中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会 合同会合(第2回) 議事録
開催日時
令和6年5月24日(金)13時30分 ~ 15時30分
開催場所
WEBによる開催
議題
(1)2022年度における地球温暖化対策計画の進捗状況(案)について
(2)各省の施策について
(3)その他
資料一覧
議事次第
資料1:中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会 委員名簿
資料2:産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会 委員名簿
資料3:2022年度における地球温暖化対策計画の進捗状況(案)
資料4:環境省関連対策・施策の進捗及び今後の取組について
資料5:我が国のグリーントランスフォーメーションの加速に向けて
資料6:みどりの食料システム戦略と農林水産分野における地球温暖化対策
資料7:GXの実現に向けた国土交通省の取組について
議事録
午後1時34分 開会
脱炭素社会移行推進室
それでは、ただいまから、中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会合同会合(第2回)を開催いたします。私は環境省脱炭素社会移行推進室の福永でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議は、ウェブにより開催をさせていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信し、動画は会議後、議事録公開までの間、ウェブ上で公開予定でございます。
ウェブ会議の開催に当たり、何点かご協力をお願いいたします。
通信環境の負荷軽減のため、カメラの映像は原則オフにしていただき、ご発言の際のみオンにしていただきますようお願いします。また発言する際は、アサイン以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようご協力をお願いします。
ご発言を希望される場合には、ご自身のお名前の右側にある手のアイコン(挙手ボタン)をクリックしてください。また、発言を終えられましたら挙手ボタンを解除いただけますようお願いいたします。
地球温暖化対策はGXによる取組の加速化を含め、各府省庁連携の下、より一層推進していくことが重要であるため、本日の会議では関係省庁にも出席いただきまして、農林水産省、国土交通省からは本日の議事(2)において施策の報告をしていただく予定です。ただし、本日の会議はあくまで環境省及び経産省の審議会でありまして、農水省、国交省はそれぞれの審議会において個別に施策の審議等は実施しております。このため、農水省、国交省からは個別施策及び各省連携事項に関してご説明をいただく予定としており、個別施策内容は審議事項ではなく報告事項とさせていただきます。
それでは、本合同会議の委員長をご紹介いたします。
中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会の下田委員長でございます。
下田委員長
下田です。よろしくお願いします。
脱炭素社会移行推進室
続きまして、産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会の委員長ですが、本日は大塚委員に代理を務めていただくということで、大塚委員、よろしくお願いいたします。
大塚委員
よろしくお願いします。ありがとうございます。よろしくお願いします。
脱炭素社会移行推進室
続きまして、本会議は資料1、2で委員名簿に掲げる委員、オブザーバーに参加をしていただくことにしております。大変失礼ながら、時間の都合によりまして、名簿の掲載をもってご紹介に代えさせていただきます。
本日は、中央環境審議会側は8名、産業構造審議会側は5名の委員に出席をいただいており、定足数の要件を満たし、専門委員会として成立していることをご報告いたします。
それでは、本日の議事進行は中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会の下田委員長にお願いしたいと思います。
下田委員長、よろしくお願いいたします。
下田委員長
それでは、議事を始めさせていただきます。
本日は議事次第にありますように、1番目、2022年度における地球温暖化対策計画の進捗状況(案)について。2番目が、各省の施策について。3番目が、その他となっております。
まず、議事の1番目について環境省から説明いただき、その後、議事2について関係省庁から説明をいただいた後に、まとめて討議を行う形とさせていただきたいと思います。
それではまず、環境省、経産省の順で説明をお願いします。
総務課長
環境省地球環境局総務課長をしております井上と申します。私から、まず、資料3に基づきまして、2022年度の地球温暖化対策計画の進捗状況につきましてご説明いたします。大部にわたりますので、8ページ以降、パワーポイントの資料がございますが、この資料をもとに概要をご説明させていただきます。9ページをご覧ください。
2030年度目標及び2050年ネットゼロに対する進捗でございます。2022年度の温室効果ガスの排出・吸収量は、2021年度比で2.3%減少。基準年度である2013年度比で22.9%減少いたしました。過去最低値を記録し、2050年ネットゼロに向けた順調な減少傾向、オントラックをトラックを継続しております。10ページをご覧ください。
個々の対策・施策の進捗評価の方法についてでございますが、毎年同様、AからEということで評価をさせていただいております。11ページをご覧ください。
部門別の温室効果ガス排出量・吸収量を示したものでございますが、表の一番右にございます2022年度フォローアップ評価の部分をご覧いただければと思います。AからE、出ておりますが、そのうちAからCにつきましては、このままの対策を続ければ2030年度の目標水準と同等以上、さらには上回ると考えられる対策でございます。Dは、このままの取組では2030年度の目標基準を下回ると考えられる施策。Eは、定量的なデータが得られないものなどという分類となっております。つまり、D・Eに該当する対策・施策の数を少しでも減らすとともに、例えばCに該当する施策についても、AまたはBに引き上げることが必要となってくるということでございます。
改めまして、この11ページの表の一番右上をご覧いただければと思いますが、AからCが89件、D・Eが26件となりました。ちなみに、資料には記載しておりませんが、前年度と比較しますとAからCが前年度が87件でございますので、2件の増加。一方で、D・Eについては、前年度が28件ですので、2件の減少となっており、着実に進捗が見られたものと思っております。13ページをご覧ください。
この円グラフは、個々の施策におきます2030年度の排出削減・吸収見込量に応じまして、円グラフ上で面積を割当て、その上でAからEの進捗表が別に整理をさせていただいたものでございます。ご覧いただきますと分かりますとおり、DとEを足し合わせた部分、すなわち全体の約9%が2030年度の目標水準に到達しない可能性が高い取組ということの評価となります。幾つか具体例を申し上げさせていただきます。ページ飛びますが、15ページをご覧ください。
エネルギー起源CO2のうち産業部門の取組でございますが、例えば経済産業省さん取りまとめの産業用モータ・インバータの導入など、4件がここではD評価となっております。続きまして、16ページをご覧ください。
業務その他部門でございますが、厚生労働省さん取りまとめの水道事業におきます省エネ再エネ対策の推進等や、経済産業省さん取りまとめの機器の省エネ性能の向上やエネルギー管理、環境省のウォームビズの取組など4件がD評価となっております。17ページをご覧ください。
家庭部門でございますが、経済産業省の取りまとめのエネルギー管理、環境省のクールビズ・ウォームビズの取組などが4件がE評価となっております。18ページをご覧ください。
運輸部門でございますが、国土交通省の取りまとめのモーダルシフトの推進がD評価となっております。ページ飛びますが、20ページをご覧ください。
エネルギー起源CO2以外の取組でございますが、経済産業省さんの取りまとめの混合セメントの利用拡大や環境省、経済産業省取りまとめのフロン類の漏えい防止や回収促進など6件が評価となっております。
以上が、2022年度におきます地球温暖化対策計画の進捗状況となりますが、こうしたD・E評価の対策・施策はもとより、AからCにおきましても、全体としてより一層対策を推進して、2030年度目標の確実な達成に向けまして尽力してまいりたいと思っております。引き続き各省の施策の説明ということで、まずは資料4に基づきまして、環境省施策について簡潔にご説明をさせていただきます。
まず、再エネ・省エネ関連の施策についてでございます。3ページをご覧ください。上の四角の箱の二つ目のポツでございますが、いわゆる政府実行計画に基づきまして、2030年度までに設置可能な政府保有の建築物の約50%以上に太陽光発電設備を設置することを目指しております。この1年間の取組としまして、下に書いておりますが、関係省庁連絡会議の設置、各府省庁におきます太陽光発電整備計画の策定、学校施設、医療施設などの施設種別の導入目標設定などを着実に行ってまいりました。今後、例えばペロブスカイト太陽電池についても、公共施設への率先導入に向けた検討を進めてまいりたいと思っております。5ページをご覧ください。
住宅の脱炭素化に向けました取組として、新築住宅のZEH化、既存住宅の断熱リフォームを推進しております。特に既存住宅の断熱リフォームにつきましては、国土交通省、経済産業省、環境省の3省連携で、住宅省エネ2024キャンペーンを展開し、環境省では高性能な断熱窓への改修を推進しておるところでございます。ページ飛びまして7ページをご覧ください。
サプライチェーン全体での脱炭素化促進に向けまして、中小企業に対しまして、書いてますとおり、知る・測る・減らすということで、きめ細やかな支援を行うとともに、地銀や地域の商工会議所などとも連携しまして、地域ぐるみでの中小企業の支援体制の構築に向けました取組も行っているところでございます。8ページをご覧ください。
再エネの最大限導入拡大に向けましては、地域の合意形成を図りながら環境に適正に配慮し、地域に貢献する地域共生型再エネの導入促進が不可欠でございます。このため地球温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業制度が令和4年4月から施行されておりますが、さらなる導入促進のため、今国会に地球温暖化対策推進法の改正案を提出し、現在国会にてご審議いただいているところでございます。
続きまして、地域脱炭素関連についてでございます。18ページをご覧ください。2025年までに少なくとも100か所の脱炭素先行地域の選定を行うこととしておりまして、現在までに全国36道府県95市町村で73提案が選定されております。20ページ以降に新体制を記載させていただいておりますが、地域脱炭素推進交付金などの予算措置、地方環境事務所を含めます国の地方支分部局などによる伴走支援などを行い、地域脱炭素推進を図ってまいりたいと思っております。
次に、脱炭素型ライフスタイルの転換についてでございます。ページ飛びますが27ページをご覧ください。脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの実現に向けた国民の行動変容、ライフスタイル転換を起こすための国民運動としてデコ活を推進しております。具体的には、右側にありますが、企業、自治体、団体等からなる官民連携協議会、デコ活応援団を結成し、国民・消費者の新しい豊かな暮らしづくりに役立つ取組や、製品・サービスの発信や連携プロジェクトの推進を図っております。
また、28ページにありますとおり、本年2月にくらしの10年ロードマップを策定したところでございまして、フォローアップを毎年実施し、必要に応じて取組・対策の強化をしてまいります。
次に、代替フロン等の4ガス関連でございます。32ページをご覧ください。代替フロン等4ガスの排出量は、これまで年々増加傾向にありましたが、2022年度の排出量は、2021年度比1.4%減となりました。とりわけHFCの排出量の減少による寄与が大きく、業務用冷凍、空調機器における低GWP冷媒への転換などによります稼働時の排出量の減少や、機器廃棄時のHFC回収量の増加といった取組が進展したことが要因の一つと考えております。34ページをご覧ください。
2022年度に実施した主な対策といたしまして、機器使用時の排出削減対策として、漏えいや故障を検知する常時監視システムの導入促進や、機器廃棄時の排出削減対策として、都道府県による建物解体現場への立入検査なども積極的に進めておるところでございます。
