中央環境審議会環境保健部会 化学物質評価専門委員会(第30回)議事録
1.日時
令和6年12月20日(金) 16:00~18:00
2.議事
午後4時00分 開会
○市村室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会環境保健部会第30回化学物質評価専門委員会を開催いたします。
本日進行を務めさせていただきます、環境リスク評価室長の市村です。本年4月1日付で環境リスク室長として着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、先生方におかれましては、お忙しいところご出席いただきありがとうございます。現時点で、16名の委員が出席されております。
なお、平成26年度までに当委員会の委員でおられました中杉先生には、今年度も引き続き、参考人としてご出席をいただいております。
また、今年度より環境リスク評価委員会曝露評価分科会で座長を務められております大野先生に、オブザーバーとしてご出席をいただいております。
そして、今年度から当委員会における新たな委員として、石塚先生、小池先生、野原先生にご参加いただいております。
先生方から一言ご挨拶いただいてもよろしいでしょうか。
まず石塚先生、お願いいたします。
○石塚臨時委員 はい。北海道大学大学院獣医学研究院の石塚と申します。
専門が獣医と、それから毒性学になります。どうぞよろしくお願いいたします。
○市村室長 石塚先生、ありがとうございました。
続きまして、小池先生、お願いできますでしょうか。
○小池臨時委員 はい。国立環境研究所の小池と申します。
私の専門は免疫毒性でして、化学物質の健康影響について実験的な観点からの研究を行っております。本年度よりよろしくお願いいたします。
○市村室長 はい、小池先生、ありがとうございました。
続きまして、野原先生、お願いいたします。
○野原専門委員 はい。国立環境研究所の客員研究員、野原です。どうぞよろしくお願いいたします。
私は動物実験や細胞の実験で、環境化学物質の健康影響について研究をしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○市村室長 野原先生、ありがとうございました。
先生方、今後ともよろしくお願いいたします。
本日は、昨年度までと同様、Web会議との併用で開催とさせていただいております。また、当委員会は運営方針に基づき公開とさせていただいております。なので、本日はYouTubeを用いてライブ配信を行っております。
Web会議及びYouTubeライブ配信に当たっての注意事項をご説明させていただきたいと思います。
事務局、お願いいたします。
○川原室長補佐 注意事項についてご説明をさしあげます。
本委員会はYouTubeライブ配信で公開してございます。
Web会議の開催に当たりまして、以下のご協力をお願いいたします。
まず一つ目ですけれども、ご自身の発言以外のときはマイクをミュートにしてください。
二つ目ですが、ご発言に当たっては、最初にお名前をおっしゃっていただければと思います。
三つ目、お聞きになっている音声が途切れがちの場合は、ビデオをオフにすることをお試しください。回線の負担が軽くなり、音声の途切れが解消される場合がございます。なお、事務局はビデオを常時オフにしていただく予定でございます。
それから、審議に当たりましては、お手元の資料をご覧ください。資料の画面共有は行ってございません。
音声が全く聞こえない場合は一度ご退出いただき、再度ご参加いただくことをお試しください。
お困りの場合は、Webexのチャット機能でお知らせいただくか、環境リスク評価室までお電話いただければと思います。
また、速記記録作成のため、本会議は録音させていただいてございます。
以上でございます。
○市村室長 それでは開会に当たりまして、環境保健部長の前田より一言ご挨拶を申し上げます。
○前田部長 環境保健部長の前田でございます。今年7月から環境保健部の業務を担当してございます。
本日は年末の大変お忙しい中、化学物質評価専門委員会にご出席賜りまして、誠にありがとうございます。
また、委員の皆様には、日頃から環境保健行政の推進に格別のご理解、ご協力をいただいているところであり、この場をお借りしまして、厚く御礼を申し上げます。
さて、環境省では、化学物質が環境を経由して人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性を環境リスクとして捉え、その化学的な評価とリスク低減のための取組を実施しているところでございます。その一環として、本専門委員会のご助言をいただきながら、化学物質環境実態調査及び化学物質の環境リスク初期評価を実施してきたところであり、いずれも化学物質管理施策の基盤的な事業として位置づけられております。
これらの調査結果は重要な基礎資料として、化学物質審査規制法や化学物質排出把握管理促進法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法などの化学物質管理施策へ活用をしてございます。
今後も最新の知見や技術等を反映しながら適切に実施していく必要があり、委員の皆様には引き続きのご助言をお願いいたします。
本年も本日の専門委員会を迎えるまでに多くの方々にご協力をいただく中で、様々な検討会等での議論を重ね、報告書案などの作成を進めてきたところでございます。本日、最終的なご評価をいただきました後、速やかに結果の公表を行いたいと考えております。
委員の皆様には限られた時間でございますが、忌憚のないご意見をいただきますようお願いいたしまして、簡単ではございますが、冒頭の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○市村室長 ありがとうございました。
続いて事務局メンバーが人事異動により交代しておりますので、紹介させていただきます。
また、4月1日付で化学物質安全課保健専門官として西川が着任いたしました。
○西川専門官 よろしくお願いいたします。西川でございます。
○市村室長 続いて、お手元には事前に送付させていただきました本日の資料の確認をさせていただきます。
○川原室長補佐 失礼いたしました。資料の確認を行います。
配付資料につきましては、資料の1、こちらが中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会の委員名簿でございます。それから資料2-1、令和5年度化学物質環境実態調査結果(概要)。それから資料2-2につきましては、令和5年度化学物質環境実態調査結果報告書(案)。それから資料の2-3、こちらは令和6年度化学物質環境実態調査の進捗状況。資料2-4、令和7年度化学物質環境実態調査の実施方針(案)。それから資料2-5、令和4年度化学物質環境実態調査結果の活用状況。それから資料3-1ですけれども、環境リスク初期評価の進捗状況。資料3-2、化学物質の環境リスク初期評価(第23次取りまとめ)の結果の概要(案)。資料3-3、化学物質の環境リスク初期評価(第23次取りまとめ)の結果(案)。それから参考資料といたしまして、POPs検討委員会第20回会合(POPRC20)の結果概要となってございます。
資料に不備等がございましたら、大変恐縮ではございますが、別途メールにて配信させていただいておりますWebサイトの資料をご覧ください。
○市村室長 それでは議事に入らせていただきます。
白石委員長、よろしくお願いいたします。
○白石委員長 白石です。ご指名ですので、議事の進行を務めさせていただきます。
早速ですが、最初の議題に入ります。議題の1番目、化学物質環境実態調査の結果、進捗状況等についてです。
令和5年度の化学物質環境実態調査、いわゆる黒本調査の昨年度の結果と令和6年度調査の進捗状況等につきまして報告があるとのことですので、資料2-1から2-5に基づきまして、事務局より説明をお願いします。
○西川専門官 ありがとうございます。
こちら化学物質安全課の西川よりご説明させていただきます。
それでは資料にのっとって、化学物質環境実態調査のご説明をさせていただきます。
まず資料2-1をご参照ください。
化学物質環境実態調査では、実際に試料の採取分析を行い、調査を行ったその翌年度の1年間をかけまして、調査結果の精査、解析等を行いまして、この本委員会においてご報告させていただくという形で進めさせていただいております。このため、今年度は、令和5年度の調査結果についてのご報告となります。
資料2-2が詳細な内容を含んだ調査結果報告書で、タイトルは「化学物質と環境」という名前で公表しているものでございまして、いわゆる黒本と呼ばれているものの原稿案でございます。こちらの資料は500ページ超と非常にボリュームが多いものとなっておりますので、本日は概要として取りまとめております資料2-1に基づいて、主にご説明させていただければと存じております。
では、資料2-1の1ページ目からご説明させていただきます。
こちら資料2-1の1ページ目に経緯がございますが、こちら本調査、化審法の制定時の国会での附帯決議を踏まえまして、昭和49年度から一般環境中における化学物質の残留状況の把握を目的に行っているものでございます。これまでにおよそ50年かけて実施調査を実施してきたところでございます。
調査の内容につきましては、平成14年度以降は、環境省内の化学物質関連の施策を所管している部署から要望がございました物質について調査を行うという体制になっておりまして、また、平成18年度以降、調査目的に応じて、初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の3種類に分けて実施してきております。
続きまして、2、調査の進め方でございます。
まず初期環境調査につきましては、一般環境中の高濃度が予測される地域での調査を行い、残留の有無が主に検討される化管法の指定化学物質の指定プロセスなどの施策で活用される基礎資料として調査を行っております。調査対象物質の選定においては、令和4年度、2022年度に開催された本委員会におきまして評価等を得て選定されているものでございます。
ページをおめくりいただきまして、2ページ目冒頭のページをご確認ください。
こちらは初期環境調査の調査物質数を記載しておりまして、令和5年度(2023年度)は14物質(群)が調査対象となって調査を実施しております。
次に、イの詳細環境調査でございます。こちらにつきましては、全国的なばく露状況を検討する必要がある化審法の優先評価化学物質のリスク評価などで活用することを目的として行っている調査でございまして、2023年度につきましては5物質(群)を対象に実施しております。
最後のウのモニタリング調査でございますが、こちら化審法で特定化学物質と指定されたものやストックホルム条約の対象物質につきまして、一般環境中での残留状況の経年変化を把握するという目的で実施しております。2023年度においては、POPs条約対象物質の中から総PCB等の11物質(群)、これを調査対象として実施しております。
こちら、次の3の調査結果として、調査結果の概要を記載しております。、後ろのほうに別表として、物質ごとの検出状況をまとめておりますので、そちらに基づいてご説明させていただければと思います。
5ページ目をお開きいただきまして、別表の1、初期環境調査における検出状況という表がございます。こちらに基づきましてご説明させていただきますが、初期環境調査で実施した14物質(群)の結果の表となっておりまして、左から物質の調査番号、物質名、調査を行った媒体、実施年度、検出頻度、検体と地点それぞれでまとめたものと、検出範囲、検出下限値という順番で記載しております。
また、物質名につきましては、別名を有するものについては括弧書きで併記する形とさせていただいております。
表の中で太字で示している結果、こちらが昨年度、つまり今回ご報告させていただく最新の調査の結果でございまして、それ以外に、過去に調査した実績があるものにつきましては、太字ではない実施年度のところで併せて記載させていただいております。
昨年度(2023年度)の調査のみとなっているものは、昨年度に調査が初めて行われた物質となっております。
また、注釈にございますけれども、物質名の後ろに※がつけられておりますものは、PRTRなどの排出の情報を踏まえて調査地点を選定させていただいたものとなっております。
それでは、各物質に基づいてご説明させていただきます。
まずは資料別表の1の[1]、物質調査番号の[1]のエストラジオール類でございます。
こちらは4物質含まれている物質(群)でございまして、17β-エストラジオールは31地点中18地点で検出、[1-2]の1,3,5(10)エストラトリエン-3-オール-17-オン(別名:エストロン)でございますけれども、こちらは31地点全てで検出されております。
また、[1-3]17α-エチニルエストラジオールは27地点で3地点、[1-4]16α-ヒドロキシエストラジオール(別名:エストリオール)は30点中16地点で検出されております。
[2]2,4-キシレノールでございます。こちらは水質、底質、大気の3種類の媒体で調査しておりまして、水質においては36地点中34地点が検出されました。また、底質におきましては、こちら26地点全ての地点で検出されております。また、大気においては14地点全てで検出されております。
[3]p-クロロフェノールでございます。こちらは水質、大気で調査しておりまして、水質においては33地点中30地点で検出されております。一方で大気については、15地点中検出された地点はございませんでした。
[4]酢酸n-プロピルでございます。こちらは水質調査しておりまして、28地点調査地点としておりましたが、こちらにつきましては検出されませんでした。
[5]N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(別名:N,N-ジエチル-m-トルアミド)でございますが、こちらは水質で調査しておりまして、33地点中33地点全てで検出されております。
