気候変動影響評価等小委員会(第20回)議事録

日時

令和2年3月25日(水)13:00~15:00

場所

WEB会議システムにより開催

議事次第

1.開会

2.議事

(1)第2次気候変動影響評価の進め方について(これまでの経緯)

(2)第2次気候変動影響評価報告書(テクニカルレポート)案について

(3)今後の進め方について

(4)その他

 (4)-1気候変動予測及び影響評価の連携推進に向けた検討チーム(中間報告)

 (4)-2気候変動の影響観測・監視の推進に向けた検討チーム(中間報告)

議事録

                                        午後1時00分 開会

○気候変動適応室 室長

 定刻となりましたので、ただいまより第20回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会を開催いたします。

 本日の会議でございますけれども、委員の参加人数は、また後ほど確認しましてご連絡したいと思います。

 本日の小委員会ですが、2月27日に決定しました中央環境審議会における「新型コロナウイルス感染症対策について」を受けて、WEB上での開催となっているということから、傍聴を取りやめて開催いたします。なお、資料、議事録についてはホームページにて公開とします。急遽WEB会議での開催となりまして、事務局も慣れていないところがございます。委員の皆様にはご不便をおかけしますが、ご容赦のほどよろしくお願いします。また、何かご不明なところがありましたら事務局まで、皆さんの画面の右下にありますチャット欄、電話にてお知らせください。

 初めに資料の確認をさせていただきます。画面上に配付資料一覧を表示しますので、それに沿ってご連絡します。資料は1-1、1-2、それから資料2-1~2-7、資料3-1、資料4-1、4-2、参考資料1-1となっています。各々の資料につきましては、事前に紙でお送りしています。お手元に準備願います。事前送付資料からの変更箇所については、その都度ご説明をいたします。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 議事中、委員長及び発言者以外は基本的にマイクをミュートに設定させていただきます。また、回線負荷を回避するためにカメラの使用についてはお控えいただきますようお願いします。画面の下にありますカメラのアイコンがございますけれども、左から2番目をクリックしてカメラをオフ、赤色にしていただければと思います。また、画面下の吹き出しのアイコンをクリックしますと、右下にチャット欄が表示されます。必要に応じてチャットもご活用ください。

 また、ご発言があるときについては、画面上ご自身のお名前の右側に手のアイコンがございます。このボタンをクリックしてください。住委員長から指名いただいた後、事務局でミュートを解除いたします。ミュートが解除されたことを確認の後、カメラのアイコンをクリックしてカメラをオンにしてください。最初にお名前をおっしゃってからご発言をお願いします。ご発言を終える際は、最後に「以上です」と加えていただきますとありがたく思います。ご発言を終えましたらマイクのアイコンをクリックしまして、カメラのアイコンをクリックして、ミュート、それから「ビデオ停止」としていただければと思います。また、不具合等がありましたら、右下のチャット欄かお電話にてお知らせをいただければと思います。

 それでは、以後の議事進行につきましては、住委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○住委員長

 皆さん、こんにちは。年度末のお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。想定していないコロナ騒動でこういうリモートの会議になりました。将来的にこういうテレワークとかいろいろなことが言われておりますので、そういうことに踏み切る大きな契機になったかと思います。技術的にはまだまだ不都合がありますが、こういう機会をうまく使って次の新しいステップにしたいなと思っております。リモートですので割とゆっくり話していただくことになります。

 時間も限られておりますので、早速議事に入りたいと思います。

○住委員長

 本日の課題の1つ目は、「第2次気候変動影響評価の進め方について(これまでの経緯)」です。環境省より説明をお願いします。

○気候変動適応室 室長

 それでは、資料1-1、それから1-2につきましてご説明します。

 まず資料1-1ですが、「第2次気候変動影響評価作成スケジュール」となっております。

 今回の気候変動影響評価報告書をまとめるに当たっては、2018年から随時作業を進めています。分野別ワーキンググループで議論いただき、また昨年の気候変動影響評価等小委員会で進捗状況を報告し、その際に留意点と論点について審議いただいたところです。その中身を踏まえまして、さらに分野別ワーキンググループで議論を進めており、本日の会議で、後ほどご説明します報告書(テクニカルレポート)の案を取りまとめています。本日の会議ではこの中身を中心に議論いただき、また次の2025年の影響評価に向けた課題の検討について議論いただければと思っています。今回の委員会での議論を踏まえ、さらに分野別ワーキングの中で検討を深め、その内容を踏まえた形で、今年の春から夏に開催を予定しています小委員会でテクニカルレポート、それから本編をまとめ、ご議論いただくと。さらにパブリックコメントを踏まえ、最終的に取りまとめる。このような流れを考えています。

 それから、資料1-2です。資料1-2は、2019年度のワーキンググループ議論の概要となっております。これは先ほどご説明をし、「決定事項・議論のポイント」というのがあります。この中で昨年3月には小委員会の中でご議論いただき、産業経済活動分野における文献の収集の対象ですとか、海外の影響について日本に及ぼす影響の評価についても考慮するといったこと、それから計画策定に資する影響評価が必要と、指摘をいただいています。この中身を踏まえ、第1回座長会合の中でも議論いただき、分野別会合で議論いただいて今回の小委員会に至っています。

 経緯については以上です。

○住委員長

 それでは、ただいまのご説明に対してご質問やご意見をお願いしたいと思います。ご質問やご意見ございます方は挙手ボタンを押していただければと思います。

○沖委員

 ありがとうございます。どなたもご質問なされないようなので少し質問させていただきますと、座長間会合で重大性評価というものが出されましたが、その際に前回の評価の際にも少し最後に申し上げたのですが、重大かどうかにつきまして気候変動の影響が重大かどうかではなくて、ベースラインのリスク、ベースラインの影響が大きいかどうかということで評価が引きずられがちなのではないかという質問をいたしましたが、今回の分野横断的な調整の際にはその辺はどういうふうに考慮されましたでしょうか。

○気候変動適応室 室長補佐

 ご質問いただいた重大性の評価につきましては、前回と基本的には同じような形でやらせていただいておりまして、定義としては気候変動に対する影響評価を行ったということなのですが、沖先生のご指摘の部分につきましては、ベースラインに引きずられがちというご指摘は、特段文書等でこれは排除するというような明確な指針というのは出してはおらず、基本的に気候変動の影響に注意して着目して、その他のところをあまり引きずらないようにというように評価をしております。

 明確なお答えができなくて恐縮なのですけれども、その上で重大性の評価の考え方につきましては、資料2-6の中に、前回と同様ではございますが、整理をさせていただいております。

○沖委員

 わかりました。ありがとうございます。

○住委員長

 そのほか、ご質問、コメントございませんでしょうか。―それでは誰もないと思いますので、次の課題に移りたいと思います。

○住委員長

 次の課題は、「第2次気候変動影響評価報告書(テクニカルレポート)案について」です。環境省より説明をお願いいたします。

○気候変動適応室 室長補佐

 まず、資料2のシリーズについて説明をさせていただきます。資料が2-1~2-7までございまして、WEB接続の関係がございますので、主に資料2-1をもとに説明をさせていただきたいと思います。その後、2-2、2-4、2-5、2-7で少し補足させていただきたいと思います。

 まず、資料2-1でございます。今回の影響評価のポイントということで、前回からの変更点を主に記載しております。

 まず1つ目といたしまして、文献数の増加でございます。第1次と比較して約2.7倍の文献の引用ができました。具体的には487件から1,340件、農林水産分野、健康分野、自然生態系分野で文献数が多くなっております。また、前回から構成などの変更がございました。前回は中央環境審議会の意見具申と評価報告書の2部構成だったものから、気候変動適応法に基づく法的な位置づけがなされたことに基づき、今回は気候変動影響評価報告書の本編とテクニカルレポートという2部構成とさせていただきました。また、次回夏ごろの中央環境小委員会でご議論いただきたいと思いますが、本編の中にはキーメッセージとして重大なリスクですとか今後の方向性を追加させていただくとともに、影響評価の課題と今後の方向性についても示させていただきたいと思います。

 その他の変更点といたしまして、昨今の激甚災害の実態を踏まえて複合的な災害影響、また分野間の影響の連鎖等を対象分野に追加しております。また、それぞれの項目の中で食糧需給、生態系サービス、海外影響等の5項目を追加して整理しております。

 また資料2-3に示しておりますが、各分野においてそれぞれの分野ごとの「影響の概要取りまとめ」というものを冒頭につけることで、分野ごとにわかりやすく示すようにしております。

 また、評価手法につきましても若干の修正がございます。まず、緊急性評価の評価基準の変更でございます。前回は、緊急性が中程度とする判断の範囲を2030年度までとしていたのですけれども、21世紀中ごろに全球気温が1.5℃に達する可能性が高いことや、21世紀中ごろの予測を対象とする知見の増加がふえたことを踏まえまして、21世紀半ばまでに発現する影響についても一定の緊急性を持って対応することとしております。また、緊急性の中程度として適応の着手・重要な意思決定が必要な時期として概ね10年以内というような時間軸を明確に表現しております。

 その隣にございます重大性評価の実施でございますが、一定程度知見が確認された8項目に対して排出シナリオ別、RCP2.6、2℃上昇及びRCP8.5、4℃上昇の2つに分けて重大性評価を試みました。

