カーボンプライシングの活用に関する小委員会(第10回) 議事録

日  時

令和元年6月21日(金)  13 :00 ~ 16:00

場  所

全国都市会館 大ホール

(東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館2階)

議  題

(1)第5回から第9回までの議論の概要

(2)議論の中間的な整理に向けて

配付資料

資料1   第5回から第9回までの議論の概要

資料2   カーボンプライシングの活用の可能性に関する議論の中間的な整理に向けて

参考資料1 カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員名簿

参考資料2 カーボンプライシングの活用に関する小委員会第9回議事概要

参考資料3 カーボンプライシングの活用の可能性に関するこれまでの議論【第6回資料1】

参考資料4 カーボンプライシングについて(炭素税)【第6回資料2】

参考資料5 カーボンプライシングについて(排出量取引制度)【第7回資料1】

参考資料6 パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(令和元年6月11日閣議決定)

議事録

午後1時02分 開会

鮎川市場メカニズム室長

それでは、定刻となりましたので、ただいまから第10回中央環境審議会地球環境部会カーボンプライシングの活用に関する小委員会を開催させていただきます。

まず、委員の交代がありましたので、お伝えさせていただきます。

一般社団法人日本経済団体連合会専務理事の根本勝則委員に代わりまして、同じく一般社団法人日本経済団体連合会専務理事の椋田哲史委員にご就任をいただいております。

椋田委員

椋田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

鮎川市場メカニズム室長

よろしくお願いいたします。

また、本日、ご欠席の電気事業連合会の廣江委員の代理の説明員といたしまして、同じく電気事業連合会立地環境部長の小川様にご出席をいただいております。

小川説明員(廣江委員代理)

よろしくお願いします。

鮎川市場メカニズム室長

よろしくお願いいたします。

それでは、資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第の資料一覧をご覧いただきたいと思います。

まず第1といたしまして、A3縦長の「第5回から第9回までの議論の概要」という資料。

資料2といたしまして、A4の縦の分厚めの資料でございますが、「カーボンプライシングの活用の可能性に関する議論の中間的な整理に向けて」という資料でございます。

なお、それ以下の参考資料1といたしまして、小委員会の名簿。2といたしまして、前回、第9回の議事概要。3といたしまして、「これまでの議論」(第6回の資料1)でございます。参考資料4といたしまして、第6回資料2としてお出ししていました「カーボンプライシングについて(炭素税)」。参考資料5といたしまして、第7回資料1としてお出しいたしました「カーボンプライシングについて(排出量取引制度)」。参考資料6といたしまして、令和元年6月11日に閣議決定いたしました「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」といったものを、タブレットの方に格納させていただいております。

資料の不足、落丁等がございましたら、お手数ですが、事務局までお申しつけいただければと思いますが、大丈夫でございましょうか。

それでは、浅野委員長、以降の進行をお願いいたします。

マスコミ関係の方におかれましては、撮影はここまでとさせていただきます。

委員長、よろしくお願いします。

浅野委員長

それでは、今日はちょっと早い時間にお集まりいただきましたが、よろしくお願いいたします。

次の回では、当委員会で約1年かけて議論してまいりました内容を中間的に整理していきたいと考えております。

それで、それに先立ちまして、前回もちょっと事務局に指示すると、事前に申し上げましたが、これまでに頂きましたご意見も大くくりに整理させてみました。「カーボンプライシングの活用の可能性に関する議論の中間的な整理に向けて」と題して、お手元にそれをお示ししております。

本日は、いつものように、これまでの議論を整理した資料についての概略の説明をいただいた後に、この資料の2について、事務局から説明申し上げて、ご議論をさらにいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

それでは、議題の1、議題の2について、一括して事務局から説明いただきます。

新原市場メカニズム室室長補佐

それでは、議題の1につきまして、資料1、お手元にA3の縦長の大きな紙の資料を配付しております。資料の1、第5回から第9回までの議論の概要に沿って、ご説明させていただきます。

この資料の1につきましては、黒い文字で書かれている部分が、前回、第9回にお出しをした同様の資料と同じ部分、変更がない部分でございます。

また、赤い文字で書かれている部分につきましては、前回の資料に対して、特に追加・修正のご指摘をいただきまして、それを反映させていただいた部分となります。この赤字の部分につきましては、いずれも過去のご発言の内容の追加、適切な表現に修正・補足するというご指摘でした。

また、各ページの外枠と同じ色の文字、青色、緑色、えんじ色、紫色といった部分、各ページの外枠と同じ色になっている部分が、前回第9回での、この小委員会での議論で頂いたご意見を新たに追記しているという部分でございます。

本日は時間も限られてございますので、この新たに追加をした第9回分のご意見について、かいつまんでご説明をさせていただきます。

まず最初に、資料の1、1ページ目の一番下のところが新たに追加をした部分でございます。

一番下に、2つご意見がございます。

昨年の夏の猛暑で、熱中症で非常に多くの方が亡くなっており、これが温暖化との関係があったといったようなご意見、また、猛暑、豪雨、こういったもので、既に保険金の支払い額も最高額に達していると、こういったご指摘があったところでございました。

おめくりいただきまして、2ページ目の、こちらも下の方でございますけれども、水色の文字のところをご覧いただければと思います。

2ページ目の下、水色の文字のところでございます。

こちらについては、カーボンプライシングで負担があるということは否定できないけれども、カーボンプライシングの設計によっては経済に正の波及効果が考えられると。二重の配当といったような理論に基づいて減税をするということによって経済が成長することも、理論上、起こり得るといったようなご意見。

また、IoTやAI等、Society5.0の状況の中で、対GDP比で炭素集約度が上がることにCPが貢献するといったようなご意見がございました。

また、AI、IoT、こういったものについては、どれぐらい電力を使うことになるかということが大きな課題であって、議論していかなければならないというご指摘。それから、シェアリング・エコミニーやサーキュラー・エコノミー、こういったものが重要になってくると、きちんと議論していくべきであるといったご意見がございました。

続きまして、3ページ目でございます。

こちら3ページ目がカーボンプライシング脱炭素化と経済成長に寄与する可能性についてのご意見で、3ページ目の上の方からいきます。かいつまんでいきますけれども、電力をたくさん使うところで、その負荷が大きくなると、特にデータセンターの問題がある。また、電力消費の大きな産業が心配であるというご意見がございました。

これに対しては、もう既に減免措置など、いろんな制度の先例があるというご意見もあります。

また、電力多消費産業が日本から出ていってしまうのではないかという懸念についてのご指摘。これについては、逆のことも起こり得るということで、RE100に加盟するような企業が国外に行ってしまうということは、むしろマイナスではないかといったご意見。

また、脱炭素化に乗り遅れる経済的リスクというものがもう既に出てきているというご意見。

また、先進国経済は、どこもサービス産業化が進んでいるということで、産業が国外に出ていくのはエネルギーの問題ではないといったご指摘もありました。

それから、イノベーションと投資の関係につきましては、カーボンプライシングが導入されることで、排出量の少ない製品が買われるということで、研究開発、技術開発が進むと、これによって、イノベーションが進むということではないかというご意見がございました。

これに関して、現在、なかなか投資が進んでいない、資金が滞留しているといったようなご意見もございました。

こういった中で、政府が今後の社会の方向性を示していくということが、企業の投資しやすい環境を作っていく上でも重要だといった趣旨のご意見がありました。

また、資金に関して、内部留保、こういったものは投資に回されているけれども、カーボンプライシングが入ったらどうなっていくかということも検討しなければならない。中小企業の状況についても、さまざまであるといったようなご意見もございました。

また、カーボンプライシングに期待をするという一方で、中小企業には配慮したものであってほしいといったご意見もいただいております。

それから、ファイナンス、金融などとCO2の可視化との関係についてのご意見もいただいております。

TCFDやESG投資、こういったものが進んでいく中で、企業がどれだけCO2削減できたかと、こういったもの。また、コストとしてCO2が見えるということ、こういったことが必要であるといったご意見がございました。

それから、人口減少、デジタル化、脱炭素化、こういった流れの中で、カーボンプライシングがどう関係していくかというところで、日本経済がなかなかこういった状況に対応できない中で、生産性の向上であるとか、産業構造の転換を考えて、CPの制度設計が必要である。あるいはそういったものが寄与していくのではないかといったご示唆を頂いているところでございます。これは同様の方向性のご議論をたくさん頂いているところです。

次の4ページ目にかけても、同趣旨のご意見を複数頂いているところでございます。

一方で、4ページ目の下の方でございますけれども、必ずしもそのカーボンプライシングが脱炭素化を目指していくことで経済にとって好ましいサイクルが回るかということについて、疑問を呈されるご意見、ネガティブな側面が大きいのではないかといったご意見も複数頂いているという状況でございます。

続きまして、炭素税につきまして、1ページ飛ばして、6ページ目の一番下、末尾でございます。

6ページ目の一番下の緑色で書かれている部分でございますけれども、炭素税の課税水準に関して、日本経済研究センターの試算に関してのご意見で、2050年までに80%、CO2削減していくということで、Society5.0が成功するという前提で、トン当たり1万円のカーボンタックスが必要である。ゼロエミッションにしたければ、2万円といった試算結果が出ているといったご指摘がございました。

続きまして、10ページ目の末尾に、えんじ色で書かれておりますご意見、10ページ目の末尾でございます。えんじ色で書かれているところが、排出量取引制度の課題への対処策のところで追記をさせていただいております。

電力を集中的に使う産業に対して減免措置をするということは、制度として実行可能であると。これがFITの経験を通じて示されているということで、こういったご意見もあったというところでございます。

続きまして、13ページ。

13ページ目がCO2排出削減に関連する既存の制度をめぐる議論ということで、13ページ、青字で書かれている部分が、前回、第9回で頂いたご意見でございます。

こちら、FITについて、ご議論をいただいておりました。FITに関しては、かいつまんで申し上げますとが、まず、FITの功績として、FITによって再エネの導入拡大が非常に進んだと、この意味ではプラスの意味があったということで評価をするご意見がありました。

また、FITのCO2削減の効率性などとの関係については、FITでは、果たして経済全体で見たときに効率的にCO2削減を進められるかというと、そうではないのではないかといったご意見。

FITのような形ではなくて、カーボンプライシングで外部性に値段をつけて、あとは民間の競争で、どの技術が選ばれるかという方がよいのではないかといったご意見。

また、FITは供給業者にインセンティブを与えるものであるけれども、需要家に対してシグナルを与えるものではないと、この点はカーボンプライシングの方が意義があるのではないかといったご意見。

それから、太陽光については、近いうちに卒FITするかもしれないということで、そこは、化石燃料にカーボンプライシングがかかることによって太陽光に競争力がつくといったようなこと。一方で、現在もコストの高い電源については、FITで補助をしていく価値があるということで、カーボンプライシングとFITのすみ分けが可能ではないかと。

また、カーボンプライシングとFITは矛盾するわけではなく、両立し得るものであると。両方やっていけばよいのではないかと、こういったご意見をいただいているところでございます。

それから、FITの対象分野につきまして、FITは電気が対象になるけれども、熱が対象にはなっていないといったご意見。

それから、自家発、地域分散型エネルギーについては対象にならない場合があるといったご意見。それから、化石燃料と再エネのどちらが選ばれるか、化石燃料の脱炭素化といったものを考えた際にFITだけでは不十分ではないかといったご意見がございました。

それから、FITのコストに関して、非常に賦課金の負担が重くなっている、非常に金額が大きくなっているということで、非化石市場の取引が始まっているわけですけれども、引き続き、長期にわたって買い取りの義務があるということで、この負担が大きいというご指摘がありました。

また、賦課金以外にも、再エネを主力電源化していくために系統対策費用ですとか、そういった諸々のコストをトータルで考えて議論していく必要があるといったご趣旨のご意見がございました。

また、コストダウンに関して、それから再エネの主力電源化に向けてですけれども、かなり大きな技術開発と再エネを受け入れるための電力ネットワーク、こういったものが必要であるということで、なかなかFITでは、こういった面のコストダウンにあまり向かないのではないかと。一案として、CPの収入を系統に使うとか、技術革新で使うとか、そういったようなご提案もいくつかあったというところでございます。

続きまして、資料の最後の14ページ、一番下の紫色で書かれているところでございます。

これからの議論についてということで、今後の議論の進め方に関するご意見を14ページの下の方に追記をしてございます。

カーボンプライシングについて、脱炭素化を目指していくということで、カーボンプライシング、どうやったらデメリットを最小化して、経済的なメリットを最大化できるかといったような方向で議論すべきではないか。

また、2050年といった長期の将来に向かって、国民生活、消費、家計、どういった形で変わっていくか、こういったものについて、カーボンプライシングはどう貢献していくかということを見せるべきではないか。我々が、長期に向かって、どの方向に向かっていくか、政策的なメッセージを出していくことが重要である、こういったような方向性のご意見を頂いていたというところでございます。

以上、駆け足でございましたけれども、資料1について、前回のご議論について、概要のご説明とさせていただきます。

続きまして、議題2につきまして、資料の2、カーボンプライシングの活用の可能性に関する議論の中間的な整理に向けてに沿って、ご説明をさせていただきます。

お手元に資料2をご用意いただければと思います。

こちらのお手元にございます資料の2でございますけれども、内容といたしましては、全体で大きく6つ、6個のパートに分かれてございます。

6個のパートのうち前半の3つにつきましては、昨年の年末に皆様にご議論いただきました『カーボンプライシングの活用の可能性に関するこれまでの議論」という資料がございました。

本日、参考資料としてもお配りをしているものでございますけれども、年末にご議論いただいた、この『れまでの議論』の構造を踏襲したものというふうになってございます。

また、後半の3つのパートにつきましては、本年の年明け以降にご議論いただいた炭素税や排出量取引、今後の議論の進め方等に関するものについて、まとめさせていただいているものでございます。

それでは、内容のご説明をさせていただきます。

まず、資料の中を開いていただきまして、最初の2ページ目が、これまでの議論の構造を踏襲しまして、まず最初のパートとしまして、気候変動の現状と脱炭素社会への移行というパートになってございます。

こちらにつきましては、気候変動の基本認識と脱炭素化をめぐる国内外の動向ということで、年末に出させていただいたものと同様のものを本文として書いてございます。

続きまして、おめくりいただきまして、点線の囲みでございますけれども、点線の囲みの中に各委員から頂いているご意見を整理させていただいているというところでございます。

この点線囲みの中は、この資料を通じまして、黒字で書かれている部分が昨年末にご議論いただいた、『これまでの議論』で記述させていただいたご意見でございます。また、青字で書かれている部分が、年明け以降にご議論いただいたものを新たに追記しているというものでございます。

3ページ目に書かせていただいているのは、気候変動の基本認識をめぐる意見ということで、ここに記載をさせていただいているところでございます。

続きまして、5ページ目でございますけれども、ここが最初の固まりの二つ目の区切りということで、我が国経済の現状と脱炭素化に向けた考え方ということでございます。

本文については、これまでの議論と同じでございます。

この中で、5ページの下、我が国経済の現状をめぐるご意見、また、6ページに脱炭素社会への移行のあり方等をめぐる意見、あと、7ページ目にエネルギー事情をめぐる意見を記載させていただいているというところでございます。

そして、9ページ目をおめくりいただきまして、9ページ目、カーボンプライシングをめぐる議論に当たってということで、ここが年末にお出ししました、これまでの議論に追記を新たにした部分でございます。

ここは、炭素税や排出量取引制度を年明け以降にご議論いただきましたけれども、その議論の前提として、どういった社会を目指していくか、どういった方向性を目指していくかといったようなこと、背景事情として書かせていただいているところでございます。

議論に当たっては、脱炭素社会への以降の実現、将来にわたって質の高い生活をもたらす新たな成長、こういったものを目指していくということを踏まえて議論していくべきではないかということで、環境基本計画などを引用させていただいているというところでございます。

また、10ページに行きまして、議論に当たり踏まえるべき基本的視点ということで、カーボンプライシングの活用に関して、さまざま課題が指摘をされているというところでございます。

これも踏まえながら、次の3点が必要であるということで、11ページ目の1、2、3でございますけれども、カーボンプライシングによって脱炭素化に向けた価格シグナルをあらゆる主体に発出していくこと、経済成長を実現するために、価格シグナルを発出していくということ、また、エネルギーコストの急激な上昇による負担の増大であるとか、国際競争力の低下、こういったものに適切に対処していくこと、こういったような視点をもとに議論していくことが必要ではないかということを書かせていただいております。

続きまして、12ページが、カーボンプライシングが脱炭素化と経済成長に寄与する可能性ということで、全体で大きく6つ分かれるパートのうちの二つ目のパートとなります。

こちらにつきましては、12ページ中ほどでございますけれども、カーボンプライシングが脱炭素化に寄与する可能性ということで、一つ目の矢羽が、脱炭素社会への移行におけるカーボンプライシングということでございます。

ご意見としては、13ページ目、脱炭素化におけるカーボンプライシングの意義・特質をめぐるご意見ということで書かせていただいております。

続きまして、15ページ目、エネルギーの脱炭素化における位置づけをめぐるご意見を書かせていただいております。

また、16ページ目からが、矢羽でございますけれども、カーボンプライシングのCO2排出量削減効果に関する記述を書かせていただいております。

17ページ目の一番下から、各国におけるカーボンプライシングの削減効果をめぐる意見ということを書かせていただいております。

また、18ページの、ここが二つ目の固まりの次のサブカテゴリーですけれども、カーボンプライシングが経済成長に寄与する可能性ということで、一つ目の矢羽が気候変動問題と経済・社会的課題の同時解決の可能性ということで書いてございます。

