中央環境審議会環境保健部会  化学物質評価専門委員会(第21回)議事録

1.日時

平成27年12月22日(火)10:00~12:00

2.議事

午前10時00分 開会

○針田環境リスク評価室長 本日はお忙しい中、朝早くからお集まりいただきまして誠にありがとうございました。定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会環境保健部会第21回化学物質評価専門委員会を開催させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 本日は、先生方におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。

 本日は、武林委員、内山委員、篠原委員より御欠席というふうに連絡をいただいております。現時点で13名の委員の先生に御出席いただいております。

 また、昨年度まで当委員会の委員でおられました中杉先生におかれましては、参考人として御出席いただいておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 それでは、開会に当たりまして、北島環境保健部長より一言御挨拶申し上げます。

○北島環境保健部長 皆様おはようございます。

 本日は、本当に年末大変押し迫った中、朝から御参集いただきまして誠にありがとうございます。開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。

 この専門委員会の開催がありますと、また年末のこの時期が来たなというふうに実感いたします。1年を振り返りますと、環境保健関係は大変大きな、激動の1年でございまして、通常国会では水俣条約担保法が、水銀汚染防止法と大防法の一部改正が成立いたしまして、まさに政省令、昨日廃掃法の改正省令が公布されまして、全部出そろったのが昨日ということで、あとは外務省での締結の手続を待つのみという状況になりました。

 そんなことで、一歩一歩こうした化学物質対策等を進めているところでございますけれども、環境省におきましては、環境リスクの科学的な評価とリスク低減のための取組を実施してきているところでありますが、その基盤的な事業といたしまして、本専門委員会で御助言をいただきながら、化学物質環境実態調査や化学物質の環境リスク初期評価を実施しているところでございます。委員の先生方には、これまでの御指導に対しまして厚く御礼を申し上げます。

 今年もこれらの2つの事項について、本日評価をいただくべく準備を進めてまいったところでございます。

 限られた時間ではございますが、先生方の忌憚のない御意見をいただくことをお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。

 本日はよろしくお願いいたします。

○針田環境リスク評価室長 ありがとうございました。

 続きまして、事務局メンバーが人事異動により交代しておりますので、御紹介させていただきたいと思います。

 立川環境安全課長です。

○立川環境安全課長 立川です、どうぞよろしくお願いいたします。

○針田環境リスク評価室長 続きまして、本日配付させていただいております資料について確認をさせていただきたいと思います。

 資料1といたしまして、委員等の名簿がございます。資料2が、2-1から2-5まで、厚い冊子を含めまして5つほどございます。資料3といたしまして、資料3-1から3-3まで、これも白表紙を含めまして配付させていただいております。資料2-1から2-5、3-1から3-3というふうになっております。

 その他、参考資料といたしまして、参考資料1及び参考資料2がございます。

 後ほどでも結構ですので、過不足等ございましたら、事務局まで御連絡いただければというふうに思っております。

 この本日の会議は、今回も公開とさせていただいております。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思っております。

 櫻井委員長、よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 かしこまりました。議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 最初の議題に入ります。化学物質環境実態調査の結果、進捗状況等についてということで、平成26年度の化学物質環境実態調査、いわゆるエコ調査の26年度の結果。それから27年度調査の進捗状況等につきまして報告があるということでございます。

 資料2-1から2-5に基づいて、事務局から説明のほうをお願いいたします。

○土井環境安全課専門官 環境安全課でございます。

 それでは、資料2が化学物質環境実態調査関係になりますので、こちらについて御説明させていただきます。

 まず、資料2-2でございます。これは分厚い資料になっておりますが、平成27年度化学物質と環境、いわゆる黒本として公表を行います現段階の案でございます。実際に製本する際には、こちらに調査結果の概要や、これまでに調査を行った化学物質の調査結果一覧なども加えますので、これよりもう少しページ数が増えたものになります。

 戻っていただいて、資料2-1。こちらが先ほどの資料2-2をまとめたものになっておりますので、こちらを用いまして説明させていただきます。

 まず、本調査の経緯が1ぽつに書いてございます。本調査は昭和49年の化審法制定時の附帯決議を踏まえまして、一般環境中における化学物質の残留状況の把握を目的として始められており、これまで40年間を超えて行われてきた歴史のある調査となっております。

 現在では、環境省内の化学物質関連施策を所管する部署から要望があった物質を中心に調査を進めているところでございます。

 調査の進め方が2ぽつにございますが、平成26年度の調査対象物質の選定につきましては、一昨年、平成25年の本委員会を経て選ばれたものとなっております。

 調査内容ですが、本調査は目的に応じて初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査と3つの体系で実施をしております。

 まず、初期環境調査でございますが、本調査は、主に化管法の指定化学物質の指定や、その他化学物質による環境リスクに係る施策についての基礎資料とすることを目的とした調査になっております。平成26年度は15物質群について調査を行っております。

 1枚めくっていただいて、イの詳細環境調査ですが、こちらは主に化審法の優先評価化学物質のリスク評価を行うための基礎資料とすることを目的とした調査で、平成26年度は17物質群について調査を行っております。

 次にモニタリング調査ですけれども、こちらは化審法の特定化学物質の残留状況の監視や、POPs条約の対象物質や候補物質の残留状況の経年変化を把握する目的の調査で、平成26年度はPOPs条約対象物質のうち14物質群にペルフルオロオクタン酸(PFOA)を加えた15物質群について調査を行っております。

 3ぽつの調査結果につきましては、資料の5~6ページ、別表1に物質ごとの検出状況をまとめた表がありますので、そちらで御説明させていただきます。

 表には、今回の結果とあわせて、過去に調査を行ったことがある物質については、そのときの結果も記載してあります。過去に調査を行ったことがある物質のうち、今回の調査と同一地点で調査した結果があり、増減の傾向が見られるものについては、資料2-2の本文中に比較に関する記載を加えてございます。

 また、調査物質の名称の後ろにアスタリスクがついているものにつきましては、調査地点にPRTRの排出に係る情報を考慮して選定した地点も含まれていることを表しているものでございます。

 それから、今回は抗生物質などについて一斉分析法を用いて測定したものがありますので、これらにつきましては、分析法ごとに物質群として記載しております。

 それでは、調査番号順に御説明したいと思います。

 調査番号1番、6-アセチル-1,1,2,4,4,7-ヘキサメチルテトラリン。これは主に香料として使用されている物質ですが、水質16検体中14検体より検出が認められております。

 調査番号2番の物質については、大気を測定し不検出となっております。

 次に、調査番号3番、エリスロマイシンなどの一斉分析ですが、媒体は水質で、11物質中、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシンの5物質の検出が認められております。

 次に、調査番号4番、オキシテトラサイクリンなどの一斉分析ですが、こちらは5物質とも検出はありませんでした。

 調査番号5番のトリクロサンは薬用石けんなどに使用される殺菌剤ですが、水質16検体全てから検出されております。

 次に、調査番号6番の酢酸2-メトキシエチルは、大気を測定し不検出。

 調査番号7番、1,3-ジイソシアナト(メチル)ベンゼン類では、4-メチル-1,3-フェニレン=ジイソシアネートが大気より2検体検出されております。

 調査番号8番、1,2-ジクロロ-4-ニトロベンゼンは、水質、底質ともに不検出。

 調査番号9番、ジビニルベンゼン類は大気で不検出。

 調査番号10番、6,6'-ジ-tert-ブチル-4,4'-ジメチル-2,2'-メチレンジフェノールは、底質において36検体中24検体より検出されております。

 調査番号11番、N,N-ジメチルアセトアミドは、大気27検体中19検体より検出。

 調査番号12番、2,4-ジメチルアニリンは、水質、底質ともに不検出。

 6ページの調査番号13番、スルファメトキサゾールなどの一斉分析では、26物質中8物質が検出となっております。

 検出されている物質は、スルファメトキサゾール、スルファジアジン、スルファニルアミド、スルファピリジン、スルフィソミジン、オルメトプリム、ジアベリジン、トリメトプリムとなっています。

 次に、調査番号14番、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、これは紫外線防止剤ですが、水質から1検体検出。

 調査番号15番、ブタン-2-オン=オキシムは、大気において不検出となっております。

 今回検出が確認された物質のうち、過去に同一地点で調査をした結果があるのは調査番号5番のトリクロサンで、今回、検出下限値を下げて調査した結果、過去に調査したときの検出下限値と同程度、または低い濃度で検出された地点がありましたので、その旨本文中に記載してございます。

 以上が初期環境調査の結果でございます。

 次に、詳細環境調査の結果についてですが、7ページ別表2をご覧ください。

 詳細環境調査では17物質群について調査を行い、調査番号2番のアクリル酸n-ブチルと調査番号8番の4-クロロ-2-メチルフェノール以外の15物質群から検出が認められております。

 物質ごとに見ていきますと、1番、アクリル酸は17検体全てで検出されております。

 3番、2-アミノエタノールは、水質で21検体中19検体。大気で45検体中34検体検出されております。

 4番、エピクロロヒドリン、5番、グリオキサール、6番、グルタルアルデヒドについては、調査した大気全てから検出されております。

 7番、クロロベンゼンにつきましては、水質、大気ともに検出。

 9番、シクロヘキサンは、水質から1検体検出されています。

 10番の2,4-D、これは除草剤ですが、水質20検体中19検体から、底質66検体中3検体から検出となっております。

 11番、ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル類では、重合度が1から15までのものを調査して、水質27検体中16検体から検出。

 12番のノニルフェノール類は、水質30検体中16検体から。生物39検体中25検体から検出されております。

 13番、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバゲート、14番、4-(2-フェニルプロパン-2-イル)フェノールは、ともに水質から検出されております。

