気候変動影響評価等小委員会(第21回)議事録

日時

令和2年9月9日(水)15:00~16:58

場所

WEB会議システムにより開催

議事次第

1.開会

2.議事

(1)気候変動影響評価の進め方について

(2)気候変動影響評価報告書(案)について

   ①報告書(詳細)について

   ②報告書(総説)について

   ③「本報告書のポイント」について

(3)今後の予定

(4)その他

議事録

                                        午後3時00分 開会

○気候変動適応室長

それでは、定刻となりましたので、ただいまより第21回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会を開催いたします。

初めに、環境省地球環境局長の小野よりご挨拶申し上げます。小野局長、よろしくお願いします。

○地球環境局長

本日はお忙しい中、住委員長をはじめ、委員の先生方、ご参加いただきまして大変ありがとうございます。

7月に地球環境局長に着任いたしました小野でございます。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

世界各地で新型コロナウイルス感染症が広がっておりまして、多くの被害が生じているだけでなく、経済にも深刻な影響を与えております。一方で、新型コロナウイルスの流行前からの課題であります気候変動につきましても、言わば気候危機とも言われるような状況の中、より一層の対策強化が求められております。

特に想定を超える気象災害が頻発している地域、現状を受けまして、環境省におきましては、内閣府防災と気候変動対策と防災・減災対策の効果的な連携について検討を重ねまして、本年の6月30日には、小泉環境大臣、それから武田防災担当大臣の共同メッセージを公表いたしております。共同メッセージにおきましては、土地利用のコントロールを含めた弾力的な対応により気候変動への適応を進めるという適応復興といった発想などについて言及をしております。今後、本メッセージを踏まえた取組を進めていきたいと考えております。

また、最新の科学的知見に基づき計画的に取組を進めるため、気候変動適応法におきましては概ね5年ごとに気候変動影響の総合的な評価を実施することとされております。これまで本小委員会におきましてご議論をいただいております。今年中には新たな報告書を取りまとめていただきまして、それを踏まえて、来年度には適応計画の改定を行うことといたしております。

本日の会議におきましては、前回いただいたご意見も踏まえまして、報告書(案)についてさらにご議論をいただきます。また、5年後に予定されている次の気候変動影響評価を効果的なものとすべく、検討すべき課題についてもご意見をいただければと考えております。

報告書(案)につきましては、本日の議論を踏まえて、パブリックコメントを行い、さらに内容の検討を深めていきたいと考えております。

委員の先生方におかれましては、活発なご議論をお願いできれば幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○気候変動適応室長

ありがとうございます。

本小委員会ですが、今回より新たに3名の委員に参加いただくことになりました。

佐々木委員、三上委員、山野委員です。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の会議ですが、会議開始時点で21名の方の参加をいただいており、委員総数の過半数の委員に出席いただいていることから定足数に達していることをご報告いたします。また、後ほど参加される委員もいるとお聞きしています。

今日のこの委員会ですが、新型コロナウイルスの感染の発生状況を踏まえ、感染拡大の防止の観点から、ウェブ会議システムによる開催としております。また、この会議は環境省の公式YouTubeチャンネルよりライブ配信も行っています。資料及び議事録についてはホームページにて公開とさせていただきます。

委員の方でご不明な点がありましたら事務局まで、右下のチャット欄か事前にお伝えしています電話番号まで、お電話にてお知らせください。

初めに、資料の確認をさせていただきます。画面上に配付資料一覧を表示しますので、それに沿ってご説明します。

資料1シリーズが資料1-1から1-3まで、それから、資料2シリーズが資料2-1から資料2-7まであります。各資料については、委員の皆様には事前に紙でお送りしておりますので、お手元に準備をお願いします。また、事前にお送りした資料からの変更箇所については、その都度ご説明いたします。また、傍聴者の皆様には、環境省のホームページに小委員会のページがございます。こちらに資料が掲載されておりますのでご覧いただければと思います。

それでは、議事に入らせていただきます。

議事中、委員長及び発言者以外は、基本的にマイクをミュートに設定してください。回線負荷を回避するため、ご発言時以外はカメラの使用をお控えください。画面の下にあるカメラのアイコンをクリックし、カメラをオフ(ビデオ停止)にしてください。ご発言される場合には、画面下にある吹き出しのアイコンをクリックして、チャット欄でびっくりマーク(感嘆符)を入力し、全員宛にお送りください。住委員長が順番に指名いたしますので、指名されましたらカメラをオンにし、またミュートを解除してご発言ください。また、ご発言の際は、最初にお名前をおっしゃってからお願いいたします。また、ご発言を終える際は、最後に「以上です」と付け加えていただけますと幸いです。また、発言が終わりましたら、マイクのアイコンをクリック(ミュート)にして、カメラのアイコンをクリック(ビデオ停止)にしてください。ご発言時以外にご意見、ご質問がある場合もチャット欄を活用いただければと思います。

では、以降の議事進行は住委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○住委員長

ありがとうございます。皆さん、こんにちは、住でございます。

お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。この委員会も今まで続けてやってきたわけですが、今回は2回目の報告書の案が出たということで大変喜んでいます。こういう活動は、やはり継続していくことによって、どんどんどんどんいいものになっていきますので、このような活動を引き続きやっていくということは非常に大事だろうと思いますし、また、具体的な適応計画に向けての反映もますます必要なことになっておりますので、皆さんもご意見をよろしくお願いしたいと思います。

それでは、時間も限られておりますので議事に入りたいと思います。

本日の議題の一つ目は、気候変動影響評価の進め方についてでございます。

環境省よりご説明をお願いします。

○気候変動適応室長

では、資料1-1から資料1-3までご説明させていただきます。

資料1-1ですが、この資料は報告書の名称に関するもので、委員の皆様には以前、メールでも照会しています。

前回の委員会では「テクニカルレポート」というような名称の資料でしたが、分かりにくいというご意見もありまして、今回、この資料では「詳細」としています。また後ほど出てきますが、この「詳細」に加え、このエッセンスをまとめたものを「総説」として作成しており、この二つを報告書としてまとめることを想定しています。

資料1-2は、今回の気候変動影響評価報告書の構成(案)です。

左側に気候変動影響評価報告書(総説)、右側に気候変動影響評価報告書(詳細)と分かれています。前回3月の委員会では、右側の詳細に当たるもの、前回は「テクニカルレポート」としていましたが、こちらについてご意見をいただきました。総説では、前回ご議論いただきました、詳細の中身を要約したものを第3章としています。それから、文部科学省、気象庁でまとめている気候変動の評価レポートを基に作成した第2章、それから、評価手法に関する課題と展望にまとめた第4章が加わって、この総説が出来上がっております。

また、この詳細、総説ともページ数が多いので、今回、この全体をまとめた「報告書のポイント」を総説の中でまとめています。

今日の委員会では、前回いただいたご意見を反映させておりますので、その点を中心にご議論いただきたいと考えています。

また、先ほど申し上げました本報告書のポイントについても、ご意見いただければと思っています。

局長の挨拶にもありましたが、次、5年後の影響評価報告書をまとめるに当たっての課題についても併せてご議論いただければと思っています。

資料1-3は、この影響評価報告書に関する作成のスケジュールをまとめたものです。

資料の下ほどになりますが、今日9月9日に小委員会で、報告書案(詳細、総説)の議論を行っていただいた後、パブリックコメントの募集を経て、年内にこの報告書を確定して公表したいと思っています。また、この影響評価報告書を踏まえ、来年度、気候変動適応計画を改定する予定としています。

資料1-1から1-3については以上です。

○住委員長

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明に対してのご質問やご意見がございましたらお願いしたいと思います。チャット欄でエクスクラメーションマークを入れていただければと思いますが。

何かございませんでしょうか。

それでは、また何かあれば後でもやってもらっていいと思いますが、次の議題の資料2のほうに移りたいと思います。次の課題は、気候変動影響報告書(案)についてです。

まず、詳細について環境省より説明をお願いします。

○気候変動適応室室長補佐

報告書の詳細についてご説明をいたします。7月に専門家ワーキンググループを開催いたしまして、そこでの議論を経て詳細を取りまとめております。専門家ワーキンググループでは、各分野について作成している影響の概略図や追加すべき文献、影響の概要として何を取り上げるのが適切であるか、用語の適正化などに関してご意見をいただきました。

技術的な観点からの議論が主ですので、それに関する詳細なご説明は本日は割愛させていただきたいと思います。本日は、前回の小委員会でいただいたご意見への対応や、ご意見を多くいただいた分野間の影響の連鎖に関する部分を中心にご報告させていただく予定です。

なお、詳細については、現在、各省からの意見も踏まえて個別にワーキンググループの委員、先生と相談しながら修正をしている箇所もありますので、ご了承いただけますと幸いです。

現在、今画面に出していますけれども、資料2-1が詳細の概要になります。3月の小委員会でもこれと同様の資料をお示ししてご説明をしていますので詳細の説明は割愛させていただきますが、資料2-1の1ページ目に、評価手法や構成に関して2015年の前回評価からどのような点が変更になったか、例えば文献数が増加したとか、あとは幾つかの小項目に関しては排出シナリオ別の評価を実施したことなどを記載しております。

2ページ目に各分野の影響の概要をまとめております。各分野の影響の概要のうち、今回の評価において新たに追記された影響には下線を引いております。

次に、資料2-2ですけれども、これが今回の評価結果の一覧を示したものです。比較として、前回の評価についても重大性、緊急性、確信度、いずれについても並べてお示しをしております。重大性や緊急性の評価が変わったものについては、その変更理由を記載していますので、ご参照いただければと思います。

資料2-3でございますけれども、これが前回の小委員会でいただいたご意見のうち詳細に関連するものをまとめたものでございます。用語ですとか、あとは個別の知見についてもいろいろとご意見をいただきましたが、そういった技術的なご指摘に関しては、この場でのご説明は割愛させていただきまして、分野にまたがるご指摘についてご説明をさせていただきたいと思います。

まず、ご意見の一つ目、地域固有の影響をどう扱うかについて明記すべきというご意見をいただきました。これに関しては、評価手法を説明する箇所に記載をしております。具体的には、まず全国的に影響が見られるものを優先して記載しつつ、影響の程度が地域によって異なる場合ですとか、特定の地域に見られる影響については、それについてもそれに続けて記載をするようにしています。

ご意見の二つ目に、プラスの影響に関する文献が少ないということについてご指摘をいただきました。これについても注意書きを詳細の中に追加する予定です。また、ご指摘、例えばこういったプラスの影響があるのではないかということで具体的にご指摘をいただいたものに関しまして、文献などで確認ができたものについては追記をしております。

次は、技術的なものは飛ばさせていただきまして、前回の小委員会で分野間の影響の連鎖に関してご意見を多くいただいていまして、それを今お示ししている資料2-3の7番以降にまとめております。分野間の影響の連鎖については、専門家ワーキンググループでも多くご意見をいただきまして、図をまとめております。ちょっと今、画面で共有できれば。前回お示ししたときにはこのような図だったと思うんですけれども、それを大分、並べ方を変えまして、このような形で現在作っております。

では、資料の2-3のご意見に沿ってご説明をいたしますと、意見の7番で、文献に基づいてどの程度作成されているのかというご質問をいただきました。基本的にこの図の中に記載をしている影響に関しては、各分野において文献を基に確認されている影響を記載しております。そうした影響の間で因果関係というか、どういった連鎖が起きるかということはワーキンググループで先生方からもご意見をいただいて矢印を引くようにしております。

