中央環境審議会地球環境部会2050年ネットゼロ実現に向けた気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会イノベーション・環境分科会地球環境小委員会中長期地球温暖化対策検討WG 合同会合(第2回) 議事録
開催日時
令和6年7月30日(火)09時30分 ~ 12時00分
開催場所
WEBによる開催
議題
(1)関係団体からのヒアリング
(2)その他
資料一覧
議事次第
資料1 中央環境審議会地球環境部会2050年ネットゼロ実現に向けた気候変動対策検討小委員会 委員名簿
資料2 産業構造審議会イノベーション・環境分科会地球環境小委員会中長期地球温暖化対策検討ワーキンググループ 委員名簿
資料3 第1回合同会合での主な意見及び第2回合同会合における主なヒアリング事項
資料4 日本経済団体連合会 説明資料
資料5 日本気候リーダーズ・パートナーシップ 説明資料
資料6 日本商工会議所 説明資料
資料7 日本労働組合総連合会 説明資料
議事録
午前9時30分開会
○荻野室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第2回中央環境審議会地球環境部会2050年ネットゼロ実現に向けた気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会中長期地球温暖化対策検討ワーキンググループ合同会合を開催いたします。
本会合は、環境省、経済産業省、両省が共同で交互に事務局を担いまして、私、今回の事務局を務めます経済産業省の荻野でございます。よろしくお願いいたします。
本日の会議はウェブにより開催させていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信いたしまして、動画は会議後、議事録公開までの間、ウェブ上で公開予定でございます。
ウェブ会議の開催に当たりまして、何点か御協力をお願いいたします。通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフにしていただきまして、御発言の際のみオンにしていただきますようお願いいたします。また、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますよう、御協力をお願いします。御発言を希望される場合には、御自身の名前の右側にある手のアイコン、挙手ボタンをクリックしてください。また、発言が終わられましたら、挙手ボタンを解除いただきますようお願いいたします。
本日は、中央環境審議会側は10名、産業構造審議会側は9名の委員に出席いただいてございます。福田委員の代わりとして山口様に御出席いただいてございます。定足数の要件を満たしておりまして、専門委員会として成立していることを御報告いたします。
それでは、本日の議事進行は、産業構造審議会地球環境小委員会中長期地球温暖化対策検討ワーキンググループの大橋座長にお願いしたいと思います。座長、よろしくお願いいたします。
○大橋座長 皆さん、おはようございます。大変お忙しいところ、本日も多く御参集いただきまして、ありがとうございます。本日、議事2つございまして、まず関係団体からのヒアリング、2番目がその他となっております。
最初の議題ですけれども、本日は、日本経済団体連合会、日本気候リーダーズ・パートナーシップ、日本商工会議所、日本労働組合総連合会の4団体の皆様方からヒアリングを行わせていただくことになっております。各団体の皆様方におかれては、大変御多忙のところ貴重なお時間をいただきますこと、誠に感謝申し上げます。
まず、各団体様から御説明いただく前に、資料3がございまして、事務局から本日のヒアリング事項について御説明いただきます。それでは、御説明をお願いいたします。
○荻野室長 資料3でございます。
1ページ目をめくっていただきまして、前回の主な議論をまとめてございます。ここに記載したとおりでございますけれども、まず1.5度目標と整合的な道筋を示し続けることが予見可能性を高めることになるのではなかろうか。他方で野心的な数値目標がイノベーションのきっかけになり、途上国もついてくるのではないかという御意見がございました。
また、オーバーシュートありの数字感というものも考える必要があるのではなかろうか。累積的な視点も必要でございまして、瞬間的にゼロにするだけではなくて、2050年以降も考えるべきではないか。従来の積上げは困難ではないかということですとか、インサイドアウト、アウトサイドインの両方のアプローチが必要という御意見をいただきました。
あと、国民負担の増加を示して国民に受け入れてもらう覚悟が必要ということもございますし、ビジネスの安定化のためには、安定、安価なエネルギー供給の確保が重要というところ。エネルギー政策の議論との関連は不可避だということで、エネルギー基本計画の議論との連携をということもございました。様々なシナリオ分析につきましては、生かしていくべきだということでございます。
2ページ目でございます。一方、生産拠点が海外に移転してしまうような事態は避けるべきであって、グローバルに活動する企業の製造拠点の国内立地を促進するための対策が必要であるということ。技術的にアフォーダブルな選択肢が必要で、これがないと生産の減退ですとか海外移転が進むというところ。他方で海外への移転につきましては、世界全体の排出量増大につながるという御意見がございました。
下半分につきましては、これまでの削減の要因分析を行っていく必要があると。エネルギー価格の高騰が省エネ行動変容につながるという分析もあるといったことでございました。今後、技術革新が生まれまして、それに伴い将来、排出削減が加速化するといったことを踏まえますと、後半で加速化していくという考え方もあって、日本のパスウェイを考えていくべきだということもございました。
3ページ目に行きまして、公正な移行の実現に向けた対策ですとか、民間の自律的な投資を喚起するための対策が必要であるというところ。我が国の脱炭素技術で世界全体のカーボンニュートラルに貢献していくという御意見をいただいてございます。企業や国民の行動変容が重要な要素でございまして、これをどう誘導していくか。
次に、限界削減費用の低いものから順次対策を取っていくことが原則で、そうした中でエネルギーコストの増加といった部分は責任を持って示す必要があるということでございます。資源の少ない日本にとっては、資源循環の対策が重要という御意見をいただいております。
吸収源対策につきましては、ブルーカーボン生態系の利用などの強化が必要という御意見をいただいてございます。フォローアップの関係では、次の計画に生かしていくフォローアップが必要であり、ポートフォリオを変えるなど、次の対策、施策に生かしていく必要性の御意見をいただいております。
本日でございますけれども、これからプレゼンテーションをいただきまして、御質問等をいただければと思ってございますけれども、主なヒアリング項目として3つ挙げさせていただいてございます。
2030年度46%削減、50%の高み、2050年ネットゼロに向けた各団体の取組や課題。各団体を取り巻く国際動向、社会経済動向の変化やその見通し。上記も踏まえた2050年ネットゼロに向けた我が国の基本的な考え方、方向性に関する示唆、提言といったところをお願いしたいと思ってございます。
以上でございます。
○大橋座長 ありがとうございます。
それでは、今御説明いただいた資料3の論点も踏まえつつ、各団体から御説明をお願いしたいと思います。順番については、先ほど御紹介した順でお願いできればと思います。
それでは、まず日本経済団体連合会様から、資料4を御用意いただいていますので、御説明をお願いしたいと思います。8分お時間いただけるということですので、その範囲でお願いできればと思います。それでは、御準備よろしければ、お願いいたします。
○池田(三)委員 経団連環境エネルギー本部長の池田でございます。本日、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず、経団連の主体的な取組について御紹介いたします。お手元資料1ページを御覧ください。経団連は1990年代から温暖化対策に積極的かつ主体的に取り組んでまいりました。とりわけ近年では、2020年にチャレンジ・ゼロを開始し、2021年にはカーボンニュートラル行動計画の策定、さらには、2022年にはグリーントランスフォーメーション(GX)に向けた提言を発表するなど、カーボンニュートラルに向けた活動をより強力に推進しています。
2ページを御覧ください。経団連は、企業ベースの取組であるチャレンジ・ゼロと業界団体ベースの取組である経団連カーボンニュートラル行動計画を2本柱に、カーボンニュートラル達成に向けた取組を進めています。
3ページを御覧ください。チャレンジ・ゼロは、トランジション技術を含むネット・ゼロエミッション技術の開発、積極的な実装、普及といったカーボンニュートラルに向けた企業のチャレンジを国内外に発信し、その取組を後押しするものです。当初、137社305のチャレンジで開始いたしましたが、現在では、197社が408のチャレンジを表明しているところです。
4ページを御覧ください。経団連カーボンニュートラル行動計画において、参加する63の業種は、2050年カーボンニュートラルに向けたビジョンを策定するとともに、国内事業活動からの排出抑制をはじめとする4本の柱の取組を推進しております。この計画は、第三者評価委員会による評価、検証を受けまして、PDCAサイクルを回すことで排出削減に向けた努力を続けています。
5ページを御覧ください。経団連からの働きかけもございまして、現在、63業種中45業種が2050年カーボンニュートラルに向けたビジョンを策定しております。排出量ベースで97%が策定済みとなっております。
6ページ、第1の柱、国内事業活動における削減実績を御覧ください。この計画を通じて、日本の経済界は着実にCO2排出量を削減してきており、直近の調査によりますと、2022年度時点で2013年度比 20.1%の削減を達成しております。
7ページの排出量削減の要因分析を御覧ください。エネルギー転換部門の削減は、原発再稼働や再エネ拡大に起因している点については望ましいものの、産業部門の削減要因が国内経済活動量の減少となっていることが大いに懸念されるところです。CO2の削減は、グラフの緑や青、すなわちエネルギーの低炭素化や省エネ努力によって達成すべきものと存じますが、今後さらなる脱炭素化の推進が国内経済活動の減少や生産活動の海外移転によるカーボンリーケージにつながることのないよう留意しなければいけないと認識しています。
続きまして、2050年カーボンニュートラルに向けた基本的な考え方、課題について御説明いたします。8ページ目でございます。2022年5月に発表した経団連提言のポイントを簡単に御紹介いたします。
2030年度46%削減や2050年カーボンニュートラルは、現存する技術では達成できないなど、極めて野心的な目標であるということをまずは十分認識する必要があります。その上で、これを達成するにはGXによる経済社会の変革が不可欠であると考えます。したがいまして、GX推進の過程においては、国民理解の醸成も必要であると存じます。
9ページでは、技術の側面からカーボンニュートラルを実現するための7つの道筋をお示ししております。
具体的には、第1に、現時点でエネルギー分野でのゼロエミッションが確立されているのは電力でございますので、再エネや原子力といったCO2を排出しないゼロエミッション電源を確保すること。
そして第2に、これまで利用してきた熱源を可能な限り電化を進めること。
第3に、そのためのインフラとして送配電網の整備や蓄電機能の確保など、次世代電力ネットワークの実現も欠かせないこと。
そして第4に、それでも残る熱源については、カーボンフリーの水素やアンモニア、合成メタンの導入拡大を図ること。
ただし、有機物はすべからく炭素からできており、地球上から炭素をなくすことはできませんので、第5に、材料におけるカーボンリサイクル等を進めること。
あわせて第6に、ゼロカーボンスチールなど、生産プロセスの変革、革新的製品サービスの開発、普及というのも大きな課題でございます。
第7に、それでもどうしても排出されるCO2については、これを分離回収するカーボンネガティブの技術を活用すること。
このような道筋を全て実施していかなければ、2050年カーボンニュートラルの実現は困難であると考えております。
10ページを御覧ください。2050年カーボンニュートラル実現に向けた大事な視点として4点強調いたします。第1に、2050年カーボンニュートラルの実現には、既存の取組の延長では実現困難であることから、現在存在しない革新的な技術のイノベーションが不可欠であり、今から取り組む必要があるということでございます。
ただし、イノベーションは一朝一夕にはならず、カーボンニュートラルは一足飛びでは実現できませんので、第2に、革新的技術が社会実装に至るまでの過程において、トランジションに向けた対応が必要となります。
第3に、そのために官民の投資を最大限に引き出す必要がございまして、とりわけ民間投資を後押しするための環境整備が必須と考えます。
第4に、GXは成長戦略であり、産業競争力の維持、強化に資することが不可欠であると考えております。
11ページを御覧ください。こうした4つの視点を踏まえまして、2050年GX実現のための8つの政策パッケージを提言しています。
まず、技術の関連では、エネルギー供給構造の転換、そして原子力利用の積極的推進、さらには電化の推進やエネルギー需要側を中心とした革新的技術の開発が必要です。また、資金に関する分野では、グリーンディール、サステナブルファイナンスの推進。そして経済社会に関する分野では、産業構造の変化への対応、カーボンプライシング、攻めの経済外交戦略を推進していく必要がございます。
これらの提言を受けまして、12ページから13ページにございますように、政府ではかなりの部分取り組んでいただいており、改めて感謝を申し上げるとともに、引き続き成長戦略、国際競争力強化に資する形で推進していただきたくお願い申し上げます。
14ページを御覧ください。るる御説明申し上げましたとおり、2050年カーボンニュートラルの実現は極めて野心的な取組であり、今御説明した全ての対策に取り組んでいく必要がございます。その上で、本日強調したい点を2点申し上げます。
