中央環境審議会環境保健部会 化学物質評価専門委員会(第29回)議事録
1.日時
令和5年12月18日(月) 14:00~16:16
2.議事
午後2時00分 開会
○吉川課長 お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会環境保健部会第29回化学物質評価専門委員会を開催いたします。
本日、進行を務めさせていただきます、環境安全課長の吉川と申します。本年8月1日付で、環境安全課長に着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、先生方におかれましては、お忙しいところご出席いただきまして誠にありがとうございます。
現時点で16名の委員にご参加いただいており、後ほど武林委員を含めまして、17名の委員に本日はご参加いただける予定です。なお、平成26年度まで当委員会の委員でいらっしゃいました中杉先生には、今年度も引き続き参考人としてご出席いただいております。
また、今年度から当委員会における新たな委員として、小川先生、堀口先生、山本先生にご参加いただいております。
先生方から一言ご挨拶いただいてもよろしいでしょうか。
まず、小川先生、お願いいたします。
○小川臨時委員 小川です。よろしいでしょうか。
国立医薬品食品衛生研究所の病理を担当しております、小川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉川課長 小川先生、ありがとうございました。
続きまして、堀口先生、お願いいたします。
○堀口臨時委員 慶應義塾大学で非常勤をしております、堀口と申します。環境省の関係ではエコチル調査などに関わらせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉川課長 堀口先生、ありがとうございました。
続きまして、山本先生、お願いいたします。
○山本臨時委員 国立環境研究所の山本です。今回、新たに委員としてここに参加させていただくことになりました。専門は生態毒性です。よろしくお願いいたします。
○吉川課長 山本先生、ありがとうございました。先生方、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
本日は、昨年度までと同様、ウェブ会議との併用での開催とさせていただいております。また、当委員会は、運営方針に基づき公開とさせていただいておりますので、本日はYouTubeを用いてライブ配信を行っております。
ウェブ会議及びYouTubeライブ配信に当たっての注意事項をご説明させていただきます。
○福澤専門官 ウェブ会議及びYouTube配信に当たっての注意事項です。ウェブ会議システムを用いてご参加いただいている皆様は、ご自身の発言のとき以外はマイクをオフ、ミュートに設定していただければと思います。また、ご発言の際には最初にお名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。
お聞きになっている音声が途切れがちになりました場合は、ビデオをオフにすることをお試しいただければと思います。
また、音声が聞こえない場合には一度ご退席いただいて、再度、ご参加いただく形でご対応いただければと思います。
もしお困りの事象などがございましたらシステムのチャット機能でお知らせいただくか、環境省環境安全課までご連絡いただければと思います。電話番号は03-5521-8261、復唱いたします。03-5521-8261となっております。
速記録の作成のために会議の発言内容については録音をさせていただいております。
また、YouTubeライブ配信では、音声とともに映像も配信しておりますけれども、こちらも不調がございました場合には、音声のみの配信に切り替えさせていただきますので、ご承知おきいただければと思います。
以上です。
○吉川課長 それでは、開会に当たりまして、環境保健部長の神ノ田より一言ご挨拶を申し上げます。
○神ノ田環境保健部長 どうも皆様、こんにちは。環境省環境保健部長の神ノ田でございます。
本日は年末の大変お忙しい中、化学物質評価専門委員会にご出席をいただきまして誠にありがとうございます。
また、委員の皆様方には、日頃から環境保健行政の推進に格別のご理解、ご協力をいただいているところであります。この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。
さて、環境省では、化学物質が環境を経由して、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性を環境リスクとして捉えまして、その科学的な評価とリスク低減のための取組を実施しているところでございます。その一環といたしまして、本専門委員会のご助言をいただきながら、化学物質環境実態調査及び化学物質の環境リスク初期評価を実施してきたところであり、いずれも化学物質管理施策の基盤的な事業として位置づけられております。
令和3年10月に公布されました化管法施行令改正やノニルフェノールエトキシレートの第二種特定化学物質への指定に向けた評価におきましても、これらの調査結果を重要な基礎資料として活用しております。今後も最新の知見や技術等を反映しながら、適切に実施していく必要があり、委員の皆様には引き続きのご助言をお願い申し上げます。
本年も、本日の専門委員会を迎えるまでに、多くの方々にご協力をいただく中で、様々な検討会等での議論を重ね、報告書案の作成等を進めてきていただいたところでございます。本日、最終的なご評価等をいただきました後、速やかに結果の公表を行いたいと考えております。
委員の皆様には限られた時間ではございますけれども、忌憚のないご意見等をいただきまして、実り多い会議にしていただければと思っております。
以上、簡単ではございますけれども、冒頭のご挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○吉川課長 ありがとうございました。
続いて、事務局メンバーが人事異動により交代しておりますので、紹介させていただきます。
冒頭ご挨拶を申し上げましたとおり、私、環境安全課長の吉川が着任しておりますのと、7月1日付で環境リスク評価室室長補佐として川原が着任しております。
以上です。
続きまして、お手元にございます、事前に送付もさせていただきました本日の資料のほう、事務局より確認をさせていただきます。
○福澤専門官 配付資料1としまして本委員会の委員等名簿。次に、資料2-1として、令和4年度化学物質環境実態調査結果概要。資料2-2としまして、その結果報告書案。資料2-3として、令和5年度調査の進捗状況。資料2-4として、令和6年度調査の実施方針案。資料2-5として、令和3年度調査結果の活用状況。続きまして、資料3-1として、環境リスク初期評価の進捗状況。資料3-2として、化学物質環境リスク初期評価の第22次取りまとめの結果概要(案)。資料3-3として、取りまとめ結果(案)の本体となっております。
また、参考資料としまして、ストックホルム条約第11回締約国会議(COP11)結果概要及び残留性有機汚染物質検討委員会第19回会合の結果概要を添付しております。
資料に不備等がございました場合は、事務局にお申出いただくか、ウェブ会議でご参加いただいた先生方は、別途メールで案内させていただいております環境省ウェブサイトに掲載しております資料をご覧いただければと思います。
○吉川課長 それでは、議事のほうに入らせていただきまして、白石委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
○白石委員長 白石です。ご指名ということで、議事進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いします。
それでは、早速ですが、最初の議題に入ります。
化学物質環境実態調査の結果、進捗状況等についてということでございます。令和4年度の化学物質環境実態調査、いわゆる黒本調査の去年度の結果と、令和5年度調査の進捗状況等につきまして報告があるとのことです。資料は2-1~2-5に基づきまして、事務局より説明をお願いします。
○福澤専門官 環境安全課、福澤でございます。
資料2の各資料にのっとって、化学物質環境実態調査のご説明をさせていただければと思います。
まず、資料2-1と資料2-2がセットとなっておりまして、令和4年度、昨年度の調査結果の資料となります。
本調査では、実際に試料の採取、分析をして調査を行ったその翌年度の約1年間をかけまして、調査結果の精査、解析等を行った上で、本委員会でご報告をさせていただいております。そのため、今回は令和4年度の調査結果についてのご報告となります。
資料2-2が詳細な内容を含んだ調査結果報告書でございまして、タイトルを「化学物質と環境」として公表しているものでございます。こちら、いわゆる黒本と呼ばれているものの原稿案でございますけれども、内容が500ページ近くとボリュームが多いものとなっておりますので、本日は概要として、資料2-1に取りまとめております概要を主にご説明させていただければと思います。
まず、1ページ目の経緯でございますけれども、本調査は化審法の制定時の国会での附帯決議を踏まえて、昭和49年度から一般環境中における化学物質の残留状況の把握を目的に行っており、これまでにおよそ50年をかけて実施してきたところでございます。
調査の内容につきましては、平成14年度以降は、環境省内の化学物質関連の施策を所管している部署から要望がございました物質について調査を行うという体制になっておりまして、また、平成18年度以降は、調査目的に応じて初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の3種類に分けて実施してきております。
続きまして、2の調査の進め方でございます。
まず、初期環境調査につきましては、一般環境中の高濃度が予測される地域での調査を行い、残留の有無が主に検討される化管法の指定化学物質の指定プロセスなどの施策で活用される基礎資料として調査を行っております。
ページをおめくりいただいて、2ページ目の冒頭に調査物質数を記載しており、令和4年度は13物質について調査を実施しております。
次に、イの詳細環境調査については、全国的なばく露状況を検討する必要がある、化審法の優先評価化学物質のリスク評価などで活用することを目的として行っている調査でございます。令和4年度につきましては、6物質(群)を対象に調査しております。
最後のウのモニタリング調査につきましては、化審法で特定化学物質と指定されたものやストックホルム条約(POPs条約)の対象物質につきまして、一般環境中での残留状況の経年変化を把握するという目的で実施しております。令和4年度につきましては、POPs条約の対象物質の中から11物質(群)を対象にして調査しております。
3の調査結果として文章で調査結果の概要を記載しておりますけれども、後ろのほうに別表として、物質ごとの検出状況をまとめておりますので、そちらを用いて詳細についてはご説明したいと思います。
5ページ目の別表1が初期環境調査で実施しました13物質の結果の表となっております。
左から、物質の調査番号、物質名、調査を行った媒体、実施年度、検出頻度を検体と地点それぞれでまとめたものと、検出濃度の範囲、そして検出の下限値という順で記載しております。物質名につきましては、別名を有するものについては括弧書きで記載させていただいております。
