中央環境審議会地球環境部会 地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会 ・産業構造審議会イノベーション・環境分科会 地球環境小委員会 合同会議(第3回)議事録
開催日時
令和7年7月28日(月)15時00分 ~ 17時00分
開催場所
WEBによる開催
議題
(1)2023 年度における地球温暖化対策計画の進捗状況(案)について
(2)各省の施策について
(3)その他
資料一覧
議事次第
資料1:中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会 委員名簿
資料2:産業構造審議会イノベーション・環境分科会地球環境小委員会 委員名簿
資料3:2023年度における地球温暖化対策計画の進捗状況(概要)
資料4:2023年度における地球温暖化対策計画の進捗状況(案)
資料5:環境省関連対策・施策の進捗及び今後の取組について
資料6:我が国のGX政策の進捗について
資料7:みどりの食料システム戦略と農林水産分野における地球温暖化対策
資料8:GXの実現に向けた国土交通省の取組について
参考資料:2023年度における対策・施策の進捗状況(参考)
議事録
脱炭素社会移行推進室午後3時00分 開会
経済産業省GX推進企画室(藤井)
定刻となりましたので、ただいまから、中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会・産業構造審議会イノベーション・環境分科会地球環境小委員会、第3回を開催します。
経済産業省GX推進企画室の藤井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議は、ウェブにより開催させていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信し、動画は会議後、議事録公開までの間、ウェブ上で公開予定です。
地球温暖化対策は、GXによる取組の加速化を含め、各府省庁連携のもと、より一層推進していくことが重要であるため、本日の会議では関係省庁にも出席いただき、農林水産省、国土交通省からは、本日の議事(2)において、施策の報告をしていただく予定です。
ただし、本日の会議はあくまで環境省及び経産省の審議会であり、農水省、国交省は、それぞれの審議会において個別に施策の審議等を実施しているため、報告事項となります。
それでは、本合同会合の委員長をご紹介いたします。
産業構造審議会イノベーション・環境分科会地球環境小委員会委員長の大橋委員長です。
中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会、委員長の下田委員長です。
次に、本合同会合は資料1、2委員名簿の委員にご参画いただき、本日は、産業構造審議会側は6名、中央環境審議会側は7名の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、専門委員会として成立していることをご報告いたします。
それでは、本日の議事進行は大橋委員長にお願いしたいと思います。大橋委員長、よろしくお願いいたします。
大橋委員長
皆さんこんにちは。本日も大変お暑い中、オンラインですけれど、ご参集いただきましてありがとうございます。
本日、議題三つございまして、順にやっていきたいと思います。
最初の議題の1、2003年度における地球温暖化対策計画の進捗状況(案)について。これは環境省からご説明をいただいて、その後、議事の2、これは各省の施策ですけれども、これについては各府省からご説明いただきます。その後に、皆さんと討議をさせていただくということで進めさせていただきます。
それでは、順番としては、環境省、経済産業省、農林水産省、国土交通省と、この順番でご説明いただくということですので、それでは、まず環境省様のほうから資料3、4についてご説明を、まずいただけますでしょうか。
環境省(福永)
ありがとうございます。環境省の事務局の福永と申します。
それでは、資料3に基づきまして、2023年度における地球温暖化対策計画の進捗状況ということでご説明をさせていただきます。
まず、ネット・ゼロに向けた進捗ということでございまして、2023年度の実績、吸収量でございますが、10億1,700万tということで、前年度比4.2%減少、そして2013年度比では27.1%減少という形になっております。過去最低値ということで、2050年ネット・ゼロに向けた減少傾向を継続してございます。
続きまして、2030年度目標に向けた2023年度実績の進捗ということでございまして、ちょっとスライドが遅れております。2023年度の実績と2023年度削減率というものをお示ししております。こちらが2013年度実績と2030年度目標との比較となってございます。
続きまして、部門別のCO2排出量の推移ということで、エネルギー起源のCO2排出量については、全ての部門で2022年度から減少を続けてございます。
続きまして、進捗要因分析ということで、各部門別にお示ししておりますけれども、こちらの表の見方でございますが、各年度で括弧で、削減量の後の進捗率、こちらにつきましては、2030年度の削減量に対する2023年度の削減量を割合でお示ししております。
さらに各年度の左側にパーセンテージがございますけれども、こちらにつきましては、各年度の総削減量に占める各要因の削減割合をお示ししております。
赤色のところがCO2排出係数の改善ということで、こちら各部門で異なっておりますけれども、こちらにつきましては電力や燃料の比率ですとか、電力の自家発電の比率が部門により異なるため、異なってございます。
続いて、黄色のところが省エネの削減量、そして緑色のところが活動量の削減量という形になってございます。こちらは産業部門をお示ししておりまして、次が業務その他部門ということで、こちらにつきましては、省エネの削減がかなり進んでいるという状況でございますが、2030年に向けては、引き続き対策を進めていくことが重要だというふうに考えてございます。
続いて家庭部門でございますが、こちらにつきましては省エネのところが3,900万tということで、進捗率52%ということでございますので、2030年度に向けては一層取組を進めていくことが重要だというふうに考えてございます。
続いて、運輸部門でございますけれども、こちらにつきましてはCO2排出係数の改善と省エネとを共に、より一層削減を進めていく必要があるということで分析をしてございます。
続いて、エネルギー起源CO2以外のGHCということで、非エネルギー起源CO2、メタン、N2O、フロン類という形でございまして、主にフロン類の関係で、ちょっと上に凸という形になっておりますけれども、直近で、フロンに関しましても、減少傾向、トレンドを転換したという形で、こちらのグラフでも削減が見えてきているかなという形でございます。
続いて、ここからが各部門の進捗状況ということで、昨年度までA・B・C・D・Eで評価していたところを、進捗率という絶対値の値を導入いたしまして、評価をしてございます。
上の表ですけれども、2030年度の排出削減見込み量がそれぞれ大きいものから順に左に並べておりまして、その対策を上から順に並べて進捗率がどうなっているかというものをお示ししたのが下の表となってございます。
こちらは産業部門ですので、様々な産業対策もありつつ、あと関係者の関係で燃料転換ですとか、あと農水省の関係で施設園芸の省エネ設備の導入といった対策が入ってございます。こちらの進捗率につきましては、2030年度の削減見込量に対して2023年度でどこまで来ているかということをお示ししている表になってございます。
続きまして、業務部門でございますけれども、業務部門につきましては、建築物の関係です。新築、改修ありますけれども、省エネルギー化の対策が含まれておりまして、そのほか、高効率照明の導入といったところは200%を超えているといった進捗でございます。そのほか環境省の関係で廃棄物があったり、国交省の関係で下水道があったりと。あと10番の国の率先的取組というところは、政府実行計画の関係でございます。
続いて家庭部門でございますが、こちらにつきましては高効率給湯器、高効率照明の導入といったところがあるのと、あと住宅の省エネ化です。こちらも新築、改修とございます。
続いて運輸部門でございますけれども、こちらにつきましては、次世代自動車の普及、燃費改善といったところが大きな割合を占めておりますけれども、それが一番上に来ておりまして、それ以外にも、トラック輸送、鉄道、航空、そして海上輸送といったところがこの分野で入ってございます。
続いて、エネルギー起源CO2以外のGHGといったところでは、フロン関係の対策が多く入っているのと、あと廃プラスチックのリサイクルですとか、バイオマスプラスチック類の普及といった分野と、あと水田メタンの排出削減といった対策がこちらでお示しをしてございます。
続いて、産業界の取組として自主行動計画の着実な実施と評価・検証ということで、こちらにつきましては各業界の業種別に評価をしておりまして、Aが、2023年の実績が既に30年度目標を上回るもの、こちらが48業種で、Bが、基準年度比/BAU比で削減しているものの、30年度目標は下回っているもの、こちらは59業種。そして、23年度実績が30年度目標を下回ってかつ基準年度/BAU比で増加しているもの、こちらが2業種となってございます。
もう一つです。資料4のほうで先ほどエネルギー転換部門でこちらを紹介させていただきますと、個票の番号で47番、こちらが電力分野の二酸化炭素排出削減の原単位の低減ということで、上の段が火力発電の高効率化、下の段がその安全性の確保を前提とした原子力発電の活用、再生可能エネルギーの最大限導入というところで、こちらの排出削減量で見ていきますと、上の段のほうが118%、下の段のほうが42%という進捗となってございます。
また、もう一つ再生可能エネルギーの関係で48番の個票がございますが、上の段が電気のほうの再エネの利用。そして、下の段が熱のほうの利用の拡大ですけれども、電気のほうの進捗が52%、熱のほうの進捗が10%となってございます。
資料4の関係は、以上でございます。
続きまして、資料5のほうを説明させていただきます。
脱炭素社会移行推進室長(加藤)
続きまして、脱炭素社会移行推進室長の加藤のほうから、資料5、環境省関連対策・施策の進捗及び今後の取組についてを説明いたします。
スライド1の目次のとおり、1から7の順に説明を差し上げます。
まずは1、エネルギー需要側対策・再エネ・省エネ関連ということになります。スライド3のとおり、①がくらしの脱炭素化。②が、公共部門の脱炭素化。③バリューチェーン全体の脱炭素化。④として再エネ主力電源化等に向けた取組についてということになりますので、この順に説明を差し上げます。
スライド4からでございますが、くらしの脱炭素化については、スライド5のとおり、2022年の10月からデコ活を実施しております。また、住宅建築物の脱炭素化を進めております。デコ活につきましては、スライド9のとおり、衣・食・住、職場・移動・買物・基盤という7分野での取組を行っております。
住宅については、スライド18のとおり、窓等の断熱リフォームに加えて、2024年度からは新築住宅についてGX志向型住宅に対する支援を開始しております。
建築物についても、スライド19のとおり、既存建築物の省CO2改修支援事業を2023年度の補正から創設しております。
スライド22からの公共部門の脱炭素化については、スライド24にございますとおり、本年2月に政府実行計画を閣議決定しておりまして、2035年度に65%削減、2040年度に79%削減という新たな削減目標を設定しております。
また、スライド32のとおり、GX製品等の市場創造に向けたグリーン購入法基本方針の変更閣議決定を本年1月に行っております。
スライド34からの③バリューチェーン全体の脱炭素化につきましては、スライド40のような、バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル事業、またスライド42のような地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業等を実施しております。
また、スライド56のように、本年5月よりサプライサイドとデマンドサイドの取組の好循環に向けて、グリーン製品の需要創出等によるバリューチェーン全体の脱炭素化に向けた検討会を開催しております。
スライド57からの④再エネ主力電源化等に向けた取組については、スライド58のとおり、民間企業や住宅における再エネ自家消費の推進に取り組んでいるところでございます。
