熱中症対策小委員会第1回_議事録
日時
令和8年4月23日(木)13:10~15:00
場所
対面及びオンライン(Microsoft Teams)併用
配布資料
資料1:熱中症対策実行計画の改定について
資料2:熱中症被害の現状及び環境省の取組について
資料3―1:井上研究員提出資料
資料3-2:消防庁提出資料
資料3-3:文部科学省提出資料
資料3-4:スポーツ庁提出資料
資料3-5:厚生労働省提出資料
資料3-6:農林水産省提出資料
資料3-7:国土交通省提出資料
参考資料1:中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について
参考資料2:熱中症対策小委員会 委員名簿
参考資料3:熱中症対策実行計画
資料2:熱中症被害の現状及び環境省の取組について
資料3―1:井上研究員提出資料
資料3-2:消防庁提出資料
資料3-3:文部科学省提出資料
資料3-4:スポーツ庁提出資料
資料3-5:厚生労働省提出資料
資料3-6:農林水産省提出資料
資料3-7:国土交通省提出資料
参考資料1:中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について
参考資料2:熱中症対策小委員会 委員名簿
参考資料3:熱中症対策実行計画
議事録
1.開会
環境省(高山)
ただいまから、中央環境審議会環境保健部会第1回熱中症対策小委員会を開催いたします。
私は、環境省熱中症対策室の高山と申します。よろしくお願いいたします。本日の会議は、対面とオンラインのハイブリッド形式で行う予定としております。また、この会議は環境省の公式YouTubeチャンネルよりライブ配信を行う予定としておりますが、現在接続に少し時間を要しているところでございます。資料及び議事録についてはホームページにて公開とさせていただく予定としております。オンラインにて参加の委員の皆様方に関しましては、ご不明な点などございましたら事務局までTeamsのチャットでお知らせください。また、事前にお知らせした電話番号でも結構でございます。
それでは、会議に先立ちまして、環境省大臣官房環境保健部長 伯野春彦より、ご挨拶させていただきます。
環境省(伯野)
環境省大臣官房環境保健部部長の伯野でございます。本小委員会の開会にあたり一言ご挨拶を申し上げます。委員の先生方におかれましては、大変ご多忙の中、本会議にご出席くださいまして、誠にありがとうございます。また平素より、環境保健行政の推進にご理解・ご協力、ご尽力いただいていることを、この場を借りまして、厚くお礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。
熱中症対策についてですが、ご案内のとおり、近年大変暑い夏が続いております。令和7年の夏も令和6年に引き続き大変厳しい暑さとなりまして、夏の全国の平均気温は、これまでの記録を大幅に上回りまして、3年連続で最も暑い記録を更新しております。また、令和7年の夏の熱中症による死亡者数は、速報値ではありますが、令和6年よりも減少しているものの依然として1,000人を超えている状況でございます。これまでも熱中症対策実行計画に沿いまして、対策を進めてまいりましたが、今般、実行計画を見直すこととしまして、今後の熱中症対策の在り方を調査・審議するために、本年1月、中央環境審議会環境保健部会に熱中症対策小委員会を新たに設置することをご了承いただいたところでございます。
本日は実行計画の見直しのキックオフということで、次期計画における目標や、関係省庁との連携の在り方を中心に、ご議論いただきたいと考えております。委員の先生方におかれましては、大変ご多忙の中、恐縮ですが、熱中症対策にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えておりますので、ぜひ忌憚のないご意見をいただきますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、冒頭の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第をご覧ください。資料1、資料2、資料3-1から資料3-7、参考資料1、2、3でございます。各資料については、事前にお送りしておりますが、本日会議中に資料のご説明をする際には、資料を画面共有にて投影する予定です。資料の不足などがございましたら、事務局までお知らせください。そして、本日の小委員会は第1回目ということで、簡単に本小委員会についてご説明いたします。参考資料1に小委員会の設置の要綱がございますが、本小委員会は、今後の熱中症対策のあり方について調査審議を行うものとされております。ご承知おきいただければと思います。
続きまして、本小委員会の委員の紹介をさせていただきます。参考資料2をご覧ください。本日ご出席の委員の皆様を五十音順にご紹介いたします。簡単に、短く一言でご挨拶をいただければ幸いでございます。
それでは、今田委員でございます。
今田委員
東京大学大気海洋研究所の今田と申します。よろしくお願いいたします。研究ベースで異常気象の研究を、シミュレーションなど用いてやっております。よろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、上田委員でございます。
上田委員
北海道大学医学研究院の上田と申します。よろしくお願いいたします。私は健康影響評価ということで、環境保健を担当しております。
環境省(高山)
続きまして、大塚委員でございます。
大塚委員
早稲田大学の法学学術院の教授の大塚と申します。環境法を専攻しております。どうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、奥委員でございます。
奥委員
東京都立大学の奥と申します。環境法政策の分野を専門としております。どうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、小野委員でございます。
小野委員
国立環境研究所の小野と申します。環境省の熱中症対策関係の委員等をやらせていただいております。よろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、寺川委員でございます。
寺川委員
気象予報士で防災士の資格を持っています、寺川奈津美と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、永井委員でございます。
永井委員
永井でございます。大阪府医療監をさせていただいております。全国衛生部長会の代表という立場で、自治体の立場から、あるいはその対策ということで、どうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、横堀委員でございます。
横堀委員
日本医科大学の横堀でございます。日本救急医学会の熱中症委員会の担当理事をしております。熱中症の予防、あるいは治療、特に重症患者さんの治療について、検討させていただいているところです。今日はよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
ありがとうございました。以上、8名の委員の皆様にて、本小委員会を進めさせていただきます。また、本日は国立社会保障・人口問題研究所の井上希先生に参考人としてご出席いただいております。また、関係する省庁として消防庁、文部科学省、スポーツ庁、厚生労働省、農林水産省、国土交通省にもご出席いただいております。
なお、本小委員会は、中央環境審議会の議事運営規則に基づきまして、環境保健部会長より委員長の指名がされておりまして、大塚委員に委員長にご就任いただいているところでございます。また、各委員の皆様におかれましても、委員ご就任について、同様に部会長からご指名をいただいております。
続きまして、環境保健部長を除いた本事務局の紹介をさせていただきます。まず、環境省大臣官房審議官の大井でございます。
環境省(大井)
大井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、環境保健部熱中症対策室の小笠原でございます。
環境省(小笠原)
小笠原でございます。よろしくお願いいたします。
環境省(高山)
以上となります。本日、先ほどご紹介いただきました委員の皆様方、総数8名、全員ご出席をいただいております。
最後に、本日の会議の留意事項について、お知らせいたします。本日の会議中、発言者の方以外におかれましては、基本的にマイクをミュートに設定をお願いいたします。そして、回線負荷を回避するため、ご発言されている時以外はカメラをオフにしていただきますようお願いいたします。ご発言される際には、対面でご参加の委員の皆様におかれては、挙手などで合図をいただければと思います。オンライン参加の委員の皆様におかれては、画面上に「手を挙げる」というボタンがございますので、そちらを押して合図をいただければと思います。そうしましたら、委員長が順番に指名をしますので、マイク、カメラをオンにした状態でご発言をお願いいたします。なお、ご発言される際には、最初にお名前をおっしゃっていただけますと幸いでございます。また、ご発言以外の時にご意見やご質問がある場合には、チャットにて、事務局までお知らせいただければと思います。留意事項は以上でございます。
それでは以降の議事進行を大塚委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
大塚座長
大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。一言ご挨拶をさせていただきます。先ほど環境保健部長からもお話しいただきましたように、毎年1,000人を超えるような熱中症の死者が出ている状況にございます。環境省が扱っている事項としては、最近はあまり健康被害の分野が、必ずしも多くない傾向はあると思いますが、これ(熱中症)はまさに健康被害、あるいは死亡という事例でございます。また、温暖化との関係、気候変動との関係で、人が死んでいくということを、一般の国民の方はイメージしづらいと思いますが、熱中症というのは、まさにそういう極めて重要な事柄に関連するものでございます。特に、高齢者の方が自宅でエアコンをつけずに、あるいはつけ方が必ずしも良くないことがあり、亡くなるケースがそれなりに多いというのは、非常に心が痛むところでございます。この問題、気候変動の緩和とも関連させながら、影響の対策について考えていければと思っております。どうぞ忌憚のないご意見をいただければありがたく存じます。
それでは議事に入ります。本日の議題は議事次第にありますとおり、(1)熱中症対策実行計画の改定について、(2)熱中症被害の現状及び環境省の取組について、(3)ヒアリングとなっております。まず、議事の(1)、熱中症対策実行計画の改定について、資料1につきまして、事務局から説明ののち、質疑応答に入ります。それでは事務局からご説明をお願いいたします。
2.議事
(1)熱中症対策実行計画の改定について
環境省(小笠原)
環境省熱中症対策室の総括補佐を務めております小笠原と申します。よろしくお願いいたします。私から資料1を用いて、熱中症対策実行計画の改定に向けて説明をさせていただきます。
まず、現行の熱中症対策実行計画について説明いたします。次のスライドの「1番、熱中症対策実行計画とは」をご覧ください。1ポツにあるとおり、本計画は、令和5年に閣議決定され、気候変動適応法に規定されている計画でございます。2ポツにあるとおり、2030年を中期的な目標として、熱中症による死亡者数が現状から半減することを目指しております。この「現状」についてコメ印の1で補足しておりまして、「現状」として「計画策定時に入手可能であった令和4年における5年移動平均死亡者数」を使用しており、具体的には1,295名でございます。したがって、「現状から半減」とは、年間死亡者数を650名程度にすることを意味しております。3ポツにあるとおり、本計画の見直しの時期については、計画本文に「気候変動適応計画と併せて令和8年度目途に見直すこと」と記載されております。したがって、今般、本計画を今年度に見直すこととするものでございます。
続いて、「2番、熱中症対策実行計画の改定に当たっての論点(案)」をご覧ください。事務局より、論点案を5点に分けて提案させていただきます。順に説明いたします。まず、(1)目標のあり方について、でございます。現行計画においては、先ほど申し上げたとおり「中期的な目標として、熱中症死亡者数について現状から半減することを目指す」としております。次期計画における目標はどのようにあるべきか、 具体的には目標年、指標の内容や目指す数値などについてご議論いただければと考えております。続いて、(2)関係省庁の役割分担と連携のあり方について、でございます。現行計画においても既に関係省庁の施策について記載されておりますが、目標の達成に向け関係省庁がそれぞれ、または連携して、どのような熱中症対策に取り組むべきか、ご議論いただければと考えております。続いて、(3)自治体、産業界等の関係主体の取組の促進・支援について、でございます。自治体・産業界等の取組を促進するための在り方について御議論いただければと考えております。続いて、(4)熱中症警戒アラート等の情報発信のあり方について、でございます。現在の熱中症警戒アラートの情報発信・活用のされ方は適切か、また熱中症予防行動と行動の制限とのバランスをどのようにとるべきかについてご議論いただければと考えております。最後に、(5)その他ということで、もし委員の先生方から論点について追加のご意見等あれば、適宜論点として追加させていただければと考えております。
次のスライドに移り、「3番、小委での議論スケジュール(案)」をご覧ください。先ほどの論点を踏まえた議論のスケジュール案についても事務局から提案をさせていただきます。小委員会について、現時点では4回の開催を考えております。先ほどお示しした論点を順番に扱い、まず今回、第1回において論点の(1)と(2)を扱い、関連として国立社会保障・人口問題研究所 井上研究員、また関係6省庁からのヒアリングを予定しております。第2回、8月頃に論点(3)と(4)を扱い、関連として市町村からのヒアリングを予定しております。第3回、10月頃に論点(5)としてその他の項目を扱い、第4回、12月頃に計画改定の方向性のとりまとめを行うことができればと考えております。
最後のスライドは、現行の熱中症対策実行計画を1枚のスライドにまとめたものでございます。参考資料3の計画本文とあわせて、適宜ご参照いただければ幸いです。私からの説明は以上です。
大塚座長
それでは、ただいまのご説明に対するご質問、ご意見をお願いいたします。対面の方は名札を立てていただけるとありがたいです。オンラインの方は、挙手ボタンを押していただければと思います。横堀委員お願いします。
横堀委員
日本医科大学の横堀です。熱中症対策実行計画について、今年度を目途に見直す方向であることは分かりました。今まで、熱中症の死者数を五年移動平均で半減させるということを目標としていますが、本年度の計画の見直しについても、この目標のままで行くのか、あるいは増やすべきなのか、減らすべきなのかという議論が必要かもしれないと考えています。その中で、前回、半減しようという目標を立てたその背景、なにか見立てがあったのかをご教示いただければと思います。私からの質問は以上です。
環境省(小笠原)
環境省の小笠原でございます。ご質問いただきありがとうございます。現行の計画目標については、半減を目指すということで、この方針自体は、少なくとも本年度については、現行目標に基づく対策を行うため、変わることはないと考えております。現行計画の目標設定の経緯としては、この計画策定にあたり、熱中症の死亡者を削減するという、野心的な目標ということで、設定されたと理解をしております。引き続き、次期計画の目標のあり方については、これまでの状況を踏まえつつ、本日は熱中症死亡者数の簡易将来推計に関するヒアリングも予定されておりますので、先生方のご意見も含めてご議論いただければと考えております。私からは以上です。
横堀委員
横堀です。ありがとうございます。やはり適応がどれぐらい進むと、どれぐらい半減できるのか、シナリオに沿った検討ができたらよいと改めて思ったところです。ありがとうございました。
大塚座長
ありがとうございます。ほかに何かいかがでしょうか、よろしいですか。では、特に無いようですので、今の点も含めて整理していただければと思います。
今後の熱中症対策実行計画の改定に向けての本委員会のスケジュールについて、とりまとめを行いたいと思います。それについてのご説明を事務局からお願いいたします。
環境省(小笠原)
環境省の小笠原でございます。先ほど論点の案と論点のスケジュール案をお示しさせていただいたところでございまして、繰り返しになりますが、先ほどお示しした論点案について、ご意見がなければ、それに従ったスケジュール案を組んでおりますので、そのように進めさせていただければと、事務局としては考えているところでございます。
大塚座長
はい。そうしましたら、このスケジュールについて、今後取りまとめを行っていきたいと思います。本委員会におきましては、事務局の案のとおり、熱中症対策実行計画の改定に向けての議論を進めるということで、本日の委員会においては(1)目標のあり方について、(2)関係省庁の役割分担と連携のあり方について、議論を行う方向としていこうと思いますが、よろしいでしょうか。
今田委員お願いいたします。
今田委員
東京大学の今田です。今ご説明いただきました(2)のところで、関係省庁の役割分担と連携のあり方ということで、いくつか省庁を挙げていただいていますが、どこにヒアリングをするか、今後も必要に応じて追加されることがあるのかを伺いたいです。今気になっているのは気象庁でして、週間予報や2週間先の予報等、最近は予測情報を充実させているところです。そういった情報を取り入れるというような視点の議論もあって良いのかなと思ってコメントをさせていただきました。
