中央環境審議会地球環境部会・総合政策部会炭素中立型経済社会変革小委員会(第1回)議事録

日時

 令和4年2月25日(金)17:00 19:00

場所

 WEBによる開催

議事

(1)炭素中立型経済社会への変革・トランジションに向けて

(2)その他

議事録

午後5時00分 開会

地球環境局総務課長

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会、炭素中立型経済社会変革小委員会を開催いたします。

 事務局を務めます環境省地球環境局総務課長の西村でございます。どうぞよろしくお願いします。

 本日の小委員会はWEBでの開催とさせていただいております。Youtubeの環境省動画チャンネルで同時に配信もしております。

 開催に当たりまして、6点ほどお願いをさせていただきたいと思います。

 まず、第1に、通信環境負荷低減のため、カメラの映像は原則オフでお願いいたします。ご発言の際のみオンにしていただきますよう、よろしくお願いします。

 次に、ハウリング等を防ぐために、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようにお願いいたします。

 三つ目、ご発言を希望される場合には、お名前の左側にある手のアイコン、挙手ボタンのクリックをお願いいたします。

 4番目、発言を終えられましたら、ボタンを再度クリックして挙手を解除してくださいますようにお願いいたします。

 5番目、もし挙手ボタンを押していらっしゃるのに事務局側が気づかない場合には、チャットでお知らせいただければと思います。

 最後に、通信トラブル等何かありましたら、チャットにご記入いただくか、事務局までお電話をいただきますようにお願いいたします。

 次に、本小委員会のメンバーでございますけれども、時間の都合により、名簿の掲載をもってご紹介に代えさせていただきます。また、地球環境部会・総合政策部会の部会長指名により、委員長を大塚先生、委員長代理を高村先生にお願いをしております。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、委員総数17名中16名の委員の皆様方にご参加をいただいておりますので、定足数の要件を満たしております。小委員会として成立していることをご報告いたします。

 また、委員のうち三日月委員は18時頃からのご参加となる予定です。また、広井委員におかれましては17時半頃まで、中村委員におかれましては18時頃までのご参加となる予定というふうに伺っております。また、オブザーバーの大下さんに関しましても、18時頃までのご参加というふうに伺っております。

 最後に、山口環境大臣、現在、国会のほうに出ておりまして、終了しましたらこちらに参加の予定となっております。また、務台副大臣が移動中でございますけれども、参加をしております。

 それでは、以後の進行につきましては、大塚委員長にお願いいたします。

大塚委員長

 委員長を拝命しております大塚でございます。どうぞよろしくお願いします。

 最初に一言、挨拶をさせていただきたいと思います。

 地球温暖化対策につきましては、この1年で大きな進展がございました。昨年の6月には、地球温暖化対策推進法が改正されまして、2050年カーボンニュートラルの法定化などが行われています。また、昨年の秋には、2030年度の新たな削減目標の実現に向けた新しい地球温暖化対策計画とエネルギー基本計画が閣議決定されております。2050年のカーボンニュートラル、さらに、2030年度の新しい削減目標の実現に向けて、これまで以上の取組を求められております。カーボンバジェットの考え方も重要になってきていると思います。

 サーキュラーエコノミーのGap Report 2021におきましては、サーキュラーエコノミーによって、温室効果ガスの39%が削減できるということがダボス会議で発表されています。また、ネイチャーベーストソリューション、今日もお話があると思いますけれども、これに伴ってGHGのかなりの部分は削減できると考えられています。脱炭素社会、循環経済、それから分散型自然共生社会を結合した地域循環共生圏の考え方が非常に重要になっていると言われるところでございます。

 また、EUにおきましては、2019年の末からグリーン・ディールが導入されておりまして、新しい環境市場の創出が始まっており、我が国も、これに対する対応をどうするかということも大きな問題となります。

 委員の皆様におかれましては、忌憚のないご意見をいただきまして、この小委員会の答申に向けまして積極的なご議論をお願いしたいと思います。

 では、早速議題に入りたいと思います。

 まず、議事の(1)でございますけれども、炭素中立型経済社会への変革・トランジションに向けてにつきまして、事務局から、背景につきまして簡単にご説明いただいた後でご議論いただく予定でございます。特に、ライフスタイル、暮らしの変革につきましては大きな論点でございますので、まとめてご議論いただきたく、事務局に続きまして西尾委員から5分程度のキーノート・スピーチをお願いします。また、後半には馬奈木委員、森田委員から、自然共生を含めたキーノート・スピーチも予定しておりますので、効率的な会議運営に向けて、どうかご協力をお願いいたします。

 それでは、まず、事務局から説明をお願いいたします。

脱炭素社会移行推進室長

 それでは、リモートから失礼いたします。環境省、地球温暖化、脱炭素社会移行推進室長の坂口と申します。

 資料1に基づきましてご説明いたします。これ以降、ビデオをオフにいたします。

 資料1の1ページをご覧いただけますでしょうか。

 次のページをお願いします。

 このページ、まず目次でございます。本日の構成でございますが、1ポツ、2ポツで今日の議論の背景についてご説明しまして、3ポツで、この小委員会でご議論いただきたい事項についてご提示するといった構成になっております。

 それでは、2ページ目をお願いいたします。

 まず、これは日本の現在地点ということでございまして、昨年の10月に新しい長期戦略と温対計画を閣議決定をいたしたところです。で、これらに掲げました中期目標、それから長期目標は、それぞれ1.5℃目標に整合するものとして設定をしているものでございます。これらの実現に向けて、経済社会変革の全体像を明確化していくということが求められるというふうに考えております。

 次、3ページ目をお願いします。

 こちらは、続いて世界の現在地点ということでございます。昨年11月のCOP26におきまして合意されましたグラスゴー気候合意でございますが、1.5℃目標の達成に向けて、この勝負の10年における野心と行動の向上等について決定をしております。また、各国、全てのNDCが目標どおりに実施されたという場合でも、この1.5℃目標に整合する2030年排出量とはまだ開きがあるという状況でありまして、世界全体で、早く、大きな削減をするということが求められるということでございます。

 次のページをお願いします。

 こちらは、現在地点シリーズの最後ですけれども、グローバルマーケットについてでございます。ESGファイナンスが拡大ということで、大企業では、TCFDや目標設定の動きが拡大しております。サプライチェーンの中小企業を含む経済社会全体にも取組が波及をしております。炭素中立型の経済社会変革へ変革に向けまして、グリーンファイナンス、トランジションファイナンスの適切な組み合わせで、さらに大規模なイノベーションが不可欠だと、そして、これらに官民の投資をつなげていくことが求められると考えております。

 さらに、5ページ目にお示ししますとおり、クリーンエネルギー戦略に向けましては、この1月18日に総理指示が当省に対してもございました。また、このクリーンエネルギー戦略全体を取りまとめます経済産業省におきまして、このページの記載のとおり、検討が別途進められているところでございます。

 はい、次6ページをお願いします。

 こちらに、今後、この小委員会でご議論いただきたい事項をお示ししております。ここにa、b、c、dと四つございますが、この四つの論点に関連して、それぞれ、以降、資料を添付しております。

 それでは、次、7ページをお願いします。

 まず、7ページから一連の論点aの炭素中立型社会への変革・トランジションについてということで、幾つか資料をおつけしております。こちらにありますとおり、総理も気候変動について、新しい資本主義によって克服すべき最大の課題だというふうに表明されておりまして、ここには、その一例として気候変動被害をお示ししております。

 次、8ページをお願いします。

 こちら、日本の需要に起因する温室効果ガスの排出のうち、約6割が国民の暮らしに関連するというふうに推計されております。

 一方、その暮らしの場であります地域社会の主体的な取組というのが非常に重要でありまして、その際、各地域の特色ある地域資源を最大限に活用して、また、防災や雇用などを地域課題と同時解決を図るということが基本かと考えております。こうした地域と暮らしに関する脱炭素の取組は、産業、それからエネルギーインフラ、土地利用・まちづくり、いろんなものと関わっておりまして、全体を俯瞰しながら、進めていく必要があると考えております。

 9ページをお願いします。

 総理の施政方針演説などでも、投資の拡大というのが一つのキーワードになっております。こちらの図にありますとおり、排出削減に直接効くもの、それから、社会経済変革に対応するもの、さらには、設備だけでなく人的資本も含めまして、有形・無形の幅広い投資について、検討が必要と考えております。

 次、10ページをお願いします。

 特に人材については、様々な方面からも多くの課題が聞こえてきているところでございます。また、地域雇用の創出、労働力の公正についても検討が必要と考えます。

 11ページをお願いします。

 こちらは地域の所得向上についてということで、再エネ関連産業を中心に、成長の実現をされている自治体の例ということで、水俣市さん、それから、この小委員会の委員であります太田市長さんがおられます真庭市さんの例などをお示ししているところでございます。

 次、12ページをお願いします。

 こちらは、現在、選定を進めております脱炭素先行地域についてでございます。今、交付金制度、それから出資金制度についても準備を進めているところでございます。また、地域のニーズ把握、理解醸成に向けた全国行脚も始めております。

 13ページには、この全国行脚の模様をお示ししております。これまで、9ブロックで、大臣、副大臣又は政務官が出席して開催しておりまして、幅広く、多くのご意見を頂戴しているところでございます。

 14ページに参りまして、こちらは、その全国行脚でいただきましたご意見、それから、それに対する現在の取組についてまとめているところでございますが、これをさらに充実させるために、どのように取り組むべきか、また、さらなる課題についても探っていきたいと考えております。

 15ページをお願いします。

 ここからはライフスタイルについてでございます。これについては、この後、西尾委員からも話題提供いただくこととしておりますが、ここでは、内閣府の世論調査をご紹介しております。空調の設定とか、家電の購入、こういったものに比べますと、より単価の高いものなどについては、ちょっと進みが十分でないというような結果が出ております。

 続きまして、16ページをお願いします。

 こちらは消費者への働きかけについてでございますが、これまで当省が行ってきた様々な啓発について、改めて見詰め直しまして、ここに挙げましたような四つの課題、いろいろな数字のほうの不足、インセンティブの不足等々、あと媒体の問題とかそういったもの、こういった課題を整理させていただいたところでございます。

 続けて、17ページをお願いいたします。

 ライフスタイルの中でも設備面について、こちらでは整理しております。ご覧のとおりの状況の中で、特に課題の多い既存住宅の断熱リフォーム、これをいかに促進するかと、こちらも要検討かと思っております。

 続きまして、18ページをお願いいたします。

 ここからは、論点bの国際展開についてでございます。世界全体での排出削減が求められる中、各国間で協力してポテンシャルを最大化していくという必要がありまして、そのための仕掛けとしても、ここに挙げたようなツールがございます。

 続けて、19ページでございます。

 気候変動を成長のエンジンとするということで、日本の強みを生かした取組が必要でございます。特に、今後、排出の増えるアジアでの取組や支援、また、都市間連携なども重要かと考えております。

 20ページに参りまして、特にアジアに関しては、総理も最近度々、「アジア・ゼロエミッション共同体」を目指すといったことを発言されているところでございます。

 続けて、21ページに参りまして、ここからは論点c、横断的な視点ということでございます。ここでは、まず金融面についてですけれども、グローバルには、気候金融における主流化が一層加速化しているということでございまして、ここにありますとおり、国際的な枠組み・基準づくりが進展しつつあるというところでございます。

 22ページに参りまして、国内におきましても、大手金融機関や機関投資家のみならず、こうした動きが、その地域金融機関においても波及していまして、炭素中立型経済社会への変革に取り組む状況が生まれつつあるというところでございます。

 続きまして、23ページでございます。

 このように投資家やサプライヤーへの脱炭素経営の見える化というのが、企業価値の向上やビジネスチャンスにつながる時代になりつつあるというところでございまして、大企業、それから金融機関の目標設定とか情報開示の取組、こういったものが中堅や中小の企業にも波及していくという流れになってきております。

 続いて、24ページでございます。横断的視点の一つとして、また、カーボンプライシングというものも挙げられるわけでございますけれども、これについては、こちらにお示ししていますとおり、別途小委員会の場がございますので、そちらで中心的な議論を進める予定としております。