また、ご意見の8番で、例えば各分野の中でキーワードを入れたほうが分かりやすいのではないかというご意見をいただきましたので、以前のものでは分野から矢印を伸ばして、この矢印の説明にこういった影響の連鎖があるという説明をつけていたんですけれども、それの書き方を変えまして、分野の中にこんな影響が出ますよというキーワードの形で書いて、それぞれを矢印でつないで示すようにしております。矢印の色を少し分けておりまして、最終的に影響がどのような分野に及ぶかによって色分けをしております。凡例を図の左下に示してございます。

また、意見の10番、11番で自然生態系に関するご意見をいただいておりました。具体的には、例えば生態系サービスの扱いですとか、あと自然生態系は連鎖というよりはメカニズム、要因として整理したほうがよいのではないかというご意見をいただいておりました。今回、この図の中では自然生態系が、生態系サービスを通じてほかの分野を支えているということを示すことも重要だと考えられますので、一番左に自然生態系を配しまして、そこで自然生態系に関しては生態系サービスを提供するという観点に絞った書き方をしております。

分野間の影響の連鎖につきましては、報告書の中でもハイライトすべきというご意見をいただいておりますので、報告書冒頭のポイントでも取り上げております。これについては後ほどご説明をさせていただきたいと思います。

詳細に関してのご説明は以上です。

○住委員長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明に対しての質問やご意見等ございましたらお願いいたしたいと思います。

では、山野委員。

○山野委員

国立環境研究所の山野と申します。

すみません、私、今回から新たに参加させていただいたので、前の議論を十分踏まえ切れていないところはあると思いますが、そこはすみません、ご容赦ください。それで、質問は、資料2-1の2枚目に詳細の概要というのが書かれていますけれど、ここのところで確信度に関する情報が入っていなくて、要するに全部横並びで入っているんですけど、例えばこの中に確信度の低いものもあって、例えば自然生態系で言いますと、高山植物やライチョウの分布適地の減少というのは、次の資料2-2を見ていただきますと、311のところで、確信度は三角になっているわけですよね。それで恐らく、これを考えると、確信度が高いのと低いのが全部並列に書かれているような気がするんですけど、できればそこは印をつけるか、ちょっと表現方法は考えないといけないと思いますけど、書き分けられると、より正確に意図が伝わるのではないかと思います。報告書ではちゃんと書かれていると思うんですけど、これは多分、いろんなところで紹介するときに出ていくものですので、ちょっと気を配るといいのかなと思いました。

以上です。

○住委員長

ありがとうございました。

○気候変動適応室室長補佐

すみません、山野先生、ありがとうございます。非常に重要なご指摘だと思いますので、この資料の中で確信度の高いものと低いものについて、分かりやすく示せるように工夫をしたいと思います。ありがとうございます。

○住委員長

では、三村委員、どうぞ。

○三村委員

どうもありがとうございます。ちょっとこれまでの議論に十分参加できなかったので、基本的なことも含めて3点ほどお伺いしたいと思うんですけど、一つは、影響の重大性とか、そういうので印がついているんですけども、いつの時点、いつ頃の影響を考えて重大性を判断したかとかという、そういう時期的な問題、時間的な問題ですね、そういうことについては何か考え方があるのかというのが一つです。緊急性というのがあるので、いろいろ影響が起こるとしても、緊急に対応しなきゃいけない、もう既に目前に迫っている影響というのは緊急性で表現するということかもしれませんが、重大性を判断した根拠になる影響が10年後に起こるのか、50年後なのかどうかというのはどこかに情報があるんでしょうかというのが一つです。

それから、2番目に、先ほど見せていただいた分野間の影響の連鎖って、こういう影響の関連性を示す図がいろんな、それぞれの分野ごとにも、それから分野間の影響の連鎖としても書かれているというのはすごく理解しやすくてよくなっているというふうに思うんですけれども、この先ほど見せていただいた分野間の影響の連鎖の例というところで、都市生活というのが上のほうにあって、これはベージュの色でしょうかね。それから、一番下に国民生活というのがあります。そうすると、何か国民生活とか都市生活というのは、最終的に国民の生活全般にどういうような影響が現れるかということをまとめたようなものだと思うんですが、それが上と下に分かれているというのは、ちょっと何か位置が同じような場所にあるほうがいいんじゃないかなという印象があります。ほかの分野ごとのこういう影響の伝播図を見ると、最初に自然現象があって、ベーシックな影響があって、それが他分野に影響を与えてというふうに上から下に流れるような構造になっていますけれども、この分野間の影響はそう単純にはできないとしても、物理的な変化と、それから基盤的な影響と、それから、最終的にいろんなものが複合的に起こるような国民生活、都市生活への影響というような構造にすると分かりやすいんじゃないかなというふうに思いました。

それから、3番目の、先ほど資料2-3でご説明がありましたプラスの影響の話なんですけど、最近、農業の分野の方がおられて、もし資料があれば教えていただければと思うんですけど、農業などでは既にそういうような方向での対応を取っている面があって、例えば今までワインを作っていなかったようなところでブドウを育ててワインを作り始めるとか、長野県とか北海道などでそういうような例もあると思いますし、あるいは新しい条件を使ってマンゴーとか、今までなかった特産品を作ろうというので、埼玉だとか茨城なんかでやり始めているとか、いろいろそういうトライアルはあるんじゃないかと思うんですね。そういうプラスの影響というふうに言うかどうかはあれとして、新しい環境を活用していくというような面のことが起きているということについても、何かもう少し具体的な例で書いておくのがいいんじゃないかなというふうに思いました。

以上です。

○住委員長

ありがとうございます。では、レスポンスを。

○気候変動適応室室長補佐

三村先生、どうもありがとうございます。まず、一つ目の重大性の評価の中に時期が、時間的なものが含まれるかということに関してなんですけれども、その影響がいつ発現、起きるかということは、その緊急性の評価の中で評価をしております。具体的には総説の43ページ以降に評価の考え方についてまとめておりますのでご覧いただければと思うんですけれども、重大性に関しては、社会・経済・環境の三つの観点からどれだけ重大な影響が及ぼされる可能性があるかということについて判断をしていく。その時間的なものに関しては影響がいつ起きるのか、また、その影響に対して、いつ適応の着手ですとか、あとはそのための意思決定が必要な時期がいつになるのかということによって判断をしております。

二つ目の連鎖の図の都市生活、国民生活が分かれているというご指摘なんですけれども、これは我々も図を作るときに非常に苦労したところでして、まず第一に、矢印が入り組むと見づらくなってしまうという問題がありまして、最初は都市生活と国民生活を一緒にまとめた図を作ろうとしていたんですけれども、都市生活の中で特出しをしている「インフラ・ライフラインの途絶」というのが特に自然災害に強く関連するということですね。そのほかの国民生活の中で書いている伝統行事などの変化ということで、より下流というか、一番影響が波及する下流部になると。他方で、「インフラ・ライフラインの途絶」というのは、そこからまたほかの分野に影響が発生するということで、その都市生活と国民生活という大きなくくりでまとめるよりは、この「インフラ・ライフラインの途絶」という影響と、そのほかの伝統行事とか地場産業といったものを並べようとすると図がかなり見づらくなってしまうという事情がありまして、このような形にさせていただいているというご説明をさせていただければと思います。申し訳ございません。

三つ目のプラスの影響については、各分野でどういった適応策が実際に行われているかということに関しては、この影響評価の中ではそこまで詳しくは書いていないんですが、例えば治水の分野ですとか農林水産業の分野などを中心に一定程度適応策が進んでいる分野もあると認識をしておりまして、それについては、報告書の後ほどご説明をするポイントの中でも触れております。また、この影響評価とは別に、実際どういった適応策が行われているかということについては情報収集をして、普及、共有をしていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○三村委員

よろしいですかね。

○住委員長

はい、どうぞ。

○三村委員

どうもありがとうございました。よく分かりました。2番目のところですけれども、そういうことであれば、「都市生活」というふうに書いているのが、少し範囲が広くなっているので、例えば「社会基盤・都市生活」とか、何かインフラ施設とかそういうところに影響が現れるということが直接分かるような表題にするという方法もあるんじゃないかと思いました。これはご検討いただければと思います。どうもありがとうございました。

○住委員長

はい。そのほか、よろしいでしょうか。

○山田委員

一つ、よろしいですか。

中央大学の山田です。

○住委員長

山田委員。では、どうぞ。

○山田委員

分野間の影響の連鎖というところではなくて、先ほど、説明してもらった資料2-1のところでコメントをしたいと思います。資料2-1の裏側で、一番右端の自然災害・沿岸域、その下に(河川)とありますけども、この概要が現実と少しずれているのでコメントさせてください。「洪水を起こし得る大雨事象の増加」というのですが、これは大雨事象の増加で、事実ですけれども、洪水を起こしている、ここ10年ぐらいの雨の多くは、一日とか二日の雨だったら今までの最高記録の1.1倍とか1.15倍ぐらいの雨ですので、大雨事象が増えているというのは事実です。しかし、6時間や12時間で降る雨の量が増えているために、あちこちで洪水が起きているというのが事実です。今までの河川の整備計画というのは、一日とか二日でどのぐらい雨が降るかというのに対して、過去のデータを用いて設計してきましたが、6時間とか12時間の雨量強度が過去の雨の記録の1.3倍とか1.4倍ぐらいになっているのが、増えているのが事実ですので、そういう書き方「単なる大雨」じゃないということです。6時間や12時間降雨の総量が非常に多いんだと。その下の都市部の「短時間強雨」と書いてあるけど、都市部では、大体1時間以内の雨のことなのですが、都市部も10分雨量みたいな、本当に短い、普通の都市計画で使うのは1時間に何ミリ降るかというので設計、それで実際は10分でどのぐらい降るかというのを考えますが、10分でどのぐらい降るかというようなところの雨の強さが非常に増大しているので内水被害が増加しているのが正しいと思います。1時間で幾ら降っているという意味では、もちろん増えてはいるんだけども、被害を及ぼしているのはもっとはるかに短い時間の雨だということを、どこかそういうニュアンスが必要かなと思います。それによって河川や下水道の設計の仕方が変わってくる可能性があるので、そこのところは書き方をちょっと工夫してくれませんか。コメントです。

以上です。

○住委員長

どうもありがとうございます。はい、では、どうぞ。

○気候変動適応室室長補佐

山田先生、ありがとうございます。ご指摘を踏まえまして、文案を検討したいと思います。またご相談させていただくかもしれませんが、よろしくお願いします。

○山田委員

はい。

○住委員長

では、三上委員。

三上委員

はい。すみません、三上です。

今回、私も初めての参加で、詳細にどういう議論がこれまで行われてきたかというのは存じ上げていないんですけれども、ちょっと私が気になったのは、最後のほうで言われていた分野間の連携、影響の連鎖ということにも関係すると思うんですが、適応策の最終的なゴールというのは、いわゆる地域における社会実装が行われて、その地域における社会が安全・安心になるということだろうと思うんですけれども、それの一つの大きな前提として影響評価を行うということがまずベースになっているという、そういう理解でいいかと思うんですけれども、実際にその適応策の社会実装を担う地方自治体、例えば県とか、大きな政令指定都市とか、そういうところで適応策を具体化する上で非常に悩ましい問題というのが、影響といった、考える場合に、その影響を受ける人間のほうの社会ですね、ソシオ・エコノミカルな条件が近未来、温暖化と同時に社会自体も変質しているということだと思うんですね、つまり具体的に言うと、少子高齢化が非常に強く進んできていて、その中で同時に温暖化の影響についても適切な対応を自治体は求められていると。そういう中で適応策を決めていくということですので、その都市生活、国民生活と言ってもいいのかもしれないですけど、そういう社会・経済的な変化とともに温暖化に伴う影響をどう評価していくかという、そういう複合的な問題について、やっぱり何らかの問題意識というのが必要であろうかと思うんですね。ここでの議論というのは、影響評価を取りまとめるということが大きな目標ですので、この場でそれを研究するという、あるいは取りまとめるということではないのかもしれないですが、じゃあ、各地方の適応コンソーシアムでそれが担い切れるかというと、やはりそれはちょっと大きな問題で、まだ日本としても十分な研究なり調査が行われていない課題だと思いますので、そういう問題意識をどこかに明示するだけでもいいですので、そういうことを解決しないと、各地方・県における適応策の社会実装というのがなかなか政策的に設計するのが難しかろうというふうに思う次第です。

