平成21年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会【第二部】 平成21年度化学物質審議会第1回安全対策部会 第90回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同審議会議事録
1.日時及び場所
平成21年7月23日(木)15:00~17:30
航空会館7階大ホール
2.出席委員(五十音順、敬称略)
化学物質審議会安全対策部会委員(10名)
(注) ◎部会長
赤松 美紀、 | 有田 芳子(併任)、 | 河内 哲、 |
北野 大、 | 豊田 耕二(代理)、 | ◎中西 準子、 |
林 真、 | 福島 昭治、 | 森澤 眞輔、 |
吉田 緑 |
中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員(7名)
(注) ◎委員長
青木 康展、 | 日下 幸則、 | 白石 寛明、 |
田中 嘉成、 | 田辺 信介、 | ◎中杉 修身、 |
吉岡 義正 |
薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会委員(17名)
有田 芳子、 | 植田 和弘、 | 浦山 京子、 | 江馬 眞、 |
大前 和幸、 | 沖 幸子、 | 神山 美智子、 | 川本 俊弘、 |
佐藤 洋、 | 土屋 利江、 | 長尾 哲二、 | 中川 秀己、 |
◎西島 正弘、 | 西村 哲治、 | 菱田 和己、 | 平塚 明、 |
吉田 喜久雄 | (注)◎部会長 |
3.行政機関出席者
- 後藤 芳一(経済産業省製造産業局長)、
福島 洋(化学物質管理課長)、及川 信一(化学物質リスク分析官)、
福島 隆(企画官)、実國 慎一(化学物質安全室長) - 原 德壽(環境省環境保健部長)、和田 篤也(化学物質審査室長)
山﨑 邦彦(環境リスク情報分析官) - 山本 順二(厚生労働省化学物質安全対策室長)
4.備考
本部会は、公開で開催された。
○事務局(経産省) お時間がまいりましたので、ただ今から「平成21年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会第二部」、「平成21年度化学物質審議会第1回安全対策部会」及び「第90回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会」の合同委員会を開催したいと思います。私は経済産業省化学物質安全室で課長補佐をしております前田と申します。審議に移るまで進行を務めさせていただきます。
本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることを御報告いたします。なお、本日は電機・電子4団体から宇佐美様、写真感光材料工業会から酒井様に、参考人としてお越しいただいております。
審議に先立ちまして、夏季の軽装のお願いについて申し上げます。地球温暖化防止・省エネルギーに資するため、政府全体として夏季の軽装に取り組んでおります。これを踏まえ、事務局は軽装にて対応させていただいております。委員の方々におかれましても御理解、御協力をいただければ幸いです。
続きまして、お手元にお配りしている資料の確認を行います。表紙に1枚紙で議事次第がございます。下の方に配付資料一覧とございまして、資料1~資料4、参考資料1~参考資料14までございます。資料1ですが、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)の体系図及び改正化審法の体系図」1枚の紙です。資料2は「第一種特定化学物質に指定することが適当とされたペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)(別名PFOS)又はその塩など9種類の物質(12物質)の今後の対策について」でございます。資料3は「第二種特定化学物質が使用されている場合に技術上の指針の公表等を行う製品の指定について」でございます。資料4は「第一種特定化学物質に指定することが適当とされたペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)(別名PFOS)又はその塩など9種類の物質(12物質)についての所要の措置及び第二種特定化学物質が使用されている場合に技術上の指針の公表等を行う製品の指定について(案)」でございます。資料2、資料3の概略、本日のお諮り事項をまとめたものが資料4という構成になっております。
続いて参考資料です。参考資料1が「委員名簿」でございます。参考資料2が「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約第4回締約国会議において決定された事項(概要)」でございます。参考資料3が「ペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)(別名PFOS)又はその塩など12物質の分解性、蓄積性及び人への長期毒性等について」でございます。参考資料4が「PFOS又はその塩など12物質の分解性・蓄毒性及び人への長期毒性について」でございます。参考資料5が「第一種特定化学物質について」です。参考資料6が「第一種特定化学物質が使用されている場合に輸入することができない製品について」です。参考資料7が「ペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)の環境リスク初期評価」です。参考資料8が「ペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)及びその塩のリスク評価」です。参考資料9が「第二種特定化学物質について」、参考資料10が「第二種特定化学が使用されている場合に容器等に表示をしなければならない製品について」です。参考資料11が「第二種特定化学物質の管理状況について」、参考資料12が「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の(抜粋)」です。参考資料13は電機・電子4団体様から御提出いただいている資料でございます。参考資料14は写真感光材料工業会様から御提出いただいている資料でございます。以上、過不足等ありましたら事務局の方にお申し付けください。
それでは、個別の議題に入る前に、経済産業省の後藤製造産業局次長、環境省の原環境保健部長、厚生労働省の山本化学物質安全対策室長より一言御挨拶がございます。よろしくお願いします。
○製造産業局次長 経済産業省製造産業局次長の後藤でございます。日ごろは化審法の施行に関しまして大変御理解と御支援を賜りまして、誠にありがとうございます。また、中西先生、中杉先生、西島先生を初め、委員の皆様にはお忙しいところをこうして御参集賜りまして、今日も御議論を賜りますことを誠に御礼申し上げます。
今日は、少しお時間をいただいて、一言お礼とお願いを申し上げます。
化審法の改正についてです。お陰さまで、先の国会で化審法の大きな改正がありました。出来て以来の、立付けを大きく変えるという改正です。3省協力をさせていただきまして、いくらかの委員の先生方は重複してお世話になっておりますが、今の時代に見合った、もともと世界に先駆けて出来た法律でしたが、時代とともに宿題もだんだん積み重なってきたところを、日本なりの良い姿にしていこうということで御指導を賜り、改正案とした次第です。国会の審議では10時間余りの審議を経ました。普通の法律の短いものは、特に今回の国会の後半などは2時間ぐらいで終わりですとか、そういう法律もあった中で10数時間、経済産業委員会と環境委員会の連合審査、あるいは経済産業委員会で御審議を賜りました。立付けがこのように変わることについてどうなのか、特に今日の議題のPFOSについてどのような場合にどのようにしていくのか、こういうところも大変関心を持って、国会でも議論がありました。結局、各会派全会一致で御賛同いただいたということで、そこまでに至る各位の御理解、御支援にまずはお礼を申し上げます。
ここからですが、REACHとどう違うのか、これが一つ大きな議論です。これは国会でもいろいろ議論が出ました。REACHに合わせてしまうというのも、一つのチョイスであったかと思います。それと違うことを日本はしたわけです。REACHは、申すまでもなく欧州の今始まりつつある規制ですが、全部網羅的に入れて、全部を規制していくというアプローチでした。今回改正した化審法は、もう少し合理的に、選択的に大事なものを先に規制できるようにという選択をした次第です。ですから、繰返しになりますが、なぜ日本が違うやり方をしたのか、その妥当性はどうかというのが、常にこれからも出てくるかと思います。これから大事なのは、日本の合理的なやり方を、例えば伝統的に日本のやり方と共有してきたアジアの国などと一緒に行って、違う言い方をすればデファクトの競争ということになろうかと思います。日本の化審法の体系と同じようなことを支持してくれるエリアを、国際的にも増やしていくことが大変大事です。
なぜヨーロッパと違うかというと、まず枠組みをドンと作ってからできるかできないかやってみて、できなければ変えていこうという文化の国と、1回言うときっちり守るような国との違いです。日本の場合は、今日も業界の皆様がいらっしゃっていますが、こうしたらどうかと言うと、本当に末端に至るまでまじめに守る国民です。そうした国民性を考えたときに、合理的な方法をということを今回の改正法に入れてあるということですから、ルールだけ見ると向こうよりも緩いではないかと指摘する人もいますが、私どもの所では実質日本が一番きっちりしたことをしていくと信じております。
繰返しですが、これから大事なのは、そうしたルールの体系をどれだけ世界でたくさんの国に支持していただけるかです。この委員会の皆様には、御見識によりこの御判断をしていただくのが実質のミッションではありますが、違う見方をすれば、日本の化審法の体系を最も御理解いただき、いろいろな方面に普及していただくコアの皆様だと思っておりますので、今日はあえてそうしたことをお願い申し上げ、これからも産業界も協力をし、またいろいろな評価機関も知見を重ねて、内容を充実していく、そのことを世界に向けて発信していく。これをやらなければ、複数の規格を作ってしまう、皆で失敗をすることになりますので、きちんとした日本のいい規格をたくさん普及していければ、今回日本の体系を作ったことが活きていくので、これからの御協力、御支援をお願い申し上げて、御礼、お願いの御挨拶にさせていただきます。どうもありがとうございました。
○環境保健部長 環境省環境保健部長の原でございます。本日はお忙しい中、先生方におかれましてはお集まりいただきましてありがとうございます。御承知のとおり、今、後藤次長からお話がありましたように、5月のストックホルム条約以降、新たに第一種特定化学物質として12種類について制限の対象とすることが決定されたわけですが、そのうち今年の6月に私どもの第一種特定化学物質の指定について議論をいただいたところです。今日は、第一種特定化学物質に指定することが適当とされた物質の今後の対策と、新たな技術上の指針の公表を行う第二種特定化学物質について御議論いただくと聞いております。
私どもが一番気にしているのは、今回の化審法の改正において、第一種特定化学物質についても限定的に使用を認めるという改正条項があったわけですが、今回その中で、特にPFOS等については他の物質への代替が困難であることから、限定的に使用を認めざるを得ないものがあります。その場合においても、できるだけ早く代替物質の開発、またその物への交換を速やかにやっていただきたいと思っておりますが、それまでの間、限定的な使用を認める場合においても、既に製品として存在しているものを継続的に使用せざるを得ない場合もありますが、それについても環境汚染を通じた動植物等の生息等に関わる被害を生じないように、環境への排出量を低減するために必要な措置を講ずべき製品を指定することが不可欠だと考えております。
また、これらの製品においても、貿易によって国内に持ち込まれる可能性もないことはありません。これらについて、国内外の実態調査などから、そのようなおそれがあるものについてはその輸入を禁止すべきと考えており、このような事項についても皆様方から忌憚のない御意見をいただきますようお願いします。環境省としましては、今後とも厚生労働省、経済産業省を始めとする関係各省と連携を十分図りながら、今回の改正について厳格な運用を進めていきたいと考えております。本日の御審議はもとより、今後とも化学物質管理施策の推進に御協力をいただきますようお願いいたします。
○化学物質安全対策室長 厚生労働省化学物質安全対策室長の山本でございます。重ねての御挨拶で恐縮でございますが、本日はお忙しいところ3省合同の審議会にお集まりいただきましてありがとうございます。また、薬事・食品衛生審議会化学物質安全対策部会の先生方におかれましては、第一部に引き続き、第二部においても活発な御議論をいただきますようお願いいたします。
