カーボンプライシングの活用に関する小委員会(第20回) 議事録

日  時

 令和4年3月28日(月) 16:001900

議  題

(1)ポリシーミックスとしてのカーボンプライシングの方向性

(2)その他

配付資料 

資料1 ポリシーミックスとしてのカーボンプライシングの方向性

参考資料  カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員名簿

議事

午後時0分 開会

井上市場メカニズム室長

ただいまから、第20回中央環境審議会地球環境部会カーボンプライシングの活用に関する小委員会を開催いたします。

初めに、私、事務局を務めます地域環境局市場メカニズム室長の井上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の小委員会は、WEBでの開催とし、YouTubeの環境省動画チャンネルで同時配信しております。

なお、遠藤委員は、遅れてご参加される予定でございます。

また、大野委員、大橋委員、諸富委員は、本日、所用のため、ご欠席とのことでございます。

それでは、WEB会議の開催に当たり、何点かご協力をお願いいたします。

通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフにして、ご発言の際のみオンにしていただきますようお願いいたします。

また、ハウリング等を防ぐため、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますよう、よろしくお願いいたします。

ご発言を希望される場合には、ご自身のお名前の右側にあります手のアイコン(挙手ボタン)をクリックしてください。また、発言を終えられましたら、ボタンを再度クリックいただき、挙手を解除いただきますようお願いいたします。

もし、挙手ボタンを押しているのに事務局側が気づかない等ございましたら、画面右下のチャットボックスにご記入ください。

その他、通信トラブル等ございましたら、チャットボックスにご記入いただくか、事務局までお電話いただきますと幸いでございます。

それでは、浅野委員長、以降の進行をお願いいたします。

浅野委員長

それでは、まず皆様、どうも3月の年度末のお忙しい時期にお集まりいただきまして、ありがとうございます。

前回からまた少し間が空いてしまいましたが、いろいろと事務局と調整をしておりまして、今日に至ってしまいました。大変社会情勢が激変しておりまして、カーボンプライスを扱う当委員会に置かれた位置というものについても、なかなか複雑なものもございますけども、粛々とカーボンプライシングの在り方についての検討は続けていかなければならないものと考えております。では、どうぞ、よろしくお願いいたします。

本日の議題としては、ポリシーミックスの中でのカーボンプライシングの在り方についてということにしておりますが、まず、資料につきまして事務局から説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

波戸本環境経済課長

事務局でございます。環境経済課長、波戸本と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、議題1につきまして、資料1、ポリシーミックスの中でのカーボンプライシングの在り方に沿ってご説明いたします。

それでは、ページをおめくりいただきまして、右下の3ページの資料でございます。

カーボンプライシングを巡る最近の動きということでございまして、矢羽根の一つ目、昨年12月22日、前回の小委員会でカーボンプライシングの方向性について概ねご了解いただいたところでございます。その後、本年1月、岸田総理大臣のほうから、「クリーンエネルギー戦略」、これを取りまとめるような話がございました。

矢羽根の二つ目でございますが、これを受けまして、本年2月、環境省の中央環境審議会に「炭素中立型経済社会変革小委員会」が設置されまして、カーボンプライシングについても論点の一つだということを記されております。

矢羽根の三つ目でございます。カーボンニュートラルを巡る国内外の動き、これは、ますます活発になっております。経産省では、2月に「GXリーグ」の基本構想を発表していると。国際的な動きを見ますと、EUの炭素国境調整措置の提案であるとか、本年のG7の議長国、ドイツが提案する「気候クラブ」、OECDが提案する「カーボンプライシングに関する包括的枠組み」の構想、あるいはIMFの国際炭素価格フロア構想など、国際的な動きも活発になっているという状況にあります。

矢羽根の四つ目、他方で、ウクライナ情勢、これが資源・エネルギー価格の高騰といったような、これまでと大きく異なるような動きがございます。この辺りも本日委員の皆様方からもご意見、これに当たっての非常に重要なポイントかなというふうに考えております。

矢羽根の最後にありますように、前回の「方向性」に提示された留意点、こういったものを踏まえつつ、さらにご議論を進めていただければと、このように考えてございます。

続きまして、資料4ページ、5ページは、1222日の取りまとめでございまして、これはちょっと説明は省略させてください。

さらに、資料の6ページ目、今年、年初の岸田総理大臣からの年頭記者会見のご発言でございます。

半ばにありますように、クリーンエネルギー戦略を議論する会議に私自身が出席し、炭素中立型に経済社会全体を変革していくため、関係各省で総力を挙げて取り組むよう指示を行うこととしましたと。

最後のほうにありますが、カーボンプライシング、これを最大限に活用していくと、このようなご発言がございます。すみません、こちらが今のご説明した発言でございます。

続きまして、資料7ページ、118日のクリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会での発言でございます。

中ほどから、萩生田経済産業大臣取りまとめの下で、山口環境大臣と共に、カーボンプライシング、多くの論点に方向性を見いだしてくださいと。その上で、両大臣から、検討結果を山際大臣が担当する新しい資本主義実現会議へ報告してくださいといったような発言がございました。

続きまして、8ページ目でございます。ちょっと資料が出てきませんが、中央環境審議会「炭素中立型経済社会変革小委員会」につきましてとありまして、右側のすみません、スケジュールのところで、421日に取りまとめを予定してございます。本日のご意見、こういったところは、この取りまとめについて、この小委員会のほうにフィードバックしていくということになろうかと考えてございます。

続きまして、9ページ目をお願いいたします。2030年までのクリーンエネルギーを実現するための世界の平均投資額ということで、IEAが出している資料でございまして、一つ目の矢羽根にあるように、ちょっと見にくくなっていますが、2050年のネットゼロを実現するためには、年間4兆ドル(約440兆円)が必要とされているという状況でございます。

続きまして、10ページ目、11ページ目なんですけど、10ページ目、国内外におけるESG市場の動向ということで、2020年で言いますと、世界で言うと35.5兆ドルと、あるいは、日本のESG市場で見ますと2.9兆ドルということで、大きく育っていると。

続きまして、トランジション・ファイナンスということで、これも中ほど下にありますけども、こういったトランジション・ファイナンスに向けて金融庁・経産省・環境省で方向性の指針を取りまとめているといったようなことをご参考までにお示ししております。

続いて12ページ、カーボンプライシングに関する国際的な動向、先ほどちょっとご紹介しましたが、一つ目、EUの炭素国境調整措置提案がありまして、20217月に欧州委員会から提案がございまして、EUの守ろうと決めるルールのプロセスの過程にありまして、この後、欧州議会・EU理事会と、閣僚理事会というところで今審議を行われておりまして、今最終的な調整に向かわれているところと承知しております。

ドイツの気候クラブ構想、これはドイツの当時ショルツ財務大臣(現首相)でございますが、2021年に提案しているところございます。内容的には、炭素排出量や製品の炭素含有量の測定に対して国際的になるべく統一的な手法に合意できればいいのではないかと、あるいは明示的・暗示的な炭素価格に関する統一的な措置、こういったことについて合意した上で、最終的には国家間における炭素リーケージの低減を目指すと、こういった趣旨でございます。

OECDの包括的枠組みでございますが、これはコーマンOECD事務局長による提案でございまして、明示的炭素価格に加えて、暗示的炭素価格、これモデリングに関する共通の方法論、こういったものを広く示して、政策選択に対するインプリケーションを答えればいいんじゃないかというような構想でございます。

来年度につきましては、多量排出国が最低炭素価格の実施にコミットするようなフロア構想、こういったものを求めるものでございまして、これを議論の材料として国際社会に提示されているといったものでございます。

次の13ページをお願いいたします。こちらのウクライナ情勢以降のエネルギー価格の推移でございまして、原油、天然ガス、石炭おのおのについて、ちょっと資料も出てきてないんですが、ウクライナの情勢を受けて大きく価格が上昇しているといったような情勢にあるということでございます。

続きまして、14ページ以降、ポリシーミックスとしてのカーボンプライシングの方向性ということでございます。

15ページをお願いいたします。こちらですね。炭素税につきましては、昨年12月22日の資料にありますように、三つ目のポツにございますが、具体的な論点を検討しながらというのを留意事項として三つ掲げてございまして、一つ目は、長期の時間軸、当初は税負担を抑えつつ段階的引上げを検討。こうした時間軸はあらかじめ明示することによりまして、予見可能性を確保するということが重要ではないかということ。

二つ目が、懸念点への配慮ということでございまして、代替技術の利用可能性、産業の国際競争力、エネルギーコスト、中小企業対策といったことに対する配慮をどう考えるか。

三つ目、税収の使途ということでございまして、脱炭素に向けたR&B、社会実装、水素インフラ、あるいは脱炭素地域づくりといったようなことが考えられるんではないかということを少ない中を勉強させていただいたところでございます。

次の16ページ、これは繰り返しになりますが、これまで脱炭素に向けた大きな時間軸、2050年に向けての大きな時間軸の中で、大きな方向性としては、こういうイメージじゃないかということをご紹介したものでございます。

17ページ、こちらは現在、炭素税、いわゆる二酸化炭素排出に比例的な税ということで設けられている我が国の措置として地球温暖化対策税でございますが、これは、これまでもいろいろご紹介しておりますけども、1t当たり289円ということで、原油、ガス、石炭それぞれについて比例的な税をかけているというものでございます。説明はこれ以上は省略します。

次のページは、さらにエネルギー課税のポイントということでございまして、こういった石油、石炭、ガスに対して、上流では石油石炭税、あるいは温暖化対策税ということで、課税をした上に、中流・下流という形で、やはり多段階に課税しているところをお示ししているものでございます。

次のページをお願いします。一つ目の論点として、長期の時間軸ということをご提示しましたが、かつて地球温暖化対策税を導入した際の例でございます。この箱にありますように、温暖化対策税の税率というのは、3段階に分けて3年半かけて引き上げている状況でございます。引上げのスケジュールや税率については、法律策定時にあらかじめ明記してございます。これによりまして急激な負担増を回避するといったこと、あるいは、予見可能性を確保するといったような仕組みではないかと、こういうふうに考えてございます。

具体的には、その下にありますように、平成24年3月、これに法律が成立しておりまして、その半年後に第1段階の引上げ、900億円の税収見込みとなるような引上げを行ってございます

2段階は、それから1年半後の264月、これには25年度の900億円からさらに800億円を乗せた形の1,700億円の引上げとなっておりまして、第3段階では、それから2年後、284月ということで、1,700億円からさらに900億円、これに上乗せした形の増税ということで、こちらで全体が完了しているという状況にございます。

次のページでございます。時間軸との関係で一つメルクマールになろうかというところは、2030年までとそれ以降ではないかというのが、一つの見方ではないかということでございます。

一つ目の箱、四角にございますように、脱炭素技術の研究開発・社会実装のロードマップということでございまして、これは2030年に向けて、まずは、恐らく既存技術を最大限導入するんだろうと。それとともに、2030年にかけて2050年のカーボンニュートラル実現のためのイノベーション、こちらの研究開発が進むと。その中で、技術の取捨選択等が生まれますし、逆に言えば、2030年以降については、この中での生まれた技術について社会実装がどんどん進んでいくということを期待したいというようなタイミングであろうかというふうに考えてございます。

ただ、にもありますように、なかなか長期にわたって、さらに長期にわたってR&Dに必要な、そういったニーズももちろんあるんではないかなというふうには考えてございます。

その次、EU-ETS・CBAMの動向でございまして、後ほどちょっとご説明しますが、このEUの、いわゆる炭素国境調整措置、これが最速で2025年あるいは26年といったところから本格適用される可能性があるということ。

二つ目にございますように、このEU-ETSについては、今基本的にオークション方式ということで、これも後でご説明しますが、排出量相当のものについて、オークションで各企業購入して、二酸化炭素の排出量を購入しなければいけないという状況になっておるんですけれども、1点、エネルギー多消費産業においては、無償枠というのを設けられておりまして、それによって、この排出量を買わなくてもいいという状況にあるんですけども、それは国境調整措置とリンクして段階的に縮小廃止ということでございまして、タイミングは欧州の中でご議論されているとしておりますけれども、早ければ2028年、この提案では34年といったような形で、2030年の前後に、こういったものを安全に排出されるといったように承知してございます。

21ページをお願いいたします。次の論点の懸念点への配慮ということでございまして、これは現行の政策的な支援をご紹介したものでございます。

一つ目が、租税特別措置ということでございまして、現行の温対税及び石油石炭税におきましては、代替技術の利用可能性などに配慮しまして、原材料として使用している化石燃料について免税・還付といった措置を設けてございます。

二つ目ですが、予算措置。一つは、グリーンイノベーション基金というもの、あともう一つは、エネルギー対策特別会計、こういったところで脱炭素に向けた取組を政府としては予算面で支援してございます。

あとすみません。エネルギー特別会計については、でちょっと入れておるんですけども、2030年の排出目標、あるいはカーボンニュートラルに向けた目標、こういったものを進めることによって化石燃料の使用が減っていくということを見込まれるわけですから、これに伴いまして、財源となる石油石炭税収あるいは温対税収というのは、減少していくことになるというような状況でございます。

一番最後に、財政投融資を書かせていただきました。これは今、法案審議、これから審議が進められていくわけですが、実は、この法案で脱炭素支援機構というものが新しく、いわゆる官民ファンドとして今年の10月を目途に立ち上げを考えてございます。令和4年度財政投融資計画ということで、産業投資会計から200億円の出資をここに入れて、この出資を原資に民間の投融資、こういったものも引き出しながら、取りあえず200億円との関係では、事業規模1,000億円ぐらいの脱炭素の事業展開をしていきたいというふうなことを念頭に置いております。

その中で、特に地産地消・自立分散型のエネルギー供給体制の構築を支援するであるとか、今非常に問題になってくると思われます地域の中小企業、いわゆるTier2、Tier3の皆さんの明示的な脱炭素、これをどうやっていくのかと、大きな課題でございます。これを出資あるいは長いお金で何とか支援できないかというようなこと。

最後、トランジション、これも重要な取組だと思いますが、こういったものを何らかの形で支援できないかというようなことを念頭に、今様々な議論を行っているところでございます。

