中央環境審議会環境保健部会 化学物質評価専門委員会(第6回)議事録

日時

平成16年2月2日(月)14:00~16:00

場所

環境省第一会議室(合同庁舎5号館22階)

出席委員 (敬称略)

(委員長) 鈴木 継美
(臨時委員) 池田 正之  内山 巌雄
櫻井 治彦  中杉 修身
若林 明子
(専門委員) 岡田 光正  香山 不二雄
関澤 純  武田 明治
遠山 千春  松下 秀鶴
安野正之     (五十音順)
(説明員) 及川 紀久雄  田辺 信介
(事務局) 滝澤環境保健部長  安達環境安全課長
  小林企画課長  三宅環境リスク評価室長 他
 
 

議題

  1. (1)平成14年度化学物質環境汚染実態調査結果について
  2. (2)その他

議事

【事務局】 定刻となりましたので、中央環境審議会環境保健部会第6回化学物質評価専門委員会を開会いたします。
 はじめに、本日、説明員としてご出席いただきましたお二方をご紹介させていただきたいと思います。
 委員の方々から向かいまして左側にお座りでございますが、新潟薬科大学の及川紀久雄教授でございます。
 もう一方、愛媛大学の田辺信介教授でございます。
 よろしくお願いいたします。
 本日の会議でございますが、井上委員、大前委員、篠原委員、森田委員の4名の委員の方がご欠席でございますが、専門委員の方々を含めまして15名の委員の方々にご出席いただいております。開催定数を充足していることをご報告いたします。
 続きまして、本日は今年度初めての専門委員会ということもございまして、前回の委員会以降、異動等によりまして交代いたしました事務局側のメンバーをご紹介させていただきたいと思います。
 正面に座っておりますのが滝澤環境保健部長でございます。

【滝川環境保健部長】 どうぞよろしくお願いします。

【事務局】 その左隣に座っておりますのが小林企画課長でございます。

【小林企画課長】 小林でございます。よろしくお願いします。

【事務局】 その隣に座っておりますのが三宅環境リスク評価室長でございます。

【三宅環境リスク評価室長】 三宅でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 以上でございます。
 それでは、本日の資料を確認させていただきます。
 まず座席表と説明資料をとっていただきますと、その下に議事次第等が書かれている紙がございますが、そこに資料の内容を書かせていただいております。資料といたしましては、資料6までと参考資料が5までございます。
 資料1が化学物質評価専門委員会委員名簿でございます。資料2が「平成14年度化学物質環境汚染実態調査結果(まとめ)(案)」でございます。資料3が「平成14年度『化学物質と環境』(概要版)(案)」でございます。資料4-1が「平成14年度初期環境調査結果(案)」でございます。なお、資料4-1につきましては、この中で誤記がございましたので、後ほど説明時に担当の方から訂正させていただきたいと思っております。資料4-2が「平成14年度初期環境調査報告データ」でございます。資料5-1が「平成14年度暴露量調査結果(案)」、資料5-2が「平成14年度暴露量調査報告データ」でございます。資料6-1が「平成14年度モニタリング調査結果(案)」、資料6-2が「平成14年度モニタリング調査報告データ」でございます。
 あと参考資料が5種類ございます。参考資料1が「平成14年度内分泌攪乱化学物質における環境実態調査結果等について」、参考資料2が「平成14年度POPsモニタリング調査結果等について」、参考資料3はA4の横の形になっておりますが、「化学物質環境汚染実態調査に係る精度管理等について」、参考資料4が「平成15年度化学物質環境汚染実態調査の概要」、参考資料5が「その他関連事業について」となっております。
 以上が資料の内訳でございます。
 なお、お手元にお2人に1冊ずつになっておりますが、参考としまして、「平成14年度『化学物質と環境』」等4冊ほど冊子を置かせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 何か不備な点がございましたら、事務局にお申し出いただきたいと思います。
 以上で資料の説明をさせていただきました。
 続きまして、本日の会議の公開・非公開についてご説明いたします。本日の会議は、公開により中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合に当たらず、また、特定な者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合にも当たらないと考えられますため、公開とさせていただいております。
 それでは、議事に先立ちまして、滝澤環境保健部長よりご挨拶申し上げます。

【滝澤環境保健部長】 環境保健部長の滝澤でございます。先ほど司会者から紹介がありましたように、私、昨年の7月1日付けで環境保健部長を拝命いたしました。様々な検討会、委員会に、まだ7カ月ですので、その都度、出席させていただきながら、あるいは今日初めてお目にかかる先生方もいらっしゃるかと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 また、今日はお忙しい中、環境保健部会化学物質評価専門委員会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。さらに、日頃から環境保健分野、特に化学物質対策につきましていろいろとご指導いただいております点、改めて御礼を申し上げる次第でございます。
 今日は、その化学物質対策の中でも、化学物質環境汚染実態調査の関係で、特に「化学物質と環境」という形で、通称「黒本」と呼んでおりますが、毎年度公表されております調査でございますが、昭和49年度以降30年間にわたる長期の事業でございます。その都度、地方自治体あるいは国立環境研究所、大学あるいは関係団体等のご協力をいただきながら、環境中の化学物質の残留状況を継続的に調査をしてきているわけでございます。平成13年度までに798物質の環境中の化学物質の残留状況を明らかにいたしますとともに、化学物質審査規制法に係る基本的な調査という位置づけ、ダイオキシン類対策特別措置法に係る前駆的役割の調査としての位置づけ、さらにはPRTR法の対象物質選定に関係いたします基本データの提供あるいは数々の規制物質の実態把握など、それぞれの角度からの環境中の化学物質対策の基本となる調査として今までも大きな成果をあげてきているわけでございます。
 特に最近になりまして、今PRTR法ということも申し上げましたが、昨年3月には制度のまさに事実的なスタートといたしまして、PRTRに基づく状況の第1回目の公表をさせていただいたわけでございますし、早速2回目が来月に迫っているわけでございます。あるいは国際的に見ましても、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約を踏まえてのPOPs条約の採択でありますとか、いわゆる環境ホルモン問題への対応でありますとか、日々刻々と地球規模で様々な化学物質対策が非常なスピードで進んできておりまして、私ども、そういった対応状況の変化に適時的確に対応しなきゃいかんということも要求されているわけでございます。
 そのような化学物質と環境の問題に係る状況の変化も踏まえまして、今日的な政策課題に係る対応を迅速に進めていくために、平成13年度に本調査についての見直し・検討を行ったわけでございます。これまでの成果でありますとか実施体制を踏まえまして、新たな視点に立って、再構築も図られたわけでございます。
 具体的にいいますと、平成14年度からは調査対象物質、調査方法等を物質選定検討会において検討していただき、初期環境調査あるいは暴露量調査、モニタリング調査によりまして調査を実施いたしました。また、その調査結果は、初期環境調査検討会、さらにはモニタリング・暴露量調査検討会において、本委員会開催までにあらかじめ基礎的な検討をしてまいったわけでございます。
 そうした平成14年度からの新しい仕組み、諸検討会の再編成を踏まえまして、本日、これらの検討会での結果を踏まえた形で平成14年度の諸調査の検討結果についてご審議いただくということでございます。
 若干説明が長くなりましたが、そういったことを踏まえまして、それぞれの委員のお立場あるいは専門的な視点からの率直なご意見、ご指導を頂戴したいというふうにお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。今日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

【事務局】 それでは、議事に入らせていただきます。
 これ以降は鈴木委員長に議事進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【鈴木委員長】 それでは早速議事に入りたいと思います。「平成14年度化学物質環境汚染実態調査結果について」ということでお願いするわけですが、非常に大部な分量がございますから、3つくらいに分けてもらったらどうかと思っています。まず最初に調査の経緯及び概要、それから初期環境調査結果、暴露量・モニタリング調査結果の3つに分けて説明してもらいたいと思います。事前に資料をご送付してあるはずだと思いますので、要点をまとめて事務局お願いします。