 25ページをお願いいたします。

 ここからは、四つ目の論点d、トータルな環境保全と炭素中立についてというところであります。そのうちの一つ目、まず、資源循環でございますけれども、この分野は、温室効果ガスの排出源として脱炭素化が必要であるという側面がありつつ、例えば、熱エネルギーとかバイオマスとか、ほかの分野での脱炭素に必要不可欠な資源、これは希少金属なんかも含まれますが、そうしたものの確保など、この分野の取組が地域社会全体の脱炭素化に大きく寄与し得る分野であると、また、国際展開もできる分野だということをお示ししております。

 続きまして、26ページをお願いいたします。

 続いて、自然共生というところでありまして、これについては、後ほど馬奈木委員や森田委員からも話題提供いただく予定でございますので、私からはごく簡単にお伝えいたしますが、健全な生態系保全は、多くの炭素を固定して、また、適応力の源であるということ。それから、自然環境の保全・再生の取組、企業活動におけるネイチャーポジティブ促進の取組など、そういったものをご紹介しております。

 続けて、27ページでございます。

 こちらでは適応についてということで、例えば、適応の一つ、熱中症対策等の適応策の必要性、それから、農業分野におきまして、いろいろその品種改良の取組など進んでおります。こういったものがビジネスチャンスにつながる可能性。また、企業においては、物理リスク対応をはじめとするリスク分析、情報開示の取組などが進められている、こういった動きについてご紹介をしている資料でございます。

 資料のシリーズとしては最後、28ページ目に地域循環圏について、地域循環圏についてご紹介しております。この考え方、ローカルSDGsと言ったりもしますけれども、地域資源を最大限に活かして、地域機関が、それを特性に応じて地域機関が支え合うということを通じて、地域環境社会の統合的向上やイノベーションを創出するといったものでありまして、こういったもの、動きを通じて、脱炭素社会、循環経済、それから分散型自然共生社会、こういった三つの社会への移行を進め、これらによって経済社会のリデザインを目指すというところ、こういった考え方をお示ししております。

 以上が資料のシリーズでございまして、一番最後、29ページに今後のスケジュールについてご紹介をしております。こちらでご覧いただきますとおり、本日は第1回ということで、ちょっと駆け足でご説明してきましたけれども、これら全般にわたるディスカッションをお願いしたいと考えておりまして、第2回から第4回にかけて、それぞれ今日も含めて論点を深掘りしていただけたらと思っております。

 また、4月8日に予定しております第4回では、事務局から、今回のこの小委員会の取りまとめに向けた中間整理・素案の提示をいたしたいと考えております。そして第5回、4月21日に取りまとめをさせていただきたいと思っていまして、この結果を政府の、今、全体で進めておりますクリーンエネルギー戦略等に打ち込んでいくということを考えていきたいというふうに考えております。

 駆け足で失礼いたしました。資料としては以上でございます。

大塚委員長

 ありがとうございます。

 では、続きまして西尾委員からご発表をお願いいたします。

西尾委員

 西尾でございます。すみません、私のほうで資料を共有させていただいてもよろしいでしょうか。見えていますでしょうか。

大塚委員長

 まだ見えていません、スライドは。

西尾委員

 よろしいでしょうか。

 それでは、筑波大学の西尾と申します。

 私は、筑波大学でマーケティングの研究と教育に従事しております。2000年以降は地球環境問題への対応をマーケティングの問題としてどう対応していくか、消費者行動の意識がどう変化しているか、その中で環境コミュニケーションやマーケティングコミュニケーションをどう行っていくべきかについて、細々と研究をさせていただいております。今日は、この20年間で消費者のエコロジー意識がどう変わってきているかを含めて、消費者のそのライフスタイルを環境保全型へ変えていくために必要な検討事項とは何であるかについて、紹介したいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、消費者から見て地球環境問題は、一口に環境問題といっても様々な問題があって、しかも、それらが相互に関連性があって、消費者はその本質を理解できないという特徴をもっています。しかも、対象とする環境問題によって消費生活との関連性は異なる。例えば、省エネ家電は、使っているプロセスのエネルギー消費量は電気代という形で消費者は捉えることができるけれども、例えば再生材によってできている家電製品と言われても、多くの消費者は、それが環境負荷低減にどう寄与しているか理解することが困難なのです。

 先ほどの内閣府の調査でも示されていたように、エコプロダクツとか、エコロジー行動と言われても、どんな環境問題にどの程度貢献できるのかが分からないということです。しかも、多くのエコロジー行動は、例えば、ごみを分別したり、あるいはプラスチックのリサイクルに当たっては容器を洗って乾かし決められた回収場所に決められた日にもっていくように、労力がかかるわけですね。場合によっては費用負担も求められます。このように地球環境問題は、心理学的には個人間のトレードオフだけではなくて、コミュニティや社会全体の中でもトレードオフを持つという、いわゆる社会的ジレンマをもった問題だということです。社会的ジレンマとは、人々が各自の好みに基づいて自分の利益が最大になるような行為を取ったにもかかわらず、結果的に社会全体の共益が損なわれて、それをやらなかった場合よりも悪い結果になってしまうということを指します。

 例えば、ごみの削減のためには一人一人の取組が重要ですが、一方で、地域全体で、みんなが同じようなペースで、同じように減らす努力をしないと効果が発揮できないんですね。ただ、みんなが同じように労力をかけて努力して減らしてくれるかどうかは分からない。そうすると、相手が協力するなら自分もやるけど、自分一人が労力をかけるのは嫌だよねということになり、気がつくとみんなやっていなくて、前よりも悪い環境状態になってしまう。このように、多くの環境問題は、みんなが負荷の削減に向けて、同じようなペースで実行しないと改善効果が見られない、そういう性質を持ったものなのです。

 次に、このような特徴をもったエコロジー行動の源泉についてお話したいと思います。一つ目は、倫理観や社会的責任感です。消費者は地球環境問題の深刻化について、そもそも責任感を感じたり、当事者意識をもっているのでしょうか。私が、昨年の9月に行った調査において、SDGsで提示されている社会課題を提示して、あなたが考える深刻な社会問題は何ですかと聞いたところ、新型コロナ感染症もまさに全盛だったので、1位はこの問題と高齢化社会でした。ただ、気候変動・異常気象がその次に来るんですね。これを挙げる比率は、雇用問題な経済成長よりも同じくらい多かったのです。しかも、5番目に多い回答はエネルギー・資源問題でした。このように、消費者は、最近、気象が異常だと思い、温暖化問題などが深刻になっていることを気づいているんですね。調査では、さらに、これらの社会問題の解決や対応は誰が取り組むべきかについても尋ねています。これについては、8割方の消費者は国や自治体だと回答しています。また、企業がものづくりの中で取り組むべきという回答も7割に達しています。しかし、消費者一人一人も積極的に取り組むべきだと回答する消費者も7割強いるのです。実は、新型コロナが発生する2019年3月にも同様の調査を行っていますが、この割合はそのときよりも増えています。このように、消費者は今や地球環境問題に対して当事者意識をもっており、自分たちも負荷の低減に向けて取り組まなければならないと思っている。でも、何をしたらよいかわからないという状況です。

 一方、消費者は自己表現の手段としてある特定の行動や消費をするという考え方が、消費者行動研究では主流になっています。たとえば、消費者がある特定のブランドを身に着けるのは、そのブランドを身に着けることによって望ましい自己を表現したいという、自己表現の手段によるものと考えられています。いわゆる、消費の自己アイデンティティ論です。このような特性はグリーンコンシューマーの行動の源泉とも考えられています。すなわち、エコロジカルな行動をするが、自分にとって望ましい、あるいは、なりたい自分を表出する手段となっているのです。労力やコストを要するエコロジー行動を推進させるためには、社会的責任感よりも、むしろ、こちらを醸成していくことが重要なのではないかと私は考えます。

 ただ、当然のことながら、エコロジー行動は社会的望ましさがあるので、多くの消費者にとって「良いことであり、すべきこと」と賛同されるものの、実行できるかどうかのギャップも大きいものです。ある調査によれば、30%ぐらいの人が買いたいとかといっても、実際に購入する人たちは3%ぐらいしかいないというよう報告もあるくらいで、やはり社会的望ましさだけでは実行は難しいこと、また、内閣府の調査でも示されているように、環境問題やエコロジー商品に対する知識が足りず、どう行動してよいかわからないということが弊害となっています。さらには、消費者の多くの行動は、自分の生活における便利さや快適さといった個人的ベネフィットを得ることが目的なので、エコロジー行動をすることは、地球環境のためだけでなく、個人的ベネフィットにもつながると感じられることも求められます。

 次に、私がここ20年間ずっと追いかけているモデルを用いて、消費者のエコロジー行動の規定要因がどのように変化してきたかご紹介したいと思います。私のモデルは先行研究の知見を踏まえて構築しています。カギとなる要因は図に示したように7つです。エコロジー関与とは、これまでお話したように、エコロジー行動をすることが望ましい自己を表現する手段となっているか否かの強さを表します。エコロジー関与の高い人は、エコロジー行動の実践度も高くなります。有効性評価とは、当該エコロジー行動を実行すれば地球環境問題の負荷を低減することにつながるという有効性を実感できるかどうかです。しかし、たとえばエコプロダクトといっても、環境に優しいからといって品質や性能が悪かったら当然購入できないわけですし、価格が高かったり使い勝手が悪かったりしたら、やはり購入できない。

 一方で、例えば、省エネ家電を購入すれば電気代などの経済的なコストが削減できるであるとか、地域のリサイクル活動に参加すると仲間が増えて楽しいといったようなやりがい感といった、ベネフィット評価も非常に重要です。その他、エコプロダクトが近くの店舗で売っている、あるいは、参加しやすいエコプログラムがある、自分のペースで参加できるという実行性評価も不可欠です。さらに、対象とするエコロジー行動やエコプロダクトの選択を、家族や友人といった自分にとって重要な集団が進めている、すでに行っているという社会規範評価が重要なんです。実は、2000年の前半の消費者調査では、これらの要因のうち何が最も強い影響をもつかというと、エコロジー関与でした。その影響度は、さまざまの事例において、他の要因よりも、おおよそ3倍ぐらいの強さでエコロジー行動の実践とエコプロダクツの選択に影響していることが統計的に明らかになっています。つまり、当時は、エコロジー意識の高い人はやれるけど、そうでない人はなかなか実行できないという状態だったといえます。

 ところが、リーマンショックや東日本大震災以降になると、構造ががらっと変わってきます。もちろん、図で示したすべての要因が行動実践度に影響してくるのですが、最も強い影響をもつのが、社会規範評価なのです。つまり、家族や友人や知人がエコロジー行動の実践を進めているか、さらには、自分の周りではそれが当たり前のことになっているかというコミュニティ規範が、それ以外の要因に比べると、5~6倍の強さで効いてくるんですね。この傾向は、コロナ前だけでなく、昨年の9月の調査でも変わりません。ですから、個人が属するコミュニティ規範をうまく活用することが重要なポイントになるかと思います。

 私の話をまとめさせていただきます。消費者のライフスタイルをエコロジカルな方向に変革させるためには、まず見えない環境対応を、消費者にわかるような形でどう見える化するか。そのためには、エコマークその他いろんなラベルもあるでしょう。特に低炭素、脱炭素ということであればカーボンフットプリント等を利用して、製品のライフサイクル全体での環境負荷を統一のルールで算定、評価して、商品間で比較可能な状態にすること。カーボンフットプリントについては、制度としては完成していますが、重要なことは、これを消費に分かりやすく示し、考えさせることです。これに関する統一的なガイドラインや表示方法を整備していくことが重要ではないかと思います。

 さらに言うと、実は、消費者というのは商品の選択、使用・消費、廃棄段階で環境負荷の軽減への役割を担っています。この図はフードサプライチェーン全体での環境負荷の配分を示したものです。生産者が食品の原材料を生産し、食品メーカーが食品を製造し、物流・流通業者が運んで、小売や販売業者が売って、それを消費者が選択して、消費し廃棄する。それを廃棄・リサイクル業者が、また再商品化する。このサプライチェーン全体での環境負荷をどう低減するかが重要な課題です。その際、消費者はより環境負荷の低い商品を選択すること、それだけではなくて、その商品を環境負荷のかからない形で、その意味で正しく使って、資源循環に回るように正しく捨てることをどう習慣化させるかが大切です。消費者のそれらの役割を担っていることに気づき、実行してみたくなるようなコミュニケーションと、その成果を実感できるような仕組みづくりがますます求められていくと思います。

