平成20年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 化学物質審議会第81回審査部会 第84回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同審議会議事録【第一部】

1.日時

平成20年12月19日(金) 13:30~14:25

2.場所

三田共用会議所 4階 第4特別会議室

3.出席(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

有馬 郷司 江馬 眞(座長) 菅野 純
清水 英佑 高木 篤也 西原 力
林  真 前川 昭彦 安田 峯生
吉岡 義正

化学物質審議会審査部会委員

内田 直行 北野 大(部会長) 清水 英佑
竹内 和彦 竹下 達也 田中 明人
西原 力 藤木 素士 前川 昭彦
米澤 義堯

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

菅野 純 白石 寛明 米元 純三
田辺 信介 中杉 修身(委員長) 吉岡 義正
田中 嘉成

事務局

厚生労働省 山本化学物質安全対策室長
経済産業省 森田化学物質安全室長
環境省 戸田化学物質審査室長 他

4.議題

  1. 1.前回審議結果の確認
  2. 2.既存化学物質の審議等について
    1. (1)分解性について
    2. (2)難分解性・高濃縮性判定済みの既存化学物質について
    3. (3)人健康影響・生態影響について
    4. (4)化学物質排出把握管理促進法の第一種及び第二種指定化学物質の一部を化審法第二種及び第三種監視化学物質に指定することについて
  3. 3.その他

○事務局(環境省) お時間が参りましたので、ただいまから平成20年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、化学物質審議会第81回審査部会及び第84回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会の合同審議会を開催したいと思います。
 本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることをまずご報告させていただきます。
 また、各審議会から本日の会合への具体的伝達手続はそれぞれの省により異なりますが、化審法第41条に基づく新規化学物質の判定に関する諮問が大臣よりなされている審議会もございますので、よろしくお願いいたします。
 なお、本審議会は既存化学物質の審議と新規化学物質の審議を第1部と第2部に分けて実施し、本日は13時半から15時半までを第1部として既存化学物質の審議を公開で行います。終了後、休憩を挟みまして、第2部として通常の新規化学物質等の審議を行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、審議に入ります前に、お手元にお配りした資料の確認を行いたいと思います。
 まず、議事次第がございます。あと、それぞれホチキス止めで資料1-1、1-2、1-3、1-4がございます。同じく、すべてホチキス止めで資料2-1、2-2、2-3、2-4、2-5、2-6、2-7までございます。あと参考資料といたしまして、これもホチキスで止めてありますが、参考1、参考2-1と2-2を同時に綴じた資料がございます。その下に、A3判を折り畳みました参考3、1枚紙で参考4、さらに参考5がございます。
 あと、資料番号は振っておりませんが、右上に(参考資料)と書いてあります「PRTR及びMSDS対象化学物質の選定基準の詳細」という資料も一番下につけております。
 過不足等ございましたら事務局にお申しつけください。
 本日の全体の議事進行につきましては、中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会の中杉委員長にお願いしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 初めに、第1部の会議の公開の是非についてお諮りします。
 各審議会におきましての公開につきましては、それぞれ規定のあるところでございますけれども、本日の会議のうち第1部については、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、または特定な者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とするべき場合に該当しないと考えますので、公開したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、本日の第1部は公開といたします。
 なお、公開の会議の議事録は、後日ホームページ等で公開されますので、あらかじめご承知おきお願いいたします。
 それでは、議事次第に従いまして、まず議題1、前回審議結果の確認について、事務局から資料のご説明をお願いいたします。

○事務局(厚生労働省) それでは、ご説明させていただきます。
 資料1-3をごらんください。
 審査シートの3ページになりますけれども、1,5-ジアミノナフタレンにつきまして、審査シートの記載方法について先生方からご意見をいただきましたので、修正したものを配付させていただいております。
 発がん性について、NTPのデータでがん原性ありと評価されておりまして、4ページになりますけれども、IARCの総合評価のところ、一番下にGroup3:『ヒトに発がん性を示すとしては分類できない』という一文を記載させていただいていたんですけれども、その評価の過程についても記載すべきであるというご指摘に従いまして、「発がん性に対する証拠の程度」を追記させていただいております。
 以上、ご報告申し上げます。

○中杉委員長 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問、修正点ございませんようでしたら、今後の扱いについてご説明ください。