大塚座長
はい。ありがとうございます。事務局いかがですか。
環境省(小笠原)
今田先生、ありがとうございます。ご指摘いただいた関係省庁のヒアリングについては、今お示ししたもので確定ではなく、先生方のご意見を踏まえて追加することも可能と理解しております。気象庁からのヒアリングをご提案いただいたということで、次回以降の会において、委員長の大塚先生とも相談させていただきながら、気象庁からのヒアリングについて検討してまいりたいと思います。
大塚座長
他にはいかがでしょうか。横堀委員はもう一度ということでよいでしょうか。
横堀委員
はい、ありがとうございます。先ほどのお話の続きとなりますが、どこに連携する省庁を置くかということになると思います。救急医療の立場の私どもとしては、災害時における熱中症の予防のあり方というのも非常に大事だと考えていて、現行であると厚生労働省かもしれませんが、今後もし防災庁が活動することになると、新しい省庁の参画が必要になるのか。このあたり、もし現状を考えていらっしゃることがあれば、教えていただければと思います。あるいは国土交通省なのか分かりませんが、災害を主に扱うところというふうに認識しております。もし何かコメントがあればお願いします。
環境省(小笠原)
横堀先生、ありがとうございます。防災の観点から熱中症対策を議論することも非常に重要と考えております。今言及いただいた防災庁については、審議・設置準備等の関係もあるものと存じますので、現時点で確定的なことを申し上げられませんが、防災関係については、内閣府、あるいは国土交通省等、関係省庁で一丸となって取り組んでいると承知しております。防災の観点からも熱中症対策について議論できないかということは、今いただいたお話も含めて、委員長の大塚先生とも相談して、次回以降に反映させていただくようにしたいと思います。
大塚座長
奥委員お願いします。
奥委員
はい、ありがとうございます。現時点での論点整理としては、出していただいている柱でもよろしいかと思います。もう少し注意しておきたいのは、(2)関係省庁の役割分担と連携のあり方についてです。これは国の中での、行政機関間の役割分担と連携の話ですけれども、役割分担と連携という意味では、国と地方公共団体との役割分担と連携というのも非常に重要な視点だと思います。(3)の中にそういう趣旨も入っているのかもしれませんが、この表現ですと、国と地方公共団体の役割分担と連携というところが、(3)では読み取れないところもありますので、単に自治体の取組促進支援というだけではなく、どのように行政機関として国と地方公共団体がしっかりと連携していくのか、あるいはそれぞれの立場での役割を果たしていくのか、という(2)(3)をつなぐような視点も必要だと思います。そういう意味で、産業界等、自治体等を一つの柱でまとめてしまっていいのかというところもあるかと思いますが、むしろ(3)は自治体と産業界との連携や役割分担という、視点も必要かなと思いました。以上です。
大塚座長
事務局お願いします。
環境省(小笠原)
奥先生、ありがとうございます。関係省庁と地方公共団体との役割分担・連携も重要ではないかというご意見をいただいたと理解しております。おっしゃるとおり、自治体における熱中症対策の支援を行っていく中で、環境省からの支援にとどまらず、関係省庁と連携して、地方における自治体の熱中症対策の支援・促進に取り組んでいくという観点も非常に重要だと思っております。第1回の本日は関係省庁からのヒアリングが予定されておりますが、本日をもって、関係省庁の役割分担、連携のあり方についての議論が終了するとは考えておりません。第2回以降においても、先ほど今田先生からご提案がありましたとおり、必要に応じて関係省庁にヒアリングをさせていただければと思います。次回、国と地方公共団体との役割分担や連携の観点も含めて、自治体、産業界の取組の促進・支援について議論していただきたいと思います。必要に応じて、委員長の大塚先生と相談しながら進めてまいりたいと考えております。
大塚座長
よろしいでしょうか。今田委員どうぞ。
今田委員
今田です。(5)にその他とありますが、この4つに含まれないものは第3回の時にインプットすればよいですか。それとも今何か挙げた方がよいでしょうか。
環境省(小笠原)
今回インプットしなかったからといって、次回以降、全く議論できないということは考えておりません。他方で、この資料をお示しした趣旨としては、今後の議論において、委員の皆様方と認識を共有して、前提を一定程度固めるということを狙いとしております。もし論点案について「これが不足している」等のご指摘があれば、今、この議事(1)のところでご提案いただけると、今後の議論をスムーズに進められると考えております。
今田委員
承知しました。1つインプットさせていただきたいのが、先ほど大塚委員長からもありましたが、熱中症は非常に国民の生活に直結するものです。気候変動問題に対する実感が沸くものですので、緩和策をいかに促進するかという点の視点も入れていただけると、すごく良いのではないかと思います。以上です。
大塚座長
その点につきましても、論点に含めることにしたいと思いますので、事務局でそのように整理していただければと思います。他にはいかがでしょうか。
2.議事
(2)熱中症被害の現状及び環境省の取組について
大塚座長
では、次の議題に進ませていただきます。議題2、熱中症被害の現状および環境省の取組について、資料2を事務局からご説明ください。
環境省(小笠原)
環境省の小笠原でございます。私から資料2を用いて、熱中症被害の現状及び環境省の取組について説明いたします。次のスライドをお願いします。大きく3点に分けて、「令和7年度の暑さ等の状況」「熱中症による被害について」「令和7年度の環境省の主な取組」の順番に説明いたします。
第1に、「令和7年度の暑さ等の状況」について説明いたします。3ページをご覧ください。まず、令和7年度4月から10月までの気象の状況についての報告となります。令和7年度は6月以降、本州付近への太平洋高気圧の張り出しが強く、晴れて気温が高い日が多かったということも踏まえ、6月から8月までの平均気温は、これまでの記録を大幅に上回り、3年連続で最も高い記録を更新しました。資料には参考として令和7年地域平均気温平均年差の経過と、6月から8月までの日照時間平均比を記載しております。
次に、4ページです。熱中症特別警戒情報、熱中症警戒情報の発表状況について簡単に説明いたします。資料の左上をご覧いただきますと、熱中症特別警戒情報については、令和7年度の発表回数は0回ということになってございます。視点を右に移していただき、紫色の四角の中の熱中症警戒情報の発表実績をご覧ください。延べ1,749回、発表日数は111日という形になりまして、過去最多となりました。発表地域は54地域となりました。続いて資料の中ほどをご覧ください。警戒情報の月別の発表実績をグラフでお示ししておりまして、令和7年度はオレンジ色の棒グラフでございますが、6月から既に暑くなり、6月から9月までの長い期間において、警戒情報の発表が続いていたということがわかるかと思います。
第2に、熱中症による被害について報告いたします。6ページをご覧ください。あくまで概数であり、確定数ではありませんが、令和7年の死亡者数が公表されております。右下のとおり、令和7年5月から9月までの死亡者数の合計は1,521人となっております。
次のページにて、熱中症による死亡者数を棒グラフでお示ししています。令和7年の死亡者数は令和6年と比べ減少していますが、依然として1,000人を超えており高い水準にあることがご覧いただけるかと思います。
次の8ページで示されている死亡者数の5年移動平均においても、直近の数値は引き続き1,000人を超えていることがわかります。
次に、熱中症による死亡者数を年齢層別に集計したグラフをお示しします。留意点としては、令和7年については年齢 別等の詳細な死亡者データがまだ出ていないため、これ以降にお示しする数は令和6年までの数値となっています。右下のとおり令和6年の死亡者数については、64歳以下の死亡者数が325人、65歳以上の死亡者数が1,835人であり、死亡者の約85%が65歳以上となっています。
次に、10ページです。熱中症警戒情報の発表状況は、令和5年は北海道、東北、北陸の発表回数が例年より多く、令和6年は東北地方以西の発表回数が例年より多い状況でした。年により、特に暑い地域は変わるということがご覧いただけるかと思います。
次に、11ページです。都道府県別の熱中症による死亡者数は、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県の死亡者数が多くなっています。このグラフは人口調整を行っておりません。
次の12ページで、都道府県別の死亡者数を人口10万人当たりで調整したグラフをご覧ください。青森県や秋田県、鳥取県、大分県、鹿児島県等が高い値となっており、必ずしも首都圏のみで被害が大きいわけではないことがご覧いただけるかと思います。
次に13ページです。熱中症死亡者数の死亡場所・外因場所別の分類を示したものでございます。まず、左側の円グラフをご覧ください。こちらは死亡場所別ということで、どこで最終的に亡くなられたかということでございます。一番多いのは自宅で51%、次に多いのが病院で39%でございます。続いて右側の円グラフをご覧ください。こちらは外因場所別ということで、そもそもどこで熱中症を発症したかということでございます。一番多いのは家(庭)で57%、次に多いのが詳細不明で32%となっており、その次が農場4%となっております。
駆け足で恐縮ですが、14ページに移っていただき、ここからは、令和7年度の環境省の主な取組について、簡単に報告いたします。
次のスライドにて、まずは有識者による検討会について報告いたします。熱中症対策推進検討会は、今後の熱中症対策のあり方を検討するため、熱中症対策の推進に必要な事項等について、有識者の方々による議論を行うものでございます。続きまして、この検討会の下に設けられている熱中症特別警戒情報等に関するワーキング・グループは、熱中症特別警戒情報等の運用等について、ご議論いただくもので、令和7年度の開催実績は計3回となっています。
続いて次のスライドで、省庁のみで構成された会議をご紹介します。16ページの熱中症対策推進会議は、環境大臣を議長、関係府省庁の局長級を構成員とし、熱中症対策実行計画の実施状況の確認・検証・改善及び新たな施策の検討を行うものとされています。令和7年度の開催実績は2回であり、令和7年6月18日に第1回を、令和7年8月7日に第2回を開催しています。次に17ページの熱中症対策推進会議幹事会は、環境省熱中症対策室長を幹事長、関係府省庁の課室長級を構成員とした、実務者レベルで熱中症対策の具体的な施策を検討するための会議となっており、情報共有と省庁間の連携の強化を目的としています。令和7年度は3月に開催いたしました。
18ページです。指定暑熱避難施設、いわゆるクーリングシェルターに関しては、市区町村によるクーリングシェルターの指定状況について、環境省熱中症予防情報サイトでリンク集を公開しています。地方公共団体の職員向けの研修も行っており、環境省所管の独立行政法人であります環境再生保全機構、通称ERCAにおいて、地域における熱中症対策の推進のための地方公共団体職員向けの研修を実施しています。こちらは対面による研修の他、オンラインやeラーニング等を用いた研修を行っており、令和7年度の実績は、対面14回、オンラインで2回、eラーニングを随時行っており、1,500人を超える方に参加いただいています。
続いて19ページです。クーリングシェルターを指定している市区町村数や施設数についてです。令和7年時点では、ページ左側をご覧いただきまして、1,182の市区町村、すなわち全市区町村の6割以上の自治体に1つ以上のクーリングシェルターを指定いただいております。また、クーリングシェルターの施設数は、令和7年において、ページ右側をご覧いただきまして、23,311施設が指定されています。環境省として、引き続き、地方自治体におけるクーリングシェルターの指定の促進に努めてまいります。
続いて、20ページです。熱中症警戒情報と特別警戒情報の仕組み等について、簡単に説明いたします。左側をご覧ください。熱中症警戒情報、一般名称は熱中症警戒アラートであり、気温が著しく高くなることにより熱中症による人の健康に係る被害が生ずるおそれがある場合に発表されるものでございます。先ほど申し上げたとおり、令和7年度は1,749回と多数発表されたものでございます。次に、右側の熱中症特別警戒情報については、気温が特に著しく高くなることにより人の健康に係る重大な被害が生ずる恐れがある場合に発表するものであり、発表基準も通常の警戒情報とは異なります。熱中症特別警戒情報については、法改正から現時点に至るまで、発表実績はありません。下のコメ印をご覧ください。この熱中症特別警戒アラートにつきましては、運用の改善を行うということで、昨年の11月から有識者による検討会を開催してきたところでございます。熱中症特別警戒アラート等の今後のあり方について議論をいただいた結果、一部の情報提供地点については、令和8年度から熱中症特別警戒情報の発表の際に参照しないことといたしました。
次のスライドでご説明いたしますので、21ページをご覧ください。スライドの1ポツ目にあるとおり、昨年11月から会議を開催し、各情報提供地点における暑さ指数の傾向を踏まえて、熱中症特別警戒情報の発表の判断の際に参照しない地点を検討したということでございます。具体的には、例えば標高の高い情報提供地点においては、都道府県内の他の情報提供地点と比べて、暑さ指数が高くなりにくいといったような傾向があります。こうした傾向を踏まえて、統計学的な手法を用いて専門家の先生方に分析していただき、昨年12月17日に開催された第2回ワーキング・グループにおいて、スライドに記載されている地点を参照しない地点とし、令和8年度から適用することを了承いただきました。省令改正等の手続も完了しまして、今月1日に、改正省令が公布・施行されたところでございます。
最後に、普及啓発について簡単に報告いたします。22ページをご覧ください。熱中症予防強化キャンペーンの一環として、環境省としても様々な施策に取り組んでいるところでございまして、左上から順に、環境省公式SNS、X、Facebook、LINEを通じた情報発信、そして、原宿、表参道等の大型ビジョンにおける暑さ指数の情報発信、また動画の作成・活用等を行っているところでございます。
次のスライドをお願いします。23ページです。先ほどのスライドに続き、様々な関係者にご協力いただき普及啓発を進めております。左上から順に鉄道事業者によるポスターの掲示、熱中症予防イベントへの出席・講演会等の実施、日本サッカー協会と連携した動画作成・活用に取り組んでおります。また、下に移りまして、郵便局での普及啓発、ラジオを通じた普及啓発、熱中症予防広報大使の任命等も行わせていただき、様々な関係者の方にご協力いただいて、熱中症対策の普及啓発を進めてまいりました。
次のスライドをお願いします。最後のページです。ご参考ですが、環境省が運営する熱中症予防情報サイトへのアクセス数について、令和7年度は累計で約1億7000万回の閲覧をいただいております。引き続き、環境省として、国民の皆様が利用しやすいようなサイトの運営に努めてまいります。
私からは以上となります。
大塚座長
ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対するご質問やご意見をお願いしたいと思います。横堀委員お願いします。
横堀委員
横堀です。度々申し訳ありません。クーリングシェルターが自治体の6割で整備されているということを改めて確認して、素晴らしい取組かなと思いました。実際に、特別警戒アラートが出ていない中で、今までは(クーリングシェルターの)運用例がないという認識でよろしいのか、あるいは先行的に運用しているようなところがあった場合には、事例を共有できているのか、このあたりお伺いできればと思います。
環境省(小笠原)
ご質問ありがとうございます。クーリングシェルターの運用ということでございますけれども、先生のおっしゃるとおり、法令上は特別警戒情報が発表された際に開放されるものでございますので、法令上は、これまで開放されたことはないというお答えになります。他方で、各自治体において、クーリングシェルターとして指定されている施設の管理者が自主的に広く一般の方が使えるように開いていただいている事例があると承知しております。そのような取組は、様々な地域において実施していただいていると認識しております。クーリングシェルターの活用事例の共有については、環境省としても重要と考えておりまして、適宜、独立行政法人環境再生保全機構と連携しながら、優良事例等については、公開等させていただいていると理解しております。
横堀委員
ありがとうございます。効果判定というか、クーリングシェルターの有効性というのが、例えばカナダの事案等だとあったと思いますが、日本からもそういったデータが出せるといいなと思いました。
あともう1つ、搬送者数と死者数の件ですが、令和6年に比べて令和7年は少し減った傾向とはいえ、搬送者数については10万件を超えていて、過去最高を更新したと認識しております。この搬送者数の更新と、死者数の減少というのは、どのような要因が考えられるのか。これから議論が必要かもしれませんが、もし今、環境省で考えていることがあれば教えていただければと思います。
環境省(小笠原)
ありがとうございます。死者数、搬送者数の要因についてご質問いただきました。死者数の減少の原因については、様々な要因があると考えられ、1つの要因が決定的なものだと結論づけることは難しいと考えております。例えば、熱中症対策の普及啓発等について、様々な関係者にご協力いただいた効果等が影響している可能性もあり得ると考えております。ただ、いずれにせよ、死者数は依然として高い水準にあると認識しておりますので、熱中症対策については、引き続き取り組んでいく必要があると考えてございます。
