中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会(第17回)議事録

1.日時

平成23年12月27日(火)

2.議事

午前10時00分 開会

○早水環境安全課長 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会環境保健部会、第17回化学物質評価専門委員会を開催いたします。
 私、冒頭の司会を務めます環境安全課長の早水でございます。よろしくお願いいたします。
 先生方におかれましてはお忙しいところ多数ご参集いただきまして、ありがとうございます。
 本日は井上委員、菅野委員、香山委員、篠原委員、4名の先生方がご欠席ですけれども、現時点で12名の委員の方々にご出席いただいております。
 また、今回の専門委員会から、花里前委員に代わりまして楠井委員にご参画いただくことになりましたので、ご紹介いたします。

○楠井委員 楠井です。よろしくお願いいたします。

○早水環境安全課長 開会に当たりまして、環境保健部長の佐藤より一言ご挨拶を申し上げます。

○佐藤環境保健部長 皆さん、おはようございます。環境保健部長の佐藤でございます。
 本日はお忙しい中、年末ということで大変慌ただしいのではないかと思いますけれども、お集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。
 平素より、化学物質対策の充実ということで大所高所からご助言、ご指導を賜っておりますことに、この場を借りて厚く御礼を申し上げます。
 今日は、私から申し上げるまでもなく、化学物質環境実態調査、それから化学物質の環境リスク初期評価につきまして事務局からご報告させていただくことになります。それぞれについて準備ができまして、少しでも早く、年内にそれらの結果について公表したいということで、こういう慌ただしい時期の設定となりましたけれども、その点はどうかご理解を賜れればと思います。
 今、申し上げました1つ目、まず化学物質環境実態調査、いわゆるエコ調査と呼んでおりますけれども、これにつきましては、もう昭和49年以来ですから先生方よくご存じかと思いますけれども、平成21年度までに1,208物質について調査をしてまいりました。その結果は、ご存じのとおりの、いわゆる黒本としてとりまとめられておりまして、関係各所で利用されていると聞いております。
 本日は、平成22年度の調査において実施いたしました42物質群に対する評価を行っていただくとともに、平成23年度調査の進捗状況、それから平成24年に向けて実施方針をどうするのかということについてご意見を賜りたいと考えております。
 2つ目が、先ほども申し上げました化学物質の環境リスク初期評価、その第10次とりまとめでございます。
 こちらのほうは、これもご存じのように平成9年度から9次にわたって結果をとりまとめておりますが、今般、第10次のとりまとめの結果ができましたので、ご検討いただきたいと考えております。
 数字的なことを申しますと、第9次のとりまとめまでは282物質の初期評価を行っておりましたけれども、本日ご検討いただく物質を加えまして291物質についての初期評価がまとまることになります。このとりまとめにつきましては、今日お集まりの先生方を初め検討会におけるご議論、文献情報の提供などでさまざまご協力をいただいておりまして、重ねて御礼を申し上げる次第でございます。
 いずれにしましても、限られた時間でございます。どうか熱心にご討議をいただきますようお願いいたしまして、冒頭の挨拶にかえさせていただきます。
 どうかよろしくお願いします。

○早水環境安全課長 なお、佐藤部長は本日、所用のためここで退席させていただきます。
 続いて、本日の配付資料について確認させていただきます。(資料確認)
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の会議は公開とさせていただいておりますので、ご了解願います。
 それでは櫻井委員長、よろしくお願いいたします。

○櫻井委員長 それでは早速、議事に入ります。
 最初の議事でございますが、化学物質環境実態調査の結果、進捗状況等についてということで、平成22年度の化学物質環境実態調査、いわゆるエコ調査の結果と、平成23年度調査の進捗状況等につきまして報告があるということですので、資料2-1から2-4に基づきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局(環境安全課) 資料2についてご説明させていただきます。
 まず資料2-1「平成22年度化学物質環境実態調査結果(概要)」でございまして、いわゆるエコ調査と呼ばれているものでございます。
 資料2-2は最終的に黒本としてまとめられるものでございますが、資料2-1は資料2-2をまとめたものでございますので、資料2-1を用いまして結果を説明させていただきます。
 資料2-3と資料2-4は、後ほどご説明させていただきます。
 まず、資料2-1でございます。
 1.経緯でございます。
 こちらも先ほどご紹介ございましたので省略させていただきますが、発端といたしましては、化審法制定時の附帯決議に基づきまして調査を開始しているエコ調査でございまして、平成22年度の調査で37年目と、長きにわたって調査を行っているものでございます。現在では、環境省内の担当部署から調査してほしいという要望をもらいまして、それに基づいて調査を行うという方法で調査を進めております。
 平成22年度におきましても、このような考え方で進めてきておりまして、体系といたしましては、初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査、この3つの体系におきまして調査を実施しております。
 さらに、平成22年度より、今日的な施策課題により迅速かつ適切に対応して、化学物質に係る各種施策について一層有効に活用するため、排出に関する情報を考慮した調査地点の選定やモニタリング調査においては、調査頻度などを見直した調査を行っているところでございます。
 2.調査の進め方でございます。
 調査対象物質につきましては、担当部署から要望をもらいまして、一昨年のこの専門委員会におきまして、このような物質を調査することについてのご評価等をいただき、実施しているところでございます。
 調査の内容といたしましては、ア.初期環境調査、イ.詳細環境調査、ウ.モニタリング調査とございます。
 まず、ア.初期環境調査でございます。こちらは16物質を調査対象としております。
 2ページをご覧いただきまして、イ.詳細環境調査でございます。こちらは11物質群を実施しております。
 ウ.モニタリング調査でございます。こちらでございますが、当モニタリングにおきまして対象といたしますPOPs条約対象物質群は16物質群でございますが、このうち、国内使用実績があっても近年の濃度変化が見られない物質や国内の使用実績がない物質等につきましては、調査頻度を3年または6年に1度とする化学物質環境実態調査のあり方に関する検討会でのご意見を踏まえ、平成22年度は、この16物質群のうち11物質群を調査しております。
 さらにPFOA、いわゆるペルフルオロオクタン酸などの4物質群を加えました計15物質群で、このモニタリングを実施したところでございます。
 続きまして、3.調査結果でございます。
 まず、初期環境調査の結果でございます。
 2ページのア.にその概要を記載してございます。
 平成22年度は、水質、底質及び大気について調査しております。
 具体的な結果につきましては、5ページの別表1に記載がございますので、そちらをご覧いただければと思います。
 この表は過去の調査結果も含んでおりまして、平成22年度の結果は太字にて記載させていただいております。
 媒体別にご説明いたしますと、水質につきましては、物質調査番号で申しますと1番、2番、8番、10番、14から16番の7調査対象物質を行っております。いずれも今回初めて調査を実施しているところでございます。そのうち15番のペンタナールのみが検出されているという結果でございます。
 底質につきましては、物質調査番号で申しますと4番、5番、7番、11番、12番の5調査対象物質を行っております。そのうち4番の2,4-キシレノールが過去に調査した物質でございますが、今回初めて検出されているという結果でございます。
 大気につきましては、同様に番号で申しますと、3番、6番、9番、13番の4物質を対象としております。いずれの物質においても検出されているという結果でございます。
 3番、6番、13番に※が振ってございますが、こちらは排出に関する情報を考慮した地点において調査を実施したものでございます。
 以上が初期環境調査の結果でございます。
 次に、イ.詳細環境調査の結果でございます。
 2ページに結果概要を記載しております。
 平成22年度は、水質、底質、生物及び大気について調査しております。
 具体的な結果につきましては、6ページの別表2をご覧ください。
 この表も、先ほどの初期と同様、過去の調査結果を含んでおります。平成22年度の結果は太字にて記載させていただいております。
 媒体別にご説明申し上げますと、水質につきましては、物質調査番号1番、4番、5番、7番から10番の7調査物質を対象としております。そのうち、1番の酢酸エチルを除く6物質群が検出されているという結果でございます。このうち4番、5番、9-1番につきましては、初めて調査をいたしまして、検出されています。過去に調査したときに不検出で今回初めて検出されたものが8番と10番の物質になっております。
 底質につきましては、3番、5番、6番の3物質を調査いたしました。そのうち5番と6番の2物質が検出されているところでございます。
 生物につきましては、3番と5番を行っております。このうち5番の物質が、今回初めて調査をして検出されているところでございます。
 最後に、大気でございます。大気は2番と11番について調査したところ、いずれも不検出という結果になっております。
 先ほどもございましたように、こちらでは11番の物質について※がついております。こちらは排出に関する情報を考慮した地点で実施いたしましたが、不検出という結果でございます。
 続きまして、ウ.モニタリング調査でございます。
 モニタリング調査の結果につきましては、3ページにその概要が記載してございます。モニタリング調査は、[1]の毎年継続的に調査を継続している物質と[2]のその他の物質と分けておりますので、それぞれ分けて説明させていただきます。
 検出状況につきましては、7ページの別表3-1に水質・底質、9ページの別表3-2に生物・大気について記載しております。
 まず、[1]毎年継続的に調査を実施している物質といたしまして、7ページの物質調査番号1番、2番、6番、7番、8番、11番の6物質群がございます。
 8ページの(注1)に記述しておりますが、物質調査番号が抜けている3番のアルドリン、4番のディルドリン、5番のエンドリン、9番のトキサフェン類、10番のマイレックスにつきましては、先ほど調査の進め方のところでご説明いたしましたとおり、調査頻度を見直した物質群でございまして、平成22年度には調査を実施しなかったところから、このような表となっております。
 調査の結果でございますが、水質及び底質につきましては、濃度の地域分布を見ますと例年どおり、人間活動の影響を受けやすい地域で総体的に高い傾向を示すことが比較的多く見られました。
 生物につきましては、人口密集地帯近傍の沿岸域の魚で高目の傾向を示しているところでございます。
 大気につきましても、一部物質を除きまして、温暖期及び寒冷期の2回測定しております。いずれの物質群についても例年どおり、温暖期のほうが寒冷期よりも全国的に濃度が高くなるといった傾向がございました。
 さらに、これらの6物質群につきましては、統計学的な手法による経年変化の解析結果を11ページの別表3-3から13ページの3-5に示しております。別表3-3が水質、別表3-4が底質、別表3-5が生物及び大気を示しておりますが、平成14年度から22年度の分析結果については、いずれの媒体においても総じて横ばいまたは漸減傾向にあると考えております。
 次に、毎年継続的に調査を実施している物質以外の物質、いわゆる[2]その他の物質でございます。具体的には、7ページの12番、クロルデコンから8ページのトリフェニルスズ化合物でございます。
 7ページから8ページにつきましては、水質及び底質の検出状況、9から10ページにつきましては生物及び大気の検出状況をそれぞれ示しております。
 水質・底質につきましては、物質調査番号12から17番、19番、20番の8物質群を調査しております。その結果、水質におきましては13番のヘキサブロモビフェニル類以外のすべてが検出されているという結果でございます。
 また、底質につきましては、すべて検出されています。
 生物につきましては、水質などと同様の8物質群を調査しております。その結果、物質調査番号12番、13番以外の6物質群について検出されているところでございます。
 大気につきましては、12番から18番の7物質群を調査いたしました。その結果、12番、13番、18番以外の4物質群において検出されているという結果でございました。
 4ページに戻っていただきまして、4.調査結果の活用でございます。
 結果でございますが、「化学物質と環境」いわゆる黒本に最終的にまとめまして、ご要望いただいた各部署に返しまして、そちらのほうで活用されることが期待されるところでございます。
 また、これらの調査結果につきまして、あらかじめ精査、それから解析などを行っていただいております。14ページ、15ページにございますような検討会におきまして、結果の精査、解析を行っていただいた上でこの場に上がってきているという状況でございます。
 以上が平成22年度の調査結果の概要案でございます。
 続きまして、資料2-3、平成23年度の進捗状況についてご説明させていただきます。
 平成23年度、いわゆる今現在、実施している調査の進捗状況でございます。
 平成23年度におきましても引き続きまして、平成22年度と同様に、初期、詳細、モニタリングという3つの体系で実施しております。昨年同様、一般環境中において排出に関する情報も考慮しながら実施しているといったところでございます。
 2.精度管理でございます。
 初期、詳細につきましては、複数の分析機関が同一の化学物質の分析を行いますので、どうしてもバイアスないし、それぞれのバラつきがございますので、いわゆる共通の標準試薬を配付するとともに、ラウンドロビンを用いて精度管理を担保しているところでございます。
 また、モニタリング調査につきましては、分析機関が年度によって変わる可能性があるところから、こちらも継続性をどうしても確認しなければいけないということで、国立環境研究所のご協力をいただきまして、当該分析機関において有識者が立入検査を行うなど、精度管理の確認に努めているところでございます。
 調査対象物質につきましては、2ページから4ページにそれぞれ初期・詳細・モニタリング調査について書かれております。
 続きまして、資料2-4、平成24年度の実施方針案でございます。
 平成24年度以降の調査でございますが、こちらも初期・詳細・モニタリングという3体系で実施することといたしまして、調査対象物質選定につきましては化学物質施策・対策をとります部署の方々から個別に要望いただいて、調査を実施するという方針でございます。
 まず、過去にご要望のあった物質ですが今回新たに分析法の開発に着手したという物質を、2ページ、3ページの表にまとめております。また、いわゆる化審法や環境リスク初期評価などの部署から新たに要望いただいた物質が、4ページから6ページの表にございます。
 以上で差し支えなければ、この物質、この媒体で調査を進めさせていただきたいと考えているところでございます。
 資料2に係る説明は以上でございます。

