平成17年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、 化学物質審議会第47回審査部会及び 第48回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同会合議事録【第一部】

1.日時

平成17年9月30日(金) 【第一部】13:00~15:45

2.場所

中央合同庁舎5号館専用第18~第20会議室(17階)

3.出席者(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員
井上 達(座長) 江馬 眞 清水 英祐
西原 力 林 真 廣瀬 雅雄
前川 昭彦 安田 峯生 吉岡 義正
渡部 烈

化学物質審議会審査部会委員
池田 正之 内田 直行 北野 大
清水 英祐 竹下 達也 西原 力(部会長)
藤木 素士 前川 昭彦 米澤 義堯

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員
青木 康展 池田 正之 井上 達
日下 幸則 白石 寛明 田辺 信介
中杉 修身(委員長) 吉岡 義正 若林 明子

事務局
厚生労働省 佐々木化学物質安全対策室長
経済産業省 辻化学物質安全室長
環境省  森下化学物質審査室長

4.議題

【第一部】

  1. 判定基準の変更について
  2. 既存化学物質の安全性点検について
    1. (1) 分解性・蓄積性について
  3. 既存化学物質の審議について
    1. (1) 難分解性・高濃縮性判定済み(予定)の既存化学物質について
    2. (2) 人健康影響・生態影響について
  4. その他

5.議事

【第一部】

○事務局(厚労省) ただいまから「平成17年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会」「化学物質審議会第47回審査部会」及び「第48回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会」の3つの合同審議会を開催したいと思います。
 本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることを報告いたします。また、各審議会から、本日の会合への具体的伝達手続はそれぞれの省により異なりますが、化審法第41条に基づく新規化学物質の判定に関する諮問が大臣よりなされている審議会もありますので、よろしくお願いいたします。
 なお、本日の合同審議会については、これまでは新規化学物質の審査を行うため、企業秘密保護の観点から非公開としてきたところですが、今般、既存化学物質の審議と新規化学物質の審議を一部と二部に分けて実施して、審議の透明性の観点より、既存化学物質の審議については、原則公開することとしました。したがって、本日は13時から15時までを第一部として、既存化学物質の審議を公開で行います。終了後、休憩を挟み、第二部として通常の新規化学物質などの審議を行いますので、よろしくお願いいたします。
 本日の全体の議事進行については、薬事・食品衛生審議会の化学物質調査会の井上座長にお願いしたいと思っております。

○事務局(厚労省) 審議に入る前に、お手元にお配りした資料の確認を行います。1枚目に議事次第、資料1は「監視化学物質への該当性の判定等に係る試験方法及び判定基準」、資料2は「既存化学物質点検(分解・蓄積)結果資料」、資料3-1は「難分解・高濃縮性判定済み(予定)の既存化学物質の毒性評価について」、資料3-2-1は「既存化学物質審査シート」、資料3-2-2は「既存化学物質の人健康影響に関する情報」、資料3-2-3は「既存化学物質の生態影響に関する情報」、参考1は「委員名簿」、参考2は「水溶性ポリマーの生態毒性について」、参考3は「特定化学物質及び監視化学物質の要件及び評価のための試験項目について」、参考4は「第一種特定化学物質に関する毒性評価一覧」、参考5は「既存化学物質審査物質(人健康影響・生態影響)に係る分解性・蓄積性データ」です。あと、資料番号を付けていませんが、参考として「既存化学物質分解性QSAR予測結果」、「人健康影響に係る追加情報」を添付しております。

○井上座長 ただいま紹介いただきました井上でございますが、西原部会長と中杉委員長とともに、皆様のご協力で進めさせていただこうと思います。本日もよろしくお願い申し上げます。議題1については中杉先生に座長をお願いいたします。

○中杉委員長 議題1に入ります。議題1「判定基準の変更について」、事務局から資料のご説明をお願いいたします。

○事務局(環境省) 資料1ですが、具体的な変更案について赤字、下線付きで示しております。1点目としては5頁、(7)「第三種監視化学物質の判定」の[1]の[2]の部分です。魚類、ミジンコ、藻類の3種の試験結果から得られるLC50 値、EC50値のいずれかが1mg/L超、10mg/L以下の場合、従来の案では個別に判断というような格好で漠然とした書き方をしていたのですが、そこの部分を具体的に書くということ。[2]として、慢性毒性の判定基準を明確にするということです。これらの内容については、従来から判定基準の下に「判定基準の考え方」ということで、既に審議会でご審議いただいて了解をいただいている内容があったのですが、今般、既存化学物質の審議が公開されることに伴い、判定基準の明確化を図る必要があるであろうということで、この判定基準に明記することとなったものです。委員の皆様方におかれましては、念のため書きぶり等をご議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○中杉委員長 資料1の4頁、5頁の所に赤字で書いてある生態毒性試験の判定の部分ですが、考え方は従来と変わってはいないのですが、より明確にわかるようにということで文言の追加・修正を行っております。ご質問・ご意見等はありますか。特段のご意見がないようですので、「判定基準の変更について」はご了承いただいたものとさせていただきます。

○井上座長 議題2は「既存化学物質の安全性点検」の分解性・蓄積性に係る件ですが、西原先生お願いいたします。

○西原部会長 既存化学物質の分解性・蓄積性に関する安全性点検に入ります。資料2について、事務局から説明をお願いします。

○事務局(経産省) 資料2に沿って説明いたします。説明の進め方ですが、今回、分解度試験を実施した物質が9物質あります。時間の関係もありますので、5物質、4物質にまとめて説明とご審議をお願いしたいと思います。
 まず5物質を説明いたします。資料の1頁から5頁までは、今回、分解・蓄積についてご審議いただくものの一覧表となっております。右下の頁で1頁ですが、5類の676番、3-アセト-6-メチル-2-ピロノンナトリウム塩です。今回4週間の分解度試験を実施しており、BOD平均分解度が77%、TOC平均分解度が99%、HPLCの平均分解度が100%となっており、良分解性の判定案としております。
 資料の2頁ですが、2類の1841番、{[エチレンビス(カルバモジチオアト)](2-)}マンガンです。4週間の分解度試験を実施しており、BOD平均分解度が1%、HPLC平均分解度が100%となっております。本物質は試験液中でマンガンが外れた変化物として、2-イミダゾリジンチオンが64~68%、1,2-エチレンビスジチオカルバミン酸が2~3%、1,3,6-チアジアゼピン-2,7(3H,6H)-ジチオンが約15~21%生成していると推定されております。これらの物質収支が約90%程度なのですが、残りの10%については揮発性の高い二硫化炭素ができているものと推定されております。以上より、事務局案は難分解性としております。
 資料の3頁ですが、2類の2270番、テトラオクチルスタンナンです。4週間の分解度試験を実施しており、BOD平均分解度が2%、HPLCの平均分解度が1%となっており、難分解性の案としております。
 資料の4頁ですが、3類の2489番、イソシアン酸-3,4-ジクロロフェニルです。4週間の分解度試験を実施しており、BOD平均分解度が0%、HPLCの平均分解度が86%となっております。本物質は汚泥系で全量または一部が変化して、変化物である3,4-ジクロロアニリンが平均で27%程度生成しております。また、LC/MSによる定性分析の結果、被験物質の二量体である3,3',4,4'-テトラクロロジフェニル尿素の生成が確認されておりますが、こちらについては標準物質がないために定量にまでは至っておりません。GPC分析の結果、この二量体よりさらに重合した高分子の生成は確認されておりません。以上より、判定案は難分解性としております。以上5物質、よろしくお願いいたします。

○西原部会長 ただいまの5物質、最初の物質は良分解で、あとの4物質が難分解ということですが、委員の先生方ご意見等ありませんか。資料として、手元に事前に送ってもらっていたものにはもう少し詳しいのがあったのですが、できたら分解産物の構造式等は入れておいていただきたいのです。それは公開ということで駄目なのですか。

○事務局(経産省) ちょっと間に合わなかったのですが、次回から構造式等を入れるように検討いたします。

○西原部会長 お願いします。ほかの先生方でコメント等ありませんか。それでは、この5物質は事務局案どおりとさせてもらいます。次の4物質をお願いします。

○事務局(経産省) 引き続きまして、資料の6頁ですが、3類の526番、ジノニルフェノールです。この物質についても、4週間の分解度試験を実施しております。BOD平均分解度2%、HPLC平均分解度31%。HPLCにおいて変化物のピークがないこと、回収試験でほぼ100%の回収率が得られていること、異なる活性汚泥濃度で培養して試験物質を定量したところ、活性汚泥が増加すると被験物質の残留率が低下することから、被験物質の残留率低下は活性汚泥への吸着と推定しております。このことから、事務局案は難分解性としております。
 資料の7頁ですが、9類の839番、-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド)メチル-D,L-シス,トランス-クリサンテメートです。この物質についても、4週間の分解度試験を実施しております。BOD平均分解度2%、HPLC平均分解度35%。この物質については、HPLCクロマトグラム上にピークが3本確認されております。LC/MS/MSを用いて変化物の構造推定を行ったところ、被験物質のエステル部分が切れて、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)-シクロプロパンカルボン酸のcis及びtrans体と、-ヒドロキシメチル-3,4,5,6-テトラヒドロキシフタルイミドを生成し、残留しております。これらは被験物質の加水分解物であること、後日、HPLC溶離液の組成を変更して精度を上げて分析したところ、被験物質残留率は84~95%となったこと、被験物質はほとんど水に溶けないこと、物質収支は良好であったこと、これらのことから、事務局案は被験物質の一部が加水分解したものであり、被験物質については難分解性であるとしております。
 資料の8頁ですが、5類の1168番、2,9-ジメチルキナクリドンです。この物質についても、4週間の分解度試験を実施しております。BOD平均分解度0%、重量法の平均分解度3%。以上のことから、事務局案は難分解性としております。
 資料の9頁ですが、3類の2254番、1,2,5,6-テトラブロモシクロオクタンです。この物質についても、4週間の分解度試験を実施しております。BOD平均分解度1%、GC平均分解度1%。このことから、事務局案としては難分解性としております。

○事務局(経産省) 先ほど前半でやった5物質のうち、1物質説明するのを抜かしてしまいましたので、追加させてください。資料の5頁ですが、3類の2634番、ジクロロジフェニルシランです。4週間の分解度試験を実施しており、BOD平均分解度は0%、GCによる平均分解度は100%となっております。本物質は試験液中で全量が加水分解して、塩素の部分が外れてOH体となったジフェニルシランジオールがほぼ100%生成しております。以上より、事務局案を難分解性としております。以上5物質、ご審議をよろしくお願いいたします。

○西原部会長 K番号1640の物を含めて5物質、一部加水分解して残留するという物も含めて、すべて難分解性という事務局案ですが、委員の先生方で何かコメントはありますか。

○米澤委員 6頁の1648についてコメントしたいと思います。直接分析での回収率が6割から7割と、収率が非常にばらつきがありまして、全体的に悪いという形になっています。それで、分解物、生成物ができているかどうかという点に関しては、BODの吸収率が非常に悪いということからして、おそらく分解はないだろうと考えられます。もし起こったとしても、側鎖の部分が部分的に水酸化されたようなものぐらいが生成する可能性がありますが、それ以外に関しては反応として可能性はないものと考えられます。ですから、私としましては、仮に水酸基が入った物質がわずかに生成したとしても、ほとんどこの出発物質と物性的にはそれほど大きく変わらないだろうと考えられますので、このあとの試験等についても出発物質で評価するというのが適当ではないかと考えます。

○中杉委員長 いまの6番につきまして用途とか生産量のところの情報が全く入っていませんが、いまのところは分からないということですか。

○事務局(経産省) この情報を既存の公表されている資料の中で調べたのですが、わかりませんでした。

○西原部会長 大体何トンとかいうのもわからないですか。何千トンなのか。

○事務局(経産省) 我々のほうでは既存化学物質の生産輸入実態調査というものをしておりますが、これについていま手元に持ってきていないのであれですが、100トン未満の物は公表しないということになっています。100トン未満なのか、それとも1社とか2社からの数字が出ている場合には、やはり公表しないということで事業者の皆さんにデータを出している数字です。その関係で出ていないのかもしれないのですが、そういう状況です。

○西原部会長 用途はどうですか。

○事務局(経産省) 用途も、この物質はちょっと実態調査を持ってきていないのですが、私のほうで、いわゆる公表されている、例えば化学日報社の本などを随分調べたのですが、出ていなかったので今回ここは記載できなかったというものです。

○西原部会長 今後は、そういうのが出ていればどこかに書くということでいいですか。

○事務局(経産省) 公表されている資料で、用途等が出ているものは書くということで考えております。ほかの物質で引用しているのが時々ありまして、引用先も明確にする。今回からということはないのですが、そこを正確を期すということで対応したいと思っております。

