中央環境審議会 環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第6回) 産業構造審議会 化学・バイオ部会 化学物質政策基本問題小委員会 化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第5回)合同会合(第5回) 議事録

日時

平成19年6月15日 10:00~12:26

場所

三田共用会議所 3階大会議室

議事録

○森下化学物質審査室長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第5回化管法見直し合同会合を開催させていただきます。
 本日は環境省が事務局の取りまとめを、中央環境審議会環境保健部化学物質環境対策小委員会の佐藤小委員長が議事進行をさせていただきます。
 委員の出席状況につきましては時間の都合上省略をさせていただきますけれども、お手元に座席表をご用意させていただきました。そちらをごらんいただければというふうに思っております。
 次に、本日の合同会合の成立についてでございますけれども、両委員会ともそれぞれ定足数を満たしておりますので、本会合は成立いたしております。
 それでは、議事進行を佐藤小委員長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤座長 おはようございます。きょうは、今ご紹介ありましたように、私が議事進行させていただきたいと思いますけれども、できるだけ時間を超えないようにスムーズにやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですけれども、本日の資料の確認の方を事務局からお願いいたします。

○森下化学物質審査室長 それでは、配布資料ですけれども、議事次第の下のところに書いてございます。資料1から資料8でございます。1つ1つ読み上げることは省略させていただきますけれども、不備等ございましたら事務局までお申しつけいただければというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
 それから、資料3でございますけれども、この前回議事録(案)、こちらの方は委員限りでございます。傍聴者の方々には配布しておりませんので、ご留意をお願いいたします。議事録(案)は委員の方々には事前にご確認をいただいておりますけれども、なお修正点等がございましたら1週間後の6月22日の金曜日までにご連絡をお願いいたします。委員全員の方にご確認をいただきましたら環境省及び経済産業省のホームページに掲載をさせていただく予定です。

○佐藤座長 それでは、まず本日の議題を確認させていただきたいと思います。1枚紙で議事次第というのがあるかと思いますけれども、その2の議事、まず前回会合の意見整理と追加意見について事務局より説明していただきます。その後、この議事にありますように、議題1のリスクコミュニケーション及び人材育成に関する課題と今後の方向性について、それから議題2のMSDS制度の課題と今後の方向性について。それから3番目が、きょうは予定では終わりから2回目の会議なので中間取りまとめの骨子(案)についてということで、それぞれご審議いただく予定でございます。
 それではまず初めに、第4回合同会合における意見の整理について、事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○斉藤化学物質リスク評価室長 それでは、資料4をごらんください。これまでの会合の意見の整理をしているものでございます。前回の意見の部分を中心に簡単にご説明させていただきます。時間の関係もございますので、全てのご意見をご説明することはできないと思いますが、よろしくお願いいたします。
 めくっていただきまして、7ページをごらんください。前回まず排出量把握手法及び届出外排出量の推計方法についてご議論、ご審議をいただきました。主なご意見といたしまして、業界団体等でマニュアルをつくっていく、あるいは運用していくことの重要性。また、国のマニュアルに業界のマニュアルというものを連携させていくことの重要性。特に排出係数等につきましては見直していくことの重要性、あるいは必ずしもそれを全て使うわけではなくて、いろいろな導入状況によってそれぞれ各事業者が自分たちの導入具合に沿って使っていくというようなことも述べられてございます。
 それから、7ページの下の方でございます。届出外排出量推計方法についてでございます。めくっていただきまして8ページでございます。これにつきましては有識者による検討を毎年行っていただいているわけですが、これについてさらに引き続きやっていくことの重要性。あるいは量的に微量でありますがガス量が多いことによって一定量の排出が見込まれるようなものや、あるいは廃棄物等についても推計の重要性等々が述べられてございました。
 それから、8ページ下の方でございます。自主管理の在り方ということでご意見を幾つかいただいてございます。まず、業界団体レベルでいろいろレビューした結果というものを発表するような場を国として整備する必要があるのではないか。あるいはその下でございますが、届出のない事業者に対しても自主管理の重要性を促していくことが必要だということ。あるいは下の方になりますが、やはり一般の方が理解できるような評価、仕組みをつくる必要性。あるいはリスク評価につきましてはまだまだ大企業でないとなかなか難しいだろということで、9ページになりますが、中小企業向けのツールなどの開発が必要だろうというご意見。
 それから、1つ飛びますが、7年間のこういう法施行後の蓄積されたデータというものをどう活用していくのか、定期的な報告会を設けるなどいろいろなそういう場を設けることが必要であろうというようなご意見をいただいてございます。
 それから真ん中でございます、より安全な物質への代替ということで幾つかご意見をいただいております。代替というのは非常に重要な自主管理のツールではありますけれども、有害性がはっきりしない物質の代替なども考えられることから、適切な評価を踏まえた上での実施が重要だろうということ。あるいはスクリーニングレベルでもいいから物質代替においてもリスクが下がる方向の評価スキームというものを広く普及することが必要だろうという話。それから、リスクを十分踏まえた上で代替してほしいということを国として普及啓発することの重要性、等々が述べられておりました。
 それから、下でございます。地方公共団体の役割ということでは、やはり行政と事業者の連携による届出情報の精度向上というものの重要性。それから、めくっていただきまして10ページでございます。地方公共団体の役割として、やはり事業者の方に対する助言等というのが非常に重要だろう。あるいは、特にその中の中小企業ということで指導、助言というのを行っていくことの必要性等々が意見として述べられました。
 それから、本日の議題でもございますが、リスコミ等におきましてはひとつ化学物質アドバイザー制度についての拡大等の検討要請もございました。
 以上が前回の主だった審議の内容だということでご説明させていただきます。以上です。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 このご意見の書きぶりとか何かありましたら、後日事務局までお知らせいただければと思います。
 特にご議論ないかと思うんですけれども、もしこの場でどうしてもというご質問ご意見がありましたら伺いたいと思いますけれども。よろしいですか。
 それでは、次へ進ませていただきます。次に、追加のご意見をいただいておりますので、事務局からご紹介をお願いいたします。

○木村環境安全課長 それでは、これにつきましては資料5をお開きいただきたいと思います。前回の会議におきまして十分ご発言できなかった委員の方々から、会議後、ご案内いたしました期間内に追加のご意見を賜りましたので、ご紹介させていただきます。お二人の委員からいただいております。
 一人目は小出委員からの、代替物質に関するご意見でございます。代替物質への転換はメリット、デメリットをよく検証して行うべきものであること。また、これらに関する情報を社会に知らせる仕組みづくりについても検討するべきである旨の内容になっているかと思います。
 そして、もう一方は関澤委員からの前回の資料6のPRTR排出量等の算出方法についてと、資料8の自主的な化学物質管理の在り方についてに関するご意見の2つの意見からなっております。まず、初めのご意見でございますけれども、事業者の算出実態の分析のもとにやった調査が平成13年のもので古く、17年度には届出事業者も大幅に増加してきていることから、もう一度調査を行うことが望ましいのではないかといったご意見。もう1つは、化管法に基づく自主管理については現状の位置づけを維持することが望ましい旨のご意見かと思います。
 資料5につきましての説明は以上でございます。

○佐藤座長 どうもご意見をいただきました両委員、ありがとうございました。
 これはご意見を伺ったということで次に進ませていただきたいと思います。
 それでは、本来の議題1のリスクコミュニケーション及び人材育成について、これは事務局から資料6の説明をよろしくお願いいたします。

○斉藤化学物質リスク評価室長 それでは、資料6をごらんください。まず、検討事項というところにございますとおり、リスクコミュニケーションあるいは人材育成というのをどう行っていくべきかということで今回ご審議いただければと思います。
 まず、リスクコミュニケーションでございますが、リスクコミュニケーションの考え方ということで簡単に整理させていただいております。リスクコミュニケーションはリスク管理を進める上で非常に重要な要素ということで、特に事業者にとっては地域住民の方々との信頼関係の構築、あるいは効率的なリスク管理の実施、場合によっては企業イメージの向上などにもつながる。また、地域住民の方にとってはやはり情報不足による不安等の払拭が図られるということが期待されます。
 また、もちろん「ゼロ・リスク」というものの実現はほぼ難しいわけでございますが、少しでも情報をお互いに共有することによってそういう不安というものを払拭していくということが非常に期待されるというものでございます。
 下の方になりますが、化管法におきましては国及び地方公共団体におきましてもそういう国民の理解を深めることに努めるよう規定されてございますし、また事業者においても同じように国民の理解、特に周辺住民の方になると思いますが、理解を深めることに努めることが必要というふうに規定されてございます。
 それでは、では具体的にどのようなことが行われているかということでございます。1ページ下の方の(2)でございます。まず国において行っていることを幾つか例示させていただきます。まず1番目といたしまして場の提供ということで。これはいろいろな分野の方々の代表の方が集まっていただきまして、「化学物質等環境円卓会議」というものを平成13年から設置してございまして、これまで約20回開催しております。めくっていただきまして、ここに写真とか最近の開催状況を示させていただいております。
 また、2番目といたしまして、対話の推進ということで、化学物質アドバイザーの育成や派遣事業等も行っており、リスクコミュニケーションにおける特にインタープリターの派遣というような位置づけで行わせていただいております。
 それから、3番目といたしまして情報の整備・提供ということで、リスクコミュニケーションの理解を深めるためのものといたしまして、各種パンフレットの作成・配布を行っております。また、自治体におけるモデル事業の実施、あるいは製品評価技術基盤機構、NITEにおけるホームページ上での実施事例の紹介等々を行ってございます。
 めくっていただきまして、3ページに国の方で整備しておりますパンフレットについてご紹介させていただいております。
 次、4ページをお願いいたします。リスクコミュニケーションがどの程度行われているかということをアンケートした結果等についてご紹介させていただきます。これは昨年アンケートした結果でございます。PRTRの届出行った事業者の中から選ばせていただいております。まず、取組状況ということで、実施をしようあるいは実施をする予定ということに関しましては42.3%ということで、ある一定量規模の事業者の方がリスコミについては検討していただいているというふうに考えております。
 また、2番でございますが、リスコミの意義ということにつきましては、まずはやや内向けっぽいですが、従業員の意識の向上ということが非常に大きな効果として事業者側から評価されております。次いで、周辺住民の方の理解の増進を図ることができた。その他、取引先、行政の理解の増進を図ることができたというような回答となってございます。
 めくっていただきまして、それではどういう課題があるかということを事業者の方にお聞きした結果によりますとほかの会社はどんなことをやっているかという他社の事例紹介というものに対する希望が多い。また、続きまして、どのようにやったらいいかという企画、運営に関する相談をしたいという要望があがってきております。
 それから、5番目といたしまして幾つか実施事例をここに挙げてございます。まず、方法といたしましては自治体が主導で行っている例、あるいは業界団体が主導でやっている、あるいは個別企業が窓口になっている例等々いろいろなものがございます。
 事例1につきましては、これは普段から地元行事への参加とか工場見学というさまざまな行事を行っている中でこのリスコミについても行ってきているということで、化学物質対策とか災害対策など含めていろいろなリスコミを行っているということでございます。
 めくっていただきまして6ページでございます。事例2におきましては、これも自治体が主導で行った例でございますが、この図にございますとおり、環境濃度の状況についてシミュレーション結果を開示するなど行うなどして、これによって周辺住民の方に対するという面だけでなく、結果といたしましては社内の意識向上につながって、新たな設備の導入等にもつながったという結果が出ております。
 それから、事例3でございます。これは化学業界のレスポンシブル・ケアの一環として行われているものでございますが。これは篠原委員からも以前ご説明があったとおり、事前アンケート等行いまして事前に住民の方々の要望あるいは興味がある点について把握した上で、それに基づいて資料を準備し説明するという体系をとっております。
 それから、事例4につきましては、これは非常に長い、40年ほど前からもう周辺住民の方の代表者との意見交換会をずっと実施してきているという事例でございます。めくっていただきまして7ページでございます。非常に信頼関係も既に深まっていることで、このようなやり方というものが他の事業者への広がりを見せているということでございます。
 以上がリスコミに関するご説明でございます。
 引き続きまして、人材育成についてご説明させていただきます。まず、化管法では国におきましても人材育成を求められておりまして、どういうことをやってきているかということをまずご紹介させていただきたいと思います。
 まず、化学物質アドバイザー制度でございます。これはリスコミにおきまして対話の推進を担う人材として育成して派遣をさせていただいております。現在24名の方が登録されておりまして、年間大体50回程度派遣が行われております。また、アドバイザーの方々に対しては最新情報をいろいろご説明する場なども設けております。
 また、大学におきましてもここに2つほど事例をお示ししましましたが、これ以外にもいろいろ動きが出てきていると思っております。これは大阪大学の大学院でございます。環境リスク管理ということで、特にリスク管理という観点から新しい教育プログラムが出てきております。こちらは化学物質だけではなく、地球温暖化などいろいろな概念が入っているようでございますが、環境という観点からリスクについていろいろ教育が行われているというものです。
 8ページでございます。続きまして横浜国立大学におきましても「高度リスクマネジメント技術者育成ユニット」というものが発足しておりまして、これは事故とかそういうものを含めたリスクということでございますが、広い意味でのリスクマネジメントの手法を勉強していく、そういう専門家を育成していくという場が設けられてございます。
 それから、4番といたしまして、若干ニュアンスが異なりますが、一般の方とかあるいは子どもに対する情報提供ということで、国の方では幾つかホームページ上で試みを行っております。
 「なるほど!ケミカル・ワンダータウン」とか、あるいは「かんたん化学物質ガイド e-ラーニング版」といったものをそれぞれ役所のホームページ等から公開させていただいております。9ページに表紙がございますが、こういう形でいろいろな情報を提供している、基礎的な情報を提示させていただいております。
 それからめくっていただきまして10ページでございます。これも人材育成に関してアンケートを行った結果についてご紹介いたします。まず1番といたしまして、特に環境リスク評価を実施していくためにどういう点が問題かということを聞いたものです。その中でやはり意識向上のために人材育成が必要だという回答が大きくありまして、この部分に対して企業からの人材育成に対するニーズが非常に高いというふうに我々考えております。
 また、2番目にございますとおり、なかなか環境リスク評価できない理由といたしましては、やり方がわからないとか、テキストがないというのとともに、やはり人材がなかなかいないということで回答が返ってきております。
 以上が人材等についての資料でございます。あと11ページ以降は過去の報告書等々の抜粋でございます。人材につきましてもここにありますとおり、特に環境リスク評価やる上で事業者の方も人材不足というものを感じているということが見受けられると思っております。
 以上、簡単でございますが、ご説明とさせていただきます。

