中央環境審議会地球環境部会2050年ネットゼロ実現に向けた気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会イノベーション・環境分科会地球環境小委員会中長期地球温暖化対策検討WG 合同会合(第4回) 議事録

開催日時

令和6年9月20日(金)09時30分 ~ 12時00分

開催場所

対面及びWEBによる開催

議題

(1) 関係省庁からのヒアリング
  ・ 農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ
  ・ 環境省地球環境局地球温暖化対策課フロン対策室、経済産業省大臣官房
   産業保安・安全グループ化学物質管理課オゾン層保護等推進室
  ・ 環境省環境再生・資源循環局
(2) その他

資料一覧

議事次第

資料1 中央環境審議会地球環境部会2050年ネットゼロ実現に向けた気候変動対策検討小委員会 委員名簿

資料2 産業構造審議会イノベーション・環境分科会地球環境小委員会中長期地球温暖化対策検討ワーキンググループ 委員名簿

資料3-1 第3回合同会合での主なご意見

資料3-2 関連する他の会議体における検討状況

資料3-3 関係省庁ヒアリングに向けて

資料4 農林水産分野における地球温暖化対策の取組について

資料5 代替フロン等4ガス対策の状況

資料6 廃棄物分野における地球温暖化対策について

議事録

午前9時30分開会
 
○荻野室長 
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第4回中央環境審議会地球環境部会2050年ネットゼロ実現に向けた気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会イノベーション・環境分科会地球環境小委員会中長期地球温暖化対策検討ワーキンググループ合同会合」を開催いたします。
 本会合は、環境省、経済産業省の両省が共同で交互に事務局を担いまして、私、今回の事務局を務めます経済産業省の荻野でございます。よろしくお願いいたします。
 本日の会議は、対面とウェブの併用開催とさせていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信いたしまして、動画は会議後、議事録公開までの間、ウェブ上で公開予定でございます。
 本日は、中央環境審議会側は9名、産業構造審議会側は10名の委員に御出席いただいておりまして、定足数の要件を満たしております。専門委員会として成立していることを御報告いたします。
 なお、中環審の福田委員は、本日、御欠席で、代理として山口参事に御出席いただいています。
 それでは、本日の議事進行は、地球環境小委員会中長期地球温暖化対策検討ワーキンググループの大橋座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○大橋座長 
 皆さん、おはようございます。早朝から御参集いただきまして、ありがとうございます。また、オンラインの委員の方々も、本日はありがとうございます。
 本日の議事は2点ございます。1つ目は「各関係省庁からのヒアリング」、2点目は「その他」ということでございまして、議題の(1)については、本日は、農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ及び環境省地球環境局地球温暖化対策課フロン対策室、経済産業省産業保安・安全グループ化学物質管理課オゾン層保護等推進室、そして、3者目として、環境省環境再生・資源循環局という3つの者からヒアリングを行わせていただくこととなります。
 資料をお配りさせていただいておりますけれども、資料3―1は、前回会合での主な意見について、ということで、本日は、時間が限られていますので、お目通しいただければと思います。説明は割愛させていただきます。
 各省の御説明の前に、資料3―2に基づいて、関連するほかの会議体における検討状況等を御説明いただき、その後、資料3―3に基づいて、これまでの合同会合でいただいた次期目標に関する主な御意見を説明していただきたいと思っております。
 各省の御説明が終わった後、各委員から御意見を順にいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 そうした感じですので、それでは、まず資料3―2について、内閣官房西田企画官から御説明をお願いできればと思います。10分程度の御説明ということで、よろしくお願いいたします。
 
○西田企画官 
 それでは、内閣官房GX実行推進室の西田と申します。よろしくお願いいたします。
 お手元資料の3―2に基づきまして、「関連する他の会議体における検討状況」ということで、GX関係の議論の進捗などを御紹介させていただきます。
 1ページに行っていただきまして、現在、内閣官房GX実行会議、官邸に設置されたGX実行会議を中心に、GX2040ビジョンというものに向けた議論をしておりまして、これは、1ページの、上の四角の下2行にありますけれども、「将来の事業環境の予見性を高めて、日本の成長に不可欠な国内投資を後押しするために、より長期の視点に立った2040年のビジョンを示す」ということでありまして、現在、議論を進めております。
 2ページ目、3ページ目に、先月の8月27日にお示しをした、このビジョンでまとめていく論点について、10個整理をしておりますので、簡単に御紹介させていただきます。
 1つ目が、電力需要増に対応するために徹底した省エネもやりつつ、再エネの拡大、原子力発電所の再稼働や新型革新炉の設置、火力の脱炭素化に向けた必要な投資を拡大していくための環境整備といったことをやっていくということが1つ目の論点です、
 2つ目が、トランジションにも必要になるLNGの確保ですとか、国際的な議論も踏まえた石炭火力の扱いといった論点でございます。
 3つ目が、これから脱炭素電源といったクリーンエネルギーが重要になってきますけれども、どうしても地域偏在がありますので、そういったものも念頭に置きながら、新たな産業集積を検討していくといったような論点。
 4つ目が、水素などの次世代エネルギー源をしっかり確保しながら、これから具体化していきます価格差に着目した支援プロジェクトなどを、具体的に選定をしていくということが4つ目の論点でございます。
 続いて、3ページに行っていただきまして、2つ目の大きな固まりとしまして、「GXの産業構造」ということでありまして、全体として5つ目の論点は、経済安全保障の要請を踏まえたサプライチェーンをいかに強化していくかということでありまして、基本的には、ものづくりのサプライチェーンを、より強化していく。それで、6つ目の論点とも絡みますけれども、その前提として、やはりGXとDXを合わせてサプライチェーンを高度化させていく。
 また、やはり世界との国際産業競争力を強化していくためには、7つ目の論点ですが、技術・ビジネス・スケール、この3つの要素を最大化してイノベーションも創出させながら、世界に求められるプロダクツを見出していくという形で、そういった産業構造を目指していくというのが2つ目の大きな固まりであります。
 3つ目の固まりが、「市場創造」ということでありまして、全体を通じて8つ目の論点でありますけれども、GXを進めていく上で国内市場を立ち上げていく必要が、国内にもGX市場というものを立ち上げていく必要がありますので、その市場においてきちっとGX製品の価値が評価されるとか、そういったことがないとGXの取組はなかなか進みませんので、そういったことを具体的にやっていく。1つは、カーボンプライシングの具体化ということでありますけれども、そのほかにもGX価値の見える化といったようなことも合わせて取り組んでいくというのが8つ目の論点であります。
 その次の固まりとして、「グローバル認識・ルール」とありますけれども、全体を通じて9つ目の論点としては、やはりアジアの視点も加えたトランジションといったようなことをしっかり念頭に置きながら、アジアを巻き込んでGXを進めていく。その際の新たなルール形成とか、そういったことが9つ目の論点であります。
 最後、10個目の論点としましては、欧米の情勢も踏まえて、現実的なトランジションの必要性ということでありまして、こういったものを踏まえて2040年を見据えたエネルギー需給構造についても検討をしていきたいと考えております。
 4ページ目、「全体の構造」ですけれども、GX2040ビジョンに向けて、官邸で設けておりますGX実行会議での議論をしつつ、右側ですけれども、別途、この会議体で議論をしていただいています地球温暖化対策計画、それから資源エネルギー庁の会議体で議論しているエネルギー基本計画、この議論が同時並行で進んでおりますので、それも同時に進めつつ、最終的にそのエッセンスも取り入れながらGX2040ビジョンというのをまとめていきたいと考えております。
 この後は、そういった議論を進めていく上で重要な視点の参考になるような資料を幾つか加えていますので、簡単に御紹介させていただきます。
 5ページでありますけれども、エネルギーコスト高ということが産業界に与える影響ということで、ドイツの例をお示ししていますけれども、ドイツは、原子力も止め、ロシアからの安いガスが止まっているという状況でありまして、このエネルギーコスト高によって、左側のグラフを見ていただくと、従業員500人以上の企業の5割を超える企業の方々が、生産調整ですとか海外移転を計画している。6割を超える工業分野の方が、ドイツの競争力の喪失につながっているのではないかというようなアンケート結果が示されております。
 6ページを見ていただきますと、実際に、右側がドイツのエネルギー多消費製造業の生産減退を指数で表したものですけれども、2015年を100としたときに、足元右のほうに行っていただくと、化学が大きく落ち込んでいる。一方で、日本も実は、足元ここ数年、鉄鋼業を中心に生産減退が進んでおりまして、実は化学も、足元では結構生産が減ってきているということでありまして、産業競争力の確保・強化にとっても大きな懸念があるということであります。
 ページを先に行っていただき9ページを見ていただくと、日本の最終エネルギー消費も、最近減ってきていますけれども、10ページを見ていただいて、その最終エネルギー消費の増減の要因を分析、分解していくと、グラフですが、ここ数年の減少のキヨドで言うと、やはり活動量・構造要因のところが大きくて、エネルギー消費減といっても、結局生産が減っている、活動が減っているということの要因が結構大きいということでありまして、こういった要素も念頭に置きながら議論していく必要があると考えております。
 ちょっと戻っていただきまして7ページ、その要因になり得るのが、やはり国際間の相対的なエネルギー価格ということも、一つの要因としてあると思っていまして、グローバル化が進んだ昨今においては、産業も容易に国境を越えられるようになっていますので、相対的なエネルギー価格差ということを、よく念頭に置きながらやる必要があると考えております。
 この7ページのグラフは、縦軸が消費量、横軸が生産量でありまして、日本は、当然生産量が少ない、自給率が低いということの現れですけれども、生産量に対して消費量が大きいということでありまして、上のオレンジのところのゾーンにいる国々というのは、基本的にはエネルギーを外から持ってこなければいけないことになりますので、海外のいろいろな要因に左右されやすいというところでありますので、緑とか青のグループに比べると、やはりそういったエネルギー価格のところ、相対的なエネルギー価格差ということを、よく念頭に置きながら進める必要があると考えております。
 8ページでありますけれども、こういったことも念頭に置きながら、一方で脱炭素ということの取組はしっかり進めていかなければいけないということでありまして、1.5℃目標と整合的な目標、水準で維持し続けた場合におきましても、経済成長を実現していくためには、やはり技術革新、GX・DXなどによる技術革新を進展させて、海外との相対的なエネルギー価格差を縮小させ、多排出産業の生産減退も国内需要減に伴う減少程度にとどめて、GX製品を含む日本の高付加価値製品によって海外市場開拓を加速させていくと、こういった状況が整わないで脱炭素の取組のみを進めていくと低成長に陥るリスクも高まりますので、こういったことも踏まえて、今後2040年を見通したエネルギー需給構造の議論も加速させていきたいと考えております。
 11ページ以降は、エネルギー基本計画のほうの議論で、どういった議論が行われているかということの御紹介でありますので、時間もないので、本当にポイントだけ御紹介させていただきます。
 11ページを見ていただきますと、3つ目の・ですけれども、やはり将来、いろいろな不確実性がありますので、そういったものにも対応できる柔軟なものにエネルギー基本計画はしていくべきという御意見ですとか、あと、事業者の予見可能性の確保が重要であるとか、エネルギー政策と産業政策、気候変動対策の一体的な検討が必要であるといったような議論。
 それからあと、一番下ですが、やはり幅広い層から意見を聞きながら、様々な国民の意見を反映できるような工夫も必要だというような御議論ですとか、次の12ページに行っていただきますと、やはり将来の電力需要は増加する可能性は高いというような見解になっておりまして、そういった中でも、次の13ページでありますけれども、やはり再エネか原子力かといったような択一的な議論ではなくて、再エネと原子力がともに必要でありまして、13ページの上から2つ目の・ですけれども、やはり十分な脱炭素電源を確保できないがために、国内での投資機会を失うとか、成長が阻害されるといったようなことにならないようにしなければいけないといった御議論もいただいております。
 あとは、御参考で見ていただければと思いますけれども、こういった御議論をいただきながら、エネルギー基本計画、温対計画、それからGX2040ビジョンということの議論を今後も加速をさせていきたいと考えております。
 私からは以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 続きまして、資料3―3について、環境省の伊藤室長から御説明をお願いいたします。5分程度、御説明いただけるということでお願いいたします。
 
○伊藤室長 
 おはようございます。環境省脱炭素社会移行推進室長の伊藤でございます。私からは、この後、各省からヒアリングに入らせていただく前に、いま一度、資料3―3を用いまして、これまで、この会議体で、我が国の次の削減目標NDCについて、主なコメントをいただいていますので、それをいま一度御紹介したいと思います。
 1ページ目でございますが、同じように右下にページ番号がございます。
 大きく分けますと、上3つのように、国際的な1.5℃目標に整合した、あるいは野心的な、意欲的な目標とすべきというような御意見がある一方、真ん中の2つでございますけれども、イノベーション技術の社会実装スピード等を考えて、短期的には直線的な削減よりも上の経路、そして後半に近づくにつれて加速するようなパスも考えるべきであるといった御意見ですとか、1.5℃のオーバーシュートありの数字感も認識するべきというような御意見もあった次第でございます。
 2ページ目でございますが、このような御意見もいただきつつ、この後のヒアリングでは、大きくは2つございます。2030年度の46%削減・50%の高みに向けた進捗状況や課題、それから、GX2040を見据えつつ、2050ネットゼロ実現に向けた対策・政策の展開方針、こういったことについて、ぜひヒアリングリンクを賜れればと思ってございます。
 簡単ですが、以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 それでは、各省からの説明に移らせていただきたいと思います。まずは、農林水産省から御説明をお願いいたします。15分程度、御説明いただけるということで、お願いいたします。
 
