中央環境審議会環境保健部会 化学物質評価専門委員会(第28回)議事録

1.日時

令和4年12月21日(水) 15:00~17:00

2.議事

午後3時00分 開会

○清水環境リスク評価室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会環境保健部会第28回化学物質評価専門委員会を開催させていただきます。
 本日、進行を務めさせていただきます、環境リスク評価室長の清水と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は先生方におかれましては、お忙しいところご出席賜り、誠にありがとうございます。
 本日は武林委員より、ご欠席との連絡をいただいております。現時点で15名の委員が出席されております。また、西川先生からは遅れて参加との連絡も承っています。なお、平成26年度まで当委員会の委員でおられました中杉先生には、今年度も引き続き、参考人としてご出席をいただいております。
 本日は、新型コロナウイルスの感染拡大の防止の観点から、ウェブ会議との併用とさせていただこうと思っております。
 また、当委員会は運営方針に基づき公開とさせていただいておりますので、本日はYouTubeを用いてライブ配信を行っております。
 ウェブ会議及びYouTubeライブ配信に当たっての注意事項を説明させていただきます。
 ウェブ会議の開催に当たりまして、ご協力をお願いしたい点を申し上げたいと思います。
 ご自身の発言のとき以外はマイクをオフ、ミュートにしていただければと思います。また、発言に当たりましては、最初にお名前をおっしゃっていただければと思います。お聞きになっている音声が途切れがちの場合は、ビデオをオフにしてお試しください。回線負荷が軽くなり、音声の途切れが解消される場合がございます。
 審議に当たりましては、お手元の資料をご覧いただければと思います。資料の画面共有は原則行いません。音声が聞こえない場合は一度ご退室いただき、再度ご参加いただければと思います。
 お困りの場合は、Webexのチャット機能でお知らせいただくか、環境省環境リスク評価室までお電話をいただければと思います。電話番号は03-5521-8263。復唱します。03-5521-8263となっております。
 速記録作成のため、会話の発言内容については録音をさせていただきます。
 また、YouTubeライブ配信では音声のみの配信となっております。
 それでは、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 開会に当たりまして、環境保健部長の神ノ田より、一言挨拶を申し上げます。
○神ノ田環境保健部長 皆様、こんにちは。環境省環境保健部長の神ノ田でございます。
 本日は年末の大変お忙しい中、化学物質評価専門委員会にご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。また、委員の皆様方におかれましては、日頃から環境保健行政の推進に格別のご理解、ご協力をいただいているところであります。この場をお借りしまして、厚く御礼を申し上げます。
 さて、環境省では、化学物質が環境を経由して人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性を環境リスクとして捉え、その科学的な評価とリスク低減のための取組を実施しているところであります。その一環として、本専門委員会のご助言をいただきながら、化学物質環境実態調査及び化学物質の環境リスク初期評価を実施してきたところであり、いずれも化学物質管理施策の基盤的な事業として位置づけられております。
 直近の化管法施行令改正におきましても、これらの調査結果を重要な基礎資料として活用し、検討が行われたところであります。今後も最新の知見や技術等を反映しながら、適切に実施していく必要があり、委員の皆様には引き続きのご助言をお願いしたいと思います。
 今年も、本日の専門委員会を迎えるまでに多くの方々のご協力をいただく中で、様々な検討会等での議論を重ね、報告書案等の作成を進めてきたところです。本日は最終的なご評価等をいただきまして、それを受けて速やかに結果の公表を行いたいと考えております。
 委員の皆様には、限られた時間ではありますが、忌憚のないご意見をいただきますようお願いいたしまして、簡単ではございますが、冒頭の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○清水環境リスク評価室長 ありがとうございました。
 事務局のメンバーが人事異動により交代しております。先ほども申し上げましたが、私、清水が4月26日に環境リスク評価室に着任しております。また、7月1日付で環境安全課専門官として福澤が着任しております。
 続きまして、お手元に事前に送付させていただきました資料について確認をさせていただきたいと思います。
 まず、配付資料1としまして、専門委員会委員等名簿。資料2-1として、化学物質環境実態調査結果(概要)。資料2-2としまして、その結果報告書(案)。資料2-3として、化学物質環境実態調査の進捗状況。資料2-4として、実態調査の実施方針(案)。資料2-5として、調査結果の活用状況。
 続きまして、資料3-1、環境リスク初期評価の進捗状況。資料3-2としまして、環境リスク初期評価(第21次取りまとめ)の結果の概要(案)。資料3-3としまして、化学物質の環境リスク初期評価ガイドライン(令和4年11月版)及び化学物質の環境リスク初期評価(第21次取りまとめ)結果(案)となっております。
 あわせて、参考資料としまして、ストックホルム条約第10回締約国会議(COP10)第二部結果概要及び、残留性有機汚染物質検討委員会第17回会合及び第18回会合の結果概要を添付させていただいております。
 資料に不備等がございました場合、大変恐縮ではございますが、別途メールにて案内させていただいておりますウェブの資料をご覧ください。
 それでは、議事に入らせていただきます。櫻井委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
○櫻井委員長 それでは早速、最初の議題に入りたいと思います。
 化学物質環境実態調査の結果、進捗状況等についてということでございます。令和3年度の化学物質環境実態調査、いわゆる黒本調査の昨年度の結果と、令和4年度調査の進捗状況等につきまして報告があるとのことです。資料2-1から2-5に基づきまして、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○福澤環境安全課保健専門官 環境安全課、福澤でございます。先ほどご紹介いただいたとおり、7月より着任しております。よろしくお願いします。
 それでは、資料2の各資料にのっとって、化学物質環境実態調査のご説明をさせていただきます。
 まず、資料2-1と2-2がセットになっておりまして、令和3年度、昨年度の調査結果の資料となります。化学物質環境実態調査では、実際に試料の採取、分析を行った、調査を行った、その翌年度の1年間をかけまして、調査結果の精査、解析等を行って、本委員会でご報告させていただいております。このため、今回は令和3年度の調査結果についてのご報告となります。
 資料2-2が詳細な内容を含んだ調査結果報告書で、タイトルを「化学物質と環境」という名前で公表しているものでございまして、いわゆる黒本と呼ばれているものの原稿案でございます。こちらの資料が500ページ近くとボリュームが多いものになっておりますので、本日は概要として取りまとめております資料2-1に基づいて、主にご説明させていただきます。
 まず、資料2-1の1ページ目、1.経緯でございます。
 本調査は「化審法」の制定時の国会での附帯決議を踏まえまして、昭和49年度から、一般環境中における化学物質の残留状況の把握を目的として開始されておりまして、これまで40年を超えて行ってきたところでございます。
 調査内容については変遷してきておりますが、現在の調査体系は、主に平成14年度以降、環境省内の化学物質関連の施策を所管している部署から要望があった物質を中心に調査を行うということと、平成18年度以降に調査目的に応じた初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の三種類に分けて実施するという体制で行っているところでございます。
 次に、2.調査の進め方のア.初期環境調査についてでございます。こちらの調査は、一般環境中の高濃度が予測される地域での調査を行い、主に化管法の指定化学物質の指定などの環境リスクに係る施策についての基礎資料とするということを目的として実施している調査でございます。
 おめくりいただいて、2ページ目の冒頭に、調査物質の数などを記載しておりますけれども、令和3年度につきましては11物質(群)について調査を実施しました。
 次に、イ.詳細環境調査についてでございます。こちらは全国的なばく露状況を検討する必要がある、主に化審法の優先評価化学物質のリスク評価に活用するということを目的として実施している調査です。令和3年度におきましては6物質(群)を調査しております。
 最後のウ.モニタリング調査ですけれども、こちらは化審法で特定化学物質となっているものやストックホルム条約(POPs条約)の対象物質を対象としまして、一般環境中での残留状況の経年変化を把握するという目的で実施しているものでございます。令和3年度は、POPs条約の対象物質の中から11物質(群)を調査してございます。
 次の3.として、文章で調査結果の概要を記載しておりますけれども、資料の5ページ目以降に、別表として物質ごとの検出状況などを表でまとめてございますので、そちらに沿ってご説明させていただこうと思います。
 まず、別表1をご覧ください。こちらは、初期環境調査で実施しました11物質(群)についての検出状況でございます。