○佐藤座長 ただいまリスクコミュニケーション及び人材育成についてということでご説明をいただきましたけれども、何かご意見ご質問等あれば伺いたいと思います。
 では、上路先生。

○上路委員 2つほどあります。4ページのところのリスコミを今後実施する予定がないというのが50%と非常に高い値になっているんですけれども。これは本当に事業体がやる予定がない、その理由は何なのかというのがわからないです。あとの方、そのやり方がわからないということもあるんですけれども、その予定がないというのがわからない。
 それともう1つ。リスコミをやるときにやはりマスコミの力を借りるということも1つの手ではないかと思うんですけれども、それに対して何らかの考え方を示しておく必要があると思います。
 以上です。

○佐藤座長 ありがとうございます。
 もう一方、城内委員からどうぞ。その後ちょっと今の質問に。

○城内委員 資料6ですが、Q2の図1-5で、一番パーセンテージが高かったのは「従業員の化学物質の管理と環境の保全に関する認識を深めた」とありますが、私はこれを見てちょっと唖然としました。というのは、化学物質を扱っている会社であればもともと化学物質の危険有害性については周知されているはずで、だけれどもそういうことは実はなされていなくて、リスクコミュニケーションを住民にしなければいけないということでやった結果、従業員にもこういうことが起きたということなんだろうと思うわけです。この結果というのは実は資料7のMSDSのところでも同じようなものが出てくるんですが、同じようなものというのは、つまりMSDSはよく配布されていますとか、社員教育によく使われていますということが出てくるわけですが、それらの結果とあわせて見てもこれはかなり矛盾していると私は思っています。
 ということはつまり、基本的に日本の化学物質に関する意識といいますか情報の伝達というのは多分どこかが欠けているんだろうというのがこのアンケート結果でもはっきりしてきたかなと思っています。
 あともう1点。子ども向け学習サイトの公表というのが8ページ以降書いてあります。実は私はこれをのぞいてみました。これもびっくりしたんですが、子どもが化学物質はこういう危険性があるのでいろいろラベルを調べてみましょうみたいなことが書いてあります。実は日本のラベルでは化学物質の危険有害性についてはよく書かれていないわけです。それなのに子ども向けでラベルを見ましょうと書いてあってもこれは非常に矛盾があります。これらが本当に安全教育というのに結びつくかというと非常に疑問で、ぜひ基本的に何が欠けているのかというのをちゃんと議論して先に進んでほしいという気がいたします。
 あと1点。人材育成のところでいろいろアンケート結果が出ていますが、人材育成に関しては専門家が必要だという一般論が出てきていますが、実は私はGHSにかかわっていますけれども、GHSの中でも例えば分類するときに危険性の分類、健康有害性でもいろいろな分野がある、あとは環境有害性の分類にもいろいろな専門家が要ります。なおかつそういうデータを例えばラベルに反映させるとかMSDSに反映させるというまた別の専門家が必要で、なおかつ化学物質管理をどうやっていくかというときはまた別の専門家が要るということがあります。
 そういうことで、専門家の育成というのは簡単に言いますけれども、それは作業をどのように分担していけばいいのか、国際的にもどういう分担でやっていけばいいのかというのをちゃんと議論しないと、方向性を見失うかなという感じがしました。
 以上です。

○佐藤座長 ありがとうございます。
 城内委員の最初のご意見は私も全く同じ感想を持ちまして、当然労働衛生教育の中で行われているんだろうはずのことなんですけれども、そうでないというんだとすると問題があるなというふうに私も思ったような次第です。
 それではちょっと、先ほど上路先生からご質問ありましたが、それにお答えできれば。

○斉藤化学物質リスク評価室長 4ページでございます。ご指摘のとおりだと思います。1点申しますと、今回のこのアンケートですが、PRTRの届出事業所から無作為に抽出していますので、大企業ばかりではなくて、かなり中小規模の会社も混じっているということをまず1点ここで申し上げたいと思います。
 ですから、やはり私も先ほどあったとおり、予定がないとか、あるいはリスコミの意義として最初に社内の意識が高まったというところは私も少々驚いたところがあって、まだまだだなという気が正直いたしておりますが。やはりそういう中小企業レベルも含めたアンケート結果だったということを1つご認識いただければというふうに思います。ですから、そういうところ国としてもやっていくべきところがいろいろあるということはご指摘のとおりだと思います。
 予定がないというところの理由まではちょっと今回アンケートとってませんのでそれ以上のことはわからないんですが、特に中小系の企業においてはまだまだリスコミの実施まで至っていないというのが実態ではないかと思っております。
 以上です。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 それでは、先ほどの城内委員の後半でおっしゃったことというのは多分MSDSと関連することになると思うので、そこのところでまたご意見いただければと思います。
 続いて篠原委員、それから辻委員、織委員というふうにいきたいと思います。

○篠原委員 今、城内委員の意見、私もこれ見て驚いたというか、こういうこともあるかなというふうに思っております。というのは、先ほど斉藤室長がおっしゃったように、実はこれこのアンケートは中小企業を含めてかなり広範囲にわたっておりますので、ある程度の規模の企業については社内教育にデータや資料を使っていると思います。中小企業の方にはまだそこまで広がっていないというのが多分このデータの実態だろうと思います。そういう意味で私も斉藤室長に同感なわけであります。
 ただ、ではこれでいいのかとなると決してそうではなくて、いろいろなリスクコミュニケーションの広がりというのがまだまだ不十分だと考えています。日本化学工業協会としても以前私がお話ししましたように、まだまだ不十分だというふうに感じておりまして、何とかこれを広げたいと考えています。前回、織委員の方からいろいろな産業の努力をレビューしていくような場をつくったらどうかという意見もございました。私は大賛成でございまして、これはイコールリスクコミュニケーションの場を広げていくという1つのツールに使えるのではないかというふうに考えております。
 それで、もう1つちょっとご参考までに。このPRTRデータは今後公表されるということになると思うんですけれども、御園生委員がいらっしゃいますけれども、実はNITEでこのデータをかなりおもしろく解析されております。非常にビジュアルに地図の上でどの地域がどういう物質がどういうふうに分布しているのが分かります。私も一度見たことがあるんですけれども。こういうことも含めて、先ほどのリスクコミュニケーションという場をつくることによってこれをうまく利用すればもっと広がっていくのではないかと思います。
 それからもう1つは、国もそうですけれども、地方公共団体、それから事業者が一体となったコミュニケーションの場をつくっていく必要があるのではないか。そういうことを進めていく中で、先程のグラフも社内ではなくて外に対して認識が深まってきたというデータがふえてくるというふうに認識しておりますので、ぜひそういう仕組みをつくっていただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。
 では、辻委員、お願いいたします。

○辻委員 我々企業にとってやはり地域住民を含めて利害関係者とのリスクコミュニケーション、これは非常に重要な企業活動を継続して発展させていく上では非常に重要な意味をもっているとこういう認識をしています。そのためには日本電機工業会でも平成15年にこのワーキンググループをつくって、電機業界のための化学物質のリスクコミュニケーションマニュアルをつくりました。そのマニュアルの中にいろいろな手順なりやり方なりこういうふうな展開やるんだよということも書いてありますし。それは、先ほどちょっと中小企業の方の話が出ましたけれども、中小企業も含めて会員企業に配布をして啓蒙を図ってきたと。また、セミナーも開催しましたし、そういう意味ではかなり普及を展開してきました。
 ただやはり、先ほどもちょっと話がありましたように、人材不足というところを含めてなかなかそれがやはり各企業、国も含めてやりきれていないというのが実態です。そういう意味ではやはり化学物質のアドバイザーとかそういう専門家を養成していく必要があるなと。
 ただ一方で、環境ISOの中にコミュニケーションという要求項目があります。これは当然地域住民から含めて利害関係者からいろいろな要望が来ると。それに対しては対応するというのが要求事項になってますけれども、そのあたりではかなり訓練されている部分もあるんですけれども。ただ、一方でやはりリスクコミュニケーション、これは化管法が契機としていろいろ言われ始めてきたという中で、やはり非常に内容が住民側にとっても難しい、我々も説明するのに非常に難しい。そういう中で我々一番企業にとっては地域住民との対話、一般的な対話ですね、まずそこからしっかりやる必要があるなと。
 例えば我々の工場でも工場見学を地域住民の人に行ったり、また夏祭りに呼んだり、日ごろからそういうコミュニケーションを十分にやっておけば、こういう難しい話になったときも非常に理解が得やすいというところで。やはり一気にそういう難しい化学リスク云々という話をするよりは段階的にこういうコミュニケーションそのものがどういうふうにあるべきかと。その中で化学物質のコミュニケーションをどう進めるべきかという観点からもう一度リスクコミュニケーションの在り方というものを見直してもよいのではないかと、そういうふうに思っております。
 以上です。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 それでは、続いて織委員、お願いいたします。

○織委員 私、化学物質関連の議論についてももう結構10年ぐらい議論加わらせていただいておりますけれども、PRTR法制定当時からリスクコミュニケーションの必要性、人材育成の必要性ということはもう議論し尽くされておりまして、ここに出てくることも今まで3回、4回、5回ぐらいはこういったフレーズを見てきたと思っています。ですから、ここから進まないとまた来年も再来年度も、毎回こういうことを言っていますが、同じ議論をせざるを得ない。大体皆さんこれは賛成なんです。ですから、具体的に何が今問題で何が欠けているのかというところを、今回の議論でしたらPRTR法改正に絡んでおりますので、PRTRデータをリスクコミュニケーションにどうやって生かしていくのか、そのためには人材はどこが欠けているのかと、そういう議論をしていかないとやはり抽象論で終ってしまうのではないかなという気が正直言ってしております。
 そういった観点からですけれども、アンケート結果で実施する予定はないですとか、あるいは認識を深めたというところで委員の皆さんが驚いてらっしゃるというご意見があったんですが、私も多分これはすごくびっくりされると思うんですが、現場にいって地域の住民の方と対話をしてみると、自分たちが気がつかされなかった観点から環境ですとか保安といったものに対して意識する。あるいは会社の中でも総務ですとか人事とか広報とか余り化学物質と直接関わっていないところの方がこういったリスクコミュニケーションを契機として気がつくということが多々あります。それ自体は非常にいいことだと思っております。きちっとそういうこともこれから広げていかなければならないのですが、そういう契機でもあるということです。
 また、リスコミを実施する予定はないというところは、主に非常にこわがっている企業の方が、特に中小企業の方の中には多いんですね。非常にコストがかかってしまうのではないか、あるいは不要に住民の方が反対するのではないかという意識をまだまだ持ってらっしゃるところがあって、やはりそこのところをPRTRデータというものを広げていくときに、実際にはそんなに怖いデータ、恐ろしいことではなくて、普段からコミュニケーションをしていくと逆に社内の中の意識も高まっていってこういういいことがあるんだよという認識を広げていくということがすごく重要なのではないかというふうに思います。
 具体的に1つ、幾つかリスクコミュニケーションの場に立っていて実感しているのは、まず企業の中でコミュニケーション、人材、コミュニケーションに関する教育、訓練というものを広く全社的に行う必要がかなりあるのではないかということが第一点です。
 それからもう1つは、環境教育というか、今小学校でこういったホームページなどもつくっていますけれども、PRTRデータが個別事業所のデータが開示されることになる。ということは、中学校の授業の教材として使うことがより容易になってきた。ところが、実際には学校の先生でこれを使っていこうという人がなかなかまだいない。日化協やいろいろなところがやっている取組と学校を結ぶための取組というのをだれがどのようにやっていくのかということを具体的に議論していかないとまた抽象論で終ってしまうという気がいたしております。
 それから、もう1点は化学物質アドバイザーですね。実際にこの方たちは私も何度かご一緒させていただいておりまして、いてくださるだけで非常にコミュニケーションが進んでいるということがあります。ただ、現実には多くの企業の方がどうやって活用していけばいいのか、どこにコンタクトすればいいのか、どういうふうにやっていけばいいのかということをまだまだご存じないという、まだ周知が不徹底ということがあるのかなというふうに思います。
 最後に、形式的なリスクコミュニケーションというのは随分行われていると思います。住民とかNGOの方が一緒になっていく。ただ、もう5年ぐらいこれをやっていると、同じ方がいつも集まって同じようなメンバーで同じ議論をしているというのが本当のことを言うと今、ここで挙げられているリスクコミュニケーションの現状なんですね。これを何とか少しでもいいので普通に関心がある人を引っ張り出していく。そのためには何をすればいいのだろうか、そのためにこのPRTRデータをどうやって使っていけばいいのか、こういう議論をこれからしていけたらなと思います。