ご意見については、次の19ページから、カーボンプライシングと経済成長の関係をめぐる意見というものを書かせていただいております。

こちらについては、デカップリングですとか、中に、丸括弧で書いてございますけれども、いくつか区分けをして整理をさせていただいているというところでございます。

しばらくめくっていただきまして、26ページ目が次の矢羽で、脱炭素化に向けたイノベーション促進の可能性ということで、イノベーションを誘発する可能性をめぐるご意見というものを26ページ、枠囲みに書かせていただいております。

続きまして、29ページ目の矢羽のところに、脱炭素化に向けたファイナンス促進の可能性ということで、こちらについてもファイナンスの関係で、29ページのところから投資家の新たな動向をめぐる意見ということで、こちらも点線囲みの中にご意見を書かせていただいております。

また、おめくりいただいて、31ページ目。企業投資の動向やカーボンプライシングによる投資促進をめぐる意見というものも枠の中に書かせていただいております。

また、32ページ、ここが全体6つに分かれるパートのうちの三つ目の大きなパートでございます。

32ページ目冒頭に、カーボンプライシングが課題をもたらす可能性ということで、これについては、これまでにもエネルギーコストの負担ですとか、国際競争力の低下、炭素リーケージ、こういったものが課題として指摘をされております。これについて、まとめたパートでございます。

一つ目の白丸がエネルギーコスト等の負担が増大をする可能性ということで、おめくりいただいて、33ページ目。エネルギー事情全体をめぐるご意見。それから、エネルギー本体価格やエネルギー税等を含むエネルギーコストをめぐるご意見といったようなものを書かせていただいております。

また、34ページ目が、実効炭素価格をめぐるご意見ということになります。

それから、35ページ目の下の方に電力価格をめぐるご意見。

36ページ目に石炭に関するコストをめぐる意見や他の施策とその対応コストをめぐる意見。

おめくりいただきまして、37ページに自主的な取組をめぐる意見といったものをまとめてございます。

また、38ページ目からは、国際競争力の低下や炭素リーケージが発生する可能性ということで記載をしてございます。

ご意見につきましては、39ページ目から、日本企業の国際競争力をめぐるご意見。

40ページ目に、炭素リーケージに対する基本的な考え方をめぐるご意見。

41ページ目に、カーボンプライシング導入国・地域における炭素リーケージの有無をめぐるご意見。また、国際競争力への配慮、炭素リーケージの懸念への対処をめぐる意見といったものを書いてございます。

また、逆進性が生じる可能性については、42ページ目からでございます。42ページ目の下の方から、国民生活への負担、逆進性をめぐるご意見を記載しているというところでございます。

続きまして、44ページからが、今回、新たに追記をしているところでございます。

ここからは年明け以降にご議論いただいた内容を書いているというところになります。

44ページ目からが、炭素税をめぐる議論ということで、最初の白丸でございますけれども、炭素税の妥当性、有効性などをめぐる議論でございます。

こちらにつきましては、本文に書かせていただいておりますけれども、税制グリーン化の必要性ですとか、価格シグナルの効果、社会的な重要性、こういった多様な観点からさまざまな議論が交わされたということでございます。

ご意見につきましては、炭素税の必要性をめぐるご意見ということで、44ページの下半分から書かせていただいております。

また、46ページ目が炭素税の許容性をめぐるご意見ということで、社会的受容性であるとか、国民に対してわかりやすく説明をすることが必要、そのためのさまざまな措置が必要といったようなことを書かせていただいております。

また、47ページ目が炭素税の有効性をめぐる意見ということで、価格シグナルがどれだけ効くのか、あるいはその効果を発揮させるためにどのような工夫が必要かといったようなご意見を頂いていたというところでございます。

続きまして、48ページ目が炭素税の仕組みをめぐる議論ということで、最初に、何を課税の対象とするか、どの段階で活用するかといったようなことについてもまとめているところでございます。こちらにつきましては、この小委員会の中で、上流、中流、下流と3つのパターンでご議論いただきましたので、これらについて、頂いた意見を整理しているというところでございます。

48ページ目の下半分が、何を課税の対象とするかをめぐるご意見、おめくりいただきまして、49ページ目が、どの段階で課税するかをめぐるご意見ということでございます。

また、続きまして、どのような水準で課税をするかということにつきましても、事務局より資料をお出ししまして、4つの考え方をご提示しまして、これについて、さまざまご議論いただきました。

この4つの考え方、国際機関等が提唱する水準ですとか、石炭火力のコストが天然ガス火力と同等になる水準ですとか、また、既存の税制とあわせて炭素比例となる水準、それから低い水準から導入していって段階的に引き上げていくといったような4つの考え方をお示ししました。この4つの考え方をめぐって頂いたご意見を整理しているというところでございます。

49ページ目の下の方に課税の水準の考え方をめぐる全体的なご意見を整理しております。

また、50ページ目の中ほどに、国際機関等が提唱する水準についての頂いたご意見、下の方に石炭火力発電のコストが天然ガス火力発電と同等以上となる水準、及び既存税制とあわせて炭素比例となる水準をめぐる意見ということで書かせていただいております。

また、51ページ目の下半分が石炭火力発電のコストが天然ガス火力と同等以上となる水準をめぐるご意見、52ページ目が既存税制とあわせて炭素比例となる水準をめぐるご意見、4番目が低い課税水準からの段階的な引き上げをめぐるご意見ということで整理をさせていただいております。

また、53ページ目でございます。こちらが炭素税について、どのような軽減措置が考えられるかということでございます。こちらについても、エネルギーコストの負担の問題であるとか、国際競争力、炭素リーケージ、こういった課題が指摘をされているところですので、これを踏まえて、頂いているご意見を書いているというところでございます。

一つ目が課題への対処の考え方をめぐる総論的なご意見、二つ目の点線囲みがエネルギー多消費産業への配慮をめぐるご意見。

54ページに行きまして、中小企業への配慮をめぐるご意見、また、家計への配慮をめぐるご意見といったようなものをまとめてございます。

また、55ページ目が税収の使途をどのように考えるかということで、こちらについては、非常にさまざまご意見があったところでございますけれども、一つ目の囲みが、税収の使途に係る問題意識をめぐる意見、二つ目の囲みが、税収の具体的な使途をめぐる意見ということで記載をしてございます。

そして、56ページ目に行きまして、下半分ですが、温対税の現状をめぐる議論ということで、こちらも事務局から、これまでに温対税の財源効果の試算結果ですとか、環境省の設備導入事業などの実績等、資料をお示ししておりますけれども、これについても、現状をめぐるご意見ということを56ページ、57ページに書かせていただいているというところでございます。

また、58ページ目から、これが全体6つに分かれるパートのうちの5番目のパートでございます。58ページ目からが、排出量取引制度をめぐる議論ということでございます。

最初のパートが、排出量取引制度の妥当性・有効性等をめぐる議論ということで、58ページ目の下半分でございますけれども、この制度の必要性をめぐる意見ということで、こういった制度が必要だとか、必要ではないとかといった必要性の有無をめぐるご意見がありました。

また、59ページ目でございますけれども、排出量取引制度の削減効果や利点をめぐるご意見がありました。

また、60ページ目でございますけれども、東京都や埼玉県の制度をめぐるご意見というものもありました。

そして、60ページ目の下からですけれども、排出量取引制度の仕組みをめぐる議論ということで、まずは一つ目の矢羽として、どのような事業者を制度対象とするかということについてご議論いただきました。事務局から提示をしました3種類の考え方について、それぞれご議論いただいているというところでございます。

どのような事業者を制度対象とするかをめぐるご意見については、61ページ目から63ページ目にかけて記載をさせていただいております。

また、63ページ目。二つ目の矢羽として、どのように割当総量を設定するのか、これにつきましても事務局の資料で、3つの考え方、温対計画を踏まえる、エネルギーミックスを踏まえる、あるいは長期大幅削減を見据えるといったような考え方を提示してございますけれども、これをめぐって頂いたご意見を63ページ、64ページに記載をしているというところでございます。

また、64ページ中ほどから、どのような割当方法とするかということで、グランドファザリング方式、ベンチマーク方式、オークション方式、この3つをめぐって頂いたご意見を64ページ目から65ページ目に記載をしているというところでございます。

65ページ目の下半分が課題への対応策をどのように考えるかということで、炭素税と共通する課題もありますが、排出量取引については、排出枠価格の乱高下ですとか、枠の余剰ですとか、そういった課題についてもご議論いただいているというところです。

65ページ、66~67ページが課題への対処の考え方をめぐるご意見、課題への対応策をめぐるご意見ということでございます。

続きまして、68ページ目。これからの議論というところが全体6つに分かれるパートの最後のパート、6番目のパートでございます。

これからの議論のうち、一つ目の白丸が、炭素税と排出量取引制度の関係をめぐる議論ということで、炭素税と排出量取引制度の対象範囲、役割分担、こういったものについてご議論いただいているというところでございます。その頂いたご意見を68、69ページ目に書いてございます。

また、69ページ目からが、二つ目の固まりとして、CO2排出削減に関連する他の政策との関係をめぐる議論ということで、省エネ法、高度化法、FITの3つを中心にご議論いただきました。これを、それぞれ省エネ法、高度化法、FITをめぐる意見ということで、69ページ目から記載をさせていただいております。

省エネ法をめぐる意見については、69から71ページ目、高度化法をめぐる意見については、非化石取引市場に関するご意見も含めて、71ページ目から72ページ、省エネ法と高度化法の両方にまたがるご意見につきましては、72ページ目から74ページ目の上段まで書かせていただいております。

また、74ページ目の上の方から、FITをめぐる意見ということで、こちらにつきましても、74、75、76、77、78の上段までご意見を記載させていただいています。

それから、個別の法令に限らず、他の政策との関係をめぐる全体的なご意見というものもございましたので、こちらも78ページ目から79ページ目の上段にかけて記載をさせていただいております。

続きまして、このパートの最後の固まりでございますけれども、今後の議論の進め方ということで、一つ目の矢羽でございますけれども、今後の定量的な議論が重要であるということで、これまでにも、この小委員会の中でさまざまにご指摘を頂いているところでございますけれども、脱炭化に向けて、どのような水準の炭素価格が考えられるか、また、そういったものがどのようなCO2削減効果、経済に対して、どんな影響を与えるかについて、可能性の議論が重要であるということでございます。

また、既存の制度、省エネ法、高度化法、FIT、こういったものとの関係についても、今後の議論が重要であるというのが二つ目の矢羽でございます。

そして、三つ目の矢羽でございますけれども、先般、6月11日、政府として長期戦略、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略を閣議決定いたしました。

この中につきましては、この79ページの枠囲みに引用してございますけれども、80ページ目の上の方をご覧いただければと思います。

上から3行目、末尾でございますけれども、「カーボンプライシングには、市場を介した価格づけだけでなく、税制も含まれる(既に一部導入)が、制度によりその効果、評価、課題も異なる。国際的な動向や我が国の事情、産業の国際競争力への影響等を踏まえた専門的・技術的な議論が必要である」といったようなことが記載されております。

このことを踏まえまして、今後、カーボンプライシングについても、専門的、技術的な議論をさらに深めていくべきであるといったようなことを書かせていただいているというところでございます。

最後に、80ページ目から末尾の82ページ目までは、議論の進め方に関して頂いているご意見を記載させていただいているというところでございます。

以上、私からの説明は以上でございます。

浅野委員長

それでは、ただいま説明いただきましたが、まず、資料の1につきましては、いつものとおりの扱いでよろしゅうございましょうか。

すなわち、ご覧いただいて、9回目に限らず、前のところも、もう一回見たら、ここは私の発言だが、ちょっと直したいということがあれば、報告書をまとめていく段階で使わせていただくことが多いと思いますので、遠慮なく申し出ていただいて、修正を加えるということにしたいと思います。ということで、よろしゅうございますか。

よろしければ、主に資料の2について、皆様方からご意見を伺いたいと思います。

ご発言、ご希望の方は札を立ててくださるよう私が申し上げるようにとシナリオには書いてありますが、これはほとんど無意味なことですのでいつものように順次ご発言いただきます。

今日は途中で退席をしたいと事前にお申し出いただいた委員が3人いらっしゃいまして、遠藤委員、土居委員、大橋委員が中途退席というお申し出でございます。

ほかにいらっしゃいますでしょうか。今の3人の方でよろしゅうございますか。

今日は、もういつもの順繰りでいきますと、安田委員から、ということになりますが、まず、先に退席される方から順番にお願いしたいと思いますので、お座りの順番で、土居委員に、まず、ご発言をいただきたいと思います。それから大橋委員、そして遠藤委員、この順番でご発言をいただきます。

土居委員、どうぞ。

土居委員

発言させていただきます。ご説明ありがとうございました。

両論併記的にまとめられているので、自分の意見と違うところに「ああだ、こうだ」ということは一切申しませんけれども、むしろ逆に、もう少し持論を強調しておけばよかったなと思うところについて、補足的に発言をさせていただきたいと思います。

順不同なんですけれども、まず、これは78ページの、これまでもありましたけども、省エネ法、高度化法、FITをめぐる議論との関係で、確かに、例えばこれは私の意見ではなかったかもしれませんけども、他の政策との関係をめぐる意見の一番最初の丸のところは、私もそうだと思っていて、特に既存の制度が温室効果ガス排出削減にどれぐらいの効果があるのかということを、まずはしっかり見極めて、それに加えて必要であるというところを確認をするということが必要だと思います。

屋上屋を重ねるような形で、とにかく炭素税を入れてみようという、排出削減には、既存の施策では足りないというところはわかっているんだけれども、その足りないというところがどのぐらい足りないのかということもはっきりしないと、カーボンプライシングへの賛同が集まらないというふうに思います。

そういう意味では、他の施策がどういう効果を上げているかということを確認するということは、今後、必要になるんじゃないかというふうに思います。

それから、これに近いページで、ちょっと蛇足的なコメントなんですが、75ページと76ページに、いくつかの意見に(第8回)とか、(第5回)と、恐らく消し忘れているんじゃないかと思うんですけれども、それをちょっと見つけてしまいましたので、指摘をしておきたいと思います。

それから、ちょっとページを戻りまして、55ページの税収の使途というところでありますけれども、私は、あまり生々しく、これまでここについて意見を述べませんでしたけれども、アバウトに、これは56ページに載っていますけども、消費税率10%より上になったときにどうするかとかというのは申し上げましたけれども、まずは地球環境の持続可能性ということを言っているんだったら、日本の財政の持続可能性も担保できなければ、地球環境の持続可能性も担保できないというふうに思いますので、やはり税収は、極力、財政赤字の削減に使うべきだというふうに私は思っております。

そういう意味では、これを言ったということを、中間報告の中でも、何か、どこかにまとめていただければと、入れておいていただければと、そういう意見があったということを入れておいていただければというふうに思います。

最後に、この中間整理を、どういう読み手にこれを読んでいただくべく中間整理をしているかというところは、ある程度、意識をした方がいいのかなと思います。

明らかに専門的な議論をしているので、一般国民に、平易にこの中間整理をお読みいただくというには、ちょっとふさわしくない、ないしはそうしようと今から無理に努力をすると事務局に過剰な負担を課してしまうということになりますので、あくまでも一般読者を想定しているということよりかは、この施策、カーボンプライシングにまつわる議論に、ある一定程度の文脈なり、関心をお持ちの方が、今、我が国において、どういう議論が進んでいるのかというところを整理するという、そういう位置づけにしていいんじゃないかなというふうに思います。

そういう意味では、これをうまく次回までに文章にしていただければと思います。

以上です。

浅野委員長

最後の方では、大変、事務局にはありがたいご発言をいただきまして、ありがとうございました。

それでは、大橋委員、お願いいたします。

大橋委員

まだ、まとまり切っていないんで、後ほどでいいですか。僕しばらくいるので。

浅野委員長

そうですか、はい承知いたしました。それでは、ころ合いを見て、名札をお立てください。

では、遠藤委員。

遠藤委員

ありがとうございます。私も、ちょっとまだまとまってないんですが、ただ、全体として、事務局のご努力とこれまでの各委員のそれぞれの知見からのご発言のもとに、両論併記とはいえ、この難しい、いろんな議論が、ある種のコンフリクトをする中で整理整頓していただいているなという、まずは非常に大変な作業でありましただろうことを想像し、御礼を申し上げたいと思います。

恐らく、どこにこの意見をまた追加していただければいいかちょっとわからないんですけれども、今の政府の方針とか、閣議決定の様子を見ていると、もちろんG20などもにらみながらなんですが、大きく排出削減に取り組んでいかなくてはならないという方向性を示していると。

ただ、そこについては、非常にイノベーションを重要にしていこうというような意志の表明があるというふうに思います。

ですので、その辺りでいけば、既存の施策の延長線上には、なかなかたどり着けない、高い目標値であるんだというようなことが背景にあるんだと思います。

私も、やはり2050年とその先をにらんでいけば、そういったイノベーションなくしては、恐らく排出削減ゼロのような理想形に持っていくのは、非常に厳しい現実があるというふうに思います。

その一つの理由としては、国民の負担とか、産業界の負担をやたらに大きくするわけにもならないという、ある種の背景もありますし、さっきいろいろ委員がおっしゃられたような財政上のある種の制約もあるということで、そういう状況の中から、極めて高い目標にたどり着こうとすると、やはりイノベーションは欠かせないと。

ですので、そのイノベーションにお金が回るような、ある種、それこそリスクマネーがどういうふうにもたらされるかということも含めて、イノベーションが起きやすい制度をつくっていくということが、やはり、その政策上には非常に重要な観点になるというふうに思っています。