以上です。

○住委員長

はい、どうも。では、どうぞ。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。ご指摘をいただいた社会・経済条件を踏まえた影響評価の重要性につきましては、後ほどご説明をさせていただく課題として取り上げております。現時点では、社会・経済条件を考慮した将来予測に関する文献が限定的であるために評価ができていないというのが現状ですけれども、それに関しては次回の気候変動影響評価に向けた課題として、来年度以降の小委員会でのご議論の議題となろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○三上委員

承知しました。どうもありがとうございます。

○住委員長

では、木所委員。

○木所委員

ありがとうございます。先ほど、三村先生からもこの連鎖の図について指摘があったかと思うんですけども、その三村先生の指摘ですと、やはり最後に、一番下の国民生活、この辺が一つ最終的な出口というか、国民全体のメッセージ的な部分になるかと思うんですけども、やはりそこが多分このままだと伝統行事の時間変化とか、そういったものになると、何かちょっとインパクトが弱いのかな。やはりこの辺、全体としてどういった影響があるかという、そういったまとめ的なものを入れたほうが結構いいのかなと。多分、この図って結構目立つような図ですので、その辺、留意しながらまとめるというのが大切なのかなというふうにちょっと考えております。

あと、三村先生からもう一つ、プラスの面について指摘があったんですけども、農産物、そのほか新しいものを植えればいいんじゃないかということですけども、その新しいものを植えるのも一つの適応ですので、影響評価だけではなくて、その適応というものも入りますので、その辺の取扱いというのもやはり、プラスの面を反映する上でも何らかの議論というものが、取り扱い方が必要なのかなというふうに思いました。

以上です。

○住委員長

ありがとうございます。何か言うことはある。

○気候変動適応室室長補佐

はい、ありがとうございます。分野間の影響の連鎖についてはまた検討させていただきたいと思います。適応策についてもありがとうございます。

○住委員長

ただ、プラスの効果と考えるときに、誰にとってプラスかという側面があるので、世界中の人全てにとってプラスということはあんまり、あるかないかとか。要するに、だって、非常に自分にとって都合よければプラスだけど、それはほかの人の犠牲かもしれないので、その辺のところはよく慎重に表現して考えて書かないとまずいと僕は思いますので、それは注意してください。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。

○住委員長

よろしいですか。

それでは、次の資料2-5、2-6ですから、総説についてのご説明をお願いしたいと思います。

○気候変動適応室室長補佐

はい。では、総説についてご説明をさせていただきます。

総説についてなんですけれども、詳細の概要に加えまして、日本における気候変動の概要、これは文科省、気象庁によるレポートのドラフトなどから作成したものですけれども、そういったものですとか、あと影響評価に関する取組と課題を総説として取りまとめております。こちらにつきましても、前回の小委員会でいただいたご意見を資料2-5にまとめておりますので、それへの対応を中心にご説明させていただきます。

また、後ほど今後の課題についてもご説明させていただきますが、今回の委員会でそれらへの対応について掘り下げたご議論をいただくというよりは、次回の2025年の評価に向けて、来年度以降の検討のたたき台としてご提示をさせていただく予定でおります。

まず、投影資料は総説の抜粋になっているんですけれども、お手元にあれば資料2-5をご覧いただければと思います。ちょっと前後してしまって申し訳ないんですが、ご意見の二つ目で、最近5年間のエポックメーキングな出来事を書いてはどうかというご意見をいただきました。それを踏まえまして、総説の最初のほうの背景及び目的というところで、国内外の動向ですとか、あとは国内における近年の気象災害や熱中症の増加などについて記載をしております。具体的にはこのような形で、国際的な動向として、例えば持続可能な開発のための2030アジェンダであるとか、それに対して日本ではどういった対応をしているかということを年表形式で少し整理させていただいております。

次に、少し戻りまして、ご意見の一つ目なんですけれども、総説から詳細を参照するときに詳細のどこを見ればよいかがすぐ分かるような構成にしてほしいというご意見をいただきまして、総説の中にこのような形で評価を行った小項目の一覧を掲載しております。総説の中では分量も増えてしまいますので、小項目以下の影響については割愛をさせていただいているんですけれども、この一覧表を見ていただいて、一番右に、詳細の何ページを見れば、この各小項目の具体の評価内容が書いてあるかというのが分かるようになっておりますので、ここを見てご関心のあるページを詳細の中でめくっていただくということを想定しております。

次のご意見の3、4、5、6と10番は影響評価における課題に関するものですので、後ほど、まとめてご説明をさせていただきます。

ご意見の9番目ですけれども、気候予測情報・影響評価情報の最終ユーザーを念頭に置いた在り方を開発すべきというご意見をいただいておりました。これに関しては、平成29年3月の中環審の中間取りまとめを踏まえて、環境省と国立環境研究所が連携して検討チームを立ち上げております。そこにおいて観測・監視の取組状況の把握ですとか、共通課題の整理などが行われております。その報告書が年度内に公表される予定なんですけれども、その進捗について、総説の第4章で概要をご紹介するという形にしております。

ご意見の7番と8番ですけれども、ここで、適応策についても報告書で整理をしてはどうかというご意見をいただいておりました。適応オプションに関しては、今後の知見の充実が必要ということで、これも後ほどご説明する今後の課題に記載をしているところです。なお、政府が実施する適応策については、この報告書の中で整理しようとすると結構分量も膨大になってしまいますので、適応計画の中で取りまとめることとしています。ただ、この報告書の中で、総説の第4章で、影響評価に基づく適応策の検討・立案に関する取組ということで一部掲載をしております。

ご意見の11番、12番、13番では、ティッピングポイントの扱いについてのご意見をいただいておりました。ティッピングポイントについては報告書のポイントに記載をしていますので、後ほどそこでご説明をさせていただければと思います。

ご意見の14番目で、気温上昇を2℃に抑えるためにどのような対策が必要かについては、現在見直し中の地球温暖化対策計画において具体的に記載される予定となっております。なお、緩和の努力が重要だということについては報告書のポイントに記載をしておりますので、これについても後ほどご説明をさせていただきます。

ご意見の15番目ですが、新しい知見の分かりやすい紹介の仕方についてご意見をいただきまして、ありがとうございました。この報告書の中で新しい知見だけをまとめて見せるということは今回はしていないんですけれども、報告書冒頭につけているポイントでは、新しい知見がある場合はそれを中心に紹介しておりまして、また、先ほどお見せした資料2-1、概要の資料ですね、その中でも新しい知見に下線を引くなどして、少し分かりやすくするような工夫をしているところです。

次に、次回の評価に向けた課題についてご説明をさせていただきます。資料2-7にまとめております。これは前回の小委員会でもこのような資料をお示ししていまして、前回の小委員会でいただいたご意見を踏まえて追加したところを赤字で示しております。今回は課題とそれに対して想定される対応ということで書いているんですけれども、この対応の部分について今回ご議論いただくというよりは、来年度以降の議論のたたき台としてお示しさせていただければと思います。ですので、来年度以降の議論に向けて、こういった視点が足りないのではないかということがあれば、ぜひご意見をいただければと思います。

なお、現時点でこの課題の全てを総説に反映できていないんですけれども、本日のご議論も踏まえまして、特に文献の収集ですとか評価方法に係る課題については総説の中にも盛り込む予定です。

まず、ご説明をさせていただきますが、文献の収集に関する課題として、まず、極端現象に伴う全国での影響、特に経済損失に関するデータが公表されていないこと。また、気候変動による影響に関しては、学術論文以外に企業レポート等の活用も考えられるというご意見をいただいていまして、その旨を追記しております。

さらなる研究・調査が必要な項目としては、適応策同士のシナジー/トレードオフの解明が適応策実施に当たり重要であるというご意見をいただきましたので、それについても記載をしております。

評価方法に関する課題といたしましては、まず、重大性評価の段階の在り方、次に社会・経済条件を考慮した評価方法の在り方、また、分野間の影響の連鎖に関する評価の在り方ですね。これらについても今後、知見を充実して評価方法について検討していく必要があるということで記載をしております。

2枚目ですけれども、緩和と適応の効果を踏まえた影響評価について、現状といたしましては、今回の評価では、8つの評価項目について排出シナリオ別に重大性評価を実施しております。ただ、適応策の効果を踏まえた影響評価に関しては、文献が現時点では限られているため実施をしておりません。他方で、現状の影響の重大性評価においては、既に一定程度の適応策が実施されている場合は、そのことも考慮に入れて重大性を評価するようにしております。今後、適応策の効果を含めた影響評価をどのように行っていくかということが課題として挙げられるかと考えています。

また、緊急性の評価の考え方として、現在の評価の考え方としては、影響がいつ出るかということと、いつ意思決定が必要かという二つを比較して、いずれか緊急性が高いほうを評価するということにしているんですけれども、その両方とも評価をする必要があるのではないかというご意見をいただきましたので、そのことも記載をしております。

次の「その他」のところですけれども、報告書における適応策の扱いということで、本報告書においても適応策の整理を含めたほうがよいのではないかというご意見をいただいておりました。これに関しては、実際出ている影響ですとか予測される影響に対して、どういった適応オプションがあり得るか、どういったものが効果的であるかということについて、まだ知見が十分でないところもあると思いますので、今後の情報収集と発信が重要と考えております。

最後については、これは以前、「緩和策と適応策の連携」という書き方をしていたんですけれども、「費用対効果等の検証」と言ったほうがよいのではないかというご指摘を受けまして、表現を改めております。

来年度以降、これらの課題についてご意見をいただきながら検討していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

説明は以上です。

○住委員長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に対してご意見、ご質問、ございましたら。

では、中北委員。

○中北委員

適応関連のところ、二つ質問させていただきます。簡単な質問ですが、一つ目は、緩和と適応の効果を踏まえたというところですけれども、適応策の効果を踏まえた影響評価という言葉があるんですけれども、少しちょっとリマインド、どんなイメージのものかを少しリマインドいただければと思いました。

それから、先ほどご紹介いただいた意見の中でも申し上げたんですけれども、まず、これは気候変動影響評価の5年先に向けた課題ということで書いていただいているんですけれども、環境省が進められている施策として大事な適応そのもののレポートというようなものは別途考えられるのか、そういうところもこの影響評価の中に含めていくお考えなのか、そこの2点をお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。適応策を踏まえた影響評価というのは、予測されている影響に対して例えばこういう適応策を行うと影響がどれだけ減らせますよという、それによって影響の重大性がどれくらい変わるかということをある程度定量的に示せるかどうかということかと認識をしております。

