の促進を目指したのは、町の地形は北上山系北端部の緩やかな丘陵地帯が多く、年間1,000ミリ程度の雨量と日照時間も確保できるため、太陽光発電には比較的向いていると考えたためであります。また、ブロイラー産業は当町農業の基幹作物に成長し、鶏ふんバイオマス発電用の鶏ふんは十分に供給できる状況にありました。
 このような背景において、エネルギーと農林業の課題を解決することを目的に、平成26年10月に軽米町再生可能エネルギー推進協議会を設立し、平成27年3月には基本計画が作成いたしました。この基本計画において、太陽光発電所5か所とバイオマス発電所1か所の計画が全て完成し、稼働すると、事業面積は約656ヘクタール、発電規模は213メガワットに達し、一般家庭の年間電力消費量に換算すると7万4,000世帯分に相当します。当町の世帯数は3,700世帯でありますから、実に、その約20倍の電気を発電していることになります。今後、風力発電などの計画も合わせますと、40倍以上の発電が生み出されることになります。
 こうした中において、さらに住民一人一人がこの美しい軽米町に暮らし続けてよかったと実感できる、自分たちの町で発電したクリーンな電力を安価に手に入れられ、再エネを身近に感じることのできる、全国にも例のない「脱炭素の町」実現を目指したまちづくりをすることにいたしました。それが今回の企画提案であります。
 しかしながら、ここには日本のどの地域でも直面する大きな壁、既存のルールがあり、それを一つ一つ突破していかなければなりません。その一つが脆弱な送電網であり、原子力の電気を想定した枠があり、新たに発電した再生可能エネルギーを東北電力の電力系統へつなぐことが困難な壁でもあります。どうか一歩ずつ、この規制の壁を緩めていただき、国が金融的に支援してくださって、新しい日本の姿の在り方を北岩手の小さな町から、そして北岩手循環共生圏から創り出し、全国へ発信していけることを切に願っているところであります。
 また、国土防災上においても軽米町は防災基地の役割を担っております。2011年の東日本大震災により、沿岸地域を中心に人的・物的に甚大な被害を受けたところでありますが、三陸沿岸は100年に一度は必ず大きな震災に遭います。その復旧・復興の拠点となるのは、沿岸から離れ、極めて強い地盤を有した軽米町であります。私たちは、再生可能エネルギーと食料で防災上の安全を担保してまいりたいと考えております。
 以上、私からの事例紹介、課題、提言等でございます。よろしくお願い申し上げます。
 ご清聴、ありがとうございました。
 
大塚委員長
 どうもありがとうございました。
 では、次に、太田委員、お願いします。恐れ入ります。5分以内で、恐れ入ります。
 
太田専門委員
 真庭市長の太田でございます。
 この画面は、真庭市の蒜山高原にある隈研吾さんのCLTの作品です。
 真庭市は、左を見ていただければ、平成17年に9か町村が合併して人口4万3,000、面積は828平方キロメートル、東京の23区の1.3倍というところで、山が8割というところであります。そういうことで、山の資源を利用しようということでいろんな活動を行っております。
 次、お願いいたします。
 その一つがバイオマス発電所です。1万キロワットのバイオマス発電所が今、動いております。売上げが23億というようなことで、この材料は山の間伐材と、それから製材が盛んですので製材所の端材を使っております。要らないもの、産業廃棄物とか山で捨てていたものを有効に燃料に使うということで、FIT制度を活用しておりますが、そういうことで付加価値が、計算いたしますと52億ぐらい付加価値が出るということで、これを含めてですけども、地域経済に大きな影響を持っております。私どもとしては、今のエネルギー自給率が62%ということでありまして、これを電力で計算すると48%ですが、何とか第2バイオマス発電所も造ったり、太陽光を含めて100%にしていきたいということで検討を進めております。
 その次、3番目。
 もう一つの大きな取組として、生ごみと、それから浄化槽の汚泥、そして、まだ下水道ではない、くみ取りのし尿がありますので、それを混ぜてメタンガスを発酵させて、それでプラントを動かして、最後は液肥を作るということで環境にも優しくて低コスト農業も実現するという取組を、今進めております。試行が成功いたしまして、今市内全域からごみを集めて、そして、また、し尿処理場を廃止してというような、そういうプラントを、今建設中でありまして、目標としては令和5年度から新しいプラントが稼働するということで、今工事を進めております。
 こうしますと、今ごみ焼却場が合併後、三つあるんですけども、それを一つにすることができる。環境にも優しいということ。そして、し尿処理場も併設することができるので、これも環境に優しいという取組。
 そういう中で、現在、ごみ処理費が7億ぐらいかかっておりますが、2億ぐらい節減できるということで、温室効果ガスの削減の効果も、大体、年間2,000トンぐらい出るだろうということであります。これも環境に優しくて、また、先ほど言いましたように、農業の低コスト農業にも役立つということであります。そうやって液肥で作った一種の有機野菜、あるいは米等を給食等にも使っていく、そして、また販売もしていくということを考えております。
 4番目、お願いします。
 もう一つ、今度はごみのリデュースのほうですけども、エコテイクアウトということでマイボトル運動等をやっております。飲食店も協力して、その飲食店にボトルを持っていけば給水をさせてもらえるというのが58店あるとかということで、私どもSDGsの未来都市という視点も設けておりまして、市民運動をやっているということがこういう成果にも結びついております。真庭市の公共施設においても給水スポットを作ったということ。
 また、これも電力のリデュースですけれども、真庭市が管理する防犯灯は100%、今、LED化しております。自治会等の管理も80%ということで、将来的に、これも100%にしていくと。そして、また庁舎を含めた照明関係も100%を目指して電力消費量を落としていくという取組を進めております。
 次、お願いします。
 そういうことを進める上で幾つか課題がありますので、また、これもご承知いただければと思います。一つはFIT制度の認定ですけれども、今、業者と資源エネルギー庁がされているということで、基礎的自治体のほうには情報が制度上は全く伝わってきません。ご存じのとおり、太陽光、バイオマス発電もそうですが、中には法違反に近いような、そういうような業者も進出しているということが言われておりますが、そういう業者を排除する意味でも、地元自治体と、あるいは地元住民と業者との合意形成をするとか、そういうことで地元が関与するような、そういう仕組みが必要だろうということ。
 そして、また、本当にそこの業者が経営能力を持っているのかということも十分な審査の対象にする必要があるということです。総じて、FIT制度そのものは、私は賛成ですけども、手続を厳格化していくということ、そういうことをぜひ進めていただきたいと。今、地域要件を厳格にするということがこの4月からなされておりますけれども、正直言いまして、今のままだと不十分だと私は思っております。
 次、お願いします。
 もう一つの課題としては、地域の新電力の関係であります。ご存じのとおり、今、新電力が調達する価格が新電力が売買する価格よりも高くなるという逆ざや現象の中で、新電力の会社が破産しております。地域に利益を被るような、そういう新電力の会社については、やはり一定の保護をする必要があるんじゃないかというふうに思っております。その仕組みの検討を、これは資源エネルギー庁の関係かもしれませんが、お願いすると。新電力を良心的に供給する会社は一定の企業経営、存続できるようにすべきだという提案であります。
 次、お願いいたします。
 もう一点は、CO2の吸収源対策でありますが、森林の適正な整備、それをしていく仕組みづくりが必要だと思っております。森林環境税の導入ということで、私どもも努力をする必要がありますが、全国的に見て、森林の樹齢が非常にいびつになっております。つまり、今、採算が合わないということでウッドショックはありましたけども、採算が合わないということで植林が全然進んでおりません。そうすると、日本の針葉樹林というのがほとんどなくなってしまうという、そういう状況であります。
 そういう意味で、クレジット等の活用とか、そういうこともしながら、森林を投資価値を持つものとする仕組みづくりが必要だろうと。そういうことで、切った後、適当な場所については植林をしていくということをもっと進める、そういう体制が必要だろうというふうに思っております。
 以上でございます。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、三日月委員、よろしくお願いします。恐れ入ります。10分以内でお願いします。
 
三日月専門委員
 滋賀県知事の三日月です。今日は、こういう機会をいただきまして、誠にありがとうございます。今日は、全国知事会、脱炭素地球温暖化対策本部の副本部長の立場から、地域が脱炭素に向かうに当たっての課題について、ご説明したいと思います。
 資料の作成に当たりましては、地域脱炭素のさらなる推進に関するアンケートを全都道府県に行いまして、ご意見を集約いたしました。人口減少局面を迎えまして、コロナ禍を経験している今こそ、脱炭素の取組を通じて地域課題の解決を図りながら、近代を卒業する「卒近代」に向けた社会経済システムの変革を進めることが重要だと認識しております。地域課題が抱える共通の課題を小委員会における議論の参考にしていただければと存じます。
 資料2枚目になりますが、この小委員会の論点の一つでございます消費行動の変容、ライフスタイルの変容について、鍵になりますのは危機感の発信、共有と発信、また取組の効果の見える化であると考えております。近年、自然災害が少ないと言われてきた私ども滋賀県におきましても甚大な被害が発生しておりまして、こういった危機を発信することが行動変容につながるのではないかと考えております。
 特に、本県がお預かりする琵琶湖の北側の北湖では、冬に表層の水が冷やされて下層の底の水と入れ替わりが起きる、もって酸素が行き渡るという全層循環が毎年行われなければならないのですが、この琵琶湖の深呼吸とも呼ばれる現象が2年連続で観測されない事態が生じました。気候変動により全層循環が起きない状態が生じることは、過去に環境省の報告書でも想定されておりましたが、2030年度半ばと予測されておりました。それが既に、しかも2年連続で2019年、2020年、起こってしまったというのは、琵琶湖を暮らしを映す鏡として、石けん運動など行動変容の契機としてきた私たちの危機感の一つとなっております。
 日本全国には、行動変容につながる鍵ですとか契機があるのではないかと思います。そういった視点から、気候変動影響事例を収集して発信するとともに、それぞれの県民、府県民や事業者が起こした行動がどの程度CO2ネットゼロに貢献しているのか、見える化する仕組みが必要だと認識しております。このため、滋賀県では今年度、暮らしの中のCO2見える化をテーマといたしましたプラットフォームサイトを開設いたしまして、積極的な情報の発信と共有を図っていく方針でございます。
 全国へのアンケート結果も参考にしながら、地域が脱炭素化を進める上で重要な視点は大きく三つ、一つはファイナンスの活用、二つは脱炭素に向けたモデル的な地域づくり、そして社会経済変革の礎となる人材育成でございます。
 1点目の金融機関との連携でございますが、本県では、事業者行動計画書制度といたしまして、県内の事業所に対して、事業活動を通じたCO2ネットゼロ社会づくりの取組、例えば、省エネ、他者の削減に貢献する取組、温室効果ガス排出量の実績等に関する計画書及び報告書の作成を義務づけております。
 ちなみに、本県にあります滋賀銀行では、この制度とコラボいたしまして、事業所のCO2削減実績に応じて金利が変化する融資商品、サステナビリティ・リンク・ローン「しがCO2ネットゼロ」プランを発売されておられます。滋賀銀行は、この計画書で策定した目標に対する進捗を指標として優遇金利を適用するか否か、現在検討されているところです。本県では、事業者における資金調達の一手法として、補助金に頼らない資金調達の手法として普及を進めているところです。
 また、滋賀県におきましても、CO2ネットゼロに向けた資金調達として、国内の自治体で初めてとなりますサスティナビリティ・リンク・ボンドを発行いたします。事業体としての現状の目標値について、県自らが達成に向けた決意と覚悟を示し、CO2ネットゼロ達成に向けた機運醸成を図るとともに、この新たな県債の発行をきっかけに県内のグリーン投資が活発化されることを期待しているところです。
 2点目のモデル的な地域づくりについてでございますが、滋賀県は県土の半分が森林、6分の1が琵琶湖、6分の1が農地という土地利用形態でございまして、一次産業のグリーン化、スマート化が重要であると考えます。農村地域もたくさんございまして、自然資本がたくさんあるにもかかわらず、自然エネルギーとして十分に活用し切れていないという現状がございます。このため、今年度からCO2ネットゼロヴィレッジを構築することに取り組むことで、未利用資源の活用、レジリエントで魅力的な農村地域をつくること、一次産業活性化による吸収源確保につなげてまいりたいと考えております。
 3点目の未来を担う人材育成についてでございますが、ポストコロナ、気候変動、DX、さらには人口減少の時代の中で、地域課題や産業構造の変化に対応できる人材を育成するため、次世代を担う人材育成の礎といたしまして、滋賀初の高等専門学校、高専の設置に向けた準備を進めているところです。
 このほか、滋賀県では、交通、まちづくり、産業の育成、建築物の快適性の向上など、温室効果ガス実質ゼロを社会づくりの視点で進めることで、人、環境、経済、社会の健康につなげていきたいと考えております。
 9枚目、ご覧ください。
 CO2ネットゼロ社会の実現に当たりましては、農山村、事業所、家庭など、あらゆる場所で環境、社会、経済の好循環を生み出すことが重要だと考えておりまして、例えば、事業所では、調達した資金が省エネ・再エネ設備に投資され、その設備を使用して新たな省エネ・創エネ製品が生み出され、そういった企業に投融資が集まるといった好循環を生み出していく仕組みづくりが重要だと考えます。
 農山村では、手つかずの山林、耕作放棄地が問題となっておりまして、一次産業のスマート化なども通じまして、未利用資源が活用される仕組みをつくることで、それによって生物多様性や生態系サービスを取り戻して、森林や農地土壌の吸収量の増大につなげていくことが極めて重要だと考えております。
 家庭では、先ほど申し上げたとおり、取組の効果の見える化を行いまして、一人一人、自分ごととして捉えていただき行動変容につなげていきたいと考えております。
 資料10枚目以降がこの資料を作るために参考といたしました各都道府県からのアンケート結果の概要でございまして、11枚目には、そのアンケート結果から地方が主体的に取り組む上での課題を大きく三つに分けて示しております。一つは財源、二つ目が人材、そして情報というくくりでございます。ぜひとも、小委員会における検討の材料としていただきたいと存じます。
 都道府県、市町村など各地域では、環境、社会、経済の好循環を生み出してグリーンな経済成長を図るために、これまで以上に脱炭素化の取組を積極的に進めているところでございます。国におきましては、財政、人材育成、情報提供などの観点から、こうした地方の取組の後押しを行うとともに、国、県、市町村が連携いたしまして、一体的な施策を推進できる体制づくりをぜひお願いしたいと存じます。
 少しいただいた時間よりは短いのですが、以上で私のプレゼンテーションとさせていただきます。ありがとうございました。
 