次に、JCMに関してでございます。38ページをご覧ください。現在、世界各国との署名を行い250件以上のプロジェクトが実施中でございます。地球温暖化対策計画においては、2030年度までに累積1億t- CO2の国際的な排出削減・吸収量を目指すこととしておりますが、現在実施中のプロジェクトにおいては、2030年度までに想定される累積の削減・吸収量は約2,800万tでございまして、さらなる取組の強化が必要と考えております。このため、42ページをご覧いただければと思いますが、2ポツ目にありますとおり、政府支援の効率化や民間JCMの推進を図るとともに、三つ目のポツにありますとおり、個々のJCMに係る手続を指定法人に行わせ、国はパートナー国の拡大や新規案件発掘といった施策に注力できるよう、今国会に地球温暖化対策推進法の改正案を提出し、現在国会でご審議をいただいているというところでございます。
最後になりますが、廃棄物関連でございます。46ページをご覧ください。再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルについて、制度的対応を含めた検討を実施するための検討会を立ち上げ、本年1月に中間取りまとめが公表されました。2030年代後半には大量の太陽光発電設備が廃棄されることが予想されており、引き続き、義務的リサイクル制度の活用を含め、引取や引渡しが確実に実施されるための新たな仕組みの検討を進めてまいりたいと思っております。
非常に簡潔にかいつまんでの説明になりましたが、環境省からは以上でございます。
下田委員長
ありがとうございました。それでは、経済産業省からお願いします。
経済産業省産業技術環境局環境政策課GX推進企画室長
続いて経済産業省のGX企画室の荻野と申します。政府全体の取組ではございますけれども、GXに向けた進捗状況というところでご説明させていただきます。
1ページ目でございます。これまでのGXの進捗状況というところでございまして、エネルギー安定供給確保、経済成長、脱炭素、この三つの同時実現を目指しまして、2022年夏以降、GXの議論が加速をしてまいりました。昨年23年2月でございますけども、GX基本方針閣議決定いたしまして、また5月にはGX推進法と成立いたしました。その後、7月には推進戦略という形で閣議決定をしてございまして、その後進捗を見せているというところでございます。
例えばGXリーグにつきましては、23年度から試行してございます。24年度からは747者というところになってございまして、我が国の温室効果ガス排出量の大体5割超をカバーするというところでございます。この中で排出量取引についても試行的に始めてございますけれども、26年度から本格導入ということを見据えてございまして、こういった取組に向けまして、削減目標の認証制度とか、そういった部分について、そういったものの創設等を視野に法定化というものを検討しているというようなところでございます。
また、GX経済移行債につきましては、今年2月世界初の国によるトランジション・ボンドとして発行いたしまして、国内外の金融機関からも投資表明をいただいたというところでございます。昨年12月には、分野別投資戦略というところで産業ですとか、くらし、エネルギー、各分野での投資加速というところに向けまして、方向性と規制・制度の見通しといったようなもの、同時にGX経済移行債を活用した投資促進策というものを提示をいたしまして、国による長期・複数年度のコミットメントというところをお示しし、投資というものの戦略を進めたというところでございます。これに基づきまして、企業のGX投資への検討・実行というのが少しずつ進みつつあるというふうに思ってございます。
また、新たな金融市場という観点では、GX推進機構というものをこの7月には設立する、業務開始をするということを予定してございまして、これによる債務保証等といったようなものに取り組んでまいるというところでございます。国際的には、G7におきまして、多様な道筋ですとか、トランジション・ファイナンスへの認識といったようなものも拡大してございますし、あとAZECというとこで首脳会合を初開催いたしまして、また日米協力というものも進めていこうとしている、そんな状況でございます。
2ページにいきまして、その中でまず、一部でございますけど、革新的な技術開発ということでございます。グリーンイノベーション基金というものをまず2兆円で造成いたしましたけれども、現在2.8兆円になってございまして、官民で野心的かつ具体的目標を共有した上で、革新的技術開発から社会実装まで、最長10年間支援をするということにしてございます。これまでに20プロジェクトを組成いたしまして、2兆円を超える支援先というものが決定してございます。例えば水素還元製鉄ですとか、日本初のペロブスカイト太陽電池とか、液化水素運搬船。アジアの脱炭素に資しますアンモニア専焼、全固体型蓄電池というようなものを、こういったところで技術開発を進めまして、また具体的なニーズというのが顕在化し始めているというところでございます。
一方で、技術開発のみならず、さらに実装していくという観点から、規制改革ですとか標準化、国際連携というようなこと。また導入支援ですとか、また製造能力のキャパシティ確保といったような、そういったところの支援というものも念頭に置いてございまして、例えばペロブスカイト太陽電池のところに書いてございますけど、技術開発によりまして発電効率等を達成しているところでございますけれども、あわせてGX移行債というものも活用しながら、製造設備支援も考えてございまして、2030年を待たずにGW級の量産体制というものを構築していこうというものでございます。
3ページ目に、先ほどの部分、特に投資関連の部分を、また新たにまとめた部分でございます。一番上の革新技術開発の部分につきましては、先ほどの説明と重複する部分がございますけれども、技術開発を進めまして、2020年の中盤には市場投入の開始、商用化のようなこういったところをより進めていくというところでございます。それ以外にも排出量を半分以下に削減する革新電炉ですとか、CCUSと、こういったものについての構造転換というようなものを取り組んでございます。
同時にくらしGXと書いてございますけれども、各個人、家庭といった部分のGXに向けましても、家庭の断熱窓への改修ですとか、ヒートポンプ導入、電動車とか蓄電池の導入支援といったようなものを行ってございます。水素についても価格差に着目した支援策というものを先般、法律が成立いたしましたけれども、これに基づきまして実行していくというところでございますし、再エネにつきましては、FIT制度というのがございますけれども、これに加えまして、サプライチェーンを構築していくといったものですとか導入支援というふうなものも検討してございます。
同時に、中小企業・スタートアップ、これがGXに取り組んでいくという観点も重要かと思ってございまして、ここには省エネ支援と書いてございますけれども、複数年度で大規模な支援とすることをあらかじめコミットしてもらってございまして、これに基づいてGXというものを進めていきたいと思っているというところでございます。
予算以外にも税制措置というところで、グリーンスチール、グリーンケミカル等、こういった戦略分野につきまして、生産・販売量に応じた税額控除というのを新たに創設をしていこうというふうにしているところでございます。
4ページ目、これもGX創出に資する部分ではございますけれども、独禁法の関係でございます。GXに向けて複数社が連携していこうといったときには、情報交換ですとか、共同調達、共同廃棄ですとか企業結合、こういったことを、いろんなの可能性を考えながら情報共有をしながら検討していくというところ、そういったことに取り組む必要があるんじゃないかというようなことがございますけども、そういった際に独禁法との関係で違反にならないかどうかというところ。こういったところの懸念が生じる可能性というところでございまして、これに対しまして、考え方の明確化ですとか、想定例の追加というふうなことを行ってございまして、問題とならない場合というふうなものというものを、市場の実態等を踏まえながら、事業者、関係省庁等との意見交換を踏まえながら、公正取引委員会のほうで改訂版を公表されるというところでございまして、あとは継続的にガイドラインも見直すというふうにされているというところでございます。
続いて5ページ目でございます。ファイナンス面でございますけれども、GX推進機構ですが、GX推進法に基づきまして、産金学官が連携して設立を準備していくというところでございます。4月16日に設立認可申請書が提出されまして、19日には認可されたというところでございます。理事長は筒井義信氏に内定してございます。今後、政府及び民間による設立出資金の払込をもちまして、5月中に法人としての設立登記を行いまして、7月から業務を開始をするということを目指しているというところでございます。
次のページ、6ページ目でございますけれども、国が支援基準というものを策定してございまして、GX推進機構は金融支援というものを行う際に従うべき基準として国が定めるというものでございます。GX推進機構が実施する金融支援といいますのは、不確実性が強い場合におきまして、民間金融機関が真に取り切れないリスク、こういったものを特定しながら、その部分についてリスクを補完するということが基本でございます。これは逆の言い方をすれば、当然、民間ベースでは取り切れないというところというものを念頭に置きながらではございますけれども、やはり非常にリスクが高い、不確実性が高いというこのGX分野の取組ということを踏まえますと、このGX推進機構が行いますのは、リスク補完を行わないことで、むしろGXの推進に停滞、こういったことを招かないように、取るべきリスクはしっかり取ると、こういった観点から支援基準というものを定めてございまして、6ページの下半分に幾つか書いてございますけれども、政府方針の整合性ですとか、人材の育成、様々な対応というものを取り組んでまいりたいということを決めているところでございます。
7ページ目にGX実現、GX向けのファイナンス部分の動きというところで、こちらの進捗でございますけれども、トランジション・ファイナンスの重要性というのが国際的にも進展しているというところでございます。一方、ファイナンスド・エミッションという考え方で、トランジション・ファイナンスを積極に実施いたしますと、一時的に増加をしてしまうというようなことが懸念されるというのは、お声をいただきました。こういったことから、関係者間で、金融機関が躊躇する例もあるということがございましたので、官民でワーキンググループを開催いたしまして、考え方を取りまとめたペーパーというものを提示してございます。ファイナンスド・エミッションの開示・算定の工夫ということで、ファイナンスド・エミッションを開示をしながら、そこに対する工夫といったようなものですとか、ファイナンスド・エミッション以外の指標の開示。このような幾つかの考え方をこの考え方の中では整理してございまして、トランジション・ファイナンスを進めていくという観点からの一助となるというようなものを進めるということがございます。
最後に8ページ目でございます。こういった状況の中で、昨年の年末には今後10年間の投資戦略というのを掲げたところでございますけれども、中東情勢ですとか、DXの進展、サプライチェーンの再構築、こういった不確実性が高まりまして、さらに気候変動対策という野心的な行っていくというところ、まだ技術的な期待の高まりというような、そういった変化を踏まえまして、GX推進戦略のさらにその先2040年、こういったものを見据えたGX2040ビジョンというものを示すということを考えてございまして、これからこういったことを検討してまいるというところでございます。
簡単ではございますけれども、経産省からは以上でございます。
下田委員長
ありがとうございました。それでは農水省、国交省からの説明をお願いします。なお、先ほど事務局から説明がありましたとおり、農水省、国交省からは、個別施策及び各省連携施策に関してご説明をいただきます。
それでは、農水省、国交省の順でご報告をお願いします。
農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ長
農林水産省みどりの食料システム戦略グループ長の久保です。どうぞよろしくお願いいたします。それでは画面に沿いまして、当省における地球温暖化対策についてご説明をさせていただきます。
まず屋台骨となるみどりの食料システム戦略ですが、ここの中では2050年までに目指す姿として、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現のほか、N2Oの発生要因にもなります化学肥料、これの使用量の30%低減だとか、有機農業の面積は25%といった目標を掲げております。次のページをお願いします。
これを関係者の農業生産者だけではなくて調達、生産、加工・流通、消費の全体で進めることとしております。4ページ目をお願いします。
温室効果ガスの削減に向けましては、まず2030年までには水田の水管理によるメタンの削減とか森林管理のほかに、2030年以降、さらにブルーカーボンの本格化とか、最後2050年のところには、メタンの抑制ウシの活用とか、そういった形の戦略という形になってございまして、5ページ目には、14設けましたKPIの一番最初に農林水産業のCO2ゼロエミッション化を設けてございまして、これの進捗というものも掲げてございます。また6ページ目にありますとおり、このみどりの食料システム戦略を実現させるために、2022年にみどりの食料システム法というものを成立いただきました。この中で二つの計画認定制度を運用しておりますけれども、生産者の計画認定制度、左下の青い部分でございますが、これには農水省がよくやっているような土作りとか、化学肥料、化学農薬の低減のみならず、温室効果ガスの排出量削減という計画も立てて認定をできるという枠組みとしてございます。