表の中で、太字で示している結果が昨年度の調査の結果でございまして、それ以外に過去に調査した実績があるものにつきましては、太字ではない形で記載しております。昨年度のデータのみというのは、昨年度調査が初めてのものになります。
また注釈にもございますけれども、物質名の後ろに※がつけられておりますものは、PRTRなどの排出の情報を踏まえまして、調査地点を選定したものでございます。
では、各物質についてご説明させていただきます。
まず、調査した媒体について先にご説明しますと、二つ目の物質のみが大気での調査となっておりまして、それ以外は水質での調査となっております。
調査番号[1]のアトルバスタチンにつきましては、34地点中14地点で検出がされたという状況になっております。
物質番号[2]の2-(ジエチルアミノ)エタノールにつきましては、調査いたしましたけれども、検出がされなかったという状況になっております。
物質番号[3]のジエチルアミンにつきましては、過去の調査では検出はされませんでしたけれども、検出下限値を今回下げて実施しましたところ、28地点中6地点で検出がされたという結果となっております。
[4]のビスフェノールFは、今回初めて調査しましたけれども、検出はされなかったという結果になりました。
[5]の1.3-ジフェニルグアニジンにつきましては、こちらも久しぶりの調査でございまして、検出下限を下げて調査したところ、29地点中19地点で検出がされております。
物質番号[6]のビスフェノールSは、今回初めての調査でございますけれども、32地点中25地点で検出がされております。
[7]のトリエチレングリコールジメチルエーテルにつきましては、検出がされなかったという結果となっております。
[8]の1.3.5-トリスグリシジル-イソシアヌル酸につきましては、23地点中2地点で検出がされております。
物質番号[9]のビスフェノールAFにつきましては、32地点中5地点で検出がされております。
[10]の3.5.5-トリメチル-1-ヘキサノール、[11]の1.2-ビス(2-クロロフェニル)ヒドラジン、[12]のフランにつきましては、いずれも今回の調査で検出されなかったという結果となっております。
[13]の1.3-ベンゾチアゾール-2-チオールにつきましては、昔に調査したときに多少検出が見られているものでございますけれども、今回の調査では検出がされなかったという結果となっております。
続いてページをめくりいただきまして、6ページが別表2の詳細環境調査の結果でございます。
まず、一つ目の物質群のアルカノール類につきましては、一部物質については過去に調査実績があり、昨年度は物質によって検出頻度が低いもの、高いもの、検出を全くされていないなどがございますけれども、一番多いものとしては、[1-5]の1-テトラデカノールでございまして、43地点中30地点で検出がされたという結果となっております。
[2]のアルキル(ベンジル)(ジメチル)アンモニウムの塩類の、アルキル基の炭素数が12、14または16のものでございまして、こちらは過去に総量としての調査を行っており、今回検出下限値を下げて調査したところ、43地点のうち全地点で検出がされたという状況になっております。こちらは対象に含まれている物質を個別にも測っておりますけれども、検出頻度、若干差があるという状況になっております。
[3]のジ(オキシエチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステル及びその塩類につきましては、25地点のうち全ての地点で検出がされたという結果となっております。
[4]のN.N-ジメチルアルカン-1-アミン=オキシド類、アルキル基の炭素数が10、12、14、16または18で直鎖型のものにつきましては、こちらも過去に水質での調査を一部の物質で行っておりまして、今回は水質及び底質で調査をしております。こちらも検出頻度はそれぞれの物質によってばらつきはありますけれども、多い結果となりましたのは[4-2]のN.N-ジメチルドデカン-1-アミン=オキシドでございまして、48地点中34地点での検出となっております。
物質番号[5]のトリメチル(オクタデシル)アンモニウムの塩類につきましては、底質での調査ですけれども、27地点のうち全ての地点で検出がされたという結果となっております。
[6]のビスフェノールAにつきましては、水質で過去断続的に調査を実施してきているところでございますけれども、今回は32地点中28地点で検出がされたという結果となっております。
続きまして8ページの別表3-1からがモニタリング調査における検出状況でございまして、3-1が水質と底質での結果をまとめてございます。3-2が生物・大気で、媒体によっては一部不検出というようなものもございますけれども、いずれの物質も何かしらの媒体からは検出がされているという状況になっております。
こちら、調査は継続して行い、解析ができるぐらい長期にわたって実施している物質につきましては、別表3-3以降で、経年変化の解析の結果をまとめてございます。
まず、11ページの別表3-3は、水質での解析結果となっております。検出状況などによっては、表の下に記載しておりますような形で、解析の手法をもろもろ変更させる必要があって、それに応じて記号のつけ方も変更してはいますけれども、おおむね横ばい、または減少傾向というような形での結果となってございます。
12ページの別表3-4が底質での結果で、次の13ページの別表3-5が生物及び大気の結果でございますけれども、これらもいずれも横ばい、または減少傾向という解析結果となっております。
14ページ目以降は、これらの調査結果について、結果の精査、解析にご協力いただいた検討会の先生方の名簿を記載させていただいております。
続きまして、資料2-3のほうに移らせていただきます。こちらは令和5年度、今年度の化学物質環境実態調査の進捗状況についての資料でございます。
今年度も引き続き、1の調査内容にございますとおり、初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の三つの体制で調査を実施しております。
また、2の精度管理に記載しておりますように、初期環境調査、詳細環境調査では、複数の分析機関が同一の物質を分析する場合がございますので、分析機関の間での測定の差異などが生じている場合は、事前に把握して対策を行う必要があることから、共通の標準物質を使用することであるとか、ラウンドロビン・テストの実施、有識者の立入調査といった精度管理を実施しております。また、モニタリング調査についても同様に、基本的に単一での分析機関でございますけれども、国立環境研究所であるとか、有識者によって立入調査を実施するという形で調査を行っております。
2ページ目の表1が、初期環境調査での対象物質でございまして、こちらにお示ししております14物質(群)について調査を実施しているところでございます。
表の中で◎で記載しておりますのが、今年度、初めて調査を実施する物質でございまして、それ以外の単に○だけつけたものが、過去にも調査の実績があるというものになっております。
要望施策については一番右の欄に記載させていただいております。
3ページ目の表2が、詳細環境調査での対象物質でございまして、記載の5物質(群)での調査を実施しております。
表3がモニタリング調査の対象物質でございまして、POPs条約の対象となっている11物質(群)で調査を実施しているところでございます。
続きまして、資料2-4でございます。こちらは令和6年度、来年度の調査に向けての実施方針(案)でございます。
こちら、まず、別添1でございますけれども、今年度に分析法開発を行っている物質を2ページ目以降に記載しております。先ほどご説明したとおり、関係部署からの要望に基づいて調査を実施しているところでございますけれども、環境中での分析法がないというものもございまして、そういったものに関しては、この調査の中で分析法の開発を行った上で、実際の測定に移っていくということになります。ですので、この別添1で開発を行っている物質のうち、今年度開発がうまくいけば、来年度の調査に移れるというものになります。
また、別添2のほうには、要望があった物質のうち、過去の調査の中で分析法の開発が行われたことがあり、来年度以降、すぐに調査に移れるというものもございますので、そちらは別添2のほうにまとめさせていただいております。
別添3は、要望がありましたけれども、今年度までにまだ分析法の開発に着手できていない物質でございまして、これらは分析法を開発した上で、将来的に令和7年度以降に調査をする可能性があるものとして、参考として記載させていただいております。
個々の物質のご説明は省略させていただきますけれども、別添1につきましては、令和5年度実施中のもので、こちら記載の23物質について開発を行っております。
4ページ目以降の別添2が、既存の分析法がある物質でございまして、こちら、記載の24物質(群)について、来年度以降、調査の可能性があるという状況となっております。
別添3が令和7年度以降に調査に移れるかもしれないということで、参考として記載しております。23物質(群)について要望が上がっているという状況となっております。
最後、資料2-5でございます。こちらは令和3年度の調査結果の活用状況でございまして、昨年度、本委員会で評価をいただいた上で、令和4年度版の「化学物質と環境」として公表しました調査結果につきまして、要望部署のほうにアンケートを取らせていただきまして、調査結果の活用状況をまとめたものでございます。
2ページ目の別表1が、令和3年度の初期環境調査の結果の概要と要望施策での活用状況をまとめさせていただいたものでございます。
[3]の1.3-ジオキソランにつきましては、環境リスク初期評価からの要望で、この後にご説明いたします、第22次の取りまとめでの活用がされているといった形で活用状況が報告されております。
ほか、個別物質のご説明は割愛させていただきますけれども、4ページ目の別表2が、令和3年度の詳細環境調査についての活用状況の結果となっております。
こちらで化学物質環境実態調査関係の資料を一通りご説明させていただきました。
○白石委員長 はい。どうもありがとうございました。
結果の取りまとめに当たっては、専門家から構成される検討会議で別途、精査、解析等をしていただいているところです。本委員会において、評価等の審議に入る前に、それぞれの実務者会議で座長を務めています、私もそうですが、中杉参考人、柴田委員に補足説明などがございましたら一言ずつご発言をお願いしたいと思います。
まず、化学物質環境実態調査結果精査検討会及びモニタリング調査の結果に関する解析検討会の座長を務めさせていただいています、私のほうから補足の説明させていただきます。
精査検討会のほうにおいては、例年のごとく3回、元のデータ、報告書を見させていただいて精査を加えて、大きな問題なく、ほぼ済んだのですが、一つだけ問題が残りまして、資料2-1の6ページを見ていただいて、調査物質番号[3]というのがございますけども、この物質、ジ(オキシエチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステルとなっていますけれども、本来、もう少し幅の広い対象物質が指定されていて、それの分析ということで分析法が開発されていたんですけども、近年、特に、標準物質がないとか、環境中で非常に分解しやすいものの分析法の開発依頼というのがすごく多くなってきて、本物質もそれに該当して、環境試料の保存性というのを今チェックしているのですけども、黒本調査では、地方の環境研がサンプリングして、それを分析機関に送ってという作業がどうしても入るので、大体1週間ぐらいはかかってしまう。そういったものの保存を担保できるような分析を開発しましょうというのが、基本スタンスになっていると。