【事務局】 それでは、本調査の結果についてご説明させていただきます。資料等が多数ございますので、まずスライドを使いまして概要を説明させていただきます。スライドの図6枚で1枚になっているものが付いておりますので、資料及びこちらの方をご覧になりながら、お聞きいただければと思います。
 まず、本日のテーマでございますが、先ほど座長からもいただきましたように、平成14年度化学物質環境汚染実態調査の経緯及び概要、平成14年度化学物質環境汚染実態調査結果、この結果が3つに分かれております。3つのうちの最初の初期環境調査結果を1つとし、暴露量とモニタリングを2つで1つとして説明させていただきたいと思います。その他といたしまして、本調査の関連の調査結果と関連の事業等がございますので、それにつきましてご説明させていただきます。これが全体でございます。
 まず、資料2にございますが、これまで昭和48年の化審法制定時から実際に49年から調査を開始いたしまして、特に昭和54年からは「プライオリティリスト」(優先的に調査に取り組む化学物質の一覧)に基づき「化学物質環境安全性総点検調査」を実施し、その他モニタリング調査等を実施してきたところでございます。これまでの体系につきましては、2枚ほどめくっていただきました4ページ目の図1をご覧いただければと思います。これは平成13年度までの調査体系でございまして、全体で、まずプライオリティリストを作成し、そのリストの物質を毎年調査していくものです。更に、経年的な調査が必要な物質はモニタリング調査を実施していくという体制で実施してきたところでございます。
 一方、化学物質審査規制法以外に、化学物質排出把握管理促進法(いわゆるPRTR法)や残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約など化学物質と環境問題に係る状況の変化と今日的な課題に対応するために、新たな視点で再構築するということで、平成13年度から見直しを開始し、平成14年5月の本委員会において、「化学物質環境汚染実態調査の見直しについて」審議され、了承されました。
 その内容を簡単に説明させていただきますと、化学物質対策上の位置づけを明確化、調査体制や調査手法の向上及びリスクコミュニケーションの推進を図るという3つの観点から見直しを行なっていくこととしておりますが、特に調査につきましては、化審法、PRTR法などのニーズに応じた調査、POPsモニタリングに対応するための調査、環境リスク評価に必要な暴露量調査の強化、非意図的生成物質等を調査する、この4つをポイントとしているところでございます。
 このような見直しの観点から、平成14年度から新たな調査体系で調査を開始いたしました。
 調査の検討体系でございます。まず、本調査においては、右下の「化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会」において、調査対象物質を検討いただきます。検討いただきました物質は、分析法が確立しているようなものは即調査にかかるわけでございますが、まだ分析法の開発が必要なものにつきましては、分析法開発を実施して、分析法が開発できた時点で調査に入っていくという手法を用いております。
 実施された調査結果は、「初期環境調査」につきましては「初期環境調査検討会」において、暴露量調査、モニタリング調査につきましては「モニタリング・暴露量調査検討会」において調査結果の検討がなされます。
 その検討結果につきまして、本日、中央環境審議会化学物質評価専門委員会でご審議いただくことになっております。
 なお、本事業と関連の強い調査といたしまして、POPs対策ということで、POPsモニタリングという事業が行われており、「POPsモニタリング検討会」という別の検討会でご審議いただき、「POPs対策検討会」に調査結果が報告されるという形をとっております。POPsについては、本調査においても過去から経年的に調査を行っているという意味で、調査結果については、同様にモニタリング・暴露量調査検討会であわせて過去の結果とともに検討しているところでございます。
 他の関連する調査といたしまして、「内分泌攪乱化学物質における環境実態調査」が平成10年から環境保健部、水環境部、環境管理局大気環境課といった関係部局の協力の下に実施されておりますが、これらの調査につきましても、黒本調査とは別な体系で調査及び検討が行われているところでございますが、分析法開発やその他、調査手法の観点からは互いに関わっているものでございます。
 続きまして、調査実施体系についてご説明させていただきます。特に、先ほどご説明させていただきました物質選定の観点からご説明させていただきます。
 まず物質選定ついてですが、本調査の見直しの点にもございましたように、化審法やPRTR法などニーズに応じた調査を実施していくことや、調査結果を有効に活用していくこと、新たな物質の問題等に対応していくという意味で、まず各担当部署と専門家から調査対象物質の要請を受けるというところから開始されます。Aは、化審法の担当部署、Bの暴露量等の実態把握というのは、リスク評価に必要な暴露量の実態把握が必要な物質、Cは残留性の強いものについてモニタリングを実施していくPOPsの経年監視等の部分、Dは化学物質汚染実態の初期的な把握、まだ全国調査が全く行われていないものやこれから注目されるであろう物質についての初期的な把握、Eはその他、学識経験者のご意見やNGOの関係者の方々からも要望をいただきながら、調査対象候補物質がとなっているところでございます。
 候補とされた物質につきましては、その物質の有害性の知見、PRTRデータ及び環境残留性予測、また、実際に測れるという意味で分析の実現性、社会・行政的な必要性、以上の4つの観点から物質を選定しているところでございます。
 これらで選ばれた物質の中で、後でまた目的等を説明させていただきますが、初期的な環境調査が必要なものについては初期環境調査において、リスク評価に必要な暴露量の把握が必要なものについては暴露量調査において、経年的なモニタリングが必要なものについてはモニタリング調査で調査が実施されているところでございます。
 ただいまご説明いたしました3つの調査についてでございますが、まず初期環境調査についてですが、調査目的は、化審法の指定化学物質やPRTR制度の候補物質、非意図的に生成される物質や環境リスク評価及び社会的要因から必要とされる環境物質等の環境残留性の把握を目的としております。別な言葉で言い換えますと、一般環境中で残留性の把握が必要とされる物質のうち、原則、これまで未調査である又は調査が十分でない物質についての分析法開発や環境状況の把握を行う調査でございます。
 調査対象物質につきましては、調査目的に書かせていただいた化審法の指定化学物質やPRTR制度の候補物質その他、環境リスク評価や社会的要因からの候補物質のうち、初期的な環境残留状況の把握が必要な物質でございます。
 なお、過去の調査において、高濃度で検出されていながらも物質が何であるか確認できなかった物質も本調査の対象としております。
 調査媒体につきましては、水、底質、大気、生物のうち、必要な媒体を選択しております。調査実施機関は、検体採取・調製、分析の全てを都道府県等の調査機関において実施しています。
 あと2つの調査も簡単にご説明させていただきます。
 暴露量調査については、化審法や環境リスク評価に必要な化学物質の暴露量を把握することを目的としております。
 対象物質は、環境リスク評価を実施又は実施する予定の物質で、暴露量の把握が必要な物質でございます。媒体につきましては、こちらもリスク評価で要望される媒体を調査対象としております。
 調査実施機関は、検体採取・調製は都道府県等の調査機関において地域ごとに、分析は民間調査機関において媒体ごとに実施しているところでございます。
 最後にモニタリング調査でございます。
 本調査の目的につきましては、POPs条約の対象物質並びに同条約の候補となる物質、化審法の1特、2特の物質及び指定化学物質のうち特に残留性が高いと考えられる物質で、経年的把握が必要な物質を調査するものでございます。
 調査対象物質につきましては、ただいま申し上げたような物質を対象としております。
 調査媒体につきましては、POPs条約の対象物質は水、底質、大気、生物の全ての媒
体で行うこととし、他の物質については環境残留性より必要な媒体を対象としております。
 調査実施機関は、検体採取・調製は都道府県等の調査機関において地域ごとに、分析は民間調査機関において媒体ごとに実施しているところでございます。
 最後に、本調査の結果の取扱いについて、簡単にご説明させていただきます。
 この図は先ほど示させていただいた図でございます。調査結果につきましては、まず初期環境調査結果において、環境中で不検出なものは、現時点の環境の分析レベルで不検出ということで、当面、環境調査の必要はないと判断しております。一方、環境中で検出されたもので、リスク評価が未実施のものについては、別途、環境リスク評価室で行われております「環境リスク初期評価」の候補とする。リスク評価が実施済みのものについては、リスク管理をするための基礎情報として環境省や関係省庁、自治体等において活用されるものと考えております。
 暴露量調査につきましては、環境リスク評価のための暴露量の把握において活用されるものでございます。
 モニタリングにつきましては、環境中濃度の監視、規制の効果の確認、特にPOPs条約対応においては、POPs条約の施策状況の監視という意味を持っていると考えております。
 以上でございます。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。ここまでのところでご意見、ご質問がございましたらどうぞ。

【関澤委員】 少しゼネラルなことになりますが、昨年の本委員会で化学物質環境汚染実態調査の見直しについて議論されて、ここにおまとめいただきましたように、3つの柱が出されました。そのうちの「リスクコミュニケーションの推進」ということに関連してお聞きしたいと思います。新たに物質選定検討会というものが設けられて、この中には、名簿を拝見しますと、消費者団体の方、アカデミアの方、自治体の方、業界の方もお入りになっているという点は見受けられますけれども、私どもがよくこういうので参照させてもらっているアメリカのNational toxicology program という毒性試験の国家プログラムがございますが、ここでは、物質選定から研究結果の報告に至るまで、インターネットまたは冊子体等々で直ちに情報が入手できるように、あるいはコメントも出せるようなシステムが出来上がっておりまして、大変重宝しております。今回の環境省でのリスクコミュニケーションについて、新たに物質選定検討会を設けて、こういったいろいろな各界の方をお入れになるという以外に、関連省庁からのインプットとか、物質選定について、この検討会に入っておられない方からのご意見などを反映させていくという点については、今後どういうふうにお考えでしょうか。