続きまして、22ページでございます。懸念点への配慮の3枚目でございますが、一つ目、全国行脚とございまして、今年1月から大臣以下、政務三役が国内の状況も踏まえて、オンラインを含めてでございますが、約140近い地方公共団体の首長の皆様等と意見交換を行ってきている状況でございます。

いろいろな取組をお伺いしています。多少具体的なやり取りについてご紹介したいと思います。例えば財政的な支援に関するご意見をいただいております。脱炭素のため数百億円の追加投資が必要なんだけども、地域だけでは困難ですと。思い切った財政支援をお願いしたいといったようなこと。

あと、脱炭素に向けた推進体制に対するご意見でございまして、例えば今環境省で地域脱炭素のための交付金事業を行っておるんですけども、この交付金事業に応募したいんだけども、地域に専門人材が不足していて、やりながら集めているんだと、そういった観点から、地域の中核人材の育成を支援していただけないかといったようなこと。

あとやはり中小企業を巻き込んだ計画にならないと意味がないと。こういった意味での指導のご支援をいただけないかといったような声もいただいております。

あと、さらに、政策全般なんですけども、やはり地域に裨益するスキームづくりが重要であると。投下した事業費を回収してリプレイするといったようなこと。そういったことも必要なので、そういった短期も含めた地域の自立支援をお願いしたいということ。

あと再エネについて、これは不安定電源なんですが、ITの活用により需給調整は可能だと。そういう観点から、コンパクトシティEX脱炭素を三位一体で取り組むべきだといったご意見をいただいたりしてございます。

さらに、産業界との意見交換を今年2月から各大臣以下、政務三役で行っておりまして、内容については、ちょっと忌憚ない意見交換ということで詳細はご紹介できないんですけども、様々な産業界の皆様からの真摯な取組と併せて課題であるとか、政府への要望についてご意見を伺っているところでございます。

続きまして、23ページをお願いいたします。税収の使途ということでございまして、今後、投資が必要な分野ということで、先ほどいろいろ申し上げましたが、さらにどういうことをするかということで、幾つかリンクしております。

脱炭素イノベーション、イノベーションの関係でR&D、社会実装に向けた支援が必要だと、あるいはトランジションの支援も必要だと、あるいは脱炭素社会に向けたインフラ整備も支援できないか、あるいは、地域のカーボンニュートラルの後押し。さらには、中小企業の脱炭素をどうやって進めていくか。ちょっと目線が違うんですが、循環型経済、サーキュラーエコノミー、脱炭素型ライフスタイルへの変容の後押し。さらには、国際的な観点から、JCMの活用を通じた、我が国の技術によるアジア脱炭素の後押しということが何とかできないかといったようなことがあろうかと思いますが、この辺りもご意見をいただければと思います。

24ページでお願いいたします。脱炭素に必要な投資ということでございまして、先ほど申しましたIEAの資料では、世界全体440兆円必要だということで、これをCO2排出量の世界に占める割合、3%程度というのを掛け合わせると、日本では13兆円程度必要ではないかといったような試算が、この440兆円が見て取れるんじゃないかというふうに考えております。

これに対して、例えばESG金融で言いますと、2020年で見ますと、日本の残高310兆円、あと3メガバンク、これグリーン関係ということで、ESGの中でも特にグリーンだけを取り出して、どれぐらい投資目標があるのかということでございますが、2030年までの分析で約50兆円、こういったようなコミットがされているところでございます。

さらに、こういったESG金融をしっかり取ってくるためには、様々な投資環境の整備が必要であるというふうに考えます。その観点から、環境省としては、グリーンボンド/グリーンローンガイドを今さらに見直しを行っているところでございますし、先ほどご紹介したトランジションに関するルール、基本指針というのを定めているところでございます。

次のページ、25ページをお願いいたします。排出量取引についても今後の制度設計について検討を進めるべきということでございまして、26ページにおいては、ここまで環境省も支援しましたが、大きな方向性についてお示ししているところでございます。

ここは飛ばさせていただきまして、27ページをお願いいたします。排出量取引については、大きく二つの累計があろうかなというふうに思っておりまして、この左にございます。一つこの左側、無償割当型というものでございまして、具体的には、対象施設ごとに排出上限を政府なりが決定するんだと。そことの関係で、超過分と余剰分というのをやり取りするというのが無償割当型でございます。

右側が有償割当型とございまして、例えば一定の区域内、地域内、EUで言うと、EU域内でございますが、その中での排出総量というものを設定しまして、この総量率をオークションで売り出すと。これを実際、排出する企業が排出見合いを購入するということでございます。

これが下の丸二つにございますように、この両ルールとも、政府が域内の排出総量を設定・コントロールが可能というところが、恐らく炭素税の世界とは違うところでございます。

一方で、二つ目の丸にありますように、無償割当の場合は、政府収入はないという制度でございます。有償割当の場合は、当然ながら、政府にオークション収入が発生するというものでございます。

次のページをお願いいたします。EUの状況でございます。今のような無償割当、有償割当とございますが、EU2005年に、これは排出量取引というのを導入しているんですけども、2005年からスタートして2012年の間に、無償割当型というものをうまく導入して、それから、2013年から有償割当型という形に移行しているという状況でございます。

対象者、これは一定規模を超える発電所等々でございまして、全体の温室効果ガスの排出量の約40%をカバーするものと思っております。

オークションについては、毎週3回、頻繁にオークションをやりながら、各排出事業者は調整を行いながらやっていると。

今、市場価格で言いますと、注の横にありますが、1t当たり約8,000円程度というものでございまして、収入実績は2020年で言いますと、日本円にして約2.4兆円という状況でございます。

次のページが、CBAM、国境調整措置でございます。欧州委員会の提案でございまして、対象品目が5品目、移行期間がございまして、実際にお金のやり取りをする施行時期というのは、2026年を予定しているということでございます。この提案では、そうなっているところでございます。

ちょっと細かいんですが、これは輸入者が輸入する際に、EUETSの市場価格に相当するコストをEUに払うということになっておりまして、ただ、全額払うかと言いますと、輸入原産地国で何らかのコストを払う、炭素価格のコスト、関連するコストを払っている場合は、それを控除できるということでございます。控除できるのは、排出量取引があれば炭素価格だということと、あと、これは炭素税なのですが、もう少し正確に言いますと、EU当局者は、EUETSに基づく炭素価格と明確に比較可能な炭素税やエネルギー税といったようなものを控除するというふうな見方をしておりまして、具体的にどういうものが控除されるのかということについては、こちらとしてもしっかりウオッチしていきながら、必要があれば輸出等の議論をしていくということかなと思っております。

次のページをお願いいたします。こちらは欧州議会修正案と書いております。今年の1月に修正提案が出ております。ただ、これを補足いたしますと、議会の修正案として決定したものではございません。一部の議員から修正提案が出てございまして、このほかにも修正提案がございます。議会としても、こういったものを見ながら、正式には、恐らく6月ぐらいと見ておりますが、議会としての考え方を整理するというふうに承知しております。やっぱり今いろんな議論があるということで、ご参考までに紹介するものでございます。

ちなみに、この修正案について言いますと、対象業種がもともとの中で比べると多少増えていると、あるいは移動期間が短くなっておりまして、本格活動期間というのが1年前倒しになっているということ、あと無償割当の廃止のタイミングがもともとの欧州委員会の提案よりも前倒しになっているといったようなところが特徴かと思っております。

すみません。最後の31ページ以降、自主的なクレジットの話でございます。そのページも省略いたしまして、32ページをお願いいたします。

そちらでGXリーグ、経済産業省さん中心にいろいろ議論が進んでおりまして、具体的な取組としては、GXリーグの三つの柱があると。一つ目は、サステナブルな未来像を議論・創造する場として、産官学民のステークホルダーがいろんな議論をする場、二つ目が市場創造やルールメイキングを議論する場。例えばCO2ゼロ商品の認証制度とございますが、こういったものを考える。

三つ目の柱としましては、自主的な排出量取引を行う場ということでございまして、これも今後、さらに検討が深まっていくのではないかと思いますし、環境省としても何らかの形で後押ししていきたいというふうに思っております。

33ページでございます。JCMでございまして、こちらは箱の中にございますように、COP26でパリ協定で様々な議論を進みました。中でもJCMを含む二国間メカニズムについても一定の要件の下でございますが、いわゆる各国の排出削減目標に活用できるというのが明確化している状況でございます。

こういったことをテコに、JCMの活用を通じてアジア諸国に我が国の技術、これをしっかり活用してもらう一方、それが世界全体の排出量の早期オーバー削減、これにやっぱり貢献するんだというふうにおりまして、しっかりと活用していければと。これが、ひいては、この産業の国際競争力の強化につながっていくのではないかというふうに期待しているところでございます。

さらに、ありますように、アジア諸国の連携を深めることによって、アジア・ゼロミッション共同体とありますが、こういった市場メカニズムで排出量を削減していくといったような大きな枠組みを進めていければいいじゃないかと考えているところでございます。

34ページ以降、JCMにまつわる様々な状況、内容であるとか、今までの取組事例、さらにはアジア、JCMはアジアが今度はパートナーになっておりますので、アジアも二酸化炭素排出に関する基本の目標といったものをご紹介しております。

参考までに37ページには、総理大臣のアジア・ゼロミッション共同体に関するコメントについて記載しております。

まず、私からは以上となります。よろしくお願いいたします。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまご説明いただきました内容、あるいはその他のことでも結構でございますが、委員の皆様方からご発言をいただきたいと思います。

毎回申しておりますが、できればお互いのディスカッションができればいいというご要望も受けておりますので、何とかその時間を残すことができるように、ご発言を簡潔にお願いできればと存じます。

さて、本日は、年度末ということもありまして、多くの委員、有村委員、神津委員、椋田委員、清水委員、森澤委員から中途の退室ということで事前の申出を受けております。森澤委員は多分遅い時間までいてくださるようですが、差し当たり、有村委員、神津委員、椋田委員、清水委員に、まず、ご希望があるようでしたらご発言をいただきたいと思います。

その後、順次挙手をしていただいた委員にご発言をお願いするということにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

よろしゅうございましょうか。有村委員、ご発言、ご希望でしょうか。

有村委員

そうですけど、先に岩田委員、神津委員、椋田委員が手を挙げられていましたので、その後に発言させていただきます。

浅野委員長

分かりました。それでは、譲っていただきましたので、神津委員、どうぞ発言をお願いいたします。

神津委員

どうもすみません。ご配慮をいただきまして、ありがとうございます。

カーボンプライシングのことでございます。当然、ウクライナ情勢に端を発しました資源エネルギー価格の高騰は、国民生活に大きな影響を及ぼすものとなっております。今後、ポリシーミックスとしてのカーボンプライシングの方向性を検討していくに当たっては、様々なシナリオを織り込んだ形で検討を進める必要があると考えております。

他方、将来の世代も安心して暮らせる持続可能な経済社会の実現のため、カーボンニュートラルは極めて大事な課題であると認識しております。

カーボンプライシングの議論に関しては、国民一人一人の意識変容が必要であるということが指摘されております。各種資料におきましては、税収規模や投資額など大きな視点から示されておりますが、国民生活に具体的にどの程度影響が生ずるかといった視点からの情報提供をすることが国民の意識変容を促す上で重要ではないかと考えます。

例えば環境省のWEBサイトでは、地球温暖化対策税による追加的な家計負担について、現在のエネルギー使用料などをベースにした単純試算として、平均的な世帯で月100円程度、年1,200円程度と見込まれますといった具体的な形で分かりやすく説明されており、大変参考になると考えております。

また、国民負担の面に関連して述べさせていただきます。令和4年度税制改正において、いわゆる住宅ローン控除制度が見直されました。ZEH水準省エネ住宅等の区分を加えた上で借入控除限度額の見直し等が行われております。省エネ住宅等に対する優遇措置が拡大する一方、それ以外の住宅に対しては縮小されるものとなっております。この方向については、全く異論は、異存はございませんけど、省エネ住宅等を選択する者は、税制による優遇措置があっても環境性能に適した高価格帯の設備が必要となります。また、従来の住宅を選択する者は、適用可能な住宅ローン控除額が縮小されているため、いずれにしても、実質的な負担が増加していると言えるのではないでしょうか。このような見えない国民負担についても、念頭に置いた議論が必要じゃないかと考えます。

また、カーボンプライシングもこの税制改正のように、直接的な負担ではなく、間接的な負担だと言い切ってもいいような措置だと思いますけど、このような論点も大いに今後の我々のカーボンプライシングの議論に重要なことだというふうに提案させていただきます。

ありがとうございました。

浅野委員長

どうもありがとうございます。

それでは、椋田委員、どうぞお願いいたします。

椋田委員

どうもありがとうございます。まず事務局には、カーボンプライシングを巡る最近の動向について、大変分かりやすくご説明いただきまして、ありがとうございました。頭を改めて整理することができました。

言うまでもなく、2050年カーボンニュートラルは大変なチャレンジでありまして、これを実現するためには、イノベーションに向けた投資を促進して、産業競争力の強化につながる最適なポリシーミックスを見出していくことが重要だと思っています。

特に、事務局のご説明もございました通り、昨今の資源・エネルギー価格の高騰や、ロシア・ウクライナ情勢により、安価で安定したエネルギー供給の重要性が浮き彫りになったと思っております。

こうした中、カーボンプライシングにつきましては、これまでも申し上げてきました通り、排出削減効果はもとより、マクロ経済・産業競争力への影響、負担の社会的受容性、負担の公平性などに関する懸念を払拭できるかどうか、十分な議論を尽くした上で、成長に資する制度の検討を、今後ぜひ深めていただきたいと思っているところでございます。

様々なカーボンプライシングの類型の中で、最後にご説明のありましたJCMは、我が国として、地球規模のカーボンニュートラル実現に貢献すると同時に、海外の旺盛なグリーン事業を取り込んで、国内の成長につなげることが可能であるということで、非常に重要かつ有効な枠組みであるというふうに思っております。

今回、日本政府が交渉をリードする形で、パリ協定の市場メカニズムの実施ルールが合意されたことは、大変よかったと思っております。これを契機に、政府には、パートナー国の戦略的な拡大、プロジェクトの大規模化、制度運用面の改善など、JCMの一層の活用拡大に向けた環境整備をぜひ進めていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

