第5回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会、 第12回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会及び第5回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査規制制度小委員会合同会合議事録

日時

平成15年1月30日(木)9:30~11:40

場所

東条インペリアルパレス(東條會舘)5階 曙の間

出席者(五十音順、敬称略)

厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会委員

 安藤 正典   石井 庸一   井上  達
 内山 巌雄   小倉 正敏   小野  宏
 神山美智子   首藤 紘一(委員長)   竹居 照芳
 西原  力   林   眞   吉岡 義正
 渡部  烈    

産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会委員

 池田 正之(小委員長)   浅野 直人   岩永 伸市
 大島 康行   加藤 順子   河内  哲
 菅  裕保   北野  大   吉川 肇子
 木下 陽三   寺尾 允男   中西 準子
 中村 雅美   西原  力   兵頭美代子
 前川 美之   宮本 純之  

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査規制制度小委員会委員

 浅野 直人   井口 泰泉   池田 正之
 井上  達   岩熊 敏夫   内山 巌雄
 大塚  直   北野  大   清水  誠
 鈴木 継美(委員長)   須藤 隆一   中下 裕子
 中杉 修身   満岡 三佶   村岡 浩爾
 吉岡 義正   若林 明子  

事務局

 厚生労働省   鶴田大臣官房審議官
    松田化学物質安全対策室長
  
 経済産業省   仁坂製造産業局次長
    及川化学物質管理課長
    野中化学物質安全室長
  
 環境省   南川環境保健部長
    石野企画課長
    早水化学物質審査室長
 

議題

  1. (1)今後の化学物質の審査及び規制の在り方について
  2. (2)その他

議事

【石野企画課長】 定刻となりました。電車の事故の関係で若干遅れておられる先生方がおられるようでございますが、第5回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会、第12回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会及び第5回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査規制制度小委員会の合同会合を開催させていただきます。
 環境省環境保健部企画課長の石野でございます。冒頭進行役をさせていただきます。
 少し御欠席の御連絡をいただいておりますが、本日、いずれの委員会もそれぞれの定足数を満たしておりますので、成立いたしております。
 それでは早速ですが、お手元にお配りしました資料を確認させていただきます。事前に各委員に御送付いたしておりますが、内容の大きな変更はございませんけれども、語句等の修正はされております。御承知おきいただきたいと思います。
               (配布資料の確認)
 資料に不備な点がございましたら、事務局にお申し出いただきたいと思います。
 本日も前回に引き続きまして3委員会の合同会合でございます。前回同様に座長は3委員会の委員長による共同座長ということになります。本日の議事進行につきましては、中央環境審議会の鈴木委員長にお願いしたいと思います。
 それでは、鈴木委員長、よろしくお願いいたします。

【鈴木委員長】 おはようございます。天気の具合で大変だったと思いますけれども、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は私が議事進行役を務めさせていただきます。
 なお、本日の会合は12時30分という終了時刻をアナウンスいたしましたけれども、会場を急に変えましたし、会場の都合とか、その他の都合で12時頃には終わりたいと考えておりますので、よろしく御協力をお願いいたします。
 まず、前回の議事録(案)を資料2としてお配りしてございます。事前にお送りしたはずでございますが、御意見がありましたら、明日までに事務局まで御提出くだされば、必要な修正をした上で公開したいと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは審議に入ります。議題1は「今後の化学物質の審査及び規制の在り方について」です。前回12月19日の審議において報告案をとりまとめ、公表いたしました。その報告案からさらに修正した案が事務局で作成されています。また、公表した報告案に対する国民意見とそれに対する考え方や対応について事務局が案を作成しております。これらについて、まず事務局から説明をお願いいたします。

