平成25年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会化学物質審議会第127回審査部会 第134回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会【第一部】議事録

1.日時

平成25年6月28日(金)13:30~14:15

2.場所

三田共用会議所 3階 大会議室

3.出席(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

小川 久美子鈴木 勇司高木 篤也
田中 博之西川 秋佳(座長)能美 健彦
平塚 明本間 正充

化学物質審議会審査部会委員

内田 直行大嶋 雄治北野 大
小林 剛林 真(部会長)吉田 緑

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

青木 康展小山 次朗白石 寛明
鈴木 規之田中 嘉成田辺 信介
中杉 修身(委員長)吉岡 義正和田 勝

事務局

厚生労働省長谷部化学物質安全対策室長
経済産業省恒藤化学物質安全室長
環境省瀬川化学物質審査室長 他

4.議題

  1. 既存化学物質の審議等について(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)新規対象物質の化審法第一種特定化学物質への指定について)
    (審議物質:エンドスルファン及びヘキサブロモシクロドデカン)
  2. 鳥類繁殖毒性の今後の評価等について
  3. その他

5.議事

○事務局(METI)  それでは、時間がまいりましたので、ただいまから平成25年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、化学物質審議会第127回審査部会、第134回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会を開催したいと思います。
 本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることをご報告いたします。
 また、各審議会から本日の会合への具体的伝達手続は、それぞれの省により異なりますが、化審法第56条に基づく諮問が大臣よりなされている審議会もございますので、よろしくお願いいたします。
 審議に先立ちまして、夏季の軽装のお願いについて申し上げます。
 地球温暖化防止、省エネルギーに資するため、政府全体としまして夏季の軽装に取り組んでいるところでございます。これを踏まえまして、事務局は軽装にて対応させていただいております。委員の方々におかれましても、ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 それでは、お手元にお配りしました資料の確認を行いたいと思います。
 まず、第1部となっているものの束でございます。最初に、議事次第でございます。次に、配付資料といたしまして、資料1─1、その後ろに別添を2点つけております。その次が資料1─2、資料2。最後に、クリップどめにした束でございますが、参考資料として1から7までをつけております。もし不足等ございましたら、事務局にお申し出ください。
 それでは、本日の議事進行につきましては、化学物質審議会審査部会の林部会長にお願いしたいと思います。林部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

