平成26年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 平成26年度化学物質審議会第1回安全対策部会 第145回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会 【第一部】 議事録

1.日時

平成26年6月27日(金)13:00~14:45

2.場所

経済産業省別館1階101-2、103、105共用会議室

3.出席(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

小川 久美子     菅野 純       鈴木 勇司

高木 篤也      田中 明人      田中 博之

西川 秋佳(座長)  能美 健彦      平塚 明

化学物質審議会安全対策部会委員

大石 美奈子     亀屋 隆志      北野 大

庄野 文章      恒見 清孝      東海 明宏

原田 房枝      林 真(部会長)   吉田 緑

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

青木 康展      菅野 純       日下 幸則

小山 次朗      白石 寛明      鈴木 規之

田中 嘉成      田辺 信介      中杉 修身(委員長)

吉岡 義正      和田 勝

事務局

厚生労働省  倉持化学物質安全対策室長

経済産業省  田中化学物質安全室長

環境省  木村化学物質審査室長 他

4.議題

  1. 1.優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価について
  2. 2.「化審法における物理化学的性状・生分解性・生物濃縮性データの信頼性評価等について」の改訂について
  3. 3.その他

5.議事

○経済産業省  時間がまいりましたので、ただいまから平成26年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、平成26年度化学物質審議会第1回安全対策部会、第145回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同審議会を開催したいと思います。

 審議に先立ちまして、夏季の軽装のお願いについて申し上げます。

 地球温暖化防止、省エネルギーに資するため、政府全体として夏季の軽装に取り組んでいるところでございます。これを踏まえまして、事務局は軽装にて対応させていただいております。委員の方々におかれましても、ご理解、ご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。

 本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることをご報告いたします。

 なお、本合同審議会は第一部と第二部に分けて実施いたします。本日は13時から14時半までを第一部として、優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱの審議等を公開であります。終了後、休憩を挟みまして14時45分より第二部を行いますので、よろしくお願いいたします。

 議事に先立ちまして、事務局に異動がありましたので報告いたします。

 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室に田中秀明が室長として着任しております。ご挨拶申し上げます。

○経済産業省  6月から化学物質安全室長に恒藤の後任として着任しました田中と申します。先生方には、きょうは本当に天候の悪い中ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、実はちょっと前に、7~8年前にこの化審法の仕事に携わったことがあるのですけれども、その後久々に戻ってきたという感じでございまして、その間に法律も大きく変わっておりまして、まさに今日、ご審議いただくような既存化学物質のリスク評価というものを新たに進めていくというふうに枠組みが大きく変わっているということになっております。そういった意味でこの審議会でしっかりとそのリスク評価を進めていくということ、非常に重要なミッションがあるなというふうに思っておりまして、非常に責任が重いなと思っているところでございますけれども、引き続き先生方皆様のご協力をいただきながら着実に前に進めていきたいというふうに思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

○経済産業省  それでは、お手元にお配りしました資料について確認をさせていただきます。

 まず、資料1「優先評価化学物質のリスク評価の現状」でございます。続きまして、資料2─1「リスク評価(一次)評価Ⅱにおけるイソプロペニルベンゼンの評価結果について」、資料2─2「リスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価書(案)【イソプロペニルベンゼン】」、資料3─1、続きまして資料3─2、こちらはビスフェノールAの評価結果及び評価書(案)でございます。資料4─1、4─2につきましては「物理化学的性状・生分解性・生物濃縮性データの信頼性評価等について」に関する資料でございます。

 続きまして、参考資料1は「委員名簿」でございます。参考資料2は、「化審法における優先評価化学物質に関するリスク評価の技術ガイダンス」という資料でございますが、ペーパーレス化の観点で既に公表し、また、各委員のお手元に配付しておりますパソコン、もしくは安対部会の委員におかれてはiPadにこれら資料を保存しておりますので、必要に応じて適宜ご参照いただければ幸いです。

 資料確認に戻らせていただきます。参考資料3─1、3─2、こちらも信頼性基準に関する補足の資料でございます。最後に参考資料4─1、4─2、こちらはリスク評価(一次)評価Ⅰの結果及び対応に関する資料でございます。

 不足等ございましたら、事務局にお伝えいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、これより議事に入らせていただきます。

 本日の全体の議事進行につきましては、化学物質審議会安全対策部会、林部会長にお願いいたします。

 林部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

○林部会長  それでは、これより議事に移らせていただきます。

 まず初めに、本日の会議の公開の是非についてお諮りします。

 各審議会の公開につきましては、それぞれ規定のあるところでございますが、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがある場合または特定な者に不当な益もしくは不利益をもたらす恐れがある場合等、非公開とすべき場合には該当しないと考えますので、原則公開といたしたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することを認めることとしたいと思います。よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。それでは、本日の会議は公開といたします。

 議事録につきましては、後日ホームページ等で公開されますので、あらかじめご承知おき願います。

 それでは、まず議題の1に入らせていただきたいと思います。

 議題1の、優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価につきまして、個別の物質の審議に入ります前に、事務局から優先評価化学物質のリスク評価の現状についてご説明をお願いいたします。

○経済産業省  それでは、ご説明させていただきます。

 資料1をごらんください。

 まず1ページ目でございますが、こちらは平成23年4月1日以降の改正化審法の体系をお示ししております。委員の皆様はご存じのとおり、化審法は、上市前であれば、その新規化学物質は基本的には事前審査を経てから上市されるということ、また、上市後の化学物質につきましても性状に応じて必要な規制措置をとるという仕組みになってございます。本日ご審議いただきたいのは、こちらの図の中のクリーム色で色を塗られた優先評価化学物質、こちらは改正化審法以降つくられたスキームでございますが、一般化学物質から必要に応じて優先的にリスク評価を行うべき物質として指定された優先評価化学物質のリスク評価についてご審議をいただくことになっております。

 おめくりいただきまして、2枚目でございます。

 こちらが、その上市後の化学物質のリスク評価の流れをフロー図でお示ししたものでございます。上のほうからごらんいただきますと、一般化学物質を、その暴露量と有害性情報等からスクリーニング評価というふるいにかけた上で、リスクが十分に低いといえない化学物質を優先評価化学物質に指定してございます。その優先評価化学物質につきましては、リスク評価を大きく一次、二次というステップで順々に絞り込んだ上で、より精緻化していくプロセスで評価をしていくことになっております。このリスク評価(一次)というのも実は3段階に分かれておりまして、本日はその2段階目のプロセスについてご説明をさせていただくことになっております。

 おめくりいただきまして、3ページ目でございます。

 こちらは、その一般化学物質から優先評価化学物質を指定するスクリーニング評価の実施状況でございます。これまで平成22年度を初回に、合計4回スクリーニング評価を実施しております。平成24年度からは、製造輸入数量の届出のあった全ての一般化学物質を対象にスクリーニング評価を毎年行っているところでございます。審議会の先生方に「優先評価化学物質相当」と判定いただいた物質の数につきましては、人健康、生態、それぞれ一番下のピンク色で塗られたところに物質数が記載されてございます。

 その物質数につきましては、4ページ目をごらんください。この3省合同審議会での判定結果を踏まえて優先評価化学物質の指定を順次行っておりますが、現在こちらの一覧表の一番右下の数字でございますが、169物質が優先評価化学物質に指定をされております。

 さらにおめくりいただきまして、5ページ目でございます。

 こちらは、もう少し詳細なリスク評価の手順をお示しししたものでございます。このフローの一番上に優先評価化学物質が既に選ばれたものがございまして、そこにまず評価Ⅰというプロセスがございます。こちらでさらに優先的に評価をすべき順番をつけた上で、評価Ⅱというプロセスに移ります。この評価Ⅱというプロセスについて、本日は評価書(案)などをご審議いただくことになっておりますが、こちらでは化審法の届出情報に基づく暴露評価のみならず、入手可能であればPRTRの情報ですとかモニタリングデータなどを使った上で、より詳細な評価を行うということでございます。その上で、もしリスクがあるというような場合には、第二種特定化学物質に指定をするなり、あるいはそのリスクが生態・人健康いずれもないとなれば一般化学物質に分けられると、こういうプロセスでございます。なお、評価Ⅱでもう少し、より精緻な評価が必要だということであれば評価Ⅲ、さらにはリスク評価(二次)というものに進むということでございます。

 おめくりいただきまして、6ページ目でございます。

 こちらにはリスク評価の現状というものを時系列でお示ししております。先ほどご説明したとおり、リスク評価のプロセスに入った優先評価化学物質は、リスク評価(一次)評価Ⅰというところでまずその優先順位づけをした上で評価Ⅱに進むということでございますが、こちらをこれまでに3回実施しております。なお、評価Ⅰというのも毎年やっておりますので、新たに追加された優先評価化学物質というものと、あと既に指定された優先評価化学物質で評価Ⅰにあるものを、毎年最新の暴露情報で評価をしております。

 7ページ目のところでは、その評価Ⅰを経て評価Ⅱに進む物質数というものを一覧でお示ししてございます。

 失礼しました。私、先ほど評価Ⅰを3回と申し上げましたが、2回実施しております。現在まででリスク評価Ⅱに着手をする物質と、選ばれたものは合計26物質ございます。この表の中の赤字の部分をごらんいただければと思いますが、人健康影響では合計12物質、生態影響では合計14物質を指定しております。これらについて評価Ⅱの評価をそれぞれ進めているところでございます。

 では、その26物質というものの具体的な名称でございますが、それは8ページ目と9ページ目にそれぞれまとめさせていただいております。

 8ページ目のところが、平成24年度から評価Ⅱに着手している物質の18物質でございますが、本日ご審議いただきますのはこの黄色で塗られた2物質の生態影響の観点での評価についてでございます。イソプロペニルベンゼン(別名α─メチルスチレン)と、一般名称でビスフェノールAでございます。