 さらに細目評価の実施を一部の小項目で行いました。これは例えば下の図にございますように、製造業ですと重大性の評価が余り大きくならないのですけれども、そのうち特に食品製造業に限定すると非常に影響が出ているというようなものがございますので、そういったものについては小項目の下に細目を設けて評価を実施しております。

 資料2-1の裏のページに行きますと、分野ごとにそれぞれどのような影響が新たに起きたか、深刻化したか、変化があったか、メカニズムを解明したかなどが記載されております。資料の一番下にマークがついておりますが、こちらが新たな影響事象なのか、影響の深刻化・地理的な拡大なのか等をわかりやすく示したものでして、それぞれ分野ごとに書かれている内容の右端にマークがついております。例えば農林水産業ですと、作物の品質・収量の低下については新たな事象ですとか定量的な知見が増加したりメカニズムを解明したりするなど知見が充実しております。また、回遊性魚類の例えば分布の変化、生息域の減少などは新たな事象ですとか定量的な知見が増加しているなど書かれております。

 また水資源環境分野では、ここに書かれているもの全てが何らかの新しい知見ではあるのですけれども、例えば水環境では地下水や帯水層の温度上昇ですとか豪雨や融雪に伴う地下水供給の増加による地滑り発生への懸念、渇水リスク・洪水リスクの二極化の進行などがわかりました。

 また自然生態系では、ニホンジカの生息域の全国的な増加や亜熱帯域におけるサンゴ礁分布適域の減少・消失などが強化されております。

 今回、新たに自然災害・沿岸域の分野におきまして複合的な災害影響という項目を追加させていただいております。これは土砂災害と洪水氾濫の同時発生による複合的な影響の被害が近年多発していることから、それらについて追加をさせていただいたものです。将来においても洪水氾濫と高潮氾濫の複合的な影響等が懸念されております。

 健康分野におきましては、特にデングウイルスを媒介するヒトスジシマカの生息域の拡大など節足動物媒介感染症などについて知見が増加しました。

 産業経済分野については、海外での極端現象がサプライチェーンを通じて国内に及ぼす影響の増加ですとか、新たに気候変動が安全保障に及ぼす影響なども追加されております。

 将来に予測される影響につきましては、自然資源の劣化に伴うスキー場や砂浜等のアウトドア、レジャーへの影響が大きいとされております。

 国民生活・都市生活については、台風・豪雨等の極端現象に伴う交通網の寸断や電気・ガス・水道等のライフラインの寸断、電力・水道等への直接被害の発生等に係る知見が今回かなり充実いたしました。

 一番右下、これまでの7分野に加えて今回、新たに分野間の影響の連鎖というものを追加しております。これは、昨年の台風15号のように強風による停電が起きて、それに伴う農林水産業、医療、建物等への被害が起きるなど、1つの災害から分野間の影響が出るなどのことをまとめたものでございます。後ほど2-4で紹介させていただきます。

 影響評価報告書のポイントは以上でございます。

 続きまして、資料2-2でございます。こちらは、前回報告書の構成から今回どのように変わったかというものでございます。前回が左のページにございますように報告書と右側が意見具申、今回がテクニカルレポートと本編となっております。本日ご審議いただくのは、こちらのテクニカルレポートでございます。夏にご審議いただきたいのがこちらの本編となっております。今回、4.の赤い枠で囲ったところがまさに2-6で示させていただいた詳細な影響評価でございまして、これらの概要が本編に入ると、このような構成になっております。

 続きまして、2-3は先ほどの概要でご説明させていただいたので割愛いたしまして、2-4について少し説明させていただきます。

 今回新たに追加いたしました複合的な災害影響及び分野間の影響の連鎖についてでございます。こちらの複合的な災害影響につきましては、自然災害分野の一番最後に追加をさせていただいたものでございますが、ここに記載させていただきましたように、土砂災害と洪水氾濫、高潮と洪水氾濫など、複数の要素が相互に影響し合うことで、単一で起こる場合と比較して広域かつ甚大な被害をもたらす影響を「複合的な災害影響」とここでは定義をしております。

 具体的にはここの図でお示しいたしましたように、1つの大雨、豪雨などが起きて、それをもとに大量の土砂が生産されることで例えば土砂災害、土砂災害が起きて大量の土砂を生産し、それが川をせきとめて洪水氾濫を起こすといったような複合的なことが起こるということが既に確認されておりまして、今後も増えるだろうという予測がされております。また、一番右に洪水氾濫と高潮が同時に発生した場合に被害が拡大するだろうということは予測されていまして、将来影響が懸念されているところです。ただ、こちらについては現時点では国内で発生したというような事実はございません。

 続きまして、資料2-4の4ページ以降でございます。分野間の影響の連鎖についてご紹介いたします。こちらは、それぞれ評価が行われた7分野とは別に8番目のものとして記載させていただきました。ただし、こちらについては分野間の影響について着目をしたものであって、この分野間の影響の連鎖そのものについて評価をおこなったというものではございません。ここでは、ある影響が分野を超えてさらにほかの影響を誘発することによる影響の連鎖や異なる分野での影響が連続することにより影響の甚大化をもたらす事象を「分野間の影響の連鎖」と定義しております。

 次のページの図で説明をさせていただきます。5ページ目の分野間の影響の連鎖の模式図でございます。左側に気候・自然的要素がございますが、例えば極端な豪雨の増加、降水パターンの変化により水質が悪化をしますと水環境・水資源に影響が出ます。そうしますと、水資源の影響からこの同じ色の矢印をたどっていただいて、水系感染症リスクの増加が起きまして、それが健康への影響が出ます。こういったように、1つの影響がほかの分野間をまたぐ影響が出るというようなことをまとめているものです。そのほか、例えば大規模災害に伴うインフラの機能停止がそのまま直接国民生活・都市生活に影響しますが、さらにそれに伴う経済被害が発生いたしまして、産業経済活動への影響ですとか停電等による貯蔵施設等の停止により農林水産業への影響等が発生するといったことが起きます。

 この図の色ですが、終着地点の分野ごとに色が分けられております。自然生態系につきましては、その影響がさらに次に行きますので終着地点にはなっていないのですが、このような形で分野間にさまざま影響が連鎖するということを取りまとめました。

 特に、インフラ・ライフラインの途絶に伴う影響については、近年の気象災害、豪雨ですとか台風による災害でかなり影響を受けていることから、この後に特出しして詳細を記載させていただいております。

 メカニズムについてはこのような形で詳細を示させていただきましたが、自然災害が起きてそれが都市生活をはじめ様々な分野に影響するというようなことをまとめました。資料2-4については、以上でございます。

 続きまして、資料2-5でございます。こちらが先ほど気候変動影響の概要を紹介させていただいたものについて評価を行ったものでございます。

 前回同様、重大性、緊急性、確信度についてそれぞれ評価を行っております。ここにございますように左側が第1次、前回2015年時点のもので、右側が第2次今回でございます。ピンク色に網かけをしているものが、評価が分かれたもの、変わったもの等になっております。8つの小項目については、例えばこの水稲にございますようにRCP2.6、8.5の2つで分けております。水稲の場合は例えば2.6が上で下が8.5ですけれども、どちらの場合も重大な影響が出るというような評価になっております。このような形で左右を見比べていただきますと、ほとんどの分野で影響の重大性が上方修正されるなど、知見の充実に伴い評価が変わってきております。また、赤字で書かれているところが新たに追加をされたものでして、こういったものについても新しく評価がなされました。

 個別の説明は割愛させていただきますが、例えば健康と産業・経済活動のところを見ていただきますと、前回は知見の不足により評価ができないというようなところが多かったものが、今回かなり評価ができるところまで知見が充実をしてきております。また、多くのものが知見の充実に伴い重大性が上方修正されましたので、この後さらに知見が充実した次にはどうなってしまうのかという点が課題でもございます。

 資料2-6は240ページほどの報告書の本体でございますが、こちらにつきましては、本日説明は割愛させていただきたいと思います。

 最後に、資料2-7をご紹介させていただきます。今回の取りまとめを踏まえて幾つか出てまいりました、第3次2025年に向けた課題でございます。

 まず、収集文献につきましては、文献の拡充が必要な分野・小項目がまだございます。十分ということはなかなかどの分野でもないのですけれども、特に産業・経済分野、国民生活・都市生活分野では他分野と比較してもなかなか文献がまだ集まってきておりません。また、重大な影響であるにもかかわらず気候変動等の影響が研究されていないことが課題になっている項目、例えば分野間の影響の連鎖等についてはさらなる調査等が必要となっております。

 評価方法につきましては、重大性の評価段階のあり方を一度検討し直す必要があるのではないかと考えられます。今回、重大性は2段階で評価を行いました。これは3段階で評価をするという根拠、この真ん中をどこで切るかというものの根拠がそろわなかったためでございます。このため、第1次と比較して5つの項目で重大性評価が上方修正されています。評価段階を固定すると、評価を重ねるにつれてほとんどのものが重大性が最高評価となってしまいまして、さらに小項目の割合がふえていきますので、メリハリをつけた評価というのがなかなか難しくなってきます。例えば2段階を3段階とか5段階にふやすですとか、重大性評価段階の見直しを行う必要があると考えられます。また、今回は社会・経済条件が生態系や国民生活に対する気候変動の脆弱性を高めている可能性については示されているものの、それら条件を考慮した将来予測といった文献は限定であったため、今回は評価できておりません。ただし、次回以降そういった研究も進んでくることが考えられますので、そういったSSPを考慮した影響評価方法を検討してまいりたいと思います。