○佐藤座長 貴重なご指摘ありがとうございました。
 時間も押してきているんですけれども、では新美先生と、それから中地委員と、手短にその順番でお願いいたします。

○新美委員 どうもありがとうございます。簡単に2点指摘させていだたきたいと思います。今リスコミの話が出ているんですが、そこで視点が欠けているのは、だれとだれの間のコミュニケーションなのかということがきちんと分けて議論されていない。例えば事業者と住民なのか、あるいは行政とその市民なのか、みんな一緒なのかどうか、その辺をきちんと考えないとコミュニケーションうまく効率的にいかないのではないかと思います。
 それからもう1つは、コミュニケーションの在り方もユニラテラルかミューチュアルかによって全然手法が違うと思います。その辺もどういう場面でどういうコミュニケーションをするのかということをきちんと分けて考える必要があろうかと思います。
 それから、それとの絡みですが、専門家もどんな場面でどういうコミュニケーションするのかによって役割、演じ方が違ってくると思いますので、専門家の育成をする場合にはどのあたりで活躍してもらうのかということを十分考えておく必要があろうかと思います。
 幾つかの大学がプログラムを進めておってこれからどんどん進んでいくんだろうと思いますが、それとの関連で1つ懸念をするのは、これ供給する側は成功していくんですけれども、受け入れる側はその体制をとれているのか、あるいはとれる体制があるのかということであります。とりわけこういった専門家を受け入れるにはそれだけコストをかけなければいけませんので、それぞれ受け入れようとする部門はどれぐらいのコストをかけて専門家を受け入れる予定があるのか、あるいはそういう政策としてそういうことを考えるのかということを検討しておく必要があろうかと思います。
 以上です。

○佐藤座長 では、続いて。

○中地委員 中地ですけれども。3点あります。1つは、リスコミのことで結構うまくいっているというふうな形で紹介されているんですけれども、まだまだリスクコミュニケーションどういうふうにとっていくのかという観点では業種によっても取組にものすごく温度差があると思うんです。例えば化学工業界だったりあるいは電機、自動車では、大手はやってますが、PRTRの排出事業者で言うと一番多いのは石油小売事業ですけれども、石油小売事業でリスコミをやったという事例は報告なんかされていないわけですし。
 あるいは私どもTウォッチというNGO団体で地域セミナーという形で各地域の都道府県の担当者の方とあるいは排出量の多い大手の工場の方なんかと年に二、三度いろいろなところでコミュニケーションする場を持っているんですが。やはり声かける際に都道府県の担当者によっても非常にリスコミをモデル事業としてやられているところは多いわけですが、そういうふうなモデル事業の対象にならなかった都道府県では余り重い腰があるみたいな話がありまして。その辺の地方自治体の取組についてもやはりきちんと書き込む必要があるのではないかなというふうに思っております。それが1点と。
 2点目は、リスコミを受ける側の利害関係者で、市民というのはあるいは周辺住民という立場の方がいるんですけれども、そこの知識レベルを上げるとか、あるいはリスコミに関してどういうふうに参加していったらいいのかというところ辺の支援なんかをもう少しする必要があると思います。
 3点目は、人材育成のところで、大学での人材育成プログラムの次に子ども向けの学習サイトというふうにガタッと差があるんですけれども、化学物質についてもっと国民の全体的な知識のレベルであったり認識のレベルを引き上げるというふうなことをきっちりしていかないと、いろいろな形で化学物質に関する教育を受けている方もおられるわけですけれども、そういう人たちの知識みたいなことが生かされていないこともありますので。その辺もうちょっと人材育成というよりももっと国全体の化学物質に対する教育、環境教育であり、知識を向上させるようなことをやっていくべきだというふうなことを書き込んだ方がいいのではないかなというふうに思います。
 以上です。

○佐藤座長 では、辰巳委員、手短にお願いします。

○辰巳委員 はい、一言なんですけれども。コミュニケーションという単語でこの調査の結果を見る限りはどう見てもコミュニケーションと私には思えなくて、全部ワンウェイなんですね。だから、やはりコミュニケーションだったら双方向で、参加された方からも意見を聞くというそういうイメージがこの中にちょっとないなと私は思っただけなんです。それだけです。すみません。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 リスクコミュニケーションというのは本当に今お話を伺うと難しいなというふうに、各論になると難しいなというふうに思います。だけれども、アンケートでほかのところが何をやっているのかというのを知りたいというのがあったらこういうのをだんだん広めていけばやはりいいものにだんだんなっていくだろうし。あと、学校教育の話ですね、これは非常に重要だというふうに私も聞かせていただきました。
 時間の関係もありますので、次の議題に進ませていただきたいと思います。関連の話も出てきたと思いましたけれども、MSDS制度の課題と今後の方向性について、では資料7のご説明をお願いいたします。

○斉藤化学物質リスク評価室長 それでは、資料7をごらんください。MSDS制度についてご説明をさせていただきます。
 まず1ページでございますが、化管法におけるMSDS制度の位置づけでございます。これは大きく2点ございまして、1つは特に川下側の事業者の方々に対して化学物質の取扱い方法等について詳細な情報を伝えるということ。それから、もう1点は、化管法特有の点でございますが、PRTRの届出がございますが、これが実施できるよう必要な情報を提供すること、大きく2つの役割がございます。
 それから、真ん中、2.でございます。MSDSで提供される情報といたしましては、これは法律の省令で定められておりまして、またその記載の様式につきましてはJISが定められております。このJISの様式につきましてはMSDSを定めております他の2法、労働安全衛生法、毒劇法でも同じ様式を使っておりますので、ここは一致しております。
 またもう1点、最近の流れといたしまして、含有情報を伝える必要がある。これはEUで行われていますELV指令とかRoHS指令などからきているものでございます。要するに成形品の中にどの程度ある特定の物質が入っているかという情報を伝える必要性というのが高まっております。これは我々といたしましてはMSDSとやや違う概念であると考えております。やや似た概念でございますが、2つのものが並んで存在するということをご理解いただければと思います。
 それを示しましたのが次の2ページでございます。下の図でございます。簡単な図でございますが、MSDS制度というものが化学物質の取扱いに関して適切な情報伝達を行うということを主要な目的としているのに対し、含有化学物質情報伝達につきましては成形品等にどれぐらい含有しているのかという点を管理していくというための情報提供ということでございます。
 それから、めくっていただきまして3ページでございます。MSDSに関しましてはこれまでのこの場の審議においても、出し手側においてきちっと情報を書き込んでいるのかどうか、あるいは受け手側においてもきちっとした活用がされているのかどうか、一部十分ではない場合があるのではないかというご指摘を既に受けております。その辺、我々もなかなか実態がわかりづらいところもございまして、アンケートを行いました。
 MSDS制度の理解度ということでございますが、これは9割以上の方が理解しているということで、一部知っていないという方もおられましたけれども、理解はある程度は高まっているというふうに考えております。
 それから、MSDSの提供状況ということで、これは恐らく受け手側の方に聞いてますので、受け手でどこまでわかるかという点はありますが。一応全ての製品について提供を受けていると答えている方が7割弱、残りの3割弱が一部ということになっています。この一部の意味はちょっと我々もアンケートの聞き方が十分ではなかったと反省していますが、本来つくべきものについていないという問題がある話なのか、あるいはMSDSは全ての物質についてつけるわけでなく、有害性のある物質のみにつけるわけですから、当然ついていないものもあり得るわけでして、その辺がちょっとはっきりしない結果となっております。すなわち問題があるのかないのかをはっきりわからない点がございます。
 それから、めくっていただきまして4ページでございます。化管法ができてMSDSの伝達内容がよくなったかどうかということでございます。よりよく開示されるようになったということで約6割回答ございますが、残り4割は変わらないとなっています。これもちょっと聞き方が悪かったかなと反省しているのですが、やはり不十分なままなのか、あるいはもともとかなりきちっとして開示されているので問題がないのか、それがこれだけでははっきりしないという点が正直ございます。
 それから下の方でございますが、利用状況ということで、これはユーザー側に聞いておりますので、どのように利用しているかということでございます。まずはやはり社内の安全管理、社員教育、これは自主管理や労働者安全なども含めた概念だと思いますが、これは一番目の目的ですので当然だと思います。それから、PRTR制度に基づく届出に利用するということで、この2本柱について一応一番多い答えが返ってきております。
 また、3つ目の回答といたしまして、リスコミとは関連がありますが、社外への説明が求められる際の資料として活用しているというところもかなり多く回答が返ってきております。
 めくっていただきまして5ページでございます。先進的な事例ということで1つだけご紹介させていただきます。これもユーザー側の企業の例でございますが、MSDSを幾つかある事業所でそれぞれ管理するのではなくて、本社一括管理をして、事業所において例えばある事業所が事業所にとって新しい化学物質を使う場合には、それを本社の方でまずMSDSの内容を審査して使っていいか悪いかといった点も全て一括して、判断も含めて本社サイドでやっていくと。その状況というものは全て他の事業所も含めて情報は伝達されていくという形をとっています。MSDSに限らずさまざまなデータをPRTRの届出なども含めて一括管理をする体制がシステムができている。多くの大手ユーザーにおいてはこういうシステムはかなり既にできているのではないかと我々も思っております。
 続きまして、めくっていただきまして6ページでございます。国としてMSDSを普及させるということを行っているということでございます。1つ目は、やはり地道にPRということでパンフレットの提供等を行ってきております。左側にございますとおり、GHS対応推奨版とも書いてございますが、MSDS制度の重要性についてPR等行ってございます。
 また、若干流通に問題があるのではないかというご指摘も常々あるものですから、我々といたしましては2年ほど前から「MSDS目安箱」というものを、これはインターネット上で出しています。要するに何か問題が生じた場合は言ってきてくださいということで場をつくっております。それほど多くの問い合わせとは正直来ておりません。2年間で二十数件といったレベルでございます。その中でも一般的な質問を除きまして、確かにこれはちょっともらえるべきものがもらえていないのではないかと思われるようなものについては数件ございました。それについてもう一回上流側の企業に確認していただいて、それでももらえないというような場合があれば、我々の方からそちらの企業にご連絡するような話をさせていただいたところ、次の問い合わせが来ないことがほとんどでございましてそれなりに解決したのではないかと我々は思っておりますが、それほど多くの問い合わせが来ているというわけではない状況です。
 めくっていただきまして7ページでございます。もう1つの大きな流れといたしまして、この場で何回も議論になっておりますが、GHSが今後広まっていきますので、それに対する対応でございます。GHSとは何ぞやというのはもういわずもがなでございますが、一言で言いますと国連で決議されたシステムでございまして、有害性を分類する基準というふうに考えていただければと思います。情報伝達というものもそれに基づいてやっていこうということでございます。
 もちろん条約でございませんので各国の判断にその適用は任されておりますが、一応2008年を目標にやっていこうという形で決定されております。
 GHSの基本的考え方といたしましては、国際的に今申しました統一された分類基準によって分類いたしまして、その結果をMSDSやラベル等で提供していくということでございます。
 [1]番といたしまして、全ての化学品、一応医薬品とか例外はございますが、ほぼそういうものを除けば全ての化学品を対象としていくこと。
 それから、[2]番といたしまして情報の提供者は労働者、消費者等と広い範囲に伝えていくこと。
 [3]番といたしまして、新しく試験等までは求めないこと。今あるデータ、文献などを見て、そのデータを活用して分類するということ。
 それから[4]番といたしまして、各国の導入の方法につきましてはいろいろな考え方があろうということで、段階的導入も含めてその辺は柔軟に対応は可能ということでございます。
 では、我が国において今どうなっているかということでございますが、まず先ほど少し申しましたが、JISにおける対応ということで、一昨年12月にMSDSの様式を改正してございます。JISを改正しております。これによってGHS対応によるMSDSの様式というものが既に制定されておりまして、これに基づいて今後行っていただきたいというふうに思っております。
 ただ、GHSによる分類そのものが国際的にはまだこれからというのが正直なところで、なかなか個々の物質についての分類というのがそれほどまだ完全に固まっている段階ではございませんので、小さい字でちょっと書いてございますが、2010年末、ですからまだ2年ちょっと先になりますが、までは従前のJIS、すなわちそういう分類までは求めないもので作成しても良いということで今両方のものが流れている状況になっております。
 それから、労働安全衛生法につきましては昨年一部GHS対応というのを行っております。これも法律上対象物質を指定しているわけですが、そういう物質につきまして表示あるいはMSDS等の伝達を義務づけておりまして、また裾切り値等についてもGHSの考え方に改めております。
 めくっていただきまして、すぐの実施は難しい部分もあるということで一部経過措置等も設けられております。
 それから、ヨーロッパが一番進んでいると思われるわけですが、今どうなっているかということでございます。EUにおきましては以前から独自の分類システム、これは今のGHSに非常に近いものでございますが、それを持っておりまして、これによって当然ながらMSDSも以前から回っております。ただ、EUの考え方は化学物質全てを対象とするという考え方ではありますが、実質的には国の方で、国といいますかEU政府の方で個々の物質について分類した結果というものを出すという、リストにして出していくという形をこれまでとっていました。ただ、つい先日採択されましたREACHにおきましては基本的に事業者の方で分類をしていただき、その結果というものを事業者の方で判断してつけていくという形が、明確になっています。ただ、猶予期間等がさまざまございますので、今後そういう方向に進んでいくということでございます。
 また、同じくGHS法案というものが現在準備されておりまして、これにつきましてもREACHと連携していくわけですが、これは分類方法とか分類した結果について情報を提供するというようなことが定められておりまして、これが施行されることによって、GHS分類に基づくMSDSを回していくことが義務づけられる予定となっております。
 あと、次のページ以後は参考資料でございますが、9ページにございますとおり、GHS対応MSDSといいますか、ここにございますとおり、1から16の項目を記載することになっておりまして、この点は今のGHS対応ではない以前のMSDSと大して変わらないのですが、この2番の危険有害性の要約というところに、下にございますとおりさまざまな分類というものを行うということがGHSにおいては定められております。
 9ページ下の方を見ていただきますと、物理化学的危険性というものが結構多くございまして、10ページにかけて十数項目定められております。それから、健康に対する有害性ということで急性毒性あるいは慢性毒性、あるいは一番最後にあります生体環境への影響ということで、こういう形で分類していくということが定められ、またMSDSにおいても、ラベル要素というものをつけていくということが定められております。
 説明は以上でございます。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 では、何か委員の方からご意見あれば伺いたいと思いますが。
 まず、北村委員、どうぞ。