大塚委員長
 どうもありがとうございました。
 そういたしましたら、ただいまの四つのご発表を踏まえまして、ご意見などを頂戴できればと思います。挙手ボタンをクリックしていただきますようにお願いいたします。ご発言は、恐れ入りますが、3分以内にまとめていただきますよう、ご協力をお願いいたします。
 馬奈木委員、お願いします。
 
馬奈木臨時委員
 ありがとうございました。短く、それぞれ質問、コメントをさせてください。
 最初に、浅利委員ありがとうございました。その中で触れられていたバイオマスを航空などで使うときも、実例はあるんですけども、まだ割合がかなり少な過ぎて、それを量を増やしていくというと、かなり技術的なハードルは厳しいんですね。
 そういう際に、通常はR&D補助でありますとか、場合によってはカーボンの炭素課金などで対応するというのがあるんですけども、そういう次のステップに進む際の支援としては、補助以外のやり方で何かございますでしょうか。私は、どうしてもOECDのガイドラインとか、海外と同一のものを考えてしまいますけど、ご意見を伺えればと思います。
 次に、軽米町、山本委員への質問で、再生可能エネルギーを事例にした自治体の連携、非常にすばらしい取組だと思いました。こういう地域共生圏の好事例にもつながりますので、ぜひ、複数の自治体とカーボンクレジットをお互いに融通するような、強みと弱みを補完するような仕組みでやっていただけたらと思いました。
 次に、真庭市の太田委員に関しまして、これもCO2に関係することなんですけども、森林をCO2の吸収源として考えられて実例をお話しいただき、ありがとうございました。こういう場合で、ぜひ、通常の20年、30年かかって、CO2を吸収するものだけでなく、早生桐のように早めに育つことで、通常20年かかって1回、CO2を大きく取るというよりも、5年で育つことで4回繰り返せば4倍吸収し得るようなものも、ぜひ多様なやり方を検討いただいて、カーボンクレジット上も、より使いやすいようなものも検討いただければと思いました。
 最後に、三日月知事ありがとうございました。途中で財政的インセンティブ、おっしゃられていましたけど、これは短期の補助金も含めてかと思いますけど、炭素税に関する各自治体の反応はいかがか、教えていただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 では、竹ケ原委員、お願いします。竹ケ原委員、どうぞ。お願いします。
 
竹ケ原臨時委員
 失礼しました。どうもありがとうございます。
 浅利先生に一つ、教えていただければと思います。カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを掛け算することで、地域の話に引きつけやすくなるというのは、非常に納得的でした。
 プラスチックリサイクルが進んでいけば、これは恐らくケミカルリサイクルという形で化学産業のトランジションにも寄与すると思いますが、ご指摘にもあったように、都市プラスチックがどんどん外れることになり、基本的に都市ゴミはカロリーの低い含水率が高いものばかりになってくる。これを奇貨としてバイオマス資源として活用するというお話は納得的でした。加えて、今後高齢化が進展して紙おむつのような廃棄物が増えることを考えれば、この辺の話と生ごみと、あと、場合によっては下水汚泥を組み合わせることで都市内、本来であれば再エネのポテンシャルがないような都市域でも再生可能エネルギーのポテンシャルが出てくるような気がします。
 この問題は、ちょうど焼却炉の更新のタイミングと時期が重なるので、今、こうした観点からの政策に関する議論があるのかお聞きしたいです。このまま焼却施設の単純な更新が進んでしまいますと、引き続き焼却主体のグランドデザインが描かれることになり今、ご説明にあったようなバイオマスに転換する政策にかじが切れなくなるのかなという気もします。この辺り、もし何かお話があれば聞かせていただければなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
 
大塚委員長
 具体的なご質問ありがとうございます。
 では、中村委員、お願いします。
 
中村専門委員
 ありがとうございます。
 私も浅利先生に1点、質問がありまして。最新の動向を話題提供いただき、ありがとうございました。3ページ目に環境教育と発信と上げていただきまして、私が所属する住環境計画研究所でも、省エネ・省CO2という観点で、限られた地域ではありますけど、体系的に環境教育の授業を行うなどの取組をしているところなんですが、一般的には、環境教育自体が地域の資源などを題材に、先生方の力量に任されているところもあると伺っています。教員の先生方も多授業に追われている中で、なかなか環境教育を充実させるということも難しいように思うのですが、今後、ますます情報を発信する、また提供するという意味では、地域の資源に限らずに、統一的な最新の情報提供なども求められていると思います。
 資源循環の貢献度が非常に大きいということで、教育現場から発信していくというのは非常に重要だと思うのですが、これまでの先生が取り組まれた中で、地域において、どういった方が関わって、どういうやり方が暮らしにおいて、効率的な情報発信、提供につながるのか、お考えがありましたらお聞かせいただければと思いました。
 以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 では、オブザーバーの連合の冨田委員、お願いします。冨田様、お願いします。
 
冨田オブザーバー
 ありがとうございます。
 私からは、真庭市の太田委員に1点、ご質問させていただければと存じます。ご説明いただいた内容は、いわゆる地域循環共生圏を構築する上で、人と財をつなぎ物事を回していくことの重要性と、実際に進めるに当たって地元の住人や産業界との合意形成、さらには自治体と住民への情報提供など、地域の各主体の理解と参画を特に重視しておられると受け止めました。
 その上でご質問なんですが、地域の関係者との協働を進める準備の段階では、参画いただく対象者の選定をし、具体的なマッチングやコーディネートが必要だというふうに考えていますけれども、こうした実務は、自治体においては環境関連部局の方が担っておられるのかということと。それとも、部局横断的な課題も多いと思いますので、プロジェクトチームみたいなものを立ち上げて対応されたのか、そうした具体的なところを教えていただければと存じます。また、その際に、取り組むに当たって求められる人材像などがございましたら、ご教示いただきたいと存じます。
 以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、髙村委員長代理、お願いします。
 
髙村委員長代理
 ありがとうございます。
 それぞれご報告いただいた皆様、それから首長の皆様、どうもありがとうございました。私のところで3点、お尋ねしたい、あるいはコメントしたい点がございます。
 一つは、浅利先生のご報告についてですけれども、まさに先生にご紹介いただきましたように、やはり資源の効率的利用というのが脱炭素社会実現の、あるいは、どういう道筋を通っても共通の条件だということなんだと思います。そこでの対策が必要と。同時に、本日の浅利先生のお話を伺ってみますと、そのことが、これは先ほど真庭市の太田市長の取組からもご紹介からも伺えるんですけれども、例えば、廃棄物の適正な回収、管理、あるいは処分ということ自身が脱炭素の文脈で推し進められることが地域にとって大きなメリットを生むということも示唆されているように思っております。
 ご質問は、ご質問ではなく、すみません、コメントでございますけれども、先ほど、浅利先生がSAF、持続可能な航空燃料についてもおっしゃいましたが、やはり幾つかの産業分野で廃棄物を脱炭素化に貢献、役立てていこう、活用していこうというセクターがございますので、それをするためにも地域の適正な廃棄物の循環、廃棄物の回収から分別、そして適正な処分の、この仕組みがしっかり機能するということが非常に重要だというふうに思っておりまして、まさに今日、ご報告いただいたのが循環経済と脱炭素社会の非常に重要な点をご指摘をいただいていると思いました。
 地域の首長の皆様からのご報告については、やはり脱炭素の取組が地域にとってプラスになっているということを明確にお示しいただいたように思います。私、軽米町の山本町長と三日月知事に、もし、ご質問させていただければと思っておりますけれども、山本町長には、軽米町さんは長く再生可能エネルギーを地域の中で、地域の活性化に位置づけて取組を進めていらっしゃるというふうに理解をしております。地域にとって、例えば、具体的なよかったこと、メリットがどういうことがあるのかといった点について、お尋ねをしたいと思います。さらに拡大をしていこうという方向ですから、そうした地域にとって大きなメリットがあるというふうにお感じだというふうに思っておりまして、ご質問させていただきます。
 それから二つ目は、三日月知事にお尋ねをしたいのが、まず、都道府県知事のアンケート、大変貴重で、これは、やはりこの委員会でもしっかり、そのご意見を反映させるということが、まず重要かなというふうに思いますが。滋賀県さんも先導して取組を進めていらっしゃるんですが、特に地域の金融との連携が大変特徴的なお取組だと思っておりまして、これを始める動機、そして、どういう体制で、これを進めていらっしゃるのかということについて、もし、教えていただければと思います。
 以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 では、小野委員、お願いします。あと、森田委員と務台副大臣からお話、ご質問いただいて、そこで一回、切ります。小野委員、お願いします。
 
小野専門委員
 ありがとうございます。
 私からは、1点質問と、1点コメントがありまして、太田市長にご質問です。真庭市のエネルギー自給率、かなり高いなと、お話を聞きながら思っていたんですけれども、発電した電気というのは、どういう使われ方をしているかというエネルギーの動き方、新エネルギーなどを介して地域の方々が使われているのかみたいなところを教えていただけたらなと思っています。
 あと、ここからコメントなんですけど、お話の中にあったように、新電力の、今、ウクライナ情勢の影響を受けて、どの新電力も経営状態がかなり圧迫している状態で、ハチドリ電力もFIT電気を100%お届けしているので、同様に逆ざや状態が今、続いて、経営的には大変な状況に陥っています。やっぱりその状況を受けて、私たちとしても非FIT、FIT制度にのっとらない再エネ発電所をこれから増やしていくことはすごく重要だなというふうに考えておりまして、ここから委員の提案に、ご検討いただけたらというお話なんですけど、補助金の金額なども、もう少し幅があると、すごく私たちとしても発電所を増やしていきやすいなというのはすごく感じています。
 というのも、いろいろな地域の方々も地域で自然エネルギーの発電所を増やしていこうというので補助金を申請されているところなんですけど、申請されているところが多いので、結局、採択されるところは少なくなってしまうという現状が今、実際、起こっているので、そこをもう少し広げていける幅が国としてご用意していただけたら、すごく広がっていきやすいのかなと思っています。
 あとは、浅利委員のお話の中であったように、自分ごととして、自分ごと化するというところはすごく大切な設計だと思っていまして、私たちも地域で自然エネルギー発電所を増やしていくだけではなくて、その中で地域に住んでいる方々が自分ごととして捉えながら、エネルギーを使うことに誇りを感じたり、エネルギーを増やしていく必要性を感じるということが大切だと思っています。
 なので、ここからハチドリ電力のお話なのですけど、ハチドリ電力としては、ここから地域で増やしていくに当たって、例えば、ふるさと納税で電気の再エネの返礼品などで用意していただいている市町村も少しずつ増えてきているので、そういった形で、地域の方々等をしっかり巻き込みながら、連携しながら、自然エネルギーを増やしていくという設計をしていきたいなと思っているところです。
 お話ありがとうございました。以上です。
 