 また、今回新たに追加した分野間の影響の連鎖に関する評価については、今後も、特に自然災害による分野間の影響の連鎖等の被害の激甚化が想定されることから、こちらについても今回行わなかった評価のあり方を検討していく必要があると考えています。

 さらに数多くご意見をいただきましたが、影響評価における適応策の扱いにつきまして、今後に向けて検討する必要があります。第2次影響評価では、第1次に引き続き主に気候変動による影響を整理しております。今後もこちらで影響のみを取り扱うか、分野別の適応策の普及状況を考慮して適応策の整理を含めるかどうかは再度検討が必要かと思います。また、緩和策と適応策の連携についても検討が必要です。例えば、サンゴ礁などでは2℃上昇でも影響が重大であることから、適応策のみで影響を低減させることには限界があり、その旨を今回は記載させていただいておりますが、そういった状況も踏まえて国内を対象として、例えば緩和策と適応策の連携やそれぞれの費用対効果の比較を行っている文献の充実など、そういったものを充実させることで適応策も含めた何らかの検討が必要ではないかと考えられます。また、意思決定のための適応策の考え方の整理もあわせて行う必要があると考えられます。

 2025年に向けた課題については、以上のとおりです。資料2の説明を以上で終了します。

○住委員長

 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対するご質問やご意見を伺いたいと思います。

○木本委員

 どうもありがとうございます。東大の木本です。

 中身は立派な内容で、中身のことではないことになるかもしれませんが、今回テクニカルレポートと言われるものを議論して、その後、本編ということなんですが、この「テクニカルレポート」という名前が僕は最初「概要編」と呼べばいいのではないかと思っていたのですけれども、見ますと、かなり大部で、結構細かい項目分けをして書いておられる。そうすると、本編とテクニカルレポートというのはどの辺が違うのだろうか。初めて聞いた人は、30分ぐらいで概要が知りたいのだけどその場合はどれを読んだらいいのだろうかみたいなところがちょっと戸惑うのではないかなと思いましたので、そのあたりの全体の構成、位置づけについて教えていただけないでしょうか。

○住委員長

 ありがとうございます。

○気候変動適応室 室長補佐

 どうもありがとうございます。「テクニカルレポート」という名前がちょっとわかりにくかったかもしれません。イメージといたしましては、概要版というよりはむしろ詳細版でして、科学的知見を引用しながらきちんと知見に基づく記載をまとめたものというものがテクニカルレポートでございます。ぱっと読みたい方は、本編のキーメッセージだけを読んでいただくということを想定しております。また、本編をもとに簡易版のパンフレットなども今後作成させていただく予定でして、そこで今回の影響評価報告書でお伝えしたいメッセージというのが一般の方にもわかりやすく伝わるような表現ができればと考えております。

 以上です。

○住委員長

 よろしいですか。それでは、そのほか何かございますでしょうか。

○高薮委員

 気象研の高薮です。お聞きしたいことが幾つかあるのですけれども、1つは、複合災害と分野間の連携ということをかなり強調されましたけれども、分野間の連携と複合災害の区別がちょっと私はわかりにくかったのと、あとこの分野間の連携の話を持ち出してくると、さきの7分野の取りまとめとどういうふうにうまく整合させるのかというところ。多分2-2をちゃんと見ればわかるのかもしれませんが、ちょっとよくわからなかったので教えていただきたいと思います。

○気候変動適応室 室長補佐

 ご質問、どうもありがとうございます。複合災害と分野間の連鎖の違いにつきましては、まず複合災害については、イメージとしては自然災害分野の中で災害が一度に起きるというようなことを想定して記載をしております。

 例えば、事象としては大きな台風があったときに、それにより土砂災害が起きて、土砂災害が河川もせきとめて洪水も起こすというようなものが想定されますが、一方の分野間の連鎖については、例えば同じ災害でも、災害が起きてそこで何らかの洪水・氾濫が起きて、それが別の分野に対して何らかの影響を与える、もしくは災害に限らずとも分野間の連鎖というものはさまざまなところで起きますので、そういったものを幅広く扱ったということでございます。

 それから、各分野においてそれぞれ取りまとめた中に、これらと重複する記載がもちろん入っておりまして、若干その中と重複はするのですけれども、分野間の連鎖という事象そのものに着目して取りまとめたのが最後の3-8でございます。

○住委員長

 よろしいですか。

○高薮委員

 わかりました。ありがとうございます。

○住委員長

 では、高橋委員。

○高橋委員

 国立環境研究所の高橋です。よろしくお願いします。

 資料2-7につきまして、第3次の影響評価に向けた課題の一番下の段で「緩和策と適応策の連携」というのがあります。ここで記載されている記述内容に違和感を感じたので指摘させていただきます。

 これまでの第1次、2次の影響評価の中では、緩和策が大きく行われたケースとそうでないケースというのがRCP2.6と8.5の比較、あるいは2℃と4℃の比較の形で明示的に扱われ、それぞれの条件下でどんな影響リスクがあるのかが整理されてきました。さらに、研究知見が今後に充実した場合には、適応策を多く入れた場合、そうではない場合と場合分けし、緩和の水準と適応の水準について総当たり的に影響リスクを整理していくのだと理解しています。一方、ここで書かれているのは、緩和策と適応策の両方の効果を持つような対策をどう考えるかといった点に注目しているようであり、混乱があるようです。整理、検討が必要ではないかなと感じました。

以上です。

○気候変動適応室 室長補佐

 ご指摘、どうもありがとうございます。ここを記載させていただいた趣旨といたしましては、確かに影響評価報告書に記載する際は、こういった場合の2℃上昇、4℃上昇の場合について、緩和策はこういう状況で、適応策はそれに対してこうでといったような費用対効果も含めた、先生おっしゃるように総当たり的な記載をさせていただくのが妥当かと存じます。また、ここで適応策の考え方の整理を書かせていただいたのは、どうやって適応策を進めていくかということについては、適応計画ですとかそういった意思決定の部分でやるべきものかとは存じますが、ただ、どういったものを適応策としてここの中に入れ込むかという時点で、まず適応策とは何ぞやですとか、どういったものをやるのかといったところの整理が事前に必要となりますので、そういったことも含めて全体的な整理を行いまして記載させていただきたいという趣旨で書かせていただきました。

 ただ、ご指摘のとおり、影響評価の域を超えた、どういうことをやるべきかみたいな表現になってしまっている部分があるかとは思いますので、記載ぶりについては精査させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○住委員長

 ありがとうございます。そのほか。

○江守委員

 国立環境研究所の江守です。

 僕は3つあるのですけれども、その前に、先ほどの木本さんのコメントを聞いていて思ったのは、恐らくIPCCの報告書と比較してイメージを持つときに、IPCCの場合はメインチャプターというのが本体と言われていて一番分厚くて、テクニカルサマリーというのがその次に薄いのですよね。それのイメージでいくと、本編というのがサマリーになっていて、テクニカル何ちゃらという名前がついているものが分厚いというのがそれと逆のイメージなので、恐らく先ほどのような質問が出たのかなと思いました。

 質問ですけれども、1つは、資料2-1の裏面で影響項目に●がついているのが新たな影響事象ということなのですけれども、これがどういった意味で新たなのかを教えていただきたいと思いました。例えば、最初にある「作物の品質・収穫の低下」というところに●がついているのですけれども、これは何か昔からよく聞いていたやつだし、前の報告書にもきっと載っているのではないかなと思ったので、余り新たな感じがしなかったので、ほかにもあるかもしれませんが、何が新たなのかというのを教えていただきたいと思います。それが1つ目です。

 2つ目は、資料2-4-2の分野間の影響の連鎖なのですけれども、これはこういったことをまとめるのは非常に重要だというふうに思いましたが、どれくらい文献に基づいて例えばこの図がつくられているのかなと。それを教えていただきたいと思いました。といいますのは、我々のグループの国立環境研の横畠主任研究員が割とこういった論文を書きましたので、それとかが一部、あまり日本にはフォーカスしていないですけれども使えるかもしれないし、あるいはこういうのが必要なのであればこういった観点から我々はもっと論文を書いていかなくてはいけないのかもしれないなと思った次第です。それが2つ目です。

 最後に申し上げたいのは、いわゆるティッピング現象といいますか、不確実だけれども、起こるかもしれない不可逆な大規模事象みたいなものというのが、一般的に言うと気候変動リスクではよく注目されるわけですけれども、そういうものというのが何らかの形でこういうレポートに入ってこなくていいかなというふうに思いました。そういったことの日本の適応計画への願意というのは必ずしも直接的でないかもしれませんけれども、この影響評価の報告書というのは適応計画のベースになると同時に、国民に対して気候変動リスクに関するメッセージになっているのではないかと思いますので、そういうことがあるよというのをコラムのような形かわかりませんけれども、情報提供として入っている必要があるのではないかと。最近グリーンランドのティッピングが近いのではないかとかアマゾンのティッピングが近いのではないかということがかなりメディア等でも話題になっていますので、そういった情報がもしかしたらこれは25年度への課題になってもいいかもしれませんけれども、ご考慮いただければと思います。