 15番、ビスフェノールAにつきましては、水質、底質、生物ともに比較的高い頻度で検出されてございます。

 16番、ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル類は、水質20検体中17検体から検出。各異性体全て検出が確認されております。

 最後になりますが、17番のモルホリンは、水質21検体中4検体からの検出となってございます。

 今回検出が確認された物質のうち、過去に同一地点で調査した結果があり、かつ比較した結果、増加傾向が示唆されたのは、1番のアクリル酸と3番の2-アミノエタノールの水質で、その旨黒本の本文中に記載しておりますので、御紹介させていただきます。

 分厚い資料、2-2の120ページをご覧ください。

 アクリル酸の水質について、平成17年度に行った調査と同一地点が3カ所ありましたので、今回の結果と比較を行っております。

 120ページ一番下にその3カ所の結果がありますが、3地点とも平成17年の調査では不検出で、平成26年度は、平成17年度の検出下限値以上の濃度で検出されたため、120ページ中ほど、調査内容及び結果の3パラ目の最後になりますが、この3地点については増加傾向が示唆された旨記載をしてございます。

 また、2-アミノエタノールの水質についても、同様に同一地点で過去調査の結果を上回る地点がありましたので、それらの地点につきましても増加傾向が示唆される旨記載してございます。

 続きまして、資料2-1の3ページに戻っていただいて、「ウ.モニタリング調査の結果」でございます。

 平成26年度はPOPs条約対象物質14物質群に条約対象外のPFOAを加えた15物質群について調査を実施しております。

 結果につきましては4ページになりますが、継続的に調査をしている物質とその他の物質という形で分けて整理してございます。

 まず、①の継続的に調査をしている物質ですが、今回調査の対象としたのは、総PCB、ヘキサクロロベンゼン、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、DDT類、ヘプタクロル類、ヘキサクロロシクロヘキサン類の8物質群となります。

 結果につきましては、調査を行った全媒体で検出が認められております。

 また、これら8物質については経年変化の解析を行っております。資料13ページ、別表3-3から14ページ、別表3-5に媒体別の結果を表にしております。

 いずれの媒体も増加傾向にある物質はなく、横ばいまたは漸減傾向にあると考えられます。

 資料4ページに戻っていただいて、①に媒体別の結果をまとめております。

 水質及び底質につきましては、例年どおり、人間環境の影響を受けやすい地点で相対的に高い傾向を示すものが比較的多く見られております。

 生物につきましては、総PCBなどが人口密集地帯近傍の沿岸域の魚で高めの傾向を示しております。

 大気につきましては、平成26年度より温暖期のみの測定となっておりますが、データの推移を見ますと、総じて横ばいまたは漸減傾向にあると考えられます。

 また、これらの比較につきましては、前回の本委員会でいただきました御意見を踏まえて、①の1パラ目に、なお書として、環境濃度の比較であり、環境リスクの比較ではない旨記載してございます。

 続きまして、②のその他の物質についてですが、今回対象としたのは、条約対象物質のポリブロモジフェニルエーテル類、PFOSとその塩、ペンタクロロベンゼン、エンドスルファン類、ヘキサブロモシクロドデカン類、ポリ塩化ナフタレンに、条約対象外物質のPFOAを加えた7物質群になります。

 調査結果といたしましては、調査を行いました全媒体で検出が認められております。

 検出状況の詳細につきましては、資料10ページの別表3-1に水質と底質の結果を、12ページの別表3-2に生物と大気の結果について記載しております。

 先ほど御説明した継続的に調査をしている物質は、表3-1、3-2ともに一番左側の調査物質番号が1から11番の物質が該当いたします。この調査物質番号ですが、条約対象物質ごとに固定させていただいており、今回調査を行っていない物質は省略していますので、このような飛んだ番号となっております。

 再び、資料2-1の4ページに戻っていただければと思います。

 4ぽつに、調査結果の活用について記載してございます。

 今回の調査結果につきましては、化学物質と環境、いわゆる黒本に最終的に取りまとめて公表するとともに、要望部署に調査結果をお返しし、各種化学物質関連施策に活用されることになります。要望部署での活用状況につきましては、後ほど資料2-5で別途御説明させていただきます。

 なお、本調査の結果の取りまとめにつきましては、調査結果の精査、そして解析など、資料2-1の15ページ、16ページに記載しております検討会において専門家による事前の検討を行っていただいた上で、資料2-2とさせていただいているところでございます。

 平成26年度化学物質環境実態調査に関する説明は以上となります。

 続きまして、資料2-3をご覧ください。

 これは、本年度の調査の進捗状況についてまとめたものになります。

 本年度においても、初期、詳細、モニタリングと3つの体系での調査を実施しております。

 1ページ目の下の「2.精度管理」についてですが、初期、詳細調査につきましては、一部の地方環境研究所に分析も御協力をいただいておりますので、複数の分析機関が同一物質の分析を行うことになり、分析機関ごとの差異だとか、ばらつきが生じるおそれがあります。それを事前に把握して対策を行うため、実際の分析を行う前に、共通の標準物質などを配付してラウンドロビンテストを実施して、精度管理の担保を行ってございます。

 また、モニタリング調査につきましては、分析機関が年度ごとに変わる可能性がありますので、継続性を担保するために国立環境研究所に御協力をいただきまして、分析機関に対して有識者と一緒に立ち入り検査を行い、精度管理の確認に努めているところでございます。

 今年度調査をしている物質・媒体につきましては、2ページ目以降、表1に初期環境調査、表2に詳細環境調査、表3にモニタリング調査を記載してございます。

 初期及び詳細環境調査の対象物質につきましては、昨年度に分析法開発が完了した物質、モニタリング調査の対象物質につきましては、平成21年度の環境実態調査のあり方についての報告書に基づいて選定してございます。

 これらの分析結果につきましては、来年度の本委員会で御報告させていただく予定としております。

 続きまして資料2-4、平成28年度化学物質環境実態調査の実施方針(案)をご覧ください。

 来年度の調査につきましても、今年度同様、初期、詳細、モニタリングの3体系で実施したいと考えております。

 1枚めくっていただいて、別添1に現在分析法開発を行っている58物質を記載してございます。これらのうち、本年度中に分析法が確立したものを対象に、来年度調査を実施する予定としております。

 次に、5ページ、別添2ですが、こちらは本年度調査要望があった物質のうち、既存の分析法があるものについてまとめたものになります。これらの物質につきましては来年、調査可能ですが、ほかの媒体と同時調査を希望されている物質もございますので、それも踏まえまして調査実施の検討をしたいと考えております。

 次に、6ページの別添3でございます。

 これは、本年度調査要望があった物質のうち、分析法の開発が必要な物質についてまとめたものになります。この物質選定につきましては、分析法開発検討会におきまして、分析法開発の可能性など専門家の意見をいただきながら絞り込んだものになります。今後、このリストをもとに地方環境研究所などと調整を行い、調整がついたものについて来年度分析法開発を開始するという予定にしております。

 また、モニタリング調査につきましては、調査のあり方の報告書にのっとりまして調査物質を選定し、調査を実施する予定としております。

 以上、差し支えなければこの実施方針で進めさせていただきたいと考えております。

 続きまして、資料2-5をご覧ください。

 こちらは、昨年の本委員会で御確認いただいた平成25年度の調査結果が要望部署においてどのように活用されたかを調査し、取りまとめたものになります。

 ページをめくっていただいて、別表1が初期環境調査、5ページ目からの別表2が詳細環境調査についてまとめたものになります。右から2番目のカラムに要望部署と要望理由、一番右側のカラムに調査結果の活用状況という形で、結果がどのように活用されたかを記載してございます。

 基本的に、関係部署においてこの調査で出た結果をしっかりと活用いただいているというふうに考えております。

 大変長くなりましたけれども、資料2、化学物質環境実態調査についての説明は以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 結果の取りまとめに当たって、専門家から構成される検討会議で別途精査、解析等をしていただいたということでございます。

 本委員会において評価等に入る前に、それぞれの実務者会議で座長を務められた白石委員、柴田委員、中杉参考人より補足説明などございましたら、一言ずつ御発言をお願いしたいと考えております。

 まず、化学物質環境実態調査結果精査等検討会及びモニタリング調査の結果に関する解析検討会の座長を務められた白石委員から御発言をお願いできますでしょうか。

○白石委員 では、検討会の概要について御紹介しておきます。

 精査検討会ですけれども、これは毎年のことなんですけれども、丸一日の検討会を3回開かせていただきまして、精度管理データとか報告書を精査いたしました。結果的に、今御紹介になった測定値及び検出下限値が重要になりますので、検出下限値を定めていったということになります。

 3回の検討会を開催しましたが、それでもご覧になっていただくように非常にたくさんの物質がございまして、物質群とまとめられておりますけれども、それぞれ全て個別の物質として計上していかければならないので、すぐ結論が出ないようなものについては書面会議ということで、調査期間も含めてやりとりをしたということになります。

 事務局には大変御努力をいただきまして、よくまとまってきたというふうに思います。

 その間、分析法に関する問題点とか、試験の実施に関する問題点とか、幾つか上がってきまして、それはそれぞれの担当の部門に連絡するということにしてございます。

 それから、モニタリングの解析のほうですけれども、これはモニタリング検討会のほうで出てきたデータをもとに、これも例年のことになりますけれども、統計的な処理をして、その条件傾向を見るということをしております。

 その結果は、今御説明のあった13ページ、14ページに載っているものであるということなんですけれども、検討会の中で、これは定性的に、矢印で示していますけれども、単回帰あるいはブートストラップ法において解析しています。単回帰に関してはもう少し定量的な、何年後にはどのくらいになるというような予測ができないのかという意見がございまして、それについては、予測の推定区間をきちんと示すような解析方法がまだないので、それを少し検討した上で、できれば来年度あたりに出せれば出したいということになっております。

