第2回 中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害救済小委員会 議事録


日時

平成18年3月1日(水)

議事録

午後6時01分 開会

○天本総務課長補佐 それでは、時間になりましたので、第2回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 本日は、ご参集いただきました先生方におかれましては、大変お忙しい中、急な開催、また遅くの時間の開催にもかかわらずご参集いただき、まことにありがとうございます。
 小委員会委員計11名のうち、本日今現在7名のご出席をいただいております。本日初めてご出席いただいております委員がおられますので、ご紹介させていただきます。
 まず、早稲田大学法学部の大塚委員でございます。

○大塚委員 大塚です。よろしくお願いいたします。

○天本総務課長補佐 次に、国立病院機構近畿中央胸部疾患センターの坂谷委員でございます。

○坂谷委員 坂谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○天本総務課長補佐 それでは、委員長、進行よろしくお願いいたします。

○森永委員長 今日の資料は2つだけです。皆さんお手元になければおっしゃってください。
 前回は石綿の健康被害の救済の医学的判断のことについて一応一通り、ちょっと時間オーバーしましたけれども、ご議論いただきましたので、その議論を踏まえて今日、資料2の方に報告書案という形でまとめさせていただいております。これをもとに今日は議論していきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、一応全部をいっぺんにやるのではなくて、個別に項目ごとに事務局の方で読みあげていただいて議論をするというような形で進めたいと思います。事務局の方、よろしくお願いします。

○俵木保健業務室長 それでは、お手元資料2でございますけれども、石綿による健康被害の救済における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方について、まず1ページ目を読ませていただきます。

「 1.はじめに
 平成17年6月末、兵庫県尼崎市の旧石綿製品製造工場の周辺住民に中皮腫が発症しているとの報道がなされて以来、環境経由のばく露を含めた、石綿による健康被害が社会的問題となり、政府は、アスベスト問題に関する関係閣僚による会合を重ねて、この問題に対する取組を進めてきた。
 対応の一環として、石綿による健康被害を受け、労災補償の対象とならない工場周辺住民、労働者の家族等を救済する新たな法的措置を講じることとなり、平成18年2月3日に「石綿による健康被害の救済に関する法律」が成立し、2月10日に公布された。
 平成18年2月9日付けで環境大臣から中央環境審議会に対し、「石綿による健康被害の救済における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方について」の諮問が行われたことを受け、同2月10日に開催された同審議会環境保健部会において、本諮問案件についての調査審議を行うため、同部会に石綿健康被害救済小委員会が設置されることとなった。
 法の施行日は、平成18年3月31日までの間で政令で定められた日とされ、迅速な施行が求められており、限られた時間とならざるを得なかったが、2回の小委員会を開催し、パブリックコメントの結果等も踏まえつつ検討を行った結果をここに報告する。

 2.小委員会における検討について
 健康被害の救済を図るための法律を施行するためには、対象となる疾病の範囲、対象とする疾病にかかっていることを判定するための判断の基準が必要となることから、環境省においては、平成17年11月から、「石綿による健康被害に係る医学的判断に関する検討会」を厚生労働省と共同で開催し、石綿関連疾患に関する医学的な知見の整理、検討を進めてきた。同検討会においては、5回の検討会を開催し、平成18年2月9日報告書が取りまとめられた。
 小委員会においては、検討会報告書の内容を基礎として、法による救済給付の対象となる指定疾病の範囲と石綿を吸入することにより指定疾病にかかった旨を判定する際の考え方について、検討を行った。」

○森永委員長 そうですね、ここまでは経過の話ですから、3の方へいってください。

○俵木保健業務室長 はい。

「 3.法による救済給付の対象となる指定疾病の範囲について
 (1)法の立法趣旨は、第1条(目的)にあるように、「石綿による健康被害の特殊性に鑑み」救済を図ることである。石綿を原因とする中皮腫及びこれと同様に悪性疾患である石綿を原因とする肺がんについては、
 [1]ばく露から30年から40年という非常に長い期間を経て発症すること、さらに、石綿そのものが戦後の我が国社会において広範かつ大量に使用されてきたことから、どこでどのようにばく露したのかわからず、個々の原因者を特定することが極めて困難であること
 [2]一端発症した場合には、多くの方が1、2年で亡くなられること
 が実態である。現在発症されている方が石綿にばく露したと想定される30年から40年前には、このような重篤な疾病を発症するかもしれないことは一般に知られておらず、知らないままにばく露し、自らに非がないにもかかわらず、何ら補償を受けられないまま亡くなられるという状況にあることから、民事責任等を離れて迅速な救済を図るべき特殊性がみられる。

 (2)一方、その他の石綿関連疾患のうち、石綿肺については、以下のことが指摘できる。
 1)古くからよく知られた代表的な職業病であるじん肺症のひとつであり、特別加入制度も含めた労災保険制度が整備されてきたこと、また石綿肺のなかでも一定の症状のある事案について労災補償されており、石綿肺と診断されたすべての患者が労災補償の対象となっているのではないこと。
 2)石綿ばく露歴の客観的な情報がなければ、石綿以外の原因で発症する肺腺維症と区別して石綿肺と診断することは難しいこと。
 3)ばく露後すぐ発症するものではなく、ばく露から概ね10年以上経過して所見が現れること。
 4)じん肺法に定める第1型の石綿肺は、それだけではほとんど症状もなく、肺機能や生活の質が大きく低下することはない。一部の症例で徐々に症状が進行し、肺機能の著しい低下等日常生活上の支障が生じる者もあるが、肺がん、中皮腫と異なり、短期間で死に至るような予後の非常に悪い疾病ではないこと。
 5)これまで職業ばく露での発症しか知られておらず、一般環境経由による発症例の報告はこれまでにないこと。

(3)また、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚については、以下のことが指摘できる。
 1)胸水及びびまん性胸膜肥厚は、石綿以外のさまざまな原因で発症するもので、石綿ばく露歴の客観的な情報がなければ、他の原因によるものと区別して石綿によるものと判断することは難しいこと。
 2)これまで職業ばく露での発症しか知られておらず、一般環境経由による発症例の報告はこれまでにないこと。
 3)びまん性胸膜肥厚は疫学的、臨床的知見が少なく、潜伏期間について十分な知見がないが、良性石綿胸水は潜伏期間が他の石綿関連疾患より短いこと。
 4)肺がん、中皮腫に比べ、予後不良とはいえないこと。
 5)労災補償制度においても平成15年の認定基準の改正によって疾病として対象とされたものであり、これまでの認定者数も少ないこと。

