中央環境審議会環境保健部会(第3回)議事録

1.日時

平成13年8月8日(金)15:00~17:00

2.場所

東条インペリアルパレス「九重の間」

3.出席委員

(部会長) 鈴木 継美
(委員) 小早川 光郎  佐和 隆光
清水 誠  野中 邦子
藤井 絢子  雪下 國雄
(臨時委員) 井口 泰泉  池田 正之
江頭 基子  甲斐 麗子
香川 順  北野 大
酒井 伸一  櫻井 治彦
高橋 公  中杉 修身
満岡 三佶  眞柄 泰基
松林 努  森田 昌敏
若林 明子 (五十音順)
(事務局) 岩尾環境保健部長  小沢企画課長
安達環境安全課長  早水化学物質審査室長
鈴木環境リスク評価室長他

4.議題

  1. (1)PRTR法の施行状況について
  2. (2)PRTR法未制定事項について
  3. (3)その他

5.議事

【小沢企画課長】 定刻になりましたので、中央環境審議会の第3回環境保健部会を開始させていただきます。
 ただ今、委員総数25名中21名の方がご出席でございまして、定足数に達しております。部会は成立しております。
 それでは、部会の開催にあたりまして、岩尾環境保健部長よりご挨拶を申し上げます。

【岩尾環境保健部長】 環境保健部長の岩尾でございます。本日は、お忙しいところ、ご出席いただきましてありがとうございます。先生方には、日頃から化学物質対策の推進にについて多大なご協力をいただいておりますことをこの場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げます。
 本日の環境保健部会でございますが、今年の4月から本格的にPRTR法が動き出しましたが、現在、対象事業者による排出量等の把握が行われているところでございます。来年の4月から事業者による届出が開始されることになりますが、これに向けて、運用ルールの細目のうち、未制定となっている事項につきまして、本日はご審議いただきたいと考えております。
 この未制定事項の主な内容でございますが、1番として、事業者からの届出にいわゆる営業秘密がある場合の請求の取扱い、2番目として、個別の事業所データの開示に係る手数料の問題、3番目として、事業者からの届出事項及びそれ以外の排出量の集計の方法についてなどでございます。
 これらにつきまして、本日この部会でご審議いただいた後、パブリックコメントの手続
にかけまして、後日、再度取りまとめて最終的なご審議をいただきたいと考えております。
 また、その他の話題といたしまして、本日は、化学物質対策に関する最新の動向ということで、残留性有機汚染物質に関する条約(POPs 条約)の採択に関する事項、それから、最近の内分泌攪乱化学物質に関するリスク評価の状況などについてあわせてご報告申し上げます。
 以上、今日は予定がしっかり詰まっておりますので、よろしくご審議のほどお願いいたします。

【小沢企画課長】 審議に入ります前に、前回開催以降、委員及び事務局に若干の異動がございましたので、紹介させていただきます。
 まず、本部会所属の西山委員がご退任になりまして、新たに、日本化学工業協会・環境安全委員会委員長でいらっしゃいます満岡様が委員に参加されております。満岡委員をご紹介申し上げます。

【満岡委員】 満岡でございます。よろしくお願いいたします。

【小沢企画課長】 また、事務局にも若干異動がございまして、まず、化学物質対策全般を担当しております環境安全課長、新任で安達でございます。
 それから、環境リスク評価室長の鈴木でございます。
 よろしくお願いいたします。
 次に、お配りしております配布資料の確認をさせていただきたいと思います。事務局から読み上げます。

【事務局】 (資料確認)

【小沢企画課長】 以上でございますが、資料に不備がございましたら、事務局にお申し出願いたいと存じます。
 それでは、ただ今から部会の議事に入っていただきますので、進行を鈴木部会長にお願いいたします。

【鈴木部会長】 それでは、ただ今から第3回環境保健部会を開催いたします。
 議事に入ります前に、念のために申し上げておきますが、本日の会議は、中環審の運営方針に従いまして、公開とさせていただいております。また、本日の会議録につきましても公開となりますので、ご承知おき願いたいと思います。
 それでは、本日の議事に入ります。本日の議題は、「PRTR法の施行状況について」、「PRTR法未制定事項について」、「その他」でございますが、最初の議題、「PRTR法の施行状況について」、事務局からご説明願います。

【安達環境安全課長】 それでは、お手元の資料2についてご説明させていただきます。
 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」、いわゆるPRTR法でございますが、このPRTR法の内容につきましては、PRTR制度とMSDS制度というものを内容にしているわけでございます。この法律の内容につきまして、お手元の資料で番号の振っていない、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律の概要」という参考資料に基づきまして簡単にご説明させていただきます。
 まず、平成11年7月にこの法律が制定されたわけでございますが、PRTR制度と申しますものは、人の健康あるいは生態系に有害なおそれのある化学物質について、事業所からの環境への排出量及び廃棄物に含まれての事業所外への移動量を、事業者が自ら把握して都道府県を通じて国に届け出るとともに、国は届出データや別途推計に基づきます排出量・移動量を集計し、公表するというものでございます。
 「対象物質」とされておりますが、第一種指定化学物質、これは先ほどのPRTR制度とMSDS制度どちらも行うという物質でございますが、それが354物質指定されております。
 また、(4)の「対象事業者」につきましては、その下にございます[1]、[2]、[3]の要件全てに該当する事業者がこの届出の対象事業者となります。[1]としては、業種について指定しております。23区分の業種がこの中で指定されております。また、[2]として、常用の雇用者数が21人以上の事業者ということで、20人以下につきましては、いわゆる裾切りとなっております。また、[3]として、第一種指定化学物質の年間取扱量が1トン以上、ただし、施行当初の2年間は5トン以上。言い換えますと、最初の2年間は5トン未満の取扱事業者が、あるいは1トン未満の取扱事業者が、いわゆる裾切りの対象となるということになっております。
 その次の3.の「MSDS制度」につきましては、対象化学物質を含有する製品を他の事業者に譲渡又は提供する際に、その化学物質の性状及び取扱いに関する情報を事前に提供することを義務づけるものでございます。
 これにつきましては、第二種指定化学物質、それから先ほどの第一種指定化学物質について対象となるということでございます。
 MSDS制度の対象事業者は、4ページの(5)でございますが、対象製品を他の事業者に譲渡又は提供する全ての事業者が対象となりまして、業種、常用雇用者数、取扱量等の裾切りの要件はございません。
 この法に基づく規定としましては、「その他」としまして、事業者が指定化学物質等の管理を行う際のガイドラインを指針として策定すること。あるいは国及び地方公共団体に
よる本法の目的を達成するための支援措置等について規定されているところでございます。
 この法律のうち、ただ今申し上げました、例えば化学物質管理指針あるいはMSDS制度については、既に施行されております。
 資料2に戻っていただきまして、今後の施行スケジュールでございますが、本年4月から、取扱量5トン以上の事業者については、それぞれの排出量等の把握が既に開始されております。来年度からいよいよそれらの排出量等の都道府県知事を通じての届出が開始されることになっております。また、平成15年4月からは、5トン未満という経過措置がとれまして、取扱量1トン以上の事業者は排出量等の把握を開始し、さらに翌年、届出を行うという予定になっております。したがいまして、このPRTR制度につきましても、来年度から本格的に実際の届出が始まるという状況になっております。
 なお、これまでのMSDS制度の実施のため、あるいは排出量の把握等のために必要な政省令については既に制定されております。そこに「関係政省令の制定状況」の「(1)既に制定した政省令等」として、まず[1]として、対象物質、対象事業者の要件を規定した政令が既に制定されております。
 また、化学物質管理指針につきましても、平成12年3月30日に公表したところでございます。
 さらに、MSDS省令と呼ばれます経済産業省令が平成12年12月に定められております。その内容につきましては、参考資料3にお示ししてございます。
 また、PRTR制度を施行するための規則としまして、排出や移動量の算出方法、把握方法、届出方法等を規定した施行規則、これはそれぞれの事業者を所管する主務官庁の主務省令として既に本年4月1日に施行されております。その内容につきましては、参考資料2に示しているところでございます。
 これらの取組をこれまで進めてきたわけでございますが、明年からの届出に備えまして、「今後制定すべき政省令」というのを(2)に示しております。「平成13年中」と書いておりますが、法律の附則の中で、残りの条文につきましては、法律の公布後2年6カ月以内に施行するということになっております。そうしますと、来年の1月12日までに施行する必要があるということで、事務局といたしましては、来年1月1日施行、本年中の公布を目途に現在作業を進めているところでございます。
 本日ご審議いただく事項でございますが、今後制定すべき政省令は、ここに書いてございます11項目でございますが、このうち、特にパブリックコメントを求めることが望ましいと考えられます手数料の問題、秘密情報に当たる場合の取扱いの問題、さらに届け出られました情報の集計あるいは届出以外の情報の集計等につきまして、本日ご審議いただきたいと考えております。
 具体的に申し上げますと、[1]の施行令(政令)の1つ目、開示手数料の額、納付方法、[2]の主務省令のうちの上3つの項目、[3]の経済産業・環境省令の下3つの項目について、ご審議いただき、パブリックコメントを経まして、もう一度ここでご意見をいただいた後、政省令を制定する作業にとりかかりたいと考えております。
 以上でございます。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。
 ご質問がありましたらどうぞ。
 お金の話と、集計のやり方の話と、秘密情報の話と3つ出てきたわけですが。
 よろしゅうございますか。
 この話は導入部でありまして、これはいわばオーバービューを委員の先生方につけていただきたいというので、事務局が用意した部分でございますから、次に入らせていただきます。「PRTR法未制定事項について」という議題で、引き続きお願いいたします。