○事務局(経産省) それでは、これより御審議をいただきたいと思います。審議にあたっては、化学物質審議会安全対策部会の中西部会長に、本合同審議会の座長として議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○中西座長 議事進行をさせていただきます中西です。よろしくお願いいたします。
初めに、本日の会議の公開の是非についてお諮りします。各審議会の公開については、それぞれ規程のあるところですが、「公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定な者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合」等、非公開とするべき場合には該当しないと考えますので、原則公開といたしたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することを認めることとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、了解いただいたということで、この原則に則って進めたいと思います。それでは本日は公開とさせていただきます。議事録については、後日ホームページ等で公開されますので、あらかじめ御承知おきをお願いします。
続きまして、化審法の改正の概要説明に入ります。先ほど次長からも説明がありましたように、今般化審法が改正されておりますので、改正された化審法の概要を事務局から説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○化学物質管理課長 それでは化審法の改正の概要につきまして、説明させていただきます。資料1は表裏になっておりますが、表の方が現在の化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の体系図ですので、こちらの説明は省略します。裏側を御覧ください。これが今回改正した化審法の体系図、スキーム図になっております。若干簡易化してあるところがありますが、これに基づいて御説明します。
今回改正された所は赤い斜体で書いておりますので、変更のあった所を中心に説明します。今回の化審法の改正では、従前、新規化学物質の事前審査をきちんと行っていたものに対して、化審法制定の昭和48年以前の「既存化学物質」と言われているものに関しては国自らが点検をしておりましたが、2020年の環境サミットの合意を達成するために、既存化学物質について対策を強化すべきという点で改正しました。これについては、左上に「既存化学物質」とありますが、下に「一般化学物質」という名称があります。一般化学物質については、製造、輸入実績数量、「等」というのは用途ですが、それについて毎年届出をしていただくこととしております。この施行は、再来年の4月を予定しております。
次に、一般化学物質の届出があった後、一般化学物質の中で製造数量、又は用途、既存の有害性情報を考え、リスクが十分に低いとは認められない化学物質については、真ん中の右側にあります「優先評価化学物質」に入ることになっております。優先評価化学物質については、イメージですが、従前の第二種監視化学物質、第三種監視化学物質に似たようなものと御理解いただければと思います。優先評価化学物質に指定された化学物質については、製造、輸入実績数量、用途は一般化学物質と同様ですが、保有する有害性情報はきちんと報告していただくようにしたいと思っております。優先評価化学物質に関する情報も、情報伝達について努力義務ということで法律上規定をしております。この優先評価化学物質についてさらにリスク評価を行い、リスクがある場合には現行の第二種特定化学物質等に入っていくことになります。
今回御審議いただく内容に関することですが、左下の「第一種特定化学物質」です。第一種特定化学物質については・が四つあります。上から2番目の・ですが、「([1]代替が困難、[2]人又は生活環境動植物への被害が生ずるおそれがない用途)以外での使用禁止」ということです。今回はここについて御議論をお願いできればと思います。
併せて、「物質及び使用製品の取扱事業者に対する技術上の基準適合義務・表示義務」を新たに課すことになっております。
もう1点、本日御審議いただくことですが、第二種特定化学物質については1点改正があります。赤い斜体で・が三つある所の最後です。物質の取扱事業者に対する技術上の指針が書いてありますが、従前は使用製品に関する技術上の指針はなかったので、今回サプライチェーンというか、ユーザー等に関する、製品に関する措置についても強化をするという観点で、使用製品についても技術上の指針の遵守義務をかけることを新たにするという点です。
それ以外に、新規化学物質は基本的には従前どおりですが、新たに「低懸念ポリマー」、一定の基準に該当する低懸念の高分子については、事前確認制度を新たに設けることにしております。
監視化学物質、これは従前の第一種監視化学物質ですが、改正後は二種と三種がなくなりますので、監視化学物質に戻ります。これについて、取扱事業者に対する情報伝達の努力義務という点を法律に書き加えております。
本日御議論いただくのは、ストックホルム条約の関係の第一種特定化学物質に関する点が中心になるかと思います。これは来年の4月1日に施行を予定しております。それ以外の一般化学物質、優先評価化学物質については、再来年の4月の施行を予定しております。若干準備がありますので、そういった時間を設けて、これからその詳細について議論を煮詰めていきたいと思っております。今回の法改正の中身については以上です。
○中西座長 どうもありがとうございます。ただ今の事務局の説明について御質問はありますでしょうか。御質問、御意見がありましたら、お手元のネームプレートを立てていただきたいと思います。順に御指名します。ただし、ここは化審法がどうあるべきかという議論の場ではありません。既に改正されておりますので、その点は御注意いただきたいと思います。
特にないようですので、議題1「第一種特定化学物質に指定することが適当とされたペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)(別名PFOS)又はその塩など9種類の物質(12物質)の今後の対策について」に移ります。審議にあたっては、資料2に示されている措置ごとに区切って議論を進めたいと思います。事務局から、検討の背景と第一種特定化学物質に指定された場合の措置の概要について説明をお願いします。
○事務局(経産省) 資料2に基づいて御説明します。1ページです。1.「検討の背景」ですが、今回の検討の背景については、大きな背景としてストックホルム条約の動向があります。このストックホルム条約、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」ですが、難分解性、生物蓄積性、毒性及び長距離移動性を有する残留性有機汚染物質を定め、人の健康、環境の保全を図るため国際的に協調して、そういった物質の製造・使用・輸出入を原則的に禁止するという条約です。我が国にあたっては、これまで条約の対象物質とされたものについては化審法、農薬取締法、薬事法等の法律に基づき措置を講じてきたということです。化審法については、条約の対象物質は第一種特定化学物質に指定し、その製造、使用を制限してきたということです。
2段落目ですが、本年5月にストックホルム条約の第4回会合が開かれ、ペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)、いわゆるPFOS等の9種類の化学物質(12物質)、2ページの表2-1に掲げる物質ですが、PFOS、PFOSF、ペンタクロロベンゼンと続く12物質については、第4回締約国会合で廃絶・制限の対象とすることが決定されております。
この決定を受けて、3段落目ですが、6月26日に化学物質審議会審査部会、中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会において、それら12物質については化審法の第一種特定化学物質に指定することが適当であるという結論をいただいております。また、本日第一部として開催されている薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会においても、第一種特定化学物質に指定することが適当という結論をいただいております。つきましては、今後これら12物質を第一種特定化学物質に指定するにあたっての諸々の措置について検討が必要になるというのが、本日の検討の背景です。
2ページです。2.「第一種特定化学物質の指定に伴う規制措置について」です。先ほども説明がありましたが、今回の化審法の改正はストックホルム条約との整合を図り、使用の要件を見直しているところがあります。これについては、公布を1年以内に施行することとされております。ストックホルム条約ですが、決定された事項については1年以内に措置をするようにという形になっております。したがって、今後これから御議論いただく措置については、来年4月を目処に措置を講ずるという前提で御議論いただくことにしたいと思います。具体的な規制措置ですが、3ページ、中段の1)~5)に書いているのが主な規制措置です。
1)ですが、第一種特定化学物質の製造・輸入については、国による事前の許可が必要になってきます。許可の基準ですが、製造・輸入数量が需要量に照らして過大でないこと、製造設備に関する技術上の基準に適合していることが許可の基準となってきます。
2)ですが、第一種特定化学物質の使用についてです。使用については政令で指定された用途、いわゆるエッセンシャルユースと呼ばれているものですが、それ以外は使用が禁止されるということになってきます。
3)ですが、第一種特定化学物質、又は政令で指定した製品で第一種特定化学物質が使用されているものについては、取扱事業者に別途定める取扱上の技術基準に従う義務、それから環境汚染を防止するための表示義務が課されてきます。
4)ですが、第一種特定化学物質の輸入については、先ほど申し上げたように事前の許可が必要であるということで、需要量以上のものは禁止されるということですが、第一種特定化学物質を使用している製品についての措置は、輸入する可能性があって、環境汚染する可能性があるものについては、具体的に製品を指定して輸入が禁止されることになってきます。
5)ですが、環境の汚染を防止するために必要な場合は、回収等の必要な措置を取るべきことを命令することができることになってきます。
1)~5)のうち2)~4)の措置は、化審法に基づき審議会の付議事項となっており、別途お作りしている資料4で本日御審議いただきたいと考えております。
これらの措置を具体的にどのようにするかという検討に先立ち、この12物質に関する最新の製造・輸入・使用の実態調査を前もって実施しております。実施については、経済産業省のホームページに掲載しつつ、製造事業者の方、輸入事業者の方に対して広く調査への協力をいただいております。
具体的な調査の概要ですが、4ページの一番上ですが、製造・輸入事業者に製造・輸入・使用等に関する調査票の記載を依頼しております。また、二つ目の・ですが、製造・輸入事業者の方からサプライチェーンを通じて、使用事業者についても調査票の記入を依頼しております。皆様方からいただいた回答は、行政が直接回収しております。なお、本調査の実施については、先ほどの措置に関するものであることをあらかじめ明記しております。以上です。
○中西座長 ありがとうございます。ただ今背景について説明をいただきましたが、御質問はございますか。全体の構造が少しややこしいかと思いますが。皆さん御理解いただいているようですね。
○有田委員 4ページの調査の結果なのですが、サプライチェーンなどを通じて使用事業者に当該調査票を伝達して、協力していただいた業者というか数、どういう結果かを教えていただければと思います。
○事務局(経産省) 本調査ですが、業界の方々の協力もいただきながら、基本的には多くの方々に調査票は行き渡っているかと思います。回答は、製造・輸入・使用で実際に実績のある方ですが、数十社の方から回答をいただいているという結果になっております。
○有田委員 その具体的な数はわかりますか。
○中西座長 わかりました。少し時間がかかるかもしれませんが。すぐにわかりますか。わからなかったら、少し時間を置いて具体的な数字を出していただけますか。
○事務局(経産省) 大体30数社ぐらいから回答をいただいております。
○土屋委員 その場合、全体の業者の数はどのぐらいですか。30数社というのはどのぐらいの割合なのでしょうか。
○中西座長 後で説明しますが、この調査はこういう物質を使っている業者ということなので、そもそも扱っている業者は非常に少ないということがあるかと思います。調査票を出したのはどのぐらいあるのですか。
