中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会(第8回) 議事録
開催日時
令和7年6月23日(月)16時00分 ~ 18時00分
開催場所
WEBによる開催
議題
(1)環境省とりまとめの対策・施策の進捗について
(2)その他
資料一覧
議事次第
資料1:中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会委員名簿
資料2:地球温暖化対策計画の進捗状況(環境省取りまとめの対策・施策)(概要版)
資料3:環境省関連対策・施策の進捗及び今後の取組について
参考資料1:環境省とりまとめの対策・施策の進捗状況(参考)
参考資料2:環境省とりまとめの対策・施策の進捗状況(部門・ガス種別)
参考資料3:地球温暖化対策計画の進捗状況(環境省取りまとめの対策・施策)(詳細版)
議事録
脱炭素社会移行推進室午後4時00分 開会
〇脱炭素社会移行推進室
定刻となりましたので、ただいまから、中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会第8回を開催いたします。
環境省脱炭素社会推進室の新津でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の専門委員会は、Webにより開催させていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信し、動画は会議後、議事録公開までの間、Web上で公開予定です。
また、委員に変更がございまして、折茂委員にご参画いただいておりましたが、本委員会より、伊原委員にご参画いただいております。
本日は、高村委員が遅れての参加となるとのご連絡をいただいておりますが、定足数の要件を満たし、専門委員会として成立していることをご報告いたします。
また、事務局に加えて、環境省における個別対策施策の担当課室も参加しております。
それでは、議事進行を下田委員長にお願いしたいと思います。下田委員長、よろしくお願いいたします。
〇下田委員長
皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は、議事次第にございますとおり、1番目として、環境省取りまとめの対策・施策の進捗について、2番目、その他となっております。
まず、資料2について、事務局からまとめて説明をいただいた後に、資料3について、環境省の関係課室から説明をいただきまして、まとめて討議を行う形としたいと思います。
それでは早速、資料2から、事務局からの説明をお願いします。
〇脱炭素社会移行推進室
事務局の福永と申します。
それでは、資料2に基づきまして、説明をさせていただければと思います。
まず、こちらでございますけれども、2050年ネット・ゼロに向けた進捗ということでございまして、今回、2023年度の実績が出てきております。排出吸収量につきましては、約10億1,700万トンということで、2022年度比で4.2%減少、2023年度比27.1%減少ということで、過去最低値を記録しておりまして、2050年ネット・ゼロ実現に向けた減少傾向を継続してございます。
続いて、3ページ目でございますけれども、実績の進捗ということで、左側が2013年度実績と2023年度実績を比較した表になっております。また、右側のほうが2023年度の削減率、そして、2030年度の削減の目標、目安を比較した表となってございます。
この後のスライドで、より細かいところをご説明させていただければと思っております。
4ページ目が部門別のCO2の排出量の推移ということでございまして、各部門減少状況をお示ししておりますけれども、産業、運輸、業務、その他部門、家庭部門、それぞれ全ての部門で、2022年度から減少しているという状況でございます。
次のスライドから、個別の部門について説明をさせていただきます。
5ページ目ですが、こちらがエネルギー起源CO2のうちの産業部門の進捗要因について分析をしております。こちらのグラフの見方でございますが、真ん中が2023年度実績、こちらを要因分析ということで、CO2排出係数の改善、省エネ、活動量といった形で分解をしております。
これに対して、右端2030年度でございますが、目標値の中の分解したもの、こちらを比較して、直近の2023年の実績がどこまで来ているかというものをお示ししております。
産業部門につきましては、CO2の排出係数改善ということで、2023年度でかなり進捗はしているところではございますけれども、まだ活動量の削減といったところで聞いているところがございまして、30年度目標に向けては、引き続きCO2の排出係数の改善、そして省エネ等を推進していく必要があるかと分析しております。
続いて、業務その他部門でございますが、こちらにつきましては、省エネでかなり改善が見られてございまして、進捗があったというところでございます。
続いて、家庭部門でございますけれども、こちらも省エネ等につきまして、改善が2023年度に見られておりますけれども、2030年度目標に向けては、まだ引き続き予断ないという状況ですので、省エネを推進していく必要があるかというふうに考えてございます。
続いて、運輸部門でございますが、こちらも省エネのところは改善してきている傾向にはございますが、活動量も増えてきているところがありますので、そこを考えますと2030年度目標に向けては、さらなる省エネを推進していくというところが重要かと考えてございます。
続いて、エネルギー起源CO2以外のGHGということで、非エネルギー起源CO2、メタン、N20、そしてフロン類のまとめた進捗要因分析になってございます。
こちらも2023年度でかなり改善はしてきているという状況でございますが、2030年度目標に向けては、引き続き尽力が必要かなというふうに思っております。
続きまして、10ページ目でございますが、こちらが今回、ABCD評価というもので、参考として、参考資料1におつけはしておりますけれども、そちらから改善した対策の進捗状況ということでお示しをしております。
こちら進捗率ということでお示しをしておりますが、上のほうが2030年度の排出削減見込量ということで、各対策での見込量がございますので、そこの中で大きいものから順に、下のほうで進捗率をお示ししているというスライドとなってございます。
下のほうの対策ごとの進捗率、大きいものから見ていただきますと、①から⑫までございますが、環境省の取りまとめ対策を今回まとめておりますので、その中で申し上げますと、やはりフロン類ですとか、廃棄物関係の対策が大きな割合を占めていると。その中での進捗率が何%かというところを右端のほうにお示しをしております。
こちらにつきましては、左のほうにNo.①からNo.⑫までございますけれども、この後資料3のほうで、各関係課室の方々からご説明をしていただきますが、その中で資料3の右上のほうに、関連する対策・施策については、ナンバリングをさせていただいておりますので、そちらを見ながら、ご議論をいただければというふうに思ってございます。
資料2については、以上でございます。
〇下田委員長
ありがとうございました。
それでは続きまして、資料の3につきまして、関係課室から説明をいただきたいと思います。
エネルギー需要側の対策・再エネ・省エネ関連から説明をお願いします。
〇地球温暖化対策課長
地球温暖化対策課長の吉野でございます。
冒頭、私のほうからエネルギー需要側対策・再エネ・省エネ関連ということでご説明いたします。
まず、資料の5ページをお願いします。
こちらはまず、くらしの脱炭素に向けた進捗・課題と施策の方向性ということでまとめてございまして、進捗・課題のところですけれども、脱炭素型ライフスタイルへの転換ということで、デコ活をやっておりまして、その状況を書いております。その中でも、補助事業という形で実施をしていること、それから、各センターでの取組をやっているということなんですけれども、課題といたしましては、理解や関心というのは、気候変動について高まっているけれども、行動変容に直接結びついているかというと、なかなかそこが課題なのかなと思っておりまして、そのインセンティブにつながる機会を提供するといったことなどが課題と思っております。
住宅・建築物の脱炭素化につきましては、新築については2030年にZEH水準ということで、制度的には建築省エネ法の基準もかかってきますけれども、それに向けてのZEH化率というのが、ここに記載してあるとおりでございまして、まだ一部だということでありますし、既築については、新築に比べてさらに対策が遅れているというふうに認識しておりますので、そのあたりが課題ということでございます。
方向性といたしましては、右側にありますように、デコ活の取組をやはり家庭のCO2排出の大きな部分を占める冷暖房、給湯等について、重点的に対策を講じていく必要があるのではないかといったことでありますとか、あとは各地域のセンターを含め、官民連携を強めていくとか、あとは課題に応じたということで、地域の脱炭素化ですとか、GX製品の市場拡大等の分野で削減を推進していくこと、それから住宅・建築物については、さらなる支援ということで取り組んでいきたいと思っています。
続きまして、ちょっと飛びますが9ページのところですけれども、消費者アンケートの概要について記載しています。こちらを見ますと、ちょっと字が細かくて恐縮なんですが、左の上の①の住〔外〕というところで、新築の持ち家に関して、省エネ基準への適合であるとか、太陽光発電導入というところの割合というのが上昇しておりまして、そうした実践につきまして、進捗が認められるのではないかというふうにアンケートでは見ております。
それから、10ページのところは、デコ活におけるいろんなサポートの例ということで載せていますけれども、新たな取組のマッチングをするとか、ウェブサイトで発信するとか、一部補助事業もやっているというところです。
11ページのところは、今回の進捗として、先ほどの資料2でエコドライブ、カーシェアリングということがありましたけれども、これは環境省のほうでアンケートですとか、関連団体からのヒアリングということで、進捗は管理しておりますけれども、各地域のセンターとか、デコ活応援団の枠組みを活用した取組を推進しているということでございます。
それから、12ページでご紹介しておりますのは、やっぱりくらしの中での行動、アクションで、例えばこれをやると何kgのCO2削減につながるといったことを可視化するためのデータベースをつくりまして、公表しているというようなことでございます。
それから、14ページのところは、昼の電力需要創出に向けたモデル事業ということで、再エネ導入拡大により生ずる昼の余剰電力、それを有効に活用するため、今、出力制御ということが全国的に課題になっておりますけれども、そうしたことへの需要側からの対応として、昼間に電力を使いましょうということを、インセンティブも与えながら呼びかけるモデル事業をやっているということでございまして、これは来年度もやっていきたいと思ってございます。
それから、17ページのところは、温暖化防止センターが各地で行っている取組のご紹介ということであります。
それから、住宅・建築物に関しまして18ページ以降からありますけれども、例えばということで、17ページは、住宅の脱炭素に向けた支援、これは3年目になりますけれども、先進的窓リノベの事業でありますとか、あとは今年度から実施しておりますGX志向型、ZEHよりさらに上のランクの省エネ住宅について、GX債で補助、支援するということでやっているということでございます。
20ページのところですけれども、デコ活の補助事業による推進施策の事例ということで、連携協働型省エネリフォーム推進タスクフォースの取組を令和7年度に採択してございます。これは民間の事業者さんが中心になって、あと関連の業界団体に入っていただきまして、消費者への周知であるとか、営業力の強化とか、技術力の不足に対する対応とかということを連携しながら進めていただくというようなプロジェクトを採択したところでございます。
それから、23ページ以降が公共部門の脱炭素化ということでございますけれども、こちらは進捗・課題といたしましては、今年の2月に政府実行計画をまず改定をいたしまして、2035年と2040年度の目標を新たに設けたということ。
それから、一方で、2年ほど政府部門の温室効果ガスは増えてしまっているということで、これを一つひとついろんな要因分析をして、ボトルネックを解消しながら進めていく必要があるというのが課題でございます。方向性といたしましては、後ほど太陽光等々で、個別にまた触れたいと思います。
次に26ページになりますけれども、こちらが政府実行計画の進捗状況ということでありまして、一番上の欄が全体の排出量。こちら2013年度比でいきますと、21%減ということですけれども、前年度から見てみますと、2.2ポイント増えてしまっているというようなこと。あとは太陽光については、件数の割合につきましては、2030年に50%以上というところを目標にしておりますが、これが21%。それから、建築物についてはZEBシリーズの事例がいろいろとされてきているということ。それから、公用車ですとか、LEDにつきましては、2030年ストック100%ですけども、いずれも40%弱というぐらいのところまで到達しているということでございます。
それから、一番下の電力調達が、こちらが政府全体の排出量には、電力の使用に伴う排出量というのが大体半分ぐらい占めていますので、この排出係数が上下するというのは大変大きな影響ありますが、現状20%弱というところでございます。前年度より悪化してしまったということで、全体の政府の排出量を押し上げているということで分析をしております。
それから、28ページのところが、これが先週、フォローアップの専門委員会で別途ご議論いただいたところのまとめでありまして、それぞれ進捗をチェックいただきまして、なかなか不十分と言えない状況だということであります。今後の取組というところは、特にということで五つ挙げていますのは、一つには、やっぱり再エネの調達について、環境配慮契約法に基づく取組でやろうとしても、なかなか入札がうまくいかないというようなことがあったりするのですけれども、そこを何とか現行の枠組みの中でうまく入札に参加していただくような形ができないかということ。あとは、現行の裾切り方式ではなくて、総合評価方式を導入できないかみたいなことも、それはそれで7年度から検討を始めているところございます。
