中央環境審議会環境保健部会  化学物質評価専門委員会(第22回)議事録

1.日時

平成28年12月20日(火)16:00~18:00

2.議事

午後 4時00分 開会

○笠松環境リスク評価室長 大変お待たせをいたしました。それでは、ただいまから中央環境審議会環境保健部会第22回化学物質評価専門委員会を開催いたします。
 本日は、先生方には大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、小山委員、武林委員、篠原委員よりご欠席との御連絡を事前にいただいております。本日ご出席ご予定いただいておりました13名の委員、皆様御出席をいただいております。
 また、平成26年度まで当委員会の委員でいらっしゃいました中杉先生には、昨年度に引き続き、参考人としてご出席をいただいております。ありがとうございます。
 それでは、開会に当たりまして、環境保健部の梅田部長より一言御挨拶を申し上げます。

○梅田環境保健部長 環境保健部長、梅田でございます。本日は年末で大変お忙しいところ、この中央環境審議会化学物質評価専門委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 環境省におきましては、化学物質が環境を経由して人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性を環境リスクとして捉え、その科学的な評価とリスク低減のための取組を実施しているところでございます。そのための基盤的な事業として、本専門委員会で御助言をいただきながら、化学物質環境実態調査や化学物質の環境リスク初期評価を実施してきております。委員の先生方には、これまでの多大な御指導に対し、厚く御礼申し上げたいと思います。
 本年もこれら2つの事項について御評価等をいただくべく、準備を進めてまいりました。本日は限られた時間ではございますが、先生方から忌憚のない御意見をいただくことをお願いいたしまして、簡単ではございますが冒頭の御挨拶とさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○笠松環境リスク評価室長 続きまして、事務局メンバーが人事異動により交代をしております。
 7月1日付をもちまして、私、環境リスク評価室長、笠松が室長を拝命しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の配付資料について確認をさせていただきます。大部でございますが。
 議事次第の1枚紙の後ろが、資料1、これは本委員会の委員等名簿でございます。資料2が5種類ございますが、いわゆるエコ調査に関する資料でございまして、資料2-1が平成27年度化学物質環境実態調査結果の概要でございます。資料2-2が分厚い冊子でございます、27年度の結果報告書の案でございます。報告書の分厚い資料の後ろに1枚、修正の紙を入れさせていただいております。1枚紙でございます。資料2-3が28年度の調査の進捗状況。資料2-4が29年度の実施方針(案)。資料2-5が26年度の調査結果の活用状況でございます。
 資料3、3種類ございますが、これはいわゆる初期リスク評価に関する資料でございます。資料3-1が環境リスク初期評価の進捗状況。資料3-2、初期評価の第15次とりまとめの結果の概要(案)。資料3-3、厚い冊子でございますが、初期評価ガイドラインの26年12月版、並びに、第15次のとりまとめの結果(案)でございます。
 さらに、参考資料の1としまして、残留性有機汚染物質検討委員会第12回会合の結果について。参考資料2は、ストックホルム条約に基づく国内実施計画の改定等についてでございます。
 資料に不備等ございましたら、事務局までお知らせをいただければ幸いでございます。
 なお、本日の会議、公開とさせていただいております。
 それでは、議事に入らせていただきます。櫻井委員長、よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 かしこまりました。それでは、議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 最初の議題に入ります。化学物質環境実態調査の結果、進捗状況等についてということで、平成27年度の化学物質環境実態調査、いわゆるエコ調査の27年度の結果と、それから28年度調査の進捗状況等につきまして、報告があるということでございます。
 資料2-1から2-5までに基づきまして、事務局から説明を、まずお願いいたします。