 以上であります。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 続きまして、初期環境調査及び詳細環境調査の結果に関する解析検討会の座長を務められた中杉参考人から御発言をお願いいたします。

○中杉参考人 説明をいたします。

 例年どおり、ほかの検討会同様にやってきたわけですけれども、精査検討会で精査いただいた結果について、いろいろと解析というか、整理をしてみたということでございます。

 事務局から御説明いただいたとおりでございますけれども、追加で何点かコメントをしておきたいと思います。

 一つは、初期環境調査で3番、4番、5番、13番、いわゆるPPCPsでございますけれども、これを大々的に調査を始めたということで、やはり環境中からかなり検出されるということでございます。これは一つの成果で、これについては、いずれその結果をリスクとしてどのぐらいあるのかという評価をしていく必要があるだろうということで、これをお願いする。特にトリクロサンは、以前調査したときは大分検出下限が高かったものですから、全部不検出で、不検出であると評価ができないということで評価ができなかったんです。今回は検出が非常に高い割合で出てきていますので、その結果を踏まえて評価をしていく必要があるだろうということが一つでございます。

 それから、2番と7番のジイソシアネートの系統でございますけれども、これは水の中に入ると完全に、すぐにアミンに分解をしてしまうんですが、大気中でも、大気中の水分で分解をしてしまうのかなというふうな感じで調査をしてみたんですが、実際にやはり検出されました。大気の場合には、分解されていくんでしょうけれども、動きが速いので、かなり出てきてしまう可能性があるということで、一般環境的にはこういうことなのかもしれませんが、発生源の周辺だと、もう少し高い濃度で出てくる可能性があるのではないかというふうな感じを持っております。

 それから、過去との比較でございますけれども、詳細のほうで事務局から御説明がありましたアクリル酸と、それからエピクロロヒドリンの大気について、全面的に明確には言えないんですけれども、調査比較できる地点を見ると、一応増加傾向が見られるんではないかと、そういうふうに書いて、判断してよろしいんではないかということで、検討会でそういうふうに判断をさせていただいたものについて記載をさせていただいております。

 以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 続きまして、POPsモニタリング検討会の座長を務められた柴田委員、御発言をお願いいたします。

○柴田委員 御報告いたします。

 私どものPOPsモニタリング検討会のほうでは、例年のように委員の先生方と環境省と一緒になりまして、各分析機関の立入調査を行って、その精度管理の状況ですとか、それからデータを直接眺めるとか、あるいはさらにスタンダードの管理状況も含めていろいろ調査をして、コメント等を出しております。

 ただ、最近2つ大きな問題がありまして、一つはだんだん新しい機関が入ってきているということもあるんですけれども、ストックホルム条約の対象物質そのものが、最初、条約がスタートした2004年には12物質だったのが、どんどん増えてきて、現在では26物質という形になってまいりました。

 その一方で、なかなか全部のモニタリングを毎年やるのも難しいということもございまして、それから変化が少なくなってきているものもあるということで、数年前に見直しを行って、物質によっては数年おきにはかるという形になっていますので、実は毎年測定項目ががらがら変わっていく中で、さらに分析機関も交代するというようなことが起こっております。そういう形で、管理が今なかなか難しくなってきていて、一つは環境省のほうにお願いをいたしまして、分析法について、これまでの開発された分析法を全部まとめるという作業を来年していただくということで話を進めております。

 それから、恐らく精度管理の方向についても、もう少し考えていかなければいけないのかなということを今考えているところでございます。特に、新しい物質の中でも、非常に分析的に難しい物質が今後入ってまいりますので、そこら辺を含めてどうやって分析をしていくかということを、早急にこちらのほうでも検討したいというふうに考えています。

 あと、昨年も報告したかもしれませんが、このモニタリング調査の結果につきましては、最終的にストックホルム条約のほうで、条約の16条に規定されている条約の有効性評価のための基礎資料として、6年に1度の間隔で地域モニタリング情報の取りまとめの作業、それからそれをさらに含めて全球のモニタリングレポートの作成という作業も、今進んでおります。

 アジア太平洋地域のモニタリングレポートの中に、環境省のこれまでの黒本調査結果、及び解析検討会のほうで行われたこの統計解析の結果も含めて、報告書をつくって提出をしております。その結果を踏まえて、現在、全球レポートの取りまとめというのを行っていて、これを使って、今後有効性評価の第1回目の作業が来年1月以降進むというような状況で、現在作業が進んでおります。

 その情報の中には、この黒本調査の結果を含めて、もう一つ、環境省のほうで進めておられます東アジアPOPsという枠組みの中で、大気のモニタリングを継続的に沖縄でされていまして、その結果が非常におもしろい結果を含んでおりますので、そういったことも含めて、報告をしております。

 簡単に報告させていただきます。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 各委員からの補足説明も踏まえた上で、資料と説明内容に対して御質問、御意見等がありましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。

○西川委員 資料2-1の2ページ、初期環境調査の一番下のところに、今回検出下限値を下げて調査を行ったことから検出された。それから3ページにも同様に、詳細環境調査で同様のことが記載されています。これは検査法の違いによるものなのか、ただ単純に検出下限値を下げたということなのか、どちらなんでしょうか。

○土井環境安全課専門官 事務局でございます。

 調査をするに当たり、要求されている検出感度を満たさないものについては、新たに分析法をつくって、精度を上げて調査をしております。基本的には分析法が新しくなって、それで感度が上がったということでございます。

○西川委員 わかりました。

○櫻井座長 その他、何かございますか。

 どうぞ。

○菅野委員 個別の点で、私はあまりここは長くないもんですから、経過を確認させていただきたかったんですが。詳細環境の中のビスフェノールAですけれども、これはポリカーボネートの風化による、樹脂からの環境中へのリリースというのは論議されて、その上で測定されていたんでしょうかという御質問、過去の経緯ですが。

○櫻井座長 どなたか。過去の経緯。

○菅野委員 恐らく、モニタリングの場所の問題があるのかなと思うんですけれども。

○櫻井座長 中杉先生。

○中杉参考人 多分、これは環境安全課の中で要望が出てきたんですが、ポリカーボネートの分解という話では、多分ないだろうというふうに思いますが。感覚的には。

○菅野委員 そうですか。

○中杉参考人 はい。ビスフェノールAに関しては、ポリカーボネートだけではなくて、ビスフェノールの誘導体がプラスチックの添加剤にたくさん使われていますので、そういうものが紫外線吸収剤に使われていて、それが後どうなるかというのがよくわかんないんです。プラスチックの中に、溶出試験をやると、ポリカーボネートではなくてもビスフェノールAがかなり溶出するものがあります。

○菅野委員 塩ビとかは伺っていますけれども。

○中杉参考人 だから、そういうものは、多分そういうプラスチック添加剤のほうじゃないか。逆に、出てくるとすれば、そういうもののほうが出てくるんで。ポリマーが劣化してというようのは、それに相対的に比べると、あまり大きくないのかなというふうな感じを持っております。

○菅野委員 実は、私の分野の話になって申し訳ないんですけれども、ネズミを飼うケージが劣化して黄色くなって、ひび割れして透明度を失うと、かなり大量に溶出するということで、大きな問題になったんです。ですから、ガラスでないところを合成樹脂で防音壁とかをつくっているところで、同じような色になっているのはどうなんだろうということなんです。

 そこから環境中に出ているか出ていないかを、どなたが見たことがおありなのかなという、そういう質問でございます。

○櫻井座長 一応、頭に入れておかなきゃいけないことだなという感じがいたします。

○菅野委員 あともう一つ、フタル酸系は、今どういう扱いになっておられますか。

○櫻井座長 どうぞ。

○立川環境安全課長 環境安全課の立川でありますけれども。今、菅野先生からの御質問、2ついただいたんですが、1つ目のビスフェノールのほうについては、私どものEXTENDの検討の過程で、かつてメダカで内分泌攪乱作用があるんじゃないかということがあったものですから、今回、この黒本調査の中で調査を求めたというもので、あまり、今菅野先生がおっしゃったポリカーボネートの風化云々というような深い部分があったわけではないというふうに思います。

 フタル酸系も、同様にしてEXTENDのほうで、懸念される物質ということで環境濃度について調査をしたというものでございます。

○櫻井座長 よろしいでしょうか。

 その他、何かありますでしょうか。

 どうぞ。

○遠山委員 遠山です。二、三質問させていただきます。

 先ほど西川委員からも質問がありましたが、比較的検出をされているものというものが、下限値が測定法の進歩によって下がったために検出されているということがありましたが、それはそれでそのとおりだと思うんですが、その物質ごとに定量法の下限値が下がったために検出された可能性が高いとかというようなことが、ちゃんとこの文書の中には書いてあるというふうに理解してよろしいですか。

 総括的なところで、「検出できているのは、その検出限界が下がったこと等による」と書いてあるので。その「等」のほうの内容が何なのかよくわからなかったものですから。

○土井環境安全課専門官 事務局でございます。過去に調査があったものにつきましては、全て比較をしてございます。その結果、検出限界が下がったことによるものであれば、その旨記載しておりますし、そうではない理由であれば、その旨全て記載をしてございます。

○遠山委員 それから地点とか、どこでサンプリングをするかということは、前にもこの中で議論になっていると思いますが、一般的には特に、例えば下水場、処理場の直下であるとか、そういうところではなくて、一般環境で測定をするという理解になっているというふうに思います。

 その観点で、今回は測定していないかもしれませんが、例えば、小笠原だったり、鳥島だったり、そういう明らかに人間活動のレベルが低いところ、もう一方で高いところとあると思うんですが、その比較をしたときに、今回、検出限界が下がったことではなくて、例えば、抗生物質などで検出されているものというのはあるんですが、そのあたりは今後どのようにフォロー、あるいはこのデータをどのように解釈するのか、あるいは今後どのように検討、モニタリングをしていこうとされているのか教えてください。