○中北委員

適応策の効果みたいな感じですね、ということになるんですかね。

何か、適応策をされると気温が下がるとか、雨が減るとか、何かそんなイメージで何を言われているのかなと思ったので、ちょっと何かそこらと絡むので、少し言葉をうまくちょっと使い分けていただいたほうがいいかもしれませんね。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。その影響自体を減らせるということ、そうですね、はい。

○中北委員

勘違いして、すみません。僕自身が勘違いしちゃったので、僕みたいな人はいないかもしれませんが、ひょっとしたら勘違いされる方もいるかなと思いました。

○気候変動適応室室長補佐

はい。影響自体を減らすというよりは、影響をどう回避するかということになるのかなと思いますが。

○中北委員

そうですよね、はい。だから、適応の効果みたいなことですよね。

○気候変動適応室室長補佐

はい。

二つ目は、すみません、環境省が適応策に関するレポートを別途まとめる。

○中北委員

こういう類いのもので、今まで影響評価というような形で来ていましたが、プラス適応というのが進んでいく中で、適応法の中で環境省のほうもがっと進められていることを含めて、そういうようなものの適応というのがどういうものができて、そこでまたその効果というのが出てくるのかもしれませんけれども、そういう類いの評価書みたいなのは別途考えられる、ことを考えられてらっしゃるのか、そういうのもこの影響評価の報告書の中に入れていくのかというようなことを少し、お考えをお伺いできればと思いました。

○気候変動適応室長

中北先生、ご意見をいただきありがとうございます。適応策についてどういったものがあるかまとめて、それを広く普及させていくことは、適応を進めていく上で非常に重要と思っています。どういった形でできるか、これから検討する必要があるかと思いますが、いただいたご意見を踏まえながら取組をしていければと思います。

なお、気候変動影響評価については、法律に基づき、気候変動や気候変動影響の観測・監視・予測・評価に関する知見を踏まえて総合的な評価をするとなっておりまして、報告書の中でまとめるのがよいかは、改めて考えたいと思います。いずれにしても、先生のご意見も踏まえ、適応策の推進という意味での情報収集や普及は考えていければと思います。

貴重なご意見、ありがとうございます。

○中北委員

はい。どうもご返答いただきまして、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○住委員長

では、高村委員。

○高村委員

ありがとうございます。すみません、私、この後退席をしなければならなくて、早口で4点ほど申し上げたいと思います。大変申し訳ありません。

1点目なんですけれども、本報告書のポイントとして示していただいている資料2-6の総説の冒頭だと思うんですが、ここのところが非常に大事なところだというふうに思っています。つまり非常に精密な、詳細な報告書を作って公開をして提出していくわけですけれども、恐らく今回この影響評価で何がポイントかというのが、この冒頭の3ページ以下だと思いますが、申し訳ないんですが、ちょっと分かりにくいと正直思っております。恐らく内容としては入っているんだと思うんですけれども、とりわけ、やはり国民に対して、あるいは政策決定者に対して何を注意しなければいけないか、それを重大性、緊急性、確信度で表しているわけですが、どういうリスクが、やはり注意しなきゃいけないのかということで出していらっしゃる項目、それから分野間の影響の連鎖という点、それから複合的な災害影響、幾つかキーワードは入っているんですけれども、しっかり、例えば小見出しなり、書き方のところを含めて、分かりやすく、ここを書いていただけないかというのが1点目でございます。

2点目は、これは国民生活、事業活動、産業活動のところですけれども、先ほどの、今年の今回のポイントとの関係でいくと、やはり損害保険支払額、保険料への影響というのを少しハイライトしていただく書きぶりを追加いただくのがいいのではないかと思っています。

これは、中で書くのか、ポイントで書くのかというのはあるんですが、といいますのは、この2年連続して保険料も非常に大きく上がっていて、国民生活や自動車の活動に大きな影響が出てき始めている内容だと思っております。これは、ある意味では分野間のまた影響だと思いますけれども、そういう意味で、これは多分、一つハイライトしていただきたいポイントです。

3点目は、資料2-7かな、課題のところですが、これは、すみません、書きぶりだけです。基本的には正確に反映をいただいているんですけれども、資料2-7で指摘をさせていただいた経済損失のデータは、正確に言うと各省庁所管については経済損失は出ておりますけれども、それが果たして何をカバーしていて、アグリゲートできるのかというところのデータそのものが、比較可能性も含めてはっきりしていないというところが問題だというふうに思っております。公表されてはいます。ここのところは、書きぶりは注意を、修正をいただきたいと思います。

最後ですけれども、この報告書は非常に大事だと思うんですが、ナショナルなレベルでの評価で、何人かの委員からもありましたけど、やはり地域性や、経済活動でいけば業態の対応性を踏まえて、自治体や事業者が自ら何がリスクとしてあるのかと、それに向けて何をしなきゃいけないのかということに資する内容であるべきだというふうに思います。

そういう意味で、そのメッセージをぜひ、特に本報告書のポイントのところに入れていただきたいと思います。

以上です。

○住委員長

ありがとうございました。

ポイントの話は、この後、説明があるので。

○高村委員

そうですか。失礼しました。申し訳ないです。

○住委員長

それは、聞いておくということにしたいと思います。

○高村委員

ありがとうございます。

○住委員長

では、高橋委員。

○高橋委員

私は、資料2-7の裏面の、緩和策と適応策の費用対効果等の検証の箇所について、前回の会合の際も1点コメントさせていただいたんですけれども、若干違和感を感じる記述があるので、もう一回、ご検討いただきたいと思いまして、指摘させていただきます。

箇条書きの一つ目、緩和策との連携の重要性が示唆されている、この辺りは非常によく分かり、このままでいいかと思うんですけれども、二つ目の項目について「国内を対象として緩和策と適応策の連携やそれぞれの費用対効果の比較を行っている文献が少ないため、政策の意思決定には更なる知見が必要」とあります。確かに適応策の費用対効果分析は必要、緩和策の費用対効果分析も必要かと思いますが、影響評価や適応策検討の観点からは、適応策の費用対効果の話だけ含められていればよくて、緩和策の費用対効果の話については、ここに書かれることに違和感を感じました。

ただし、適応策の費用対効果を評価する際に、適応策をやったときに、緩和策に対してシナジーやトレードオフ効果があるときに、それらが追加的な効果だったり、あるいは効果を減らすような役割を持ったりということはあると思うので、その点もきちんと見込んだ上での適応策の費用対効果の評価は行っていくべきだと思います。ここの記述について再度ご検討いただければと考えております。よろしくお願いします。

○住委員長

どうぞ。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。ご意見の趣旨をきちんと反映できておりませんで、申し訳ありませんでした。ご意見を踏まえまして、書きぶりについては検討いたしまして、また、ご相談もさせていただければと思います。ありがとうございます。

○住委員長

それでは、浅野委員。

○浅野委員

前回の小委員会で、高村さんの意見が出されていて、資料2-5の番号で言うと3番に記載さえれています。そしてこのご意見についてのお答えも記されています。この報告書の性格から言うと、これでしようがないのかなという気もするのですが、やはり論文の数が科学的知見の充実度を意味するという、この報告書の基本的な理解を前提にすると、社会科学分野は極めて不利になるわけです。そもそもこういうテーマを扱う研究者の人数が少なく、したがって論文がすくないということになる。だから、論文の数イコール、重要性、緊急性の指標そのものだという前提を疑ってかからないと、どうも社会科学領域は生きる道がないなという気がしてしようがないと思われてなりません。

そこは、報告書の大前提からしてやむを得ないかもしれませんが、やはり読む人が、これは重要度が低いというふうに書かれてしまうと、そうかなというふうになってしまう。実際に、でも、例えば企業、事業者などが見た場合に、何か自分たちの実感とは違うなというふうに思われても困るので、この辺のところは、もう少し何か工夫はないかなと、前から思っておりました。

S-18には、ぜひ、その辺についてもクリアできるように頑張ってほしいということを申し上げて、論文がなくても、それ以外の資料で補充できることがあるだろうということを申し上げておったんですが、それと同様の指摘が、高村さんのご意見にも出ておりますので、次の課題のところに、このことを書いていただくのはそれでいいんですが、できれば最初のところにも少しその辺を触れてもらえると、読む人に誤解を与えないのではないかというふうに思います。

○住委員長

ありがとうございます。

どうぞ。

○気候変動適応室室長補佐

浅野先生、ありがとうございます。

総説の中には、自然生態系ですとか産業経済分野に関しての項目を中心に、文献が不十分であることから評価が十分にできていないものがあるということを記載しておりますが、それについて、例えばポイントの中でも課題として書くことも検討したいと思います。ありがとうございます。

○浅野委員

よろしくお願いします。

○住委員長

それでは、沖委員。

○沖委員

ありがとうございます。大変勉強になるレポートになっているなと思いましたが、まず、次のアセスメントへ向けて重大性のところをどうするかというのでご提案いただいていますが、やはり、例えば毎年1万人亡くなっている災害が1万1,000人になるのと、今までは100人しか年間に亡くならなかったところに温暖化の影響で1,000人になるのとは全然違うということから考えますと、やはり変化、あるいは変化及び速度の大きさで重大かどうかというのを評価しているということを、一つの方針にされてはどうかというふうに思います。

できれば、単に現状からの差ではなくて、気候変動がなくて2100年になったとき、あるいは2050年になったときと、気候変動ありの場合との差であったり、比率であったりというのを指標にするということを検討されてはいかがでしょうか。それがもし、今回のレポートで、今後はそういうことでアセスしたいという文言があれば、今後の研究で、じゃあ、そういう視点で評価結果をまとめてみようというふうに誘導できると思いますので、ぜひ、そういうことを検討していただいてはどうかというふうに思います。

それから、先ほども既にいろんな議論がございましたけれども、誰にとって影響が重大なのか、緊急であるかというのが、やはり重要である気がいたしました。というのは、今回の資料を拝見させていただきまして、例えば水稲に関しては既に影響が出ているということで重大だということを拝見して、そうだったのかと思ったわけですが、多分、今ご参加のどなたも、例えばお米が食べられなくなったとか、10年前に比べてお米がおいしくなくなったということは感じていらっしゃらないんじゃないかと思うんですが、実は、現場では既に白濁化とか、そういう悪影響が生じているとしますと、なかなか実感と結びつかないのではないかと思います。各項目が誰にとって重大なのか、どこに困っているセクター、方々がいるのかというのが分かると、より実感が増すのではないかなというふうに思いました。

また、連鎖の図というのは非常に勉強になって面白いんですけれども、矢印が何を意味するかがわかったようでわかりにくいと思います。矢印に従って因果律が必ずこうなるというわけでもないし、これだけがその変化に効くというわけでもないということもあると思います。一番大事なのはこれを図で終わらせないで、きちんと文章で説明したのがあって、この図があると、なるほどと理解できるのではないかと思いますので、次の報告書、ではこういうメカニズムについて文章できちんと説明するということがあると、例えば自分の地域についてアセスメントがなくても、この文章を読んで、そういうメカニズムがあるのであれば、自分の地域ではこういうことが起こり得るなとか、いや、起こる可能性は低いなとかという判断ができるようになるのではないかというふうに思います。

最後ですけれども、例えば今の例で言いますと、温暖化すると強い雨が増える、山田先生が先ほどコメントされたとおり、短い時間の降水強度は強くなりがちなわけですけれども、例えば本文に、少しだけアセスの結果がある大気汚染との影響というのが十分に分かっていなかったりしますし、気温が上がるということ自体も、そもそも地球温暖化以外の理由で気温が上がるということもあるといったことが、文章にするときちんと分かって、より誤解を生まない報告書ができるのではないかというふうに思いましたので、来年以降はぜひ、そういうふうなことを検討いただければと思います。ありがとうございます。