 以上です。

○住委員長

 どうもありがとうございました。

○気候変動適応室 室長補佐

 ご質問、どうもありがとうございました。

 まず最初のテクニカルレポートにつきましては、かしこまりました。先生方のご指摘を踏まえて、名前については再度検討させていただきたいと思います。

 また、ご質問、ご指摘3つのうち、まず1つ目ですけれども、資料2-1の新たな影響事象は何かというものなのですが、例えば農業については作物の品質・収量の低下が新たに示された作物・種類がございますので、そのような意味での新しいというものでして、このようにまとめてしまうと個別については書き切れていないのですが、今まで確認されていなかった影響が出たものを含むものについて●がついております。

 続きまして、2つ目の2-4-2の分野間の影響の連鎖でございます。こちらにつきましては先生方にご相談をさせていただきながら、論文になっていない事実関係の整理というものからの引用も多いので、事務局のほうで執筆させていただいたというものが多くございます。こちらについてまだ知見等不十分な部分はあるかと思いますので、ぜひ先生方が既に書かれている論文ですとかそういったものについて情報提供をいただけると、こちらに追加、反映させていただきたいと思いますので、これからどうぞよろしくお願いいたします。

 また、最後のご指摘のティッピング現象につきましては、細かく見るとそれぞれの、特に自然生態系のレポートの中に、絶滅してしまうですとか、そういったことについて現象が書かれております。ご指摘のティッピングポイントを超えてしまうことに対しての警鐘を鳴らすというのは環境省としても非常に重要なことだと考えておりまして、キーメッセージの一つにそういったことも入れ込んでぜひ発信していきたいと考えております。今回キーメッセージを作成する意図としては、先生ご指摘のとおり、世の中に対してこういった気候変動リスクがあるということを認識していただきたいという特に強いメッセージを出すためのものですので、ご指摘を踏まえて文案を作成してまたご確認いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○住委員長

 どうもありがとうございました。そのほか。安岡委員。

○安岡委員

 ありがとうございます。2点挙げます。両方とも手短に言います。

 1点目は、地域特性についてです。これは私も推進費のお世話をさせていただいていて、適応法が通って各地方自治体がいろいろな取り組みをしようとしているわけですが、地方の方が読んだときに自分たちのところの影響はということに対してどうも直接的な答えが行かない。例えば高山地域とか寒冷地域というような言葉でのものはあるのですけれども、個別の地域について一々挙げる必要はないと思いますが、地域に対してどういうふうにこの報告書が扱っているかという記述は冒頭で書いておいたほうがいいのではないかという気がいたしました。どうしても論文を中心にするとやや一般化された形で出てくるので、地域に特殊なカスタマイズしなければいけないようなことについては記述が落ちてしまうのではないかということを懸念しましたので、コメントをいたしました。これが1点目です。

 2点目は、先ほど木本さんもおっしゃいましたけれども、テクニカルレポートから全体に上がっていくときに概要の仕方によって中身が変わっていっている部分がある。例えばきょうのテクニカルレポート、資料2-6の一番冒頭の農業の分野の水稲という部分がありますが、ここでは現在の状況についても将来の状況についても一等米比率の低下というかなり重要な記述が書かれています。ところが、概要版に行くとその記述がなくなるのですね。これは2つの意味があって、概要版だけを読まれる方が、興味があるところはどこにおりていけばいいか。特にこれから全体をまとめたキーメッセージが書かれたときに、それを読んだ方がここの部分はどこを見れば詳しく書いてあるのだろうかというのが非常に引用しにくい。上のほうから下のほうへの引用のしにくさというのがあるので、重要なポイントについては工夫をしていただいたほうがいいかなという気がしました。

 逆に下のほうで書かれていることで上に上がっていくのは、これは書かれる方の主観にもよると思うので、必ずしも全部それを入れ込む必要はないと思いますけれども、若干の工夫が要るのかな。さっきの一等米じゃない、何か言葉が下ではたくさん使われているけど概要版では出てこないというようなことが出てくると混乱するのではないかなという気がいたしました。

 以上2点です。ありがとうございました。

○住委員長

 ありがとうございました。

○気候変動適応室 室長補佐

 ご指摘、どうもありがとうございます。

 まず、1つ目の地域特性につきましては、今回は影響評価をとりまとめる際も、まずは全国影響を先に記載させていただいて、その後に地域のものを記載させていただくというような方式をとらせていただきました。また、先生の2つ目のご指摘にも関連しますが、概要ですとか概要版について取り上げる際には、主に全国影響が見られるものを優先的に取り上げるというような形とさせていただいております。

 そうした中でもかなりの分量にはなりますし、基本的に日本全国の影響評価だということで、大筋としてはそのような方向で取りまとめたいとは考えますが、一方で地域について落ちてしまうということ、それからどういうふうに扱うということを明確に示しておく必要があると思いますので、ご指摘を踏まえて地域の取り扱いについてどこかに明示的に示させていただくように検討したいと思います。

 また、概要の取りまとめ方によって重要なポイントが落ちてしまっているのではないかというご指摘、ありがとうございます。そういったことがないように取りまとめたつもりではございますが、一部申しわけございません、まだできていない部分がございました。こちらの意図としては、先生が懸念された、まさにそこの部分のための概要でございまして、概要を見てここ興味があるから詳細版を見てみようというふうに見てみて詳細がわかるというように追えるようになることが非常に重要ですので、ご指摘を踏まえて事務局でも再度精査させていただきたいと思います。また、先生方におかれましてはそういった、ここの部分が概要にも入るべきではないかといったような部分がございましたらメール等でお知らせいただけますと大変こちらの参考になりますので助かります。

 以上です。ありがとうございます。

○住委員長

 ありがとうございました。そのほか、ございますでしょうか。中北委員。

○中北委員

 京大の中北です。ありがとうございます。

 最初の1つは、先ほどの本編テクニカルレポートですけれども、ワーキングに参加している身ではあるのですけれども、慣れるまですごく時間がかかりましたので、本編のほうが詳しい、テクニカルレポートが概要版というほうが入口としては皆さんわかりやすいかなというふうに、裏切るようですが今思いました。

 もう一つは、資料2-7の「適応策の扱い」のところで、影響評価における適応策の扱いをどうするかと書いてありますけれども、適応法も施行されて、ただ、地域の適応、コンソーシアムですか、というので動きを加速されている中で2025年に向けては、整理されたものだけでも、この影響評価報告書の中に簡単でいいので適応策の記述も、入っているほうがいいと私は思います。ただ、適応のどういうプロトタイプ的なものがあるかということを考えると、地方行政の方を含めるともっと早くいろいろ知りたいというニーズはあると思いますので、そういう場合に関しては例えばこの影響評価のレポートと同じように、適応策のレポートみたいなものを考えていくということもあり得るのかなと思いました。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。

○気候変動適応室 室長補佐

 ありがとうございます。ご指摘を踏まえて、また今後詰めさせていただきたいと思います。

○住委員長

 そのほか。磯部先生。

○磯部委員

 ありがとうございます。2点あります。まず、資料2-1にポイントというのがあって、そこで緊急性が整理してあって、最終的には次回2025年に向けてに対する意見になるのですけれども、緊急性の評価について影響の発現時期が迫っているから緊急性が高いのと、適応を早くやらなくてはいけないから緊急性が高いのと両方勘案してというふうに書いてありますが、これは次回に向けては、できたらそれが両方わかるように評価すべきではないかという気がします。

 例えば海岸浸食であれば、砂浜の浸食というのはすぐに進むわけではないから緊急性はある意味で低いわけですけれども、手を打つとすればもうすぐにでもやらないといけないという意味があって、それが現状では緊急性は低いということになっていますからちょっとのんびりしてしまうという懸念もあるので、そこら辺がわかるように、資料で言いますと2-7の次回に向けてというところになると思いますけれども、ご考慮いただけたらと思います。

 もう1点ですけれども、資料2-4-2の説明で分野間の影響の連鎖というのがありましたけれども、それぞれの7分野がかなり1つのまとまったものになっているので、それに対して矢印が引いてあって、どんな連鎖があるのかというのがやや個別的で、それぞれの7分野という大きな分野全体とのやりとりではないような感じなので、できたらこれも次回に向けてバージョンアップするときにはそれぞれの、例えば自然生態系の中でも少しキーワードを中に幾つか入れるようにして、そのあるキーワードと別の分野のあるキーワードがかなり連鎖するとか、具体的にわかりやすい表示にしたほうがいいのではないかと思いました。私の頭の中にあるのは、90年代に温暖化の問題がかなり急激に出てきたときに、欧米諸国、特にオランダなんかでつくった影響伝播図というのがあって、これは全体が一枚の図に連鎖が描いてあったと思いますけれども、それがイメージできるような、そんな図になるといいなと思いました。今回のものということではなくて、次回に向けてという2-7の資料があったので、ご意見申し上げます。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。では、天野委員。

○天野委員

 1点です。資料2-4-2の、先ほど来たくさん話題になっていますけれども、分野間の連鎖について1つ意見を出します。

 5ページの図ですけれども、「自然災害・沿岸域」というのが気候・自然的要素、要は気候変動の出だしのところに一緒になっていますけれども、災害というのを考えたときに、例えば洪水の量というのは自然な話かもしれませんが、災害というのは社会の脆弱性ですとか防災の力によって随分災害の規模というのは変わるものですから、自然災害・沿岸域というのがいきなり出だしのところにあるということに違和感があります。高潮ですとか強風、こういったものにつきましては気候・自然的要素でいいと思うのですけれども、自然災害・沿岸域というのが一番左にあって、人間の社会的な要因が入っていないように見えるのがちょっとどうかなと思っております。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。よろしいですか。