○事務局(経産省) 調査票に関してはホームページに掲載して、既にここに書いてある対象物質の製造・輸入者がわかっている事業者についてはホームページに掲載していることを連絡し、調査をお願いしました。また、日本化学工業協会や関係業界の方々にも、ホームページを通じて調査をしていることを連絡し、会員各社の方々に調査をお願いしております。
調査結果については、先ほど30数社から回答が来ているとお話しましたが、これは4ページにありますように、あくまでも自社製品にPFOSを使っていて、それをユーザーの方々に出荷している方々を対象にしておりますので、実際にはユーザーの方々の結果も、PFOSを使って自社製品を作っている方々から経済産業省に調査の結果が来ておりますので、実際の調査対象として回答が得られたものは30数社よりももっと多いということです。
○化学物質管理課長 もともと製造・輸入をしている方に調査票をまいております。
具体的には、従前から製造・輸入量調査をやっていますので、そういったものを多分つくっている人、そういったものは多分作っていない人と分かります。PFOSについては、これは第二種監視化学物質になっていて、製造・輸入している人は届出の義務がありますので、この会社についてはきちんと調査に協力していただくということです。
この調査の一番のポイントは、製造・輸入している人はもとより、使っている人がどのぐらいいるのかです。使っている人をどうやって追っていくのかというのは、一番わかりやすいのは作っている人、又は輸入している人が誰に売っているのかをたどっていけば、理論的にはすべて把握ができることになっています。そういった意味で、今回の調査は特にどういうところに使われていて、使われているものは代替が利かないのか、将来の見通しはどうなのかを聞くことが最大のポイントでしたので、逆に言うとこの調査に御協力いただけなくて、今回エッセンシャルユースに乗らないと、もう使うことができないことになっておりましたので、我々としてはそういったホームページもそうですし、業界団体、又はここに書いてあるような想定されている電子部品や写真感光剤、消火剤といった業界には足繁く通って、とにかく漏れがないように、ここで回答していただかないと使えなくなってしまうということを周知しております。そういった意味で、調査に協力しないと損になってしまうということですから、ある程度の確度で返答がいただけたのではと思っております。
○土屋委員 そういう意味で、開示されて、透明性が上がっているということですね。
○有田委員 輸入事業者、もしくはフィルムなどを作っている所は、それなりにきちんとした対応なりデータなりがあると思いますが、中小の所はどのような回答があったのかというのが一つ気になったところなので、中小の所でメッキ工場等の把握がどのぐらいできたのかというのをお伺いしたかったのです。
○事務局(経産省) メッキのお話がありましたが、PFOSの供給事業者からメッキ処理剤を作っている事業者に調査をかけていただき、メッキ処理剤を作っている事業者から各メッキ工場での使用状況等を調査していただいて、経済産業省への回答はメッキ処理業者からいただいております。
○中西座長 よろしいですか。
○有田委員 いいというか、数が30で、それがメッキ工場から回答をいただいて30数社ということではないですね。
○事務局(経産省) そうです。30数社というのは、処理剤を作っている事業者の方々を含んだ形ですので、メッキ工場の方々の数は入っていないということです。
○中西座長 ほかには何かありますか。特にないようでしたら、また元に戻った質問も可能かと思いますので、先に進みたいと思います。
それでは、第一種特定化学物質の製造・輸入の見通しに関して、事務局から御説明をお願いします。
○事務局(経産省) 4ページの2-1.について御説明します。先ほど申し上げた調査の結果ですが、我が国において製造・輸入が過去3年間にあったのは、PFOS又はその塩とペルフルオロ(オクタン-1-スルホニル)=フルオリド(以下PFOSF)の2物質のみでした。
まず、製造・輸入量等の経緯・見通しについて御説明します。2段落目ですが、PFOS又はその塩については、毎年大体10t前後で製造・輸入数量が推移しております。これらのうちの大半が国内に出荷されており、半導体関連の用途あるいは金属メッキのミスト防止剤、泡消火薬剤などを製造する際に、0.005~15%程度の範囲で添加されてきたということです。関連業界においては、今回のストックホルム条約の動向を踏まえて代替物質への転換が進められてきており、平成20年度の製造・輸入量は減少しております。それは、5ページの表2-2でお示ししております。平成19年度に比べると減ってきている状況です。代替に向けての取組みが行われておりますので、平成21年度も減少傾向が続くものと予想されます。平成22年度以降については、エッセンシャルユース使用を認める用途の需要の範囲でしか、製造・輸入は原則行われない形になりますので、数量はさらに減少していくことが見込まれております。
PFOS又はその塩以外のPFOSFを含む11物質については、現状において代替が困難で使用を認める用途と、使用を認めるべき代替が困難であるという御主張は特になく、今後国内で製造・輸入の許可がなされる見通しはないということです。5ページになりますが、したがって、今後我が国において製造・輸入がされる可能性があるのは、PFOS又はその塩が見込まれ、その製造設備については技術上の基準に適合するという義務がかかってきますので、設備の整備には時間を要することを考えると、必要に応じあらかじめPFOS又はその塩を念頭に置いた技術上の基準を策定する必要があろうかと考えております。中段ですが、技術上の基準の策定にあたって考慮すべき主な要素としては、四つの・がありますが、こういったものが考えられると思っております。今後、専門家の意見をいただきながら、必要に応じて策定をしていきたいということです。主な要素について具体的に申しますと、しっかり反応プロセス等に対応した設備設計がなされていること、腐食や漏洩を防止するための適切な材料が用いられていること、物質の収支が適切に管理できていること、環境中への放出が最小限になるような機能を備えていることといったことが、主な要素として考えられるかということです。以上です。
○中西座長 ただ今の事務局の説明について御意見、御質問はありますか。
それでは、次に進みます。「第一種特定化学物質の使用を認める用途について」、事務局から説明をお願いします。
○事務局(経産省) 資料2の5ページの下ですが、2-2.「第一種特定化学物質の使用を認める用途(エッセンシャルユース)について」、御説明します。1段落目ですが、ストックホルム条約においては、代替が困難である場合、人へのばく露及び環境中への放出を防止し、また最小限にするような措置が取られていることを条件に、締約国会議で合意された用途については使用の禁止を除外するという仕組みがあります。今般、ストックホルム条約の対象物質に追加された12物質についても、製造・使用等の禁止に関する適用除外の用途が定められております。具体的に言うと、6ページの一番上の行ですが、半導体関連(レジスト、特定のエッチング液)、写真感光材料、泡消火薬剤といった用途については、PFOS又はその塩を使用することは禁止の適用除外とすることが認められているというのが条約上の整理です。
続いて6ページの4行目ですが、化審法においても同様に、(1)他の物による代替が困難であること、(2)第一種特定化学物質が使用されることにより、環境の汚染を生じて人の健康に係る被害又は生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれがないこと、これらの条件を満たせば、第一種特定化学物質の使用を認めることができることになっております。
一つ目の条件ですが、(1)他の物による代替が困難である事例です。先ほど申し上げた実態調査の結果を踏まえ、我が国で過去3年間に使用の実態があったのは、先ほど申し上げた12物質のうち、PFOS又はその塩、PFOSFのみでした。PFOSFについては、来年4月以降の使用の予定は確認されておりません。PFOS又はその塩については、来年4月以降継続して使用の予定があり、他の物による代替は困難であると判断される事例としては、ここに[1][2][3]と書いている三つの事例がありました。[1]が半導体用のレジストの製造、[2]が圧電フィルタ用又は高周波に用いる化合物半導体用のエッチング剤の製造、[3]は業務用写真フィルムの製造です。こういったものを製造する際に、PFOS以外では代替が困難であるということです。個別に代替が困難であるかということの判断は、他の物によって代替した場合において求められる機能・性能が同等程度実現されているかといった観点等々を、総合的に勘案して判断することにしております。もちろん、代替物質そのものが存在しない場合は代替困難と言えようかと思います。
7ページです。7ページ以降は、三つの事例の代替が困難であるというところの説明です。一つ目は半導体用のレジストで、これは樹脂、感光剤、添加剤、溶剤を主成分とする調剤です。下の絵ですが、半導体の表面の金属膜の上にこういったレジストを塗ります。それにマスクをかけて光を当てると、感光剤の部分が反応して、絵の右側の上の図ですが、削れる所は鋭角にしっかり削れる仕組みです。このように半導体上の回路が形成されるということです。半導体ですが、そういったフォトマスクのレジストのパターン図と樹脂と感光剤にPFOSが使われております。これらについてはうまく回路図ができるように、非常に高度に設計されたものになっております。その際に、PFOS以外を使うと、PFOSの鎖長が大きな条件として効いてきますので、以外の物質では同等の機能を実現することは難しいと、すなわち、代替物質が見つかっていないのが現状と伺っております。ただし、今後使われる半導体については、先ほど申し上げた高度な計算、樹脂と感光剤とのパターンの組合せをうまく計算して、PFOSを使わないように設計の努力をされていると伺っております。
8ページですが、圧電フィルタ用のエッチング剤の製造です。圧電フィルタというのは、特定の周波数を通過させて受信感度を高めるための電子部品で、ラジオ、テレビ、警察無線などにも使用されております。エッチング剤というのは、圧電フィルタを作る際、電極をうまく作るためにパターンどおりに溶解するときの強酸の水溶液に使われております。これは非常にパターンが細かく、間隔が数百μm以下の微細なもので、少しでも泡が付いてしまうとうまく製品にならないそうで、気泡が付かないようにする性能を持つのは、非常に界面活性効果が高いPFOSしかないと伺っております。PFOS以外の物質は見つかっていないということで、代替物質の開発に取り組まれていると伺っております。
8ページ、[2]の2の高周波に用いる化合物半導体用のエッチング剤ですが、これは非常に周波数の高い受信設備のIT機器に使われているものです。半導体を作る際に溝を作るわけですが、この溝が数μm以下の微細なもので、PFOSが持っている性能、界面活性効果の高い性能を持たないとうまく溝ができないと。そうすると製造の精度が大きく狂ってしまうということで、こちらについても代替物質が見出せていないと伺っております。これについては開発に取り組まれているということです。
9ページですが、業務用写真フィルムです。これは非常に精度の高い写真を作るフィルムで、ムラのない精緻な画像を実現するフィルムです。その写真フィルムに求められるのは、帯電を防止することと、サッと液が広がることでして、これもPFOS又はその塩が非常に大事になってきます。代替物は見つかっていない、開発に取り組まれていると伺っております。これら三つの物質については、代替が困難な事例ということでこちらに御提示しております。
関連して、参考資料13と参考資料14です。参考資料13ですが、電機・電子4団体から提出のあった資料です。2段落目ですが、レジストを作るには、[1]~[5]にあるような非常に多くの性能をうまく兼ね揃える必要があるということで、代替が難しいということです。
2ページ目ですが、高周波半導体のエッチング剤についても代替剤は見出せておらず、開発には10年程度の時間を要するということです。圧電フィルタについても代替物質が見つかっておらず、開発に時間を要するということで伺っております。ただ、PFOSについては環境中への排出が少なくなるように、焼却する等の取組みを行っていると伺っております。
参考資料14ですが、これは業務用写真フィルムの関連です。写真感光材料工業会から提出いただいているペーパーで、1.ですが、先ほど申し上げたように界面活性、帯電調整剤としての機能が必要だということです。2.の中段ですが、代替物質の開発研究には多大な時間と労力が必要な状態だという状況です。しかし、環境中への流出削減に向けては、焼却する等の措置に取り組んでいると伺っております。
