第1回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会ワーキンググループ、第1回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会化学物質管理・審査制度検討ワーキンググループ、第1回中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会化審法見直し分科会 合同会合(第1回化審法見直し合同WG) 議事録

日時

平成20年2月19日 10:00~12:30

場所

東京グリーンパレス

議事次第

  • 1.開会
  • 2.議事
    1. (1) 第1回合同委員会での指摘事項について
    2. (2) ライフサイクルにおける使用実態を考慮した化学物質管理について
    3. (3) その他
  • 3.閉会

配布資料

資料1 化審法見直し合同WG 委員名簿
資料2 化学物質の審査・管理の在り方に関する今後の検討課題及び第1回合同委員会での指摘事項
資料3 化審法と他法令との関係
資料4 化学物質のライフサイクルを通じた管理に関する国内外における動向
資料5 ライフサイクルにおける使用実態を考慮した化学物質管理(論点メモ)
参考資料 第1回化審法見直し合同委員会議事要旨
第1回化審法見直し合同委員会議事録(案)[委員のみ配布]

議事録

午前10時00分 開会

○環・戸田室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会ワーキンググループ、第1回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会化学物質管理・審査制度検討ワーキンググループ、第1回中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会化審法見直し分科会の合同会合、通称、化審法見直し合同ワーキンググループの第1回を開催したいと思います。
 合同会合の議事進行及び議事進行担当事務局は、各審議会の委員長及び関係3省による持ち回りとさせていただくこととし、本日は中央環境審議会の佐藤委員長に議事進行をお願いし、議事進行担当事務局は環境省が務めさせていただきます。
 本会合は、先月31日に開催されました第1回化審法見直し合同委員会において、厚生科学審議会、産業構造審議会及び中央環境審議会の3審議会のもとに設置のご承認をいただいたもので、本日はいずれのワーキンググループ等も開催に必要な定足数を満たしており、いずれも成立していることをご報告いたします。
 また、本会合は第1回化審法見直し合同ワーキンググループですが、先日の第1回合同委員会に皆様ご出席いただいており、また、時間の都合もございますので、出席委員のご紹介は省略させていただき、お手元に配布させていただきました座席表と委員名簿等をご参照いただければと思います。もしマスコミの方がおられましたら、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、以後の撮影はご遠慮いただきたいと思います。
 続きまして資料の確認をさせていただきます。
 議事次第がございまして、その後、資料1から4までございます。参考資料が2種類ございますけれども、そのうち1種類は1枚物であります。もう一つの分厚いほうが第1回見直し合同委員会の議事録になっておりまして、これは委員限りの配布とさせていただいております。合同委員会後に委員より書面で提出された意見につきましても、それに添付されているということにご留意いただきたいと思います。参考資料につきましては委員限りでございますけれども、ご承認いただいた後、3省のウェブサイトから閲覧可能になりますので、傍聴の方はそちらをご参照いただければと思います。最後に、第1回合同ワーキンググループ会合へのコメントということで、今回、ご欠席の北野先生からの書面意見を配布させていただいております。
 資料の不足等がございましたら、お知らせいただければ。
 もしよろしければ、それでは以後の議事進行は佐藤委員長にお願いしたいと思います。

○佐藤委員長 おはようございます。佐藤でございます。ただいまご紹介ありましたように、今回は環境省が事務局ということで私が進行役を務めさせていただきますけれども、よろしくお願いいたします。
 私から申し上げることもないかと思うんですけれども、今回、ご審議いただく化審法というのは大変重要な法律だろうと思います。前回の3審議会の合同会議のときもそうだったわけでございますけれども、きょうもたくさんの傍聴の方々がお見えになっているのがその一つの証拠というか、エビデンスだろうなというふうに思っておるわけです。恐らく物の流れでいえば上流から下流の方々まで、いろんな方々がいらっしゃっているんだろうと思います。
 これと対となるというと何か変な表現かもしれませんけれども、化管法(PRTR法)の審議を昨年にやったわけで、多くの委員の方々がご出席いただいているかと思います。そのとき、経産省と環境省の合同の会議で人数が多くて、なかなか議事の進行も大変だったんですけれども、多分、それを踏まえて今回はワーキンググループというような形になったんだと思います。それでもこれだけ大きな会議になっているわけですけれども、何とかスムーズに議事を進行させていきたいと思っております。ワーキンググループになった分だけ、できるだけ活発にご意見をいただければと思っておりますが、時間の制約等、いろいろありますけれども、委員の皆様方にはご協力をよろしくお願い申し上げまして、私からのごあいさつにさせていただきたいと思います。
 それでは、初めに本日の会議の公開の是非についてお諮りいたしたいと思います。
 各審議会の公開については、それぞれ規定のあるところでございますが、本日の会議については公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、または特定な者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とすべき場合には該当しないと考えますので、公開としたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、本日の会議は公開とさせていただきます。なお、公開の会議の議事録は後ほどホームページ等で公開されますので、あらかじめご承知おき願います。
 それでは、最初に議題の1、第1回合同委員会での指摘事項についてということでございますけれども、事務局から説明をお願いいたします。

○厚・山本専門官 それでは、資料2及び資料3に沿って説明させていただきます。
 まず、資料2をごらんください。
 こちらの資料は前回、事務局のほうより提示させていただきました各ワーキンググループにおける今後の検討課題に対して、前回の合同委員会でご指摘いただきました事項を各ワーキンググループの検討項目ごとに整理して、記載させていただいているものでございます。指摘事項のそれぞれの記載の最後に米印が付されているものがございますけれども、こちらは委員会後に提出された意見を反映させていただいたものでございます。今後、ワーキンググループにおいて議論を進めていただく上で、合同委員会においてどのような意見があったかということを振り返るときに、適宜、参考にしていただければというふうに考えておりますが、今回は第1回のワーキンググループでございますので、第1回のワーキンググループ関係でどのようなコメントが前回出ましたか、ごく簡単にレビューさせていただければと思います。
 1ページ目の第1回合同委員会指摘事項をごらんいただければと思います。
 まず、ヨハネスブルグサミット2020年目標を中心に据えるべきではないかというご意見。また、このライフサイクルの議論をしていく中で、化審法の位置づけというものを明確にするべきではないか。また、ライフサイクルの議論において消費者への情報提供などをどのように考えるべきなのかというようなご意見。また、川上から川下への情報伝達については、情報の出し手と受け手のリスクに関する共通認識が必要ではないかというようなご意見。また、サプライチェーン上での情報共有に関して、川中の特に中小企業の関心が薄いのではないかというようなご意見。また、次のページでございますけれども、このようなサプライチェーンにおける情報伝達に関しては、実行可能性というものも十分に検討するべきではないかと、ごく簡単に今説明させていただきましたけれども、このようなご意見をいただいていたかと思いますので、本日のご議論をしていただく上では、このようなご意見を念頭に置いていただきながら、議論を進めていただければというふうに考えております。
 続きまして、資料3をごらんください。
 今、簡単に申し上げましたけれども、前回の合同委員会におきまして、化審法の位置づけをもう少し明確にするべきではないかというようなご意見がございましたので、それを踏まえて説明するために作成させていただきました資料がこの資料になります。
 1ポツに示しております図は、前回お示しさせていただいた図と基本的に同じものでございます。繰り返しになってしまいますけれども、有害性及び暴露という観点から関係する化学物質関係の法律を整理させていただいたものでございますけれども、それぞれの法律がそれぞれの法律の目的を持って必要な規制を行っているというような状況を示してございます。
 その中で2ポツの(1)化審法の目的でございますけれども、やや繰り返しになってしまいますが、化審法は人の健康または動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止するため、事前審査制度を設け、化学物質の有する性状に応じ、必要な規制を行うことということを目的としている法律でございまして、(2)に移りますけれども、このような法目的がほかの法律によって十分に達成できているという場合におきましては、化審法の対象外とさせていただいているところでございまして、例えば放射性物質であるとか特定毒物、覚せい剤などにつきましては、そもそも化審法に規定する化学物質の範囲外とさせていただいているところでありまして、また、食品や添加物あるいは農薬であるとか飼料、医薬品のような特定の用途に利用される場合におきましては、それぞれの法律において十分な規制がなされていますことから、化審法の主要な規定が適用されない化学物質というような位置づけにさせていただいているところでございます。
 このようにほかの法律との連携も図られているところでございますけれども、今後、化審法の議論を進めていただく際に当たりましては、化審法が化学物質による環境の汚染を防止するということを目的としていることを前提としていただきまして、今後、この法律をどのようによりよいものにしていけばいいのかということについて、ご議論いただければというふうに考えているところでございます。
 そのような中で、自然といわゆる化管法との連携というものがおのずと議題になってくる、課題になってくるというというふうに考えられますので、本日の資料4にも化管法の規定を一部説明させていただいておりますけれども、この資料3につきましても2ページ以降、参考ということで化管法の概要、あるいは現在行っている化管法対象物質の見直しの概要について、資料を添付させていただいております。
 また、他法令との関係はなかなか難しいところがございますので、5ページ目に化学物質の分類から見た法制度ということで資料を添付させていただいておりますので、こちらのほうも適宜ご参考いただければというふうに考えております。
 事務局からは以上です。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局案は資料は前回出たもの、あるいはそれのバージョンアップということでございますけれども、何かご説明についてご意見、ご質問がありましたら、お願いいたします。ご発言なさる方はネームプレートを立てていただければというふうに思います。いかがでしょうか。特にございませんか。これから議論することの概要ということなんですけれども、中西先生、どうぞ。

○中西委員 今の資料3の(1)のところの化審法の目的と適用除外についてのところに、「事前審査制度を設け」というのが書いてありますが、既存化学物質の管理も化審法の中に入ってきているときに、これはどういうふうに解釈していいのか、もし今回の化審法見直しの中で、こういう目的のところを変えるという提案もあり得るのかどうか、伺いたいんですけれども。

○佐藤委員長 これはどちらで。

○厚・山本専門官 まず、「事前の審査制度を設け」とちょっとここは限定的に書いてしまっておりますけれども、当然、既存化学物質も化審法の対象になっておりますので、こちらについても十分ご議論いただければというふうに考えておりますし、目的でございますけれども、今、私のほうから説明させていただきましたのは、化学物質による環境の汚染を防止するための法律であるというところは根幹としてあろうかと思いますけれども、例えば難分解性であってということについては前回ご議論もありましたとおり、検討する項目の一つかと考えておりますので、その点についてはご議論いただければというふうに考えております。

○環・戸田室長 ちょっと補足いたしますと目的規定は2つありまして、新規の化学物質について審査の制度を設けるとともに、化学物質について必要な規制を行うことを目的とすると、必要な規制の部分は別に新規に限るものではなく……。

○中西委員 ここのところはちょっと簡単に書いてあるというだけですか。法律の文章ではなく。

○佐藤委員長 資料としてこういうふうに書いてあるのは、ちょっともし今のようなお話だと不十分だと思うので、むしろこのフレーズはないほうがいいんじゃないですかね。

○中西委員 わかりました。それではいいです。

○佐藤委員長 そういう理解でいいですか。

○厚・山本専門官 決して既存化学物質を別扱いしようということではありませんので、よろしくお願いいたします。

○佐藤委員長 では、「事前審査制度を設け」というのはこれから外していただくということでしょうか、そのフレーズを。

○環・戸田室長 すみません、これはちょっと要約してありますけれども、第1条にこう書いてありまして「事前審査制度を設け」で切れていまして、次に「化学物質の有する性状に応じ、必要な規制を行う」この規制には既存も入っているという、そういうことでございます

○佐藤委員長 では、外すのはまずい。大塚先生、どうぞ。

○大塚委員 「設けるとともに」というふうに原文には書いてあるので、そういうふうにしていただければ。「設け」で切れているとちょっとわかりにくいと思うんですけれども、「設けるとともに」にしていただければ2つのことが入っているということが、もともとそういう文章ですので明らかになると思います。

○佐藤委員長 では、このフレーズは法律に書いてあるとおりに書いておいていただくと、そういうことでよろしいですね。
 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。よろしゅうございますか。
 それでは、時間の関係もありますので先に進ませていただきたいと思います。それで、この検討課題に沿ってワーキンググループでの議論を進めさせていただきたいということでございます。
 続きまして、議題2、ライフサイクルにおける使用実態を考慮した化学物質管理についてに移りたいと思います。
 それでは、事務局から資料4について説明をお願いいたします。