○気候変動適応室 室長補佐

 どうもありがとうございます。

 先ほどの磯部先生のご指摘と今回の天野先生のご指摘を踏まえまして、もう一度5ページ目の分野間の影響の図を修正させていただきまして先生にお諮りしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

○住委員長

 ありがとうございます。では次、高村委員。

○高村委員

 高村でございます。3点申し上げたいと思います。

 今議論している影響評価報告書が将来の適応策の強化につながるという点でもそうですし、欠けている、あるいは求められる科学研究の分野、その取り組みに対してメッセージを送るという意味でもなんですけれども、今回改めて取り扱ってくださっている分野ごとの影響の連鎖の評価。この呼び方をどうするかというのはありますけれども、こうした分野間の影響の連鎖というのをきちんとハイライトしていただいているというのは非常に重要だと思っております。

 ぜひこれは、私としては本編の先ほどあった第1章のキーメッセージの中にうまく入れていただきたいなと思っているのですが、この説明にもございましたけれども、特に昨今の状況を見ると台風などの極端現象がこうした連鎖を呼んで大きな影響、経済損失を引き起こし、国民生活に大きなダメージを与えていると、そういうトリガーになっていると思っております。そういう意味で、こうした、今申し上げました極端現象、特に直近のところですけれども、極端現象に伴った影響のこうした連鎖というものについてきちんと国民に伝わるような形でハイライトしていただきたいと思っております。

 そのときに、この間の適応策あるいは緩和策、長期戦略等々にかかわるところでも調べてみて間違っていたら修正していただきたいのですけれども、例えば台風等々のその経済損失のデータ等は都道府県別あるいはその分野ごとにはそうした損害額のデータ等がとれるのですけれども、日本全体としてこうした極端現象に伴ってどれだけの影響、特に経済損失があったかというデータが、あるいは少なくとも公表されるものがないように思っております。これは分野間の影響の連鎖が重要だと申し上げたのと伴って、さらにこうした影響の連鎖についてきちんと行うべく研究なり統計上の課題といいましょうか、そうした問題についても特定、確認といいましょうか、記載ができるといいのではないかなと思います。戦略のときにも幾つか、2018年の西日本豪雨の傾向等を確認していただいたのですが、そのときにそういうデータが公式にはどうもなさそうだと。実際使いましたのは、結果的に北米の損害保険会社のデータを使って記載したと記憶をしております。

 2点目でありますけれども、今の点にもかかわるのですが、産業・経済分野のところに特に関係させていただいているのですけれども、書きぶりかもしれませんが、若干気になっているところがございます。2-7にありますように科学研究の成果が少なくて文献の拡充が必要、科学研究の充実が必要だというのは間違いがないのですけれども、これはワーキングの中でもあるいは委員会の中でも申し上げたかもしれませんが、特に産業・経済の分野の影響評価でこうした文献が少ないというのは一定この分野の特性があるというふうに思っております。影響の連鎖の話をしましたけれども、影響がそうした連鎖の中でさまざまな因果関係の中で複合的に生じる、あるいは産業の情報の秘匿性の問題ですとか、それぞれの業態によってかなり個別的で一般化しがたいとかですね。したがいまして、科学研究の課題だけではなく、資料1-2で書いていただいているのですが、この間グレーリテラチャーといういわゆるレビューを受けた学術論文に限らないものも含めて見ていると思います。

 ただ、こうした産業・経済分野の特性を見たときに、グレーリテラチャーとしてだけ、ある意味で学術論文よりも価値が低いものとして見ていいのかというのは正直悩むところがございます。先ほどの特性から言えば、むしろ企業がみずから評価をしている、あるいはデータを集めたものの価値というものは逆に特に実際に現に起きている影響の評価という点ではむしろ極めて的確に示していて、こうした第1次情報といいましょうか、データをどう集めるかという課題でもあるように思います。したがって、申し上げたかったのは2-7のところの課題というのが、単に科学研究の課題としてだけ捉えられないような記載にしていただきたいということ。1-2のグレーリテラチャーのところももう少し、より実際のデータの把握も含めて広いデータを把握することが必要だという点については指摘をして反映していただけるといいなと思っております。

 最後は簡単でございますけれども、適応策につなげる、あるいは科学研究の課題を明らかにするという意味でも、先ほど安岡先生が地域の観点でおっしゃいましたが、同時に企業等々の経済主体がどうこれを見て使えるかという観点からいくと、まだやはり影響評価あるいはそのための学術研究の課題というのもあると思っていまして、それについてもぜひ地域とあわせて研究していただければいいなと思います。

 以上でございます。

○住委員長

 どうもありがとうございます。よろしいですか。

○気候変動適応室 室長補佐

 ご指摘、どうもありがとうございました。

 まず、2点目、3点目につきましては、ご指摘を踏まえて検討をさせていただきたいと思います。

 1点目につきましては、分野間の影響の連鎖につきましてどうもありがとうございます。キーメッセージに入れてハイライトをさせていただきたいと思います。また、台風などの損害額、影響の連鎖も含めてということですけれども、2020年度から始まります環境省の推進費S18においても、1つの災害といったところからマクロな経済評価も検討するということが対象として入っておりますので、そういった機会を使いまして、できるだけデータ蓄積に貢献していきたいと思います。

 以上です。

○住委員長

 それでは、沖委員。

○沖委員

 ありがとうございます。手を挙げていなかったのですが、もしよろしいのでしたら私としては、若干ティッピングポイントなんかについては少し慎重になったほうがいいのではないかと思っていまして、気候変動が実際にこれからどのぐらい深刻化するか、それがどのような影響を及ぼすかということに関する科学的知見の信憑性とティッピングポイントが生じて、それがどのような影響を及ぼすかということに関する科学的知見の信憑性とはかなり大きな違いがあって、それらを同一の文書で扱うということに対してはむしろ前者の信頼性に対して異議を生じさせるような結果になる可能性があるのではないかというふうに少し懸念いたします。

 以上です。

○気候変動適応室 室長補佐

 コメント、どうもありがとうございます。

 ご指摘を踏まえて。ただ、1つの文章の中でも両論あるということで注意喚起をするとかいろいろな記載の方法があるかと思いますので、文言をよく精査させていただいた上でまた皆様にご相談させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○住委員長

 それでは、鬼頭委員。

○鬼頭委員

 鬼頭です。私の発言は、プラスの影響のことについてです。

 報告書を中立的なものにするためにプラスの影響をマイナスの影響と一緒に扱うということが前回からもやられていて、今回も幾つかのところでは書かれているのですけれども、細かく見させていただくと、私が考えても、ほかにこういったプラスの影響があるのではないかというのが幾つか見受けられます。これは恐らく高村先生も指摘していた、どういった報告書、文献があるかということにもよると思うのですね。プラスの影響に関しての文献を誰も書きたがらないとか。そういったことになってきますと、全体の報告書自体がバイアスが出てくるような気がいたしますので、そういったところ何らかの対応を、どこかに注記書きするとか、そういった対応が必要ではないかなと思いました。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。

○気候変動適応室 室長補佐

 ありがとうございます。特に農業分野ですとかレジャーに関連する分野においてそういったプラスの影響を記載させていただいたかと思いますが、足りない部分ですとかもしくは文献のご紹介でも何でも構いませんので、何かお気づきの点があれば具体的にコメントいただけますと、そちらを踏まえてさらに調査等を進めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○鬼頭委員

 はい。細かいことに関しては、別途メールでお伝えしたいと思います。

○住委員長

 ありがとうございました。では、安岡委員。

○安岡委員

 皆さんの意見を伺っていて、少し気がついた点です。

 せっかく5年に一度のレポートを提出するということを考えると、一般の方々が読むときに前の5年間と何が違ったかというのをまず見てみたくなることがあると思います。そこで私の提案は、どこかにこの5年間の変化、つまり物理的な変化、もちろん気温の上昇とか何とかというのは本論のほうで全部降水量も含めて書かれると思いますけれども、エポックメーキングな事象をまとめて書いておいてはいかがかなという提案です。

 例えば、社会的な影響としてはSDGsが始まったとか、もちろんパリ協定もありますし、5年間の間にどういう環境影響の分野のイベントがあったか、物理的な環境変動も含めて何らかの形でまとめていただけると、5年に一度の報告という意味合いがよくわかるのではないかなという印象を持ちました。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。

○気候変動適応室 室長補佐

 どうもありがとうございます。イメージとしましては、そういった国際的な取り組みですとか、例えば昨年の台風19号、デング熱がはやったとか、そういった影響でのものから幅広くこんな変化が起こった5年だったよというような年表のようなものを例えば本編のコラムとして追加するとか、そういったイメージでよろしいでしょうか。

○安岡委員

 はい、書き方はいろいろあると思います。どこかに全部をまとめてしまったほうが読みやすいとか、それぞれのところでまとめたほうがいいとかいろいろあると思いますけれども、ご検討いただければいいかなと思いました。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。では、石川委員。