 冒頭で、地球環境問題は社会的ジレンマを持つこと、コミュニティメンバー全員で実行しなければ効果が発揮できないと説明しました。私の最近の調査では、家族や友人がやっていれば私もやる。でも、実は、ちょっと時間がなくてご紹介できませんでしたけど、エコラベル商品の選択率はまだ25%ぐらいなんですね。省エネ家電は50%を超えており、詰め替え商品の選択は8割方実行できているのですが。ということは、実際の多くの消費者の場合、私の周りではエコロジー行動が浸透していない、私の家族や友人はエコプロダクトを積極的に買ってない。それゆえに、私もまだ実践できていませんという人たちの方が多い状態といえます。

 したがって、まだ、実践度の低いエコプロダクトの選択やエコロジー行動については、コミュニティ規範を利用して、同調行動を促すというような仕組みをつくっていく必要があると思います。例えば、エコポイント制度を活用するのであれば、望ましいエコロジー行動を実践した個人に対して与えるだけでなくて、自分が所属している集団やメンバー間でそのポイントをシェアできるような、コミュニティ全体でインセンティブが得られるような仕組みをつくるなど、要は、点ではなくて面として展開することが求められると思います。そうなれば、エコロジー意識が低くてもエコロジー行動が促進されるようになっていくのではないかと考えます。

 すみません、長くなりましたが、以上でございます。

大塚委員長

 どうもありがとうございました。

 では、ただいまの説明、ご発表を踏まえまして、ご意見等を頂戴できればと思います。挙手ボタンをクリックしていただきたいと思います。

 なお、委員会、委員の間で議論を行っていただきたいと思っていますので、ご発言は3分以内にまとめていただくよう、ぜひご協力をお願いします。途中で私が口を挟ませていただくかもしれませんが、そのときはどうぞご容赦ください。

 で、まず、早くお帰りになるなど、ご退出になる中村委員からお願いしたいと思います。

 では、中村委員、お願いします。

中村委員

 ご紹介いただき、ありがとうございます。住環境計画研究所の中村です。本日は途中退席しますので、大変恐縮ではございますが、先にコメントをするお時間をいただきました。よろしくお願いします。

 私からは、資料2-1の8ページの国民一人一人の暮らしに関連する内容として、少々細かいですが、幾つか意見いたします。

 まず、第1に、今回の委員会のタイトルにもありますとおり、社会変容、国民一人一人に対しては行動変容を起こしてもらわなければなりません。そのためには、そういった行動を起こす意思決定をするための情報提供というものが非常に重要かと思います。その情報が、より自分に近いもの、我が事として考えられるものであれば、行動変容の一助となり得ます。

 まず、15ページの調査結果を見ますと、特に3ポツ目の取り組みたくない理由として、対策の効果がわからないというのと、情報不足が挙げられています。それはそのとおりだろうなと思いました。なかなか見える化のようなことは難しいですし、まずは、個人が排出している量すら把握できていない、分からないというのが大部分です。

 現在、家庭用については、CO2排出実態に関する統計が2017年から本格調査を開始しまして、ようやく都道府県レベルでの実態が明らかになったところですが、それより細かい自治体レベルでの統計データなどはありません。詳細なCO2の排出の実態を把握できていない自治体が大半かと思いますし、そういった中で、皆さんご苦労されて、県別の統計や独自のアンケート調査から推計するなどして対応されているかと思いますが、需要側のデータを調査するにも多大な費用と労力がかかります。供給側の既存の電力・ガスといったデータが入手できればよいのですが、自由化以降、なかなか総量で把握するのも困難だと聞いています。自治体の努力が適切に反映されるよう、政府としては、そういった自治体のニーズに合った、より詳細な実態データの提供を可能とする仕組みづくり、つまりは自治体の努力が酌み取れるような枠組みも必要かと思います。

 続いて、17ページに関連して、住設機器については、フローで供給される製品は資料の①に挙げられている制度や政策により徐々に性能が向上していますし、ようやく新築の断熱義務化で断熱の最低水準が確保されるようになりましたので、これからストックの性能も徐々に上がっていくことになります。

 ここで、特に課題の多いと書かれている断熱リフォームだけを考えますと、やはり改修は多大に費用もかかるものですし、その効果が分からないということもありますので、なかなか消費者も簡単に踏み込めない部分かと思います。引き続き、費用面での支援は重要ですし、また、効果という意味では、それらを評価する方法なども必要です。なお、断熱改修は住宅全体のエネルギーの中では、暖冷房にかかるエネルギー消費の削減にしか寄与しませんので、寒冷地を除いて、実はそれ以上にエネルギーを使っている給湯や照明、家電等への対応も忘れてはいけないと思います。こういったことも、データを取ってその状況を把握していれば分かるのですが、なかなか、その辺りの情報提供がうまくできていないというのが実態かと思います。

 となりますと、給湯や照明、家電といった用途のエネルギー消費を減らすためにどうすればよいか、既築の住宅で考えますと、ここは高効率給湯器への買換えといったことになりますが、例えば、急にお風呂が壊れた、何でもいいから持ってきてと言われると、そういった場合に従来型のものから従来型の給湯器に置き換わってしまうというのはよくある話で、これが一度設置されると、ロックインと呼ばれていますけど、10年から20年使われ続けてしまいます。トップランナー制度の導入により、性能がどんどん向上してはいますが、政府や自治体の取組としては、高効率の製品にスムーズに置き換わるような仕組みづくりですとか情報提供はもちろんのこと、今後は、できるだけ高効率なものを標準化するような供給側からの取組も重要ですし、それを誰でも選択できるように、安価に供給する仕組みといったものも必要になるかと思います。

 すみません、長くなりました。以上になります。

大塚委員長

 どうもありがとうございました。

 では、浅利委員、お願いします。

浅利委員

 ありがとうございます。私、よろしいですかね。

 まず、一つは、資源循環分野というのも項目として入れていただいておりまして、ごみとかだけではなく、先ほどの西尾先生からも発言いただきましたとおり、ものづくりであったり、消費といったところも含めて、原料調達から廃棄後までトータルで考えますと、そこそこのインパクトがある分野だと思いますし、消費者にとっても、非常に身近な問題かと思いますので、この立場からもしっかり私も発言したいですし、うまく取り込んでいただきたいなというふうに思っております。

 それと、そことも関連しますけれどもライフスタイル、西尾先生のほうからも、やっぱり消費者の選択の重要性を指摘していただきましたが、私も本当に強く感じておりまして、ただ、最近は、そのいわゆる消費者教育的な部分というのはかなり日本では弱いんじゃないかなというふうに感じております。この辺りは、ライフスタイル全体への変革も含めて議論を高めることができたらなというふうに思いました。ファッションであったり、食品ロス、プラスチック、かなり具体的に考えていきますと、いろんな身近な課題につながっていくのではないかなと思いますので、この辺りの議論を掘り下げられるとすごくありがたいなと思っております。

 ちょっと2点、質問と提案というところでいきますと、西尾先生にちょっとご質問したいのが、最後、コミュニティーとして、やっぱり得するとか、面的にやっていくことが重要であるというご発言がありまして、私も研究の傍ら、アクションリサーチということで、いろんな実践も試みているんですけれども、そのコミュニティーのサイズ感とかイメージに関して、ぜひお伺いできたらなというふうに思いました。

 京都で取り組んでいますと、何か突き詰めていくと、学区単位とか、一つのやっぱり生活圏みたいなところまで落とし込まないと、なかなか変わらないなとかいうことも考えたりしますが、今回は首長さんもおいでなので、その辺りのこともお聞きしていきたい。もしかすると、そのローカルSDGs、地域循環共生圏とかとも関わってくることかもしれませんので、その辺りをお聞きしたいなというところと、あと、ここは今後の議論でも、ぜひ念頭に置きたいんですけど、やっぱり世代間の違いってかなり大きいんじゃないかなと思っています。もう逆に、今どきの小中学生とかのほうがSDGsの認知率が高かったり、行動倫理というか、知識も意識も高いというような状態があるのではないかなということを、現場で強く感じたりしておりますので、ここの議論の中でも、一つは、そういう世代間の違いをうまく理解して、活かしていけたらと思いますけれども、その辺り、もし西尾先生とか、他の方からもご意見いただければお願いしたいなと思いました。

 以上です。

大塚委員長

 ありがとうございました。西尾委員から、また、ご発言のときに答えていただけるものと思います。

 では、馬奈木委員、お願いします。

馬奈木委員

 馬奈木です。1点コメントです。

 国際的な意識調査をされるギャラップでの調査だと、コロナ前後で、主要国で気候変動が重要だと答えた割合は日本だけ減ったんですね。京都議定書以降25年程度たちますけど、この重要性はさんざんしてきたけど、ほかの社会的課題が大きくなった場合には、もちろんその相対的に環境の重要性は減るんだと思っています。場合によっては、調査によって、西尾先生のように違う結果も出るとも思うんですけれども、そういった上で大事なのは、この情報をどんどん出すというだけでなく、それが得をするような仕組みにしないといけないので、例えば、カーボンプライシングでありますとかそういった政策、そして、その企業がそれに対応した製品を造ることで利益を出すような仕組みがなければ、情報をいかに伝えやすくしようが難しいので、最終的にはそういう政策、あと産業の話に、ぜひつなげていただきたいと思います。

 以上です。コメントです。

大塚委員長

 どうも簡潔にありがとうございました。

 では、日本商工会議所、お願いします。

大下オブザーバー

 はい、日本商工会議所、大下です。声は届いておりますでしょうか。

大塚委員長

 はい、届いています。

大下オブザーバー

 ありがとうございます。

 地域経済団体、また中小企業の視点から、炭素中立に向けて、これまで主張している点の一つは、今回のテーマにつながる点でもありますが、地域の産業の発展、日本全体の産業競争力の発展につながること、そして同時に、必ず発生するコストについて、誰がどれだけ負担する必要があるのかということを明確にしたうえで議論していくことが必要だということです。この点を踏まえたうえで、先ほどの西尾様のお話を聞きながら思ったところをお話ししたいと思います。

 企業の9割、それから雇用の7割を中小企業が占めています。そういう意味では、消費者への商品サービスの提供者としても、また、従業員に対する働きかけの面でも、中小企業の果たすべき役割は大きいと思っていますが、中小企業の方々にアンケートを取りますと、カーボンニュートラルについてはまだよく分からないという声が半数近くであります。理解の促進と人材育成が課題です。

 16ページで消費者の意識・行動面の取組に関する四つの課題・着眼点が挙げられていますけれども、思うところを二点申し上げたいと思います。

 一つは、カーボンニュートラルについて、まだ不透明な部分が多いですが、だからこそ国や自治体は、脱炭素を通じてどういう社会・地域を目指していくのかというものを、できるだけ分かりやすく、ある種夢を持った形で描いていただきたい。そのことが個人や企業に対し、「じゃあやってみようか」という気持ちを促していく部分もあるのではないかとも思います。

 2点目ですけれども、とはいえ、まだまだよく分からないというのが各企業・個人の実態かと思いますので、脱炭素という側面だけを前面に出すのではなくて、先ほど西尾さんもおっしゃっていましたが、一つの切り口として、何か別のベネフィットを絡めて普及していくということも一つポイントになるのではないかなと思います。

 例えば、「車ではなくて自転車に乗りましょう、シェアサイクルを使いましょう、それは健康のためです。それは、ひいては脱炭素につながりますよ。」企業の事業に関しても、「より低コストで物が燃やせるバーナーに変えていきましょう、それによって、結果的に脱炭素につながっていきますよ。」といったイメージです。

 より大規模な視点で言うと、例えば、長崎県の福江商工会議所が関わっていますが、五島に洋上風力発電所を造り地元を挙げて再エネを推進しています。これは地域を挙げてエネルギーを生み出していきましょう、それが結果として脱炭素につながりますよと。こういう取組を全国ベースで、マスでやっていくということもあり得ると思いますが、各地域の企業や住民が自分たちで考えて地域ベースで取り組んでいくことが、脱炭素に取り組む地域への愛着につながり、ひいては企業や個人の行動をさらに促していくという部分もあるのではないかと思います。

 ただし、その際に大事なことは、それが結果としてどれだけCO2削減につながったのかという点を適切に算出し、見える化し、評価していくということであると思っています。その部分の仕組みや場をつくることが国の大事な役目ではないかと考えております。