○環・木野補佐 それでは、資料4をお手元にご準備ください。化学物質のライフサイクルを通じた管理に関する国内外における動向ということで、前回の合同委員会ではそれぞれ各制度の概要については紹介済みですので、今回はこのワーキンググループでご議論いただくテーマについて内容を絞り、要点のみご説明させていただくということで説明してまいります。
 まず、1枚目ですが、概要ということでボックスの中で、五、六項目ほど載っております。簡単にまずご紹介いたしますと、まず国際的に重要な動きといたしましては、化学物質管理に関する世界共有の中長期的目標といたしまして、WSSDの2020年目標の合意があったと。それを達成するためのSAICMの採択というのがありまして、ライフサイクルの全般を通じて化学物質の適正管理を達成するということが2020年までの国際的な目標として置かれているということでございます。この目標に向けまして、GHSですとかPOPs条約といった国際的に調和を図りながら取り組んでいくという動き、あるいは欧州におけるREACH施行など各国ごとの特徴を生かした取り組み、これが進められているという流れになっております。
 その中で、GHSにつきましては化学品の有害性情報、これを分類及び表示する方法について、国際的に調和されたシステムをつくるということを目的としておりまして、この調和された、統一した考え方に基づきまして例えば化学物質安全データシートの提供によって、関係者への情報伝達ということがされることが期待されておるというところでございます。また、POPs条約につきましては、高ハザード化学物質の一つであります残留性有機汚染物質につきまして、国際的な枠組みの中で、その廃絶・最小化を目指した取り組みが進んでいるというところでございます。
 こういった国際的な流れの中で我が国を見ますと、まず、PCBと同等の性状を有する物質を規制することを目的といたしまして化審法が既に制定されておりまして、化審法の中では化学物質の製造・輸入等の段階、いわゆるサプライチェーンの川上を中心とした取り組みがなされております。それに加えまして、化管法によりましてサプライチェーン中の使用段階における化学物質の排出状況の把握、あるいはその自主的な削減への取り組みということが進められてきていると、これが現状になるかと思います。
 このような世界的な流れの中で、我が国として今後、WSSD目標の達成に向けて、ライフサイクルの全般を通じた化学物質の一層の適正管理、これが求められております。このためには川下事業者も含めてサプライチェーン全体で、各事業者が適切な化学物質管理を進めていくということが重要になっていると。こういったところを国内外における動向のポイントとして整理しております。
 具体的な内容といたしまして2ページ目以降で、まず、国内における関連制度としてご説明いたします。
 最初に紹介しておりますのが化審法でございます。まず、最初のボックスに概要・特徴等がございますが、先ほども資料3で紹介がありましたので詳細は省略いたしますが、特に3つの仕組みの中で、②化学物質の性状に応じた規制が行われていると、ここがポイントとなるかと思います。その下には概要ということでフロー図をつけております。
 3ページに移っていただきますと、化審法に基づきます製造・使用等に関する管理・規制の措置、これを3ページ目でまとめております。その下にサプライチェーンの視点から見た化審法における化学物質管理というフロー図もありますので、そちらも一緒にごらんいただきたいのでありますが、まず、第一種特定化学物質につきましては製造・輸入を許可制をとって、実質的には禁止しているということになります。一方で、第二種特定化学物質につきましては製造・輸入数量、予定量及びその実績について届出をさせるとともに、適正な使用等を求めているということになります。その適正な使用につきましては、製造・輸入あるいは使用の段階で、環境汚染防止のためにとるべき措置に関する技術上の指針・勧告の遵守という規定が設けられているところでございます。
 一方で、化学物質が製品に使用・含有されている場合につきましても規定が置かれておりまして、第一種特定化学物質につきましては使用された製品の輸入の制限、実質的な禁止になります。第二種特定化学物質につきましては、それらが環境中に放出される製品を個別に指定しまして同等の管理・規制、同等といいますのは含有される製品につきましては輸入の届出がありますし、あるいは使用段階では取り扱い事業者による環境汚染防止措置等に関する表示義務、これが化学物質そのものと化学物質が含まれる製品、それについて同等の措置が講じられる仕組みになっております。
 また、めくっていただきまして4ページになります。こちらでは化管法について紹介させていただいております。このボックスの中の2つ目にMSDS制度について紹介しておりますけれども、この法律で指定された物質及びそれを含有する製品につきましては、事業者間で取引する際にMSDS(安全性データシート)の提供を義務づけているということになります。
 このMSDSにつきましては、化学物質の性状及び取り扱いに関する情報を当該化学物質の製造事業者から、川下のサプライチェーンに属する使用者へと伝達するという目的がございます。これによりまして各事業者における適切な有害物質の管理を促進するというものになります。このMSDSには製品名ですとか含有する対象化学物質の名称などが掲載されることになりますが、詳細につきましては6ページなどで紹介しておるところでございます。また、化管法以外でもMSDSについては国内で毒劇法、労安法などについても、それぞれMSDS制度が設けられているところでございます。また、GHSに対応した動きというのもございます。
 4ページの下にはMSDS制度の概要が設けられております。あと5ページにつきましてはMSDS制度を取り巻く経緯ということで、国際的な動向、欧米の動向、それらを受けた国内のこれまでの動向ということで動きを紹介しておりますが、詳細については説明を省略させていただきます。あと6ページの表については、化管法、安衛法、毒劇法について、それぞれのMSDS制度の比較になっております。これにつきましても説明は省略させていただきまして、7ページに移りたいと思います。
 7ページからが化学物質のライフサイクルを通じた管理に関します国際的な動向について整理したものであります。
 まず、最初に紹介しておりますのが国際機関等の動向ということで、1ポツ、国際化学物質管理戦略(SAICM)についてでございます。これについては冒頭にもご紹介したとおり、2002年、WSSDにおきまして化学物質管理に関する中長期目標に合意されたと。これを達成するためのSAICMが採択されているという状況でございます。このSAICMの包括的な目的として、今回のワーキンググループのテーマに直結しますライフサイクルの全般を通じて化学物質の適正管理を達成し、2020年までに化学物質が人の健康、環境への顕著な悪影響を最小限化するような方法で使用され、製造されることということを目的とされた動きであります。
 7ページ、ボックスの下にはSAICMの包括的方針・戦略における目標について紹介しております。一つ一つは触れませんが、リスク削減、知識と情報、という中で、それぞれライフサイクルを通じた適切なリスク管理の重要性、あるいはそのために知識・情報というのが関係者に共有されることが重要ということが述べられていると思います。
 めくっていただきまして、9ページにWSSDの位置づけ経緯とSAICMについて紹介しております。これについてはこういった国際的な流れの中で、こういった動きが出てきたということです。これについては説明は省略させていただきまして10ページに参りたいと思います。
 10ページで紹介しておりますのは、化学品の分類及び表示に関する世界調和システム、いわゆるGHSと呼ばれているものでございます。このGHSにつきましては世界的に統一されたルールに従って化学品を危険有害性ごとに分類し、化学品を扱う人が一目でわかるようなラベルの表示、安全データシートにより危険有害性情報を伝達することが目的となっております。この分類・表示システムにつきましては、例えば欧州REACHでも活用されることが見込まれるなど、各国の化学物質の情報伝達制度との調和が進むことが期待されているということになります。
 ボックスの下に少し制度の概要をつけております。
 まず、(1)といたしましてGHSの分類になります。GHSではどのような化学品を分類することを想定しているかと申しますと、対象はすべての化学品になります。それについて危険有害性に基づいて分類するということが定められております。
 (2)といたしましてGHSにおける情報伝達あるいは表示の内容になります。GHSによる化学物質の危険有害性に関する情報につきましては、化学品のライフサイクルにわたり取り扱うすべての人たちがその情報提供を受ける対象となり得るということで、ライフサイクル全般にわたって関係する者向けの表示伝達制度ということになります。具体的にはラベル表示及び安全データシートによる情報伝達ということが設けられておりまして、ラベル表示につきましては危険有害性のある物質の容器に直接貼る、あるいは外部梱包に貼られるということで、危険有害性情報あるいは絵表示、取り扱いに関する注意書きを含みまして、取り扱い者に情報伝達がわかりやすくされるというものです。
 安全データシートにつきましては、事業者間の化学品の取引時に添付されるというもので、化学品の危険有害性や適切な取り扱い方法に関する情報、これを川上の事業者から川下事業者に、サプライチェーンを通じて提供するということになっております。なお、SDSを作成すべき対象としてGHSで想定される化学品といたしましては、まず、GHSに基づいて物理化学的危険性、人の健康または環境に対する有害性に関する判定基準を満たすすべての物質及び混合物について、SDSを作成すべき対象とされています。加えまして一定濃度を超えて発がん性など高ハザードが懸念される化学物質についての混合物についても、SDSを作成すべき対象として想定されているというところでございます。
 続きまして、11ページに移らせていただきます。
 11ページではPOPs条約について概要をまとめております。POPs条約につきましては条約の中で附属書のAまたはB、附属書Aが化学物質の製造・使用・輸出入の禁止、附属書Bが制限する物質が収納されることになりますが、こういったPOPsの製造・使用規制制限につきまして、国際的な枠組みの中で厳しく制限するという仕組みがございます。
 加えまして、使用目的等を管理制限することによりまして、製造・使用を限定的に許容するという仕組みもございます。これが(2)の中で2つ紹介しております、いわゆるエッセンシャルユースと呼ばれるものでして、エッセンシャルユースの中で2つございます。1つとしては、認めることのできる目的といったものが附属書Bの物質についてすべての締約国で一定の条件下で、製造または使用を許容される仕組みとして設けられております。具体的にはDDTについて、疾病を媒介する動物の防除の用途等の目的が現在設けられているところでございます。エッセンシャルユースの2つ目といたしまして、個別の適用除外という概念がございます。これにつきましては附属書AとB、両方の物質が対象になります。締約国の個別の登録によって製造または使用が許容される仕組みで、期限つきの制度になります。
 現行の条約上では、我が国においてそれぞれのエッセンシャルユースについて、適用される物質あるいは用途はございません。ただ、将来的には日本もこのエッセンシャルユースの使用を検討するという可能性がございまして、具体的には12ページのボックスでございます。ここでPFOSのエッセンシャルユースに係る議論ということでまとめておりますけれども、現在、POPs条約の対象物質の追加につきまして、POPs検討委員会という場で議論されているところでございます。その中で追加候補の物質の一つがPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)及びそのフルオライドについて、これにつきましては附属書AまたはBへ追加するということを締約国会議に勧告するということが決定されております。
 このPFOSにつきましては、その下に代替困難な用途の例ということで3つ挙げておりますが、我が国においても代替困難な用途として使用されるであろう用途が想定されているところでございます。これらPFOSを含めまして対象物質の追加ということにつきまして、2009年5月に予定されておりますPOPs条約の第4回締約国会議におきまして検討される予定でして、その結果を踏まえまして我が国の化審法におきましても、PFOSを基本的には第一種特定化学物質などで規制をかけるとともに、こういったエッセンシャルユースがありましたら、化審法の中でその用途について認めるようにするという措置を講ずる必要が出てまいります。
 12ページの一番下のところで、現行の第一種特定化学物質の使用の要件の一つとしてということで、「特定用途が主として一般消費者の生活の用に供される製品の製造又は加工に関するものでないことその他用途に当該第一種特定化学物質が使用されることにより当該第一種特定化学物質による環境の汚染が生じるおそれがないこと」という規定が紹介されておりますが、この規定との関係で今後、想定される用途での使用が認められるかどうかという論点があるということでご紹介しておきます。
 続きまして、13ページに移らせていただきます。
 13ページ以降は諸外国の動向ということで、まず、最初に欧州におけるREACH規則について紹介しております。REACH規則におきまして、ライフサイクルにわたる化学物質の管理方策という観点からは、ボックスにあります4つの特徴、措置が導入されているところでございます。具体的に13ページの(2)ライフサイクルに着目した具体的措置というところで見てまいりたいと思います。REACH規則の特徴として化学物質のライフサイクルを通じたリスク管理の転換から、以下の点について着目されるということで4つ紹介しております。
 まず、1つ目といたしまして、ライフサイクルを通じた暴露評価を含む事業者による安全性評価の実施ということがございます。REACHにおきましては、化学物質のリスク管理は事業者の責任とまずされておるところであります。特に製造輸入量が年間10トン以上になる場合につきましては、用途の特定、暴露可能性の評価、リスク管理措置などを含めた安全性評価が事業者に求められるということになります。14ページへ移りますが、用途情報につきましては、REACHの中ではすべての化学物質の登録に当たりまして、用途情報の届出が必要となります。また、サプライチェーンを通じまして川下使用者から用途情報が提供された場合は、それも含めて登録するということになります。さらに暴露評価につきまして、すべての用途、ライフサイクルを踏まえた可能性の検討ということもあります。
 2つ目の特徴として、サプライチェーンを通じた情報伝達があります。これにつきましてはサプライチェーンを通じまして化学物質の安全性、リスク管理措置等に関する情報が共有される、それによってライフサイクルを通じた事業者による適切なリスク管理が行われることを指向しております。具体的には安全性データシートを用いまして、必要な情報を川上から川下に提供するという義務が生じております。また、川下使用者からの用途情報の提供の措置ですとか、15ページへ移りまして成形品中の物質に関する情報伝達に関する制度、特に高懸念物質と呼ばれるものについて川下使用者に提供する、あるいは消費者の求めに応じて、可能な範囲で消費者に情報提供するという措置も設けられております。
 3つ目の特徴といたしまして、高懸念物質に対するリスクの管理というのがございます。REACHの中でも認可制度、それについては製造・使用が用途ごとに認可が必要となるもの、あるいは許容できないリスクが存在するものにつきましては制限という制度、こういったものも設けられておりまして、高懸念物質に対する管理がされております。
 4つ目の特徴といたしましては、製品中に含まれる化学物質の管理ということで、成形品中に年間1トン以上含有される意図的な放出用途につきまして、そういったものにつきましては行政庁への届出が製品中に含まれる化学物質も含めて必要ということになります。高懸念物質につきましても行政庁への届出という措置が設けられているところでございます。
 次に16ページに移ります。
 米国のTSCA、有害物質規制法につきまして特徴についてご紹介します。TSCAの中ではライフサイクルを通じた規制ということで、特徴的なものとして重要新規利用規則、いわゆるSNURと呼ばれているものがございます。これにつきましては不当なリスクをもたらすかもしれないと判断された化学物質の場合につきましては、製造、使用、加工、流通、廃棄等の制約を設けると。この規制の中で事前の通知のもとに製造・使用等は管理するという制度でございます。
 続きまして、17ページに移ります。
 17ページから再び国内の話に戻りまして、特に自主的な取り組みということでサプライチェーンを通じた情報伝達の手段方法、どのようなものが現在議論されているかということをご紹介しております。そのねらいといたしましては、国内法令では必ずしも義務とされていない物質について情報伝達を進めるということ、あるいはREACHなどに対応するために成形品中の化学物質の含有量に関する情報伝達を進めるということになります。具体的には業種横断的に事業者が自主的に集まりましたアーティクルマネジメント協議会、いわゆるJAMPというところでMSDSplusあるいはAIS(Article Information Sheet)といった情報伝達ツールの検討・作成が進められているところでございます。
 その下のフロー図につきましては模式図でございますが、川上から川中に化学物質、調剤を伝達するときには、MSDSplusというMSDSを補完したシートで流す、川中から川下に成形品の含有化学物質情報につきましては、AISという伝達ルールを利用しているという模式図です。
 18ページにMSDSplusといったものの概要を紹介しております。これにつきましてはMSDSを補完する情報ツールでございまして、化学物質、調剤に含有する化学物質の安全性情報を提供するということになります。これにつきましては国内外の法律、世界基準で特定された製品含有化学物質を情報開示の対象といたしまして、それら物質の意図的添加があるかないか、ある場合には濃度がどの程度かといったことの情報伝達に使われるということであります。
 次に19ページに参りましてAISになります。AISにつきましては、成形品中に含有される化学品物質情報を伝達する仕組みとなっておりまして、成形品中、製品中の含有化学物質情報を開示し、伝達するといったツールになっております。
 そのほかの動きといたしまして、20ページにIMDSという制度を紹介しております。これにつきましては、自動車産業界によって世界的に利用されている自動車構成部品の材料及び含有環境負荷物質情報を収集するためのシステムでございます。このような自主的な動きがあるということが最後の第3章の紹介でございました。
 事務局からの説明は以上でございます。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 ただいまご説明いただきました国内外における動向について、確認や質問がありましたらお願いいたします。議論は後ほど時間をとってありますので、ここでは事実関係の確認とか、そういう部分に限ってご質問いただきたいというふうに思います。
 それでは、どうぞ、浅田委員。

