気候変動影響評価等小委員会(第24回)議事録

日時

令和4年6月17日(月)14:00~15:31

場所

WEB会議システムにより開催

議事次第

1.開会

2.議事

(1)次期気候変動影響評価の検討の進め方等について

(2)分野別ワーキンググループ(WG)の設置及び今後のスケジュールについて

議事録

●気候変動適応室長

それでは、定刻となりましたので、ただいまより第24回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会を開催いたします。
委員長に議事進行をお願いするまでの間の進行役を務めます、環境省気候変動適応室長の塚田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、環境省地球環境局長の小野よりご挨拶申し上げます。

 

●地球環境局長

環境省の地球環境局長の小野でございます。
委員の先生方におかれましては、お忙しい中、本日の会合にご参加いただき感謝申し上げます。本小委員会は、今年度初めての開催となります。三村委員長をはじめとする委員の皆様、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
今年に入りまして、IPCCによる第6次評価報告書の第2作業部会、それから第3作業部会の報告書が公表されています。そこでは、まず人為起源の気候変動が、自然と人間に対して広範囲にわたる悪影響、それから、それに関連した損失と損害を、自然の気候変動の範囲を超えて引き起こしているということが1点。もう一つは、これはパリ協定の目標でございますが、温暖化を1.5℃や2℃に抑える排出経路では、世界の温室効果ガス排出量は、2025年以前にピークに達するという予測がなされています。
将来、地球温暖化の進行に伴って、大雨の頻度や強度、台風の強度の増加等が予測されており、気象災害のリスクが増加することが懸念されております。国内のみでなく、世界全体で、気候変動対策は待ったなしの喫緊かつ重要な課題となっています。
先月、ドイツで開催されましたG7の気候・エネルギー・環境大臣会合でも、G7を含む全ての国が、温室効果ガスの排出量を急速かつ大幅に削減するという緩和の取組はもちろんのこと、適応への取組も強化する必要があるということが、改めて強調されています。
我が国は、岸田総理が昨年のCOP26で表明いたしましたように、2021年から2025年までの5年間で、適応分野の資金支援を倍増いたしまして、官民合わせて約148億ドルの支援を行うこととしているなど、途上国への支援も強化しています。本年11月にエジプトで開催されるCOP27では、適応にも焦点が当てられる見込みであり、我が国としても取組をしっかりと進めていく必要があります。
昨年10月、2050年カーボンニュートラル、そして2030年度46%削減目標の実現に向けました「地球温暖化対策計画」、それから「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」と併せまして、「気候変動適応計画」についても改定し、閣議決定いたしました。新しい「気候変動適応計画」は、一昨年12月にこの小委員会でまとめていただきました「気候変動影響評価報告書」を踏まえつつ、農林水産業、自然災害をはじめとする各分野の適応施策について、充実を図っており、この計画に基づいて、政府と一丸となって適応の取組を推進しています。
また、この計画のフォローアップや気候変動適応の進展の状況を把握・評価する手法の開発に向けまして、去る6月10日には、環境大臣を議長とする気候変動適応推進会議を開催し、関係省庁との連携も進めています。
気候変動適応に関する施策については、改めて申し上げるまでもなく、最新の知見を踏まえて実施する必要があります。次期の気候変動影響評価の取りまとめについては、令和7年度(2025年度)を予定しておりまして、本日の小委員会におきましては、前回の小委員会におけるご指摘、ご意見を踏まえつつ、今後の作業方針の検討、課題の整理、事例・文献の収集・整理方法について、ご検討をいただきたいと考えています。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 

●気候変動適応室長

ありがとうございました。
本日の会議は、現時点で委員総数の過半数以上の28名の委員にご出席いただいておりまして、定足数に達しておりますことをご報告いたします。
本日の小委員会は、新型コロナウイルスの感染の発生状況を踏まえ、感染拡大の防止の観点から、傍聴者なしのWEB会議システムによる開催となります。また、この会議は環境省の公式YouTubeチャンネルよりライブ配信を行っております。資料及び議事録についてはホームページにて公開とさせていただきます。
WEB会議での開催となり、委員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、何とぞご容赦願います。何かご不明な点がありましたら事務局まで、右下のチャット欄か、事前にお伝えした電話番号まで、お電話にてお知らせください。
続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は、本小委員会委員名簿のほか、資料1、資料1の参考、資料2、それから参考資料1から4となっております。各資料については、事前にお送りしておりますので、お手元にご準備をお願いいたします。なお、参考資料につきましては、IPCCのAR6、WG2の報告書関係、それから昨年10月に改定した気候変動適応計画の概要のほか、先ほど局長挨拶でもご紹介のありました、去る6月10日に開催した気候変動適応推進会議の資料のうち、適応計画の進捗の管理、評価方法に関する資料等をお示ししておりますので、ご確認ください。
では、議事に移るに当たりまして、前回以降、新しく委員にご参画された方をご紹介させていただきます。松木洋忠専門委員でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。議事中、委員長及び発言者以外は、マイクをミュートに設定してください。また、回線負荷を回避するため、ご発言以外は、できるだけカメラの使用をお控えください。画面の下にあるカメラのアイコンをクリックし、カメラをオフにしてください。ご発言される際は、ご自身の名前の右側にある手のマーク、挙手ボタンを押してください。三村委員長に、順番にご指名いただきますので、マイクのボタンを押してミュートを解除し、ご発言ください。ご発言が終わりましたら、マイクをミュートにし、再度挙手ボタンを押して、挙手を解除いただくようお願いいたします。また、ご発言の際は、最初にお名前をおっしゃってください。マイク、デバイスに物理的なミュートスイッチがある場合はオンにしておいてください。ご発言時以外に、ご意見、ご質問がある場合もチャット欄をご活用ください。
それでは、以降の議事進行を三村委員長にお願いいたします。三村先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。委員長の三村です。今日は大勢の皆さんに集まっていただきまして、大変ありがとうございます。
今日の議題ですけれども、2つあります。1つは、次期気候変動影響評価の検討の進め方等について、これがメインのテーマであります。2番目が、分野別ワーキンググループの設置及び今後のスケジュールについてということです。昨年の9月の議論においても、2025年に公表される予定の次期気候変動影響評価報告書、これのあり方について、非常に活発なご意見をいただきました。今日はそれを踏まえて、事務局のほうから提案、報告があると思いますので、それに対して、改めて様々な角度からご意見をいただきたいと思います。
それでは、最初の議題、次期気候変動影響評価に向けた検討の進め方について、事務局より説明をお願いします。よろしくお願いします。

 