 私からは以上です。ありがとうございます。

大塚委員長

 自転車という形で、乗用車から見ますと、非常に重要な視点をご指摘いただいたと思います。ありがとうございます。

 では、三宅委員、お願いします。

三宅オブザーバー

 はい、ありがとうございます。全体にかかる話なので、ちょっと先にお話をさせていただければと思います。JCLPの共同代表をしております三宅です。

 JCLPの参加企業は200社あまりで、総売上げは120兆円ぐらいの企業団体になっております。

 2点あります。総理も繰り返し述べられていますように、最大の問題は市場の失敗、さらに、CO2のコストが外部不経済になっていることだというふうに思っています。企業としても、そのことが日々の問題に直面しているというふうに思っています。

 例えば、日本では、熱心に取り組む企業ほど証書ですとかクレジットですとか、追加の費用がかかってしまいます。これでは、公正な競争の環境とは言えず、サプライチェーン、中小企業を含めた社会全体の変革にはつながらないというふうに思っています。消費者から見ても同じことが言えるのではないでしょうか。外部不経済になっていることで、消費者の基本権利の一つである知らされる権利が満たされていないと言っても過言ではないと思っています。外部不経済の内部化、つまりカーボンプライシング等の政策を導入することで、消費者に対しても環境負荷が見え、脱炭素に取り組む企業が報われるようにすべきだというふうに考えています。

 2点目はスピード感の問題です。これが、今、企業としては競争力や投資に影響しています。TCFDなど、つい数年前までは、オリンピックではないんですけども参加することに意義があったみたいな感じなんですが、今はもう違います。投資家は、2030年までにポートフォリオのCO2半減などの結果にコミットし、企業への働きかけを強化しています。アップルなども、海外企業が自社サプライチェーンに求める期限も2030年です。このスピード感の背景には、COPでも合意された1.5℃目標と、それを達成するためのカーボンバジェットがあると思います。どちらもIPCCの科学が基になっており、各国政府や企業、投資家が、気候科学を踏まえて行動しているのに対して、日本では、それがまだ前面に出た議論になっていないというふうに感じています。これが世界とのギャップを生み、結果として、企業が困難に直面しています。

 脱炭素と成長、競争力を考える上で、新しい資本主義において気候科学、カーボンバジェット、こういったことを意思決定の基盤に据えて、議論をしていただければというふうに思って期待をしております。

 以上です。

大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、連合の冨田委員、お願いします。

冨田オブザーバー

 はい、ありがとうございます。連合の冨田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私ども連合の構成組織には、グリーン成長戦略の重要分野を担う産業が大変多く存在し、カーボンニュートラルの実現と産業・企業の発展を、どのように両立させていくのか、このことが喫緊の課題となってございます。産業や分野ごとに置かれた状況や課題が異なりますので、連合としての、総論としての対応方針などは、今後、検討を重ねていくこととしておりますが、本日は、特に国民的議論の必要性と人材育成の確保の重要性について、2点発言させていただきたいと存じます。

 資料の9ページにありますとおり、炭素中立社会を実現するためには、CO2削減につながる新たな技術研究開発を担う人材の育成・確保と、産業や社会の変革に対応できる人材の育成が必要不可欠であると考えます。人口減少下の日本におきまして、企業がイノベーション人材を確保するためには、外部に求めるだけではなく、企業内での育成が鍵になると考えます。そのためにも、まずは求められる人材像を明らかにし、企業の予見可能性を高めた上で、リカレント教育や学び直し、企業の能力開発に対する投資を大胆に強化する必要があると考えます。

 なお、この学び直しや能力開発においては、労働者の自己啓発に頼るのではなく、賃金補償や長期の休暇制度など、労働者が安心して学び直しできる環境整備も必要不可欠です。

 それと同時に、中小零細企業も含め、企業規模にかかわらず、実施のできる環境づくりも重要であると考えます。

 加えて、将来世代の育成、特に女性の科学人材、いわゆるリケジョの育成も重要です。義務教育段階、終了段階は、比較的高い理数リテラシーを持つ女性生徒が40%もいるにもかかわらず。

大塚委員長

 冨田委員、もう少し大きい声でしゃべっていただけませんか。

冨田オブザーバー

 はい、申し訳ありません。聞こえますでしょうか。

大塚委員長

 はい、はい、今のでいいです。

冨田オブザーバー

 はい、ここからで大丈夫、途中からで大丈夫ですか。

大塚委員長

 はい。

冨田オブザーバー

 加えて、将来世代の育成、特に女性の科学人材、いわゆるリケジョの育成も重要であると考えます。義務教育段階では、比較的高い理数リテラシーを持つ女性生徒が40%もいるにもかかわらず、高校、大学に進むにつれ、その数が減少しておりますので、大学、研究機関など、あらゆる分野におけるポジティブアクションも重要であると考えてございます。

 2点目は、国民的議論の必要性についてです。カーボンニュートラルの実現過程においては、雇用や地域社会・経済に少なからぬ影響があると考えます。新たなイノベーションの社会実装により、雇用の劣化や雇用の二極化を生じさせないことは当然でありますが、新たに創出される雇用においても、ディーセントでクリーン、かつ持続可能性があることが求められております。

 また、COP26を機に、カーボンニュートラルという言葉の認知度が上がったと思いますが、先ほど、何人かの委員の先生方からもご指摘がございましたが、国民が、個々人の生活にどんな影響があるのかといったことまでには考えが及んでいないのではないかと感じております。資源エネルギー庁の資料によれば、家庭においても、オイルショック時を上回るエネルギー消費効率、すなわち省エネが必要だという試算もありますので、こうした変革への備えも含め、雇用・地域経済への負の影響を最小限に抑えるためにも、政労使を含む関係する各主体が連携をし、具体的な政策を検討する社会対話の枠組みの設置もご検討いただきたいと思います。

 併せて、予見可能性を高める観点からも、国民への分かりやすく丁寧な説明などもお願いをしたいと存じます。

 私からは以上です。

大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、伊藤委員、お願いします。

伊藤委員

 ありがとうございます。私は、メモにありました、その市場の失敗という観点から二、三点お話しさせていただきたいと思います。

 市場の失敗であることは言うまでもないんですけど、問題は、これが小さな市場の失敗ではなくて、先ほどからのお話にあるように社会的な変容ですね、社会の大きな変化を伴う、必要とするような市場の失敗であるとすると、それをどうやって是正するのかということが大きなポイントだと思います。もちろん、いろんなことをやらなきゃいけないと思いますけれども、いわゆる小さな努力だとか、あるいは管理だとか、規制だとか、強制だとかいうことだけでは、とても実現できないものであると。全ての国民が同じ方向に向かって動くために何が必要かということになっています。

 そうすると、答えはおのずから一つしかないわけで、結局、こうした市場の失敗を是正する唯一のメカニズムはやっぱり市場メカニズム、これをどう活用するかと、全ての人が同じ方向を向きながら、インセンティブを持って動かしていくということで。したがって、1点は、その市場メカニズムをやっぱり活性化させるために何が必要かと、やはり、その市場が新しい価格を認識するという意味での、いわゆるカーボンプライシングの話は極めて重要ですし、それから、市場のその活動の中で極めて重要な役割を果たす、いわゆる金融の役割というのは極めて重要で、したがって、グリーンファイナンスみたいなものをもう少し深めていくとか、さらには、皆さんがおっしゃっているような情報開示ということもそれに関わってくると思います。

 第2点は、そうした大きなその社会変容を変えるということは、これは並大抵の変化ではないわけで、当然、その最終的には、その理想的なところに仮に行ったとしても、そのプロセスには非常に大きな、やっぱり痛みがあるということを認識しなきゃいけないわけです。具体的には雇用だとか、あるいは産業調整であるとか、あるいは人々の生活スタイルであるとか、あるいは地域社会の姿というものは大きく変化するわけで、この変化をいかに、言わば痛みがなるべく少ない形でやるかというのは、これは政策的に極めて重要な話であると思います。

 そして、三つ目は、岸田総理のお使いになっている言葉を借りるわけではありませんけれども、いわゆる資本主義の姿が、今、大きく変わりつつあるということを我々は理解しなきゃいけないんだと思います。一言で言うと、社会の成長の大半が、いわゆる創造的破壊というものから来ていると。特に、この10年ぐらい、その動きが非常に速いというふうに言われているわけですけれども、ただ、このイノベーションということが、まさにこの気候変動の問題を考えるときには避けて通れないところであるわけで、残念ながら、この点については今回あまり、まだ議論がないようではあるわけですけれども、社会変容をもたらす最大の原動力というのはイノベーションであるとすると、これをどういうふうな仕組みの中で創っていくのかと、これも市場メカニズムを考える上で非常に重要だというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、髙村委員、お願いします。いかがですか。

高村委員

 ありがとうございます。事務局のご説明、それから西尾先生のご報告、どうもありがとうございました。

 本日は1回目で、その議論をするべき点、あるいは、そうした議論における視点ということについて幾つか発言をさせていただきたいと思います。

 総理の、資料の中にもありますけれども、炭素中立型社会の構築に当たって、日本の場合は、特に温室効果ガスの排出量の85%がエネルギー由来のCO2ですので、エネルギーの在り方をどうしていくか、その供給構造の改革は必須ですけれども、同時に、それを使う側の産業ですとか暮らし、地域の在り方全般にわたる取組が必要だというふうに思います。特に、地域は非常に重要だというふうに思っています。本日も太田市長もいらっしゃいますし、軽米の山本町長もいらっしゃると思いますけれども、何せ人々の生活の全て、経済の全てがのっかっている基盤だからです。エネルギーを使うという観点からもそうですし、まさに真庭市も軽米町もそうだと思いますけれども、今でいきますと、再生可能エネルギーの主力化、最大限導入という観点からは、供給の観点からも非常に重要な場であるという点です。

 併せて、先ほどの日商の大下さんからもありましたが、多くの産業を支えているサプライチェーンをつくっている企業自身が、まさに地域の経済の担い手であるという点を考えると、やはり地域が、ある意味で全て、その我々の施策が炭素中立型経済に向かう、社会に向かう施策が、そこでしっかり展開をされるためにどうしたらいいかという議論の立て方をすべきではないかというふうに思います。

 二つ目は、そのための観点として、50年カーボンニュートラルというのは非常に重要な目標ですけれども、まさに総理の指示にあるように、格差や気候変動といった課題を解決しながら成長のエンジンとするという意味では、長期、中・長期の脱炭素化をにらみながら、今、本当に手を打っていくということが非常に重要だというふうに思います。その際に、環境構造、社会構造は簡単には変わりませんので、その時間軸から言っても、今まさに手を打っていくことが重要なんですが、これも先ほど、日商の大下さんがおっしゃって、先におっしゃっていただいたんですが、そのコストをどうするか、それから、もう一つは、しかしながら、うまく施策を打つことで、福江の話もありましたが、五島などでもそうですけれども、炭素中立型経済社会に転換することは、地域にうまく施策をすれば裨益する、そういう施策がたくさんある可能性があるという点だと思います。それをどれだけ、やはり今から着実に打ち込んでいけるかという観点で、私たちは知恵を出す必要があるんじゃないか。

 あと2点ですけれども、簡単に、一つは、スライド7にあります地域という観点ですと、気候変動の影響をどういうふうに対応するか、これは短期的には排出をいかに加速的に減らしていくかということでも、将来の気候変動の影響リスクを下げるために重要だと思いますが、レジリエントな地域社会を創るということが、今その災害、例えば一つを取っても、実際にそれを予防するに、防止するにしても、対応するにしても、地域がフロントに立って対応する。逆に言うと、大きな災害が起こると、それは地域にとって非常に大きな負担となって返ってくる。そうした観点から、気候変動の影響をどうやって低減するか、これは適応策の観点と緩和策と両方の観点で、やはり議論する論点ではないかと思います。

 最後は、エネルギー起源のCO2は多いんですけれども、しかしながら、その削減を、この間、増大でオフセットしているのが二酸化炭素以外の排出です。これは短期的に大気への影響を考えると、フロン系のガスですとかメタンといった短寿命の気候汚染物質と言われる、こうしたものの対策をしっかり取っていくということも、そのエネルギー起源のCO2だけでなく、そこにもしっかり焦点を当てる必要がある。

 最後、ロジ的な点ですけれども、やはりこの議論を本当に地域で本当に転換しようと思うと、例えば、国交省さんですとか、農水省さんにも、ぜひ参加をしてほしいということを希望して、発言を終わりたいと思います。