○浅田委員 最後のIMDSのところで、事実関係の追加情報をさせていただきたいと思います。光栄なことに私のだけ固有名詞が入っていましたけれども、現在、IMDSは日米欧韓のあと全自動車メーカーほとんどすべてが加盟しております。現在、登録に関与している仕入れ先さんが6万5,000社、ユーザーが16万人、現在、蓄積されているデータは大体2,200万部品について蓄積されております。これに関する費用は大体年間7億弱で自動車メーカーが負担しております。こういう規模になっていますけれども、2000年から開始しましたけれども、実際に運用に乗ったのは2003年以降ということで、非常に長い準備期間が要ったということだけ、つけ加えさせていただきたいと思います。

○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにどなたかご質問。大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 1つ説明を追加していただくとありがたいんですが、12ページの下のところに化審法の第一種特定化学物質の使用の要件として、一般消費者の生活の用に供される製品の製造・加工に関するものではないことというのが挙げられているんですが、現在、PFOSの代替困難な用途として上に挙がっている3つにつきまして、一般消費者の生活の用に供される製品に関するものかどうかについて、ご説明を追加していただけるとありがたいと思います。

○佐藤委員長 では、事務局、お願いします。

○経・森田室長 この用途につきましては関係の事業者の方々に原則、ヒアリング等々で情報収集しているところでございます。実際、一般消費者の生活の用に供されるという法律の解釈の問題がございますので、この場で断定的にこれがそうだということは、残念ながら私どもも現時点でははっきりちょっと申し上げられないと思っております。イメージとしましては3つ挙げてございますけれども、強いて言うならば3つ目あたりはそういう可能性はあるだろうというぐらいのご説明で、この時点ではご容赦をいただきたいと思います。

○佐藤委員長 よろしいですか。
 それでは、中地委員、どうぞ。

○中地委員 7ページなんですけれども、一応、WSSDで合意をされた国際化学物質管理戦略、SAICMというのがあるということについてご説明されているわけですけれども、一応、SAICMに日本も加わっている以上、国内実施計画というふうなものを策定をしなければいけないという形にはなってきていると思うんですが、その辺の進行状況等についてご説明をお願いします。

○佐藤委員長 では、事務局のほうから。

○環・戸田室長 SAICMの国内実施計画につきましては、一応、関係省庁連絡会議を2006年の初めぐらいにつくりまして、そこで国内実施計画をつくるという方向で作業をしようという合意をしております。その後、関係省庁をベースに検討しておりますけれども、その過程で諸外国の状況を参考にしたいということでフォーラムの会合を開いたり、また、今年度末にももう一度諸外国の状況について意見交換する場をつくりたいということで準備をしておりますので、現在、関係省庁会議において検討している状況ということです。

○佐藤委員長 よろしいですか。

○中地委員 例えば国内実施計画の中で2020年目標を達成していくために、法制度を変えていくというふうなことも含めて検討されているのかどうかということで、ここの委員会の議論の位置づけというものにも左右されると思うんですけれども、いかがなものでしょうか。

○環・戸田室長 法律の見直しはまさにこの3審議会の場で議論をしているということで、あくまでも、もちろん行政内部でこういう法制度の見直しが必要であるということを議論することは可能ではあると思いますけれども、基本的には化審法の見直しを議論する場はここでありまして、この審議会の結論を得て、必要であれば法改正について3省で作業をして、その後、国会に提出するということでありますので、今後、国内実施計画をつくるということ、その作業をする上ではそういう法律の見直しは立法行為ですので、それを前提とした上で、さらに行政としてどういうことをやっていくかというふうなことが行政としての課題になろうかと思います。もちろん、国内実施計画をどのようにするかということは今後議論していくことでありますけれども、一般論としては化審法の見直しはあくまでもこの審議会だということでございます。

○佐藤委員長 よろしいですか。
 ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

○西原委員 ライフサイクルを通じたというふうになっていますし、ただ、現在の化審法で私も時々限界を感じているんですけれども、用途情報というのは対象としないということになっていますよね。それなしでライフサイクルのどこでということはできないんじゃないかと。僕はだからこれを変えるんだったら、用途ということも視野に入れないといけないんじゃないかというふうに思いますが。

○佐藤委員長 ありがとうございます。これは多分後ほどの議論の中でお話しいただくことだろうと思いますので、ここでは事実関係の質問だけに限りたいと思いますが、また、ご発言をお願いいたします。よろしいですか。
 それでは、次のへ進みたいと思います。
 事務局から資料5について説明をお願いいたします。

○経・田中補佐 それでは、資料5についてご説明させていただきます。
 資料5は1枚紙でございまして、題名が「ライフサイクルにおける使用実態を考慮した化学物質管理」ということで、今回のワーキンググループの論点の参考になる資料という位置づけで作成しております。その際に、第1回合同会合のさまざまな各委員からのコメントを踏まえつつ、また、先ほど資料3で紹介した化審法の守備範囲というものも踏まえつつ、事務局のほうで論点を整理させていただきました。論点につきましては大きく3つあると考えておりまして、それぞれ四角囲いで、(1)、(2)、(3)と示しており、3つ目が裏のページに来ております。
 まず、(1)でございます。化学物質のリスクに応じた管理体系と安全性情報の伝達ということでございまして、どちらかというと3つの論点の中ではやや総論的な論点です。まず、サプライチェーン全体においてリスクベースでの化学物質管理をどのように促進すべきかという点、さらにサプライチェーン全体において化学物質管理を促進するために、必要な安全性の情報の伝達というものが如何にあるべきかということを論点としてあげさせていただいています。
 四角囲いの下に、もう少し詳細な内容をブレークダウンする形で書かせていただいております。
 まず、1番目のパラグラフのとおり、リスクベースの化学物質管理を行う際には、化学物質の製造・使用等における環境中への残留というものに起因した人の健康または生態系に及ぼす被害というものについて、その程度をリスクとして把握し、その管理のための適切な手法を講じるということになります。
 次に、2番目のパラグラフのとおり、このためには化学物質の安全性情報というものを川上から川下事業者に着実に提供するということが非常に重要でして、これによって事業所周辺の環境放出というものに伴う影響も考慮したリスクというものを評価し、また、それを管理することが可能になるということでございます。
 その下の2つのパラグラフがより具体的な論点という形で提示させていただいております。
 まず、GHSでは有害性が一定以上あると分類される化学物質については、MSDSによる安全性情報の流通を図るべきということになっておりまして、昨年、開催いたしました化管法の見直し会合でも同様の内容の提言がされておるところでございますけれども、このようなGHSといった国際動向も踏まえながら、事業者間での安全性情報の流通というものは如何にあるべきかというものが1点目でございます。
 また、最後のパラグラフのとおり、消費者への化学物質に関する環境汚染のリスクを管理するという観点からの情報の提供はいかにあるべきか、これは化審法の目的が化学物質による環境汚染の防止ということになっておりますので、それを踏まえた観点でどのような点があるかということが論点になるかと思います。
 次に、2番目の大きな論点でございますけれども、(2)高ハザードの化学物質の厳格な管理ということで、具体的には化審法でいう第一種特定化学物質というものをイメージしております。リスクベースの化学物質管理を推進する中で、第一種特定化学物質のような高ハザードの化学物質の管理というものはどうしていくべきかということを大きな論点として挙げさせていただいております。
 その下にもう少しブレークダウンした論点を3つほど提示させていただいております。
 まず、第一種特定化学物質というものは難分解、高濃縮及び長期毒性という性状を持つということでございますので、一度、環境中に放出された場合は非常にリスク管理というものが困難になるという物質でございます。このため化審法では原則として製造・輸入の禁止、一応許可制にはなっておりますけれども、実質的には禁止というような形で、非常に厳格な管理というものを行っているというのが現状でございます。こうした第一種特定化学物質への厳格な規制というものについて、リスクベースでの化学物質管理を推進するという中でどのようにすべきか、現状のようなやり方、厳しい管理規制を継続するべきかどうかという点がまず1点目の論点でございます。
 2番目が先ほど資料4でもPOPs条約の紹介をさせていただきましたけれども、POPs条約において、第一種特定化学物質のような非常にハザードが高い化学物質についてもエッセンシャルユースという形で、どうしても代替が不可能な用途については認めるというような内容が入っておりまして、これは化審法の現状の厳格な規制体系の中で受けようとすると、なかなか厳しいという現状がございます。この点についてどのように取り扱うべきかというのを(2)の2番目の論点という形で挙げさせていただいております。
 最後、3つ目ですけれども、3番目のパラグラフのとおり、高ハザードの懸念がある化学物質、具体的には第一種監視化学物質のようなもので第一種特定化学物質になる前のものというイメージですけれども、そういったものについての管理というものを徹底するための措置、例えば情報伝達などですが、そういったものはいかにあるべきかという点を3つ目の論点として挙げさせていただいております。
 裏を見ていただきまして2ページ目では、3つ目の大きな論点を提示させていただいております。(3)リスクの観点から懸念の高い化学物質の適切な管理ということで、それはいかにあるべきかということです。化審法上は具体的には第二種特定化学物質というものをイメージしております。
 もう少し細かい内容をその下に書いておりまして、まず、最初のパラグラフのとおり、サプライチェーンにおける化学物質の適正管理の観点から、やはり個々の事業者が最適な化学物質管理を行うということがまず大事ということですけれども、この際に、一定のハザードがあり環境中に継続して存在する見込みがあるとされる化学物質については、化管法に基づいて事業者が自らの排出情報を把握し、リスク評価・管理を進めているという現状がございます。この際にMSDSというものを活用しているということかと思います。
 また、2番目のパラグラフですけれども、化審法につきましては、国が一定のハザードがあるとされている化学物質を第二種監視化学物質又は第三種監視化学物質に指定し、それを国がさらにリスク評価を行った結果、必要があれば第二種特定化学物質として指定をして管理をするスキームになっています。具体的には括弧書きに書いている技術上の指針の遵守や表示義務、また必要に応じて製造輸入量の制限といった措置を講じることが可能という体系になっております。また、化学物質が使用されている製品といったものについても、化審法では対象にしているということでございます。
 こうした状況を踏まえ、一番最後のパラグラフにより具体的な論点を提示させていただいておりますとおり、今後、リスクの観点から懸念の高い化学物質について、その規制というものがどのようにあるべきか、また、化管法との連携といったものはいかにあるべきか、さらに、規制対象となる候補の化学物質について国としてのリスクの把握・評価というものをどのように進めるべきか、最後の「また」以降に書かれている論点については第2回ワーキングのリスク評価の回でも、より突っ込んだ議論がされるということにはなると思いますけれども、その頭出しといった議論が今回できるのではないかという意味で、最後に論点として挙げさせていただいております。
 事務局からの説明は以上です。