 (4)以上のような背景、状況を踏まえて検討した結果、今回の救済制度は、前述のように、石綿を原因とする中皮腫及び肺がんの特殊性にかんがみて、ばく露歴を厳密に確認することなく、迅速な救済を図ることとしたものであり、当面、指定疾病はこれら2疾病とすることが適当であると考える。
 また、その他の疾病については、様々な原因で発症するものであり、客観的な職業ばく露歴がなければ他の原因によるものと区別して診断することが難しいこと、職業性疾患として知られてきたものであり、一般環境経由による発症例の報告はこれまでにないことなどから、今後、さらに知見を収集し、その取扱いについて検討していくことが適当である。」

○森永委員長 そこまでで。
 では、ここの3ページの(4)のところまでで、委員の先生方、ご意見ございませんでしょうか。
 どうぞ。

○坂谷委員 2点ございます。1つは、2ページの上から太いヘッディングは別にしまして、(1)の2行目でございます。「石綿を原因とする中皮腫及びこれと同様に悪性疾患である石綿を原因とする肺がんについては」のところですけれども、「これと同様に悪性疾患である」という形容部分は必要があるんだろうかと、こういうふうに考えます。すなわち、「石綿を原因とする中皮腫及び石綿を原因とする肺がんについては」で十分ではなかろかと、こういうふうにまず思いますけれども、いかがでしょうか。

○森永委員長 そうですね。くどいですね。削除しましょう。よろしいでしょうか。

○坂谷委員 もう1点ございます。「疾病」と「疾患」が混在しておるんですけれども、これは使い分けされているんでしょうか。今、俵木さんがお読みいただいたところで、疾病、疾患という言葉が連続して幾つも出てくるんですけれども。疾病と書かれている部分と疾患と書かれている部分がありますので。ほぼ同等に使われているようにも思われますし、あるいは「石綿関連疾患」という部分に限って疾患とされているのかなとも思いますけれども。これはどういうふうに考えたらいいかなと思います。

○俵木保健業務室長 事務局の用語の整理としては、ちょっとここの疾病と疾患どう整理しようかと思って考えてはみたんですけれども、基本的には、法律も指定疾病ということで疾病を使っておりますので、疾病に統一したいと思います。但し、「石綿関連疾患」という言葉はこれまで使われてきている言葉でもあるので、「石綿関連疾患」については疾患をそのまま残しました。単語になっているものについては疾患を残しているというようなそんな余りきれいな整理ではないのかもしれないんですけれども。

○坂谷委員 おっしゃいますとおり、「石綿関連疾患」というところの疾患、それから職業性疾患というところの疾患のみが疾患とされているのは気がついておりますけれども。だから、何か頭に形容的な単語のついたものに関しては疾患と。

○俵木保健業務室長 これまで固まりとして使われてきている用語については一応、疾患が使われてきている用語については疾患ですけれども、裸のものについては疾病で統一をしたつもりです。
 何かもし整理の仕方があれば。

○森永委員長 今の事務局の説明で大体どうでしょうか。とりあえずそういう考えで報告書全文を見直して、問題があればもう一度考え直すということで。とりあえず今事務局の説明した考え方でいくということにしましょう。

○坂谷委員 結構です。

○森永委員長 ほかに。どうぞ。

○井内委員 2ページの3の(1)の6行目ですか、「どこでどのようにばく露したのかわからず、個々の原因者を特定することが極めて困難である」、この原因者という言い方は、これは僕は法律用語に詳しくないからかもしれませんが、これはこれでよろしいんですか。個々の原因、つまり中皮腫になったことの原因を特定することが極めて困難だという意味ですよね、ここは。

○寺田大臣官房審議官 そのとおりです。

○井内委員 そういう理解ですね。そうすると、ここに「者」というのが入っているのは。法的にこういう使い方をされるのかなと思って。

○森永委員長 大塚委員、何かコメントお願いします。

○大塚委員 これは人の方を考えておっしゃっているのかなとちょっと思ってはいますが、どうでしょうか。これは原因がアスベストだとかということだけであれば「原因」で構わないと思うんですけれども、だれが発生者、汚染者かということをいっているのであれば「原因者」でいいと思うんですけれども。ちょっとここはやはり事務局のご趣旨を伺ってから私もコメントしたいと思います。

○寺田大臣官房審議官 実はこれは政府がこれまでこの救済法を立法する過程でたびたび使ってきた文章をそのまま写してきております。そこの意味は、後段にございます「民事責任等を離れて迅速な救済を図るべき特殊性がみられる」ということが最後のこの結びになっておりますけれども、そこにつながってくる部分でございますので、民事責任の帰するところという意味では「原因者」ということになろうかと考えております。

○井内委員 石綿ばく露の原因となる企業とかそういうことを指しているということですね。

○寺田大臣官房審議官 要するに当該疾病につき責任を持つべき者が本来は恐らくいるのであろうけれども、その責任を追求することはかなわぬと、こういうことを意味しているものでございますので、「原因者」というふうに使わせていただいております。

○大塚委員 私もそういうことでしたら賛成です。

○森永委員長 では、よろしいですか。

○井内委員 はい。

○森永委員長 それから、この2ページの(2)の1)の石綿肺のところですが、「一定の症状のある事案について」ということですが、こういう表現でよろしいですか、どうですか、ちょっと。

○天野職業病認定対策室長補佐 厚生労働省の天野です。オブザーバーで出席をさせていただいております。この部分に関しましては、先般の検討会報告書、考え方報告書ですか、ここに同様の記述があるものですから、そちらを使っていただいた方がいいのかなというふうに考えております。具体的には、報告書の17ページから18ページにかけてでございますが、ここに石綿肺に関する労災補償の記述があります。これを引用していただいて、1)の2行目の「また」以降の部分につきましては「じん肺法に基づいてじん肺管理区分の決定がなされており」と。

○俵木保健業務室長 その報告書というのは検討会の報告書の17ページの一番下の行のところでしょうか。

○天野職業病認定対策室長補佐 はい、そうです。それをそのままそっくりということもちょっと長くなってしまったりするものですから、じん肺法という法律を引用していただいて、「じん肺法に基づいてじん肺管理区分の決定がなされており」というふうにしていただいて、その報告書の18ページの1行目のところにつなげる形で、「管理2だけでは労災補償の対象とはならず、管理4あるいは管理2以上の合併症が労災補償の対象とされている」というふうに正確な記述にしていただけたらなというふうに考えております。