資料2に戻ります。9ページです。以上が代替困難な三つの事例ですが、これらについて使用を認めるにあたっては、もう一つの条件があります。(2)「第一種特定化学物質の使用による環境の汚染を通じた人の健康に係る被害又は生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれ」、があるかないかということです。今申し上げたように、対象はPFOS又はその塩ということで、これまでもそれらの物質については半導体用のその他の反射防止剤の用途、メッキ処理剤、泡消火薬剤を作る際に使われてきたのが実態です。
(2)の2段落目ですが、環境省においてはPFOS及びその塩について環境モニタリング調査を行っております。11ページに実測値の表があります。これは高い実測値のデータを取っているわけですが、こういったモニタリングのデータに基づいて、環境リスク初期評価を環境省で実施しております。その結果が、10ページの表2-3.で、右側が予測最大ばく露量、最大にばく露する量です。右から2列目の許容摂取量というのは、他の動物等から外挿して、許容しても大丈夫であろうという摂取量ですが、右と左を見比べると、リスクがあるとは言えないのではないかということです。もちろん、リスク評価においてはさらなる情報収集に努める必要があるというのが、環境省の結論として出ております。
10ページですが、東京湾をモデルとして、独立行政法人製品評価技術基盤機構においても、念のためリスク評価を実施しております。PFOS又はその塩の排出削減を行えば、環境中の濃度は低下するというモデル試算が出ており、それをリスク評価すると、最大のばく露量が許容量より小さくなるという結果が出ております。したがって、10ページの2段落目ですが、PFOS又はその塩の使用を先ほどの3用途に限定した場合は、環境中への排出量が減少するので、現時点の情報に基づいて判断すると、人又は生活環境動植物への被害を生ずるおそれがあるとは言えないのではないかと判断できると考えております。加えて、その3用途については、今後、取扱事業者が環境中に出ないような取扱上の技術指針。これは別途定めるものでございますが、そういった指針を遵守いただくことで、排出量を定め、低減することはできるのではないかということでございます。
したがいまして、11ページですが、この二つの観点からいたしますと、PFOS使用を認める用途ですが、ここに[1]~[3]まで書いている三つの用途につきましては、例外的に使用を認めることが妥当であると判断いたしております。また、「但し」以降ですが、国といたしましては、そういった物質の使用状況、それから代替に向けた進捗状況を、今後も把握していく必要があろうかと考えています。それから、環境中のモニタリング調査につきましても、継続的に実施していくべきであるということで考えています。以上でございます。
○中西座長 どうもありがとうございました。ただ今の説明に対して御質問や御意見はございますでしょうか。どうぞ。
○土屋委員 第1は国内の企業の状況以上に考えなければいけないのですが、簡単に言って、同じようなものが諸外国でも使われていますので、外国でも扱いについて同じような状況が起きているのかどうか。第2点は、この使用を認める用途についてですが、この認めたものについて、それによって作られたものの最終製品も認められるということになるのでしょうか。以上2点です。
○中西座長 他にございますか。
○吉岡委員 2点お伺いしたいことがございます。第1点は電子分野につきましては、物質収支というものが書いてございますので、大体の様子が分かったのですが、写真分野に関しましては、物質収支といいますか、廃液中に出ていくようなものがどれぐらいのパーセンテージ等であるかということのデータが分かっているならお教えいただきたいのが1点です。もう1点は、11ページの表2-4のように、実態調査の結果が出ています。今後とも実態調査をする必要があると書いてありますが、この実態調査というのは、レジスト等を使用をしているところを重点的に行う調査なのか、それとも一般環境における調査なのかということを、お示しいただきたいと思います。以上です。
○中西座長 他にございますか。
○神山委員 参考資料3の4ページに、海外での使用製品の製造・輸出の状況について、表-3としてあるのですが、ここで欧州の国、北米の国というこの表の中に、半導体用途が書かれていないのですが、海外では半導体にはPFOSは使っていないということなのでしょうか。
○中西座長 他にはございますか。
○大前委員 これは要望なのですが、参考資料7の8ページと9ページを御覧になってください。8ページの体内動態、代謝のところで、第1段目の一番下の所、血漿中の半減期が7.5日とあります。これはラット、動物です。9ページの5行目、人の場合は半減期が4年とあります。もう少し後ろにいきますと、人の場合は膀胱癌等が見られているという記述があります。したがって、この物質は一般環境における排出による曝露は非常に少ない、無視できるぐらいだと思うのですが、むしろ労働環境の方が非常に心配でして、要望としては労働基準局の分野だと思うのですが、そちらの方に第1種の特定化学物質のエッセンシャルユースをOKとした場合に、どういう健康管理、労働衛生管理をやるかということを労働基準局に何らかのことをやりなさいという要望をお願いしたいと思っています。
○中西座長 分かりました。取りあえずこれまでの御質問で事務局からお答えをしていただいて、また、続いて御質問をしていただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。まず最初に事務局から、経済産業省からお答えするものと、厚生労働省からお答えするものがあるかと思うのですが、よろしくお願いいたします。
○事務局(経産省) まず、諸外国の関連につきましては、ストックホルム条約で締約国は165か国ほどありますが、こちらの国につきましては条約で認められた用途以外については、使用はされないということです。後段の議論になりますが、それとは別の話として、我が国に輸入される可能性があり、かつ、環境を汚染しそうなものにつきましては、輸入を禁止するという措置をとることによって対処するということです。
認める用途による製品についての御指摘ですが、これも次に御議論いただくことで予定していますが、認める用途によって出来上がった製品につきましては、しっかり取扱上の技術基準を守っていただく、あるいは使っていることを表示していただくことで、厳格な管理をしていくということでございます。
○企画官 写真感光剤のところの物質収支について簡単に私たちが伺っている情報を説明させていただきます。まず感剤の製造のところで、廃感剤なり廃液として出てくるのが大体10%でして、このほとんどは銀回収という工程がありますので、その中で処理されると聞いております。感剤そのものは写真感光剤としてユーザーの方で使用されますが、最終的にはこれはユーザーで廃棄の段階で収集されて、また銀回収というような形で処理されると聞いています。こちらの方は感光剤の団体から補足がありましたら補足をいただけたらと思います。
○酒井参考人(写真感光材料工業会) 特にございません。
○中西座長 少し聞きとりにくかったのですが、諸外国のというのは、神山委員の御質問にもお答えいただいたのですか。諸外国では半導体の用途がないように、記述がないがという、それにお答えいただいたのですか。
○化学物質管理課長 私からは答えられないのですが。一つは今回の調査というか、そもそもこの化審法におけるエッセンシャルユースの考え方なのですが、まず、POPs条約で世界の人々が、これはエッセンシャルユースですという登録をまずするというのが原則です。その登録をしたものはどこか参考資料に表があったと思いますが、その一覧表に載っているものはエッセンシャルユースとして認めてもいいだろうというのが、すべての参加する国々が認めた用途です。その用途の中で日本において、代替がきかない用途は何ですかというのを調査した結果、我が国においては、今回ここでお示ししている三つの用途、すなわち半導体用のレジストの製造と、圧電フィルタ用エッチング剤の製造と、高周波と業務用写真フィルム、これについては我が国において代替が困難であるということですから、包含関係でいうと、条約で認められているエッセンシャルユースの方が広くて、我が国の方が狭いという包含関係になります。したがって、外国で認められているから、では、日本でも認めていいではないかということにはなりませんで、日本においてそれが代替できないという場合においてのみ、化審法上でエッセンシャルユースを認めるというのが条約で認められている用途と今回、我が国で認められている用途の包含関係です。
もう一つ、神山委員が言われた「調査で半導体用途が入っていないではないか」という御指摘ですが、この調査自身が外務省にお願いをしまして、各国の大使館経由でPFOS等を使っている製品は何がありますかという、製品を列挙していただいたのが先ほどの表になっています。したがって調査漏れがある、それは後ほど電機・電子の方からアメリカ・ヨーロッパ等で半導体を作る際に、PFOSが使われているのか使われていないのかは後ほどお答えしていただけたらと思っているのですが、それが多分回答になるのではないかと思います。
土屋委員から御質問があった、「半導体等のここで使われているものを、さらに使った最終製品がエッセンシャルユースとの関係でどうか」という御質問がありましたが、今回化審法では第一種特定化学物質を使用している製品ということになりますので、例えば半導体を作るためのレジストが対象になりますが、この半導体を使った例えばパソコンとかそういったものは、そのパソコン自身にPFOSを使っているわけではありませんので、それについて、化審法上でその用途を認めるというようにはしておりません。ある特定の半導体を作るためにその用途は認めるけれども、それをさらに使った製品については、一応この法の対象の外。PFOS自身がパソコンの中に入っているわけではありませんので、それについてはエッセンシャルユースの対象とはしないと。ただ、泡消火剤のようにPFOSそのものが入っている製品はそのまま商品として流通しますので、そういった製品の場合には当然、その製品の中には入るという整理をしているということなのですが、お分かりいただけたでしょうか。
○土屋委員 そのものかそのものでないかは、化学系が保たれているか、あるいは結合してほかの物にバインドしているかによって区別されているのですか。
○化学物質管理課長 そうですね。化学反応によって別のものに変わってしまえば、当然第一種特定化学物質ではありません。
○土屋委員 それと分解すれば、また一緒ですよね。
○化学物質管理課長 分解してしまえば、別の化学物質になります。
○土屋委員 元の形に戻って分解するようなものになっていれば問題でしょう。その結合させて、例えばエーテルとかであれば体内で容易に分解されて、また出てきますよね。だからそれはそのものによって、それぞれの専門家が議論をして、その法の中で審査をするということになるわけですね。
○化学物質管理課長 そういうことです。もし仮にエーテル等でなって、またそれがPFOSに戻ってしまう場合には、そこで製造ということになりますので、当然その製造の許可とかいう形になりますので、それはその形態に応じて判断をしていくということです。
○土屋委員 私が知識がないので分かりづらかったのですが、広いとか狭いとか、諸外国は広く、我が国は狭くてというところの関係が、何か図で書いてあると分かりやすいと思ったのですが、すみません、もう少し分かりやすく。
○化学物質管理課長 条約で認められている用途は、参考資料2の1ページに、POPs条約で認められた用途が書いてあります。これは1ページ目が附属書A(廃絶への追加)に書いてあるものですが、これを1枚めくっていただきますと、ストックホルム条約第4回締約国会合において決定された事項、その参考資料2を見ていただきますと、2ページ目が附属書B(制限)と書いてあります。これは1枚目の附属書A(廃絶)とは違ったカテゴリーになっているわけですが、この制限の方にPFOSと言われているものが書かれています。「主な用途」があって、「決定された主な規制内容」と書いてあります。ここに書いてある写真感光材料、半導体用途、フォトマスク、医療機器、金属メッキ、泡消火剤、カラープリンター用電気電子部品、医療用CDDカラーフィルターなどと書いてありますが、こういった用途については、今回、条約において、エッセンシャルユースとしての使用を認めようというのが合意されています。ただ、日本はいくつかこの用途が認められているのですが、例えば金属メッキだとか、医療機器、カラープリンター用電気電子部品とか、我が国においてその代替物質があるものについては、我が国においては化審法上、その用途は認めない。
