中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会(第1回) 議事録

開催日時

令和5年5月29日(月)10時00分 ~ 12時00分

開催場所

WEBによる開催

議題

(1)2021年度における地球温暖化対策計画の対策・施策の進捗について

(2)各省の施策について

(3)その他

資料一覧

議事次第

資料1:中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会委員名簿

資料2:産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会 委員名簿

資料3:2021年度における地球温暖化対策計画の進捗状況

資料4:環境省関連対策・施策について

資料5:経済産業省関連対策・施策について

資料6:みどりの食料システム戦略と農林水産分野における地球温暖化に対する主な取組

資料7:GX実現に向けた国土交通省の取組について

議事録

午前10時02分 開会

脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 大変お待たせいたしました。事務局の岡内と申します。
 それでは、ただいまから中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会合同会合(第1回)を開催いたします。環境省脱炭素社会移行推進室の岡内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議は、ウェブにより開催させていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信し、動画は会議後、議事録公開までの間、ウェブ上で公開予定です。
 ウェブ会議の開催に当たり、何点か協力をお願いいたします。
 通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフにしていただき、ご発言の際のみオンにしていただきますようお願いします。事務局側も発言する場合を除き、オフにさせていただきます。
 またハウリング等を防ぐため、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようご協力をお願いいたします。
 発言を希望される場合には、自身のお名前の右側にある手のアイコン(挙手ボタン)をクリックしてください。また、発言を終えられたらボタンを再度クリックし、挙手を解除いただけますようお願いいたします。
 もし挙手ボタンを押しているのに事務局側が気づかない等がありましたら、チャットでお知らせください。
 通信トラブル等、何かありましたら右下にありますチャットにご記入いただくか、事務局までお電話いただきますようお願いいたします。
 地球温暖化対策はGXによる取組の加速化を含め、各府省庁連携の下、より一層推進していくことが重要であるため、本日の会議では関係省庁にもご出席いただき、農林水産省、国土交通省からは本日の議題2において施策の報告をしていただく予定です。ただし、本日の会議はあくまで環境省及び経産省の審議会であり、農水省、国交省はそれぞれの審議会において個別に施策の審議等を実施しています。このため、本日、農水省、国交省からは個別の施策及び各省連携事項に関してご説明いただく予定としており、個別施策内容は審議事項ではなく報告事項とさせていただきます。
 それでは、本合同会議の委員長をご紹介いたします。
 中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会委員長の下田委員長です。
 
下田委員長
 下田でございます。よろしくお願いします。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会委員長の大橋委員長です。
 
大橋委員長
 よろしくお願いいたします。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 次に、本会議には資料1及び2、委員名簿に掲げる委員、オブザーバーにご参画いただくことにしております。大変失礼ながら、時間の都合により、名簿の掲載をもってご紹介に代えさせていただきます。
 本日は、中央環境審議会側は8名、産業構造審議会側は11名の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、会議として成立していることをご報告いたします。
 なお、本日産業構造審議会側の伊藤委員は11時までで中座を予定、岩船委員、大石委員はご欠席、日商、大下委員はご欠席されていまして、石井様が代理で出席されているというふうになっております。
 それでは、本日の議事進行は中央環境審議会地球環境部会地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会の委員長である下田委員長にお願いしたいと思います。
 下田委員長、よろしくお願いいたします。
 
下田委員長
 皆様、おはようございます。それでは、進めさせていただきます。
 本日は議事次第にありますとおり、まず1番目として、2021年度における地球温暖化対策計画の進捗状況(案)について。2として、各省の施策について。3番、その他となっております。
 本日は、まず、議事1番について環境省からご説明いただき、その後、議事2につきまして関係省庁からご説明をいただいた後に、最後にまとめて討議を行う形としたいと思います。
 それでは、環境省、経産省の順番で説明をお願いいたします。
 
脱炭素社会移行推進室長(伊藤)
 皆様、おはようございます。環境省地球環境局脱炭素社会移行推進室長、伊藤と申します。私から、まず、資料3に基づきまして、政府全体の2021年度の温対計画の進捗状況についてご説明申し上げたいと思います。資料3の、ページでいきますと10ページでございます。左横にちょっと小さい字が、ページ番号がございます。
 まず、温対計画の進捗に入る前に少しだけご参考で、2021年度の我が国の温室効果ガスの排出・吸収量の確報値、4月に公表しているものですけれども、状況をご説明いたします。ご案内のとおりでございますが、2021年度はコロナからの経済回復などによりまして、若干2020年度からは増加、2%程度ですけれども、増加に転じているという状況でございます。
 しかし、2019年度から3.4%減少していまして、取組については目標達成に向けて進捗が見られるという形で、4月に公表させていただいているというところでございます。
 おめくりいただきまして、13ページにまいりたいと思います。ここからは、温対計画の進捗について簡単に概略をご説明申し上げたいと思います。右肩にありますけれども、特に指標のDあるいはEでしょうか、取組、このままでは2030年度の目標を下回る可能性があるというものはD、あるいは定量的なデータがないなどがEということですけれども、右上ですけれど、2021年度は特にこのD自体が21件で、DとE合わせて28件というような概況でございます。個々の取組は追ってご説明などもございますが、概略は以下のとおりです。
 飛んでいただきまして、駆け足で恐縮ですけれども、個別には17ページにまいりたいと思います。まずは産業部門のエネ起CO2ですけれども、大きなところで申し上げると、ここでは経産省さん取りまとめの産業用モータ・インバータの導入であるとかそういったところが、このままいけば必ずしも目標に届かない可能性があるということで、D指標となってございます。
 おめくりいただきまして18ページにまいります。こちらは業務その他部門ですけれども、同じように大所でいきますと、環境省のクールビズ・ウオームビズなどの取組であるとか、厚労省さんの水道事業における省エネ・再エネ対策の推進であるとか、あるいは経産省取りまとめの省エネ性能向上あるいはエネルギー管理というところがDという形になってございます。
 めくっていただいて19ページ目、同じように家庭部門でございますが、左側に、こちらも環境省のクールビズ・ウオームビズ、あるいは経産省取りまとめのエネルギー管理、こちらが同じようにDというような状況になってございます。
 次のページにまいりまして、20ページですが、運輸部門ですが、左上にございますけれども、国交省さん取りまとめのいわゆるモーダルシフトの推進というところがDというような状況です。
 それから、少し飛びますけど22ページ目にまいりたいと思います。こちらはエネ起CO2以外の取組ですけれども、環境省、経産省取りまとめのフロン類の回収、あるいは適正処理といったところ、それから、フロン類の漏えい対策ですね、漏えいなどについてD、Eという形になってございます。この辺りを中心に、またさらに全体的にも施策を推進していければと思っていますが、取りあえず温対計画の進捗の概略は以上のとおりでございます。
 ここからは各省個別という形で、まずは環境省から資料4に基づいて個別のお話を申し上げたいと思います。資料4の、まずは4ページにまいりたいと思います。廃棄物関連ですけれども、まず、廃棄物の部分には、4ページ目のグラフにありますとおり、ごみの焼却炉減少であるとか、燃焼の高度化などによって、燃焼分野の温室効果ガスの削減の取組が進んでいるという進捗が見られているという状況でございます。
 それから、6ページ目にまいりますけれども、ご紹介も兼ねてですが、やはりバイオプラの普及が極めて大事だということで、こちらの開発であるとか、実証であるとか、設備導入支援というものを推進しながら、普及に向けた取組を加速しているという状況でございます。
 それから、続きましてライフスタイルのほうにまいりたいと思います。8ページ目にまいります。ご承知の方も多いと思いますが、2022年10月から新たな国民運動というものも始まっていますけれども、2021年度の取組の中では、いわゆるCOOL CHOICEですね、脱炭素社会づくりに貢献する製品への買換えであるとか、サービス利用、ライフスタイル選択など、いわゆるCOOL CHOICEというものの推進というものも図っているということでございます。それから、新たな国民運動の中でやっているものは、ちょっと資料の重複もあるので、追ってまとめてご説明申し上げたいと思います。
 駆け足で恐縮ですけれども、フロンにまいりたいと思います。ページは12ページ目になります。フロン対策ですけれども、経産省さんとの連携事業ということで、特にデジタル技術を活用した漏えいの常時監視システムというところをご紹介申し上げたいと思います。特に告示改正をいたしまして、この常時監視システムを用いた場合に簡易点検に替えることができるということをいたしまして、さらにこのシステム導入を進めているという状況でございます。
 それから、13ページ目にまいりますが、ここは同じように経産省さんと役割分担の下で、フロンの排出抑制、特にグリーン冷媒への転換に必要な技術開発であるとか導入支援を行っているという状況でございます。
 それから、二国間クレジットにまいりたいと思います。17ページでございます。
 二国間クレジット(JCM)につきましては、温対計画の中でも2030年度までで累積1億t-CO2というところを目指していますが、今のところ見込みで確保が2,000万t程度でしょうか。ただし、JCMはまずはパートナー国の拡大にも努めておりまして、2022年以降もセネガルなど9か国が新しく追加をしていますので、このまま計画に向けて進めているという状況でございます。
 次に、地域脱炭素にまいります。22ページ、あるいは29ページ辺りでございます。地域脱炭素につきましては、ロードマップに基づいて2025年度までに100か所程度の脱炭素先行地域の選定を行うという予定にしていまして、進捗の中では、直近の情報になりますけれども、2023年の4月末までの3回公募の中で62件の採択ということになってございます。予算的にも、令和4年度当初で200億円を計上しつつ、地域脱炭素の取組も進めているという状況でございます。
 駆け足で恐縮ですけども、再エネ、それから省エネにまいりたいと思います。27ページにまいりたいと思います。こちら、各省連携事業ですけれども、目標達成に向けて、地域共生・裨益型の再エネ促進であるとか、公共施設、民間企業における自家消費型の太陽光導入、促進であるとか、あるいは風力発電促進のためのアセスの適正化などを行っているという状況でございます。
 それから、40ページまで飛んでください。いわゆる政府実行計画の中で、政府の事務・事業に関する対策といたしまして、こちらに掲げているような取組を行っております。政府の実行計画の中では、2030年度までに2013年度比50%削減ということを目指しながら、太陽光であるとか、公用車の電動化であるとか、LEDとか掲げているものを随時実施しているという状況でございます。
 最後に59ページにまいりたいと思います。先ほどの国民運動のところで後に回させていただきましたけれども、経産省それから国交省との連携事業として、いわゆる住宅・建築物分野の省エネとして、省エネリフォーム支援ですね。具体的には先進的な窓リノベ事業であるとか、給湯省エネですとか、こどもエコすまい支援事業などを連携して実施しているという状況でございます。
 少し直近の情報も混ぜておりますけれども、環境省からは以上でございます。
 