○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、この論点メモに従って議論を進めてまいりたいと思います。ただいま、ほぼ11時になるところでございます。お約束の時間が一応12時半までということになっておりますので、1つの論点に30分ぐらい時間を割けることになるんですけれども、30分とここで申し上げておくと多分30分を超えると思いますので、一応、20分か25分後をめどぐらいで、3つ目のは先ほど事務局からも話がありましたけれども、第2回のワーキンググループでも議論をいただくことになるので、若干時間が押しても大丈夫かなぐらいのつもりでやりたいと思うんですけれども、そういう進め方でよろしゅうございますか。
 では、そのようにさせていただきます。
 まず、第1点目の論点でございますけれども、化学物質のリスクに応じた管理体系と安全性情報の伝達ということで、恐らくこのリスクベースの化学物質管理というのがもう少し具体的にどういうことなのかというようなこと、あるいは安全性の情報の流通というのはいかにあるべきか。ここに消費者への情報伝達というのをどう考えていくのかという点だろうと思います。
 ご意見等を伺いたいと思うんでけれども、きょうご欠席の北野先生からご意見のメモをいただいておりますので、まず、事務局からご紹介いただきたいと思います。

○環・戸田室長 委員のテーブルには最後に1枚の北野委員のコメントを配布しておりますけれども、傍聴の方にはご配布できませんでしたので、読み上げさせていただきます。
 論点(1)について。
 川上から川下への情報伝達手段としてはMSDSの活用がある。この場合主として、化学物質のハザードに関する情報が伝達されるが、現時点ではBtoBでの運用をまず考えていくべきと思う。
 MSDSの対象とする物質は、化学物質管理促進法に定める第1種及び第2種指定化学物質及びGHSに定める物質が適切である。MSDSが主としてハザード情報をカバーするものであること、また、上記第1種及び第2種指定化学物質の相違が暴露の差であることを考えれば当然このような選択になる。
 まずきちんとした枠組みを作ることが大切であるが、問題はその活用である。これまで、得てして形式的にMSDSを扱ってきたきらいがある。すなわち、記述内容の不足(空欄が多いこと)、必要な場所においていないこと、関係者が十分その内容を理解しているかなどについて今後改善していかねばならない。そのためには関係する工業界、また行政などによる支援、さらには従業員教育及び習熟度の把握等が行われる必要がある。
 MSDS制度という機構の整備、そしてそれを生かす機能の充実が大切である。
 以上です。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 北野委員からはMSDSの実質化というんですかね、最近はやりの言葉で言えば、そういうご意見だったろうかと思いますが、ほかにどうぞ。いかがでしょうか。
 では、篠原委員、どうぞ。

○篠原委員 今、北野先生の意見もありましたけれども、いわゆるサプライチェーン上の情報伝達というのは、今まで事業者間でMSDSという制度でずっと運用してきて、かなり定着しつつあるというふうに我々は考えております。ただ、北野先生がおっしゃったように中身の充実が要るんだろうということは、これについては我々も全く賛成でございます。今後、このMSDS制度を中心として、いかにこれを事業者が充実していくかというのが非常に重要なことじゃないかというふうに考えております。
 以上です。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、浅田委員、それで続いて有田委員にお願いします。

○浅田委員 今のMSDSの話でございまして、ここの北野委員の意見に私も非常に同感でございまして、私たちの産業のようにいわゆるほとんどの化学品が調剤として、まざり物としていただいている例えばペンキとか接着剤ですよね、そういったものに関して、化学産業の中のサプライチェーンの中でいかに有効な情報をまとめていただけるかというのが、下流にとっては非常に重要だと考えております。
 もう一つ次の問題、私たちのいわゆる成形体になってからの物質の管理でございますが、これはいろいろな個体の中に封じ込められているとか、いろいろな状況がありますので、逆に言うとそれぞれの産業界、今、私たちはMSDSを活用しておりますが、そのような産業界の各セクターごとのニーズに応じたような管理の仕組みというのもご配慮いただいて、そこのところはどうするかと、あくまでも化審法というのは私たちはMSDSに入るところまでの判断というふうに考えておりますので、そのような感じで議論させていただきたいと思っております。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 では、どうぞ、有田委員。

○有田委員 私もMSDSに関しては北野委員のご意見に賛成です。しかし、PRTR法対応への事業者のヒアリングに伺ったときに、その部門の方でさえMSDSは難しい、わかりにくいとおっしゃっていたことを覚えています。わかりやすいというのはどういうのか、私の知識の中ではちょっとこういうことがいいというのは申し上げられませんけれども、やはりそういう状況にあります。それからGHSの件ですが、これについては、まだ事業者のところだけでいいというようなご意見というふうに私は受け取りました。でも、一部、環境へ広く排出されるようなものについては、消費者が利用するものについてもGHSを広げていく必要があると思っています。これは国際的に強制はされていないと思います。けれども、当初、環境省からの情報が出されたときには、もう少し一般消費者の使用に関するものにもつけていくというような考え方もあったと思うので、消費者が利用するもので、環境を汚染する物という視点からいえば、そういうものにも順次つけていく必要があると思っています。

○佐藤委員長 では、続いて中地委員、どうぞ。

○中地委員 MSDSに関してなんですけれども、当然、義務づけるというふうな話についてはいいとは思うんですけれども、実際、どの程度MSDSが日本で流通しているのかというふうなところが余り報告がないので、例えば化管法で対象物質について、どの程度MSDSがつけられて流通しているのか、あるいは労安法で義務づけられている物質についてはどうなのかみたいなことの基礎資料として、もう少し出していただきたいというのが1つあります。それと、その中で中小事業者がMSDSを活用して、きちんと例えば環境中に化学物質等を排出をしないように努力をしているのかというふうなところも、押さえていく必要があるのかなというふうに思います。
 化管法の議論の中でも質問をしたわけですけれども、きょうの配られている論点メモの2段目のパラグラフで、「事業所周辺への環境放出に伴う影響も考慮したリスク評価及び管理を行うこと」というふうに書かれているわけなんですけれども、PRTRの対象物質についても届出対象外という形で1トン未満の小規模の、あるいは21人以下の事業所については国のほうで推定をされているわけですけれども、その推定が正しいのかどうかというふうなことは、基本的には化学物質をどういう事業所がどういうふうに把握をしているのかというところを国なりが、あるいは地方行政が把握をしているのかというところにも結びついてくるわけなので、その委員会でも言いましたけれども、例えば5トンから1トンという形で猶予期間が切れたときに、なぜ対象業種からの排出量が急激に減ったのかみたいなことをやっぱりきちんと説明していただいて、今後の制度に生かしていくというふうなことが必要じゃないかなというふうに思います。
 以上です。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 MSDSは比較的うまくいっているのではなかろうかという見方がある一方で、まだ、不十分な部分もあるというようなご意見が大分続いていたし、それから実際にPRTRとも関係して、どういう環境放出とその影響というのをもうちょっととらえなければいけないんじゃないかというようなご意見もあったかと思いますが、続きまして、林委員、どうぞ。

○林委員 今回、きょうの第1回目はもう少し概念的なことをお話ししてもいいというような理解なんですけれども、それで前回からハザードからリスクへというような言葉でいろいろ議論がされているんですけれども、その言葉の定義を少しきちっとして、次回のワーキンググループでリスクアセスメントということで、その辺がもう少し整理されるのかとは思うんですけれども、このグループ内だけでも一応意思統一を図っておいたほうがいいんではないかなというふうにちょっと感じていまして、今、具体的な定義の文案は持ち合わせていないんですけれども、何か少しそれを考えたほうがいいんではないかなというふうに感じております。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 言葉の中身が違っていると議論をしてもすれ違ってしまいますし、確かにおっしゃるようなことなので、これは次回までに事務局に整理していただくことになろうかと思いますし、あと委員の先生方には事務局のほうからいろいろ教えていただくこともあろうかと思いますけれども、その節はよろしくお願いいたします。
 それでは、大塚委員、どうぞ。お待たせしました。

○大塚委員 3点ございますけれども、第1はMSDSについてですけれども、さっき中地委員が言われたこととも若干関連するかもしれませんが、PRTRのほうでも扱っていることなので、今回、それほど出てきていないんだと思うんですけれども、中小企業さん等において、実際にどのぐらい使われているかに関してのデータというのをもし出していただけると大変ありがたいと思います。それによってはもう少し義務の程度を強めるということも可能性としては考えられないわけではないので、そのデータを出していただけるとありがたいと思います。
 それから第2点ですけれども、成形品についてはさっきREACHについてお話がありましたが、一般的に成形品はリスクは少ないと思いますので一般的にはいいんですけれども、溶出をしてくるようなものがあるとすれば、そういうものについて、情報の提供等が必要になるのではないかという問題があるかと思います。
 それから第3に、ここには余り出てきていないんですけれども、川下から川上に対する情報提供の問題というのもREACHで出てきている問題ですが、これをどう扱うかということがあろうかと思います。現在の日本の化審法等の考え方ですと、リスク評価は最終的には国が行うということになると思いますので、川下から川上へということか、あるいは国へということの議論もあると思うんですけれども、情報を提供するということが懸念されるような物質についてだけでいいんですが、問題になるのではないか。それは必ずしもここに論点として出てきていないかと思いますが、加えていただけるとありがたいと思います。

○佐藤委員長 今、MSDSの流通がどれくらい特に小さな企業の間であるかというお話で繰り返し出てきましたけれども、事務局のほうで何かデータはありますか、あるいはもし今なければ、次回にご準備いただくことになりますけれども。

○経・福島室長 ただ、MSDS自身は流通の義務化は法律上されておりますけれども、具体的な数について、今はお答えするデータは持っておりませんので、持ち帰って推計も含めて可能かどうか検討したいと思います。

○佐藤委員長 では、次回までにお願いします。
 続きまして、実平委員、どうぞ。

○実平委員 まず、MSDSの関係ですけれども、ここにいらっしゃる工業界や大手企業につきましては、若干不足なところもあるかもしれませんけれども、きっちりとした運用がなされていると考えています。しかしながら一部、輸入代理店などではMSDSの提供が十分になされているのかどうかという懸念があります。
 それから、情報伝達全般に関しますと、先ほどちょっと議論がありましたけれども、物質調剤系とアーティクルとは、分けて議論する必要があると思っていますので、よろしくお願いします。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、中西先生、お待たせしました。