救急搬送者数についても言及いただきましたが、この後、消防庁から救急搬送者数の現状等について説明いただけるかと思います。必要あれば今、消防庁からご回答いただければと思いますし、この後のヒアリングにおける質疑応答でということであれば、そのようにさせていただければと考えております。
大塚座長
消防庁、いかがでしょうか。今のご質問に対してお答えいただけるようでしたら、何かご発言いただけますか。
消防庁(辻)
消防庁の辻です。ありがとうございます。熱中症の救急搬送人員の増加につきましては、昨年は、非常に厳しい暑さが長期間にわたって続いたことから、熱中症による救急搬送人員が増加したものと考えております。また、全体としても救急搬送人員は増加傾向にあります。以上でございます。
大塚座長
全体としては、というのは、熱中症に限らずということでしょうか。
消防庁(辻)
はい、そのとおりです。
大塚座長
はい、わかりました。ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。上田委員お願いします。
上田委員
北海道大学の上田です。この熱中症の対策に関する取組を見ておりますと、20ページにもありますように、自助や公助、共助や公助による予防行動の支援ということがメインになっているように思います。おそらく、これから気温が上がっていくと、個人の予防行動だけでは、おそらく限界が近づいてくるのではと思われます。例えばこういうアラートによって行動変容を促すだけではなく、実際に例えば屋外での働きを抑制するようなコンセンサスを図るとか、そういう方向あるいは取組はありますでしょうか。
大塚座長
はい、重要なポイントであると思います。いかがでしょうか。
環境省(小笠原)
ありがとうございます。屋外の労働者に関する規制等の公助の重要性についてのご質問だったと理解しております。本日、厚生労働省からもヒアリングに参加いただいておりまして、屋外労働者を含めた熱中症対策についても、これまでの取組と今後の見通し等について、可能な範囲で共有いただけると理解しております。そのヒアリングを踏まえて、また後ほど議論をしていただけると良いのではないかと考えております。
大塚座長
厚生労働省のヒアリングを聞いてからまた検討しましょう。他にはいかがでしょうか。今田委員どうぞ。
今田委員
東京大学の今田です。ご説明どうもありがとうございました。非常に早いピッチでいろんな対策が打たれていて、素晴らしいなと思っています。前々から研究者レベルでも議論があるのはご存知と思いますが、暑さ指数がWBGTで本当に良いのかという議論はいろんなところでなされているところで、結論が出ておらず、今はこれを使うと決めるしかないと思っております。今後もそういった議論を踏まえながら、WBGTを使うのか、33、35という値が一律でいいのか等、この基準自体の議論は今後も続けられていくご予定なのか、ワーキング・グループなどで議論されるのか、そのあたり伺ってよいでしょうか。
環境省(小笠原)
熱中症特別警戒情報と熱中症警戒情報の基準の値、またWBGTを使用することの妥当性について今後も議論が続いていくのかという質問をいただいたと理解しております。
先ほどの資料2の中で、簡単に言及させていただきましたが、熱中症警戒情報または熱中症特別警戒情報の運用のあり方等については、関連する熱中症特別警戒情報等に関するワーキング・グループにおいて、昨年度3回議論をいただき、熱中症特別警戒情報の基準の見直しについて対応させていただいたところでございます。また、今ご指摘いただいた基準の値や、暑さ指数を採用することの妥当性についても、必要に応じて、今後も引き続き、様々な科学的知見の収集に努めてまいりたいと考えてございます。
2.議事
(3)ヒアリング(井上研究員、関係省庁)
大塚座長
そうしましたら、時間がもうだいぶ経っておりますので、そろそろ次の議題に移りたいと思います。議題の(3)、ヒアリングについてでございます。資料の3-1を井上研究員からご説明お願いいたします。
井上研究員
国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部第三室の井上希です。本日は貴重な機会をいただき、改めてお礼申し上げます。ありがとうございます。
本日は、熱中症死亡に関する論点提供の一環として、熱中症死亡者数の非常に簡易的な将来推計を、2025年から2050年まで行いましたので、その結果をご報告します。熱中症死亡については、先ほどもお話がありましたとおり、非常に複雑な要因が関係していますが、今回は特に人口と気候、この2つに焦点を当てた研究成果について報告します。
今回お示しする結果は、公表されている都道府県別の集計データを用いた将来推計に関するものです。したがって、これからお示しする値は最終的な確定値ではありません。全国的な傾向と、都道府県別の地域差の大枠を把握するための参考値としてご覧いただければと思います。今後、市区町村別や日別などのより詳細なデータを用いて、さらに精緻化していく予定ですが、本日は都道府県別データに基づく結果について発表します。まず、2010年から2023年までの期間について、都道府県別の熱中症死亡者数と、暑熱環境、いわゆる気候データ、さらに人口動態が、死亡数にどのような関係を持つのかを統計解析により明らかにしました。具体的には、WBGTのデータと人口動態データを用い、熱中症死亡者数に有意な影響を及ぼしていることがモデルから確認されています。時間の関係でモデルの詳細説明は省略します。その上で、WBGT、人口、熱中症死亡数の関係式を用いて、2050年までの熱中症死亡数について、三つのシナリオに分けて将来推計を行いました。
まずシナリオ1です。これは気候要因のみが変化することを前提としたシナリオです。人口は直近5年間、具体的には2019年から2023年の水準で固定し、WBGTのみを5年ごとに0.2ずつ上昇させるという、非常に簡易的な仮定を置いています。
次にシナリオ2です。こちらは人口要因のみが変化する場合を想定しています。人口は公表されている都道府県別将来推計値を用い、WBGTは2019年から2023年の平均値で固定しています。
3つ目のシナリオ3では、気候要因と人口要因の両方を変化させた場合を想定しています。将来のWBGTについては、温室効果ガス排出量が多いシナリオでは21世紀末に約3?4度上昇するという研究を踏まえ、2100年まで75年間で約3度上昇する仮定を置き、5年ごとに0.2ずつ増加させています。本来はIPCCのSSPなどに基づく推計を行うべきですが、今回は簡易推計としています。これからご覧いただく推計結果は、将来の熱中症死亡数が一つの確定値として示されるものではなく、どの要因をどう置くかによって結果が変わるという点に注目していただきたいと思います。分析は将来を一点予測するものではなく、方向性を整理するための出発点としてお聞きいただければと思います。
こちらがシナリオ1、気候要因のみを変化させた場合の結果です。人口構造は近年の水準に固定し、暑さだけが将来にわたって悪化する場合を示しています。左側の全国推移を見ると、気候要因のみを考慮した場合、熱中症死亡者数は将来に向けて一貫して増加しています。2019年から2023年の全国平均死亡数は約1300人ですが、2025年には約1,400人、2060年には2,500人以上に増加すると推計されました。人口要因を変えなくても、気候条件の悪化のみで死亡数が増加する可能性が示されています。右側の地図は、2050年時点における都道府県別の人口10万人当たり熱中症死亡者数を示しています。最も高いのは富山県で、東北地方、日本海側、北陸、南九州、特に鹿児島県などで高い値が見られます。一方、北海道や一部内陸県、近畿、中国地方では相対的に低い傾向が見られます。これらから、気候要因のみを考慮した場合でも、影響は全国一律ではなく、寒冷地域や日本海側などで人口当たりの死亡率が相対的に高くなる可能性が示されました。
次にシナリオ2、人口要因のみを変化させた場合です。全国の熱中症死亡者数は将来に向けて減少する結果となっています。高齢化は進行しますが、人口減少の影響が強く表れたと考えられます。都道府県別に見ると地域差はありますが、気候要因ほど強い差は見られず、人口要因単独では、影響は比較的緩やかであることが分かります。
次にシナリオ3、気候要因と人口要因の両方を変化させた場合です。全国の熱中症死亡者数は緩やかに増加し、2050年には約1,466人と推計されました。人口減少による抑制効果はあるものの、気候変化の影響がそれを上回る地域が見られます。都道府県別では、富山県、東京都、大阪府などで高い値が見られ、東北地方や四国でも高リスク地域が広がっています。一方、北海道や九州の一部では相対的に低い地域も残っています。これらから、気候要因と人口要因を同時に考慮すると、高リスク地域がより広がること、そしてその中心が大都市部に限られないことが示唆されました。
まとめです。今回の分析は、政府統計の都道府県別年次集計を用いた第一段階の将来推計であり、数値は参考値です。気候要因のみでは熱中症死亡率は増加し、人口要因のみでは抑制方向に働き、両者を同時に考慮すると全国では緩やかに増加するという結果が得られました。最も重要なのは、全国平均よりも地域差です。富山県、東北地方、日本海側、南九州などで高いリスクが見られ、熱中症リスクは都市部や高齢者の多い地域だけの問題ではないことが示されました。今後は、地域の実情に応じた対策設計が必要だと考えています。今後は、市区町村別など、より詳細なデータを用いた分析を進め、結果を共有していきたいと考えています。本日の結果はその出発点です。
最後に、本研究は環境省および環境再生保全機構の環境研究総合推進費の一環として実施しました。また、長崎大学や国立環境研究所の研究者の皆様から多くの助言と支援をいただきました。改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
大塚座長
ただいまのご説明に対するご質問、ご意見をお願いします。横堀委員、お願いします。
横堀委員
ありがとうございます。大変勉強になりました。人口だけではなく、気候だけでもなく、両方を考えたときに、これほど地域差があるということを初めて知りました。特に気になったのが東北地方です。おそらく暑さに慣れていないため、暑熱順化が遅れている、あるいは意識づけがまだ十分でないのではないかと感じました。そうだとすると、東北地方に対して、暑くなる前からしっかり情報共有していくことが、一つの方策になるのではないかと思いました。なぜこうした結果になるのか、まだ理由が十分に分かっていない点もありますが、今後さらに検討できればと思います。ありがとうございました。
大塚座長
質問はまとめてお伺いしたいと思います。小野委員、お願いします。
小野委員
ありがとうございます。2点ほどお伺いします。1つ目は、詳細な解析は今後ということでしたが、厚労省の人口動態統計には大まかな年齢区分があると思いますが、今回その点は考慮されているのでしょうか。2つ目は、このグラフについてです。予測値だと思いますが、現状との比較、例えば現状の何倍といった形で示すグラフは作成されているのでしょうか。
今田委員
ありがとうございます。私は気候変動の研究をしていますので、気候要因のデータはよく見ていますが、そこに人口が乗ったときにどうなるのかは以前から気になっていました。非常に勉強になりました。
一点、地域差について確認させてください。今回の気候条件は、5年ごとにWBGTを+0.2としていますが、これは全国一律で与えているという理解でよろしいでしょうか。
(井上研究員 そのとおりとご回答)
了解しました。ファーストトライとして、こうした計算ができるようになったのは素晴らしいと思います。現在は都道府県別の詳細なWBGTの予測データも連続データとして得られるようになっていますので、同じモデルでも、それらのデータに置き換えた場合にどうなるのか、ぜひ拝見したいと思いました。ありがとうございました。
寺川委員
ありがとうございました。質問です。先ほど、富山県や東北地方で熱中症死亡者数が多くなる理由として、暑さに慣れていない地域という説明があり、非常に理解できました。一方で、北海道や福岡、熊本などでは、気候要因を悪化させても、それほど死亡者数が増えていないように見えましたが、その理由について、何かお考えや分かっていることはありますでしょうか。
大塚座長
私もそれを聞きたかったです。それでは、井上さん、お願いします。
井上研究員
ありがとうございました。多くのコメントとご質問をいただき、改めてお礼を申し上げます。順に回答させていただきます。
まず、横堀先生からのご意見についてです。今回の将来推計では、人口と環境データを用いていますが、東北地方や一部の北陸地方で、人口十万人当たりの熱中症死亡者数が高く出ています。これは暑熱順化が十分にできていなかった可能性があるのではないか、というご指摘だったかと思います。私も同様の考えを持っています。2010年から2023年までのデータを使用しており、その間に、もともと涼しかった地域が徐々に暑くなってきた中で、暑熱への対応が十分でなかった可能性があります。その結果が、将来推計に反映されているのではないかと考察しています。ただし、近年は熱中症対策や国民の意識も高まっていますので、現在も同じ状況かどうかは分かりません。東北や北陸を中心に、意識がどう変化してきたのかは、今後の重要な研究課題だと考えています。
横堀委員
ありがとうございました。
井上委員
次に、年齢を考慮しているかという点についてです。公表されている都道府県別データには年齢情報が含まれていないため、今回は考慮していません。今後、市区町村別データを用いる際には、年齢別データを申請し、分析に組み込みたいと考えています。また、WBGTを一律で上昇させているのかという点については、今回のシナリオでは全国一律で上昇させています。
最後に、寺川委員からの、北海道や熊本などで死亡者数の増加が小さい理由についてですが、こちらは現在研究中です。改めて分析結果をご報告できればと思います。
長時間ありがとうございました。
大塚座長
どうもありがとうございました。大変多くの有益なご報告、ご意見をいただき、ありがとうございました。
それでは、次の資料に進みます。資料3-2から3-7までについて、関係各省庁から、それぞれ5分程度でご説明をお願いします。まず、消防庁からお願いいたします。
消防庁(辻)
ありがとうございます。消防庁救急企画室の辻です。本日はよろしくお願いします。
本日は、熱中症による救急搬送人員の状況についてご説明します。まず、資料の1ページ目です。熱中症による救急搬送人員の推移についてです。本資料は、平成20年から令和7年までの一定期間における、熱中症による救急搬送人員の推移を示したものです。ご覧のとおり、令和7年の5月から9月までの熱中症による救急搬送人員は、右端の棒グラフに示しているとおり、100,510人となっており、調査を開始した平成20年以降で最多となっています。
こちらのグラフは、令和6年と令和7年の熱中症による救急搬送人員を、週別に比較したものです。令和6年の累計搬送人員は97,578人、令和7年はそれを上回る搬送人員となっています。赤色の棒グラフで示している令和7年ですが、6月に急激に増加していることが分かります。丸で示している部分ですが、昨年は梅雨明けが早く、6月から非常に厳しい暑さとなったことが要因ではないかと考えています。
消防庁からは以上です。
大塚座長
ありがとうございました。では、文部科学省、お願いします。
文部科学省(合田)
文部科学省安全教育推進室の合田です。よろしくお願いいたします。私からは、学校における熱中症対策についてご説明します。
まず、学校の管理下における熱中症の発生状況です。こちらは、こども家庭庁が所管する制度ですが、日本スポーツ振興センターにおいて、災害共済給付制度があります。これは、学校等の管理下でけがなどをして医療機関を受診した場合に、医療費が支給される制度です。この制度において、熱中症に関して医療費を支給した件数を示しています。全体の傾向としては、おおむね横ばいですが、直近ではやや減少しているという認識です。
続いて、学校における熱中症対策の実施状況です。文部科学省では、おおむね2年に1度調査を実施しており、直近は令和5年度の実績です。例えば、熱中症の予防対応等に関するガイドラインの全職員への周知、暑さ指数を参考にした活動実施の判断、児童生徒等への指導の徹底、といった項目については、いずれもおおむね90%を超える高い実施率となっています。また、学校行事や授業内容の実施時期の検討、夏季休業日の延長や臨時休業日の設定については、令和3年度調査と比較して、令和5年度では数値が大きく上昇しています。
続いて、文部科学省における対策の状況です。文部科学省では、毎年、暑くなり始めるゴールデンウィーク前後と、暑さが特に厳しくなる夏、特に夏休み明け前の時期に、年2回、教育委員会等に対して注意喚起の事務連絡を発出しています。また、環境省とともに、令和3年に「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を作成しています。この手引きについては、最新の関係法令の改正等を踏まえ、令和6年4月に追補版を取りまとめています。これらを踏まえ、周知している主な内容としては、教職員や部活動指導者等の間で、熱中症事故防止に関する共通認識を図ること、それほど気温が高くない時期から適切な措置を講じること、活動の実施については、活動場所の暑さ指数に基づいて判断すること、児童生徒等に対し、熱中症予防に関する適切な指導を行うこと、といった点をお願いしています。右側に示しているチェックリストについては、学校現場が非常に多忙な状況にある中でも、必要な熱中症対策を速やかに確認できるよう、令和6年から通知に盛り込み、教育委員会や学校現場において自己チェックができる形で周知しています。