 左から物質の番号、物質名、調査した媒体、実施年度、検出頻度を検体と地点ごとでまとめたもの、検出濃度の範囲、そして検出の下限値といったところを記載させていただいております。物質名については、別名を有するものについては括弧書で記載させていただいております。
 表の中で、太文字で記載させていただいているものが、令和3年度の調査結果でございまして、それ以外に過去に調査の実績がある物については太字ではない形で併記させていただいております。昨年度のデータしかないものというのは、昨年度の調査が初めてというものになります。
 また、注釈にありますけれども、物質名の後ろに※印がついているものは、PRTRなどの排出の情報について考慮して調査地点を選定したものでございまして、昨年度については、全ての物質が、そういった形で調査地点を選定させていただいたところになります。
 では、各物質について、表の上からご説明させていただきます。
 調査番号[1]番、アミオダロンですけれども、こちら水質で調査をいたしましたけれども、いずれの地点でも検出がされなかったところでございます。
 調査番号[2]のイベルメクチン類、こちら2種類調査しておりまして、[2-1]イベルメクチンB1aは水質の35地点中15地点で検出されております。[2-2]イベルメクチンB1bは水質35地点中の1地点で検出されております。
 [3]番の1,3-ジオキソランにつきましては、水質で調査しましたけれども、いずれの地点でも検出がされなかったところでございます。
  [4]番のシクロヘキシルアミンは、こちら調査をしばらく前に行ったところでございますけれども、昨年度、水質の24地点を調査いたしまして、そのうち12地点から検出がされているところでございます。
 [5]番のメフェナム酸は、水質32地点中17地点で検出がされております。
 [6]番のストレプトマイシンは、水質の35地点中7地点で検出されております。
 [7]番の6-ニトロクリセンにつきましては、水質と底質と大気の3媒体で調査を行いましたが、いずれも検出がされなかったところでございます。
 [8]番のベンゾフェノン-3は、水質26地点中11地点で検出がされております。
 [9]番のフランは、こちらは大気で調査を行いまして、20地点中の全ての地点で検出がされております。
 [10]番のヘキサクロロシクロペンタジエン、こちらも久しぶりの調査となりますが、水質で調査を行いまして、以前もですけれども、今回も全ての地点で検出がされていないというところになります。
 最後、[11]番のp-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルは、水質24地点中13地点で検出がされております。
 以上が、初期環境調査の結果となります。
 ページをおめくりいただきまして、別表2が詳細環境調査の結果でございます。こちらの資料の構成については、初期環境調査と同様の内容になっております。こちらも同様に、上から順にご説明させていただきます。
 [1]番の環状ポリジメチルシロキサン類につきましては、ここ数年にかけて調査しているところでございますけれども、そのうちの[1-1]オクタメチルシクロテトラシロキサンは、今年、水質では38地点中19地点、生物では10地点中6地点で検出がされております。[1-2]デカメチルシクロペンタシロキサンは、水質42地点中36地点、生物10地点中9地点で検出がされております。[1-3]ドデカメチルシクロヘキサシロキサンにつきましては、水質44地点中29地点、生物10地点中5地点で検出がされております。
 [2]番のテトラアルキルアンモニウムの塩類につきましては、これも物質(群)での調査でございまして、そのうちの[2-1]ヘキサデシル(トリメチル)アンモニウムの塩類は、水質の42地点中30地点で検出されております。[2-2]トリメチル(オクタデシル)アンモニウムの塩類は、水質42地点中31地点で検出されております。[2-3]ジデシル(ジメチル)アンモニウムの塩類につきましては、水質42地点中33地点で検出されております。
 [3]番のテトラメチルアンモニウム=ヒドロキシドは、水質23地点中の1地点で検出されております。
 [4]番のトリオクチルアミン、こちらも以前、しばらく前に調査したところでございますけれども、今回水質19地点を調査して、いずれの地点からも検出されなかったというところでございます。
 [5]番の2-ベンジリデンオクタナールは、水質44地点では検出されませんでしたけれども、底質40地点を調査したところは36地点での検出がされているところでございます。
 [6]番のメチルアミンは大気での測定でございますけれども、23地点中で検出がされなかったというところでございます。
 以上が詳細の環境調査の結果となります。
 ページをおめくりいただきまして、別表3-1からがモニタリング調査の結果でございまして、3-1が水質・底質、次のページの3-2が生物・大気での、それぞれの数値としての結果になっております。こちらは、幾つかの物質については水質といった一部の媒体で検出されていないというところはありますけれども、概ね全ての媒体から検出がされているところでございます。
 次に、9ページ目の別表3-3からがモニタリング調査の中で、しばらく調査してきた中でデータの蓄積がある物質について、経年変化の解析を行った結果を示させていただいているところでございます。
 9ページ目の別表3-3が水質での解析結果でございまして、こちらに示させていただいたいずれの物質でも横ばいか、または減少傾向になっているという解析結果になってございます。
 次の10ページ目の別表3-4が底質、別表3-5が生物及び大気の結果になっておりますけれども、これらもいずれも横ばいか、もしくは減少傾向にあるという解析の結果になってございます。
 最後の11ページと12ページにつきましては、これらの結果について、結果の精査や解析について議論いただきました検討会と、それらで参加いただいた委員の先生方について、名簿で示させていただいているところでございます。
 続きまして、資料2-3に移らせていただきます。
 こちらは令和4年度、今年度の化学物質環境実態調査の進捗状況についての資料でございます。
 まず、1ページ目の1.調査内容にございますとおり、今年度も引き続き初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の三つの体系で調査を実施しているところでございます。
 2.精度管理についてでございますけれども、初期環境調査、詳細環境調査については、多くの地方環境研究所の皆様方に分析のご協力をいただいておりまして、複数の分析機関で同一の物質の分析を行うという状況にございます。このため、分析機関ごとの測定条件の違いなどから、結果に差異であるとか、ばらつきが生じるということが想定されますので、これを事前に把握して、必要な対策を行うということを目的としまして、共通の標準物質の配布であるとか、ラウンドロビンテストの実施などということを行って、精度の管理を行っております。
 また、いずれの調査につきましても、分析機関が毎年度変わる可能性があるということがございますので、調査の継続性を担保するために、国立環境研究所をはじめとしました有識者の方々のご協力の下で、分析機関の立入調査を行っておりまして、調査の実施状況が適正であるということの確認に努めているところでございます。
 今年度、調査している具体的な物質名や媒体につきましては、2ページ目以降に記載させていただいております。
 2ページ目の表1が、初期環境調査の対象物質でございまして、こちらにお示しさせていただいている13物質を対象として調査を行っております。表の調査媒体のところで◎で示しているところが、今回初めて調査を実施する物質でございまして、単に○だけで示したものは過去にも調査を実施したことがあるというものになります。一番右の要望施策の欄には、各物質の要望施策の名称を記載させていただいております。
 次に3ページ目の表2ですけれども、こちらは詳細環境調査の対象物質でございます。今年度は、6物質(群)を対象に調査をしております。
 最後の4ページ目の表3は、モニタリング調査の対象物質でございまして、今年度もPOPs条約の対象物質の中から11物質(群)を選定しまして、調査を実施しているところでございます。
 この調査の結果につきましては、今年度と同様、また来年度に結果の解析などを行いまして、来年度の本委員会でのご報告をさせていただく予定となっております。
 続きまして、資料2-4をご覧ください。こちらは令和5年度、来年度の化学物質環境実態調査の実施方針の案でございます。
 こちらの調査は、先ほどご説明しましたとおり、各関係部署からの要望に基づいて調査しているところでございますけれども、要望をいただいた物質の中には測定するための分析法がないという場合もございまして、そういったものは、そのまますぐに調査を行うということはできませんので、分析法の開発を行った上で調査を実施しているところでございます。
 来年度の調査につきましては、別添1に示している今年度中に分析法開発を行っている物質の中から、分析法の開発がうまくいって調査が行えるというもの、また、別添2のほうにあります既に分析法が存在している物質、これらの中から選定して調査を実施する予定になっております。
 ページをおめくりいただきまして、2ページ目の別添1の中には分析法、現在開発中の物質を示させていただいております。
 5ページ目の別添2のほうには、既に数年前に本調査の中で分析法の開発を行っておりまして、引き続き調査が実施可能であるというものを示させていただいております。
 7ページ目の別添3につきましては、こちら参考としてつけておりますけれども、今年度まだ、分析法の開発に入れていなくて、分析法の開発が来年度以降必要になっているものについて、どのような要望があるのかということをお示しさせていただくためにつけているものでございます。