【早水化学物質審査室長】 環境省の化学物質審査室長の早水でございます。説明させていただきます。
 資料3が報告書の本文でございまして、資料5がパブリックコメントの結果の概要、資料6が意見に対する考え方・対応でございます。資料3、資料5、資料6をお出しいただければと存じます。
 資料5に従いまして、パブリックコメントの結果の概要を御説明いたします。
 12月19日、前回開催されました合同会合におきまして案をとりまとめていただきましたので、その結果を翌20日から約1カ月間公表いたしまして、意見を求めました。
 その結果、2.にありますけれども、55件の提出意見をいただいております。これを意見の内容ごとにばらしますと、のべ332件になります。
 なお、55件の内訳ですが、個人で出された方あるいは会社、団体、NGO等いろいろな方から出していただいておりますが、例えば個人の名前と会社の名前と両方書いてこられた方は、会社の意見なのか、個人の意見なのか、よくわからないものもかなりありましたものですから、内訳をお示しするのは難しいということで、それはお示ししておりません。御容赦いただきたいと思います。
 その内訳でございますが、後で資料6で御説明しますけれども、総論に対するもの、その他、章ごとに分けますと、こんな形でございまして、本体の中心であります2章、3章に関する意見が多く出されております。
 また、本日、委員の先生方には資料7として、55件出された意見の受け取り順に番号を振ったものについて原文をお配りしております。もし必要があれば御覧いただければと存じます。
 今日は資料6を中心に御説明いたしまして、あわせて、本文を修正したものにつきましては、その章のところが出てまいりましたら、資料3の方で御説明したいと思います。
 資料6でございますが、事前にお送りしたものは、意見提出者ごとに考え方・対応(案)をお示ししたものにしておりましたけれども、今日御審議いただく上で、章ごとに整理したものがいいだろうと事務局の方で判断いたしまして、意見をカット・アンド・ペーストといいますか、章ごとに全部整理いたしまして、同一意見については同じものということで整理した上でお示ししたものが資料6でございます。ということで、お配りしたものとはそういった形で形式が違っておりますので、御容赦いただきたいと思います。
 考え方・対応(案)の方は、事前にお配りしたものと本質的な中身は変わっていないと思いますけれども、類似の意見についてちょっと違う言い方をしていたものを同じように合わせるとか、そういったことをしておりますので、言い回しなどについて修正が入っております。ただ、内容的に大きく変更したものはないというふうに認識しておりますので、そこにつきましてもあわせて御覧いただければと存じます。
 では、ちょっと長くなるかと思いますが、資料6に従いまして順次御説明いたします。
 まず総論でございます。最初の2ページでございます。通し番号は意見を整理したもので最初から付いております。通し番号としては239番まで付いておりますが、これは複数意見がありますので、のべにしますと332になるということでございます。「意見の概要」と「考え方・対応(案)」をお示しした上で、同意見のものについては数が付いております。一番右の提出者番号というのは、もし必要であれば、資料7の提出者の方に戻っていただけるように付しているものでございます。「考え方・対応」のところで上の3つあたりが「-」になっておりますが、これは、本文の考え方に賛成する、あるいは評価するという御意見につきましては特に考え方・対応を示す必要はないだろうということで「-」を示しております。そういう形でございます。
 そういうことで、総論の1~3の御意見は、この報告書について賛同あるいは評価していただいたという御意見でございます。
 次の4番、5番につきましては、「検討の背景」について、例えば生態毒性の審査がなぜ遅れたのか、あるいはこれまでの成果を評価すべき、検討の背景をもう少し書くべきという御意見でございましたが、右側にありますけれども、本報告につきましては、化学物質対策の現状と国際的な動向を踏まえた審議の結果をとりまとめていただいたということで、「検討の背景」のところは簡潔に書かせていただいたので、このままでいきたいということでお示ししております。
 総論の2ページ、6番、これは後ろの方でもいくつか出ておりますけれども、今後、制度の運用などについて、産業界を含めた関係者間で協議し、早急に詰めていくことが必要であるという御意見です。これにつきましては、制度の具体化を図るに当たっては、必要に応じて専門家や関係者との意見交換を踏まえながら検討していくべきということでございます。これは各論の方でも同じような意見が出ておりますが、同じような形で答えさせていただいております。
 7番は賛成という御意見でございます。
 8、9あたりは、見直しについて言及されております。これはこの審議会でも御意見がございましたが、これにつきましては、必要に応じて見直しを行うことが適当という対応案を作っております。8番の回答に「なお、」ということで補足的に、規制の新設にあたっては、平成13年3月30日閣議決定によりまして、原則として法律にする場合に、一定期間経過後に規制の見直しを行う旨の条項を設けるべきとされておりますので、法制化に当たりまして、こういう原則が考慮されることになると考えられるということでございます。
 9番は、同じような、今後必要に応じ見直すべきという回答でございます。
 10番でございますが、ハザード管理とリスク管理についてどう考えるかということで、今回ハザード管理をなくしたと思われないような説明をということでございますが、それにつきましては、本文にありますように、ハザード評価で事前審査をするという制度を維持しつつ、リスク評価の観点も入れたということをお示ししております。
 総論は以上でございます。
 次に「検討の背景」、第1章の部分が1ページだけございます。11番ですが、ここは本文の修正につながっております。昭和40年代に顕在化したのは、人の健康へのリスクではないか、環境へのリスクではなかったのではないかという御意見でございまして、恐縮でございますが、資料3の1ページの「検討の背景」、上から6行目でございますが、原文では、「このような有用な化学物質の利用に起因する人の健康や環境へのリスクは、昭和40年代のPCBによる環境汚染問題の発生により顕在化した。」という書き方でございますが、確かにこの時期、我が国で顕在化したのはPCBの健康影響問題ということで、それによりまして、化審法が人の健康の保護ということで作られたということにつながっておりますので、ここをもう少し正確に「我が国では、」という書き出しにいたしまして、順番を変えまして、「昭和40年代初期に発生したポリ塩化ビフェニル(PCB)による環境汚染問題により、このように有用な化学物質の利用に起因する人の健康へのリスクが顕在化した。」ということで、ここは「人の健康への」という形に直しております。
 なお、細かい修正ですが、事前にお送りしたものは、その前の「環境汚染問題の発生により」と「の発生」が入っておりましたが、これは言葉が上とダブっておりますので、ここは消しております。この修正案でいかがかということでございます。
 資料6に戻らせていただきまして、12番、「precautionary approach 」の訳語についてでございますが、これは「予防的取組方法」という用語で統一しているということでございます。
 その内容がどこに書かれているかという御質問が13でございますが、これは例えば、因果関係がわからない生態系への影響の可能性が示唆される化学物質に対する適正管理、あるいは長期毒性の有無が明らかでなくても難分解・高蓄積の性状を有すれば一定の管理の下に置くという措置などが該当すると考えられるという回答でございます。
 次から第2章、「環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査・規制について」ということでございます。
 まず「基本認識」でございますが、15番は、対応の目的が、あらゆる生態系の保全ではなく、人の健康の保護であることを明らかにする必要があるという御意見が出されております。これにつきましては、ここで御議論いただきましたけれども、諸外国の対応あるいは日本での最近の対応などを踏まえまして、下から4行でございますが、結果として、化学物質の審査・規制制度においても、人の健康の保護とは別に化学物質の環境中への生物への影響に着目した何らかの対応が必要である、ということでこの報告をまとめたということをお示ししております。
 16、17は、早く対応してほしいということで、これはそのとおりという趣旨で答えております。
 18番は、環境中の生物への影響に着目した対応については、いろいろな環境保全の制度があるので、重複したりしないようにという御意見でございますので、これは本文にもございますけれども、政府において連携をとって取り組むということで書かせていただいております。
 次のページから具体的な審査・規制の枠組みについてですが、これはいろいろ出されておりまして、内容を大きく、生態毒性の評価方法の部分と規制の部分とに分けております。まず生態毒性の評価方法についてですが、19~23番につきましては、ここで書かれた内容についてサポートするという御意見でございます。
 24番は、評価方法について、例えば生物個体群レベルでの評価方法を議論すべきではないか、25番は、今の急性毒性試験は便宜的な指標にすぎないのではないかという御意見でございます。ここにつきましては、この場でも御議論いただきましたが、化学物質による特定の生物に対する個体群レベルでの影響を評価するという観点から、生態毒性試験を用いて生物の致死、生長、繁殖等への影響を評価することにより生態系に何らかの影響を及ぼす可能性が示唆される化学物質を特定することが可能ではないかということでございまして、このような考え方はOECDにおける議論を経て国際的にも受け入れられており、諸外国でもこのような考え方を基本として生態毒性試験が活用されているということでございます。そういう考え方でこの報告をまとめております。
 なお、審査の判定基準についての御意見もございましたが、それにつきましては、国際整合性に留意しつつ、今後政府において検討されるべきというお答えとしております。
 26番は、むしろ逆にもっといろいろな試験をやるべきではないかという御意見でございます。次のページの27番、29番、30番あたりも類似の御意見でございます。これは本文にも記載されておりますけれども、生産者、一次消費者、二次消費者に区別しまして、3種類の急性毒性試験の結果を用いることが適当というふうにこの報告でまとめていることについて記載しておりますが、将来において必要に応じ見直すということについても本文に記載されているとおりでございます。
 28番、評価方法を各国共通にするべきだということにつきましては、これは国際整合性も参考にしつつ、今後政府において検討されるべきということでございます。
 めくっていただきまして31番でございますが、これも類似の御意見で、今まで御説明したとおりかと存じます。
 32番、33番、次のページの34番、35番は、生態毒性の評価方法あるいは試験方法についてどうしたらいいかという御意見が出されております。例えば32番は、試験生物について、通年実施可能な変動要因のない生物を使ったらどうか、あるいは33番は、水に溶解しない物質の試験についての御意見、34番も同じような御意見でございます。35番もいろいろな考慮事項についての御意見でございます。このあたりにつきましては、今後決定する内容でございますので、生態毒性試験法などの制度実施のために必要な内容については、今後政府において検討されるものでございますが、御指摘の点につきましては、その際の参考とすべきというふうにお示ししております。
 7ページの36、37、38番も類似の御意見でございますが、関係者の意見を聴いてほしいという御意見でございますので、これも関係者の意見も参考にしつつ、そういった試験法などの制度実施のために必要な内容について今後政府において検討されるべきということでお答えしております。
 39番も類似の御意見かと存じます。
 40番は、試験法について、人工環境での試験が要るのではないかということでございますが、試験法については見直すけれども、こういった形の試験法は今、国際標準的に用いられる手法としては確立していないということをお答えしております。
 次のページでございますが、41番は、少し難しい御意見が出されておりますけれども、これにつきましては、この御審議の中で、生態毒性試験をなぜ使うかということについて議論していただいた上で、それを用いることが適当ということについて御説明しております。
 42番は、代替試験法ということで、一般的な御意見で一番後ろの方にかなり出されておりますけれども、なるべく生物を使わない方法についてもっと検討するべきだということでございます。これにつきましては、生態毒性に関する部分につきましては、今のところ、実施が困難でなく、かつ有効な方法として生態毒性試験が国際的にも広く活用されており、我が国でもそれを活用することが適当であるということでございますが、一方で、新たな評価方法の開発についても検討が必要だということで、今後の科学的知見の充実や国際的動向を十分に踏まえ、将来において、必要に応じ見直していくことが必要であるというふうに認識しております。
 43番も試験法を選定する考え方についてのご質問でございますので、今回は藻類等の3試験を用いることをご説明しています。なお、審査における判定基準につきましては、国際整合性に留意しつつ、今後検討されるべきですが、収集した科学的知見に基づいて合理的に決定されるべきという回答案としております。
 同じような判定基準についての御意見が次のページの44番、45番にございますので、同じようなお答えですが、国際整合性に留意しつつ、今後検討する、その際には科学的知見に基づいて合理的に決定されるべきというふうに考え方を示しております。
 46番も類似の御意見かと思います。