 9ページ目は、25年度から評価に着手している物質として8物質の名称が書いてございます。

 以上がリスク評価に関する現状でございますが、最後の10ページ目には、こういったリスク評価の手法等について、これまでにどのような文書がつくられ、また公表されてきたかというものがまとめてございます。そして、本日参考資料2としてアップさせていただいております技術ガイダンスも、これらの手法の文書の一覧として新たに追加されました。

 少し駆け足ではございますが、資料1の説明は以上でございます。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に対しまして、何かご質問等ございますでしょうか。

 よろしいですか。これは現状の説明ということですので、特に議論をするものではないのですけれども、ご質問があればお受けしたいと思います。

 では、質問はないようですので、もう早速次に移らせていただきたいと思います。

 本日は、リスク評価Ⅱに進んでいる2つの評価物質について、生態影響の観点で審議を行うことといたします。

 まずはイソプロペニルベンゼンのリスク評価Ⅱの評価結果及び今後の対策について、事務局からご説明をお願いいたします。

○環境省  それでは、環境省から、リスク評価(一次)評価Ⅱにおけるイソプロペニルベンゼンの評価結果について、資料2─1と、資料2─2、こちらが評価書になりますので、両方みていただきながら説明をさせていただきたいと思います。

 それでは、まず資料2─1の中ほど、評価の概要から御説明させていただきます。

  (1)は、評価対象物質についてということでございます。

 今回評価対象といたしましたのはイソプロペニルベンゼンでございまして、こちらは例えば混合物であるとか、変化物が生じる場合であれば、優先評価化学物質そのものと評価対象物質が異なるようなケースもあるかと思いますけれども、今回は優先評価化学物質そのものを評価対象物質としているということでございます。

 続きまして、 (2)物理化学的性状、濃縮性及び分解性についてでございます。

 こちらは、物理化学的性状、濃縮性、分解性を表2及び表3にまとめてございます。こちらは、経産省さんとNITEさんのほうで専門家のレビューを経てまとめられた数値ということになってございます。

 また、この中でも表2にあります1─オクタノールと水との間の分配係数(logPow)でございますけれども、こちらは3.48という数値でございまして、この数字が3以上ですと底質に分布して残留しやすいということにしておりますので、水生生物だけではなく底生生物についても影響を評価するということになるということでございます。

 それでは、 (3)有害性評価でございます。

 こちらはまず評価書をおめくりいただければと思うのですけれども、19ページからが有害性評価になってございます。評価書の19ページ、表4─1ということでありますけれども、こちらは水生生物の影響に使用可能な毒性値ということで、こちらも環境省で専門家の先生方に個別に文献をみていただきまして、信頼性のあるデータということで得られております。

 ここからは概要に戻りますけれども、水生生物のところについては、生産者、一次消費者の慢性毒性値、または二次消費者の急性毒性値、これらを使いまして、無影響濃度といいますPNECを算出することとしております。

 まず慢性毒性値でございますけれども、生産者の成長阻害に対する無影響濃度が低く、0.3という値がありまして、こちらを、二次消費者の毒性値が得られていませんので、5で割った値がございます。また、慢性毒性値が得られなかった二次消費者でございますけれども、急性毒性値が一番低い値が7.28という値がございました。こちらを急性慢性毒性比(ACR)で割りまして、0.0728という値を得ております。これらを比較しまして0.060mg/Lという値がPNECの候補になりまして、こちらを室内試験から野外への不確実係数10で割りまして、イソプロペニルベンゼンのPNECとしまして、水生生物については0.0060mg/Lという値を得ております。

 続きまして、底生生物でございます。

 底生生物については信頼できる有害性データが得られませんでしたので、水生生物から求めたPNECから平衡分配法という手法を用いて底生生物へのPNECを導出しております。こちらは0.65mg/kg-dryという値を得ております。

 また、これらの値についてはどのような不確実性があるかということを評価書で20ページから解析しておりまして、主に魚類の慢性毒性値が得られていないとか、底生生物の毒性値が得られていないとか、そういったところを不確実性として解析しております。

 以上、有害性評価をまとめさせていただきますと、概要版の表4、まとめでございます。水生生物に対する毒性情報はPNEC0.0060mg/L、底生生物は0.65mg/kg-dryという値を得てございます。

 ここまでが有害性評価でございます。

○NITE  次に、 (4)のリスク推計結果の概要でございます。

 こちらについて、推計結果の前に、リスク推計に用いた化審法に基づく製造等の届出数量、それからPRTR情報について、資料2─2を用いてご説明させていただきます。

 資料2─2の11ページをごらんください。

 こちらの図の3─1に、化審法に基づく製造・輸入数量を示しております。こちらの経年変化をみますと、平成18年度から平成23年度までの間、製造・輸入数量はほぼ横ばいとなっております。

 次に、同じく資料2─2の16ページをごらんください。

 図3─4にPRTR情報を示しております。イソプロペニルベンゼンの排出量、こちらは図3─4における届出大気、届出水域、届出土壌、届出埋立の合計でございますが、こちらの排出量の経年変化をみますと、平成15年度から平成18年度までは減少を続けており、平成18年度から平成23年度までの間はほぼ横ばいとなっております。

 それでは、資料2─1に戻りまして、こちらの3ページの (4)①排出源ごとの暴露シナリオによる評価の結果の説明に移らせていただきます。

 排出源ごとの暴露シナリオとは、固定排出源に着目したものであり、それらの排出源の周辺に生息する生活環境動植物が、排出源から排出される化学物質に環境媒体を通じて暴露されるというシナリオでございます。

 PRAS─NITEという排出源ごとの暴露シナリオの推計モデルを用いて化審法届出情報に基づく評価を実施したところ、表5に示すとおり、排出源41ヵ所のうちリスク懸念となる箇所は0ヵ所でした。また、同様に、PRTR情報に基づく評価を実施したところ、表6に示すとおり、排出源64ヵ所のうちリスク懸念となる箇所は0ヵ所でございました。

 排出源ごとの暴露シナリオによる評価は以上です。

○環境省  続きまして、資料2─1、最後の4ページ目でございまして、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価をさせていただきます。

 こちらは、先ほどのPRTR届出情報を用いまして、G─CIEMSというモデル、こちらは日本全国をメッシュと流域に分割しまして、それぞれの水や大気の媒体間であるとか、もしくはメッシュ間の物質の移動であるとか、物質の挙動を計算しまして環境中濃度の予測を行うモデルでございまして、こちらによりまして水質濃度及び底質濃度の計算を行って、水質における環境基準点を含む3,705流域のリスク推計を行ってございます。結果は表7のとおりでございまして、水質濃度と底質濃度それぞれ値が低いほうから順番に高いほうへ並べたものでございますけれども、一番大きい暴露濃度をみていただいても、PECとPNECの比が全ての流域で0.1未満でございました。

 続きまして、③モニタリングデータによる評価に移ります。

 評価書資料2─2の23ページ目、24ページ目からがモニタリングのデータを掲載してございますけれども、平成17年に水質で化学物質環境実態調査──環境省の調査でございますけれども、実施されておりまして、また、平成18年に底質について同じく調査が行われてございます。こちらは過去10年分でこの1回の調査がございましたけれども、イソプロペニルベンゼンの水質及び底質モニタリングにおいて最大濃度をもとにしまして評価を行ってございます。

 まず水質は表8でございますけれども、水質濃度は検出限界以下でございましたので、その濃度をPECとしてPNECで割り算しましたところ1よりも低い値であったということでございます。

 また、底生生物についても検出限界以下でございまして、PNECで割りましても1未満であったということでございます。

 それでは、資料2─1冒頭に戻らせていただきまして、評価結果及び今後の対応についてでございます。

 イソプロペニルベンゼンについて、生態影響に係る有害性評価としまして、既存の有害性データから水生生物及び底生生物に対する予測無影響濃度(PNEC)を導出しまして、また、暴露評価としましては化審法の届出情報、PRTR情報に基づく予測環境中濃度の計算、また環境モニタリングによる実測濃度を収集させていただきました。これらを比較しましてリスク評価を行いました結果、予測環境中濃度の計算値、環境モニタリングによる実測濃度のいずれもPNECを超えた地点はありませんでした。また、製造・輸入数量の経年変化ですけれども、ほぼ横ばいであったということでございます。

 このことから、現在及び近い将来の推計される暴露濃度では、イソプロペニルベンゼンによる環境の汚染により生活環境動植物の生息もしくは生育に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えてございます。

 評価結果及び今後の対応は以上でございまして、説明を終わらせていただきます。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局の説明について、ご質問、ご意見等がございましたら、お手元のネームプレートを立ててわかるようにしていただければ幸いかと存じます。どうぞご自由にご質問、ご意見等をお願いいたします。

○中杉委員長  何点か説明をお願いしたいのですが、資料2─2の15ページのところで、評価Ⅰと評価Ⅱで排出量が大きく変わってきている。これはより精査したということなのですが、実際には何がきいてこれが下がったのかというご説明があったほうがよいのかなと思うのですけれども。用途の出荷量というのはあまり変わっていないので、用途を精査して、その結果、エミッションファクターが大分変わってきた結果、こんな小さくなったというふうに理解してよろしいですか。