下田委員長
 では、続いて経産省さん、お願いいたします。
 
経済産業省産業技術環境局環境政策課環境経済室企画官(内野)
 私から、経産省関連の施策、特に成長志向型のカーボンプライシングを中心にご説明させていただきたいと思います。
 ページ、次に行っていただきまして、まず、簡単に背景でございますけれども、カーボンニュートラルを目指す国が急増している中で、諸外国GX投資というものもかなり強力に進めているという状況でございます。
 次に行っていただきまして、そうした中で、カーボンプライシングに関しましては、地球温暖化対策計画、令和3年10月に取りまとめられた中におきましては、カーボンプライシングなどの市場メカニズムを用いる経済的手法は、産業の競争力強化やイノベーション、投資促進につながるよう、成長に資するものについてちゅうちょなく取組を進めるということとしてございまして、その後、様々な検討の場、具体的には官邸のGX実行会議、産構審ですね、クリーンエネルギー戦略会議、中環審のカーボンプライシングの小委員会などの議論を経まして、パブリックコメントを経た上で、今年の2月にGX実現に向けた基本方針というものを閣議決定いたしました。
 スライド、次に行っていただきまして、関連する法案を政府全体として進めていくという意味におきまして、内閣官房から関連法案を提出いたしまして、そのうち成長志向型のカーボンプライシング構想に関しましては、次のスライドにございますとおり、今後10年間で150兆円超の官民での投資を実現するというために、GX経済移行債、これを今後10年間で20兆円規模を発行いたしまして、先行投資の支援をしていくということになってございます。あわせて、カーボンプライシングを実施いたしまして、これも先行投資の実現のために活用していくということでございます。具体的には、多排出産業等の排出量取引制度、これは2026年度から、発電事業者の有償オークション、これを2033年度から、炭素に対する賦課金、これを2028年度から実施をするという予定になってございます。
 次のページが成長志向型カーボンプライシング構想を模式的に示したものでございますけども、GXに取り組む期間を設けた上でカーボンプライシングを導入するということで、最初は低い負担で導入して、徐々に引上げをしていくということで、その方針をあらかじめ示してGX投資を前倒ししていくということでございます。そのカーボンプライシングを将来の財源としてGX経済移行債を発行し、そしてそれを投資の実現につなげていくということでございます。
 次のページが成長志向型カーボンプライシングの中長期的イメージということでございますけれども、重要なのがエネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少していく中で、このカーボンプライシングを導入していくということでございます。
 次のページでございますけれども、今申し上げた今後10年で約20兆円規模の政府支出、この内容のイメージということでございますけど、例えば非化石エネルギーの推進ですとか、省エネの抜本的な推進ですとか、そういったこと。それを今後10年で、官民合わせて150兆円超の投資につなげていくということで、右側に書いてあるような中身をイメージしているというところでございます。
 続いて9ページ目、排出量取引の関係でございますけども、まずはGXリーグ、これ既に日本のCO2排出量の4割以上を占める企業が参加の表明をいただいてございますけども、自主的に設定していただいた目標の達成に向けて排出量取引を行っていただくということでございます。
 次に行っていただきまして、今申し上げたGXリーグの排出量取引制度、これを今年度から第1フェーズとして試行的に開始をするということでございますけども、2026年度以降に関しましては、第2フェーズとして本格的に稼働させるということでございまして、さらなる参加率の向上に向けた方策の検討ですとか、政府指針を踏まえた目標か、民間の第三者の認証を検討するですとか、あるいは規律強化のための仕組みを検討するといったことが、この本格稼働の中身として含まれているということでございます。
 また、2033年度からは、発電部門について有償オークションを段階的に導入するという予定にしてございます。
 次のページに行っていただきまして、さらに炭素に対する賦課金という制度。これは化石燃料の輸入事業者等に賦課金を課していくということでございまして、2028年度から導入をしていくという予定にしてございます。
 次のページに行っていただきまして、さらには官民合わせて150兆円超のGX投資も実現していくために、民間金融の力を最大限に生かすというために、民間企業だけでは取り切れないリスクをカバーする観点から、GX推進機構を立ち上げまして、債務保証等を実施して、民間の金融の活力を引き出していくということも予定してございます。
 次のページに行っていただきまして、GX経済移行債の設計でございますけども、これまでの国債と同様に、同一の金融商品として統合発行することに限らず、国際標準に準拠した新たな形での発行も目指して検討をしているところでございます。
 次のページに行っていただきまして、公正な移行というところでございますけれども、これは国会の中で修正もございまして、法律にも明記するという形で、持続可能な形での気候変動に対応していくということになってございます。
 それから、次のページでございますけれども、大企業のみならず、中堅・中小企業も含めて日本全体でGXを進めていく必要があるということでございまして、様々な支援策も用意しているところでございます。
 次のページに行っていただきまして、こうした支援策につきましては、分かりやすいパンフレットも用意してございまして、周知に努めていくとのことでございますけども、この今回作ったこのパンフレットですけども、経産省の施策だけではなくて、環境省さんの支援策も一緒に取りまとめをしてございまして、連携して進めていきたいというふうに思ってございます。
 説明は以上になります。ありがとうございます。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして農水省、国交省からのご説明をお願いします。
 なお、先ほど事務局から説明がありましたように、農水省、国交省からは個別施策及び各省の連携施策に関してご説明をいただきます。
 それでは、農水省、国交省の順でご報告をお願いします。
 
農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ長(久保)
 おはようございます。農林水産省みどりの食料システム戦略グループ長の久保と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうから、みどりの食料システム戦略と農林水産分野における地球温暖化対策の取組に関してご説明をさせていただきます。
 
 みどりの食料システム戦略ですけれども、持続可能な食料システムを目指して、これ、カーボンニュートラルのみならず、生物多様性、そして資源の循環利用、こういったものを含めて持続可能な食料システムを目指すという形で、戦略を2021年5月に策定いたしました。ここでは2050年までに目指す姿ということで、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現など、14のKPIを設定しております。
 次のページをお願いします。四つ書いていますけれども、この戦略の実現に向けては、調達、生産、加工・流通、消費の食料システムの全体で取り組むことがこの戦略実現の鍵というふうに考えております。
 次のページ、お願いします。ありがとうございます。このみどりの食料システム戦略における温室効果ガスに向けた行程でございます。下の軸にありますとおり、やはり農業というのは生物の働きの結果、メタンとか一酸化二窒素の排出が多いという特徴がございますので、さすがにおいそれと生産をやめるわけにはいかない、しっかりと生産と両立させるということが、このみどりの食料システム戦略でございますので、しっかりと時間軸を持って進めるということで、2030年までは今ある技術の横展開、それから、2040年までにイノベーションの開発ということを考えておるところでございます。
 次のページをお願いします。こちらがみどりの食料システム戦略で掲げた2030年の目標と2050年の目標という形になります。最終的には2050年CO2ゼロエミッション、化石燃料を使わないということでございますが、その中間目標として2030年、例えばCO2ゼロエミッション、1番目のところでございますれば、CO2換算で10.6%削減とか、それから、施設園芸でおけば、③のところ、加温面積に占めるハイブリッド型、化石燃料とほかを組み合わせるという形で、園芸施設の割合を50%にするといったような目標を掲げておりまして、2030年の目標は温対計画としっかりと整合を取ったものとして設定をさせていただいております。
 次のページ、お願いします。この戦略実現に向けて、みどりの食料システム法ということで、昨年の7月に法律が施行されました。理念とともに、下の半分にあります二つの計画認定制度におきまして、左側、県が策定する基本計画に基づいて生産者が環境負荷低減に取り組む場合、そして右側、新技術の提供などを行う事業者さんの場合は、国が直接計画を認定することで、それぞれ税制、金融等のインセンティブ措置を出すという形にしております。こちら、経産省、環境省さんほか、関係省庁の協力を得て進めているところでございます。
 次のスライドをお願いします。このみどりの食料システム法ですね、既に昨年度末、この3月で全ての47都道府県でみどりの法に基づく基本計画を策定いただきまして、生産者の認定が本格的にスタートしております。この中には、もちろんですけれども温室効果ガスの削減というものが環境負荷低減として位置づけられております。また、その右側、オレンジのところでございますが、しっかりと生産者が導入できるような技術を開発したり、機械を提供したりするような事業者さんを既に41事業者、認定を進めているところでございます。本年度から生産者の計画認定が本格化するという状況に今ございます。
 次のスライド、お願いします。これに先立ちまして、左下ですけれども、既にR3補正、R4年度当初予算から予算措置で現場の脱炭素の取組を含む環境負荷低減の取組を後押ししているというところで、みどりの交付金を今進めているところでございます。あわせて、右側の法律に基づく税制、金融措置ということで、現場の取組を進めているというところでございます。
 次のページ、お願いします。これは、みどりの食料システム戦略に関する関係府省庁連絡会議というものを昨年設置いたしまして、環境省さん、経産省さん、国交省さんにも入っていただきまして、みどりに基づく取組を進めているところでございます。下水汚泥資源の肥料利用の拡大、SAFの導入に向けた検討、学校給食における有機農産物の活用、それからバイオマスの活用など、様々連携をいただいていることで、この場を借りて感謝を申し上げます。
 次のページをお願いします。こちら、政府の温対計画と農林水産分野の取組ということで、一番左のグラフが2013年度の総排出量に占める農林水産分野の2030年度の目標です。ちょっと見づらいんですが、真ん中の四角囲いのところに黒文字で、三角46%減と書いてある日本の全体の目標に比べて、農林水産分野は2030年度3.5%減分の貢献をするということで、排出削減分が0.2%、吸収で3.3%ということで策定されておりますけれども、実態といたしまして、黄色で網をかけております上の四角、農林水産分野では現時点で3.3%減ということの貢献となっております。そのうち、排出削減はプラス・マイナス0%、吸収源が3.3%減分寄与しているということになってございます。
 対策は右側に書いてあるとおりでございまして、既に冒頭にお話もありましたけれども、大橋先生を座長とします食料・農業・農村政策審議会と地球環境小委でご確認をいただいたというところでございます。対策といたしましては、施設園芸・農業機械の省エネ・再エネの活用、それから、漁船の省エネ、それから、農地土壌に係る温室効果ガス排出削減ということで、水田からのメタンとか、それから一酸化二窒素の排出削減ということで、これ、化学肥料の削減といったようなところ、それから適正施肥、こういったものを進めるということにしております。
 また、吸収源対策として、森林吸収源対策と、それから農地土壌吸収源対策ということで、しっかり堆肥や緑肥等を入れていくということになっておりますけれども、このうち、上から3番目の農地土壌に係る温室効果ガスの排出削減対策のみがD評価というふうになっております。ほかはC評価ということでございまして、審議会の場で検証いただいた結果、農林水産分野だけでの取組、農水省だけでの取組だけではなく、しっかりと他産業、多分野とシナジーを得られるところ、そういった取組に比重を置いて進めていくべきというご意見、そして、農地土壌対策をしっかりと進めるべきというようなご意見をいただきました。
 次のページをおめくりください。先ほど消費者の部分が大事だということも申し上げました。やはり食品、毎日のお買物ですので、消費者の行動の変容も重要だということで、これ、環境省さんに検討会にも参加いただいておりますけれども、環境負荷低減の見える化ということで、慣行の農法に比べて温室効果ガスを減らすような農法に取り組んだ方に、その効果を簡易に算定して星印で表示をする、こういう見える化ということを進めております。昨年度まで3品目でございましたけれども、本年度23品目まで拡大して進めておりますし、並行して畜産物の見える化に向けた要件の整理なども議論をしておるところでございます。
 次のページ、お願いします。先ほど農地土壌からの温室効果ガスの排出削減がDということで申し上げましたけれども、実はカーボン・クレジットということを、私どもも、環境省、経産省のご協力を得て進めているところです。農業分野、なかなか活用が進んでおりませんでしたけれども、昨年度末時点で3件登録されておりまして、また、水稲栽培における中干し期間の延長ということが真ん中、中段、赤字に書いていますが、3月1日に方法論を策定していただきましたので、こういったものも活用して、現場にしっかりとメタンの削減というものの技術的な取組方、そしてメリットもあるんだよということを丁寧に説明してまいりたいと、こういうふうに考えております。
 次のスライド、お願いします。あわせて、やはり食品、農林水産業でございますので、しっかりと適応策も進めていくということにしております。
 最後のスライド、農林水産分野における、次ですね、次、お願いします。はい、ありがとうございます。農林水産分野におけるGXの取組ということで整理させていただいていまして、私がお話ししたものが全てここに取り込ませていただいております。
 すみません、ちょっと超過しましたけれども、以上になります。ありがとうございました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、国交省さん、お願いいたします。
 