それから、太陽光につきましては、PPAを活用した民間参画等により導入拡大するということ。
それから、建築物については、新築建築物のZEB化については、最初の計画、設計段階からしっかりやっていくということと、やっぱり既築についても、改修時には段階的にZEBの実現に向けた計画を検討していくといったようなことを、方向性としては盛り込んでいるところでございます。
それから、29ページのところで、特に太陽光について触れていますけども、大きく方向性としては二つあるかなと思っています。これだけポテンシャルがあるということが分かっていても、実際に本当にどれぐらい載るかという事業性の評価というところが、なかなか役人だけではできないということがあるのかなと思っていまして、実際の事業性の評価に必要な構造計算書等の保有状況をしっかりと調査して、事業性をしっかりと詰めていくということが必要じゃないかということ。それから初期費用がかからないPPAを検討していくということが、当面の取組としては、突破口ではないかということで、そこら辺に注力していきたいというふうに思ってございます。
それから、あとは30ページは、ペロブスカイトを政府施設で率先導入するということで、こちらは、ゆくゆくは政府部門における導入目標を設定していきたいということで、関係省庁に協力いただきまして、設置可能なという形で、通常のシリコン型では載らないような屋根と、あとは壁面として可能性があるようなところの面積だけ、調査したというところでございます。これを将来の目標設定につなげていきたいと考えてございます。
それから35ページのところが、バリューチェーンの関係ですけれども、こちらは中小企業にノウハウや人材が不足しているとか、そういったことが課題でありまして、あとはコスト面でもなかなか大変だというのがあります。施策の方向性としては、バリューチェーン全体の排出削減に向けて、排出量の算定とか、あとはカーボンフットプリントであるとか、そういったところで、しっかり算定をするということ自体の努力を評価していこう、プレイアップしていこうということを中心に、今考えてございます。
続きまして、飛んで40ページになります。バリューチェーン全体での脱炭素化モデル事業ということで、こちらは中小企業を含めてサプライヤーに対して脱炭素の取組を働きかけるという、サプライヤーエンゲージメントと言っておりますけども、そちらの取組をモデル事業として支援していると。これは個社単位、業界単位とそれぞれやっていまして、そこでの得られた知見を基にガイドをつくったりということをしております。
それから、41ページのところが中小企業の脱炭素化促進に向けた取組ということで、これは以前からやっておりますが、「知る」「測る」「減らす」という三つのステップで、様々な形で中小企業さんの取組を後押ししたいということでやっているものでございます。
それから、一つご紹介したいのは、44ページのところでSHK制度の活用ということです。こちらは今、サプライチェーンの排出量、スコープ3の排出量なんかも、任意報告では可能なんですけれども、利用者は極めて少ないとか、あと必ずしも制度の対象になってない中小企業の方々も使えるようになっているんですけども、まだまだ使われてないということで、そういったところをしっかりと後押ししていきたいなというふうに思ってございます。
それから、43ページのところは、実際の省エネ投資への支援ということでありますが、これはSHIFT事業と呼んでおりますけども、中小企業が、例えば燃料転換をしたいというようなときに使える補助金ということで、支援を補助制度としてやっているということ。
それから、資料2にも燃料転換の話がありましたが、49ページのところは、SHIFT事業による燃料転換の支援について、例えばということで食料品製造工場での事例といったようなことを挙げています。
それから、カーボンフットプリントに関しましては、50ページのところで、表示ガイドのことを書いておりますが、モデル事業なんかもやりながら、表示ガイドを策定しましたというところで、まだまだこれは取組の一部なので、しっかりと普及に力を入れていきたいということでございます。
57ページのところは、サプライサイドとデマンドサイドの取組の好循環に向けてということで、今年の5月から検討会を開催しておりまして、バリューチェーンにおける全体として、どうやったら排出削減につながるかというところを、サプライサイドの取組とデマンドサイドの取組をしっかり組み合わせて推進していきたいということで、今検討しているところでございます。
58ページ以降のところが再エネの関係で、特に民間のところに焦点を当てています。先ほどペロブスカイトが出ましたけれども、60ページのところがペロブスカイトの関係で、今年度から用意しています補助金の概要でございます。秋頃、公募を開始する予定でございます。
それから、最後になります。62ページのところがアセスメントの関係になっていますけれども、こちらが先の通常国会で洋上風力の拡大のための再エネ海域利用法案、これは環境大臣が、事前に海洋環境の調査をするというようなことを盛り込んでいますが、そのための法案が成立したと。
それから、環境省提出の法案といたしましては、アセス法の一部改正で、陸上風力発電を含む工作物の建替事業に係る配慮書手続の見直しを盛り込んだ改正案を提出しまして、成立したということでございます。
あとは、個別のトピック、水素ですとか、あと合成燃料の扱いですとか、あといろんな形で技術開発に取り組んでいるということは、一番最後のところに簡単ですけれどもつけさせていただいております。
説明は以上になります。
〇地域脱炭素推進審議官グループ
地域脱炭素関係についてご説明いたします。
70ページの辺りから資料あるかと思います。おめくりいただいて、71ページ目です。現行取り組んでおります地域脱炭素ロードマップ、令和3年に策定いたしましたが、71ページ目で載せさせていただいておりまして、これに基づきまして取組を進めているということでございます。
72ページ目は、昨年度の段階でこのロードマップに関して、これまでの進捗等を点検した結果で、これまでの進捗等をまとめておりますので、ご参考で載せております。
73ページ目、脱炭素先行地域等のこの取組を始める前の段階から、自治体さんのほうでゼロカーボンシティという形で、2050年ネット・ゼロということを目指す宣言がどんどん増えてきたということでございます。足元で、まだ少しずつ増えているという状況がございまして、自治体における取組の熱というのは、まだ引き続き上がっているという状況かと思っております。
74ページ目でございますが、地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体の実行計画の策定状況でございます。左側の今、黄色く塗っているところが事務事業編ということで、自らの事務事業に関するところの計画の策定状況。右側が区域施策編ということで、各区域の中の対策に関する計画の策定状況でございます。四角で囲っているところは、いわゆる法律上の策定義務がかかっているところでありまして、事務情報に関しては、全ての地方公共団体が策定義務ということで、ほぼ100%に近い形になってきております。一方で、右側の区域施策編のほうは、施行時特例市以上の規模の自治体に策定義務がかかっておりまして、ここに関しては、もうほぼ100%いうことになっております。
我々としては、計画を策定するというところの支援に関しては、もうある程度めどが立っていて、今後は具体の施策についてどういう形でやっていただくか、もしくは、目標達成に向けてどういう施策を立てていくかというところの支援が重要なのかなというふうに思ってございます。
75ページ目以降、今の事務事業編の状況について、幾つか指標を載せさせていただいております。
75ページ目でございますけども、例えば自治体における太陽光発電の設置実績ですとか、あとZEBの取得状況ですとかを載せさせていただいていまして、一定いずれも進捗は見られるんですけれども、まだ目標の達成という意味では、まだもう少し努力が必要という状況かなというふうに思っております。
76ページ目のほうでは、公用車ですとか、再エネ電力メニューの調達についても、状況を載せさせていただいておりまして、こちらは進展自体はしているんですけども、まだまだ、これから、さらに取組を進めていくことが必要というふうに考えてございます。
77ページ目以降で、地域脱炭素ということで載せております。77ページは、概念図で地域の再エネポテンシャル等を活用して、各地域のステークホルダーが協力して、真ん中にあるような地域経済活性化とか、地域課題の解決とか、まさにこういうことをしっかりやっていくと、各自治体さんを支援してやっていっていただくということが、この地域脱炭素の趣旨であるということを書いてございます。
78ページ目に脱炭素先行地域等ということで、今まさに進めてございまして、2025年までに少なくとも100地域選定するということで、各地で既に取組が様々進んでいるということでございます。
79ページ目に脱炭素先行地域の一覧を載せておりまして、現時点で88提案を選定しているという状況でございまして、本年度中に少なくとも100地域を選定するということになってございます。
80ページ目、昨年度、脱炭素先行地域を始めて3年ということで、最初に選んだところに関しては中間評価ということを行いまして、その中で、まだまだこれから取組をやっていくということが必要なんですけれども、かなり前倒しで実現をしているような取組も幾つかございましたので、そうしたものについてご紹介をしているということでございます。
81ページ目は、重点対策加速化事業ということで、ある意味で、準モデル地域的に各地域の中で特定の物品等について、自治体さんの施策と組み合わせてしっかり入れていくという取組を進めておりますが、これも171自治体を選定して、実現に向けて取り組んでいるということでございます。
82ページ目、こちらも中間評価をやりまして、核となる取組に関して、特に進展が見られるものということで、進展が著しいものについて幾つかご紹介をしているということでございます。
今後の方針のところで83ページにございますけれども、2021年に地域脱炭素ロードマップをつくって以降、この4年間、地域の中で先行的なモデルをつくるということでやってきたということでございます。
これは、地域脱炭素ロードマップによれば、今後、脱炭素ドミノという形で、全国に波及していくということが必要だということで、我々のほうで地域脱炭素2.0という言い方をしておりまして、2026年から2030年、この5年間を実行していくと。地域の中で、脱炭素を普遍化していくということで、そういう取組をさらに進めていきたいと思ってございます。
右側の一番上に、モデル事例の「普遍化」ということで、例えばでございますけども、これまで少しご紹介をしましたような各地域の事例において、地域の中で脱炭素化の事業を進めていくに当たってのノウハウ等、もしくは優良事例、こういったものが固まってきているということでございます。
こういったものをしっかり抽出して広げつつ、ここにございますような地方創生交付金、石破政権の下で倍増されたような交付金もございますので、こういったものも活用していただきながら、全国での普遍化を進めていくということを進めていきたいと思ってございます。
また特に、例えば地方公共団体が関与するような形での営農型太陽光発電ですとか、もしくは、クレジットを組み合わせるものですとか、もしくは、地域エネルギー会社さんが地産地消をするような取組ですとか、まさに地域の中でエネルギーも使い、また、その地域の中で収益を生んでいくような、こういう取組については地方創生の観点から有効なものと考えておりますので、こういったものに対するソフト・ハード両面での様々な個別の支援も検討していきたいと考えてございます。
あと、この次のページでもう一枚出てくるんですけども、地域の中で公共施設等の避難所となるようなところに、再エネと蓄電池を直接入れていくような補助を今、地域レジリエンス事業という形でやらせていただいているんですが、これをかなり加速化して、今後2035年度までに、追加で3,000か所支援するということで、国土強靱化の中期計画にも盛り込ませていただいたところでございまして、こうした取組をしっかり加速していくということを考えていきたいと思っております。
一つ戻っていただいて83ページ目のほうで、2030年から2035年を見据えた新たなモデル構築ということで、これまでの得られたものの普遍化を進めていくと、全国展開を進めていくとともに、これまで必ずしも先行地域等では対象としてこなかったような熱の脱炭素化ですとか、水素の活用ですとか、高度なエネマネですとか、ペロブスカイトとか、こういったものについて、新たにモデルをつくっていくようなものもしていきたいと考えてございます。
加えて、特に陸上風力等を念頭に再エネの促進区域制度のインセンティブを強化し、地域もしくは事業者に使っていただけるような制度にしていくと、こういったことも考えていきたいと考えてございます。
一番下ですが、こうやって先進的なものを進めて広げていく中でも、やっぱり小規模な市町村においては、なかなか自力で取り組むのが難しいということがございますので、都道府県ですとか、連携中枢都市圏ですとか、こういったものと協働連携して実施していくようなことを、しっかり進めていきたいと考えてございます。
こうした方針について、85ページ目にありますように、6月に取りまとめがあったような政府方針にもいろいろ盛り込んでおりまして、こういったものに基づいて取り組んでいきたいと考えてございます。
最後86ページ目、こういった普遍化の取組の一環ということで、全国で今地域脱炭素フォーラムを開催していまして、こういったものも通じまして、地域脱炭素の機運をさらに高めていくということを考えていきたいと考えてございます。
以上でございます。
〇フロン対策室長
フロン対策室長の香具と申します。よろしくお願いいたします。
では、88ページ目以降、フロンの関係についてご説明いたします。
