第22回中央環境審議会環境保健部会議事録

1.日時

平成21年10月28日(水)10:00~11:37

2.場所

中央合同庁舎第4号館・共用第3特別会議室

3.議題

【審議事項】
 石綿健康被害救済制度の在り方について(諮問)
【報告事項】
(1)
水俣病問題について
(2)
化学物質審査規制法の改正等について
(3)
化学物質審査規制法の施行状況について
(4)
化学物質をめぐる国際情勢の最近の動き
[1]
水銀規制に関する国際的動向について
[2]
ストックホルム条約第4回締約国会議(COP4)の結果について
[3]
第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)の結果について
(5)
工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドラインについて
(6)
化学物質の環境リスク初期評価(第7次とりまとめ)の結果について

〈配布資料〉

資料1 中央環境審議会環境保健部会名簿
資料2-1 石綿健康被害救済制度の在り方について(諮問)
資料2-2 石綿健康被害救済小委員会の設置について(案)
資料2-3 中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について(案)
資料2-4 石綿による健康被害に係る医学的事項に関する検討会報告書
資料2-5 石綿健康被害救済制度参考資料
資料3 報告事項について
参考資料1 平成19年度PRTRデータの概要等について
参考資料2 化学物質環境実態調査の結果等について
参考資料3 熱中症環境保健マニュアル2009
参考資料4 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)基本計画(案)
参考資料5 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)仮説集

〈議事録〉

午前10時00分開会

○水野調査官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第22回中央環境審議会環境保健部会を開催をいたします。
 環境保健部会委員及び臨時委員34名のうち、本日は19名のご出席をいただいており、過半数の方が出席されておりますので、本部会は成立しておりますことをご報告申し上げます。
 まず、審議に先立ちまして、資料1をごらんいただきたいと思います。申しわけございません、資料1については番号が振っておりませんが、環境保健部会の名簿でございます。任期満了に伴いまして、香川順氏、高橋康夫氏が臨時委員を退任され、新たに佐々木定治氏、花里孝幸氏が臨時委員に任命されております。また、浦田隆氏が退任され、新たに月岡良三氏が臨時委員に任命、藤井絢子氏が委員から臨時委員に任命、審良正則氏、石川雄一氏、神山宣彦氏、坂谷光則氏が保健部会を退任されましたので、ご報告申し上げます。
 次に、環境省側ですが、本日は田島環境副大臣にお越しいただいております。ごあいさつをいただきたいと思います。田島副大臣、よろしくお願いいたします。

○田島副大臣 皆さん、おはようございます。ご紹介いただきました環境副大臣田島一成でございます。きょうは環境保健部会、こうしてお忙しい中、先生方にお集まりいただきました。本当にありがとうございます。
 私どもも政権交代後、新たな鳩山内閣のもとでこの環境省をあずからせていただくことになりました。本来ならば大臣がここにお邪魔をして、皆様に親しくごあいさつをさせていただくところではございますが、かわって私の方からごあいさつを申し上げたいと思います。日ごろより環境保健行政に大変ご尽力をいただいておりますことに、高席からではございますが、改めて厚く御礼を申し上げたいと思います。
 本日、皆様には石綿による健康被害の救済に関する法律について、皆様に諮問をさせていただくようにしております。もう、これまで施行されて救済等々、給付も既に行われているところではございますけれども、ちょうど平成20年に私ども、当時まだ野党ではございましたけれども、提案をさせていただく中で、改正法を提出させていただき、対象者の拡大等を図ってきたところでもあります。今回はこの救済制度の中身につきまして、中央環境審議会へ諮問をさせていただきました。
 1点目は、もう資料の方にございますけれども、指定疾病、現在は中皮腫と肺がんの二つでございますけれども、もう一つ、石綿肺を初めとする他の疾病の取り扱いについてのご審議をお願いしたいという点、二つ目につきましては、この法律に基づいて施行後5年以内に見直すという要綱がございます。この施行状況についてご検討をいただき、そして、今後この救済制度の在り方についてのご意見をちょうだいしたいと思っております。私どもも野党時代からこの石綿健康被害者救済について、真摯に議論と検討を重ねてまいりましたが、本日ぜひこの中環審の皆様、環境保健部会の皆様からの真摯なご意見をちょうだいし、より充実した救済制度に持っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 なお、本日、この環境保健部会においては、石綿制度以外にも化学物質対策、そして、水俣病問題などを報告させていただき、貴重なご意見をちょうだいしたいというふうに思っておりますので、ぜひご意見、ご審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 本日、皆様とともにこの議論に参加させていただくべきところではございますが、本日は本会議等も控えておりまして、ごあいさつをもって中座をさせていただきますけれども、どうぞ、委員の先生方、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。

○水野調査官 ありがとうございました。次に、事務方でございますが、前回開催されたときより人事異動もございましたので、改めて各担当者をご紹介させていただきます。
 まず初めに、田島副大臣の隣、環境保健部長の原でございます。
 私の隣でございますけれども、環境安全課長の早水でございます。
 石綿健康被害対策室長の泉でございます。
 特殊疾病対策室長の椎葉でございます。
 化学物質審査室長の和田でございます。
 環境リスク評価室長の塚本でございます。
 保健業務室長の森口でございます。
 分析官の山崎でございます。
 そして、私、企画課調査官の水野と言います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、お手元にお配りしました資料を確認させていただきたいと思います。配付資料をごらんいただきたいと思います。
 まず、一番最初、先ほどご説明いたしました、番号がありませんが、資料1の部会名簿。それから、資料の2-1でございますが、石綿健康被害救済制度の在り方について、諮問の文書がございます。次でございますが、石綿健康被害救済小委員会の設置について(案)でございます。資料2-3、中央環境審議会環境保健部会小委員会、専門委員会の設置についての(案)でございます。資料の2-4、石綿による健康被害に係る医学的事項に関する検討会の報告書でございます。資料の2-5ということで、石綿関係の参考資料ということで、一番頭に法律の概要がホッチキスどめになっております。続きまして、資料3ということで、報告事項ということで、厚いものがございます。また、その別冊資料3-5別紙で、工業用ナノ材料に関するガイドラインの資料がございます。この後は、参考資料になりますけれども、番号を振ってございませんが、PRTRデータの概要、それから、資料の2が化学物質環境実態調査の結果等についてというものがございます。その後が、すみません、熱中症環境保健マニュアル2009でございます。資料の4、エコチル調査の基本計画(案)、それから、最後でございますが、エコチル調査の仮説集、以上でございます。
 もし、ない資料がございましたら、事務局の方に言っていただきたいと思いますけれども、大丈夫でございましょうか。
 それでは、佐藤部会長に議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 おはようございます。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。暫時議事進行を担当いたします。
 それでは、早速審議に入りたいと思います。いつものことでございますけれども、この会議は公開でございます。
 まず、審議事項の石綿健康被害救済制度の在り方についてでございます。これにつきましては、先ほど副大臣からお話がございましたが、資料2-1のとおり、中央環境審議会に環境大臣から10月26日付で諮問され、その後、環境保健部会に付議されております。まず、田島副大臣より諮問書をお受け取りしたいと思います。

(諮問の手交)

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。ここで、副大臣は別件のために退席されます。
 それでは、諮問の内容について事務局から説明をお願いいたします。

