中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会(第6回) 議事録

開催日時

令和5年8月17日(木)10時00分 ~ 12時00分

開催場所

WEBによる開催

議題

(1)2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出量(確報値)に関する分析について

(2)本専門委員会の今後の進め方について

(3)委員からの情報提供

(4)その他

資料一覧

議事次第

資料1:中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会委員名簿

資料2:2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出量(確報値)に関する分析について

資料3:本専門委員会の今後の進め方(案)

資料4:下田委員長説明資料

参考資料1:2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出量(確報値)に関する分析について(資料集)

議事録

午前9時59分 開会

脱炭素社会移行推進室室長補佐
 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会(第6回)を開催いたします。
 環境省脱炭素社会移行推進室の村上でございます。どうぞよろしくお願いします。
 本日の専門委員会はWebにより開催させていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信し、動画は会議後、議事録公開までの間、Web上で公開予定です。
 Web会議の開催に当たり、何点かご協力をお願いします。通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフにしていただき、ご発言の際のみオンにしていただきますようお願いいたします。事務局側も発言する場合を除きオフにさせていただきます。また、ハウリング等を防ぐため、発言する際以外は、マイクの設定をミュートにしていただきますよう、よろしくお願いします。
 ご発言を希望される場合には、ご自身のお名前の右側にある手のアイコン、挙手ボタンをクリックしてください。また、発言を終えられたらボタンを再度クリックし、挙手を解除していただきますようお願いします。もし挙手ボタンを押しているのに事務局側が気づかない等がありましたら、チャットでお知らせください。
 通信トラブル等、何かありましたら、右下にありますチャットにご記入いただくか、事務局までお電話いただきますよう、お願いいたします。
 本日は7名の委員にご出席していただいており、定足数の要件を満たし、専門委員会として成立していることをご報告いたします。
 本日は、勢一委員、オブザーバーの経団連様が欠席で、オブザーバーの日本商工会議所様が代理出席となっております。
 それでは、以後の議事進行を下田委員長にお願いしたいと思います。下田委員長、よろしくお願いいたします。
 
下田委員長
 おはようございます。委員長を仰せつかっております、下田でございます。
 本日は、議事次第にございますとおり、まず1番として、2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出量(確報値)に関する分析について、2番目としまして、本専門委員会の今後の進め方について、3番目といたしまして、委員からの情報提供という三つの議題になってございます。それから、4、その他となってございます。
 それでは、事務局からまず1番の議題につきまして説明をお願いします。
 
脱炭素社会移行推進室室長補佐
 それでは、事務局のほうから議題1についてご説明をさせていただきます。資料2、画面に表示しておりますので、併せてご覧いただければと思います。
 まず、2021年度温室効果ガス排出量に関する分析ということで、全体の外観を1ページ目からご説明させていただきます。
 まず、2ページ目をご覧いただければと思います。4月のフォローアップ専門委員会のほうでもご説明させていただいておりますけれども、2021年度の温室効果ガス排出・吸収量(確報値)の概要ということで、こちら、2021年、2020年度からコロナ禍からのリバウンドというところで、ある程度リバウンドが見られて2,150万tほど増加が見られているという状況になってございます。2013年度から比較しますと20.3%の減少、2億8,530万tの温室効果ガスが減少しているというところでございます。
 続いて3ページ目をお願いいたします。2030年度目標と2050年カーボンニュートラルに対する進捗というところになりますけれども、こちら、2013年度14億800万tから2050年カーボンニュートラルまでを直線に引いているライン上にこの黒い線、乗っているところでございます。
 一方、乗ってはおりますけれども、やはりリバウンドというところもございますので、まだまだ予断を許さない状況ということがこちらの図から読み取れるかなというところでございます。
 続いて4ページ目、2030年度目標に向けた進捗というところになりますけれども、2021年度実績値が真ん中にございまして、11億2,200万tの排出量・吸収量になってございますが、そのうち約8割占めてございますエネルギー起源CO2について取組を進めていく、施策基に進めていくというところが必要になってございます。
 それぞれ、非エネ、フロン類、吸収源についても2割ございますので、こちらについても施策を進めていくことが必要なところでございます。
 続いて5ページ目でございます。主要先進国の温室効果ガス排出量の推移というところでございますが、ロシア以外、2013年を100としたところ、各国いずれも2021年度まで温室効果ガスの排出量というのは減少しているところでございます。日本は下から3番目にございますけれども、イギリス、ドイツに続いて進捗が進んでいるというふうに見てとれるかなというところでございます。
 2020年から2021年度について他国を見ますと、いずれの国もコロナ禍からのリバウンドというところで大小ありますけれども、排出量というのが増えてきているというところでございます。その後、2021年度、どういった状況になるのかというのは注視していく必要があるかなというふうに考えているところでございます。
 ここまでが全体の外観でして、ここから2021年度の要因分析について、6ページ目からご説明させていただければと思います。
 まず、7ページ目をお願いいたします。7ページ目ですが、温室効果ガス全体の2013年から2021年度の排出の増減の要因分析になります。一番上、温室効果ガス排出量の変化というところでございますが、その中、非エネ、エネルギー起源、メタン、N2O、代替フロン等4ガスということで書かせていただいております。エネルギー起源CO2につきましては、一定程度、削減が進んでいるというところでございまして、メタン、N2O、代替フロン等4ガスについては増加しているというところが見られます。前のページ、4ページでもご説明させていただきましたが、フロン類について少し上昇が見られているというところで、この数字になっているところでございます。
 特に排出の8割を占めておりますエネルギー起源CO2につきまして、次の8ページ目からご説明させていただきます。
 8ページ目でございますが、2013年から2021年度のエネルギー起源CO2全体の排出吸収量の排出の増減の要因分析になります。減少の主な要因といたしましては、エネルギー消費効率の改善、電力のCO2排出原単位の改善というところでございます。
 真ん中右側にございますが、エネルギー消費効率要因につきましては、省エネ機器の普及であったり、生産効率の向上といったことがエネルギー消費効率の改善が見られるというところでございます。
 一番左側、CO2排出原単位要因というところに戻りますけれども、こちらの削減の大きな要因といたしましては、再エネの増加、あと、原発の再稼働と、こういうところで電力の排出原単位が改善しているというところでございます。
 一方で増加の要因といたしましては、一番下真ん中辺りにございますけれども、1人当たりGDP要因ということで経済成長に伴いまして1人当たりのGDPが増加しているということで増加が一定程度見られているというところでございます。
 続きまして、9ページ目をお願いいたします。9ページ目ですけれども、こちらエネルギーCO2全体の2020年から2021年度での要因分析でございます。コロナ禍からのリバウンドというところもございまして、CO2排出量の全体といたしましては2,080万t増加をしてございます。特に要因として大きいものといたしましては、やはりGDP要因ということで一番下にございますけれども、経済活動の回復というところが大きな増加の要因になっているところでございます。
 2020年から2021年度で一部減少しているところがございますけど、こちらの要因といたしましては、真ん中辺りにございますけれども、CO2排出原単位要因ということで、再エネの増加、あとは原発の再稼働が、関西電力の美浜原発の再稼働が2021年6月にございましたので、これによって電力の排出原単位の改善というところも見られているところでございます。
 続いて、10ページ目をお願いいたします。エネルギー起源CO2の部門別も含めたエネルギー起源CO2の部門別の排出量増減要因の分析まとめについて、こちらからご説明させていただきます。
 まず、2013年から2021年度のところでございますけれども、先ほども申し上げましたが、増減の要因といたしましては、やはり原単位の要因というところで燃料転換であったり、節電・省エネの進展、あとは再エネの普及、原発再稼働によるCO2排出原単位の改善というところがございますので、大幅に削減が見られているところでございます。
 産業につきましては、増減量ということで活動要因、増減量をご覧いただけば思いますけれども、やはり経済成長というところがございますので、プラスで4,710万t増加しているというところでございます。
 また、家庭部門につきましては、世帯数の増加というところがございますので、活動量としての増加が見られるというところでございます。
 運輸につきましては、一定程度輸送量の減少というのがございますので、旅客、貨物ともに増減量で申し上げると減ってきているというところでございます。
 続いて11ページ目をご覧いただければと思います。こちら、エネルギー起源CO2の特に2020から2021年度の表になります。この12ページ目に2019年から2020年度の削減量の要因も掲載しておりますので、コロナ禍の前後というところで比較しながらご覧いただければと思います。
 まず、2020から2021年度で申し上げますと、先ほども申し上げましたが、エネルギー起源CO2全体ということで申し上げますと、増減量は増加をしているところでございます。特に新型コロナウイルスの拡大における経済停滞からの回復というところがございますので、増加が見られるというところでございます。
 また、エネルギー消費効率につきましても、エネルギー消費効率の悪化というところで見られまして、これまで動いていなかった機械がまた改めて動いてきているというところでの悪化が見られているのかなというところでございます。
 部門別でございますけれども、少しページは前後いたしますが、11ページ目、2020年から2021年の産業部門につきましては、2,400万t増加しておりまして、12ページ目になりますけれども、産業部門については2,330万t減少しているということで、産業につきましては一定程度、活動としてはコロナの前の水準に戻ってきているのかなというところは見られております。
 運輸につきましては、2019年から2020年度、3,390、1,120万t削減となってございまして、一方で2020年から2021年の11ページ目でございますけれど、こちら220万t、370万t増加というところで、完全にはコロナ禍からの脱却はできていないのかなというところでございます。
 家庭部門、エネルギー消費効率のところをご覧いただければと思いますけれども、1,290万t削減しているというところで、11ページ目、なってございますけれども、こちらは2019年から2020年度、12ページ目にございますが、70万t増加と、コロナに比べるとやはり出社によって家庭部門からのCO2の排出というのが減ってきているのかなというところでございます。
 これら2019年から2021年度まで、コロナの前後で比較して見ておりますと、やはりコロナ禍でエネルギー需要は大幅に減ってきていたというところでございまして、国民の生活、ライフスタイルの変化があることによってCO2排出量というのは大幅に変化していくというところが見てとれるかなというふうに思ってございます。
 したがいまして、温室効果ガス削減に向けて2030年目標達成、2050年カーボンニュートラルに向けて、一定程度、ライフスタイルの変化というところも取り組んでいくことが必要かなというのがこちらの資料から見てとれるかなというところでございます。
 以上、私からのご説明になります。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に対しまして、ご意見をお願いいたします。ご発言を希望の方は挙手ボタンをクリックしてください。ぜひ幅広く、委員、オブザーバーの意見のご意見をいただき、議論を深めていければと考えておりますので、忌憚のないご意見をいただければと思います。なお、ご発言は3分以内にまとめていただきますよう、ご協力をお願いします。いかがでしょうか。
 折茂委員ですかね。お願いします。
 