[6]1-{2-[(2,4-ジクロロベンジル)オキシ]-2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル}-1H-イミダゾール(別名:ミコナゾール)でございますが、こちらにつきまして、30地点中18地点で検出されております。
[7](Z)-2-[4-(1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエチルアミン(別名:タモキシフェン)及びその代謝物の物質(群)でございます。
こちらのうち、[7-1]の(Z)-2-[4-(1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエチルアミン(別名:タモキシフェン)、こちらにつきましては、30点中5地点で検出されました。
[7-2](Z)-2-[4-(1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ]-N-メチルエチルアミン(別名:N-デスメチルタモキシフェン)でございますが、こちらは30地点中2地点が検出されております。
[7-3]4-[(Z)-1-[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]-2-フェニル-1-ブテニル]フェノール(別名:4-ヒドロキシタモキシフェン)でございますが、こちらは30地点中どの地点でも検出されませんでした。
[7-4]4-[(Z)-1-[4-[2-(メチルアミノ)エトキシ]フェニル]-2-フェニル-1-ブテニル]フェノール(別名:4-エンドキシフェン)でございますが、こちらにおいても同様に、30点中検出されませんでした。
ページをおめくりいただきまして、物質調査番号[8]番の2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,3-ビス(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オール(別名:フルコナゾール)でございますが、こちらは30地点中23地点が検出されております。
[9]シプロフロキサシンでございますが、32地点中6地点が検出されております。
[10]のトリクロロ酢酸におきまして、水質で38点中28地点が検出されております。
[11]番、ヘキサメチレンジアミン、こちら水質と大気が調査されておりまして、水質においては30地点中7地点検出されております。大気においては19地点中1地点が検出されております。
[12]ベンゾフェノンでございます。こちらは34地点中17地点が検出されております。
[13]メチルシクロヘキサンでございますが、26地点中1地点で検出されております。
[14]メチル-tert-ブチルエーテルでございますが、31地点中1地点で検出されております。
続きまして、ページを1枚おめくりいただきまして、7ページ、別表2、こちらが詳細環境調査の検出情報の結果でございます。こちらについても同様にご説明いたします。
調査番号[1]エチレングリコールモノメチルエーテル(別名:2-メトキシエタノール)でございますが、こちらは31地点中いずれの地点でも検出はされませんでした。
[2]4,4'-ジアミノ-3,3'-ジクロロジフェニルメタン(別名:3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン又は4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン))でございますが、こちらにおいても、こちらは大気で調査しておりまして、13地点中いずれも検出されませんでした。
[3]4,5-ジクロロ-2-オクチルイソチアゾル-3(2H)-オンでございますが、30地点中2地点で検出されております。
また、[4]、こちらは多環芳香族炭化水素類でございますが、[4-1]のピレン、こちらは水質、底質、大気で調査しておりますが、水質におきましては37地点中26地点が、底質においては32点中全てが、大気においても19地点中19地点全てで検出されております。ただ、大気に限りましては、こちらは参考値となっております。
[4-2]クリセンでございます。こちらにおきましては、水質は37地点中12地点、水質においては32地点中全て、大気においては19地点中18地点で検出されております。
[4-3]ベンゾ[a]アントラセンでございます。こちらは大気で19地点中18地点で検出されております。
[4-4]ベンゾ[b]フルオランテン、[4-5]ベンゾ[j]フルオランテン及び[4-6]ベンゾ[k]フルオランテンの合計値及び、[4-4]から[4-6]のそれぞれのものでございますが、大気で調査をしておりまして、いずれも19地点中18地点で検出されているものでございます。
[4-7]がベンゾ[a]ピレンでございます。こちらは大気、19地点中18点で検出されております。
[4-8]ベンゾ[e]ピレンでございます。こちら19地点中18地点で検出されております。
[4-9]ジベンゾ[a,h]アントラセンですが、こちらは19地点中16点で検出されております。
[4-10]インデノ[1,2,3-c,d]ピレンでございますが、こちら19地点中18地点で検出されております。
ページをおめくりいただきまして、[4-11]ベンゾ[g,h,i]ペリレンでございますが、こちらは水質と底質と大気で調査しておりまして、水質においては37地点中8地点が、底質においては32地点中全てが、大気については19地点中18地点で検出されております。
[4-12]ジベンゾ[a,e]ピレンでございます。こちらは19地点中16地点で検出となっております。
[4-13]ジベンゾ[a,h]ピレンでございます。こちらは6地点中全てで検出されております。
[4-14]ジベンゾ[a,i]ピレンでございます。こちらは6地点中6地点全てで検出されております。
[4-15]ジベンゾ[a,l]ピレンでございます。こちらも6地点中6地点で検出されております。
また、この中でジベンゾ[a,e]ピレン、[a,h]ピレン、[a,l]ピレンにおきましては添加回収試験の結果が妥当であると判断されなかったため、参考値として記載させていただいております。
[5]番、2-tert-ブチルアミノ-4-シクロプロピルアミノ-6-メチルチオ-1,3,5-トリアジン(別名:N'-tert-ブチル-N-シクロプロピル-6-(メチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン)でございます。こちらは水質と底質で調査しておりまして、水質においては35地点中24地点、底質においては26地点中9地点で検出されました。
申し訳ありません。さらに次のページをおめくりいただきまして、9ページの別表3-1からがモニタリング調査における検出状況でございます。
3-1、こちらは水質と底質での結果をまとめている表でございます。
また、さらに次のページをご確認いただきまして、こちらは別表3-2、こちらが生物と大気の調査をしている一覧表でございます。媒体によっては一部不検出というようなものもございますけれども、何かしらの媒体から検出がされているという状況になっております。
モニタリング調査につきましては、毎年度継続して行われておりまして、解析ができる程度、長期にわたって実施している物質につきましては、さらに1ページめくっていただいて、11ページの別表3-3、3-4、3-5のように、経年変化の解析の結果をまとめてございます。
まず11ページの別表3-3をご説明させていただきます。
こちらは水質での解析結果となっております。検査状況などによっては、表の下に記載しておりますような形で、解析の指標をもろもろ変化させる必要がございまして、それに応じて記号のつけ方も変化しておりますけれども、概ね全体的に減少傾向あるいは横ばいという結果が得られております。
別表3-4、こちらは2002年度から2023年度の底質の経年分析結果でございます。こちらにおきましても同様に、全体として減少傾向が見られております。減少傾向あるいは横ばいというようなものが認められております。
また、別表3-5のほうでございます。こちらは大気と生物の結果でございますけれども、こちらについても基本的にいずれも横ばいまたは減少傾向という解析結果となっておりますが、1点、別表3-5の一番下、[21]ヘキサクロロブタ-1,3-ジエン、こちらにおきましては、大気において、一部こちらPOPs条約の附属書A(廃絶)対象に追加された2015年からの推移を見ると増加傾向にあるという形で分析がされました。
一方で、こちら、POPs条約の附属書C(非意図的放出の削減)、こちらに追加された2017年からの推移を見ると横ばいという形でなっております。全体としては、グラフがやや減少の動き方、向きとはなっているところでございます。
12ページ、こちらは結果の精査・解析にご協力いただいた関係の検討会の先生方の名簿を記載させていただいております。
本日、机上のみの配付資料とさせていただいておりますが、各調査の各媒体において、検出の有無を記載した表につきまして、お配りしております。
続きまして、資料2-3のほうのご説明に移らせていただきます。
こちらは令和6年度、今年度の化学物質環境実態調査の進捗状況についての資料でございます。今年度も引き続き、1の調査内容にございますとおり、初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の三つの体制で調査を実施しております。
また、2の精度管理に記載しておりますように、初期環境調査、詳細環境調査では、複数の分析機関が同一の物質を分析する場合がございますので、分析機関の間での測定の差異などが生じている場合は事前に把握して対策を行う必要があることから、共通の標準物質を使用することや、ラウンドロビン・テストの実施、有識者の立入調査などといった精度管理について実施しております。
また、モニタリング調査についても同様に、基本的に単一での分析機関でございますけれども、国立環境研究所のほうの有識者によって立入調査を実施するという形で調査を行っております。
2ページ目の表1が初期環境調査の調査対象物質でございまして、こちらにお示ししております10物質(群)について調査を実施しております。表の中で◎となっているものが、今年度初めて調査を実施する媒体における物質でございます。それ以外に、単に○となっているものにつきましては、過去にも調査を行った実績がある物質でございます。また、これらの調査対象物質の要望施策については、一番右の欄に記載させていただいております。
3ページの表2が詳細環境調査での対象物質でございまして、今年度は記載の3物質(群)でございますね、を調査実施しております。
表3、こちらは令和6年度、今年度のモニタリング調査の対象物質でございまして、条約の対象となっている11物質(群)での調査を実施しているところでございます。
続きまして、資料2-4でございます。
こちらは令和7年度、来年度の調査に向けての実施方針(案)でございます。
3ページ目をご確認ください。こちらは別添の表でございますが、今年度分析法開発を行っている物質を記載しております。
化学物質環境実態調査では関係部署からの要望に基づいて調査を実施しているところでございますけれども、環境中での分析法がないというものも物質によってはありまして、そういったものに関しては、この調査の中で分析法の開発を行った上で実際の測定に進むことになります。
そのため、この別添1で開発を行っている物質のうち、今年度開発がうまくいったものについて、来年度の調査に進むものになります。
また、5ページ目、別添2でございますが、こちらについては、要望があった物質のうち過去の調査の中で分析法の開発が行われたことがある物質でございます。これらは来年度以降すぐに調査に移れるというものでございますので、別添2として取りまとめさせていただいております。
7ページ目、こちらは別添3でございますが、こちらは今年度までにまだ分析法の開発に着手できていない要望がある物質でございまして、これらについては分析を開発した上で、将来的に令和7年度以降に調査をする可能性があるものとして参考として記載させていただいております。
個々の物質については説明省略させていただきますが、別添1につきまして、令和6年度実施中のもので27物質(群)について開発対象となっております。
また、5ページ目以降の別添2が既存の物質あるものとして、13物質(群)について来年度以降調査の可能性がある状況となっております。
また、別添3、今後調査対象になりうるというもので、参考として記載しております13物質(群)がございます。
資料の2-5に進めさせていただきます。
こちらは令和4年度の調査結果の活用状況でございます。昨年度、本委員会で評価をいただいた上で、令和5年度版の「化学物質と環境」として公表しました調査結果につきまして、要望部署のほうにアンケートを取らせていただきまして、調査結果の活用状況をまとめたものでございます。
2ページ目の別表1が令和4年度の初期環境調査の結果の概要と要望施策での活用状況を取りまとめさせていただいたものでございます。
また、4ページ目、こちらは別表2、こちらは令和4年度の詳細環境についての活用状況の結果となっております。こちら個別物質の説明につきましては割愛させていただきます。
以上、化学物質環境実態調査関係の資料につきまして、一通りご説明させていただきました。駆け足で恐縮でございます。
○白石委員長 はい、どうもありがとうございました。
この結果の取りまとめに当たっては、専門家から構成される検討会にて別途精査や解析等をしていただいているとのことです。本委員会において評価等に入る前に、それぞれの実務者会議で座長を務めています私と中杉参考人、柴田委員より補足説明を伺いたいと思います。
