中央環境審議会環境保健部会(第47回) 議事録

午後1時00分開会

○田中環境保健企画管理課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第47回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。

 環境保健企画管理課長の田中でございます。議事の開始まで進行を務めさせていただきます。

 委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日も、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。会議中、音声が聞きにくい、不具合等がございましたら、事務局までお電話またはWEB会議のチャット機能でお知らせください。機器の不具合等によりご発言いただけなかった場合には、お電話にてご意見をいただきまして、後日、議事録に掲載させていただきます。

 本日の会議は、公開であり、環境省環境保健部企画管理課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。通信環境の負荷低減のため、カメラ機能はオフにしていただきますようお願いいたします。

 発言のご意思のある委員におかれましては、お名前の横にあります挙手アイコンをクリックして青色に変えていただくか、チャット機能で発言したい旨をお知らせ願います。部会長からご指名を受けた場合、マイクのミュートを解除して、赤色に変えた状態でご発言いただきますようお願いいたします。ご発言の後には再びミュートにしていただくとともに、挙手アイコンを忘れずにクリックして、黒になるよう操作をお願いいたします。

 環境保健部会委員及び臨時委員28名のうち、本日は23名にご出席をいただいており、定足数に達しておりますので、本部会は成立いたしておりますことをご報告申し上げます。

 審議に先立ちまして、委員の任命についてご報告をいたします。

 令和3年11月10日付で春田雄一委員が退任、同日付で片山銘人委員が新任されております。また、12月8日付で大平隆委員が退任され、一政都志夫委員が新任されています。

 退任されました春田委員、大平委員におかれましては、環境保健部会の審議等に多大なるご貢献をいただきまして、誠にありがとうございました。

 続きまして、資料の確認をいたします。

 資料は、事前にメールでお送りしております。議事次第のほか、資料1から資料5-6でございます。

 説明に当たっては、事務局が画面上に資料を共有して進行いたします。

 傍聴されている方におかれましては、環境省ホームページの環境保健部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご覧いただきますようお願いいたします。

 ここで、事務局を代表いたしまして、環境保健部長の神ノ田からご挨拶を申し上げます。

○神ノ田環境保健部長 皆様、こんにちは。本日は、大変お忙しい中、第47回環境保健部会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

 環境保健部長の神ノ田でございます。田原前部長の後任として、昨年9月に着任をいたしました。環境保健部には、平成24年8月から26年9月にかけまして、石綿健康被害対策室長として在籍していたことがあります。室長在任中につきましては、大塚部会長をはじめ、何人かの委員の皆様にご指導をいただいたところであります。改めて感謝を申し上げます。

 この度、環境保健部長を拝命したということで、石綿健康被害だけではなく、環境保健行政全体の方向性につきまして、ご助言、ご指導いただくことになりますが、引き続きまして、よろしくお願いを申し上げます。

 さて、本日の環境保健部会では、四つの議題を予定しております。

 一つ目の議題は、公害健康被害補償法の障害補償標準給付基礎月額等の改定についてご審議をいただきます。

 二つ目の議題は、エコチル調査についてです。昨年7月に健康と環境に関する疫学調査検討会を立ち上げ、開始から10年が経過したエコチル調査を総括し、今後の方向性についてご議論いただいております。これまで検討会を5回開催しておりますが、本日は、その検討状況についてご報告をさせていただき、委員の皆様からもご意見を頂戴できればと思っております。

 三つ目の議題は、熱中症対策についてです。気候変動の影響によりまして、世界中で極端な高温が多発する状況となっております。昨年6月には、日本よりも高緯度に位置するカナダのブリティッシュコロンビア州において、50℃近い高温が記録され、500名以上の方が1週間の期間に集中して熱中症で命を落とされております。この500名という数字は、日本の人口に単純に当てはめますと、1週間の間に1万人以上の方が死亡したというような計算になります。新型コロナ以上にインパクトのある健康危機管理事案として取り組んでいく必要があると考えております。

 このような極端な高温はカナダに限った現象ではなく、つい先週も、1月10日にはアルゼンチンで42℃、これは100年ぶりの高温ということでございます。また、1月13日にはオーストラリアで50.7℃と、これも約60年ぶりの高温ということで、それぞれ記録をされているということでございます。昨年8月に公表されたIPCCの報告書においても、温暖化の進行に伴い、今後、このような「極端な高温」の頻度・強度がますます高まっていくことが予想されております。我が国の熱中症対策の一層の強化が必要であると考えております。本日は、昨年の取組状況等についてご報告させていただきますので、委員の皆様のご意見を伺えればと存じます。

 議題4では、このほか環境保健行政の最近の動きについて、6件のご報告をさせていただきます。

 本日の審議会は、新型コロナの感染防止のため、昨年に引き続き、WEB形式での開催とさせていただきました。意思疎通が難しい面もあるかと思いますが、委員の皆様には、ぜひ忌憚のないご意見をいただき、有意義な会議となりますことを期待しております。

 以上、簡単ではございますが、冒頭の挨拶に代えさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○田中環境保健企画管理課長 ここからは大塚部会長に議事進行をお願いいたします。大塚部会長、どうぞよろしくお願いいたします

○大塚部会長 どうぞよろしくお願いします。大塚でございます。

 先ほど神ノ田部長から詳細にご説明いただきましたけども、本日の議題、特に公害健康被害補償との関係での障害補償標準給付基礎月額と遺族補償標準給付基礎月額の改定について、というような重要なテーマでございますけれども、その後、エコチル調査、あるいは熱中症対策について、議題として上げさせていただいております。個人的には、建設アスベストの給付金制度とか、化学物質の排出把握管理促進法施行令の一部改正につきましても、非常に重要なテーマだと考えております。

 本日も忌憚のないご議論をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 まず、議題の1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○黒羽保険業務室長 保険業務室の黒羽と申します。

 令和4年度の障害・遺族補償標準給付基礎月額につきまして、ご説明申し上げます。資料2-1をご覧ください。

 2ページ目をご覧ください。

 2ページ目に、これからご説明いたします方法で計算されました、令和4年度の障害・遺族補償標準給付基礎月額が記載されてございます。

 続きまして、3ページを飛ばして、4ページをご覧ください。

 障害補償標準給付基礎月額につきましては、公害健康被害の補償等に関する法律に基づきまして、労働者の賃金水準その他事情を考慮いたしまして、審議会の意見を聴いて定めるものとされてございます。

 続きまして、5ページ目をご覧ください。

 具体的には、障害補償費につきましては、厚生労働省の賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスの労働者の性別及び年齢別の平均賃金の80%と、遺族補償費につきましては70%と定められており、春闘における賃金の引上げの状況も用いることとなってございます。