【安達環境安全課長】 それでは、まず、お手元の資料3-1についてご説明させていただきます。「秘密情報の取扱いについて」でございます。
 まず、法律の規定ぶりでございますが、この資料の4ページ目に参考1というのがございますが、そこで、対応化学物質分類名への変更ということで、秘密情報と考えられるような場合には、化学物質名に代えて、主務省令で定める分類の名称、いわゆる大括りの分類名で届出したいということについて請求できるということになっております。
 また、6条の2項におきまして、そういった申請を行う場合には、その理由を付して行わなければならないとなっております。
 このような法律での規定ぶりでございますが、それでは、どのようなものをいわゆる秘密情報とするべきか、その要件をどのようにすべきかということで、2.の(1)でございますが、まず基本的な考え方といたしましては、この条文につきましては、不正競争防止法の営業秘密に関する規定をモデルとしておりますので、同法の運用を適宜参考とする必要があるかと思いますが、一方で、PRTR制度の本来の趣旨というものもございます。こういったPRTR制度の目的に沿うよう、厳格かつ限定的に運用していく必要があるだろうと考えております。
 したがいまして、(2)の「各要件の具体的な内容」についてでございますが、その要
件としては、不正競争防止法の規定とも照らし合わせながら検討を進めてまいりました。
 まず、[1]の「届出事項と秘密情報の関連性」でございます。この項目自身は、不正競争防止法には明記はされておりませんが、例えば化学物質の名称とか、年間の排出量等が開示されることによりまして、具体的に技術上の情報が漏れてしまう。開示される情報とわかってしまう秘密情報との間に具体的な関連性があるということが不可欠ではないかと考えております。
 残りの[2]、[3]、[4]の事項につきましては、不正競争防止法に倣った項目でございます。まず「秘密管理」ということで、そもそもその情報が事業所内で秘密情報であるということが客観的に認識できる状態で管理していなければならない。あるいは事業所内だけではなく、その情報を外部へ提供する場合にも、提供相手にもこの情報は秘密の情報ですよと確実な情報管理を行えるような措置が講じられているようなものでなければ、いわゆる秘密情報といえないのではないかと考えております。
 [3]でございますが、「有用性」ということで、その情報が実際に生産、研究開発、経営効率の改善等の事業活動に有用な価値を有する「技術上の」情報である必要があると考えます。
 [4]でございますが、「非公知性」としまして、秘密情報が不特定の者に知りうる状態にはないということですが、例えば、製品について、リバース・エンジニアリングによって容易に秘密がわかってしまうような場合は、実際上、当該製品の組成に関する情報が公然と知られていないというふうには認められないと考えます。
 これが秘密情報として認定するための要件になるのではないかと考えます。
 次に、秘密情報と認定された場合には、先ほどの条文の規定にもございましたように、化学物質名そのものではなく、もう少し大括りの分類名で届け出ることになります。その
場合の分類名をどのようにするかということについて検討したものが3.でございます。
 まず、分類の基本的な考え方でございますが、そもそもこれが、秘密を保持するという規定の趣旨に照らしまして、個別化学物質が特定されないように秘密性を確保できるような分類でなければいけないだろう。ただ、一方で、排出されている化学物質の性質に関する何らかの有用な情報が明らかになるような分類であることが望ましいと思われます。
 また、その物質をどこへ分類するかというのを誰がやるのかということにつきましても、届出事業者が自分の裁量で選べるようにする方法等も検討いたしましたが、最終的には、対象化学物質が当該請求に係る対応分類のどこに入っているかがわからないと、実際上、それを有用に活用することもできませんので、対応分類の統一性を担保するという観点から、具体的な化学物質名に一対一対応でこの分類に放り込もうというような分類を国が定めるのが適当ではないかと考えております。
 (2)でございますが、その分類の方法は様々なものがあるかと思います。例えば、人の健康への影響についての強度から分類していく方法、あるいは化学物質の環境中での存在量、生産量、輸入量で分類するといった方法も考えられますが、それぞれここに書いてございますような欠点がございまして、最終的にはやはり構造分類が最も適切ではないかと考えております。
 その構造分類は具体的にどのようなものを使うかにつきましては、(3)でございますが、我が国において30年近くにわたり一般的に使われ、体系的にも整理されている化学物質審査規制法(化審法)の既存化学物質名簿を踏まえながら、一方で、必要以上に細分化した場合、結局、化学物質名が類推されてしまうということになりましたら、本来の趣旨に合いませんので、化学物質名が分類から類推されることのないよう、若干の補正を加えまして、1つの区分ごとに10種類から40種類程度の化学物質が分類されるよう、
13の分類名の区分を設定いたしました。それが6ページの別添に付けてございます。
 一番左側が化審法での整理番号の範囲でございます。2つ目に、今回提案しております第一分類から第十三分類及びその内容を示しております。一番右側が、このような分類をした場合の分類ごとに入る化学物質の物質数でございます。具体的には、さらに7ページ以降に示しているところでございます。
 なお、この分類の中で、注書きにございますが、有機金属化合物については、その有機部分の構造により、この提案しました分類のどこに入れればいいかが必ずしも一致しないということで、その化学物質をどこに分類すべきか特定できないということがございまして、「無機化合物及び有機金属化合物」として、「第一分類」にまとめさせていただいております。
 また、化審法の分類にあります高分子化合物は、4物質しかございませんので、逆に、化学物質が類推されてしまうということで、むしろその基本骨格に着目しまして、それぞれ数の多い「第三分類」、「第八分類」又は「第十一分類」に分類しております。
 次に、「請求に際しての提出書類」でございますが、これは秘密情報に関する要件の立証に資する書類の提出をあわせて求めることにしたいと思っております。
 なお、今後でございますが、このような措置、厳格かつ適切な対応をとっていくわけでございますが、その際、各主務官庁が判断いたしますので、各省庁が可能な限り統一的な運用が図られることが肝要かと思います。そのため、今後、各主務省庁におきまして共通に適用されるような具体的な審査基準を作成し、公表する。また、関係省庁連絡会議等を通じまして、主務省庁間の連携を密にして、この制度の適切な運用に当たっていきたいと考えております。
 以上が、秘密情報の取扱いに関する考え方でございます。
 次に、資料3-2でございますが、開示に係る手数料でございます。先ほど申し上げましたように、届け出られたデータは、最終的に国に集められ、環境省と経済産業省が共同で運用する電子ファイルになるわけでございますが、それについて国民からの開示請求ができるということになっております。その場合の開示に係る手数料についての考え方でございます。
 条文による規定では、「実費の範囲内において政令で定める額の開示の実施に係る手数料を納付しなければならない」とされております。
 まず、基本的な考え方でございますが、1.の「基本的な考え方」の3つ目の○でございますが、開示の実施に係る費用については、「実費の範囲内」にすることはもちろんでございますが、本制度に関心を有する国民一般と情報を共有することが本制度の運用の前提であるということから、開示請求者にとっても可能な限り利便性が高く、負担のからないようなものにする必要があるというのが基本的な考え方でございます。
 具体的な金額の設定につきましては、行政情報公開法がございますので、この積算の例
に倣いながら検討していきたいということで、2.に具体的なものを示してございます。
 まず、用紙に出力したものの交付ですが、これは用紙1枚につき20円。フロッピィディスク(FD)に複写したものの交付は、 0.5メガバイトまで毎に260円及びFD代として1枚につき80円。(3)のCD-Rに複写したものの交付につきましては、 0.5メガバイトまで毎に260円及CD-R1枚につき200円というものでございます。この(1)、(2)、(3)につきましては、裏の参考にございますように、行政情報公開法の場合の手数料とほぼ同等のものでございます。
 なお、1.の2つ目の○のところに※印がございますが、行政情報公開法では、「開示の実施に係る手数料」に加えまして、「開示の請求に係る手数料」を徴収する旨を規定しております。念のため、これにつきましては、開示された文書について、そもそも出せるのか出せないのか、あるいは出せる部分はどこなんだろうかという、いわゆる黒塗り等をする作業のための手数料でございます。本法におきましては、そのような手数はございませんで、基本的に開示いたしますので、今回は「開示の実施に係る手数料」のみを規定しているところでございます。
 戻りまして、2.の(4)でございますが、これは行政情報公開法にはございませんが、
当該年度の全てのファイル記録事項をCD-Rに複写したものの交付でございます。要するに電子ファイルそのものをCD-Rにしてしまう。これが200メガバイト毎に890円及びCD-R1枚につき200円としております。
 平成14年度に届け出られたものの電子ファイルはまだ今後なので、あくまでも推計でございますが、大体120~130メガバイトぐらいであろうと考えております。そうしますと、平成14年度に届け出られた電子ファイルはそのまま丸ごと1枚のCD-Rにおさまる計算になります。これにつきましては、どこの部分を取り出してという手数も要らないものですから、200メガバイト毎に890円という破格の値段というとあれですが、そういった設定をさせていただいております。
 なお、(1)、(2)、(3)につきましては、例えば 0.5メガバイトまで毎に260円といいますのは、例えば 0.6メガバイトだった場合は、260円の倍の520円いただくことになります。ただ、(4)の「200メガバイト毎に」と「まで」が抜けているというのが重要でございまして、例えば、250メガバイトであれば、890円×(250/200)になる。200を1メガバイトでも超えたらすぐ倍になるというわけではございません。そこが(1)、(2)、(3)と(4)は少し違っております。
