中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害判定小委員会第243回議事録
議事録
午後4時00分 開会
○斎藤係長 それでは定刻となりましたので、第243回判定小委員会を開催いたします。本日は大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
まず、資料の訂正につきましてご案内申し上げます。
資料1、判定小委員会委員名簿に記載の相田真介先生の「真」の字が誤っておりました。正しくは、まことの字でございました。謹んでお詫び申し上げます。
それでは、開催に当たりまして、環境保健部企画課石綿健康被害対策室長の辰巳よりご挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。
○辰巳室長 石綿健康被害対策室長の辰巳でございます。
本日は大変お忙しい中、第243回石綿健康被害判定小委員会にご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。また、委員の皆様方におかれましては、平素より環境保健行政にご理解、ご協力をいただいておりますこと、感謝申し上げます。
さて、医学的判定に当たっては個別の症例を扱うことから、通常、判定小委員会は非公開で開催しておりますが、このたびの医学的判定に関する留意事項の改訂に際しまして、本日、公開、配信の形で開催することについて、ご説明申し上げます。
石綿健康被害救済制度は平成18年(2006年)に制定されて以降、当委員会において申請、請求時に提出された医学的資料を基に、中皮腫等の指定疾病について医学的判定のための審議を行っていただいております。そして、平成18年6月に迅速な医学的判定及び救済につなげるために、医療機関や医療関係者が医学的資料を提出するに当たって踏まえるべきものとして、判定小委員会が医学的判定に係る資料に関する留意事項を示したのがこの留意事項の始まりでございます。
その後、幾度にもわたる改訂が重ねられてきたところでございますが、医学的判定の考え方や提出すべき医学的資料について医療関係者に参照いただくものという点は一貫しており、また、最新の知見を周知する役割を果たしてきたものと考えております。
こうした趣旨を踏まえまして、本日、この判定小委員会を公開で開催させていただきますことをご理解いただけますと幸いです。
改訂内容についてはこれから事務局より説明いたしますが、ご了承、ご承認いただければ、中皮腫瘍取扱い規約の改訂にあわせて留意事項改訂がなされるようにと考えております。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○斎藤係長 続きまして、石綿健康被害判定小委員会にて意見聴取が行われておりました医学的判定に関する留意事項の改訂につきましてご説明をいたします。
改訂の趣旨といたしまして、判定小委員会では、医学的判定の考え方及び医療機関等が留意すべき事項を医学的判定に関する留意事項として取りまとめ、その後、数次にわたり改訂を重ねてまいりました。
今般、中皮腫瘍取扱い規約における用語変更や医学的知見のアップデートを踏まえまして、医学的判定に関する留意事項を改訂することといたします。
1点目の中皮腫瘍取扱い規約における用語変更の反映につきまして、ご説明をいたします。
本年2月に刊行予定の「中皮腫瘍取扱い規約第2版」において、中皮腫組織型の表記が上皮型、肉腫型、二相型から、それぞれ上皮様、肉腫様、二相性に変更されることに則し、留意事項及び判定様式に記載されている現行の用語を同様のものに変更いたします。
2点目のMesothelioma in situ(MIS)の取扱いに関する記載の追加につきまして、ご説明をいたします。
MISは、2021年のWHO分類で初めて胸膜の良性腫瘍及び前浸潤性中皮腫瘍として正式に記載され、中皮腫とは別の疾患として取り扱われるようになってまいりました。脂肪等の間質組織に浸潤性に増殖する中皮腫に対し、MISは胸膜表面に沿って非浸潤性に増殖する単層の中皮細胞による腫瘍であるものの、免疫組織化学においてBAPlあるいはMTAPの消失を認める、もしくは FISH法においてCDKN2A遺伝子のホモ接合性欠失を認めるなど、中皮腫と同様の遺伝子異常を有する疾患と定義されております。
MISは経過中に中皮腫に進展する例が多く見られることや、生検組織標本では浸潤病変の存在を完全に否定できるものではないこと等に鑑み、適切なフォロー方法及び治療法に関するエビデンスが集積されるまでの間は中皮腫に準ずるものとして取り扱う旨を明記することといたします。
続きまして、3点目のClaudin4の推奨度の変更につきまして、ご説明をいたします。
資料4、「医学的判定に関する留意事項(案)新旧」をご覧ください。
Claudin4は、肺がんを含むがん腫に広く陽性となる抗体である一方、中皮腫には陰性となり、中皮腫とがん腫を鑑別する上で感度、特異度ともに高い抗体でございます。平成26年6月24日に行われました留意事項改訂の際に、Claudin4について「中皮腫とがん腫の鑑別に有効であり、肺がん、その他のがんなどとの鑑別が困難な場合には免疫染色結果と併せて総合的に判断することがある」と初めて記載され。その後も同抗体の推奨度の変更が行われてまいりました。
Claudin4が中皮腫と他のがん腫との鑑別において高い診断精度を示すとする最近の知見を踏まえ、中皮腫と判定するに当たってはClaudin4の結果を確認することが強く望まれることから、Claudin4の確認をより強く推奨することといたします。
これらの改訂を反映したものが、資料3、「医学的判定に関する留意事項(案)」でございます。
以上の留意事項改訂の決定につきまして、異議等ないようでしたら、ご承認いただいたものとさせていただきます。
(異議なし)
○斎藤係長 特に異議ないということでございましたので、以上をもちまして、こちらの留意事項改訂の決定をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
以上をもちまして、第243回判定小委員会を閉会させていただきます。
午後4時07分 閉会