次の7ページでございますけれども、法律が制定施行されましてから、国の基本方針が2022年9月に公表されまして、既に2022年度中には全ての都道府県で生産者の認定の基礎となる基本計画を策定いただきました。これに基づきまして、46道府県で1万5,000名以上の農業者の認定が見込まれるといったような状況でございます。また、法律上、地域でまとまって温室効果ガスの削減に取り組むような地域の認定というようなスキームもございますので、今後それらの案件形成もしてまいりたいと思ってございます。また、生産者のこういった環境負荷低減に資する事業者の計画、これも69の事業者の計画を認定してございます。
8ページ目でございますけれども、各省連携というお話がございました。まさにみどりの食料システム戦略、農水省だけではできませんので、これ第3回のみどりの食料システム戦略に関する関係府省庁連絡会議の資料でございますけれども、メンバーには経産省、国交省、環境省の皆様にも入っていただきまして、この会議を年に1、2回開催しておるというところでございます。特に環境省さんにおかれましては、このみどり法の認定を受けた方々が、環境省のこの地域脱炭素推進交付金をアプライする場合には、ポイント加算等の優遇措置なども講じていただいておりますので、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。
次に9ページ目でございますけれども、本日のご議題でもございます地球温暖化対策計画でございます。進捗、前半にお話あったとおりでございますけれども、農林水産分野全体では、2030年度までに3.5%減のところ、今のところ排出抑制で0.2%、吸収源対策で3.5%ということで、現状におきまして3.7%の削減までいっているというところでございます。
また10ページ目をご覧ください。生産現場で温室効果ガスなどの環境負荷低減に取り組むことを進める一方で、やはり消費・加工・流通というところでこういった生産現場での取組を評価していただいて、食料システム全体で環境負荷低減を進めなければいけません。その前段として、消費者がどういう意識かというところでございます。環境に配慮して生産された農産物を購入したことがあるか、購入したいかというところでございます。8割の方が購入したいと思っておられますけれども、していない方に聞くと、6割以上がどれが環境に配慮した農産物か分からないという結果が、世論調査がございましたので、11ページ目でございますけれども、農産物の環境負荷低減の取組の見える化ということで、生産者の例えばプラスチックを減らす、化石燃料を減らす、それから肥料を減らすといったような温室効果ガスの削減に資するような取組などを、栽培情報から算定・計算をいたしまして、これを地域の標準的な栽培方法と比較して5%以上で星一つ、20%以上なら星三つという形で、星のマークで見える化するという取組を今年3月1日から2年の実証販売を経て、本格実施にスタートしました。また、米については生物多様性保全への配慮も合わせて表示が可能という形になっておりまして、既に3月1日から正式に登録を経てこの見える化、取り組まれている件数は118件に上っております。
また12ページ目でございます。J-クレジット制度でございますけれども、農業分野、省エネ・再エネ等の方法論のほかに、左側黄色い部分に農業の方法論ございます。上三つは2019年までもありましたけれども、下のバイオ炭の農地施用、それから中干し期間の延長、肉用牛へのバイパスアミノ酸の給餌。それから一番上のアミノ酸バランス改善飼料、これを対象に牛を加えた。これらはいずれも2020年以降に追加した方法論でございまして、我々しっかりと生産現場が取り組みやすく、しかもしっかりと効果があるというエビデンスがある方法論をここまで追加して、クレジットにしっかりと取り組んでいるというところでございまして、13ページ目にございますとおり、森林分野でもかなりJ-クレ、取組が進んでおりますが、農業分野ではこれまでのところ27件の取組が、プロジェクトが承認されております。
ただ、これら27件のうち例えば下に農業分野の方法論のところに、方法論ごとに取組者が書いてございますけれども、例えば味の素さんとか、クボタさんとか、三菱商事さんとか、伊藤忠食糧さんとか、様々な企業名を書いてございますが、これはここだけでなく、ほぼほぼ皆さん、主にプログラム型ということで、全国各地の農家さんがその先にぶら下がって、みんなでJ-クレも頑張ろうという形でやっておりますので、ぜひ皆様方には応援をお願いしたいと思っております。
また、14ページ目でございますけれども、日本の持っている、特に水田には、やはり日本に非常に知見があるということでございますので、これを気候風土が同じで水田作中心のASEAN地域、アジアモンスーン地域に技術を展開して、食料の安定供給、安定生産とそれから温室効果ガスの削減、この両立を日本の技術でやっていこうということで昨年の10月、日ASEAN農林大臣会合で、日ASEANみどり協力プランというものを全会一致で採択されました。こんな形で日本国内の取組のみならずアジアモンスーンにも技術を展開して、これをさらにJCMの方法論化していきまして、しっかりと二国間クレジットも進めたいということで、今一生懸命取り組んでいるところです。
最後15ページ目、気候変動。農業分野はやはり適応策もしっかり取り組んでいるところ、それから今申し上げたような取組を最後16ページ目でございますが、現在国会でご審議いただいています食料・農業・農村基本法にも、環境負荷の低減というものをしっかりと新たに位置づけました。これ主には気候変動への対応というのをイの一番に考えてございますので、しっかりと農林水産省として今後とも気候変動対策をこのような形で進めていきたいと考えております。
以上になります。
下田委員長
ありがとうございました。それでは国土交通省、お願いします。
国土交通省総合政策局環境政策課長
国土交通省環境政策課長、清水でございます。それでは私のほうから、資料7に基づきましてご説明をさせていただければと存じます。私ども国交省、運輸部門それからインフラ部門ということで、地域の暮らし、あるいは経済を支える幅広い分野を所管してございますので、本日、カーボンニュートラルに向けての取組、様々な分野での取組の内容をご紹介させていただければと思います。
まず1ページ目でございます。左側をご覧いただきたいと思います。こちらはまず省エネということでございますけれども、現在、CO2排出量は、我が国全体のCO2排出量、運輸部門、これは全体の18%を占めているわけでございます。その中でも、運輸部門の中でも大宗を占めるのが自動車分野でございます。事業用トラック、バス、タクシー、こういったところでの電気自動車、燃料電池自動車、こういったところの次世代自動車の普及促進ということで、これは経産省さん、また環境省さん、連携しながらの取組を進めているところでございます。
また、資料の左側中ほどをご覧いただきたいと思います。インフラ面での取組ということでサービスエリア、パーキングエリアあるいは道の駅、こういったところにもEVの充電施設ですとか、水素ステーションの設置協力、こうしたところもインフラ面での取組も進めているところでございます。
それから左側の下のところでございます。公共交通・物流分野ということで、こちらにつきましては公共交通の利用の促進ですとか、あるいはモーダルシフト、船舶や鉄道へのモーダルシフト、こういったものを推進しながら交通分野、物流分野のGXを推進しているというものでございます。
右側2番目でございます。こちらは住宅・建築物の省エネ対策ということでございます。先ほど環境省さんからもございましたZEH・ZEBの普及、こういったことを関係省庁さんと連携して図っているということ。それから二つ目のポツでございます。一昨年になります建築物省エネ法、改正をしております。2025年度、来年度からになりますが、全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準の適合を義務付けということで、仕組みを整えて取り組んでいるところでございます。
それから最後のポツでございます。CO2の吸収源対策にも資するということで木材利用、こちらの促進も図っているということでございます。
右下3番目でございます。建物のみならず、まちづくりという面からも脱炭素に取り組んでいるというところでございます。一つは、エネルギーの面的利用による効率化ということ。それから脱炭素に資する民間都市開発の推進ということでのまちづくりGXに取り組んでいるということが一つでございます。
二つ目は、私どもグリーンインフラ、これは自然が持つ様々な多様な機能、こういったものを活用しながらまちづくりを進めていこうという取組でございます。都市緑化などのグリーンインフラ、こういったものを進めているというものでございます。次のページをお願いいたします。
2ページ目が、インフラを活用した再エネの導入・利用拡大と創エネのパーツでございます。上のほう、港湾におけるカーボンニュートラルポートの実現というところでございます。上の左でございますけれども、私ども脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、あるいは水素・アンモニアの受入環境の整備、こういったものを図るCNP、カーボンニュートラルポートの形成に努めてございます。ちょっと下、字が小さくて大変恐縮でございますが、改正港湾法に基づきまして、港湾脱炭素化推進協議会、これを法定化してございます。現在この協議会の設置状況でございますが、この4月現在で85港湾において協議会の設置、着実に進んできているというところでございます。
それから右側でございます。洋上風力発電、こちらの導入の促進ということでございます。
下のほうは各種のインフラ空間を活用して再エネを導入していくというものでございます。まず左側でございます。空港、鉄道、道路、ダム、下水道、港湾、様々なインフラあるわけでございます。左側は太陽光発電導入促進ということで、道路はもちろんでございますし、それから二つ目のポツでございます。改正空港法に基づきまして、空港の再エネ拠点化の取組を進めております。空港脱炭素化推進計画、これの作成を進めております。こちらにつきましてもこの4月時点、32空港での推進計画の作成が進んできているという状況でございます。
中ほど、水力発電でございます。こちらは治水機能の強化、それから水力発電の促進、これを促進させるハイブリッドダムの取組を進めているところでございます。これはダムの運用を工夫しながら水力発電につなげていくという取組でございます。
それから一番右側でございます。下水道バイオマスの導入促進と、様々なインフラ空間の場を使いながら取り組んでいるというものでございます。それから次のページお願いいたします。
輸送インフラ分野における非化石化というところでございます。左上でございます。これらの海事分野のカーボンニュートラルというところでございます。水素・アンモニアを燃料とするゼロエミッション船、こちらの技術開発、それから普及促進ということでございます。資料中ほどでございます。2026年からアンモニア燃料船、それから2027年からの水素燃料船の実証運航の開始、こちらを目がけて、今技術開発等を進めているというところでございます。
それから右側、右上でございます。航空分野での脱炭素化というところでございます。持続可能な航空燃料SAFのところでございます。右の中ほどをご覧いただきたいと思います。SAFにつきましては官民協議会、各省庁さん、産業界、連携しながらの官民協議会というのを立ち上げて議論を進めているというところでございます。ちょっと字が小さくて恐縮でございますが、2030年本邦航空会社の燃料使用量の10%をSAFに置き換えるという目標でございます。本年1月、ANAさん、JALさんから航空脱炭素化の推進計画、申請ございまして、それを認定をさせていただいておりますが、その計画の中でも10%を置き換えるというところの措置を盛り込んでいただいているところでございます。
一番下のところ、3番目としまして建設施工分野のカーボンニュートラルの推進でございます。左側でございます。省CO2に資する建設材料の導入ということで、まず一つ目、低炭素型のコンクリート、これを活用していこうということで、様々なモデル工事を実施しているという最中でございます。また中ほど②ということで、CO2を固定化する、低炭素型コンクリートこれを一歩さらに進めまして、CO2を吸収固定化していくコンクリート、これの開発・実装に向けた試行をGI基金を活用しながら取り組んでいるところでございます。それから一番右でございます。現場におきまして、革新的な建設機械ということで電動建機の認定制度、GX建設機械の認定制度を創設しまして、普及促進に取り組んでいるというところでございます。