まず、4ガス全体の排出量ということで、2023年における代替フロン等4ガスの排出量はCO2換算で約3,700万トンと、前年比約3.9%減となっております。2021年から、2年連続で減少しております。とりわけHFCsの排出量の減少による寄与が大きいことから、オゾン層保護法、フロン排出抑制法に基づく冷媒転換や廃棄時回収量の増加などによる効果と考えられます。
89ページ目でございますけれども、2023年におけるHFCsの排出量は約3,170万トンとなっておりまして、その用途別の内訳では冷媒用途からの排出が多く、全体の約9割を占めております。
90ページ目でございます。冷媒用途のHFCsの排出量について、機器の種類別の内訳は業務用エアコンが約34%、家庭用エアコンが約33%と多く、次いで、業務用冷蔵冷凍機器が約23%となっております。また、機器のライフサイクル段階別で見ますと、製造時は約0.3%、使用時が約46%、廃棄時が約54%ということで、使用時と廃棄時の排出が多くなっております。
91ページ目でございます。機器種類別ライフサイクル別のHFCsの排出量を、円の大きさで示したグラフになります。特に多いものを赤くしております。機器使用時については業務用冷蔵冷凍機からの排出量が最も大きな割合を占めております。また、機器廃棄時については、業務用エアコン、家庭用エアコンからの未回収量が多い傾向がございます。
92ページ目でございます。2023年度に実施した主な施策ということでございますが、冷媒転換の促進としましては、自然冷媒機器の導入補助事業について、複数年度にまたがる案件を活用可能にしたり、大企業には自然冷媒機器への転換目標の設定公表を求めたりするなどのリニューアルを実施しました。機器使用中の大気放出の抑制につきましては、常時監視システムの普及に向けて、漏えいの早期検知による電力消費量削減提案チラシや導入事例集を作成しております。
また、機器廃棄時の冷媒回収の徹底につきましては、自治体による建物解体現場への立入検査を約1,700件実施しております。実施件数は、年々増加傾向にございます。
また、家庭用エアコンにつきましては、冷媒フロン類を約2,493トン回収しております。
93ページ目でございます。2030年目標に向けた今後の取組としまして、冷媒転換の促進につきましては、まず、モントリオール議定書キガリ改正の確実な履行、それから低GWP冷媒の開発、自然冷媒機器の導入支援、さらに指定製品制度による機器の低GWP化の推進でございます。
また、使用中の大気放出抑制につきましては、常時監視システムの現在、簡易点検の代替ができることになっておりますけれども、さらに定期点検における導入を検討しております。そして、廃棄時の冷媒回収につきましては、家庭用エアコンの回収率目標の53.9%の達成を図ることとしております。さらに、横断的な取組としましては、令和元年に改正されたフロン排出抑制法の施行5年が経過しますので、このフロン法の見直しを実施することとしております。
これらによりまして、2030年目標値の達成を目指したいと考えております。
以上でございます。
〇脱炭素社会移行推進室
続いて、再生循環局、お願いいたします。
〇廃棄物適正処理推進課
廃棄物関連についてです。
95ページについて、廃棄物適正処理推進課からご説明します。廃棄物分野からのGHG排出量の推移ですが、2000年度をピークに、減少傾向から横ばいとなっており、2022年度は約3,670万トンのCO2換算となっております。その内訳は、焼却と原燃料利用で約8割を占めている状況でございます。
次のページお願いします。
〇循環型社会推進室
96ページの循環型社会推進室でございます。循環経済とは、資源、製品を循環的に利用し、そこから付加価値を見いだすことで、経済社会の力にしていくことです。循環型社会の形成に向けては、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会様式につながる一方通行型の線形経済から、持続可能な形で資源を効率的かつ循環的に有効利用する循環経済への移行を推進するということが鍵となっております。
次のページ、お願いいたします。
97ページ、第五次循環型社会形成推進基本計画が、去年の8月に第五次計画として閣議決定をされております。基本的に循環型社会形成推進基本計画は、概ね5年ごとに策定を行っており、今回で第五次計画となっております。詳細は次のスライドに記載しております。
98ページです。資源循環の対応ですけれども、環境面のみならず、経済・社会面からも重要な社会的課題です。循環経済への移行が気候変動、生物多様性の保全、環境汚染の防止等の環境面の課題に合わせて、地方創生や質の高いくらしの実現、産業競争力の強化や経済安全保障といった社会課題の同時解決にもつながります。
循環経済への移行を進めることは、関係者が一丸となって取り組むべき重要な政策課題でありまして、循環型社会への推進に向けた政府全体の施策を取りまとめた国家戦略として、この循環型社会形成推進基本計画を策定しています。
次のスライドをお願いします。
99ページが、第五次の循環型社会形成推進基本計画における我が国の取組のポイントについての全体図のご紹介となります。左側が、地方創生・質の高いくらし、右側が産業競争力強化・経済安全保障、そしてスライド下がネット・ゼロ、ネイチャーポジティブ、これら循環経済とネット・ゼロ、循環経済とネイチャーポジティブ、または、これら三つ全てに関する統合的な施策を実現することで、循環経済への移行を実現したいということでございます。
次のスライドをお願いいたします。
〇容器包装・プラスチック資源循環室
100ページにつきまして、容器包装プラスチック資源循環室から説明させていただきます。
2030年の目標達成に向けまして、バイオマスプラスチック類の普及のための施策として、従来の化石由来のプラスチックの代替となりますバイオマスプラスチックの実証、そして、設備導入支援を行ってございます。
資料の左側ですけれども、ライフサイクル全体における省CO2化のためのバイオマスプラスチックの転換及び社会実装の実証事業を推進しております。
また、右側の資料ですけれども、こちらのほうも省CO2型のバイオマスプラスチックの製造設備などの補助事業を推進しております。この二つの事業によって、主な活動の後押しをしているところでございます。
それから、令和4年4月に施行されましたプラスチック資源循環促進法もございまして、この法律において、環境配慮設計の促進もございますので、さらなるバイオマスプラスチック類の普及を促進していきます。
100ページは以上になります。
次、お願いします。
〇廃棄物適正処理推進課
101ページについて、廃棄物適正処理推進課からご説明します。
一般廃棄物処理施設における廃棄物発電の導入状況ですが、左上グラフのとおり、ごみ焼却施設は広域化・集約化が進んで、数が減少していっている中、廃棄物発電を行う施設数は増加し、その下のグラフのとおり発電効率も増加傾向にあります。
特徴のある事例として右側、鹿児島市では、乾式メタン発酵を焼却発電と組み合わせたハイブリッド型で、焼却発電は売電する一方、バイオマスは都市ガス原料として売却しています。
下の熊本市の事例では、焼却発電した電力を地域の公共施設に供給。また、近隣の防災拠点まで、自営線を整備して、電力供給。また、大型蓄電池も整備して、電力需給を調整できるようにしているほか、近隣の農業施設へ熱供給もしております。
次のスライドお願いします。
環境省では、廃棄物エネルギーの有効利用等を推進する観点から、余熱利用や電力利活用に係るモデル事業の実施や補助金など、記載しているような支援を行っております。
次のスライドお願いします。
〇リサイクル推進室
食品ロスについてのご説明いたします。食品ロスについては、食品ロスの削減推進法に基づき取組を進めております。ちょうど昨年度、5年見直しの年でございまして、それに基づき改定した基本的な方針についてのスライドがこちらにあります。
こちら、主なポイントといたしましては、上段にあります目標のところでございまして、こちら食品ロスについては家庭系と事業系二つございまして、どちらも2000年度比、2030年で半減を目標にしておりました。
そのうち、事業系については、8年前倒しで達成したということもございまして、60%という新たな目標を掲げ、また、家庭系については、50%削減を早期に達成するということを目標として、記載させていただいたというところです。
次のページお願いします。
こちらのデータが、「食品ロスの発生量の推移」で ございます。2022年度は、これは今最新の数字でございまして、間もなく2023年度の数値を発表すべく、今、調整を進めているところです。事業系、家庭系をまとめた半期目標というのは達成しているところですが、先ほど申し上げましたとおり、減少傾向にあるものの、これはコロナの影響もあり得ますので、そちらを踏まえた上で、コロナ禍で加速した消費者の食ロス削減取組が継続するような施策を、引き続き推進しているところです。
次のページお願いします。
こちらは参考となりますが、家庭系と事業系の内訳についてのグラフでございます。左側の事業系については、製造、業種別に分類しておりまして、一番大きいのが食品製造業、卸売業の量が少し少ないんですが、小売業、外食も加えて約25%、21%ずつということでかなりの割合を占めているところです。
他方、家庭系については直接廃棄、これは賞味期限が切れたなどの直接廃棄を含んでおりますが約43%、食べ残しが同量43%で、過剰除去という形で皮などを過剰に除去して、まだ食べられるところ、可食部があるというところが14%というところの数字です。
次のページお願いします。
〇脱炭素社会移行推進室
続いて、脱炭素室、伊藤室長お願いいたします。
〇脱炭素社会移行推進室長
伊藤でございます。よろしくお願いいたします。私は、このフォローアップの担当室長でありますけれども、吸収源についてもお話させていただきます。
最初にちょっと資料の訂正がございまして、今回、初めてフォローアップの進捗の中で、ABCDE評価をやめて、進捗率で表現しているものが、資料2の10ページにあると思うんですが、そこと各担当課室長などから施策の説明をしているのがこの資料3ですが、この資料3の右肩に、途中途中で、資料2の7ページの①とか②が出てまいります。これは10ページの誤りでございます。申し訳ありません。
吸収源については、実は2030年度目標のところには、環境省がメインになりそうなところは入っていないので、ちょっと資料2とはリンクしないんですけれども、2050年ネット・ゼロに向けてはしっかり対策をしていくという意味でご説明を申し上げたいと思います。
次、お願いします。
107ページにありますとおりネット・ゼロに向けては、6.5ガスに加えて吸収源もしっかりやっていくということですけれども、赤枠の真ん中辺りに53.7という数字がありますけど、直近の吸収源でおおよそ5,300万トン強ぐらい吸収量があるわけですけれども、その大半が、森林が占めているという状況でございます。
次、お願いします。
そんな中で、やはりその森林以外の吸収源のオプションを増やすという意味で、特に環境省としては、国交省、水産庁、経産省などと連携したブルーカーボン、あるいは、同じ国交省、あるいは、日建連などと連携したCO2吸収型コンクリートといったところに力を入れています。ポイントは技術開発ですとか、社会実装などを支援していくということと、しっかりと算定方法、クレジット化、MRBの認証だとか、そういう基盤を整備していくと。そこを両輪で押していきたいというところでございます。
次、お願いします。
ブルーカーボンに限定しますと、左下にありますとおり、まずは、国連に毎年報告している吸収量の中に、およそ30万トン強ですけれども、吸収量としての報告を算定式とセットで入れているというのがマングローブ林、あるいは海草、海藻で達成しているという状況があります。
それから、真ん中辺りにありますようないろんなモデル事業、ほかにもございますけれども、社会実装などの後押しもしていきたいということと、右端になりますけれども、最近、委託調査の中で、その天然藻場の保全回復に加えて、ある程度大型の増殖、あるいは深海固定などの取組検討に資するような調査を始めているという状況でございます。
次、お願いします。
温対計画を2月に掲げていただきました。下のほうになります。そこにも、まずブルーカーボンで、35年度、40年度で、100万トン、200万トンの目標を積んだというのと、本体計画の本文の中で、期待が大きい沖合のブルーカーボンについて、いわゆる、深海の貯留固定、こういうことの算定評価も組み合わせて、取組を検討していくということと、環境省が関係省庁連絡会議の事務局もやっていますけれども、関係省庁、あるいは官民連携の中で、推進体制をより強固にして、検討を進めるということにしております。
次、お願いします。
それから、コンクリートのほうは、まだ目標値的なものはありませんけれども、同じように国連報告の中で、直近では5社5製品のコンクリートについて、吸収量を報告しているということと、Jクレ化の検討に着手をしておりまして、この辺りも形づくっていきたいというところでございます。
次、お願いします。
同じように、温対計画の中では真ん中辺りになりますが、どうしても今のところは既存のコンクリートよりも価格が2倍強高いということで、Jクレ化の検討などもするということと、真ん中にありますが、公共調達であるとか、公共工事での調達義務化も視野にいろんな検証を進めるということ。繰り返しになりますが、Jクレ化の検討を加速するということを目指してございます。
以上でございます。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
続いて、行木参事官、お願いします。
〇国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官
続きまして、国際関係、国際協力担当の参事官をしております行木からご説明いたします。
スライド114お願いいたします。
1.5℃目標の実現に向けては、世界全体で大幅で、急速かつ持続的な削減が必要となっております。日本政府としましては、30のパートナー国と進めております二国間クレジット制度(JCM)などの実施やアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の下で、排出削減の鍵を握るアジア諸国への協力など、世界全体のネット・ゼロの貢献を着実に重ねてきているところでございます。