●気候変動適応室室長補佐

環境省気候変動適応室の梅本と申します。それでは、議題1の次期気候変動評価の検討の進め方等について、説明をさせていただきます。
1ページ目の(1)これまでの経緯につきまして、現在の影響評価報告書は、令和2年12月に公表されました。この影響評価報告書を踏まえまして、令和3年10月に適応計画を改定いたしました。気候変動適応に関する施策を効果的に実施してくため、影響評価報告書で重大性や緊急性の高かった分野について優先的に対応するとともに、科学的知見が乏しい分野の調査研究を進めるということが適応計画で記載をされているところです。計画に基づく施策の進捗状況を把握・評価するなど、PDCAサイクルの下で的確に気候変動適応計画を進めるため、2025年度に影響評価の実施、適応計画の見直しを2026年度に実施することなどが記載されているところです。
続きまして、(2)の次期気候変動影響評価に向けた課題整理です。現在の影響評価報告書にも記載されている課題や、昨年度開催されました小委員会でのご意見、有識者や自治体・事業者へのヒアリング結果を踏まえて、最終的に12個の検討課題を整理いたしました。いただきました意見の詳細につきましては、資料1の後ろの参考資料で整理をいたしておりますので、またご覧いただければと思います。
次期気候変動影響評価の課題を整理したものが2ページ目の表1になります。検討課題といたしましては、検討課題の大分類、次期気候変動影響評価を行う目的、重大性・緊急性などの評価手法、気温上昇や社会経済などのシナリオ、知見を収集するための情報源、分野の連鎖、複合災害などの新規項目、そして、最後に効果的な情報発信として整理をしているところです。次期影響評価報告書を取りまとめるか、個別の課題に対する対応方針について、3ページ以降で説明をさせていただきます。
3ページ目以降の構成ですが、四角囲みのところで次期影響評価につきましての方針案を記載しています。また、一部方針案につきましては、さらに検討が必要な課題ということについても整理をしています。四角囲みの下に、方針案を出すに至った検討経緯というもので、整理をしているところです。次期影響評価の目的の明確化につきまして説明します。次期影響評価を首尾一貫進めていくため、次期影響評価を行う目的を明確にすることが必要ではないかと考えているところです。目的としましては3点あり、1つ目は、最新の知見を踏まえた更新であること、2つ目は、国や自治体の適応計画への活用につなげること、そして、3つ目の事業者や国民などにも役立つ情報の提供をすることなどを目的ということで盛り込んでいきたいと考えているところです。
続きまして、4ページ目の重大性の評価の見直し、気温上昇(緩和)シナリオの設定につきまして、方針(案)では、表2に示しておりますように、新旧対照表の形で整理をしております。左側が現在の影響評価報告書の内容、右側が次期影響評価の案となっています。重大性の評価につきましては、現在の影響評価報告書の重大性は2段階で評価をしておりますが、海外の影響評価も参考にしながら、3段階の評価で、より細かい評価というものを考えております。また、この評価を重ねるにつれまして、この重大性というものが最高評価となってしまう小項目の割合が増えていくということも想定されておりますので、可能な限り、この分野間で重大性の評価の割合をそれを明文化した上で調整していきたいと考えています。気候シナリオにつきましては、現在の影響評価報告書が2℃、4℃ということで分けておりますが、今回、1.5℃上昇であるとか、3℃上昇についても検討していきたいと考えています。また、検討が必要な事項といたしまして、評価のベースラインをどこに設定するかということ、例えばIPCCと合わせまして、産業革命以前にするなどの方法が考えられると思いますので、今後、ベースラインについても検討していきたいと考えているところです。また、現影響評価では、緊急性で評価をしていました、影響の発現時期について、年代や気候シナリオに沿って考慮するほうが適切ではないのかと考えまして重大性の評価に盛り込んでいきたいと考えているところです。影響の発現時期といたしましては、21世紀中頃であるとか21世紀末、その2つに加えまして、現在も評価対象に加えることも、今後検討すべき課題として考えているところです。
6ページ目の緊急性の評価の見直しにつきまして、重大性のところでも説明したとおり、影響の発現時期を重大性で評価したいと考えていますので、適応の着手や重大な意思決定が必要な時期の観点で、緊急性を評価していきたいと考えています。さらに検討が必要な項目といたしましては、概ね5年ということで、考えているところではありますけども、この5年というものが本当に適切なのかということと、有効な適応策がなかったり、間に合わなかったりなどの緊急度をどのように表現するかというところの検討も、今後必要になってくるかと考えているところです。
7ページ目の「適応能力評価手法の検討」や、「特に強い影響を受ける地域・対象の提示」につきまして、小項目ごとに記載する内容といたしましては、現在の影響評価から項目を追加することを考えているところです。適応策の効果を考慮した評価手法の検討や、特に強い影響を受ける地域・対象、例えば集団であるとか業種というようなものが考えられますが、そういったものを評価していきたいと考えております。ただし、この地域ごとの影響評価や、この適応能力を体系的に実施するべきか、また、この実施する場合においても十分に知見が必要になってきますが、知見があるかというところにつきましては、今後検討が必要になってくるかと考えているところです。
8ページ目の社会・経済シナリオにつきましては、次期影響評価では、この社会・経済シナリオの考慮も検討していきたいと考えています。S-18や気候変動予測先端研究プログラムで進められております社会・経済シナリオを考慮した影響評価、そういったものができるか検討を進めていきたいと考えているところです。
9ページ目につきましては、先ほど説明させていただいた検討項目について、科学的知見をどう収集していくかの方針案をお示ししており、基本的には、現在の影響評価報告書の方法を踏襲していきたいと考えております。学術論文のほか、気候変動影響や適応に関する事業・研究を活用するほか、知見が少ない産業・経済活動分野や国民生活・都市分野につきましては、企業の気候変動リスク開示結果を中心に、幅を広げて収集していきたいなと考えているところです。また、海外からの二次的影響や気候安全保障につきましても、IPCCの報告書や、アジアモンスーン地域の気候変動影響評価報告書を中心に、知見を収集していきたいと考えているところです。
10ページ目は、「ステークホルダーからの意見・知見の収集」ということで、影響評価報告書の主な使用者といたしまして想定されるのが、自治体や事業者になると思いますので、そちらから意見・知見を収集する観点から、関係省庁や地域・事業者などのステークホルダーに対しまして、次期影響評価に向けて設置を予定しております分野別ワーキンググループへの参画、ワークショップの開催などを通じて、意見・知見を収集していきたいと考えているところです。
11ページ目が「分野間の影響の連鎖」の検討ということで、個別の分野、項目を超えまして、それぞれの影響が波及していくことや、多方面にわたる被害をもたらすということが考えられますので、分野間の連鎖についても検討していきたいと考えております。既存の文献で、IPCC第5次報告書を活用して、全体像を俯瞰できるように、こういうネットワーク図やフローチャートを作成した事例、この資料でお示しをしていますが、同様の方法を用いまして、第6次報告書を活用して、整理できないかということも検討を進めてまいりたいと考えているところです。
13ページ目が「複合災害」の検討」ということで、現在の影響評価報告書では、この複合災害を構成する要素といたしまして、図3では、Cで示しております、全てが気象災害、気象災害×気象災害といったもので、複合災害を定義していますけれども、もう少し対象を広げまして、例えば気象災害と地震や火山噴火といったようなものも一定数、文献というのがございましたので、Cの範囲ではなくて、Bの範囲で複合災害として定義できるかどうかということについて、検討を進めていきたいと考えているところです。
14ページ目が「効果的な情報発信方法の検討」ということで、報告書形式以外の情報発信方法についても検討したいと考えています。例えば、利用者別の啓発資料の作成であるとか、シンポジウムやセミナーの開催、そういったものを検討していきたいと考えています。同じページの下の「適応の限界」や「適応の失敗」「変革的な適応」についても検討を進めていきたいなと考えています。IPCCの第6次報告書の第2作業部会では、この適応の限界や適応の失敗、変革的な適応が取り上げられておりました。次期影響評価報告書でも、どう盛り込んでいけるかということを考えていきたいと思っております。具体的な方法は、これからの検討になりますけれども、考えられる方法としましては、知見があるということであれば、小項目ごとに記載をするであるとか、知見が限られてしまっているということであれば、コラムといった形で整理をしていくということも考えられるので、今後、具体的な方法については、検討していきたいと考えているところです。
以上が、簡単ではございますけれども、議題1の次期気候変動影響評価の検討の進め方ということで報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。次期の影響評価では、最初は分野別の評価から始めるということですけれども、全体的に同じような考え方、同じ評価の方法、なるべく線をそろえて、2025年という、かなり影響もより厳しくなってくる、そういう状況の下で、我々がどういう情報を整理すべきか、そういう方向で今日の対応方針をまとめていただきました。
それでは、委員の先生方から、ご意見を伺いたいと思います。40分程度、時間を取ってありますので遠慮なく、どなたからでも、あるいはどの点からでも結構ですので、ご意見をお願いしたいと思います。下の段にある挙手ボタンを押していただくと、私にどなたが手を挙げておられるのか分かるので、それではご意見のある方、早速挙手ボタンをお願いいたします。いかがでしょうか。どの点からでも結構です。
では、私が今見えている順番で指名をさせていただきたいと思います。最初に磯部先生、高橋先生、白戸委員、浅野委員、高薮委員。最初は、この順番でお願いしたいと思います。それでは、磯部委員、お願いします。