それから最後、4ページ目でございます。ちょっと私どもの足元の取組ということで資料をつけさせていただきました。私のほうから都市緑地法等の一部を改正する法律案ということで、この国会に提出をさせていただきまして、今週、参議院のほうでも成立をしていただいているわけでございます。上から二つ目、左側の上から二つ目でございます。気候変動対応、生物多様性確保、あるいはWell-being、こういった課題解決に向けて緑地、こういったものをしっかり確保していこうという取組でございます。
右側の概要でございます。中ほど2番目、まずは貴重な都市緑地の積極的な保全・更新を図っていく。それから3番目、緑と調和した都市環境整備への民間投資を呼び込んでいこうということで、新たな緑地化、民間事業者による緑地確保の取組の新たな認定制度、こういったものを創設していこうというものでございます。こういった新たな枠組についてご審議いただいて成立をしたところでございます。
以上でございますが、国土交通省としましても、引き続き、各省庁さんと連携しながらカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。以上でございます。
下田委員長
それでは、ここまでの説明を踏まえまして、ご意見等を頂戴したいと思います。ご発言を希望の方は挙手ボタンをクリックしてください。ぜひ幅広く委員やオブザーバーのご意見をいただき、議論を深めていければというふうに考えておりますので、忌憚のないご意見をいただければと思います。ただし、繰り返しになりますけれども、農水省、国交省の個別政策につきましては、審議事項ではございませんので、各省庁の連携事項を中心にご意見をいただければというふうに思います。
それでは、ご発言は大体3分程度を目安にまとめていただきますようにご協力をお願いします。いかがでしょうか。ご意見ありますか。挙手をお願いします。
伊藤委員、お願いします。
伊藤委員
ありがとうございます。では、私から発言させていただきます。
全体的に削減が進んでいて、ほぼオントラック状態にあるということは、かなり評価できるかなというふうに思っているんですけれども、今年2月に、世界の平均気温上昇を1.5度以内に抑えようというところだったんですけれども、一旦上回ってしまったという状況にあり、今年に入ってからも世界中でかなり災害が多発しています。そういう状況を踏まえると、世界第5位の排出国であるという日本の状況は変わらないので、引き続きというか、さらに世界からの圧力が高まるという可能性も考えられるため、やっぱり2050年カーボンニュートラル、これはもうできるだけ前倒しするというような勢いで取り組んでいかないといけないのかなという気がいたしております。
そうなると、やっぱりエネルギーをどうするかということになるかと思うんですけれども、まずは再生可能エネルギーですね。これは地産地消のエネルギーというのを、もっともっと進めていくべきなのではないかと思います。災害もまた各地で多発するということを念頭に置きますと、小規模分散で、そして何かあったときでも地域で自立できるという電源を増やしていくという、その方向性が必要かと思います。そのときに太陽光やペロブスカイトなどは本当に期待できるんですけれども、ベースロード電源になり得る、そしてその地域の特性を生かしていくということが大事だと思いますので、例えば小水力であるとか、地熱とか、中でも掘削せずにに済むバイナリー発電とか、そういうようなものも積極的に推進していくような後押しというのが必要になってくるのではないかというふうに思います。
一方で、やっぱり日本の競争力ということも考えますと、電力の経済性というのも欠かせないところがあると思いますので、やっぱり安全性をしっかりと確認した上で、原子力発電所は再稼働をしていくということも必要になってくるかと思います。
それから、代替フロンの削減ちょっと削減が進んだというお話もあったんですけれども、とにかく温室効果がCO2の100倍から1万倍ぐらいという状況でありますので、ここをもっともっと積極的に削減していくということがすごく重要かと思います。回収率がまだまだ徹底されてないというところがあるのかなというふうに思いますので、例えばICチップなどでトレーサビリティをしっかりして、ちゃんと処分されるというようなシステムを作っていくということが必要かなと思いますし、冷媒自体に代替フロンを使わずに他のものに切り替えていくいくというような動きも考えたほうがいいのかなというふうに思います。自然由来のアンモニアとか水とか二酸化炭素とか、それからダイキンさんなんかが開発している磁気冷媒とかは電気消費量も抑えるというような情報もありますので、そういう新しいもの、これから冷房は多分もっともっと必要になると思うので、そういう開発の部分もしっかりと後押しをしていくということかなというふうに思います。
もう一つなんですけれども、産業活動をする以上、やっぱりCO2は出てしまうと思います。そのCO2をどうやって有効利用して生かしていくかという発想が、やっぱりこれから大事なのかなと。先ほど国交省さんのほうでCO2をコンクリートに詰める、セメントに詰めるというようなこともありましたけれども、例えば出てきたCO2を使ってCO2を吸収するような野菜を育てるとか、実際バイオマス発電の排出CO2を使ってそういうことをやっている企業さんなんかも出てきているので、省庁横断でいかにCO2を有効利用していくかという視点でも考えていったほうがいいのかなというふうに思っております。
以上です。
下田委員長
ありがとうございました。では、山下委員お願いします。
山下委員
ありがとうございます。ご説明ありがとうございました。資料の2022年度実績について、温室効果ガスの2030年目標達成に向け、順調に減少傾向を維持しているというご報告がありました。関係各機関、企業のご努力があらわれたものと思います。しかしながら、今伊藤委員もおっしゃいましたけれども、我々が数年前に策定した計画に沿って地球温暖化ガスの削減を進める間に、あたかも砂漠で遠ざかっていくオアシスのごとく、世界大の削減目標では、さらなるを深掘りを求められています。昨年11月のCOP28では、世界全体で2030年までに2019年比で43%、さらに35年までに60%削減することが、1.5度目標に必要であると言及されました。現在日本の2030年度目標である13年度比46%削減を、仮に達成したとしても、その後5年間で大幅な削減をしなければならないことを意味します。その観点から22年度実績を見ますと、全体の取組に関する講評としては、D評価施策の加速化だけでなく、AからC評価の施策についても、引き続きその評価を維持するというよりは、さらに取組を加速化する。あるいは新たな施策を追加するといったような、より踏み込んだ対応の必要性を認識することが大切になります。
その点、資料3の報告書の記載は、淡々としていて危機感が伝わりにくい印象だと思います。気候変動対策だけでなく、エネルギー安全保障の確保が重要であることに、世界の人々が気づかされたこの数年ですが、流れやスピード感が大きく変わりました。各国や企業は、技術開発や実装そして新たな資源の獲得にしのぎを削っています。これからの経済社会活動をどのような技術の開発や利用で、どのエネルギー源で支えるのかは今後の日本経済の行方を決める重要な選択であり、我々の今後の生活を握る死活問題です。GX実行計画も、計画から実行の段階に入り、従前のできない理由を探す姿勢から、今までできないと考えていたことを、どうすれば実現するのかを考えて実行する姿勢が顕著になってきました。多くの企業は、政府の施策の準備が整うことを待つことなく、国内でも海外でも新しい技術を商用化する動きが増えています。そのためGX2040ビジョンの策定を歓迎したいと思います。
忘れてはならないのは、このような経済社会構造の大転換は、個別産業や企業あるいは自治体だけでできるものではなく、スタートアップ、中小企業や地方の市町村を含む日本全体が取り残されないようになされなければならないという点であります。また、国民一人一人が課題の重大さと政策の存在を認識する必要があります。省エネやリサイクル、あるいは新たな素材、技術の普及など、国民の行動が鍵となる対策が多々あります。地球温暖化対策の重要性と、その対応が我々の社会経済活動に必須であるエネルギー利用や日本経済に直結していることへの理解を深め、一人一人あるいは個別企業の行動や意思決定が、どう波及して温室効果ガスの排出抑制につながるのか。どうすればより排出の少ない、あるいは排出のない行動に変えられるのか。その結果、エネルギーや経済にはどのような影響があるのか。考えて行動する姿勢を促すことも重要です。
さらには、企業間、自治体間、省庁間の連携が極めて重要です。基盤整備などの事業開発は、個別企業や自治体が競合して進めるだけでなく、各地で提案される基盤事業を俯瞰的に、戦略的につなげることが、構造変換を強靭なものにするでしょう。省庁横断的に様々な場面での行動の後押しや広報、支援強化を引き続き行っていただきたいと考えます。
以上になります。ありがとうございます。
下田委員長
ありがとうございました。それでは大塚委員、その後、堀井委員、増井委員でお願いします。
大塚委員
大塚でございます。
全体として、減少傾向でオントラックになるということは大変よいことだと思いますが、今山下委員がおっしゃったように、2030年の後も、その後の5年とか10年のことを踏まえて考えると、ますます大変になってくることがございますので、今からそれについて検討しておかなければいけないということが極めて重要であると思います。また、省庁間での連携は、例えば経済産業省さんと環境省さんについては連携して行動していただいていることが出てきていると思いますけれども、ほかの省庁さんとの関係においても、連携して全体として一つのものを目指すようなことを、ぜひしていただければと思っております。本日も国交省さんと農水省さんに来ていただいて大変ありがたいと思っておりますが、さらに連携を深めていただけるとありがたいと思っております。
あと経済産業省さんのご発表につきましては、GXの推進をどんどんやっていっていただけるということで、大変結構だと思いますし、あと独禁法との関係についても、私も前から結構気にはしていますが、今日は大橋先生がちょっとお休みですけれども、先生中心にご検討いただいていると思いますが、「公正な移行」をしていくときに今までと同じことでやってはいけないような、企業間で情報交換もしないわけにはいかないものですから、移行との関係で独禁法の運用を若干修正することも必要になってくると思っているのですけれども、ご検討いただいていて大変いいことだと思っております。
ただ、GX推進の今日のご発表につきましては、これからこういう助成をするとか、推進するという話はありましたが、申し訳ないんですけど、何年までに何ができるとかいうことはあまりお話しになっていただいてないような気がするので、それは今言われても無理だよということなのかもしれないなと思ってはいますけども、具体的に数値が出ているご報告をいただけると大変ありがたいとは思いました。
それから、環境省さんに関しましては、私も幾つか関わらせていただいているものがございますが、フロンとの関係を若干気にしています。特にJCMとの関係で、フロン対策はできないかというようなことを気にしていまして、スライド41のところで、2023のところで民間JCMというのが、突然結構増えていると思うんですけれども、これは何かインセンティブがあったのでしょうか。インセンティブがあったら大変いいことだと思っているんですけど、これが急に増えたのがなぜかというのを教えていただけるとありがたいと思います。それから、国のほうがJCMを購入するような仕組みをフロンとの関係も含めて作っていただけると大変いいと思うんですけど、今回の温対法の改正では、そこまではやっていないということだと思うので、それについてお伺いしたいと思います。
それから、JCMについてASEANとのつながりというのは結構農水省さんも言ってらっしゃいましたけれども、ASEANでフロン回収とかとの関係でJCMを使えないかということはぜひお考えいただきたいと思います。ベトナムではフロンの回収施設が全国二つぐらいできているようですが、その種の支援とかを、JCMを使ってやることとかできないかという辺りを、ぜひご検討いただけるとありがたいと思います。
それから、基本的なことで恐縮ですが、食品ロスはスライド48で、結構減ってきていると思うんですけども、2021年辺りだと停滞してきていると思います。この辺の要因分析というのは何かなさっていたら教えていただきたいと思っております。
それから最後にもう一つだけ、国交省さんのSAFの話で、これは環境省も廃棄物との関係で関係すると思うんですけれども、SAFに関してはCORSIAとの関係で義務付けられていて、それに対する対応がまだ日本はできていないんじゃないかと思っております。廃油とかに関しても、国外に出ていってしまっているというような問題もあると思いますが、CORSIAとの関係で、まさに対応が必須になってきていますので、ぜひ早急な対応をしていただけるとありがたいと思います。また、JクレジットをこのSAFとの関係で使うことに関して、CORSIAに実はお認めいただいてませんので、この辺に関しても早急な対応が必要だということを申し上げておきたいと思います。
いろいろ申し上げてすみません。
下田委員長
堀井委員お願いします。
堀井委員