○中西委員 今回の議論の大きなポイントは、ハザード管理だけではなくリスク管理というところだと思うのです。しかし、MSDSやIMDSはいずれもハザードで、企業の環境対応がほとんどハザード対応になっていることの矛盾が、相当大きくなっているというふうに私は思うんで、ここでどういう場合にリスク評価をして、その情報を伝達しなければいけないかということを議論しなければいけないというふうに思います。ですから、MSDSは問題としてありますが、これは従来からの問題であって、それはどうすれば改善されるかの問題であって、ここで議論すべきことではないと考えます。新しいリスクをどうやって、だれがどこで評価し、伝えるのかということをここは議論をすべきだと思うのです。
 私がまず考えますのは、例えばトルエンならトルエンをつくっているという企業があったときに、用途に応じて大ざっぱな排出量推計についてのデフォルトみたいなものを国なら国がつくる。生産した人が、それを伝えて、それぞれ使用する場所でどのぐらい環境中に出るかということを把握できるようにする。そして、それを公示するなり、公表するなりして、それがある一定の量を超えた場合に、環境中への例えば拡散とかなんとかも計算するとか、何かそういうようなふうにして段階を分けて、しかし、仕事の量をできるだけ減らすように、用途に応じた排出量、排出割合というようなものを表示して次に渡していく。
 それで、調剤になった場合に次に渡していくというような、何か2段階、3段階ぐらいのところで、形式化された暴露量というか排出量についてのデフォルトみたいなものを国としてつくって、それをみんなが活用していくというようなことが必要なんじゃないか。それは先ほど西原先生が言われたようにまさに用途なのですね、用途が分かれば排出量が一定に決まるというような、そして、それがある量を超えたところはもうちょっと何か詳しいことをやるとか、何かそういうようなことが必要なんじゃないかと、そういうふうに思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 リスクに応じた管理体系のイメージというのが少し出てきたように思うんですけれども、中杉先生。

○中杉委員 3点あります。一番最初にここでの検討の最初にある「ライフサイクルにおける使用実態を考慮した」ということを書いてありますが、これはもう一回整理をしていく必要があると思います。といいますのは、使用実態というと家庭で使っているときの暴露というのが、消費者が使っているときの暴露が一番高いわけですね。これは化審法の対象ではないよということを確認しておく必要がある。しっかりそこを踏まえておかないと、いきなり表題でライフサイクルにおける使用実態を考慮したという話になると、そこを誤解を受けるだろう、そこを整理しておく必要があるだろうと。これが1点です。
 それから、2つ目は今MSDSの議論を盛んになされていますけれども、MSDSの議論というのは化審法の今の制度の中では全くないわけですよね。それを入れるための議論をしているのかどうか。ちょっとそこら辺で化審法の審査をする中で、MSDSをどうするかという議論を一生懸命やっているのに違和感があります。もし化審法の審査の中でやるのならば、化審法の中にもそういうのを位置づけるべきだ。その上で化審法の中でどうするべきだという議論になるんだろうと思います、化審法だけということではないですけれども。
 3点目は化学物質の審査に携わっていていつも気になることなんですが、化審法の審査というのは入り口なんですよね。そこでいろんな情報を化審法の審査をしている立場にいると得られるわけです。その情報が化学物質管理全体にどう活用されているか。そこら辺のところが非常に疑問を感じるところです。化審法の中では環境中の残留について審査をして、監視化学物質、特定化学物質をつくっていきます。環境中のものについてはそれはそれで管理できます。それ以外のものについては化審法のでは残念ながら今は手を伸ばせない。
 ただ、化審法の審査の中でいろんな情報を我々は手に入れます。そういうものをどう活用するか。これは一応、今は担当部局にお伝えくださいというような形でコメントしているだけの話なんですね。これをどう活用していくのか。化審法が一番最初にそういう情報を得たときに、どういうように化学物質のリスク管理で活用していくか。そういうところを少し考えていく必要があるだろう。そうすれば化審法の審査で得られた情報、これももちろん企業秘密の問題がありますから、どこまで出せるかという問題を議論しなければいけませんけれども、MSDSにもつながってくるだろう。ちょっとそういう観点での議論が必要なのかな。
 実際には化学物質の管理、用途によっては一番使用している段階での暴露が非常に高い場合がある。そういうところは逆に言えば今のMSDSでもきっちり流れているかというと、今、MSDSを流すところは化管法で環境経由、それから毒劇法も危ないものを使う場合、それからもう一つは労安法です。そういうところではMSDSでは化審法の情報は流れない。こういうところをどうするかというのが一番最後の論点で、消費者に化学物質の情報をどう伝えるかというところにかかわってくるのではないか。残念ながら、これは化審法の外でございますけれども、ちょっと余計なことを申し上げました。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 貴重なご指摘をいただいたと思います。この使用実態というのはやっぱり確かに紛らわしいというか、誤解を招くような部分もあるので、ちょっと考えなければいかんかなというふうには確かに思います。

○環・戸田室長 ちょっと1点だけ。MSDSをなぜここで議論しているのかということでございますけれども、産構審と中環審におきましてPRTR、化管法にかかる見直しの中で中間取りまとめをいただいたところですけれども、その中で「おわりに」のところで書いてございますが、MSDS制度のGHSとの整合に向けた取り組みなど、制度の変更に関する指摘もなされたとした上で、「本合同会合では化管法に絞って審議を行ったが、今後はさらに化審法を中心に審議を行い、化学物質管理政策の新たな方向性を示し、必要に応じて化審法及び化管法の一体的な改正を目指すべきである」ということでございますので、どっちの法律でやるかという議論はともかくとして、密接に関係するものでありますことから、ここでご議論いただいているという趣旨でございます。

○佐藤委員長 どうぞ、中杉先生。

○中杉委員 わかりました。今の事務局の説明で化審法で位置づけるということも、一つのオプションの中にあり得るということでここで議論するというふうに理解をしましたので、そういう意味でいえば、MSDSが化審法の審査で新たに入ってくる情報について、それをどう生かしていくか、これはMSDSの対象物質をどうしていくかという話に絡んでくるんだと思います。そこら辺のところが一つ議論になってくるのかな。これはほかの法律の仕切りの中でやるにしても、そちらの法律に先ほど言いました、いかに化審法で得た情報を生かしていくかということが重要になってくる。どちらで整理するかというのも一つの考え方ですけれども、いずれにせよ、化審法で得た情報というのをどういうふうにMSDSの中に生かしていくのか。単に監視化学物質ですよ、特定化学物質ですよというだけでいいのかどうかというところが、今、一つの問題点になるのではないかというふうに私は考えています。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、北村委員、どうぞ。

○北村委員 今、MSDSの議論が行われておるんですけれども、産業界におりますとMSDSと化審法が事実上、無縁ではないというふうに考えております。理由は化審法の監視化学物質等になった段階で行政指導の形ではあるんですけれども、取り扱い上の注意とか環境中への放出はしないようにということを、ユーザーに伝達しろということが挙げられてございます。当然、我々は伝達の媒体として使うのは別文書を起こすのは大変ですからMSDSに記載する、あるいはラベルに記載するということになりますので、実質的にMSDSと化審法が全く別の地点にあるのではなしに、産業界は化審法を視野に入れたMSDSになっております。
 それから、もう一つは全く法律には関係ないですけれども、消防法についても視野に入れているということで、現在の産業界のMSDSに対するスタンスというものは、必ずしも毒劇法、化管法、安衛法だけに限られているのではないということは、まずご理解いただきたいと思います。
 それから、先ほどから議論がいっぱい出ておりますが、一体、MSDSがちゃんとできているのかとかいうことなんですが、今まで申し上げたとおり、三法以外の法律も含めて産業界のかなりの部分は自主的な記載を行ってきているというのが実情であります。ただし、それが100%かと言われますと、多分、100%には届いていないだろう。これが実態だろうと思います。その100%に届かないものをどうやって100%にするのかというのが、国民から見ても非常に興味の高いある部分だと思いますけれども、この部分につきましては実際は産業界の中での取り組みのいわばトップランナー方式、これを採用していただくことが実際的ではないのかというように思います。
 細かく法律で規制を書いて、これを書け、あれを書けといっても、現在の時点で十分に作成し切れていない段階で、いろいろなことをつけ加えても消化不良を起こす。むしろ、それよりは先ほど北野先生のメモにもありましたとおり、そういった情報の流通がBtoBの段階で行われるのだとすれば、トップランナー方式でBtoBの中でそういった供給者の選択が進んでいく、そういうことが極めて実際的なソリューションではないかというふうに考えております。それが現在、産業界におりますところの実感でございます。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 少しリスクに応じた管理体系というところのご発言もお願いしたと思うんですが、西原先生、どうぞ。

○西原委員 先ほどちょっとフライングしましたけれども、多分、ここに非常に関係してくる、ほかのところにも関係してくると思って最初に言ったんですけれども、用途情報というのは、今、化審法上は別に義務じゃないんですよね。用途制限をするということはできないんですよね。逆に言うと、もう一つ、よく一番わかりやすい例でいうと染料と書いてあるところがあります。用途として、染料としても例えば衣服のいわゆる染めるやつとか、それからペンキの中の顔料、船の船底に使うやつとか、全部染料なんですね。そういう意味で、そうするとリスクベースで考えたときに非常にわかりにくい、分類もしにくいということもあります。
 そういう意味で、できるだけ用途は絶対書かないといけないというとおかしいけれども、グルーピングといいますか、幾つかの項目を分けて、その中のどれかということをまず書いて、そこからもうちょっと詳しい用途まで記載できるようにしていないと、今、中西先生が言われたように、それをまとめてどのくらい製造されているのかということの統計もとれないんじゃないかとかいうふうに思いますので、その辺も組み込んでいただけたらと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、大塚委員で白石先生で、それで大体時間になりそうなんですけれども。

○大塚委員 最後の辺で申し上げるのはちょっとあれだったんですけれども、先ほどの中杉委員のお話との関係でちょっと申し上げておきたいんですけれども、先ほど事務局からもご説明があったんですけれども、消費者のほうは全く化審法と関係ないかというと、化審法の目的で環境汚染の防止というのがあることはあるので、その限りでの関係ではあることはあると思うんですね。
 むしろ、法律の人間が言うのと同じようなことを先ほど中杉先生がおっしゃってくださったんですけれども、各法の目的をかなりきっちり分けてご説明になってくださったところがあるんですが、他方で先ほど北村さんからもご意見があったように、実際には連携して使われているところがありますし、それから、ご案内のように全体的な化学物質に関する法律をできるだけ包括化していくという方向を恐らく目指すべきだということはあるかと思いますので、先ほど中杉先生がまさにおっしゃってくださったように、化審法、例えば審査情報はほかにところでも使えるようにするというようなこととかも、例えば考えていったほうがいいというところがあって、化審法はBtoBだけでとか、あるいはBtoBですらMSDSの問題はPRTR法でやっているとかという、そういう現在の状況に限定するのではなくて、もう少し広がっていく方向とか、あるいは化審法を化学物質全体の一般法のような方向に持っていくという議論が今必要になっているんじゃないかというふうに思いますので、意見として申し上げさせていただきます。

○佐藤委員長 ありがとうございます。
 では、白石先生でこの点に対しては最後にしたいと思うんですが。

○白石委員 今、大塚委員のと全くかぶってしまったんですけれども、資料3で化審法はすごく狭いような範囲で描かれているんですけれども、化審法の一番の特徴はすべての化学物質を対象にしている、非常に大きな法律であるというところがメーンであると私は思っているんですね。GHSも同じようにすべての化学物質を対象にするということで、非常にMSDSに関しても相性はいいかなというふうに思います。今、BtoBの議論だけなされていましたが、今、大塚委員のおっしゃったとおりに、私で言うとLaw to Law、LtoLの連携をきちんととったほうがいいというふうに感じます。そこに何が必要かというと、ほかの法律は皆用途に基づいた法律、私は法律家じゃないですけれども、であろうと思いますので、多分、リスク評価においても用途情報は必要であるし、Law to Lawの関係においてもリスク評価というか、用途情報というのは必要であろうかというふうに感じます。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 大変議論が白熱しているんですけれども、これだけやっているわけにもいかないので、次のアイテムに移らせていただきたいと思います。今の話というのはかなり総論的な部分、あるいは化審法はどうあるべきかというようなところまでありますので、また、このワーキンググループの議論の中でも繰り返し出てくる、あるいは議論しなければいけないことかなというふうに思います。私のほうから何か一言でまとめることはちょっとできないんですけれども、事務局のほうでまた議論のメモをつくっていただけると思いますので、そこに任せたいと思います。
 2番目といたしましては、特に高い有害性が懸念される化学物質の厳格な規制についてということなんですけれども、リスクベースで化学物質を管理するということになろうとしている方向で議論しているわけですけれども、ただ、その場合、高ハザードの化学物質の管理をどうしたらいいのかというような観点から、ご議論をいただきたいというふうに思います。これも欠席の北野委員からご意見が来ていますので、まず、それをご紹介していただきたいというふうに思います。