○林部会長  それでは、これより議事次第に従いまして議事を進めていきたいと思います。どうぞよろしくご協力ください。
 それでは、議題1の「既存化学物質の審議等について」ということで、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約新規対象物質の化審法第一種特定化学物質への指定について」ということで、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局(METI) それでは、資料1─1に基づきましてご説明をさせていただきます。
 資料1─1「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の新規対象物質を化審法第一種特定化学物質に指定することについて(案)」という資料をごらんいただけますでしょうか。
 まず、1点目の背景からご説明をさせていただきます。
 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)におきましては、難分解性、生物蓄積性、毒性及び長距離移動性を有するPOPs(残留性有機汚染物質)による人の健康の保護及び環境の保全を図るため、各国が国際的に協調して、POPs条約の対象物質につきまして、製造及び使用を原則禁止する等の措置を講じることとしております。
 この条約への対応として、我が国におきましては、平成17年にPOPs条約の国内の実施計画を定めまして、平成24年にその改正を行っております。これら対象物質に関する製造、使用、輸入及び輸出の規制につきましては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)、農薬取締法、薬事法及び外国為替及び外国貿易法に基づきまして、所要の措置が講じられております。化審法におきましては、現在のPOPs条約対象物質のうち、意図的に製造されることのないPCDD及びPCDFを除いた19物質につきまして、第一種特定化学物質に指定しまして、製造、輸入の許可制(事実上の禁止)、使用の制限及び届出制(事実上の禁止)等の措置を講じております。
 POPs条約における対象物質の追加のための手続としましては、締約国から提案のあった候補物質につきまして、残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)におきまして、締約国等から提供された科学的知見に基づき、POPs条約で定められた手順に基づく検討を行うこととされております。昨年秋までに8回のPOPRCが開催されておりまして、我が国からは、委員として北野大淑徳大学教授に第1回から第8回まで継続的にご出席をいただきました。第6回のPOPRCでは、6,7,8,9,10,10-ヘキサクロロ-1,5,5a,6,9,9a-ヘキサヒドロ-6,9-メタノ-2,4,3-ベンゾジオキサチエピン=3-オキシド類─別名:エンドスルファンまたはベンゾエピン、以下では「エンドスルファン」と申し上げます─を附属書A(廃絶)へ追加する旨の勧告を締約国会議に対して行うことが決定されました。また、第8回POPRCでは、ヘキサブロモシクロドデカンを同様に附属書Aへ追加する旨の勧告を行うことが決定されたところでございます。
 これらの勧告を踏まえまして、まず、平成23年4月に開催されました第5回締約国会議におきましては、エンドスルファンを附属書Aに追加することが決定されております。また、本年4月から5月に開催されました第6回締約国会議におきましては、ヘキサブロモシクロドデカンを附属書Aに追加することが決定されております。これらの物質につきましては、今後、POPs条約のもとで、製造、使用等を廃絶・制限する措置等が講じられることとなります。なお、改正される附属書の発効自体は、国連事務局による各国への通報から1年後となっております。
 今申し上げましたような背景を踏まえまして、2点目の「化審法による対応(案)」としてご審議をいただきたく思います。
 まず、附属書Aに追加されたエンドスルファン及びヘキサブロモシクロドデカンにつきましては、POPsとしての要件を満たすことがPOPRCにより既に科学的に評価されていると考えております。これらの内容につきましては、別添1及び別添2にそれぞれ、エンドスルファンの有害性の概要とヘキサブロモシクロドデカンの有害性の概要としてまとめてございます。これらの資料は、基本的にはリスクプロファイルの内容を1枚目にまとめてございまして、その後ろにリスクプロファイルの原典をおつけしております。これらのリスクプロファイルなどで評価された内容につきましては、化審法の第一種特定化学物質と同様に、分解性、蓄積性及び毒性等に基づくものであることから、既に附属書Aに掲げられている化学物質と同様に、化審法の第一種特定化学物質に指定することとしたいと考えております。あわせまして、ヘキサブロモシクロドデカンにつきましては、平成22年度から化審法第14条第1項に基づく有害性調査を行った事業者に対しまして、同じ第14条第2項に基づきまして、第一種特定化学物質に該当すると判定し、通知することとしたいと考えております。
 また、化審法第24条に基づきまして、これらの物質が第一種特定化学物質に指定された場合には、それらの物質を使用している製品は輸入を禁ずることとなっております。その具体的な措置につきましては、また今後検討したいというふうに考えておりまして、特にヘキサブロモシクロドデカンは、難燃剤として現在も広く使用されていることから、POPs条約で認められた範囲で適用除外の登録等を行うことの可否、また、その製造・輸入・使用等を禁止する時期につきましても検討したいというふうに考えております。
 以上でございます。ご審議のほどお願いいたします。

○林部会長  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明についての質問、またコメントを、どうぞご自由にご発言いただければと思います。何かございませんでしょうか。

○吉岡委員  確認のためにお伺いしたいのですけれども、エンドスルファンの場合です。エンドスルファンの場合には、別添1の蓄積性のところにBCFの値というのが出てまいりますけれども、このBCFの値は、今現在、我々が事前審議としてやっております魚類のBCFで3,000ということが最高になっております。一特の指定要件としましては、今5,000という値がとられておると思いますが、そういう今の基準と比べてという意味でどのようなお考えをおもちでしょうかということを事務局にお尋ねしたい。

○林部会長  いかがでしょうか。

○事務局(METI) ご指摘いただいたBCFにつきましては、おっしゃるとおり、いわゆる5,000という数字を下回ってはございますが、リスクプロファイルでもBAFの数字も参考にして明確な生物濃縮性の可能性を示しているというふうに結論づけられていることから、十分な蓄積性を有するというふうに解釈しているところでございます。

○林部会長  よろしいですか。

○吉岡委員  別に反対しているわけではないのですけれども、ただ、BAFの値のところではまだ詳しくみておりませんけれども、7,280という値はコーション、注意をもってみなさいというふうなコメントがついています。「しかしながら」というふうに本文のところには続いている形になっています。つまり、7,280という数字が本当に確実なものであるということはまだちょっと霧がかかっているという状態であろうかと思います。
 さらに、では化審法という法律でBCFだけでみていてはいけないので、BAFのほうも今後調査しなければいけないのかということについてどのようなご意見をお持ちなのか、事務局にお尋ねしたいと思います。

○北野委員  (挙手)