○泉室長 石綿健康被害対策室長の泉でございます。座って説明させていただきたいと思います。
 まず、今、部会長にお受け取りいただきました諮問書でございますが、資料2-1のとおりでございまして、事項として意見を求める事項、二つございます。
 一つ目が石綿健康被害救済制度における指定疾病に関する考え方について、それから、二つ目が今後の石綿健康被害救済制度の在り方についてという2点でございます。
 まず、この2点の背景についてご説明した後に、今後の手続について、本日ご審議いただく内容につきましてご説明したいと思います。
 まず、背景でございますが、ちょっと資料が飛んで恐縮ですが、2-5という資料をお手元にお出しいただきたいと思います。
 石綿健康被害救済制度でございますが、これは平成17年に石綿健康被害が労働者以外の方にも起こっているということがわかりまして、大変な社会問題になりました。それをきっかけにつくられたのがこの救済制度でございまして、労災保険の対象とならない石綿健康被害を受けた方について救済する制度ということでつくられたものでございます。平成18年の3月から施行されております。この法律の概要というところを見ていただきたいと思いますが、まず、目的にございますように、石綿による健康被害の特殊性にかんがみということでつくられた救済制度でありまして、この特殊性というところの意味するところは、一つは非常にその曝露から発症までの潜伏期間が長い、何十年もあるということ、それから、どこで曝露したかわからないことが多いということ、それから、かかってしまうその疾病が非常に予後の悪い重大な疾病であるという、このことを特殊性と考えて、この救済を図っているというものでございます。
 現在の制度の内容ですが、対象となる指定疾病は2の(1)にございますように、中皮腫と石綿による肺がんの二つで、いずれもがんの仲間でございます。救済給付の内容は(2)のとおりでございまして、認定は(3)にございますように、被害者またはご遺族から環境再生保全機構の方に申請がございますと、医学的判定を環境大臣から中環審、これは判定部会ですが、こちらで行うという仕組みで行っております。
 それから、救済給付の費用につきましては、石綿が社会のあらゆるところで使われてきたということを反映して、事業主、国、地方公共団体、それぞれが基金を負担してこの石綿健康被害救済基金をつくりまして、ここから給付をするという形になっております。
 当初の制度から、これもこちらの部会にご報告をしておりますが、昨年の12月に法改正を行いました。これはその法全体を見直したというよりは、当初想定していなかったような緊急的に対応すべき制度上の課題に対応するために、例えば制度施行後に亡くなった方が申請できるようにするとか、そういった手当てをしております。
 現在のところの認定状況でございますが、一番下に参考とございますように、これまで、9月の終わりまででございますが、5,500件の認定を行っているという状況にございます。
 この制度について、先ほどの諮問にあった二つの今課題があると思っておりまして、一つは指定疾病をこの中皮腫、肺がんという二つでありますが、これをさらに広げていくのかどうかということ。それから、二つ目はもともと法律自体に法施行後5年以内に法施行の状況について検討しその結果に基づき必要な見直を行うということが書かれておりますので、その対応という二つの課題がございます。
 一つ目の課題の指定疾病につきまして少しご説明をいたします。同じ資料2-5の、1枚おめくりいただきまして、ページ3と打ってあるところを見ていただきたいと思います。
 そもそもこの救済制度で指定疾病、中皮腫、肺がんとなったということは、先ほど申しました制度の趣旨でご説明しましたこの石綿による健康被害の特殊性ということをかんがみまして、中皮腫、石綿による肺がんの二つの疾病を指定したところですが、それ以外の疾患につきましても制度の発足当初からご指摘をいただいているところでございまして、1、2にのとおり、国会の附帯決議においてほかの疾患についても必要に応じて対象に加える、また、指定疾病、基準を定めました制度発足当初の中環審の答申、3番におきましても、その他の疾病については今後さらに知見を収集し、その取り扱いについて検討していくことというふうに宿題をいただいていたということでございます。この宿題に答えるべく、事務局におきましては海外の文献調査、その他の作業を進めてきたところでございまして、さらに昨年の10月から医学的事項の検討会を開催して専門的な検討を行っていただいてまいりました。その結果が資料の2-4、石綿による健康被害に係る医学的事項に関する検討会報告書でございます。
 まず、委員の名簿がございまして、本日ご出席の三浦先生も委員に入っていただいております。検討会を昨年の10月から、最終回がことしの9月29日ということで報告書をまとめたところでございます。目次を見ていただきますと、はじめにとある下に、非腫瘍性、つまり、がん以外の石綿関連疾病に係る医学的事項として、石綿肺についての検討などをしているところでございます。全体のご説明をする時間がございませんので、報告書の結論についてご説明いたしますが、同じ資料の12ページをお開きいただきたいと思います。石綿肺を初めとする非腫瘍性の石綿関連疾患の取扱について、その結論としては4、まとめにありますように、「石綿肺について以下のとおり整理する」といたしまして、1点目は「石綿肺には無症候のものから著しい呼吸機能障害を来すものまでさまざまな病態が存在するが、このうち著しい呼吸機能障害を来している場合は、現在の指定疾病と同様、重篤な病態であると考えて差し支えない。それから、2点目として石綿肺は石綿を大量に吸入することによって生じるものであり、クリソタイル吸入による軽度の石綿肺は余り進展しないと推測されることから、今後重篤な石綿肺を来し得る集団として、過去に職業的に大量の石綿を取り扱っていた石綿紡織製品や石綿セメント製品の製造作業、石綿製品を用いた配管・断熱作業、石綿の吹きつけ作業、石綿が吹きつけられた建築物の解体作業の従事者が想定される」といったことが結論の主なところでございます。
 また、今後の課題として、アのところには石綿肺を今度判定する際に技術的なまだ課題があるので、それを今後検討すべきとして、何点か指摘がございます。また、13ページ下の方ですが、(イ)として、石綿肺は一部に進行し、呼吸機能の低下を来す症例がある。このため、早期の石綿肺については将来の悪化を防止する手だてを検討することが望ましい。最後に(ウ)として、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚、胸膜プラークについては引き続き知見の集積に努めると、こういう結論をいただいたところでございます。
 これを踏まえてでございますが、仮に指定疾病を追加するとした場合には、この石綿救済法に基づきまして中環審のご意見を聞くというふうに規定されておりますので、これについてご意見をいただきたいというのがこの諮問事項の一つ目でございます。
 それから、諮問事項の二つ目の今後の石綿健康被害救済制度の在り方につきましては、救済法の附則の見直し規定に基づき、施行状況の検討、そして、法の見直しの必要性などについてご議論いただきたいというのがものでございます。
 今後の手続について、本日お諮りしたいことをご説明します。副大臣からお渡しいただいた諮問が、諮問書の裏に記載のように、これが環境保健部会に付議されたところです。ただ、石綿の健康被害という、かなり専門的な事項でございますので、環境保健部会の中に石綿健康被害救済小委員会という新たな検討組織を設置し、そこでご議論をお願いするという形をとらせていただきたいと思っております。
 資料の2-2というのをお開きいただけますでしょうか。2-2、石綿健康被害救済小委員会の設置についてというペーパーでございますが、設置の趣旨、課題については今ご説明したところですので省かせていただきますが、3として、メンバー構成案、委員については中央環境審議会議事運営規則第8条第2項に基づく部会長の指名により、学識経験者や専門家の方々をもって構成する。また、個別の課題について、適宜参考人を招聘してヒアリングを行うと。また、4、スケジュールといたしましては、まず11月以降に数回開催し、指定疾病の追加についてご審議いただくと。その後に制度全体のご検討に入っていただきまして、これは平成22年4月以降に数回開催し、ご審議いただくと。つまり、諮問事項が二つございましたが、指定疾病の検討を先行させていただきまして、その結論が得られた後に制度全体のご議論に入っていただきたいと、こういうことでございます。
 次に、資料の2-3というのがございますが、この規定はもともとこの中環審の環境保健部会の中に小委員会や専門委員会を設置する際の規定について定めたものでございます。これまで小委員会としては化学物質審査小委員会、それから、化学物質環境対策小委員会、この二つがあり、1、2と記載されているところですが、これに新たに3として石綿健康被害救済小委員会を設置していただくということをお諮りしたいと存じます。
 具体的には、3として下線が引いてあるところでございますが、石綿健康被害救済小委員会として、(1)議事運営規則第8条の小委員会として、「石綿健康被害救済小委員会」を置くこと。それから、(2)として、この小委員会は石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく石綿健康被害救済制度に関する事項について調査審議を行うこと。(3)といたしまして、この小委員会はほかの小委員会と同じように、この小委員会の決議は、部会長の同意を得て部会の決議とすることができると、この3点を規定として盛り込んでいただきたいということでご検討をお願いしたいと思います。
 今回の諮問の内容、それから、それに関する手続的なことにつきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。石綿健康被害救済制度の在り方についてという諮問が先ほどなされたわけでございますけれども、これが環境保健部会に付議されて、石綿健康被害救済小委員会という、そういう名前ですけれども、これを設置して専門的な議論をお願いしたいということでご説明がありました。この件に関して何かご質問あるいはご意見ございましたらお願いいたします。
 藤井先生、どうぞ。

○藤井委員 手続の件でご質問させていただきたいと思います。先ほど小委員会の設置については了解いたしました。そのメンバー構成案のところですが、中環審のこの規則に基づいて学識経験者や専門家の方々をもって構成するとありますが、これはきょうのこの部会が終わって選定されていくわけですね。ここの中に被害者もしくはその被害者の当事者というか、立場を反映できるような委員がぜひ、まだ決まっているのか、いないのかわからないんですが、反映させていただきたいというのが私の意見でございます。

○佐藤部会長 質問とご要望だったと思いますけれども、どうぞ、事務局の方で。

○泉室長 委員の構成については、今後調整させていただきたいと思っておりますが、当事者、被害者の方のご意見も十分伺ってまいりたいと思います。
 ただ、被害者にもさまざまなお立場の方がいらっしゃいますので、どなたか特定の方を委員にするのがよろしいのか、あるいはたくさんの団体あるいは被害者の方からご意見をいただくような機会をつくった方がいいのか、そこにつきましては部会長ともご相談したいと思います。