○経済産業省  中杉先生のご質問については、そのとおりでございまして、今ご指摘いただきました図3─3で年度別推計排出量が平成22年度に評価Ⅰを行ったときと評価Ⅱを行ったときとで大きく異なっているという原因につきましては、22年度評価Ⅰのところの用途番号の内訳が棒グラフの中に書いてありますが、98zとなっているものが大半を占めております。この98zという用途番号は何かと申しますと、「その他の原料、その他の添加剤」という用途でございます。用途に応じて、それが環境中にどれぐらい排出されるのかという排出係数を設定した上で推計をしておりますが、この98番の「その他の用途」だという届出をいただいた場合には、100%環境に放出するという推計をさせていただいているところでございます。したがって、このように平成22年度の評価Ⅰでは排出量が700トン超と大きく出ているということでございます。

 評価Ⅱに進んだときに改めてその届出の内容を精査しましたところ、「その他」という用途について、より正確な暴露評価を行うために、この届出をした事業者に照会などをいたしました。その結果、実際は中間物だったとか、届出の用途の詳細を把握した上で届出をいただいておりまして、今回このような、結果的には33トンというような推計排出量に変わったということでございます。

○中杉委員長  ありがとうございました。

 それから、この結果についてはおおむねこれでよろしいのかなと思うのですが、結果の書き方の表現ぶりで、資料2─1の最初のところ、1番目の○のところが「予測環境中濃度の計算値、環境モニタリングによる実測濃度のいずれもPNECを超えた地点はなかった」という表現になっているのですが、これもなかなか難しいのですけれども、超えた超えないで判断をするのかということが1つあると思います。今回の場合は大幅に下回っていることがありますよね。そういうことから、この評価Ⅱ、資料2─2の中でも一部書いてありますが、不確実性解析のところについてはあまり真剣にやらなくてもよいというと、これは語弊がありますけれども、そんなに詳細に追わなくても十分できるだろうという判断があるのだと思うんですね。これは暴露のほうも暴露結果で出てきていないのですけれども、実際には排出源近くのところでの──ごめんなさい、モニタリング濃度での。排出源近くのところでモニタリングをしているわけではないので、数字が比較的、モデルでの予測がかなり近いということになれば、もう少しそこら辺のところは真剣に調べなければいけない。ただ、大幅に下回ったことであるので、そこまでやる必要はないだろうという判断だろうというふうに私は解釈していますので、結果としてはこれで結構だと思いますけれども、この表現ぶりがどうするのかなというのは1つ気になります。ただ、ではそれをどういう表現にして、どこでどう判断するのかというのはなかなか難しいので、最後はエキスパート・ジャッジメントみたいな、この委員会での判断になるのかなというふうに思いますけれども。そんなことが1つありました。

 それと、もう1つは、一番最後の○のところ、結論みたいな話ですね。このところで、もう1つ、次の資料2─2のところでご説明いただくのと微妙に表現ぶりが違っていて、ここでは環境汚染による「被害を生ずるおそれがあるとは認められない」と書いてあるんですね。次のものについては「広範な地域の汚染により」という表現が入っていて、そこら辺のところは、化審法でいうと広範な地域による汚染のおそれがあるかどうかという判断をするということが前提になっているので、そうだと思うのですけれども、実際には少し、この化審法の評価というのは化審法だけにはとどまらない話だと思いますので、資料2─1では少数の地点でもないとは明確にはいっていませんけれども、環境汚染についてはないだろうという判断をしていて、資料は広い範囲の汚染に問題があるというおそれはないという判断をしているというふうなことで、表現を分けていただいているのは、これは私は非常に結構だと思うのですが、そこもどのぐらいでどういうふうに表現するのかというのはまた難しいと思いますけれども。ちょっとそこら辺のところは少し気になりました。

 とりあえず。

○環境省  中杉先生、ありがとうございました。

 すみません、不確実性解析のところを説明するのを忘れてしまいまして、申しわけありません。資料2─2でございますけれども、45ページの表5─26ですが、こちらが暴露評価に関する不確実性解析の結果の概要でございまして、項目が順に評価対象物質から物化性状、PRTR情報、排出量推計、暴露シナリオと並べております。暴露に関する不確実性がありそうなところについて、どういった状況だったかというのを解析しておりまして、PEC/PNEC比でいうところのPECがどれぐらい不確実性を有しているかというのを解析させていただいております。

 この辺の判断も含めまして、先ほどの最後の結論のところでございますけれども、リスク評価の基本的な考え方ではやはりPEC/PNEC比が1以上であるところをリスク懸念箇所と定義しておりまして、最終的な判断はそこでやるのですけれども、一方、暴露評価は不確実性がかなりありますので、しっかりとこういった解析をしているということでございます。

 済みません、ちょっと説明が足りなくて申しわけありませんでした。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 先生、よろしいですか。

○中杉委員長  はい。

○林部会長  ほかに何か。はい、どうぞ。

○東海委員  2点ございます。

 1点目は、有害性評価のところのご説明なのですけれども、細かいことで恐縮ですが、出典のところで2つ根拠の報告書が出ていますけれども、これは、実験をされた結果を用いられているのか、それともオリジナル文献を特定されて、精査の上で決められたのか、孫引きの形に出典の書き方がなっておりますので、できましたらその情報の原典を記載されるのが適切ではないのかなと思いました。

 2点目は、要約の資料2─1の表7のところのG─CIEMS濃度推計に基づくリスクの評価結果というところなのですけれども、この真ん中のあたりでPECwater/PNECwater比というのがありますが、要するに低水流量の場合を想定された計算結果でPNECの値を割り算されていると理解したのですけれども、その場合、排出量は平成23年度の値を一貫して使われていますよね。そうしましたら、この場合の計算というのは流量もその年度に合わせられているのか、それとも数年分の流量の変動も含めた形で低水流量時の場合の評価という意味合いになっているのか、そこの数字の意味を明確にされたほうがいいかと思います。

 以上、2点です。

○林部会長  ありがとうございました。

○環境省  有害性評価についての出典でございますけれども、こちらは評価書の22ページにございまして、出典はそれぞれ国立環境研究所と環境庁と記載しております。どちらも環境庁が行った生態影響試験なのですが、藻類の毒性値については再計算を行っておりまして、この再計算が1番の出典で行われているということですので、評価自体は我々も実データをみて評価を行ってございます。

 あと、2番目でございますけれども、G─CIEMSについて、こちらはデータをメッシュ化する必要がありまして、PRTRデータは22年度のものを使ってございます。また、流量についてはG─CIEMSのモデルの中に入っているデータを使っておりますので、その年度は多少ずれているかと思います。

○林部会長  よろしいでしょうか。

○東海委員  はい。

○林部会長  そのほかに何か。どうぞ。

○青木委員  ありがとうございます。資料2─2の15ページなのですが、ここで先ほど中杉委員からも話がありましたけれども、平成23年度、精査されてこのようなそれぞれの排出量、それぞれの用途別の排出量の推計を出されたということなのですが、あの意味データの示し方の世界かもしれないのですが、実際この棒グラフですと、どの用途でどれだけの排出量になったかということが実質的には全く情報が得られないと思うんですね。ですから、これはできれば、このようなものは表として示して、推計値を具体的に表として示していただいたほうがよろしいのではないかと思います。実際その前のページ、13ページ、14ページでそれぞれの排出係数が示されているわけですから、もともとの用途がどの程度だったかということは手計算でも出せるようなものでございますので、そこはやはりどのような、それぞれの用途に対して排出の推計をされたかということは数値で示されたほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。

○林部会長  事務局、何かありますか。

○経済産業省  ご指摘ありがとうございます。

 今回はそれぞれの用途の寄与度を見せる意味で棒グラフというお示しの仕方をしましたが、ご指摘のとおり、これより表という形で数値をもう少し具体的にお見せすることは、情報の提供の仕方としてはより適切なようにも思いますので、今後検討してまいりたいと思います。

○林部会長  どうもありがとうございます。

○中杉委員長  改めて資料2─2の45ページのところの表5─26をみていたのですけれども、これ、「調査の必要性」が「なし」「低い」「中」「低い」「中」とあって、これ、結論はもう調査をしなくてもいいよねという結論、調査をしなくても恐らくおそれはないだろうという判断をしているのだろうと思うのですが、「調査の必要性」が「中」になってしまうと、そこが不確実性か残っているよという判断になりそうな感じがする。47ページのところの環境モニタリングというものについては、「余裕をもってリスク推計なしであるため追加的情報収集の必要性は低い」と書いてあるんです。ちょっとばっとみていて、ここは信頼性のレベルの話かと思って、環境モニタリングのところは先ほど私もみたように、一番高いところで必ずしもはかっていないので、そこの信頼性というのはあまり高くないのだろうなと思ったら「低い」と書いてあって、なぜだろうと思ったら「余裕をもってリスク推計なしであるため追加的情報収集の必要性は低い」というふうに書いてある。全体としてそこら辺の整合をとって表現をしていかないと、おかしくならないかなという感じがします。不確実性の程度の話をしているのか、追加調査の必要性の話をしているのか、少し整理ができていないような感じがいたします。私自身が環境モニタリングで、不確実性は残っているけれども、環境モニタリングで情報のところに書いてあるように、余裕をもってリスク推計なしであるために追加的情報収集の必要性は低いという整理でよろしいのではないかというふうに思いますけれども。ちょっとそこら辺のところは、これは「中」でも残してしまうとやはり調査をしてならないと結論が出ないのではないかというふうな言われ方をされてしまうような感じがいたしますけれども。