○櫻井委員長 結果をとりまとめるに当たりまして、専門家から構成される検討会議で別途精査、解析等をしていただいているということでございます。そしてこの委員会におきまして、この後、評価していただくわけですが、その前に、それぞれの会議で座長を務められた白石委員、中杉委員、柴田委員から、補足説明などございましたら一言ずつご発言をお願いします。
 まず、化学物質環境実態調査結果精査等検討会及びモニタリング調査の結果に関する解析検討会の座長を務められた白石委員からご発言をお願いできますでしょうか。

○白石委員 検討経緯等をご紹介いたします。
 精査検討会では、これは数年間やっておりますけれども、レポートの提出が大分早くなってきまして、検討はスムーズに進むようになっているんですが、今年度は特に幾つか問題点がございました。
 今、ご紹介ありましたように、分析法というのを白本という形で提示しているんですけれども、それに調査機関が独自に判断を加えることがございまして、幾つか再測定とか、そういったものがございました。具体的には、前処理を少し短縮するとか、測定時間を短縮するといったことがございまして、それによって結果同定が間違いであったというケースが見受けられまして、再測定をお願いしております。それは適切に再測定されたと思いますけれども、こういった分析法を調査機関に与えるときにそれなりの注意等を喚起しておいていただくと、このような手間がなくなるのかなと思います。
 もう一つ、モニタリングのほうですが、これは、少し申し訳ないんですが、毎年試行錯誤している状況でございます。今年度は正規性を仮定しないで統計解析ができるような方法を採用いたしました。最尤法というものを用いまして、直線減少傾向があるかないかを判断しています。
 資料2-2の188ページあるいは190ページに、今年度用いた方法が示してありますので、これをご覧いただくとよろしいかと思います。
 減少は、すべて減少傾向です。統計解析によって、それぞれ有意であるかどうかという判断が若干異なりますが、今年度はこういうことをやりました。地点間それぞれの特性がございますので、それをどのように判断していくかという課題がまだ若干ございますが、次年度は、そういったことを加味しながらもう一回検討してみたいと思っております。
 また、鳥に関しては調査方法自体が変わりまして、今まで5検体だったんですが、1検体になってしまいました。今回は、それを統計解析に乗せるのは少し問題があるということもございまして、今年度はやっておりません。

○櫻井委員長 続きまして、初期環境調査及び詳細環境調査の結果に関する解析検討会の座長を務められた中杉委員から一言お願いいたします。

○中杉委員 例年どおりの解析を行いまして、結果としては大体同じようなことなんですが、事務局からご説明があったように、今年は、排出源を考慮した調査地点を選んだことが新しいことです。そういうことについて少しコメントしておきたいと思います。
 資料2-1の5ページ、6ページで言いますと、初期の3番、6番、13番、詳細の11番の4物質について、排出源を考慮して調査を行っています。初期の3物質についてはいずれの地点も、これは当然予想されたことでございますけれども、排出源を考慮した調査地点のほうが濃度が高くなっております。詳細の11番、ジイソシアネートにつきましては全体が不検出だったので、発生源周辺が高いかどうかはわかりませんでした。
 特にこの中で注目していただきたいのは、ε-カプロラクタムです。これは過去にも調査を行っていまして、5ページの表だけ見ていただくと、過去の調査と現在の調査の結果はほとんど変わらないところですが、実は今回、排出源の周辺を調査した結果を除いて過去と比較できる調査地点を見ていくと、恐らく過去よりも低いだろうということがわかりました。そういう意味でいくと、やはり排出源を考慮した調査は非常に重要であることが改めて明らかになりました。
 ただ、この排出源を把握することが非常に難しくて、PRTRの対象物質については排出源の把握ができますので、今回はそういう物質についてやったということでございまして、これはある程度限られてまいります。それ以上のことは今のところできないんですが、今度は化審法のほうで製造、処理の届出が出てきます。その情報が使えると、たくさんつくっている所の周辺が調べられるんですが、残念ながら、そういった個別の事業所の情報は今のところ出てきそうもないので、ここのところをどのようにしていくかが一つの課題かと考えます。

○櫻井委員長 続きまして、POPsモニタリング検討会の座長を務められた柴田委員からご発言をお願いいたします。

○櫻井委員長 ありがとうございました。
 続きまして、初期環境調査及び詳細環境調査の結果に関する解析検討会議の座長をお務めになった中杉委員からご発言をお願いいたします。

○柴田委員 それでは、ご報告いたします。
 POPsモニタリング検討会では、特にデータの継続性に関するところでの精度管理に力を入れて審議を行っております。
 まず1つは、今年度の測定結果については、水、底質を測定する機関と生物を測定する機関がそれぞれ入札の結果、交代しているという事情がありましたので、データの継続性の確認として、1つは、先ほどご紹介がありましたように、施設の立入検査をしております。もう一つは、過去に測定されて試料が保存されているものについて再測定をお願いして、データを比較するということをやっておりまして、その範囲では、特段大きな問題は認められませんでした。まずそれをご報告いたします。
 その一方で、実際の分析結果で幾つか気になるところがございました。
 大きなポイントとしては、実際にストックホルム条約そのものについて、当初の12物質から現在では22物質、さらに追加されそうな状況になってきておりまして、今、急速に対象項目が増えてきております。一方では、見直しの結果として過去のものについては少し減らしているんですけれども、実はモニタリングの当初の段階で、なるべく効率的にやろうということで10物質については非常に体系的に分析する方法をつくっておりまして、その結果として、逆に言うと、その中から一つ二つを除いても全体の枠としてなかなか崩せずに、その分を他の分析に回せないというところがございます。その一方で新しい物質が加わってくると、結局もとにとった試料の一部を新しい物質のために分けて、当初の物質についてはより少ない試料量からスタートするしかないという形になってきておりまして、この状態でどんどん項目が増えていくと、やはりどこかの段階で体系の見直しをしないと、分析法としては、例えば大気のように1回の測定でとれる試料量が限られていると、その分の、例えば昔であれば10割を10物質の測定に使えたのが、現在ではそのうちの7割しか使えずに、残りは新しい物質のために使うといった状況になってきておりますので、どこかの段階で一旦見直しをしないとなかなか厳しいのかなという印象を持っています。
 実際のデータを見てみますと、やはりちょっとそこら辺で、特に濃度レベルの低いところで以前に比べて少し問題があるのかなというところが出てきております。また、追加物質の中には、つい最近まで工業製品として使われてきているようなものも含まれておりますので、例えばサンプラー由来の汚染、もう既に実際、起きてしまっているわけですけれども、それが今後、問題にならないかどうかの精査も行っていますけれども、過去に製造されたものまではなかなか確認できなくて、実際のデータを眺めてみると少し懸念されるような状況が続いておりまして、その辺り、また精査を続けていきたいと思っています。