続いて、スライド70からの2、地域脱炭素関連でございます。
スライド71のとおり、地域脱炭素ロードマップを令和3年に策定し、取組を進めております。
スライド72にある地域脱炭素ロードマップの進捗状況でございますが、地域脱炭素先行地域は、88地域を選定。重点対策加速化事業については、171地方公共団体を選定し、地域脱炭素を進めているところでございます。
また、スライド83のとおり、次の展開として、2026年度以降の取組を、地域脱炭素2.0という形で取りまとめております。
スライド87からの3、フロン関係につきましては、スライド88のとおり、2023年が2022年比で3.9%の減となっておりまして、それまで増加傾向にあったHFCにつきまして、削減傾向が明確になってきたところでございます。
スライド92のとおり、冷媒転換の促進、機器使用中の大気放出の抑制、機器廃棄時の冷媒回収の徹底という三本柱取り組んでおりまして、スライド93のとおり、経産省と連携しつつ、低GWPP冷媒の開発、自然冷媒機器の導入支援、改正フロン法施行5年経過による見直し等の取組を推進していくこととしております。
スライド94からの4、廃棄物関連につきましては、スライド99のとおり、令和6年8月に第五次循環基本計画を策定しておりますが、サーキュラーエコノミーを通じて、製品等のライフサイクル全体における温室効果ガスの低減に貢献していくこととしております。
スライド106からの5、吸収源対策につきましては、スライド108のとおり、吸収源対策、CO2除去技術には様々な対策がございますが、領海を含むEEZの総面積が世界6位という強みを生かしたブルーカーボンや、資源小国と言われる我が国において、石灰石が自給率100%を誇る地下資源であることを踏まえた環境配慮型コンクリートの取組を、それぞれスライド109から110、スライド111から112のように取り組んでおるところでございます。
スライド113からの6、国際関係につきましては、スライド123のアジア・ゼロエミッション共同体を推進していくという観点から、スライド124から129のとおり、二国間クレジット制度の取組を推進しているところでございます。
スライド135からの7、その他環境省関連対策・施策としては、スライド137の①モビリティの脱炭素化として、スライド138から141のとおり、商用車、公共交通、鉄道、船舶、航空分野の脱炭素化を、国土交通省さんと連携して取り組んでおります。
スライド142からの②気候変動に係る研究、観測、監視については、スライド144のとおり、温室効果ガスの観測技術衛星3号機に当たるGOSAT-GWを、先月6月29日に打ち上げ、観測体制を確立し、各国の排出量推計精度向上等に取り組んでいるところでございます。
その他、スライド146の③ESD、スライド148のゼロカーボンパークにも取り組んでおります。これらの対策・施策の着実な実施に加え、加速化、深掘りを目指し、引き続き関係省庁とも連携しながら、環境省として対策の推進と施策のさらなる検討を進めていきたいと考えております。
以上でございます。
大橋委員長
続いて、経産省さんお願いします。
経済産業省GX推進企画室(河野)
続きまして、経済産業省のほうから、資料の6につきましてご説明させていただきます。GXグループGX推進企画室の河野と申します。
おめくりいただきまして、2枚目ですが、これまでのGXの進捗状況ということで、2023年2月の基本方針閣議決定から、上から下に施策のポイントを示しています。特に、成長志向型カーボンプライシング構想などが進みまして、企業のGX投資の検討・実行などが着実に進展をしてきているところです。
2ページ目、今後も、できる限り予見性を高めて日本の成長に不可欠な国内投資、これを後押しするために、より長期的な視線に立ったGXビジョン、こちらが必要ということで今年の2月に閣議決定をいたしました。
3ページ目に、そのGXビジョンの閣議決定のポイント、概要を示しております。合計8つの項目から成り立っておりますけれども、一つ目、1番上、GX2040ビジョンの全体像ということで、先ほど申し上げた通り、これの次のページですね。3ページ目ですけれども、GXビジョンの概要ということで、先ほど申し上げた通り、将来見通しに対する不確実性が高まる中で、投資の予見可能性、これを高めるための、長期的な方向性を示すというふうにしてございます。
左上に2ポツで、GX産業構造、後ほど少し大きな方向性をご紹介させていただきます。
3ポツのGX産業立地、こちらも同じです。
その下、4ポツで、現実的なトランジションの重要性、それから世界の脱炭素化への貢献、こちらも、AZEC等の取組を通じた貢献を示しています。
右上に5ポツ、GXを加速させるための個別分野の取組ということで、個別の分野、エネルギー、産業、くらし、次のスライドでご紹介しますが、その取組について、定義をしてございます。
その下6ポツで、成長志向型カーボンプライシング構想ということで、こちらも、5月の通常国会でお認めいただいたGX推進法改正案、こちらによって本格稼働を2026年度から行うということで、今回でご了解をいただいたものになります。
その他、7ポツの公正な移行、8ポツの進捗と見直し、こちらを整理させていただいてございます。以上が3ページ目です。
続きまして4ページ目で、GX投資支援策、こちらをご紹介してございます。次のページですね。革新技術の開発ということで、既に3兆円、右上のところにペロブスカイト、水素還元製鉄、アンモニア専焼などをご紹介してございますが、こうした措置をしてございます。
GX投資支援策の主な実行状況ということで、一番上が革新技術開発ということで、右上にペロブスカイト、水素還元製鉄、アンモニア専焼などを書いてございますけれども、既に3兆円規模を措置ということで進めさせていただいております。
その下、多排出産業の構造転換。これも10年間で1.3兆円。
それから、くらしのGX。
下のほうに水素、次世代再エネ、中小企業・スタートアップなどについて、それぞれ兆円単位の支援措置を講じてきているところでございます。
続きまして、5ページ目ですけれども、GI、グリーンイノベーション基金の進捗ということでございます。
官民で野心的かつ具体的目標を共有した上で、企業に対して最長10年間、革新的な技術開発を中心に、社会実装までを視野に支援をするというものでございまして。
これまで20プロジェクトを組成して、2兆円を超える支援先の決定ということを示させていただいております。
左下にあるような、日本製鉄、CO2の排出量を大幅に削減する技術でございます。
また、右下にあるような、日本発の次世代技術開発を進めている状況であります。
続いて6ページ目、先進的な技術への支援に加えて、我が国の裾野となる中小企業に対して、そのGX推進を進める施策パッケージ、こちらを6ページ目にまとめてございます。
中小企業が主に抱える課題を三つ記載してございます。
一つ目、GXのメリットや取組方法、それから自らの排出量などがなかなか分からない。
二つ目、上の真ん中です。具体的な取組の進め方、それから計画の立て方、これがなかなか分からない。
三つ目、右上、GXに取り組みたいけれども資金が不足している。
それぞれに対して、左の下、真ん中の下、右の下のように、中小機構による支援であったり、あるいは省エネの補助金や診断みたいなサポートでありましたり、あるいは地域の商工会や金融機関のような支援機関、こちらの取組やネットワーク化をサポートするといった取組を進めさせていただいております。
続きまして、7ページ目、GXリーグについて進捗を示しています。
こちらCNへの移行、これに向けた挑戦を果敢に行うと、ビジネスに勝てる企業群、こちらがGXを牽引する枠組みとして発足したGXリーグですけれども、今後サプライチェーンでの排出削減を通じたGX市場創造を推し進めていきたいと考えておりまして、一番下に足元のBtoC企業の状況等も踏まえて検討し、現実的かつ効果的な取組、こちらを促進していきたいということで考えております。
下の表に第1フェーズ、第2フェーズとあります。
第2フェーズのほうで、赤い文字で書いていますけれども、GX市場創造に向けた取組ということに注力をして、今後検討を深めていくことになってございます。
続きまして、8ページ目、特区制度です。地方創生、これと絡めたGXの議論ということでご紹介をしております。
リード文にあります「地方創生2.0」、これの実現に向けて、GX・DX両方を通じた地方経済の活性化、これを進めていくために、左の下に①コンビナート再生型の産業集積。左の下に②です。脱炭素電力を活用した新規産業集積、この辺りをポイントとして、GX産業立地に係る特区制度、これの活用を進めた上で、産業集積の形成、これを図っていきたいというふうに考えてございます。
続きまして、9ページ目に、GX推進機構の進捗を整理してございます。
認可法人として、2024年の7月に業務を開始して以降、例えば、水素製造・供給プロジェクト、それから送電網の整備、それからGXテックのスタートアップ、こうした案件、合計75件程度の相談が来ております。
また、去年の11月ですけれども、産総研、産業総合研究所と連携協定を締結し、支援対象とするその技術、これに関して研究開発の観点からの助言を得るということで体制を厚くしてございます。
続きまして、10ページ目で、法改正の概要です。こちらを整理してございます。
法律の背景などについて、上の青い枠に書いておりますけれども。
左の緑色(1)排出量取引制度です。
こちらに関しまして、2026年度からの実施に向けて、例えば、①一定の排出規模以上の事業者への参加の義務づけであったり、②排出枠の無償割当でありましたり、③排出枠の取引市場についてでありましたり、縷々規定しているものでございます。
(2)で資源循環の強化。(3)で化石燃料賦課金の徴収などについても規定をしてございます。
次の11ページ目に、排出量取引制度の段階的な発展について、図示しております。
下の矢印、左から、第1フェーズ。2023年より、GXリーグにおいて、排出量取引制度を試行的に開始しています。
第2フェーズ、2026年以降です。こちらに関して、排出量取引を法定化された仕組みのもとで進めるということになってございます。
第3フェーズ、2033年度以降、発電部門について段階的にオークションを導入するということで進めていくと考えてございます。
もう少しだけ、エネルギーの話を、数ページご紹介させていただきます。
12ページ目、エネルギー基本計画の変遷ということで示しています。
東日本大震災以降のエネルギー基本計画でございますけれども、今年の2月、GX2040ビジョンと同じ2月における基本計画第7次の、こちらも閣議決定をしていただいたということで整理してございます。
そのポイントが次の、13ページ目に書いてございます。
基本的な方向性は、S+3E、エネルギー安全保障に重点ということでありましたり、あるいはGXやDX、こちらの進展によって電力需要が増えるということを見越して、再エネ、原子力ともに最大限活用するということでありましたりも基本的な方向性として示しています。
下側、2ポツで、主要分野における対応ということで、再エネ、原子力、火力などについて、今後のポイントを記載してございます。
次の14ページ目は、先ほど少し言及しました、DX・GXで、多くの電源が必要になるという点でございます。
特に生成AIの登場、これによって拡大が見込まれるデータセンター、半導体。それから、鉄鋼、モビリティのようなところへの基幹産業に対して、これはいずれも我が国の成長にとって不可欠なものでありますから、2ポツ目にあるように、DXやGXの進展による電力需要増加加が見込まれる中、それに見合った脱炭素電源を確保できるかが我が国の産業競争力に直結する。こうした中で、2040年度に向けて、エネルギー基本計画と「GX2040ビジョン」を一体的に遂行していくということでございます。
15ページ目は、参考、2040年度におけるエネルギー需給の見通しを数値で示しています。
2023年度速報値と2040年見通し、これについてエネルギー自給率や発電電力量などについて定量的に示してございます。
一番最後の16ページ目は、その数値の図的な形でのイメージを示しているので、ご参照いただければと思います。
途中、音声がとぎれたようで申し訳ございませんでしたが、経済産業省からの説明は以上です。ありがとうございます。
大橋委員長
農林水産省さん、お願いできますでしょうか。
農林水産省みどりの食料システム戦略グループ長(近藤)
はい。農林水産省でございます。会場、聞こえていますでしょうか。
それでは、農林水産省からみどりの食料システム戦略と農林水産分野における地球温暖化対策につきましてご説明をいたします。