どうもありがとうございます。非常に4省連携してご説明いただいたのは、非常にありがたく思っています。特に、フォローアップ、分野別の総括がありましたけれども、業務部門とか家庭部門がありまして、特に家庭部門で結構対策が遅れている部分等の比率が比較的高いなど、そういうところというのは連携が重要だなというふうに感じています。特に、家庭部門というと、一般の市民の方ですけれども、脱炭素型ライフスタイルということで、行動変容を促すという話があったんですけれども、その中で、デコ活という言葉がありまして、「デ」というのは電気、省エネ、断熱住宅。それから「コ」と「カ」があって、「ツ」はつながるオフィス、ワークタウンですけれども、こういう行動変容を進めていく上で、やっぱり環境省だけでは限界というのもあると思うので、こういう場を通じてどういうふうにこういう行動変容を進めていくかということを議論を深めていただければというように思っています。
少し具体的な話をすると、例えばその・・・ですね、断熱住宅なんですけれども、日本というのはこれまで断熱基準が世界的に比べて、一部途上国に比べても比較的緩かったということで、それが省エネ基準が義務付けされるという国交省さんのお話があって、非常に喜ばしいことだなというふうに思っています。ただ、それは新築住宅に対する基準が強化されるということなので、既築住宅ですね。既存住宅についてどのようにさらに今後省エネを進めていくかというと、やはりインセンティブというか、一般の方が家は建て直さないんだけれども、断熱化を進めていこうというふうにどうやって進めていくかという話が必要で、インセンティブとなると、やはり実際に、例えば断熱の工事代を下げるとか、断熱のより高性能な商品を提供するということになってくるので、工事とか、産業界に対しての働きかけというのが重要なので、これまでの三省連携で断熱のキャンペーンをされているのは、非常に喜ばしいことかなというふうに思っています。今後もぜひ続けていただけきたいと思っています。
一つだけお願いというか、コメントなんですけれども、毎年いろんなキャンペーンをされていて、この場合、例えば今映っているのは2024年の事業なんですけれども、どれも単年度の事業になっているので、その年度内に予算を消化するということで、省庁としては非常に順調に進んでいるとは思うんですけれども、消費者のほうから見ると、年度内に予算が終わってしまうということになりますので、なかなかいつ応募したらいいのかというのが、よく分かっている人はいいんですけれども、なかなかそういうのをうまく把握できない人もいる。それを単年度じゃないようにするとなると、財務省なんかも入ってくる話だと思うので、なかなか簡単ではないんですけれども、こういう単年度のキャンペーンじゃなくても、恒常的にもう省エネ、断熱というのは、もう2030年とか、2050年という非常に長期的スパンで続けていくものですから、恒常的にそういうことができるといいなと思いました。
もう一つ、デコ活の中の最後のつながるオフィステレワークというのがあるんですけれども、テレワークというのは通勤需要を減らすということで、モーダルシフトを、実際にその車に乗って、あるいは電車に乗って通勤するということから、バーチャルな形で移動するということになるので、もちろんEVなんかによってCO2排出は減るんですけれども、それだけではなくて実際の移動量を減らすということで有効な施策だなというふうに思っています。
ただ、実際に最近の統計を見てみると、テレワークの対象者というのが、若干減少気味だと。つまりコロナのときは非常に多くの方がテレワークができたんだけれども、最近は対象者が減っているというふうな統計も拝見しております。だけれども、労働者のほうは実は意向としてはテレワークを続けたいんだけれども、企業側としてそれほど乗り気でない、そういう状況があるのかなというふうに拝見しております。やはり、企業側の意向というのは、なかなか我々がコントロールするのは難しいんですけれども、特に環境省のほうから企業のほうにテレワークを推進してくださいといっても、なかなか動かないというところもあるかなと思うので、例えば、経産省さんのほうでGXリーグ企業というのが今、CO2排出の半分ぐらいを占めているということで、非常に強い企業に対する働きかけというので、やはりそういう企業の意識改革とかそういうことを進める上では、やはり連携して、例えばGXリーグの企業に対してそういうふうな働きかけをするというのは、非常にいいのかなと思いました。
それから、例えばJ-クレジットに入るかどうか分からないですけれども、例えばテレワークが増えて通勤が減れば、それだけCO2排出は減るというカウントも、理論的にはできるはずなので、そういうところは例えば国交省と連携をして、そのテレワークの効果がどれだけあるかとか、そういうことも考えていくと非常にいいのかなというように思いました。
以上です。
下田委員長
ありがとうございました。それでは、増井委員、その後一度切らせていただきます。
増井委員
どうもご説明ありがとうございました。まず、目標達成に向けて技術だけではなくて金融ですとか、暮らしとか、非常に多岐にわたって省庁横断で取り組んでいただいているということで、ご説明ありがとうございます。
一方で、山下委員のほうからもご説明というか、ご意見ありましたように、脱炭素に向けて追加的な削減というのが求められつつあるということで、前回環境省の地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会のほうで説明させていただきましたように、NDCの単なる延長では、2050年脱炭素というのは難しいと、端的に言って無理だということで、いかにいろんな対策を加速させていくのかということを今から考えておく必要があるというふうに思っております。
そういう意味で、今回環境省さんの資料3のほうで、実際、現状の取組、それぞれAからEの評価をされておりますが、特にD評価のものについてどう対応するのか。また、現状の対策がこのまま続いていくと、本当に2030年、NDC達成できるのかどうか、そういった見通しあるいは目標達成の蓋然性みたいなものも示しておく必要があるのではないかなと思います。達成が難しいということであれば、追加の対策が必要になってまいりますので、その辺り、早め早めに検討を始めるということが重要であろうと思っております。特にNDCですとか、長期戦略の実現に向けて実施するのは、事業者、国民なんですけれども、政府全体として現状どういった位置にいるのかということを示すのは、非常に重要な機会かなと思っております。
あと最後に、今回省庁間の連携ということでご説明いただきました。その中で今回はどういう取組をされているのかというご説明でしたが、具体的にGHGがどれだけ削減できるのかということも、今後、実際に詰められると非常にいいかなと思っております。また、短期的にすぐできるような、すぐに削減に結びつくようなものもあれば、長期的に、今すぐには削減には結びつかないけれども、長期的に削減できるというようなものもあるかと思います。その辺りはきちんと分けて、これからどういうタイムスケジュールでゼロに向かっていくのか。この辺りも省庁間で情報共有できるとより効果的、効率的な形でこの脱炭素というのが進められるのではないかなと思いました。
以上になります。ありがとうございました。
下田委員長
はい、ありがとうございました。それでは事務局から今までのご意見に対して回答をお願いします。
総務課長
環境省でございます。まず全体総括といたしまして、お話しさせていただきます。
全体を通しまして、今のこの2030年の目標もそうですけれども、2050年度ゼロに向けて、とにかくD評価のものはさることながら、C評価のものをAとか、そういった感じでとにかく対策をさらに進めていかないと間に合わないというようなご指摘ありました。実際、今回の地球温暖化対策計画のこういったフォローアップ、こういったものには非常にこういうやり方というのは意義があると思いますけれども、今後、さらにこういった対策の加速化、そういったものに向けましてどういった進捗評価、あと各省への働きかけ、そういったことを含めて考えていきたいと思っております。
その一環でございますけれども、何人かの先生からお話ありましたとおり、今後、3年見直しということで地球温暖化対策の見直し、あと国連事務局からの要請に基づきましてのNDC次期目標の策定、そういった議論も進めていかなければならないと思っております。中央環境審議会と産業構造審議会のそれぞれの小委員会の合同会議というものを6月下旬から開始する予定でございまして、その中で2050年ネットゼロに向けた中長期的な対策、そういったものを検討してまいりますし、その中で併せて2030年の46%削減の確実な達成に向けて、さらなる対策の深掘りについても関係省庁連携してまいりたいというふうに思っております。
総括的な話は以上でございますが、環境省のほうから、まず、フロン室からお願いいたします。
フロン対策室長
フロン対策室長の香具と申します。伊藤委員、大塚委員から関連のご質問があったと思います。まず伊藤委員ですけれども、代替フロンについて積極削減をということでございましたが、具体的なお話として、一つにはトレーサビリティを確認できるようなシステムというお話がございました。こういったフロンの流れを把握するトレーサビリティについては、民間のほうでそういったものを作られているというふうに承知をしております。実際にフロンが使われて廃棄されるときに、きちんと処理までいっているかどうかというのを確認することは大事ですので、そういったシステムが普及していくということは必要だと考えております。
あと冷媒に規制をかけるべきではないかというお話もございました。こちらにつきましては、モントリオール議定書で生産・消費の規制がされておりまして、今後、生産量、消費量というのは削減されていく形になっております。また、フロン排出抑制法の中でも温室効果の高いフロンにつきましては、低いものにしていくということで指定製品制度と、経産省さんのほうで所管されてますけれども、そういった規制もかけられてございます。
それから、大塚委員からJCMの中でフロン対策ができないかというようなご指摘がございました。資料の中にはあまり見えないんですけれども、実はJCMの制度の中でも、フロンの回収・破壊という事業を行ってございます。2018年から3年間が第1期でございまして、こちらではタイとベトナムで1件ずつ。それから2021年からの3年間を第2期としておりまして、ベトナムとフィリピンで1件ずつと。これまで計4件実施をしてきております。また今年度からも第3期として、新たな事業を公募する予定でございます。
以上です。
総務課長
あとインフラ参事官室の方から、民間JCMの追加の部分についてご説明いただけますか。
国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官室
インフラ参事官室でございます。大塚先生のほうから民間JCMについてご質問があったかと思います。まず一般的な話をご説明した上で、今のグラフのほうについての補足をさせていただこうと思います。
JCMにつきましては、環境省がやっております設備補助を通じて得たクレジットについてはNDCにということですが、民間JCMにより民間事業者が獲得されたJCMクレジットにつきましても、事業者が無効化することによりまして、我が国のNDC達成等に活用することが可能となっております。また、大塚先生からも少しお話ありましたけれども、今国会の方に温暖化対策法の改正について提出させていただいておりますけれども、その中では、政府に代わりましてJCMのクレジット発行・管理等を行うことができる指定法人制度というものを創設いたしまして、JCM実施体制の強化を図ろうということを考えております。これによりまして、政府のほうはパートナー国の増加に向けた協議ですとか、プロジェクト案件の組成等に一層注力してまいりたいというふうに考えております。
具体的には、新たな実施体制の下で大型案件の発掘、公的資金に加えまして民間資金を活用したJCMの拡大等に積極的に取り込んでいきまして、2030年の1億t目標の達成を確実なものにしていきたいというふうに考えているところでございます。
それから、今出ておりますグラフの補足でございますけれども、2023年に少し増えているところでございますけれども、こちらは民間事業者さんがカンボジアにおいてREDD+のプロジェクトをやっておられまして、そちらのほうのクレジット発行が昨年末に日本とカンボジアでの合同委員会の中で認められたということもありまして、そこをグラフ上、計上しているものということになります。そういう意味では、民間JCMを通じてこういった形でクレジットも確保してまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
総務課長
続きまして、大塚委員の関係でSAF等につきまして、再循局の方からよろしいでしょうか。
環境再生・資源循環局廃棄物規制課
再生循環局廃棄物規制課の切川です。まずSAFに関して回答させていただきます。大塚委員からご指摘いただきましたSAFの燃料となります廃食油等の海外流出についてはこちらも認識してございまして、関係省庁と連携しながら今検討を進めているところでございます。また、SAFに関しては、廃棄物等から製造する製造に関するモデル事業も実施してございまして、SAFをどのように確保していくかについて引き続き検討してまいりたいと考えてございます。