折茂委員
 折茂でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 非常に確報値のところ、おまとめいただきましてありがとうございます。私からは3点ほどお話しできればと思います。幾つかの点は議題2にも関連することかというふうに考えてございます。
 まず1点目でございますけれども、冒頭、5ページですかね、日本の進捗状況というところ、上位3位になっているというところでございまして、ここは、日本としても非常に誇るべきことなのではないかなというふうに、改めて拝見していると思うところでございます。
 一方で、ここからというところは各国の再エネ導入の施策等々、グリーントランスフォーメーションに向けた動きというのは活発化してくるというふうに思いますので、気を引き締めて進捗していくというところが重要かというふうに考えてございます。
 気を引き締めというところにつきまして、2点ほど先ほどのお話をお伺いしていて思ったところがございます。ちょっと一部、ご質問も含めますけれども、まず1点目でございますが、やはり幾つかの領域において、8ページですとか11ページですとかを見ておりますと、昨年からのリバウンドというところは見てとれるところでございました。
 GDPの増加の要因というのは、ある意味、国の経済を考えていきますと、必要なものだというふうにも、私、理解しておりますので、ここは一定、ある前提で、エネルギー消費の効率化、この辺りが少し増加に転じているというところをどう見ていくのか、今後、またこの増加というのが継続していってしまうのか、ないしは、ここを減少させていくためには具体的にどんな施策を打っていくといいのか、この辺りは2022年度、3年度と今後、数字を見ていく上では、非常に重要かなというふうに考えてございます。
 もし、この辺り、お見立てですとか、こういった施策をというところが環境省の皆様のほうでおありであれば、お伺いできればというふうに思った次第です。
 もう一つが、非エネルギー起源、特にフロン等々、この辺りは以前の研究会でもなかなか今すぐ減少に転じることは難しいといったようなご説明があったかというふうに理解してございます。この辺りが、全体の規模からすると小さくはあるものの、やはり全体減少基調の中で、ここがプラスになっているというところ、これが具体的にどんな施策をもって、いつぐらいから減少に転じることを想定しているのか、この辺りはいま一度ご説明いただけるとありがたいなというふうに考えてございます。
 以上、私から3点、お話しさせていただきました。ありがとうございます。
 
下田委員長
 では、山下委員、お願いします。
 
山下委員
 ご説明ありがとうございました。
 今回は2021年度の確報値を踏まえて、部門別の要因分析に基づいたエネルギー起源のCO2排出量削減の実績を含み、全体についてご紹介いただきました。コロナ禍からの経済回復を含む期間の温室効果ガス排出量推移の実績は初めてということになりますけれども、スライドでもご紹介がありましたが、主要国の中でも善戦しているといったことが見てとれたのかもしれません。ただし、経済回復は日本においてはまだまだ道半ばでございますので、今後気を緩めることはできないかと思います。
 資料2のスライドの4にあります部門別の実績を見ますと、2030年目標と比べた進捗率という単純な指標、これは確報値の実績と削減の目標値を比べた数値になりますけれども、そういった単純な比較では、産業部門及び運輸部門が比較的順調に目標に向かって進捗しているのに対しまして、家庭、それからエネルギー転換、業務その他部門、これらの進捗が遅れていることが見てとれます。また、CO2以外ではフロン類が増えてしまっている点が突出しています。
 それぞれに参考資料として今回つけていただいた要因分析から、その原因は想像できますけれども、現状では2030年目標を達成するにもかなりのてこ入れが必要というふうに見られます。2025年に予定されています次のNDC、2035年目標になりますが、この提出に向けて、2050年までの長期的な排出削減に向けた技術開発、投資、構造変革、あるいは行動変容、これらをどう喚起していくのかを考えた上で、2030年以降の排出削減の深掘りをどうするのか、我々は短期と長期を並行して今後の対策を考えていく必要に迫られていると思います。
 既に5月の合同会議でも述べましたけれども、2021年度実績を踏まえた2030年度までの目標達成の道のりは全く予断を許さない厳しさがある中、先日のG7会合では、IPCC第六次統合報告の数字を引用して、主要国が2035年までに2019年比60%削減にコミットすることを勧奨しました。現在の日本の2030年度削減目標は、13年度比で46%、こちらのスライドにあるとおりですけれども、この目標を仮に達成したとして、その後、5年間で大幅な削減をしなければならないことを意味しています。
 その観点から21年度実績を見ますと、多くの課題が見えてきます。政策評価でDとかEといった評価もある中で、影響の大きな施策で、より多くの効果を、削減をするためには、どのような課題を解決する必要があるのか、どうすれば対象となるセクターや人々の行動を促進して、自律的により多くの削減ができるような大きな動きにつなげられるのか、循環経済のような部門横断的な取組を促進できるのか、人々の自律的、自発的な行動を促進するような全体像の共有はできないのかなど、今後の取組をより気を引き締めてやると思います。
 なお、今回の資料で幾つか気づいた点を共有したいと思います。業務や家庭などの民生部門では既に電化が進む中、参考資料を見ますと、スライド13にあるように、部門別の排出量ではエネルギー転換部門のCO2排出量が最大となっています。電源の脱炭素化の加速化に向けて、原子力発電の再稼働だけでなく、最近ペースが減速している再エネ電力の導入加速に向けた新たな追加的な対策が必要でしょう。
 次に多いのが産業部門ですが、2013年度から累積で見ると、ほかの部門に比べると着実に進捗していることが資料2で確認されています。要因分析でも、構造変化や高付加価値化を含め、それぞれの要因で削減貢献となっています。
 これに対して、電気と熱を配分した後のシェアで見ますと、産業部門とほぼ同じシェアとなる業務や家庭などの民生部門では資料2のスライド4から取組の遅れが気になります。電力が利用する最大のエネルギー源であるために、電力の排出原単位の改善は大切です。ただ、もしかしたら目標の設定時に、家庭部門への期待が大きかったのかもしれませんけれど、2030年目標の達成には、それ以上にエネルギー消費効率のさらなる改善が求められます。
 なお、エネルギー起源以外のガス排出量の資料では活動指標が抜けているため、農業生産が増えているのか、廃棄物が増えているからなのかなどの原因が分かりにくいと感じました。
 そして日本の進捗を点検する上で、資料2のスライド5に加えて、より詳細な主要国の動向も今後お示しいただけると参考になると感じました。
 以上になります。ありがとうございました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、増井委員。
 
増井委員
 おはようございます。ご説明ありがとうございました。
 折茂委員と山下委員のご発言と重複するかもしれませんが、ご容赦いただければと思います。
 まず、スライド4枚目の進捗なんですけれども、やはりこの表の中で気になるのはフロン類の増加というところで、今後、このフロンをどういうふうに対応するのかというところがやっぱり重要ではないかなと思います。この点、環境省さんとしてどういうふうなことを考えていらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。
 2点目なんですけれども、要因分析につきまして、それぞれどういったところで減少しているのか、増加しているのかというところが分かって非常にいい情報であると思っているんですけれども、11枚目のスライドで、エネ起の2020年~21年度の要因分析が示されているんですが、電力のCO2排出原単位のところが軒並みプラスになっています。業務その他だけマイナスなんですけれども、産業とか家庭、そういったところも全部プラスになっている、この辺りの要因についてお示しいただければと思います。また、この点に関して、表の見方として全体、エネ起CO2全体がマイナスなのに、各要因で見たときにプラスになっているのはどういうことなのかなというところが、少し疑問に思いました。
 あと、それに関連して、先ほど山下委員のほうからもご発言がありましたけれども、やはり電力の排出原単位がどうなっているのかというところは非常に重要な、脱炭素に向けての重要なポイントではないかなと思いますので、CO2削減の量だけではなくて、実際の電力の排出原単位がどういうふうになっているのか、そういった情報も提示されると、より理解しやすいのではないかなと思いました。
 以上になります。ありがとうございました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、ここまで3件のご意見、ご質問に対して事務局からご回答をお願いします。
 