 47番、48番も同じでございます。48番は、判断基準を明確に開示すべきということでございます。これは本文には取り上げておりませんけれども、判定基準は可能な限り明確化し公表することが必要と考えるということをお示ししております。政府の評価内容の公表ということについては、本報告書の最後のリスクコミュニケーションのところで記載されておりますので、それとあわせて読んでいただければ大丈夫かと存じます。
 それから、QSARの活用について、49番、50番で御意見が出ております。これにつきましても本文に入っておりますけれども、活用の可能性については、その信頼性を十分検証した上で、諸外国における利用方法等も参考にしつつ、今後具体的な進め方も含めて検討されるものと考えるという形でまとめております。
 51番は、ポリマーの取扱いですが、これも将来の話ということで、今後検討という形にしております。
 52番は、生物を「有用」とか「エサになる」とかの基準だけで見ないで、様々な生き物が多様に棲息できることが大事だという御意見でございますが、これは本文にお示ししておりますとおり、様々な生物への影響を見るという観点で生態毒性試験を導入するということでございますし、また、「生活環境に係る動植物」も「有用」や「エサになる」という基準だけではないということでございますので、「有用」や「エサになる」という生物のみを対象としているわけではないという回答案にしております。
 53番、評価方法の最後ですが、これは一律に生態毒性試験を課すのではなく、リスクに応じた対応をすべきということでございます。これは本報告のIIIの中でリスクに応じた対応が書かれておりますので、これに沿って生態毒性試験についても一定の範囲でリスクに応じた対応をすることになろうかと考えております。
 次が規制等についての御意見でございます。
 54番、55番は、賛成だ、規制するべきという御意見かと存じます。
 56番は、「直接規制」とはどういう内容かという御意見でございます。これはほかにも散見されまして、「直接規制」を非常に幅広くお読みになった方がいらっしゃるようでございますが、本報告では、1ページの注釈に入れておりますけれども、「直接規制」とは、化学物質の製造・使用等について、定量的な管理目標値等に基づいて制限することでございます。これは生態系の関係の適正管理と生活環境動植物に絞った形の直接規制の違いということで、本文で説明されている内容かと存じます。
 57番は、情報提供だけではなくて、もっといろいろな措置を講ずるべきという御意見です。これについては、適正管理の部分では情報提供ということですが、生活環境に係る動植物に対し毒性を有するものについて必要があれば、第二種特定化学物質と同じような規制がありますという御説明をしております。
 58番は、情報提供の措置を導入するということですが、今、MSDSについて、化管法、安衛法、毒劇法と3つの異なる法律で規定されていて、また化審法に新たな規定を設けるというのは、二重三重の規制ではないかという御指摘。それから、将来、GHSの早期導入を図って、自主管理を含めた対応が必要ではないかという御指摘がございます。これにつきましては、情報提供措置の導入にあたりましては、他の類似の制度との整合性についても十分配慮されることが必要という認識を示しております。また、GHSにつきましては、今、国連で議論されておりますが、2008年が制度導入の目標ということでございますので、我が国としても、今積極的にその対応を進めており、今後適切に国内対応を進めるべきという考え方を示しております。
 59番は、表示の内容とその他の措置についての御意見でございます。第二種特定化学物質については、今、個別の物質ごとに表示内容を検討しているという回答案としております。また、他に製造・輸入予定数量の把握とか、必要な場合の制限等もできるようになっているという回答案としております。
 60番、61番は同じ御意見でございますが、「指定化学物質」とか「生態影響監視物質(仮称)」を、毒性の強いものと弱いものの2つのランクに分けてはどうかという御指摘でございます。右側の対応案でございますが、指定化学物質、生態影響監視物質、これは仮称で、名称につきましてはこれからまた法制的に検討することになると思いますけれども、その化学物質が有する有害性が一定の要件を満たす場合に指定するということなので、その程度に応じた管理内容に差異を設ける理由はないのではないか。また、御指摘の点で、ユーザーなどに誤解されるということにつきましては、分類を段階的に行うとそこでまた同じような問題が生じるかと思いますので、リスクコミュニケーションの観点からは、分類を段階的に行うことよりも、本報告に示されているとおり、審査における有害性の評価内容を関係者にわかりやすい形で公表していく方がより適切ではないか、という趣旨の回答案としております。
 次のページ、62、63は、直接規制をするときに保護の対象を「生活環境に係る動植物」に限定するのではなくて、生態系一般、すべての動植物を対象とすべきではないかということでございます。これはこの審議会でも御議論いただきましたとおり、生態系保全の観点の適正管理と「生活環境に係る動植物」という観点に絞った直接規制という区別で整理したということについて説明させていただいております。ただ、そのページの一番下にありますが、「生活環境に係る動植物」を保護対象とした直接規制措置につきましても、生態系への影響の可能性を視野に入れた対策の推進にも資すると考えられるところでございますので、それについても言及しております。
 64番は、MSDSについての御意見でございます。これは前にお答えしたとおりでございます。
 65番は、直接規制以外のやり方、自主的な報告で枠組み的な規制を設けることもできるのではないかという御意見ですが、これはまさしく今、生態毒性物質について講じようとしております適正管理を促す措置というのは、こういった形のものではないかということでございますので、その内容を書かせていただいております。
 66番も同じような内容で、リスク管理というのはいったいどれぐらいできるのでしょうかという御意見でございますが、これはまず適正管理をやった上で、必要があれば直接規制を講じるということで、可能な限り生態系への影響の可能性を視野に入れた対策を進めるということになろうかと思いますので、その割合が大きい、小さいというのは難しいということかと存じます。
 次は既存化学物質についてです。ここは生態影響の部分の既存化学物質対策に言及した部分でございまして、本文でいいますと8ページに当たる部分で、既存化学物質についても必要な場合には規制対象とすべきと書いているところでございますが、67、68、69のご意見は、ちょっと短すぎるのではないかという御指摘かと存じます。本文では、生態影響について新規と同じような考え方で審査・規制をやりますということをここに書いた上で、既存化学物質対策全体につきましては、本報告の第3章の最後の5.のところで詳しく書かれておりますので、そちらの方と併せて読んでいただくというふうに考えております。
 70番は、生態毒性試験を事業者の報告以外に国や都の研究所でもやってほしいということでございます。これは環境省で今実施しているところでございますが、今後は事業者と連携しつつ、国においても計画的に必要な試験を実施して、その結果を公表するということかと考えております。
 71番は、規制する場合に判定の根拠を明らかにしていただきたいということで、これは先ほど申し上げましたが、リスクコミュニケーションの記載にもありますけれども、評価内容についてわかりやすく公表すると本文に書いてあるとおりでございます。
 72番は、登録済みの新規化学物質への生態毒性試験の適用についてです。これは、既に人健康の部分で評価済みの新規物質については既存物質扱いとなりますので、それについて優先順位をつけて、生態影響についてもちゃんと検討してほしいという御意見でございます。これは御指摘のとおりでございまして、既存化学物質と同様に事業者、国が連携して有害性評価をして、生態毒性を有するかどうかの評価をするということで、優先順位づけなど、御指摘の点も考慮すべきだという考えを示しております。
 今ミスプリントを発見しました。左側の枠の4行目、「新規化学物質」でございますので、「物」という漢字を入れていただければと存じます。
 次は、生態毒性の部分の「関連事項」でございます。まず「[1]試験実施体制の整備」でございます。これはきちっと整備してほしいという御意見でございまして、本文に書いてあるとおり、体制の整備を行うということでございます。配慮事項につきましては今後検討することになるかと存じます。
 次のページ、GLPでございますが、現在のGLPが日本の場合、複雑になっているのではないか、既存のものについての整合などを検討してほしいということでございます。それにつきましても、今、GLP制度の整合化について政府において検討が進められておりますので、生態毒性についても同じようにしていく。また、国際整合性も踏まえて検討していくべきということをお示ししております。
 次の「調査研究の推進」についていろいろ御指摘がございます。例えば77番は、環境濃度に季節変動が認められる物質の環境影響評価方法を確立すべき。78番は、化学物質の複合汚染。79番は、野生生物に対して疫学的な調査・研究が要るのではないか。82番も同じような、相乗的な毒性のもの、これも複合影響ということでございます。このあたりにつきましては、今後の調査研究の課題の一つと考えております。
 80番は、代替法に取り組むといった先ほどと類似の御意見だと思いますけれども、これも試験機関の充実強化などに努めていくということでございます。試験法開発についても研究についても充実するべきということでございます。
 81番、内分泌かく乱化学物質についての御意見が出されております。これは本文にあるとおり、国際的な動向を踏まえながら、作用機序の解明、試験法の開発、有害性やリスクの評価など科学的知見の充実等に努めるということかと存じます。
 次のページは、良分解性物質への対応について、83番、84番につきましては、そういったものについても化審法の対象とするべきではないかという御意見、逆に85番は、これは記述する必要がないのではないかという御意見でございますが、これは本文にありますとおり、良分解性の化学物質は、本質的に環境中で分解・消失しやすいので、取扱いが難分解性物質と異なることを踏まえまして、「考え方・対応」の下から5行目でございますが、「こうしたことを踏まえ、良分解性の物質については、必要に応じ、リスク評価を行っていくとともに、自主的な管理の改善措置や排出規制等の排出段階での措置により対処することを基本とする」ということが本文に記載されているということについて御説明しております。
 その他、本文に必ずしも書かれていない事項についての御意見がいくつか出ております。86番は、化審法の適用除外条項を廃止すべきという御意見で、化審法では、例えば農薬とか医薬品などについては、二重規制を排除するということで適用除外となっておりますけれども、この御意見では、同じ化学物質が法規制のない他の用途に使われていることを考えれば、二重規制になっても化審法の網をかぶせる必要があるという御意見になっております。これにつきましては、若干誤解があろうかと思います。御指摘のようにいろいろな殺生物剤と呼ばれるものがあるかと思いますけれども、それについては、まず薬事法や農取法等による規制の対象となっていないものは、基本的には化審法の枠になるということでございます。また、同じ化学物質が、例えば農薬と農薬以外の用途がある場合は、それぞれの法律が適用されるということでございます。そういった意味で、本当に薬とか農薬だけにしか使われないものについて、そちらの法律で審査・規制をしているので適用除外としていることについては、二重規制を避ける意味で必要と考えているということでございます。今の仕組みがそうなっているという御説明をしております。
 87番は、生態毒性試験の実施施設を厚生労働省がもつべきだという御意見が出されておりますが、これは3省連携してやるべきという回答案を作成しております。
 88番は、リスク管理とハザード管理の関係でございますが、化審法はリスク管理型になっていないのではないかという御意見でございます。今の化審法については、最初の審査においてはハザードで評価しますが、第二種特定化学物質についてはリスクによる管理も行われているということで、今回さらにリスクベースの考え方を導入するということで見直ししているということを説明しております。
 以上、2章の部分の説明を終わりますが、2章については、本文の修正は必要ないのではないかということで、報告書については修正しないということでいかがかと考えております。
 引き続きまして3章の説明をさせていただきます。
 89~92番は、この考え方について賛成という御意見でございます。
 93は、既存物質の点検について、ここの記載の仕方が十分でないのではないか、既存物質の点検が十分でないというふうに読めるという御意見でございます。これは既存化学物質について今まで順次やってきたけれども、今後さらに促進するということで、事業者、国が連携してやっていきますということについて、後ろの既存化学物質対策のところで記載しているということについて言及しております。また、有害性情報の報告制度の導入によりまして、その情報が既存化学物質の評価に活用されるということで、点検が進むことが期待されるということも付け加えております。
 それから「難分解性及び高蓄積性の性状を有する既存化学物質に関する対応」でございますが、94番は賛成という御意見です。