まず私から補足説明したいと思いますが、化学物質環境実態調査結果精査検討会と、モニタリング調査の結果に関する解析検討会の座長をしておりますので、初任の方もおられるので、少し分かりやすく説明したいと思いますが、化学物質環境実態調査結果精査検討会というものがございます。精査検討会というのは個別のデータを見まして、報告書を見まして、そのおのおののデータについて、その精度管理が十分であるかどうかというのを確認していくという手順です。ですから、ここにあるデータ全てについては、ここに一番後ろに専門家の名簿がございますけれども、一通り専門家の目が通っているということでございます。
6月ですかね。6月から3回ほど会議を開きまして、その後、決まらないところもあるので、問合せをしながらメールベースで行った結果がこれでございます。
ここで一応ご説明しておかなきゃいけないと思いますのは、7ページ目ですかね。そのような形で精査していくんですけれども、具体的にいろいろ問題が起こります。一番問題があったのが、この7ページ目の[4]番ですね。PAHです。これは様々な問題がございまして、三つ挙げますと、まず分析法自体において、若干特殊な方法を使っているということ。それから、そもそも分析法が大分苦労されてつくっているんですが、大気の捕集方法は大分苦労されてつくられているんですけど、そうしてすらも回収率がままならないということで、参考値として分析法ができております。ここに参考値というふうに書いてあるのはそのことでございます。分析法自体が参考値であるということでございます。
さらに問題がありましてですね、測定機関の測定精度がかなり悪いんじゃないかという意見がありまして、ばらばらであったということでこの点を検討してあります。
一つは分析法に由来するところがあって、それを精査した結果、ちょっと専門的になり過ぎますけど、サロゲート同位体希釈したものとして定量し直すという操作を加えております。だから分析法が若干異なっておりますので、この点に関しては、分析法のほうに指摘をして、多分、国環研のホームページに分析法が載ると思いますけど、そこに指摘が載るというふうに思っております。
もう一つ問題があってですね、試料の保存性に問題があったということで、これに限らないんですけど、全てにおいてそういった精査をしているんですけど、ここにおいてもございまして、例として挙げますと、大気で、ピレンが19/19となってございます。ほかをずっと見ていただくとみんな19分の何個とかいう数字になっているんですけれども、ちょっと最後のほうに行っていただくとですね、次のページ、6/6とかいうものがございます。これはほかの地点が欠測になったということです。それは保存性に問題があったというふうな精査を行っているということです。
ですので、最終的に出てくる結果は、先ほど一番初めに申したとおり、そういった精査を加えた上で出てきているデータであるということでございます。
それから、モニタリング検討、モニタリング何でしたっけ、すみません、の検討会のほうなんですけれども、これは統計解析をするということで、11ページ目を見ていただくと分かりますが、いろんな矢印がございます。この矢印はそれぞれ別の統計手法を使っているために矢印で区別をされているということで、全部減少傾向か横ばいかということであります。この解析法 については黒本に、特殊な場合にはメソッドを載せてありますので、それを参照していただければよろしいと思います。
1点だけ補足しますと、[21]番ですね。ヘキサクロロブタ-1,3-ジエン、これは今年度初めて上昇傾向だというのを示させていただきますが、前年度から上がっているということは委員の間では指摘されておりました。その辺についてですね、この統計解析上、今使っている統計解析上 だと横ばいという結果しか出なくてですね、今回初めて、その方法で上昇傾向と出たんですけれども、もっと早い段階から何か解析はできないのかと、解析方法を少し工夫が必要ではないかという議論になっていて、その検討を次年度以降やろうかなというところでございます。
私からの補足は以上でございます。
では続いて、初期環境調査及び詳細関係調査の結果に関する改正検討会の座長を務められた中杉参考人よりご発言をお願いします。
○中杉参考人 はい。白石先生の検討会のほうで中身をチェックしていただいて、データ自体をチェックしていただいて、それを出していただいたのを基に、どういう評価すると。主に過年度の調査と比べて、比べられる場合はですね、比べて、現状で減っているのか、増えているのか、判断ができるかどうかというのが一つの点。それからもう一つは、排出源との対応を少し見ていこうということをここ数年やっていまして、どういうところから出てくるのかということをを、そういう観点から調査場所を選んでいただいて、ということで、その結果を少し見て、簡単にご説明したいと思います。
過年度からの調査の比較ですけど、1物質、環境調査の[14]番のメチル-tert-ブチルエーテルです。これがガソリンのオクタン価を向上するために使われている材なんですけど、これはガソリンの性能向上の観点から使われなくなってきて、使用量が減っているということは分かっているんですが、環境の測定データから見ても、濃度が下がっているということが言えるという判断をしました。結果として、今回の中では過年度調査でそういう判断ができたのは、この物質だけです。変わらないものは変わらないと書いてあります。
ただ、そのほかに、[3]番のp-クロロフェノールと[11]番のヘキサメチレンジアミン、これは水質のほうが中心ですけれども、これらについては、ちょっと今回の調査の結果はしっかり分析方法とチェックできるんですが、過去のデータを十分チェックし切れないので、少し信頼性に問題があるということで、過去の調査結果との比較はしないということにしました。これは実際には数値を見ていただくと大きく変わっているんですけれども、これはそういう理由で比較をしていないということでございます。
それから排出源のほうですけれども、排出源のほうは二つあって、今回は医薬品等、それからホルモン関係の物質が多かったものですから、それらの関係については、予想どおり下水処理場の影響を強く受けるということが見えています。各種の下水処理場に関わるデータで濃度が高くなるという傾向が見られます。
具体的にいきますと、[1-1]、[1-2]、[1-3]、初期調査の[1-1]、[1-2]、[1-3]ですね。それから[6]、[7-1]、[7-2]、[8]番、[9]番の物質がそんな感じです。それから[12]番のベンゾフェノンも、必ずしも医薬品関係というわけではないんですが、紫外線吸収剤などとかとして使われているものについて、下水処理場からたくさん出てくるというふうな結果が出ております。
それから、PRTR届出事業所のデータから見て、そこから出されているものを見てみました。それらについては初期環境調査[2]番の2,4-キシレノール、[3]番のp-クロロフェノール、[11]番のヘキサメチレンジアミン、これら3物質が排出源のところで、PRTRの結果から見て一定程度と排出されているというところで高い濃度が出ているということがございます。
特に[11]番のヘキサメチレンジアミンは、宮崎県で高い地点があったんですけど、これはほかの地点と比べても特に飛び抜けて高い濃度が出ています。少しここは注意をして評価をしていかなきゃいけないのではないかというふうに考えております。
以上でございまして、そのほか各部署について、部署からの要求の結果と比較してというのはここの責務ではありませんけど、一応評価をしていますので、それは各部署に回答を返すときに事務局のほうからはお伝えするような形にしたいと思います。
以上でございます。
○白石委員長 はい、ありがとうございました。
では続いて、POPsモニタリング検討会の柴田委員よりご発言をお願いします。
○柴田専門委員 はい。ご報告いたします。
POPsモニタリング検討会のほうは、昨年度につきましては、まず例年どおりですけれども、分科会のほうでデータを確認するという作業を、専門家の先生方と一緒に個別にデータを見ながら精度管理を確認していくという操作を行っております。
それから視察のほうですけれども、こちらのほう昨年度は、ちょっとこのデータではきちんとまとめられていませんけれども、高頻度モニタリングと言っております、沖縄の辺戸岬と、それから福江島のほうで行われている大気の高頻度測定の中の、その沖縄のほうの視察を行うとともに、実際のデータ測定結果に関しては、実際の分析機関のほうを訪問して、データの確認を行うという作業を行っております。
基本的には例年どおりということで、特段大きな問題はないかなというふうに思っておりますけれども、先ほど白石先生のほうからもご指摘をいただきましたヘキサクロロブタジエン、上昇傾向が認められたと、経年変化の過程で上昇傾向が認められているというものですけれども、これも以前からPOPsモニタリング検討会のほうでも、2015年・2016年は低かったのが2017年以降、これはちょうど条約のヘキサクロロブタジエンに関する非意図的な製造が条約で禁止をされた年になりますけれども、それ以降、急激に大気中濃度が上がっていくような傾向が見えていて、毎年気にはしておりました。
結論として、先ほど白石先生のほうからも議論ありましたように、どうもその2017年以降上がって、がたがたしながら、下がっているとはどうも言えないような状況にあるようだというような結果になっていて、これについては、なぜ2017年以降上がってきたのかというのは、非常に分科会及びPOPsモニタリング検討会のほうでも毎年議論をされている内容ではあります。ただ、正直なところ、まだちょっと背景についてはよく分からないというところがあります。
それからもう一つ、POPsに関しては、特に近年加わってきました塩素化パラフィン類ですね。短鎖 塩素化パラフィンが入ってきて、それから中鎖塩素化パラフィンも今後入ってくるだろうということで、その辺りの分析法が、実はかなり大きな問題であり続けております。
塩素化パラフィンというのは、非常に膨大な異性体を含むような混合物として存在していて、個別の異性体の分析ではとても間に合わないということで、今のところ、むしろ同族体(ホモログ) ごとに測定をしていく、同族体毎にピークの総面積を標準と比較して定量していくような方法を取っておりますけれども、現在の方法が果たして正しいのか、LC-MSを使った方法、GC-MSを使った方法、幾つかの方法が報告をされていますけれども、その辺りの精度管理を含めて、これまでいろいろな先生方の議論を行ってきておりました。
特に産総研のほうで標準物質を作っていただいて、それをまた分析機関のほうに測定をしていただいて比較をするといったようなこともやってきていて、基本的なところについては大体お互いにきちんと比較ができるようなデータが取れているんだろうということが確認できるような状況になってきております。
今後の、中鎖塩素化パラフィンについてもその辺りをきちんと詰めていかなければいけないところですけれども、いずれにしても非常に膨大な異性体の混合物ですので、個別の異性体ごとの濃度が非常に低いということもあって、量的に結構高い濃度で存在をしているんですけれども、検出下限もなかなか下げることができずに、毎年ちょっと苦しんでいるような状況というものは現在も続いているような状態です。
モニタリング検討会からは以上です。
○白石委員長 はい、ありがとうございました。
各検討会の座長さんから補足説明いただきました。どうもありがとうございます。では、ただいまの補足説明も踏まえた上で、資料及び説明内容に対してご質問、ご意見等がありましたらお願いいたします。
いかがでしょうか。
はい。野原委員、お願いします。
○野原専門委員 どうもありがとうございました。野原です。
ちょっと教えていただきたいんですけれども、先ほど中杉先生から、排出源についてエストラジオールの系統は下水処理場が原因であるということをお聞きしたんですけれども、それは人が排出することが原因ということでよろしいんでしょうか。
○白石委員長 中杉委員、お願いします。
○中杉参考人 当然人由来もありますけれども、医薬品由来もありますので、そこはそういうデータのところでは区別されない……
○白石委員長 マイクが入っていない。
○中杉参考人 ごめんなさい。
ヒト由来のものもちろんあるわけですけれども、医薬品由来がたくさんあります。その両方併せたものは下水に流れますので、それを併せたものです。両方の合算したものというふうに考えていただいたほうがいいと思います。
○野原専門委員 医薬品由来というのは、人が採って排出したものということでよろしいでしょうか。
○中杉参考人 基本的には下水を経由するというふうに考えていただければ、それらは全て捕まえているというふうに考えていただければいいと思います。
○野原専門委員 分かりました。ありがとうございます。
○白石委員長 はい、どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
菅野委員、お願いします。
○菅野専門委員 菅野です。
すみません。今の野原先生の質問の続きなんですけど、ピルとかそういうものが直接下水に、体を通ってとか行くだろうという話は、相当昔から聞いているんですが、今これは増加しているんですか、これは、経年的には、と読んでよろしいんでしょうか。検出感度も上がっているのであれかなとも思ったんですが、検出範囲を見ると高くなっているようにも見えるんですが、総合的に判断して、これは進んでいるのかというのと、あと下水処理場はそれに対して特段除去能力を上げるようなことはして……
○中杉参考人 増えているか・増えていないかは、今回の結果では判断できないです。判断しているのであればそういうふうに書きますけど、過去のと比べてどっちとも判断できないということで、そういうふうにしています。
多分ここら辺のところ、医薬品の話でも、人が積極的に飲むという意味では別に管理をされている話なので、人健康という意味ではあまり重要な話にならないかなと。逆に言うと、そこら辺をどういうふうにするかというのは難しい問題だと思います。