○藤井環境安全課専門官 環境安全課でございます。
 それでは、資料2の各資料に沿いまして、化学物質環境実態調査について御説明をさせていただきます。
 早速、順番が前後いたしまして恐縮ですけれども、まず資料2-2をご覧ください。こちらは分厚い資料になっておりますけれども、平成28年度化学物質と環境、いわゆる黒本として公表を行います現段階の案になります。本年度の黒本では、平成27年度の調査結果について公表することを予定しておりますけれども、実際に製本する際には、こちらに調査結果の概要や、これまでに調査を行った化学物質の調査結果一覧なども添付しますので、これよりもう少しページ数が増えることになります。
 なお、資料2-2につきまして、1カ所訂正がございます。本日、資料2-2の後に210ページの差し替え資料といたしましてA4、1枚の資料を配付いたしております。変更箇所につきましては、一番左の列の物質調査番号21、ヘキサクロロブタ-1,3-ジエンでございまして、列の一番右の大気について、資料2-2の分厚い資料ではグレーで塗り潰されておりますけれども、もともと、その下の[22]ペンタクロロフェノールに記載のありました70~2,100pg/m3の値等が、ヘキサクロロブタ-1,3-ジエンのデータに当たります。
 一方、もともと資料に記載のありました、ペンタクロロフェノールの大気の部分につきましては、実際は測定しておりませんので、今回の訂正でグレーに変更させていただきます。
 以上、訂正させていただきます。大変失礼いたしました。
 戻りまして、資料2-2ですが、こちらの資料をまとめた概要が資料2-1になりますので、資料2-1を用いまして御説明をさせていただきます。
 資料2-1をご覧ください。
 まず、調査の経緯を1の部分で記載をしております。
 本調査は昭和49年の化審法制定時の附帯決議を踏まえまして、一般環境中における化学物質の残留状況の把握を目的として開始されておりまして、これまで40年を超えて行われてきた調査となっております。
 2段落目、中ほど以降にありますとおり、平成14年度以降、現在では、環境省内の化学物質関連施策を所管する部署から要望があった物質を中心に調査を進めております。
 次に、2番のところに、調査の進め方について記載をしております。
 (1)の平成27年度の調査対象物質は、一昨年、平成26年の本委員会を経て選ばれたものとなっております。
 (2)の調査内容ですけれども、本調査はそれぞれの目的に沿って、平成18年度より初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の3本立てで実施をしております。
 まず、アの初期環境調査でございますけれども、本調査は、一般環境中で高濃度が予測される地域で調査を行い、主に化管法の指定化学物質の指定や、その他化学物質による環境リスクに係る施策についての基礎資料とすることを目的としております。平成27年度は15物質群の調査を行いました。
 裏面、2ページにまいりまして、イの詳細環境調査ですけれども、こちらは主に化審法の優先評価化学物質のリスク評価を行うことを目的に、一般環境中における曝露状況を検討する調査となっておりまして、平成27年度は11物質の調査を行っております。
 ウのモニタリング調査ですけれども、こちらは化審法の特定化学物質の残留状況の監視や、POPs条約の対象物質、また、その候補物質の一般環境中における残留状況の経年変化を把握するための調査で、平成27年度はPOPs条約対象物質に当たります15物質群と、POPs対象物質とすることを検討中のペルフルオロオクタン酸、いわゆるPFOAを加えた、計16物質群について調査を行っております。
 次に、大きな項目の3として、調査結果の概要を記載しておりますけれども、資料の5ページ以降に別表として、物質ごとの検出状況をまとめた表を添付しておりますので、そちらで御説明をさせていただきます。
 まず、5ページの別表1をご覧ください。こちらが初期環境調査における検出状況になります。
 表には、今回の結果とあわせて、過去に調査の実績がある物質につきましては、その調査当時の結果も併記をいたしております。なお、過去に調査を行ったことのある物質につきまして、今回の調査と同一地点で調査をした結果があり、増減の傾向が見られるものにつきましては、資料2-2、黒本(案)の本文で、その比較に関する記載を加えております。
 引き続き、資料2-1、5ページの別表1をご覧ください。
 個々の調査物質の名称の後ろに※印がついているものは、PRTRによる届出排出量情報を考慮して選定した地点が含まれていることを示しております。
 また、表の一番下、調査番号15の有機ブチルスズ化合物など、一斉分析法を用いて測定をしたものがございまして、これらは分析法ごとにまとめて物質群として記載をしております。
 それでは、調査番号順に御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、調査番号1番、アクリル酸2-ヒドロキシエチルでございます。今回が初めての調査で、大気を測定し、いずれの検体からも検出されなかったという結果になっております。
 2番の1-アリルオキシ2,3-エポキシプロパンですけれども、今回の初めての調査で大気を測定し、48検体中6検体で検出されております。
 3番のN-エチルアニリンは、過去に2回、水質の調査が行われておりまして、今回の調査でも不検出となっております。
 4番の2,3-エポキシ-1-プロパノールは、今回初めての調査で、大気を測定し、不検出となっております。
 5番の銀及びその化合物は、今回初めての調査で、大気を測定し、21検体中19検体で検出されております。
 6番の2,4-ジアミノアニソールは、今回初めての水質の調査で不検出。
 7番の、2,4-ジクロロフェノールは、過去に2回調査が行われておりまして、いずれも不検出でしたけれども、今回の水質の調査で21検体中2検体で検出されております。今回初めて検出となった理由は、過去の調査より今回の調査における検出下限値が下がった、つまり感度がよくなったことで、より低値まで検出が可能となったことが考えられます。
 8番のN,N-ジメチルアセトアミドは、初めての調査で、水質を測定し、20検体中11検体で検出されております。
 9番の2.3-ジメチルアニリンは、過去に2回、水質の調査が行われておりますが、今回の結果も不検出となっております。
 10番の2,3,5,6-テトラクロロ-p-ベンゾキノンは、今回初めての水質の調査を行っておりまして、不検出。
 11番の1,2,3-トリメチルベンゼンは、過去に1回調査が行われておりまして、当時は不検出でしたが、今回の水質の調査では16検体中2検体で検出されています。こちらも初めて検出された理由といたしましては、過去の調査より今回の調査における検出下限値が下がったことで、より低値まで検出が可能となったということが考えられると思います。
 12番のN-ニトロソジメチルアミンは、初めての調査で、大気が測定され、36検体全てで検出されています。なお、こちらはPRTR排出源を考慮した※印がついておりますけれども、実際はその※印は不要なものでしたので、訂正をさせていただきます。
 次に、13番のビスアミノシクロヘキシルメタンは、今回初めての調査で、水質の測定を行い、いずれの検体からも検出されませんでした。
 14番のビスエポキシプロピルオキシベンゼンは、今回初めての調査で、水質の測定を行い、いずれの検体からも不検出。
 15番の有機スズ化合物ですが、まず、モノブチルスズは水質が過去1度測定されておりまして、今回は23検体中7検体で検出されております。前回と同一の地点で調査を行った15地点のうち、端的に申し上げますと、1地点では平成17年度の濃度より高い値で検出されておりまして、4地点では平成17年度には不検出でしたが平成27年度に検出を示唆する結果となっております。大気は今回初めての調査で、42検体中9検体で検出という結果です。
 次に、ジブチルスズですが、水質で過去5回調査を実施しておりまして、今回は22検体中7検体で検出されております。こちらも大気については今回初めての調査で、42検体、いずれも不検出となっております。
 前回と同一の地点で調査を行った地点が15ございますけれども、前回検出された7地点については、今回1地点で引き続き検出、そのほかに1地点で検出がされたほかは不検出。一方、前回検出されなかった8地点では、今回2地点で検出、1地点で前回の検出下限値以下の濃度で検出、1地点が欠測扱い。残りの5地点は今回も不検出となっております。
 最後に、ジメチルスズにつきましては、今回初めての調査となりますが、水質で23検体中6検体、大気で42検体中1検体が、それぞれ検出されています。
 以上が初期環境調査の結果となります。
 次に、詳細環境調査の結果となりますけれども、同じく資料2-1の7ページ、別表2をご覧ください。
 詳細環境調査では11物質群について調査を行っております。
 物質ごとに見ていきますと、まず調査番号1番、イソブチルアルデヒドです。今回初めての調査で、大気を測定し、不検出となっております。
 続いて2番、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールです。今回初めての調査で、水質を測定し、20検体全て検出されております。
 3番のクロロエタンです。水質が過去1度測定されておりまして、前回は不検出でしたが、今回は20検体中9検体で検出されております。今回初めて検出となった理由は、過去の調査より今回の調査における検出下限値が下がったことで、より低値まで検出が可能となったことが考えられます。実際に検出された濃度も、全地点、前回の検出下限値以下となっております。
 また、4番、3-クロロプロペンは、水質の調査で、今回も全て不検出。
 5番、ジエタノールアミンは、水質を調査し、今回は淡水域で12検体中11検体、海水域で11検体中6検体、検出されております。
 6番、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールは、水質と底質で過去15回以上、それから、次のページの生物で過去4回、調査が実施されておりますけれども、今回は水質で21検体中18検体、底質で63検体中52検体、生物で36検体中32検体で検出という結果になっております。
 7番、N,N-ジメチルドデシルアミン=N-オキシドは、今回2度目の調査で、水質は23検体中20検体、底質は72検体中68検体で検出。
 8番、イソホロンは、水質について今回3度目の調査で、21検体中10検体で検出。
 9番、ヒドラジンも、水質について今回3度目の調査、21検体中20検体で検出されております。
 10番、1-ブタノールは、水質について今回3度目の調査をして、不検出。
 11番、メチルエチルケトンは、水質について20検体全てで検出されております。
 今回検出が確認されました物質のうち、過去に同一地点で調査をした結果があり、かつ比較をした結果、増加傾向が示されたものは、この詳細環境調査の6番の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールの水質と、それから、8番のイソホロンの水質で、その旨が黒本の本文中に記載しておりますので、御紹介をさせていただきます。
 分厚い資料の、資料2-2、103ページをご覧ください。
 まず、6番、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールの水質ですけれども、平成20年度に行った調査と同一の地点が7カ所ありましたので、今回の結果と比較を行っております。
 その結果が105ページ中ほど以降の表になります。今回、この中で平成20年と平成27年の両方の記載があるものが7地点ございますが、平成20年度以上の濃度であった箇所が①、②の2地点。それから、平成20年度不検出で平成27年度に検出された箇所が③、⑧、⑫の3地点ありますので、103ページ中ほどの水質の3段落目になりますけれども、計5地点で増加傾向にあるということが記載されております。
 次に、113ページをお願いいたします。
 8番、イソホロンの水質ですけれども、直近の平成7年度に行った調査と同一の地点が12カ所あり、今回、その結果と比較を行っております。
 その結果が113ページ、半分より下からの表になります。平成27年度に検出され、かつ、平成7年の検出下限値以上の測定値を示した箇所が、②、④、⑤、⑨の4地点ありますので、113ページ中ほどの水質の3段落目に、この4地点で増加傾向にあることが記載されております。
 詳細環境調査の結果は、以上となります。
 続きまして、モニタリング調査の結果について御説明いたします。
 一度、資料2-1の3ページ中ほどに戻っていただきまして、「ウ.モニタリング調査の結果」をご覧いただきたいと思います。
 その資料2-1の4ページになりますが、平成27年度に調査を行った16物質群について、①の継続的に調査をしている物質と、②のその他の物質の、2つに分けて整理をしております。
 まず、①の継続的に調査をしている物質ですけれども、8ページ以降の表3-1から表3-5で見ていただきますと、一番左側の調査物質番号が1から11番の物質が該当いたします。なお、この調査物質番号は条約対象物質ごとに固定させていただいておりますので、平成27年度に調査を行っていない物質につきましては表に記載しておりませんので、番号は一部飛んでいることになります。
 調査対象としたのは、POPs条約制定当初から条約対象物質となっておりました総PCB、ヘキサクロロベンゼン、DDT類、ヘプタクロル類、トキサフェン類と、これにヘキサクロロシクロヘキサン類を加えた6物質群となります。
 これら6物質群は経年変化の解析を行っております。資料11ページの別表3-3、3-4、また資料12ページの別表3-5として、媒体別の結果を示しております。
 この別表3つを見ていただきますと、いずれの媒体物質も濃度レベルとしては矢印や階段状の記号が右上がり、すなわち増加傾向にある物質はなく、横ばいもしくは右下がりの漸減傾向にあるという解析結果になっております。
 資料4ページに戻っていただきまして、①の中の2段落目、こちらから、媒体別の結果をまとめております。
 まず、2段落目の水質及び底質につきましては、例年どおり、人間環境の影響を受けやすい地点で相対的に高い傾向を示すものが比較的多く見られています。生物につきましては、昨年度同様に総PCBなどが人口密集地帯近傍の沿岸域の魚で高めの傾向を示しております。
 大気につきましては、平成26年度より温暖期のみの測定となっておりますが、データの推移を見ますと、総じて横ばいまたは漸減傾向にあると考えられます。
 また、これらの比較につきましては、前々回の本委員会でいただきました御意見を踏まえまして、①の1段落目に、環境濃度の比較であり、環境リスクの比較ではない旨、明記いたしております。
 続きまして、②のその他の物質についてですが、今回対象といたしましたのは、POPs条約締結後に条約対象物質に新たに追加されました、ヘキサブロモビフェニル類等の9物質群に、条約対象物質にする必要性について検討されておりますPFOAを加えた10物質群になります。
 これらの調査結果といたしましては、4ページ②の記載のとおりですが、ヘキサブロモビフェニル類の生物で不検出であったことを除きますと、調査を行いました全物質、全媒体で検出が認められております。
 検出状況の詳細につきましては、資料8ページの別表3-1に水質と底質の結果を、それから9ページの別表3-2に生物と大気の結果について記載しております。
 再び、資料2-1の4ページになりますけれども、項目4の調査結果の活用に移らせていただきます。
 今回の調査結果につきましては、化学物質と環境、いわゆる黒本に最終的に取りまとめて公表いたしますとともに、各種化学物質関連施策に活用されることになります。要望部署での活用状況につきましては、後ほど資料2-5で触れさせていただきます。
 なお、本調査の結果につきましては、調査結果の精査、そして解析など、資料2-1の13ページ、14ページに記載しております各種の検討会にて、専門家の先生方に事前に検討を行っていただきまして、資料2-2の黒本(案)として取りまとめをいたしております。
 今年度公表予定の平成27年度化学物質環境実態調査に関する御説明は以上となります。
 続きまして、資料2-3をご覧ください。
 こちらは、本年度、平成28年度の調査の進捗状況についてまとめたものになります。
 まず、1のところにありますとおり、本年度も、初期、詳細、モニタリングと3つの体系での調査を実施しております。
 1ページの下の「2.精度管理」についてですが、初期、詳細調査につきましては、一部の地方環境研究所に分析の協力をいただいており、複数の分析機関が同一物質の分析を行っておりますので、分析機関ごとに結果に差異やばらつきが生じるおそれがあります。それを事前に把握して対策を行うため、実際の分析を行う前に、共通の標準物質などを配付してラウンドロビンテストを実施して、精度管理の担保を行っております。
 また、モニタリング調査につきましては、分析機関が年度ごとに変わる可能性がありますので、継続性を担保するために国立環境研究所をはじめとした有識者の方々に御協力をいただきまして、分析機関への立ち入り検査を行い、精度管理の確認に努めております。
 今年度調査を行っております物質・媒体は、2ページ以降に記載をさせていただいております。
 2ページの表1、初期環境調査の対象物質、及び、3ページの表2、詳細環境調査の対象物質につきましては、昨年度に分析法の開発が完了した物質をはじめとして、初期調査15物質、詳細調査22物質となっております。
 4ページの表3にまいりまして、モニタリング調査の対象物質ですが、平成21年度の化学物質環境実態調査のあり方に関する検討会の報告書に基づきまして、16物質群を選定しております。
 これらの分析結果につきましては、来年度の本委員会で御報告させていただく予定としております。
 続きまして、資料2-4をご覧ください。来年度、平成29年度化学物質環境実態調査の実施方針(案)について御説明いたします。
 冒頭、3段落目にありますとおり、来年度の調査も今年度同様、初期、詳細、モニタリングの3体系で実施したいと考えております。
 裏面2ページから4ページまで、別添1として現在分析法開発を行っている45物質を記載しております。これらのうち、本年度中に分析法が確立したものを対象に、来年度の調査の実施を考えております。
 次に、5ページ、別添2になりますが、こちらは本年度に省内関連部署から調査要望のありました物質を中心に、既存の分析法があるもの13物質をまとめたものになります。これらは来年度の調査の着手が可能な物質になりますけれども、ほかの媒体との同時調査の希望等を踏まえまして、調査実施の検討をいたしたいと考えております。
 次に、6ページの別添3にまいります。調査要望があった物質のうち、今後分析法開発が必要な物質についてまとめております。これらは分析法開発会議におきまして、分析法開発の可能性など、専門家の意見をいただきながら絞り込んだものになります。今後このリストをもとに地方環境研究所などと調整を行い、調整がついたものについて来年度、分析法開発を開始することを予定しております。
 また、モニタリング調査につきましては、1ページに戻っていただきまして、冒頭、第3段落にありますとおり、平成21年度に開催されました化学物質環境実態調査のあり方に関する検討会の検討結果に沿って、調査を実施する予定でございます。
 以上、差し支えございませんでしたら、この実施方針で進めさせていただきたいと考えております。
 続きまして、資料2-5をご覧ください。
 こちらは、昨年の本委員会で御確認いただいた平成26年度の調査結果の活用状況について取りまとめたものになります。
 裏面2ページの別表1が初期環境調査、5ページの別表2が詳細環境調査の活用状況になります。右から2番目の列に要望部署と要望理由、一番右側の列に調査結果の活用状況を記載しております。基本的に、関係部署におきまして、調査結果を活用いただいていると考えております。
 大変長くなりましたけれども、ここまでが資料2の、化学物質環境実態調査に関する御説明となります。
 以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。
 今の結果の取りまとめに当たりましては、専門家から構成される検討会議で別途精査、解析等をしていただいたということであります。
 本委員会において評価等に入る前に、それぞれの実務者会議で座長を務められた白石委員、柴田委員、中杉参考人から、補足説明など、もしございましたら、一言ずつ御発言をお願いしたいと考えております。
 まず、化学物質環境実態調査結果精査等検討会、もう一つ、モニタリング調査の結果に関する解析検討会の座長を務めてくださいました白石委員より、御発言をお願いできますでしょうか。