【事務局】 見直しの柱の1つとして、この黒本調査の透明性を上げていくということも、見直し検討会からのご報告の中にございました。その行政的な反映が、部長諮問の検討会をつくり、それに、これまでのような専門家だけではなく、NGOの方々あるいは企業の方々にも入っていただくということでございました。
 ご意見は、今後もっと一般からの意見も取り入れるようにしてはどうかということかと存じますが、今年度が見直しをした第1回でございまして、物質選定を進める手順も、なかなかすっと新しい方式に移れるわけではないということで、もうしばらく今のようなやり方で進めたいと考えております。なお、物質選定検討会は部長諮問の検討会でございますので、一般の方々に公開し、また、議事及び結果につきましては環境省のホームページで公開しております。お一人お一人からの物質についてのご意見をいただいても、どうやって返していくのかという問題もございますので、とりあえずは今のやり方でできる限り選定経過も含めて公表していく、透明性を高めていくということに努めてまいりたいと考えております。

【鈴木委員長】 「しっかりやれよ」と関澤さんが言うことになりそうですが、黒本調査の見直しの検討委員会の座長は池田先生がやってくださったので、ここまでのところで何かコメントありますか。

【池田委員】 選定方式の見直しという部分で、資料2の一番最後のページになります。あるいは先ほどのご説明の中ですと、平成13年度及びそれ以前と変わって14年度及びそれ以降どのように変えていったかという部分ですね。A、B、C、D、Eの5つのエントリーがあって、それぞれのところから調査対象物質を選び出していこうということです。特に、例えば社会的な要求、Eの部分とか、これは国内的な事情から出てくると思いますし、あるいはCのPOPs関係あるいはその候補というのは国際的な場からのインプットになると思います。プライオリティリストを考えてセットしていくというルートのほかに、その時点その時点での国内外の要請に対応して物を選んでいこう、そういうエントリーを明確に位置づけたという部分で特徴があろうかと思います。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。
 物質選定検討会の座長は中杉委員が務められていますが、何かご意見ありますか。

【中杉委員】 新しい方式に入ってから2回やっております。来年になると3回目なんですが、まだ始めていていろいろ戸惑いがございまして、今の体制を整理するのが難しいなと考えています。1つの話としまして、これは環境省がやる調査であるという意味では、いわゆる環境調査ということなんですが、一般の方も参加しておられますので、そういう方のご意見からいくと、食べ物の調査までやれと言われますが、そこら辺のところは少し整理が必要だということ。それから1つ大きな話として、農薬が随分挙げられるのですが、私自身は農薬というのはこの黒本調査にはなじまないだろうと考えていまして、それはまた別な形の調査を考えていただけないかということを環境省にも申し上げているわけです。そういうことで、今の段階では今の状況で整理することが山積みでございますので、それが整理できた段階で次の段階に進めるのかなと考えております。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんか。
 よろしいですか。
 とりあえず走り出した最初のステップということで、皆さん方控えていらっしゃるのかもしれません。いろいろな課題が残っていることは歴然としているわけですが。
 それでは、実際の初期環境調査結果について説明していただきたいと思います。