○北村委員 ありがとうございます。ちょっとMSDSとGHSについて、今産業界がどういう状態に陥っているかをご説明申し上げたいと思います。私会社の中ではMSDS等の作成、それから配布、それは社内の方に督励する立場におるんでございますけれども。実はMSDSというものいろいろあるんですけれども、大きく分けて2つタイプがございます。先ほど斉藤室長が説明されたとおり、1つの目的は働いている人に対してどうやって的確に化学物質の性状に対する情報を与えるかとそういう目的が1つ。それからもう1つは、その製品をどうやって安全に使うのか、これが1つの目的になっています。
 前者の目的というのは主にいわゆる試薬のMSDSでございます。後者の例というのは我々が使っておりまして調剤を含めた化学製品に対するMSDS。この2つ似ているようでいまして、実はその目的もそれからつくるときの考え方も違っているというのが実情でございます。要するに化学製品につきまして、特に調剤に関しては毒性データそういうものというのはそのままで持っておりませんので、安全サイドを含めた形でできるだけ安全に取り扱っていただけるような、安全係数をかけた記述をするというのが通常になってございます。
 ですから、そういう意味で現在考えられております化管法で検討されておりますMSDS、それをどちらを考えておられるか。それを主役のMSDSに当たるものをそのまま化学製品の方にもってきてそのまま適用するということになると非常に実務上厄介な問題が出てくるというのが実情でございます。
 要するに、いろいろな法規制がかかっておりまして、MSDSに書かねばならないことがものすごくふえてきているというのが実情でございます。我々としては、MSDSというものは化学品の労働安全を守るためのほとんど唯一の手段であるというふうに考えておりましたので、そういった特徴を損ねることがないような形でMSDSをつくり使って運用していきたいというのが産業界の希望でございますが。最近の実情で言いますと、非常に読みにくいMSDSになってきている。この辺がありますので、できればMSDSのことについて法律である程度定めるにしてもガイドライン的なものにしていただいて、個別の項目までをMSDSにこれをああいうふうに書けという規定というのはできる限り避けていただきたいというのが現場からのお願いでございます。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 かなり難しい問題のご指摘いただいたと思うんですけれども。今のご意見に関連することでしょうか。違いますか。
 では、別にご意見伺いますけれども。城内委員から。

○城内委員 何点かあるんですけれども。一番最初に3ページのMSDSの理解度ということです。これは多分化管法上でBtoBのところでの理解力ということで、MSDS制度を十分理解しているとおよそ理解しているを足して90%ぐらいになるというお話なんですが。これは、ではそのMSDSの目的に沿って、例えば労働者教育に使われているかということを考えると、それはほかの省庁でやったデータを見ても、私たちの調査でもかなり疑問だという点があります。消火器を置きなさいといいながら、消火器の使い方は教えていないみたいなところもありますので。ぜひここのところをもっと深く考えていただきたいと思っています。
 それから、GHSに関してですが、先ほどご説明いただきました。
 (2)のGHSの基本的考え方のところの[4]で、各国の状況や利用目的に応じて部分的に導入することも可能と書いてます。これは事実なんですが、実は日本でやっていることは、これを化学物質に当てはめてやっているわけです。これは諸外国、つまり欧米等から見ると日本のGHSが理解できないというところの最大の問題でもあるわけです。
 これはつまり化管法に返って考えるとどういうことかというと、MSDSの対象物質は435に限られているということになってくるわけですね。そういうことで、私としては化管法のMSDS制度について言えば、この435というのはやはり外すべきだろうと、GHSの観点から外すべきだろうと思っています。もちろんそれをPRTRとリンクさせるということは可能だとは思いませんが、MSDSの候補に関しては外してもいいのではないかと思っています。
 あと情報伝達ということについて言いますと、加藤委員から2回ぐらい前の委員会で発言があったと思いますが、ラベル等でもちゃんと危険有害性情報は伝えないとそれは意味がないのではないかというご意見がありました。私もそのとおりだと思っています。先ほども申し上げましたが、ラベル等で危険有害性を伝えるという包括的な法体系が日本にありませんので、ぜひそこのところは、化管法とはちょっと違うかもしれませんが、課題として考えていただきたいと思っています。
 以上です。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 では、亀屋委員、お願いいたします。

○亀屋委員 1点目は、まず城内先生言われた化管法の枠組みの中でどこまでできるかどうかというのは全く同感で思っていまして。かなりMSDSの在り方自体をここだけで議論するのは難しいなと思っております。GHSというのはかなり包括的ですし、国際的な標準でもありますし、考え方をどんどん取り入れられる部分は入れていかなければいけないとは思っておりますが。この化管法に関連して考えますと、化管法で対象物質を区切っているというところがMSDSとの関係で一番考えなければいけないことであるし、意義のあることではないかなというふうに考えております。
 その中身ですけれども、第1種、第2種、化管法でございますけれども、第2種までMSDS義務なっているわけですけれども、第2種の化学物質というのもハザードの要件は第1種と全く同じであって、取扱量等が少ないためにPRTRの対象になっていないと。ですから、リスク削減をやっていただくといったときに、その第2種への代替等は余り好ましくないといったようなこともわかるようになっているんだろうと思います。
 それが途端に全部の物質にMSDSというようなことで話がどんどん広がると、一体リスク削減をするためにどの物質にどう代替していったらいいのかというのがだんだん見えにくくなってきてしまうということもあるんじゃないかなと思います。
 そういった意味で、MSDSの中に書かれているような区分とか、あるいは化管法の中で言えば物質選定をするときに使うハザードのクラス分けとか、そういった情報をやはりもう少し中身を見ながら活用していくといったことが必要なのではないかなというふうに思っております。
 以上です。

○佐藤座長 では、篠原委員、どうぞ。

○篠原委員 今の議論に関連するんですけれども。MSDSのGSH対応という観点から申し上げますと、今後どっち向いていくのかと、どこまで広げるのか、どういう形でやるのかというそういうことについて、一度基本的なところを議論していかないといけないんじゃないかというふうに考えます。
 なぜかと申しますと、先ほどちょっと紹介ありました労働安全衛生法の改正のときに、実は産業界は相当混乱しております。経過措置の中でも何をしていいかどうするのか分からずに相当の混乱を起こしているということでございます。私どもとしてはダブルスタンダードで走っているような形になっていますので、将来的な姿を見ながらどういう形で実施していけばいいのか、段階的なやり方にするにしても将来を見通してやっていただきたいのが我々のお願いであります。
 それから第2番目は、大きな企業はそれなりの人を投入して対応できるんですけれども、先ほどから出てます中小企業についてはどう対応していいか多分わからないようなケースがたくさん出てくると思います。中小企業においても実行できるようなインフラの整備をちゃんとしておかないと混乱がますます大きくなるんじゃないかというふうに考えております。
 したがいまして、最終的な長期的な姿とそこにいくスケジュールを踏みながら、どうしたら実行可能かという形でやっていただきたいというのがお願いであります。
 以上でございます。

○佐藤座長 ありがとうございます。
 では、織委員でご意見伺うのを最後にしたいと思います。大塚先生も。札が大分立ってますね、すみません、では手短にお願いして。織委員、大塚委員、それで辻委員ということで、あとはいいですか。
 お願いします。

○織委員 今、城内先生、亀屋先生、篠原先生からもお話が出た、私もちょっとわからないのは、MSDSのGHS対応というのは非常に国際的な流れで結構なことだと思いますし、これからこういう方向に流れていくと思うのですけれども。便宜上、今現在MSDSやGHSに対応していくというように便宜的に対応していくと無理が出てくるのではないかと考えています。
 というのは、MSDSとGHSというのは思想が違うというかアプローチが違っている中で、つまり今のMSDSのように物質ごと、リスト方式でやっているものに、GHSのように包括的なもので、基準で切っていくというものを当てはめていけば、便宜上はある程度はできてもこれからどのように対応していくのかという方向性をきっちり、日本もGHS対応を国際的にやっていくんだということであればMSDSの考え方も変えなくてはいけないとか、そういう議論までいかないと、一時的にこれは国際的に調和させていくということでは済まない話なのではないかと考えております。

○佐藤座長 では、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 今の織委員のお話とか亀屋委員のお話と近いと思っていますけれども。1点ちょっと確認しておきたいのは、先ほど8ページの(4)のところで、EUが全ての化学物質を分類するということの話をされたときに、REACHが事業者が分類する方向に変わりつつあるというふうにおっしゃっていただいたんですけれども。高懸念物質についてはEUは自分でGHSの分類を実施しているかと思いますので、全て事業者が分類していくという方向に本当にあるのかということはなおいろいろなオプションがあると思いますので。仮にGHSをMSDSと合体させていくという場合に、その点については少し気をつけた方がいいのではないかという気がいたしますので、さらにその点について議論していただければありがたいと思います。

○佐藤座長 今、大塚委員から話があった点。

○斉藤化学物質リスク評価室長 ご指摘のとおりです。高懸念物質についてはちょっと取扱いが違っておりまして、政府の関与がかなり入っていくと思いますので、その点ご指摘のとおりだと思います。

○佐藤座長 それでは、辻委員からで最後にさせてください。

○辻委員 MSDSは冒頭説明がありましたように、PRTRの届出に必要な情報提供と、もう1つは自主管理に必要な情報提供という2つの役割を持っていると。ただ、企業としてはやはりMSDS活用で最も重要なこと、これはやはり労働者の保護のための情報提供でなくちゃならない、そういうふうに我々認識しているわけですけれども。そういう意味ではやはり記載内容を充実させていくことが重要であろう。ここで関係省庁が連携をとって統一的な施策をとっていただきたいということと。
 今GHS、これの適用も明確に法改正、対応しているのは労働安全衛生法これだけということで、他の法規に規定されるMSDS、これとの共同歩調、ここをとっていただきたいなとこういうふうに考えてます。
 また、先ほどからちょっとお話が出てますけれども、対象物質、これをどうするかということで、やはり国際的な整合性がまだ十分と言えないという中で、国際的にできる範囲でやはり設定をしていくべきではないかと。
 それと、一方国際的な調和ということで、やはり海外生産、我々も当たり前の対応になってますので、商品も世界市場に流通していると。こういうグローバルな展開の中でやはり国ごとに法律とかフレームワーク、これが異なれば企業負担というのは非常にふえてくると。ぜひリスク低減に、そういうことがリスク低減にまだつながっていかないばかりか、産業界の国際競争力低下にもなってしまうということで。やはりMSDS制度の国際調和、これはやはり最重要課題との認識で取り組むべきではないかとこう考えています。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 いろいろご意見出てきたと思うんですけれども、やはりMSDSの制度そのものに対しては皆さん方ご賛意があったと思うんですけれども、実際の場面になってくるとやはりなかなか難しい問題があり、さらに調剤というんですかね、いろいろな化学製品を含んだものに関することというのは非常に難しい。これは中毒学の立場からいっても非常に難しい評価だろうと思うんですけれども、そういうこともあろうかと思いますし。
 それから、物質選定の話、これGHSとも絡むかと思うんですけれども、それについてはやはり相当なご意見があるんだろうなというふうに伺いました。
 これ特に何か質問ということはなかったんですけれども、事務局の方で何かお話ありますか。

○斉藤化学物質リスク評価室長 多くのご意見ありがとうございました。やはり1つ城内委員等々からもございましたとおり、GHS導入の考え方は、物質指定という考え方とも若干概念が異なりますので、リスト化というものをどう考えていくかということはやはり検討課題としてあるのだと思いますし、そこを少しずつでも変えていくという、そう考えていくべきではないかと考えております。
 ただ、亀屋委員からありましたとおり、第2種指定物質等の位置づけはどうするか、これはなくしてしまうのか、あるいは代替という概念からの重要性もあり残しておくという考え方もあるのではないかと思います。それはまた引き続き検討していく必要があると考えております。
 以上でございます。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 大分予定の時間を過ぎているんですけれども、いつもご熱心にご議論いただくので。議題3に移りたいと思います。これ12時までというお約束なんですけれども、マキシマムで12時20分まで延長することもあり得るということでご理解いただきたいと思います。もちろんそれより早く終われば早く終わりたいと思うんですけれども。
 議題3、中間取りまとめ骨子(案)についてということです。今年2月から始まった合同会合もこれで5回目ということになりまして、今までお出しいただいた意見を整理して、報告書の骨子(案)の形で用意していただいております。きょうはこの骨子(案)が今までの議論が適切に反映されているのか、それからもう1つは議論が分かれたままになっていた部分が幾つかございましたけれども、それをどうするのかということですね。それを決めていただかなければいけないと思います。このような観点からご議論いただきたいというふうに考えております。
 それでは、資料8の説明をお願いいたします。