 6ページ目をご覧ください。

 実際の給付につきましては、特級から3級までの障害の程度の給付率を掛けて計算することとなってございます。

 7ページ目をご覧ください。

 今回、計算に用いました令和2年の賃金センサスの数値でございます。

 次の8ページに、前年との比率を記載してございます。

 前年からは2.2%のマイナスとなってございます。この減少につきましては、新型コロナウイルス感染症の流行による影響と思われます。

 続きまして、9ページ目をご覧ください。

 年齢層別・男女別の賃金センサスの率のアップ率を示したものでございます。このグラフで、赤いところが上下に振れているところと、あとグレーのところ、こちらも上下に振れてございますが、こちらにつきましては、70歳以上の高齢者ということで、大きな増減、年によって増減をしていることが分かると思います。

 続きまして、10ページ目をご覧ください。

 このように、賃金センサスは性別・年齢層別に大きな増減が生じている場合がございます。増減の激変緩和措置の仕組みを設けてございます。

 具体的には、賃金センサスが大幅に増減した場合、翌年にずれを戻す、マイナスの場合は翌年にプラスになり、プラスの場合は翌年にマイナスになるような傾向にございます。そのため、全体の推移と比べまして、2.5%以上乖離している年齢階層につきましては、回帰分析法を用いて補正して算定してございます。さらに、補正した後の額が前年の額より2%以上増減している場合につきましては、増減率を2%までにする激変緩和措置が取られることとしてございます。

 続いて、13ページ目をご覧ください。

 こちらが障害補償費の月額、続きまして、14ページ目に遺族補償費の月額の計算式を示してございます。どちらでも同じですが、中央の表の黄色いマーカーの部分につきましては、回帰分析法を用いた年齢層、また、一番右側の2%緩和措置欄に記載のある年齢層につきましては、増減2%としたところでございます。

 最後に、15ページ目をご覧ください。

 令和3年度の標準給付基礎月額と比較したものでございます。障害補償費につきましては、男性は平均で0.9%のマイナス、女性は0.8%のマイナス、男女合計で0.9%のマイナスとなってございます。端数の関係で幾分数値が異なりますが、遺族補償費についても同様でございます。

 賃金センサスにつきましては、前年比2.2%のマイナスであったわけですが、先ほど説明いたしました激変緩和措置によりまして、マイナスが大きく緩和されていることが分かるかと思います。

 続きまして、「デジタル・ガバメント実行計画」に基づく死亡届不要等の対応についてご説明いたします。本件は報告事項でございますが、公健法関連ということで、続けて説明させていただきます。

 次のページをご覧ください。

 1.背景でございますが、高齢化の進展等により、遺族が行う死亡・相続に伴う手続きの負担を軽減するために、政府のデジタル・ガバメント実行計画等によりまして、死亡・相続の手続のワンストップ化を推進することとされてございます。

 続きまして、2.公健法の対応でございますが、被認定者と遺族補償費受給者につきまして、死亡された場合については、その遺族から死亡届出の提出が求められております。これを廃止する対応案につきましては、一昨年の本環境保健部会でご報告いたしたところでございます。その後、関係自治体にアンケート調査を行ったところ、住民基本台帳法に基づき、死亡報告の提供を受けることできるシステムの整備が自治体ごとに大きく異なることから、一様に実施するということが困難であるということが判明いたしました。このため、本人確認情報の提供を受けることができる場合につきましては、届出を不要とする対応とすることといたしました。届出不要をするか否かにつきましては、自治体ごとに被認定者等に周知を行うこととしてございます。なお、同様の仕組みを持つ、石綿による健康被害の救済についても同様の措置をすることとしています。

 最後、3.進捗状況でございますが、パブリックコメント等の所要の手続きを経て、昨年12月16日に省令改正を行い、即日施行されたところでございます。

 本項目の説明は以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大塚部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ご質問、ご意見ある方は、チャット機能または挙手アイコンにてお知らせください。挙手のボタンを押していただければと思います。これから順次、お名前をお呼びいたしますので、お名前を呼ばれましたら、ミュートを解除して、ご発言いただければと思います。

 浅野委員、お願いします。

○浅野委員 どうもありがとうございます。

 昨年も申し上げましたが、70歳代という賃金センサスのランクができたので、高齢者層の補償額が下の年齢層を上回る逆転現象というのがなくなっていいなと申し上げたのですが、今年度は、ほんの僅かですけども、年齢の高い方70歳以上の方のほうが69歳―65歳代より若干多いという逆転がまた生じてしまいましたけども、僅か100円のことですから、しようがないかなと思います。

 制度上、このようなやり方でやってきましたし、これ以外のやりようを法改正などをしないで行うということは無理ですから、これでよろしいかと思いますが、やはり何といっても70歳代の方で現に給与をもらっておられる方というのが、年齢階層の中ではかなり少ないと思われますから、そこでの受給金額というものが、果たして本当に労働能力の損失を表すものとして妥当な数字であるかどうかについては、疑問が残ります。しかし、致し方ないことではないかというふうに思います。これで私は進めていただければと思います。

 死亡届不要の手続きの取り扱い変更についても、十分了解できることでございますので、さらにこれが広がることを望みたいと思います。

 以上です。

○大塚部会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。ございませんでしょうか。

 浅野委員のご発言に関しましては、事務局から何か回答はいただけますでしょうか。

○黒羽保険業務室長 ご意見ありがとうございます。

 賃金センサスについては、確かに70歳以上についての今後の推移を確認しながら、また上下が先ほど説明したとおり振れる場合がございますので、そういう場合の措置等を適切に行いたいと思っております。

○大塚部会長 ありがとうございます。

 ほかにご意見がないようでしたら、この内容で当環境保健部会から高村中央環境審議会会長に報告し、高村会長から環境大臣に答申するよう手続を進めたいと思いますけれども、異議はございますか。

(異議なし)

○大塚部会長 ありがとうございました。では、この件に関しましては、ご了承をいただいたということで、進めさせていただきます。

 では、次に議題の2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○田中環境リスク評価室長 環境省環境リスク評価室の田中と申します。

 引き続きまして、エコチル調査について説明いたします。資料3をご覧ください。

 1枚目ですけれども、エコチル調査は、子どもの健康に影響を与える環境要因を明らかにするため、10万組の親子を対象とした大規模かつ長期のコホート調査として、2010年度から開始し、参加者の生体試料を採取保存・分析するとともに、質問票による追跡調査を行っており、開始から10年以上経過した現在も、約94%の方に継続して参加いただいております。2021年度現在、参加されている子どもたちが全員小学生になり、2019年度から、「学童期検査」を開始するとともに、正しく化学物質のリスクを避け、リスクと上手に向き合う社会を目指すため、「地域の子育て世代との対話事業」も実施しております。