○佐藤部会長 ある程度専門的な委員会をイメージしているんだろうというふうに思うんですけれども、藤井先生、何かまだ。よろしいですか。

○藤井委員 ここでこれだけ議論できませんので、これだけで。

○佐藤部会長 ご要望があったということで。
 ほかにどなたかご意見ございますでしょうか。浅野先生、どうぞ。

○浅野委員 石綿肺を当面問題にしようということですが、労災関係では大体どの程度の患者数があるのでしょうか、それによって、今後の制度検討の影響の評価を把握できるように思うのですが。

○泉室長 労災の方ですが、実は労災の方の集計ではじん肺という大きなかたまりに入っておりまして、その中で個別の原因物質別の数が公表されておりませんので、正確なところがわかりません。ただ、人口動態調査の死亡統計を見ますと、「石綿肺その他の無機質繊維によるじん肺」という死因で亡くなっている方の数が、例えば平成19年ですと69名と、こういう数字でございますので、ご参考にしていただければと思います。

○佐藤部会長 よろしゅうございますか。
 ほかにどなたかご意見。ちょっと、時々名札が見えないこともありますので。よろしゅうございますでしょうか。じゃあ、吉岡先生、どうぞ。

○吉岡委員 石綿肺については細かい報告が検討会の方から出ておりますけれども、良性石綿胸水とかびまん性というようなことにつきましての報告というのが特別ないような気がいたします。これについてはどこまで知見が今まで集まっておるのでございましょうか。

○佐藤部会長 今の資料2-4の報告書についてのご質問ですね。じゃあ、事務局どうぞ。

○泉室長 資料2-4の報告書の11ページというところで、11ページの下の方、(2)というところで触れておりますが、今回この検討に当たりましては、国内外の文献その他、資料を収集して行ったんでございますが、ここにございますように、今ご質問の良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚、胸膜プラークにつきましては、以前制度発足時にご審議いただいたときの審議会、それから、それに先立つ検討会、そこで検討したもの以上の知見が得られなかったと。実際、症例数も少のうございますし、労災の方の事例の収集もまだされている途中ということでございまして、十分情報がないということで、ここの結論としては引き続き知見の集積に努めるべきであるとされたところでございます。

○吉岡委員 ということは、今回これから設定される委員会の中では、もう議論をしないという意味でしょうか。

○泉室長 諮問としては指定疾病の在り方ということで、この医学的検討会の結論を踏まえた上で最終的な結論を出していただくということですので、それをどうするかということ自体は議論の対象だと思っております。

○佐藤部会長 ほかにどなたかご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 もし、特段これ以上ご意見がなければ、今後具体的に議論を行うために石綿健康被害救済小委員会というものを中央環境審議会運営規則の第8条の小委員会として設置することとしたいと思います。この小委員会に所属するメンバーにつきましては、同条第2項の規定により部会長が指名するとされておりますので、私にご一任願えればというふうに思います。その際、先ほどご意見いただきましたようなことにも留意しながら事務局と相談しながら進めてまいるということでやらせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

(異議なし)

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続いて報告事項に移らせていただきたいと思います。報告事項は資料3にまとめてあるようでございますので、事務局からご報告いただきます。これ、全部一応報告をいただいた上で、委員の先生方からご質問、ご意見を伺うということにさせていただきたいと思います。
 それでは、じゃあ、報告事項、椎葉特対室長からどうぞ。

○椎葉特対室長 特対室長の椎葉でございます。それでは、座ったままでご説明させていただきます。
 資料の2ページと3ページでございます。私の方からは水俣病対策をめぐる現状につきましてご報告をさせていただきます。
 まず、2ページでございますけれども、平成16年10月以降の最高裁判決以降の公健法の認定申請者の状況でございますが、現在、認定申請で未処分の件数でございますけれども、8月31日現在まででございますが、合計6,752名でございまして、このうち内訳が熊本県が約4,000名、鹿児島県が約2,800名、新潟県・新潟市が40名という内訳でございます。
 また、次の段でございますが、裁判の状況でございますけれども、現在、損害賠償請求でありますが、ここにあります5件が行われております。この内訳でございますけれども、最大は不知火患者会の訴訟でございまして、現在原告が1,879名ということでございます。これをまとめますと、熊本で2件、そして、新潟で2件、大阪で1件ということで、原告の総数が約1,900人を超えているという状況でございます。あと、このほかでございますが、水俣病認定申請棄却処分取消訴訟などが3件提訴されているという状況でございます。
 その次の段でございますが、新保健手帳でございます。これは17年の10月から再開した手帳でございますが、これを交付された方は医療費の自己負担分が国と県により助成されまして、窓口での負担がなくなるわけでございますが、これについての交付件数でございますが、一番右の下でございますけれども、申請者が8月末現在で27,221名で、交付件数が23,608件でございます。内訳は熊本県が約19,000件余り、鹿児島県が4,000件余りで、新潟県が400件弱でございます。そういう内訳でございます。それから、その下でございますが、認定審査会の動きでございます。一度各県で認定審査会はとまっておりましたけれども、最近回復しておりまして、熊本県におきましては21年の2月以降は順調に開催をされております。鹿児島県の方は20年の12月に一度再開されたわけですけれども、後ほどご説明します救済策が実現されれば再開されるということを知事さんも言っておられます。また、新潟県・市は再開されております。
 そして、一番下でございますが、認定申請者医療事業の受給者でございます。これは一番上の公健法の認定申請をされますと、一定期間たちますと医療費の自己負担分を補助するという制度でございます。これの件数でございますが、約6,000名でございまして、内訳は熊本県が3,500名強、鹿児島県が2,400名強、新潟県・新潟市が10名という状況でございます。
 こういった大きな紛争の状況はございますけれども、次の3ページでございます。水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法というのが7月8日に成立いたしまして、7月15日に施行されたわけでございます。この法律は、略しますと特措法と言っておりますけれども、議員立法によりつくられた法律でございます。これにつきましてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、この法律はタイトルのとおり、水俣病被害者の救済と、それから、水俣病問題の解決を図るための特別につくられた法律でございますが、まず1番目でございますが、原則というのが三つございます。救済と解決のための原則でありますけれども、まず、認定された患者さんに対して確実に補償をしていくということ、それから、現在救済を求めていらっしゃる方がたくさんおられますが、救済を受けるべき方々を能う限り救済していくという方針でございます。そして、三つ目でありますが、今度は関係事業者、いわゆるチッソでございますけれども、この事業者の費用負担についての責任、そして、地域経済への貢献への確保という、この三つの原則を一体として進めていくという法律でございます。
 そして、2番目でございますが、救済措置の方針というのがございます。実は救済措置の中には二つの救済がございまして、一つ目は一時金と療養費、療養手当が出る救済がございまして、もう一つは水俣病被害者手帳という医療費の自己負担分を助成する、そういう救済がございます。この二つにつきまして、政府はまず一つ目でありますけれども、四肢末梢優位の感覚障害を有する方及び全身性の感覚障害を有する方、これに準ずる方を救済するための救済措置の方針を策定し公表すると。この症状に該当される方に一時金、これは原因企業が負担をすると。そして、療養費と療養手当を国と県が負担をするという、そういうものでございます。そして、この全身性の感覚障害を有する方、これに準ずる方ということにつきましては、右の方でございますが、口周囲の痛覚の感覚障害や舌の二点識別の障害、また、求心性視野狭窄の所見を考慮するため、取り扱いをこの方針に定めるということで、まだ決まっておりません。これから、この救済措置の方針を患者さん、被害者の方々の意見を聞きながら定めていくことにしておるわけでございます。
 それから、三つ目でございますが、トータルでこの解決に向けた取り組みというのを規定しておりまして、まずは先ほど申し述べました救済措置を速やかに実施していくことと、それから、認定申請をされている方の処分を促進していくこと、そして、現在裁判をされている方等の紛争を解決していくと。最終的には認定申請を終了するということで、こういった取り組みを進めまして、救済を受ける方々を能う限りすべて救済していこうというものでございます。
 そして、その下の四つ目でございますが、将来にわたり補償を確保するため、関係事業者の経営形態の見直し。これはチッソの経営形態の見直しをする、いわゆる分社化と言われるものでございます。下にいろいろ図が書いておりますが、簡単にご説明いたしますと、原因企業がございます。この中で債務超過で、公的支援を受けている企業がチッソでございますが、これを特定事業者と、それから、事業を継続する事業会社二つに分けまして、いわゆる分社化をしまして、そして、特定事業者の方が株を保有するということでございます。そして、しばらくたちまして、救済が進み、市況が好転した暁には株式を売却すると、そのときの売却収入を基金に繰り入れまして、将来にわたり患者さんに安定的な補償を確保していくということと、また、残額で負債も返済していくという、そういう仕組みをつくったというものでございます。こういった仕組みができたということで、原因企業に対してその責任を果たしていただくとともに、地域経済への貢献も確保していくという、そういう仕組みでございます。
 そして、5番目でございますが、その他の取り組みということでございます。水俣病が発生した地域におきます地域振興でありますとか、地域の住民の方の健康増進、健康不安の解消、絆の修復といった事業、また、環境汚染の監視や必要な調査研究なども行っていくという、そういったものがまとめられた法律でございます。これにつきましては、今後の課題でございますけれども、この特措法に基づく救済措置の方針、この中には一時金や療養費、療養手当の支給など、また、対象となる方の範囲や判定方法などを速やかに策定する必要がございます。それから、水俣病被害者手帳に関する事項を定めていく必要がございます。また、現在訴訟されている方々との紛争を解決していくことも必要でございます。また、水俣病発生地域の地域福祉や地域振興を推進し、健康上の不安解消や地域の絆の修復を図ることなどがございます。そして、原因企業が一時金の支払いやその後の地域振興といった責任を果たすような枠組みをつくっていくということがございますが、こういったことにつきまして、先ほどごあいさつがございました田島環境副大臣が担当いたしまして、こういった問題に取り組むということでございます。そして、これから救済措置の方針を定めていきますけれども、被害者団体など、関係方面のご意見を伺うことにしておりますが、10月31日には水俣市、そして、11月14日には新潟市に出向きまして、いろいろとご意見を伺いまして、意見集約を進め、救済措置の方針を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