ただ、生態影響という観点でどうかと見ると、これはまた、いや、難しい問題を抱えてしまうなと。そうですね。薬をやめるとしてどうなんだというまた議論になったりすると、もう大変な話になります。ちょっとそこら辺を含めて慎重に議論しなきゃいけないなというふうに考えています。
○菅野専門委員 いや、薬をやめろとかそっちに行くとは全く思っていないので、ただ環境的に、排出する総量が増えているようにもあまり思えなかったので、何か、なぜというのは、ピルのとか、そういう治療の多分増減というのはそんなにないように思うんですけれども、その割にちょっと上限が、上限というんですか、濃度が高いところが増えているように見えちゃうものですから、何が起こっているのかなという、そういう環境に対してのご質問になります。
○白石委員長 いかがでしょうか。環境省さんもよろしいですか。
このデータからは増減については分からないということでよろしいですよね。たまたま高い、サンプリング地点の問題もありますし、このデータからは一概に言えないということで、慎重に検討していただいて……
○中杉参考人 そのときは1桁ぐらい違わないと、なかなか増えた・減ったと言えないという状況ですので何とも言えません。
○白石委員長 そうですね。例えばエストロンなんかはとても高濃度が出ているけどということですよね。
○中杉参考人 はい。
○白石委員長 これについてはどうなんでしょうね。サンプリング地点とか、サンプリング時期とか、そういうのと関係しているということですか。
○中杉参考人 今のところ、下水道の濃度が高いので、下水道のほうでしっかり測ってくれると、そこら辺のところを測ってくれていれば、そこら辺のところはよく分かると思いますけど。
○菅野専門委員 畜産関係から来ないんでしたっけ。
○白石委員長 畜産も地点はございましたか。
○中杉参考人 それに関しては、下水道、大きな下水道があるところ、ここが本当に高いねと言ったら、それは下水由来、人間の生活由来だろうというふうに考えて間違いないというふうに考えています。
○白石委員長 よろしいでしょうか。
はい、お願いします。
○西川専門官 調査地点の上流に畜産を行っている地点はあるかもしれないですけれども、上流に畜産があるような下流地点を特段調査地点ではしておらず、調査地点に含まれていないものになります。
○白石委員長 はい、分かりました。ありがとうございます。
畜産関係は調査地点にまだ選定されていないみたいですので、多分、都市下水ですかね、そういった関係が選ばれていると思います。
ほかにご質問。
はい、どうぞ。
○谷口臨時委員 谷口です。ありがとうございます。
2点、質問というか、特段の意見ではないんですけどね、ちょっとお伺いしたいんですが。まず資料2-5で活用ということで情報を整理していただいていて、大変これはこれで、何ていうんですかね、データがしっかり活用されているということが確認できたということだと思っているんですけれども、この1年ぐらいですかね。そのPFOS/PFOAの水道水の関係がかなり国民的な話題になっていて、そのことについて、令和4年度のデータのみならず、過去に行ったデータがかなり活用されたのと違うかなと、こういうふうに思っているんですけれども、こういうエポック的なものについても、データの活用というのがあるんだったら、紙1枚でいいので、こんなふうに活用したというのを宣伝していったらいいんじゃないかなと、こう思ったというのが1点です。
もう一つは、資料2-4の2ページにモニタリング調査ということで3行書かれているんですが、その後段のなお書きのところなんですけれども、この条約の候補物質についても調査するぞというこの考え方は、私、初めて、結構疑問に思うんですけれども、去年の資料ですね。去年は令和5年12月18日に、資料2-4ということで令和6年度の実施方針(案)が出ているんですけれども、ちょっと書き方のスタイルが変わっているので、十分チェックできていない可能性もあるんですけど、そこにはこの候補物質についてもやっていくということはどうも記載されていないんじゃないかなと思うんですけれども、私の資料の読み方が間違っているのかどうか、ちょっとその辺、要はこれが初めてのことなのかどうかというのをお伺いしたいということです。
○西川専門官 ご意見をいただき、ご指摘ありがとうございます。
まず1点目の件につきまして、ご指摘のとおり、資料の2-5がこれまでの初期調査と詳細調査、この二つは基本的に要望部署からの対応というところで、それにどうやってフィードバックしたかというところの記載となっておりました。なので、モニタリング関係のデータにつきましては、今までお示ししていなかったところでございますけれども、モニタリングデータについても活用できているのだということを何らかお示しできればというところは、今後検討させていただければと思います。
もう一点の件の、資料の2-4の2ページ目、(2)モニタリング調査の点でございます。ご指摘のとおり、こちら、昨年度から資料の2-4の実施方針(案)の実施の方法として記載を修正させていただいております。こちらは基本的には平成21年度の、2009年度でございますね、化学物質環境実態調査のあり方検討会、こちらの検討結果を踏まえての記載となっております。
また、ご指摘のとおり、モニタリング調査のPOPs条約の候補物質については、現状まだ調査できていないというのもご指摘のとおり事実でございます。こちらは今後の調査対象物質の選定のルールの一つとして、平成21年度のものではございますが、そういうものに基づいてやれるということは記載させていただきつつ、実態としては引き続き、現状のまま進む形になるのかなというふうに考えさせていただいております。
○谷口臨時委員 ありがとうございます。
この考え方は非常に積極的な考え方で、私はもうどんどん進めていってほしいと、そう思っているんですよね。そういう前提からこの文章を見ると、せっかくいいことをやっているのに、書き方がもっと何と言うのですかね、積極的な書き方ができないのかということなんですよね。
すなわち、例えばね、条約の候補物質になりました。条約の対象物質になりました。この間一体何年かかるんですか。すなわち、例えば5年かかるとすれば、5年前倒しで調査できるんですよね。そういうことをもうちょっと訴えかけてもいいんじゃないか。別にこの資料を今修正せよとは申し上げませんけれども、そういう、どういういいことがあるのかということは、もっと積極的に示していったほうがいいのではないかなと。
過去にこの件について議論がなされているのであれば、それはそれで結構なことなので、書類上引き続いて議論せよとまでは申しませんけれども、もし議論がなされていないんであれば、紙1枚ぐらいでいいので、こういうメリットがあるとかいうようなことで、こういう候補対象物資、候補物質についても今後はモニタリング調査の対象としていくんだという意思表示を、この委員会でしてもらったらよかったなとか、こう思っていたわけです。資料を最初に見たときにね。今お伺いしたら、もう既に議論がされているということなんで、そこまではいいかなというふうに思うんですけど、一応そういうことを思ったということを申し上げておきたかったということです。
○白石委員長 貴重なアドバイスをありがとうございます。
○中杉参考人 よろしいですか。
○白石委員長 柴田委員から先にいいですか、手を挙げたので。
○柴田専門委員 すみません、今のご意見に対してですけども、これは環境省の方からお答えいただいたほうがいいのかもしれませんけれども、これまでにも実際にモニタリング調査の中では条約に載る前からスタートしているものも幾つかございまして、それがいつも必ずやっているということではないんですけれども、例えばPFOSが条約に載ったのは2009年ですけれども、その条約に載せたときにPFOAのほうも測定を開始をしております。PFOAそのものは条約に2019年に載っていますので、その間、実は10年間の日本のデータはあって、先ほどお示しいただいたように、PFOAについてもこの間減少しているということが分かっておりますので、条約に載る前から国内でも減少傾向にあったということは分かるというような、そんな感じで経緯はしております。
○白石委員長 ありがとうございます。
中杉委員、お願いします。
○中杉参考人 一つだけ申し上げますと、先ほど私もご説明した中で、ちょっと非常に高い濃度のデータがあったねと申し上げたのはそこら辺のところです。環境調査の中でそれを続けてやるというのはなかなか難しいので、環境担当部局、例えば環境リスク初期評価の中で、これは大丈夫なのかということを検討していくと、そういう流れで動いていくんだろうというふうに考えております。だからそれは、私はあえてそういうふうに、この物質は高いよ、ちょっと確かめていただいて、多分大丈夫だろうと思いますけれども、ちょっと今でもほかのものと比べると高い数字なので大丈夫かなという、そういう議論をして出していければいいんだろうと思っています。
それから、PFOSのことに関してですね、私も最近もう環境省の委員会もあまり出なくなったので明確ではないんですが、情報は少ないんですけれども、地下水との絡みが物すごく大きいようですね。地下水で、また、それをくみ上げて川へ流すから川が高くなる。どっちが元なのか分からない。もう人間観測 が出来ていないわけです。どこかにたまっていて。そうすると、地上にたまって海へ流れていってしまっている。そうであるなら、どういうようにあるか、それが何かどういう動きをしているのかは分からない。
黒本調査は残念ながら地下水は対象外なので、土壌も対象外。土壌というのは、端的にそういうふうな調査が必要な方が見つからないものですからあれなんですけど、そちらのほうで実際にやっていただくということになるんだろうというふうに思っています。
私も幾つかお手伝いしているけども、もう何かよく分からないが、発生源はどこだと見つけるというのは非常に難しいというふうに考えています。
○白石委員長 ありがとうございました。
谷口委員から指摘が、大変重要だとは思うんですけど、PFOS/PFOAに関しては全体的に減少傾向であるということは各黒本引用されて使われておりますよね。そういったことを積極的にアピールすべきだということと、新たなPOPs候補物質についても積極的にやったほうがよろしいというご指摘だと思うんですけど、ちなみに参考資料で幾つか候補物質、まだなっていない候補物質がありますが、クロルピリホス、中鎖塩素化パラフィン、長鎖ペルフルオクタンカルボン酸、これらの物質についてはどのような今お考えなんでしょうか。候補物質に含めたということで。黒本調査の位置づけです。
○西川専門官 はい、これは参考資料1をつけております。こちら、POPs、POPRC20、第20回会合の検討委員会のほうで、今年9月に開催された内容につきまして取りまとめさせていただいたものでございます。
今ご指摘いただいたとおり、1、2、3のクロルピリホス、中鎖塩素化パラフィン、長鎖ペルフルオロカルボン酸、これらにつきましては、COP12ですが、 来年5月のCOPに、廃絶対象物質として追加することが勧告される予定となっております。つきまして、こちらは化学物質実態調査、黒本調査のモニタリング調査でも、今後実施する方向での検討は進めております。
ただ、大変申し訳ありません。先ほどのとおり、事前に実施するということはできていなかったものでございます。
○白石委員長 はい、ありがとうございます。
状況はそういったところだということでございます。
ほかにご質問ございますか。
はい、どうぞ。
○青木臨時委員 青木でございます。
資料2-1の7ページ目の調査別番号[4]番の、いわゆる多環芳香族炭化水素でございます。非常にこの測定は苦労されたということで、ただ、そういう中で非常に検出下限値を下げた条件下で測定していただいて、非常にまずそこに関して敬意を表したいと思います。
ご案内のとおり、というか、この席でなかなかこういう話題が出ることは今までなかったかもしれないんですけど、これの物質のうちの、[4-7]のベンゾ[a]ピレンは、大防法上の有害大気汚染物質になっておりまして、リスク評価が求められているという物質でございまして、そういうリスク評価にこの情報は非常に役立っているんじゃないかなと思っています。
特に注目すべきなのは、ベンゾ[a]ピレンの測定、検出地点ですね、それから検体とも、確かに濃度自体は下がっているようにも見えるんですが、検出地点自体はあまり変わっていない、数は変わっていないんですね。ですから、ここは非常に重要なことと、あと、ほかの多環芳香族炭化水素は、測定地点の数だけ見ても。やはりベンゾ[a]ピレン出ている、検出されている地点においては、ほかの炭化水素も検出されているということは、やっぱりここはリスク評価をどのように進めていくかということを、というのは、ほかの炭化水素もそれなりにやはり有害性は知られていますので、そこをどのようにリスク評価していくかということは非常に重要な問題が提起されているように思いますので、この情報を大いに活用できるんじゃないかなというふうに思っております。
以上コメントでございます。
○白石委員長 はい、ありがとうございました。
大分時間が押してきてしまいましたので、質疑はこの辺で打ち切ってよろしいでしょうか。ほかにご希望の方は。Webのほうでもいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
どなたでしょうか。
○小川臨時委員 よろしいでしょうか。
○白石委員長 はい、お願いします。
○小川臨時委員 国立衛生研の小川でございます。基本的なことで非常に申し訳ないですが、例えばPCBとかは下がっていると記載されているわけですが、数値としては結構幅があるように拝察します。これはどういう場合に下がっていると考えるのか、平均値が下がっているということなのか、高いところも、同じ地点のものが前回より下がっているというふうに考えるのか、どのような場合に下がっていると判定されるのか、基本的なことで申し訳ありませんが、教えていただけますでしょうか。