○白石委員 では、経緯を簡単に御報告させていただきます。
 まず、化学物質環境実態調査結果精査等検討会ですけれども、これは例年同様に、報告書について中身を精査していくという検討をさせていただきました。今年の7月から8月にかけて、丸一日、3回、3日間使いまして、それぞれの報告書について精査したということで、それぞれの検討委員に事前に検討いただいて、さらに会議で検討を深めていくというような作業をいたしました。
 結果は、内容ですけれども、分析法がどうなったのか、あるいは資料の採取方法、保存方法がどうなったのか。あるいはブランクですね、操作ブランクとか、添加回収、あるいは検出下限値が要求検出下限値を満たしているかどうか等について精査を加えたということで、補正が必要なものはブランクを補正をするということを含めて、ここに示された結果については最終確定させていただいたということになります。検出下限値も含めて確定させていただいたということになります。
 今年は特に、一番時間がかかったのは、ニトロソジメチルアミンでして、これが1地点だけ割と高い濃度で検出されておりまして、この検出値がどうなのかということで、検討会のほうで問題になりまして、ひょっとすると妨害物質をはかっているかもしれないというような意見が、分析法を開発した委員から出てきまして、その辺の経緯を確認したところ、実際、妨害物質について検討があまり進んでいなかったという発言が開発者からございまして、ただ、分析法としては高分解能のGC/MSで、特に問題ないと判断し、初めに出てきたデータも特に問題ないものだったんですけれども、念のため確認するということで、これは民間の機関に分析していただいたんですけれども、それについて民間機関に協力いただきまして、カラムを変えたり、検出器を変えたり、さまざまな検討を行いました。
 あるいは、高かった地点に、これはたばこの煙に含まれているものですから、サンプリング時にコンタミはなかったのか等々確認しまして、特に問題ないということで、原因についてはよくわからないんですけれども、環境中の測定値としては問題なかろうということで、この値をしたということになります。
 その過程、やはり白本の分析法の記載が少し曖昧なところがあったりするものですから、その辺の完成度を少し上げていただきたいなというふうなことを感じました。
 あと、ここの資料2-2には出てこないんですけれども、欠測値というのがどうしても、その精度管理を満たさないということで欠測値とせざるを得ない測定が幾つかございます。今年は特に気になったのは、その欠測値を出した機関が割と多かったということで、民間機関はないんですけれども、地方の環境研で、一つは技術的な問題、一つはサンプルの取り扱い、保存期間の問題等で欠測値を出しているということです。それちょっと留意したほうがいいかなと思います。欠測値を出した機関が、何と7機関ですね。それぞれ項目は違うんですけれども、7機関ほどあったということだけ、報告したいと思います。
 あと、モニタリング調査結果に関する解析検討会のほうですけれども、これは1回開かれました。例年のとおり、増減傾向を把握するということで、統計手法が、システム研究機構統計数理研究所の柏木先生を中心にまとめていただいたものがありまして、それに乗せていくという作業をやりました。
 その中で、今、今回紹介ありませんでしたが、厚いほうの資料の213ページ辺り。これは前回御指摘あったんですけれども、もう少し定量的な数値を出せないのかということで、減少傾向ということでとどめておいたんですけれども、減少傾向が3回連続して続くようであれば、それについて半減期を出してみましょうと。半減期につきましても、その信頼区間みたいなものを出していきましょうということで、そういったものについては213ページ、例えば総PCBですけれども、環境中の半減期7年、5~10年の間の誤差があるというような形で記載させていただきました。
 もう一つ、年々減少してくると検出下限値を下回る物質が増えてきていて、そういった検出率についても解析できないかという御指摘が委員のほうからありまして、それについて検討を加えたということで、検出率が下がってくるようなものについて、統計的に処理をしてみたということです。
 例えば215ページの、これは新たな解析なんですけれども、魚類で、点々の下矢印が付いていますけれども、こういったものが検出率自体が下がっていますということを示したというものです。
 あと、モニタリングの解析検討会では、いわゆる統計解析ということで、初めの11物質群についてはやっているんですけれども、そのほかの新たにPOPsになったような物質についての解析はまだ十分にされていませんねということで、そういったことについても今後、検討したほうがよろしいでしょうということ、また、参考資料、一番後ろですけれども、例えばカワウの卵の測定結果、参考へ出ていますけれども、こういったものについても解析に加えていく必要があるだろうというコメントがございました。
 以上です。

○櫻井座長 ありがとうございました。
 続きまして、初期環境調査及び詳細環境調査の結果に関する解析検討会の座長を務めていただきました中杉参考人から、御発言お願いいたします。

○中杉参考人 今、白石委員から初期、詳細のデータの精査をしていただいたこと、また、それをもとに評価をしていこうとした結果についてもお話をいただきましたが、先ほど白石委員が経年変化の傾向をと言われたのは、モニタリングといいますか、POPs系統のものの評価でして、こちらの解析検討会では初期、詳細について、経年的にどんな傾向にあるかということを中心に議論をいたしました。
 こちらの初期、詳細調査の場合は明確な、こういうふうにやればと、統計的にやれるほど精度の高い調査は行われているわけではないので、全体を見ながら総合的に委員の総意として、こう判断していいだろうということで、先ほど事務局のほうから御説明いただいたように、105ページの詳細の6番と、113ページの詳細の8番、この2つについて、増加傾向と言ってもいいのではないかという判断をさせていただきました。
 それから、先ほど御説明がなかったかもしれませんが、52ページのところに、有機スズ化合物というのがございます。これについては、モノブチルとジブチル、ジメチルの3物質をやったんですが、このうち、ブチルスズ化合物について、15-1と15-2、モノブチルとジブチルで、眺めると傾向が見えるんですが、実際に見ると場所によって違ったり、それから、モノブチルとジブチルの増減の方向が違ったりということがあって、ジブチルのほうが少し減りかげんで、モノブチルが増えている。これがブチルが外れてきているのかというようなことも考えられるんですが、そこまでの十分な確認ができていませんので、ここについては増減について特に触れなかったということでございます。
 そのほかの物質については、実際には増減について、言える状況がなかったということでございます。
 それから、詳細な有害性評価値を出しているわけではないので、あくまでも仮の評価ということでございますけれども、入手できる有害性評価値と比べてみるとどうかということも少しやっております。
 先ほど、白石委員から御説明のあったニトロソジメチルアミンについては、これはかなり突出して高い濃度で、それが本当かということを検討させていただいたんですが、どうも本当らしいということでいきますと、これはもう少し詳細に評価をしていかなければいけないんではないだろうかという対象になっています。
 人健康ではその物質だけですが、そのほかに生体関係では38ページの初期の5番と、101ページの詳細の5番、物質の名前は省略させていただきますが、115ページの詳細の9番、ここら辺がPEC/PNECを見ていくと、詳細に評価をする必要があるのではないかというふうなことで一応判定をしておりますので、これはいずれ、初期リスク評価などで詳細に、有害性評価のところを判定をしていただいて評価をしていただくような形になるんだろうと思います。
 それから、もう一つ、化管法のほうで届出が少ないので、化管法としても対象物質から取り消していいのではないかということで、それを確認するために環境中で出てくるかどうかというのをはかるというのが要望で出てきています。それが3物質ありまして、これはいずれも初期ですけれども、40ページの6番、47ページの10番、51ページの14番がそうなのですが、これらはいずれも不検出でございました。これを踏まえて、PRTRのこの対象物質の見直しのときに、そこで参考にしていただければよろしいのではないかというようなことでございます。
 それから、もう一つは、PRTRとの比較を少し、PRTRの排出状況を見て、その高いところでできるだけ測りたいということで調査したのですが、実際には何物質かはPRTRの排出量の高いところとは別なところで高い濃度が出てきたというようなことがございます。
 具体的には、103ページの6番とか、110ページの7番、それから115ページの9番というようなものがありますので、これらについては少し、PRTRでない、それ以外の、PRTR届出等の対象外の排出源を少し考えていく必要があるのかなということで、これも仮に、粗い検討をするとそういうことが見えてきたということです。報告書の中には記載するほどの確度がありませんので、ここで口頭で御説明させていただきます。

○櫻井座長 ありがとうございました。
 続きまして、POPsモニタリング検討会の座長を務められた柴田委員から、御発言をお願いいたします。

○柴田委員 それでは御報告いたします。POPsモニタリング検討会の座長をしております柴田と申します。
 検討会のほうでは、先ほどもちょっと話がございましたように、モニタリングの分析機関が毎年入札で、場合によっては交代をすることもあるという中で、データの、特に継続的な比較可能性を担保するために、毎年、分析機関に対しての立入調査を含めて、いろいろ作業をしております。今年も分析担当機関のほうを、委員の先生方、それから環境安全課の方にも参加いただきまして視察を行いまして、その実際の分析状況ですとか、それからいろんな管理の状況、さらには分析データそのものについても、クロマトのチェックも含めて、いろいろできる範囲で確認をいたしました。検出されたことに関しては指摘を行うということで、改善を求めるという作業を継続しております。
 それから、データそのものについては、先ほど御説明ございましたように、別途詳細な統計解析が進められておりますけれども、その前提となるデータの確認ということを、以上のような形で進めているというような状況でございます。
 得られたデータにつきましては、もう既に御報告あったかと思いますけれども、2015年のストックホルム条約のCOP7のほうに、これまでのデータの取りまとめという形で、条約有効性評価のためのモニタリングデータとして、日本の政府のほうから報告をしていただいております。今回は特に、その過去に行われております黒本調査のデータをなるべくたくさん報告をするということで、条約のほうでもともと求めておりましたのは条約の発効以降ということなんですけれども、それ以前から実はちゃんと減っているんだというところを、取り組んでいろいろ減ってきているんだというところをまとめたものを、今回提出をしております。
 それから、今回の報告書の中にはまだ入っておりません、多分、来年度以降に入ってくるのではないかと思いますけれども、もう一つ、安全課のほうで進めておられます高頻度の大気のバックグラウンド地点でのモニタリングデータというほうのデータのほうも出しておりまして、それを見ますと、例えばDDTなどがここ数年間かなりきれいに減ってきていて、どうやら中国の活動の影響というものを見ているようだというようなことも見えてきております。
 今回の報告の中で、少しデータのほうでちょっと指摘をしておきたいのが、資料2-1の10ページにあります、POPsモニタリングデータのいろいろな媒体中、大気と生物の測定データの中で、一番下の21ページのヘキサクロロブタジエンなんですけれども、そこに大気のところで、今回、実は日本全国で大気で測定をしたのは初めてなのですが、70~2,100という数字が書いてあります。pg/m3というお話なんですけれども、実は70というのは2桁だったのはたった1点だけです。小笠原で70という数字が出たのですが、あとは全部3桁から4桁と、そういう、つまり数百から1,000を超えてくるというような状況でありまして、単純に平均をとっても1,200ぐらいになりますので、実はこれまではかったPOPs中では非常にその濃度レベルが日本全体で高いので、しかも今申し上げたように局所的に非常に高い数字がぽんとあるというのではなくて、むしろ全体的に1,000を超えるような数字になっているというような状況でありまして、かなり濃度が高いんだなということを今回把握いたしました。
 もともとヘキサクロロブタジエンはかなり揮発性の高い物質ですので、大気中の存在量が多いだろうとは想定されますし、それから、大気中の半減期が非常に長いと言われていますので、そういう意味では確かにこのくらいあるのも不思議ではないのかもしれませんが、これまでいろいろ文献等を調べても、ほとんど信頼できるこういった数字がありませんので、ちょっと重要な情報じゃないかと思っておりまして、やはりこれだけ高い濃度のものが存在していることについて、それから、日本全国で見ても、どうもあまり場所によってそれほど大きな違いがないということは、その特定の発生源の近くということよりは、半分はその長距離、寿命が長いので長距離移動がしやすいという点もあると思いますし、それから、もしかするといろいろな発生源、特にこれは条約上、いわゆる意図的に製造する部分に加えて、非意図的な製造、あるいはバイプロダクトとしての製造量がかなり多いというふうに推定をされていますけれども、そういう状況を踏まえた上で、この数字というのをもう少し丁寧に見ていく必要があるんじゃないかなというふうに考えてはおります。
 あと、もう一点、ちょっとこれも御報告なんですけれども、その資料2-3のところでの今年度のモニタリング調査対象物質、4ページのところにPOPsモニタリングの対象物質がございますけれども、この中に、実は短鎖塩素化パラフィンの測定というものが入っております。これは実は、白石先生のよく御存じの、白本調査のほうで一旦開発を進めたけれども、なかなかいろいろ難しい問題があって、まだ途中でとまっているような状況というふうに把握しておりますが、ちょっと、その条約上、実はその短鎖塩素化パラフィンが、もうPOPsレベルコミッティーのほうでは載せるということに決まって、恐らく来年の締約国会議で、最短ではそこでもう条約に載ることが決まってしまうようなタイミングになってきておりますので、モニタリングのほうでもやはり、現状でも少しずつでも情報収集をしておかないとということで、こういった形でトライアルを始めているという状況でございます。
 取り急ぎ、以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。
 各委員、座長の方々からの補足説明、大変内容豊富な説明でございましたが、それと、もとの資料、及び、その説明内容、それらに関して御質問、御意見等ありましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。
 どうぞ。