○西原部会長 その次の物質は書いてありますね。「用途 殺虫剤」と。

○北野委員 ジノニルフェノールの残留性が悪いことが吸着という形で結論付けていますが、汚泥の量を4倍ぐらい変化させても、ほとんど吸着度は同じであること。私はどのように吸着量を出すか忘れてしまったのですが、いずれにしても4倍も汚泥量を変化させても吸着量がほとんど変わっていない。それが果たして吸着ということで結論付けていいのでしょうか。

○事務局(経産省) これは実はラボと随分議論して、いろいろやっていただいて、汚泥の吸着ではないかということで、先生がご指摘のとおり、汚泥の量を30、60、120と変えて、実際の検出、残留率を調べました。それで、少しずつは少なくなっているのですが、倍少なくなったなどということにはなっていませんで、いまひとつこれでというのは難しいところがあったのですが、変えることによって少しずつ減っていったということで、いまこういう考察になってしまったというところです。

○米澤委員 これは私は直接試験をしていませんので、本当のことはわかりませんが、特記事項の中に「20~30本の多成分の混合物」という表現があります。モノのノニルでもこの程度はあるのだろうと考えています。実際、ノニルフェノールの分析等でも、その程度は最低出てくる傾向がありますので、非常に小さなピークが実際上、多数混在した形になっているのだろうと推定します。ですから、その小さな部分の積分の仕方がどれだけあったかというところでの再現が悪いというところかとは考えているのですけれども。
 化学構造上、こういった活性汚泥で起こり得る反応として考えられますのは、たぶんこの側鎖の部分と環の水酸化ぐらいだと思うのですが、環の水酸化はこれだけ側鎖の部分が大きければなかなか行きづらいのかと考えますので、それの大きな化学変化が起こった生成物ができているという可能性は少ないものとは私は考えているのですけれども。

○西原部会長 開環することはまずないと思います、そこまでいくことは。もし分解するとしたら、ノルマルのアルキルの側鎖がついている場合にのみ、少し端っこからというぐらいだと思いますけれども。ただ、この物質に関しては、先ほど米澤委員からもありましたが、多成分で非常にたくさんの成分がピークとして出てきますので、その計算方法といいますか、それがかなり難しいのと違うかなという気がします。

○北野委員 モノのノニルはこういう現象は見られないのです。

○西原部会長 吸着はね。

○北野委員 ジノニルのほうで吸着というのが見えています。ただ、吸着性かという判断に2週間も培養する必要があるのかということ、その考察の実験のやり方が果たして妥当かということです。通常の吸着実験だったら、1日か2日で吸着平衡になるのではないでしょうか。これだけの長期間培養する必要が、この実験の考察として妥当かどうかというのが、私はちょっと疑問に思ったのですけれども。

○西原部会長 分解が起こっていたら、長くすればもっと吸着という結果になるでしょうね。

○北野委員 分解はどうせ枝分かれしているし、しないということは私は結構だと思いますが、考察のところがもう少し別のやり方があったのではないかというアドバイスです。

○西原部会長 どうもありがとうございます。ラボに伝えて、今後こういうことが起こったら参考にしてもらうと。それでは、次をお願いします。

○事務局(経産省) 続きまして、分配係数試験の結果から蓄積性を類推している物質が8物質ありますので、8物質まとめて説明いたします。
 資料の10頁、2類の22番、4-メチル-1-ペンテンです。本物質は既に分解度試験の結果から、変化物なしで難分解性の判定をいただいております。今回、フラスコ振とう法による分配係数の測定を行っており、log Powで平均値3.38となっており、事務局案は高濃縮性でないといたしております。
 資料の12頁、2類の156番、N'N'-テトラメチルヘキサメチレンジアミンです。本物質も既に分解度試験の結果から、変化物なしで難分解性の判定をいただいております。今回、フラスコ振とう法により、pH12の緩衝液を使用して、分配係数測定を行っております。log Pow平均値で2.1となっており、事務局案は高濃縮性でないといたしております。
 資料の14頁、2類の300番、-メチルジエタノールアミンです。既に分解度試験を行っており、難分解性の判定をいただいております。今回、HPLC法による分配係数の測定を行っており、標準物質のうちいちばん小さい値であるlog Pow 0.5よりも小さな値となりましたので、結果をlog Pow 0.5未満としております。以上より、事務局案は高濃縮性ではないといたしております。
 資料の16頁、2類の1003番、トリアクリル酸ペンタエリトリトールです。既に分解度試験を実施しており、難分解性の判定をいただいております。この分解度試験の結果、原体は一部変化して、3つのエステルのうち2つが外れたモノアクリル酸ペンタエリトリトールと、エステルすべてが外れたペンタエリトリトールが残留して、難分解性の判定となっております。今回、この原体であるトリアクリル酸ペンタエリトリトールについて、HPLC法により分配係数の測定を行っております。その結果がlog Pow平均で1.1となっております。被験物質のPowが1.1、変化物であるモノアクリル酸ペンタエリトリトールは被験物質より極性が高いため蓄積性が低いと考えられ、さらにペンタエリトリトールについては既に高濃縮性ではない判定をいただいておりますので、併せて、高濃縮性ではないという判定案としております。
 資料の18頁、2類の147番、-メチル--ビス(2-ジメチルアミノエチル)アミンです。既に分解度試験の結果から、変化物なしで難分解性の判定をいただいております。今回、フラスコ振とう法によって、pH12の緩衝液を用いて分配係数の測定を行っております。log Powの平均値が0.04となっており、事務局案は高濃縮性ではないとしております。
 資料の20頁、3類の399番、2,3-ジメチルニトロベンゼンです。既に分解度試験の結果から、変化物なしで難分解性の判定をいただいております。今回はフラスコ振とう法により分配係数を測定しており、log Pow平均値で2.85、事務局案を高濃縮性ではないといたしております。
 資料の22頁、3類の1783番、テトラクロロフタロジニトリルです。既に分解度試験の結果、変化物なしで難分解性の判定をいただいており、今回、フラスコ振とう法により分配係数測定を行っております。log Pow平均値で3.00、事務局案を高濃縮性ではないといたしております。

○事務局(経産省) 続きまして、資料の24頁、5類の1060番、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸アクリル酸エステルです。この物質は、既に難分解性の判定をいただいております。蓄積性については、今回、HPLC法で実施しており、log Pow 1.9、被験物質は試験液中で変化して、3つのエステル部分が加水分解をして、エステルが3つとも外れたトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、2つのエステルが外れたトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸モノアクリル酸エステル、1つのエステルが外れたトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジアクリル酸エステル、この物質が残留しております。しかし、いずれも被験物質より極性が高い物質であることから、事務局案としては高濃縮性ではないとしております。以上の物質、ご審議よろしくお願いします。

○西原部会長 以上、log Powから類推で高濃縮性ではないと判定案を出しておりますが、ご意見等はありませんか。よろしいでしょうか。それでは、事務局案どおりとさせてもらいます。ただ、参考値としてKowwinで計算したPow値を出していますが、よく一致していますね。次をお願いします。

○事務局(経産省) 残りの物質ですが、事務局案として高濃縮性でないと判断している3件を続けて説明して、そのあと、高濃縮性の物質を1件ずつご審議いただければと思います。
 資料の26頁、3類の3034番、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸です。この物質は、既に難分解性の判定をいただいております。濃縮性については、第1濃度区2.4~4.1倍以下、第2濃度区23倍以下であることから、事務局案としては高濃縮性でないと判断しております。
 資料の28頁、5類の3631番、3-(-シクロヘキシル--メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランです。この物質についても、分解度試験については難分解性の判定をいただいております。濃縮度試験の結果としては、第1濃度区2400倍、第2濃度区2500倍。濃縮度試験の結果が1000倍を超えたため、部位別試験を行った結果、可食部の濃縮倍率が最も低く、第1濃度区1000~1600倍、第2濃度区1400~1800倍となりました。濃縮倍率に濃度依存性が見られないことから、事務局案としては高濃縮性でないと判断しております。
 資料の30頁、4類の577番、イソプロピルテトラヒドロナフタレンです。この物質についても、既に難分解性の判定をいただいております。当該物質は2つのピークが確認されており、濃縮度試験の結果、ピークAについては第1濃度区2000倍、第2濃度区1400倍、ピークBについては第1濃度区2000倍、第2濃度区1900倍。このため部位別試験を行った結果、可食部の濃縮倍率が最も低く、ピークAについては2100倍から2400倍、第2濃度区1000倍から2800倍、ピークBについては第1濃度区2000~2500倍、第2濃度区2100倍~2200倍となっております。以上のことから、濃縮倍率に濃度依存性が見られないことも併せて、事務局案としては高濃縮性でないと判定しております。以上、ご審議をお願いいたします。

○西原部会長 ただいまの3物質について、ご意見等はありませんか。部位別を口で言われたのですが、できたら表に書いておいていただければと思います。それから、これらは排泄試験はやっていないのですか。

○事務局(経産省) 排泄試験も実施しております。

○西原部会長 それほど半減期が大きくはない。

○事務局(経産省) 3-(-シクロヘキシル--メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランですが、第1区が6.4日、第2区は5.9日になっています。イソプロピルテトラヒドロナフタレンですが、ピークA、Bで分けて、大体2.9日とか2.5日という半減期になっております。

○西原部会長 4週間、平衡状態にはなっているのでしょうからね。高濃縮性ではないという評価ですが、よろしいでしょうか。それでは、残り2つありますが、1つずつお願いします。

○事務局(経産省) 資料の32頁ですが、当該物質は分解性と蓄積性についてご審議いただく物質です。分解度試験については、提供資料のBOD 0%、GC 平均分解率2%ということで、難分解性と考えております。提供資料をGCで分析したところ、34本のピークが検出されております。このうち定量可能な被験物質ピーク5本を本試験において定量したところ、いずれも平均分解度が0~3%でした。また、理論量の残留量も確認されたことから、難分解性と判断しております。濃縮性については、ピークAについて第2濃度区が5800倍、ピークCについて第2濃度区が5300倍ということから、事務局案としては高濃縮性としております。ご審議をよろしくお願いいたします。

○西原部会長 この物質ですが、難分解・高濃縮です。まず、分解性は難分解で問題ないでしょうか。濃縮性について、何かコメントはありませんか。高濃縮の既存化学物質です。ジフェニル体です。代謝もされにくいし、見るからにそうですね。

○事務局(経産省) ご参考までに、これはトリエチル体なのですが、ジエチル体のほうはもう第一種監視化学物質に指定されており、ピークによっては1万倍を超えたピークもありました。ジエチル体とトリエチル体を比べると、ちょっとトリエチル体のほうが低く出るような状況でした。

○西原部会長 もちろん、これも部位別にすれば、臓器によってはもっと高いものもあるのでしょうね。

○事務局(経産省) 通常、やはり脂質含量の多い内臓が高く出ます。

○西原部会長 それでは、高濃縮性ということで判定させてもらいます。よろしいでしょうか。もう1つの物質についてお願いします。

○事務局(経産省) 資料36頁、5類の256番、-モノ又はジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドです。本物質は分解度試験の結果から、既に難分解性の判定をいただいております。今回、濃縮度試験を実施しており、対水溶解度以上である第1濃度区から第3濃度区で濃度依存性が現れたため、対水溶解度以下である第4から第6濃度区まで試験を実施しております。その結果、第5濃度区において3380倍から7310倍、第6濃度区において6000倍と5000倍を超えた結果となっております。第4濃度区から第6濃度区に関して部位別試験と排泄試験を実施しております。その結果、部位別試験については最も低い可食部で、第4濃度区が1620倍から1750倍、第5濃度区で3780~4680倍、第6濃度区で5300~5700倍という結果となっております。排泄半減期については、第4濃度区で11日、第5濃度区で約9日、第6濃度区で6.1日との結果となっております。以上より、事務局案を高濃縮性という案にしております。ご審議をよろしくお願いいたします。

○西原部会長 この物質は分解性もそうですか。

○事務局(経産省) 分解性は、もう既に判定をいただいております。

○西原部会長 高濃縮という判定案の最後の物質について、ご意見等はありませんか。当然のことですが、半減期も長いということですし、よろしいでしょうか。それでは、高濃縮性ということで判定させていただきます。

○井上座長 議題3に移ります。「既存化学物質の審議」の前半に当たりますが、ただいま判定していただいて発生した2つの「難分解性・高濃縮性判定済みの既存化学物質について」、資料3-1に沿ってご説明いただきます。