○和田化審室長 続きまして、化学物質審査室からでございますが、私の方も恐縮でございますが、着席のままご説明させていただきます。
 同じくお手元の資料の6ページからになります。ただいまの資料の続きになります。タイトルが「化学物質審査規制法の改正等について」ということでございまして、この関連で私の方から、昨年から現時点までのさまざまな動きにつきまして5点ほどご報告させていただきたいと思っております。
 まず、タイトルというか、柱立てだけここのページでご説明をと思っております。まず、1点目が、中身は後ほどページに沿ってご説明させていただきますけれども、1点目が、今般5月、この5月に化学物質審査規制法、通称化審法が一部改正ということがございましたので、その公布内容に関する事項、これが1点目でございます。
 2点目が、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の関連で、改正事項がこの5月に、いわゆる締約国会合の第4回目、COP4がございましたので、それを受けた法律に基づく追加措置の関係が2点目でございます。
 それから、次のページ、8ページにまいりまして、3点目が同じく今般の法律改正を受けてでございますけれども、第2種特定化学物質についての表示義務、それから、技術上の指針の対象となる製品の指定ということで、これまでは第2種特定化学物質そのものについて表示義務、技術上の指針というものがかかっておりましたけれども、その第2種特定化学物質を使っている製品についても同じように表示義務、技術指針がかかるということについて、答申の内容を後ほどご説明させていただきます。
 それから、4点目につきましては、先ほどの、これまでの1点目から3点目までを受けまして、法律改正を受けての政令、いわゆる施行令の改正事項に当たります。これにつきましては今の2点目、3点目の中環審の答申を受けまして、4点目として施行令の改正の内容として反映させていただいているところでございます。
 5点目は、5となっておりませんけれども、昨年からの化審法の法律の運用施行状況につきましての、若干定番的ではありますけれども、物質の審査状況について、後ほどご説明をしたいと思います。
 おめくりいただきまして、1点目から入りたいと思いますけれども、1点目は13ページに飛んでいただければありがたいんでございますけれども。こちらの方が今回の法律、化審法の主な改正の点になってございます。大きなポイントを順次申し上げていきますと、まず、改正点でございますけれども、定義のところからまいりますと、難分解性物質の性状を有さないものについても第2種特定化学物質のターゲット射程になるようになったという観点。それから、第1種監視化学物質については、後ほどご説明します優先評価化学物質と連動しまして、監視化学物質に改正するといった点。それから、現在では、第2種、第3種、それぞれ監視化学物質というものがございますけれども、それぞれについて[3]にございますように、優先評価化学物質として包括的な概念とするという点でございます。
 4点目については、現行法令では改正前は対象になっていませんでしたけれども、いわゆる既存化学物質と言われているものですけれども、こちらの方についても一般化学物質という法概念を設けまして、新たに届け出などの義務が課されることになります。
 あわせまして、先ほどの優先化学物質ができましたので、第2種、第3種の監視化学物質のカテゴリーを廃止ということになります。
 それから、重要な点だけ、特にポイントになる点をご紹介していきたいと思いますが、3番目の一般化学物質、こちらのところが今回の特に改正の目玉になる部分でございますけれども、既存化学物質については一般化学物質ごとに毎年度、前年度の製造、数量、輸入数量等を届け出るといった点が創設されております。それから、優先評価化学物質ということで、第2種特定化学物質の手前の段階のリスクを分析するカテゴリーとして優先評価化学物質というのも先ほどのとおり創設されておりまして、そこにありますように、届け出義務が創設されてございます。
 次のページの14ページにまいりまして、優先評価化学物質につきましては[2]、それから、[3]にございますように、性状に関する試験の試験結果を記載した資料の提出を求めることができたりとか、それから、有害性の調査の結果を報告すべしといった指示を発出することもできるといった点も新たに創設されている点でございます。
 それから、5ぽつはそのままですので、6ぽつのところでございますけれども、こちらの方につきましては、第1種特定化学物質に関する措置ということで、1番のところで、そこにもありますように、他の物質による代替が困難、それから、この物質が使用されることによって汚染被害が生ずるおそれがない用途ということで、第1種特定化学物質の使用が制限されないというカテゴリー、概念を新たに設けてあります。こちら、いわゆるエッセンシャルユースという概念に当たるものでございます。
 それから、2、3につきましては、第1種特定化学物質を製造、輸入だけではなくて、取り扱う者については技術上の指針、それから、表示などの義務がかかるといった点が創設されてございます。
 先ほどのエッセンシャルユースに関しましては、先ほど申し上げました大きな五つのカテゴリーの中の2番目の観点で、中環審にも諮問させていただいて答申もいただいているところですので、後ほどご説明いたします。
 7ぽつでございますけれども、こちらの方については第2種特定化学物質につきまして、もう、従来からこの物質そのものの技術上の指針というのがございましたけれども、今般はこれを取り扱う者についても技術上の指針、それから、表示についての制限がかかるといった点が新たに創設されております。
 その他のところは優先評価化学物質についての治験収集の概念でありますとか、それから、主務大臣の情報連携といった観点が新たに創設されているところでございます。
 おめくりいただきまして、16ページにちょうどフローチャートになってございまして、赤文字の部分が新たに今回法改正の中で新しく加わり、または変更された部分に当たります。ちょうど今ご説明した内容の部分がここに該当するかと思います。
 次、2点目、この流れを受けて2点目でございますが、この間のページのところは改正条文そのものでございますので、割愛させていただきます。ページが46ページに飛んでいただければありがたいですが、こちらの方については先ほど申し上げました2点目の中環審からいただきましたご答申の内容でございます。
 経緯のところにもございますけれども、ことしの5月にいわゆるCOP4、ストックホルム条約のCOP4が開催されて、その中で新たに9種類の物質群、物質それぞれの数だけでいきますと12の物質になりまして、47ページにありますように、その枠で囲まれている分の数だけ新たにストックホルム条約の方で附属書A、BまたはCに追加されたといった経緯がございます。これを受けまして化審法において第1種特定化学物質への追加の観点についてご答申をいただきまして、その内容についてご了承をいただいた答申をいただいたところでございます。
 それから、ページが飛びまして、同じく2点目のカテゴリーの中のもう一つになるんですけれども、70ページに飛んでいただければありがたいです。ただいま9物質群、物質の数でいきますと12物質、ストックホルム条約でこの5月に追加されてということがございましたけれども、先ほどの法改正とも連動しておりますけれども、いわゆる代替が難しい、それから、環境へのインパクトが極めて小さいのではないかといった前提つきでエッセンシャルユースというものを認める用途を特定することについての中環審からのご答申でございます。
 実際には、こちら12種類の物質のうち、71ページの下にございますけれども、そちらのPFOSまたはその塩という物質について、そこで製造工程で使用される用途として半導体用レジスト、それから、エッチング材、それから、業務用写真フィルムと、これについてはエッセンシャルユースということで問題がないだろうということでご答申をいただいた内容でございます。
 それから、エッセンシャルユースに続きましては、72ページになりまして、技術上の指針に従なければならない製品について、先ほどの今エッセンシャルユース以外に、四つ目として泡消火剤というものについて加えています。
 それから、(3)につきましては、輸入することができない製品というものにつきましても、そこにありますように、PFOSまたはその塩ほか2物質も加えて、製品の種類でいきますと、全体で14種類、そこに挙げさせていただいているところでございます。この内容についてご答申をいただいたところです。
 それから、柱の3本目に行かせていただきます。ページで行きますと93ページになります。大部にわたって恐縮なんでございますけれども、こちらの方が第2種特定化学物質については、これまでも取り扱い、その物質そのものの取り扱い上の技術上の指針などというものが規定されておりましたけれども、今般はこれを使用する製品についても新たに加わることになりますので、中環審の方からのご答申をいただきまして、これらの製品、今から申し上げる製品については、第2種特定化学物質の製品として、技術上の指針、それから表示義務の製品が加わるということになります。
 実際に加えられた製品、規定された製品につきましては、94ページにございまして、こちら、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリブチル錫化合物、それぞれ加えますと全部で11種類の製品について、技術上の指針と、それから表示義務というものがかかるといったことでご答申をいただいてございます。
 ここまでご答申いただいた内容でございますが、それを受けまして、ページが飛びまして若干めくっていただきまして98ページになります。こちらの方で、今般、施行令・政令改正につきまして、中環審からのご答申を踏まえまして、政令改正の内容について、今般、ちょうど昨日、閣議決定させていただいております。公布につきましては、30日ですので、明後日ということになります。
 今までの答申の内容を受けまして、98ページの改正の内容というところに5点加えてございます。いずれもこれまでの流れに沿ったものでございますけれども、まず、[1]が第1種特定化学物質として、先ほどストックホルム条約で追加されたということがございましたけれども、12物質を新たに追加した観点、それから2点目が、輸入制限製品の指定、先ほどの14製品の追加指定、それからエッセンシャルユースについて、[3]について3用途の指定、それから[4]が技術指針、いわゆる技術指針の基準適合義務・表示義務については、先ほどの[3]のエッセンシャルユースに加えて泡消火剤を加えて、計4製品の指定と。それから、5点目、[5]につきましては、第2種特定化学物質を使用している製品についての指定は11製品ということで閣議決定をして、明後日、30日に公布の予定でございます。
 以上が法律改正を踏まえた政令改正までの一連の流れでございますが、最後でございますけれども、ページでいきますと148ページに飛びますが、お手元の資料の中では差しかえが1枚加わって、このように1枚入っているかと思うんですが、申しわけございません。数字が一部誤りがあったりとか、最新に修正したり等がございましたので、お手元の方の1枚紙の方にページも同じく148と振ってございますけれども、こちらの方で148だけ代替させていただいてご説明させていただこうかと思っています。
 こちらの方につきましては、法律の改正ではございませんで、現行法令の法律の執行運用状況でございますけれども、まず、審議の状況でございますけれども、1.(1)につきましては、1枚ぺら紙の方ですけれども、新規化学物質としましては、延べ337件について、昨年の1月から今の時点まで審査を行ってございます。通常審査と言われるものと、それから10トン以下の低生産量新規化学物質についての審査を行ってございます。それから、法律上は対象に、製造・輸入の者には義務がかからないんですが、既存化学物質につきましても、指定化学物質の流れに乗るか、否かについての審査が行われております。こちらの方については、これまで(2)にございますが、延べ55件行われているといったところでございます。
 2.については、中間物の審査の状況、それから3.で規制物質の指定状況などを載せてございますけれども、こちらの方につきましても、これまでの運用ではございますけれども、今後は来年の4月に1段階目、先ほどの法律改正の内容が施行されますのと、それから2段階目、いわゆる全面施行が再来年の4月になりますので、今説明しました現行の法令の万全の施行はもちろんですけれども、再来年の4月の全面施行に向けて準備に万全を期したいといったところでございます。
 以上でございます。