こちらはハード面の対策です。文部科学省では、令和6年度補正予算から、公立小中学校等の体育館への空調整備について、令和15年度を期限として、補助率を2分の1に引き上げて補助を行っています。さらに、令和7年度補正予算以降は、補助単価や上限額をEHPとGHPで分けて設定し、上限額については、EHPで1.1億円、GHPで1.4億円に引き上げています。また、物価高等を踏まえ、補助単価についても引き上げを行っています。こうした取組を通じて、学校施設における空調設備の整備を着実に推進していく考えです。
大塚座長
はい、ありがとうございます。では、スポーツ庁、お願いいたします。
スポーツ庁(中村)
続きまして、スポーツ庁から、熱中症対策についてご説明します。
スポーツの現場でも、夏の熱中症対策が非常に重要な要素になってきています。夏の間もスポーツが継続できるよう、さまざまな取組の充実を行っています。
まず、今年1月に、「運動・スポーツ中の安全対策」について、熱中症以外も含め、スポーツ中の事故を防ぐためのガイドラインを、国として初めて作成しました。このガイドラインは、スライド中ほどにありますとおり、スポーツを実施する方、指導者向け、大会などの主催者向け、活動の運営者向け、施設の運営者向け、といった形で、対象者ごとに整理しています。
さまざまな事故を防ぐための取組として行うべき事項を定めていますが、赤字で示しているとおり、重点対策の一つとして熱中症対策を盛り込んでいます。具体的に、次の4ページ目をご覧ください。これは、個人向け、指導者向けの熱中症対策です。暑熱情報の確認、十分な休養、水分補給など、主として5つの取組を行っていただきたいという内容を示しています。あわせて、下段の大会・イベントの主催者向けでは、特に夏に行われるスポーツ大会について、開催時期の見直しや開催時間の変更、競技中に熱中症が発生しないようなルールの見直しなども含め、主催者に対して呼びかける内容を規定しています。
こちらは参考ですが、このガイドラインを作成するために行った検討会の概要です。現在、各省庁の協力を得ながら、このガイドラインを現場に普及させる取組を進めています。
こちらは、日本スポーツ協会がこれまで策定・周知してきた「熱中症予防ガイドブック」についてです。昨年改定を行い、特に身体冷却の重要性を新たに盛り込みました。
先ほど学校体育館の説明がありましたが、同様に、自治体が設置する市の体育館などの社会体育施設についても、空調設備に対する補助率の引き上げを進めています。期間限定だった措置を延長し、取組を促進しています。
ハード面の支援として、スポーツ振興くじ助成、いわゆるtoto助成を活用し、さまざまなハード・ソフトへの金銭的支援を行っています。この中で、今年度から新たに、熱中症対策設備の整備を支援対象に追加しました。空調設備に加え、屋根の設置などについても、今年度から支援を開始しています。
最後のスライドです。例年、4月から5月にかけて、地方公共団体やスポーツ団体向けに、熱中症対策の取組を呼びかける通知を発出しています。また、昨年は、日本スポーツ協会によるガイドブック改定のタイミングに合わせて、熱中症予防フォーラムを開催し、取組全体の周知を行いました。
スポーツ庁からの説明は以上です。
大塚座長
はい、ありがとうございました。厚生労働省、お願いします。
厚生労働省(吉岡)
厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課の吉岡と申します。私からは、職場における熱中症防止対策についてご説明します。
昨年度の取組を中心にご説明します。昨年、熱中症対策に関する法令改正を行いました。熱中症の重篤化による死亡災害を防止するため、熱中症のおそれのある作業者を早期に見つけ、状況に応じて迅速かつ適切に対処できるようにすることを目的としています。具体的には、事業者に対して、早期発見のための体制整備、重篤化を防止するための措置の実施手順の作成を、あらかじめ行っていただくこと、また、関係作業者に対して、それらを周知することを義務付けています。この法令改正は、昨年6月1日から施行されています。
こちらのスライドでは、職場における熱中症災害の発生状況をお示ししています。令和7年の熱中症による労働災害の発生状況について、12月末時点の速報値になります。前年の令和6年と比べますと、休業4日以上の死傷者数、いわゆる熱中症の死傷者数は約4割増加していますが、死亡者数は減少しています。暑さが厳しくなり死傷者数は増加しているものの、死亡者数は減少しており、重篤化防止の効果が見られたのではないかと考えています。
この省令、法令改正にあたりましては、労働政策審議会の安全衛生分科会でご議論いただきました。その中で、重篤化防止対策に加えて、平時からの健康管理も含めた予防策の重要性が指摘され、データに基づいた熱中症防止対策の検討が必要とされました。そこで、職場における熱中症防止対策に係る検討会を立ち上げ、学識経験者や現場に詳しい業界関係者の代表に集まっていただき、職場における効果的な熱中症防止対策について検討いただきました。左下に開催状況を示していますが、12月から3月までの間に4回、検討を行いました。
こちらが、検討会の報告書の概要です。結果のところにありますとおり、重篤化の防止について、速報段階ではありますが、令和7年の省令改正が死亡災害の防止に寄与したと考えられます。一方で、災害発生事業場においては、法令に基づく措置が行われていない傾向が見られ、引き続き、改正省令に基づく措置の徹底を図る必要があるとされています。また、予防策については、熱中症の罹患リスクそのものを低下させることが求められています。業種・業態によりさまざまな状況や制約条件がありますが、そのような中でも有用な対策が取れるようにすることが必要であるとされています。そのため、一律の対策を示すのではなく、複数のオプションの中から、事業者が自らの業種・業態に応じて適切な対策を選択できるよう、包括的な熱中症防止対策を求めたガイドラインを策定することが有効であるとまとめられました。
検討会での議論を踏まえ、ガイドラインを策定しました。こちらは、今年3月18日に公開したガイドラインです。このガイドラインは、職場における熱中症防止のため、熱中症リスクに応じて行うことが望ましい具体的な方法を示し、業種・業態に応じて適切な選択ができるようにすることを通じて、熱中症防止を図ることを目的としています。事業者に対しては、まず熱中症のリスクを評価していただき、その評価したリスクに応じて、さまざまな措置を講じていただくこととしています。具体的な項目として7点を挙げており、例えば、労働衛生管理体制の確立、作業環境管理、作業管理、健康管理を行っていただくこと、また、労働者や管理監督者に対する教育の実施が必要であることを示しています。さらに、異常時の措置や、その他の留意事項についても記載しています。
こちらが最後のスライドです。ストップ熱中症クールワークキャンペーンについてです。毎年実施していますが、今年も実施しています。4月を準備期間とし、5月から9月までをキャンペーン期間として、事業場における熱中症防止対策の推進を呼びかけています。令和8年においては、省令改正の内容やガイドラインの内容についても、全国で周知を行い、熱中症防止対策に努めていくこととしています。
厚生労働省からは以上です。
大塚座長
ありがとうございました。では、農林水産省、お願いします。
農林水産省(美保)
農林水産省の美保です。よろしくお願いします。
令和6年に発生した農作業死亡事故の調査結果について紹介します。左側の棒グラフをご覧ください。農作業中の死亡事故者数の推移は、近年は減少傾向にありましたが、令和6年は287人となり、前年差で51人増加しました。要因を見ますと、農作業事故で最も多いのは農業機械による事故ですが、それ以外の事故として最も多いのが熱中症による事故です。令和5年は37人の死亡事故でしたが、令和6年は59人となり、22人増加しています。最も増加幅が大きい項目です。熱中症による死亡事故の推移を見ますと、左側のグラフのとおり増加傾向にあります。熱中症警戒アラートの発令回数と並べてみると、同様の傾向が見て取れるのではないかと考えています。
また、本日の議題と直接関係しない部分もありますが、死亡事故の発生時期を見ますと、右側の表のとおり、5月から9月の死亡事故数が、令和5年と令和6年を比較して52人増加しています。そのうち、熱中症は5月から9月で21人増加しています。熱中症以外も含め、夏の高温が農作業事故の増加に起因している可能性があると見ています。
こうした状況を踏まえ、農林水産省としては、農業者の皆様に、熱中症等の回避に向けた安全意識の向上を図っていただくとともに、熱中症等のリスクを低減する生産方式、いわゆる「ホワイト生産方式」への転換を推進しています。まず、左側の「熱中症等の回避に向けた安全意識の向上」についてです。従前より、農林水産省の呼びかけにより、農業団体や地方自治体において熱中症対策研修を実施していただいていますが、今年は1か月前倒しし、4月から6月を研修の強化期間として実施しています。また、新たに、7月から9月を「夏の熱中症対策声かけ期間」と位置づけ、関係機関が連携して注意喚起を行う期間として、今後推進していくこととしています。
右側の「熱中症リスクを低減する生産方式」についてですが、農業人口が減少する中で、農林水産省としては、スマート農業技術の導入や、農作業の外部化を図る農業支援サービスの活用を推進しています。農作業は労働負荷の高い作業であるため、最新のスマート農業技術の導入や作業の外部化を進めることで、農作業中の熱中症リスクを低減できると考えています。こうした取組については、予算措置も含めて推進しています。
先ほど申し上げた「熱中症等対策研修強化期間」は、4月からすでに開始しています。また、「熱中症等対策声かけ期間」は7月から9月まで実施する予定です。
農作業の特徴として、屋外での作業が多く、さらに一人で作業するケースが多い点があります。朝、作業に出かけたまま夕方になっても戻らず、畑を見に行ったところ倒れていた、という事故が多く発生しています。そのため、「一人作業に気をつけましょう」といったキャッチフレーズを用いて、注意喚起を進めていきたいと考えています。
以上です。ありがとうございました。
大塚座長
ありがとうございました。では、国土交通省、お願いします。
国土交通省(竹内)
国土交通省です。資料3-7をお願いします。この1枚目は、国土交通省の取組の全体像を示したものです。普及啓発、職場における熱中症対策、住宅・建築物における対策、まちづくりにおける暑熱対策の4つで構成されています。このうち、①普及啓発の中の情報提供ですが、外国人観光客向けにも、JNTOのSNSを用いて、プッシュ型で予防策をお知らせする取組を行っています。また、資料には記載していませんが、先週、今田委員からも言及がありましたとおり、気象庁において、最高気温40度以上の日を「酷暑日」と定めることが発表されました。この名称を活用して、国民や自治体に対し、暑さへの警戒を効果的に呼びかけていきたいと考えています。
続いて、③の住宅・建築物関係です。屋内での熱中症は非常に多い状況ですが、エアコンの適切な活用により予防できると考えています。住宅・建築物分野の取組としては、省エネ性能を向上させることで、冷房の活用とカーボンニュートラルの両立を図っていきたいと考えています。
まちづくりの関係ですが、屋外での外出時には、個人による日傘や帽子の活用といった予防策が有効です。一方で、まちづくりとしても、蒸発散作用や緑陰を用いたクールスポットの創出に取り組んでいます。具体的には、建築物敷地内の緑化、道路の緑化、雨水を利用した散水、緑地や水面を活用した風の通り道の確保などを推進しています。
最後に、職場における熱中症対策として、建設現場での対策を紹介します。建設業は屋外作業が中心であり、熱中症の発症率が高い職場であると認識しています。近年の猛暑により、建設業の職場における重症発症は増加傾向にあります。2024年の建設業における熱中症被害者は228人で、そのうち10人が亡くなっています。先ほど厚生労働省から紹介のあった全国の職場全体での死亡者数が30人であることを踏まえると、相当数を建設業が占めている状況です。このような中、国土交通省では、社会資本整備や災害復旧で重要な役割を果たす建設業の担い手を確保する観点から、労働環境の改善に努めています。受注産業である建設業が猛暑を考慮した働き方を実現するためには、発注者の理解と協力が必要であると認識しています。国土交通省は公共工事の発注者の立場でもあるため、受発注者が連携して取り組める内容を「猛暑対策サポートパッケージ」として取りまとめています。建設工事の請負契約では、金額と工期が設定されますが、猛暑対策の観点から避けられない工期延長や追加経費について、発注者が考慮することを中心に整理しています。工期については、猛暑となる時期や作業時間帯を避ける工夫を行います。例えば、猛暑期間を休工とする工事や、夜間施工にあたっての警察協議に発注者が協力することなどです。経費面では、猛暑対策に必要な作業員用の塩飴、空調服、現場に設置する大型扇風機、製氷機、ミストファンなどの導入経費を確保します。最後に、今後はこれらの取組を地方公共団体や民間工事の現場にも横展開していきたいと考えています。
国土交通省からは以上です。
大塚座長
ありがとうございました。ただいまの説明に対するご質問、ご意見をお願いします。
横堀委員
時間がないところ申し訳ありません。日本医科大学の横堀です。総務省消防庁の辻様にお願いとご相談があり、2点あります。
1点目は、救急隊が119番通報を受けた際の口頭指導についてです。特に、熱中症が疑われる場合の口頭指導が、現状どのように行われているのかを教えていただきたいです。もし決まりがあるのであれば共有いただきたいですし、心停止の患者に対する口頭指導のように、必要であれば通信指導員が適切に口頭指導できるよう、教育を行っていただきたいと考えています。
2点目は、直腸温の測定についてです。現状、救急隊では実施できていないと思いますが、現場で重症度を的確に判断するためには、直腸温測定が必要ではないかと考えています。この点についても、今後の議論をお願いしたいと思います。以上です。
大塚座長
省庁の皆様には、恐れ入りますが、まとめてご回答いただきたいと思いますので、メモを取っていただければと思います。では、上田委員、お願いします。
上田委員
上田です。私も消防庁に質問があります。熱中症は、特定の場所、特定の日時に集中して発生することが多いと思います。その際に、救急体制がひっ迫し、キャパシティを超えると、救急搬送時間が延長するような事態が起こるのではないかと考えています。それが実際に起こっているのかどうかという点と、長期的に見ると、高齢化に伴い救急搬送の件数自体は増加していくと考えられますので、そうした状況を踏まえた長期的な対策について検討されているのかどうかを伺いたいです。以上です。
大塚座長
ありがとうございます。他にご質問はいかがでしょうか。消防庁への質問が集中していますが、消防庁、お願いできますでしょうか。
消防庁(辻)
ありがとうございます。消防庁です。
1点目のご質問ですが、心肺停止のような口頭指導を行っているのかという点についてですが、消防組織は市町村単位で実施しています。119番通報への対応について、各市町村で対応しているため、具体的な指導内容について、消防庁として一律に把握している状況ではありません。
もう1点は、検温の方法、体温の測り方についてですが、対応マニュアルがあると認識していますので、その点については確認をさせていただきたいと思います。なお、以降の質問について聞き取れなかった部分がありますので、可能であればもう一度お願いできますでしょうか。
大塚座長
上田委員の質問についてです。お願いします。
消防庁(辻)
ありがとうございます。ご指摘のとおり、救急搬送がひっ迫している状況は実際に発生しています。熱中症に限らず、救急搬送人員は増加傾向にあります。消防庁としては、「#7119」の相談窓口を設け、自身の症状について相談し、救急車が必要かどうかを判断できる体制を全国に広げています。現状、軽症者の搬送割合が高いことから、本当に救急車を必要とする方を適時・適切に搬送できる体制づくりが重要であると認識しています。その点も踏まえ、現在、「#7119」の取組を進めているところです。以上です。
大塚座長
ありがとうございました。消防庁におきまして横堀委員のご質問への回答については、後日、関係者へご連絡いただければと思います。ありがとうございます。
横堀委員
横堀です。補足させてください。先ほどの上田委員の質問は、熱中症の搬送者数が増えた際のサージキャパシティをどのように確保するのか、という点だと認識しています。そのため、総務省消防庁には、救急需要の予測や、救急車の適材適所配置といった対策が、今後の課題ではないかと考えています。以上です。
大塚座長
消防庁、いかがでしょうか。
消防庁(辻)
ありがとうございます。消防庁としても、さまざまな点を踏まえた上で、今後検討していきたいと考えています。以上です。
大塚座長
時間の関係で、詳細な回答については、後日メール等でお願いできればと思います。
次に、農林水産省にお伺いします。ホワイト生産方式についてですが、管理層向けの取組という印象があります。ドローンやロボットの活用など、今後の進展の可能性について、どのように考えているか教えてください。
農林水産省(美保)
ありがとうございます。スマート農業に関する農業機械の導入にはコストがかかるため、農林水産省では補助事業を実施しています。また、スマート農業に使う機器の導入は、農業経営の規模拡大の局面で行われることが多いと考えています。規模拡大により、1台の農業機械で作業できる面積を増やし、経営改善を図りながら導入が進んでいく形になると考えています。
大塚座長
ありがとうございます。他にご質問はいかがでしょうか。もし本日お時間の都合で質問できなかった場合には、後日、事務局を通じてご連絡いただければ、関係省庁から回答をお願いすることも可能です。
それでは、本日出されたご質問、ご意見を踏まえ、各省庁において整理を進めていただきますようお願いします。