第1に、2050年カーボンニュートラルは、現在存在する技術だけでは実現できませんので、革新的な技術の開発と社会実装が不可欠でございます。政府には、企業にとっての投資予見性を高めつつ、研究開発、社会実装、GX製品市場形成までの一貫した投資促進策をお願い申し上げます。また、AZEC等を通じた地球規模のカーボンニュートラルへの貢献をすることで、企業のビジネスチャンスの拡大にもつながります。政府にはリーダーシップと環境整備をお願いいたします。
第2に、S+3Eのバランスが取れたエネルギー政策の必要性でございます。ウクライナ侵攻など、地政学リスクが高まるとともに、電化の推進等のGXの推進、さらには生成AIやデータセンターなどDXの推進を背景にいたしまして、今後、電力需要拡大の見通しが示されているところでございます。そうした中、安価で安定的な電力供給の確立が不可欠です。ゼロエミッション電源、とりわけ原子力発電の積極的な活用に向けて今から取り組んでいくことが必要と考えています。
以上、御理解をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。
○大橋座長 日本経済団体連合会様、ありがとうございました。質疑等については、全ての発表が終わってからさせていただきたいと思いますので、次の御発表に移らせていただきます。
続きまして、日本気候リーダーズ・パートナーシップの小山様より御説明をいただけるということでございます。8分お時間いただけるということですので、御準備よろしければ、お願いできればと思います。
○小山様 ただいま御紹介に預かりましたJCLP共同副代表の大和ハウス工業・小山と申します。本日はこうした機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
JCLPは日本気候リーダーズ・パートナーシップといいまして、ビジネスの力で脱炭素社会の実現を先導しようという志1つでつながる民間企業約250社による企業グループです。本日は、我々が日々実感している危機感を起点に、先般公表しました次期NDC、エネルギー基本計画に対する提言について発表させていただきます。
まず、今回の提言におきましては、気候危機への対応という観点はもちろんなのですが、それ以外にも右上の企業競争力、あるいは左下、目標の実現可能性、さらには右下の国益増進と様々な観点から検討を重ねまして、これが最善手だと言える望ましいNDCと再エネ比率、さらにはそのための分野別の実現策、政策の決め方について取りまとめております。
この提言の背景ですが、脱炭素、とりわけ再エネの調達が我々企業にとって死活問題になっているということがございます。投資家はもちろんなのですけれども、顧客からも脱炭素の要請を受ける場面が今増えておりまして、その対応に最も有効な再エネの確保がまさに企業にとって一刻を争う状況となっております。
そうした中、真ん中のグラフですが、導入量が他国に比べて小さいということもさることながら、日本は唯一、直近5年間の導入量が減っております。当然、我々の再エネ調達環境も厳しい状況でして、2022年、世界のRE100企業の再エネ利用率50%に対して、日本企業は僅か25%となっています。
データセンター、あるいは半導体というのは、今後の日本の成長産業の1つと目されていますけれども、JCLPの当事者企業からも、安価かつ安定的な再エネ調達が不可欠といった声が上がっております。このままでは生産拠点の海外流出も含めて、産業競争力を失いかねないと非常に強い危機感を持っております。
こちらはJCLP会員企業の再エネに関する生の声を集めたものです。個々の説明は省きますけれども、いずれも切実な危機感を示しております。
ここからは本題の提言内容となります。まず1つ目は、次期NDCに関するものでして、2035年までにGHG排出量を13年比で75%以上削減することを求めます。1.5度目標のためには、世界全体で66%の削減が必要とされる中、国際的なコンセンサスでもある先進国の責任といったものを鑑み、また、脱炭素の取組をスピードとスケール感を持って大きなビジネス機会としていくためにも、世界平均を上回る野心的な削減目標を掲げるべきと考えております。正直、自分で自分の首を絞める部分もあるわけですが、あえてこうした高い目標を求めるのには理由がございます。
次になります。ビジネスにおける意思決定には予見性というものが非常に重要になります。御承知のとおり、日本の削減目標、京都議定書時代の6%から26%、さらには46%と、約5年おきに20ポイントずつ引き上げられてきました。これでは5年前に行った意思決定が5年後には誤りだということにもなりかねないと。実際、会員企業の例で、当時、低炭素型として評価されていた石炭、バイオマス混焼の発電所が、今はレピュテーションリスクにつながりかねないと、莫大な費用をかけてバイオマス専焼化への更新を進めております。もし初めから現在の状況を予見できていれば、こうした無駄な投資も回避できたのだろうと思います。
ほかにも将来が予見できない弊害の一例としまして、クライメートテックのスタートアップが日本にはマーケットがないということで起業を諦めたといった話もございます。正直、どちらも本当にもったいない話だと思っておりまして、向かう先が1.5度整合ということなのであれば、しっかりそれに即した経路と中間目標を示していただいて、我々の予見性を高めてほしいと考えております。
75%以上の削減、確かに非常にハードルの高い目標ではあるのですけれども、これは我々JCLPと地球環境戦略研究機関(IGES)が一緒に検討した1.5℃ロードマップに基づいた数字となっています。下の囲いにありますとおり、DXによる生産性向上、建物の高断熱化あるいは自動車の電動化、さらに右側の屋根置き太陽光や洋上風力と、まさに現在既にある技術を最大限に普及させて、エネルギー消費量を3割削減、そして再エネを3.6倍に拡大することで実現可能だと試算しております。
そして、提言の2つ目、その再エネの拡大ということで、2035年の電源構成における再エネ比率を60%以上にすることを求めます。この再エネ60%というのは、GHGの削減、あるいは冒頭お話をしましたビジネスの操業許可といった観点から非常に重要ですけれども、それに加えて、エネルギー安全保障にも大きなインパクトがございます。エネルギー自給率が12%から40%へと大きく向上いたします。ウクライナ危機みたいなことがあっても、国内の産業や暮らしへの影響を抑えられることになります。
そして、そのことは現在、化石燃料の輸入額として年間30兆円ものお金が海外に流出しているわけですが、それを約6割削減し、15兆円以上のお金を国内に還流することにもつながります。この資金をぜひ日本の強みを生かす技術の普及に回すことで、経済の好循環を果たしていきたいと考えております。
そして最後、提言の3つ目になります。こうした政策の決め方に関するものです。これまでエネルギー政策に関する主要な会議体に再エネの調達いかんが企業の競争力に影響するような、まさにグローバルにビジネスを展開している需要家がほとんど参加していないことも課題だと考えています。こうした再エネ需要家の参画機会を増やして、そのような企業の声をしっかり政策に反映していければと考えております。
時間がなくなりましたので、以下割愛しますけれども、こちらがGHG75%削減、そして再エネ60%を実現する具体策のパッケージとなっています。大きく5点挙げておりますけれども、いずれもそれぞれの分野をリードする会員企業の知見も踏まえて取りまとめております。
こちらは今回の提言の要旨になりますが、繰り返しになりますので割愛します。
最後になりますけれども、こちらがJCLP加盟企業の一覧となっております。私たちはビジネスを通じて、1.5度に沿った脱炭素を本気で追求してまいります。ぜひ脱炭素、それからエネルギー安全保障の向上、さらには経済成長に向けて政府のリーダーシップに期待をしているところです。
以上で発表を終わります。御清聴ありがとうございました。
○大橋座長 JCLP様、ありがとうございました。後ほど質疑応答、意見交換させていただければと思います。
続きまして、日本商工会議所・大下様から御説明をお願いしたいと思います。資料6をいただいておりますが、8分お時間いただけるということですので、御準備よろしい段階でお願いできればと思います。
○大下委員 日本商工会議所・大下でございます。私からは、商工会議所の会員企業の大半を占めます中小企業の観点から、カーボンニュートラル推進に向けた現状と課題についてお話をさせていただきます。
御案内のとおり、中小企業は企業数で言いますと99.7%を占めますが、温室効果ガス排出量ですと1割から2割を占めています。この多くの数の企業にどれだけの取組を進めていくのかというのは非常に大きな課題になっていくと思っています。
私どもは、この春にこの件について調査(「中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」)を行わせていただきました。中小企業は今、エネルギー価格の上昇を非常に問題視しておりまして、9割が影響を受けていると答えており、また、約1割は事業の継続にも不安があると答えております。こうした中でカーボンニュートラルに向けての取組ですが、全く行っていないという企業が約3割ですので、逆算しますと7割は何らかの取組を行っている状況です。その大半は、やはり省エネです。いわゆる使用量や温室効果ガス排出量の見える化というのは、まだ4社に1社にとどまっている状況であります。
なぜ取り組んでいくのかというのを4ページ目に書かせていただいておりますが、やはりコストの部分です。光熱費、燃料費の削減を目的にしているという回答が75%で最も多くなっていますが、中には知名度の向上、あるいはビジネス環境の変化等への対応と前向きな取組も少しずつ見えてきているところではあります。
また、中小企業にとって1つ大きな課題になってまいりますのは、サプライチェーンでつながっている企業から温室効果ガス排出量の把握、測定をしてくださいという要請が少しずつ出てきています。これも既に4社に1社が要請を受けている状況になってきておりまして、把握、測定だけを見ますと13.8%という形になっています。
こういう形で自社のために、あるいは取引先等から依頼を受けて取組を進めなければならないのですが、やはり課題はマンパワーやノウハウの不足です。算定方法が分からない、あるいは設備を入れ替えようとしても資金が足りない、この辺りにハードルを感じているという回答がアンケート調査では見えてきているところであります。
実際にどういうところに相談をしているかを聞いてみました。国は金融機関等にいろいろな働きかけ、期待をしているようですが、一番多かったのは実は設備機器メーカーです。恐らく実際により低炭素の設備に入れ替えていくというところを相談しているのかなと思っておりまして、今後この辺りの役割も非常に重要かと思っているところです。
こうした状況の中で商工会議所としては、まずは脱炭素の意義、あるいはどうやって進めるのかというところを理解してもらうことと、まずは実際に自社の排出量を測っていただくところが重要かなということで、いろいろな形で中小企業の取組を支援しているところであります。
また、これは東京商工会議所ですけれども、さらにビジネスにつなげていくということで、いろいろなマッチング、産学連携の取組なども進めているところであります。
最後のページ、上の半分で前段の調査結果のところを改めて整理させていただいています。中小企業の9割がエネルギー価格高騰の影響を受けている中で、省エネを中心に7割が中小企業においても脱炭素に向けた取組を行っています。また、4社に1社は取引先からの要請を受けているということで、この1、2年でかなり急速に取組が進んできているという印象を受けています。
ただ、エネルギー価格だけではなくて人件費も上がっています。原材料費も上がっています。中小企業にとっては、脱炭素、地球環境への貢献ということだけで、さらにコスト負担が増えることを積極的に受け入れられる状況には残念ながらないという実態はしっかり御理解いただきたいと思っております。
そういう意味では、企業が既に取組を進めている省エネを中心に、中小企業のコスト削減につながる取組が結果として排出削減につながり、温暖化対策につながっていくという形が望ましいと考えております。それを進めていく上でも、中小企業のマンパワー、ノウハウ、スキルの不足のところを様々な形で関わる方々で支援していくことが望ましいのではないかと思っております。
下半分、エネルギー政策の方向性として4つポイントを書かせていただいています。実は今、日商では、今回の温対計画の見直し、またエネルギー基本計画の見直しに向けて意見書を策定して提出すべく、議論を進めているところであります。ここで書かせていただいている4つのポイントは、これまでGX実行会議等で小林会頭が発言させていただいた、つまり日商として表に出ている意見だけを文字に落とさせていただきました。今議論しているところも含めて、少し口頭で補足しながらお話をさせていただきたいと思っています。
まず1点目です。エネルギー政策の基本、S+3Eですけれども、中でも中小企業にとっては、冒頭申し上げました調査結果なども踏まえて、安定、安価なエネルギー確保はマストであります。温暖化対策を進める上でもこの点は第一に置いていただきたいと思っております。その点から、脱炭素電源でもある原子力発電については、安全性の確保、また地元の理解を大前提としまして、しっかりと再稼働の推進、また革新炉等も含めた技術開発も進めていただきたいと考えています。
再生可能エネルギーも主力電源化に向けて導入をしっかりと進めていくべきであり、適地の偏在、あるいは出力変動をカバーする仕組みと併せて、これも地元の理解を得ながらしっかり整備を進めていく必要があると思っております。
2つ目のポイントですけれども、安定、安価な供給は特に移行期、トランジション期において重要だと考えています。その際、やはり火力発電が果たす役割は大きいと考えておりまして、火力発電に関する設備の維持、確保もマストだと思っております。当然、同時に様々な技術を活用して、その火力発電の脱炭素化、低炭素化を積極的に進めていく必要があることは言うまでもないと考えております。