○事務局(厚労省) ただいま分解性・濃縮性の判定が行われて、難分解・高蓄積であると判定された2物質について説明いたします。それぞれの物質ともに、第一種監視化学物質ということ、すなわち難分解性・高蓄積性で第一種監視化学物質ということですが、こちらのものについて毒性の評価をして、どのような毒性があるかを紹介したいと思います。
 1つ目ですが、官報告示 No.4-16、CAS No.42343-17-9は、現在のところ毒性情報はありません。人の判定案ですが、人への長期毒性については「第一種特定化学物質に該当するかどうか判断するための十分な情報がない」ということにしております。
 2番目ですが、CAS.No.4979-32-2も、先ほど難分解・高蓄積ということで第一種監視化学物質相当と判定いただいたところですが、これは厚生労働省の既存化学物質の安全性点検でReproTox試験を行っております。この結果は、NOELが25mg/kg/day、生殖発生毒性がNOELで100mg/kg/dayという結果が出ておりますが、長期の毒性に関する試験結果はないところです。以上、ご審議のほどよろしくお願いします。

○井上座長 ただいまのご説明について、ご意見、ご発言はありませんか。

○事務局(環境省) 続きまして、高次捕食動物への長期毒性に関することについて説明いたします。1つ目の物質、2つ目の物質ともに、高次捕食動物への長期毒性に関する情報は十分なものがないことから、評価案としては「第一種特定化学物質に該当するかどうか判断するための十分な情報がない」ということにしております。なお、参考として、どちらの物質とも、環境省のモニタリングの結果があり、どちらの物質ともNDという結果になっております。

○井上座長 いまの生態毒性と併せて、ご意見がありましたらお願いします。

○西原部会長 人健康のほうは急性といいますか、亜急性といいますか、そのデータが一応あるわけですよね。慢性のデータはない。環境省のほうも、環境影響のほうで急性のデータもないのですか。もしあれば、それも載せたほうがいいと思うし、評価案として長期の毒性データがないというようにしたほうがいいのではないですか。

○事務局(環境省) いまご質問いただいた件については、下の物質について環境省で実施した急性毒性の試験の結果があります。簡単に説明しますと、藻類生長阻害試験はEC50>0.040mg/L、ミジンコ急性遊泳阻害試験は48hEC50>0.031mg/L、21dNOEC=0.033mg/L、魚類急性毒性試験は96hLC50>0.033mg/Lという結果があります。なお、高次捕食動物についてということですので、今回は記載しておりませんでしたが、記載することについては検討したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○池田委員 先ほどの西原先生のご質問に類似するのですが、資料2、あるいは資料3-1を拝見すると、加硫促進剤はどのぐらいの量が生産されているものなのか、あるいはゴムタイヤなどに使われるとすると、環境からは出ていないということでよろしいのですが、磨耗の段階で放出される可能性があるのかもしれない。もしその辺りの情報がありましたら、お願いします。

○井上座長 事務局、いかがですか。

○事務局(経産省) 量に関しての懸念なのですが、公表されている資料を見たのですが出ていません。それで、生産輸入実態調査のほうで数量は個別に上がってきています。ただ、公表できないというところに入っているので、いまここには書いておりません。タイヤ等の加硫促進剤というようには聞いております。
 補足情報ですが、1点聞いているところは、加水分解性が少しあって、先ほどの資料の中にも加水分解性の試験のデータを付けているのですが、200ppmですか。pH7で半減期が18.6日ということです。実はこれに似たようなものでシクロヘキシル環が1個のものもあるのです。これは分解度試験で完全に加水分解しており、シクロヘキシルアミンが切れた形で、左側のSの付いているのがジスルフィドとなって2個ついたものとシクロヘキシルアミンに分解しております。この物質も加水分解性がある程度あるのかとは思っていますが、分解度試験の中では分解度3%ですので97%残ったということです。そういう補足情報があります。用途・生産量はそういうところです。

○井上座長 ほかにいかがですか。難分解性・高濃縮性ということで、一監相当になるわけですが、これを一特の可能性があるかどうかの判定をするに十分な資料がないということになるわけです。
 この2つの物質を一括して、トリエチルビフェニルと-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドについては、事務局の提案どおり、第一種特定化学物質に該当するかどうか判断するための十分な情報がない、第一種特定化学物質に該当するかどうか判断するための十分な、高次捕食動物への長期毒性試験の評価がない、という判定とさせていただきます。したがって、判定案は第一種監視化学物質相当ということです。

○西原部会長 補足ですが、第一種監視化学物質で評価案のような理由だとすると、データを集める努力を生産会社に勧告はできないのですか。意見としてですね。あるいは国として、そういうデータを取る努力をする予定はあるのですか。

○事務局(厚労省) そちらについてお答えすると、平成15年度の化審法の改正により、その辺の仕組みについて明確にさせていただいたところです。それまでは国が長期の毒性試験を実行したりして行っていたところですが、この改正以後は、国による予備的な毒性評価、これは短期の毒性評価を実施して、まずハザードの評価をする。もう1つは、ばく露の可能性がどのぐらいあるのかという評価を両方して、総合的にその2つを勘案してリスク評価を行います。そのリスク評価の結果、懸念が高いということになると、企業に環境放出量を抑制するための指導・助言をさせていただくということをしております。さらにその後、リスク低減措置の評価をして、リスクの低減をして懸念が低くなればそれで問題ないのですが、懸念がまだ高いということになると、製造輸入業者への有害性調査指示、すなわち慢性毒性試験などを行う指示をさせていただく、という法律上の仕組みになっております。

○井上座長 ただいまご説明の平成15年に改正化審法の審議のときに皆さんにごらんいただいたフローですけれども、皆さんには資料は届いているのですか。

○事務局(厚労省) こちらは本日はありません。今ご説明申しあげた第一種監視化学物質の評価等があるときに、併せて説明したいと思います。

○井上座長 お願いいたします。というわけで、第一種監視化学物質は現在22品目あるところにこの2品目が加わって、24品目になる。それについての取扱いは、いまの事務局からのご説明に即してフォローされる、というようにご理解いただきたいと思います。ほかにはありませんか。
 次に「既存化学物質の審議」の「人健康影響・生態影響について」に進みます。資料は3-2-1に相当いたします。

○中杉委員長 最初の5つを私が担当いたします。最初は1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオンです。資料のご説明をお願いします。

○事務局(厚労省) この分・蓄については、難分解性・高濃縮性でないと判定が済んでおりますので、5物質省略いたします。人健康影響について説明いたします。Ames試験陰性、染色体異常試験陰性、Repro Tox試験は、反復投与毒性については肝の髄外造血の所見を推定根拠としてNOEL300 mg/kg/day、生殖発生毒性については全群で特に影響は認められておらず、NOEL 1000mg/kg/dayとしております。以上より、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL300 mg/kg/dayであることから、事務局判定案は二監相当ではないとしております。

○事務局(環境省) 続きまして、生態影響について説明致します。説明に入る前に、1点ご説明させていただきます。藻類生長阻害試験ですが、一部の試験について毒性値が0-72時間で計算されていないものがございますので、再計算致しまして0-72時間の毒性値を算出した上で審査シートに記載しております。
 生態影響について説明いたします。2頁の藻類生長阻害試験は72hErC50>1000mg/L、72hNOECr=1000mg/Lとなっており、最高濃度区では影響が認められておりません。ミジンコ急性遊泳阻害試験は48hEiC50>1000mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験21dNOEC=100mg/Lということで、最高濃度区では影響が認められておりません。魚類急性毒性試験96hLC50>100mg/Lとなっており、生態影響の判定根拠として、3種の急性毒性試験及びミジンコ繁殖阻害試験において、試験上限濃度で影響が認められていないことから、第三種監視化学物質相当ではないとしております。

○事務局(厚労省) 以上より、人健康影響二監相当でない、生態影響三監相当ではないと、それぞれ判定をしております。ご審議のほどお願いいたします。

○中杉委員長 まず、構造の面からコメントはありますか。よろしいでしょうか。

○渡部委員 特にありません。

○中杉委員長 分解性・蓄積性については審議済みですので、次にAmes試験、染色体異常試験についてのコメントをいただければと思います。

○林委員 これはAmes試験と染色体異常試験ともに限界用量までの試験がされており、陰性として間違いないと思います。それから、ここに出ているデータ以外に、OECDのHPVプログラムによって評価資料として使われて、最近、SAIR、SAIAPにデータが収録されているようです。結果としてはAmesと染色体異常試験がこれとは別に独立して行われており、両方とも陰性ということです。このような信頼性の高いデータがある場合には、審査シートのほうにも書き込んでおくのがいいのではないかと思いますので、次回からでも検討いただければと思います。

○中杉委員長 その件はよろしくお願いいたします。次に反復投与毒性試験と生殖発生毒性試験の併合試験の結果についてコメントはありますか。

○廣瀬委員 反復投与毒性試験については、30、100、300、1000mg/kg/dayの4投与群で行われており、NOELが300 mg/kg/dayになっております。その推定根拠としては、1000mg/kg/dayの雌の群における肝臓の髄外造血となっておりますが、この雌における肝臓の髄外造血は軽微なものが12例中2例あるだけで、そのほか脾臓の重量の増加もない。それから、病理組織学的にも、脾臓で髄外造血の増加はありませんので、毒性学的な意義は低いものと考えられます。

○中杉委員長 一応、これは採用しておくということです。人健康の試験の結果について、ほかの先生方のコメントは何かありますか。ないようでしたら事務局の判定、第二種監視化学物質相当でない、ということでよろしいでしょうか。
 次に生態毒性試験の結果についてのコメントは何かございますか。よろしいですか。この物質は第三種生態毒性について第三種監視化学物質相当でないという判定でよろしいですか。
 全体の判定案としては、人健康影響は、収集された情報からは第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されない、生態影響は、収集された情報からは第三種監視化学物質相当に該当するとは判断されない、ということでよろしいですか。それでは、事務局案どおりの判定案とさせていただきます。
 次の物質に入ります。2,4-ジアミノ-6-フェニル-s-トリアジンです。資料の説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 審査シート3頁です。人健康影響についてAmes試験は陰性、染色体異常試験は+S9mix群で陽性となっていて、D20=0.045mg/mLとなっています。Repro Tox試験は反復投与毒性・生殖発生毒性ともにNOELが4mg/kg/dayです。推定根拠としては反復投与毒性、体重や一般状態、血液学的検査を推定根拠としています。生殖発生毒性については20 mg/kg/day群で見られた哺育不良等を推定根拠としています。
 以上より、Ames試験は陰性であるが、染色体異常試験は陽性、NOEL4 mg/kg/dayであることから二監相当と判定しています。

○事務局(環境省) 続きまして生態影響です。藻類生長阻害試験は72hErC50=71mg/L、72hNOECr=39mg/Lとなっています。ミジンコ急性遊泳阻害試験は48hEiC50=52mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験は21dNOEC=1.9mg/Lとなっています。魚類急性毒性試験は96hLC50>100mg/Lとなっています。なお設定濃度50mg/L以上の濃度区において毒性症状が観察されています。
 生態影響の判定根拠として、3種の急性毒性試験から得られる最も低い毒性値が、ミジンコ急性遊泳阻害試験の48hEC50=52mg/Lであり、かつ、ミジンコ繁殖阻害試験において21dNOEC=1.9mg/Lであることから、第三種監視化学物質相当でないとしています。

○事務局(厚労省) 以上より、人健康影響については二監相当、生態影響については三監相当でないとしています。

○中杉委員長 まず構造からコメントいただきます。

○渡部委員 判定案が真に妥当だと思います。その理由は、各構造上、芳香族1級アミノ基-NH<sub>2</sub>というのがありますけれども、これを持つ化学物質というのはほとんどの場合、毒性が強いということです。しかも、ここの毒性に記載されているように、かなり特徴的な毒性を示しています。そういう意味で判定案は結構かと思います。

○中杉委員長 Amesと染色体異常ですが、染色体異常はもう陽性が出ています。

○林委員 Ames試験のほうは5000μg/plateまで試験されており、結果のほうも問題ありません。染色体異常のほうは構造異常、数の異常も出ています。これは陽性です。特に強いということもなければ軽微ということでもありませんので、陽性という評価でいいと思います。審査シートのところに、「C-mitosisを呈した」というコメントが付いていますが、これは数的異常の誘発が認められていますので、そちらのほうが高次のエンドポイントですから、これは削除しておいていただいて結構かと思います。
 なお、この物質についても人健康影響に係る追加情報があり、やはりOECDのHPVプログラムでも評価されています。いまのものに追加する情報とすれば、マウスリンフォーマTK試験でも一部陽性の結果が出ているのと、マウスの小核試験では陰性であったというものです。

○中杉委員長 それは次回からということで、記載をしていただく方向で先ほどコメントがありました。反復経口投与毒性と生殖発生毒性の併合試験の結果についてコメントいただければと思います。