私、今月1日よりみどりの食料システム戦略グループ長を拝命いたしました、近藤と申します。よろしくお願いいたします。
右下のページ数、2ページをお願いいたします。みどりの食料システム戦略でございますが、農林水産省といたしましては、2021年にこの戦略を策定いたしまして、持続的な食料システムの構築、この食料システムというのが、調達、生産、加工・流通、消費、全ての食料を巡るチェーンでございますけれども、この全ての中で取組を行うことで、環境負荷軽減をしていこうという戦略でございます。2050年までに目指す姿といたしまして、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現、一番上のところでございます。そして2番目のポツの3行目でございますけれども、化学農薬の使用量(リスク換算)50%低減。そしてその下でございますが、化学肥料の使用量を30%低減といった、あとその下にあります有機農業の取組面積の割合を25%、全体で25%、100万haに拡大するといったような野心的な、2050年までに目指す姿としてイノベーションを組み合わせながら達成していこうということで、意欲的な水準の目標を立てて、戦略的に環境負荷低減の取組を進めているところでございます。
3ページでございますが、こちらは先ほど申し上げたように、食料システム全体の中でそれぞれの取組をしていくということでございます。
4ページでございます。こちら先ほどご説明いたしましたKPIを整理したものでございまして、その進捗状況についても記載してございます。こちらの説明は長くなりますので省きます。
5ページをお願いいたします。昨年もこの場所で私の前任から説明がありましたとおり、みどりの食料システム法というものが2022年にできまして、それの推進をしているところでございますけれども、着実に認定数といいますか、取組をしていただいている経営体の数は増えておりまして、左側の枠の2番目の丸でございますが、47都道府県で現在計2万8,000以上の経営体を認定してございますし、また、有機農業などは面的な取組が非常に重要になるわけでございますけれども、それを栽培管理協定という形で意欲的な協定を締結いただいた実績も出てきまして、着実に進展してございます。
また、右側のオレンジの枠のところでございますけれども、環境負荷低減をなかなか農業者さんだけでは進めるのは難しゅうございますので、農業機器のメーカーとか、こういったところにスマート機器等を通じて、環境負荷低減を支援していただいているわけでございますが、そちらの認定数も着実に増えておりまして、93事業者を認定してございます。引き続きこちらのみどりの食料システム戦略法に基づく支援を実施していきたいと思っております。
6ページでございます。昨年報告させていただいてからの一番大きな動きは、こちらの農業の憲法などという、ちょっと大げさな言い方になりますが、基本的な方向性を定める食料・農業・農村基本法という法律がございまして、こちらが昨年の6月に改正されました。その中で今までなかった項目としまして、新たに位置づけられたのがこの環境負荷低減の関係でございます。まず第一章の中の、これは大きな柱になるのですけれども、そこに環境と調和のとれた食料システムの確立という柱が入りまして、それを受けた具体的な施策としまして、第三十二条のところで、それぞれみどりの食料システム戦略に基づく取組がしっかりと方向性として位置づけられているところでございます。
7ページをお願いいたします。7ページは、その基本法が策定されたわけでございますけれども、それを受けまして、新たな食料・農業・農村基本計画という、農林水産施策の中でも、農業政策のマスタープランになる基本計画が策定をされております。その中でも法律を受けまして、当然、環境負荷低減の話は大きく位置づけられておりまして、具体的には、上の段の右側でございますけれども、食料システム全体で環境負荷の低減を図りながら、多面的機能を発揮するとして、具体的には一番上の丸でございますけれども、グリーントランスフォーメーション(GX)に取り組む民間活力を取り込んで、また脱炭素化、生産性向上、そして地域の経済の活性化を同時に実現するみどりGX推進プラン、これは仮称でございますけれども、を位置づけまして、みどりの食料システム戦略の推進、加速化を図っていきたいと考えております。
このほか、新たな環境直接支払交付金という肝となる交付金の新しい仕組みを構築することですとか、クロスコンプライアンス、次のページに書いてございますが、こちらを推進していくとしております。
8ページでございます。こちらは先ほど申し上げたクロスコンプライアンス、ちょっと農業者さんに分かりやすくするために環境配慮の要件化とか、環境配慮チェック、みどりチェックなんて言い方をしておりますが、要するに、農林水産省の全ての補助事業等を使うに当たりまして、最低限必要となる環境負荷低減には要件として取り組んでいただこうと。具体的には、左下にございますように、やって当然と言えば当然なのですけれども、適正な施肥ですとか、適正な防除、エネルギーの節減、そして、カエルのマークですけれど、生物多様性への悪影響の防止として不必要な防除の削減、こうした基本的な取組を、みどりチェック、環境配慮チェックとして、必ず求めていくということを推進していくこととしておりまして、今後本格稼働をしていきます。
9ページお願いします。みどりの食料システム法の認定は、また補助事業の優先採択にも活用しておりまして、非常にたくさんの事業の中で、みどりの食料システム法の認定を受けたことによるメリット措置が様々な事業で受けられるということになってございます。
10ページでございますが、農産物の環境負荷低減の取組、見える化ということを進めてございまして、農林水産業、当然ビジネスとしてやっているわけでございますので、こうした温室効果ガス削減の取組に一定程度コストや手間が、人的なコストも含めましたコストがかかるとしても、それをしっかり消費者に選んでもらえないと、なかなか継続的な取組になっていきませんので、その取組を一定の方法論のもとに、星で分かりやすく示すという取組を本格稼働してございます。昨年もご報告したのですけれども、この場でのご説明では、1年前ですけれども、118件というふうに言っていたのですけれども、上のキャプションの四つ目の丸のところでございますが、登録番号付与が1,054件と、1年間で10倍ぐらいまで広がってきてございまして、着実に推進をしてございます。対象品目も着実に推進をしていきたいと思っておるのですけれども、しっかり拡大を、畜産分野等へも拡大を目指していきたいと考えてございます。
また、生物多様性保全のマークも、現在米だけでございますが、しっかりこうしたところにも対応してまいりたいと考えてございます。
11ページでございますが、こちらはJ-クレジット制度における農林水産分野の動向でございますけれども、最近ですと、特にJ-クレジットの主な方法論の中で農業というところが、左側の表の黄色いところがございますけれども、この中で水稲栽培における中干し期間の延長とあるのですけれども、これは非常に取組が今増えてきていまして、現在5万haです。東京ドーム換算ですと1万2,500ぐらいまで増えてきてございます。
右側の絵でございますけれども、下側ですが、カーボン・クレジット市場における農業区分の新設とございますが、もともと森林は入っていたんですけれども、農業分野もカーボン・クレジット市場の取引区分を開設いただきまして、J-クレジット市場における農業分野での取組の期待というものが非常に高まっているということで、どんどん取引もしやすくなってきている現状でございます。
12ページでございますが、政府全体の地球温暖化対策の改定、こちらを受けまして、農林水産省の地球温暖化対策も見直しまして、2030年の削減目標等についてもしっかり入れ込んで、対応をしているところでございます。
13ページをお願いします。農林水産分野における様々なGHGの排出削減技術が構築されておりまして、青い枠の一番左上でございますけれども、例えば水田のメタンの排出削減技術ですとか、あと、そこから三つ横にずれていただいて、畜産由来のメタンの排出削減、あとは、一酸化二窒素の排出削減といった方法をしっかりと海外にアピールすることで、こうしたGHG排出のシステム全体を担っている企業の方々も、しっかりと海外に打って出られるような下地をつくっていく、これをMIDORI∞INFINITYとして、海外展開促進政策を今展開しているところでございまして、秋のCOP30等においても、しっかりと主張してまいりたいと考えてございます。
14ページをお願いいたします。このMIDORI∞INFINITYの関係でございますが、「みどり脱炭素海外展開コンソーシアム」という90ぐらいの企業や団体を構成員にして、しっかりと民間企業とも連携しながら、海外展開を担うためのシステムをつくっておりまして、小泉大臣にも一部ご出席いただきながら、アピールをしていくということをしてございます。
次のページもありますが、こちらはちょっと細かくなりますので、説明は以上とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
大橋委員長
ありがとうございました。
続いて、国交省さんお願いします。
国土交通省環境政策課長(竹内)
国土交通省環境政策課長の竹内でございます。
資料8に基づきましてご説明いたします。
国土交通省は、人々の暮らしや移動を幅広く所管する立場でございまして、脱炭素に向けて、各分野で積極的な取組を展開しているところでございます。
本年6月には、国土交通大臣を本部長とする国土交通省グリーン社会実現推進本部で、国土交通省環境行動計画を策定しております。
本年2月の地球温暖化対策計画や、エネルギー基本計画等の改正を踏まえまして、カーボン・ニュートラル、GX、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミー等の実現に向けた政策を取りまとめ、公表したところでございまして、以下、GXの関係につきまして、国交省の取組をご紹介させていただきたいと思います。
次のページをお願いいたします。
まず、自動車関係でございますけれども、先ほど経産省さんの説明、環境省さんの説明にもありましたが、次世代自動車の普及促進ということで、2035年までに乗用車の新車販売を100%電動車にする。また、8t以下のトラック、バスといった小型商用車、これの新車販売を2030年までに20%から30%にするといった目標を設定いたしまして、経産省さんと連携いたしまして補助制度、税制特例措置により推進しているところでございます。
また、事業用での電動車普及に伴いまして、まとまった量の劣化バッテリーが出てきます。こうしたものを再利用して、再生可能エネルギーの地産地消モデルを構築するといったことも進めていきたいと考えております。
そのほか、高速道路のSA/PA、道の駅におけるEVの充電施設、水素ステーションの設置、また、走行中給電システムの研究支援などを実施することで、次世代自動車の走行環境を整えていきたいと考えております。
次のページをお願いいたします。
航空分野でございますけれども、こちらはSAFの導入を進めておりまして、2030年の本邦航空会社の燃料使用量の10%をSAFにするという目標を設定し、取組をしているということで、具体的には経済産業省さんと連携いたしまして、SAFの原料調達や、開発製造を支援しているところでございます。
そのほか、航空管制の高度化による航空機の運航効率の改善、また、電動航空機や水素航空機、こういったものの新技術の導入を推進してございます。
次のページをお願いいたします。
海事分野でございます。こちらは、内航海運のCO2排出削減量目標達成のために、税制特例措置等により、省エネ船の普及促進といったものを図っておりますが、加えまして、水素、アンモニアを燃料とするゼロエミッション船の技術開発、普及促進を進めてございます。アンモニア船については2026年、水素燃料船につきましては、2027年に実証運航開始の見込みであります。
GX移行債も活用いたしまして、国内造船会社の生産体制の整備、国際基準の整備を推進しまして、我が国の海事産業の国際競争力の強化を図っているところでございます。
次のページお願いいたします。
鉄道でございますけれども、こちらは、電化区間を走行する車両の省エネ化を進めているところでありますけれども、加えまして、非電化区間を走るディーゼル車の脱炭素化が課題となってございます。
水素燃料電池鉄道車両の開発導入、これを推進しておりまして、本年4月には、そういった車両の構造等に関する技術基準を整備したところでございます。
また、物流全体のモーダルシフトにつきましても、荷主企業と連携しながら不断の取組を実施しているところでございます。