○遠山委員 遠山です。幾つか、では、質問させていただきます。
 今の各専門部会の検討会の座長から詳しくお話しいただきまして、この分析に関しては非常に緻密に、非常に詳細に検討なさっているというのはよくわかりました。
 ただ、そういう中で、実際に具体的に幾つかちょっと疑問があるので教えていただきたいのですが、一つは増減傾向についてのことです。
 その増減傾向といったときに、そのサンプリングのサンプルを、いつ、どこで、どの地点で幾つぐらい集めて、その上で、どのように変化しているというふうに判断しているとかということが、ざっと報告書を見た限りではわかりません。
 書いてあれば教えていただきたいんですが、この結果のところはかなり詳しく書いてあるのですが、この、例えば資料2-2の報告書の(案)の目次を見たときに、目次の例えば1のところに、平成27年度初期環境調査結果(案)というのがありますが、そこに項目が1から順番に4ぐらいまでありますが、その中で、3.の調査地点及び実施方法のところですね。その試料の採取方法だったり、(4)の分析方法、(5)検出下限値はあるんですが、統計的な増減の判断をしたと、統計的な解析の方法、その項目がないわけですね。実際そのサンプルの数も幾つかわからないというようなこともあるので、どこかでこれがわかるようにしていただきたいと思います。
 それから、あと、それに関係しますが、資料2-1、5ページですが、別表1のところに表があります。表の下に※印があって、先ほど御説明もありましたが、PRTR届出排出量の多い地点と書いてあるのですが、「多い」というのはどの程度多いのか。つまり、基準に比べて何倍なのかとかという意味での、その辺の基準がわからないので、主観的に多いと言われてもちょっとやはり困ると思うので、具体的にどういう基準で決めているのかというのがわかるように、やはり先ほどのどこか――方法のところか――に、わかるように書いていただけるとありがたいと思います。
 それから、同じく資料2-1の11ページですが、別表3-3とありますが、平成14年度から平成27年度における経年分析結果、水質という、この表の中の一番、その枠のところの外に(注1)があって、「単回帰分析等の統計学的手法による。手法の詳細は資料2-2を参照(以下の表においても同様)」と書いてあるのですが、この資料2-2のどこに書いてあるのか、ちょっと、これはわかれば教えてください。
 以上です。

○櫻井座長 資料2-2の記載箇所などに関するご質問でしたが。

○藤井環境安全課専門官 それでは、まず事務局のほうから、答えられる範囲でお答えをさせていただきます。
 まず、一番最後にお話のありました、資料2-2を参照されたいというふうなところで、どこにあるのかというところですけれども、それにつきましては、参考資料2というものが、419ページですね。こちらに、いわゆる線形解析のようなものをしている場合ですとか、あとはブートストラップ法に関する検定の話、それが422ページにありますけれども、そういったところに記載がされているという状況でございます。

○遠山委員 今お答えいただいた、その資料2-2の419ページのところに書いてあるということなのですが、これは、今教えていただいたからわかるけれども、見ればわかったのですが、そうじゃないとこれを見つけるのはちょっと至難のわざなので、やはり目次のところにどこかまとめて、はっきりわかるように整理して書いていただくほうがよろしいんじゃないかと思います。
 以上です。

○櫻井座長 そうですね。

○藤井環境安全課専門官 資料2-1で書いてある注釈をわかりやすくするべきというご指摘ととらえており、それは、今後の検討課題とさせていただくということで、よろしいでしょうか。

○櫻井座長 では、検討課題として、お願いいたします。

○藤井環境安全課専門官 それから、先ほど遠山先生のほうからお話のあった、サンプルをいつ、どこで、どの地点で、どのぐらい集めているのでしょうかというお話があったと思うのですが、どこで測定したのかということにつきましては、例えば資料2-2ですと、10ページになります。
 ここに表1-1といたしまして、例えばその水質についてどこで測ったのかということは、それぞれ記載はされている状況でございます。それぞれ、媒体ごとに書いてあるところが分かれていたりですとか、詳細環境調査の場合はまた後ろのほうにあったりですとかはありますけれども、記載自体はあるということでございます。
 それから、大体どのぐらいの地点で集めているのかということにつきましては、概数という形にはなりますけれども、例えば初期調査ですと概ね15前後の地点、詳細調査になりますと少し増えまして、20から25地点ぐらいを目安に、選定をしているところでございます。基本的には日本全国満遍なくというふうな形で集めさせていただいているという状況です。
 あと、いつというお話のところについては、例えば141ページになります。こちらに、その採取日、そういったものの記載をさせていただいているところでございます。
 それから、PRTRの排出量が多い地点が具体的にどのぐらい多いのかということについては、確かに記載がないところでございますので、どういった形で記載できるか、現状の一般的な記載に留まるか、その点については検討させていただきたいと考えております。

○櫻井座長 中杉委員、どうぞ。

○中杉参考人 増減をどう判断したかということを御説明いたしますと、初期、詳細については、遠山先生が言われるように調査の場所も決まっていないし、サンプル数とか時間の問題もあるし、そういう意味で統計的にこうやったら増減が判断できるということはできないので、検討会に出てくる先生方に見ていただいて、みんなが一致してこれは増えているよねという判断をしている、いわゆるエキスパートジャッジメントだと判断していただかないと、これはできなくなってしまいます。そういうふうなものであるというふうな御理解をいただければと思います。
 ですから、POPsのモニタリングのほうは、大体調査地点がある程度固まっていて、経年的にずっとやっている。そういうものだったら、ある程度統計的な形で評価できるんですが、初期、詳細のほうは、とてもそれをやれるだけの情報がないので、そういう意味では、こういう方法でやりましたと書けない。
 それから、PRTRの場合も、ものによって排出量も違いますし、情報も十分ではないので、一応そういうものがあるところを選んでいく。それと、やはり調査に協力してくれるところに制約があるので、それと合ったところでということで、PRTRで排出している物質全部がPRTRの排出届出があるところで測れているというわけではありません。
 それから、そこのPRTRの排出事業所からの距離も、非常にまちまちです。そこら辺は制約があるので、今まではPRTRの排出事業所と全く関係ないところで測っていたのを、排出量が高いところを測っていなくて、安全だ安全だと言ってもしようがないだろうということで、できるだけ近くをということで努力をしていただいているというふうに私は理解しています。

○遠山委員 その辺は僕もある程度は理解しているつもりなのですが、いずれにしても、何らかの増えたとか減ったとか、あるいはPRTRの排出量に比べてどうかといったような判断を、実際にはなさっているので、その判断をしたという根拠がわかることを示すために、その根拠となる方法を、今おっしゃったようにエキスパートジャッジメントならエキスパートジャッジメントで結構ですが、そのことをこの方法のところに記載をするというような形で明示していただいたほうがいいんじゃないかという意見です。
 それから、もう一点だけいいですか。

○櫻井座長 簡潔にお願いします。そろそろ時間もありますので。

○遠山委員 はい。モニタリングに関して、平均値を出しているわけですよね。平均値です。幾何的、幾何平均値か何かを使っていると思うんです。どこか、使っていると書いてあるんですが。だとすると、それでいいのかどうかとか、それは多分検討委員会で検討なさっているとは思うのですが、中央値のほうがいいんじゃないかとか、あるいは先ほどの事務局からの御回答に関係するのですが、やっぱり地点と、場所とのことはわかるのですが、やはり平均値を出す以上、先生方に言うまでもないんですけれども、母集団がどういう集団なのかという中で、平均値を出すことが適当かどうかという問題が起きてくるので、その辺りも御検討いただけたらというふうに思います。

○櫻井座長 何かお答えになりますか。

○藤井環境安全課専門官 幾何平均値のことにつきましては、今どちらにその内容について検討した結果があるかというふうなことを、この分厚い冊子の中で確認できておりませんけれども、そういった内容を確認した上で、また改めて遠山先生に御連絡をさせていただくですとか、あるいは必要に応じて黒本の内容をわかりやすくするですとか、考えさせていただきたいと思います。

○櫻井座長 では、どうぞ。

○白石委員 幾何平均値は、グラフを描くためにだけに用いているのではないかと思っています。モニタリング調査の増減傾向については、全ての実測データを使って、母集団の分布も仮定しない統計手法で分析しているということです。

○櫻井座長 毎年、徐々に改善され、新しい試みもなされておりまして、内容が豊富かつ精緻になってきていると思いますが。
 この報告書、現在の(案)を、3月ですか、パブリッシュするまでに若干の時間もございますので、改善できる点、今御指摘のあった点等、もし可能であれば御検討いただくということでよろしいでしょうか。

○藤井環境安全課専門官 その点については必要に応じて委員長の先生にご相談させていただくなど、追って、可能なところについては変更・反映させていただきたいと思います。

○櫻井座長 それでよろしゅうございますか。
 一つ、どうぞ。

○菅野委員 恐れ入ります。資料2-1で、委員会の座長の先生がちょっと強調された、21番のヘキサクロロブタジエンなんですけれど、これ、構造的にはあまりほかからできてくるように見えないんですけれども、もし御存じでしたら国内生産量とか、どのくらい大量につくっているものなのか、お教えいただけたらと思ったんですけれども。