○久保グループ長 
 おはようございます。農林水産省みどりの食料システム戦略グループ長の久保でございます。お手元資料4を御覧ください。
 おめくりいただきまして2ページ目でございますけれども、「世界全体と日本の農林水産分野の温室効果ガス(GHG)の排出状況」でございます。
 まず、農林水産分野ですけれども、日本の総排出量の4.2%となってございますが、右側のグラフのとおりCO2以外のメタンや一酸化二窒素の排出が多く、特に、稲作メタンを始めとして生物の働きの結果、温室効果ガスの排出量が多いという状況になっております。
 それから、ちょっと飛ばしまして4ページ目でございます。
 農林水産業は、気候変動で最も影響を受けやすい分野であると思っておりますので、そういう意味でも、近年の温暖化、気候変動や大規模自然災害による被害、こういったものに対処するためにも、適応と合わせて環境との調和、気候変動対策をしっかり自ら進めていく必要があると考えてございます。
 その観点から、2021年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定いたしました。こちらは、「2050年までに目指す姿」として、CO2ゼロエミッション化、化学農薬の50%低減、それから、温室効果ガスの排出削減にもつながりますが、化学肥料の使用量の30%低減や有機面積の拡大など、生物多様性も含めた環境との調和という観点から14のKPIを設定いたしまして、これを、調達、生産、加工・流通、消費の各段階の行動変容と、それから、カーボンニュートラル等の環境負荷軽減のイノベーション、この2つを軸に実現していくことを考えてございます。
 また、取組方向の中にも位置づけましたクロスコンプライアンスでございますが、こちら農林水産省の全ての補助事業等を対象に、今年度から、既にクロスコンプライアンス、環境への最低限の配慮をしてください、その中には省エネへの配慮とか化学肥料の適正な施肥とかも含まれますけれども、こういったものを令和9年度からこれを本格実施するということで始めているというところでございます。
 また、「みどりの食料システム戦略」で掲げた環境との調和、これを農政の憲法とも言われる「食料・農業・農村基本法」の基本理念に位置づけまして、これからの農政につきましては、環境との調和、これをベースに考えていくという形にしてございます。
 また、6ページ目でございますけれども、「みどりの食料システム戦略」では、CO2ゼロエミッション化に向けまして、こんな形で進めるというのを、大枠を描いてございます。
 まず、2021年に「みどり戦略」を策定しましたので、2030年までは既存の、今ある技術をしっかりと横展開するというところ、それから、必要なイノベーションの開発を進めまして、2050年ゼロエミッションという非常に意欲的な目標に向けて、しっかり時間軸を持って既存技術の横展開と新たな技術開発とを併走させながら取り組むことにしております。
 なお、ここに掲げておりますのは、代表的な技術を示しておりますので、当然このほかにも出てくるということで考えてございます。
 それから、7ページ目でございますが、CO2ゼロエミッション化も含めまして、様々なみどり戦略の14のKPIにつきましては、農林水産大臣を本部長とするみどりの食料システム戦略本部において、この対策が十分か不十分かといったようなことも含めて進捗管理を行っております。
 それから、8ページ目ですが、このみどり戦略の実現に向けた法制化を行いまして、2022年7月に施行されております。基本理念とともに生産者の環境負荷低減に関する計画認定、こちらの環境負荷低減の中には、赤字で書いていますが「温室効果ガスの排出量削減」もしっかり位置づけております。
 それから、生産者だけではなかなか環境負荷低減は難しいので、必要な技術、それから流通、加工等の市場を提供するといったような事業者の計画認定についても、国が計画認定をするというところでございます。
9ページ目でございますけれども、生産者の認定は、46道府県で1万7,000名以上の認定を行っており、先ほど申し上げましたように、この中に温室効果ガスの削減の取組なども、しっかりと含まれているところでございます。また、同じく右側、オレンジの囲みでございますが、事業者の認定も、現在82の事業者の計画認定を行っていまして、環境省、経産省にも協力をいただきながらしっかりと進めております。
 それから、10ページ目には、そのほかの関係省庁との連携というものも記しております。
 11ページ目以降ですが、みどり戦略にも書いたように、温室効果ガスの排出削減は生産者の取り組みだけでは進みませんので、そういう意味で、加工、流通、消費の取組が重要ということでございますけれども、11ページ目にありますが、消費者は、環境負荷低減に配慮した農産物を購入したいという方が8割おりますけれども、6割以上の方が、どれが環境負荷に配慮しているか分からないという世論調査がございますので、12ページ目でございますが、農産物の環境負荷低減の取組の「見える化」というものを、今年の3月から本格実施をしております。
 こちらは、生産者の化学肥料や化石燃料の使用低減、バイオ炭や有機物の施用、水田の水管理でのメタン対策など、こういった栽培情報を、一次データを用いて定量的に温室効果ガスの排出と吸収を算定し、その農産物の温室効果ガス削減への貢献の度合いに応じて、★の数で示すということで「みえるらべる」というものを表示しております。
 こちらは、ガイドラインを定めまして本格運用をしてから、販売店舗数としては530か所で消費者にアクセスいただけるという形で、今進めています。
 GHGだけではなく生物多様性も重要でございますので、米には、これも
合わせて表示ができるという形にして現在取り組んでおります。これらは、各種調達基準への位置づけ、それから、民間ポイントとの連携等を、今検討しているところでございます。
 13ページ以降は、カーボンクレジットの推進ということでございますけれども、こちらは、13ページにありますような方法論も充実させまして、今、取り組みをしておりまして、農林水産分野は、J―クレジットの約4割の248件で、このうち農業者の取り組むものにつきましては、14ページ目でございますが、35件となってございます。
 農業は、一つ一つの排出源ということで言えば、個別のメタン排出量というのは、決して大きくはないので、これはプログラム型で、事業者にある程度まとめてクレジット化していただくという形で進めさせていただいています。特に方法論の中でも、水稲栽培における中干し期間の延長というものが多くなってございまして、農業分野の認証量は左下にございますけれども、認証量は約1万5,000tという形になってございます。
 それから、15ページ目には、森林クレジットの実績でございます。こちらは、2023年、2024年と森林吸収源の方法論がかなり伸びています。特に、認証見込量の10万t以上の大規模プロジェクトの登録が、21年度以降で17件となっておりまして、今後も認証量は増加する見込みとなってございます。
 それから、16ページ目が、現行の温対計画の目標と農林水産分野の位置づけということで、右側に書いてあるような対策を、現状では行っているところでございます。
 その中身が、17ページ目にございまして、例えば左上ですが、施設園芸においてはヒートポンプやバイオマス加温機などを入れて、化石燃料のみに頼らない省エネを進めるという形で、今、対策を進めてございます。その下ですが、農業機械につきましても、省エネ農機ということで、例えば電動トラクターとか自動操舵システム、これは無駄をなくすということで、13%程度のCO2削減にもつながるというようなデータもございますが、こういった省エネ農機の普及ということも行っております。
 また、右上ですけれども、漁船につきましても、LED集魚灯、省エネ型エンジンの導入を推進しておりまして、こちらも省エネ型漁船への転換を進めております。
 また、右上2番目ですが、水田からのメタンの削減、これは、生物多様性とか様々な観点もありますので、しっかり環境と調和した形で、長期中干し、それから秋耕などを進めていきたいと考えてございまして、こういった中で、例えば水稲から水を抜けばメタンを削減できますが、それでは、本当に収量に影響はないのかという心配もある。皆さんやはり米は安定して食べたいわけです。そうなると、やはり生産への影響をしっかり地域で実証したいというお声もいただきますので、こういった「グリーンな栽培体系」への転換に向けた検証など、地域での生産への影響の実証なども、交付金で行っているところでございます。
 このほか、適正施肥や森林吸収源対策、農地土壌吸収源対策、こういったものを、今進めているところでございます。
 18ページ目は、特に森林吸収源対策、こちらは、主伐後の再造林、それからエリートツリーの活用の推進、間伐等、森林による吸収量の確保・強化策とともに、やはり木材をしっかりと使っていただくということ、これは、温暖化対策になりますので、こういう建築物等における木材利用の拡大の推進もしているところでございます。
 それから、19ページ目が、これら現行の温暖化対策の評価になってございます。基本的には、いずれの対策も2030年度には、目標水準と同等程度になる見込みということで評価をいただいているところでございます。
 20ページ、21ページ目は、今後のカーボンニュートラル等に向けた展開、取組方法というところでございます。
 まず、1番上、CO2になりますが、省エネ性能の高い設備・機器の導入等ということでございます。1つ目の➢でございますが、みどりの食料システム戦略では、農林業機械・漁船の電化・水素化ということをしっかり打ち出しておりますので、こういったものの技術確立というものを、実証も含めながら取り組んでいくということ。それから、合わせて、新たな省エネ技術の開発の促進、それから、これまでのとおり施設園芸・農業機械・漁船における省エネ設備等の導入は引き続き促進をしていくということで考えてございます。
 次に、水田メタンの削減でございますけれども、やはり水稲の中干し期間の延長、1週間、水を抜く期間を延ばせば3割メタンが減るということではございますが、先ほど申し上げましたが、収量低下、それから生物多様性保全に係る懸念ということもかなり御指摘をいただいているところでございますので、引き続きこういった懸念もしっかり勘案した上で、J―クレジット等の活用によりまして、できる限り最大限、実施面積を拡大させていくと考えております。
 2つ目の➢でございますが、「中干し期間の延長」以外のメタン削減技術、先ほど秋耕などを申し上げましたが、現場の農業者の方には、まず一義的には、生産性の向上とか、しっかり農業生産をして、皆さんに食料をお届けするという使命がございますので、これと環境をどう両立するかというのが一番重要でございますので、現場の皆さんに取り組んでいただきやすいような温室効果ガスの削減策、この取組の選択肢を拡大するということをメタン削減対策としても考えていきたいと思います。
 それから3つ目でございます。施肥に伴う一酸化二窒素の削減でございますが、こちらはみどり戦略に基づきまして、施肥の無駄をなくすように局所施肥、ピンポイントで施肥をするといったような施肥の低減技術などの効率的な施肥、それから、センシング技術を活用して土壌分析をして、必要な分だけ施肥をするという施肥設計を行いまして適正施肥を推進するなど、過剰な施肥を抑制してN2Oの削減を進めていきたいと考えてございます。
 それから、一番下、畜産分野でございます。畜産分野につきましては、我が国の農林水産分野の温室効果ガス排出量の約4分の1程度を占めてございますので、こちら、家畜排せつ物の管理方法の変更、それから温室効果ガスの排出量を抑制する餌の開発、その利用の推進。畜産農家さんは、なかなか餌を変えたがらないというような、やはり肉質とか乳量への影響とかもございますので、こういったものを、利用の推進というものを図っていかなければいけないと考えてございます。
 また、合わせて畜産分野もJ―クレジットの方法論がかなり拡充をしてきましたので、こういったものの活用拡大、それから、先ほど「見える化」と申し上げましたが、畜産物についても環境負荷低減の見える化、これを現在、検討してございますので、環境負荷を低減したものについては、皆さんに選んでいただけるような、こういった検討も進めて、温室効果ガスの排出削減を畜産分野でも進めていきたいと考えてございます。
 それでは、最後21ページ目になりますが、こちらは吸収源対策でございます。
 森林吸収源対策につきましては、先ほど申し上げました健全な森林の整備と、吸収量の確保・強化、それから、やはり木材利用の一層の促進、化石燃料の代替としての木質バイオマスエネルギー等、それから、新素材の利用を推進するとともに、3つ目の➢でございますが、森林資源に係るデータ蓄積、これが、かなり進展してきてございます。これを踏まえますと、炭素貯留力の高さを示唆するような研究というものも、現在なされておりますので、こういった最新の知見も踏まえまして、国際的にも使われている森林吸収量の算定方法の見直しというものを検討していきたいと考えてございます。
 また、農地土壌吸収源対策でございますが、引き続き土づくりの努力ということで、当面、有機物の投入の拡大を図るとともに、2つ目の➢ですが、現行の算定方法は、京都議定書の算定ルールには準拠しているのですが、気温が高くなると、どうしても土壌からの排出が増えてしまうとか、取組よりも非常に大きい変動を見せてしまいますので、しっかりと営農上の土づくりの努力による効果が、より適正に評価できる算定方法への見直し、こういったものも含めて検討してまいりたいということを考えてございます。
 最後になりましたブルーカーボンにつきましては、漁業資源の観点からも、藻場の保全・創造に向けて取り組みの支援というものを講じていきたいと思っています。また、みどり戦略の委託プロジェクトの研究成果といたしまして、世界で初めて水研機構が海草・海藻藻場を合わせたCO2の貯留量の算定を確立し、ガイドブックも公表いたしましたので、今年4月にはインベントリにブルーカーボンとして計上されたと承知しております。
 こちらに関しては、引き続き環境省、国交省など関係省庁と連携してブルーカーボン推進に向けて取り組みを推進したいと考えてございます。
 以上でございます。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
それでは、次に環境省フロン対策室及び経済産業省オゾン層保護等推進室から、御説明をお願いいたします。10分程度、御説明をいただけるということで、お願いいたします。
 
○香具室長 
 おはようございます。環境省フロン対策室の香具と申します。よろしくお願いいたします。経済産業省と交互に御説明をさせていただきます。
 資料の1ページ目の目次にございますけれども、「排出量の現状」の御説明をした後に、2から4については、HFCのライフサイクルの順番に対策の御説明をしまして、5番目として「今後の方向性とライフサイクル段階ごとの取組」の御説明をしたいと思います。
 2ページ目でございますけれども、代替フロン等4ガスの排出量は、これまで年々増加傾向にありましたが、直近の2022年につきましては、前年比、約1.4%減少となりました。排出量の大部分を占めているのは代替フロン、すなわちグラフの青色部分のHFCでありますけれども、この減少による寄与が大きいため、オゾン層保護法・フロン排出抑制法といった関係法律に基づく施策による効果と考えております。
 3ページ目をお願いいたします。
 HFCの排出量は、全体で約4,600万t、日本の温室効果ガス排出量の4.5%を占めておりますけれども、冷媒用途からの排出が多くて、約9割以上となっております。
 4ページ目をお願いします。
 冷媒用途のHFCの排出量の内訳について、製品の種類別に見ると、業務用冷蔵冷凍機器が約36%、次に業務用エアコンが約35%、家庭用エアコンが約23%となっております。また、これを、製品のライフサイクル段階別に見ると、使用時が51%、廃棄時が48%と、およそ半々でございまして、これらのライフサイクルの段階での対策が必要、重要ということになります。
 5ページ目以降は経済産業省から御説明いたします。
 
○畑下室長 
 経済産業省オゾン層保護等推進室長の畑下と申します。よろしくお願いいたします。私から、まず、5ページから10ページまでの資料について御説明したいと思います。
 まず、5ページ目を御覧ください。
 こちらの緑の階段が、国際約束であるモントリオール議定書キガリ改正におけるHFCの消費量の上限値となります。このキガリ改正を確実に下回るため、赤線のフロン類使用見通しを超えないようHFCの製造量と輸入量の割当を実施し、HFCの製造量・消費量を削減しています。これにより、日本は国際約束である消費量の上限値を超えないよう管理しているところでございます。
 続いて6ページ目を御覧ください。
 こちらは、指定製品制度における指定製品のリストでございます。フロン類使用製品の低GWP・ノンフロン化を進めるため、製品区分ごとに環境影響度(GWP)の目標値・目標年度を定めています。一番上の家庭用エアコンなど、目標年度を迎えた製品につきましては、どれも目標値をクリアしています。今後とも、製品の開発及び安全性評価等の状況を踏まえ、製品区分の追加や区分の見直しなどを検討してまいります。
 続いて、7ページ目を御覧ください。
 こちらは、フロン類使用製品を領域①から③で整理した表となります。領域①のように、低GWPやノンフロン化への代替が進んでいる製品もありますが、領域②や③のように、導入機器の普及が進んでいないものや、代替冷媒の開発が難しいものもございます。
 続いて、8ページ目を御覧ください。
 そのため、経済産業省ではグリーン冷媒への転換を進めるために、必要な技術開発を行っております。また、環境省さんでは、自然冷媒を使用した機器の導入支援や、それぞれ予算措置を講じて進めているところでございます。
 次のページを御覧ください。
 産業界が京都議定書の目標を達成するため自主行動計画を定めています。代替フロン等イオンガスの排出量を、それに基づいて削減をしております.こういった取組が排出量の削減につながっております。
 続いて、10ページ目を御覧ください。
 業務用エアコンや業務用冷凍冷蔵機器からのフロン類の漏洩の多くは、機器の使用時に発生しています。この漏洩が、冷媒配管の接続部から生じることがありますことから、業務用冷凍冷蔵、空調機の施工品質の向上や、レベルの高い施工技術者の育成が大変重要だと認識しております。そのため、経済産業省では、日本冷凍空調設備工業連合会が主催する「技術講習会」を支援しています。
 私からの御説明は以上となります。続いて、環境省から御説明いただきます。
 