大塚委員長
 どうもありがとうございました。
 では、森田委員、お願いします。
 
森田専門委員
 どうもありがとうございます。大変、勉強になりました。
 私が質問したいのは、太田委員、山本委員、三日月委員の中から、どなたかお話しいただければと思うんですけれども、今日お話ししていただいた事例、自治体の取組というのは、とても先進事例で、これから、ほかの自治体が地域脱炭素を進めるために参考にしていくと思うんですけれども、お伺いしたいのは、脱炭素、気候変動の緩和とか適用、あとは、そういった気候変動対策とSDGsとのシナジー、トレードオフとか、そういった議論も結構ありますけれども、真庭市さんとかは、SDGs未来都市とかでもいろいろな取組をされていますが、実際に自治体でそういったSDGsであったり、適用とか緩和とか、いろいろなものが、また、生物多様性とかもいろんな戦略とかの議論があると思いますけれども、そういったもののシナジーとかトレードオフとか、シナジーを高めるような取組を進める中で、何か工夫されていること、または実際にそういうことを考えるときに、結構大変だという課題とかがありましたら、教えていただければ幸いです。
 以上です。
 
大塚委員長
 では、務台副大臣、お願いします。すみません。務台副大臣、お願いします。恐れ入ります。
 
務台環境副大臣
 どうも、すみません。軽米町長の山本さんに伺いたいんですが、結構、雑木林を太陽光パネルに変えて、結構、広いところが開発されておりますが、ここら辺について、最近、太陽光発電がいろいろな自然破壊の原因だという指摘もありますが、こういった議論は、軽米ではなかったのか。それから、太陽光発電の設置主体はどういう、地元企業なのか、地元事業所なのか、あるいは都会のファンドがやっているのか、そこら辺も伺いたいと思います。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、ただいまのご質問に対しまして、各報告者の委員の方々からお答えいただきたいと思いますけども。では、浅利委員からお願いしてよろしいでしょうか。
 
浅利専門委員
 ありがとうございます。ご質問もありがとうございました。
 まず、馬奈木委員のほうから航空燃料、SAFについてのご質問をいただきました。どうやって補助以外の方策があるかというお話なんですけれども、私自身も、これ、SAFはまだ全然、勉強中ですし、さらに経済的な方法となると馬奈木先生のほうがよほど詳しいのかなと思っておりますので、ここは宿題とさせていただくとして。今回、これを話題提供するに当たって、環境省の方とも意見交換、情報交換をさせていただきましたが、まだまだ本当にこれからというふうに私自身も認識をしておりますし、恐らく、環境省のほうの議論もこれからではないかなと思います。
 ただ、ラフな試算によりますと、廃棄物分野とかバイオマス系廃棄物とかで数割はポテンシャルがあるんではないかと。ほかとのバランスであったり、また技術的な課題も非常に大きいですので、やっぱりここをどれぐらいポテンシャルを含めて考えていくのか。今、例えばバイオマスプラスチック、各社、頑張っておられる中でも、かなりの年月をかけて今、いいところまで来ているというのが出てきていますけれども、国として、どれぐらい応援していくのかというところの議論がまず必要なのかなというふうに感じております。非常に重要な、この分野に関しては、やっぱり燃料は絶対に必須ですので、ぜひ、テーマとして、今後議論していけたらなというふうに感じております。
 それから、竹ケ原委員のほうもありがとうございます。ごみの写真から、本当に的確なご指摘とご質問をいただけているかなと思います。幾つかの論点があると思いますが、まず、将来のごみの変容という意味では、ご指摘いただいたおむつも含めて、高齢化というのは、当面の非常に大きな課題であることは間違いないなと思っています。私も、この20年間、ごみ調査に関わらせていただきましたが、目に見えて、ごみを見ていても高齢化しているなと感じますし、例えば、大人用とか介護用のおむつとかを含めて増えてきているものもあります。減っているものもある一方で、増えてきているものとして、おむつであったり、あと、やっぱり単身世帯化に伴う、例えばプラスチックの容器包装とかが増えているなということも感じておりますので。
 ただ、そういうものは、ある程度エッセンシャルなものもあると思います。特に、おむつの場合は、紙おむつとはいえ、吸収するところのサップ(SAP)と言われる特殊なプラスチックを含めて「プラおむつ」と言ってもいいぐらいの状態ですので、これの素材の見直しというのは大きな技術的な山であるのかなと思います。
 それも見越しながら将来の技術を考えなければいけないと思うんですけれども、一方で、ご指摘のとおり、焼却炉がもうすぐ老朽化というのが目に見えている自治体が相当数あると思いますので、そこのタイムラグを見ながら技術を考えていく必要があるのかなと感じております。
 ご指摘いただいたとおり、今、プラがなくなっていくとウエットなものが残ってきますので、やはり圧倒的にバイオマス的な処理が必要になるのは間違いないと思います。先ほど、太田市長からご説明のありました真庭モデルというのは、一つの大きな地方都市のモデルになり得るだろうと思いますが、一方で、災害時の対応を含めて、焼却というのも当然必要になってくると思いますので、焼却の数がどの程度が適切で、どんな人口規模に対してやっていくのか。
 中には、広域的な処理を考えていかなければいけないと思いますので、各都道府県の中に、どういうふうに焼却炉を配置して、どういうふうに市町村をマッチングして分担していくのかという次の絵を描かなければいけない時期に来ているのかなと思います。机上の議論は、大分、環境省のいろんな委員会でも進んでいると思いますので、それをいかに形にしていくかというところに移っていくのかなと思います。
 あと、ポイントとしては、例えば、今までゼロ・ウェイストのまちの一つの典型としては、上勝町であったり水俣のように非常に細かく分別していくというような手法もあったわけですけれども、そういう資源循環拠点をどういうふうに構えていって、それを、これから求められるサーキュラーエコノミーにもいかにつなげていくのかという絵を描いていく、すごく今から楽しいフェーズに入るのかなと個人的にはわくわくしながら見ております。地域循環共生圏の描き方に、今の廃棄物処理の仕組みを今までの固定概念にとらわれずに配置し直すという作業に入っていくのかなと認識しております。
 それから、中村委員からもありがとうございます。環境教育、それからSDGs教育に対するご質問ということで、おっしゃるとおり、やっぱり教育現場は、本当にずっと言われていることですけど、先生方、本当に大変な状況で、とても、そのテーマについて、好きであったり趣味でやられているという場合は、SDGsだ、プラスチックだということでどんどん勉強されますし、いっぱいご連絡もいただくんですけれども、どうしても教科書にとどまった、「なんちゃってね」というか、上辺的な学習にもなりがちな事実もあるかと思います。
 そんな中で、今、ニューヨークでプラゼロ宣言をした後、ある小学校でしたかね、小学校の高学年だと思いますけれども、そこが2年間かけて、地域の住民の方、NGO、それから専門家も入って、学習にとどまらず、子どもたちが、まず学校からプラゼロにして、それから議会に行って提案するというプロセス、マイクロプラスチックストーリーという形で映画化もされておりますけれども、ああいう事例、地域ごとに、今、日本で学んでやっていこうという流れもできてきています。
 当然、学習指導要領も非常に重要ですし、そこでも、いろんな要素が埋め込まれているんですけれども、それを実地で実践していく中に当たっては、もっと多くの人が学校教育にも携われるのかなというふうに感じておりますし、そういうプラットフォームも徐々にできていますので、環境省の枠にとらわれずに文科省等々とも連携をして、そういう事例を広げていけたらなというふうには思っております。ですので、どんどん大変にするというよりかは、みんなで分担することでプレーヤーも増やしていくという方向性は十分にあるのかなと感じているところです。
 あと、髙村先生、ほか皆様、コメント等を含めてありがとうございました。「自分ごと化」というキーワードも拾い上げていただきまして、ありがとうございました。今、意識と行動のギャップが非常に大きいと思っているんですけれども、一度行動すると身が軽くなるというか、次の行動に結びつきやすいというような調査結果も出ていますので、やっぱり最初のアクション、自分の好きなことからでも、どんなささいなことからでもいいので、行動してもらうというところから始めていっていただけたらなというふうに感じて聞いておりました。
 以上です。ありがとうございます。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、山本委員、恐れ入りますが、よろしくお願いします。
 
山本臨時委員
 それでは、馬奈木先生のご質問にお答えいたします。今、県北9市町村は、沿岸の市町村が四つ、内陸の市町村が五つであります。それぞれ太陽光、それから風力、皆さん、やっておられます。今、沿岸では洋上風力も今、推進するというような話でございますので、これらを合わせて、今、横浜市との連携で、横浜市に再生可能エネルギーの電力を供給するということでしておりますけれども、横浜市は北東北3県とほぼ同じ人口を持っております。そういう点で、我々、9市町村で賄えるかどうか、大変な話でございますけれども、できるだけ多くを発電しながら、供給しながら、将来的にはカーボンクレジット等も検討できればというふうに考えております。
 それから、髙村先生の地域にとっての成果、メリットというようなお話でございますけれども、軽米町、今、1.8万ヘクタールの森林、林地がございます。その中で、年間、大体5億円の所得を得ておりますけれども、太陽光の土地代、それから固定資産税等、656ヘクタール、1万8,000ヘクタールの3.6倍で、これまでの5億の収入の約1.6倍の収入を得ております。そういった点では大変、経済効果が出ておりますし、また、施設の管理とか、そういったものを地元で請け負っておりますので、そういった効果もございます。
 また、この建設に関しましては、大体、全部で600億ぐらいの建設費を要しておりますけれども、多くの町内の企業さんに建設にも携わっていただきました。そういった点で、例えば、そこで建設するときに使う機械の油は地元調達とか、いろんな形で地元調達していただきましたので、そういった経済効果もあったというふうに考えております。
 それから、副大臣さんの質問でございますが、確かに、大規模開発でございますので、いろいろ心配する方、あるいは反対される方もおりました。そういうことで、町としては再生可能エネルギー推進協議会を立ち上げまして、そのメンバーは、ほとんど町内の方々に参加していただいて、いろんな意見を集約しながら、きちんと安全な施設を造っていただけるように、建設前より安全な施設を造ってもらうように企業さんにもお願いいたしまして、そのような施設を造っていただいたというふうに考えております。
 また、太陽光の場合は、環境調査等は要らなかったのですが、町では、それも企業さんにしっかりとやっていただきながら、そして建設と申しますか、進めながら、そして町民の方々にもご理解をいただいてきたというように思っております。
 それから、これを作った企業、東京に本社のある企業でありまして、今現在、再生可能エネルギーの先進的な取組をしている企業でございます。
 以上であります。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、太田委員、お願いします。恐れ入ります。
 