 95、96については、具体的な修文意見が出されております。修文箇所としましては報告書の13ページになります。理由としては、12ページの記述による理由となっておりますが、その理由によって、報告書の13ページの上から2つ目の○のところに対する御意見になっております。「現行の指定化学物質に関する有害性調査の指示と同様に、事後的な追加試験等の実施」の「事後的な」は要らないのではないかという御指摘。それから、その後で「長期毒性等に関する調査を指示し、長期毒性等がある場合には」を「長期毒性等が予想される場合には」というふうに直したらどうかという御指摘でございます。前の方の「事後的な追加試験」、確かに追加試験というのは事後的に行うものですが、「事前評価」と「事後」ということについて、この報告書では意識して明確化するように書いておりますので、「事前審査」の段階ではなく、「事後的」にやることを明確にするために、言葉の重複は若干ありますけれども、原案のままの方がいいのではないかと考えているということでございます。それから「長期毒性等がある場合」を「長期毒性等が予想される場合」とすることについては、これはむしろ事実としては間違っていて、長期毒性等に関する調査を指示して、長期毒性がわかれば第一種指定化学物質に指定するということでございますので、これは予想ではなくて「長期毒性等がある場合」ということになると思いますので、原案どおりということでございます。
 97番は、代替法の使用について、前の方にあったものと同じような御意見でございます。これにつきましては、本文の13ページにあるとおり、いろいろな試験法の検討をして、今後、現行の試験法と同等の取扱いが可能と考えられる場合には、例えば国際的に他の分野で認められている新たな試験法について活用することが必要ということでございますけれども、その一環で、もし代替試験法についてもそのようなものであれば、活用を検討するということかと存じます。
 98番も同じような御意見でございます。
 99番は、この毒性試験については、基本はあくまでOECDテストガイドラインとして各国で受け入れられるものとすべきということでございます。これは現在行っているものもこのような考え方に従っているが、国際的に他の分野で認められているような同等の試験法は活用を検討するということでございます。
 100番は、新たな試験法についての御意見で、これも同じようなことでございます。
 101~103番は、難分解・高蓄積のものについて、もっと長期毒性をきちっと調べて先に進めるべきだという御意見でございます。これは御指摘のとおり進めるということでございますが、御指摘のように、新たな制度で製造・輸入実績があるかどうかを把握するということになり、そういうものがないものについては優先度が下がりますので、新たな制度の下で把握される、より正確な製造・輸入実態に基づいて優先順位を検討した上で早急に国による予備的な毒性評価、その結果に基づくリスク評価が行われるべきというふうにまとめております。
 104番は、単に製造・輸入実績等の届出・公表だけではなくて、もっといろいろなことをやるべきだという御意見でございます。この措置はここで終わるものではなくて、管理ボックスをつくった上で、例えば排出量を抑制するための指導・助言を行い、長期毒性等に関する調査を指示した上で、必要があれば規制していくという枠組みでありますし、また、現行制度に基づいて製造・輸入、使用の制限に関する勧告もできるということでございますので、その辺の内容は既に本文に記載されているということでございます。
 105番は、暴露の可能性がないものについてもリスク管理下におくという枠組みということで、これは今の案がそうなっているということでございます。
 106番は、適正なリスク管理方法を追求するべきという御意見ですが、これもそういった形で進めていくということで、本文にある対応を進めていけば、こんな形になろうかと存じます。
 107番ですが、このボックスに入る物質名の公表について、リスクが未評価のものと既にリスク管理がなされているものとを明確に区分するべき、あるいはこの区分の名称について、誤解のないように考慮するべきということでございますが、これはそういった内容については誤解のないように適切に対応するべきということかと存じます。名称についても同様の観点が必要ということでございます。
 108番、109番も同じ内容でございます。
 次が「暴露可能性を考慮した新規化学物質の事前審査制度の見直し」。これは今の報告書の内容についてまず賛成という御意見が110番から次のページの113番まで続いております。
 114番ですが、リスクアセスメントに関する要望ということで、もっとリスクアセスメントをやっていくべきではないかということでございます。これは今回の報告の内容にあるとおり、入り口のところでとりあえずハザードの評価をした上で、疑わしいものについては、それを使うことを認めつつ、リスク評価・管理を導入していくという考え方でございます。また、リスクが低いと思われるものについては、新たな対応を検討するということで、リスクの概念は適切に入っていると考えられるということでございます。
 115番につきましては、リスクに応じた対応というのはいいけれども、セーフティネットを講じて、事前・事後のチェックシステムを確立することが不可欠という御意見でございます。これはまさしくそのような制度設計になっているかと考えております。
 116番は、そういったものについて、万一信頼を裏切り、その遵守が担保されなかった場合には、当然厳しい罰則を講ずるべきということでございますが、これはもし事前に確認された内容が、暴露可能性がないということだったけれども、実はそうでなかったということがありましたら、罰則が適用されるべきと考えられるということでございます。
 117番、事前の確認や事後の監視は、第三者機関を設置して、透明かつ厳正にチェックするべきではないかと。118番も同じような御意見でございます。119番は、関係者との情報共有の話でございます。このあたりにつきましては、実際の具体的な方法についてはこれからということになりますけれども、本文にありますように、制度の運用については、審議会等においてリスク評価・管理の観点から適切に検証していき、必要に応じて見直しをするということになっております。また、1~10トンのものについて分解性・蓄積性の判定を行いますけれども、それについては、今と同じような審議会において専門家の意見を聴くことが想定されるということで、第三者的な審査というのはなされると考えております。また、情報共有につきましては、これが適切に行われていなくて適切な管理がなされない場合については、適用除外の対象にはなってこないと考えられるということでございます。
 それから「暴露の管理による対応」でございます。121番、122番、123番は、いろいろ実態がありまして、個別のケースも挙げて、こういうものについても対象とすべきではないかという御意見が出されておりますけれども、そのあたりにつきましては、産業界からも意見を聴きまして、実際にどういう場合に適用除外となるかということについては、今後具体的な制度の検討を行う際に、そういった事例を踏まえて制度の設計をしていくと考えるということでございます。
 次のページは、輸出専用品について相手国で問題が起きないようにちゃんと対応すべきという御意見でございます。これにつきましても、本文にありますように、輸出相手国で環境汚染が生じることのないように十分配慮されるべきであり、もちろん相手国で審査制度が整備されている国に輸出される場合のみということでございますが、さらにそういった配慮が必要ということが書かれておりますので、既に対応済みかと存じます。
 それから「製造・輸入数量の少ない化学物質に対する段階的な審査による対応」。これについてサポートの意見が128~130番まで出されております。
 事前に確認するときにどういう場合に有害だと判定するかということについては、やはりリスクの観点から判断するべきという御意見が131番でございますが、これについては、どういう場合に不確認とするかということについては、今後検討されるということかと存じます。
 132番は、段階的審査をしても、分解性・濃縮性だけの試験でも結構お金がかかりますという御意見ですが、試験法につきましては、必要があれば簡易なものを導入するということで今検討しておりまして、これは個別の試験法ごとの検討になるのではないかということでございます。
 133番は、確認・不確認についての運用基準の明確化、先ほどの御意見と同じかと思います。透明性をもった運用ということについて具体的には今後検討という形になろうかと思います。
 134番の既知見に基づく確認・不確認の考え方、これは具体的には今後検討されますけれども、その趣旨についてお答えしております。
 以上がこのパートでございます。これに関連して、直接御意見を踏まえた修正ではございませんが、事実を明確にする必要があるということで、報告書の17ページの下のところに修正を入れております。事前に確認して、人の健康を損なうおそれ又は環境中の生物の生息・生育への影響がないことが確認されたら、もちろんそれで直ちにスクリーニング毒性試験等のデータの提出を求めることになるわけですが、有害性情報の報告制度で情報が報告された場合は、前の文章は、その場合についても直ちにスクリーニング毒性試験等のデータの提出を求める又は審査・判定を行うとなっておりました。しかし、有害性情報が、出されてはきたけれども、そんなに有害性が高いという情報ではなかったというケースも実際にはあると思いますので、その場合は特に判断が変わることはないということになり、ここでワンクッションあるのではないかということで、「報告される等により得られた新たな知見に基づき必要であると判断される場合には、」と一言加えさせていただき、「……場合には、直ちにスクリーニング毒性試験等のデータの提出を求める又は審査・判定を行う」と修正する案をお示ししております。
 次は有害性情報の取扱いに関するものでございます。136番、137番は、報告について罰則を設けるべきという御意見でございましたが、これは他の類似制度等との法制的な整合性を図りつつ、今後検討ということで、そこについてはどうなるかまだわからないということでございます。
 138番は、判定の見直しのルールの透明化ということです。これはまさしくそのようなことかと存じますので、判定基準の明確化、透明性の確保ということについてお答えしております。
 次のページ、139番、消費者異議申立て制度、消費者からも情報提供があったら何かするべきではないか、そういった制度を入れるべきではないかということでございます。これは報告の義務にはなりませんけれども、もし国にそういう報告をいただければ、その内容を評価した上で、判定の見直し等に活用されていくのではないかと考えられるということでございます。
 140番、141番は、こういった情報を公表していったほしいということでございますが、情報の公表等につきましては、本文のリスクコミュニケーションの部分に書かれているとおりかと思います。また、指定化学物質等に指定されれば、その結果は公表されると考えております。
 情報の取扱いについて、次のページの143番以降、いろいろな御意見があります。
 まず、判定基準の明確化につきましては、どういうものを報告すべきかということについては、判定基準を明確化して公表するべきと考えられます。
 また、提供者に過大な負担をかけないようにしてほしい、あるいは他の方に出されたものも活用してほしいということについては、具体的に今後検討させていただくということかと存じます。
 営業秘密の問題が146番以降出されております。これは本文のリスクコミュニケーションのところでも書かれておりますが、その情報については、情報公開制度における取扱いとの整合性に留意しつつ、公表の在り方について検討するということかと存じます。
 以下ずっと同じ御意見でございます。
 149番は、情報をもっと使いやすくしてほしいということかと存じます。これは既存化学物質の有害性評価の取組の進め方とあわせて検討していくということでお答えしております。
 良分解性物質等も含めてすべての情報を出してもらったらどうかという御意見が150番でございますが、これは審査・判定に必要なものに限るということではないかという考え方をお示ししております。
 既存化学物質対策が次の151番からでございます。これはいろいろともっときちっとやるべきという御意見がずっと出されておりまして、内容について若干の出し入れはありますけれども、同じ趣旨かと思います。
 153は、具体的に計画を作ってやるべきだという御意見、154番も同じような御意見かと存じます。それにつきましては、本文にあるとおり、国と事業者の連携によって進めるということを書かせていただいておりまして、具体的な進め方については今後検討していくことになると存じます。
 156番は、中小企業についての配慮ということですが、これはこの場でも御議論いただいたと思いますけれども、関係事業者間での適切な分担が必要かと思います。
 157番、「有害性」という言葉についての御質問です。これは幅広く使っているという本文の1ページの定義を説明させていただいております。
 158番、「関係者」という言葉ですが、これはリスクコミュニケーションの部分でも、化学物質の製造、使用等に関わるすべての者ということで使っておりますので、それとあわせて見ていただければ、「関係者」というのはこれ以上ここで詳しく書く必要はないかと考えております。
 次のページの160番、161番は、むしろ事業者がもっとやるべきと、官民が共同ではなくて、国にいつまでも頼ってはいけないという、事業者に対する厳しい意見かと思います。これはいろいろ御議論いただきまして、事業者と国が連携してやっていくということでまとめていただいたところかと存じます。
 次のページの162番も同じような御意見ですが、諸外国でも事業者にやらせるということでございますけれども、これは諸外国で有害性情報の提出を求めたりすることができるのは、リスク評価に必要とされる場合や人や環境へのリスクが見込まれる場合ということなので、これは我が国でいいますと、指定化学物質に関する有害性調査の指示というのがこの形になりますので、この場合には我が国でも事業者にやってもらうという形になっているということでございます。
 163番は、試験機関の充実かと思います。これは国の役割として環境整備ということで書いております。
 164番は、効率的に取組を進めるということで、まさしく御指摘のとおりかと存じます。
 165番は、データベースの整備などということで、これは国の役割として書いているところでございます。