○香具室長  
11ページ目以降につきましては、再度環境省から御説明いたします。
 11ページ目でございますが、フロン排出抑制法には、算定漏洩量報告制度がございまして、業務用のエアコン、冷蔵冷凍機器から、CO2換算で年間1,000t以上のフロン類を漏洩した場合、機器の管理者は、毎年度国に報告をしなければならないことになっております。また、国は、その報告された情報を整理して公表しております。
 2022年度分報告量の業種別の内訳では、スーパーなどの小売業からの漏洩が多く、全体の7割近くを占めております。
 12ページ目を御覧ください。
 フロン排出抑制法では、業務用のエアコンや冷凍冷蔵機器の管理者に、3か月に1回以上、簡易点検を義務づけております。機器点検におけるIoT技術の活用について、2021年に日本冷凍空調工業会がガイドラインを整備したことを受け、2022年に告示を改正しました。これにより、漏洩又は故障等を常時監視するシステムを用いて、簡易点検に代えることが可能となりました。
 この常時監視システムの普及のため、本年1月にフロン漏洩の早期検知・対応による電力消費・CO2削減を周知するチラシを作成しまして、都道府県担当者、業界団体に当チラシの周知の協力を依頼しております。
 13ページ目を御覧ください。
 フロン排出抑制法上、業務用エアコン、業務用冷蔵冷凍機器について廃棄等を行う場合には、機器の管理者は、機器内に残存しているフロン類の回収を専門業者に依頼しなければならないとされております。これらの回収工程の管理のため、行程管理票の交付・保存などが義務づけられております。
 14ページ目を御覧ください。
 廃棄時に冷媒回収を実施した機器の台数や回収されたHFCの量、それぞれ青の点線とオレンジの実線で示しておりますけれども、これらは、年々増加しております。とりわけ回収量については、フロン排出抑制法の改正を、右下に※で書いてありますが、2015年・2020年に行っておりまして、これらの改正を契機に、伸び率が向上する傾向が見られております。
 15ページ目をお願いします。
 令和元年に改正されたフロン排出抑制法が、令和2年に施行されました。これにより、解体工事に係る建築物等や解体工事の場所が立入検査の対象として追加されました。任意の実地調査を含む建物解体現場への立入検査が増加傾向でありまして、2022年度には5,400件実施されました。
 また、2022年11月には、警視庁がフロン排出抑制法違反の容疑で金属買取業者を逮捕等したと公表しております。
 この事案を参考にしまして、本年春に、都道府県担当者向けの研修会を行いまして、警視庁から、摘発も視野に入れた事業者への対応のポイントについて講演をいただきました。
 このような形で、各都道府県の指導監督能力の底上げを図っております。
 また、家庭用エアコンの回収率向上は、フロン回収の観点からも重要であり、本年5月に違法業者への取締事例などをまとめた「家電リサイクルにおける回収率向上のための市区町村・都道府県における取組方法の紹介・事例集」を作成し、全国の自治体へ周知したところでございます。
 16ページ目でございます。
 都道府県の指導・監督体制の強化のため、2017年度より立入検査における機器や書類の確認方法などを修得・研さんすることを目的として、都道府県担当者向けの研修や立入検査にフロン使用機器の専門家を派遣する「専門家派遣事業」を実施しております。本年度は、11の都道府県で実施予定でございます。
 17ページ目を御覧ください。
 2021年に環境・経済産業両省で「代替フロン分野での2050年CNに向けた今後の取組の方向性について」というものを公表しております。方向性のポイントは、記載のとおりでございます。
 最後、18ページ目でございますが、「HFCsの削減に向けた今後の取組」でございます。
 黒字につきましては、現行温対計画における取組で、赤字は、現行温対計画以降の追加的な取組を示しております。赤字について御説明いたします。
 まず、「製造量・輸入量の削減」のところでございますけれども、キガリ改正の着実な履行として、蛇口では国際約束であるモントリオール議定書キガリ改正を着実に履行してまいります。
 次の「冷媒の転換」でございますが、冷媒を使わない新冷凍空調技術の開発として、圧電素子や磁気を使う方式の技術開発というものも検討してございます。レトロフィットによる既存の機器における低GWP冷媒への転換として、まず、レトロフィットというのは、既設の冷蔵冷凍機器または空調機器について、冷媒をGWPの低いものに入れ替えるというものでございますけれども、入替えには危険が伴うこともございますので、安全性の確保を大前提に冷媒転換を進めていくことを考えております。
 次に、「製品使用時漏洩量の削減」では、先に御説明しましたとおり機器設置時の冷媒配管施工などの接合部から漏洩が発生することもありまして、施工品質の向上、施工技術者の育成をさらに図りたいと考えております。
 「常時監視システムの普及促進」では、漏洩防止により電力消費削減にもつながるとの啓発を行っておりますけれども、市中稼働機器に対する漏洩検知システムの整備促進、新規販売製品へのシステム設置標準化、漏洩検知システムの更なる精度向上を進めてまいります。
 大量漏洩者、老朽機器使用者への指導・監督強化では、フロン類算定漏洩量報告公表制度で、大量に漏洩している事業者を把握できることから、それら事業者への指導・監督を強化したいと考えております。
 また、老朽機器につきましても、漏洩のリスクが高まることから、指導・監督を強化していきたいと考えております。
 次に、「製品廃棄時放出量の削減」では、遵法意識の低い廃棄物・リサイクル業者への対策の強化として、中小の解体業者が元請となる建物解体では、全て、または一部の機器のフロン回収作業が未実施のまま廃棄されることが一定数あると推察されます。
 そのような機器が、遵法意識の低い廃棄物・リサイクル業者に持ち込まれ、フロンを回収せずに大気放出されているおそれがあることから、実態を調査し、対策を強化したいと考えております。
 大量廃棄者への指導・監督の強化として、一斉に大量の機器を廃棄する事業者については、十分なフロン回収時間といった作業環境を確保できなくなるおそれがあることから,こちらについても、指導・監督を強化していきたいと考えております。
 最後に、RaMSへの登録による機器情報の管理の推進としておりますけれども、RaMSというのは、冷媒管理システムでありまして、日本冷媒・環境保全機構が運営する機器の整備情報を一元管理する電子システムでございまして、機器整備時の点検・整備記録簿の管理、機器廃棄時の電子版行程管理票発行などのフロン排出抑制法に係るデータ処理が行えるものでございます。このシステムの登録を進めることによって、電子的にフロンの管理を進められますので、管理の効率化と強化が期待できます。
 こういったものの促進も進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 それでは、最後に、環境省環境再生・資源循環局から御説明をいただければと思います。10分程度いただけるということですので、お願いいたします。
 
○波戸本課長  
環境再生・資源循環局総務課長の波戸本でございます。「廃棄物分野における地球温暖化対策について」、御説明いたします。
資料6を御参照ください。まず、一枚めくりまして、1ページは「廃棄物分野の温室効果ガス排出量の推移」を示しているものでございます。
 2022年度の廃棄物分野の温室効果ガス排出量は、約3万6,000kt、つまり約3,600万tということでございまして、我が国総排出量の約3.2%を占めるという状況でございます。2010年代は、横ばいで推移しておりましたが、近年、減少傾向にございまして、2022年度の排出量は、2013年度比で-6.9%という状況でございます。
 2ページ目を御覧ください。こちらは、温対計画における廃棄物分野の対策内容について、その進捗状況と評価を示したものでございます。廃棄物分野の対策内容は11項目ということでございまして、次ページ以降で、取組状況や今後の対応について整理しております。
 それでは、次のページをお願いいたします。
 こちらは、まず、廃棄物処理や燃料製造における取組状況でございます。1つ目の・のところは、一般廃棄物処理施設における廃棄物発電の導入ということでございまして、こちらは、諸般の取組によりまして、足元で約120万tのCO2削減相当の発電に至っているというところでございまして、ここはしっかり取組を進めていく必要があります。
 一方で、その次の、産業廃棄物の焼却施設の発電量につきましては、令和元年に目標は達成しているのですが、その後、廃棄物焼却量の削減がございまして、発電量については減少傾向にあります。特に中小規模の施設においては、事業採算性が乏しいということで、導入率が停滞しているという状況にあります。
 さらに、廃棄物の活用によるRPF等の燃料製造につきましては、施設と製造量は順調に増加しているということでございますが、廃プラスチックのリサイクル率向上、これはいいことでございますけれども、この向上に伴いまして、RPF等の燃料の原材料は減少傾向にあるという状況でございます。
 こうしたことを踏まえまして、今後の対応でございますけれども、引き続き、一般廃棄物施設について、高効率エネルギー回収が可能となるような施設の更新であるとか、あるいはそもそもその施設のCO2排出削減に資するような改良をしっかり施していく。
 あるいは廃棄物量の減少を踏まえつつ、しっかりと減少を進めていくことは重要ですけれども、リサイクルできないものは熱回収・燃料化によるGHG削減をしっかり進めていくということを引き続きやってく必要があるのではないかと考えております。
 次のページにつきましては、今申し上げた廃棄物発電の取組についての資料でございます。
 引き続きまして、5ページ目をお願いいたします。こちらは、最終処分場におけるCO2排出の削減取組でございます。
 まず、最終処分量自体の削減につきましては、ごみの有料化の推進を通じたごみ排出量の削減といったことに取り組みまして、2013年、32万5,000tから、足元2021年につきましては8万4,000tまで削減できているということでございます。
 一方で、最終処分場でございますけれども、メタンの発生抑制ができる準好気性埋立構造という形で設置を進めているわけですが、海上の最終処分については、なかなかこういう設置は難しいということでございまして、このあたりが論点として残っているということでございます。
 さらに、今後の取り組みでございますが、引き続き3R+Renewableの推進やごみの有料化といったことで、まずは最終処分量を減らしていく。さらに、最終処分場についても、メタン発生をなるべく抑制するような構造での設置をしっかり進めていきたいということでございます。
 次のページでございますが、こちらは、ごみの有料化について、市町村の取組状況でございまして、例えば生活系ごみの収集手数料を有料化している自治体の数でございますが、令和4年度で言いますと、1,162自治体となっているところでございます。
 さらに7ページ目をお願いいたします。
 廃棄物分野で、CO2の発生量が多いプラスチックの分野でございます。こちらについては、まず(進捗・課題)というところで、プラスチックの容器包装に関する分別収集実績は非常に増加しているということでございます。
 さらに、令和4年4月に施行したプラスチック資源循環法でございますが、これによって、容器包装のプラスチックのみならず製品プラスチックの分別収集・リサイクルが開始されていまして、このあたりをしっかり進めていく必要があると考えているところでございます。
 バイオプラスチックにつきましては、高価格ということであり、なかなか難しいところはありましたけれども、2020年の7月に開始したプラスチック製の買物袋の有料化制度で、この対象除外化ということになりまして、こういったところからバイオプラスチックの利用の促進が進んでいるところでございます。
 さらに、今後の対応につきましては、これまでの取組、例えばプラスチック資源循環法の施行、最近始まったわけですけれども、あるいは先ほど申しましたようなバイオマスプラスチック買物袋を有料化から対象除外するといったような、こういったことをうまく進めながら、引き続き、どのような取組があるのか検討を進めいくということかと思っております。
 次の8ページ目、あるいは9ページ目につきまして、これは、プラスチックの焼却削減をどう進めていくのかというような取組についての具体例を示しているところでございます。
 飛んで10ページをお願いいたします。
 こちらは、廃油に関する取組でございまして、プラスチックに次いで廃棄物の焼却に伴うCO2の排出量が多い廃油に関する取組でございます。
 まず(進捗・課題)でございまして、廃油の中でも廃溶剤については、リサイクル促進により焼却量が減少しておりまして、焼却炉も減少傾向にございます。一方で、廃溶剤のリサイクル施設、これはまだ十分ではないということで、このあたりを論点として考えているところでございます。
 加えて、廃潤滑油のマテリアルリサイクル、これは国内回収分の50万klについては、ボイラー燃料として利用されているところでございますが、これを、マテリアルリサイクルする施設がないということでございまして、これも必要な取組かなと考えているところでございます。
 こういった観点から、今後の対応としましては、適切な規模、地域での廃溶剤リサイクル施設の設置を後押ししていく。あるいは廃潤滑油のマテリアルリサイクルに取り組む事業を後押ししていくということが重要かなと思っております。
 次の11ページにつきましては、こういった観点からの取組の具体例を示したものでございます。
 続きまして、12ページ以降は、政府全体として、廃棄物などをどう活用するかを含め、循環型社会をどうつくっていくかということにつきまして、8月2日に、第五次循環型社会形成推進基本計画を閣議決定しております。
 これは、資料にございますように、循環型社会形成推進基本法は2000年に制定されているものでございますが、これに基づきましておおむね5年ごとに基本計画を策定しているものでございます。当初2003年に第一次計画をつくった際には、最終処分量の目標数値等々、基本的には埋立地がどんどん減っていくのではないかというところに着目した話がスタート時点であったわけでございますけれども、これに加えて、近年、第二、第三、第四次と、さらに今回の第五次におきましては、環境面については、さらに脱炭素であるとか生物多様性の問題、経済・社会面という観点につきましては、例えば競争力であるとか経済安全保障であるとか地方創生、廃棄物を利用することの、ある意味プラス面というのに着目したような側面が出てきていると。
 こういったことを捉えて、国家戦略としてしっかりと循環経済への移行を整理していこうといったような状況にございます。
 この点を、もう少し補足させていただきますと、飛んで14ページをお願いいたします。
 今回の基本計画について、主な課題・背景ということで、緑、青、茶色のところにございますように、環境制約につきましては、先ほど申しましたように、ネイチャーポジティブ、あるいはネットゼロに資するということでございまして、例えばネットゼロの関係で言いますと、資源循環をしっかり整えていくということで、GHG排出の36%の排出分野に対して貢献が可能ではないかというような整理がなされているところでございます。
 さらに、産業競争力、経済安全保障で言いますと、最近、資源獲得競争が進んでいく中で、我が国、国内の、例えば都市鉱山といわれておりますが、そういった希少金属あるいはこれからは鉄、銅、アルミ二ウムといったベースメタルについても、国際的な取り合いが始まるのではないかということでございまして、こういったものも国内回収、国内再資源化という重要性が増してきています。
 さらには、産業競争力という観点で言いますと、ヨーロッパを中心に再生材の活用というのを、マーケットに入ってくるための要件とするであるとか、あるいは大企業によっては、もう既に自主的に自分たちの製品の強みとする、売りとするといったようなこともございますので、そういった意味でも、我が国の産業に対して、再生材をいかに供給するかということが重要な局面になってきているのではないかと思っております。
 さらには、地方創生・質の高い暮らしということでございまして、日本全国津々浦々に再生材の材料がありますから、これをしっかり活かした地域経済の活性化にも使っていけないかといったようなことでございます。
 15ページ、16ページでございますけれども、この循環計画の中で目指すべき指標、目標を示しているところでございます。
 目標年度につきましては、2030年度に設定しておりまして、2030年度に向けた循環経済への移行というのを、進捗状況を各指標で図れるようにしたいということでございまして、16ページにつきましては、脱炭素との関係で言いますと、先ほど申しました36%の関係で、⑨で循環経済への移行に関わる部門由来の温室効果ガス排出量について、こういった削減目標の参考値を置いているところでございます。
 ⑩のところでは、廃棄物分野由来の温室効果ガスの排出量ということで、先ほどの温対計画の目標に照らした形で、2030年度の参考値というものを設定しているところでございます。
 17ページにつきましては、こういった計画を達成するためにどういったことが必要かというところについて、地方創生・質の高い暮らし、産業競争力強化・経済安保といったところで、具体的な国全体としての施策を挙げさせていただいたところでございます。
 続きまして、18ページでございますけれども、関連して、令和6年5月に再資源化事業等高度化法という法律が成立しておりまして、これは、脱炭素と再生資源の質と量の確保等を目指すために、産業廃棄物分野の事業者に対する、ある意味、これからこうやってほしいといったような報告あるいは公表制度というのを設けるとともに、再資源化に対して積極的な取組に対しては認定制度を設けるといったようなことを示しているところでございます。
 19ページに関しては、7月30日、先ほどの循環計画の閣議決定に先立って、循環経済に関する閣僚会議を開催しておりまして、岸田総理からも関連して指示をいろいろいただいているところでございます。
 20ページですけれども、2050年に向けたGHG排出削減ゼロ達成に向けて、廃棄物分野はどのような取組をするべきかということについて整理をしているものでございます。
 こちらは、中長期シナリオということでございまして、廃棄物・資源循環分野の2050年温室効果ガス排出ゼロ達成に向けて、対象とする温室効果ガスの範囲であるとか、削減の対策に当たっての基本的な考え方を整理しているところでございます。今後、政府、地方自治体、民間企業、NGP/NPO・国民等の各主体の取り組むべき方向性について明らかにするために、令和3年8月に取りまとめたものでございます。
 図の緑の棒を中心に御覧いただければと思いますが、3R、バイオマス化によって排出削減を図るとともに、焼却せざるを得ない廃棄物については、エネルギー回収、CCUSということで、炭素回収・利用を徹底すると、こういった形で2050年までにネットゼロを目指すという考え方を示しているところでございます。
 21ページでございます。最後に、こういったものに取り組むために、重点領域3分野を設けております。こういった分野に対して、下にありますけれども、【重点領域(対策の方向性)】として、資源循環を通じた素材ごとのライフサイクル全体の脱炭素化であるとか、地域の脱炭素化に貢献する廃棄物処理システムの構築、さらには廃棄物処理施設の脱炭素化といったようなことを目指したいということでございます。
 このあたりもしっかり進めてまいりたいと思います。
 私からは以上でございます。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま各省からの御説明を含めて、委員の皆様から御意見を頂戴できればと思います。中環審と産構審の委員に五十音順で御発言いただければと思っています。本日は、大勢の委員の方に御参加いただいていまして、お時間の関係を考えると、大体3分を超えるとアウトという感じでイメージをもっていただけるとありがたいなと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず秋元委員から、よろしくお願いいたします。
 