○前川委員 いま説明がありましたようにRepro Tox試験が添付されていて、用量は4、20、100 mg/kg/dayの3用量群でなされています。その結果、反復投与毒性、生殖発生毒性のNOELは4mg/kg/day、そのNOELの推定根拠は先ほど説明されたとおりでよろしいかと思います。なお、林先生が言われましたが、このものに関してもデータがありますので、やはり今回も追加データとして書かれたほうがいいと思います。

○事務局(厚労省) 今回の審議会後の最後の確認の際には、データを追加して、ご確認いただきたいと考えています。

○中杉委員長 人健康について、ほかにコメントはございますか。

○井上座長 人健康影響の判定根拠の中に加えることはないのですが、NOEL4mg/kg/dayであることを引き出した試験は、反復投与及び生殖発生毒性試験なので、そのことを人健康影響の判定根拠のNOELの前に入れておいたほうがいいのかなと思いますが、いかがですか。

○中杉委員長 判定根拠のところに「NOEL」と単にと書いてありますが、反復投与毒性と生殖発生毒性のいずれからもNOELがあります。

○井上座長 「併合試験によりNOEL」というふうな書きぶりにはしませんでしたか。

○事務局(厚労省) 例えば2つの試験の結果からNOELが異なるときでしょうか。

○井上座長 異なってはいないのです。

○事務局(厚労省) 11頁のいちばん上をご覧いただくと、いままでは試験が2つあった場合に、基本的には反復投与試験のNOELを書いていて、後ろのほうに生殖のような、いわゆる判定基準における長期毒性を示唆するような情報については括弧書きで記載していたところです。今回、例えば「生殖発生毒性試験における」あるいは「反復投与毒性試験及び生殖発生毒性に関するNOELが」という記載をすることも検討しますか。

○井上座長 そうですね。ちょっと検討してみてください。そうしないと数字が独り歩きするような感じがしますので、お願いします。

○中杉委員長 判定案だけが表に出てくるという。

○事務局(厚労省) 書きぶりについては、また先生方にご相談して検討させていただきたいと考えています。よろしくお願いします。

○中杉委員長 よろしいですか。判定案としては第二種監視化学物質相当ということでよろしいですか。生態毒性試験の結果についてコメントがございますか。

○若林委員 ここで喋るべきかどうかわかりませんが、忘れないうちにと思ってコメントします。生態影響試験の判定について、この試験でいいのかなと思いつつ、情報があるかなと思って見たら、溶解度などの情報がないので、予習をちゃんとしてくれば全然問題ないのでしょうけど、ここで判断を求められたときに、生態影響のほうは溶解度の目安でもないと判断しづらいこともありますので、もしできたら次回から入れていただきたいと思います。

○中杉委員長 これは分解性・蓄積性はもう判定済みなので、そこがすぽっと抜けてしまっています。分解性・蓄積性を入れる必要はないですが、基礎的な分・蓄性の情報は入れておいていただくほうが議論がやりやすいということですので、次回からよろしくお願いします。

○白石委員 それはあったほうが当然いいのですが、今回の資料にも実測濃度というのが書かれているので、設定濃度と実測濃度を比べてみると、この物質に関してはほとんど溶けていることがわかります。ほかの物質に関してもそうやって見ていただけると、たぶんご判断いただけると思います。

○中杉委員長 これは大丈夫だろうと思います。事務局として、今後の既存化学物質の審査シートを作るときに入れていただくのは、大した苦労ではないと思いますので、入れておいていただくような形にしていただければと思います。
 生態影響についての判定としては、第三種監視化学物質相当でないということで、よろしいですか。この物質については人健康影響は第二種監視化学物質相当、生態影響は第三種監視化学物質相当でないということでよろしいですか。事務局案どおりの判定とさせていただきます。
 続いて3番目ですが、4-(1-メチルエチル)アニリンです。資料の説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 審査シート6頁です。人健康影響についてはAmes試験は+S9mix群で比活性値=3454 rev/mg、陽性となっています。染色体異常試験は陰性、Repro Tox試験は反復投与毒性試験、脾臓の重量増加や骨髄・脾臓の組織学的所見を推定根拠に、NOEL6mg/kg/dayとしています。生殖発生毒性については4日児生存率を推定根拠に、生殖発生毒性試験のNOELは20 mg/kg/dayとしています。
 以上より、染色体異常試験は陰性であるがAmes試験は陽性、Repro Tox試験における反復投与に関するNOELが6mg/kg/dayであることから、第二種監視化学物質相当としています。

○事務局(環境省) 続きまして生態影響です。藻類生長阻害試験は72hErC50=18mg/L、72hNOECr=0.68mg/Lとなっています。ミジンコ急性遊泳阻害試験は48hEiC50=1.5mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験は21dNOEC=0.0051mg/Lとなっています。8頁、魚類急性毒性試験は96hLC50=46mg/Lとなっており、24mg/L以上の濃度区で毒性症状が観察されています。
 生態影響の判定根拠として、ミジンコ急性遊泳阻害試験において48hEiC50=1.5mg/L、かつ、ミジンコ繁殖阻害試験において21dNOEC=0.0051mg/Lであることから、第三種監視化学物質相当としています。

○事務局(厚労省) 総合判定として二監相当、かつ三監相当としています。

○中杉委員長 まず、構造からコメントいただければと思います。

○渡部委員 この化合物も第1級芳香族アミンですので、先ほどの化合物と全く同様の理由で強い毒性が懸念されます。毒性については毒性の先生方から詳しく述べていただけるだろうと思います。

○中杉委員長 Amesが陽性ですね。

○林委員 これはAmes試験が陽性です。TA100の+S9mixの実験下で3000rev/mgを超えるような比活性値を持つ、かなり強い陽性が出ています。判定基準上は1000rev/mgを超えると「強い」という表現を使うこともあるのですが、今回の場合は一応1000rev/mgは超えていますけれども、反応自身がコントロールの2倍から3倍の範囲ということ、それから用量相関があまりはっきりしていないという状況を考えると、強いて「強い」という表現をとらなくてもいいのではないかと考えます。もちろん陽性であることには変わりありません。

○中杉委員長 表現としては事務局の表現でよいということですね。反復経口投与毒性・生殖発生毒性試験の結果についてのコメントをいただければと思います。

○廣瀬委員 反復投与毒性試験は、Repro Toxが6、20、60 mg/kg/dayの3用量で行われていて、中間用量の20 mg/kg/day以上で、このアニリンに特徴的なメトヘモグロビンの増加を伴うような溶血性貧血が明らかに認められています。その上の用量になると、溶血性貧血のほかに肝臓に対する影響も見られています。NOELは6mg/kg/dayで問題ないかと思います。

○中杉委員長 人健康について、ほかの先生方からコメントがございますか。

○安田委員 生殖発生毒性のNOELの推定根拠のところに、4日児の生存率低下というのだけが書いてありますけれども、この既存化学物質の人健康影響に関する情報、資料3-2-2の59頁を拝見すると、「新生児の形態、体重および剖検所見」というところに、「60mg/kg群で対照群に比べ雄雌とも哺育0日の体重が統計学的に有意な低値を示した」というのが書いてあります。やはり体重低下というのも重要なエンドポイントですので、この推定根拠に、「生後0日体重低下」というのを加えていただいたほうがいいのではないかと思います。

○中杉委員長 よろしいでしょうか。それを加えていただくということで、数字としては変わりません。ほかに人健康につてのコメントはございますか。

○池田委員 前回も同じようなことを申し上げました。おそらくこれは経皮吸収性があろうかと思います。どこかにノートしておいたほうがいいと思います。

○中杉委員長 これは判定案のところに書く話ではないですね。

○池田委員 それはないです。

○中杉委員長 わかりました。人健康については第二種監視化学相当ということになります。生態毒性試験の結果についてコメントはございますか。

○吉岡委員 生態毒性試験のミジンコ急性遊泳阻害試験と繁殖阻害試験の結果で非常に大きな差があります。普通、AC比というのは10~100ぐらいのところまでで収まるだろうと言われています。この結果の場合は300倍ぐらいになっていますので、比較的急性毒性から慢性毒性を予測し難いものであるということが言えるかと思います。

○中杉委員長 判定については三監ということですが、いかがですか。よろしいですか。それでは、全体としてこの物質については人健康影響は第二種監視化学物質相当、生態影響は第三種監視化学物質相当という判定でよろしいですか。それでは事務局案どおりの判定とさせていただきます。
 次に4-エチル-1,1-ビフェニルです。審査シートの説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 審査シート9頁です。人健康影響についてはAmes試験、染色体異常試験ともに陰性です。28日間反復投与試験は、肝・腎の組織学的所見や一般状態等を推定根拠に、NOEL20 mg/kg/dayとしています。また、簡易生殖試験が実施されていて、反復投与に関しては流涎を推定根拠にNOEL 10 mg/kg/day、生殖発生に関しては妊娠期間の上昇の変化等を推定根拠にNOEL 30 mg/kg/dayとしています。判定根拠としては、Ames試験及び染色体異常試験は陰性であるが、28日間試験の結果NOEL 20 mg/kg/day(簡易生殖試験においてはNOEL 10 mg/kg/day)であることから二監相当としています。

○事務局(環境省) 続きまして生態影響です。藻類生長阻害は72hErC50=0.15mg/L、72hNOECr=0.027mg/Lとなっています。ミジンコ急性遊泳阻害試験は48hEiC50=0.27mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験は21dNOEC=0.028mg/Lとなっています。魚類急性毒性試験は96hLC50=0.60mg/Lとなっており、最低濃度区から毒性症状が観察されています。
 生態影響の判定根拠として12頁ですが、藻類生長阻害試験において72hErC50=0.15mg/L、72hNOECr=0.027mg/L、ミジンコ急性遊泳阻害試験は48hEiC50=0.27mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験において21dNOEC=0.028mg/L及び魚類急性毒性試験において96hLC50=0.60mg/Lであることから、第三種監視化学物質相当としています。

○事務局(厚労省) 判定案として二監相当、かつ三監相当であるとしています。

○中杉委員長 まず構造からのコメントをお願いします。

○渡部委員 ビフェニルですが、先ほど西原先生が言われた、いわゆるジアルキルビフェニルの場合、何となく代謝されにくそうな構造ですねということは、これには当てはまらないようです。しかし、おそらくはかなり排泄が遅いのではないかなと思います。ただし、高濃縮性ではない。毒性については残念ながらこの各構造から、こういう典型的な毒性がありますよということは私は申し上げられないと思います。

○中杉委員長 西原先生はよろしいですか。Amesと染色体異常はいずれも陰性です。

○林委員 これは両方とも問題ないと思います。陰性で結構です。

○中杉委員長 28日間反復投与毒性試験、簡易生殖試験の両方ありますが、コメントをいただければと思います。

○前川委員 28日毒性試験ですが、20、100、500、1000 mg/kg/dayの4用量群でなされています。その結果、NOELは20 mg/kg/dayということです。推定根拠はここに書いてあるとおりで、推定根拠の1つとして流涎を挙げています。ただ、この流涎に関してはこのもの自身が、ここの推定根拠に書いてあるように胃にびらんが起こる、すなわち局所刺激性がかなり強い。単回投与の毒性試験やその他で鎮静とか活動性の低下という所見は確かに出ているし、この試験でも腹臥位であるとか深大呼吸という所見は出てはいますけれども、はっきり神経毒性を示唆するような所見は出ていません。ですから、まず刺激性があるということは明らかですので、少なくとも一般状態の流涎というのはNOELの推定根拠から外したほうがいいのではないかと思います。ただ、28日間反復投与毒性試験は、たとえその所見を外したとしても、NOEL 20 mg/kg/dayには変わりありません。
 ただ、いまの流涎というものを推定根拠から外すと、簡易生殖試験のほうの反復投与毒性のほうがNOEL 10 mg/kg/dayではなく、30 mg/kg/dayということになろうかと思います。

○中杉委員長 よろしいですか。いま、流涎は採用しなくてよろしいのではないかということですが、ほかの先生からコメントはございますか。

○前川委員 もう1つ言い忘れていました。28日間反復投与毒性試験で「他の毒性」のところではいろいろ書いてあります。特に組織学的な所見のところで腎臓に皮質の尿細管拡張、髄質の塩基性尿細管・尿細管拡張ということが書いてありますけれども、尿細管拡張は両方に出ていますので「皮質/髄質尿細管拡張」ということでしていただきたいということ。もう1つ、この試験では乳頭の壊死が見られています。これは回復性のほうにもそうなのですが、腎臓の所見の中で、いま申し上げたように尿細管の拡張であるとか塩基性尿細管というのは、対照群でもよく見られる変化なのです。たまたまこれが投与群で増えています。ただ、この乳頭壊死というのは普通ではまず見られない変化です。ですから有意差は確かに出ていないのですが、他の毒性として高用量群で出ていますし、回復性にもまだ一部残っているということで、これは追加していただいておいたほうがいいと思います。