 その他、いろいろな御意見が出されております。166番は、事前影響評価制度の導入、事後評価制度の導入、167番は、「リスク評価」方法を絶対視しないでほしい、168番は、予防原則の導入という、いろいろな新たな制度に関する御意見が出されております。これは今まさしく科学的根拠に従ってリスク評価・管理をするということでこの制度の設計がなされておりますし、また、予防原則につきましては、予防的取組方法に留意するということで、それを踏まえた制度になっているということで、今の制度について御理解いただきたいというようなお答えになっております。もちろん、透明性の確保とか、そういった点については配慮するべきと考えております。
 169番は、構造類似のものについて規制していくべきだということですが、これは個々の化学物質について評価をするというのが原則ですが、科学的知見に基づき化学構造や作用機序の類似性も考慮すべきではないかということでございます。
 170番は、リスクアセスメントをもっと導入するべきという御意見ですが、これも既に御説明したとおり、ハザードとリスクの2段階でやっているということについての御説明と、今回リスクをもっと考慮するようになったという御説明をしているところでございます。
 以上のところが第3章の御意見でございます。3章については、修正部分は先ほど御説明した1カ所の修正となっております。
 最後の「その他関連事項」のところでございますが、本文でいいますと20ページになります。ここは後ほど御説明しますが、リスクコミュニケーションの部分を修正しております。
 御意見としましては、まず関係制度間の連携ということで、これはぜひそうするべきだということについて、いろいろな角度から御意見が出されております。「化学物質安全庁」(仮称)のようなものをつくるべきだというのが171番でございます。いろいろな制度との連携という御意見が172番、173番、174番でございます。これはまさしく連携して取り組むべきということでございますが、例えば化学物質安全庁のようなものにつきましては、まず制度間、関係省庁間の連携をするということで、その状況を見ながら長期的に検討すべき問題かと存じます。
 175番は、市民・NGOの参加を認めるということでございます。これはパブリックコメントの手続で御意見をいただいて、参加していただくという形で進めているということをお答えしております。
 リスクコミュニケーションでございますが、これについての御意見がいくつか出されております。その前に、これにつきましては、前回いろいろ御意見がございましたし、パブリックコメントでも若干類似の御意見も出されておりますが、それを踏まえまして修正しております。資料3の20ページを見ていただければと存じます。題名を「情報公開等」ではなくて、「リスクコミュニケーション促進のための化学物質に関する情報の整備」とさせていただきました。これは本文の内容に沿ったものとするということでございます。
 本文の書き方ですが、リスクコミュニケーションはいろいろ幅広いということでございますけれども、これはあくまで化審法に限った部分で記述するということで、まず第1パラグラフで、一般的なリスクコミュニケーションの重要性を示しております。「化学物質に係るリスクコミュニケーションとは、化学物質に関する正確な情報を市民、NGO、事業者、行政等のすべての者が共有しつつ相互に意志疎通を図ることであり、化学物質による環境汚染に関して安全で安心な社会を実現するには、その推進が不可欠である。」ということをまず書いて、それからOECD成果レビューでの指摘を書いております。
 「このような状況から、関係者間のリスクコミュニケーションを促進するため、国においては、化学物質に関する正確な情報の整備や対話の推進等に努めることが求められている。」とした上で、化審法の措置に言及いたしまして、次のパラグラフで、「このため、化学物質に関する正確な情報をより容易に共有できるよう、国は化学物質の審査・規制制度の運用に際して得られた情報の取扱いについて検討することが必要である。具体的には、」ということで、結論としては、実施する内容は前に記載したとおり「新規化学物質の審査に当たって提出された情報や新たな制度の下で報告される情報等、国が事業者から取得した情報については、国の情報公開制度における企業秘密の取扱いとの整合性にも留意しつつ、公表の在り方について検討していくべきである。また、国が行った評価内容については、これを関係者にわかりやすい形で公表していくべきである。」としております。一応ストーリーをつけて、リスクコミュニケーションの重要性から始まって、化審法に基づく措置におけるリスクコミュニケーションの部分、情報の公表の部分を説明しているという形に修正いたしました。
 以上が修正でございます。
 資料6に戻っていただきまして、リスクコミュニケーションの部分はいくつか御意見が出されておりますが、マスメディアのチェックをしてほしいという御意見が最初に出ております。これは、政府としての役割は、誤解に基づく報道とならないように政府として情報を提供することが必要ということで、そんな形でお答えしております。もちろん国が行った評価内容については、関係者にわかりやすい形で公表するというのは、本文に書かれているとおりでございます。
 177番、178番、179番、情報公開が必要だということについては、本文に書かれているとおりかと存じます。
 180番、181番も同じような御意見でございますが、有害性情報を公表してほしいということで、これは「公表の在り方について検討していくべき」ということでお示ししております。
 182番以降、特に営業上の秘密の問題について言及されておりまして、これも報告本文に「国の情報公開制度における企業秘密の取扱いとの整合性にも留意つつ」と記載されておりますので、原文どおりでよろしいかと存じます。
 183、184番も同じでございます。
 186番は、もっとしっかり書いてほしいという御意見でございまして、この御指摘も踏まえて、本文を修正したところでございます。
 その他、いろいろ御意見がございまして、個々に説明いたしますと、非常に長くなってしまうかと思いますが、化審法関係の部分について若干御説明いたします。187番の一特の指定が少ないという御意見については、今きちんとやっておりますとお答えしています。また、その他により合理的な試験方法の開発、運用についてのお願いなどいくつか出されております。
 例えば、より合理的試験方法の開発というのは、今やっているとおりということで、これは本文にも書かれているかと思います。
 運用についてのお願い、これはこの審議会でも御指摘がありました。これはなるべくわかりやすく説明する、あるいは情報にアクセスしやすいようにしているということかと存じます。
 190番は、「白」物質の名称の公示その他についての御指摘でありますが、我が国では届け出たものについては公示するということでございます。これは、どれが指定化学物質になっているか、あるいはどれが既に届け出られているかということを知らせることで、試験の重複を避けるという意味があります。ただ、試験費用の負担の問題など、先発者と後発者の関係についてはいろいろ微妙な問題があります。それにつきましては、名称の公示の在り方について検討する際に、どうするかということについて考慮するということかと存じます。
 191番、分解生成物をきちんと評価してほしい、生分解性以外にもあるということですが、これはそのような形で今もやっているということかと存じます。
 192番は「指定化学物質」という分類・名称についての御指摘で、制度の在り方を見直すべきということでございます。これは今必要でそのような規制を行っているということと、今後、制度の見直しはあり得るというお答えをしております。
 193番以降、具体的な分解生成物の取扱いの問題とか、製品中の不純物の問題あるいは所管官庁の一元化の問題、短期的な問題、長期的な問題が出されております。運用の問題については、個々に検討されるということと、所管官庁の一元化のような問題については、とりあずは制度間、省庁間の連携を図りますが、長期的に検討すべき課題ということで書かせていただいております。
 次のページの195番、196番も同じような具体的なものについての運用の御指摘かと思います。
 197番は、判定基準の明文化、公表ということで、これはまさしくそのとおりにしていくべきということでございますし、また、関係者の意見を審査などに反映させてほしい、特に製造・開発者の意見を聴いてほしいということです。これは個別には必要な場合には意見交換を今でもしておりますが、必要な場合には今後もしていくべきということでございます。また、評価方法や判定基準については、専門家や関係者の意見も参考にしつつ策定していくべきという考え方を示しております。
 同じような御意見が、198番、199番に示されているかと存じます。199番は、特にPBT、難分解、高蓄積、毒性という、化審法の一特のような物質についての判断基準を日本だけでなく国際的にもっと合意されるような判断基準にするべきということでございますが、これはまさしくそのように国際的にも貢献していくということでお答えしております。
 200番、201番は、データの受け入れについてですが、外国でやられたものの受け入れが必ずしも行われていない部分もあるのではないかという御指摘でございます。これは基本的にはOECDテストガイドライン、GLPについては受け入れておりますけれども、判定に必要なデータが得られていない場合には、内外関係なく試験の再実施や追加が求められることもあるということを御説明しております。
 202番は、既に御説明した名称の問題、告示の問題でございます。
 203番も同様かと存じます。
 204番、ヒアリングに時間がかかるということについて、これは審査期間の適正化という問題かと存じます。
 205番は、具体的な物質についての規制をしてほしいという御指摘ですが、これは今後の制度の中で適切に対応することになろうかと存じます。
 206番は、ちょっと専門的ですが、日本では製造前の申請だけれども、上市前にしてほしいという御意見です。今の考え方は、製造・輸入される前に安全性の審査を受けるという考え方の方が未然防止として適切、というふうにお答えしております。もちろん、国際的動向等を踏まえて見直すことはあり得るということでございます。
 207番、208番あたりは、試験法の問題です。これも運用の際に検討するものかと存じます。
 209番も同じようなことかと存じます。
 さらにもっと大きな御意見がその他として出されております。そもそも新しい物質の開発は要らないのではないかという御指摘が210番、211番あたりで出されております。新しい物質がより良いものであったり、有害性が弱いものが出てくることもあって、新しい物質だからだめという考え方ではないだろうということで、適切なリスク評価、リスク管理をしていくという考え方をお示ししております。
 212番は、難分解・高蓄積の物質についての御意見でございます。これは今回新たな枠組みを作ったということでございます。
 213、214、215は、総量規制的なものを検討してほしいということですが、これも個々にリスク評価、リスク管理をしていくという考え方で今の化審法が運用されているということについて御説明しております。
 216番以降、動物実験をやめてほしいという御意見が数としてはかなり出されております。今も動物実験の代替法が国際的にも検討されておりますので、それを踏まえて見直していくということですが、今の時点では必要ということで動物実験が使われているということでございます。代替試験法について既に御説明したとおり、新たな試験法については、国際的に認められてくれば、我が国でももちろん活用していくということで、これは本文にも記載されております。
 219番以降は、省庁の縦割りの排除あるいは制度の連携についての御意見で、220番もそうですが、いろいろな制度をちゃんと連携してやるべきということについては、連携していくというお答えをしております。219番はもっと総合的な規制を法律でちゃんとやれということで、220番も規制をちゃんとやれという御意見ですが、これはそれぞれの法律に従ってやっておりますという回答でございます。
 221番は、一元的な運用ということで、これは既に御説明いたしました。
 222番、223番は、個別の問題についての御指摘ですが、個体差は「10」でいいかということについては、今、10倍の不確実係数が広く使われているけれども、国際的な動向に留意すべきというお答えになっております。223番については、具体的な御指摘ですので、これはもう少し知見を集めてということで回答させていただいております。
 225番は、安全性評価の国際整合性についてです。これは日本だけではなくて世界的なGHSの話も含めた御指摘かと存じますけれども、これはなるべく共通にしていくということと、GHSについては今後検討していくということかと存じます。
 227番の「予防原則」については、既にお答えしたとおりかと存じます。
 228番は、製造・輸入に関する実態調査について、義務付けてはどうかということですが、有害性のあるもの、あるいは今回の高蓄積・難分解のようなものについては義務付けますが、全部についてというのは、そういうことにならないのではないかという回答でございます。
 229番以降については、いろいろな御指摘が出されておりますけれども、本報告に直接関係ないのではないかということで、紹介のみにとどめさせていただいております。
 大変長くなりましたが、私の説明は以上でございまして、総括いたしますと、資料6にありますようなパブリックコメントをいただきまして、本文の修正が必要かどうか検討いたしまして、本文の修正といたしましては、1ページ目の冒頭の「人の健康へのリスク」の部分の修正、それから17ページの1~10トン枠の有害性情報の報告に基づく判断のところについての正確性をもたせるための修正、それから最後の20ページのリスクコミュニケーションに関する部分について、前回の御議論も踏まえて大幅に修正しております。この3カ所の修正で、本文につきましては、こんな形でまとめていただいてはいかがかというのが事務局からの提案でございます。よろしくお願いいたします。