国際的には様々な動きがありまして、一部の国が方針を変更するなどといったところもございますけれども、日本としましては、世界全体が野心引上げに踏み出すことを後押しし、パリ協定で求められる取組を履行・支援するなど、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
また、2024年3月に開催されました第6回国連環境総会におきまして、日本から提案しましたシナジー促進決議の採択がございましたが、こういったことを踏まえまして、気候変動取組に当たっては、自然を活用した解決策の取組ですとか、相乗効果のある政策プロジェクトの実施を進めていきたいと考えております。
以下、個別の政策につきまして、ご説明してまいります。
一つ飛びまして、116のスライドをお願いいたします。
JCMを活用いたしました今後の方向性についてでございますけれども、三つの柱で進めていきたいと考えてございます。
まず一つ目ですけれども、プロジェクト開発のソーシングの領域・規模・ルートなどを拡大していくということでございまして、これまでは、省エネや再エネ、廃棄物分野などの活動が多かったわけですけれども、今後はこれらに加えまして、削減ポテンシャルの大きい案件の発掘・形成につながるように例えば、農業・泥炭地管理などの非エネルギー起源CO2の排出削減ですとか、CCSといったようなところにも取り組んでいきたいと考えております。
また、政府資金支援と併せまして、民間資金を中心とするプロジェクトの戦略的な推進にも、さらに力を入れてまいります。
新たなパートナー国となる国につきましては、削減ポテンシャルですとか、地政学的・外交的な重要性も踏まえまして、戦略的なパートナーの新規開拓にも取り組んでいきたいと考えております。
二つ目の柱ですけれども、担い手となる政府関係者・事業者などの能力向上に向けまして、例えばA6IPパリ協定6条実施パートナーシップと呼ばれる取組を通じたパートナー国の案件形成や能力向上の支援ですとか、我が国民間企業に6条の趣旨をご理解いただくための取組を進めるですとか、AZECですとか、G7など国際枠組みを通じた、加味した戦略的な取組を進めていきたいと考えております。
それから、3番目でございますけれども、事業運営の効率性の向上や必要な体制、インフラの整備ということでございまして、改正地球温暖化対策法に基づきまして、今年の4月に新たな指定実施期間JCMAが動き出したところでございます。ここを通じまして、効率的なプロジェクト管理や、クレジット制度の運用に取り組んでまいりたいと思っております。
次のスライド、お願いいたします。
ここから、JCMA以外の取組でございますが、まず一つ、ほかの国の能力向上に資する取組といたしまして、アジア太平洋統合評価モデル(AIM)と呼ばれるモデルなどを使いまして、長期戦略ですとか、NDC形成の支援を続けてまいります。
次のスライド、お願いいたします。
それから、政府、自治体、企業など全てのプレイヤーの取組の可視化へ取り組むということで、さっきのお話にもありましたが日本で事業者単位での算定報告公表制度がございますけども、そういった知見も活かしまして、透明性の向上に資する取組を続けていきたいと考えております。
次のスライド、お願いいたします。
そのほか、日本の自治体や日本の企業が持つ知見や経験などを活用いたしまして、海外の都市ですとか、現地企業の取組を支援するという取組をしておりまして、現在13か国64都市、地域の取組に、日本の23の自治体が参画をして進めているところでございます。こうした地域が持つ取組も、引き続き進めていきたいと思っております。
次、お願いいたします。
また、企業などとの関係者の連携を進めていくということで、環境インフラ海外展開プラットフォームと呼ばれる取組がございまして、こうした活動を通じまして、日本政府の取組、それから、海外の状況などを速やかに共有して、勉強するということも引き続きやってまいります。
次のスライド、お願いいたします。
先ほど紹介いたしましたシナジーに関連するところでは、スライドの下のところをご覧いただければと思いますが、様々な国で、取組間の相乗効果、シナジーに関連する動きがございますので、日本政府としましては、まず国連環境計画(UNEP)に拠出金を拠出いたしまして、UNEA7に向けて進捗レポートをつくっていただくための活動を支援しております。
それから、アジア太平洋というところでは、ESCAP、アジア開発銀行、UNEPと連携をいたしまして、この地域でのシナジーレポートをつくるべく、今取組を進めているところでございます。
次のスライド、お願いいたします。
ASEAN諸国との間では、2023年8月に開催されました日ASEAN環境気候変動閣僚級会合で気候変動、それから、環境に関する戦略プログラムが合意されて動いているところでございます。この中では、その三つの柱、気候変動と環境汚染、それから、生物多様性の損失に取り組むような全般的なプログラムとなっておりますが、スライドの下ですけれども、本年9月に、マレーシア・ランカウイで、次のASEAN環境大臣会合が開催されますので、ここに合わせて、日ASEANの環境閣僚級の対話も開催したいと考えております。
この閣僚級対応の中では、共同声明を出すということと、それから、今ご紹介したこの気候環境戦略プログラムを改訂したものを合意できるようにということで、今調整を進めているところでございます。こうした取組を通じて、アジア型脱炭素成長モデルをお示し、取組を進めていきたいと考えております。
次のスライド、お願いいたします。
冒頭でも紹介いたしましたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)でございますが、22年1月に日本が提唱して動き出したものでございます。昨年2024年には、今後の10年のためのアクションプランが合意されたところでございまして、この中では、例えばJCMですとか、それから、透明性を向上していくといった取組が盛り込まれているところでございます。
本年秋に、第3回のAZEC閣僚会合が、ASEANの動きと連携して、マレーシアで開催される予定でございますけれども、こういった場も活用いたしまして、世界の脱炭素、特にその鍵となるアジアでの取組にも、大きく貢献をしていきたいと考えているところでございます。
国際に関しましては以上です。
〇下田委員長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明を踏まえまして、ご意見等を頂戴できればと思います。ご発言を希望の方は、挙手ボタンをクリックしてください。ぜひ、幅広く委員からご意見をいただき、議論を深めていければと考えておりますので、忌憚のないご意見をいただければと思います。
では、よろしくお願いいたします。
〇脱炭素社会移行推進室
大塚先生、お願いいたします。
〇大塚委員
どうもありがとうございます。3点ほどちょっとございまして、2点は割と簡単なことでございます。
資料3のほうですけど、スライド93のところのフロンに関しての常時監視システムを定期点検において導入することですが、これは義務づけのようなことは、将来的には何か考える余地があるのかどうかとか、その辺について、現在どうお考えになっているかということをちょっと教えてください。
それから、同じ資料3の68ページですけども、SHK制度におけるカーボンリサイクル燃料の扱いについてですが、ちょっとあまりよく分からなかったので、ここちょっとご説明を詳しくしていただけるとありがたいです。
それから、三つ目ですけども、83ページのところで、地域脱炭素2.0で、促進区域制度があんまり多くないので、多く使われていないので、インセンティブ強化は極めて重要だと思いますが、具体的にどういうことをお考えになってらっしゃるかということ。それから、現在宮城県とかで、促進区域とそれ以外のところで再エネをつくるときの税を掛けるか、掛けないかのインセンティブ、レスインセンティブを働かせるようにする仕組みが入っており、青森県も同様のことを考えてらっしゃると思いますが、その税の課税するかどうかとか、税率を変えるかということ、促進区域かどうかによって変えていくという、場合によっては、それで税がかかれば、収入が自治体のほうにいくということになると思いますし、税でなくても、一定の再エネ事業者さんの収益に関して、例えば、1%とかを基金に入れていくというようなことが考えられると思いますけども、このインセンティブとして、どういうことをお考えになっているか。
さらに、今の税との関係で、法定外普通税だと思いますが、考えていることとの連関とかは、どういうふうにお考えになっているかというのをちょっと教えていただけるとありがたいと思います。
以上でございます。
〇脱炭素社会移行推進室
大塚先生、ありがとうございます。
先に質問を受け付けたいと思います。
山下先生、お願いいたします。
〇山下委員
ありがとうございます。私からは質問というよりはコメントが主になりますが、よろしいでしょうか。
〇脱炭素社会移行推進室
はい、どうぞ。
〇山下委員
丁寧な説明ありがとうございました。網羅的な資料ですので、気がついた点を中心にコメントさせていただきます。
まず資料の1の進捗要因分析を見ますと、業務その他部門は、ほぼ2030年目標のトレンド上ですけれども、家庭と運輸は上振れています。家庭と運輸の上振れを補って、全体を30年目標のトレンドに戻しているのが産業部門の減少ですけれども、最大の減少貢献は活動量の減少であり、経済活動の不振によるものです。
産業部門では、活動量の低迷もあって、省エネについては減速しており、13年から23年までの10年間の進捗率は50%を割っていますので、単純計算では、目標に向けた残りの53%を7年間で達成することが求められます。
CO2以外のGHGについては、大幅に目標値へのトレンドから乖離しており、順調な進捗とは言い難い。ここまでが今回ご説明いただいた結果のサマリーなのかなというふうに思います。
それを踏まえまして、資料3の環境省の対策に関しての説明を拝見いたしますと、家庭部門を中心に行動変容を伴う消費者の実践が重要だと思われます。加えて、脱炭素化は、既に普及している安価で効率的な化石燃料から、新たな技術の開発を伴う新エネルギーの利用に、再生可能エネルギーだけでなく、例えば水素のようなものも含む新エネルギーの利用に、我々自らの意思で転換していくことでありまして、コストの上昇を伴います。そのため、国民の理解と支援が、今後の取組の鍵を握ることになります。
その点で、資料3の9ページにありました各種対策に関する実態調査は、とても興味深い結果を示しており、参考になると思いました。住宅そのものの省エネ基準への適合や太陽光発電の導入について、その効果についての認知度は極めて高いようですが、主に既存住宅への導入には難しさがあるようです。
建て替えや改築の費用、計画すること自体の負担など、便益が時間や費用などのコストを十分上回ると認知されなければ実現しません。耐震性強化との組合せによる、より安価な提案などが求められるのかと思います。
高効率機器の導入について少し驚きましたのは、LED照明の導入率の低さです。公共部門の取組でも、こちらの実態調査と同じくらいの低い導入率です。市場での販売が、LED中心になった現在でも、なぜこのように低いのか気になります。これは質問としても考えていただいていいかもしれませんが、もし理由がお分かりでしたら教えてください。
機器は壊れないと、買替えない消費者が多い中、買替えによる省エネ効果と節約効果を訴えて、どのように定期的なより効率のよい機器への買替えを促していくのか。機器の廃棄には、適切なリサイクルをすることで、代替フロン等のCO2以外のGHG排出を削減する効果があるのか。そういったことを消費者に伝える努力が、より一層必要だと思われます。
一方で、節約することで家計を助けることになる行動変容は、善戦している様子がうかがえます。エコドライブや自転車の利用などは実践割合が高く、クールビズやウォームビズも、快適さを損なわないことから実践されているようです。また、健康を害する大きな影響があることへの理解が進んだプラスチックの利用抑制やリサイクルについては、6割を超える実践率です。
重要なのは、このような実態調査を基に、これまでの対策について、何が足りなかったのか。これからの対策として、何が必要なのかを判断し、迅速に導入していくことでしょう。スピードも重要です。
最初に申し上げたとおり、脱炭素化は、経済的な痛みを伴うエネルギー利用の変革であり、将来の産業創出や日本の国際的な競争力の確保といったマクロの視点だけでは、国民の理解を得て、対策を進めることが難しいものです。ある程度は供給側の製品ラインアップや設備の変更を進めることで、消費や生活を取り巻く環境の側を変えていく必要があり、創意工夫が求められます。既に効果が見え始めている地域間単位での取組やレジリエンスと脱炭素を組み合わせて、高ベネフィットを目指す取組もその一つかもしれません。
デマンドレスポンス(DR)は、データセンターやAIの増加で重要性が増しています。消費者に近い業務部門や家庭をどうやって取り込むのか、官民双方での創意工夫が必要となります。いずれも、スピード感を持って取り組まなければなりません。デジタル社会を目指す中で、電力を効率的に、クリーンに活用することが日本の国際競争力と将来世代の雇用を確保する鍵となります。
次に、中小企業の脱炭素経営推進、サプライチェーン全体での脱炭素化推進について、日々の経営努力だけでも四苦八苦している中小企業の脱炭素化経営の推進が困難であることは、現下の経済状況では容易に想像できます。スコープ3の排出削減を大企業が進めることは、先進国が途上国に、化石燃料利用から再エネ利用に、一気に変革をするように求めるような構造になってしまいます。国家レベルでの必要性や国際社会への貢献ではなく、個別の中小企業にとってメリットが感じられなければ進みません。
スライド40にあるようなベストプラクティスの共有は、ある程度の効果がありますが、まずは脱炭素化が必要であるという意識の醸成、その上でどのようなメリットがあるかを好事例で理解を進めることが必要なのだと思います。