大塚委員長

 答えは後で事務局から答えさせていただきます。

 では、太田市長、よろしくお願いします。

太田委員

 自治体の立場から今日参加をさせていただいています。今、いろんな方のご意見があったんですけども、本当にこの環境問題は多岐にわたって、私のような能力のないものには、どこから手をつけていいのかなというのが実感ですけども、地域の重要性というのは十分認識しております。そういう意味では、特に基礎的自治体が、この地球環境問題にどう取り組むかというのが、一つ鍵だなと。そのときに、もちろん議会とか、住民の意識というものがあるんですけれども、やはり首長さんの姿勢というか、それは一つのキーだと思っています。

 それじゃあ、熱心にというか、前向きに進むのにどうすればいいのかというのがあるんですが、なかなか難しいんですが、環境問題にきちんと取り組むこと、そして、地域資源をしっかり活用していくということが、地域経済にとってもプラスになるという、SDGsで環境社会地域というふうに、それの連関性というか、そこを相互に動かしてということを言われますけども、そういうことをきちんと理解してもらうことかなと。

 真庭の場合も、もちろんマイナス面はたくさんありますけども、ここに一つ例を挙げていただいたように、11ページですか、これは国の統計ですが、地域の総生産が増えていると、ここにあります。

 それと、実は、工業統計が5年ごとに2012年、2017年、市町村統計がその単位でしかないんですね。バイオマス発電所が2015年からできています。それで、2017年が直近なので、2012年と2017年のいわゆる国民所得と同じ地域所得ですね、それの分析をしますと、バイオマス発電所は、本当にきれいに出ます。というのが、燃料がもともと山の間伐材、これも経済的価値がゼロのものです。それから、製材所から出てくる材は産業廃棄物で、むしろ重油をかけて燃やしていた。その負のそのものがプラスになっていて、それがチップにすると14億円ぐらいで買い取られる。その発電所の電力がFITを前提ですけども23億ぐらい。その分だけ、全部が地域に電力が流れているわけじゃないですけども、重油換算すると、たしか23億ぐらい残る。代替エネルギーとしてと。

 そういうことで、それぞれの地域の特徴を生かして、地域資源の循環をうまくすることによって、地域にとってもプラスになるように、そういうようなことを地域で考える。ただ、地域だけではなかなか考えられない。その辺りのアドバイスというかをどうしていくのかということが必要になるかと思います。

 それで、バイオマス発電の場合は、なかなか木材のサプライチェーンだとか、地域支援とかということで、できる条件のところが、やはりそんなに多くないと思います。私どもがまた紹介いたしますけど、今、取り組んでいる生ごみと、それから、下水道でもいいんですけども浄化槽で、それから、まだ地域によっては、くみ取りがありますから、そういうものを混ぜてガスが出る。ガスで全部賄えるかどうかあれですけど、ほとんどプラントを動かせる。最後、液肥になって出てくる。九州もみやま市さんなんかが苦労してやっておられますけど。真庭市も試作プラントで成功したので、それを全市の生ごみを集めて、これからやるようにする。これは、大都市では、ちょっと生ごみだけ分別するというのはしんどいかもしれませんけれども、中小都市で、そしてまた、その液肥を農業に使える都市ですと、まさに低コスト農業にもつながりますから、かなりできると思うんですね。そういうようなある程度、普遍性を持っているものなら進められると思いますので、そういうものを推進していくみたいなことをやれば、かなり貢献できるのかなと思います。

 それと、もう一点だけ。すみません、長くなって。やっぱり教育かなと。その教育をどうしていくのかと。強制的にはできませんけども、今、真庭市で取り組んでいるのは、SDGsの取組で、私はSDGsは運動だと思っています。そういうことで、高校生まで、あるいは、子どもたちまで巻き込んで、今やっています。協賛なのでというか、一緒にやる団体が毎年増えていっているところです。

 そうすると、当然ですけども、市民の中で自主的にこういうことをやるべきだと。今、このコロナの中で、テイクアウトがはやって、テイクアウトで商売をやろうという節があります。小さな話ですけれども、捨てていた学校給食の容器を店に差し上げて、テイクアウトで何回か、それを使うような取組が出てきています。そうするとプラスチックの使用の削減になると思います。こういう小さいですけれども、SDGsを実践することによって、それぞれの住民の方、あるいは、子どもたちの中での関心が出てきます。そういうSDGs運動をもっともっと広げていくかなと思っています。

 それと、もう一点だけ。これ今さっき国交省の話が出ましたけど。ぜひ、これをお願いしたい。どう取り組めばいいのか分からないのが鉄道輸送です。地域のローカル線が今、どんどん駄目になって、経営からすると廃線の方向とかに行かざるを得ない。しかし、ヨーロッパ、私も行ったんですけど、アメリカでももう一度、長距離の鉄道輸送が見直されようとしている。鉄道が廃止される。そうすると車に変わる。もちろんEV化というのがありますけれども、また電気がいる。そして今、大型バスのEV化はなかなか開発が難しい。長距離になりますと、やはりもう一度、もちろん電気が中心で、ローカルはディーゼルがありますけれども、鉄軌道というものを考え直すべき。

 輸送には、これも難しいんですけれども、ヨーロッパの木材輸送の大量輸送が鉄道輸送なんですね。だからそこまで含めて、何か考えないとという思いはしておりますが、どうしていいか分かりません。

 以上です。

大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、次に、三日月滋賀県知事、お願いいたします。

三日月委員

 みなさま、お疲れさまでございます。滋賀県知事の三日月でございます。

 本日は発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。全国知事会の脱炭素・地球温暖化対策本部の本部長は長野県の阿部知事でございますが、本日は副本部長の立場として、同本部を代表して出席しております。

滋賀県は琵琶湖をお預かりしており、琵琶湖の深呼吸とも呼ばれる全層循環が暖冬などにより2年連続で観測されないという事態も生じました。昨年1月には3年ぶりに何とか確認され安堵しているところでございます。琵琶湖は地球環境問題の窓、暮らしを映す鏡とも言われており、こういったことを契機に地球温暖化対策について考え、県民みんなで取り組もうとしているところでございます。今年の冬は、大変雪が多くて、彦根や長浜ではまだ雪景色という中でございます。こういった気候変動を身近なところから感じながら取組を進めていきたいと思っております。

 数点申し上げたいと思いますが、まず、時代・社会認識でございまして、私ども現在コロナ禍を経験しながら、明治以降につくってきた社会の在り方、暮らしの在り方を大きく見直す時期に来ているのではないかという問題意識を持っています。卒近代という曲がり角にあるのではないかと提唱しているところです。グローバル化、行き過ぎた至上主義、効率主義、こういったものを改めて見直す機会にしようと投げかけております。

 そういった観点で申し上げますと、例えば、明治以降、琵琶湖を埋め立て、内湖を干拓地にしてきましたけれども、改めて湖に戻すという、内湖の再生ということにチャレンジしております。まだ全体の取組にはなっておりませんけれども、滋賀県は、近江牛の肥育地でございます。この牛のげっぷなども温室効果ガスの増加に大きな影響を与えるという観点から、肥育の在り方についても見直していくべきではないかと考えています。

先ほど真庭市の太田市長が仰いましたが、公共交通のあり方に関してです。民間だけに依存してきたこの公共交通、鉄道についても、公民連携で再生や活性化を図っていくべきであり市や町と協力しながら推進しているところでございます。ぜひ、誰も犠牲にならない、七世代先を見通した新しい豊かさをつくる取組を、滋賀県を挙げて、今、進めているところでございます。

 ぜひ、一つ目に申し上げたいこととして、本小委員会での社会変革の議論には大いに期待をしております。環境省の枠組みにとどまらず、時代の曲がり角にある社会変革を進めるという観点に立って、世界のルールメイキングに資する内容をご検討いただきたいと思います。

 本県の資料にもありますように、本県では、2050年CO2ネットゼロ社会の実現に向け、条例を全面的に見直し、再生可能エネルギーの利用と気候変動の適応に関する章を新たに設ける方針です。資料2枚目の推進計画では、2030年度の中期目標として、2013年度比で県域からの温室効果ガス排出量を50%削減するということ、あるいは、再生可能エネルギーの導入量を2倍以上にするということなど、国を上回る野心的な目標を定め、取組を進めるところでございます。

 本日、資料の2-1でお示しいただいた論点に沿って、あと2点申し上げます。一つ目は、ライフスタイルの変革につきましては、やはり「見える化」がキーポイントになると思います。本県では、県内で創出された「Jクレジット」を「びわ湖カーボンクレジット」と呼称し、例えば、Bリーグ(プロバスケットボールリーグ)のホームゲームの試合で排出されるCO2をオフセットする取組、今年6月には全国植樹祭を滋賀県で開催させていただきますが、その開催をクレジット活用により、ネットゼロで開催しようという取組も考えているところでございます。このように取組の効果を見える化することが、行動変容につながるのではないかと考えています。

もう一点は、ファイナンスです。持続可能性を担保するため、ぜひこの小委員会でご議論をいただきたいと思っております。本県では、滋賀銀行が「サステナビリティ・リンク・ローン」の1つとして、事業者のCO2削減量により金利が変動する商品もつくっていただいています。また、滋賀県庁の率先行動として、この4月に50億円分のサステナビリティ・リンク・ボンドを発行するという、国内自治体では初の取組を行う予定です。こういったファイナンスの観点につきましても、小委員会でさらに後押しするようなご議論を期待しております。

大塚委員長

 ありがとうございます。

 社会に向けたルールメイキングだとか、ファイナンスの利用とか、重要なご指摘をいただきました。また議論をさせていただきたいと思います。

 では、西尾委員、お願いいたします。

西尾委員

 西尾でございます。

 浅利委員からご質問をいただいていたので、忘れないうちに、ちゃんと回答になるか分かりませんけれども、私の現時点での考えをお示ししたいというふうに思います。

 まず、コミュニティーの規模感ですけれども、これはまさに対象とする課題によるかと思います。ほかの先生方からも出ていましたけれども、例えば、地域全体に共通するようなエネルギー政策であるとか、あるいは、資源循環といったような問題であれば、地域ということになるでしょうし、あるいは、商品という単位で言えば、先ほど最後にお示ししたようにサプライチェーン全体で、生産者、それから物流や流通企業、流通業者、あるいは廃棄物処理業者の中に、消費者というのも位置づけてのサプライチェーン全体での取組をどう見える化し、どうやって消費者にもその中で役割を担ってもらうかということも実は物すごく重要なんではないかと思っております。

 地域のことで申し上げたときに、一つは、実は横浜市さんが古い話で恐縮ですけれども、G30という、ごみを30%削減しようというようなことをごみの有料化をしないで、160万世帯の人たちの協業で成し遂げたんですね。計画よりもものすごく速い勢いで進みまして、結果的に七つあった清掃工場が三つ空っぽになったんです。燃やすごみがなくなって。そうすると、それは消費者にとってみたら、これはものすごく大きなメッセージになりますよね。その分、焼却のエネルギーも使わなくなるし、そこで余った費用は、ほかの公共政策に回せます。そのときのポイントとしては、行政、事業者、住民がごみ削減に向けてそれぞれの役割を担ったということ、もう一つ言いそびれましたが、フリーライダーを排除したんですね。

 実は、条例を設けて、何回か住民の人たちには、ごみの分別とか、リサイクルをこうしてくださいと。何度も注意して守らなかったら、最後2,000円の過料を取りますよと言って。実際に2,000円の過料を払わなきゃいけなかった人たちが2人いたそうです。160万世帯がいるところで、守らなかった人たちに対して、そういうような条例を施行した。こういった取り組みを実施したということによって、住民に、自治体の本気度が伝わったのです。もちろんインセンティブということもありますけれども、先ほど伊藤先生がおっしゃっていたように、変革のための痛みが伴うのだとしたら、関係者みんなで実行する。その中でフリーライダーをいかに排除していくかというようなことも重要なのかなということが一つです。

 それから、世代間の違いも確かにあると思います。それについては、ちょっと時間がないので、ご紹介できませんが、世代によって受けた環境教育が異なり、その成果も現れてきています。そこには差が見られますので、そういうセグメントごとに適切なコミュニケーションや施策というのも必要になるかと思います。