 最後の資料になりますけれども、資料2-5でございます。
 こちらは令和2年度、一昨年の化学物質環境実態調査の結果の活用の状況の資料でございます。一昨年の調査ということで、昨年度の第27回の本委員会でご報告させていただきまして、その上で、昨年度版の「化学物質と環境」ということで結果を公表したところでございます。これらの結果の活用状況について、要望をいただいた部署に状況のアンケートを取らせていただきまして、その結果を示させていただいているものでございます。
 ページをおめくりいただいて、2ページ目の別表1が初期環境調査の活用状況でございます。こちら、要望をいただいた理由と活用状況をお示しさせていただいているところでございまして、3ページ目の[7]番などは環境リスク初期評価のほうから頂いたもので、本日この後の議題でご説明させていただく第21次の取りまとめでの活用などがされているということで、ご報告いただいているところでございます。
 4ページ目の別表2は、詳細環境調査における活用状況を示させていただいているところでございます。
 説明が長くなりましたけれども、以上でございます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 それでは、結果の取りまとめに当たりまして、専門家から構成される検討会議で、別途精査、解析等をしていただいたとのことでございます。
 本委員会におきまして、評価等に入る前に、それぞれの実務者会議で座長を務められた白石委員、中杉参考人、柴田委員から、もし補足説明がございましたら、一言ずつご発言をお願いしたいと考えております。
 まず、化学物質環境実態調査結果精査等検討会及び、モニタリング調査の結果に関する解析検討会の座長を務められた白石委員より、ご発言をお願いできますでしょうか。
○白石委員 白石でございます。聞こえますでしょうか。実態調査の精査検討会とモニタリング調査の解析検討会、座長を務めています白石でございます。
 これ、例年と全く同じところですけれども、化学物質の実態結果精査等検討会が3回ですかね。6月から8月中旬にかけて、3回ほど丸一日の会議を開きまして、資料2-1の別添11にある各委員に各測定のレポートを詳細に検討していただきまして、取りまとめたということでございます。
 概ね3回の会議で終了したのですけれども、1点だけ少し長引いたものがございまして、それは資料2-2の60ページに物質の構造がございますが、シロキサン類ですね。ケイ素が四つのD4、五つのD5、D6と省略しますけれども、この物質の精査に少し手間取ったということでございます。概ね今月までかかったのですが、三つほど問題がありまして、一つはここの資料2-2の本文の89ページに結果が書いてあります。
 3年ほど測定を進めていますけれども、89ページの水質の欄をご覧いただきますと分かるように、1年分欠けているんです。この1年は、いろいろな問題がある測定機関の測定だったということもあり、欠測扱いとなっていますけれども、それを受けて、精度管理をもう少しきちんとしましょうということで、精度管理用の未知試料測定を実施するということをやっております。
 その結果が精査の途中であがってまいりまして、未知試料分析というのは、添加回収実験をするんですけれども、その回収率が70%を合格の目安としているんですけれども、70%をやや下回るという結果の報告がありまして、なかなかそういうことは起こりえない分析法を採用していますので、いろいろ検討を加えました。
 未知試料分析の担当をしている部門も解析をやっていると思うんですけれども、なかなか理解ができなかったので、この精査等検討会で、もう一回測定機関に質問を投げまして、いろいろ検討したんですけれども、結局のところ、原因はよく分からなかった。ただし、実際の測定サンプルを見ると、特に測定上の問題は見られないということで、未知試料分析では70%をやや下回るという結果が得られているんですけれども、何らかの精度管理の未知試料の測定のときに起こった出来事であろうということで、その経過をもって欠測とすることはしないということに決めました。このデータ自体は、特に問題のないデータであったということでございます。
 もう一つ、この物質は非常に揮発性が高いので、サンプル中に泡がそちらに移行するということがございまして、その扱いについて検討を行いました。保存期間と泡の扱いについては、今おられる櫻井委員に精査をやっていただいたんですけれども、空気相への分配予測に若干誤差もあるということで、概ねの目安として泡の大きさを決めまして、それ以下であったものについては欠測としないということ。保存期間に関しても、実際に測定機関が保存、正試験をしておりますので、その泡の問題の不確実性も含めて50%以上担保できればよろしいということで、最終的にここの結論というふうになっております。例えばD4だと、それでもなお、欠測が出ております。
 結局この物質、連続で3年間も行われていまして、泡と保存期間に関しては、毎年同じような理由で欠測扱いになっておりますので、今後この物質再測定等なさる場合には、分析法の改善も必要であろうというふうに思っております。特に採取時にサロゲートを添加するということだけで大分改善すると思いますので、ご検討いただけたらと思います。
 それから、モニタリングの解析ですけれども、これも例年どおり、統計的手法が固まりましたので、これに沿って検討を加えたということでございます。
 資料で言うと、同じ資料の198ページか199ページ辺りに今年測定されたものがあります。その中で、データがそろっているものに関してということです。199ページの[18]番から[25]までに関しては、あまりデータがそろっておりませんので、これら物質に関しては統計解析はしておりません。
 このやっていないものに関しても細かい議論はいたしておりますけれども、少し専門的になり過ぎますので、ここでは省略させていただきます。
 以上です。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 続きまして、初期環境調査及び詳細環境調査の結果に関する解析検討会の座長を務められた中杉参考人より、ご発言をお願いいたします。
○中杉参考人 中杉でございます。
 私が担当している検討会は、白石先生が検討された精査の検討会で、この数値は妥当であるということでご提示いただいたものについて、主に過年度の調査と比べて、減っているのか増えているのか、あるいは変わらないのかということを少し検討しようということが一つ。
 もう一つは、数年前から排出源との関係が見えるような形で調査地点を選ぶということもやっておりますので、調査物質と排出源との関係というものも見ていこうということでやっております。
 その他、問題があれば、そこを検討していくということですが、今年度の結果につきましては、過年度の調査の結果と、それから排出源との関係について、簡単にご説明をしたいと思います。
 過年度の調査の結果の比較でございますけれども、2021年度の調査では、初めて調査する物質が多かったという結果になりました。厳密に言うと初めてではなくて2回目、3回目というものもあるんですが、それは例えば初期調査でやったので、次の年に詳細調査をやるということで、連続して測っているものもございます。これらについては、過年度といっても時間がたっていませんので、比較してもしようがないということで、それは省いてやっています。
 このため、過去の同一地点で調査をやったものであって、2021年度の結果から増減があるかどうかを検討したものが3物質ございます。これは初期の[4]番のシクロヘキシルアミン、それから[10]番のヘクサクロロシクロペンタジエン及び、詳細の[4]番のトリオクチルアミンです。
 これらの物質について検討してみたんですが、場所によって一定の傾向は示さないということもありまして、3物質全てが、濃度に増減が生じているとは判断できませんでした。ちょっと分からないということです。
 それから、二つ目の調査物質と排出源の関係についてですが、今年の初期環境調査では、昨年度も同様のことがあったんですが、医薬品などのいわゆるPPCPsを多く調査しています。11物質中の6物質がPPCPsになります。そのうちの5物質が検出されています。具体的に言うと、[1]番が検出されずに、[2]番、[5]番、[6]番、[8]番、[11]番、この5物質が検出されました。それらは、具体的には一つは下水処理場の下流域で、高い濃度が見られる傾向がある。それから、動物医薬品として使われる [2]番のイベルメクチン類、[6]番のストレプトマイシンについては、畜産が盛んな地域でも検出される傾向が見えました。
 それともう一つは、調査の要望部署から検出下限値をこの濃度以下にしてほしいという要求が出されています。これは詳細な有害性評価をやっている結果では必ずしもないのかもしれませんけど、要望がある物質が検出下限値を超えていると、何か問題があるのではないかということで、そういう観点で見ていきますと、[2]番と[6]番と[11]番が検出下限値を超えていました。
 それから、先ほど白石委員から、ちょっと問題があるというお話があった詳細調査のシロキサン類は、[1]番の環境ポリジメチルシロキサン類、それから[2]番のテトラアルキルアンモニウムの塩類の水質調査でも、下水処理場での下流域で多く検出されています。
 ただ、上流に下水処理場がない地点でも高濃度で検出されることはありました。一つは、シロキサン類の[1-1]オクタメチルシクロテトラシロキサン、これは上流に排出が予想される事業所があるということで、これは当然のことということで問題はなかったということでございます。
 それから、[2]番のうちテトラアルキルアンモニウムの塩類の中で、[2-1]のヘキサデシル(トリメチル)アンモニウムの塩類は、上流に下水処理場がない地点で最高濃度であったんですが、この排出源はよく分からないというような書き方でございました。