以上になります。
リサイクル推進室
続けてリサイクル推進室の金井と申します。食品ロスについて大塚委員からご質問いただきましたので、その点についてご回答させていただきます。
食品ロスは48ページのとおり、着実に削減傾向にあります。この背景の考察ですけれども、食品ロスに関する制度等の動向をご紹介しますと、食品リサイクル法が2001年に施行。SDGsが2015年、また食品ロス削減推進法が2019年に施行されています。これらの節目を契機に社会的機運が高まって食品ロス削減の取組の裾野が広がってきているというのが実際の削減に反映されているのではないかというふうに理解をしております。
補足情報として、環境白書において環境省の食品ロス削減対策に初めて触れられたのはいつなのかを調べたところ、平成27年度の環境白書の「講じよう」というところでして、SDGsとも整合しておりました。こうした文脈の中で、事業系では食品リサイクル法の再生利用等実施率の達成に向けて、納品期限の緩和やフードバンク活動の促進などの取組を推進しておりますし、家庭系のほうでは様々な要因の影響が考えられますけれども、様々な主体が国民運動として取り組んでいただいているという裾野が広がってきました。こうした成果が食品ロス削減に実際に反映されてきているというふうに捉えております。
以上でございます。
総務課長
環境省のほうから残っている部分、簡単に私から説明させていただきます。堀井委員のほうからデコ活の御指摘がございました。まさに家庭部門というのは需要側対策としても非常に重要でございますので、まさに各省連携で引き続き行ってまいりたいと思います。
あと住宅改修の省エネキャンペーンのお話でございますけれども、先ほど堀井委員からもお話あったとおりで、予算自体は単年度でございますけども、どういった予算を今後やっていくかにかかわらず、これも3省連携して既存住宅、そういったものを省エネ化に向けた取組は行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
あと経済産業省さんからお願いできますでしょうか。
経済産業省産業技術環境局環境政策課GX推進企画室長
経済産業省でございます。まずGX戦略に関しまして、何年前にどういったことができるのかといったようなことについて質問をいただきました。これまでに昨年年末に取りまとめましたのは主に投資という観点から、どういったスケジュール感でどういった方針で行うのかといったことをお示しをいたしまして、また今回の資料の2040ビジョンと書いてございますのも、こちらも産業立地、産業構造というところで、これから検討してまいりますけれどもどのような姿になるのかといったようなビジョンというものをこれからお示しをしていこうというところでございます。
一方で、排出削減効果と、排出削減ガスという観点からは、井上課長からございましたとおり、これからの環境省と経産省の合同審議会の中で、2030年以降の姿というものを検討してまいるというような状況かと思ってございます。
なお、J-クレについてもご質問をいただきました。J-クレジット、現在、試行的に行っています排出量取引制度の中で活用可能とクレジットになってしまいます。一方で、ご指摘いただきましたようにCORSIAとの関係では現在まだ適用になっていないところでございまして、CORSIA事務局からは幾つかの指摘というものをいただいてございます。これにどのようにすれば対応できるのかといったようなものを、国内でしっかりと考えながら対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
また、GXリーグについてご質問をいただきまして、GXリーグ、非常に様々な取組というものをGXリーグの中でも行ってございます。企業がGXに取り組む中で生じる、直面する課題という観点で、例えばGX製品・・というものはどのような市場で受けられるかと、そういったような課題かというものを、いかに供給側としてやるのではなくて、事業側と投資する側という両面ございますので、様々な観点からいろいろなテーマについて提言をいただいたり、検討いただいたりというところでございます。しっかりそこで連携をしながら、GXに向けて取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
総務課長
官庁側からの説明は、取りあえず以上でございます。
下田委員長
ありがとうございました。それではお待たせいたしました。この後、勢一委員、高村委員、鶴崎委員の順番でご発言いただきます。そのほかご発言希望の委員の方は、この間に挙手をお願いいたします。
では、勢一委員お願いします。
勢一委員
ご指名ありがとうございます。勢一です。既に前半のほうでたくさん意見が出ておりまして、その部分、若干重なるところは割愛しながら3点ほど申し上げたいと思います。
1点目ですけれども、これは全体の取組の状況についてで、既にご指摘ありましたように、2030年目標、50年目標に向けてグラフなどの全体の形としてはオントラックにありまして、この点は評価に値すると私も思っております。また、既にご指摘ありましたけれども、2030年以降をどうするかというところ、今からやはり展望を考えていくのは必要であると私も考えております。その上で、改めて全体の施策を眺めてみますと、各分野の施策ごとに効果が見えるようになるまでのタイムスパンは、かなり異なるのではないかという印象を持っています。今着手をしても、効果の発現が何年も先になるということ、そのような施策があってむしろ当たり前でございまして、そうした時間軸の観点から施策の評価はこれまでにどのように行われているのか。何か工夫がありましたら教えていただきたいと思います。特に2030年以降については、その先につながる施策をどの程度、どの段階で財源と人員を投資すべきかということは重要になってくるだろうと思っております。以上が1点目です。
2点目ですけれども、本日はたくさんの施策を各省からご説明いただきまして、非常に私も勉強になりましたし、効果が上がることを期待しているところです。ご説明を伺いましても、国レベルでの政策連携の強化と、それをするための各省連携、非常に重要だということを改めて感じました。他方で、やはり国の政策というのは、法律とそれに基づく所管組織によるいわゆる縦割り構造があります。これを今、越えながら連携しようという取組が進んでいますけれども、しかしその法律に基づく縦割り構造は、地方自治体の政策や組織体制でも引き継がれているという形になっています。地域レベルでも連携強化を図っていくためには、国側からの発信を少し工夫していただく必要があるのかなと思っています。
特に今日出てきた案件の中では、地域の中小企業の脱炭素化は非常に遅れていまして、課題になっています。これに対して自治体を含めて地域で取り組むためには、例えば自治体の環境局と経済局の連携が進まないといけないというような形になります。地域は多様でございますけれども、各地域の現場の目線からのニーズを踏まえた形で、各省連携を進めていただくことをぜひお願いしたいと思います。例えば各省が連名で関係部局に一斉に発出していただくとか、何も変えなくてもできることはあるのかなと思ったりはしております。
次に3点目ですけれども、やはりカーボンニュートラルの目標達成には、再エネ導入拡大が鍵であると思います。それにもかかわらず、地域で再エネが迷惑施設化している問題は深刻だと思っておりまして、いわゆる規制条例のようなものが、各地でここ何年か相次いでできているという状況があります。ですので、地域のまちづくりとの調和という視点で再エネの位置づけを検討していく必要があると思います。再エネを含めて、地域全体のインフラ整備をどうするかという課題になろうかと思います。その際には、防災減災の対策をどうするかとか、それを含む気候変動の適応策をどうするか。また、今国会で新法ができましたけれども、ネイチャーポジティブを推進するという、片や異なる政策もございます。これとの調和をどうするかと。そういう点ではネイチャーポジティブでは環境省、国土交通省、農林水産省が取り組んでいく形になりますし、ネイチャーポジティブ経済も入ってきますと、経済産業省のご尽力も必要になります。そういう意味では総合政策として展開するという体制が必要になってくるんだろうと思います。また、人口減少が進行する中で、地域の公共施設についても整理・統合を進めていくという局面にありますし、空き家が増加していく場合には、その跡地などをどうするかというような対応が必要になってくる。こうした現状を考えますと、まさに今後の国土をどうするか、土地利用や国土空間管理の持続可能性という課題になってきますので、ますます各省連携を含めた国側のコンセプトの発信というのも重要になってくるかと思います。この辺りも恐らく下支えをする基盤の整備という点で、中長期的にご検討いただければ幸いです。
以上です。
下田委員長
ありがとうございました。続きまして、高村委員お願いします。
高村委員
下田先生、ありがとうございます。既に山下委員初め、適切にご指摘をいただいた点ですけれども、したがってあまり深入りいたしませんが、一つは、2022年度の温室効果ガス排出量について速報値出していただいています。やはり、さらにどこに削減の余地があって、どこに課題があるのかというの見ていただきたいということですけれども、これはさっき、繰り返しますが、山下委員初め多くの委員がおっしゃったように、30年で対策が終わるわけではないので、かつ30年超の目標を出す検討をしていくタイミングですので、追加的対策あるいは削減の加速の可能性について、早期に検討を始めていただきたいというのが1点です。
それから二つ目、環境省さんの施策のところで1点だけ。これ、すみません。環境省さんのフォローアップでも言ったことですので、これも深入りいたしませんが、関係する省庁さんもいらっしゃると思うので申し上げるのは、公共部門の率先した対策というのが現在の進捗状況を見ると、計画どおりやはり進んでいないのではないかというふうに思っております。特に再生可能エネルギーの導入についての目標を見ていただくとそうだと思うんですけれども。これから検討される各省庁の会議も設置をし、検討された内容を書かれていますので、ぜひしっかり実施をしていただきたいと思います。独法、それから人ごとではありませんが、国立大学法人等々も含めて、各省庁の下にある、省庁の対策もそうですけれど、省庁の下にある法人等の対策についてもしっかり取組をお願いをしたいと思います。これはもちろん率先して国がその対応を示すということもさることながら、やはり今の状況でエネルギーコストを抑えるという点と、とりわけ公共的な公共施設、公共機関にとってみますと、災害が発生をした場合に、自立の電源を、しかもできるだけエネルギーを使わないような、そうしたセッティングがもともと作られているということが、BCP対応として非常に重要だというふうに思うからです。これはもう回答は環境省さんの会合でいただいていますけれども、ぜひお願いをしたいと思います。
それから、経産省さんの施策について、資料の5だったと思いますけれども、この間やはりGXを中心に様々な施策を取っていただいていて、今後検討される施策も、全体としてこの取組を引き上げていく、あるいは投資していくということかと思います。当時に、一つこれは質問でもあるんですけど、大塚委員のご発言にも関わるかと思うんですが、拝見をしたときに、特に経産省所管の対策のところで、進捗が想定どおりでないもの、D評価に産業あるいは業務家庭部門も含めて、省エネ、エネマネ関係の対策について、想定よりも進捗、削減量が到達していないという評価であるかと思います。この辺りの施策の進捗の評価と要因について教えていただければというふうに思います。この後、鶴崎さんいらっしゃるので、鶴崎さんのほうがよく分かってらっしゃるかもしれませんが、これが経産省さん所管の政策のところで、若干フロン系の、特に上流対策、今回2021年度に比べて22年度削減ができたというのは大きなことだと思いますが、やっぱり上流対策の効果ということもあるというふうに思ってまして、むしろ進捗が進んでいなかった、進捗したところについての、もちろん評価もそうなんですが、要因も教えていただきたいところであるんですが、特にやはり省エネ、エネマネのところがD評価が多いように思いましたので、教えていただければと思います。
最後ですけれども、最後といっても非常に重要な点だと思ってますのが、これも多くの委員がご指摘になった関係省庁間の連携です。ぜひ具体的な削減対策あるいは削減がなかなかできない課題について、具体的な関係省庁間の連携を進めていただけないかなというふうに思います。例えば、再生可能エネルギーのところでも今、再生可能エネルギー設備の適正な廃棄あるいはその規律地域が、長期共生型の再エネの取組、これは環境省、経産省で連携をして、資源エネルギー庁さんと、場合によっては国交省さん、農水省さんにも参加していただいた形で議論をし、法制化をし、対応していると思いますけれども、具体的な課題の中で、具体的に連携をしていくということを積み重ねることが必要なように思っていまして、ぜひ幾つか検討いただきたい項目を挙げたいと思います。