【事務局】 では、初期環境調査についてご説明させていただきます。資料は4-1でございます。まず調査の内容について概略ご説明させていただきます。
 この調査は、先ほどもご説明させていただきましたが、化審法指定化学物質やPRTR制度の候補物質、非意図的生成物質、環境リスク評価及び社会的要因から必要とされる物質等の環境残留状況を把握するものでございます。
 平成14年度は、エピクロロヒドリン、クロロジフルオロメタン、ブロモメタン等13物質を調査対象とし、また、クロルデコン等9物質については分析法開発を行ったところでございます。
 この調査につきましては、自治体の調査機関58機関において実施されたものでございます。
 この図に示させていただいたものは、各物質ごとの媒体と媒体別の地点数でございます。必ずしも各物質が全部の媒体で行われたのではなく、そのときに必要と判断された媒体の調査を実施しております。
 次は調査地点でございますが、水質、底質、水生生物、大気について調査を実施いたしました。調査地点については資料4-1の9~11ページに掲載させていただいております。
 まず、その調査結果が出たときのまとめた方でございますが、例といたしまして、26ページを開いていただきますと、イソプレンの例が出ております。まず「選定理由」として、なぜこの物質が選ばれたかという選定理由を記載させていただきます。その後に「調査内容及び結果」と「評価」ということでございます。評価につきましては、少し説明させていただきますと、基本的には、過去の調査実績がある場合には、今回の結果と比較し消長を検討するというものでございます。これが原則でございます。物質によっては、有害性情報等と比較して特に注意を要する物質がもしあった場合には、そういった旨を特記するというのが原則的な考え方としております。
 評価の考え方でございますが、これはあくまでも概念でございまして、物質により必要な評価を加えることになっております。まず、調査対象物質が調査の際に要求感度を満たす定量下限値で実施されているか。これは分析法開発時に指定された分析感度で実施することになるますが、分析感度が満たせない機関のデータについては、一部その調査結果を不採用としているものもございます。検出については、検出された場合に、調査実績があるのか、ないのかによって、ある場合には、増加、横ばい、減少、過去不検出なのか、ない場合には初めてということになると思います。不検出の場合も調査実績があるのか、ないのかということで場合分けをして、評価文を基本的なひな形で考えてあります。
 これはあくまでも文例でございますので、すべてこういう形になっているということではございませんが、先ほどの升の中のAI~AIII、過去に調査実績があったもので比較ができるようなものについては、その比較をして状況を書く。分析の感度等から判断できないものについては「判断できない」。その他、過去の状況等に応じて、最高濃度がどうであったとか、また、今回不検出のものについては、「減少傾向にある」、「判断できない」といった基本的な考え方を原則として文章をまとめております。
 以下、今回の調査結果でございますが、資料4-1の15ページをご覧ください。細かい数字でとなりますので、まず全体の概況だけご説明させていただきます。
 初期環境調査検討会において検討が行われまして、今回の調査結果では、水質中では8物質、1-オクタノール、テレフタル酸、ニトロベンゼン、ポリ塩化ターフェニル、メチル-tert-ブチルエーテルが検出されました。底質中では4物質、1-オクタノール、テレフタル酸、ニトロベンゼン、ポリ塩化ターフェニルが検出されました。水生生物中では2物質、1-オクタノールとポリ塩化ターフェニルが、大気中では5物質、エピクロロヒドリン、クロロジフルオロメタン、ジニトロトルエン、ニトロベンゼン、メタクリル酸が検出され、これまでの調査の累計、昭和49年度から平成14年度まででは801物質(群)について調査が行われ、そのうち346物質(群)が検出されたこととなります。
 以下、個々の物質についてご説明させていただきます。
 先ほどの資料4-1の26ページのイソプレンから説明させていただきます。
 イソプレンは、用途としては、ゴム原料や香料の原料等に使われるものでございますが、イソプレンが選ばれた選定理由としましては、化審法の指定化学物質、PRTR法の物質であるということと、出荷量が大変多いということと、昭和53年度に調べているのですが、それ以来調べていないということで、化審法上の2特に物質に該当するかどうかを優先的に検討するために調査を実施したものでございます。
 調査結果については、下の表に昭和53年度と平成14年度が比較されて水質、底質で書いております。今回イソプレンは水質、底質が対象でございました。大変申し訳ないのですが、誤記がございまして、昭和53年度の検出下限値が「1μg」となっておりますが、「1ng」の間違いでございます。失礼いたしました*。
評価といたしましては、水質は、過去に不検出であったため、残留状況が把握できません。また、底質も過去に不検出であり、今回も不検出ということで、残留状況の把握ができないということで、これらより、今回実施した範囲においては、水質、底質いずれもイソプレンが残留していないことが確認されたというのが評価でございます。
 次の物質にいかせていただきます。28ページ、エピクロロヒドリンでございます。これは大気としては初めて調査が実施されたものでございます。
エピクロロヒドリンはエポキシ樹脂等に使われるものでございますが、こちらの方もPRTR法の対象物質であり、生産量が多いということと、昭和61年度に実施して以来、調査を実施していないということで実施いたしました。
 調査結果については、下の表の大気のところに書かれている平成14年度というところ
でございます。検出されております。検出の範囲は1.0~2.8ng/m3で検出されています。
 評価としては、今回初めてですので、傾向は判断できませんが、今回の範囲でエピクロロヒドリンが大気中に存在していることが確認されました。
 次に30ページ、1-オクタノールにいかせていただきます。
1-オクタノールは化粧品等の溶剤、合成原料でございます。1-オクタノールはPRTR法の対象物質で、生産量が多いことから、把握が必要ということで、今回、水質、底質、水生生物について調査を実施いたしました。
 調査結果については、右側の31ページの右上の表に載っているものでございまして、検出されております。
 評価といたしましては、過去にも調べているのですが、水質、底質については、過去は不検出であったのですが、検出感度が非常に悪かったということで、今回検出されたことから、傾向は把握できないものの、その存在が確認されたということでございます。
水生生物については初めての調査で、存在が確認されたところでございます。
 続きましてクロロジフルオロメタン、32ページにいかせていただきます。
クロロジフルオロメタンは、フロンガス、冷媒として過去に使われていたものでございまして、平成5年度では約4万トンが生産されております。大気への残留性が高いと予想されたため、実施したものでございます。
 今回の調査結果、45検体全てで検出されました。
 評価といたしましては、初めてなので残留傾向は分かりませんが、大気中にクロロジフルオロメタンが残留していることが確認されました。
 次に33ページ、p-クロロニトロベンゼンでございます。調査媒体は水生生物でございます。
 選定理由といたしましては、本物質は化審法指定化学物質、PRTR法の対象物質であり、生産量が多いということです。水生生物は平成3年度以来行われていないということで、水生生物における最新の実態把握が必要とされたものでございます。
 調査結果については、表に出ている平成14年度の水生生物のところでございますが、検出されておりません。
 評価でございますが、大きな濃度の上昇はないと判断されております。
 続きまして35ページのジニトロトルエンでございます。大気としては初めての調査でございます。
 選定理由といたしましては、ジニトロトルエンは化審法指定化学物質、PRTR法の対象物質であり、生産量が多いということです。平成3年度に生物で実施しましたが、生物からは不検出でございました。第2種特定化学物質に該当するかどうかの判断のために行ったものでございます。
 結果につきましては、次ページでございます。ジニトロトルエンは2,4-と2,6-を今回調査対象としておりまして、大気は最後のところでございますが、7地点中2点、6地点中1地点でそれぞれ検出されております。
 評価といたしましては、今回の調査結果から、大気中に残留していることが確認されました。
 続きまして38ページ、臭化メチルでございます。
臭化メチルは化審法の指定化学物質、PRTR法の対象物質で、平成13年度に1,000トン以上輸入されております。開放系用途への出荷量が多いことから、化審法における第2種特定化学物質に該当するかどうかの検討を優先的に行うために、水質の実態把握が必要とされたものでございます。
 結果の方は、下の表の水質のところでございますが、16地点で検出されておりません。
 評価といたしましては、今回は不検出でしたが、過去の検出下限値が高いために、残留
状況の把握はできず、今回の範囲では臭化メチルが残留していないことが確認されました。
 続きまして40ページ、テレフタル酸でございます。
 テレフタル酸もPRTR法の第1種指定化学物質で、生産量が100万トン以上と多いこと。過去に昭和50、58年度に実施しておりますが、最新の把握が必要ということで調査を行ったものでございます。
 調査結果については、下の表に書いてあるとおり、平成14年度、水質で23地点中2地点で、底質で21地点中4地点で検出されております。
 評価といたしましては、こちらも過去の検出下限値からだいぶ下がっておりますので、傾向の判断は困難ですが、水質、底質においてテレフタル酸が残留していることが確認されました。
 続きまして42ページ、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノールでございます。
 2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノールは、ゴムやプラスチックの老化防止剤として使われておりまして、化審法第1種特定化学物質に指定されているものでございます。平成13年度に実施いたしまして、13年度は底質から検出されましたが、過去に水生生物の調査が実施されていないことから、再度、水質、底質、水生生物における最新の実態把握を行ったものでございます。
 調査結果については、右側の表でございますが、今回は水質、底質、水生生物の全てから不検出でございました。
 評価でございますが、水質については大きな濃度上昇はないと判断されるということ。底質についての残留状況の判断は、今回たまたま不検出でございましたが、13年度に検出されておりますので、この時点では判断が難しいということ。水生生物については、過去に検出下限値以下ながら検出を示唆する報告もあった。これはトレースということで報告されているものもあったということでございます。
 以上より、水質、底質、生物のいずれの媒体からも2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノールは不検出でございましたが、本物質は化審法の1特に当たる物質で、平成13年度に底質から検出されていることから、モニタリング調査の候補とする必要があると評価されたものでございます。なお、大気については平成15年度の調査対象物質としております。
 次にニトロベンゼン、44ページにいかせていただきます。
 ニトロベンゼンも化審法指定化学物質、PRTR法の対象物質でございまして、10万トン以上生産されております。これにつきましては、化審法第2種特定化学物質に該当するかどうかの検討を行うために調査を実施いたしました。
 調査結果については、右側に出ておりますが、今回、水質、底質、大気で実施いたしまして、水質、底質、大気で検出されております。
 評価といたしましては、水質においては、過去の検出感度が悪いので、過去の検出範囲と比較すると、残留状況の傾向に特段の変化は見られないということ。底質においては、残留状況は減少傾向にあるのではないかということ。大気については、過去の調査と比較すると検出頻度の変化は認められないが、検出範囲、平均値及び幾何平均値を比較すると、環境中濃度は減少傾向にあるのではないか。
 以上より、底質及び大気の残留状況のうち、検出頻度は変化がなく、大気は広範囲に存在するが環境中濃度に減少傾向が見られるという評価をいただいております。
 次に47ページ、ポリ塩化ターフェニルでございます。
 ポリ塩化ターフェニルはPCB類類似物として、PCBが使用禁止になりました頃にはその代用品としても使われたものでございますが、今回、昭和53年度以来の調査となりますが、水質、底質及び水生生物における最新の実態把握が必要ということで調査を実施いたしました。
 調査結果につきましては、これは異性体が多くございまして、異性体は以下細かく出ておりますが、48ページに水質、底質、水生生物の結果が出ております。大気は平成12年度の結果でございます。
 評価といたしましては、水質については、今回水質で1検体だけ検出されておりますが、過去の検出感度との関係から、残留状況の判断はできないということ。底質については、過去の調査と検出範囲で比較すればやや減少傾向にある。水生生物については、傾向は判断できませんが、検出されているということでございます。
 次に51ページにいかせていただきます。大気としては初めてのメタクリル酸でございます。
 選定理由としましては、メタクリル酸はPRTR法の第1種指定化学物質で、生産量が1万トン以上あるものでございます。昭和62年度に実施されて、水質、底質から不検出でございました。大気における最新の実態把握が必要ということで実施したものでございます。
 大気において実施したところ、9地点中3地点から検出されました。
 評価といたしましては、今回初めてですが、今回調査した範囲においてはメタクリル酸が存在していることが確認されたものでございます。
 最後に53ページ、メチル-tert-ブチルエーテルでございます。水質、底質では初の調査でございます。
選定理由といたしましては、これはガソリンのオクタン価向上剤として添加されているものでございますが、平成11年度に大気の検出率が高かったということで、水質、底質での調査対象となったものでございます。
 調査結果については、下の表に出ておりますが、水質では検出されております。
 評価といたしましては、水質及び底質の残留状況は把握できないが、今回検出した範囲では水質に残留していること及び底質に残留していないことが確認されたということでございます。
 以上、大変駆け足で恐縮ですが、初期環境調査結果についてご説明させていただきました。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。初期環境調査検討会は及川先生に座長をお願いしてありまして、今日は説明員としておいでいただいておりますので、どうぞご追加をお願いいたします。

【及川説明員】 今ご説明いただきましたが、中にはデータの不審というか、数値的にどうかなというものにつきましては、担当研究所に問い合わせ、さらにGC/MSのデータも取り寄せて精査したということで、数字的なところについてはかなり吟味して結果を出したというところでございます。

【鈴木委員長】 ありがとうございます。
 さっきイソプレンのところで水質の検出下限値の単位が「μg/L」ではないと言われましたが、文章の方にも「検出下限値 0.1μg/L」と書いてありますが、これも「ng」に直すのですか*。

【事務局】 26ページの「評価」のところの1行目でございますが、「水質は、昭和53年度は検出下限値1μg/L」となっているところを「1ng」と直していただければと思います。併せまして、下の表でございますが、水質の昭和53年度のところが「1μg 」となっていますが、そこがμgに直しますと0.001ということになります。*

【鈴木委員長】 ちょっと不思議に思ったのは、底質の検出下限値が昭和53年度が1で、平成14年度が10というふうに出来が悪くなっているのですが、こういうことは珍しいのではないですか。これは何か間違っていませんか。*

【事務局】 こちらの調査は、まず、昭和53年度の調査手法を確認しましたら、GC-ECDで調査しているということで、今回GC/MSで調査しておりまして、通常でしたら感度が上がるところですが、今回、調査の範囲、一斉分析法を活用したというところもありますが、感度がむしろ下がってしまったというのが現状でございますが、GC/MSでの感度というのは適切な感度と考えております。*

【鈴木委員長】 ほかにございませんでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、さらに話を進めていただいて、暴露量調査結果とモニタリング調査結果の説明をお願いします。