○櫻井委員長 ただいまお三方から補足説明がございました。それも踏まえ、資料及び説明内容に関してご質問、ご意見等がありましたら、どうぞご発言をお願いします。

○中杉委員 私が説明したのに質問してはいけないので、他の部分でございますけれども、資料2-4に、新たに分析法開発に着手した物質というのがございます。そのうち3ページの22番、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)について、どういう理由で新たに分析法を開発する必要があったのか。
 これは水のほうでは要監視項目になっていまして、一応公的にといいますか、分析法は一応確立されていると考えられて調査されている物質のはずですね。新たな分析法を解析したときに、それとの整合性がどうなってくるのか、どういう事情でこれが入ってきたのか教えていただけませんか。

○事務局(環境安全課) フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)でございますが、化審室のほうから要望が出ておりまして、いわゆる1,000トン以上の製造・輸入実績があり、平成22年度以降に実施する評価において直近3年間のばく露データがないところから、調査を希望しているといったところでございます。

○事務局(環境安全課) 補足いたしますと、こちらの物質は、生態毒性の情報から仮にPNECを求めて、それにさらに係数を考慮することによって要求下限値を出しておりますので、従来の健康影響の観点から求められたと考えられます要監視項目の指針値とは別の、より厳しい要求検出感度が求められたものだと理解しております。

○櫻井委員長 そうですね、要求下限値の問題ですね。

○遠山委員 1つは、今回、排出源を考慮したサンプリングをしているということですが、具体的にどういうクライテリアでどの物質をサンプリングしたか、書類上どこかにちゃんと明示しておいたほうが、来年度以降フォローする上でも適切だと思うので、どこかに書いてあればいいんですが、それをお願いしたいというのが1点です。

○櫻井委員長 今の件は、確かにどこにも書いていないですね。

○事務局(環境安全課) 先生のおっしゃるとおり、どこにも記載がございませんので、本文のどこかにこの情報を記載したいと思っております。

○櫻井委員長 概要版にも載せたほうがいいですかね。それとも本文のほうに。

○遠山委員 私は詳細版でも別に、どこかに書いてあればいいと思っているんですが。

○事務局(環境安全課) 黒本のどこかに追記いたします。

○櫻井委員長 そうですね、黒本のほうに。では、そういたします。

○遠山委員 第2点は、白石委員からご説明があった経年分析のことで、これはサンプリングの場所等にも関係してくるんですが、例えば資料2-2の188ページ、下から4行目の[2]に各測定結果が持つ母集団の分布に従って」と書いてあるんですが、実際に、先生もおわかりの上で言われていると思うんですが、これはかなり、例えばPCBだったか何かもNDから何万といったレベルまでかなり幅がある数値なので、特定の地点で、そこをずっと経時的に見ているならそれはそれでわかるんですが、数十カ所ある異なる地点、それもNDからかなり高い値を平均して経時的変化を見ても、どの地点のサンプルが入ってくるかによってこの値そのものが変わってくるので、全体として見ると何となく減っているというのは、感覚的にはそう思うのですが、方法論としては、もうちょっと何か納得のいく方法を提示していただいたほうがいいのかなと思って聞いていたんですが、いかがでしょうか。

○白石委員 おっしゃるとおりで、高濃度の地点もあるし低濃度の地点もありますが、このモニタリング調査の目的自体が全国レベルでどう減少しているかというところがあるので、すべてのデータを集めて、それで経年変化を見ています。ただ、地点間で見れば、その地点それぞれに対して減少傾向が明らかに認められるところもございます。そこは出していないんですが、そういった地点のものを含めて全体を解析できるような方法があるかないか、あるいは何かパラメーター化して「高濃度地点はこうだ」というような解析もあるのではないかという議論は進んでいるんですけれども、まだ具体的に「こうしたらいい」というものが出ていない状況です。

○遠山委員 同じ地点でサンプリングしていたのかどうか、私ちょっとわかりませんが、仮にしていたとして、同じ1つの地点で30年間にわたってモニタリングしていたとすれば、その傾向を各地点ごとに見て、そして全体として減ってきていますよ、あるいは総体として見て、日本全体として減ってきていますよというのは、それはそうかなとも思うのですが、繰り返しになってしまいますけれども、あまりに幅のあるデータで、日本全国の数十カ所なら数十カ所のデータを平均してというのは、まずその発想からして何となく、私は統計はよくわかりませんが、何となく、それでやるとまずいのではないかと思いますが。

○佐藤委員 恐らく今の話は方法論の問題ではなくて、測定点の数とかバラつき等がこの方法論を適用するのに適しているかどうかという話だろうと思うんですよ。その数が少なかったり分布に何か変な傾向があったり、どこかに集中していたりうまくバラついていないと、すごく誤差が出てしまうかもしれないよ、そういう話だろうと思うので、方法論の検討というよりも、むしろ何というんですか、サンプリングの地点みたいなものを決めるストラテージを考えた上で、これを適用するかしないかという話ではないかと思うんですけれども。
 だから、そういうサンプリングができているかどうかですよね。もしできていればこういう方法論でいいと思うし、そうでなければ別な方法論を考えなければいけないということだろうと思いますけれども。

○中杉委員 遠山先生が言われたように、これが平均でやって傾向を見ているのかどうかわかりませんけれども、平均をとられたときに、どういう平均をとられたかが非常に重要だと思うんですね。単純な算術平均だと一番高いデータでほとんど決まってしまうことがあり得るので、もしそういうやり方をするんだったら、できれば幾何平均をとるか中央値をとったほうがいいと思いますけれども、それはどちらなんでしょうか。

○白石委員 平均は、とっていないんです。全部のデータを使ってその傾向を眺めるということをやっていますので。
 あと、ブーストラップのほうは過去のデータと直近のデータ、それの平均を比較して、有意差があるかないか印をつけているということです。

○遠山委員 その件は一応わかりました。
 あと、PCBの場合ですとかなり、ちょっと今、具体的な数字がすぐ出てきませんが、ゼロから20何万だったか、要するにかなり高い値が出ているわけですが、むしろ化学物質の実態調査をするという観点から見ると、むしろ高い所に着目をして、今後はそこについて詳細に、経年的に調べるとか、低いところはあまり問題にする必要はないと思うのですが、そういう考え方はないんでしょうか。

○白石委員 地点の選定については私、関与していないので。どういった視点でその地点を選んだかを示す必要はあるのではないかとは思いますが。

○中杉委員 今の遠山委員の意見に対してですけれども、この黒本の調査自体がどういうものだと考えるかという、考え方の問題だと思うんですね。高い地点というのは、今回の調査で把握できている所以外にもたくさんあるわけで、そういうものがあるとすれば、その地点の個別調査を別に仕組むべきだろう。高い所も低い所も全体に見ていくというのがこの調査の趣旨だろうと思いますので、いわゆるそういう考え方でやっていくのが適当ではないかと私は思います。

○柴田委員 もしかしたら環境省のほうからお答えいただいたほうがいいのかもしれませんけれども、モニタリング調査で見つかった高濃度地点については、やはりこちらも気にしておりまして、いろいろ意見交換をした上で各自治体にフィードバックをして、例えば、あまり実名を挙げないほうがいいと思いますけれども、少なくともPCBの一番高い数字を出している場所については、その同じ市内で別のサンプリング地点を選んでいただいて、並行してデータをとってもらうということもしています。そういうことをすると、やはり非常に局所的な影響を見ている可能性のほうが高いかもしれないという情報が一応出ております。ただ、それ以降その場所で継続するのか、場所を移すのかという議論については、こちらも関与できていないという状況であります。
 もう一つの別の場所で、今度は底質のほうで非常に高い数字が出て、しかも年度によって1桁数字が変わるような所もございます。そちらも、やはり地元の自治体にお願いをして詳細を調査していただいた結果としては、やはり何か原因がありそうだということが見えてきているというところまでは追いかけております。

○早水環境安全課長 いろいろご指摘ございました点に私から幾つかお答えしたいと思います。
   まず、統計的な手法につきましては、今日のご指摘も踏まえまして、来年度以降どうするか、また検討したいと思いますが、基本的には、188ページに説明がありますけれども、継続して調査を実施している地点のデータを集めているので、そういう意味では、グループとしては一応継続ということになっている。ただし、遠山先生からご指摘があったように、その中で特に高い地点について見たほうがいいのではないかとか、個別に見たほうがいいのではないかというご指摘はあるかと思いますので、その辺り、統計の先生方にも加わっていただいておりますので、その辺り、個別に見たほうがいいかトータルで見たほうがいいかについては、改めてこの検討会の中で来年度以降、ご相談をして決めていきたいと考えます。
 それから調査地点ですが、その中で、今、個別のデータで高い地点があったりすることについては、先ほど遠山委員からご指摘があったように、従来の黒本調査というのはどちらかというと残留という形で、バックグラウンドといいますか、薄まっている所といいますか、そういう場所を調査していましたけれども、特に初期調査については、PRTRの結果などもあるので、やはり排出近傍で検出するかどうかをある程度見たほうがいいのではないかということで、少し高目に出る地点も選ぶことになりましたので、多分今までよりも、個別のデータについての解析とか、検討とか、そういうものが要るのではないかと思います。
 ですから、柴田委員からもご指摘があったように、個別のデータについて、何かあったときには、そのデータが持つ意味をもう少し検討していく必要が、多分、従来よりは出てきていると思いますので、その辺りに留意したいと思っております。