○森永委員長 そうしたら、「また、石綿肺はじん肺法に基づき管理区分の決定がなされており、管理2だけでは労災補償の対象とはならず、管理4あるいは管理2以上の合併症が労災補償の対象とされている」ということで、もうその後、カットしたらよろしいですね。

○天野職業病認定対策室長補佐 はい、ということでお願いします。

○森永委員長 そういうじん肺法だということを書いた方がいいだろうという。よろしいでしょうか、ほかの委員の先生方。

○神山委員 最後のコンマ以下は残しておいてもいい、わかりやすいかもしれないですね。

○森永委員長 残しておいた方がよろしいですか。

○神山委員 すべての患者が対象となっているわけではないということはお書きいただいた方がわかりやすいのではないかと。

○森永委員長 わかりました。
 ほかにご意見ございませんか。

○岸本委員 一人親方でアスベスト肺に罹患し呼吸困難のため管理4相当の方は、この新法では補償していただけないんですか。以前の検討会のときからちょっとこだわっているんですけれども。というのは、労災補償では労災保険をかけていない事業主の人は補償されないんです。環境ばく露等ではこの病気にはならないというのは私もわかるんです。じん肺法で補償されないのは一人親方、事業主ということになるんですけれども。この扱いだけちょっとはっきりさせていただければなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○森永委員長 それは事務局の方にご質問でございますか。

○岸本委員 はい。

○寺田大臣官房審議官 基本的に石綿肺の罹患者であっても労災に加入していなかった方、一人親方ということをおっしゃられましたけれども、その場合は当然石綿肺自身を指定疾病としない以上は当制度の対象にはなりません。

○岸本委員 ならないということですか。

○寺田大臣官房審議官 既に前回もご説明したかと存じますけれども、これはアスベストによって起因する疾患をすべて救済しようという法律ではございませんで、ここにもちょっと出てきておりますけれども、長い潜伏期間があるとか、予後が非常に悪いとか、もっと少しありますけれども、まさに中皮腫及び肺がんに代表されるような特殊性があるから救済するんだと。逆に、例えば石綿肺というものをすべて対象とするということにしますと、例えば他の肺腺維症の方々というのはじゃあどうなるのか、それとの均衡はどうなるのかという別の問題だって生じてしまうわけでございますので、ここは事務局としてはやむを得ないかなというふうに考えているところでございます。

○岸本委員 わかりました。どうもありがとうございました。

○森永委員長 ほかに意見がなければ、次3ページの(5)を読みあげてください。

○俵木保健業務室長 はい。

 「(5)指定疾病である中皮腫及び肺がんに付随する疾病(いわゆる続発症)であって、日常生活に相当の制限が加わり、常に医師の管理による治療が必要であるような疾病については、当該指定疾病と一体のものとして取り扱い、救済の対象とされるべきであると考える。付随する疾病の範囲の考え方は、現在労災補償制度において考えられている範囲と基本的に同様の考え方で良いと考えられる。個々の事例において、指定疾病に合併した疾病が指定疾病に付随する疾病であるか否かについては、医学の経験則により相当程度の関連性があるか否かによって判断すべきであるが、指定疾病である中皮腫、肺がんについていえば、次のような疾病が考えられる。
 [1]指定疾病の経過中又はその進展により当該指定疾病との関連で発症するもの
  ・中皮腫又は肺がんの遠隔転移、肺がんの癌性胸膜炎、癌性リンパ管症など
 [2]指定疾病を母地として細菌感染等の外因が加わって発症するもの
  ・肺炎、胸膜炎など
 [3]指定疾病の治療に伴う副作用や後遺症
  ・薬剤性肺障害、放射性肺炎、肺摘出術後の肺機能障害など 」

 ここの事例につきましては前回宿題になっておりまして、酒井先生からもご意見をいただいてここに事例として具体例を挙げさせていただいたものでございます。

○森永委員長 そこでとめてください。
 この(5)でご質問ございませんか。
 どうぞ。

○坂谷委員 2点ございます。1つは、4ページの[3]のところですけれども。「肺摘出術後の肺機能障害など」、「など」と入っていますからいいとは思いますけれども、中皮腫の場合には肋膜摘出手術もあるわけで、肺摘出とわざわざ書かれていますが、これは手術後の肺機能障害で広く言う方が適切ではなかろうかと、こういうふうにまず思いますけれども。

○森永委員長 三浦委員、どうですか。手術後、「術後」でいいですか。

○三浦委員 「術後」ですね。

○坂谷委員 では、「肺摘出」を削除する。

○森永委員長 事務局、よろしいですか。「術後」のですね。

○坂谷委員 もう1点は、[2]のところですが、その黒ポチの後、「肺炎、胸膜炎など」、これご議論があったことかと思いますけれども、気管支炎は入れないんですね。これも「など」が入っていますからいいとは思うんですけれども。じん肺の方で続発性気管支炎は問題にされておりますから、それも踏まえての話かなと。

○森永委員長 これはもう中皮腫と肺がんですからね。いいんじゃないですか。

○坂谷委員 このままにしておくということですね。

○森永委員長 ええ。

○岸本委員 よろしいですか。基本的にはやはりこれは誘因疾病ということで考えていいんじゃないかなというふうには思うんですけれども。「など」というのがあれば、気管支炎もその中に入っていて入院する場合があるということです。気管支炎を入れると、今、坂谷委員がおっしゃられたように続発性気管支炎の問題が出てくるので、私は胸膜炎と肺炎というふうにして、気管支炎を入れない方がいいように思います。

○坂谷委員 結構だと思います。よろしいかと思います。

○森永委員長 そうしますと、3の(5)の4行目、「付随する疾病」、後遺症は疾病になるんですかね。どうなのかな。疾病等になりますかね。

○岸本委員 そうですね。

○森永委員長 ほかに何か意見ございますか。

○石川委員 4ページの[3]の例が挙がっているんですが、放射性肺炎というのは、これは用語としては熟していますか。放射性肺炎、肺炎が放射性なんですか。放射線によるんでしょう。

○森永委員長 起因するという意味ですね。

○石川委員 放射性肺炎といいますか。

○井内委員 普通は放射線肺臓炎とか、英語でいえばラディエーションニュウモナイティスですからそのまま訳せば放射性ではなくて放射線じゃないですか。

○石川委員 放射性というのはちょっと言葉が変じゃないですか。

○森永委員長 線ですな。「線」に訂正する。

○坂谷委員 臓を入れますか、入れませんか。井内先生おっしゃったように。肺臓炎の方が僕らとしてはわかりやすい。

○森永委員長 そうですね。

○井内委員 病理学的に厳密にいえば肺炎と肺臓炎を分けるべきだというんですが、一般的に肺炎といっていれば肺臓炎も入れているというような感じがするんですよね。ですから、肺臓炎といってしまうと何か特定になっちゃうので、もう少し広くとっておいた方がこの場合はいいのではないかなという気がします。