国土交通省総合政策局環境政策課長(光安)
 国土交通省環境政策課長の光安でございます。よろしくお願いします。
 私のほうからは、GXの実現に向けた国土交通省の取組についてということでご説明させていただきます。国土交通省では、地域の暮らしですとか経済を支える幅広い分野になっておりますので、2050年カーボンニュートラルの実現に向けまして、こうした分野での省エネ、創エネ、非化石化などに取り組んでいるところでございます。
 1ページ目でございます。公共交通・物流や住宅・建築物等における省エネ化の推進ということで、1ポツでございますけども、運輸部門のCO2の排出量の大半は自動車分野となっておりますけども、国土交通省のほうでは自動車分野のカーボンニュートラルの実現に向けまして、環境省、経産省と連携しまして、事業用トラック、バス、タクシーにおきまして、EVですとか燃料電池車などの次世代自動車の普及促進を図っているところでございます。具体的には、輸送事業者が環境に優しい自動車の導入などを図る際の支援ですとか、あるいは、商用車について運行管理と一体的なエネルギーマネジメントシステムの研究開発といったところを行うとともに、EV充電施設の公道設置のガイドラインの策定ですとか、サービスエリア、パーキングエリア、それから道の駅といったところでのEV充電施設設置への協力といったところを、インフラ面での取組も推進しております。
 それから、公共交通・物流分野でございますが、EVバス、タクシーの導入ですとか、あと、蓄電池、充電設備の共同利用といった、公共交通事業者のGXの推進ですとか、新たな取組の実証といったところへの支援、あるいはMaasの活用等による公共交通の利用促進ということで、公共交通事業者等の連携高度化を後押しするようなデータ連携基盤の具体化・構築あるいは普及といった取組を推進するとともに、それから、物流におきましては、モーダルシフトですとかドローン物流の社会実装、それから、パレットや伝票といったハード・ソフト両面の標準化といったところで、グリーン物流の推進に取り組んでいるところでございます。
 それから、右側の2ポツでございますが、住宅・建築物につきましては、こちらも環境省、経産省と連携しまして、ZEB・ZEHの普及促進を図っておりますとともに、昨年改正されました建築物省エネ法に基づきまして、住宅・非住宅の省エネ基準の適合義務化と、それから、誘導基準の強化等によりまして、より高い省エネ性能への誘導を図っているところでございます。
 こうした省エネ対策と併せまして、木造建築物に係る建築基準の合理化、あるいは支援といったところで、吸収源対策にも資する木材の利用促進を推進しているところでございます。
 それから右下でございますけども、まちづくり分野では、エネルギーの面的利用による効率化ですとか、環境に配慮した民間都市開発等を推進するとともに、都市緑化などのグリーンインフラを進めているところでございます。
 2ページ目、インフラを活用した再エネの導入・利用拡大でございます。1ポツでございますが、港湾におけるカーボンニュートラルの実現ということで、太陽光発電施設の整備ですとか、港湾関連車両機器の脱炭素化といった脱炭素化に配慮した港湾機能の強度化、あるいは水素等の受入れ環境の整備などを図ります、カーボンニュートラルポートの形成を進めております。カーボンニュートラルポートにつきましては、昨年12月に改正港湾法が施行されまして、今後、港湾管理者が協議会での検討などを経まして、港湾脱炭素化推進計画を作成しまして、これに基づきまして具体的な取組を進めてまいります。協議会等につきましては、資料では1月末時点で54港湾となっておりますが、直近では65港湾で設置されております。
 それから、洋上風力発電の導入につきましては、再エネ海域利用法に基づく区域の指定ですとか、事業者公募などを進めておりまして、また、洋上風力発電設備の設置ですとか、維持管理に欠かせない基地港湾の整備を進めているところでございます。
 それから、下の2ポツでございますが、再エネの導入促進につきましては、道路、空港、鉄道といったインフラへの太陽光発電設備の導入などを進めております。道路につきましては、道路空間での太陽光発電設置のための技術指針の策定といったところを検討しているところでございます。それから、空港につきましては、昨年改正されました空港法に基づきまして、空港脱炭素化推進計画の作成を推進しておりまして、計画に基づきまして太陽光発電の空港への導入を進めるとともに、それから、鉄道では鉄道資産活用型・沿線地域連携型の再エネ導入の事業可能性の検討ですとか、取組促進に向けた官民連携プラットフォームの創設というところを進めているところでございます。
 それから、ダムにつきましては、雨が降らない時期に治水容量に貯水することで水力発電量を増やすことができる弾力的な運用を積極的に行っていくというハイブリッドダムによる取組を進めておりまして、こうしたことで水力発電の強化を行うですとか、あるいは下水道分野では下水道バイオマスの利用促進に向けまして、革新的技術の導入を促進するとともに、様々な技術を集約して、下水処理場丸ごと脱炭素化を実証するカーボンニュートラル地域モデル処理場計画の創設などを行っているところでございます。
 それから、3ページ目でございますが、運送・インフラ分野での非化石化等の推進でございます。1ポツの海事分野でございますが、国際海運2050年カーボンニュートラルの実現等に向けまして、ゼロエミッション船等の導入、普及ということで、アンモニア燃料船につきましては2026年から、それから水素燃料船につきましては2027年からの実証運航の開始に向けまして技術開発を進めております。それから、国内生産基盤の構築などの環境整備ですとか、あと、IMOにおきまして経済的手法と規制的手法、両面から国際ルールづくりを主導しているところでございます。
 それから、航空分野でございますが、SAFですとか低燃費機材の導入等に関する取組を進めているところでございますが、こちらも昨年12月に改正航空法が成立しまして、そちらに基づきまして航空の脱炭素化の目標、あるいは政府・事業者等が行うべき措置等を盛り込んだ航空脱炭素化基本方針を策定しております。また、SAFの導入促進、それから運航方式の改善、それから機材への新技術の導入という三つの官民協議会を設置しまして議論を進めているところでございます。
 それから、下の建設施工分野でございますが、インフラのライフサイクル全体でのカーボンニュートラルの推進ということで、省CO2に資する建設材料の導入促進を図っているところでございます。現在GI基金でCO2固定化コンクリート等を開発中でございますが、こうしたコンクリートの現場での試行工事などを実施しているところでございます。
 それから、電動、あるいは水素・バイオマス等を新たに動力源とする革新的建設機械の普及を図るため、そうした機械の認定制度の創設などについて検討しているところでございます。さらに、ICT施工の導入促進ですとか、北海道ではCO2削減の取組を工事成績に加点するといった、北海道インフラゼロカーボン試行工事を実施しているところでございます。
 今後も関係省庁あるいは産業界とも連携しまして、地域の暮らし・経済を支える幅広い分野を所管する国土交通省として、GXの実現にしっかり取り組んでまいります。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、ここまでのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見を頂戴できればというふうに思います。ご発言を希望の方は、挙手ボタンをクリックしてください。ぜひ、幅広く委員やオブザーバーのご意見をいただき、議論を深めていきたいと思いますので、忌憚のないご意見を頂戴できればと思います。
 先ほども申し上げましたが、農水省、国交省の個別施策につきましては本日の審議事項ではございませんので、各省庁の連携事項を中心にご意見を賜ればというふうに思います。
 なお、ご発言は3分以内にまとめていただきますように、ご協力をお願いいたします。大体、数名の方のご意見を頂戴した上で、事務局からご回答いただくという形で進めさせていただきたいと思います。
 まず、中座を予定されております伊藤委員からご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
伊藤委員
 申し訳ありません。中座させていただきますので、先に発言をさせてください。ありがとうございます。
 まず、やっぱり脱炭素を日本全体で進めていくためには、エネルギーの脱炭素ということで、安全性がしっかり確認されたものに対する原子力発電の再稼働、それから再生可能エネルギーということがメインになっていくかと思うんですけれども、再生可能エネルギーに関して、私個人としては、地熱というものにもう少し後押しがあってもいいのではないかなと思っております。掘削する地熱というのはなかなか賛同が得られなかったり、確率が小さかったりということもあると思うんですけれども、掘らずに蒸気でタービンを回すというバイナリー発電というやり方もあります。この発電方法だと初期投資も抑えられますし、温泉街からの反対もほとんどないですし、ベースロード電源にもなり得るということですので、もっと進めてもいいのではないかなというふうに思っております。
 そして、再生可能エネルギーを主力電源化するためには、やはり蓄電池の開発というのが必要だと思いますけれども、これは、政府の投資対象にもなっているようですが、経済、安全保障の観点からも、日本での蓄電池の開発、生産体制というのを確立する必要があるかなというふうに思います。そして、身近な蓄電池としては、まず、やっぱりEVの普及ということがあるかと思うんですけれども、充電設備がまだまだ不足していて、一生活者から考えてみると、都市部でいえばマンションの駐車場にいかにその充電設備があるかということがネックになってくると思います。東京都などは2025年ぐらいまでに新築には必ず充電器を装備するようにということになっているようですけれども、既存のマンションにもどうやって導入を進めていくか、それがやっぱり普及の鍵になっていくと思うので、政策と進めていただければというふうに思います。
 それから、プラスチックに関して、回収が思ったほどに進んでいなかったり、バイオプラスチックも値段が高いのがネックになっているということなんですけれども、昨今の情勢から、原材料の高騰があったりとか資源調達リスクもある中で、やっぱりなるべく回収してリサイクルというのは進めていくべきですし、例えば代替素材を、国産の、なるべく自然由来のものにしていくというトライというのは不可欠だと思うので、もっとそこは取組として強化していくべきなのではないかなというふうに思います。
 地方創生に資する地域脱炭素の推進というのを行ってきているところではあると思うんですけれども、こういったサーキュラーエコノミーを実現するための資源とか、さらにはカーボンプライシングに向けた森林吸収とか、再生可能エネルギーのクレジット創出のプロジェクトなど、地域にとって脱炭素というのは成長戦略にしていけるものだと思うんですが、実際にやっぱり地方を歩いてみるとなかなかそういった認識というのはなくて、非常に人手も少ないというところもあって、どうしたらいいのか分からないというところもあると思うので、例えば企業の脱炭素に向けた模索と地域を結びつけるような取組というのも必要になってくるのではないかなというふうに思います。
 最後にもう一点、カーボンプライシングに関して、削減貢献量という話が、多分GXリーグなどでも出ていると思うんですけれども、これ、すごく重要な視点かなというふうに思います。製造業はどうしてもやっぱりCO2を排出してしまうんですけれども、例えばその製品が全体の脱炭素に貢献するものであれば、それをしっかりと反映するような仕組みというのを作っていくということが、消費者が例えば選んでいく上でも非常に重要になってくると思うので、そこも進めていただきたいというふうに思います。
 以上です。ありがとうございました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、大橋委員長、それから杉山委員、山下委員、大塚委員、この順番でお願いします。
 では、大橋委員長、お願いします。
 
大橋委員長
 ありがとうございます。
 3点申し上げます。まず、第1点ですけれども、資料3に地球温暖化対策の進捗状況といただいていて、例年どおり相当の労力を投入して取りまとめいただいておりますこと、事務局に感謝を申し上げます。
 この資料は、各対策、施策の進捗状況をAからEで示しており、その上で今後の対策について論じているわけです。取組が当初目標を下回っていたりとか、あるいは基準年度でBAU比を上回った理由については、目標、基準の設定の妥当性も含めてしっかり検証がなされるべきだと思います。他方で、今後の対策となると、評価の低いところに目が向きがちで、その評価が低いところを引き上げるべきという結論になりがちになるかなということを懸念しています。全体を見たときに、個別の取組におけるCを、例えば評価のCをAにするのが資源投入の方向として正しいのか、あるいは技術革新も進む中で、GXの進展に適した政策立案の在り方というものも改めてこの際検討するのがいいのか、そうしたことについても一定程度振り返りをするのがいいのかなと思っています。
 2点目ですけれども、GX推進で適した政策立案の在り方についてであります。今回、資料5で成長志向型のカーボンプライシング構想をいただいています。ご説明によれば、今後のカーボンプライシングの導入に当たっては、規制・支援一体型促進策が機能するということが大前提になるのかなというふうに思っています。ただし、この取組は技術的にも予見性の乏しい、不確実なアウトカムに向けての取組になると思います。そういう意味では、GXを取り巻く環境に応じてアジャイルな政策立案が求められるものの、他方で従来どおりの成果目標の立て方とか、あるいは進捗のモニタリング方法では、責任の所在が曖昧になりがちかなというふうにも思っています。
 政府のリソースが限られていますので、委託発注という形を取りがちだとは思うものの、そうした形で仮に結果が出なかった場合に、しようがないというふうな結論になりはしないのか、あるいは企業側のモラルハザードを相当程度引き起こす可能性はないのか、そうしたこともしっかり精査されるべきだと思いますし、他方で、政府側も人事異動が非常に頻繁ですので、プロジェクト管理を長期一貫した体制で行うということが必ずしも現状できないのかなというふうに思っています。
 政府側の利害を代弁したプロジェクトマネジャーのような新たな専門職の設置など、今回の政策パッケージの執行体制について、しっかりとした検討を踏まえた上での構えで臨んでいただきたいなというふうに思っています。
 最後ですけれども、農水省、国交省にも今回取り組みいただきましたけれども、本日のここでのご議論、しっかり持ち帰っていただいて、政府が縦割りを廃して一体としてGX推進に取り組まれるよう、ご配慮いただければと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 では、杉山委員、お願いします。
 