○白石委員長 これは事務局で。
○中杉参考人 私のほう……
○白石委員長 私がやりますか。中杉委員、はい、どうぞ。
○中杉参考人 判断しているのは……
○白石委員長 いや、そんなことはない。モニタリングですよね。
○中杉参考人 モニタリング。
○白石委員長 はい。モニタリングの統計の矢印のことだと思いますが、これは黒本の本文に書いてあるんですけれども、全データを使いまして、線形回帰ですね、線形回帰を出します。ただ、正規分布していないものですから、ばらつきが多いというふうなところですね。そこを工夫しまして、線形回帰をするというような形になっております。詳しくは、相当難しいので、本文を読んでいただいたほうがいいかと思います。
○小川臨時委員 分かりました。ありがとうございます。
○白石委員長 よろしくお願いします。
それではほか、よろしいですか。進行がまずくて申し訳ありません。
○山本臨時委員 すみません、国環研の山本ですけど、ちょっとだけよろしいですかね。
○白石委員長 はい、どうぞ。
○山本臨時委員 はい。お取りまとめありがとうございます。すみません、細かい話なんですけれども、今の報告書そのもののところの生態影響のところのデータが結構ホルモン剤のところとかつけられて、ちょっとさっき見ていたんですが、生態系のところの、例えば39/504ページとかですけれども、こういうところにある毒性データのところが、何か誤植が結構あるように見えました。例えば生態影響のところで、今39/504ページで、4行目のところに「72-EC50=2.48mg超」とかなっていて「/L」が抜けているとか「h」が抜けているとかですね、学名のところが斜体になっていないとか、結構そういうのが何個か散見されたので、ご確認いただいたらいいのかなというふうに思ったのと、ここを見ていてちょっと思ったのが、やっぱり報告された濃度はng/Lで書かれていて、ここがmg/Lで書かれていて、ちょっと10-6とかになっているので、何か比較できるように単位をそろえていただいたほうが、見る側としては分かりやすいかなというふうに思いましたのでぜひご検討いただければと思いました。
以上です。
○白石委員長 事務局、お願いします。
○西川専門官 ご指摘いただきありがとうございます。
すみません、こちら案文でございまして、3月以降、黒本を実際に発行させていただく際に、ご指摘いただいた点含め、全体的に誤植等がないように確認、内容修正、確認等をさせていただければと思います。
○白石委員長 はい、ありがとうございます。
ほかいかがですか。よろしいですか。
はい、事務局、お願いします。
○西川専門官 事務局から、大変申し訳ございません。資料2-1につきまして、10ページ目、別表3-2をご確認いただければと思います。
こちらの[21]のヘキサクロロブタ-1,3-ジエンの大気のところでございますが、こちらの検出頻度のところが35/3というふうな記載になってしまっております。すみません、こちらは35/35、全地点、35地点で全部が正しいものでございます。こちらにつきまして、資料等を修正させていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
○白石委員長 はい、分かりました。よろしくお願いします。
それではよろしいですか。
これは何か決めたほうがいいと思うんですが、資料2-1につきましては、発表・公開したいということですので、この場でこの形、今先ほど修正が入りましたけど、修正の形で公開してよろしいかということですね。よろしいでしょうか。
特段ご異論はないということですので、令和5年度化学物質環境実態調査結果の概要につきましては公表す るということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、すみません、時間が押しておりますので、次の議題に入らせていただきたいと思います。
化学物質環境リスク初期評価、いわゆるグレー本の第23次取りまとめについてです。資料3-1から3-3に基づきまして、事務局で資料の説明をお願いします。
○川原室長補佐 はい。それでは化学物質の環境リスク初期評価(第23次取りまとめ)について、ご説明いたします。
資料といたしましては、資料の3-1で環境リスク初期評価の進捗状況、こちらは環境リスク初期評価の概要とこれまでの取組、そして今年度の取りまとめをまとめたものになってございます。資料の3-2につきましては、結果の概要ということでございまして、3-1よりもより具体的なものに触れたものでございます。資料の3-3につきましては、まさにそのグレー本の案ということになりまして、最終的にこちらにはグレー本になるんですけれども、その案を示したものになってございます。本日は主に資料3-1と3-2を中心にご説明さしあげます。
それでは資料の3-1をご覧ください。
環境リスク初期評価の進捗状況についてでございます。
1ポツ目といたしまして、化学物質の環境リスク初期評価についてでございますけれども、この化学物質環境リスク評価とは、その化学物質の容量と反応を整理する「有害性評価」と、化学物質の曝露量を見積もる「曝露評価」というものを行いまして、両者を比較することによってリスクの程度を判定するものでございます。
化学物質の環境リスク初期評価は、環境リスク管理のための施策を念頭に置きつつ、多数の化学物質の中から相対的に環境リスクが高い可能性がある物質、これをスクリーニングするための初期評価として実施しているものになってございます。
健康リスク初期評価は、化学物質の人の健康に対するリスク評価、生態リスク評価は化学物質の水生成物に対するリスク評価を言いまして、ここではその両方行ったものを環境リスク初期評価と言ってございます。
2ポツ目のこれまでの取組状況ですけれども、当該調査は平成9年度より着手してございまして、これまでに23次取りまとめを行ってございます。環境リスク初期評価といたしましては322物質、それから追加的に実施した生態リスク初期評価については102物質の結果を公表させていただいているところでございます。
2ページ目の下段、3ポツ目になります。
23次の取りまとめ、今年度の取りまとめでございますけれども、環境リスク初期評価、こちら先ほど申し上げたとおり、健康リスクと生態リスクの両方やったものですけれども、これは6物質。それから健康リスク評価のみ行ったものは1物質、生態リスク初期評価を行ったものは5物質について、それぞれ結果を取りまとめてございます。
(2)物質選定でございますけれども、こちら、物質選定につきましては、環境省内の化学物質管理施策の関係部局、あるいは専門家の皆様からニーズを聴取いたしまして、その中から優先度の高いものから選定いたしますニーズ方式を基本的にしてございます。
また、環境調査、先ほど黒本調査の説明もございましたけれども、こちらで環境中のその検出率が高かったような物質なども考慮いたしまして、初期評価を行う必要性が高いと考えた物質を追加して選定してございます。
また、過去に評価した物質につきましても、有害性情報であったりだとか、モニタリングデータ、こういった情報が追加されたものにつきましては、それによってリスク評価の結果が変更される可能性がある物質については再度評価を行っているといったような状況でございます。
4ページ目、こちらの検討に関する体制につきましてですけれども、この全体を総括する企画委員会というものが一番上にございまして、先ほど紹介しました、中杉参考人を座長としておりまして、今年度から大野座長となりました曝露評価分科会、それから青木委員を座長といたします健康リスク評価分科会、楠井委員を座長といたします生態リスク評価分科会において検討しておりまして、それ以外にも発がんリスクワーキング、あるいは、生態毒性のQSAR等活用ワーキングなど、個別に検討が必要なテーマについてワーキング等を設置いたしまして、検討させていただいているというところでございます。
こちら、7ページ以降は過去の評価結果を参考につけたものでございますので、説明は割愛させていただきます。
続きまして、資料の3-2に移らせていただきます。
今回、第23次取りまとめの結果の概要でございます。
「はじめに」の部分ですけれども、こちらは先ほどと少し重なる部分がございますけれども、環境省では環境リスクを低減させる施策、対策であったり、環境政策に向けた最初のステップとして、この環境リスク初期評価が位置づけられているというところでございます。
2ページ目の(2)をご覧ください。
評価の活用の部分ですけれども、環境リスク初期評価における評価結果につきましては、3段階に分かれます。リスクが大きいと考えられる「詳細な評価を行う候補」、これを黒判定といいますけれども、それが一つ目。それから2番目が「関連情報の収集が必要」とされるもの、これがグレー判定というものでございます。それから三つ目が現時点ではさらなる作業の必要性は低いとされたもの、こちらは白判定というふうになってございます。
「詳細な評価を行う候補」、黒判定とされた物質に関しましては、例えば水濁法、あるいは大防法に関わる関連部局により、より詳細なリスク評価の実施や活用に向けてお伝えすると。あるいは、「関連情報の収集が必要」とされた物質に関しましては、継続的な環境濃度の監視だとか、あるいは、その高感度の分析方法の開発など、こういったことに活用をいただくということになってございます。
(3)の部分、リスク評価の全体の構成についてですけれども、こちらは先ほど少し触れましたけれども、有害性の評価、曝露評価、そしてリスク評価を行うということでございます。
(4)番、また、対象物に関しましては、先ほどご説明さしあげたとおりでございます。
(5)のところ、評価の方法でございますけれども、環境リスク初期評価では、ガイドラインに基づいてリスク判定を行ってございます。健康リスク評価につきましては、一般毒性、生殖発生毒性など非発がん性及び発がん性についてを対象といたしまして、さらに発がん性につきましては、閾値のある場合とない場合、この辺りの判断を行ってございます。有害性に閾値があると考える場合には、無毒性量等を予測最大曝露量、あるいは濃度で除した値、Margin of Exposure、MOEという閾値でも、こちらの値で評価を行うということでございまして、有害性に閾値がないと考えられる場合には、がん過剰発生率によって反応しているというところでございます。
生態リスク評価につきましては、ここでは対象とする生物においては、藻類、骨格類、魚類その他生物としておりまして、いわゆるPEC/PNEC、予測環境中濃度と予測無影響濃度、この比によって判定してございます。
それぞれ3ページの表に記したMOEあるいは今申し上げた指標について、どういった数字になるとどういった判断をするかということをまとめさせていただいているところでございます。その上で、さらに専門的な観点から総合的な判断を実施しております。
なお、これまでの評価とか、少し変わった点といたしましては、3ページの一番下のほうに記載してございますけれども、総合的な判定の過程において、QSAR、これは定量的構造活性相関などによる生態毒性の推定結果などの関連情報も用いることといたしました。これは資料の3-3の別添4のほうに記載してございますけれども、この検討の中で、ガイドラインとしてしっかりとまとめたものでございまして、この初期評価の中でも位置づけをしっかりさせたということで、今年度から使えるようになっているということでございます。
環境リスク初期評価におきましては、その趣旨に鑑みまして、複数種の特性データを活用したり、あるいは、曝露評価においては検出最大濃度を利用するなど、安全側に立脚したリスク評価を行っているということでございます。
4ページをご覧ください。
こちらが環境リスク初期評価の結果になってございます。
先ほど申しましたとおり、環境リスク初期評価では今年度6物質、健康リスク初期評価では1物質、生態リスク初期評価では5物質行ってございまして、今回ご承認いただけますと、23次取りまとめにより、これまでに232物質の環境リスク初期評価を、それから104物質の生態リスク初期評価が取りまとめられたということになります。
(2)番、結果の部分になります。
評価は三つの段階で記しておりまして、先ほど言いました黒判定に関しましては■、グレー判定に関しましては▲ですね、で示させていただいております。
今回の評価では、環境リスク初期評価では、下6物質の中では生態リスク評価の中ではN,N-ジメチルドデシルアミン、それからダイアジノンが黒判定となりました。グレー判定といたしましては、健康で吸入曝露と一般大気……
ごめんなさい。吸入曝露の一般大気と室内空気で2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、それからダイアジノン、トリエタノールアミン、生態ではクロロ酢酸というものがグレー判定とされました。
また、健康リスク初期評価で行った1物質のキシレンですね、こちらも室内空気で黒判定、一般環境ではグレー判定というふうになってございます。
それから生態リスク表初期評価のみを行って5物質については、14-(R)-ヒドロキシクラリスロマイシンが黒判定、アンピシリン、クロトリマゾール、メトホルミンがグレー判定となってございまして、それ以外は白判定となってございます。
少し飛びまして、7ページをご覧ください。
こちらは個別の評価結果をまとめたものになってございます。以降は、黒判定とグレー判定になった物質につきまして、番号に沿ってご説明さしあげようと思います。
ちょっと通し番号が共通なので、前後することもございますが、まずは健康リスク評価と生態リスク評価の順番でご説明さしあげます。
まず7ページの健康リスク評価です。この表の見方ですけれども、左から物質名、曝露経路、それからリスク評価の指標、あるいは用いた実験動物等、あるいはエンドポイント、曝露評価、それからMOEの指標ですね、それから総合的な判定の結果だとかという順番で並んでございます。