○土井環境安全課専門官 事務局でございます。御指摘をいただいた調査結果につきましては、調査の要望があった部署のほうに結果をお返ししまして、そこで化審法なり化管法なりの物質のリスク評価に使われるということでございます。

 抗生物質などは、PPCPsという、環境中の医薬品などの調査をする研究班を所管している部署がありまして、そこからの要望で調査していますので、そこに今回の調査結果をお返しして、それで生態影響などについて調べていくという予定になっております。

○中杉参考人 今の事務局からの説明に少し、勝手に補足させていただきますけれども。実際問題として、要望したところがリスク評価をやって、規制をやるかどうかという判断することになりますので、大体は高いところを押さえることが必要である。一番高いところでも安全だということであれば問題ないということなんで。

 多分、昔は、黒本の調査でも、鳥島までは行かないですけれども、そういうバックグラウンド的なところでの測定結果と比較をしてやっていたんですけれども、どうもそれでは予算の関係とか、物質の数とか、調査地点が制限されるということでいくと、高いところを押さえるので精一杯である、だからそこまでは行かないというのが現状だと思います。

 大きな問題になってくれば、例えばPOPsモニタリングのほう等で、少しそういうのを調べていくことになるかと思いますけれども、多分、詳細のところは、まず高いところをいかに押さえるか。

 これでもPRTRの結果を使って調査をするように少し変えていますので、幾らか近づいていますけれども、まだまだ高いところを押さえ切れていないなという感じがしております。

○遠山委員 もう一点いいですか。農薬とかの扱いは、これは今どうなっているんだったのか、忘れてしまったものですから。

○土井環境安全課専門官 事務局でございます。基本的に、今農薬しか使われていないものについては調査対象から外してございます。

○遠山委員 その根拠は。

○中杉参考人 農薬は、昔はやっていましたけれども、必ず不検出です。というのは、調査は大体秋から冬にかけての調査にどうしてもなりがちなので、使っていないときの調査となる。検討会でたびたび、調査時期を早めることをお願いしてたんですが、なかなかそれも難しいということで。ピーク時を調べなきゃいけないんで、たまたまそれに合うようなことができないし、ピーク時を調べたからといって、それで評価をしていいのかというのは、また問題があります。そういう意味では、農薬が主として使うものについては、もう調査の対象から外そうというふうな整理をして。それは農薬管理室のほうで実態の調査をやっていただく、そちらに委ねるほうがいいだろうという判断をして、農薬はやらなくなったということでございます。

○櫻井座長 よろしいでしょうか。

 これを最後の一つぐらいにさせていただきます。

○香山委員 抗生物質に関してなんですけれども。主に動物薬なのか、人畜両方に使われているものか、人のみに使われているもの、これはどこにフォーカスを当てて選ばれた抗生物質群なのかということと、今出てきている調査で、動物への使用が主なる原因であろうなとか、そういうある程度の推定はできるのでしょうか。

○立川環境安全課長 今の御質問についてお答えいたします。

 人体用の医薬品もあれば、動物用の医薬品もあるということでありまして、どういった物質について測定をしたのかということでございますけれども、基本的にこれまでに、抗生物質が環境中から測定されるという件については、さまざまな文献等でも出ておりますので、そうした文献等を当たりまして、環境中から検出される可能性があるだろうというものを選定いたしまして、それが12あったんですけれども、その上で生態リスクを検討する必要性があるというふうに判断したものを選定して検出したと。

 ただ、そうした過程の中で、一斉分析が可能なものはなるべく広く捉えようということでやったものですから、かなり数多くの物質の分析をしたということでございます。

 それで、検出されているという部分に関して申しますと、検出されているか、されていないかだけで判断するのは難しい部分があるんですが、比較的濃度が高かったところというのは、先ほどの遠山委員の御質問とも絡んで、非常に苦しい部分があるなと思ったんですが、確かに下水処理場の直下ではないんですけれども、今や河川とか、下流域になっていますと、下水処理水の割合が半分を超えているところというのはざらでございまして、どちらかというとそういうところが中心に検出されていますので、そういった意味では、やはりそういった形で使用に伴って出てきたものなんじゃないだろうかなという推測はしています。ただ、まだ断定まではできないという状況だと思います。

○櫻井座長 どうぞ。

○鈴木委員 PRTRの幾つかの物質で、「PRTR届出排出量の多い地点の周辺も含む」という記載があるんですが、特段報告書のほうに、「だからどうだ」という方策はないような気がしたんです。これは誤解かもしれませんが、届出排出量が高いということについて、何か、ごく簡単であっても何かの考察というのはされているんですか。

○土井環境安全課専門官 事務局でございます。PRTR地点を切り取って、特段その部分が高い、低いというような評価はしてございません。淡々と結果一覧を並べる形で公表してございます。

○櫻井座長 要するに、この中には特段それについて記載して、議論しているということではなくて、表として淡々と示しているということですね。

○土井環境安全課専門官 各地点ごとの検出値につきましては、黒本には入れていなくて、ホームページ上で掲載をするときに、表としてそれを載せてございます。

○中杉参考人 多分、これは他部署からの要望で出てくる。PRTRの地点を中心に調べてくれというのは、高いところを調べたいということで、特に初期リスク評価のところでそういうふうな要望を出している。

 そういう意味でいくと、そちらのほうでPRTRの排出源の場所と、どうのこうの議論はしてもらえるだろうと。あえてここでは、それをすると乖離をしてしまうので、やっていないということだというように私は理解しております。

○遠山委員 先ほど、農薬を測定しなくなったというお話がありました。環境媒体はそうかもしれないんですが、例えばここの資料2-2の199ページに、先ほどさまざまな水質の、魚もですが、サンプリングをしたデータといいますか、そのことが書いてありますが、こういった魚など生物を対象にすれば、農薬関係は必ず検出されると思うんです。

 ですから、生態系への影響が直接あるかどうかは別にして、一般の環境実態ということを考えると、もし生物を含めて測定をしているんであれば、それだけでも測定の中に、指定項目に改めて入れていただくようなことも御検討いただけるといいのではないかというふうに思います。以上です。

○立川環境安全課長 今の遠山委員の御意見ですが、基本的に私どもは、このいわゆる黒本調査でありますけれども、環境中での化学物質の残留実態を調査するという精神のもと、またこの調査について、要望部局に対してお返しして、そこでリスク管理措置をしていただくということでやっておりまして、農薬につきましては、使用に伴って排出されるという形態になろうかと思いますけれども、そういった意味で意図的に散布されるわけなんですが、生態中をはかるんだとすれば、水環境中も含めてはかることになるんだと思うんですが、いろいろな変化をすることが予想されるので、やや我々で取り扱うのは難しいかなという判断をしているところであります。基本的には農薬取締法を所管している、我が省の中でも農薬管理室がありますので、そちらではかっていただくということで今のところ整理している状況にございます。

○櫻井座長 よろしいですか。ほかには特にございませんでしょうか。

 いろいろと考えさせられるポイントの御指摘もございましたが、今回のこの報告書につきましては、このまま発表するという方向でよろしゅうございますでしょうか。

 御異存ないようですので、そのように決定させていただきます。

 また、資料2―4にあります28年度化学物質環境実態調査の実施方針(案)につきましても、このとおりでよろしいでしょうか。

 これも御異存がないので、この方針でお進めいただくということにさせていただきます。

 それでは、次の議題に入ります。化学物質の環境リスク初期評価、いわゆるグレー本の第14次取りまとめについてです。

 事務局から資料の説明をお願いいたします。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 環境リスク評価室でございます。資料3のシリーズに沿って説明させていただきます。

 資料3-1がこれまでの進捗状況。3-2が今年公表する物質の評価結果の概要。それから3-3として分厚い資料がございますが、こちらが最終的な評価文書の案になるものでございます。

 では、3-1と3-2を主に用いて御説明させていただきます。

 まず、3-1をご覧ください。

 1ポツのところでございますが、そもそもの環境リスク初期評価についての基本的な説明が書いてございます。リスク評価とはということで、人及び生態系に対する有害性を評価する有害性評価、それから環境経由の曝露量を見積もる曝露評価。この有害性と曝露評価の両者を比較することによってリスクの程度を判定するといったものでございます。

 環境リスク初期評価でございますが、リスク管理のための施策を念頭に置きつつ、多数の化学物質の中から、なるべく少しでもリスクが高いもののスクリーニングをするために、初期的な調査といった形でやってございます。

 どうしても、規制ですとか基準をつくるための調査、リスク評価というものは非常に時間もかかりますし、なかなか多くの物質はできないということがございますので、我々は初期評価という形で、広く薄くという形で、まず第一段階のスクリーニングを行うといった考え方でリスク評価を行ってございます。

 リスク評価として、人健康のリスク、それから生態リスク。これらを合わせて環境リスク初期評価という形で実施してございます。

 2ポツで、これまでの進捗状況ということでございまして、平成9年度よりこのリスク初期評価に着手しておりまして、平成14年から、毎年評価結果を順次公表してございます。

 昨年までに、全部合わせますと325物質の結果を公表しておりまして、通称「グレー本」と言っておりますが、冊子のほうで毎次まとめておるところでございます。

 3ポツでございまして、今回の第14次取りまとめについてということでございまして、今回は健康リスクと生態リスク両方を評価した物質が15物質。それから生態リスクのみを評価した物質が7物質ということで、合わせて22物質の評価をさせていただきました。