 

●磯部委員

ありがとうございます。簡単な質問ですけれども、今、説明いただいた4ページのところに重大性の評価のことが書いてあって、それの表3ですけれども、表2で重大性について、高、中、低でやるということはよく分かりました。それで表3に、さらに重大性の評価結果のイメージというのがあって、それで、現在というのと1.5℃~2℃、それから3℃~4℃というので、それぞれ「低」「中」「高」と書いてありますけど、これが一体どういうことなのか、よく分からなかったです。シナリオによって高になったり、中になるということなのか、説明していただけませんでしょうか。

 

●気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。表3のイメージですが、現在と1.5℃~2℃シナリオ、3℃~4℃上昇シナリオということで分けていますが、現在だと、重大性の評価が低くなっているということを、示しておりまして、例えばこの1.5℃~2℃上昇のシナリオの場合、例えば21世紀中頃に、1.5℃~2℃上昇する場合が考えられますし、21世紀末で1.5℃~2℃上昇する場合もあるかと思いますが、その場合の重大性としては低い、真ん中の中ぐらいの重大性の評価ということをイメージしています。あと、3℃~4℃につきましては、これも21世紀末に仮に3℃~4℃上昇したときに、この重大性の評価として高くなるということで、そういった評価がされるというようなイメージとして記載していす。

 

●磯部委員

1.5℃~2℃でも、なおかつ影響が出るのは重大性が大きいのかなと。3℃~4℃になって初めて影響が出るのは、重大性は大したことないのかなというのが、私の頭の中に直感的に入ってきたので、それと逆だなという印象があるのですけれども、そこはどういうふうに、恐らく私が誤解していると思いますけど、ちょっと教えていただけますでしょうか。

 

●気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。1.5℃~2℃になったときに初めて、その影響が出始めるのではないかという、そういったご指摘ですか。

 

●磯部委員

例えばで言いますと、1.5℃~2℃上昇シナリオで、海面上昇が仮に30cm程度上がったときに、高潮に対して非常に脆弱で影響が起こるというのは重大だと思いますけれども、その程度だったら大したことなくて、3℃~4℃になって海面上昇が60cm、70cmになると影響が出てくるということであれば、これは重大性から言うと、最初の前のケースよりは低いのではないかと感じたんです。

 

●三村委員長

今、磯部委員がおっしゃっている点というのは、この表の作り方にも関係すると思うのですけれども、事務局からの説明のように聞こうとすると、例えば小項目が、海面上昇による水没ということであれば、現在は低いと。ところが、21世紀の中頃になって1.5℃とか2℃ぐらいに上がったところでは若干海面も上がってくるので、中くらいの重要度になると。それから、それが21世紀末になると3℃、4℃の世界になって、もっと上昇してくるということであれば、これは高くなると。そういうように、一つの気温上昇のシナリオの下で起こってくる影響が、この時期にはこうなるということであれば、低、中、高と進むと、そういうふうな表であれば、比較的理解しやすいと思うんですね。だけども、それぞれが1.5℃~2℃上昇シナリオのときにはどうなのかというシナリオ別に書いてあると、磯部委員のおっしゃったような解釈にも取れるということになると思うんです。磯部委員のほうで、何かさらに追加のご意見はありますでしょうか。

 

●磯部委員

今の委員長のご説明で非常によく分かりました。マトリックスを書いたときに、だんだん同じマトリックスの中でも、3℃、4℃になると影響が高くなりますよというので、高だということで、よく分かりましたので、そこでみんなで共有できれば全く矛盾もないし、整理されていると思います。ありがとうございました。

 

●三村委員長

この1.5℃シナリオとか3℃シナリオって、シナリオという言葉がついているところが、少し誤解を生みやすい部分かもしれない。これは事務局のほうでも、どういう形で表現するか考えていただければと思います。事務局のほうでもよろしいでしょうか。

 

●気候変動適応室室長補佐

ありがとうございました。表のイメージの仕方が少し分かりにくいところがあったかと思いますので、検討したいと思います。

 

●三村委員長

ありがとうございました。それでは、質問に戻りまして、高橋委員、お願いします。

 

●高橋委員

よろしくお願いします。私のほうから3点、コメントがございまして、加えて、今の磯部委員のご意見に関連して、気づいた点がありましたのでお伝えします。磯部委員のコメントに関連した点としては、1.5℃、2℃が21世紀中頃というところに結びつけられているということで、それがある意味、緊急性が高いという評価と組み合わせる方針を示させる可能性もあるのかと、お話を伺っていて思いました。それが1点です。
加えて、私自身のほうで気になった、コメント3点ですけれども、一つ目がページ4、同じページの内容になりますけども、「日本版Burning Embersの作成も視野に入れるべきか。」ということで、これを考えた場合には、もしかすると、温度の上昇の水準だけではなくて、適応に関して将来大きな適応を見込めるか、それとも見込めないかというようなことで分けて評価できるものについては、分けて評価するかどうかということについての議論も必要かなと思いました。それがコメント一つ目です。
コメント二つ目ですけども、ページ番号で言うと、ページ番号8です。「社会・経済シナリオの考慮」の部分です。これは、もちろん考慮は必要になってくるわけですけれども、今、そのような研究が国際的に増えているというようなことを踏まえて、国際的に使われているSSPシナリオを使った影響予測研究、評価研究について、網羅的なレビュー作業というのが国際共同研究チームのほうで行われていて、まさに今日、12時間ぐらい前に、その成果報告が行われたところでした。後でチャットボックスのほうで、そのリンクを記載させていただきますけれども、今回に関しては、ここ2年から3年で公表された論文について、社会・経済シナリオをどのように使っているのかとか、どの分野の影響評価の研究であるかとか、ということでクラス分けして、1,000を超える論文が、整理を行っている数がございましたので、後でご紹介させていただきたいと思います(https://ciesin.columbia.edu/data/ssp-literature-database-v2-2020-2021/)。それが2点目です。
3点目ですけども、資料の番号で言うと、最後のページになると思います。14ページで、その他で、適応の限界、適応の失敗のことを触れられています。この適応の限界のところの説明でハードな適応、ソフトな適応があって、ここで「許容できないリスク」というようなキーワードが出てきますけども、この許容できないリスクについては、許容できるかできないという部分についての、その価値判断に関わる部分かと思います。この点については、慎重な扱いが必要なのかなと思いました。この委員会の中でのエキスパートジャッジの中で入れることができる話なのか、それともステークホルダーであるとか、国民などの意見も聞きながら、それに対して許容できるかできないかというようなことを、何かしら一段階、間に置かなければならないのか、そういった点についての議論が必要ではないかなと思いました。以上3点、コメントさせていただきました。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。それでは、後で事務局のほうから、この場で対応できるものは、まとめて対応をお願いしたいと思います。次の質問、ご意見に移りたいと思います。では、白戸委員、お願いします。

 

●白戸委員

ありがとうございます。私の質問は、先ほどの重大性のところですけれども、非常にシンプルですが、重大性のところで、表2がありまして、表2の一番上の枠の一番下に比率の調整というのがあります。それで、その上で、考え方をちゃんと明文化して調整するというのは、非常にいいですけれども、その結果、比率が分野ごとに極端に、こっちは高いのが多くて、こっちは低いのばっかりになったとしても、それは、そこの結果を見て調整するというのは何か、やらないほうがいいのではないかなと感じたんですが、ちょっと私の理解がおかしいのかもしれないので、その辺の考え方をもう一度ご説明、必要に応じてというのは、どんな場合に、この比率の調整をするということなのかということを聞きたいと思いました。