○岡田委員 先ほどの柴田委員のご説明と、今の課長の説明である程度理解したんですが、資料2-1の4ページの最後に、調査結果の活用ということで「化学物質対策関連部署、関係省庁及び地方公共団体等において活用される」と。具体的にどういうふうに活用されていて、その活用の結果、先ほど柴田委員がおっしゃったことは非常によくわかったんですが、調べてみたらすごく高かった、自治体と協議して次のステップに行くというような、この報告書だと「活用される」で終わってしまっていて、その先どうなっているか、その活用された内容をどうやって次に反映していくのか。
 例えば、排出源に考慮して測るように少し方向転換することは妥当だろうと思うんですが、そういうことを続けていって、もともとの関係部署のご要望に応えているのか、その辺のフィードバックのメカニズムがどうなっているのか教えていただければと思います。

○早水環境安全課長 要望もとはいろいろございまして、化審法の関係であったり、あるいは初期リスク評価のデータとして使ったり、あるいは大気、水の各部局でそれぞれ環境中の指針値といったものに入れていくかどうかを検討するのに多分使われることになろうと思います。
 フィードバックのメカニズムは、正直申し上げて、今のとこはありません。個別のデータについて当方で確認はでできますけれども、関係各部局へのフィードバックについては、今のところそういう仕組みがない状況でございます。その辺りは確かにご指摘のとおりで、我々としても、従来の黒本は自分のところで評価して、例えばこの委員会で評価結果を、水質のリスク評価のようなもので公表していましたけれども、今の調査体系では、どちらかというと頼まれた部分だけ調査をして「あとはよろしく」という形になっておりますので、その辺り関係部局とも相談をして、フィードバックの仕組みができるかどうか検討したいと思います。

○戸田環境リスク評価室長 今回の結果につきましては、できる限り環境リスク初期評価でも使わせていただくということをやっておりまして、資料2-1の6ページを見ていただきますと、別表2として詳細環境調査の結果がありますが、この中で、1番、2番、4番、10番、11番の5物質群につきましては、今回の環境リスク初期評価のとりまとめにおいても使う努力というはしております。
 そういう形で頑張っておるということで、ご理解いただければと思います。

○中杉委員 今、岡田先生がご質問の件は、前にも私が物質選定の委員会をやっていたときに申し上げたことがあるんですが、やはりこれは各部局から要望を出されているわけですから、要望をもらって答えを出したら、それをどう扱ったかという回答をもらうのがいいんだろうと思うんですね。これは、初期リスク評価も後の話になりますけれども、これも全部、全部というか、ほとんどが要望で、リスク評価室が自分たちで何かやるということで始めているわけではない。これは実態調査も含めて要望箇所があって、そこで結果を出したら、それをどう評価しているんだということ。要望を受けて、どうなんだと。リスク評価室は、今、データが出てきたらできるだけ早くやるようにということで評価はしていますけれども、そのような仕組みをつくったらいいのではないかと思います。
 もう一つは、要望部局が比較的軽い気持ちでやることがよくあるんです。そういうことでは困るわけで、そこら辺をしっかり精査して要望してもらう必要がある。そういう意味で、それは返したらどういうふうに使っていて、どういう結論を出したのかを回答してもらう仕組み、これは当然つくっても問題ないと思いますので、そのようにしていただければよろしいのではないかと思います。

○櫻井委員長 他に何かございますか。
 今のフォローアップの問題は、前のこの会議でも数度出て、必ずそういった問題意識はついて回ることだと思います。この会議としては、やはり何とかそういった方向でご努力をいただければ幸いだという意思を表明させていただきます。
 それから、このように、だんだん形を変えながら一生懸命検討されてきているわけでありまして、サンプリングの方法とか測定の方法等、その時々の要望事項がございます。今日も幾つかご指摘がございましたが、それにつきましては、また次年度に向けてご検討いただけるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最初の議題につきましては資料2-1の調査結果概要版、これは案だったと思うんですが、「(案)」をとって概要として発表するということでご了解いただけますでしょうか。

(異議なし)