 それから、最後もう一点だけ。コスト負担は誰がするのかということで、じゃあ、実際に消費者はコスト負担するのかということですが、これはなかなか厳しいかと思います。実際には、例えば、寄附金つき商品で、この商品の売上げの一部が被災地に支援されますといっても、それは定価を超えていないわけですよね。飛行機のカーボン・オフセットみたいに余分に払うとなるとやらない。だけど、最近ちょっと変わってきているのは、クラウドファンディングというのが非常にポピュラーになっています。消費者自らがお金でがんばっている方々を支援しているんです。それができるということは、それだけの消費者にとってみて、そうすること自体が、自分たちにとってもいいことであり、やりがい感を感じるし、インセンティブにもなる。なぜクラウドファンディングはするのに、100円も高くないエコプロダクツがなぜ買えないか、そこにも多分ヒントがあるのかなと思います。

 以上です。

大塚委員長

 すみません、ちょっと残り時間が少なくなってきておりますが、小野委員、では、お願いします。

小野委員

 お時間いただきまして、ありがとうございます。ハチドリ電力代表の小野と申します。

 先ほどの西尾先生のお話を聞きながら、私はすごくハチドリ電力の自然エネルギーを使ってくださっている方々のマインドを普段からコミュニケーションを取って、よく知っているので、その現場感を感じながらすごくうなずいていました。今日は、ちょっとその現場感のお話し、現場から見えるお話しと、あとは、この委員会で議論していきたいことというお話をさせていただけたらと思います。

 実際に、社会規範評価というものがエコな消費活動の主な最も大きな要因になるというお話があったと思うんですけど、本当にそのとおりだなと思っていて、私たちも口コミ施策と呼ばれるものにすごく力を入れています。なんですけど、とは言え、電力自体を電力自由化の後に切り替えられている方というのが、全国平均で見ても2割程度しかいないというような情報があったりだとか、自然エネルギーにその中で切り替えられている方って、実施はもっともっと少ないのかなと思っている中で、お話の中にあった家族や友達と、近しい方がまだ変えられていない場合、その方々に対して、どうアプローチしていくのかというのが、課題になってくるかなと思っています。

 ハチドリ電力で、一つよかった、一つ成功した事例として挙げられるのが、過去にコテンラジオという媒体にハチドリ電力の運営元である株式会社ボーダレス・ジャパンの代表の田口が出まして、このコテンラジオという媒体は、すごく歴史好きの人たちが歴史を学んでいくようなラジオなので、そこを聞かれている方々は、環境問題にすごく興味、関心が高い方ばかりでは全くないコミュニティーなんですけど、その中でハチドリ電力のお話をすると、そこからすぐに切替えをしてくださる方が本当にたくさんいらっしゃいました。

 電力って、私が実際にやりながら感じている中で、やっぱり検討期間が長い商材だなと思っているんですけど、それでも、コテンラジオの話を聞いて、すぐに切り替えられた方がたくさんいたというのを感じたときに、やっぱり何か自分が憧れている人、経営者だったり、芸能人だったり、インフルエンサーだったり、いろいろあると思うんですけど、そういう方々の行動が自分の行動にすごく影響を受けるんだなと思っているので、そのロールモデルをつくっていくというのは、一つ自分の家族や友達以外での社会規範評価という中に入ってくるんじゃないかなと思っています。

 そういった取組を個人の方々向けだけではなくて、法人の方々向けにも今、ハチドリ電力はやっておりまして、京都のほうで、京都信用金庫さんとパートナーを組んで、京都信用金庫さんのお取引先様に一緒に営業に行かせていただいて、自然エネルギーを普及している活動をしているんですけれども、そういった中でも、やっぱり京都信用金庫さんのご紹介だったらというので、切り替えてくださる方は本当にたくさんいらっしゃるなと思っています。

 それも社会規範評価につながっていると思うんですけど、ただ、その中でも、やっぱり価格がというところの壁がすごくあって、どうしても切り替えたいけど、コストを考えないといけないのが中小企業なので、そういったところの壁があって切り替えられないという方も本当に少なくないなと思っているので、そういった行動変容のためのロールモデルづくりというところを進めていくためにも、そういった制度設計、補助というところをしっかり詰めていきたいなと思っているので、この小委員会では、すみません、長くなってしまったんですけど、カーボンプライシングのところがやっぱり必要だなというふうに思っています。なので、この議論を今回深掘りできたらいいなと思って参加させていただいております。よろしくお願いいたします。

大塚委員長

 ありがとうございます。

 小野委員は、若者代表ということでもあるので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、宮下委員、お願いします。

宮下委員

 三菱UFJの宮下です。お時間がない中、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど三日月知事からグローバル、あるいは、金融のという話、これはまた、私は次回以降のどこかのタイミングでお話をさせていただく機会があると思うので、そちらに譲りまして、今日は時間もないので、1点だけお話を聞いてお伝えしたいことがありますのでお話をしたいと思います。

 事務局からの説明資料では、右下23ページのところに、いわゆる上流、自社、下流という企業から見ると、自分たちの製品のバリューチェーン、サプライチェーンのそういう図が出ておりますが、銀行といたしまして、お客様とご面談していますと、当たり前ですが、今、エネルギーのやはり供給側、電力会社様であるとか、石油・ガス業界様のお話をたくさんいただきます。それらのお客様に対する支援を一生懸命知恵を絞りながらやっているところでありますが、業種別に、これから金融機関としては、Financed Emissionの開示を進めていくことなって参ります。

 そうすると、何を言おうとしているかというと、業種、あるいは、個別のお客様によっては、いわゆる下流のScope3が基本的には脱炭素へ向かっていかないと、自分たちの脱炭素が遂げられないという、そういう会社、業種が出てくるなというように強く思っております。

 ですから、今日、議論の中で、暮らし、地域に焦点が当たって、もちろん環境省さんの舞台ですので、そういう話になると思うんですけれども、議論をどんどん進めていくと、やはり産業界、個別企業と、やはりお客様、需要側の暮らしというのは、切っても切れないなというふうに思いますので、非常にその辺り連関してきて重要だと思っております。

 以上であります。

大塚委員長

 ありがとうございました。

 最後、軽米町長の山本町長、お願いします。

山本委員

 岩手県軽米町の山本町長でございます。聞こえますでしょうか。

大塚委員長

 聞こえました。ちょっとマイクが近くのほうがありがたいかもしれません。どうぞ。

山本委員

 軽米町は、青森県との県境、八戸市の隣にある人口8,400名の町であります。我が町は、ちょうど平成11年に豪雨災害に遭いまして、うちの町は降水量は年間1,000ミリぐらいなんですが、2日間で240ミリの雨が降ったということで、百年に一度の豪雨というようなことで、これも温暖化の影響と思われますけれども、大変温暖化に対する意識が強い町であります。

 そういうことで、私も就任以来、この温暖化対策といいますか、いろんな施策を進めてまいりました。特に、うちの町は、大変日照時間が長く、地形が非常に平たんな山林原野が多いものですから、これを生かして、今640ヘクタールで太陽光発電を実施しております。

 それから、またブロイラーの生産地で、そして鶏ふんを使って発電しております。それから、太陽光以外の再エネも、これから大体60基ぐらいの風力発電を展開してまいりたいというふうに思っています。併せて、470メガ、これは恐らく原発半基に相当するのではないかというふうに考えております。……

大塚委員長

 すみません、山本さん、ちょっと声が小さいですけど。

山本委員

 ああそうですか。ちょっと調整して。

 今後とも、やはりこういった再生可能エネルギーのポテンシャルは、地方が非常に多くを持っておりますので、そういった点で、我が町のような土地を、これからいろいろ地方はやっぱりどんどん展開していただけるような施策があれば、私は大変これから取り組む自治体が増えてくるのではないかというふうに思っております。

 そういうことで、一つ、二つほどちょっと提案したいんですが、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金ということを、これは意欲的な取組でありますけれども、さらに、もう一段高める必要があると思っております。

 そこで、27ページにもありますが再エネ導入ポテンシャルの高い地域に、再エネ推進交付金の創出を提言したいと思います。電源三法交付金と同じように、再エネ推進交付金を創出していただければ、地域のメリットも、より明確に表れ、住民の理解度も進むと考えられます。それから、地域脱炭素は、より一層意義深いものとなると思っております。

 もう一点は、森林環境税と森林環境譲与税の生かし方であります。

 森林環境譲与税は、譲与の基準において、30%が市町村の人口になっているため、どうしても都市部への配分の割合が高くなっております。当町も、横浜市との再エネ協定を結んでおりますけれども、こういった都市部との連携を結んでいる場合、森林環境譲与税が都市部から地方に還元されるような仕組みができれば、均衡ある国土開発、ひいては、国土強靱化にもつながっているものと考えます。

 我々地方の声としては、都会のために地方が再エネ電気をつくっているという側面がありますので、ぜひ、こういったことも一つの議論の中に入れていただいて、地方にあるポテンシャルを最大限生かして、発電する地域をどんどん増やして、そして、また都会等の都市部にそれを送り、その連携を図っていただければ、大変これから再エネの推進をするんじゃないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

大塚委員長

 ありがとうございました。

 時間が来ておりますので、長谷川経団連環境エネルギー本部長にご発言いただいてから、事務局にご質問が少しありましたので、ご回答をお願いしたいと思います。

 では、長谷川様、お願いします。

長谷川経団連環境エネルギー本部長

 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。

大塚委員長

 聞こえます。

長谷川経団連環境エネルギー本部長

 ご指名いただきましてありがとうございます。

 2050年カーボンニュートラルを目指していく中で、その社会像のイメージについては、皆さんの間である程度コンセンサスがあるのではないかと思っております。それについては、資料の5ページの総理発言のところに集約されていると考えております。一つは、先ほど高村先生もおっしゃいました通り、エネルギー供給構造をしっかり脱炭素化していくこと、そして、エネルギーの需要側についても、鉄やセメントなどの生産プロセスについて、今の技術ではどうしてもCO2が出てしまうものについて脱炭素化していくこと。そういった技術が実装されている社会というのを目指していくということだと思っています。

 そういった社会の未来像を描いた上で、バックキャスティングをして、実現に向けた動きを促進していく、あるいは、そういった動きを阻害しないよう取り組んでいくことが、2050年に向けて重要になると思っています。そのためのキーワードは、当然ですけども、イノベーションとその社会実装です。

 もう一つ、国民の理解も重要だと思っております。とりわけ、エネルギー供給構造の転換の中で、再エネや原子力をどうどのように活用していくかについて国民の理解が必要だと思っております。また、カーボンニュートラルを目指す中で産業構造が転換していく可能性もある中で、先ほど連合の方もおっしゃいましたが、それにどう対応していくかという観点も重要だと考えます。

 加えて、イノベーションの社会実装には投資が必要となりますので、短期的に生じる国民の負担のあり方も重要と思っており、個々のライフスタイルというだけではなくて、2050年に向けて、どのように負担を享受していくのかも含めてご議論いただければと思います。

 イノベーションの観点からは、先ほどカーボンプライシングの議論も出ておりました。これは別の組織体で検討されると、先ほど事務局からの説明がありましたけれども、成長に資すること、かつイノベーションをしっかり促進していく形で、カーボンプライシングについては議論をいただければと思っております。

 私からは以上です。ありがとうございます。

大塚委員長

 ありがとうございます。

 ご指摘のとおりだと思いますけれども、そこに向かっていく取組をどうやっていくかということに関しては、さらに具体的な検討が必要ではないかということで皆さんご発言になっているとは思います。

 では、事務局から、質問がいろいろございましたので、ご回答を。

地球環境局総務課長

 じゃあ、事務局の西村でございます。

 一つ、高村先生のほうから、関係省庁のオブザーバー参加についてご指摘をいただきました。今回、経済産業省、内閣金融庁の皆様方にご参加をいただいておりまして、より幅広くお声がけをしてまいりたいと思います。ありがとうございます。

大塚委員長

 ありがとうございます。

 では、続きまして、馬奈木委員、森田委員の順にご発表をお願いしたいと思います。

 資料の2-3のほうにつきまして、馬奈木委員、森田委員からご発表をお願いします。

馬奈木委員

 馬奈木です。ありがとうございます。

 資料は私のほうで共有すればよろしいでしょうか。

大塚委員長

 よろしくお願いします。

馬奈木委員

 そちらでしていただいていますね。

 じゃあ、そのいただいた資料でしたいと思います。

 私のほうから、私自身が取り組んでいる国際的な報告書の内容、及びそれを踏まえて、現実で進んでおります国内の産業界、及び自治体の取組をご紹介させていただきます。

 端的に言いますと、国としては、情報を多くの方が今、皆さんがおっしゃいましたけど、きちんと提供しようというのは、それは当然なんですけども、最終的には企業の製品サービスに反映されるような仕組みにCO2でありますとか、生態系サービスが入るという仕組みになることを、ぜひ期待しております。