その点においては、もちろん系統の今の問題の解決するような、蓄電池の問題であるとか、あと原子力においても、今、小型炉という技術革新が特にアメリカを中心にして起こっていますけれども、それは従来型のベースロードだけではなくて、再生可能エネルギーのある種の負荷調整にそういう小型炉を充てるというような新しい原子力の使い方であるとか、イノベーションというものが起きています。

ですので、そういったあらゆる技術を総動員して向かっていかなくてはならないような問題であるということを、再度、政府の方針と見合うような形で確認をしていく必要があるだろうというふうに思っています。

ですので、そういう観点を、ちょっとすみません、どこに加えていただくかということは別としても、そういうすり合わせというものが必要なのかなというふうに思いました。

1点だけ、ちょっと事実確認の質問なんですが、57ページの意見の下から二つ目、温対税の導入によって財源が大幅に拡大していると指摘されているというふうに出ているのですが、すみません、これは事実としては正しいのでしょうか。ちょっと気になったので、質問をさせていただきました。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご質問へのお答えは簡単だと思いますので、事務局からお答えください。

鮎川市場メカニズム室長

これは恐らく、導入時期から、ご案内のとおり、3段階に税率を上げていっていますので、発言された委員は、そのことをご指摘されているのかと思います。税率が、もうこれで、今のところは上がり切っていますので、そこから先は、税収、別にそんなに伸びているわけではないんですけども、その途中段階の上っているというところをご指摘されているのであろうと思っております。

遠藤委員

そういう意味なんですね。

浅野委員長

よろしいですか。

それは役所のご説明ではなくて、委員の中からこういう発言があったということで、それがここに記されているということです。

鮎川市場メカニズム室長

ご指摘されているのであろうという言い方をさせていただきました。

浅野委員長

確かに、いろいろと言われていることは事実で、あまりお金を持ちつけていない役所がお金を持つとどうだろうというような話がないわけではないのですが、やはり使途を狭く縛られてしまった中で、何とかしなきゃいけないという大変さもあるようですね。ですから、この辺のところは、本来はちゃんと考えなきゃいけない話なのかもしれません。

それでは、大橋委員には、後ほど、3時には退席と事前に伺っていますので、ころ合いを見てご発言をお願いいたします。

それでは、安田委員、よろしゅうございましょうか。

安田委員

今日は、僕からですか。

大丈夫です。僕は退席もないんですけれども、皆さん、私が話している間にお考えいただければと思います。

毎回、私の場合は、でき上ってきた資料を事細かにコメント申し上げるというよりかは、新しい話を皆さんにちょっと聞いていただくという役回りだと思っておりますので、今日もちょっといくつか、ネタを仕込んでまいりました。

大まかに言うと、二つお話ししたいことがあり、一つは、長期的なビジョンに関わるお話、もう一つが具体的な制度設計に関わる足元の状況、短期の話ですので。

まず、長期の話なんですけれども、これが、昨日かな、二十日なんで、昨日ですね。現代ビジネスというオンライン媒体に載った早稲田大学の戸堂さんの記事がありまして、要は、「日本の競争力「過去最低」世界30位の衝撃、衰退の根本原因を示そう」という、なかなかキャッチーなタイトルの記事が出ていまして、概要をかいつまんでご説明すると、先月末ですかね、スイスのIMDが、国際競争力ランキングという、毎年出している有名なところですけれども、日本の競争力は30位と、過去最低の順位になりましたと。その要因を分析してみようという記事です。

結論を先に言うと、戸堂さんの見立てでは、非常に内向きな経営姿勢というのはよろしくないんじゃないかと。それは実際にIMDの調査からも、経営幹部の国際経験であるとか、海外のものを取り入れないといったところが、ほかの先進国と比べて圧倒的な最下位になっているといったようなエビデンスめいたものとあわせて紹介されています。

もうちょっと実際の競争力に関係あるところでいうと、特許をもとにした企業間の共同の研究、共同開発ですね。

日本だけ、日本企業とばかり共同研究を行っていて、それをネットワーク分析でグラフ化すると、ほかの欧米諸国であったりとか、中国もそうですね、いろんな外国の企業との共同研究というのが行われている中で、日本は日本企業とばかりやっていると、そういった背景、内向きな背景が競争力を非常に下げているんじゃないかという見立てです。

なぜ、この記事をご紹介したかというと、今回の審議会か、それとも、私が所属していた前年度かちょっと忘れてしまいましたが、炭素生産性の議論がありました。それはカーボンプライシングを導入することによって生産性が高まるのか、あるいは生産性が高い国というのは、カーボンプライシングを導入しているのか、その因果関係をめぐる議論というのはあったと記憶しています。

それは、どっちが原因で、どっちが結果かという論点もありますけど、もう一つ、第三の、直接生産性と炭素、カーボンプライシングと関係ない要因がどちらにも影響を及ぼしているという交絡因子があって、それがどっちにも影響を与えている可能性もあると思います。

戸堂さんの研究というか、見立てを踏まえますと、ひょっとすると、そういった国際的な開放度、開放性みたいなものがカーボンプライシングの導入も促進するし、生産性も高めるという観点からいうと、カーボンプライシングを導入するかどうか、ひょっとすると直接の原因ではないにしても、我が国が事ここに至ってもカーボンプライシングを導入できていないというのは、ある意味で内向きというか、国際的に開放されていないという面を示していて、これを、カーボンプライシングを導入するであるとか、そういった方針を打ち出して、少しでも開放度を高めていくということを国家主導で行っていくと、プラスの影響がひょっとすると生産性にも及ぶかもしれないといったストーリーをイメージしながら紹介させていただきました。

もう一方、当初、ご案内した、もう少し短期的なミクロの話でいいますと、今後の議論の進め方の中で、具体的な制度設計に踏み込むような話をというのを、ご要望が何件かあったので、僕なりにも考えてみたんですけれども、直近で、恐らく、一番そのターゲットを設定しやすい課題としては、石炭火力の増設、新設をどうしていくかと。

前回、たしか東洋経済の脱炭素特集を紹介させていただきましたが、その中でも、現在、30件以上、新規ないしは増設の計画があると。

直近、たしか三菱UFJさんだと思いますけど、新規の融資に関しては、基本的には行わないと。ただ、つぶさに内容を見ていきますと、既に支持しているような案件については、その限りではないということで、このままいくと、三菱UFJさんも含めて、新規の石炭火力に融資が行われて、つくられてしまうかもしれないと。

当然、発電所の場合は、固定費用がかなりかかりますので、一旦、つくった発電所を事後的に止める、減らしていくということは非常に難しいかと思います。

なので、直近のターゲットとしては、新設ないし増設でCO2の排出係数の高いようなものについて、これはカーボンプライシングには限らないですけども、どうやってそこを減らしていくかというのが、割とターゲットにしやすい目標ではないかと思います。

その上で、カーボンプライシング、具体的には炭素税に関して考えますと、少し炭素税の解釈を広げて、一律で炭素排出1トン当たりいくらというのは、もちろん標準的なカーボンプライシングのやり方ですけれども、ひとまず新設であるとか、増設、新しいものに関して炭素税を課していく、既存のものに関しては課さない、あるいは大幅に税率を下げるといったような二段階の方式も考えられるかもしれない。

これですと、仮に炭素税をかけたときに、もう既に、ある程度、炭素排出係数の高いものを抱えている、例えば小規模の電力会社の財政とかも、あまり逼迫しないと、その上で、新設、増設に関しては、かなり抑止効果が働くと、そういった形で炭素税自体も少し運用の仕方を変えていくと、喫緊の課題を解決しながら、そして、懸念材料である、劇的に、何か倒産が立て続けに起きてしまうとか、エネルギー供給できなくなるといった弊害を抑えることはできるんじゃないかというふうに思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、森澤委員、どうぞお願いします。

森澤委員

ありがとうございます。先月、ちょっと出張していましたので出れませんでしたが、その先月には、TCFDのコンソーシアムが日本で結成されまして、150社を超えるところが、協会も含めてですから、実質の数はもっと多いわけですが、賛同署名されたということで、世界で一番賛同署名が多い国になったということは、その方々は、これからのシナリオ分析をつくっていかれるわけですので、どういうシナリオを立てられるかという中では、いろんな方々とお話しする機会はあるんですけれども、投資家、企業ですね、その中では、もう再生可能エネルギーが導入できる、それが安いという前提でのシナリオをつくっていると。でないと、シナリオとしてはもうワークしないと。

それを、ほかの国はもう既にそういうシナリオができているわけなんですね。シナリオといいますか、現実が再生可能エネルギーの方が安いわけですから、日本でそうなってないことが、ここ将来においては変わるに違いないということにおきましても、カーボンプライシングというのは、基本的の基本で入っていかざるを得ないですし、企業の方々、投資家の方々は、そういう企業を評価し、投資対象として見ているわけです。

今月はG20に関連して、投資家や研究者、企業、財団、NGOが来日されて、いろんなディスカッションがございました。これは普通、ヨーロッパやアメリカだと普通のことなんですよね。いつもそういう議論をしていらっしゃる中で、そういう中での話が出てくるのに、日本では、今おっしゃったように、閉じた議論が結構多くて、国内でどうだと。

ただ、これはもう国際的な部分、今月だけに限らず、本来であれば、こういう議論はなされるべきだと思いますし、そこで、あるセッションでご一緒させていただいた開発途上国の方がおっしゃったことですね、石炭火力を持ってくるのをやめてくれと、自分たちにとっては、これは座礁資産になるではないかと、どうしてもっと違うものを入れてくれないんだと、国内での話をされているかもしれないけど、私たちも困るというようなことをおっしゃっていたんですね。そのとおりなんです。

昔、FIFAのワールドカップがあるときに、アフリカのカメルーンやガーナに自然エネルギーを活用して、電力がないそこで蓄電システムの実証実験をやったと。これは日本の企業さん、名前を出せば、ソニーさんと、JAICAと、国連開発計画、その3つがミレニアム目標の一環としてやったんです。これ、将来の話ではないんですね。2010年です。

9年も前にこういったことを行っていて、将来に、私たちがそういうことができないといいますか、今、そういったことが進んでないこと、この9年間に無駄にしていることがたくさんあるかと思うんです。

蓄電の実証実験もやっていたわけですから、それから9年の間に、本来であれば、こういった分野で日本はリードすることができたと思いますし、この可能性もあると思うんです。

そこには、やっぱりカーボンプライシングという、価格をつけていって、政策がつけていく必要があると思いますし、企業がそういった部分では再生可能エネルギーが容易に安く手に入る状況をつくるしかない。

では、どうすればいいかとなりますと、石炭火力、これなんてもう問題外ですから、こちらの方に、経済的に石炭火力という選択肢がなくなるような価格づけが必要になってくる。

かつ、再生可能エネルギー、これがほかの国のように、ほかの欧米のように安価にならないといけない。そのためにカーボンプライシングはあるべきだと思います。

今、TCFD、これは別に環境省さんだけではなくて、経産省さん、金融庁さん、こちらの方の前向きな動きで進んできましたし。

あと、これはG20、今月、日本が誇れる数少ない気候変動の中での要因になるかと思いますが、これが出てくるということは、もう既にカーボンプライシングが入ってくるという前提でのシナリオ分析がされるというふうなことを、企業も、署名された方々も思っていらっしゃると、それに応えるような政策を出すべきだというふうに思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

椋田委員、どうぞ。

椋田委員

中途からの参加ですが、よろしくお願いいたします。

まずは、これまでの議論について整理いただき、感謝いたします。

私からは、最初に本資料をまとめるに際しての前提について、確認とコメントをしたいと思います。

この小委員会は、カーボンプライシングの導入あるいは拡大ありきではなくて、その是非から検討するものであると認識していますが、それでよろしいですね。

はい、わかりました。

例えば、資料の11ページをご覧いただくと、カーボンプライシングを議論していくに当たっての基本的視点として、3点が提示されたとあります。

これは第6回、第7回の小委員会で炭素税・排出量取引に関する具体的な制度設計に当たって踏まえるべき基本的な視点として、事務局から提示されたものと理解しています。

つまり、これはカーボンプライシングの導入や拡大を前提とした際に、どのような点を意識すべきかという観点から提示されたものです。

ここで記載されている視点は、カーボンプライシングの是非を含めた、そもそもの議論に当たって踏まえるべき基本的視点としては、適切ではないと思っております。

そこで、この記述を削除いただくか、あるいはもし書くのであれば、資料後半にある、炭素税・排出量取引に関する具体的な制度の検討に当たって踏まえるべき基本的視点として、44ページの冒頭に位置づけ直すことが適切ではないかと思います。

その上で、炭素税・排出量取引に関する具体的な仕組みに関する記述については、読者が誤解することのないよう、44ページの冒頭、リード文に、導入自体に対する委員のコンセンサスは得られていないという旨を明記していただきたいと思っております。

加えて、この11ページの、特に視点の3については、これまで経済界が述べてきた懸念を正確に記述できていません。具体的な修文案は、別途、書面にて出させていただければと思います。

全体として、両論併記して、多様な意見を取り上げる努力をしていただいて今日の資料を整理していると伺っており、また、今後、中間整理を取りまとめられるということですので、同様に、両論併記をお願いするとともに、ある論点で掲載された意見であっても、他の論点にも該当する場合は、読者が理解しやすいように再掲いただきたいと思います。

時間も限られていますので、これまでの発言の趣旨が十分に反映されていない意見や追加的に指摘したい事項については、書面で提出させていただきたいと思います。その上で、今日の会合の場で、何点か指摘をしたいと思います。

まず、資料の15ページからは、エネルギーの脱炭素化における位置づけをめぐる意見が整理されています。

エネルギー転換を図る上では、これは何度も申し上げていると思いますが、S+3Eの確保が大前提であり、S+3Eの確保なくして日本の経済社会は成り立たない、この点を改めて強調させていただきたいと思っております。

政府のエネルギー関連施策との整合性を十分踏まえながら、明示的カーボンプライシングの影響、効果を慎重に検討する必要があると思います。

例えば再生可能エネルギーを主力電源化していく上では、低コスト化、あるいは適切な調整力の確保に加えて、送配電網整備に向けた民間による実質的な投資が不可欠です。

追加的な明示的カーボンプライシングはこうした点に寄与するのか、疑問に思っております。

加えて、追加的な明示的カーボンプライシングが、暗示的なカーボンプライシングであるFIT賦課金、あるいは託送料金等の負担に上乗せされて、国民負担をさらに増大させるのではないかという懸念もあります。

再エネの主力電源化を図る上では、明示的カーボンプライシング施策にこだわる必要はないと思っております。

また、36ページに石炭火力の記載がありますが、石炭火力は、コストや経済性だけではなくて、ベースロード電源、あるいは再エネの調整力としての役割も期待されています。

政府のエネルギー基本計画においても、3Eの中で「エネルギーの安定供給」を第一としています。

石炭はオーストラリアなど、地政学的にも安定した地域から調達をしており、天然資源に乏しく、海外からの連系線もない島国の日本として、エネルギー安全保障の観点から、必要なものと思っております。

明示的カーボンプライシングにより、石炭の価格を人為的に引き上げることで、エネルギーの安定供給そのものを毀損してはいけないと思っています。

あわせて、各国で地政学的事情、あるいは産業構造、資源の賦存量、電源構成といった3Eの事情が大きく異なっています。

この報告書の案では、全体的に海外の事情をいろいろ書かれている点は良いですが、海外の制度を参考する際には、ぜひ各国の背景の事情も含めて分析をしていただきたいと思っております。S+3Eの重要性、これはまさに議論の根幹であり、ぜひ、しっかりと記述していただきたいと思います。

それから、資料の40ページに、日本から製造部門が海外移転して集約性を高めるべきではないかといった趣旨の意見も記載されていますが、物づくりは、地域の雇用、あるいは我が国の経済を支える中核となっております。安易に日本から製造業が流出するような政策誘導を行うべきではないと思っております。

特に、産業構造の転換は、まさに国のあり方に関わる大変重要な論点です。

これまでも経済界の委員からご発言があったところですが、我が国産業の国際競争力や国民経済の影響につきましては、ぜひ定量的、かつ総合的な分析をしていただきたいと思っております。

また、我が国の成長戦略にも書かれておりますが、長期大幅削減や民主導の非連続のイノベーションが重要です。

例えば長期戦略に書かれているような水素還元製鉄の実現を炭素価格の引き上げで実現できるのか、疑問に思っています。

これまでの議論では、こういった非連続のイノベーションへの道筋は全く明らかになっていません。むしろ我々は、明示的なカーボンプライシングでR&Dの原資を奪ってしまうのではないかと懸念すらしております。

さらに、今回、改めて全体の議論をまとめたものを読むと、例えば逆進性による家計への配慮、地方への配慮、中小企業への配慮、産業の競争力への配慮等々、さまざまな配慮の必要性に関する記述が繰り返し書かれています。

こうしたさまざまな配慮を政府が積み重ねなければ、明示的なカーボンプライシングによる経済社会の深刻な影響を排除できないこと自体、もはや市場メカニズムと呼べるのか、疑問に思っています。

最後になりますが、1年近く前の第1回、第2回の会合から、定量的な議論の必要性は多くの委員から指摘されていました。

経済活動等への定量的な分析こそ議論の出発点であり、これを十分に行わないまま制度の導入を視野に、具体的な仕組みについて、報告書や中間整理として記述することがないよう、改めて念を押したいと思っております。

私からは以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、増井委員、どうぞお願いします。

増井委員

どうもありがとうございます。取りまとめ、ありがとうございます。

全体的な話と個別の話をそれぞれさせていただければと思います。

まず、全体的なところなんですけれども、3点ございまして、これまでの、この資料2で示されております取組、議論の整理ですとかということを見ておりますと、概ねカーボンプライシングに関するこれまでの論点というのは出し尽くされているのかなというふうに思っています。