一つが、フロン対策です。これは伊藤委員がご発言になって、環境省、経産省さんからもご回答ありましたけれども、上流対策が今回、昨年度と比べて減っている一つの要因として挙げられていると思います。そういう意味で、経産省さんの対策の加速というのを期待をしたいところですが、同時に、やはり排出が潜在的に多い。例えば、物流施設、ある意味で多くのフロン系のガスを使っている施設の建て替え更新というのは、むしろ早期の転換、冷媒転換を含めて、していただいたほうが、これは当然物流施設の排出量を削減するということにもなりますけれども、同時にScope3対策でいろいろ検討されている企業さん自身にとっても、この対策って大変裨益が大きいと思っていまして、これは物流施設などで恐らく国交省さんの所管に入ってくるところだと思うんですけれど、例えばこうした例というのは、ぜひ具体的にどうやってこうした排出、出てしまうと排出が大きいだろう対象施設について、具体的にどういう対策が可能かというレベルで連携を作っていただけないかなというふうに思います。
もう一つ具体的な例、再生可能エネルギー関係、幾つか私、別のところでも申し上げたので、それは繰り返しませんが、今回の農水省さんにも、国交省さんにもご報告いただいて、大変ありがとうございました。久保さんから農水省さんの取組についてご紹介いただいたと思うんですが、やっぱり再生可能エネルギー導入していく一つのポテンシャルというのは、やはり農業者と協力をした形での展開だというふうに思います。実際、環境省を中心に選定された脱炭素先行地域にも、自治体からそうした提案が複数出ていると思います。そういう意味で、農地、農業者をしっかり支えながら行う再エネ導入発電事業というのは、どういう形でできるかということを、ぜひご検討いただけないかなというふうに思います。これはみどりの食料システム戦略でも農林水産業のゼロエミッション化、それからそのための再エネ導入というのは、非常に重要な柱になっていると思っていまして、こうした、繰り返しますけれども、農業者と農業への支える発電事業の在り方というのをぜひ、これは経産省さんも関わってくる話だと思いますけれども、検討いただけないかと思います。
同じように、食品産業が今Scope3対応で原材料調達、農業生産の排出が、どうしてもScope3の場合、食品産業大きいので、実際に原材料を調達される農業者と一緒に取り組んでらっしゃるケースが出てきていまして、その意味でこれもまた非常にマルティプルな多元的な便益が大きい取組だというふうに思っています。すみません、本当の最後ですけれども、農水者さんがこの補助金を受ける農家さんに対して、最低限の自然環境への悪影響を減らす取組について確認を求めて、農林水産業の皆さんのこうした意識を変えて、それを一種補助金の要件にされている取組を始めていらっしゃると思います。これ農水省さんだけでなく、ぜひ政府の中で補助金をこういう形でも使って、やはり申請をされる事業者、農業者ももちろん含めてですけれども、補助金を使ったやはりインセンティブの与え方というのは、ぜひ検討いただけないかなというふうに思っています。これもまさに横断的でないと議論できない。横断的だからこそ効果のある政策だと思います。
以上です。
下田委員長
ありがとうございました。続きまして鶴崎委員、お願いします。
鶴崎委員
私も皆さんと同じなんですが、全体の進捗、オントラックというご説明だったわけですけれども、長期的に考えると非常に厳しい状況にあると受け止めております。それで、それに関連して事業者サイドの取組に関して2点申し上げたいと思います。
まず一つは、様々な慣習やルールに関して、改めて見直す必要があるんではないかと感じております。現在進めているような対策をさらに深掘りしていくに当たりまして、もう技術的な限界も見えてきておりますので、難易度は高くなってきていると思います。一方、事業サイドの対策というのは、エネルギーをサービスに転換する、そういう変換効率を向上させるタイプのものがこれまで中心だったと思うんですけれども、今後はそのサービスが生み出す価値ですとか、ニーズそのものに遡って、最適なサービスの水準や、あるいは方法を見つめ直す、そこにはまだ可能性があると思っています。オンライン会議によって移動が減少するということを、今まさに経験しているわけですけれども、例えば東日本大震災後に節電のために照明が間引きされたわけですが、半分程度の明かりでも特に問題ないと感じるような場所が多々ありました。この背景には照度に関するルールがあるわけですが、照明に限らず過去に作られたルールが今も適切なのかどうか。過度に安全率が見込まれ、過剰なエネルギー消費を要求するものになっていないか。そうした点を点検していく必要があるんだろうと思います。現行計画の対策の訂正19番にルールのイノベーションという言葉がありますが、こういったコンセプト、考え方は、様々な領域で有効だと感じています。
もう1点、2点目ですが、対策の効果に関するエビデンスの更新、あるいは精査が必要ではないかと感じています。例を挙げますと、対策25番ですね。HEMSなどによるエネルギー管理の実施というところになりますが、こちら省エネ率が10%と想定されております。出典がないんですけれども、約20年前にNEDOで実施された複数の実証プロジェクト、私も関わりがあったんですけれども、そちらで高い成果を挙げたプロジェクトの数値が採用されていると思います。その是非はともかく、もう20年たっていますので、そろそろエビデンスを検証したほうがいいと思います。恐らくBEMSも2000年代に実施された補助事業のエビデンスを使っていると思うんですが、ここもそろそろ見直しができるんじゃないかと。例えばHEMSに関しては今年の1月にエネルギー・資源学会のコンファレンスで、環境省の家庭CO2統計をもとにHEMSの省エネ効果を分析した、そういう研究成果が電力中央研究所さんから報告されています。これによると省エネ率は5.7%。ただ、残念ながら統計的な有意差はないとされてます。
それから、この普及量のほうもちょっと気になっていまして、HEMSとスマートホームデバイスがセットになっているんです。このスマートホームデバイスって何かというと、出典の調査を見るとスマートスピーカー。例えばGoogle HomeだとかAmazon Echoなど、こういうもののようなんです。ただ、これも入れて省エネ率10%いきますというのは、いささか現段階では疑問がございます。要するに、エビデンスが古くなっていないかどうか、それから、そのエビデンスの適用範囲は妥当かという視点で見直しをしてほしいと思います。数字が減るような見直しは、なかなか気が進まないかもしれませんけれども、実はこのエネルギーの管理の徹底というところ、これは家庭に限らず、業務・産業に共通して、潮目が変わりつつあると感じています。これまでたくさんのビッグデータを蓄積しても、ちょっと宝の持ち腐れといいますか、なかなか活用できないという話が多々ありましたが、ここにきてAIによる学習、それに基づくサービス、そしてシミュレーションの技術が、急速に発展してきています。人手だけでは厳しかったきめ細かい管理が、実際にできるようになりつつあります。そうした観点も含めて、新しいエビデンスを取りに行くんだというような気持ちで前向きにご検討いただければと思っています。
私からは以上です。
下田委員長
ありがとうございました。それでは、岩船委員お願いします。
岩船委員
岩船でございます。ご説明ありがとうございました。まさに今鶴崎委員に言われてしまいましたHEMSの部分は、私も感じているところでした。もう既に普通のHEMSというよりは、エコキュートをIoTで制御するとか、どちらかというと機器単位とかクラウド型等になったりしていますので、この最初にHEMSと言われた頃から大分時代がたっていますと。そういうこともあり、やはりこの項目自体をもう少し精査していただきたい。かつ今回、結果として出たDに当たる部分。あまり思うように進んでいない部分などは、なぜそうなったのかとか、これ以上やりようがないのか。バリアですとか目標を修正する必要があるかというような点で少し深掘りして、そういうところにフォーカスしてご説明いただく必要があるのではないかと思いました。
省庁さんの取組に関しては、やるべきことややろうとしていることは分かりましたし、省庁間の垣根は、私も以前よりも大分下がっているなということを日々感じております。ただ、やはり全体的には、これをやりますというような総花的な話に見えてしまいますので、定量的に、何が具体的にどこまでやって、どのぐらいCO2を減らせて、それがどの地点まで出来ましたというような、やっぱりそういう定量的なエビデンスを見せていただきたいと思いました。
あと、一番大きい話としては、もちろん温暖化対策、取り組むことは重要なんですけど、やっぱりそもそも費用負担に関しても併せて議論していく必要があるのではないかと思います。大口の需要家さんにおける脱炭素というのは、ある程度企業として環境対応が必須。それが資金調達等にも影響するということで、動機があります。またGX等によって、環境対策技術への支援というのが、これ自体が成長の機会になる。だから取組を進めるという分野もあると思います。その辺りはある程度今の方法で進むわけです、脱炭素への取組は。ですけれども、一般消費者や中小企業に関してはどうかといいますと、やっぱり動機があまりない状況だと思うんです。何で決まるかというと、やっぱり負担と効用のバランスで、温暖化政策に取り組むかどうかということが決まるのだと思います。特に、一般消費者が関連する建物政策というのは、新築時に選んだ燃料というロックインの効果も高いので、先ほどどなたかのお話にもありましたけれども、時間軸を意識すると、早めになるべく低炭素のものを選んでいただくということが重要になるわけです。という意味で、将来のゼロにする話と、今の足元の政策が、正直言ってあまり結びついていないんじゃないかなと思います。
具体的に言えば、例えばカーボンニュートラルに関しては、電化というのが重要なオプションだと、費用対効果の高いオプションだと思うんですけれども、今足元では電気料金が値上げされて、だけど一方で、灯油は、ガソリンもなんですけども、結局ガソリン補助金に連動して値段が上がらないわけです。とすると、寒冷地でわざわざオール電化で建てたおうちが、灯油に転換しますみたいな話も最近聞いています。ということは、結局、CO2に連動したコストが設定されていないために、そちらへの誘導が効かないということになると思います。今、皆さん電気料金には非常に敏感で、電気だけが上がるイメージをすごく持たれているんですけれども、本来は補助金等の話で、そこがゆがめられているのではないか。この話というのは非常に政治的な問題なので、これはもう政治で解決してもらうしかない部分もあります。
今CO2にお金をつけるとか、取引の話も始まってきますので、ある程度、環境負荷に応じた適正なコスト負担というのは設計されていくことになると思うんですけども、まずそこなしには、特に需要家側、負担に敏感な需要家側の脱炭素への取組は進まないというのが足元で思うところです。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
下田委員長
ありがとうございました。次、大塚委員お願いします。ご発言希望の方は今手を挙げていただきますよう、お願いします。
大塚委員
どうも大塚です。申し訳ありません。先ほど環境省さんにお答えいただいたんですけど、さらに食品ロスに関してお伺いしたかったのは、減ってきた理由は大体分かりましたけれども、最近停滞しているので、こちらのほうの要因分析はどうなのかというのを聞きたかったということですので、もしお答えいただけたらありがたいです。
あと高村委員がおっしゃった省庁間で具体的な削減課題について連携を進めるというのは、私も大賛成で、再エネに関して農業者との協力の話をされましたが、ソーラーシェアリングは私も非常に大きなポイントになると思っていますので、ぜひやっていただけるとありがたいと思いますし、先ほど私が触れましたSAFの話も、国交省さんと環境省さんで連携していただけるとありがたいと思います。
以上です。恐れ入ります。
下田委員長
ありがとうございました。取りあえず最後に私から一言申し上げて、また事務局からご回答いただきたいと思います。
ほかの委員の方もおっしゃいましたけれども、この日本の削減目標を個々の対策の積み上げで表現して、その対策の進捗状況を毎年チェックしていくというやり方というのは、ほかの国に例を見ないものでありまして、先進国に比べて、削減目標が順調に削減でき、達成できているということはやっぱりこのシステムを海外にもアピールしていくということが大事だろうというふうに思っております。
それから、この後の対策として、今日GXの話等、頂戴しました。やはりこれからそういうGXにつなげていくというところもご発言あったと思いますけれども、やはり技術の需要をしっかり作っていくということが大事だというふうに思っております。そのためには、特に暮らしの部分ですとか、中小企業を対象にする部分ですとかは、やはり国民全般の理解、意識の変容といいますか、そういうところが非常に大事になってくると。そこは難しいんですけれども、ただ、ここまで国が様々な施策をこれだけ熱心に展開しているということを、もっと広く広報していただくということが、そういう国民の理解増進のためには大事じゃないかというふうに感じました。