 

●三村委員長

これはご質問なので、事務局のほうから、今、この場でお答えできるのであればお願いします。

 

●気候変動適応室室長補佐

ありがとうございました。まず、この重大性の評価につきまして、分野間で調整しようという経緯といたしましては、文献が集まって、分野ごとに評価をすると、どうしても重大性が高い評価になってしまうというようなことが考えられるのではないかということで、そういった背景から各分野間で、重大性の高、中、低の評価というのを調整できればいいのかと考えておりました。具体的に調整の手法とか、そういったものは、まだ検討はしていないのですが、おっしゃるとおり、こういった評価をして、その分野ごとに調整するというところで、分野ごとに偏るというような懸念というのか、そういった可能性というのもあるかと思いますので、例えばですが、高、中、低の比率をあらかじめ設定しておくとか、何かそういった手法で、偏りがないような形で調整できればいいのかなと、現在考えているというところでございます。

 

●三村委員長

よろしいですか。

 

●白戸委員

そうですね。多分、もう少し議論を続けたほうがよさそうな、何か偏っていたとしても、それが正しい評価だという考え方もありそうな気がするので、多分、もう少し議論したほうがいいのではないかなと思いました。現時点の考え方は理解できました。ありがとうございます。

 

●三村委員長

一つは、その上に尺度の考え方の調整というのがありますから、全ての分野を通じて、どういう場合であれば高と評価するのかと、そこのところをしっかり定めておくと、今、白戸委員がおっしゃったようなことを考える前提条件としては、かなりはっきりした結果が出せるということになるのではないかと思います。これは今後、さらに中身を含めて議論しなきゃいけない問題なので、おっしゃるとおり続けて議論をしたいと思います。ありがとうございました。それでは、浅野委員、お願いします。

 

●浅野委員

ありがとうございます。今の話題については、確かに適応の領域がものすごく広いわけですから、領域が全部均等な重みを持っているなら、調整ということがあってもいいと考えますが、やはり多少の違いがありそうです。司法試験の採点ではすべての答案について全部調整させられますが、これは同一の問題への答案について調整をするわけですからそれでいいですけど、異なった問題への答案について、それらを一律に並べて調整しようとするということとなると、それは公平性を図るための調整をしようとしているわけではないですから、少し慎重のほうがいいかなと思って、今のお話を聞いておりました。
私が発言したかった点は、10ページに、情報収集のため、気候変動適応広域協議会の活用もすると書かれていることは関係している者としても大変ありがたいことで、感謝をしたいと思います。ただ、広域協議会といっても、この協議会の会合そのものは、割合に短時間の中で多くのテーマを扱うので十分な情報をお互いに交換するという機会にはなってないような面もあるようです。情報交換という意味で効果があるのは、具体的なテーマを取り上げて検討しているワーキングの働きであり、そこで自治体からのいろんな要望・質問が出たり、こんなデータが必要だといったやりとりも期待できているような気がしますので、広域協議会の事業としてやられている全体をしっかり見ていただく必要があるだろうという気がします。
7ページにあります、地域によって特にこれが大きく影響が出そうだというようなテーマのことについても考えないといけないわけですが、この点を考えていくためには、広域協議会を活用した事業として、当初の適応コンソーシアム事業から、現在は広域アクションプラン事業に変わってきていますけれども、一斉に全国でプロジェクトを組んでいって、いろんなテーマについての検討をするということは、今まであんまりやってなかったのですが、現在の広域アクションプランに発展してきている過程をみておりますと、かなりそういう作業を緻密に進めることができるようになってきていると考えます。この評価書を作るときに検討材料にされる論文の中には、全国を見渡しての論文もあるんでしょうが、割合地域的なテーマに関する論文のようなものもあって、論文の対象とするものが随分いろいろあるんだろうと思います。しかしさらに、同時に全国を一斉に見渡して、地域特性を考慮してのテーマを選んで調査・検討を進めてきているという点で言うと、これまでの適応コンソーシアム事業や、現在進められている広域アクションプランの事業には、それなりの意味や意義があるような気がします。ぜひこれは、今後とも後継計画を具体化させて、こういった事業としてまた続けていく必要があるんだと思いますし、そこでの成果物というものはあまり学術論文的ではないかもしれないけれども、コンソーシアム事業であるとか広域アクションプランの事業でやったことを、誰かがちゃんと整理をしていただけると、そこにはやっぱり気候変動影響の地域特性みたいなものが、かなりはっきりその中に出てきているだろうと思いますので、その内容を横断的に検討・分析してみるということも十分に意味があるのではないかと思います。つまりこの今までやってました適応のこういう事業というのは、横断的に物を眺めるためのいい材料を提供してくれるような気がするわけです。ですから、ぜひそれを整理した上で、この次の評価をするときに成果を活かせるようにすることが必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。私の意見は以上です。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。有用な意見だと思いますので、今後の進め方の中で、今のようなことも十分取り入れていただきたいと思います。
それでは、高薮委員に次、お願いしたいと思いますが、その後、沖委員、それから住委員、中北委員、それから古米委員、安岡委員、田中委員、この順番で発言をお願いしたいと思います。それでは、高薮委員、お願いします。

 

●高薮委員

ありがとうございます。ページ4のシナリオのところについて、若干コメントしたいと思います。私どもは、文科省プログラム、先端プロが始まりまして、その中で基盤となる気候予測情報を出しているわけですけれども、2025年のレポートに関する、この議論をする場合に、今、どの温度上昇シナリオがいいとか、そういうことについて議論する際には、多分もう既に計算が終わっている、我々のほうで、もちろん計算が終わっていて、それがもうS-18に渡されていて、S-18のほうで、もうかなり論文化されていると思うんですが、その中で、その範囲内で決めていかなきゃいけないという、かなり強い制約がかかるのではないかと思います。これを見ていると、2030年に何したらいいんだって思ってしまいますけれども、もしも2030年、次々期の影響評価報告書では、こういう方向にターゲットを振ろうよという話であれば、我々のほうにも、それはフィードバックして、じゃあ、どういう計算をこれからしていけばいいかということが議論できるんですけども、そこはちょっと残念というか、当たり前と言えば当たり前なんですが、そういうような状態であるということは考えておいたほうがいいのではないかなと思いました。2℃上昇、3℃上昇、4℃上昇、たしか私もIPCC(第1作業部会の第6次評価報告書)の場に参加していましたけれども、だんだん4℃上昇というのは、しぼんでいくのは目にしていましたし、ただし、もう2℃上昇、4℃上昇でほとんど論文はもう出来上がっていましたので、その辺の矛盾にも悩みつつ、レポートをまとめていった記憶がございます。単なるコメントです。ありがとうございます。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。今の点について、私、S-18のPLも務めさせていただいているので、一言言いたいと思いますが、今度のIPCCの第6次報告書でも、1.5℃上昇、それから近未来の影響というのは、比重が非常に大きくて詳しく評価されていると。そういうことに対応して、S-18の評価の中でも、来年度もう一度、全国評価をやるんですけれども、1.5℃のシナリオを使って、我が国において、1.5℃上昇のときには、どのような影響がどのようなところに現れるのかということについても評価をしたいというふうに考えています。プロジェクトのサイクルの関係でずれてしまうものはあるんですが、活用できる気候予測の結果を出していただければ、早速取り入れて、お互いに協力してやっていくというようなことがいいのではないかというふうに思います。高薮先生のところでも、ぜひ今後、議論させていただいて、できればいいなと思います。よろしくお願いします。

 

●高薮委員

ありがとうございます。

 

