第3回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会ワーキンググループ、第3回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会化学物質管理・審査制度検討ワーキンググループ、第3回中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会化審法見直し分科会合同会合(第3回化審法見直し合同WG)議事要旨

1.日時

平成20年5月29日(木) 14:00~16:30

2.場所

三田共用会議所 講堂

3.出席委員(五十音順)

浅田委員、板倉委員、井上委員、江馬委員、大塚委員、北野委員、北村委員、佐藤委員、実平委員、篠原委員、白石委員、吉田氏(関澤委員代理)、中杉委員、中地委員、中西委員、西原委員、林委員

4.議事

  1. (1) 第2回化審法見直し合同WGでの指摘事項について
  2. (2) 新規化学物質審査制度等のハザード評価方法の在り方について
  3. (3) その他

5.議事概要

  1. (1) 会議は公開で行われた。
  2. (2) 第3回合同WGは、経済産業省が事務局取りまとめを、産業構造審議会の中西委員長が議事進行をする旨説明があった。
  3. (3) 事務局より、すべてのワーキンググループ及び分科会が定足数を満たしていることが確認された。
  4. (4) 第2回合同WGでの指摘事項について、事務局より説明が行われた。
  5. (5) 新規化学物質審査制度等のハザード評価方法の在り方について審議が行われた。