○住委員長

ありがとうございます。

どうぞ、レスポンス。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。まず、一つ目の重大性評価の在り方に関して、変化というか、差分を見るという観点が重要ではないかということと理解をいたしましたが、それに関しては、そういった評価の在り方が可能かどうかについて、また、ご意見を伺いながら検討していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

また、誰にとっての影響なのかということも、今後、明記できるようにしていきたいと思います。

3点目、4点目に関しては、図を作るに当たって、かなり簡略化せざるを得なかったという部分もありまして、「分野間の影響の連鎖の例」というタイトルにしているのはそういう理由もございます。このほかの矢印も多分あると思うし、これ以外の影響もあるんだけれども、分かりやすいものをシンプルに示そうということで、今回、初めて作ってみたものですので、次回以降も、よりブラッシュアップして、より分かりやすい伝え方ができるようにできればと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

○住委員長

どうも。

では、野尻委員。

○野尻委員

それでは、沖さんや高橋さんのお話を受けて、ちょっとお話をしたいんですけれども、今、図が話題になっていまして、今、画面に出ている分野間の影響の連鎖も、これは随分、前より分かりやすくなって、いいと思います。それで、私は都市生活、国民生活というのが、分野のタイトルだということを気がついていますので、それをここに入れ込むのは必然なわけで、そのうち都市生活は全体の上流部で、その下の国民生活が下流部ですので、このような配置になるのは大変理解ができるところであります。

なので、少し工夫が必要かもしれないんですけれども、分野の題目をここに持ってきたということで、ほかの委員の先生方、ご理解いただければ、この図の都市生活と国民生活のこの配置、こうなったということの理由がよく分かるような気がします。

それから、各分野の中のチャートも、前回と比べて非常によくなっていますので、この各分野のほうのチャートの四角、1個ずつを30分、1時間かけて解説していくと、例えば温暖化の影響の講義になるのかなと、そんなふうにも思っておりまして、活用できる大変いいものができたというふうに思っています。

それで、さっき高橋さんのほうから、緩和策と適応策のところで、主に適応策の費用対効果をここで扱うべきだろうというようなお話もあったんですが、少し違和感を感じていまして、確かに費用対効果という文言を入れると分かりやすくはなるんですが、例えば自然生態系など費用で表せないものがあることは、もう自明なわけですので、この緩和策と適応策、あるいは適応策のことを考えるにおいても、費用対効果というのは必ずしも上位の概念なのかなというふうに疑問を持ちます。

ですので、適応策を評価する場合には、費用対効果というのは単なる一つのやり方であるというふうなことを踏まえて、この一番上の段階のところに費用対効果を入れるのは適切ではないような気がします。その下のレベルで費用対効果も含めて検討するのはいいのかもしれないんですが、この一番上のほうのレベルで緩和策と適応策の費用対効果等の検証と出てきてしまうと、その費用で表せないようなものがぞんざいに扱われるかなというようなことを思いますので、あまり上位の概念ではないというふうに私は思っています。

次のレベルとして分かりやすくするために費用対効果を考えるというのは十分いいことなんですけれども、温暖化が及ぼす影響には費用で表せないものが非常に多いということを、まず分かってもらうというのも重要かなと思います。

それから、やはり法律の建てつけで影響評価を5年に1回やるということは分かるんですが、この報告書だけで緩和と適応の関係、あるいは適応策の評価というところまで踏み込もうと思うと、ちょっと無理があるかなというふうな気がします。ですから、影響というものをここできちんとまとめておきながら、やはり適応策について、あるいは緩和策と適応策の連携や相乗効果、そういったものに関しては、もう一つ、別の報告のようなもので国民に知らせるというような考え方が必要だというふうに私は思いました。

以上です。

○住委員長

何かある。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。まず、分野間の影響の連鎖や各分野の図につきましては、専門家のワーキングでも委員の先生に大変いろいろなご意見をいただきまして作りましたので、分かりやすくなったとおっしゃっていただけてありがとうございます。

2点目の費用が全てではないというご指摘は、ごもっともかと思いますので、少しそのことも含めた書きぶりを検討したいと思います。

また、3点目につきましても、この影響評価はあくまで影響評価なんですけれども、それを踏まえて何をするかということも我々の役割としてあると思いますので、それについても引き続き検討していきたいと思います。ありがとうございます。

○住委員長

どうもありがとうございました。そろそろ時間が大分押してきましたので、なるべく簡潔にお願いしたいと思います。

では、平田委員。

○平田委員

ありがとうございます。資料2-7について簡単にコメントさせていただきます。

影響評価で、高村先生、それから沖先生、地方のこと、それから誰にかということがありましたけれども、それに加えて影響評価のスケールがかなりばらばらなものが全て一緒のところに入ってきているので、今後、いろいろな文献が増えてくると、そのスケールの違いというものを意識して、2025年で影響評価のものを作っていくと、それぞれの人にとって見やすいものになっていくかと思います。

もう一点、緩和策と適応策のところですけれど、これにつきまして高橋先生、野尻先生からありましたけど、私のほうは、この適応策、緩和策というのが、時間軸が必要なんだということを強調しておきたいと思います。

緩和策、適応策、それの効果が出るまでの時間というものがありますので、影響評価と必ずしもうまくリンクできないものなのではないかなということを感じております。

以上です。

○住委員長

ありがとうございます。

では、続いて安岡委員。

○安岡委員

ありがとうございます。時間を節約するために、非常に具体的な例から申し上げます。総説、資料2-6の52ページがあります。この図というのは、ある意味で、ほかのところにも共通する非常に具体的な図になっていると思います。この図で、52ページで、ここで2番目の欄に少雨、つまり渇水というのが例で載っていますよね。これは、実際に農業で渇水が起きると困るということから載っているわけですが、例えばこの後ろに出ている自然災害の部分、それから自然生態系の部分では、渇水、少雨については載っていません。これは、非常に具体的に言うと、多分日本ではそういう論文が少ないんだろうということが、ここには出てきていないんじゃないかと思うんですが。

例えば、少雨による森林火災って、今はもう、世界中で大問題になっていますし、生態系への影響なんかも非常に大きな影響になっているわけですね。例えば、アフリカですとかアマゾンですとか、いろんなところで渇水の影響が出ているわけですけど、ぱっとこの資料を読んだ方は、冒頭のポイントで日本にどのような影響を与えるか科学的知見に基づいてというところへ戻らないと、何でここに載っていないんだろうというふうに思う人が出てくるかもしれません。

私は、それぞれのところに非常に簡単でいいですけれども、もしくはどこかに、一番初めにまとめてでいいですけれども、本報告書は気候変動が日本においてどのような影響を与えるかを科学的知見に基づいてやりましたと。世界的に見ると、必ずしも日本では論文が出ていないものもありますがというようなことを、どこかで入れておかないと、影響評価として、地球上で起きている影響評価を皆さんに伝えることができないものになってしまう可能性があるので、そこはちょっとご留意いただければと思いました。

以上です。

○住委員長

どうも。

何かありますか。いいですか。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。この影響評価自体が、日本における気候変動による影響をまとめたものでして、例えば総説の第3章のタイトルも「日本における気候変動による影響の概要」ということで記載をしております。ですので、基本的に日本において確認されている影響です。個別具体には詳細編に書いてあるんですけれども、それを基にこの図を作成しているということになりますので。

○安岡委員

そこは非常によく分かるんです。それは非常によく分かるんですが、じゃあ、今、これを読んだ人が、日本にというところにどこまでの力点が、理解をされているかというのは多分、分からないんじゃないかと思って、それをどこかにちゃんと書いておいたほうが。

つまり、日本においてどのような影響を与えるかということを書いている上では、世界ではほかの影響も出ているかもしれないけどというようなところを、どこかに書いておかないと、4.4で国際協力ということが書いてあって、じゃあ、日本はこの報告書をもってどういうふうに国際協力をしていくんですかねという話になっちゃうので、一言どこかに入れておかないと、4.4の頭でもいいと思いますけれど、この報告書が世界的に非常にいい報告書になったときにミスリードするんじゃないかなと思った。

以上です。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。書きぶりについては検討させていただきたいと思います。

○住委員長

どうもありがとうございます。

では、江守委員。

○江守委員

ありがとうございます。僕は1点、次回に向けた課題として1点申し上げたいと思います。沖委員がおっしゃいましたけれども、誰にとってというところで、僕も少し違うニュアンスで申し上げたいと思うんですけれども、今回、新型コロナの感染症の流行で、健康リスクあるいは経済的な悪影響というのが、弱者にしわ寄せがいったんじゃないかというような指摘があって、気候変動もそういう構造を持っているんじゃないかというような指摘もよく聞かれたというふうに思っています。

その意味で、誰にとってというのが、弱者にとってなのかどうかというところを、もう少し、そういう視点を我々も持ったらいいんじゃないかということです。

例えば、健康のところでは、脆弱性が高い集団に影響があるみたいなことというのは書かれているんですけれども、ほかのセクターでも、例えば水害とかがあったときに、やはりその脆弱性が高い人たちが大きな影響を受けるというようなことがあると思いますし、もしくは、さらにその適応ということを考えると、例えば所得水準が高い人は適応できるけれども、そうでない人はできないみたいなことがあって、その社会的な格差が再生産されていくような過程が生じるかもしれないと。

そういった意味での社会的な視点というのを、この報告書も次回には、より強調していってはどうかなというふうに思いました。

以上です。

○住委員長

ありがとうございます。時間もありますので、それから、今までの議論と絡むような気がしますので、次の、本報告書のポイントについて、説明をお願いします。

○気候変動適応室室長補佐

では、ご説明をいたします。本報告書のポイントということで報告書の冒頭に掲載しているものですけれども、前回の小委員会ではキーメッセージという名称でご説明をしていたものになります。これに関しては、7月に開催した専門家ワーキンググループでも特に知見の取り上げ方などについてご意見をいただきまして、その上で作成をしております。

今回は、報告書のエッセンスとして何を伝えるべきであるかといった観点からご意見をいただければと思います。

まず、今回の影響評価の特徴を述べていまして、根拠となる引用文献の数が前回の2.9倍と、かなり増えております。知見が増加したことで、前回と比較して31項目で確信度が向上しておりまして、全ての項目、71項目のうち77%となる55項目で確信度が中程度以上となっております。

評価結果としましては、全体の69%の項目で特に重大な影響が認められるという評価になりました。また、54%の項目で対策の緊急性が高いという評価になっております。特に重大な影響が認められて、かつ対策の緊急性も高いと評価された項目は全体の46%でした。

具体的な影響評価の例として、影響の重大性、緊急性、確信度、これが評価の三つの基準となっているんですけれども、その三つがいずれも高かった項目についてポイントの中でご紹介をしています。

ポイントでは、それらの三つ星が高かったもののうち、今回の評価で確信度が向上した7項目を選びまして、このような形で現在の状況と将来予測される影響ということで概要を示しております。

また、今回の評価で新たに、「特に重大な影響が認められる」として重大性が上方修正されたものが3項目ありまして、水資源、地下水、脆弱性が高い集団への影響、建設業ということで取り上げております。

また、新たに対策の緊急性が高いと評価された項目もありまして、その中で重大性についても高いと評価されたものが5項目ありましたので、これらについても現在の状況をご紹介しています。