脱炭素社会移行推進室室長補佐
 では、事務局のほうからご回答をさせていただきます。
 まず、折茂委員からご質問いただいておりました昨年からエネルギー消費効率を減らしていく、今後どういった形で進めていくかというところでございますけれども、一定程度エネルギー消費効率を改善できるような設備等、導入が進んできているというところでございますので、やはり2013年~21年度で減少していける形で減って、2021年、2022年度も減少はしていくんじゃないかなというふうに見ているところではございますが、各委員皆様からご指摘がありましたとおり、やはり予断を許さない状況というところでございますので、引き続き、施策、フォローアップの中でも見ていきつつ、進めていきたいなというふうに考えているところでございます。
 続いて、山下委員からご指摘いただいてございました部分になります。幾つかございましたけれども、まず、2050年に向けて深掘りが必要というふうなお話がございました。また、影響の大きい対策、施策への取組というところも必要というふうなお話もございました。こちらについては、後ほど議題2のほうでも今後、フォローアップ専門委員会で取り組んでいくこと、考えていくことということでご意見をいただければというふうに思っておりますので、そちらの中でも話題とさせていただければというふうに思ってございます。
 増井委員からご質問をいただいておりました11ページ目の電力の原単位要因の部分、1点だけマイナスになっておりまして、それ以外はプラスになっているというところにつきましては、恐らくではありますけれども、業務その他部門につきまして自家発電等が導入されておりまして、削減が進んでいるんじゃないかなというふうに考えているところでございます。
 その他、委員の皆さんから資料の中でこういったことを追記したほうが、記載したほうがいいんじゃないのかというような、そういったご指摘をいただいた部分につきましては、今後の要因分析に向けて検討させていただければと思っております。
 以上、私からのご回答とさせていただきます。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 
脱炭素社会移行推進室長
 すみません、脱炭素社会推進室の伊藤でございます。本日は誠にありがとうございます。
 若干、補足ですけれども、まず、フロンについて幾つかご指摘というかご質問をいただいておると思います。今日、担当課室が入っていない関係で具体的なところまでお話は難しいところはありますけれども、私の認識では、まず、HFCの排出量のピークアウトというところは、2023年前後、今年度前後という形で推計を進めていると認識しています。フロンについては中環審の下で別途、会議もありますし、今日、お入りになっている先生方にもいろいろご助言、ご指摘をいただきながら進めているところではあると思いますけど、まずは、そういったピークアウトを見据えるという話と、やはりキガリ改正も効いているので、およそピークアウトは迎えるだろうという認識を持っています。
 そことやはり毎回ご指摘、この会議でもご指摘いただいていると思いますけれども、漏えいの問題ですよね。漏えい率をどうしっかりカウントするのかというところと、回収率ですね。そこの話で、ここは政策を打っている部分もあるので、これがどう数値の反映も含めてできるのか、政策とそれをしっかりと数値に反映するというところをセットで環境省としても経産省さんと連携しながら対策というか、施策を進めるというふうに私自身は認識しています。フロン室ではないので、そこはちょっと至らない点あるかもしれませんが、そういう認識を持っております。
 それから、若干、エネルギー消費排出原単位を申し上げると、私の認識は、省エネはかなりがんがんやってきたので、今後同じように省エネできるかというのはかなりつらい局面になるんじゃないかという気がしています。
 そういう意味では、やはり増井先生からもありましたけれども、排出原単位をどう、下げていくという場合、考えていくかというのは非常に大事なポイントだと思います。確報値を出したときの参考の中に、2021年のそれぞれのエネルギーミックスというか、そこの原単位の関係、若干、参考で出ているかと思います。いわゆる電力確保というか、いろいろコロナやウクライナの話もあり、ウクライナはちょっと影響しないかもしれませんが、実際は石炭を下げながら、今度は天然ガスとかを調達する中で、係数が若干上振れしたり、そういうところも原単位には影響が出ているというのは、多分2021年の参考で少し見てとれるんじゃないかなと思います。ですから、そこはエネルギーミックスについては経産省さんの中で、燃料の中でしっかり考えていかれるというところに我々も連携するということですけれども、いずれにしてもどう脱炭素電源を一生懸命入れながら全体を考えていくかというところにもしっかり努力したいというふうに思って、それから最後に、山下委員からあった主要各国の動向もあればというのは、大変ありがたいコメントで、ちょっとどこまで主要国のデータを取れるかというのは分かりませんが、やはりしっかり世界の主要国の流れも比較しながら、ご指摘いただいているとおり、日本もしっかり頑張っているところ多分にありますので、そこはしっかり各国と比較しながら表現できるものは表現していきたいと思っております。
 以上です。
 
下田委員長
 それでは、またご質問、ご意見に戻りたいと思います。
 まず、大塚委員、お願いします。
 
大塚委員
 既にいろいろご指摘いただいたので、一言だけ申しますが、今、伊藤様のほうからご回答いただいたことと関係しますけれども、フロンに関しては、さらに対策を打っていく必要が当然あると思いますけれども、漏えい率とか回収率に関しては係数が古いままになっていますので、その改定をした上でさらに対策をしていっていただければと思っております。
 以上です。
 
下田委員長
 高村委員、お願いします。
 
高村委員
 たしか合同会議のときに、2021年度の排出量についてどういうふうに分析をするか、しっかり分析をしていくことが、要因分析をして、どこにさらなる削減の可能性があるのか、あるいは、どこに課題があるのかということをしっかり見ていただくことが重要だということを申し上げたと思います。これはほかの委員からもご指摘があった点ですけれども、そういう意味で、今日は一歩進んだ分析の形で出していただいたのは大変ありがたいと思っています。
 同時に、20年度、21年度、そして恐らく22年度も若干特異な、従来の延長線上で排出量の動向分析をするというのは難しいタイミングでもあると思っていまして、そうした状況であるわけですけれども、さらにこの要因分析、今日のいろいろなご指摘も踏まえて進めていただきたいと思っています。
 これは次の議題のところにまさに関わるところだと思っていまして、合同会議ときに山下委員などもご指摘でしたけれども、やはりこの分析が次の一手といいましょうか、何を今重点をもって優先的に行う必要があるのかという議論につながってくると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。これが一点目です。
 二つ目は、もう既に多くの委員から出ているところでもありますけれども、やはり代替フロン等の排出の伸びというものについては、21年度の確報値を見ても気になるところで、これはまた次の議題のところでも恐らく議論になるのじゃないかと思います。これが2点目です。
 それから、3点目は経済活動が戻ってきたことによる排出の増というのが一つの大きな要因ですけれども、他方で、多分、直近の欧州のシンクタンクが出していましたけれども、23年度について言うと、もちろん経済活動は21年度、22年度に比べて伸びているけれども、その需要の伸びに相応するだけのエネルギー効率改善とクリーンエネルギー、特に再生可能エネルギーの導入によって、恐らく需要の伸びを相殺するだけの、つまり、これ以上排出が、22年度と比べて排出が増えない、そういう見通しを出しています。言い方を変えると、21年度の確報値ですけれども、需要の伸びに相応するだけの対策の効果が残念ながらついて出てきていなかったということでもあろうかと思いまして、これは一番最初に申し上げた点ですけれども、どこに課題があるかをやはり見る必要があると思う一つの点です。
 これもたしか、先ほど、すみません、山下委員か折茂委員か、あるいは双方だったかもしれませんけれども、例えば再生可能エネルギーの伸びというのは、着実に伸びてはいるものの、20年度~21年度の伸びというのは極めて限られている。そういう意味では、着実な効果、特に経済活動が戻ってくる中での需要の伸びに対応する、相応するだけのという点でも、課題が一つ見えてきているように思います。
 最後ですけれども、スライドの中で、注でも書いていただいて、多分そういう問題意識を事務局もお持ちだと思うんですが、この間やはりエネルギー価格の上昇や、あるいは供給不安もあって、需給の不安も生じていたこともあって、特に企業さんのところでも、それから、住宅、各家庭でもそうですけれども、自家発電、自家消費が増えていると思います。しかし、今、多分日本のこのデータ、これは電力統計上そうなっているからだと思いますけれども、見え方としては購入電力の需要の減少という形で見えていると思っていまして、ここでも電力のCO2の原単位改善のところではないという注意書きをされているのはそういう趣旨だと思います。
 今後、こうした自家消費型の、自家発電・自家消費型の発電、あるいは電力に限らないかもしれませんけれども、増えてくることを考えると、しっかり要因分析をする上では、この辺りの統計の取り方についても一つは課題ではないかというふうに思っていまして、これは環境省さんだけの問題ではないと思いますけれども、ご検討いただくといいかなと思っている点です。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、堀井委員、お願いします。
 
堀井委員
 堀井です。どうもご説明ありがとうございました。
 
まず、資料の3ページですが、この図は排出量と吸収量が書いていまして、黒線で合計を書いてあります。この図の見方ですが、最終的にはこの黒線をゼロに持ってくるということでよろしいですか。
 そう考えると、黒線の傾きが一時的なショックもあるんですが、若干、赤の点線等、目標に比べて傾きが緩いのではないかと思われます。恐らく2013年度の吸収量というのが図に含まれていないからかと思いますが、2014年以降の黒線で見ると、今のペースで大丈夫かというのが少し心配です。この黒線の傾きを伸ばしていくとどうなるか、どのように見ればいいのか、その点を少しご確認いただければと思います。
 2番目は、8ページの要因分析ですが、原発再稼働についてかなりご説明をいただいたと思います。再稼働はこの後まだ続いていくと期待はされますが、休止している原発の数も限りがありますので、長期的なトレンドとして原発再稼働というのはどれぐらいカウントできるかというのは少し注意を要する点かなというように思いました。
 例えば2010年以前からのデータがもしありましたら、2010年より前というのは原発が止まっていない状態なので、そういう古いデータからの全体的な動きというのを見れば、原発再稼働は仮に全て完了したとして、今後どうなるかというのも見れるかなと思いました。
 この図でもう一つ、要因分析というのは、茅先生の茅恒等式、Kaya Identityというのを基につくられているので、GDPが増えれば、そのGDPの経済活動要因ということでCO2排出にはプラスになるという効果が入っています。ただ、GDPが増えるといっても数量的に生産が増えるという場合に限らず、例えば質が向上するとか、新しいイノベーションが起こるとか、新製品が発売されて金額が増えるということももちろんあります。そういう場合というのは、物理的な数量は必ずしも増えないので、CO2が増えるとは必ずしも言えないと思います。
 その要因というのは恐らく、この茅恒等式でいくと、エネルギー消費効率要因(電力以外)がマイナスに出てきていると思いました。ですので、GDPが増えれば確かにCO2排出が増えるというのは、この式からはそうなんですけれども、イノベーションを進めるような、質を高めるような成長であれば、エネルギー消費効率要因(電力以外)が必然的にマイナスになってくるので、そういう経済成長というのはやはり進めていくべきだと思います。
 次に9ページでは過去1年の変化を見ておりまして、この場合、GDPがもちろん増えているんですけれども、先ほど申し上げたエネルギー消費効率要因(電力以外)というところがプラスになっております。恐らくその解釈なんですけれども、これは短期的な変化で、コロナにより生産が止まっていたものが動き始めたということで、短期的なGDPの変化というのは、数量要因によるものが多いんだろうと考えられます。数量的に生産が、例えば止まっていたものが動き出したということであれば、電力以外の効率要因もプラス、プラスというのは悪くなるということなんですけれども、そういう形で出てきます。ですので、長期的な動きと短期的な動きというのは分けて考えるのが重要だと思いました。
 今回の分析は2021年度までですが、この後、22、23という形でコロナ禍からの正常な経済への回復が進んでいくと思うので、その間、同じようにGDPの回復に伴ってCO2が増えるのかというのは、注意を持って見ていく必要があるかなと思いました。
 もう一つ、コロナによってCO2排出にとっていい、いいというのはちょっと語弊がありますけれども、CO2を抑制するような効果というのはもちろんありまして、例えば、皆さんが外に出ないということで需要のソフト化が起こったり、あるいは、現在、我々は会議もWeb会議でやっておりますけれども、Web会議とかテレワークとかという形で、CO2を抑制するような行動変容というのがありました。それが、コロナが終わった後全部元に戻ってしまうのか、あるいは、ある程度CO2を抑制するような行動変容が続いていくのかということについても見ていっていただければと思います。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 そのほか、オブザーバーの皆様等から何かご発言、ございますでしょうか。
 じゃあちょっと私から少しご意見を申し上げたいと思います。
 まず、やはり3ページ、あるいは5ページにございますように、日本は温室効果ガスをこれまで着実に減らしてきて、ほぼ計画どおりの推移でございますけれども、何人かの委員からご指摘ありましたとおり、本当にぎりぎりのところでございまして、まず5ページのところで、日本以上に削減を果たしているイギリスとドイツというのがございまして、イギリスは本当に順調に減らしてきていて、これは先日の地球環境部会でも出ましたけれども、NDC、2030年の目標に対してもほぼ順調に減っているというところであると。
 それから、ドイツは、このグラフを見ますと2017年辺りから急激に減らしてきているというところがございます。この辺り、どのような要因でこういう削減ができているかということは、もし分かれば教えていただきたいというふうに思いました。
 それから、10ページのところでございますけれども、これもいろんな委員からお話がございましたように、今ちょうど目標達成ライン上というところで考えますと、やはり電力CO2排出原単位とか、エネルギー消費効率要因と、この二つが削減の大きな柱になっているというところでございます。
 これもご発言がございましたけれども、電力のCO2排出原単位を削減してきた大きな要因は、やはり再生可能エネルギーが大幅に普及したということであって、これは、ここまではFITによって、国民の負担の下で達成できたということなんですけれども、これと同じペースを2030年まで続けないといけないというところで、これをどうやって達成するかというのが一つの宿題だろうと。
 それから、エネルギー消費効率の部分に関しましては、産業のところで大分減らせているということですけれども、先ほどちょっと堀井委員のほうからこの解釈についてもご意見がございましたけれども、例えば、現状の円安が続けば国内生産が戻るとか、そういうことも当然想定できるわけですから、やはり深掘りをしていかないといけない。
 それから、業務とか家庭の省エネルギーというのは、いろんな技術を国の中で普及させていくということなんですが、やはり、だんだん普及が進んでいくと、それが入りにくい世帯、入りにくい建物というのが出てきますので、同じペースで減らしていくというのはなかなか難しいだろう。そういうことを考えますと、やはり追加的な対策ということをこれから考えていく必要があるだろうなというふうに私は見ております。
 それから、最後ですけれども、最後の11枚目、12枚目で見せていただきましたように、やはり行動変容による削減効果というのは非常に大きいということが今回、コロナ禍を通して分かったわけですけれども、やはりコロナ禍の時代のようにと言ってしまうと、国民に対してあまり窮屈なイメージを与えてしまうわけですから、そのコロナ禍の中で起こった行動変容を詳細に分析して、コベネフィットのある快適なライフスタイルへの転換というところに提案をデザインしていくといいますか、つくっていくということが、これから必要になるだろうなというふうに思いました。
 以上でございます。
 もしオブザーバーの方からのご発言がなければ、今の私を含めて4名の質問、意見について事務局からお願いしたいと思います。
 