【鈴木委員長】 どうも御苦労さまでした。パブリックコメントに対する考え方・対応についての議論をしていただきますが、総論、1章、2章という順番にやっていきたいと思います。まず総論のところで何か御意見、御質問がございますか。

【大塚委員】 やや細かい点で恐縮ですが、1点質問させていただきたいのです。13番の「予防的取組方法」はこの案のどの箇所にあたるのかということについての回答ですが、昨年の国会で政府の方で予防的取組方法について答弁されていると思います。その中で、新規の化学物質について一般的に審査をしているということ自体を予防的取組方法の例として挙げておられると思いますけれども、その点についてはここではコメントする必要はないかということについてお伺いしたいと思います。

【早水化学物質審査室長】 パブリックコメントでの御質問は、この案のどの箇所にということで、新しく変わる部分についてどこかという御指摘なので、新しく変わる部分についての御説明をしているということでございます。

【鈴木委員長】 よろしゅうございますか。

【大塚委員】 はい。

【鈴木委員長】 ほかにございませんか。
 それでは、第1章の部分についてはいかがでしょうか。
 特に御意見ございませんか。
 それでは、第2章はいかがでしょうか。

【竹居委員】 細かい文章の表現の問題で恐縮なんですが、資料3の報告書案の6ページの上から4行目に「[1]適正管理を促す措置」というのがありますが、そこの最後のところに「生態毒性等に関する情報を提供するための措置を導入する。」とありますね。これは誰にというか、どこに提供するかということをもう少し明確に書いていただいた方がいいのではないか。例えば直接国民に提供するという意味なのか、あるいは関係の所管官庁に提供しろということをいっているのか、そのあたりがはっきりしないので、そこを明確に書いていただきたい。
 もう1つありまして、同じ6ページの「[2]定量的な管理のための直接規制」というところの下から7行目、「……ことや、人間の生活に関係が深く……」とありますが、「人間の生活」の前に何がというか、主語がないんですね。ずっと読んでいただくとよくわかると思うのですが、主語がないです。そこがはっきりしないので、明確にした方がいいのではないか。
 もう1つは、7ページの上から4行目、「難分解性で生態毒性を有する化学物質については、生活環境に係る……」といくのですが、私の日本語的感覚からいうと、「それが」というのがないと変な文章だと思います。
 以上です。

【早水化学物質審査室長】 最後の点は、「それが」というのは、「化学物質が」という意味を明確にという意味ですか。

【竹居委員】 そういう意味です。

【鈴木委員長】 事務局、後で言葉を足してください。

【早水化学物質審査室長】 その点については今検討しております。

【鈴木委員長】 今、言葉を足すのを調整しておりますから、お待ちください。

【早水化学物質審査室長】 まず、2番目の御指摘ですが、これは本文に書いた方がいいという御指摘でしょうか。これは具体的に書くと、その3行上にあります「生活環境に係る一定範囲の動植物というものは」ということになります。確かに主語が具体的にはないのですが、意図しているところはそういうことでございます。御説明はそういうことですが、それを正しく足した方がいいかどうか、文章については少しお時間をいただきたいと存じます。
 ほかの点はもう少しお時間をいただきたいと存じます。

【鈴木委員長】 いささか時間がかかるそうですから、もう少しお待ちください。その間にほかの議論がもしありましたらお願いします。

【南川環境保健部長】 委員長、今の関係でよろしいですか。

【鈴木委員長】 はい、どうぞ。

【南川環境保健部長】 情報の提供先についてですが、関係者間でということになると思いますが、それがどこまで広がるかにつきましては、GHSの動向等もございますので、もう少し時間をかけて決めたいと思っております。
 それから、このような表現の問題につきましては、意図するところは、今日事務局の方でお答えさせていただきますけれども、それ以降につきましては、全体の文章を見て推敲する必要がございますので、できますれば、事務局の方で検討した上で、3委員長と相談させていただきたいと思っております。

【鈴木委員長】 吉岡委員、どうぞ。

【吉岡委員】 今、資料3と資料6の両方とも使ってよろしいのでしょうか。

【鈴木委員長】 はい、どうぞ。

【吉岡委員】 資料6の第3章の11ページ、125番ですが、対応の最後の行のところで「相手国側において環境汚染が生じることのないよう」というような形になっておりますが、実際に行いますのは、いわば化学物質を輸入するときの審査等の制度があるかどうかということだけであって、環境汚染そのものが生じるかどうかということまで踏み込んで調査するということは難しいかと思うのですが。

【野中化学物質安全室長】 それにつきましては、一方で、この審議会で御議論いただきましたように、単に制度があるからということでいいのだろうかという御指摘もありました。そういった意味では、「相手国側において環境汚染が生じることのないよう」という配慮事項は、パブリックコメントの答えにも書いておりますけれども、本文にもそのように記載させていただいております。むしろ審議会の御指摘を受けてそのようにしたというつもりでございます。

【浅野委員】 今の点については、要するに輸出品については国内チェックを免除しようというわけですから、本来はチェックをしなきゃいけないという前提がある。それで先方の国の方でちゃんとした仕組みが出来上がっていて、問題がないということが確認できた場合は免除になるわけです。だから、ただ単に先方の国に手続があるということだけではまずい場合もあるだろう。これは審議会の中での御議論の流れで出てきたわけです。特に途上国の場合には、制度はあってもうまく動いていないということがあるだろうと思われてますから、やはりそこら辺まで見ることはできる。これは決して裁量として行き過ぎということではなく、本来やらなければならないことをやらなくていいと言っているだけですから、はっきりしないときはきちっと我が国の方で責任を持つということになります。この説明でいいのではないかと思います。

【吉岡委員】 誤解のないように申し上げておきたいのですが、私が申し上げているのは、そうした制度をチェックして環境汚染がないようにということを配慮するということと、現実に相手の国において環境汚染が起きないことを保障するということにおいては随分大きな差があるだろう。この意味がもしも後者の方にとられてしまうと、我々が内政干渉のようなところまでいってしまうのではないかということを心配していたわけです。

【鈴木委員長】 内政干渉の心配までは要らないのではないかということですね。

【野中化学物質安全室長】 それにつきましては、むしろ資料3の16ページのところを御覧いただきたいと思います、16ページの一番上の○になお書きで「環境汚染が生じることないよう、十分に配慮されるべきである。」、この配慮事項を受けて書いているわけでございまして、内政干渉等はもちろん意識しつつ、配慮事項として書いたこの報告書の文を受けての答えでございます。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。
 それでは岩熊委員。

【岩熊委員】 2章のパブリックコメントに対する回答のところですが、II-4及びII-5ページで、いくつか環境に配慮される方々からのコメントで、水生生物の毒性試験法、3点の試験以外に、例えば日本の実情に即したようなとかということも含めて、別の試験方法も含めたらいいのではないかという御質問があったかと思うのですが、29番、それから31番、あと試験方法についていくつかのコメントがございますが、例えば29番、30番のお答えで、「適当であるとしています。」と突き放さないで、今後、国際的な情勢と国際的な整合性と研究成果を踏まえて新しい試験方法が加えられるかもしれません、というようなことを可能性として含めておいていただいた方がいいのではないかと思います。

【早水化学物質審査室長】 御指摘の点ですが、実はこれは本文にも書いておりますけれども、26の回答では最後に「……適当としていますが、評価に用いる試験の項目や対象生物種に関しては、化学物質の環境中における挙動等も考慮しつつ、今後の科学的知見の充実や国際的動向を十分踏まえ、将来において、必要に応じその内容について見直すことを可能とするような柔軟な仕組みとすることが適当」ということを入れております。ここだけ入れておりまして、ほかのところに入っていないということかと存じますので、そこは、生態毒性試験の部分であれば、その言葉を必要に応じて足したいと思います。それから、将来、具体的な試験法の細かい話でどんな試験法を選ぶかという制度設計については今後検討するということなので、そういう形のお答えになります。例えば29、30、31あたりで、今後の話が必要であれば、上と同じ文章を足したいと思います。
 それから、先ほどの竹居委員の御指摘に戻りますが、よろしゅうございますか。

【鈴木委員長】 ちょっと待ってください。竹居委員、札が立ちましたが、新しい問題点ですか。

【竹居委員】 先ほどの経済産業省の方の御説明に疑問があったので聞こうと思って立てたのです。

【早水化学物質審査室長】 輸出専用品の部分ですか。

【竹居委員】 輸出の件です。

【早水化学物質審査室長】 では、それはちょっと保留いただいて、先ほど竹居委員に御指摘いただいた点についての考え方を御説明いたします。今、生態毒性に戻りましたので、ついでに、本文でいうと6ページと7ページでございます。6ページの[1]ですが、「これを取り扱う事業者が生態毒性に関する情報を提供するための措置」ということで、これはいろいろ可能性がありますので、もし言葉を入れるとすれば、「関係者に提供する」という形になるかと思いますが、言葉が必要かどうかということについては、どうでしょうか、ということでございます。
 それから6ページの下の方ですが、何がということについては、先ほど申し上げましたように、「生活環境に係る一定範囲の動植物というものが人間の生活に関係が深くその被害を認知しやすい」ということでございます。そういう趣旨でこの文章がうまく組み替えられるかどうかはちょっと検討させていただきまして、具体的には、後ほど3委員長と御相談するということでよろしければ、より明確な文章にできるような形で若干言葉を組み替えるということにさせていただきたいと思います。
 3点目の「それが」というのは、多分、言葉を足すということでよろしいかと存じます。
 以上のお答えですが、1点目は「関係者が」というのを入れた方がいいかどうかということになりますが、内容についてはそれでよろしゅうございますでしょうか。

【浅野委員】 今の文章の問題については、全体を見れば、とにかくこれは役所の文章ですね。学生が論文でこんな文章を書いてきたら、かなり直さなければいけない表現があるわけですが、今のところの誤解の原因は、要するに思考過程がそのまま書かれているわけです。そうでなくて結論が先に出てくればいい。どうしたい、その理由はこうであるというふうに書かなきゃいけないのを、こうこうこういう理由があるから、こう考えればいいのだと書いてあるわけです。ちょっとどこかぼかしたところがあるわけですね。それは諸般の事情これありぼかした表現にしておられるのだろうと思いますけれども、読む人からいえば、素直に、最後のところに書いてあることが結論なんですから、これが適当である、なぜならば、といって書けば、今の疑問は解消すると思います。要するに、そういった表現ぶりの修正は、私は3委員長にお任せすればよろしいと思います。

【鈴木委員長】 我々3人の日本語がそれほど確かかどうか余り自信はありませんが、お任せいただければと思います。私も、木で鼻をくくったような文章を書くなよと役所の方によく言うことがあるのですが、だんだん役所の日本語もよくなってきているのではないかとは期待しているのですが。