杉山委員
 まず初めに、今やっている温暖化対策というのが、世界情勢が大きく変わっているということを受けて、今後も変わらざるを得ないということです。ウクライナで戦争が起きました。それから、中国、習近平、第3期目に入って、台湾有事が27年までに起きるというリスクが高まっています。
 こういう中にあって、日本の国益は何かと考えると、やはり自由、民主、こういったものを守るということが最優先でありまして、国家の安全保障、これにはエネルギー安全保障や経済安全保障も含むわけです。それへの対応ですね、これも必要でして、デリスキングとかいう言い方で言われていますけれども、サプライチェーンを見直して中国依存をなくす、それから、製造業は国内回帰を進めて、強い製造業、工業を作っていくと、こういったことが必要であると。このためには、エネルギーは安くなければいけないということは非常に大事だと思います。その観点から、原子力の再稼働や新増設を急ぐべきでありまして、これは実はシーレーンが途絶したときにも原子力発電所であれば1年ぐらいは電力供給できますので、エネルギー安全保障の観点からも極めて重要ということです。
 今日ご説明いただいた温対計画のほうですけれども、まだ実現していない、うまくいってないところというのは、恐らく非常に高コストな施策であろうと。高コストな施策を規制や補助金、どのような手段でも強引に進めるとなると、経済や産業を害しますと。RITEの試算では、2030年のCO246%削減は年間30兆円のGDP損失になるとなっておりますので、強引な規制強化や補助金の大量の使用でCO2の削減を進めるということはやるべきではないと。これは今の国際情勢を踏まえて、ますますこういった考え方は重要になっていると思います。
 20兆円というGX移行債の話がありました。大橋先生からもありましたけれども、政府によるイノベーションというのは、実は過去失敗例というのが国際的にたくさんあります。なぜそうなるかというと、技術的なメリットよりも政治的なところで、意見で、政府の施策で左右されやすいと。政府の方が決して無能なのではなく、政府というのはそういう組織だということです。
 研究開発から実証、普及段階となるに従って金額が膨れる傾向にありますけれども、これが膨れるに当たって、非常に慎重に、技術的メリットによって検討すべきだと。コストがいつまでも低くならないとはっきり分かっているような技術に巨額の投資がされることがままありまして、我が国では太陽光発電について、その普及段階にありながら大量の補助を事実上与えて、今大変な電力価格への負担になっているわけです。こういった失敗を繰り返してはならないと。
 150兆円の投資を誘発するって話もありましたけれども、これもいたずらな規制強化や補助金のばらまきになってしまっては、これは経済を損ねます。経済を損なうということは、安全保障も損なうと。これは大いに慎重であるべきと思います。
 最後に、太陽光発電のシリコンは、ウイグルの人権の問題を抱えていると。それから、重要鉱物ですね、電気自動車などの重要鉱物も中国依存の問題が深いと。このサプライチェーンの問題を解決することがまず先でありまして、大量導入を先行させるというのは大変に間違った施策だと思います。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 続きまして、山下委員、お願いします。
 
山下委員
 よろしくお願いいたします。
 ご説明ありがとうございました。今回は2021年度実績について、コロナ禍からの経済回復で温室効果ガスが前年度より増加したものの、コロナ禍前の2019年度からは減少というご報告がありました。先日のG7会合では、IPCCの第6次統合報告書の数字を引用して、主要国が2035年までに2019年比で60%削減にコミットすることを勧奨しました。
 現在、日本の2030年度削減目標は、2013年度比で46%ですが、この目標を仮に達成したとして、その後5年間でさらに大幅な削減をしなければならないということを意味しています。その観点から2021年度実績を見ますと、多くの課題が見えてきます。各施策の評価はAからEのままでも結構ですけれども、全体の取組に関する講評として、AからCは引き続きその評価を維持するというよりは、さらに取組を加速化すべきといった、より踏み込んだ表現が必要な場合もあると考えます。今回の評価がDの施策だけでなく、C評価の施策を含む影響の大きな施策で、より早く、より大きな削減をするにはどのような課題を解決する必要があるのか、どうすれば対象となるセクターや人々の行動を促進し、自律的により多くの削減ができるような大きな動きにつなげられるのか、循環経済のような部門横断的な取組を促進できるのか、あるいは、人々の自発的な行動を促進するような全体像の共有はできないのかなど、今後の取組はより気を引き締めて取り組む必要があると思います。
 GX実行計画だけでなく、環境省、農林省、国交省など、関係各省でも個別に俯瞰的かつグリーン成長や適応策にもつながる施策が策定、実施されていますが、国民全体が課題の重大さと施策の存在を認識する必要があります。
 そのためには、施策の進捗状況のチェックや修正をして、目標に向かうだけではなく、地球温暖化対策の重要性、それとその対応が、我々の社会経済活動に必須であるエネルギー利用や日本経済そのものに直結していることへの理解を深めて、一人一人あるいは個別企業の行動や意思決定がどう波及して温室効果ガスの排出削減につながるのか、どうすればより排出の少ない、あるいは排出のない行動に変えられるのか。その結果、エネルギーや経済にはどのような影響があるのか、考えて行動する姿勢を促すことも重要だと考えます。
 環境省のCOOL CHOICEもありますけれども、地球温暖化対策計画そのものだけではなく、グリーン成長、あるいはグリーントランスフォーメーション、GXにつながる経済政策や産業戦略と併せた広報強化による国民理解の醸成と、様々な地方自治体や中小企業を含む産業界、消費者団体などとも連携した、日本の成長につながりつつGHGを削減する実効性のある活動の需要性が高まっていると考えます。マクロの視点から日本全体の進捗管理をする上で、あるいは国民の理解を深め、俯瞰的な関与を喚起し、社会変革や行動変革を通じた、さらなる温室効果ガスの削減と、日本経済のGXを実現するためには、環境省や経済産業省だけでなく、関係する他省庁、自治体と連携して、見せ方の工夫やさらなる削減につながる行動促進に向けた働きかけが大切だと考えます。
 以上になります。ありがとうございました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 では、大塚委員、お願いします。
 
大塚委員
 大局的な話もさせていただきたいところもありますが、時間が限られておりますので、ちょっと細かい話をさせていただきます。
 フロン類に関してですけども、回収に関して、DとEということになっていますが、Eに関しては、これは推測をしているので、多分ずっとEだということになると思いますので、これに関してはEにずっとしておいていいのかどうか、推測という方式を変えるとはなかなか思えないものですから、この扱いを今後どうしていくのかなというのは気になるところです。
 それから、回収の促進に関してはDになっているところですが、これはフロン類について法改正がなされまして、直罰にしたんですけども、あまり効果が発揮できていないということになってしまうと思いますが、これは前回もお伺いしたかとは思いますが、現在の状況について教えていただければありがたいと思います。
 それから、環境省さんについてもう一つですけども、廃プラのケミカルリサイクルに関してもDになっていたと思いますけども、これは鉄鋼さんとかのケミカルリサイクルのことを言ってらっしゃると思うんですけども、これは割とうまくいっているかなと個人的には思っていたので、これがなぜDになっているかをちょっと教えてください。
 それから、経済産業省さんのところの管轄としては、BEMSとHEMSがDになっていたと思いますが、この状況も教えていただけるとありがたいと思います。
 あと、SAFに関しては、今日、国交省、農水省さんとむしろ関係しちゃうかもしれません、国交省さんと関係してしまうかもしれませんが、これはICAOとの関係で、必ずやらなくちゃいけない大問題になっていて、さっきの航空法とかの話も関係してきますけれども、国産のものを使うことが多分非常に難しくなっていると思いますが、現状について教えていただければと思います。
 あと、大橋委員がおっしゃった、プロジェクトマネジャーみたいなものを作るというのは私も大賛成なので、一言申し上げさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
 
脱炭素社会移行推進室長(伊藤)
 環境省の伊藤ですけれども、私のほうから大橋委員長、それから山下委員からございました評価のところ、全体のお話を少しだけご回答したいと思います。
 大橋委員長ご指摘のとおり、ちょっと私の説明の中でも、特にDとEを強調してご説明申し上げましたが、ご指摘のとおり、A、B、Cの施策も非常に大事ですし、我々、個別にA、B、Cの動きも見ていますが、あまり大きな変動はないものの、多少のA、B、Cの中での動きもありますし、山下委員からもありましたとおり、A、B、Cだからよいというわけではなくて、より早く大きく減らすものなどを考えながら評価をすべきというお話だと思っております。評価の仕方が、改善できるかというのはありますけれども、国民の見せ方も含めて考えていきたいと思っています。今々はその影響が大きいもので、DとEとなっているものを中心にフォローしているという状況ですけれども、ここはさらに何か、特に国民に対する見せ方の工夫というところも含めて考えていきたいと思っております。取りあえず私からは以上です。
 
下田委員長
 経産省さんからはございませんか。
 
経済産業省産業技術環境局環境政策課環境経済室企画官(内野)
 経産省でございます。大塚委員からBEMS、HEMSのところでご指摘いただきましたけれども、状況といたしましてはD評価ということでございまして、今の目標に向けて線形で比較した場合には、現在の進捗状況は下回っているということで、D評価ということになってございますけれども、省エネ法の改正もいたしましたし、省エネの関係では補正予算でも抜本的に強化をしていくということもございまして、これまで単年度で補助していたところを複数年度で切れ目なく支援をするという措置も新たにできるようになったということもございますし、そういったことも含めて、引き続き省エネ、このBEMS、HEMSも含めて設備投資を促していると、こういうところが今後の課題としてございます。
 以上でございます。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 プラの回収の関係、環境省のリサ室、お願いいたします。
 
リサイクル推進室長補佐(彦坂)
 環境省リサイクル推進室の彦坂と申します。ご指摘いただいたケミカルリサイクルにつきまして、鉄鋼業における廃プラのケミカルリサイクルでございますけれども、今回の点検は2021年度までの実績による点検で、プラ法施行前のため、2023年現在と若干その状況が反映されていなくて、データのギャップがあるかもしれませんが、今後の収集量の状況について、経産省とも連携しつつ、鉄鋼業界や日本容器包装リサイクル協会にも状況を確認していきたいと思っております。
 以上です。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 それでは、続きまして、フロン関係、大塚委員からご質問がありましたので、フロン室、お願いいたします。
 
フロン対策室長(豊住)
 大塚委員からいただきましたフロンについてでございますけれども、2点あったかと思いますので、環境省のほうからはD評価となっておりますフロンの回収のところについてご説明申し上げたいと思います。
 こちらは、委員ご指摘のとおり、令和元年フロン排出抑制法を改正いたしまして、廃棄時の回収の強化ということで、令和2年に施行してございます。こちらの施行状況につきましては、2か年分の施行状況が見えてきておりますけれども、廃棄時の回収率につきましては本日の資料でお示ししておりますように、41%、40%というところで、なかなか期待したような伸びがないという状況になっております。同じく、こちらの資料でご紹介しましたように、現場では、不適正な事例として、フロンの回収が実施されていないケースの取締りの実態も出てきておりますし、自治体による立入り調査の件数も増えているところでございます。元年改正の規定につきましては、施行後5年の施行状況を踏まえて検討となっておりますので、今後、この成果を踏まえた見直しは必要になってくると考えております。
 加えて、廃棄時の回収につきましても、インベントリの中では一定の推計値をもって計算をしているというところもございますので、現状を踏まえたような計算方法になっているかどうかといったところも、今後検討してまいりたいと考えております。
 それから、使用時の部分の御質問につきましては、経済産業省さんがお入りになっているかと思いますので、お願いできますでしょうか。
 
経済産業省製造産業局化学物質管理課オゾン層保護等推進室(児玉)
 経済産業省オゾン層保護等推進室の児玉と申します。大塚委員からご指摘いただきました、E評価になっております条例の排出係数についてですけれども、おっしゃるとおり推計をする以外はないかなと思っておりまして、そのための排出係数の見直しについて、環境省さんの温室効果ガス排出量算定方法検討会の分科会でも毎年ご議論いただいておりまして、有識者の皆様から、また来年までの議論も踏まえて見直しを、検討を進めていこうというお言葉をいただいておりますので、今年度の分科会でも引き続き議論させていただきまして、環境省とともに適正に見直していきたいと思っております。
 以上です。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 最後に国交省さんから、SAFの関係、ご回答いただけますでしょうか。
 
国土交通省総合政策局環境政策課長(光安)
 環境政策課の光安です。SAFのほうにつきましては、官民協議会、経産省と一緒にやっておりまして、その中でサプライチェーン構築に向けた実証事業なんかを議論しているところでございまして、詳細についてはまた別途ご回答させていただければと思います。よろしくお願いします。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、ご意見に戻りたいと思います。竹内委員、増井委員、勢一委員、折茂委員、高村委員、ここまでいきたいと思います。
 まず、竹内委員、お願いします。
 