○中杉委員長 事務局、わかりますか。

○事務局(厚労省) そうしますと「他の毒性」と「回復性」の欄にも、腎の乳頭壊死を入れたほうがいいということですか。

○前川委員 はい。

○井上座長 前川先生、簡易生殖のコメントもいただきたいと思いますが、いまの流れでいくと二監相当に相当するのかどうかということになってくる面もあるわけです。そこで、流涎は神経毒性ではなかろうと。全体的に果たしてこれはどう判定されるべきものなのかという点を、もう少しご議論いただければと思います。

○前川委員 判定根拠のところで「(簡易生殖においてはNOEL 10mg/kg/day)」というのが消える形になるかと思います。ですからNOELは20 mg/kg/dayということになるかと思います。今度は毒性の内容ですが、毒性の内容を考えてみたらそんなに強い毒性ではありません。また、非常に特異な毒性でもありません。ただ、回復性があまり良くないとうことかと思います。
 それから、先ほども少し申し上げたように、腎臓の変化とか何かは普通によく見られる毒性の変化ですが、乳頭壊死とかいう変化というのは、そうそう見られる変化ではないだろうということです。標的が肝臓、脾臓あるいは消化管と多岐にわたっています。回復性も少し悪いということ。しかもNOELは20 mg/kg/dayでそんなに低くはありませんが、そんなに高いわけではない。そういうことから考えれば、一応、二監相当でよろしいのではないかと私は思います。

○廣瀬委員 それに加えて、これは500 mg/kg/dayの雄、1000 mg/kg/dayになると雌雄でかなり死亡例が出ています。この死亡の原因が急性腎不全ということなので、病理組織学的には尿細管の壊死が起こっているということです。ですから先ほどの腎乳頭の壊死に加えて、皮質の尿細管にも壊死が起こるということで、その皮質尿細管の壊死は死につながるようなかなり重篤なものであるということを考えると、やはりこれは二監相当でもいいのではないかと思います。

○渡部委員 もしこれが二監相当でないのではないかとなったら、化学構造の上から私は席を蹴って退室したいですね。

○江馬委員 生殖発生毒性のほうの反復投与毒性のNOELが30 mg/kg/dayで、これは推定根拠は雄の体重の低値ということになると思います。それで雌のほうは体重には差が出てきていないのですが、いわゆる生殖発生毒性で出産率、児の生存率が100 mg/kg/dayで低下しています。300 mg/kg/dayになると生存児は得られなくて、結構強い生殖発生毒性かと思います。

○井上座長 ご議論いただいて有益だったと思いますが、この毒性は全体的に討論すると二監相当であるというところに、討論して頂くとただいまのご議論のような結論に到達するわけです。この最低レベルでのNOEL近辺での毒性は、一見、幅広にいろいろ出てくるけれども、それほど強い毒性に見えない。その辺のところを皆さんのご議論を前提に、教訓にしておきたいと考える次第です。

○中杉委員長 二監であるという判定で、ご意見は一致したかと思いますが、表現ぶりはいかがですか。単に「NOEL 20 mg/kg/dayであることから」でよろしいですか。それとも先生方からコメントがあったものを、どういうふうにまとめるかというのはなかなか難しいですけれども。

○井上座長 そうなのです。そこのところは是非、ここである程度定式化しておいたほうがいいのではないかと思います。前川先生、いかがですか。

○前川委員 先ほど私が申し上げたように、あるいは廣瀬先生も言われたように、特に腎毒性も少し強い腎毒性である、あるいは回復性も少し悪いということを書いていただいたらよろしいかと思いますが、廣瀬先生、どうでしょうか。

○廣瀬委員 そうですね、そういうことでいいかと思います。

○中杉委員長 強い腎まで入れるか、一般的な話でいくと「腎毒性」というふうな表現をするのか、「強い腎毒性も見られ回復性も悪く、NOEL 20 mg/kg/dayであることから」としますか。

○事務局(厚労省) 生殖のほうについても発言があったかと思いますので、その点も含めて、いま言われたことを基に判定根拠を記載します。また、その記載案については記載後にご確認いただくようにさせていただきます。

○中杉委員長 そういうことでよろしいですか。事務局に作業していただいて、関連の先生に少し表現ぶりを見ていただくことにしたいと思います。生態毒性の試験の結果についてのコメントをいただきたいと思います。これは4つとも判定に引っかかるということで三監相当ということになっていますが、よろしいですか。この4-エチル-1,1-ビフェニルについては、判定案としては人健康影響第二種監視化学物質相当、生態影響は第三種監視化学物質相当という判定ですが、よろしいですか。では、事務局案どおりの判定案とさせていただきます。
 次に1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタンです。

○事務局(厚労省) 審査シート13頁です。人健康影響についてはAmes試験、生色体異常試験は陰性、Repro Tox試験の反復投与毒性試験において体重の低下、血液生化学検査等を推定根拠に、反復投与毒性についてはNOEL 300 mg/kg/day、生殖発生毒性については全群で特に影響は認められておらず、NOEL1000 mg/kg/dayとしています。以上より、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL 300 mg/kg/dayであることから二監相当でないとしています。

○事務局(環境省) 続きまして生態影響です。藻類生長阻害試験は72hErC50>1000mg/Lで、72hNOECr=1000mg/Lで、最高濃度区では影響が認められていません。ミジンコ急性遊泳阻害試験は48hEiC50>1000mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験は21dNOEC=88mg/Lということで、限度濃度では影響が認められていません。魚類急性毒性試験は96hLC50>100mg/Lということで、生態影響の判定根拠としては、3種の急性試験及びミジンコ繁殖阻害試験において、試験上限濃度で影響が認められないことから、第三種監視化学物質相当でないとしています。

○事務局(厚労省) 以上より、収集された情報からは二監相当でない、三監相当でないとそれぞれしています。

○中杉委員長 まず構造からコメントはございますか。

○渡部委員 特にありません。

○中杉委員長 Ames、染色体異常試験は陰性です。

○林委員 これも特にコメントはありません。陰性で結構です。

○中杉委員長 反復経口投与毒性試験・生殖発生毒性試験の併合試験の結果はいかがですか。

○廣瀬委員 Repro Toxが100、300、1000 mg/kg/dayで行われていて、反復投与のNOELが300 mg/kg/dayになっています。特に問題はないと思いますが、1000 mg/kg/dayでGOT、GPT等が増加しているとなっていて、この辺は用量相関性もあるので影響ではあると思いますけれども、脾重量の増加もありませんし、病理学的な所見もありませんので、毒性学的な意義は弱いものと思います。全体の毒性としては弱いものと考えられます。

○中杉委員長 人健康について、ほかの先生からのコメントはございますか。よろしいですか。それでは、人健康については第二種監視化学物質相当でないということで、よろしいですか。生態毒性試験についてのコメントをいただければと思います。

○吉岡委員 この化合物に限ったことではありませんけれども、これはセットとして藻類、ミジンコ急性、ミジンコ繁殖及び魚類急性毒性試験が行われています。普通でいくと急性をやって繁殖にいく。急性をして、その結果を見てから繁殖阻害試験というものにかかっていくのが、コスト的にもパフォーマンス性が非常にいいということになります。今後、必要に応じて柔軟に試験が実施できるような体制を考えていただきたいというのが1つです。
 もう1つは、この物質についてミジンコ急性遊泳阻害試験の設定濃度が1000mg/Lになっていますが、何のためにするかという部分のところで、この化審法の関係であると1000 mg/Lをする必要はなくて、そのワンランク下でもいいということになります。どういう方針でもって濃度設定を行うのかも、一度、ご考慮いただきたいと思います。

○中杉委員長 結果としては三監相当でないということで、よろしいですか。いまの吉岡先生のコメントは事務局のほうでご検討いただいて、今後議論していきたいと思っています。
 1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタンについては、判定案が第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されない、第三種監視化学物質相当に該当すると判断されないということですが、よろしいですか。それでは事務局案どおりの判定とします。

○西原部会長 次の3-1307の説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 審査シート15頁です。Ames試験は陰性、染色体異常試験は陰性、Repro Tox試験は反復投与毒性に関しては肝の所見等を推定根拠にNOEL 10 mg/kg/dayとしています。生殖発生毒性関係については出生率の低下を推定根拠としてNOEL 50 mg/kg/dayとしています。以上より、Ames試験及び染色体異常試験は陰性であるが、NOEL 10 mg/kg/dayであることから二監相当としています。

○事務局(環境省) 続きまして生態影響です。藻類生長阻害試験は72hErC50>50mg/L、72hNOECr=50mg/Lで、最高濃度では影響が認められていません。ミジンコ急性遊泳阻害試験は48hEiC50>50mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験は21dNOEC=10mg/Lということで、最高濃度区では影響が認められていません。魚類急性毒性試験は96hLC50>50mg/Lということで、生態影響の判定根拠として、3種の急性毒性試験及びミジンコ繁殖阻害試験において、溶解限度で影響が認められていないことから、第三種監視化学物質相当でないとしています。

○事務局(厚労省) 判定案としては、人健康影響に関しては二監相当、生態影響については三監相当でないという判定案にしています。ご審議のほどお願いします。

○西原部会長 ただいまのご説明について、まず分・蓄に関しては判定済み。構造のほうでコメントはありますか。

○渡部委員 これも、かつて大騒ぎになった。おそらくこの物質もプラスチックの可塑剤として使われるのだろうと思いますが、特にこの代謝物であるモノエステルが、かなり強い催奇形性があるということです。ここの表現ですと、生殖発生毒性というところに該当するのかなと思いますが、この点は後で毒性の先生にご説明いただければと思います。そういう点で、極めて問題の化合物だと思います。

○西原部会長 私のほうから、分解性でモノエステルになる可能性というのはなかったのかなと思います。

○渡部委員 生体内でですか。

○西原部会長 そうでなくて環境中でも。分解性試験のときにエステルは切れますか。

○渡部委員 いいえ、インテークされて、生体内で。

○西原部会長 分解性テストは難分解性になりますけれども。

○渡部委員 それは私は知りません、環境中の話は。

○西原部会長 健康影響とか、それをジエステルでやっているのです。フリーのサリチル酸もモノエステルもやっていないわけです。分解性をやったときに、そういう分解生成物というのか、代謝産物というのは出てこなかったのかなと、判定したときにです。

○事務局(経産省) BOD分解度で約4割ぐらい、直接定量で5~6割分解しています。フタル酸エステル系の化合物でもう少し短いのは良分解性判定をいただいていて、ちょうど微妙なところだったかなと思っています。

○西原部会長 いずれにしても、これはサンプルとしてはジエステルでやっているのですね。Ames染色体について陰性です。

○林委員 Ames染色体については陰性で問題ないのですが、この審査シートの表記のことです。染色体異常のほうは4.750mg/mLとなっていますけれども、これは検体自身が液体ですので、実際にこの最高用量は原液を使っています。したがって、その記載方法として、5μL/mLというのがガイドラインにも書いてあると思いますので、それを採用しておいたほうが良いと思います。

○西原部会長 ほかに先生方からございませんか。それでは陰性ですけれども、いまの点を書いてください。次に反復経口投与・発生毒性、Repro Toxの値です。

○前川委員 Repro Toxの試験は10、50、250mg/kg/dayの3群でなされています。その結果、先ほど説明がありましたように反復投与でのNOELは10 mg/kg/day、生殖発生毒性でのNOELは50 mg/kg/dayです。推定根拠としては、ここに書いてあるように特に肝の相対重量の増加、あるいは肝の組織学的所見が出ていますし、生殖発生毒性では出生率の低下ということが見られています。さらに高用量を見ると腎臓への影響も見られます。なお、先ほど渡部先生が言われたような催奇形性というのは、はっきりしていないようです。
 ここでも反復投与の推定根拠の1つに流涎が挙げられていますが、この試験の場合には、はっきりと刺激性を示す所見が出ていない。逆に神経毒性を示すような所見もないので、この流涎のところはわかりませんけれども、一応、この場合は挙げておいてもよろしいかと思います。

○西原部会長 人健康に関しては事務局案としては、ここに書いているように第二種監視化学物質相当ということですが、これでよろしいですか。その次に生態影響のほうについてコメント等ございませんか。よろしいですか。生態影響に関しては第三種監視化学物質相当ではないということで、よろしいですか。ではそういうことにさせていただきます。
 次の物質で、2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホン酸について説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 審査シート17頁です。Ames試験は比活性値=42.1 rev/mgの陽性です。42.1rev/mgの値が出たのは-S9mix群です。染色体異常試験は陰性です。Repro Tox試験で反復投与については、胃の組織学的所見を推定根拠にNOEL175 mg/kg/day、生殖発生毒性については特段影響は認められておらず、NOEL 700 mg/kg/dayとしています。以上より、Ames試験は陽性であるも軽微であり、染色体異常試験は陰性、NOEL 175 mg/kg/dayであることから二監相当でないとしています。