ポイントの中では、個別の影響評価のご紹介のほかに、社会的関心が高いと思われる気候変動による気象災害の激甚化に関する知見についても取り上げております。特に、日本は近年多くの激甚な気象災害に見舞われていることもありまして、今年の6月には武田内閣府特命担当大臣と小泉環境大臣から共同メッセージを発表しまして、災害からの復興に当たって土地利用のコントロールを含めた弾力的な対応によって、気候変動への適応を進める適応復興の発想の重要性等について示したところですので、それについても記載をしております。

気象災害への気候変動影響については、このような形で現在の影響と将来予測される影響を記載しております。現在の影響としては、気候変動が台風の最大強度の空間位置の変化や進行方向の変化に影響を与えているとする報告も見られるということですとか、平成30年7月豪雨においては、地球温暖化に伴う水蒸気量の増加の寄与もあったとされていることなど、将来予測される影響としては、特定のシナリオを前提とした研究ですけれども、21世紀後半にかけて気候変動による強風や強い台風の増加等が予測されているということ。また、シナリオに基づく将来予測によれば、洪水を起こし得る大雨事象が日本の代表的な河川流域において今世紀末には有意に増加することが予測されていることなどをご紹介しています。

特に、こうした気象災害に関連して複数の要素が相互に影響し合うことで、単一で起こる場合と比較して、より広域かつ甚大な被害がもたらされるということが報告されていますので、この報告書の中では、それを複合的な災害影響と呼んで、特に記載をしております。

例えば、平成29年7月の九州北部豪雨では、直接的な被害をもたらした土石流のほかに、土砂が河床上昇を引き起こして洪水氾濫が拡大したりですとか、崩壊によって発生した流木が下流域で大きな被害を出したということが報告されています。

また、平成30年7月豪雨での各地で洪水氾濫と内水氾濫が同時に発生しまして、上流部で発生した大量の土砂が下流部で河床上昇を引き起こすとともに、下流で土砂が氾濫したことにより土砂・洪水氾濫が発生したということが報告されています。

報告書では、このような実際の事例と将来生じ得る影響について記載をした上で、複合的な災害の例ということで、このような模式図を示しております。

また、報告書で先ほどご説明をしたとおりですけれども、分野間の影響の連鎖についてもポイントとして記載をしております。

気候変動による影響に適切に対処するためには、分野、項目を超えた影響の連鎖に着目することが重要であるということから、ある影響が分野を超えてさらにほかの影響を誘発することによる連鎖ですとか、異なる分野での影響が連続することで影響がより大きくなるといった事象を、「分野間の影響の連鎖」と定義をしまして、事例を整理するとともに、懸念される影響ということで記載をさせていただいております。

最後ですけれども、ポイントの最後では、気候変動への対処として、適応の進捗の状況と緩和の重要性についても述べております。適応に関しては、まず、治水や農林水産業をはじめとする様々な分野において、将来の気候変動影響予測を踏まえた適応策が計画・実施されているということ。より精細・的確な影響評価が充実することで、より合理的で効率的な対策の計画・実施が可能になると期待されていることを記載しています。また、緩和の重要性については、それを超えると深刻で不可逆な変化・影響が生じ得る閾値(ティッピングポイント)の存在が指摘されていることなども踏まえまして、工業化以前からの気温上昇を2℃よりも十分低く抑えて、1.5℃に抑える努力を追求することで、4℃の気温上昇と比べて特に重大な気候変動による影響を低減・回避できると。ですので、緩和の取組の着実な実施が重要であるといった記載をしております。

報告書のポイントについては以上です。

○住委員長

それでは、今のご説明に関して、ご意見、ご質問を聞きたいと思います。

では、白戸委員。

○白戸委員

農研機構の白戸です。まず「キーメッセージ」という名称だったときには、どれぐらいメッセージ性があるのかな、主観的なことが入るのかなというふうな、ちょっと疑問がありましたけれども、「本報告書のポイント」という名前になって、名は体を表すというか、余計な心配をしなくてよくなったので、よかったなと思いました。

これは、本編とテクニカルレポートが総説と詳細になったことについてもそうだと思います。先ほど、高村先生でしたか、この僅か3ページのポイント、非常に重要だというお話がありましたけど、私もそう思っていて、IPCCの報告書でもSummary for Policymakersだけしか読まない人というのはかなり多いと思うので、もう一度、本当に伝えるべきことが、ここにちゃんと漏れなく書かれているかを、ちょっと具体的な意見じゃなくて申し訳ないんですけど、よく考えたほうがいいかなと思いました。

一つ、ちょっと私、違和感があったのは、この2ページ目の真ん中辺に、大臣が共同声明を出したというくだりがあるんですけれど、何か大臣の個人名というか、政治家の個人名がここにポンと出てきて、ちょっと違和感を持ったんです。ただ、それは私の非常に個人的な感想であって、ここにいらっしゃる多くの皆さんが、特におかしいなと思わないのであれば、単なる私の感想として言うだけにしたいと思います。

以上です。

いかがでしょうか。

○住委員長

大臣は、一応大臣ですから、出して何が悪いといえば、言えるかもしれないですが、その辺は役所の事情ということもあるのかと思いますので。

それでは、高薮委員。

○高薮委員

すみません。よろしくお願いします。一番最後にご報告いただいた緩和の重要性のところで、ちょっと私、気になったんですけれども、温度上昇の話を出しているんですけれども、これがきちんとユーザーに伝わるのかどうかというのが、ちょっと心配になりました。というのは、この2℃上昇というのは、特に工業化以前からの全球の気温上昇だと思うんですね。

そうすると、さっき幾つか、いろんな先生からお話が出ていましたけれども、日本の各地域での温度上昇というのは、多分これよりも高くなるんだと思うんですけれども、そうなった場合に、ここで言っている、例えば「1.5℃に抑える努力を追求」するなんて書いてありますが、そうなったときに、一つは各地域ごとにどのぐらい温度が上昇するかという翻訳がどこかでできていないと、勘違いするんじゃないかなという心配。

それから、もう一つは、「(工業化以前からの)」というのは、やっぱりちょっと難しいキーワードだと思いますので、現在、既にどのぐらい上がっているかということも同時に示さないと危険なんじゃないかなと。これから1.5℃上昇を抑えればいいのかなと思っちゃうんじゃないかなという心配。その辺りです。ありがとうございます。

○住委員長

それでは次、中北委員。

○中北委員

ありがとうございます。この資料って、送っていただいた資料の何番なんですかね。

○住委員長

2-6。

○中北委員

2-6の最後にあるんですかね。

○住委員長

2-6の、総説の中にある。

○気候変動適応室室長補佐

そうです。すみません。今回、ご説明用にお示ししているので。ポイント自体は、総説の一番最初に文章で書いてあるんですけれども。

○中北委員

分かりました。この文章自体は、ワーキングとかで一偏、議論したりしているものなんでしたか。環境省さんのほうでまとめて、これは提出、提示いただいていると、そんな感じですかね。

○気候変動適応室室長補佐

そうです。基本的に環境省で作成をしております。

○中北委員

小泉大臣の話があったからかもしれないですけど、ちょっと何か自然災害のほうが多いような。自分は自然災害のグループなんで喜ばしい話ではあるんですが、何となく、最近目立っていることといえばそうなのかもしれないんですけれども、減らせとは言わないんですけど、もうちょっと何かほかの分野のところでピックアップできることはないんでしょうかという。

絶大なる要望ではないんですが、何かそういうのが、ちょっとバランスとしてあったほうがいいと思いました。

自然災害としては、大事な点、ピックアップいただいていると思います。

以上でございます。

○住委員長

環境省が自前の政策としてやっているという、お家の事情もあるか、ないかと。

○中北委員

分かりました。これは、省庁間で、また合意されている文書になっているんですよね。というので、よろしいですかね。

○住委員長

最後は役所間のあれで決まるんじゃないですか、その辺のところは。

○中北委員

分かりました。じゃあ、お任せします。ありがとうございます。

○住委員長

じゃあ、肱岡委員。

○肱岡委員

ありがとうございます。今、示していただいているpdfの6枚目を見せていただけますでしょうか。ありがとうございます。そこで、将来予測される影響はA1BとかRCP8.5、一番最後のところはRCP2.6とか出てくるんですけれども、これは気候変動影響評価報告書の詳細のほうの、将来予測される影響の概要のところも、分野によってはシナリオが出てきたり、例えば時期が出てきたり、全く出てこなかったりと、ちょっとばらばら感があると思います。

今回の全体のポイントとしては、RCP2.6と8.5で整理したというのであれば、ちょっとそれを統一した形で出されたほうがいいかなと思いました。

また、将来予測される影響の概要に、例えばこういう事例があるというような書き方もありまして、ちょっとその濃淡が大き過ぎるような場面もありましたので、全体を統一していただければと思います。

以上です。

○住委員長

ありがとうございます。

じゃあ、増井委員。

○増井委員

どうもありがとうございます。今回、資料2-1でも気候変動影響評価報告書の概要ということで資料が配られていますけれども、それと資料2-6で書かれている本報告書のポイントとの違い、これがちょっとどうなのかということをお伺いしたいなと思っています。

前回まではキーメッセージということで、科学的な事実を踏まえて環境省として、気候変動影響、あるいは適応策としてこういうふうなことを考えているという、そういう位置づけの文章だったかと思うんですけれども、今回はどちらかというとその事実だけをまとめたという、そんなイメージを持ちました。このポイントを作成された背景みたいなもの、その辺りをもう少し教えていただければと思います。

以上です。

○気候変動適応室室長補佐

ありがとうございます。資料2-1のほうの概要のほうは、より満遍のない概要といいますか、裏面を見ていただいても、取り上げている各分野の影響の概要ということで、各分野いろんな小項目のほうを満遍なく取り上げているものでございます。

他方で、ポイントはどういうものかといいますと、ポイントの中で全ての評価項目について取り上げるというと分量も増えてしまって何のためのポイントか分からないというところもありますので、特に重大性、緊急性、確信度が高いものなどに絞ってご紹介をするという、概要よりも、より絞った内容にしているというものですね。

あとは、概要ではそれほど大きな扱いはしていないんですけれども、今回の報告書で新たに追加した「分野間の影響の連鎖」などについて特にハイライトしているというところが違いかなと考えております。

○増井委員

分かりました。

○住委員長

ありがとうございました。

それでは、続いて、今後の進め方。

○気候変動適応室長

資料1-3に基づいて、改めて今後の進め方についてご説明させていただければと思います。

今日の会議は非常に短時間であり、また、資料も大部にわたっていますので、追加でご指摘、コメントをいただければと思います。

概ね1週間後、9月15日火曜日までに環境省気候変動適応室のほうまでメールでお知らせいただければと思っています。詳しくは、追ってメールでご案内させていただきます。

いただいたコメントを踏まえた修正を加え、案としてまとまった段階でパブリックコメントの募集を行いたいと思っています。

また、このパブリックコメントで出てきましたご意見も踏まえ、再度、報告書案についてご確認をいただければと思います。その際、パブリックコメントの内容、いただいたご意見なども踏まえて、再度この委員会を開催するか、もしくは対応についてメールなどでご相談をさせていただくかは、住委員長ともご相談して決めたいと思います。