○林部会長  では、北野先生、よろしくお願いします。

○北野委員  POPRCの委員として、確かに吉岡委員ご指摘の点はよくわかるのですが、POPs条約としては、主としてBAFを主にみているわけです。化審法、特に新規については実験上BCFしか求められないわけです。BAFはやはり水環境でのデータになってきますので。ですから、確かに化審法上はBCFになっていますけれども、POPs条約としてはBAFを主にみていくと。そして、確かに7,000のデータについては多少疑義があるかもしれませんけれども、あとはいわゆる専門家としての判断で、従来、これまでに指定されたPOPsと似たような蓄積性をもつであろうという、それがPOPRCの我々の判断です。

○林部会長  どうもありがとうございました。
 事務局のほうで何か追加はございますか。

○事務局(METI) この点につきましては北野先生にもご相談をさせていただいておりまして、先生から今ご説明あったとおりだと考えております。

○林部会長  では、そのほかに何かご質問等ございますか。

○小山委員  今の質問に関連してなのですけれども、やはり今後がどうなるかというのがちょっと関心があって、つまり、BCFが5,000に満たないものでも一特として指定する可能性があるということを、これは含んでいるということになるのでしょうか。

○林部会長  事務局のほう、お答えできますか。

○北野委員  ちょっと私が。確かに従来、BCFが5,000以下のものでも一特になって、例えばPFOSなんかがよい例ですね。あれはせいぜい2,000から3,000倍です。この場合には、濃縮性の機構が違うという、従来の単純な分配でなくて、たんぱく質との結合だろうという、そういうことで今、濃縮性にポテンシャルがあるという、そんな判断をしたわけです。確かに、過去にはそういう例ももちろんあるということで、どちらかといえばPOPs条約がかなり専門的な知識を重視しながら、規程、数値には余り限定されないという、そういう運用をしてやっているわけです。

○小山委員  POPsの関連については十分理解するのですけれども、要は化審法の今後の話です。これはどう考えるかということをお伺いしたいのですが。

○事務局(METI) 今のご質問の件に関しましては、一律に今後、今回のケースのような場合を適用するということは考えておりません。あくまでも個別のデータの内容を精査した上で、そのBCFの数字を補完するようなデータがあればそれを個別に判断するというような対応をしたいというふうに考えております。

○林部会長  ありがとうございます。
 ほかに何かご意見は。

○中杉委員長  北野先生にもう一回確認ですけれども、これは単なるBCFとBAFだけではなくて、環境中で検出されるか。生物の中で検出されるかどうかというところがかなり重要な要因として入ってきているので、総合的に判断してということですよね。国際的に環境残留性があるといわれたものを化審法でどう扱うかというのは、また個別に議論をするということですけれども、今のところ、国際条約で禁止されたものが化審法上で禁止されていなくても使えるかという話がまたもう1つの議論としてありますので、ここは個別に議論するという話だろうと思います。
 それから、1つだけ質問なのですけれども、エンドスルファンの場合には化審法の対象外の農薬としての用途がありますけれども、農薬のほうの対応はどうなのでしょうか。

○事務局(MOE) 農薬の取扱いについて説明をさせていただきます。
 エンドスルファンを含む農薬の登録につきましては、平成22年9月に失効しております。また、これは農林水産省の省令でございますけれども、販売を禁止する省令に平成24年3月に追加をされております。
 また、回収でございますけれども、これにつきましては、販売禁止省令の制定以前から、まずはメーカーさんが自主的に回収を、それから、省令の制定に先駆けまして、農協、それから農薬販売店を回収拠点とするということを農水省がシステムとして設定されております。回収量についてのデータはちょっと持ち合わせておりませんけれども、そういった形で化審法以外の条約に対応するべき措置としては所要の措置を講じておられると認識しております。

○林部会長  ありがとうございました。
 ほかに何かございませんでしょうか。
 もしないようでしたら、議論が一応出尽くしたというふうに考えさせていただきたいと思います。
 それで、事務局より本件の取り扱いについて説明をお願いいたします。

○事務局(METI) ありがとうございます。
 本議題につきましては、3省の関係審議会での合同開催、審議とさせていただいておりますが、審議結果を踏まえました今後の手続、対応は審議会により各省異なりますので、こちらにつきましては各省の事務局から順次ご説明をさせていただきます。