そうした点も含めて、それでもやがて徐々に使われなくなっていく可能性が高い設備に対して、中小企業も含めて維持のための投資やコストをかけていくためには、政府がトランジション期における火力発電の位置づけをしっかり明らかにしていただいて、LNGの長期契約による安定確保等も含めて、予見可能性を高める取組をぜひお願いしたいと思っております。
3点目でございます。今申し上げました様々な電源が立地する地域の振興を地域経済の発展につなげていくことが非常に重要だと考えております。様々な形で電力需要の増大が見込まれるとするならば、そうした企業を電源に近い地域に誘致する、あるいは発電設備の設置、メンテナンス等に地元の中小企業がしっかり参画できる仕組みをぜひ御検討いただきたいと思っております。
国際的な視点で最後1点だけです。日本はここまで削減目標に向けておおむね順調に取組を進めており、世界的には、例えば火力発電、石炭火力等に厳しい意見もありますけれども、当然、各国の需要に合った多様な道筋があってしかるべきだと考えております。その中で脱炭素に資する技術を活用して、日本だけではなく、アジアの脱炭素、経済成長に一層積極的に貢献していくことが大事であって、そこに少しでも日本の中小企業が参画できれば、なおありがたいと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○大橋座長 日本商工会議所様、ありがとうございました。後ほど意見交換等をさせていただければと思います。
それでは、お待たせしました。最後となりますが、日本労働組合総連合会の井上様から御説明をお願いしたいと思います。お時間8分いただけるということですので、その範囲でお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。連合副事務局長の井上でございます。本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。連合としては、公正な移行を中心とする脱炭素に向けた労働の在り方について、連合の考え方を御説明させていただきたいと思います。
初めに、2050年カーボンニュートラルに向けた連合の考え方です。連合は、労働組合の全国組織として、「働くことを軸とした安心社会」の実現を目指して運動をしています。2050年カーボンニュートラルに向けたGX政策は、産業構造の転換を目指すものです。連合は、GX実行会議やGX推進法の審議過程などを通じて、一貫して公正な移行の実現を求めてまいりました。
左の図を御覧ください。現在、日本は2050年カーボンニュートラルという国際公約の実現と日本企業の競争力強化、そして日本の経済成長の同時実現を目指そうとしています。その過程で産業構造が転換していき、その結果、雇用への影響が表面化してから対応するのでは遅きに失すると言えます。
カーボンニュートラルに向けた対策と経済成長と雇用対策は、同時に進めなければなりません。このような産業転換による雇用や労働者への負の影響を最小化していくのが公正な移行です。公正な移行を具体化していくには、グリーンな雇用創出や地域脱炭素化、失業なき労働移動と重層的なセーフティーネットへの検討に早期に着手する必要があります。
その際、失業や労働移動による労働条件の低下などの雇用への影響が生じ得る産業、地域の特定と、その影響度の測定と分析を進めること、地域における雇用吸収力のあるグリーンな産業の育成、労働者の教育訓練、社会保険や住宅などの社会的セーフティーネットの強化などの必要な対策を一体的に検討することが必要です。
また、右側の図にもあるとおり、地域脱炭素に向けて地域循環共生圏を形成する過程に、連合が取り組んでおります「働くことを軸とする安心社会」の概念を組み込んでいくことが重要だと考えます。地域レベルでも社会対話を実施し、とりわけ中小企業の雇用に対してはサプライチェーンだけではなく、国による支援が必要だと考えます。
公正な移行の始まりと現在の国内状況ですが、連合が加盟する労働組合の国際組織でありますITUCは、2009年のCOPにおける彼らのステートメントの中で公正な移行を提起しています。気候変動によって最も影響を受けるのが労働者です。労働者の雇用や生活を守るために気候変動対策の中心に公正な移行を据える必要があります。
2009年のCOP以降、ITUCは気候変動に関する議論において公正な移行を盛り込むよう累次求めてきたところです。その成果として、2015年のパリ協定前文にも、考慮すべきこととして公正な移行の文言が明記されたことは、皆さんも御認識いただいているかと思います。
昨年成立したGX推進法やGX推進戦略にも公正な移行が盛り込まれました。それを受けて、今年5月に策定が提起されたGX2040ビジョンの中にも公正な移行が位置づけられています。しかしながら、カーボンニュートラルの基底にあるべき公正な移行に関して、どのような道行きでなされるのかは、まだ明らかではありませんので、これをしっかりと注視していく必要があると考えています。
こちらは中小企業の脱炭素に向けた取組支援についてです。既に述べたとおり、カーボンニュートラル実現に向けた各種施策の影響を最も受けるのは労働者です。ただ、一口に労働者への影響といっても、影響は企業規模によって異なった現れ方をしてくるものと考えられます。
従業者総数に占める中小企業と大企業の割合を見ると、およそ70%が中小企業で働く人々で、日本の雇用を支えるのは、まさに中小企業です。政府が示した分野別投資戦略の中には、中小企業のGXは含まれていないものの、GX実行会議の中で中小企業のGXが取り上げられていると承知しています。
産業構造の転換による負のインパクトを回避するため、中小企業で働く人々に対して、失業なき労働移動を実現するための学び直しや、その間の住宅や生活費補助など、重層的なセーフティーネットの構築が必要です。
GX実行会議の中である委員から、「中小企業は自社の温室効果ガス排出量が分からない、何から始めればいいか分からないというのが実態である」との発言がありました。政府として中小企業への支援も行われているとのことですが、情報不足や財務的な余力に乏しいことなどの点から、中小企業における専門人材の確保と育成、コンサルティングなど、伴走的な支援が重要であると考えます。サプライチェーンだけでなく、国、地域レベルの支援が必要です。
地域脱炭素に向けてですが、日本のGDPのうち半数以上が東京と政令指定都市以外の地域によるものです。企業が進めるカーボンニュートラルに向けた取組は、多くの場合、事業所が存在する各地で進められます。これは、その産業や事業所が立地する地域が影響を受ける可能性があることを意味します。そのため、脱炭素に向けた取組を行う中で産業構造の転換が起こったとしても、地域経済へ負の影響が出ることがないようにしなければなりません。それには、影響を受ける可能性がある地域の経済や地域脱炭素に伴う地域経済の在り方など、分野横断的な課題の深掘りが必要です。
産業構造は各地域によって異なります。ある地域の施策が別の地域にそのまま当てはまるとは限りません。そのため、失業や労働移動による労働条件の低下などへの雇用へ負の影響が生じ得る産業、地域の特定と、その影響測定と分析を進めることが必要です。そして、同時に地域における雇用吸収力のあるグリーンな産業の育成、労働者の教育訓練、セーフティーネットの強化等を検討する必要があります。
結びに、COP28で採択されたGSTを踏まえ、NDCの見直しに向けて議論が始まったところですが、現行のNDCには公正な移行が含まれておりません。既に申し上げたとおり、カーボンニュートラルに向けて様々な施策が取られる上で、公正な移行の実現は不可欠であります。
この小委員会には、企業の方々、政府の方々のみならず、より幅広い背景を有した専門家の皆様が参加していらっしゃいますので、私ども連合は、1つの社会対話の場と認識しています。ここでの議論を通じて、公正な移行が盛り込まれた温暖化対策計画と、これに裏打ちされたNDCの策定に向けて積極的に参画をしていきたいと考えております。
また、温室効果ガスを削減するに当たっては、消費者の行動変容も不可欠です。連合は、組合員一人一人ができるところから環境を考えた行動を心がけ、持続可能な社会をつくる連合エコライフ運動を推進しています。
また、連合は、カーボンニュートラルに関して働く人々の意識調査を先日行いました。その結果は近く公表する予定ですので、また皆様にもお知らせさせていただければと思います。調査結果を踏まえて、連合は、エコライフ運動を通じて一人一人の環境に優しい生活を呼びかけてまいります。
最後に、本小委員会で議論されていることは、日本の将来の在り方を形づくっていくものであります。カーボンニュートラルは、将来世代が幸せに暮らすためのものであり、その実現の過程において、働く者と国民の雇用と生活が守られるべきものであり、誰一人取り残されない社会の実現が必要だと考えます。
ありがとうございます。
○大橋座長 日本労働組合総連合会様、ありがとうございました。
それでは、ただいま4つの団体様から御説明いただきましたけれども、委員の方々から御意見あるいは御質問などを頂戴できればと思います。今回は、中環審と産構審と2つの会議体の委員に御発言いただきますので、全て通しで五十音順という形で御発言いただければと思っています。今日、多くの委員に御参加いただいていますので、御発言は3分をめどにお願いいたしたいと思います。もし団体に御質問がある場合は、どの団体に御質問かということをはっきり言っていただければ、より効率的に時間が使えるかと思っております。
それでは、まずお時間に制約があると伺っています山口代理様から御発言をお願いできますでしょうか。
○山口代理 順番を変えていただきまして、ありがとうございます。全国知事会脱炭素地球温暖化対策本部長県でございます栃木県庁の山口でございます。本日、本部長でございます福田知事が公務の都合上、出席がかないませんでしたので、代理出席となります。よろしくお願いいたします。
4団体の皆様からの御発表ありがとうございました。貴重な御意見や取組、大変参考になりました。幾つか御質問させていただきたいと思います。
まず初めに、日本経済団体連合会さんでございます。資料の9ページ、左側の図です。一次エネルギーから最終エネルギーへのロスが多く、改めて発電効率等の技術向上が重要であるということを認識したところでございます。また、同じページの右側に7つの道筋を示されております。ここで質問させていただきたいと思うのですが、電力の脱炭素化はもとより、(4)で合成メタンなどによる熱源の脱炭素化、カーボンリサイクル等による材料の脱炭素化の取組が必要とされておりますけれども、現状の主な課題など、また、特に求めたい技術開発などがございましたら教えていただければと思います。
次に、その右側に吸収源対策がございますけれども、森林吸収、J―クレジットやブルーカーボンのクレジット化なども進んでおりますが、これらにつきまして制度改善など、何か御要望があればお聞かせいただきたいと思います。
次に、JCLPさんでございます。企業のグローバルな目線から再エネ電源の確保等の重要性に強い危機感を持って、高い目標を掲げられているということを承知いたしました。10ページに御提言の具体策を載せていただいておりますが、屋根置き太陽光発電の導入の加速化、それから地域連系線の増強や建物の脱炭素化、EV等の導入促進など、地方公共団体が取り組んでいる施策と方向性が同じであると思っておりますけれども、特にこの中で力を入れていく必要がある施策としてお考えのものがございましたら、教えていただければと思います。
次に、日本商工会議所さんでございます。資料の10ページで、中小企業における脱炭素化の一番の課題は、マンパワー、ノウハウの不足であるということを改めて承知いたしましたので、今後の県の事業にも反映させてまいりたいと考えております。
御発言いただきましたとおり、地方公共団体といたしましても、省エネによるコスト削減が結果として排出削減につながる形を目指していきたいと考えておりまして、本県でも企業向けの太陽光発電や省エネ機器の導入支援を行っているところでございます。そこで、企業の皆様にとって特に効果的と思われる支援メニュー、それから制度への要望などございましたら、お聞かせいただければと思います。
私からは以上になりますが、差し支えない範囲で結構でございますので、御回答いただけますようにどうぞよろしくお願いいたします。
○大橋座長 ありがとうございます。本日、20名近くいらっしゃいますので、3分めどぐらいでお願いできればと改めてお願いいたします。
それでは、続いて、あいうえお順にさせていただきます。秋元委員、よろしいでしょうか。
○秋元委員 秋元です。御説明いただきまして、ありがとうございました。簡単に各団体へのコメントと若干質問がございます。お願いいたします。
経団連様ですけれども、内容は非常によく分かりました。その上で7ページ目、非常に細かいところで申し訳ないのですが、エネルギー転換の赤いところに、産業部門を中心とする経済活動量減と省エネ努力と書かれているのです。エネルギー転換部門での省エネ努力というのが、別途、省エネ努力の青いところであまり見えていないと思うのですけれども、あえてここに省エネ努力と書かれた意図は、ほかの部門の省エネ努力ということなのかということだったのですが、ほかでもあまり青い部分が見られていないので、この内容について教えていただければと思いました。細かくてすみません。
JCLPさんは、再エネをたくさん導入しなければいけないということに対する御要望等、非常によく理解できます。ただ、やはり再エネをたくさん導入すると、エネルギー価格が日本の中で上がってしまって、そういう面ではグローバルに取引している企業にといっては再エネ導入がしやすくなるかもしれませんけれども、再エネコストによって全体のエネルギー価格が上がると、ほかの産業に大きな影響が出てくる可能性もあるので、やはりアフォーダブルなエネルギー価格が重要かなと思っているのがコメントでございます。
前回のこの委員会でも申し上げましたように、海外との相対価格が非常に重要だと思っていまして、やはり地理的条件を考えると、どうしても海外のほうが優位になりやすいので、その中でのバランスをどう考えていくのかというところが日本の戦略としては非常に重要かなと思っております。これは感想でございます。