○早水課長 それでは、引き続き、環境安全課長でございますが、説明をさせていただきます。着席にて失礼いたします。
 私の方からは、151ページ以降ですけれども、化学物質をめぐる国際情勢の最近の動きにつきまして幾つかご説明した後に、工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドラインについて、簡単にご説明をさせていただきます。
 152ページでございますが、まず、UNEPにおける水銀管理に関する検討についてでございます。UNEPの方で2001年から地球規模での水銀汚染に関するいろんな調査をして、その報告書をまずまとめられたわけですけれども、それを受けまして、作業グループの方で水銀対策につきまして、自主的取り組みを強化しつつ、法的拘束力のある文書の策定をするかどうかという議論をこれまでしてきたわけです。今年の2月に開催されました第25回UNEP管理理事会におきまして、2013年までに水銀規制に関する条約、正確に言いますと、法的拘束力のある文書、そういったものを制定するということ、それから、そのために政府間交渉委員会を設置するということが合意されたということでございます。
 政府間交渉委員会で検討する内容が、その下にまとめておりますけれども、すみません、(A)条約の約の字がダブっておりますが、条約の目的の明確化、それから水銀の供給削減、保管能力の強化、それから、製品や工程上の水銀の削減、貿易からの削減、大気放出の削減などの取り組みに加えて、途上国へのキャパシティビルディングなり資金援助といったものなども含まれております。
 それで、これらの内容について今後検討するわけですけれども、日程といたしましては、今年の10月、実は先週、公開作業グループが開催されまして、政府間交渉委員会でどういうふうに議論したらいいかという、どちらかというとロジの点について検討がされております。それで、来年の6月ごろから政府間交渉委員会を開催いたしまして、2013年2月のUNEPの管理理事会に検討結果を報告するということになっております。なお、作業グループにおきまして先週議論した結果では、第1回につきまして、2010年6月にストックホルムで開催とすることが決まっております。
 それで、この関係の我が国の取り組みでございますけれども、アジア太平洋地域の代表ということで、153ページでございますが、第1回、第2回作業グループにおきまして意見の取りまとめを行うとともに、我が国の方で経験もございますので、製造工程の転換などの技術的な知見の提供などをしております。2008年にコンサルテーション会合を開催して、アジア太平洋地域の方々に、そういった経験であるとか測定法とか、そういった知見を提供しております。また、さまざまな自主的取り組み分野の中で、廃棄物管理分野につきまして、パートナーシップというプログラムをリードしていくということをしております。
 加えまして、政府間交渉委員会につきましては、第2回の会合を我が国でホストしたいと、今、予算要求をしているところでございます。第2回以降の日程が今後決まってきますので、その結果を踏まえて対応していく、予算がとれれば開催をするということになると思います。
 それから、めくっていただきまして、154ページは今ご説明した内容を図の形でまとめておりますが、次の点は、ストックホルム条約の関係でございます。これは、先ほど化学物質審査室長より化審法の改正のところで触れられておりますので、若干重複する部分もありますけれども、この第4回締約国会議が今年の5月に開催をされております。ここで議論されましたのは、主には、先ほどもありましたが、新たなストックホルム条約への物質の追加、それから、有効性評価をどうしていったらいいかということ、この2点でございました。
 ストックホルム条約につきましては、PCBに代表される残留性の強い、いわゆる難分解・高濃縮・慢性毒性がありなおかつ長距離移動をするという性質のある物質につきまして、製造・使用などの廃絶または制限、あるいは排出の削減といったことを進めるものでございますけれども、その物質につきまして、これまでの物質に加えて、新たに9物質を追加することが決定されたということでございます。それが(1)の内容でございます。この附属書につきましては、来年の8月に発効する予定となっております。
 めくっていただきまして、156ページに物質リストがございます。先ほど、化審室長よりご説明した内容とダブっておりますが、分類としましては、製造・使用の原則として廃絶というAのグループに7物質が入っております。農薬と、それから臭素系の難燃剤などが中心でございます。リンデン、γ-HCHと書いてありますが、これは我が国ではBHCとかつて呼ばれていた物質でございます。それから、附属書Bは、使用の制限ということでございますが、いわゆるPFOSと呼ばれますフッ素系の化合物につきまして、なおエッセンシャルユースがあるということで、これにつきましては附属書B、使用の制限というところに加わっております。なお、PCBなどにつきましては、附属書Aでございますが、附属書BはDDTがマラリア用でまだ必要だということで、この附属書Bに入っているところでございます。
 それからペンタクロロベンゼンがございますが、これは、農薬などの主として意図的に使われるものに加えまして、焼却などによって非意図的にできるものもあるということで、附属書Aと、ダイオキシンなどが入っております附属書Cに追加するということが決められております。
 それから、条約の有効性評価ということでございますが、これは、モニタリングを使って有効性評価をしていこうということでございます。参考資料にもお配りしておりますが、ご承知のように、我が国では化学物質、特にPOPs条約の対象となるような残留性の物質につきまして、いわゆる黒本調査、あるいはエコ調査と呼んでいる調査の中でモニタリングを継続しておりましたので、そういった知見をこの場でも提供しているということでございます。
 今回、COP4で初回の有効性評価に向けてモニタリング作成書の報告書を作っていこうということで、国環研の柴田先生に取りまとめにご協力をいただいております今回の会合では、地球規模でのPOPsのモニタリング報告書、それから各国から提出された条約の実施状況についてのレポートに基づく状況が取りまとめられまして、これは、今後、継続的な有効性評価における比較のベースになるものということで位置づけられたところでございます。
 今後、どういった指標でどういう手法で評価をしていくかということなどについてワーキンググループを設置して検討していこうということになっております。我が国としては、引き続き環境モニタリングデータの提供等を通じて貢献を行っていくということでございます。
 なお、このPOPs条約に関しましては、この10月、これも2週間前ですけれども、条約の下のPOPRCと呼ばれている、条約にまた新たに物質を追加するための検討委員会が開催されまして、本部会所属の北野先生にご出席をいただいております。そこの場で、エンドスルファンという農薬、それからヘキサブロモシクロドデカンという難燃剤、もう一つ難燃剤の短鎖塩素化パラフィン、この3つの物質が検討されております。エンドスルファンにつきまして、幾つかの段階の中の最終的なリスク管理の検討段階に進むということが決まっております。それから、ヘキサブロモシクロドデカンにつきましては、最初のスクリーニングレベルから、次のリスクプロファイルの検討段階に移るということが決まっております。また、短鎖塩素化パラフィンにつきましては、リスクプロファイルの検討が行われまして、まだ審理不十分ということで継続審議という形になったということでございます。
 それから、159ページが国際化学物質管理会議、ICCM2というものでございます。これもこの5月に開催されております。これは、いわゆるSAICMと呼ばれます「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」ということに関連する会議でございますが、第1回が2006年に開催されまして、そこで、このSAICMというものが決められております。これも化審法の改正と関係がありますが、2020年までに化学物質による人の健康、環境への影響が最小化するよう生産・使用するという目標が設定されておりまして、その具体的な実施をどういうふうにしていくかということがレビューされる。それから、新たな課題にどう対応していくかという検討などがなされております。これも我が国は副議長ということで担当しているところでございます。
 この会合では、SAICMの実施状況がレビューされるとともに、新規の課題としまして、ナノ材料、製品中の化学物質の取り扱い、いわゆるe-waste、それから塗料中の鉛につきまして、次回のICCM3が、2013年だと思うのですが、開催される予定でございますので、その時までに検討をしていこうということで、どんな検討をする必要があるかということについて議論をされたところでございます。内容については、時間の関係で省略をさせていただきます。
 我が国におきましては、引き続きアジア・太平洋地域グループの代表ということで貢献していきたいと思っておりまして、国内におきましても、国内実施計画を策定する、あるいは、SAICAに位置づけられた各種施策を実施していきたいということでございます。化審法の改正もその一環ということでございます。
 引き続きですが、163ページから、今少し出てきましたが、工業用ナノ材料についての環境影響防止ガイドラインについて説明いたします。これは、別冊で冊子をお配りしております。すみません。先ほど、私は次回のICCM3が2013年と申し上げましたが、2012年でございます。失礼しました。
 それで、ナノ材料につきましては、最近いろいろ使われているということでございますけれども、非常に便益をもたらす反面、曝露させたときに何か影響があるのではないか、非常に粒子が小さいということで、例えばですが、アスベストのように、非常に粒子が小さいという形状だということで問題があるんじゃないかという指摘がありまして、管理を適切にしていなきゃいかんということでございます。それで、そのために事業者などがどのように取り扱っていったらいいかということにつきまして、とりあえず環境影響防止ガイドラインというのをまとめようということで、今年の3月に、検討会でご議論いただいたものを踏まえて、取りまとめたところでございます。本部会の中杉先生に座長をお願いして取りまとめていただいたということでございます。
 ガイドラインの本文は、今日お配りしたとおりでございますけれども、概要につきまして165ページから掲げております。詳細につきましては省略をさせていただきますが、165ページの2番にガイドラインの位置づけとして、これまでの知見の整理と、それから、当面の対応の基本的考え方、それから、今後の課題という形で整理をされております。
 当面とるべき対策といたしましては、とにかく、まだよくわかっていない部分が多いので、外に出さないということを原則とするということで、ナノ材料を放出しない製造装置または施設、製品設計、分別管理等が行われることが基本であるとしております。もしも放出の可能性がある場合には、それを捕捉して除去する工程を置くということ、それから、どうしてもそれが除去できないということであれば、安全性が十分担保されない限り、他の工法や物質の活用を検討すべきという考え方でガイドラインを整理しております。以下、165から166ページにかけまして、その内容をまとめております。
 なお、今後の課題を167ページにまとめております、今、各省とも取り組んでおりますが、環境省の分担といたしましては、曝露の防止、それから環境中の挙動の部分、それから特に動植物への影響についての評価というところを担当することになっておりますので、試験方法の部分、それから測定方法の開発、それから環境中での挙動や実態の把握、それから管理技術の有効性の確認など、特に廃棄物になるときにどうするといった管理技術といったものについて環境省の方で検討していく必要があるんじゃないかということで、幾つか課題が指摘されておりますので、これらについて新年度の予算要求に盛り込んでいるところでございます。
 報告は以上でございますが、参考資料として、ご説明いたしませんが、PRTRの結果、それから、いわゆる黒本調査の結果について、最新のものをお配りしておりますので、後ほどご覧いただければと思います。
 なお、熱中症のガイドラインの環境保健マニュアルにつきまして、2008というものを以前お配りしておりますけれども、内容を充実させて2009というものをつくっておりますので、これもお配りしておりますので、これも後ほどご覧いただければと存じます。
 以上でございます。