○秋元委員 
 御説明ありがとうございました。内容豊富で、CO2以外のところの排出削減も非常に重要だと思いますので、今日御紹介いただいたものをしっかり進めていくことが重要ではないかと思って聞きました。
 ただ、やはり根幹的に重要だと思うのは、資料3―2の部分でございまして、御説明があったように、とりわけドイツにおいて、ここのところ急速にエネルギー多消費産業の海外移転が進んでいるという認識を持っておりまして、つい先日まで、短期間ですけれども、ドイツに行ってきましたが、その中でも、産業界の悲鳴のようなものが、相当言われていまして、ドイツの場合、原子力も閉鎖して、そこに泣きっ面に蜂のようにウクライナ・ロシア情勢の中でのガスの途絶という中でガス価格も上がり、しかもオプションとしてCCSも認めないということで、将来的な展望としても非常に技術を狭めてしまっているということだと思いますし、BEVに関しても、BEV偏重過ぎて、ここに来て破綻が見えてきているということだと思っていまして、しかも、財政も非常に厳しい状況になっていると聞いています。
 そういう中で、もうこのままでは国内でできることはなくて、海外に出ていくしかないということの中で、ドイツは本当に苦境に陥っているというのが実態感だと思います。これは、野村先生の分析も、それを定量的に分析されたものですけれども、実態感も、まさにこういう状況だと思っています。
 他方、この絵でも隣にある日本も、ドイツは今、相当急激にひどくなっていますので、前は、当然ながらユーロ圏という中で、安いユーロということで足を引っ張っているギリシャとかイタリアとか、そういうところに助けられていた部分があるわけですけれども、それも、もう今は耐え切れなくなって、今のドイツだと思いますけれども、日本は、その前から継続的にエネルギー多消費産業の衰退が進んでいるという状況だと思いますので、こういった状況が続けば、結局、経済と環境の好循環ということは実現せずに、雇用も大きく失われていくということだと思いますので、やはり慎重に次の目標というものを設定していく必要があると思っています。
 御説明にもありましたように、相対的なエネルギー価格がどうなのかというところに関して、そういったターゲットをしっかり考えていかなければ、結局、経済と環境の好循環は当然実現しないわけですけれども、これは、世界に移転しているだけでございますので、そうすると、結局、世界のCO2排出量にも全く効果がないということになりかねないので、日本の次の目標ということを考えたときには、もちろん1.5℃目標の達成という大きな目指すべき姿というものに関して変えるべきではないと思いますけれども、ある程度柔軟性を持った排出削減目標というものを考えていく必要があると思いますし、恐らくほかの国も、もうほとんど耐え切れなくなってきていて、私の感覚でも急速に、みんな2年前の感覚とは全く違ったような感覚を持ち始めていて、このままでは立ち行かないという感じがあると見ていますので、そういう中で、日本の目標というものをよく吟味して考えていくことが重要ではないかと思います。
 以上でございます。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 続きまして、池田将太委員、お願いいたします。
 
○池田(将)委員 
 各省庁の皆様、お話ありがとうございました。
 今回、皆様のお話を聞いて、大変理解が深まりましたけれども、その中で、仕組みとか制度の変更を通じて、各KPIとか目標数字が改善しているというところは、すごくポジティブな変更かなと、率直に感じました。
 2040年のGXビジョンとか、あと、フロン対策室とか、農水省さんの話を聞いても、すごく大切だなと感じたのは、一般消費者とか企業の行動変容をどのように促すかという、ここのマインドの部分の観点と、その行動変容を起こすに当たっての具体的なコストの支援というところが、今後、必要不可欠なのかなと感じました。
 あとは、各省庁の計画に対して、業界の企業とか消費者の方の受入れ方みたいなところで言うと、どういう受取り方を皆さんがされているのかみたいなところは、今後大切な論点になるのかなというふうに気になっています。
 自分自身電力の専門なので、そこに少し関連したお話をさせていただくと、やはり今、企業も一般消費者の方も、再エネを利用したいという思いは、すごく増えてきていると感じていて、ただ、大手電力会社さんとかと比べると、やはり自社の電源を持っていないことで電力の調達が安定しないがゆえに、企業が電気を調達しようとしたときに、やはり新電力とか再エネはボラティリティがあるよねということで、最後、電気を選ぶことができていないみたいなところは、今、現状としてあるかなと感じています。
 今すごく再エネを提供するプレーヤーも増えてきているけれども、最後はどうしても、そこのボラティリティのところのリスクを懸念して、企業が導入できないというのがハードルになっているというのが、現場で感じているすごく課題感なので、そこに対して、再エネを利用してもらうためにどのような制度設計ができるかというところは、今後、電力の業界で言うと、すごく大きな課題になっているかなと思っています。
 なので、今目標としている取組自体は、方向性としては僕も賛成で、すごくいい方向だなと思っているので、具体的に消費者、企業に対してどのように落とし込んでいくかというところを、今後考えていくことが重要かなと感じました。
 以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、池田三知子委員、お願いいたします。
 
○池田(三)委員 
 ありがとうございます。
 秋元先生からも、ドイツのエネルギー多消費製造業の生産減退についてコメントがございましたが、第2回会合での経団連の取組についてのプレゼンでも、近年、日本のCO2排出が減少している要因として、多排出産業の生産減少によるところが多いとご説明しました。経済と環境の好循環を実現する観点から、今後、さらなる脱炭素化が求められる中にあっても、経済活動量が維持・拡大されるようにすることが重要です。
 そのような認識に立ち、次のNDC目標を考えた場合には、イノベーションによる排出削減効果が現れるまでに時間がかかるということを踏まえて、想定される削減パスは、当初は上に凸となり、将来急速に下がるという形が考えられます。
 我が国として、このようなある意味「合理的」なパスを想定すべきなのか、あるいは2050年カーボンニュートラルに向けて直線的な削減を目指すべきなのか、G7の一員として、1.5℃目標に整合的なNDCの提出にコミットしている日本の国際的な発信のあり方も踏まえながら検討を深めていく必要があると考えます。
 いずれにしても重要なのは、野心的な目標を追求するに当たって、削減実績の全体の進捗や、各分野における技術の普及などの状況を確認しながら、柔軟に対策を講じていくことではないかと思います。
 農林水産分野に関しましては、環境負荷低減の取組に対する消費者理解の促進が重要であって、「見える化」の取組が本格運用したことを興味深く伺いました。こうした取組が拡大・深化しつつ普及することを期待します。
 また、代替フロン削減につきましても、温室効果の低い冷媒への転換に向けて経産省と環境省がすみ分けをしながら、代替冷媒の普及・開発に取り組んでいることを評価いたします。引き続き、事業者への負担に留意しつつ、転換を進めていただくようお願い申し上げます。
 最後に、廃棄物分野に関しまして、資源循環への取り組みが温室効果ガスの排出量低減に貢献するよう取り組むことが重要です。ただ、資源循環と温室効果ガス排出量削減の取り組みは、時にトレードオフになる場面もあるため、社会全体での資源効率性や温室効果ガス削減効果などを勘案しながら、両者をバランスよく進め、両課題間における事案に応じた優先度には配慮が必要であると考えます。
 また、3R+Renewableや循環経済への移行に向けた取組を尽くした上で、なお残る廃棄物等については、最終的には焼却等の熱回収を行うことになると存じます。したがって、新たに閣議決定された第五次循環社会形成推進基本計画を踏まえて、熱回収の高度化やCCUS等の技術開発を推進し、廃棄物処理システム全体の脱炭素化に取り組んでいくことが重要であると考えます。
 私からは以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、伊藤委員、お願いいたします。
 
○伊藤委員 
 ありがとうございます。まず、産業競争力を維持する上でも、脱炭素電源に関して、やはり価格と安定供給、これも同時に実現するような電源にしていくということ、これは、まずすごく大事なことだと思っております。
 それから一方で、やはり熱なども出てしまうというところもありますので、その吸収源としての森林の役割というのは、非常に大きいと思います。整備して吸収量を高めることは、土砂崩れの災害発生を抑止することにもなります。間伐材を、よりお金に換えていくような、そういう産業を育てていく、これも必要なのではないかと思います。
 建設分野の話もありましたけれども、やはりCLTみたいなものを、これは国交省とも横断で取り組んでいただいて進めていくということが、地域経済の活性化にもつながるのではないかと思います。
 それから、森林クレジットに関して、これは、もっともっと活用されていくべきだと思いますけれども、クレジットの価格が、ほかの削減のクレジットに比べると非常に高い。それはなぜなのかというと、やはり非常に手間暇がかかるということが大きいのではないかと思います。吸収量を算定するための調査ですとか書類作成とか、それから権利関係とか、そういうものが非常に面倒で、なかなか手をつけられないという地域の声もあり、地域にせっかく資源があっても、これが活用できないということになりますともったいないことでもありますので、このクレジットの仕組みというのを、もうちょっと見直してもらいたいなというところがあります。
 そしてこれは、天然林は対象になっていないのですが、天然林も吸収しているのは確かだと思いますし、生物多様性の観点からも、今後、天然林の扱いというのをどうするのかということも検討していただきたいと思います。
 それから、農林水産分野のほうで、もう一つですけれども、フードマイレージを減らすということは、一消費者としては、これも大きいことなのではないかと思います。日本は食料自給率が非常に低いこともありまして、食料輸入に伴うCO2排出量というのは、欧米に比べると非常に多くて、1人当たりに換算しても、年間百数十キロのCO2排出になると思います。それがどのぐらいなのかというのをしっかりと見せていただくというか、現実を直視していくということも必要ではないかと思います。
 経済安全保障が課題になっていますので、海外の気候変動の様子なども考えると、やはり安定供給、今後海外で安定的に生産されて輸入できるという保障もないというところも考えていかなくてはいけないので、やはり食料自給率の向上と脱炭素、これは同時に進めていく必要があるのかなと思っております。
 それは、国内においても、なるべく地産地消のシステムをつくっていくこと、地方から豊洲に持ってきて、また地方に行くみたいなことというのは、やはり考えを改めていかなくてはいけない部分ではあるかなと思います。
 そのためには、やはり消費者の意識を高めていかなければいけないと思いますので、今取り組んでいただいている温室効果ガスを可視化する方向というのは、不可欠だと思っております。
 フードマイレージだけではなくて、化学肥料も含めたカーボンフットプリントで算出てきるように、政策としても進めていく必要があると思います。
 これは、漁業も同じて、海外で養殖されて日本に運ばれてきた魚と、地域の魚を地産地消で食べる場合とでは全然違うと思いますし、同じく自給率を上げる点からも、未利用魚も含めて日本近海の魚を活用していくためにはどうするべきなのかということも併せて進めていただきたいと思いますし、漁村が活性化することは、安全保障上でも非常に重要だと思いますので、本当に省庁横断で課題解決を進めていく、脱炭素で課題解決を進めていくという発想が、非常に大事ではないかと思っております。
 それから、もう一点、サーキュラーエコノミーについても、企業にとってはなかなかコストがかかるということで難色を示す場合もあるかと思いますけれども、でも、本当に経済安全保障のことを考えたときに、資源価格も高騰していますし、もしかしたら入ってこなくなるということも、企業を存続していく上で想定しておかなければいけないと思いますので、その上で、やはり国内で調達できるものに転換を図っていくということは大事なことかと思います。
 そういう意味では、一次産業は、ポテンシャルはあると思っていて、例えば廃棄するような農産物を使って建築資材とかバイオプラスチックをつくるというようなことも出てきておりますし、例えば廃棄する鉄鋼スラグで海草を育てて、それでカーボンクレジットをとっていくというようなことも出てきておりますので、先ほども言いましたけれども、本当に省庁横断で、全体で脱炭素を活用しながら課題を解決するというポジティブに捉えていくことが大事なのではないかなと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
 
○大橋委員 
 ありがとうございます。
 続いて、岩船委員、お願いいたします。
 
○岩船委員 
 ありがとうございます。様々な、CO2以外のお話も含めて対応していかなくてはいけないんだなということを、改めて思いました。御説明ありがとうございました。
 私は、CO2以外のところとかもしっかりトレードオフを考えていかなければいけないという池田委員からの御指摘は、もっともだなと同意したいと思いました。
 今回の内容に関しては、3点申し上げたいことがあります。
 まず、資料2に関してですが、先ほど秋元委員からもお話がありましたけれども、産業の部分で生産量が下がっているという話ですけれども、以前に鉄鋼業、鉄鋼の方から、日本の鉄鋼生産量が落ちているというのは、中身が変わっているからだと。高付加価値な製品へ注力することで、生産する質が変わっているためなので、利益としては上向きだというようなお話をされていて、その点は、ドイツとは違うよというようなお話を聞いたので、そういうことは、鉄鋼業だけを見ていると、確かに分からないわけで、利益は拡大しながら生産量は減るけれども、CO2も恐らく一緒に減るわけなので、それ自体は望ましいことだと思いますので、そういう産業構造の変化は、しっかり見ていかなくてはいけないのではないかと思いました。
 それで、その変化が、今後も続くのか、それともある程度飽和しているのか、そういうことによって、原単位も変わってきますし、今後の需要の見通しにも大きな影響を及ぼしますので、単純に活動量、構造量要因が減った、増えただけではなくて、その中身の変化に関しても、ぜひ業界の方ですとかのお話を伺っていくべきではないかと思います。
 例えば業務用に関しても、床面積は減っているかもしれないけれども、それが、産業が不活性になっているせいなのか、それとも在宅勤務が進んでフリーアドレスみたいなものが浸透して、1社当たりの事業所の床面積が減っているせいなのかもしれないので、後者が強いのであれば、それはそれで効率化が進んでいる証拠でもありますので、単純に活動量の削減をネガティブに捉える必要はないというようなこともあると思います。ぜひ中身を御検討いただきたいと思います。
 資料4に関して、吸収源の話、21ページにあったと思いますけれども、ここの森林吸収源に関しては、国際的なルールの話だったと思いますが、農地土壌炭素貯留量の算定方法に関しては、国際的なルールと整合性はとっているのか、そういう意味で、日本も何か、そういうルールを設定するところに参加していいのか、このあたりで御知見をお伺いできればと思いました。
 資料5の代替フロンの件ですけれども、廃棄時の排出量がすごく多いということは、改めて、この数字から確認させていただきました。
 入口よりも出口で対策するというのは、非常に根気の要ることですし、丁寧に取り組まれている状況が、今回よく分かりました。御説明ありがとうございます。引き続き、対策の強化をお願いしたいと思いました。
 その上で、冷媒の転換というお話が幾つかあったと思います。既に冷蔵設備等では、かなり進んでいるようですけれども、これからエアコンなどに関しても、低GWPの冷媒に切替えていかなければいけないわけですけれども、その場合の機器の効率の低下、恐らくフロンを使うほうが効率はいいという話があると思いますけれども、そのあたりは、実態はどうなっているのか、機器効率低下なしに代替フロンに進めていくことというのが可能なのか、可能な見通しなのか、そのあたりについてお聞かせいただければと思いました。全体のCO2を考える上では、その点も重要かなと思っております。
 以上です。お願いします。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、井上委員、お願いいたします。
 