○環・戸田室長 それでは、先ほどと同様に読み上げさせていただきます。
 論点(2)について。
 essential useの考え方について。
 化学物質を賢く使用するという前提で考えることの必要性、及び、国際的な整合性、特にストックホルム条約についても配慮が必要であることから、第1種特定化学物質のessential useに関しては従来以上の弾力的な取り扱いが望まれる。現行の化審法でも第1種特定化学物質については、私の理解ではessential useとして、PCBが新幹線については一定の期間、認められていたと思うが、その他の物質に対しては社会的なクローズドシステムの確立という考え方が強く出され、基本的には製造、使用等一切の禁止となっている。
 ここでessential useを認めるうえで、下記の事項が担保されねばならない。
 1)認められた用途及び量が使用されていることの確認。
 2)環境モニタリング等により、その物質の製造、輸入、使用が人の健康と環境に悪影響を与えていないことの確認の、事業者による定期的な報告の義務化。
 3)人の健康または環境に悪影響を及ぼす恐れが認められるときには、更なる用途制限、使用量の減少、また必要な場合には全面禁止の措置を行政が速やかに取ることができること。
 4)関係する企業、また学界に代替品の開発を促進させるための措置を講じること。
 以上、北野委員のご意見でございます。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 ただいま、北野委員から特にエッセンシャルユースの考え方についてのご意見がありましたけれども、これにとらわれないで幅広く高ハザード物質の規制についてご意見を賜りたいと思います。
 では、実平委員、どうぞ。

○実平委員 私どもは電機業界ということで、化学物質に関しては基本的にはユーザーという立場にあるわけですね。したがいまして、高ハザード物質というのは入り口のところで管理していただいて、入ってこないということが一番いいわけでありますけれども、既にもう使っているものというかがあって、今後、規制されてくるようなものについては十分な注意が必要であると考えています。本日の資料4で出ていました12ページのPFOSのようなもの、これへの規制がかかるということになりますと、考えていかなければいけないのは代替困難性とか社会経済性、あるいは影響の大きさなどがあります。エッセンシャルユースを認めていく必要があるということです。
 POPsとの整合性の観点で申しますと、先ほどもご指摘があったかもしれませんが化審法の14条の2項のところですよね、「当該用途が主として一般消費者の生活の用に供される製品の製造又は加工に関するものでないこと」ということがあって、これの解釈がどうなるかということが非常に重要であるし、もし解釈的にこれが適用されるということになると、その辺の検討をしていただかなければいけないと考えています。また17条あたりですかね、使用する場合の技術の基準というのがございます。ここでかなり限定用途であるとか、幾つかの技術的なガイドラインの提示をしていただいて、これに準拠する用途については使用を認めるといったスキームの検討を、ぜひお願いしたいと思っております。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 では、林委員、どうぞ。

○林委員 ちょっとまた観点が変わるんですけれども、先ほどの中杉委員と非常にまたかぶるところもあるんですが、今までに新規化学物質の審査をずっとやっていまして、そのときにいろいろ気になる点の一つとしまして、例えばAmes試験などで非常に強い陽性の化学物質が登録されてくることがあるんですけれども、そういうような場合でも、生産量が多い場合には第二種監視化学物質相当というようなことになるんですが、低生産性のものであれば、それも実際には残らない。だから、せっかく提出されてきているそういう化学物質に関する情報というのが、今は何かなかなか有効に生かされていないというような印象がありまして、そういうふうなものをやはりせっかくある情報は、それをうまく本当に生かしていく。だから、それをうまくリスクというようなものにつなげて考えていかないといけないなということを常々思っているんですけれども、今、ここでちょうど出てきました高ハザード化学物質の規制というようなことについては、その辺の点も考慮に入れていただければというふうに考えます。

○佐藤委員長 合同会議の議論がハザードからリスクというようなことを言っていたわけですけれども、今のは情報のほうをハザードからリスクへどう結びつけるかをいうお話だと思うんですけれども、ほかに。
 では、中地委員。

○中地委員 関連してですけれども、今のところ、高ハザード物質の定義そのものが難分解性、高濃縮、長期毒性というふうな形でもう決められているんですけれども、例えばEUのREACHなんかではCMR、高懸念物質という形で発がん性、変異原性、生殖毒性というふうな形で、もう少し毒性の範囲が広まっていると思うんですけれども、今後、化審法もやっぱり国際的にREACH等で対象になっているような物質にも、やっていけるような形に変えていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○佐藤委員長 ありがとうございます。
 中杉委員、どうぞ。

○中杉委員 基本的にエッセンシャルユースというのは、やはりある程度必要だろうと思うんですが、北野先生が言われるように、あくまでもちゃんとリスク管理ができるということが前提であるという意味でいくと、3番目の論点にも少し絡むんですけれども、リスク管理が本当にできるのかどうかという視点を入れる必要がある。具体的に一つの例として挙げると、環境の濃度をはかると北野先生は言われるけれども、環境の濃度を危険なレベルまではかれるかどうかというようなことも一つの議論としてはあるんですね。環境濃度をはかれないことはないかもしれないけれども、物すごく高いコストがかかるというようなことがある。そういうことも含めてそれだけではなくて、実際に排出を抑制するという意味で、それが十分にできるかどうかという観点をやはり評価の中に入れておく必要があるだろう。
 もう一つはちょっとマイナーなことなんですけれども、エッセンシャルユースとして認めるときに、北野先生の1番目に「用途及び量が使用されていることの確認」ということがありますけれども、そのほかに私は環境への排出の情報というのをどう把握するか、PRTR対象物質については環境への排出が報告をされている。それよりもリスクが高いものについて、エッセンシャルユースだからといってそれが求められないというのはどうなのか。実際にリスク評価をするときに、環境をはかるということもありますけれども、もう一つは排出から環境の濃度を予測してということになりますので、そういう意味でいくと化審法のほうなのか、化管法のほうなのかどっちか。化管法のほうでいくと、こういうエッセンシャルユースは使用量が少ないから、多分、落ちちゃうんですね。だから、あちらのほうを直して、もう少し下げて特例としてダイオキシンみたいな形でPRTR法のほうに位置づけるか、あるいは化審法のほうのエッセンシャルユースのリスク管理の一つとしてそういうものを加えるか、そういうことも検討する必要があるのではないかというふうに思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 では、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 一番最後に書いてある高ハザードの懸念がある化学物質(第一種監視化学物質相当のもの)についてですけれども、ここに書いてあるとおりということになるかもしれませんが、これについてハザードの高い懸念があるということなので、表示の義務ぐらいはつけていただいてもよいのではないかというふうに思います。ある種の予防的なアプローチということになるかもしれませんが、REACHでもvPvBについては行っているところですので、先ほど中地委員がおっしゃったこととも関連しますけれども、私の意見としてはそういうふうに申し上げておきたいと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 そういう情報がどううまく伝わるかというのが何かポイントのような気もしますし、何か法律が分けちゃっているから、なかなかそこのところは難しいような感じもいたしますけれども、もう少しその辺でご意見……浅田委員、どうぞ。

○浅田委員 エッセンシャルユースについては先ほど実平委員からお話があったように、やっぱりある程度認めてほしい、産業界としてはやっぱりこういうのはあるだろうという認識はございます。しかしながら、化審法というのがもともとPCBという事件からできた法律であることを考えますと、このエッセンシャルユースを認めても、後日、いろいろ科学的知見で変わることもありますので、ぜひこの議論をするときリスク議論ですので、セーフティーネットをどうするかを踏まえての議論というふうにしていただかないと、何か認めればどんどんいいというふうになるのは非常に困るなと思いますので、そこのところも忘れないでお願いしたいと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございます。
 では、北村委員、どうぞ。

○北村委員 先ほどからエッセンシャルユースの議論、特に産業界の委員の方からいろいろ出ているんですけれども、私もちょっとコメントをつけ加えたいのは、エッセンシャルユースといっても実は北野先生がいらっしゃるともう少し正確な議論が出るんですけれども、PFOSの問題なんでございますけれども、実は泡消火薬剤というのは使われないことを期待してつくっている製品なわけですね。ですから、極めて特殊な製品であると同時に、このものは泡消火薬剤といっても家庭用にはほとんど使われていないで産業用、それもコンビナートあるいは石油備蓄基地、そういった非常にクリティカルなところに使われているものでございます。現実にこれを使った消火薬剤はかなり多量の量で、各コンビナートなり、石油備蓄基地に配備されている、あるいはトンネルなどの地下構築物とか、そういうところに閉鎖系に使われております。
 こういうものについて実は泡消火薬剤ですから本当は開放系で使うんでしょう、最後はということになります。確かにそのとおりなんですけれども、実際は産業界の場合で使っていくときには消火薬剤として使いますと、そこの中にはその薬剤だけではなしに、いろんなものが廃液に入りますので、すべてこれはとめて回収しております。したがまして、泡消火薬剤といっても産業用に使われているものについては、必ずしもオープン系ではないというご認識はいただきたい。
 それから、もう一つはこれにかわる性能のものはなかなか得られない。現実に、今、どれだけあるか私も正確にはわかりませんけれども、相当の量が希釈された状態でいろんな工場、石油基地に配備されている。これを使用禁止するということは、相当な意味での社会経済的な損失になるというふうに考えております。したがいまして、こういったエッセンシャルユースといっても、今後、そういったものは開発しない、あるいは市場に出さないということは重要なポイントではありますけれども、現在、そういった形で配備されているものにまで法律の制約をかける、要するに一特になりますと使用ということで制約にかかりますけれども、そういうことまでかけるというのは非常に社会的な意味での損失が多いという、そういう事例があるということはご認識いただきたいと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、先生、どうぞ。

○中西委員 先ほど中地委員と大塚委員が言われたのは、高ハザード化学物質の定義と高懸念化学物質とごっちゃにされた議論だというふうに思うんですね。そういう意味で、このペーパーが不親切だというふうに思いました。高ハザードというのと高懸念とは異なり、化審法の一特なわけですね。日本では全部完全に禁止されているものについて、例外としてエッセンシャルユースを認めるかどうかという議論なわけですから、いろんなものにラベルをつけるとか、そういう話では全然ないということなんです。
 それで、そういう場合にエッセンシャルユースというものをPOPs条約で認められたものについて、日本はそれも今までの化審法の定義を少しやや弾力的に応用して、それを認めるのかどうかということと、POPsでは認められていないけれども、日本独自でもエッセンシャルユースを独自に設定するかという議論がある。日本独自でつくるとすればどうするという、どういう状況にする。例えば先ほどの消火剤みたいなものは少なくとも使った後とか、あるいは新規なものに取りかえるときに必ず処理をするとか捨ててはいけないとか、そういうようないろんな条件をつけるとか、そういうことがあるかと思います。
 ただし、エッセンシャルユースはやっぱり5年とか10年とかという期限があると思うんです。そうすると、その間に少なくとも代替物質を開発しなければならないという義務が出てきますので、十分期限をどうするのか、POPs条約と同じにするのかどうかとか、そういうところを議論しなければいけないんじゃないかと。基本的にはPOPs条約で認められたものについては日本も認めてもいいんじゃないか、日本独自に新たなものをつくるときには、相当厳しいルールをつくって適用し、先ほどのセーフティーネットのようなものを十分考えた上でやるというようなことがいいのではないかなというふうに思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 高ハザード物質と高ハザードの懸念があるという2つのお話だったんですけれども、私のほうもそれを区別して議論いただくようにしなかったもので、若干混乱があったかと思います。申しわけございませんでした。
 大塚委員。

○大塚委員 事務局に言っていただいてもいいかもしれませんが、申し上げたいことは別に変わらないので、(3)の問題になるのかもしれませんけれども、高ハザードの懸念がある物質について先ほど申し上げたということでございます。

○佐藤委員長 わかりました。確かにペーパーの下のほうには高ハザードの懸念があるということが書いてあって、ボックスの中は高ハザード化学物質ということだったもので、私のほうで区別すればよかったんだと思うんですけれども、すみませんでした。
 ほかにご意見はございますか。よろしいですか。
 今までのお話ですと、エッセンシャルユースというのは認めるべきだろうというのが大勢のようでございますけれども、ただ、それにはいろいろ条件をつけなければいけないだろうというようなご意見もあったかと思いますし、それから高ハザード物質ないしは高ハザードの懸念がある物質の情報をどのように広めていくかというか、そこのところは非常に大事だというご意見も繰り返されて出されたように思います。もしこれ以上、ご意見がなければ、3番目のほうに進んでもよろしいですかね。
 それでは、リスクの観点から懸念の高い化学物質の適切な管理ということで、これは次回のワーキンググループの議論にも若干関係するかもしれないんですけれども、ご意見を伺いたいと思います。
 札が立っていますけれども、中西先生。先生からご意見をいただきたいと思います。

○中西委員 札は下げ忘れたのですが、それでは、無理して意見を言います。

○佐藤委員長 ありがとうございます。

○中西委員 第二種特定化学物質というようなものについて、今、指定されているものについて一定のリスク評価をした上で、化管法の指定化学物質にするというルールをつくったほうがいいんじゃないかなというふうに以前から思っているわけです。そういう意見を申し上げたいんですが、ただ、先ほど中杉さんが言われたのと同じなんですが、本当にそんなルールをつくっちゃって、今のマンパワーで経済産業省とか環境省とかできるんだろうかというのが私は非常に心配しているんです。ですから、化管法と連携した形で、ここのところをスムーズにぜひ動かしていただきたいというふうには思っているんですけれども、本当にできるんだろうかというのは先ほどの中杉さんと同じ心配であります。