○事務局(環境省) ただいまの資料1-1から1-4でございますけれども、もし他にご意見等ございましたら、本日の会議終了までにお申し出いただければと思います。特にご意見等ございませんでしたら、内部の手続が終了次第、各省のホームページ上で公開させていただきます。
 よろしくお願いいたします。

○中杉委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、次に移ります。

○北野部会長 それでは議題2、既存化学物質の審議等に入りたいと思います。
 まず分解性について、事務局からご説明をお願いします。

○事務局(経済産業省) 資料2-1に基づきまして、まとめてご説明させていただきます。
 1ページをごらんください。
 整理番号1831、本物質の分解度試験の結果でございますが、BODが平均92%、HPLCが100%でした。以上の結果より、判定案としては、良分解性とさせていただいております。
 続きまして、4ページをごらんください。
 整理番号1822、本物質については、ナトリウム塩を用いて分解度試験を行いました。
 結果でございますが、BODが平均2%、TOCが0%、HPLCが0%という結果が得られました。この結果より、判定案といたしましては難分解性とし、後続の試験案として濃縮度試験を提案させていただきます。
 続きまして、8ページをごらんください。
 整理番号1829、本物質につきましては、塩酸塩を用いまして分解度試験を行いました。
 分解度試験の結果でございますが、BODが平均0%、TOC4%、HPLCが0%という結果が得られました。この結果より、判定案といたしまして難分解性、後続の試験案として濃縮度試験を提案させていただきます。
 最後に、11ページをごらんください。
 整理番号1830、本物質の分解度試験の結果でございますが、BODが平均6%、TOCが0%、HPLCが0%という結果が得られました。この結果より、判定案といたしまして難分解性、後続の試験案として濃縮度試験を提案させていただいております。
 以上4物質について、ご審議よろしくお願いいたします。

○北野部会長 ありがとうございました。
 資料2-1の4物質ですが、1つずついきましょうか。
 まずK番号1831、良分解性という判定をしたいということですが、いかがでしょう。よろしいですか。
 では、この物質については事務局案どおり、良分解性とします。
 次の物質、K1822です。これは難分解性と判定したいんですが、いかがでしょうか。難分解性でよろしいですか。
 そうしますと難分解性で、次は濃縮度試験という、これは分配係数を適用するかどうか、そこはどういきますか。

○事務局(経済産業省) まずは分配係数で、今の予測では0.32と極めて低い分配係数ですので、これでまず実測してみて、3.5を超えるようであれば濃縮度試験に移りたいと思います。

○北野部会長 ありがとうございました。
 では、これは難分解性で、分配係数を確認する。その結果によって、必要であれば濃縮度試験を行うということですね。
 ありがとうございました。
 3番目、1829です。これも難分解性と判定したいという事務局案ですが、いかがでしょう。よろしいでしょうか。
 その後の濃縮度試験についても、1822と同じ取り扱いでよろしいですね。はい、ありがとうございました。
 それでは最後の物質、1830です。これも難分解性と判定したいということですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 後の濃縮度試験も、前の2物質と同じ取り扱いでお願いします。
 以上、分解性の判定を終わります。

○江馬座長 次に、議題2の(2)難分解性・高濃縮性判定済みの既存化学物質について、事務局から説明をお願いします。

○事務局(厚生労働省) それでは、ご説明させていただきます。
 資料2-2及び2-3をご参照ください。
 資料2-2「第一種特定化学物質へ該当するか否かの審議審査シート」について、ご説明させていただきます。
 まず1ページに記載させていただいておりますが、官報公示整理番号3-2254、名称が1,2,5,6,9,10-ヘキサブロモシクロドデカンとなっております。構造式は、記載のとおりです。用途は、発泡ポリスチレン用の難燃剤、繊維用の難燃剤となっております。
 分解性につきましては難分解性、蓄積性につきましては高濃縮性と判定いただいておりまして、平成16年9月22日に第一種監視化学物質として指定されております。
 当該物質につきまして、今回、新たに収集された試験につきまして、国立医薬品食品衛生研究所の山本主任研究官よりご説明いただきます。