○塚本室長 リスク評価室長でございます。着席にて失礼をいたします。
 資料の170ページでございます。化学物質の環境リスク初期評価第7次取りまとめの結果についてご報告をさせていただきます。
 化学物質のリスク初期評価につきましては、環境物質による環境汚染によりまして、人の健康あるいは生態系に好ましくない影響を与えることを未然に防止するということで、毒性、曝露量などを踏まえまして、環境リスクの初期評価を行ってきているものでございます。
 本評価につきましては、専門家からなる検討会で検討いたしました結果を本部会のもとに設置をされております化学物質評価専門委員会、こちらで報告をし、議論をしていただき取りまとめたものでございます。原案の作成に当たりましては、内山先生、中杉先生、花里先生、大変お世話になりました。この場を借りて御礼を申し上げます。
 第7次の取りまとめ、これまで合計160の物質について評価を行ってまいりました。今次の評価の結果といたしましては、人の健康と生態の両面からは23物質を評価、生態リスクのみでは10物質を評価いたしました結果、人の健康に関して1物質、1,2,4-トリメチルベンゼン、生態影響の観点からは3物質が、詳細な評価を引き続き行う必要があるということとなりました。環境省といたしましては、関係部局とも連携をいたしまして、より詳細な評価などを含めた対応が図られるように取り決めを進めてまいる予定でございます。
 それから、もう1点、本日の皆様お手元に参考資料といたしまして、一番最後でございますが、参考資料4、参考資料5、「子どもの健康と環境に関する全国調査」について資料をお配りしております。私ども、長い名称ですので、愛称を通称で「エコチル調査」と呼ばせていただいております。こちらの基本計画の案につきましては、本年9月末に佐藤洋先生を座長といたします検討会において取りまとめをしていただいたところでございます。この調査の特徴といたしましては、10万人のお母様方、全国ご協力をいただいて、妊娠をされているときに参加をしていただき、お子さんが生まれた後、13歳の誕生日を迎えるまで追跡をするというものでございます。
 調査の目的といたしましては、環境中の微量な化学物質が子どもの健康に何らかの影響を与えているのではないかということを検証するということが目的でございます。
 この調査の必要な予算につきましては、現在、環境省の概算要求の中に必要な額を盛り込ませていただいております。
 調査の実施に関する特徴といたしまして、10万人のお母様を集めるに当たりまして、全国10から15カ所、大学の医学部を念頭にご協力をいただく拠点を設置する予定でございます。実力と熱意を有する拠点を集めるために、こちらにつきましては公の募集、公募の形で大学にご参加を要請する予定でございます。現在、秋、この11月、12月には環境省の職員が出向きまして、ご説明に上がろうと思っております。先生方におかれましても、関連方面でご関心の向きがございましたら、情報提供などお願いできましたら幸いでございます。
 以上、こちらについてご報告をさせていただきました。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。たくさんのご報告をいただきました。ただいまのご報告につきまして、何かご質問、ご意見ございますでしょうか、伺いたいと思います。いろいろご報告ございましたけれども、どのご報告からでも結構でございます。ただ、資料に言及する場合は、どの資料の何ページということをおっしゃっていただけると大変ありがたいと思います。それでは、どのご報告からでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 熱中症マニュアルは、昨年も出されましたが大変いい資料だと思います。広くこれが関係者の手に渡る工夫が必要だということを、去年も申し上げたんですが、インターネットを開けば、ちゃんとのっているのでこれをプリントアウトしさえすればいいとはいうものの、こういうマニュアルがあることを自治体にはきちんと知らせる努力が必要じゃないかなと思います。
 先日もちょっとある自治体で話をしていたのですが、熱中症の問題を一体どこの部局が担当するのかもはっきりしないというような自治体がある状態だし、統計データも余りちゃんととられてない、消防局などが、データの中でとっているところはデータがあるけれども、必ずしも十分データがとれてないというような話も聞きます。この問題は放っておくわけにいけないと思いますから、ぜひよろしくお願いいたします。
 それから、特にこの熱ストレスによる死亡リスクの増加については、5月に環境省の研究グループが報告書をまとめています。それによれば、全国平均でもBaUでは100年後には3.7倍程度、私のいる九州・中国・四国は7倍という恐ろしいデータが出ているのですが、ちょっとこれタイミングが悪かったのでしょうね、このマニュアルの改訂版は6月に出たので、5月の報告書の内容がマニュアルに反映されていればもっと迫力があったなと思うのですが、ちょっと残念な気がします。