もちろん新たな制度ですので、これで100%ということはあり得ないとは思うんですけれども、いつまでも100%を目指して議論だけしているとなると、もうこれは手遅れになってしまう可能性が極めて高いので、もちろん生煮えの状態ではあるかもしれませんけれども、いろんなところで見直しをしつつ、こういった制度というのを、精度を高めていくというような、そういうようなことも必要なのかなと思いますので、ぜひ、とにかく前へ一歩進む、8割減、あるいはゼロ排出といったことに向けて、前に進むというふうなことを考える、その第一歩としていただければなというふうに思っております。

2点目なんですけれども、CO2排出削減に向けてのインセンティブということで、このカーボンプライシングの役割というのがあろうかと思います。

そういう意味で、繰り返しになりますけれども、税を課した、あるいは排出量取引を導入したということだけではなくて、できる限り見える化というものの工夫をしていただくということは、繰り返し述べさせていただきます。

CO2の話ではないですけれども、最近、プラスチックの問題というのが非常にクローズアップされていますけれども、やはりプラスチックの問題というのは見えるという、明らかに自分が排出しているということがわかる、それに対して、このCO2の問題というのは、なかなかそれが見えないという、そういう大きな違いがあろうかと思いますので、自分がどれだけCO2を出しているのかといったことがわかる、こういうふうなこともぜひ取り組んでいただければと思います。

長期戦略の方でも、実際、2050年のビジョンというようなものが明確に示されておりますので、それに向かって、そのビジョンがぶれないように、ぶれないビジョン、それをこのカーボンプライシングがどう支えるのかというところもあわせてお示しいただければというふうに思っております。

3点目なんですけれども、先ほど土居委員は、この資料は、こういう制度設計に関わる人たち、専門家向けのというふうなお話がありましたけれども、一方で、やっぱり一般の国民の方が、なぜこういうカーボンプライシングというものが必要なのか、あるいは2050年、CO2の排出量を8割減ないしはゼロに向けて必要なのかといったことが容易にわかるような、そういう資料、もちろん、この全部を示すということはなかなか難しいかもしれませんけれども、要点だけを示す、あるいはサマリーを示すといったことは、絶対的に必要かと思いますので、特に若者向け、2050年の社会の主役である、今、20代、あるいは10代、こういう若い人たちにもちゃんと理解していただけるような、そういうふうな資料というのも、別途、あれば非常にいいかなと思っております。

個別の点なんですけれども、79ページのところに定量的な分析のお話があります。先ほど、こういう定量的な分析が必要だというふうなお話もありましたけれども、私自身もそのとおりだと思います。

ただ、こういった分析が、定量的な分析がありますよということを並べるのでは、また、さらに議論が混乱するのかなという、そういう懸念もありますので、定量的な分析をする場合には、どういうような前提に基づいて計算されたのか、その辺りのプロセスというのもできるだけオープンにするということが必要であろうと思いますので、その点、注意していただければと思います。

最後、この報告書とは関係ないんですけど、先ほど安田委員がカーボンプライシング、既存の設備と新しい設備と分けてというふうなことをおっしゃられたかと思います。

非常におもしろい、斬新なご意見かなと思ったんですけれども、一方で古い設備ほど、やっぱり効率が悪いという、そういう事実もございますので、仮にそういうふうなことをやる場合には、法定耐用年数、古い設備をいつまでも延命して使うというふうなことにならないように、そういうふうな配慮も必要なのかなというのを聞いていて思いました。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、前田委員、お願いいたします。

前田委員

それでは、前田と申します。私は、今日の資料2の後ろの方の今後の議論の進め方等というふうに書いてあります、ここについて、少し思ったことを述べたいと思っています。

この今後の議論の進め方等のところで、3つ書いてあるわけです。

一つ目は、今後に向けては定量的な議論が重要であるということ。

それから、二つ目は、既存の制度とカーボンプライシングとの関連性について、もう少し議論を深めること。

それから、三つ目は、専門的、技術的な議論が必要であると、いろんな国際的な動向や我が国の状況、事情、それから産業の国際競争力等の影響等を踏まえた上で、専門的な、技術的な議論が必要であるというようなお話だったと思います。これは実際、とてもいい方向性だろうとは思うところです。

ただ同時に、では、実際どうするのかということをぼっと考えてみると、なかなか難しいなというのが正直思うところです。例えばこの定量的な議論が必要であるという点、これは本当にそのとおりだと思いますし、これまでの議論の中でのご意見でも定量的なことを言わないと話にならないというようなご意見も多々あったと思います。

一方で、今の増井委員のお話にもありましたけども、定量的にするに当たっては、やはり注意が必要というようなこともあると思います。そういう意味で、大変難しくて、私自身はこれをやるとなったらどういうふうにやるだろうかとぼっと考えてみたりします。

学者として、こういう研究をするのは、多分、そんなに難しくない、いや、難しくないとは言わないですが、私自身、学術論文を書くに当たっては物すごく苦しみ抜いて書きますけれども、研究結果らしいものがなんとかできます。そこで、学者に、例えばこういう研究をしてくださいといって、その結果をこの審議会で使いますというやり方をするとなると、それはそれで、いろんな問題が発生することになります。

それはなぜかというと、学術的な研究として定量的な研究をするとなると、いろんなアサンプションがあって、いろんな仮定ですね、仮定や仮説がたくさん中に入ってくることになります。モデルをつくるなり、あるいはデータを分析するなりに当たっての前提条件みたいなものがたくさんあって、実際のところ、その中で何をやっているかというのは、素人的にはそうそうわからないことがたくさんできてくるわけです。

それを専門家だけで集まって議論するとしましょう。そうした場合でも専門家同士でも意見が違うところがたくさんあるのが普通です。どうしてもアグリーできないアサンプションがあったりしますし、あるいは特定の結果を導きたいがために特定の狙いを定めた仮定を入れたりすることも実際あります。

そうなると、定量的な研究というものを出して、それに基づいて議論をするということは、結構、難しいといえます。また、では、実際どういう研究があるのかというのを、サーベイをしてみるというのが一つの方法ではあります。それでいろんなモデルがあります、こういうモデルで、こういう結果があります、並べて、比べてみましょう、とそういう方法も、もちろんできることはできる。それでも並べてみました、それで異なる結果がいっぱいありますと、結論付けてそれで終わってしまうということもあるわけです。なかなか難しいと思います。

そこでそうしたこととは違う一つの可能性として思うことがあります。ここでいう定量的な議論が必要であるということと、もう一つ、既存の制度との関係を調べることが必要という議論、こうしたことを踏まえましょう。それからさらにこの資料の79ページ、80ページの辺りで、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略というお話で、「カーボンプライシングには、市場を介した価格づけだけでなく、税制も含まれる(既に一部導入)が、制度によりその効果、評価、課題も異なる」と書いてあります。

これは、税制も含めて、「既に一部導入」というふうに書いてあるんですね。

つまり、これは少なくともここでの認識となっており、意見はいろいろありましたし、今までの議論の中でも、日本はカーボンプライシングを全くやっていないじゃないかというご意見もありましたし、一方で、いや、もう既に入っていますよと、既に今の制度の中で組み込まれているのですという議論もありました。

この委員会の以前の回で、実際、スティグリッツ教授のご指摘に対して、「いえいえ、日本は温対税として、これだけのものが入っています」と返答したいう議論もあったと思います。今日の資料では50ページの辺りで、そんなような議論も書いてあります。

それで、これ自体が、そもそも意見が分かれるところだといえます。なので、こういうことから少し実際に詰めていったらどうかなと思います。つまり、既存にあるもの、ある制度、あるいは、ここの長期戦略の中で書いてある、要するに「(既に一部導入)」と書いてあるもの、これについて、実際、これはカーボンプライシングの価格で計算してみるといくらに当たるのかということを計算してみたらどうかと思います。その計算方法について、そもそも、ここの場で皆さんアグリーできるのか、できないのかと、ということが明確に議論できるようになると思います。

日本は、既にそもそも入っているのか、入っていないのか、実際の計算としてはこれなのだが、この計算方法は合っているのか、合っていないのか。

この計算は、そんなに専門的な議論ではありません。実際に制度があります、こういう制度になっています、これを計算してみるとこうなっていますという計算ができますし、それで、さらに、これについて、実際、これで効果があったのか、あとで考えられないのかどうなのかというような議論を、実際、数字を目の前にして、議論すれば、少し定量的な議論の取っかかりになるのでないかというふうに思います。それが一つ目です。

それから、もう一つ。定量的かつ専門的、技術的という3点目のことですが、こうした言い方をするならば、今後、もう少し解像度の高い議論をすべきかというふうに思います。

日本全体でどういうふうになるかということを、もう少し一個一個、詰める形で、産業別、あるいは経済主体別というか、企業なのか、一般消費者なのかとか、産業の中でも、いろんな区分けがあると思いますし、それぞれについて、どこのどの産業のどこに対して、どういう価格づけをするとどういう影響が起きるのかということを、細かく、細かく解像度よく見ていくと、それによって、それぞれ損する人、得する人ときっと出てくるはずで、その損する、得するという計算というのもきちんとするべきかなと。

合意形成ということや、政策の形成をするとき、皆さんがこれでいいというようなところに達するためには、本当に誰が得して、誰が損してということは、ある程度、議論して、その損する人にはどういう形で補償していくのかという議論にも進むことができるわけです。そういう意味では、大変解像度の高い議論というのは、今後是非必要かと思うところです。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、小川さん、どうぞ。

小川説明員(廣江委員代理)

電事連の小川でございます。ありがとうございます。

今回、中間整理ということで、膨大な意見を項目ごとにまとめていただきまして、ありがとうございます。

読んでいますと、なかなかご理解いただいていない部分もたくさんありまして、当然、意見が全く違うという意味では、こういう整理をしていただいたことで、一般の人はそういう目で見ている可能性もあるんだということでは、非常に勉強になっているところでございます。

まず、細かい話でございますけど、今回の中間整理について、先ほど椋田委員の方からもお話がありました、項目ごとに委員の意見というものがあるんですけれども、やはり複数の論点にどうしてもまたがっているというのはいくつかあると思います。

残念ながら、全部ではございませんけども一部、文章構成によってはメッセージが伝わりにくいというか、例えばデカップリングのところを言いますと、廣江の方から、カーボンプライシングの果たす温暖化効果ガス抑制効果がどの程度あるのか、あるいはデカップリングと言われる事象の因果関係はどうなのかについて、十分論証ができていないという意見を言わせていただいて、当然、18ページとか、47ページにそれは記載があるんですけども、肝心のデカップリングのところにないように、そういうところがいくつかございますので、ぜひ、また意見を出させていただければなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

それから、全体的な話で繰り返しになってしまいますけども、これまで9回という長きにわたっていろんな議論をさせていただきました。

やはり、カーボンプライシングの排出削減効果とか、先ほどのデカップリングの因果関係の検証であるとか、既存政策との整理、こういうものは、まだまだ明確になっていないというふうにまだ感じております。また、今回のこの資料で委員ごとに意見の相違も、当然、見受けられますので、各意見の整合性、真意もなかなか示されているとは思えないような気がしております。

その中で、当然、長期戦略の中でも専門的、技術的な議論が必要という文言が入りましたとおり、やはりしっかりとした論理的な検討が不可欠で、拙速に、先ほど椋田委員の方からありましたけれども、導入ありきというのでは進めるべきではないと感じてございます。

なお、その際には長期戦略の記載にもある、我が国の事業、産業の国際競争力の影響といった観点も十分に踏まえていただいていると思いますけど、もう一度、言わさせていただきたいと思います。

いずれにしましても、議論の回数、時間をもって、十分検討を尽くしたと安易に言うような問題ではないと思いますので、引き続き、公平な検証というのをぜひお願いしたいと思います。

カーボンプライシングは、その低炭素社会、脱炭素社会の実現のための一つの手段ではあるのかもしれませんけども、これに固執する必要はなくて、そのほかの既存政策、産業界の取組の推進、先ほどもありましたイノベーション、カーボンプライシング以外の施策も含めて、可能性を総合的に考えていく必要があるのではないかと考えております。

最後に、もう一点。電気事業者として、これまでも電力部門については、相当、記載がございます。我々も、いろんな既存施策等々が入っておりますので、その検討も、ぜひ考慮してほしいということで言わさせていただいております。

加えて、電気料金につきましては、やはりエネルギー、諸課税、FIT、もう既にかなりの国民負担というのが課せられている状態で、この明示的カーボンプライシングという導入になれば、当然、さらなる上乗せというふうな可能性も高まってくると思ってございます。

既存税制なども含めたポリシーミックスの中でカーボンプライシングの議論をしないと、電気料金の高騰というのは免れないと。

仮にFIT等を廃止したとしても、現在、エネ庁等で議論を行っているような丁寧な検討、それから関係省庁との連携も、ぜひ考えていただきたいと思ってございます。

最後になりましたけれども、先ほど椋田委員の方からもございましたとおり、我々、S+3Eの中で、いろんな選択肢をもって、これからもエネルギー安全保障、ひいては環境と経済の好循環について、我々もできる限り貢献していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

手塚委員、どうぞ。

手塚委員

どうもありがとうございます。

9回にわたるさまざまな議論をよくこれだけおまとめいただいて、敬意を表したいと思います。

何点か指摘したいんですけど、まず、19ページ目に、このカーボンプライシングと経済成長の関係をめぐる議論のところで、事務局の方で書かれている、上から6行目のところに、「米国で排出量取引を導入した州では、CO2排出量の削減を達成しつつ、GDPは上昇している」という例を引用されて、カーボンプライシングと経済成長は両立するということの一つの証左として書かれていると思うんですけども、第5回の委員会で、私の方から、実はアメリカの中で経済成長している州というのはたくさんあるんですけども、例えばカリフォルニア州、これは排出権取引も導入されておりますし、環境政策、非常にいろいろやられているので、有名ですけれども、こちらの成長率が3%、これに対して、カーボンタックスを否決したワシントン州は4.4%で、もっと伸びていますよというお話をご紹介したと思います。

また、全米で経済成長しているトップ10の州の中に、RGGIの州、いわゆる州間をまたいでもやっている排出権取引を導入している州が一つも入っていないというようなこともご説明したと思いますが、つまり、カーボンプライスが成長を妨げなかったということの証左ではあるかもしれませんけれども、もしかしたら、なかったらもっと伸びたかもしれない。

つまり、足を引っ張ったかもしれないということに関しては、まだ、より深い分析が必要だったんじゃないのかというふうに思いますので、ぜひ、その反証の部分もここに引用いただいたらよろしいんじゃないかと思います。

それから、38~39ページに、この炭素リーケージに関する対処に関する記述がございます。

カーボンプライス、排出権取引等を導入している国では、やはり国際競争力をいかに担保するかということが懸念材料だということで、さまざま減免措置であるとか、免税措置であるとか、あるいは無償配布措置であるとか、こういうものが導入されていて、企業の国際競争力を担保しているということが、この39ページの上の方に例示されているんですけども、ぜひ、この際に、企業の直接排出だけではなくて、間接排出分、つまり、そういう事業活動を行う際に使われる電力であるとか、熱であるとか、こういうものに対するカーボンプライスがどうなっているかということも含めて議論していただきたい。

つまり、工場の煙突から出ていくCO2だけではなくて、企業活動の中では外から買っている電力とか、熱とか、こういうものを使うわけなんですけども、これのコストがカーボンプライスの結果、上ってしまうと、やはり国際競争力は落ちるんですね。

具体的な例を申し上げますと、実は先週、私ども鉄鋼連盟のミッションがあるヨーロッパの会社を訪問しているんですけれども、こちらでは電気炉を使って鉄鋼を生産しております。イタリアにございます。

イタリアというのは、ドイツやデンマークと並んで、ヨーロッパの中では電気料金が非常に高いと言われている国なんですけども、電炉メーカーがどうして健全に競争力を持って経営できるのか。

実際は払っている電気代は日本の深夜料金より安いんですね。これが常時、その料金で電気にアクセスできるということなわけです。

ご案内と思いますけれども、日本の電気炉は、非常に高い電気料金の中で操業を続けるための苦肉の策として、昼間は操業を止めて、夜間しか操業しておりません。

つまり、深夜電力を使ってしか競争力が維持できない。ただし、その深夜電力にもFITの賦課金が乗っかっていて、8割減免を受けている中であっても、統廃業、あるいは倒産、事業撤退といった事例が相次いでいるという状況にあるわけでございます。

一方、同じ電炉業態で、電気代が高いと言われていて、ETSが入っていて、炭素税も入っていているイタリアの電炉メーカーは日本よりも安い電気料金を24時間使える。

つまり、そこの電炉は24時間操業しているわけです。同じ設備を夜だけ使う場合と24時間操業する場合では、固定費の負担が倍、半分になりますので、当然、競争力に大きな差が出てまいります。

そういうことで、もし、そこで利益が損なわれるようですと、恐らく、そういう業態の中からは、革新技術とか、イノベーションとか、設備の近代化とか、老朽設備の更新、投資といった財源が出てこなくなるということで、悪い循環に陥るリスクがあるということだというふうに認識しております。

ぜひとも、現在の日本の状況の中で、実際の省エネルギー課税を含めたエネルギーコストがどういうレベルにあるか、これは初期のころから申し上げていると思いますけれども、本当の日本のカーボンプライスというのはいくらなんですかと。温暖化対策税の最後に乗っかっている289円だけではないんじゃないですかというお話をしていると思いますけれども、実際に、企業が払っているカーボンプライスというのはいくらで、それが国際的にどういう水準にあって、それを前提にして、国際的なリーケージなり、競争力の喪失が起きないような水準はどうあるべきかということを踏まえたカーボンプライスの議論をぜひやっていただければと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、高村委員、お願いいたします。