○事務局(MHLW) それでは、まず、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会での手続等についてご説明申し上げます。
 お手元の資料1─2をごらんください。
 「各審議会における報告(案)について」といたしまして、3つの審議会の報告案のタイトルをこちら表紙に記載しております。
 1枚おめくりいただきますと、こちらが薬事・食品衛生審議会関係のものになります。「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の附属書改正に係る化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく追加措置及び同法第14条第2項の規定に基づく判定について(報告)」という、こちらの報告案をご用意しております。
 薬事・食品衛生審議会におきましては、薬事分科会における確認事項と申しますものがございまして、第一種特定化学物質の指定の可否につきましては、化学物質安全対策部会で行うこととされております。この化学物質調査会は、安全対策部会の下に置かれている調査会でございまして、今回の審議結果につきましては、こちら資料2の1ページから4ページまでになりますが、こちらの内容で調査会の部会へのの報告案として作成してございます。
 内容につきましては、1番は先ほど資料1─1で申し上げましたような経緯をこちらに記載してございまして、2番につきましては「法に基づく措置について」で、この2物質につきまして第一種特定化学物質に指定することが適当であるということを記載してございます。
 こちらの本日の審議結果につきましては、化学物質安全対策部会に上程し、今後ご審議をいただくことを予定しております。化学物質安全対策部会において了承が得られましたら、薬事・食品衛生審議会の答申とさせていただく予定としております。
 以上です。

○西川座長  ただいま説明のあった報告案をもって化学物質安全対策部会への調査会の報告としてよろしいでしょうか。─了承いただいたことを確認いたしました。

○事務局(METI) 続きまして、化学物質審議会の手続等についてご説明をさせていただきます。
 まず、今般ご審議いただきました第一種特定化学物質の指定につきましては、化審法上の政令改正事項になります。また、ヘキサブロモシクロドデカンにつきましては、事業者から有害性調査指示に対する報告をいただいておりまして、化審法第14条第2項に基づきまして、これに対する判定通知を出すことになります。これらのいずれも、経済産業大臣から化学物質審議会へ諮問をいたしまして、化学物質審議会で答申をいただいた上で所要の手続を踏むという、こういった手続の流れになっております。
 ここで、化学物質審議会の運営規程におきまして、諮問に係る事案を化学物質審議会から、この本審査部会に付託することができるということになっております。また、その内容が技術的に専門事項であると認められるときには、この審査部会の決議は、化学物質審議会長の同意を経て化学物質審議会の議決、すなわち答申とすることができると、このように定められております。今回お諮りした2件とも、この技術的専門事項に該当いたしますことから、本審査部会の決議案としてご相談をさせていただきます。
 化学物質審議会審査部会の委員の方々におかれましては、資料1─2の5ページ目以降の決議案をごらんいただけますでしょうか。こちらに、案としまして「1,2,5,6,9,10-ヘキサブロモシクロドデカンに係る化審法第14条第2項の判定並びにエンドスルファン及びヘキサブロモシクロドデカンに係る化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第2条第2項に規定する第一種特定化学物質の指定について」という題名の資料がございます。決議案でございますので、決議案として2点記載してございます。1点目は、1,2,5,6,9,10-ヘキサブロモシクロドデカンに関する事業者の有害性調査指針に対する判定通知の案でございます。2点目につきましては、エンドスルファン及びヘキサブロモシクロドデカンに関する第一種特定化学物質の指定についてと、こういった構成になってございます。
 この決議案につきまして、部会長から審査部会に、このような内容でよろしいか諮っていただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。