 なお、手数料につきましては、所定の書面に収入印紙を貼って払っていただきます。また、郵送料については別途徴収いたします。
 こういった収入印紙を貼った書面の提出につきましては、各省庁の窓口へ来訪して持参していただくというのはもちろんでございますが、郵送によりましても対応したいと考えております。
 以上が、手数料に関する取扱いでございます。
 次に、資料3-3、届出事項の集計方法及び届出外排出量、いわゆる非点源での排出についての推計と集計というものでございます。
 法律の規定ぶりは、先ほどの番号の振っていない参考資料、「法律の概要」の5ページに流れ図がございます。対象化学物質を対象事業者がまず環境への排出量・移動量を把握し、それを各都道府県知事を経由して主務省庁に届け出る。主務省庁から環境省及び経済産業省にまいりまして、国の方で届出データをファイル化する。このファイル化したデータを、当然、先ほどの開示請求もできるわけでございますが、国は、これを、左側の線でございますが、集計し、公表するということになっております。これをどのように集計していくのかという点が、今回ご審議いただく点の1つでございます。その横に、国、届出対象以外の排出量というのがございます。届出対象以外の排出量を国の方で推計いたしまして、これについても、その結果を集計し、あわせて公表するということになっております。どのように、何を推計し、また、集計するのかという点について、資料3-3で考え方を説明させていただきます。
 まず、2.の「届出事項の集計方法について」でございます。こちらは、データがきちんとあがってくる方でございますが、どのような集計をするかということで、基本的には、排出量及び移動量の集計値から何らかの傾向・特性が読みとれるような集計をしていこうと考えております。
 (2)の「具体的な集計方法」でございますが、そもそも届出される事項はどういうものがあるのかというのを示しております。
 まず、アとして、氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名。イとして、事業所の名称及び所在地。ウとして、事業所において常時使用される従業員の数。
エとして、事業が属する業種。オが、排出・移動先の区分ごとの実際の排出量及び移動量。
 なお、排出につきましては「大気」「公共用水域」「土壌」「埋立」の4区分に、移動につきましては「下水道」「廃棄物としての移動」の2区分に区分されております。
 こういった届出事項から実際の集計のための項目として使うものでございますが、まず、排出・移動先の区分がございます。それから、[1]として化学物質の名称、[2]が事業所の所在地、都道府県あるいは市町村まで全て入っております。[3]として業種、これは23業種ございます。[4]が従業員の数、こういったものが項目として理論上可能なものでございます。
 まず、どういった項目で集計していくかということでございますが、化学物質につきましては、1つ1つの化学物質ごとに性状が異なるわけでございますので、全ての集計において化学物質の名称ごとの分類は行っていこうと考えております。ただ、そうした場合、集計値の個数があまり膨大になり過ぎましても、実際上使えない、理解できないということになります。そのような観点から他の項目を考えますと、まず所在地でございますが、都道府県ごとの集計は行うわけでございますが、約3,300ある市町村ごとにいたしますと、あまりに情報が膨大になる。集計表があまりに数が多くなり過ぎる。それともう1つ、より詳細な集計につきましては、都道府県知事が独自に行うことができるということになっておりますので、国としての集計としましては、都道府県ごととするのが適当ではないかと考えております。
 こういった考え方から、具体的にどのような集計かと申しますと、そこに書いてございますように、まず、[1] が第一種指定化学物質の名称ごとの集計ということで、この資料の5ページ以降に実際の集計表のイメージを示しておりますので、そちらを見ていただければと思います。5ページが第一種指定化学物質ごとの名称によっての集計でございます。この表が全国で1枚作成されます。
[2] が、化学物質の名称ごと、かつ都道府県別の排出量でございます。それが6ページの表になるかと思います。この表が各都道府県ごとに、つまり47枚作られることになります。
 [3] が、化学物質の名称及び業種ごとの排出量でございます。それが7ページで、これは業種数、つまり23枚このような表が作られるというイメージでございます。
 [4] につきましては、化学物質の名称と都道府県と業種ごとに排出量を集計したものでございます。したがいまして、これは47×23枚できることになります。
 その次が、化学物質の名称と業種名と従業員数ごと、さらに、注で書いてございますが、排出・移動先の区分ごとの排出量及び移動量を示した表のイメージでございます。
最後に、さらにそれを都道府県ごとにみたものが表6でございます。
 以上のような集計表を作成してはどうかと考えております。
 次に、3.の「届出外排出量の算出について」でございます。法令に基づきまして、届け出されない部分についても国の方で推計するということになっております。
 (1)の「基本的な考え方」でございますが、推計にあたりましては、想定される主要な排出源からの排出量について、信頼できる情報を用いて可能な限り推計を行うという基本的な方針で取り組みたいと考えます。
 では、どのようなものが届出外排出量として算出できるのか、あるいは届出外のものとなるのかということで、資料の11ページに参考2で示してございます。網かけをしているのが届出に基づいてあがってくるものでございます。ところが、対象業種の中でも、年間取扱量が1トン未満であったり、あるいは従業員の数が20人以下であったりしますと、対象業種であっても届出対象とはならないということで、こういった対象業種には属するけれども届出の対象にはなっていないもの排出についても推計したい。[2]でございますが、今回の法律によりましては対象業種にならなかった、例えば農業、建設業のような業種における排出量についてもできる限り推計の対象とする必要があるのではないか。さらに、[3]にございます家庭からの排出、下の方の[4]にございます移動体(自動車、航空機、船舶等)からの排出量について推計の対象としたいと考えます。こういったものについてできる限り推計していくという方針でございます。
 次に、4.の、そういった推計したものについての集計方法でございますが、今申し上げました[1]~[4]の分類ごとに集計するというのを基本とするわけでございますが、一方、推計された届出外排出量は届出排出量とあわせて公表されるものでございますので、できる範囲において、推計可能なものについては、先ほどの届出される集計の項目も用いてまいりたいと考えます。
 それでは、先ほどの届出事項の集計に利用した項目というのが届出外でも使えるかどうかということについて検討したものが(2)の「具体的な集計方法」でございます。
 まず、化学物質の名称につきましては、全ての集計において化学物質の名称ごととすることが適当ではないかと考えます。また、所在地についての情報につきましても、完全にお約束はできないのですが、都道府県単位で推計できるのではないかと考えておりますので、できる限り都道府県単位での集計をしていきたいと考えております。
 業種と、その次にございます従業員の数につきましては、推計におきましては、実際上非常に困難ではないかと考えております。
 移動体からの排出量、これは先ほどの届出のところにはなかったわけでございますが、移動体からの排出量につきましては、移動体の種類、自動車なのか、船なのかといった種類ごとの排出量の推計が可能であると今のところ考えておりますので、これについては集計のための項目とすることが適当であると考えております。
 以上の考え方に従って作りました集計表のイメージを12ページ以降の参考3に示してございます。まず、[1] の表につきましては、このような表を1つ作成する。また、[2] につきましては、化学物質の名称及び都道府県名ごとの表が47枚できるわけでございます。[3] につきましては、移動体からの排出に係るものについての表でございますが、これについては、化学物質の名称と移動体の種類ごとの表が作成される。[4] につきましては、化学物質の名称、都道府県名及び移動体の種類ごとの集計表を作成したいと考えております。
 先ほど業種について23ということでずっと説明してまいりましたが、製造業については中分類というのがございますので、それも活用いたしますと45区分ということで、今のところ45区分で検討しているところでございます。失礼いたしました。
 また、先ほど来年度の情報全体で120~130メガバイトぐらいにおさまりそうだと申し上げましたが、200メガバイトの間違いでした。失礼いたしました。
 以上の検討を加えた結果をまとめましたのが資料4でございます。
 まず、1.の「開示の実施に係る手数料」につきましては、先ほどご説明したとおりでございます。
 また、秘密情報の取扱いにつきましても、ご説明したとおり、別表で付けております表のとおり、一対一対応で分類していただく。それから、分類名への変更あるいはその維持に関する申請については、理由を記載した添付書類を提出してもらう等の規定でございます。
 めくっていただきまして、3.の「届出事項の集計及び届出外排出量の算出等」につきましては、ただ今ご説明したとおりでございます。
 4.でございますが、今回、主に3つの事項についてご説明したわけでございますが、今回の審議の対象としなかった行政上の事務処理、若干の政省令がございます。そういった技術的な事項についてもあわせて定めることといたしております。
 ただいまご説明しました事項につきましては、今回ご審議いただき、その結果を踏まえて、パブリックコメントを行い、また、パブリックコメントの結果をもとにもう一度ここでご審議いただいて、実際の政省令の制定手続に進んでいきたいと考えております。
 なお、この内容につきましては、経済産業省の産業構造審議会化学・バイオ部会リスク管理小委員会におきましても同じ内容をご審議いただいておりまして、今日午前中の審議におきまして、原案について了承されたというふうに聞いております。
 いずれにしましても、明年からの施行に備えまして、円滑なる事務の実施を図っていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。
 経済産業省の会議にお出になった方もこの中に何人かいらっしゃると思いますが、そのお立場で付け足すことはありますか。特にございませんか。
 それでは、ご質問、ご意見を伺います。