次のページをお願いいたします。
住宅建築物でございますけれども、こちらは、先ほど環境省さん、経産省さんからもそれぞれありましたけれども、連携した施策を推進しているところでございます。
今年の4月から、建築物省エネ法に基づきまして、新築住宅建築物につきまして、省エネ基準の適合が義務づけされたところでございますけれども、2030年までに、この省エネ基準をZEH・ZEB水準へ引き上げていきたいと考えております。
さらに2050年までに、ストック平均でZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目標として、既存住宅の省エネ改修、これも併せて行っていこうと考えております。
また、建築物の使用時のエネルギーに加えまして、建築物の建設、維持保全、解体、こういったことに伴うCO2排出の削減も重要な課題でございます。現在、ライフサイクルカーボンの算定評価の実施に向けて、有識者、関係省庁からなる検討会を開催しているところでございます。
次のページをお願いいたします。
まちづくり分野では、吸収源対策として都市緑地を官民で確保する取組を進めるほか、エネルギーの面的利用、また、緑地も含めた脱炭素に資するグリーンインフラの活用、こういったことを推進しているところでございます。
次のページをお願いいたします。
建設工事現場でのCO2排出、また、材料製造に伴うCO2排出の削減にも取り組んでおります。具体的には国交省の直轄工事におきまして、建設機械の脱炭素化として、次世代燃料使用を義務づける工事の試行を行います。
また、コンクリートにつきましても、低炭素型コンクリートを使用する工事を直轄工事で試行いたします。
また、工事ごとのCO2排出削減量の見える化も進めてまいりたいと考えております。
次のページをお願いいたします。
港湾では、カーボンニュートラルポートという取組を進めております。全国50の港湾で計画が策定されております。例えば絵の右下で、オレンジ色で脱炭素に配慮した港湾機能の高度化とありますけれども、具体的には、停泊中の大型船舶に陸上から電力を提供することで、船舶のエンジンを停止するといった取組、また、荷役機械を電動化するといったことに取り組んでおります。
また、同じ絵の中ほどに青い文字で水素、アンモニア受入環境の整備とありますけれども、化石燃料から、水素、アンモニアへのエネルギー転換、こういったものに合わせたサプライチェーンの構築を港湾のほうでも進めてまいります。
次のページをよろしくお願いします。
最後に、各種のインフラ空間を活用した再エネの導入について説明したいと思います。
まず、太陽光発電でございますけれども、空港、道路、港湾などのインフラ空間の活用、あるいは鉄道や官庁施設、UR住宅などの公共建築物等、こういったところに積極的に活用してまいりたいと考えております。
次のページをお願いいたします。
次に、水力発電でございますけれども、既設ダムにつきまして、治水機能の強化と併せて、発電目標も設定しつつ、発電施設の新設、増設を推進するという「ハイブリッドダム」という取組を推進しているところでございます。
続いて、バイオマス発電でございますけれども、こちらは、全国で八つのカーボンニュートラルモデル下水処理場というものを設定しております。こちらのほうで地域のバイオマスを受け入れまして、発電を行うといった取組を進めてまいります。
最後に、洋上風力につきましても、さきの通常国会で成立いたしました改正港湾法に基づいて、EEZでの展開を進めてまいります。
国土交通省からの説明は以上でございます。
大橋委員長
ありがとうございました。
一通り各省からご説明いただきましたので、以上を踏まえて、委員の方々からご意見をいただければと思います。ご意見がある方は挙手機能を使ってお知らせいただければ、私のほうから指名をさせていただきます。
それでは、お願いできればと思いますけど、いかがでしょうか。
それでは、堀井委員、お願いできますでしょうか。
堀井委員
はい。大阪大学の堀井と申します。聞こえておりますでしょうか。
大橋委員長
はい。よろしくお願いします。
堀井委員
はい。お願いします。
まず、最初の環境省さんの資料のほうで、各改善策の進捗率という数字があったと思うんですけれども、それについて全般的なお話をさせていただきたいと思います。
その進捗率を見ると、100%以上達成しているものもあれば、0とか、最悪マイナスの部分もあるんですけれども、そういうのをどうやっていくかということが今後2030年までの課題になるかと思います。
ただ、これは当時、この目標を設定したときに、技術的に不確実な部分というのもあったわけなので、不確実な部分だから、できるかどうか分からないから、マイルドな目標にしようという部分はあったかもしれないし、逆に、できるかもしれないから、チャレンジをしようということで高い目標を設定したこともあると思うんですね。
高い目標を設定したということは、全体的にCO2排出を削減する上で望ましいことだと思います。ですので、結果的にその個別目標の達成が難しいとなっても、今度は逆に、技術的に、以前よりももっとできそうだという部分で、どんどん削減を進めていっていただいたらいいのではないかなというふうに思います。
具体的には、現在100%以上を達成しているような部分で、さらに100%を上回るような取組を続けて、全体として2030年の目標を達成できればいいと思います。
以上が1点目です。
次、個別の話ですけれども、環境省のほうでも、業務分野と受託分野で建築物や住宅についての省エネルギー化の話が出ました。
経産省のほうでもGXとか、国交省のほうでも、住宅改修の、あるいは住宅新築に対しての支援の話があったと思うのですけれども、その進捗率を見たところ、新築のほうの進捗率は比較的、進んでいないと。改修のほうの進捗率は結構進んでいるという、数字になっていたというふうに思います。
ただ、実際には、例えば住宅の窓の改修なんかを見ると、新築ではかなり対応が進んでいるのに、中古のほうではなかなかストック、全体に比べると進んでいないというふうなお話も伺っております。
なので、ちょっとそこの進捗率と、実際の現場の感触というのが、かなりずれているのがちょっと気になるなと思いました
私見ですけれども、恐らくですけれども、この目標をつくったときに比べて、住宅の耐用年数というか、建て替えまでの時間が長くなっているのではないかという気がしております。そうすると、新築の数がどんどん減ってきますので、見込み量に比べて、新築の数が少ないので実績が少なくなる。
あるいは既築についてみると、中古物件の取引量が増えるので、見込み量に対して、実績が多く出ると思います。そのような形で、新築の実績は低く見える、既築の実績が高く見えるというバイアスがかかっているのではないかなと思うので、その辺をちょっとご検討いただけたらというふうに思います。
施策的な話になってくるんですけれども、どんどん物価が上がる中で、建築物の取得というのが企業にとっても、家庭にとっても、なかなか新築というのを取得するのはかなり困難になっていますので、今後、中古物件の取引というのが非常に増えていくと思います。
ですので、全体的な省エネルギー化を進めるには、既存住宅の省エネ基準を満たすような施策をより重視して進めていただければというふうに思います。
次に、運輸についてなんですけれども、次世代自動車についての進捗率が若干低いという数字が若干気になりました。次世代自動車の中にはハイブリッド車が含まれていると伺ったんですけれども、このハイブリッド自動車の売上げというのは、現在、かなり増えていると聞いています。
ですので、ハイブリッド自動車の売上げが増えているのに、なぜ進捗は低いのかというのがお伺いしたいところなんですけれども、もしかしたら、これも実は住宅の場合と同じで、なかなか車の買替えができない、そうすると、既存の車に長く乗るという、そういう長寿命化が進んでいるのかもしれません。それでストックで見ると、なかなか入れ替わりが進まないので、次世代自動車が遅れていると。そういうことが起こっているのかどうかということを国交省さん、あるいは環境省さんにお伺いできればと思います。
もしそういうことであれば、長寿命化というのはLCA、ライフサイクルアセスメントの観点から見ると、必ずしも環境に悪いとは限らないので、それも含めて考えたときに、本当にどんどん入れ替えるのがいいのかということもご教示いただければと思います。
以上です。
大橋委員長
ありがとうございました。
続いて、大塚委員、お願いします。
大塚委員
ありがとうございます。聞こえますでしょうか。恐れ入ります。
大橋委員長
はい。よろしくお願いします。
大塚委員
4点お伺いします。
環境省さんが3点ですが、最初に、ペロブスカイトに関して、60ページで、初期需要の創出をしていただいているということは大変いいことだと思いますけれども、屋根に関して、ペロブスカイトを導入することに関して、最近、研究者の中で、屋根の7割を目標としたらどうかという提案もございますが、この目標の設定に関してお考えをお聞かせくださいというのが第1点でございます。
第2点ですけれども、72ページのところで、地域脱炭素ロードマップの話が出てきます。とてもよくやっていただいていると思いますが、他方で、環境省さんの目標的なもののレベルについて、自治体のほうが、それに対応できなくて、なかなか非常に難しくなっているということも仄聞しておりますが、この辺の問題状況について、若干説明していただけると大変ありがたいと思います。
第3点ですけれども、38ページのところで、バリューチェーンからの要請状況とか、バリューチェーンとの関係が出てきますが、Scope3に関しては、EUのほうで、CSDDDが出てきていて、デューデリジェンスの問題と関連していますので、それとの関連も含めて、経済界のほうではご検討なさっていると思いますけれども、ここでもそれとの関係を含めてご検討いただければ大変ありがたいと思っております。
それから、第4点ですけれども、これは国交省と関係して、国交省さんは今日ご報告ということですので、中身をお伺いするだけということになりますし、あるいは環境省や経済産業省とも関係すると思いますけど、SAFに関して、2030年時点で1割というのが出てきていますが、これは前にもお伺いしたことがあると思いますけど、CORSIAとの関係で、かなり厳しい目標が立てられていますので、ぜひ国内循環のこともお考えいただきたいということを申し上げつつ、現在の状況がどんなことになっているかについても、教えていただけるとありがたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
大橋委員長
ありがとうございます。
各省からのご回答は全ての委員がご発言いただいた後、お願いしたいと思います。
続いて、鶴崎委員、お願いします。
鶴崎委員
住環境計画研究所、鶴崎です。ご説明ありがとうございました。
私のほうから資料3でご説明いただいた内容を中心にコメントを差し上げたいと思います。
3スライド目のところで、2023年度の削減率が27%となったというご報告がありました。まだ46%に向けて道半ばというところですが、ここまでオントラックに来ているということは、ひとまず評価できることかというふうに思います。
二つ前の温対計画ですね。2016年に閣議決定された温対計画の際には、2030年度の目標というのは、マイナス26%でした。それを考えますと、既にそこを超えたというところに来たわけです。当時、少し手ぬるい計画を立てたわけではなくて、あれでも最大限の検討の積み上げをして、目標を立てていたと記憶しております。
そういう意味では、それを超えてきたというところを、我々はどう評価すべきかというのは一つの論点かと思っています。
一つの論点としては、よく言われますように産業活動の縮小というのが削減に効いているというところでありまして、今回の資料は大変よくできていて、5ページ目のスライドを見ると、その影響は5,600万tと出ています。5,600万tというのは、2013年度比でいうと、マイナス4%に相当しますので、この分で4ポイントかさ上げされたんだというふうに見ると、現状の数値はマイナス23%ぐらい。BAUといいますか、期待値で言えば、それぐらいだったのだというふうに見ることもできるわけです。
ただ、いずれにしても23%まで来ているということは、かなり進捗したんだなというふうな印象です。
それに関して、6ページのところで業務その他部門に関して、省エネ等が、進捗率105%というご説明がありました。これは期待を既に超えているわけですけれども、他方で、11ページですかね。実際の進捗状況、個別の対策、施策の評価のリストアップされたものを見ると、必ずしも想定どおり進んでいるというふうに、想定以上に進んでいるとは言えないような数字が並んでいます。