 以上でございます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 続きまして、POPsモニタリング検討会の座長を務められた柴田委員より、ご発言をお願いいたします。
○柴田委員 柴田です。ご報告いたします。
 POPsモニタリング検討会のほうは、例年どおり11月から12月にかけまして分科会を2回、それから検討会を1回開催しております。分科会のほうでは、基本的には分析データの精査を行っておりまして、いわゆる精度管理の考え方に従って、そのブランクレベルですとか、それから検量線の確認、あるいはその二重測定の結果の確認等、データを実際に眺め、さらにはクロマトのデータを眺めています。さらに視察の段階でいろいろと、個別の分析の細部まで含めて、いろいろな情報を確認するというような作業を行って、データの確認をしてまいりました。
 基本的には大きな問題はないというふうに考えております。ただ一部、特にフッ素系の界面活性剤について、大気の分析結果ですけれども、この大気の捕集方法にはハイボリュームサンプラーとミドルボリュームサンプラーという二種類がありまして、一日で1,000立米を引っ張って捕集をすることを3回繰り返す場合と、それから1週間かけて1,000立米を引っ張って、その平均値を求めるという二通りのやり方をとっているんですけれども、どうもその二つのやり方で、そのPFOSとPFHxSの値に少し系統的な差があるのではないかという指摘もいただいて、再度議論をしているところであります。
 いわゆるサロゲート添加と申しまして、実際の捕集の前に、安定同位体レベルのものを添加して測定する限りにおいては、全く問題は見られないということの結果を得られているんですけれども、では、なぜその差が出得るのだろうかということで、一つの可能性としては、測定対象になっていない、例えばPFOSの誘導体が大気中にあって、それが捕集されている間に壊れてPFOSに変わってしまったために、データに違いが出てくるという可能性も原理的にはあり得るということが考えられます。
 ただ、論文等を調べても、そういう報告はないということもありまして、今はまだ、本当にこれがその手法の差なのか、たまたまサンプリングをした場所の違いにすぎないのかというところについては、まだもう少し丁寧な解析が必要だろうというふうに考えております。
 それから、もう一つ、このPOPsモニタリング検討会で話題になっておりましたのが、昨今のヘリウムの不足であります。
 ご承知のとおり、ガスクロマトグラフ質量分析計で分析を行う上では、どうしても一般的にヘリウムを使って分離を行った上で測定して定量値を出すわけですけれども、このヘリウムが今また欠乏しているということで、各分析機関、あるいは民間の機関、さらには地方の環境研なども含めて、今そのヘリウムの入手に非常に苦労されていて、分析の継続に、いろいろ支障を来しているところが出ているということで、ヘリウムに代わるガスとして、例えば水素、あるいは窒素を使った分析法についての情報収集も一つ、また場合によっては、その代替法の開発も急ぐ必要があるんじゃないかということで、委員会のほうでもその情報を集めて議論を行っております。
 これも環境省も含めて、いろいろ今、皆さん努力をされている過程かと思いますので、もう少したちますと情報が集まってくるのではないかと思っております。ヘリウムについては、各社の装置でほとんど違いがなく相互比較ができる状況にあるんですけれども、水素とか窒素を使う場合には、どうもメーカーや装置によって、かなり大きな違いが出てくる様子も今分かりつつありまして、これらについては、まだしばらく基礎的な検討も必要ではないかというふうに考えております。
 以上です。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 ただいま各検討会座長からご説明いただきましたが、それを踏まえて、資料及び説明内容に対しまして、ご質問、ご意見等がありましたら、委員の皆様よりご発言をお願いいたします。
○関澤委員 関澤です。聞こえますか。
○櫻井委員長 どうぞ、関澤委員。
○関澤委員 2点ばかりお聞きしたいと思います。
 1番目は非常に単純なことですが、資料2-1の別表2の6ページの[4]トリオクチルアミンが「オトリオクチルアミン」となっているので、「オ」は要らないかなと。これは単純なことです。
 それから2番目は、資料2-4の令和5年度実施方針の調査対象物質と調査媒体に関する分析の開発の別添1と3、また資料2-5を見ますと、PPCPsと底質の比重が比較的大きく見えます。これについては、もちろん理由があるわけですから、環境リスク調査の進展に向けて、これまでの調査結果を踏まえて、その理由などを、なぜPPCPと、それから底質の比重が大きくなってきているのかという理由を特記しておいたらよいのではないかという、これはコメントです。
 以上です。
○櫻井委員長 ありがとうございます。
 それについていかがでしょうか。
○福澤環境安全課保健専門官 すみません。1点目の資料のところにつきましては、事前に委員の皆様方にお配りした資料のところでちょっと誤りがありまして、急遽、直前に修正させていただいて、委員の机上配付などさせていただいているところには反映しているんですが、ちょっと連絡漏れか、ちょっと委員の先生方のところに届いていなかったので、申し訳ございません。公表する資料のほうでは、いただいた誤記については修正したもので公表などさせていただこうと思います。
 あと、2点目のところにつきましては、PPCPなどの補足については、ちょっと検討させていただければと思います。
○櫻井委員長 修正等、検討するというお答えでございました。
 では、次にご発言を求めたいと思いますが、小山委員ですか。
○小山委員 ありがとうございます。小山です。
○櫻井委員長 よろしくお願いします。
○小山委員 先ほど中杉委員からご説明があったシクロヘキシルアミンについてです。
 経年的な変化が、なかなかよく分からないということで、致し方ないのかもしれませんが、検出範囲を見ると、最大値がだんだん上がっているのがちょっと気になるのと、ちなみにちょっと生態影響のほうのPEC/PNEC比ですね。それをちょっと計算してみますと、2021年の最大値を使って計算すると0.15ということで、さらなる情報を集める必要があるというカテゴリになるかと思いますが、今後このシクロヘキシルアミンについては、来年は別としても、それ以降に、また再度調査するようなことがあるのかということを、ちょっと伺いたいと思います。
 以上です。
○櫻井委員長 いかがでしょう。
○福澤環境安全課保健専門官 ありがとうございます。
 こちらの調査の要望につきましては、説明いたしましたとおり、それぞれの関係する施策のほうから要望をいただいて調査しているところでございまして、今年度の調査であるとか、来年度のところでは、まだ要望をいただいていないというところで対象にはしていないんですけれども、今回のこの調査結果のほうを関係部署のほうにお伝えいたしまして、また、そちらのほうで引き続き調査が必要ということであれば、また要望をいただいて、再度調査するということになるかと思います。
○小山委員 分かりました。ありがとうございます。
○櫻井委員長 では次に、鈴木委員からご発言があると思います。よろしくどうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 白石先生がご説明された辺りの資料2-1の別表2のシロキサン類のところなんですが、今回非常にご苦労されたということで、ありがとうございます。
 検出下限値がこれ、シロキサン類、年度が続いているのにかかわらず微妙に何か動いているんですけれども、これは何かその分析上の理由なのかということが、もし分かれば教えていただければありがたいということと、この分析下限値が微妙に動いていることが、例えば検出頻度に何か影響している可能性というのはありそうなんでしょうか。分かる範囲でということかと思いますが、教えていただければと思いました。
○櫻井委員長 これは白石委員にお答えをお願いいたします。
○白石委員 白石から説明します。
 測定機関が別の機関になっておりまして、1社で測定しているものなんですけれども、検出下限値は、検出下限値を導出するための手順が手引きに定められておりまして、必ずその機関で手順に沿って出すということになっております。多少の数値のずれがあるのかもしれませんけれども、実測値である以上、そうなるものであるということでございます。
解析するときには統一的な検出下限値を設定していくということですけど、毎年の報告は、1社の場合は、その機関の検出下限値を持ってくるということになっています。
○櫻井委員長 検出頻度に影響があったかどうかというご質問についてはいかがでしょうか。
○白石委員 検出頻度には影響は当然あると思いますけれども。それでよろしいでしょうか。
○鈴木委員 はい、大体状況は分かりましたが、とにかくそのようによく検討されて、結果が出たということで理解しました。ありがとうございます。
○白石委員 経年的変化を見るときには、検出下限値をそろえます。毎年のことなんで、こういうことになります。
○櫻井委員長 追加のご発言ございますか。
○白石委員 資料2-3なんですけれども。精度管理のところなんですが、複数の機関のことだけ書いてあるんですけれども、ここ数年の単一機関についてもやるということになっていると思いますので、少し書き添えておいたほうがいいのかなと思いまして。質問ですが。
○櫻井委員長 追加の記載をしたほうがいいのではないかと。
○白石委員 そうですね。シロキサンもちょっと表現方法はあれですけれども、未知試料測定ということをやっていただいているので、そのことについても記載が必要かなと思いました。
 以上です。