【竹居委員】 今の件についてはお任せいたします。ただし、あえて申し上げますが、こういうものがわかりやすく書かれていないと、何のために報告書を出すのか。曖昧にしておけば、役所がいろいろ解釈して、後で法文化するときにやりやすいわけですね。ですから、そういうのを余り認めてしまうのは私は好きではないということを申し上げておきます。
 それから、全く同じことで、先ほど吉岡さんが御質問になった件についての経済産業省のお答えなんですが、16ページの上から5行目、「なお、具体的な制度設計に当たっては、相手国側において、環境汚染が生じることのないよう、十分に配慮されるべきである。」と。私は、この文章は、最初にこの報告書を読んで気になっていたところを御指摘になっているなと思ったので、あえて申し上げますが、これは、相手国側において環境汚染が生じないように、日本側において十分に配慮されるべきと読むのか、相手国側において環境汚染が生じないように、相手国側に十分に配慮するようにされるべきである、そういう環境をつくれ、こういうふうに読むのか。つまり、十分に配慮する主体は何なのか。日本側なのか、相手国側なのかがわからないんです。先ほどの意見に対する対応のこちら側の意見は、「相手国側において、」の「、」がないわけです。だから、相手国側において環境汚染が生じることのない」というのはわかるのですが、では、「十分に配慮されるべき」の主体は誰なのか。日本政府あるいは日本側がやるなら、「日本側は」あるいは「輸出側は」十分に配慮すべきである、と書くべきですね。ですから、これはよくわからない日本語なんです。これは両方解釈できるものですから、法律にするとき、私たちが考えていないような結果になる可能性もあるわけです。したがって、こういう曖昧な文章はできるだけなくしていきたいと私は思うのです。

【鈴木委員長】 おっしゃったことがやっと我々にもわかったようです。

【野中化学物質安全室長】 今の点につきましては、もちろん「具体的な制度設計に当たっては、」とありますように、日本側の配慮事項として書いているつもりでございます。したがいまして、今の誤解ということからいいますと、「相手国側において」の後の「、」は不要でした。「相手国側において環境汚染が生じることのないよう」まで続けて記載させていただいて、少なくとも別の意味にとられることがないように修文したいと思います。

【鈴木委員長】 ほかにございませんか。
 よろしゅうございますか。
 それでは先に進ませていただきます。第4章についていかがでしょうか。
 特にございませんか。
 それでは「その他」のパートに移ります。

【浅野委員】 資料6の「その他」の2ページ目の、先ほど御説明があった「先発者と後発者の関係について」というところです。回答としては、今のところこれ以上書きようがないことだろうと思うし、この審議会でこの問題については中身についてきちっと突き詰めた議論はやっていませんが、確かに課題として残っていることは事実だと思うんです。それで私も考えてみたいので教えていただきたいのですが、「他の法令に基づく制度の運用状況とともに、適切に考慮する」と書いてある、「他の法令に基づく制度の運用状況」というのは、何をイメージして書いておられるのか教えていただきたい。

【野中化学物質安全室長】 とりあえず、まず考えられますのが、労働安全衛生法で同じように新規化学物質の審査を行っております。その労働安全衛生法におきましては、名称の告示を、細かくはいろいろあるのですが、1年という期間を設けて公示するという期間を設定しておりまして、その期間設定の背景として、この先発者利益の保護ということも意識されております。例えば、こういった制度も踏まえながら、公示の在り方について検討していきたいということで、ここで「他の法令に基づく制度の運用状況」というのを書かせていただいております。

【鈴木委員長】 よろしいですか。

【浅野委員】 わかりました。もっと大変なことが書いてあると思ったので、その程度のことならわかりました。

【鈴木委員長】 ほかにございませんか。

【吉岡委員】 資料6の「その他」の10のところです。214及び215のところで総量規制ということがアイディアというか概念として出てきております。それに対する回答が、現状を述べてこうなんですという形なので、事務局側としてはこれ以上書けないということはよくわかるのですが、問題を出した人の立場に立ってみますと、総量規制はどうなったんだというふうに思われる気がするのです。そういう点について、新しいアイディアといいますか、全然違ったシステムを必要とするようなものに対して、こういう回答でよろしいかどうかということをちょっと心配いたします。

【鈴木委員長】 今おっしゃった御指摘は、類似のいろいろな問題について起こっているのではないかと思います。新しいアイディアが提案されて、それに対して、現行制度の規制の下でうまく答えが出せませんとか、やりようがありませんとかというふうな話はたくさんあるのだろうと思うんですね。その話を全部ひっくるめて役所の側にどう答えるかというのを吉岡委員が迫ったとしても、これまた「今の段階ではお答えできません」になってしまうのではないかと思いますが、何かありますか。

【浅野委員】 関連する事項としてはこれで本当にいいのかなという疑問が若干残りつつ、とりあえず今日は追求する気はないのですが、その他の14ページの228番のところの回答に、製造・輸入量の届出を一律に義務付けることは難しいというくだりがあって、総量規制というのは、それが先に立つことになるわけでしょうから、その辺を最初にギブアップしてしまっていれば、総量規制についてはとてもだめだということになりそうな気がするのです。しかし、これとこれをうまく結びつけることができるかどうか、どういうものを総量規制の対象にするのか、という議論からまず始まりますから、やりようによってはできないわけでもないのでしょう。しかし、総量規制という考え方を取り入れるためには、前提として整備しなきゃいけない事柄が多数あるので、直ちにこれに取り組むことには、当審議会としても積極的なサポートはちょっと難しかろうという趣旨の内容を、吉岡委員がおっしゃるように入れておくのは悪くはないという気がするのです。これも事務局、3委員長にお任せいたしますので、よろしく御検討ください。

【西原委員】 今後のことに関わるのですが、その他の2の一番下、192の名称の問題です。「指定化学物質」という名称なんですが、実はPRTR法では「第一種指定化学物質」あるいは「第二種指定化学物質」ですね。こっちでは「第一種特定化学物質」ですね。この混同というのは結構起こっているようです。それも含めて、もう1つ、もし名前の公表をするとした場合に、私が昔言った「灰色物質」の名称はどのようになるのですか。「指定候補物質」といわれるのか。

【早水化学物質審査室長】 最後の御指摘の「灰色物質」というのはどういうものでしょうか。

【西原委員】 1トンから10トンの間でというもので、スクリーニング毒性試験を免除しているものです。それは「安全物質」とはいわないですよね。

【早水化学物質審査室長】 まず、物質の名称は、最終的に法制局との相談ということになりまして、役所でこうしたいと言っても、法制的に前例があるかどうかとか、この意味はちゃんと確定しているのかという、技官的にみると、結構細かい詰めがありますので、今報道されている「特定農薬」という名称が適当かどうかとか、そういう問題と多分類似の話かと思います。名称につきましては、今までは「指定化学物質」という監視ボックスが1つだったのですが、今「生態影響監視物質」と仮に入れておりますけれども、これがこのまま通るかどうかわからなくて、これがもし通ったら、多分、「指定化学物質」は「健康影響監視物質」になるのではないかと思います。
 それからもう1つ、御意見も出ておりました難分解・高蓄積の物質の管理ボックスを作りますので、これもある意味で灰色といいますか、要注意といいますか、そういうものになります。このあたりの名称の付け方は、私どもの方で請け負えない部分があります。ただ、「指定化学物質」という名称も連動して見直しの対象にはなるだろうということだけは申し上げておきます。こういったいろいろな御指摘もありますということについては、法制局には伝えたいと思いますが、最終的には法制的な問題ということで御容赦いただく部分もあるということで御理解いただければと思います。

【西原委員】 リスクコミュニケーションということを考えても、わかりやすい名称にしてほしいということです。

【早水化学物質審査室長】 御指摘の点は考慮したいと思います。特にPRTRとの物質名称の混同という点については考えるべきだと思います。
 もう1つの1~10トンの枠の物質ですが、これもまだよくわかりませんが、特にこのグループという名称はないかもしれません。このあたりも法律の中でどういうふうに位置付けるかによって、名称を付ける必要があれば出てきますし、特段なければ、今も、例えば「少量新規物質」といっておりますが、あれは法律上の名称があるわけではございませんので、そういった通称というものも出てくるかと思いますが、1~10トンの枠の物質の名称についても、どうなるかわからない部分があるということで御容赦いただければと存じます。

【及川化学物質管理課長】 先ほどの吉岡委員からの御指摘について、多分こういうような答えがあり得るのではないかと思うんです。それは、その他の10の213~215のところの回答の部分でございましたけれども、1つは、総量規制ということとの関係では、現在、例えば第二種特定化学物質については、環境中での残留状況が、ある限度を超えないように、必要な場合には製造・輸入数量の削減命令を出すという制度になっておりますので、これは全国ベースでは総量の規制をする制度ということが一つ一つの化学物質については言えると思います。ただ、一方で、複数の物質が作用するような複合汚染的な状況に関しましては、今現在、法律の中で取り扱う制度にはなっておりませんで、この点については、とりまとめの本文の中でも、今後の研究課題ということで位置付けられておりますので、複合汚染についてはそのような御説明になろうかと思いますが、そういう点を回答として含めたものに整理させていただくということはあり得ると思いますので、そういうことで引き続き3人の委員長と御相談いたしました上で、回答内容を訂正するかどうかを検討するということにさせていただきたいと思います。

【中杉委員】 余計なことかもしれませんが、西原委員の今の言葉の使い方、用語ですが、これは他の法律にもたくさんあるのですが、一言だけ申し上げておきます。そもそも「化学物質」という言葉自体が、PRTR法と化審法で全く違いますから、そこから議論を始めなきゃいけないことになります。多分、そういうものの対応を整理した、わかりやすい図みたいなものを国の方で作っていただくのがいいのだろう。そういうことで対応して、リスクコミュニケーションの場でそれを使ってもらうような工夫をしてもらった方がよろしいのではないかと思います。

【鈴木委員長】 中杉版でできませんか。
 若林委員、どうぞ。

【若林委員】 どこに書いてあったのか忘れてしまったのですが、例えば農薬とか薬については他の法律でということがあったと思います。今までの日本の化学物質管理の体系というのは、人の健康ということでやっていますので、現在、農薬については、生態影響を入れるということの検討がされているようですが、それをきちっとやってほしいということと、薬などについても、最近、諸外国では人間が使用した薬の排水による生態系への影響とかいうことが指摘されておりますので、その点についても留意してほしい。意見ということで結構なんですが。それから、毒劇物の法律についてももちろん今のところは人の健康だけでできていますので、全体を化学物質管理の中で、これを機会に見直す必要があるかと考えています。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。