 事業スキームや期待される効果は、記載のとおりです。

 2枚目をご覧ください。

 これまでに順調に化学分析等の実施が進んでおり、令和3年9月末までに214編の全国データを用いた論文が発表されております。そのうち、中心仮説である化学物質と健康影響の関連に関する論文は23編あり、今年度は半年間で昨年度1年分の論文数に追いついております。今後は、さらにデータクリーニングが進み、また化学分析の実施や健康情報の把握も進むことや、調査関係者以外へのデータ共有が想定されていることから、中心仮説を主軸とした成果が増えることが期待されております。

 3枚目をご覧ください。

 このように、たくさん発出されておりますエコチル調査の成果をどのように社会還元するかというフェーズに来ておりまして、そのような観点から、エコチル調査戦略広報委員会の委員の先生方などのご助言に基づいて作成した図が、こちらでございます。

 図の中心に、エコチル調査の国際的な呼称である「JECS」がございまして、その周りに、ターゲットに対する影響力の強いインフルエンサー、関係省庁との政策立案者、そしてターゲットの関心・購買行動に関心の高い製品製造企業といった方たちが相互に連携をして、行動変容を促すターゲットとなる一般国民、消費者である将来親になる世代、妊産婦、子育て世代等に向けて、行動変容を促すための情報発信や成果の社会還元を行っていくということを表しております。

 また、政府のSGDsアクションプラン2021の中でもエコチル調査の取組は紹介されておりまして、17の目標のうち、3の「すべての人に健康と福祉を」、12の「つくる責任 つかう責任」、これら二つがエコチル調査に主に関連する目標として挙げられております。

 また、エコチル調査の成果を社会還元することが、エコチル調査参加者の高い参加率の維持にもつながると考えられます。今後も、このような国民の行動変容等につなげるための広報戦略について取り組んでまいります。

 4枚目をご覧ください。

 エコチル調査は、現在の研究計画書上は学童期まで、つまり12歳までの調査計画となっております。エコチル調査の参加者は、現在、小学校1年生から4年生までの4学年にわたっておりますが、先頭集団の学年の子どもたちが13歳に達するのは2024年度でございまして、13歳以降の調査の展開をどのようにするのか、方向性を検討する目的で、昨年7月19日に「健康と環境に関する疫学調査検討会」を立ち上げ、これまで5回にわたって議論を行ってきました。エコチル調査に直接関わっていらっしゃらない方で、様々な分野の有識者の先生方に構成員となっていただき、エコチル調査関係者は、オブザーバーとして参加しております。

 5枚目をご覧ください。

 これまで、エコチル調査参加者からのヒアリングや、関係学術団体等からのヒアリングも行い、第5回まで開催をしております。昨日、第5回検討会におきまして、報告書の骨子案を提示し、議論をいただきました。

 6枚目以降が、昨日の検討会で提示いたしました報告書骨子(案)でございます。後半には、報告書骨子(案)の参考資料もつけております。

 報告書骨子(案)は、大きな項目としまして、Ⅰ、これまでの評価について、Ⅱ、小児期以降に展開する必要性について、Ⅲ、小児期以降に展開する上での課題と今後の対応についてと、三つに分類して、まとめております。

 記載ぶりについては、様々なご意見をいただきましたが、13歳以降、少なくとも特定健康診査の対象となる年齢の40歳に達するまでエコチル調査を展開するということにつきまして、構成員の皆様から賛同いただいたところでございます。

 今後、2月中旬に開催予定の第6回検討会において、この報告書骨子(案)にいただいたご意見を参考に、報告書(案)を提示しまして、今年度中に報告書を取りまとめる方向で進めております。

 ご説明は以上でございます。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 それでは、ご質問、ご意見がございます方は、挙手アイコンを押していただければ、ありがたく存じます。こちらからお名前をお呼びいたしますので、呼ばれましたら、ミュートを解除してご発言ください。

 浅野委員、お願いします。

○浅野委員 エコチルについて、ここまで成果が上がってきたのは大変いいことだと思います。大変ありがたいことだと思います。

 報告書の骨子の中にありましたことで、ちょっと細かいことかもしれませんが、気がつきました点を申し上げますと、影響なしということについては、なかなか学術論文が作りにくいと。しかし、何とかしなくてはいけないということが書かれておりましたが、本当に大事なことではないかと思います。どうしても、医学の論文というものは、影響なしということでは業績にならないというような話も聞くことがあるのですが、せっかく費用をかけて調査をして、これだけのことをやったが影響がないということが明らかになったということは、大変重要な事実ではないかというふうに思いますので、これはしっかり発信される必要があります。この点が重要であるという指摘があることには私も大いに賛同したいと思います。

 今度、さらに追跡調査を続けるということについても、大変大事なことではないかと思います。もちろん、個人情報保護との関係がありますから、これまで以上に難しい課題をたくさん抱え込むことになるだろうと思いますが、ぜひ、その点を克服しながら、さらに追跡調査ができるものであるならば、可能な限り、それをやっていくということも重要ではないかと思います。

 以上です。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 では、青木委員、お願いします。

○青木委員 青木でございます。ありがとうございます。

 まず、非常に多くの論文が発表されつつあるということは、すばらしいことでございますし、また、今、浅野委員のほうからもお話があったように、ネガティブデータをきちんと収載しようという趣旨の雑誌も増えておりますので、やはりそういうところに積極的に投稿していただくと、この成果が大いに世の中に広まっていくのではないかと思っております。

 一つ、質問というか、コメントなのですが、頂いたパワーポイントの1ページになるのでしょうか、下のほうにイメージとあって、結局、化学物質、いわゆる外的な要因、環境情報と言えるのでしょうけれども、と同時に、1ページの右下のほうに、「遺伝要因、生活習慣要因、それから社会要因と併せて統計分析」とあるのですが、人というか、人が健全な健康を維持するというときに、やはり遺伝的な要因というのは、非常に重要な点だと思うのです。いわゆる外からの環境情報と、それから遺伝要因とありますが、これは遺伝情報という言い方もあると思うのですが、そのクロストーク、相互作用の中で人の健康というのは維持されているものであると思います。やはり今般では、もちろん個人情報の問題も非常に大きゅうございますが、いわゆる遺伝情報と、外的な、この場合は化学物質になると思うのですが、その情報がどのように相互作用して人の健康が維持されているか(を明らかにする)という意味で、この調査は非常に重要だと思いますので、やはり遺伝情報と併せて統計解析、このところは、しっかり進めていただければよろしいんじゃないかと思う次第でございます。そこら辺のことも、今後の研究計画の中で、大きく取り上げていただければよろしいんじゃないかと思います。