○井上委員 
 ありがとうございます。連合の井上です。私からは、2点発言をさせていただきます。
 1点目ですが、資料3―2「関連する他の会議体における検討状況」に関してです。
 GX実行会議や中環審の各部会、また、第2回の本委員会でも申し上げてまいりましたけれども、2050年カーボンニュートラル実現に向けた産業構造の転換に当たりましては、負の影響を最小化する公正な移行が不可欠であります。環境政策と産業政策と同時に雇用政策も推進すべく、公正な移行はGX政策全体の基底に位置づけられるべきだと考えております。
 2050年ネットゼロ実現に向けて、引き続き、社会対話を推進していただきたいと思っております。
 2点目ですが、農林水産省の御報告に関してです。今年改正された食料・農業・農村基本法の基本理念に、環境への負荷低減が位置づけられたように、今後、みどりの食料システム戦略はより取組が推進されていくものと存じます。
 戦略の推進に当たりましては、例えば有機農業では、収量の低下があるなど、持続可能な農業の発展とトレードオフになる部分があるとの声も聞いております。御報告にもありました環境負荷低減の取組の見える化を進め、環境価値を消費者が価値として感じ、適正に価格転嫁できる社会の実現が重要であると考えています。
 連合としても、環境価値に対する消費者の受止めを把握することが必要であるということで、インターネット上でカーボンニュートラルに関する調査を行いました。1つだけ御紹介すると、「カーボンニュートラルへの取組が必要だと思う」と回答した方が50%、一方で「分からない」と回答した方が20%いらっしゃいました。
 この間、連合は、700万人連合で組合員の一人一人が環境に優しい行動を心掛けて持続可能な社会をつくる連合エコライフ運動を通じて、環境の問題に取り組んでまいりましたけれども、まだまだ一般の国民の皆様方の意識が低いというのが分かりましたので、この結果も踏まえ、生活者目線で環境問題に関して働きかけていきたいと思っております。
 以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 続いて、大下委員、お願いいたします。
 
○大下委員 
 日本商工会議所の大下でございます。御説明ありがとうございました。各省からの御説明について、一つずつ、少しコメントをさせていただきたいと思っております。
 経産省さんから、最初のお話がありました。国際的な視点が非常に重要だということ、それから、その中で、相対的なエネルギー価格差をしっかり念頭に置いて政策を打っていく必要があるだろうというお話、まさにそのとおりかなと思っております。
 我々もエネルギー基本計画の見直しに向けて意見書を出すべく、今企業の方々で議論をしていますけれども、ここにあったような国際的な視点、これまでのエネルギー政策に関してS+3Eというふうに言ってきていますけれども、ある種、Global(グローバル)あるいはGeopolitics(ジオポリティックス)、Gという視点を加えてしっかり取り組んでいく必要があるのではというふうに、いろいろな委員から意見をいただいているところであります。
 その中で、中小企業にとって考えますと、やはりこうした不安定な中でも、エネルギー価格をしっかり安定していただくことが何よりも重要だというふうに思っております。温室効果ガスの排出で言うと1割から2割を占める中小企業ですけれども、この中小企業がしっかりと事業を続けながら脱炭素の取組を進めていく上でも、このエネルギー価格の安定というのは、非常に重要だと思っております。ネットゼロへの取組を進める中で、しっかりとこの点を踏まえて、柔軟で機動性のある政策対応が必要だというふうに思いますし、エネルギーミックスについても、再エネの拡大を進めていくことはもちろん大事ですけれども、化石エネルギー、火力、原子力それぞれのメリットを最大化し、デメリットをお互いに補い合うような形で、最適化、多重化をしっかり進めていく必要があると思っております。
 それから、農水省さんから「みどりの食料システム戦略」等幾つかお話をいただきました。大変興味深いなと思って聞いておりました。
 例えば農業の脱炭素化に必要な技術の開発、普及、実装、あるいは流通段階での見える化、こういったあたりには、各地方で農業関係者さんと日頃から取引をしていらっしゃる中小企業にも関われる部分があるのかなというふうに思って聞いておりました。ある意味、各地域における脱炭素分野での農商工連携を進めていっていただけるとありがたいなと思っております。
 それから、環境省さんからは、資源循環のネットゼロへの取組のお話がございました。ここも、例えばということでお話がございました廃棄物発電、これはエネルギーの地産地消につながることでもありますし、また、そうした分野での省エネ化、電化、ここも様々に各地域でビジネスをしていらっしゃる中小企業の方々が関わっていける分野かなというふうに思っております。
 ぜひ農業、環境、それぞれの分野で、地域の発展につながる脱炭素の取組を進めていくという視点を持って、それぞれの政策を進めていただきたいと思っております。
 私からは以上です。ありがとうございます。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、小西委員、お願いいたします。
 
○小西委員 
 ありがとうございます。
 まず、資料4について、資料6について、そして資料3―2について、少し意見を述べさせていただきます。
 農林水産分野ですが、食料分野からの削減というのは、今COPでも大きなテーマとなって、日本の中でも、多様に進んでいるということをまとめてあって、非常に興味深く拝見しました。
 その中で2点申し上げたいのですが、今、やはり農業系と建物系の再エネというのは、非常にポテンシャルがあると言われています。その中で、例えばソーラーシェアリングとか、そういった再エネについての農林水産省さんの推進策みたいなものが、ここではあまり分からなかったので、それを教えていただきたいと思っております。
 やはり収量を、その下でも8割確保しましょうとか、いろいろなそういった規制、そして、推進策自体が非常に大きな今後の発展に関わると思いますし、また、耕作放棄地を農地化したりとか、そういったことにも非常に力をお持ちだと思いますので、ここについて、推進策をお聞きできればと思います。
 あと、やはりJ―クレジットへの期待が大きいんだなということを非常に感じております。もちろん生物多様性保全にもつながるJ―クレジットなので、価値は高いとは思いますけれども、今、GX―ETSの議論が進んでいます。この中で、クレジットをオフセットにどれぐらい使えるかというのは、これからの議論だと思いますけれども、やはり農業系のJ―クレジットを化石燃料系のオフセットに使うというのは、国際的に見ても非常に課題が多いなと思っております。
 この農業系のJ―クレジットの使い方について、もし御意見があれば伺いたいと思っております。
 そして、資料6ですが、7ページ、ごみの排出量が削減、廃プラスチックが減少傾向、製品プラスチックの回収とか、本当に進んでいるとは思いますけれども、やはり3Rでは、何よりこの使い捨てプラスチックのリデュースが一番重要だと思っております。
 これの対策について、この中でたくさんあったので、より具体的にありましたら教えていただきたいと思います。ここはNDCを検討する小委員会ですので、今日は、YouTube中継はないみたいですけれども、私たち委員の前に、こういう使い捨てプラスチックのボトルが置かれているというのは、ちょっとどうかなと思いますので、これも、やはり隗より始めよということで検討いただけたらと思っております。
 そしてあと、11月末にプラスチック汚染に関する条約交渉を控えて、合意案が出てくると聞いておりますので、これは、日本の対応と、それから製造・設計から廃棄、リサイクルまでライフサイクル全体で取り組むということですので、これに対する方針と、それから国内への対策の反映というものを、今の段階でお考えがありましたらお聞かせいただけければと思います。
 あと、鉄や希少金属を初めとする都市鉱山の資源活用の仕組みをさらに構築というのは、これは本当に期待しております。やはり鉄のリサイクルが進むことなどによって、本当にCO2削減につながりますので、これは期待しております。
 そして最後に、資料3―2ですけれども、これは、少し分析に違和感を覚えまして、例えば日本とドイツと両方の生産減退、やはりドイツとかも欧州の排出量取引制度の下にあって、対策の強度が、1990年から2020年にかけて、2020年からぐぅーっと減ってきているということですけれども、日本とは対策の強度が違うドイツにおいて、でも、日本でも生産が減退しているということになると、やはり理由は、その対策が、強度が強いから海外へリーケージしていくというだけではない、ほかの理由があるのではないかと思いました。
 ここは、私、きちっと調べていないので、またチャンスがあったら次回、発言させていただければと思いますが、岩船委員がおっしゃった活動量の変化というのが、ほかにやはり理由があるということで、産業構造の変化ということをおっしゃっていて、なるほどなとすごく思って聞いておりました。
 欧州委員会は、2040年に90%削減というのを既に軽減して、35年も、その途上として出すことが、恐らくそういうことは推測されますので、この生産減退をもって、日本のNDCの議論への影響というのは、ちょっと違和感があるかなと思っております。ちゃんと調べていないまましゃべっているので、これは、また次回に話をさせていただければと思います。
 以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、志田委員、お願いいたします。
 
○志田委員 
 三菱総合研究所の志田です。関係省庁の皆様、御説明をいただき、誠にありがとうございました。
 本日御説明いただいた内容は、エネルギー源CO2以外の温室効果ガス、こちらを中心に御説明をいただいているのかなと思います。
 本日は、3点コメントを申し上げたいと思います。
 まず、1点目ですけれども、農林水産分野の取組の重要性があるかなと思っています。近年、森林・土地及び農業分野、いわゆるFLAGセクターと言われているもののGHG排出量に注目が集まっているかなと思います。今、FLAGセクターに関するGHGの新しいプロトコル、そのガイダンスが、作成が進んでいるかと思いますし、公開後、そのSBTiに加盟している企業の一部が、日本企業も含めて目標についての対応が必要になるかと思います。
 本日の御説明の中で、みどりの食料システム法もございましたけれども、食料分野におけるGHGや削減の取組は、まだ日本だと、恐らく緒についたばかりで、未確立の技術ですとか手法、まだそれが多い状況かと思いますので、ぜひ省庁連携のもと、こういったものを後押しいただければと思っております。
 その際には、見える化を通じた消費者の行動変容も、こちらももちろん重要になってきますけれども、社会実装という観点では、御説明の中にもありましたけれども、食料の生産現場に対して、具体的なメリットも提示する必要があるかと思っています。
 先ほど来もありましたJ―クレジットによる収益の確保もそうですし、バイオ炭等による収益の向上ですね、こういったものをメリットとして、分かりやすく提示することと、どうしても小規模な形態が多いと思いますので、政府・自治体でしっかり導入の後押しを進めていくことが重要かなと思っております。農地の確保、食料安全保障という側面でも重要な取組と考えております。
 2点目は、代替フロンに関しての御説明がありましたけれども、ライフサイクルで見たときのGHG削減の正しい評価、これは必要だなと感じております。
 建築物の分野でも、エンボディド・カーボンということで、建物のライフサイクル全体で脱炭素化を評価するという流れがありますけれども、個別製品ですね、こういったものについても、恐らく今後、ライフサイクルでのGHG削減、これの重要性がどんどん増していくかなと思っています。
 特に空調分野で申し上げますと、ASEANを中心に人口増加ですとか、経済成長に伴って、今後、空調需要が世界的にも伸びていきますので、こうした低環境負荷の空調機器の導入、これは世界全体のGHG削減という意味でも重要ではないかと思います。
 かつ、ヒートポンプ、空調関連技術は、日本は競争力を持つ技術の一つでもありますので、ライフサイクルでのGHG削減、これが適正に評価されるような枠組み、これを渡していただければと考えております。
 最後3点目は、廃棄物分野の取組に関連しまして、資源循環の取組とエネルギー施策の整合性というところが重要かなと思っています。
 第1回のこの会合でも申し上げましたけれども、資源制約のある日本において、脱炭素化を進めるに当たっては、エネルギー施策と自然循環施策の一体的な検討というのが必要かと考えています。
 特に、本日の御説明にもありましたけれども、素材産業の排出削減という意味では、マテリアルですとかケミカルリサイクル、バイオマスの転換、こういったものも重要になってくるかと思います。
 また、伊藤委員からも御指摘がありましたけれども、ケミカルリサイクルによって、かえって増エネになってしまうですとか、あと、建設会社でもコンクリートの水平リサイクルによってかえってエネルギー多消費になってしまうですとか、こういったトレードオフのようなものが、個社単位で見ると生まれてきているかと思います。
 日本全体ですとか、世界全体で見た場合には、排出削減につながっても、個々の企業で見た場合には、こうしたトレードオフですとか、経済合理性が働かないという場合もありますので、インセンティブ設計も含めて、エネルギー政策と自然循環政策、これを整合的に進める施策、目標設定が重要かと考えております。
 以上です。ありがとうございました。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 続いて、下田委員、お願いいたします。
 
○下田委員 
 ありがとうございます。今日、御紹介いただいた3件は、エネルギーシステムの脱炭素化が進んでくると、量的にかなり目立ってきた分野でありまして、非常に大事だと思っております。
 まず、食料の件で、先ほどフードマイレージというお話もありましたけれども、食料自給率を向上するという目標もあって、自給率を上げていくことが、世界の温室効果ガス排出量をどのように変えていくのかというような情報があればいいと思いました。
 それから、これから長い目で見れば、適応策として品種を改良したり変えたりということも出てくるので、それと温室効果ガス排出の関係もどうなるのかというのも見ていきたいと思っております。
 それから、やはり吸収源ですね。非常に大事な問題だと思っておりますが、一般の人にとって、木を切ったほうがCO2を下げるというのは、なかなか分かりにくい話ですので、例えば来年の万博のシンボルのリングは、そういう目的もあってつくられているというところもありますので、ああいうものを使って、うまくアピールしていただきたいというふうに思います。
 それからフロンは、2030年に全体で7億6,000万tの目標の中で、今増えて5,000万tになっているというのは、本当にインパクトが大きくなっていると思います。
 それで、17ページのロードマップを示していただいていますけれども、家庭用と業務用のエアコンと、それからコールドチェーンの中の冷凍冷蔵というのは、進め方が違うので、それぞれについて丁寧に、そのロードマップを示していただければと思いました。
 今、志田委員からもお話がありましたように、この冷やす技術というのは、これからの日本にとって大事な産業の種ですから、例えば先ほど岩船委員からもありましたけれども、自然冷媒なのか、低GWPの冷媒を管理しながら使うのかというようなトレードオフのところについても、イノベーションを入れながら、戦略的にやっていただきたいと思いました。
 それから、最後の廃棄物は、ネットゼロの政策と、循環型社会の政策をうまく統合していくということが大事だと思っております。例えば廃棄物をどこまで削減して、そこからどれだけエネルギーをとるかというところを、明確に2035とか2050の目標値というのを出していただけるといいと思っております。
 そのためには、例えば処理場の統合のようなことも考えていかないといけないでしょうし、それから、廃棄物処理産業ということで考えれば、例えば分別とか処理の仕組みを大幅に変えてしまうとか、そういうイノベーティブな試みが、これからあってもいいと思っております。
 以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 続いて、髙村委員、お願いいたします。
 