○櫻井委員長 ありがとうございます。
 それでは、これはこのまま発表へ回すということで結論を得させていただきました。
 次に議題2、化学物質の環境リスク初期評価、いわゆる「グレー本」の第10次とりまとめについてです。
 まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局(環境リスク評価室) 資料3-1「環境リスク初期評価の推進状況について」でございます。
 ホチキス止めの資料と、その後に「3-1-5」と小さくページを振ったもの、あと「3-1-6」とページを振ったホチキス止め、この3つが資料3-1のセットになります。
 では、まず3-1-1ページ、1.化学物質の環境リスク初期評価についてでございます。
 ここでは化学物質の環境リスク初期評価の趣旨を説明しているところでございまして、化学物質の環境リスク初期評価とは、評価対象とする化学物質について、[1]人の健康及び生態系に対する有害性評価に加えまして、2行目の[2]人及び生態系に対する環境経由のばく露評価を行います。そして、3行目の[3]、[1][2]両者の結果を比較することで、評価対象である化学物質の環境リスクの評価を判定するものでございます。
 2段落目ですけれども、環境省では、環境リスク管理のための施策を念頭に置きつつ、多数の化学物質の中から相対的に環境リスクが高そうな物質をスクリーニングするために、健康リスク及び生態リスクの相互を評価する環境リスク初期評価を実施しているところでございます。
 3段落目以降、健康リスク初期評価と生態リスク初期評価について説明しておりますけれども、これらの評価は「初期評価」という名のとおり、スクリーニング的な評価でありまして、現在、私たちを取り巻いている様々な化学物質につきまして、環境省としてさらなる検討が必要かどうか、また、当面静観しておいていいものかどうか、こういったことを判定するものでございます。
 ここで、環境リスク初期評価の判定に当たりましては、環境省の立場として、リスクを見逃すことのないよう基本的には安全側に立ったリスク評価の手続を採用しているところでございます。
 次に、2.これまでの推進状況についてでございます。
 環境省では、平成9年度より化学物質の環境リスク初期評価に着手いたしまして、これまで9次にわたりとりまとめを行ってまいりました。物質数に関しましては、健康リスク及び生態リスクの双方を評価する環境リスク初期評価を行った物質は、183物質に上ります。他方、資料3-1の文章では「追加的に実施」したと記載しておりますけれども、生態リスクのみの評価が行われている物質、こちらは99物質に上ります。
 また、これらの評価結果に関しましては、通称「グレー本」という冊子にまとめまして、公表させていただいているところでございます。
 なお、これまでの評価の概要に関しましては、3-1-6ページ以降に「別添参考」として、健康リスクと生態リスクの別に各巻ごとに整理しておりますので、ご参考にしていただければと思います。
 次に、3.第10次とりまとめについてでございます。
 まず(1)概要でございます。
 今般、公表予定の第10次とりまとめにおきましては、平成21年度に初期評価に着手した物質等を対象に、健康リスク及び生態リスクの双方を評価する環境リスク初期評価を行った物質として17物質、生態リスクに関する評価を行った物質として2物質についてとりまとめをいたしました。
 3-1-2ページをご覧ください。
 (2)物質選定についてでございます。
 これらの物質の選定に関しましては、環境省内の関係部署や専門家の先生方から、各々の施策や調査研究において環境リスク初期評価を希望する物質を募集いたしまして、その中で優先度の高いものから選定するニーズ方式を基本としております。また、環境モニタリング調査の結果において検出率が高かった物質の中から専門家の先生方のご意見を頂きながら追加選定した物質、こういったものも評価の対象に含まれております。
 さらに、初期評価が行われた物質のうち、ばく露情報、有害性情報の収集の必要性が提言された物質で新たにそれらの情報が得られた物質のうち、評価結果が変更される可能性がある物質につきましては、再評価を行いまして、公表しております。
 これらの評価に係る物質は、3-1-3ページの表1及び表2に整理いたしております。これは後ほど詳しく説明させていただきます。
 3-1-2ページに戻りますけれども、図1は、これまでのとりまとめの進捗状況をお示ししたものでございます。
 次に、3-1-5ページをご覧ください。とりまとめの検討体制でございます。
 横長の図になっておりますけれども、全体のとりまとめといたしまして、環境リスク評価委員会企画委員会を設けまして、内山先生に座長をお願いしてとりまとめをいただいているところでございます。
 さらに、企画委員会の下には左より順にばく露評価分科会、健康リスク評価分科会、生態リスク評価分科会を設置いたしまして、ばく露評価分科会は中杉先生に、健康リスク評価分科会は内山先生に、生態リスク評価分科会は楠井先生にそれぞれ座長をお願いして、とりまとめをいただいたところでございます。
 次に、資料3-2「化学物質の環境リスク初期評価ガイドライン(平成23年12月版)」でございます。
 この資料は、環境リスク初期評価の手法を明らかにしているものでございますが、昨年この場でお示しした内容から修正した点がございますので、簡単に説明させていただきます。
 まず、修正した点の1点目でございます。3-2-7ページをご覧ください。
 上から10行目に2)人に対するばく露の推定とございます。さらにその下、[2]一日ばく露量の算出にイ.1日ばく露量の算出式とございまして、その中の3つ目の「・」土壌からのばく露量の部分で1点修正を行いました。
 土壌の1日摂食量といたしまして0.11g/dayという値を採用しておりますが、従前は0.15g/dayという値でございました。この値に関しましては、当初、大人と子供の1日土壌摂食量の平均値として採用しておりましたが、他のリスク評価手法との整合性を図りまして、これをヒトの生涯平均値として設定し直したところでございます。
 同じく、3-2-7ページの下から5行目、[3]ばく露量の評価ですが、3-2-8ページに参りまして上から9行目に「評価にあたっては、自然由来の可能性や用途等に留意する」という一文がございます。また、次の行の3)水生生物に対するばく露の推定の[2]予測環境中濃度の評価の最後にも、「評価にあたっては、自然由来の可能性や用途等に留意する」と同様の一文を追加させていただいております。
 この部分ですけれども、ばく露の程度を評価する際、自然由来ですとか一定の用途で既に使用されている化学物質があれば、そもそもバックグラウンドとして環境中に存在することになりますので、そのような状況を踏まえた上でばく露の評価を行うことが適切であることを示したものでございます。
 少し飛びまして、3-2-26ページをご覧ください。
 別添1、「化管法に基づく排出量データを用いた環境中濃度の推定について」の1、大気濃度の推定方法の最後の文章でありますけれども、「排出事業所近傍の高濃度推定では、排出事業所より1km以内の除外を基本とする」とありますが、当初、ここには「1km以内の除外を基本としつつ、住居等の存在状況を考慮して個別に判断する」と書いてありました。しかしながら、初期評価の段階から、住居等の状況を考慮して個別に判断しなくてもいいのではないかという考え方から、修正を行わせていただいたものでございます。
 最後の修正点でございますが、3-2-30ページになります。別添3「環境中で分解性や反応性が高い化学物質の環境リスク初期評価について」を追加させていただきました。
 この別添3に関しましては、今回、評価対象となった物質にイソシアネート系の物質が含まれておりますので、このような環境中での分解性や反応性が高い化学物質のばく露評価、有害性評価を行う際の基本的な考え方を整理いたしまして、ガイドラインの別添としてとりまとめたものでございます。
 まず、ページ中ほどのⅠ、ばく露評価でございますが、ばく露情報は、初期評価対象物質の情報を収集するということで整理いたしております。その際に得られる環境実測データに関しましては、分解性を考慮し、測定方法や分析方法が信頼できるものかどうかを精査するという立場に立ちます。
 そしてばく露の推定は、精査された信頼できる環境実測データに基づいて行うというふうにいたしました。
 次に、Ⅱ、有害性評価でございますが、もともと分解性や反応性が高い物質が前提でありますので、評価対象である親物質そのもののばく露を反映した有害情報が得られない場合には、有害性評価を行わないこととしております。
 また、なお書きですけれども、親物質を被験物質とした有害性に関する知見があれば、参考情報として記載いたしまして、必要に応じて、分解等の際の生成物である子物質の評価を提言する。
 このようにリスク評価を行っていきたいということで、まとめたものでございます。
 次に、資料3-3「化学物質の環境リスク初期評価(第10次とりまとめ)の結果の概要(案)」でございます。
 本資料は、本専門委員会の終了後にと考えております公表資料をイメージしたものでございます。
 構成は昨年度と同様でございますけれども、内容について簡単に説明させていただきます。
 まず、1.はじめにでございます。
 時間の関係で詳しい説明は省略させていただきますが、ここでは環境リスクの定義と、その科学的、定量的な評価を行うことで必要に応じた環境リスク低減のための対策の必要性を述べています。
 次に、2.環境リスク初期評価の概要でございます。
 まず、(1)実施主体についてであります。
 環境リスク初期評価に関しましては、環境省環境リスク評価室が平成9年度から、国立環境研究所環境リスク研究センターの協力を頂きながら作業を行ってきているものであります。そして、とりまとめに当たりましては中央環境審議会の環境保健部会化学物質評価専門委員会でご評価いただきまして、その結果を9次まで公表させていただいているところでございます。
 次に、(2)位置付けでございます。
 環境リスク評価の位置付けにつきまして、ページの下に図を描いておりますので、この図で説明いたします。
 図の中央に「環境リスク初期評価の実施」と枠囲いで書かれておりまして、このリスク評価を実施することで、まず、図の右上の枠囲いにあります関係者の取組の誘導を期待しているものでございます。具体的には、化学物質に関する知見の充実、化学物質の適切な取り扱いの普及、こういったものをイメージしているところであります。
 また、図の下に枠囲いで「規制担当部局におけるより詳細な検討・必要に応じ管理の実施」と書かせていただいておりますが、環境リスク初期評価を実施することで、その結果が大気環境、水環境、化学物質管理の各施策の検討の参考資料となることも期待しておりまして、環境リスク初期評価は、多数の化学物質の中から相対的に環境リスクが高い可能性がある物質を、科学的な知見に基づいてスクリーニングするための初めのステップと位置づけているところでございます。
 次に、3-3-2ページに参りまして、(3)構成でございます。
 環境リスク初期評価は、評価対象の化学物質について[1]人の健康や生態系に対する有害性評価、[2]人や生態系に環境経由でどの程度のばく露があるかを見積もるばく露評価を行います。そして[3]として、[1][2]の有害性とばく露を比較することにより、環境リスクの程度を判定するという仕組みでございます。
 次に、(4)対象物質でございます。
 対象物質に関しましては環境省内の関係部署や有識者の方々のニーズを中心に選定しております。その物質は、資料3-1の表1、表2に整理してお示したところでございます。
 次に、(5)評価の方法でございます。
 資料3-2でご説明した環境リスク初期評価ガイドラインに詳細が書かれているところでございますが、ここではリスク判定の考え方として(参考1)と次のページの(参考2)を示しているところでございます。
 (参考1)リスクの判定(例)でございますが、健康リスクと生態リスクに分けて示しております。どちらも基本的な考え方は同じでございますので、健康リスクを例に説明いたします。
 健康リスクでは、有害性評価といたしまして、評価対象物質の様々な毒性データを収集、精査いたしまして、一定の精査に堪え得る信頼性のある無毒性量や、無影響量等の毒性データについて、それらの最小値から「無毒性量」という指標を設定いたします。また、ばく露評価として様々な環境実測データを精査いたしまして、予測最大ばく露量を算出いたします。そして、その両者の比であるMOEという指標による判定を行っているところであります。
 例えばMOEが10未満というのはどういうことかと申しますと、無毒性量等と予測最大ばく露量が近接しているということで、詳細な評価を行う候補となります。また、MOEが100以上となると、予測最大ばく露量の100倍以上のばく露であっても無毒性量等に届かないということですので、現時点では作業は必要ないという評価になります。
 生態リスクに関しても同様でありまして、健康リスクの予測最大ばく露量を予測環境中濃度─PECに、無毒性量等のほうを予測無影響濃度─PNECに置き換えていただいて、PEC/PNEC比が1以上で、予測無影響濃度を上回る予測環境中濃度のばく露が考えられるため、詳細な評価を行う候補であるという評価になります。
 3-3-3ページ、(参考2)情報収集の必要性に関する総合的な判定でございます。
 ここではリスクの判定結果だけではなく、評価対象の化学物質の製造量・用途、物性などの情報も加味いたしまして、専門家の方々のご意見も頂きながら、さらなる情報収集の必要性について総合的な判定等を行っているということでございます。
 また、これらの初期評価の実施に当たって環境リスクが高い物質を見逃すことのないよう、有害性評価とばく露評価においては常に安全側に立脚した取り扱いを行っているということでございます。
 次に、3.環境リスク初期評価(第10次とりまとめ)の結果の概要でございます。