高村委員

ありがとうございます。

これまでの議論を丁寧に整理してくださっていて、もちろんいろいろな意見が出ていますので、それをできるだけ余すことなく反映をするという作業の中で、何が論点かというのは、なかなか見にくくなっているところもあるかもしれませんが、しかし、その議論の中、並べた意見の、その先にそれぞれの論点は透けて見えているのかなというふうに思います。

整理をしていただくときに、基本的に、恐らく出ている意見を、整理をすればするほど、多分、まとまらないという、委員の合意がとりにくいと思いますので、こうした形は維持をしながら、少し前段のところで論点といいましょうか、ここでの議論のポイントは何なのかということを付記していただくような、記載の取りまとめに向けて、整理に向けて、工夫をしていただけるといいかなというのが一つ目であります。

内容の点については、もう何度もいろいろ議論がありますので、屋に、屋根を重ねるしかないような感じがいたしますけれども。強調したい点というのは、3つほどありまして、一つは、カーボンプライシングというのは、もちろん排出を削減していく、あるいは脱炭素社会に向けて、経済、あるいは消費者、私たちの行動を変えていくというための一つの手法というのでしょうか、ツールだというふうに思います。

これまでの議論を伺っていて、それぞれの委員の先生方の意見、なるほどと思う、一理あると思うところがあるわけですけれども、多分、一つは、やっぱり考えないといけないのは、これは制度をつくって考えて、より技術的、専門的に考えていく上で必要だと思うのは、今、足元での現状で制度が入ったときの懸念と、他方で、しかしながら、今のままで進んでいったときに、果たして、それが、我々が望む社会像につながるのかということであります。

これは3E+Sの議論のところで、以前発言させていただいたと思うんですけれども、3E+Sが重要なのは言うまでもないわけでありますけれども、じゃあ、といって今の日本のエネルギーシステムというのが、私たちが望む3E+Sの姿なのかというと、恐らくそうではないというのは、共通した認識だと思います。

つまり、どう変えていくかというための政策のあり方、もしくは方法の議論をしていくということを念頭に置いた上で、制度論上、大事だというふうに申し上げましたのは、今、足元での懸念にうまく応えながら、しかしながら、やはり、こういうふうになっていかないといけないという目指すべき方向に向けて、どういう制度設計が必要かという議論をする必要があるかなというふうに思っております。

二つ目の点。3つと言いながら、4つになるかもしれませんが、二つ目の点についてでありますけれども、カーボンプライシングは、今、もう一度、繰り返しになりますが、排出削減のための、それを促していく、脱炭素社会に向かっていくための手法であることは間違いないんですが、やはり、この間の議論、それから特にパリ協定採択以降の世界の動きを見ていると、むしろ脱炭素という温暖化対策、環境政策上の観点もさることながら、日本の産業政策として、どうやってエネルギー、特にエネルギーだと思いますけれども、エネルギーシステムの脱炭素化を図るかという点において、カーボンプライシングが果たす役割という論点の立て方というのは必要ではないかというふうに思います。

これも、もう既に発言したような気がしますけれども、再生可能エネルギーの文脈では、もちろん再生可能エネルギーというのは、脱炭素に向かう非常に重要なエネルギー源の一つだと思いますけれども、昨年10月に、まさに経団連から再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取組の加速化を求める意見書というのを出してくださっている。

その中で、コストの低減、系統等の対応だの、課題を的確に指摘してくださっていると思うんですが、もう一つ、やはり大事なのは、その前段のところで、とりわけ今の金融の動き等々を含めて、エネルギーシステムの脱炭素化というものをきちんとやはりやっていかないと、日本のやはり産業競争力に大きなやはり課題があると、課題をつくってしまうことになるというメッセージというのは、これは、私はきちんと受け止める必要があるというふうに思います。

これはエネルギー政策としても当然ですけれども、カーボンプライシングというのは、そういう意味では、どういう形でやるか、どういう手法でやるかというところの議論はあるとしても、その前提として、単に温暖化対策、環境上の問題ではない次元で必要とされているという認識を持つ必要があるんではないかというのが二つ目であります。

3点目でありますけれども、これは以前から安田委員もおっしゃっていたところだと思うんですが、時間軸といいましょうか、大きなやはりエネルギーシステム、あるいは日本の経済の脱炭素化をつくっていくために、やはり大きなお金の流れをつくっていく必要があると。それは、恐らく、残念ながらといいましょうか、国のお金だけではどうしようもありませんで、民間の企業がそこに、それがプロフィタブルなものとして投資ができる環境というのをつくる必要があるというふうに思います。

そのためには、そこは一つ、ですから、電気料金の高さというのがご懸念として出てくる背景でもあるとは思いますけれども、しかしながら、同時に、そういう投資が起こっていかないと、脱炭素に向けた大きな変革というのはできないと思うものですから、そうしますと、長期的にこちらの方向に投資をしていかなければいけないという明確なシグナルが送られる必要があるというふうに思います。

それは、同時に、その投資を安定的に回収ができる制度環境が必要だと、これも組み合わせでついてくると思いますけれども。そういう意味で、カーボンプライシングの話、先ほど足元での懸念にうまく応えながらと申し上げましたが、同時に、やはり長期的な方向性、ここの委員会でいけば脱炭素社会に向けてということだと思いますけれども、長期的なシグナルをきちんとどうやったら出せるのかという制度設計の考え方をする必要があるのではないかというふうに思っております。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、神野委員長代理、どうぞ。

神野委員

委員長、それから事務局のご苦労に大変感謝いたします。これまでの議論を的確にまとめていただいているというふうに思います。

ここにご出席の皆様方、ほとんど読まれていると思いますが、中学校の、失礼、スウェーデンの環境の教科書ですね、『視点をかえて』。この中で、私が学んだ、2つぐらい、環境問題を考える上で重要な点というのは、一つは、正しく問題を整理すれば、そこには答えの半分が含まれているということですね。

ここは中間整理ということで、問題を整理するということだと思いますが、委員の方々から、さまざまな視点からの意見を出していただいているので、それを正しく整理しておけば、それからの方向性とか、それから、それを資料にしながら、国民が議論してもらう、国民が方向性を出していく、そういう答えが導き出されるのではないかと思いますので、この点は、一層体系的、精緻に議論をまとめていただければというふうに思います。

それから、あと、もう一つは、部分ではなく全体をというのは環境問題を考える上で一番重要な視点なので、環境問題そのものについても、そういう視点が重要だと思いますが、同時に、この中間報告を出すに当たってのまとめ方も、ここで委員の皆様方がさまざまなことを、何か熱心に、また生産的に議論をしていただいておりますので、その議論を体系的に、かつ有機的に関連づけて整理していくということが重要ではないかというふうに思っています。

そういう点において、問題を整理していただく上で、事務局の方としては、ウエーバーの言葉を使うと没価値性ということになるんでしょうか、極めて中立的にまとめていこうというふうにされていて、この点も、そういうまとめ方で、今回はいいと思いますが、それにちょっと引きずられると、かえってわかりにくい表現と、非常に細かいことを言って申し訳ありません。

カーボンプライシングの活用の可能性に関する議論、これはいいんですが、ここでも中立を出すために可能性を入れているということだと思いますが、これを見て、まず、章立てなどをぱっとこう見て、読者が最初に出会ったときに、森を見ようというか、全体を見ようとすると思うんですが、その章題、章のタイトルなんかにも、このままだと可能性が物すごく出てくるんですよね。

気候変動の現状と、この構成は非常にいいと思います。3つぐらいが、総論ないしは方向性みたいなものになっていて、その後、炭素税、それから排出権取引等々の議論が入り、あと、これから、こんなストーリーになるかと思うんですね。

最初のところで気候変動の現状と脱炭素社会への可能性、この辺は問題整理をして、きちんとやっていただければいいかと思うんですが、その次が、カーボンプライシングが脱炭素化と経済成長に寄与する可能性、これもちょっと、何かわかりにくいような気もするんですけれども、ただ、これまで、ずっとこのタイトルでここでは整理してきましたので、これもいいかなと思うんですが、ちょっとその次はわかりにくいかなと思うのが、3番目のカーボンプライシングが課題をもたらす可能性。

これは最初の文章かなんか読んでいけば、それから前にも触れているのでわかるんですけど、カーボンプライシングの導入によってもたらされる課題の、可能性というのはどっちにかかるかちょっとわからない、可能性ということになるんですね。

最初に出会った人が、カーボンプライシングが課題をもたらす可能性というのも、例えばカーボンプライシングがもたらす課題の可能性だったら、ちょっとわかるかなという気もするのですが、表現ぶりを、中立性にこだわったために課題だけ書いておけばいいので、少しわかりやすく表現してもらえればというふうに思います。

あと、中の文章なんかも、どうしても中立的に書こう、それから、こういったこともあるだろうということを言おうとすると、「また」とか、「なお」とか、「そして」とかという接続詞が多用化されるんですね。

本文をまとめていただいても、「また」とかというのがえらく出てきたりしますので、最後にまとめるときには、少し文章も、あまり引きずらずに、かえってわかりにくくなるようなことのないように、ぼかすところはぼかして、論点がそもそもぼけているんだということであれば、それはそういうふうに整理してもらった方がいいかなというふうに思います。

ちょっと細かいことで申し訳ありません。

浅野委員長

ありがとうございます。

何となく、小委員会の名前からして、そもそもわかりにくい名前になっているので、それが全ての始まりで、みんな、それに引きずられているということは事実ですが、少し大胆に書けというご指摘だと思いますので、これに励まされて、事務局、さらに次の段階では頑張っていただきたい。

多くの方々がいろんなことを発言してくださっているので、それをもとに書こうというわけで、役所が自ら勝手に書きまくるということは考えていませんから、その意味では、神野先生がおっしゃるように、もう少し遠慮なく、こういう意見があったと書く分には何を書いても構わないわけです。ただ、あまり「しかしながら」が多用されないようにということで、対立軸がはっきりわかるように。かつ、どういう方向の議論で、どこが一致したということが書かれると、なおいいのですが、もう少し頑張れというご指摘をいただきました。ありがとうございました。

大橋委員、いかがでしょうか。先にご発言いただけるようでしたら、ご発言いただきますが。

大橋委員

僕は順番の通りで。

浅野委員長

大丈夫ですか。順番でいいとおっしゃっています。

では、小西委員、どうぞ。

小西委員

ありがとうございます。

大まかに分けて、3点。主に今後についてお話しさせていただければと思います。

これは、非常にもうよく網羅的にまとめてくださったなと思っております。

まとめ方で、それぞれまだ足りないと思われるところはあるのかもしれないんですけれども、意見の、きれいに割と2つに分かれているところをきれいにまとめていただいたのかなと思っております。

これから、さらに議論していくとなると、例えば、これから容量市場ができてきたりとか、フィードイン・タリフがこれからフィードイン・プレミアムになっていったりとかすると、恐らく容量市場とかは、カーボンプライシングとより重なるところも多くなると思いますので、さらに議論が必要なときに、より検討しなければいけないことが増えていく一方かなという気もいたします。

ですので、先ほど増井委員もおっしゃったんですけれども、前進していく、100%はあり得ないので、既にもう導入しながら進めていくといったような発想になる必要があるんじゃないかなと思っております。

この場は大学の先生が多いので、非常に共感していただけける方もいらっしゃるかもしれないですけれども、今、この大学のディベートの材料として、このカーボンプライシング、非常に使いやすいです。

過去10年にわたるリッチな議論があるので、反対派、賛成派、きれいに学生に、「はい、これ読んで」と言えば、渡せるので、非常にやりやすい素材なんですけれども、やっぱり、私、教師として、今後、生きる彼女たち、彼らに、今後の温暖化の影響の備えについてもすごく教えています。

先日は、荒川タイムラインを教えていました。もし昨年の西日本豪雨のようなものが東京に来たならば、そうすると荒川の氾濫、荒川の周りのいわゆる江東5区というのは海抜ゼロメートル地帯ですので、氾濫すると、浸水すると、水が一、二週間も引かなくなります。

ですので、実は72時間前、48時間前、24時間前からタイムラインをつくって行動しなければなりません。

私、昨年、都営線に取材に行かせていただいたんですが、24時間ぐらい前には、公共交通機関を使って、隣の区まで避難してもらわないといけない、これまでにない想定が必要だと聞きました。なぜならば、当然ですけど、都営線を運転している人たちも避難しなければならないからですね。

ですので、早目に公共交通機関で事前に避難するといった、そういった想定がこれから、まさに、今までの想定外の適用が必要になってきます。

それを教えながら、ちょうど2000年生まれの学生たちですから、2100年、これからライフシフト100年でいくと、彼女たち、彼らは生きています。その世界に我々が残せるのは、今、一番よくて3℃の世界ですよね。ですので、やっぱり、今、この席にいない、政治的な、この政策過程プロセスに参画できない学生以下の子どもたちの将来を、今、私たちがここで決めているんだということを、まず第一に考えていくべきだなと。その中において、今後も慎重な議論が必要だといったことは、ある意味、行動しないことの言い訳に使わないようにしないといけないんじゃないかなと強く思いました。

2点目としましては、今後、これは定量的にということでお書きいただいていて、これから、まさに、またそういった議論が、より定量的な議論が求められてくるんだと思うんですけれども、このときにおっしゃっている定量的というのは、過去にいくつも行われている、例えばシナリオ計算ですね。2050年に80%削減の場合はどうするか、国環研さんとかも出されていますし、WWFも2050年に再生可能エネルギー100%のシナリオだったら、どういうふうなことが必要かといったことを定量的に計算したものがあります。

そういったイメージで、このカーボンプライシングはどれぐらいのときに、どれぐらい経済的に影響があって、どれぐらい削減できてといったものが、定量的な、今後つくられているシナリオというイメージなのかどうかということを、一つお伺いできればなと思います。

いずれにしても、Society5.0じゃないですけれども、不確定要素が非常に大きい前提でのシナリオになりますので、もちろん、ここでの計算、一つとして、同時に、既にいろいろなシナリオが世の中に出ておりますので、そういったシナリオも、ぜひ参照として掲載していただければなと思っております。

我々WWFも2050年に大体95%、それぞれの産業ごとにボトムアップで積み上げてといったような、定量的シナリオを持っていますので、そういったものも、ぜひ含めていただければありがたいなと思っております。

そして、もう一つが、やはりこのカーボンプライシングに反対されている場合には、それに、かわるような手段というものも、ぜひ、シナリオとして提示していただければなと願っております。

先ほど、高村委員もおっしゃったんですが、私も、経団連の長期戦略、拝見しまして、再エネに対して、非常にいろいろな、前向きな提言があることを心強く思いました。

ですので、パリ協定、遅くとも2075年に脱炭素化ですので、脱炭素化を目指して、どのようなツールだったらば、それを実現できるのかといったこと、カーボンプライシングじゃないならば、それがどういったものなら可能なのかといった、定量的な分析も、ぜひ出していただければなと思います。それで、いろいろなそういったシナリオを含めて、この委員会で、次の議論につなげていければなと思っております。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございます。

では、河口委員、お願いします。

河口委員

ありがとうございます。この膨大な資料をまとめていただいたことには、本当に感謝いたしております。

これだけ皆さん、言いたい放題を言ったのを9回もすると、これだけになるんだなということで、改めて、多くの議論がされたというふうに思っているのですが、今日の議論も聞いていて、やっぱり気がついた点は、何人かの委員もおっしゃいましたけれども、時間の流れをどう見るかということですね。

時間軸というのもあるんですけれども、足元を流れている時間がどのように変化しているかということの認識が必要なのかと。

今、世界の動きについては、後でちょっとだだっと述べますけど、それと比べると、この世界というのは、アリスのおとぎの国のように、何か時間が止まっている世界のような気がします。

先ほど、10年間リッチな議論をということを言われたんですけれども、10年間、ある意味、同じ前提で、似たような前提で議論をしているというような、確かに、そういう前提であれば、言われていること、そのコストの問題ですとか、いろいろな不備の問題とか、それぞれは確かなんですけれども、我々が置かれている状況を考えると、そういう感じなのかと。

言い方を変えると、陸上で地面が動かないところで話をしているというのと、ではなくて、我々は急流の小舟に乗りながら動いているというぐらいの違いがあるんですけど、この議論は大地の上に乗っかっている議論なんじゃないのかなという気がいたします。

最近、一体、どんなことが起きているのかといいますと、先ほども森澤委員の方からTCFDのお話がありましたが、二、三日前、金融の世界で話題になっているのは、EUのサステナブルファイナンスの新しい報告書で、EUのタクソノミーが出ましたよと。そこでは、CCS付石炭もだめだとか、原発もだめだとか、これはEUのタクソノミーで、EUが、これがグリーンだというものを勝手に決めているんでしょうというような見方もありますけれども、環境の分野で長いことやっておられた方はおわかりだと思うのですが、この分野に限らず、90年代から、ISO14001のときから、RoHS指令から、全てこういったものに関しては、EUが最初に、何か勝手にローカルルールを決めて、EUの域内でやっているんだけれども、それは、やっぱり日本企業も輸出するなら、そこに従わなきゃだめよとか、RoHS指令なんかいい事例ですけれども、遺伝子組み換えにしても、そういうルールをローカルでつくって、グローバルにうまくスタンダード化するというのが、非常に上手です。