○坂谷委員 賛成です。

○森永委員長 では、放射線肺炎。

○三浦委員 例えば昔は過敏性肺臓炎といっていたものが今は過敏性肺炎で、むしろそっちが通称になっていますので。余り厳密に区別しなくても。

○森永委員長 放射線肺炎でよろしいですね。

○三浦委員 はい。

○森永委員長 なければ、(6)にいきたいと思います。(6)をお願いします。

○俵木保健業務室長 はい。

 「(6)なお、法による救済給付の対象となる指定疾病の範囲に関連して、以下のような議論が行われた。
 1)中小の石綿取扱事業所が集積していたとされる地域や石綿製品製造工場周辺の住民においては、石綿のばく露の医学的所見である胸膜プラーク(肥厚斑)や石綿肺などが認められるとの意見も寄せられている。こられの診断はそもそも難しく、さらに、胸膜プラークと石綿肺の混同などの疾病等の定義の誤解や肺気腫などその他の慢性呼吸器疾患などとの誤診の可能性も指摘されている。しかしながら、胸膜プラークの有所見者、良性石綿胸水、石綿によるびまん性胸膜肥厚の疑われる者について、将来中皮腫、肺がんの発症につながるおそれもあることから、今後、定期的な健康管理を行うためのシステムを整備することが必要である。
 2)石綿関連疾患や石綿ばく露の医学的所見に関し、医療現場において必ずしも正確な理解が行われておらず、石綿と関連のない所見も石綿によるものと診断されているおそれがある。過度の不安に陥ることのないよう、石綿関連疾患や石綿ばく露の医学的所見に関する正確な知識について、医療関係者及び一般住民に対して周知を図ることが重要である。」

○森永委員長 ここの部分でご意見ございますでしょうか。

○坂谷委員 細かい話で申しわけないんですけれども、1)の2行目の「石綿のばく露の医学的所見」というのはくどいように思います。石綿ばく露の医学的所見。

○森永委員長 そうですね、「の」を削除してください。
 ほかよろしいでしょうか。
 それでは、4の方をお願いします。

○俵木保健業務室長 

「 4.石綿を吸入することにより指定疾病にかかったことを判定するための考え方について
 (1)石綿を吸入することにより中皮腫にかかったことを判定するための考え方について
 中皮腫については、検討会報告書にもあるとおり、そのほとんどが石綿に起因するものと考えられることから、中皮腫の診断の確からしさが担保されれば、石綿を吸入することにより発症したものと考えることが妥当であると考える。
 中皮腫は、診断が困難な疾病であるため、臨床所見、臨床検査結果だけでなく、病理組織学的検査に基づく確定診断がなされることが重要であり、確定診断に当たっては、肺がん、その他のがん、結核性胸膜炎、その他の炎症性胸水などとの鑑別も必要である。このため、中皮腫であることの判定に当たっては、病理組織学的検査記録等が求められ、確定診断が適正になされているかが確認されることが適当であると考える。
 しかしながら、実際の臨床現場においては、病理組織学的検査が行われていない事案も少なくないと考えられる。例えば、病理組織学的検査が行われていなくても、細胞診でパパニコラ染色とともに免疫化学的染色などの特殊染色を実施した場合には、その他の胸水の検査データや画像所見等を総合して診断を下すことができる例もある。今後、判定に当たっては、原則として病理組織学的検査による確定診断を求めることが適当であるものの、病理組織学的検査が行われていない例においては、臨床所見、臨床経過、臨床検査結果、他疾病との鑑別の根拠等を求め、専門家による検討を加えて判断されるべきものと考える。なお、今後、臨床的に中皮腫が疑われる例については、原則として病理組織学的検査による確定診断が行われるよう、医師への情報提供、制度の周知に努めるべきである。
 また、メゾマークなどの臨床診断薬による診断については、現在まだ開発途上であり、現状では評価するまでに至っていないと考えられることから、今後の進展が期待される。

○森永委員長 委員の先生方、どうでしょうか。

○井内委員 よろしいですか。恐らく同じところだと思うんですが、4ページの一番下の行に「確定診断に当たっては、肺がん、その他のがん、結核性胸膜炎、その他の炎症性胸水などとの鑑別が」というふうに続くんですが、ここは恐らく病理組織学的検査に基づく確定診断が必要であるということをいっているわけですね。ですから、病理組織学的検査が行われて結核性胸膜炎とかその他の炎症性胸水を鑑別するわけではなくて、むしろ肺がん、その他のがん、あるいは石綿によらない胸膜炎という表現がよいのではないでしょうか。要するに、非特異的な胸膜炎なのか、線維形成型の中皮腫なのかという鑑別をしたり、肺がんなのか上皮型の中皮腫なのか、あるいは転移性の腺がんなのか、上皮型の中皮腫なのかを鑑別することが必要なのです。病理組織で結核性胸膜炎あるいはその他の炎症性胸水を区別しているわけではないので、病理組織検査ということをポイントにするならば、ちょっとそこが適切さを欠いているのではないかというふうに思いました。
 それから、続けてよろしいですか。

○森永委員長 ここのところで先に決めてしまいましょう。同じ。

○石川委員 同じです、1つは。病理で鑑別すべき疾患を並べるべきで。

○森永委員長 井内委員、具体的に。

○井内委員 もう一度いいますと、4ページの一番下は、「肺がん、その他のがん、」その次は、「石綿ばく露によらない胸膜炎などとの鑑別」にしていただければ。何を病理組織検査で見ているのかということになると、その方がよいのではないかというふうに思います。

○天本総務課長補佐 委員長、よろしいでしょうか。

○森永委員長 どうぞ。

○天本総務課長補佐 今、井内先生からご指摘いただいたところで、石綿ばく露によらない胸膜炎とご意見いただいたと思うんですけれども、石綿によるよらないというのはやはり大事なポイントなんでしょうか。それともやはりこれは中皮腫、肺がんをターゲットにしているものですから、胸膜炎ということだけを残してよろしいのかなというふうにも思うんですけれども、いかがでしょうか。

○井内委員 意見を撤回をしなければいけません。石綿によらないということをどうやって証明するかということ自体が難しいということですよね。ですから、胸膜炎か中皮腫かという鑑別をするという視点でいえば、「石綿によらない」というのは取った方がよろしいと思います。撤回いたします。