○木村環境安全課長 それでは、資料8をごらんいただきたいと思います。この資料8はこれまでの当検討会での委員の皆様方のご議論やご意見を踏まえまして、事務局の方で中間取りまとめの骨子の(案)として作成し、本日お示しさせていただいているものでございます。
 まず、本骨子(案)でございますけれども、まずは全体の章立てのことについて触れさせていただきたいと思います。全体の章立ての立て方といたしましては、I.はじめに、そしてII.化管法の概要とその役割、III.PRTR制度に関する課題と方向性、そしてIV.化学物質の自主管理に関する課題と方向性、そしてV.MSDS制度に関する課題と方向性、そして最後にVI.おわりに、というふうに大きく6章の章立ての形をとらせていただいているところでございます。
 それでは順を追ってご説明いたしたいと思います。
 まず、Iのはじめについてでございますけれども、この箇所は取りまとめ報告書の全体の導入部分となるところでございますので、化管法の目的、PRTR制度に基づく届出状況、それから法の附則に基づく法施行状況の検討の必要性などにつきまして記述した形としてございます。
 次に、IIの化管法の概要とその役割についてでございますけれども。ここの部分につきましては、さらにこのIIを中項目立てをさせていただいておりまして、1.法の役割、2.PRTR制度、3.事業者による自主管理、そして4.MSDS制度、のそれぞれの中項目を立てまして記述をしているところでございます。
 そして、前回までの会合におきまして論点を立ててご議論いただきました項目につきましては、今回はそれぞれの項目の冒頭に論点を明記させていただいている形をとってございますけれども、次回の会合での中間取りまとめ報告書をご提示させていただく際にはこのような論点というような形の形式はとらずに、通常の報告書形式で記述することを考えているところでございます。
 それでは、1の法の役割についてご説明申し上げたいと思います。これにつきましては、1ページから2ページにかけて記述しておりますけれども、その内容といたしましては化管法の目的や届出義務並びに管理指針について、そしてまた国民への情報の公開に関することや化管法が排出規制とは異なった開け表であること、さらには化管法による自主管理の改善を促進する仕組みは事業者の創意工夫や迅速な対応が可能となるなどのいわゆる化管法の特徴や利点についてそれぞれ記述いたしまして、このような現行化管法の役割を今後とも引き継いでいくべきではないかといった趣旨で記述させていただいているところでございます。
 それでは、3ページの方にまいりまして、2のPRTR制度についてでございます。ここの部分におきましてはPRTR制度の概要や届出の実績について、そしてまたPRTR制度の多面的な意義や国のデータ活用方策、そして事業者への支援、さらには地方公共団体の取組などについて書かさせていただいております。
 そして4ページの方にまいりまして、事業者のデータの活用方策やNGO、市民団体の取組などについてそれぞれ記述しているところでございます。
 それでは、次に4ページ3の事業者による自主管理についてのところでございますけれども。この部分におきましては国の定めた化学物質管理指針による事業者の管理計画策定や管理計画の位置づけについて、そしてまた自主管理の進展による成果などについてそれぞれ記述させていただいております。
 そして、4のMSDS制度のところでございますが、ここにつきましては本日のご議論を踏まえまして次回の中間取りまとめ(案)の中で記述させていただく予定にしてございます。
 それでは、次の第III章、PRTR制度に関する課題と方向性のところについてご説明申し上げます。
 まず、1の施行後7年の経験等を踏まえた仕組みの見直し、そして(1)のところに書いてございますように、化管法の対象となる指定化学物質についてでございますけれども。まず、現状につきましては4ページの終わりから5ページにかけて記載しておりますけれども、化管法における対象物質の考え方や、その種類、そしてその数について記載させていただいております。
 そして、課題と今後の方向性のところにおきましては、生産や使用動向、それから有害性の知見の集積などを踏まえた指定化学物質の見直しの必要性や、またGHSとの整合性の必要性、そして定期的な見直しの必要性につきまして書かさせていただいております。そしてまた特に、特定第一種指定化学物質につきましては新たなエンドポイントを追加する、またそれを検討する必要性について記載した形となってございます。
 それでは次に、5ページ下の(2)、対象事業者の要件について、そしてそのまず[1]の対象業種についてでございますけれども。ここにつきましては現象のところで現在製造業を初めとして23業種が規制されていると。また、次の6ページにまいりまして、対象業種に対する考え方というものをそれぞれ記載した形にさせていただいております。
 そして、課題と今後の方向性のところにつきましては、現在対象業種となっていない建設業あるいは農林水産業、さらには医療業について新たに対象業種にすべきかどうかという点に関しまして、前回までのご意見で相対するご意見がございましたことから、当骨子(案)におきましては両論併記の形で書かさせていただいた形となってございます。しかしながら、事務局としましては、この建設業では現行の施工現場が比較的短時間で移動するといったことで、定点からの排出量の把握が難しいといったこと、また建設業界におきましては特異の多種多様の下請けを抱える構造になっておりますことから、届出対象事業者の判定などが複雑になるということで、今後さらなる検討が必要ではないかというふうに考えているところでございます。
 また、農業につきましても通常は化管法の届出要件を満たさない小規模事業者であることに加えまして、PRTRの届出対象となる農薬につきましてもその使用が農薬取締法の規制により適切に管理されているということもございますので、化管法に基づく届出の対象業種に指定する必要性は現時点では低いのではないかというふうに考えているところでございます。
 また、医療業につきましては大学病院は高等教育機関の施設として既に対象となっているわけでございますけれども、医療業全体につきましてはその実態をよく今後調べてみる必要がありますことから、今後さらに検討すべき業種ではないかというふうに考えているところでございます。
 それでは次に、6ページの真ん中より下側の[2]の対象事業者の要件についてご説明申し上げたいと思います。まず、現状のところにおきましてはこの6ページから7ページにかけまして、従業員数が21人未満の事業所における第一種指定化学物質の取扱量が1トン未満、特定第一種指定化学物質の場合には0.5未満の事業者でございますけれども、これらを除外している旨を書かさせていただいております。また、我が国の届出事業所の数は国際的に見ますとOECD諸国の中で最も多いことについても触れさせていただいているところでございます。
 そして、従業員要件に関する課題と今後の方向性のところでございますけれども、これにつきましては前回までのご議論で現在の21人という従業員要件を外すか見直すべきというご意見、あるいは変更すべきではないというご意見がそれぞれあったところでございますので、ここでは両論併記の形をとらせていただいた形となってございます。しかしながら、事務局の方につきましては、ここにつきましても確かに小規模事業者の中には比較的排出量が多い企業が一部見受けられるわけでございますけれども、従業員数が21人未満の事業者は我が国全体の総排出量の1割程度であるということですとか、あるいは現在の届出事業所数は約4万1,000と世界的にも多い状況なわけでございますけれども、この要件を外した場合にはこれが約100万程度にまでなりうるということを考え合わせますと、今回の見直し検討に当たりましては現状のままでよいのではないかというふうに考えているところでございます。
 そして、もう一方の取扱量要件に関する課題と今後の方向性につきましては、ここでも現状のままでよいのではないかというご意見でここでは一致しているように見受けられましたので、これにつきましてはその旨の記述をさせていただいているところでございます。
 それでは次に、(3)の届出事項についてでございますけれども。まず初めに[1]取扱量についてでございますが、これにつきましては7ページ下の方に記載してございますように、現状では第一種指定化学物質を取り扱う一定要件を満たす事業者に排出量及び移動量の届出義務がある旨を記載させていただいているところでございます。
 そして、8ページにまいりまして、課題と今後の方向性についてでございますけれども、取扱量につきましては前回までに追加すべきというご意見、追加する必要がないというご意見がそれぞれ多く出てございましたので、この部分につきましては両論併記とさせていただいたところでございます。しかし、この部分につきましても事務局といたしましては、取扱量を仮に届出事項といたしたとしてもこれをどのように自主管理の促進等につなげていくかにつきましては現時点では関係者の間で共通の理解がないということがございます。したがいまして、まずは現在得られているPRTRデータの環境リスク評価や自主管理などが十分に行われて、また活用されることが望ましいと考えられますことから、現時点では届出事項に取扱量を追加する意義は小さいのではないかというふうに考えているところでございます。
 また、貯蔵量につきましても事故時における対応の観点から追加すべきとのご意見、また追加する必要はないとのご意見それぞれあったところでございますので、これにつきましても両論併記という形をとっているところでございますけれども。事務局といたしましては、事故対応は化管法の目的外ではないかというふうに考えてございまして、貯蔵量は化管法の範疇においての届出事項とはなりにくいのではないかというふうに考えているところでございます。
 それでは、8ページ中ほどの[2]廃棄物の処理方法、放流先の下水道名の記載のところにつきましてでございます。ここにつきましては現状につきましてそれぞれ記載事項となっていない旨をこのような形で記載させていただいているところでございますけれども。9ページの課題の今後の方向性のところにおきましては、今後放流先の下水道名、廃棄物の移動先での処理方法を届出事項に加えるべきとの前回からのご意見の大勢がそうであったふうにとらえまして、その旨の趣旨でここは記述した形にさせていただいております。
 次に、(4)の普及・啓発の在り方(未届出事業者に対する対応)についてでございます。ここにつきましては、現状につきましては未届出事業者も一部あり、それぞれの事業者に対して国や地方公共団体が協力して指導等を行っているというようなことを記載させていただいておりますけれども。課題と今後の方向性につきましては、悪質な事業者については過料の適用を含む適切な対応が必要である旨を記載させていただいているところでございます。
 そして次に、(5)届出排出量の把握手法及び届出外排出量の推計手法の継続的改善についてのところでございますけれども。現状のところにおきましては事業者による届出排出量等の把握につきましては5つの方法が定められており、いずれの方法を用いても把握すればよいというような形。それから、国でも全般的には排出量等算出マニュアルを策定しているところでございますけれども、各業界団体におかれましても事業種別の算出マニュアルを整備しているといったようなこと。そしてまた、国の届出外排出量の推計につきましては、有識者からなる検討会を設置し、見直しを行ってきたことなどについて記載させていただいているところでございます。
 そして、10ページの方にまいりまして課題と今後の方向性のところにおきましては、個別のケースにおいてより精度の高い方法が選択できるように必要なガイダンスを追加することや、国と事業者間で情報を共有すること、そしてまた新しい技術革新を踏まえて算出マニュアルを見直していくといったようなこと。さらには排出量推計についてはその精度を上げる努力、特に廃棄物処理等においてその推計におきましては検討するといったことなどをここで記述させていただいているところでございます。
 それでは、真ん中の2、PRTRデータの多面的利用の促進についてご説明させていただきます。
 まず、(1)PRTRデータの提供方法の見直しによる関係者のPRTRデータの利用の促進についてでございますけれども。この現状につきましては届けられたPRTRデータは集計され、公表されていること。そして、個別事業所のデータは開示請求により入手する方式であることなどについてここに記述させていただいております。
 また、課題と今後の方向性のところにおきましては、個別事業所ごとのPRTRデータにつきましても国による公表方式とすること、そしてその際にはできる限りわかりやすい形で公表し、より活用できるように工夫することなどにつきまして、今までのご議論をもとに記述させていただいているところでございます。
 次に、11ページの(2)の国の制度と地方公共団体の独自の連携による地域レベルでのPRTRデータ利用の促進についてでございますけれども。現状につきましては、PRTRデータの届出は都道府県経由で行われ、地方公共団体は届出データの確認や未届出事業者の把握など、制度履行に大きな役割を果たしているといったこと。また、一部の地方公共団体においては条例等によりまして要件を拡充しているところもあることなどにつきまして記述させていただいているところでございます。
 また、課題と今後の方向性のところにおきましてはPRTRデータの地域別の集計、公表をまだ実施していない地方公共団体におきましては、地域別の集計、公表に努めることとともに、既に実施している地方公共団体におかれましても地域ニーズに応じた独自の公表に努めることが望ましい旨のこと。それから、地方公共団体においても地域における環境リスクの評価などにデータの一層の活用が望まれることなどについて記載させていただいているところでございます。
 それでは、下の方の(3)事業者におけるPRTRデータの利用促進についてでございますけれども。現状の部分のところにおきましては、PRTRデータは事業者自らによる自主管理状況の把握に活用されるとともに、事業者の中にも地域からのPRTRデータを用いて先進的な取組を行っているところもある旨を記載させていただいております。
 それから、次の12ページにまいりまして、課題と今後の方向性についてでございますけれども。ここにおきましては、PRTRデータを用いた引き続きのリスク削減の努力とリスクコミュニケーションの場での活用などについて記載させていただいた形になってございます。
 そして、(4)のPRTRデータを活用したリスクコミュニケーションの強化につきましては、先ほどの本日のご議論を踏まえまして次回の報告書(案)でここについては記述させていただきたいというふうに考えております。
 それから次に、大きな第IV章の化学物質の自主管理に関する課題と方向性についてでございます。
 まず、1の自主管理についてでございますが。この現状につきましては、化管法が自主管理を特色としたものであること。そして、課題と今後の方向性のところにつきましては、今後もこの手法を継続していくことが有効である旨を記載させていただいております。
 次に、(2)の事業者による環境リスクの把握についてでございますけれども。現状につきましては、化管法の規定に基づきまして、国が定めた化学物質管理指針において事業者自ら取り扱う対象化学物質について、その管理対策の実施に取り組むことが求められているといったこと。また、一部の事業者にありましては管理対策において先進的な取組などされていることなどについて記載させていただいております。
 そして、13ページの方になりますけれども、課題と今後の方向性におきましては、リスクの懸念の大きい物質から優先的に管理を強化するなど、合理的な管理の促進が求められているといったようなこと。国におきましても自主管理が促進されるよう、ガイダンスの提供や人材育成など、一層の支援を行う必要があるといったこと。そしてまた、中小企業者の自主管理はなかなか困難な面もありますことから、その基盤整備の充実が求められることなどについて記述させていただいております。
 それから、13ページの3の効果的な自主管理の推進についてでございますけれども。この現状につきましては、さまざまな取組がされているといったこと。それから、課題と今後の方向性においては、(1)の情報の共有関係のところにおきましては業種別、工程別の管理マニュアルの作成や、業界内での情報共有の推進。そしてまた、地方公共団体にあっては先進的な事業者の活動を紹介するなどの取組の推進についてそれぞれ記述させていただいております。
 また、(2)代替のあり方につきましては、物質代替する場合においては、それによってリスク低減につながるような検討の必要性や、国の具体的な役割について。そしてさらに次の14ページの(3)の高懸念物質への重点取組につきましても一層の管理強化の必要性がある旨について記載させていただいております。
 次に、4の自主管理の状況をフォローアップする仕組みについてでございますけれども。この現状につきましては化管法による取組事業者のPRTRデータの開示方法について、また課題と今後の方向性におきましては国による一律公開方式を変更しても今後とも事業者の引き続きの事業所周辺住民などへの情報提供努力が必要であるといったことや、国や地方公共団体においても事業者の取組をより支援する方策を検討することについて記述した形となってございます。
 そして、次の5、事業者によるリスクコミュニケーションの推進、そして6、人材の育成、そして次の第VI章のMSDS制度に関する課題と方向性のそれぞれにつきましては、先ほど来のご議論を踏まえまして次回の中間取りまとめ(案)においてお示し申し上げたいと思っています。
 今回は全体の大きな骨子という枠組みについて提示ということでございますので、その点何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
 資料8の説明については以上でございます。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。今回は取りまとめということでございますので、この資料8については冒頭から順番にある程度のブロックごとに分けてご議論いただいて固めていきたいというふうに思っております。
 まず、資料8のIのはじめにと、それからII、化管法の概要とその役割ということで、きょうご議論いただいたところ、MSDSのことは除いて、4ページの下半分ぐらいまでのところでまずご意見伺いたいと思います。いかがでしょうか。特にご意見ございませんか。
 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 全般に対してなので、特に4ページの下までというとどちらかというとPRTR制度そのもの、法の役割というところなのでちょっと意見申し上げたいと思いますけれども。基本的にこのPRTRの管理というのは、私はここの全体の議論の中で、1つは国際整合ということと、それからあと企業の自主管理という非常に重要なポイントが出ていると思いますので、あえて申し上げます。
 もう少し具体的に言いますと、先ほどの説明の中にありましたREACHというような、要するにいわゆる欧州の規制というのが既に我々のいわゆる企業活動そのものにかなり重要な位置づけを落としているという現実から考えると、きょうの議論の中でもありましたいわゆる住民の安全とかそういうふうな問題もこの中に包含されるという意味では、この後で出てくる議論の中で、いわゆる我々はこういった自主管理を国際整合の中でどうやってマッチングさせるかというと、結局は私どものいわゆる法律なり国の制度がここにまだ十分にアプライされていないという現実をよく意識するべきであると。
 そういう中で、特に業界の中でも車とかいろいろなところでご意見出されましたように、我々電機の方もやはりこういったビジネスというのが現実の中で化学物質というのが出ている現実を考えると、もうここでこの後の議論を、やはり国の制度はまだここにアプライできないところを思い切ってここで変えるべきであるというふうな。ぜひとも今までの制度を否定するのではなくて、やはりかなり大きくもっと自主的な管理を思い切ってできるような形。それと、対象物質もGHSというような枠組みの中で大きくいろいろな物質を包含できるような仕組みにすべきであると私は思います。
 そういう意味でここの私の提案を検討していただく中で、ぜひともいい方向に導いていただきたいなと思います。