 (1)対象物質でありますが、環境リスク初期評価について17物質、生態リスク初期評価について2物質の評価を行ったところでございます。  なお、健康リスクの再評価を行った物質は、環境リスク初期評価を行った17物質のうち、4物質でございまして、生態リスクの再評価を行った物質は、環境リスク初期評価を行った17物質及び追加で実施した2物質のうち10物質となります。
 (2)結果でございます。
 環境リスク初期評価でございますが、17物質を健康リスク、生態リスクの別に評価いたします。これを整理しますと3-3-3ページの表のとおりとなります。
 まず、A.詳細な評価を行う候補といたしまして、健康リスクの観点から、酢酸エチルが挙げられております。生態リスクの観点からは、セリウム及びその化合物、ヒドロキノンの2物質が挙げられているところです。
 次に、関連情報の収集が必要という評価に関しましてはB1とB2に細分化いたしまして、B1は、リスクはAより低いと考えられるが、引き続き、関連情報の収集が必要とされる物質でございまして、この物質に関しましては、健康リスクの観点からアクリル酸、セリウム及びその化合物、N-ニトロソジメチルアミン、4,4'-メチレンジアニリン、モノクロロベンゼン、モリブデン及びその化合物の6物質が該当しております。生態リスクの観点からは、アクリル酸、4,4'-メチレンジアニリン、モノクロロベンゼン、モリブデン及びその化合物の4物質が該当しております。
 B2に関しましては、MOEやPEC/PNEC比が求められないことからリスクの判定はできないものの、総合的に考えて、関連情報の収集が必要と判断された物質でありまして、健康リスクの観点からは、トリクロロニトロメタン、メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネートの2物質が挙げられております。また、生態リスクの観点からは、トリクロロニトロメタンのみが挙げられております。
 C.現時点では更なる作業の必要性は低いという物質に関しましては、残りの物質となりますが、健康リスクの観点からは、シクロヘキセン、4,6-ジニトロ-ο-クレゾール、1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル)ベンゼン、テレフタル酸ジメチル、ヒドロキノン、6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレンとなります。生態リスクの観点からは、酢酸エチル、シクロヘキセン、4,6-ジニトロ-ο-クレゾール、1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル)ベンゼン、テレフタル酸ジメチル、N-ニトロソジメチルアミン、6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレンという9物質が該当しております。
 次に、3-3-4ページ、(3)追加的に実施した生態リスク初期評価の結果でございます。
 化学物質の生態影響に関しましては、ヒトの健康影響に比べましてデータ等が比較的得やすい状況にありますので、環境リスク初期評価を行う17物質とは別に、生態リスクのみではありますけれども、今回、2物質を選定し、評価を行ったところでございます。
 結果として、Aに分類される物質は6価クロム化合物で、Bに分類される物質はキシレンでございました。B2及びCに分類される物質はございませんでした。
 評価のポイントにつきましては、3-3-6ページ以降に整理しておりますので、健康リスク、生態リスクの順に説明させていただきます。
 まず、健康リスクの判定からA判定となった酢酸エチルでございます。3-3-6ページの一覧表の左端の欄に番号が書いてありますが、その2番の物質になります。
 酢酸エチルにつきましては、資料3-4に詳細に整理いたしておりますが、主な用途といたしまして、塗料ですとか印刷インキ、接着剤、医薬品原料などの溶剤または原料とされております。また、香料として食品添加物にも使用されているものでございます。さらに、本物質は発酵の際に生成いたしまして、動物の排泄物や植物の揮発成分、微生物が自然発生源に挙げられています。
 環境施策上の位置付けとしては、悪臭防止法の特定悪臭物質に指定されているものでございまして、この酢酸エチルの健康リスク評価でございますが、経口ばく露と吸入ばく露に分けて評価を行いました。
 経口ばく露、吸入ばく露とも、ラットへの影響を評価した有害性情報を基に無毒性量をそれぞれ90mg/kg/day、2.3mg/m3と設定いたしております。また、ばく露評価に関しましても、環境実測データ等を精査いたしまして、ヒトの1日予測最大ばく露量を算出いたしますと、経口ばく露側で、淡水におきまして0.015μg/kg/day未満となっております。
 これらの値から求められるMOEは60万超となりまして、予測最大ばく露量に対して無毒性量等の余裕が十分見込めることから、経口ばく露の観点からは、現時点では作業の必要はないという○の評価となっております。
 他方、吸入ばく露のほうですが、一般環境大気及び室内空気における予測最大ばく露量を算出いたしますと、MOEはそれぞれ8.8、1.2となりまして、予測最大ばく露量に対して無毒性量等の余裕が10倍を切っていますので、酢酸エチルは吸入ばく露の観点から、詳細評価を行う候補として評価されてございます。
 このほか、MOEからはリスクの判定はできない、または現時点で作業の必要はないと考えられる物質ではありますけれども、引き続き情報収集を行う必要があると判定された物質につきましては、6番のセリウム及びその化合物、14番の4,4'-メチレンジアニリン、16番のモノクロロベンゼンが挙げられております。
 これらの物質は、ばく露データの収集の必要があるとか、環境中で他の物質から生成する可能性があるとか、化管法に基づく届出排出量を基に推計した環境中濃度が一定程度見込めるといった状況がございますので、こういった状況を考慮いたしまして、専門家の先生方の判断を経て、情報収集を行う必要があると判断されたものでございます。
 次に、3-3-8ページでございます。
 環境リスク初期評価では、過去に評価がなされた物質についても再評価を行っておりまして、健康リスク初期評価について再評価がなされた4物質について、前回の評価結果と今回の第10次の評価結果が対比できるように整理した表でございます。
 再評価の結果、前回の評価結果と異なったものは、表の右から2番目の「総合的な判定」欄に色をつけて示しておりますが、2物質ございます。
 まず、表の左の番号で14番の4,4'-メチレンジアニリンですが、表の右端に「変更概要」にお示ししておりますが、ばく露データの見直しにより、経口ばく露の総合的な判定結果については「現時点では作業の必要はない」という評価から「情報収集等を行う必要性がある」という形に変更されました。
 また、16番のモノクロロベンゼンにつきましては、有害性の知見及びばく露データの見直しを行った結果、一般環境大気においては「現時点では作業の必要はない」という評価結果から「情報収集等を行う必要性がある」と変更されました。室内空気においては逆の形で、「情報収集に努める必要がある」という評価から「現時点で作業の必要はない」という評価に変更されたということでございます。
 次に、3-3-9ページ、生態リスク初期評価の結果でございます。
 表の右から2番目の欄に、今回の評価結果を示しております。
 左の欄の6番、セリウム及びその化合物と10番のヒドロキノン、これが詳細な評価を行う候補という結果になったところでございます。
 セリウム及びその化合物に関しましては、ガラス研磨剤ですとか触媒、ガラス消色剤などに利用されておりまして、環境施策上の位置づけとしては、三硫化二セリウムが旧化審法の第二種監視化学物質に指定されていました。
 また、ヒドロキノンに関しましては、写真の現像薬ですとか染料や顔料の原料、ゴムの酸化防止剤等の用途がございまして、環境施策上の位置づけに関しましては、化管法第一種指定化学物質に指定されておりまして、旧化審法におきましても第二種監視化学物質に指定されております。さらに、有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質として選定されている物質であります。
 この表で、評価結果の欄の左隣にPEC/PNEC比による判定を示しておりますが、判定できなかった物質も含めまして、この判定よりもより慎重な評価結果になった物質がございます。それは8番のトリクロロニトロメタン、14番の4,4'-メチレンジアニリン、16番のモノクロロベンゼン、17番のモリブデン及びその化合物でございます。
 これらの物質につきましては、検出下限値を下げた平均的な環境中濃度の把握の必要があるとか、環境中で他の物質から生成される可能性があるとか、化管法に基づく届出排出量をもとに推計した環境中濃度が予測環境中濃度以上に見込まれるといったようなこと、また、生態影響評価の基本的な生物種である藻類、甲殻類、魚類以外の生物種において、具体的に言うとイトミミズ科の生物になりますけれども、高い感受性を示すものがあるといった理由から、いずれも情報収集に努める必要があるという評価がなされたものでございます。
 さらに、15番、メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネートにつきましては、ポリウレタンの主要な原料の1つとして利用されているところでございますが、この物質は高い加水分解性を有しておりまして、水生生物が本物質を水質からばく露する可能性はないと考えられたことから、資料3-2の別紙3で説明した考え方に基づきまして、本物質の水生生物に対する生態リスク初期評価は行わず、加水分解生成物を対象とする生態リスク初期評価について別途検討する必要があるとされました。
 次に、3-3-10ページ、追加的に実施いたしました生態リスク初期評価の結果でございます。
 追加的に生態リスク初期評価を行う物質は2物質ございまして、キシレンに関しましては情報収集に努める必要がある物質と評価され、6価クロム化合物につきましては詳細な評価を行う物質という評価がなされております。
 特にキシレンに関しましては、ο-、m-、ρ-、異性体ごとに予測無影響濃度を導出いたしましたが、予測環境中濃度については、異性体混合物としての値しかございませんでしたものですから、環境中で検出されるキシレンをすべて1つの異性体と仮定いたしまして、その異性体ごとにPEC/PNEC比を求めると、淡水域ではすべての異性体で詳細な評価が必要な候補という結果が導かれております。
 しかしながら、予測環境中濃度の設定根拠となったキシレンの環境中の検出状況ですとかPRTRデータ等を踏まえた結果、詳細な評価が必要な候補には至らず、情報収集に努める必要がある物質とするのが適切であるとの評価がなされたところでございます。
 3-3-11ページにつきましては、生態リスク初期評価の再評価の結果について整理したものでございます。
 生態リスク初期評価について、再評価なされた物質は10物質ございまして、前回の評価結果を再掲し、今回、第10次の評価結果と対比できるように整理したものでございます。
 なお、左端に環境6と書かれているセリウムに関しましては、第8次の公表で健康リスクのみ評価されておりまして、今回の再評価においては生態リスクを評価しております。
 再評価の結果、前回の評価と異なったものは、同じく評価結果の欄に色をつけておりますけれども、3-3-12ページにかけて8物質ございます。
 当時、生態リスクの評価ができなかった、あるいは行わなかった物質で今回、詳細な評価を行う候補となった物質は、評価結果が■となっているセリウム及びその化合物と、ヒドロキノンの2物質でございます。再評価の結果、情報収集の必要があるとなった物質は、評価結果が▲となっているアクリル酸、4,4'-メチレンジアニリン、モノクロロベンゼン、キシレンの4物質になります。その他の2物質につきましては、再評価の結果、現時点では作業の必要がない物質と評価されているところでございます。
 なお、環境7と書かれたテレフタル酸ジメチルに関しましては、予測環境中濃度を設定できるデータがなかったため生態リスクの判定はできないということになるんですが、この物質の生産・輸入量、PRTRデータ等を勘案いたしまして、新たに情報収集を行う必要性は低いと判断されているものでございます。
 3-3-4ページに戻っていただきたいと思います。
 (4)留意事項でございます。
 環境リスク初期評価の留意事項でもありますが、導かれた評価結果から直ちに環境リスクの抑制が必要であると判断されるわけではないということでございます。
 次に、4.今後の対応でございます。
 (1)結果の公表でありますが、今回の環境リスク評価の結果に関しましては、例年に倣いまして「化学物質の環境リスク初期評価:第10巻」としてとりまとめるとともに、環境省のホームページ上で公表させていただければと考えております。
 3-3-5ページの(4)再度の環境リスク初期評価の実施までは、これまでにご説明申し上げたこととほとんど同じ内容になりますので、説明を省略させていただきます。
 (5)今後の課題でございます。
 環境リスク初期評価の今後の課題としては、3点挙げております。
 1つ目は、環境リスク初期評価に必要な物性情報の収集と環境リスク初期評価ガイドラインの見直しであります。ガイドラインの見直しに関しましては、資料3-2で説明いたしましたが、リスク評価を実際に行う際の問題点や課題を整理いたしまして、その解決のため評価の考え方に反映させるという努力を続けておりますが、今後もその取組を継続していきたいと考えております。
 2つ目は、OECD等で開発される新たな試験方法、評価手法を環境リスク評価の手法に速やかに反映させるということでございます。
 3つ目は、改正化審法のもとでスクリーニング評価ですとかリスク評価が進められることを踏まえまして、非意図的生成物質、排出経路やばく露経路が明らかでない物質等に重点を置いた環境リスク初期評価を進めてまいりたいと考えております。
 資料3-4の冊子は、各評価物質の評価結果を詳細に整理したものでございますので、説明は省略させていただきます。
 環境リスク初期評価第10次とりまとめに関する説明は、以上になります。