○林部会長  どうもありがとうございました。何かご返答というか。

○環境省  おっしゃるとおり、調査の必要性ところはもう少し整理してちゃんと記載したいと思います。モニタリング情報のところも同じく整理させていただきます。

○林部会長  ありがとうございます。

 ほかにご質問、コメント等。はい、どうぞ。

○鈴木(規)委員  まず1つは、資料2─2のまとめという52ページのところだけみていたのですが、このまとめ、多分最終の評価でこのまとめとかいう文章の表現の仕方って多分重要だろうと思ってみたところでありますけれども、6─3の下から4行目か5行目のところに「底質中濃度が上昇傾向になることはないと推測される」と書いてあるのですが、ここで論及されるべきことは底質中濃度だけではないだろうという気がするのですけれども、ここで底質中濃度だけをわざわざ挙げるというのは何かおかしいのではないかなという。あるいは、おかしくないとすれば、ちょっとニュアンスが理解できないような気もしましたので、そこをちょっと明らかにしていただければなという気はいたしました。

 それから、もう1つは、この評価書の中で、今何度か議論になりました表5─26で、暴露シナリオの「中」って、これは今の2のところかもしれませんが、多分一番下のほうに「当該排出量をG─CIEMSに入力した場合に…増加する可能性があるが…十分余裕をもって…懸念がない」と書いてあるのですけれども、それの根拠というのはなかなかはっきり読めないような気もするので、それをお示しいただいたほうがいいかなという気はいたしました。

 あと、最後に、これは書き方の要望で、資料2─1の一番上の評価結果及び今後の対応というところを今まとめておられるのですけれども、これは僕の趣味というかセンスであれば、一番上の段落が一種の評価自体のサマリー、2のサマリーを書いておられて、下の丸が、多少これが法的な判断の結論を書いておられるのだと思いますが、多分この資料2─2の6─3の「考察とまとめ」というところである種最終判断が書かれているので、その資料2─1に技術的にはこういう判断がなされた上で法的な判断が導かれているというワンステップが少し飛躍しているように僕にはみえるのですけれども、一言もし可能であれば、それは多少法的分野の書き方の問題かもしれませんので完全にはわかりませんが、読んだ感じ、上の丸から下の丸というのはちょっと、もう1つ説明を2行でも追加していただければ、6─3をある程度ごく簡単にサマリーするような追加をしていただければわかりやすいかなという印象はあります。

 以上です。

○林部会長  ありがとうございました。

○環境省  先ほど、まず鈴木先生からいただいた2番目の御質問でございまして、こちら表5─26のG─CIEMSに書いていることなのですけれども、こちらはもともとどういう不確実性があるかといいますと、PRTR届出排出量よりも化審法の届出情報から推計しました長期使用段階の排出量のほうが大きいということでありまして、G─CIEMSでの推計が過小評価になっているのではないかということで解析しているということであります。もともとG─CIEMSはPRTR情報等の地理的な情報が得られている場合には用いられるのですけれども、化審法の届出情報から推計した排出量ですと、一定の仮定をおけばできるのかもしれませんけれども、現状では評価に利用可能な手法というのが確立されていない状況であります。そこで、かなり不確実性があるのではないかと記載し、それについて我々は今後の課題であると認識しているところでございますが、現状では計算して根拠を出すのが現状では難しい状況でしたので、今ここでリスク懸念がないというのは、この排出量の大きさなどを比較して判断したというところはありますので、もう少し検討を進めたいなと考えてございます。

 それと、3番目にいただいた御指摘、確かにこの囲みのところが読みにくいのかなと思いまして、ここももう少しまとめの部分をうまくこの概要資料にもきちんと書くようにさせていただければと思います。

○中杉委員長  逆に、資料2─1は、この会議に参加している方はみるのだけれども、この概要評価結果についてというのはほかにつけるんですか。この資料2─2を公表するときに一緒につける。つけるものでないと、多分資料2─2だけをみただけでは、資料2─1で四角の囲みに書いてある部分がよく明確にみえてこない。場合によったら、その下に、資料2─2の中にも書き込んでもいいのかなという感じもしますけれども。ちょっとそこら辺のところは出し方の整理の問題ですけれども。

○林部会長  ありがとうございます。

○経済産業省  審議会の資料として、資料2─1も2─2も公表させていただく予定でございます。その2─1と資料2─2の関係なのですけれども、中杉先生ご指摘のとおり、両方相互に同じ内容が読めるようにという考え方ももちろん事務局としても考えましたけれども、今回お出しした内容としましては、資料2─2はとりあえずリスク評価のファクトとその考察までにして、今後どうするかというところについては資料2─1のところで、その評価の概要とあわせてそのスタンスを示させていただいたと、こういう形になっております。その関係についても今後、評価を重ねていくに連れて、必要に応じて考えていくということかと思っております。

○林部会長  ほかにないようでしたら、ぼちぼちこの辺でまとめたいのですけれども、いろいろご意見、それから宿題等もいただいたようですけれども、この評価結果に大きく影響するようなものではなかったというふうに考えております。それで、表現ぶりですとか、そういうところに関しては、もう少しブラッシュアップが必要なのかもしれないというような印象はもっておりますので、その辺は細かい文章の推敲等を含めて我々座長に一任していただけますでしょうか。──ありがとうございます。

 それでは、その部分につきましては3座長を含めて少しもんでいきたいと思いますし、その結論といたしましてはこの事務局案どおりの評価でよろしいというふうにまとめさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、もう1つの物質でありますビスフェノールAの評価に移りたいと思います。

 事務局からご説明をお願いいたします。

○環境省  それでは、今度は資料3─1と資料3─2を置いていただきまして、説明させていただきたいと思います。

 まず資料3─1の中ほどでございまして、評価の概要から説明させていただきます。

  (1)評価対象物質についてでございますけれども、今回も同じように優先評価化学物質と評価対象物質は同じでございまして、ビスフェノールAということでございます。

 おめくりいただきまして、 (2)物化性状、濃縮性及び分解性についてでございまして、こちらも経産省さんとNITEさんのほうで専門家によるチェックを経た値がモデル推計に採用されてございます。また、1─オクタノールと水との間の分配係数(logPow)でございますけれども、こちらも3.4ということで3以上ですので、底生生物に対する影響についても評価の対象となるということでございます。

 さらにおめくりいただきまして、 (3)でございまして、有害性評価でございます。

 こちらは資料3─2でございますけれども、ページは18ページでございます。

 表4─1がPNECwater導出に利用可能な毒性値ということでございまして、生産者、一次消費者、二次消費者それぞれでデータを得られておりまして、慢性影響を優先しますが、どれも慢性影響のデータが得られているということでございます。これらからPNECの導出に使用するものを選びまして、資料3─1の表でございます。3種の栄養段階からそれぞれ慢性毒性値が得られておりまして、これらのうち最小値である二次消費者の繁殖阻害に対する無影響濃度が0.066でございまして、こちらにつきましては、事業者さんのほうから試験報告書をいただくことができましたので、専門家の方にみてもらって評価した結果ということでございます。こちらを室内から野外への不確実係数の10というもので割算しまして、ビスフェノールAのPNECとして0.0066という値を得てございます。

 続きまして、②でございますけれども、底生生物でございます。ページは19ページでございます。

 表4─2に、こちらは底生生物のPNECの導出に利用可能な毒性値をまとめてございます。3つデータが得られておりまして、こちらは底生生物の場合は生息/食餌条件というもので分類することにさせていただいておりまして、内在/堆積物食者と内在/懸濁物・堆積物食者と2つ得られているということになります。こちら、2つの慢性毒性値のうち最小の値である内在/堆積物食者の死亡に対する無影響濃度22mg/kg-dryを不確実係数積の50で割りまして、ビスフェノールAの底生生物に対する無影響濃度としまして0.44mg/kg-dryというのが得られてございます。

 また、こちらの有害性に関する不確実性の解析につきましては20ページでございまして、3種の慢性データが得られていますので、大分不確実性が減っているのではないかと考えられております。

 以上、有害性評価についてまとめますと、資料3─1の表4になります。水生生物に対する毒性情報としましては、PNEC0.0066mg/L、底生生物に対する毒性としましてはPNECが0.44mg/kg-dryということでございます。

 以上でございます。

○NITE  続きまして、私から化審法の製造・輸入数量やPRTR情報の説明と、それらを用いた暴露シナリオの結果について順にご説明いたします。

 まず製造・輸入数量やPRTR情報についてご説明いたします。

 資料3─2の評価書の11ページをごらんください。

 こちらの図の3─1に、化審法の製造・輸入数量の経年変化を記載させていただいております。こちらのほうをみていただきますとわかりますように、大体横ばいで変化しているというふうになるかと思います。

 1枚めくっていただきまして、14ページの図3─3に、こちらに推計排出量が評価Ⅰと評価Ⅱに載せられております。

 先ほど質疑の中でもお話がありましたけれども、評価Ⅱの段階では事業者のほうに問い合わせをいたしまして、このその他、98zとなっておりますその他の原料や添加剤につきましては、別の用途と判明したものはそちらの用途で計算しておりますので、評価Ⅱのほうですと大分排出量が大きく減っているということになっております。

 続きまして15ページでは、こちらはPRTR情報の経年変化について載せております。

 こちら、PRTR情報、排出量・移動量をみていただきますと、ほとんどが廃棄になっております。ただ、棒グラフの下に表がついておりますけれども、こちらのほうをみていただきますと、排出量に関しては大気と水域があることがわかります。水域の排出量につきましては、平成19年度を境に毎年減少傾向にあるということがわかるかと思います。大気排出量につきましては、ここ2年間増加しております。ただし、こちらで確認したところ、2事業所の届出によるものでして、この2事業所の届出につきましてはこのグラフには書いておりませんが、平成24年度にはなくなりまして、図にはありませんが、平成24年度の大気排出量は0.53トンに減少しております。