竹内委員
 ご説明いただきまして、ありがとうございました。細かいところを申し上げるというよりは、ちょっと大きな点を申し上げたいというふうに思います。
 まず、こういった評価なんですけれども、こういった短い時間軸できちんと削減する努力をしているかといったようなところ、これを分解度を上げて評価をしていくというようなところ、非常に重要だと思うんですが、一方で、このカーボンニュートラルというようなところは、もうそれこそ国土改造計画的なところであったり、もう製造プロセスの大転換といったようなところを伴うというような、非常に大きな変革というところでございます。こういった評価の在り方というのも、これは考えていく必要があるのではないかというふうに思います。
 その評価の仕方という点について、もう一点申し上げますと、冒頭、大橋委員長からもご指摘ありました、できていないものに目が行きがちであると、本当に私もその点賛同いたします。どのような取り組みを優先すべきかを考えるときに、削減の費用対効果といったようなところ、t-CO2当たりの削減のコストというようなところを可視化するといったことが極めて重要であろうというふうに思います。そのときに、例えば、住宅の省エネ化のように、CO2削減の費用対効果を超えるというか、それでは図れない便益があるといったような取組もあると思います。最終的にはそうした便益も含めて、どういうふうに優劣をつけるのかといったようなところを考える必要がございますけれども、まずはやはりCO2削減の費用対効果の可視化といったようなところが非常に重要になってこようかというふうに思います。
 もう一点申し上げたいのが、やっぱり実装に向けてのスピード感といったようなところでございます。米国のIRA、これは補助の手法として税額控除を主体としている、確実に実装されることへの補助といったようなところになろうと思います。我が国の場合、まだ地方の支援といったようなところ、地域への支援といったようなところも、実証というような形、ともすると、やはりばらまきになるといったようなところが見受けられます。こういったところは非常によくないところでございますので、確実に実装される、そういった手法に変えていくべきであろうというふうに思います。そうした中で、面的に大きな社会変革を起こしていくには、山下先生がご指摘になったように、知らせていく、本当はこっちの技術を選んだほうが得なんだけれども、知られていない、あるいは何らかのバリアがあるということも多々ありますので、知らせていくコミュニケーションを充実させるということも極めて重要なんですが、一方で、そうした脱炭素技術、低炭素技術がコストや利便性において勝るという状態をつくるというのが基本的なところだというふうに思います。その意味で、カーボンプライスの議論、これはGX実行会議でもさせていただきましたけれども、その導入を明示されたというのは大きなところだろうというふうに思います。ただ、GX実行会議でも申し上げましたけれども、我が国は明示的なカーボンプライスは小さいものの、オイルショック以降、様々な税制規制を導入しておりまして、自動車関連諸税とFITの賦課金、こういったものを足すと総額ベースでは7兆円近く、t-CO2当たりで、ちょっと雑な計算をいたしますと、6,000円を超える負担を国民はしているといったようなところだというふうに思います。制度設計の詳細、これからのご議論だというふうには思いますけれども、こうしたことをどう反映していくか、あるいは、エネルギー間中立を確保することで、脱炭素化のセオリーである需要の電化を促進するようにする、様々な要件を満たさないと、カーボンプライスを入れれば解決といったようなことでは決してないというところだ理解をしておりますので、この点、様々な目配りをいただきながら、今後議論していただければというふうに思っております。
 私からは以上でございます。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 増井委員、お願いします。
 
増井委員
 まずは、どうもご説明ありがとうございました。こういう形で、全省庁一体となって脱炭素に向けて進んでいくというのは非常にいいことではないかなと思います。
 今回は省庁ということではあるんですけれども、地方ですとか企業も含めてどう取り組んでいくのかということの指針になっていきますので、地域脱炭素のお話、今日説明がありましたけれども、特定の自治体だけではなくて全ての自治体が何らかの形で関わっていく、企業もGXリーグだけではなくて、全ての企業が関わっていくということが重要になってまいりますので、この枠組みをどう広げていくのかということが今後重要になっていくのではないかと思います。
 質問といいますか、コメントとして3点ほどあるんですけれども、まず1点目は、結果として2030年の目標というのが、果たして達成可能なのかどうか。今回、個別にA、B、C、D、Eという評価をされていましたけれども、全体として2030年のNDCの目標というのは達成可能なのかどうか、そういったところについても何らかの見通しというのを示す必要があるのではないかなと思っています。特に役割分担ということで各省庁が個別に評価されていますけれども、そういった省庁間の評価の中での横の連携ですとか、あるいは共通でどういった将来の見通しというのを設定しているのか、そういう前提情報みたいなものもやっぱりきちんと共有、公表していくということが重要ではないかなと思いますので、結果として全体の目標が達成できているのかどうか、その辺りをまず1点お伺いしたいと思います。
 2点目はGXに関してなんですけれども、技術導入の確からしさですとか、あるいはほかの委員もコメントされていましたけれども、いろんな対策の費用がどうなのかといったところ、そういったところに関する情報、見通しというのもできる限り示しておく必要があるのではないかなと思います。もちろんこれ、環境というものがただではないという、そういうふうなことをきちんと一般国民の方々に認識していただく、そういうふうな意味も込めて、やっぱりどれだけの、どれぐらいの費用がかかっていくのかといったところは正確にというか、今の段階でも示しておく必要があるのではないかなと思いますし、また、そういうところが需要側のいろんな技術を選択していくといったときの喚起にもつながっていくのではないかなと思います。
 3点目は、カーボンプライシングの件についてなんですけれども、環境省側のカーボンプライシングの検討会の中で、現在検討されているカーボンプライシングのスケジュールではやや遅いのではないかというような指摘もありました。そういう意味で今現在、今日もご説明がありましたカーボンプライシングに向けた、導入に向けたスケジュールというのが今後早まる可能性があるのかどうか。また、実際賦課金という形で想定されておりますけれども、税率の水準としてどういうふうなものが想定されているのか、その辺り公表のスケジュール、できるだけ早い段階で示していくということが脱炭素に向けたいろんな技術開発に向けて重要ではないかなと思いますので、そういったスケジュール感についても、もし決まっているのであれば教えていただければと思います。
 以上になります。どうもありがとうございました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 続きまして、勢一委員、お願いします。
 
勢一委員
 ありがとうございます。勢一です。丁寧なご説明ありがとうございました。私のほうからは少し全体的なお話と、若干個別の視点について申し上げたいと思います。
 まず、全体的な点については、既に何人かの委員の方からご指摘がありましたけれども、これまでの排出削減の推移のトレンドをどう見るかということがあろうかと思います。直線ラインを延ばしていくと、それなりに順調にも見えるわけですけれども、恐らくこれまで行ってきた施策と比べて、残りの施策は難易度が高めになろうかと思います。そうしますと、各施策に要する費用と時間、あとは作業量、マンパワーなどのパフォーマンスをどのように評価をして、どれを優先するかというようなことが出てくるのではないかと思います。費用という意味では、コストといえば幅広いですけれども、時間とマンパワー、これはかなり制約があるものになりますので、社会に対してどのようなメッセージを出すかという点は課題になろうかと思います。
 2点目としましては、分野、施策、目標間の排出の移行・移転をどのように評価していくかという点は考える必要があるかと思います。コロナを経て、テレワークが増えてきた、今後どうなるかというのもありますし、ウクライナ機器も含めて社会のニーズ、経済の構造、産業の構造が変わってきている。このような中で、どこの排出が別のところにどう移っていくかというようなことも考える必要があるかと思います。同時に、再エネの導入である程度相殺できるようなものはどこかというような部分も検討が必要だと思います。多分野のシナジーが重要というのは、既に議論が出ていたと思いますけれども、どこがどう変わっていくかは、恐らく走りながら見ていく必要があろうかと思いますので、施策に取り組む現場と問題、課題を共有しながら、現場の地点からシナジーを新しく見つけていくというようなことをしっかりやっていく必要があるのかなと感じました。
 3点目としましては、地域脱炭素との連携がやはり重要であろうと思います。国民レベル、中小事業者、こういうところに個別の行動変容を国の施策として働きかけるのは、なかなか難易度が高い、効率がよくない部分があろうかと思います。特に中小企業への支援ということで、先ほど経産省さんのほうからは経産省と環境省の施策を連携してという、非常に心強いコメントをいただきました。非常に重要な視点でございますが、具体的に現場でどのようにそれが実現できるのかというところが肝になろうかと思います。ですので、可能な限り政策、施策の立案や設計時から各省で連携をしていただいて、ユーザー目線で活用しやすい施策の組立方をご検討いただければありがたいと思います。
 また、地域脱炭素は、今自治体が主体となって取り組む地域のチームプレーを進めているというようなところがございます。こことうまく国の各省の施策を連携していくというようなこと。特に建物の省エネとか太陽光パネルの設置などというのは、法律や制度がまた異なってきていますけれども、地域ごとに地域空間の脱炭素化を目指すという意味では、まちづくり自体の低炭素化を考えてもらうという意味でも、地域との連携というのは強化をしていただきたいと思います。
 あと最後ですけれども、成長志向型のカーボンプライシング、非常に経済的には麗しいキーワードで理想だと思いますけれども、既にご意見がございましたが、コロナやウクライナなどで国際動向は急激に変化をしておりますし、エネルギー安全保障としてどう考えるのかというのは、各国かなり喫緊で取組をしているところだと思います。日本のスケジュール感が今の予定で間に合うのか、あるいは、早めるというようなことが必要なのか、この辺りは社会・市場に対してどのようなメッセージを出すかということにもつながってくるかと思いますので、適宜検討が必要かなと考えております。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、折茂委員、お願いします。
 
折茂委員
 まず、このグリーントランスフォーメーションというところ、これは国を挙げての取組であるというふうに委員の皆様からもご発言がございましたけれども、理解しております。そういった観点で、関連する省庁の皆様が一堂に会してこういった会合を持つということ、非常に貴重な取組だというふうに理解してございます。その上で、私のほうから少し引いた目線でといいますか、2点ほどお伝えをさせていただきたいと、コメントさせていただきたいと思います。既に何名かの委員の方々も触れられた点も含まれておりますが、2点ほどお話しできればというところです。
 1点目でございますけれども、これまでのところ、各施策、一定順調に、D、E評価のものもあるものの、一定程度順調に進んできたというところは理解してございます。一方で、ここから2030年、2050年というところを見ていきますと、当然のことながら技術の進展の変化ですとか、あとはウクライナ問題も含めた各種地政学的な変動、こういったところによって、今想定している施策から出てくる効果ですとか、難易度ですとか、こういったところは恐らく見直しが順次必要になってくるのではないかというふうに考えてございます。例えば、技術の進展が進んだものにつきましては、今の目標値よりもっと高いレベルのものを求められるかもしれないですし、一方で地政学的な変化によってなかなか効果を出しにくい施策というのも出てくるのではなかろうかというふうに考えてございます。そういった中で施策の実行主体としては、これは今の監督官庁の皆様、関連する省庁の皆様のほうで行われるというところはあると思いますけれども、一方で、この施策の目標感ですとか、どこに、日本国全体として軸足を置いた施策にしていくのかというところは、常にこの横串を通した会合等々で各省庁連携をしながら目標値の見直し等も進めていっていただきたいなというふうに考えてございます。それが、ひいては2030年、2050年の日本国全体としてのネットゼロの実現というところに資するというふうに考えておりますので、まず1点目、コメントをさせていただきました。
 そして、2点目ですけれども、これをどう国民、産業界に伝えていくのかというところでございます。非常に丁寧に詳細に分析をし、施策を打っていくということは、しっかり数字を積み上げていくということでは非常に重要なことだというふうに考えております。一方で、一国民ですとか一産業界からすると、多くのことを言われても、なかなかそしゃくし切れないというところも、これまた真理ではないかというふうに思います。そういった観点で、ここまで幾つかのキーとなるような指標をきちんと世の中にうたっていって、多少粗くてもいいかもしれませんけれども、例えばこの三つの指標、ここに対して毎年どれだけの進捗があったのか、また、ここから数年の主要施策はこれであると、こういった非常にシンプルかつ分かりやすいメッセージというものも国民に訴えていく。これこそが国としてカーボンニュートラルというところに立ち向かっていく上で重要ではないかというふうに思いますので、対国民というところへのコミュニケーション、シンプルなコミュニケーションというところも2点目としてコメントをさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、高村委員、お願いします。
 