○森永委員長 もう1つのご意見というのは。

○井内委員 またもう1つ細かいことなんですけれども、パパニコラと書いてありますが、パパニコラというのはよくいう名前ですか。パパニコロウといっていますけれども。

○森永委員長 本当だ。パパニコロウですね。
 先ほどの井内委員の意見は、ここに鑑別すべき疾患を、「肺がん、その他のがん、胸膜炎など」ですか。

○井内委員 「など」入れていただけますか。

○森永委員長 それでよろしいですか。

○井内委員 はい。3つを主に鑑別をしているということです。肉腫はその他のがんのところに入ります。

○天本総務課長補佐 委員長、よろしゅうございますか。

○森永委員長 どうぞ。

○天本総務課長補佐 今のパパニコラというところでございますけれども、厚生労働省と共同で検討を行いました検討会の報告書にも「パパニコラ」という文言を使っておりまして、事務局として、当初「パパニコロウ」とさせていただいておりましたが、たしか平成15年の報告書だとか以前の報告書に合わせましょうということで「パパニコラ」とした経緯があったように記憶いたしております。

○森永委員長 だから、「ロウ」ですね。「ロウ」ですから、ここは「ロウ」に直しておきましょう。

○天本総務課長補佐 はい。

○森永委員長 それの方が一般的ですね。

○井内委員 以前に指摘することを忘れているというふうに思われます。

○森永委員長 ほかに。「ラ」になってるんですか、よくないですね。
 ほか、どうぞ。

○坂谷委員 5ページの(2)の上のところでございます。「また、メゾマークなどの」という、これはちょっとどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。ですから、「メゾマークなどの」を切りまして、「近年、新しく開発された臨床診断薬による診断については」とかいうふうな一般的な言い方。

○森永委員長 臨床診断薬というのは、血清マーカーのことをいってるわけですよね。

○三浦委員 そうですね。メゾマークというのは商品名ですか。

○森永委員長 商品名ですからよくないですね。

○三浦委員 商品名をここに出すのはまずいですね。

○森永委員長 よくないですね。だから、どういうふうに直せばよろしいですか。

○坂谷委員 「近年、新しく開発された臨床診断薬による診断については」と。臨床を入れるか入れないかは議論のあるところでしょうが。

○岸本委員 血清診断薬、どうですか。臨床じゃなくて。

○森永委員長 血清診断薬ですか。

○三浦委員 具体的に可溶性メゾテリンとか、などに代表されるというふうにいってもいいんじゃないですか。メゾマークは可溶性メゾテリンのことですよね。

○森永委員長 そうですね。オステオポンチンもありますが。可溶性……

○三浦委員 メゾテリンあるいはオステオポンチンなどに代表されるですね。

○森永委員長 等でいいと思いますが。可溶性中皮蛋白とはいわないですね。可溶性メゾテリン蛋白などの血清診断薬ですか。

○三浦委員 そうですね。

○坂谷委員 それから、「現在まだ開発途上であり、現状では有用性を評価するまでに至っていない。」

○森永委員長 まあまあ、そうですね。「また、可溶性メゾテリン蛋白などの血清診断薬による診断については、現状では有用性を評価するまでに至っていないと考えられることから」
ですな。だから、「現在まだ開発途上であり」を消しましょうか。

○坂谷委員 これはいらんと思います。

○森永委員長 ね。

○坂谷委員 もう1点よろしゅうございますか。

○森永委員長 はい。

○坂谷委員 その上の上から2行目ですけれども、「確定診断が適正になされているかが確認されることが適当であると考える」というのはちょっとと思いまして。「確定診断が適正になされていることの確認が重要であると考える」程度でいかがでしょうか。

○森永委員長 「なされていることの確認が重要であると考える」、適当じゃなくて「重要」ね。

○坂谷委員 はい。

○森永委員長 はい。

○井内委員 もう1点、細かいところで恐縮ですが。5ページの上から6行目のところに、パパニコラの次に、「免疫化学的染色」と書いてあるんですね。これは細胞診でやってるから必ずしもこれは組織という意味ではないので、どうでしょう、石川先生、これは免疫染色でやっておけば、普通免疫化学的染色というのは使わないでしょう。

○石川委員 普通免疫組織化学というので。

○井内委員 組織で行う場合は組織化学といいます。細胞診の場合は免疫染色という言葉を使います。

○石川委員 細胞診で、免疫組織化学染色だよね。略して免疫染色といいますね。

○井内委員 だから、両方合わせるつもりで免疫染色で、「化学的」というのをとっていただいた方が通用するのではないかなと思います。

○森永委員長 なければ次にいきたいと思いますが、よろしいですか。またお気づきの点があれば後で言っていただくことにして。
 それでは、5ページの(2)を事務局の方でお願いします。

○俵木保健業務室長 はい。

 「(2)石綿を吸入することにより肺がんにかかったことを判定するための考え方について
 肺がんについては、喫煙をはじめとしてさまざまな原因があり、石綿を吸入することによるものであるか否かについての判定は必ずしも容易ではない。これまでの疫学調査データ等から、医学的所見から肺がんの発症リスクを2倍以上に高める量の石綿ばく露があったとみなされる場合に、石綿によるものと判定できるとする検討会報告書の考え方は妥当であると考える。
 "ある要因がある疾病の発症リスクを2倍以上に高める場合に、当該要因を当該疾病の原因とするものとみなす"という考え方は、その要因のばく露を受けた後に発症した健康被害者から1名を無作為に抽出すれば、その者の健康被害の原因は当該要因である可能性のほうが当該要因以外の要因である可能性と同じかそれ以上と判断できることによるものであり、民事責任等によらず、石綿による健康被害者を幅広く救済するというこの制度の趣旨に照らせば、対象者を判定する考え方としては妥当なのもと考える。
 肺がんの発症リスクを2倍に高める量の石綿ばく露としては、検討会報告書にあるとおり、25本/ml×年程度のばく露があった場合とするのが国際的なコンセンサスとしても認められており、また、これに該当する医学的所見としては、次の[1]又は[2]に該当する場合が考えられる。
 [1]胸部エックス線検査、又は胸部CT検査により、胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)が認められ、かつ、胸部エックス線検査でじん肺法に定める第1型以上と同様の肺線維化所見があって胸部CT検査においても肺線維化所見が認められること。
 [2]肺内石綿小体又は石綿繊維の量が一定量以上(乾燥肺重量1g当たり5,000本以上の石綿小体若しくは200万本以上(5μm超。2μm超の場合は500万本以上)の石綿繊維又は気管支肺胞内洗浄液1ml中5本以上の石綿小体)認められること。
 このような医学的所見が認められた場合に石綿を吸入することにより発症したものとする考え方は、肺がんは、喫煙の影響が大きく、その他にも様々な原因があることを踏まえると妥当なものと考える。
 なお、[1]の、「じん肺法に定める第1型以上と同様の肺線維化所見」とは、あくまでも画像上の所見であり、じん肺法において「石綿肺」と診断することとは異なることに留意すべきである。また、胸部エックス線検査と同時に、胸部CT画像で確認できる繊維化所見も含めて判断することの意味は、じん肺法に定める第1型以上と同様の肺線維化所見を捉えることがしばしば困難な場合があることから、より客観的なCT画像で線維化所見を見逃さずに取り上げるべきとの考え方に立つものであり、この制度による判定に際して妥当な考え方であるといえる。
 また、[2]の、25本/ml×年のばく露に相当する肺内石綿小体の量は、国際的なコンセンサスが得られている科学的知見としては、肺乾燥肺重量1g当たり5,000本から15,000本という幅のある値であるが、このうち、救済という制度の目的にかんがみ、最少本数の5,000本を採用した検討会報告書の考え方は適当であると考える。
 なお、喀痰を利用した石綿小体等の検出は、現職の労働者でなければ困難であると考えられ、救済給付の対象とするようなばく露歴の明らかでない例ではこの方法を利用することは難しいと考える。」