 以上でございます。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 では、岸本委員、お願いします。

○岸本委員 浅野先生も青木先生も言及されましたけれども、安全であるということは、非常に重要でありますので、どういう物質はこの結果によって安全であるということは、やはりきちっとしたジャーナルに投稿して、アクセプトしていただきたいということと、生体試料を長期にわたって保管をされているようでございますので、最近になって、新たな物質がクローズアップされておりますので、新たに問題化したような物質についても、長期保存している生体で測っていくというようなことも考慮していただきたいというふうに思います。

 以上です。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 では、松永委員、お願いします。

○松永委員 ジャーナリストの松永和紀でございます。

 どの先生もご意見を述べられたとおり、ネガティブなデータの論文が非常に重要なことでして、それが報告書(案)で明示されているというのは、私も本当によかったというふうに思います。

 それで、ただ、論文化というのは、やっぱりいろいろハードルがあって、難しい面もあるんだと思います。もちろん、論文化も目指していただきたいのですが、そこでまとめられなかったようなことというのは、やっぱり機関としての報告書というような形で整理して、公表していただくような取組も一緒にしていただけないかというふうに思います。

 それと、英語での報告書というのも、まとめていただけないかというふうに思っています。もちろん論文は英語で書かれていますので、世界中、どの方も、そのデータを入手、データというか、その成果を入手することができるんですけれども、どうしても影響なかったというようなデータというのは論文にならない、そして、国内ではいろんな形で提供されても、それは海外になかなか出ていきにくいデータとなってしまうというところがあるというふうに思います。そこをカバーする、国際貢献というのも報告書(案)に入っていたと思いますけれども、影響は検出されなかったというのは、海外、特にアジア、今、開発途上にあるというようなところで、影響が出なかったという成果は、非常に重要、これこそ国際貢献になると思いますので、英語での情報発信もしていただきたいと。

 私は、食の安全のリスク評価機関に入って、リスク評価に関わっていますけれども、もちろん論文もリスク評価に採用して行いますけれども、きちっとした機関の報告書とか声明、そこに、これは例えば発がん性なしとか、そういう見解をきちっとした組織が出しているということは、やっぱりそれは非常に重要で、それを基にして、いろんなリスク評価、各国のリスク評価というところに展開していくものになりますので、収集されて解析された非常に重要なデータを、どの国の人たちにも使っていただくという意味で、このネガティブデータをどう広げていくか、そして英語でどう伝えていくかというところを、さらに検討していただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 では、ただいまのご意見につきまして、事務局から回答をお願いいたします。

○田中環境リスク評価室長 リスク室、田中です。ありがとうございます。

 まず、ネガティブデータについてですけれども、エコチル調査は、10万組の親子という、非常に規模の大きい疫学調査でありまして、疫学調査であり観察研究ですので、関連がなかったという、因果関係のところまでにはなるのですけれども、健康影響がないということが示唆されたということが10万組のデータで示されるということは、関連がなかったということの意味づけが非常に強いとされております。検討会の中でも、構成員の先生から、ネガティブデータを集めたような英語のジャーナルのようなものを作るといったようなことも取組として考えられるといった、具体的なご意見をいただいておりますので、そのような方向性も含めて検討したいと思います。

 続きまして、遺伝要因と環境要因についての相互作用ということで、いよいよ来年度から遺伝子解析を開始することを検討しておりますので、個人情報保護に留意しつつ、また現在、参加者全員、小学生になっておりまして、この調査の意義についても理解できる年齢になっておりますので、しっかり、個人情報保護ということと、この調査の社会還元についてのところも、子どもたち本人にもしっかり理解をしていただいて、調査に協力をしていただき、環境要因と遺伝要因との相互作用について明らかにして、化学物質等のリスク管理に貢献できるように、引き続き調査の推進をしていきたいと思っております。

 以上です。

○大塚部会長 ありがとうございます。

 ほかにご意見はございませんでしょうか。

 岸本委員は、再度意見ということで、よろしいでしょうか。

○岸本委員 私のほうは、今の回答で十分でしたが、先ほども申しましたように、生体試料が保管されているので、新たに問題になる物質が想定されたときには、速やかに検査をしてほしいというふうに思います。

 以上です。

○田中環境リスク評価室長 失礼しました。生体試料に関して、ご意見ありがとうございます。

 エコチル調査の特徴的なもの、世界に誇れる特長的なこととしまして、ほとんどの参加者から生体試料を頂けているということがございます。また、生体試料の種類も、血液、尿、毛髪、乳歯、母乳等、多数ございまして、非常に貴重な国の財産でございます。これらの生体試料については、保管に関しても、国環研のほうでは課題とされておりますので、今後、このような貴重なサンプルを、何か新たな化学物質で課題が生じた際に、過去の生体試料を振り返って分析できるように、しっかりと生体試料の品質を保証して管理できるような体制も含めて、検討してまいりたいと思っております。貴重なご意見ありがとうございます。

○大塚部会長 ありがとうございます。

 では、青木委員、お願いします。

○青木委員 ありがとうございます。

 まず、事務局からの、いわゆるネガティブデータの回答、非常にありがとうございます。確かに、ちょっと、私、ネガティブデータと言ってしまったのですが、関連性がないという、そういう科学的な術語で申すべきところ、訂正していただいてありがとうございます。そのとおりでありまして、やはり疫学の知見というのは、しばしばそういうものがございますので、それをちゃんと、いわゆる統計学的処理をきちんとし、かつ交絡因子をきちんと除いたものとして、そういうものを提示されていただくのは、すばらしいことだと思います。ですから、世の中にジャーナルはたくさんございますが、ぜひ、ここではあえて具体的に私申しませんが、いわゆるメインストリームジャーナル、専門家の間で、あそこの雑誌は、インパクトファクターではなくて、クオリティーが高いと言われるような雑誌に、ぜひ積極的にそういう知見を出していただければと思います。

 それから、もう一点、遺伝情報の件、これから解析が進むというところ、ご指摘いただいて、ありがとうございます。ただ、と申しますか、国内でも、疫学調査の中での遺伝情報の解析というのは、進んでいるというのはご案内のとおりであると思います。ぜひ、そういうところとも情報交換もしていただいて、より広範な、つまり、より強いエビデンスになるような形として、遺伝情報の解析も進めていただければ、非常にすばらしいことではないかと思います。