 それでは、資料3─1に戻っていただきまして、資料3─1の (4)リスク推計結果の概要についてご説明いたします。

 まず、こちらも排出源ごとの暴露シナリオということで、排出源周辺の暴露濃度を推計してリスクを評価しております。

 1枚めくっていただきまして、4ページの表5、表6にそれぞれの結果を示しております。化審法届出情報を用いた場合、水生生物と底生生物それぞれに3ヵ所の仮想的排出源でリスク懸念がありました。一方、PRTR情報に基づく評価の場合はリスク懸念箇所はなかったということになっております。

 続きまして、同じページの②水系の非点源シナリオによる評価というものをご説明いたします。

 このビスフェノールAの場合は、PRTR情報ではPRTRの届出外の排出量推計が行われております。そのため、この非点源を対象とした評価を行いました。ここでは、産業技術総合研究所が開発しましたAIST─SHANELと呼ばれるモデルを用いまして、全国の一級河川の濃度を1kmメッシュごとに推計いたしました。その結果、表7にありますように、リスク懸念のメッシュはありませんでしたという結果になっております。

 私からの説明は以上になります。

○環境省  続きまして、③様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価をご説明させていただきます。

 こちらのPRTRの届出情報とPRTRの届出外排出量推計の両方の情報を用いまして、先ほどのイソプロペニルベンゼンと同じでございますけれども、G─CIEMSモデルを用いて水質濃度と底質濃度の計算を行いまして、水域における環境基準点を含む3,705流域のリスク推計を行ってございます。

 推計結果は、資料2─1の表8でございます。5ページ目でございまして、水生生物におきましては一番高い濃度のところ、0.012という濃度のところでPEC/PNEC比が1を超えてございました。また、底生生物につきましても、0.55mg/kg-dryという一番高いところでPEC/PNEC比が1を超えていたということでございました。

 続きまして、④環境モニタリングデータによる評価をご説明させていただきます。

 資料3─2でございますけれども、25ページ目から用いたモニタリングデータでございます。表5─3が水質モニタリングの結果、表5─5が底質モニタリングの結果でございまして、環境省のSPEED'98もしくは化学物質実態調査、あるいは国交省の調査のデータを用いさせていただいております。

 説明としましては資料3─1に戻りまして、④のところでございますけれども、直近年度及び過去10年分のビスフェノールAの水質・底質モニタリングにおいて、こちらもまずは最大濃度をもとに評価を行ってございまして、こちらは表9、表10に示してございます。

 水質におきましては、直近の5年度ではPEC、PNECの比が1以上となる地点はありませんでした。過去10年では0.019mg/Lとなる地点がありまして、そこでは1を超えるということでございます。また、底質におきましては、PEC、PNECの比が1以上となる地点はございませんでした。

 続きまして、資料3─2でございまして、52ページでございます。

 こちらは暴露評価の不確実性、先ほどもご議論いただきましたけれども、ビスフェノールAについても行ってございまして、それぞれ1から5の項目につきまして不確実性の解析を行ってございます。

 それでは、資料3─1に戻りまして、評価結果及び今後の対応についてご説明させていただきます。

 ビスフェノールAにつきましては、生態影響に係る有害性評価として、既存の有害性データから水生生物及び底生生物に対する予測無影響濃度を導出しまして、また、暴露評価としましては、化審法の届出情報、PRTR情報等に基づく予測環境中濃度の計算、あるいは環境モニタリングによる実測濃度を収集しました。これらを比較しましてリスク評価を行った結果、予測環境中濃度の計算値、環境モニタリングによる実測濃度がPNECを超えた地点が確認されたところもありましたが、その地点は少なかったということでございました。また、製造・輸入数量の経年変化はほぼ横ばいでございました。

 次の丸は、先ほど中杉先生にも言及いただきましたけれども、このことから、現在推計される暴露濃度につきましては、ビスフェノールAによる広範な地域での環境の汚染により生活環境動植物の生息もしくは生育に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えてございます。

 他方、一部の水域におきましては、環境モニタリングによる実測濃度や予測環境中濃度の計算値がPNECを超えた地点がありましたことから、当面の間、製造・輸入数量やPRTR排出量等の経年変化を調べつつ、追加モニタリングを行うことによって、その地点における暴露状況を把握したいと考えてございます。

 説明は以上でございます。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 それでは、これより審議に移ります。ただいまの説明に対しまして、ご質問、それからご意見等ございましたら、また同様にネームプレートを上げていただければと思います。よろしいでしょうか。

○中杉委員長  結論はこれでよろしいと思いますけれども、今回、前回のイソプロペニルベンゼンと違って、かなりデータによってはリスク懸念箇所があったりなかったりという結論になっているので、先ほどいいましたように広範な地域でという意味では多分ないだろうというので了承しますけれども、他方で今後追加モニタリング等を行うということをいっているので、その結果、結論は変わらなければ──結論は変わらないかもしれませんけれども、リスクがないというふうに今は読めてしまうので、部分的にはもし問題があるというようなことであれば、それはどういう扱いをされるのだろうか。また、この評価書を書くというような大層なことには多分ならないと思うのですけれども。化審法だけでリスク管理をするわけにはいかないので、部分的にも問題がある箇所があれば、化審法の外で、規制まではいかなくても指導等で対応していかなくてはいけないということになりますので、そういうところを何らかの形で、やりますよで終わらないで、問題が生じるということがわかったら何らかの形で発表していただくようなことが必要かなというふうに思いますけれども。今回の結論はこれで結構だろうと思いますけれども。

○環境省  ありがとうございます。

 リスクが懸念される箇所については、まず暴露評価を精査することが重要だと考えておりますけれども、その精査結果を踏まえまして、もしリスクが懸念されるような場合は、化審法の中にも行政指導を行う根拠条文などがありますから、そういった措置も考えられます。評価結果を踏まえて適切に措置を講じてまいりたいと考えてございます。

○林部会長  ほかにどなたか。どうぞ。

○青木委員  そうしましたら、資料3─2の30ページ目のところに、化審法届出情報に基づくいわゆる推計結果のところで、一応3ヵ所懸念があるというふうに表で示されているのですが、そのことが最後の「考察とまとめ」のところでは多分全く触れられていないんですね。その理由というのは恐らく、52ページの暴露推計のところで、上から5段目のⅳの排出量推計の理由のところでの1.目、「PRTR情報を用いた評価結果を優先してよいと考えられる」というのが根拠になっていると思うのですが、これはやはりちょっと、具体的に数を示されていて、まとめのところに──しかもこれは考察ですので、考察とまとめですので、それを化審法の情報に基づくものに採用しなかったという理由は書かれたほうが、まとめのところにも書いたほうがよろしいのではないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。

○林部会長  済みません、まとめのところのどこにそれを入れる……。

○青木委員  リスク懸念箇所ということで書いてあるわけなので、それはやはり、その懸念箇所があったけれども、そのことは特に──だから、まとめに記載しなかった理由というのがよくわからないのですが。懸念箇所があると書いておいて記載しないというのは、ちょっとどうなのかなと思ったのですが。

○NITE  私から少し補足させていただきます。

 今ご質問がありました、化審法届出情報のほうでリスク懸念箇所がありましたと。けれども、そちらをまとめに記載しなかったのは、ご説明いただいたように、52ページの不確実性解析のところで、化審法届出情報は出荷先の都道府県を仮想的排出源と見立てて排出係数を掛けるということで排出量を求めており、PRTRの個別の事業者の情報の方がより実態に近いのではないだろうかというふうに考えて、PRTR情報を用いた方を優先したということが52ページのⅳ)に書かせていただいたとおりでございます。まとめと結論にも少し触れるべきではないかということはご指摘のとおりだと思いますので、そのあたりはちょっと書きぶりを検討させていただきたいと思います。

○中杉委員長  今のご質問に関連してですけれども、PRTR情報というのは非常にある意味では限られた情報で、取り扱い事業者の方の情報が中心ですよね。ここにも書いてあるように、長期排出シナリオのところで書いてあるように、長期的な使用に伴う排出というのはPRTRではなかなか把握できないというようなところがあります。そういう意味では、PRTR情報自体は信頼性は非常に高くても、実際に排出シナリオでPRTR情報に基づくというようなことをいっていると、そこで把握できていないものがほかにあると考えられると、その予測というのも少しずれが出てくる。実際にポリ塩化ビニルからビスフェノールAがどうしてからわからんけれども溶け出してくるというような例もございます。そういう文献もございますので、そういう意味では長期的な使用段階でなぜビスフェノールAが出てくるのだろうか、プラスチックかというのはよくわからないのですが、それも含めて少し調べる必要があるだろうというふうに思います。これは将来的な課題で、今の段階で決断するのに調べて結論を得るまでこれを延ばしていくという話ではないので、そういう意味ではモニタリングでちゃんと確認をして、そこら辺はアンノウンだけれども適切なモニタリングをして環境濃度が問題ないということであれば問題ないという結論になるのだろうと思いますので、ここが不確かだからそこを一生懸命解明しないと結論が出せないということではないだろうと思います。

○林部会長  どうもありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。原田さん。

○原田委員 資料3─1の結論について、第2パラグラフまでは特段コメントはございません。今、中杉先生等もおっしゃられたように、3段目、資料3─1の最後、「他方」というところで、今後の対応のところで追加モニタリングの必要性をここに書く必要があるかどうかについてですが、私は、現時点では追加モニタリングまでする必要はないのではないかと思います。

 1つは、排出源がG─CIEMS等で大体わかってきていますので、そちらの暴露情報をまず精査していただいく、その上で、次の段階として追加モニタリングというのが必要かどうかという、段階的に書かれたほうがいいと思います。環境モニタリング、確かに実測ということでデータとして非常に重みがあるデータだと認識しております。しかしながら、一方で日間変動、月間変動といったものでデータの振れがどうしても出てきます。そういった点も含めますと、まずは最初にやるべきことは、ここに書かれている、当面の間、製造・輸入量やPRTR排出量等の経年変化、こちらのことを第一に書いたほうがよろしいかと思います。