○福澤環境安全課保健専門官 ありがとうございます。精度管理のところの記載、ちょっと例年どおりの記載になっていて、おっしゃるとおりシロキサンのほうで問題があったというところで対応しているところがありまして、ちょっと反映漏れがありました。申し訳ありません。
 来年度以降、反映させていただこうと思います。
○櫻井委員長 じゃあ、反映させていただくということで進めたいと思います。
○鈴木委員 よろしくお願いします。
○櫻井委員長 ほかに何かございますでしょうか。
○谷口委員 谷口ですけど、いいですか。
○櫻井委員長 はい、どうぞ。谷口委員、ご発言をお願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
 概要版、資料2-1の3ページですけれども、モニタリング調査の中で、①継続的に調査を実施している物質のPCB等々の記載なんですけれども、例えば「総じて横ばい又は漸減傾向にあると考えられる。」というふうに「考えられる」という言葉が使われています。しかし、後ろの経年分析結果のデータを眺めてみますと、9ページの注2というところで、「統計的に有意と判定されたもの」という言い方で印がついているものが結構あるということなんですね。ということで、考えられるという言い方は1歩下がっている感じがしないでもないなと。もうちょっと積極的に書いてもいいのではないか。ただし、全ての項目が有意に判定されるものというわけではないので、書き方がかなり難しいとは思うんですけれども、工夫の余地はあるのではないかなというふうに思いますので、もうちょっとそういう工夫ができればなという、そういう感想を持ったということで、ご理解いただければと思うんですけど、申し上げておきたいと思います。
○櫻井委員長 いかがでしょうか。
○福澤環境安全課保健専門官 ご意見ありがとうございます。
 おっしゃるとおりで、統計的に先生方に解析した結果をご議論いただいた上で、そのように判定しているというところなので、考えられるというよりかは、もうちょっとそういった解析した上での結果であるということが分かるような形で、書き方をちょっと考えさせていただこうと思います。
○櫻井委員長 ほかに何かございますでしょうか。
(なし)
○櫻井委員長 特に追加のご発言はないようでございます。そうしましたら、白石委員と谷口委員からのご発言についてご検討いただいた上で、修正が必要であれば実施する方向で行きたいと思います。
 これをどのように修正するかということにつきましては、委員長預かりとさせていただきまして、会議後に修正した後、適切であるということであれば、令和3年度の実態調査結果の概要として公表するという方向で進めたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○櫻井委員長 それでは、そのようにさせていただきます。
 次に、議題2に進みたいと思います。
 議題2は、化学物質の環境リスク初期評価(第21次取りまとめ)についてでございます。
 これは、いわゆるグレー本の第21次取りまとめということになります。資料3-1から3-3に基づきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○草川環境リスク評価室長補佐 環境リスク評価室です。
 それでは、化学物質の環境リスク初期評価(第21次取りまとめ)についてご説明いたします。
 資料3-1をご覧ください。環境リスク初期評価の進捗状況です。
 化学物質の環境リスク初期評価は、環境リスク管理のための施策を念頭に置きつつ、多数の化学物質の中から、相対的に環境リスクが高い可能性がある物質をスクリーニングするために実施しているものです。
 環境リスク初期評価は、健康リスク初期評価と生態リスク初期評価から構成されまして、健康リスク初期評価は、化学物質の人の健康に対する有害性の評価を行った上で、その物質の環境に由来する曝露が人の健康に及ぼすリスクについて、スクリーニング的な評価を行うもの。生態リスク初期評価は、化学物質の水生生物に対する生態毒性の評価を行った上で、その物質の水からの曝露が生態系に及ぼすリスクについて、スクリーニング的な評価を行うものとしています。
 環境省では、平成9年度から化学物質の環境リスク初期評価に着手し、健康リスクと生態リスクの両方を対象とする環境リスク初期評価として306物質、生態リスク初期評価のみ実施した物質として99物質を実施しています。評価結果は、化学物質の環境リスク評価(通称「グレー本」)として公表し、環境省のホームページにも掲載しています。
 2ページをご覧ください。
 第21次取りまとめにおいては、環境リスク初期評価を8物質、生態リスク初期評価を4物質取りまとめたいと考えております。
 表2に環境リスク初期評価、表3に生態リスク初期評価の評価対象物質の物質名、選定理由、過去の評価の実施状況をまとめています。物質の選定については、環境省内の関係部局から要望されたものや、環境モニタリングで検出されたものなどから、有識者の意見を踏まえ、優先的に初期評価を行う必要性が高い物質を設定しています。
 4ページをご覧ください。
 環境リスク初期評価の検討体制ですが、全体を統括する企画委員会、中杉参考人を座長とする曝露評価分科会、青木委員を座長とする健康リスク評価分科会、楠井委員を座長とする生態リスク評価分科会において検討しています。
 これ以外に、発がんリスク評価ワーキンググループ、生態毒性QSAR活用ワーキンググループを設置しています。
 7ページ以降は、過去の評価結果の概要を参考としてつけたものでございます。
 説明は資料3-2に移らせていただきます。
 資料3-2、化学物質の環境リスク初期評価(第21次取りまとめ)の結果の概要(案)。そして、資料3-3が化学物質の環境リスク初期評価(第21次取りまとめ)(案)についてでございまして、これらが今後グレー本として公表する冊子の原稿案として考えているものでございます。
 資料3-2の2ページをご覧ください。
 評価結果の活用についてです。
 リスク評価の結果は、リスクの大きさに応じて3段階の評価結果に分かれていますが、一番リスクが大きい区分である「詳細な評価を行う候補」、2番目にリスクが大きい区分である「関連情報の収集が必要とされた物質」については、大気環境課や水環境課などのリスク管理の担当部局との連携と分担のもとで、必要に応じた対応を図ることとしております。
 そして、「詳細な評価を行う候補」とされた物質は、より詳細なリスク評価の実施等、「関連情報の収集が必要とされた物質」は、継続的な環境濃度の監視や、より高感度な分析法の開発等を図ることとしています。
 3ページをご覧ください。
 評価の方法については、リスクの判定と総合的な判定の2段階で実施しています。
 リスクの判定については、健康リスク評価、生態リスク評価、それぞれについて評価対象化学物質の有害性と曝露の状況を比較することとしており、具体的には、健康リスク評価についてはMOEまたはがんの過剰発生率、生態リスク評価についてはPEC/PNEC比により判定いたします。その上で、専門的な観点から総合的な判定を実施いたします。
 なお、初期評価においては、環境リスクが高い物質を見逃すことのないよう、安全側に立脚した取扱いを行うこととしています。
 4ページをご覧ください。今回の評価結果をまとめたものです。
 評価の結果は3段階に分けておりまして、一番リスクが大きい区分が「A.詳細な評価を行う候補」でして、黒判定と呼んでいます。表中では■で表記しています。
 次にリスクが大きい区分が「B.更なる関連情報の収集が必要」でして、グレー判定と呼んでいます。表中では▲で表記しています。
 そして、比較的リスクが小さい区分が「C.現時点では更なる作業の必要性は低い」でして、白判定と呼んでいます。表中では○で表記をしています。
 今回の結果としては、黒判定は健康リスク初期評価では該当がなく、生態リスク初期評価では1物質、ジクロルボスが該当しています。グレー判定は、健康リスク初期評価では1物質、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンが経口曝露と吸入曝露において該当しています。生態リスク初期評価については、シアナミド、メチルアミン、カルバマゼピン、ケトプロフェン、ベザフィブラートの5物質で該当しています。なお、グレー判定のうち、物質名に*印がついている物質は、専門家による総合的な判定によりグレー判定とされたものです。これ以外は白判定となりました。
 7ページをご覧ください。個別の物質の評価結果を一覧にまとめたものです。
 黒判定またはグレー判定となった物質を中心に、番号に沿ってご説明いたします。
 まず、この表の見方ですけれども、左から物質名、曝露経路として、経口、吸入、それぞれについてリスク評価の指標、動物、エンドポイント、曝露評価、MOE・過剰発生率、総合的な判定結果、過去の評価結果の公表状況を示しています。
 環境4番、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンについては、第7次の評価の再評価となりますが、経口曝露、吸入曝露ともにグレー判定としています。
 経口曝露については、有害性の知見について前回から新しい知見を含めて検討しましたが、結果は前回と同じになりまして、発がん影響については脾臓のヘモジデリン沈着、腎臓相対重量の増加などをエンドポイントとして、無毒性量等を0.2mg/kg/dayとしています。
 発がん性については、膀胱の乳頭状移行上皮癌をエンドポイントとしまして、スロープファクターとして1.5(mg/kg/day)-1としています。
 曝露については、淡水のモニタリング結果から算出した予測最大曝露量として、0.0003μg/kg/day未満としています。