 以上でございます。

○大塚部会長 ありがとうございます。

 ほかには、ご意見はございませんでしょうか。

 事務局は、今の青木委員のご発言に関しては、何かおっしゃっていただくことはありますか。

○田中環境リスク評価室長 ありがとうございます。

○田中環境リスク評価室長 何か申し上げようとしたのですけど、忘れてしまいまして、申し訳ございません。

○青木委員 メインストリーム、いわゆる多くの専門家が評価している雑誌に出していただきたいということでございます。

○田中環境リスク評価室長 そうですね。はい。

○青木委員 それはコメントです。

○田中環境リスク評価室長 ありがとうございます。

 それに対して、何かお伝えしないといけないことがあったのですけど、すみません、失念してしまいました。

○大塚部会長 いや、ですから了承しましたということであれば、それでよろしいのですが。ありがとうございます。

○青木委員 ありがとうございます。

○大塚部会長 改めて何かおっしゃっていただくということではなかったのですが。ありがとうございました。

 では、ほかにもご意見はないようですから、次の議題に移らせていただきたいと思います。

 では、議題の3につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○太田環境安全課長 環境安全課長の太田でございます。

 それでは、資料4に基づきまして、熱中症対策について、最近の動向等をご説明させていただきたいと思います。

 まず、資料4の1ページをご覧いただければと思います。

 まず、昨年の天候についてですが、夏の気温は、7月中旬から8月上旬にかけまして、北日本でかなり高く、東日本でも高い状況で、8月中旬は西日本から北日本の広い範囲で気温が低くなりました。

 2ページをご覧いただきたいと思います。

 昨年の年全体といたしましては、全国的に気温の高い状態が続きまして、統計開始以降3番目に高い値で、年々上昇の傾向にあります。

 3ページをご覧ください。

 この図は、昨年11月までの世界の異常気象・気象災害の状況を示したものでございまして、先ほど神ノ田部長が挨拶の中で言及しましたのが、この⑳番の北米中部から西部の熱波です。

 4ページをご覧ください。

 このスライドは、そのカナダの熱波の概要を示したものでございます。

 5ページをご覧いただきたいと思います。

 これも部長の挨拶の中で言及がございましたIPCCの最新の報告書の箇所でございますけれども、地球温暖化の進行に伴いまして、極端な高温の頻度と強度が増加することが予測されているところでございます。

 6ページをご覧いただきたいと思います。

 このスライドは、熱中症による救急搬送人員の推移を左に、死亡者数の推移を右のグラフに示したものでございます。昨年の救急搬送者につきましては約4.8万人で、死亡者につきましては、来月頃に速報値が公表される予定でございます。

 7ページをご覧ください。

 これは昨年夏の東京都23区及び大阪市における熱中症による死亡者の状況を示したものでございまして、死亡者の7割から8割以上が65歳以上の高齢者、約9割は屋内で、そのうちの約9割はエアコンを使用しておらず、引き続き、エアコンの使用の有無が重要な課題となっております。

 8ページをご覧いただきたいと思います。

 昨年夏の取組でございますが、政府におきましては、昨年3月に、環境大臣を議長とした熱中症対策推進会議を開催いたしまして、「熱中症対策行動計画」というものを策定いたしました。この計画では、中期的目標といたしまして、熱中症による死亡者の数を年1,000人以下に減少させることを掲げ、昨年の夏につきましては、熱中症警戒アラートなどを活用した予防行動の定着を目指し、スライドにございます各種取組を進めてまいりました。

 9ページをご覧いただきたいと思います。

 これは「熱中症警戒アラート」の概要を示したものでございます。一昨年に関東甲信地方で試行を行いまして、今年度からは全国で実施しております。

 10ページをご覧いただきたいと思います。

 これは昨年の熱中症警戒アラートの地域別発表の状況でございます。全国の発表状況は、地域数は58地域中53地域、発表日数は183日中75日、延べ発表回数は613回でございました。

 12ページをご覧いただきたいと思います。

 今年度は、4月から9月を熱中症予防強化キャンペーンの期間といたしまして、関係府省庁と連携を強化して、各種広報活動を実施してまいりました。

 また、13ページでございますが、右側にございますとおり、昨年の5月には、文科省と連携いたしまして、「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を作成いたしました。

 15ページをご覧いただきたいと思います。

 熱中症警戒アラートなど、昨年の夏の取組について評価をするために、国民、自治体、教育委員会等を対象としました、アンケートやヒアリングをこの秋に実施いたしました。一般向けのアンケートでは、熱中症警戒アラートの認知度は約8割でございました。

 16ページをご覧ください。

 自治体向けのアンケートで、アラートの活用状況を尋ねたところ、全国平均で55%でした。関東甲信や北陸では7割以上でしたが、北海道や九州南部、沖縄では3割以下と、地域による差が見られました。

 17ページをご覧ください。

 また、自治体に対しまして、熱中症対策を実施できていないところの理由につきまして尋ねたところ、人手不足や予算不足、複数の部門にまたがっており調整が困難、国や市町村の役割が不明確等のため、十分な熱中症対策をとることができていないとの意見が寄せられました。

 18ページをご覧ください。

 教育委員会向けには、先ほどご紹介いたしました「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」の活用状況などについて、アンケートを実施いたしました。学校向けに熱中症対策ガイドライン自体を作成している割合は、全国で21%と、低い状況でございました。

 19ページをご覧ください。

 また、熱中症対策ガイドラインに、熱中症警戒アラートの発出時の対応に関する記載をしている割合につきましては、全国で16%と、低い状況でございました。

 20ページをご覧ください。

 これは当課の熱中症対策推進事業の令和4年度予算(案)でございます。このうち、2.の(3)の地域における効果的な熱中症予防対策の推進に係る事業について、次のスライド以降でご紹介させていただきたいと思います。

 21ページをご覧ください。

 熱中症対策のポイントとなりますエアコンの利用促進を進めるため、エアコンを有するが利用していない人に対しましては、右側のソフト対策、そもそもエアコンを所有していない人に対しては、左側のハード対策を行っていくことといたしております。

 22ページをご覧ください。

 ソフト対策といたしましては、地域における熱中症対策ガイドライン策定に係る事業について、今年度は8自治体をモデル自治体として選定し、令和4年度も、引き続きモデル事業を実施し、自治体を支援します。これらの成果を「地域における熱中症対策ガイドライン」として取りまとめ、横展開を図る予定としております。

 23ページをご覧ください。

 ハード対策につきましては、令和3年度補正予算で新たに3億円を措置し、サブスクリプションを活用したエアコン普及促進モデル事業を実施することとしております。「所有」から「利用」を促進させることにより、エアコンのサブスクリプションビジネスを早期に実装化させ、社会全体で熱中症対策を進めていくことを考えているところでございます。

 24ページ、ご覧ください。

 これは、その他の熱中症対策に関する取組について示したものでございます。地球温暖化が進行する中、熱中症対策は人命に関わる喫緊の課題でございますので、引き続き、取組を強化していきたいと考えております。