○髙村委員 
 ありがとうございます。大きく3点申し上げたいと思います。
 1つは、資料3―3でございますけれども、この間の議論の中で、目標の水準について様々な御意見をいただいていると思います。オーバーシュートの可能性や、場合によっては短期的には削減は難しいのではないかという御意見もあったかと思います。
 ただ、私自身は、やはり国際的な1.5℃目標、あるいは日本の2050年カーボンニュートラル等、整合的な、意欲的な目標をダウングレードするようなシグナルを、この時点で出すべきではないと思っています。
 これは、モデルの専門家も、ここにはたくさんいらっしゃるわけですけれども、当然カーボンニュートラルに近づいていけば行くほど、限界削減費用は上がるので、そういう意味では、短期的にできるだけどう下げるかということは必ず必要で、かつ革新的技術に大変期待するのですですが、どうしても、やはり成功するのか、コストが期待どおり下がるのか、こうした不確実性を伴っているということを考えると、この間、ヒアリングに若者団体に来ていただきましたけれども、やはり将来の世代に対して、気候変動の影響のリスクを、ある意味で大きく、不確実性の中で負担をさせるリスクがあるということを考えております。
 もちろん足元の事業環境ですとか、日本の抱える課題というのは、本当に大変だという、その点は、全く同感でして、ただ、企業の皆さんは、この間、足元での排出削減とともに2050年カーボンニュートラルの目標を、企業自身の目標として掲げて、どう移行していくのか、新たに事業やビジネスをどうつくっていくのか、技術の開発を行っていくのか、様々な取組をされています。
 この間、関連する審議会のヒアリングでも、企業団体、事業者団体の皆さんから、非常に強く言われているのは「予見性」というところで、つまり将来の見通しにどうしても幅がある中で、企業にとってはリスクの高い判断、投資であります。
 そうした事業や投資は、やはり将来ちゃんと実を結ぶということを、政府ができるだけ見通しをつけてあげるという、こうした事業環境の整備が、事業投資の拡大を促すと。これは、最終的には、御存じのとおり、今、企業間の脱炭素をめぐる競争がありますけれども、同時に国家間の産業政策間の競争が、非常に激烈に起こっている中で、この段階で、この目標を下げるというのは、政策投入の水準を下げる、国の意思を下げるというふうに見られてかねないと思います。
 その意味で、政策が極めて重要だと、つまり現実の足元の難しさと同時に、こういう高い目標を掲げて取り組むということをつなぐのは、やはり政策でして、政策の役割が、今まで以上に重要だと思います。
 私は、GXというのは、むしろこれを打開するために、つまりこういう状況がありつつ、日本の産業力をどうやっていくかという、ここから絞り出されたといいましょうか、ここで一種展開された非常に大きな政策イニシアチブだと思っていまして、その意味でも高い目標、意欲的目標を掲げて、このGXの政策方針を引き下げた、転換したととられないような目標を立てることが重要かと思います。
 ただ、にじり寄る現実的な政策は絶対必要なので、それが、先般発言をした、あの趣旨でもございます。
 2つ目は、今回、3つのテーマについて御報告をいただきましたけれども、2050年、明確なカーボンニュートラルの目標を掲げ、着実に取り組みを進めていただいていると理解をいたしました。
 共通してお願いしたいのは、やはり今議論しているのは、35年目標想定なり、40年のGXビジョンに、これがどう入っていくかというところだと思っていまして、今回、御報告の中では、その点、少し、まだクラリティーがなかなかないなという感じを、正直持っております。ここは、ぜひ共通してお願いしたいところです。
 とりわけメタン、フロンなどの対策、いわゆるSLCFという、昔は、短寿命気候汚染物質と言っていたと思いますが、最近は、短寿命気候強制因子と呼んでいると思いますけれども、こちらは、非常に大事だと思っています。
 といいますのは、オーバーシュートや短期間の排出削減は難しいというのは、それは、すごくよく分かるんですね。むしろ、これらのSLCFの対策というのは、短期間で、今取った対策が短期間で現れるので、一種バイタイムの役割を果たす。つまり難しいハンティターベント部門などによって削減がなかなか進みがたいところを補完する役割を果たすというふうに理解をしています。
 これは、既に志田委員や、あるいは下田委員がおっしゃったように、特にフロンについては、フロン対策自体は、私は、日本の企業は優れた技術を持っていると思っていまして、ここの対策の強化は、むしろ、まさにGXの考え方、もちろん代替技術がある分野、ない分野というのは、用途があるのは分かっているつもりですけれども、ここの対策強化というのは、やはり一つのGX分野での重要な政策になっていくのではないかと思います。
 最後ですけれども、農林水産省さんから、大変丁寧に御報告をいただきました。
 気候変動対策の関係では、第1次産業がやはり最も大きな影響を受ける分野だと思っていまして、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思っておりますけれども、特に農業者あるいは第1次産業の立地地域が、GX、つまり排出削減だけでなく、それらの農業者、第1次産業従事者や第1次産業が活性化をしていくような施策というのを、ぜひ御検討いただけないかと思います。
この分野は、エネルギーと並んで、やはり自給率を高めていくという意味で、非常に重要な、食料の確保という意味で重要だと思いますけれども、同時に、やはり農業人口の、この間の高齢化と減少を考えたときに、どうやって地域を、この中で、排出削減を進めながら活性化をしていくか、そこの中では、先ほどもありましたけれども、例えば再生可能エネルギーを営農者がしっかり導入をしていく対策ですとか、あるいは今ですと、食品、飲料産業が、サプライチェーンとバリューチェーンの排出削減のために、農業者とともにメタンの排出の削減をしていくという取組も進んできていると思っていまして、先ほど申し上げました35年、40年までに、地域をよくする、第1次産業を活性化していく施策について、ぜひ作成御提案をいただけるとありがたいと思います。
以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 続いて、津久井委員、お願いいたします。
 
○津久井委員 
 ありがとうございます。各省庁の皆様、御発表いただき、ありがとうございます。
 まず、全体として2点コメントをさせていただき、その後、個別の発表のコメントに移らせていただきます。
 1点目は、次期目標に関しまして、こちらは、これまで様々な議論がございましたが、やはりIPCCの知見や国際的な合意に基づいて、1.5℃目標に整合する野心的な目標を掲げるというのは不可欠なことだと考えております。その上で2050年を見据えた施策、政策というのを検討していくことが重要だと考えております。
 2点目としまして、各省庁の皆様からの発表で、個別な分野において様々な削減の取組というのが着実に実施されているということを、改めて認識いたしました。
 その上で、省庁横断で伊藤委員からも御発言がございましたが、省庁横断で分野を横断したような取組というのを、ぜひ進めていただきたいと思います。例えばバイオガス発電や廃棄物発電、そして、営農型太陽光発電というのは、再生可能エネルギーの普及においても非常に重要な役割を果たすと理解しております。こういった分野を横断していくような対策を進めていけるような環境、シナジーをつくり出せるような環境というのをぜひ整えていただきたいと思います。
 続きまして、農水省様の発表に関してコメントをさせていただきます。
 スライド6で、2050年ネットゼロに向けた取組をお示しいただきまして、スライド20で排出削減対策というのをお示しいただきましたが、スライド6の取組を実現していくという観点からは、さらに踏み込んだ政策や施策、そしてタイムラインを出していくべきではないかなと感じました。
 具体的には、畜産からのメタン排出や、食品ロスというのが2050年頃の活動として位置づけられているように見受けられたのですが、こうした取組は非常に重要だと思いますので、もう少し早期に開始していくことも可能なのではないかなと感じた次第です。
 また、本日の御説明の中には含まれておりませんでしたが、みどりの食料システム戦略には、営農型太陽光発電に関する取組も含まれておりますので、こうしたスマート農業、アグリテックの可能性というのも踏まえて、農業分野が抱える人手不足といった課題、そういった課題と脱炭素化対策というのを一体で同時に進めていくような政策や施策が非常に重要かなと思います。
 次に廃棄物に関する取組についてです。各対策の今後の対応についてお示しいただき、ありがとうございます。既に記載していただいたとおり、廃棄物焼却量の減少でしたり、プラスチックリサイクル率の向上、こうしたトレンドというのは、今後も継続していくと理解しております。そのため、2050年ネットゼロに向けては、さらに踏み込んだ分析や検討をしていく必要があるのかなと思います。
 それで質問が、2030年以降50年のカーボンニュートラルに向けて、こうしたフォローアップの結果を踏まえて、今後続いていくような傾向も踏まえて、施策の見直しや追加対策というものの導入を検討されているのかどうか、お伺いできますでしょうか。
 私からは以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございました。
 続いて、鶴崎委員、お願いいたします。
 
○鶴崎委員 
 住環境計画研究所の鶴崎です。各省庁の皆様、御説明ありがとうございました。エネルギー起源CO2のところに注目しがちではありますが、その他の分野において、非常に丁寧に政策を積み上げて実行されているということを、改めて確認できました。ありがとうございました。
 私からは、既に出ている内容も多いのですが、2つお話ししたいと思います。
 1つ目は、今日、資料3―2でお話のあったGX製品の価値・評価あるいは価値の見える化ということに関連したもので、ここは非常に大事だと感じておりまして、これこそが、消費者、企業の行動変容の好循環を生むキーになるだろうと思っています。
 というのは、既に様々な取組を消費者、企業はやっているわけですけれども、それが脱炭素の文脈でも評価されるんだということに、実は気づいていないということは、非常に多くあると思います。そうしたものがきちんと評価されることによって、ああこういうことであれば自分たちもできるのではないかという気づきが得られて、それが次なる、さらなる取組に結びついていくということで、この点は非常に大事だと思っています。
 ただ、そういったことをやろうとしたときに、これまでデータの問題だとか様々な課題があったと思いますけれども、まさにここはDXが後押ししてくれる領域だと思いますので、このGX・DXの文脈の中で、この行動変容が好循環を生んでいくような流れを、ぜひつくっていただければと思います。
 既にお話のあった、農水省さんから御紹介があった「みえるらべる」のような取組も、まず農産物レベルでの定性的な評価といいますか、★での評価ということで、それもその一つだと思いますし、また、フードマイレージ等の取り組みも既にありますけれども、例えば調理済の食品であるとか、外食のメニューだとか、そうしたものにも、こうしたカーボンフットプリントのようなものが表示されていくことで、自分の選択がどういうふうに関係しているのかということに気づきを与える機会が、今後増えるのではないかと期待しています。
 また、資料6で資源循環の中で、GHGの36%の領域に貢献できるというお話がありました。ここも、廃棄物の削減で言うと、一般の方は基本的にはごみ問題を、物を大事に、資源を大事に、あるいは処分場がなくなりますといった、そういう文脈で理解はしているものの、地球温暖化にも貢献できるということに、必ずしも気づいていないかもしれません。そうしたことにも大きく貢献できるということをきちっと、定性的にも定量的にも示していくことができれば、消費者、産業、この廃棄物処分に関係する事業者の皆様の取組を、さらに勇気づけることができるのではないかなと思います。
 それから2点目ですけれども、代替フロン類のところですね。やはり現状、非常に厳しい状況にあるというふうに受け止めておりますけれども、やれることは全てやっておられるという印象も、併せて持っておりまして、去年、少し減ったということで、これがいい方向に向かうことを期待しております。
 これに関連して、分野によってエネルギー起源CO2と代替フロン類の相対的重要度というのは大分違ってきているなと感じていまして、マクロで見ても5%とか、将来的には7%ぐらいという水準かと思うのですが、例えば私は、カーボンニュートラル行動計画のフォローアップで流通サービス業の座長をさせていただいていますけれども、流通業界では、今エネルギー起源のCO2が、7団体で大体1,000万t強の水準になっています。今日御説明いただいた資料5の11ページを拝見すると、フロン類の算定漏洩量ですか、こちらで流通、小売業の割合が7割ぐらい、量にすると100万tオーダーということですから、エネルギー起源CO2に対して1割オーダーが、漏洩だけであるわけですね。
 そうすると、今後、カーボンニュートラル行動計画などを議論する際にも、エネルギー起源CO2だけではなくて、GHG全体を視野に入れて取り組む必要があるのかなと、私が預かっている業界としては、そのように感じましたので、この辺は、主体によって重要度は違ってくると思いますが、様々な多くの関係者を集めてやっていく中で、エネルギー起源CO2と、その他のバランスについて、いま一度確認しながらメリハリをつけて織り込んでいただくような働きかけが必要かなと思っております。
 私からは以上となります。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、林委員、お願いいたします。
 
○林委員 
 今、ドイツにおりまして、真夜中ですけれども、先ほど秋元委員からもありましたように、昨日、国際資本市場協会の合同メンバーのミーティングがあって、ドイツの方がすごくたくさん来ていたのですが、やはり産業構造の変化と環境との両立の難しさというのを、サステナブルをやっている人たちもかなりおっしゃっていたので、これは日本でも共通の課題がたくさんあるなというふうに思っていますので、これをどうやって経済の安全保障と産業構造の変化と、それと脱炭素化を両立させていくかという、本当に人類にとって大変な課題ですけれども、引き続き、諦めずにやっていかなければいけないのかなというふうに、今日、皆様のお話を伺いながら感じました。
 それで、個別につきましては、まず資料4の、農林水産省さんの件ですけれども、これは、伊藤委員や津久井委員がおっしゃっていただきましたように、やはり環境ということに加えて自給率、先ほど申し上げた経済安全保障とも関わりますが、自給率をどうやって上げていくのかということについて、もう少し触れられてもいいのかなというふうに思っています。これは、食料だけではなくて木材の自給率も同様の観点だというふうに考えております。
 それから、資料5のフロンにつきまして、回収量が上がってきているということ等いろいろな取組をされていますけれども、いろいろな目標値を掲げられていますが、現在の進捗が、そのいろいろな取組によってどれぐらい、その成果が上がりつつあるのかというところが、さらに、もう少し分析が示されるといいなというふうに感じました。
 最後に、資料6の廃棄物ということですが、資料16ページを拝見しますと、いろいろ進んでいるというところはよく分かるのですが、⑦、⑨については、結構ここからガックンと下がらなくてはいけなくて、それが現実的なのかどうかというところは、少し気になったところでございますので、御意見を伺えればと思っています。
 それと、あと、下田委員からもお話がありましたけれども、将来を見据えてということだと思いますが、この2030年までの目標は示されていますけれども、ビジョン2040の議論が進んでいますので、それとの整合性あるいは2040年の目標というものも視野に入れた議論にしていただけるとよいかと思います。
 以上です。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、藤瀬委員、お願いいたします。
 
○藤瀬委員 
 各省庁の皆様が様々な対策に取組んでおられ、多角的にネットゼロに向けて進めていることが大変よく分かる内容で、御発表、誠にありがとうございました。
 私からはゴール設定と国際的ルールに沿う対策、そして気候変動対策と経済成長の両立の3点について、まずはコメントをさせていただきまして、各御発表に対する質問をさせていただけますと幸いです。
 まず、2050年ネットゼロの実現に向けて、目指すべきゴールをしっかりと決めることが、各省庁の皆様が取り組んでいる具体的な対策が、より効果的になってくると、改めて思いましたので、日本の次の目標を大きく掲げて、そこまでの道筋は、多くの選択肢を出せるようなロードマップを描いていくことが重要だと感じております。
 また、世界的に見て、日本の強みを生かし、日本が世界を牽引していける技術を生んでいけるようなイノベーションが生まれ、また、それが実装されやすい環境を、様々な省庁が横連携をしてつくっていくことが重要だと感じております。
 排出削減対策と吸収源対策、また、生物多様性の保存を、全て同時並行で取り組んでいくことが必要だと思いますが、国際的なルールや評価基準に沿うような内容でなければ意味がないと思いますので、日本が率先して世界的なルールづくりを行うこと、また、日本で取り組んできたことが、世界の基準に沿ってしっかりと世界的に評価される内容であることがすごく重要だと考えております。
 特にグローバルに活躍する企業においては、国内外で対策に取り組むインセンティブにもつながってくると感じています。
 資料3―2にもありましたように、かつ今回の発表や委員の皆様からも多くご発言がありましたように、気候変動対策と産業政策を連動させ、国内の産業競争力強化につなげるための政策の強化が必要ということですが、次期目標を立てる上でも、目標達成に向けて実行していく上でも、要になるキーポイントだと思っております。
 日本にとって、この担い手は、技術革新を目指すスタートアップだと感じておりますので、このような会議体においても、ぜひ気候変動対策と産業振興の両方を達成できるビジネスをつくり上げているスタートアップの生の声を聞く機会をつくっていただけたらなと思っておりますので、お願いをさせていただけますと幸いです。
 例を挙げますと、今回の御発表に関連したスタートアップですと、海洋保全、生物多様性の評価軸の作成に取り組んでいるスタートアップ、農業分野からのカーボンクレジット創出にグローバルで取り組んでいるスタートアップ、また、特定のガスを空気中や排ガス中からも選択的に分離回収、貯蔵することができるスタートアップですとか、あと廃棄物循環の見える化に取り組むスタートアップなど様々なスタートアップに、皆様、既に活躍をしておられますので、実際に気候変動対策と経済成長の両立をどのように達成しているのかということを聞くことが、今後の対策にもつながってくると思います。
 質問ですが、まず、農林水産分野に関してですけれども、島国である日本では、海洋の持つポテンシャルは非常に高いと思っているのですが、そのポテンシャル、例えば排出削減、吸収源対策、生物多様性、ブルーカーボンの創出などですけれども、そのポテンシャルを活用するための対応策、これは実際に、農林水産省さんとしてはどのように考えていらっしゃるのかということをお伺いできればと思います。
 16ページのところには、吸収源対策で、海洋からの吸収源対策というところの記述はなかったのですが、ブルーカーボンの推進など、今どの程度議論が進んでいるのかというところを教えていただければと思います。
 そして、フロンに関してですが、フロンの排出量が、直近、減少しているということですけれども、減少の具体的な要因は何なのかということをお伺いできればと思っています。
 また、排出量の減少、また漏洩の削減に一番インパクトのある対策というところをどのように考えていらっしゃるのかなと、代替フロンの開発もしくはフロン機器の排出源抑制対策なのか、回収など、どのような対策を有効的かつスピーディに実施できるのかというところを教えていただければと思います。
 そして最後、廃棄物に関してですが、20ページにもありましたように、2050年に向けてネットゼロを達成するためには、CCUSが不可欠なシナリオになっておりますが、廃棄物、資源循環の分野において、具体的にどのようなCCUSの技術があり、これからどのような技術革新が、より求められるのかというお考えがありましたら、教えていただけますと幸いです。
 私からは以上です。ありがとうございます。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、増井委員、お願いします。
 