私からは以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、清水委員、ご発言がございましたら、どうぞお願いいたします。

清水委員

電気事業連合会の清水でございます。聞こえますでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。どうぞお願いいたします。

清水委員

恐れ入ります。まず初めに、先週の電力需給逼迫に伴います節電のお願いに対しまして、ご協力いただきまして感謝申し上げます。私どもとして、引き続き、電力の安定供給の確保に万全を期してまいりたいというように考えております。

その上で、資料の3ページにあります自主的なクレジット取引、炭素税あるいは排出量取引それぞれについてまとめて意見を申し上げさせていただきます。

カーボンプライシングについては、これまでの繰り返しになりますが、4ページの4ポツ目の記載のとおり、成長に資する制度設計ができるかという観点で検討をお願いしたいというように思います。

そして、国の成長には、経済や国民生活の基盤である電力の安定的かつ低廉な供給が必要であるということであります。

その上で、直近の電力需給逼迫について振り返ってみますと、低気温による電力需要の増加あるいは地震の影響によります一部の発電所の停止に加えまして、悪天候による太陽光出力の低下などにより、電力需給が非常に厳しい状況になったという状況でございました。

太陽光や風力は気象条件によりまして出力が変動することを踏まえますと、S+3Eの観点から、バランスの取れた電源構成の確保が重要であります。現状において火力は供給力、それは重要な役割を担っております。我が国の安定供給を支えていくという実態があることをまさに再認識しているところでございます。

今後、将来再エネの大量導入が進みますと、火力による発電量は減少するものというように見込まれますけれども、今後も調整力あるいは慣性力、同期化力を有します火力発電は一定程度必要と考えます。

私どもとして、カーボンニュートラル実現に向けて、再エネ拡大あるいは原子力発電の活用などの取組を進めているところですが、これに加えて火力発電の脱炭素化、すなわち水素、アンモニア、あるいはCCUS/カーボンリサイクル等の技術革新が必要であります。

これらの技術が経済合理性を有しているとは言えない現状におきまして、足元からカーボンプライシングが導入されて電気料金が上昇した場合、国民生活あるいは産業活動に与える影響に十分留意する必要があるというように認識しております。

また、今回の資料13ページにもありますとおり、ウクライナ情勢を背景としました世界的なエネルギー資源価格の高騰が、国民生活あるいは産業活動に与える影響にも十分留意する必要があるというように認識しております。

すみません。最後になりますけれども、32ページのGXリーグについて、電力各社もGXリーグ構想への賛同を表明したところでございます。まずは、自主的なGXリーグの取組を進め、知見を蓄え、海外の先行事例の検証等を踏まえた上で、規制的なカーボンプライシングの是非について慎重な見極めをされるべきというように考えております。

私からは以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、有村委員、どうぞお願いいたします。

有村委員

ありがとうございます。いろいろご説明をありがとうございました。

何点か申し上げたいと思います。1点目は、企業の脱炭素の国際競争力というのを考えたときに、むしろカーボンプライシングが分かりやすい形で導入されているということが大事じゃないかというふうに思ってます。国際的に見て、日本も分かりやすい形でカーボンニュートラルに取り組んでいるなということが見えたほうが、いろいろビジネスのほうも、むしろやりやすいのではないかというふうに私自身は考えています。

そして、企業にとっては、予見可能性というのは非常に大事だというふうに思ってますので、もう少し具体的な議論が今日展開されるというようなことを期待していたというのが、全体的なコメントです。すみません。

個別の論点で言いますと、一つ世代間の公平性というお話がありました。この脱炭素に向けては、かなりいろんな資金が必要だということで、政府からもいろんな支援が出ています。そういった中で、それは一般財源で提供されるというようなこととか、いろんな借金でやっていくというような考え方もあるとは思うのですけれども、むしろ外部不経済を出している我々世代がそれを負担していくということを考えていくということも世代間の公平性からは大事ではないかなというふうに思いました。

次のテーマ、先ほどから出ているウクライナ問題、それに関連したエネルギーについて申し上げたいと思います。

実際今、エネルギーが非常に高騰していて、いろんな産業、家庭が大変な目に遭っている可能性があるということが分かってきているわけですけども、ウクライナ問題でエネルギー価格が急騰するという話とカーボンプライシングというのは、必ずしも一緒ではないということは申し上げたいと思います。炭素税の場合は、予見可能性が高い形で企業も家計も対応が可能な形で進んでいくというようなことがあるので、今般の急激な価格上昇とカーボンプライシングは混同してはいけないというふうに思っております。そして、エネルギー価格が高騰しても石炭への税率が低いという状態は変わっていないということも忘れてはいけないと思います。

次のテーマ、このカーボンプライシングへの懸念事項について2点申し上げたいと思います。

国際競争力への懸念というのは、どの産業でもあるのですけれども、これに関しては、今日ご説明いただいたように、いろんな形で配慮が可能であるといったところをよく踏まえて、そういった制度設計というのを具体的にした上で議論とすることが可能ではないかというふうに考えています。

当然、今まで新興国とか、途上国との国際競争力面で不利益を被るという話だったわけですけれども、今日ご説明があったように、欧州の国境炭素調整の議論があって、今ASEAN諸国、インドネシア、ベトナムとか、タイなんかでも排出量取引の議論が始まっているという状況ですので、国際競争力での懸念のほうはだんだん弱まってきているのかなというふうに考えています。

それから、一方で、エネルギー価格の高騰になりますと、低所得者家庭への負担というのは大きくなっていく可能性はあると思います。これに関しては、炭素税を使って炭素の配当という形で配慮するという考え方もあるのだというのも改めて申し上げたいと思います。

最後に、今どなたかの委員がご指摘になったGXリーグというのが今進みつつあります。これは自主的な制度ではありますが、一種のカーボンプライシングを発揮する制度であって、今検討が進んでいて、私自身もそこの議論に参加しているところです。

そこにそれを補完する形でカーボンクレジット市場の創設というのを今動いております。このカーボンクレジット市場というのは、国際的に日本のカーボンプライシングが出せる一つの仕組みになってくると思います。

そういった中では、流動性というのも非常に大事になってきますので、今日ご紹介があったJCMのクレジットとか、Jクレジットの取引がそこで積極的に使われていくような形になっていくといいのではないかなというふうに考えております。

以上です。ありがとうございました。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、どうもお待たせいたしました。ご出席の委員にこの後、順次ご発言いただきたいと思いますが、今挙手が私のほうで確認できるのは、岩田委員、土居委員でございます。

まず、岩田委員、どうぞお願いいたします。

岩田委員

ありがとうございます。最初に一つ質問をいたしたいと思います。それからウクライナに関連して二つコメントといいますか、申し上げたいと思います。

一つ目の質問は、国境調整税に関することであります。今日のご紹介によりますと、二つEUの委員会の案と議会の案と両方ありますが、日本はどのように扱われるのかということが、やはり日本にとっては重要で、その場合に、暗黙のカーボンプライシングが勘案されるのかどうかということについて、議会の案を見ますと、暗黙のものは駄目と。これをそのとおり受け取ると、エネルギー税制でもって仮にCO2排出量を減らすようなエネルギー税制があっても、それは勘案しないというふうに読めるんですが、これはどのようにお考えでしょうかと。

私、EUは、日本はカーボンリーケージの対象国ではないとおっしゃっておられるわけですが、同時に、エネルギー税制の扱いについては、かなり厳しい見方をしているなというふうに私は受け取っております。

質問のそれと関連しますが、そこの暗黙、名目のカーボンプライシングをどう扱うかということで、OECDのIFCもありますが、ドイツがこの気候クラブというのをつくりたいと言っているんですが、日本政府はこれに加盟する意思がおありなんでしょうかどうかということで、二つお伺いしたいと思います。

以上が質問で、次に、コメントを二つ申し上げたいと思います。

一つは、ウクライナ対応ということであります。現在のエネルギー価格高騰は、ウクライナがございますが、それと同時に、トランジションリスクの現れだと。グリーンフレーションと言っておりますが、化石燃料に対する新規投資が停滞することによって、それで化石燃料に対する価格が上昇しやすくなるという、これは持続的に続く話だというふうに思っております。

これに対する対応として、政府のほうは、中流の部分、石油のガソリンのところの課税を補助金を出しますと、元売り業者に補助金を出しますという対応をされているんですが、私は持続的な側面もありますので、しっかり税制の中で位置づけたほうがいいというふうに思います。

一つは、今議論になっているトリガー制度、暫定税率を引き下げる。これはもちろん検討に値すると思いますし、よりこれを中長期で考えますと、やはり排出権取引、これがもちろんオークションつきの排出権取引と炭素税ということが考えられるのではないかと思います。

また、補助金ということであれば、私は、中流の部分に補助金を出すよりも、省エネでありますとか、再生エネルギー、水素への転換というところに、あるいはCO2の回収あるいは貯蔵、バッテリーというような、そういった部分に補助金を出すとか、あるいは減税措置を採用するということのほうが望ましいのではないかと思います。

この点で、私、参考になるのは、EUが、今度のウクライナ対応に対して、脱ロシアを目指して27年に再生エネルギーと水素エネルギーを促進するということで、脱ロシア、脱化石を目指すと脱ロシアを27年に実現するとしています。ドイツは、再エネの改正法を34日に通しまして、それで、電力の8割再生という目標を前倒しする、35年には100%、再生で賄うというような改正案を出しておられるのですが、私も全くそれは同感でこうした中長期の対応が必要だと。これまでの計画を前倒しするようなことが、まず必要なのではないかというのが1点目であります。

2点目は、具体的に今日のお話で、この脱炭素のために必要な予算、幾らかかると、お金が幾らかかりますかというお話がありましたが、4兆ドルというのがIEAから出されております。これは累計ではなくて、1年間に4兆ドルで、日本の場合には、3%排出量がありますので、シェアがですね。13兆円だと。今政府は2兆円の基金がありますし、参考資料にありますメガは50兆円ですが、これは30年までなので、毎年にすると2.5兆円、2.52兆円足しても4.5兆円、13兆円とは相当のギャップがあると、これは1年間の投資額であります。

私は、中長期的にどのぐらい累積、30年まで、例えばどのぐらいの資金が、投資金が必要なのか。そして、それは民間資金はどのぐらい、公的な資金は幾らぐらいということで、少なくとも今の規模の3倍ぐらいに中長期的に増やしていくような見取図を政府は出す必要があるのではないかというふうに思っております。

そして、今日ご説明がございましたが、エネルギー税収のほうもだんだんと減っていくと。私はやはり、そうであれば、やはり税収と、公的資金も相当必要であれば、それは税源はどうするんですかということに対しても、中長期のプランをやはり出すべきではないかと思っております。

これは炭素税が私は最も望ましいと思いますが、場合によっては、オークションつきの排出権取引、EUの場合には、それで2.4兆円収入があるということですので、決して無視できるような大きさではないというふうに思っております。

以上でございます。

浅野委員長

どうもありがとうございます。

それでは、ご質問がありましたが、この点について、今事務局からお答えになりますか。後にしますか。

波戸本環境経済課長

それでは、すみません。今お答えいたします。

まず、1点目のEUCBAMでイメージ的なもので、いわゆる日本のガソリン、エネルギー税はどうなるのかと。それが暗示的なものとしてカウントされるのかということでございます。

その点について、さっきすみません、舌足らずでふれてなくて申し訳なかったんですが、触れたつもりだったんですけども、すみません。これはなかなかEU側の当局者とのやり取りの中でのコメントですが、専門的に申しますと、EUETSに基づく炭素価格と明確に比較可能な炭素税、エネルギー税は控除するという言い方で我々は承知しておりまして、具体的に、結局は炭素税とか、エネルギー税とか、名前の問題じゃなくて、EUETSとの比較可能性を多分問われていると思います。具体的にそれが一体どういうものかということについて、これは、これからやっぱりクオリファイしていく必要があるんだろうと思っておりまして、今の段階で我々が把握している状況としては、以上になるということでございます。

2点目の気候クラブの関係でございますが、ちょっとすみません、ここも今この時点で断定的には言えないと思うんですけども、恐らく今回5月、6月ですか。G7で議論されることになると思いますので、その議論の中で我々の国のスタンスというものを表明していくことになるんじゃないかなという状況かと予想しております。

以上でございます。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、次に移りたいと思います。

井上市場メカニズム室長

委員長、すみません。大塚先生、こちらにいらっしゃるので、よろしいでしょうか。コメントのほう。

浅野委員長

大塚先生からのコメントですか。はい、どうぞ。

大塚委員

申し訳ありません。ちょっとこちらにいるものですから、ほかの会議があって失礼しました。

3点ほど申し上げさせていただきたいと思いますけど、今の岩田先生のご意見とか、さっきの有村さんのご意見とか、私も賛成したところが多いんですけれども、一つは、現在のウクライナ問題をどうするかということは、今、大問題になっていますけども、現在それは検討しなければ、もちろんいけませんが、言わば一時的な乱気流の問題ですので、継続的に脱炭素の必要性というのは、検討していく必要があると思います。カーボンプライシングもまさにそういう問題だと思います。

この公正な移行に資金が必要だということは言うまでもないので、多様な資金が必要だというのはありますが、先ほど有村さんがおっしゃったように、ウクライナ経済の問題がありますので、交付金だけでやっていくとなると難しいと思います。

さらに、これも有村さんがおっしゃっていたかと思いますけども、EUとOECDだけじゃなくて、アジアのほかの国に比べても、日本では残念ながら明示的な炭素価格が十分とは言えない状況なので、そういう意味で、対応していかなければいけない必要性とか、状況というのは、外から見ても分かり切っているのではないかということだと思います。カーボンプライシングの検討なんかを引き続き行っていく必要があるということは、第1点でございます。

2点ですけども、CBAMとの関係で、先ほど岩田委員が聞いてくださって、事務局にお答えいただいた点ですけれども、どうなるかは分かりませんが、ただ、普通考えられるのは、暗示的な炭素価格は、当面EUはカウントしないだろうということが予想されますけども、そういう意味では、明示的炭素価格がどうなっていくかということが、日本で問題になるということかと思ってはおります。でもちょっと高騰の影響が若干入ってますけども、その場合ですと、カーボンプライシングにおいても、あるいはエネルギー税においても、炭素重量税的なものにするという必要が検討かなというのではないかということをちょっと申し上げておきたいと思います。