【事務局】 では、まず暴露量調査の方からご説明させていただきます。資料は5-1でございます。
 暴露量調査の対象物質といたしましては、今回、1,2-ジクロロベンゼン、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ポリ塩化ナフタレン、ポリ臭素化ジフェニルエーテル、ベンゾ[a]ピレン等7物質について調査対象といたしました。
 調査実施機関は、検体採取・調製は自治体において、分析については民間調査機関3機関と自治体1機関において実施しております。
 調査の対象物質と媒体については、1ページに書いてあるとおりでございます。
 調査地点については、資料の9~12ページに書かせていただいております。
 調査結果でございます。調査結果においては、物質選定検討会において検討された、本物質の調査を要望した理由及び過去の調査実績と調査結果についてまとめさせていただいております。
 まず全体の概略から申し上げさせていただきます。
 14ページの表2-2をご覧ください。今回の調査では、水質5物質中5物質全て、1,2-ジクロロベンゼン、ペルフルオロオクタンスルホン酸、ペルフルオロオクタン酸、ベンゾ[a]ピレン、ポリ塩化ナフタレン、デカブロモジフェニルエーテルが、底質3物質中3物質全て、1,2-ジクロロベンゼン、ベンゾ[a]ピレン、デカブロモジフェニルエーテル、水生生物3物質(群)中1物質群、ポリ塩化ナフタレン、大気2物質(群)中2物質群全て、1,2-ジクロロベンゼンとポリ塩化ナフタレンが検出されました。また、食事を調査しました2物質においては1物質のポリ塩化ナフタレンが検出されました。
 個別の物質の調査結果については、15ページ以降をご覧ください。
 まず1,2-ジクロロベンゼンでございます。調査結果につきましては、15ページの下のところに表が出ていて、さらに次のページにも出ておりますが、今回、水質、底質、大気
で調査が行われまして、かなり多くの地点から検出されたという状況となっております。
 ちなみに、1,2-ジクロロベンゼンは有機合成原料や溶剤、洗浄剤など、幅広く使われている化学物質でございまして、リスク評価の対象となっている物質でございます。
 続きまして18ページ、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)と19ページのペルフルオロオクタン酸(PFOA)は同類の物質でございますが、これら2物質につきましては、平成14年2月に化審法の指定化学物質として追加され、毒性が強く、特に水生生物に対する急性毒性が強いということ。そういった観点から、環境への影響に留意する必要があるということから、今回調査対象としております。なお、底質、水生生物、食事については平成15年度の調査対象となっておりまして、今回はまず水質の調査を両物質で行いまして、今回行いました検出感度で全ての地点、全検体から検出されました。PFOAも同様の結果でございます。
 なお、この用途については、フッ素樹脂等に用いられておりまして、現在は使用が自粛されていると言われておりますが、かなりの残留量があることが確認されました。
 次に20ページのベンゾ[a]ピレンでございます。
 ベンゾ[a]ピレンは、POPs条約の新規としてEUから提起される可能性があり、国内調査を事前に実施しておくことが望ましいということで調査を実施したものでございます。今回は水質、底質、水生生物を実施しております。
 調査結果については、示させていただいた表のように、水質については38地点中7地
点、底質については62地点中57地点で検出され、水生生物は検出されておりません。
 次に22ページ、ポリ塩化ナフタレンでございます。
ポリ塩化ナフタレンは化審法第1種特定化学物質であるということと、平成14年に無許可で輸入していた事実があることが判明したということもございました。今回、水生生物、大気及び食事における最新の実態把握が必要ということで、実態把握をしたものでございます。
 調査結果につきましては、水生生物、大気、食事で行いまして、全てから検出されております。
 食事については、地点という意味ではなくて、検体で見ておりますので、表から落ちておりますが、下の表の世帯数の方で見ていただきますと、50世帯中36世帯で検出されているところでございます。
 最後に24ページ、ポリ臭素化ジフェニルエーテルでございます。
 ポリ臭素化ジフェニルエーテルは化審法の指定化学物質であって、出荷量が多いということです。また、臭素系ダイオキシン類の前駆体とも言われており、臭素系ダイオキシン類が高濃度で検出される可能性があるため、その原因物質として考えられるために実施したものでございます。
 調査結果につきましては、今回、水質、底質、水生生物、食事で実施いたしまして、水質と底質から検出されております。水質からは38地点中1地点、底質からはかなりの地点で検出され、非常に残留性が強いということが確認されております。
 暴露量調査については以上でございます。
 引き続きましてモニタリング調査についてご説明させていただきます。資料は6-1でございます。
1ページ開いていただきまして、今回モニタリング調査の対象といたしましたのは、PCB類、HCB、ドリン類(アルドリン、ディルドリン、エンドリン)、DDT類、クロルデン類、ヘプタクロル、HCH類、有機スズ化合物でございます。なお、このうち、HCH、有機スズ化合物については、POPs条約対象ではなく、過去の経年的な把握の継続性という観点から調査対象としているものでございます。
 調査媒体については表のとおりでございます。6のヘプタクロルまではPOPs条約対象物質でございますので、全ての媒体で実施しております。
 調査地点については、7~10ページに示させていただいております。
 調査結果の評価でございますが、「調査の経緯及び実施状況」と「調査結果」と「評価」という形になっております。こちらの方は、過去の経年的なものと比較するという意味で過去との比較を今回試みております。平成14年度の調査に過去の黒本調査で行われたものもくっつけてその経年変化を見ていくということを実施しております。したがいまして、グラフ等を見ますと、継続できているものと途中で継続が切れているもの等もございまして、大変見づらいところもありますが、ご説明させていただきます。
 個々の物質についての調査結果、36ページ以降でご説明させていただきます。
 まず36ページのPCB類でございます。
 PCBはご存じのとおり昭和49年に化審法の1特と指定されたものでございまして、本調査においては昭和53年度から平成13年度まで生物媒体で調査を実施し、また、一部、底質や生物、平成12年度からも水質・底質・生物・大気の調査を実施してきたところでございます。
 調査結果につきましては、37ページに挙げている表と38ページが経年にPCBを見たものでございます。調査期間が必ずしも継続されていないために、例えば38ページのようにグラフが継続していない場合があり、また検出されていない場合には検出下限値の1/2としてグラフは描かせていただいております。
 評価でございます。水質については、平成12、13、14年度と特に高感度に実施しておりますので、見ましたところ、3年とも全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。底質についても、依然として広範な地点で残留が認められる。魚類、貝類、鳥類についても同様でございます。
大気については、今回の平成12年、13年、14年度で比較したところ、幾何平均をとると、390pg/m3、220pg/m3、120pg/m3と少し減少していることから、多少減少傾向が伺える。PCBついては、POPs条約に掲げている物質なので、今後とも調査を追跡して実施する必要があるとされております。
 次に39ページ、HCB(ヘキサクロロベンゼン)についてご説明させていただきます。
 HCBは、昭和54年に化審法第1種特定化学物質に指定されたものでございます。過去の本調査は、「生物モニタリング」で昭和53年度から平成8年度まで、生物媒体でも一部実施され、また「水質・底質モニタリング」でも昭和61年度から平成10年度まで行ってきたものでございます。
 調査結果については、40ページ、41ページをご覧ください。
 評価といたしましては、水質、底質、魚類、貝類、鳥類は依然として広範な残留が認められるということ。大気は、今回調査を実施するのが初めてでございますが、こちらも広範な残留が認められるということでございます。傾向の判断はちょっと困難というふうな評価をいただいております。
 次に42ページ、ドリン類(アルドリン、ディルドリン、エンドリン)でございます。
 ドリン類ということで3つになってしまうのですが、アルドリン、ディルドリン、エンドリンとも昭和56年に化審法の1特になったものでございます。
 調査の方は、ディルドリンは昭和53年度から平成8年度まで、その他、生物媒体で実施されております。水質では昭和61年度から平成12年度まで実施されております。アルドリン及びエンドリンについては、昭和53年度から平成元年度までと平成3、5年度に調査を実施しております。
 今回の結果につきましては、44~47ページとなっております。どうしても経年的にやっていく中で途中で切れたりとかしていますので、グラフはうまくつながっていないところもございます。
 アルドリンについては、水質及び底質は広範な残留が認められる。魚類は残留状況の大幅な上昇はない。貝類は残留が認められる。鳥類は大幅な上昇はない。今回、大気は広範な地点から検出されております。
 ディルドリンについては、水質は広範な地点で残留が認められる。底質は広範な地点で残留が認められる。魚類及び貝類、鳥類についても依然として残留が認められました。大気は初めてでございますが、広範な地点で残留が認められました。
 エンドリンについては、水質及び底質は広範な地点で残留が認められる。魚類は、傾向の判断は困難ですが、広範な地点で残留が認められる。貝類も広範な地点で認められました。鳥類についても、傾向の判断は困難ですが、残留が認められております。大気についても広範な地点で残留が認められているところでございます。
 引き続きましてDDT類をご説明させていただきます。DDT類もp,p'-DDT、p,p'-DDE、p,p'-DDD、o,p'-の分類とございまして、データが大変多うございますので、個々の物質を簡単にご説明させていただきます。
DDTは昭和56年に化審法の第1種特定化学物質になったものでございまして、本調査でも経年的にかなり調査が行われてきたものでございます。
 まずp,p'-DDTについてですが、全体として各媒体とも依然として残留が認められます。
 p,p'-DDE、p,p'-DDDは、一部、例えば底質などでは減少傾向にあるというようなものもあるという判断をいただいております。その他の媒体は広範な残留が認められるということとなっております。
 o,p'-DDT、o,p'-DDE、o,p'-DDDは、広範な残留が認められるという結果となっております。
 次にクロルデン類でございます。クロルデン類についてもいくつかの異性体がございますので、細かくなってしまうのですが、昭和61年に化審法の第1種特定化学物質に指定されたものでございます。
 調査結果については、58ページ以降に書かれております。
 評価といたしましては、trans-クロルデンについては、全ての媒体で残留状況が認められるところでございます。
 cis-クロルデンについても同様でございます。
trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデンについても同様の結果となっております。
次に65ページ、ヘプタクロルにいかせていただきます。
 ヘプタクロルは昭和61年に化審法第1種特定化学物質に指定されたものでございます。今回初の調査結果でございまして、評価は検出結果のみを書かせていただいておりまして、今後、こういった消長を追跡する必要があるとされました。
 次にHCH類でございます。HCH類は、過去にもいくつか調査を実施してまいりましたが、今回の調査結果については、68ページ、69ページでございます。
 評価といたしましては、水質、底質、魚類及び貝類、鳥類とも広範囲な残留状況が認められるということで、近年は残留状況の変化に傾向は見られないという評価もいただいております。
 最後にTBT、TPTについてですが、71ページをご覧ください。
 TBT、TPTにつきましては、平成元年から2年にかけてTBTOが化審法の第1種特定化学物質に指定され、その他の物質は化審法の指定化学物質となっているところでございます。
 結果については72~73ページに書いてあります。
 評価といたしましては、残留状況の変化に傾向は見られず、現在はほぼ横ばいで推移しているということで、関連情報を含め、毒性関連知見の収集に努めることも必要という評価をいただいております。
 以上、駆け足でございましたが、暴露量調査とモニタリング調査結果でございます。