6.委員より提示された主な意見

  1. (1)新規化学物質事前審査制度の在り方
    • 化学物質管理は、事前審査と事後管理を組み合わせて行うことが適切である。
    • 上市後における化学物質のリスク評価を組み込んでいくことが一つのテーマになっているが、上市前に審査・規制をすることは重要であり、これまで新規化学物質から特定化学物質の指定がないことからも、現在の事前審査は有効に機能していると言える。
    • 市場に流通するすべての化学物質について、その数量、用途等をどのように把握して事後の管理をしっかり行うのか、前提がはっきりしないと、どのような事前審査制度にするのかの議論ができない。
  2. (2)少量新規確認制度、低生産量への特例、中間物等の確認制度の在り方
    • 少量で製造・輸入される新規化学物質は高機能を持ったものが多く、技術革新の観点からは、少量新規確認制度は効果的。欧州でも一事業者当たり1トンまでは登録が不要であり、同様に一事業者当たり1トン以下であれば確認を受けて製造・輸入が可能となるような運用にしてほしい。
    • 一事業者当たりの平均申出数量が300~500㎏程度であることを踏まえると、一事業者当たりにしても問題はないのではないか。
    • 複数の事業者からの申出により全国1トン超を確認することとした場合、難分解性・高蓄積性の物質であれば懸念がある。QSARでチェックすることも一案。
    • 液晶関係で類似物質を多種類申出している例や、陰イオンの部分だけが異なる複数の物質の申出もある。今まで、少量新規確認制度で不確認はなかったが、今後は、このように制度の趣旨から逸脱する懸念がある場合にはQSARも参照しつつ、不確認という対応も検討すべき。
    • 一事業者当たり1トンとする場合、やはり全国での数量の上限が必要。一定量を超えたら低生産量の届出を要求することなどが考えられる。
    • 低生産量制度は合計10トンまでの特例制度となっていることを考慮すると、少量新規物質の合計が10トンを超える場合には制度的な整合性がなくなるのではないか。
    • 低生産量制度の基準数量10トンは、年間の製造・輸入数量が10トン以下の化学物質については環境モニタリングで検出された実績がないことを踏まえて設定された。しかし、それで本当に安全であると言えるのか。これまで問題がなかったか確認するために、リスク評価をもう一度行う必要がある。
  3. (3)有害性懸念の低いポリマー審査の在り方
    • ポリマーは特定のものを除いて、過去の知見でかなり安定という結論が得られている。試験報告書の提出までは必要ないかもしれないが、最低でも有害性懸念の低いポリマーに該当することを示す物理化学的データ等は提出してほしい。
    • ダイマー、トライマー等のオリゴマーになると、毒性が上がるものが中には存在する。そのようなものには注意が必要。
    • この議論は、低懸念ポリマーを分子量や構造等から決定しようとしているため、化審法が定義する分解性・蓄積性とは必ずしも整合がつかない可能性がある。よって、低懸念ポリマーの定義には十分注意を払う必要がある。
  4. (4)ハザード評価結果の開示
    • 事業者の競争上の地位を損なうのが問題であれば、それに対して、名称の公示は、例えば5年といった期間で保護するか、公示はすぐに行うが総称名で保護するかのどちらが有効なのかを考えるべき。
    • 米国等では総称名公示が許されており、日本では許されていない。このような状況では日本から情報が出て行ってしまうため、総称名公示の方が望ましい。なお、申請予定物質と既に総称名で公示されている物質との同一性が不明になることから、米国のように、届出予定物質が既に公示されているかどうかを行政に問い合わせることができる仕組みを含めて整備できればよいと考える。
    • QSARの開発のためには新規化学物質の構造が特定できる名称が必要だが、この点については開示の議論と切り離してもよい。
    • NGO等が化学物質の安全性を自らチェックできるよう、名称とハザードデータはできる限り公開されるべき。
    • 国際整合性を高めていくことには賛成。現行の公示まで5年というのは長すぎる。
  5. (5)審査におけるQSAR・カテゴリーアプローチの活用
    • 改良されてはきたが、メインの手法とするには未だ不十分。ただ、現状でも活用できる部分については活用していく方向で検討すべき。
    • 新規化学物質については既存の知見が少ないため、QSARを活用するのは今のところ難しい。
    • 少量新規で適用していくのもよいのではないか。また、新規化学物質のデータが早く公開されればQSARの改良につながる。
    • 現時点では、QSARの様々なモデルを組み合わせて検討することがよいのではないか。
    • QSARは今後活用していくべき。産業界としても可能な限りデータを提出していきたい。
    • 費用の問題、動物愛護等を考えれば、今後更に発展させないといけない。その際、実際には濃縮性のないものが濃縮性ありと判断されるのはよいが、その逆は困る。
  6. (6)環境中への残留可能性に関する考え方
    • 化審法上は、良分解性の化学物質については対象外。発がん性物質などの管理を考えると、今後は、排出規制により対応するのか、あるいは化審法の対象にするのか検討するべき。
    • 水生生物にとっては、ばく露経路が短いこともあり、分解を待たずに排出後すぐにばく露されるという危険性もある。また、大気等水経路以外の経路や、光分解又は加水分解するような化学物質についても評価方法を検討するべきではないか。
    • 化審法ですべてを見ることは不可能。
    • 良分解性物質でも、Japanチャレンジプログラムのように、相当量の製造・輸入が行われている物質であれば安全性情報を収集していくことも検討すべき。
    • 良分解性だから安全だという言い方はやめるべき。量が多ければ、分解が追いつかずに残留する。リスク評価を進めていく上では、良分解性かどうかだけでなく、排出量についても考慮する必要がある。1,000トンを超えたら規制対象とするシステムも考えられる。
    • 化審法で良分解性の物質を規制することまでは必要ないかもしれないが、上市後のリスク評価の対象として考え、情報収集していくことは重要ではないか。
  7. (7)ナノマテリアルの取扱い
    • ナノマテリアルは、次世代LSIや燃料電池への応用に多くの期待が寄せられており、その芽を摘み取ることのないようにしてほしい。厚生労働省から作業現場におけるばく露防止のための対応について通知が出されたところであり、これに基づく対応を徹底していく。
    • ナノマテリアルは形状だけの問題なのか、表面積の問題なのか、問題点を整理した後で、化審法が現在カバーできているのかを見るべき。検討会等での今後の取組を踏まえ、化審法の枠の中で何をしていくかを検討すべき。
    • 社会として、ナノマテリアルへの期待がある。問題は、メカニズムが分からないと試験法も確立できないということ。現在は化審法で規制できる状況ではない。
    • ナノマテリアルの安全対策に関する研究調査をきちんと進めていってほしい。

7.その他

 6月29日(日)に東京で行われる「化学物質審査規制法の見直しに関するシンポジウム」の開催案内と5月27日(火)にリニューアルされた「化審法データベース(J-CHECK)」の紹介が事務局より行われた。  また、第4回化審法見直し合同WGが、7月10日(木)に開催されることが報告された。