太田専門委員
 それでは、まとめてさせていただきます。
 まず、森林のCO2の吸収源としての早生樹ですけども、私どもも今、取り組もうとしております。特に、荒廃農地がたくさんありますから、できたら荒廃農地に植えて、それを伐採するのも効率的にできないかと。例えば、早生樹以外にも柳ですね、ヨーロッパとかで使われている、それを刈り取るような、そういう形で、結局、電力を生産する前の生産原価を落としていかないと駄目だというふうに思っておりますので、そういう取組をしようとしております。
 それと、もう一つ。実は、広葉樹も本来、吸収源としては、むしろ針葉樹よりも広葉樹のほうがいいということで、広葉樹を燃料化すると。これは、切るのが非常に危険だとか効率が悪い。これを、いかに効率よくしていくか、その検討もしております。そういうことで、山も利用するし、早生樹等で荒廃農地等もエネルギーの源として利用すべきだという取組です。
 それから、2点目にバイオマス発電の関係で地元との関係でありますけれども、第1号のバイオマス発電は木材業界と私どもの取組ということで、どちらかというと民間主導でかなりできたということであります。今後、第2発電を考える場合には、もっと市民を入れた市民ファンドみたいな、そういうことで市民の運動の高まりというか、そういうものをしていかなきゃならないと思っております。
 私どもの組織としては、強化するために産業政策課というのも置きまして、そして、またエネルギー関係をもう少し専門的にやろうということで、民間会社と委託契約を結びまして、民間の専門社員も真庭エネルギーの研究、検討をするということで補強しております。エネルギー関係、なかなか小さな自治体には人材がいないので、そういう意味での人材の確保というのが大変重要だと思っております。
 3点目の廃棄物の関係ですが、真庭の場合は廃棄物処理業者と、2社ありますが、良好な関係があるというのが、これが本当に鍵であります。この関係がよくないと、なかなかこれは進みません。
 それと、もう一つは、今、施策が成功して、1,500トンの液肥が出ておりますけども、その一部は市民に、それを全部無料で今、配っております。特に、家庭菜園とかに使えるように、今、7か所にタンクを置きまして、それで「ああ、これはいいものだ」という市民的理解が広がってきたと。それで、市内全域の処理をする施設が着工できているということで、こういうことをする場合には、市民にとってメリットというか、そういう理解が進むということもしなければならないという、これが鍵だと思っております。
 もう一点は、バイオマス発電の電気の使い方ですけれども、バイオマス発電所から私どもがつくっている小売の電力会社を持っております。そこから市役所だとか、それから環境教育ということも考えて学校だとか、そういうところに売っているというようなことであります。そのほか、一部は一般的にも売っております。そういうことです。
 私どもも非FIT化が重要だというふうに思っております。ただ、その場合に、製造原価をいかに安くできるかというのが本当に大きな課題で、これについては、あらゆる面からの取組が必要だと思っております。
 それから、最後に、これも環境関係の市民理解ということの質問ですけれども、SDGsのパートナー制度をつくっておりまして、今、市内、あるいは市外が今は増えているんですけども、227団体が私どもとパートナーになっていると。個人でなっている人もいらっしゃいますけれども。そういうことで、1年に1回、SDGsの取組を皆さんで発表するような、そういう会もつくって。そういう意味では、環境関係とかエネルギー関係を含めて、そういう市民的理解という、これを同時にやっていかないと、なかなか進まないというふうに思っております。
 以上です。
 
大塚委員長
 では、三日月委員、お願いします。
 
三日月専門委員
 ありがとうございました。私からは3点、お答えしながらコメントしたいと思います。
 まず1点目の炭素税について、馬奈木委員のほうからご指摘、ご質問がございました。
 滋賀県でも、3年前から税制審議会を立ち上げまして、交通税の議論ですとか、CO2ネットゼロ社会づくりを目指すための税制の検討をしておりまして、ちょうど、今年の1月に、その税制審議会から答申をいただきまして、馬奈木委員からお尋ねいただいた、例えば炭素税につきましても、CP、カーボンプライシングの議論と同時に、これは公共調整も必要ですから、国で議論が進められることを期待しつつ、地方公共団体としても、二つの観点から積極的に関与していくべきではないか、検討していくべきではないかというコメント、答申をいただいております。
 一つ目は、税収の配分です。また、もう一つは既存税制の見直しです。
 税収の配分の面では、やはり、それぞれの地方自治体でのCO2削減のための取組に使えるような配分を、国にしっかりと求めていくべきだということですし、既存税制の見直しでは、エネルギー課税ですとか、車体課税の見直しとセットで、やはりこの炭素税の議論が行われるべきではないかという、こういう指摘をいただいているところです。
 もう一つは、とはいえ地方自治体の中でも、積極的に、このCO2ネットゼロに貢献する税制を考えていくべきではないかということから、例えば、先進的な取組、CO2削減に効果のある取組にはインセンティブを付与するような税制の仕組みですとか、そういったことを積極的に検討していくべきだという答申をいただいているところです。
 また、2点目、髙村委員のほうからお話のございました金融機関との連携については、まず、動機は何やということについて言えば、やはり近江商人の発想です。「三方よし」です。今だけよければいいというんじゃなくて、やはり自分だけよければいいというんじゃなくて、世間がよくないといけないと。その世間というのは、やはり地球環境、この炭素、CO2の問題に大きなテーマとして、企業の皆さん、金融機関の皆さんが取り組んでいただいているという証左だと思います。
 また、もう一つの体制について申し上げれば、事業者行動計画制度と、やはりセットで、金融機関とお取引先だけではなくて、そこに滋賀県がしっかりと関与して、そういう体制をつくって、目標とセットで、この金融商品の管理を行っているということがございますので、こういった仕組みがしっかりと広くワークしていくように、これからも努めてまいりたいと思います。
 最後に、森田委員のほうから、適応策、緩和策、どのような苦労があり、どのような取組が有効かというコメントがございましたが、私は、ここで二つあると思っていまして、一つは、やはり身近なことの言及というか、身近なものからの気づきというか、こういうものがあると思います。例えば、気温の変化、降雨の変化、災害ですね。また、私どもが申し上げました、例えば、琵琶湖の異変でありますとか、滋賀県であれば、米の生育なども、この気温の上昇によって大きく変わってきているということがございます。
 こういう分かったことを、身近なテーマで住民の皆さんに伝えていくということが行動変容につながるであろうということと、もう一つは、やはり金融面からのアプローチでございまして、これからスコープ3が求められてくるときに、やはり、どれだけ資金調達の面で優遇されるのか、またペナルティーを受けるのか、このことが企業の行動変容に、ひいては消費者の行動変容につながっていくと考えておりますので、この点、滋賀県での取組をさらに強化していきたいと考えております。
 以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、三宅委員どうぞ、お願いします。
 
三宅オブザーバー
 ありがとうございます。JCLPの三宅です。
 浅利先生に1点、ちょっとお伺いしたいと思っていたんですけれども、大変、プラの問題もすごく重要だけれども、なかなか難しいなというふうに考えていて、その循環をさせるという、本当にそうさせなきゃいけないですし、その社会仕組みをつくらなきゃいけないというのもそうなんですけれども。
 それから、もう一つ、技術のところも大切ですよね。プラスチックに代替のものをどういうふうに作っていくのか。ただ、いろんな企業がその使う側の企業もたくさんあって、サプライチェーンの下のほうに、下流にいる、使っているところでの企業は、それを使わなければいいと。もちろん、そうなんですけれども、その循環社会の構築に向けて、企業に対して、もっと期待、こういうことをもっとやってくれたらいいのにとか、そういう期待されるところがどこら辺に、先生から見てあるのかと、ちょっとお聞きできたらと思っておりました。
 ありがとうございます。
 
浅利専門委員
 大塚先生、今お答えして大丈夫ですか。
 大丈夫ということなんで。じゃあ、ちょっと、すみません、ありがとうございます。プラは、本当に言うは易しというか、すごくはっきりしたマイルストーンとかも定められている一方で、裾野が広いので、結構丁寧に、製品別に見ていかなきゃいけないかなという印象を、まず持っております。で、今は使い捨て、特に、例えば12品目が使用の見直しの最初のターゲットになって、コンビニさんのスプーンだとかカトラリーだとかというところから始めているんですけれども、生活に目を向けていきますと、例えば繊維も含めて、かなりのものがプラで構成されているということで、やっぱり、ちょっと製品別に丁寧に見ていく、そして素材別に丁寧に見ていくということが必要になってくるかなと思いますので。多分、恐らく、ほぼ全ての企業さん、事業者さんが関連してくるものだということが、まずあるかと思います。
 で、他方で、やっぱりエッセンシャルなものとか、今後そのリニューアブルとかも考えると、技術開発を待ってやっていかなければいけない部分も多いと思いますので、そこは、我々、研究の分野でも、どういう製品に対して、どういうロードマップで持続可能なプラとの付き合い方を考えていくのかということを、今、まさに研究している最中でもありますので、ちょっと、いわゆるアジャイル型といいますか、走りながら、そこは考えていかなければいけないのかなと思うんですけれども。企業さんにおかれましては、本当にどんな業種の、今回はスーパーさんとか、ホテルさんとか、クリーニング店さんとか、かなり個別のところから、まずメスが入っているわけですけれども、もう、どこも他人事ではない。で、2050年の脱炭素ということも踏まえて考えていくと、かなり抜本的に変えていかなければいけないという、まずマインドセットに切替えをしていただいて。で、あとは本当に一緒に勉強しながら、持続可能な付き合い方というのを模索していく必要があるのかなというふうに感じております。
 で、今までは、プラってすごく安くて便利でどこでも使えるものだったのが、これから非常に貴重になっていくわけですので、そういう意味では、大切な炭素源といいますか、化石資源だと思って大切にしていただきたいなと、まずはそこから進めていく必要があるのかなと思っています。
 あとは、消費者の意識も、十分にメーカーとか、事業者の方に伝わっているかというと、必ずしもそうではないのかなというふうにも感じておりまして、今、その個別の、細かな製品に対して、消費者の意識がどうなのか、どういうところから始められるのかということも、研究ベースでもやっておりますので、そういうことをしっかりフィードバックして、できるだけ、何というんでしょうかね、ぎくしゃくしないようにといいますか、軟着陸できるように、我々も努力していきたいなと思っているところです。
 ちょっとお答えになったか、自信ないんですけれども。はい、以上でございます。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。様々なプラスチックに関する企業が関係しますが、ケミカル関係のところも、かなり重要になってくるかと思います。
 ここで打ち切りにしたいんですけれど、広井委員、最後にお願いします。
 
広井専門委員
 ありがとうございます。これは質問というよりコメントに近いものですが、太田市長のお話にも森林の話や、それから、先ほども荒廃農地の活用の話がありましたし、それから三日月知事のお話でも未利用資源の活用ということで、森林、それから耕作放棄地、これはソーラーシェアリングなどの話とも関連すると思いますけど、そういった話があったと思います。
 で、やはり印象深く思いましたのは、脱炭素というと、何かを抑制するという面が、印象があるんですけど、それはそれで、もちろん重要なんですけれども、それと並行して、まさにこの未利用資源、ストックの活用、それが脱炭素にも通じる、ある意味で一石二鳥の効果を持つ、そういう視点がやはり重要ではないかと思います。特に、農山村の未利用資源、それから、同じように市街地の、ちょっと話題を広げますと、空き地、空き家、これが、まさにシャッター通りになっているわけで、それをまた再活用することで、ここでも以前からも話題になっておりますウオーカブルシティのような歩いて楽しめるまちができて、それが脱炭素につながるというような、この未利用資源、放置されているストックを活用することで、脱炭素にもウインウインの形でつながっていくと、そういう視点が重要なのかなというのを、お話を伺って思った次第です。
 以上です。ありがとうございました。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。活発な議論を頂戴しましてありがとうございます。
 ここで事務局のほうから、お願いします。
 
地球環境局総務課政策企画官
 地球環境局の井上でございます。
 少し議論進行が遅れめでございまして、事前にお伝えをしていたように、30分程度の延長の可能性がございます。これから、次の素案、これまでの意見の整理のところでご議論賜ればと思いますが、事務局の説明も簡潔いたしますが、特にご予定のあることは、お早めに挙手をいただいて、ご発言いただくとよろしいかと思いますので、取り急ぎお伝えいたします。
 以上でございます。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、次に議題2、これまでの議論を踏まえた素案につきまして、事務局からご説明をお願いします。
 