日本は、別途、こういうのをつくればみたいな議論もあるんですけど、向こうがあれだけちゃんとしたものをつくっていて、日本は全く何もないので議論にもならない。特に投資の世界で、これから、このタクソノミー、かなり問題があるというふうに言われていて、向こうの人もいろいろと意見があったら言ってくれということを言っているんですけれども、実際に、これが走り出すと、向こうのガイドラインに乗っかったタクソノミーに合ったプロジェクトではないとグリーンボンドとしては認められず、グリーンボンドじゃなきゃ買わないわよみたいな話になっていくという懸念があると。こういう動きが、もう本当に今月出てきているわけです。

こういうお話は、1年前、2年前だったら、金融の人は全然関心を持っていませんでした。

私の、自分の会社に居ても、こういうことに関心があるのは、私とプラスアルファ何人かだったのが、今、こういう話というと、証券会社の中でわっと人が集まるんですよ。非常に大きなイシューになっている。これが半年、1年間で起きている加速度的な変化です。

ニュースを見ますと、例えばニューヨーク州の議会は、2050年にCO2ネットゼロにするという決議をしました。それから、メイ首相はもうやめることになったんですけど、置き土産として、2050年にネットゼロにするということを言っています。

それから、ミュンヘン再保険のCEOというのは、つい最近、EUのカーボンプライシング、EUの排出権取引の制度に関して、これ以上の温暖化を進めないためには価格を1.5倍、5倍にしろというような提言を出していたりですとか、それから、ちょっとびっくりしたのは、米国のGEですね、GEの業績が急落しているというのはご存じだと思うんですけれども、米国のエネルギー経済分析研究所が何でこんなになったのかと調べたところ、2014年、15年、非常に好調であって、それは火力発電タービンがすごく売れていたので、これならいけるかもと、2015年に火力発電のアルストムとかという会社を買ってしまったと。そうしたらば、2016年、17年からいきなりマーケットが反転して、大きく下回り、物すごい下落をして、2018年は、減った2017年に対してもタービンの販売個数が6割も落ちてしまったということで、2年間で時価総額が74%、4分の1になった。

相場の世界では、高値から半値八掛け二割引といって、大体30、3割ぐらいのところで止まるでしょうと言っている。というのが相場の世界の、ある意味の一つの格言であるんですけど、4分の1になってしまっていますねというようなことで、何が言いたいかというと、このぐらい変化が速いので、今までの前提は、世の中が動かないという前提であったら、確かにということなんですけれども、もう一回、この前提条件の中に、このように変化が速いよということも入れていかなきゃいけない。

それから、産業界のお話ですけれども、ユニリーバのCEOは、いろいろな、ユニリーバですから、業界団体とか、ビジネスで関係するところに対して、ロビー活動の中で、1.5℃シナリオに合っているようなロビー活動をしろということを指令を出しているわけです。

マイケル・ブルームバーグさんは、2030年までに石炭火力発電と、原発と、ガスの新設をやめろという運動を始めると。

こういった変化がここ一、二年の間に起きているということを前提の上で、これを議論するのか、いやいや、そういうことはないよねという前提の上で議論するのかによって、皆さんの受け止め方というか、評価の仕方が全然変わってくると思います。

これだけ速い変化があるということを、これの上に乗っけた上で、そういうレンズで、これをもう一回見た上で、何が最適なのかなというような議論をしていただければと思います。

ありがとうございました。

浅野委員長

ありがとうございます。

大橋委員、どうぞお願いします。

大橋委員

ありがとうございます。座長には、非常にお心遣いいただきまして、ありがとうございます。

待った割には全然まとまらなくて、最初にしゃべっときゃよかったなと思っています。

それはそれとして、お話しさせていただきます。

皆さん、この報告書を褒めているんで、とりあえず、別の、褒めることを前提にはなりますけれど、若干、褒め過ぎかなというところもあって、何かというと、私、これはカーボンプライシングの検討会のときも参加させていただいて、検討会の第1回目に、何点か、実はお話しさせていただいたことがあって、ちょっと正確には間違っているかもしれませんけど、少なくとも一つ言ったのは、明示的と暗示的というのがあるけれども、それというのは同じ土俵で、ちょっと議論しないといけないんじゃないかとか。あるいは、もしかすると、経済成長とか、リーケージについても、ちょっとコメントしたかもしれませんけれど、それについて、当時言ったことが、じゃあ、これを読んで、何か知見が深まったかなと思うと、実は何一つ深まっていないなというところがあるように思います。随分長いこと議論した割には、私自身、あまり学びが少ないかなというふうな、すみません、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれど、そういうふうに感じています。

何でそうなのかなと思ったときに、やっぱり議論がゼロ1なんですよね。CPを入れるか、入れないかみたいな感じのところで議論しちゃっているんで、どうやってCPをうまく入れるかという議論がやや欠けていたのではないかという気がします。

結局、経済成長に全く影響がないということはあり得ないし、あるいはリーケージも全くないというのも言い過ぎかもしれないと思うんですよね。それは、ある状況ではないこともあるかもしれないですけれど、だから、そういうものを認めながら、ただ、どうやって入れていくのかということを、ゼロ1じゃない世界で議論することが重要だと思うんですね。

ゼロか、1かというんじゃなくて、もう少し、どうやって妥協して入れていくんだという議論をして、初めてもう少し深まりのある議論ができたのかなと。

ちょっと、そこの辺りがちょっとどのぐらいできたのかなというのが、ちょっと私も休んだ回数があるので、ちょっと申し訳ないですけれど。ちょっとそこの辺り、若干、今回、両論併記なんであれですけど、もう少し深い議論ができたはずなのかなという感じが若干しているというのが1点です。

あと2つ、コメントを述べますが、やはり技術的点というのは、いろんな委員の方がおっしゃっているけれども、やはり残っている部分というのはあって、それというのは、もしかすると、ほかの制度を持っている省庁も含めて、ちょっと議論していかないといけない部分があるのかなというふうに思います。

例えば電気の事業者さんもいるので、電気のことでいうとFITみたいなものも、以前もコメントしましたけど、CPの裏腹みたいなものなんですよね。

しかしCPとFITの2つとも入れてもいいんだというふうな意見もあります。何か書いてありますけど、それってどうなんだろうというふうなのは本当に思いますし、あるいは高度化法も、そもそも高度化法が始まった経緯を考えてみると、やっぱりCPと何か妥協というか、交渉しないことには、並走して走らせるというのは、非常に変な話なんじゃないかという気がします。

そうした技術的点は、まあ、いろいろあるんですけれど、何しろ一つ、大きく欠けている点があると私が思うのは、このCPを導入した先の世界として、我々はどういったビジョンを描いているんだろうかという、社会とか、日本の国、ちょっと世界は大き過ぎるかもしれませんけど、我が国が入れたときに、どういうふうな国土のあり方とか、我々の暮らしとか、そういうふうなものを描いているのかというビジョンがないんですよね。そうすると、負担の話ばかりになって、ちょっと議論が進まないのかなという感じはします。

そういう意味でいうと、ある意味、環境の問題とあわせて、人口減少もいろいろ、多分、我が国は抱えている問題がたくさんあって、コンパクトアンドネットワークとか、いろいろあるわけですよね。

そうしたものって、実は環境の側面からあまり語る方はいないですけれど、実は環境の側面からも、非常にプラスの面があるかもしれなくて、そうすると、こうしたものを進める上でのCPみたいな感じの訴えもあるだろうし、あるいは農業も、今、非常に大変な状況を迎えているんだと思いますけど、そうしたものにちょっと環境という側面を与えてやることで、今の、その農業のあり方みたいなものを問い直すみたいなこともあるかもしれない。そうした、ちょっともう少し広いビジョンを、広いというのかな、日本の国土のあり方みたいな、そうしたビジョンを皆さんで共有しながら、じゃあ、CPどうするかという話があると、重要性の共有や共鳴もされやすいのかなというふうな感じもします。

日本の国いろんな課題を抱えていて、それは環境と実は結びついているところも、随分たくさんあるはずなので、そうした返ってくるものがあるんだということを見ながら、CPの重要性というものを考えていくというのが、意味があることなのかなというふうには思いました。

ということで、待った割には何一つ新しい知見もなくて、すみません。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございます。委員のご指摘のビジョンにつきましては、この委員会では論議しておりませんが、第五次環境基本計画に掲げた「地域循環共生圏」の考え方を実施していくにあたって、すでにいろいろと論議されてきております、公表された資料もございますので、次回にはご参考までにそれを資料としてご提供することを検討させていただきます。

では、大野委員、どうぞ。

大野委員

私は、個別の論点の関係で4点申し上げて、あとは全体について、2つかな、の話をしたいと思います。

まず、個別の論点なんですけども、2ページの気候変動の基本認識と脱炭素化の国内外の動向というところで、これの三つ目のパラグラフですかね、パリ協定の話が書いてあるんですけれども、ここで国内外の動向ということを書いているので、やっぱり1.5℃報告書の話が書いてないのはおかしいと思うんです。

これは、前回の12月のまとめときも申し上げたんですが、1.5℃報告書が出てから、さっきもどなたかご発言のあったようにEUの国々では、もうそれをベースに2050年実質排出ゼロというぐらいに移っていますので、ぜひ、そういう動向をここにも記載すべきだとに思います。それが1点目です。

それから、二つ目は、何カ所か出てくるんですけど、カーボンプライシングの動向についてです。例えば4ページはワールドバンクのレポートを参照していると思うんですが、これは、もう新しい版が出ています。例えば、ここでは45国と25地域と書いてありますが、最新のレポートでは、46カ国と28地域となっています。それ以外にも記何カ所かで、この数字を使っていますけれども、新しいものを使っていただきたい。

それから、その下に個別の国の動向が書いてあるんですが、これも、たまたま、この委員会で委員のどなたかが言われたことを書いているということだと思うんですが、必ずしも全体の状況を、カーボンプライシングのめぐる世界の状況を的確に表した記述になっていないと思います。

ですから、これもワールドバンクの、そのレポートの中で、もっといろんなところで導入が始まっている例が書いてありますので、きちんと全体の動向を正しく反映する記述に直していただきたいと思います。

それから、この2点が記述に関することなんですが、あと2点ですね、今日の議論であったので、ちょっと私の意見を申し上げたいのですが、一つはイノベーションの話がございました。これも、確かに先般、閣議で決定された長期戦略の中では、イノベーションのことも書かれています。今やらなきゃいけないことというのは、もちろん、イノベーションも、技術イノベーションも必要なんだけども、今ここで議論すべきなのは、現在も、既に利用可能な再生可能エネルギー技術と、エネルギー効率化技術、これを全面展開して、早く削減を進めていくことだと思います

先ほどのIPCCの報告書では、2050年に実質排出ゼロと同時に、2030年までに、2010年比で45%大幅に削減しなければならないと書いています。もう今から直ちに削減を進めていくためには、これから新たな何か画期的な技術を開発してということに頼るんではなくて、今、利用可能な技術を使わなきゃいけないわけですから、そういった観点からイノベーションについて記述をするならば、記述を加えてほしいというふうに思います。

それから、4点目です。これも何人かの方がおっしゃった、S+3Eなんですけども、これ確かにS+3Eというのは、当然、それ自体は安全性、それから安定供給、経済性、環境性と、それ自体は、誰も反対する人がいない、当たり前なものなんですけど、問題はそれをどうやって達成するかということにあるわけです。

S+3Eを前提に議論しろという話を何人かの方がおっしゃいましたけども、問題は、今のままのエネルギー政策で、日本のそのS+3Eは保たれるのかと、この点だと思うんですよね。

安定供給というのは、中東からの原油の輸入のことを差して、多くは言われているとは思うんですけども、化石燃料に依存し続ける限り、今回、タンカーの爆撃もありましたけども、必ずそういう問題に直面せねばならないと。そういう意味では、脱化石燃料化をどう進めるのかという議論になると。

経済性に関しても、今のように原子力発電や化石燃料に依存し続けたもので、本当に経済性のあるエネルギー供給ができるのかという問題、これは、もうエネルギーコストはどんどん変わってきているわけです。再生可能エネルギーが非常に安くなってきているという動向があります。

環境についても言うまでもないわけですけども、まさに、先ほど申し上げ1.5℃を実現しようと思うと、やはり、これは、もうCO2の削減を大幅にしていかなきゃならないと。エネルギー効率化と、それから、再生可能エネルギーを大幅に供給し安くしていくしかないということかと思います。

そういう観点で、これからS+3Eを日本で実現するためには、一体どうしたらいいかという観点も必要だという発言があったことは明確に書いてください。

これについては、これも前に紹介をしたんですけども、国際再生エネルギー機関IRENAが今年の1月に新しい世界という、「A New World」というレポートを出しています。その中で、化石燃料が支配的だった時代から再生可能エネルギーが支配的となってくる時代の中で、そういう安全性、安全性の考えも変わってくるというレポートが出ていますので、そういう考え方についても、ぜひ記述をしていただきたいというふうに思います。

以上4点、個別の論点で申し上げました。

次に全体のまとめ方なんですけども、委員の方のを読んで、よくまとまっているみたいなご発言をされる方が何人かいらっしゃったんですけど、私は必ずしもそうは思っておりません。もう少し論点を明確にする必要があるんじゃないかなと思いました。

一つは、これはカーボンプライシングの今後の経済成長に与える影響だとか、それから、弊害については書いてあるんですけども、やはり、もう一つはカーボンプライシングが存在しないことによって、どういうふうなリスクがあるのか、こういう論点も、章立てもして書いていただきたいというふうに思うんです。これも、前回12月のまとめのときにもお話をしましたけども、そのときには採用していただけませんでした。

読むと、確かに、カーボンプライシングがないことによって、どういう問題が起きているかということは、あちこちに書いてはあるんですけども、これも神野先生もおっしゃいましたけども、ぱっと見てわからないんですよね。やっぱり、メッセージを明確に伝えるという意味で言うと、そういう章立てが必要なんだと思うんです。現にカーボンプライシングがないことによって、今、日本では石炭火力発電の新設が諸外国にないぐらい大きく計画されたり、あるいは、既存の石炭火力発電所が43GWありますけども、これを使い続けようというふうになっていると。発電の部門はそうです。

産業部門で見ても燃料に石炭を使うということが、相当日本の場合多い。現在の経済的な仕組みの中では、むしろ、石炭の利用を促進するような、そういう仕組みになっていると、そういう弊害があるということですね。いくつそういうことをきちんと明確にわかるように、構成上入れていただきたいなというふうに思います。

それから、もう一つは、全体のまとめなんですけども、両論併記になるというふうなことが、何人の方が言われました。確かに、カーボンプライシングの導入が必要かどうかということについては、議論が分かれていて、全員は一致していませんから、そういう意味では、両論が併記されるんでしょうけども、ただ、やっぱり、その意見を言われた方を見てみると、必ずしも同じぐらいの人がカーボンプライシングを入れるべきだ、あるいは入れることを前提にした議論をしているのと、それから、そもそもカーボンプライシングを入れるべきではないという、やはり導入をしていくということを前提にして、導入どうしていくかという議論をされている方が多いと思うんですよ。だから、単純に、やはり両論併記というんじゃなくて、議論の大勢はこうであったことがわかるように、そういうまとめをしていただきたいというふうに思います。

先ほど、小西委員、河口委員が10年間議論しているとおっしゃったんですけども、私の理解が正しければ20年間だと思います。ですから、河口委員がおっしゃったように、世界的に、本当に気候変動の危機がこれだけ進んでいる中で、日本の中央環境審議会がいつまでも両論併記で、どこにいけばわからないというふうな議論をしているんでは、本当に、この委員会の役割が責任を果たしたことに全くないと思いますので、ぜひ、その辺をそうした方向が出るようなまとめをしていただきたいと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございます。

では、大塚委員、どうぞ。

大塚委員

どうもありがとうございます。

7点ほどありますけれども、簡単に一つずつ言っていきたいと思います。

一つは、全体との関係の話ですけど、今、大野委員が言われたことも関係しますが、今回、よくまとめていただいたと思いますけれども、委員の各意見に関しては、とりあえず、このように並列していただくというので、まずよかったと思ってはいるんですけども、どことどこが対立しているかということをもう少し明確にするようなまとめ方を、次の段階では、さらにしていっていただく必要があると思いますし、その段階で重複しているようなところについては落とすことは十分可能になってくると思いますので、今は、これでいいんですけれども、もう少し、まだ、次のステップに上げていく必要があるんじゃないかということを、まず申し上げておきたいと思います。

それから、二つ目ですけども、記述との関係で、確認させていただきますけど、さっき、80ページの4行目の一部導入ということについてご意見ございましたが、これは、地球温暖化対策税はございますので、明らかなことを言っているだけだと、私は思っていますが、それでよろしいかどうかを後でお答えください。

つまり、逆に言うと、それ以外のことは言ってないと思います。ここは争いがある話をしているわけではなくて、地球温暖化対策税は、非常に税率は低いもので、十分でないわけですけども、あることはありますので、それは事実としてはそういうことを言っているということを書いてあるだけだと、私は思っていますが、そこを確認させてください。

それから、三つ目ですけれども、個々の論点に関して、若干抜けているようなところがございましたので、申し上げておきたいと思います。

例えば、その37ページの自主的な取組に関する意見に関して、いろんな意見があるわけですけれども、自主的取組一般に関しての評価とか、あるいは問題点とかについては、必ずしも触れられていないので、これだけだと必ずしも十分ではないところがあると思います。

自主的取組は、とにかくソフトな対応ができるという意味で、あと日本特有なところはあるんですけれども、望ましいところはもちろんあるわけですけれども、計画の履行確保の仕組みが十分でないとか、アウトサイダーの方に関しては対応ができずに不公平であるとかという、一般的な論点はございますので、そういうのも触れていないと、非常に具体的なやや枝葉の話だけが残っているようなところがあると思いました。