 1枚おめくりいただきまして、今回対象といたしました物質が3-1-2ページ、下のほうの表2から書いてございます。次の3ページにわたって書いてございますが、選定理由のところに御着目いただきますと、例えば1番目のアジピン酸でありますと、非意図的に生成する物質や分解生成物ということで、意図的に生成したものじゃないんだけれども、環境中で分解をしたりすることによって発生する、要は製造される化学物質の規制ではなかなか捕まえられづらいような物質を対象としているものですとか、または、その2番目のイソシアネートであれば、大気環境課からの要望とありますが、環境省内の他部局、環境管理をしていくための要望物質といったものを対象にしている場合です。

 それから4番の物質でございますが、いわゆるPRTR法の届出で排出量が多いような物質。

 それから、次のページの5番の物質等がございますが、一度過去に評価を行っている物質でも、また黒本の調査のほうで最新の実測データが得られた場合には、必要に応じて再評価を行う。概ねこういったパターンで物質を選定してございます。

 その下のほうの表3、これは生態リスク評価のみを実施した物質でございますが、こちらも同様に、新たにデータが得られた物質ですとか、分解等により生成する物質、それから水環境課等の関係課室からの要望物質、こういったものを中心に選定をして、今回公表させていただくことになってございます。

 1枚おめくりいただきまして、今回の検討体制でございまして、企画委員会を中心に、曝露、それから人健康、それから生態リスクといったことで、各分科会のほうで議論していただいたものを取りまとめたものでございます。

 次ページ以降は、これまでの評価対象物質の概要でございますので省略をさせていただきます。

 次に、資料3-2をご覧ください。

 こちらが、今回の第14次の取りまとめ概要ということでございまして、本日御了解いただけましたら、近日中にこちらの概要の内容のほうをホームページ等で公表させていただきたいと考えてございます。

 1ポツ、2ポツの部分は、先ほどの資料とかぶる部分もございますので省略させていただきまして、2ページ目でございますが、真ん中より少し下の辺りに、評価の方法というところで少し説明が書いてございますが、先ほど曝露と有害性を比較してということでございますが、例えば、健康リスクであれば、無毒性量等を予測最大曝露量で割り算することによって、Margin of Exposureということで、どれぐらい毒性が出るまでに余裕があるかといった数値を出して、例えば、マージンが10未満であれば、比較的リスクが高いんじゃないかとか、そういった評価を行っております。

 生態リスクのほうも、同じように比較をすることで、ある程度数値的に、定量的に評価を行うといったことをやってございます。

 また、次の3-2-3ページ、上の参考2ということでございますが、ある程度定量的な評価、実測値ですとかに基づいた評価を行うんですが、さらに化学物質の製造量ですとか、物性ですとか、またはPRTR法による届出排出量といった実測以外のデータももとにしまして、最終的には専門家の皆様の御意見もいただきまして、総合的な判定を行うといった形でやってございます。

 また、その下になお書きで書いてございますが、初期評価ということで、環境リスクが高い物質はなるべく見逃さないようにということで、毒性データにつきましても、曝露評価におきましても、なるべく安全側に立脚した、少し厳し目の評価をまず行うといった考え方で行ってございます。

 おめくりいただきまして、3ポツのところが、今回評価した物質の結果の概要をまとめた表になってございます。

 下のほうに表がございまして、左の欄を見ますと、A、B、Cというふうに3段階に分けた評価を行ってございまして、Aの部分が一番、比較的、相対的にリスクが高いかなというものでございまして、こういったものにつきましては詳細な評価を行う候補という位置づけにしてございます。

 その次のBにつきましては、Aまでは行かないけれども、関連情報の収集が必要といった位置づけ。

 それから、Cに分類されたものにつきましては、作業の優先順位としては低いといったことで、今後リスク管理等々が行われていく場合のための優先順位づけを行っていくといったことを実施してございます。

 今回、具体的な物質名でいいますと、例えば健康リスク、人健康であれば1物質、1,1-ジクロロエチレン。これは大気からの吸入の関係でございますが、こちらが詳細な評価を行う候補となってございます。

 また、生態につきましては、セレン、それから次の3-2-5ページのほうも見ていただきますと2物質ほど、N,N-ジメチルオクタデシルアミン、それからN,N-ジメチルドデシルアミンという物質が詳細な評価を行う候補といったことで挙げられてございます。

 なお、表の中で米印がついているものがございますが、これは下の注にもございますけれども、例えば、健康リスクのB1というところで、イソシアネートのところで米印がついているものがございますが、これは定量的な評価はなかなか難しかったんですが、専門的な判断によって少し評価を引き上げて、情報収集が必要というふうに、そういう総合的な評価を行っているものでございます。

 後ろのほうに別表がございますので、そちらのほうでもう少し詳しく御説明させていただきたいと思います。

 おめくりいただきまして、横長のA3の表がございます。下のほうに3-2-7ページと書いてある、健康リスク初期評価結果一覧(15物質)といった表があるかと思います。

 まず、こちらが人健康の影響のほうでございまして、左側に物質名、それから有害性、それから曝露評価、そして右のほうにリスクの判定といったところで書いてございまして、最終的に「総合的な判定」というところが最終的な判定でございまして。先ほどA、B、Cとなっておりましたが、記号で書いてございますが、■が詳細な評価を行う候補。▲が情報収集に努める必要がある物質。○は作業の必要性がないといった物質になってございます。

 上から5番目の1,1-ジクロロエチレンでございます。検体につきましては、一般環境大気のほうで四角、詳細な評価を行う候補ということでございまして、こちらは一度パイロット事業でも評価をしてございますので、次のページで前回の結果と比較しながら御紹介させていただきます。

 おめくりいただきまして、3-2-9と書いている新旧の結果でございますけれども、一番上に1,1-ジクロロエチレンが書いてございます。

 こちらの物質につきましては、有害性の知見につきましても、マウスのほうの知見で、以前のラットの知見よりも少し毒数値が厳しく、より有害性が高いという知見がございます。

 また、環境中での排出でも、一般環境大気で、ピンポイント的ではございますが、比較的高い濃度の検出がされているということがございました。

 さらに、アメリカのNTPの今年度のレポートのほうで、ラットやマウスで発がん性を示す知見が出ているということがございまして、またIARCのほうでは発がん性評価は3なんですが、評価の基準に当てはめれば2Bに相当するものであろうということで、さらに安全係数5で割り算をしてございまして、その結果このような評価になっているといった物質でございます。

 1枚、また先ほどの、前の表に戻っていただきまして、▲の物質についても簡単に御紹介させていただきます。

 上から2番目の、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル=イソシアネートでございます。先ほど、黒本調査のところでも、少しイソシアネート類について御紹介がございましたが、2番のほか、次ページの13番、15番についてもイソシアネート系の物質でございまして、こちらは全て大防法の有害大気汚染物質の候補物質でございまして、大気環境課からの要望で評価を実施したものでございます。先ほど御紹介がありましたとおり、水中での加水分解性が非常に高いということで、実測データからの評価ではそれほど高い評価にならないんですが、PRTRの排出データを見ますと、比較的高い濃度で排出をしている事業所がある。大気中での分解がどの程度かというのもはっきりしないということも含めまして、数値では○となっておりますが、総合的には▲といった評価で、情報収集が必要ではないかという位置づけにしてございます。

 下のほうの8番でございます。ジブロモクロロメタンでございますが、こちらはいわゆるトリハロメタン系の物質でございまして、水道水を塩素消毒する際などに生成する物質でございます。この物質につきましては、飲料水等では○という評価でございましたが、室内の空気中で比較的高い濃度が出ているという知見が最近の調査でございましたので、室内の空気の吸入のほうで▲といったことになってございます。

 また、その1つ下のセレンでございます。こちらにつきましては大気課からの要望でございますが、こちらも実測値のほうでは、それほどリスクは高くなさそうではあったんですが、高排出事業所もあるといったことで▲という位置づけになってございます。

 裏をおめくりいただきまして、12番のブロモジクロロメタン、こちらもトリハロメタン系の物質でございまして、こちらは室内空気と、さらに飲料水のほうでも、数値的にはぎりぎりでございますが、▲という評価になってございます。

 13番、15番は、先ほどと同じイソシアネート系の物質でございます。

 健康リスク初期評価については以上のとおりでございます。

 2枚ほどおめくりいただきまして、次に生態影響について御説明させていただきます。

 3-2-10と書いてございます、生態リスク初期評価結果一覧の15物質の一覧表でございます。

 生態リスクで詳細な評価になってございますのが、9番のセレンでございます。

 セレンもいろいろと、コピー機の感光ドラム等々、多用途で用いられている物質ということでございますが、こちらにつきましては4価と6価の両方について評価をさせていただきまして、毒性値としては、まあまあそこそこという感じなんでございますが、環境中濃度も比較的出てございまして、評価結果としては詳細な調査が必要なものであるといったことで、こういった評価になってございます。

 ただし、一方で、必須元素でもございまして、例えばOECDのテストガイドラインで、ミジンコの試験を行う際の培地に添加する物質としてセレンも入ってございまして、毒性もありますが、必要量との差というのも少し小さいというか、そういった難しい面もあるといったことで、OECDの培地にも含まれているような情報は、評価書のほうに少し書き加えさせていただいております。

 裏側を見ていただけますでしょうか。

 5番と6番の類似物質でございますが、N,N-ジメチルオクタデシルアミンと、それからN,N-ジメチルドデシルアミンでございまして、こちらは界面活性剤等々で、こちらも多くの用途で使われている物質でございまして、こちらにつきましては比較的毒性値も高いということもございまして、評価としてはこのような評価になってございます。こちらは水環境課からの要望ということでございまして、6番の物質は水質に関する要調査項目にもなってございますが、こういった結果であるということでございます。

 次に、▲の物質を少し紹介させていただきますと、その一つ上の4番、2,5-ジクロロアニリンがございます。こちらは、昨年は3,5-ジクロロアニリンのほうを評価して、こちらが■の詳細評価ということでございまして、2,4体と2,5体についても評価をしておるところでございますが、2,5体については、少しこういった評価になってございます。