○事務局(環境省) 次に生態影響です。藻類生長阻害試験は72hErC50=120mg/L、72hNOECr=65mg/Lとなっています。ミジンコ急性遊泳阻害試験は48hEiC50=130mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験は21dNOEC=16mg/Lとなっています。魚類急性毒性試験は96hLC50>100mg/Lとなっています。生態影響の判定根拠として、3種の急性毒性試験から得られる最も低い毒性値は、藻類生長阻害試験の72hErC50=120mg/Lであり、かつ、ミジンコ繁殖阻害試験において21dNOEC=16mg/Lであることから、三監相当でないとしています。

○事務局(厚労省) 以上より、収集された情報からは二監相当でない、三監相当でないと、それぞれしています。ご審議のほどお願いします。

○西原部会長 構造のほうからコメントはございませんか。

○渡部委員 これは構造の中に芳香族ニトロ化合物です。この委員会の初めのころに、芳香族1級アミンを含むから、だから毒性があるのだというふうに申し上げたのとちょうど裏腹の関係で、ニトロもアミノも共通の酸化還元代謝物ヒドロキシルアミン、あるいはニトロソという中間体を生成して毒性を発現します。ところが、もし-SO3H、スルホン酸という極めて極性の高い官能基が付いてなければ、これは立派に二監相当になるはずですけれども、-SO3Hが付いているために極めて吸収されにくいと思われます。その分だけ毒性がうんと低下しているのではないかと思っています。

○西原部会長 ほかに構造からございませんか。次にAmes・染色体試験についてのコメントをお願いします。

○林委員 染色体のほうは陰性として問題ありません。Ames試験のほうも陽性で問題ないのですが、事務局案で判定根拠のところに「Ames試験は陽性であるも軽微であり」というふうに書いてあります。この軽微な陽性と判断する基準としては、再現性や用量依存性に乏しい場合等というようなことになっているのですが、今回のものに関して見てみると、TA98の-S9mixの状況では、かなり明瞭な用量活性相関が見られています。したがって、これを軽微と言うのはどうかなというふうに考えています。そうなると、かなり総合的な判定が微妙になるのですが、この辺は28日というか、一般毒性のほうの状況次第かなと思います。

○西原部会長 NOELのほうはどうですか。

○廣瀬委員 Repro Toxの試験であり、投与量は175、350、700 mg/kg/dayで行われています。NOELは175mgでよろしいかと思います。その推定根拠としては、主に消化管に標的があるようで、前胃では境界縁粘膜の過形成、腺胃では噴門部粘膜の萎縮が見られています。さらに1つ上の用量になると腺胃にびらん、あるいは表層の出血が見られて、特に雌では12例中2例が消化管出血で死亡しています。あと、血液の鉄が増加しているという所見があるのですが、この鉄の増加というのは一般的に吸収が増加したり、あるいは鉄芽球性の貧血、あるいは溶血性の貧血が起こると、こういう状態になるのですが、そういう病変もありませんので、この毒性学的な意義はよくわかりません。いずれにしてもNOELが175 mg/kg/dayということで、さほど強い毒性があるとは考えられません。

○西原部会長 回復性は実施せずということで、事務局案は、Ames試験は陽性であるも軽微であるということですが、どういうふうにしますか。結論的には第二種監視化学物質相当ではないということです。

○廣瀬委員 Repro Toxの試験から考えると、それで特に問題はないと思いますが、逆にAmesのほうが心配です。

○林委員 ほかの専門委員の方にも聞いていただきたいのですが、このAmesのほうも確かに「軽微である」という表現は少し言い過ぎかなと思いますが、これだけで指定にするほどの強さのものではないと思います。

○清水委員 このデータを見ると、TA100の-S9でも2倍までは達しないのですが、少し増えている。TA100で+S9のほうは明らかに陽性になって、これは10の1乗オーダーなのです。TA1537の-S9でも倍以上増えていますから、軽微ではなくて弱い陽性という判断のほうがいいと思います。

○西原部会長 表現としては、「弱い陽性であるも」と書いていいですか。ということで第二種監視化学物質相当ではないということにさせてもらいます。生態影響のほうでコメント等ございませんか。生態影響のほうは、データから第三種監視化学物質相当ではないとします。結論としては両方とも相当ではないという結論です。

○事務局(厚労省) 先ほどのこの物質に関する判定ですが、念のために確認します。Ames試験は判定基準における陽性で、軽微でもなく強い陽性でもないということで、よろしいでしょうか。そうしますと今回はNOEL 175 mg/kg/dayということで、28日間反復投与毒性試験においてはNOEL、概ね25 mg/kg/day以上、250 mg/kg/day未満の場合というものがあります。

○西原部会長 言葉としてはまだですが、「Ames試験は弱い陽性であるも」としたらいかがですか。

○事務局(厚労省) もしこのままNOEL 175 mg/kg/dayであると、判定基準上は二監相当ということになりますが。

○井上座長 そこのところが、これまでの経験の蓄積で作り上げてきた判定基準と少しズレの出るケースだということになるわけで、多少ご討論いただくのもよろしいかと思います。この物質について判断しますと、今まで使ってきた変異原性と28日間反復投与毒性試験、それからこの場合には既存ですから生殖発生毒性併合試験も総合するわけですけれども、どう合わせ技をもってしてもなかなか二監相当とは判定しにくいというところが、各委員の先生方のご意見を総合したところではないかと感じています。
 もともとこの判定基準というのは、皆さんのそうした議論の上に積み重ねて総合してみると、そのような値になっているということですので、こういうケースがあっても致し方ないのかなと座長としては感じますが、皆さんの忌憚のないご意見をお聞きしたいと思います。

○西原部会長 毒性関係の先生、どうでしょうか。

○前川委員 いま廣瀬先生が言われたようにNOELは問題ない。そんなに低いわけではない。しかも毒性の内容が、あくまで直接的な刺激性に伴う変化です。そういう意味では、濃い濃度では確かに影響は出ますけれども、低い濃度であればまず出るような変化ではないだろうと思います。毒性の特殊性から見ても問題ないだろうと思います。

○事務局(厚労省) そうしますと、いまのご意見を総合して、具体的には文面等を最終的にご確認いただきたいと思いますが、Ames試験は陽性、染色体異常試験は陰性、28日間反復投与毒性試験についてはNOEL 175 mg/kg/dayであるが、毒性学的な意義が比較的軽微というか、刺激性に伴うものであるからというような書きぶりで、二監相当でないとさせていただきたいと考えています。

○西原部会長 そのような結論で判定させてもらいます。

○井上座長 ありがとうございました。蛇足になりますけれども、傍聴の方々もおられますので確認しておきたいのは、こうした人影響に関する討論は、その毒性の質といったものを総合して判断しています。その結果、一応、私どものこれまでの経験から事務局で積み上げられた基準を持ちながら討論しているわけですが、このように、そうした基準からやや外れるものも出てくるのだということを、改めて申し述べておきたいと思います。ありがとうございます。

○池田委員 コメントではないのですが、文字の修正です。18頁の3行目で「一般状態」の次の「喘鳴」とあるべきところですけれども、文字が間違っています。

○事務局(厚労省) 申し訳ありません。修正させていただきます。

○西原部会長 よろしいですか。ほかに文字の間違い等ありませんか。
 次の物質のo-アセトアセトトルイジドについて説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 審査シート19頁です。これは変化物があり、本物質と変化物について説明します。本物質についてはAmes試験陰性、染色体異常試験はD20=5.14mg/mLで陽性です。Repro Tox試験については、反復投与毒性については血液検査等を推定根拠に、NOEL 25 mg/kg/dayとしています。生殖発生毒性については、特に影響は認められず、NOEL 250 mg/kg/dayとしています。本物質については、Ames試験陰性、染色体異常試験は軽微な陽性であり、NOEL25であることから、二監相当でないとしています。
 一方、変化物のo-トルイジンは審査シート22頁の記載のように、既に告示済みで二監相当となっています。
 総合判定として、当該物質は、本体は二監相当ではないが、変化物が既に二監相当と告示済みであるため、総合判定としては二監相当としています。

○事務局(環境省) 続きまして、生態影響についても本物質と変化物について説明いたします。本物質の藻類生長阻害試験72hErC50=750mg/L、72hNOECr=170mg/Lとなっています。ミジンコ急性遊泳阻害試験48hEiC50=930mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験21dNOEC=10mg/Lとなっています。魚類急性毒性試験96hLC50>100mg/Lとなっており、本物質については、3種の急性毒性試験から得られる最も低い毒性値が72hErC50=750mg/Lであり、ミジンコ繁殖阻害試験において21dNOEC=10mg/Lであることから、第三種監視化学物質相当でないとしています。
 変化物であるo-トルイジンについては、既にご審議いただいており、第三種監視化学物質相当としています。
 総合判定として、当該物質については三監相当でないが、変化物については第三種監視化学物質相当であることから、総合判定として第三種監視化学物質相当としています。

○事務局(厚労省) 以上より総合判定として、二監かつ三監相当としています。ご審議のほど、よろしくお願いします。

○西原部会長 この物質の構造から。

○渡部委員 環境中でのo-トルイジンへの変化ということが、これは消化管から吸収された後、哺乳動物及び人体の中でも速やかに起こってまいります。それでo-トルイジンが生体の中で生成する。そして毒性を発揮することになります。以上です。

○西原部会長 そのほかの先生方からございませんか。o-トルイジンは塩素イオン濃度判定試薬ということで、プールの塩素殺菌の程度を測るのに使っていたのですが、たしか、発がん性の疑いがあったということで、最近はなかなか使えないようになった物質です。
 まず、親物質のAmes試験・染色体異常試験についてコメント等をお願いいたします。

○林委員 Ames試験は陰性で、問題ないと思います。染色体異常のほうも、事務局案どおり、軽微な陽性としていいと思います。最高用量の1用量のみで10%以下の異常ということですので、軽微という言葉を使っていいかと思います。

○西原部会長 清水先生、よろしいですか。

○清水委員 はい。

○西原部会長 親物質の反復経口投与毒性、Repro ToxのNOELについて。

○前川委員 これはRepro Toxの試験は8、25、80、250 mg/kg/dayの4用量でなされています。その結果、先ほど説明があったように、反復投与毒性のNOELは25 mg/kg/dayと。推定根拠はいろいろ血液学的な変化、溶血性貧血が出ているということを根拠に、25 mg/kg/dayになっています。それはよろしいのですが、問題は人健康影響判定根拠として、Ames試験は陰性、染色体異常試験は軽微な陽性であり、NOEL 25 mg/kg/dayであることから二監相当ではない。これは先ほどのものと逆の形ではありますが、25 mg/kg/dayであることは間違いない。ただ私としては、25 mg/kg/dayは間違いないのですが、25mgであるという推定根拠になった判定根拠が、この物の毒性そのもの、溶血性貧血そのものです。例えば、より高用量では溶血性貧血が出ているが、NOELの推定根拠としては、肝臓にヘモジリデン沈着が見られたとか、その結果としてそういう変化があったというようなものを根拠に、25としたのではない。文字どおりのその毒性が、これはo-トルイジンの毒性とも全く一緒です。しかも25である。決して100を超えるものでもないし、非常に低い量であることを考えれば、この物自身も、もう二監相当であるとすべきであろうと思います。
 o-トルイジンはもう審議されていますので、省略します。

○西原部会長 この親物質も二監相当であるということのご意見ですね。

○前川委員 そうです。

○西原部会長 ほかの先生方で、ご異議のある先生方おられますか。
 それでは、この物質に関しても判定案を二監相当であるとさせていただきます。

○事務局(厚労省) 判定の案については、いま前川委員からご発言いただいたように、「溶血性貧血の重要な変化が認められたことから」というような一言を加えて、二監相当としたいと考えています。

○西原部会長 親物質の環境生態影響でコメント等ございませんか。よろしいですか。親物質に関して、生態影響の判定としては、第三種監視化学物質相当ではない。変化物質、o-トルイジンに関してですが、これは生態影響のほうも審議済みですね。
 分解生成物、代謝物が人健康は第二種監視化学物質、生態影響は第三種監視化学物質相当、両方とも相当となっており、総合判定としては両方とも二監相当、三監相当ということですが、それでよろしいですか。それでは、この物質に関してはそのようにいたします。