●三村委員長

それでは、沖委員、お願いします。

 

●沖委員

ありがとうございます。まず、重大性の問題につきまして、皆様、お話しされていたと思いますけれども、多分大きな問題は、前回の報告書で、少し私は気になったので議論したんですが、もう途中で諦めて、そのままになったのですが、やはり絶対値が問題なのか、変化が問題なのかということが、一つあるのではないかと思います。あるいは別の言い方をしますと、気候変動影響として重大なのか、社会として重大なのかという問題がある。すなわち、例えば既に現在の温暖化レベルでも、全国的に水害が多発して1兆円、2兆円、毎年被害が出るような状況であるということは、もうこれは、これ以上の気候変動がなくても重大なわけですけれども、それが0.5℃、さらに上昇したとき、あるいはさらに1℃上昇したときに、どんな影響になるかということが重大なのかどうかというような、本来は、やはり気候変動影響は変化がどのぐらいで、その変化分が社会に対して、どのぐらい大事な重大変化をもたらすかというので評価すべきだと思いますが、もともと社会にとって重大なリスクであるというものが、少し変化するだけでも、それはやはり重大なわけなので、その辺をどちらで考えるかというのを少し評価の指針としてお考えいただいて、これからつくられる各ワーキンググループに指示していただくといいのではないかなと思います。あるいは重大性は、先ほど議論がありましたが、誰にとって重大か。国民の大多数に広く薄くリスクがあるのが重大なのか、極めて限られた暴露されている方、あるいは脆弱な方に対して、しかし、深刻なリスクがあるのを重大とするかというところは、両方なのか、やはり大多数のほうを取るのかとか、その辺についても少しお考えいただいて、指示をしていただいたほうがいいのではないか、混乱を招かないのではないかなと思います。また、分野間でその重大さを調整するという白戸委員の議論がございましたけれども、それは分野間のバランスを取るという意味では、非常に適切な気もいたしますけれども、気候変動の影響が各分野平等にあるわけではなくて、やはり日本の置かれた文化的、あるいは気候的、気象的な状況に応じて、特定の分野で非常に深刻な状況はあるというようなことも考えられますので、必ずしも分野間の調整をするのが、社会にとってプラスになるとは限らないのではないかと思いますので、そこも少しご検討いただいてはどうかと考えます。
あと二つあるのですが、まず一つは、確信度と緊急性と重大性という話がございましたが、ここに可能性というのを考えなくていいのかというのが少し心配です。と申しますのは、確信度と可能性は違いまして、確率が低いことが分かっているという話と、確率が低そうだけれども、それがどのぐらい低いのか、あるいは確率が高そうだけれども、それは分かっているとか、確率は高そうだけれども、その確信度は低いとかいうことはあると思うんですね。民心安定にとっては、気候変動のリスクで、実は皆さんが一番興味があるのは、確率は低そうだけれども確信度が低いものというのに対して、皆さん、不安に思っていらっしゃると思います。それを入れるのがいいのかどうかというのは、またこれは難しいところなので、ここについては、ご検討いただいて、指示を出していただいたほうがいいのではないかなと思います。
最後に、「適応の限界」「適応の失敗」「変革的適応」という話がございましたけれども、第2作業部会の第6次評価報告書では、Climate Resilient Development、気候に対して強靱な開発というのが、やはり一つ、これからの我々が取るべき道だと書いてあったと思いますので、ぜひここに、そのCRD、気候に対して強靱な開発というコンテクストを入れていただくのはどうかなと思いますので、これもご検討いただければと思います。以上です。ありがとうございます。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。今の点も事務局でしっかり検討していただくのと、今後、我々の間でも検討を続けるテーマだと思います。ありがとうございました。それでは、次、住委員、お願いします。

 

●住委員

複合災害の件ですが、Cの部分はいいですけど、Bのところで、時間スケールが違ったりするので、どういうふうに複合災害を定義するか、やっぱり明瞭にしたほうがいいと思います。例えば、地震の場合に、複合のいろんな現象が同時に起きるようなイメージを想定しているのか、例えば3.11みたいに、1年前や2年前に起きても、非常にインフラにダメージを与えるというような状況下で温暖化の影響が出てくる、そういうことを考えるのか。そして、また単なる自然災害ではなくて、今度のエネルギー危機みたいな、例えば社会インフラとか、違うファクターがあって、その上に温暖化のそういう自然災害が出てきたらどうかとか、そういういろんな場合がありますので、その辺はもうちょっと明瞭に考えて、どこにフォーカスするかをしないと、結構拡散してしまうような気がしますので、その辺を考えていただければと思います。以上です。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。それでは、次に行きたいと思います。中北委員、お願いします。

 

●中北委員

ありがとうございます。中北です。今の複合災害のほう、ちょっと1点だけ、まず話しさせていただきますと、火山の場合が、Bの中で明記されてないんですけど、一応入っているという理解でよろしいですか。火山の場合は噴火の瞬間と、あるいは降灰物が、その後何年か積もってというところが、やっぱり気候変動との絡みの掛け算になってくると思いますので、これからの火山防災という分野、うちの防災研究所でも、これから多く、ユニットでつくって、より研究が進んでいくと思いますけど、そういうようなところも取り込むように考えていただければと思います。
それから、もともと申し上げたかったところは、例えば5ページの図1のように、温度上昇に関しては、シナリオごとにじわじわ上がっていく様子が連続的に見えるんですけれども、ハザードも含めて、影響の場合は時間遅れで出てくるというイメージを本来持たないといけないのに、今、2℃上昇でどういうところ、4℃上昇でどういうところというのは、もうかなり見えるようになってきてはいるんですけど、本来、例えばハザードの線でいくと、山が、ピークが後ろへずれて出ていくというような、そういう図1のような図を影響に関して、あるいは適応に必要な影響に関して、もう少し何か見えるような、ここで言う話なのかどうか分からないですけども、そういう研究というか、そういうのも必要だと思っていて、もし出ているようなものがあれば、取り組んでいくというようにしたいと思うんです。元の趣旨は、緩和のほうの価値観というのはやっぱり高いんですけれども、適応のほうの価値観を見たときに、緩和がピークを迎えれば終わりじゃないよというようなところを、より明確化する必要が、これから適応する社会にとって非常に必要だというような、そういう意味の観点で述べております。本来、あと21世紀もちょっと超えてというような線がハザード、あるいはほかのもの、あるいは植物とかだったら、何年積算の気温の影響とかというのも遅れて出てくるとか、そういうのがありますので、何かそういうグラフを適応に向けた影響評価の線としてつくれないかなと。そういう論文があれば、どんどんまとめて、ここで出していただいたらいいかなと思っております。以上です。ありがとうございました。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。今までの前の3名くらいの方のコメントは、気候変動の影響をどう捉えるか、気候変動の影響が持っている特徴を、もっと評価の中に取り込むことはできないだろうかという観点からのお話だと思うんですね。これは今後、各部会などで検討するときにも、そういう観点は非常に重要になると思いますので、こういうのも継続して、議論をさせていただければと思います。それでは、次に行きまして、古米委員、お願いします。

 