○佐藤部会長 ありがとうございました。何か事務局の方で。

○早水課長 マニュアルにつきましては、当然、自治体の方にも配布をいたしまして、これは環境部局というよりも保健部局に近いところもありますが、そういうところに行き渡るようにしているつもりですけれども、なお徹底したいと思います。

○佐藤部会長 学校なんかにはどうなんですか。特にアプローチはないんですか。

○早水課長 すみません。ちょっと今、私、手元に具体的な情報がないのですが、公共的なところにはなるべく行くようにしているので、学校にも多分行っていると思うんですが、確認いたします。

○浅野委員 教育委員会に必ずしもうまくつながっていないので、保健部局に渡しても、そこから教育委員会に流れていかない可能性はあるようですね。だからむしろ、教育委員会に最初から送ってしまった方がいいかもしれませんね。
 

○佐藤部会長 いろいろ役割もあるんでしょうけれど、できるだけ広く配布いただけるように工夫いただきたいと思います。

○佐々木委員 私は、学校現場にいた人間でございますけれど、ぜひ養護教諭を動かしていただければありがたいというふうに思いますので、学校にはさまざまな資料が来ますのですけど、校長のところを通過してしまうことがありますので、校長が寄せておく場合もありますので、したがって、ぜひ養護教諭に、養護教諭は大変専門的なことも統括もしておりますので、ぜひそこを通るようにお願いをしたいなというふうに思います。

○佐藤部会長 ご意見ありがとうございました。ほかには。藤井委員どうぞ。

○藤井委員 水俣と、それから152の水銀管理について、要望と質問をさせてください。
 田島副大臣がお帰りになって残念ですが、先ほど事務局から10月31日に水俣にいらっしゃるというお話を今伺いました。それで、私は、大分水俣の原田先生ともつき合いが長いんですが、何とか原田先生の話を伺いながら、不知火海、沿岸全体の疫学調査がなされているということ、今までありませんので、全容がわからんのよねということをお会いするたびにおっしゃっています。政権交代の中で、何としても被害者救済という視点に立って、田島大臣、行っていただきたいなということを、それは要望ですが、お伝えしたかったことです。
 それから152ページの水銀管理のところについて教えていただきたいと思うんですが、これまでもこの委員会の中で水銀の日本からの輸出のことが何回か資料に載っていました。この間、ちょっといろいろと調べている中で、例えばアメリカでいえば、今のオバマ大統領が上院議員のときに既に水銀の輸出法案を出して、そしてもう2013年には輸出禁止になるということとか、EUでは、08年にはもう輸出の禁止とか安全保管に関するそういう規則が採択されて、2011年に発効予定というようなことがいろいろと調べている中で出てきたんですが、ここの日本が国際的な水銀対策に積極的に貢献しているということの文言はありますが、禁止とか、そういうことについてどういう方向をこの中で議論しているか伺いたいと思います。

○佐藤部会長 2点あったと思います。1点はお伝えいただくということで、2点目はご質問なんで、事務局の方でお答えいただけますか。

○早水課長 水銀の輸出の問題につきましては、NGOの方々からも、日本政府も禁止をするべきではないかというご指摘があるのは承知しております。先ほど申し上げませんでしたが、条約については、今後二、三年かけて内容について検討していきますので、それと並行して我が国の国内でもこれまでの技術的な部分に加えまして、そういった政策部分でどういったことをやっていったらいいかということを検討していかなければいけないと思っています。今、内部的には検討しておりますけれども、そういった政策面について検討していく中で、輸出問題も考えていきたいと思っています。
 一応事実関係を申し上げますとPCBなどは合成して作るものですが、水銀は地面の中にあるものですので、我が国では、水銀を意図的に掘ってはいないのですが、ほかの鉱物を掘るときに出てくるものですから、そういったものに含まれるものを、今、イトムカで処理をしております。そこで分離した水銀、あるいは、一部蛍光灯などに含まれているものもそういうところで抽出して、それを輸出しているということでございます。その一方で、なお世界的には、水銀をまだ掘っているところがあるものですから、とりあえず、我々の目的である水銀のリスクを下げるためにまずしなければいけないのは、掘るのをやめること。地上に出てくるのを減らすというのがまず第一で、意図的な水銀はまず作らないことが重要です。
 その上で、リサイクルと言いますか、どうしても出てきてしまった水銀をどうするかということでありまして、今、我が国ではリサイクルをしながら輸出ということになっておるんですけれども、これを仮に止めた方がいいということで止める場合は、その出てきてしまった水銀を今度は保管しなくてはいけなくなるということで、じゃあそれをどこにどうやって保管するのかということも検討しなければいけなくなります。そのあたり並行して、技術的なこと、それから政策的なことを検討していかなくてはいけないということですので、今後、条約の議論と並行して、国内でどうするかということも検討していきたいと思っております。
 最終目的はリスクを下げるということですので、そのために何をすべきかという観点で、その中でやはり日本としても輸出をとめるべきだというような考え方になれば、それをやめたときにリサイクルなり保管といったところがうまくいくかというところも含めて検討していきたいと思っております。

○佐藤部会長 国内の問題とグローバルの問題とどう合わせていくのかというのは難しいと思いますけど、できるだけ早目に進めていただければというふうに思います。
 では、続いて、須藤委員どうぞ。

○須藤委員 どうもありがとうございます。ご説明の中に含まれているのかもしれませんが、化学物質の化審法、あるいは最後の報告の初期評価の中にもしかしたら含まれているかとも思いますが、ちょっと埼玉県における調査で、最近、化粧品と日やけどめなんかに多量に使われるUVカットの薬剤が大分河川とか、それから底泥に蓄積が、以前のデータがないので十分に評価はできないんですが、非常に私どもから見れば高濃度に検出をされるようになってきております。そういう意味で、日やけどめ等に使われるUVカットの薬剤について、どのように環境省としてこの中で取り上げられているのか、もう既にこの中のどこかに入っているのか、ちょっと私、十分に聞きとれなかったので、そのことがおわかりでしたらお教えいただきたいと思います。

○佐藤部会長 これはご質問なので、はい、どうぞ。

○塚本室長 リスク評価室でございます。化学物質の評価につきましては、製造・輸入の上流側の評価と、もう一つ先生ご心配されてますように、現実に環境中に出ているという、環境の現場の側からの要請に基づく評価と両面あろうと思っております。後者につきましては、私どものリスク評価グレー本の方で担当する分野でございます。
 本日のご指摘も踏まえまして、今後の評価対象物質として掲げるかどうか、専門家の先生方にお諮りをしていきたいと思います。

○須藤委員 今までは環境省としてはまだ対象にされてないんですね。

○塚本室長 私の理解している限りでは、まだ具体的な対象になっていないということです。

○須藤委員 ということでちょっと心配だったものですから、そこをちょっと指摘をさせていただきました。

○塚本室長 ありがとうございます。

○佐藤部会長 これから検討していただきたいと思います。それでは、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 私は、エコチル調査について要望ということでお願いしたいんですが、このエコチル調査、ようやく日本でもかなりしっかりと開始されるということで、私は大変すばらしいと思いますので、しっかり調査をしていただきたいと思っております。
 それで、検討会がしっかり立ち上がり、準備が進んでいるようですので、もう十分進んでいると思いますけれども、既に先進的に調査が始まっている諸外国との比較や国内の各地域の比較とか、そういうことが十分できるようにうまく設計してやっていただきたいと思います。
 そして、これにやはり予算をつけていただくというのが大切です。かなり規模が大きい調査だと思いますのでいろいろ大変だとは思いますけれども、長い目で大変重要なことですので、しっかり取り組んでいただければありがたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