この物質については、それに加えて市販の標準物質がない、合成するということをせざるを得ないようなものだったのですけれども、結局のところ、これを製造している会社から、濃度が限定された標準の工業製品をいただいて、それを元に分析しようということだったんですけども、非常に分析法開発が、環境中で分解しやすいというのも含めて難航しまして、数年間かかってしまったということがあり、その標準物質の安定性に疑義が生じまして、実際、この調査は、その標準物質を使ったのですけれども、新たに今、この物質ですね、ここに[3]に書いた物質だけ標準物質が入手できるということで、工業製品を検討し直したということでございます。
その結果、標準物質がどうも変質しているらしいということが分かりまして、ほかの物質については、本来は、その組成比で割り振ろうと思っていたのですけども、それも分解度合いが分からないということで、組成比で割り振ることが困難だろうということで、ほかの、これはジ(オキシエチレン)ですけど、ポリ(オキシエチレン)で1個だったり、2個だったり3個だったり、4個だったりというものが対象だったのですが、それは全て欠測をするということにしました。そういう事情があって、[3]はこういった名称になっております。
それから、[4]なんですけども、N.N-ジメチルアルカン-1-アミン=オキシドという、これも界面活性剤なのですが、この物質も環境中で分解しやすいということが分かっておりまして、ここの7ページ目の注3のところに書いてありますが、2004年と2015年にも水質の分析を行ったということなのですが、このときに使った分析法、当時、分析法の開発では、環境試料の保存性というのはあんまりきちんとやっておりませんで、保存分解性スクリーニング試験で、pHを変えて、その溶液中での保存性というのをチェックしていたんですが、2017年に保存性もチェックしたような分析法が開発されたということでございます。
なので、その前のデータは、どうも2017年の分析法開発の段階においては、非常に分解が速いと。何も処理をしなければすぐなくなってしまうということが判明し、この場合にはメタノールを10%になるように添加すれば1週間ぐらいはもつということが分かったので、そういった分析法になっています。
ですので、過去のデータについては、水質については少し問題があるということで、ここには欠測とするというふうに書いてあります。遡って欠測としていただきたいということでございます。
それから、底質についても同じことが起こっているのですけれども、底質は、好気性の底質と、還元性の底質で挙動が全く違いまして、アミンオキサイドなので、還元性の底質だと、あっという間に還元されてしまう、残らないということが分かっております。
ただし、分析法の開発の段階では、同じアミンオキサイド、モルフォリンという物質の4-メチルモルフォリンに酸素がついたアミンオキサイドを加えてやると、保存性がすごくよいということが分かっているのですが、環境手法にそれを加えてしまいますと、ほかの分解したアミンから元に戻ってしまうというようなこともあるので、こういったことをやらないと。ただし、たしか1週間程度でしたかね、これも1週間程度ならもつということで調査に入っています。
そういうことで、還元性の底質では非常に分解が速いということを念頭に置きながら調査してくださいよということになっておりまして、ここでは、2015年度も底質調査をしているのですけども、これ、全く同じやり方をしているので、どのぐらい分析までに時間がかかったかということを再チェックしていただいた上で、欠測としていただくのがありがたいかなというふうに思います。
精査委員会としてはその程度ですかね。
それから、モニタリングのほうですけども、モニタリングのほうは、1回だけ会議を開かせていただきまして、これ、統計的手法というのはほぼ確立していますので、それにのっとって計算を行って、資料でいうところの11ページからのような統計的な減少傾向というものを示したということで、これは去年と多分ほとんど変わっていないと思います。
今年は、新たに、8ページの[21]ヘキサクロロブタ-1.3-ジエンというものが、データがそろってきましたので、これを統計解析に上げました。
ただ、ご覧になって分かるように、8ページ目ですけども、水質はndですね。底質もほとんどnd、生物もnd、要は、この物質、大気に移行しやすい物質ということで、大気についてのみ、経年変化が解析できるということでございました。
その結果が13ページ、横ばいということなのですけども、実際にこれ、個々のデータを当たっていきますとか、年度ごとでいろいろばらつきがございまして、ある年度で高いというような統計的な解析することも可能なのですが、これ、どうも気象条件によるらしく、近隣諸国で濃度が高い国がございますので、そこから気象条件によっては長期流動してやってくるということが考え得るということで、サンプリングもそういった気象条件も含めて解析する必要があるかどうかも含めて、ここでは全体を通じて横ばいであるという結果のみ示しているというところでございます。
それでは、私からは以上なのですけれども、続いて初期環境調査及び詳細環境調査の結果に関する解析検討委員会の座長を務められた、中杉参考人にご発言をお願いします。
○中杉参考人 ちょっとよろしいですか。
○白石委員長 はい、聞こえます。お願いします。
○中杉参考人 先ほどからチャットのほうで出しているのですけど、ウェブで参加している者は全く分かりません。いつの間にか環境省で説明をしていたのが、白石委員長がどうも途中から何も取らずに始められたなというふうに理解をしていたのですが、私は中身を結構知っていますから、ここの話をしているなというのは分かるのですが、白石委員長のウェブはミュートを解除していないままでどんどんしゃべられるので、どこかで切れてないのですよ。どこの部分をやっているかというのをウェブの先生方、全く理解できないのじゃないかな。私は自分の説明をすればいいということなので、それでいいのですが、この辺は理解できないのじゃないかなと。
それで、私、気になったのは、白石先生が話をやめられたので、順番でいくと、私の順番なのかなと思って、ちょっと声を出しただけですけど、勘違いでしょうか。
○白石委員長 ほかの委員の方々も同じ状況でしょうか。
(状況確認、機材調整)
○中杉参考人 もう精査検討会の話は聞かれたので、よろしいのですね。
○吉川課長 はい、よろしくお願いいたします。こちら、委員長にお渡ししているマイクがよろしくなかったようで申し訳ございません。
○中杉参考人 じゃあ白石先生が細かい話、どういうふうにされたかというのは十分理解できなかったので、同じことをもう一回申し上げるかもしれませんけれども、初期環境調査、詳細環境調査の結果に関する解析検討会における内容について、若干のコメントをしたいと思います。
白石先生がやられた精査検討会で、データの中身をチェックをしていただいたものを、解析検討会のほうで議論をさせていただいて、主に過年度の調査と比べて比較ができるものは、過年度の調査と比べて増えているか、減っているか、判断できるかということをやるというのが一つ。
それから、数年前から始めてますけど、発生源との関係で何か特徴あるものがいえるか。これは発生源の近くで測るということを考えて、調査ポイントを選んでいただいている関係から、そういうふうな観点でちょっと見ています。
それで、過年度調査との比較においてということで、初期環境調査の[5]、38ページのところです。[13]、55ページのところです。それから詳細環境調査の[1-1]、86ページのところ、それから[2]、95ページのところ、[4]、100ページ、[5]の111ページのところ、計6物質については、同一地点で調査をしている結果がありました。
それで、過去の調査結果と今回の調査結果とを比べて、増減が判断できるかということですけれども、毎回、検出下限値が違ってきたりしますので、それも含めて考えると。過去にはndであったものが、今、検出されたから増えるという判断ではないということでございます。
今回は、6物資についてがその対象になりましたけれども、残念ながら増減の結果が判断、いずれもできなかった。増えているとも、減っているとも判断されなかった。同一の傾向が見えてなかったというような結果でございます。
それから、二つ目の検討に絡めてですけれども、これは白石委員長から、先ほどの説明の中でもされていたように漏れ聞いていましたが、[4-2]、102ページのところですけれども、N,N-ジメチルドデカン-1-アミン=N-オキシドについては、2004年、2015年、2019年に水質、底質では2006年、2015年、数多くの調査をやっています。全体に見たときに2015年までの調査結果と2019年、22年の調査結果を見ると、最近、濃度が高くなっているという結果が得られました。
精査検討会のほうで、もう白石先生にご説明いただいたと思いますけど、過去の分析結果が、どうも分析途中での物質の分解のことが分からなかった。今回の調査でそれが分かったので、過去のデータは不採用とするということを改めて遡ってやったということでございます。今回の資料の中では、過去のデータはそういう意味では消えていまして、2019年と2022年の2か年の結果でございます。
ただ、これは近いので、2か年の結果というのは、まだあまりはっきりしないので、これは特段言わないという結果にしてございます。
二つ目の調査物質と排出源の関係でございますけれども、一つ明確な結果が出ましたのは、初期環境調査の[1]アトルバスタチンでございますけれども、高コレステロール血症薬、医薬品ですね。これは下水処理場の影響を強く受ける地点で検出されたということで、下水道由来であろうということが大体分かったということでございます。
そのほかに、詳細環境調査の[2]、95ページの物質、[3]、98ページの物質、[100]、4ページの物質、[102]ですかね、これについて調べてみたのですけど、下水処理場の影響を強く受ける地点に加えて、上流に下水道場はないが、生活排水の影響を強く受けると考えられる。こういう地点で検出されました。これらはいずれも下水道由来といいますか、下水由来、家庭下水由来が効いているのではないだろうかという判断ができます。
それから、もう一つだけでございますけれども、初期環境調査の[8]、46ページの物質でございますが、これは公共用水域に排出しているという届出があった事業場の下流で、最大濃度が検出された。これは事業場排水が影響しているのではないかと。1か所だけですので、はっきりはしませんが、そんな結果が得られています。
私からの説明は以上でございます。
○白石委員長 ありがとうございました。
聞こえますでしょうか。マイクを変えましたが。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、POPsモニタリング検討会の座長を務められた、柴田委員よりご発言をお願いします。
○柴田専門委員 ありがとうございます。POPsモニタリング検討会の検討状況について、簡単にご説明をしたいと思います。