●古米委員

どうもありがとうございます。私からは二つです。一つは、質問及びコメントのような内容です。先ほどあったように、評価の中では、観点として重大性と緊急性と確信度ということがありますが、その確信度は、あくまでもエビデンスとして確実であるとか、よく分かっているかということなんですが、今後、長い目で見ると、影響評価を考える上では、このような知見だとか情報みたいなものが必要になってくるというような将来の課題と絡めて確信度を記載することは、次につながる意義があるような気がします。ただ、報告書の特徴としては、あくまでもエビデンスベースなので、いわゆる論文だとか、しっかりとした証拠のあるものだけ書く方針かと思います。もし、学術論文等の中で将来の課題が記載されており、それが確信度を上げる、あるいはより影響を明確にする意味があれば、それらも報告書に書き込むことがいいのかどうかというのが質問であり、コメントです。
二つ目はコメントです。検討課題⑨のところで、ステークホルダーからの意見・知見の収集と、最後の課題⑫のところで、効果的な情報発信方法の検討があります。特に報告書が出され、十分に公表はされているんだけども、皆さんが十分に知っておられるのか、認識しておられるのかというところが重要だと思っております。すなわち、周知するということが今後大事だと思っています。その意味においては、ステークホルダーからの意見収集をする機会が、まさに周知のチャンスなので、課題⑨のところと課題⑫は、うまくリンクする形でワークショップ、シンポジウムをしながら、同時に知見を地域から集めてくるというような、うまい組合せができるといいのではないかなと思っています。以上です。ありがとうございました。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。最初の点は、ちょっと時間が押してきているので、申し訳ありませんが、最後に事務局でまとめて回答する中で、お話をいただければと思います。じゃあ、次に安岡委員、お願いします。

 

●安岡委員

ありがとうございます。前回、前々回にもお話ししたかもしれません。今回、「分野間の影響の連鎖」ということで、項目間の相互作用みたいな話が、新たに加えられたというのは、私は非常によろしいかなと思いました。一方で、それを考えると、今度は地域間の相互作用連鎖というのが、やっぱりどうしても気になっていて、前々回も海外で起きた気候変動が日本にどういう影響を及ぼすかということについては、どうこれから考えていくんだろうかという議論があったと思いました。それは、エビデンスベースで論文がなかなかないからということであれば、それは仕方がないんですけれども、昨今、世界で起きていることが日本にものすごくいろんな影響を与えているということを考えると、気候変動もやっぱりそれになる可能性が、非常に高いということがあって、地域間の連鎖というようなものを、やはりどこかで考えておく必要がある。これは海外からだけではなくて、日本の九州に起きたことが北海道に影響を与える、北海道で起きることが九州に影響を与えるということがあり得ると思いますから、その地域間の連鎖みたいなものを考えておく必要があるのではないかなと。非常に広い意味で言えば、時間軸の連鎖というものも、もちろんあるのかもしれませんけど。以上、コメントです。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。それでは、ちょっと先を急がせていただきまして、田中委員、お願いします。

 

●田中委員

ありがとうございます。私も大きく分けて2点ありますが、一つはこの目的のところですね。このページで行くと、3ページです。この影響評価レポートを何のために作るかという、この評価をどういう目的で行うかということを、改めて確認するということになっているかと思います。国においても、政府がつくる適応計画のほかに、各省庁が、国土交通省であるとか農水省とかがつくっているかと思います。そういうところでも、このレポートが活用されているといいなと思いますし、また、企業や自治体で行う気候変動適応の対策にも、こういうレポートの内容が反映されるといいかなと思います。そういう点で、一度、この今回の気候変動評価の報告書がどのように活用されているかということを、1回把握したらどうでしょうかというのが1点提案です。その上で、これは後のほうでも、先ほどの自治体向けにワークショップをするとかという話もありますが、私、今後、地域の気候変動適応センターが、それぞれの県の、言うならば影響評価の報告がまとまっていけるような、そういう能力が適応センターごとに本当はできるといいなと思っております。そうした研究所の能力といいますか、スタッフの数だとかがあるだとかと思いますので、にわかには難しい状況かと思いますが、将来的には国全体の影響評価レポートと、それから、それぞれの地域における特徴的な影響評価というのをまとめる。そういう組合せができるといいですし、そうすると、私の前にご発言された安岡委員のように、地域間の影響の評価というのは、国としての役割になってくると、こんな役割分担ができるといいなと思います。これが1点目です。
それから、2点目は、こうした気候変動影響評価を行う際に、適応計画で、いわゆるKPIといって、個別の施策や取組の進捗度を定量的に評価するという仕組みが入っております。同時に、国全体として気候変動影響のリスクなり、あるいは重大性というか、被害とかといったようなものを総合評価できる、何か仕組みはないだろうかというように思います。言うなれば、気候変動影響の総合代表指標というのでしょうか、総合評価指標のようなものができるといいなと思います。これもまた、難しい課題ですので、ちょっと時間はかかるかと思いますが、少し検討を始めていくということも必要ではないかと思ったところです以上2点です。ありがとうございました。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。後でまた、事務局からもレスポンスをお願いしたいと思いますけど、最後にあった国全体としてのリスクの総合評価というのは、こういう報告書にとっては非常に重要なのではないかと私自身も思っていまして、例えば「バーニングアンバー」というIPCCが使っている5つの懸念要因というものに対して、気温と共にどう変化するかというような図があります。それは世界全体のリスクの総合評価になっているわけですね。どういう形態でやるかは別にして、我々がどういうリスクに直面していて、様々な施策によって、それがどこまで低下させることができるのかという、そういうようなものが提示できれば、非常に有効なんじゃないか。その点については、またこの会議でも、ぜひ議論をさせていただきたいと思いますし、できれば事務局の方でも検討をお願いしたいというふうに思います。それでは、江守委員、お願いします。

 

●江守委員

ありがとうございます。コメント一つですけれども、(4)で特に強い影響を受ける対象ということで、集団というのを挙げていただいていて、非常にありがとうございますと思います。特に社会的な側面といいますか、低所得者であるとか、あるいは障害を持った方であるとか、病気の方とか、高齢者とか子どもとか、あと、ジェンダーですよね。災害などの場面で、女性が脆弱であるという話をよく聞きます。そういったところにも、ぜひ考慮した議論になるといいなというふうに、個人的に期待しております。特に、この小委員会の委員のメンバーが、ほとんどが自然科学と工学の人だと思いますので、社会的な側面というのを特に強調しないと、見落としがちになるかなということと、委員の圧倒的大多数が男性ですので、ジェンダーの側面というのも、意識しないといけないんじゃないかなと思っております。それから、関連して申し上げると、ステークホルダーというところで、その他のステークホルダーで国民、あるいは組織する民間団体ということが挙げられていることも、とてもいいと思います。ぜひ丁寧に、いろんな立場の人の声を聞くことができたらいいなと思っております。以上です。ありがとうございます。

 

●三村委員長

重要な指摘、どうもありがとうございました。手が挙がっている皆さんの中で、鬼頭委員からは安岡委員と同じ意見なので分かりましたという話と、もう一つ、木所委員から手が挙がっていたと思います。コメントに入っていますけれども、もし意見があれば、口頭で述べていただいても結構ですが、いかがでしょうか。

 

●木所委員

ありがとうございます。チャットのほうにも書かせていただいたんですけども、分野間の影響の連鎖のところですね。やはりこれ、第2次の報告のほうから入ったと思いますが、非常に重要な部分かと思いますし、この参考でも非常に興味深く見させていただきました。その中で、実際この根拠となる論文のほうも拝読させていただいたんですけれども、やはり一般の方にはちょっと難し過ぎるのか、あと、何が起こるのか分からないといったようなコメントがあったと、論文のほうにも書かれていたんですけれども、やはり、この気候変動影響報告書にもし載せるのであれば、この事例のほうにも、我々の人間生活のところのフローのところが、これで見ても何か、9ページの資料ですか、何が起こるのかがやっぱり分かりにくいので、もし、報告書に載せるときには、私たちの生活に何が起こるのかというのを、より明確に分かるようなフローの作成が重要かなと思いましたので、その辺もご検討をいただければと思います。やっぱり読者が、科学論文ではなくて一般の方ですので、パっと見て、ああ、こういう影響だというのが分かるのが大事かと思いました。あと、重大性の点について、もし可能であれば、分野ごとに、多分、白戸委員のほうからも分野ごとにいろいろ重大性というのは異なるというコメントがあったと思うんですけれども、もし可能であれば分野ごとに、農林水産が高いとか、どこが低い、中だとかやりながら、その中でも農林水のほうはどこが重要だというような、もし、二段階のそういった重大性の評価が可能であれば、より分かりやすくなるのかなと、ちょっと思いましたので、その辺もご検討をいただければと思いました。ありがとうございます。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。すみません。木本委員、お願いします。失礼しました。