それから、同じような問題は、64ページの排出量取引のときにグランドファザリングか、ベンチマークか、オークションかという話がありますが、そんなに突っ込んだ議論をここではしてないこともあって、制度の受容性のことを考えれば、やはり最初はベンチマークかなということかと思います。最初からオークションでやれればいいんですけども、それは、なかなか制度の受容性ということを考えると、難しいんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

それから、排出量取引に関しては、昔の福田内閣のときに、試行的に始めていたり、J-VERとかというものがあったわけですけども、2014年に、結局、慎重に検討するということになったわけですが、そのときに慎重に検討することにした理由を、閣僚委員会の方で4点挙げています。

我が国の雇用の話と、それから海外の排出力取引の動向と、三つ目に、国内において先行する主な地球温暖化対策の運用評価、それから四つ目に、主要国が参加する公平かつ実効性のある国際的枠組みについての成否というのが挙がっております。これも評価が多少分かれるかもしれませんが、恐らく、第1点以外の点については、全てもうクリアしているということにはなっているとは思いますので、今までやってきていることとの関係で、そういうことは、どこかで触れておいた方がいいのかなということを申し上げておきたいと思います。

それから、第6に、委員長もおっしゃいましたけども、今後のカーボンプライシングが入った後のビジョンは、環境省のほうでも総合政策部会を中心に地域循環共生圏については、環境省の方でも検討されていますし、その中で再生可能エネルギーについては、特にその率を増やしていって、エネルギー自給率を高めるという、そういう世界を描くことになると思いますけれども、ビジョンはあることはありますので、そういうことも、ここの検討会でも若干扱っていっていただいた方がいいと思います。

それから、最後に七つ目ですけども、先ほど来のご議論で、カーボンプライシングに消極的な委員のご議論を聞いていると、やはり2050年に温室効果ガス80%の削減とか、21世紀の後半のできるだけ早い時期に脱炭素化をするという目標をどう考えていらっしゃるのかなという気がいたします。あと、河口委員や大野委員がおっしゃることには、私も賛成でして、カーボンプライシングを入れないことによって、現在、既にネガティブな影響が出ているということに関して、きっちり議論する必要がありますし、私も項目を立てて整理していただいた方がいいというふうに思っていま、なお、個々の業界のご心配に関しては、もちろんカーボンプライシングを入れても、炭素リーケージのこととかを考えながら、あるいは国際競争のことを考えながら、減額をするというようなことは、当然あり得ると思いますので、そういう対応をぜひお考えいただければありがたいと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございます。

ご質問についてお答えがありますか、2番目にご発言の点ですが。

鮎川市場メカニズム室長

担当の室長が今はちょっと席を外しておりまして、後ほどお答えいたします。

浅野委員長

わかりました。

では、牛島委員、どうぞ。

牛島委員

かなり意見としては、ほかの委員の方もおっしゃっていただいたことだと思いますけれども、最初にちょっとおさらいからすると、私も先ほどの高村先生の意見には同意でして、前回の議論でも資金が滞留しているんじゃないかと、答申をもっとしやすい政策的なメッセージが必要なんじゃないかというふうなお話をしましたけれども、そういうふうなことが一つ大いにあるかなと。

もう一つは、先ほど、委員長を初め大塚委員もおっしゃいましたけれども、私も今回のそのカーボンプライシングそのものは、それそのものが目的というより、それを導入することによって、どういう社会変革を起こすかとか、そういうふうな目的があっての一つの手段というふうな位置づけだろうと思いますので、そういう意味では、全体最適な議論をする上で、その先にどういうふうな社会像を私たちは描いているのかというふうな辺りと行き来した議論というのは、必要になってくるかなというふうに思っています。

これだけ大量の意見をこういうふうにまとめられる、それには、本当に頭の下がる思いでありますけれども、私の理解だと、賛成反対いろいろあるとしても、一つは、その脱炭素社会に移行するというふうなこと、それから、イノベーションが必要、もしくは重要であるというふうなこと、それから、地球温暖化対策と、それから経済成長を両立させていくのであるというふうなことについては、どなたも賛成している、同意しているところだろうというふうに思います。

この脱炭素社会に移る、そのためにイノベーションは必要だよねと。そうしたものを含めて、その環境と成長と両立させていくというふうな上で、世の中が考えていることで、我々も考えなければいけないこと、特に私はビジネスサイドの視点ですけれども、一つは、やはりその資源配分をどういうふうに変えていくのかというふうなこと、それに伴いどのようにビジネスモデルを変えるのかということ、そのためにどういうふうに資金を調達していくのかというふうなことが必要だろうというふうに思っています。

この資源配分を変え、ビジネスモデルを変えるということについては、まさに会社、起業で言うならば、そのバリュードライバーを炭素依存のものから脱炭素にどういうふうに移行させていくのかと。国で言うならば、その炭素依存の産業をいかに脱炭素にシフトさせながら、GDPを上げていくのかというふうなことだろうと思います。それを一言で言うと、その儲け方を変えるというふうなことだろうというふうに思います。

その意味で、炭素に価格をつけることによって、その購買決定要因ですとか、あるいは、投融資のあり方を変える、まさに外部性を内部化していくというふうなことの中に、このカーボンプライシングがあるというふうに思います。

そうしたところで、その資源配分、ビジネスモデルを変えるというふうなところにおいては、投資の世界では、既にもう行われている話で、データはいろいろありますけれども、一つ、8割近くが、その無形資産から企業価値を導いていると。つまり、その設備ですとか、そうしたものが収益源という時代は終わったというふうなことで、これは、もうかなりいろいろなところで言われています。

日本企業のPBRが何で低いかというふうなところは、なかなか、そういう無形資産がもたらす価値を十分に説明できていないんじゃないかというふうなところもあり、ESG投資等々で開示を充実させていこうという、こういう流れにあると思います。

もう一つ、マーケティングの世界においても、既にプラットフォーム型のビジネスですとか、サブスクリプション型のビジネスというふうな、ゼロックスのように機械そのものを売り切って何かを儲けるというよりかは、その後、リカーリングで儲けていくというふうなことで、その物の売り切りから、儲け方というのは、徐々に変わってきているというふうなことだろうというふうに思います。

そういう意味では、そのビジネスモデルを変えられる技術ですとか、人も恐らく日本の国内にも、それなりにいるんではないかというふうに思いますけれども、問題はそれを育てる、あるいは、そこに投資する仕組みが十分にないのではないかと。したがって、日本企業が儲けられないというふうな、もしそうであるならば、それはエネルギーコストだけの問題ではなくて、ビジネスモデルそのものをやはり変えられていないというふうなところが、大きなポイントとしてあるのではないかなと。

前回の議論でもありましたけれども、シェアリングエコノミーですとか、サーキュラー・エコノミーというのは、私の非常に賛成というか、強く進めていった方がいいんではないかというふうに思いますけれども、こういうふうな経済、消費のあり方を変換する、それだけでも、必要以上にエネルギーを使ったり、あるいは物を掘ったりというふうな必要はなくなっていくであろうというふうに思います。また、そうしたものを支えるだけのITですとか、AIというふうな技術も既にあると。世界では、そうしたものが新しいビジネスチャンスを生みながら、新しいバリューを創造していると。

しかしながら、残念ながら、この委員の中には、そういうふうな新しいビジネスを牽引されるようなベンチャーとか、そういったリーダーはここには残念ながらいないので、そういった方々がどういうふうな社会像を望んでいらっしゃるのかというのは、私個人としては、非常に興味のあるところです。

カーボンプライシング導入に当たって、ビジネスモデルをやはり変えていく必要性というのが大きくあると、そのためには、お金の流れ変えていく必要性が、私はあるというふうに思っていますけれども、一方で、そのレポートの中では、日本が不利にならないようにと。同時に質のいいエネルギーの供給というのは、引き続き必要だと思います。また、その中小ですとか、家計への影響を小さくするというふうなことも考慮すべきだろうというふうに思いますけれども、ディスラプションなくして、そのイノベーションというのは、やはりないんだろうというふうに思いますし、今のままだと、こういった条件がはまると不利ですけれども、逆に言えば、こういったことに基づいた新しい機会も生み出されるというふうなことだろうというふうに思いますので、ぜひ、そういうふうな新しい、本当にイノベーションで脱炭素を目指して経済成長も両立させるということであれば、短期的なコストというよりも、長期的なこれからのバリューというものを、どういうふうに移行させていくのかというところも踏まえて、全体最適で議論されていくのがいいのかなというふうには思っています。

浅野委員長

ありがとうございます。

では、岩田委員、お願いします。

岩田委員

それでは、3つほど申し上げたいと思います。

一つ目は、一番最後のこれからの進め方というところで、今回の中間取りまとめの整理案という、79ページの一番下に、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略というのが、令和元年6月11日閣議決定ということになっていまして、それで、私も今、それを見ていたんですけど、一番最後のところにカーボンプライシング、長期戦略の77ページ、最後の最後にこれが触れられているということで、日本政府としてもカーボンプライシングというのは検討はすべきだということがともかく入っており、カーボンプライシングで、市場の価格付けだけでなく税制も入っていますよという文章が入っているというのが一つなんですが。

もう一つ、この初めの方、この閣議決定を見ますと、脱炭素社会の実現を今世紀後半のできるだけ早期にと、それで後半の早い時期というのは何年なのかという、先ほど大塚委員の方からもご質問があった点ですけど。この報告書の中でも、それに触れているのは13ページで、これは経団連の方がおっしゃったのかとも思いますが、75年、75年が早い時期なのですかねと。いや、これはちょうど半ばをとっておられるような気もしますが、この早い時期というのが、人によっては55年というふうに読むべきだ、あるいは60年と読むべきだ、場合によると、政府のこれは有識者の懇談会ですが、そこでは、たしか70年という数字が出たのか出ないのか、新聞情報だけなので、確かめておりませんが。

しかしながら、これから、まだ月末でG20のサミット会合があって、環境大臣会合では、プラスチックについては前進があったけど、温暖化は、ほとんど前進がなかったかなと、これは、そう言っていいのかどうかわかりませんが、洞爺湖サミットのような80%を50年に削減するというような目標と比べると寂しいかなと。それが、このサミットでどのぐらい、この今世紀後半の早い時期にというのを、どのぐらい早い時期で合意がとれるか。それは80%ではなくて、実質的にゼロエミッションということなので、ゼロにしますというのを仮に国際目標に据えるということだとすれば、私はそれなりに前進だと。ただ、あまり遅くしてしまいますと、あまり前進でないということにもなり得る文言なんじゃないかというのが一つであります。

ですから、これからわかりませんが、G20に向けて、どこまで今世紀早い時期にというのをどのぐらいクリアにしていけるか。

国際的には、EUが50年に実質ゼロというので諮ろうとしたわけですが、ドイツもイギリスもフランスもそのように動いたと思いますけど、ポーランドとか東欧4カ国が反対して、50年に実質ゼロという案がEUの提案としては出なかったんですね。それで、環境大臣会合も、ある意味では前進があまりしなかったかというふうにも推察をいたしますが、これから、日本がこの気候変動に関して、どのぐらいリーダーシップをとれるのかという上では、非常に重要なポイントではないかと思います。

私、今の気候変動の速度というのが、従来考えていたよりも早いんじゃないかと思うんですね。30年には、もう1.5℃上昇してしまう。そうすると、これはIPCCの報告ですけど、あと0.5℃しか残っていなくて、どうやってやるのかなと。でも、もう1.5でやれというリコメンデーションもありますので、30年に本当にしなくちゃいけないのか、いや、1.5を本当にやろうとすると。強く読みますと、そのようなふうにも読めるということであります。

それから、2点目に申し上げたいことは、この79ページから80ページにかけてで、日本は、ほかの国よりもなかなか厳しいですよと、カーボンプライシングを入れる上でも、なかなか不利な条件がいくつも並んでいますと。エネルギーコストも高水準だし、輸入に頼っていますと。

それから、限界削減費用が高くというんですが、これは要するにCO2一単位、CO2の排出するに当たって、アウトプットがどのぐらい生産されているかという、ここでも最初の時点で炭素生産性という言葉で、たしかCO2生産性ですかね、労働生産性と両方比べて図表がございましたが、あれはとても私にとっては印象深くて、日本だけが悪化しているんですよね。労働生産性も先進国では最も停滞している。つまり、生産性の停滞とCO2生産性の停滞というのが同時に起こっているというふうに思います。

これは、ある建設機械の会社のお話を伺ったときに、今も印象深く思っていますが、新しい工場をつくるときに生産性を倍にしようと思ったと。あらゆる工場の配置から、空気の流通から、水の排水から、人の動きから、生産性が最大になるのは、工場はどういう設計をしたらいいというので、最新のにしたと。そうしたら、それは意図したことではないんだけど、排出量も半減、CO2のですね、あるいはエネルギー節約、省エネもですから倍進むと。

つまり、限界削減費用というのは、これはマッキンゼーが何年前ですかね、20年前か30年前に再生エネルギーの導入などエネルギー源別の限界費用削減の一覧表をつくって、この技術はコストが高いといって入れるのは大変ですと。僕はかなりフィクションに近いところがあるんじゃないかと思っております。それは、本当に快適な社会、あるいは生産性が高い社会というのを求めていくと、CO2削減にも省エネにも同時になってくんじゃないかということであります。

その観点で、前回も申し上げましたが、我がセンターの試算で、今のデジタライゼーションというのがどんどん進んで、産業構造が50年には変わっているとすれば、もう6割はそれで、CO2エミッション削減されるだろうと。残りの2割は、80%削減にしたければ1万円、ゼロにしたければ2万円というカーボンタックスを活用したらどうかという提案をいたしました。そこでは、エネルギーの構成でいうと、再生エネルギーが半分で化石が半分という、ただし、化石燃料を使う場合には、CCSを伴って運用するというふうに提案をいたしました。

この政府の報告書を見ると、CCSも書いてあるんですが、どちらかというとCCUの方に力点があっておられるようで、鉄鋼業におけるフェロコークスですかね、コークスのかわりに水素で還元するというような技術がありますというようなご紹介もなされておりまして、もちろん、私もCCSでもCCUでもどちらでもいいんですが、化石燃料を使う場合には、CCSなりCCUを義務づけるというような、実際に義務づけている国もあるんじゃないかと思いますけれども、そうしたことが求められているんじゃないかというふうに思います。

これが2点目で、あと、3点目は繰り返し申し上げていますが、こういう脱炭素社会は、私は政府に、やっぱり将来のカーボンプライスのパスを出してほしいと。私どもは、一応、出したつもりなので。私の知る限りでは、カナダが、随分前に350ドルというのを試算したことがあると思いますけど、日本政府もぜひ脱炭素社会に向けてのカーボンプライスのパスをぜひ出していただきたい。

同時に、しかし、この問題は国民一人一人の問題だし、各企業それぞれがゼロエミッションをどうやったら実現するかを、努力をそれぞれがしていかないと、単に目標だけあるということになってしまうんじゃないかと思います。

その関連で言うと、カーボンバジェットというのは、大事だというのは前に申し上げたんですが、今はもうちょっと進んで、カーボンオフセットというのですか、個人で例えば1年間にどれぐらいCO2を排出していますかと。アメリカは16.5トンだそうですが、日本は9.5トンあるそうですけれども。これをどうやって減らすのかというですね。一つは、電力については、再生のエネルギーの電力を使う、あるいは車であればEV車、あるいは、政府のこの報告では燃料電池車で水素を利用した車を使うとか、そういった、やっぱり各人が、自分が出しているCO2を減らしていくという努力が必要なんじゃないかと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございます。

では、石田委員、お願いいたします。

石田委員

先ほども確認がありましたが、この委員会はカーボンプライシングの導入が前提ではありません。このため報告書は中立的に書かれており、この点がわかりにくいと思います。

脱炭素社会に向けての方向性は決まっているので、脱炭素に向けてCO2排出量をどうやって削減するのかが重要であって、カーボンプライシングを方導入した方が削減されるのか、削減されないのかの観点で判断すれば、カーボンプライシングは導入した方がCO2排出削減に有効です。仮にカーボンプライシングがCO2排出削減に寄与しないのであれば、世界はカーボンプライシングを導入している国数が増えているので、世界が間違っていることになります。

日本は既にカーボンプライシングが入っているという意見もありますが、カーボンプライシングは排出量に比例していることがCO2排出抑制としてのメッセージとして重要なので、現在の税制というのは、排出量には比例していないので、現在我々が議論しているカーボンプライシングには当たらないと思います。

だとすれば、カーボンプライシングを仮に導入するとした場合の問題点を整理して、この問題を回避するためにはどうしたら良いか議論すべきだと思います。このままずっと平行線では、先程20年間議論しているという話がありましたが、これが30年間になると思います。無駄に議論をしないためには、論点を整理された方がわかりやすいと思います。

以上です

浅野委員長

ありがとうございます。

では、有村委員、お願いします。

有村委員

ありがとうございます。今日は一番最後で、ゆっくり考える時間があるなと思いながら、結構、でも2時間半も待ってました。

浅野委員長

お待たせいたしました。

有村委員

すごいなと思いました。いつも安田委員か私が最後になるんですけど。

まず、取りまとめをありがとうございました。いろいろなご苦労があったと思いますが、とりあえず、ありがとうございました。

前回の委員会から今回にかけて、実は世界銀行のカーボンプライシング、カーボンファイナンスに関するイベントに呼ばれまして、そこで東京都の排出量取引についてお話をさせていただきました。日本と中国、韓国に関するETSのフォーラムというのがありまして、日本からは、埼玉県の制度を設計されている県の担当の方、私らも行ってお話させていただきました。それに関して、ちょっと4点お話をさせていただきたいと思うんですけど、まず第一に、フォーラムで印象に残っているのは、東南アジア各国の非常な関心の高さですね。タイ、ベトナム、そしてインドネシアを中心に、シンガポールが今はカーボン、炭素税を導入したばかりなんですけど、それに続いてカーボンプライシングを検討しているということで、まさに、そのカーボンプライシングは、結構グローバル化が進んでいると、国際化が進んでいるというのは、国際的なトレンドなんだろうなというふうに思いました。