○事務局(厚労省) 次は24頁の3-アミノフェノールです。Ames試験の結果は陰性、染色体異常試験の結果は24時間処理群で構造異常の誘発が見られており、D20値=0.12mg/L。28日間反復投与毒性試験としては、腎の組織学的所見を推定根拠に、NOEL80 mg/kg/dayとなっています。判定根拠としてAmes試験は陰性であるが、染色体異常試験は陽性、NOEL80 mg/kg/dayであることから、二監相当としています。

○事務局(環境省) 生態影響ですが、こちらについては既に審議済みでして、第三種監視化学物質相当としています。

○事務局(厚労省) 判定案としては人健康影響二監相当、生態影響については審議済みで三監相当となっています。

○西原部会長 人健康のみの審議になりますが、構造からコメント等を。

○渡部委員 これは芳香族1級アミンであることに尽きると思います。理由はもう申し上げたとおりです。つまり強毒性だということですね。

○西原部会長 ほかの先生から、血液その辺の毒性から。Ames試験・染色体異常試験に関してコメントございませんか。

○林委員 Ames試験は陰性です。染色体異常試験陽性で問題ないと思います。ただ、この審査シートの書き方ですが、染色体異常のほう「細胞毒性のため○○まで観察」と書いてありますが、実際にはコンフルエンシィーというか、細胞がどれぐらいあるかということを見た場合にはほとんど毒性が現れていない。けれども、分裂像がほとんどないことが観察の上限根拠になっていますので、そういうように書いておいたほうがいいと思います。「分裂像の極端な減少のため」いうような表現のほうがいいと思います。

○西原部会長 では28日間反復投与毒性試験について。

○廣瀬委員 投与量が80、240、720 mg/kg/dayの3用量で行われており、毒性の標的は腎臓、それから血液、この血液は溶血性貧血、それから甲状腺、肝臓にあります。ただ、いずれの蔵器においてもその毒性はさほど強いものではなく、最高用量で主に見られているだけです。その下の240 mg/kg/dayで見られているのが、雌の腎臓で、褐色色素が増加するというだけの非常に軽微なものであり、これ自体の毒性学的な意義は明らかではありませんが、投与の影響ではあろうかと思います。最高用量では、その他に雌雄で、流涎だけならいいのですが、それに加えて振戦が出ていますので、何らかの神経への影響があるかと考えられます。NOELは80 mg/kg/dayということでいいのですが、この神経学的な異常が出ているということ、それから染色体異常が陽性であるということを考えると、二監相当であっても特に問題はないかと思っています。

○西原部会長 その他の先生方でコメントございませんか。

○池田委員 いま最後のところでおっしゃったことに非常に賛成なのですが、つまり「人健康影響判定根拠」のところにもう一筆、具体的には、神経毒性が明らかだということがないと、これだけだと二監というのにすぐにはつながらないと思います。

○西原部会長 内容的にですね。そのように修文をお願いできますか。

○事務局(厚労省) 検討いたします。「最高用量で神経毒性も見られることから」という形で、追記したいと考えています。

○西原部会長 お願いいたします。この物質に関しては、生態影響については審議済みですが、生態影響に関して少しコメント等、ご意見のある先生はございませんか。
 それでは、この物質に関しては判定案にあるように、人健康が第二種監視化学物質相当、生態影響も第三種監視化学物質相当ということにいたします。
 それでは4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール。

○事務局(厚労省) 27頁です。Ames試験の結果陰性、染色体異常試験の結果も陰性、28日間反復投与毒性試験、NOELは100 mg/kg/dayとなっています。記載のとおり、尿検査、肝の相対重量、腎の組織学的所見等を推定根拠としています。判定根拠としては28頁、Ames試験・染色体異常試験は陰性で、NOEL100 mg/kg/dayであることから二監相当でないとしています。ご審議のほどよろしくお願いを申し上げます。

○西原部会長 これは人健康だけですね。まず構造上から。

○渡部委員 有名なビスフェノールAからフェノール性のOHを1つ取り払ったものです。これで気になるのが、エストロジェン様作用ですが、これについてはやはり西原先生からコメントを是非とも頂戴したいと思います。

○西原部会長 まず私もそのように思ったのですけれども、あるとは思います。ただ、それほど強くはない。ビスフェノールよりは弱いと思います。全くないとは言えないと思います。

○渡部委員 それ以外に何か特徴的な毒性を表す、そういう官能基が含まれていませんので、この事務局案は妥当かなと思います。

○西原部会長 Ames試験、染色体異常試験に関してコメントはございませんか。

○林委員 Ames試験は陰性、染色体異常も陰性です。

○西原部会長 28日間反復投与毒性のNOELについて。

○前川委員 これはRepro Toxではなくて、28日反復投与毒性試験がなされていて、100、300、1000 mg/kg/dayの3用量でなされています。その結果、メインの標的臓器は肝臓あるいは腎臓です。あるいは血液系にも変化が少し出ています。その結果、NOELとしては100 mg/kg/dayということでよろしいかと思います。消化管のほうには影響は出ていません。

○西原部会長 その他の先生方でコメントございませんか。それでは、この物質に関しては、人健康影響で第二種監視化学物質に相当するとは判断されないとさせていただきます。

○井上座長 それではメチレンジフェノールから5つ、これから検討します。では、お願いいたします。

○事務局(厚労省) 29頁です。Ames試験陰性、染色体異常試験陽性、短時間処理群で構造異常の誘発が見られています。D20値としては0.010 mg/mLとなっています。推定根拠としては、コレステロールの低下を推定根拠に、NOEL8mg/kg/dayです。判定根拠としては、Ames試験は陰性であるが、染色体異常試験は陽性、NOEL8mg/kg/dayであることから二監相当としています。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○井上座長 これからの5物質は、環境生態影響はありませんので、このままダイレクトにご審議いただきます。これはビスフェノールFと呼ばれているものですが、構造上の問題についてコメントをお願いします。

○渡部委員 真ん中のジメチルが取り払われて、Hになっていますが、こうなりますとおそらくフェノールとしての性質が非常に強調されるのだろうと思います。すなわち、サイトトキシシティですね。西原先生にやはりコメント頂戴したいのですが、この構造でかなり極性が低くなっていますので、エストロゲンリセプターに対する相互作用はビスフェノールAに比べて。

○西原部会長 弱いです。

○渡部委員 弱いでしょうね。

○西原部会長 調べてくるの忘れましたが、レセプターの結合活性のデータは出ているかもしれないと思います。

○渡部委員 化学構造上からその程度です。

○井上座長 ありがとうございます。それではAmes試験、染色体異常試験について、お願いします。

○林委員 Ames試験は陰性、染色体異常試験のほうは陽性です。D20はかなり低いのですが、用量相関はあまりはっきりしない。最後の用量のみで出ているような反応ですので、強くはないと思います。

○井上座長 ありがとうございます。それでは28日間反復投与、お願いします。

○廣瀬委員 28日間反復投与毒性試験は、投与量が8、40、200、1000 mg/kg/dayの4用量で行われていて、主な毒性の標的としては肝臓です。肝臓では、GPTは1000 mg/kg/dayで増加していまして、比重量は200 mg/kg/day以上で増加する。肝細胞肥大も、200 mg/kg/day以上で……数が増加しているということです。その他に、前胃でも過形成が見られています。問題は、このトータルコレステロールですが、トータルコレステロールの減少は確かに用量相関性があって、影響ではあるのですが、40 mg/kg/dayでの減少というのは非常に軽微で、これをもって、NOELが8mg/kg/dayで二監相当というのは、この28日間の毒性試験からは少しきついのではないかと思いますが、一応、染色体異常試験が陽性ということを考えると、合わせ技ということでしょうか。それでもまあ、仕方がないかなと思います。

○井上座長 ありがとうございます。それでは全般的なコメントがありましたら、お願いします。

○前川委員 いま廣瀬先生がおっしゃったことに、一言だけ付け加えます。先ほど内分泌撹乱云々ということがお話に出ましたが、この物も、あるいは、もう1つ前のもそうですけれども、少なくも28日間の反復投与毒性試験から見る限りにおいては、雄及び雌の生殖系、あるいは下垂体を含めた内分泌系にはっきりとした影響は出ておりません。なお、この物に関しては40 mg/kg/day以上の雄で、すなわち全投与群で、下垂体の重量が増えているのですが、はっきりとした用量相関はありませんし、甲状腺も含めて、その他の関連臓器に影響は見ておりませんので、これは偶発的重量増加であって、影響ではないだろうというように思います。

○井上座長 ありがとうございます。青木先生、どうぞ。

○青木委員 ただちょっと気になるのですが、コレステロールが、これは雌でのみ低下でよろしいのでしょうか。

○廣瀬委員 雄でも最高用量では低下しています。

○青木委員 いちばん高用量で。

○廣瀬委員 そうです、1000 mg/kg/dayで。

○青木委員 ただ、これだけ差があるというのは、非常に珍しいと思うのですが。内分泌撹乱作用の関係で、こういう議論はできるものなのでしょうか。何かたまたま、そういうことがあっただけなのでしょうか。

○廣瀬委員 分からないのですが、トータルコレステロールの低下というと、一般的には肝臓に何か重篤な疾患があるとか、栄養の障害があるとか、それから甲状腺の機能に異常があるという場合に低下するということは知られているのですが、この場合そういう変化がないということから、この原因については非常に難しいと思います。

○井上座長 ありがとうございます。

○前川委員 私もよく分かりません。例えば、先ほどの低用量云々というようなことも、低栄養であれば、体重の増加の減少は、むしろ雄のほうで起こったというわけですね。雌のほうでは起こってないということも考えますと、どうも原因はよく分かりません。ただ、きれいな用量相関があることは事実だし、雄でも高用量では出ているということを考えますと、無視するわけにはいかんだろうと。けれどもNOEL8 mg/kg/dayというのは見かけ上で、事実上は40 mg/kg/dayぐらいかも分からんなという感じです。

○井上座長 毒性の内容についてはそういうご討論ですが、私から座長としてでなく、コメントを申し上げます。青木先生のご指摘にもありますように、(西原先生からも後でコメントをいただこうと思うのですが、)因果関係が分からないのですが、一部のエンドクラインディスラプターで、どういうわけかコレステロールがきれいに下がるものがあるということで、以前に、私、質問をいただいたことがあるのです。そして、データの上ではそういうものがあるようです。前川先生のご指摘にもありますように、因果関係はわかりませんし、旧来の病理学の蓄積された認識ではありませんが、無視するわけにはいかないという点は、おっしゃるとおりなのではないか。これは私のコメントです。西原先生、何かありますか。

○西原部会長 いわゆるステロイド代謝に影響を及ぼす。ダイレクトにそのエストロジェン、いわゆるERですね、に作用するのではなくて、別のPXRでしたか、私がやっていたときの物質に関してはそちらのほうに。そういうようなことからコレステロールの低下が起こったと推定するようなデータは持っています。ただ、それが即毒性に結びつくかということに関してはわかりません。

○井上座長 そういうわけで、毒性に結びつくかどうかは分からないわけです。一応この化審法の審議はNOELの考え方で進めていますので、データとしては取るということでよろしいのかなというか、止むを得ないのかなというか、そう考えます。これはそういうことですので、文字どおりの合わせ技ということになります。それで染色体異常試験のほうでも陽性という、これだけでいくというのではないわけですね、林先生。事務局のご提案どおり、人健康影響については、第二種監視化学物質相当であるということに判定いたします。どうもありがとうございます。
 それでは、次の物質にまいります。4の498、お願いいたします。

○事務局(厚労省) 30頁です。Ames試験の結果陰性、染色体異常の結果も陰性、28日間反復投与毒性試験、コレステロールの低下を推定根拠として、NOEL 100 mg/kg/dayとなっています。判定根拠は記載のとおり、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL 100 mg/kg/dayであることから、二監相当でないとなっています。以上、よろしくお願いいたします。

○井上座長 では早速、構造からお願いいたします。

○渡部委員 これは分子の中に2つもですが、SO3Kというように、スルホン酸カリウムの官能基が付いています。すなわち、きわめて極性な官能基であります。したがって、この2つで消化管からの吸収はもうほとんど抑えられている。つまり水溶性だからですね。というように考えていただきたいと思います。したがって、毒性は強くないのではないかと思われます。

○井上座長 ありがとうございます。ほかの先生方からよろしいですか。それではAmes試験、染色体異常試験、お願いいたします。

○林委員 両方とも方法、結果ともに問題ございません。

○井上座長 28日間反復投与試験はよろしいですか。お願いいたします。特に毒性はないようですね。

○前川委員 はい。

○井上座長 ただいまのご発言に基づきまして、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL 100mg/kg/dayであることから、第二種監視化学物質相当ではない。判定案全体としては、人健康影響、収集された情報からは二監相当に該当するとは判断されないということです。どうもありがとうございます。
 次は9の899、トリメチルフェノール、お願いいたします。