3点ですが、JCMの点ですけれども、先ほどご説明、事務局からいただきましたように、1.5度目標を目指して、累積排出量を目指していくというアジア脱炭素化共同体というのを環境省のほうが持ち出しておられるところで、ぜひ進めていく必要があると思いますけれども、あとJCMを活用するということが重要になってくると思います。

ただ、若干気になるのは、JCMに関しましては、これはもうパリ協定の最初のときから問題になったところかと思いますけれども、NBCとの関係で途上国がクレジット化を日本に渡すことを広げるということが当面出てくることでございまして、現にそういう問題もあり得るものですから、この点をどう解決するかということを検討することが重要な課題になってきていると思います。

特にこのクレジット化がそれなりの量に達するときに、それは日本としては、まさに、あるいは日本企業としては、一生懸命対応してくださっているんですが、それが、しかし逆に言うと、途上国からすると、それを全部、半分日本に渡すことに対して若干の渋るということは当然出てくるわけなので、この点をちょっと検討しておく必要が高いということをちょっと申し上げておきたいと思います。

特に企業と途上国との間に立っている日本政府に、まさにここの橋渡しをしていただく必要があるものですから、私自身ちょっとまだ回答というものは持っておりませんが、ぜひお考えいただく必要があるということを申し上げておきたいと思います。

取りあえず、以上でございます。ありがとうございました。

浅野委員長

ありがとうございます。

それでは、土居委員、井上委員、森澤委員、この順番でお願いをしたいと思います。

土居委員、どうぞお願いいたします。

土居委員

ご指名ありがとうございます。私から4点ほど申し上げさせていただきたいと思います。

特にウクライナ情勢、大変懸念されるところでありますけれども、来年2023年には、我が国にがG7サミットの議長国になるということでありますから、今年に何か厳しい対応が問われるということは、直接はないかもしれないけれども、来年度に日本の取組が鈍いと、逆にメンツを失うということになりかねないという意味では、ここは非常に重要なポイントになってくる、そういう年になっているんではないかと思います。

まず、1点目は、現下のエネルギー価格上昇による需要の変化がどういうふうに起こっているかということを環境省の事務局も含めて、いろいろデータを収集しながら分析をしていただきたいというふうに思います。

これは非常に何といいますか、不幸中の幸いと言いましょうか。エネルギー価格がこれほど上がるというイベントというのは、なかなか起きないわけですけれども、現下で起きていると。それに伴って様々な化石燃料、エネルギーの消費需要がどのように価格上昇を受けて変化しているかということをにらむことが、今後のカーボンプライシングで経済に与える影響をどう見極めるかということにも重要な情報を提供してくれるものになるのではないかというふうに思いますので、まだ当然エネルギー価格上昇が収まっているわけではありませんけれども、今回のエネルギー価格上昇に伴う需要の変化を分析できるような体制、情報収集を始めていただきたいと、こういうふうに思います。

特に直接この小委員会とは関係ありませんけれども、揮発油税、ガソリン税のトリガー条項凍結解除に関連しては、まさに、ほぼこの小委員会で議論してきたことの直近の、喫緊のレッスンになるのではないかと思います。

確かに低所得者層に与える経済的な打撃、分配面への配慮というのも必要かもしれないけれども、かといって、トリガー条項の凍結解除をそのまま文字どおりしてしまいますと、ガソリン価格は下がって、それによってガソリン消費、化石燃料の消費を増やしてしまうという可能性が十分に考えられるというジレンマに陥っているわけですから、低所得者への配慮と化石燃料消費の抑制というところの両立というものをどういうふうに考えていくかということは、このトリガー条項の凍結するや否やという一つのイベントを取ってみても、非常に重要な今後への教訓を与えるレッスンになるんじゃないかというふうに思います。

2点目ですけれども、排出量取引についてであります。炭素税はなかなかこのウクライナ情勢の下では、容易に早期に導入と、早期拡大というわけにはなかなかいかない状況なのではないかというふうに思うわけでありますし、もちろん排出量取引もいきなり大規模な仕組みを我が国に導入するということも容易でないということも承知しております。

その中で、先ほど事務局からもご説明がありましたけども、GXグループが、これからいよいよ議論が本格化するということで、私としても大変期待をしております。もちろん自発的な取組ということを強調されておられるようでありますけれども、単なる自発的な取組だけに終わってしまうということであれば、これは、また別の本格的な仕組みを考えざるを得ないというふうに私は思います。

ですから、せっかくの取組を開始されるということですから、まずは自発的な取組からで結構ですけれど、これを遅滞なく本格的な排出量取引、しかも市場メカニズムを組み込んだ形の排出量取引、市場取引が行われるような形で、これを発展拡大させていくということが必要ではないかと。その上で、今回の事務局の資料にもありますけれども、無償割当という仕組みも一つのアイデアとしては活用するアイデアになるんではないかと。

ただ、EU等々では無償割当の実施は行われているものの、我が国では全く今まで経験したことがないようなものでありますから、我が国において実行可能な形で無償割当の仕組みを入れるとすれば、どのような仕組みが考えられるのかということも、今、この時期だからこそ、即、すぐにそれを実施するわけではないけれども、遅滞なくスタンバイできるような形で頭の体操、思考実験は進めておいていただく必要があるのではないかというふうに思います。

二つ目ですけれども、脱炭素に向けた政策的支援、これも事務局資料で挙げられておりましたけれども、もちろん税とか補助金というのもありますが、私は、一つ重要な今後への鍵を握っているのは財政投融資の活用というものはあるんではないかと思います。

確かに、今回、官民ファンドを新たに立ち上げるという意味において、いわゆる産業投資、出資という形で、その財政投融資を活用するというところがありましたけれども、財政投融資には、財政融資資金という融資を用いる方法もあるわけであります。これは国債で資金調達をして、財政融資資金で低利に、長期に融資をするという仕組みであります。これは建設国債で賄うものとは全く意味を異にしているというべきで、むしろ財政投融資、確かに国債を財源としている政策手段ではあるけれども、決定的に建設国債と意味が違うところがあります。それは、建設国債というのは受益者や利用者を全く想定せず、誰彼ともなく、とにかく国民から税金を取って、その税によって返済財源に充てるという形になっているので、必ずしも応益負担になっているわけでもないし、税負担というものが本当に投資に見合ったものなのかどうかということがなかなか容易に検証できない。これが建設国債になっているわけですけれども、財政投融資の場合は。

浅野委員長

少し簡潔にお願いしたいんですが。

土居委員

もう間もなく終わります。

財政投融資は、これは受益者負担を求めると、利用者負担を求めるということができる仕組みということになっておりますので、そういう形で脱炭素に向けた投資を促して、そして、それによって恩恵を受けた人から、財政投融資の返済原資を得るという形で活用が期待されるところであります。

最後に、JCMについて簡単に一言だけ申し上げますと、確かに相手国の状況というものは非常に容易ならざるものがあるとは思いますけれども、限界排出削減費用の均等化といいましょうか、我が国のほうが限界排出削減費用が高いということであるならば、より低い国でCO2を削減するという発想は、非常にJCMに向いている考え方だと思いますので、これを積極的に活用するということは重要だと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、井上委員、どうぞ、お願いいたします。

井上委員

よろしくお願いします。発言の機会をありがとうございます。

委員の皆様もおっしゃられていましたが、コロナにおける経済活動の規制が緩和され、エネルギー需要が急速に高まる中、ロシアによるウクライナ侵攻が原油や天然ガス供給に大きな影響を及ぼしています。

加えて、先週、東京電力管内で電力需給の逼迫警報が初めて発令されるなど、多くの企業や国民がエネルギーの安定供給の重要性や、そしてエネルギーの安全保障の重要性を再確認することになりました。

国内外の情勢の先行きが現在極めて不透明でございます。エネルギーの価格高騰が続いている現状について、価格転嫁が難しい中小企業の経営者としては非常に不安を感じています。

一方で、この喫緊の課題である地球温暖化対策を止めるわけにはいかず、官民一体となった取組を続けていなければなりません。

繰り返し申し上げておりますが、このようなときだからこそ、中小企業が自分事として捉え、取り組んでいけるよう、日本が脱炭素に向けてどのような経済社会を目指すのか、その全体像と実現への道筋を明確に今後もお示しいただきたく、改めてお願い申し上げます。

また、明確な道筋をお示しいただく上で、どれほどのコストが追加的に発生し、誰が負担するのかという視点が不可欠であり、カーボンプライシングの議論も避けて通れません。経済と環境の両立という大前提の下、成長に資するカーボンプライシングについて現実的な議論を進める必要がございます。

前回の小委員会でお示しいただいた方向性において、カーボンプライシング、具体的な施策として自主的なクレジット取引、そして炭素税、排出量取引が挙げられました。それぞれについて改めて意見を申し述べさせていただきます。

まず、クレジット取引、特にJ-クレジット制度については、企業にとってCO2排出削減のインセンティブとなり得るものでございます。取引量にはまだ伸び代があると期待されていますし、今後もこうした制度が企業にしっかり認知され、活用されていくよう、一層、推進を図るべきであり、中小企業に対して、より一層の推進ご支援、お願いしたいと存じます。

また、炭素税については、大前提として中小企業の負担増につながり、成長を阻害するような形での導入は反対でございます。

ましてや、エネルギー価格高騰、そして企業物価の上昇が経営に大きな影響を与えている中で地球温暖化対策に係るコスト負担の増大は事業継続に直結しかねなく、この炭素税を含む成長に資するカーボンプライシングを議論するに当たっては、足元で世界情勢が大きく変化し、先行き不透明感が増している現状を踏まえて、地域産業や中小企業の実態を十分にご勘案いただきながら慎重に進めていく必要がございます。

また、各地域での中小企業の連携の促進、技術支援をより一層高めていただきたく、ここでお願いを申し上げます。

また、現時点で電気料金をいかに下げていくかも同時に考えていくことが重要であると私は考えています。

一方で排出量取引についてでございますが、GXリーグの基本構想が公表されました。参画する企業は大企業が中心になると想定され、中小企業はバリューチェーンを通じて影響を受ける場合が多くなるだろうと考えております。

この構想により、取引関係にある中小企業にしわ寄せが来てしまうことを危惧しています。参画する大企業におかれては、自社だけではなく、取引先や下請、そして関係先の中小企業等とともに幅広く連携し、この温室効果ガス排出削減につながる新技術やイノベーションを共に生み出し、共有しながら取組を進めていただけるような制度設計を行っていただきたいとお願い申し上げます。

また、十分な実績を持つ意欲的な中小企業がトップリーグに参画する場合は、例えばほかの大企業に比べ不利益を被ることなく参加できるよう、企業規模で制限が生じないような制度設計も併せてお願いをしたいと思います。

以上でございます。ありがとうございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、森澤委員、ご発言ください。

森澤委員

どうもありがとうございます。ずっとお話しいただいているところですけれども、今日もお話しいただきましたスライド17で紹介されております石油石炭税について、1トン当たりの税率に合わせるべきというところで、今、石炭がまだ安い状況ですので、これを変えないといけない、ほかのエネルギーが高騰していく中で、さらに石炭が安く感じられるというところは、ここはまた一層変えないといけないというところかと思います。

今回は、さらにはエネルギーを自国で生産できる再生エネルギー、これの長期的な価値ということが世界中で分かってきていると思いますし、さらに促進が進んでいくというのは、皆さんがおっしゃっているとおりに、これを日本でどうして進めていかないのかというところで、再生可能エネルギーを促進するためには、今の化石エネルギーが、化石燃料が再エネと同額になるようにすること、さらには、排出量の削減につながってカーボンニュートラルにつなげていくわけですから、エネルギーを自国で賄える安定供給につながる価値ということをさらにつけてもいいのではないかということが、このウクライナのこともあり、ロシアのこともあり、さらに明確になってきたんだと思います。

ほかの国、ヨーロッパはそれを進めていく中で、どうして日本がそれを進めていかないのかというのがなかなか理解できないところですので、一層、日本でも進めるべきだと思います。

また、石油石炭税収を温対税収の活用とともに、国内外のESG金融を活用するための環境整備を進めていく必要があるということですが、そのとおりだと思いますし、企業が排出量スコープ12及びサプライチェーンも含めたスコープ3であったり、どのような目標を立てているか、サステナビリティの開示が進むこと、これが重要だと思います。

国際競争力の観点からも企業が排出削減に取り組んでいたり、ネットゼロの目標が見えている企業に、当然ながら投資家は評価する。投資家、銀行も自分たちのポートフォリオ、これをはかっていく段階になっていますので、ここの部分はさらに世界から投資されるということを期待されるのであれば、さらにここを進めていかないといけない。企業も取り組んでいただけるものだと思いますので、排出量取引制度、こちらのほうも今日ご紹介いただきましたが、これも開始して併せて検討するほうがいいと、早急に導入することを検討したほうがいいと思いますので、割当はやはりオークション、以前から申し上げていますとおりに、先に削減した人がグランドファザリングでは不利になってきますので、ベンチマークも今からつくれないといいますか、時間がかかってきますから、オークション、有償割当がいいと思います。

そのような排出量取引制度ができれば、炭素価格が明確になってくると思います。

また、そういったシステムであれば、取引所取引、これはアジアでも増えてくるということも懸念がありますけれども、アジアでばっかりそういうものが進んでいく、日本で進まないという懸念があるということがたくさんの方がおっしゃっていますが、今のような排出量取引制度を導入するのであれば、取引所取引も可能になってくると思います。

経産省さんが開始されるGXリーグについては、これは制度設計が、それによって効果は大きく変わると思っています。今申し上げましたような有償割当での設計で進むならば、また参加のみが自主参加というものになるのであれば、それは一ついい効用ができるのではないかなというよう期待はしますが、これはあくまでも制度設計によって変わってくると。排出量取引制度、またそういったものは、制度設計が一番ですので、どういうものであるのかということが重要だと思っています。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、増井委員、手塚委員、小西委員、この順番でご発言いただきます。