本日は第1回の小委員会ですので、全体的な進め方などについて、ご意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、事務局にお返しします。本日出たご意見について、事務局において整理を進めていただくようお願いします。
3.閉会
環境省(高山)
委員の皆様には、活発なご議論をいただき、ありがとうございました。本日の議事録は、事務局で取りまとめた後、委員の皆様にご確認いただき、その後、環境省のホームページで公開する予定です。次回の小委員会の日程については、改めてご連絡します。それでは、以上をもちまして、本日の小委員会を終了します。本日はどうもありがとうございました。
環境省(高山)
ただいまから、中央環境審議会環境保健部会第1回熱中症対策小委員会を開催いたします。
私は、環境省熱中症対策室の高山と申します。よろしくお願いいたします。本日の会議は、対面とオンラインのハイブリッド形式で行う予定としております。また、この会議は環境省の公式YouTubeチャンネルよりライブ配信を行う予定としておりますが、現在接続に少し時間を要しているところでございます。資料及び議事録についてはホームページにて公開とさせていただく予定としております。オンラインにて参加の委員の皆様方に関しましては、ご不明な点などございましたら事務局までTeamsのチャットでお知らせください。また、事前にお知らせした電話番号でも結構でございます。
それでは、会議に先立ちまして、環境省大臣官房環境保健部長 伯野春彦より、ご挨拶させていただきます。
環境省(伯野)
環境省大臣官房環境保健部部長の伯野でございます。本小委員会の開会にあたり一言ご挨拶を申し上げます。委員の先生方におかれましては、大変ご多忙の中、本会議にご出席くださいまして、誠にありがとうございます。また平素より、環境保健行政の推進にご理解・ご協力、ご尽力いただいていることを、この場を借りまして、厚くお礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。
熱中症対策についてですが、ご案内のとおり、近年大変暑い夏が続いております。令和7年の夏も令和6年に引き続き大変厳しい暑さとなりまして、夏の全国の平均気温は、これまでの記録を大幅に上回りまして、3年連続で最も暑い記録を更新しております。また、令和7年の夏の熱中症による死亡者数は、速報値ではありますが、令和6年よりも減少しているものの依然として1,000人を超えている状況でございます。これまでも熱中症対策実行計画に沿いまして、対策を進めてまいりましたが、今般、実行計画を見直すこととしまして、今後の熱中症対策の在り方を調査・審議するために、本年1月、中央環境審議会環境保健部会に熱中症対策小委員会を新たに設置することをご了承いただいたところでございます。
本日は実行計画の見直しのキックオフということで、次期計画における目標や、関係省庁との連携の在り方を中心に、ご議論いただきたいと考えております。委員の先生方におかれましては、大変ご多忙の中、恐縮ですが、熱中症対策にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えておりますので、ぜひ忌憚のないご意見をいただきますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、冒頭の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第をご覧ください。資料1、資料2、資料3-1から資料3-7、参考資料1、2、3でございます。各資料については、事前にお送りしておりますが、本日会議中に資料のご説明をする際には、資料を画面共有にて投影する予定です。資料の不足などがございましたら、事務局までお知らせください。そして、本日の小委員会は第1回目ということで、簡単に本小委員会についてご説明いたします。参考資料1に小委員会の設置の要綱がございますが、本小委員会は、今後の熱中症対策のあり方について調査審議を行うものとされております。ご承知おきいただければと思います。
続きまして、本小委員会の委員の紹介をさせていただきます。参考資料2をご覧ください。本日ご出席の委員の皆様を五十音順にご紹介いたします。簡単に、短く一言でご挨拶をいただければ幸いでございます。
それでは、今田委員でございます。
今田委員
東京大学大気海洋研究所の今田と申します。よろしくお願いいたします。研究ベースで異常気象の研究を、シミュレーションなど用いてやっております。よろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、上田委員でございます。
上田委員
北海道大学医学研究院の上田と申します。よろしくお願いいたします。私は健康影響評価ということで、環境保健を担当しております。
環境省(高山)
続きまして、大塚委員でございます。
大塚委員
早稲田大学の法学学術院の教授の大塚と申します。環境法を専攻しております。どうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、奥委員でございます。
奥委員
東京都立大学の奥と申します。環境法政策の分野を専門としております。どうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、小野委員でございます。
小野委員
国立環境研究所の小野と申します。環境省の熱中症対策関係の委員等をやらせていただいております。よろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、寺川委員でございます。
寺川委員
気象予報士で防災士の資格を持っています、寺川奈津美と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、永井委員でございます。
永井委員
永井でございます。大阪府医療監をさせていただいております。全国衛生部長会の代表という立場で、自治体の立場から、あるいはその対策ということで、どうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、横堀委員でございます。
横堀委員
日本医科大学の横堀でございます。日本救急医学会の熱中症委員会の担当理事をしております。熱中症の予防、あるいは治療、特に重症患者さんの治療について、検討させていただいているところです。今日はよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
ありがとうございました。以上、8名の委員の皆様にて、本小委員会を進めさせていただきます。また、本日は国立社会保障・人口問題研究所の井上希先生に参考人としてご出席いただいております。また、関係する省庁として消防庁、文部科学省、スポーツ庁、厚生労働省、農林水産省、国土交通省にもご出席いただいております。
なお、本小委員会は、中央環境審議会の議事運営規則に基づきまして、環境保健部会長より委員長の指名がされておりまして、大塚委員に委員長にご就任いただいているところでございます。また、各委員の皆様におかれましても、委員ご就任について、同様に部会長からご指名をいただいております。
続きまして、環境保健部長を除いた本事務局の紹介をさせていただきます。まず、環境省大臣官房審議官の大井でございます。
環境省(大井)
大井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
環境省(高山)
続きまして、環境保健部熱中症対策室の小笠原でございます。
環境省(小笠原)
小笠原でございます。よろしくお願いいたします。
環境省(高山)
以上となります。本日、先ほどご紹介いただきました委員の皆様方、総数8名、全員ご出席をいただいております。
最後に、本日の会議の留意事項について、お知らせいたします。本日の会議中、発言者の方以外におかれましては、基本的にマイクをミュートに設定をお願いいたします。そして、回線負荷を回避するため、ご発言されている時以外はカメラをオフにしていただきますようお願いいたします。ご発言される際には、対面でご参加の委員の皆様におかれては、挙手などで合図をいただければと思います。オンライン参加の委員の皆様におかれては、画面上に「手を挙げる」というボタンがございますので、そちらを押して合図をいただければと思います。そうしましたら、委員長が順番に指名をしますので、マイク、カメラをオンにした状態でご発言をお願いいたします。なお、ご発言される際には、最初にお名前をおっしゃっていただけますと幸いでございます。また、ご発言以外の時にご意見やご質問がある場合には、チャットにて、事務局までお知らせいただければと思います。留意事項は以上でございます。
それでは以降の議事進行を大塚委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
大塚座長
大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。一言ご挨拶をさせていただきます。先ほど環境保健部長からもお話しいただきましたように、毎年1,000人を超えるような熱中症の死者が出ている状況にございます。環境省が扱っている事項としては、最近はあまり健康被害の分野が、必ずしも多くない傾向はあると思いますが、これ(熱中症)はまさに健康被害、あるいは死亡という事例でございます。また、温暖化との関係、気候変動との関係で、人が死んでいくということを、一般の国民の方はイメージしづらいと思いますが、熱中症というのは、まさにそういう極めて重要な事柄に関連するものでございます。特に、高齢者の方が自宅でエアコンをつけずに、あるいはつけ方が必ずしも良くないことがあり、亡くなるケースがそれなりに多いというのは、非常に心が痛むところでございます。この問題、気候変動の緩和とも関連させながら、影響の対策について考えていければと思っております。どうぞ忌憚のないご意見をいただければありがたく存じます。
それでは議事に入ります。本日の議題は議事次第にありますとおり、(1)熱中症対策実行計画の改定について、(2)熱中症被害の現状及び環境省の取組について、(3)ヒアリングとなっております。まず、議事の(1)、熱中症対策実行計画の改定について、資料1につきまして、事務局から説明ののち、質疑応答に入ります。それでは事務局からご説明をお願いいたします。
2.議事
(1)熱中症対策実行計画の改定について
環境省(小笠原)
環境省熱中症対策室の総括補佐を務めております小笠原と申します。よろしくお願いいたします。私から資料1を用いて、熱中症対策実行計画の改定に向けて説明をさせていただきます。
まず、現行の熱中症対策実行計画について説明いたします。次のスライドの「1番、熱中症対策実行計画とは」をご覧ください。1ポツにあるとおり、本計画は、令和5年に閣議決定され、気候変動適応法に規定されている計画でございます。2ポツにあるとおり、2030年を中期的な目標として、熱中症による死亡者数が現状から半減することを目指しております。この「現状」についてコメ印の1で補足しておりまして、「現状」として「計画策定時に入手可能であった令和4年における5年移動平均死亡者数」を使用しており、具体的には1,295名でございます。したがって、「現状から半減」とは、年間死亡者数を650名程度にすることを意味しております。3ポツにあるとおり、本計画の見直しの時期については、計画本文に「気候変動適応計画と併せて令和8年度目途に見直すこと」と記載されております。したがって、今般、本計画を今年度に見直すこととするものでございます。
続いて、「2番、熱中症対策実行計画の改定に当たっての論点(案)」をご覧ください。事務局より、論点案を5点に分けて提案させていただきます。順に説明いたします。まず、(1)目標のあり方について、でございます。現行計画においては、先ほど申し上げたとおり「中期的な目標として、熱中症死亡者数について現状から半減することを目指す」としております。次期計画における目標はどのようにあるべきか、 具体的には目標年、指標の内容や目指す数値などについてご議論いただければと考えております。続いて、(2)関係省庁の役割分担と連携のあり方について、でございます。現行計画においても既に関係省庁の施策について記載されておりますが、目標の達成に向け関係省庁がそれぞれ、または連携して、どのような熱中症対策に取り組むべきか、ご議論いただければと考えております。続いて、(3)自治体、産業界等の関係主体の取組の促進・支援について、でございます。自治体・産業界等の取組を促進するための在り方について御議論いただければと考えております。続いて、(4)熱中症警戒アラート等の情報発信のあり方について、でございます。現在の熱中症警戒アラートの情報発信・活用のされ方は適切か、また熱中症予防行動と行動の制限とのバランスをどのようにとるべきかについてご議論いただければと考えております。最後に、(5)その他ということで、もし委員の先生方から論点について追加のご意見等あれば、適宜論点として追加させていただければと考えております。
次のスライドに移り、「3番、小委での議論スケジュール(案)」をご覧ください。先ほどの論点を踏まえた議論のスケジュール案についても事務局から提案をさせていただきます。小委員会について、現時点では4回の開催を考えております。先ほどお示しした論点を順番に扱い、まず今回、第1回において論点の(1)と(2)を扱い、関連として国立社会保障・人口問題研究所 井上研究員、また関係6省庁からのヒアリングを予定しております。第2回、8月頃に論点(3)と(4)を扱い、関連として市町村からのヒアリングを予定しております。第3回、10月頃に論点(5)としてその他の項目を扱い、第4回、12月頃に計画改定の方向性のとりまとめを行うことができればと考えております。
最後のスライドは、現行の熱中症対策実行計画を1枚のスライドにまとめたものでございます。参考資料3の計画本文とあわせて、適宜ご参照いただければ幸いです。私からの説明は以上です。
大塚座長
それでは、ただいまのご説明に対するご質問、ご意見をお願いいたします。対面の方は名札を立てていただけるとありがたいです。オンラインの方は、挙手ボタンを押していただければと思います。横堀委員お願いします。
横堀委員
日本医科大学の横堀です。熱中症対策実行計画について、今年度を目途に見直す方向であることは分かりました。今まで、熱中症の死者数を五年移動平均で半減させるということを目標としていますが、本年度の計画の見直しについても、この目標のままで行くのか、あるいは増やすべきなのか、減らすべきなのかという議論が必要かもしれないと考えています。その中で、前回、半減しようという目標を立てたその背景、なにか見立てがあったのかをご教示いただければと思います。私からの質問は以上です。
環境省(小笠原)
環境省の小笠原でございます。ご質問いただきありがとうございます。現行の計画目標については、半減を目指すということで、この方針自体は、少なくとも本年度については、現行目標に基づく対策を行うため、変わることはないと考えております。現行計画の目標設定の経緯としては、この計画策定にあたり、熱中症の死亡者を削減するという、野心的な目標ということで、設定されたと理解をしております。引き続き、次期計画の目標のあり方については、これまでの状況を踏まえつつ、本日は熱中症死亡者数の簡易将来推計に関するヒアリングも予定されておりますので、先生方のご意見も含めてご議論いただければと考えております。私からは以上です。
横堀委員
横堀です。ありがとうございます。やはり適応がどれぐらい進むと、どれぐらい半減できるのか、シナリオに沿った検討ができたらよいと改めて思ったところです。ありがとうございました。
大塚座長
ありがとうございます。ほかに何かいかがでしょうか、よろしいですか。では、特に無いようですので、今の点も含めて整理していただければと思います。
今後の熱中症対策実行計画の改定に向けての本委員会のスケジュールについて、とりまとめを行いたいと思います。それについてのご説明を事務局からお願いいたします。
環境省(小笠原)
環境省の小笠原でございます。先ほど論点の案と論点のスケジュール案をお示しさせていただいたところでございまして、繰り返しになりますが、先ほどお示しした論点案について、ご意見がなければ、それに従ったスケジュール案を組んでおりますので、そのように進めさせていただければと、事務局としては考えているところでございます。
大塚座長
はい。そうしましたら、このスケジュールについて、今後取りまとめを行っていきたいと思います。本委員会におきましては、事務局の案のとおり、熱中症対策実行計画の改定に向けての議論を進めるということで、本日の委員会においては(1)目標のあり方について、(2)関係省庁の役割分担と連携のあり方について、議論を行う方向としていこうと思いますが、よろしいでしょうか。
今田委員お願いいたします。
今田委員
東京大学の今田です。今ご説明いただきました(2)のところで、関係省庁の役割分担と連携のあり方ということで、いくつか省庁を挙げていただいていますが、どこにヒアリングをするか、今後も必要に応じて追加されることがあるのかを伺いたいです。今気になっているのは気象庁でして、週間予報や2週間先の予報等、最近は予測情報を充実させているところです。そういった情報を取り入れるというような視点の議論もあって良いのかなと思ってコメントをさせていただきました。
大塚座長
はい。ありがとうございます。事務局いかがですか。
環境省(小笠原)
今田先生、ありがとうございます。ご指摘いただいた関係省庁のヒアリングについては、今お示ししたもので確定ではなく、先生方のご意見を踏まえて追加することも可能と理解しております。気象庁からのヒアリングをご提案いただいたということで、次回以降の会において、委員長の大塚先生とも相談させていただきながら、気象庁からのヒアリングについて検討してまいりたいと思います。
大塚座長
他にはいかがでしょうか。横堀委員はもう一度ということでよいでしょうか。