○石川委員

 JAMSTECの石川です、よろしくお願いします。

 先ほどから何度も出ていますけれども、複合的な影響の連鎖というのが外出しにされたのは非常によいことだと思います。一方で、その中身を見ていると、幾つか個別のところで書かれているものもあって、そのあたりをもう一度きちんとわかりやすく整理していただけると助かります。

 例えば生態系サービスというのが自然生態系の中に入っていますけれども、その中にはレクリエーションというのはまさに観光業の関係しているところで、産業・経済活動を見ると自然資源を活用したレジャーというのが入っていて、これは多分両方ここに入っているのですけれども、これがそれぞれのところで出てくるのか、それとも別出しにして複合的なところで出てくるのかというのはよく整理していただければと思います。さらに、それが本編と書かれているものですかね、全体のところからきっちりと追えるような形というのを意識していただければと思っています。

 もう一つは、分野間の連鎖のところで適応策というのが今回は入ってこないとは思うのですけれども、適応策に関してシナジーなのかコンフリクトを起こすのかというあたりをわかるようにすると、この分野の影響の関係というのがよりわかりやすくなるのではないかというふうな感じを受けました。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。何かレスポンスありますか。

○気候変動適応室 室長補佐

 ありがとうございます。ご指摘を踏まえて修正を検討させていただきます。なお、影響の連鎖につきましては、基本的には個別の分野と影響の連鎖と、両方で重複して今のところ記載をしておりますので、そういったこともわかるような形で書かせていただきたいと思います。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。ほとんどそのほか手が挙がっていないようですので、時間も来ましたので、このあたりで質疑応答は終わりにしたいと思います。

○住委員長

 それでは、次の議題は「今後の進め方について」でございます。環境省より説明をお願いしたいと思います。

○気候変動適応室 室長

 それでは、資料3-1「今後の進め方(案)」の資料です。

 本日、のご議論を踏まえ、追加の知見をさらにインプットしていきたいと思っています。その後、分野別ワーキングで議論いただき、春から夏に開催を予定しています小委員会でさらにテクニカルレポート(案)と本編(案)について議論いただく予定になっています。その後、パブリックコメントを経まして、最終的に今年中に報告書をまとめ、さらにその報告書を踏まえて気候変動適応計画の改定を来年度予定していますけれども、これにつなげていくことを考えています。

 本日は、WEB上ということもあり、十分なご意見をいただけていないところもあるかと思います。また追ってご意見をいただけますと、さらに反映できるかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。

 それでは、今のご説明に対してご質問やご意見がございましたら、お申し出いただければと思います。―ないようですので、次の議題に移りたいと思います。

○住委員長

 最後の議題は「その他」でございます。環境省より説明をお願いします。

○気候変動適応室 室長補佐

 「その他」といたしまして、気候変動の影響観測の推進に向けた検討チーム、それから気候変動予測及び影響評価の連携推進に向けた検討チームからの中間報告をご紹介させていただきたいと思います。

 まず、資料4-1でございます。こちらは気候変動予測と影響評価の連携推進のチームのほうでございます。

 両チームともに平成29年3月の中央環境審議会中間取りまとめ、こちらでのご指摘を踏まえまして、まずこちらのチームについては気候変動予測と影響評価の内容を体系的に整理して連携を進めるということを目的に設置をされました。

 第1期につきましては、平成29年度から30年度の2年間、昨年3月の小委員会で報告書を出させていただいております。その後、今年と来年でもう2年間続きの検討をしていただくということになりました。まず、第1期については、それまではあまり対話の場というのがなかなかなかった気候変動予測のチーム、それから影響評価研究のそれぞれの先生方、第一人者に委員としてお集まりいただきまして、連携推進に必要な対応を検討しております。

 第1期につきましては、ここにございますように、連携に必要な5項目を設定し、課題及びアプローチ案について整理いただきました。第2期は、これらを踏まえて現状の課題及び気候予測・影響評価・情報の利用のあるべき姿に関する共通の認識をまとめるところ、そうするためにどうやっていけばいいのかというような具体的な方法を考えることを目的としております。なお、第1期においては主に研究者間での連携ということを想定していましたが、今回はさらに特に影響評価側で地方公共団体が情報を受け取ったときにどうするかといったことで検討対象を少し拡大させていただいております。

 さらに現在の課題から今後何をすべきかということを検討するフォアキャスト型、また逆に将来あるべき姿から今何をすべきかを検討するバックキャスト型の手法を組み合わせて連携推進のためにいつまでに何に取り組むかということをご検討いただいております。来年の3月には、委員による1提案として第2期の報告書を取りまとめていただきまして、来年改定予定の気候変動適応計画への貢献を目指しております。

 また、今回中間報告をいただきましたので、こういった議論の方向性を踏まえまして気候変動影響評価報告書の、今のところ「本編」という名前のものに、反映させていただきたいと考えております。

 今年度行われている検討内容につきましては、後ほど高薮先生からも少しコメントを補足いただきたいと思いますが、まず第1回の報告書で出てきた内容について特に2030年の影響評価報告書、つまり今後10年間で優先的に取り組むべき事項を15項目抽出いただいております。例えば気候シナリオについてはレポート、データ、ガイダンスのセットとすること、ユーザーのニーズの反映としてリクト海のリンケージをつくること、それから海洋モデルの高度化を行うことですとか仲介する人材を育てたりデジタル化を進めたりというようなことが委員によるアンケート等で出てきております。

 また、第1回報告書ではあまり言及されていなかった事項として、連携の分野につきましては例えば山岳域と雪のシナリオを検討・開発するというようなニーズが高いことですとか、人口動態などの社会シナリオを検討に含めることなどが挙げられております。また、地方公共団体をエンドユーザーとして考えたときに簡易的に予測を行える仕組みですとか経済評価に関する知見を拡充するといったことが挙げられております。

 また、あるべき姿からのバックキャストとして挙げられたこととして、ここに記載させていただいたように、将来あるべき姿からまず2030年に向けて何をすべきか、その前の2025年に何をすべきかというような形で検討をいただいております。

 この中で明らかになったギャップといたしまして、不確実性を網羅する気候シナリオ・影響評価が必要な一方で、対策をとる側、適応策を考える側では蓋然性の高い1つの予測と最悪ケースに絞ってほしいという要望も強くあるというギャップを再度確認されました。また、対策側では、季節ごとですとか10年先ぐらいまでの影響予測の需要が高いのですけれども、こちらについては予測の技術的なハードルが高く、相互理解の促進と、それから例えば10年先に向けてこのシナリオに基づいて影響評価を行って、それに基づいて適応策をとったけれどもそういうふうにならなかったとしたときに、どういったところに責任があるのかといったような責任範囲の明確化についても行うべきであるというような議論、ご意見も出ました。

 また、特に自治体ですとかいろいろな多様な主体と連携するに当たって、例えばモデルケースとして自治体と共有するとかデータの標準化とオープンアクセス化なども必要というようなご指摘も出ました。

 今年度、中間報告として気候変動予測及び影響評価の連携推進チームとして検討されているような内容は以上のようなものになります。

 続きまして、資料4-2に基づきまして、影響観測・監視の推進に向けた検討チームの概要でございます。

 こちらも同じように、平成29年3月の中間取りまとめを受けて開始されたものでして、同様に第1期が平成29年度と30年度、第2期が令和元年度から2年度となっております。こちらについては、気候変動の観測と監視の基礎情報としてのデータの収集が必要という背景から、分野別に観測・監視の実施状況・必要性をまず第1期では把握しております。第2期については、さらにより幅広い分野での気候変動影響の観測・監視の現状把握を進めるとともに、各分野における観測・監視の実施・拡充の優先度について検討を始めております。

 まず第1期においては、ここに示されていますように大きな共通の課題、全体的な方向性が示されました。多様な観測主体により得られるデータの利用性の向上や多様な専門性を持つ関係省庁の連携ですとか適切な観測・監視の枠組みづくりといったことが挙げられました。今年度は、さらにそれを拡充、深掘りしております。

 ここで観測・監視の優先度の整理でございますが、こちらは気候変動影響の重大性、緊急性、確信度ということを踏まえつつも、ここでは観測があるかどうか、また観測の実施や拡充の必要性ということを踏まえて継続して優先的に観測をしていくべき、もしくはないけれどもやるべきといったような観測の重要性を取りまとめるとしております。これを来年度末までに、この右下にあるような形で優先度を整理していただくという作業をやっていただいているところです。

 観測・監視チームについては以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、予測・影響評価検討チーム座長の高薮委員、観測・監視チーム前幹事の肱岡委員から補足コメントがございますので、お願いしたいと思います。まず高薮委員、どうぞ。

○高薮委員

 高薮です。よろしくお願いいたします。環境省から大まかな説明をしていただいてしまいましたので、もう少し概要の話をさせていただきます。

 まずこの委員会、第1期2年間はユーザーさんとして、エンドユーザーまでは考えないで影響評価研究者を相手にしようということで始めました。というわけで結構狭いところから始めたのですけれども、委員さんは確かにいろいろな先生にお集まりをいただいたのですが、多分これでは声が拾えないだろうということで、第1期も2年度目でしたか、一回幅広く主に若手の人を中心に人を集めまして、オープンディスカッション、ブレークアウトディスカッションをしまして、いろいろな意見を吸い上げております。