○林部会長  ただいま説明のありました決議案をもって、化学物質審議会審査部会の決議としてよろしいでしょうか。─異議がないというふうに認めます。

○事務局(METI) ありがとうございました。

○事務局(MOE) 続きまして、中央環境審議会の手続等について御説明いたします。
 中央環境審議会では、中央環境審議会議事運営規則第8条によりまして、化学物質審査小委員会での議決は環境保健部会長の同意を得て部会の議決となり、さらに同規則第6条によりまして、会長の同意を得て審議会の議決とすることができると定められております。そこで、今回御審議いただきました内容につきましては、資料1─2の報告案を議決していただきまして、所定の手続を経た後、審議会の第一次答申としたいと考えております。
 中央環境審議会の委員の方は、資料1─2の6ページ目以降にございます報告案を御覧いただくようにお願いします。
 まず、経緯として、ストックホルム条約において、エンドスルファン、ヘキサブロモシクロドデカンが附属書Aに追加することが決定され、国際上の義務を履行するため、国内担保措置を講ずる必要があるとしております。このため、これら2物質につきまして、化審法に基づく措置について中央環境審議会への諮問がなされたところ、審議の結果をとりまとめたので報告するとしております。この諮問の写しは、本日の参考資料2につけておりますので、御参照いただければと思います。
 そして、この2物質は、化審法の政令を改正し、第一種特定化学物質に指定することが適当であるとしております。同時に、法第14条第1項に基づく有害性調査指示を行いました1,2,5,6,9,10-ヘキサブロモシクロドデカンについては、第一種特定化学物質に該当するものと判定することが適当としております。
 なお、これは第一次報告とさせていただいておりまして、これは、適用除外の登録等の可否などにつきまして次回以降に御審議いただきまして、その結果は、別途の報告とさせていただきたいという趣旨でございます。
 この報告案を採択する議決を委員長に諮っていただくようお願いいたします。

○中杉委員長  ただいま説明のありました報告案をもって、中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会の報告としてよろしいでしょうか。─御同意が得られたものとします。

○林部会長  どうもありがとうございました。
 それでは、本件の今後の取り扱いについて、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

○事務局(METI) ありがとうございます。
 今後の予定につきまして御説明をさせていただきます。
 先ほど各省の委員から決議をいただきました決議、報告等、案につきましては、各審議会で定められた手続を経て答申となり、公表されます。また、今回、第一種特定化学物質に指定された物質につきましては、今後、輸入禁止製品の指定、適用除外等の検討を行うこととなっております。これにつきましては、薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会、化学物質審議会安全対策部会、中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会、この3省の合同審議会におきましてご審議をいただく予定でございます。
 以上でございます。

○林部会長  どうもありがとうございました。
 ただいまご説明いただきました今後の取り扱いについては、これでよろしいでしょうか。─特にご異議ないようですので、これで議題1は終了ということにさせていただきます。
 それでは、議事次第の議題の2番目、「鳥類繁殖毒性の今後の評価等について」ということで、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局(MOE) それでは、資料2「鳥類繁殖毒性の今後の評価等について」、御説明いたします。
 まず、背景でございますけれども、鳥類繁殖毒性試験につきましては、化審法局長通知で定められました20週間投与による鳥類繁殖毒性試験と予備的な毒性評価の方法と想定しました6週間投与による鳥類繁殖毒性試験につきまして、その妥当性の検証から比較試験を実施しているところでございます。現時点までに第一種特定化学物質の3物質につきまして比較試験を行っておりまして、2物質について同様の結果が得られ、また、1物質については共通した用量の範囲において類似した結果が得られたところでございます。
 一方、平成22年度の審議会の資料におきまして、6週鳥類繁殖毒性試験と20週鳥類繁殖毒性試験の相関は、3物質のみで確認したものであり、被験物質によっては6週鳥類繁殖毒性試験の結果と20週鳥類繁殖毒性試験の結果が大きく異なる可能性があることに留意するものとするとしていたところでございます。
 そこで、6週試験の結果と20週試験の結果との差異について検証を行うとともに、鳥類繁殖毒性の今後の評価等について検討を行ったものでございます。
 2番の「検証の状況」でございますけれども、1,2,5,6,9,10-ヘキサブロモシクロドデカンを用いた鳥類繁殖毒性試験におきましては、1つの20週の試験と4つの6週の試験の結果から推定されたNOECに差が生じているように解釈可能となったところでございます。
 4ページの表1は、既に昨年度の審議会でお示ししたものを改めて整理し直したものでございます。これにつきまして、環境省におきましてさらなる科学的知見の充実を図るべく、検討を行ったところでございます。
 まず、検討事項の1番ですけれども、ニホンウズラの購入元・日齢の確認についてでございます。
 これは供試生物であるニホンウズラの系統、購入元、日齢等の確認を行ったところでして、まず、ニホンウズラの系統、購入元については全ての試験で同一でして、試験を相互に比較することは可能でございました。一方、日齢につきましては、20週の試験と同一の被験物質を用いて実施した6週の試験とでは、試験開始時期及び産卵開始時期の日齢の差が生じているということが明らかになっておりますけれども、これがNOECの差の原因を解明する決定的な要因とは考えられなかったところでございます。
 また、2番目の、飼料中のHBCD濃度から換算した摂取量の確認についてでございます。これは、供試生物の体重ですとか摂餌量から想定されたHBCD摂取量と、実際のHBCD摂取量との比較の確認を行ったところでございます。これにつきましては、供試生物の体重や摂餌量にばらつきがありまして、実際のHBCD摂取量につきましては約数十%のばらつきがあるということが推計されておりまして、試験を実施する上で注意すべきものであると考えられたところですが、これについてもNOECの差の原因を解明する決定的な要因とは考えられなかったところです。
 3番目として、産卵率の回復の遅れの確認についてでございます。これにつきましては、20週の試験における産卵率の回復の遅れという観点から確認を行ったものでございます。20週の試験におきましては、高用量群におきまして産卵の立ち上がりに遅れが生じているということが確認され、これらの高用量群で産卵に対する影響を有しているのではないかと考えられたところでございます。
 これらのいずれの観点につきましても、原因を考察する上で考慮すべきものと考えられますが、原因を解明する決定的な要因には至っていないところでございます。
 そして、HBCDに関する最新の有害性情報の収集についてでございます。
 POPRCが作成いたしましたリスクプロファイルにおきましては、環境省から提出した6週試験等のほかにも、カナダの研究チームが実施したアメリカチョウゲンボウに対する影響に関する試験結果が引用されているところでございます。これらの試験結果では、飼料中濃度が0.8ppmにおきまして鳥類の繁殖に影響が生じたとしており、6週試験におけるNOECと近いオーダーが示されているところでございます。
 このような結果を踏まえて、今後の対応を3番にまとめさせていただいております。
 まず、鳥類繁殖毒性を評価するための試験の妥当性の再検討としまして、今後、有害性調査の方法として20週試験が妥当か、また、予備的な毒性評価の方法として6週試験が妥当かどうか再検討を行い、改善すべき事項を整理するとしております。また、必要に応じて第一種特定化学物質を被験物質として6週試験及び20週試験の両方を実施して比較検証してまいりたいと考えております。
 なお、再検討を実施している間、監視化学物質の製造・輸入量等の状況から必要があれば、再検討の結果を待つことなく有害性調査の方法として定められている20週試験を環境省において実施することについても検討することとしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○林部会長  どうもありがとうございました。
 ただいまご説明いただきました内容について、御質問、コメント等はございませんでしょうか。