○森永委員長 ここまででご意見ございますか。

○岸本委員 よろしいですか。

○森永委員長 はい。

○岸本委員 2行目ですか、6ページです。「第1型以上と同様の肺線維化所見があってCT検査においても肺線維化所見が認められる」という、これ肺線維化所見が並ぶんですけれども。普通じん肺法では不整形陰影というふうな言葉を使うんですけれども。第1型以上と同様の不整形陰影所見というふうにしてはどうかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 それと、その[2]の「気管支肺胞内洗浄液」ではなくて、これは気管支肺胞洗浄液なので、「内」は必要ないと思います。

○森永委員長 肺線維化所見ですね、この表現ですが、不整形陰影の所見とするんですか。

○岸本委員 不整形陰影でいいのではないかなと思います。所見をとって、不整形陰影があってというふうにしてはどうかなと思うんですけれども。通常、じん肺法では肺線維化とは書いてなくて、不整形陰影というふうにいってますので、そのあたりを考慮してはどうでしょう。もう一回出てくるんですけれども、「なお、[1]の「じん肺法に定める第1型以上と同様の」」というのが後から出てくるんですけれども。CTで肺線維化所見というのはいいと思うんですけれども、このじん肺法の第1型の場合は不整形陰影、「所見」はとって、いかがでしょうか。ご議論いただきたいと思います。

○森永委員長 審良先生、どうですか、ここは。

○審良委員 1型以上ということと合わせていったら不整形陰影ですね。

○森永委員長 不整形陰影、下肺野のというふうに言う方がいいんですか、もう言わなくてもいいんですか。

○岸本委員 言わなくていいんじゃないですかね。というのは、下肺野のというと石綿の場合はかなり意識をしているわけですから。ここはあくまでも石綿肺ではないんですよということを言いたいわけでして。難しいところですね。
 この間も酒井先生がこれは誤解を受ける表現だということで、暗にこれは石綿肺をさすようにも聞こえるけれども、そうではないんだという検討会での議論を踏まえてこういう言葉が出てきたということだったと思うんですけれども。いかがでしょう、委員長。

○森永委員長 検討会の報告書はどうでした。

○俵木保健業務室長 検討会は肺線維化……

○神山委員 その方が素人的にはわかりやすいので、もしあれでしたら、これ括弧の中に肺線維化を入れて、じん肺法で直接言っている言葉を先に、並列ではどうでしょうか。不整形陰影というのはプロフェッショナルに思うでしょうけれども、それを肺線維化とは言い換えられないところがあるかもしれませんけれども。

○森永委員長 ここは大分、前の検討会のときに議論はしたことはしたんですけれどもね。

○神山委員 報告書の方は肺線維化所見ということで。

○森永委員長 「石綿による健康被害に係る医学的判断に関する考え方」というところでは、診断のところに実は不整形陰影とかいうことは書いてあるので、そういう診断のところにそういう詳しいことが書いてあるので、ここの最終的なところは不整形陰影という形でもわかる、理解できるからそういうふうにしたんだと思うんですよね。
 でも、そういう話がここではそういう医学的な検討は全然していませんから、同様の肺線維化所見いわゆる不整形陰影というふうに括弧しましょうか。括弧で、いわゆる不整形陰影、括弧閉じる、というふうにしましょうか。どうでしょうか。
 よろしいですか、それで。

○審良委員 はい。

○坂谷委員 委員長。

○森永委員長 はい。

○坂谷委員 前行の第1型以上と同様のか同等のか、どちらが正しいんですか。

○森永委員長 よく似たという意味合いですよね。

○三浦委員 「以上」があるとやはり「等」ですかな。

○岸本委員 そうですね、同等ですよね。

○三浦委員 段階があるという意味ですから、以上というと。

○岸本委員 同等の方が言葉としては適切ですね。

○森永委員長 しかし、前の検討会の報告書は同様になってるわけですから。

○三浦委員 いや、同様なというのは……

○森永委員長 同じということですよね。

○三浦委員 そうそう。だから、第1型以上と同様の所見ならと、それもとれるので。ここをガチガチの線維化というふうに、要するに石綿肺というふうに表に出さないために同様のというたしかそんなニュアンスがあったと思います。

○森永委員長 まあ、そういうことですけれどもね。

○岸本委員 その意味で同等じゃなくて同様ということですね。

○森永委員長 そう、そういう意味なんですよね。

○岸本委員 マイルドな表現になっているんですね。

○三浦委員 前の方に第1型以上とあるから、それと同様であればいいわけですから。

○森永委員長 という理解で。

○坂谷委員 わかりました。
 委員長、もう1つ。1行目の、「胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)」、これどっちが括弧に入れるべきなんですか。これでいいんですか。それとも胸膜肥厚斑が前の方に……

○森永委員長 いやいや、平成15年度の認定基準以降は「胸膜プラーク(肥厚斑)」で通していますので。ここは胸膜肥厚斑ではなくても肥厚斑だけでもいいんですけれども。それでずっと平成15年度からいってますから、そういうふうにしてほしいと思います。プラークでいくということで。