高村委員
 まず、こうした形で経産省さん、環境省さん合同で、かつ国交省さん、農水省さんからも関連施策のご報告をいただいて、どうもありがとうございます。2021年度の時点での計画の実施がどういうふうになっているかという、全体の進捗を見るという意味では、非常に貴重なデータの整理であり、資料をまとめていただいていると思います。その上で、一つはやはりフォローアップの仕方と、それから、フォローアップから踏み込んだ少し個別の課題について発言をさせていただこうかと思います。
 1点目は、フォローアップの在り方について、何人かの委員からもご指摘がありましたけれども、今回のように全体の進捗をなべて評価もしながら進捗を見るという、これは削減目標との関係でも非常に重要だと思います。他方で、やはりどうしてもフォローアップが評価の数値に、アルファベットのままで評価だけでなく、やはり期待するのは、施策は間違いなくこの間打っていただいているので、その施策の効果が本当に出ているのか。効果が出ているとすれば何が教訓であり、逆に、出ていないとすると何が課題なのか、対策はやはり次に進めていくためのフォローアップを進めていただきたいというふうに思っております。これは山下委員などがご指摘の点は同じ趣旨かなと思って伺っておりましたけれども、明らかに排出量が多い、あるいは今後に向けて対策の強化が必要、あるいは進捗の改善が必要といった、一種重点的に対応が求められる分野というのは、今回まとめていただいたところからも見えてきているようには思っていまして、やっぱりそこのところで施策のどこに課題があるのかということを、施策の進捗を評価するだけでない、踏み込んだ分析が必要ではないかというふうに思っております。幾つか、多分皆さん共通して思っているところは、恐らくエネルギー分野でいくと、まずは電力の脱炭素化をどう進めるかということだと思いますし、あるいは需要側のところでいきますと、もちろんここだけではありませんけれども、住宅や建築物、これは新築についてはかなりの施策を導入する方向性を温対計画でも入れていただいていますが、既築も含めてどういうふうに加速していくかというのは、やはり排出の構造からいっても非常に重要だというふうに思っております。今の、例えば例示ですけれども、申し上げたかったところは、今後施策を強化すべき分野と思われるところについて優先順位、あるいは重点を明確にした要因分析をし、次の施策につなげていただくようなフォローアップをお願いしたいということであります。
 二つ目が、その上でも、本日は一緒にやっていただいているのは大変ありがたいと申し上げた理由でもありますけれども、こうした重点分野と思われる領域というのが、関係省庁がやはり連携をしていただかないといけない分野が多いかと思います。例えば、電力の脱炭素化、低炭素化というところでいくと、再生可能エネルギーの導入拡大というのはエネルギー基本計画でも書かれているわけですが、その中でもやはりこの間、経産省さん、それから環境省さん、総務省さん、国交省さん、農水省さんが連携をして、やはり再生可能エネルギーがいかに地域で共生した形で導入できるのか。適正な規律の導入も含めて進めてらっしゃると。住宅、建築物も、ご存じのとおり、そうだと、連携してやってらっしゃると思います。そういう意味で、先ほどのフォローアップ、次の施策につながるフォローアップという意味でいくと、関係省庁間の連携がやはり必要だという点です。特に今申し上げたところでいくと、再生可能エネルギー、これは確かに増えてきましたけれども、足元の伸び率は2020年から21年で0.4%にとどまっている状況です。これがさらに増やしていくための地域共生型の再エネ導入の様々な検討につながっていると思いますが、今申し上げたように、足元での進捗を見る中で、次に打つべき施策を検討して、しかも関係省庁で連携して進めていただきたいということの一つの例であります。
 3点目は、個別の施策に関わりますけれども、2021年度の排出実態を見てまいりますと、これは先ほどご説明があったように、20年度が特にコロナの影響で需要が低減をして、一種コロナからの復興の中で増えたということでありますけれども、フロン系の排出量は着実に、残念ながらそれとはかかわらず増えていまして、何人かの委員からフロン対策についてありましたけれども、ここはぜひ、一つは回収の問題もあるんですが、しかし、市中に滞在する製品寿命等を考えると、やはりいかに上流を効率的、効果的に転換していくかというところをしっかり連携して、回収と上流とをやっていただく必要がある対策だと思います。ここはぜひ深掘りをして、深掘りというのはフォローアップを踏まえて対策の深掘りを検討いただきたいというところです。
 最後は、JCM、J-クレジットについてです。今回、G7の気候・エネルギー・環境大臣会合で、質の高い炭素市場についての原則というのをまとめていただいていると思います。やはりこれはICAOのCORSIAもそうですけれども、そうしたクレジットの市場を作っていく、あるいはクレジット市場を作っていくというニーズは非常に高くなっていると思っていまして、こうしたG7の原則を踏まえた、改めてJCM、J-クレジットの見直し強化をお願いしたいと思います。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございます。
 それでは、またここで事務局から幾つか回答をいただきたいと思いますが。
 では、よろしくお願いします。
 
脱炭素社会移行推進室長(伊藤)
 環境省の伊藤でございます。まずは全体のところを私からご回答したいと思います。
 特に評価の在り方ですね、多くの方々からご意見いただいております。また、増井委員からありました、今そのA、B、C、D、Eの達成の見通しを評価しているかというところは、率直に申し上げると、今日の分厚い資料の中で、個票には幾つかコメントがあるところはありますけれど、全体としての評価というのはいたしてないというところであります。2030まで残り六、七年という状況なので、何か工夫ができればなというふうには思っている次第です。委員の何名かから少しお褒めいただいています、今回初めて農水省さんや国交省さんにも入っていただいて、こういう形でやり始めています。ちょっとどこまで評価の在り方までいろいろ考えていけるかというのはありますけど、関係省庁連携して考えてはいきたいと思っています。
 その上で、費用対効果のお話であるとか、特に今後より個別施策で難易度が高いものであるとか、高コストになるようなものが多く残されているのではないかというご指摘もいただきました。温対計画のフォローアップ自体は施策の積み上げで46%積み上げているものの進捗を確認するというのが基本にはなっていますけれども、繰り返しになりますけど、その上で何か工夫ができるところがあれば考えたいと思います。
 ご案内のとおり、GXにつきましてもフォローアップという形が恐らく始まると思いますので、そこは経産省さん中心に、同じように関係省庁連携して、どういった形で評価をしていけるかというのを考えられればと思います。加えて、国民にどう伝えていくかというのは、必ずしも、また同じもので伝えていくということでもないかもしれませんけれども、同じくここも特に普及啓発は環境省としてもしっかりやっていきたいところでありますので、今日のご意見などを踏まえながら考えていきたいと思います。
 取りあえず私からは以上です。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 カーボンプライシングの話、あとはGXの話が、竹内委員、勢一委員等々から出ておりましたので、経産省さんからお答えをお願いいたします。
 
経済産業省産業技術環境局環境政策課環境経済室企画官(内野)
 経産省の内野でございます。まず、何名の委員の方からエネルギー安定供給に関しましてコメントいただいていたかと思います。時間の関係もありまして、今日、私のご説明のほうからは割愛させていただいたんですけれども、資料5の4ページにあるとおり、GXの実現に向けた基本方針の中で、大きく(1)、(2)とございまして、(1)のほうが、ちょっと今日はご説明させていただけなかったんですけども、エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXの取組ということでございまして、関連法案につきましても二つ、カーボンプライシングを含むGX推進法案とは別に、GX電源法案というものも提出をしてございまして、委員の方からご指摘いただいたように、昨今のウクライナ危機もございまして、エネルギーの安定供給の確保、これは従来から非常に重要なこととして位置づけてきたわけでありますけれども、また改めて重要性を再認識したということでありまして、その実現に向けた取組をしっかり進めていくというところ、これが一つでございます。
 それから、政府の支出、GX移行債20兆円含めて、この使い方についても何名かの委員の方から言及いただいたかと思いますけれども、この使途の関係につきましては、GX基本方針の中にも記載してございまして、基本的な考え方としては、一つ民間企業のみでは投資判断が困難な事業を対象にするということ。それから、もう一つ重要なのは産業競争力の強化、経済成長、それから排出削減、このいずれにも貢献するものであって、市場規模ですとか削減の規模、この大きさもきちんと勘案すると。それから、GXの達成に不可欠な国内供給の必要性、こういったことを総合的に勘案して、優先順位をつけて、優先順位の高いものから支援をしていくということを基本的な方針にしてございまして、今申し上げたことも含めて、今後検討をしていくということでございます。
 それから、カーボンプライシングの負担の在り方、水準等につきまして、今後制度の詳細な設計というのを検討していくというのは竹内委員からもご指摘があったところでございまして、1点、増井委員からスケジュール感についてご質問があったかと思いますけれども、これは2年後を目途に再度法律を出すということになってございまして、当然法律を出すに当たっては様々な場において検討を深めていくということになると思いますので、そのプロセスにおいてもご議論いただきながら進めていくということになっていくんだと思っています。いずれにしても、2年後にもまた法律を出すということでございます。
 以上でございます。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 ありがとうございます。
 それでは、先ほど勢一委員から、地域の脱炭素、中小企業との連携というお話がありましたので、地域グループからお願いいたします。
 
地域政策課補佐(三田)
 大臣官房地域グループの三田でございます。先ほど自治体とか中小企業との連携、ユーザー目線で使いやすい施策の検討というお話がございました。政府全体として、温対計画にも記載しておりますけども、地方環境事務所を中心に現場レベルで他省庁さんの地方支分部局と連携しながら、地域のニーズに応じた脱炭素の支援を行っておるところでございます。特に中小企業に関しましては、地域ぐるみで脱炭素化を支援するために、商工会さんですとか地域金融機関などの支援機関と連携した、モデル的な取組を創出するべく環境省として取組を進めておりまして、経産省さん、中小企業庁さんなどともしっかり連携しながら、さらに取組を進めていきたいというふうに考えてございます。
 以上です。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 ありがとうございます。
 では、高村委員からJCMの関係のご質問がありましたので、インフラ参事官室、お願いいたします。
 
国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官室参事官補佐(増田)
 先ほど、高村委員のほうからご指摘がございました、G7、気候・エネルギー・環境大臣会合等におけます質の高い炭素市場の議論と、またそういったものを掲げたクレジット市場を作っていくことについて不断の見直しをということなんですけれども、まさにおっしゃるとおりでございまして、先日のG7大臣会合で採択されました二重計上防止等を含みます質の高い炭素市場原則というものを体現する取組といたしまして、環境省といたしましては、昨年のCOP27におきまして、西村環境大臣のリーダーシップの下、6条実施パートナーシップというものを設置しております。こちらについてはUNFCCC事務局ですとか世界銀行などとともに取り組んでおりまして、現在メンバーとしては国や機関を含めて100以上が参加しているものとなっております。また、JCM自体のルールにつきましても、COP26での6条ルールを踏まえまして、既存国とのルール等において二重計上の防止等を明確化する等の取組を行っているところでございます。引き続き質の高い炭素市場をリードしていくべく、日本政府としてもリードしてまいりたいと思います。ありがとうございます。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 ありがとうございます。
 再エネ関係も各省連携という話がありましたので、もし温対課からあればお願いいたします。
 
地球温暖化対策課長(井上)
 私が再エネ全般を述べるべきかどうかあれなんですけども、高村先生ほかからいろいろご指摘いただき、ありがとうございます。いずれにしても電力の脱炭素化に向けましては、再生可能エネルギー、あとは原子力発電を含めます非化石電源、そういったものを伸ばしながら、いわゆる石炭、天然ガス等の化石燃料由来のものを依存度を減らしていく、そういった取組を通じて電源の脱炭素化ということを図っていくものだと思います。その際には、もちろんエネルギーの安定供給、あとサプライチェーン、そういったものへの配慮等々も加えながら、まさに成長しながらこういったカーボンニュートラルの実現ということは重要だと思っております。
 加えまして、再生可能エネルギーに関しましては、先ほど高村先生からありましたけども、関係する省庁で、むしろ再エネの地域に披瀝する、そういった事業規律、そういったことも考えながら、どうやって再エネを伸ばしていくかということで、関係省庁まとめての検討会も行っております。
 あと、加えまして、今年の4月になりますけども、再生可能エネルギー、あと水素の関係閣僚会議におきましても、再生可能エネルギーの関係省庁連携という観点でのアクションプランというものも取りまとめておるところでございますので、引き続き関係省庁連携しながらやっていきたいと思います。ありがとうございます。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、また委員のご質問に戻りたいと思います。
 堀井委員、野村委員、田中委員、石上委員、鶴崎委員の順番で、まず、堀井委員からお願いします。
 