○事務局(厚生労働省) それでは、説明させていただきます。
 まず最初に、今回新たに収集された情報として、1ページの下のほうにございますが、厚生労働省既存化学物質安全性点検の2世代繁殖試験の結果をご説明いたします。
 投与方法ですが、混餌投与で、CDラットを用いております。
 用量は、3投与群で150、1,500、15,000ppmで、平均摂餌量から計算いたしますと、摂餌量はF0の雄で10.2、101、1,008 mg/kg、以下F0の雌、F1の雄、F1の雌については、表のようになっております。
 次に死亡ですけれども、ケージ内事故に起因すると思われる死亡が中低用量群、雄、1例、また、切迫屠殺したものが高用量群F0雄、1例でございました。
 試験途中の雄動物の死亡は交配前投与期間の投与7週に中用量群で1例、及び第5週に高用量群で1例観察されました。しかし、いずれも死亡前に一般状態の変化はございませんでした。
 次に、雌動物の試験途中の死亡ですけれども、高用量群でF0で2例見られました。そのうち1例は、交配前投与期間に一般状態の悪化のため切迫屠殺いたしました。もう一例は、難産のために妊娠21日に死亡いたしました。
 このように死亡はございますが、いずれも例数は少なく、発生時期や世代間や性別を通して一貫性が見られるものはございませんので、これは被験物質による影響ではないと考えます。
 2ページ、推定根拠です。
 まず、親動物に対する毒性としては、標的臓器として肝臓、腎臓、卵巣の3つが見られます。肝臓に対しては組織学的所見を伴わない肝重量の増加、及びこれに関係すると思われる血液生化学的検査の項目に変化が見られます。
 甲状腺ですが、組織学的所見の濾胞小型化と、血中ホルモン量の甲状腺に関連した項目の変化が見られました。
 卵巣に対しては、F1原始卵胞数の減少が認められましたが、F1雌親の各種生殖パラメータやF2胎児の着床数などには異常は見られませんでした。
 次に、次代に対する毒性といたしましては、組織学的所見を伴わない離乳時の肝重量の増加が見られました。
 以上を推定根拠に、NOAELは150ppm、10.2 mg/kg相当と推定されております。
 これ以外の毒性といたしましては、親動物に対しては、体重、摂餌量の減少、甲状腺に関連する血中ホルモン量の変化及び甲状腺の臓器重量の増加が見られます。次代に対する毒性といたしましては、F2児の生後死亡率の上昇、哺乳時生存率の低下及び離乳時の哺乳期間の体重減少が見られました。
 2ページ以降に他の毒性情報を参考として挙げておりますが、9ページをごらんください。
 これ以降には、今回、新たに収集された他の毒性情報を参考データとして載せてございます。
 この中で、特に最初のエリクソンらの報告について、NOELが非常に低いので、説明させていただきます。
 このエリクソンの神経発生毒性試験ですけれども、NMRIマウスを用いて、用量は0.9と13.5 mg/kgで、生後10日の雄・雌児に単回強制経口投与いたしました。その結果、推定根拠と見られるような自発運動試験をもとに、NOELを0.9 mg/kg未満と推定しております。他の毒性では、そのように自発運動や水迷路試験のデータがあります。
 この試験ですけれども、下に書いてありますように、OECDにおいては、本試験はガイドライン及びGLPに沿って行われていないため、他の試験機関で確認試験を行うことが有益であると評価しております。
 この結果については、予備審査会でもご議論いただきましたが、特殊な条件下で行われた単独の実験であること、再現性を含め検証が必要なこと、現在のところ、この一報以外に動物試験で神経発生毒性の報告はないことなどを考えると、新たな神経毒性の可能性について懸念が啓示されたものとは考えますが、現時点で規制を作用するデータとして用いることについては慎重に対処すべきであり、国際機関でも同様に、エリクソンらの試験結果の評価については慎重な態度を示していますので、引き続き国際動向に配慮しつつ、さらなる情報収集に努めるべきであるとの結果に予備審査会では至りました。
 1ページにお戻りいただきまして、このような現状を踏まえて、現時点では先ほどご説明した2世代繁殖試験のNOAEL150ppm、10.2 mg/kg相当から毒性を評価した結果、事務局案として「現時点で収集された情報からは、第一種特定化学物質に該当するとは判断されない」となりました。
 ご審議お願いいたします。

○江馬座長 新たな情報として、2世代繁殖試験、それから9ページで説明していただきました神経発生毒性試験、その下の28日間の試験等があります。
 ただいまの説明につきまして、コメントございましたらお願いします。