あと、日商さんの提言は大変よく分かる提言で、温暖化対策に取り組みたいのだけれども、実際の自分らの排出量も分かっていないので、それに対する取組を日商さんはやられていて、大変重要な取組だと思いますし、他方、取り組みたいけれども、コストが上がる対策はなかなか成立しにくい中で、省エネ対策というところを強化していくことに関しても、とてもよく分かることかなと思います。最後に書かれている御要望等についても、とてもよく理解できるものだと考えました。
最後、連合様ですけれども、公正な移行ということを強調していただいて大変ありがとうございます。私も海外の会議に行っても、公正な移行ということへの要望は世界で非常に強くあると思いますので、どうやってトランジションしていくのかということに関して、次期NDCの中でもよく考えていかないといけないと改めて思った次第でございます。
ありがとうございました。以上です。
○大橋座長 ありがとうございました。
続いて、中環審の池田将太委員、お願いできますでしょうか。
○池田(将)委員 ハチドリ電力とハチドリソーラー代表の池田と申します。4団体の皆様、発表ありがとうございました。
発表いただいた団体様に御質問させていただきたいと思っているのですけれども、まず、JCLPさんに発表いただいた今回の計画、目標を高めていこうという計画に対しては、強く賛同したいと思っています。今オントラックという話が出てはいるものの、安心してこのまま進めていける状態ではないと思っているので、改めて日本として最大限高い目標設定をして、そこからバックキャストした上で、どのようにそこに向かっていくかを考えることがすごく大切かなと思っています。
その上で、やはり自然エネルギーの場合だと、私自身も課題認識として持っているのは、どのように普及して、主電源化していく上での安定供給をどのように実現していくかみたいなところは、これからすごく大切なポイントだと思っているので、そこに対する考えがあれば、ぜひお聞かせいただきたいと思いました。
2つ目は、商工会議所の皆さんに対しての御質問で、エネルギーが安価で供給できるということは、企業経営において非常に重要であるというところは、私自身もすごく同意する部分なのですけれども、ただ、やはり世界全体の流れを考えると、再エネの主電源化は推し進めていくことが非常に重要だと思っていて、火力、原子力の確保が必要という主張をされていたので、ここに関しては中長期的にどのようなエネルギーの比率を考えられているのかという具体的な数値の部分は、ぜひ考えていることを教えていただきたいと思っています。
私からのコメントとしては、前回の会議でもあったと思うのですけれども、今、全体としてどうしても2031年から40年の技術革新に期待するという形で、私の中では、まだ目標値が低い状態に対して先延ばししている感覚があるので、今のスピード感では2050年のカーボンニュートラルに間に合わないと思っています。
その上で、全体のゴールをしっかりと高い目標設定にして、そこからバックキャストした上でどういう具体的な施策に落としていくのかということを、この場で皆さんと方向性をそろえることが非常に重要だと思っているので、今こういう3分でコメントフィードバックという形でやっていますけれども、全体の議論が活発になるように、「複数回の会話のキャッチボールができる議論の場づくり」をしていただきたいです。
改めて野心的な目標設定をしっかりとして、その方向性に向かってできることをやっていきたいと思っています。ありがとうございました。
○大橋座長 ありがとうございました。
続いて、産構審側の池田委員、お願いできますでしょうか。
○池田(三)委員 ありがとうございます。皆様、大変示唆に富むお話をいただきまして、ありがとうございます。
まず、日商の大下様からお話しありました、中小企業は脱炭素の追加コストを積極的に受け入れる状況になく、省エネによるコスト削減が望ましいといった御主張、それから、連合の井上様がおっしゃる公正な移行の重要性について認識を深めることができました。
前回も申し上げたとおり、省エネを越えた脱炭素化の取組は、経済合理性が働きにくい部分が多くございますので、官民投資促進策をはじめとした政府の取組支援を改めてお願い申し上げます。一方で、脱炭素技術の開発に取り組むスタートアップ企業もいらっしゃいますので、企業規模の大小にかかわらず、投資の予見性を高めて、その有効な技術革新等への投資促進策が必要ではないかと考える次第です。
また、公正な移行に関しましては、リカレント教育やリスキリングの充実強化など、社内の移動、社外の移動を問わず、新しい成長産業への円滑な労働の移動が欠かせないと存じます。社会全体での労働移動を促すために、政府における雇用のセーフティーネットの整備を前提に、経験者採用や通年採用の拡大、副業、兼業の普及、マッチング機能の強化等に取り組んでいくことが必要と認識しています。
日本気候リーダーズ・パートナーシップの小山様におかれましては、1点御質問させていただければと思います。再エネの主力電源化は、我が国のエネルギー政策における重要な施策であると経団連としても認識してございまして、PPAの促進等によって、低コストかつ規律の確保された再エネを最大限導入して、必要とする需要家に届けることが求められると考えています。
ただ、我が国におけるさらなる再エネの拡大には、適地の限界や土地代、工事費といったコストの高止まり、立地地域との摩擦、バックアップとなる予備力、調整力の確保など、複数の課題や制約があると認識してございます。そうした状況の下で、2035年に再エネ60%達成可能であるとお考えになる背景ですとか、再エネ60%が実現する場合のコストについての想定、もしくは皆様が幾らくらいまでの再エネプレミアムを払うことを想定しているのかといったことでも結構ですので、経済性の観点についてお考えを伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
○大橋座長 ありがとうございました。
続きまして、井上委員、お願いできますでしょうか。
○井上委員 ありがとうございます。私も今日発言させていただきましたが、それぞれの3団体の発表を伺いまして、大変示唆に富んだ内容でしたので、勉強もさせていただきました。
その上で、まず経団連さんに御質問です。公正な移行にも触れていただきまして、大変ありがとうございました。これからいろいろ産業の転換を考えるときに、労働者への影響が出てくる可能性があるかと思うのですけれども、もし現在、企業の中でそういう労働者への影響があったときに何か対策としてお持ち、あるいは考えていること等があれば教えていただければと思います。
それから、JCLPさんに関しては、私、先日、白石蔵王へ行きまして、太陽光パネルがたくさんあったところを見てきたのですけれども、地元の皆さんとの対話だとか、そういうことはどうなっているのかなというのが大変気になりました。白石蔵王だけではなく、もう少し山の中でも、土地がたくさんあるということもあると思うのですけれども、太陽光パネルを作った後の自然のことであったり、地域住民の皆さんたちはどうなのだろうというような御意見も少し伺ったので、そういう意味で、地元の方たちとの対話がどうなっているのかというのがもしあれば、教えていただければと思います。
それから、大下さんに関しましては、私どもも中小企業に対するサポートが必要だとお話をさせていただいているので、その意味では、その思いを受け止めさせていただきましたし、連合としてもしっかりと対策に取り組んでいかなければいけないと思った次第でございます。
簡単ですが以上です。
○大橋座長 ありがとうございます。
続いて、岩船委員、お願いします。
○岩船委員 御説明ありがとうございました。産業界でもお立場によっていろいろな御意見があると思って拝聴しておりました。私からは数点質問させていただきたいと思います。
まず、経団連様、7ページの経済活動量の変化があったのですけれども、これが基本的に全て海外に移転したものなのか、それとも一部の産業で活動が縮小しているということがあるのか、この辺り、この赤の中身がどの程度分別できているのかをお伺いしたいと思いました。かつ、産業構造自体がだんだん変化してきて、その部分も赤に入っているのかなと思うのですけれども、2030、2050に向けて、経済活動の変化、今後の見通しをどう考えているのかということで、お考えがありましたらお聞かせいただきたいと思いました。
14ページに原子力の再稼働が重要、それは安価で安定的な電力供給というお話があったのですけれども、やはり長期的には脱炭素に向けて、エネルギーコスト、電力コストの負担は大きくなっていくものと考えられるわけです。GX経済移行債の償還財源は炭素税もあるということになりますと、炭素税に対するコストアップの受入れといったことに関する議論はスタートしているのか、ぜひお聞かせいただければと思いました。
あとは、カーボンニュートラルを目指す上で全ての産業が生き残ることもだんだん難しくて、産業構造も変化していくと思うのですけれども、やっぱり痛みを持つような部分も出てくると思うのです。将来的にこの辺り、どのように検討されているのか、検討状況がお分かりになれば教えていただきたいと思いました。
次がJCLPさんなのですけれども、8ページに国内への資本環流率が高いというお話があったのですが、再エネを増やしていくとなると、国富が流出しなくても、やっぱりエネルギーコストは上がっていくと思うのですけれども、そのコストアップの受入れの許容度はどのぐらいだとお考えなのか。あとは、先ほど言いました今後始まる炭素税です。そういったものの受入れについて、どのように議論されているか。
あとは、JCLPさんのお立場として、国へ意見を出していくのは分かるのですけれども、例えばPPAをもっと増やしていこうとか、そういう御自身たちの活動としてどんなことを考えているのかということをお伺いできればと思いました。
商工会議所さんに関しましては、最初コメントですけれども、ごもっともな御意見だと思って伺いました。ただ、やっぱりCO2排出量の把握ですとか削減効果の推計が重要ではないかと思いました。もちろん、コストだけではない費用対効果のいいCO2削減政策のポテンシャルも残されていると思いますので、省エネというお話がありましたけれども、それだけではなく、例えば電化とかデマンドレスポンスといった、どんなことができそうかもっとデータを用いて推計することが重要ではないか。国の支援も、どうしても物の補助金等で終わってしまうのですけれども、導入前後の効果の評価も不十分だと思いますので、ぜひこういったところを強化していただきたいと思いました。
商工会議所さんへの質問が1点あるのですけれども、サプライチェーンからのニーズがあるところ、4社のうち1社はそういうのがあるというお話だったと思うのですが、こういう取引先からの要請はだんだん増えているのか、これからも増えそう……やっぱりこれがあれば何らか対応しなければいけないということが出てくると思いますので、その状況について、サプライチェーンからのニーズが各国この数年でどうなってきて、これからまた増えていきそうかという辺りの見通しがありましたら教えていただきたいと思いました。
以上です。ありがとうございました。
○大橋座長 ありがとうございました。
続きまして、大下委員、お願いします。
○大下委員 日商の大下です。ありがとうございます。他の3団体さんのプレゼンテーションも興味深く聞かせていただきました。
経団連さんの方向と我々は、大きな意味では一致しているのかなと思っています。
JCLPさんのような意欲的な削減の取組を進めるべきという意見も分かりますが、先ほどの繰り返しになりますけれども、現実的な道筋をどうつくっていくのか、特にコストの部分を含めてというところなのかなと思っております。
連合さんに関しては、先ほどもエールをいただきましたけれども、中小企業、また中小企業で働いている人の視点も踏まえて取組を進めていければと思っています。
幾つか御質問いただいていますが、それはここで答えたほうがいいですか、後のほうがいいですか。
○大橋座長 後で結構です。
○大下委員 承知しました。では、ここまでにさせていただきます。ありがとうございます。
○大橋座長 ありがとうございました。
続いて、小西委員、お願いいたします。
○小西委員 よろしくお願いいたします。大変興味深く聞かせていただきました。ありがとうございました。
経団連様に質問させていただきたいのは、ちょうど産業活動の減少とか、赤のところに省エネが入っているというのは、既に岩船委員や秋元委員が御質問くださったので、同じ質問です。
9ページの電力の脱炭素化が非常に重要、この7ステップというのは、私たちも本当にそのように思っております。この順番でこういったことがとても重要だと思っております。この中の1つで、電力の脱炭素化はいつまでというのは、イメージをどのようにお持ちでしょうか。G7のステートメントでは、大体2035年までと言っていますが、日本の電源の脱炭素化はいつ頃とイメージされていますでしょうか。
そして、11ページなのですけれども、やはりカーボンプライシングがここに入ってきている。このカーボンプライシングの今後まさにレベルを決めていく仕組みづくりに入っていますけれども、IAEAは、2030年に140ドル程度と言っています。日本もこれぐらい必要ではないかと思いますが、カーボンプライシングのレベルをどのようにお考えでしょうか。
そして、JCLPさんなのですけれども、まさにIGESさんのシナリオ分析、WWFもシナリオ分析させていただいているのですが、ほぼ同じ数値の結果となっておりまして、重層的に独立した研究が同じ結果を示していてうれしいと思っております。
3ページ、再エネ調達が死活問題で、国富流出、資金を国内還流にと、本当に私たちもそれに賛同します。まさに予見できていれば無駄な投資を回避できたはず。これは過去にもそうですし、今後においても、やはり予見可能性があることが無駄な投資を防ぐために非常に重要だと私たちも強く賛同いたします。
その上で、1つ具体的にお聞かせいただきたいのは、4ページ、再エネ調達をめぐる企業さんの危機感。本当にそのような声を私たちも聞いているのですが、やっぱりJCLPさんなので、具体的な会員のお声、ここに書いてあるのもそうですけれども、生の声をより具体的に聞かせていただければと思います。