○中杉委員長  6週、20週の試験とも、試験の結果といいますか、不都合があったというわけではなくて、2つの方法でやると異なる結果が出たという事実だけが今あるということだと思います。その原因をいろいろ解明してもらったのだけれども、今回検討した範囲ではよくわからなかったということで、さらに検討するということなのですが、この中で、6週試験と20週試験の場合に繁殖にとりかかるやり方が少し異なっているように思われるのですね。そういうところも踏まえて少しさらに検討する項目があるのではないかと。それから、国際的にも6週なのか20週なのか議論をされているようですので、その結果も踏まえながら今後議論していく必要があるのかなというふうに思いますが。

○和田委員  ちょっと補足をさせていただきます。
 前のこの審議会で20週と6週の試験の関係のことをお話ししたと思うのですけれども、OECDでは基本的にウズラを使った場合は20週をテストガイドラインとしているのですが、化審法で審議をするときに、20週では長過ぎるというのは変ですが、有害性の調査をするためには、それの前に6週で予備的にやって、影響が出たら20週を指示するという、そういうやり方で化審法は枠組みが決められたわけです。何が違うかというと、20週というのは、繁殖をしているウズラのペアを、一度短日といって日の短い状況にして繁殖をとめて、そこからもう一度繁殖の状態にもっていくのですが、その間ずっと餌には被験物質が含まれているという状況です。6週の場合は、もっと早い時期というか、若い時期に長日にして、ちゃんと繁殖の可能な状態になったということを確認して、それで被験物質を与えるというやり方で、20週試験の後半の部分だけを取り出してやっているという状態になります。OECDの議論の中では6週で十分ではないのかという議論があったのですが、現在国際的には必ずしもはっきり決着がついているわけではなくて、20週が依然として残っている。日本とかヨーロッパの人たちは6週で十分ではないかというような意見が随分ありましたけれども、最終的には決着はついていません。
 今回ちょっと差が出たことの理由というのは必ずしもよくわからないので、もう少し科学的な知見が必要だというのがまずあると思うんですね。レポータージーンアッセイの結果なんかをみてみましても、直接繁殖系に効いているのではない可能性もあって、もっとほかの、例えば甲状腺系を介して効いているとか、そういうこともありますし、例えば哺乳類と野生生物でも大分違うとかというのがありますので、そういった知見をよく集めることと、国際的にどういう状況になっているかということを考えながら検討していくのがよいのではないかと思います。