 報告は以上でございます。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 それでは、ご質問、ご意見がある方は、挙手ボタンを押してお知らせください。順次、お名前をお呼びいたしますので、お名前を呼ばれましたら、ミュートを解除してご発言ください。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 崎田です。

 質問を一つさせていただきたいのですが、熱中症に関して、いろいろ対策が進んでいるということを今伺いました。それで、自治体の中で、いろいろなテーマをどういうふうにやるか、責任の部署が決まっていないのでというようなことを先ほど報告されましたけれども、例えば国のほうで、関係省庁、いわゆる厚生労働省とか、家であれば国土交通省とか、様々、あと、環境省の中でも廃棄物部門の高齢者対策があるところとか、そういう関係部署で一度、政府全体での会議をしっかりと実施して、オールジャパンでしっかり取組んでいくというようなことを明確にしていただければ、自治体含めて社会全体で動くと思うのですが、その辺の国全体での動きというのをどういうふうに進めておられるか、もう一度確認させていただければありがたいと思いました。よろしくお願いいたします。

○大塚部会長 ありがとうございました。

○太田環境安全課長 今、お答え……

○大塚部会長 まとめて回答でよろしいですか。

 では、今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。ありがとうございます。

 国がそれぞれの省庁でいろいろな取組をされているということはよく分かったんですけれども、アウトプットというか、それぞれの取組によってどのようなアウトカムが出ているかということ、なかなか検証はしづらいと思うんですけれども、最終的な熱中症の患者さん、緊急搬送がどういう影響を受けたかというようなことが分かるとありがたいと思います。

 医療者なものですから、このコロナ禍の中でも、熱中症の救急搬送の患者が増えるということは、一般医療に対する影響が、物すごく大きくなります。救急隊もそうですし、病院等にとっても、熱中症がもう少し減れば、コロナ医療や、一般医療に集中できるということもありますので、この辺は本当に大きな課題だと思っています。

 先ほど、エアコンのサブスクリプション事業のお話がございましたけれども、高齢者にはスイッチを入れたり切ったりという機器の操作の問題も、もちろんあるんですけれども、急に気温が変化することに対して、非常に脆弱で、暑い中、適正な温度までエアコンで下げると、寒い寒いという高齢者が非常に多い。常に一定の微弱な温度でエアコンを入れ続けられるようにするためには、エアコンの機器がもう古いものであると、すごく電気代がかかったり、そういう経済的な負担の問題もありますのでサブスクリプションの事業は大事だと思います。これはご質問ですけど、この予算の中で、一体、どれだけの方がこれを利用されているのか、ぜひ教えていただければと思います。

 以上です。ありがとうございます。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 では、事務局から回答をお願いします。

○太田環境安全課長 まず、崎田先生のご質問に対しまして、お答えさせていただきたいと思います。

 国におきましては、「熱中症対策推進会議」という組織を設けておりまして、これは環境大臣を議長とし、関係府省庁の部局長級が構成員といった、そういった組織をつくっておりまして、そこで熱中症対策について、政府全体として、どう取り組んでいったらいいのかといったことを議論させていただいております。ここに示してありますように、「熱中症対策行動計画」も、この会議におきましてまとめたものでございまして、政府としては、一体となって、こういった問題に取り組んでいるところでございます。

 続きまして、取組のアウトカムはどうなのかといった、今村先生からのご質問のところでございます。熱中症対策につきましては、様々なことを行っておりまして、それらの対策はどの程度効果があったのかといったことにつきましては、いろいろな関連する事がございます。例えば今ですとコロナの関係とかもございまして、そういったところも見ながら、また、熱中症警戒アラートも、今年度、2年目に入っているところでございますので、今後、そうしたデータを集めながら、どれぐらい効果があるのかといったところもしっかり検証していきたいというふうに考えているところでございます。実際に、熱中症警戒アラートの発表と、救急搬送の状況との関係がどうなっているのかといったようなことも、データの解析等を進めておりまして、一部の地域におきましては、アラートが何日か出たときに、初日は高かったんですけども、2日目、3日目と、少し下がってきているといったようなことも見受けられるところもありますので、今後、さらにしっかりデータを取って、分析して、その効果を見ていきたいというふうに考えております。

 それから、エアコンのサブスクの関係でございますが、今回のサブスクのモデル事業におきましては、高機能のエアコンでモデル事業を実施させていただくことを考えておりまして、その場合ですと、例えば、Wi-Fiを利用して、いろいろなコントロールができたりとか、いろいろデータ取りができたりと、そういったことをしながら、データ取りをしながら、高齢者のお宅で、例えば暑さ指数が33を超えたら自動的にエアコンのスイッチが入るとか、そういった機能も、だんだんエアコンも高度化されていますので、しっかり普及させていければと考えており、その効果などもしっかりこの事業の中で見ていきたいというふうに考えているところでございます。

 この予算の中で、どのぐらいのエアコンを対象にモデル事業でやるのかといったご質問についてでございますけれども、今回の事業の立てつけにおきましては、高齢者宅等の家庭用のエアコンと、それから体育館のエアコンみたいな業務用のエアコンの二つのカテゴリーを設けており、ちょっと、実際に応募がどの程度あるのかといったところは、難しいところかと思いますけれども、少なくとも数百ぐらいのご家庭に置いてモデル事業の実証みたいなものをさせていただくのかなというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○崎田委員 崎田ですが。

○大塚部会長 はい、どうぞ。

○崎田委員 今のお答え、ありがとうございます。

 それで、いろいろな政策分野の違う対策を、実際に自治体が現場で実施するときに、それぞれが別々にやっていると大変なわけですので、集約して、どういうふうに地域で施策を展開するとうまくいくのかというところが大事だと思いますので、先進事例とか、そういうものが出てきたときに、しっかりと発信していただくとか、少しそういうようなところも配慮いただければありがたいと思いました。どうぞよろしくお願いいたします。

○太田環境安全課長 よろしいでしょうか。

 崎田先生、ありがとうございます。

○大塚部会長 どうぞ、お願いします。

○太田環境安全課長 発言させていただきます。すみません。

 いろいろな分野で、それぞればらばらにやると、いろいろ自治体も混乱されるので、しっかり集約をして取り組んでほしいといったご意見、ありがとうございます。

 実際に、今回、今年度から来年度にかけまして、自治体のモデル事業、ソフトのモデル事業も行っておりまして、その中では、各自治体の中で、どのような形で、様々な部署が連携しながらやるのが効果的なのかといったことにつきましても、モデル事業の中で取り組んでいるところもございまして、そうした、よい成果、また、こういったところがうまくいかなかったと、そういった事例につきまして、しっかり取りまとめて、他の自治体にも横展開を図っていくことを考えているところでございます。