 あともう1点、別の観点で質問させてください。今回のビスフェノールAに関しましては、モデル推計としてG─CIEMSのほか、産総研のAIST─SHANELを両方用いています。メチルスチレンのときはG─CIEMSだけといったような、ちょっと使い分けがあるようですので、それぞれのモデルの特徴、例えばSHANELでしたら下水道での処理率等を加味されている、そういったような長所と短所の使い分け等もリスク評価のガイダンスのところに記載いただくと、今後の審議のところで使い分けも加味した考慮ができると思います。

 以上2点です。

○中杉委員長  今、原田先生がいわれた前のところの部分についてですが、私が申し上げたのは排出シナリオといいますか、PRTRにしろ、固定発生源からのものだけなんですね。それ以外の部分がいろいろあるので、その部分が把握できない。それを解明しようとすると物すごい大変なことになる。時間がかかるというようなこともあるので、それであればモニタリングで確認をすればよろしいのではないかと。もちろん、日間変動とか季節変動、場所の変動というのは、それは十分加味した上で評価をしなければいけないと思いますけれども。例えば私が先ほど申し上げたプラスチックから溶け出すというのも、ビスフェノールAが添加されているかどうかわからないものであると。これなんかも1つの、本当にそうかどうかわかりませんけれども、ビスフェノールA系のプラスチック添加剤がいろいろあります。ああいうものが使われている間に、もう一回溶け出してくる、壊れて溶け出してくるということも考えられるのではないかと。そういうところまで全部解明していこうとすると非常に大変だろうということもあるので、それであったらきっちり管理した中のモニタリング結果で判断をできるのではないだろうかと。そういうふうな別な経路ですね。今モデルの中で考えている以外のシナリオというのが、全部それを解明しようというのは無理であると。そういう懸念があるので、そういうものについて、その懸念があったとしても問題ないということで、出すならばモニタリングをすればよろしいのではないかという意味合いで申し上げました。ですから、やはりモニタリングというのは私はやるべきだろうというふうに考えています。

○原田委員  中杉先生がおっしゃられたことは理解しました。確定情報としてモニタリングデータを使っていくという理解でよろしいのですか。

○中杉委員長  適切な管理をして、ここまでやって、ちゃんとモニタリングをやってみて、それで問題なければそれでよろしいのではないですかという。いろいろなことを解明してやるには、これは物すごい時間がかかるんですね。そういう意味では、今は十分高いところが把握できているかどうかわかりませんので、だからモニタリングデータも過去のデータで高かったところがある。それについてももう一回はかり直してみる。そういうところも全部踏まえて、環境中濃度についてみたら全部オーケーだったということになれば、それでよろしいのではないだろうかと。問題ないということがいえるのではないだろうかという意味合いです。確定情報というもの、今のモニタリング情報というのは、ある限られたモニタリング情報ですので、そういう意味で全部年代のそこら辺を考慮した上でモニタリング情報を新たにとり直そうと。リスク評価のためのモニタリング情報をとり直そうと、そういう意味合いで申し上げています。

○林部会長  よろしいでしょうか。これはまとめと今後の対策についてというきょうのこの議論の結論の部分ですので、今の点に関してもう少しご意見がありましたら挙手願います。では、庄野委員。

○庄野委員  中杉先生の今おっしゃった話については基本的に私ども同意なのですけれども、全般的な管理云々という議論から考えますと、例えばこの表8をみたときに、黒のところって、これは1点なんですよね。これ、会社は恐らく事業者1社ですか。ここは何でこれが出てくるのですかねと。むしろ反対に。これはどうやって押さえるのですかと、この辺の対応のほうがむしろ重要で現実的な感じがするんですよね。だから、ここは確かにモニタリングというのもあるのですけれども、経費とか効率とか管理の観点から果たしてそれは適切なのかどうか?。私もモニタリングが必要だとは思いますけれども、本当にそこまで考えるかというのはちょっと今後ご議論をしていただいてもいいのではないかなという気がします。

○中杉委員長  全体として、モニタリングではなくてほかのものでわかれば、それで多分よろしいのかもしれませんけれども、やはりモニタリングのほうが結論を出すのに一番私は早いのではないかと。実際にこの超えているところについても、本当にモデルでは超えているけれども、はかったときに超えていないのだということがはっきりすれば、それはそれでよろしいのではないかと。ちょっと今得られている情報だけから、我々が知り得ているものだけからモデルの中に組み込んでやっているわけですね。排出シナリオ全体を含めて。でも、不確かな部分がいろいろあると。そういうものを逆に抑えてしまうという意味では、一つ一つを押さえて全部をやるというのはなかなか結論ができ得ないだろうと。そういう意味で考えたときに、一応懸念される一番高いところといいますか、高いところを押さえて、それから、今計算上問題があるというところを押さえて、そこが問題ないということを確認すればよろしいのではないかと。実際にそれで問題があれば問題があるということだと思いますので。確かに、そのときに日間変動とかそういう議論は必要だろうとは思いますけれども、結論的には広範な地域でそんなことが起こるかと。今の問題だけをみればそうはならないだろうというふうに私も理解していますが、確認のためにモニタリングをやってみてはどうかという意味合いで、いろいろ排出シナリオだとかそんなものを踏まえますと、少し不確かな、頭の中がもやもやとしているところはあるんです。それを確認したいというのが、確認して出すべきではないだろうかというのが私の考え方で、それはもやもやしているところを全部解明してこうだといえればいいのですけれども、なかなかそれをやるには非常にこれも大変な労力が必要なので、実際にははかって確認したほうが一番楽ではないかという意味で、私はモニタリングというのをやってはどうかということに賛成をしているわけです。

○林部会長  庄野委員、よろしいでしょうか。

○庄野委員  はい。

○林部会長  どうぞ。

○東海委員  今のご議論に若干関係するかもわからないのですが、有害性評価のデータとその暴露評価の整合性のことでちょっと確認させていただきたいことがあります。

 有害性評価のところで最終的に選ばれたこの0.006mg/Lというこのキースタディーをみますと、これは18ページにありますけれども、汽水域ですね。塩分、試験用水に海水が含まれた場合の結果であると。そうすると、この値を選ばれたということは、汽水域であるとか海水が入りそうな沿岸──淡水はもちろん入ってきますけれども、そういう水域におけるこの生態影響というものが大事であるということにまず絞り込んで決められたというふうに理解できます。一方で、この暴露解析で得られた高濃度の地点というのが、そういう汽水域というところに該当しているのかどうかという、そのチェックはされたほうがいいのではないでしょうか。ですから、具体的なアクションとしてモニタリングをするという前段階で、現在得られているデータの整合性をみることによって、もう少し整理することができるのではないかというふうに感じました。その点はいかがでしょうか。

○庄野委員  東海先生と私どもは同じです。そこへもっていきたいと私どもも思います。

○中杉委員長  理想的にはそうだと思うのですけれども、多分、今データの制約から、海域、汽水域、淡水域と区別していないんですね。厳密にいうと、海域の生物についての試験データを得て、海域の最大濃度についてやる、汽水域についてやるという形なのですけれども、なかなかそれではそろわないので、一番低いのをもってきて、環境中で一番高いのという、もう割り切りでそう評価をしている。厳密にいうと、そこはおかしいのではないかという議論はあるのですけれども、そういうふうな形で整理をせざるを得ない状況にある。だから、それをもう少しやれという話になって、そういう区別をしてやるときに、またそこの違いがあるから不確実係数を幾つつけようという話になると、もう際限なくなってしまう。今はもうそういう割り切りでやらざるを得ないのではないかというふうに私は考えて、それはいい加減だといわれてしまうとそのとおりかもしれませんけれども。ある程度そういうふうな合意で今は進めざるを得ないのかなというふうに思っていますけれども。

○林部会長  ありがとうございました。

 どうぞ。

○鈴木(規)委員  今の汽水のデータに関しては中杉先生のおっしゃるとおりに思いますのですが、1つはまず、ずっと何か議論しているこのモニタリングの必要性というところですけれども、モデル推定の側からすれば、モデル推定はある意味、現状可能な技術的ベストな方法で行われたのだろうとは理解しておりますが、しょせんは計算ですので、今は1地点となっていますけれども、これが10だといわれても極限すれば不思議はないというものだと思いますので、その意味ではこのぐらいのものが出れば、私のセンスであれば一応測定して検証してみる必要は必ずあるというふうに私は思いますので、モニタリングは必要だと思っております。

 それが1点と、もう1つは、これはもしかしたら座長預かりになるかもしれませんので、そのときいえばいいかもしれませんが、表5─30というところに、一番下のほうに、暴露シナリオのところに、水域への排出量は考慮されているけれども、G─CIEMSによる分配比率の推計をすると、水ではなく土壌に分配されるから不確実性はあまり大きくないというのが書いてあるのですけれども、多分理論的にはこれは完全にはつながっていないと僕は思いますので、大体そうだと思うというのは、必ずしもこの報告書ではない私自身の研究経験からすれば多分そうだろうとは思いますが、この論拠は厳格には恐らく適用しがたいと思いますので、恐らくこれによって不確実性が低いという結論にするのはちょっと無理ではないか。やるのであれば、そういうデータの処理の仕方をする必要があるとは、科学的には多分そうだと思います。ただ、最終的な結論としては、私の経験からすれば、特段書きかえる必要はないと思いますけれども、ちょっとここに関しては少し記述に無理があるかなという気がいたします。