 その上で、それを活用する企業の方々が新しい提案をしながら、それをステークホルダーの方に選んでいただくという仕組みが大事だと思っています。その際に大事なキーワードが、この資料にございます自然資本というものでございます。

 自然資本は、企業でいいますと、TCFDとかTNFDのように、気候変動、または生態系サービスといったものの情報開示を企業に求めるものであります。これは通常は、ただそのままやってしまうと、企業にとっては負担のみが生じて、それがどう活用を本当にされていくんだろうというところに、資産換算を行いながら、それが教育、健康の成果であります、人の価値である人的資本、そして通常のインフラの価値であります人工資本との相対比較などができたりします。それぞれを何とか増やしていくことが社会の豊かさにつながるということで、経済学でインクルーシブ・ウェルスというんですけども、ノーベル経済学賞受賞者のケネス・アロー、またはダスグプタなどの主要経済学者が発展させた理論に基づき、これを上げていくこと自体が社会が持続可能になるんですよという提案を国連で出されております。

 次、お願いします。

 それを踏まえて、重要な結論は、そのインフラの人工資本でありますとか、人の教育、健康であります人的資本というのは、2倍または4割程度増えているんですね。

 その一方で、自然資本というものは、世界全体では4割程度減っております。

 その一方で、その残り以外のインフラ、人も、半分以上は間接的に自然に基づいて生まれた価値でありますので、この現象というのが将来世界の発展にマイナスの影響を及ぼすということで注目を浴びております。

 この視点は、右の図でいいますところの生態系サービス及び気候変動の共同の報告書などでも議論されており、一つのこのCO2の対策だけをすればいいではなく、生態系保存上もマイナスにならないように、例えば、バイオマス発電をするときに、そのところの地域を改悪させないようにしながら、かつ、気候変動をしようということで、そうするとこれまでGDPに対して3%から20%ほどの悪影響が気候変動で生じると言っていたところが、実際もう少し大変になるということを提言で出しております。

 次、お願いします。

 そういう取組からさらに複数の国で、さらに政策をつくっていこうということがございました。ぜひ、日本政府でも検討いただきたいんですけども、例として、イギリス政府は、自然資本を今後上げていこうということで、ダスグプタ・レビューという、著者の名前のダスグプタを活用しながら、自然資本を上げていく、生態系サービスを気候変動とともに上げていくんだということを昨年提言されました。その上で、ネイチャーポジティブという自然の価値を排出権取引の制度と同様に、実際に考慮しながらやろうということをやっています。

 これはどういうことかと言いますと、日本の場合で言いますと、高速道路などを造った際に、地域の森林などを改悪させるわけです。その分を罰金または別のところでオフセットするような仕組みを義務化していこうということで、2年後を目処に今進んでいるところであります。これは日本国内でも、排出権取引市場を2年後を目処に想定されているので、同じような動きかと思います。ちなみに、この世界経済フォーラムの持続可能性のフォーラムでは、このダスグプタ・レビューが出た後、産業界でもみんなでやりますというふうな提言をされております。

 次、お願いします。

 こういった大きな海外の動きを経て、国内の金融機関も変わってきているというのが現状でございます。地銀の大手のふくおかフィナンシャルグループでは、子会社でサステナブルスケールというところをつくりまして、日本の多くの企業は、実際は中小企業であることを加味して、中小企業のSDGs評価をしっかりしながら、各自の強みを理解しながら事業を少しずつシフトしていこうということを数値で表現しながらやる取組を開始しております。

 この通常は、これまでコストでしかなかったものが新しい取組をすることできちんとした金融面でのリターンを得られるような仕組みをしようということが、大きな金融界の変換点になるのかと思っております。

 次のスライドをお願いします。これ最後のスライドであります。

 そういった上で、自治体のほうでも違う動きが進んでおりまして、大分県国東市でありますとか、福岡県中間市などの地域で、農業、林業ですね。農地貯留でありますとか、植林を活用しながら、耕作放棄地など、これまで使われていないようなもの、またはちょうど木を切って新しく植え替えるタイミングのところで、よりCO2を吸収しやすい創生木などを対応しながら、よりCO2を吸収して、それをボランタリークレジットであるけども、海外を含めたところに相対で取引をするような仕組みをつくろうということで動き始めております。

 こういったものの大事な点は、政府でも検討されておりますアジア・ゼロエミッション共同体など、アジア全体の排出権取引市場などを国際的な視点を基に科学的なエビデンスに基づいてやるという取組が非常に大事で、日本全国のルール化をつくるというのは、実際には非常に2年後であっても大変だと思います。そういう中で地域目線から、やりやすいところから進めていくという視点がまず大事で、そこも先ほどのスライドにありました、前のスライドのように金融界が変わっていっているので、よりこのカーボン上、または生態系保全上、新しい取組をしているところにリターンが来るということが言えるかと思います。

 これ最後になります。

 自治体、国及び産業界にとって、こういうのをやる理由は、自分たちのきちんとした利益にちゃんとつながるということが明確になってきたからだと思います。これは、なぜかといいますと、例えば、気候変動の一つであります台風一つを取っても、1回の台風で保険会社、場合によっては、1兆円以上の保険支払いを、企業を合わせますとしていることになります。これは気候変動で言いますと、適用の概念で、もう少し自前で対策をしっかりしていれば、その1兆円をさらに減らすことができれば、元からやったほうがよかったということになるわけですね。これと同じように生態系保存及び気候変動を同時に考えながら、それぞれのやり方で自前でやることで、マイナスを減らすことが、実は自分たちにいいことにつながるということが言えると思います。ぜひ、産業界の方々及び国、地域としましては、こういう新規の取組を自分たちで考えて進めていただくことができればと思っております。

 以上です。ありがとうございます。

大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、森田委員、お願いします。

森田委員

 ありがとうございます。

 こちらで共有させていただきます。

 見えますでしょうか。

大塚委員長

 見えます。

森田委員

 お願いします。

 自然を基盤とした解決策に関する国際的議論について、私のほうからお話させていただきます。

 まず、気候変動と生物多様性の関係性ですけれども、気候変動の問題も生物多様性の問題も、それぞれの原因となっているような間接的な要因であったり、直接的な要因というのは、それぞれ関係し合っているということ。さらには、この生物多様性の減少と気候変動の問題が我々人間の生活の質に関わっている問題であるということから、今、気候変動と生物多様性はセットに対応していく必要性が高まっている状況です。

 この気候変動と生物多様性の問題にまたがって、特に今、議論が高まっているのは、この自然を基盤とした解決策、ネイチャー・ベースド・ソリューションです。この概念自体は、比較的まだ新しい概念で、特にこのCOVID19からの環境に配慮した経済回復、グリーン・リカバリーの中で重要な位置づけになりつつあります。

 また、気候変動枠組条約と生物多様性条約の中でも、この概念が定着しつつありまして、このネイチャー・ベースド・ソリューションがどういったものなのかということに関しましては、様々な社会的な課題、気候変動であったり、防災であったり、水、食料、いろいろな問題を解決する中で、人間の幸福と生物多様性に関する便益を同時にもたらすような対策ということで、今、いろいろなアプローチが議論されています。

 こちらがネイチャー・ベースド・ソリューションのアプローチの例なのですけれども、本当に幅広いアプローチで、生態系回復のアプローチですとか、今回の気候変動に関する適応策、緩和策に関するアプローチ、防災に関するアプローチ、インフラ、様々あります。

 ただ、個々のアプローチに関しましては、決して新しいものではなくて、このネイチャー・ベースド・ソリューションの議論が高まっているのは、この後、お話しするような金融と経済の議論と結びつけた、このいろいろなアプローチを一まとめにこの金融と経済とリンクさせて話が高まっているというところで、今注目を集めています。

 全てのアプローチについてちょっとお話しする時間ありませんが、ネイチャー・ベースド・ソリューションは、気候変動の緩和のポテンシャルの観点でも、また改めて注目されています。皆様ご存じのとおり、森林に関しても、世界全体の緩和のポテンシャルで見てみると、ネイチャー・ベースド・ソリューション中で非常に緩和のポテンシャルもあるというふうに言われています。

 ネイチャー・ベースド・ソリューションに関しましては、今、2050年までに実際に気候変動や生物多様性などの問題を解決するために必要なネイチャー・ベースド・ソリューションの投資の総額につきましては8兆1,000億ドルが今後必要になってくるだろうというふうに言われています。

 現在の年間のネイチャー・ベースド・ソリューションに対する投資額は、1,330億ドルくらいと言われていて、そのほとんどが公的資金という状況で、この金額は今の気候資金と比べてもまだまだ少ない状況でスケールアップするためには民間資金の動員というのも非常に重要になってきています。

 G7でもこのネイチャー・ベースド・ソリューションとそれに関連した金融・経済関連の議論が高まってきています。G7では、自然を基盤としたこのネイチャー・ベースド・ソリューションの気候変動の緩和、適応に貢献するような取組に関しての資金量を増やしていくことですとか、また自然に投資し、馬奈木先生からお話があったようなネイチャーポジティブ、自然によい影響を与えるような、ポジティブな経済を促進すること、またそういったものへの自然に対する投資を増加させること、政府レベルの中でこういった自然の観点をもっと後押しするだけでなくて、金融界、産業界、ビジネス界のリーダーとともに取り組むことの必要性というのがこのG7の中でもうたわれています。

 ネイチャー・ベースド・ソリューションに関連して本当に金融や経済関連の議論が、特に欧州を中心として、高まっている状況で、気候変動のほうでTCFDとかの話がどんどん盛り上がっていますけれども、自然に関連しても、自然の関連の金融リスクの議論というものも高まっています。

 自然関連の、自然破壊による物理的なリスクだけでなく、ネイチャーポジティブな経済移行していく中での移行リスク、賠償責任リスク、そういったものが金融機関を含む企業にも大きな影響を与えるということで、気候関連のリスクだけでなくて、自然関連のリスクにも金融機関を含む企業というものは、備えていかなくてはいけない。そういったネイチャーポジティブな経済を目指さなくてはいけないといった議論があります。

 最後に、少し私自身が考える日本の課題というものをまとめました。社会変革を考える中では、気候変動に関してはもうみんな割とその必要性について認識が高まってますけれども、気候変動と生物多様性をセットで考えていくことが今後もっと必要となってくると思います。

 あとはネイチャー・ベースド・ソリューション、既に日本でもいろいろな自治体レベルで行われていると思いますけれども、そういった実際行われているアプローチと、金融や経済、ESG金融の議論といったものを結びつけていくような仕組みづくりがもっと必要となると思います。

 今日、高村先生からも話がありましたけれども、金融関連の省庁だけでなくて環境省以外にも国交省とか農水省とか、こういった問題、ネイチャー・ベースド・ソリューションを広く議論する中では、いろいろな省庁からの参画が必要となってくると思います。

 また、気候変動や生物多様性を取り組んできたような人たちだけではない幅広いステークホルダーを巻き込むためにも、このネイチャー・ベースド・ソリューションのいろいろなグッドプラクティスを幅広く共有し、さらにそれをベースにしながらもっと新しいアイデア、ネイチャー・ベースド・ソリューションを促進するようなアイデアを考える仕組みも必要かなと思います。

 私自身、自分の分野とは異なる環境以外の分野の人にネイチャー・ベースド・ソリューションの話をしたり、若い世代の人たちに話したりしたときには、おそらくSDGsの教育の影響もあると思うのですけれども、すっと理解してもらえて、こういうやり方がいいのではないかとか、今まで考えなかったようなアイデアもいただいたりしているので、本当に幅広いステークホルダーを巻き込んでいくことは重要だと思います。

 そして最後ですけれども、このネイチャー・ベースド・ソリューションと金融の話は今、欧州を本当に中心として議論が高まっているのですけれども、私個人としては、この自然に関する考え方というのは、欧州とアジアでまた少し違う部分があると思います。

 そういった意味で、日本がネイチャー・ベースド・ソリューション推進やネイチャーポジティブなエコノミーの議論をリードしていけると、ほかのアジアの国々でも日本の事例を、もう少しうまく活用しやすくなって、日本としてももっと他のアジアの国々に貢献できる可能性があるのではないかというふうに思っております。