こちらの検討会のほうは、黒本の長期的なモニタリングの精度管理を中心としたところで作業をしております。資料2-3で先ほどご説明いただきましたけれども、まず、分析分科会のほうでは、実際に具体的なデータにつきまして、いわゆる、例えばQA・QCに基づく精度管理の作業を行って、問題がないということを確認するという作業を進めてきております。
特に今年度につきましては。
○中杉参考人 すみません、私に質問があったのですか。ちょっと中身が……。
○白石委員長 すみません、マイクがつながっていないでしょうか。今、柴田委員が、コメントをいただいているのですけれども。
(機材調整中)
○柴田専門委員 これでもう一回、しゃべっていますが、いかがでしょうか。
○岡田専門委員 クリアです。
○中杉参考人 聞こえます。
○柴田専門委員 分かりました。これで作業を進めたいと思います。
それではモニタリング分析検討会の報告をさせていただきたいと思います。
モニタリング調査検討会のほうは、先ほど資料2-3でも説明がございました精度管理を中心として、モニタリングデータの確認を行っております。
今年度は、特に生物試料の分析機関が交代したということもありまして、かなり丁寧に見ておりますけれども、精度管理に関しては、特段の問題は認められておりません。
データのほうに関して言いますと、一つ、大気のHCHの分析結果の中で2地点ほど、これまでより少し高いデータが得られていて、それが何かということで、いろいろ調査をした結果、用いたハイボリュームサンプラーはその2地点は全く同じものを使っていて、そのハイボリュームサンプラー由来の汚染の可能性というものが否定しきれないということが分かりましたので、この2地点のデータについては欠測扱いにしたほうがよいのではないかというふうに現在考えております。
それ以外につきましては、今申し上げたように基本的に精度管理上、特に大きな問題になるような結果というものは今のところ認められておりません。
実際の測定結果のほうで1点、現実的な問題として言われておりますのが、特に沖縄の辺戸岬と、それから長崎県の福江島で行われている大気の高頻度測定の結果であります。現在、既にPOPs条約の対象物質が34に増えておりますけれども、さらに新しい物質が追加されつつあるという状況の中で、現在、1回の試料の採取で測定できる本当に限界に近いところまで来ていて、これ以上物質の数が増えてくると同じ感度を維持するのが難しいということが分析機関のほうからも指摘を受けております。
これらに関しましては、これまでは高頻度の測定については基本的に条約で認められた全ての物質について測定をしていこうということで、こういった結果というのはストックホルム条約の有効性評価にも非常に重要な情報ですので、そういった努力をしてきておりますけれども、今後に関しては、例えば国内の黒本調査で行っているように、ある種、優先順位をつけて、例えばもうほとんどndばかりなってきたもの、あるいは変化が非常に少なくなってきたものについては頻度を落とすといったような工夫も必要になってくるかもしれないといったようなところについての議論が行われました。
ただ、今申し上げましたように、特にこの高頻度のデータというのは世界的に見ても非常に貴重なPOPsの実態調査として、世界のレベルでは重要な情報になっていて、条約の有効性評価のための地域レポート、あるいは全球レポートにも、こういったデータが出てくるというような貢献をしておりますので、そのあたりにつきましては、科学的な検討も加えた上で、基本的な議論を進めていってはどうかというような議論をしてきているところであります。
それからもう一点、先ほど白石委員のほうからも御指摘いただきましたけれども、HCBD、ヘキサクロロブタ-1.3-ジエンにつきましては、以前から2017年で突然濃度がそれまでの数倍ぐらいに上がってきて、その後も比較的高止まりの傾向を示しているというところが気になっております。ヘキサクロロブタジエンにつきましては、基本的には意図的には製造されていなくて、トリクレン、パークレン、あるいは四塩化炭素といった有機塩素系の溶媒の製造時にどうしてもできてしまうものということで、数十年ほど前の段階では、できてしまうものをいかに有効利用しようかという観点から用途がいろいろ作られてきたものですけれども、毒性が強いので、最近では、特に先進国では全て焼却処理をされてしまうという物質です。ただ、途上国においての情報が今までなかったということもありまして、先ほどもちょっと御指摘いただきましたけれども、日本での観測結果というのは、実はもう少し近隣の諸国から飛んできているのではないだろうかということで、いろいろと検討が進められてきているところです。
これらにつきましては逆に、特に中国あたりは今かなり研究が進んできていて、中国国内についてのHCBDの製造状況、あるいは発生状況に関するモニタリング結果も含めて、いろいろ情報が増えてきておりますので、今後そういった情報を使いながら、国内のデータのいろいろ検討、解析が進められることを期待するというような議論も行われておりました。
とりあえずモニタリング検討会からは以上です。
○白石委員長 はい、ありがとうございました。
それでは、各委員からの補足説明も踏まえた上で、資料及び説明内容に対して、ご質問、ご意見等ありましたらお願いします。いかがでしょうか。はい、小山委員、お願いします。
○小山専門委員 ありがとうございます。小山から一つ質問させていただきます。
先ほどの説明の中で、発生源をある程度意識して調査地点を決めて、サンプリングして分析をしているという説明がございましたが、中杉委員から幾つか、例えば下水処理場由来であろうというようなご説明があったのだと思いますが、ほかの物質についても、あるいはほかの地点についても、発生源ぐらいが明確になったものが結構あって、それをうまく機能しているという理解でよろしいのか、お伺いしたいと思います。
以上です。
○白石委員長 よろしくお願いします。
○中杉参考人 基本的には、発生源由来といっても、下水処理場周りかどうかというところが中心になります。個々の排出事業所については、全国色々なところで出されているということもあるので、たまたま出てこないということもありますから、先ほど申し上げたのは一番濃度の高いところが、こういうところの下にあったよということが、例があったということでご紹介しました。
全体として、排出する届出事業所がかなりたくさんある中で、明確には出てこないかもしれない。下水処理場の場合は、やはり排水量も多いので、後で別のところでお話をしますけれども、そういうところを中心的に見ていくというふうな感じで、特に今回、初期環境調査の一番のアトルバスタチンが下水処理場から入った。これは医薬品ですけども、医薬品と下水処理場というのは、やはり関連があると思っています。
そういうのが見えたぐらいで、あとはそれぞれ個別にこの事業者、この業種のこの物質は事業所由来だというのはほとんど見えてないということで、残念ながら、そんな状況であります。
○白石委員長 はい、ありがとうございます。
小山委員よろしいでしょうか。
○小山専門委員 結構です。
○白石委員長 ほかにご質問、ご意見ございますか。はい、お願いします。鈴木委員。
○鈴木臨時委員 鈴木です。一つお尋ねしたいのですが、白石先生のご説明をはじめ、あるいはこれまでもかなり測定前の資料の保存性で、測定が欠測になった例が出ているような気がしていまして、意見としては保存性に関する検討を分析法開発の中で、もしかしたら考え直したほうがいいのではないだろうかという、それはすぐにできることではないのですけども、環境の立場からすると、分解というのは基本的には環境依存で、そこに何があるかによって純粋なのか、pHが違うのか、あるいは生物がいるのか、あるいは光が当たるのかというふうに変わってくる要因ですので、もしかするとこれほど今、確かに使われている物質が化審法をはじめ残留性を重視することに多分影響すると思うのですが、多くの物質が比較的分解の早いものが広く使われるようになって、しかし、分解性は早いけれど、たくさん使われているから出るということになりますと、分析段階で分解するということはもう少しきちんとチェックしたほうがいいかなと思いますので、将来の課題だと思いますが、分析法における試料の保存性試験の方法、あるいはそのための実際の分析に至るまでの何らかの手順というものについて、少し考え直したほうがいいかなという気がしましたので、ちょっと将来の課題として思ったところを申し上げます。以上です。
○白石委員長 はい、ありがとうございます。何か事務局、ありますか。
分析法の開発のほうにもかなり負担がかかっていると思います。そういうこともあって、分解性に関する情報はあらかじめ何か精査しておいたほうがいいのかなというような気がします。
○鈴木臨時委員 何でもいいのですけども、かなり分解、試料のね。
○白石委員長 そうですね。
○鈴木臨時委員 はい。
○福澤専門官 音声、聞こえておりますでしょうか。事務局でございます。
分析法に関して課題があるというご指摘ありがとうございます。分析法の開発にあたっては要望いただいている部署がございますので、そちらのほうで分解であるとかそういった知見はないのかといったことは既に質問等させていただいているところでございますけども、このような結果も出てきているというところで、改めて分析でどこまで考慮するべきなのか、どういう検討過程にすればいいのかということを、今一度検討させていただきたいと思います。
○白石委員長 はい、ありがとうございます。今のご回答でよろしいでしょうか。検討課題ということで。
○鈴木臨時委員 はい、課題ということで結構です。
○白石委員長 よろしくお願いします。ほかにご質問等ございますか。はい、どうぞお願いします。Webのほうからも会場からも手が挙がったのですけど、ウェブのほうからお願いします。
○遠山専門委員 資料2-4の令和6年度、2025年度の実施方針案に関係することです。今、世界的にも問題になってきているPFASの関係なのですが、欧米では特に数千種類、1万種類ぐらいまで及ぶというPFAS全体を使わないようにするというような動きもあると聞いています。そういう中で、一応、まず実態調査をするということが非常に重要だと思うのですが、このモニタリングで、1万種類などをもちろん測定することは不可能ですから、その中でめぼしいものを、今三つぐらいの測定を予定されているようですが、幾つか数を増やして、代表的なPFASに関しての動向を調べるようなことはお考えになっていらっしゃるのかどうか。それについての質問をさせていただきます。
○白石委員長 ありがとうございます。では事務局お答えお願いします。
○福澤専門官 PFAS関係のご指摘ありがとうございます。この後、ご説明の時間がちょっと少なくなるかもしれないですが、参考資料2のほうで、ストックホルム条約の関係で、今後新たにPFAS関係で追加予定の物質などの話題もございまして、実際に環境中から海外で検出されたということも含めて検討された結果、条約対象に追加されるということになりましたので、それについては今後モニタリング調査の枠として実施する予定でございます。
また、ほかにもこの調査の中ではないですけれども、PFAS関係の総合戦略会議の中でも、そういったPOPs条約の対象になるようなもの、また、なる予定はないにしても注目されているようなものについて、測定技術を開発していくということ等が決定されておりますので、その状況も踏まえまして、モニタリング対象にするかどうか検討していきたいと考えております。
○白石委員長 はい、ありがとうございます。遠山委員、今のご回答でよろしいでしょうか。
○遠山専門委員 はい、ありがとうございます。
○白石委員長 ありがとうございます。では会場から谷口委員お願いします。