【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。
 モニタリング・暴露量調査検討会の座長は田辺先生にお務めいただいていて、今日は説明員としておいでいただいておりますので、ご追加ありましたらどうぞ。

【田辺説明員】 ただいまご説明いただいたとおりでございますが、暴露量調査につきましては、暴露量の結果の取得が目的だということを前提にいたしまして、細かいデータの検証、解析等を進めました。データの精度については概ね良好なものだったと思いますが、一部問題があるものもございましたので、そこは十分議論を重ねて、データを精査いたしました。
 モニタリング調査につきましては、濃度の表記の問題とか、特に継続性の問題について検討を行いました。これもご存じのように、途中で分析法が変わったり、あるいは検出感度が変わったりしておりますので、そういう意味でデータの有効性と限界をいろいろと議論しまして、そういうものを踏まえた上で、ただいま事務局から説明がありましたような結論に至ったわけでございます。
 以上でございます。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。
 どなたかご質問あるいはご意見がありましたらどうぞ。

【松下委員】 たぶんこれは何かのミスかもしれません。資料6-1の38ページの図を見ていただきたいのです。上のPCB類の生物の経年変化ですが、単位が「ng/g-wet」になっていますが、前の表を見ると「pg」ではないかと思うのです。それをチェックしていただきたい。
 2番目は、52ページのp,p'-DDTと73ページのトリブチルスズ化合物の上の表だけ単位がないので、単位を付けておいてください。たぶん全て「pg/g」ではないかと思いますが、それだけチェックしていただければありがたいと思います。

【事務局】 失礼いたしました。まず38ページの方も、ご指摘いただきましたPCB類の生物でございますが、これは間違いで「ng」ではなくて「pg」でございます。
 あと抜けていたもの、POPs対象物質は基本的にすべて「pg」まで検出できる精度で実施しておりますので、単位系は「pg」にしておりますが、TBT、TPTはまだngレベルの調査でございますので、73ページの上の単位は「ng/g」が抜けているものでございます。失礼いたしました。

【鈴木委員長】 ほかにございませんか。

【遠山委員】 PCB類は一括して説明されているのですが、資料6-2のデータの方には1塩素化、2塩素化といった同族体と個別の異性体に関してのデータがあるわけです。せっかくデータがあるので、異性体ごとの、つまりTEFがかなり高いデータもあるようですので、TEQに換算したものであるとか、あるいは異性体のプロファイルの観点から見たときに経年的な変化なり地域ごとの変化があるかどうかということまで踏み込むと、ひょっとすると何か意味のある解釈ができるかという気もするのですが、いかがでしょうか。

【鈴木委員長】 田辺さん、何か意見がありますか。実際にそこまでやって意味があるかどうか。

【田辺説明員】 起源を探ったり、あるいはリスク評価をする場合には、いま遠山先生から指摘されたような視点は大変重要だと思っておりますので、一部、POPsモニタリング検討会等でも少しは議論しましたが、今後はこういう場でもデータを提示して、場合によっては議論を進めるということを考えてみたいと思っております。

【鈴木委員長】 事務局、何かありますか。

【事務局】 いま田辺委員からご説明のありましたPOPsモニタリング検討会の方ではそのような議論もございました。参考資料2の19ページにPCBのコンジェナー別、地点別の水中の比率がありまして、こういった比率を見ますと、PCBのコンジェナー別に特徴が考えられるといったことが議論されました。POPsモニタリング検討会ではこういったコンジェナー別のものもご議論いただきまして、その発生源や非意図的生成なのか、それとも製品由来なのかということもご審議いただくこととしております。

【鈴木委員長】 遠山委員、今年のデータからやり直せというわけではないでしょう。

【遠山委員】 これはかなり大変な作業だと思いますので、せっかく分析のデータが出ているので、今後の検討課題ということでお考えいただけたらと思います。

【鈴木委員長】 この次やるときはちゃんとやれ、そういう意味ですか。
 ほかにございませんか。

【池田委員】 田辺先生の検討会に入れていただいていながら、かつ、この時点で質問するのは若干不謹慎かと思いますが、2つばかり質問があります。1つは、1,2-ジクロロベンゼンです。これは溶剤あるいは洗浄剤に使うというふうに用途には書いてありますが、実際にはほとんどお目にかからない。そうすると、そのタイプの開放系で使われることはまずない。にもかかわらず、環境中からかなりよく出てきてますね。殺虫剤云々という用途も書いてありますけれども、主な用途あるいは環境のレベルを決定している要因は何なのか、推定がつくものであれば、ご教示いただきたい。
 2つ目は全く違ったトーンのことですが、EUがベンゾ[a]ピレンをPOPsの候補として考えているというご紹介がありました。だけど、POPsの概念は「トランスバウンダリー・ムーブメント」というのが1つ表現としてありますが、ベンゾ[a]ピレンは毒性学的には非常に大きな問題を持っている物質ですけれども、発生から考えると、トランスバウンダリーではなくて、人のいないところでも燃焼がある限り発生する、そういう性質のものですね。そうすると、POPsの概念とはちょっと合いにくいという気がするのです。ここはEUではありませんから、どういうつもりでおっしゃっているのかを伺うのは
若干おかしいかもしれませんが、何かお分かりでしたらお教えいただきたいと思います。
 最後は願望ですが、やはりPOPsに関連して、これは将来的には、少なくとも我が国の場合には、水道栓を締めた物質、PCDD、PCDFは除いてですが、PCBの場合もいろいろな問題は残っているにしても、なお他の物質に関しては元栓が締まっている。そうすると、環境中濃度をここに1つずつ評価していくと、先ほどの議論もありますが、あるものについては、マトリックスがいくつかありますから、非常に評価が難しくなってきますね。何か総合指標みたいなものは考えられないか。そうすると、環境の評価がかなり容易になる。これも言うは易く、行うは難しいことかもしれません。議論があってしかるべきかと思います。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。前の方の部分について、事務局、何かありますか。