○佐藤委員長 では、続いて中杉先生、お願いします。

○中杉委員 リスクの観点から懸念の高い化学物質の適切な管理ということで、化審法がすべてをやるという話ではないのは当然のことなんですが、ここで議論されているのは一番最後の段落で、化管法との連携はいかにあるべきかということなんですが、実は化管法は自主的な排出抑制の方策を決めているものであって、もう一つ、その次になるのが大防法や水濁法、次には廃棄物処理法、いわゆる排出規制の法律があるわけですね。そことどうすみ分けるかというのが当然必要な議論だろうというふうに思います。そこを考えないといけない。
 そういう意味でいくと、前回の全体会議でも私は個別に申し上げたかと記憶していますけれども、今の化審法の審査、次回の審査のリスク評価のところにかかわってくるんですが、今の化審法の審査は化審法ができた経緯から考えて、あくまでも水系の暴露を考慮したものになっている。大気汚染のものはどうするのかというのが非常に大きな問題になります。PRTR法で圧倒的に大気に汚染物質が出ていますし、大気の汚染物質というのは残念ながら我々が暴露されるのを途中で防ぐということはできないという意味で非常に問題になる。そこのところをどういうふうに考えるのか。これに関しては一方で大防法がありますし、化管法があります。それとどういうふうに整理するのかという議論が必要なので、化管法だけということではなくて、ほかのものについても少し考える必要があるだろうというふうに考えております。

○佐藤委員長 ありがとうございます。
 ほかにご意見。
 江馬委員、どうぞ。

○江馬委員 第二種監視化学物質、それから第三種監視化学物質に指定し、さらに国がそれらのリスクを評価し、とあるんですが、長期的なハザードを評価する枠組みというか道筋がないと思うので、それが必要かと思います。

○佐藤委員長 ほかにどうぞ、ご意見はございませんでしょうか。
 中地委員、どうぞ。

○中地委員 中杉先生の提案にもありましたけれども、一番最後に規制対象となる候補の化学物質ということで、第二種あるいは第三種監視化学物質相当のものについてということで、国のほうでどの程度、そういう物質の見直しをされているのかというふうなことについてご説明を願いたいなと。林先生がお話しされた審査というのは、基本的には新規化学物質についての審査というふうに理解しておりますので、既存の化学物質、当然、新しい科学的な知見が積み重なるわけですから、そのときに第二種あるいは第三種の監視物質に相当するというふうな見直しをどういうタイミングで、どうされているのかというふうなことを教えていただきたいと。それがないのであれば、やっぱりそういう枠組みをつくるという形で、政省令等を改正していく必要があるのかなというふうに思います。

○佐藤委員長 事務局のほうでお答えいただけますか。

○環・戸田室長 既存化学物質の評価につきましては次回、第2回ワーキンググループで資料を作成したいと思いますので、そちらのほうでご議論いただければと思います。

○佐藤委員長 もう一つ、最初のほうに質問があったと思うんですけれども、最初の質問には今のはお答えしていませんよね、中地委員。

○経・森田室長 では、こちらから。今のご議論は非常に大きな枠組みの議論だというふうに、事務局のほうでも考えております。そういう意味では、この論点で提示させていただいておりますところを少し事務局からもう一度再整理させていただきますと、このカテゴリーはいわゆるリスクを見ていったときに、懸念が高いというものについて化審法として規制措置を講じるというのが柱でございます。それにつきましては現行の化審法では幾つかの規制措置があるということが基本形としてございます。それに対して、そういったものをどういうふうに絞り込んでいくか、という言い方はやや語弊があるんですが、本当にそういう規制措置を講じるべき物質はどういうものであるかということをどういうプロセスで絞るか、その絞るプロセスに恐らくリスクの観点というものを、今後、しっかりと組み込む必要があるのではないかということが私どもが考えている論点でございます。
 その過程の中におきまして、現行の法体系では監視化学物質と呼ばれるものがその過程に存在している、過程というのは途中の状況であるということでございますけれども、その際に判定するためのプロセスというものは、現行の化審法では新規物質については事前の審査制度があります。それから既存化学物質につきましては、国が行う安全性点検というものでございます。この両方の審査・点検ともに見ている毒性項目は同じでございますので、そういう意味では新規も既存も、今の化審法としてリスクの懸念が高いという絞り込みをやるプロセスは、全く同じだというふうに整理をさせていただきたいと思います。
 最後に、中地委員からいろいろとご指摘がありましたような論点等々につきましては、先ほど環境省の事務局からもご説明申し上げましたとおり、今後、そのリスク評価をやっていく考え方、さらにはハザード評価をやっていく考え方という中で、当然、十分なご議論を進めていただく必要があると思っております。現状では、そういう意味では化審法の枠組みというものに対して、少し整理をさせていただきましたので、以上でございます。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 中地委員、よろしいですか。

○中地委員 枠組みがあるというのは非常に今わかりましたけれども、その枠組みが実際、効果があるのか、回っているのかどうかということも次回で結構ですので、説明していただかないと、それでいいというふうにはちょっとこの場では答えられませんので、よろしくお願いします。

○佐藤委員長 そういうご要望がありましたので、お聞きおいていただきたいというふうに思います。
 では、関澤委員の代理の吉田さん、どうぞ。

○関澤委員代理(吉田氏) 関澤委員の代理の吉田です。
 今の視点に関連することですけれども、ここの文章で一応国がリスクを評価しているという文言があって、先ほど用途の情報がないとのことですが、この用途をどういうふうに把握していくのかというのが、今回の非常に重要なリスク評価の課題だと思います。そうすると、今、実施されているリスク評価と、そのレベルに違いがあるということになるのでしょうか。その違いがわからないので、課題観がちょっと見えないのですけれども、用途を入れることでどういうことになるのかということを少しよく考えてみたいと思いますので、よろしくお願いします。

○佐藤委員長 もし事務局のほうでありましたら。

○経・森田室長 事務局ばかりで申しわけございません。現状の運用だけを簡単にご説明申し上げます。用途情報の考え方でございますが、先ほど西原委員からもご指摘がございましたが、新規審査というこれからつくる段階で届出をされる用途情報というのは、こういう物質をつくりたいと、おそらくこういう用途で使われるであろうという参考情報として出していただくというものでございます。これは参考情報でございます。
 他方、実際、監視化学物質なりに指定された場合におきましては、実際、どれだけつくったか、輸入したかという実績数量の届出というのを毎年、法定義務として遵守していただいているというのがございます。その中で、実際の製造状況をさらに補足的に行政として把握するという意味におきまして、現行の省令の届出様式の中に非常にラフな形での用途区分というものを一応分類として設けてございまして、それに基づきまして、基本的には川上の供給者の方みずからが理解されておられる用途をチェックして、私ども行政のほうに提出をしていただいていると、これが現状でございます。それにつきまして、今後どうあるべきかということは、またこれからのご議論だと思いますが、現状だけをご説明させていただきました。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 吉田さん、特によろしいですか。

○関澤委員代理(吉田氏) 今、用途のことだけだったのですけれども、リスクを評価しているというのはいわゆる環境のモニタリングとか、そういう情報でリスクを評価しているという理解で良いのでしょうか。

○経・森田室長 リスクの評価という形では毎年、まず製造数量、それから実際に使われているものを想定して、非常にラフなリスク評価ということをやっております。あわせまして、実際、環境モニタリング等もやっておりますので、そういったものを参考情報として総合的に判断をしているというのが現状でございます。そういう意味では、いろいろな要素は見ておりますけれども、特に統一的なフォーマットというものは今のところはございません。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、井上委員、それで続いて有田委員、お願いいたします。

○井上委員 健康影響の立場から申し上げたいんですけれども、今、ご説明があったように新規の審査の際にもリスクを念頭に置いた審査をしていないわけではないんですね。用量との関係でもってデータを検討していますから、先ほど林先生が指摘されたようなああいう問題を除けば、少なくともスクリーニング毒性試験が行われているものについては、そういうことはわかるんですね。わかるんだけれども、実際の化審法の精神との関係で、環境中でどれだけの暴露があるかということとの関係が出てこない。
 したがって、製造なさる方の立場からすると、あるいは川上に近い方たちからすると、想定される暴露を念頭に置いたリスクが先ほど出たようなMSDSの中に新たに組み込んで、化審法の中でそれを管理するというようなことがもしなされるとするならば、そういう申請もしていただくということは可能なんですね。そういう暴露情報があれば第三者もそれがチェックできるわけですけれども、そういう意味ではリスク評価というものを、ハザード評価からリスク評価に転換させる方法というのは、幾つかの方法があり得るわけですね。それを実際に進める方向で、ここで議論が進むのかどうかということにかかっているのではないかと思います。
 そのこととの関係で私どもが化審法の審査をしていて、いつも歯がゆい思いをしているのは、いわゆる一監、二監といいますけれども、そういう監視体制がとられていて、先ほどの事務局のような説明があるにもかかわらず、それを包み込むような枠組みができていないために、江馬委員もさっき言いましたけれども、したがって、それのプライオリタイゼーションによって、さらに正確にリスクアセスメントをすべき化学物質に対する対応が長期体制としてとれていないというこの点だろうとも思います。この2点が問題なのではないかと。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、続いて有田委員、どうぞ。

○有田委員 まさに、井上委員がおっしゃった、その関連で言います。前回の化管法の見直しのときに「リスク管理を実践するに当たっては」という中で、「リスク評価実施者が具体的に対処すべき優先順位を明確にして、優先順位に基づく管理手法を検討していくべきである」というようなまとめが出ています。そのまとめの検討は、どこで議論して、どうするんだろうと。ここで議論して、それが出るわけではなさそうなのでというのがあって、その質問というか疑問を持っているわけです。リスク評価実施者ということでいえば行政もあるでしょうし、事業者も両方、先ほども物によって違うというような意見も出されたと思いますが、情報もはっきりしていない、まとめられていないような中で、管理手法の検討はどこでされるんでしょうか。

○佐藤委員長 今のは質問でよろしいですか。では、質問だそうなので事務局のほうで。

○経・森田室長 非常に重要な論点でございますので、それもまさにこれから議論を進めていく予定でございます。特にリスク評価の役割分担論というところも次回で予定してございますし、そのときに主体としてだれが何をやるかという、当然、具体的な議論もそこでもう少しできるというふうに考えております。当面、そういう予定でございます。

○佐藤委員長 よろしいですか。そういうお答えしか、多分、今はないんだろうと思うんですけれども、それでは白石委員、どうぞ。

○白石委員 リスク評価の観点からということですので、ここに書いてあるペーパーは今あるリスク評価でこうなっているということであって、一番初めに法律の目的のところで議論になりました、難分解性であってというところからスタートがかかっているということです。ですので、リスクの観点からすると難分解性であっても、リスクがあるものはあるであろうという結論が出る物質もあるだろうというふうに想定します。例えば中杉委員からもありましたけれども、今は水系の暴露が中心になっていると。ただし、そこでの分解性が考慮されている。例えば中西先生からありましたけれども、トルエンのリスク評価をしたらどうかというのがありますけれども、トルエンは多分良分解性物質で、化審法からはハザードデータも出てこないであろうというふうな状況にあると思いますので、本日、当初の一番初めに議論になりました、難分解性であってというところのフレームワークをどうするかというのが一番重要であろうというふうに思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 今のお話は化審法の成立にかかわるような話でもあるんだろうと思うんですけれどもね。
 続いて、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 ちょっと細かいところになって恐縮ですけれども、第2パラグラフの5行目に第二種特定化学物質の現在の制度について書いてあるんですが、これは活用していっていただくことがリスク管理にとって特に重要だと思いますが、表示に関しては、現在、ちょっと法律の話になって恐縮ですが、表示義務に違反する場合、勧告の制度しかないんですけれども、これで十分かどうかというのはぜひご検討いただければと思います。昔に比べて行政指導とかが必ずしも常に有効というわけではないご時世になっておりますので、それについてもぜひご検討いただければと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 では、中地委員、どうぞ。

○中地委員 化審法の枠を少し超えるのかもしれませんが、第二種・第三種監視化学物質というものが実際リスクを評価する、あるいはリスクを把握するという観点から、環境モニタリングというのはどの程度されているのかというふうなことについて、次回で結構ですので、教えていただきたいなと。
 特に例えば環境省のほうで、ずっとエコ調査という形で行われている調査があるわけですけれども、化審法との関連で物質を選定されているのかどうかというふうなところ、あるいは当然環境省がやられていない分は、ほかのところが何らかの形でモニタリングをするように指導をしているとかというふうなことが、実際あるのかどうかというふうなことも、できれば包括的な化学物質管理基本法的なものをつくって、一括してやればいいんでしょうけれども、それができない、その方向に持っていくためにも、やっぱりリスクである程度評価をするということであれば、そういった環境への排出というふうなものをどういうふうに押さえるのかということ、あるいは現実に押さえているよというふうなことがわかるような形で提案していただきたいなというふうに思います。