○増井委員 
 ありがとうございます。各省庁の皆様、御説明ありがとうございました。私からは、全体的に5点ほど質問、コメントをさせていただければと思います。
 まず、目標設定ですとか議論のあり方について、上に凸でもいいのではないかという、そういう意見もありましたが、やはり科学の面からいきますと、カーボンバジェットのような考え方、累積の排出量が気温上昇に影響しているということで、ゼロにするということだけではなくて、いかに早期に実現していくのかという、そういったところは忘れずに、そういった考え方を踏まえた上で、直近の産業政策をどう考えていくのかということが重要ではないかなと思いますので、こういうバジェットのような考え方というのは忘れないようにしたいと思っております。それが1点目です。
 2点目ですが、今回、農林水産分野ですとか廃棄物分野、フロン、こういったところからのこれまでの取組を御説明いただきました。非常に分かりやすく説明をしていただいたかと思います。具体的に、今回お話を聞いていまして、気候変動の問題だけではなくて自給率ですとか、国土保全、ネイチャーポジティブ、循環経済、ありとあらゆるいろいろな問題と関わっているということですので、こういう脱炭素の問題と、それぞれの分野で問題とされている問題、そういったものをどのように両立させていくのか、また、どのようにすれば整合的なのかといったところも、それぞれ示していく必要があるのではないかなと思います。ボトムアップだけではなくて、最終的には、今回のような検討あるいはGXとかいうような場で、その整合性をより強固なものにするために調整というのは必要になってくるかと思いますが、まずはボトムアップの観点から、それぞれの分野でどのようなことが必要なのかということをお示ししていただけるといいのではないかなと思いました。
 3点目ですが、今回、主に削減量についての御紹介、御報告でしたが、全体的にコストはどのように評価されているのか、そういった情報も示していただけると非常にいいのではないかなと思います。コストが高いから諦めるというのではなくて、それでは、下げるためにはどうすればいいのかと、そういう知恵も共有していくことが必要になってくるかと思いますので、可能な限りコストに関する情報も提供していただければと思います。
 4点目は、情報開示ということで、ラベリング、非常に先進的な取り組みをされている紹介があり、なるほどなと思ったのですが、一方で、情報だけでは、人々はなかなか動かないような側面もあり、こういう情報とともにプライシングと連携させるといったことも必要になってくるのではないかと思いますので、情報開示を有効に活用するためには、プラスどのような取り組みが必要なのか、その点、お考えがあれば教えていただければと思います。あと、いろいろな情報開示をバラバラにやるのではなくて何か統合的なもの、指標を一つにするという意味ではなくて、消費者の方がパッと見れば分かるような、そういう何か共通のものがあればいいのではないかなと思いました。
 最後に、今回、非常に優れた取組、施策を御紹介いただきましたが、それを海外にどう展開されていくのか、日本の貢献、この温暖化の問題というのは日本だけで取り組んでいていいというのではなくて、グローバルに取り組んでいかないといけない、そういう問題ですので、日本の貢献として海外にどのように展開していくのか、そういうところについて御意見等があればお聞かせいただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、福田委員の代理で、山口様でいらっしゃいます。
 
○山口参事 
 栃木県庁の山口でございます。本日も代理出席となりますが、よろしくお願いいたします。
 皆様から取組の御説明、ありがとうございました。資料につきましても、施策ごとにCO2の削減量を明記していただくなど、大変分かりやすいものになっておりますので、大変参考になりました。ありがとうございました。
 先日の、全国知事会議でまとめました要望などを踏まえまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、資料4についての質問になりますが、14ページで、J―クレジットを推進するに当たり農林水産分野は、吸収源として大きな貢献をされていると考えております。左下の「クレジット認証量」を見ますと、先ほどのお話にもございましたけれども、水稲栽培における中干し期間の延長が、その大部分を占めているということで、その認証量が多い理由と、収穫量への影響がどの程度あるのか、もう少し詳しく教えていただければと思います。
 それから、また、推進していくためには、クレジット価格というのも重要だと思いますけれども、差し支えない範囲で結構ですので、その相場観はどれぐらいのものなのか、教えていただければと思います。
 次に15ページですが、森林分野のJ―クレジットにつきましては、今後ますます認証量が増加していくものと考えます。市場の活性化のためにも、J―クレジットについて、発行手続きの期間を短縮するとともに、国内外において、より汎用性のある制度となるよう、内容の拡充を図っていただきたいと要望したいと思いますけれども、現時点で、運用に当たっての課題と考えていること、それからその対策につきましても、もう少し細かく教えていただければと思います。
 次に18ページの森林吸収源対策について、要望になりますが、資料の中段の右側の箱の「炭素貯蔵の拡大」にあるとおり、最近では中高層建築物にも木造化が採用されるようになってきておりますけれども、例えば公共建築物などへのZEB化と木造化を両立したモデル的施設に対する支援などのインセンティブがございますと、横展開が進み、国産木材が活用され、ひいては伐採、再造林にもつながりますことから、ぜひ強力に推進していただきたいと思っております。
 次に資料5のフロンについて、幾つか要望させていただきたいと思います。6ページでございますが、ノンフロン製品への転換などを加速化させるため、技術開発や製品の導入に対しての支援につきましては、さらに充実させていくなど、普及のために必要な措置を講じていただきたいと思っております。
 また、11ページになりますが、機器使用時のフロン漏洩防止に資する技術の普及に向けて、引き続き、取り組んでいただきますとともに、事業者のみならず広く一般の国民の方に対しても法令を周知していただきまして、フロン類の適正管理の徹底を図っていただけるようお願いしたいと思います。
 それから、15ページにありますような、解体現場からの放出というのも問題となりますし、回収率については、いまだ低迷しているということでございますので、先ほど、今後の取組についての御説明がございましたが、関係事業者への法令の周知徹底を図るなど、回収率向上のための施策を、より一層着実に推進していただきたいと思います。
 次に資料6の廃棄物分野についてでございますが、2ページの排出削減量の比較的多い取組につきまして、幾つか要望をさせていただきたいと思います。
 まず、4ページに関連いたしまして、市町村等の一般廃棄物処理施設につきましては、一時期に集中して整備、改修された経過がございます。全国的に更新時期を迎えている状況にございますが、交付金の予算不足等により施設の更新や改良が遅れてしまうことは、地域の適正なごみ処理に支障を来すだけではなく、脱炭素政策の遅れにもつながりますことから、市町村などの要望額どおり交付されますよう、確実な予算措置を講じていただきたいと思います。
 次に9ページでございますが、使用済プラスチック等の省CO2リサイクルシステムの構築に向けまして、プラスチック等の循環利用などの技術開発や、施設整備に当たっての財政的支援を引き続き行っていただきたいと思います。
 最後に、17ページの太陽光パネルのリサイクルについてでございますが、別途専門委員会で議論をされているということは承知しておりますが、知事会といたしましても、大きな課題であると考えております。発電事業終了後における使用済みパネルの適正処理に向けた法整備や、原状回復時の代執行の体制整備等、そのための資金確保を図るとともに、リサイクル事業者の育成や処理ルートの整備などへの支援について、しっかりと検討をお願いしたいと思います。
 全国知事会からは以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、吉高委員、お願いします。
 
○吉高委員 
 どうもありがとうございます。あと、御説明ありがとうございました。私からは、各資料について、コメントと質問をさせていただきます。
 まず、GX2040ビジョンにつきましてのたたき台、非常に具体的になってきたのだと思います。これまで、このコンセプトで動いていたところが、具体的にいろいろ検討されております。どの項目も必要だと思うのですが、どれも相互に関係するところがあると思っていて、連関性というか関連性というか、マインドマップのような形で相互の関係と、それから、それの優先順位みたいなことも、ぜひ分析していただきたい。
 何人かの委員さんが横断的に、横断的にとおっしゃっていましたが、実際に、もう既に横断的にいろいろなことをされておりますので、その横断的が、実際の検討課題について、どこにどうされているのか、どこの強度を高め、どこに優先順位をかけるかということの分析をしていっていただき、2040ビジョンにつなげていただきたい。
 と申しますのは、やはり髙村委員がおっしゃったように、確実に起こすための方策となります。それで、高い目標も掲げていただきたいとともに、社会の今の課題、産業の課題を解決するためには、双方必要だと思います。
 かつ、例えば資料4の19ページの「評価」、それから資料6の2ページにあります「評価」ですけれども、これは、以前の委員会でお話があったかと思いますが、CだとかBだとかという進捗状況が、一体どういう意味があるのかと。今度A、B、Cを使う場合に、それを実践していく前に、Cがいいのか、Bがいいのかということをどのように考えていくのかというのが、実は、この2040ビジョンを実装していくためには、そこの乖離がないようにしていただきたいと思いまして、実際にCと全部つけられている農水の方と、フロンのほうのBがついている、このKPIの立て方をどういうふうに考えたらいいのかというのを、ちょっと教えていただきたいと思いました。
 あとは、私自身が脱炭素先行地域の評価をずっと、選定を、今第5回をしまして、フォローアップをしている中で、どの自治体も、まず、エネルギーコストの削減、それから、こういった廃棄物と、農林水産のような1次産業の活性化というのが書かれて、脱炭素を推進するということの提案がほとんどでございます。
 したがいまして、エネルギー関連と非エネルギー関連のCO2の削減は、絡み合って自治体とか地方の経済に影響するものでございます。特に農業に関しましては、どの提案も農業活性化とカーボンクレジットのインセンティブについては、非常に多くの提案がされているというところでは、カーボンクレジット、高く売れるには、多分地域にとってはいいと、ただ、売る側にとって、そのかけるコストというのがどれぐらいかかるかというのは、残念ながら吸収源ですとかというのは補填もしなくてはならないので、確実に下げられるエネルギー環境とは違いますから、これはきちっと説明をしていく必要があろうかとは思っております。
 ちなみにフロンですけれども、農水の、私、食料・農業・農村基本法の改定に関わったときに、やはり価格転嫁の話がとてもたくさんありました。この農業の価格転嫁、作物の価格転嫁にプラス脱炭素に関する価格転嫁というのがどう関係してくるかというのは、非常に重要な問題だと思っておりまして、ここについて、もしお考えがあれば、お聞かせ願いたい。
 それは、何を申し上げたいかというと、フロンもそうですけれども、今フロンの話も、多分中小企業さんの出口のところで規制の強化はできないのではないかという認識があります。よくサプライチェーン、サプライチェーンとおっしゃいますけれども、きちっとしたサプライチェーンのある産業というのはほとんどなくて、全部がサプライチェーンに関連しているわけではないので、そこをきちっとできたからといって、フロンですとか食料関係のCO2が削減できるわけではないということだと思いますので、ここでNDCを考える場合には、あまりサプライチェーン、サプライチェーンということだけを言わずに、各分野できちっと中小企業に対してとか、それから、実際に地域で実施している方々の立場を考えながら、ただ、そこの規制というものをきちっとしていく必要があろうかとは思っています。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、大塚委員長、お願いいたします。
 
○大塚委員長 
 ありがとうございます。4点ほど申し上げさせていただきたいと思います。
 第1には、髙村委員も言われましたけれども、GXがしかるべく推進されていくと思いますけれども、何かネガティブな方向に転換したというふうに捉えられないことがとても重要だと私も思っております。
 ドイツの展開については、日本もちょっと同じような動きを示しているので、先ほど小西委員が言われたように、要因分析をしていただけると大変ありがたいと思っていますが、現在、温室効果ガスの削減が、日本では、イギリスとともに進んでいるということが誇らしく思われる一方で、これが、企業が海外に出ていってしまうことによって起きているということですと、非常に問題になってしまうと思いますので、ぜひこの要因分析をきっちりしていただけるとありがたいと思います。
 それから2つ目ですけれども、農水省さんには大変よくやっていただいていると思いますが、先ほど伊藤委員ほかからもございましたように、自給率の向上とフードマイレージあるいは脱炭素との関係で、この2つの問題が大いに関連すると思いますので、既にそういうことは政策として進めていらっしゃると思いますけれども、さらに加速していっていただけるとありがたいと思います。
 12ページのラベリングの効果として、もし何かいい効果が現れているようなことがあれば教えていただきたいと思います。
 ソーラーシェアリングとの関係について、私もぜひ進めていっていただければと思っています。
 それから、代替フロンの件ですけれども、回収率の話が、今回、あまり出てこなかったのですが、低GWP化とか、それから漏洩の防止のところに重点を置いていっているという方針だと思いますけれども、回収率は39%とか、その辺で止まっていたのかと思いますけれども、それをさらに上げていくことは、それなりに重要と思いますので、もしその辺に関して何かコメントをいただけるとありがたいと思います。
 それから、廃棄物のところについては、10ページのところで、SAFの話が出ていますが、その廃潤滑油からのリサイクルの拠点が、この間一つできたという話が新聞に出ていたように思いますけれども、ぜひ国内拠点を早くつくっていただいて、国内循環を進めていっていただけると大変ありがたいと思います。SAFの原料が海外に輸出されているとという話も出ていると思いますので、国内循環を進めていっていただけるとありがたいと思います。CORSIAとの関係で、かなり高い目標を要求されておりますが、SAFの原料を、大々的に海外から輸入するというのは、あまり望ましくないのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 大変たくさんの御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。思ったよりも時間を超過して大変恐縮ですけれども、若干、私も思ったことを申し上げさせていただければと思います。
 まず、全体を通じて、やはり国民一人一人のカーボンニュートラルに向けての意識を高めていかなければいけない。そういうことというのは、速やかにやっていかなければいけないし、生活者の意識と歩調を合わせてどうやって、その経済構造なり産業構造なりというものを変えていくのか、それがGXだと思いますけれども、それを速やかにやっていかないといけないということについては、皆さんほぼ同意されていたのかなという感じがいたします。
 ただ、そうしたものを活動量減少――これはデータを解析するというのは重要ですが、ただ、活動量を減少させて達成することもできるわけです。例えば農業においても、米とか畜産とか、こういうものについて、今は維持することさえ相当大変なわけですが、それを維持しなければ、この数字が乖離することは間違いないと思います。
 ただ、そうした形で達成することについて、我々は、それを望んでいるわけではないのではないかというふうに思います。GXを通じてどうやって経済の力をつけていくのか、それは当然農業でも同じですが、賃金との好循環をいかにつけていって、そういうものを生み出していくのかというのは、相当重要だということだと思います。
 非貿易財であれば、廃棄物とかはそうだと思いますが、ある程度国内規制を強化することで対応することは可能だとは思いますが、ただ、例えばプラスチックの分別強化をするとか、あるいはごみを有料化するとか、これをいきなりやると、消費者は相当混乱するのと、あと不法投棄とかが増えたり、いろいろな脱法行為も増える。それの取締りを強化するのだと思いますけれども、国民の意識を高めるという意味で言うと、そうしたものをポジティブに捉えない人も出てくる可能性もあるということも、懸念されるべきということで言うと、やはりそういうものをどのように速やかに、ただ、丁寧に浸透させていくのかというのは、やはり考えていかなければいけないのかなと思います。
 そうした意味で、農業について、皆さんポジティブな御発言が多かったと思いますけれども、担い手減少とか人口減少とか、生産と雇用の基盤を強くしていきながら、農業施策策をこれから続けていくというと、やはり最初はスロースタートで、だんだん指数関数的に伸びていくという姿をとらざるをないというのが、今日の御説明の趣旨だったと思います。
 そうした意味で、雇用の点でもしっかり維持しながら、国内の自給を高めていくという意味では、実は農業だけではなくてほかの産業も経済安保を言わずとも、やはり雇用というのは国内に生産基盤がないと困るので、そういう意味での農業と共通する部分というのは、恐らくあるということだと思います。
 いずれにしても、最終的に何パーセントという数字になるかもしれませんが、ただ、ここで我々は相当真摯に議論をしているわけで、こうした、真摯な議論というのも、しっかり外から見えることが重要だと。海外において、我々は数字がポンと出ると、いろいろな解釈をされがちだと思いますが、実は相当悩みながら、いろいろなベクトルの軸をどうやって満たしながら、バランスをとってやっていこうかということについて、我々この場も、あるいはほかの場も通じて相当真摯にどれだけ議論をしているかということだけは、皆さんに、外の方も含めて分かっていただくこと、そして発信していくことは重要だと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
 それでは、すみません、お時間がない中で恐縮ですけれども、御質問も若干あったので、各省からお答えいただければと思います。相当要点を絞っていただいてお願いできればと思いますので、まず、農林水産省からお願いします。
 