○西原委員 毒性の専門ではないので、ちょっと教えてほしいんですけれども、2世代繁殖試験というのは非常に難しいものなんですか。いや、死亡例が何例か出ていますね。通常このくらいは出るものですか。

○江馬座長 この死亡例の中には事故によるものも入っていまして、1群20から24匹で4群構成と動物が結構多いということで、このぐらい出ることもあるかなとは思います。

○田辺委員 このHBCDはα、β、γと異性体があると思うんですが、この試験はどの異性体のデータでしょうか。

○江馬座長 α、β、γでそれぞれ8.5、7.9、83.7%です。

○菅野委員 起きている変化自体は肝臓に対する影響が主体であって、それに引き続く、いわゆる甲状腺ホルモン、サイロキシンの収支ですね、肝臓による排泄増加が加わって、それによって甲状腺刺激、TSHが上がって甲状腺が腫れる、それがメインの変化であろう。FSHが上がるのに関しては、卵巣に変化があったが軽いと考えるということで、全体の判定はこの予備審査の判定でよろしいのではないかと思います。

○江馬座長 そのほか、よろしいでしょうか。特に毒性の先生方、コメントありましたら。

○前川委員 今もおっしゃいましたように、毒性としてはメインは肝臓ですね。それと卵巣に対する影響ということです。甲状腺は、肝臓での甲状腺ホルモンの代謝を促進した結果としてTSHが上がった、そのために甲状腺に変化が起こったということですので、標的臓器と言えば標的臓器ですけれども、基本的には二次的な変化である、メインは肝臓であるということです。
 それから、今回、新たに卵巣の原始卵胞の数が減っているというデータが出ておりますけれども、卵巣自身ヘの影響は、これまでのデータでも幾つか指摘されております。
 それから、甲状腺に対する影響あるいは肝臓に対する影響も、ある意味では、これまでのデータで指摘されたものが今回、よりクリアな形で出てきたということかと思います。
 ですから、毒性の内容としては、そんなに強いものではないということですね。
 それから、胎児に対する影響もないわけではないんですけれども、ただ、気にかかりますのは、今回のデータでもそうですけれども、F1、F2の両方を見ているんですけれども、影響としてはF2のほうがより強くなっているといったことですね。その辺のところは気にかかるデータではあります。ですけれども、NOELの10.2 mg/kg云々というのは、これまで一特とされております物質に比べましても、そんなに低いものではない。毒性の内容としても、そんなに重篤なものではないといったことからも、一特にするようなデータではないかと思います。

○江馬座長 そのほか、よろしいでしょうか。

○安田委員 難分解、高蓄積性の物質ということで、気になるのは体内動態がどうなるか、体内負荷量がどうなるかといったところですが、その辺についてのデータはいかがでしょうか。

○江馬座長 それほどデータは出ていないと思うんですが、1つ、肝臓にたまるというデータは出ていたと思います。それ以外はちょっとわかりません。
 そのほか、よろしいでしょうか。
 よろしいようでしたら、本物質は事務局案どおり「現時点で収集された情報からは、第一種特定化学物質に該当するとは判断されない」としたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○中杉委員長 続きまして、議題2の(3)人健康影響・生態影響についてでございます。
 資料2-4でございますが、3物質ございますので、1つずつ。
 最初に、3-503について、事務局から資料のご説明をお願いいたします。

○事務局(厚生労働省) それでは、ご説明いたします。
 資料2-4、審査シート1ページをごらんください。
 官報公示整理番号3-503の物質でして、名称はp-tert-オクチルフェノール、構造式等は記載のとおりです。
 本物質は、人健康影響に関する試験が実施されております。順にご説明いたします。
 まずAmes試験、陰性。染色体異常試験、陰性。28日間反復投与毒性試験につきましては、NOELを15とさせていただいております。
 判定根拠、2ページでございますが、Ames試験及び染色体異常試験は陰性であるが、NOEL15であることから、第二種監視化学物質相当とさせていただいております。
 ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 それでは、まず構造から、コメントございましたらお願いいたします。

○西原委員 これは内分泌攪乱物質として有名になった物質、オクチルフェノールの代表的物質で、女性ホルモンレセプターと結合してメス化を引き起こすと考えられています。

○中杉委員長 そのほかコメントございますか。よろしいでしょうか。
 それではスクリーニング毒性試験のほうですけれども、Ames染色体異常についてコメントございますでしょうか。