○林部会長  どうもありがとうございました。
 そのほかに何か。

○吉岡委員  「鳥類繁殖毒性の今後の評価等について」という部分でございますけれども、6週間と20週間で差が出たのでいろいろこれから調査をしてみるということなのですけれども、これは試験法として6週と20週が違うのか違わないのかということを確認したいという意味なのか、それとも、目的となっているHBCDについてどうなのかということを検証したいのか、どちらを主点に置いて今後検討されるのかということをお尋ねしたいということが1点。
 2点目は、OECDなんかが決めていますから、当然鳥類毒性試験がひょっとすると他の国でも行われているかもしれない。20週と6週を比較することができるようなデータがもし各国にあるならば、そうしたものを取り寄せて同時に解析するということも必要なのではないかなと思う点です。
 以上です。

○林部会長  事務局のほう、お答えをお願いできますか。

○事務局(MOE) ) ありがとうございます。私ども、今回、長きにわたりまして、これら幾つかのデータを御審議いただきましたことをまずお礼申し上げます。
 今回のこのペーパーをまとめさせていただきましたのは、まず、吉岡先生のご質問にお答えさせていただきますけれども、私どもとしてHBCDに関する6週試験と20週試験との差についてはさまざまな観点から検討いたしまして、今後もしほかの物質で同様の鳥類繁殖毒性試験を行う場合には、こういった点に気をつけなければいけないなという教訓は多くあったというふうに思っております。中杉先生から御指摘がありました、そもそも試験系が違うことを念頭に置いてきちんと実験系を組むべきだということ、あるいは、今回のヘキサブロモシクロドデカンにつきましては多々異性体があり、工業製品あるいは試薬によってはその異性体比が異なっているといった点、また、今回ペーパーの中に3つ書かせていただきましたが、日齢の違いあるいは飼料中のHBCD濃度だけではなく、摂餌量を換算して摂取量を確認すべきこと、また、産卵率の回復の遅れがみられることから、これらについてもエンドポイントの1つとして検討すべきではないかといった点、こういった将来に向けての留意点は多々あったかと思っております。
 また、和田先生からも、甲状腺機能への影響が結果として繁殖毒性の阻害につながっているのではないかといった点、また、レポータージーンアッセイの結果などについても御指摘をいただきました。私どもとしては、今回のHBCDにつきましては、こういった結果を総合的に判断し、鳥類、高次捕食動物に関しまして毒性があり、化審法としての第一種特定化学物質に相ふさわしいと思って御検討をお願いいたしました。
 吉岡先生の御質問に立ち返りますけれども、今回のこれまでの教訓、それからほかの化学物質に関して6週と20週を同時に実験しているようなものがあるかどうかなどにつきまして、今後鳥類繁殖毒性試験を実施すべきではないかと考えられる化学物質がありました時点で、そのときの最新の知見を活用いたしまして留意点を整理し、有害性調査指示が必要であればそのようにしていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○林部会長  どうもありがとうございました。今、事務局のほうから非常に詳細にまとめていただきました。
 ほかに特段ご意見がございませんようでしたら、本件については、今後、今まとめていただいたような方針で事務局にて運営を進めていただくことにしていただきます。
 以上で議題2は終了とさせていただきます。
 議事次第に従いますと、3番に「その他」というものがあるのですけれども、事務局のほうで何か特別に案件の用意はありますでしょうか。

○事務局(METI) 特段ございません。
 第2部の審議でございますが、第1部がやや早く進みましたので、15分の休憩を挟みまして、あの時計で14時30分からということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○林部会長  どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして合同審議会第1部を終了したいと思います。
 なお、第2部につきましては、新規化学物質の審査等がございますので非公開とさせていただきます。傍聴者の方におかれましては、ご退室いただけますようにお願い申し上げます。
 また、委員の皆様には、今も事務局からアナウンスがありましたように、あそこの時計で2時30分から開始いたしますので、それまでにはお席のほうにお戻りいただくようにお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

(第一部終了)