○櫻井座長 追加的な情報があるのでしょうか。

○藤井環境安全課専門官 まず、事務的なところで申し上げますと、ヘキサクロロブタジエンにつきましては、資料の381ページにもございますけれども、化審法上は第一種特定化学物質ということで、製造、輸入、そういったことは禁止という扱いには、現時点ではなっていると思います。
 ただ、一方で副生しているというものがどのくらいあるのかとか、そこは今、この資料からはうかがい知ることはできませんけれども。

○櫻井座長 どうぞ。柴田委員。

○柴田委員 すみません、私も今ちょっと正確に覚えていないんですけれども、一応これについては条約で当然、条約に載せる議論をされている過程で、世界中での製造量とか、いろんなことの情報はまとめられております。多分、先進国では意図的な製造は、もうほとんどなくなってきているはずだと思うんですけれども、トリクレンとかパークレンの製造時にできてしまうという話が一つ、まずあるというふうに伺っています。
 ただ、その辺りのエスティメートがどうもレポートを読んでいても、はっきり言えば、数字として表に出てくる数字を見ていると、最近では大してできているはずはないように見えるのですが、それに比較して、今申し上げたように大気中濃度が、やはり少なくともPOPsで今測っているものの中で一番高いレベルにありますので、ちょっと気になっているというところがあって、一応、今回は少し御指摘させていただきました。

○櫻井座長 ありがとうございました。
 この物質については一つの課題として、宿題を出されたなという感じがしております。
 それでは、そろそろ先の時間も心配になりましたので、この第1の議題につきましてはこれぐらいでまとめさせていただきたいと思います。
 若干のレポートの改善等は図られることを前提として、現段階ではこの27年度化学物質環境実態調査結果の概要として、この会議の終了後に公表するということで、御了承をいただけますでしょうか。
 (異議なし)
 ○櫻井座長 御異存ないと思いますので、そのようにさせていただきます。
 それから、もう一つ、平成29年度化学物質環境実態調査の実施方針、これも(案)ということになっておりますね。これも、そのとおり実施してよろしいかどうか。御承認いただけますでしょうか。
 (異議なし)
 ○櫻井座長 御承認いただいたということで、ありがとうございました。
 それでは、議題2に移りたいと思います。
 化学物質の環境リスク初期評価の資料の説明になりますね。事務局のほうから、ぜひ、お願いいたします。