この中で高効率照明だけ、ほかの部門もそうなんですが、進捗率が200%を超えています。ただ、これは省エネでは100%ちょっとというところですので、全体としては、それほど進捗が当初の想定を上回っているというわけではないにもかかわらず、業務その他部門の省エネが進んでいる。
このようなところを見ていくと、まだ定量的な詰めといいますか、その辺に課題が残っているのかなというふうに感じます。
今後なんですけれども、こういった定量的な評価に関して、もう少し詰めていく必要があるのかなと思っていまして、2030年度がもう5年後に迫ってきていますので、ここから足元からフォアキャスティングをしたときに、どの辺りに着地しそうかということについて、改めて評価をしてみてはどうかと。
これは、楽観的な推移をした場合、それから、悲観的な推移をした場合といろいろあると思います。特に供給側の対策に関しては、様々な不確実な要素があると思います。その辺りの幅も見ながら、2030年の着地点がどの辺りになりそうかというのは、そろそろ検討していいのではないか。
といいますのも、今回の温対計画、あるいはエネ基の見直しの中で、2030年はピンどめといいますか、あまり触れないで、2035、40の議論をしてきたというところがありますので、この辺りの評価というのは、まだしっかりなされていないのではないかという問題意識があります。
そういうことで、少し2030年の定量評価をしていく中で、こうした、今回ご指摘したようなずれの背景だとか、あるいは何かうれしい誤算が起きているのかもしれないといったところについて、評価をしてはどうかと思います。
私からは以上となります。
大橋委員長
ありがとうございました。
続いて、増井委員、お願いします。
増井委員
ご説明ありがとうございました。私のほうからも3点ございます。
まず、ちょっと資料の見方も含めてなんですけれども、資料3のほうで、例えば産業部門の対策の進捗状況ということで、2030年度の排出削減見込量が5,361万tCO2という、こういう数字が出されているんですけれども、この数字というのは、同じ資料の前のほうのグラフで見ると、どこの部分に相当するのか、見方として追加でもしあれば、ご説明いただければと思います。
また、進捗率は非常に有効な指標であると思うんですけれども、実際削減のポテンシャルというのは、当初想定していたものからすると、結構変化しているのではないかなと推測されます。
特に活動が増えたところ、あるいは増えそうなところ、一方で、活動が減ったとか、いろんな要因があるかと思いますので、その辺りは、見通しがどういうふうに変わってきたのか、何らかの考察があれば、教えていただければと思います。それが1点目です。
2点目なんですけれども、こうやって削減量の見通しというのを示していただいているのは非常に評価できます。実際どこで、どれだけ対策が取り組まれているのかというのが非常に分かりやすく示されているんですけれども、対策を取るに当たって費用の見通しといいますか、費用が実際どれぐらいかかったのか。そういったところも、もし情報としてあれば、お示ししていただいてもいいのかなと思っています。
関連してなんですけれども、みどりの食料システム戦略のほうで見える化ということが書かれていましたが、これだけコストをかけて、実際対策をされた、そういうところの努力がやっぱり報われるように、これだけ対策が進んでいますよというのが分かるような、そういう何か共通の目印もあれば、単に企業は、これだけ頑張りましたということだけではなくて、それが消費者の側、家計のほうにも伝わって、よりそういった取組が進められるということもあるのではないかと思いますので、そういうことも、ぜひ省庁全体として、検討していただければと思います。
3点目なんですけれども、今回の検討というのは、2030年というのが一つの対象年ではあるんですけれども、先ほど鶴崎委員のほうからもお話がありましたように、温対計画、あるいはエネ基の議論というのは、もう既に2030年ではなく、2035、40年という、その先を見通したものになっておりますので、今回の議論も2030年というのが対象ではあるんですけれども、最終的に、ゼロに向けて、どういうふうに取り組むことが求められているのか、見通せるのか、そういった評価というのも、どこかのタイミングでやるべきところではないかなと思っています。
特に政府全体として、長期的に脱炭素に向けて、こういうふうなことをさらに強化していかないといけないよというような、そういうメッセージになるように、長期的な視点でのメッセージになるように、何らかの工夫をしていただければと思います。
関連してといいますか、GXに関して、非常にいろんな取組を精力的にやられているというのは非常によく分かっていいんですけれども、一方で、ちょっとうがった見方をすると、革新的な技術にやや重きが置かれ過ぎていて、革新的な技術を待って対策をするというような、そういう誤ったメッセージにならないかなという心配もあります。
やっぱり今から積極的に取り組むべきところは取り組んでいくという、そういうメッセージも必要であるということは、忘れずに入れていただけるといいかなと思いました。
以上になります。ありがとうございました。
大橋委員長
ありがとうございました。
続いて、山下委員、お願いします。
山下委員
ありがとうございます。時間が限られますので、エネルギー起源CO2の排出削減について、経済産業省と環境省に関連する部分を中心にコメントしたいと思います。
資料3の2023年度実績について、温室効果ガスの2030年目標達成に向かって順調に減少傾向を維持しているというご報告がありました。
しかしながら、同じく資料3の部門別の進捗率や要因分析を見ますと、業務その他部門は、ほぼ2030年目標のトレンド上ですけれども、家庭と運輸は大幅に上振れしています。家庭と運輸の上振れを補って、全体を30年目標のトレンドに戻しているのが産業部門の減少ですが、その最大の減少貢献は活動量の減少であり、経済活動の不振によるものです。
コロナの影響が一段落したと思われる2023年度の進捗について、トレンドや要因分析を見ますと、経済活動の不振にもかかわらず、運輸部門のエネルギー起源CO2排出係数が上振れしていることが目立ちます。CO2排出係数の改善が進んでいないことが大きな要因ですが、省エネについても、進捗率は高くないようです。
家庭部門は、CO2排出係数も省エネも、それなりに進捗が見られますが、いずれも2030年目標に向けたトレンドよりも少し上振れていることに加えて、気候要因を含む活動量の増加が全体を押し上げています。
産業部門の要因分析を見ると、活動量の低迷もあって、省エネは減速しており、今後の目標達成に向けての懸念点かと思います。
以上のように、いわゆる排出削減が困難であるとされる産業部門や運輸部門だけでなく、家庭部門の削減の厳しさが感じられる結果となっています。
資料4の対策別の状況を確認すると、産業部門では自主行動計画で実施している対策の多くが進捗状況は順調なようです。
一方、機器導入を必要とする対策の中には、規制に加えて、補助金などの支援策があっても、必ずしも順調でないものが見受けられます。例えば高効率モーター、インバーター、ヒートポンプなどです。
同じく機器の入替えを必要としていても、順調な高性能ボイラーなどの対策がある一方で、これらの対策が進まない要因は何なのか、どこが異なるのか、再度検討が必要ではないかと考えます。
高効率古紙パルプ製造技術のように、デジタル化の影響による事業の縮小などで、導入対象となる古紙パルプ製造機そのものが減少していることから、実態調査の実施と、ほかの省エネ対策などへの幅広い目標転換を検討する事例もあります。
鉄鋼部門で挙げられている廃プラスチックのケミカルリサイクルは、容器のリサイクル量の不足から、定義を改定して、回収範囲を広げて対応するなど、そもそも想定しているプラスチックごみの量の不足が原因で、進捗していないようです。
課題から明らかになるのは、部門横断型の対策が持つ難しさだけではなく、取組の主体が広がる可能性です。
リサイクルについては、市町村が廃プラスチックを含むごみの分別収集をするために、環境省と経済産業省のみならず、地方自治体との連携が必要な分野であり、目的や活用先の広報など、情報共有を工夫することで、国民が地球温暖化対策の必要性と、分野を超えた取組の複数の効果、例えば鉄鋼部門のケミカルリサイクルの拡大を通じた排出削減と、地域のごみの削減などの理解を通じて、自分事として捉え、ほかの分野でも行動変容につながる可能性を感じます。
産業部門では、先進革新技術開発を前提にした対策も複数見られますが、こちらは効果が出てくるのが2030年頃という技術も多いため、目標管理においては、技術開発における障害の克服と、可能であれば、技術開発の加速化を目指すべきだと考えます。
家庭部門を中心に、行動変容を伴う消費者の実践が重要です。
加えて、脱炭素化は、新たな技術の開発を伴う新しいエネルギーの利用に転換していくことであり、コストの上昇を伴います。そのため、現時点では進捗が遅れているHEMS、スマートメーターを利用したエネルギー管理などはもっと推進できると、実際の省エネ効果だけでなく、再エネ電力の変動に対応して、効果的にデマンドレスポンスを行うことも可能にしそうです。
最後に、GX政策の進捗でご説明がありました、中小企業のGX推進に向けた各種の施策の着実な遂行に期待したいと思います。
以上になります。ありがとうございました。
大橋委員長
ありがとうございます。
続いて、伊藤委員、お願いします。
伊藤委員
ありがとうございます。私も、全体として排出が減っているというのは評価したいと思うんですけれども、細かく見ると、運輸部門の排出削減というのはもう少し加速できないかなというふうに思っております。
車自体の脱炭素性能というのを上げていっても、公共交通をもう少しやっぱり広めていくということが必要かと思います。これは、高齢化にもなるし、それから、バスの運転手不足という問題もありますので、EV、それから、FCVの自動運転ですね。その公共交通をやっぱり早急に進めていく必要があるのではないかというふうに思います。
アメリカなんかは、もう自動運転のタクシーが走っているという状況もあって、ちょっと遅れを取っているかなというところもありますので、規制の在り方も含めて、早急に検討していったらいいのではないかなというふうに思っております。
それから、エネルギー起源CO2以外のGHGの対策の進捗状況というのを見ると、バイオプラスチック類の普及というのが、なかなかやっぱり進んでいないんだなというのも、これも思いました。
生産する企業というのは結構増えてきているとは思うんですけれども、やっぱり価格の問題というのがあるかと思います。なかなか2倍から5倍とかとなってしまうと、購入できないという部分があると思います。
今は、その技術の実証とか、それから、設備導入に対しては補助金というのは出ていると思うんですけれども、購入に対してのインセンティブというのが何かしらあってもいいのではないかなと。
そうしないと、なかなか進んでいかないというのがあるので、例えば公共調達などは、環境配慮型の製品の積極採用というのを進めていますけれども、それを努力義務から、努力目標から、例えば義務化とか、それから、何か加点方式でコウロウというか、そういうものを認めていくとか、何か保護策というのはないのかなというふうに思っています。
それはCO2を吸収するコンクリートなんかも同じようなことが言えるのではないかなと思います。
それから、今後、やっぱり地方との関わりを、いかに密接に関わっていけるのかというところが非常に大きいかなと思います。
特に再生可能エネルギー、原子力というのが脱炭素電源になりますので、データセンターを近くに置くとか、それから、エネルギー消費の非常に大きい産業は地域に移すとか、そういうようなことというのが求められると思いますし、それから、カーボンクレジットですね。これも自然資源というのが非常にたくさん地域にありますので、これも一つ成長の起爆剤になっていくのかなという気がします。
そして、26年の排出量取引ということの開始で、さらに需要も増してくるのではないかなと思っているんですけれども、そうなると、データの信頼性と、それから、効率性の両立というのが求められるというふうに思っております。
今、J-クレジットでは、衛星とか、それから、ドローンの計測というのは、クレジットの創出の方法論としては認められていないんですけれども、例えばグローバルなボランタリークレジットなどでは認める動きも出てきています。
先ほどやっぱりこれからブルーカーボンのポテンシャルというのをもっと上げていくというようなお話もありましたけれども、ブルーカーボンこそ、人の手ではなかなか計測できないという部分もありますので、衛星とか、ドローンでの計測というのをいち早く進めていくということも必要なのではないかと思います。