【事務局】 POPsの候補物質の話をさせていただきますと、現在12物質がPOPs対象物質になっているわけですが、それについて追加があり得ることは条約の中に規定されていますが、追加の手続をどのようにやっていくのかについてはまだ詰まっておりません。POPsの4つの条件のうち、池田先生ご指摘のように、トランスバウンダリーという、長距離移動性が条件の1つになっているわけですが、その長距離移動性の具体的な基準といいますか、指標をどうするのか、これについて関係国の間で合意されていないというか、まだ提案もされていない状況でございます。
 POPs条約関係国会議でも早く発効させるのがまず第1だということで、新たな物質が出てくるなんていう話になると、これから締結しようという国も二の足を踏んでしまうというので、とりあえずまず発効を目指そうということになっております。来年の前半に予定されております第1回の締約国会議において、そういった追加のことについても議論していこうということで、前回の関係国会議では、新規物質の基準といった話は余り詰めきれなかった、むしろ第1回の締約国会議等へ積み残ししている状況にございます。池田先生のご指摘とはちょっとずれたかもしれませんが、現状についてはそういう状況でございます。

【鈴木委員長】 ほかにどなたかご質問、ご意見ありますか。

【中杉委員】 池田先生の最初のご質問の1,2-ジクロロベンゼンですが、私の記憶が正しいかどうか不確かなので、事務局の方で確かめていただければと思います。昔聞いた話では、山でし尿処理ももちろんない、下水も何もないところでそういうものを衛生害虫を処理するのに使っていて、そういうところで汚染があるのだという話を聞いたことがあります。そんな利用の仕方があるので、それがこういうところの汚染にまで広がっているのかどうか、それは軽々には言えませんけれども、意外とそんな使い方もされているということを聞いたことがあります。これは昔聞いた話なので、少しうろ覚えでございますが。

【武田委員】 今のに関連して。パラジクロロベンゼンでものすごくかけますよね。あれは化学製品ですので、純度がどの程度なのか。要するにクロルするときにパラとオルトに入るんです。売っているものはたぶんパラリッチなものを売っているのだと思いますけれども、化学製品ですので、純度まで知りませんが、普通防虫剤として売っているものの純度はどのぐらいか、僕は常々思っているのです。トイレか何かでものすごい量を使っていますよね。それが全然関係ないのかなとちょっと感じてはいるんです。

【池田委員】 パラ体の不純物として?

【武田委員】 はい。そうではないかと。合成経路の中に当然入ってきますし、できるなら、たぶん2:1の割合でできるはずですので、その関係も僕はちょっと疑ったことがある。

【鈴木委員長】 今の問題は、環境調査をするときに、その他のインピュリティないし代謝物の問題も含めたような形でもう少し気をつけて物を設定して測らなきゃいけないのではないかということになりますか。

【武田委員】 それを言い出したら、測っているときにみな出てくるわけですね。要するにベンゾピレンを測るよりは代謝物を測れというのは、先生方の疫学では当然そうでしょうし、ここでは、変な言い方をしますと、要するに原物質を問題にするのだというのを私は昔聞いたことがあるんです。そうすると、パラジクロロベンゼンで構わないのかな。しかしながら、今のような問題が出ているときには、不純物というのも少し考えてみる必要があるのかなという感じがしただけです。

【鈴木委員長】 ほかによろしいですか。

【武田委員】 資料6-1の55ページ、[5]クロルデン類の「調査の経緯及び実施状況」の5行目に「γ-クロルディーン」と書いてありますね。「クロルディーン」というと、三重結合になるんです。本来はクロルダン、クロルデン、クロルディンですね。それをクロルデンからいきますと、クロルデン、クロルディン、クロルディーンというのです。だから、「クロルディン」にしていただければと思います。

【事務局】 「クロルディーン」となっていますので、「クロルディン」に訂正させていただきます。

【鈴木委員長】 ほかにはよろしいですか。

【櫻井委員】 資料4-1の26ページのイソプレンですが、これは水質と底質だけ測定していて、大気は測っていないのですが、大気を測らないことにした理由は何かあるのでしょうか。何となく出そうな気がするのですが。

【中杉委員】 確かに大気が一番出るのですが、イソプレンの場合、植物起源等、いわゆるジでないものが大量に出てくるだろうということで、とりあえず一度見送ってということであります。では、なんで水と底質をやったのかという話になるのですが、大気の方をやりますと、確かに出ることは間違いないだろうけれども、それがどういう由来かというところでいろいろ議論が出てくるだろうということで、たしかこのときは見送ったような記憶を持っております。

【櫻井委員】 分かりました。ついでに教えていただきたいのは、その右のページで媒体別分配予測(フガシティーモデル)で媒体の質量割合が予測されていますが、「水系へ排出の場合」というふうに限定しているので、余り参考にならないのかなという気もするのですが、どれぐらい大事なのか。予測しないよりは、する方がいいかもしれませんが。他のところで37ページ、ジニトロトルエンも大気へは0.1%しかいかないことになっておりますが、データを見ると、水質には全然なくて、大気の方に出るというようなことになっておりますので、やや疑問を感じました。

【鈴木委員長】 モデルがどこまで有効で適用可能かというのは、やはり一々チェックしていかなきゃいけない作業なんでしょうね。
 ほかにございますか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、この話はここで終了させていただいて、先へいきましょう。「その他」について事務局どうぞ。

【事務局】 続きまして、「その他」といたしまして、こちらの方も2つに分けてご説明させていただきます。関連調査結果と関連調査事業ですが、まず関連調査結果につきまして参考資料1及び2を使いましてご説明させていただきます。
 まず参考資料1でございます。「平成14年度内分泌攪乱化学物質における環境実態調査結果等について」ということで、昨年実施されました平成15年度第2回内分泌攪乱化学物質問題検討会資料から抜粋したものでございます。
 1ページめくっていただきますと、その会議が行われたときの公表資料が添付してあります。
 さらにもう1ページめくっていただきますと、別紙1としまして、今回の内分泌攪乱化学物質に係る環境実態調査の概要ということで、水質、底質、大気、野生生物について書かせていただいております。SPEED'98 対象物質のうち、さらにそこに挙げました物質の中で今回は行いまして、○と付いているものは検出された物質、×と付いているものは未検出、-は今回は調査対象ではなかったものでございます。なお、野生生物はカワウ、トビ、ハシブトガラス、スナメリ、ニホンザル、タヌキで実施しているところでございます。
 今回の調査結果は特段例年と比べて飛び抜けて高いとか、そういった傾向のものはデータとしてはなかったのですが、野生生物において、次のページを開いていただければと思います。マイレックスについて、マイレックスはPOPsの対象物質でもございますが、国内では農薬として登録されたことがなく、国内の製造や輸入実績は農薬としてはないところでございますが、この物質が、測定いたしました対象物質の中で、非常に微量のものも含めますと、全対象物質から検出されたということで、マイレックスが検出されたというのが今回1つ特徴となっております。
 参考資料1については簡単ですが以上でございます。

【鈴木委員長】 武田先生、何か意見ないですか。
 では、次お願いします。

【事務局】 引き続き参考2につきましてご説明させていただきます。
 参考資料2につきましては、別途行われておりますPOPsモニタリングの方の結果を解析したものでございます。こちらの方も平成15年度第2回POPsモニタリング検討会資料より抜粋したものでございます。
 1ページ開いていただきますと、今回のPOPsモニタリングの検討結果が終わってからの公表資料が添付されております。
 調査対象物質につきましては、今回、マイレックス、トキサフェンを調査対象としていないことと、ダイオキシン類、フラン類につきましては、別途大規模な調査が実施されておりますので、それらを除く8物質を対象といたしました。
 調査結果につきましては、詳細は割愛させていただきますが、次ページの3.(3)あたりを見ていただければと思います。地方別の農薬出荷量とPOPsの残留状況の傾向が類似すると思われるヘプタクロル、すなわち農薬が使われている量とその残留状況が関連があるのではないかというケースが見られたりとか、特異的にはいくつかのケースが見られましたが、(5)に下線を引いてありますが、「我が国周辺のPOPs濃度レベルは、全体的には横ばい或いは低減傾向とみなすことができ、特段の増加傾向は認められないと判断された。」というのがこの検討結果でございました。
 参考資料2については以上でございます。

【鈴木委員長】 どなたかご質問、ご意見ありますか。
 マイレックスの話は分からない話なんですが、非常に不思議な出来事が起こった。
 よろしければ先へ進ませていただきます。それでは、平成15年度化学物質環境汚染実態調査状況と関連事業について、事務局どうぞ。