○谷口臨時委員 谷口です。発言の機会をいただきましてありがとうございます。
資料の2-1の11ページですけれども、注の2の一番下ですね。バーがあって、星が二つのところですけど、統計的にという言葉が2回出てくるので、これはミスプリントじゃないかなと思います。この資料は、黒本調査にひっつくのですよね、確か。黒本にひっついて出版されると思います。資料2-2で該当するようなところがあるのでしたら、それも併せて直しておいていただければと思います。
それから、もう一つです。これは同じく資料2-1の5、6、7ページあたりになるのですけども、調査地点と検体数を見ていると、水質は多分1地点1検体、それから大気と底質は1地点3検体を基本としているのかなというふうに見受けられます。それはそれで過去にそういう取り決めといいますか、方針であろうということであれば、それはそれで結構だと思うのですけども、しかし、調査地点についてのいろんな情報が年とともに変わっていくというようなこともあると思いますので、水質においても、例えば1地点当たりに2検体がいいとか、検体も昼間の1検体、夜の1検体がいいとか、そういう柔軟な対応というのも、場合によっては有効かも分かりませんので、一つそういうところも含めて、地点数を決めてもらえたらな、というように思います。これは質問というよりお願いということだと思います。以上です。
○白石委員長 ありがとうございました。事務局よろしいでしょうか。
お願いということで、これから検討されると思いますが。
○福澤専門官 ご指摘ありがとうございます。最初のミスの部分につきましては、この後の結果概要としての報道発表いたしますので、その前に改めて確認させていただきたいと思います。
地点数に関しましては、基本的に同じ時期で調査するという形でさせていただいているので、地点数をどこまで増やせるのか、協力いただいている自治体のご負担というところもございます。この調査に関して手引きというものを作成していて、どのような地点数で実施するかということを定めて、それも適宜、改定などさせていただいておりますので、自治体等のアンケートを踏まえて、どのような形にしていくのがベストなのかということを検討していきたいと思います。
○白石委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○谷口臨時委員 はい、結構です。
○白石委員長 ご指摘ありがとうございました。
ほかにご質問ございますか。大分時間が必要で、できれば1件ぐらいで切りたいと思いますが。
○櫻井専門委員 国立環境研究所の櫻井です。
資料2-3ですけども、1ページの2、精度管理のところ、初期環境調査及び詳細環境調査においては複数の分析機関が行われる。モニタリング調査においては単一の分析機関が行われるということで説明されているということで、それ自体。
○白石委員長 櫻井委員、音が入っていない。
○櫻井専門委員 これで聞こえますでしょうか。
○白石委員長 聞こえます。
○櫻井専門委員 すいません。資料2-3の2のポツ、精度管理についてです。精度管理は大事なところだと思っております。それで、初期環境調査及び詳細環境調査においては複数の分析機関、それから、モニタリング調査においては単一分析機関で行われているということですけれども、初期環境調査及び詳細環境調査でも単一の分析機関である化学物質を行われる場合があるのではないかというふうに承知しておりまして、この場合の精度管理について、もしお考えになっていること、あるいはご検討されていることがあれば、ご説明いただくとともに、もしあるのであれば、次回以降でもいいかもしれませんが、資料に入れていただければというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。以上です。
○白石委員長 事務局、ご回答お願いします。
○福澤専門官 ありがとうございます。資料のほうには複数の分析機関だというふうに書かせていただいておりますけれども、今ご指摘のとおり、物質によっては単一の機関で行っているところもありまして、そういったところも精度管理の対象としてはおりまして、将来的な分析機関の変更だとかということも考慮して対象にしておりますので、資料の書きぶりなどはちょっと検討したいと思いますけども、精度管理自体の対象としては含めさせていただいているところかと思います。
○白石委員長 櫻井委員、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。
若干トラブルがありまして、時間が大分伸びておりますので、この辺で質疑は打ち切りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
各委員からいろいろご指摘ございましたが、1点だけというか、私が言い出しっぺですけども、アミンオキシドの底質の欠測と過去のデータを欠測とするかどうかについては、いま一度確認いただいて、よろしいという結論が得られたら、それでよろしいか確認していただきたいと思います。
ほかには修正点、意見、コメント等ございませんので、細かな修正はございましたが、それも含めて修正の上、のちのことにつきましては委員長預かりとして会議後に修正する、令和4年度化学物質評価専門委員会調査結果の概要として公表するということでよろしいでしょうか。
はい、ありがとうございます。ではそのようにさせていただきます。
それでは次の議題に入りたいと思います。
化学物質の環境リスク初期評価、いわゆるグレー本の第22次取りまとめについてです。資料3-1から3-3に基づきまして、事務局より資料の説明をお願いします。
○川原室長補佐 環境リスク評価室の川原でございます。会場の皆様向けには肉声でお話しさせていただきます。ウェブの皆様向けにはパソコンのほうのマイクでお話しさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。できるだけコンパクトにご説明さし上げようと思います。
それでは化学物質環境リスク初期評価、第22次取りまとめについてでございます。資料といたしましては、資料の3シリーズ、資料の3-1におきましては環境リスク初期評価の進捗状況、それから資料の3-2につきましては、化学物質の環境リスク初期評価第22次取りまとめ結果の概要(案)、それから資料3-3につきましては化学物質の環境リスク初期評価(第22次取りまとめ)結果(案)ということで、取りまとめてございます。この資料3-3につきましては個別物質ごとの詳細な結果を示したものになってございまして、グレー本として取りまとめてられているものになってございます。本日は資料3-1と資料3-2を用いて、ご説明差し上げます。
まず資料の3-1をご覧ください。環境リスク評価の進捗状況についてでございます。
1ポツの部分、化学物質の環境リスク初期評価についての概要でございますけども、まず一般的な環境リスク評価では、化学物質の有害性と曝露評価を行い、両者を比較することで環境リスク評価を行いますけども、この環境リスク初期評価につきましては、そういった環境リスク管理の施策を念頭に置きつつ、多数の化学物質の中から、相対的に環境リスクの高い可能性がある物質、これをスクリーニングするための初期評価として実施してございます。この環境リスク初期評価の対象物質の中には、物の燃焼に伴い、非意図的に生成してしまうような物質だとか、環境中の多種多様な物質、実態を考慮した形で、いろいろな物質が初期評価の対象となると、そういった特徴がございます。
それから、2ポツの部分です。これまでの進捗状況についてですけども、本事業は平成9年より行ってございまして、環境リスク初期評価、これは健康リスク評価と生態リスク評価、両方行っている物質のことを指すのですけども、こちらが313物質、それから、追加的に生態リスク初期評価のみ行った物質が100物質、行ってきてございます。これは昨年までの第21次取りまとめで、グレー本として既に公表されておるものになってございます。
2ページ目の下段です。3ポツの22次取りまとめについてですけども、今年度、第22次取りまとめにおきましては、環境リスク初期評価を9物質、それから生態リスク初期評価については4物質、行いました。
どういった物質を選定しているかということでございますけども、こちらにつきましては、環境省内の関係部局、あるいは専門家から、おのおのの施策あるいは調査研究について環境リスク初期評価を行うニーズがある物質というものを聴取いたしまして、その中から優先度の高いものを選定したニーズ方式として選定してございます。また、環境調査、先ほど黒本調査もございましたけども、そういった環境調査において検出率が高かった物質等も有識者のご意見等を踏まえて、優先的に初期評価を行う必要性が高いと考えられた物質について検討を行ってきたということでございます。
4ページ目になります。どういった検討をやってきたかという体制の紹介でございます。全体を総括する企画委員会がございまして、中杉参考人を座長とする曝露評価分科会、それから青木委員を座長といたします健康リスク評価分科会、それから楠井委員を座長といたします生態リスク評価分科会において検討しておるという形でございます。これ以外にも発がんリスクワーキング、あるいは生態毒性QSAR活用ワーキング、こういったものを設置して検討を行ってきてございます。
7ページ目以降につきましては、過去の評価結果を概要としてつけたものでございます。
続きまして、説明は資料の3-2のほうに移らさせていただきます。
3-2のはじめにの部分に関しましては、先ほど冒頭で申し上げましたように、初期評価の概要を示したものでございます。
それから、2ページ目に行っていただきまして、評価の活用の部分でございます。この環境リスク初期評価ですけども、こちらの評価結果につきましては、3段階に分かれます。一つ目といたしましては、詳細な評価を行う候補。それから、2番目といたしましては、関連情報の収集が必要とされるもの。もう一つは、現時点でさらなる作業の必要性は低いとされるものになります。こちらの詳細な評価を行う候補とされた物質に関しましては、例えば水濁法であったりだとか、あるいは大防法であったりだとか、そういった関連部局におけるより詳細なリスク評価の実施などへの活用や、また関連情報の収集が必要とされた物質に関しましては、継続的な環境濃度の監視、あるいは高感度な分析法の開発だとか、そういったことを図ることを促していくと、そういったことでございます。
そうしまして、2ポツの(2)の図のほうに示さていただいておりますとおり、関係者の取組の誘導であったりだとか、化学物質の管理施策への活用、こういったことを目指して行っておるところでございます。
(3)の部分、構成ですけども、こちらは、先ほど少し触れましたように、初期評価に関しましては、有害性の評価、それから曝露評価、それらを合わせてリスクの初期評価を行っているということでございます。
対象物質につきましても、先ほどご説明差し上げたとおり、ニーズ方式を中心に行っているということでございます。
3ページ目、(5)の評価方法のところになります。環境リスク初期評価では、ガイドラインに基づきまして、リスク判定を行ってございます。
大きく健康リスク評価と生態リスク評価に分けられますけども、健康リスク評価に関しましては、有害性に閾値があると考えられる場合には、無毒性量等、こちらを予測最大曝露量等で除した値をMargin of Exposure(MOE)、こちらの値が幾つになるかということで、先ほど述べました3段階の評価をしているということでございます。