もう一点なんですけれども、今後、ネイチャーポジティブという、そういう指標も加わってきます。
そうすると、脱炭素と、それから、ネイチャーポジティブが同時に進まないというか、例えば脱炭素を進めるために、太陽光パネルで山に設置した場合に、生物多様性に影響があるとか、風力発電なんかも鳥が死んでしまったりというようなことがあるとか、それから、農林水産省のほうから先ほど説明がありましたけれども、例えば中干しを延長していくというようなことになると、その間に、田んぼに住む生物が死んでしまうんじゃないかというようなことを実際に聞かれたようなこともありましたので、こういう部分も、今後は整理しながら進めていく必要があるのではないかなというふうに思っております。
以上です。
大橋委員長
ありがとうございます。
続いて、井上委員、お願いします。連合の井上委員、どうでしょうか。
井上委員
各省の取組のご報告をいただき、ありがとうございました。
また、資料3において、2023年度の削減実績をご報告いただき、引き続き2023年度も直線的な経路に乗っているということで、引き続きの取組を進めていただきたいと思います。
また、資料5で、2030年度目標に向けた部門ごとの施策、それから、暮らしのロードマップなどを挙げていただいています。
先ほど山下委員からも家庭部門の話がありましたが、私も少しこれに関して意見を申し上げたいと思います。
様々な削減策を挙げていただいていますが、各施策を実施する場合に、どのようなことが起こり得るのか、障害はないのか、あるならば、それを取り除くための施策についても併せて検討いただく必要があるのではないかと考えています。
例えば、高効率給湯器の導入や改修による住宅の省エネルギー化などは、日本の住居の形態を踏まえる必要があるのではないかと思います。
具体的に言えば、総務省の統計によれば、日本の戸建てと共同住宅の割合は約半々で、戸建ての場合、建物や設備の増改築は持ち主だけの判断で可能ですが、共同住宅の場合、共有部分の改修は区分所有者の判断だけでは行えず、管理組合の判断が必要になります。そのため、高効率給湯器の導入を行おうと思っても、実現までにはある程度の年数が必要になる可能性がありますし、給湯器の需給バランスも踏まえる必要があるかと思います。
以前、経済団体と意見交換をした際に、ある国では、ヒートポンプの導入が奨励されたものの、ヒートポンプの需要が急増したことから、供給が追いつかず、価格も高騰し、結果的に導入に時間を要したという話を聞きました。こうしたことにも留意が必要ではないかと思います。
また、4月から太陽光パネルを新築住宅に設置することが東京都などで原則義務化されるなど、全国では補助金などで設置を推進する一方、思ったほど電気代は下がらず、よくよく調べたら、屋根の面積に対して発電容量が少ない設備を導入していたことが分かり、追加のパネルを設置したというケースが、先日、NHKのニュースで取り上げられていました。消費者トラブルが起こらないよう、行政から業者に対する指導の環境整備が必要ではないかと思います。
さらに消費者としての国民の行動変容を促す取組が引き続き重要だと考えます。連合が昨年9月に公表したカーボンニュートラルに関する調査では、分かりやすい表示や、みんなで取り組もうという雰囲気が上位に入っています。
分かりやすい表示で言うと、環境省のウェブサイトに環境のラベルをまとめたサイトがありますが、膨大な量のラベルで、政府、地方自治体、事業主が定めるものと多岐にわたっています。
消費者として製品に表示されたラベルそのものは分かりやすいものの、それで十分かどうかという判断がつきにくくなっているのではないかと思いますので、そのラベル自体の分かりやすさに加えて、ラベル同士を比べたときに、どのような効果が得られるのかなどについても、分かりやすさが必要なのではないかと思います。
そういう意味では、先ほど農林水産省の見える化で、売上げが伸びたというマークがありましたが、そういうのも一つだと思いますし、例えば国連の持続可能な開発ソリューションネットワークが、SDGs達成度ランキングというのを公表しています。そういうものも参考にしながら、分かりやすい表示をしていくということも大事ではないかと思います。
以上です。
大橋委員長
ありがとうございました。
続いて、伊原委員、お願いします。
伊原委員
ありがとうございます。合同会合には今回から参加いたします。ボストン・コンサルティング・グループの伊原彩乃と申します。よろしくお願いいたします。
弊社の気候変動サステナビリティグループに所属しておりまして、企業のサステナビリティ推進ですとか、また、消費者の環境意識に関連したご支援をさせていただいております。
今回は、事務局の皆様、関係省の皆様、多くの対策の計画の進捗ですとか、各施策の進捗状況を大変分かりやすくまとめてくださって、どうもありがとうございました。
削減の進捗については、計画値の充足に対する凸凹があるものの、全体として、計画のラインに乗っているということは、関わっていらっしゃる方々の努力の結果であるというふうに理解をしております。
その上で、企業戦略ではよく取り入れられます、この凸凹を生かすという観点で、私からは大きく3点コメントをさせていただきます。
1点目ですけれども、全体として、各対策の進捗の凸凹を踏まえた上で、各対策へのアクセルの踏み方を柔軟に組み替えることはできないだろうかというご提案です。もちろん国としての正式な計画の見直しスケジュールはあると思いますので、目標達成に向けた、あえてのご提案というふうにご理解ください。
2030年まで残り5年となった今、数多くの対策を推進なさってきて、資料3の10ページ以降で大変分かりやすくまとめてくださったように、対策ごとの進捗が明らかになっています。つまりはこれは、各対策ごとの進め方の難易度とほぼ同じではないかなと理解をしております。
そういった中で、こんな分析があると、今後のアクセルの踏み方を考える一助になるのではないかということで、例えば、1軸目、縦軸は資料3の現在の進捗率、つまり現在の難易度を取ると。それから、2軸目、横軸は、各対策の今後の進捗の可能性、つまり対策を行える残りのプールがあるかどうか、プールの大きさですね。
例えば省エネ設備の導入であれば、まだ導入されてない設備というのが何割ぐらい残っているのか、こういったものを分析していくと、この2軸で見たときに、1軸目、2軸目ともに右上に来るような、つまりは難易度が比較的低くて、残る対策対象が大きい対策、こういったものについては、現在の目標達成の充足率が既に高かったとしても、さらに加速して対策を進めていくといいのではないかなと考えております。
先ほどから何人もの先生方がおっしゃっていらっしゃいますが、高効率照明、LEDの照明というのは、もう200%以上の進捗率ということで、難易度はほかのものに比べると、比較的低いのではないかなと。
ですので、例えば世の中にまだ変えられる照明が多く残っているのだとすれば、ここについてはアクセルを踏んで、リソースを寄せて、さらにLEDの加速というのを進めていって、逆に、難易度が高くて、進捗率が低い対策の穴埋めをしていくということも必要なのではないかなと考えております。
それから、二つ目に各対策の中でという観点になりますと、資料4の4ページに、今後についてとありますけれども、この事業が進捗してきて、あと残り5年という中で、各対策の、この先の推進の難易度は増していくというような形になっていくのではないかなと考えております。
今後についてで挙げられている産業部門ですと、例えば廃プラスチックの製鉄所でのケミカルリサイクルの拡大ですとか、産業ヒートポンプの導入みたいなものが掲げられていますけれども、こういったものをもう一段丁寧に、どこが刈取り切れるところなのかというのを見ていくことも重要ではないかなというふうに考えております。
産業ヒートポンプの導入を例えば例に取りますと、高温帯の技術ですとか、価格の難易度というのもございますが、その中で、どの業態製品であれば適用の可能性があるのか、より細かく分けていく。もしくは、実は浸透してきている隠れた対策推進のホットスポットはないのかというところを見ていき、適用する場合には、導入してもらうためのボトルネックは何なのか、そこをどう乗り越えていくのか、この辺りの調査というのを既に行っていらっしゃると思うんですけれども、削減の進捗が苦しくなっていくであろう残り5年のところは、もう一段丁寧に行って、見過ごしているターゲットがないかを徹底的に洗い出して、見込みのあるターゲットに注力していくという丁寧な調査と、めり張りをつけた対策推進を行っていくことが重要になってくるのではないかと考えています。
それから、3点目ですけれども、企業が脱炭素と経済活動を両立させようとすると、やはりバリューチェーンの一番下にある消費者の行動が変わっていかなければ、サプライチェーン上流の企業であっても、投資回収ができない、経済活動と両立できないということになってしまいますし、この辺りの課題感というのは、企業にも大分広がってきていると感じています。
弊社では、2021年から消費者のサステナビリティに関する意識調査を行ってきているのですが、これだけ様々な対策が国で行われている中で、消費者の環境に対する意識ですとか、購買行動というのは、残念ながら、ほぼ変化がないというデータになっています。
つまり、消費者に対しては、今までやってきたことの延長線上では、大きな変化が起きていくということは考えづらいので、今までの延長線上とは一線を画す対策が必要であると調査から考えています。
そういった中で、消費者をより丁寧に深掘りして、理解をして、少しでも目があるターゲットに対しては踏み込んだ対策を行っていくと。また、その前に、何が本当に効くのかを見極める小さな実証実験を行って、対策をアジャイルに更新していくと。
それから、今までと一線を画す新しい取組というところからも、失敗することもあり得ると思います。ですので、そもそもそういったことに協力した組織ですとか、企業をたたえる。また、失敗からも学んで、よりよい対策をつくっていく、こういった営みを行っていくことが必要ではないかというふうに考えております。
以上になります。ありがとうございました。
大橋委員長
ありがとうございました。
続いて、高村委員、お願いします。
高村委員
大橋先生、ありがとうございます。
各省から施策の状況についてご報告いただいて、どうもありがとうございました。
鶴崎委員や山下委員などからもご指摘にあったところですけれども、今回ご報告いただいたのは、目標、NDCの設定等も含めて、今後の施策について、主に焦点を置いてご報告いただいたと思うんですけれども、次回のところでは、ぜひ新たに出していただく情報をご検討いただきたいと思っております。
何かといいますと、今回、温暖化対策計画を、温対本部で閣議決定、温対本部で決定をする際に、そして、この間のNDCの議論も受けてだと思いますけれども、今回、進捗管理、フォローアップの強化というのを強調して、温対本部で確認をしていると理解をしております。
その意味で、今回、このタイミングでフォローアップをしていただいたのはありがたいんですけれども、やはりそこには、これは幾つか、次回以降のところで、フォローアップの強化を具体的に進めていただくために、一つには、全体の達成度の評価というものを、もう少し事務局のところで検討いただいて、出していただきたいと思います。
例えば先ほどフォワードルッキング、フォーキャストの話を鶴崎委員はおっしゃいましたが、排出原単位の改善、もちろん今、オントラックの上に、直線の経路に乗っているということではありましたけれども、他方で、排出原単位の改善が、ここ10年の平均の年ペースでいくと、ここで掲げている30年、35年、40年のNDC、そして、50年のカーボンニュートラルと乖離が生じるという試算もあります。
今申し上げたのは、つまりこのままのペースでいったときに、まさにフォーキャストですけれども、どういう達成状況に今あるのかというのを、全体として評価をする情報を出していただきたいというのが一つです。
二つ目は、もう既に今回の議論の中でも随分委員から出されていますが、進捗が思わしくない、あるいは進捗が順調に進んでいるところの要因分析を出していただきたいと思います。
それは、結局三つ目ですけれども、追加的対策として何を採るのかを、事務局、各省庁からぜひ情報、お考えを出していただきたいというふうに、まず、次回に向けて要望を先に申し上げておきたいと思います。
2点目が、今回ご報告いただいたのを踏まえて、やはり短期的に、追加的対策をぜひ検討いただきたい点を幾つか申し上げたいと思います。