脱炭素社会移行推進室長
 ありがとうございます。伊藤でございます。
 まず、私から幾つかご回答というか、コメントを申し上げたいと思います。
 まず、大塚先生からいただきましたフロンの漏えい率ですとか回収率、係数の見直しにつきましては、我々のフロン室のほうも認識というか、経産省と一緒にそこをやりたいという感じでございますし、先生から今日コメントがございましたことも伝えながら、しっかり、さらに作業を進めていきたいと思っております。
 それから、高村先生からございました要因分析を政策につなげるというところ、非常にありがたいというか、ご指摘をしっかり考えたいと思います。
 恐らくというか、昨年から要因分析をお示ししていると思いますけれど、大きくは二つ目的をやはり考えながら進めたいと思っておりまして、一つは、ご指摘いただいておる政策にどうつなげるかというところと、もう一つは、国民に対する分かりやすい何かデータというか、ファクトの提示というところに重きを置きたいと我々は思っております。
 そういった意味では、本来は確報値が出るタイミングで要因分析も一緒に出せるとなおいいんですけれども、ちょっとどうしてもそこは分析に時間がかかる関係上、こういうタイミングにはなっているというのが実情です。
 ただ、まだ今後も一緒にやっていく作業にしたいとは思っていますので、また先生方からも内容も含めて、コメントをいただきながら、よりよいものにしていきたいというふうに思っています。
 それから、同じく高村先生からありました自家発・自家消費のところですけれども、我々も2030年や2050年を考えていく上で、自家発・自家消費のところはポテンシャルといいますか、取組を進められる分野じゃないかなというふうに考えておりますので、おっしゃっていただいたとおり、統計の取り方というのは、環境省だけでできるものではないですけれども、何か見える化しながら取組を進められたらというふうに思っております。
 それから、堀井委員からありました黒線のところですけれども、まず、資料1の3ページ目ですかね。お示ししている赤点線ですけれども、おっしゃっていただいているとおり、2013年の基準年から2030の目標と2050カーボンニュートラルを直線で結んでいると。2013と2050を結ぶと、おおよそ2030の46%というところに当たっているという図ですけれども、誤解のないように申し上げると、ここのラインに乗っていればいいとか、そういう線という感覚ではおらないですが、やはり一定、2030、2050で目標実現をしていくためには、こういう線を意識しながら仕事をしていくということが重要ではないかという形で概念的にお示ししております。
 特に、この会議でも、あるいは経産省さんとの合同会議でも、下田先生ですとか高村先生、大塚先生にも言っていただきましたけれども、PDCAというか、進捗管理を大枠にやっていくと、言うだけ番長で目標だけつくってということじゃないという意味では、進捗管理をしていく中で、この赤線を一つの目安として、もちろんできるだけ下げるというのはありますけど、目安として示ししていくということにしたいと思っております。
 堀井先生からいただいている、黒線の傾きが赤線に比べて若干甘いんじゃないかというところは、ご指摘のとおりかなと思いますけど、やはりこれをいかにしっかり赤線も意識しながら進捗管理をしていくというところを一生懸命考えたいというふうに思ってございます。
 それから、最後に堀井先生から、下田委員長からいただきましたけれども、まさにコロナ自体でやむを得ずという形で起こった行動変容かなとは思いますが、そこをしっかり分析することで、かなり行動変容がCO2削減に効くというところ、効くというのは明らかになったということだと思いますので、じゃあそれをどうさらに分析なりをすることで政策につなげられるかというところを、国民運動とか下田先生に言っていただきましたけれども、環境省としても推したい施策がありますので、そこに何かつなげられるように考えていきたいと思ってございます。
 以上です。
 
脱炭素社会移行推進室室長補佐
 下田委員長からご質問がありましたイギリス、ドイツの削減が大きく進んでいるという点についてですけれども、やはり電力の非化石化というところが大きく出るのかなとところでございます。
 イギリスであれば、石炭からガスへの転換であったり、再エネの増加、原発の維持、原子力に起因すると、そういったところが効いているのが大きな要因になるのかなと分析しているところでございます。
 以上になります。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、次の議題2番に移りたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
 
脱炭素社会移行推進室長
 伊藤でございます。資料3に基づきましてご説明を申し上げたいと思います。
 まず、ペーパーに書かせていただいているところと重複しますが、背景事情として、下田委員長とご相談しながら、今後、特にこの専門委員会でどういったお仕事というか、議論をいただいたり、まとめていただくものをつくっていくかというところで、この紙をつくっているんですが、ポイントは、2030年度の削減目標に向けてどうするかというのと、2050年カーボンニュートラルに向けてどうするのかというところでございます。山下委員からも、まさに短期と中長期、両方考えていかなければいけないというご指摘をいただいておりまして、まさにおっしゃられているところを我々としても意識したいと思ってございまして、今後の進め方ということにさせていただいています。
 前段、1ポツ、2ポツは前書きでございます。この委員会、もともとはいわゆる温対計画2030年、46%のフォローアップというところが中心にお願いしているお仕事ではありますが、その中で一定の評価をしながら進めていただいているというところと、既にお話をいただいていますけれども、2030年度や2050年の目標に向けて、予断を許さない状況であるというところも2ポツで書かせていただいています。
 その中で、ちょっと3ポツからずれますけど、2030年につきましては、2030年の目標の達成自体も全く簡単ではないというところで、このまま温対計画を考えてフォローを淡々とやれば目標達成いくという認識は我々も持っていないというところであります。なので、下田先生とご相談する中で、片括弧の中でいきますと、2)になりますけど、勝負の10年に当たる2030年度46%の蓋然性を高める具体的アクションの深堀というところを、政府全体でも考えていく中で、環境省としてもどういったものを提案していくかというものを、この専門委員会を経て環境省として政府部内で主張していけないかなというところが一つのポイントでございます。
 もう一つは、2030年より先の次のNDCですけれども、今年のCOP28でグローバル・ストックテイクがあったり、様々動きがありますけれども、やはり2025年までに、いわゆる次のNDCを各国、日本も出していくということですので、同じく2021年と同じように経産省さんと合同でいろいろ来年からかなと思いますけど、議論をさせていただくということだと思っています。
 そこに向けてどういうものを、すみません、繰り返しになりますけれど、環境省としてこの専門委員会でまとめていただいて示していくかというところに重きを置きたいということでございます。
 具体的には3)につきましては、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、革新的な対策技術の大規模展開のための準備の具体化、これはGXなどを中心に2050年に向けて様々政策ラインナップが出てきていますけれども、やはり需要側の受皿というか、どうやった、恐らくは供給側だけで技術革新が進んでも、それを受け入れるような形を政府全体で考えないといけないのではないかという問題認識の下で、そういったものを何かしらこの委員会でも考えていけないかというのが3)でございます。
 それから4)は、まさに2030から先、2050までのというところでの対策・施策等の水準の見える化、これが次のNDCをつくりあげる下地というか、基本になるということだと思います。
 そういった意味では、重複しますけれども、増井先生ですとか、先日登壇いただいた日比野さんですとか、既にご協力いただいておる国立環境研究所の方々ですとか、下田先生をはじめとする先生方ですとか、いろいろシナリオ分析をやっていただいていますので、そういった中で、5)については、この専門委の中でも、増井先生などからいろいろ内容分析についてもご提示いただきながら、具体の提案につなげられないかなと思っています。
 5)については、四つぐらいですか、ポツを置かせていただいていますけど、先ほどもありました社会変容によって脱物質化、脱炭素化はあえて書いていませんけど、脱物質化であるとか、あるいは輸送量減少に伴っていわゆる需要自体も下げていく、下がっていくようなところもお示しいただくことで政策につなげられないかというところであります。
 また、やはり電化シフトというのが肝になるということだと思いますので、ヒートポンプですとか、やはり同じように、いわゆる電動貨物自動車と書いていますけど、そういったものを普及することによる化石燃料由来の燃料を下げていくというようなこと。それから、また既にご指摘いただいていますけど、再エネ、あるいは新燃料の導入拡大というところでの脱炭素化。それから、最後は非エネルギー部門の中に全て入れさせていただきましたけど、お話に出ているフロンなども中心に、やはりそこは環境省としても頑張りたい分野でありますので、何かしら政策につなげられるようないろんな分析なども、この会議てお示し、議論いただけたらというところであります。
 最後の6)につきましては、下田先生からアドバイスいただいたところでありますけど、やはり日本のPDCAというか、進捗管理手法自体を我が国としてしっかりやるという話と、それに限らず、アジア域ですとかいろんな形で、今、計画策定支援とかも既にありますので、基礎の枠組みを通じてかなと思いますけれども、何かしら国際展開とか、支援策と書いていますけど、そういったことも考えていけたらということでございます。
 先生と一緒に考えた紙としてお示ししていますけれども、またご意見いただいて、今後のこの専門委員会の次回以降の作業指針にさせていただけたらと思っている次第でございます。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 これは、前回、何らかの取りまとめということでお諮りしたものなんですけれども、そのときは、今年度のフォローアップをこれで取りまとめて、ほかの会議体で議論いただくというイメージでおりましたが、今ご説明がありましたように、下の1番から6番の部分について、また、この専門委員会で引き続き検討するということになりましたので、タイトルは今後の進め方というふうになっているというふうに理解しております。
 それでは、ただいまの説明を踏まえまして、ご意見を頂戴できればと思います。ぜひ幅広く委員やオブザーバーのご意見をいただき、議論を深めていただければと考えておりますので、忌憚のないご意見をいただければと思います。ご発言をご希望の方は挙手ボタンをクリックしてください。なお、ご発言は3分以内にまとめていただきますようご協力をお願いいたします。
 いかがでしょうか。
 増井委員、お願いします。
 