環境1番をご覧ください。詳細の資料のほうでは、資料3-3では43ページからとなりますけれども、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールでございます。
こちらはブレーキフルードあるいは可塑剤、香料、溶剤などの用途で使われるものになってございますけれども、吸入曝露の有害性情報に関する知見として、ラットの喉の腹側軟骨の壊死ということが得られてございまして、曝露状況などの補正を終えて、1.6mg/m3を無毒性量とといたしました。
一般大気及び室内空気に関するデータは少ないのですが、参考として得られた地域の室内空気の実測データから求めた予測最大曝露量は7.1μg/m3となりまして、先ほどの無毒性量からMOEを算出すると23となるため、総合的な判定として吸入曝露の情報収集を行う、いわゆるグレー判定とされてございます。
続きまして、環境4番のダイアジノンです。
こちらは有機リン系殺虫剤で、主に農薬として使用、殺虫剤に使用されているというところでございます。こちらは水質汚濁防止法の要監視項目に設定されておりますため、吸入曝露のみの評価となってございます。こちらは吸入曝露に基づいてはラット試験における赤血球中ChE活性の低下を指標とした結果をキーデータといたしました。また、当該物質は発がん性につきましては、IRCでAAとされているほか、ヒトや遺伝毒性試験において陽性の報告が確認されておりまして、ヒトに対する発がん性について考慮する必要があるとされましたため、先ほどのラットの試験、非発がん影響からの無毒性量等を設定しておりますけれども、さらに発がん性を考慮した不可欠係数の10を用いまして0.00025μg/m3を無毒性量といたしました。
曝露につきましては、一般環境大気につきましては、曝露濃度の情報がない状況で、室内濃度は0.00026μg/m3程度でございました。一般環境大気中の実測データから求めた濃度といたしましては、0.012μg/m3未満という情報がありまして、先ほどの無毒性量から求めたMOEは0.21超となってございます。また、化管法の排出量から求めたMOEは40となってございます。室内空気につきましては9.6超という値になりまして、健康リスクの区分が、不等号がつく関係でできなかったんですけれども、当該物質に関しましては、室内での使用が考えられるということから、総合判定といたしまして、吸入判定についてはグレー判定としてございます。
続きまして、環境の5番、トリエタノールアミンでございます。
こちらは界面活性剤、医療品原料だとかに使われる物質でございます。こちらは吸入曝露につきましては、鼻縁であったりとか喉の粘膜下層における局所的な炎症性変化をエンドポイントといたしまして、0.03mg/m3を無毒性量と設定いたしてございます。
こちらは曝露データがございませんで、MOEは算出できませんでしたが、当該物質の物性といたしまして、ミスト状で存在するということも指摘がございまして、まずはそれを用いている事業所近郊等のデータを充実させる必要があるということで、グレー判定としてございます。
続きまして、7ページ下段となります。健康の1番、キシレンでございます。
こちらは再評価した物質ございます。キシレンは、油性塗料であったりだとか、農薬、あとは可塑剤、または中間剤として使われるものでございます。こちらも水質汚濁防止法の要監視項目に設定されるため、吸入曝露のみの評価とさせていただいてございます。
キシレンにつきましては、発がんに関する十分な知見がなかったことから、吸入曝露についての疫学調査結果から1.2mg/m3を無毒性量等と設定してございます。曝露につきましては、こちらは一般大気中濃度が報告されてございまして、平均濃度は1.5μg/m3程度、それから予測最大曝露濃度が8.0μg/m3となりまして、先ほどの無毒性量等から求めたMOEは150となってございます。
一方で室内環境につきましては、平均曝露濃度は6.2μg/m3程度、予測最大濃度は140μg/m3程度となりまして、MOEは9となってございます。また、化管法に基づく排出量から推計した大気中濃度から算出したMOEも6となってございます。したがいまして、健康リスク判定は、一般大気の吸入曝露につきましては、情報収集などに努める必要があるグレー判定。室内空気の吸入曝露につきましては黒判定という判定となってございます。
ちょっと本文の、資料3-3のほうの232ページをご覧いただくと分かりやすいですけど、前回の評価の際よりも有害性情報が更新されて無毒性量等が低くなっていること、それから環境大気が過去の評価では高かったものの、これは改善が見られる一方で、室内空気に関しましては、比較的高い濃度がまだ出るといったようなこととなってございます。
これは少し余談になりますが、当該評価の中ではリスク室で行っているようなエコチル調査の結果も参照にして評価を行ってございます。
続きまして、生態リスクの説明になります。
それでは環境2番のクロロ酢酸、少し戻りますけれども、環境2番のクロロ酢酸をご覧ください。こちらも再評価となります。
こちらの用途は、増粘剤や安定剤、あるいは除草剤等に使われている物質になってございます。こちらはほかの生物に比べますと、藻類に低い濃度で影響が出るというようなことでございまして、藻類の急性毒性値を基にした予測無影響濃度、PNECは0.33µ/Lを算出してございます。予測環境中濃度、PECのほうは、淡水域で0.033μg/L程度、海水域で0.1μg/L程度となりまして、PEC/PNECはそれぞれ0.1と0.3となってございまして、生態リスク判定としては、情報収集に努める必要があると考えられるグレー判定となってございます。
こちらは第3次の評価の際は、濃度情報の不足によってリスク判定ができなかったんですけれども、今回はデータが追加されたことによってグレー判定となってございます。
続きまして、環境3番のN,N-ジメチルドデシルアミンでございます。
本物質は、界面活性剤あるいは柔軟仕上剤等で使用されているということでございますけれども、有害性情報につきましては、藻類の慢性毒性値から得られた0.026μg/LをPNECとして採用してございます。PECは淡水側で1.2μg/L、海水側で0.003µm/Lとなりまして、PEC/PNECはそれぞれ46と0.1となってございます。したがいまして、詳細な評価を行う候補、黒判定となってございます。
なお、本物質につきましては、第14次取りまとめでも黒判定となっておりまして、結果は変わらなかったということでございます。
続きまして、環境4番のダイアジノンです。こちらも再評価となってございます。
当該物質に関しましては、その用途が殺虫剤ということもあろうかと思いますけれども、甲殻類に特に低い濃度で影響が観察されてございます。したがいまして、PNECの根拠は甲殻類の急性毒性から得られた0.0021μg/Lとなってございまして、PECにつきましては、淡水で0.2μg/L程度、海水で0.5μg/L程度になりまして、PEC/PNEC比はそれぞれ95と238未満ということになってございます。このため黒判定となってございます。
続きまして、生態のみを行った物質でございますけれども、生態の1番、アンピシリンです。
こちらは医薬品だとか動物性薬品、抗生物質になってございます。こちらは藻類の慢性毒性値から得られた0.5μg/L未満をPNECとしておりまして、PECにつきましては、0.0014μg/Lが淡水、海水では0.00049μg/L程度ということで、PEC/PNECにつきましては、それぞれ0.003超、それから0.001超となりまして、ちょっとリスク関係でリスク判定はできなかったものの、藻類に関しては高い感受性が疑われるということで、グレー判定としてございます。
それから生態2番、クロトリマゾールです。
こちらも医薬品で、主に塗り薬の用途が多いようでございますけれども、PNECにつきましては、藻類の慢性毒性から得られた0.0034μg/Lを採用してございます。PECにつきましては、淡水で0.00048μg/L程度となりまして、PEC/PNECは0.14となってございます。
この物質につきましても、藻類あるいはその他の生物に関して慢性毒性が高いことが懸念されるということで、情報収集に努めるグレー判定となってございます。
続きまして、生態の4番ですけれども、14-(R)-ヒドロキシクラリスロマイシンでございます。
この物質は抗生物質として使用されておりますクラリスロマイシンの代謝物になってございます。 PEC/PNECといたしましては、藻類などの急性毒性及び慢性毒性から得られた0.027μg/Lを設定してございまして、PECが淡水域で0.23μg/L程度、それから海水域で0.049μg/Lとなってございまして、PEC/PNEC比はそれぞれ9と2となってございます。こちらもさっきの2物質と比べるとやや環境中濃度が高いように感じますけれども、結果といたしましては黒判定、詳細な評価を行う候補としてなってございます。
続きまして、生態5番のメトホルミンです。
こちらにつきましては、PECは魚類の慢性毒性値から得られた32μg/L以上となってございます。PECは淡水域で3.6μg/L程度、それから海水域で0.75μg/L程度でございまして、PEC/PNEC比はそれぞれ0.11以下、それから0.22以下となってございます。
本物質については、その他の生物のところで、これはワムシですね。ワムシに関しましてやや強い影響が検出されているということで、情報収集に努める必要があると判断されたグレー判定となってございます。
今ご説明さしあげた以外の物質は、現時点ではさらなる作業の必要はない白判定となってございます。
また、先ほど少し最初のほうの説明でQSARの話をさしあげましたけれども、評価に際してQSARの結果を参照した場合にはその内容については資料3-3の305ページ以降のように、本編の附属資料として添付するということになってございます。
続きまして、資料3-2の5ページに戻ります。
4ポツの今後の対応についてでございますけれども、今後はこれらの評価結果をご承認いただいた際には、化学物質の環境リスク初期評価の第23巻として公表させていただくということになってございます。また、個別物質ごとに要約を作成いたしまして、こちらもインターネットで公表いたします。
また、今回からですけれども、QSAR等手法の扱いにつきましてもガイダンスに記載いたしましたので、先ほど述べましたとおり、その結果も評価の根拠といたしまして、第1編に附属資料として添付するということになってございます。
今回黒判定、「詳細な評価を行う候補」とされた物質に関しましては、要望部署だったりだとか、あるいは規制当局、関係部局、あるいは自治体のほうに情報提供を行いまして、緊密な連携を図ることにより、各主体の取組への活用を求めることとしてございます。
今回、「更なる関連情報の収集が必要」、いわゆるグレー判定とされた物質につきましても、関係部局と連携をいたしまして、情報収集に努めてまいります。
今後の課題、あるいは評価対象物質につきましてですけれども、環境リスク初期評価におきましては、最新の科学的知見を活用いたしまして、ガイドラインにつきましてもOECD等国際機関の試験方法だとかを参照にしつつ、新しい知見を踏まえまして、必要に応じて見直していくということにしてございます。
またQSARにつきましても、先ほど来ご説明さしあげているとおりですね、今回、そのリスク評価にしっかりと位置づけをさせていただいたところでございますけれども、運用に伴いましていろいろな事例が積み重なっていくと思います。これに応じまして、ガイダンスのほうもしっかりと方針見直しをしていこうと思ってございます。
対象とする物質につきましては、引き続き環境省内の関係部署からのニーズを伺ったりしつつ、有識者の意見も踏まえつつ、優先度が高いと思われるものを選定していくというところでございます。
また、選定に当たりましては、環境中に存在する医薬品だとか、非意図的に生成されるような物質、天然物質等ですね、化審法等のリスク評価の対象となっていない物質だとか、用途が多岐にわたるため用途外の規制の下では環境リスクの全体像が把握が困難と考えられる物質等について、特に留意して検討を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。
環境リスク初期評価のご説明につきましては以上でございます。
○白石委員長 はい、どうもありがとうございました。
今回の取りまとめに当たっては、専門家から構成される分科会などで別途ご議論いただいたというところでございますので、本委員会において審議に入る前に、それぞれの分科会などで座長を務められた大野先生、楠井先生、青木委員、山本委員より補足説明などございましたら、一言ずつご発言をお願いしたいと考えております。
まず曝露評価分科会の座長を務められた大野先生よりご発言をお願いできますでしょうか。
○大野先生 ありがとうございます。
本年度より曝露評価分科会の座長を務めさせていただいております、国立環境研究所の大野と申します。
私からは曝露評価分科会での議論あるいは根拠となりました曝露の測定値や、その他推定値などについて、簡単に補足説明をさせていただきたいと思います。
対象とするのは詳細なリスク評価を行う候補となった、いわゆる黒判定となったような物質について説明させていただきます。
まず、環境の3番のN,N-ジメチルドデシルアミンですけれども、こちらは環境中濃度として黒本の結果を使用させていただいております。前回の評価時に使いましたのが2013年度の荒川河口の1.2μg/Lでございまして、今回の再評価におきましても、最終的にはPECはこの値を採用させていただいております。データがあるものから考えますと、2013年度のものが10年前ぎりぎりで、2017年度に新しい調査がもう一回行われているんですが、実はこのときは荒川河口の調査が調査ポイント地点に入っておりませんでした。2017年度の調査で一番高い0.19μg/Lというデータがあるのですが、これよりも荒川河口の2013年度のデータを今回採用させていただいたということになります。