○塚原環境リスク評価室長補佐 環境リスク評価室の塚原と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料3のシリーズを用いて御説明いたします。お手元に資料3-1、3-2、それから分厚い資料の資料3-3を御用意いただけますよう、お願いいたします。
 資料3-1のほうが進捗状況の御説明ですが、資料3-2のほうは今回の取りまとめ概要ということで、今日のこの会議において、案について御了承いただきたいと考えている書類でございます。それから、分厚い資料3-3のほうは、通称グレー本といたしまして、年度内に公表を予定しております。この資料3-2のバックデータとなるものでございます。
 それでは、まず資料3-1から御説明いたします。これまでの進捗状況でございます。
 1ポツめ、
 化学物質の環境リスク初期評価についてということで、基本的な説明について簡単におさらいさせていただきます。環境リスク初期評価では、評価対象とする化学物質につきまして、人及び生態系に対する有害性を評価する有害性評価、それから環境経由の曝露量を見積もる曝露評価。これらの有害性と曝露評価の両者を比較することによってリスクの程度を判定するものでございます。
 環境省では、環境リスク管理のための施策を念頭に置きつつ、多数の化学物質から相対的にリスクが高い可能性がある物質をスクリーニングをする、そのための初期評価としまして、健康リスク及び生態リスクにわたる環境リスク初期評価を実施いたしております。
 2ポツめですけれども、これまでの進捗状況につきまして、本事業は平成9年より着手いたしまして、これまで14次にわたり取りまとめを行いました。環境リスク初期評価として前回までのところで240物質、それとは別に追加的に生態リスクの評価のみを行っているものが96物質ございます。
 3ポツ目、今回の取りまとめに関しましてですが、環境リスク初期評価といたしまして14物質、また、追加的に実施した生態リスク初期評価といたしまして1物質ございます。
 具体的には、次のページをおめくりいただきまして、2ページ目の後段、表2にございますとおりでございます。
 これら物質ですけれども、関係部局や専門家の方々から、それぞれの施策等において、初期評価を行うニーズのある物質を選定いたしまして、その中で優先度の高いものを選定するニーズ方式を基本としております。
 また、過去の初期評価におきまして、情報収集の可能性があるとされた物質で、新たにそれら情報が得られた物質のうち、結果が異なる可能性があった物質について、再評価を行っております。
 選定理由につきましては、表にございますとおり、例えば関係部局から要望があったものなのでございますが、例えば表の1番目にありますようなアンチモンでしたら、大気環境課からの要望物質。ナンバー6の四塩化炭素も同様でございます。
 次のページの7番のo-ジクロロベンゼンについて、これも大気環境課からの要望でございます。
 その他、4番目とか13番目に関しましては、水濁汚染に関する要調査項目でありまして、こちらは水環境課からの要望を受けて選定いたしております。
 そのほかに、大気や水のモニタリングで検出された物質であったりとか、非意図的または分解生成物ということで、意図的に生成したのではないけれども、環境中で分解したりすることによって発生するような物質で、要するに製造するときにはなかなか規制では捕まえにくいような物質も対象としております。
 これらの中で、初期リスク評価でスクリーニングした結果、環境管理の必要性が示唆されるような物質があれば、大気や水といった規制担当部局に対して評価結果をフィードバックしていくといったようなスキームとなっております。
 表3には追加的に生態リスク初期評価のみを実施した物質として、1物質掲載しております。
 次のページをご覧ください。取りまとめに当たっての体制ですけれども、有識者で構成される環境リスク評価委員会の企画委員会、それから曝露委員会、曝露評価委員会、健康リスク評価分科会、生態リスク評価分科会と3つの分科会がございます。本日は企画委員会、それから3つの分科会の座長の方々に委員として御出席いただいております。
 次のページからは、別紙参考でございまして、これまでの対象物質の概要ですので、説明は割愛させていただきます。
 それでは、資料3-2のほうをご覧ください。
 本資料ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、本日御議論いただきたい資料でございます。前半は今まで御説明しました資料3-1とも重複するところがございますので、3ページ目からご覧いただければと思います。
 本初期評価における評価の方法ですけれども、この分厚い資料3-3の前半のほうにガイドラインがついておりますが、初期評価のためのガイドラインを策定いたしまして、これに基づきリスク判定を行っております。リスク判定ができないような場合もございますけれども、情報収集の必要性に関する総合的な判定を実施しております。
 評価の方法(5)のところの参考1にございますように、健康リスクであれば無毒性量などを予測最大曝露量で割り算することによって、Margin of Exposure、MOEを計算して、毒性が出るまでどのぐらい余裕があるかというようなことを計算しております。例えばマージンが10未満であれば、比較的リスクが高いということで、詳細評価が必要という判定をしております。それから、10から100未満の場合は情報収集の必要性あり、100以上は現時点ではさらなる作業は必要性ないという、そういった分類をしております。
 生態リスクのほうも同様に、予測無影響濃度と予測環境中濃度の比を見ることで、ある程度定量的な評価を行っております。
 こうして実測値をベースとして、定量的な評価を行ってまいるんですけれども、参考2にございますように、さらに化学物質の製造量や物性、PRTRに基づく届出排出量といった実測以外のデータも用いて、最終的には専門家の御意見をいただいて、総合的な判定を行っているところでございます。
 また、ページの一番最後のところに「なお」以下で書いてありますが、初期リスク評価ということで、環境リスクが高い物質はなるべく見逃さないようにということで、毒性データについても、曝露評価についても、なるべく安全側に立脚した厳し目の評価をまず行うという考え方で行ってございます。
 次のページをご覧ください。4ページ目、3ポツ目のところに表がございますが、今回の取りまとめの概要を記載しております。
 健康リスク、生態リスク、それぞれに判定されたリスクの大きさに応じてA、B、Cという評価で分類しております。健康リスクについては、曝露経路を経口なのか、吸入なのか。また、吸入については、一般環境大気からなのか、室内空気からなのか、細分化して情報収集をしております。毒性データについても、経口、吸入、それぞれの観点から行われた動物実験等のデータを用いております。
 この表の中で、Aがもっとも相対的にリスクが高いものでございまして、詳細評価を行う必要がある候補としております。
 次に、Aまではいかないんですけれども、関連情報の収集が必要というものを、Bに分類しております。
 一番下、Cは、現時点では作業の必要性がないとされたものを分類しております。
 具体的な結果、物質名で申しますと、健康リスク評価のほうでは詳細評価の候補となったものが1物質ございます。これは1,2,3-トリメチルベンゼンでございますが、室内空気の曝露の観点から評価されたものでございます。
 それから、生態のほうでは1物質、これもアンチモン及びその化合物ということでございます。
 Bのほうでは、情報収集が必要とされたものですけれども、健康リスクで8物質、生態リスクで5物質となっております。Bは、B1、B2に分かれておりますけれども、B2は情報が足りないためにリスクの判定ができないという結果ではあったものの、総合判定によって関連情報から勘案して、情報収集が必要とされたものでございます。
 なお、次のページになりますけれども、表の中で*印がついているものがございますが、その意味は欄外の注のとおりでございまして、*が1つのものは、計算ではCとなるんですけれども、総合的に考えて一つ上の評価、B相当として分類したものでございまして、米が2つ目のほうは、判定ができなかったんですけれども、さまざまなデータを勘案しまして、現在さらなる作業の必要性は低いと考えられた物質でございます。
 では、一つ一つの物質について見てまいりたいと思います。この表の後ろに、2枚ぐらいめくっていただくと、健康リスク初期評価結果一覧ということで、横長のA4の表がございます。(14物質)と書いているものでございます。
 左から物質名、有害性、曝露評価、そして右のほうに総合的なリスク判定という流れとなっております。先ほどはA、B、Cということで記載しておりましたが、本表では記号で記載しておりまして、Aに対応するものが■で、Bに対応するものが▲で、Cに対応するものが○というふうに対応しております。結果は、総合的な判定の欄と、その先ほどの表のほうが対応しているというものでございます。
 括弧書きのものが幾つかございますけれども、これは入手できるデータが不十分で判定できなかったものですが、総合的に各種情報を勘案して判定をしたものであったりといったようなものが括弧書きとなっております。
 まずは、詳細評価の候補となりました、1,2,3-トリメチルベンゼンからご覧いただきたいと思います。2枚目の一番上のナンバー12の物質でございます。
 こちらは室内空気の吸入の観点で詳細評価となったものですが、ラットの回転棒試験の成績の低下や、気管支杯細胞の増加が見られたことから、毒性データを設定しております。本物質は、過去に異性体である1,2,4-トリメチルベンゼンや、1,3,5-トリメチルベンゼンで高目のリスク評価となったことから選定されているものですが、この評価を行った第7次の取りまとめでも、1,2,4の異性体が、やはり室内空気で詳細評価候補となっております。
 もう一つの異性体であります1,3,5に関しましては、室内空気からの検出はあったのですが、毒性データの確定ができずに評価ができなかったといった結果でございました。
 資料3-3で分厚い資料のほうですが、曝露状況はどうなっているかというところを見ていただこうと思います。325ページをご覧ください。
 この表2-3をご覧いただければと思うんですけれども、室内空気というところで、最大値の欄を見ていただきますと、31と46という数字が入っておりまして、今回評価に用いたのは46という数字でございます。31のほうが夏のデータで、46のほうが冬のデータ、これは同じ文献から採用している数字でございます。夏、冬かかわらずデータがありまして、冬のほうが比較的高いんですけれども、季節を問わず検出されていると考えられます。
 用途につきましては、溶剤などに使われていることや、シンナーや家庭用の塗料に使われているといった情報もあるようでございます。したがいまして、詳細な評価を行うに当たりましては、発生源などの情報についても収集するということが重要であるということもあわせまして、担当部局のほうにお伝えしたいと思います。厚生労働省のシックハウスの担当の部局になるということで、現時点でも情報を共有していっているところでございます。
 一度、先ほどの資料3-2のほうに戻っていただければと思います。
 次に、詳細評価は1物質なのですが、情報収集が必要となった物質についても簡単に御説明いたします。
 1枚目のアンチモン及びその化合物でございます。これは大気環境課の要望物質でございますが、また、水質汚濁に関する要監視項目にも設定されており、水道水質管理目標設定項目にも設定されております。
 経口曝露にならんで一般環境大気の吸入曝露の観点から、情報収集が必要と判定されました。
 用途で、最も多いのは三酸化アンチモンでして、主に難燃助剤として使用されております。家電類へも広く使用されているようでございます。あと、金属アンチモンは鉛合金として、鉛蓄電池の電極等に使用されているようでございます。
 毒性につきまして、経口では酒石酸アンチモンカリウム投与のラットの試験から、体重増加の抑制が見られましたことから、毒性データを設定しております。毒性データは水道水質であったりとか、水環境に関する目標値のキーとなった知見と同じでございます。
 この表をご覧いただきますと、曝露の情報では、飲料水・食物のほうからの曝露では、リスク判定○ということで、リスクは比較的小さいということでございましたが、その下の淡水・食物で計算しますと高い濃度が出たということで、この数字を用いて評価いたしますと、MOEはわずかに10を下回りまして、詳細評価ということになるんですけれども、この6.1の数字の大半の、ほぼ9割以上の部分が淡水からの曝露量ということでございました。
 一方、この物質なんですけれども、公共用水域や地下水における水質汚濁に関する要監視項目ということで、指針値が既に設定されていて、監視がなされていると言える物質でございます。それから、過去のモニタリング状況を見ましても、平成16年から26年の間で指針値の超過率が1%以下と低い水準で推移していることであったり、地下水については検出が平成19年度以降ないということもありますということでございます。
 また、参考として、PRTRの届出量をもとに推定しました高排出事業所の排出先河川濃度から算出した最大曝露量を用いて算出しますと、MOEは100を超えておりました。
 したがって、総合的な判定としましては、公共用水域の淡水検出状況は推移を見守りつつ、情報収集を行うということでよいのではないかというふうに判断いたしました。
 アンチモンですが、吸入につきましては、三酸化二アンチモンのラットの曝露試験から、体重増加の抑制や肺の重量増加、炎症等が見られたということでございます。この物質は、文献がNTPによるもので、引用した報告書が実は中間報告なのでございますが、このNTPの中間報告のデータを除きますと、信頼できるデータがなくて、吸入について評価ができなくなってしまうということがございましたので、この初期評価ではNTPの中間報告を現時点において最も信頼性のあるデータとして採用して、キーデータを設定しております。
 なお、実験に用いました三酸化二アンチモンですが、動物での発がん性が認められておりまして、IARCでも2B相当と分類されております。一覧表ではMOEを示した欄で160とあるところに括弧書きで(注10)とございまして、発がん性があるということを示しております。
 吸入ですが、大気モニタリングデータから得られた曝露量を用いて、発がん性を考慮して計算した結果は、リスクはそれほど大きくないということで、リスク判定は○としておるんですけれども、PRTRの届出排出量から高排出事業所の周辺のデータからシミュレーションした最大値を用いて計算した結果、MOEが10を下回ったため、総合的には情報収集等を行う必要性があると考えられるということで(▲)と位置づけております。
 次に、ナンバー3のグルタルアルデヒドですけれども、こちらの物質も情報収集が必要となっております。
 この物質は、内視鏡だとか手術器具などの殺菌消毒剤として用いられている物質でございまして、第9次でも評価をしております。新しい毒性データは得られていないんですけれども、最近の曝露状況で評価いたしました。結果は前回と同様で、情報収集が必要ということでございます。
 次に、ナンバー6の四塩化炭素をご覧いただきますと、こちらも大気環境課の要望物質でございます。結果は、一般環境大気の吸入曝露と室内空気の観点から、情報収集が必要とされております。
 この物質はフロン法の特定物質に指定されておりまして、製造は禁止されておりますが、試験とか分析用には特別な用途ということで製造が認められております。実際に製造もあるようでございます。
 既に水質、土壌、地下水に関する基準がありますので、経口曝露の評価はせずに、吸入のみの評価を行ってございます。
 毒性に関しまして、動物実験で発がん性が認められております。発がん性に関する閾値の評価に関しましてはいろいろ論議はあるところでございますが、本物質については、前がん病変や遺伝子傷害性に関する多くの知見がありまして、閾値があるものと考えて評価を行っております。
 毒性データに用いた実験では、容量に応じて肝細胞線腫や肝がんの増加がみられておりまして、実験を行った一番低い濃度で、肝細胞線腫の増加も見られているということで、安全側の評価として、肝細胞線腫のデータに着目して毒性データを設定しております。
 一方で、室内空気につきましては、最近のデータはないのですけれども、2004年のデータを用いてMOEを算出したところ、10よりも低いという数字が出てしまいましたので、こちらも総合判定としましては情報収集が必要というふうにいたしました。
 それから、ナンバー7のo-ジクロロベンゼンにつきましては、大気環境課からの要望物質でございます。こちらも過去に評価をしておりまして、今回、再評価でございます。一般の環境大気での吸入曝露では情報収集が必要とされておりますが、今回、曝露データという概成データを見直した結果、同じ判定となりました。
 なお、前回は経口では比較的リスクは少ないと判定されましたが、今回新たな有害性の知見はなく、曝露情報を見直したが同じ判定となりました。
 一般環境大気につきましては、実測値を用いて算出したMOEは高かったのですが、PRTRの届出排出量をもとに推定した高排出事業所の大気中濃度の最大値を用いて算出したMOEは20となりまして、総合判定としましては情報収集が必要というふうにいたしました。
 次、ナンバー9のN,N-ジメチルアミドですけれども、こちらについては経口曝露及び一般環境大気の吸入曝露の観点から、情報収集が必要とされました。先ほどの議題で御報告がありましたエコ調査の新しいデータを活用しております。
 こちらですが、IARCでは分類はないんですけれども、ラット、マウスを用いた長期毒性の結果から、厚労省ががん原性指針の対象物質としているなど、動物における発がん性が見られるということで、2B相当ということで評価をしております。
 その他、資料3-2のほうでB2と総合的に考えて情報収集が必要とした物質が幾つかございまして、四塩化炭素につきましては既に言及したところでございますが、ほか、タリウムとテルルという2物質がございます。一番下のほうのナンバー10と11になりますけれども、タリウムに関しましては淡水のデータで信頼性に足る情報が得られなくて判定ができないということになったのですが、参考に古いデータを用いた結果、リスクが高目となったので、総合的には曝露情報の収集を行う必要性があると判定いたしました。
 また、テルルにつきましては、淡水のデータからはリスクは高くはなかったんですけれども、食事に関するデータが得られていないであるとか、その食事の寄与度も不明であるということで、食事からの曝露量の情報収集を行う必要性があると考えられるというふうに判定いたしました。
 健康に関しましては、以上でございます。
 次に生態ですけれども、2枚ほどめくっていただきまして、生態リスク初期評価一覧(14物質)という横長の表をご覧ください。
 まず、詳細評価を行う候補とされたアンチモンにつきましてでございますが、過去の評価では有害性の知見が不十分で判定できないという結果になっておりましたが、今回は新たな有害性情報と新しいモニタリングデータを入手して評価を行いました。
 この資料3-3の分厚い資料のほうもご覧いただければと思います。65ページをお開きください。
 有害性に関してなんですけれども、3価及び5価の化合物の試験データが得られたんですけれども、最も小さい値であった五塩化アンチモンを用いたマダイに対する試験の毒性値を用いております。毒性値はPNECと書いてある表4-2のところの数字でございます。
 価数にかかわらない全アンチモンの数字なんですけれども、曝露のほうは淡水で広範囲に検出されていることがわかっておりまして、曝露量から計算して詳細な評価を行う必要があるということとなりました。
 健康と生態では分子、分母の関係が逆でして、数字が小さいほどリスクが高いということになっております。0.08という数字が海水で出ており、詳細評価ということとなりました。
 ただ、採用した毒性データが海産魚類のマダイを用いての評価でございまして、これを用いて淡水の評価をして詳細評価ということになっておりますので、淡水魚類のメダカでも実験はあるんですけれども、それとマダイを比べると感受性が大きく異なっているということもありまして、今後は水域別の評価の実施の検討も進める必要があると考えられるというふうにしております。
 次に、詳細評価が必要とされた4物質ですが、先ほどの横長の一覧表に戻っていただきますと、▲がついているものが5物質ございます。
 四塩化炭素でございます、ナンバー6ですけれども、前回、第2次でも評価しており、今回再評価でございます。過去の評価では作業は必要なしとされましたが、曝露状況は大きく変わらないんですけれども、無影響濃度についてはさらに低い数字が得られておりまして、今回評価が見直されて、情報収集が必要というふうになっております。
 それから、ナンバー7のo-ジクロロベンゼン、これもパイロット事業、平成13年に公表しておりまして、今回再評価となっております。過去の評価では、曝露データが不十分でリスクの判定できなかったんですけれども、今回は毒性データの変更はないものの、曝露データが得られまして、評価が見直されて、情報収集が必要となりました。PECとPNECの比が、それほど低くはないのですが、PRTRの届出排出量から河川中濃度を推定すると、PNECよりも高濃度の地点が存在する可能性が考えられるということで、情報収集に努める必要があると考えられ、特に排出源を踏まえた環境中濃度を充実することが望ましいと考えられました。
 それから、ナンバー10とナンバー11、タリウム、テルルなんですけれども、有害性について、タリウムのほうは1価及び3価の化合物の試験データが得られまして、最も小さな値だった硫酸タリウムの甲殻類に対する試験の毒性値を用いました。曝露データは淡水では評価に耐えるデータが得られませんで、海水の情報を用いてPEC/PNEC比を求めたところ、情報収集が必要となっております。
 なお、参考値として10年以上前のデータを用いた場合は淡水、海水ともにリスクが高目となったことから、総合的には曝露情報の収集等を行う必要があると判定しております。
 次に、テルルですけれども、有害性につきまして4価、6価の化合物の試験データが得られまして、最も小さい値であった二酸化テルルの甲殻類に対する試験の毒性値を用いております。曝露データは淡水、海水ともにデータがありますが、調査地点が2地点と限られております。淡水、海水ともにPEC/PNEC比を求めたところ、リスクはそれほど大きくありませんでしたが、古いデータ、10年以上前のデータを用いた場合に、やはりちょっと高目となったことから、総合的には曝露情報収集が必要あるということで判定いたしました。
 本物質についてはさまざまな用途に使われているようでございますので、生産、輸入量やマテリアルフローについて正確に把握して、排出源を踏まえた環境中濃度の情報を充実させることについて検討する必要があると考えられます。
 最後に、メチル=ドデカノアート、ナンバー13ですが、水環境課からの要望物質で、要調査項目に選定されているものでございます。
 こちらも淡水、海水ともに数地点で検出が見られておりまして、情報収集に努める必要があると判定いたしました。
 結果のほうは、長くなりましたが、以上でございます。
 一度、資料3-2のほうに戻っていただきまして、今後の対応について簡単に御説明いたします。
 5ページの本文、4にお戻りください。
 本日の議論を経まして、資料3-2を概要版としまして近日中にホームページに公開いたします。また、バックデータである資料3-3につきましては、年度内を目処にホームページに掲載の予定でございます。
 環境部局との連携につきましてですが、特に詳細評価の候補とされた物質につきまして、規制当局に対して情報提供を行ってまいります。今回は1,2,3-トリメチルベンゼンについて厚労省へ、それからアンチモンに関しては水環境課のほうへお伝えし、少し優先度を上げて検討していただくようお伝えしていくこととしております。
 最後は(4)今後の対応ですけれども、毎年掲載しているものでございますが、今後も諸外国や国際機関等の知見を踏まえて、評価方法の高度化を図りつつ、効率的な初期リスク評価を行っていくために、関係部局とも連携して候補物質を選定して、引き続き初期評価を充実させてまいりたいと思います。
 以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。
 これについましても、各分科会で座長を務めていただいた方々から、追加の発言があればお願いしたいと思います。
 まず、曝露評価分科会の座長を務められた中杉参考人、何かありましたらどうぞ。