○佐藤部会長 ありがとうございます。塚本室長、何か。

○塚本室長 ありがとうございます。特に海外との連携、アメリカがやはり10万人規模で同趣旨の調査を1年、2年先行して行っております。行政的にも実態調査側でも連携をしてまいりたいと思っております。
 また、日本でも北海道、東北、各地で先行事例がございます。そういった方々の知見も教えていただきながら進めてまいりたいと思います。

○佐藤部会長 続いて大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 簡単に2点ございますけれども、一つ、先ほどの水銀条約との関係の話でございますが、154ページの方にも書いてありますように、また先ほど早水課長の方からお話しいただきましたように、今後輸出の禁止という方向に向かっていくと思いますけれども、日本としてはリサイクルするものの保管、リサイクルするものの回収という点で、やや難しい問題を抱えることになります。現在輸出しているので経済的インセンティブがあって市場で回っているわけですけれども、そのインセンティブが輸出がなくなるとなくなってしまう可能性がありますので、そうすると国の方で回収するために、例えばですけれども、お金を払って回収するとか、そういうようなことも考えなくてはいけないかもしれない。日本としてはリサイクルされた水銀の輸出を禁止するというのは、ある面で不利というか、自国の環境の保持のためにはかなり難しい面も持つんですけれども、その中で一生懸命やっていこうということですので、全体としては、そういう国内のことも考えながら国際的な対応も進めなければいけないという状況にあるということも一応申し上げておきたいと思います。その中で輸出禁止ということも含めて対応していくために何をするかというのが、まさに今考えなくてはいけないことだと思います。
 それからもう一つでございますけれども、164ページからあるように、工業ナノ材料に関してガイドラインをつくっていただいたということは、予防的アプローチという観点から非常に重要なことだと思いまして、敬意を表したいと思います。どうもありがとうございました。

○佐藤部会長 ありがとうございました。続いて、上路委員、どうぞ。

○上路委員 ありがとうございます。エコチル調査についてですけれども、こういう形で今後の基本計画ということをまとめていただいてすごくありがたいと思いました。
 その中でいろいろ、このエコチル調査の15ページですけれども、健康影響の指標、環境要因というところが出てますけれども、こういういろんな化学物質が多いその中で一体いつからこれを具体的に進める予定なのか、それはまだ予定であるというんですけれども、段階的にということが書いてあるんですけれど、実際にどういう予定であるのか。それと、この中には、いろんなほかのところで調査しているものがありますから、そういうものをどうやって利用しようとしているのか。それと、当然のことですけれども、化学物質の場合に、量と曝露によるリスク評価、いかにしてリスク評価するかという両方の観点というものが必要ですので、その視点は絶対に忘れないでいただきたいとお願いします。

○佐藤部会長 ご質問の部分もあったようなので、塚本室長。

○塚本室長 実施の計画でございますけれども、この調査自体は、予算がつきませば、来年の秋ないし冬から実際のリクルート、お母様方の参加を始めて、分娩の際に血液をいただくなど進めていく予定でございます。いただいた血液につきましては、すぐにはからなければいけないような生体活性のある物質はすぐ測定いたしますし、時間が少しかかってもはかれるものにつきましては、一たん保存をいたしまして順番にはかっていくという予定でございます。
 先生、ご質問いただいた物質いろいろあるけれどもということでございますが、現段階では、今、候補物質ということで一覧を挙げさせていただきますが、どの物質から先にはかっていくか、何年度に何をはかるか、これはこれからの技術的な検討に回させていただいております。現時点ではまだ決めていないということでございます。

○上路委員 すみません。その件につきまして、今おっしゃられたのは、あくまでも生体ということで、生体の蓄積量を見るということでよろしいんでしょうか、考え方として。

○塚本室長 具体的には、お母様の妊娠中の血液、それから生まれたときのへその緒の血液、それから母乳の中の化学物質、これを全部はかりまして、それが将来のお子様の成長の過程で不幸にしていろいろ影響が出たお子様が、じゃあ子どものとき、お母様のおなかの中で、あるいは母乳でどんな化学物質を曝露されたのか、この関係を明確にしていきたいという調査でございます。

○佐藤部会長 では、菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 私もエコチルの件と、あとちょっとさかのぼってしまって申しわけないんですが、石綿の件と2点。エコチル、これ非常に大変なことは十分わかるんですが、ぜひここで選ばれた方々が病院に行ったときのカルテと検査データを一元管理できないか、保存しておけないか、これが1点です。
 2点目は、こちらの書物にもちゃんと書いてあるんですが、13歳までですと、特に精神疾患はかなり限定されてしまうので、二十歳あるいは30までフォローアップできるような、この予算では無理かもしれないけど、きちんとフォローアップできるような体制、少なくともデータが散逸してしまわないとか、次のプロジェクトにきちんとつなげられるような体制をぜひお願いしたいと、これが2点目です。
 あと石綿に関しては、小委員会の方でもし可能でしたら、全体の見直しのところの中に、これからなってしまう可能性のある患者さんを早く見つけるなり何なりして、予防的に発症をおくらせるようなことまで視野に入れられるのがよいのではないかと、そういう提言をさせていただきたいと思います。
 以上です。

○佐藤部会長 ありがとうございました。では、まず塚本室長、何か。

○塚本室長 ありがとうございます。2点ご指摘いただきましたが、いずれの方につきましても、検討会の中でも同様の指摘を受けております。特に長期的な問題につきましては、現在12年間の計画でございますが、成果がきちんと出てまいれば延長して、例えば次の世代の生殖能力まできちんと見ていこうとか、いろいろな野心的な計画プランが今後できると思います。いずれにしても、そういう延長に向けて成果が出るような形で努力をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 15年というのもちょっと先の大分長い話なんですけれども、その先ということになると、大分ちょっと先になってから考えることになるのかもしれませんけれども。
 あと石綿の話も出ましたけれども、泉室長、どうぞ。

○泉室長 石綿の関係ですが、予防的あるいは発症をおくらせるようなことはできないかというご指摘をいただきました。2つあると思っておりますが、一つは、先ほど報告書を少し読み上げましたが、石綿肺の早期のものについても、将来の悪化を防止するような手だてが必要だろうというご意見を検討会からいただいております。ですので、石綿肺という既に病気ではあるけれども重症でない方について、今の法の枠組みでは、特に対応がないんですけれども、そういった方々の健康管理というのをひとつ検討すべきではないかというお話をいただいております。
 それから、もう一つ、今は病気の兆候はなくても、石綿を吸った方の中から病気が出てくるのではないかという意見があると思いますが、こちらにつきましては、今全国7地域の石綿工場があった周辺の住民の健康調査というのを、これは内山先生にご指導いただきながらやっております。予算要求中の事項なのですが、この調査を拡充して、いかなる集団がより危険が高くて、いかなる検診をすれば、その病気が見つかるのかといったことについてエビデンスが出るような調査に衣がえをして、今おっしゃった一般住民で曝露があったような方の健康管理ということについても一定の知見を得ていきたいと、このように考えております。

○佐藤部会長 ありがとうございました。それでは、佐々木委員、どうぞ。

○佐々木委員 私も、このエコチル調査の件、全国調査されるということで大変ありがたいことだなというふうに思っております。細部にわたって丁寧にお調べいただくというのは、大変学校にとっても貴重な調査になるのかなというふうに思っております。
 ただ一つ、ここの調査と関係あるのかどうかちょっと不明でございますけれど、学校に教科書が配布されてくるわけですけれど、その教科書の香りと化学物質過敏症という子どもが数人は全国にいるような報告も、私、受けておりますけれど、そういうことについて調査はされた経緯はありますでしょうか。その質問でございます。

○佐藤部会長 化学物質過敏症をどう取り扱うかというご質問に一本化できるのかなと思いますけれども。

○早水課長 化学物質過敏症の関係は、環境安全課の方の担当でございます。これまでもいろいろと調査をしてきたのですが、今のところまだ病態とか、そういったものは、まだはっきりしない、きちっと解明されていないという状況でございます。ですから、引き続き知見の集積に努めていきたいというのが現状でございます。

○佐藤部会長 よろしゅうございますか。ほかにどなたか、ご意見あるいはご質問。上路先生、何か、よろしいですか。
 もし特段これ以上なければ、きょうはこの辺にさせていただきたいというふうに思いますけれども、よろしゅうございますか。
 それでは、どうもありがとうございました。特にご発言もないようなので、若干早目なんですけれども、以上で本日の議事を終了いたします。

○水野調査官 最後に事務局の方からご連絡がございます。次回の日程につきましては、後日、事務局から調整をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日の議事録については、原案を作成し、先生方にご確認をいただいた後、環境省のホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、以上で第22回中央環境審議会環境保健部会を終了したいと思います。
 本日はどうもありがとうございます。

午前11時37分閉会