○久保グループ長 
 多様な御意見をどうもありがとうございました。
 まず「見える化」につきましては、農産物の生産段階からの排出が多いということを踏まえまして、Cradle to Gateの考え方で策定をしております。こちらは、外食や加工にも活用いただける形でガイドラインを策定しておりますし、さらには、現在、加工食品のカーボンフットプリント、これのガイドというものも策定の途中でございますので、そこで見える化のロジックとも連携させながら進めているところでございますので、しっかりと消費者に選んでいただいて、環境と経済が好循環するような取組として進めていきたいと思っております。
 この効果としては、一部にラベルを貼っていないより貼っていたほうが売れ方がよかったというようなポジティブなお話もいただいております。
 また、同じく好循環という意味では、地域活性化に係る御意見もいただきましたけれども、これまでの農業生産以外に、環境負荷低減というものを価値として、副収入として得られるクレジット、これをしっかりと進めたいと思っております。特に脱炭素を掲げる自治体などは、その地域の中で、ぜひ農林水産分野のクレジットを買っていただいて、地域でいろいろなお金とか価値とかを回していただく、こういったことを期待しております。
 同じくクレジット関係で、森林関係でございます。手続き、いろいろ御意見をいただきましたけれども、数年前に大分見直しまして、実測の代わりにレーザー計測を可能にしたりとか、それから、天然林についても、保安林等に指定されるというような一定の条件のもとに対象に入れたりという見直しも図っておりますので、追加の御説明が必要なところがあれば伺いたいと思います。御周知をよろしくお願いします。
 また、自給率というお話をいただきました。これは、我々、農政の非常に重要な柱ですので、これまでも、例えば流通加工で国産回帰を促進するようなプロジェクトの推進などを行っております。これをしっかりと進めて、環境対策を急いだために生産ができないとか、そういうことでなくて、まず今ある技術をしっかり横展開する。一方で、生産者が減りゆく中でも環境負荷低減ができる技術開発を進める。先ほど2050年まで食ロスをやらないのかという御意見をいただきましたけれども、そんなことはありません。今2030年の既存の目標は達成して、次の事業系の目標というのも議論をしているところなので、もちろん今やるものはやった上で、さらなるイノベーションというものを進めたい。こういう形で生産力向上と持続性の両立を推進したいと思います。
 あと、大きくいろいろ議論が出たのが再エネだと思います。営農型太陽光でございますが、こちらも交付金でしっかりと地域にとって効果的な形を検討の上で導入を実証するような支援というのも行っております。その上で、ただ、現在は営農が適切に行われていないような事例も見られますので、まずはしっかりとこれを是正していって、地域の御理解が深まっていった上でないと、机上だけで議論をしていても仕方がないと思っていますので、こういった形で進めていきたいと考えてございます。
 海外への貢献についても、「日ASEANみどり協力プラン」ということで、日本の水田の水管理の技術などを、アジアモンスーン地域、こういった気候風土、気象条件が似たようなところに広めていって、これをさらにJCMとして活用したいという形で技術をいろいろ広めていっている最中でございます。引き続きご指導をよろしくお願いします。
 以上、雑駁ですが、ありがとうございました。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 続いて、経済産業省、環境省フロン対策室及び環境省オゾン室、お願いいたします。
 
○畑下室長(経済産業省)
 経済産業省です。
 まず、岩船委員から御質問をいただきました低GWPの転換についての、その可能性の見通しについて、でございますけれども、まず、低GWPの転換については、もちろん効率化をちゃんと維持するということと、あと、安全性をちゃんと担保するということが両立しなければならないというところが一番難しいところです。
 2023年度から2027年にかけてNEDOプロで今研究開発をしているところで、今現時点では、その可能性というところで、なかなかお示しできないところではありますけれども、実現に向けて全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
 経済産業省からは以上です。
 
○香具室長(環境省) 
 環境省フロン対策室の香具でございます。
 4点ほどに集約してお答えさせていただければと思います。
 1つ目が、藤瀬委員からあったインパクトのある施策は何かということですけれども、やはり究極的にはフロンを使わないというところ、使わなければ漏れることはないので、ノンフロン化を進めていくことが大事だと思っております。経済産業省さんで、指定製品制度でGWPを下げていくというのが、資料の8ページ目でありますけれども、環境省では、その普及を支援していくということで、自然冷媒、ノンフロンのものを支援しております。これをどんどん進めていきたいと考えております。
 その次に、日本の技術の国際展開、国際貢献というようなお話を志田委員、髙村委員、増井委員等からあったかと思いますけれども、今回の資料には入れておりませんけれども、環境省で国際協力、支援というのもやってございます。このフロンの分野というのは、日本は、この法律を20年以上施行してきておりますし、技術も各企業で持っております。自然冷媒の機器についてもそうですし、今回収、破壊といった部分の技術もそうでございます。ですので、そういったものを海外に展開していきたいということで、フルオロカーボン・イニシアティブというものを立ち上げて、東南アジアを中心に支援をしているところでございます。
 現状は、途上国は、製造、消費については、モントリオール議定書で規制はされていますけれども、つくって使っているものについては、特に、ほぼ規制はない状態ですので、事実上、大気中に放出されているということで、これを回収して破壊しないといけない、再生があってもいいのですが、そこを日本として支援をしていくということをやってございます。来月、モントリオール議定書の締約国会合がありまして、このライフサイクルマネジメントというのは、今、注目を集めてきておりまして、ワークショップというのが開催されることになっておりまして、日本からも、日本の制度であったり、技術を情報発信していきたいと考えております。
 それから、分析のことについて、林委員と藤瀬委員からあったかと思います。2022年の排出量が1.4%減少したという部分でございますけれども、まだ、そんなに精緻な分析はできていないのですが、例えば市中にある機器の中に含まれている冷媒のGWP、これが2021年から2022年を比較しますと1.9%減少していると、低GWP化が進んでいるというところが一つございます。
 また、回収の部分についても、廃棄時に回収している冷媒の量が増えていると、先ほどの資料の中にもありましたけれども、そういった部分が、法律が強化されて効果を上げてきているのかなと考えております。
 最後に、大塚委員から回収率のことについて、資料にはなかったという御指摘がございましたけれども、温暖化対策計画の中で指標をつくっておりまして、2030年に75%にまで回収率を上げるという目標がありますけれども、直近の数字としては44%、以前に比べると少し上がってはいる、前年に比べると40%が44%という若干の増にはなっていますけれども、ただ、目標に対しては、まだまだ足りないという部分は、今後、強化は必要だと考えております。
 以上です。
 
○大橋座長 
 続いて、環境省環境再生資源循環局からお願いします。
 
○波戸本課長  
 お答えいたします。質問をありがとうございました。
 まず、トレードオフというキーワードがありました。経団連の池田委員、志田委員、伊藤委員からも同様な趣旨であったと思ったのですが、この点、バージン材を使うのと再生材を使うということで、例えばCO2の削減との関係で言うと、むしろトレードオフが生じているのではないかであるとか、あるいは価格面でどう考えるのかということだったと思います。
 前者について言うと、テクノロジーで、これからどう解消していくのかということが重要になってくると思いますし、価格面について言いますと、これは非常に重要な話だと思っておりまして、恐らくこれまでのサプライチェーンあるいは消費者サイドの認識がどう変わっていくのかというキーワードになってくるかと思いますけれども、特に今回、先ほど御紹介しました、例えば法律で、高度化法という法律が5月に通ったのですが、恐らくこれまで、いわゆる製造サイドと廃棄物リサイクルサイドというものの連携といいますか、そのやりとりがあまりなかったのではないかと。
 ここのやりとりあるいは連携というのをしっかり強めることで、それを後押しする法案になっているのですが、その中で、企業サイドがどういう再生材が必要なのか、一方では、廃棄物サイドとして、どのぐらいのものが求められて、どれぐらいの量が必要なのかというあたりをしっかりと連携することによって、ある意味、ビジネスがきちんと生まれて、その中でコストを下げていけるような投資が起こるのではないかと考えておりまして、そういう製造サイドと廃棄物リサイクルサイドの連携、その中で、例えば経済効率が高まるような分別、回収、再生材をつくるときの機械化であるとかAI化とういのをしっかり導入していくと、そういった価格を下げていくという取組と、あと、もう一つ、恐らく事業サイドとして、そういった循環性の高い商品をいかに評価するかというのも大事かと思っておりまして、この中では、例えば公共調達において、グリーン購入法という法律がございまして、価格競争入札の前に、一定の環境性能が高いものを入口にしているわけですけれども、この中でも循環性というのをしっかり評価していくことによってマーケットをつくっていく。
 あと、もう一つ、大きな世界で言いますと、国際的にも循環性についての評価、これは企業レベルであるとか、サプライチェーン、商品レベルでの循環性の評価についてルールづくりをしていこうということになっておりまして、こういうところも、恐らくかなり足の早い時間軸で動いていくのではないかなと思っております。
 この点、日本のビジネスにとって不利にならないように、しっかり見ていかなければいけないと思っておりまして、こういった国際ルール形成もしっかり勘案していくことは重要かなと考えているところでございます。
 それから、幾つか具体的な質問をいただいておりました。小西委員から、リデュースの取組についてですけれども、今、手元に詳しいものはないのですが、例えば買物袋、レジ袋とかですけれども、あれを、法律が通ってから、今足元で大体75%の人は「袋は要りません」と回答しているような状況になっています。
 あと、先ほど御紹介しました令和4年に施行しておりますプラスチック資源循環法においては、各業界団体にいろいろな取組の目標を設定してくださいとなっておりまして、その中で、例えばホテル業界とかで言いますと、アメニティーについては有料にしますよとか、いろいろな形で取り組みが進められておりまして、その中でプラスチックの利用が削減されているという状況はあろうかと思います。
 それから、津久井委員から、廃棄物の取り組みについて、2050年に向けて、いろいろな踏み込んだ分析であるとか追加的な措置が必要ではないか、それに対してどう取り組んでいるのかということでございました。
 先ほど御紹介しました循環基本計画、これは政府全体としての取組を示しているものですけれども、先ほど申しましたように、今年の8月に閣議決定しておりまして、これは、これから毎年フォローアップを重ねていくことになると思っております。その上で、大体5年ごとに改定しておりまして、その中で、このフォローアップを踏まえて、あるいは2040、2050といった目標を踏まえて、それでは、その次の5年はどう進んでいくのかということをしっかりと分析した上で、追加的な措置を考えていくというような構造になっていると理解しております。
 それから、林委員から、循環計画で示している指標について、⑦、⑨ということで、⑦というのは、循環ビジネスの市場規模、これを伸ばしていくということでございまして、これは、50億ぐらいのものを80億に、2030年までに伸ばすということでございまして、これは、非常に野心的なものだと思っておりますが、恐らくこういった循環ビジネスというのは、近年、非常に着目されているところでございまして、こういった野心的な目標を掲げながら、ビジネス界の皆様あるいは消費者サイドの方々についても、こういったことが起こるのだということを期待してもらいながら、しっかり目標に届くようにいろいろな施策を打っていきたいと思います。
 ⑨は、廃棄物サイドの脱炭素についてですが、これは、やはり2030年までにCCUSに入れるというのは、非常に難しいと思っておりまして、そうなってきますと、燃やす量をいかに減らすかということでございまして、先ほど小西委員にも説明しました、特にプラスチック、廃油というのが、CO2発生の大半でございますので、これをいかに減らすか、リサイクルに回すかというところが鍵になってくると思っていますので、これはしっかり取り組んでいきたいと思っております。
 藤瀬委員から、CCUSについて具体的な技術革新、どういうことを検討しているのかということでございます。
 これは2点ございまして、まず入口の燃やす量をいかに減らすかというところも、実はありまして、それはバイオ発酵して、そのバイオ発酵した残渣は、ある意味、飼料、肥料に使ったりするわけですけれども、発生したメタンなどを都市ガスに入れていくといったような形、メタネーションという形も重要かなと思っております。
 その燃やす量を減らすというのとともに、最後、出たものについても、その発生したガスを都市ガスに混ぜていくであるとか、あるいはCO2でしっかりと吸収していくということで埋めていくというところが重要な技術革新かなと思っております。
 これは、GI基金のほうで実証の支援をいただくことになっておりまして、これをしっかり進めていって、2030年を目指して、何ができるかというのをしっかりと検証した上で、社会実装を進めていくというような段取りを考えているところでございます。
 それから、山口参事から、一般廃棄物、循環利用あるいは太陽光パネルについての御要望をいただきました。これは、しっかりやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上でございます。
 
○大橋座長 
 それでは、最後に龍崎GXグループ長からお願いいたします。
 
○龍崎GXグループ長 
 私から、本当に手短に。NDCにつきましては、上に凸が合理的だというお話もありました一方で、ダウングレードすべきではないとか、できるだけ早期に下げるべきで、カーボンバジェット的な考え方も必要だと、非常に幅の広い御意見があったと思っています。
 私どもも、環境省さんと議論をするとともに、皆様方にも引き続きよく御議論をいただきたいと思いました。
 それから、ドイツのお話があって、EU-ETSなんかで政策強度が違うので、それをもって日本のNDCを緩めるべきではないという御指摘もあったと思いますけれども、全くそのとおりだと思います。別にドイツをもってNDCを緩めるべきだという意味で御紹介したわけではないのですが、エネルギー価格が一国の産業構造のありように影響を与えるということは事実だと思いますので、そういったことも踏まえて、あり方というのを考えていく必要があるのではないかということでございます。
 それから、スタートアップの重要性、それから使用済プラスチックの技術開発をと、そういう御指摘もあったと思います。それぞれ非常に大事なことでございまして、スタートアップで言うと、GX予算で、5年で2,000億円、重点的に使って支援をすることにしております。技術開発、使用済プラスチックのほうも同様に重要ですので、しっかりやっていきたいと思います。
 私からは以上でございます。
 
○大橋座長 
 ありがとうございます。
 本当は、皆さんに追加の御意見をいただきたいところですけれども、いただいたお時間を10分以上超過してしまって、私の不手際で本当に申し訳ございません。
 もし、特段、どうしても何か言いたい人がいれば座長権限でと思いますが、大丈夫ですか。
     (「なし」の声あり)
 ありがとうございます。
 それでは、ここまでとして、議題2「その他」、もし事務局からありましたらお願いします。
 
○荻野室長 
 議題の2ついてはございませんが、最後、連絡事項でございまして、本日の議事録につきましては、委員の皆様に確認をいただいた後に、ホームページに掲載させていただきたいと思います。
 次回については、10月31日を予定しておりますけれども、詳細が決まり次第御連絡をいたします。
 
○大橋座長 
 時間を超過して申し訳ございませんでした。
 以上で閉会といたします。本日はありがとうございました。
                               午後0時12分開会