最後に、近隣のアジア諸国との連携について。アジア新興国では経済成長がまだ続いている中、既に先進国では浸透しています省エネ技術や手法の利用は、まだ不十分です。制度の更新やルールの設定など、技術とフレームワークを共に技術移転したり、大気汚染問題の解決など、相手国の事情に合わせて導入を支援するなどの国際協力によるシナジーの促進は、今後ますます重要だと考えます。
以上になります。ありがとうございました。
〇脱炭素社会移行推進室
増井先生、お願いいたします。また、大変恐れ入りますが、ご発言の際にはカメラをオフにしていただきますようお願いいたします。
〇増井委員
分かりました。ありがとうございます。ご説明ありがとうございました。
まず全体的なところなんですけれども、資料2のほうは、全ての省庁に関わるところかと思います。
資料3のところは、環境省が関わっているところということで、ほかの省庁、例えば経産省ですとか、国交省、農水省、そういったところに関連する評価といいますか、分析というのは、今後行われるのかどうか、その点をちょっと確認させていただければと思います。
その上で、今回ご説明がありました環境省さんが担当されているといいますか、分析されている排出量というのは、基準年の排出量でいくと、何%ぐらいの排出量を対象にしているものなのか。その点も、数字があれば教えていただきたいと思います。
二つ目はちょっと細かいんですが、資料2の5ページ目以降に、それぞれCO2排出係数の改善ですとか、省エネというような文言があり、それぞれに進捗率というのがあるんですが、この進捗率の定義を教えていただければと思います。
例えばCO2の排出係数の改善でいきますと、恐らく、電力の再エネ化ですとか、そういったことが含まれるのかなというふうに想像しているんですけれども、部門によって違う進捗率なのはどういう理由なのかということで、特にこのCO2排出係数について教えていただければと思います。
あと、今回の会合の目的というのは、2030年の排出削減目標の達成に向けた進捗の評価ということかと思いますが、その後には、2035年、2040年、政府も2月に閣議決定されまして、実際NDCという形で、国連のほうに提出されていますが、その2035年、2040年に向けても、多分、確実に削減していくためには、今から弾込めしておかないといけないというものが幾つかあろうかと思いますので、そういうさらに先を見据えた取組について、どういうふうにお考えなのか、その点も教えていただければと思います。
最後なんですが、いわゆるGXなんかでは、カーボンプライシングといったことも今後検討課題と伺っておりますが、この特に家庭部門、あるいは業務部門に対しては、カーボンプライシングのような役割、なかなか行動変容を促すに当たって、単なる気候変動の説明だけではなかなか人々は動かないというようなところもあると思っていますけれども、そういうカーボンプライシング等の見通しについて、実際どういうふうに検討されているのか、状況が分かれば教えていただければなと思います。
以上になります。ありがとうございます。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
続いて、伊原先生、お願いいたします。
〇伊原委員
今回から、本委員会に参加いたします、ボストン・コンサルティング・グループの伊原彩乃と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
弊社の気候変動・サステナビリティグループに所属しておりまして、消費者動向ですとか、サプライチェーンの川下の企業を中心としたサステーナビリティ推進のご支援をしております。
この度は、計画の進捗ですとか、各施策の進捗状況を大変分かりやすくご説明をしてくださりどうもありがとうございました。
私からは2点コメントをさせていただきます。
1点目は、分かりやすくご提示してくださったからこそということで、さらに踏み込んでいただくとよいのではという意味でのご提案ですけれども、各排出削減要因の中での難易度の違いも見極められるとよいのではないかと考えております。2023年の削減量の進捗が計画線上にあることは、これまでの絶え間ない努力の成果であって、高く評価されるべきであると考えております。
また、資料2おいてご提示くださった排出削減要因を排出係数の改善、省エネ活動量に分解して示された部門別のグラフは非常に分かりやすく、削減構造の把握において極めて有益だと感じました。それぞれの要因によって、既存の設備更新スケジュールの中で、自然体で削減が進む領域と更新を前倒ししないと削減スピードが追いつかない領域ですとか、コストダウンにつながる領域と追加コストが必要となる領域、こういった取組の難易度の構成が異なるのではないかと推測されます。こういった違いを踏まえ、要因ごとに現行の延長線で計画達成が可能な領域と、より政策的、構造的な踏み込みが求められる領域の境界が見極められると、対応の深度やタイミングの設計に活用できるのではないかと考えております。
また、2点目は、幅広く取り組んでいらっしゃる既存の施策の相乗効果を高めていくという観点で、各施策をバリューチェーンで捉えた際の連動性についてご提案させていただきます。
例えば、先ほどの資料2からは、排出係数改善による削減が、この数年横ばい傾向にあることが見て取れます。リサイクル素材の実用化ですとか、hard-to-abate産業でのGX関連の先行投資は進んでいます。
けれども、一方で、そういった素材が最終製品に採用され、市場で選ばれるという仕組みはまだ発展途上ではないかと認識しております。
弊社で5年ほど定点観測として消費者調査も行っておりますが、環境によい製品の購買の意向はあるが、実際の購買までは踏み切れていない層がなかなか動かない状況です。
また、勝ち筋が見えずにGX製品を上市するところまで踏み込めない最終品メーカーが多く存在する現状も踏まえると、バリューチェーンの上流のGXへの投資と低炭素製品の上市、この間をつなぐ、上市前の段階で実験的に低炭素製品の製品化と小売での販売を行って、市場で機能する、買ってもらえる低炭素製品のパターンを積み上げることができると、バリューチェーン上流と下流の施策がつながり、相乗効果が生まれる可能性もあるのではないかと考えております。
ほかの領域も含めて、こういった形で各施策が進捗してくるからこそ、この隙間となる取組も明らかになると思いますので、積極的に拾っていけるとよいのではないでしょうか。
以上になります。ありがとうございました。
〇脱炭素社会移行推進室
伊原先生、ありがとうございます。
続いて、勢一先生、お願いいたします。
〇勢一委員
ありがとうございます。西南学院大学の勢一です。
今回、いろいろな分野のご担当の方からのご説明をいただきまして、この分野、本当に幅広い形で精力的な取組を進めていただいていることを改めて確認させていただきました。
いろいろな分野の取組を拝聴しておりますと、幾つか共通項みたいなのもあるのかなと感じておりまして、特に民間事業者との連携であるとか、地域の多様な主体との協力を進めていくとか、民間等に取組を促す補助事業、モデル事業などを積極的に活用するなど、全般的な行政政策の最近の動きと近い取組かと思って伺っておりました。
私のほうから大きく2点、コメントと若干質問も入るかもしれません。お願いいたします。
一つ目は、社会経済状況の変化がどういう形で影響を及ぼし得るかという点です。特に円安とコスト高の影響、トランプ関税の影響もあろうかと思いますけれども、この辺り今後の取組に響いてくるところがあるのではないかと感じています。
特に家庭部門などについては、活動量は増えているということだとは思いますけれども、実質的な可処分所得が減少し、物価が高くなっていくと、例えば省エネ性能のよい電気製品への買替えなどはかなり滞るのではないかという気もいたします。
また、先ほど中小企業についてもご指摘がありましたけれども、中小企業でも本業が厳しい中で、一歩踏み出す脱炭素の取組にはなかなか向かいにくいのではないかという懸念などもあります。
また、脱炭素先行地域で88提案が既にあるということで、精力的な取組は望ましいと思いますけれども、こちらについても多分同様に、コスト高が計画どおりの実施の妨げになっているのではないかという気もいたします。
この先行地域に限らず、いろいろな事業の認定を受けたような主体が予定どおりに、当人たちの責任ではない、こうした社会状況の変化によって十分にその計画が進められないような場合、何らか個別に特例的な対応が可能なのかどうか、そうでなければ、もう認定取消しという形になるのかどうか、この辺りのご検討はどうされているのかというところが少し気になりました。
恐らく洋上風力についても、報道ベースですけれども入札で決定した事業者が、実際に事業の見直しに着手するというような話も出ておりますので、相当ブレーキになるのかなという懸念はしておりますというのが1点目です。
もう一点は、政策統合に関する取組について少しお聞きしたいなと思います。
先ほど、国際関係のところでは、シナジーへの国際的な取組が進んでいるというご紹介をいただきました。
環境基本計画でも、主要分野のシナジーは目指していることになっています。確かに重要だと思いますものの、こちらの分野については、そうした政策統合の取組をどのように評価されておられるのかというところ、結構評価が難しい分野かと思いますので、少しお考えをお聞かせいただければと思います。
例えば、デコ活などはかなり幅広い取組をしているですけれども、どういうふうに評価して、その成果を次につなげていくのかなというようなところなども、ここに関わってくるのかと思います。
また、環境配慮契約法の評価方法などについても、恐らく公共調達の在り方として政策統合の視点も重要な可能性も高いわけですので、この辺りは今後どのような制度にしていくのがいいのかというのも、これから先の検討事項になるのかなという気もしています。
また、地域脱炭素についても、これは、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの各施策が、地域で合流するような形になりますので、環境省内での縦割りにならないような政策統合で、脱炭素の取組を進めていくのも非常に重要かなと思いましたので、この辺り何かお考えや取組がありましたらご紹介いただければと思います。
以上です。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
続いて、先ほど堀井先生が挙手されていたかと思いますがいかがでしょうか。
堀井先生、お願いいたします。
〇堀井委員
産業部門の活動量についての図があったと思うんですけれども、出していただけますでしょうか。
〇脱炭素社会移行推進室
大変申し訳ございません。お声が遠いようですので、もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか。
〇堀井委員
ちょっとマイクを調整します。聞こえていますでしょうか。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。きれいに聞こえております。
〇堀井委員
すみません、どうも申し訳ありません。
まず、資料2の第5ページにあった活動量の効果ですけれども、エネルギー起源のCO2排出のうち産業部門では活動量が減少したの効果が多いということでした。、今回お話しいただいているのは2023年度の数字ですけれども、2023年度の5月8日頃にコロナウイルスが5類になりましたので、まだ2023年というのはコロナの影響が若干残っているというふうに思われます。
ですので、その後、2024年、今は25年ですけれども、この活動量が回復するという効果がどれぐらい見込まれるのかというのが、もし分かりましたら教えていただければと思います。
それと、最終的に2030年に活動量の効果はマイナス11%ということで、最終的には活動量の影響というのはあまりないというふうに想定をされています。
ですが、ただ、活動量要因等については、要因分解式の構造上、産業等の産業構造の転換を含むというふうに米印で書いてありますけれども、産業構造が変われば、GDP成長を維持したまま活動量が下がるという可能性もあるというふうに思います。当初この目標を算定したときと現在、現状で、2030年の各削減要因の割合が変わるというか、見直しということは今後、あり得るのかというのをお聞きしたいというのが1点です。
次に、資料3のほうに行きます。
資料3の7ページのほうで、デコ活についてご説明があったと思うんですけれども、非常にいろんなものを含んでおりまして、大変すばらしい取組だと思います。
ただ、個人的には、デコ活という言葉自体をあまり日常聞くという機会があまりございませんで、各取組は非常にすばらしいものだろうと思うのですけれども、この全体的なデコ活というものが、そもそも国民にどれぐらい認知されているのかというのを、もし何かそういうアンケート等、数字がありましたら教えていただきたいと思います。もしなければ、そういうのを今後、普及する上で考えていってもいいかなと思います。
その中身にある9ページに、各取組がどれぐらい進んでいるかというものがあると思うんですけれども、その中で住宅の話があって、新築と既築の話があったんですけれども、新築については対前年度で7.5%も導入数が増えているということはいいことなんですけれども、ただ、そのN数とあるサンプル数が非常に少ない86でありまして、大半は既築のほうですね。3,612ということで、回答者の非常に大きな数が既築の人です。これは、実際に既築に住んでいる人がかなり多いということから、整合的なな数字だと思うんですけれども、その既築のほうは取組度合いが、導入実践度合いが減っているというのが非常にちょっと今後、かなり厳しいなというふうに思われる感じがします。
ですので、この既築を含めた取組、特に窓のリノベーション等というのは毎年されていると思うんですけれども、毎年同じような施策をしていくと、大体そういう取組をやりたい人は大体やりつくしてしまって、それでも動かない人を動かさないといけないというふうにだんだん難しくなっていくと思います。これまで以上の取組というか、より裾野を広げるような施策というのは今後、考えられるかというのをもしあれば教えていただきたいと思います。