 以上となります。ありがとうございます。

大塚委員長

  ではただいまのご発表の内容を踏まえまして、ご意見等がございましたら挙手ボタンをクリックしていただければと思います。

 じゃあ、武藤委員、お願いします。

武藤委員

 どうもありがとうございます。

 国際協力機構JICAの武藤と申します。国際協力の現場で、日々途上国の皆様の国の将来に一緒に向かい合いながら仕事をしております。

 私どもは、技術協力それから公的ファイナンスをやっております。日本のCOP26での約束5年間で6.5兆円の気候資金で具体的に貢献する役割でございます。

 私のほうからは森田先生に一つ質問がございます。

 スライド6で、ネイチャーベースソリューションで公的資金が大半というところがございましたけれども、それでも民間資金14%入っているということは、本当に驚きでございまして、そこは何かのクレジットの仕組みがあるのか、何かのサービスを認定しているのか、ぜひ何か知見がおありでしたらば教えていただければと思います。

 ありがとうございます。

大塚委員長

 はい、ほかにはいかがでしょうか。

 じゃあ、森田委員、ご回答お願いします。

森田委員

 生物多様性のオフセットであったり、持続可能なサプライチェーンとか、インパクト投資とかそういったものになります。

 あとはほかにもあるようですけれども、さらに具体的な仕組みについては、すみません、すぐに分からないです。

大塚委員長

 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

馬奈木委員

 私、今の件よろしいですか。

大塚委員長

 どうぞ。

馬奈木委員

 気候変動な民間は多いんですけど、ネイチャー・ベースの自然保護系は公的資金がメインなので、実際のグリーンボンドなどの取組が多くて、グリーンボンドの仕組みはJICAさんも近いと思うんですけど、国内の金融機関、海外の金融機関を含めた多くのところが自国内だけじゃなく他国にも多くの取組がございます。そういう意味で、比較的元は公的資金が多いんですけど、金融機関も含めながら、入り込んでるのが非常に多いです。特徴は国ごとにかなり違います。

 以上です。

大塚委員長

 ありがとうございます。

 では、高村先生、どうぞ。

高村委員

 ありがとうございます。馬奈木先生、森田先生どうもありがとうございました。

 お二人のところ特に自然、ネイチャーベースソリューションあるいはネイチャーポジティブ、キーワードに、お話しありましたけれども、双方にご指摘があったのが、前半の議論と関わって、特にサステナビリティ、これ、気候変動だけでなく、それにつながる自然や場合によっては循環経済も含めて、サステナビリティを企業の情報開示、資料評価に統合する。スライド21だと思いますけれども、ここはやはり本日のご報告を踏まえて、さらに検討を深めるべきではないと思います。

 というのは、もちろんこの分野にしっかりこれは特に地域とも連関していますけれども、企業の取組、あるいは資金のフローというものをもたらすということもそうですし、そのことを通じてしっかりそれが企業評価につながるような、そうした、国の制度なりルールの構築がされることが、国際的に高まるこういう潮流に対して、しっかり日本企業の評価を上げていくということにつながることだというふうに思います。

 そういう意味で、三日月知事ですとか、宮下委員からもご指摘があったように、金融、特にこうした分野での地域への資金、フローをどうしていくか、金融の役割とともに国としてそれをどう促進していくかって議論をぜひ進めていく論点として取り上げていただきたいと思います。

 以上です。

大塚委員長

 どうもありがとうございました。

 そうしましたら、時間が参りましたので、ほかに本日ご議論いただいた論点を含めて、次回以降引き続き議論を進めさせていければと考えております。

 最後に、議題の(2)その他につきまして、何かございましたら事務局お願いします。

地球環境局総務課長

 特に、今の議題の(2)についてはございません。

大塚委員長

 それでは、以上で本日の議事は全て終了いたしました。円滑な進行にご協力いただきまして、誠にありがとうございました。

副大臣

 どうもすみません。ちょっと大臣が顔を出せないようなので、私、大臣に代わって僭越なんですが、本当に地域社会の取組、一人一人の理解の促進、それから暮らしの変革についてのいろんな切り口を伺ったような気がします。

 私、今日、群馬県に行ってきたんですけどね。群馬県の知事が、地球温暖化対策条例防止条例を作りつつあるあると、一定程度の建物に太陽光発電施設を整備するのを義務づける付けるみたいな、そういう思い切った条例をつくろうとしていてちょっとびっくりしたんですが、一方で、群馬県が平地林がないんですよね。みんな昔、桑畑にするので切っちゃったんですけど、例えば今日の自然資本を活用する仕組みとか、NDSの取組なんかもちょっと聞いていて、吸収源対策をもっともっと日本はできそうな気がしています。それの経済的価値を見いだして、どうやってそのそういう吸収源対策を講じていくか、それが生物多様性にもつながると、そういうこともちょっと深堀りできる分野かなというふうに聞いていて思いました。

 ちょっと私もあんまりは参加しませんが、この議論をしっかり網羅したいと思います。今日はありがとうございました。

大塚委員長

 どうも副大臣ありがとうございました。

地球環境局総務課長

 事務局でございます。

 ちょうど山口大臣が出席しておりました、国会の審議がつい数分前に終わったということで、今、大臣、役所のほうに戻っている最中なのでございますが、どうでしょうか、今、まだ間に合っていないですか。

地球環境局総務課長

 山口大臣ご挨拶されるのを大変楽しみにしておったんですけれども、あと2分で定刻になるということでございますので。

 ちょっとお待ちください。今、確認にいきましたので。

大塚委員長

 せっかくだから何かご発言ございましたら、お願い致します。もうございませんでしょうか。

馬奈木委員

 私、よろしいですか。

大塚委員長

 お願いします。

馬奈木委員

 今、副大臣おっしゃいましたように、使いにくい土地はそのCO2吸収源として、農林業でやれると思うんですね。これは同様に、通常のいろんなビル開発を含めたところができない場所でも同様で、比較的どの苗を植えるとか、そういう取組が進展すれば農林業ってなかなか発展せずにどんどん厳しい環境だったんですけど、CO2吸収ということ自体で市場になるので、新しい産業にもつながりますし、行政にとっても企業の方にとっても結構プラスになると思いますので、ぜひ検討を国内全体としてはお願いしたいと思います。

 以上です。ありがとうございます。

大塚委員長

 ありがとうございます。

太田委員

 それとの関係でよろしいですか。

 ちょっと私、数字持っていませんけど、吸収源対策ですけども、広葉樹、もともとは日本の森、炭にする薪炭にするにしても、たき火にするにしても、全部広葉樹がエネルギーの森だったわけですけども、それが、全くというほど使われていない。ところが広葉樹を、例えば、バイオマス発電にしても使えば30年ぐらいなら切ったらまた再生するんですね。どんどん再生するその過程でCO2の吸収が多い、私みたいな年齢になった木は、吸収がほとんどないんで、意味がないんですけども、そういうことでバイオマス発電にしても、そういう広葉樹をうまく更新していく、あるいは今、農水省でも研究あるいは環境省もちょっと入っているのかな、エネ庁が入っているんですけども、よく成長するそういう木があるわけで、その木を計画的に植えて燃料にしていく、早生樹になるんですけど、そうすると、燃料にも使えるし、CO2の吸収が大きいんですね。

 そういうこともまた何か検討していただければありがたいなと思っています。

大塚委員長

 ありがとうございます。

 私からも馬奈木委員にちょっとお伺いしたいんですけど、すみません。

 最後のページの大分県の国東市とか福岡県中間市の例というのは、農地の貯留に関しては、何かちょっと特別なことをしているのか、どうかをお伺いしたいと思います。あるいは森林に関しても、これはそれほど特別なことではなくてもこの仕組みを使えるのかを教えてください。

馬奈木委員

 山のほうは、早生桐で20年で少しずつCO2を吸収するではなくて、5年で吸収して早く育つというものを考えておりまして、農業のほうは、遊休地を活用してなので、この農業の方々に問題なく耕作放棄地を活用するので、問題なくできるということと、場合によっては合意が得られれば、1毛作でやられてるところに2毛作目で、CO2目的でやるということを想定しております。

 そういう意味では、通常のやり方でも問題ございませんし、新しい早生桐などでもいいと思っております。

 ありがとうございます。

大塚委員長

 どうもありがとうございました。恐れ入ります。

 淡路委員から手が挙がっておりますが、どうぞ、淡路委員、お願いします。

淡路委員

 千葉銀行の淡路でございます。

 お時間が少ない中、申し訳ありません。

 今、森林をバイオマスの発電の燃料にできるというような話がありましたので、ちょっと関連して、お話し一つだけします。

 千葉県では2019年に大きな台風がありまして、多くの木が倒れました。そして当時いろいろなところで、その倒れた木を何とかバイオマスとか何らかの燃料に使えないかというような議論が起こったんですけれども、当時は民間が私で持っている土地の木が倒れたことが多かったことですとか、所有者が不明、たどり着けないところが多いというようなことから倒れた材木をうまく使うことができなかったんじゃないかと思っています。

 自治体から私ども金融機関に対して、その材木を置く場所の確保に協力してほしいというような話がありましたが、なかなか前に進まなかったという記憶があります。

 ですので、森林の材木を活用するというふうなことを急に進めようとしても、誰が持ってる土地なのか、どういうふうに使うのか、どうやって運ぶのか、一旦どこに保管しておくのかみたいいに落とし込んでいくと、なかなかいろんな議論が必要になってくるのかなというふうな印象を持っております。

 以上です。

大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、本日の議事はこれで全て終了いたしました。円滑な進行にご協力いただきまして、誠にありがとうございました。

 事務局にお返しします。

地球環境局総務課長

 大塚委員長、また委員の皆様、熱心なご審議大変ありがとうございました。

 それでは、大臣が国会から戻られましたので、ご挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。

大臣

 どうもすみません、こんにちは。

 今日はもう第1回のカーボンニュートラルに向けての脱炭素中立型の経済社会変革小委員会、本当ありがとうございます。

 先ほど国会が終わったばっかりなんですけど、本当に気になって私も最初から伺わせていただくつもりでいたんですけれども、本当大事な、いろんなご意見いただいたと思います。脱炭素を制するものは次の時代を制する、こう言って間違いないと思います。そういう意味で、日本のグランドデザインをつくっていく。それが今回の大きな目的です。

 1月の18日に、官邸でクリーンエネルギー戦略会議をやったわけですけれども、総理からは、国民の皆さんのライフスタイル、あるいはこの地域の脱炭素から一人一人の意識の変革、そういうことも含めてというふうに私にありました。他方の今日、この委員会でご意見いただくお一人お一人にはぜひ枠に捉われずに、もう日本のこれからのグランドデザインをつくり上げるんだという気持ちでいろいろと意見をおっしゃっていただければと思います。

 経済産業大臣の萩生田さんと調整するわけですけれども、もう経産省の分野にもうどんどん踏み込んでおっしゃっていただいて、調整のほうは我々でやりますんでですね、ぜひ日本のグランドデザイン全般をつくって、脱炭素制するものは、日本がこれから次の時代を制するんだというつもりでおっしゃっていただければありがたいと思います。

 そして、何度かご意見いただいた後、4月でしょうか、4月の末ぐらいには一度取りまとめということがあるかもしれません。ぜひその間にもいろいろと事務局からまた連絡を取らせていただきたいと思いますし、ぜひグランドデザインの、新たなグランドデザインを描くというつもりで、ぜひご指導いただければありがたいと思います。

 今回の審議会には自治体、あるいは学識経験者の先生方、金融企業、あるいは働く仲間の代表、そして若者世代など、大変多様な分野の有識者の皆様にお集まりいただいております。その意味でぜひ次回以降も忌憚ない意見を交わしていただきますようお願い申し上げます。

 ということで今日は本当にありがとうございます。これが本当に新たなスタートだということで、ぜひご指導ください。どうもよろしくお願いします。

地球環境局総務課長

 大臣、ありがとうございました。

 改めまして、委員の皆様には、本日のご審議大変ありがとうございました。

 今日の議事録につきましては、事務局で作成をし、委員の皆様に確認をいただきました後に、ホームページで掲載をさせていただきます。

 次回は来週になりますけれども、3月の2日水曜日10時からを予定しております。

 それでは、これにて閉会とさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

午後7時07分 閉会