そして、日本商工会議所さんなのですが、5ページ、中小企業の4社に1社は取引先から要請を受けている。どのような要請を受けているか具体的にお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。こうしないと、もうこれ以上取引が難しいですよという形なのか、このように測定してくださいという形なのか、そういったことをちょっと具体的にお聞かせいただければと思います。
あと7ページ、このアンケートは本当に面白いと思って拝見させていただいたのですが、実際の相談先が金融機関よりも設備機器メーカーというのが具体的だと思いました。この間、秋田の洋上風力の視察に行ったのですが、そのとき建設会社さんに、地元の石屋さんが洋上風力の石を調達するといったことを新たに開発されたと聞いて、なるほどなと思った次第です。
質問は10ページなのですが、電源立地を地域振興にと。本当に強く賛同いたします。そして、DGなども誘致していくということですが、ここに書いてある地元中小企業の参画を促す取組というのは、具体的にはどのようなものをイメージされていますでしょうか。例えば自治体とかなのでしょうか。どのような支援が必要だということをおっしゃっているのかお聞かせ願えればと思います。
最後に連合様です。失業なき労働移動、これは私たちも本当に重要だと思っております。7ページ、日本の次期NDCにどのような公正な移行が含まれるべきだと思っていらっしゃるでしょうか。公正な移行と言った場合、言葉が一人歩きして、それぞれイメージが違うので、次期日本のNDCに公正な移行としてどのようなものが入ったらいいと思っていらっしゃるかお聞かせ願えればと思います。
以上です。ありがとうございます。
○大橋座長 ありがとうございます。
続きまして、志田委員、お願いします。
○志田委員 三菱総合研究所の志田です。各団体の皆様、それぞれの立場から興味深い御報告をいただきまして、誠にありがとうございました。私からは本日、2点コメントと1点御質問を申し上げたいと思います。
1点目のコメント、JCLPさんの資料に関連しますけれども、需要家のエネルギー政策への関与は非常に重要なところかと思っております。エネルギー多消費産業に限らず、需要家さんが今後のエネルギーシステム全体に与える影響はますます大きくなっていくのではないかと考えております。単にユーザー、エネルギーを消費する企業というだけではなくて、再エネ電源、脱炭素電源のオフテイカーとしてプレミアムを負担するですとか、ある種、発電事業のリスクを一部分担するような存在であったりですとか、あとは需要のシフトを通じて需給調整を担う、また、事業の立地場所という点では系統混雑の緩和といったところにも貢献し得る存在ということで、エネルギーシステム全体への役割はますます大きくなってくるのかなと思っております。
委員構成に限らず、こうした需要家さんの声を拾う仕組み、必要とされる情報提供は何なのかですとか、合意形成プロセスなどをしっかり理解して政策に反映させる仕組みが重要かなと考えております。
2点目は、連合さんの資料にもありますけれども、公正な移行という点についてです。カーボンニュートラルへの移行はエネルギー需給構造だけではなくて、当然ながら産業構造の変化も伴いますので、大きな事業機会を持つような産業もあれば、転換を迫られる産業もあるということで、生産年齢人口が減少する日本において、こういった業種をまたいだ労働移行は避けられないと思っております。
これを個々人のレベルまで落として見ますと、仕事の中身が変わる、すなわち求められるスキルセットが変わっていくということになります。洋上風力とか、これまで日本になかった新しい産業創出には新しいスキルセットが必要ですので、その移行を促すための仕組みが必要かなと思っております。
例えば、シンガポールですと、職業別に必要なスキルに対して最初に対応する教育コンテンツがオンラインのプラットフォーム上で提供されるような仕組みなどもあります。こういったGXの実現に向けて必要な労働移行を支える具体的な取組を政府でも後押しすること。また、その移行に伴って、賃金自体が上昇するといった前向きな姿を示すことが重要ではないかと考えております。
1点質問は、日商の大下様への御質問になります。2ページ目に9割弱の企業様がエネルギー価格上昇による経営の影響があるというお答えがありましたけれども、特に中小企業の皆様にとって、価格転嫁がどの程度できているのかという点が気になりました。今後、脱炭素化に伴って各種負担が生じた場合、経済全体、サプライチェーン全体で受け止めていくことが重要だと思いますので、現時点で業種別にも差異はあると思いますけれども、こうした価格転嫁の実態についてお聞かせいただければと思います。
以上です。ありがとうございました。
○大橋座長 ありがとうございました。
続きまして、下田委員、お願いします。
○下田委員 ありがとうございます。4つがいろいろ関係していて非常に大事な御意見があったと思っております。
幾つかコメントですけれども、経団連さんについては、4ページに書かれていた、今日は第1の柱が中心だったと思いますけれども、やはり第3、第4のところを前に出していただいて、攻めのカーボンニュートラルをやっていただければと思いました。
それで、少し関係しますけれども、商工会議所さんで、やはり今コストを減らすことで省エネをやっておられる以外の攻めの部分がなかなか浸透していないと考えておりまして、その中で10ページにサプライチェーンでつながる大企業の支援ということを書かれていて、単なる支援だけではなくて、いろいろな連携を通じて様々な脱炭素に向けての転換を行っていくと。その中で公正な移行の必要性だとかニーズが出てくるというところを進めていただければと思いました。
そういう意味で、商工会議所様あるいは経団連様で、中小企業と大企業のサプライチェーン等を通じた連携をこれからどうしていけるのかということについて、何か御意見があればいただきたいと思っております。
連合様につきましては、先ほどの教育とか人材育成について、志田委員からもお話しありましたけれども、具体的に人材育成していくための教育プログラム、あるいは移行のチャンスを与えるような何か機会創出とか、どういうものが具体的に必要なのかをもっと前に出していく時期なのかなと思いました。
それで、JCLPさんは、屋根置き太陽光の推進を7ページに書かれていて、需要家側の再エネを広げていくというのは私も賛成なのですけれども、そのときに何がバリアになっていて、それをどうやったら乗り越えていけるのかというところをもう少し議論しないといけないのかなと。PPAのようなビジネスモデルも出てきている中で、なぜ既存の住宅とか建物に普及していかないのかというところで何か御意見があればいただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○大橋座長 ありがとうございました。
続いて、髙村委員、お願いします。
○髙村委員 ありがとうございます。最初に2点ほどコメントをして、質問をさせていただこうと思います。
本日、経済団体あるいは労働界から報告をいただいて、GX基本方針の中にも書かれていますけれども、気候変動対策を進めていく中で、産業社会構造の転換をどうやって図っていくかという視点が非常に重要だと改めて思いました。場合によっては従来型の産業の活動が脱炭素との関係で難しさを抱える局面もあると思うのですけれども、同時に、新たな事業や産業をどうやって従ってつくっていくかということを気候変動対策の中でもしっかり考える必要がある。
これは、それぞれの団体からの共通するニュアンスだと私自身は思いましたけれども、やはりこれを本当に新たな脱炭素に転換するマーケットに対応した事業や産業をつくっていく、しかも先導してつくっていくとすると、その先の将来の脱炭素の経済社会の構造の転換という方向性が、言うなれば、そちらに向けた投資が十分に回収可能であるということがしっかり見通せるようなものでないといけないと思います。
これは先ほどJCLPの小山さんから二重投資リスクの経験についてもありました。日本の場合、機械あるいは自動車についても海外に大きなマーケットを持っていらっしゃる、あるいは国際的な資本市場から資金を調達されているということを考えると、やはり今国際的に掲げている1.5度目標、あるいは日本にとっては50年のネットゼロ、カーボンニュートラルだと思いますが、意欲的な目標を明確に掲げ、それをダウングレードするという印象を、社会的にそのシグナルを発するべきではないと思います。ただし、目標ににじり寄っていく現実的な政策を同時に知恵を出すということかなと思います。
その中で、もう一つ関連してですけれども、対策の中に新しい産業をつくっていくということでいくと、様々な対策のサプライチェーンの内製化をいかに対策の中に織り込んでいくかということは非常に重要だと思います。既に洋上風力などでは、そのような取組が進んでいると理解しておりますけれども、気候政策の文脈でも今回しっかりそれを考える必要があるのではないかと思います。
コメントの2つ目はエネルギー価格です。これも共通してエネルギー価格の上昇が事業者の皆さんの非常に大きな懸念事項だと理解いたしました。他方で、直近のエネルギー価格の上昇等の大きな変動を見ますと、やはり今の輸入の化石燃料に、言葉を選ばずに言うと過度に依存している現状を変えざるを得ないのではないかと思います。皆さん、私自身も産業の国際競争力を懸念するわけですけれども、再エネコストの懸念は了解いたしますが、当然それについて電源コストの低減、導入促進する施策を打つとして、同時に輸入化石燃料に過度に依存しているエネルギーの在り方について、これがエネルギー価格のボラティリティーと上昇のリスクをはらんでいるということは念頭に置いた政策が必要ではないかと思います。
質問ですけれども、JCLPさんにです。スライドの3番目、4番目のところ、再エネの拡大、需要家のニーズですとかGAFAMさん、あるいは半導体産業、立地選択の1つに再エネの拡大が容易になっているという点は非常に重要な指摘だと思いました。ほかの委員からもありましたけれども、特に洋上風力、それから太陽光でいきますと建築物営農型に大きなポテンシャルを見ていらっしゃると理解いたしましたが、30年に向けて、あるいはその先に向けて、具体的な施策としてとりわけ強調されたい施策がありましたら教えていただきたいと思います。
2点目は、日商の大下さん、御報告ありがとうございました。アンケートは大変貴重な情報だと思っていまして、スライド3でいきますと、省エネ4割、排出量の把握25%、4分の1、続いて自家消費型の太陽光発電12.3%、いずれも恐らくエネルギーコストを下げるというのが中小企業さんの取組の非常に重要なドライバーになっていると理解しました。これは地方経産局さんの省エネセミナーなどでも、中小企業さんのお話を聞くと、やはりそういう声を伺いました。
その意味で、これをさらに進めていくときに、大下さんからは、大企業による支援を追加で示唆いただいておりますけれども、温対計画の文脈でいくと、政府、自治体に対して、より一層こういう支援が必要だという点について、もし追加でコメントいただけるようならありがたく思います。
最後、連合さんですけれども、同じように労働者のリスキリングにしても、あるいは社会的なセーフティーネットにしても、産業がしっかりスムーズに移行していくことが労働者にとっても地域の移行にとっても重要だという御指摘だったと思います。その意味でも、やはり予見性が重要だという点を井上さんから御指摘いただいたと思うのですけれども、その観点から、具体的にこの公正な移行を進めていく上で必要な施策として、やはり温対計画の中に盛り込んでいく必要があると思われる施策について、もし具体的に御意見がございましたらいただければと思います。
以上です。
○大橋座長 ありがとうございました。
続いて、津久井委員、お願いします。
○津久井委員 ありがとうございます。各団体の皆様からの御発表に感謝いたします。とても分かりやすい説明ありがとうございました。私からは、JCLP様の発表資料、スライド5の提言1に関連して、1点コメントさせていただきます。
ほかの委員の方からも御発言ございましたが、意欲的な目標を掲げ、そのために必要な対策を議論していくことが非常に重要だと考えております。御説明にもございましたが、1.5度目標達成には世界全体で35年までに19年比で60%の削減が必要です。日本の現在の目標は、30年までに13年比46%減、50年にネットゼロ達成というものでございます。この目標を直線的に達成するとすると、35年の目標は13年比60%減となりますが、こちらは19年比で51%の削減に相当します。つまり、19年比60%という水準にはまだ達していないのが現状となっております。
本会議の冒頭に事務局様から御説明いただきましたが、これまでの議論においても、上に凸の排出削減やオーバーシュートを伴う2050年ネットゼロ達成について議論がございました。IPCCの報告書の中では、オーバーシュートを伴う経路というのは、オーバーシュートしない経路と比較すると、二酸化炭素除去の追加的な導入を必要とし、実現可能性や持続可能性に関する懸念を拡大させるとしています。また、オーバーシュートは悪影響を伴い、人間や自然システムに追加的なリスクももたらすとしています。19年比で51%削減やオーバーシュートを考慮した目標設定は、グローバル・ストックテイクやG7の合意を満たしていないと言えます。
次期NDC排出削減目標については、2025年に国連事務総長が主催する特別イベントで各国がその内容を発表することが決まっております。1.5度目標との整合を主張するためにも、19年比60%減、13年比66%減以上の削減割合を示していくことは、やはり必要ではないかと考えております。
その上で、社会経済構造の変化やルールの変化をうまく取り込んでいくビジネスモデルは多く存在しております。こうした変化の先には、暮らしや生産性の向上に資するものが多くございますので、変化を機会として捉える考え方を主流化していき、削減目標を引き上げていく具体的な手段を議論していくことが必要かと考えております。
私からは以上です。
○大橋座長 ありがとうございました。
続いて、鶴崎委員、お願いいたします。
○鶴崎委員 鶴崎です。御説明ありがとうございました。私からは幾つか質問させていただければと思います。