地球環境局総務課政策企画官
 資料3に沿って、ご説明を端的にさせていただきます。
 これまでご意見を事務局のほうで整理をさせていただいたものでございまして、その次の資料を見ていただきますと、目次というところで、こちらから2月25日、第1回に提示したものをそのままおつけをしてございます。これまでの議論、少し振り返りながら、ご議論いただければと思っているところでございます。
 その次の資料へ行っていただきますと、最初に、この点、2月25日のほうでは、気候変動対策の現在地点として、我が国の状況、そしてその次のスライドで世界の状況、そして、その次のスライドでグローバルマーケットの状況についてもご説明を背景とさせていただきました。
 そして、その次の資料で、クリーンエネルギー戦略策定に向けての総理のご指示の内容をご紹介させていただいております。
 その次でございます。こういったものを踏まえて、地域とライフスタイルから捉えるグランドデザイン、こういったものをご議論いただきたいというところでご紹介した上で、次のスライド、各論といたしまして、例えば投資、そしてその次のスライドで人材、そして、その次でございますが、こういったものを踏まえたご議論を賜ったところでございます。
 これまでの議論をこういう形で整理いたしてございますが、ポイントは、少しご紹介いたしますと、社会像。こういった中では、できるだけ分かりやすい形で、社会、地域を描いていく。あと、方向感「コンパス」が大事であると。そして、「トランジション」、ゼロに向かっていく明確なメッセージという、こういったお話があったかと思います。
 ②の投資。ここでは、無形資産、こういったものの投資の必要性ということがご指摘いただいています。その下、イノベーション、生産性向上。こういった観点も重要だということ、ご指摘をいただきました。
 その次の資料でございます。スライド10のほうですと、人材について、その投資の必要性というところ、縷々ご指摘を賜っております。その下のところ、公正な移行、こういったものも併せて考えていく必要があると。
 さらに、国土利用。今のお話もございましたが、多極集中、そして、その中でもコンパクトシティという、こういったキーワードをいただいてございます。
 次の資料を見ていただきますと、コンパクトシティ・プラス・ネットワークという中で、公共交通、前回大きな議論がございました。その中で、ゲストスピーカーの方から、疎空間と、こういった概念でのお話も頂戴したところでございます。
 最後に、DX、デジタルトランスフォーメーション、こちらの中での成功の単なるデジタルを突っ込めばいいという話でもないという、価値を変えていくというお話があったかと思いました。その中で、新しい動きとしての暗号資産、もしくはDAOなどの環境負荷が低い、こういった動きというのもご紹介をいただいたところでございます。
 続きまして、地域、この脱炭素の話でございます。大きなロードマップの動きを冒頭ご紹介させていただきましたのは、2月25日でございました。
 お開きいただき、次のページへ行っていただきますと、こういった中で、これまでのご意見、本日、大変大きなご意見賜ってございますが、この地域の中でのご意見としては、企業自身が経済の担い手であるというお話であるとか、首長、そして自治体、こういったその努力がくみ取れるような仕組み、枠組みということが重要といったご指摘を賜っていると理解しております。
 続きまして、スライドの14でございます。ライフスタイル、こちらは意識・行動という消費者の内面の話から、次のスライド、設備、住宅等ですね、こういったお話を冒頭ご紹介させていただいた上で、スライド16でございますが、ご議論を賜ってございます。
 特に、行動の実践とか製品の選択、こういった中で重要なのがコミュニティの規範である、その中での対応の見える化が重要であるというご指摘があったかと思います。そのために必要な情報提供、そして省エネ教育などの学校教育、こういったものの重要性をご指摘いただきつつ、設備面では断熱リフォーム、こういったものの課題指摘というのも賜ってございます。
 そして、インフルエンサーとかそういう様々な方の行動がこの自分の行動の影響を受けるといったご指摘も頂戴をしたところでございます。
 次のスライドに行っていただきますと、続きましてのテーマ、国際というものでございまして、市場メカニズムについてのご紹介、そして、その次のスライドで、アジア各国での取組の支援、こういったものをご紹介させていただく上で、スライド19でございますが、国際のご議論といたしまして、大きく資金面、公的資金の活用というものを民間資金との相乗効果という話、そしてアジア・ゼロエミッション共同体に向けた市場メカニズム(JCM)といったものの拡大。
 そして、こういったものを進めていく中でのトランジションの取組というものを、「グリーンウォッシング」とみなされないような、こういった必要性というお話。さらに、気候変動と合わせたネイチャーの話、NbSの促進とか、ネイチャーポジティブなエコノミーへの移行。
 その下の社会配慮とか様々なものを織り込んだ質の高い国際貢献、そして、そういったものを進める際の産業構造の在り方そのものについての立ち戻った議論、こういったものが必要であるといったご指摘、そして、そういったものを進めていくことが日本企業のサプライチェーンのレジリエンス、これに資するようなこともあるのではないかというご指摘でございました。
 続きまして、金融の面でございます。国際的な動向等々、国内の動きとして、ご説明させていただいた上で、その次のスライド、そこと表裏一体になっていますサプライチェーンの脱炭素経営、こういったご紹介を賜りました。
 ご議論をその前提として賜りまして、22スライドでございますけれども、ESG金融の中では、金融の意義といたしまして、様々な金融の主体の必要性、今日もご指摘がございました。その中では、自然資本など、新しい価値判断の織り込みのようなことも、指摘もございました。
 そして、それと対になる中小企業の脱炭素経営というところで、やはり、そこの中では地域金融、ここの果たす役割が大きい。そして、それは人材の面でもそうだと。GX推進人材の補完といったお話もございました。
 こういったものを進めていくために、やはりそのファイナンスの取組を後押しするような、こういった議論をお願いしたいというご意見があったかと思っております。
 さらに、次のスライド23でございますが、これを進めていくために必要な基盤整備としまして、やはりこのルールづくり、こういったものの必要性と、さらに情報が必要だという意味では、特に中小企業さん、CO2の排出量を把握できていないというような前提、現状ございますので、ここをしっかり対策のベースを取っていくと必要があるというご指摘でございました。
 続きまして、スライド24でございます。横断的な視点としまして、カーボンプライシングでございます。お示しした資料の中で、3月28日に小委員会という、このカーボンプライシング小委のほうの開催がございましたというところを追加の情報でつけてございます。
 次のスライド25でございますが、カーボンプライシングにつきましても、市場の失敗を是正するこのメカニズムという意味での市場メカニズム、そして、その新しい価値を認識するという意味でのカーボンプライシングの重要性のご指摘。そして、進めていく際には、やはり成長に資する、イノベーションを促進していくと、こういった形でのカーボンプライシング議論をしっかりというご指摘でございました。先ほど、ご紹介した3月28日の別の小委員会の中では、ウクライナ情勢を受けたエネルギー価格の高騰のお話、そして実質的なクレジット取引についてもご意見があったというふうに伺っております。
 スライド26でございますが、最後、トータルな環境保全というところで、資源循環の話、本日もご議論がございました循環経済工程表という話も、本日、参考資料の後ろにつけてございますが、動きがあったところでございます。ご参照いただければと思います。
 スライド27でございますが、これまでのご議論、本日、大きな議論がございました。これまでのところでございますと、やはり、このトータルでインパクトがあるというような浅利先生のお話もございました。
 さらに、IT、デジタル化、こんなものが進んでいくと、サーキュラーエコノミーの展開がしやすくなる。その中で消費者が自分から価値をつくるような、そういった動き、そして、それを進めていくための知識や能力の向上の必要性、こんなご指摘がございました。
 スライド28でございますが、二つ目、自然共生。この自然共生の資料をベースに、29のスライドでございますが、自然資本そのものが減っているという前提と、この気候変動と生物多様性をセットでというお話が、ご指摘ございました。そして、その中で、金融機関を含む企業としては、このリスクに備えたネイチャーポジティブの機会の喪失、そして、そういったものを進めていくための仕組みづくり、こういったご指摘をいただいているところでございます。
 次のスライド30でございますが、気候連動適用ということで、この適用分野のお話をご紹介させていただいた上で、議論といたしましては、スライド31でございます。その中で、緩和策、適応策、このレジリエントな地域づくりをどう進めていくのか。それは、地域のお話もそうですし、一番下、アジア諸国においてのこのレジリエンスを高めていくということが、やはりその企業のサプライチェーン、ここにもつながっていくというご指摘でございました。
 最後の最後でございますが、その次のスライド、地域循環共生圏という概念のご紹介をさせていただいた上で、スライド33でございますが、この脱炭素のみを打ち出すのではなく、別のベネフィット、ここと絡めていくような必要性と、そして、地域循環共生圏、所得の循環を太くしていくという、この視点が重要だというご指摘だったかと思います。
 雑駁でございましたが、以上がこれまでの意見の整理でございまして、それを踏まえて本日ご議論いただきたいものでございますが、やはり、今日この場でディスカッションをすべきものは、ぜひご紹介をいただきたいというのが一つ。
 そして、次回は中間整理という形で、これまでの議論の整理、今後の施策みたいなところも含めた整理をしていきたいと考えておりますので、ぜひ、そこに反映をすべきようなもの、これまでのご議論の中で欠けているもの、本日のご議論も踏まえて、さらに指摘すべきものをぜひ頂戴できればと思います。
 で、そういったご意見をいただいた上で、今後の経過でございますが、本日のご意見を踏まえて、次回につきましては、ただいまご紹介をした、これまでの主な資料については、この中間整理に向けて、さらにバージョンアップをしていきたいと思っています。各ご意見のところの手前につけた様々なビジュアルの資料でございますが、こういったものは、本日のご意見を受けてのバージョンアップをしたいと、これが一つと。この中間整理というところに向けて、今、ご紹介したこれまでの意見の整理、こちらについても、本日のこれからいただくご意見、そこも入れ込んで、さらにバージョンアップをしていきたいというふうに考えておりますので、ぜひ、忌憚のないご意見を頂戴できればと思います。
 事務局からは以上でございます。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。では、ただいまの説明を踏まえまして、ご意見等がございましたら、挙手ボタンをクリックしていただければと思います。今回もご発言は、恐れ入りますが、3分以内にまとめていただくよう、ご協力をお願いいたします。
 では、馬奈木委員、お願いします。
 
馬奈木臨時委員
 ありがとうございます。それでは、私のほうから、主に、2点お願いしたいと思います。
 まず、経産省のほうでクリーンエネルギー戦略の会合がありますので、製造業など、技術の話に、この環境省の会議はそんなに深入りする必要はないと思っています。同時に、環境省のほうで、カーボン市場の話もありますので、それはそれで、詳細はそちらでいいと思います。
 そういう意味で、じゃあ何にフォーカスして中間報告を求めるとよいかというので、私は、まず環境省として、地域循環共生圏がありまして、地域の連携をそこで語っております。そこで、さらにプラスをしたらいいのは、プラネタリーヘルスなど、さらに、この概念を炭素中立だけども、その価値がもっとあるんだということはしっかり示すことだと思います。
 それは、例えば、環境と健康がつながっているということはあります。それは、炭素中立であれば、例えば自然公園を出すと、そこに近くに住んでいる人ほど、より健康になるというのが、我々も含め医学論文などを書いておりますし、ただの環境だけでなく、地域、健康につながっているということをしっかり示すことは大事だと思います。
 二つ目に関しては、よりカーボンプライシングのみに絞らない、大きめの政策の話を入れ込むといいと思っています。それは社会をより、こう課題を解決できるような方向にするために、カーボンプライシングは、まず最初の方針として、大きくは入れましょうというのは言うべきであって、それに加えて企業に対しては、それだけだと負担でしかないので、R&Dの補助をするという、この組合せが常に大事だと思います。
 気候変動の経済学、どのようなモデラーで、この二つの組み合わせでカーボンニュートラルのほうのというふうな提言に、定量分析では常になっております。企業の方から見ますと、これはESGの一環ということに考えることができます。CO2以外の、例えば、今後来るかもしれない現在の資源制約、ガスなどに加えたものに加えて、水も議論が、カーボンの制約のように来るかもしれませんし、PESなどで出されるように、生態系保全も大事です。これは大きく考えますと、カーボンだけでなくネイチャーポジティブを含んだ総合的な自然資本をより高めていくという姿勢を、明確化して出していけていただければいいかと思っています。
 以上です。ありがとうございました。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、伊藤委員、お願いします。
 