 これにより、MOEとがん過剰発生率を算出しますと、健康リスクの判定としては、現時点では作業は必要ないとなりますけれども、専門家による総合的な判定により、魚類摂取による曝露量等を勘案しまして、さらなる関連情報の収集に努める必要があるとしています。
 吸入暴露については、有害性に関する知見、曝露に関する知見がありませんでしたので、経口曝露の無毒性量等とスロープファクターを外挿した毒性値と、PRTR情報等の情報を勘案して検討した結果、更なる関連情報の収集に努める必要があるとしています。
 これ以外は、白判定としています。
 なお、環境3番のジクロルボスですが、既に水質汚濁に係る要監視項目に選定されていることから、経口曝露の初期評価は対象外とし、吸入曝露経路についてのみリスク評価を実施しています。
 資料の8ページをご覧ください。こちらは再評価を実施した物質について、前回評価との結果の比較をしたものです。前回から変わった箇所はハッチをかけております。
 内容については、先ほどご説明したとおりです。
 資料の9ページをご覧ください。生態リスク初期評価について、12物質の評価結果をまとめたものです。
 この表の見方ですけれども、左から物質名、有害性評価に係る試験生物種、急性/慢性、エンドポイント、アセスメント係数、予測無影響濃度PNEC、予測環境中濃度PEC、PEC/PNEC比、総合的な判定、過去の公表状況としています。
 今回、黒判定となったのが1物質、グレー判定となったのが5物質ございます。
 まず、環境2番のシアナミドです。
 有害性については、生物種が藍藻類、エンドポイントがEC50の生長阻害、PNEC値が6.5μg/Lとしています。
 曝露については、淡水のモニタリングデータを用いまして、PEC/PNEC比が0.15となり、グレー判定としています。
 環境3番、ジクロルボスです。
 これは2次の評価の再評価となりますが、生物種がオオミジンコ、エンドポイントがEC50の遊泳阻害、PNEC値が0.0014μg/Lとなりまして、曝露については淡水のデータからPEC/PNEC比が700となりまして、黒判定としています。
 本物質は、農薬登録は失効していますが、防疫用殺虫剤としては引き続き使用されておりまして、散布時期や測定頻度を考慮した環境実測データを充実させることが望まれるとしています。
 環境8番、メチルアミンです。
 この物質は、曝露情報がないことからPEC/PNEC比によるリスクの判定はできませんでしたが、アミン類が甲殻類に対し、慢性毒性に強い影響があることが多いとの専門家の指摘を受け、実験値が得られていない甲殻類の慢性毒性について、QSARやリードアクロスにより検討し、総合的な判定としては情報収集に努める必要があるとしています。
 生態1番、カルバマゼピンです。
 生物種がニセネコゼミジンコ、エンドポイントがNOEC繁殖阻害、PNEC値を2.5μg/Lとしています。
 曝露については、淡水のデータからPEC/PNEC比が0.02、海水のデータから0.002となりましたが、限られた時点の公共用水域を対象とした河川調査から算出したPEC/PNEC比が0.3となることから、総合的な判定としては情報収集に努める必要があるとしています。
 生態3番、ケトプロフェンです。
 生物種が緑藻類、エンドポイントがNOEC生長阻害、PNEC値を0.078μg/Lとしています。
 淡水のモニタリングデータから、PEC/PNEC比が0.6となることから、総合的な判定としては情報収集に努める必要があるとしています。
 最後にベザフィブラートです。
 生物種がニセネコゼミジンコ、エンドポイントがNOEC繁殖阻害、PNEC値が0.23μg/Lとしています。
 淡水のモニタリングデータから、PEC/PNEC比が0.4となることから、総合的な判定としては情報収集に努める必要があるとしています。
 それ以外は白判定となっております。
 資料の10ページをご覧ください。
 こちらは再評価を実施した物質について、前回評価との結果の比較をしたものです。前回から変わった箇所はハッチをかけております。
 環境3番ジクロルボスについては、先ほどご説明したとおり、前回同様、黒判定でしたけれども、環境4番3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、環境6番トリエチレンテトラミン、環境7番メタクリル酸2-エチルヘキシルについては、当時、白判定、グレー判定、判定できないという結果でしたが、今回は生態毒性の情報も増え、また検出下限値を下げた環境中実測濃度の新しい曝露情報も得られた結果、3物質とも白判定となっております。
 資料の5ページに戻っていただきまして、今後の対応についてご説明いたします。
 まず、今回の評価結果は「化学物質の環境リスク初期評価:第21巻」として取りまとめるとともに、環境省のホームページ上で公表する予定です。
 評価の結果、「詳細な評価を行う候補」となった物質については、リスク管理部局等へ情報提供いたしまして、より緊密な連携を図ることにより、取組を促してまいりたいと考えております。
 評価の結果、「更なる関連情報の収集が必要」とされた物質については、新たな情報を収集した上で、改めて環境リスク初期評価の対象とすることを検討してまいります。
 今後の課題ですけれども、諸外国の動向などの新たな知見を踏まえてガイドラインを逐次見直していくこと、QSAR等を活用した評価事例を積み重ねていくこと、評価対象物質の選定についても引き続き取り組んでまいります。
 説明は以上です。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 今、資料3-1の説明の中で、今回の取りまとめに当たっては、専門家から構成される分科会などで、別途ご議論いただいたということです。本委員会におきまして審議に入る前に、それぞれの分科会などで座長を務められた中杉参考人、楠井委員、青木委員から、補足説明などがございましたら、一言ずつご発言をお願いしたいと考えております。
 まず、曝露評価分科会の座長を務められた中杉参考人より、ご発言をお願いできますでしょうか。
○中杉参考人 中杉でございます。
 草川さんのほうから詳しくご説明をいただいたので、補足すべき点、1点だけ述べたいと思います。それから、詳細な評価、あるいは情報収集が必要なものというものに限って、お話をさせていただこうかと思っています。
 最初にジクロルボスですけれども、これ自体は農薬の登録が停止をしていて、最近の調査結果を見ていると、少し濃度が下がってきているような感じがいたします。
 この調査は、実際には水の方の要監視項目の調査の結果です。1μg/Lが、その検出結果の数字になるんですが、実は検出下限がちょうどここにあって、ほとんど検出下限で検出されるか、されないかというところです。
 これは2006年に農薬登録が停止されて、それからは濃度が少し下がってきています。それまでは、ほかのいくつかの地点で、毎年1μg/Lという数字で検出されてきたんですが、それ以降は出てきていなくて、今回1μg/Lというのは久しぶりです。そういう意味では、ちょっとデータとしてどうなのかということもありましたが、これがおかしいと言うだけの明確な根拠がございませんので、一応採用するという形にいたしました。
 それと、もう一つは黒本の調査でも検出されているものがございます。2桁ぐらい低いんですけれども、これは後で生態影響のほうでお話があるかもしれませんけど、PEC/PNECが1とすると、700という非常に大きな数字になります。ですので、黒本調査のほうでの2番目のデータでも詳細調査の候補であるということになるかと思います。
 次にシアナミドです。これは農薬ですので、散布時期との関係で季節的な変動があるのではないか、測定をいつやったかという問題があるのではないかということで確認しましたけど、これは地方自治体のほうで複数の月に調査が行われており、夏場に少し高いという傾向が出てきていますが、その前後もあまり極端に変わらずに検出されているということで、このデータを採用していいのではないかと判断いたしました。
 それから、4番の環境、人健康、経口、吸入のほうですけど、これは前回の評価と同じで、大気の測定ではしておらず、環境データが全然ありませんでした。ただ、PRTRの排出量のデータがありました。この排出量は、2010年のときには1,400kg、直近の2020年では19kgと極端に小さくなっています。この排出量に基づいて計算した数字ですから、大気の濃度としては桁違いに低くなっているんですが、同じような結論になったということでございます。
 メチルアミンは、先ほど草川さんのほうからお話がありましたので、省略をさせていただきますけど、あとは生態の1番、生態の3番、生態の4番、いわゆるPPCPsですけど、黒本調査のときにも申し上げましたけれども、やはり淡水での最大値は、いずれも下水道の下流に位置しているところで、河川のデータです。それで、そのまま採用していいのではないかという判断をいたしました。
 それからもう一つは、今回は国以外のデータで判定をしたというものが多くなっています。
 先ほどのジクロルボスの国の調査でも、黒であるという判定だったんですが、そのほかに今の生態の1番、3番、4番、それから環境の2番、これらはいずれも地方自治体の調査の結果です。地方自治体の調査も、遜色のないデータであって、どこで測っているかということが少し問題になるんですが、それもかなり確認でき、採用できるようになってきたというふうに考えています。
 まだ絶対的に判定することができないので、一応、国以外のデータで正確なメインの判定をして、その後、専門家の判断で総合的判定というふうに言っていますけど、それらの物質については、総合的な判定とまで言わなくても、実際にオーバーしていると判定しても構わないような状況になっております。
 以上です。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 続きまして、生態リスク評価分科会の座長を務められた楠井委員から、ご発言をお願いいたします。