前回申し上げたとおり、直近の近年のエネルギー価格高騰の影響ですとか、それから今後の国民負担の在り方、こちらは岩船委員がおっしゃっていたわけですけれども、国民負担の規模感を示していく必要性を感じておりまして、それに関連してお伺いしたいと思っています。
まず、JCLPさんに対して、非常に意欲的な道筋を示していただき、それに向かって努力されていることに敬意を表したいと思います。一方で、既に御質問が出ていますとおり、それに当たっての様々なコスト負担はどのようになっていくのか、最終的な国民の負担感というところについて、どのようにお考えなのかを伺えればと思っています。特に再エネの調達に関しては、プレミアムを払ってでも欲しいのだということもあろうかと思いますが、その辺の状況をもう少し教えていただければと思います。
また、経団連の池田委員にお伺いしたいのですけれども、8ページのスライドで、右下のところ、追加の国民負担に対する国民理解の醸成が必要ではないかというコメントがございました。こちらに関して経団連さんのほうではどういう道筋で今後削減を進め、その結果、どのような追加の国民負担が生じると考えておられるのか、その数字感も含めてお伺いできればと思います。
最後に、日商の大下委員にお伺いしたいと思います。中小企業を対象とした最新のアンケート調査結果を御紹介いただき、ありがとうございました。2020年のカーボンニュートラル宣言の頃から既に3年半ぐらいたっているわけですけれども、この間のエネルギー価格の高騰を踏まえて、中小企業の皆さんの省エネに対する意欲に関してどういう変化があったか、そういったことをもし何か感触でもお持ちでしたら、補足で御説明いただければと思います。
以上となります。
○大橋座長 ありがとうございます。
続いて、林委員、お願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。今日のお話はどれも腹に落ちる話ばかりで大変興味深く伺いましたし、もう一つ、立場の違う4団体にもかかわらず、方向性については共有されていることについて大変勇気づけられたところでございます。
そこで質問なのですが、まず経団連さんについて、皆さん触れられた7ページの資料なのですけれども、経団連さんの説明で、これまでもカーボンニュートラルに向けたビジョンの策定状況ということで、比較的多くの会社さんが目標策定済みにもかかわらず、結果として産業部門の経済活動が減ったとあって、これもいろいろな方の御質問にもありましたけれども、実際のCO2削減がカーボンニュートラルの目標を踏まえて減っているという感じがあまりしなかったのですが、一体なぜそうなのか、なぜなかなか進まないのかというところについて、もしお考えがあれば共有いただきたいと思います。
それから、JCLPさんにつきましては、大変意欲的だということで、皆さんがおっしゃっていたことと重なりますが、では、再エネについて、とはいえみんな必要だと言いながら、コストということが1つ大きくあるのだと思いますが、そのほかにも太陽光パネルはこれ以上貼れないとか、洋上風力はもう場所がないのだとか、いろいろなやらない、やれない御説明をよく伺うのですが、その辺りについてどうやって乗り越えていくのかということを、より具体的にお示しいただけると、今日だけでなくてもいいのですが、そうあるといいなと思いました。
それから、商工会議所様についても皆さんが興味を持たれたページで、資料7ページですが、私も設備機器メーカーさんが中心にされているというのが、金融機関としてはちょっとびっくりしたところが実はありまして、ぜひ金融機関ですとか自治体さん、それからこういった設備機器メーカーさんとうまく協力できるような仕組みをつくれたらいいのではないかと思いましたので、もしそういう御議論があればお教えいただきたいと思います。
最後に連合さんですけれども、ジャストトランジションというのは本当にグローバルに言われていることで、グリーンボンドを出すときにもジャストトランジションという概念が必要だという議論にもなっております。とはいえ、ほかの方々もおっしゃっていましたが、本当に日本でジャストトランジションという定義が確立しているとも思えない部分がありますので、ぜひここの議論も深めていただければと思います。
最後に、今日お話しいただいた方々、この委員会のそもそものメンバーであられる方が多いので、大変いいと思ったのですが、ぜひ4つの団体がより議論を深められるような、意見が異なるところも多分あると思いますので、それを深められるような機会をこの委員会でもいいですし、ほかの場所でもいいのですが、そういった機会を設けていただければと思いました。
以上です。ありがとうございました。
○大橋座長 ありがとうございます。
続いて、藤瀬委員、お願いします。
○藤瀬委員 ありがとうございます。4団体の皆様、大変分かりやすくて明快な御発表ありがとうございました。私からは幾つかコメントと質問をさせていただければと思います。
まず、皆さんの御発表にもありましたように、やはり先進国であり、高い技術力を誇る日本として、高い目標を掲げてイノベーションを促進することで、その目標達成に向けた対策をどんどん生み出していくことが非常に重要なのだということを改めて感じました。また、トランジションの重要性も実感しまして、やはり人々の暮らしも豊かになり、経済成長も実現できるためのシナリオを描いていくことが非常に重要であると感じました。そのためには、皆さんのご発言の中からもたくさん出ておりましたように、やはり技術革新、イノベーションが不可欠であり、イノベーションが生まれやすい環境、またその技術が社会に実装されやすい環境をつくっていくことが必要だと感じました。
また、新しい社会システムに切り替わっていくためには、人々の行動変容も不可欠でありますので、供給サイドだけでなく、需要サイドが議論に関わる必要性も感じました。
ここから幾つか質問をさせていただければと思うのですが、まず経団連さんに質問です。イノベーションの推進が不可欠ということで、特に経団連さんはこちらに取り組んでいらっしゃると思うのですが、野心的な削減目標を達成するためには、イノベーションを推進するために今何が足りなくて、どのような施策やサポートが必要と考えていらっしゃるのかというところの具体的な考えがあれば教えていただければと思います。特にイノベーションが必要だと思われる分野、またその中でも日本の強みを生かせる分野があれば教えていただければと思います。
続いて、JCLPさんですが、削減目標を高めていくということについては大変賛成でございます。その上で再エネの有効活用は非常に重要だと考えているのですが、やはりエネルギーミックスが重要であると思っており、火力や原子力も電力を供給するためには非常に重要な役割を担っていると考えております。
JCLPさんの中に入っていらっしゃるたくさんの企業の方々ももちろん再エネの調達を非常に重要視されていると思うのですが、ゼロエミ電源ではなく再エネでないと意味がないのかというところを少しお伺いできればと思っております。
次に、日商さんです。マンパワーや資金が不足していることで具体的にどのようなサポートがあれば、現在の課題を解決できると考えていらっしゃるのかという見解があれば教えていただければと思っております。スライドの中にも出ておりましたように、CO2の見える化のプラットフォームを提供しているスタートアップさんですとか、また、再エネを導入するために、例えば再エネのリバースオークションを提供するプラットフォームを持つスタートアップさんもおりますので、そういうスタートアップのサービスを積極的に導入することが、コストを下げながらもカーボンニュートラルに貢献し、かつスタートアップの事業成長、行く行くは日本の経済成長にもつながっていくと思います。そのような技術とかサービスを中小企業さんのニーズとマッチングするようなことが促進の鍵になっていくのかなと感じました。
そして、最後に日本労働組合連合さんへの質問なのですが、小西委員からもありましたように、具体的に公正な移行というものをどのように考えていらっしゃるのかというところを教えていただきたいのと、今後、人材育成が新たに必要となってくる例えばGXの分野でもそうですが、具体的な人材育成の見解などがありましたら教えていただければと思います。
そして最後に、今、林さんからも出ていらっしゃいましたし、ハチドリ電力の池田さんからも出ていらっしゃいますが、会議体の在り方について、これだけ人数が多いと、どうしてもこのようにそれぞれが発言するところで終わってしまうのかなと思うのですが、やはり議論の場としてこの委員会があると思いますので、例えば小グループで何かしらテーマを切りながら会話をして、その結果を共有するというような、もう少し議論を深められるような会議の在り方が今後あればいいのではないかと考えております。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○大橋座長 ありがとうございました。
続いて、増井委員、お願いします。
○増井委員 どうもありがとうございます。4団体の皆様、御説明ありがとうございました。それぞれの団体が抱えていらっしゃる問題また取組について非常に詳しく、分かりやすく御説明いただきました。ありがとうございます。
今すぐ取り組む必要があるとか全体的なビジョンは、団体が違っても共有されているということを改めて認識いたしました。その上でのコメントになるのですけれども、カーボンニュートラルというのは、現実的な目標として具体的な議論が必要になるということで、既にいろいろな委員から御発言がありましたが、例えば公正な移行といったことにつきましても、具体的にどのようなことを求めるのか、そのようなこともこれから我々はこの合同会議の中でも伝えていく必要があるのではないかと考えています。
特に4団体それぞれの中で抱えていらっしゃる個別の企業ですとか労働者、こういった個別のステークホルダーに対してどのように働きかけていらっしゃるのかといったことを踏まえて、それぞれの経営者ですとか労働者、あるいは消費者も含めて、意識がこれまでどう変わってきているのか、また、脱炭素という問題に向けて実際どう変えていかないといけないのか、どう変えていく必要があるのか、こういったところもそれぞれ御意見がございましたらお聞かせいただければと思っております。
特に脱炭素社会の実現に向けた阻害要因を一つ一つ解決していかないといけないということで、今回、コストですとか情報の話を指摘いただきましたけれども、そういうことを情報共有していく、また、非常に優れた取組などを発信して共有していくことも非常に重要になるかなと思いますので、どういうことが今後必要になってくるのかというところも含めて、ぜひ発信していただければと思います。
1点だけ個別の質問なのですが、経団連さんの9ページ目のスライドに7つの道筋が書かれているのですが、この7つについては全然異論はないのですが、省エネがこの中に記載がないのです。もう省エネは当たり前なので、この7つの道筋に書く必要がないと考えていらっしゃるのか、あるいは何か別の理由で省エネが位置づけられていないのか、その点、御意見をお聞かせいただければと思います。
以上になります。ありがとうございました。
○大橋座長 ありがとうございます。
続いて、吉高委員、お願いします。
○吉高委員 どうもありがとうございます。本日、日本の産業力を支える4団体の皆様からのインプット、大変ありがとうございました。国民生活のウェルビーングに資す炭素社会のためには、エネルギー安全保障、円滑なトランジション、産業構造の変革、技術のイノベーション、人材、技術不足の対応、そして弱者へのセーフティーネットと様々な視点で御意見をいただきまして、ありがとうございます。
その上でコメントと質問でございますけれども、私も経団連様の7ページのスライド、経済活動量の減ということなのですが、実際に増やしている部分もあるのかなと思いまして、ちょっと変化の動向をもう少し詳しく知りたいと思いました。
日本の産業力に関して、少子高齢化であっても、脱炭素社会であっても将来に向けて何で稼いでいくのか。稼ぎ出す力というのは日本にはあると思っておりまして、その中で少ない人数の若者がやりたい、背負いたいと思う産業は何か。将来の産業構造の絵図を考えて外貨を稼げる、若者がわくわくする社会の絵図を描き、対策を考えていかなくてはいけないと感じた次第です。
そこで、まず経団連さんへの質問なのですけれども、10番目のスライドで、もちろんトランジションで既存の原子力とか、あと熱に対して合成燃料やメタネーションとかもあるわけですが、先日、国際的スタートアップのイベントに出たときも、核融合への投資とかも増えていますとありました。技術というのは、インターネットのように、あるときティッピングポイントをぐっと超えるときもあるので、そういったものも含めてプライベートエクイティとかオルタナ投資というのが張られるわけなのです。ここで言う現在存在しない革新的なイノベーションが不可欠というのは、具体的にはどのようなことを考えていらっしゃるのかというのをちょっとお聞きしたいと思っております。まずこちらが1点です。
次に、JCLPさんですが、商工会議所さんもおっしゃっていたとおり、需要側の企業にとっては、電源立地というのは非常に関係するところだと思っています。そして、もちろん電源立地は地域の経済と結びついていくわけなのですけれども、例えば非常に乱暴で極端なことなのですが、JCLPさんの4ページにあるような、様々な企業の需要家とか世界の投資家からの声に対応するのに特定地区をつくり、そこに工場、データを全部集めて、再生可能エネルギーをそこだけ集中的にやって、つまり日本全体をという話と、皆さんがおっしゃる需要側の脱炭素電源カバーは、別立てでシナリオとかをお考えになったことはございますでしょうかというのをお聞きしたいところです。もちろん日本全体でというのも分かりますし、工場の位置もなかなか動かせないのはあるのですけれども、極端な乱暴な話でということで、ちょっとお聞きしたいと思いました。
あと、ほかの先生もおっしゃったように、エネルギーの国民負担の増加はだんだん避けられなくなってきた場合、意識の醸成でJCLPさんとしてどのようにしたらいいとお考えかをお聞かせ願いたいと思います。