伊藤専門委員
 どうもありがとうございます。ちょっと早めに出なきゃいけないもんですから、先に発言させていただきます。
 非常によくまとまっていて、重要な論点が出ていると思いますので、その中で、特に3点だけ、ちょっとさらに踏み込んでお話をさせていただきたいと思います。
 1点は、総理からの指示にある4ページ、5ページにまとめてありますけど、我々、暮らしの変革について議論することを求められているわけですけども、ちょっと変な言い方なんですけども、気候変動問題ですか、あるいは脱炭素を中心に社会が全て回ってるわけではないと。もちろん我々は脱炭素の話をしなきゃいけないわけですけども、今回のこの一連の議論の中で、例えば前回のコンパクトシティとか、あるいは今日のごみ問題、あるいは、その資源循環の話というのは、脱炭素の非常に重要な意味があるわけですけども、より大きな社会的な価値があるわけで、そういう意味で日本全体の社会がどちらのほうに行こうとしているのかと、地域の活性化も含めてですね。そういう論点がより明確に出てくるほど、その結果として、それが脱炭素に非常に大きなインパクトを持つということがありますので、そういう意味で広げる話で恐縮なんですけども、どういう社会を、この日本を目指していくべきなのかという視点をさらにもう一回強化して、その上で脱炭素の議論につなげていくと、説得性が強いのかなと思います。
 2点目は、もう言わずもがななんですけど、7ページに投資の促進の話が書いてあって、もうこれはこのとおりで、総理も、こういうご発言をされているわけですけども、ぜひお願いしたいのは、そのマクロ経済的なインプリケーションというんですかを、ぜひ触れてほしいなと思ってます。ご案内のようにEUのグリーンディールにしても、あるいはアメリカのバイデン政権にしても、今この時点で巨大なその投資を、官がやるか、民がやるかでいろんな議論があるんですけど、やろうとしてるという背景には、10年以上、長期停滞が続いていて、その背後には投資の減退と、それから、いろんな意味でのその経済の停滞があったわけですから、そういうことを、何て言うんですかね、ひっくり返すためにも、今の、この、恐らく5年というのは、すごく重要になってくるんだと思います。特に、さらに言えばコロナと、それからウクライナ問題ですね。この経済をどういうふうに立て直すかということが大きな論点になるわけで、それをうまく、この気候変動問題、あるいは環境問題につなげていくということによって、マクロ経済的なバックグラウンドみたいなことの主張が強くなるのかなと思います。
 3点目は、8ページの人材の話で、人材育成が非常に重要であることは間違いないわけで、ここに書いてあることはそのとおりなんですけど、少し気になるのは、教育とか育成ということだけでやっていて本当に人が育つのかどうかと。特に環境問題とかも、もっとより広く社会的な課題については、実際に自分がベンチャーだとかビジネスの当事者だとかでやっていくことによって、その人たちの能力が磨かれて、さらに新しい発見がある。特に、私、ベンチャーの重要性みたいなことを強調したわけですけど、そういう意味で、この人材育成ということをもう少し踏み込んで、この人たちが、特に若い人たちがこういうビジネスに、あるいはこういう活動に、より積極的に参加ができるような環境をどういうふうに整えていくのかということも、ぜひ踏み込んで議論していただければと思います。
 以上3点です。ありがとうございました。
 
大塚委員長
 どうも恐れ入ります。
 では、広井委員、お願いします。
 
広井専門委員
 ありがとうございます。私も非常によくまとまった報告だと思いますが、1点ですね、文化性の点をもうちょっと入れていいんではないかと思いました。伝統文化とか、あるいは自然観というようなことも含めたもので、先ほどの三日月知事のお話にも、琵琶湖の話とか、ひいては「三方よし」の話がありましたように、そういう地域への愛着、伝統文化、あるいは地域の自然を守りたいというような、広い意味での文化性ですね。
 で、ちょっと、私自身がちょっと手前みそですけど、鎮守の森自然エネルギープロジェクトというのをやっておりまして、例えば具体的な例を申しますと、秩父のほうで、去年、我々のプロジェクトで地元の方々と協力して、陽野ふるさと電力という小水力発電の50kw級のを去年導入に至ったんですけども、その収益を武甲山という山、これ実は、秩父神社、これはユネスコの無形文化遺産にも夜祭が指定された秩父神社のご神体なんですね。武甲山というか山が神様。で、その小水力発電の収益を武甲山の環境保全に充てる。ただし実は武甲山は、残念ながら石灰岩の山なので、ずっとセメントで切り崩されてきてるんですけども、その環境保全に充てる。地元の高校生が、武甲山がかわいそうだみたいなそういう意見も出てきて、そういう、その地域の自然を守りたい、その文化的な、何ていいますか、そのモチベーションといいますか、そういうものが、やはり脱炭素のこういったテーマでも非常に重要ではないかと思いますので、そのような視点も少し加味していただければありがたく思います。
 以上です。
 
大塚委員長
 大変いい話をありがとうございます。
 では、西尾委員、お願いします。
 
西尾臨時委員
 ありがとうございます。私は、14ページの消費者の意識・行動面への取組について、コメントさせていただきたいと思います。
 本日の前半の議論にもあったように、サステナブルな社会の構築に市民をどううまく巻き込むかということは大きな課題だと考えます。その点については、先ほど伊藤先生が大変重要なことをおっしゃられたように、単にCO2削減のためだけではなく、これらの行動は健康で安全でサステナブルな社会の構築につながっていくんだということを実感し共感できるようなコミュニケーションが重要ではないかというのが1点目です。
 それから、14ページに提示されている施策の実行について、意見を申し上げたいと思います。第1回目の委員会で話題提供させていただいたように、消費者個人のエコロジー行動は、家族や友人・知人がもつコミュニティ規範の影響を受けること、その影響度はほかの要因よりも5割以上の強さをもっていることが、私の研究で確認されています。その点からもグリーンライフポイント事業のような、自治体組織がリーダーシップをとって、コミュニティメンバーがみんなでエコロジー行動に参加し体験できるという仕組みは大変有意義だと思います。しかし、これまでも似たようなエコポイント制度は展開されてきました。多くの場合、国の支援の切れ目がプロジェクトの終わりになってしまっています。今回これだけの資金を投入して実施するのであれば、支援終了後も各組織が自立的に継続できるような仕組みになっているのか、その点に関する制度設計の適切性をきちんと評価した上で支援を行う必要があると思います。
 支援策の選定にあたっては、事業者サイドにたった事業の継続性だけでなく、事業に参加する市民へのインパクトの継続性という観点からの評価も重要だと考えます。事業に参加する市民が、地球環境問題と個人生活との関係性に気づき考えるきっかけとなるだけではなく、行動そのものを地球環境と共生するような方向に変容する、さらにはこのポイント制度が終わっても、それが定着し習慣化される、という効果の継続性も企図した計画になっているかが不可欠だと思います。ナッジは気づきを与えるのには一定の効果があると思いますけれども、それが継続され習慣化されるということに関しては、ナッジ以外の手段も含めてさらなる検討が必要だと考えます。
 さらには、市民の自発的な取組みを促すような支援策の場合、これまでの事例や私の研究によれば、すべての市民が自発的に参加してくれるわけではありません。おそらく、最初に自発的に参加してくれる市民は、エコ意識の高いトップランナー的な人で、せいぜい2割程度ではないかと思います。したがって、それに追随するフォロワーをどのように獲得するのかについての計画も必要となります。支援策の評価にあたっては、以上のような点を踏まえた事業計画になっているかも検討・評価すべきだと考えます。
 一方で、どんなに頑張っても、これらの自発的な取組みに対しては、全く反応しない層が2~3割程度、当然いるはずです。こういう層をどうするのかも課題です。何が言いたいかというと、他の市民が自発的にエコロジー行動に協力しているのに、全く協力しないフリーライダー的な層を排除するための施策も併せて考えることが、今後、国が、市民向けのライフスタイル変革への施策を考える上で重要だと思います。
 以上でございます。
 
大塚委員長
 大変重要なご指摘ありがとうございます。
 連合の冨田オブザーバー、お願いします。冨田様、お願いします。
 
冨田オブザーバー
 ありがとうございます。私からは、補強いただきたい点を1点と、あとは意見を1点申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 資料の10ページ目のところで、公正な移行の重要性について記載をいただいております。で、この記載の内容でいきますと、社会対話の意味合いについて、ちょっと改めて補強いただきたいと思ってございます。
 ここにある国民への分かりやすい丁寧な説明というのは、必要性は、これはもう当然のことなんですが、労働力の公正な移行における社会対話は一方的な説明ではなくて、いわゆるソーシャル・ダイアログであるべきだというふうに考えてございます。自治体や事業者、金融機関、労働者など関係各主体の参加が保障され、そこで行われる対話が、事業展開や新たな雇用創出、労働者の職業訓練など政策決定に生かされるべきと考えておりますので、意味合いの補強をいただけるとありがたいというふうに思います。
 大きな2点目は、カーボンプライシングについてです。ご説明いただいたとおり、現在、中環審の別の委員会で様々な論点を切り出しながら、ポリシーミックスの方向性などを巡って丁寧な議論が続けられていると認識してございます。その議論の中では、懸念点についても多く呈されているというふうに認識しておりまして、そうした懸念点に深く関係する業界からの声を丁寧に聞いていただいて、それらを反映するようなことも引き続きお願いをしたいというふうに思います。
 で、あわせて、前回、諸富先生のプレゼンテーションがありまして、恐らく、それを受けて、生産性と炭素生産性を同時に高めていくべきだといったような記載がされているかというふうに思うんですが、この炭素生産性を高めるためには、人的投資が大変必要だと思うんですけど、その人的投資については、雇用創出やリカレント教育など雇用のセーフティーネットにも十分充てられるべきと考えておりますので、その点を意見として申し上げておきたいと思います。
 私からは、以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、竹ケ原委員、お願いします。
 
竹ケ原臨時委員
 どうもありがとうございます。
 コメント1点だけさせていただきます。カーボンニュートラルに向けて、サーキュラーエコノミーや自然資本なども含めた総合的なアプローチが重要であることと、そのために多様なアクターの役割を整理し、基盤としての人材の重要性に言及される整理は非常に納得的で、私からも感謝申し上げます。
 1点、足元の変化を少し織り込んでおく必要がないかという問題意識があります。2050年カーボンニュートラルというゴールは当然変わらないのですが、そこに至るパスが少し変化するのではないかと認識しています。例えば、エネルギーがこれだけ逼迫してコストが上がってくる中で、あのドイツがLNGの施設を設け上流投資もやるとなると、この後、巨額の投資を振り向ける必要があり、これが恐らく10年、20年タームで固定されます。そうなると、今まで見てきたサステナブルファイナンスのアロケーションは少し変わってきますし、2030年に向けた経路も、当然影響を受けると思うんですね。
 その辺りを考えると、このコンセプトもそうなんですが、「トランジション」というプロセスを重視したアプローチを取っているということが、かえって価値を持ってくるような気がします。エネルギーの制約という新たな要素を織り込みながら、今やるべきこと、やれることをしっかりやって積み上げて、次に来るイノベーションにつなげてゴールに向かっていこうという認識は、様々な後発事象を柔軟に取り入れられるコンセプトになっています。今、足元に起こっている変化も認識しながら書かれているんだというニュアンスを出してもいいのかなという気がしました。
 これは地域単位で考えると、エネルギー供給制約が顕在化して、光熱費の上昇や新電力への影響などの変化が起こっています。で、これは、言うなれば、インターナルカーボンプライシングなど、TCFDでいう移行リスクとしてバーチャルに計算していたものが顕在化しているともいえます。これを裏返せば、バーチャルな計算では採算性が確保できるものの、現実のエネルギーコストでは投資回収が見込めなかった省エネ投資とか、いろんな対策に経済性が出てくることになります。ここで生じる新しいポテンシャルを引き出して、インセンティブをつけていく。そういうコンサルティング機能みたいな話が、金融も含めてすごく重要になってきます。中期的には、そうはいっても、やはり化石燃料に頼らない構造をつくるための再エネの重要性が増してくることは確実ですが、パラジウムの供給制約等のような点も考えると、全てが等価ではなく、やはり中小水力や木質バイオマス、地熱などのように、地域の所得循環を太くできるような地産地消型の再エネの割合がより重要になってくるような気がします。こういった観点を織り込んだ、まさにトランジションを意識したグランドデザインこそ重要であり、そのために地域のアクターを糾合して、人を育てていきましょう、といったトーンにすれば、このフレームワークを維持しながら、今、足元で起こっている変化も織り込めるんじゃないかなという気がいたしました。
 以上、コメントであります。ありがとうございました。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 では、浅利委員、お願いします。
 