【事務局】 関連事業といたしまして、参考資料3、4及び5を使いまして簡単にご説明させていただきます。
 参考資料3は「化学物質環境汚染実態調査に係る精度管理等について」ということで、調査の基本となる精度管理について簡単に概略をご説明させていただきます。
 1枚目が簡単な1枚表になっておりますが、調査段階といたしましては、検体を採り、採ってから調製する段階と、分析する段階、その分析結果を解析していく段階と大きく3段階に分けております。
 まず検体を採取・調製する段階につきましては、実施機関としまして、地方自治体調査機関において実施が行われているところでございます。
 これらの調査機関で行われている精度管理等につきましては、モニタリング調査マニュアルにおいて、各媒体の検体の採取・調製の手法を示し、各機関の統一を図っているところでございます。
 なお、モニタリング調査マニュアルにつきましては、スペースの都合上、机の上にお2人に1つずつしか置かせていただいておりませんが、白い本で付けさせていただいております。そちらの方にモニタリングの検体の採取方法等が書かれております。
 次に分析段階についてご説明させていただきます。本調査は、分析段階といたしまして、自治体調査機関と民間調査機関において実施しているところでございます。初期環境調査と呼んでおりますものは自治体の調査機関で、他の2つの調査は主に民間の調査機関で媒体ごとに実施しているものでございます。
 こちらの方もモニタリング調査マニュアルにおいて、分析精度管理手法を示し、各機関
の統一を図るとともに、各機関に対しては以下の事業を実施しているところでございます。
 自治体調査機関に対しましては、外部精度管理、これは濃度調整された検体を各機関に配って分析し、その結果を検討して精度管理を実施していくというものでございます。民間調査機関に対しましては、専門家と環境省が施設に立ち入り、精度管理のチェックを実施しているところでございます。
 次にデータ解析でございます。データ解析につきましては、民間データベース会社を活用するとともに、黒本の検討会においてもデータ解析をしているところでございます。
 自治体・民間調査機関から提出されたデータをデータベース会社において、異常値がないか、特段高い値や短径のチェックをしているところでございます。黒本各検討会におきましても、まとめられたデータを過去との比較や分析手法の観点からチェックを実施しているところでございます。
 以上が参考資料3についてでございます。
 引き続きまして参考資料4でございます。こちらの方は現在実施しております平成15年度化学物質環境汚染実態調査についてでございます。来年度16年度に本委員会にあがってくる調査を現在実施しているところでございます。
 先ほど来説明している調査と同様、初期環境調査、暴露量調査、モニタリング調査の3つの調査体系で、次ページ以降に示させていただいている対象物質で実施しているところでございます。
 参考資料4については簡単ですが以上でございます。
 最後に参考資料5としまして、その他の関連事業についてご説明させていただきます。その他関連事業として3つ挙げさせていただきました。
 まず1つが「化学物質と環境」の英語版の公表についてのお知らせ。
 次が、いわゆるPRTR法対象物質に係る分析法について。
 最後は「化学物質と環境」総集編というのを現在作成しておりますが、そちらについて簡単に資料を付けさせていただいております。
 まず英語版の方でございますが、1ページ開かせていただきますと、その公表の資料が出ております。また、資料の方は机の上に緑の本があるかと思いますが、それが今回作成しました英語版でございます。英語版につきましては、過去にも不定期的に一部作っていたのですが、今回はこれを作成するとともに、インターネットで見られますように環境省ホームページにアップしました。また、国際機関や専門家の先生方も含めまして、専門家の皆様にお送りいたしまして、広く活用していただくことにしております。
 続きまして1ページめくらせていただきまして、「いわゆるPRTR法対象物質に係る分析法」ということで、こちらの方は現在まだ検討中のものも一部ありまして、暫定的なものでございます。本調査は、机の上にCD-ROMが置いてあるかと思いますが、CD-ROMにこれまで本調査で、媒体・物質別に見ますと、約2,800の分析法が開発されまして、その分析法についてまとめたものでございます。そのうち、PRTR法の対象物質について、分析法の検討会で検討いただき、特に本調査を中心に、現在の時点で使える分析法はどういうものがあるのかというものを中心にまとめたものでございます。実際の資料は表の羅列になっておりますが、何ページかめくっていただきますと、媒体別にどういう分析法があるのかというのをまとめているものでございます。
 最後に、後ろから2枚めくっていただきますと、「『化学物質と環境』総集編」という題名を付けさせていただきましたが、昭和49年度~平成13年度調査結果。昭和49年は1974年で、今年が2004年でございますので、本調査にとりかかってから30年目ということでございます。調査内容については、1年前までの平成13年度の調査結果までをまとめているところでございますが、この内容につきまして、これまでの本調査の結果をすべてPDF化し、次ページめくっていただきますと、それに検索機能をつけまして、全調査結果がDVD上で見られるようなものを現在作成中でございます。作成できましたら、各委員の皆様方にもご参考にお送りさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。これまでのところで何かご質問、ご意見ありますか。

【若林委員】 一番最初のご説明で、初期環境調査をやって、検出されないときは安全ですよ、検出された場合、環境リスク評価をやっていれば、リスク管理に進みます、やっていない場合にはリスク評価をするというようなご説明があったのですが、今回、初期環境調査が終わって、いくつか検出されたものが出ていると思うのですが、この先、どこでどう検討されて、例えばターフェニルなどですと、底質だけでほとんどの検体から出ているのがございますよね。どういうふうに進まれるかについてご説明をしていただけたらと思います。

【事務局】 今ご指摘いただきましたものは、先ほどご説明いたしました図は、資料2の最終ページになるかと思いますが、本調査の結果がどのような形で活用されていくのかという取扱いについて示したものでございます。
 まず初期環境調査は、環境中で不検出だった場合、安全というよりも、「当面、環境調査の必要はない」というのは、現時点での可能な範囲で分析して出てこなかったということで、現時点ではこれ以上やっても実際問題データが取得できないという意味で、これは位置づけとなっております。
 それに対して、環境中で検出された場合には、リスク評価をしていくということで、リスク評価をしていくところとしましては、私どもの環境保健部内の組織でございます環境リスク評価室が該当する、もしくは化学物質審査室の方でもリスク評価というのを少し考えているようですから、そういったところでも検討されていくものと考えております。

【鈴木委員長】 若林委員、それでいいですか。お聞きになりたいことは違うのではないですか。どうぞ足してください。

【若林委員】 する必要があるかどうかというのは、これを受けて、組織の中で検討されるということでよろしいのですか。例えば受け皿のこの検討委員会に回すのだとか、ここである程度の方向が出るのかなと思ったら、結果だけが羅列されていたので、どうするのかと疑問を持った次第です。

【事務局】 検出された場合のお話かと思うのですが、その前に検出がどういう意味を持っているのかという点がございます。それにつきましては、物質選定検討会の方で有害性のデータも見つつ、きちんとした検出感度での調査の実施が要求されているかどうかという点を、物質選定検討会の方でご検討いただき、評価いただいて、調査するかしないかが決まるということになっております。そこがなかなか言うは易くの部分はもちろんございますが、調査の感度が十分かどうかということに関しては、物質選定検討会である程度ご検討いただく。その結果、ある程度リスクが疑われるような濃度で検出された場合については、それまでにリスク評価が行われてなければ、基本的には初期リスク評価へいく。ここではあくまで初期リスク評価の候補ということで、リスク室の方で今度は初期リスク評価を実施するしないの検討会がございますので、そこで改めて暴露データも踏まえ、有害性データも踏まえてご検討いただいて、必要ならば、初期リスク評価を行うということになるかと思います。

【鈴木委員長】 今日の最初に関澤委員から提起された問題、リスクコミュニケーションをどうやるのかという問題があったわけですが、その話とも実は連動してくるんですね。一生懸命調査をやってデータが出てきた。それは何の意味があるのか、さあ、どうするのだという、その辺のところがごく一般分かりのする素直な形でスーッと出てこないと、何のために一生懸命働いているのだと言われておしまいになってしまうというところがありますよね。リスクコミュニケーションの問題はその辺でしょう。
 ほかにご意見ありますか。

【中杉委員】 今の件について、物質選定からリスク評価、最後は規制というか管理のところまでいくのですが、今まで流れがスムーズでない。初期リスク評価は初期リスク評価で独立して物質を選んでやっていく。物質選定も、今日議論いただいた平成14年度の分は実は新しい制度でやったのですが、分析法の開発とか前に積み残しがあって、それをひきずっている部分があります。そういう意味でいくと、他のところで調査をやっているようなものも選んでいるところがございます。そういう意味では、今回の流れでああいうふうに整理していただいたので、すべてすっきりいくとは限りませんけれども、今までに比べたら、流れとしてはかなり整理できたのではないかと私は思っております。

【鈴木委員長】 ありがとうございました。中杉委員のお考えが披露されました。
 ほかに特にないようでしたら、そろそろ時間がきましたので、本日の会議はこれにて終わりにしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 どうもありがとうございました。

【事務局】 1点だけ事務局からご連絡させていただきます。
 本日の会議録でございますが、事務局の方でまとめさせていただきまして、今日ご出席の委員の先生方のご了解を得た上で、委員の先生方に配付するとともに、公開ということで、環境省のホームページに載せさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。

事務局

*:その後の確認において「1μg」で正しいことが判明した。