一つは、先ほど伊原委員からもありましたが、照明対策です。非常に超過達成しているという意味ではいいんですけれども、同時に、照明、蛍光灯からの水銀規制との関係で、蛍光灯からの切替えが必要なタイミングにはなっていると思っていまして、このタイミングはそういう意味では、政策トウコウではないんです。ほかの政策と協調して、効果を上げることができる分野だと思いますので、検討いただきたいというふうに思います。これが一つ目です。
短期的に追加的な対策を検討いただきたい二つ目が、フロン系、特にHFCです。21年度をピークに、ようやく減少に転じたと思いますが、しかしながら、現在の水準でも、13年度比基準年で約1.5倍です。
これはご存じのとおり、HFCなどのフロン系のガスというのは、短寿命気候汚染物質といわれる物質で、やはり短期的な温暖化効果が大きいので、言い方を変えると、減らすことで、短期的に温暖化の進行を抑える効果が大きいということです。これは非常に難しいと言いましょうか、困難を抱える、例えばエネルギーの転換などの一種、時間を稼ぐことにもなると思いますから、ぜひ検討いただきたいと思います。
フロンの漏えい防止、それから、回収の促進は言うまでもないんですけれども、同時に、例えば伺いますのは、やはり老朽化した物流施設で、なかなかやはり投資が余力がなかったり、早期の機器転換が進んでいないことで、漏えいがやはり進んでいるということも伺えます。
そういう意味では、例えば物流施設等などの多くのHFC等の冷媒を使っていらっしゃるところに、早期の低温暖化係数の、あるいはゼロの温暖化係数の冷媒の機器への転換を促していく施策というのが必要ではないかと思います。
これは、倉庫会社さん、物流会社さんだけでなく、ロジスティックに関わるところですので、各企業のScope3の削減にも資するという意味で、力を入れていただく、検討いただけないかと思います。
三つ目がエネルギー、特に電力の脱炭素化です。今日、経産省さんからもご説明があったように、GXの推進の中で、いかにやはりエネルギー、特に当面、電力の脱炭素化をどう図るかというのは、気候変動対策だけでなく、産業の誘致を含めた産業政策としても非常に重要だと思います。
需要家のニーズ、電力需要化のニーズも非常に高いということはこの間分かっていまして、特にやはり自社の排出削減の観点からも、需要家から、できるだけ早い電力の脱炭素化、特にそういう意味では、再生可能エネルギーの導入への期待というのが高いということであります。ここは今回、このエネルギーの脱炭素化についての政策について、次回、もう少し踏み込んだ検討をお願いし、施策についても検討をお願いできないかというふうに思います。
今回、最後ですけれども、国交省さん、それから、農水省さんからご報告をいただきました、国交省さん環境行動計画に関わらせていただきましたので、これは、国交省さんの施策だけでなく、経産省さん、そして、環境省さんにも関わりますけれども、特にこの間、住宅建築物の脱炭素化について、積極的な対策を取ってくださっていると思います。
ご存じのとおり、建築物の対策の一環として、ライフサイクルでの排出削減、排出の算定、あるいは削減に向けた施策の検討もされているというふうに思っております。これはぜひ三省で協力をして、進めていただきたいというふうに思います。
農水省さんのところも、農業者が特に進める再エネ導入について、検討会を立ち上げられたり、あるいは食品産業と農業者の連携のプラットフォームを立ち上げられたりしていると思います。
ぜひ、こうした取組は、事業者のエネルギーコストの低減やレジリエンスの強化にもつながるだけでなく、先ほど言いました、その外側にあるエネルギーの脱炭素化を通じて、社会的な裨益が非常に大きい取組だというふうに思いますので、ぜひこの具体化、あるいは施策の具体化と、そして、施策の実施を早期にお願いしたいと思います
以上です。
大橋委員長
ありがとうございます。
続いて、池田委員、お願いします。
池田委員
ありがとうございます。各省の皆様方におかれては、丁寧なご説明をいただきまして、ありがとうございます。感謝申し上げます。
3点コメントさせていただきます。
第一に、他の委員からも複数ご指摘がございました、資料3、温対計画の進捗状況に関してです。2ページに示していただいたとおり、日本の排出量が全体として引き続きオントラックにあることは、前向きな要素と考えます。
しかしながら、5ページにありますように、産業部門における順調な削減には、活動量の減少が大きく寄与しております。脱炭素化と経済成長の両立を図るGXの趣旨に照らして、到底望ましい状況とは言えないと存じます。こうした中で、GX-ETSの本格稼働といった対策強化が進むことになります。気候変動対策だけではなく、エネルギー政策、産業政策の視点も加味して、戦略的に、成長に資するGX政策の在り方を検討する必要があることを改めて強調させていただきます。
第二に、GXは国民が環境価値に対価を支払うことなしには進みません。同じ機能で値段が高い脱炭素製品を購入していただくことのハードルの高さは、ここ数年の物価高への反応を見ても明らかでございます。GX政策の根幹に係る課題として、啓発活動の推進など、政府一丸となって取り組んでいただくようお願い申し上げます。
第三に、各省の施策との関係では、精力的な取組を進めていただくことがもちろん重要ですが、限りある財源の有効活用という観点も再確認していただきたいと存じます。
特にGX経済移行債を活用した投資促進策は、金額の規模感が桁違いに大きく、明示的カーボンプライシングを通じた企業負担による償還が必須となっております。GX経済移行債を活用した投資促進策は、民間のみでは投資判断が真に困難なイノベーションに支援を重点化し、くれぐれも放漫財政となることのないよう、改めてお願い申し上げます。
私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
大橋委員長
ありがとうございました。
続いて、下田委員長、お願いしてもよろしいでしょうか。
下田委員長
ありがとうございます。何人かの委員からもお話がありましたけれども、やはり2030年に対してどうなのかということが、今大事だと思っております。
UNEPのギャップレポート等を見ておりますと、2030年、大幅な削減目標を出した先進国の中で、届きそうなのがイギリスとEUと日本だけという状態になっておりまして、ただ、イギリスもEUも自国の分析では、なかなかこのあとの5年は厳しいということを言っています。
日本も、お話がありましたように、産業部門の活動量低下に大分助けられてオントラックでございますけれども、今日の経済産業省の資料の最後のほうに出てきましたように、これから2030年までで、データセンター等の電力消費施設が大幅に立ち上がってくるという状況で、予断を許さないという状況でございます。
全ての国が2030年目標を達成できませんでしたというのもどうかと思いますので、やはり日本としても、2030年の予見を持って、誠実に対応していくという姿勢を求められるだろうと思っております。
ただ、本日の資料で見ますと、ネット・ゼロに向けた大きな政策と当時に、例えば既築住宅の改修ですとか、それから、電気自動車ですとか、あるいは自己消費型の太陽光再生可能エネルギーのような、導入者にもメリットがあって、かつそのリードタイムの短い対策に対して、かなりの資源がつぎ込まれているということは、かなり理にかなったものでございまして、これは本当に好ましいことだというふうに思っております。
ただ、今申し上げたような今後の見通しとか、今どういうふうに政府が取り組んでいるかということを国民に分かりやすく説明できていないんじゃないかと思います。
これは、特に暮らしのGXのような消費者側に対するGXの需要を高めていく上では、やはりこれから取り組んでいただければなというふうに思っております。
例えばイギリスの気候変動委員会が、毎年、削減状況に関する詳細なレポートを出していたり、それから、動画で非常に分かりやすく解説したりということをやっておりますので、何かこの辺りを参考にしていただけないかなと思っております。
以上です。
大橋委員長
ありがとうございました。
以上で、一応お手の挙がった、ご発言希望の方にはご発言いただいたという認識ですけれども、もしご発言がどなたかあれば、挙手いただければと思いますが、よろしゅうございますか。
それでは、様々ご意見、あるいはご質問もいただいたところでございます。各省の事務側からいただければと思いますが、お時間の都合もあるので、各省2分でお願いします。
それでは、まず、環境省さんからお願いします。
環境省 脱炭素社会移行推進室(加藤)
はい。環境省でございます。
個別のところは、後ほど。担当が来ておりますので。
大きなところで、堀井委員からございました、既築のほうが進んでいるのではないかというところについては、今の指標が省エネ基準に適合する住宅ストックということになっているので、既築、プラス新築の効果が既築の進捗指標に入っている可能性があるので、ちょっと国交省さんとも確認して、さらに補助的に解像度が上げられるかどうかというのはご相談事項かなというふうに思っております。
運輸につきましては、保有燃費は上がっているんですけれども、指標が新車に占める次世代自動車の割合となっているところもあり、次世代自動車の割合が、まだ目標にも十分な部分があるというところがございますので、ここについても経産省さんとご相談させていただければと思います。
また、鶴崎委員や増井委員からのフォーキャスティングでの推計というのと、長期を見据えて、進んでいるかどうかということの確認をという話がございました。解像度をどういうふうに上げていくかというところを、分析の解像度を上げていくというところをまず、各省とご相談して、進められないかなと思いますので、その結果として出てくるものが最終的に見通しということになろうかと思いますので、どのような形でできるかというのは、検討したいと思います。
山下委員からもご指摘がございました、家庭と運輸の上振れということで、もともと産業38%、運輸35%に対しまして、業務が51%削減、家庭が66%削減となっていて、それぞれ進みやすいところの業務改善を進めるということになっている中で、どこに進まない要因があるのかというのは、さらに分析をしていきたいというふうに考えております。
伊原委員からございましたとおり、残り5年で、見込みのあるところに目星をつけるべきではないかという話につきましても、参考にさせていただいて、どういうふうに分析ができるかというのを検討していきたいと思います。
高村委員からございましたとおり、達成度の評価をどういうふうにやっていくか、要因分析、追加対策というものをどういうふうに検討していくかということについては、重要なご指摘かと思いますので、他の委員のご指摘と併せて、検討させていただきたいと思います。
池田委員からございましたとおり、GXに対価を支払うということを国民の皆様にどういうふうにお伝えしていくかというのは極めて重要だと思っておりまして、下田委員長から最後いただいた、国民に分かりやすく、どうお伝えしていくかというところにつながっていくかと思いますので、そこにつきましても、引き続き、まずは事務局のほうで、各省とご相談して、どういうお示しができるかというのを検討していきたいと思います。
以上でございます。
経済産業省GX推進企画室(河野)
ありがとうございます。経済産業省の事務局です。
大きなところ、フォローアップの進め方、あるいは具体的に、こういう追加対策をさらに深掘れるのではないかといったご指摘に関しては、まさに今、環境省事務方の担当者のほうからありましたように、目標を設定した当時の背景などを含めて、事務局として、よく各省庁と連携して、何ができるかを、いただいたご指摘を踏まえて、考えていきたいというふうに考えてございます。
自動車に関して、堀井委員、それから、伊原委員から少しご質問がありましたが、ちょっと追って、経済産業省の自動車課のほうからお答えをさせていただきます。
それから、増井委員から、革新的技術への動きという話がありました。これも最後の下田委員からおっしゃっていただいた、まさに国民説明の仕方ですね。この辺りをよく気をつけて、しっかりバランスを取った説明の仕方が大事になってくるかなというふうに考えてございます。
山下委員から、幾つかご指摘がございました。産業部門ですね。活動量が減っているからというところで、これは池田委員からもございましたように、それ自身望ましいことでは恐らくないかもしれず、今後、GXということで、産業の活動が増していく中で、どう脱炭素と両立させていくかがポイントになると思います。