【藤井委員】 資料3-2のところで質問させていただきます。本来、情報は請求せずに公開すれば、開示費用の議論はする必要はないのですが、そうもいかないということで、こういう議論をすることになったと思います。1.の3つ目の○に「本制度に関心を有する国民一般と情報を共有することが本制度の運用の前提であることから、」、情報公開法に基づいていろいろな費用算定をなさっているようですが、都道府県の情報公開条例の中で、国の情報公開法よりももっとバリアが低いところもあると思われます、ゼロを含めて。そこで、この数字が妥当かどうかということも本当は議論すべきではないかという気がしますが、いかがでしょう。だれでも、いつでも自由に利用できるということを前提にするとどうなるかという視点で私は考えたいと思うのですが。

【安達環境安全課長】 地方においては、いろいろな手数料、県ごとにかわっているところがあるということも存じ上げておりますが、地方での取組というのは、それぞれの地域の実情等を踏まえてやっておられることかと考えます。今回、これにつきましては、その県からその県の情報をとることは、情報公開条例を使ってもできるかと思いますが、他県の情報については、国からでないと、基本的には持っていないということで、全ての県のことを考えてといいますか、国レベルのあり方を考えていくときに、やはり国の法律であります情報公開法を倣って設定していくということにならざるを得ないかと考えております。

【鈴木部会長】 藤井委員はとてもご満足にならないと思います。

【藤井委員】 はい、満足ではないです。

【鈴木部会長】 ほかにありませんか。

【香川委員】 ちょっと教えていただきたいのですが、秘密情報の取扱いを受けた物質に関しては、個別名ではなくて、対応化学分類名になるということになっていますが、この場合はMSDSの表は付けないのですか。

【安達環境安全課長】 今回の議論はPRTR制度に係る運用についてのみのことでございまして、MSDSにつきましては、それぞれの化学物質名を付けて、渡していく必要がございます。

【香川委員】 私はよくわからないのですが、PRTRは、個別名を出すと、いろいろな企業に差し障りが出てくるということで、個別名は出さなくて分類名で出すということになっていますね。もしそういうものであったら、PRTR法が抜け穴みたいになってしまう可能性が大いに出てくると思うんです。例えば、物質の物理化学的な性状もよくわからない。資料3-1の7ページに出ております第一分類、例えば、その企業がホスゲンを使っていたとしても、ホスゲンという名称は出さないで、第一分類名で出すわけですね。そうなってきますと、例えば第一分類の中の物質は実に多様ですよね。ガス状物質もあれば、金属もあるし。そして、本来のPRTR法の目的からいきますと、第一分類だけで出てきたときに、果たして満足な対応ができるのかどうか。MSDSの表が同時に企業からも出てくるのであれば、かなりの情報が得られると思いますけれども、逆に、MSDSの書類は個別のものが出てくるとなりますと、かなり物質が特定できる可能性が出てきますよね。だから、その辺の前後のことが私はよくわからないのですが。

【安達環境安全課長】 MSDSにつきましては、特定の事業者からその製品を提供する相手にデータを渡すというものでございます。したがって、渡す段階において、もし漏れて困るような秘密であれば、公開してもらっては困るよというような条件をつけて渡せるものでございます。
 一方、PRTRは、届出がありますと、公表は確かに集計ですが、開示されれば全て出す。言い換えますと、今度CD-Rで丸々出せるようになりましたので、例えばNGOさんがそれを丸々1枚くれと、で、もらったものを公表してしまえば、だれでも、どこでも手に入る情報になってしまうわけでございます。したがいまして、合意にのっとった秘密情報の保護といいますか、守ってあげるということは必要だということで規定されているのかと思います。
 ただ、ご心配のような点があるかと思いますが、資料3-1の5ページの参考2を見ていただきたいと思います。私どもも基本的な考え方で、この制度については、厳格に運用
していきたい、適正に運用していきたいと申し上げましたが、米国にもTRI制度という、
我が国のPRTR制度とほぼ同様の制度がございます。それによりますと、一番下の4.でございますが、1995年度の実績では、全体の届出が約7万3千件のうち、企業秘密と扱われたのはわずか13件のみでございます。米国の制度どおりになるかどうかわかりませんが、私どもとしては、適正な運用によりまして、何でもかんでも抜けていくというようなことは起こらないようにしたいと考えております。

【香川委員】 ただし、この参考2の米国の「企業秘密の立証」というところを読ませていただきますと、非常にわかりやすいんですね。でも、今日出されたのは、読んでもよくわからない。これをやると、米国でさえ、約7万3千件も出てきて、実際に企業秘密と扱われたのは13件のみであるので、我が国の実情を考えると、同じようなことが起こる可能性はあるのではないかと思うんです。「企業秘密の立証」という米国で出したものは、だれが読んでも相当わかりやすく書いてあると思います。

【安達環境安全課長】 ご指摘の点もあるかと思いますが、資料3-1の3ページの5.の「今後の運用について」のところでございますが、私どもも、各主務省庁におきまして共通に適用される具体的な審査基準、イメージとしては、先ほどの米国の例のようなものをイメージしながら、具体的な審査基準を作成いたしまして、適切な運用に当たっていきたいと考えております。

【鈴木部会長】 香川委員のご指摘は非常に大事なポイントを突いていると思うのですが、少なくとも、読んでわからないのでは困るわけで、具体的にはどうなるのかというのを、例えばポンチ絵みたいなものにしたら、こういうことに相なるんですよと。そこら辺のところが尻抜けにならないためには、これだけのことを考えて、こういうふうに運営するんですということがもっとすっとわかるようになっていないといけないのではないかというのは、恐らく皆さん共通のご意見ではないでしょうか。非常にわかりにくい。
 ほかにございませんか。

【中杉委員】 いくつか確認させていただければと思います。資料3-1の「秘密情報の取扱いについて」の分類なんですが、例えば、ダイオキシンがこういうふうな形で、ある分類の中に入っておりますけれども、ダイオキシンが出る、出ないということで秘密にかかわるということがありうるのかどうか。これは全くないと言えるのかどうかというのは議論がありますから、そういうものを設けておくというのはいいかと思いますけれども、実際問題としてそんなことがありうるかどうかということをどのぐらい検討されているのかというのがちょっと気になっています。例えば、無機塩素もひょっとしたら、触媒なんかに使って、製品の中に入ってこないのは、リバース・エンジニアリングではつかまらないというのはありうるのかもしれませんけれども、具体的にそういうものが想定されるかどうかという検討は少しされたのかというのが1つでございます。それがリバース・エンジニアリングではどうしてもできないか。
 例えば、ダイオキシンが出ているから、何か企業秘密がわかるということは、常識的にいえば、ほとんど考えられないので、そういうものをあえて化合物に分ける必要はないのではないかという感じがいたします。それが1つでございます。とりあえずそちらからお答えいただければと思います。