 また、前のページに戻っていただきまして、5番でございますが、先ほど吸入のほうで紹介がありました1,1-ジクロロエチレンでございます。食品用の家庭用ラップフィルムといいますか、ラップ等の原料になっているようなポリマーの原料でございますけれども、これは生態のほうでも、こういう形で▲といったふうになってございます。

 ただ、生態の水中のデータにつきましては、一過性でぴょんと高い数字が出ていたというようなことがございましたので、そういったことも評価書のほうには記載をさせていただいております。

 また、その一つ下でございますが、N,N-ジシクロヘキシルアミン、こちらにつきましては▲なんでございますが、第6次の評価のときから情報収集はしたんですが、最終的には、データとしては、採用したデータは変わりなしということで、引き続き▲といった状態でございます。

 8番のジブロモクロロメタン、人健康のほうでもございましたが、消毒生成物でございまして、こちらも実測のほうの評価ではそこまで行かないんですが、一方で下水道等でも生成していたり、まだ捉え切れていない排出もあるんじゃないかといったことも考慮しまして、▲といった評価となってございます。

 それから、12番のブロモジクロロメタンも同様でございます。

 あとは、最後14番、ほう素及びその化合物でございます。ほう素につきましては、通常、水中で存在する3価のほう素の評価というふうになってございまして、実は、前回第6次の評価では■ということで、詳細な評価が必要という評価でございました。

 今回は、少し発生源、環境中濃度のほうを精査いたしまして、ほう素は自然起源で非常に濃度が高いものですから、今回は少し人為的な原因、発生源、人為的な影響が考えられる点のデータに少し絞るような精査をしてみまして、それでもやはり▲ということで、情報収集が必要といった結果が得られたということでございます。

 結果のほうは以上でございますが、また本文のほうの5ページにお戻りいただけますでしょうか。

 表の下の部分でございまして、(3)というふうに、留意事項と書いてございます。

 説明させていただきましたが、あくまで安全側のスクリーニング評価ということでございまして、こちらが直ちに、何かリスクの抑制ですとか、管理措置が必要だというわけではないということで、注意書きを書かせていただいております。

 「4.今後の対応」ということでございますが、まず結果につきましては、この資料3-2につきましては、近日中に公表させていただきたいと考えてございます。

 また、評価文書、それから要約したプロファイル等につきましては、今年度末までに中身をもう少し精査をいたしまして、公表するといったことを考えてございます。

 (2)番で関係部局等の取組の誘導ということでございまして、リスク評価の要望があった部局ですとか、または関係する部局のほうに結果のほうをお戻しして、より検討をしていただくといったことを考えてございます。

 おめくりいただきまして、3-2-6ページでございますが、具体的には、1,1-ジクロロエチレンにつきましては、大気環境課さんのほうに情報提供させていただいておりますし、また生態リスク関係の物質につきましては水環境課さんのほうに御連絡させていただきまして、少し優先度を上げて検討していただくようにお伝えをしているところでございます。

 (4)番でございます。今後の対応につきましては、基本的には例年書いてあるとおり、評価手法を見直しながら、また必要な物質について評価を行っていくということでございますが、少し今年度から新たに取り入れた部分がございますので御紹介させていただきます。

 3つ目の○で定量的構造活性相関、いわゆるQSARというものでございまして、いわゆる毒性データの実測値がない場合に、物質の構造ですとか、物性等から毒性を予測するというようなモデルでございますけれども。これまでも、リスク評価の分科会等でそういったQSARの予測値といったものを参考にするということは、これまでも試みてきたところなんですが、今回、さらに評価書のほうに具体的に書き込みをするということに、一歩進めてやってございます。

 分厚い資料3-3のほうをご覧いただけますでしょうか。77ページでございます。

 今回、QSARの結果を載せましたのは、4-クロロ-2-メチルフェノールでございまして、この物質が、いわゆる急性毒性の知見が不足をしていたということと、かつ、この物質についてはうまく算出ができたといったことで、今回はこの物質のみでございますが、77ページの下のほうの(3)魚類というところでございますが、この物質は藻類と甲殻類につきましては急性毒性のデータが得られたんですが、魚類につきましては採用可能な知見が得られなかったということでございますが、ここであくまで参考ということでございますが、QSARについても、今後も活用していくということを踏まえまして、QSARで予測した値というのを載せてございまして、次の78ページのほうの表4-2をご覧ください。

 こちらのほうに予測結果を記載してございます。QSARのモデルが幾つかございまして、ECOSARといったものとKATEといったものを使用した結果が出てございまして、ある程度、やはりモデルということで、必ずしも実測値に比べますと不確実性というか、そういったものもございますので、95%予測区間ということで、予測値ではなくて区間のほうも書かせていただいておりまして、ある程度幅があり得るよということを示してございます。

 こういったものを活用しますと、その次の79ページの評価結果のほうの文書の下のほうに少し書かれておりますが、この物質の場合は、実はそもそも評価結果としてはPECとPNECの比が0.01未満ということで、そもそも作業の必要はないということでございまして、さらにQSARの結果を採用した場合、急性毒性3種の毒性の知見が集まったことで、アセスメント係数を減らすことができますので、さらに安全な結果になるといったような結果でございます。

 本年の物質はこのような結果になりましたが、来年以降、またいろいろなパターンが出てくるかと思いますので、またそういった知見を積み重ねた上で、具体的に評価のほうでどう扱えうるかというのは、また検討していきたいと思いますが、こういった試みを少し続けているといった状況でございます。

 以上、長くなってしまいましたが、初期リスク評価の御説明のほうは、こちらで以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 先ほどと同様に、今回の取りまとめに当たって、専門家から構成される分科会などで別途に御議論いただいております。

 ここでの審議に入る前に、それぞれの分科会などで座長を務められた中杉参考人、楠井委員、青木委員から補足説明などございましたら御発言をお願いしたいと思います。

 まず、曝露評価分科会の座長を務められた中杉参考人より御発言をお願いいたします。

○中杉参考人 何点か特出しして御説明をしておきます。

 先ほどから議論になっていますが、結果として黒評価になった1,1-ジクロロエチレンでございますけれども、大気のほうではなくて水のほうのデータで、これは生態影響を見るときですけれども、予測モデルを使ってやっています。これはPRTRの排出量の届出量を使っているわけですけれども、実際に見てみると、中に一番大きな排水量が多いところと、二番目に多いところ、これは多分1,1-ジクロロエチレンは使っていなくて、この物質は人健康から排水基準がありますので、不検出のデータであった場合にどういう扱いをしているかというのが問題になります。検出下限を掛けてしまいますと、配水量が非常に多いと、そこが実際に排出しているよりも過大に評価をしている可能性があるということで、そういうものは除いて、確かにこれが使われているだろうと思われるところの一番高い数字を使っています。

 それから、8番と12番のトリハロメタンの構成物質の2つでございますけれども、これについては水道統計のデータを使って、少し評価をしています。その中で、水道統計のデータで、使ったときに、トリハロメタンの量と、それを構成する4物質の濃度と足し合わせると、トリハロメタンの総量をはるかに超えてしまうというか、それをオーバーしてしまうという、ちょっとおかしなデータがございましたんで、そういうものは除外して評価をしています。

 それからもう一つは、水道統計の中で「原水」というのがデータとしてあります。この原水のデータというのは、一般に受水槽のところではかっているので、環境水というふうに見ていいのかなと思うんですが、実際には水道水を戻しているケースもあるので、ここではあくまでの参考値というふうな形での整理をさせていただきました。

 それから、9番のセレンでございますけれども、これについては自然由来のものがありますので、実際には上流にセレンの排出を届けている事業所があるところのデータの一番高いのを使って評価をするというようなことをやっています。

 それから、10番のトリクロロフェノールですけれども、これは過去に、1997年に洞海湾でかなり高い濃度のデータがありました。その後の調査が行われていないので、この1997年のデータを使うと少し厳しい評価になるんですが、このデータは非常に、その近辺の年度を見ても飛び抜けたデータで、少し信頼が置けないんではないかということで、過去のデータでもあることから、それは採用しなくてもいいんではないかということで、生態リスクのほうの分科会に提供して判断をしていただいています。

 それから、ほう素につきましては、先ほどのセレンと同じような状況なんですが、もう一つ、海水が入っている影響というのをどうとるかというのが非常に難しくて。ここら辺も先ほどのセレンと同じように、上流にほう素を排出している事業所、明らかに上流にあるというところで、もう一つは海水が遡上していないだろうというところを選んで曝露評価の対象としているということ、そういうような操作をしてございます。

 以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 続きまして、生態リスク評価分科会の座長を務められた楠井委員からお願いいたします。

○楠井委員 あと追加的にコメントいたすとすれば、一つは先ほどもございましたが、セレン、ほう素ですけれども、いずれも生態影響試験の培地に含まれている物質で、実際に影響なども結構、それからそう離れていないということがありましたので、本文のほうにはそういった追加的な記述をさせていただいています。

 それと、ほう素につきましては、海水の中にたくさん含まれるということがございまして、当初、海産生物の毒性データもあったんですが、今のスキームでやってしまうと、PEC/PNEC比が1以上になってしまうということで、今回はあえて海産生物については、この中には載せておりません。

 それから、QSARの適用ということにつきましても、平成25年度の大まかな方針等については考え方を出したんですが、実際にこれまで適用はなかったのですが、今回、3番目の4-クロロ-2-メチルフェノールにつきましては適用させていただきました。

 ただ、我々の場合はQSARの専門家ではないので、そのデータがどこまで信頼できるのかということをいろいろ見ながら、どういった局面で使えるのかということについては、今事務局から御説明がありましたように、ケースを重ねていくしかないだろうかなと。