 

●木本委員

ほぼ質問に近い意見ですけど、10ページに「ステークホルダーからの意見・知見の収集」というのがあって、大変結構だと思います。お客さんに、よりよく分かっていただけるようなレポートをつくるというのが大事で、そういう意味では、既に出た2020年版に対して、どう思われているかの調査というか、もう既に行っておられるかもしれませんが、それを参考に新しいバージョンのドラフトを回して意見を伺うというのは、ちょっと現実的ではないと思いますので、以前のバージョンに対してご意見を伺う、簡単なアンケートでいいと思うんですけど、それを取り入れられるところは取り入れるとしてはいかがかと思いました。
もう一つ、同じことですが、やはり読みやすいということを考えて、概要版は100ページ程度ですから、全部読んでいただきたいとは思うんですけれども、詳細版のほうにたくさん資料があったりして、できましたら、外部には飛ばなくてもいいけれど、報告書内部で参照ページにすぐ飛べるような形のPDFや何かを作ることを、旧来の紙に印刷して、ページを送って読めというのではなくて、最近のPC画面であちこち参照しながら読むというような形態を少し意識していただいてもいいのでないかなと思いました。以上です。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。貴重な意見をありがとうございます。最初の2020年の報告書に関する、いろんな方の感想とか活用状況について調査したかという質問があったかと思うのですが、この点について事務局はいかがでしょうか。

 

●気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。2020年に公表されました影響評価報告書につきまして、個別で自治体さんに、ヒアリングはしておりまして、当然ながら、そういった影響評価報告書を使って、適応計画を改定しているとか、そういったようなコメントというのはいただいているのですけど、幅広く、この影響評価報告書について、見やすいとか使いやすいとか、そういったアンケートというのは、今現在はしていないという状況です。やはり、この影響評価報告書はかなり分厚いもので、なかなかとっつきにくいという印象は認識しておりまして、我々のほうも昨年度、分かりやすいようにということで、概要版を作成いたしまして、それも環境省のホームページにアップしていますので、また、そちらのほうを見ていただければいいかなと考えているところでございます。

 

●三村委員長

たくさんの意見をどうもありがとうございました。最後に、事務局のほうから、全体に対するコメントをいただくと言っていましたけれども、非常にたくさんのコメントをいただきました。事務局のほうで、全てに対応するのは難しいと思いますけれども、何か事務局としてのお考え、受け止めがあれば、一言発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

●気候変動適応室室長補佐

たくさんの意見を本当にありがとうございました。重大性の分野間の調整であるとか、地域の特性を見ていくとか、脆弱性の高い人にどういうふうにアプローチしていくかとか、そういったいろいろな問題、たくさんご指摘をいただきまして、本当に感謝を申し上げております。いただいた意見について、この影響評価を進める上で課題になるというふうに認識もしておりますので、一つずつ取り組みながら、次期影響評価の総合的な評価に取り組んでいきたいと思っておりますので、また引き続き、よろしくお願いいたします。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。それでは、議題1に関する議論はここまでにしまして、次の議題に移らせていただきたいと思います。「分野別ワーキンググループ(WG)の設置及び今後のスケジュールについて」です。今、出た様々な課題を具体的に分野ごとに議論するということになると思いますので、事務局より説明をお願いいたします

 

●気候変動適応室室長補佐

それでは、議題2の「分野別ワーキンググループ(WG)の設置及び今後のスケジュールについて」、資料2に基づきまして説明をさせていただきます。次期影響評価につきましては、各分野におきまして、作業を適切に進めていくことが重要ということを考えており、現在の影響評価でも検討した手法と同じく、分野ごとにワーキンググループを設置して、議題1で説明した内容、知見の収集や、重大性、緊急性の検討や、次期影響評価に向けた新規課題の検討などをワーキンググループで、検討を進めてまいりたいと考えているところです。ワーキンググループといたしましては、6つのワーキンググループを設置するとともに、各ワーキンググループの座長から成ります、分野別ワーキンググループ座長会議も設置いたしまして、この分野間の影響の連鎖などの検討や、先ほどもご意見のあった、重大性尺度のこの分野間調整についても検討を深めていきたいなと考えているところです。
2ページ目の令和7年度までのスケジュールですが、令和4年、5年にかけまして、各分野の知見の収集や、重大性の尺度に関する検討を進めてまいりたいと考えています。令和6年度は、この影響評価報告書の原案を作成して、目標である令和7年度の公表を目指していきたいというふうに考えているところです。続きまして、3ページ目の令和4年度のスケジュールについて、本日、6月17日に小委員会を開催いたしまして、次期影響評価に向けた方針をお示しさせていただき、たくさんのご意見をいただきました。そのご意見を踏まえまして、今後設置いたしますこの分野別ワーキンググループで検討を進めていこうかと考えておりまして、今年度は2回、分野別ワーキングの会合を開催したいと考えております。また、年度中にこの分野別ワーキングの座長間会合、こちらのほうの開催も1回考えているというところでございます。以上が、次期気候変動影響評価に向けた検討の進め方の説明でございます。よろしくお願いいたします。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対するご質問、あるいは意見がありましたら、委員のほうからお願いしたいと思います。再び意見のある方は、挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。ご意見、質問、どのような点でも結構ですが、いかがでしょうか。高橋委員、お願いいたします。

 

●高橋委員

今のご説明の中で、令和7年までのスケジュールところでは、「複合的な影響および影響の連鎖の評価方針検討」という項目があります。でも、これは、その一方で各ワーキンググループの作業のほうには、必ずしも明確に書いていないように思うんですけども、この連鎖の部分とか複合的な影響の部分は、ワーキンググループの中で行う考え方なのか、それとも、それがある程度まとまった時点で、何かまた別のスタイルで行うのか、あるいは、それ用のワーキンググループを新設する可能性もあるのかということについて、お伺いしたいと思いました。以上です。

 

●三村委員長

どうもありがとうございます。事務局のほうはいかがでしょうか。

 

●気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。まず、分野間の連鎖につきましては、一つのワーキンググループで検討するというのは、難しいかと考えておりまして、まずは事務局で、この分野間の連鎖については検討をまず進めさせていただきまして、座長間会合に報告させていただきたいなというようなことをイメージをしているところです。もちろん、個別の分野別ワーキングのほうでも、一定ご報告をさせていただこうと思いますけれども、まずは事務局のほうで整理して、座長間の会合のほうで、報告させていただきたいと考えております。あと、複合災害につきましては、こ災害ということになりますので、こちらにつきましては、自然災害・沿岸域分野のワーキンググループで検討ができればいいかと考えているところです。

 

●高橋委員

ありがとうございます。

 

●三村委員長

よろしいでしょうか。野尻委員、お願いします。

 