【事務局】 個別物質が秘密情報に該当するかどうかということにつきましては、経済産業省と一緒に検討しておりますが、ヒアリング等をしたところ、ダイオキシンに限らず、実際には秘密情報に該当するということはほとんどないというような実態をつかんでおりまして、特にダイオキシンのような非意図的に生成されるものにに関して、実際にそれが秘密情報となるということは、現時点ではほとんど考えられないと思っております。ただ、制度として、この分類名を用意しておかないと、仕切りが悪いということになりますので、形式的に割り振ると、ダイオキシンはここに入りますという形で今ご提案しているところでございます。

【中杉委員】 たぶん、想定されるというのは、我々の想像の外のものというのは、ままあることになりますので、こういう想定をしておくとよろしいのですが、そこら辺のところをきっちり説明される必要があると思うんです。パブリックコメントを求めると、たぶん、ダイオキシンがなぜここに入っているのかと同じような質問が出てくるかと思いますので、そういう意味では、そこら辺をどういうふうに検討したのかというのをもう少しご説明になれば、理解が進んだかと思います。
 もう1つは、集計のところですが、具体的な話として、届出外の推計の部分なんですが、実際問題として、来年度、届け出られたものの集計にあわせて届出外の推計もしなければいけないわけですね。見込みとして、どの範囲が整理できるのだろうかというのが1つお聞かせ願えればと思います。
 それと、資料3-3の12ページで、例えば参考3で表ができますね。この表に集計されたときに、1つだけできればお願いしたいと思いますのは、実際に検討して数字がゼロだったところと、残念ながら時間が足らなくて検討ができなかった部分と、それもたぶん、こういう集計の形でいくと、両方ともゼロになる形で表示されると思うんですね。そこを区別した形で表示していただく方が国民としてはわかりやすいのではないか。そういうふうにお願いできればと思います。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。

【松林委員】 今の質問でだいぶカバーされたような気もするのですが、イメージがいまいちわからないところがあるのです。例えば、届出事項の集計方法のサンプルが付いていますけれども、1から354まであって、先ほどご質問があった、秘密情報でそれを13の分類に分けて出してもいいということになると、13の分類で出したものはこの中でどのように集計されるのですか。分類していくときに、1つ1つの物質がいくらですよというのを出すのに、分類で出したのをどうやって集計するのか。それから、ダイオキシンとか非常に有害性が強くて、あまり企業の秘密と関係ないものまで皆13分類に入れる必要はないのではないか。分類しておくものは分類して、例外的にこれは個別に出さなきゃいけないというものをちゃんと決めておいた方がすっきりするような気もするのですが。

【安達環境安全課長】 まず、秘密情報に当たった場合の集計でございますが、資料3-3の5ページの参考1の物質名のところにございますように、物質名については、1から354まで、その下に分類名で1から順番に付けていく。この表のような集計をしたいと考えております。
 それから、推計値について、本当に数字がゼロのものと、できなかったものとの区別については、明らかになるような表現の仕方をしたいと考えております。

【松林委員】 今の話で、集計方法はたぶんそうだと思ったのですが、そうすると、1から354までのものをちゃんと挙げながら、下に13でひとまとめでやったのと、2つ表があっても、使う方にとっては、よくわらかないという感じがするのですが。
 実際問題として、先ほど言われたアメリカでは、約7万3千件のうちの18件が企業秘密を申請して、8件が申請を取り下げたというと、7万3千件のうちの13件だけでありました、こういう話であれば、そこのところにプライオリティを置くよりは、有害物質がどれぐらい出ているのか知りたいという方にプライオリティを置いた方がいいような気もするのですが。

【小沢企画課長】 法律の規定の中で、化学物質の情報が秘密になる場合があって、その場合、一定の手続で、秘密を保持するというルールが敷かれたわけですから、これは前提としなければいけない。そして、その場合、今までのお尋ねの中で、秘密情報の取扱いについては、届出された事項、すなわち、ある工場である物質がある量排出されているという情報が本体でありますが、その情報が知られることによって事業者の製造などに関する技術上の情報が知られてしまうという関連性があるということ、そして、その情報が秘密として管理されていて公然と知られていないということ、こういった要件を課することによって、実際適用上、秘密となることは非常に限られたケースになるだろうというふうに理解しております。
 今ご議論の、秘密として漠とした情報にならないようにするためには、秘密の取扱いの条件を厳格にし、ルーズにならないようにするということにほかならないのではないかと思います。その点については、もしできればその辺の事情にお詳しい委員の方からもご意見をいただきたいと思いますが、私どもが所管省と議論しながらこの案を作っているときには、欧米の制度も倣い、国内の判例なども倣い、できるだけ厳格な運用が図れるようにということでやっております。そのことを前提として、しかしながら、想定しえないようなケースを含め、非常にまれなことかもしれないけれども、秘密に当たるというケースにどう対処するかというルールもまた決めておかなければいけないことであります。そのようなことで、先ほどご提示したような大括りの分類を、制度としては整えておくということでございます。
 したがって、対応する化学物質のリストについては、354の個別の物質のものと13の大括りのものとが一応欄としては用意してございますが、恐らく実際開けてあれば、下の大括りのところにいっている数値は非常に少ないものになるのではないかと考えているところでございます。若干補足でございます。

【眞柄委員】 1番目は、先ほど藤井委員がおっしゃられたように、国がこういうふうな制度の下で把握した情報は、これからの時代においては無料でオープンにするのが当然だと思っております。それはそれとしまして、具体的なことでご質問をしたいと思います。もしかしたらそれはPRTR制度の枠外であることかもしれません。
 札幌市の水道水源であります豊平川では、砒素とほう素が環境基準や要監視項目の指針値をはるかに超えております。発生源は、下層から流出している温泉等から排出されている温泉排水であります。また、札幌市の地下水も砒素、ほう素に汚染されておりますので、下水道に入ってくる水も砒素やほう素が入っております。その場合には、このPRTRの性質ですと、事業所から排出される排水に化学物質が入っていたときに下水道でどう扱うかというシナリオになっているわけでございますが、今私が申し上げたように、環境への排出量を把握するというのがPRTRの1つの目的であったとしたときに、自然由来の発生源は、届出外ではもちろんありますが、それはこの枠の中では扱いにならないのかどうかということをはっきりしていただきたい。
 それから、先ほどの下水道の例のように、排出者が全くわからないまま下水道に入ってきたときに、下水道事業者はそれに対して報告しなければならないのかどうか。たぶん年
間1トンぐらいにはなっているはずであります。その2点についてご質問申し上げます。

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。
 これは直ちに返事できますか。

【安達環境安全課長】 自然由来のものについて対象になっていないのは事実でございます。その考え方というのは、この法令のそもそもの趣旨が、化学物質の管理の改善を図っていくということで、自然の部分についてはそういうことから外れているということでございます。ただ、それだけでは怒られるだけかと思うのですが。

【鈴木部会長】 そのとおりで、自然由来のものも含めて、我々は環境にどう対応していくのかという問題ですから。

【事務局】 下水道の方がどうなっているかということをご説明させていただきますが、下水道につきましては、いろいろな事業者からいろいろな排水を受け入れるので、何が入っているかわからないということで、法律上は、非意図的というか、自分が意図せずに環境中に化学物質を排出してしまう事業者という位置づけをされておりまして、こういった人たちから何を届け出てもらうかというと、他法令、水濁法、下水道法等に基づいて、測定されている化学物質がありますので、測定されている化学物質の測定値をもとに届出をしていただく、こういう仕組みになっているところであります。

【眞柄委員】 水濁法の特定事業者以外からの排出量が圧倒的に多いんですよね。もっと端的にいえば、札幌市の水道水から砒素が入ってきているわけです。もちろん水道の水質基準以下ですが。それが下水道の中に入って、例えばスラッジなどで濃縮されて出てくる。あるいは下水道管に漏水として入ってくる地下水の中に入っている。ですから、特定の事業者というのはない、そういう前提で事例がある。私は札幌の例を申し上げましたけれども、必ずしも札幌の例だけではなくて、日本のいくつかの都市でも同じようなところは、日本は火山国ですし、温泉国でもありますので、そういう自然由来のものの環境基準なり何なりで環境の状態を把握したときに、自然由来のものがあって、結局、最終的には下水道業とか廃棄物処理業というところがそのものの受け皿になっているところがあるという例についてどうなのかなということをお伺いしたわけです。