増井委員、どうぞ、お願いします。

増井委員

どうもありがとうございます。まず、事務局に包括的、網羅的に資料のほうを取りまとめていただきましてありがとうございます。その上で何点か発言させていただきます。

まず、ウクライナのことで日本国内においてもエネルギー価格が上昇しているということなんですけれども、ただ一方で、炭素税による価格上昇とは異なるという点は、メカニズム的に異なるという点は留意していくべきではないかなと思います。

現在のエネルギー価格の上昇というのは、全て海外に資金が流出してしまいますけれども、例えば炭素税による価格上昇の場合には、その炭素税収分は国内に残りますので、そういった違いというのは冷静に見ておく必要があるだろうと思いますので、この点、資料作成の際には留意していただければと思います。

現在、IPCCの総会が行われておりまして、ワーキンググループ3に関する報告書について議論されております。合意されれば、来週にもワーキンググループ3SPMが出される予定なんですけれども、科学的な知見によって、これまで気温の上昇と温室効果ガスの排出量の関係というのが分かってきております。

そういう意味でも特に累積的な排出量と気温上昇の関係というのがワーキンググループ1のほうから昨年8月に明確に示されておりますので、もちろん2050年ゼロという、そういう目標は非常に重要ではあるんですけれども、今から温室効果ガスの排出量をできる限り削減していく、そういう長期的な目標とともに、今から対策を取っていく、大幅な技術革新、これによって、それが達成されてから対策を取るというのではなくて、今から大幅な排出削減を実現していく、そういうことが必要だということで、そういった枠組みの中で、このカーボンプライシングの役割というのがどれだけ重要なのかということを示しておく必要があろうかと思います。

あと、ほかの委員のほうからもご指摘がありましたけれども、カーボンニュートラルの社会、これがどういったものなのか、また、カーボンニュートラルの実現に向けて、自分事、あるいは見える化というふうなものが必要になりますので、そういう短期的な議論、あるいは長期的な目標達成、これら両方を踏まえた形での政策手段としてのカーボンプライシングの役割ということを国民に広く示すことが非常に重要となりますので、そういった観点からも、このカーボンプライシングについて説明をすることが必要ではないかと思います。

いずれにしても、温室効果ガスの排出量というのは、従来はただで行われてきたわけなんですけれども、そういったことは実はコストであるというふうな我々の意識を変える、そういうふうなことが必要ではないかなと思いますし、クリーンエネルギーの普及、さらに技術革新といったところのためにもカーボンプライシングは必要であるというふうなことが明確に分かりやすい形で国民に知らさせることが必要ではないかなと思います。

あと、投資の話も出てまいりました。我々のグループで昨年6月に総合エネ調の基本政策分科会のほうに出させていただいた資料では、カーボンニュートラルに向けて年間10兆円程度、10兆円強の投資が必要と、毎年必要ということで、それをどういうふうな形で捻出するのかというふうなことが必要になってくるというようなことを説明させていただきました。

もちろん、それだけの投資は必要なんですけれども、先ほど冒頭申し上げましたような脱炭素社会におきましては、化石燃料というのは大幅に輸入量が減少しますので、輸入に関するコストが大幅に低減するということで、その長期的な話と短期的な取組、このあたりをいかに切り分けて、なおかつ、それらがどうつながっていくのかということを明確に示すことが重要ではないかなと思います。

以上になります。どうもありがとうございました。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、手塚委員、ご発言ください。

手塚委員

聞こえていますでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。お続けください。

手塚委員

どうもご説明ありがとうございました。3点ほどコメントさせてください。

まず1点目ですけれども、これ、皆さんがご指摘されているとおり、ウクライナ危機がエネルギー及びカーボンプライシングに関する世界を大きく変えてきてるということは事実と思います。

先ほど土居先生のほうから、現在のエネルギー価格の高騰と、日本政府が例えばガソリンの価格抑制のための政策をしているというのは、今後のカーボンプライシングの議論のレッスンになるというふうにおっしゃいました。

私のほうでも試算をしたんですけれども、実はガソリン価格を5円上がるのを抑えるために政府が5円の補助金を出すということを今されているわけですが、これはマイマス2,000円のカーボンプライスをガソリンにかけているという計算になります。トリガープライスの変更等も含めて、今後25円ぐらいまで、このサポートを増やすということをやりますと、マイナス1万円のカーボンプライスをかけるという政策を政府が行うということです。逆にそうしないと中小企業、あるいは、自動車で生活をされている地方の方々の生活がもたないと、こういう状況なんだろうということかと思います。

なので今後カーボンプライスを化石燃料にかけていくということの理屈の上の議論はいいんですけれども、それが実態として、あるいは政治的に可能かどうかということの検証はこれからやはりしていく必要があるだろうと思います。

13ページにお示しいただいた現在のエネルギーコストの高騰、これは確かに2月24日のウクライナ侵攻から急激に跳ね上がっていますけれども、実はその前のトレンドを見ても、いわゆるエネルギーインフレ、グリーンインフレというのが徐々に起きてきていたという事実は見てとれます。ウクライナの侵攻はそれを劇的に大きく跳ね上げたというのは事実なんですけれども、いずれにしても、天然ガスはウクライナ危機の前からこのグラフでいうと約50ユーロぐらいは徐々にに上がり始めてきていた。石炭もトン当たり100ドルぐらいは上がり始めてきていたというのが実態だと思います。これもカーボンプライスに換算しますと、天然ガスで約1万円のコストが乗っかっている。石炭で約5,000円のカーボンプライスが乗っかっているような世界が実は昨年の秋以後、世界的に起きてきていたとになります。これが非常に深刻なエネルギーのインフレだといって、経済にどうインパクトがあるんだという議論がもう既に出ていたんですね。

日本の場合は、天然ガスとか石炭の価格上昇が、短期的に電気料金等に跳ね返らないような構造に価格設定がなっているために、まだこれがガソリン以外のところで顕在化してきていないんだろうと思います。新電力さんから短期的なスポット価格でもって電気を調達するような契約をされている中小企業にとっては、電気代が今年に入って、特にロシア侵攻以後、従来の電気価格から4倍ぐらいに跳ね上がって、もう経営が成り立たなくて倒産の危機にあるというような声も出てきているように聞いております。ただ、大手の電力会社さんからの電力を従来どおり買われている場合は、これは、今後もう少したってから恐らく資源価格の高騰の効果というのが電気価格に乗っかってくることになると思います。

したがって、はっきり言いまして、カーボンプライスどころではないという状況がこれから日本の社会に起きてくる。今の状況では何となくまだ大丈夫のように見えますけれども、恐らくそうはならないんではないかというふうに大変大きな懸念を持っております。

2点目は、EUの国境調整税の問題なんですけれども、これについて、1点よく見ておかなければいけないのは、このEUCBAMというのは、輸入品に対する調整をかける施策でございます。輸出品に対してマイナスの調整をかけるということは、WTOの中で非常に禁止されている補助金に相当するのではないかということで無理筋だということで、EUは検討していないようなんですけれども、ここをよく考えていかないといけないと思います。

以前この委員会でも申し上げましたけれども、EUの鉄鋼産業は、現在、潤沢な無償割当を受けているために、実質的なカーボンプライスの負担はゼロになっているわけです。それが、このCBAMの導入と同時に2025年以後、無償配布枠を漸減的に減らしていって、30年以後、ゼロにすることが案として出ているわけなんですけれども、これに対して3月に入って、ドイツ鉄連がポジジョンペーパーを出されてるんですが、そこでは30年まで無償割当を現状のまま100%保証してくれないと困るといっています。これがなくなってくると、現在、輸出に対して向けられている生産設備の2割以上がドイツ国内でシャットダウンされることになるというシンクタンクの研究結果をつけて反対表明をしております。現在の潤沢な無償割当を少なくとも30年までは続ける必要があるということを言っているということです。

ちなみに、これも現在のウクライナ危機がEU CBAMのある意味レッスンになる、あるいは、その前哨戦になる可能性があると思っています。というのはEUの鋼材輸入は年間約4,000トンあるんですけれども、そのうち3割がロシアから、1割がウクライナから入ってきております。現在、この2か国からの鋼材輸入がEUでは当然止まっておりまして、EU域内では猛烈な鉄鋼不足が発生しております。したがって、鋼材価格が跳ね上がっているんですね。

結果的にこのCBAM導入と無償割当廃止後の世界で起きるであろうEUの中の鋼材価格体系が、今もう既に起き始めておりまして、今年そういう状況が続くと思いますけれども、これに対してEUがどのような動きをするかというのも、これもよく見ておく必要があろうかと思います。果たしてCBAMのように、域内の鋼材価格だけを異常に高くしていくという政策がサステナブルかどうかということのいいレッスンになるんではないかというふうに思われます。

3点目は、今回のウクライナ危機は、エネルギーの安全保障に関する我々の見方を大きく変更を迫ってくるものになるんだろうということです。これは日本だけではなくて、世界全体がそれをこれから経験していくことになろうかと思います。

エネルギーの安全、安定、安価な供給の確保ということが、各国の政策の至上命題になってくるというようなことだろうと思われます。

残念ながら、全ての条件を満たすような完璧なエネルギー源というのは存在しておりません。変動性の再エネに関しては、先日の大雪の中で、東京電力管内の電力供給の危機を招いたというのはご存じのとおりです。あのとき、太陽光発電はほとんど稼働しておりませんでした。

また、ガスや石炭に関しては、世界の供給量のかなりの量をロシアに頼っておりますので、これを禁輸するということをやっていこうとしますと、当然のことながらコストはアップいたしますし、調達先をどうするかという問題が出てまいります。

そうした中で、原子力をいかに安全・安心な形で再稼働させ、戦力として戻してくるかというようなことを併せて考えていかないと、エネルギー供給の8割を化石燃料に依存している我が国のエネルギー安全保障というのは全く保障できない状況になってしまうと思います。

そうした中で、このJCMに関する説明を聞いていて、日本としてやっぱり政策的にここに力を入れなければいけないなと強く思うようになりました。なぜかというと、現在、JCMに提供し得る日本の技術の最も強い部分というのは、省エネ技術なんですね。つまり、石炭、石油、天然ガスといった化石エネルギーをいかに効率的に、かつ少ない量で活用していくかという世界トップクラスの技術を日本は持っております。こうした技術を近隣諸国、JCMの締約国、特にアジアが中心だと思いますけど、こういう国に出すことによって、世界的に石炭及び天然ガスの使用量を抑制することができれば、ひいては、それが資源価格の高騰を抑えることにつながり、結果的に日本のエネルギー安全保障にも供するということになろうかと思います。

そういう意味で、JCMの制度を使って日本の省エネ技術を世界に展開していくということは、アクセルを踏んで全速力で展開していく必要が今こそ必要になってきているのではないかというふうに考える次第でございます。

私からのコメント、以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、小西委員、お願いいたします。その後、牛島委員、河口委員、石田委員ですね。安田委員の手も今挙がりました。確認できました。

それでは小西委員、どうぞお願いいたします。

小西委員

ありがとうございます。皆様のご意見を大変興味深く拝聴しておりました。

私からは三つ、事務局にご質問と、それから二つ、意見を述べさせていただければと思います。

まず一つ目なんですが、今回、このカーボンプライシング小委、再開ではなく継続なんでしょうけれども、今後のプロセスについてお聞きしたいと思います。

今のお話だと、割と短期決戦で何らかのまとめみたいな形になるのかなと。炭素中立型というようなご説明だったかもしれないんですけれども、今回の何をアジェンダとして上げて、どこにどう報告して、タイムラインはどれぐらいなのかというプロセスをもう一度お聞きできればと思います。

二つ目が22ページなんですけれども、環境大臣をはじめ三役の方々が産業界と意見交換ということで、今内容を少しお話しいただいたんですけれども、もし可能ならばもう少し詳しくお聞きできればなと。

産業界の四つの、今回、産業界との意見交換ということなんですが、ほかの意見交換、ご予定されているのか、お聞きした限りにおいて、カーボンプライシングにはどちらかというと今までは否定的な業界さんだと思うんですけれども、意見がちょっと変化しつつあるのかお聞きできればと思います。

三つ目が、今、GXリーグという構想が出ておりますが、これは自主的な取組ということで、今までのプレッジ・アンド・レビューの上にトレードがくっついて、プレッジ・アンド・トレードみたいな形なのかなと思っているんですけれども、制度設計は、やはり簡単ではないと思うんですね。ですので、このGXリーグが、ちょうど首相の発言の後にタイミングが合って出てきておりますので、これが何らかの形で日本の排出量取引制度というような位置づけになっていくのか、どういうふうな位置づけなのかということを、こちらは経産省さんにお聞きできればなと思っております。

そして、二つ意見を言わせていただきたいんですけれども、まず一つ目が、最初に有村委員がおっしゃったように、やっぱり日本に明示的な炭素価格があるということが、これから国際的に日本の立場を強くしていくと思っております。やっぱり炭素価格のフロア構想ですとか、特に日本は先進国の中でもG7の一員ですので、それの構想、国際的には非常に明示的に炭素価格があるということが、これからの日本の立場を、COPにおいてもそうですし、いろいろな場で強くなっていくんだと思っております。

炭素国境調整措置もEUの定義でしょうけれども、結局、そちらで先に出されると、それはデファクト・スタンダード化していきますので、やっぱり日本が防戦に入るよりも、日本もこれが日本の炭素価格、今はこれで、将来的にはこういうふうになっていきますということが見えているほうが、日本のためになるのではないかと思っております。

やっぱり今回の46%削減に目標を引き上げたときもそうなんですけれども、前の26%から46%、もちろん、これは政治のリーダーシップとも言えるとは思うんですが、やはりある程度外圧で日本の政策変更が突然あるというような事態がこれからもあり得るんだと思っております。この明示的なカーボンプライシングを持つということは、その一つの備えにもなると思っておりますので、むしろ急に政策変更されたほうが、企業さんは対応に苦慮すると思いますので、ぜひそちらのほうがいいんじゃないかと思っております。

二つ目が、先ほどから皆様、おっしゃっておられますウクライナ危機に端を発するエネルギーの危機ですね。価格の高騰、もちろん目の前、直近、本当に対応が重要なんですけれども、それと中長期的な対策とは明確に区別が必要だと思っております。

先ほど岩田委員もおっしゃったんですが、これは一つ、まさにグリーンインフレーション、脱炭素社会に移行するときにアップダウンがあるということも一つ大きいと思っております。