○佐藤座長 ありがとうございます。そういうご意見今までもかなり出ていたと思うんですけれども、古賀さんとしてはIのはじめにのところに考え方のところぐらい。

○古賀委員 そうなんですね。ええ、というふうにとってください。

○佐藤座長 では、続いて織委員、どうぞ。

○織委員 法の役割のところに多分関連すると思うのですが、事故時対応の件です。これについては何度か議論していて、この化管法の中では難しいということは重々理解しているのですが、化学物質管理において事故時対応をどのようにしていくかということは重要な政策論点の1つであると思いますので、この「はじめに」のところにおいて化管法の枠組みにおいては現状では事故時対応というのを入れていくのは難しいにしても、各自治体いろいろな取組を化学物質管理の中においてやっている、保存量、貯蔵量ですとか取扱量データを収集しているというのは事故時対応とは絡みもありますので、そういった自治体のデータを収集しながら、今後情報を共有していく方向性を考えていきたいということを入れて、事故時対応についてはここでは無理だけれども、やはり検討していきたいというニュアンスを入れていただきたいと思います。

○佐藤座長 この話も何度かご議論いただいたと思います。確かに今おっしゃるように、自治体、企業と向き合っている自治体なんかではできることもあるだろうということは非常に大事なことだと思います。それも初めの方、考え方の中ですよね、もし入れるとすれば。

○織委員 あるいは化管法の役割のところで、法の役割の現行法の下では難しいけれどもという形で付記していただければというふうに思います。

○斉藤化学物質リスク評価室長 1点よろしいですか。国と自治体の連携のあり方の部分がありますので、具体的にはどこに書くかは事務局で検討させていただきたいと思います。

○佐藤座長 場所については、では後で。
 北村委員、どうぞ。

○北村委員 これは質問でございます。きょうGHSの問題がいくらか議論されていると思いますけれども、このいただいている骨子(案)の中にGHSという言葉は実は1ヶ所ぐらいしかないんですね。それはエンドポイントの追加の点というふうに書かれているんですけれども。きょういろいろな方々のご意見にあったと思いますけれども、そのGHSに関する意見というのは必ずしもこれだけではなかった。もっと広範な意見出ていると思うんですけれども。この取りまとめのところにはほかのどういったことに書かれる、あるいはまとめるとお考えでしょう。

○佐藤座長 これはきょうご議論いただいたことなので、次回の議論の中でもう一度ご議論いただくということになると思います。きょうご議論いただいたのでこの中にはもう入れないことになりますので。
 最初の方の部分についてはそれで。では、大塚先生、手短にお願いします。

○大塚委員 本当に手短ですけれども。先ほどの織委員の意見は私全面的に賛成ですので、よろしくお願いします。
 それから、3ページのところで、これ文章変えていただく必要ないんですけれども、3つ目の丸のところの[4]で、国民への情報提供と化学物質に係る理解の増進というのが入ったのは大変よろしいと思いますが。前回もちょっと申しましたように、EUの方でも動きがあって、PRTRといっても国民の参加、環境情報の提供とそれから参加という観点がかなり強くなってきていますので、今回はこれでもいいんですけれども、将来的にはそういうこともこの法律の中で考えていかなければいけないのではないかということをコメントだけさせていただきます。
 以上です。

○佐藤座長 今のは3ページの白丸の3番目の[4]のところということですね。わかりました。
 それでは、次へ。なかなかいろいろご意見出てきますので、では佐藤委員。

○佐藤委員 佐藤です。よろしいでしょうか。法の役割の1ページの論点の下なんですけれども。化管法は事業者及び国民の理解の下にというふうに書いてありまして、国民の理解の下にというこの理解のところがこの法律でどういうふうに生かしてあるかという、やはりいまひとつわからないというふうに思っておりまして。今後やはり国民に双方向性の参加をどういうふうに実現するかということは非常に大きな法の役割であると同時に課題であるというふうに思っています。

○佐藤座長 きょうご議論いただいたリスクコミュニケーションの話もありますので。

○佐藤座長 それでは、次に移ってよろしいですか。
 それでは、IIIのPRTR制度に関する課題と方向性のうちの(1)の化管法の対象となる指定化学物質についてと、(2)対象事業者の要件について、のうち[1]の対象業種についてご審議をお願いいたします。
 では、北野委員、どうぞ。

○北野委員 全体を通して今回の検討見直しはやはり現行の枠内でより充実化させていくということをまず考えるべきだと私は思っているわけです。この充実化させるというのはデータの精度であり、またMSDSに関する内容であるということだと思うんですが。その意味で、これから3つ、両論併記出ておりますね、今は対象業種ですか。これについてですが、やはりこの法律が長期的な影響を見ていくものであるというそういう観点からすれば追加すべきでないという方向が私はやはり法律の趣旨に合うのではないかと思っております。
 ちょっと12時で出なくちゃいけないので、先言っていいですか。

○佐藤座長 はい。

○北野委員 先言っちゃうので恐縮ですが。次が、取扱量でしたか、最初は対象業種ですね。ですから、私どもは慢性毒性等を考えると、やはり建築業等については排出先がどんどん変わっていくということもあって、私は追加すべきではないということを今考えるわけです。
 それから、対象事業者の裾切りですか、ここですね、これについてはやはり現在でもかなり届出多くて、私は処理できる量、マネージブルサイズということを考えると、やはり現行でよろしいのではないかと、変更すべきではないという意見です。
 それから3つ目の取扱量については、これも両論併記されていますが。私は、8ページの下から2行ぐらいですか、取扱量や貯蔵量等については地方公共団体レベル云々とあるんですが。やはりここは私は国と地方公共団体の役割分担ということを考えて、必要に応じて地方自治体が要求すればいいものであって、法律的に要求すべきものではないだろうと考えております。
 以上です。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 ただいま北野委員から時間の制限もあるので先の方のご意見も伺いましたけれども。

○北野委員 もう1つだけいいですか。

○佐藤座長 はい。

○北野委員 先ほどリスコミについてちょっと時間がないので黙っていたんですが。1つこの次の報告書に書いていただきたいと思いますのは、やはりリスクコミュニケーションというのは定常的にといいますか、どちらかというと日本ではクライシスコミュニケーションみたいな感じになってますので、定常的に行っていくものであると。1つはアメリカのキャップみたいな例もありますが、それが1つ。
 それからリスクコミュニケーションについては事業者の方が少し大げさに考え過ぎているのではないか。ファシリテーターを入れたりしなきゃいけない、アドバイザーに頼らなきゃいけない云々と。そんなことではなくて、やはり対話集会みたいな形で日常的に進めていくことが必要だろうというようなことがもし報告書に記載していただければ幸いです。
 以上です。

○佐藤座長 ありがとうございます。
 それでは、元のところに戻ってご意見を。大塚委員。

○大塚委員 いや、北野委員がおっしゃっていることは大変重いんですけれども、ただちょっとその対象物質の拡大についてはちょっと私意見が違っていて申しわけないんですが。従来言われていたように、リスク評価をしていくことは非常に大事なので、現在の物質についてリスク評価をしてどう対応するかというのは非常に大事なんですけれども、他方で代替物質に変わっていかれるときによりリスクの高い物質に変わっていっているようなことがあると大変問題があるというご指摘は既にあったと思いますので、そういう観点からも対象物質に関してはかなり柔軟にある程度の変更はあり得るというふうに考えた方がよろしいのではないかと思いますけれども。この点ご議論いただけると大変ありがたいと思います。

○北野委員 すみません、大塚先生、ちょっとそれ僕が早口で失礼しました。私は対象物質については何も言及しておりません。対象物質については必要に応じて見直せというのが私の意見です。失礼しました。

○大塚委員 そうですか、すみません。

○佐藤座長 では、まず今対象物質についてご意見あったんですけれども、ほかにご意見ございますか。
 どうぞ。

○関澤委員代理 関澤委員の代理の吉田といいます。ここに書いてあるように、PRTR化管法は物質を指定して、ある範囲で合意をもって管理していこうという法律だと私は理解しています。あるルールでもって当然代替物質に該当する物質があるならそれはすぐ取り入れなきゃいけませんし、それが取り入れられるような仕組みをつくって管理の中に入れていくという考え方だと思います。現行の基準もそれに沿ってできているというふうに私は理解しています。基準がおかしいのであれば変えなければいけないと思いますし、基準を見直すということだと思います。私の記憶では現行の基準で慢性毒性を中心にした8個ですかね、そういう毒性評価をきちんとやって、物質を都度リファインしていくということが大事だと思います。

○佐藤座長 というようなご意見なんですけれども、ほかには。
 大塚委員から少し対象物質のことについては考えた方がいいということもあるかと、ご意見もあったかと思うんですけれども、今のご意見のようなのが今まで多かったのかなというふうには……

○大塚委員 今のご意見私同じですけれども、基本的には。

○佐藤座長 そうですか。わかりました。
 それでは、続いて対象業種についてなんですけれども、これは両論併記というかいろいろご議論があって収束してなかったところです。今、北野先生から追加しなくてもいいというか現状維持というかそういうご意見がありましたけれども、ほかにご意見は。
 佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員 対象事業については建設業、農林水産業というのはかなり排出量が多いということと、特に建設業は住民とかなり近いところでも使われているということがありますので、私はこれは入れていただいた方がいいのではないかなというふうに思っています。

○佐藤座長 今は追加した方がいいというご意見出ましたけれども、中地委員、どうぞ。

○中地委員 私も追加したらよいという意見でいうと、1つは前回もお話ししましように、医療業についてはやはり公平の観点から入れるべきだというふうに思いますし。あと、建設業についても、例えば1年以上同じ現場で大きなビルなんかを建設する場合には、点源としての排出源というふうに考えてある程度の既往要件をつくって届出させるようにした方がいいように思います。
 以上です。