○林委員 Ames、染色体ともに陰性で、特に問題ございません。

○中杉委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、28日間反復投与毒性試験の結果について、コメントをお願いいたします。

○高木委員 本物質の標的臓器としては、腎臓がメインなものです。実際に血液検査でBUN等の増加が見られております。
 評価についてはこのとおりだと思うんですけれども、見ている臓器が心臓、肝臓、腎臓、副腎、脾臓だけが組織学的検索をしていて、それ以外は見ていないというのが、ちょっと引っかかる点ではあります。ただ、その中でも影響がとらえられているということで、それ以上は追究できないかと思います。
 あと、記載のことですけれども、雄の尿のカリウムが最高用量の300 mg/kgで減少しているので、それをつけ加えていただければいいと思います。

○中杉委員長 ほかに追加でコメントございますでしょうか。

○前川委員 今、ご説明がありましたように、この試験は300を最高にして3用量でなされているんですけれども、1,000でなくて300にした理由は、そこにも書いてありますように、予備試験で500以上で死亡が見られているということです。そういう意味で最高用量を300にして、その結果、さっきご説明がありましたように、特に腎臓への影響を示唆するような所見が出ている。それとともに、相対重量で肝臓の重量も増えております。
 ただ、腎臓に関しましては腎臓の尿細管に病理組織学的な変化が出ておりますけれども、肝臓に関しましては単に重量の増加だけで、病理の所見は全く出ておりません。ですから、メインの標的臓器は腎臓ということでよろしいかと思います。
 それから、一般状態その他から見まして、先ほどもご説明がありましたように他の臓器は検索されていないというお話ですけれども、一応他の所見などとも照らし合わせてみれば、それなりに評価はできるであろうと思います。

○菅野委員 腎臓に関しては尿量が増えたり、Na、Cl両方下がって、いわゆる尿細管性の尿崩症的になっているんだと思います。
 あと、ホルモン活性の云々なんですが、これは臓器を見ていないんですね。ですが、大人の動物でホルモン活性を見ても、普通フィードバックがかかって変化が見られないことが多いので、むしろこちらの腎臓の毒性のほうがホルモン活性によるNOELより低いのだろうなと思いますので、ここではあえて取り上げなくてよろしいかと。この試験法では弱いホルモン活性は見られないということでよろしいんだと思います。

○西原委員 すみません、「構造からコメント」と言われたので言ったまでで。

○中杉委員長 結論としては、これでよろしいということですね。
 ほかにご意見ございますでしょうか。
 ほかにないようでしたら、この物質はNOELが15ということで、事務局案どおり、第二種監視化学物質相当という判定をさせていただきます。ただ、尿検査のところの追加をしておいてください。

○事務局(厚生労働省) 承知いたしました。

○北野部会長 それでは次に、公示番号4-44ですか、1,1-4ヒドロオキシフェニル-シクロヘキサンについて、ご説明をお願いします。

○事務局(環境省) 審査シート3ページをごらんください。
 記載の物質につきまして、化審法テストガイドラインに基づく3種の生態影響試験が実施されております。
 魚類急性毒性試験におきまして、96時間LC50が1.8mg/Lとの結果が得られております。
 生態影響判定根拠でございますが、藻類生長阻害試験において72時間EC50が3.6mg/Lを上回り、72時間NOECが0.92mg/L、ミジンコ急性遊泳阻害試験において48時間EC50が1.8mg/Lであるが、魚類急性毒性試験において96時間LC50が1.8mg/Lであることから、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。
 ご審議よろしくお願いいたします。

○北野部会長 この物質について構造上の知見があったら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

○西原委員 この物質もビスフェノールAの類似体ということで、女性ホルモン活性がある可能性はあります。この濃度でメダカで影響が見られるかどうかは、私ちょっとわかりませんけれども。短い時間ですから、それは出てこないと思います。

○北野部会長 それでは、生態毒性試験の中身について議論していきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○吉岡委員 この3つの試験方法及び試験結果とも、合理的なものだと思って見ております。
 毒性を見ますと、藻類生長阻害試験が3.6mg/L以上となっておりまして、これだけ非常に緩いように見えますが、データから見ると、このEC50はおおよそ4mg/Lぐらいになるのではないかと予想されます。