堀井委員
 どうもありがとうございます。大きな点二つ、それから小さな点二つほどございます。
 まず一つ目は、成長とそれから排出の関係ですが、日本以外の先進国では長期トレンドとして成長をしつつ、かつCO2の減少を両立しているという状況があります。それに対して、日本は成長が今のところ比較的低調で、かつCO2の削減も、ほかの先進国に比べると若干遅れているというところがあると感じております。そう考えると、先進国における成長というのは量的な成長ではなくて質的な成長、つまり量を増やしてCO2を増やすのではなくて、新しいものを作る、あるいは、より多くの選択肢を作るという形にシフトしてきていると思います。ですので、日本もその方向に進んでいくことが非常に重要だと考えています。経済理論の中でも内生的成長理論ではそういうことを考えています。
 その質的な成長を進めるためにも、新しい技術とかイノベーションを生むことが必要ですが、そのイノベーションがより環境に適合したものになる、具体的にはCPとか、あるいはカーボンニュートラルを反映したものになるという形で、新しいイノベーションの方向をコントロールすることで、成長とカーボンニュートラルを実現していくというのがいいのではないかと思います。
 ただ、問題としては、規制があるという場合は、どうしても規制がない場合に比べるとイノベーションの利益率を下げるということになる場合があるので、それを打ち消すための支援策が必要と思います。つまり、その規制がある状況でも、イノベーションのインセンティブは高いというような形にするための支援策が大事だと思います。そのための例としてGX債、成長志向型CPというのは非常にいい例と思います。
 ただ、重要なのは、幾つかの委員からのご指摘もありましたけれども、支援策が真に革新的なイノベーションに向かうというところが重要で、万一ばらまき的な感じになってしまうと、従来企業とか旧技術を温存する形になってしまって、かえってトランスフォーメーションを遅らせるという形にもなってしまいます。実際、日本の場合は、バブルが崩壊した直後でも、実は企業の廃業率というのは世界最低レベルで、なかなか新陳代謝が進まないという状況があります。ですので、私としてはGX投資や債務保証は良いこととは思いますが、いかに新技術へ向かわせるかということをぜひ真剣に考えていただきたいと思います。なかなか形式的な審査では難しいと思いますし、特に新技術とかイノベーションという挑戦は、失敗することも当然あり得るわけですよね。確実にできるのが分かっているようなことは、むしろ新技術とは言えません。ですので、そういう不確実性があっても、可能性があるものにどんどんかけていくという形で、いかに投資ができるかということをぜひ進めていきたいと思います。
 ただ、政府でそういうことをうまく審査できないという場合においては、例えば、一つの海外の例ですけれども、ベンチャーキャピタルを活用して、ベンチャーキャピタル自身が審査を行って、有望なところに投資を行う。その中で失敗するものも成功するものもあるけれども、全体としていかにそれが成長とGXに向けて進んでいるかを政府が審査してベンチャーキャピタルを支援する形もあり得ると思いました。
 2番目ですけれども、新しい成長をさせていくということの中で、古い技術とか企業をいかに退出させていくかということも、特に重要になってきます。特に日本の場合は人口も増えないし労働力も下がっている。その中で、新しい企業や新しい技術を生もうと思うと、古いものをだんだん引退させないといけません。その際、問題としては、古い技術に関わっている方、古い企業にいる方のDXとかGXに対する反対や抵抗運動が有り得ます。その意味で、Just Transitionは良い考え方だと思いました。具体的には人材移行とか、人的資本の投資ということがありましたけれども、労働者が損をしないような形で、より賃金が高い職へ移行するという形で、自ら臨んで新しい技術、新しい企業へ移るという形になるように、ぜひ施策を進めていただきたいと思います。
 あるいは、産業間の人材移動に限らず、企業内でも人によっては従来のやり方を守りたいということで、GXやDXに対する隠れた抵抗もあるようです。企業の体質としても、旧来のやり方が温存されないように、新陳代謝を進めてほしい。ですので、繰り返しになりますが、政府からの支援というのが既存企業・既存のやり方の温存ではなくて新しい企業・新しい手法、特に高賃金で新しい技術を使うような、そういうポストとか職が増えるような形になるように、ぜひ進めていただきたいということです。
 あとは細かい点ですけれども、ZEHとかZEBについて、新築においては省エネ化が義務になった。それから、2030年には平均的にZEB-Readyに向けていく。非常にいいことだと思います。ただ、高村委員からもご指摘があったように、住宅取得というのは中古比率が上がっていまして、長寿命化も進んでいる。先進海外ではもともと日本よりもずっと中古住宅の比率が高くて長寿命化もしています。むしろライフサイクルコストで考えれば、長寿命化というのはいいことなので、それ自身は問題ないと思います。ただ、今の施策というのが、新築住宅のGX化に傾いているので、やはり既存住宅の環境性能というのを向上させていくというのにもっと力点を向けていくべきではないかと。新築については一定の割合を、例えば太陽光パネルの設置とか、あるいは環境性能を満たすようにするという目標がありますけれども、中古住宅、既存住宅についてもそういうふうな数値的な目標を作って進めていくということが必要です。ただ、中古の場合は、民間の所有権、財産権があるのでなかなか難しいという話を聞きますが、どこの先進国においても同じような状況はあるわけなので、日本だけはできないというならば、例えば法制度も含めてどこを改善する必要があるかということを検討して、時間をかけてでも進めていってほしいと思います。
 最後、細かい点ですけれども、CPや再エネ賦課金は2032年ぐらいでピークアウトをされて、その後だんだん負担は減らしていくという話がありました。この負担というのは、通常、税率掛ける排出量に依存しますが、その全体を下げるという意味なのか、それとも税率自身も下げるという意味なのかというのをちょっと教えていただきたいと思います。というのは、最終的にはカーボンニュートラルに向かうので、排出の量は減るので税額は減りますが、税率まで減らしてしまうと、またカーボンニュートラルに逆行する可能性があるので、これについてどちらなのかというのを教えていただきたいと思います。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございます。
 では、続きまして、野村委員、お願いします。
 
野村委員
 ありがとうございます。ちょっとお時間もあんまりないでしょうから、2点だけかいつまんでお話しさせていただきたいと思います。
 第1は制度面の懸念です。かつては自主行動的な対策のフレームワークにおいて、原単位での目標など、エネルギー多消費産業も成長と両立し得るような目標設定がありましたけども、2030年目標もマイナス26からマイナス46ということで先鋭化していくなかで、その目標設定も変わってしまいました。目標を排出削減量そのものと変えていくことは、それが国内の生産を削減して、外国に持っていっても実現できます。むしろそうしてまでも削減せざるを得ないという水準の目標へと変わってきています。
 本来10年とか15年ぐらいかけて10%ぐらいの削減ですと、比較的まだ弊害も少なく、こうした自主行動的なフレームワークもそれなりの有効性があったのかもしれません。ですが目標が先鋭化し、かなり大きなボリュームのものを削減することには本来合うような制度ではないと思います。安価な対策技術は限られますので、国内生産を犠牲にする不必要な空洞化をもたらしている懸念があります。企業レベルでは声高には言いませんが、その弊害はもはや大きく出てきているということを強く感じます。
 カーボンプライシングという制度も全くそうなのですが、本来でいえば10%ぐらいの削減であれば機能し得ると思います。しかしそれは現行政策などの上に追加的に行うものではないのです。先ほどの自主行動的な制度を明示的なプライシングに置き換えるということならば良いのですけども、それに上乗せして、それ以上の削減を目指すという意味では弊害は極めて大きいと思います。なぜならば、それは一国だけの問題ではないからです。自主行動的に陰伏的に削減努力を課していたところに、さらにプライシングで明示的にも賦課を課せば、合計した限界削減費用というものは世界の水準を大きく超える可能性が高く、カーボンリーケージと国内のデフレ圧力を生じさせます。これまで20年、これを繰り返してきたから、世界全体のCO2は削減されていないのです。国際的な削減努力の程度と大きくずれてやるわけにはいきませんが、制度としての全体の設計図が見えなくなってきていると思います。
 第2番目なんですけども、いろいろ今日のお話を聞いていても、主張はさんざんあるわけですし、その中に個別の分析というものもあるわけですけれども、もはや30年取り組んできたこの問題そのものが厄介であることの性格、問題の難しさの源泉はつねに忘れられてきているように思います。過去を理解しないで根拠がないままに楽観視したり、あるいは意思の問題へとすり替えたりされるわけですが、いま必要なことは冷静に総合的に分析することです。
 総合的に見ますと、もう既にカーボンリーケージみたいな、先ほどのお話は懸念ではなくて、この20年起きてきたことです。2020年の目標も、その10年前にさんざん議論して描いたわけですが、私のものを含めていくつかのモデル試算がありましたが、当時マイナス25%削減によっては、マイナス6%ぐらいのGDPの下落になるのではないかという予測でした。実際、それはすでに過去となって実績データがあるわけですが、(当時想定していなかった原発事故やコロナの影響を考慮して)私のほうでニュートラルに計算してみましても、だいたいマイナス15%ぐらいの削減が、日本経済ではGDPおして5%ぐらいの機会を失うことで実現したのではないかと捉えられます。その目標の10年前の政府の検討でも、国内排出削減がむしろ経済成長にとってプラスであるとする願望が存在していたわけですが、麻生政権時における当時のモデル予測はだいたい合っていたと言えます。昨年、内閣府はグリーンGDPを公表しましたが、過去10年におけるこうした削減量とGDPロスとの数量的な評価は、その推計値ともだいたい整合していることをお伝えします。
 将来は過去とはまた違うわけですが、諸外国で脱炭素の動きが加速するときも、あるいはまたそれが減速するときも含め、どういう状況になったときに生産性リスクはどれほどまでに拡大しうるのか、エネルギー転換によっては日本の雇用の質は低下するのか、テクノロジーの進展等も含めて総合的な評価をしていく必要があります。これはモデルによる試算評価だけではなく、利害関係から離れた総合的な評価が必要であり、政府が不得意なものです。政府からは少し離れ、第三者評価として、先ほど、最初の大橋委員長のプロジェクトマネジャー的な話もありましたが、そういう分析評価をぜひやるべきと思います。ありがとうございました。
 
下田委員長
 田中委員、お願いします。
 
田中委員
 まず、私は工学がバックグラウンドということもありまして、技術偏りの意見から入らせていただけたらと思います。技術に関してお話しされていた堀井委員のご意見、もっともだと思いつつ聞いておりました。その他の視点をこちらで今、提供したいと思います。
 技術やイノベーションについては全てのセクターに期待されていると思いますし、もし気候変動のみならず、今後SDGsという話をするならば、ある意味、言い方は極端ですが半永久的に肝になるのではないかと思っています。学術界、あるいは産業界が技術革新、革新的技術についてもハード面や、あるいはその使い方という意味でのソフト面とか、様々な取組が今後も進められるような政策にしていただきたいというのが根底にある思いでございます。
 全世界で脱炭素ということになりますと、様々な脱炭素技術は今後「汎用技術」になっていきます。メインの技術そのものや周辺の設備、さらにそれらを製造する装置や、それを特別に試験する装置などもあります。脱炭素技術に係る特許を見ておりますと、かなりの日本企業が、今申し上げたような様々な切り口の、広い範囲の技術分野で特許を非常に多く取得している。もちろん技術力は特許だけで表されるものではないと思います。その裏で研究開発に取り組んでくださっているんだろうというのが分かります。それなのに、なかなか世界で日本企業が席巻しているように見えてこないという状況があります。世界情勢や地政学ももちろん影響するわけですがそれはさておき、今言ったようなメインと周辺を含む技術全体の研究開発のアウトプットそのものが、グローバルに必要とされて、企業に利益として戻ってくるようにする必要があると思っています。2050年の全世界脱炭素技術汎用化までの間に、いかにスタートダッシュで動いて、5年、10年密に動いていくかというのは非常に重要だと思っています。そこに今回のカーボンプライシングはとても重要なわけですし、それだけではなくて、金融もそのような力を引き出す動きが重要だと思っていて、それにアドレスするような政策も出していただいていると思います。ただ、さっき申し上げたように、政策としては政策枠組みや政策の対象の部分で効率をいかに高められるかを目指していただき、対象から外れるような取りこぼしがないような感じでぜひお願いしたいと思います。また、こういった政策そのもの、あるいは民力、あるいは金融など、それらを動かす力というもののほかに、やはり鍵になるのは、評価にまつわるデータ整備です。非常に重要だということは言わずもがなだと思いますが、あえて触れさせていただきます。いわゆるScope1、2、3、の枠組みだけではなくて、カーボンニュートラル実行計画フォローアップでも取り入れられていただいているような他部門の貢献など、さきに述べました、メインと周辺といった技術導入ネットワークそのものに、意味ある規模でアドレスできるようにデータが連結していくということが重要だと思っています。散在する大小ふくめたデータ全部ということではなくて、本当に意味ある範囲でしっかり押さえていくということですね。再エネがひもづいた電源かどうかというようなところ、非化石証書とかも含めて検討していただいていますが、それももちろん入る内容になるかと思います。結局、縛るためのデータ整備ではなくて、可能性を追求して貢献を正当に評価できるようにするために必要だと思っています。評価ができないと、結局削減コストを負うのみで、よいことがない、あるいはマイナスにもなるとなるとダブルパンチにもなってしまいます。これまでもその重要性から方々で進めていただいているというのは存じておりますが、より目的に合わせて効率を高めていただきたい。今回のグリーントランスフォーメーションの20兆円ですとか、その次の150兆円の支援が、意味ある効果が出るかと判断するためにも、そしてさらに進めるためにも必要なことかと思っています。
 2点目に、過去何回かこの場や様々な機会で申し上げさせていただいていますが、産業構造の大幅な転換、そして、それによる就労構造の変化というのを想定されるような脱炭素社会への移行に伴っての人材育成や教育、特に私は初等教育だと思っておりますが、他、リスキリング、リカレント教育が重要だと発言してまいりました。今日はご説明がなかったのですが、最近は注目していただいているような政策提案が出てきて、うれしく思っています。IPCC第6次評価報告書のサマリーに、今後の各年代に、どの時代に生まれた子どもが、どの時代に壮年になるか、そして、気温上昇の影響がどのレベルでいつ頃現れそうかなど、視覚的に分かるような資料があります。子孫が影響を受けるからとか、そういうありがちなきれいごとを言いたいわけではなくて、いかに子孫の代まで自分事としてできるようになるか。自分事とできるように教育して、そのための仕組みを今から作っていけるかということに力点を置いています。私はその視点が重要だと思っておりまして、実際に、2050年までに中心となる世代の人たちをどう巻き込んでいくかというところだと思います。GXリーグとかカーボンプライシングは、この自分事化に貢献することだとは思っています。GXとデジタルトランスフォーメーションとの統合も、現場の経験と最新のデジタル技術の統合にもなるわけですし、ある意味、あらゆる世代間の融合とか最適化にもつながると思います。この辺り、人材に関する政策立案にぜひ今後も踏まえて、しっかり進めていただきたいと思います。これは本当に複数省庁にまたがるテーマだと思いますが、現状の政策提案ではそう捉えられてないようにお見受けするので、あえてここで申し上げさせていただきました。よろしくお願いします。
 最後に短く申しますと、さきにも触れましたけども、カーボンプライシングに関連してですが、20年以上前にこの辺りの話が出ていたときは、排出権取引などを含めて、このように俎上にのるということがなくて隔世の感がございます。ほかの委員もおっしゃっていただいたように、今後、制度設計を注意深くしていくのかとは思いますが、このように価値自体が変容することで、自発的に、自主的に進む取組というのは増えることを期待しておるところです。ただ、このままで進むのか疑問に思ったのがnon-CO2の部分です。環境省様からのご説明に、フロンのご説明がありましたが、カーボンプライシングに係る仕組みにおいて、化石燃料がスタートになっているように見えたんですけれども、理解が不足していたらすみません、もし入っていないようでしたら、やっぱり今後こちらの仕組みも上手にカーボンプライシング、その他グリーントランスフォーメーションのそういった仕組みにも上手に非CO2、non-CO2ガスについても組み入れられていただければいいかなと思います。
 以上です。
 