それから、あとは排出量取引に参加している企業の見方というのが非常に興味深くて、実は、私はその専門家のフォーラムに出たんでしゃべったんですけど、日本の企業の方も、そこで経験者としてしゃべられていて、東京と埼玉の制度下にある企業の方が、当初は非常に懐疑的だったと、非常に東京都の制度に対して懐疑的だったんだけども、東京都の人と話し合いを重ねて、いろいろして制度をつくって、うまくやっていって、やっていくうちに、まあ、そういうことだったらやってみようということでやってみたら、削減することができて、今は非常に納得しているというところで、そこまで出ていって、わざわざお話されているという辺りは、非常に興味深いところで。やはり、当初、最初は新しい制度なので、相当ご心配されると思うんですけど、いざ始まってみると、やはり制度設計をうまくすればうまくできるんじゃないかなというようなことを思いました。

それから、私自身も、東京都の制度を高村委員長のもと議論に参加させていただきましたけど、実際、東京都の制度で、かなり今の知事のご意向でオープンにして、企業の方の意見を聞くんですけれども、細かい制度設計に関するリクエストはあるんですけど、制度そのものをやめてほしいとかというような議論というのは、ほとんど出てなかったというふうに思っていますので、そういったところなんだろうなと思います。

それから、3点目は、いろんなところの国の人が出てきていたんですけども、そこに来ている企業の方なんかと話していると、確かに、ここの審議会の雰囲気とちょっと違うなというところは思いました。ブロックチェーンと排出量取引を結びつけたビジネスを考えているみたいな人もいたりして、石田委員からもご意見ありましたけども、新しいビジネスをつくろうみたいな雰囲気があって、大分、ちょっとそういう経済全体の動きというのは、なかなか審議会の中だけではつかみにくいのかもしれないなというふうに思いました。

4点目は、ちょっと安田委員のおっしゃった日本の国際競争力の問題についてでして、この会合がこれまで欧州で行われていたのが、今回、初めてアジアで行われたというんですけども、それが日本とかじゃなくてシンガポールだったというところが、ちょっと企業が参加する大きな会議なのに、日本じゃなくてシンガポールなんだなということで、非常に、ちょっと残念に思ったなというところです。

炭素生産性というお話が、先ほど、いろんな方から出ていたと思うんですけども、やはり、その炭素生産性と企業の国際化とかなんとかというのは、やっぱりどこかで親和性があるのかなというようなところを、安田委員がご指摘のあったような話とかというのは、何か明確なロジックでは説明できないんですけど、感じるところは正直あるところです。

これがちょっとそんなイベントの参加のお話でして、個別のお話に関して言いますと、かなり多くの情報があって、どこに自分の意見が入っているのか、入っていないのかも、よくわからないような形になっていますけども、1点、ちょっとその64ページで排出枠の配分方法について書かれていて、これは難しいんだというお話があって、実際、配分方法というのは、非常に苦労するところだと思うんですけども、日本国内を見ても、東京都と埼玉県は、既にもう排出量取引の制度をやって配分をしていますので、そこでのノウハウというのは、かなり使えるんじゃないかなというふうに思っております。

実際、東京都の場合なんかは、5年間の排出量から3年間、事業者の方の好みの3年間を選んでいただくような制度で、両方が合意できるような制度でやられているので、そういったこともできるだろうというふうに思っています。

それから、CPは既にあるのかないのかというのが、いろんな方からご指摘があったところで、ちょっと私自身の印象としては、東京と埼玉の制度が割とうまくいっている制度なんだけど、あまり報告書全体での位置づけは低いなというふうにちょっと思っています。

特に埼玉県に関しては目標設定型というタイプで、企業の方も罰則がないのに参加しているようなタイプの排出量取引なんですよね。産業界の方が持っているのを、非常に合意しながらやっている制度で、それが非常にうまく機能して、削減もうまくいっているわけですね。

先ほど、ご指摘がある委員からありましたけれども、配慮事項もあるんですけども、ちゃんとそういった配慮事項があっても制度として機能しているというような制度が国内にあるので、こういったものを全国に取り上げるというような視点というのも、もう少し書いていただけるとありがたいかなと思いました。

そこまで排出量取引の話をさせていただいて、一方で、排出量取引が絶対いいんだというわけでも私もありませんで、ここでの委員会の議論だと、炭素税の方がどちらかというと支持が強そうなんで、炭素税についてお話させていただきますと、やはり、その炭素税でやるということであって、環境と経済の両方の問題を考えるということであれば、その二重の配当というような視点がやっぱり大事だと思います。

これは、既に報告書に書いていただいているんですけども、土居委員がもうちょっと帰られてしまったんでお話しできないんですけど、炭素税を財政赤字に向けてということでしたけど、多分、ご指摘は目的税じゃなくて、一般財源化して財政に資するような形で使うというようなご指摘じゃないかなというふうに、私は理解しております。

日本の財政赤字を考えると、これはちょっとここの審議会のテーマではないんですけども、何らかの形で税を上げるということは必要になっていくことだとは思うので、法人税とか、所得税とか、消費税とかというようなことよりは、炭素税を導入する方が、数字がいいんだろうなというふうに思っております。

それから、定量分析に関して、今後やっていく必要があるということで、まさにそうだとは思っております。

一方で、前田委員もご指摘あったように、結構、定量分析をすると、その前提は何なんだと、どうなんだという話が多分出てきて、結構、大変な議論になるということだというふうに思いました。

先ほど、手塚委員が、カリフォルニアとRGGIはやっている州はアメリカの中で成長率が低いんだというご指摘がありました。それは何か数字とかを見ると、そうなんだろうなとは思うんですけど、経済学ではもともとGDPの高いところは、そうでないところに比べて成長率が低いということが知られていて、それで、コンヴァージしていくということは知られていますので、多分、アメリカの中でカリフォルニアとかニューヨークというのは、1人当たりGDPが高いので、当然、中西部の州なんかに比べて成長率が低いというようなことは、経済学の議論ではよく言われることなんですね。なので、それがそのETSとの因果関係があるかというのも、また、わからないというようなことになったりするので、結構、定量的な分析というのは、こういった話を始めると、ちょっといろんな話、細かい話になってくるというところはあるんだなと思いました。

それから、最後、まとめ方に関してなんですけれども、現時点では、ちょっと読むのは非常に難しいまとめ方になっているなというのが率直な感想が1点と、もう一つは、大野委員のご意見であったんですけども、結構、ここの場の議論で、いろんな形は違うけどもカーボンプライシングはある形で導入を考えられるんじゃないかという、支持をしているような意見の声が多いような印象はあるんですけども、ちょっと、そのニュアンスがうまくここの報告書に反映されているのかなというところが、ちょっと、ぱっと読むとわかりにくいなというふうに思いました。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

随分長い時間やってまいりましたが、まだ、あと残り10分あるんですが、最初の方のご発言の方で、発言ご希望の方は名札をお立てください。

それでは、3人ですか?もうよろしゅうございますか。では、4人いらっしゃいますね。では、1人2分半でご発言ください。

安田委員、どうぞ。

安田委員

先ほど、有村委員から定量的な分析は難しいというお話がありました。手塚委員から、もともとはご発言があった箇所かと思うんですけれども、僕の記憶、ちょっと定かではないんですけど、あの記述が出てきた背景の研究論文は、恐らく成長率と単純にカーボンプライス排出権取引等を入れているかどうかのクロスセクションの相関を見たものではなくて、入れることによって、それがもともと高かった成長率がさらにどれぐらい上がるかとか、どれぐらい下がるかといった、何か差分の差の推定をやっていたような論文だと思うんです。

なので、単にそういった相関を見ているわけではなくて、できる範囲でその因果関係をきちんと限定できるような研究だったかと記憶しています。恐らく、そういう背景があるので、反例のように挙げられた手塚委員の発言のようなものが反映されていないんじゃないかというふうに思います。

ほかに進め方で、最後、大野委員から挙がった、全体の雰囲気がというところに関して、私個人的にはカーボンプライシングは入れていくべきだと思っているんですけれども、この委員の大勢がわかるような書きぶりというのは、少し気をつけた方がいいと思います。それは、どういった委員を選ぶかというところで、いくらでも最初に、ある意味左右できてしまうかもしれないので、むしろ、石田委員がおっしゃっていたように、脱炭素へ向けたシナリオということで、とかを前提に、カーボンプライシングありの場合はこういうシナリオ、ない場合はこういうシナリオで、そのシナリオを比較して、どちらの方が、やはり現実可能性が高いか、あるいは委員の方々の発言をもとに、どちらのシナリオを環境省、政府として推進していくべきかということを、フェアな形で読者に判断していただくような資料の方が、あまり意図的にというか、片方の意見を強調するようなことを出し過ぎない方が伝わるんじゃないかと思うところでございます。

浅野委員長

ありがとうございます。

森澤委員、どうぞ。

森澤委員

ありがとうございます。

もう、基本的に排出量をエネルギーの使用量掛けるエネルギー、どのエネルギーを使うかということで、省エネルギーは日本では進んでいると。どのエネルギーかという、この排出係数が、排出係数の高いエネルギーを使っているから、排出係数の低いエネルギーに向かっていく。そのためにカーボンプライシングがいるんだと、これはもう世界中で思われていることですし、先ほど、EUタクソノミーの話が出ましたが、世界の投資家たちが脱炭素に向けて投資開始ができないと。ですから、石炭というところに対して、排出係数の高いエネルギーに対して、そちらの方をもう避けていく、それをやめさせようとしているわけなんですね。ここの部分が、もう世界で言われていることを日本だけ別の論理が通るわけではなくて、よく投資家の方々に、排出量の計算をしていますかと。エネルギーの使用量掛けるエネルギーの排出係数ですと、単純な計算ですと。このエネルギーの排出係数というのは、高効率でも石炭は高いんだと、そういったことをずっと何年も説明してきたわけなんですが、そのためにカーボンプライシングが要るんだということだと思うんですね。

世界の、このEUタクソノミーも含めて、EUの方でも言われていることでもありますけれども、じゃあ、ESG投資で、そういったところで石炭を産出している国、そういった人たちの労働はどうするんだということを問われているんですね。

そこで、オーストラリアであれ、石炭が出ている国ではジャストトランジション、公正な移行をしようと。この公正な移行という言葉がわかりにくいと思っていましたら、今月、いい通訳の方が、理にかなった移行、理にかなうような移行をしようということなんです。

じゃあ、その方々がすぐに失業しないような移行をしていかないといけない。それから、石炭だけでなく、排出係数の高いエネルギーに関して移行をさせていくような、そういった労働者の方が困らないように、かつ、経済成長もできるように何を考えないといけないか、これがESG投資なんですけれども、じゃあ、日本は石炭を生んでいるのか、わざわざ輸入をして、これで石炭火力をさらに新設しようとしている、広げようとしていると。

いろいろ投資家の方から、私は世界から聞かれるんですけど、なぜだと、私もわからないところなんですけれども、なぜなんですかと。そこの部分は公正な移行、ジャストトランジションのことも考えた上で投資家は活動している中で、そういった採掘をしていらっしゃる方々はいらっしゃらないし、反対にそういったことを国内で経済界の方々にも、変わっていくんですよと、おたくのビジネスはどのように移行した方が、まだ続いていけますかということを言っていかないといけない、そのためには、このカーボンプライシングは重要だというふうに思っています。

以上です。

浅野委員長

高村委員、どうぞ。

高村委員

ありがとうございます。

2点、すみません、3点あるんですが、一つ、牛島委員がおっしゃった異論のない点という、これは基本的に大きな議論のフレームワークということだと思うんですけれども、この点については、やはり確認はした方がいいかなというふうに思います。これは大橋先生がおっしゃったビジョンというところにつながる点だというふうに思います。やはり長期戦略をきちんと前面に、そのビジョンとして示せていたかどうかはあれですけれども、ビジョンとして位置づけていただきたいというふうに思います。

長期戦略のところで岩田先生もご質問いただいたんですけれども、とはいえ、今世紀後半のできるだけ早期にというのは、やはり非常に重要だと思っていまして、これはIPCCの1.5℃の報告書に沿えば、2050年にCO2でゼロ、2℃目標で2070年ごろCO2ゼロというので、日経さんは2070と書かれたんだと思うんですが、議論の中では、これは環境省さん、経産省さんのところ、非公式の議事メモを出していただいていますけども、年限については、議論はしていません。ただ、意見は2050であるべきという意見と、もう少し50というのは難しいんじゃないかという意見があったと理解をして、こういう表現になったと、私自身は理解をしています。

しかし、同時に、その2050年に向けたエネルギーの脱炭素化、これはエネ基にも書かれていますし、2050年までに地域・暮らしのカーボンニュートラルということも具体的に踏み込んで書いているビジョンだと思いますので、それに従って、やはり、この議論がフレームとして、必要だというふうに私は思います。

2点目は、大橋先生がおっしゃった点、私が言いたかったことをエレガントに言ってくださったんですが、どの制度も完全な制度というのはあり得ないというふうに思っていまして、つまり、制度設計次第で、そのインパクトがどうなるか、効果がどうなるか変わるとすると、これは安田先生おっしゃった点にもつながると思うんですが、入れてみたときに、どうしたらそういういい、できるだけ効果をマックスにして、悪影響が小さな制度ができるかというエクササイズをしてみるというのが大事なんじゃないかというのが、今後の進め方としては思います。

最後は、気候変動の影響のところ、これは何人かおっしゃったんですが、やはりこの間、経済損失としての認識は、非常に大きくなっていると思うので、これ長期戦略にも一定のナンバーを書いていると思いますけれども、これは、やはりもう一度、ここの中に脱炭素に進まなかった場合の経済的な損失の側面については言及していただきたいと思います。

以上です。

浅野委員長

河口委員、どうぞ。

河口委員

ありがとうございます。

先ほど、ちょっと言い洩らした点なんですけれども、何人かの委員が炭素生産性のお話をされていました。非常にインパクトがあったというお話もあったんですけれども、ESG投資の世界では、今これから話題になるのがインパクト、今まではROEだとか、リターンとリスクを計算して、それで投資をすればということだったんですけれども、それに加えて、インパクトという3軸で評価をしていこうという動きが急速に広がってきています。ですので、個別の企業の評価のときに、ROE、女性の役員比率、そして炭素生産性みたいなのが普通の評価軸として入ってくる可能性も高いと。そうなったときに、やはり炭素価格というものがきっちりあるということが、いろいろな意味で評価をしていく上で大変重要になっていくよということが、まず1点。

2点目なんですけれども、進め方に関してビジョンが大事だよねというお話もありました。聞いていて、このカーボンプライシングというのは、そのビジョンを達成するための手段のものなんですけど、ビジョンというのがあるんですかねみたいな感じで、どこかにあったっけという、委員の人もあんまり日本のビジョンはこれよというのを共有しているものがないような中で、これを議論するというのは、ビジョンを共有していないところで手段をやるから、結構、混乱してしまったのかなと。だから、やっぱり、ビジョンというのはどういうものであるべきかということを、ここである程度、代替して出していくのというのもありなのかなと。

そういう点では、今日はご欠席なんですけれども、神津委員が前回おっしゃったことが、ちょっと事務局への質問なんですけど、見当たらないんですが、彼が何を言ったかというと、その税制調査会とかで、いろいろと税理士協会として意見を出す中で、このカーボンプライシングを入れるようにみたいな意見を今年出すよということを言われていて、それは国民運動として、その税理士という中小企業の人たちを束ねる人たちが、これは気候変動のために大事だということをおっしゃっているというのは、その国民運動としてやりたいんだよというメッセージにもなるので、すごくインパクトがある話だと思うんですね。

ですので、もうちょっと神津委員に取材していただきたいと思うのですが、国民の声から、ちょっと運動論的な部分も含めて、こういうふうに考えているというところも、ぜひ入れていただきたいと思います。

以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

大変長時間ご議論いただきまして、ありがとうございました。

大塚委員

すみません、さっきの質問のご回答をお願いできますか。

浅野委員長

さっきの質問へのお答えをいただけますか。

鮎川市場メカニズム室長

ちょっと確認をして、後ほど個別にご報告をいたします。

浅野委員長

では、そのようにお願いいたします。有村委員、どうぞ。

有村委員

ちょっと1点だけ修正、訂正なんですけども、私は、定量分析を否定したわけではなくて、その難しさをちょっと言いたかったところで、安田委員がおっしゃった研究というのは、実は、私が紹介した研究で、Propensity Score matchingと差分の差を使って、ETSの効果を言ったものなので、手塚委員がおっしゃった視点とはちょっと違うところなので、はい。その点だけは、ちょっと、修正、訂正をお願いしたいと思います。すみません。

浅野委員長

わかりました。

それでは、次回は今日のご議論も踏まえて、中間的な整理の案をおだしすることになると思います。

事務局、どうぞお願いします。

鮎川市場メカニズム室長

本日はありがとうございました。既に事務局からは、次回につきまして、日程調整のご連絡をさせていただいておりますが、ちょっとまだ、いついつというところの確定には、いましばらくお時間をいただきたく思います。できるだけ早く委員長ともご相談した上で、事務局より正式にご連絡をいたしますので、よろしくお願いします。

本日はありがとうございました。

浅野委員長

では、どうもありがとうございました。

午後4時01分 閉会