その後、中環審からの答申をいただき、気候変動影響評価報告書を年内に取りまとめる予定としています。

今後の予定については以上です。

○住委員長

どうもありがとうございました。

これで大体今日のあれは終わったんですが、最後にまとめて、今までの全体、総括的な意見として何か言いたい方、ございますでしょうか。

よろしいですか。

○山田委員

中央大学の山田です。よろしいでしょうか。この委員会の地球温暖化に伴う気候変動というものと、新型コロナの話というのは、両方ともグローバルなイシューだと思います。普通の国民がコロナに関して情報を得ようと思っても、なかなか、テレビのワイドショー番組ぐらいでしか、情報が入ってこないと思います。

同じことが、気候変動に関しても、一般の国民が何を見れば理解できるんだろうというのがなかなか分からないという中で、情報の流し方みたいなものも、こういう新しい気候変動という新しい事態に伴った国民への情報の提供の仕方みたいなものも、どこかで言っていただかないと、物すごく重要なことが、情報を手に入れようと思っても、手に入れられないという、どうあればいいんだろうかというのは、どこかで議論してほしいなと思っているんですね。

特にコロナに関しては、信頼できる情報なんていうのは、ほとんどまともに出てこないという現状で、地球温暖化に伴う気候変動も全く同じ状況じゃないかと思いまして、その辺の議論は、ちょっとどこかであってほしいなと思っています。

これは感想です。

○住委員長

ありがとうございました。

じゃあ、古米委員。

○古米委員

古米です。私からは資料2-6の総説について、全体的な構成についてご意見申し上げたいと思います。

2ページに目次があって、第3章は3.1~3.4という構成ですが、3.2と3.3の目次の表記と本文のほうの表記がずれています。今回の影響評価において、各分野における影響の概略図というのが分かりやすく整理されたことと、71ページに、最初にご紹介があったように、各分野間がどんな影響の連鎖を持っているかという図が示されたというのは、私は非常に大きな前進だと思います。

そうしますと、3.3のタイトルを「各分野における気候変動による影響の概要」とするのであれば、やはり3.4として、3.3で示した分野間の影響の連鎖はこうですよという、別の節立てをしっかりすることがよいかと思います。今回は、例しか示していないとはいえ、各分野だけの影響ではなくて、それらが連鎖する形でさらに別の影響があるということを3.4として出てきたほうがよいではと思います。すると、現在の3.4が3.5になるというように、目次の構成立てが変わりますが、分野間の影響の連鎖を別の節とすると、今回の成果の重要性のメッセージとして表されるのかなと感じました。

以上です。

○住委員長

ありがとうございました。

じゃあ、沖委員。

○沖委員

ありがとうございます。やはり同じく資料2-6の総説のところで、一つは50、51ページの一覧表というのが、多分、皆さんの関心を集めるんだと思うんですが、やはり、これを見ますと、今回で重大性のところに「特に重大な影響が認められる」が、つき過ぎているというのは事実だと思います。それらが深刻だということの反映であるというのはよく分かるんですけれども、他方で、例えばこれがもっと、どこかに書いてありましたけれども、8割、9割重大だとなってくると、逆にほとんど評価をした意味がなくなってくると思います。

そういう意味では、本当は、その中でも特段重大だというものが、やはり分かるようにしたほうがいいんじゃないかという気がいたします。それは先ほどの話ですが、誰にとって、いつ頃、あるいはどのぐらいの資源を投入しなきゃいけないかと、いろんな観点があると思いますので、逆にそういう観点から、先ほど少し議論になりました一番最初のポイントというところで上げるのは、必ずしも全ての観点を総合して重要であるというわけではないが、今回の報告書で着目すべきリスクとして次があるという整理ではいかがでしょうか。

今回は、新しく入ったものとか、三つとも入ったものというものを列挙してあるわけですが、そこは先ほどの大臣の名前を入れるか入れないかと同じように、やはり行政的な、あるいは国としての長期的な展望に基づいて、ある観点から見ると、今はこのリスクについて特に皆さん注意を払ってくださいとメッセージを出すということを、事務局だけでやられてもいいと思いますし、住座長と相談されてやられてもいいと思います。そういう形にすると、収まりがつくのではないかと思います。

以上です。

○住委員長

ありがとうございます。

では、秋元委員。

○秋元委員

どうもありがとうございます。全体的には、この報告書に関して異論はございませんで、この方向で出していただければと思いますが、今、まさに沖先生がおっしゃったことは、私も同じような思いを持っていて、重大性に関して、少し過大に評価し過ぎかなという。

どういう基準でどういうふうにしていくのか、これは、今後の課題だというのは沖先生と全く同じで、沖先生もおっしゃられていたように、誰にとってというか、バウンダリをどう取るのかによって、その重大性の見え方ということも大分変わってくると思いますので、狭い分野で見ると重大に見えても、全体の社会システムとして見た場合に調整がなされる部分も多いので、そういう意味も含めて、本当に社会にとってどういうものが重大なのかということを、もう少し、次回、見極めていく必要があるのではないかなというふうに思います。

そうしなければ、本当に我々が重大で対応しなければいけない課題を、むしろ見落としてしまう可能性があるかなという懸念を持ちました。そこだけ1点です。

もう一点、ちょっと若干、形式的なことを申し上げたいと思うんですが、先ほどもご意見があったように、先ほどご提示いただいたポイントの資料が、恐らく公表されている資料の中にも入っていなくて、この資料2-6のポイントを別途まとめたものだというふうにおっしゃいましたけれども、実際にその資料が公表されているのかどうかという。私の、少なくとも送られてきた手元にはないので。

そうすると、今、議論した内容について、別にこのポイントの中身に関して、若干、私も大臣名を入れるのかというのは疑問はありましたけど、中身に対して特に問題視するつもりはございませんが、ただ議論した内容の資料が公表されていないということは問題なような気がしますので、そこに関しては環境省はどう考えられているのかということを、ちょっとお聞きしたくて、もしあれでしたら後から公表するとか、そういうことをしていただけたらいいんじゃないかなというふうに思いました。

以上です。

○住委員長

今のところ、何かレスポンスはありますか。

○気候変動適応室長

資料については、資料2-6の冒頭に載せております報告書のポイントについて、分かりやすくご説明をできればと思い、急遽作成したものです。

会議後に、環境省のWEBページで公表したいと思います。

ご指摘、ありがとうございます。

以上です。

○住委員長

それでは、三村委員。

○三村委員

どうもありがとうございます。簡単に。

これ、報告書を読ませていただいて、皆さんおっしゃっているとおり、非常に精力的に多くの先生方に評価していただいて、全体像がよく分かる、立派なものができたと思います。

最後、この、本報告書のポイントのところを、もうちょっと分かりやすくというか、はっきりしたメッセージが伝わるような形にまとめていただくというのは、皆さんのご指摘のとおりだと思います。

言いたいのは、山田委員がさっきおっしゃった、こういうように非常にまとまったものができた。それに基づく情報を、どういうふうに社会の中に伝えていくかというのは、非常に重要なんじゃないかと思うんですね。今、この会議には地球環境局長も参加されておられますし、報告書は、やがて中央環境審議会の地球環境部会でも審議の対象になるというふうに思います。

ですから、その中身自体をこれから議論すると、まとめていくというだけではなくて、こうやってまとまったものを、どうやって国民、あるいは地域、あるいは各業界に伝えていくかということも併せて、ぜひ今後検討していくべきなんじゃないかと思います。

そういう活用する価値のあるものが、今できつつあるというふうに思います。

以上です。

○住委員長

どうも。では、安岡委員。

○安岡委員

ありがとうございます。このページに載っていますように、物すごくたくさんの引用文献を調べていただいて、本当にすばらしいものができていると思うんですよね。そのために確信度も上がりました。ただ、1点、どうしても論文とか、既に書かれている文献に意図しますと、内挿的なことは分かるんですけれども、本当に10年後に、ひょっとしたらこんなことが起きるかもしれないということは忘れられてしまう可能性もあるんですね。

外挿的なものってなかなか出てこない可能性があって、これはIPCC方式の限界でもあるわけですけれども、やっぱり教訓に基づいてやるので、どうしても内挿的になってしまうということはどこかに書いておいて、本当に外挿的なものが将来の影響評価として起きる可能性があることは、やっぱり皆さんに知っておいていただかなきゃいけないのではないかという印象を持ちます。

以上です。

○住委員長

どうもありがとうございました。

時間に限りがありますので、そろそろこれで終わりにしたいと思います。

自分がやらなくていいと非常に正しいことが言えるというのは法則でありますので、ただいまの皆さんの、自分がやらなくて済むと思えば非常に物事がはっきりと見えるという、そのアドバイスを受けて、環境省の事務方はしっかり頑張ってやっていただければと思います。

とにかく具体的な、やっぱりアクションを伴うような話につながる話ですので、それから、今後の展開、息の長いような活動になると思いますので、その辺も考慮しながら頑張っていただければと思います。

なかなかいいものができてきたと思いますので。

あと、一つは、Evidence Based Politicsというのは、正しいのか正しくないのかというのは、結構、何でも最近、エビデンスと言いがちなんだけれども、エビデンスが非常に主観的なエビデンスになっている場合もないことはないので、その辺が非常に難しいところなんですが、それは今後の課題として頑張っていただきたいことと、やはり、もう少し、だから、これはいろんなあれをまとめる作業なんですが、一方で、研究がいろんなものを、もっと加速させてから努力を、やっぱり環境省としてもやっていくようなことが大事だろうと思います。

それでは、これで事務局にお返ししたいと思います。

○気候変動適応室長

本日は、活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。

特に最後のほうですが、報告書のポイントに対するご意見ですとか、また、報告書の中身だけにとどまらず、今後の進め方、環境政策全般にも言えることかと思いますが、貴重なご意見もいただいたと思っております。

本日のご議論を踏まえながら、今回の報告書の取りまとめ、また、その先の報告書に向けた検討、またそれに限らず今日のご意見を生かしていければと思います。

なお、今回はWEB開催で、また非常に短時間でしたので、先ほどもお伝えさせていただきましたが、追加でご指摘、コメントなどがありましたら、9月15日火曜日までに気候変動適応室までお寄せいただければと思っています。具体的には、またメールでご案内させていただきます。

また、本日の議事録、それから追加でご提出いただくコメントについては、事務局で取りまとめて先生方にもお配りいただいた上で公開することを考えていますので、ご了承いただけますと幸いです。

次回の会議につきましては、先ほど申し上げましたとおり、パブリックコメントへの対応について住先生ともご相談しつつ、委員の皆様には改めてご連絡したいと思います。

以上で、本委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。

午後 4時58分 閉会

追加コメント(チャット)

[資料2-6気候変動影響評価報告書(総説)案 P52 図3-3]

○野尻委員

時間の節約のため、この図のタイトル(水産業)→(農業)の間違いを指摘しておきます。

[資料2-6気候変動影響評価報告書(総説)案 健康分野の「脆弱性が高い」について]

○木所委員

江守先生のコメントにありました「脆弱性」について、産業的(地域的)にも「脆弱」なところに注目する必要があるような気がしました。」

○江守委員

木所さま、おっしゃるとおり、「脆弱性の高い集団」は、個人レベル、地域レベル、産業別、国レベルなど、いくつかのレベルで検討すべきかと思います。

[資料2-6気候変動影響評価報告書(総説)案 P71 図3-12]

○松井委員

いまさら分野間の影響の連鎖の図(3-12)の中身についてですが、農業・林業・水産業の部分で、「病害虫の発生」は「病虫獣害の発生」の方がよいかもしれないと思いました。 また、負の生態系サービスのボックスについて、「シカ」の生息適域拡大も入れることはできないでしょうか?