下田委員長
 石上委員、お願いします。
 
石上委員
 今国会で成立しましたGX推進法の関係なんですけど、様々な国会議論が行われて、附帯決議がつきました。その内容につきましては、分野横断的課題に対応するための省庁横断的体制の整備。そして、失業なき労働移動のための重層的セーフティーネットの構築。政労使を含む社会対話の必要性。カーボンプライシングの詳細設計の透明性の確保。中小企業への移行支援などについてであります。そういった意味では、今後のGX推進戦略の策定など、政府の政策の検討において、こういった議論を受けて、ぜひ対応をお願いしたいというふうに思いますし、日本以外では、こうした内容をNDCに取り込んでいこうという動きもあると聞いておりますので、今後の課題だというふうに思っております。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、鶴崎委員、お願いします。
 
鶴崎委員
 鶴崎です。ありがとうございます。時間も過ぎていますので、手短に2点。
 一つ目が、進捗管理の観点です。昨年度この会合を私、産構審のほうで出ておりますので、経産省だけの議論に参加させていただいたんですが、やはり全体像がなかなか議論できないというのが難しいなと感じていたので、今回また合同会合に戻ったということで、よろしかったと思いますし、また、国交省さんや農水省さんからもお話がありましたので、非常に参考になりました。
 欲を言えば、追加的にお願いなんですけれども、やはり資料3を見ていますと、転換部門、とりわけ電力の、電源の低炭素化の影響が非常に大きいということは明らかでありまして、その不確実性に関しても原子力の再稼働などいろいろございますので、その左右する領域が非常に大きいということもありますので、この辺りの議論の状況ですね、恐らく資源エネルギーワーキングですとかその他の会合で議論されていることだとは思うんですが、この場でも簡単にご紹介していただくと、より議論がしやすいのかなというふうに思いました。
 もう一点は、対策に関してですけれども、コストの評価が非常に重要であるというご意見がほかの委員の方々からもございました。また、コスト以外のバリアもあって、なかなか費用対効果あっても対策が進んでいかないということもあろうかと思います。そういったところに関しては、特に消費者、それから中小事業者に対して多いわけですけれども、そこに関して普及啓発ですとかコミュニケーションを強化していくということはもちろん必要なんですが、それに加えて、一歩踏み込んで、消費者や中小事業者の身近で、そこに関わって活動している事業者の方々から、より強力な働きかけが必要ではないかと、そういう仕組みが必要になっていくのではないかと感じています。そうして長期的な観点で最適な選択をする消費者、あるいは中小事業者がいかに増えていくかということが大事だと思いますので、そうしたご検討もいただければと思います。
 以上です。
 
下田委員長
 ありがとうございました。ちょっと時間が超過してしまいましたが、最後に私から少し申し上げて、終了とさせていただきたいと思います。
 本日、各省庁からの取組を伺わせていただいて、GXに向けていろいろな施策が進んでいる、あるいは、建築に関して、新築対策がしっかり進んでいるということで、2050年に対して着実に各政策が進んでいるということは実感いたしました。
 このフォローアップの目的、私自身で考えますと、一つは次の温対計画ですね、その今後の計画を立てていく上で各政策を評価するということで、その点に関しましては各委員会から費用対効果ですとか、あるいは施策の難しさですとか、そういうことに関するご発言がいろいろございました。
 私が思いますに、もう一つ目的があって、やはり2030年目標の46%削減をちゃんと達成しないといけないということでございまして、この点は、本日出てきました10ページのグラフを見ますと、真っすぐな直線から少し上に出たところに2021年には来てしまったということがございます。あと7年しかない中で、どうまとめていくか。例えば、これ、部門別に直線で引いてみますと、業務そのほかとか、あるいは家庭とか、それからエネルギー転換部門、それからフロン類と、この辺りが遅れているわけでございますけれども、先ほどからお話のあった、AとかEとかにこだわらず、あるいは、その部門にこだわらず、2050年に通じた適切な施策をスピーディーに追加なり変更していくことによって、2030年をまず達成しないといけないというふうに考えております。そのマネジメントを、省庁連携の下しっかりやっていくということが、この後2035年とか、2040年とか、2050年まで続く温室効果ガスの削減対策に非常に大事になってくるんじゃないかというふうに私は思ってございますが、その辺の、もし準備に関するご見解があれば、教えていただきたいなと思いました。
 以上でございます。
 それでは、事務局からご回答をお願いいたします。
 
脱炭素社会移行推進室長(伊藤)
 環境省脱炭素室の伊藤でございます。下田委員長からありました、次の目標というところでございますが、率直に申し上げて、そこは何か大きく政府全体で目だしをしているという状況ではないので、先生からもありましたとおり、今日のご議論も、まずは、この瞬間は2030年度の46%に向けてのフォローアップをいただきながら、これはもう政府全体のお話でございますので、いろんな世界の動きも見ながら、我が国の次の目標、NDCを含めてどう考えていくかということをしっかり検討してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 では、堀井委員、野村委員のほうからGXに関係してご質問がありましたので、経産省からお願いいたします。
 
経済産業省産業技術環境局環境政策課環境経済室企画官(内野)
 堀井委員から資料5の7ページについてご質問いただいたかと思います。こちらはあくまでイメージということなんですけれども、これは税率ということではなくて、この7ページの一番上に書いているとおり、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていくということでありまして、これは事業者当たりということではなくて、日本全体での総額ということです。これを中長期的に減少させていく、そういった中でカーボンプライシングを導入させていく、そういうことでございます。
 以上です。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 ありがとうございます。
 先ほど高村委員からご質問があったフロンの関係、すみません、回答が漏れておりました。
 豊住室長からお願いいたします。
 
フロン対策室長(豊住)
 フロン対策室、豊住でございます。先ほど、高村委員からフロン対策に関しまして、上流の対策の重要性についてご意見をいただいております。まさにご指摘のとおりだと考えております。
 上流対策につきましては規制、それから技術開発、経済産業省さんのほうで担っておられますので、後ほどコメントをいただくとして、環境省からは、この規制との両輪のもう片方となる支援策として、フロンを使わない、脱フロン、そして、脱炭素化を可能とする自然冷媒機器の導入の支援を、今年度からリニューアルをしてスタートしております。こちらをしっかりと執行して、支援してまいりたいと考えております。
 また、加えて、上流対策は重要ですけれども、既に世の中にたくさんのHFC機器があることもまた現実でありますので、これらにつきまして排出の抑制対策、フロン類の漏えい対策と、それから回収の対策、こちらは令和元年の法改正のおかげで、自治体における指導の幅も広がり、また取締りの事例も出てきているということで、実効性も出てきつつありますので、そういう意味で、都道府県による法施行の支援をしっかりと、環境省としてもやってまいりたいと考えてございます。
 それでは、経済産業省さん、よろしくお願いします。
 
経済産業省製造産業局化学物質管理課オゾン層保護等推進室(児玉)
 では、すみません、時間もありませんので、一言だけ。その前のページかと思いますが、ご存じのとおり、HFCについてはモントリオール議定書キガリ改正に基づきまして、国内ではオゾン層保護法において製造消費量について毎年削減をしていただいております。フロンメーカー等々のご努力によって、本来は緑の階段のところが削減目標値ではありますが、実際の消費量、生産量については余裕を持って目標を下回った形で実績を積んできていただいておりますので、2029、またその先においては、より目標値が厳しくなりますけれども、それに向かってきっちりと規制を推進していきたいと思っております。
 また、豊住室長からもおっしゃっていただきましたけども、次のページで示していますように、経産省は技術開発を支援しておりまして、HFCを削減するためには、やはり代替となる冷媒がないと削減しようにもできませんので、その代替冷媒の開発についても引き続き研究開発という形で支援させていただきたいと思います。
 以上です。
 
下田委員長
 大塚委員から手が挙がっておりますが、時間が過ぎておりますので、手短にお願いできますでしょうか。
 
大塚委員
 申し訳ありません。温対計画を取りまとめした者なものですから、ちょっと一言だけ、すみません、時間がないのに申し訳ないですけど、一言だけ申し上げます。
 目標に関しては、当時の議論においても費用対効果も考えて目標を作らなきゃいけないという議論が結構あって、杉山さんからもその発言をしていただいたのを覚えていますけども、一応それは、議論はしています。だから、今回のロシアのウクライナ侵略などを契機にして、何か大きく違うことになるということでしたら、目標に関しても検討しなくちゃいけないかもしれないと、もちろん思ってはいますが、そこは役所に、環境省とかほかの省庁にお願いしなきゃいけないことになるのかもしれませんが、目標の設定のときには費用対効果は一応考慮していますので、全く考慮してないみたいな議論をもししていただくと、ちょっとそういうつもりではなかったと思いますので、それはどなたか事務局でお答えいただいたほうがよかったんじゃないかと思いますけども、そうじゃないと目標を何のために立てているか分かりませんので、すみません、ちょっとそのときに取りまとめをしたので、一言だけ申し上げさせていただきます。すみませんでした。恐れ入ります。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、時間が過ぎておりますが、一通りご意見は頂戴いたしましたが、よろしいでしょうか。
 それでは終了させていただきたいと思いますけど、終わりに当たりまして、経済産業省の大橋委員長のほうから何かコメントはございますでしょうか。
 
大橋委員長
 特段ございません。ありがとうございます。
 
下田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、活発なご議論を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。
 それでは、今回の内容は、地球温暖化対策推進本部の政府全体の進捗点検の資料として報告していただくことにしたいと思います。
 議題の3番につきまして、事務局から何かございますでしょうか。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 特段ございません。
 
下田委員長
 それでは、以上で本日の議事は全て終了でございます。円滑な進行にご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
 事務局にお返しさせていただきます。
 
脱炭素社会移行推進室長補佐(岡内)
 委員の皆様におかれましては、大変活発なご議論をありがとうございました。本日の会議を踏まえまして、先ほど下田委員長からありましたけれども、6月に開催予定の温対本部幹事会へ報告をさせていただければと思っております。
 なお、本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただいた後に、ホームページに掲載をさせていただきます。
 以上となります。本日、当初の予定よりも少し延びてしまいまして、申し訳ございませんでした。本日はありがとうございました。
 
午後0時20分 閉会