横堀委員
はい、ありがとうございます。先ほどのお話の続きとなりますが、どこに連携する省庁を置くかということになると思います。救急医療の立場の私どもとしては、災害時における熱中症の予防のあり方というのも非常に大事だと考えていて、現行であると厚生労働省かもしれませんが、今後もし防災庁が活動することになると、新しい省庁の参画が必要になるのか。このあたり、もし現状を考えていらっしゃることがあれば、教えていただければと思います。あるいは国土交通省なのか分かりませんが、災害を主に扱うところというふうに認識しております。もし何かコメントがあればお願いします。
環境省(小笠原)
横堀先生、ありがとうございます。防災の観点から熱中症対策を議論することも非常に重要と考えております。今言及いただいた防災庁については、審議・設置準備等の関係もあるものと存じますので、現時点で確定的なことを申し上げられませんが、防災関係については、内閣府、あるいは国土交通省等、関係省庁で一丸となって取り組んでいると承知しております。防災の観点からも熱中症対策について議論できないかということは、今いただいたお話も含めて、委員長の大塚先生とも相談して、次回以降に反映させていただくようにしたいと思います。
大塚座長
奥委員お願いします。
奥委員
はい、ありがとうございます。現時点での論点整理としては、出していただいている柱でもよろしいかと思います。もう少し注意しておきたいのは、(2)関係省庁の役割分担と連携のあり方についてです。これは国の中での、行政機関間の役割分担と連携の話ですけれども、役割分担と連携という意味では、国と地方公共団体との役割分担と連携というのも非常に重要な視点だと思います。(3)の中にそういう趣旨も入っているのかもしれませんが、この表現ですと、国と地方公共団体の役割分担と連携というところが、(3)では読み取れないところもありますので、単に自治体の取組促進支援というだけではなく、どのように行政機関として国と地方公共団体がしっかりと連携していくのか、あるいはそれぞれの立場での役割を果たしていくのか、という(2)(3)をつなぐような視点も必要だと思います。そういう意味で、産業界等、自治体等を一つの柱でまとめてしまっていいのかというところもあるかと思いますが、むしろ(3)は自治体と産業界との連携や役割分担という、視点も必要かなと思いました。以上です。
大塚座長
事務局お願いします。
環境省(小笠原)
奥先生、ありがとうございます。関係省庁と地方公共団体との役割分担・連携も重要ではないかというご意見をいただいたと理解しております。おっしゃるとおり、自治体における熱中症対策の支援を行っていく中で、環境省からの支援にとどまらず、関係省庁と連携して、地方における自治体の熱中症対策の支援・促進に取り組んでいくという観点も非常に重要だと思っております。第1回の本日は関係省庁からのヒアリングが予定されておりますが、本日をもって、関係省庁の役割分担、連携のあり方についての議論が終了するとは考えておりません。第2回以降においても、先ほど今田先生からご提案がありましたとおり、必要に応じて関係省庁にヒアリングをさせていただければと思います。次回、国と地方公共団体との役割分担や連携の観点も含めて、自治体、産業界の取組の促進・支援について議論していただきたいと思います。必要に応じて、委員長の大塚先生と相談しながら進めてまいりたいと考えております。
大塚座長
よろしいでしょうか。今田委員どうぞ。
今田委員
今田です。(5)にその他とありますが、この4つに含まれないものは第3回の時にインプットすればよいですか。それとも今何か挙げた方がよいでしょうか。
環境省(小笠原)
今回インプットしなかったからといって、次回以降、全く議論できないということは考えておりません。他方で、この資料をお示しした趣旨としては、今後の議論において、委員の皆様方と認識を共有して、前提を一定程度固めるということを狙いとしております。もし論点案について「これが不足している」等のご指摘があれば、今、この議事(1)のところでご提案いただけると、今後の議論をスムーズに進められると考えております。
今田委員
承知しました。1つインプットさせていただきたいのが、先ほど大塚委員長からもありましたが、熱中症は非常に国民の生活に直結するものです。気候変動問題に対する実感が沸くものですので、緩和策をいかに促進するかという点の視点も入れていただけると、すごく良いのではないかと思います。以上です。
大塚座長
その点につきましても、論点に含めることにしたいと思いますので、事務局でそのように整理していただければと思います。他にはいかがでしょうか。
2.議事
(2)熱中症被害の現状及び環境省の取組について
大塚座長
では、次の議題に進ませていただきます。議題2、熱中症被害の現状および環境省の取組について、資料2を事務局からご説明ください。
環境省(小笠原)
環境省の小笠原でございます。私から資料2を用いて、熱中症被害の現状及び環境省の取組について説明いたします。次のスライドをお願いします。大きく3点に分けて、「令和7年度の暑さ等の状況」「熱中症による被害について」「令和7年度の環境省の主な取組」の順番に説明いたします。
第1に、「令和7年度の暑さ等の状況」について説明いたします。3ページをご覧ください。まず、令和7年度4月から10月までの気象の状況についての報告となります。令和7年度は6月以降、本州付近への太平洋高気圧の張り出しが強く、晴れて気温が高い日が多かったということも踏まえ、6月から8月までの平均気温は、これまでの記録を大幅に上回り、3年連続で最も高い記録を更新しました。資料には参考として令和7年地域平均気温平均年差の経過と、6月から8月までの日照時間平均比を記載しております。
次に、4ページです。熱中症特別警戒情報、熱中症警戒情報の発表状況について簡単に説明いたします。資料の左上をご覧いただきますと、熱中症特別警戒情報については、令和7年度の発表回数は0回ということになってございます。視点を右に移していただき、紫色の四角の中の熱中症警戒情報の発表実績をご覧ください。延べ1,749回、発表日数は111日という形になりまして、過去最多となりました。発表地域は54地域となりました。続いて資料の中ほどをご覧ください。警戒情報の月別の発表実績をグラフでお示ししておりまして、令和7年度はオレンジ色の棒グラフでございますが、6月から既に暑くなり、6月から9月までの長い期間において、警戒情報の発表が続いていたということがわかるかと思います。
第2に、熱中症による被害について報告いたします。6ページをご覧ください。あくまで概数であり、確定数ではありませんが、令和7年の死亡者数が公表されております。右下のとおり、令和7年5月から9月までの死亡者数の合計は1,521人となっております。
次のページにて、熱中症による死亡者数を棒グラフでお示ししています。令和7年の死亡者数は令和6年と比べ減少していますが、依然として1,000人を超えており高い水準にあることがご覧いただけるかと思います。
次の8ページで示されている死亡者数の5年移動平均においても、直近の数値は引き続き1,000人を超えていることがわかります。
次に、熱中症による死亡者数を年齢層別に集計したグラフをお示しします。留意点としては、令和7年については年齢 別等の詳細な死亡者データがまだ出ていないため、これ以降にお示しする数は令和6年までの数値となっています。右下のとおり令和6年の死亡者数については、64歳以下の死亡者数が325人、65歳以上の死亡者数が1,835人であり、死亡者の約85%が65歳以上となっています。
次に、10ページです。熱中症警戒情報の発表状況は、令和5年は北海道、東北、北陸の発表回数が例年より多く、令和6年は東北地方以西の発表回数が例年より多い状況でした。年により、特に暑い地域は変わるということがご覧いただけるかと思います。
次に、11ページです。都道府県別の熱中症による死亡者数は、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県の死亡者数が多くなっています。このグラフは人口調整を行っておりません。
次の12ページで、都道府県別の死亡者数を人口10万人当たりで調整したグラフをご覧ください。青森県や秋田県、鳥取県、大分県、鹿児島県等が高い値となっており、必ずしも首都圏のみで被害が大きいわけではないことがご覧いただけるかと思います。
次に13ページです。熱中症死亡者数の死亡場所・外因場所別の分類を示したものでございます。まず、左側の円グラフをご覧ください。こちらは死亡場所別ということで、どこで最終的に亡くなられたかということでございます。一番多いのは自宅で51%、次に多いのが病院で39%でございます。続いて右側の円グラフをご覧ください。こちらは外因場所別ということで、そもそもどこで熱中症を発症したかということでございます。一番多いのは家(庭)で57%、次に多いのが詳細不明で32%となっており、その次が農場4%となっております。
駆け足で恐縮ですが、14ページに移っていただき、ここからは、令和7年度の環境省の主な取組について、簡単に報告いたします。
次のスライドにて、まずは有識者による検討会について報告いたします。熱中症対策推進検討会は、今後の熱中症対策のあり方を検討するため、熱中症対策の推進に必要な事項等について、有識者の方々による議論を行うものでございます。続きまして、この検討会の下に設けられている熱中症特別警戒情報等に関するワーキング・グループは、熱中症特別警戒情報等の運用等について、ご議論いただくもので、令和7年度の開催実績は計3回となっています。
続いて次のスライドで、省庁のみで構成された会議をご紹介します。16ページの熱中症対策推進会議は、環境大臣を議長、関係府省庁の局長級を構成員とし、熱中症対策実行計画の実施状況の確認・検証・改善及び新たな施策の検討を行うものとされています。令和7年度の開催実績は2回であり、令和7年6月18日に第1回を、令和7年8月7日に第2回を開催しています。次に17ページの熱中症対策推進会議幹事会は、環境省熱中症対策室長を幹事長、関係府省庁の課室長級を構成員とした、実務者レベルで熱中症対策の具体的な施策を検討するための会議となっており、情報共有と省庁間の連携の強化を目的としています。令和7年度は3月に開催いたしました。
18ページです。指定暑熱避難施設、いわゆるクーリングシェルターに関しては、市区町村によるクーリングシェルターの指定状況について、環境省熱中症予防情報サイトでリンク集を公開しています。地方公共団体の職員向けの研修も行っており、環境省所管の独立行政法人であります環境再生保全機構、通称ERCAにおいて、地域における熱中症対策の推進のための地方公共団体職員向けの研修を実施しています。こちらは対面による研修の他、オンラインやeラーニング等を用いた研修を行っており、令和7年度の実績は、対面14回、オンラインで2回、eラーニングを随時行っており、1,500人を超える方に参加いただいています。
続いて19ページです。クーリングシェルターを指定している市区町村数や施設数についてです。令和7年時点では、ページ左側をご覧いただきまして、1,182の市区町村、すなわち全市区町村の6割以上の自治体に1つ以上のクーリングシェルターを指定いただいております。また、クーリングシェルターの施設数は、令和7年において、ページ右側をご覧いただきまして、23,311施設が指定されています。環境省として、引き続き、地方自治体におけるクーリングシェルターの指定の促進に努めてまいります。
続いて、20ページです。熱中症警戒情報と特別警戒情報の仕組み等について、簡単に説明いたします。左側をご覧ください。熱中症警戒情報、一般名称は熱中症警戒アラートであり、気温が著しく高くなることにより熱中症による人の健康に係る被害が生ずるおそれがある場合に発表されるものでございます。先ほど申し上げたとおり、令和7年度は1,749回と多数発表されたものでございます。次に、右側の熱中症特別警戒情報については、気温が特に著しく高くなることにより人の健康に係る重大な被害が生ずる恐れがある場合に発表するものであり、発表基準も通常の警戒情報とは異なります。熱中症特別警戒情報については、法改正から現時点に至るまで、発表実績はありません。下のコメ印をご覧ください。この熱中症特別警戒アラートにつきましては、運用の改善を行うということで、昨年の11月から有識者による検討会を開催してきたところでございます。熱中症特別警戒アラート等の今後のあり方について議論をいただいた結果、一部の情報提供地点については、令和8年度から熱中症特別警戒情報の発表の際に参照しないことといたしました。
次のスライドでご説明いたしますので、21ページをご覧ください。スライドの1ポツ目にあるとおり、昨年11月から会議を開催し、各情報提供地点における暑さ指数の傾向を踏まえて、熱中症特別警戒情報の発表の判断の際に参照しない地点を検討したということでございます。具体的には、例えば標高の高い情報提供地点においては、都道府県内の他の情報提供地点と比べて、暑さ指数が高くなりにくいといったような傾向があります。こうした傾向を踏まえて、統計学的な手法を用いて専門家の先生方に分析していただき、昨年12月17日に開催された第2回ワーキング・グループにおいて、スライドに記載されている地点を参照しない地点とし、令和8年度から適用することを了承いただきました。省令改正等の手続も完了しまして、今月1日に、改正省令が公布・施行されたところでございます。
最後に、普及啓発について簡単に報告いたします。22ページをご覧ください。熱中症予防強化キャンペーンの一環として、環境省としても様々な施策に取り組んでいるところでございまして、左上から順に、環境省公式SNS、X、Facebook、LINEを通じた情報発信、そして、原宿、表参道等の大型ビジョンにおける暑さ指数の情報発信、また動画の作成・活用等を行っているところでございます。
次のスライドをお願いします。23ページです。先ほどのスライドに続き、様々な関係者にご協力いただき普及啓発を進めております。左上から順に鉄道事業者によるポスターの掲示、熱中症予防イベントへの出席・講演会等の実施、日本サッカー協会と連携した動画作成・活用に取り組んでおります。また、下に移りまして、郵便局での普及啓発、ラジオを通じた普及啓発、熱中症予防広報大使の任命等も行わせていただき、様々な関係者の方にご協力いただいて、熱中症対策の普及啓発を進めてまいりました。
次のスライドをお願いします。最後のページです。ご参考ですが、環境省が運営する熱中症予防情報サイトへのアクセス数について、令和7年度は累計で約1億7000万回の閲覧をいただいております。引き続き、環境省として、国民の皆様が利用しやすいようなサイトの運営に努めてまいります。
私からは以上となります。
大塚座長
ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対するご質問やご意見をお願いしたいと思います。横堀委員お願いします。
横堀委員
横堀です。度々申し訳ありません。クーリングシェルターが自治体の6割で整備されているということを改めて確認して、素晴らしい取組かなと思いました。実際に、特別警戒アラートが出ていない中で、今までは(クーリングシェルターの)運用例がないという認識でよろしいのか、あるいは先行的に運用しているようなところがあった場合には、事例を共有できているのか、このあたりお伺いできればと思います。
環境省(小笠原)
ご質問ありがとうございます。クーリングシェルターの運用ということでございますけれども、先生のおっしゃるとおり、法令上は特別警戒情報が発表された際に開放されるものでございますので、法令上は、これまで開放されたことはないというお答えになります。他方で、各自治体において、クーリングシェルターとして指定されている施設の管理者が自主的に広く一般の方が使えるように開いていただいている事例があると承知しております。そのような取組は、様々な地域において実施していただいていると認識しております。クーリングシェルターの活用事例の共有については、環境省としても重要と考えておりまして、適宜、独立行政法人環境再生保全機構と連携しながら、優良事例等については、公開等させていただいていると理解しております。
横堀委員
ありがとうございます。効果判定というか、クーリングシェルターの有効性というのが、例えばカナダの事案等だとあったと思いますが、日本からもそういったデータが出せるといいなと思いました。
あともう1つ、搬送者数と死者数の件ですが、令和6年に比べて令和7年は少し減った傾向とはいえ、搬送者数については10万件を超えていて、過去最高を更新したと認識しております。この搬送者数の更新と、死者数の減少というのは、どのような要因が考えられるのか。これから議論が必要かもしれませんが、もし今、環境省で考えていることがあれば教えていただければと思います。
環境省(小笠原)
ありがとうございます。死者数、搬送者数の要因についてご質問いただきました。死者数の減少の原因については、様々な要因があると考えられ、1つの要因が決定的なものだと結論づけることは難しいと考えております。例えば、熱中症対策の普及啓発等について、様々な関係者にご協力いただいた効果等が影響している可能性もあり得ると考えております。ただ、いずれにせよ、死者数は依然として高い水準にあると認識しておりますので、熱中症対策については、引き続き取り組んでいく必要があると考えてございます。
救急搬送者数についても言及いただきましたが、この後、消防庁から救急搬送者数の現状等について説明いただけるかと思います。必要あれば今、消防庁からご回答いただければと思いますし、この後のヒアリングにおける質疑応答でということであれば、そのようにさせていただければと考えております。
大塚座長
消防庁、いかがでしょうか。今のご質問に対してお答えいただけるようでしたら、何かご発言いただけますか。
消防庁(辻)