次に、14ページに昼の電力の件があります。昼の電力のほうが余っているというのが最近の傾向だと思うんですけれども、これも恐らく国民のほう認識というのが、昼の電力が余っているという認識を持っている人がどれぐらいいるのかという点もあると思うんですね。特に原子力発電所が動いていた時代からずっといらっしゃるご高齢の方とかというのは夜間のほうが電力が安いという、そういう認識をお持ちの方もまだいるかもしれません。 あるいは、数年前に、夏に非常にエアコンの電力が逼迫した際に、夏の昼間の節電をしましょうという、そういうキャンペーンがあったりとかして、昼の電力が不足しているという認識を持ちやすい状況もあったと思います。昼間のほうが実は電力が余っていて、電力を使っても環境負荷が低いという、そういう認識が国民にもう少し行き渡る必要があるのかなというふうに思いました。
それプラス電気が余っているタイミングに電力を使ったほうがより安くなるという、そういうインセンティブを与える電力料金メニューもあるようですが、そのような動機付けを促進していくのも重要かなと思いました。
次に、26ページに、公共施設のLEDや太陽光電池の導入が進んでいる面もあるんですけど、まだまだ今後の課題があるという話があったと思います。進んでいない理由は何かというのはやはり気になるんですが、単純に思いつくのは国、これは公共部門ですから、地方自治体もあるし、各省庁もあると思いますが、これらに対するる財務省からの予算措置というのがどれぐらいあるのかなというのは気になるところです。
ですので、各自治体等、あるいは各省庁等でもLED化が必要だと思っても、ない袖は振れないいうことで、予算がなければできないということもあるかと思います。
ですので、そういう促進するための予算措置がどの程度進んでいるのかというのを、もし分かりましたら教えていただければと思います。
最後に、55ページにカーボンフットプリントの表示というものがあったと思うんですけれども、非常にすばらしい取組だなというふうに思うんですけど、ただ、最後のところにCFPを表示しなければいけないという義務や、あるいはCFPの表示をする際の義務的な記載事項について規定するものではないということをわざわざ書いてあります。そういうふうに書いてあるものは理解できるんですけれども、やはりカーボンフットプリントを表示して、消費者にどれだけ環境負荷が高い低いかということを各商品別に理解するためには、やはりこういう表示を促進するということは非常に重要だと思います。、なかなか一気にその義務化ということは難しいと思うんですけれども、促進する、あるいは少なくとも一定規模以上の企業については努力義務化をするかとか、そういうふうな将来的な見通しについても教えていただければと思います。
以上です。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
続いて、高村先生、お願いいたします。
〇高村委員
ありがとうございます。
特に環境省さんの所管されている対策のフォローアップということですけれども、一つ資料の2について1点、それから資料の3について若干まず発言をさせていただこうと思います。
資料の2についてですが、これは全体的な国の施策の進捗状況を示していただいたものだと思います。
いわゆる50年、ネット・ゼロに向けて、その道筋にはあるということですけれども、他方で計算をしてみますと、これまでのやはり原単位改善のベースで、そのまま進捗をするという形ですと、やはり50年ネット・ゼロに向けたこの直線の経路から、やはり乖離をしていく・・・だということであります。これは、もちろん成長率をどれぐらい見るのかというのもありますが、内閣府のチュウイ成長係数をベースにしたときに、30年で約38%削減、35年で44%、40年で50%といった数字もあって、したがって、もちろん今の排出の削減という意味では、ネット・ゼロに向けて進捗をしているけれども、しかしながら今のエネルギー効率の改善とエネルギーの脱炭素化をやはりかなり加速をしないと、35年、40年の目標に達しないということだと思います。
その意味で、順調には減っているけれども、しかしながら、さらにやはりエネルギー効率改善、なぜエネルギーか後で言いますが、エネルギー効率改善とエネルギーの脱炭素化を中心に対策、施策の加速化をやはり図る必要があるというふうに思います。
なぜ、エネルギーのかということですけれども、これはちょっと資料の2、私、遅れて入ったので、ひょっとしたら説明があったのを聞いてないだけかもしれないんですけど、ちょっと資料の2の見方でこういう理解でいいかというのを教えていただきたいところがありまして、例えば業務、あるいは家庭部門のところ、スライドでいくと資料の2のスライドの6とか7だと思いますが、こちら2023年度のところですね。目標に向けて、いわゆる何が削減要因で、何が上向き、上振れ要因といいましょうかの排出を増やした要因かということと同時に、進捗率とあるのは、想定をしていた排出原単位改善から見ると、進捗率が42%にとどまって、これはスライドの6、業務部門を見て申し上げています。
それから、省エネについては、逆に省エネ進捗率105%なので、想定したよりもずっと省エネは業務部門で進みましたという、そういう読み方でよいのかということであります。これを確認させていただきたくて、こういう理解でよければですけれども、先ほど申し上げたところです。つまり排出原単位、家庭部門のところも共通していますけれども、排出原単位改善と、それから家庭部門については省エネもそうですが、やはりかなり我々加速をして、本来もっと高い水準での達成度を目指していたけれどもできていないということの原因をしっかり見る必要があり、逆にそこが分からないと対策の加速ってできないというふうに思っております。そういう意味で、すみません。これ、読み方が間違っていないかどうかというのを確認しつつ、発言をさせていただきました。
それで、資料の3についてですけれども、今申し上げたように整理をされている施策については、それぞれこれまで対策を取られたこと、今後の課題を整理されていると思うんですけど、やはり何をどこに重点を置いて具体的に対処する、あるいは追加的な対策を取る必要があるのかということをやはり明確化していく必要があるというふうに思います。
うまく明確化されているなと思いましたのは、公共部門の脱炭素化のところです。これは、細かいいろいろなところで関係省庁会議も含めて議論されてきたからと思いますけれども、公共建築物の扱い、あるいは公共部門でのグリーン製品、あるいは再エネの調達等々について、かなり具体的に課題、例えばグリーン購入法で、あるいは環境配慮契約法でどうするかといったような課題の明確化と対応が書かれているように思います。
やはりこういう形の具体的な課題の明確化と対応の具体化がやはり必要だというふうに思っていまして、後でちょっと幾つかその例を申し上げますけれども、この公共部門の脱炭素化のところは、そういう意味ではかなり明確化されていると思います。
もし、少しだけ付け加えるとすると、電力調達のところが今回、スライドの25でありましたように、前年と比べても再エネ調達量、あるいは調達量が減少したということでありました。これは自家消費型の例えば屋根置きなどの再エネ導入と併せて全体の進捗を見る必要があると思うんですけど、電力調達の委員会も参加させていただいているので分かるのですが、かなりやっぱり省庁ごとに、それから国立大学も含めて、独法を抱えているところなど、やっぱりそれぞれ省庁ごとに、あるいは公共部門ごとに進捗の達成度合いが異なっていて、やはり進捗の公表も含めて、進捗の公表は今、省庁ごとにしていただいていますけれども、達成計画をつくってもらうという、これは、こうした一歩具体的な対策をやはり盛り込んだほうがいいんじゃないかと。
これは、なぜ大事かと思いますのは、国立大学もなかなか再エネ調達が進まないところでありますけれども、一つには予算の問題が明確にやはりあって、そういう意味では、これは多分、国立大学だけでなく、公共部門のところで具体的な対策を明確にすることでしっかり予算も確保するということが施策の進捗上、非常に重要だというふうに思っております。
2点目は、少しそういう意味では掘り下げて対策をやっていただきたいところ。もう既にお話があった需要家の製品・サービスの詮索、行動変容、これも既に検討会でも立ち上げて議論されていますし、住宅建築の脱炭素化も参照キャンペーンを含めてやっていただいているので、これをさらにやっていただきたいと思うんですが、もう少し掘り下げて施策を検討いただけないかというのがやはり地域の脱炭素化のところです。脱炭素先行地域は、少なくとも幾つかの地域は極めてやっぱり先進的な事例をつくってくださっている。しかも、本日の資料を見ると、地方自治体の温暖化対策計画の区域編というのはかなりやはり進捗したと思います。
他方で、やはり温対法の促進区域、特に地域共生型の再エネ導入を進めていこうというときに、先ほど大塚先生がインセンティブのお話をされたかと思いますけれども、やはり特に地方において、第一次産業、人口減少下にある地方において、どうやって地域と共生しながら再エネの資源をうまく使っていくかというときに、農地・林地をどうやってうまく再エネ地域共生型で活用していくかということが必要だし、基礎自治体自身もそれを期待して計画を立てているところがあると思います。
そこがやはりもう少し具体的な事例や、場合によっては国からどういうふうにやはり地域共生型で農地、林地、農業、林業と共生していくかということの方向性をやっぱり出していくということは非常に大事だと思います。
今、営農型については農林水産省さんで検討会をされているのを了解していますけれども、ここは、環境省所管のところでありますけれども、やはり農地・林地は本当に具体的に基礎自治体からの要望も出ているところですので、地域共生型でどう進めていくかということの具体的なやはり支援、ガイダンスというのをお考えいただけるといいかなというふうに思います。
最後は、これは増井委員からあった点ですけれども、やはり全体の進捗において、カーボンプライシングというのがエネルギーの脱炭素化やエネルギーの効率改善の上では非常に効いてくるはずだというふうに思います。
こちらのやはりこれがどういうふうになるかというのが、全体の環境省施策、例えば業務部門ですとか、ひいては家庭にも、産業部門はもちろんですけれども、効いてくると思っています。
そういう意味で増井委員からもありましたけれども、その進捗、あるいはそれに対して場合によってはしっかり環境省、あるいはこの場からも意見を言っていくという機会が持たれることが望ましいというふうに思います。
以上です。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
では最後に、下田委員長よりご意見をお願いいたします。
〇下田委員長
はい、ありがとうございました。もう皆さんから数多くのご意見、コメントを頂戴しているところです。
やはり資料2で言うと、先ほど山下委員からかなり丁寧に解説していただきましたけれども、現状、オントラックにはなっておりますけれども、再エネをはじめとするカーボンフリー電源の整備と、それから省エネのところが若干遅れているところを産業部門の活動の減少が埋めるという絶妙なバランスのところで今、オントラックになっているということです。私自身は、やはり2030年の46%というのをしっかり達成するというのが一つのミッション、この委員会のミッションでもあるというふうに思っておりますので、そこに向けてどういう行動を取っていくかと。データは2023年までですけれども、我々今2025年ということで、これからアクションを起こして、効果が上がってくる時期を考えると、やはり今がもう2030年に向けて何かする最後のチャンスになっているのかなという気がしております。
その意味で、資料3でご説明いただいた環境省の大きな施策群というのは、2050年のカーボンニュートラルに向けた大きな流れをつくるものというのが中心になっているかと思いますけれども、その中でやはり特に即効性あって、2030年に向けて強化が可能なものというのが特にあるかどうか、その辺りを少しお考えがあればお聞かせいただければというふうに思いました。
初めの5月のところでは、既に例えば給湯とか照明の重点化というお話がありましたけれども、確かに温暖化対策計画の中の積み上げで言うと、もう家庭の全世帯が給湯と照明に関しては新しいタイプのものに取り替えるということが積まれておりましたし、そういうものをもう少し強くメッセージとして出すということができないかどうかということがあるかなというふうに思いました。
あと、それからフロンのところもやはり遅れているところでありますので、ここについて何かないかということ。
それから、地域脱炭素に関しては、先ほど地域脱炭素2.0ということで、これがもう2025年から30年までの5年間計画ということなので、ここに関してはもう2030年にある一定の仕上げをするということなのかというふうにも思いましたけれども、この辺りの2030年までの計画について、もう一度よければご回答いただければと思いました。
あと、デコ活に関しては、やはり先ほどのCO2の削減量で評価するというのはかなり難しいところがあると思っていて、何かそのデコ活の進捗に関しては特別の進捗指標みたいなものがあればいいのかなと思ったんですけれども、この辺りも、もしアイデアがあれば教えていただきたいというふうに思いました。
私からは以上でございます。
それでは、よろしいですかね。
では、各課室からのご回答をお願いいたします。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
では、これまでいただいたご発言に対して、全体のご意見として、脱炭素社会移行推進室、伊藤室長よりお願いいたします。
〇脱炭素社会移行推進室長
伊藤でございます。様々コメント、ご意見をいただきましてありがとうございます。
まず、手短に全体で増井先生などからありました特に資料2が全体をお示ししながら、資料3は今回は環境省限定となっていますが、7月以降、産構審と中環審合同で国交省さん、経産省さんの資料もお載せして、可能な限りその資料3のような資料を各所ベースでも見せながら全体の資料2と、それからそれぞれ省庁別というよりは取組というか分野別になろうかと思いますけど、同じように進捗率で表現しながらフォローアップをさせていただいて、最後は温対本部まで行けないかなというイメージでおりますというのが1点。