○北野部会長 3つの試験について、ほぼ妥当であるというご意見ですが、ほかの先生方、いかがでしょうか。よろしいですか。
 判定根拠も、これでよろしいですね。
 それでは、この物質につきましても事務局案どおり、第三種監視化学物質相当とさせていただきます。

○江馬座長 次に、3-2254、事務局から説明をお願いします。

○事務局(環境省) 審査シート4ページでございます。
 当該物質は、先ほど「第一種特定化学物質には該当しない」とご判定いただいた物質でございます。
 本物質につきまして、OECD/HPVプログラムのSIAPに生態影響に関する情報がございましたので、今回、ご審議いただきたいと考えております。
 結果は記載のとおりでございまして、藻類生長阻害試験でございますが、こちらは化審法テストガイドラインの推奨種を用いた試験結果ではございませんが、SIAPにおいて、藻類に対する試験として最も信頼性のあるデータと評価されていることから、今回、こちらに記載させていただきました。
 生態影響判定根拠でございますが、ミジンコ急性遊泳阻害試験、魚類急性毒性試験及び魚類初期生活段階毒性試験において溶解限度で影響が認められないが、藻類生長阻害試験において72時間EC50が0.052mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験において21日間NOECが0.0056mg/Lであることから、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。
 なお、エコ調査の結果もございますので、こちらに記載させていただいております。
 ご審議よろしくお願いいたします。

○江馬座長 ただいまの説明につきまして、まず構造の面からコメントをお願いします。

○西原委員 構造面は特にありません。先ほどのときに私、質問すべきだったかもしれません。もしデータがあれば教えてほしいんですが、この物質の製造量とか輸入量はどのぐらいのものですか。

○事務局(経済産業省) 平成19年度で、供給量としては3,200トン。供給量というのは製造量、輸入量合わせて3,200トン、出荷量としては3,400トンございます。

○江馬座長 そのほか、コメントございませんでしょうか。

○吉岡委員 生態毒性の関係ですけれども、論文ということで、ミジンコと魚類については恐らく問題はないだろうと思っております。試験方法及び結果ともですね。
 一番問題が残りますのは、藻類に対する毒性値として、この値を生態影響の判定根拠の中に加えるべきであるかという点だと思います。実は、このプログラムの中で上がっておりますデータといたしましては5点ございまして、そのうち2点はセネデスムスを用いました、いわゆるOECDの試験法の生物を用いました試験結果でございます。その試験結果のEC50といった値は、溶解度以上の値になっておりまして、通常の試験ならば「まあ問題はなかろう」ということで通過していくべきものでございます。しかしながら、そこに書かれております藻類の種類、これは海産の藻類、珪藻類の1種ですけれども、このものに対して文献を集めてみると3つあって、その3つのうちで、実は毒性値がピタッと決まっている文献というのはないのです。大体この付近であろうという点と、それから、1濃度区だけやってみたら50%に近い値が出てきたというところ、それを総合的に判断して「まあこの辺じゃないか」ということで、0.052mg/Lという数字が上がってきているところでございます。
 1つの点は、きちんとした濃度設定が行われて決められたEC50ではないということ、2つ目の点といたしましては、OECD試験法に載っていない種類を用いた試験を化審法の基準として採用するかどうかという点が問題になろうかと思います。
 これは1人では決められませんので、他の先生方のご意見も伺いたいと思います。

○江馬座長 というご意見なんですが、他の先生方、コメント、ご意見ございましたらお願いします。
 それから、事務局から何かありましたら。

○事務局(環境省) 海産系の藻類の結果を判定根拠に記載すべきでないというご意見ですが、結果として、ミジンコの毒性値から三監相当には変わらないということかと思います。淡水系の藻類の結果をこちらに記載するということもございますが、そういった対応でよろしいでしょうか。

○吉岡委員 私が言ってもいいのかどうかわかりませんけれども、とりあえず、藻類のどれを載せるかはペンディングにして、詳細な議論を重ねてからでないとはっきりした結論を今すぐには出せないのではないかと思います。
 とりあえずこの物質につきましては、仮に藻類の試験がなくても三監相当の判定は可能でございますから、処理としてはそのようにしておいて、今後も例えば文献のデータの中で今まで見たこともないような種類の魚が出てきた、その試験があったときにそれをどうするかという問題になってくる。そういう大きなことにつながってまいりますので、とりあえずペンディングにしておいて、判定のところはミジンコの繁殖毒性で行うという案、折衷案みたいなものですけれども、それでいかがでしょうか。