 これをみて思ったのですが、実はこれ、同じ記述、考察が、恐らくイソプロペニルベンゼンでもあり得るのではないかと思うのですが、そちらについても考察が恐らく必要だと。ここに書くのであれば。全く同じ考察が多分イソプロペニルベンゼンにも当てはまるような気がしますので、ちょっとご検討いただければと思います。

○林部会長  あと、吉岡委員の札が立っていますが。

○吉岡委員  資料3─2の58ページの上から3行目あたりのところで、モニタリングとモデル暴露評価はいずれもおおよそ一致しているというような結論が書かれています。一致しているのならば、別に資料3─1の「他方」で始まる3番目のモニタリングを強化しますよというようなことになぜつながるのかなという部分がちょっと不明確だろうというふうに考えるんです。モニタリングのことにつきましては先ほども議論がございましたけれども、あまりモニタリングに頼るのはどうかなというのは1つの意見です。例えば57ページの表6─3にございますPEC、PNECの比率の、一番下の水生生物のところの1.8という数字から上を追ってみますと、これは計算値ですからだんだん下がっていっているというのは当たり前なのですが、極端にある1ヵ所だけが変になっているわけではない。そういう意味からすると、モニタリングをするにしても、これから大量の場所をしなければいけないような形になってしまう。そして、何年して、どれだけのデータが集まったらモニタリングをやめてもいいというようなことが起きるのかどうかというのもわからない。そういう意味で、モニタリングだけに力を入れるのではなくて、何らか現実に対応方法というものを考えながらやっていく必要があるのではないかなというふうには思います。

 以上です。

○林部会長  ありがとうございました。

○中杉委員長  私はモニタリングをしたほうが良いといっているので、モニタリングで判断しなさいといっているようにとられると困るのですけれども、そういうことをいっているつもりはないんです。これはモデルでやって、実際にモニタリングでやって、懸念される場所がある。懸念される場所が、本当にそれは懸念される状態なのかどうかというのは確認する必要があるだろうと。そういう意味で、そのモニタリング結果だけでまた判断するわけではないということだけ申し上げておきたいと思います。そこでモニタリングした結果、問題がなければ、それはそれでモデルで計算してやっても、これは多分計算との違い、これは両方合っているといっても結構な違いが、合っているというレベルがありますから、そういう意味では両方やるために、特に懸念されるところについてモニタリングで確認するのが一番早いのではないか。モデルのところを詳細に調べてモデルをブラッシュアップしてやるというのは、いろいろな面でチェックをしなければならない部分があるので、モニタリングというのをからめてやって確認できて、問題がなければそれはそれでいいのではないかと。私の直感的な言い方で申しわけないけれども、②番目の結論で、多分そのままでいいのだろうと。だけど、直感的な結論ということで少し怖いものですから、やはりモニタリングでそこを確認してほしいということを申し上げていると。

○林部会長  事務局、何かコメントありますか。

○環境省  ありがとうございます。モニタリングをやるかやらないかというところで随分ご議論ありまして、確かにおおむねモニタリングとモデル推計は整合的とはいいましたけれども、資料3─2の63ページのところにモニタリングとそのG─CIEMSでの推定濃度の比較もつけさせていただいております。この右、真ん中のところは、真ん中の斜めの線が完全にG─CIEMSとモニタリング濃度が一致しているというところでありますけれども、やはり10倍から100倍ぐらいのばらつきはかなりあるというところもありました。今回G─CIEMSあるいはモニタリングでリスク懸念があるというところは再度モニタリングで確認をしたいと思っておりまして、環境省においては別の課室ではありますけれどもそのための調査の予算もありますので、いつまでもずっとモニタリングをやるということではないかとは思っておりますが、やはり1度は確認したいというのが我々の立場でございます。また、将来的にどうしていくのかというようなところは、引き続きまたこのような場でも議論させていただければいいのかもしれません。この1ヵ所残ったところをどうするのかとか、そんな話も先ほど庄野委員からもありましたけれども、そういった部分のこういったリスク懸念箇所に対する対応ということは、今回はこういう形でやらせていただければと思いますし、もしそれで問題があるのであれば、それはまた将来見直していけばいいのかなと考えているところでございます。

○林部会長  ありがとうございます。

○庄野委員  結構かと思います。私も吉岡先生と同じで、やはりモニタリングばかりというわけではなくて、どうやって手を打つか。何が原因なのだと。何が高いのか。こういうようなことも結局いろいろな結果に結びついていくものだろうと思います。それは両方やっていくことが必要ではないかと思います。ありがとうございました。

○林部会長  ありがとうございました。

 今、庄野委員が全体をまとめてくださったような感じなのですけれども、少し時間もオーバーしています。これで、事務局から提出された評価結果及び今後の対応についていろいろ議論をいただきましたけれども、大筋ではこれをお認めいただけますでしょうか。

 また、先ほどのものと同じように、少し表現ぶり等のブラッシュアップが必要なところもあるかと思いますので、その辺のところはまた3人の座長にご一任いただければと思いますが、いかがでしょうか。──どうもありがとうございました。

 それでは、ビスフェノールAにつきましても事務局案どおりの取り扱いということで、この場はまとめさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、これで議題1が終わります。それで、議題2に移らせていただきたいと思います。

 議題2としましては、「化審法における物理化学的性状・生分解性・生物濃縮性データの信頼性評価等について」の改訂についてでございます。

 事務局からご説明をお願いいたします。

○NITE  ご説明したいと思います。

 タイトルが長いですので「信頼性基準文書」といわせていただきますが、これに関しましては平成23年9月15日に現状のものが策定されまして、これまでスクリーニング評価又は評価Ⅰの評価に物化性状等を活用するのに用いてきたところでございます。そういった経験を重ねる中で、現行の信頼性基準ではより信頼性が高いと考えられるデータが選ばれない場合があった、また、採用値を選定する基準がこの文書では少し不明瞭なところもございましたので、そういった課題に対してより合理的かつ効率的な信頼性評価を行うために、このたび採用値を決定するためのルールの追加もしくは見直しを行い、この場で改訂(案)についてご説明をしまして、ご了解いただきたいと考えております。改訂(案)につきましては資料4─2になっております。

 主な改訂箇所については資料4-1でご説明したいと思います。資料4─1の2.の表にまとめておりますが、左の番号1から簡単に紹介させていただきますが、信頼性ランクにつきましては資料4─2の2ページに図表1がございます。各データに関しましては情報源や、もしくは試験のクオリティーなどを加味して信頼性ランクを1から4までつけるようになっております。この信頼性ランク4につきまして、その位置づけについて、これまで「原則使用不可」というような記載をしておりましたが、このような信頼性ランク4のデータも現実面では使っているという背景もございますので、表現ぶりを変えまして「信頼性1,2のデータがない場合のみ、暫定的に使用」と、このような表現に改訂しております。

 また、4の中でも「4A」「4C」というふうにレベルを2つに分けまして、基本的に試験データの場合は4Aにし、QSARなど推計値の場合は4Cにするといった分けも加えております。

 2つ目にまいりまして、国際的にもしくは化審法上認められた試験法ということで、これまでも試験法はこの文書に並べておりましたが、それに加えてEUの試験法も加えて、この信頼性基準の評価対象の試験法としたいと考えております。

 番号3つ目、データの補完に用いる推計方法についてということになりますが、これまでヘンリー係数もしくはBCFにつきましては複数の推計手法、複数のQSARなどを用いていましたが、他の物化性状の推計法とも合わせまして、これら2つに関しましてもEPISuiteのみを使った推計にするということに変更しております。

 次、4つ目、同一の信頼性ランクのデータが複数ある場合のデータの決定法ですが、より信頼性の高いデータを採用するという基本的なスタンスはそのままなのですが、より高いランクに複数データがあった場合ということになります。現行は、基本的に算術平均値を用いておりました。ただし、BCFはより高いほうが評価がいわゆる安全側になるということになりますので、BCFは高いままなのですが、その他に関しましては、中央値を採用するということとしております。

 次に、番号5と6、これはほぼ同様の内容でございますが、圧力が5番で、6番に関しましては蒸気圧・水に対する溶解度についてです。これにつきましては、これまで圧力もしくは蒸気圧・水溶解度を測定の際の環境設定温度であるとか圧力の記載がない文献データなどの扱いについて、それらを20℃、1気圧とみなして、それなりのランクの高いデータとして扱っていたというところがございました。また、そのように扱う記載になっておりましたが、それらに関しまして改訂(案)では少しランクを下げまして、沸点の場合、5.の③に位置づけし、蒸気圧・水溶解度に関しましては6.④に位置づけます。具体的にはこういった環境設定、測定における環境条件が記載のないものに関しましてはランク4に下げて扱うという扱い方に変えるということになります。

 裏面にまいりまして、7つ目ですが、解離定数に関しまして、これまでの文書には解離定数の記載はございましたが、実際はpKaに関しましては評価Ⅰまででは使っておりませんので、この信頼性基準についても削除することにしました。

 8つ目、logPowの試験法の確認についてですが、これまでlogPowの得られたデータの範囲によって、その試験法について精査をしておりましたが、そういった細かい精査につきましてはその次のレベル、評価Ⅱ以降の精査の段階で行うという考え方に改めました。

 これは、前回からもそうなのですが、そもそもこの信頼性基準のスタンスとしまして、試験条件や結果の有効性が必ずしも担保できていないということが判明している場合ですね。どうしても評価Ⅰまでに用いる信頼性基準は外形標準的に判断していく部分もございます。ただ、本日の議論でもありましたように、評価Ⅱの段階でデータの細かいところまで判明した場合で、評価Ⅰ等で使う場合はそれらはデータを使用しないとかランクを下げるといった方法で扱っていくということになります。