[資料2-6気候変動影響評価報告書(総説)案 P71 図3-12]

○古米委員

図3-12の分野間連鎖の図は、例としてのですが、各分野における影響の概略図との整合性が取れているかが気になります。各分野における影響の概略図の下にある関連分野との矢印が、この分野間連鎖と関連しているものと思いますので。また、図3-12における自然生態系、水環境・水資源、自然災害・沿岸域への短い↓と本体の中の→とが、どのように区別されているのかがわかりにくいように思います。

追加コメント

○木所委員

 各分野に置けます影響の概略図につきまして、わかりやすく作成されているかと思います。

その中で細かいことですが、「水産」と「健康」の関連分野について気になった個所があります。

1.「水産」と「健康」の概略図の確認

「水産」と「健康」両方の概略図の気候変動による影響過程として、「有害・有毒プランクトン等の増加」がありますが、これは有毒プランクトンを食べた魚介類が毒素を蓄積し、それを人間が食べ釣ると中毒を起こす「貝毒」「シガテラ毒」の問題の影響過程を示しているかと思います。

ところが、健康分野のとりまとめ内容を見てみると、この分野で取り扱っているのは、「有害・有毒プランクトン等の増加」による「貝毒」問題ではなく、腸炎ビブリオを中心とした細菌性の食中毒のようです。

こちらは、生態系由来の水産物の毒化による問題ではなく、食品の保存の問題と思います。

このあたり、実は各分野では扱っている問題が異なっているにもかかわらず、同じ要因として説明されており、特に「健康分野」の書き方では誤解を招くのではないかと思われます。

修正案(結構大変)としましては、分野間での確認が必要であり、後ほど確認させていただければと思いますが、参考例として、

<健康分野> 

「海水温の上昇」BOXと「有害・有毒プランクトン増加」BOXの削除

「水系感染症のリスク増加」BOXを「気温上昇」BOXにつなげる。→(関連分野としては、「海洋生態系」ではなく、「食料供給」「農林水産業」のほうが適切)

<水産分野>

関連分野の「健康分野」を削除。

代替分野として、「国民生活・都市生活分野」の「【文化・歴史などを感じる暮らし】(1) 生物季節、伝統行事・地場産業等」として“水産物の旬の変化、供給量の変化”とする。

等が考えられます。

1.「水産」の概略図

さらに、概略図においても水産分野の「関連分野」の中心が「感染症」というのも(風評被害的に)誤解を招く恐れが懸念されました。上記と関連しますが、ここは、ファイルの案のように、「国民生活・都市生活分野」の「【文化・歴史などを感じる暮らし】(1) 生物季節、伝統行事・地場産業等」として“水産物の旬の変化、供給量の変化”とする。としたほうが適当かと思いました。 

→先日のWGの資料から大きく変わっているので、気になりました。

そのほか、生態系サービスのうち「供給サービス」よりも「食料供給」としたほうが直接的で明確と思いました。「サービス」という言葉にこだわるよりも、一般的な言葉を用いたほうが理解しやすいと考えます。

非常に些細な個所ですが、フグは種名でないので、「ふぐ類」のほうが適切かと思います。

○高橋委員

「総説」について、エディトリアルな指摘を3点、お伝えいたします。適宜ご確認・ご検討ください。

(1)P.48: 確信度の「高い」の凡例は青丸ではなく赤丸が正しいのではないでしょうか?

(2)P.49: ①~⑦のような評価結果を読み取るうえでの留意点の指摘、大事な点であり、大変結構かと思います。ただ、①~⑦の箇条書きの記載について、内容の重複(②・④・⑤・⑥・⑦は実は割合近いことを指摘していませんか)が見られたり、「影響」という用語の定義がゆらいでいたり(例:⑥の「悪影響」が気候影響のことならば気候変動があることがやはり前提かと思います)しているように思えました。ご確認ください。

(3)P.92~93: 総説の中でIS92a-fやS-4の安定化シナリオを前提とした影響予測について直接の言及がないのなら、これらの情報、不要ではないでしょうか?(あくまで付録なので良いのかもしれませんが。)

○高薮委員

1) 資料2-4関連

P179-181“イベントアトリビューション”は市民権を得ている言葉なのか?どこかで説明されているのか(総説のP52にも言葉が出ていました)?

2)資料2-6関連(総説部分)

P5 (工業化以前からの)2℃、4℃上昇 云々: 「気温上昇」の使われかただが、localなものとglobalなものが区別されずに使われていないか?日本付近の温度上昇は、globalに言うところの「温度上昇」とは異なるが、これで大丈夫か?

3) COVID-19のlock downによる社会影響は、GHG、大気汚染物質を通じて大気環境にも短期的とはいえ影響を与えました。これに関して、報告書内では言及しないのでしょうか?

日本国内では影響が目に見える形ではなかったかもしれませんが、世界の地域によってはかなりの影響が見えたところもございます。

○田中委員

1.今回政府が取りまとめる気候変動影響評価報告書は、‪気候変動適応法第10条の「気候変動影響の総合的な評価についての報告書を作成」に該当するものと思います。この経緯は、総説7ページに記載されてますが、これは「(2)気候変動影響評価に関する国内の動向」の項です。

この項では、気候変動適応法の制定や気候変動適応計画の策定の経緯、国内の気候変動影響に関する各種研究プロジェクトの動向などについて記述されています。

 本報告書の位置づけ・趣旨について、改めて項を新設して「(1)本報告書の位置づけ」(例)のように、「適応法第10条の基づき、環境大臣が、中央環境審議会の意見を聴き、関係行政機関の長と協議して作成したものである」旨を明記することはいかがでしょうか。

2.報告書の名称、「気候変動影響評価報告書(総説)」と「気候変動影響評価報告書(詳細)」については先日の気候変動影響評価小委員会で確認済みと思いますので、大きな変更は不可と思います。ただ、「総説」と「詳細」の内容を比較すると(資料1-2)、総説では「第4章」が追加されており、気候変動影響評価と適応に関する現在の国内の取組、今後の展望などが加わっています。この点を明確化する観点で、副題を付けることはいかがでしょうか。

例えば、総説については、「気候変動影響評価報告書(総説)-(日本における)気候変動による影響評価の概要及び現在の取組と展望等」、

詳細については、「気候変動影響評価報告書(詳細)-(日本における)気候変動による影響評価の詳細」、とする案が考えられます。

3.「総説」の第4章の箇所(78ページ以降)

 81~82ページの「自然生態系」の項で、Eco-DRR生態系を活用した防災・減災の取組(考え方の整理)を記述してはどうでしょうか。

○橋爪委員

追加意見として、会議後半に野尻先生が言われていた「適応策」は別に報告書にまとめる等のことが必要ではないかという意見に同意します。

現状、影響評価を中心とする委員会なので仕方ない面はありますが、今後各分野における有効な適応策をレビューするWGを設けるなどして、「影響評価」と「適応策(+脆弱性)評価」をセットで公表していけるようになることがよいと考えます。

○増井先生

・資料2-6(総説)の「本報告書のポイント」について

委員会でも指摘されたとおり、今回の報告書で最もよく読まれるのがこの部分と思います。その観点から追加意見を述べさせていただきます。

「重大性、緊急性、確信度のいずれも高いと評価された項目」について、信頼度が向上した項目のみ記載されているようですが、ここに示されたもの以外は重要でないと誤って認識される可能性があります。このため、「重大性、緊急性、確信度のいずれも高いと評価された項目」についてはすべて明記し、特に信頼度が向上した項目については、下線を付けて強調する方が適切と思います。

同様に、「新たに「特に重大な影響が認められる」と評価された項目と現状の例」、「新たに「対策の緊急性が高い」と評価された項目と現状の例」についても、もともと特に重大な影響が認められる項目や対策の緊急性が高い項目については記載されていないとなると、重要でないと誤認される恐れがあるので、重要な項目については漏れなく記載し、特に今回の評価で対応が変化したものについては、下線を引いて明記する方が適切と思います。

ただし、上記の指摘は、重要と認識される項目が増えてしまい、本当に重要なものが見落とされるという側面もありますので、今回の結果を受けて、気候変動影響、適応政策の観点から、重要と認識されているものだけを取り上げて強調するということでもいいかと思います(ポイントについては、環境省の意図が反映されていてしかるべきと思います)。

また、4-5ページにかけての豪雨災害の紹介は、報告書において評価されたものではなく、近年の関連するトピックが取り上げられています。こうした情報も重要ですが、報告書からの抜粋ではないことを明記した方が(あるいは項目として、「近年の動き」というように、報告書の内容とは異なることがわかるようにした方が)いいと思います。

 資料2-7で今後の課題が示されていますが、ポイントにおいても気候変動影響、適応に関する政策遂行の観点から、科学に対して望むことを明記された方がメッセージとして強くなります。

○松井先生

06_資料2-1_気候変動影響評価報告書(詳細)の概要rev0904.pdfの2ページなのですが、3列目「自然生態系」のうち(陸域生態系)の3行目について、「マダケの分布的域の・・・」とあります。これはおそらく「分布適域」の漢字の打ち間違いではないかと思われます。 

○三村委員

【重要な点】

1.本報告書のポイントについて

 総説の中で一番注目される部分であり、しっかり検討する必要があります。

1)小見出しをつけて、本報告書のポイントを明確に示せるようにした方がよい。

2)枠囲いされた内容が何を示したいのか不明です。体言止めで事項を示すだけでなく、影響の内容を具体的に示す形にした方がよいのではないか。すべての事項に具体例を入れると長くなるので、特に強調したい影響に対して具体的に書くなどの工夫をしてはどうか。

2.文中の引用文献の表示について、(Osakada(2018))のような形で文中に残っている箇所があります。報告書の記述には引用や別に根拠があるものが多いはずなので、全て引用文献を示すのか示さないのか、示すとしたらどのような形で示すのかについて統一的な扱いが必要だと思います。

ex p.25、最後のパラグラフには引用が残っています。

3.p.48の表3-5で示す影響評価のフォーマットは、総説の中には出てきません。詳細で使っているならそう記述するなど、表3-5をここで示す意図をはっきり示す方がいいのではないか。

4.p.52 図3-3の表題にある(水産業)は(水産業以外)ではないか。

5.p.53以下の、「●気候変動による影響の概要」の記述について

①●の中で、「現在の影響」と「将来予測される影響」の小見出しを入れて2つを区別する方が理解しやすいのではないか。

②特に顕著な影響に対して、簡単に影響の状況や数値を入れて具体性を持たせる工夫をした方がいいのではないか。現状では、ただ影響事象が並んでおり、どう重大なのかが理解できない。

6.p.73~p.75

最近の災害の被害について、死者等の数値は示されているが、農業やインフラ施設などの被害金額も入れた方がよいのではないか、最近の災害被害額(保険支払額も)は過去に比べて大きくなっており、それが影響の重大性に結び付いていると考えます。

7.本文の中で、脚注番号を示す数字が上付きになっていないものがあります。その他にも、文字の変換間違いなどもあります。

【可能であれば検討して頂きたい事項】

8.図の縦軸の単位を入れた方が理解しやすい。図の表題に(単位)の形で入っているが、可能であれば図の軸に直接入れた方が直感的に理解できます。

9.RCP2.6と8.5の図を左右に並べる場合、2.6と8.5の順番が図によって異なっています。できれば統一した方がよい。

10.p.65 最初のパラグラフ

「水系・食品媒介感染症については・・・下痢症の罹患率が低下することが予測されている」とあるが、梅雨時になると食中毒の危険性が高まるといった生活感覚とは異なるので、簡単に理由を入れた方が理解されやすいのではないか。