また、有害性に閾値がないと考えられる場合に関しましては、がんの過剰発生率がどの程度かということで、それぞれ先ほど述べました三つの段階に分けておるというところでございます。
生態リスク評価につきましては、対象とする生物として、藻類、甲殻類、魚類、あるいはその他の生物としておりまして、予測環境中濃度、PECと呼ばれるものと予測無影響濃度、PNECと呼ばれるもの、これらの比較により、その値が幾つになるかということで、先ほどの3段階に分けておるということでございます。
また、その上で、さらに専門的な観点から総合的な判断を実施しているということがございます。
また、環境リスク評価では、先ほど述べましたように、環境リスク評価の最初のステップということで、安全側に立った判定を行っておるところでございます。
4ページ目をご覧ください。ここからが今年度の第22次取りまとめの結果になってございます。繰り返しになりますけども、今回、第22次取りまとめにおきましては、環境リスク初期評価を9物質、それから生態リスク初期評価を4物質について取りまとめてございます。今回ご承認いただけますと、これまでに322物質の環境リスク評価と102物質の生態リスク初期評価が取りまとめられたということになります。
(2)番、結果の部分でございます。今年度行った物質に関しましては、ここの表に記載のとおりでございます。評価結果のところに■、▲、あとは○ございますけども、これはそれぞれ、詳細な評価を行う候補として■、それから、さらなる情報が必要な物質は▲、現時点でさらなる作業の必要がないものは○として、以降の表につきましても示してございます。■に関しましては、いわゆる黒判定、▲に関しましてはグレー判定、○に関しましては白判定と申してございます。
今年度ですけども、環境リスク評価を行った9物質に関しましては、黒判定はございませんでした。グレー判定に関しましては、健康リスク評価で1物質、こちらはtert-ブチル=ヒドロペルオキシドといわれるもの。それから生態リスク評価では、グレー判定が2物質、イソブチルアルデヒド、それからシス-1,2-ジクロロエチレンがグレー判定に該当したということ。それから、追加的に行ったこの4物質のうち、グレー判定となったものがトリブチルアミンということになってございまして、それ以外は白判定というふうになってございます。
今後の対応の部分につきましては、後ほどご説明さし上げます。
一旦7ページに飛ばさせていただきます。こちらが個別物質の評価結果をまとめたものになりますけども、今年度は黒判定はございませんので、グレー判定になった物質、あるいは特に議論が行われた物質に関しまして、中心にご説明さし上げます。
まずは、7ページ、健康リスク評価結果のほうでございますけども、表の見方といたしましては、左から物質名、曝露経路、吸入なのか、経口なのか、それから、どういったものを指標にしたのか、あとは動物種だとかエンドポイントだとか書いてございます。
それでは、まず一つ目といたしましては、環境の5番、シス-1,2-ジクロロエチレンについてです。この物質に関しましては、シス体ではございますけども、これのトランス体というものは、第4次で既に評価を済ませているものでございます。また、シス体に関しましては、環境基準及び水道水質基準項目が設定されてございますので、今回この初期評価におきましては、吸入曝露経路のみ対象といたしました。一方で、この物質に関しまして、吸入曝露の知見に関しましては、シス体のみの知見がございませんので、一方でシス体とトランス体の混合物を用いた知見というものがございました。この混合物を用いた知見について、シス体の評価に使えるかどうかということについて少し検討いたしまして、こちらは資料3-3の144ページから145ページに示させていただいているのですけども、吸入曝露ではなくて、経口曝露に関しましては、シス体とトランス体、それぞれ単体の有害性情報がございましたために、それらから両者の毒性等を考慮いたしまして、この吸入曝露に関しましては、この混合物を使っても一定の評価はできるだろう、評価を用いることが妥当であろうというような判断をいたしまして、評価を行ってございます。
その結果、この物質に関しましては、白判定ということになってございます。また、参考までに、シス体単独の経口曝露の知見を基にリスク判定も行いましたけども、こちらも同様に白判定となってございます。
続きまして、環境7番のピロカテコールという物質でございます。こちらに関しましては、評価に際しまして、発がん性を考慮したということがございます。こちらは、IARCの発がん分類では2B、いわゆる人に対して発がん性があるかもしれないとされている物質でございますけども、今回の調査では人への発がん性の知見は得られなかったものの、動物の試験のほうで発がん性が疑われるデータというものがございました。
また、遺伝子傷害性に関しましては、明確な知見がなかったということでございまして、遺伝毒性の発がん物質かどうかの判断はできなかったというところでございまして、この物質に関しては、閾値ありと閾値なし、両方のパターンについてリスク評価を行ってございます。
その結果、いずれにおきましても白判定という結果となってございます。
続きまして、環境8番のtert-ブチル=ヒドロペルオキシドに関しましてでございます。この物質に関しては、今回判定がグレーになった物質でございます。この物質に関しましては、IARCの発がん分類はないのですけども、アメリカの産業衛生専門官会議というACGIHといわれますが、ここではA2に分類されて、人発がん物質の疑いがありというランク付がされている物質でございます。こちらも同様に、人への発がん性の知見というものは得られなかったのですけども、動物実験、ラットの吸入曝露の発がん試験で、がんの発生率の増加、あるいはマウスの皮膚塗布実験で、既知の発がん物質をあらかじめ曝露させた場合に腫瘍形成に対する増強効果というものが認められたということでございます。したがって、こちらに関しまして、発がんリスクに関しても考慮する必要があると考えられたということでございます。
遺伝子傷害性につきましては、陽性と陰性の結果が両方混在しておりまして、遺伝子毒性発がん物質かどうかの判定ができなかったということで、この物質に関しましては、閾値の存在を前提とする有害性について検討を行いました。
その結果、吸入曝露につきましては、化管法に基づく高排出事業所近郊の大気中濃度の年平均値の最大値と無毒性量等の0.13mg/m3を基に発がん性を考慮した係数を掛けさせていただいて計算したところ、MOEが17となりまして、吸入曝露の情報収集などを行う必要がある、いわゆるグレー判定ということで判定をさせていただきまして、高排出事業所近傍で大気中の濃度の測定等を充実させる必要があるというふうに取りまとめさせていただいておるところでございます。
ここで、すみません、1点修正ございまして、7ページの今ご説明さし上げた環境8番のところです。これの、ずっと表の右のほうに行っていただきまして、総合的な判定の欄のところでございますけども、吸入のところの一般環境大気という欄のところ、こちらが○になってございます。ここが訂正でして、グレー判定の▲となってございます。申し訳ございません、ここは訂正させていただきます。
健康リスクに関しましては、これ以外の物質は白判定となってございます。
続きまして、8ページ目、生態リスク評価の評価結果一覧になります。この表の見方ですけども、先ほどと同様に、物質名、あるいは有害性に係る試験生物種、急性なのか、慢性なのか、あるいはエンドポイントを用いたアセスメント係数だとか、そういった形で並んでございます。こちらも同様に、黒判定になった物質はございません。グレー判定になった物質が3物質ございます。
まず、一つ目でございますけども、環境1番のイソブチルアルデヒドでございます。この物質に関しましては、キーデータが魚類で、PNECとしましては230μg/Lという結果がございましたけども。一方で予測環境中濃度、こちらのPECですね、こちらが設定できなかったため、PEC/PNECによるリスク評価というのはできなかったということでございます。
一方で、こちら、化管法の届出排出量の情報を見ますと、淡水への届出情報というのはゼロなのですけども、一方で海域への届出情報というのが1,900kgございまして、この排出源近傍の海水域では高濃度になる可能性が高いということで、本物質については、PRTRデータの推移を見守り、環境実測データの把握に努める必要があると考えられるということで、グレー判定として取りまとめさせていただいております。
続きまして、環境5番、こちらは9ページのほうをご覧いただいたほうが分かりやすいかと思います。こちら、再評価を行った物質でございます。先ほど申し上げましたとおり、こちら、環境基準等設定されているため、実は生態に関しましては、第5次で一旦評価が行われておるのですけども、環境基準等に指定されているため、モニタリングデータが増えてきたということで再評価を行いました。
その結果ですけども、結果は変わらず、PEC/PNEC比が0.2となったことから、引き続きグレー判定と、こういった判定をさせていただいております。
それから、また8ページに少し戻っていただきまして、生態の4番、一番下のところに書いてございます。こちらもグレー判定になった物質ですけども、トリブチルアミンでございます。こちらのキーデータにつきましては、藻類の慢性毒性となってございますけども、PNECは16μg/Lとされてございます。
一方で、この初期評価におきましては、過去10年以内の環境中実測濃度を使うことになってございますけども、10年以内の実測濃度がなかったということで、それ以上前のデータというものを使わせていただいております。
その結果、PEC/PNEC比が0.2未満となってございます。また、安全側に立った観点から、化管法に基づく下水道への移動量、こちらから推計いたしました河川中濃度というのは、最大で7.3μg/Lとなり、この値を用いてPEC/PNECを算出すると、0.5という値になるということでございます。
また本物質、アミン類でございまして、このアミン類というのは、甲殻類の慢性毒性に特徴的な毒性を示すという専門家の意見を踏まえて、QSARでも検討を行ってございます。
その結果、PNECは0.47μg/Lということになりまして、先ほど10年以上前の環境中の実測データと比較というお話をさし上げましたけども、そのデータと比較すると、PEC/PNEC比は6未満と比較的高くなったということでございまして、これらの結果から総合的に判断いたしまして、引き続き情報収集に努める必要があるという判定のグレー判定ということにさせていただいておるところでございます。
それ以外の物質に関しましては、生態に関しましても白判定となってございます。
少しページを戻っていただきまして、5ページ、今後の対応についてということでございます。こちら、例年のとおりなのですけども、これらの結果というものは、ご承認いただきましたら、化学物質の環境リスク初期評価の第22巻として公表をいたすということでございまして、個別物質の評価の要約に関しましても、インターネット上で公表させていただきます。
また、引き続き化学物質管理等に関する関係部局との連携を強めていきたいというふうに考えておるところです。
また、有害性情報あるいはそのモニタリング情報が増えてきた物質に関しましては、随時再評価を実施していくということでございます。