【事務局】 今の件につきましては、下水から公共用水域に流される部分の測定をしておりますので、結果として含まれてしまうということになります。

【佐和委員】 私は、法律の専門家でもありませんし、あるいは化学の専門家でももちろんないですが、全く素人として極めて判然としないものを感じます。
 まず、さっき秘密情報の取扱いに関する条文等についてのご説明を受けたときに思ったのは、こういう請求をして、実際にそれが受理されるというものものが本当にエクセプショナルなのかどうかということです。アメリカの例をお引きになりましたけれども、アメリカのような法律を敷いていれば、確かにエクセプショナルになるかもしれない。事実、そうである。しかし日本で、つまり、第六条を見ますと、「事業活動に有用な技術上の情報であって」ということになったら、これは事業者のほうの主観的な判断ですよね。これは私どもにとって大変有用な技術上の情報ですよと言われた場合、なかなか反論しがたい。それから、「公然と知られていない」というのは、論文になっていないとか、特許になっていないと。これも秘密にしようと申請のあるもので、論文になっているとか、特許になっているものは、もともと申請しないでしょうが、恐らく秘密にしたいということで、論文に書かれていないものが圧倒的に多いと思うんです。したがって、これは大変ループホールをつくることになるのではないかと素人ながら思います。
 もう1つは、13の分類ということで、集計した数値が出るんですね。私は化学の素人なので全くよくわからないのですが、集計した数字というのはどういう意味をもつのか。つまり、足せないものを足した数字が出てくるのではないかという気がするんです。その数値が多くても、それの構成項目が20ぐらいあったとしますと、20のうちの1つが多かったら、これは大変だ。しかし、その他の19が多くても大した問題ではないというケースが結構多いと思うんです。そういうことについてどうお考えなのか。つまり、足した数字が意味をもたなかったり、あるいは非常にミスリーディングな情報になってしまうということです。
 それから、先ほどの表に関することなんですが、届出事項の集計方法という表で、従業員の数というところで「0人~20人」と書いてあるのは間違いなんですよね。21人以上にしか届出義務はないわけですから。なぜ「0人~20人」というのが書いてあるのですか。
 それから、11ページの参考2というところに「PRTR法による集計対象排出量の構成(イメージ図)」がございますね。これで届出対象外というのは2つあって、年間取扱量が1トン未満というのと、従業員が20人以下というのがあるわけですが、これは一体有害物質の排出の何%ぐらいを占めるのかということを、大体そのぐらいの見当はつけていらっしゃると思うのですが、おわかりでしたら教えていただきたい。
 それから、行列になっているわけですが、この行列の四角の一番右下、つまり20人以下であって1トン未満であるというのが、白い部分、つまり届出対象外の大部分を占めるのかどうかということと、届出対象外の推計をするにあたっては、届出対象となった事業所の届け出たデータに基づいて推計なさるんですよね。ですから、どういうふうな推計の仕方をするのかということを教えていただきたい。大体以上です。

【事務局】 今の点につきまして順次お答えしたいと思います。まず、秘密情報の請求があった場合、それを本当に却下できるのかどうかというご質問かと思いますが、先ほどもご説明しましたとおり、基準というのは、これから検討して詳細を詰めていきたいと考えておりますが、基本的には、アメリカの例がありますけれども、同じ考え方に基づいていると考えておりますので、その考え方に従えば、実際にはほとんどのものが秘密情報としては認められないのではないかと。

【佐和委員】 この6条に書かれていることはほとんど、これを楯に言っても聞かないぞということですか。有用な技術的情報である、公然と知られていない、2つの条件を満たしているじゃないかと言われたらどうするのですか。

【事務局】 実際には全部の要件が必要なわけでして、確かに有用性というところについては、ほとんど認められると考えられますが、実際に秘密として取り扱っているかどうかという部分で多くの情報はそこに該当しないということとなると考えております。
 あと、資料3-1の1ページの一番下の[1]の「届出事項と秘密情報の関連性」というものは非常に重要であると考えております。つまり、PRTR法で出てくる情報というのは、化学物質の名前と排出量の情報になるわけですが、その排出量の情報と実際に企業秘密であるとされている情報の関連性があるかどうか。つまり、排出量の数字が出ました、そして、実際に企業の中で秘密としている情報が、この製品の中にこの物質が何%入っていますという数字だとしますと、この2つの間に関連性がなければ、それは秘密情報とはいえないという考え方になりますので、そういった考え方に基づきますれば、ほとんどのものが秘密情報には該当しないのではないか。現時点で経済産業省が事業者に対してヒアリングした際にも、ほとんど該当しないであろうということを感触としてつかんでいると聞いております。

【佐和委員】 へ理屈をつけられるかどうかということでしょうね。

【事務局】 その辺は厳格に審査をしていきたいと考えております。
 2つ目は、集計値の意義ということかと思いますが、もちろん個別データの中で排出量の大きいものと小さいものがございますし、それをどう考えるのかということでございますが、まず、1つ1つの事業所データというもの自体は、開示請求に応じてでありますが、全てのデータを入手しようと思えば、入手できるわけでして、どこが大きい、どこが少ないということはわかってくるわけです。実際に集計することにどんな意味があるのかというと、国全体あるいは都道府県、地域レベルで化学物質の排出量は、国としてどれぐらいの状況にあるか、都道府県レベルとしてどのぐらいの状況にあるか、さらに、その経年変化、全体としてどういった傾向にあるか、一定の傾向とか、そういったことをみることが重要かと考えております。今回お示ししている集計というのは、何らかの傾向、業種ごとの特性がみられる、あるいは地域ごとの特性がみられる、あるいは事業者の大きさごとの特性がみられるということで、集計を行っているところであります。また、もう1つ、事業者の自主管理という観点から、同じ業種であって、同じ事業所規模の集計値というのがこの集計によって出てくるわけですが、そうすると、自分たちが同じような業態の事業所の中でどれぐらいの位置づけになるかということがわかってくるわけです。そういう比較によって自主管理が進んでいくであろうということを想定しているわけであります。

【佐和委員】 私は経済学者なので、経済を例にとって言いますと、国の経済のアクティビティのレベル、あるいは経済が成長したとか成長しなかったというときには、普通GDPが用いられるわけですね。それが本当に適切かどうかという問題はさておくことにして、それが通常用いられているということですね。しかし、それはそれで、付加価値の総和というかなりはっきりした意味がある。つまり、足しても、足したことが無意味であるという足し方はしていないわけですね。ところが、生産されたものの重さを出しても意味がないですね。同時にまた、それを金額に直して足し算しても意味がないですね。つまり、鉄は年間に何千億円生産され、自動車が何千億円生産され、それを足しても意味がないですね。あるいは重さで足したら、もっと意味がないですね。私が言いたいのは、要するに、20~30ぐらいの化学物質の排出量の総和のようなもの、例えばある事業所から出てきた総和が何mgというのか知りませんけれども、そういう数字が与えられて、一体どういう情報がそこからくみとれるのか。

【鈴木部会長】 佐和委員、若干誤解があるのではないか。総和を出すわけではないもの、個別の化学物質ごとに示すわけです。

【佐和委員】 いや、これですよ。つまり、秘密情報ということで、申請した企業については、分類で数字を--

【鈴木部会長】 秘密情報部分に関していえば、それが何であるかがわからないのに足せるか、そういうことですね。

【佐和委員】 いや、そういう意味ではなくて、足したものがどういう情報をもつんでしょうかということです。

【鈴木部会長】 そもそも足すことに意味があるのかとおっしゃっているわけでしょう。

【佐和委員】 足すことに意味があるかといいますか、足したものを、そういう情報が開示されて、例えば第5分類は27の物質があるわけですが、それの総和排出量が与えられたときに、中には有害な度合いが違うわけですね。

【鈴木部会長】 おっしゃっている意味がわかりました。たぶん事務局もわかっただろうと思います。

【事務局】 ご質問の趣旨とちょっとずれたお答えをしたかもしれません。対応分類名の部分ですね。複数の化学物質がここに該当するということで、その排出量を足し合わせることに意味があるのかどうかというご趣旨。確かに化学物質ごとに例えば毒性のレベルも違っているということでございますけれども、ここでご提案させていただいている分類名というのは、構造分類に基づいて行っておりますので、環境の観点から、若干取っかかりがある。どういうものが中に入っていそうだということはある程度類推することができるような括りになってございます。したがって、必要があれば、例えば環境大臣あるいは都道府県知事がこの中身について、これは個別でございまして、公表の話ではございませんけれども、説明要求をするというシステムになっておりまして、私どもはそれを環境保全に役立てていく、そういうスキームは法律の中には整っております。
 もう1点だけ。分類名の排出量については、実は集計する立場の私どもの方には個別の化学物質名のデータとしてはあがってまいりません。既に分類名としてマスクされた状態で私どもの方にあがってまいりますので、こういう集計しか今のところありえない、そういう法律の仕組みになってございます。