○中杉参考人 曝露評価のほうなのですが、基本的には環境モニタリングデータに近々のものがあればそれを採用するという形でやっています。ない場合には古いのを使いながら、古いのを使ってどう評価するか、なかなか難しいのですが、ここも明確にこうだということではないのですが、エキスパート的な判断をして、生産量なんかを見てあまり変わらなければ、それもいいだろうと。あるいは有害性評価のほうでやっていただいて、十分安全率が見られたら、まあそんなに何桁も生産量が増えたりすることもないだろうということで、あえて使わないというんですか、やらないというので、そのまま採用して判断をしていただいています。
 基本的にはそういう意味で、測定結果と、PRTRの排出届出のデータがあるものについてはそれによるモデルを使って、拡散で希釈されるというだけで評価をした結果も提供しています。
 大気については、大体事業所から1キロの地点でどのぐらいの濃度になるかということで、工場のすぐそばではないと。それから、水のほうは、これもなかなか難しいのですが、排水口の下というと極端に高い濃度になってしまう。モデル上は排水口の下もあまり変わらないのですが、どこで評価するかというのは難しいので、環境基準点ないし補助点で評価をする。これは一般的に水質環境基準の評価、モニタリングがそこでやっていますので、評価していますので、それに倣おうということ行っています。今回もその上流の、支流の河川で環境基準点がない河川の流量でモデルでやると高い濃度があったのですが、環境基準点がある河川というのはそこの排水が合流したところしかなかったので、合流したところの推計値を評価の対象として出しているということでございます。
 もう少し細かく物質ごとに、基本的にはアンチモンとタリウムとテルルがちょっと問題といいますか、これは基本的にはアンチモン、タリウム、テルルは環境中でどういう形態で存在しているかというのはわかりません。そういうことで、このアンチモン、タリウム、テルルというものについては、全体量、元素の量全体を測ったデータしか得られていませんので、生態リスクのほうはそれぞれ、生態毒性試験のところは、何かのタリウムとか、何かのアンチモンとかいう形で評価をしていただいていますけれども、それはもう全部、その価数でやるという形で評価をしていただくような形でお願いをしています。
 それから、アンチモンにつきましては水生生物について、アンチモンの場合はPRTRの排出の情報がありますので、実際にはこういう物質は環境中でも自然起源で存在している可能性があります。自然起源で高くて、生物が住めない。これは当然、そういうところにはそういう生物が元々いないということでありますので、そういうところは避けたほうがいいだろうということで、一応、PRTR排出届出結果を見て、それが明らかに人為起源のPRTRの排出があるというところでデータをとっています。そこの一番高いデータを対象に評価しています。
 人健康の場合はそうではなくて、これは人為的な汚染か、自然起源の汚染か、問わずに人の健康に影響があるということで、そのどちらも区別せずに一番高いところをとる。ですから、そういう場合はここの水はそもそも飲んじゃいけないということになるということになってまいります。
 アンチモンはそういう形ですが、タリウムとテルルについては、PRTRの届出対象外で届出がありませんので、そういうことをやっておりません。一番高い濃度を採用するということでございます。
 ただ、タリウムにつきましては調査地点が1点だけ、これは黒本の調査だったと思いますけれど、1地点だけしかないので、これは十分信頼に値するデータとは言いがたいだろうということで、それは採用しませんでした。
 それから、もう一つ、産総研の研究者が、溶解態と溶存態と、それから懸濁態の2つに分けて濃度を調査しているものがあります。それを足し合わせると一応は全体の濃度になるわけなので、それで評価をしてもいいのですが、それも通常のやり方と違うので、一応、信頼できるデータではないという扱いをさせていただいて、ただ、評価のときの参考には両方ともあわせて生態リスク評価なり、健康リスク評価でやっていただくときの評価には、それを参考に使っていただくということで対応させていただいております。
 一応、そんな形で曝露の情報を提供させていただいて、それをもとに健康リスク、生態リスクのほうで、いろいろ曝露のほうでこういう判断をしたという情報を踏まえて、どういうリスクがあるかという判断をしていただいているということでございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。
 それでは、次は、生態リスク評価分科会の座長をお務めいただいた楠井委員。よろしくお願いします。

○楠井委員 楠井でございます。生態リスク評価分科会は3回ほど開催させていただきました。既にありましたように、今回、無機物でアンチモン、テルル、タリウムは価数別に毒性試験の結果を整理して、そして一番低いものをPNECに採用するという形でやりました。
 ただ、ちょっと矛盾が出てきましたのは、先ほども御指摘あったアンチモンについてでございます。つまり、もともとアンチモンの存在量はやっぱり淡水で多いのですが、海水で少ないと。そうすると、海水に住んでいるマダイは非常に感受性が高いと。その感受性の高いもので、淡水域を割って、ちょっとPNEC、リスクが高くなるという形になりまして。ただ、そうは言っても海水の、海産と淡水種を分けるとデータ数が非常に少なくなって、また非常に割る係数が高くなるということで、今回はちょっと仕方がないんですけれども、そういう形でやりました。
 ただ、それで問題ありとなったとき、次の一歩をどうするかということは、ちょっと今後の検討課題かなというふうに思います。
 それから、今回は比較的、データが、全体的には豊富であったということで、QSARを使うかという話も、使わなくて何とか結論がまとまったということでございます。
 以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。
 続きまして、健康リスク評価分科会の座長を務められた青木委員、お願いいたします。

○青木委員 青木でございます。
 健康リスク評価分科会の大きなメーンの役割というのが、この資料の3-2にございます、8ページにございます、この横表ですね。健康リスク初期評価結果一覧という中の、比較的左のほうにございます、リスク評価の指標の中の無毒性量等の設定。それから、あと、先ほど中杉参考人から御紹介がありました曝露評価分科会のほうから曝露評価の結果をいただいて、MOEを算定して、リスク評価の判定をするというのが主な仕事でございます。
 そういう中で、実際の審議としましては、都合3回の分科会、委員会を開催いたしまして、事務局でできるだけ情報収集いただいて、その中から無毒性量等をまず認めるということになります。
 そのとき、詳細リスク評価ですと、不確実係数をどうするかとか、場合によってはそのユニットリスク、あるいはスロープファクターを算定するということになると思うのですが、やはりここでこのように、全部で14物質やるという状況を踏まえ、また、目的からすれば、より詳細なリスク評価を行うべき物質というのを選び出すということとなりますので、資料3-3の冒頭、例えば9ページにあるようなガイドラインに従って、無毒性量を算定する、さらにそれをMOEの算出に結びつけるということを行うわけでございます。
 ただ、基本的にはそういう中で、非常に重要なプロセス、やはり、ガイドラインがあるといいましてもリスク評価ですので、専門家の先生方の判断をいただくという非常に機微な部分がございます。その部分に関しては、やはりこの委員の先生、全部でたしか13人いらっしゃったと思いますが、議論してどのように決めていくか、もちろん、ガイドラインは逸脱しない範囲でということになりますけれども、議論していただいて先に進め、さらにその議論を経てMOEを算出、算定するということを行った次第でございます。
 その結果として、先ほど事務局のほうから説明ありましたとおり、資料の3-2の4ページにございますように、1,2,3-トリメチルベンゼンが室内空気の吸入曝露が詳細なリスク評価を行う候補として挙げまして、それで御担当のほうから担当部局に情報提供をしていただいたということを伺っております。
 さらに、B、関連情報の収集が必要な物質というのが、アンチモン以下、クラスB1としておりますのが、5物質。それからB2の、リスク判定はできなかったんだけれども、総合的に考えて関連情報の収集が必要な物質として、3物質が挙がってまいりまして、それをそれぞれ担当部局のほうに情報提供していただいたということでございます。
 お陰様で、今回、15次の取りまとめは終わっり、これから御審議をいただくところまで来たわけでございます。やはり、こうやって私の先輩の先生方の御努力によって15次まで来てまいりますと、かなりいろいろ重要な情報が中に蓄積しているということがわかってまいります。
 この事業は、健康リスク評価の観点からも非常に基本的な情報を得る調査となっていると思いますので、今後とも着実に進めていくべきものだというふうに考えております。
 以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。
 以上、御説明いただいたような各分科会での詳細な御検討の結果等、結果の概要(案)ができておりますが、これについて御質問、御意見をいただきたいと思います。
 御発言がありましたらどうぞ。
 どうぞ。

○西川委員 人健康について、2つ、質問させていただきます。
 まず、資料3-2の8ページ目からの表で、今回は全てMOEでの評価がなされております。したがって、全て閾値がありという前提で評価されていると思うのですが、そのような取り扱いをした根拠といいますか、その辺りを教えていただきたいと思います。

○櫻井座長 いかがでしょうか。どなたにお答えいただきますかね。そもそもガイドラインがそうなっていますよね。

○塚原環境リスク評価室長補佐 はい。発がん性の件が関係あると思うんですけれども、発がんに関しましては閾値のありなしが分かっていないものもありまして、今回は四塩炭に関しましては閾値があるということで、LOAELをとっての評価となっております。その他の物質は発がん性があっても、閾値のありなしが分からないというものもありました。