○事務局(厚労省) 31頁です。Ames試験の結果は陰性、染色体異常の結果陽性、短時間処理群の±S9mix群及び48時間処理群で、構造異常の誘発が見られています。28日間反復投与毒性試験としては、審査シート記載のような所見を推定根拠として、NOEL 100 mg/kg/dayとしています。判定根拠としては「Ames試験は陰性であるが、染色体異常試験は陽性、NOEL 100 mg/kg/dayであることから、第二種監視化学物質相当である」となっています。

○井上座長 これについては、構造上は。

○渡部委員 これフェノールですが、オルトに2つのメチル基がつき、もう1個メタにメチル基がさらについています。こういうようにアルキル基が両オルトについたりしますと、このフェノールは、いわゆる活性酸素消去作用、アンタイオキシダントとしての活性をやや持ってくると思います。BHAとかBHTとかいうほど強いものではありません。したがって、ある量であれば、場合によっては体にいいフェノールというふうに考えられなくもないという、そこまでです。

○井上座長 ありがとうございます。それでは変異原性お願いいたします。

○林委員 Ames試験は陰性です。染色体異常は陽性で、D20=0053mg/mLということで、中程度の強さかと思われます。

○井上座長 中程度の強さということです。それでは28日間反復投与毒性試験について。

○廣瀬委員 投与量が100、300、1000 mg/kg/dayの3用量で行われていまして、毒性は主に最高用量の1000 mg/kg/dayで認められています。毒性の標的は血液、つまり貧血が見られること。肝臓では肝比重量の増加があり、肝細胞肥大が見られる。それから前胃で過形成見られる。
 ここでは推定根拠にいろいろ当ててありまして、その結果NOELが100 mg/kg/dayになっているわけですが、その推定根拠を見ると、まず摂餌量の低下が300 mg/kg/day以上の雌で見られるということですが、これは摂餌量だけで、この摂餌量といっても投与8日目のみの低下で、最終体重には影響していません。したがって影響ではあるのですが、毒性学的には意味がないだろう。それから流涎が300 mg/kg/day以上の雌雄で増加していますが、これは投与直後の一過性のもので、前胃に変化が出ているので、そういう刺激によるものかと考えられます。尿の検査で、尿比重が300 mg/kg/day以上の雄で低下しており、尿量は増加傾向にあります。この上の1000 mg/kg/dayでは、確かに尿量は増加していますので、その辺の影響かと思いますが、腎臓自体には何の変化もなく、やはり毒性学的な意味はそれほどないのではないかと思っています。血液生化学検査で、リンが300 mg/kg/day以上で増加しており、これは確かに用量相関性はあるのですが、ほかにカルシウムの動きもありませんし、腎障害もない、骨の異常もないということで、毒性学的な意味は低いと思います。一応、リンは影響であろうと考えられますので、NOELは100 mg/kg/dayでいいと思いますが、その毒性の中身自体はかなり弱いものだろうと思います。

○井上座長 ほかに全体を通じてのコメントがありましたらお願いいたします。そうしますと、廣瀬先生のご説明にもありましたように、この推定根拠の中で、せいぜいリン、しかもそれがカルシウムとリンクして動いている低カル高リンで動いているわけでもないということで、それほど強いものではない。染色体異常とこれは合わせ技で、やっと二監相当ということですか。そういうご意見と伺いました。これでよろしいですか。
 それでは推定根拠のところを、流涎などは特に、これは廣瀬先生もおっしゃったように、刺激によるものだと思われますので、この際、一般症状全体と尿検査を削除しましょうか。そして血液生化学的検査だけ残して。NOELの値はこのままにして。そして人健康影響は二種監視化学物質相当であるという、事務局のご判定案のとおりということにいたします。

○池田委員 結論には賛成なのですが、理由のところに、回復性が書き込まれたほうがいいですね。

○井上座長 そうですね。失礼しました。私もさっきそう思っていたのです。よろしくお願いいたします。

○事務局(厚労省) 回復性については、全所見書いたほうがいいですか、胃の所見だけのほうがよろしいですか。

○井上座長 刺激性とはいえ、びまん性、過形成までできていると所見ですからね。これはあったほうがいいし、体重だけどうするかですね。廣瀬先生、どうしましょうか。体重だけ削りますか。

○廣瀬委員 ええ。

○井上座長 では体重だけ削って、あとは残していただく。

○事務局(厚労省) 了解いたしました。判定根拠のほうに追記するような形に致します。

○井上座長 それでは3の2006、お願いいたします。

○事務局(厚労省) 3-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、33頁です。Ames試験、染色体異常試験ともに陰性となっています。28日間反復投与毒性試験も、全群で毒性学的影響は認められておりません。NOELは1000 mg/kg/dayです。判定根拠に出しまして、記載のとおり二監相当でないとしています。

○井上座長 それについて、構造の点はいかがですか。

○渡部委員 もう既に何頁か、大分前の頁ですが、スルホン酸のパラの位置にメチルが付いたものをやっています。そのときに、フリーのスルホン酸であれ、ナトリウム塩であれ、このスルホン酸、ナトリウム両方とも極性がきわめて高い。そして吸収されにくいという性質は、両方とも同じです。したがって、ニトロの毒性は、このためにかなり低く現れるはずだというように思っております。

○井上座長 また後ほどお願いします。それではAmes試験、染色体異常試験についてお願いいたします。

○林委員 Ames試験、染色体異常試験に関しては、方法、結果ともに問題ございません。陰性です。

○井上座長 28日間反復投与毒性試験は伺うまでもなく、1000 mg/kg/day、NOEL 1000 mg/kg/dayで、毒性変化は認められてないということで、よろしいですか。

○前川委員 はい。加えることはありません。

○井上座長 ということで、渡部先生、全く何もないのですが、何かコメントありましたら。

○渡部委員 特にありません。やはり先ほど、前に出たニトロ化合物を決めようとしたときに、二監ともとれるし、そうでもないかもしれない。これ、二監にとっても、そうでないととっても、両方ともいいと思うのです。時々口にします「一体この化学構造で、これをなぜ二監としなかったんだ。一体活性相関を分かったやつがこの委員会にいるのか」なんていうふうな非難を、この物については受けない。ニトロというのが燦然と輝いているからです。それで、-SO3Hの影響というのは吸収に関わるというところで、これはそうすぐには予測されないものですから。

○井上座長 ほかの先生方、総合的な点で何かコメントありましたら。よろしいですか。それでは事務局提案どおり、収集された情報からは二監相当に該当するとは判断されないということとします。

○事務局(厚労省) 次は35頁、4の492、4-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸ナトリウムです。Ames試験陰性、染色体異常試験陰性、28日間反復投与毒性試験、特に毒性学的影響は認められていませんので、NOEL 1000 mg/kg/dayとなっています。判定根拠は記載のとおり、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL 1000 mg/kg/dayであることから、二監相当でないとなっています。

○井上座長 これも似たような構造ですが。

○渡部委員 おっしゃるとおりです。-SO3Naが付いているために、この強毒性のアミノ基というのは、このナフチルアミンというのはこの場合は俗にαと言われ、隣のはβと呼ばれますがβ-ナフチルアミンあるいは2-ナフチルアミンというのは、極めて有名な膀胱がん原因物質です。αのほうは、その作用がうんと弱いというふうに言われていますが、そういう恐ろしい毒性のものですが、-SO3Naがくっ付いていることによって、これもほとんど吸収されないということで、毒性はあまり心配する必要がないのではないかと思われます。

○井上座長 西原先生もよろしいですか。それではAmes試験、染色体異常試験についてお願いいたします。

○林委員 これは、ともに問題ございません、陰性です。

○井上座長 28日間反復投与毒性試験について。

○廣瀬委員 特に問題はないと思います。

○井上座長 というわけで、全体的なご意見が一致して、事務局提案どおり、人健康影響については、収集された情報からは二監相当に該当すると判断されないということです。

○中杉委員長 最後の物質です。官報公示で2の22、4-メチル-1-ペンテンです。これは先ほど蓄積性については高濃縮性ではないと判定をいただいたものです。人健康のデータはございませんで、生態影響のデータだけです。よろしくお願いします。

○事務局(環境省) それでは4-メチル-1-ペンテンの生態影響について説明いたします。藻類生長阻害試験72hErC50>0.0074mg/L、72hNOECr=0.0074mg/Lということで、最高濃度では影響が認められておりません。ミジンコ急性遊泳阻害試験48hEiC50>0.082mg/L、ミジンコ繁殖阻害試験21dNOEC=0.098mg/Lということで、影響が認められておりません。魚類急性毒性試験96hLC50>0.076mg/Lということで、生態影響の判定根拠としては記載のとおり、溶解限度で影響が認められないことから、第三種監視化学物質相当でないとしています。

○中杉委員長 判定はいいですか。では、構造からコメントありましたら。

○渡部委員 特にありません。

○中杉委員長 生態影響試験の結果について、いかがですか。溶解限度での影響を認められないということで、第三種監視化学物質相当でないということですが、よろしいですか。

○西原部会長 判定には関係ないのですが、気になるのは、「最高濃度では影響が認められなかった」と書いていますね。むしろ、これは溶解限度と言うほうがいいのではないかなと思って。最高濃度ということは、設定濃度は、当然のことながらもっと高いのですね、書き方が変な感じがちょっとします。ほかの物質でもありましたが。

○中杉委員長 この辺のところは、書き方のルールを少し考えていただくことにしましょう。判定案としては第三種監視化学物質相当でないということで、よろしいですか。

○米澤委員 いまの西原先生のコメントですが、水溶解度は48mg/Lというデータがあります。たぶん、これは揮発性が高いのでこういうデータになったのではないかと考えられますけれども、実測濃度は。

○中杉委員長 一応、試験をやった最高濃度で出てこないという、溶解限度という言葉でいうと、誤解を招くかもしれませんね。ちょっと表現として難しいので、事務局のほうで検討をお願いしておきましょう。そういうことでよろしいですか。

○若林委員 揮発をする物質で、試験溶液から消えているとしたら、そうではない状況を作らなければいけないということになってしまいませんでしょうか。

○事務局(環境省) いま揮発性が高いということでご指摘いただいたのですが、一応揮発性が高いということで、藻類については密閉系で、揮発を極力少なくするというような方法でされていますので、一応その工夫はされているのではないかと考えています。

○中杉委員長 条件として工夫はしたけど、こうなってしまった。その結果としては、揮発で失われているのかもしれないということではありませんか。

○若林委員 48mg/Lが正しいかどうかちょっと分からないのですが、ちょっと違いすぎますね。だから、たぶん溶解度のほうがおかしいのかなと。その辺、確認をして再評価をされたらと思います。

○西原部会長 実測濃度が10倍違うのです。ミジンコのものと藻類とで、測定濃度が。やり方というのか、エアレーションとかその辺の関係があるのかもしれませんけど。

○中杉委員長 事務局は、いまのご質問に対してお答えはありますか。これは確かに溶解度が違う。この違いは許容範囲なのかどうかというのは難しいところがありますけれども。

○事務局(環境省) 生態影響試験報告書には、水溶解度の記載がされております。藻類生長阻害試験報告書には、精製水20℃で48時間撹拌した後に、GC/MSで分析した結果、0.109mg/Lとの記載がなされております。この試験からいえば、そんなに大きく違わないのではないかと考えております。

○米澤委員 私が申し上げたのは、分・蓄の報告書の10頁に出ているデータを述べただけなのです。ですから、このハンドブックのデータがおかしいのかもしれませんが、それは事務局で確認をいただきたいと思います。

○中杉委員長 ちょっと確認をして、試験のほうのデータと整合を少し見ておいてください。揮発性で失われているとしても、実際の環境中に出ていったときには、この濃度より濃い状態というのはなかなか考えられないので、三監相当ではないということは判断としてはよろしいのかなと思いますが、そういうことでよろしいですか。いまの点については、事務局のほうでチェックをしていただく。判定案については事務局案どおりとしますが、よろしいですか。では、そのようにさせていただきます。

○井上座長 それでは、どうもありがとうございます。司会の側でも、お客様がいらっしゃって上がっていたり、もちろん不手際もさることながら、難しい案件も含まれていたかのように思いまして、約1時間弱遅れてしまいましたが、第一部の最後に、事務局から何かありましたら。

○事務局(厚労省) 特段ございません。本日の審議会の第一部はこれで終了させていただきたいと思います。長時間にわたり、ご審議ありがとうございました。
 第二部は非公開としていますので、傍聴の方におかれましてはご退室くださいますよう、よろしくお願いいたします。