 第2期は第1期とは逆に、今度はエンドユーザーまで幅広く含めるということで、委員の先生方にも自治体関係の委員さんにも数名加わっていただきまして実施しております。第2期では、ここに一見うまくまとまっているように見えますけれども、まだ初年度目ですので、これからまた今後やっていきますが、さっき環境省のほうからご紹介がありましたように共創のためのいろいろな課題も出てきております。またいろいろなギャップ、求める人たちが欲しい情報の、この年までに欲しいよというのと、どうしてもこの年までには出ないよと。そのあたりのギャップがあるので、そのあたりをどうやって埋めていくかというのが今後の話し合いになるかなと思います。

 実は、こういうディスカッション、IPCCの中でもディスティレーションというキーワードでかなり拾われてきております。ディスティレーションというのは蒸留ですね。お酒とかの蒸留と関係しますけれども、このようにユーザーとディストリビューターの間でコミュニケーションを十分とりながら必要な情報を出していくということですので、そちらに向けて今後も活動していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございます。では、肱岡委員。

○肱岡委員

 国立環境研究所の肱岡です。この検討チーム、先ほど高薮先生の検討チーム、いずれも国立環境研究所が事務局を務めておりますのでコメントさせていただきます。

 気候変動影響の把握や評価を行うために適応推進をするわけですけれども、その基本情報として既に起きている影響を把握するためには観測・監視のデータが重要であるということから、予測とあわせてもう一つの検討チームを推進させていただいております。

 データに関しましては、データの有無、不足しているところを明らかにするということで、各分野の先生にも入っていただきまして、さらに影響の重大性、緊急性等も含めまして、先ほどご説明ありましたように、観測の重要性等を考えながらジャッジメントで優先度を評価できないかを今検討している状況にあります。

 今回の影響評価報告書、さらには5年後の影響評価報告書に向けて、既に生じている影響を定量的に把握することができれば、より充実した報告書になりますし、今後適応策をどこから実施すればいいかの検討の指針になると考えまして、あと1年まとめていきたいと思っています。

 以上となります。

○住委員長

 ありがとうございました。

 それでは、今の2つの報告についてのご質問やご意見がございましたらお願いしたいと思います。

○野尻委員

 野尻です。中座しておりまして。今の件とも関係はあるのですけれども、こういった観測の分野や予測の分野とのリンクというのは非常に大事ですし、感心したのは予測のところで、対策側では蓋然性の高い一つの予測と最悪ケースに絞ってほしいという要望も強いというふうに書いてありまして、結構対策側をやる方にとってのシンプルメッセージというのが重要だなということがよくわかりました。

 それで、前の話にも戻ってしまうのですけれども、評価報告書のところで私が気になったのは、今回2℃でも重大な影響がより鮮明に見えてきたということがわかったということで、この評価報告書をつくる中では、章立てを見てみましたら3章のほうに日本における気候変動の概要というのがあって、4章が今回の影響評価で、その後、5章で取りまとめのような方向があるのですが、私思うのは、一般の人たちが何をしたら2℃で済むのかと。2℃でも重大な影響が出る、では何をしたら2℃で済むのか、何をしたら4℃になってしまうのかというのが対話をしてみると余りわかっていないのですよね。

 ですから、今回の評価報告書の多分5章と3章に関係するとは思うのですけれども、2℃でこういうことに重大な影響が出ますということがいろいろな文献情報が鮮明になってきた。そうしたら、どうしたら2℃で済むのか。2℃というのは非常に強い対策をもう求めているわけですから、物事を詳細にやるという先ほどの2つのチームのアプローチもいいのですけれども、実際に市民の方が行動する、企業の方が行動するというときに、シンプルメッセージを今回の評価報告書にも加えていただくべきだなと私は思いまして、この2℃での重大性、では2℃だとどれくらいの対策をしたら2℃になるの。これは世界中で強い対策をしないと2℃にならないわけで、日本はやらない、世界でやってもらうというならいいのですけれども、そうはいかないわけですから、どうしたら2℃で済むのかというようなメッセージも当然入ってきていいのではないかなと思ったので、発言させていただきました。

 以上です。

○住委員長

 ありがとうございました。そのほか、よろしいですか。

 それでは、以上をもって本日の議事を終了したいと思います。ありがとうございました。

 初めてこういうリモートで会議をしたわけですけれども、これをどういうふうに評価をするかというのは皆さんの判断だと思いますが、やはりフェイス・トゥー・フェイスのほうがいいような感じがしますけれども、これからもっと回線が速くなってきてセキュリティが強化されれば、もっとビジュアルにお互いの顔を見ながら話ができるようになると思いますので、その辺も含めて会議のあり方も検討していく必要があろうかと思います。

 それでは、事務局にお返ししたいと思います。

○気候変動適応室 室長

 本日は、議論いただき、ありがとうございました。

 委員長もおっしゃっておられましたとおり、WEB会議での初めての開催ということもありまして、かなりもどかしい部分もあったかと思います。追加でのご指摘、コメントなどありましたら、3月31日今月いっぱいまでで気候変動適応室の渡辺、また須藤までメールでお知らせいただけますと幸いです。追ってメールでもご案内させていただきたいと思います。

 本日のご議論の中で特に資料2-4、複合的な災害影響、それから分野間の影響の連鎖についていろいろなご意見をいただいたかと思いますが、更にいろいろなご知見もいただき改良していければと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

 また今日の議事録、それから追加で提出いただくコメントについては、事務局で取りまとめ、先生方にご確認いただいた上で環境省のホームページに公開する予定としています。どうぞよろしくお願いします。

 また、最後になりましたけれども、本日委員のご出席27名ということで過半数、定足数に達していることをご報告します。

 来年度も引き続きよろしくお願いします。次回の会議の日程につきましては改めて委員の皆様にご連絡します。

 以上で、本小委員会を終了いたします。今日はどうもありがとうございました。

                                        午後2時40分 閉会

追加コメント(チャット)

[【資料2-6】第2次気候変動影響評価報告書(テクニカルレポート)案]

○江守委員

「テクニカルレポート」が「概要版」だと別の混乱があると思います。IPCCの場合Technical SummaryはSummary for Policy Makersより「詳しい」ので「テクニカル」なわけです。「テクニカル」とか言うのはやめて、たとえば「概要版」と「詳細版」ではどうでしょうか。

○木所委員

そのほうがわかりやすいかと思います。賛成。

○木本委員

私も賛成

[ティッピング現象にいついて]

○江守委員

ティッピングの件。文献に基づいて不確実性を明示すれば、信頼性を損なうようなものにはならないと思います。

[連携と連携のメカニズムについて]

○木所先生

連鎖と影響のメカニズム(要因)の違いを明確にするのも重要な気がしています。農林水分野・産業経済分野は、連鎖と影響のメカニズムが近い内容になりやすい気もしています。それらを統合した内容を意図しているのであればOKです。後ほどご検討いただければ幸いです。

[差分・新しい知見関連]

○高橋委員

安岡先生が提案されていた「差分・新しい知見」に関連し、例えばIPCC-AR5-WG2の19章では19.3節・19.4節を使い「Emergent Risk」と呼んで特出しで整理しています。ご参考まで。後ほどご検討ください。

追加コメント

○天野委員

 p.179、16~20行

 ここで示された「治水計画規模の流量」に関する記述は、国交省の「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」の結果と思います。

 これらの数字は、全国109の一級河川についての変化予測の平均値です。このため、「全国109一級河川における平均値」と注釈をつけてもらった方が良いと思います。

 (計画規模が小さい中小河川においては、洪水生起確率はもっと大きくなる可能性がありますので。)

 ※p.179、21行目については、別の検討ですので、上記注釈は不要です。

○鬼頭委員

1:プラスの影響

 プラス/マイナス双方の影響を評価することが重要で、第1次および今回の第2次でも、その方針で取り組んでおられることは理解しています。資料2-6にも複数の事例が載っていることは確認しています。

 ただ全体にプラスの影響評価事項が少ないように感じました。プラスの影響評価に関する論文・報告が少なくなるというバイアスがあるのかもしれません。読者には、全体に中立に評価したという印象を与える必要がありますので、その点に気を配っていただけたらと思います。

2:プラスの影響の例

 積雪減少により、雪下ろし時の事故死(年間80人とどこかに出ていました)が減少する積雪減少により、自治体の除雪費用が減少する。

3:ポジティブかネガティブか

 暖房および給湯エネルギー消費量の減少

 →資料2-6のP.242には、「家庭によるエネルギー需要はネガティブな影響を被る、つまりエネルギー需要は低下する」とありますが、家庭によるエネルギー需要はポジティブな影響を被る、つまり、エネルギー需要が少ないことが国として望ましい(エネルギー産業にとっては需要が多いことがいいのでしょうが)、ではないでしょうか。

4:水資源(資料2-3)

 河川流量の減少には蒸発量増加の要因が大きいように考えますが、専門家の意見はいかがでしょうか。

○木所委員

分野間の影響の”連鎖”と、”影響のメカニズム(要因)”の違いが不明瞭に思われました。基本的に農林水産分野への影響は、自然生態系を介しての影響となることから、これを「連鎖」と表現してよいのかどうか、気になるところです。このあたりの整理は重要かと思います。

なお、連鎖としては、自然生態系を除く(生態系サービスそのものはOK)、分野間相互の影響過程を意図しているかと思われますので、そのあたりの整理をお願いしたいかと思います。