増井委員
 どうも取りまとめありがとうございます。
 まず、モデルの話につきまして書かれてありますように、我々も協力していきたいと思っております。
 一方で、下田先生をはじめ、あと、山下先生のところのエネ研もそうですけれども、いろんなモデルがありますし、また、この問題は、環境省、経済産業省だけではなくて、国交省ですとか、あらゆる省庁が関係してまいりますので、ぜひ政府全体として、各省庁がばらばらでやるのではなくて、連携して取り組む、そういうふうなきっかけになっていければと思っておりますので、その点、ぜひご検討いただければと思います。
 先ほど伊藤室長のほうからもお話がありましたように、2030年の目標達成が、それがそのまま2050のゼロにつながるというのでは決してなくて、2030年以降も、さらにより厳しい努力が必要になってくるといったところが、やっぱりメッセージとして非常に重要にはなってまいりますので、そういう意味では、2030の目標を、NDCを達成したから安心だというのではなくて、ゼロに向けて、今からさらに深掘りを進めていくというようなことが非常に重要になってまいりますので、その点、メッセージとして伝わるようにしていただければと思っております。
 あと、この脱炭素の議論、特にここ数年、以前と比べますと、民間企業の取組も非常に進んでいますし、脱炭素に向けたいろんな取組、宣言というのも非常に多くなってきていますので、そういういろんなところの動きというのもやはり大切にしていく、一方で、国民の意識に任せてというのであれば、なかなか進まないところもありますので、脱炭素に向けた取組を支援できるような制度設計、必要に応じて規制の強化、特に断熱ですとか省エネ基準、そういったところをうまくバランスさせながら進めていくというようなことが重要ではないかなと思います。そういうところ、どこまでこの専門委員会の中でやっていくのかという話はあるかと思いますが、ぜひ、規制ですとかそういったことも含めて議論する必要があるのではないかなと思います。
 あと、今回の議論は、もちろん国内の目標達成というのが議論の中心ではあるんですけれども、やはり海外の取組、こちらは日本の産業の場合、サプライチェーンを海外に依存しているといったところもありますし、また、4月の我々の分析でも、水素を幾らか輸入するというお話をさせていただきましたけれども、そういう水素、グリーンな水素を海外からどういうふうに調達するのか、場合によってはグリーンな水素を製造するのに日本の技術を活用するというようなこともあるかと思いますので、海外での取組も見据えながら、国内の脱炭素というのをどう実現していくのかということが非常に重要ではないかなと思います。
 最後、ややブレーキを踏むような話になるかもしれませんが、脱炭素だけを見ていますと、いろいろやっぱり見落としてしまう課題というのも多いかと思います。例えば資源の問題ですとか、あと生態系サービスの問題。特に再生可能エネルギー、太陽光ですとか風力の設備をつくるに当たって、どうしても生態系サービスとトレードオフが発生してしまうところがあります。そういう課題も整理しながら進めていくということが重要になっていくかと思います。そういう課題を全て無視して脱炭素の議論だけ進めて、実際に実行していく段階でそういう問題に直面するというのではなくて、今からどういう課題が生じ得るのか、その課題を克服するような脱炭素の道筋というのはどういうものなのかを考える必要がありますので、そういったところも注意書きとして示しておくことが必要ではないかなと思います。
 以上になります。ありがとうございました。
 
下田委員長
 山下委員。
 
山下委員
 ありがとうございます。
 今後の進め方につきまして、先ほど事務局からもお話がありましたけれども、第1に現状把握、そして第2に目標、2030年目標達成に向けた対策の強化、そして、第3に2050年までの長期目標を視野に入れた2035目標の設定とその実現に向けた対策の検討、それが必要になると思います。
 その観点から、資料3の大きな考え方については異議ございません。また、増井先生のご指摘がありましたことに賛同いたします。具体的には、モデル分析に関しては、個別にそれぞれの審議会でやるというよりは、関係した省庁一体で、あるいは合同で検討する必要があると思います。例えば、エネルギー起源CO2の排出量削減に向けては、次期のエネルギー基本計画の検討という場もあるかと思います。
 その上で、例えば昨今、今年度、実施が始まりましたGX実行計画だけでなく、環境省、経産省、農水省、国交省など関係各省でも個別に俯瞰的かつグリーン成長や適応策にもつながる施策が策定、実施されていますけれども、国民全体が課題の重大さと施策の存在を認識する必要があります。そのためには、先ほど、事務局が言及されましたPDCAサイクルによる施策の進捗状況のチェックや修正をして、目標に向かうだけではなく、地球温暖化対策の重要性とその対応が我々の社会経済活動に必須であるエネルギー利用や、あるいは日本経済に直結していることへの理解を深め、一人一人、あるいは個別企業の行動や意思決定がどう波及して温室効果ガスの排出削減につながるのか、どうすればより排出の少ない、あるいは排出のない行動に変えられるのか、その結果、エネルギーや経済にはどのような影響があるのか、考えて行動する必要を促すことも重要です。
 個別技術の消費効率の改善は進みましたが、企業や消費者が実際にそれを導入して利用しなければ効果を発揮できません。今後の進め方にもありますが、2050年までの長期目標の実現には、これまでの経済社会構造の大きな変革が必要です。そのため、地球温暖化対策計画そのものだけでなく、グリーン成長あるいはグリーントランスフォーメーション、GXにつながる経済政策や産業戦略と併せた取組が必要になります。
 そして、広報強化による国民理解の醸成と様々な地方自治体や中小企業を含む産業界、消費者団体などとも連携した日本の成長につながりつつ、GHGを削減する実効性のある活動の重要性は高まっています。
 遅れているフロン対策や自然ベースでの対策を含むネガティブエミッション技術が2050年目標達成に必至であることが自明ですけれども、その開発及び普及には時間がかかります。今すぐ取り組む必要があります。使用済みフロンの回収にはリサイクルシステムの構築や活用が必須です。電化の進展では、経済安全保障の観点から、クリティカルミネラルの利用効率の向上やリサイクルによる再利用システムの構築、さらには、脱炭素に向けた炭素原単位の低いクリーンな水素の確保も不可欠です。
 森林吸収のポテンシャルの拡大には、自治体や地元企業、林業の担い手との連携による地域経済の振興や事業承継、雇用創出を含む具体的な計画が必要になります。マクロ視点から日本全体での進捗管理をする上で、あるいは国民の理解を深め、積極的な関与を喚起し、社会変革や行動変革を通じたさらなる温室効果ガスの削減と日本の経済のGXを実現するためには、環境省や経済産業省だけでなく、関係するほかの省庁、自治体との間の強固な連携と緊密な実績分析による振り返り、そして対策のファインチューニングが必要だと考えます。
 以上になります。ありがとうございました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 折茂委員、いかがでしょうか。
 