浅利専門委員
 ありがとうございます。もうかなり皆様から言い尽くされてると思いますが、ちょっと幾つかだけキーワードということで。
 まず、まとめに関しては、本当に全てと言ってもいいぐらい、うまくキーワードを拾っていただいてありがとうございます。ただ、これを実際、みんなで共有してイメージしていくという、どういう方向でまとめていかれるのかというのがすごく楽しみでもありというところなんですけれども。何人かがおっしゃっていた、やっぱり、地域循環共生圏という考え方で、しっかり絵に落とし込んでいく。で、今までいろんな切り口で曼荼羅図みたいなのが出てましたけれども、今日のポイントをしっかり地域の特性であったり、タイプ別に絵にしていけるとすごくいいのかなというふうに感じて、期待をしているところです。
 先ほど、私へのご質問とかの中でも、今後、例えば焼却炉、寿命が来ますよね、建て替えありますよねと。で、行くべき方向とか、広域連携とかというところは、机上ではできているんですけど、いざやるとなると、首長さん同士の仲がいいか悪いかとか、過去からの経緯とかで、結局、なかなか動かないというのがこれまでなのかなと思うんですけれど、やっぱりもうこれは今回のこのテーマも含めて、やっぱりもうこのチャンスを逃すと、変われないところはたくさんあるんじゃないかなと思っていまして、そういう意味では、各地方の首長さん的な方々であったり、議員の方とか、政治の方々もしっかり勉強していただいて、一緒に変革をつくっていくということも必要なのかなと。ちょっとこの場で申し上げるのが適切な内容か分かりませんけれども、それも強く感じております。
 それから、先ほど、やっぱりこの脱炭素だけのキーではないというお話がありましたけど、既にもう今、中学校の授業のテキストの中でも、これからGDPだけじゃなくて、よい暮らし指標であったり、いろんな多角的な評価をしていきましょうねという流れが進んでおります。やっぱり、そういう子たちが私たちの背中を見てるんだということを忘れずにいく必要があるのかなと思って、伺っております。
 教育についてもたくさん頭出ししていただいていますが、ぜひ、その義務教育から人材育成、金融、高度な人材育成も含めて、ぜひ教育というのも、一つ柱を立てて、うまく整理していただけたらなというふうに思います。特に文科省の方々も、かなりこの分野、食い込んでおられるものの、現場としては、我々の分野から協力できる、連携できる部分が非常に多いところではないかなと思っておりますので、ぜひともそこは取り上げて、この脱炭素というのを教育の場面でも主流化していくという流れをつくっていただければなというふうに思います。
 以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございました。
 では、三宅さん、お願いします。
 
三宅オブザーバー
 ありがとうございます。大変、私も皆さんと同様に、よくまとまっていて感謝しております。
 私のほうから1点だけ。今日もお話、たくさん、いろんな委員の先生方からも出てましたし、県庁、県知事さんからも何人かおっしゃっていましたけれども、暮らしを変えていく、それから消費者、国民一人一人の意識を変えていく、ここら辺がすごく、次、大切になってくるというふうに思っております。そういう観点からしたら、もうちょっと気持ち、全体的に急がなきゃいけないんだというトーンをどうやって入れていただけるのかなというのは、ちょっとお願いでもあります。
 皆さん、ご承知のとおりですね、IPCCからの報告書が出ておりますし、それからJCLPとしても、先般、岸田総理に直接提言書をお渡しをしておりますが、その中でも、この10年が大切なんだということをお伝えしております。で、いろいろカーボンプライシングをはじめ、政策に関しては議論をしていただいてるのはよく分かっていますし、進んできたと思っておりますけれども、やはりこの10年、もうちょっと急がなきゃいけないんだという感覚を一緒に国民の方々にもどうやって持っていっていただくのかということも、一つすごく大きな鍵だと思ってます。
 国民を巻き込むためには、どなたかもおっしゃってましたけれども、やっぱり大変だ、何とかしなきゃいけないという危機感も一方で必要、インセンティブはもちろん必要なんですけども、そういう気持ちも必要だと思いますので、そのコメントをもうちょっと出していただけるとうれしいかなというふうに思っております。よろしくお願いします。
 以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 では、日商の大下様、お願いします。
 
大下オブザーバー
 ありがとうございます。
 まずは取りまとめ、ご説明ありがとうございます。各自治体の大変意欲的な取組、大変興味深くお伺いしました。中間整理に向けて付記いただきたい件、中小企業の脱炭素経営という点から2点だけ申し上げたいと思います。
 まず、社会像の部分について、改めて、今回のお話を伺っていて大変強く思うことは、日本全体としても大事ですが、やはり各自治体が、企業や住民とともに、地域が目指す脱炭素の社会像、グランドデザインを描いて、その実現に一体となって取り組んでいくことである思っております。中小企業も、地域社会への貢献に対する意欲を大変強く持っている経営者の方々が多くいらっしゃいます。そこを通して、脱炭素に結びつけていくことができれば、効果は大きいのではないかと思います。この点をしっかり書いていただくということと、その全体像をどうやって実現していくのか、誰がどの部分を担って、どれだけのコストを負担して取り組んでいくのか、そうしたものも含めて、道筋を描いていくという必要があるんだろう思っています。
 もう一点は、22ページで、中小企業の脱炭素経営について書いていただいています。ここで、中小企業庁の経営指導員をグリーン人材にと記載されていますが、全国の商工会議所では今約5,200人の経営指導員が日々中小企業の相談指導に当たっております。これらが地域の脱炭素に役割を果たせるようになればと思いますが、現時点では、残念ながら知識もノウハウも十分ではありません。
 今、環境省が、CO2削減比例型設備導入支援事業を実施いただいていますけれども、何とかその中小企業が、まずは自社が排出している温室効果ガスの量を把握し、それをどう削減していくのか、ここに向けて、浅利先生がおっしゃった最初の一歩、これを踏み出せるようにするためには、中小企業も、経営指導員も、何が必要なのかということを理解し、また取組をスタートしやすくなるような制度や仕組みが非常に大事ではないかと改めて思っております。この点も付記いただければありがたいと思います。
 私から以上です。ありがとうございました。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 今、最後におっしゃった、その理解するための制度や仕組みというのは、例えばどういうことをお考えでしょうか。
 
大下オブザーバー
 ありがとうございます。やはり分かりやすいのは、先ほども申し上げたような、こういう補助事業がありますよ、こういう取組をすれば助成金がありますよ、こういう取組をやるのであれば、こういう専門家からの指導、アドバイスがいただけますよ、といった支援を具体的な制度としてつくっていただくことが非常に重要と思っています。地域で環境面での経営指導ができるような人材が育っていって、その人たちが指導に出向けることが最終的には必要なんでしょうけれども、それには恐らく時間がかかる。まず関心を持ってもらうためにも、具体的な制度や助成のような仕組みがあると一つのきっかけになるのではないかと思います。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。恐れ入ります。
 では、経団連の長谷川様、お願いします。
 
長谷川オブザーバー
 長谷川でございます。ご指名どうもありがとうございます。
 まず事務局、あるいは座長には、資料、大変これまでのポイントをよくまとめていただいていると思っておりまして、感謝申し上げます。それを踏まえて、手短に4点ほど申し上げたいというふうに思います。
 1点目は、これは国民理解の醸成ということでございます。ここの資料に書いてあるのは、その国民をどういうふうに脱炭素型のビヘイビアに誘導するかということに、むしろフォーカスが置いてあるのかもしれませんけれども、やっぱりこれ、2050年カーボンニュートラル、最終的に成長につなげていかなきゃいけないということは間違いないんですけれども、その過程では、産業構造の転換でありますとか、あるいはコスト負担というのが生じるということも十分考えられるというふうに思っておりまして、その点についての理解の醸成をしっかり訴えていく必要があるのではないかというふうに考えておりまして、それも一つの項目として立てていただければというふうに思います。
 あと、2点目はカーボンプライシングでございます。資料の24ページでは、自主的なクレジット取引、炭素税、排出量取引制度という三つの連携について方向性が示されているということでございますけれども、成長に資すると、かつイノベーションをしっかり促進できるということが重要だというふうに思っております。
 さらに、昨今の国際情勢もございますけれども、エネルギーの安定供給、あるいは国民生活への配慮という点が重要でございますので、追加的なコストの負荷、あるいは慎重であるべきという個別の枠組みでの議論と、意見も十分踏まえていただければというふうに思っております。
 あと、最後2点は、これ、今書いてあるところでお願いしたいところでございますけれども、一つは国際展開ということでございまして、これ地球規模のカーボンニュートラルに貢献するということに加えて、海外の成長に取り組むということが重要だと思っておりますので、まさに今書いてある方向で取り組んでいただきたいということでございます。
 最後、ファイナンスでございます。これもカーボンニュートラル実現のためには大きな投資が必要になるというのは間違いないことでございますので、35兆ドルと言われているESG資金を国内にぜひ呼び込んで、取り込んでいくことが重要だというふうに思っております。
 私からは以上でございます。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 では、太田委員、お願いします。
 
太田専門委員
 私のほうから、それじゃあ簡単に3点。
 本当によくまとめられていると思います。1点目は、ページ13のところ、先ほど浅利委員の方からもお話が出て、また、ほかの方からも出ておりましたけども、ページ13の三つ目ですね、「その土地の特徴を活かして資源循環」云々と。ここをもう少し強調していただいてもいいのかなという思いがしております。それが1点。
 それから、もう一点は、15ページです。15ページのところの住宅・建材・機器のところですけども、ご存じのとおり、木造の建築物の促進法が公共だけじゃなしに民間も含めて促進しようという法律ができております。そういう意味で、木造建造物、建築物の促進というのをちょっと入れていただいたほうがいいのかなと。
 ご存じのとおり、一つはCO2の固定化ということにもなります。そしてもう一つは、先ほどから出ておりましたけども、木造住宅とか木造の建物、健康上にもいいというのが、エビデンスをどう求めるかというのもあるんですけども、健康上にもいいというようなことがありますから、そういうのが2点。
 3点目ですけども、これちょっと書きにくいのかなとも思うんですが、今日、三日月知事も発言されていましたけども、都道府県とその市町村とのある意味でのその役割分担、そんな明確にはできないですけども、そういうことをちょっと触れたほうがいいのかな。
例えば大下委員が先ほど言われましたが、中小企業がこういうことで動くというのは、経営指導員、商工会議所、商工会の経営指導員の力が大きいんですけども、その行政は、基本的には都道府県にあると思っております。そういうようなことで、都道府県が果たす役割というのは結構ありますし、生活面でいうと、市町村の役割が結構大きいということで、何かもうちょっとそういう議論をした上で、抽象的になるかもしれませんけど、役割分担を入れるのはどうかなと思います。
 それと、これはここに書くべき話じゃないとも思いますけども、地方自治体が積極的に動くのは、かなり財政面が大きいと。そういう意味では、総務省と財政局と相談していただいて、地方交付税の基準財政需要額にこういう取組について、その一定、もう少し入れる、今もないわけじゃないですけども、もう少し膨らますみたいな、そういう政策誘導をされたらどうでしょうか。
 以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 では、小野委員、お願いします。
 
脱炭素社会移行推進室長
 退室されました。
 
大塚委員長
 退室されました。はい、分かりました。
 では、武藤委員、お願いします。
 
武藤専門委員
 全般的には、伴走の段階から先導する段階というキーワードを含め、非常によくまとめていただいていると思います。国際展開・国際協力で補足の点は3点でございます。
 まず、グリーンウォッシングとみなされないことが重要というところがありますけれども、それの一つの対応の仕方として、今、G7ですとか、あとはG20、また地域の国際金融機関であるADBのほうでアジアの各国のトランジションをマルチラテラルに取り組もうという流れがあると承知しております。そういうマルチラテラルな取組の中でしっかり位置づけられるということであれば、グリーンウォッシングとみなされないというところにもつながるのではないでしょうかという、それが1点。
 その次は、国際的な気候ファイナンスへのコミットメントという観点で民間資金の触媒としての公的資金が重要だというふうに、もう既に認識いただいてるんですけれども、では、それをどう実現するか。諸外国を見ますと、リスクテイク、それからグラント性の資金と、日本には実はないようなツールがたくさん出てきております。そういう新しいツールに関して、政府、それからJICAも考えていかなければと思っておりまして、その点、触れていただければと思っております。
 最後は、国際協力におけるジャストトランジションでございます。私どもも、社会的なジャストトランジションは何かということで考えなければいけないのですが、しかし、例えばインドの炭鉱のその雇用の問題どうするのかとなると、日本らしい知恵がなかなかないなと行き詰っています。しかし今回、特に日本の地域社会での取組を非常に詳しくお伺いいたしまして、ふと考えると、都市への出稼ぎで空っぽになってしまった途上国の地域社会と、課題がすごく似てるところがたくさんあるんですね。ということで、日本の地域社会の知恵をジャストトランジションのためにも生かすという観点もありますことを触れていただければと思います。
 以上です。
 