あと、商工会議所様、それから連合様にも関わるかと思うのですけれども、私自身もいろいろな地域で中小企業や地銀の方とお会いすることが大変多うございます。非上場も多いですし、サプライチェーンも日本の場合複雑なので、一概に言えないと思うのですけれども、商工会議所様がいろいろアンケートを取ったときに、中小企業の中での規模とか業界とか様々な分類や区分があると思うのですが、それぞれ別に分析などはございますでしょうか。
連合様は先ほどおっしゃっていましたけれども、なかなか本当の分析ができていないとのことで、それは早急にしたほうがいいと。データもないようなことをおっしゃっていたのですけれども、ここら辺のデータがないようですと、中長期のシナリオはとても考えにくいのではないかと思いまして、実際に連合様にもぜひお聞きしたいのですが、ここら辺の実際のセーフティーネットをすべき業界ですとか地域とか、そういったものに対して詳しく分析というのはどれほどないものなのでしょうか。これは商工会議所様にも、先ほど申し上げたような分析がもしあれば教えていただきたい。連合様に対しては、どれぐらいないものかというのを教えていただきたい。それに対して政府に何をしてほしいかを教えていただきたいと思っております。
以上でございます。
○大橋座長 ありがとうございました。
続きまして、大塚委員長、お願いいたします。
○大塚委員長 皆さんとてもいい御質問、意見を言っていただいていると思いますが、私も若干重なりますけれども、強調したいことを4点ほど申し上げておきたいと思います。
再エネの需要家の参加の仕組みを入れてほしいというのは、多分国に対してもおっしゃっていることだと思うのですが、とても重要な御指摘だと思いました。それが第1点です。
それから2つ目ですけれども、これは経団連さんにお伺いしたいのですが、JCLPさんから、予見可能性の観点から2035年の目標も75%削減のようなものを出したほうがいいという御意見でした。これは多分、経団連さんとは意見がちょっと違うと思いますが、予見可能性の観点からというのは結構大事なことではあるかもしれず、5年に一度、目標がどんどん上がっていって、今までの対応と基礎が違ってきているので、様々な副作用が発生しているという御指摘でしたが、これに対して経団連さんはそういう御認識はあまりないのかということを含めてお伺いしておきたいと思います。
それから第3点ですけれども、電力価格のことはとても重要なことだと思っていまして、日本の国際競争力の観点から重要なことだと思いますが、例えば太陽光なども大分価格は下がってきていますので、今の価格がずっとそのままあるわけではないということは当然のことですけれども、考えなければいけないところでございまして、その辺の予想に関しても議論が分かれるところだと思います。例えば、洋上風力は今かなり高いですけれども、これをどうやって下げていくかということをむしろ考えなくてはいけないのかなと思って伺っておりました。
それから、第4点ですけれども、公正な移行に関しては様々な御指摘がありましたように、具体的なデータとかがないと、なかなか温対計画のほうで対応しにくいことになってしまうので、もう少しデータを示していただきたいということとともに、これ自体は、昔、石炭から石油にエネルギーの転換が進んだときに通産省が随分御苦労なさって、様々な対応をなさいましたが、とても大変なことではあると思うので、今後、厚生労働省なども含めて対応していく必要が出てくると思います。連合さんとしてもここは非常に重要なことだと思うので、先ほど吉高委員もおっしゃったように、データをさらに増やした形で、温対計画にも反映させられるようなことを御主張いただけると大変ありがたいと思いました。
以上4点でございます。ありがとうございました。
○大橋座長 ありがとうございます。
最後、委員で残っているのは私なので、私からも一言だけ御質問させていただきます。
JCLPさんからも、カーボンニュートラルに向けて経路が重要であって、それの中間目標をしっかり持っていくことが必要だという御指摘が口頭であったと思います。まさにそのとおりでありまして、具体的な社会変革なり産業転換を行う上での時間軸がどうなのか、そしてその際の具体的な転換。これについては経団連さんから7つのツールをいただいたと思っていますが、このツールをどういう道筋で使っていくのか。あと、恐らくこれが全部成功するわけではないので、そうするとプランBも考えながら進めていくところがすごく重要なのかなと思うのですけれども、こうしたツールを今後どうプランニングの中で使っていくのかということについて、大きな方向性があれば伺えればと感じました。
以上です。
相当たくさん多岐にわたるコメント、御質問をいただいております。この段階で4団体の方からぜひ御回答なり御所見をいただければと思います。恐縮ですけれども、できる限りお答えいただければと願っております。発表順ということで、まず、日本経済団体連合会の池田様からお願いできますでしょうか。
○池田(三)委員 皆様から貴重な御指摘や激励をいただき、ありがとうございます。どの程度答えられるか分かりませんが、コメントいたします。
まず、山口様から、合成メタンの課題等の御指摘がございました。合成メタンの活用は熱供給の一翼を担うガスを脱炭素化する手段として大きく期待されるわけですが、現在、まだ確立した技術がなく、またコストの面でも大きな課題がありますので、さらなるイノベーションが必要と思っております。
秋元様から、7ページの第1の柱の御質問をいただきました。エネルギー転換の青い部分は火力発電熱効率の低下等が該当するものでございます。また、赤い部分に記載してある省エネ努力とは、専ら産業部門等の企業の省エネ努力です。
井上様から、公正な移行についてのコメントがございました。Society5.0への移行や、人生100年時代にあって、大企業はリカレント教育やリスキリング教育に一生懸命取り組んでいます。そのような人材育成を通じて、ぜ脱炭素化に取り組む産業や生産性のより高い成長産業へ、円滑な労働移動ができればと考えています。また、企業も数年前とは相当異なるボリュームで経験者採用等を増やしていることについても御紹介いたします。
次に、岩船様から幾つか御指摘をいただきました。経団連カーボンニュートラル行動計画に関して、が、海外移転と国内産業の縮小を区別して分析してございませんので、その内訳は分かりませんが、経済活動量の変化の部分のプレーヤーを見ますと、エネルギー多消費産業が相当な部分を占めているということをお伝えいたします。
また、エネルギーコスト上昇の御指摘をいただきました。私どももエネルギー価格の上昇圧力が強いことを認識しています。絶対値でいくらというよりも、国際競争力の観点から、国際的に遜色のない電力価格、エネルギーコストにしていただきたいと考えております。
それから、産業構造の変化についてどのように考えるのかにつきまして、岩船様以外にも様々な委員の方々から御指摘をいただきました。エネルギー多消費産業の国内生産の縮小に関する様々なデータで表れてきていますが、このような産業が生産している製品は、世界ではまだまだ需要の増加が見込まれる中で、エネルギー効率が高い日本企業の生産が減って、代わりに海外での生産が増えることについて、日本国政府としてどのように考えるのか。雇用等の影響もございますので、そのような点について御議論いただければと思います。
資源が乏しく、食料自給率も低い我が国として、やはり外貨を稼いでいかなければなりません。外貨を稼げる産業の維持・育成が大事と考えます。また、経団連では、科学技術立国の維持・強化について強い問題意識を持っております。そのような観点からどのような産業を伸ばしていく必要があるかといった検討が必要と思っています。
小西様から、電力の脱炭素化の達成時期についてお話がございました。再エネ、原子力、脱炭素の最大限活用が大事だと思っておりますが、現在の再エネ目標もなかなか達成できていない状況にあり、また、原子力を推進するに当たっても、国民や地元の理解が大事です。そういった中で、経団連として、いつまでとお示しできていないことについて、御理解いただければと思います。まずは様々なエネルギーをバランスよく活用していくことが大事だと考えてございます。
それから、カーボンプライシングに関しまして、我々は経済成長に資するカーボンプライシングが大事と考えておりまして、温室効果ガス排出量の削減と、産業競争力の維持・強化の2つを両立できる制度設計が必要と考えています。ぜひきめ細かな配慮を行った制度設計をお願いいたします。経団連として、幾らといった数字をお示ししている状況ではないことも御理解いただければと思います。
鶴崎様から、追加の国民負担についての御質問がございました。脱炭素製品・サービスの開発には莫大な資金が必要です。それをどのように下流の企業や消費者に負担していただくかは、非常に大きな課題です。GX製品の市場創出が課題であり、国民に理解を求める活動も重要です。
林様から、様々なビジョンを掲げているのに、CO2排出において経済活動量減以外のものが進んでいないではないかとの御指摘がございました。革新的な技術開発は、技術の成果がまだ表れていないものが多くございます。CO2排出削減は全体的には進んでいるものの、その要因として経済活動量の変化が大きいということでして、必ずしも削減自体が進んでいないわけではないことを御理解いただければと思います。
藤瀬様から、革新的イノベーションに関する御指摘がございました。技術開発を進めるに当たっては、企業に投資余力がないとなかなか難しい面もございます。まずは生産プロセスの改革や、環境に優しい製品の開発に取り組み、、削減効果の高い革新的な技術開発については、政府による投資促進策や環境整備をお願いいたします。
増井先生から、7つの道筋のところで省エネの文字がないとの御指摘をいただきました。省エネについては当然、引き続き推進していかなければならず、当たり前といえます。また、(5)生産プロセスの変革、革新的製品・サービスの開発・普及の中に、省エネが含まれていることにつき、御理解いただければと思います。
大塚様から、予見可能性の御指摘がございました。企業にとって、政策の予見可能性は非常に大事であり、政府にぜひお願いいたしますす。一方で、私見ではございますが、現実と全く乖離した目標は予見可能性につながらないとも思います。
いずれにしても今、同時並行で御検討いただいているエネルギー基本計画におけるエネルギーミックスと、NDCとの関係については、日本としてそれらをどのように位置づけていくのか戦略的に検討する必要があると考えています。
最後に大橋様から、7つのツールでどういう道筋を考えているのかと御質問をいただきました。ご指摘の通り、技術的にまだまだめどが立っていないものがございますので、、大橋様のおっしゃるとおり、プランA、プランBと、複数のシナリオを描いていく必要があると考えています。そこはぜひ技術的な知見をお持ちの先生方の御意見もいただきながら、こういった政府の審議会でよいプランを描いていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
全ての御質問に答えられているか分かりませんが、コメントさせていただきました。ありがとうございました。
○大橋座長 丁寧に御回答いただき、ありがとうございました。
続きまして、JCLPの小山様、お願いできますでしょうか。
○小山氏 各委員の方から御指摘、それから賛同の声をいただきまして、ありがとうございます。一つ一つ答えていると時間も足りなそうなので、ポイントをかいつまんで御説明させていただきます。
まず、小西委員から、もう少し具体的な声もということがあったので、1つ、2つ御紹介しますと、やはりデータセンターを運営されている、あるいは立地したいという会社さんは会員企業の中にも結構おられて、そういう方からは、やっぱり再エネ調達がネックだという声が出ています。ただ、彼らは脱炭素の観点もあるのですけれども、さっき髙村先生からもありましたけれども、それ以上に今後の電力価格のボラティリティーへのリスクヘッジという意味でのコストの観点から、長期安定的な電源としての再エネに期待したいという声が聞かれています。
それから、グローバルなサプライチェーンにつらなる部品製造メーカーさんとかだと、うちに供給する部品は再エネで作ってほしいというような声がダイレクトに取引先さんから聞かれているということですので、まさに再エネ調達が一刻を争う状況という声が集まっています。
それから、各委員の方から、再エネコストの考え方についてということで、たくさん御指摘、御意見いただいております。我々、いろいろな事業をされている企業の集まりということなので、それぞれ企業ごとにそこら辺への考え方の温度感はあるように理解しています。企業としていつまでにどんな再エネを調達したいと考えるか、その考え方によってコストへの受容性もばらつきがある状況です。
ただ、先ほども御説明したとおり、あるいは髙村先生がおっしゃったとおり、やはり化石燃料への依存はボラティリティーが高いというところで、企業としては、さっきの予見可能性の話も含めて、ボラタティリティーが高いことへの懸念はあります。直近、再エネへ調達を切り替えている企業も多いのですけれども、やはり燃料費が高位に推移している状況の中では、今、太陽光をはじめとする再エネのほうが調達価格が安いということも我々需要家としての実感でもあります。
それから、先ほど大橋先生でしたか、御指摘あったとおり、これから再エネが拡大する中でコストの低減は図られていくだろうという期待もあります。また、再エネ価格あるいはその他の化石燃料由来の電源との価格差は、もう一つ、提言の5番目に入っているカーボンプライシングとの関係性が非常に重要かと思います。エステル?さんから御指摘があった意識の醸成というところもそうなのですけれども、やはり適切なカーボンプライシングを導入することで、経済合理性を持って再エネ利用を促していくことが重要ではないかと考えているところです。コストについては以上です。
また、FIT導入の当初、確かに景観の問題とか、幾つか引き起こした状況はあったと思うのですけれども、それ以降、やはり多くの自治体がそういう景観に関する条例などもつくっていますし、それに併せて事業者も対応してきていると思っていますので、その点、これからはそんなに多く心配することもないのかなと考えています。