ただ、代替物質がない今回の3用途に限り、このエッセンシャルユースの中でその使用を認めるということになっていますので、仮に我が国において金属メッキにおいて代替物質がないということになれば、PFOSを含んだ金属メッキ用の用途も認めることになるわけですが、今回メッキ等も含めて実態調査を行った結果、金属メッキについては代替物質があるという我が国における状況がありましたので、そういったものは化審法においてエッセンシャルユースとしての用途は認めないという整理にしていて、したがって、この条約の附属書Bに書かれている規制内容の方が、より広い用途が認められており、我が国においては、この認められている用途の中から三つの用途について認めていただくための御審議をこの場で行わせていただいているということです。
○土屋委員 諸外国はこれだけのたくさんの用途を認めているけれど、日本はその三つだけにしていると、こういうことですか。
○化学物質管理課長 はい。
○中西座長 あと、企業の方から説明をいただきますので、その前に厚生労働省の方から大前先生の御質問にお答えをお願いします。
○事務局(厚労省) 厚生労働省でございます。ストックホルム条約の対象物質になるという段階から、労働基準局と情報交換をしておりまして、今後その情報を共有しながら連携して対応させていただきたいと考えております。
○中西座長 少々素っ気ない御返事ですけれど、よろしいですか。ありがとうございます。環境省の方から、何かございますか。
○化学物質審査室長 先ほど吉岡先生から環境中の調査という御質問をいただいたかと思うのですが、環境省では今のところ私が所属する室で、一般環境を中心にして、環境調査ということではございますが、環境省全体では、例えば発生源周辺、発生源を念頭に置いたようなモニタリング、また、調査をする必要性があるかどうかということは、今後改めて検討をしていきたいと思っています。
○中西座長 それでは関係企業、業界の方から御説明をいただけますか。
○宇佐美参考人(社団法人電子情報技術産業協会) 電機・電子業界でございます。先ほどのお尋ねの「欧州ではPFOSを半導体に使っていないのか」という件です。欧州及び北米でのレジストもすべてのシェアを把握しているわけではございませんが、少なくとも欧州、中国、台湾で使っているレジストのかなりの部分が日本製です。この調査がどういう調査かは存じませんが、もしかしたら日本で製造したレジストを使っているために、これらの国では製造実績がないという調査になっているのかもしれません。すみません、すべてのシェアは把握していませんので、もしかしたら漏れがあるかもしれませんが、可能性としてはそういうことがございます。
○事務局(経産省) 参考資料3の位置付けについて、まず御説明をさせていただきたいと思います。この資料は経済産業省で調査を行いましたファクトシートになっています。国内の実態調査につきましては、先ほど資料2の説明でもありましたが、国内で実態調査を行った結果、こういう結果でしたということになっています。
先ほどから議論にあります4ページ目の海外での製造・輸出等の状況についての資料ですが、これにつきましては、先ほど課長の福島から説明がありましたように、海外に対して外務省を通じた公電調査の結果です。こういう結果が返ってきたという事実を書いていますので、必ずしも海外から十分な回答が得られてないということも考えられますので、そこに書いてあることがすべてということではなく、繰り返しになりますが、あくまでも表-3については、外務省を通じた回答がきた結果をそのまま書いていると御理解いただければと思います。
○中西座長 分りました。先ほどから御質問があったことについての回答は済んだかと思いますが、ほかに御意見、御質問などございますでしょうか。特にないですか。ここが一番重要な所かと思いますが、皆様からは御質問がないということで、次に進みたいと思います。
次は「第一種特定化学物質が使用されている製品の取扱いについて」ということで、事務局から説明をしていただきたいと思います。私はこういう言葉に慣れないので、物質と製品の区別がなかなかつかなくて、いつも考えが混乱するのですが、物質とそれが使われている製品で、今度「製品について」の説明です。よろしくお願いします。
○事務局(経産省) 資料2の11ページの2-3のところから説明をさせていただきます。
「第一種特定化学物質が使用されている製品等の取扱いについて」です。第一種特定化学物質、あるいは第一種特定化学物質を含んでいる製品、そういったものにつきましては、政令で指定して、技術上の基準を課す。それから、入っていることの表示を義務付けるという措置がとられてまいります。
11ページ、先ほど申し上げました使用を認める用途[1]~[3]までありますが、これにPFOS又はその塩を使うことによりまして、PFOS又はその塩を含む半導体用のレジスト。それから、PFOS又はその塩を含む圧電フィルタ用又は高周波に用いる化合物半導体用のエッチング剤、それから業務用の写真フィルムが、4月以降、流通する可能性があるところです。
もう一つですが、12ページです。既にこれから物質を使って製品を作るということではなく、既に世に広く第一種特定化学物質が使用されている製品があるものの整理ですが、それが12ページの3行目からです。12ページの2段落目ですが、来年4月以降も使う可能性がある製品で、第一種特定化学物質PFOS又はその塩を含む、そして環境汚染の可能性がある製品としては、泡消火薬剤が調査の結果上がってきております。この泡消火薬剤ですが、極めて高性能な消火機能を持つ消火薬剤でして、既に相当数量のものが全国の地下駐車場等の消火設備に設置されている状況でして、緊急時には使用される可能性があるということです。泡消火薬剤につきましても代替物製品の開発が進んできておりまして、そういったものに取り替えることが望ましいものの、すぐにはなかなか代替製品に取り替えるということは、災害時のみに使用する製品の性質から考えますと、非常に難しいかと考えています。
次の段落ですが、したがって、これからは使用を認める用途により、出来上がる3製品、それから泡消火薬剤については、環境中に汚染を生じないように技術上の基準を作り、それから、表示の義務を掛けるということが、これらの製品を対象とすることが適当かというように考えています。ただ、既に流通している分等もありますので、すぐに実施するというのは困難なところもあろうかと思いますので、そこにつきましては猶予期間を設けることも必要かと考えています。
13ページですが、今申し上げた4製品のリストアップです。これらにつきましては、日本国内で取り扱う方に関しましては、取扱上の、別途作ります技術上の取扱基準に適合していただきまして、環境汚染防止のための表示をしていただくという整理が適切かと考えています。
その技術上の基準ですが、今後、専門家の方の御意見等を伺いながら、別途策定をするということですが、考えられる主な要素としましては、13ページの中段以降です。保管時の漏洩のおそれがないように必要な措置を講じていること。PFOS又はその塩を使っていることを表示すること。外部に流出しないように措置をとるとともに、こぼれた場合については迅速に拭き取る。作業要領をしっかり策定し、責任者を決める。廃液・排ガス等については、関係法令に従って、適切に廃棄するということがエッセンスになろうかと考えています。
また、表示について考えられる要素ですが、何を含んでいるかと、第一種特定化学物質が使用されているその物質の名称を書くこと。それから、含有量、使用上の注意、何か起きた場合の措置を書くことが適切かということで考えています。以上でございます。
○中西座長 ただ今の御説明について、御質問、御意見はございますでしょうか。神山委員どうぞ。
○神山委員 泡消火剤についてなのですが、すべて一遍に取り替えるということは不可能だとは思いますが、PCBで経験したように、バブルがあって、バブルが崩壊して、企業が倒産して保管すべきはずであったものが、どこかになくなってしまったというようなことが過去にあったわけですから、今、このような不景気でいろいろな会社が潰れたりしている時に、泡消火剤がどこにあるのかがきちんと把握できていないと、こういう使用上、取扱上の注意を課しても、会社が潰れたらなくなっちゃったということが絶対に起こり得るのではないかという危惧を持っております。
○中西座長 吉岡委員どうぞ。
○吉岡委員 基本的に同じことなのですが、この場合は例えば高温で分解しやすいということが言われておりますので、「この温度できちんと燃やしました」という証明があれば、もうそれでいいのではないかというような気もするのです。それと後始末をどのように、法律上位置付けているのかということについて、お伺いしたかったのです。
○中西座長 とりあえずこのことについてお願いします。
○企画官 泡消火剤の件につきましては、消防庁ともいろいろ相談をしながら進めておりまして、消火剤の設置については、消防法で義務付けられているということで、ある意味、非常にしっかりした法律上の義務付けをもって設置されているということなので、そこはPCBの場合と少し違いまして、ある程度場所はしっかり把握できているものと考えております。今、実際にこれを使用する可能性というのは非常に低いわけでして、実際には正に万が一に備えているものでして、そういう意味では、余り大量に環境中に出るということもないかと考えています。そういったところについては消防庁と相談をしながら、技術上の基準を作っていきたいと考えています。また後始末の件につきましても、技術上の基準の検討の中でどのようなことができるのかについて、調整をしていきたいと考えています。廃棄の部分については廃掃法との関係もありますので、補足がありましたらお願いいたします。
○事務局(環境省) お答えさせていただきます。現在の廃棄時の取扱いについてですが、廃液及び固体については廃棄物処理法に基づいた処理を行うということになっております。現状において、実態としては多くが焼却処分されておりますが、廃液についてはそうではないものもあると認識しております。今後について、廃棄の実態についてさらに情報収集をして状況を把握した上で、より適切な取扱いについて検討をしていきたいと考えております。また、高温で分解しやすいという御指摘がありましたが、低濃度の固体については焼却によって分解することが焼却実験から得られていますが、泡消火薬剤のように液体状のものについても、確実に分解するということを確認した上で対策をとっていきたいと考えております。
○土屋委員 一つキーとなっていますのが、人とか環境中の生物、生体に対する影響になっていますが、もう一つは、例えばエコとかいうこと。あるいはオゾンとか、昔ジクロロベンゼン系のハロゲン化合物がオゾン分解をするということで、なるべく使わないようになっていますが、その焼却の過程でも、そういったことも考慮した焼却、ベストな方法を選んでいただきたいと思います。
○中西座長 ほかに何か御質問がございますか。
○中杉委員長 今御説明いただいた少し前に戻ってしまうのですが、ここのところで「製品等」という言葉で、私少々誤解していたのが、製品というのを今御説明いただくと、表2-5にあるレジストそのものを言っているのかと思うのですね。レジストをしっかり管理しなさい、というような表現だと思うのです。
ところがもう一つ前のところ、PFOSを使って製品を作るステップがあるわけですね。そこの話が、今、全くないのですね。そこについても、やはり同じような管理が、むしろもっと重要な管理が必要ではないか。そこについてもう少し技術上の取扱上の注意事項等を進めていく必要がある。あるいは製造のところでは構造の基準がありますが、それに合わせた形で必要があれば、それを使う工程での構造上の基準、あるいは取扱基準を考えていく必要があるだろう。その辺が少し抜けているものですから、どう考えておられるのか。
もう一つ戻ると、製造段階では構造上の基準がありますが、構造上の基準があったらそれをやはり守るような取扱上の基準というのは、次で当然入るべきだと思います。私自身はPFOSについては、これだけ重要な物質ですから、PRTRで環境に放出しているのをみんな届けさせているわけですね。その届けさせるかどうかはともかくとして、物質収支をしっかり把握して、事業者が環境にどのぐらい出るかということを把握しておく必要があるだろう。そういうことをやって、これは結果としてゼロということを一生懸命に把握することになるかもしれませんが、それはそれで結構だと思います。そういうことをやっていただくことが必要ではないかと思いますので、そういう意味も含めて使用段階についてどう考えておられるのかを教えていただければと思います。
○中西座長 これは環境省の方ですか。
○事務局(経産省) 少々御説明不足で申し訳ありません。今回、化審法上で規定しておりますのは、第一種特定化学物質。省略して申し上げますと、PFOS又はその塩、それから、PFOS又はその塩を含んでいる製品、使った製品、正にその製品のところを今回見定めて、そういうものに対して技術上の指針、あるいは表示の義務を課すということでして、正にこのレジストというのは、PFOSを使ってレジストという製品が出来てくると、そこについては技術上の基準なり表示の義務を課すということです。その次の半導体そのものにつきましては、PFOSを含んだ形ではないと聞いていまして、PFOSを含む製品の範囲においては、しっかり技術上の基準をかける、表示の義務をかけるということで、その例としてお示ししているのがこの表2-5として書いていますレジスト、エッチング剤、フィルム、泡消火薬剤ということです。