大塚委員長
 淡路委員、お願いします。
 
淡路臨時委員
 ありがとうございます。
 取りまとめいただきまして、まず、ありがとうございます。今日のお話しいただいた中で非常に印象的だったのが、三日月知事がおっしゃっていた危機感の発信が必要だということだと感じています。何人かの委員の方と重なる意見になってしまうかもしれませんが、14ページのところに「消費者の意識・行動面の取組」とありますが、その望ましい行動や理想の生活スタイルみたいなものを発信することはもちろん、当然必要だと思うんですけれども、多くの人がその行動変容をするためのスイッチはばらばらなので、いろんなスイッチがないといけない。その中には、やはりその危機感を上手に伝えていくというのが効果的なんじゃないかなと思いました。
 いたずらに不安をあおるというような見方もありますけれども、そういうことを恐れ過ぎないようにして、うまく危機感を伝えることで、消費者もそうですけれども、企業の行動も変わっていくのではないかなと。消費者も、企業も、危機感は一つのスイッチになるのではないかなと思います。それを中に盛り込んでいただければと思います。
 以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 では、森田委員、お願いします。
 
森田専門委員
 ありがとうございます。
 私のほうから3点、重要であるかなというふうに感じる点を三つ補足させていただきたいと思います。
 一つが、自治体の、今日、金融の話とかもいろいろありましたけれども、私自身、都市の気候ファイナンスについて、少し国際的な議論を研究してるんですけれども、かなり、こういった都市の気候ファイナンスとか、そういった都市レベルのファイナンスも議論が進んでいると思います。で、個人的には、国内外関係なくよいグリーンの投資の取組には、より投資が集まるような、そういったことも可能性もあるというふうに考えているので、国際的に見ても、すごくいい取組だというふうに認識されるようなものにしていく必要があるかなというふうに思っておりまして、こういった国際的な議論というのも、もう少しフォローしていく必要があるのかなと思います。
 2点目は雇用に関してです。雇用創出に関しては、もう今既にあるものだけでなく、例えば、一番初めのときにお話ししたネイチャーベースソリューションの関連でも、新しい雇用の可能性がいろいろあると思います。森林の関連だけでなく、農業とテクノロジーとかをいろんな組み合わせた新しい雇用であったりとか、グリーンインフラ、そういった新しい、新たな雇用はどうなのかということも、もう少し検討していく必要があるかなと思います。
 3点目は、最後ちょっとチャットのほうに小野さんからもありましたが、若い世代からのインプットは、若い世代を巻き込むこと、さらに若い世代からのインプットというのも、もう少し必要であると思います。
 社会変革の必要性については、若い世代ほど、それはもうやらなくてはいけないというふうに認識していると思います。で、そこは結構、認識は上の世代ともギャップがあるのではないかというふうに思います。できるだけ若い世代を議論に参加できるような方法ですとか、あとは若い世代からの意見を何かこう取り込める、コメントをもらえるような仕組みであるとか、そういったこともぜひ検討いただければと思っております。
 以上となります。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。
 では、中村委員、お願いします。
 
中村専門委員
 聞こえますでしょうか。
 
大塚委員長
 聞こえます。
 
中村専門委員
 すみません。ご説明いただきありがとうございます。途中、委員会後にメールにて意見した内容も含めていただき、恐縮です。
 本日、三日月委員の資料でも、基礎データの提供ということでご提案がありましたが、ライフスタイルのトランジションを進めるに当たっては、効果的な施策の検討ですとか、またユーザーへの情報提供という意味でも、実際のデータをどう取得して、どのように加工して、どう見せるかというのは重要になりますので、この辺りはデジタル化の進展とともにご意見も含めて検討を進めていただければと思いまして、改めて意見させていただきたいと思います。
 データを見せるという意味では、消費者が手に取ってすぐに確認できるものから、例えば住宅建築でいきますと、BEMS、HEMSといったエネルギーの見える化やそのマネジメントを可能とするものもありますけど、なかなかそれが全てのセグメント、つまりは中小レベルにまで浸透しているかというと、まだまだであると思っています。
 ちょっと細かい点で恐縮ですが、1点、内容について、ちょっと誤解されてはいけないので、文言を修正していただきたい点がありまして、16ページの下から3ポツ目について、意見したかったのは、断熱回収だけ、「かいしゅう」の「改修」がちょっと字が違ってますけど、断熱改修だけに着目せずに、他用途もエネルギー消費量が実は大きいので、対策は必要だという点でしたので、例えば記載いただけるのであれば、既存住宅への対策としては、暖冷房のエネルギー削減に寄与する断熱改修だけでなく、エネルギー消費の大きい給湯や照明家電等の高効率機器への購入や買替えを、さらに促進する策も必要という形でご修正いただければと思います。
 すみません。以上です。
 
大塚委員長
 ありがとうございます。恐れ入ります。
 では、髙村委員、お願いします。
 
髙村委員長代理
 宮下委員、手を挙げていらっしゃいますが、よろしいでしょうか。
 
大塚委員長
 宮下委員、お願いします。
 
宮下専門委員
 ありがとうございます。2点、クイックに申し上げます。
 全体の構成からすると、国際展開というところと、それからページでは、20ページの国内の動きということで、金融が内外で分かれている印象があります。確かに発信している意見は異なりますが、私どもグローバルにビジネス展開をしている金融機関も、対外的な理解をしっかり求めていかないと、国内でファイナンスするにあたって、窮することになってはいけないと思っています。最終的な構成の作り方はお任せいたしますが、あまり内外を分断しないような形のほうがいいかなと、印象論としてはそう思いました。
 それと、先ほどのデータのお話が中村さんのほうからありましたが、消費者の方の理解のところの文脈でありましたけれども、私自身も、やはりファイナンスを実行していく中でも、データに関する事項は非常に大事なことですので、その辺りがどこかで取り上げられれば良いと思った次第です。
 以上、2点です。
 
大塚委員長
 はい、ありがとうございました。
 では、髙村委員長代理、お願いします。
 
髙村委員長代理
 ありがとうございます。大きく、申し訳ありません、4点申し上げたいと思います。
 一つは、全体に関わるところで委員から非常に重要なご指摘をいただいたところがあると思っております。一つは、竹ケ原委員からありましたウクライナ情勢に関わるご発言です。カーボンニュートラルに向かう道筋に影響を与えるのでしっかり見なきゃいけないということとともに、これ、チャットで務台副大臣、コメントを入れてくださっていますけれども、必ずしもそれはドローバック、後退する話ばかりではなくて、むしろ、このエネルギー制約の中で、エネルギー安全保障上も温暖化対策が重要になってくると。これは、恐らくエネルギー価格、家計の負担という点でもそうだと思いますので、こうした認識はやはりこの委員会の中で盛り込む必要があるんではないかという点です。
 もう一つ、全体に関わって重要なご指摘は、三宅委員のご指摘です。IPCCのワーキンググループ3の報告書がちょうど出たばかりですけれども、強いメッセージは、やはり足元からここ数年の取組が、1.5度でも2度でも決定的に重要だというメッセージだと思います。それは日本もそうですし、国際もそうで、IPCCの今回の報告書に示された知見というのは、ぜひ反映をしていただきたいと思います。これが大きな1点目です。
 二つ目が地域の脱炭素部分です。大変うまく整理をしていただいてると思います。で、脱炭素先行地域、特に民生部門の電力消費に伴うCO2の排出実質ゼロ達成というのが、主要な目標になっていると理解しています。で、電力部門の脱炭素化、当然、エネルギー部門の脱炭素化の中で最も先行的に進まないといけないところですので、今、利用可能な技術があるという点でも、それから可能な技術がない、技術のコストを下げるという点でも非常に重要だと思います。
 ただ、他方で、日本の温室効果ガスの排出を見ると、ご存じのとおり、エネルギー起源のCO2の温室効果ガス、約85%を占めますけれども、エネルギー起源のCO2の約、私の記憶が間違っていなければ、半分程度は電力以外からの排出です。そういう意味では、民生部門の電力消費はもちろんなんですけれども、やはり熱の部分、それから輸送の部分をしっかり脱炭素化をする。しかも、これはやはり地域で取り組むことのメリットと必要性が大きいと思います。
 で、熱は当然広域で利用できませんので、地域の取組が必須でと思います。そういう意味では、熱の利用については水素、未利用熱やそれから排熱なども含めて加速化の取組についてしっかり位置づけていただきたい。
 それから、モビリティも含めて、こうしたモビリティの電動化や熱を使った例えば水素、グリーン水素の生産や活用というのは、これは再エネが主力化する社会においては、柔軟性を提供する非常に重要なリソースになると思います。そういう意味で、地域の脱炭素化の中にこの点をぜひ位置づけていただきたいと思います。で、特にこうした取組、寒冷地ですとか、離島といったような、そもそもエネルギーコストが高くて、逆に地域の脱炭素化をこうした形で進めるメリットが大きい地域で、ぜひ先行的な取組をお願いしたいというふうに思っております。
 それから、すみません、地域の脱炭素化でもう一点申し上げると、象徴的なやはり取組をつくっていく、そして、しかもパブリックが大きな役割を果たせるところを、先行的にやはり動かしていく必要があると思ってまして、国や、あるいは地方公共団体の建築物、例えば学校や庁舎のZEB化といったような点は、これ、広い意味での教育的効果も含めて先行的に行うと、こういう視点が非常に重要だと思います。あわせて、国交省さん、今、空港とか港湾とか鉄道などのインフラ、物流の脱炭素化、非常に頑張ってくださってるんですけれども、先ほどのあの政府や自治体の庁舎や学校と並んで、やはり災害時の拠点や災害時のレジリエンスに、地域にとって裨益が大きいというふうに思っていまして、こうした地域のやはり拠点を集中的に意識して脱炭素化を進めていく、そうした取組を通じて人材もつくっていくと、こういう視点が重要ではないかと思います。
 大きな3点目、脱炭素経営のところなんですが、実は日商の大下委員が、もう既にお話をされたのとかぶるので、ごく簡単ですけど、やはり中小企業の脱炭素化をどうやって支援していくか。特に排出量の把握から始めて、これは非常に重要だと思います。中小企業だけの問題ではなくて、これはサプライチェーンの担い手でもあり、地域経済の重要なプレーヤーですので、ここをぜひ取組を進めていただきたいと。今日のご報告にもありましたけど、やはりそこに地域の金融や、まさにサプライチェーンを持っていらっしゃる大企業と協力をする可能性というのが大きくあると思います。
 それをある意味でインセンティブをつけるためにも、地域の金融機関、あるいは企業のスコープ3の排出量の算定ですとか、あるいは情報開示ということを進めていく、あるいはそれを支援するツールということをしっかり、取組を進めるということが重要ではないかと思います。
 ぜひ、地域の商工会議所さん、自治体さん、そして温対法の地域センターなど、連携した支援を位置づけていただけるといいなと思います。
 4点目は、もう実は中村委員、宮下委員がおっしゃった点です。デジタルの点で、これは自立・分散型の国土形成、人口移転、分散型の国土形成の点でも、このデジタルの役割というもの、あるいはデジタルとグリーンの相乗効果が大変大きいと思いますので、デジタルとグリーンのこの連携についても位置づけていただきたい。中村委員、宮下委員のご意見に賛成いたします。
 すみません、長くなりました。以上です。
 
大塚委員長
 はい。7時半になりますので、この辺にしたいと思います。よろしいでしょうか。
 髙村委員長代理から補足ありました熱の点は、地中熱の話とかも重要になってまいりますので、まさにこれは地域で対応していただく必要がございます。地盤沈下との関係もあるんですけども、地盤沈下が起きないような地中熱利用も、大阪のうめきたなどでは、やっていただいていますので、そういうこともどこかに入れてもらうといいかなと思いました。
 では、熱心な議論を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。次回は、本日までのご議論を踏まえまして、今後の施策等について中間整理の取りまとめの議論をお願いできればと考えております。
 最後に、議題その他につきまして何かございましたら、事務局からお願いします。
 
脱炭素社会移行推進室長
 特にございません。
 
大塚委員長
 はい。それでは、以上で本日の議事は全て終了いたしました。30分遅くなってしまいましたが、円滑な進行にご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
 それでは、事務局にお願いいたします。
 
脱炭素社会移行推進室長
 委員の皆様におかれましては、大変ご活発なご議論を賜り厚くお礼申し上げます。
 本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただいた後に、ホームページに掲載をさせていただきます。
 次回の日程は、4月21日木曜日を予定しております。
 それでは、以上で、炭素中立型経済社会変革小委員会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

午後7時30分 閉会