○楠井委員 楠井でございます。
 生態リスク評価分科会は、今年度3回、昨年度1回を含めて、4回会議を持ちました。行っている作業は、生態、特に魚類、甲殻類、藻類についての毒性データの信頼性を評価し、あとそれに含まれない「その他生物」というカテゴリの生物の毒性データの信頼性を評価し、それらがリスク評価に使えるかを評価し、最終的には生態系へのリスクを評価するという作業を行っております。
 今回の結果については、先ほど既に詳しい説明がございましたが、毒性データの報告がない物質について、今までは先送りをしていましたが、今回の12物質中2物質について、QSARの活用を検討いたしました。
 環境1番目のエポキシプロピル=フェニルエーテルですが、この物質に関しては、毒性に関しては魚類の急性毒性のデータしかありませんでした。そこで、藻類、甲殻類の急性毒性にQSARを応用することを検討いたしました。これについて、QSARの検討ワーキンググループが検討を行いました。
 結果的には、QSAR予測値そのものは適用できないということになり、QSARを構成する参照物質の毒性値で、その中でも比較的物性等が類似している物質の藻類、甲殻類の毒性値を利用したところ、魚類の急性毒性値よりも小さい値が藻類、甲殻類で見られ、それらを使って曝露情報と比較しても、白判定ということになりました。
 それから、環境8番のメチルアミンに関しては、毒性値は急性が2種類、慢性が1種類ですが、アミン類は甲殻類に慢性毒性に強いということから、甲殻類の慢性毒性をQSARの活用で検討いたしました。
 しかし、これにつきましても、QSAR予測値が適用できず、参照物質の甲殻類の慢性毒性値を参照したところ、得られている藻類の毒性値よりも小さな慢性毒性値が得られ、情報収集に努める、グレー判定となりました。
 今回、唯一黒判定になったジクロルボスは、既に中杉委員等にご説明いただいていますので、これについては省かせていただきます。
 情報収集につきましては、全部で5物質になっております。その中でも生態3番のケトプロフェン、生態4番のベザフィブラートというのは、鎮痛剤、高脂血症治療薬という人用の医薬品でありますが、こういったものは、生物的にはやっぱり魚類などに効く可能性はあり、残念ながら魚類の慢性データがなく、魚類の慢性毒性に関する情報の充実が求められると結論付けております。
 現在、PPCPsの魚類等に関する研究というのが精力的に実施されており、行動異常があって、最終的には繁殖に影響を及ぼすという研究成果も出されております。今後こうした知見を、どこまで初期リスク評価に取り入れていけるかということは、今後検討する必要があると思っております。
 簡単ですが、以上でございます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 続きまして、健康リスク評価分科会の座長を務められた青木委員から、ご発言をお願いいたします。
○青木委員 青木でございます。健康リスク評価分科会について、ご報告いたします。
 この健康リスク評価分科会、3回開催いたしまして、資料3-2の添付資料1、これは7ページでございますね。7ページにあります8物質について、初期リスク評価を行いました。その結果、先ほど草川さんからご説明がありましたとおり、4番目の物質、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンが総合判定として情報収集に努める必要がある物質として、判定を行ったわけでございます。
 この委員会では、事務局に集めていただきました有害性情報について、それを精査して、今回はこの4番目の物質だけなのですが、発がん性に係るスロープファクター、ユニットリスクに関する情報を集め、それに基づいて曝露評価分科会から頂いた曝露情報を合わせて、総合的なリスクの判定、MOEによる判定、それから専門家の判断による総合的な判定を行ったわけであります。
 結果としては、今申し上げました資料3-2の7ページにあります結果のとおりなのですが、この4番目の物質、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンについて若干詳しく申し上げますと、これは第7次に公表された物質なのですが、大気の方からの要望として、再評価を行いました。
 様々な情報、有害性情報を集めたのですが、結果として、経口・吸入とも前回の第7次の情報収集のときに行いました毒性量、あるいはスロープファクター等を活用してございます。
 結局、この物質について新しい曝露評価があったということでありまして、その結果として、MOEのほうは非常に大きい値が得られたんですが、総合的判定として、経口に関しては、今後、発生源、排出源を調べて、特に魚類の濃度データを充実させる必要があるという観点から、特に情報収集に努める必要があるというふうに判定いたしました。
 また、この吸入曝露に関しての大気中のデータを充実させることがあるという観点から、情報収集に努める必要があるという判断をした次第でございます。
 一応、以上でございます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 ただいま各座長から補足説明をしていただきました。それも踏まえた上で、資料及び説明内容に対して、ご質問、ご意見等ありましたら、どうぞご発言をお願いいたします。
○関澤委員 関澤です。よろしくお願いします。
○櫻井委員長 はい、どうぞ。
○関澤委員 資料3-2の6ページ、「今後の課題・評価対象物質」というところに、「ガイドラインについて、OECD等における試験方法及び評価方法に関する検討状況を把握し、新たな知見等を踏まえて、今後も必要に応じて見直しを図る」とありますが、私がたまたま見ておりましたら、3か月ほど前に欧州連合で「The European exposure science strategy」という論文が、「Environment International」という雑誌に載っておりまして、三つの目標と六つの行動計画を述べて、exposure scienceのデータの国際的比較参照のための共通ツールの開発、例えばヒューマンバイオモニタリング手法の開発や、国連の環境問題を中心とする戦略目標のSDGsを踏まえた、半長期的な各国連携の共同研究推進などが挙げられております。
 今回の環境省の調査では、各関連部署からのニーズ方式というのが取られ、これはこれで結構だと思いますが、環境省全体として、半長期的な戦略と申しますか、ご紹介したような国際連携もご検討いただいてはどうかと思います。
 今回すぐにということではないんですけれども、また来年度にかけてご検討いただければというコメントです。よろしくお願いします。
○櫻井委員長 この辺の今2行で書いてあることについては、この表現自体はよろしいでしょうか。
○関澤委員 今はガイドラインに限って、評価手法や評価対象物質などと書いてありますので、より幅広い面から、目標や評価方法について、国際的な連携も検討したいとしてはどうでしょうか。
○櫻井委員長 はい、ありがとうございます。今、表現についてご提案をいただきました。
○草川環境リスク評価室長補佐 環境省でございます。
○櫻井委員長 どうぞ。
○草川環境リスク評価室長補佐 環境リスク初期評価は、ご承知のとおりですが、環境リスクが大きいと想定される物質をスクリーニングしまして、その結果を環境リスク管理部局における取組に活用していただくということを目的としておりますので、基本的にはニーズ方式としてきたところでございますけれども、今後適切な選定方法についても検討をしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○関澤委員 ありがとうございます。それでは、文献はまた別にメールでお送りします。よろしくお願いします。
○櫻井委員長 どうぞ、ありがとうございます。
 そのほか、ご発言いかがでしょうか。
○西川委員 西川ですけども、よろしいでしょうか。
○櫻井委員長 西川委員、どうぞ。
○西川委員 今後の課題ともかぶることなんですが、健康リスクの評価は主に動物試験のデータに基づいてなされておりますが、欧米の動き、動物愛護の関係で動物試験をどんどん削減していく方向にあります。
 例えば、緊急に健康リスクを評価したい場合、すぐに動物が使えないとなると、対応としてはQSARを使うとか、AIを使うとか、そういうことでスクリーニングするということも考慮しないといけないと思いますが、環境省としてどのように将来的なことをお考えか、教えていただきたいと思います。
 以上です。
○草川環境リスク評価室長補佐 動物愛護の観点から、動物を用いた試験については削減するよう求められる国際的な流れもございまして、環境省としてはQSARやリードアクロスの活用について検討を進めてまいりました。資料3-3で「化学物質の環境リスク初期評価ガイドライン」を令和4年11月版に更新していますが、これまで「QSARによる予測値の活用」としていたところを、「QSARによる予測や類似物質によるリードアクロスの活用」と修正させていただいていまして、こういった形で、我々としてもリスク評価手法の高度化に取り組んでいきたいと考えております。
○西川委員 ありがとうございます。
 生態影響については、QSARの導入を具体的に検討されているように思いますが、健康リスクのほうがどの程度進んでいるかというのは気になるところなので質問したのですが、本当に緊急に対応しないといけないような場合、対応できないと環境に対するリスクを見過ごしてしまう可能性もありますので、ぜひその辺りをよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○草川環境リスク評価室長補佐 ありがとうございます。今後の検討課題とさせていただければと思います。
○櫻井委員長 そのほか、何かございますでしょうか。