消防庁の辻です。ありがとうございます。熱中症の救急搬送人員の増加につきましては、昨年は、非常に厳しい暑さが長期間にわたって続いたことから、熱中症による救急搬送人員が増加したものと考えております。また、全体としても救急搬送人員は増加傾向にあります。以上でございます。
大塚座長
全体としては、というのは、熱中症に限らずということでしょうか。
消防庁(辻)
はい、そのとおりです。
大塚座長
はい、わかりました。ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。上田委員お願いします。
上田委員
北海道大学の上田です。この熱中症の対策に関する取組を見ておりますと、20ページにもありますように、自助や公助、共助や公助による予防行動の支援ということがメインになっているように思います。おそらく、これから気温が上がっていくと、個人の予防行動だけでは、おそらく限界が近づいてくるのではと思われます。例えばこういうアラートによって行動変容を促すだけではなく、実際に例えば屋外での働きを抑制するようなコンセンサスを図るとか、そういう方向あるいは取組はありますでしょうか。
大塚座長
はい、重要なポイントであると思います。いかがでしょうか。
環境省(小笠原)
ありがとうございます。屋外の労働者に関する規制等の公助の重要性についてのご質問だったと理解しております。本日、厚生労働省からもヒアリングに参加いただいておりまして、屋外労働者を含めた熱中症対策についても、これまでの取組と今後の見通し等について、可能な範囲で共有いただけると理解しております。そのヒアリングを踏まえて、また後ほど議論をしていただけると良いのではないかと考えております。
大塚座長
厚生労働省のヒアリングを聞いてからまた検討しましょう。他にはいかがでしょうか。今田委員どうぞ。
今田委員
東京大学の今田です。ご説明どうもありがとうございました。非常に早いピッチでいろんな対策が打たれていて、素晴らしいなと思っています。前々から研究者レベルでも議論があるのはご存知と思いますが、暑さ指数がWBGTで本当に良いのかという議論はいろんなところでなされているところで、結論が出ておらず、今はこれを使うと決めるしかないと思っております。今後もそういった議論を踏まえながら、WBGTを使うのか、33、35という値が一律でいいのか等、この基準自体の議論は今後も続けられていくご予定なのか、ワーキング・グループなどで議論されるのか、そのあたり伺ってよいでしょうか。
環境省(小笠原)
熱中症特別警戒情報と熱中症警戒情報の基準の値、またWBGTを使用することの妥当性について今後も議論が続いていくのかという質問をいただいたと理解しております。
先ほどの資料2の中で、簡単に言及させていただきましたが、熱中症警戒情報または熱中症特別警戒情報の運用のあり方等については、関連する熱中症特別警戒情報等に関するワーキング・グループにおいて、昨年度3回議論をいただき、熱中症特別警戒情報の基準の見直しについて対応させていただいたところでございます。また、今ご指摘いただいた基準の値や、暑さ指数を採用することの妥当性についても、必要に応じて、今後も引き続き、様々な科学的知見の収集に努めてまいりたいと考えてございます。
2.議事
(3)ヒアリング(井上研究員、関係省庁)
大塚座長
そうしましたら、時間がもうだいぶ経っておりますので、そろそろ次の議題に移りたいと思います。議題の(3)、ヒアリングについてでございます。資料の3-1を井上研究員からご説明お願いいたします。
井上研究員
国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部第三室の井上希です。本日は貴重な機会をいただき、改めてお礼申し上げます。ありがとうございます。
本日は、熱中症死亡に関する論点提供の一環として、熱中症死亡者数の非常に簡易的な将来推計を、2025年から2050年まで行いましたので、その結果をご報告します。熱中症死亡については、先ほどもお話がありましたとおり、非常に複雑な要因が関係していますが、今回は特に人口と気候、この2つに焦点を当てた研究成果について報告します。
今回お示しする結果は、公表されている都道府県別の集計データを用いた将来推計に関するものです。したがって、これからお示しする値は最終的な確定値ではありません。全国的な傾向と、都道府県別の地域差の大枠を把握するための参考値としてご覧いただければと思います。今後、市区町村別や日別などのより詳細なデータを用いて、さらに精緻化していく予定ですが、本日は都道府県別データに基づく結果について発表します。まず、2010年から2023年までの期間について、都道府県別の熱中症死亡者数と、暑熱環境、いわゆる気候データ、さらに人口動態が、死亡数にどのような関係を持つのかを統計解析により明らかにしました。具体的には、WBGTのデータと人口動態データを用い、熱中症死亡者数に有意な影響を及ぼしていることがモデルから確認されています。時間の関係でモデルの詳細説明は省略します。その上で、WBGT、人口、熱中症死亡数の関係式を用いて、2050年までの熱中症死亡数について、三つのシナリオに分けて将来推計を行いました。
まずシナリオ1です。これは気候要因のみが変化することを前提としたシナリオです。人口は直近5年間、具体的には2019年から2023年の水準で固定し、WBGTのみを5年ごとに0.2ずつ上昇させるという、非常に簡易的な仮定を置いています。
次にシナリオ2です。こちらは人口要因のみが変化する場合を想定しています。人口は公表されている都道府県別将来推計値を用い、WBGTは2019年から2023年の平均値で固定しています。
3つ目のシナリオ3では、気候要因と人口要因の両方を変化させた場合を想定しています。将来のWBGTについては、温室効果ガス排出量が多いシナリオでは21世紀末に約3?4度上昇するという研究を踏まえ、2100年まで75年間で約3度上昇する仮定を置き、5年ごとに0.2ずつ増加させています。本来はIPCCのSSPなどに基づく推計を行うべきですが、今回は簡易推計としています。これからご覧いただく推計結果は、将来の熱中症死亡数が一つの確定値として示されるものではなく、どの要因をどう置くかによって結果が変わるという点に注目していただきたいと思います。分析は将来を一点予測するものではなく、方向性を整理するための出発点としてお聞きいただければと思います。
こちらがシナリオ1、気候要因のみを変化させた場合の結果です。人口構造は近年の水準に固定し、暑さだけが将来にわたって悪化する場合を示しています。左側の全国推移を見ると、気候要因のみを考慮した場合、熱中症死亡者数は将来に向けて一貫して増加しています。2019年から2023年の全国平均死亡数は約1300人ですが、2025年には約1,400人、2060年には2,500人以上に増加すると推計されました。人口要因を変えなくても、気候条件の悪化のみで死亡数が増加する可能性が示されています。右側の地図は、2050年時点における都道府県別の人口10万人当たり熱中症死亡者数を示しています。最も高いのは富山県で、東北地方、日本海側、北陸、南九州、特に鹿児島県などで高い値が見られます。一方、北海道や一部内陸県、近畿、中国地方では相対的に低い傾向が見られます。これらから、気候要因のみを考慮した場合でも、影響は全国一律ではなく、寒冷地域や日本海側などで人口当たりの死亡率が相対的に高くなる可能性が示されました。
次にシナリオ2、人口要因のみを変化させた場合です。全国の熱中症死亡者数は将来に向けて減少する結果となっています。高齢化は進行しますが、人口減少の影響が強く表れたと考えられます。都道府県別に見ると地域差はありますが、気候要因ほど強い差は見られず、人口要因単独では、影響は比較的緩やかであることが分かります。
次にシナリオ3、気候要因と人口要因の両方を変化させた場合です。全国の熱中症死亡者数は緩やかに増加し、2050年には約1,466人と推計されました。人口減少による抑制効果はあるものの、気候変化の影響がそれを上回る地域が見られます。都道府県別では、富山県、東京都、大阪府などで高い値が見られ、東北地方や四国でも高リスク地域が広がっています。一方、北海道や九州の一部では相対的に低い地域も残っています。これらから、気候要因と人口要因を同時に考慮すると、高リスク地域がより広がること、そしてその中心が大都市部に限られないことが示唆されました。
まとめです。今回の分析は、政府統計の都道府県別年次集計を用いた第一段階の将来推計であり、数値は参考値です。気候要因のみでは熱中症死亡率は増加し、人口要因のみでは抑制方向に働き、両者を同時に考慮すると全国では緩やかに増加するという結果が得られました。最も重要なのは、全国平均よりも地域差です。富山県、東北地方、日本海側、南九州などで高いリスクが見られ、熱中症リスクは都市部や高齢者の多い地域だけの問題ではないことが示されました。今後は、地域の実情に応じた対策設計が必要だと考えています。今後は、市区町村別など、より詳細なデータを用いた分析を進め、結果を共有していきたいと考えています。本日の結果はその出発点です。
最後に、本研究は環境省および環境再生保全機構の環境研究総合推進費の一環として実施しました。また、長崎大学や国立環境研究所の研究者の皆様から多くの助言と支援をいただきました。改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
大塚座長
ただいまのご説明に対するご質問、ご意見をお願いします。横堀委員、お願いします。
横堀委員
ありがとうございます。大変勉強になりました。人口だけではなく、気候だけでもなく、両方を考えたときに、これほど地域差があるということを初めて知りました。特に気になったのが東北地方です。おそらく暑さに慣れていないため、暑熱順化が遅れている、あるいは意識づけがまだ十分でないのではないかと感じました。そうだとすると、東北地方に対して、暑くなる前からしっかり情報共有していくことが、一つの方策になるのではないかと思いました。なぜこうした結果になるのか、まだ理由が十分に分かっていない点もありますが、今後さらに検討できればと思います。ありがとうございました。
大塚座長
質問はまとめてお伺いしたいと思います。小野委員、お願いします。
小野委員
ありがとうございます。2点ほどお伺いします。1つ目は、詳細な解析は今後ということでしたが、厚労省の人口動態統計には大まかな年齢区分があると思いますが、今回その点は考慮されているのでしょうか。2つ目は、このグラフについてです。予測値だと思いますが、現状との比較、例えば現状の何倍といった形で示すグラフは作成されているのでしょうか。
今田委員
ありがとうございます。私は気候変動の研究をしていますので、気候要因のデータはよく見ていますが、そこに人口が乗ったときにどうなるのかは以前から気になっていました。非常に勉強になりました。
一点、地域差について確認させてください。今回の気候条件は、5年ごとにWBGTを+0.2としていますが、これは全国一律で与えているという理解でよろしいでしょうか。
(井上研究員 そのとおりとご回答)
了解しました。ファーストトライとして、こうした計算ができるようになったのは素晴らしいと思います。現在は都道府県別の詳細なWBGTの予測データも連続データとして得られるようになっていますので、同じモデルでも、それらのデータに置き換えた場合にどうなるのか、ぜひ拝見したいと思いました。ありがとうございました。
寺川委員
ありがとうございました。質問です。先ほど、富山県や東北地方で熱中症死亡者数が多くなる理由として、暑さに慣れていない地域という説明があり、非常に理解できました。一方で、北海道や福岡、熊本などでは、気候要因を悪化させても、それほど死亡者数が増えていないように見えましたが、その理由について、何かお考えや分かっていることはありますでしょうか。
大塚座長
私もそれを聞きたかったです。それでは、井上さん、お願いします。
井上研究員
ありがとうございました。多くのコメントとご質問をいただき、改めてお礼を申し上げます。順に回答させていただきます。
まず、横堀先生からのご意見についてです。今回の将来推計では、人口と環境データを用いていますが、東北地方や一部の北陸地方で、人口十万人当たりの熱中症死亡者数が高く出ています。これは暑熱順化が十分にできていなかった可能性があるのではないか、というご指摘だったかと思います。私も同様の考えを持っています。2010年から2023年までのデータを使用しており、その間に、もともと涼しかった地域が徐々に暑くなってきた中で、暑熱への対応が十分でなかった可能性があります。その結果が、将来推計に反映されているのではないかと考察しています。ただし、近年は熱中症対策や国民の意識も高まっていますので、現在も同じ状況かどうかは分かりません。東北や北陸を中心に、意識がどう変化してきたのかは、今後の重要な研究課題だと考えています。
横堀委員
ありがとうございました。
井上委員
次に、年齢を考慮しているかという点についてです。公表されている都道府県別データには年齢情報が含まれていないため、今回は考慮していません。今後、市区町村別データを用いる際には、年齢別データを申請し、分析に組み込みたいと考えています。また、WBGTを一律で上昇させているのかという点については、今回のシナリオでは全国一律で上昇させています。
最後に、寺川委員からの、北海道や熊本などで死亡者数の増加が小さい理由についてですが、こちらは現在研究中です。改めて分析結果をご報告できればと思います。
長時間ありがとうございました。
大塚座長
どうもありがとうございました。大変多くの有益なご報告、ご意見をいただき、ありがとうございました。
それでは、次の資料に進みます。資料3-2から3-7までについて、関係各省庁から、それぞれ5分程度でご説明をお願いします。まず、消防庁からお願いいたします。
消防庁(辻)
ありがとうございます。消防庁救急企画室の辻です。本日はよろしくお願いします。
本日は、熱中症による救急搬送人員の状況についてご説明します。まず、資料の1ページ目です。熱中症による救急搬送人員の推移についてです。本資料は、平成20年から令和7年までの一定期間における、熱中症による救急搬送人員の推移を示したものです。ご覧のとおり、令和7年の5月から9月までの熱中症による救急搬送人員は、右端の棒グラフに示しているとおり、100,510人となっており、調査を開始した平成20年以降で最多となっています。
こちらのグラフは、令和6年と令和7年の熱中症による救急搬送人員を、週別に比較したものです。令和6年の累計搬送人員は97,578人、令和7年はそれを上回る搬送人員となっています。赤色の棒グラフで示している令和7年ですが、6月に急激に増加していることが分かります。丸で示している部分ですが、昨年は梅雨明けが早く、6月から非常に厳しい暑さとなったことが要因ではないかと考えています。
消防庁からは以上です。
大塚座長
ありがとうございました。では、文部科学省、お願いします。
文部科学省(合田)
文部科学省安全教育推進室の合田です。よろしくお願いいたします。私からは、学校における熱中症対策についてご説明します。
まず、学校の管理下における熱中症の発生状況です。こちらは、こども家庭庁が所管する制度ですが、日本スポーツ振興センターにおいて、災害共済給付制度があります。これは、学校等の管理下でけがなどをして医療機関を受診した場合に、医療費が支給される制度です。この制度において、熱中症に関して医療費を支給した件数を示しています。全体の傾向としては、おおむね横ばいですが、直近ではやや減少しているという認識です。
続いて、学校における熱中症対策の実施状況です。文部科学省では、おおむね2年に1度調査を実施しており、直近は令和5年度の実績です。例えば、熱中症の予防対応等に関するガイドラインの全職員への周知、暑さ指数を参考にした活動実施の判断、児童生徒等への指導の徹底、といった項目については、いずれもおおむね90%を超える高い実施率となっています。また、学校行事や授業内容の実施時期の検討、夏季休業日の延長や臨時休業日の設定については、令和3年度調査と比較して、令和5年度では数値が大きく上昇しています。
続いて、文部科学省における対策の状況です。文部科学省では、毎年、暑くなり始めるゴールデンウィーク前後と、暑さが特に厳しくなる夏、特に夏休み明け前の時期に、年2回、教育委員会等に対して注意喚起の事務連絡を発出しています。また、環境省とともに、令和3年に「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を作成しています。この手引きについては、最新の関係法令の改正等を踏まえ、令和6年4月に追補版を取りまとめています。これらを踏まえ、周知している主な内容としては、教職員や部活動指導者等の間で、熱中症事故防止に関する共通認識を図ること、それほど気温が高くない時期から適切な措置を講じること、活動の実施については、活動場所の暑さ指数に基づいて判断すること、児童生徒等に対し、熱中症予防に関する適切な指導を行うこと、といった点をお願いしています。右側に示しているチェックリストについては、学校現場が非常に多忙な状況にある中でも、必要な熱中症対策を速やかに確認できるよう、令和6年から通知に盛り込み、教育委員会や学校現場において自己チェックができる形で周知しています。
こちらはハード面の対策です。文部科学省では、令和6年度補正予算から、公立小中学校等の体育館への空調整備について、令和15年度を期限として、補助率を2分の1に引き上げて補助を行っています。さらに、令和7年度補正予算以降は、補助単価や上限額をEHPとGHPで分けて設定し、上限額については、EHPで1.1億円、GHPで1.4億円に引き上げています。また、物価高等を踏まえ、補助単価についても引き上げを行っています。こうした取組を通じて、学校施設における空調設備の整備を着実に推進していく考えです。
大塚座長
はい、ありがとうございます。では、スポーツ庁、お願いいたします。
スポーツ庁(中村)
続きまして、スポーツ庁から、熱中症対策についてご説明します。