○中杉委員長 確認ですが、これは半導体用のレジストの中に、製品として作ったレジストを管理するということですか、その辺のところがよく分からないのですが。
○事務局(経産省) レジストという製品について、取扱上の基準と表示の義務を課すということです。
○中杉委員長 それは分かりましたが。そうすると、それを作る段階の話が、これ今の議論の中ではそうかもしれないのですが、当然、管理をしていかなければいけない。その辺のところの技術上の基準だとか、あるいは設備の構造基準をどういうふうに考えるのか、そこが重要ではないだろうかという指摘です。
○化学物質管理課長 法律上、技術上の指針に従わなければならない方は三人います。その三者というのは一人は製造事業者、これはPFOSを作る人。それから第一種特定化学物質を使用する者、これはすなわちレジストを作る人です。それから政令で定める製品で第一種特定化学物質が使用されている物を使用する者、これはレジストを使う人ということで、三人とも技術上の指針に従わなければならないということになっていますので、その三者ごとの技術上の指針を作るということにはなります。したがって、今、中杉委員長が言われたことは、きちんとやるようにはするということです。
○中杉委員長 では、2-3のところの「製品等」というところに、それは含まれているというふうに解釈してよろしいのですか。
○化学物質管理課長 はい、ただ、今ここで議論をしているのは、「製品は政令で定める製品」と書いてありますので、製品は特定をしないといけない。したがって、レジストを製品として定める必要があるということで、今レジストの議論をさせていただいています。レジストを作る人は第一種特定化学物質そのものを使用する方ですから、それは当然入るということになるかと思います。
○中杉委員長 そうすると、ここには特に記載はしていないけれども、そういうところもきちんと技術上の基準を作るということになりますね。
○化学物質管理課長 はい、それは作ります。
○事務局(環境省) 補足させていただきますと、製造の段階での技術上の基準については、同じ資料の5ページの2-2の前の所で書いておりまして、こちらについても当然、技術上の基準を作ることになっていまして、ここに書かれているような要素を今挙げさせていただいていますが、今後、専門家の意見を聞きながら、今、中杉先生がおっしゃったようなことについても、きちんと検討をしていきたいと考えております。
○中西座長 ほかに御質問、御意見はございませんか。
それでは、ここのところの御質問、御意見は出尽くしたということで、次の論点に移りたいと思います。「第一種特定化学物質が使用されている製品の輸入の禁止について」、事務局から御説明をお願いします。
○事務局(経産省) 資料2の14ページです。2-4.「第一種特定化学物質が使用されている製品の輸入の禁止について」です。化審法におきましては、輸入する可能性があって、環境汚染が生じるおそれがあるという製品については、政令で具体的に指定して、第一種特定化学物質が入っている場合は使用を禁止するという制度がございます。その製品について具体的に決めるということです。
2段落目ですが、そういった輸入禁止とする対象製品を決めるに当たりまして、先ほど申し上げました実態調査の結果、それから、世界各国の在外公館宛に公電を送付いたしていまして、どういう生産実態があるかということで調査を実施いたしております。それから統計報告調整法に基づく承認統計で、3年に1度、化学物質の製造・輸入量の調査を実施いたしております、それらに基づいて輸入する可能性がある製品、その上で環境を汚染する可能性がある製品については、輸入を禁止するということを決めるということです。
先に概略の結果を申し上げますと、14ページの3段落目ですが、12物質のうちで、我が国に輸入する可能性があって汚染するものがあるものにつきましては、PFOS又はその塩、それからテトラブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモジフェニルエーテルの3物質において、11製品が該当するというのが結論として出てきました。それは19ページの表2-9、表2-10に掲げている製品については、輸入を禁止することが適当と判断をいたしております。
個別の結果ですが、まず、17ページの表2-6です。これが先ほど申し上げた調査の結果によりまして、PFOS又はその塩を使用している製品の国内外の製造実績があったか否か。輸入の実績があったか否かが書いてあります。ここの(1)~(14)につきましては、過去国内で製造していた、あるいは海外で製造していた、あるいは輸入の実績があったというどれかに当てはまるもので、したがいまして、今後もそういったPFOS又はその塩を使用している製品を輸入する可能性があるであろうものという整理です。
このうち(1)~(3)については、先ほど申し上げました使用を認める用途による製品でして、使用を認める用途の指定ということになりますと、これらの3つの製品については国内での製造はできる形になりますので、内外の差別の観点からは、輸入を禁止することは不適当と考えております。
(15)~(21)ですが、これはストックホルム条約の関係で、適用除外の対象となっているものです。これらにつきましても、海外での製造実績あるいは国内への輸入実績を、先ほどの公電調査等を含め、調査を実施いたしましたが、条約で主張された国ですら、では、具体的にどのような製品、医療品についてはどういうものについて使っているのか、ということについての十分な回答が得られていないのが現状です。
輸入する可能性があると申し上げました中で、(12)のゴム・プラスチック製品については、環境を汚染する可能性についての判断が現状ではついていない状況でして、したがいまして、(4)~(11)、(14)について輸入を禁止する製品について指定することが適当という結論です。今、申し上げました海外から十分な回答が得られていないもの、あるいは汚染の可能性についての十分な判断がつかないものについては、当然のことながら、今後とも引き続き調査を実施いたしまして、必要であれば追加として指定することが適当かと考えております。
18ページです。こちらもテトラブロモジフェニルエーテルと、表2-7と2-8です。ペンタブロモジフェニルエーテルですが、これらについては、国内での製造実績はなかったものの、海外での実績はあるということでして、そのようなことからしますと、環境を汚染する可能性があるものについては、輸入を禁止することが適当という判断をいたしています。具体的には接着剤、塗料でして、それ以外の製品については、汚染の可能性をしっかり今後とも調査をして、必要であれば追加することが適当と考えております。
繰り返しで恐縮ですが、19ページに並んでいる製品、これにつきまして、第一種特定化学物質を含んでいる場合は、輸入を禁止することが適当かと考えています。ただ、このような措置を取るに当たりましては、WTO上のルール等にしっかり乗って進めていくことが一つ留意点としてあろうかと思います。また、しっかり水際で確認できるようHSコードに合わせた製品の分類といたしています。以上です。
○中西座長 ただ今の説明に対して御質問や御意見がございますでしょうか。
○中杉委員長 まだ不明の製品について、具体的にどのような手順を取られるのか。手続として今は公電で問い合わせをしているけれども、なかなか分からないと。今後どういうことをされて解明していかれようとしているのか、もしお考えが今固まっていたら教えていただければと思います。
○事務局(経産省) まず十分な回答が得られていないものについては、引き続き回答を求める。あるいは別ルートにおきまして、実態の調査を進めていくのが一つです。それから、汚染の可能性が分かっていないもの、あるいは具体的な製品の特定が難しいものについては、逐次、必要に応じて製品中の物質の含有量なり環境中での使用の形態を考えた挙動なりを具体的に実験して調査していくということを考えております。
○土屋委員 特に私は医療機器を現在もやっていまして、それは一部、体に直接接触しない形で使用されている。例えばこれで禁止になった場合に、即、現場は困るということで、いろいろこれまでもこの化合物に限らずございまして、実際その患者様を抱えて、もっと悪いもので使わざるを得なくなったとか、そういう現状をきちんと把握して、そういう関係者とも協議されて進めていただきたいと思います。リスクもですが、ベネフィットもありますし、社会経済的なこともございます。そういうトータルで日本と世界を考える時代だと思います。よろしくお願いいたします。
○中西座長 ありがとうございました。後でまた御意見を出していただくかもしれません。ほかに御意見はありませんでしょうか。この物質を禁止するときに、代替物があるものは、それを使ったときに非常にコストがかかるとか、非常に大変なことが起こりそうだというようなことは、一応ヒアリングはしていただいているのですよね。
○事務局(経産省) はい、これらに掲げている製品につきましては、国内では代替が進んでいるものというのも確認しておりまして、代替製品の方で実際にうまく回っていくというようなものも、この中にもちろんございます。そこは確認はいたしております。
○林委員 一つ確認なのですが、表2-9の中に、「業務用のものに限る」とか、「ありの防除用のものに限る」というような制限が書いてあるものがあるのですが、こういうものは、例えば業務用のものに限るということが書いてある場合、そのほかの目的での使用はまず考えられないという意味なのでしょうか。そのほかのものについては、輸入をしてもいいという読み方になるのでしょうか、その辺、少し教えていただければと思います。
○中西座長 分りますか。これは確かに「禁止すべきもの」で「限る」だから、大変分かりにくい文章ですよね。
○事務局(経産省) 今の御指摘でございますが、我々の実態調査等を踏まえますと、業務用に使われているものに限定されております。そういったものが対象になりますという、限定するという意味、実際に使われているものを限定するという意味で「限る」と書かさせていただいていまして、一般用については、実態調査等の結果上は、輸入は想定されないということになっております。
○神山委員 先ほどの土屋委員の質問に関連してなのですが、参考資料3の4ページの使用を認めている一覧表の中には、先ほどおっしゃったような特定の医療機器というものが入っているのですが、資料2の17ページの「製品の製造・輸入実績等について」の中には、医療用機器が何も入っていないのですが、これは調査をしていないということなのですか、それとも実績はないということなのでしょうか。
○中西座長 参考資料は、3の何ページですか。
○神山委員 4ページ、5ページです。
○事務局(厚労省) 厚生労働省でございます。医療機器につきましては、薬事法で対応するということになっておりまして、薬事法の担当部局でも医療機器にPFOSが使われているかどうかの実態調査を実施しており、所要の措置について検討していると伺っております。
○有田委員 中西先生が最初に、全体を議論する場ではないので、それとは別の視点でというご指摘があったと思うので、ここでは議論をしなくてもいいのですが、関連するところは資料か何か出して、ここで検討をしている、としていただきたいのです。別の所で私、廃棄の関係の質問をしましたら、「これは環境省だから」というような回答だったのです。やはり、関連しているところは、ここでは議論をしないけれども、ここで検討されているというデータなどの資料を出していただかないと、当然、疑問がわいてきて、質問をせざるを得なくなるので、全体像が見えるような形で、串刺しにしたような法律的なものを出していただきたいと思います。
○中西座長 ありがとうございました。そのように是非、努力をしてください。お願いします。ほかに御意見ございますでしょうか。
○青木委員 時間もないので簡単に。先ほど資料2の16ページの最後の4行のところに、「これらの製品については、国が早急に製品のより具体的な特定や使用等の実態、環境汚染の可能性等について調査し」ということがありますが、そのスケジュール感は、どのように考えておられるでしょうか。こういう化学物質の管理の問題ですので、いつまでもとはいかないと思います。どのようなスケジュール感を持って今後対応されるのかということを教えていただきたいのです。
○事務局(経産省) おっしゃるように、いつまでもというのは非常に不適切ですが、我々、調査の予算はすでに確保いたしていまして、そういった予算も使いながら、年度内に可能な限りピックアップできればよいかと。いかんせん、それは実際にどこまで特定できるか、あるいは汚染の程度がどこまでか判明し次第というところもございまして、少なくとも年度内に可能な限りで、予算を駆使して調査を実施していきたいということでは考えています。