気候対策は本当に待ったなしで、今はこのウクライナ危機に本当に目の前、全世界が苦慮していますけれども、一つこれで洪水とか、あるいは森林火災とか猛暑とか、日本においても海抜ゼロメートル地帯の例えば荒川に総雨量で500ミリを超えるような雨があると、本当に日本も洪水対策が非常に喫緊の課題となって我々に降りかかってきます。

ですので、やはり気候対策というものを緩めることは、今後の我々にとっての本当に将来世代だけではなく、私たちのそれこそ本当にすぐ喫緊の課題でありますので、ここはきちっとやっていくべきだと思っております。

なるべく中長期的に危機により強いエネルギー構造に転換していくことが重要で、その強力な政策の一つがカーボンプライシングですので、ここはやはり義務化するカーボンプライシングの導入というものを検討することが、もう中長期的だけではなく、短期的にも日本のためになると思っております。

あともう一つは、もちろん地政学的に、再エネが優位である国産エネルギーであるということもそうなんですけれども、先ほど事務局が一つ、業界団体との意見交換のところで、再エネは不安定電源とおっしゃったんですけれども、国際的にはこれはVariables、すなわち変動する変動電源です。今回の電力需給の逼迫警報も、これによってむしろ再エネの優位性が浮き彫りになったかなという気もしておりまして、今回も例えば太陽光だけではなく、風力発電も入っていれば、かなり軽減されたはずですよね。というのは、天気が悪いと本当に風が強い、天気がよいと太陽光ということで、風力と太陽光はお互いに相互補完していきますので、日本のように東西に長いところでは、再エネが大量に入ってくると、かなりお互いに相互補完して安定性が増してきます。ですので、5年、10年でこういったエネルギー危機に強靭な国内のエネルギー転換に変革していくということが、本当にその課題がより浮き彫りになったという見方もあると思います。

以上です。ありがとうございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、牛島委員のご発言をいただきます。牛島委員、どうぞ。

牛島委員

ありがとうございます。声、聞こえますでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。お続けください。

牛島委員

よろしくお願いします。

私からは、日頃、企業の皆様とお付き合いがありますので、国際的な競争力の観点から申し上げたいと思います。

もう既に複数の委員の方と重複するところはございますが、再三出ておりますウクライナ情勢、さらにコロナといった問題が、グローバルなサプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにしたと考えています。

かつて石油ショックで省エネ技術が向上したように、今般の情勢を踏まえカーボンプライシングに対してネガティブな考え方を持つよりも、むしろ、これを機会にいかにレジリエンスな経済のメカニズムをつくり、今後のレガシーとしてつくっていくのかという発想を持ったほうがいいと考えています。既に昨今の国際情勢やパンデミックは既存の産業やビジネスの仕組みの脅威を示しており、ディスラプションは始まっています。

そういう意味では、食料やヘルスケア、さらには、まさにこのエネルギーについて、国際的な依存関係をいかに見直していき、むしろ、地産地消を推進すべきといった議論も相当出てきていると思います。これは、いずれも経済安全保障上も重要な課題と考えております。

また、将来的にアメリカがアジアにおける影響力が低下していくことが予見される中で、旧宗主国である欧州との価値観の共有、連携において、アジアに対する経済圏に、アジアの経済圏に対する貢献は今後の日本の相対的な地位を優位にする可能性があります。

その観点で、今回ご説明にあったアジア・ゼロエミッション共同体構想に対しては、基本的に賛成の立場でございます。ぜひそのような観点で、日本の強みをもって循環型社会や脱炭素に向けてアジア圏でイニシアティブを取っていくことについては、日本の持続的な安全、さらには、経済成長において一つはポイントになってくる戦略ではないかと考えます。

ただ同時に、昨今の不安定な情勢を考えれば、やはり短期的な痛みに対してどうスムーズに前進させていくかという観点での移行措置というのが非常に重要なポイントになるであろうと考えます。

先ほど23ページにそうした投資の主な対象というところで様々な首長や企業とのヒアリングも行われているという話でしたが、まさに我々で今後のレガシーをつくるにあたりいかに財源を集め、どのように資本を移行させるかにカーボンプライシングの議論がはまってくるものだと考えます。その点で大企業に対して変革を迫ることももちろん重要であろうとは思いますが、同時にスタートアップに対する支援、特に人材への投資については

無形資産への投資が企業価値のバリエーションにおいて加味される昨今、ESGの投資においてもかなり関心の高い領域になっています。特に今後の日本社会における若者の雇用、高度人材、高度外国人の受入れ促進等々も投資対象として検討いただけるとよいと思います。

私からは以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、河口委員、どうぞ、お願いいたします。

河口委員

ありがとうございます。

多くの先生方からいろいろな意見があって事務局は大変混乱しているところに、さらに混乱するようなことを申し上げるようで恐縮なんですが、2点申し上げたいと思います。

1点目は、牛島委員、小西委員など、皆さんがおっしゃったことなんですけれども、カーボンプライシングの明示化というのは非常に重要であるなと。

私も、今、民間企業におりますので、もう経営の会話の中で、勝手に仮定したカーボンプライシングを入れて、自分たちの収益がもしも入っちゃったらこうなるよねというようなシミュレーションをもうやっているんですね。こういった税金がかかってくるよねということを前提に、いろいろと経営判断をするような状況になってきておりますので、グローバルで活動している会社の中では、ウクライナの問題は置いておいて、もう既に社会のシステムとして経済の仕組みの中に、このカーボンというものは無料ではなくて、それを出すのにはお金がかかると、温暖化に影響するようなことにはお金がかかる、それはコストであるという、もう何というのか、諦めというか、そこは認識ができているということですので、いろいろな形でカーボンというものはただではないということを示すために、カーボンプライシングの明示化というのは極めて重要だと思います。

これは、ウクライナの問題があるからやるとか、やらないとかではなくて、有料であるべきであるという新しい経済の仕組みの設定と、ただ、ウクライナのような危機的な状況が起きたので、それをどうするかという話は緊急的な話とは別に考えるものだと思います。

こうした意味で、カーボンプライシングの明示化ということには賛同するんですが、一方で、今回の話は、基本的にターゲットがエネルギーになっております。エネルギーの再生可能エネルギーということで、これだけ考えるだけでも非常に幾つも、何というか、課題が出てきていて、再生可能エネルギーにどうカーボンプライシングを入れるかというような議論も幾つもあるんですけれども、私は、そこにさらにそれを精緻化するというよりは、別な観点で申し上げたいんですが、最近、食に関する問題をいろいろと調べていますと、実は再生可能エネルギーと同じぐらい食を変えることによってCO2の削減はできるんじゃないかとか、特に食になりますと、窒素の排出というのが非常に大きいので、窒素化合物の温室効果ガスという観点でもこれが大きいと。

皆さんも牛のげっぷがみたいな話は聞かれていると思うんですが、また、それから、森林が吸収源になるというのはご存じだと思うんですけれども、土壌自体がCO2の大きな吸収源であって、これを化学肥料なんかを使うと吸収できなくなってしまうというようなことが問題になっている。それを変えていくこと、または、牧畜などの家畜を減らすことによる効果というのが実はすごく大きくて、再生可能エネルギーよりは食全体を変えていくこと、また、食ロスを削減することだけでもCO2の排出量8%減らせますというような試算もあったりするので、こういった意味で考えますと、カーボンを出すソースというのを、今、再生可能エネルギーに限っているんですが、実はもっとたくさんある。

ただし、そこの計測方法なんかができていないので、取りあえずは、再生可能エネルギーなどを中心に、そこをベースにカーボンプライシングなどの値段を決めていくというものの考え方はあると思いますが、トータルで考えていきますと、これから話を広げていくと、もっと広くカーボンプライシングの対象となるものがあるでしょうということになると思います。

今の段階でそれをまとめるのは大変だと思うんですけれども、前文やら前提のところで、いろいろなカーボンシンクになるようなものはある、ただ、現実的にそれが可能なというところで、今、再生可能エネルギーにフォーカスするというような書きぶりにしていただくといいのではないかなと。

食からのCO2の排出というのは最近の話題なんですけれども、いろいろな研究が進んでいまして、カーボンニュートラル牛乳なんていうものもアメリカではもう既に認証のものが出てきていたりするような状況ですので、この議論をしているうちに、食からのCO2の削減というものも候補が出てきていると思いますから、こういったものもカーボンプライシングの対象として含めるというような考え方も今後の課題として入れていただくといいのかなと思います。

以上です。ありがとうございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、石田委員、どうぞご発言をお願いいたします。

石田委員

ありがとうございます。

脱炭素を目指す企業の団体として発言をさせていただきます。

日本企業は、本気で変わろうとしています。例えば、SBT認定企業数は世界で3位、RE100の認定企業数は世界で2位、TCFD賛同企業数は世界で1位です。世界で闘うためには、企業は脱炭素を目指さなければいけないという状況にあります。

その中で、現状ではCO2排出削減にはコストがかかり、CO2排出をする企業には負担がないのが現状です。脱炭素を進めるためには、この不公平さを変えることが必要です。先ほど河口委員からの発言もあったように、カーボンの排出はただではなく、コストということです。

我々が望むのは、CO2排出削減がメリットになって、CO2排出にコストがかかる仕組みの導入です。自主的な取組では排出量の一部をカバーするのみで、排出量全体をカバーする仕組みが必要だと考えています。そうでなければ、CO2排出削減がコストになり、この状況を変えることができません。

また、2030年NDCの達成のためには、残り9年しかなくて、カーボンプライシングの導入の是非を検討しているのではなくて、導入するためには具体的にどんな制度設計をするのかに踏み込むべきだと考えています。

ウクライナ危機を踏まえると、エネルギー安全保障上もエネルギー需給率を向上させることが非常に重要で、カーボンプライシングの導入が必要であり、早急な導入のための制度設計の議論が必要だと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、安田委員、前田委員の順番でお願いいたします。

安田委員

どうも、皆さん、お久しぶりです。

今日は2点コメントがあるんですけれども、全体のポイントとして長期的なCO2排出削減と短期的なエネルギーの安定供給、とりわけ電力ですね。これをいかに両立するかで、今回、昨今のウクライナ情勢とかもあり、短期的なエネルギーの安定供給の話を懸念されているほかの委員の方も多くて、この点からまだ恐らく議論されていないことを二つお話ししたいと思います。

1点目は、直近のエネルギー価格について、本日の資料でもたしか13ページでしたか、ロシアのウクライナ侵攻以降、急騰したというグラフが出ていたんですけれども、もう一つ、これ、事前資料として、私、用意はしていないんですが、EU-ETSの価格がどうなったかというのを見てあげると、天然資源と逆の方向で価格が急落しています。正確には一旦どんと下がって、その後、持ち直しつつあるんですけれども、金額だけちょっとお伝えすると、ロシアのウクライナ侵攻前日、223日が1トン当たり94.74ユーロで、そこからどんと下がっていて、直近の底が37日ですね。58.36ユーロまで下がっていると。その後、価格がまたある程度上がってきて、現在80ユーロ弱というところですね。侵攻直前の九十何ユーロ、まだまだ戻っていないという感じですけれども、一旦だんと下がって、その後上がったと。このエネルギー価格の動きとほぼ真逆の動きをたどっています。

当初、これは国内外のメディアで、排出権価格の急激な下落ですよね。これ、なぜ起きたのかという、ちょっと分析を交えた報道記事を幾つか確認していたんですけど、例えば3月12日、日経新聞で「温暖化ガス排出量の価格急落、ウクライナ侵攻で2割安」という記事が出ていますが、一番最後のところですね。一段落、ちょっと印象に残すため、読み上げさせていただくと、「一般的に天然ガスの価格が上昇すると、代替燃料として石炭の需要が拡大し、温暖化ガスの排出量も増える。そのため、資源価格が上がれば排出価格も連動して上昇することが多い。足元は資源価格が高騰しているが、排出量価格は大幅に下落しており、異例の値動きだ。」という形で、ちょっと今までにないような資源価格と排出量価格というのが負の相関がある、ちょっと異例のことが起きていると、説明にしにくいことが起きているという論調でした。

ほかの国際メディアの記事も幾つか読んだんですけど、似たようなトーンで要因は分析しているんだけれども、ちょっとパズルな値動きだよねというような論調だったと思います。

なんですけど、恐らくこれ、排出量取引の本質というか性質を考えると、そんなに不思議ではないことが起きていて、これが恐らく今までの中間取りまとめ等でも議論されていなかった一つ排出量価格と、排出権取引と炭素税の同じカーボンプライシングではあるんですけれども、性質の違いだと思うので、ちょっとそこを深掘りしてお話ししたいんですが、もともとこの中間取りまとめで何を言っていたかと言うと、排出権取引というのは数量で、一方の炭素税というのは価格をコントロールするやり方で、排出量取引は数量にコミットできるんだけれども、価格の乱高下を招きやすいかもしれないと、シグナルとして企業が割と不確立な価格に直面するデメリットがあるというふうに考えてきたわけですけれども、今回、何が起きたかと言うと、ロシアのウクライナ侵攻で供給が恐らく変わったと。供給曲線が上側にシフトする、ないしは近い将来、供給がしぼむのでシフトするだろうということを市場関係者、予想するわけですね。そのときに、EUの中では排出量取引を行っているので、もともと幾ら需要するか、結果的に需要が供給に対して、幾ら供給するかというところ、ある意味、固定をしていて、そこと実際の需要家ですね。需要家が負担するのはエネルギー価格プラス排出権の価格なんですけれども、実質的な両者の和であるエネルギー価格プラス排出権価格というものと需要が一致するような水準でトータルの実質的な負担価格、需要価格というのは決まってくると。

供給要因で、供給曲線のほうが動いても、実際の供給量、需要量というのはもともと排出量の総枠で概ね決まっているので、そっちの実質価格は変わらないと。その中でエネルギー価格が上がった分、排出量価格が下がるというのが、恐らく標準的な経済学の分析になるんだと思います。それがそのまま、そのままというと語弊があるかもしれないですけれども、非常にそういった教科書どおりのことが今回起きていたのではないかと思います。