○中杉委員長 幸いにして、今回はこれを外しても三監相当ということなので、吉岡先生が言われたとおりでよろしいのではないかと私も判断をいたします。もう少し議論が必要だと思うんですね。
 記載をどうするかというのは難しい話なので、それは事務局と少し相談したいと思いますけれども、判定としては三監相当で、藻類は根拠にしないということで、とりあえず。
 いずれそれを根拠にしなければいけないものが出てくるだろうと思いますので、その前に議論しておかなければいけないとは思いますけれども。

○江馬座長 ミジンコの試験を根拠にして三監相当ということで、よろしいでしょうか。藻類のことにつきましては議論をいただくということで、よろしくお願いします。
 判定案は、事務局案どおりとさせていただきます。

○中杉委員長 これは先ほど一特でないという判断をしたもので、一監ではあるんですよね。一監であって三監であるという扱いなんですね。三監であるということは、管理の仕方として事業者の方が何をしなければいけないというのは、一監にしておけば、もうそれで十分なはずなんだけれども、三監にするというのは「これは生態影響が懸念されるよ」ということをアナウンスするという意味があると思うんですね。そういうことで言いますと先ほどの健康影響も、一特ではないけれども、この結果、仮に10.幾つというのを採用するとしたら二監相当の判定になるわけですよね。これは今の25以下ですか、そういう判定に単純に持っていくと、そういうふうになります。そういうふうなことで、二監相当としておくのがいいのかもしれない。それができるかどうかというのも1つあります。
 もう一つは、今、化審法の改正を議論していますから、当然この二監、三監のそういうややこしい話は先送りになるので、今の段階ではこれは必ずしも二監にしなくてもいいかと思いますけれども、「これは人健康影響は二監相当ですよ」ということは何かの形で事業者の方にアナウンスをしておく必要があるだろう。ただ蓄積性があるだけではないよということは注意したほうがいいのではないかと思います。

○事務局(経済産業省) ただいまの二監相当かどうかというのは、28日間のデータで25というところなので、これは2世代繁殖試験の結果と同一には扱えないのかなと思います。
 ただ一方、おっしゃるように、生態毒性は相当強くなっております。事業者のほうはこういう状況を、今日の結果を受けたというよりは、生態毒性のところとか高濃縮である、あと量も多いということで、排出量を削減していく取り組みを始めております。将来的には相当量減っていくかなというふうに想定されております。
 今後も、今日のご意見を踏まえて、製造事業者及び取り扱い事業者には排出削減に向けた、またはその管理に向けた取り組みをしてほしい旨、伝えたいと考えております。

○中杉委員長 これは今度、優先取り組み物質のほうの体系にしても、一監の流れというのは別になってしまっているので、その具体的な中身をどうするかという議論をするときに、そこら辺も踏まえて、今、言われるように、これが20だからというふうにすぐにならないのは理解しましたけれども、何か考えていく必要があるかなと思いますので、一言だけ申し上げました。

○田辺委員 この物質は、いわゆる環境モニタリングあるいは生物モニタリングの調査データが最近、学術レベルでも随分増えているんですが、それでも、やはり広く検出されておりますので、そういう意味でも、もう少しこれは慎重に議論を進めたほうがいいのではないかと思いますので、ちょっとつけ加えておきます。

○中杉委員長 それでは、議題2の(3)につきましては以上ということで、次に議題2の(4)化管法の第一種及び第二種指定化学物質の一部を化審法の第二種及び第三種監視化学物質に指定することについて、事務局から資料のご説明をお願いいたします。