【佐和委員】 つまり、構造分類ということで、それなりに意味があるということですね。

【事務局】 さようでございます。
 あと2点ほどご質問があって、「0人~20人」は間違いではないかというご質問ですが、これは間違いではございませんで、事業所単位でデータを提供していただくことになっておりますので、21人以上というのは、事業者単位での括りでございまして、複数の事業所がありますと、数人、数人を足して21人を超えるということはございます。
 それから、届出対象外がどれぐらいあるかということでございますが、これは現在、調査等をかけておりますけれども、いくらとお答えするような明確な数値は今持ち合わせておりません。

【佐和委員】 ゼロはあるのですか。

【鈴木部会長】 ゼロはない。

【中杉委員】 先ほどの佐和委員の発言に対する私の考えを一言だけ申し上げておきます。括ったものがどれだけあるかというのを知ることは非常に重要だと思うんですね。秘密の情報でこういう類のものがどれだけあるか、その全体の量を知るということは、その中身が何であれ、それ以外のものと比べる必要があるわけですから、それを我々としては集計した形で知っておくということは必要だろうと考えています。

【鈴木部会長】 この問題、PRTR法をざる法にしないために、皆さん方の関心が非常に高いということを改めて実感しましたけれども、これはパブリックコメントにかけるわけですから、そのために字句のことなどももう少し気をつけて修正されることがあるかもしれませんが、基本的には資料4を土台にしてパブリックコメントにかける。そこで出てきた意見を踏まえて、もう1ぺん本部会で審議する、そういう形にしてよろしゅうございましょうか。
 その手続に異議ありですか。

【小早川委員】 手続には異議ございませんが、意見をさらに申し上げさせていただきたいと思います。先ほどからの秘密性の認定の問題ですが、結論だけ申しますと、資料4の2.の(2)の「その際、資料の提出を求めることとすること」、ここがポイントだと思いますが、省令にこういう文言で書かれるのだとしますと、求めたけれども、出せませんと言われたときにどうするかということがはっきりしないので、私としては、「提出しなければならないこと」というふうにしていただいた方が、そうすれば、事実上、一種の立証責任を事業者側に課するということがはっきりしますので、そうしていただきたいというのが1つです。
 もう1つは、別の件ですが、届出外の部分をまとめられる際に、いかなる根拠でもって推計したかということについて何ら触れられていないのですが、恐らく事実上はその根拠を示さなければ説得力がないだろうと思われますので、そこはどうお考えか。

【安達環境安全課長】 まず最初の方のことでございますが、表現に問題があるかもしれませんが、これは当然、そういった書類を提出しなければ、オーケーを出せないわけですから、「しなければならない」という意味でございます。

【事務局】 2つ目の推計の方法でございますが、届出外の推計の集計を公表するわけでございますが、その考え方とか、どういったデータを使ったかという根拠につきましては、広く一般にわかりますように、同時に公表してまいりたいと考えております。

【鈴木部会長】 この推計の問題に関しては、うるさいことを言い始めれば、どうやってバリデーションをかけるのかという方法論的ないろいろな議論がたぶん出てくるだろうと思います。小早川委員がおっしゃったように、どういうふうにしてやったのかがわからない推計では困るわけですから、当然そこはプロセスをきちんとさせた形になるだろうと思っています。

【甲斐委員】 推計が正しくドッキングすれば、全体の生産量との差というのは、どこかにいつか提示できないのでしょうか。生産量全体は必ずどこかで捨てられるという感じ。自然由来のものがもしプラスされれば、むしろ生産量より多くなるということもありうるかもしれませんけれども、これは絶対生産量とドッキングするほど正確には出てこないと思いますが、どのぐらい乖離があるかというのは、ある程度わかった方がいいのかどうなのか。

【安達環境安全課長】 推計のやり方なんですが、実際、届出もなくてということになりますと、実際上、生産量から、きっとこれぐらいは出ていくだろうと推計する手法がかなり中心を占めてまいりますので、そこから逆に生産量をというのは、手法上なかなか困難な点があるかと思います。

【野中委員】 資料3-1の3ページの(2)の「分類方法の検討」というところに、構造分類であるけれども、これについて、「例えば、人の健康への影響に基づいて分類するということも考えられる」ということと、多岐にわたる毒性項目に基づいてやるというのも難しいというのですが、私たち一般の者にとっては、人の健康にどういうふうに影響するかというのを知りたいように思うのですが、将来にわたってそのような分類方法というものも考えられるのでしょうか。

【鈴木部会長】 これは大難問です。

【安達環境安全課長】 今回、ほとんど出てこないと考えられるものについて、どういう分類にしようかと。逆に、構造分類であるならば、いろいろな意味で汎用性があるといいますか、構造分類だけで影響はすぐにはわからないですが、ある程度の傾向みたいなものはみられる部分もあるのではないか。今回、どれぐらい秘密情報になるものが出てくるのかわかりませんが、もし非常に少ないものでありましたら、それだけについて人の健康への影響を分類項目にするというのは、むしろそれほど得策ではないのかなと考えます。

【鈴木部会長】 いろいろいただいたご意見をもとに、適宜修正を加えられた上で、資料4を土台にしてパブリックコメントに入るようによろしくお願いしたい。それでよろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、「その他」に移ります。今後のスケジュールも含めてご説明ください。

【小沢企画課長】 ただ今いただきましたご指摘も踏まえながら、パブリックコメントをかけまして、次回会議は10月上旬になろうかと思いますが、再度ご審議をお願いしたいと思います。日程につきましては、後日調整して連絡させていただきます。
 本日は、最近の状況についていくつか報告させていただきたいと思いますので、事務局で数分お時間をいただきまして、参考資料4以下について順次説明させていただきます。
 参考資料4でありますが、「21世紀『環の国』づくり会議」というのがございまして、これは総理大臣の下で、閣僚と学識者によって構成された会議の環境政策のあり方についての提言であります。
 一番後ろに大きな紙が1枚付いておりますが、地球との共生、ゴミゼロ作戦、自然との共生といったような大括りでいろいろな施策の提言がなされております。こういったことを参考にしながら、今後、各省の政策がとられていくと思いますが、化学物質に関することにつきましては、数としてはあまり多くないのですが、一番下の右下のところに「安全で安心な国民生活を確保するための化学物質管理」ということで、これは後ほど述べますが、残留性有機汚染物質(POPs)条約への早期対処のこと、あるいは環境リスク低減のための各界からなる一種のリスクコミュニケーションのための場の設置ということがうたわれております。今後我々としては、こういった指摘も踏まえながら、化学物質対策に取り組んでいきたいと思います。