○佐藤座長 どうぞ、中杉先生。

○中杉委員 この件について私前にも何回か申し上げたんですが、農林水産業はまず個々の農家に排出を課すのかということになると、多分規模要件から外れてしまう、大部分が外れてしまうということであれば、ごく対象は一部ですね、そういうところをどうするかというのはまたもう少し議論していく将来の課題ではないか。
 それから、建設業についても、これは場所が変わってくる、誰が出すというここに問題が書かれているので、それについてどうするかというのはもう1つの議論だと思うんですね。建設業から出るのは大部分がVOCという形で出てくるんだろうというふうに考えられますので、それについてはまた別な形での管理といいますか、排出管理、抑制というようなことが考え得るということを考え合わせると、今のところで入れてしまうということ自体が適切かどうかということはもう少し検討するべきではないか。
 一律に北野先生言われるようにもういらないと言ってしまうのがいいのかどうかはまた別だというふうに思いますけれども。今回多分検討しておかないと、次回のときにまた同じような議論になってしまってしまいますので、こういう検討課題だよと挙げておいて、それじゃあどうだろう。医療機関についても数多いですから、どのくらい事務量がふえるとか、実際にどのくらいの負担になるかというようなことを少し検討するという意味では、一応検討課題ですということを今の段階では取り上げておいてよろしいのではないか。それで、例えば次の段階であるいはその前の段階で必要になれば加えていくというようなことで考えればいいのではないかと思います。

○佐藤座長 北野先生、何か。

○北野委員 例えば建設業の場合ですね、さっき中地さんおっしゃった工期2年、3年とかあるんですが、例えばVOC考えるとそれが使われている時期というのはほんのわずかなんですよね、はっきり言って。塗装の時期だけですからね。だから、長年にわたって出るものではないという観点があるわけです。それで私は工事事務所、現場からの届出は、そういう形の届出はいらないと。でも、これはもちろん国として推計しておくという。外すということじゃなくて、個々の事業者に届出を要求するというものではないというそういう意見です。

○佐藤座長 織委員、どうぞ。

○織委員 この業種の追加に関してはPRTR法自体をどう見ていくのかということが非常に絡んでくると思います。つまり、このデータを出すことによって企業が化学物質の自主管理につながるものである必要があるのか、あるいはそうではないにしても量をたくさん出しているところはその量を把握する必要があるという観点に基づくのかどうかということによって異なってくるのではないかという気がしております。
 それはやはりどういう観点から見ていくかということを前段で明確にしていきながら個別に、例えば建設業の場合については量は出ているけれども、そこはほかのVOC絡みで非点検でもつかまることができると、必ずしもここのデータを公開することによって自主管理というものとなかなかなじまないものであるということであるならば今回は追加になじまないと、こういう考え方ができるのではないかなというふうに思います。

○上路委員 よろしいでしょうか。

○佐藤座長 上路委員どうぞ。

○上路委員 先ほど北野先生の方から建設業ということで出ましたけれども、私は農林水産業という立場から、先ほど佐藤委員の方から非常に私たちの生活に近いところにあるから農林水産業もちゃんと追加した方がいいのではないかというご意見がありましたけれども。非常に農林水産業に携わる農家規模は1軒1軒が非常に小さいということもあります。
 それと、農薬に関しましては国一本ということで進められていますが、各県での排出量が全部計算されてデータとしてあるので、一本としてまとめていくということが非常に扱いやすいということもあります。
 それともう1つ、農薬については農薬取締法でもっと厳しい排出の規制がされていますので、あえてPRTRではやらなくてもいいのではないかというふうに思っています。

○佐藤座長 では、事務局。

○斉藤化学物質リスク評価室長 幾つかご意見いただいていますが。最初に事務局の方からご説明させていただいたとおり、建設業あるいは医療業については今この時点ですぐに対象にするというのはちょっとまだ難しいかなと思っております。我々関係省庁とも話し合いをしていますが、中杉先生がおっしゃったように、もう少し調査的なものを本格的にやってみたいと思っておりますので、そういう動向を見つつ、今後の検討課題にさせていただければと考えております。

○佐藤座長 今事務局の方からあったんですけれども、実際に直ちに追加するというのはなかなか難しい点もあろうかと思うんですね。それからあと、要件にかかるかどうかというような議論もあるので、ここではこういうことを見すえつつも先に検討するあるいはデータを集めるというふうにまとめさせていただきたいと思うんですけれども。よろしいですか。

○御園生委員 すみません、一言だけですけれども。皆さんの議論と今委員長のまとめで結論は結構ですけれども、その理由が作業が大変だから今回は先に延ばすというようなニュアンスに聞こえるのですが。

○佐藤座長 いえいえ。

○御園生委員 そうおっしゃっているとは思わないんですけれども。今の推計法に比べて個別の届出を要求することによってさほどリスクの低減にはつながらないと判断されるので、今回は見送るというような表現にしていただきたいと思います。

○佐藤座長 もし誤解が生じるような表現だったら、今おっしゃるように。ご指摘ありがとうございました。
 それでは、続いて対象業者の要件(従業員要件及び取扱量要件)についてご議論をお願いいたします。既にご意見も出ていたところあるんですけれども。これは21人未満という要件を外すと対象企業が大幅に増加して、今の話じゃありませんけれども、作業量がふえるというようなのは余り理由にしない方がいいんですけれども。
 どうぞ、古賀委員。

○古賀委員 今の対象業種のことなんですけれども、単に非常に手間がかかるという観点では考えるべきではないと思うんです。むしろ実際のこういった小事業者が、皆さんもご存じのように、化学物質というのはほとんど単独でビジネスはしていないんですね。つまり、中小企業と大企業が連携した形でもって正常に回っているケースというのがかなり多く見られるということから考えると、やはりこれを物理的にこういうようなことをきめ細かに本当に事業者、特に大きな事業者が末端までできるかというと非常に難しい問題がある。
 つまり、このことについては中小企業という形はどちらかというと事業者に全面的に負うというよりも、やはり私は国の仕組みとして、大企業はもちろん自前でできるにせよ、中小企業というのはもう少し国としてこういう特に小企業の人たちをどういう形できちっと管理させるかという大きな枠組みですよね、そこの中で包んであげないととてもじゃないけれども問題は解決しないと。単にコストの問題ではなくて、いわゆる制度的にぜひともそのことはここでやはりこういう制度を見直す上で中小企業にどういう支援をという、先ほどコミュニケーションとありましたよね。コミュニケーションも含めて人材教育とか全部入るんですけれども、少なくともここの中でいい形で場づくりをつくっていただく中に入るんじゃないかなと思います。

○佐藤座長 化管法だけじゃなくて労働衛生にしても何にしても、絡んでくる話だろうと思います。
 これは議論の中では2つご意見、変更すべきあるいは21人未満の要件は出さなくてもいいというご意見があったんですけれども、事務局の提案のとおりに21人未満の要件は外さなくてもいいということでまとめさせていただいてよろしいですか。
 はい、ありがとうございます。
 取扱量の要件について、これは現行の1トンあるいは特定第一種ですと0.5トンということのわけですけれども。これでよろしいということでいいですか。
 はい、ではそういうふうにさせていただきたいと思います。
 次に、(3)の届出事項についてです。
 [1]取扱量、それから[2]の廃棄物の処理方法、放流先の下水道名の記載についてということで。取扱量については両論併記ということではあったんですね。これについていかがでしょうか。
 どうぞ、酒井委員。

○酒井委員 ありがとうございます。名古屋市の酒井でございます。取扱量について、私も今までもいろいろ言ってまいりました。名古屋市としましては条例でもって今取扱量は届出いただいているということでございます。先ほど北野先生の方から地方の実情に合わせてということございましたけれども、私ども名古屋市だけが必要だということではなくて、やはりPRTR法の趣旨である自主管理の促進のためには自治体もそれなりの役割があるだろうと思っています。そのためには取扱量等も把握をしていかないとなかなか難しいなと実は思っています。そういう意味で届出を条例で求めておるということでございますので、そういう意味からいけば、やはりPRTR法の中でしっかり届出事項として入れていただくべきではないかなというふうに思います。
 先ほど事務局の方でできれば今のところ意義が小さいということでございますけれども、もしそのような記述になるのであれば、こういう意見もあったよということはやはりはっきりしておいていただきたいというふうに思っています。
 以上です。

○佐藤座長 今の地方自治体のレベルでは大いに必要であるだろうというふうに受け取りたいと思うんですけれども。
 佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員 PRTR情報をリスクコミュニケーションに使う上でも、こういう排出量だけではなくて取扱量、それから廃棄物の処理量、こういうものがトータルとしてないと住民としてよく理解できないと思うんですね。そういう意味ではリスクコミュニケーションをする上でもこの情報が必要であるというふうに思います。

○佐藤座長 ほかのご意見はいかがでしょうか。
 どうぞ。関澤委員の代理の吉田さん。

○関澤委員代理 吉田といいます。取扱量につきましては、コミュニケーションに当然必要ですが、それは事業者が自主的にコミュニケーションするときに照会していくことだと思います。今回のこの法律の中では排出量、それから移動量、ここのところをきちんとやるというのがまず北野委員が言われたようにやっていくことだと思います。取扱量の届出が必要かというと、私は必要ではないと思います。

○佐藤座長 ほかに。どうぞ、古賀委員。

○古賀委員 ここで言う取扱量の中というか、排出量はやはりどうしてもリスクにつながるということでわかるんですけれども、いわゆる取扱量はぜひともやはりここではこういう扱いにすべきでないという方向にもっていっていただきたい。といいますのは、そもそも取扱量というのはこの議論の中であったように、どういう形でもってこれが有効活用されているかということを考えると、やはりいろいろなことを考えなくてはいけない。その中では排出量というのは明らかにこの排出をきちっと管理して、それでこれがリスクにつながらないという意味では方向が見えるわけですよ。そういう意味でここの議論を取扱量を取り上げる場合には、ではどういう形でこれが役に立って、役に立つという意味ではリスク管理に重要な役割を果たすというところまで議論を詰めた上で取扱量を取り入れるべきかどうかという方向にもっていっていただきたいと思うんです。

○佐藤座長 ありがとうございます。
 では、辰巳委員と中地委員の順で手短にお願いいたします。

○辰巳委員 私もやはり取扱量というのは、先ほどの織さんが最初に爆発とか危険、危害というような話がこの中では表現できないけれども、いずれはやらなきゃいけないというふうなところに絡ませて、今はここではいらないかもしれないけれども、やはり取扱量というのはどこかできちっと把握しなきゃいけないというふうに思っておりますもので、ここでは入れなくてもいいけれども、今後入れていこうというふうな方向の何か書きぶりは欲しいなというふうに思っております。
 先ほど吉田さんの方でリスコミの中で自然に出てくるというふうにおっしゃいましたけれども、やはりそれはそれだけのリスコミがうまくでき上がった時点で出てくるのであって、なかなか出ない、どこかで出すというようなことがないと、出すというふうになっていないと出てきにくいのではないかなというふうに私は思っております。

○佐藤座長 中地委員、どうぞ。

○中地委員 その前の対象事業者の規模要件のところで取扱量というのがある以上、やはり取扱量をきちんと報告をしていただかないと対象業者なのかどうかということが誰もわからないわけですので、その辺やはり行政的に、少なくとも公表できないのであれば、行政には届出をするというような形にして、地方自治体には届出するというような形で把握をするべきだというふうに思います。

○佐藤座長 では、加藤委員、どうぞ。

○加藤委員 先ほどおっしゃってらした意見と同じで、リスクにつながるかどうかという話との関連なんですけれども。取扱量は私自身は今回は対象にしない方がいいと思っております。PRTR法の排出量の方は、今回全部公開するというふうになりましたですよね。それと同じ扱いで取扱量を扱うというのはいろいろな意味で問題があると思います。1つは、企業の秘密情報にかかわるようなものであるということです。それからもう1つは、直接爆発などで危害を受けるかもしれない人でない人にまで全部取扱量の情報を出すと、むしろそれが何らかの攻撃の対象になるという問題もないとは言えないと思います。もし届け出るとしましても、それは公表の対象外にする。つまり、排出量とは違う扱いにすべきであると思います。

○佐藤座長 では、いろいろご意見出てますけれども、ちょっともう一回事務局の方の話を聞いてみたいと思います。

○森下化学物質審査室長 いろいろご意見ありがとうございました。事務局といたしましては、今回のご議論を拝聴いたしましてもやはりこれまでの議論と同じ点が指摘されているのだと思います。基本的には関係者の間での理解が残念ながら得られていないということかと思います。それは理由があることかなというふうに一方では思っておりまして、それぞれのお立場お立場で多分必要とされること、あるいはお考えになっていること異なっていると、これはある程度やむを得ないというところなのかなというふうに思っております。
 今回いただきました議論で幾つかございますけれども、例えば自治体でのお取組でございます。独自の制度をつくられて取扱量を、それ以外のものにつきましても報告を求める制度をおつくりになっているようなところございます。そういったところにつきましてはきちんと報告書の中にも書き込んでいきたいと。つまり、自治体においてそれぞれのニーズに応じてさまざまな形でそういった制度をつくっておられるところもあるということについてはきっちり書き込んでいきたいというふうに思っております。
 それから、取扱量を使ってリスクコミュニケーションを進めていくということでございますが、まだその仕組みができていないとのご指摘もございました。ただ、これにつきましてはこれ後ほど出てまいりますけれども、フォローアップをする場というのをつくって、そこにさまざまな関係者の方にご出席をいただいて、情報を共有しながらどう取組が進んでいくのか、それを関係者が共有をしていく。そして自主的な取組を進めていくというような取組もあろうと思いますので、まずそういったところで取組をまず進めてみてはどうかというふうに実は考えております。
 また、個別にリスクコミュニケーションを個々の事業所で進めていくということも非常に大事だと思っておりますけれども、そういったところは個別に出せるところはどんどん出してください。出してくださったところを社会がほめるといいますか、そういう表彰と言ったら言い過ぎかもしれませんが、どんどんいいことだということで奨励をしていく、そんな社会をつくっていくということも重要ではないかと思っています。そういった個別の対応についてもいろいろな情報共有して推奨していくというようなことをやっていったらどうかというようなことで考えているところでございます。