 ただ、QSARの値をもって実測値にかえる、より以上のものと見なすというふうにはしないということで、当面はアセスメント係数を下げる、そういった事例として使えるだろうかなというふうには思っていますが、それによって大きく評価が変わる局面というのは今後また出てくる。そのときには、またいろいろ議論していきたいというふうに考えています。

 以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 続きまして、健康リスク評価分科会の座長を務められた青木委員からお願いいたします。

○青木委員 青木でございます。

 企画委員会のほうから諮問を受けました15物質について、都合3回の検討会を行いましてリスク評価を実施させていただきました。

 そのうち1物質、1,1-ジクロロエチレンについて、詳細な評価を行う候補と考えられる物質として判定をさせていただきました。

 この物質がなぜ評価の対象になったかということは、先ほど御説明がありましたように、新たな環境実測データが得られた物質ということで再評価となった、もともとパイロット事業で一旦評価をしていたわけでございますけれども、それを再評価いたしました。

 その結果、実は本年になりまして、新しいNTPの、特に吸入曝露の毒性評価のデータが出てまいりまして、その結果、幾つかの、これはこの資料3-2の横長の7ページ目に少し具体的に書いてございますけれども、5番目の1,1-ジクロロエチレンに関しましては、尿細管過形成等の有害性が見られ、さらにここで発がんの知見も見られましたので、そういうことも勘案いたしまして、MOE5という詳細なリスク評価の候補となる物質というふうに評価をさせていただいた次第でございます。

 また、ほかの物質に関して見ましても、先ほど御担当から御説明いただいたとおりなんですが、特に申し上げますと、やはりいわゆるイソシアネート系に関しましては、特に吸入曝露に関してしっかりした有害性のデータがあるということから、通常のリスクの判定のほかに総合的な判定というものも、PRTR等の曝露、環境濃度推計から基づく総合的な判定というものをさせていただいたという次第でございます。

 これまで何回か、この健康リスク評価の初期評価の取りまとめをさせていただいたんですけれども、若干所感を申し上げる機会をいただきたいんですけれども、やはり吸入曝露のデータというのはなかなか得られないというところから、この健康リスクの初期評価がなかなか難しいなと思うところがあるんですけれども、実際に1,1-ジクロロエチレンのようなもので、具体的に吸入曝露の新しいデータが出てまいりますと、やはりこのように、新しいリスク評価の知見というものが得られてきているわけでございますので、やはり毒性評価、特に吸入曝露の知見というのを、今後、必要なものに関しては得ていく必要があるんじゃないかなというふうに感じている次第でございます。

 以上でございます。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局からの説明と各委員からの補足説明の内容等を踏まえて、何か御質問、御討議等ありましたらどうぞ。

 どうぞ。

○関澤委員 楠井委員、また中杉参考人からも御指摘があったんですが、生態影響評価は私の専門じゃありませんが、セレンとほう素については自然界からの存在というのがあるということなんですが、その寄与がどの程度かということがもしわかるんだったら、この結果だけ、数字というかマークだけで分類を発表するんじゃなくて、本当はそれを書いておくべきじゃないかなと。

 それから、今後の対応として、関係部局との連携のもとにということなんですが、もしそれが、大まかでもわからないんだったら、そういったことをはっきりさせていくということがまず大事ではないかなと思われたんですが。よろしくお願いたいと思います。

○櫻井座長 いかがでしょうか。少しこの中に書き込んだほうがいいという御意見。

○中杉参考人 多分、地点ごとに物すごく大きな差があるので、一概にどうだということは言えないので。実際に、それも区別するのはなかなか難しいですね。だから、「どのぐらいだ」と言われて、「大まかにこのぐらいだ」と言うことも、多分できないだろうと。

 ホウ素は海水が入るという意味で考えるんだったら、塩分濃度がどのぐらいであるかというようなことで、どのぐらいまざっているかなという推計はできるかと思いますけれども、そうではなくて、地殻からも、土壌からも少し流れ出してきていますし、そういうものを考えると場所ごとに物すごく違ってくるし、それぞれの場所でも多分評価はできないんだろうと。

 だから、今のところ、まあこれはこのぐらいだから、それを割り引いて、曝露のものとしてはこのぐらいだということを出したいんですが、とても無理なんで、それは外して、一番高いところをとってしまっているというのが今の現状です。

 その一番高いところも、実際に言うと、バックグラウンドとして自然由来のものが入っていて、それに人間由来のものが重なった結果が超えているということなんです。それはそれでリスクがあるという判断をしていいだろうということで整理をしています。そこもどのぐらいの割合かは全くわかりません。

○櫻井座長 今のはなかなか難しいですが、例えばこの一覧の表の案がございますが、そこに何か備考みたいなものを……

○関澤委員 そうですね。定量的にはわからないけれども、こういう可能性もあるということをちょっと指摘しておくだけでも、例えばこれを報道してくださるメディアの方とか、一般の方の受け取りが違うのかなと思いました。

○櫻井座長 いかがでしょうか。事務局どうですか。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 事務局でございます。

 表のほうで簡単に書き表すのは、なかなかうまいアイデアが今はないところではございます。あくまで、まず安全側の評価ということで、評価の結果としては少し大ざっぱにはなりますが、ある程度段階づけをしてあげると。

 ただ、評価文書の中には、こういったデータの処理を行ったとか、ほう素につきましても、今回採用したデータはこういうデータだけれども、実際には自然由来でもっと高い数値があるというようなことも一応わかるような記載になってございますので、ある程度詳細な内容につきましては、評価文書をご覧いただくということでいいとしていただけるとありがたいかなと思ってございます。

○櫻井座長 そういうことでよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○小山委員 環境リスク初期評価で、もう14次までの取りまとめ、非常に息の長い事業でございますが。特に生態リスクですが、私も委員として加わっておりますが、今のところ、まだ水環境の評価のみでございます。御存じのように、環境中の濃度と考えれば、水よりも底質中の濃度のほうがはるかに高い濃度であるということは自明であります。

 ほかの環境省の中の事業でも、もう既に底質のリスク評価というのが少し行われつつあります。ぜひ、こちらの環境リスク初期評価のほうでも、今後、底質の評価というのを取り入れられていってはというふうに思っております。

○櫻井座長 何か、事務局。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 御指摘ありがとうございます。

 今回は、生態の分科会の中ではまだ勉強段階という感じでございますが、少しデータを集めたりすることと、あと底生生物の毒性試験はデータが少ない部分もございますので、少し推計的なこともできないかということも進めております。

 QSARのほうなんかも、少し今回前に進めていくといったこともございますので、こういった底質のリスク評価につきましても、今、分科会の中で勉強を積み重ねていって、どういった出し方が適当なのかといったことは、少しまた議論させていただければと思っております。

○櫻井座長 ほかに何かございますか。

 どうぞ。

○西川委員 1,1-ジクロロエチレンについてですが、資料3-3の113ページに、カとキの項目に、ラット、マウスの長期の試験の結果が出ております。それと、それから117ページにあります「以上の」というところから、これはNTPの結果だと思うのですが、これは全く同じ条件でやっておりまして、引用文献も同じということで、恐らく同じ試験を解析したものだと思うのですが、その違いがどうしてこれほど出てきたのかということについて、何か理由を教えていただきたいのですが。

○櫻井座長 違いといいますと、何と何の違いですか。

○西川委員 117ページでは、ラット、マウスとも発がん性ありという結果ですね。ところが113ページでは、発がん性があるとは書いていないんです。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 こちらは書き方の整理の問題でございまして。実は、113ページのほうは、その前の111ページのほうに項目がございますが、こちらは中長期毒性ということでございまして、いわゆる急性毒性、中長期毒性、それから生殖発生毒性、それから人への影響、それと発がん性を少し場所を書き分けて、発がん性は発がん性でまとめて書くような形でしてございますので。同じ試験の知見でも、少し場所を分けて書いているということでございます。

○西川委員 わかりました。それで、このラット、マウスともに一番低い用量から腫瘍の発生が見られていますので、そういう意味では少し注意して評価しないといけないと思うんですけれども、そのあたりはいかがですか。

○青木委員 やはり、ここで得られた知見というのは非常に大きいものがございまして。初期リスク評価としては、本年度NTPのほうからこういう基本的なデータが得られたところでございますので、それに従って、まずいわゆる非発がんの影響から、この場合はLOAELしか得られていませんので、それからNOAELを参閲して、さらに発がん性があるという知見がありましたので、それをさらに考慮してMOEを算出したという次第でございます。

 今後、この知見をもとに、これはそれぞれの担当部局のほうにお返しして、今後いろいろこういう観点に基づいてリスク評価を考えていただく、そういうふうになっていくんじゃないかなと思います。

 ですから、やはり基本的なデータがあったときは非常に重要だというふうに考えております。

○西川委員 この横長の資料に、その発がんがあるという所見が書いていないもんですから。そこはやっぱり重要な所見だと思いますので、可能であれば加えたほうがよいかなと思います。

○青木委員 そうですね、これはやはり、このエンドポイントのところには、この場合非発がんのみを書かせていただいてございますが、今後それはいろいろ整理の仕方というか、こういう表のまとめ方については、検討会の先生と議論させていただきながら整理していくのかなというふうに思います。

○西川委員 非発がんと発がんと同じエンドポイントでありますので、やはり所見としては発がんのほうが意味が大きいと思いますので、これはやっぱり書いたほうがいいと思います。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 表のほうで発がん性の知見もあるということでわかるようにしたほうがいいんじゃないかという御指摘かと思います。注記のほうで書き込めるかどうか、少し表現を検討させていただきたいと思います。