○崎田委員 ありがとうございました。

○大塚部会長 ほかにはよろしいでしょうか。

 ちょっと私からも一つ、私が聞いて申し訳ないですけど、スライド17の辺りが、さっき崎田委員が聞かれたことと関係していると思うのですが、これは自治体の中の話だと思いますけども、各部局にまたがっていて、一元的な庁内の調整が困難だということです。これは自治体が自分で考えてくださることだと思うところもありますが、国に通知してくださいという意見もあるようですけれど、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。

○太田環境安全課長 ここにつきましても、しっかり必要なところに情報が行くような形で、国としても連携しながら取り組んでいるところでございます。実際に、関係府省庁も連携して、いろいろな通知を出したり、事務連絡を出したりするようなこともありまして、国のほうでも、関係府省庁が連携して取り組み、それを自治体のほうへも反映させていくと、そういうふうに進めていきたいというふうに考えております。

○大塚部会長 分かりました。

○神ノ田環境保健部長 神ノ田ですが、よろしいでしょうか。

○大塚部会長 はい。

○神ノ田環境保健部長 部長の神ノ田でございます。

 今のご指摘は非常に重要だと思っていまして、やはり自治体の首長さんの意識によって、大分、各自治体の取組が違ってきているんですよね。もともと、毎年夏に、暑いような地域では、首長さんの意識も高くて、かなり取組が進んでいるのですが、もともと寒冷地みたいなところでは、熱中症については、うちとは関係ないというような認識の首長さんもいらっしゃるというのは事実なんです。そういったところでは、担当がいろいろと熱心にやろうとしても、なかなか自治体全体の取組にはつながっていかないということがございますので、そこをしっかりと、全ての自治体において、これは危機管理事案ですので、取組が遅れているところでは死亡者がたくさん出るというようなことは、それは防いでいかなければいけないので、全ての自治体において、しっかりと取組が進むような形で考えていく必要があるだろうというふうに考えています。

 カナダは、札幌よりも緯度が高いところで、50℃というような高温が記録されたということですので、日本全国で熱中症が関係ないという自治体はないと思っているんですね。そういったことで、ちょっと、全国の全ての自治体で、こういった取組が進められるような形で、何らかの対策を考えていきたいというふうに思っております。ご指摘ありがとうございました。

○大塚部会長 どうもありがとうございます。

 では、鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 私、あまりここで発言したことはないので、とんちんかんかもしれませんが、検討は大変な価値のある検討だと思いました。

 ちょっと伺って、健康影響という言い方は的確ではないかもしれませんが、健康に対する影響という意味では、ここは確かに環境保健部が中心になって、責任を持って行うべき事項だとは思うんですけども、対策ということになると、気候変動対策全体の中で、このそれぞれの取組をどう位置づけていくかというのは、あるいは、それによって、対策としての、ほかの気候変動対策のコベネフィットみたいなものを追及するとかというようなこともあってもいいんじゃないかなと思ったんですが、当然、お考えなのかもしれませんけど、そういうことは何かご検討されているんでしょうかという質問です。

○太田環境安全課長 熱中症問題につきましては、これは気候変動の適応の中の暑熱の分野に該当するものでございまして、適応計画の全体としての推進の中で、連携しながら取り組んでいくことといたしております。実際に、地球環境局の適応室等とも連携しながら、いろいろな対策を進めさせていただいているところでございます。

○鈴木委員 エアコンをつけるのだったら、それによって省エネ効果も追求するとかということだって、あってもいいんじゃないかなと思ったので。

○太田環境安全課長 ご意見ありがとうございます。

そういった面もありますし、また、廃棄物問題もあります。循環型社会の観点も、サブスクの推進は関わってくるかと思いますので、関係するところともしっかり連携しながら、取組を進めていきたいというふうに考えております。ありがとうございます。

○大塚部会長 鈴木委員、よろしいですか。ありがとうございました。

 ほかにはよろしいでしょうか。

(なし)

○大塚部会長 では、次に議題の4の報告事項に移りたいと思います。報告事項は、6項目ございます。事務局から、まとめて説明をお願いいたします。

○吉住石綿健康被害対策室長 石綿健康被害対策室の吉住でございます。

 そうしましたら、資料5-1についてご説明をさせていただきます。

 建設アスベスト訴訟に係る最高裁判決において、国の責任が認められた者と同様の精神上の苦痛を受けている者を対象に賠償を図る新たな給付金制度が、令和4年の1月19日、一昨日でございますけれども、本格施行されましたので、ご報告をいたします。

 この制度の対象者や疾患ごとの給付金の支給額等につきましては、この資料のとおりでございます。

 この制度の運用につきましては、厚生労働省を中心に対応が進められているところです。

 環境省においては、石綿健康被害救済制度を所管しておりますが、この対象者の中にも、新たな給付金制度の対象となり得る方がいらっしゃることから、環境省といたしましては、希望する方が新たな給付金制度に速やかに申請を行うことができるよう、厚生労働省と連携しながら、この給付金制度の周知等を図っていく予定でございます。

 一方、環境省が所管している救済制度につきましては、平成28年12月に取りまとめられました「石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について」におきまして、5年以内に制度全体の施行状況の評価・検討を改めて行うことを求められているところでございます。

 この対応につきましては、現在、令和2年から始まっております新型コロナ禍で、医学的判定を行う審議会が計12回延期となったことに伴って、未審議案件がまだ滞留している状況でございまして、これへの対応を現在優先させているということ、また、こうした新型コロナ禍のような状況が今後もまた起こり得る可能性があることから、平時や、こうした新型コロナ禍のような緊急時のいずれも対応可能な、オンラインによる医学的判定を可能とするシステムを現在構築中でございまして、この構築を急ぐ必要があることといったことから、これらの対応の目途が立った段階で、遅滞なく委員会を開催いたしまして、制度の評価・検討を行いたいと考えているところでございます。

 報告は以上でございます。

○田中環境リスク評価室長 続きまして、資料5-2、化学物質の環境リスク初期評価(第20次取りまとめ)の結果について、環境リスク評価室から報告いたします。

 環境リスク初期評価は、化学物質による環境汚染を通じた人の健康や生態系への悪影響を未然に防止するため、相対的に環境リスクが大きいと想定される物質を抽出するための作業として、平成9年度から実施しております。昨年12月には、この環境保健部会の下に設置されております化学物質評価専門委員会におきましてご議論いただき、第20次取りまとめ結果を公表いたしました。

 取りまとめ結果でございますが、健康リスクについて10物質、生態リスクについて15物質の評価を行い、そのうち健康リスクについて1物質(N-ニトロソジメチルアミン)が詳細な評価を行う候補とされました。具体的な物質名は、次のページにお示ししております。