【安達環境安全課長】 それでは、参考資料5に基づきまして、POPs 条約についてご説明させていただきます。
 まず、難分解性、高蓄積性、長距離移動性といった性質をもつ残留性有機汚染物質(POPs)についてでございますが、こういった物質につきましては、1つ1つの国のみの取組では地球環境汚染の防止は不十分であるという問題意識から、国際的に協調してその製造・使用の禁止、排出の削減等を行う必要があるということで、本年5月22日に、PCB、DDT等12のPOPs 物質を対象とした残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約が採択されております。
 条約の目的は、ただ今申し上げたとおりでございますが、主な対策としまして、例外等はございますものの、9物質についての製造、使用の原則禁止、DDTについての製造、使用の制限、ダイオキシン等の非意図的生成物質の排出の削減、さらに、POPs を含む廃棄物あるいはストックパイルと呼ばれる、倉庫の奥で眠っているようなものの適正処理といったようなことへの対策に取組が求められております。
 この条約につきましては、50ケ国が締結した時点で発効するということになっておりまして、現在、カナダとフィジーが締結済みでございます。また、一部情報では、米国、EUも本年中あるいは明年中の締結を目指して準備中という情報もございます。
 以上でございます。
 次に、参考資料6でございますが、新聞等でお目にとまったかと思いますが、内分泌攪乱化学物質問題検討会が開催されまして、重要な結果が判明したので、ご報告させていただきます。
 内分泌攪乱化学物質につきましては、平成10年にまとめました「環境ホルモン戦略計画SPEED'98 」において、そういった作用の疑いのある物質をリストアップいたしまして、有害性評価等に取り組んできたところでございます。特に、平成12年度からは、ミレニアムプロジェクトの一環として、いわゆる環境ホルモン作用が疑われる物質についての有害性評価を開始いたしました。平成12年度には8物質に着手し、その後、補正で4物質追加いたしましたが、今回、その第一陣としまして、魚類に対するリスク評価結果が2物質について出てまいりました。ノニルフェノールとトリブチルスズでございます。
 詳細につきましては、後ろにそれぞれの報告書を付けてございます。また、その前に、報告書の要約版をそれぞれ付けてございます。要約版でごく簡単に説明させていただきます。
 おもて紙をめくっていただいて、次のページでございますが、ノニルフェノールでございます。これは工業用洗剤等として用いられているもので、平成12年の生産量は16,500トンとなっております。
 4番でございますが、魚類に及ぼす内分泌攪乱作用に関する有害性評価を行いましたところ、例えば、2つ目の○でございますが、メダカのレセプターバインディングアッセイによりますと、17βエストラジオール(E2)と比較したエストロジェンレセプターへの相対結合強度は1/10という非常に高い数字を示しております。このような魚類におけるレセプターとの高い結合強度を示したというのは、世界で初めての試験結果でございます。
 また、その次の○でございますが、メダカのパーシャルライフサイクル試験では、雄について11.6μg/Lで精巣卵の出現及びビテロジェニン産生が有意に認められたということで、これほど低い濃度での魚類に対する明確な内分泌攪乱作用が確認されたのも世界で初めてということで、今回の試験結果から考えまして、魚類についてのノニルフェノールの強い内分泌攪乱作用が強く推察されたわけでございます。
なお、これのデータをもとにPNECを計算いたしますと、大体0.608μg/Lになるということで、めくっていただきまして、5番にございますように、PNECが0.608μg/Lから考えて、環境実態調査で得られた国内の環境水中の濃度と比較しますと、1,574地点中 4.5%に当たる71地点でPNECの値を超過しているということから、ノニルフェノールは生態系に影響を及ぼしている可能性があると評価しております。
 前に戻りますが、このページの一番上に「なお、人の健康影響については」としておりますが、人の健康影響については、現在試験中ではございますが、レセプターとの結合性が低いこと、また、EU、カナダ等における試験結果、検討結果では、人については内分泌攪乱作用は非常に弱いだろうという結果が出ておりますので、現時点においては、人に対する内分泌攪乱作用はあっても非常に弱いものであろうと予測しております。
 次に、トリブチルスズについての評価結果は、簡単に申し上げますと、魚類についての内分泌攪乱作用は非常に弱いものではないかという結果を得ております。
 以上でございます。

【早水化学物質審査室長】 参考資料7によりまして、中央環境審議会環境保健部会の化学物質審査小委員会における新規化学物質の審議状況について、まず私から簡単にご説明いたしまして、後ほど小委員長の中杉委員から補足いただければと思います。
 第1回の環境保健部会でこの件についてご議論いただいておりますが、化学物質審査規制法に基づく新規化学物質の届出、すなわち新しい物質をつくる、あるいは輸入するといった場合に国に届出が必要でございまして、それを規制するべきかどうかという判断をする際に、審議会のご意見をいただくというように法律で決められております。このため、第1回の環境保健部会におきまして、「化学物質審査小委員会」の設置をご決定いただいたところでございます。
 また、委員長には中杉委員を指名していただいております。
 その小委員会の委員構成は、後ろの別紙に付けておりますけれども、鈴木部会長より、この部会の委員から5名、専門委員5名、計10名の指名をいただき、小委員会に参画いただいております。
 その審議状況につきまして、1枚目の3でございますが、簡単にご説明いたしますと、本年3月7日以降、これまで6回開催されておりまして、議題はいずれも新規化学物質の判定に関する審査でございます。
 なお、この小委員会は、新しく開発された物質に関する企業秘密情報を扱いますので、すべて非公開で開催されております。
 審議状況は、その下の表にまとめておりますけれども、これまで6回で、延べ156物質について審議をいただいております。なお、156のうち、再審議となったもの、例えば資料がちょっと足りないので補足資料が欲しいとか、あるいは3省で審議をしておりますので、他の省と1度目の審議結果で若干そごがあったというものが6物質ございまして、これを差し引きますと、実質は150物質について審議をいただいております。
 その結果が裏側でございますが、ちょうど切りのいい数字でございますが、30物質につきましては、「指定化学物質」--難分解性で、人への長期毒性の疑いがあるものであると判断をいただいております。残りの120物質につきましては、これより厳しい、PCBのような第1種特定化学物質ではない、また、先ほど申し上げた「指定化学物質」のようでもない、すなわち規制の必要がないと判断されております。
 なお、この法律自体は人の健康に関する有害物質を審査・規制するものですが、それ以外の、例えば魚への毒性試験などがついているケースがございますので、そういった場合の生態毒性など、法律の観点以外の部分について特に留意すべき事項がある場合には、附帯意見を付けていただいておりまして、そういったものが全体150物質のうち13物質ございました。そのうち7物質は指定化学物質であり、附帯意見があったものでございます。残りの6物質は、法律上は規制はないですが附帯意見があったものでございます。
 これらの審議結果につきまして、小委員会からの報告をもとに、環境保健部会から中央環境審議会の答申をいただいております。
 その結果につきまして、4でございますが、3省で審議をしておりますので、3大臣名で判定結果を事業者に通知することとなっております。また、附帯意見につきましても、こういう意見があったということについて届出者に伝達するとともに、環境省における施策において留意することにしております。
 私からの説明は以上でございます。

【鈴木部会長】 中杉小委員長、何かございますか。

【中杉委員】 前回ご指名をいただいてから、先ほど事務局から説明いただきましたように、6回の小委員会を開かせていただきまして、150物質の審査を行っております。委員の先生方のご協力を得て幸いにこなすことができまして、3省で同じ結果が出ないと結論が出ませんので、そごが出てきますといつまでも棚ざらしにしてしまうというおそれがあったわけでございますが、幸いにして、再審議はいくつかございましたが、もう一度再審査を行うことでほぼ合意して、それほどの遅れを出さずに済ますことができたと思っております。
 ただ、審査をしている中で少し気になりましたことは、先ほど事務局からもありましたように、本来の化審法の審査以外に、届け出られたデータから、化学物質が環境に出て懸念されるものについて附帯意見を付けております。これが全部で13物質に付けてございますけれども、その大部分は生態影響のものでございます。濃縮性試験のところで生物試験結果のデータが出てくるということがありますが、中には生態毒性試験結果が届け出られているものがございます。そういうものを含めて見ているわけですが、附帯意見がつくものがかなりの率ではないかというのが1つ懸念されることです。先ほどノニルフェノールの話もございましたが、少し生態影響について何とかならないのかというのが感想でございます。
 生態影響につきましては、先ほど言いましたように濃縮性試験が行われているものにはほぼついてくるのですが、それ以外に、事業者がやられて届け出てくるものと、そうでないものと両方ございます。届け出てこられないものについては、我々は一切何の判断もできません。ですから、附帯意見も付けてございません。届け出られたものだけを見て附帯意見を付けるという形でございまして、我々の中でも議論しているのは、不公平感があるなということでございます。そういう意味では、ノニルフェノールに生態影響が出てきたということも含めて考えていきますと、諸外国でもやられていますように、化学物質審査の中で生態影響の面からの評価をそろそろ考えるべきではないかと考えております。以上でございます。

【鈴木部会長】 一番最後にまた数時間かかって議論した方がいいようなテーマが飛び出してきましたけれども、これは今日はとても議論できそうもありません。大変重要な問題です。

【北野委員】 先ほどのノニルフェノールのデータを見ていますと、現在の化審法では対応できないのではないかという気がするんです。化審法上、これでは指定物質にもできない。そうすると、中杉先生がおっしゃったように、生態影響というものを改めて化審法の中に入れていくという考え方が必要ではないかと思うんですね。こういう影響が出てきても、法律的には恐らく何もできないと思うんです。そうすると、自主管理をお願いするしかないというのでは、やはり虚しいですね。そういうことで、私もこれからも生態影響に十分力を入れて考えるべきだと思っています。

【若林委員】 生態毒性学をずっとやっている者なんですが、OECDの委員会やIMOの委員会に出ますと、結構日本は有名でして、化学物質対策について人の健康影響だけしか考えないと。いつも恥ずかしい思いをしております。そういうわけで、生態系保全の取組を推進していただきたいというのが1つ。
 それから、先ほどPOPs 条約のことが出ましたけれども、これに対してどう対応していこうということがどう議論されているのか、ごく簡単で結構です。

【小沢企画課長】 POPs 条約は、早期に国内体制を整備し、批准すべきものと各省とも思っております。現在、外務省を中心に、条約批准のための国内制度の点検作業が間もなく始まると思いますが、それで、何が必要かということを整理して、今後必要な対策をやることになります。できることならば、来年にも批准又は締結をしたいという方向で努力しております。今後も状況につきましては報告したいと思います。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。
 本当にもっとゆっくり議論したい部分が残りましたけれども、今日は時間が尽きました。どうもご協力ありがとうございました。

--了--