(なし)
○櫻井委員長 特に追加の発言はないようですので、それでは、ただいまのご指摘は既に検討中で、この本文のほうにはそういった方向性も示しながら書いてございますが、さらに検討すべき課題はあるということを今後の課題にさせていただきまして、この会議の後で、これの今日の結果の概要を公表するに当たりましては、先ほど関澤委員からご指摘のあった修正点を考慮させていただいた上で、会議後に修正して、第21次の取りまとめの結果とするという方向で、ご了解いただけますでしょうか。
(異議なし)
○櫻井委員長 特にご異存ないようでございます。どうもありがとうございました。
 それでは、主な議題二つはこれで終了とさせていただきまして、その他として、本日配付されている参考資料1と2につき、事務局から報告をお願いいたします。
○福澤環境安全課保健専門官 環境安全課でございます。
 参考資料1、2ともに昨年の本委員会の開催以降に、ストックホルム条約(POPs条約)関係で開催された会議についての内容になりますので、合わせてご報告させていただきます。
 まず、参考資料1ですけれども、こちらはPOPs条約第10回の締約国会議(COP10)の第二部の結果概要でございます。
 COP10につきましては、昨年に開催予定だったところですけれども、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けまして、昨年は第一部ということで予算の関係など、事務的な手続をメインに行われております。今年の6月にCOP10の第二部という形で、実質的なところの審議などが行われたところでございます。
 主な成果としましては、まず本委員会に関わるところとしては、1点目の条約上の規制対象物質の追加というところで、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)というものと、その塩及び関連物質というものが、附属書Aへの追加(製造・使用等の禁止)というところで、対象になるということが決定されたところでございます。
 また、3点目の条約の有効性の評価でございますけれども、こちらは次回のCOP11のほうで最終的な決議の採択を行う、有効性の評価自体は実施される予定なんでございますけれども、こちらのほうでは、各地域のモニタリングの報告書が提出されているところでございます。
 こちらにつきましては、日本からも黒本調査の中でのモニタリング調査の結果など、条約事務局に報告したものが反映されていて、これらをもとに作成される全球モニタリングの報告書が、次回COPのほうに提出される予定となっております。
 続きまして、参考資料2のほうでございます。
 こちらはPOPs条約の対象物質へ追加することの可否などを検討する専門家の会議、残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)でございます。
 こちらも新型コロナウイルスの影響を受けまして、時期などがしばらくずれていたのでございますけれども、それを従来の開催時期に戻すという経緯がございまして、通常は毎年1回なんですけど、今年は2回開催されたところでございます。
 まず、1月に開催されました、第17回のPOPRCについてでございます。
 主な結果としましては、1点目の①メトキシクロル、こちら殺虫剤でございますけれども、こちらを附属書Aに追加するということを、次回のCOPに勧告するということが決定されたところでございます。
 続きまして、次のPOPRC第18回の会合のほうでございます。こちらは、過去の通常の開催時期の9月に開催されたところでございます。
 こちらの主な成果としましては、①デクロランプラスという難燃剤と、②UV-328という紫外線吸収剤、こちらにつきまして、附属書Aへの追加を行うものでございますけれども、各種の自動車や医療機器などの修理の部品で使用されているということがございますので、そちらについては期間限定で適用除外ということをした上で追加するということを、次回のCOPに勧告するということが決定されたというところでございます。
 説明は以上になります。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 ただいまの参考資料のご説明でございましたが、この専門委員会に関連する内容についての最近の動きの紹介ということで承りました。
 何か追加とかご質問等ございますか。
○遠山委員 遠山ですが、よろしいでしょうか。
○櫻井委員長 はい、どうぞ。
○遠山委員 今の参考資料2で、一番下のクロルピリホスについて、提案国、欧州連合が取り上げているようなんですが、これについて質問をさせていただきます。
 クロルピリホスは、日本では農薬取締法で用いる殺虫剤として使われています。米国とか欧州の場合には、疫学データを元にして、それに実験動物のデータを加えて、農薬としての使用を認めない。つまり農薬として失効させるという結論を下しています。そういう中で、日本の場合には疫学データをリスク評価には用いずに、現在もまだクロルピリホスが使われているというのが実情ですね。
 どういう意味で、この次回会合に向けてリスクプロファイル案を作成というような話になっているのか。この6番のクロルピリホスのことに関して、もし情報がありましたら教えていただければと思います。
○櫻井委員長 何か情報ありますか。
○福澤環境安全課保健専門官 ありがとうございます。
 まず、こちらの会議で取り上げられているというのは、POPsとして残留性があるということで、長距離移動性であるとか蓄積性であるとか、そういった情報がある。また、毒性の情報もあるということで、国際的に規制をしていこうという条約でございますので、そういった情報に基づいて、欧州連合からは提案がなされているというところでございます。
 ただ、POPRC18のほうでございますけれども、POPRC17のほうでは段階が進んだんですけれども、リスクプロファイルの検討の段階になりまして、さらに情報収集して、次回の会合で議論されるということになっております。
 こちらは環境中、長距離移動性があるということで、北極であるとか、そういったところからの検出というのはされているんですけれども、ご紹介のとおり、農薬として長年かなりの量にわたって使用されてきている中で、ということを考えると、さほど蓄積がされているというものでも、高い濃度で検出されているというような状況でもなく、また一部減少傾向にあるというようなデータもあるというところで、現在集まっているデータからすると、POPsとしての扱いとして規制をするべきなのかというところで、専門家の中でも意見が分かれまして、結論が得られなかったというような状態でございます。なので、さらに情報収集して、次回議論するというのが、現在のこの条約の下での議論の状況でございます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
○遠山委員 ありがとうございます。
○櫻井委員長 では、ほかには特にないようでございますが。
○遠山委員 よろしいですか、ほかの関連の。
○櫻井委員長 遠山委員、どうぞ。
○遠山委員 先ほど西川委員が非常に重要な点をご指摘になったので、その後、言いそびれてしまいまして、よろしいでしょうか。
○櫻井委員長 どうぞ。
○遠山委員 動物実験が動物愛護の観点から、やりにくくなってきているというのは、委員の方々ご承知のとおりです。
 それで、今後のリスク評価に関して、特にヒトのモデルとしての実験動物を用いた試験が中心になるのかもしれませんけれども、どのようにしていくのがいいのかということに関して、環境省の方でも、アドホックのような委員会をつくっていただくなりして、議論をしていただけるといいのではないのかと思っております。
 現在、例えばin vivoの試験を行わないという方向で、AOP、Adverse Outcome Pathwaysといったようなものを考えて、in vitroの試験で代替をするような方向に持っていくという考え方も、特に欧州を中心に出されています。ですが、どうしてもin vivoでなくては分からないことというのも少なからずあるわけです。
 ですから、どういう試験がリスク評価のために重要なのかという辺りも、日本として見解をまとめておく必要があると思いますので、環境省としてもお考えいただけたらと思います。
 以上です。
○櫻井委員長 環境省から、何かコメントありますか。
○草川環境リスク評価室長補佐 ありがとうございます。
 先ほども申し上げましたが、今後の検討課題とさせていただければと思います。
○櫻井委員長 重要課題だと思っております。最後のアドホックの委員会等もあればいいんだろうなと感じております。
 それでは、もうよろしいですか。そろそろ予定時間になっておりますので。
(はい)
○櫻井委員長 それでは、これで予定した議題は終了ということになります。
 事務局から、連絡事項があればお願いしたいと思います。
○清水環境リスク評価室長 本日はどうもありがとうございました。
 本日ご報告いたしました化学物質環境実態調査と化学物質の環境リスク初期評価の二つの議題につきましては、近日中に結果概要を公表する予定としております。
 また、令和3年度化学物質環境実態調査結果報告書(案)及び第21次環境リスク初期評価結果(案)につきましては、会議の中でご意見、ご指摘いただいた内容をもとに、今後内容を精査した後、年度内を目処に公表することを考えておりますので、併せてご理解賜りますようお願いいたします。
 また、次回の委員会については、来年度の同じぐらいの時期に開催を予定しております。時期が近づきましたら、必要なご連絡、調整等をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○櫻井委員長 以上で、第28回化学物質評価専門委員会を閉会といたします。
 どうもありがとうございました。

午後4時49分 閉会