○坂谷委員 それから、プラークの定義ですけれども、びまん性肥厚斑もプラーク……

○森永委員長 言わない。

○坂谷委員 だから、本来はプラークは限局性に限るわけですね。

○森永委員長 そうですね。

○坂谷委員 わかりました。

○三浦委員 今の4ページの方に「胸膜プラーク」、括弧、こちらは胸膜が省略されていて肥厚斑、上から6行目ぐらい、7行目か。1)の。統一しておいた方が。

○森永委員長 これでいきましょう。

○三浦委員 胸膜をとるということですね。

○森永委員長 はい。

○石川委員 6ページの真ん中のパラグラフで、「なお、[1]の」のパラグラフありますね、その4行目。「確認できる繊維化所見」とありますが、この「繊維化」という字が。ファイブローシスですよね。

○森永委員長 だから、「なお、[1]の」というところは、同様の線維化所見を同じように繰り返しておきましょうね、括弧を入れておきましょうね、いわゆる不整形陰影。

○神山委員 それから、もう1つ、[2]の3行目の真ん中辺に、「1ml中5本」という表現なんですけれども、上の方は「当たり」というのを使っていますが、「当たり」に統一した方がいいかなと思うんですが。「1ml当たり5本以上」に直していただいたら。

○森永委員長 気管支肺胞洗浄もですね、そういう意味ですね。

○神山委員 「気管支肺胞洗浄液1ml当たり5本以上」と。

○森永委員長 よろしいでしょうか。
 では、次の(3)をお願いします。

○俵木保健業務室長 はい。

「(3)制度開始時に既に死亡している者について、石綿を吸入することにより指定疾病にかかったことを判定するための考え方について
 制度開始時に既に死亡している健康被害者の判定については、次のとおりと考える。
 1)中皮腫の場合は、中皮腫であるとの診断を受けていたことが客観的に確認できることが必要であるが、診断の時期によっても診断根拠は相当異なっていたのが実状であり、カルテの保存の問題も考慮すると、中皮腫であったことが記載された死亡届記載事項証明書により確認することをもってこれに代えることが現実的であると考える。この場合、一定の誤診を含む可能性があるが、救済の観点からはやむを得ないものとして許容されるものと考える。
 2)一方、肺がんの場合は、肺がんであったことが記載された死亡届記載事項証明書など、肺がんであったことを客観的に証明できる書類があるだけでは、石綿を吸入したことによるものと判定することは困難であることから、上記(2)の[1]又は[2]に該当することを客観的に証明できる書類又は資料がある場合に判定できるものとすることが適当であると考える。」

○森永委員長 ここまででご議論をお願いします。

○石川委員 6ページの(3)のタイトルですね、「制度開始時に既に死亡していた者については」というふうに始まってますね。だったら、その前は死亡していない者についてはというふうにしないとわかりにくいんじゃないでしょうか。死亡している人についてずっとこういうふうにしなきゃいけないのかなと思いつつ読んで見ると、最後になって死亡している人は診断書だけでいいよといってるわけですね。ですから、最初から死亡していない人は以下で、死亡している人はこれでというふうにちゃんと分けた方が、表題に掲げた方がいいんじゃないかと思うんですけれども。

○大塚委員 多分それは別にやっても構わないんですけれども、やらなくてもいいかなというのがありまして。制度開始時に既に死亡している人を対象にするというのは極めて特殊なことで、今回の法律はたまたまそうしているんですけれども、極めて特殊なことですので、普通何も書かなければそういうものは入らないというのが通常ですので、そういうふうに考えればこのままでもいいかなと思いますけれども。入れられるんだったら入れていただいても構いませんが、少しくどくなるかなという感じはします。

○森永委員長 普通は制度開始してからのことをいうもんだそうですね。

○大塚委員 ええ。今回既に死亡している人についてまで扱ったというのは非常に救済範囲を広げたということなわけですよ。だから、それはかなり特殊なことではあるので、何も書いてなければ余り考えなくていいかなと思いますけれども。それでわかりにくいということであれば考えてもいいかもしれませんけれども。

○森永委員長 どうでしょうね、ここは。わかりにくいですか。ここは特別に特例的にこういう判断をするということでわざわざ書いたと、こういうことですよね。

○寺田大臣官房審議官 ただいま大塚先生の方からお話がありましたように、実はこれ補償制度であれば別なんですけれども、救済制度でありますと大体一般的に救済遡及せずという原則のようなものがございまして、過去に亡くなられた方に対して何らかの給付をするというのは、実は私の知る限りではこの制度ぐらいなのではないかと思うぐらいでございます。
 ただ、これは既に石綿による疾病というものがかなり以前から恐らく発生しており、我々の想定での中皮腫だけでも既に1万人ぐらいの方々が亡くなられているという状況にあり、その方々に対するごく一部でございますけれども、民間での弔慰金というのも払われていると。今回の疾病における非常に特殊な事情の中でこういった制度に政治的にしたということでございますので。通常は大塚先生おっしゃられたとおり、淡々と読んでいけば、当然それは存命の方々に対する話が書かれていて、最後にその特殊な場合として亡くなられた方々への記述があるということでご理解いただけるのではないかと思っております。

○大塚委員 わかりました。

○森永委員長 ですから、もしもう少しわかりやすくするとすると、この救済給付というのはそういう既に亡くなられた方についても対象にしているので、そういう方についての判定は次のように考えるという、そういう1行的なものを入れるかどうかということですね。いりませんか。

○井内委員 そうすると、現在の(3)ではなくて、4ページの4の次の5ぐらいにならないといけないのではないでしょうか。

○寺田大臣官房審議官 そのとおりですね。

○井内委員 だから、4番は指定疾病にかかったことを判定する考え方を述べているわけだから、そこにいきなり死亡者についてはこうするんだというのが入ってくるのは少し趣旨の違う文章が入っていることになります。そこだけ5にしていただければ、むしろ読みやすい。なるほど、亡くなった方にはこうするんだねということでどうでしょうか。独立させるということでわかりやすくなる。