○櫻井委員長 先ほど資料3の説明の中で、今回のとりまとめに当たって、専門家から構成される分科会などで別途ご議論いただいたということでした。
 審議に入る前に、それぞれの分科会などで座長を努められました内山委員、中杉委員、楠井委員から、補足説明などございましたら一言ずつご発言をお願いします。
 まず、全体とりまとめの企画委員会及び健康リスク評価分科会で委員長、座長を努められた内山委員、お願いいたします。

○内山委員 ご説明いただきましたように、評価の方法等につきましては例年どおりでございますけれども、先ほどガイドラインに修正点がございましたように、第8次、第9次ぐらいから情報が完全に揃っていないものが増えてきている中、×ばかりになってしまうということで、今回もいろいろな情報を勘案して総合判定を行い、(△)ですとか(○)とした物質が幾つかございます。
 特にその中で、後で中杉委員からもご発言があると思いますけれども、ばく露データを推測した場合に幾つかの問題点がございましたので、特にこれはスクリーニング的な初期評価であるということから、安全側に見積もるようなガイドラインの改定も二、三行いながら判定しております。
 例えば、3-3-7ページに脚注が随分増えてしまいました。特に(注8)以降、(注9)は除きますが、そういう総合的な判定をした際に何を根拠にしたかということがこの表からもわかるようにということで、追加したものでございます。そういう観点でまとめたものであるということを認識していただければと思います。

○櫻井委員長 続きまして、ばく露評価分科会の座長を努められた中杉委員からお願いいたします。

○中杉委員 今、内山先生からご説明いただいたばく露のところでございますけれども、第10次とりまとめで一番議論したところは、環境中で分解する物質、イソシアネートをどうするかということでございます。
 イソシアネートについては、水のほうはもうばく露評価はやらなくていいだろうという、これは測るのも無駄ではないかということで、やめましょうということにしました。ただ、大気のほうは、必ずしも分解速度は早くないのではないかということで、測定したばく露データを提供して、評価をしていただくことにしました。
 その絡みでもう一つ問題になりましたのは、4,4'-メチレンジアニリンです。これは、実はジイソシアネートが分解するとジアニリンになるということで、4,4'-メチレンジアニリンの排出源のそばを測っても、必ずしも高い所を測っているとは限らない。そういう意味では、4,4'-メチレンジアニリンについては一番高い所を測定できていないということで、ジフェニルメタンジイソシアネートの排出も含めて把握していくようにということでございます。
 先ほどの環境調査と絡むのですが、ばく露評価のときには、以前から、測定結果が高い所、濃度が高いと考えられる所を把握できているかどうかについても検討を行っています。得られた測定結果の一番高いデータを持ってきても、それは決して日本で一番高い所ではないということでありますので、そこら辺のところはモデルを使ってということで評価をしています。モデルを使って詳細評価になったものについては、モデルの結果というのはどうしても高くなりがちですので、詳細評価のランクをもう一つ下げるような形で対応しております。
 モデルの結果と環境調査の結果の整合性、関係というものをもう少し精査する意味では、先ほどのエコ調査で排出源を考慮したものがあるわけですね。その場合には、その排出源のデータを使ってモデルで予測してみて、どのぐらい違うか見ていくこともこれから必要ではないかと思いますので、先ほど申し上げればよかったのかもしれませんけれども、次年度以降、少し検討していただければと思います。

○櫻井委員長 続きまして、生態リスク評価分科会の座長を務められた楠井委員からお願いいたします。

○楠井委員 今回、かなり議論した物質は、やはり今、中杉先生からもご指摘がありましたように、環境中で親物質が分解してばく露の実態がない、しかし、一方ではまた生成する、そういった物質をどう取り扱うかということで、別添資料のような取り扱いになっております。
 それと同時に、今回、関連情報の収集が必要となった物質、トリクロロニトロメタン、これは農薬として使われているらしいということで、今回、情報収集ということで、やはりその使用形態に応じたデータが必要ではないかという指摘がございました。
 それから、今回B1になりましたモリブデンですか、他生物で、イトミミズで行うとリスクが高くなるということで、やはり今後、水生生物だけではなくて、底生生物とかそういったものも含めて評価をしていく必要があるのではないかということで、そういったことを今後に向けて検討していくということがあります。

○櫻井委員長 ただいまの事務局の説明、それから各委員からの補足説明に関して、ご質問、ご意見等ございましたらどうぞご発言ください。

○中杉委員 補足で2点、説明を漏らしてしまいました。
 1つは、6価クロムですけれども、従来こういう物質については自然起源でない曝露データをとるということにしていましたけれども、残念ながら自然起源かどうか判定できなかったので、これは自然起源の影響かもしれないということを入れて、一番高いところをとっております。
 もう一つは、ちょっと忘れてしまいましたので、また思い出したら言います。

○関澤委員 資料3-2のリスク評価ガイドラインに一番関わってくると思うのですが、ばく露評価のところで、自然発生の可能性と用途についても考慮するようにということを入れていただくようにお願いして、入れていただきましたが、もう一つ、このガイドラインではっきりしないのは、動物試験データとヒトのデータの関係です。
 ヒトのデータが健康リスク評価ではより重視されるべきではないかと思われるのですが、今回、酢酸エチルについて、評価委員会の後に、メールでラットの無毒性量に掛ける安全係数が足りなかったということで、「詳細な評価を行う候補」に変更しますというご通知がありました。
 もとのデータを見ていくと、例えば資料3-4の11ページあるいは10ページ辺りにラットのデータ、ヒトのデータがあるのですが、ラットでは、350ppmを無毒性量の導出に使っておられると思うのですけれども、これをばく露の補正とか、それから安全係数を掛けることによって最終的に2.3mg/m3という値を出されて、これに対して実際に室内空気などで、これとかなり近いということで「詳細な評価を行う候補ということになったのですが、同じように見ていくと、ヒトの試験データが11ページにありまして、400ppmで測定されて、結局これは臭気が非常に高いわけですが、臭気で問題があった以外は特に健康に有意な差はなかったということが下から3行目辺りにあります。その下の亡くなられた方は無酸素症のためと解説されているので、これは除外していいと思います。
 そういったことで、ヒトでほとんど同じ濃度で実際になかった、例数が少ないですけれども─といったデータをどう見ていくかは、かなり重要なことではないかと思われます。
 既に評価が済んでおりますので、現時点でこれを変更せよということではありませんが、今後、ヒトのデータにどう重みをつけて考えていくかということは、ガイドラインの再検討の中で取り上げられるべきではないかと思っております。
 もう一つは、先ほどの議題1でもご議論がありましたが、初期リスク評価ではありますが、それがフィードバックされて詳細なリスク評価、あるいはどのようにご利用されているかについて、もし何かコメントがありましたらお聞きしたいと思います。

○内山委員 1点目の委員会の後に修正があったということ、大変申し訳なかったのですが、これはLOAELをNOAELに変換する係数がかかっていなかったということで、改めて、動物実験だから考慮しますということではなくて、単純ミスでございましたので、そこは誤解されないように思います。
 ただ、確かにおっしゃるように、酢酸エチルはその前は▲だったわけですけれども、そのときにもいろいろご議論がありました。動物実験とヒトのデータをどう扱うのか。ヒトのデータがあれば当然ヒトのほうを優先するということは、リスク評価の原則でございますけれども、あくまでも慢性の生涯ばく露ということを考えると、酢酸エチル等はヒトで慢性ばく露ではなくて、においの閾値レベルというような形でとらえられてきたものが多かったため、それから無毒性量を出すのは難しいだろうということで、動物の長期影響から、スクリーニングという観点でそれを採用させていただきました。
 これに関してはいろいろ議論もリスク評価であるところですので、これからも検討して、ガイドラインに組み込めるところは組み込んでいきたいと考えております。

○遠山委員 今の酢酸エチルを例にとって、質問というか、コメントも含めてですが、まず、原則として、リスク評価のときの不確実係数の設定の仕方が必ずしも明確に書いていないというか、わかりにくいところがあります。LOAELからNOAELで10、動物実験からヒトへの外挿で10。そうするとヒトの個体差、個人差、そのファクターがどうなっているのかが不明確だというのが1つ。
 それから、資料3-4のⅠ-28ページの表2.3に「2.3」と「26」と太字で書いてある。実際に、リスク評価には「2.3」ではなくて「26」、最大値のほうを使われていると思うのですが、それは一般環境におけるヒトの健康を守るという観点から言えば、別に安全サイドに立つのはいいのですが、2.3から26、そこでまた安全係数が入っている。だけれども、さっきいった個人差の問題がはっきりしていない、かつ最大値を使っている。私は、むしろこれは平均値でもいいのかなという気がしたのですね。その辺りの考え方をお聞かせいただきたい。
 もう一点、先ほどの関澤先生からのご質問に関係しますが、ヒトのデータは、あくまでも労働環境の8時間ばく露の成人男子のものなので、これを一般人に当てはめるのは必ずしも適当ではないだろうという気がします。そういう意味では、動物実験を使うのは別に異論はありません。

○内山委員 結果に書いてある無毒性量は、動物実験での無毒性量ですので、これを実際にお使いいただくところはいろいろ議論があったのですが、一応「無毒性量等」と書かせていただいています。ですから、これが動物実験のデータであると書いてあると、実際にMOEを換算するときはさらにそれを10で割って、ヒトとの不確実係数といいますか─に外挿するということで、実際の無毒性量と、最大濃度を割ると10倍違うではないかと時々言われてしまうのですが、動物実験のデータであれば、それをヒトに換算するときに10で割っているということです。
 それから、最大の濃度を使うということは工場周辺ということもあってということだと思いますが、これは中杉先生から。

○中杉委員 これはあくまで初期評価なので、問題があるものをできるだけ拾い出そうという考え方です。そういう意味では、いろいろな法律があります。排出規制の場合には、やはり高い所を押さえることが必要だろうということで、最大濃度をできるだけ把握しようと。それでもなかなか把握できないというところで苦しんで、いろいろモデルを使ったりしているわけですけれども。