スポーツの現場でも、夏の熱中症対策が非常に重要な要素になってきています。夏の間もスポーツが継続できるよう、さまざまな取組の充実を行っています。
まず、今年1月に、「運動・スポーツ中の安全対策」について、熱中症以外も含め、スポーツ中の事故を防ぐためのガイドラインを、国として初めて作成しました。このガイドラインは、スライド中ほどにありますとおり、スポーツを実施する方、指導者向け、大会などの主催者向け、活動の運営者向け、施設の運営者向け、といった形で、対象者ごとに整理しています。
さまざまな事故を防ぐための取組として行うべき事項を定めていますが、赤字で示しているとおり、重点対策の一つとして熱中症対策を盛り込んでいます。具体的に、次の4ページ目をご覧ください。これは、個人向け、指導者向けの熱中症対策です。暑熱情報の確認、十分な休養、水分補給など、主として5つの取組を行っていただきたいという内容を示しています。あわせて、下段の大会・イベントの主催者向けでは、特に夏に行われるスポーツ大会について、開催時期の見直しや開催時間の変更、競技中に熱中症が発生しないようなルールの見直しなども含め、主催者に対して呼びかける内容を規定しています。
こちらは参考ですが、このガイドラインを作成するために行った検討会の概要です。現在、各省庁の協力を得ながら、このガイドラインを現場に普及させる取組を進めています。
こちらは、日本スポーツ協会がこれまで策定・周知してきた「熱中症予防ガイドブック」についてです。昨年改定を行い、特に身体冷却の重要性を新たに盛り込みました。
先ほど学校体育館の説明がありましたが、同様に、自治体が設置する市の体育館などの社会体育施設についても、空調設備に対する補助率の引き上げを進めています。期間限定だった措置を延長し、取組を促進しています。
ハード面の支援として、スポーツ振興くじ助成、いわゆるtoto助成を活用し、さまざまなハード・ソフトへの金銭的支援を行っています。この中で、今年度から新たに、熱中症対策設備の整備を支援対象に追加しました。空調設備に加え、屋根の設置などについても、今年度から支援を開始しています。
最後のスライドです。例年、4月から5月にかけて、地方公共団体やスポーツ団体向けに、熱中症対策の取組を呼びかける通知を発出しています。また、昨年は、日本スポーツ協会によるガイドブック改定のタイミングに合わせて、熱中症予防フォーラムを開催し、取組全体の周知を行いました。
スポーツ庁からの説明は以上です。
大塚座長
はい、ありがとうございました。厚生労働省、お願いします。
厚生労働省(吉岡)
厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課の吉岡と申します。私からは、職場における熱中症防止対策についてご説明します。
昨年度の取組を中心にご説明します。昨年、熱中症対策に関する法令改正を行いました。熱中症の重篤化による死亡災害を防止するため、熱中症のおそれのある作業者を早期に見つけ、状況に応じて迅速かつ適切に対処できるようにすることを目的としています。具体的には、事業者に対して、早期発見のための体制整備、重篤化を防止するための措置の実施手順の作成を、あらかじめ行っていただくこと、また、関係作業者に対して、それらを周知することを義務付けています。この法令改正は、昨年6月1日から施行されています。
こちらのスライドでは、職場における熱中症災害の発生状況をお示ししています。令和7年の熱中症による労働災害の発生状況について、12月末時点の速報値になります。前年の令和6年と比べますと、休業4日以上の死傷者数、いわゆる熱中症の死傷者数は約4割増加していますが、死亡者数は減少しています。暑さが厳しくなり死傷者数は増加しているものの、死亡者数は減少しており、重篤化防止の効果が見られたのではないかと考えています。
この省令、法令改正にあたりましては、労働政策審議会の安全衛生分科会でご議論いただきました。その中で、重篤化防止対策に加えて、平時からの健康管理も含めた予防策の重要性が指摘され、データに基づいた熱中症防止対策の検討が必要とされました。そこで、職場における熱中症防止対策に係る検討会を立ち上げ、学識経験者や現場に詳しい業界関係者の代表に集まっていただき、職場における効果的な熱中症防止対策について検討いただきました。左下に開催状況を示していますが、12月から3月までの間に4回、検討を行いました。
こちらが、検討会の報告書の概要です。結果のところにありますとおり、重篤化の防止について、速報段階ではありますが、令和7年の省令改正が死亡災害の防止に寄与したと考えられます。一方で、災害発生事業場においては、法令に基づく措置が行われていない傾向が見られ、引き続き、改正省令に基づく措置の徹底を図る必要があるとされています。また、予防策については、熱中症の罹患リスクそのものを低下させることが求められています。業種・業態によりさまざまな状況や制約条件がありますが、そのような中でも有用な対策が取れるようにすることが必要であるとされています。そのため、一律の対策を示すのではなく、複数のオプションの中から、事業者が自らの業種・業態に応じて適切な対策を選択できるよう、包括的な熱中症防止対策を求めたガイドラインを策定することが有効であるとまとめられました。
検討会での議論を踏まえ、ガイドラインを策定しました。こちらは、今年3月18日に公開したガイドラインです。このガイドラインは、職場における熱中症防止のため、熱中症リスクに応じて行うことが望ましい具体的な方法を示し、業種・業態に応じて適切な選択ができるようにすることを通じて、熱中症防止を図ることを目的としています。事業者に対しては、まず熱中症のリスクを評価していただき、その評価したリスクに応じて、さまざまな措置を講じていただくこととしています。具体的な項目として7点を挙げており、例えば、労働衛生管理体制の確立、作業環境管理、作業管理、健康管理を行っていただくこと、また、労働者や管理監督者に対する教育の実施が必要であることを示しています。さらに、異常時の措置や、その他の留意事項についても記載しています。
こちらが最後のスライドです。ストップ熱中症クールワークキャンペーンについてです。毎年実施していますが、今年も実施しています。4月を準備期間とし、5月から9月までをキャンペーン期間として、事業場における熱中症防止対策の推進を呼びかけています。令和8年においては、省令改正の内容やガイドラインの内容についても、全国で周知を行い、熱中症防止対策に努めていくこととしています。
厚生労働省からは以上です。
大塚座長
ありがとうございました。では、農林水産省、お願いします。
農林水産省(美保)
農林水産省の美保です。よろしくお願いします。
令和6年に発生した農作業死亡事故の調査結果について紹介します。左側の棒グラフをご覧ください。農作業中の死亡事故者数の推移は、近年は減少傾向にありましたが、令和6年は287人となり、前年差で51人増加しました。要因を見ますと、農作業事故で最も多いのは農業機械による事故ですが、それ以外の事故として最も多いのが熱中症による事故です。令和5年は37人の死亡事故でしたが、令和6年は59人となり、22人増加しています。最も増加幅が大きい項目です。熱中症による死亡事故の推移を見ますと、左側のグラフのとおり増加傾向にあります。熱中症警戒アラートの発令回数と並べてみると、同様の傾向が見て取れるのではないかと考えています。
また、本日の議題と直接関係しない部分もありますが、死亡事故の発生時期を見ますと、右側の表のとおり、5月から9月の死亡事故数が、令和5年と令和6年を比較して52人増加しています。そのうち、熱中症は5月から9月で21人増加しています。熱中症以外も含め、夏の高温が農作業事故の増加に起因している可能性があると見ています。
こうした状況を踏まえ、農林水産省としては、農業者の皆様に、熱中症等の回避に向けた安全意識の向上を図っていただくとともに、熱中症等のリスクを低減する生産方式、いわゆる「ホワイト生産方式」への転換を推進しています。まず、左側の「熱中症等の回避に向けた安全意識の向上」についてです。従前より、農林水産省の呼びかけにより、農業団体や地方自治体において熱中症対策研修を実施していただいていますが、今年は1か月前倒しし、4月から6月を研修の強化期間として実施しています。また、新たに、7月から9月を「夏の熱中症対策声かけ期間」と位置づけ、関係機関が連携して注意喚起を行う期間として、今後推進していくこととしています。
右側の「熱中症リスクを低減する生産方式」についてですが、農業人口が減少する中で、農林水産省としては、スマート農業技術の導入や、農作業の外部化を図る農業支援サービスの活用を推進しています。農作業は労働負荷の高い作業であるため、最新のスマート農業技術の導入や作業の外部化を進めることで、農作業中の熱中症リスクを低減できると考えています。こうした取組については、予算措置も含めて推進しています。
先ほど申し上げた「熱中症等対策研修強化期間」は、4月からすでに開始しています。また、「熱中症等対策声かけ期間」は7月から9月まで実施する予定です。
農作業の特徴として、屋外での作業が多く、さらに一人で作業するケースが多い点があります。朝、作業に出かけたまま夕方になっても戻らず、畑を見に行ったところ倒れていた、という事故が多く発生しています。そのため、「一人作業に気をつけましょう」といったキャッチフレーズを用いて、注意喚起を進めていきたいと考えています。
以上です。ありがとうございました。
大塚座長
ありがとうございました。では、国土交通省、お願いします。
国土交通省(竹内)
国土交通省です。資料3-7をお願いします。この1枚目は、国土交通省の取組の全体像を示したものです。普及啓発、職場における熱中症対策、住宅・建築物における対策、まちづくりにおける暑熱対策の4つで構成されています。このうち、①普及啓発の中の情報提供ですが、外国人観光客向けにも、JNTOのSNSを用いて、プッシュ型で予防策をお知らせする取組を行っています。また、資料には記載していませんが、先週、今田委員からも言及がありましたとおり、気象庁において、最高気温40度以上の日を「酷暑日」と定めることが発表されました。この名称を活用して、国民や自治体に対し、暑さへの警戒を効果的に呼びかけていきたいと考えています。
続いて、③の住宅・建築物関係です。屋内での熱中症は非常に多い状況ですが、エアコンの適切な活用により予防できると考えています。住宅・建築物分野の取組としては、省エネ性能を向上させることで、冷房の活用とカーボンニュートラルの両立を図っていきたいと考えています。
まちづくりの関係ですが、屋外での外出時には、個人による日傘や帽子の活用といった予防策が有効です。一方で、まちづくりとしても、蒸発散作用や緑陰を用いたクールスポットの創出に取り組んでいます。具体的には、建築物敷地内の緑化、道路の緑化、雨水を利用した散水、緑地や水面を活用した風の通り道の確保などを推進しています。
最後に、職場における熱中症対策として、建設現場での対策を紹介します。建設業は屋外作業が中心であり、熱中症の発症率が高い職場であると認識しています。近年の猛暑により、建設業の職場における重症発症は増加傾向にあります。2024年の建設業における熱中症被害者は228人で、そのうち10人が亡くなっています。先ほど厚生労働省から紹介のあった全国の職場全体での死亡者数が30人であることを踏まえると、相当数を建設業が占めている状況です。このような中、国土交通省では、社会資本整備や災害復旧で重要な役割を果たす建設業の担い手を確保する観点から、労働環境の改善に努めています。受注産業である建設業が猛暑を考慮した働き方を実現するためには、発注者の理解と協力が必要であると認識しています。国土交通省は公共工事の発注者の立場でもあるため、受発注者が連携して取り組める内容を「猛暑対策サポートパッケージ」として取りまとめています。建設工事の請負契約では、金額と工期が設定されますが、猛暑対策の観点から避けられない工期延長や追加経費について、発注者が考慮することを中心に整理しています。工期については、猛暑となる時期や作業時間帯を避ける工夫を行います。例えば、猛暑期間を休工とする工事や、夜間施工にあたっての警察協議に発注者が協力することなどです。経費面では、猛暑対策に必要な作業員用の塩飴、空調服、現場に設置する大型扇風機、製氷機、ミストファンなどの導入経費を確保します。最後に、今後はこれらの取組を地方公共団体や民間工事の現場にも横展開していきたいと考えています。
国土交通省からは以上です。
大塚座長
ありがとうございました。ただいまの説明に対するご質問、ご意見をお願いします。
横堀委員
時間がないところ申し訳ありません。日本医科大学の横堀です。総務省消防庁の辻様にお願いとご相談があり、2点あります。
1点目は、救急隊が119番通報を受けた際の口頭指導についてです。特に、熱中症が疑われる場合の口頭指導が、現状どのように行われているのかを教えていただきたいです。もし決まりがあるのであれば共有いただきたいですし、心停止の患者に対する口頭指導のように、必要であれば通信指導員が適切に口頭指導できるよう、教育を行っていただきたいと考えています。
2点目は、直腸温の測定についてです。現状、救急隊では実施できていないと思いますが、現場で重症度を的確に判断するためには、直腸温測定が必要ではないかと考えています。この点についても、今後の議論をお願いしたいと思います。以上です。
大塚座長
省庁の皆様には、恐れ入りますが、まとめてご回答いただきたいと思いますので、メモを取っていただければと思います。では、上田委員、お願いします。
上田委員
上田です。私も消防庁に質問があります。熱中症は、特定の場所、特定の日時に集中して発生することが多いと思います。その際に、救急体制がひっ迫し、キャパシティを超えると、救急搬送時間が延長するような事態が起こるのではないかと考えています。それが実際に起こっているのかどうかという点と、長期的に見ると、高齢化に伴い救急搬送の件数自体は増加していくと考えられますので、そうした状況を踏まえた長期的な対策について検討されているのかどうかを伺いたいです。以上です。
大塚座長
ありがとうございます。他にご質問はいかがでしょうか。消防庁への質問が集中していますが、消防庁、お願いできますでしょうか。
消防庁(辻)
ありがとうございます。消防庁です。
1点目のご質問ですが、心肺停止のような口頭指導を行っているのかという点についてですが、消防組織は市町村単位で実施しています。119番通報への対応について、各市町村で対応しているため、具体的な指導内容について、消防庁として一律に把握している状況ではありません。
もう1点は、検温の方法、体温の測り方についてですが、対応マニュアルがあると認識していますので、その点については確認をさせていただきたいと思います。なお、以降の質問について聞き取れなかった部分がありますので、可能であればもう一度お願いできますでしょうか。
大塚座長
上田委員の質問についてです。お願いします。
消防庁(辻)
ありがとうございます。ご指摘のとおり、救急搬送がひっ迫している状況は実際に発生しています。熱中症に限らず、救急搬送人員は増加傾向にあります。消防庁としては、「#7119」の相談窓口を設け、自身の症状について相談し、救急車が必要かどうかを判断できる体制を全国に広げています。現状、軽症者の搬送割合が高いことから、本当に救急車を必要とする方を適時・適切に搬送できる体制づくりが重要であると認識しています。その点も踏まえ、現在、「#7119」の取組を進めているところです。以上です。
大塚座長
ありがとうございました。消防庁におきまして横堀委員のご質問への回答については、後日、関係者へご連絡いただければと思います。ありがとうございます。
横堀委員
横堀です。補足させてください。先ほどの上田委員の質問は、熱中症の搬送者数が増えた際のサージキャパシティをどのように確保するのか、という点だと認識しています。そのため、総務省消防庁には、救急需要の予測や、救急車の適材適所配置といった対策が、今後の課題ではないかと考えています。以上です。
大塚座長
消防庁、いかがでしょうか。
消防庁(辻)
ありがとうございます。消防庁としても、さまざまな点を踏まえた上で、今後検討していきたいと考えています。以上です。
大塚座長
時間の関係で、詳細な回答については、後日メール等でお願いできればと思います。
次に、農林水産省にお伺いします。ホワイト生産方式についてですが、管理層向けの取組という印象があります。ドローンやロボットの活用など、今後の進展の可能性について、どのように考えているか教えてください。
農林水産省(美保)
ありがとうございます。スマート農業に関する農業機械の導入にはコストがかかるため、農林水産省では補助事業を実施しています。また、スマート農業に使う機器の導入は、農業経営の規模拡大の局面で行われることが多いと考えています。規模拡大により、1台の農業機械で作業できる面積を増やし、経営改善を図りながら導入が進んでいく形になると考えています。
大塚座長
ありがとうございます。他にご質問はいかがでしょうか。もし本日お時間の都合で質問できなかった場合には、後日、事務局を通じてご連絡いただければ、関係省庁から回答をお願いすることも可能です。
それでは、本日出されたご質問、ご意見を踏まえ、各省庁において整理を進めていただきますようお願いします。
本日は第1回の小委員会ですので、全体的な進め方などについて、ご意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、事務局にお返しします。本日出たご意見について、事務局において整理を進めていただくようお願いします。
3.閉会
環境省(高山)
委員の皆様には、活発なご議論をいただき、ありがとうございました。本日の議事録は、事務局で取りまとめた後、委員の皆様にご確認いただき、その後、環境省のホームページで公開する予定です。次回の小委員会の日程については、改めてご連絡します。それでは、以上をもちまして、本日の小委員会を終了します。本日はどうもありがとうございました。