折茂委員
 ありがとうございます。増井委員、それから山下委員がお話しくださったことに私も賛同いたします。少し重なる部分もございますが、2点ほどお話しできればと思います。
 まず、1点目になりますけれども、こちらは今回の今後の進め方という中の2点目、3点目の辺りに入ってくるポイントかなというふうに思いますが、やはり今後、取り組むべき施策、これは前段の議論でもございましたけれども、より一層難しいものになってくるのではないかというふうに思います。そうしたときに、実際、その具体的なアクションというふうにいったときに、具体的にご施策を実行していく上でのチャレンジ、難しさの大きさですとか、必要となるコストないしはトレードオフになり得るもの、こういったところも議論の俎上に上げつつ、政策を政策決定し、PDCAを回していくというようなことが重要になってくるかと思います。こういった観点で、コスト、チャレンジ、難しさ、乗り越え方、こういったところを議論の俎上に上げていただきたいというところも上げていただきたいということを、まず1点目、申し添えたいと思います。
 そして、2点目でございますけれども、先ほど山下委員からもございましたけれども、今後の取組ということを考えていくと、産業界、それから国民一人一人が脱炭素に向けた取組ということの重要性を本当に認識し、行動変容を行っていく、起こしていく必要があるというふうに理解してございます。そうした観点で、実際にこの施策をやることのインパクトがどのぐらいなのかというようなことですとか、実際に自分の行動がどのように国の目標に寄与しているのか、自分ないしは産業界の行動がどう寄与しているのか、こういったところを非常にシンプルに分かりやすいメッセージで継続的に産業界、そして国民一人一人に訴えかけていく必要もあるのではないかというふうに考えてございます。
 そういった観点で、現在の六つの中に、もし、そこの辺りが明確に含まれていないようであれば、どのようにコミュニケーションを取っていくのか、この辺りの方策についても、この専門委員会で今後も継続的に議論できるとよろしいかなと、そのように考えてございます。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございます。
 では、堀井委員、お願いします。
 
堀井委員
 堀井です。どうもご説明ありがとうございました。
 
ご説明いただきましたとおり、PDCAという考え方は非常に重要だと思いますし、ぜひ今後も進めていただきたいと思っております。
 PDCAの中身ですが、各施策の中身というのは、ご関係の皆さん、本当に頑張っていらっしゃると思うんですよね。それで、もちろんその頑張りというのをうまく見せたいということで、全体としても削減がスムーズに進んでいるということを見せたいということは当然あると思います。しかし同時に、先ほどの質問でもさせていただいたとおり、全体として、長期目標が達成できるかというと、必ずしもそれほど甘いものではないということも、出していくということが大事なのではないかなと思いました。
 全体として難しいというのは、現場の頑張りが足りないということではなくて、そもそもの目標が非常に高いものだからです。その高い目標を達成するには、政府全体としてのサポートとか、それから必要に応じて予算化などすることが必要だというメッセージを出していくことが有用だと思います。特に、技術の話が幾つかありましたけれども、この高い目標を達成するには大きな技術的なイノベーションが必要だということもやっぱりメッセージとしては非常に重要かなと思いました。
 その中で、世界的に各国が削減にしのぎを削っている中で、日本の技術が今どういう立ち位置にあるのかと、先導する位置にあるのかということについては、率直に見ていくことが大事です。例えば、エネルギー効率改善や、再生可能エネルギーに対して各国が投資をしていますが、その中で、日本全体としてその技術が世界シェアを取れているかとか、どれぐらいの位置なのかというのは、率直に見ていっていただきたいと思います。足りないところには、やっぱりもっと重点投資をしていくということも必要かなと思いました。
 電化シフトについての話も非常に重要なことだと思います。やはり燃焼タイプの機器を使っていくと、CO2をゼロにしていくというのは非常に難しいので、電化シフトを避けては通れないと思うんですけれども、直近の話題としては、電気代が昨今上がっているということで、逆風があります。もちろん長期的には、電気を含むエネルギーの消費を減らすためには電気代が上がることも避けられないんですけれども、相対的に電気機器に移行がスムーズに進んでいるかという点には課題もあるので、電気代を含めた政策の全体としての考え方というのも重要かなと思いました。
 それから、電動貨物自動車についてのお話もあったと思うんですけれども、私の理解だと、自動運転技術と電動貨物というのは大きく関連していると思います。国内でそういう技術伸ばし、世界を先導するためには、規制緩和とか、あるいは自動運転などに関する法整備といった環境づくりが大事だと思います。それは政府全体というか、例えば、交通行政に関わる各省庁との関係にもなってきますので、そういう働きかけも、こういう我々のPDCAから進めていければと思います。
 最後に、こういう施策を進めていくときに、国民の理解というのが非常に重要になります。ほかの先生方からもお話があったように、生活水準の向上と、それから脱炭素を両立するということがやはり重要で、これがうまくいけば、どういうふうな未来になるのかという、そのビジョンを国民に見えるような形で提案できるというのが重要ではないかなと思いました。
 例えば、断熱基準のお話もありましたし、今、自動運転のお話も申し上げましたけれども、こういうことが進んでいけば、より快適な生活になるとか、あるいは移動弱者の方に対するバリアフリーも進んでいくということで、より住みやすい社会になり、なおかつ地球温暖化も阻止できるという、そういうふうなビジョンをPDCAのほうから示していくことができればなと思います。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 高村委員、お願いします。
 
高村委員
 ありがとうございます。
 この議論は大変重要だと思っていまして、一つには、事務局の資料もそのことを書いてくださっていると思いますけれども、これから2年間、ほぼ2年だと思いますが、国際的には、新しい新たなNDC、国の目標の提出に向けて大きく動いていく時期に入ってくるということです。2025年の、望むらくは9月の国連総会に向けてと思いますけれども、そうしたあと2年ほどの間に、30年を超える目標の検討をしていく。しかも、G7の広島サミットの成果文書にも、これは日本が中心になって取りまとめたものですけれども、COP30に十分に先駆けたタイミングでの提出ということ、それから、その目標というのが1.5℃目標と整合的なもので、かつ、30年の目標についても、目標の再検討と対策の強化ということを求めるという、こうした成果文書を取りまとめていると思います。
 そういう意味で、やはり中期的にというか短期的にというのがあるんですが、ここ2年ほど先を見たときに、30年、そして30年を超えた対策の強化をどういうふうに図るかという観点から、今回出していただいている、この専門委員会で何をするかということは非常に重要になっていると思います。
 一つ、そういう意味で、検討いただきたい点を幾つか申し上げたいというふうに思うんですけれども、これ一つは、先ほど、冒頭に山下委員がおっしゃり、また事務局も同じように2と4でしょうか、書いてくださっていますが、IPCCの第6次の統合報告書でもそうですけれども、30年頃までの対策の強化が決定的に重要であると同時に、30年を超えて、どう50年頃のネットゼロを目指していくかという短期の観点と中長期の観点をしっかり持って検討する必要があるということだと思います。
 その意味で、短期の話はこの後、申し上げますけれども、50年カーボンニュートラルではネットゼロの道筋行程を、この30年を超える目標の検討の中に、やはり織り込む必要があるんじゃないかと思います。道筋は多様で結構なんですけれども、しかし、G7の広島サミットの成果文書に書かれて、合意を取りまとめたように、1.5℃目標との整合性、科学的に少なくとも説明可能な道筋というものをしっかり示すということが重要だと思いますし、さらに、特に気候変動対策は企業の皆さんにとっては、やはりこうした国際的な目標と整合的な道筋で企業の取組を説明していくかということが非常に重要になっている、産業競争力の問題、企業の競争力の、企業評価の問題と結びついてきているので、それは国がどういうふうに日本の産業の観点、日本産業の競争力をどうするかという観点からも、これはしっかり示す必要がある課題だというふうに思います。これが1点目です。
 それから二つ目は、短期にそういう意味ではやっていただきたい。短期にというのは、専門委員会として、ぜひ、あまり遅れないで、さっき2年と申し上げましたけれども、しかし、あっという間ですので、ぜひ先駆けて作業をしていただきたいと思う点を申し上げたいと思うんですが、一つは、前半の一つ目の議題で議論したように、21年度の排出量の確報値を見ても、ここはやらないといけない、早々にやらなきゃいけないという分野、課題というのは、少なくとも同定、アイデンティファイされているように思います。少なくともアイデンティファイされているものがあると。
 例えば代替フロンについて、これは具体的に市中にあるフロンの回収というものを進めるんですけれども、なかなか一度市中に出たものの回収が難しいのは分かっていて、そういう意味では、いかにやはりうまく上流を占めていくかということを本当に考える必要があると。これはネットゼロに向けて動いていくときにですね。それから、再エネの話はもちろんそうです。
 それから、もう一つやはり重要なのは、典型的なのは建築物だと思うんですけれども、今対策を取ることが、極めて長期的にわたって効果があるという、そういう対策。しかも今、そうでない、対策を取らなければ、逆に中長期的に排出を減らすことができない、あるいは増やしてしまうという、建築物が典型的だと申し上げましたけれども、こうした分野、重要度が明らかにある問題について、先駆けて検討いただけないかと、対策の深掘りを、このフォローアップを受けて、お願いできないかというふうに思います。それが30年の対策の強化にもつながると思いますし、30年を超えた目標を、どう深掘りしたものをつくっていくかということにつながると思っていまして、今申し上げたフォローアップで明らかにやはり重要だと皆さんがおっしゃっていた課題については、環境省が声をかけて、ほかの省庁と関係する施策は多いと思いますけれども、具体的な対策を、議論を先駆けていただきたいというのが1点目です。
 それから、二つ目の点は、やはり構造的に化石燃料への需要というのをどう低減するかというのが、先ほどの排出量の確報値の分析、要因分析からも重要だと思っています。これは増井先生がおっしゃったんでしょうかね、循環経済のとか、あるいは自然再興との統合的なアプローチというところにもつながりますが、今、循環経済のところでも、カーボンニュートラルに果たす役割は非常に重要だという認識は、科学的にも論文が出ていると思いますし、共通の認識になってきていると思います。素材由来のCO2って、日本の場合は、日本の排出量の3分の1に占めるという、これは経産省さん、環境省さんの様々なところでも指摘をしていただいているところで、そういう意味で、構造的にいかに化石燃料の需要低減を図ることができるかという観点から、どういう施策が今重要なのかという議論を一度、これもまた政策の領域を超える議論ですけれども、していただくというのは重要じゃないかと思います。
 三つ目が、増井先生がおっしゃったシナリオ分析のところで、これは既にエネルギー基本計画を、先のエネルギー基本計画をつくるときにも、様々なモデル分析、シナリオ分析を紹介いただきましたけれども、ご指摘があったように、できるだけやはり、少なくとも想定をある程度合わせて、あるいは共通の認識を醸成しながら、政策の場面で使っていくということが重要なように思っております。これも、そういう意味では、本格的な検討が始まる前から、こうしたモデル、シナリオ分析を行っていらっしゃる方々からお話を聞くというのは非常に重要じゃないかなというふうに思っているところです。
 最後はPDCAです。6番目でしょうか、国際展開・支援策、9番目でしたか、最後のところに課題として書いていただいていますが、これは国内的にも非常に重要だと思っていまして、既に政策は、やはり省庁間を超えた政策であってこそ効果が上がるということが、そうでないと効果が上がらないということも分かってきているので、全体としてどういうふうに統合的な政策進捗を図るのか、しかも、科学あるいは1.5℃目標と整合的なスケールとスピードでそれを行えるかということを織り込んだPDCAを国としてどうつくるかという点は、ぜひ検討いただきたいと思います。温対本部が一つの要だと思いますけれども、しかし、そこにそうした政策、PDCAをどうインプットしていくかという観点からも、その仕掛けをご検討いただけないかと思います。
 以上です。すみません、長くなりました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 ほかにご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、私から一言二言申し上げたいと思いますけれども、今、高村委員からいろいろご指摘いただいた点に同意でございまして、例えば4番のところですね、途中地点で必要な対策・施策というのは、まさに建築等、いつまでに何をやらないと2050年に間に合わないというところだと思います。これから時間がなくなってきて、例えば自動車とか、いろんな材についても、やはり途中時点でどこまで進めないといけないかというのがいろいろ見えてくると思いますので、そういうロードマップといいますか、タイムスケジュールというのを明らかにしていくということが大事であろうというふうに思っております。
 それから、6番のところでもやはり、今おっしゃいましたように進捗を図っていくということの重要性というのは、これからまさに、ますます出てくると思いますし、私としては、これを海外で、同じようにPDCAを回していくための参考に使っていただけるようなところを、やはり日本としての貢献を出すということが大事だろうというふうに思っております。
 あと、もう1点、この夏、本当に気候災害が世界中で起こって、テレビなんを見ておりますと、この話、気候変動の話はいっぱい出てくるんですけれども、必ず出てくるのが、日本は世界の中で国民の関心が一番低い、行動も少ないということでございまして、やはり、進捗を進めていくためには、今、民生部門とか運輸旅客部門が大きくなってきているということは、消費が、需要側が支えていかないと、GXの脱炭素も進まないわけでございまして、そこに訴えていくためのPDCAの一つとして、やはり、全省庁が取り組んで、まずは2030年目標達成に向かって着実に進んでいっているということを国民に訴えないと、なかなか進まないんじゃないかと。
 2番のところで勝負の10年と書いていただいていますけど、何で勝負の10年なのかというところの理解を、やはりしっかり持っていただけるように説明していかないといけないと思いますし、この点が大事なんだろうなと、それに幾ばくかの貢献が、このフォローアップでできればなというふうに思ってございます。
 何かほかにご意見がなければ、事務局から何かコメントがあればいただきたいと思いますが。
 