いずれにせよ、PEC/PNEC比は1を、どちらの値を使いましても1を超えておりますので、黒判定になるということは変わりはございません。
それから、4番目のダイアジノンの生態のほうの結果、生態リスクのほうの結果ですけれども、こちらは、資料3-3の123ページ、表の2.5.2農薬残留対策総合調査結果という資料を、結果を使わせていただきました。
こちらは、農薬の散布時期に、周辺の30回にわたり調査を行ったものでして、これに関して、複数回同じ地点で測っているものの、平均値の取り方について、こちらのほうを検討させていただきました。同じ地点で複数回、同じ年内に測っているものに対しては、算術平均を取るということでこれまでやってまいりましたが、今回のこの30回は、農薬の散布時期に限るということで、もしかすると散布していない時期のことも考慮したほうがいいのではないかというような議論が曝露評価分科会においてございました。しかし最終的にはガイドラインに従うような形で算術平均を採用いたしまして、このような0.20μg/LをPECに採用したということになります。
それから次に、健康の1番のキシレンに行きますが、こちらは室内空気のほうは、厚労省のシックハウス検討会で報告されていた一般居住住宅を対象とした実態調査結果を採用させていただいております。検出原因については不明です。
それから、環境大気のほうは、環境大気の測定実測値自体ですと白判定になるんですが、PRTRデータから推測した大気中濃度が200μg/m3になるということで、総合判定としてはグレー判定となりました。
それと、最後に生態の4番の14-(R)-ヒドロキシクラリスロマイシンになります。こちらは書かれてあるとおり、実測値を基にPEC/PNEC比を判定しまして、PEC/PNEC比が9ということですので、黒判定とさせていただいております。
こちらの物質はクラリスロマイシンの代謝物ということで、クラリスロマイシン自体も16次の取りまとめにおいて測っておりまして、詳細な評価を行う候補(黒判定)とされておりました。今回、代謝物だけでも黒判定となっておりますので、もともとの親物質であるクラリスロマイシンのほうと併せて検討することが将来的には必要かもしれないというふうに考えられる物質でございました。
個別の曝露情報については以下のとおりでして、最後になりますが、全体的なところでもう一つ議論がありましたのは、最近ですね、国の調査で得られない、データが得られないような曝露物質については、学術文献などで報告されている環境実測データを採用しようというふうな、いわゆる国による調査結果以外の調査データを採用しようという動きもあるんですけれども、今のところ、それらについては、曝露評価分科会による査読に基づいて曝露評価の議論に用いること、また、PEC/PNEC比のPECの推定には直接用いずに、総合的な判定のところで用いるということを行っております。今後も学術文献等で報告されているものについては、学術文献自体の、確実性、正しさというものではなくて、初期評価の中での適用可能性、初期評価に使うデータとして適切かどうかというところの観点から、分科会の中で検討を活用、どのように活用していけるかということについて検討を進めてるところでございます。
○白石委員長 はい、ありがとうございました。
続いて、生態リスク評価分科会の座長を務められました楠井委員よりご発言をお願いします。
○楠井専門委員 楠井です。
それでは生態リスク分科会での議論を多少紹介したいと思います。
今回は、先ほども説明がありましたが、QSARを適用した事例が3例ありました。その前に簡単に生態リスク評価分科会で行っている作業を言いますと、生態系、特に水生生物の藻類等、甲殻類等、魚類、それからその他生物という、一応四つのカテゴリーに分けて、その当該物質の毒性データを集めて、それの信頼性評価を行います。その結果、最終的に小さな値を使いね、情報量に応じてアセスメント係数で除して、無影響濃度、PNECを求めます。それとPECと比較してPEC/PNEC比の大きさに応じて判定をする。それと、その他、化管法の情報を集めて、それで総合的な判定を行うという作業をやっております。
しかし、急性データ、あるいは慢性データがそろわない場合には、アセスメント係数が大きくなり、PNECを過小評価する可能性があります。その場合、QSARを使って、より妥当な推定ができないかということになります。
今回は三つの物質、一つは環境1番の2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、それから、環境3番のN,N-ジメチルドデシルアミンと、それから環境6番、ちょっと名前は長いので割愛しますが、にQSARの適用ができるかということを、QSAR等活用ワーキンググループで検討をしていただきました。
結果的には、QSARを適用したのですが、幾つかの基準で合格したとしても、その当該物質の重要な官能基が含まれていないということで、今回は3物質ともQSAR適用の値は使えないということでした。
そこで次に、類似物質から毒性を推定できないかということで、今回は環境1番の物質については、類似物質そのものの値を使えませんが、毒性データを補強することができ、環境6番についても同様に補強でき、間接的に類似物質の毒性データを使ったという事例がありました。
今後、QSAR等をどこまで使えるかということについては、さらにいろんな検討を踏まえていく必要があると思っております。
それから今回ですね、再評価物質につきましては、先ほどご説明があったように、環境3番のN,N-ジメチルドデシルアミンにつきましては……
すみません、まずクロロ酢酸ですね。
クロロ酢酸については、前回評価できなかったというのが評価できて、ですがグレー判定になりましたし、環境3番のN,N-ジメチルドデシルアミンに関しては、新しい環境中の濃度等が出てきましたが、判定は変わらずと。それからダイアジノンについても、新しいデータが増えたわけですが、それと環境中濃度が出たわけですが、変わらずということで、2回続けて同様の黒判定になっているので、これについてはさらに何らかの形で担当部局で検討していただく必要があると思います。
あと、それから全体的にちょっと議論になったことは、今の生態1から5番にあるように、医薬品が非常に多くなってきています。それに関するデータの中で、最近は魚類の胚を使った試験が非常に増えてきています。現在の位置づけとしては亜急性あるいは亜慢性なので、今の枠組みの中では、参考としては引用しますが、PNECの導出には使えないという状況です。今後、動物の使用制限というのがますます進んでくるので、今後、こうした試験の位置づけを検討して、そういうデータも積極的に利用していく必要があるのではないかということが議論となっています。
以上、簡単ですが報告を終わります。
○白石委員長 はい、ありがとうございました。
では続いて、健康リスク評価分科会の座長を務められた青木委員より発言をお願いします。
○青木臨時委員 青木でございます。
健康リスク分科会についてご報告申し上げます。健康リスク分科会は都合3回開かれました。あと発がんのワーキンググループも1回開催した次第でございます。
その分科会においては、事務局に情報収集をしていただき、それで案文を作成いただいた後、ご担当の先生方にレビューをしていただき、さらにその分科会で議論をして、これは結構いろいろ詳細な議論が行われるわけですけれども、それでこのような判定結果が得られてございます。
先ほどご紹介をいただいたとおり、この再評価物質も含めて7物質について評価を行ったわけでございますが、そのうち環境1番の2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、それから4番のダイアジノン、それから5番のトリエタノールアミン、それから再評価1番、健康のリスク評価のみを行ったキシレンが、それぞれ総合的な判定として、吸入に関してさらなる情報の収集に努める必要がある物質、それから、特にキシレンについては、室内については詳細な評価を行う候補として評価結果を取りまとめさせて、判定させていただいた次第でございます。
特に事務局のほうから詳細な説明がございましたので繰り返しませんが、ダイアジノンに関しては、やはり発がん性についてどのような評価を行うかということが問題がありまして、人で発がん性を示すには限定的な知見が得られているけれども、動物においては、この物質について発がん性の評価を行うだけの、リスク評価を行える十分な知見が得られなかったということを踏まえました。エンドポイントとしては、これは少し詳細になりますが、資料3-2の7ページ目の添付資料1にございますように、ラット赤血球のChE活性の低下という発がん性以外の毒性をエンドポイントとし、さらにそこに、不確実係数で割って、リスク評価を行うということでございました。
また、キシレンについては、これは再評価でございまして、これは実はパイロット事業で行ったものですから、二十数年前のリスク評価にございますので、いろいろ注目すべき中枢神経系への影響があるということも含め、注目すべき物質であるということで、再評価を行った次第でございます。やはり吸入曝露について、先ほど申し上げましたように、一般環境大気に関しては、いわゆる実測に基づくMOEでは150という値が得られていますが、限られた測定地点でございますが、より高排出の近傍の測定結果等を鑑みますと、やはりこのようなさらなる情報収集に努める必要があるという物質として判定させていただきました。
また、室内環境に関しましては、(濃度が)やはり高い、このように結果としまして、実測の値からのMOEの判定で、詳細な評価を行う方法であるという判定をした次第でございます。
今後ですね、やはり、もちろん新規の物質、要望があった物質、あるいは専門家の判断として情報収集をする必要がある、そういった物質を判定していくことになると思うんですが、やはりこの事業、23年もたちました。23回を今回迎えておりますように、古い判定結果がございまして、その後、有害性の知見、それから曝露評価に関しても、広範な測定が行われる、あるいは測定感度が上昇するということも含め、やはり新しい情報が得られる状況になりますので、積極的に再評価を行っていく必要がある状況、物質があるんじゃないかなというふうに考えている次第でございます。
以上でございます。
○白石委員長 ありがとうございました。
続いて、QSARワーキンググループの座長を務められた山本委員よりご発言をお願いします。
○山本臨時委員 はい。山本のほうから。時間も来ていますので、簡潔に説明したいと思います。
先ほど、楠井座長ですね、生態リスク分科会の楠井座長のほうからも一定程度ご説明があったので、簡潔に説明させていただきますが、3物質についてですね、環境1番、環境3番、6番の3物質について、既存のデータが不十分だということで、QSAR等ということで、QSARや類似物質等を用いて類推を行うような検討を、5名の委員、白石委員長、それから曝露評価分科会の大野座長ほか、5名の委員で検討をさせていただきました。
冒頭、川原補佐のほうからありましたが、これまでQSARの活用については執行的な運用でしたが、今回新たに資料3-3の36ページからある別添4のところにガイダンスとして、QSARの活用方法の手順を追加させていただきまして、その手順にのっとって、KATEという、環境省、これは白石先生が中心になって開発された環境省国立環境研究所のKATEと、アメリカのEPAのECOSARを中心にQSARの予測を行いまして、妥当性を検討し、特に参照物質トレーニングセットに予測対象物質との類似性を確認しまして、評価が十分できない場合については類似物質、これについてはそのトレーニングセットの中にある物質と、過去にこのリスク初期評価事業で評価したデータがありましたら、そちらも参照しながらですね、類似物質を使った類推というのを併せて実施いたしました。
今回は、3物質につきましては、幸いなことにというかですね、これは残念なことになのか分かりませんが、急性毒性のデータについては、3生物種ともそろっていたということもありまして、慢性のデータが一部ギャップがありましたので、藻類、甲殻類等、それから魚類についてのデータが足りない部分について、このQSARを活用した検討を実施いたしました。
ただ、詳細についてはもう割愛させていただきますが、魚類の試験については、そもそもQSARのほうのトレーニングセットが十分にないということもありまして、なかなかQSARと、あるいは類似物質を使った類推というのはなかなか適用は難しいということでしたが、藻類や甲殻類等の一部については、QSARそのものの活用はなかなか難しかったところはありますが、類似物質についてのデータを参照にしながら、一定程度以上ということを導き出すことができましたので、総合的な判定の中にQSARの活用を一部入れさせていただいたということになっております。
時間も来ておりますので、私からの説明は以上にします。
○白石委員長 はい、ありがとうございます。ご協力いただきまして。
若干時間が押しているんですけれども、若干オーバーするかもしれませんがよろしくお願いします。
ただいまの補足説明を踏まえた上で、資料及び説明内容について、ご質問、ご意見等があればお願いいたします。
はい、どうぞ。
○野原専門委員 野原です。
大変な作業、資料をお取りまとめいただきましてありがとうございました。
資料3-2の2ページ目のそのダイアグラムを見ていただきたいんですけれども、この作業をする場合に、私は健康リスク、健康影響の人間ですけれども、どのような資料を集めるかということが非常に重要になると思います。ここに、毒性のところでは「国・企業等の毒性・生態影響試験」と書いてあって、これが本当にされているのかなと思うんですね。その下に「文献(企業データを含む)」とあります。なぜ国・企業が中心なのかと思うかというと、今回お示しいただいた健康リスクの初期評価に使われているデータが古いものが非常に多いと思います。ですから、下の文献、文献というのはちょっと抽象的ですので、もう少し詳しく書いていただきたいんですけれども、学術雑誌に掲載された研究論文のようなことだと思いますが、それももう少し積極的に活用する必要があるのではないかと思いました。最近のところはそちらにたくさんのデータがあるんじゃないかと思うんですね。ですから、その点を今後ご検討いただけたらと思います。