まとめるとどういうことかと言うと、排出権取引というのは、確かに数量を固定するので、価格が乱高下しやすいというのはそのとおりなんですが、日本を含めてエネルギーの需要側ですよね。買手側の視点から考えると、エネルギー価格プラス排出権という、実質的なエネルギーに係るコストですよね。それはある程度固定化されているので、供給要因で資源価格が上がったときには、その分、排出権価格が下がる、逆に供給要因が緩んで、資源価格が安くなったときには、排出権価格が増えるという形で、トータルでのコストですね。需要家から見たコストというのは、かなり供給ショックに対して頑健かもしれないと。この辺の議論というのは、恐らく今までされていなかったのではないかと思います。それが実際に今起きているんじゃないかと。

すみません、ちょっと長くなりましたが、以上が1点目で、もう一点目が何かと言うと、清水委員から主に電力の安定供給に関して、火力発電に代わる再生可能エネルギーを中心とした発電手段でやっぱり経済性が低いというご指摘があって、こういった状況下でカーボンプライシングを入れて大丈夫かと、当然の懸念かと思うんですけれども、ただ、本質は経済性ではないと思っています。むしろカーボンプライシングは経済性が見合わなかった、今まで炭素に対するコストを要求していなかったせいで、経済性が見合わなかったものの、ある意味、土俵を整えるという意味で、カーボンプライシングを置くことによって、その経済性の部分のギャップというのはむしろ縮小するのではないかと思います。

ただ、問題は何かと言うと、再生可能エネルギー、多くの場合、供給能力にむらが大きいので、大規模な停電等を避けるためには、確保しておくべき余剰電力供給能力というのは大きくなると。これは単純な確率論の話で、安定して供給できる電源を主軸にしている場合と、むらがある電源を主軸にしている場合では、何か起きたときに供給を賄うために抱えておかなければいけない余剰能力に差が出てくると。

現状、このカーボンプライシングの話とはちょっと独立に、この余剰能力をどの程度、発電事業者が確保しておくインセンティブがあるかということを考えると、これ、恐らくカーボンプライシングを入れる、入れないとは関係なく、余剰能力を確保していくためのインセンティブが足りない可能性があるんじゃないかというふうに感じています。

どういうことかと言うと、余剰能力というのは、もう定義上、通常時は使っておかないので、例えば火力発電所でいうと、稼働率を下げておくとか、稼働していない発電所を持っておくとか、非常に機会費用がかかるわけですよね。その機会費用を踏まえた上でペイするためには、いざ需給が逼迫したときに、よほど儲かるような仕組みにしておいて、ふだんの機会費用をためらわずに使えるかと、これ、経済インセンティブに基づいた仕組み設計ですけれども、それか、ふだんから余剰能力を確保しておくための一定のコストを補助金なり何らかの経済的なインセンティブに見合った形で補ってあげると。これは、カーボンプライシングを導入する、しないとは関係なく、仮に、これ、カーボンプライシングの導入が進むと、恐らく再生可能エネルギーの比重は高まっていきますけれども、その際にもやっぱり余剰発電能力を誰がどういった形のインセンティブに基づいて持つのかということを少し精緻に議論しないと、この短期的なエネルギーの安定供給、とりわけ電力の安定供給の問題というのは、やっぱり深刻化していくんじゃないかということを感じております。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、前田委員、どうぞ、お待たせいたしました。ご発言ください。

前田委員

ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。

浅野委員長

聞こえております。どうぞ、お続けください。

前田委員

ありがとうございます。今日の話は、カーボンプライシングの方向性という題名であったと思います。それで、今日の趣旨としては、昨今の国内情勢、あるいは、国際情勢を踏まえた上で方向性について議論をしろということだったんじゃないかなと思います。過去、方向性という議論はしていますので、さらに今回については大きく変化する国際情勢、それから、国内の政治情勢、行政の情勢というのも大きく変わっていますから、それを踏まえて新たに方向性についてもう一度議論しましょうという、そういう趣旨かなというふうには思っております。

ちょっとビデオは停止させていただきます。

それで、そういう目で見ますと、今日のお話の中で、もう少し注目していいのは23ページのところの話です。今日の資料で23ページ、今後さらなる投資が必要な分野というふうに書いてありました。これは、とてもいいリストじゃないかなと思います。ただ、これの議論は、このスライドとしては、炭素税の中のさらに税収の使途という脈絡の中で出されているようですが、これをもう少しカーボンプライシング全体の脈絡の中できちんと位置づけてみたらいいのではないかと思います。カーボンプライシングが今後さらなる投資が必要な分野についてどれだけ寄与することができるかという議論をもう少し正面からしたほうがいいのではないかと思います。

というのは、ここにポイントが一個一個挙げてありますが、それぞれ具体的な技術はここには書いていないです。それでも一個一個、全ての項目についてどういう技術があるかというのは、挙げようと思えば、多分全部挙げられるので、実のところはとても具体性のある、実現性のあるものを書いてあると思います。ですので、これらに対してカーボンプライシングがいかに推進に貢献できるかという議論をもう少しきめ細かくしていくというのが今後やるべきことかなというふうに思っています。

それは、もちろん、このカーボンプライシングの委員会のそもそもの出発点が、成長に資するということだったと思いますので、成長に資するというのは結局どういうことかと言うと、やはり経済を発展させる、具体的には投資を促進するということだと思うんですね。そういう意味で、投資に対していかに寄与するかという議論はやはりとても重要で、今後さらにこれを深掘りしていくべきかと思います。それが一つ。

それからもう一つは、議論の背景として、我々、大分前に、この小委員会で、カーボンプライシングの効果というのをずいぶんと集中的に議論したと思うんですよね。価格変化の効果というのは大きく分けて、代替を促進する効果というのと、所得効果があるというような議論をし、こういう視点からいかにカーボンプライシングが成長促進に寄与し得るかという理論的な議論をずいぶんしたと思います。このときの議論ときちんとマッチングさせて、今後の議論をこの投資が必要な分野という話へと収束させていくべきかなと思います。

そういう目でもう一度見てみますと、ここ23ページで挙げられているような技術というのは、それぞれ様々で、それぞれ投資の時間的なレンジというのがずいぶんと違うと言えます。20年位かかって開発投資が完成する技術、あるいは継続的投資が完了する技術もあれば、その年月で投資回収まで済んでしまう技術もある。特に投資回収は、二、三年で済むようなものもあれば、10年ぐらいかかるものもある。一方で2030年の目標であるとか2050年の目標という時間軸上の様々な目標があり、技術自体にもそれぞれの特性があり時間軸が様々なものというのがあると思います。こうした目標と各技術の特性に合わせる形で、どのようなカーボンプライシングとその効果をどれに対応させ、どれを促進できるのかという議論が必要かと思います。それによってきめ細かな、私は以前解像度の高いという言葉を使ったと思いますが、解像度の高いカーボンプライシングの設計という議論へと深掘りしていくべきかと思います。それが1点目。

それともう一点あるのですが、それは、国際的な情勢の中で考えることが重要ということです。どういうことかと言うと、日本でのこのカーボンプライシングの議論というのと、海外の取組との整合性というか、互換性というのが重要かなと思います。互換性というのは、日本はほかの国と同じことをやる必要は必ずしもない、EUと同じことをやる必要はないのですが、それでもEUの制度と比較してみた場合、どれにどう対応するのか、EUの言葉に置き替えるとどういうふうに対応するのかということは明確にしておく必要があります。そういう意味では互換性という言い方が一番いいと思うのですが、EUに置き替えたらこういう制度に当たる、EUでのこういうカーボンプライシングに当たるという議論をするべきかと思います。それがまた国際交渉の場で、日本はこういう技術とこういう制度を導入していますということの説明にもなると思うのです。そういう意味では、国際的に見て互換性のある設計というのが必要かなと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、事務局と一緒にいらっしゃると思いますが、高村委員、神野委員、それぞれご発言の機会をこれまで与えていませんでした。申し訳ありませんでした。

高村委員、ご発言ございましたらどうぞお願いいたします。

高村委員

ありがとうございました。浅野先生、聞こえますでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。どうぞ。

高村委員

3点申し上げたいと思います。多くの委員のご指摘になった点と重ねる点、少なからずございますが、一つはウクライナ情勢についてです。これ、岩田先生や、それから牛島委員はじめ、かなり多くの委員が言及されておりますけれども、誰もエネルギーの安定供給と安全保障の重要性に異論はないと思います。

短期的にどうやって需要に対応するエネルギーを確保するか、価格をどう抑えるか、調達先の多様化も含めて、対応が必要なのは間違いはないんですけれども、同時に、エネルギーの安定供給、安全保障を将来に向けてしっかり確かなものにしていくときに中長期の視点というのを見失ってはいけないと思うんです。これは、今、ウクライナ情勢の中でエネルギーにフォーカスされていますけど、食料も同じだと思いますが、ロシア、ウクライナ、輸出量でいけば小麦、1位と5位の国だと。そういう意味で、エネルギーだけのものではなくて、いかに輸入の化石燃料や輸入の資源からの依存を日本はどうその依存度を下げて自給率を高めていくかという、これは安全保障上の観点から非常に重要になっているということは共有しています。

その際にやはり中長期の視点を見失ってはいけないというのは、これって過去にも同じようなことだったと思うんですけれども、輸入化石燃料に、今、一次エネルギーベースでいくと9割方依存している状況で、これを下げていくという方向性にどこまでという議論にしても、恐らくここはみんなが一致するところだと思います。輸入国で何かあるたびにエネルギー価格や、あるいはエネルギーの供給確保に慌てないエネルギーシステムをつくるという観点です。

これもエネルギーの効率性の高い社会をつくることであり、どうやって自前の自給のエネルギー源を国内で、これ、再生可能エネルギーもそうですけれども、水素などの新しいエネルギー源をどうやって国内で育てていくかということでもあると思います。

そういう意味では、ラッキーなこと、幸か不幸か、日本にとってはカーボンニュートラルに向かう施策というのは、中長期的な施策というのは、エネルギー安全保障、エネルギーの安定確保増の政策とベクトルは一致をしているというふうに思います。

したがって、短期の対応と中長期のシステム転換を図るという、それをどうやって今行っていくか、どなたか日本の戦略とおっしゃいましたけれども、fade-inじゃなく、今まさに短期の対応をしながらエネルギーの場合は、それを転換するのにかかる時間を考えると、エネルギーシステムの中長期的な視点でそれを転換するということは重要、今の私たちの課題だと。そういう文脈でカーボンプライシングの議論というのは位置づける必要があるんじゃないかというのが1点です。

二つ目は、事務局が意識されていないとは思わないんですが、むしろ総理の炭素中立型の社会経済全体を変革していく、あるいは、施策の速度感というのはまさにCOP26で合意をした1.5℃までに気温上昇を抑えるという方向性、ここ10年が非常に重要、これは当然、G7の合意でもありますので、これ、やっぱりでも資料の中に明確に位置づけていただくといいんじゃないかなというふうに思いますが、それは余談ですけれども、その総理のそうした視野の中でカーボンプライシングの最大限活用というのが言及されているのは非常に合理的だと思います。

というのは、経済主体の行動変化、経営投資判断が変わらない限りは、経済社会全体の変革、炭素中立型経済社会の変革というのはないというふうに思うからです。

これは、前田委員も先ほどおっしゃった、投資一つをとってもそうですし、新しい技術の開発、それに関する投資もそうですが、これまでの例えばOECDなどのこの間のペーパーを見ても、一貫した価格シグナル、炭素の価格シグナルが出ているかどうかということが、こうしたやはり中長期のインフラを形成していく、あるいは、技術開発が伴う将来これが開発されるか、あるいは、市場に乗っていくかという不確かさを持った新しい技術の開発や投資に対してインセンティブを与える上で非常に重要だというふうに思います。

そういう意味で、直近の経済財政諮問会議でも経済界の委員を中心にカーボンプライシングの手法についてしっかり整備し、それを検討すべきであるという意見が出ているのも、私はうなずけるところであります。

カーボンプライシングの手法は様々だと思いますし、今回のポリシーミックスということ、事務局が出していただいていますけれども、やはり様々な課題をどういうふうに、課題のご指摘は非常に適切なものが多くあると思うんですけれども、これ、具体的に制度でどういうふうにこの課題というのが生じて、どう対応できるのかという次元で考えざるを得ないんじゃないか、そういう段階にあるのではないかと。

30年のエネルギーミックスを達成するとすると、化石燃料依存度は下がる、そうすると全体としてのいわゆる税といいますか、炭素の支払い、炭素に伴うエネルギー支払いというのでしょうか、というのは、恐らく減るんだ。あるいは、マクロの負担や税の支払いを一定にしたときに、この炭素価格というのをうまく組み込む方法がないのか、炭素比例で税の組替えができないか、制度の組替えができないのか、いろいろなエクササイズを私たち自身がする段階ではないのかなというふうに、それ、多分、前に発言した前田委員のご発言にもつながるところです。

最後はJCMです。もう皆さん非常に重要だとおっしゃっていて、私もそうだと思っておりますけれども、JCMが特にアジア地域の世界の排出量の4割以上を占めていて、さらに増える可能性があるアジア地域の排出削減に貢献するというポテンシャルについては、全く同感であります。

総理がおっしゃっているアジア・ゼロエミッション共同体についても、これはアジア、気候変対策だけでなく、やはりどなたかもおっしゃいました、アジアにおけるやはり脱炭素、低炭素の市場をつくることがエネルギー効率の高い技術、競争力のある製品やサービスを持っている日本企業にとっても非常に魅力的な市場を、基盤といいましょうか、をつくることになります。

日本企業、アジアに大きなサプライヤーがたくさんのサプライチェーンを持っていらっしゃると思いますが、これは全体として見てもスコープ3の排出量の削減にも貢献し得る、場合によってはスコープ12もそうですけれども。

ただ、そのときにJCMだけでなく、JCMとともにアジア諸国の脱炭素化支援の戦略って非常に重要だと思っていまして、つまり、こうしたアジアの脱炭素・低炭素市場をつくるための相手国の制度ですとか戦略づくりをしっかり支援をする。JCMはそれをウィン・ウィンで行っていく、それを支援していくと、そういう補完的な関係にあると思っていまして、したがって、これはアジア諸国の脱炭素化という点で大きな戦略の一環として議論をしていただきたいというふうに思っています。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