脱炭素社会移行推進室室長
 伊藤でございます。
 まずもって、様々貴重なコメントをいただきましてありがとうございます。それで、お答えというか、コメントを申し上げられない部分もあるかもしれませんが、幾つかお話というか、させていただきたいと思います。
 まず、増井先生ですとか、山下委員ですとか、あるいは委員長などからもありました、高村先生からもありましたけど、おっしゃるとおり、今後の進め方の中で国環研さんを意識してAIMモデル等と書きましたけれども、我々は、おっしゃるとおりいろんなところで、山下委員のエネ研さんもありますし、下田先生のところもありますし、モデル分析をやっておられるのを承知しています。確かにというか、やり方は各省でもよく相談してということかと思いますけれども、少なくとも、このやっていただいている専門委で国環研さんだけを扱うということは本意ではありませんし、いろんなタイミングがあろうかなと思うのですけれども、高村先生からありましたけれども、いろんなお話を聞くという意味でも、下田先生とか、山下委員とかともご相談しながら、国環研さん以外の状況も、今日も下田先生から実はこの後、少し資料をいただいておりますけれども、できるだけ有意義な議論に進んでいただくようなご発表も可能であれば、この委員会の中でもやらせていただきたいというふうに思います。
 それから、同じく増井先生から、あるいは高村先生からもありましたけれど、資源ですとか生態系サービス保全の観点からも、いわゆるトレードオフというところを意識した課題整理というところは貴重なコメントだと思っております。どこまでできるかというのはあるかもしれませんけれども、いずれにしても、そういった観点も考えながら、作業というか、考えていきたいというふうに思っております。
 それから、折茂委員ですとかほか、まさに先生方からいただいている、特に国民の皆様や企業の方々に、いわゆる普及啓発と言うと簡単なのかもしれませんけれど、脱炭素の重要性を理解、ご認識いただくであるとか、ご自身の行動がどれだけインパクトを持つのかというのを、まさに下田先生からあった、PDCAを回しながら国民へ訴えていくというところかなと思いますが、何か仕掛けというか、そこは我々のライフ室でやっている国民運動だけが全てではないので、恐らく何か、この委員会でもやっていただいているフォロー安生の中でも、国民にどうアピールなりをしていけるかというのも、一緒に考えさせていただきたいというふうに思います。まさにコミュニケーションということかなと思います。可能であれば、今後の進め方の中でも入れられるかどうか、下田先生と相談したいと思います。
 それから、長くなって恐縮ですが、堀井先生からもありました自動車も、やはり肝かなと思います。おっしゃっていただいているとおり、自動車は生活・社会の中心という中で、脱炭素だけを考えても駄目だということだと思うので、いわゆる自動運転ですとか、シェアリングですとか、いろんな中で社会へどう自動車がはまっていくかということで、電動化なりも考えていくということかなと思います。ご案内のとおりというか、ご存じの方も多いかもしれませんけれども、我々水・大気の中でも7月から、いわゆる環境モビ課ができておりまして、経産省、国交省と連携して自動車施策はますますやりやすくなってきているので、環境省としてもしっかり考えたいというところかなと思います。
 それから、高村先生からいただいております、特に2030年度目標に向けた深掘りという2)のところを、より急いだほうがいいじゃないかというご指摘かなと思います。フロン、再エネ、建築などいただいていますけど、いわゆる担当レベルではいろいろ関係省庁と議論を日々やっているところあるかもしれませんけど、何か、この会議を通じてでも、そういったところに光を当てられないかなというふうに思っております。また、次回以降も相談したいと思います。
 それから、同じく構造改革で、どう化石燃料の低減を図るかというところはなかなか難しいというか、チャレンジングなところはあるかもしれませんけれども、そういったところも考えていければなと思います。特に、既に増井先生をはじめやっていただいている国環研さんのシナリオ分析の中でも、いわゆる資源循環ですとか、そういった形でどうCO2削減に寄与するかというような分析も進めていただいているところもありますし、それに限らずだと思いますけれども、モデル分析などもいただきながら、そういう提言もできたらなというふうに思ってございます。
 すみません、全部拾えてないかもしれませんが、以上でございます。
 