それで資料の3-3の例えば63ページですが、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールなども健康リスク初期評価に使われているデータがやはり古いものが多い。この辺りは、最近のものをもう少し活用していただけたら、国の資料とかそういったものではありませんけれども、そういった一般論文もご活用いただけたらと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○白石委員長 これは青木委員でよろしいですか。
○青木臨時委員 はい。なかなか今のご指摘の点は重要なんですが、しばしばリスク評価のときにどういうデータを収集するかということは議論になるところなんですけれども、基本的には有害性指標値を出すという観点から見たときに、やはり用量反応関係がしっかりしているとかですね、そういうことに注目(すること)が第一の文献選択に非常に、ある意味必須な、状況になります。そういう観点で見ますと、もちろん情報収集を十分にやっているかということに関しては、自信を持ってそう申し上げるんですけど、こういう化成品に関しては、意外と情報が限られているというような状況でございます。もちろんこういう情報があるということをご指摘いただければですね、それを大いに反映していかなくちゃいけないことだと思っております。
○野原専門委員 はい、分かりました。ありがとうございました。
学術文献、研究文献についてもリサーチしていただいているということでよろしいでしょうか。
○青木臨時委員 そうです。基本的にはPubMed等のデータベースに基づいてやっておりますので。ただ、やはりこういう有害性評価値を出すという点に使えるということになると、これは残念ながらですね、意外と限られているなというのが正直な印象でございまして、もちろんそこのところをどういうふうに考えていくかという、つまりリスク評価に活用し、いろんなデータを、特にメカニズムの問題だと思うんですけど、そこをどういうふうにリスク評価に活用していくかというところは、今後考えなくてはいけないことであります。ただ、現状で例えばAOPの活用とかですね、そういうことに関しては、まだ残念ながら、初期リスク評価のほうでは十分に取り組める状態ではないというふうに言えると思います。そういう観点から、確かに古いデータが多いなというご指摘は甘んじて受けなくてはいけないなと思っているところでございます。
以上です。
○野原専門委員 ありがとうございます。
○白石委員長 はい、どうもありがとうございます。
資料3-2にコメントが出ているんですけれども、ここのフローですか、ずっと書いてありますけど、ここは何か修正したほうがよろしいということですか。今の青木委員の説明だとやっているということで。
○青木臨時委員 今年はこういう形にしていただいて、つまりずっとこれを使ってきたということだけのことなんですけれども、
○白石委員長 文献ということで。
○青木臨時委員 ちょっと健康に関しては、そうか、企業データは入ってくるか。
やはり基本的には公開文献を中心に見ています。ですから、ちょっと古い表記がそのまま残っていると言われるとそのとおりなんですけど、ちょっととにかく今年はそういうことで許していただければと。
○野原専門委員 文献というのが非常に漠然としていますので、科学研究論文とかいう言葉を今後ではご検討いただけたらと思います。
○青木臨時委員 はい。レビューを受けた文献と本来書くべきなんでしょうね。ただ、企業データに関してレビューは、インターナルレビューはしているかもしれないけどエクスターナルレビューをしていないので、我々がそれはちゃんと使えるものであるかということの判定はもちろんしております。その点はそういう形でさせていただいております。
○白石委員長 私の認識では、古いデータも含めて最新のものをフォローしていると思っているんですけど。
○青木臨時委員 それはもちろんそういうことで、メカニズムの観点もちゃんと見て、必要な情報としては使えるような、現実にそのメカニズムの観点から評価をしている物質というのも今までございます。、評価というのはその用量反応関係の解釈の上で、このメカニズムは非常に重要でございますので、先生方のご意見を伺って、やっているという次第でございます。
○白石委員長 はい。
どうぞ。菅野委員。
○菅野専門委員 私も参画していたので状況は分かるんですが、QSARを導入するとかいろいろ新しいことが入っているので、ここからはコメントというか、私の要望になるんですけども、メカニズム的なもの、あるいは、容量が三つ振っていないとか、二つしかないとか、一つしかないとかいうメカニズム試験も多いと思うんですが、そういうものの反映の仕方に新たなルールというか、お作法を導入する、例えば、今までもやっているかもしれませんが、ある意味、メカニズム的に容量カーブをどう解釈するかというのをもう一歩進めるとすると、UF、セーフティーファクターとしてもうちょっと強化したほうがいいという、今までも多少はやっていると思うんですけれども、そういうもののルールづくりみたいなものもあってもいいのかなと思っている次第で、思っているというのは個人的に思っているんですが、そこら辺も行く行くはご提案させていただけるとありがたいなと思っているところです。
以上です。
○川原室長補佐 菅野先生、ご指摘ありがとうございます。この環境リスク初期評価もですね、ガイダンスをかなり古くつけられて、適宜見直しはしているんですけれども、なかなか適正なタイミングで見直しが十分にできているかというところは、いろんな方からご指摘を受けているところですので、そういった辺りも皆様のご意見を聞きながら適宜見直していきたいと。
○白石委員長 はい、ありがとうございます。
ほかに。どうぞ、櫻井委員。
○櫻井専門委員 ちょっとこれまでのご指摘とは違う、資料3-2の6ページの一番上のところ、初期評価の結果の要約をインターネット上で公表するという内容がございました。データの公表自体は非常によいことだと思いますので、積極的に進めていただくことはよいと思います。
質問は、結果の国際的な共有であるとか発信ということに関して、もし何かお考えがあれば、日本からこういうのを出していくんだということに関して、既になさっている部分もあるかと思いますし、ちょっとそこら辺についてもしあればご説明いただけるとありがたいと思います。
あと、活用という観点からいきますと、検索可能なデータベース化ということがあります。それはさっきの黒本のときに言えばよかったのかもしれないんですが、そういったことも含めてどういったことをお考えになって、あるいは進めておられるということをご説明があればよろしくお願いいたします。
以上です。
○川原室長補佐 ありがとうございます。
この初期評価の事業の中で、特にその国際貢献みたいな話というのは、最近は少ないんですけれども、この業務の中でも、生態毒性試験、試験をやっていたことはかなりありまして、そういったデータは、例えばOECDのそのQSARのワーキングのほうだとかにご提供しながら、QSARの作成に貢献したりだとか、そういったことはしてございました。
それから、リスク評価自体もですね、適宜問合せ等があれば海外のほうにもご説明をさしあげるだとか、そういったことはさせていただいているところでございます。
データベースに関しましてはですね、今、確かにおっしゃるとおり、その毒性のまとめた表、結果をまとめた簡単な表と、あとはこの要約をホームページで公開しているだけですので、もう少し、そうですね、有機的に、例えば今出てきた黒本さんだとか、あるいは水局のほうでやられているような環境分析のものだとかと有機的に連携させるような、そういったシステムがあってもいいのかなとは思っていますけど、まだちょっと具体的には話は進められてはいないですけど、ご指摘として受け止めます。
○白石委員長 はい、ありがとうございます。
ほかによろしいですか。
○鈴木臨時委員 鈴木ですが、よろしいでしょうか。
○白石委員長 はい、どうぞ。
○鈴木臨時委員 今、櫻井委員が言われたことに似ているんですけれども、6ページの下に「関係部局等との連携」と書いてあるんですが、何かこれを読むと、結果として詳細な評価を行う候補になったものについては何か情報共有を行うみたいな書き方なんですけれども、多分環境リスク初期評価の意義はそこだけじゃないと私は思いますので、多くのところで環境に関する専門の環境省がまとめられて、レビューされた結果として参照されているし、その参照、使われている相手は、環境省の中には全くとどまらなくて、他省庁さんも使っておられるし、自治体さんも使っておられるし、もちろんできれば海外にも貢献したほうがいいと思いますが、この環境リスク初期評価はそういう意義を持っているということをより一段と意識して作っていただく必要もあるし、また発信していただく必要があると思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○川原室長補佐 ご指摘ありがとうございます。承知いたしました。
○白石委員長 はい、どうぞ。青木委員。
○青木臨時委員 じゃあ簡単に。やっぱり海外への情報発信というのは重要だと思いますので、ありていに言ってしまえば、この評価書の英文訳があれば一番いいんですけど、さすがにそれはとてもお金がかかる話なので、すぐにやれとは言いませんが、やっぱり長い目で見たときに、長い目というのはいつかという意味ではなくて、やはり英文というものも、この初期リスク評価の内容の情報発信というのは必要かなと思いますので、その点はちょっといろいろ考えていただければと思うところでございます。
以上でございます。
○白石委員長 櫻井委員、どうぞ。
○櫻井専門委員 今、青木委員がおっしゃったとおり、最近、自動翻訳が非常に便利になってきている世の中ですので、いろんな考え方があると思うんですけど、全部英文にしなきゃいけないかどうかというところは、この後いろいろ考え方が出てくると思うんですね。ただ、こういう化合物についてリスク評価をしましたという英語があって、あとは日本語のPDFがついているという形でも、もしかしたらかなり活用していただける時代になっているのかなと少し思いましたので、すみません、コメントです。
○白石委員長 はい、どうもありがとうございます。
ほかいかがですか。よろしいですか。
はい、どうぞ。
○柴田専門委員 すみません、修正願ですけれども、資料3-2の9ページですけれども、生態の2番、クロトリマゾールで、PNECが「0.034」になっていますけど、これは「0.0034」だと思いますので修正をお願いします。
○川原室長補佐 承知いたしました。確認して修正いたします。
○白石委員長 では確認及び修正をお願いします。
ほかいかがですか。よろしいですか。
各部局の連携のところで、この書きぶりでよろしいですかね、鈴木委員。修文が必要ですか。
○鈴木臨時委員 私は直してもいいと思いますが、一瞬で直せるんですかね。
○白石委員長 一瞬では直せないと思います。
○鈴木臨時委員 よく考えていただかないといけないかなと。実際のところ、なので、来年そのつもりで検討していただいて、あるいは表記をきちっと書いていただければ、私としてはいいんじゃないかと思います。
○白石委員長 なるほど。
どうでしょうか、事務局。
○川原室長補佐 ありがとうございます。
そうしましたら、次年度にしっかりと文言等を検討した上で記載させていただこうと思います。
○白石委員長 はい。そのようなことでよろしいですか。
時間が大分押してしまいまして、最後に誰か、どなたかご質問があればお受けしたいと思いますがよろしいでしょうか。
よろしいようでしたら、資料3-2ですね、これをご覧いただいて、いろいろコメントがありましたが、修文が必要だというところまでは至っていないと思いますので、この資料3-2を化学物質の環境リスク初期評価(第23次取りまとめ)の結果についてとして公表することで了承してよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
○白石委員長 はい、では了承されたということで、公表のほうをよろしくお願いします。
それでは、その他に移ります。本日配付されている参考資料1ですが、先ほどフライングで説明してもらいましたがどうですか。よろしいですか。
○西川専門官 先ほどご説明させていただいた内容から追加等はございません。このようにPOPRCの結果になりましたというご報告でございますのでよろしくお願いいたします。
○白石委員長 それではご報告を受けたということにさせていただきたいと思います。
以上で予定していた議題は終了となります。
事務局より連絡事項等があればお願いいたします。
○市村室長 本日はどうもありがとうございました。本日ご報告いたしました黒本調査と環境リスク初期評価の二つの議題につきましては、近日中に結果の概要を公表する予定としております。
また、令和5年度化学物質環境実態調査結果報告書及び第23次環境リスク初期評価結果の詳細版につきましては、会議の中でご意見、ご指摘等をいただいた内容を基に、今後さらに内容を精査した後、年度内を目途に公表することを考えておりますので、併せてご理解賜りますようお願いいたします。
また、次回の委員会につきましては、来年度の同じぐらいの時期の開催を予定しております。時期が近づきましたら必要なご連絡、調整等をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
以上です。
○白石委員長 はい。それでは以上で第30回化学物質評価専門委員会を閉会いたします。ありがとうございました。
午後6時13分 閉会