○遠山委員 あと個人差といいますか、やはり大人だけではなくて子供とか、いろいろな集団を対象に考えなくてはいけないと思うんですが。

○内山委員 動物実験で無毒性量を出しておりますので、そこでMOEを測っていることになります。

○櫻井委員長 今の点ですけれども、最後に10未満だと評価を行う対象にすると言っている、この10が、普通言っている個体差と全く同じ数字ですよね。ですから、不確実性係数として個体差をというふうにはっきり書いてしまえば本当は一番誤解がないですね。そしてこちらを1未満にする。ところが、これが……。おわかりでしょうか。
 それから、酢酸エチルは、確かに労働環境では数百ppmというばく露限界。つまり、鼻の影響というのは今まであまり把握されていないのですよね。ところが、これは鼻粘膜の影響がクリティカルエフェクトになっているのですよ。それはしばしば今、動物実験で出てきているのですね。ところが、ヒトではそれがなかなか、ここのサンプルをとることができないものですから、明確にできないので、どう判断するか、これからの課題だと思いますが。
 これを見ますと、アクリル酸もそれがクリティカルエフェクトになっています。その他、やはり刺激性のガス等、他の物質ではそうなっていないのですが、なぜかというと、やはり水溶性が高いものですね、アクリル酸とか酢酸エチルは水溶性が非常に高いです。だから鼻粘膜にパッと、総体的にたくさん溶け込むので鼻の粘膜がやられやすい。
 ただ、齧歯類とヒトではちょっと鼻の粘膜との接触時間が違うのですよね。動物のほうが長いということがありまして、ヒトで10分の1にしているのですけれども、それが必要かどうかというのも課題だと思います。このごろは、あえてそれをとらないという意見もあるのですね。1でいいだろうと。ですから、やはりこれは今後の課題としてご検討いただきたいと思います。

○内山委員 特に今、おっしゃった齧歯類の鼻に出た変化というのは、ガイドラインをつくりましたクロロホルムのときにも大分議論して、そのときは、10ではなくてヒトへの外挿を10より小さくとった例もございます。
 いろいろメカニズム等、そこで詳細評価をしてほしいというところで、ここは初期評価でなかなかそこまで議論できないので、一応詳細評価をお願いしたいという結論になりました。

○櫻井委員長 これは最初のスクリーニングですので、やはり安全サイドで、これでいいのだろうと思っておりますが。

○中杉委員 先ほどの追加のコメントで、トリクロロニトロメタンの話です。
 これは1つ大きな問題をはらんでいまして、実際には今、平均濃度で、慢性の影響を見ようということで全体評価をしていますけれども、使用形態が時間によって非常に変わりますので、平均濃度がとれない。これは濃度が高い所がどこなんだ、高い所から低い所まで全部把握しないと年平均を出せないということで、非常に苦しいもので、今、このような表現になっています。とりあえず情報収集と言っていますけれども、実際に適切な情報を収集しようとすると、物すごく大変な調査をしなければいけないという状況にあります。
 もう一つは、今、櫻井先生が言われた話にも絡むのですけれども、慢性の影響ばかり見ていると、どうもそれでは済まないような感じがしています。例えば環境のほうでも、急性の影響をどうしていくかということが議論になってくるだろう。これは今、大気のほうで、内山先生のところで慎重に検討しているところでもそういう議論が少し出てきていますので、そういうものも絡めて、どうしていくかというのは将来の課題としては出てくるかと思いますので、申し上げておきます。

櫻井委員長 ありがとうございました。
 時間があと残り5分となってしまいましたので、この辺りで、もしどうしてもというご意見がなければ議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 資料3-3のとりまとめ結果の概要は(案)となっておりますが、このまま(案)を消して結論とさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

○櫻井委員長 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。
 それでは最後の議題、その他でございます。
 5件ほど案件がございますので、事務局からお願いいたします。

○事務局(環境安全課) 参考資料の説明をさせていただきます。
 環境安全課からは、参考資料1から3について説明させていただきます。
 まず、参考資料1、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の第5回締約国会議の結果についてでございます。
 主な議題といたしましては、1.の(2)にございます。これらについて審議したところでございます。
 会議の成果でございますが、主なところといたしましては、2.の(1)条約への新規POPs物質の追加ですが、このCOP5におきましてエンドスルファン、農薬でございますが、こちらが附属書Aに追加されました。
 エンスルファンにつきましては、この結果を踏まえて、来年10月に附属書に追加、発効される予定でございます。
 その他の議題といたしましては、めくっていただいて、廃棄物等からの放出を削減し又は廃絶するための措置とか、有効性の評価等々について、このような結果になっております。
 続きまして、参考資料2でございます。こちらもPOPs関係で、残留性有機汚染物質検討委員会第7回会合の結果でございます。
 こちらは、いわゆるPOPsの検討委員会でございまして、新たに提案されました規制候補物質につきまして、スクリーニング、危険性の概要、リスク管理に関する評価、こういったプロセスを経て、先ほどの締約国会議への勧告を行うといったところでございます。
 今回の第7回会合の結果でございますが、まず、議論された物質といたしましては、ヘキサプロモシクロドデカン、塩素化ナフタレン、2ページのヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロフェノール、短鎖塩素化パラフィンといったところが現在、議論されておりまして、結果といたしましては、1ページに戻っていただいて、ヘキサプロモシクロドデカン、こちらが次回のCOPに勧告されることが決定されております。
 参考までに、その他の物質でございますが、いわゆる塩素化ナフタレン及びヘキサクロロブタジエンがリスクプロファイルへのステップへ進み、残りのPCP、SCCPにつきましては化学的な知見の収集を行って、COP6でまた検討されるといった結果になっております。
 続きまして、参考資料3でございます。こちらは東日本大震災における被災地での化学物質環境実態追跡調査でございます。
 被災地におきまして、化学物質における環境汚染が危惧されているところから、これらの化学物質の中には長期間にわたるばく露に対して考慮が必要な物質、例えば環境への残留性が高い物質等が考えられるところから、これらの物質について環境実態調査を行うものでございます。
 今後の予定といたしましては、3.として記載がございます。非常にタイトな予定となっておりますが、可能な限り今年度中に公表したいと考えているところでございます。
 参考までに、裏面に調査対象地域等(予定)と、調査媒体別、分析対象物質(予定)ということで、まだ案でございますが、こういったところを予定しているところでございます。

○櫻早水環境安全課長 参考資料3について若干補足いたしますと、震災を受けました有害物質の調査につきましては、水・大気局と私どもの分担がございまして、水・大気局において環境基準なり排出基準が設定されている物質をまず緊急にということで、今年の春に1次補正の予算でモニタリングを実施しております。今回は3次補正の予算を受けて、水・大気局も同様な調査を継続することと、私どもは化学物質を見る観点から、水・大気局で調査していない、特に残留性に注意するPOPs条約の対象物質と、それから環境基準設定までには至っていないけれども、有害性があると考えられるPRTRの対象物質から選定して、「環境残留性」という点に着目して3次補正で調査を予定しているということでございます。
 なお、この調査については来年度も継続して行う予定でございます。
 引き続きまして、参考資料4、5についてリスク室から説明させていただきます。

○戸田環境リスク評価室長 参考資料4と5は、12月24日に閣議決定されました平成24年度予算の関係でございます。
 参考資料4「緊急的化学物質対策推進経費」ですが、これは<要望枠>と書いてありますが、日本再生重点化枠ということで、経常経費は削減していくという方針が示されている中、重要な項目については重点化枠ということで、要望せよということでございましたので、今回につきまして、化学物質については、ヨハネスブルグサミットの2020年目標の達成に向けて改正化審法でリスク評価を行っている物質の中で、例えばばく露情報がない物質については重点的にモニタリングをしていくんだ、そういったようなことで要望をして、認められたものでございます。
 2.事業計画にございますけれども、ばく露評価に係る事業ということで、最初にございます環境調査事業というのが、化審法の優先評価化学物質としてこれから評価していかなければいけないんだけれども、ばく露データがないといった物質について、黒本調査の中で調査していくという経費でございます。
 次は化学物質の人へのばく露量モニタリング調査というのは、これまでダイオキシンなど限られた化学物質についてのみ行われていた人のばく露モニタリングをこれから進めていこうということ。
 また、3番目は、化学物質の人の体内や環境中の挙動の解析手法ということで、ストックホルム条約で、例えばPFOSのように、脂溶性ではないけれども蓄積性がある、こういった物質メカニズムがどうなのか、こういったことについても調べていくという予算でございます。
 参考資料5は「生成機構等が未解明な環境化学物質リスク評価事業」で、新規予算となってございますけれども、これはむしろ、先ほど担当からも今後の課題ということでご説明しましたとおり、化審法や農取法の中でリスク評価が行われている。特に化審法においては改正化審法のもとで優先評価化学物質からリスク評価をしてどんどん絞り込んでいく、そういう体系ができている中で、環境リスク初期評価の役割として何が求められるかをご議論いただいておりましたが、今般、環境リスク初期評価としては、こういった化審法や農取法などの個別法でカバーできないような、そういう物質を重点的にやっていくべきであるということで、例えば複数の用途にまたがるような物質、また非意図的に出てくるような物質、ばく露経路や排出経路がわからないけれども環境中で検出されているような物質、こういった物質を中心に環境リスク初期評価を進めていく、そういうことで、環境リスク初期評価の趣旨を明確にして再出発するといった予算でございますので、これまでの環境リスク初期評価をこういう形で進めていくということで、ご理解いただければと思います。

○櫻井委員長 ただいまの説明の内容、時間もありませんが、ぜひということであればご質問をお受けします。

○遠山委員 今、早水課長がおっしゃったことに関係するかもしれませんが、例えばアスベストとかダイオキシン類とか、こうしたものは別に、もう既に調査しているという理解でよろしいでしょうか。

○早水環境安全課長 そういうことです。

○櫻井委員長 ほかに何かございますか。
 ありがとうございました。以上で予定していた議題は終了となります。
 事務局から連絡事項があればお願いいたします。

○早水環境安全課長 今日ご審議いただいた結果の取り扱いなどについて、私からご説明させていただきます。
 今日ご審議いただきました資料2-1、黒本調査の結果の概要、それから資料3-3、初期リスク評価の結果の概要につきましては、本日の夕方に公表したいと考えております。
 また、本体の報告書であります資料2-2「化学物質環境実態調査結果報告書」いわゆる黒本、それから資料3-4「環境初期リスク評価結果」いわゆるグレー本の本体につきましては、今日ご指摘の点も反映させることと、さらに今後、内容の精査を行った後に、年度内を目途に公表したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、今日は資料が非常に大部でございますので、そのまま机の上に置いておいていただければ、後日、事務局より送付させていただきます。
 次回の委員会につきましては、次年度の開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○櫻井委員長 以上で第17回化学物質評価専門委員会を閉会いたします。
 どうもありがとうございました。

午後0時09分 閉会