神野先生、どうぞお願いいたします。

神野委員

すみません、私、環境問題そのものについては素人ですので、感想めいたものになりますが、第一はウクライナ問題です。私が素人にもかかわらず、なぜカーボンプライシングの問題をやるかと言うと、財政のいろんな課題がありますけれど、最近大きく変わってきたのはやっぱりエコロジーの危機、財政がいかに対応していくのかという問題だと思います。

それは、私たち素人から言うと、このまま私たちが行動を変えなければ、今世紀末には、人間は過去、経験したことのないような過酷な状況で生きていかなければならない。かつ、それは人間が絶滅する、このまま変えなければですね。適者生存で、変えなければ絶滅するかもしれないんだ。これは東大でEMPをやっているんですか、天文学者とか、温暖化を例に取ったり、生物学者が指摘するところですね。

私たちが、これ、このまま変えなければ、もう今世紀末、本当に人間が生きていくかどうかという状況になるとすると、私たちやっぱり行動を変えて何か努力をしなくちゃいけないだろうと思いますが、我々、素人からの考え、見方から言うと、この環境破壊で最悪のことというのは戦争じゃないかと。人間の歴史の中でやってきたものを見ても、環境破壊はやっぱり一番は戦争ですよね。この戦争が起きたときに、東大の天文学をやっている権威は、レジュメで何と書いているかと言うと、人類が絶滅しようとしているときに戦争をやっている場合かという文言でした。

私たちは、この戦争、これは国民も心配していると思うので、データはどこか出てくれば、一体どの程度の環境破壊がされているのか、とんでもない破壊がされていると思います。取り返しのつかないことになりかねないので、これ、メッセージというかデータとして出てくれば、何というのかな、オープンにしていただければというふうに思います。

あとは、具体的な政策問題になってしまうのですが、つまり、これから粛々とカーボンプライシングのことを進めていくとすると、事務局の説明でポリシーミックスというときに、少し広めに説明していただいて、私たちがこういう環境政策なりを実施するときに、財政の手段として三つあって、それは一つは租税ですね。これ、減免を含めた特別措置を含めたり、今回のようなほかの組合せなんかも含め、租税です。もう一つは補助金ですね。もう一つは、今日出てきました政策金融、財政投融資金。政策金融ですね。これ、それぞれに欠点と効果、それから民主主義の立場から見るとどうかとかといろいろな問題がありますので、これは少しそれぞれの政策のメリット・デメリットを考えて、政策体系全体をどうつくり上げていくのか、なかなか、これ難しいので行きつ戻りつかと思いますが、考えていかなくちゃいけないかなと思います。

もう一つは、この間ちょっと別な会議のときに申し上げたんですが、カーボンプライシングの中のやり方として、炭素税と排出権取引があるとすると、これ、両方を負担だと考えると、租税だとコーディネーションというのがあって、それぞれの政策をどうやって位置づけながら発揮させていくのかというコーディネーションを考えていく必要があるかなと思っています。

最後も同じことになるんですが、成長戦略としてカーボンプライシングとか、あるいは環境政策を打つと、どうしても、その背景で格差の問題とか、そういう問題と、どうなるんだということが必ず租税とか何とかやっているときに出てきますので、それは今すぐというわけではないんですが、頭に置いておかないと、他の政策課題とどうやって調整していくのかという問題も少し具体的な段階に入ってくれば意識しておく必要があるかなというふうに思いました。

以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

遠藤委員、遅れて到着されました。ご発言、ご希望ですね。どうぞ、お願いいたします。遠藤委員、ご発言ください。

遠藤委員

大変遅くなりまして申し訳ございません。既にいろんな議論が進んでいて、私が現時点で申し上げるべきこと、いろんな重複もあるかと思いますが、1点申し上げさせていただきたいと思います。

ロシアによるウクライナ侵略についての足元の資源価格の上昇などについては、もう既にご共有されていると思うんですが、中長期的な供給元としての脱ロシアですね。その脱ロシア化が進む中で、やはり必要不可欠なエネルギー源にかかる国民負担は、短期的にも中長期的にも増大すると思われます。

欧州のエネルギー政策の方針転換をこの間、見ていても分かるように、やっぱり国家安全保障地政学だけではなくて、エネルギーという大きな安全保障上の問題でもありますし、いわゆる国民生活を支える重要基盤でもありますが、ここにおいても大きな分岐点を迎えているんだと思っています。

日本の中でエネルギー政策の要諦と言われてきた3E+Sについてなんですが、これ、もちろんトレードオフの非常に難しい複雑な問題ではありますが、何よりもやっぱり重要であるというのは、社会基盤である電力の安定供給であります。少し乱暴ではありますが、経済を衰退させれば、経済性も環境性もある程度解決するのですから、やはり安定供給を確保しなければならないということ、それが国民生活に大変インパクトを与えるものだということを改めて今回のロシア危機が示したような気がしております。

これ、もちろん気候変動対策を放棄しろと申し上げているのではありません。ただ、3%の排出量の日本が取り得る世界貢献の道というものは、いろいろな模索の仕方があるのではないかということでございます。

先ほどカーボンニュートラルと、いわゆるエネルギー安全保障の問題は、それは同時並行的に成し遂げられるものだということをご指摘される委員もおられたと思うんですが、これはやはり政策の優先順位ということを考えると、今、炭素価格を電力価格、エネルギー価格に上乗せをしてしまうということの国民生活へのインパクトというのは、やっぱり十分に検討しなければならない問題であるというふうに思っております。

ですので、もちろん、中長期的というか、もうちょっと長期的な視点で気候変動の対策にどのような政策が寄与するのかということは、これまでも議論してきたところでありますし、いろんなアイテムがあると思うんですが、少し分岐点を迎えた後のしばらくの再考というか熟考というか、そういったものが必要になるのではないかと思った次第でございます。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

一わたり、全ての委員からご発言をいただいたと思いますが、間違いないでしょうか。

事務局に対する質問もございましたので、環境省、経産省、それぞれ、もしご発言がございましたらお願いいたします。

波戸本環境経済課長

それでは、まず環境省でございます。

非常に貴重なご意見、ありがとうございました。ウクライナ情勢の理解であるとか、それが我が国、環境施策を含めたインプリケーションなども非常に考える点、いろいろご示唆いただきましたので、大事に受け止めてこれからも考えていきたいと思っております。

それで、小西委員からのご質問として、まず、今後のプロセスということでございますが、今当面、今回ご議論いただいたものを精査させていただきまして、炭素中立小委のほうにお返しするのかなと、それが最終的には新しい資本主義の会議のほうに持ち込まれていくんだろうと。ただ、もちろんそこで議論が終わるわけでもないと思っていまして、ウクライナ情勢とかが今後どうなるのかも当然ありますし、カーボンニュートラルの動き、これ、またどうしていくのか、G7の動き等々いろいろまた国際的な動きが出てくると思いますので、そういう中で当然またこれから議論は進んでいくと思いますので、小委員会の皆様もまたお知恵をお借りすることには当然なろうかと思っていますので、といったような状況かと思っております。

2点目なんですけれども、産業界との意見交換についてもう少し内容を教えてもらえないかというお話でございました。この点について申しますと、産業界との意見交換に当たって、各業界との関係で意見交換をスタートする前に、本当に忌憚のない意見交換をしたいということで、議論の内容については、我々もそうですし、産業界の方々も対外的に言及しないというお約束の下で、すみません、議論していましたので、ちょっと我々からお示しできるのは、先ほどご説明したとおり、これ以上はちょっとすみません、言及できないということをご理解いただければなというふうに思います。

ほかの団体はどうなるのかという話でございますが、この団体に限らず、今少しさらに調整しているところはございまして、そういったところについてもしっかり意見を聞いていきたいなと思っている状況でございます。

以上です。

浅野委員長

それでは、梶川室長、何かございましたらどうぞ。

梶川室長(経済産業省)

はい、聞こえますでしょうか、浅野委員長。

浅野委員長

はい、聞こえております。どうぞ。

梶川室長(経済産業省)

今までかなりGXリーグ含めたご意見をいただいたかなと思います。そこに関しまして、今の進捗とか考え方をご説明したいと思います。

GXリーグに関しましては、昨年の6月の骨太の方針、あと、成長戦略ですね。この中で自主的市場ベースでのカーボンプライシングというものを成長に資するものとしてやっていくというのが出ております。その政府方針を踏まえて、経済産業省の研究会において、この自主的な、かつ市場ベースのやり方として、当初はカーボンニュートラル・トップリーグというふうに言っておりましたけれども、この名称をグリーントランスフォーメーションリーグという形にして基本構想というものを今年の21日に発表しております。

この中で具体的に、我々、この前提として考えている世界観なんですけれども、まず、2050年のカーボンニュートラルということを想像すると、残余の排出、また、人為的な吸収というものがバランスする状態だと。それぞれの排出者と吸収する者というのは異なる可能性がありますねと。そうすると、2050年の後においても、それぞれの主体で何らかのクレジット取引が発生していて、かつ、2050年ゼロということであれば、一定程度、量をコントロールするような制度が必要だということで、最終的にこういった排出量取引が入っていると、その中で、そのための準備として今回のGXリーグも考えていって、いろいろな試行をしていこうという、そういう位置づけでございます。

そのときに、いわゆる企業における自主的な排出目標の設定と、それに対しての実施ですね。そこでうまく排出目標に届かない場合については、一定程度、取引をしていくということも入れております。

また、これの議論の同時並行に、カーボンクレジットの取引の市場をつくっていこうということも考えておりまして、この中で具体的な取引、しっかりとこれ、流動性も含めて量が出てくる必要がありますけれども、ここで明示的なプライシングをつくっていくということで、これもすぐにできるものではないんですけれども、双方うまく連携させながら議論していくということを考えております。

現状、3月31日までに基本的な考え方に賛同していただくということで今募っておりまして、概ね200を超えるような企業から賛同をいただいております。これは、いわゆる排出の量が多い、そういう企業からスタートアッパーであるとか、中小企業も含めてご賛同いただいておりまして、具体的には今年の4月から準備期間ということで、排出量取引も含めて様々なルールメーキングを一緒にしながら、20234月から稼働させていくということを考えております。

これ、そのものも様々な形で成長させていくということがあるかなと思いますので、本日ご指摘いただいたコメントも含めて、環境省さんともうまく連携しながらやっていくということで考えております。

以上でございます。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、予定された会議の時間にはまだ余裕が少しございます。最初のほうでご発言いただいた委員で、ほかの方の発言をお聞きになって何か加えたいというご希望、ございますでしょうか。もしご希望がおありでしたら、挙手マークで意思をご表明いただけれませんでしょうか。よろしゅうございますか。

井上市場メカニズム室長

大塚先生からコメントがあるみたいなんで。

浅野委員長

はい、どうぞ。

大塚委員

経済産業省さんに一つちょっとお伺いしておきたいんですけど、すみません、今のGXリーグの件ですが、現在のJ-クレジットも自主的な取引をしてはいるんですけど、あれはクレジットなので、GXリーグのほうが排出量取引に近いと思いますが、自主的にやっていらっしゃったときのプライシングが明示的に出た場合に、それはCBAMのほうの明示的なカーボンプライシングの考え方と多分少しずれる可能性があると思いますけれども、そこについてはどういうふうにお考えてになっておられるか、もしお答えいただきましたらと思います。

梶川室長(経済産業省)

大塚先生、ありがとうございます。

J-クレジットに関しましては、基本的には相対取引で実施をするものということで、一部政府が保有しているクレジットについては、オークションを行って、それに対して、再エネ及び省エネのクレジットは幾らぐらいの値段がついているかということを公表しているというのが実態かなと思っています。

今後、カーボンクレジット仕様のほうでは、いわゆるJ-クレジットであるとか、これは環境省さんとも議論をしておりますけど、JCMですね。こういったものを一定程度、取引できる形にしていただいて、そこで明示的な形でいくということが1点と、あとは、GXリーグの中で具体的な排出に対して余剰が出たときのクレジットというものも扱っていくことになるなと思いますので、これについても、ある程度値段が出てくることによって見える化していくというふうに思います。

これがCBAMとの関係でどういうふうに扱うかというのは、当然、我々としては欧州の関係でこういうプライシングも一つあるんだということは主張していこうと思いますけれども、当然、考え方が違うところもあると思いますので、ここは今後の国際交渉の中で議論いただくということかなと思っております。

ちょっとすみません、必ずしも明確に今の段階で欧州がどういう主張をされるかということも分からない状況ではありますけれども、我々としては、今申し上げたような考え方で進めていきたいと思っております。

浅野委員長

大塚委員、よろしいですか。

大塚委員

はい、ありがとうございました。

浅野委員長

ほかにご発言、ご希望の方、いらっしゃいませんでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

浅野委員長

それでは、本日も多岐にわたっていろいろとご発言をいただきましてありがとうございました。取りあえず、まず、炭素中立型経済社会小委員会ですね。それが今動いておりますので、ここの対してカーボンプライシングに関しての情報発信を今日の先生方のご発言を整理しまして、それらも含めて事務局としての発信をしていただくようお願いしたいと思いますし、それから既に中間取りまとめのところで皆様方に大筋ではご了解いただいている流れから言いますと、今後詳細設計ができるような議論をしていかなきゃいけないわけですが、その際、やはり税制を中心にまずは議論をするというのが一応の合意事項であったような気がいたします。

その辺のところも踏まえながら、今日のご議論をも十分に整理をして、調査・設計できるような議論がどのように展開できるのかを考えつつ、これから先の準備を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、ほかに特にご発言のご希望がないようでしたら、事務局、どうぞ、この後、よろしくお願いいたします。

井上市場メカニズム室長

委員の皆様におかれましては、年度末のご多忙のところ、3時間にわたりまして活発にご議論いただきまして本当にありがとうございました。

次回以降の日程などにつきましては、浅野委員長ともご相談の上で皆様にまた改めてお知らせいたしたいと思います。

本日はありがとうございました。

浅野委員長

それでは、どうもありがとうございました。年度末のお忙しい時期に、長時間お付き合いいただきまして大変ありがとうございました。次回もまたどうぞよろしくお願いいたします。

午後6時35分 閉会