○佐藤座長 ありがとうございます。
 いろいろご意見いただいてはいるんですけれども、取扱量の取扱いについて若干難しい点もあろうかと思いますし、ここで入れないからといって例えば地方自治体が必要に応じて報告を求めるなり、あるいは消防法なんかでは取扱量とか貯蔵量とかと関係するんだろうと思いますけれども、別の枠組みでもあるということで、現在の段階ではこの取扱量は入れないという形にさせていただきたいと思うんですけれども。
 では、手短に。

○城山委員 結論については結構かと思いますけれども。例えばこの理由のところで、営業秘密的なものがあるから求めるべきでないというのと、地域の事情に応じてやればいいというのは詰めて考えると矛盾することはあり得るわけですね。地域の事情に応じて出して、それが営業秘密とでは変わりないのかというと、これはそういう意味で言うと極めて多面的な表現になっているということを認識すべきだということと。
 逆に言うと、ここで恐らく詰めることは不可能でしょうけれども、地方公共団体レベル、地域の必要性に応じて対応すればいいと。では何が必要性なのかということをむしろ整理するということがどこかの段階で必要で、多分今は個々の自治体のプラクティスというのをいろいろ実験されるということは意味があるかと思うんですが、それはただ推奨すればいいということでも多分ないのだろうと。そこはむしろ事業者さんがどういうふうに考えられているかというのは興味あるんですが、あえて答え求めませんけれども。
 つまり、その必要性に応じてやってみる。それをどこかの段階でもう一回整理してみて、どういうことのために意味があって、どういうことのためには必ずしも意味がないのか。あるいはここで言う営業秘密的な考慮とのトレードオフもあり得るわけですから。ただ、そういうことの整理がもう少しやった段階で必要であるということは認識しておくべきかなというふうに思います。

○佐藤座長 重要なご指摘をありがとうございました。
 その次の特に放流先の下水道名の記載ということについては、これはよろしいですか。特に、ではよろしいということにさせて……、中杉先生、どうぞ。

○中杉委員 これはそれで結構だと思いますけれども。例えば私の意見として入れていただいているんですが。下水処理場とか廃棄物処理施設からの出てくる量が今のところ全くわからない話で、これでいくと少しそこら辺がわかってくるのかなと思うんですが。例えば廃棄物処理業者は小さな業者が多いので、それぞれにまた報告をしてもらうということは負担になると思いますけれども、こういうことによって下水処理場は自分のところにどういうものが入ってくるかがわかることになりますので、これはもう努力というか、まさに自主的なあれですけれども、できるだけ下水処理場の方でそこら辺のところも踏まえて公表していただくようなことを努力していただければというようなことを考えていますので。
 この報告書に盛り込む云々の話ではございませんけれども、この場を借りて申し上げておきたいと思います。

○佐藤座長 はい、ありがとうございます。
 それでは、先へ進ませていただきます。今の章というか、PRTR制度に関する課題と方向性の残りの部分について、何かご意見がございますでしょうか。

○大塚委員 11ページのところで(2)のところで、課題と今後の方向性の自治体のところについて、3つ目の丸ですけれども、地域の特性に応じた各地方公共団体独自の取組は重要であるということなんですけれども。これはこのとおりなんですが。ちょっとあっさりし過ぎているので、もう少し書き加えていただきたいことがございます。
 1つは、現状のところの1つ目の丸に出ているように、届出データのチェックとか未届出事業者の確認の点で非常に重要だということがあるので、これは地域の特性に応じたという話では必ずしもないと思いますけれども。重要だということもう一度メンションしていただくと大変ありがたいと思いますし。
 それから、やや危機感を持っていなければいけないことだと思うんですけれども、前に東京都の方からお話があったときに、自治体の方も財源不足でというお話があって、自治体は実際のところでは取り組めるのかという実情が本当はあると思いますので、その点に関してはもう少し危機感を持った書き方をしていただいた方がよろしいのではないかと思っています。
 さらにもう1つ、自治体間の情報の共有ということが大事だという話はあって、これは13ページにも出ていますので、3の(1)のところに出ていますのでこちらで書いているというご趣旨だとは思いますけれども。自治体の方もほかの自治体との関係で情報を積極的に収集するようなことをしていただかないと、この13ページの(1)の2つ目の丸の書き方は期待されるとかいってかなり人ごとみたいな書き方になっているので、これは国としてはそうだというのもわかることはわかるんですけれども、もう少し積極的な書き方をしていただいて。
 情報の共有についても、自ら自治体がそういうことをしていただくことが期待されますので、11ページの方にもそういうことをもし書いていただけると大変ありがたいと思います。

○佐藤座長 ありがとうございました。
 先ほどの取扱量の話のところでも地方自治体の役割の重要性みたいなご指摘があったと思いますので、今のご意見を取り入れた形にさせていただきたいと思います。
 では、中地委員、手短にお願いします。いつも申し上げて申しわけありませんが。

○中地委員 経由事務の話なんですけれども、現行都道府県だけじゃなくて、各政令市等がやっているんですけれども、やはり大阪の場合は政令市である大阪市と堺市はやっていないというようなことがそのままやっているというのは、地方自治体の取組の方ばっかり出ているんですけれども。やってないところについてはどういうふうに底上げをするのかというようなことはどこかに書き込んでいただきたいなというふうに思います。

○佐藤座長 わかりました。いいところばっかり書かないで、現状のところでまた書かなきゃいけないだろうと思います。
 次に進んでよろしいですか。
 それでは、4番目のIV章の化学物質の自主管理に関する課題と方向性についてご意見があれば伺いたいと思いますが。
 佐藤委員、どうぞ。失礼しました。

○佐藤委員 自主管理についてはPDCAが回っていませんと毎年きちんと何かをやって見直していくということができないと思います。そういう意味では環境マネジメントシステムの中でこの化学物質管理をどのように位置づけて、それを推進してもらうかということが必要だと思います。
 例えば中小企業については環境省ではエコアクション21という制度を持って、その中で環境マネジメントを進めるということになっておりますけれども、そういうものとの連携をとりながら化学物質管理について中小企業も参加できるということが必要だと思います。
 また、エコアクション21というのは地域とのコミュニケーションというものがマネジメントの中に入ってなければいけないということにいるんですね。したがって、自主管理と同時にリスクコミュニケーションも含めてマネジメントシステムにどういうふうに組み込んでいくかということについてもっと働きかけが必要ではないかというふうに思います。

○佐藤座長 重要なご指摘ありがとうございました。今のご意見はもし入るとすると13ページの3のところですかね、それとも14ページの4.の方、どちらになりますかね。

○佐藤委員 私のイメージとしては3ですね。

○佐藤座長 はい。
 ほかに。城山委員、どうぞ。

○城山委員 今の点ともかかわります。それから、先ほど裾切りの21名のところでたしか古賀委員がおっしゃられて結構重要ではないかなと思うんですけれども。つまり、21名の裾切りのときの理由で、事業者の負担を考えて21人以下のものは対象にしない。つまり、データをとることすら対象に負担を考えてしないと一方で言っていて、それからこの自主管理のところは一応裾切りは形式的にはないわけですね。つまり、自主管理はちゃんとやってほしい。自主管理はここで言ってることで言えば環境リスク評価までやってほしいわけですね。つまり、負担を考えるとデータもとれないところに自主管理で環境リスク評価という、さらに高等なことをやってもらいたいということもある意味で言っているわけですね。だから、そこをセットでどう考えるかということで。
 逆に言うと、ある意味では実質的にはそこのまずベースのことをちゃんとやってもらうというのがあって、その後ここまで求めているんですよ、かなりだから大変なことを求めているんですね。そう簡単なことではないわけですが、重要なことを求めているんだということがわかるような表現にしておく必要は多分あるんだろうなと。
 逆に言うと、21名の裾切りのところで余り事業者の負担というのを言い過ぎるのはちょっと弱めた方がいいかなという、ちょっと先ほどの例になりますけれども、という気がいたします。

○佐藤座長 論理の整合性というところから考えるとおっしゃるとおりだろうというふうに思います。
 先ほどの議論の中で21人未満は外すというところに余り作業の話は書かないようにというご意見もあったと思いますので。

○城山委員 ちょっともう1つだけ。古賀委員がおっしゃられたのはすごく重要だなと思ったのは、実際にはサプライチェーンは中小企業も大企業もセットなんですよね。そういう意味で大企業の観点から見ても中小企業がちゃんとやってくれないと多分システム全体が回らないわけで、そういう意味で中小企業なんかもちゃんとやっていくということはある意味では公的な役割として場合によってはちゃんとやるべきだ。逆にそれはリソースが必要なのであれば場合によってはリソースはどういう形か確保すべきだということぐらいは場合によっては言ってもいいことなんだろうなというふうに思います。ちょっとそこまで、今回どこまで踏み込まれるかわかりませんが、結構そういう意味で言うと重要な問題提起をいただいたのかなという印象を個人的には受けました。

○佐藤座長 今のお話、重要なご指摘だと思うんですが、ただこの中では余り議論していないことなのでどう書き込めるのかというのはちょっと難しいかと思うんですけれども。日本の企業形態なんか考えると確かに重要なご指摘だろうと思います。
 加藤委員。

○加藤委員 その裾切りの話で、やはりリスクに基づいて対象にしないというのであればわかるんですけれども、手間だけということだと、先ほどの「理由として成り立たない」という意見との論理の整合性の問題がある。ですから、21人以下のところでどういうものがどれほど取り扱われているかという現状について把握されているのかどうかということだけちょっと伺いたいと思います。

○佐藤座長 では、事務局の方から。

○森下化学物質審査室長 例えば21人以下からの排出量については、例えば地方自治体で独自の制度をおつくりになって把握されているところがございます。これは国のナショナルミニマムでのPRTRの仕組みと、あるいは地方自治体でも別個のニーズに応じた取組と多分役割分担があるんだろうというふうに考えています。例えば人がたくさん住んでいるところに小さな工場・事業所がいっぱいあるようなところ、そういうところでは特別に固有の仕組みができて、そういう取組も進んでおられるというようなことで。これ役割分担してやっていけばいいのではないかなというふうには考えているところです。

○佐藤座長 よろしゅうございますか。
 どうぞ、吉田さん。

○関澤委員代理 21人の件のときにも経済的なことを申し上げたのですが、やはりこの範囲は国の推計範囲にすべきだと思います。その精度を上げるためにいろいろな調査が必要になってくるのであればそこに逆にリソースをとって、極力そういう一人で作業しているような工場の方々の負荷をミニマイズして精度よくデータをとることが課題だと思います。今も推計しているのでその推計レベルを上げることが重要だと思います。

○佐藤座長 はい、ありがとうございました。
 一応最後まできたんですけれども、では織委員、手短にお願いします。

○織委員 すみません、手短に。14のあたりですが。自主管理という名前は非常に重要だと思います。これはあくまでも14ページのところで書いてあるように、自主管理が機能していくのは国民が情報を得て、それを国民が監視してなおかつインセンティブを与えるという仕組みがあることが大前提となっていると思いますが、これはこのニュアンスだと現状ではあるという形の書き方になっていますが、PRTR法データはあくまでも排出量データの公開ですので、これは必ずしも自主管理の実施にインセンティブを与えて状況を知る仕組みになっているわけではないからこそ、14ページのこういったフォーラムですとかこういった取組状況をしなければならないというところの書き方のところを少し工夫していただければと思います。

○斉藤化学物質リスク評価室長 今はまだやってない業種ごとの発表の場をつくっていくとか、いろいろ新しい取組は今後とも我々ここに書いてありますとおりやっていきたいと思っています。

○織委員 それはそうですが、その書き方として、現状が仕組みになっているという書き方になってますけれども、むしろそこが足りないところが問題なのではないかということで、課題へつなげていただきたいと。

○佐藤座長 まだご意見あろうかと思うんですけれども、時間がお約束の時間をさらに5分過ぎておりますので、きょうのところのこの中間取りまとめ骨子(案)についてはこの辺で終わりにしたいと思うんですけれども。
 一応両論併記のところは決めていただいたというふうに理解しております。
 それから、まだ発言が十分にできてかったというようなことがございましたら、会合が終わった後に事務局の方に追加の意見を提出というふうに今までやっていただいてましたけれども、そういうふうにお願いいたします。
 それでは、今後の予定について事務局から連絡お願いいたします。

○森下化学物質審査室長 活発なご議論ありがとうございました。次回の合同会合でございますが、6月29日、金曜日、14時、午後2時から経済産業省別館9階の944号会議室にて開催させていただきます。場所については流動的なところがございまして、もし変更がある場合には委員の皆様方にご連絡をさせていただきたいと思います。なお、所要時間については議論が長引くことも予想されますので、16時半ぐらいまで、16時30分ぐらいまで延長させていただく可能性があることをご承知願いたいと思います。
 本日の議事録につきましては前回同様原案を作成しまして、各委員にご確認をいただき、次回会合でご了承を得た後にホームページに掲載する予定です。よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。

○佐藤座長 それでは、お約束の時間を過ぎましたけれども、本日の審議を終わりとしたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○森下化学物質審査室長 すみません、1点だけ。コメントの期限ですが、6月20日までにお送りいただけるようにお願いいたします。恐縮です。

○佐藤座長 では、どうもありがとうございました。散会いたします。