●野尻委員

野尻ですが、前回もワーキンググループの作業のほうにも入らせていただきましたので、これから実際に作業がワーキンググループのほうに降りてくると、なかなか大変なことだなと思っております。その中で、さっきのこととも関係するんですけれども、やはり1.5℃~2℃というものと、3℃~4℃というものを二つに分けて評価するというのは、実際的なプラクティカルにいい方法であるとは思いまして、その中で1.5℃~2℃の上昇というのが、全部のシナリオについての今世紀中盤、あるいは、対策が進むシナリオの今世紀末ということで、どちらも1.5℃~2℃の上昇だという点で同じだということは事実で、ただし、同じ影響が出るかというと、先ほどからも議論がありましたように、遅れて出るものがあったりということで、違うということがご意見の中にもありました。しかしながら、作業のほうとしては、1.5℃~2℃の場合を今世紀中頃と、対策が進んだ今世紀後半、あるいは3℃~4℃、そのほかにさっきお話があったのも、対策が中ぐらいの3℃みたいなやつとか1.5℃みたいなやつも、事務局としてはやりたいみたいなお話を聞いたわけですが、作業のほうで言うと、場合分けが増えると非常に大変になります。ですから、やはり1.5℃~2℃と、3℃~4℃というのが、非常に現実的だなと思っているところで、ですので、その中で実際の作業が進むに当たって、少し丁寧に、1.5℃~2℃の中には全部のシナリオでの今世紀中頃というやつと、対策が進んだ場合の今世紀末というものの両方が含まれていますよと。その中で、この事象については、その出方は大体同じです。あるいは、この事象はその両方の場合によって随分違いますねというようなことを丁寧に書くということが必要になるんだなと思いまして、各ワーキンググループに下ろすときには、そういう説明で下ろしていくのがいいんじゃないか。それとあと、高薮さんのほうからもお話があったみたいに、4℃という可能性はやや低いのではないかと、今、世界の研究者は思い始めているわけですね。ですから、今回の場合も3~4というゾーンを取って、4℃は行かないのではないか、それよりは3℃をよく見ましょう。そういう意味で、SSPも7.0というのが入ってきたことがあると思うので、私もそれには賛成なのですが、やはりSSPの4.5みたいな評価の事例があったら、一つの場合として独立させたら、もうとてもワーキンググループの作業ができませんので、独立的にそのSSP4.5、2.7℃というふうに報告書で書いてありますが、それを分けることはしないで、ただし、そういう研究結果があったら、丁寧に拾って記述するというのが大事なのではないかなと、そう思ったところです。以上です。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。今の野尻委員のコメント、非常に重要な点だと思うんですけれども、実際に作業を始める前に、細かいところまで全部整理して、きちんと整理した形で評価の枠組みが出せるかどうかというのが、ちょっと微妙なところがあると思うんですね。ワーキンググループ長の座長会合などで、その辺をしっかり議論した上で、各ワーキンググループの中でよく理解された状態で始めるというようなことが重要だと思います。事務局のほうでも、ぜひ調整といいますか、準備をよろしくお願いしたいと思います。そのほかに、何かご意見はありますでしょうか。

 

●山田委員

中央大学の山田です。分野別ワーキンググループを設置するということには、何も異論はないですが、全分野でいろいろと取りまとめるときに、せっかくこういう大きな取りまとめが行われるにしては、データサイエンティストや、統計学の専門家の寄与というのが、ほとんど出てこないように思えます。例えば、昨今のCOVID-19でも、統計学的な観点からの情報発信というのが非常に少ないものですから、テレビのお茶の間番組程度の情報で、日本は右に行ったり、左に行ったりするように感じます。なので、そういう意味で、分野別ワーキンググループに縦串を入れるような、あるいはアドバイザー的な役割を担うデータサイエンティストや、統計学の専門家からの多少の指導というものを、もっと持ち込めないだろうかと思いました。全てディスクリプティブな表現のみではなく、統計学的に表現できる部分は、明確に表現するということを期待するものですから、縦串を入れるような、そういう助言をしていただく方の参入も考えてもらえないだろうかと思いました。以上です。

 

●三村委員長

分かりました。そのほかにありますでしょうか。肱岡委員、お願いします。

 

●肱岡委員

ありがとうございます。検討体制の最後のところに、各ワーキング収集整理した文献情報に言及していただいているのですけれども、自治体の方は、やはり自分たちの地域がどういうエビデンスがあるのかと、非常に興味を持っていらっしゃいますので、この影響報告書を公表するときに、文献はこれですだけではなくて、プラスとして、例えば、どういう自治体の情報が載っているかとか、あとは皆さん、先生方が尺度を今日はいろいろ議論されましたけど、どうして、こういうふうに尺度の重大性が高いとかというのを決められたかという問合せが非常にありますので、そういうことは、非常に透明性をもって世の中に公表していただけるとありがたいと思います。今、我々、国環研では文献情報をいただいているのですけれども、無償で提供できるものはいいのですが、まだ有償の文献も多いですし、自治体の方が文献を一つ買うのもなかなか難しい状況にありますので、ぜひこの影響評価報告書を作成して、それをユーザーに届けるという形で、少しご検討をいただければ幸いです。以上です。

 

●三村委員長

どうもありがとうございます。地域ごとの情報というのは、例えば「日本の気候変動2020」などでも地域の章があったりして、それぞれの地域ごとの特徴がよく整理されていて、分かりやすくなっていると思うんですね。影響については、地方別にまとめるだけでは足りなくて、実際には市町村とか、そういうところまで下りていく必要があるかもしれませんけれども、何らかの形で、その地域に着目した情報の提供というようなものも、重要な観点になるのではないかと考えています。磯部先生、お願いします。

 

●磯部委員

ありがとうございます。シナリオのところで、ワーキンググループに分けるときに、極端現象についてシナリオを統一して考えるのか、それとも、ワーキンググループごとに適切なところで設定をしながら考えていけばいいのかということについて、整理をしていただけるとよろしいのではないかと思いました。以上です。

 

●三村委員長

分かりました。どうもありがとうございます。そのほかにどうでしょうか。

 

●住委長

できればでいいですけど、回数が少ないような気がするんですね。年2回で、座長間会合というのは結構大事で、そこでやったもう1月か何かのやつはシャンシャンとするだけなので、できれば今度は2年計画か何かで、年度を越したときの4月とか、割ともうちょっと頻繁にやって、2年間で答えを出すみたいにしたほうがいいのではないかと思うのですが。

 

●三村委員長

分かりました。事務局に、よく検討していただきたいと思います。実際に効果的な委員の集まりとか、それから意見交換というのは、特に作業を始める最初の頃には、非常に重要だと思うんですね。そういうことも、ぜひ検討をお願いしたいと思います。そのほかにありますでしょうか。よろしいですか。それでは、いろいろ意見をいただいたんですが、これらの点について、事務局のほうから何かレスポンスがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

●気候変動適応室室長補佐

たくさんの意見をいただきまして、ありがとうございました。やはり、先ほど最後に三村先生もおっしゃってくださったように、最初、始めるときが大事かと思っていますので、まず方針とか、そういったものについて、きっちりとお示しできるような形にしていきたいと考えております。また、回数が少ないというご指摘もされましたので、今年度だけに限らず、もう少し幅を持った計画を立てて、進めていければいいかと考えております。ありがとうございました。

 

●三村委員長

どうもありがとうございました。それでは、今日は2つの議題について、非常に幅広い観点から、しかも重要な指摘をたくさんいただいて、これらを整理した上で、実際にワーキンググループで作業を始めていくという段階に到達したということが、よく確認できました。いただいたコメントについては、先ほど事務局のほうからもありましたように、十分に検討の上、活用をさせていただければと思います。それでは、以上で本日の議事を終了したいと思います。司会を事務局にお返ししたいと思います。どうもありがとうございました。

 

●気候変動適応室長

三村先生、ありがとうございました。委員の皆様、本日は活発なご議論をありがとうございました。Web開催ということで、システム上、発言しにくかった部分もあろうかと思います。そのほか、事務局に不手際があった場合はお詫びいたします。本日の議事録につきましては、事務局にて取りまとめを行いまして、先生方に事前にご確認いただいた上で、環境省のWebサイトにて公開させていただく予定ですので、ご承知おきください。次回の小委員会会合の日程などにつきましては、また改めて、委員の皆様方にご連絡をさせていただきます。
それでは、以上をもちまして、本日の小委員会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。