それから、同じく増井先生からあった環境省で何%というのは、少々横断的なのもあるので個別の数字というのはちょっと持ち合わせていない状況ではあります。
それから、高村先生などからもあった進捗率ですが、基本的には2030年の断面で見ますと、分子分母でいくとどれかを見せていただければと思うんですが、これでいくと2030年度断面の例えば、CO2の排出係数だと9,200万トンですかね。これが温対計画の関連資料に載っているところの数字の中で、これが分母となって、2023年の断面だと3,800万トン、これが割ると42%と、そういうつくりになっているかと思います。
ちょっと事務局から補足があればと思いますが、その上で、こういった進捗率の大枠と、それからそれぞれの取組の進捗率という形でフォローをかなり新しい取組ですけれどもお出ししているという状況であります。
それから、35年とか40年のフォローアップも、これはまたこのような場でのコメントも参考にさせていただきながらフォローアップの在り方を検討していきたいと思っております。
それから、伊原委員からございましたような難易度も分かるとなおよいという部分で、なかなかチャレンジングなところではあろうかなと思いますが、そういうのも考えたいとは思います。
一つ申し上げると、その進捗率も結局、リニアに行くものもあればイノベーションのようにどこかでどんと下がるものもあるので、必ずしもリニアで、今おおよそ2013から2030までの6割ぐらいなので60%だといいとか悪いというか、評価もなかなか難しいところではあるんですけど、いずれにしても、下田先生から最後にあったような強化できそうなものとか、ちょっと対策ベースで何か省内もそうですし、政府全体でも深掘りできそうなものは検討していけないかなというふうに思っています。
それから勢一先生からあったような民間連携、地域連携、これは地域脱炭素がその典型だと思います。環境省としても推し進めたいというところがございます。
あと、堀井委員からありましたところでいくと、活動量の回復の見込みとか、あるいは2030年度断面の見直しの可能性というのはちょっと現時点では残念ながら情報としては持ち合わせていないというところであります。
それから、取り急ぎは以上でございますけれども、フォローアップについては今回、ABC評価をやめて少しずつよりよいものしてきたいと思いますが、これで最後というよりは、またいろんなご意見をいただきながら見せ方も含めて検討していきたいと思っております。
取りあえず以上です。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
それでは、これまで委員の皆様からいただいたご意見、ご質問について、環境省より回答いたします。
回答の順番といたしましては、基本的に資料3の担当課室の順番にご回答いただきたいのですが、吸収源については、最後、脱炭素社会移行推進室の福永補佐より回答いただきます。
まず最初に、温対課の吉野課長、お願いいたします。
〇地球温暖化対策課長
はい、ありがとうございました。
まず、私のほうから全体的にということを回答しまして、あと個別のことに関しまして、脱炭素ビジネス推進室長であるとか、脱炭素ライフスタイル推進室長も今回入っていますので、続けて回答してもらいたいと思っています。
まず、私のほうで全体的に申します。くらしの関係で言いますと、山下委員から既存の住宅について進めていくために、便益がコストを上回るということを示していかないとであるとか、そういったご指摘がございました。そこは途中でもご紹介したんですけども、今回、家庭のCO2排出量のうち、やっぱり4分の1が冷暖房という、そのうち大部分が暖房ということがあって、そこは電化を進めるということが一つあるのと、あとは断熱効果を高めるというところがありますので、そこをしっかりと注力していきたいと考えておりまして、途中でご紹介したようなキャンペーンとかを含めて、補助制度もやっておりますが、組み合わせてやっていきたいと思っています。
それから、DRの重要性は山下委員とか、あとは堀井委員からもご指摘があったと思いますが、まず例えば、昼間の電力が余っていること自体の認識が伝わっていくことが大事だと。おっしゃるとおりまだまだ夏になって出力制御がニュースにはなりますけれども、まだ各家庭における認識というところには至っていないのかなと思いますので、そこは我々としても実証事業をやっていて、その中で成果を発表したりとかというのはありますし、民間でも電力事業者さんが自分たちでやっているとこもありますので、そこをうまく連動してPRをしていけたらなというふうに思ってございます。
それから、特に中小企業に関して、このご時世大変だと、それに取り組むメリットを出してくれということでご指摘があって、そこはおっしゃるとおりでありますが、一方でバリューチェーンの中でサプライヤーに対して、排出量の算定とか削減を求めるという動きも着実に広まっていますので、そこはしっかりと取り組んでいっていただく必要があるというふうには思っています。
ただ、なかなかこのご時世、厳しいというのはおっしゃるとおりだと思っていますので、そこをいかに国として応援できるかというところで、実際、取り組んでいただいたところには、例えば人材確保 、の面でやっぱりよかったとか、そういうこともありますし、そういったこれまで取り組んでいただいた中での声、しっかりとメリットも含めて訴求していけたらなというふうに思ってございます。
それから、伊原委員からは、バリューチェーン全体の削減ということで、上流での投資と下流側での低炭素製品の上市というところをつなげる取組の検討の重要性ということをご指摘いただきまして、そこはまさに問題意識としてはおっしゃるとおりで、今、いろんな施策をやっておりますけれども、さらに何ができるかというところをしっかり検討していきたいと思ってございます。
それから、増井委員からもCP、カーボンプライシングの見通しの話がありました。高村委員からもCPは全体にかかってくるのでよくそこを見ていく必要があるというご指摘がありました。
こちらは、先の通常国会で、ご承知のとおりGX推進法の改正が成立しまして、2026年度からは義務化ということになってございます。今日、産構審のほうでも小委員会を設置するということで決めていたかと思いますけれども、そちらのほうに環境省としてもオブザーバーで参加をいたしまして、全体の流れというのはしっかりと見ていきたいと思ってございますということ。
それから、あと勢一委員からの、社会経済状況の変化にどう対応していくのかというご意見、なかなかいろんなものが高くなっている中で、ここはちょっと正直難しいところではあります。
その中でも、ただ一方で、排出削減の社会的な必要性というところは、昨今の気候変動が影響している異常気象とか、そういった状況を見ても明らかではあると思うので、そういった中でもいかに訴求していくかというようなことは、今年度ちょうど気候変動の影響評価の作業なんかもやっておりますので、そういったこととも併せてしっかりと発信していく必要があるかなと思ってございます。
それから、政策統合の取組の関係でご指摘ありまして、確かに国内対策の政策統合の問題意識というのは確かにございますけれども、なかなか今、例えばリサイクルを進めることでCO2削減につながるとかというような形で、サーキュラーとカーボンニュートラルの政策統合みたいな話は、廃棄物の高度化法も成立していますし、既に一部取り入れられているところはございます。
一方でネイチャーポジティブのところはなかなかまだ概念としても何をやったらどう評価できるのかみたいなところが難しいところがありますので、そこはまだ現状は、情報開示をいかに統合的にやっていくかというところで環境省ではガイドを出したり、モデル事業を実施したりといったことを今やっていたり、今後ともやっていきたいということを考えているということでございます。
それから、公共部門の関係ですが、予算ですね。どれぐらいの予算措置があるのかというところで、これは正直ちょっと、関係予算として今どれぐらいあるかというのが、そこは積んではいないですけれども、毎年度、例えば太陽光に関しても整備計画をつくってもらっていますので、各省でそれぞれ必要な予算を措置していただいているという形ではあります。
あと、高村委員からも電力調達の関係を含めて達成計画をつくるべきというようなご指摘もあったんですけど、そこは今、各省によって、例えばLEDとか電動化とか、その辺の予算があれば積み上げで着実にいけるものは、しっかりと計画を立ててもらうというふうに思ってございます。
一方で、電力調達の関係は今、環境配慮契約法でも0.52という排出係数の数字が決まっていて、再エネ40%を確保せよということで、その割合が決まって、そういう枠組みの中で入札にかけて、毎年度の入札にかけてできるかどうかということにかかっているところもありますので、2030年度60%の調達ということに向けて、着実に取り組んでいただくということなんですけれども、例えば環境省でもかつては共同で幾つかの施設をまとめて入札にかけることでうまく契約に至ったみたいなこともあったりしましたので、そういうことを現行の枠組みの中ではやっていくことが有効なのかなと思いまして、足元も含めて取り組んでいきたいと思ってございます。
あとは、脱炭素ビジネス室とライフスタイル室長から適宜お願いします。
〇脱炭素ビジネス推進室長
脱炭素ビジネス推進室長の杉井でございます。私から2点お答えさせていただきます。
まず1点目、大塚先生から資料3の68ページについてのご質問、ご説明をいただきました。資料3の68ページの部分でございます。ここの部分、カーボンリサイクル燃料の取扱いについてでございます。
これまでのSHK制度でございますと、カーボンリサイクル燃料であれ、カーボンリサイクル燃料でない普通の燃料であれ、排出時点のCO2を算定するという形でありましたので、どちらを利用した場合にもカーボンリサイクル製品、あるいは燃料の利用者が燃焼した時点でCO2をカウントするしかないという状況でございました。
一方で、それですとカーボンリサイクル燃料を使うというインセンティブにはならないという部分がございますので、カーボンリサイクル燃料を使う際に、いわゆる排出削減価値、カーボンリサイクル燃料というのは一度原排出者で排出されるはずのCO2を回収して、そのCO2を利用してつくられたものでございますので、回収時点でのCO2の削減という形ではなく、燃料を利用した際にその回収した CO2を使うということの価値の移転を認めるという形を今回、新たに制度として導入したものでございます。
単純に言いますとCO2を回収した際には、回収したCO2分の排出を計上いただいて、その代わりカーボンリサイクル燃料を利用した利用者において、その回収した分のCO2を削減したとみなして、ゼロとして報告できるという形で、この下の表にございますように原排出者では、例えば3,000回収した場合でも3,000回収した分はそのまま排出として計上して利用者側でゼロとして計上できるという形で価値の移転を認めるというものでございまして、この価値の移転を認めるという制度を今年度の排出量の報告、いわゆる昨年度実績の報告から適用を開始するとしたものでございます。
もう一点、堀井先生から55ページのカーボンフットプリントの関係でご指摘をいただきました。ここに記載がありますように、今回の表示ガイドではカーボンフットプリントを表示しなければいけない義務ですとか、あるいはこういったものを表示しなければいけないという義務的記載事項について規定したものではございません。
ご承知のように、現状ではまだまだカーボンフットプリントを表示した製品というのは非常にごく僅かな状況でございまして、まずはガイドに従えば問題なく表示して構わないですよというような形で、その表示のハードルを下げるという観点からこの表示ガイドというものを作成させていただいたところでございます。
一方で、先生がご指摘のように、やはり全ての製品にこういったものが表示されることによって消費者の方々が認識できるという状況を最終的には目指すべきということは、ご指摘のとおりでございますし、以前、環境省で制定した地域脱炭素のロードマップにおいても、まさにカロリー表示のような形で製品に表示されるという世界を2030年代には目指していきたいということを示しております。
そういう意味ではまだまだ表示ができていない状況ではございますので、今直ちにいつ一定程度これを義務づけるということまで明示的にロードマップを示しているものではございませんけれども、中長期的にはこういったものの表示が一般化されるという形で制度化されるということを、我々としても目指していきたいというふうには考えているところでございます。
私からは以上です。
〇脱炭素ライフスタイル推進室長
続きまして脱炭素ライフスタイル推進室室長、デコ活応援隊隊長とも名のっておりますけれども、島田からそのほかの点をご説明させていただきます。
山下先生からいただきましたLED照明の導入のところ、前年度比でなぜ下がっているのかというところをご質問いただきました。
この前年度比でなぜ下がっているかというところの点だけで言いますと、恐縮ながらちょっと原因は分かりかねるんですけれども、このアンケート調査のやり方について資料に記載しておりますけれども、地域年代別に人口動態に即して割りつけた全国の6,500人ほどにインターネットを通じてアンケート調査をしているものでございます。
このため、このLED項目だけではなくて、ほかの項目、それこそ暮らしの全領域で一括でやっていますので拝見しておりますけれども、6,500人へのアンケートということでありますと、なるべく年度ごとの違いは出ないようには心がけているんですけれども、若干、前年度比のようなところで見たときに、多少誤差が生じてしまう傾向はあるかなというふうに考えております。
その上で、今ご覧いただいている調査内容と、それの約1年前に行った調査結果とのところを比較しますと、同じLED照明の導入の動向につきまして、新築のほうで見ますと、基本的には導入が増加している傾向、具体的には63%ほどから67%ほどに導入済みが増加しているというところでございまして、今日の資料につけておりませんけれども、当初の環境省の報道発表のほうでは記載しておりますが、そういった増加傾向にはあります。