その際、現状、事業者は既に複数のその報告の枠組みがありまして、温対法自主行動計画、GXリーグなどがありまして、さらに先ほどご紹介したGX推進法、そのCO2排出量の取引制度の話なども追加で、また事業者に対して、ある種の負担として乗ってくるところ、どのように業務特性に応じた適切な評価や検証を行うかという点が重要になります。この辺りはよく事務局の中で相談をして、進めていきたいというふうに考えてございます。
その他リサイクル、あるいはサーキュラーエコノミーの辺りは、法案の(2)のところでも資源循環を示させていただいてますし、中小事業の話は取組の一覧をご紹介させていただきましたけれども、しっかり丁寧に進めたいというふうに考えてございます。
井原委員からバリューチェーンの重要性のご指摘がありました。もちろん最終消費者への訴求も重要でございますけれども、一方で、BtoBというんですかね。事業者の中でのサプライチェーンの中で、どうビジネスの中である種アルゴリズムとしてGXが浸透していくかということも大事だと思っておりまして、経産省の資料の7ページ目にGXリーグの取組を広げる方向性を紹介させていただいておりますが、その辺りで問題意識を含めた議論を進めていきたいというふうに考えてございます。
以上です。
大橋委員長
ありがとうございます。
続いて、環境省ですか。環境省で回してもらって。
環境省脱炭素社会移行推進室(加藤)
はい。では、まず、温対課から一通りあれば、お願いします。
環境省地球温暖化対策課課長補佐(澁谷)
環境省地球温暖化対策課、課長補佐の澁谷と申します。
私から3点ほど発言させていただきます。
まず、大塚委員から、資料5の60ページのペロブスカイトの話で、目標の話を言及いただきましたけれども、これは、ご承知かもしれませんが、日本全体で2040年度までに20GWというのがエネルギー基本計画でも示された目標ではございますけれども、今後、例えば具体的な目標としては、例えば政府実行計画の中では、生産体制ですとか、あるいは施工方法の確立等の状況も踏まえながら、政府部門の目標を今後しっかり検討していくというようなことになってございます。
足元では、このペロブスカイト太陽電池の需要創出に向けて、将来の普及を見据えて、拡張性の高い設置場所への導入を支援して、社会実装モデルの創出を目指した取組を進めてまいりますが、委員のご指摘等も踏まえて、しっかり政府部門における目標等を検討してまいりたいと考えてございます。
また、伊藤委員から、J-クレジットのところでご質問、ご指摘をいただいたところでございます。例えばブルーカーボンというお話がございましたけれども、これは、対象とするエリアの明確化、あるいはクレジット制度としての整理、科学的な裏づけを含めて、国交省、経産省等の関係省庁との連携の下で、引き続き検討を深めていくというところでございます。
また、例えば衛星データやドローンを利用した技術の活用可能性等もご言及いただきましたけれども、例えば森林分野の方法論につきましても、これは主に林野庁が中心となって検討していただいているところですが、測定可能性、あるいは信頼性の確保を重視しつつ、他国の動向等も踏まえながら、引き続き制度の改善に努めていくというところで考えてございます。
また、最後ですけれども、複数の委員からご指摘いただいております環境配慮製品に関する最終需要の喚起であったりですとか、あるいは消費者と国民の行動変容、あるいはバリューチェーン全体の脱炭素化とかというようなところで、複数の委員からご指摘いただいていたと思います。
こちらはやはり脱炭素に資する投資、あるいは調達先の選択といったものを、これを中堅・中小企業を含めたバリューチェーン全体で推進するということ。
また、脱炭素型の製品、サービスをこうして積極的に選択するような行動変容を促すということを両輪で進めていくことが非常に重要だと考えてございまして、これからも、いわゆるサプライヤーエンゲージメントに関するモデル事業、あるいは中堅・中小企業の脱炭素経営を地域ぐるみで伴走支援するような事業の実施を供給側に対して行うとともに、需要側に対しては、カーボンアカウントの普及、脱炭素製品、サービスを消費者に提案、提供する取組を後押しするなど、これまで行ってきたところではございます。
こういった脱炭素製品、サービスについて消費者により分かりやすく訴求するために、表示ルールをはじめとする需要創出策などの検討を進めているところでございまして、これに関する検討会の中間取りまとめなども、先週25日に取りまとめていただいたところでございますけれども、引き続き本日のご指摘を踏まえながら、脱炭素に貢献する企業、製品、サービスが積極的に選択される社会を目指して取り組みたいと考えてございます。
以上でございます。
環境省脱炭素社会移行推進室(加藤)
ありがとうございます。今井総括、一言よろしいですか。
環境省地域政策課(今井総括)
地域政策課でございます。
大塚委員から、地域脱炭素ロードマップの関係で、環境省の目標のレベルと自治体のレベルが合わずに、難しい状況があるんじゃないかという、こういったご指摘をいただいたところでございます。
脱炭素先行地域等の取組に関しましては、自治体のほうで、非常に先行的なモデルを構築いただいておりまして、今年度中に100地域を選んでいくということでございますが、その実現に向けてなかなか難しいという側面もあるかと思っております。
こうしたものについて、毎年度フォローアップを行いつつ、中間評価等も行いながらやっていくとともに、地方環境事務所を中心に、伴走支援をしっかり行いながら、その実現に向けて、環境省としても、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
環境省脱炭素社会移行推進室(加藤)
最後に、フロン室の飯野室長、今おしゃべりできますでしょうか。
環境省フロン室室長(飯野)
フロン室、飯野でございます。
低GWPの空調、もしくは冷凍、冷蔵設備機器への転換の促進につきまして、高村先生のご指摘は全く重要な部分でございまして、一つは、フロン法に基づく指定製品制度の施行、これを着実に進めていくということで、経産省の主管ですけれども、環境省も協力して、実行可能な、できるだけ高い目標を掲げて施行していくと。
もう一つはインセンティブとして、エネルギー特会の予算での設備転換の支援を行っておりますが、この予算の使い方を、できるだけめり張りを効かせた予算を執行することによって、少しでも同じ額の予算額の中で、大きな効果を上げるべく、施行に努めているというところですが、ぜひ効果が上がるように、しっかりと取り組んでまいります。ありがとうございます。
環境省脱炭素社会移行推進室(加藤)
環境省は以上でございます。
経済産業省GX推進企画室(河野)
経産省からも1点、自動車課から委員へのご回答をお願いしたいんですが、オンラインからお願いできますか。
経済産業省自動車課(岡林)
経済産業省自動車課の岡林でございます。
堀井委員から、次世代自動車のうち、ハイブリッドは売上増となっているのに、なぜ進捗率ではそれが見えないのかというご指摘をいただきました。
2024年単年での乗用車の新車販売におけるハイブリッドの比率というのは50%以上になっています。この状況が削減見込量に表れにくい理由としては、新車販売ではなく、保有車両における削減見込量を算出しておりますので、なかなか新車販売のハイブリッドの比率というものがすぐには反映されないという状況でございます。
新車販売に占める電動化等が今後進むことで、保有車両におけるCO2の排出量が削減することを期待しております。
また、伊藤委員のほうから、自動運転に関してコメントをいただきましたので、こちらで併せて回答できればと思いますけど、経済産業省は、モビリティDX戦略を策定しておりまして、自動運転などの普及に向けて取組を進めてきたところでございます。
具体的には、自動運転システムの研究開発から社会実装まで一貫して取り組む官民プロジェクトを進めるとともに、これらプロジェクトで得られた成果や課題を取りまとめて、他の地域でも参照するための手引きの作成、周知などに取り組んできております。引き続き、自動走行技術の向上や自動走行に対する理解を促進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
経済産業省GX推進企画室(河野)
ありがとうございます。
経産省からは以上です。
大橋委員長
本日ご報告等は伺っていますけど、もし農水省様、ほかに何かあれば、ご発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
農林水産省(東)
農林水産省みどりの食料システム戦略グループの東です。
伊藤委員から、中干し期間を例に、生物多様性についてご意見があったかと思います。農林水産省としても、中干し期間の延長で、水生生物への影響が生じる可能性はあると承知しております。
そういう水生生物への影響が想定される場合には、例えばビオトープを造るとか、あとは、作期を分散して、中干しの時期を分散する。
また、生物の避難場所となる江を設置するなど、地域の実情に応じて、対策を検討しながら進めることとしております。
以上です。
大橋委員長
国交省、もし何かご発言希望があれば、いただければと思いますが、いかがでしょうか。
国土交通省環境政策課長(竹内)
国土交通省、竹内でございます。
まず、堀井委員から、住宅、自動車につきまして、長期使用や中古流通との関係でご指摘がございました。
その中で、自動車、住宅とも、確かに中古流通というのが増えているというのはありますし、使用年数が延びている面もあろうかとは思います。
ただ、例えば自動車につきましては、やはり長く使っても燃費はよくなりませんので、基本は買替えの促進を図っていくことというのも重要なのかなというふうに思っております。特に貨物自動車につきまして、まだまだ取り組む面がたくさんあると感じているところでございます。
住宅につきましては、中古で流通する際に、省エネ性能が高いものが流通するということが大事かと思っておりまして、改修支援を引き続きやっていきたいところで考えております。
二つ目ですけど、大塚委員からSAFのご指摘がありました。国内循環ということで、国産SAFの安定供給ということかと理解いたしましたけれども、現在、製造供給、流通両面から安定供給を構築するといった取組をしているところでございます。
最後に、伊藤委員から公共交通の重要性についてご指摘がありまして、ありがとうございます。もともとコンパクトプラスネットワークとか、公共交通利用促進というのは推進していたところではあるんですけれども、昨今、人口減少、運輸関係の担い手不足ということもあって、交通空白地域というのはできております。
現在、交通空白の解消に向けた取組を省を挙げて実施しておりまして、公共ライドシェアや日本型ライドシェア、また、自動運転の普及拡大も含めて取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
大橋委員長
ありがとうございました。
もうお時間は相当過ぎちゃったので、以上とさせていただきたいと思います。
委員の中で私だけコメントし損ねているわけですが、ちょっと時間がないので、
1点だけ気づいたことをあえて申し上げると、進捗は概ね順調だというふうな委員からのご指摘があったと思いますが、産業部門に支えられている部分は相当大きいと思われます。活動量の減少については懸念すべきことがあるのかどうか。これは産業構造の転換等も含めて書いてあるので、ちょっとどの程度の中身なのかというのは、しっかり見ていく必要は本当は私はあるのではないかと思います。
こうした点も含めて、今後、分析のほうを深めていただきたいというのが概ねの委員の相対的なご指摘だったのかなと思いますが、いずれにいたしましても、今回の内容については、地球温暖化対策推進本部の政府全体の進捗点検の資料として、委員のご発言等もしっかり踏まえて、ご報告させていただくということにさせていただきたいと思います。
議題3についてはいかがでしょうか。
経済産業省GX推進企画室(河野)
今回は特段議題3はございません。
大橋委員長
それでは、本日は時間が過ぎてしまって、大変申し訳ございませんでした。
本日の議事は全て終了といたしますので、事務局にお返しいたします。
経済産業省GX推進企画室(藤井)
大橋委員長、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましては、大変活発なご議論をありがとうございました。本日の会議を踏まえ、8月に開催予定の温対本部幹事会へ報告させていただきます。
なお、本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきました後に、ホームページに掲載をさせていただきます。
以上です。
本日はありがとうございました。
午後5時00分 閉会