 大体大きな主な変更点は以上となっております。

 説明は以上です。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に対してご質問等ございますでしょうか。吉岡委員。

○吉岡委員  解離定数についてお伺いいたします。

 評価Ⅰにおいては、確かに生分解性であるとかいったような部分では解離定数は使わないのかもしれませんけれども、毒性の評価において解離定数が必要になる可能性があります。生態毒性の話です。人間と違いまして胃袋を通るとかいうようなことがないものですから、水中に直接暴露されている場合は、どの程度の部分が解離しているかというのはpHによって大きく影響する傾向がございます。実験条件と実際の環境条件とは違うということも可能性として考えられますので、生態毒性の議論のときにそうした解離定数の値が必要になるかもしれません。私、省庁間でデータをとる分担がよくわからないのですけれども、そういう場合には解離定数でやってくれと。分解性のときにはうちでやるから──うちでというか、経産でやるからというような話になっているのでしょうか。

○NITE  まず評価Ⅰの段階では、基本的にこれまでもスクリーニング評価で精査した毒性値、これは人も生態のほうでもですが使っておりました。ただ、本日、この1つ前の議論でありましたように、評価Ⅱの段階におきましては、この物化性状に関しましても今お示ししました信頼性基準ではなくて──もちろんそれもベースにしますが、もう一度有識者の先生方に集まっていただきまして精査をし直しまして、この評価書にその物化性状の値を入れます。また、当然毒性値もそうだと思います。評価Ⅱを行うに当たっては、各事務局、省庁間で連携をして必要な情報はやりとりをして行っていくということになりますので、この信頼性基準文書、評価Ⅰまでに使うこの信頼性基準文書になくても影響はないと、そのように考えております。

○林部会長  よろしいでしょうか。

○吉岡委員  ちょっとよくわからなかった。私が評価といったのは、一次の評価の話なんですが。一次だって生態毒性を評価するので、その値がどうだということを議論するときに解離定数を使わないということは初めから言い切れないので、どこかのところでそういう情報を出してもらうようなシステムがつくられていてほしいという願いです。

○環境省  今の御指摘につきましては、先ほどありましたとおり、スクリーニング評価のときに、そもそもかなり先生方にも少し確認が必要な文献は確認いただいて精査しておりまして、評価Ⅰのときは基本的にはスクリーニング評価のものをそのまま使うのと、あとは事業者さんからデータが出てくればその都度信頼性確認をして使っていくということでございます。実際に評価Ⅱの段階では、先ほどもみていただいたように、ビスフェノールAなどと同じように、もう一度ブラッシュアップして先生方にみていただくときにはそういったpKaのデータなどを加味して信頼性確認などをしてもらうことは考えております。評価Ⅰの段階ではスクリーニング評価の毒性値をそのまま基本的には使うような形になりますので、それが評価Ⅰの位置づけであるということで御説明させていただければと思います。

○林部会長  ありがとうございます。ほかに。

 もしないようでしたら……。どうぞ。

○鈴木(規)委員  今、同じところなので、確かに信頼性評価をどこまでやるかはちょっともしかしたらわからないかもしれないけれども、pKaは多分物質の性状としては環境動態側からも必要なものはあるので、なるべく早い段階から収集できればしたほうがいいように私は思います。

 以上です。

○青木委員  非常に素朴な疑問で恐縮なのですが、資料4─2の2ページ目の図表1のところの、これは資料4─1でも同じことが書いてありますが、4Aと4Cのところが、それぞれ試験条件及び情報源が不明な測定値データと。例えば、こういうデータを採用してくるというのは、論文を書くときには全く許されないようなことだと思うんですね。ただ、あくまでも性善説に立てば、そこにあるものはとりあえずちゃんと良心をもって引用したのだろうという立場に立てば、まあこういうこともあるかなと思うんです。ただ、これを、むしろポイントは、4Aなり4Cなるものを採用することによってどの程度評価Ⅰが進むのでしょうか。つまり、何物質ぐらいがこういう対象になっているかということはある程度具体的に示していただかないと、化学としては多分こういうことは、例えばこういうデータを論文に投稿したらまず採用してもらえないのではないかと思うのですが、そのバランスだと思うので、ちょっとそこら辺を教えていただきたいのですが。

○NITE  参考資料3─1がお手元にございますでしょうか。そちらの1ページをみていただきまして、先ほど私がご説明しました、少し背景も含めて根拠・理由を書いているところなのですが、1ページの表1に、それぞれの物化性状において採用値としたときのデータの信頼性ランクを少し表にしておりますが、実際、ランク4については、例えばKocなどは14%ぐらいであるとか、蒸気圧も12%使っているとか、こういった結果は出ております。こういったことに基づきまして、ランク4のほうで少し改訂とか、または位置づけ、採用の考え方というのをつくっております。

○林部会長  よろしいでしょうか。

○青木委員  やはりそこに収載されたデータが信頼されるかどうかということで、あくまでも性善説に立っているという立場で理解していくということで了解しました。

○NITE  こちらは、そういう意味では、位置づけとしまして、評価Ⅰ、いわゆる優先順位づけに使うデータということでの使用ということでの位置づけです。もちろん評価Ⅱでこれをそのまま鵜呑みにするわけではなくて、先生方に集まっていただきまして精査をして結果を用いると、そのようなプロセスになってございます。

○林部会長  ほかに何か。

 特にないようですので、これも事務局のご提案どおり改訂を行うということでよろしゅうございますね。──では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは、次に議題3に移ります。少し時間が押しているのですけれども、議題3、その他でございます。

 リスク評価に関して、リスク評価(一次)評価Ⅰの結果及び対応について、事務局からご説明願います。ちょっと時間が押していますので、簡潔にお願いいたします。

○経済産業省  では、経済産業省から説明させていただきます。

 報告事項が2点ございます。1点目は、評価Ⅱ着手物質の選定です。もう1つは、優先評価化学物質の取り消しの件でございます。参考資料4─1をごらんください。

 まず1点目の、毎年事務局で行っております評価Ⅰの結果による評価Ⅱに着手する物質の選定でございますが、平成24年度までに指定された優先評価化学物質のうち、評価Ⅱに既に着手しているものを除く121の優先評価化学物質の中から、製造・輸入数量の全国合計値が10トン超の116物質を対象といたしまして、平成24年度の実績、届出情報──昨年届出があった情報なのですが──に基づきまして評価Ⅰを実施いたしました。

 その結果ですが、次のページなんですが、人健康の観点から3物質、生態影響の観点から13物質、合計16物質を評価Ⅱに着手する物質として選定いたしました。

 具体的には、参考資料の表2の物質リストのうち黄色のもの、「評価Ⅱ着手」と記載してあるものということでございます。

 もう1点でございますが、優先評価化学物質の取り消しの件です。戻りまして参考資料4─1の3ページの下のほうです。

 評価Ⅰの結果、製造・輸入数量の全国合計値が10トン以下となる優先評価化学物質と、全国の推計排出量が1トン以下となる優先評価化学物質につきましては、継続して3年以上この状態のままのものであるようなものにつきましては優先評価化学物質の取り消しに相当するものと判断するのが過去の審議会において決まりましたルールでございました。今回評価Ⅰの結果、この条件を満足する物質が5物質ございました。具体的には、この資料の一番最後、4─1の最後のページに記す5物質になります。これらの物質につきましては、本年度中に優先評価化学物質の指定の取り消しを行いまして、一般化学物質というふうにしたいと思っております。

 これらの結果につきましては、ホームページから後日公表する予定というふうになっております。

 以上でございます。

○林部会長  どうもご説明ありがとうございました。

 何か特にここで聞いておきたいというような質問等はございますでしょうか。

○中杉委員長  多分この物質でいいと思うのですけれども、製造・輸入数量が10トン以下の場合だと──製造・輸入数量が10トン以下とは最初からわからないんですね。少量になるから。というか、低生産になるからかな。だったら結構です。場合によってはエキスパート・ジャッジメントがあるので、暴露クラスが下でも毒性のランクがはるかに低いものについてはまた評価をすることになるので、そういうものについてはちょっとこういう扱いをするときに少し注意をしていただければと思います。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 それでは、この件に関しましては事務局から説明いただいたとおりの対応とさせていただいてよろしいでしょうか。──特にご意見がないようですので、そのように取り扱わせていただきます。

 それでは、そのほかに何かありますでしょうか。

 ちょっと言い忘れましたけれども、本日ご説明しました資料につきましては後日公開ということを伺っております。

 それでは、一応きょう予定された議題はこれで終わったのですけれども、何か追加の議案はございますでしょうか。

○経済産業省  ありがとうございます。特段ございませんが、合同審議会第二部の審議につきましては、済みません、ちょっと時間が押してしまいましたけれども、15分休憩を挟ませていただきまして、3時ちょうどから開始したいと思いますので、ご対応いただく委員の皆様におかれましては引き続きよろしくお願い申し上げます。

 なお、第二部からは化学物質審議会につきましては審査部会として審議会を開催することといたします。

○林部会長  ありがとうございました。

 以上をもちまして合同審議第一部を終了したいと思います。

 なお、第二部につきましては新規化学物質の審査等でございますので、非公開とさせていただきます。傍聴者の方におかれましては、ご退室いただきますようにお願い申し上げます。第二部委員の皆様には、開始時間が15時ちょうどからとなります。15分間の休憩を挟んで第二部を開始したいと思いますので、お席のほうにお戻りいただければと思います。

 どうもありがとうございました。                    

(第一部終了)