○櫻井座長 発がんそのもののLOAELが同じ数字なんですね。

○西川委員 それと非発がんのLOAELが全く。もちろん一番低い用量から出ていますので同じになる。

○櫻井座長 そうすると不確実性係数を、同じでいいかどうかという問題もあるんですよね。

○西川委員 そういう問題にもつながると思います。

○櫻井座長 これは50で割ってあるんですけれども、あるいは100で割るというような。

○西川委員 そこは御検討いただきたいと思いますけれども。

○青木委員 一応、50にさせていただいたという、とりあえず今回は。

○櫻井座長 まあ、あったかなという気はしますけれども。

 これはこれでいいとして、ここのところに発がんということも入れますか。それとも、これはこのままにしておきますか。

○青木委員 本文には書いてあるんですけれども、こちらには書いてあるので。

○香山委員 こっちが公表で。

○青木委員 これは公表しますよね。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 資料3-3は後ほど公表。

○青木委員 公表する。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 資料3-2は先に公表です。

○青木委員 ああ、そうか。

○櫻井座長 その発がんそのものをNOAELあるいはLOAELとした場合と、それから発がんは高い濃度であるけれども、ほかの影響でNOAELやLOAELにした場合とで、不確実性係数の使い方は、通常同じではないんですよね。

○西川委員 この資料3-3の14ページにありますように、発がん性がある場合は、その影響の重大性を踏まえて、さらに原則10を加味するというふうになっています。

○櫻井座長 10ですよね、そうですよね。5ではなくて10。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 こちらにつきましては、最大10ということでございまして。概ね2B相当の物質であれば、大体通例であると5を初期リスク評価では除してございます。

○櫻井座長 じゃ、それでいいんですね。ここのところに一応書いておくことは全然構わないわけですね。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 例えば、次のページの注記のほうに、いろいろと「こういったものを考慮した」というのを書いてございますので、その一環として、その発がん性を考慮したといったことを少し書き込めないか検討させていただきたいと思います。

○櫻井座長 ほかにどうぞ。

○菅野委員 今、14ページを拝見すると、閾値があると想定される場合と、閾値がないと考えられる場合とで場合分けしていますので、そこも本当は考慮されたほうがいいかもしれない。そこはどう考えるかはお任せしますけれども。

○櫻井座長 どこに書いてあるんですか、14ページ……

○菅野委員 14ページの上から3分の1辺りに、(3)で健康リスクの初期評価結果があって、①の下に……

○櫻井座長 アが、そうですね。

○菅野委員 その下のほうにいくとイがあって。ですから、閾値がないと考えるときはフィッティングをかけて、過剰発生率で10のマイナス5乗とか6乗とかやることも、一応想定されているようなので。

○西川委員 これは遺伝特性全般を見て、閾値があるという判断かと思います。したがって、MOEの判断で、判定でいいと思いますけれども。

○青木委員 そうです。この段階では、遺伝毒性のほうの評価に関しては、まだ着手しておりませんので。基本的には、このMOEの中で見ていくということにさせていただきました。

○櫻井座長 その他、何かありますか、

 どうぞ。

○鈴木委員 表現上のこだわりみたいなものかもしれませんが、QSARを使われている、77ページの記載がされているんですけれども。この表現で、「2つのモデルで予測が可能であった」と書いてあるんですが。多分、QSARを今後拡充していくためには、対象物質が適用範囲内かどうかという判定が私はキーだと思っているので、「可能」というのは、いろいろ中でも外でも、何か数字で入ってくるQSARのモデルもあるようなので、「可能」という言葉をもう少しどこかで明確にして。

 これはこれで、助詞の使い方から見ればいいと思いますが、「可能」という使い方をもう少し丁寧に使われたほうがいいのではないかなと思いましたので。

○工藤環境リスク評価室室長補佐 一応、78ページの表4-2の、少し字が小さくて恐縮で、注記のほうで、QSAR予測値……2行目のところで、測定結果が各モデルの適用範囲外とされる場合には予測値を掲載していないということで、こちらのほうで適用範囲内のものだけ掲載をしているといったことでございまして、「可能」という言葉につきましては、そうですね、書き方が書いてございますが、具体的な数字としては4-2の注記のほうで、適用範囲外のものは掲載していないというつくりになっています。

○鈴木委員 注記を見ましたんで、特にこれはこれでいいと思いますが。今後のために、少し表現の仕方を工夫していただいたほうがいいかなと思いましたので。

○櫻井座長 いかがでしょうか。ほかにも何かありますか。

 特にないようでございます。

 それでは、この報告につきましては、先ほどの1,1 -ジクロロエチレンの発がんの問題は、何か差しかえるかどうか事務局のほうでお考えいただいて。

 どうぞ。

○針田環境リスク評価室長 検討させていただきまして、また座長と相談させていただきたいというふうに思います。その趣旨を踏まえまして。

○櫻井座長 踏まえていただけますか。

○針田環境リスク評価室長 検討させていただきたいと思います。

○櫻井座長 じゃ、そのようにお願いいたします。

 このグレー本につきましては、この報告書のとおりで皆さん御了承いただけますでしょうか。

 御異存ないようでございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 ありがとうございました。

 最後に、その他ということになります。2件ほど案件があるようでが、報告事項ですね。よろしくお願いします。

○土井環境安全課専門官 事務局でございます。

 今年報道発表を行いました2件について、参考資料としてつけさせていただいております。

 まず、参考資料1ですが、本年の5月にストックホルム条約第7回締約国会議が開催されましたので、その結果でございます。

 会議の成果といたしまして、1ページの下から2ページにありますとおり、ポリ塩化ナフタレン、ヘキサクロロブタジエン、それからペンタクロロフェノールとその塩及びエステル類の3物質群が条約対象物質に追加されることが決定されております。

 続きまして、参考資料2でございます。

 こちらはストックホルム条約による規制対象物質について検討を行う、残留性有機汚染物質検討委員会、POPRCの第11回会合が本年10月に開催されましたので、その結果でございます。

 本会合では、デカブロモジフェニルエーテルについて、自動車及び航空機用の特定の交換部品を適用除外とした上で、条約の対象物質に追加することを次回の締約国会議に勧告することが決定されております。

 また、短鎖塩素化パラフィン及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)について、条約対象物質への追加に向けて、次のステップへ進めることも決定されております。

 簡単ですが、参考資料については以上でございます。

○櫻井座長 何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。

 その他、何か全体として追加のコメント等があれば。よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○遠山委員 この委員会で議論するのが適当なのかどうかわかりませんし、今議論していただきたいということで申し上げるわけではありませんが、問題提起という観点から発言します。

 試験に使っている動物種の、あるいは実験動物としてのクオリティーの問題ですが。これは哺乳類の場合でしたら、どの系統を使うかによっても当然反応は変わってきますし、生態系ですと必ずしも哺乳類ほどは実験動物としては、まだ開発が十分ではないような面もあるんだろうと推測します。そういうときに、さまざまなデータをもらって一生懸命評価をしているわけですけれども、どういう種類の動物種なり系統なり、あるいは、場合によっては魚といっても、そのときの採取した時期によって違うと思いますし、季節によってもその生態状態が変わってくるかと思いますし。そういったことを踏まえて、やはり試験系をよりリファインするというような方向というのは、これから必要じゃないかなと。

 QSARのような形で、そちらの面での進歩を取り入れていくということだったり、あるいは、その検出方法の感度を上げていくという、それはそれでまた大事なことだと思うんですが、一方で生物系のほうですね、そちらのほうのものを、何かリファインをするという試みというのもあってもいいんじゃないかな。ほかにあまり言う場がなかったものですから申し上げました。

○櫻井座長 何か、それについてのコメントはございますでしょうか。主として生態系、哺乳動物を使うほうは、それなりにベターであるとは考えていらっしゃるような御発言……

○遠山委員 実験動物としての遺伝的な背景とかという点で言えば、生態系で使われている動物よりはリファインされているとは思います。

 ただ、それは毒性試験をするときに、それじゃ、具体的にどういう条件のマウスなり、ラットなり、あるいは別の種類のものを使うかという観点からすると、そちらはそちらで、またリファインするべき内容があるだろうとは思っています。

○櫻井座長 おっしゃるとおり、重要な今後の課題だなと思います。

 そのほか、何かございますでしょうか。

 どうぞ。

○楠井委員 生態リスクのことと、毒性試験のことについて、ちょっとお話ししておきますと、やはり我々はいろんな論文を読んだときに、一つはその試験がガイドラインに従って行われているかという観点。そのガイドラインの中にどういうステージの生物を用いるのかということが明記してありまして、やはり、それから大きく著しく逸脱するようなもの、あるいはその生物種が特定されていないものというのは、極力除外するようにしております。

 ですので、確かに委員のおっしゃるような懸念もあるんですが、そういったガイドラインにのっとって、それに従った試験方法というところでやっていると、一定の信頼性はあるのかなというふうに判断はしております。

 もちろん、その生物のオリジンといいますか、由来なども明記されているかどうかというのもチェックして。見落とすこともないかとは思いますが、そういう点は注意してやっております。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 それでは、以上で予定した議題は終了になります。

 事務局から連絡事項があればお願いします。

○針田環境リスク評価室長 事務局です。

 本日御指摘いただきました内容につきましては、必要な修正を行った後、近日中に公表させていただきたいと考えております。

 また、平成26年度化学物質環境実態調査結果報告書、いわゆる黒本及び第14次環境リスク初期評価結果、いわゆるグレー本ですけれども、その本体につきましては、今後、内容を精査した後に、年度内を目途に公表していきたいというふうに考えております。

 なお、本日配付した資料ですけれども、量がありますので、机の上に置いていっていただければ、後日事務局より送付させていただきたいと思います。

 また、次回の委員会につきましては、来年度の同じくらいの時期に開催を予定させていただいておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○櫻井座長 以上で、第21回化学物質評価専門委員会の閉会といたします。

 どうもありがとうございました。

午前11時55分 閉会