○西川委員 閾値があるかないかというの、私の理解では、遺伝毒性が陽性か陰性かというのが一番の決め手になると思います。したがって、幾つかの遺伝毒性試験がなされておりまして、例えば今、たまたま見つけたのですが、資料3-3の155ページ。4,4'‐ジアミノジフェニルエーテル。ここに遺伝毒性試験の結果が幾つか書いてありまして、まあ結構、陽性が多いんですよね。小核を誘発とか。
 総合的に遺伝毒性なしという判断をされたと思うのですが、その辺りの議論の経過が、もしわかれば教えていただきたいと思います。

○青木委員 そこの辺り、なかなか難しい議論だと思います。まず、初期リスク評価という状況を踏まえ、個々の化学物質について、この物質について閾値があるないということに関しては、さらに遺伝毒性試験の結果から判断を加えていかなくてはいけないという状況も踏まえ、やはり既存の文献でどのように評価されているかということが重要と考えます。
 そういう中で、明確に閾値がありというふうにされているのが四塩化炭素ということもあり、その物質については閾値ありということで判断させていただきました。
 それ以外については、ちょっとこれはガイドラインとの関係があるのですが、基本的にスロープファクター等、あるいはユニットリスクについては、既存のもので明確に示されているというもの、特に人での発がん性が明確に示されているものについては、そういうものを採用してくるというプロセスを採るわけです。けれども、まだ、少なくとも現状においてはその部分、閾値があるなしということを、この検討の中ではまだ深掘りをしていないという状況があります。あくまでもその発がん性の試験があった場合に、いわゆる発がん性があったという状況の場合、発がん性のファクターと言っておりますが、無毒性量をそのファクターで割っていくというプロセスを採っているということでございます。
 ただ、今後そこをどのように考えていくかということは、また別の課題としてあるとも思うのです。けれども、現状においては、自ら(スロープ)ファクターを出していくということは、この初期リスク評価という中ではなかなか大変な事業と思います。ので、現状ではそのような整理をしているという次第でございます。

○西川委員 その、ただいまの物質につきましては、経口投与でラットの肝臓及び甲状腺にがんが出ております。しかも、その出ているレベルというのは一番低い用量からなんです。なので、そのMOEの評価は、初期評価に使いやすいというメリットはあるんですけれども、例えば両方評価して、厳し目の評価を採用するというような、そういう手段は取る必要はないんでしょうか。

○塚原環境リスク評価室長補佐 この物質ですけれども、スロープファクター、ユニットリスクといったような知見がなかったのかなというふうに思っておりまして、そういった意味で、青木委員からも、自分たちでなかなかそれを算出するというところまで、初期リスクはなかなか入っていけないねというお話だったと思うんですが。
 あるものに関しては当然、検討していっていいのではないかというふうには思いますけれども。

○青木委員 ちょっと、先ほど申しましたように、やはりガイドラインの中での、考えてみますと、これは15次の取りまとめということで随分歴史は経てきているので、いろいろ考えるべきことは確かにあると思うのですが、少なくとも現状では評価の一貫性ということを踏まえて、このような案を出させていただいたと、そういう次第でございます。
 今、委員御指摘の点は、確かに重要な御指摘だと思いますので、今後ちょっとそのことも踏まえ、少しいろいろ検討していく課題かなというふうなことは、伺って、改めて認識した次第でございます。

○西川委員 そのユニットリスクとか、スロープファクターがないということですけれども、それを求めようと思えばできないこともないですよね。ですから、ぜひ御検討していただきたいと思います。
 それから、青木先生のおっしゃったように、ヒトでのがんのデータが不十分であるようなケースがあるのですが、私は今年の10月にIARCの評価会議に出て、痛感したのですが、人でのデータがないということは、幸運にもそういう大量の曝露がないということであるんです。したがって、IARCでも今進めていますように、ヒトのデータが限られていても、そのメカニズムからいって、ヒトに当てはまるような場合は、もう少し高目の、厳し目の評価をするということになっていますので、その点についてもぜひ取り入れていただきたいと思います。

○青木委員 御指摘ありがとうございます。確かにそのとおりでございまして、先日も実は先生からいろいろ議論させていただいたときに勉強させていただいたことでございます。
 IARCの評価の、今、あり方というのが随分変遷している。特に今般、いろいろなヒトでの曝露の知見が得られてきた物質とかですが、それがヒトと動物と共通の発がんメカニズムを持つ物質について、これをグレードアップと言っていいかどうかよくわかりませんが、評価がより上がったというケースがございます。そこら辺も含めて、ヒトでの発がん性というのはどういう考え方で整理していくのかということを、これも先生の御指摘も踏まえ、ちょっと考えてみる必要があるんじゃないかなというふうに思っております。

○櫻井座長 この件に関して、ほかに何か御意見はございますか。
 動物でだけ発がん性が認められて、ヒトで認められないものは、多々あったわけですが、どちらかといえば動物でだけ認められる発がん性ということについては、比較的、軽く見てきた経緯があるけれども、最近になってそれを見直すという動きになっているのは、当然と言えば当然だというふうにも考えられます。
 この委員会では従来、その発がんのNOAELである場合には、さらに10で割るというやり方のガイドラインになっておりまして、それが踏襲されてきているわけですね。今回たまたまそういった物質が幾つか重なり、しかも比較的それが低濃度であるということから、今御指摘のように見直すべき時期が来ているというふうにも思われる次第でございますが。
 当面、どういたしましょうかね。
 どうぞ。

○内山委員 有害大気汚染物質のほうのガイドラインと関連をしているんですけれども、大分前から、ヒトの疫学調査というのはそんなにあるものではなくて、特に新しい化学物質は、むしろ動物実験で判断するしかないということで、有害大気汚染物質のほうではガイドラインを改正して、動物実験からもつくれるようにということで整備しているところでして、実際に有害大気汚染物質でもIARCの発がん分類は2Bですけれども、発がんを指標にとって、動物実験からガイドライン、指針値をつくっているという物質も出てきております。こちらのほうも、どこまで評価として労力をかけられるかこれを、その委員会で、ユニットリスクなりスロープファクターを求めるかというのは、またちょっと大変ですので検討させていただきたいと思います。実際には、決して動物実験のものを軽視しているというわけではなくて、既にもうそういうもので有害大気汚染物質の指針値等はつくられているということです。

○櫻井座長 この委員会の使命というのは、どちらかといえばスクリーニングで、安全サイドをとっていくという立場から考えましても、見直すべき点が多々、御指摘があったかと思います。
 時間は既に尽きようとしているわけなのですが、この結果の概要、(案)になっておりますが、これをそのまま公表するか、あるいは今御指摘のあったような点について若干見直して修正するかという選択を迫られているかと思うのですが。

○塚原環境リスク評価室長補佐 今、西川先生から御指摘の点は大変重要なことでございまして、今後、初期リスク評価の事業の中で考え方の整理をしていかなければならないと考えているところでございます。
 しかしながら、今回、これからユニットリスク、スロープファクターを計算というのはなかなか、とても難しいことだと思いますので、今回の案につきましてはお認めいただければと思います。
 今後の、次年度からの検討の際に、どういった形で行ったかということを御報告させていただければと思います。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○西川委員 結構です。よろしくお願いします。

○櫻井座長 じゃあ、今回は……
 ○菅野委員 菅野ですが、西川委員の御指摘はごもっともで、私もそうなればいいと常々思いつつ、内部に入っておりましたので、その流儀に流されておったところです。
 今回、計算し直す時間はないということですが、もし、四塩化炭素も含めて、そういう新たな作法……作法といったら言葉が悪いですね、計算をしてみて、Margin of Exposureに換算したときに有意に変わるようであれば、もう一度、四塩化炭素をまた評価し直していただくことまで含めて考えていただければいいんじゃないかと思うので、よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 次年度まで含めてですね。

○塚原環境リスク評価室長補佐 考え方の整理をした上で、再評価、優先的にするべき物質があれば、初期リスク評価の候補として入れていくという方向で考えたいと思います。

○櫻井座長 どうぞ。

○青木委員 先ほど内山委員のほうから御指摘がありましたように、私も有害大気のほうの評価の事務局を担当しております。ただ、その経験から申しますと、なかなか、ユニットリスクですとか、あとスロープファクターを算定する……一般的にはEPAが出しているモデルを利用してということになるのですが、なかなかそこに技術的に解決しなくちゃいけない問題って現実的にはあります。そこに関してはもちろん、あくまでも参考値としてお出しすることまでというのはできるかもしれないのですが、それがリスク評価として確定するということになりますと、詳細リスク評価の世界に入ってしまいますので、その点についてはちょっと御配慮いただきたいなというふうに思います。

○櫻井座長 次のステップは結局、情報収集に努めるというところが入りますよね。それで、そういうことも念頭に置いて、今回はこの本日の案を了承していただくということで、この場は結論とさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 (異議なし)
 ○櫻井座長 ありがとうございます。そうさせていただきます。
 ちょうど予定の時間になってしまいましたので、あと、その他というのが、報告事項、簡単に一言、言っていただけますか。

○藤井環境安全課専門官 それでは、昨年の化学物質評価委員会以降に報道発表をいたしました2件につきまして、手短に御報告させていただきます。
 まず、参考資料1をご覧ください。こちらはストックホルム条約による規制対象物質について検討を行う、POPRCの第12回会合が本年9月に開催されたものになります。
 本会合では短鎖塩素化パラフィンをPOPs条約の廃絶対象物質に追加すること、来年5月開催予定の締約国会議に勧告することが決定されましたので、御報告いたします。
 続きまして、参考資料2、POPs条約に基づきます国内実施計画の改定等についての資料にまいります。
 こちらは今回、条約の対象物質にヘキサブロモシクロドデカンが追加されたことを受けまして、本年10月に関係省庁連絡会議におきまして、改定国内実施計画を決定いたしまして、11月に締約国会議に提出いたしましたことを御報告させていただくものでございます。
 御報告は以上でございます。

○櫻井座長 何かコメント等ございますでしょうか。
 特にないようでございます。
 それでは、以上で予定していた議題、終了になります。
 事務局から連絡事項があればお願いいたします。

○笠松環境リスク評価室長 本日は長時間の御議論をいただきまして、ありがとうございます。
 本日御指摘いただいた内容につきましては、いずれも必要な修正を行った上で、近日中に公表をさせていただきたいと考えております。
 また、いわゆる黒本、グレー本の結果報告書、化学物質環境実態調査結果報告書及び第15次の環境リスク初期評価結果の本体につきましては、今後、内容を精査した上で、年度内を目処に公表をしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、事務連絡でございますが、本日の配付資料、分厚うございますので、そのまま机の上に置いていただけますれば、後日事務局より送付をいたします。
 また、次回の委員会につきましては、来年度の同じぐらいの時期の開催を予定しておりますので、併せてよろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。

○櫻井座長 以上で、第22回化学物質評価専門委員会を閉会いたします。
 皆様、どうもありがとうございました。

午後 6時02分 閉会