それで、今の状況なんですけど、高村委員もおっしゃったように、ちょっと私は業務用のトップランナー、これだけがDになっているというのが少し疑問に思いまして、この辺もし何か見解があれば教えていただきたいのと、やはり今オントラックになっている原因というのは、産業部分で対策が進んでいるというよりは、やはりアクティビティが少し落ちているというところが原因になっているのだろうと思います。これは海外でその生産が外に行った分だけ排出が増えているという可能性もあるわけで、それがいいことだというふうには判断できないというふうに考えております。そういう意味では、当初の計画を着実に達成していくということが大事だと思っているんですけれども、まず気になっているのは、再生可能エネルギーです。全体的に言うと、もちろん進んでいるんですけれども、個票を見ますと、これを真っすぐ伸ばしていくと目標に届かないと。この後、大体3割ぐらい加速しないと目標に行かないという状況ですから、これがどうなるのか。今取り組んでおられるのが、風力の少しリードタイムの長いものが多いので、そういうものを考えると順調なのか。あるいは、やはりそのほかの加速する対策の材料を少し準備しておかないと、あと5年しかありませんので、そういうこともしないといけないのかというところが少し本日は気になったというところでございます。
私からは以上でございます。それでは事務局からお願いします。
総務課長
まず、環境省でございます。全体的な話として、まず私のほうから申し上げます。
もう繰り返しになりますが、2030年以降の展望ということでございます。次期NDC本体計画の見直しの中で、2030年以降の展望、そういったものについてももちろん検討いたしますし、2030年までの今の現行のこの計画にあります個票、あと鶴崎委員初め、ありましたエビデンスですね。そういったものの更新、そういったこともちゃんとやっていかなければならないと思っております。勢一委員からありましたとおり、施策によって確かにタイムスパン、時間軸、そういったものも考えなければなりません。分厚い今回の資料3の中にも、幾つか、定量的には示せないんですが、定性的なものとして評価をしているものもございます。今後個人的に思いますのは、2030年以降の本体計画の見直しも含めた全体計画の見直しという中で、やはりますます技術革新が起こり、今まさにグリーンイノベーション基金とかで技術開発しているものが世の中に出ていく、そういったことも含めまして、技術革新がますます起こっていたり、あと世の中のそういった様々な動向、変化がございますので、そういったものをどうやって柔軟にその計画の中で受け止めていけるのか。あともう一つは、進捗管理のやり方についても、6月下旬以降の新しい委員会の中での議論にしたいというふうに思っているところでございます。
あと勢一委員からありましたけれども、地方自治体の中での各部局との連携、そういったこともご指摘のとおりだと思います。例えば地域脱炭素ということで、先ほどご説明しましたけれども、先行地域などのものに当たりまして、地方支分部局、関係する主要部局とも連携してやっております。そういったものが、恐らくは地方公共団体の環境部局、あと企業の部局、農業の部局、様々そういったところにも影響し始めているものだと思いますが、さらに取組を進めたいと思います。
あと特に地域の取組の中で、こういった温暖化対策だけでなく適応策、あと資源循環、ネイチャーポジティブ、そういったものとの調和、総合的な政策、そういったものの必要性というのもごもっともだと思います。非常に難しい課題ではございますけれども、先般、閣議決定しました環境基本計画の中にも、そういったものの重要性がうたわれておりますので、閣議決定している計画でございますので、少し時間かかるかもしれませんが、関係省庁で連携してやってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
個別につきましてでございますが、まず高村委員からあった御指摘含めて、温対課長お願いいたします。
地球温暖化対策課長
温暖化対策課長の吉野でございます。まず、再エネに関するご指摘がたくさんありましたけれども、政府全体としてはエネ庁さんのほうでFIT・FIP制度ですとか、出力制度対策ですとか、系統整備、そのへんの全体像をまとめながら進めているところでありまして、その中で今日はソーラーシェアリングの話もありました。例えば農水省さんとの連携ですとか、あと例えばダムとか、水面ですね。そういったところでしたら、例えば国土交通省さんと連携とか、そういったところも含めて再エネの各省連携はより進めていきたいと思っております。
それから、政府全体の再エネ政策の中で、環境省の役割としては、一つに今話にもあった地域共生型の再エネということでございまして、これは伊藤委員からもご指摘ございましたし、勢一委員からもご指摘ありました地産地消ですとか、エビデンスの観点とか、そういったことも含めて、そこのところの意識は常に持っておりますし、脱炭素先行地域ですとか、重点対策なんかでも、そういったところは認識して進めていければなと思っております。
それからあと中小企業の脱炭素支援の話もありましたけれども、ここも地方自治体、商工会議所等々が入りまして、地域ぐるみで支援するための体制づくりとかをやっておりまして、これは関係省庁とも連携してやっておるところでありますので、そこは委員長からも、暮らしとか中小企業の面から需要をしっかりということございましたけれども、供給側の仕組みを暮らしとかサプライチェーン、需要家で支える取組は環境省としてもしっかりやっていきたいと思います。
それから、最後に高村先生からの公共部門の率先導入につきまして、こちらは別途の委員会でもご指摘をいただいておりまして、おっしゃるとおり、50%以上の目標に関して見ますと、今20%を超えたぐらいのところなんですけれども、容量ベースでいきますと、まだまだということなので、関係府省との連絡会議を昨年立ち上げまして、かつ全省庁入っていただいて取り組んでいるところでございます。引き続き、独法も含めて、国立大学法人も含めてということでございますので、いろんなところが関係してくると思いますけれども、引き続き政府全体として進めていきたいと思っております。
以上です。
総務課長
ありがとうございます。次に、食品ロスの関係で、再循局のほうからお願いできますか。
リサイクル推進室
環境省リサイクル推進室の金井と申します。大塚先生から食品ロスに関して、最近停滞している要因に関して追加でご質問いただきましてありがとうございます。ご指摘のトレンドに関しては、確たる証拠を持って言えることがあるかどうかについてですけれども、例えば近年ですと、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響を、何らか受けているとは思われますけれども、近年どのようなメカニズムが生じているかというのは必ずしも明らかでないという状況で、今後は近年のトレンドのレビューが必要というふうに考えているところでした。
今年度は食品ロス削減推進法と食品リサイクル法、共に基本方針の見直しの年次に当たっております。これらの検討を通して、近年のトレンドについて今後評価を精査をしてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
総務課長
ありがとうございます。経産省さんお願いできますでしょうか。
経済産業省産業技術環境局環境政策課GX推進企画室長
ありがとうございます。エネルギーマネジメントシステム、また産業部分の対策という部分でご指摘をいただきました。HEMSについて申し上げますと、この課題の中にも書いておりますとおり、2019年度までは順調に進捗でございましたが、そこから変曲点ございまして、一旦下がりまして、また2022年度にかけては、もう一度普及が広がっているという状況で、2019から2020年にかけまして、コロナ禍におきましては、サプライチェーンに大きな影響があったというタイミングかと思ってございます。ちょっとその関係について、さらにこの場で詳細な分析は申し上げられるようなことはございませんけれども、そういった状況の中で、この2年ほど大きな変化を踏まえながら動いているといった状況かと思います。また、ご指摘ありましたとおり、省エネが進んだことなのか、それとも生産量なのかという、その両面あろうかと思ってございまして、2022年度にかけましては、4月が下がっている部分、産業部門について、やっぱり鉄鋼の生産量が落ちているというのも一面あったかと思ってございまして、そういった着実に順調に進捗しているという部分と、さらにこれから対策をしっかり考えなければいけない部分という両面あるかと思ってございますので、しっかりと分析し、取り組んでまいりたいというように思っているところでございます。
電気代、燃料代という関係で、補助といった部分でご指摘をいただいてございます。これも政策目的として、まずある目的を持って立ち上げたといたものではございますけれども、ご指摘いただきましたとおり、カーボンプライシングといったようなものを取り組みながら、こういったものも全体的にどのような整合させていくかをしていくかというところ、様々な施策がございますけれども、その中でどう整合させていくかというところは、しっかり検討し取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
再エネにつきましては、今後、最大限導入していくというところは引き続き変わっていないところでございまして、設備もそうですけれども、それ以外の系統も含めて、あらゆる対策まいりまして、一部リードタイムがあるものもございますけれども、野心的な目標に向けて取り組んでまいりたいというところでございます。
以上でございます。
総務課長
ありがとうございます。農水省さんのほうから、高村先生のご質問に対して、よろしくお願いします。
農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ
はい、ありがとうございます。みどりの食料システム戦略グループの大津山と申します。
高村委員からは、農業者もよくよく含めた形で再生可能エネルギーの導入を進めるべきといったご意見をいただきました。これについては、当省も認識は同じくしておりまして、再生可能エネルギーの農山漁村における導入に当たっては、バイオマスや土地、水等の資源を有効活用しながら、地域の活性化や所得向上につなげていくことが非常に重要ですというふうに考えておりますので、優良農地のほうを確保しながら、農山漁村の活力向上ですとか、あとは農林漁業の発展に資する形で引き続き再生可能エネルギーの導入拡大のほうを進めてまいりたいというふうに考えてございます。
それから、高村委員からは、恐らく当省が進めているクロスコンプライアンスの取組についてご紹介いただけたと思いますので、簡単に説明させていただければと思いますけれども、農林水産省の今全ての補助事業等に対して、最低限行うべき環境負荷低減の取組の実践を義務化するクロスコンプライアンスというものを導入してございまして、こちらは令和9年度の実施を目標に、令和6年度から試行実施してございます。引き続きみどりの食料システム戦略に基づき、食料の調達から消費に至るまでの各段階において、温室効果ガスの削減吸収の拡大も含めた形で環境負荷低減の取組を進めてまいりたいというふうに考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
以上です。
総務課長
ありがとうございます。全てについて十分お答えできてないかもしれませんが、いずれにしましても、こういった進捗評価自体は重要なことでございますので、さらにエビデンス、施策の深掘り、そういったものにつなげていくということと、繰り返しになりますけれども、地球温暖化対策計画の見直し、そういったこともやっていきますので、今日いただきましたご意見も参考に、対策、そういったことについても検討を続けてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
以上です。
下田委員長
ありがとうございました。活発な議論を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。
それでは、今回の内容は、地球温暖化対策推進本部の政府全体の進捗点検の資料として報告していただくことにしたいと思います。
次に、議題3番につきまして、事務局から何かありますでしょうか。
総務課長
特段ございません。
下田委員長
ありがとうございました。それでは、以上で本日の議事は全て終了でございます。円滑な進行にご協力いただきまして、誠にありがとうございました。事務局にお返しします。
脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。委員の皆様におかれましては、大変活発なご議論をありがとうございました。本日の会議を踏まえまして、6月に開催予定の地球温暖化対策推進本部幹事会への報告をさせていただきます。なお、本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきました後に、ホームページに掲載をさせていただきます。
以上でございます。本日はありがとうございました。
午後3時35分 閉会