一方で同じ比較をしますと、既存のほうでは下がってしまっているようなところもありまして、全体的にはこういった傾向にあるかなというふうに考えております。
その上で、LEDの買替えのところの今後の周知ですけれども、例えばデコ活のほうで、業界的に言えば日本照明工業会さん等とも連携して、これまでも周知をしておりますし、そのほか環境省の別部門のほうでも特に水銀対策で取り組んでいますけれども、一般照明用の蛍光ランプが世の中で2027年末までに製造輸出入禁止になると、そういった動きもございますので、そういった動向とも連携しながらLED照明の導入について一層の周知を図っていこうというふうに考えております。
そのほか、デコ活関連で堀井先生からいただきました、デコ活がどのくらい認知されているかというところでございますけれども、ちょうど今表示いただいているこの同じアンケート調査ですね。一番右下、⑦基盤というところに実はデコ活という名称で下から2番目のところを記載してございます。
ちょっとこれが要はデコ活という国民運動の存在をどれぐらい皆様知っていますかという質問なんですけれども、ちょっとほかの質問との関係で若干形が悪いですが、導入実践や意欲認知という、要はデコ活について把握をしていますよという回答は、そのアンケート調査に対して割合で言うと4分の1ほどというふうに言われておりまして、そして、そんなもの知りませんでしたというのが約75%というふうに内容のとおり4人に3人ほどというふうになっております。
ちょっとこの実際の4人に1人は知っているというところ、実際の肌感との関係でどう思われるかというのは、人によって受け止めがあるかもしれませんけれども、いずれにせよアンケート調査としてはこういったところが示されております。
このご質問のときに堀井先生から、その流れで例えば住宅の省エネ化等、なかなか数年で取り組んでいると、なかなかこれまで動いていなかった人を新たに動かしていくというところ、なかなか難しさもあるのではないかというコメントをいただきました。
そのようなところの対応で、今日の説明、途中吉野からもありましたけれども、例えば住友不動産さん提案の断熱分野の補助事業と採択しておりまして、こういったデコ活の下の補助事業の進めていくことも含めて、官民連携でいろいろと断熱住宅の省エネ化のところについてのメリット、世の中に広く訴求させていこうというふうに考えております。
それから最後、下田先生から給湯、照明等の重点化についてより強くメッセージを出していかなければいけないのではないか。また、デコ活の進捗の指標のようなところについてお尋ねいただきました。
国民運動デコ活というところで言いますと、暮らしの全領域を対象というところでございますので、幅広くいろいろな取組を歓迎して、世の中に加速させていきたいというのが薄く広くである一方で、おっしゃるとおり給湯、照明等の本当に削減効果の高いところに重点化していかなければいけないというところでございまして、今日、説明事項の中にもありましたようなデコ活の補助金のほうの運用ですとか、あるいは地域センターとの連携、こういったところでは、そういった削減効果に特に資するものを重点的に取っていくべきという方向性を発信しているところでございます。
それから、デコ活の進捗の評価指標のところでございますけれども、これもなかなか国民運動の進捗の把握というので難しさはありますけれども、一つには、先ほどお答えしましたデコ活国民運動のそのものの認知度、これはなかなか上がらなくて苦しんでおりますけれども、あるいはデコ活の下の補助事業等、個別のプロジェクトについて言いますと、CO2削減量だったり、あるいは行動変容の人数のようなものを指標として提出させて、優劣の吟味等をしているところでございます。
そのほか、国民運動全体のところで言いますと、デコ活応援団と愛称にしていますけれども、そういった官民連携協議会の参画組織数ですとか、団体によるデコ活宣言数、あるいは今日もカーシェアのところで例示しましたけれども、様々なデコ活の下でのプロジェクト提案数ですね。そこからなるべく国民運動としては、様々なマッチング連携を促進していこうとしておりますけれども、そういった参画者数や宣言数、あるいはプロジェクト提案数なども国民運動全体としては、進捗の、ある種メルクマールとして捉えているところでございます。
以上です。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
続いて、地域脱炭素推進審議官グループの今井総括、お願いいたします。
〇地域脱炭素推進審議官グループ
まず、大塚先生と高村先生から、促進区域の活用についてご意見をいただいたかと思います。促進区域について、3年ほどたっておりますけれども、活用されている自治体の数としても、また、実際に事業認定が行われてている数としてもまだ少ないという状況でございまして、この活用を進めていく必要があると考えてございます。
インセンティブ強化と書きましたのは、自治体さんからの声を聞く限り、まず一つは知見の不足等がありまして、基礎自治体でこういう促進区域を設定するのが難しいというお声がありまして、こういったものを昨年、法改正もいたしまして、この4月から施行したもので、都道府県と連携する形で促進区域を設定するなど、こういう取組を進めておりますし、また、促進区域を設定するに当たっての技術的な支援等も環境省として行っておりますが、根本的にはやっぱり促進区域を設定して、そこに事業を立地するというインセンティブが、自治体や事業者にとって足りないというご指摘がございます。こうしたところについて、しっかりと地域裨益型で、地域に利益が落ちる形で事業者の方と自治体と一緒にやっていただくような形でやっていくということを考えてございます。
具体の措置は、まだちょっと今検討中ということで、はっきりこの場では申し上げにくいんですけども、地域自治体にとっての裨益するメリットのところと、あと事業者にとっての直接なインセンティブを付与する形、これを強化するという形で検討を進めているところでございます。
その後、高村先生からご指摘いただいたこととの関係で申し上げますと、地域裨益型、地域共生型の再エネを進めるに当たって、促進区域だけでもちろん進めるものではございませんけども、こういったものも活用してやっていくということが重要でございまして、農地、特に営農型太陽光発電ですね。林地、これは恐らく陸上風力等を念頭に置かれていると思いますけれども、こういったところでもしっかりと当然ながら環境ですとか、農業、林業との共生、もしくはそこでの継続をしっかり前提としながら、進めていくことが重要なことと思ってございます。農水省さんでも営農型太陽光発電については注目をされまして検討を進められておりますし、環境省としても、営農型太陽光発電が農業の経営とともに再エネの活用による収益を増やし、農業の経営安定化にもつながるということで注目をしているところでございます。
また、林地につきましても、促進区域の設定が公益性の観点になるということで解釈等も示されたところでございまして、今後、今まさに事業計画のみで様々な要因で止まっているような案件もございますので、こうしたものについて、経産省さんなんかとも連携をして、具体的にどうこの案件を進めていくのかというところの取組をまずは進めていきたいと考えておりますし、そうしたところの中で様々な課題が出てくれば、さらなる検討につなげていくということを考えてございます。
最後、大塚先生から、宮城県さんの税の条例とか、そういう地域の取組についてどう考えるかというお話があったかと思います。
各地域の取組で、もう既に始まっているのは宮城県のものでありまして、青森県のものはまだこれからということかと思いますけれども、制度が始まったばかりのところもありますので、まずは注視をするということかと思っております。
それに加えて、当然ながら適地誘導という意味で、どれだけの効果があるのかということもありますけれども、ちょっと逆にディスインセンティブになってしまうようなことになると、なかなか再エネ促進という意味だと難しいところもございますので、そこも含めてしっかりと見ていくということかと思っております。
加えて勢一先生から、コストが高騰して計画どおりにいかない場合にどうするのかというお話があったかと思います。
これは当然、そういうこともございまして、国としては自治体が進めるのに必要な財政措置をできるだけするということではあるんですけれども、今、中間評価等を行う中で、なかなかこの道ではうまくいかないけどもやり方を変えてうまくいかせるというようなことをいろいろ工夫されているところもありまして、そういった好事例等も載せておりますので、当初の目的が達成できるようにやり方を変えながら、柔軟に変えながらやっていくということも我々として、いろいろ勉強しながらやらせていただきたいという思ってございます。
あと、同じ勢一先生からシナジーですね。ネイチャーポジティブやサーキュラーエコノミーとの相乗効果をどう考えるかということでありまして、先ほど少し吉野課長からもありましたけれども、脱炭素の観点でどういったことを一体的に進めていくかというのは非常に大きな課題でありまして、サーキュラーエコノミー等については脱炭素先行地域などでもいろいろ組合せの例があるんですが、ネイチャーポジティブについてはこれからいろいろな事例も含めてしっかり考えていきたいというふうに考えてございます。
最後、1点だけ。下田委員長から2025年、2030年、地域脱炭素は一定の仕上げなのかというお話がありましたが、地域脱炭素ロードマップというものがもともと2030年までを一つの期間として、ここまでにしっかり、ある意味最初の5年間で選定をして、2030年までにこれを実現するというところまでをまず目処に置いたところもございますので、そこを先行地域の実現だけにとどまらない部分ではございますけども、2030が一つの区切りということで一旦置かせていただいているということでございます。
以上でございます。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
続いて、フロン室の香具室長、お願いいたします。
〇フロン対策室長
ありがとうございます。
フロンの関係では2点ご質問いただいたかと思います。
まず、大塚先生から、常時監視システムの定期点検への導入について義務づけを検討しているのかということと、下田委員長からフロンについて対策が遅れているので、何かもっと強化できるものはないかというようなご指摘だったかと思います。
定期点検の関係のところでございますけれども、現状はフロン法に基づきまして、機器の管理者には定期点検が義務づけられているところでございます。常時監視システムを導入した場合に、定期点検の負担を軽減できないかというところを検討しておりまして、常時監視システム自体を義務づけるかどうかというところについては、現状では今、検討はしていませんけれども、今後、先ほどの下田委員長のご指摘とも関係しますけれども、令和元年のフロン法改正から施行後5年が経過しまして、施行状況を点検するということになってございますので、フロン法全体について見直しを行いまして、排出量をさらに減らしていくために何が必要かというところを網羅的に検討しまして、必要な対策を取っていくということになってございます。具体的な内容についてはこれから検討を進めていくというところでございます。
以上です。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
続いて、インフラ参事官室の行木参事官、お願いいたします。
〇国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官
ありがとうございます。山下委員からアジア諸国に対しまして大気汚染などシナジーも考慮した脱炭素技術導入についてご指摘をいただいたところです。
仰せのとおり、アジア諸国を中心とした途上国でさらなる脱炭素化を進めていくことは大変重要と思っておりまして、その国の事情やニーズを配慮して、シナジー、相乗効果を狙った取組推進が大事だと考えております。
これにつきましては、先ほどご紹介した国際機関と連携したシナジーレポートづくりのほかに、今年度からシナジー型のJCMの創出事業を新たに立ち上げておりまして、先月まで公募していたところでございます。こうした事業を通じまして、シナジーの観点で大気汚染など相手の国の需要も考慮しつつ技術導入にもつながる取組もさらに進めていければと思っております。
以上です。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
先ほど吸収源については、脱炭素室の福永補佐より回答いただくと申し上げましたが、初めの伊藤室長の発言をもって脱炭素室の回答とさせていただければと思います。
では、次の進行に移りたいと思います。
下田委員長、お願いいたします。
〇下田委員長
まだまだご意見はあるかと思いますけども、ちょっと時間を超過してしまっておりますので、ここで今日は終了とさせていただきたいと思います。
活発な多様なご意見を頂戴いたしまして、本当にありがとうございました。
今回の内容は、地球温暖化対策推進本部の政府全体の進捗点検の資料として報告していただくことにしたいと思います。
次に、議題の2番、そのほかにつきまして事務局から何かございますでしょうか。
〇脱炭素社会移行推進室
議題2については特に特段ありませんので、次の進行に移らせていただきます。
〇下田委員長
それでは、以上で本日の議事は全て終了でございます。
円滑な進行にご協力いただきまして誠にありがとうございました。
事務局にお返しいたします。
〇脱炭素社会移行推進室
ありがとうございます。
委員の皆様におかれましては、大変活発なご議論をいただきありがとうございました。
なお、本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきました後に、ホームページに掲載をさせていただきます。次回については、詳細が決まり次第、別途ご連絡いたしますので、本日はこれで以上とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
午後6時15分 閉会