一方で、この提案の中にも含めていますけれども、建物の上の屋根置き太陽光は、そういう景観の問題を引き起こしませんし、特に需要地に隣接した再エネということで、送電網への負担も小さいということで、これから拡大していく余地とポテンシャルが大きいと見ています。最大のポテンシャルは洋上風力にあるのですが、こちらは今回EEZ拡大が継続審議となってしまいましたけれども、早期にそういうものが確保できれば、これからも拡大の余地があると考えているところです。
あと、藤瀬委員からあったゼロエミ電源ということなのですけれども、JCLPとして原子力に対する固定的なコンセンサスは今のところないのですが、JCLPとしては、やはりエネルギー利用の効率化と再エネの拡大で脱炭素を目指すべきというのが基本的なスタンスではあります。ただ、短期的に全廃という考え方ではなくて、時間的に間に合うのかという観点から、ネガティブに考えている加盟企業が多いのかなと認識しております。
あと、今後力を入れたいことでいうと、10ページに掲げています5つの具体策パッケージ、これはいずれも今後力を入れていきたいということで、会員企業自ら取り組むことも含めて取りまとめております。先ほど触れましたけれども、建物の脱炭素化、それから屋根置き太陽光の推進、さらには洋上風力の加速といったところ。それから、今日はあまり触れませんでしたけれども、自動車のゼロエミッション化も非常に重要で、乗用車のほうは少し進んできていますけれども、特に商用車、トラックの物流関係の脱炭素に向けたゼロエミッション化、もちろんFCVも含めてになろうかと思いますが、そういう取組にも力を入れていきたいですし、政策の後押しもいただきたいと考えているところです。
以上、全部答えられていたかどうか分からないのですけれども、御指摘いただいた御意見等への回答とさせていただきます。ありがとうございました。
○大橋座長 ありがとうございます。ちょっと1点、オフテイカーという話があって、恐らく再エネ普及で重要そうなのは、コストは具体的に言えないにしても、信頼できるオフテイカーとして主導的役割を果たすとかという感じのコミットとかがあると、相当インパクトがあるかなと思ったりするのですけれども、そこの辺りはどうですか。
○小山氏 もちろん、今オフサイトPPAというのも非常に増えてきていまして、発電事業者と需要家自らがコストも握って、長期に再エネを利用していくということを約束しながら追加的な再エネを増やしていく取組を需要家側としても取り組んでいっているところですので、もちろん今後も拡大していくべきと考えています。
○大橋座長 洋上等も含めてだと思いますけれども、ありがとうございます。
続きまして、日本商工会議所の大下様、お願いできますでしょうか。
○大下委員 たくさん御意見いただきまして、ありがとうございました。
私に関するところで言うと、大きく3つかなと思っております。1つは、電源構成についての考えを問われました。2つ目は、中小の支援策。それから3つ目は、関連してサプライチェーンでの取組というところかなと思っています。
1つ目の電源構成に関して、池田委員からお話しありましたが、現時点で日商として申し上げられる数字は持ち合わせておりませんが、先ほどお話をした内容を踏まえれば、再エネと原子力は今より増やしていく、火力は減らすがゼロにはならないというところかと思っています。いずれにしても、これらの電源をしっかりバランスよく組み合わせていくとともに、変化がこれからまだまだ大きいと思いますので、柔軟性も非常に重要かと思っています。
2点目の中小支援について、栃木県の方、あるいは髙村先生などから、政府、自治体への要望について御質問がございました。私どものスライド8ページの頭のところに小さく書いていますけれども、我々がずっと申し上げているのは、中小企業はまだまだ理解が十分でない、気づけていない部分がありますので、知る、測る、減らすの3つのステップ、つまり理解を促していく、その上で自社の排出量の測定を支援していく、さらに、減らすために必要になってくる設備の更新等を支援していく。この3つのステップが基本かと思っています。それぞれセミナーであったり、それから測定という部分では専門家の派遣が非常に重要だと思っていますが、省エネセンターの専門家の方ももう手いっぱいと伺っています。ここで恐らく設備メーカーの方々の役割も出てくるのかなと思っています。
また、設備更新に関しては、何と言っても新しい機器に入れ替える際の費用の補助が中小企業にとってはありがたいと思っています。その際に、大きな機械とかをイメージするだけではなくて、例えば食品販売であるとか飲食店等の冷蔵庫とか空調も同じなのです。どちらかというと、家庭の脱炭素に近いイメージを持っていただいて、自治体に取組を進めていただき、その際に脱炭素を看板に出すと、残念ながら関心がないですから、省エネ進めませんか、コストダウン進めませんか、費用の補助をしますよというように打ち出していただくことが非常に大事かと思っています。
それから、自治体に関しては、ぜひ今の個社の支援だけではなくて、地域全体のトランジションについてもしっかりと働きかけをお願いしたいと思っています。環境省さんが地域脱炭素の取組を進めていらっしゃいますが、多排出産業あるいは火力発電などが地域の産業の核になっている自治体等では非常に重要だと思っています。
中小企業の経営者の方、特に地場でずっとお仕事をしていらっしゃる方々は、地元に対する意識が非常に強いです。また、その中で若い経営者の方々は、環境への関心も高いです。脱炭素時代の我がまちの将来を考えるという場を自治体が積極的につくっていただいて、中小企業の経営者も含め、様々なセクターの方が知恵を集めて議論していくことが非常に大事かと思っています。
それから、WWFの小西様から、電源開発に当たって中小の参画についてのお話がありました。これも地域ごとにそれぞれの状況があるので、御検討いただくのが大事かなと思っているのですが、たまたま私、秋田にお伺いしたときに、秋田市さんだったと思うのですが、風力発電の立地に当たって、メンテナンスの人材育成の講座をおやりになられているチラシを拝見しました。市の方に、どういう方が参加されているのですかと聞いたら、自動車整備工場の方が結構来ているとおっしゃっていました。ずっと風力発電のメンテナンスがあるわけではないので、日頃は自動車整備をおやりになりながら、風力発電の知識も身につけていただいて、必要な際にメンテナンスに関わるというお話だそうです。
このように気づいていないかもしれないですけれども、地域の中小企業やそこで働いている人が持っている技術の中でも生かせるものがまだまだ地道なところでもあるのではないかと思っています。この辺りもぜひ、先ほど申し上げたような地域全体でのトランジションを考えていく場の中で御検討いただき、中小への働きかけをしていただければと思っています。
3番目、サプライチェーンの問題です。鶴崎委員から、中小の省エネ脱炭素の取組、トレンドをどう考えますか、岩船委員から、サプライチェーンからの要請、トレンドをどう考えますかというお話がありました。御紹介させていただいた調査は、今回単発で初めてやったものなので、過去との比較はありませんが、感覚としては、あるいは実際にいろいろ伺っている声の中では、やはりこの1、2年で急速に省エネ、脱炭素への取組、関心も高まってきていると思っていますし、サプライチェーンからの要請も増えてきているし、恐らく今後も増えていくだろうと思っています。
東京大田区の町工場の方にちょっとお話を聞いたら、外資のメーカーなどからは、もう既に細かな製品ごとの排出量を出してくれと言われているという話を聞いて、これはなかなか我々だと難しくて大変だというお話も聞いています。確実にこういった要請は増えていくでしょうし、したがって、中小が技術、ノウハウがなかなかない中で取組を進めていく際には支援が必要だと思っています。
それから、調査結果について、吉高委員、志田委員から、業種別の分析あるいは価格転嫁について何か把握をしているかというお話がありました。すみません、今回は時間もなかったので、ポイントのところだけというか全体概要だけ御紹介しましたが、調査結果では、今申し上げた業種別とか価格転嫁についても聞いています。ウェブでは公開していますので、ぜひ御覧いただければと思います。
業種別の特徴で言いますと、やはり脱炭素の取組は製造業で比較的進んでいます。ただ、省エネ設備の導入だけを見ると、意外に飲食や宿泊業などでも他の業種よりも取組が進んでいる部分があって、これはさっきお話をした、別の調査結果にあった設備メーカーの売り込みがあるのかなともちょっと思ったりしているところです。
それから、価格転嫁に関しては半数以上、51.8%の企業から転嫁できているという回答を得られています。ここは業種別に非常に特徴が出ていて、建設、製造では転嫁できているという回答が6割と高くて、100%できている、それからおおむね7割から9割できているという回答も2割ぐらいに達しているのですが、非常に厳しいのが運輸業です。全体の割合で言うとそんなに変わらないのですが、全て転嫁できているという回答は、運輸業ではゼロ。おおむねが3.7%と、ほかの業種に比べて顕著に低いデータが出ています。
先ほど御紹介したエネルギー価格高騰の経営への影響というものでも、運輸業では事業継続に不安がある、全体の調査では1割でしたけれども、23.5%、4社に1社近くが厳しい、将来に不安があると答えています。この業種においては、ちょっと特別な取組がさらに必要なのかなと思っています。
その中で、大企業の協力というお話が少しありましたけれども、私ども商工会議所は国の協力も得ながら、いわゆるパートナーシップ構築宣言ということで、大手の企業と中小企業の取引適正化、共存共生ということをいろいろな形で進めています。ここはまず価格転嫁の部分でスタートしていますが、今後、脱炭素分野での技術、ノウハウあるいは資金面での協力、それから脱炭素を進めていく上での適正なコスト負担の在り方、この辺りもぜひパートナーシップ構築宣言の思想に基づいて、ぜひ大手の企業と中小企業がよく話し合って、協力をして進めていくことができればと思っております。
私からは以上です。ありがとうございます。
○大橋座長 丁寧に御回答いただきまして、ありがとうございました。
それでは、最後に日本労働組合総連合会の井上様から御回答をお願いできますでしょうか。
○井上委員 ありがとうございます。連合には公正な移行に関して御質問をいただきました。ありがとうございました。
スライドの5を出していただければと思います。先ほどの説明でも申し上げましたけれども、公正な移行を一言で申し上げれば、切れ目のない雇用がやはり重要だと思っております。産業構造の転換、技術革新のスピード、大変速くなっていますけれども、それが全部決まってから雇用対策ということではなく、新たな産業ができる、あるいはそこの地域から別なところ行くということが分かった段階で、では、その産業に従事していた労働者にどのような職業訓練をすればいいのか、あるいは生活支援をしたらいいのか、そういうことが必要になってくるのだと思っております。その上で、公労使あるいは地域住民の皆さんとの社会対話が必要だと思います。
大塚委員から、石炭から石油へエネルギー転換した話がありましたが、まさに日本は公正な移行のために既に経験値を持っているのだと思っています。当時も国や地域で職業訓練をしましたし、いろいろなことがありましたけれども、ただ一方で、それが本当にきちんと職業訓練ができて新たな雇用が生まれたのか、あるいは地域を変わったことで、その後がどうだったのかということも課題として残っているのだと思います。その意味でも、切れ目のない雇用のための政策をどうやって国、あるいは社会的な対話の中で行っていくのかが重要だと思っております。
それから、増井委員から、個別のステークホルダーの意識変化というお話がありました。7のスライドにエコライフのことを書いておきました。連合は、夏と冬にピークカットアクションということで、一人一人がエコライフに向けて何ができるかということで、実はデコ活のことも書かせていただいて、ホームページに掲載し、それぞれのところで使ってくださいというようにしています。
先ほど、アンケートを取ったという話を少ししましたけれども、そういう意味で連合の一人一人のエコライフとすると、例えば小まめに電源を切るとか、マイバッグを持つとか、個人でできる温室効果ガス削減の取組、何かしらを行っている方たちはもう80%以上となっています。一方で、カーボンニュートラルに向けた取組に関して、追加的な費用負担に関してどう考えますかという質問に関しては、支出の増は受け入れられないという答えが大変多くなっていて、過半数となっています。
その意味で、一人一人がやれることはあるのだけれども、それがお金となって自分が負担するとなると、そこの理解をどのようにしてもらうのかというのは、連合としてもこれから課題だと思いますので、その意味での国民運動は大変重要なところになっていくのではないかと思っております。
全ての質問に答えられたかどうか分かりませんが、以上です。
○大橋座長 ありがとうございました。
それでは、おおむね御意見いただいたところであります。お時間も2時間半、もうそろそろたたんとする感じになっていまして、本当はまだまだ御質問あるいは御意見等あるかと思いますけれども、お時間の都合から、これにて締めさせていただいて、次回以降、議論をさらに深められればと思っております。
それでは、議題1はこれにてということで終わらせていただいて、議題2について、もし事務局からありましたらお知らせいただけますか。
○荻野室長 特段ございません。
○大橋座長 ありがとうございます。それでは、本日の議事は全て終了となりますので、もし全体を通じて、今日たくさん御意見いただきましたけれども、何か特段どうしてもということ、委員の方々からあればいただければと思いますが、いかがでしょうか。――よろしゅうございますか。
本日は朝早い時間からお昼までお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございました。とりわけ4団体の皆様方には、大変丁寧に御対応いただきまして、ありがとうございました。お礼申し上げます。
それでは、本日の議事録は事務局で作成していただいて、また皆様方に御確認いただいた上でホームページに掲載となります。次回の日程は8月28日水曜日9時半から12時の開催予定ということで、以上とさせていただきます。
それでは、大変お忙しいところ、本日はありがとうございました。以上で閉会でございます。引き続きよろしくお願いいたします。
午前11時56分閉会