○中西座長 ほかにはございませんか。次は、2の資料の最後の2-5の論点、「その他の必要な措置」と3の「今後について」というところで、事務局から説明をしていただきたいと思います。
○事務局(経産省) 資料2の19ページです。「その他の必要な措置」で説明をさせていただきます。「その他の必要な措置」と申しますのは、今回、第一種特定化学物質に12物質を追加するわけですが、環境の汚染の進行を防止するために必要と認められる場合は回収するということでございます。ここの判断ということです。2段落目以降では、現在のところ第一種特定化学物質について使用を認めることとする3用途以外については、代替物質への転換が進められているところです。これは今回条約との関係ということもありまして、条約の動向を見ながら業界の方では代替への取組みがなされているのが現状です。今後用途を絞りますと、先ほどのリスク評価の方とも重複いたしますけれども、PFOS又はその塩によりまして環境汚染によって、人又は生活環境動植物への被害を生ずるおそれがあるとはいえないというのが現状認識です。そうしたことから考えますと、迅速に回収をする、回収をしなければならないというほどの環境汚染が生じていることは認められないと考えています。したがいまして、即座に市中にある製品を回収する措置につきましては、今回は特段そういう措置を取る必要はないのではないかと考えているところです。
20ページの3.今後の進め方についての説明させていただきます。先ほど調査に関していろいろ御指摘がありましたが、我々といたしましては、すべからく関係する事業者様の方を捉えて、今回の措置の方の提案をさせていただいているところです。当然そうした案につきましては、今後パブリックコメント等を実施いたしまして、妥当な事例が新たに出てくれば、それは必要な措置の対象に追加することも検討する必要があるというところが最後に今後の進め方についての現状認識です。具体的には来年4月を施行ということで進めているところです。以上です。
○中西座長 ただ今の御説明について何か御意見、御質問とかございますか。
○西島部会長 戻ってしまうのですが、今の御説明の中で、人又は生活環境への被害のおそれはないとのことでしたが、10ページの環境リスク初期評価の表で、健康リスクにつきましては、許容量とばく露量でこのように差があります。生態リスクにつきましては、予測量とばく露量がかなり近い値にあると思いますが、この辺はどのように解釈しての結論なのでしょうか。
○中西座長 どなたか、環境省の方でお願いします。
○環境リスク情報分析官 環境省からお答えいたします。環境リスク評価で御指摘の生態リスク評価ですが、こちらは全国レベルで環境調査が行なわれているデータに加えまして、特定の地点、高濃度の地点の測定データも含めての評価を行っております。10ページの表の中ではその中でも特に一番高い点のデータを載せていますので、結果的には予測無影響濃度(PNEC)、予測最大ばく露量、予測環境中濃度(PEC)と言っておりますが、PECとの比較的近い値になっておりますが、特定の限られた場所の高いデータでございまして、全体としては、詳細の評価を行う候補だという結論には至らなかったというところでございます。
○有田委員 環境省の調査では、公共用水域となっております。国交省が調べている所と、環境省が調べている所は違うのではないですか。
○環境リスク情報分析官 公共水域のいろいろな測定データで違う点もあるかとは思いますが、こういったリスク評価を行う際には、他省庁のデータも含めてデータを集めまして、その全体を見た上で評価に使っております。
○西島部会長 ここのデータが一番高いところのデータがたまたま出てしまったということですか。
○中杉委員長 私が環境について関わっていますので。委員会にも一応参加をしていますので少しコメントします。特に先ほど言いましたように、このものについては、できるだけ高いところを捕まえておこうということで、確かこれは都道府県の調査の結果だったと思います。特に高いところを捕まえてみてどうだろうかと評価をしてみて、そこでも一応PNECより下回っているということで、これを越える所は、仮にあったとしてもごくわずかである。一部の地域だろうという判断をしています。
○環境リスク情報分析官 すみません、正確を期すために参考資料7を御覧いただきたいと思います。参考資料7の7ページ、ここで「水生生物に対するばく露の推定」の表の2.4、「公共用水域濃度」というのがございます。淡水の最大値として、ここの評価では0.037μg/L程度という数字を使っておりますが、[限られた地域で11μg/L程度の報告がある]という数値を使っております。今回の表の中では、この限られた特定の場所での高い数値を主に都道府県の方で調査されたデータなのですが、それを引いてしまっておりますが、全体の評価の中では、特定の高いデータで詳細の評価の効果という結論を出すわけではなくて、全体を見た上で評価をすることをやっています。以上です。
○中西座長 今のでよろしいですか。田中委員どうぞ。
○田中委員 ただ今のお話ですが、初期リスク評価は、多分他の通常の化学物質と恐らく同じやり方、基本的には同じ方法論だと思いますが。これはPOPsですので、バイオマグニフィケーションを考慮する必要があるのではないかということ。初期リスク評価は他の物質と比較をしてこの物質のリスクはどうかという絶対リスクではなくてどうか。この2点を考えますとなんとなくこの物質以外と生態リスク、今のレベルでも、非常に危険だというレベルではないですが、全く将来的危惧が全くないかというと、そのレベルではないのではないかと。NITEの方から出してきたものも、こちらの方がバイオマグニフィケーションが考えられていますが、一段階しかありませんが実際の環境中では二段階、三段階という具合にもっと利用段階が高くなっていく可能性もあります。あと、ばく露シナリオも、例えば今150t近くある消火剤が急になくなることはないので、5年後にゼロになる可能性はないかもしれないという点もあります。
一つ質問です。現状で150t消火剤としてあって、実際使用するときに環境中に直接出る可能性があるのは、多分消火剤を実際火事が起こって使うときだという気はしますが。もちろん製品そのものを回収して廃棄をするときに、早急に代替製品に切り替えるスケジュールがあるかどうかということがお伺いしたい点です。以上です。
○中西座長 今の御質問の整理をしたいと思います。一つは、生態リスク評価とか、人間の健康影響評価もそうですが、こういうのはPFOSみたいなものの評価のときにバイオマグニフィケーションみたいなことを考慮しないで行っていいのかが1点だと思います。
2点目は、消火剤のことで、消火剤のことがどのくらい環境中に出るのか。私も一つだけ分からなかったのですが、消火器の消火剤は例えば10年ごとに新しいものに取り換えなければいけないというような形があります。そういう形で回収されることを期待しているのか。ずっと置いておいて、いつかは使われるという形での予測をしているのか、先ほどからそこが、個人的にも分からなかったので、今、田中委員の質問に便乗してそれも加えて説明をしていただけたらいいと思います。
○企画官 NITEのリスク評価の方では、参考資料の中にも書いてあるかとは思いますが、一応2段階の蓄積を考慮した評価をしておりまして、BCFにBMFを掛けるという形ですが、ある意味では安全サイドの評価を、マグニフィケーションということで1段階ではありますが、評価をしております。現時点でどれだけの評価ができるかということでいうと、外国でのリスク評価の状況から見ると、このぐらいが限界ではないかと考えています。
消火剤の点では、これは今、想定している事故率、実際に環境中にどのくらい出ているかですが、実際は点検とか訓練の段階で出ているのが量としては割と多くて、それにつきましては、今後PFOSを含む薬剤を使わずに訓練をやろうということで消防庁と相談をしており、それでもできるのではないかと進めているところでございます。そういう意味で消火剤からの環境中への排出というのがかなり大幅に削減できることを見越して、NITEの方の評価の中で織り込んでいます。
最後に中西部会長の方からの御指摘でありますが、二つありまして、消火器に入っているものについては、大体使用期限が決まっておりまして、これは消火器自体が腐ったりすると事故が起きたりしますので、大体8年ぐらいを目処に回収をやっておるとのことなので、小さなボンベに入っている消火器については、8年ぐらいで代替が進む。もう一つ地下駐車場とかに貯めてある、これはわりと大きな施設になりますが、こちらの方は基本的には使わずにずっと置いておいて、ビルの建て替えとかそういう段階で取り換えになると。そういうシナリオを現時点では想定しております。
○化学物質管理課長 一言追加です。現在、新しい消火剤にはPFOSの代替物質がありますので、これから世に新製品として出るものについては、PFOS入りのものはないと。したがって、今、市場にあるものがマックスで、これから順次適切に廃棄等がされて減っていくことになっております。
○中西座長 中杉委員長から生態リスクの点をお願いします。
○中杉委員長 先ほどのお話で、その河川がどのくらい広がっているかという少し流れるまで測ってみますと、それほど広がってはいない。ですから、そばに排出溝か何かがあるのかと思いましたが、そこは捕まえきれてはいないのですけれども。それほどその汚染が広く広がっているという話ではないことが一つ。もう一つは、そうは言いながら、田中委員が御指摘のように、蓄積性みたいなものもあるので、あえてここでは更なる情報の収集が必要であるという結論にさせていただいています。
○中西座長 あと欲を言えば、鳥などの調査はしてはいないのですか。すみません、座長が混乱させることを言いまして。
○中杉委員長 まだ鳥までは。
○中西座長 わかりました結構です。
○中杉委員長 POPsとして今後調査を行っていきますから、その中で鳥も行う可能性がありますね。
○中西座長 1点とか2点でもほしいという気はいたします。こういう物の性質からして。ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。他には。
○河内委員 今日の審議の対象については大きな枠としましては、産業界としても賛同したいと思います。ただ、一つエッセンシャルユースについて、いわゆる国際的な整合性という点を、懸念しております。実際、国際的に科学的、あるいは社会経済的な観点から見て、審議が尽されて、きちんとこれだけの対象はエッセンシャルユースと認めるという判断がある一方で国内では狭い対象に限ることにしているわけです。したがって、いわゆる整合性という意味で、将来混乱が起こらないかを少し懸念しております。今後の進め方という中に、「新たな実態、妥当な事例が追加的に判明した場合云々」というところがありますが、言っておられるのは、年内にできるだけつぶして、全部決めてしまおう、ということだと思うのですけれども、何か不測の事態が起こったときに、もちろんきちんとした審議を尽すということは前提なのですけれども、弾力的に運用できるような配慮を少し制度の中に入れ込んでおいてほしいと思います。例えば緊急対応時に、このようなことを言ったら何ですが、事故が起こって、輸入したいと。例えば消火剤のようなものを、すぐに輸入したいという時には、臨機応変に対応できる必要性もあるのではないかと思っています。
有田委員が言われた中小企業を含めて確かに化学製品というのは、非常にサプライチェーンが長くて複雑です。したがって、産業界としてもこういう管理につきましては、十分そのような面を配慮し、教育等取り組むつもりです。行政としてもぜひ、いろいろな形で力を入れていただきたいと思います。
○中西座長 今、河内委員が非常に違った観点からの御指摘なのですが。一番最初の弾力的な運用というのは、国際的には認められるもので日本では一応認められていないものにつきまして、もう少し弾力的に、そういう意味でよろしいですね。
○化学物質管理課長 元はこの化審法のPOPs対応ということですので、国際的な条約に対応した法律改正をいたしましたので、今回国際的に認められているものは、広く使うことができるようになっていますが、我々としては、国会の審議でもいくつか御意見があった中に、やはりこのPOPs条約で規定されている物質につきましては、それなりに難分解性、高蓄積性、毒性もあるということですから、理想を言えば当然無い方がいいであろうと。ただ一方で、今の技術の粋を集めても代替物質がないという中で、暫定的にという言い方はいいのかどうかはわかりませんが、使わざるを得ないということで、そういった範囲内で使っていこうということになっています。したがって、現在ユーザーさんとか、海外の状況も調べた範囲内で我が国で使用できる物質はこれですということですが、何らかの社会状況的変化があって緊急に使わざるを得ないという場合には、政令等で定めるなり、審議会で御議論していただくことも含めてテキパキと短くやれば1年も2年もかかることにはならないと思いますので、そういった意味での運用は必要性があればきちんと行っていきたいと思っています。