○佐藤委員長 今の環境モニタリングの話は、次回にお答えいただければいいということでよろしいですね。
 ほかにご意見。中西先生、どうぞ。

○中西委員 ちょっとよくわかっていないところがあるんですが、昔の指定化学物質、今、二監とか三監と言っている、これは実際こういうふうに化審法でひっかかってくるので、どちらかというと有害性が強いんじゃないかと思うにもかかわらず、実際にはPRTRの対象の指定化学物質になっていないのが多いです。それは結局暴露が少ないというか、非常に使われていないということですか。今議論しているのは、すごく使われているにもかからずという印象なんですが、私は使われていないんじゃないかと。使われていれば当然PRTRの対象物質になっているじゃないかと。しかし、両者の連携がないというような印象を持っているんですが、それは違うかどうか。

○佐藤委員長 では、これは事務局のほうから。

○環・戸田室長 ご指摘のとおり第二種監視化学物質は900物質ぐらいありますから、物質の数でいうとPRTRの対象物質になっていないものが多いですけれども、PRTR対象物質を当初選定したときにも、また現在審議中の物質選定におきましても、まず、第二種・第三種監視化学物質の母集団としてなりまして、そこの使用量について100トンとか10トンとか1トンとか幾つかあるんですけれども、そういった製造量のしきい値なり、実際に環境中で検出されているかというメルクマールで現在、物質選定を進めているところでありますので、そういう意味でのリンクはしているという状況であります。

○経・森田室長 ちょっと補足いたします。化審法の監視化学物質というのは、基本的にスクリーニング毒性という非常にある限定的なデータセットに基づいたハザード評価をやっております。そういう意味では、毒性が確定しているという言い方はちょっといろいろ語弊があるんですけれども、確定された毒性としての位置づけというよりは、その前段階としての懸念がある毒性という意味合いのものが化審法の監視化学物質の毒性でございます。生態環境毒性は別ですけれども、人毒性でいうとそういうことでございます。これに対しまして化管法の毒性というのは、ある程度長期毒性が確定しているものということで選定をしているというのが今の基準でございます。そういう意味では、化審法の毒性の評価をするという方法論、技術的な一つの整理と言えなくはないというふうにご理解いただければと思います。

○佐藤委員長 中西先生、よろしいですか。

○中西委員 余りよくわかりません。次までに勉強してきます。

○佐藤委員長 やはり何か所轄する法律が違うと考え方が大分違うので、何か私もよくわからなかったんですけれども。
 それでは、実平委員、どうぞ。

○実平委員 次回の議論にちょっとつながる話かと思っているんですけれども、リスク評価をどういう暴露シナリオのもとにやるのかということ、暴露シナリオの範囲というのが今回の議論でどこまでやるのか、やらなくていいのかというところが気になっていまます。当然、環境経由についてはメーンフォーカスなので検討するでしょうが、我々ものづくりをしているところから見ますと作業者暴露がありますね。これは安衛法だから外すということなのか、また製品を見たときの消費者への暴露ということをどう考えていくのか。さらには製品が廃製品になった後の暴露なるものが余りないかもしれませんけれども、その辺をどう議論していくのかというあたりを少しお教えいただくか、次回までに整理をいただくかということが重要かなと思っておりますので、よろしくお願いします。

○佐藤委員長 事務局、ありますか。

○環・戸田室長 これは化審法の議論でございますので、基本的には環境経由の暴露という観点でご議論いただきたいと思っておりますので、先ほどおっしゃった労働者暴露と消費者への直接暴露というのは、基本的には入らないということで事務局としては考えております。

○佐藤委員長 ちょっとそこで気になるのは、先ほど中杉先生は化審法それ自身が水をかなり意識してつくられたというお話だったんですけれども、大気経由というのもあるし、大気から水に落ちるというのもあるし、私なんか一番気になるのは食べ物の中に入ってくるというのがやっぱり一番気になるわけですよね。そこのところを実際にはどう整理できるのかなというのが非常に疑問になってくるんですけどもね。これはちょっとすぐお答えいただくとかいう話でもないでしょうけれども、何かどこか頭の中に置いておかないといけないんじゃないかと思うんですけれども。
 どうぞ、吉田さん。

○関澤委員代理(吉田氏) 今の観点なんですけれども、やはり先ほどの用途についてはいろいろな使われ方をしているので、それを網羅的に調べるというのは非常に難しいと思います。。食品は食品衛生法とか、食品を扱っている利害関係者の間できちんと議論できる場をつくって審議するのが日本は非常に得意だと思っていまして、それにモニタリングとか、そういった周辺情報もとって審議すべきと思います。従って、その辺の枠組みの考え方というのは、化審法については化学物質をつくっているところ、成分だとか化学物質を扱っている事業者が適切に扱うというところが一番重要だと思っています。そういう意味では入り口規制という言い方をされていますけれども、その入り口で用途について、これは多分100%把握することは無理だと思います。その点をどういうふうに考えるのかというのが非常に難しいと思っています。もちはもち屋じゃないですけれども、労働などそういう局面局面でやっぱり専門家の方が審議するというのが良いと私は思います。
 以上です。

○佐藤委員長 ありがとうございます。
 中杉先生の話は今のに直接かかわりますか。
 では、すみません、北村委員と有田委員、ちょっとお待ちください。

○中杉委員 関連した話ですけれども、今、吉田委員が言われたのは基本的な考え方だと思うんですけれども、それで結構といいますか、それでしか仕方がないと。ここで例えば食品の話をしたら、食品衛生法ですとか家庭用品の法律に踏み込んだ形になりますので、あちらの法律も同時に見直しを議論しないとどうにもならん話になります。そういう意味ではある程度限定されている。そういう意味で先ほど私が申し上げたことのもう一回続きなんですけれども、それらの法律にこの化審法で得た知見をどう流すか。これが一番重要だろうというふうに思っております。

○佐藤委員長 ありがとうございました。

○中西委員 すみません、それでも、現実に今行っている昔の指定物質、今の二監、これに指定するかどうかというのは、環境中に出て魚に濃縮してどうかとかいうことで判断しているんです。ですから、もちろん、魚がだめだとかいうことを言うんじゃないんだけれども、食べ物を通じて本当に環境中へ濃縮する可能性があるかどうかということは判断の基準に入っている。それまでを入れるのか、それは非常に重要なので。

○中杉委員 そういう意味では、もちろん、難分解性、高濃縮性というのは暴露評価、そういう意味でリスク評価に入っていると思いますけれども、厳密な意味で使われているものをリスク評価すると用途を限定しないといけないんですね。今、化審法自体は用途の限定あれはできていません。最初に届けたものはこういうふうに使いますよ。その後は全然フォローが残念ながらできていないわけですね。そこら辺がフォローしようとすると、こういう用途、用途を変えるたびに届出をしなさいよと、そんなことになってくる。今はそういう意味では、化審法というのはかなりいろんなどんな使い方をしても大丈夫だよということを見て、何かそういう意味ではかなり幅広に安全がといいますか、より厳し目に見て、だから、農取法と比べるといいんですけれども、農取法だったらもっと有害性の高いものが使えているんですね。これは農薬としてしか使わないから。限定できているから使える。化審法もそういう方向でいくのかどうかというのが一つの大きなポイントになるだろうと思います。

○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 ちょっと私が余分なことを言ったのかもしれないんですけれども、北村委員、お待たせしました。

○北村委員 論点の3で書かれているんですけれども、今の議論がかなりいわゆる規制というほうに議論が行っているように思うんですけれども、私は枠の中にあるとおり、適切な管理という議論がもうちょっとなされるべきではないかというふうに思います。法規制というのはどうしてもそれが最後のいわばとりでみたいなことになりますので、それまでの間に、そこに関係しているプレーヤーが適切な管理を行っていくということがまず規制の輪の前提にないと、決して規制ばかりをきつくしても動かなくなるんじゃないかと、そういう懸念がございます。したがいまして、今回の議論でリスクに入るということで、サプライチェーンのプレーヤーそれぞれがどのようにリスクを加味して、あるいは考えて、それぞれがどうやって自主的に管理を進めるのかという議論がもう少しされてほしいなという気がいたします。
 そこで私が気になりますのは、第1回の検討委員会のまとめのときに、中小企業の関心がないとかいうような議論があったんでございますけれども、確かにそういう側面がないとは言えませんけれども、むしろ中小企業という立場からしますと関心がないのではなくて、それだけをやるだけのリソースあるいはツールがないというのが正確な言い方ではないかと思います。化学物質の管理ということになりますと決して中小企業ではなしに、常日ごろ化学物質を化学物質として扱っていない業界の方もまた同じように、そういったツールなり習慣がないということになりますので、リスクに考えが及ぶのであるならば、そういった化学物質の管理を上流から下流にわたるためのツールあるいは考え方の基本的なもの、そういったものがやはりないと、なかなかこの管理というものは上流から下流に向かって流れていかない、そのような危惧を持っております。
 では、だれがそこをつくるんだと、そこでご批判を受けると思いますけれども、やはりその基本的な部分については国のほうでガイドをつくっていただいて、それに合わせて各業界がそれぞれの実情に応じたさらに詳細なガイドをつくる。そういうような枠組みがあると、化学物質の管理というものが比較的今までよりは、リスクにシフトをした上でも動きやすくなるのではないかと、そういう感じを持っております。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、そろそろ予定の時間なんですが、大塚委員が……。

○大塚委員 今、北村委員がおっしゃったことと私も全く同意見なんですが、現在、個別の法律が消費者のほうでもあるんですけれども、労働安全衛生法のほうでもあるんですが、特に消費者の法律は個別的に分かれていて、今、北村委員がおっしゃったような上流・下流の関係とか下流・上流の関係とかをやっている法律がどこにもないんですね。今のそれぞれ別々だということは、もちろん、そういうところはあるんですけれども、それをあまり強調し過ぎると、全体の化学物質を管理するところがどこもなくなっちゃうものですから、それはやはり化審法でやっていくしか、ほかにやる法律がないんじゃないかというところがございまして、情報提供とか管理というところはぜひ環境汚染との関係で、化審法で扱っていただくとよろしいかと思います。
 以上です。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 予定の時間が迫ってきたんですけれども、よろしいですか、もしどうしてもという方がいれば。いいですか。ありがとうございました。
 きょう、いろいろご議論いただいたんですけれども、事務局のほうでもまとめていただけると思いますので、次回のワーキンググループの議論につなげていけるんじゃないかというふうに思います。
 それで、あとその他なんですけれども、事務局から何かございますでしょうか。

○環・戸田室長 大変ご議論、ありがとうございました。ご議論のまとめにつきましては、委員長からのご指示もございましたので取りまとめて、また、お示しをしたいというふうに思っております。
 それで、次回の第2回合同ワーキンググループでございますけれども、3月27日木曜日、9時半からを予定しております。場所につきましては麹町の全国都市会館を予定しておりまして、この近くでございますけれども、こういったことも含めて詳細につきましてはまた後日、正式にご連絡を差し上げたいと思います。
 なお、第3回以降につきましては、まだ具体的な日程が確定しておりませんけれども、約一、二カ月置きを目途に開催したいというふうに考えております。今後、具体的な日程調整等をお願いすることになりますので、その場合にはよろしくお願いいたします。
 また、本日の配布資料につきましては、速やかに各省のウェブサイトに掲載いたします。また、本日の議事録につきましては事務局で原案を作成し、出席委員の皆様に郵送またはメールさせていただき、ご確認をいただきました上で、同様にウェブサイトに掲載する予定です。
 なお、本日、委員限りで配布いたしました第1回合同委員会の議事録(案)につきましては、修正がございましたら、22日までに事務局までお知らせいただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 次回は3月27日、もう本当に年度末ぎりぎりで、いろいろご予定もお忙しいんじゃないかと思いますけれども、9時半からだそうなので、よろしくお願いいたします。
 きょうは10時から始まりまして、もうじきお約束の12時半になるわけですけれども、長い時間にわたりご熱心にご議論いただきまして、どうもありがとうございました。私の不手際とかもありまして、なかなか何かご意見をおっしゃりにくかった面もあったかと思いますけれども、それはお許しいただきたいと思います。
 それでは、以上で本日の第1回化審法見直し合同ワーキンググループ、短い名前をつけていただいて大変よかったと思うんですけれども、あんな長いものはとても言えませんので、第1回の合同ワーキンググループをこれにて終了したいと思います。
 どうもありがとうございました。

午後 0時23分 閉会