○事務局(環境省) お手元の資料2-7をごらんください。
 こちらの資料ですけれども、一言で言いますと、化管法の指定化学物質の選定のプロセスにおきまして確認された毒性を根拠に、化審法の二監あるいは三監の判定を行うといったことについて説明した資料でございます。
 1.、2.でそれぞれ背景と今回の手続についてご説明しております。
 まず1.でございますが、化学物質排出把握管理促進法、通常化管法と呼んでおりますけれども、化管法のPRTRの対象になる第一種指定化学物質及びMSDSの対象になる第二種指定化学物質のうち、当該化学物質について収集された科学的知見並びに分解性、蓄積性に関する既存点検結果から判断いたしまして、化審法における第二種及び第三種監視化学物質の要件に該当するものについては、これまでも順次、第二種、第三種監視化学物質として指定してきたというところでございます。
 ご参考として、次のページに、化管法でどういった科学的知見を根拠に指定されているかをつけております。こちらにありますように、人健康影響の観点、生態毒性の観点から、化審法と類似のエンドポイントに着目した指定が行われている状況でございます。
 また1ページにお戻りいただきまして、2.でございます。
 最近の動きといたしまして、今年11月21日付けで、化管法の施行令の一部を改正する政令が公布されております。その政令におきまして新たに化管法の第一種及び第二種指定化学物質に指定された物質につきまして、次に示しております考え方に従って、化審法上の第二種、第三種監視化学物質として指定することとしたいということでございます。
 考え方について申し上げます。
 まず(1)第二種監視化学物質への指定でございます。
 以下の化学物質を除外した上で、既存点検結果等から難分解性であり高蓄積性でないと判断されている化学物質について、第二種監視化学物質と指定したいと思います。除外する物質ですが、[1]として、化審法の審査対象外の化学物質。これは専ら医薬品あるいは農薬として使用されているものなどがあります。[2]といたしまして、既に化審法の第一種・第二種特定化学物質に指定されている化学物質。[3]といたしまして、人健康影響以外の観点から対象となった化学物質。これらを除いた上で、化審法の第二種監視化学物質として指定することとしたいと思います。
 続きまして(2)第三種監視化学物質の指定の考え方でございますが、以下の化学物質を除外した上で、既存点検結果等から難分解性であると判断されている化学物質をまず選定いたします。除外する項目ですが、[1]は二監指定と同様です。化審法の審査対象外のものは除外します。[2]も同様で、化審法第一種・第二種特定化学物質に指定されている化学物質を除外いたします。[3]といたしまして、生態毒性以外の観点で対象となった化学物質、これについても除外します。それらを除外して選定された化学物質につきまして、2)でございますが、監視化学物質への該当性の判定等に係る試験方法及び判定基準、通常の審査で見ていただいている判断基準ですが、この判定基準に基づきまして、第三種監視化学物質に該当することが明らかなものについて、第三種監視化学物質に指定するものでございます。
 具体的な指定予定物質等につきましては、後ろに別添でつけております。
 おめくりいただきまして、右上に(別添1-1)と書いてあります表が、化審法の第二種監視化学物質へ新たに指定を予定している物質でございます。22種類ございます。それに関する根拠データにつきましては、おめくりいただきまして(別添1-2)と書いてあるもので、それぞれの物質についての根拠データを整理したものでございます。
 2枚めくっていただきますと、右上に(別添2-1)とついた資料がございます。この資料が化審法の第三種監視化学物質へ新たに指定を予定している物質でございます。これが計43物質ございます。その後ろに(別添2-2)といたしまして、これら43物質についての指定の根拠データをつけております。
 詳しいご説明は省略させていただきますが、このような考え方に沿いまして、これらの物質について化審法上の判定をすることとさせていただきたいというご提案でございます。

○中杉委員長 これは化管法が最初にできたときに、第一次といいますか、対象物質とされたものについて、同様の考え方で、当時の指定化学物質にさせていただいたということがございますので、それと同じようなことを化管法の見直しが行われたので行いたいということでございます。
 ご意見等ございますでしょうか。いかがでしょう、よろしいでしょうか。
 一応ここでご判断いただく必要があって、持ち越しというわけにはいかないですよね。

○事務局(環境省) もし何かありましたら、今回いただきたいと思います。

○中杉委員長 この物質はおかしいとか、この根拠はおかしいということがございましたら、一応はこれまでと判断の手続は同じ形にして、事務局のほうで選んだということでございますが、よろしいでしょうか。
 特段のご意見がないようですので、ご了承いただいたものと考えてよろしいでしょうか。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 最後に議題3、その他ですけれども、事務局のほうから何かありますでしょうか。

○事務局(環境省) 特段ございません。

○中杉委員長 それでは、本日の審議会の第1部は、これで終了したいと思います。
 予定より大分スムーズに進んでおりますので、ここで休憩をとって、2時45分から第2部、新規化学物質等の審議を開始いたします。
 なお、第2部につきましては新規化学物質の審査でございますので、非公開とさせていただきます。傍聴者の方におかれましては、ご退室いただきますようにお願い申し上げます。
 どうもありがとうございました。