それから、(4)番、6ページになります。今後の課題に関しましてですけども、こちらは最新の科学的知見、あるいはOECD等の国際機関における試験方法、あるいはその評価手法、こういったものを参考にいたしつつ、ガイドラインの見直しを行っていくということでございます。
それから、昨今、動物愛護の観点、あるいは有害性情報が不足するケース等々がございます。そういったケースにおきましては、QSARだとか、あるいはリードアクロス、こういったことを活用すべく専門家によるリスク評価の総合的な判定の根拠だとかの参考にできるように、知見を、あるいは評価事例を積み重ねていくというふうに考えておるところでございます。
また、評価対象物質につきましては、引き続き関係部局等のご意見あるいはニーズ等を踏まえつつ、選定を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。
初期評価につきまして、少し駆け足になりましたけども、以上でございます。
○白石委員長 どうも丁寧に、ご説明ありがとうございました。
今回の取りまとめに当たって、専門家から構成される分科会などで別途審議をいただいているということでございます。本委員会において審議に入る前に、それぞれの分科会などで座長を務められた中杉参考人、楠井委員、青木委員より補足説明など伺いたいと思いますが、時間が大分押しておりますので、ポイントを押さえて説明していただけたらありがたいと思います。大変申し訳ございません。
それでは、曝露評価分科会の座長を務められた中杉参考人、お願いします。
○中杉参考人 今回は、何点か少し変えたところといいますか、情報の提供等で、前回もお話ししたのですが、解離性のある化学物質というのは、環境中での挙動が違ってくるということで、特に、生物濃縮みたいな形で問題になることがあるということで、解離性のある化学物質については、水中での存在比をpHに応じて、どの化学形態が多いかということを表示していこうということを決めました。
二つ目は、化管法のPRTRデータなのですが、技術評価での曝露では、一番新しいデータを使うということが決めになっていました。ただ、中にはデータが変動してきて、一旦減ったのに、また急激に増えてくるものがある。これはどういうふうな理由であるかということを事務局のほうで少し調べていただいたのが、結果として、大きく減ったというのは、取扱量が規定を下回ったために届出をしなくなったということで、また増えたというのは、また取扱量が増えたからということらしいということが分かりました。それで、実際に減ったというのは、届出がなくなるといきなりゼロになりますので、ゼロまで減っているかどうかというのがはっきりしないということから、今回は10年分を見てみようということで、10年分のデータをPRTRで一緒に並べて評価をしていこうと、少し遡ったところでは、過去のデータを見るとどうであるかというのを見ていこうということで、先ほど川原さんのほうからご説明があった生態の4番、307ページのところにあるものですけど、これは2019年の高いデータ、下水道への移動量が1,000kgというふうなデータでしたので、その年のデータを使って安全かどうかを確認していこうというふうなことをやりました。ということが一つの大きな動きであります。
それから、もう一つ、環境の1番のイソブチルアルデヒドについては、従前は環境への排出量は、公共水域ですけれども、海域のみの場合はモデルによる予測ができないので、海域への排出がないから大丈夫という判断をしていました。ただ、この環境の1番、イソブチルアルデヒドについては、公共水域への年間排出量が1,900kg、1か所で海へ流していると。ちょっと排出量が多いので、本当にこれで大丈夫なのかというところを確認のため、データを何とかならないかというふうなことを考えました。これはまだ確かなことではないので、この報告書に載せておりませんけども、たまたま排出事業所の排水量が環境安全データといいますか、報告書に記載されていたために、それに基づいて排水濃度を計算して、このぐらいで排水されるのではないかと。それを参考にしてもらって、これは生態リスクのほうですが、生態リスク評価分科会で判断をしてもらったというようなことをやっています。
それと、もう一点ですけれども、生態の2番と3番ですね、カフェインとサリチル酸ナトリウムでございますけど、これは国の調査ではなくて、文献調査を用いました。文献調査の研究の目的である中で、下水道からの越流水が出てくるような雨の大量に降ったときのデータが出ています。そのデータで測るとリスクがありという判定がなされるのですが、一般の公共水域を測るデータとしては、そういうときは測っていないだろうということと、そういうときのリスク評価というのはまた別に難しいということで、一応環境計測を一般に水環境基準などでやっているような形に合わせるということで、そういうふうな越流水が放流された直後のデータというのは、今回は採用しないでおこうというふうな判断にさせていただいています。
以上でございます。
○白石委員長 ありがとうございました。
続いて、生態リスク評価分科会の座長を務められた楠井先生より発言をお願いします。
○楠井専門委員 楠井です。聞こえておりますでしょうか。
○白石委員長 はい、良好です。
○楠井専門委員 今回、13物質の評価を行いました。生態リスク評価分科会のほうでは、主に毒性に関する文献データの信頼性評価を行ってPNECを求め、曝露分科会からいただいたPECと合わせてPEC/PNEC比からリスクを判定するという作業を行っています。今回、13物質中9物質の実測値でPECがなく、従来のリスク判定では判定不能となるのですが、現在はPRTRデータ、あるいは文献データ等を活用するということで、今回も評価を行いました。
今回の13物質については、全て3生物群の急性毒性の実験値があり、これだけでもPNECが求まります。しかし、慢性データがそろっておらず、特にアミン類に関しては、甲殻類への慢性毒性が強いと推測され、それについてQSARを行い、検討を行いました。
それから、もう一物質、環境の5番のシス-1,2-ジクロロエチレンについては、慢性毒性値があればアセスメント係数が変わり、評価結果が変わる可能性がありました。そこで、アミン類の2物質、環境3番のジエチルアミノエタノールと生態4番のトリブチルアミン、環境5番のシス-1,2-ジクロロエチレンについてQSARの適用の可能性について検討を行いました。QSARワーキンググループで検討し、QSAR式の適用ができるというのは、アミン類2物質で、魚類の慢性毒性値については、QSARがそのまま適用できず、QSARに用いた参照物質の毒性値を参考にするという結論になりました。
その結果、アミン類のジエチルアミノエタノールは、総合判定としては白、作業必要なし、トリブチルアミンに関しては、情報収集の必要ありとなりました。それから、環境5番のシス-1,2-ジクロロエチレンに関しては、単純にQSARRの参照物質の値を使うと、PEC/PNEC比が0.1を下回るのですが、不確定要素が残るということもあり、情報収集に努めるという結果になりました。
再評価物質については、新しいPRTRデータ、あるいは実測値を利用することによって、前回は評価、判定ができなかったものが、今回は白判定、あるいは、また前回と同じく「作業の必要がある」という結果となりました。
以上、簡単ですが、報告を終わります。
○白石委員長 ありがとうございました。
続いて、健康リスク評価分科会の座長を務められた青木委員より発言をお願いします。
○青木臨時委員 青木でございます。音声入っていますか。
そうしましたら、健康リスク分科会でございます。本年度は、9物質について初期リスク評価を行いました。ほかの生態毒性と同じように有害性評価の値を、資料3-2の7ページの表を見ていただければよろしいのですけど、いわゆるリスク評価の指標になるような値を計算し、それを曝露評価の値と比較しつつ、リスク判定を行うという、こういったことを行いました。
実際、中身については、先ほど川原さんのほうから詳細のご説明がありましたので、若干、こういう機会ですので、短く苦労話のようなものをお話ししたほうがよろしいかと思います。せっかく傍聴の方もいらっしゃるということで、ちょっとさせていただきます。
もちろん、8番にありますtert-ブチル=ヒドロペルオキシド、これがさらなる情報収集に努める必要があるということの結果が出たということ。これは吸入に関して出たということは、非常に大きいのですけど、ある意味、一番大変だったのが環境の5番のシス-1,2-ジクロロエチレンでございます。初期リスク評価というのは、このように1年間、10物質近くを行うわけですけれども、そういう物質というのは、これは必ずしも、これらの物質についてフルセットの有害性情報があるわけではないというところに、実は一番難しい点があります。でも、やはり環境施策の観点から見たとき、重要な物質を選び出すということから、その不確実性を考慮しつつ、リスク評価を行っているところが難しい点でもありますし、またこの初期リスク評価の妙味でもあるわけです。
そういう観点から言いますと、このシス-1,2-ジクロロエチレンは、一応吸入曝露に関するリスク評価を行うということの要望があったわけですが、実際この物質について、吸入曝露の動物実験というのはございませんでした。そこで、シス、トランスの混合物の曝露実験がございましたので、それからNOAEL等を求め、さらに、両者のシス体とトランス体、その有害性が著しく違うと、やはりそれは問題でございますので、そこはやはり経口曝露のデータというのが両方の異性体についてそろっておりますので、それを比較してみますと、NOAEL等に著しい大きな違いはないということから、シス・トランス体混合物の吸入曝露実験のデータを用いて、このリスク評価を行ったという次第でございます。
なお、経口の曝露から吸入への換算ということも行うことも、この初期リスク評価のガイドラインでは認められておりますので、それも行ったのですが、一応それについても、いわゆる白判定ですね、現時点ではさらなる作業の必要性は低いという結果が得られたということでございます。
それから、7番のピロカテコールについては、一応、IARCの発がん分類の2Bであるということから、やはり一定の発がんリスク評価は行わなくてはいけないということを判断いたしました。ただ、この物質は、遺伝子傷害性の知見があまり明確なものはないということから、遺伝毒性発がん物質かどうかの判断はできないということで、いわゆる、発がん性に関して閾値があるなしについても判定を行いました。特に、閾値なしとした場合でも、どこかにスロープファクターとか、そういう発がんの強さを示す知見というのが、既知のものがあるわけではございませんでしたので、一応自ら判定を行いました。それらの発がん性への閾値のあるなし、それから非発がん影響について判定をまず吸入についてデータを得まして行いましたが、それは白判定ですね、現時点ではさらなる作業の必要性は低いというリスク判定が出ました。ただそれ、一応経口でございますので、それを吸入に換算するということを無毒性量、それからユニットリスクを吸入に換算するということも行いまして、それについても曝露評価と比較いたしまして、白判定、現時点ではさらなる作業の必要性は低いという、そういうことを行ったという次第でございます。
初期リスク評価は、化管法の物質選定、それから自治体の皆様のほうで、いろいろリスク評価の参考として使っていただいているようでございますので、今後とも新しい情報も得つつ、着実に進めてまいる必要があるというふうに考えております。
以上でございます。
○白石委員長 ありがとうございました。