個人的には、自然生態系そのものは、メカニズム(要因)として別途、整理したほうが良いかと思われます。すでに資料5pの図1でも整理されているかと思われます。

一方、分野間の”連鎖”としては、気候変動に伴う地域的な特産品(水産物)の水揚げ減少は、観光業へも影響を与えることが想定されますので、このような分野間の影響のつながりとして整理したほうが、想定する意図としては良いような気もしますが、いかがでしょうか。

また、会議中のコメントにもありましたが、分野間の連鎖に加えて、分野間の”衝突”や”相乗効果”にも注目することが、影響を踏まえての適応を図っていく上で重要かと考えます。前述の水産業-観光業の例では、気候変動に伴う地域的な特産品(水産物)の増加は、観光業の発展にもつながり、適応次第では”連鎖による相乗効果”が想定されます。

ただし、学術的な文献としては、難しいかもしれません。

関連して、各分野でも資料5pの図1のような図を作成する計画となっているようですので、その際も、自然生態系分野を含めての”連鎖”と”メカニズム(要因)”との整理が必要かと感じました。

○田中委員

1.資料2-7の「影響評価における適応策の扱い」に関して、「第2次影響評価では主に気候変動による影響を整理し、とりまとめおり、今後は、気候変動影響評価報告書において影響のみを扱うか、適応策の整理まで含めるかは検討が必要になる」と整理している。

この点に関して、今後数年のうちに国レベルの気候変動適応計画が進捗し、先駆的な適応策が実施されて効果が発現し、その知見が次第に蓄積してくること、地域においても適応計画の策定が進み様々な分野で適応策の取り組みが行われること等を考慮すると、第3次気候変動影響評価に向けては適応策の整理まで含めることが適切ではないか。

2.資料4-1に関して、気候予測と影響評価の最終成果(到達点)として、各々の分野・現場での適応策の実施を想定することになるが、現場での適応策の実態分析の結果を踏まえると、具体的な適応策に求められる空間スケールや時間スケール等はその実態に照らして様々である。「気候予測と影響評価の連携推進」に際しては、こうした気候予測情報・影響評価情報の最終ユーザー、エンドポイントを十分に考慮しながら、気候予測等におけるデータベース、データセット、予測技術、影響評価技術の在り方を解明・開発することを期待したい。

○橋爪委員

資料2-1裏面「4.各分野の影響の概要」における「分野間の影響の連鎖」の掲載事項について「現在生じている影響」に「健康」が含まれていませんが、被害を受ける分野として「健康」を記載くださるようご検討いただければ幸いです。

資料2-4_複合的な災害影響・分野間の影響の連鎖には、台風被害として「人的被害」が最初に取り上げられていますが、「人的被害=死亡」は健康被害の最たる事象です。「医療」の記載がありますが、これは医療供給サイド(=医療施設等)の被害が主旨と想像します。また、「将来予測される影響」にも「健康」の記載がありませんが、資料2-4にある台風後の熱中症に関する健康被害との整合性を勘案いただければ幸いです。

○古米委員

資料2-4:分野間連携の部分は高く評価しております。p4で分野として健康、農業など、産業・経済、国民生活が選ばれているのは、他の分野から連鎖的に同じ色の矢印でつながっている分野が説明されていると理解しました。この図の説明を丁寧にするとより良いものになるかと思いました。その意味では、気候・自然的要素から健康にしか矢印がないのは連鎖でないようです。きっと、インフラ・ライフラインの線が片方だけや矢印につながっていることに関係しているのかと思いますが、違和感があります。図の中で、線の太さに違いがあるのは意味があるとは思えません。重大性を評価していないのですから。塩水化と濁度上昇は、自然災害ではなく、気候・自然的要素からの矢印のように思います。

○深見委員

資料2-6テクニカルレポートへの意見

前回のWGにおいて、「降水量の用語が、あまり厳密に定義されずにあいまいに使われているので、専門家は文脈から判断することで本当の意味を理解できても、一般の方にその正しい理解を求めるのには無理がある。ある場所で降水量が増大するといいながら、別の場所で降水量が減少する、と何の前提もなく書いてしまうと、一般の方・自治体の方を混乱させてしまう。」という趣旨の意見を申し上げました。

 今回の案を見ると、この意見を踏まえた何らかの対応が行われているとはほとんど思えない状況です。このため、少なくとも、私が直接関係する河川の洪水・内水、および、間接的に関わりのある水資源の部分についてのみで恐縮ですが、以下、私なりに再確認させて頂き、気づいた範囲の修正意見を記します。

<水資源>

P.96 7行:

 降水量の減少 → 年降水量の減少

p.99 10行:

 降雨規模の増加 → 例えば、「洪水・土砂災害を引き起こすような降雨の規模が増加」あるいは、「短時間降雨の規模が増加」でしょうか。

p.102 9行

 「一方、月降雨量の増加に伴う地下水位の上昇」とありますが、その直上部では、逆に地下水位の低下のことを書いています。矛盾する文章が並んでいるわけです。

 恐縮ながら論文を直接参照せずに推測で申し上げることをお詫びしますが、これは、おそらく、論文が対象としている地域の違いによるものではないでしょうか。

 そうであれば、その地域の違いを、この文章で直接言及するべきです。

 つまり、ここで、「一方、月降雨量の増加二伴う地下水位の上昇」といっていますが、それはどこの地域での研究成果なのか、ということです。おそらく、直上部で触れている関東平野北部ではないのだろうと推定します。

p.167 10行、16行 (専門分野外ですが、偶然目に入りましたので)

 降水量の「上昇」と「増大」で、これだけ近接した場所で用語が統一されていません。

 また、単に「降水量の増大」だけでは、意味不明です。洪水をもたらす降水事象の降水量増大なのか、月・年単位の降水量増大なのか、あるいはもっと別の意味なのか、ということです。原論文に立ち戻って確認し、書き分けが必要です。

p.169 8行

 上記に同じ

<自然災害・沿岸域>

p.177 12行

 「流域平均降雨量」とありますが、これだけだと年単位かもしれないし、月単位かもしれないし、あるいは日単位かもしれません。時間スケールや確率規模が不明です。しかし、実は時間スケールも非常にここでは重要な意味があります。

 その意味で15行目に「治水計画規模」という非常に便利な言葉が使われているので、この言葉を使わない手はないと思います。時間スケールと確率規模の両者を一言で表現しています。すわなち、「治水計画規模の流域平均降雨量」と書くべきです。

 なお、19行や21行で、単に「降雨量」と表記されているところがありますが、これらは、上記と同じ文脈であることは極めて明らかなので、ここは厳密に一つ一つ書く必要まではないと思いました。

p.177 欄外の注

 「10年の再現期間をもつ降雨量は、10年に1回の割合でそれを超えるような降雨量が発生することを意味し、」とあり、確かにこのような表現は簡易的に使われがちな表現ですが、水文統計学的には、極めて曖昧で誤解されやすい表現と私は理解しています。すなわち、この括弧内の「10年に1回の割合で」以下の文章は削除すべきであり、その次の部分にある年超過確率の表現のみで十分なはずです。

 よりわかりやすく親切に記述するのであれば、「10年の再現期間をもつ降雨量は、1年あたりの超過確率が1/10であることを意味し、10年間で一度だけ起きる確率は約39%、2度以上起きる確率も約26%あることを意味している。年超過確率が1/10の降雨量は、一度発生すれば10年間は決して起こらない、ということではない。」とする修正案ではどうでしょうか。

p.181 14行

 ここで言っている「大雨事象」の意味が、上で指摘しているp.177での治水計画規模の流域平均降雨量とは、全く意味が違うことを理解できる人が一体どれだけいるでしょうか。

 p.177では、河川流域平均での年最大規模以上の「治水計画上の対象降雨継続時間」スケールでの大雨事象のことを語っています。一方、ここでは、地点スケールでの日々の雨量規模の10分~数時間スケールでの大雨事象のことを語っています(のはずです。もし私の誤解でしたらお詫び致しますが。)。同じ頁の8行目や12行目枠内でも同じ表現がありますが、これは「概要」における表現として許すとしても、それを厳密に説明しているはずの14行目で、これをきちんと説明しない表現はまずいと思います。もちろん、時間スケール・規模については、一応括弧内で説明しているので、「地点スケール」「地点雨量」についての記述であることを明記して、p.177の流域平均降雨量とは異なる視点で書いていることが伝わるようにすべきです。(年のため原論文で確認頂きますようお願いします。)

その他全般:

 しばしば「大雨」「豪雨」などと、強い雨のことが様々に表現されて出てきます。これについては、私としては、過去の具体的な大雨事象の引用については「豪雨」(例えば平成30年7月豪雨)、そういった具体的な事象ではなく、一般的な事象として、あるいは将来の事象としての大雨事象であれば、「大雨」と、一応区別して書いているように読むことも可能のようにお見受けしたので、この点は、私の見た範囲内の限りにおいて許容範囲に収まっているか、と見たところです。

 もし、この理解が違っていたら、ご指摘ください。

「降水量」は「気温」とともに、気候変動影響を語る上でも最も基本的な要素と思いますので、私が直接確認していない他の部分についても、是非、論文の元の議論に沿った形での言及・引用をお願いしたいと思います。