○森永委員長 そうですね。5でいかがですか。

○寺田大臣官房審議官 はい。

○森永委員長 ほかによろしいでしょうか。
 それでは、おわりにを6にして、6を読んでください。

○俵木保健業務室長 はい。

「 おわりに
 本報告は、平成18年2月9日付けで環境大臣から諮問された「石綿による健康被害の救済における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方について」の考え方を取りまとめたものである。疾病の範囲については、制度の目的に照らした迅速な救済を図る観点から中皮腫及び肺がんとし、認定の基準については、救済の観点から、この報告書の内容のとおり、緩やかな基準でスタートすることが望ましいと考える。
 なお、石綿による健康被害の実態、特に環境ばく露、家庭内ばく露など、職業性ばく露以外のばく露による健康被害の実態については、十分な知見がなく、救済制度の円滑な運用を行うに当たっても、これらの情報の収集が極めて重要であることから、今後、実態把握のための各種の調査研究を推進する必要がある。
 また、石綿関連疾患の診断や救済の取扱いについて、特に、医療機関及び医療関係者等への周知徹底を図る必要がある。
 さらに、胸膜プラークの有所見者を含む石綿のばく露が疑われる者については、定期的な健康管理を行うためのシステムを整備することが必要である。」

○森永委員長 6のところでご意見ございませんか。
 この一番最後の「胸膜プラークの有所見者を含め石綿のばく露が疑われる者」というのはちょっと何かおかしいな。

○坂谷委員 疑われるではおかしいですね。

○森永委員長 石綿ばく露の有所見者のある方とかそういう意味でしょうね。

○坂谷委員 そうですね。

○森永委員長 そういう意味で言いたいんじゃないですか、本当は。

○俵木保健業務室長 プラークがある場合には石綿ばく露ということでよろしいと思うんですけれども、それ以外に疑われる所見の有所見者についても健康管理が必要なのかなと思っておりますが。

○坂谷委員 疑われるということになると、自分がアスベストばく露したといって申請した人もこれに入ることになりますよね。疑われるという言葉になるとね。

○俵木保健業務室長 プラークが見えていないけれども、これまでの、例えば石綿取扱工場の周辺住民であるとか、そのばく露の疑いのあるような場合には、そういったばく露可能性のある方々については一定の管理をしていくことが必要なのではないかというのが。
 本文の中はたしか2つに書き分けておりまして、4ページでございますが。4ページの(6)の1)の6行目からですけれども、「しかしながら、胸膜プラークの有所見者、良性石綿胸水、石綿によるびまん性胸膜肥厚の疑われる者について、将来中皮腫、肺がん発症につながる恐れもあることから、今後定期的な健康管理を行うためのシステムを整備することが必要」ということで。胸膜プラーク有所見者、これは石綿ばく露が明らかですけれども、それ以外の疑われる所見のある方。

○森永委員長 わかりました、そういう意味ですね、ここはね。

○俵木保健業務室長 はい。

○森永委員長 そういう意味だと、ここは「有所見者及び肺がん、中皮腫以外の石綿関連疾患の疑われる者について」でしょうね。

○坂谷委員 そうですね。

○俵木保健業務室長 すみません。

○森永委員長 「有所見者及び、肺がん及び中皮腫を除く石綿関連疾患を疑う者について」でしょうね。

○坂谷委員 「疑う者」ですか。あるいは「有する者」ですか。

○森永委員長 「有する者」ですかね、そういうニュアンスじゃないですか。今、事務局の方でおっしゃっているのは4ページの1)の上から6行目の話をおっしゃっているわけでしょう。

○俵木保健業務室長 はい。

○森永委員長 では、そこは同じような意味合いでちょっと言葉を足さないと誤解が生じますので、そういうふうに直しましょう。
 よろしいですか。ほかの委員の先生方。

○大塚委員 ちょっと確認です。報告書の29ページの方に、先ほどもお話があった石綿肺について3の(4)のところで、「一般環境下での発症の報告例は今までのところないが、さらに知見の収集に努めるべきである。」というのがあるんですけれども、これと同じようなことを「おわりに」に書いた方がいいような気もするんですが。これは「おわりに」の6行目から入っている「なお」の中に入っているというふうに考えてよろしいんでしょうか。入っているのであれば別にこのままでも構わないと思うんですけれども。

○俵木保健業務室長 はい、そこに入っている……

○森永委員長 入ってますね、石綿被害のというところで、石綿肺も含みます。

○大塚委員 はい。

○森永委員長 ほか、もう一度全体を含んでご意見がございましたら、今のうちにおっしゃってください。
 この3ページの(5)の「付随する疾病の範囲の考え方は、現在労災補償制度において考えられている範囲と基本的に同様の考え」というこの2行はいらないですよ。その下に個々の事例において判断すべきであるという原則を書いていますから、この2行は削ったらどうでしょうかね。

○俵木保健業務室長 はい。

○森永委員長 ほかに、皆さん、ご意見ございませんか。
 そうしましたら、先ほどてにをはの修正も含めてご意見ございましたので、それは事務局の方でてにをはを修正するという形で、大体この報告書(案)は検討しましたので。あとは、目次もつけるんですね。

○俵木保健業務室長 はい、つけます。それと、先生方の委員名簿をつけさせていただきます。

○森永委員長 はい。それで、あしたの環境保健部会に提出する報告書をこれで決めるということでよろしいでしょうか。てにをははちょっと事務局の方で直してもらうということで。

○森永委員長 そうしますと、あしたの環境保健部会にもご出席いただける委員の先生方はきょうのこの議論も踏まえて、一応私の方から説明しますが、また補足をしていただきたいというふうに思います。
 それでは、これでこの委員会を議論を終了したいと思いますので、あとの進行等、事務局の方でお願いします。

○天本総務課長補佐 ご議論ありがとうございました。
 それでは、最後に、事務局を代表いたしまして、環境保健部長の滝澤よりごあいさつさせていただきます。

○滝澤環境保健部長 大変ご熱心にご審議いただきましてありがとうございます。また、報告書のはじめにも記載していただいたように、非常に先週、今週とわずか2回という限られたご審議の中で非常に効率的な、かつ有用なご検討をいただきまして報告書をおまとめいただいたということにまずもって感謝を申し上げたいと存じます。
 制度の実施そのものが年度内ということで、今鋭意私ども制度運用という意味からも準備をインテンシィブに進めておるところでございまして、今後この制度がさらに具体的に認定、それから給付ということになっていくわけでございまして、さまざまな場面あるいは観点から先生方にも引き続きご指導をちょうだいする場面も出てくるわけでございます。先週、今週とこのようにお願いしておきながらまた厚かましいお願いでございますが、引き続きこの救済制度運用に関しましてご指導ご鞭撻をお願い申し上げ、小委員会の締めくくり、御礼のあいさつとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○天本総務課長補佐 それでは、あすのご連絡をさせていただきます。あすの第15回環境保健部会は、17時から19時、場所は四谷にございます弘済会館の4階、菊・梅の間となってございます。
 以上で、第2回の小委員会を終了いたします。
 まことにありがとうございました。

午後7時08分 閉会