では、ただいま座長さんからの補足説明も踏まえた上で、資料及び説明内容に対して、ご質問、ご意見等ありましたらお願いします。
○遠山専門委員 遠山ですが、よろしいですか。
○白石委員長 はい、Webから遠山委員、お願いします。
○遠山専門委員 今の初期リスク評価の関係で、5番目のシス-1,2-ジクロロエチレン、いろいろご苦労があったというお話を青木委員がなさいました。この件に関して、資料の3-3の133ページに、用途なのですけれども、現在の用途はないと考えられるというふうに2行目に書いてあります。一方で、前の132ページの表の1.1にジクロロエチレンの製造・輸入数量の推移というところに、1年間に数千t、製造・輸入がされているということが書かれているので、ちょっとあまり主要な問題ではないかもしれませんが、何らかの用途があって、恐らく製造・輸入されていると思うので、この点だけは、ちょっと明確に、誤解のないようにしておいたほうがいいかなと思って発言させていただきます。
以上です。
○白石委員長 ご指摘ありがとうございます。事務局は何かございますか。
○川原室長補佐 遠山先生、ご質問ありがとうございます。
これ、ちょっと改めて確認させていただきますけども、恐らくシスがついている、ついていないだとか、ジクロロエチレンとひとまとめとして届出いただいているだとか、そういった関係があろうかと思ってございます。
○中杉参考人 よろしいですか、中杉ですけど。
シス-1,2-ジクロロエチレンとトランス-1,2-ジクロロエチレンがあります。我が国では、トランス体はあんまり使ってはいないのですけども、海外ではトランス-1,2-ジクロロエチレンを溶剤として使っています。シスはあまりできていないというふうな考え方がありますので、確かに途中で分解して、もっと大きな物質から分解してできることがあるので、最初にトリクロロエチレン等が問題になったときに、工場排水中からシス-1,2-ジクロロエチレンが高濃度で出てきました。ただ、それは生物分解によるものだろうというふうに考えられるので、シス-1,2-ジクロロエチレンを積極的に利用したのは、あんまりないのではないかなというふうに考えています。
以上です。
○白石委員長 ありがとうございます。
遠山委員、よろしいでしょうか。表1.1がジクロロエチレンとしてまとまって書かれている。
○遠山専門委員 そうですね。ですから、誤解のないようにちょっと、もし言葉を足せるのだったら、足していただいたほうがいいかなと思いました。
以上です。
○白石委員長 はい、分かりました。どうもありがとうございます。
ほかにコメント、ご意見ございますでしょうか。
○小川専門委員 小川ですけれども、よろしいでしょうか。
○白石委員長 はい、Webから小川委員、お願いします。
○小川臨時委員 今後、吸入のデータというのは、非常に得にくくなってくると思っているのですが、ここにもありますように、やはり吸入も曝露形態として考えられるようなものに関しては、QSARとはまた違うかもしれないですけども、経口のデータから想定するような方向で検討していくことになるのか、今後の方向性について教えていただきたいと思っております。
というのは、やはり吸入の毒性、肺からの曝露というのは、かなり経口とは違うものが見られるのではないかと考えられるのですけども、そういったことに関して、今後、方向性としてどういうふうにお考えなのか、ちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○川原室長補佐 すみません、小川先生、コメントの一番初めの部分が、ちょっとこちらで聞こえなかったのですけども、最初の部分だけ、どの物質に関してだとかでしょうかね。
○小川臨時委員 例えば、環境2と書いてある1-クロロ-2,4-ジニトロベンゼンについては、曝露評価として吸入のシナリオはあまりないということと思うのですけれども、ピロカテコールについては、吸入も曝露評価としてあるとされており、今後もそういったものは結構あるのかなとは思っているのですが、吸入のデータを積極的に取りにいくことが、日本でもだんだんできなくなってきていると危惧しています。今後、吸入のデータは、もう得なくてもいいというような方向性なのかというところをお伺いしたいと思いました。
○白石委員長 では、事務局お願いします。
○川原室長補佐 すみません、川原でございます。ご質問ありがとうございます。
そうですね、初期評価といたしましては、例えば吸入のデータがないときには、ある程度経口のほうでも評価を行いまして、もしそれで何か懸念がありそうだなといったケースに関しては、しかるべき部局等には情報をインプットしていきたいなとは思いますけども、この初期評価の枠組みにおいて、なかなか現時点において新たな試験を行うだとか、そういったことは難しいのかなというふうに考えています。もちろんデータと、あるいは既にある既知の情報としてあるものに関しては集めにいきたいなと、こういうふうに考えておるところでございます。
○白石委員長 青木委員。
○青木臨時委員 青木でございます。
今の小川委員の指摘、とても大切でして、確かに今、川原さんのほうのお話があったように、もちろん吸入がないものでも、その逆もそうなのですが、曝露経路に換算というのをしなければいけないというのが状況だと思います。ただ、そういう中で、どういう曝露(による)手法が最も合理的かというか、むしろ実際の人への曝露を推定するときに、より人の曝露に近いような形で換算ができるかとか、そういうところは、少しいろいろ検討していく必要はあると思っていますので、ぜひそういう点も今後いろいろご指導いただけたらと思います。
以上でございます。
○中杉参考人 ちょっとよろしいでしょうか、その点に関して。経口と吸入と両方の換算という話なのですが、吸入のほうは体内に入らなくても、例えば毒性としてよく出てくるのは、肺に吸い込むまでの途中の炎症を起こすという、そういうものは経口で換算する話ではないですよね。だから、体内に取り込む経路が肺からか胃腸からかだけではない部分が、当然、経口はあるのですよね。そこはどうしても抜けてしまう。ないものはしようがないという話ですけど。そういうところも注視しなければいけないのだろうというふうには思います。
○白石委員長 ありがとうございました。
大分時間が押しております。ほかに質問等ございましたら、Webから3名ですか。よく見えないので、すみません。どなたですか。チャットにコメントいただいていますか。
すみません、香山委員からのご質問ですか。チャットの欄、見ていただいて、事務局でご回答ございましたら、お願いします。
(ウェブ会議システムのチャット機能により、香山委員から、PFOS・PFOAに関する検討状況に関する質問あり)
○清水室長 こちらで、ちょっと聞こえますでしょうか。どうでしょうか。
すみません、PFOS・PFOAにつきましては、多くの他省庁全体に関係することなので、私から全て細部をお答えするのはなかなか難しいのですけど。まず、食品安全委員会のほうで、現在、飲料も含めて、食品からの健康影響について議論しているところと承知しています。それを踏まえまして、環境保健部ではないのですけど、水局のほうとかでは今後の水質基準等について、さらに検討を進めるものと承知しています。また、IARCで最近がん分類のクラスも上がったとは思いますが、そういった海外の動向等や、令和6年度で水局において毒性に関する研究等も行っていきますので、それらを踏まえた形で、総合的に知見を集めていくことは考えています。集められた知見は、ちょっと環境保健部が主催する会議ではないのですけど、専門家会議のほうが今年度開かれましたが、それをまた来年度も開催することも検討しております。
すみません、以上です。
○白石委員長 ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、特段の修正の意見、なかったと思いますので。
○遠山専門委員 すみません、先ほどの私の発言の部分は。
○白石委員長 書きぶりですね、書きぶりの修正が必要かどうかについては検討していただくということで、その件に関しては、座長預かりということでよろしいでしょうか。
○遠山専門委員 はい。
○白石委員長 ほかに修正はございませんでしたので、資料3-2を化学物質の環境リスク初期評価第22次取りまとめの結果についてとして公表することはよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
○白石委員長 了承されたとさせていただきます。
大分時間が過ぎて、退席されている方も増えてきたのですが、すみません、議題、その他です。その他は、本日配付した参考資料の1と2について、事務局から説明お願いします。
○福澤専門官 環境安全課の福澤です。簡潔にご説明させていただきます。
ストックホルム条約の第11回締約国会議が今年5月に開催されまして、参考資料1に記載のメトキシクロル、デクロランプラス、UV-328の3物質が新たに廃絶の対象として追加されるということが決まったというのが主な結果となります。
続きまして、残留性有機汚染物質検討委員会、POPs条約の下にあります専門家の検討会でございますけれども、こちらは10月に開催されました。今回は、新たな提案は特にございませんで、従来検討されてきた3物質群が検討されました。結果としましては、中鎖塩素化パラフィン、既に短鎖のものは条約対象になっておりますけれども、こちら、中鎖のものについても条約の対象にするということを締約国会議に報告することが決まりました。
また、長鎖のペルフルオロカルボン酸、PFASの一種ですけれども、こちらも炭素数が8のものは、既にPFOAとして条約対象でございますけれども、より長鎖の炭素数9~21のものが条約対象物質に追加するということが勧告されることとなりました。
また、リスクプロファイルの検討段階にありましたクロルピリホスにつきましても、次回の来年開催予定の会合でリスク管理の段階に進めるということが決定されました。
簡単でございますけれども、以上でございます。
○白石委員長 これは、すみません、報告を受けたということにさせていただきたいと思います。
以上で、予定していた議題は終了になります。
事務局より、連絡事項があればお願いします。
○吉川課長 本日は、皆様、長時間にわたりまして、ありがとうございました。本日ご報告いたしました黒本調査と環境リスク初期評価の二つの議題につきましては、近日中に結果の概要を公表する予定としております。
また、令和4年度化学物質環境実態調査結果報告書及び第22次環境リスク初期評価の詳細版につきましては、会議の中でご指摘いただきました内容を基に、今後さらに内容を精査した後、年度内を目途に公表することを考えております。併せてご理解賜りますようお願い申し上げます。
また、次回の委員会につきましては、来年度の同じぐらいの時期の開催を予定しております。時期が近づきましたら、必要なご連絡、調整等をさせていただくことになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後になりましたが、本日は本当に機器の不調等によりまして、先生方にご迷惑をおかけし、また時間の延長を招いてしまいましたこと、事務局として深くおわびを申し上げます。一応予行練習をやったのですけれども、すみません、当日に不調となり申し訳ございませんでした。
以上でございます。
○白石委員長 トラブルにかかわらず、ご協力いただき、ありがとうございました。
以上で、第29回化学物質評価専門委員会を閉会いたします。ありがとうございました。
午後4時16分 閉会