下田委員長
 よろしいでしょうか。それでは、活発なご議論を頂戴いたしましてありがとうございました。この文書ですが、一応ここまでのまとめと、それから、これからの進め方についての文書となりますけれども、特に、この文書の中身についてのご異議はなかったと思いますけれども、一応この文書の整理、文言の整理につきましては、委員長の私にご一任いただきたいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、ご異議なかったものとさせていただきたいと思います。
 それでは次、議題の3番目でございますけれども、大変恐縮でございますけれども、私どものほうで進めてまいりました、ここまでの民生部門の進捗状況について、今日は家庭部門を中心にお話をさせていただきたいと思います。これは一度、昨年度も2020年値についての評価をさせていただいたものでございますけれども、今回、2021年度についての評価を進めさせていただきましたので、それをご報告させていただくものでございます。
 次のページをお願いします。私どもで進めておりますのは、民生部門、家庭部門と業務部門の、特にエネルギー消費に関わる部分の温暖化対策の進捗状況について評価できるツールをつくろうというものでございます。温暖化対策計画は、一つの技術を導入する場合の削減量というのを定数で与えて、それに普及率を掛けて削減量を出すというやり方をやっておりますけれども、現実の民生部門は、世帯の違い、地域の違い、それから建物の違い等によってかなり不均質なエネルギー消費になっておりますので、それを考慮しないといけない。
 それから、民生部門の場合は毎年の気象条件が大きな影響を与えますので、それもちゃんと評価して、除去してやらないといけないということで、私どもが考えましたのは、日本の民生部門のエネルギー消費をボトムアップシミュレーションで再現して、それによって対策の進捗の評価をしようというものでございます。そのために、建物1棟ずつ、あるいは家庭1世帯ずつのエネルギー消費を積み上げたボトムアップシミュレーションを回すわけでございますけれども、近年、シミュレーションを動かすためのいろんな情報が得られるようになってまいりまして、一つが統計でございます。環境省が家庭CO2統計というのをやっておりまして、これがシミュレーションの入力に使うような、各世帯がどういう機器をどれぐらい持っているかという情報とか、何年ぐらいにそれを買ったかとか、そういう情報が得られます。それから家庭の地域別、それからタイプ別のエネルギー消費が出てまいりますので、それが比較に使える。
 それから、最近はスマートメーターのデータが使えるようになって、この電力のロードカーブを使うことによって、人間の行動パターンですとかエネルギー消費の詳細な比較というのができるようになってきて、私どもは、これによって日本のエネルギー消費のデジタルツインのモデルのようなものをつくって、それで評価しようということをご提案するものでございます。
 それで、次のページを見ていただきまして、シミュレーションモデルでございますけれども、日本の全世帯の0.03%を代表世帯として出してきて、そこに様々な違いですね、世帯の特性の違いを与えて、1軒1軒のエネルギー消費を積み上げると、それによって日本全体のエネルギー消費を模擬しようというものでございます。
 次のページをお願いします。ここでは、効果の大きいと思われる高効率照明と高効率給湯器、それからトップランナー制度と、それから新築住宅の省エネと、ここを再現したモデルをつくっております。下にありますように、地球温暖化対策計画の進捗に関する政府の資料から、各機器の普及量とかは分かりますので、それにほかの情報を加えて、シミュレーションへの入力として毎年の進捗を評価するというものでございます。
 その次のページをお願いします。例えば高効率照明、LED照明の普及率ですけれども、累積の導入台数が進捗評価に出てまいりますので、それを我々のデータを使って、シェアに換算して、それを使うということでございます。
 それから、その次のページで、高効率給湯器の導入につきましては、これも温暖化対策計画の進捗評価の資料を使いまして、毎年の各給湯器の普及台数を評価するということでございます。
 それから、その次のページですね、トップランナー機器の性能向上についても同様に、また、住宅の断熱性能向上についても、新築の省エネ基準の適合率を使って評価をしてございます。
 その次のページをお願いします。例えばエアコンですと、家庭CO2統計を使いまして、毎年、どの年代の出荷されたエアコンをどれくらい使っているかという比率が分かります。これを使って、それぞれの年代のエアコンの効率を入れることによって、そのエアコンの効率向上を再現しているということです。
 次をお願いします。このようにやりまして、エネルギー消費量のトータルを見ていただきますと、ほぼトレンドとしては国の総合エネルギー統計の値と近い結果を得られております。少し差はございますけれども、これはエネルギーシミュレーションとの誤差もございますし、統計で実際の家庭部門と違うものが入っていたりということもございますので、そういうことによるものだというふうに思っております。
 ただ、削減のペースはほぼ再現できておりますので、削減の、2013年基準の削減量だけを評価してやっております。それが次のページのグラフでございますが、ここで二つの折れ線がございますけれども、細いほうが統計値ですね、菱型が統計値で、丸い太い線が我々のシミュレーションの結果でございます。2017年は少し統計のほうに不自然なところもあって、ここは原因を特定できていないんですけれども、2020年は生活行動パターンがコロナ禍によって変わった影響でございまして、それによって、そこはシミュレーションで再現できていないので、この差が出ているということでございます。
 このグラフで見ていただきたいのは、棒グラフの一番上のところですね、黒いハッチングのところが、これが2013年との気象の違いでございます。これが結構、例えば2019年で言うと削減量の3分の1くらいを占めているわけでございまして、やはり気象の影響をしっかり取れないと、なかなか温暖化対策自身の進捗評価ができないということが分かります。
 具体的に、どの項目が影響を与えているのかということで、ここでは給湯、冷房、暖房等要因に分けていきますと、やはり暖房の影響ですね、ピンクの部分が大きいと。これは、ですから2013年が厳冬、厳しい冬でありましたから、それによって、そのほかの年は寒さが和らいでいると暖房のエネルギー消費が減って見えるということが出ているところでございます。
 それで、その次のページで、今、2021年の状況を評価いたしますと、オレンジの真っすぐ引いた線が2030年目標に向けた直線でございますけれども、9割方、大体達成できている状況にあるということは分かります。ただ、そのグラフの下のところのオレンジの部分、これは世帯が増えているということでございまして、日本では、まだ人口が伸びなくなっていても世帯が増えておりますので、それが、そういうマクロフレームがこういうエネルギー消費のCO2排出量に影響を与えていると。
 ただ、右下に見えますように、目標までの達成率で言うと、徐々に改善傾向にありまして、この調子で対策を進めていけば、家庭部門のエネルギー消費の部分に関しては、かなりいいところまで、2030年達成に近づけていけるんじゃないかというふうに思っております。ただ、最後のほうは、なかなか普及が難しい部分が出てくるかと思いますので、やはりそこは何らかの対策で埋めてやらないといけない。
 個々の対策の効果を見ていきますと、どうも照明のところは、点灯時間がライフスタイルによって変わってきたりしますので、我々のほうで精査しますと、それほど効果が出ないのではないかなと思っております。給湯器は、ほぼほぼ国の立てた計画と一致した状況になっております。
 逆に、その次のページですけれども、トップランナー制度が我々のシミュレーションでは大きく出ておりまして、照明で少し見込みより低かった部分を、ほかの家電のトップランナー制度の普及というところが埋めているという状況になっているというところでございます。
 次のページを見ていただきまして、これは家庭CO2統計との比較でございますけれども、少し差が大きいのが、やはり寒冷地ですね、北海道、東北、北陸であります。
 その次のページを見ていただきますと、この一番左端は暖房の部分で誤差が大きくなっておりまして、寒冷地の暖房、これは24時間暖房とか全館暖房とか、こういうのが行われていますと少しシミュレーションの設定と違いますので、この辺りの精度は、これからもう少し上げていきたいというふうに考えております。
 次をお願いします。少しですけれども、業務部門についても同じ結果がございます。同じように建物用途別とか地域別とかで、区分したボトムアップのシミュレーションモデルでこれを再現しております。
 その次のページですね、いきなり、最終結果でございますけれども、国の進捗評価のエネルギー削減量、黒い太線と、我々のシミュレーションの赤い線は割とよく一致しておりまして、ほぼほぼ計画どおりに進んでいると。ただ、これも先ほどの世帯と一緒なんですけれども、ここでグラフの下にありますのが床面積であります。床面積が増加してしまっているために、実は、ここで計画どおり進んでいる省エネルギー効果のおよそ半分くらいは床面積の増が相殺してしまっているという状況にございます。これは、先ほどの資料2の分析結果でも同じような結果が出ておりまして、床面積の増に対してどう対処していくかということがこれからの課題だろうというふうに考えております。
 ここでも技術別の比較を行っておりまして、ちょっと見にくいんですけれども、やはりここでも照明の設定が少し、効果が少し違うなんていうふうには見ておりますけれども、トータルで言うと、それほど大きな乖離にはなっていないというふうに考えています。
 次のページはまとめでございますけれども、このようなボトムアップのシミュレーションをつくることによって、今見ていただきました進捗評価だけではなくて、今後の、特に短期的な追加対策の評価のようなところでは、いろいろ使っていただけるのではないか。
 それから、やはり民生部門を評価するときに、毎年の気象要因というのは非常に大きな要因になっておりますので、この分離が大事であると。
 それから、2021年の評価は、家庭部門では1割程度遅れているわけですけれども、年々改善傾向にあると。業務部門では、床面積の増加が進捗を一部相殺しているということがございます。
 やはり家庭CO2統計のようなデータベースは、シミュレーションの精度を上げていくために非常に大事でございます。例えば、業務部門では、そういうデータベースがございませんので、そういうものもこれから整理していただくとか、あるいはスマートメーターのデータを広く使って、こういう進捗管理に使っていくということが、これは国だけではなくて、自治体等で進捗管理をされる場合にも大事だろうというふうに考えてございます。
 以上です。
 すみません、大分時間が迫ってしまいましたけれども、もし何かご意見等いただけるようでしたら、お願いしたいですが、いかがでしょうか。
 大塚委員、お願いします。
 
大塚委員
 ありがとうございます。家庭部門に関して、今後どうしていくべきかについて非常に示唆を与えていただく検討をしていただきまして、ありがとうございます。
 一つお伺いしておきたいのは、トップランナーの機器がかなり効いているということでしたが、特にどれが効いているということですか。エアコンが一番効いているということでしょうか、教えてください。
 
下田委員長
 冷蔵庫です。エアコンは、かなり早い時期から省エネが進んでしたので、今の段階ではそれほど大きな効果はないんですけれども、冷蔵庫は、かなり省エネが進んでおりまして、特にこれ、ずっと使い続ける機器ですので、その影響がかなり効くというところでございます。
 ありがとうございました。
 
大塚委員
 ありがとうございます。
 
下田委員長
 ほかにいかがでしょうか。
 堀井先生ですね、お願いします。
 
堀井委員
 どうもご説明ありがとうございました。
 床面積が業務部門で増えていて、それが一部、CO2削減をキャンセルしているということなんですけど、業務部門というのは具体的にオフィスなのか工場なのか、どういう部門で、あるいは産業の中のどういうところで増えているのかというのが、もしデータがあれば教えていただきたいです。もう一つは、LED照明によるCO2削減は、シミュレーションに比べて実際の統計ではあまり進んでないということなんですけど、シミュレーションではLED照明の売上げは、基本的には全て従来型照明、つまり白熱とか蛍光灯を置き換えるという、そういう想定になっているんでしょうか。もしかすると、LED自体を、また別のLEDに置き換えていると、そういうことも起こっているのかなと思いました。
 以上です。
 
下田委員長
 LEDからLEDへの置き換えというのは、あまり検討していないです、あまり考慮してはいないんですけれども、これはもともと、どれぐらいの照明があるかというところがよく分かっていないところでありまして、我々はボトムアップシミュレーションで設定をしていますので、設定を全国で積み上げたときに何台になるかというのをベースにしているんですけれども、そこがどうも国の想定と違うんじゃないかと。照明工業会等の資料とかを見ながら今、確認をしているところでございます。
 それから業務部門ですけれども、これは家庭、住宅と工場以外の建物全てでございまして、オフィスとか小売、それから病院、学校、そういうものが全部入るわけでございます。
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 
脱炭素社会移行推進室室長
 私から。環境省、伊藤でございます。
 下田委員長、非常に分かりやすいというか、資料をつくっていただきまして、誠にありがとうございます。非常に我々としても、こういうものを、また踏まえながら考えていきたいと思います。
 特に家庭のCO2統計自体も、脱炭素室で実はやっているところもございまして、少し先生のほうでも、こういった分析を進められる上で、また、家庭CO2統計の中でも、こういった統計があると、より分析が進むんだけどというようなものがありましたら、今日に限らず、ご指摘いただけると、大変我々としてもありがたいかなと思います。なので、この委員会で提示いただいたことを含めて感謝申し上げたいですし、まさに今日のご議論でもありましたけれども、いろんなモデル分析を含めて、この委員会でもいろいろ提供いただきながら、またご議論をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。
 では、貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございました。
 それでは最後、議題の4番、その他でございますが、事務局から何かございますでしょうか。
 
脱炭素社会移行推進室室長補佐
 特段ございません。
 
下田委員長
 それでは、以上で本日の議事は全て終了でございます。円滑な進行にご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
 それでは、事務局にお返しいたします。
 
脱炭素社会移行推進室室長補佐
 委員の皆様におかれましては、大変活発なご議論をありがとうございました。
 なお、本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきました後に、ホームページに掲載をさせていただきます。
 次回については、詳細が決まり次第、別途ご連絡申し上げます。
 以上です。今後ともよろしくお願い申し上げます。
 それでは終了いたします。
午前11時55分 閉会