もう一つ、サプライチェーンのことにつきましては、我々も非常に危惧というか、今回化審法を改正していく中で、やはり重要なのは、川上の事業者が持っている、化学物質に関する情報をきちんと川下事業者、消費者も含めてですけれども、分かりやすく的確に伝えていくのは、非常に大きな課題であると思っておりますので、今回の審議会の議論とは少し外れますが、引き続きそういった化学物質に関する情報を適切に消費者に至るまで流していくことにつきましては、審議会でも我々の宿題としていただいていると思っていますので、引き続き検討してまいりたいと思っています。
○中西座長 他には御意見ございますか。
○北野委員 今回使用が認められた三つの製造時の使用を私は非常に納得はいっているのですが、一つ正直言って懸念していたのが泡消火剤だったのです。正に開放的用途であり、環境に出るのですが、いろいろ考えてみますと、使用時に大部分が分解してしまうのではないかと。定常的に使用するものではなく、正に緊急時に使うものであると考えて、更に代替品ができているから徐々に減っていくだろうと思い私は今回、泡消火剤について認めるのは妥当かと思っています。ただ、一つお願いしたいのは、消防庁と環境省なり地方自治体が連携して、これが火災等で使われた後そういう地区を優先的にモニタリング対象とするとか、その辺のフォローアップは、少し考えていただきたいと思っております。以上です。
○中西座長 ありがとうございます。他には御意見はございませんか。それではここの部分についての議論はこれで終了しまして、次の議題に入りたいと思います。議題2は、少し頭の切り替えが必要で「第二種特定化学物質」の話に移ります。「第二種特定化学物質が使用されている場合の技術上の指針の公表等を行う製品の特定について」ということで審議に入りたいと思います。事務局の方から御説明をお願いします。
○事務局(経産省) それでは資料3に基づきまして御説明させていただきます。資料3の1ページ「1.検討の背景」からです。今、座長がおっしゃいましたように議題1とは異なり、議題の2以降、今回のこの資料3につきましては、化審法改正を受けての措置でして、具体的に申し上げますと、検討の背景のところ[1]で、従来ですと第二種特定化学物質、この物質ごとの技術上の指針というのは、公表の方はされております。これを物質というだけではなく、物質が使用されている製品につきましても具体的に指定して技術上の指針の公表を行うこととしたことが今回の改正の内容です。議題2で具体的に御審議いただきたいのは、そういう技術上の指針を公表する製品を具体的に指定をするということです。2.現状ですが、第二種特定化学物質につきましては、ここの五つのポツにありますそれぞれの物質についての技術上の指針は既に公表がなされているのが現状です。
2ページですが、他方で現在の化審法において、第二種特定化学物質が使用された場合に、それを表示しなければいけないという製品については、これら表3-1にある、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリブチルスズ化合物、について、定められているのが現状です。そうした現状を鑑みまして、具体的にどのような製品を対象として技術上の指針を作るかということです。こちらの表示の義務が書かれている製品について、同じく技術上の指針を公表する製品として指定をすると。表示だけではなく、技術上の指針につきましても公表をするというのが一つあると思います。加えまして、その他の製品を具体的に追加するかという観点につきましては、第二種特定化学物質の管理状況というところに、毎年度御審議を別途いただいていますが、その中において、新たに技術上の指針を公表しなければいけない製品が生じているというのは認められていない、というのが現状で起きまして、結論は3ページで具体的に技術上の指針を公表する製品ということにつきましては、2ページの表3-1に書かれている製品、これを表示の義務だけではなく、技術上の指針の公表も行うという製品として指定するのが適当かと判断をいたしています。以上でございます。
○中西座長 ありがとうございました。ただ今の説明、福島課長から何か説明をもう少し付加しますか、よろしいですか。少し背景が分かりにくいかと思うのですが。
○化学物質管理課長 今回ここで御審議していただく背景ですが、元々化審法におきましては第二種特定化学物質につきましては、表示の義務は第二種特定化学物質そのものと、第二種特定化学物質を含む製品の2種類、製品も表示の義務はかかっていましたが、技術上の指針の義務は、第二種特定化学物質しかかかっていなくて、製品に関しましては法律上抜け落ちていたという言い方はよくありませんが、対象にはなっていませんでした。今回審議会の御議論でも、第二種特定化学物質そのものだけではなく、それを含む製品につきましてもきちんと管理をする必要があるだろうということで、第二種特定化学物質及び第二種特定化学物質を含む製品につきましても技術上の指針を遵守する義務を今回新たにかけることにいたしましたので、したがって、その第二種特定化学物質を含む製品は、政令で定めるという規定になっていますので、その製品とは、どの製品かを特定をするために今回この審議会で御議論をいただくのが背景です。
○中西座長 ありがとうございました。そのような背景で、ややこしくて申し訳ないのですが、何か御質問、御意見はございますか。
○大前委員 質問です。この表3-1で動植物系のものを除く、あるいは水系塗料を除くのは何か根拠がありますか。トリクロロエチレンが入っていれば、あえて除く必要もないような気がするのですが。
○事務局(経産省) カッコ書きで書かれていますのは、これらの塗料の中でもこういうものを除いたものがトリクロロエチレンを使っているという実態に基づきまして、具体的にそうではないものをはじいていると。使っていない物を除いているという措置です。
○中西座長 大前先生の御質問は、当然ではないかと。動植物系のものでトリクロロエチレンが使われているはずがないではないかと、そういう御質問ですね。
○大前委員 そうは思うのですが、あえてこれを書く必要もない。もし動植物系のもの、あるいは水系塗料にトリクロロエチレンを入れると何かいいことがあるとしたら、それはもちろんきちんと書かなくてはいけないわけですから、あえてこのカッコの中は入れる必要が全くないのではないかと。そういう意味です。実は、水系塗料の中には、有機溶剤がたくさん入っています。水系塗料には有機溶剤が入っていないわけはないので。
○中西座長 書き方は検討していただくということで。やはりあった方がいいですか。
○事務局(経産省) これは現状の整理でして。こういうものを何分具体的に正しく特定したいという、念のために間違いがないように、誤解がないようにカッコ書きで書いているということです。
○化学物質管理課長 追加をさせていただきますと、ここは元々先ほど言いました表示の義務の製品をそのまま持ってきています。ただ、先生がおっしゃられていたように、通常、ここに書いてありますのは、表示の義務にしましても、法律上、義務をかける場合には、なるべく狭い方がいいわけです。特定をした方がいい。通常考えられますのは、水系塗料にはこういったものが入っていないという前提で、多分こういう書き方をしているとは思いますが。ただ、実態上入っているのであれば、当然これを除くことも含めて考える必要があると思います。
○大前委員 今言いましたように、水系塗料にはたくさん有機溶剤が入っています。テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンが入っているかは存じませんが。これを書くとむしろ誤解を生むのではないかという気がします。なくてもいいものでしたら取った方がいいと私は思います。
○中西座長 では、これはどうしましょうか。後で検討させていただくということで、よろしくお願いします。他に御意見、御質問はありますか。次に進むことにさせていただきます。次は事務局から資料4について。これは今日の会議の最終案、最終決定案のようなものです。よろしく事務局の方御説明をお願いします。
○事務局(経産省) 資料4について御説明させていただきます。こちらの資料4は、資料2、3のうち審議会にお諮りするものにつきまして抜粋させていただいた、いわば概要資料です。1ページは、先ほど御説明をいたしましたエッセンシャルユースの3用途です。2ページは、技術上の指針を適合義務を課す、あるいは表示の義務を課す4製品です。3番目につきましては、第一種特定化学物質が使用された場合には、輸入を禁止する製品ということです。3ページにつきましては、ただ今議論をいただきました第二種特定化学物質が使用されている場合には技術上の指針を公表する製品案ということです。以上につきまして、審議会の方にお諮りしたいという資料です。
○中西座長 ありがとうございました。それでは非常に形式的ですが、それぞれの委員会に分かれて賛成、反対の決議を取りたいと思います。最初に薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会と、化学物質審議会安全対策部会、それから、中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会として、資料4のとおり決定をしたいと思いますが、この三つの合同の委員会からそのことを決めて、その後それぞれのところで決めていただくという形なのですが、よろしいでしょうか。
そのようにさせていただきます。ありがとうございました。最後に事務局より、ただ今決定されました資料4の取扱いにつきまして説明をお願いします。
○事務局(経産省) これから各審議会の規定に関しまして、今回の決定の扱いについて説明したいと思います。化学物質審議会におきましては、安全対策部会での議決をもちまして審議会の議決となるよう委任がされておりまして、中西部会長の方から安全対策部会の議決について、改めてお諮りいただければと存じます。
○中西座長 これは私が化学物質審議会安全対策部会の方にだけ「いいですか」という形で聞くのですね。
○事務局(経産省) はい、その決をもちまして化学物質審議会自体の決定とするという規定がありますので、化学物質審議会での決定としてお諮りしたいということです。
○中西座長 委員の皆さんにお諮り申し上げます。ただ今の御議論をもちまして、化学物質審議会安全対策部会の議決としてよろしいでしょうか。よろしいですか。
(異議なし)
ありがとうございました。認めていただいたということにいたします。
○事務局(厚労省) 引き続きまして、厚生労働省です。薬事・食品衛生審議会におきましては、化学物質安全対策部会、この部会での議決をもちまして審議会の議決となるように、こちらも委任されていますので、西島部会長の方から、部会の議決をお諮りいただければと思います。
○西島部会長 そういうことで了承したいと思います。
(異議なし)
○西島部会長 それでよろしいわけですね。
○事務局(環境省) 続きまして、中央環境審議会の方ですが、こちらの環境保健部会化学物質審査小委員会の方で御了承いただきますと、その後、保健部会の部会長様、途中御退出されましたが、部会長の同意をもちまして部会の議決となりまして、その後、中央環境審議会の会長の同意をもちまして審議会としての答申になりますので、今後そのように進めてまいりたいと思います。まずは審査小委員会として、御了承いただけるかどうかをお願いします。
○中杉委員長 今、御説明いただいたとおりですので、中央環境審議会環境保健部会化学審査小委員会として、今までの御議論を踏まえてこの資料4を御了承いただけますでしょうか。
(異議なし)
○中杉委員長 御了承いただいたものとさせていただきます。
○中西座長 ありがとうございました。ただ今議決をいただきました表の一番最後3ページの表ですが、大前委員の方から、カッコの動植物系を除くとか、水系塗料を除くというのをむしろ除いた方がいいのではないかという御提案がありました。これは後日、事実関係を調べまして検討させていただき、最終的には三つの審議会の委員長、対策部会部会長の合議で決めさせていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。
そのようにさせていただきます。ありがとうございました。現在5時28分という神業のような運びで、御協力ありがとうございました。最後に事務局の方から連絡お願いします。
○事務局(経産省) 本日は御審議のほどをいろいろとありがとうございました。今回決定いただきました事項に基づきまして、今後関係政令案の方を策定いたしまして、パブリックコメントあるいはWTO上の通報の措置を実施した後で、正式には来年度4月に施行という形で進めさせていただきたいと思います。追加検討の必要性が生じるのであれば、改めて開催の場を開かせていただくこともあり得るかと考えています。
○中西座長 これをもちまして本日の合同審議会を終了したいと思います。どうも皆様ありがとうございました。
(了)