【早水化学物質審査室長】 今のお答えですが、最後の毒劇法は事前審査の法律ではございませんので、「特定毒物」だけはきちっと管理されるということで化審法から外れておりますが、他の毒物・劇物は化審法の観点では審査されます。また、その他の適用除外について、今回、生態毒性を入れることによって適用除外をどういうふうにするかということについては、これは法制的な問題になりますので、法律を作るときに必然的に個々に見ていくということになると思います。

【鈴木委員長】 須藤委員、どうぞ。

【須藤委員】 質問ということではございませんで、先ほどの「指定化学物質」という名称の件で委員がおっしゃっておられた件です。実は私は中環審の農薬の専門委員会のお世話をさせていただいておりまして、「特定農薬」について審議をしております。法文として特定農薬というところは変えられないのですが、要するにわかりやすくという意味で、一般的な通称というものを作ろうということで、これは最終的にどうなるかわかりませんが、「特定資材」だったか、要するに「特定農薬」といったら、ものすごく強い毒性があるというふうにとれるのですね。いろいろ審議したのですが、先ほどのアイガモとかコイとか、そんなのが本当に農薬なんですか、ということになるので、何か通称を使うのがいいのでは、ということになっています。実際にここですと、先ほどのリスクコミュニケーションなどがあるわけですから、そういう中では通称でできるだけ使っていかないとわかりやすくならないということがありました。今日農業資材審議会がありますから、多分そこで決まると思いますけれども、農薬専門委員会としてはそういう結論を出したということだけ参考までにお伝えいたします。

【鈴木委員長】 ありがとうございます。
 中西委員、どうぞ。

【中西委員】 総量規制の話ですが、総量規制というのが直ちに望ましいと言うことは非常に難しいと思います。その第1は、ここで言われている「総量規制」という意味がみんなそれぞればらばらで、化学物質の製造・販売量自体を規制した方がいいというふうに考えている人や、あるいは複合作用があるので、それの毒性の総量、これは足し算という意味だと思うのですが、シナジェティックということだけを必ずしも言っているとは思わないのですが、そういう意味も含めていて、非常に難しい。化学物質の毒性自体を考えても、例えば細菌によるリスクとか微生物によるリスクというのを防がなくていいのであれば、もちろん化学物質をどんどん減らしていくことができるわけですが、一方でそういうものの防除のために化学物質を使わなければいけないとか、あるいは自然資源を節約するために使わなければいけないということを考えますと、非常に難しいと考えます。そういう意味でここで余り踏み込んだ回答をしない方がいいと私は考えます。

【鈴木委員長】 踏み込んだというのは、どういうことになるわけですか。

【中西委員】 総量規制的なことをどこかで考えるべきだというようなことを余り早急に言わない方がいいと。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。よくわかりました。
 ほかにございませんか。

【宮本委員】 総量規制というのは、言葉としては皆さんの賛同を非常に得られやすい言葉なんですね。そうだ、そうだということになるのですが、実際は、中西先生がおっしゃったのと私はちょっと観点が違うのですが、総量規制をやるというのは、環境に及ぼす影響だとか、毒性だとか、そういうことでもってひとくくりできるという前提があって初めて成り立つ話なんですね。ところが、その前提はいつも成り立つかというと、成り立つ場合もあるでしょうけれども、御案内のとおり、成り立たない場合も結構あるわけですね。ですから、そう迂闊に総量規制といってしまうと、話が非常にややこしくなって収拾がつかなくなる。もしどうしても総量規制をやりたい、あるいはやらないといけないという理由が明確であれば、それは別ですが、一般論として総量規制云々という議論は、少なくとも社会的に非常にニーズがある場合ならともかく、総量規制がいいよというだけでもって総量規制に踏み込むというのは、かなり問題がこれから起こってくると思います。
 1つの例は、アメリカでは実際にどうするか知らないのですが、御案内のとおり、殺虫剤で有機リン系の化合物というのはいくつもありまして、これはまさに作用機構としてはコリンエステラーゼの阻害ということなので、これを総量規制しようということで、リスクキャップとかいって、Aという化合物でこれだけ毒性があるでしょう、リスクがあるでしょう、Bあるでしょう、Cあるでしょう、Dでいっぱいよと、こういうことでやっていこうという動きが数年前からあるわけですが、これもちょっと考えたら、非常におかしい話になるんです。理由は余り詳しく申し上げませんが、少なくとも科学的には全く受け入れられない議論と私どもは考えておりました。そういったことを考えますと、そう簡単に総量規制というのを言わない方がいい。同じような作用機構で、同じようなところで発生して、どうしてもトータルで見ていかないといけないということがあれば別ですが、総量規制の議論をここへ持ち出すことについては、かなりいろいろ問題があると私は思いますが、いかがでしょうか。

【鈴木委員長】 議論を事務局側が持ち出したわけではございませんで、パブリックコメントをいただいた中にあったわけでございますので、そこのところは御承知おきください。

【南川環境保健部長】 総量規制の議論は、これまでも化学物質について言いますと、先ほど経済産業省からお答えがございましたように、第二種特定化学物質について一部生産量の規制があるわけでございますけれども、それ以外で言いますと、例えば大気汚染防止法などで硫黄酸化物とか窒素酸化物についてやっている例はあるわけでございます。ただし、これも実際に各地域ごとの個別の排出口からの規制をやった後で、それでも不足する場合に、硫黄酸化物は硫黄酸化物、窒素酸化物は窒素酸化物と各々分けてやっているわけでございます。そういった健康影響が非常に心配された場合でも複合影響ということについてはなかなか解明が難しいということで、そこまでも至っておりません。したがって、化学物質のそういう複合影響を含めたことについては、それ以前に解明すべき点が多々あるということで、かなり距離が遠いという実感は持っております。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。
 ほかにございませんか。

【中杉委員】 総量規制について議論が出たので、ついでに申し上げます。総量規制というのは、同床異夢的なところが多々あると思うのですが、一つの御意見にあるのかなと思うのは、化学物質の全体の量を減らそうという、総量を規制しようというお考えなのかなと思うのです。その考え方は、逆に言うと非常に危険で、先ほどの化学物質の定義をどうするかにもよるのですが、例えば大量に使用している無害なものを減らせば総量は減るわけで、その下で有害のものをたくさんつくっても総量規制になるわけですね。この考え方というのは、どういう御趣旨で言われているのかわからないのですが、今、両委員の言われたように、これは具体的に何も答えない方がよろしいのではないか。よっぽど検討しないと、いろいろな意味で問題が多いだろうと思います。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。
 今の問題に関して何かおっしゃりたいことがおありの方はいらっしゃいますか。
 特になければ、ある種の意見の方向性はまとまっていると思います。
 ほかにございませんでしょうか。(発言なし)
 それでは、まだ御意見があるかもしれませんが、今日いただいた御議論を3委員長に預けていただき、細かい文言のところで訂正を加えるということはお認めいただいたものとして、事務局案のパブリックコメントに対する考え方・対応について御了承をいただいたということにしてよろしゅうございましょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕

【鈴木委員長】 ありがとうございました。
 この報告についても同じ取扱いでよろしゅうございますね。(意見なし)
 では、今後のこの報告の扱い方について、事務局からお願いします。

【石野企画課長】 ありがとうございました。
 本日おとりまとめいただきました報告につきましては、各審議会それぞれの手順がございます。厚生科学審議会は2月7日に化学物質制度改正検討部会に、産業構造審議会は2月19日に化学・バイオ部会に、中央環境審議会は2月13日に環境保健部会にそれぞれ報告される予定でございます。中央環境審議会につきましては、本件について諮問がなされておりますので、当日、環境大臣への答申としておとりまとめいただくという手順になります。
 なお、本日とりまとめていただきました報告と考え方・対応につきましては、若干の修正後、速やかに公表させていただきたいと思います。
 以上でございます。

【鈴木委員長】 ただ今の事務局の説明に何か御質問ございますか。
 特にございませんか。
 ありがとうございました。
 それでは、その他の議題について何かございますか。

【石野企画課長】 特にございません。

【鈴木委員長】 それでは、本日の合同の委員会はこれにて終了させていただきます。
 最後に事務局から御挨拶をいただきます。

【仁坂製造産業局次長】 大変お忙しい中、こうやって3小委員会の皆様にお集まりいただきましてありがとうございました。比較的短時間ではございましたけれども、精力的に大変専門的かつ有意義な御審議をいただきまして、新たな化学物質の審査・規制制度についての報告をとりまとめていただきました。鈴木委員長、池田委員長、首藤委員長をはじめ委員の皆様に深く敬意を表するとともに、御礼申し上げたいと思います。
 今回の報告は、実は私どもずうっと懸案で考えていたことでございます。3省でよく議論いたしまして、パブリックコメントにもありましたように、勝手なことをそれぞれが言い合うというのはみっともないものですから、結構激しい議論もいたしましたが、議論を集約してまいりまして、これがやっぱりいいなというようなことを我々も考え、それで皆様にもお諮りし、御議論をしていただいたつもりでございます。それから、こうやって3小委員会合同でずっと審議していただきまして、そういう意味でもすべての英知がここに入っているのではないかと思います。1つの審議会で御答申いただいた、あるいは御審議いただいた以上のものがこの報告書にはあると思っております。
 かくなる上は、今度は行政府の出番でありまして、また3省で精力的にこの報告書を忠実に法案に直して、できるだけ早く国会に提出して、成立をお願いするように努力したいと思っております。
 本日は本当にありがとうございました。

【鶴田大臣官房審議官】 厚生労働省の審議官の鶴田でございます。本日は報告書をとりまとめていただきまして誠にありがとうございます。
 今後は、人の健康ばかりではなくして、環境中の生物と両方の観点から化学物質の安全対策、環境の保持の推進ということで目的を達成していきたいと考えておりまして、この改正法が成立しますよう、また、既存化学物質のリスク評価の推進とか各種研究、これらにつきましても、3省が協力して全力を尽くしてまいりたいと考えております。今後とも3委員会の委員の皆様方の御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 私からのお礼の言葉を申し上げまして、感謝の意を表したいと思います。どうもありがとうございました。

【南川環境保健部長】 最後に環境省の南川でございます。
 今回の改正に際しましては、3省が共同で作業し、また、こうして3審議会で合同して御検討いただきました。大変意義が大きいと考えております。これを機に、こういった法改正の問題だけでなく、化審法自身の日常的な運用につきましても、ぜひ同様に対応していくことが望ましいと考えておりまして、その方向で今後の運用を検討していきたいと考えております。先生方には引き続きよろしく御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。

【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。

--了--