 今後、この結果を関係部局等に情報共有し、詳細なリスク評価の実施等への活用を要請してまいります。

 なお、評価文書を取りまとめた、いわゆるグレー本の第20巻を今年の3月に発刊予定でして、環境省ホームページにも掲載する予定でございます。

 資料5-2は以上です。

○太田環境安全課長 続きまして、報告事項の3番目からの3項目につきまして、資料5-3から5-5を用いて、取組状況についてご報告いたします。

 まず、令和2年度化学物質環境実態調査の結果についてご報告いたします。

 資料5-3の1ページをご覧ください。

 令和2年度の本調査におきましては、引き続き、初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の3種類の調査を実施し、調査結果につきましては、本部会の下に設置されております化学物質評価専門委員会での審議を経て、昨年12月に概要版を公表させていただきました。本編につきましては、3月末に公表する予定としております。

 調査結果の概要でございますけれども、初期環境調査におきましては、医薬品などの、いわゆるPPCPsを中心に10物質群について、詳細環境調査では、化審法の優先評価化学物質など7物質群について調査を実施しました。また、モニタリング調査では、POPs条約対象物質及び候補物質のうち11物質群を対象に調査を実施し、いずれの物質群も濃度レベルは総じて横ばい、または漸減といった傾向でございました。

 次に、化学物質排出把握管理促進法施行令の一部改正等についてご報告いたします。

 資料5-4の1ページをご覧ください。

 まず、化管法の対象物質の見直しにつきましては、令和元年7月に本部会の下に設置されましたPRTR対象物質等専門委員会におきまして、厚労省、経産省の審議会との合同会合で、具体的な対象物質について審議いただき、パブリックコメントを経まして、昨年10月に化管法施行令の一部を改正する政令が閣議決定、公布されたところでございます。施行日につきましては、令和5年4月1日で、改正後の初めての第一種指定化学物質の排出・移動量の届出につきましては、令和6年度からの実施予定となっております。

 2ページをご覧ください。

 この見直し後の対象物質数でございますけれども、指定化学物質の分類の整理やパブリックコメントへの対応などにより、第一種指定化学物質は515物質、第二種指定化学物質は134物質になっております。

 3ページをご覧ください。

 この化管法施行令の一部改正などに伴いまして、同法の施行規則につきましても、今後必要な改正を行う予定としております。主な改正事項につきましては、スライド中ほどに示したとおりでございます。今後、パブリックコメントを経まして、今年度内に公布をする予定といたしております。

 最後に、化学物質関係の主な国際会議のスケジュールについてご報告いたします。

 資料5-5の1ページをご覧ください。

 化学物質関係の国際会議は、スライドのとおり、新型コロナの影響で、引き続き延期されたりWEB開催に変更されたりしているところでございます。

 前回の本部会以降に開催された主な国際会議の結果概要につきましては、2ページから4ページに、来週開催される予定のPOPRC17の概要につきましては、5ページに掲載しておりますが、時間の関係上、説明は省略させていただきます。

 今後の開催スケジュールも流動的な部分がございますけども、しっかりと対応してまいる所存でございます。

 報告は以上でございます。

○吉崎水銀対策推進室長 水銀対策推進室長の吉崎でございます。続いて、資料5-6、水銀汚染防止計画の実施状況の点検結果についてご報告いたします。

 水銀汚染防止計画、正式名称「水銀等による環境の汚染の防止に関する計画」は、水銀汚染防止法に基づき、水銀等による環境汚染対策を総合的・計画的に推進し、あわせて水銀に関する水俣条約の的確・円滑な実施を確保するために、2017年10月に策定いたしました。

 本計画は3部構成となっておりまして、第一部には、水銀等による環境汚染を防止するための各種担保法による措置。第二部には、国、地方公共団体、事業者及び国民が講ずべき措置。第三部には、普及啓発や国際協力などに関する措置を列記してございます。

 本計画の実施状況につきまして、昨年8月以降、関係府省庁で点検を行いまして、12月に、関係府省庁連絡会議において点検結果を確認し、公表いたしました。

 これを本部会に報告するとともに、1月31日に、経済産業省の化学物質政策小委員会へも報告される予定でございます。

 点検の結果としましては、まず、水銀添加製品の製造規制や水銀等の貯蔵など、条約に基づく措置については着実に実施されていることを確認いたしました。

 また、条約の義務に加え、水銀等の輸出管理、水銀添加製品の製造等規制の深掘り・前倒しなど、条約の内容を上回る措置が実施されていることも確認いたしました。

 そのほか、MOYAIイニシアティブに基づく国際協力についても、多面的に実施していることを確認しております。

 本点検結果に基づきまして、水俣条約の国別実施状況報告書を作成いたしまして、昨年末、外務省経由で条約事務局にも提出しております。詳細の点検結果は、別紙をご参照いただければと思います。

 報告は以上でございます。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 それでは、ご質問、ご意見がある方は、挙手ボタンを押してお知らせください。順次、お名前をお呼びいたしますので、名前を呼ばれましたら、ミュートを解除してご発言ください。いかがでしょうか。

 では、崎田委員、お願いします。

○崎田委員 すみません。ありがとうございます。

 化管法について一つ質問をさせていただきたいのですが、この一部改正に関しては、対象物質の見直しに関しては、しっかり進めていただけばありがたいというふうに思います。それで、私、2~3年前に、化管法に関する意見交換に参加をさせていただいたときに、対象物質のところと、もう一つ、議論が割に出たのが、せっかくのPRTRの情報を社会が共有して、どういうふうに地域のリスクを削減するかということが、大変関心を集めた議論だったというふうに思っております。例えば地域の化学工場がどういう化学物質を扱っているか、ちゃんと情報を把握することで、大規模災害とか、いわゆる大規模台風とか、最近非常に多くなっておりますので、そういうときに対応できるんじゃないかというようなことも議論をしたように思います。そういうような対応が、ここ最近、どういうふうに進んでいるか、その辺の情報もいただければありがたいなというふうに思いました。よろしくお願いいたします。

○大塚部会長 幾つかまとめてご回答いただこうと思いますけども、ほかにはございませんでしょうか。

 では、鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 特に強い意見というわけではありませんが、まず、環境リスク初期評価、それから環境実態調査、化管法、しっかり進めていただいているなと思っております。どうもありがとうございます。

 初期リスクにつきましては、もう今さら申し上げるまでもないと思いますが、環境省内だけではなくて、他省庁さんとか、あるいは研究機関であるとか、市民の方であるとか、非常に広いところで活用される成果になっているのかと思いますので、引き続きしっかり進めていただきたいと思っております。

 それから、水俣条約の対応につきまして、これも、どうもありがとうございます。いや、これは、私も、この水俣条約に関して初めて勉強したところがございまして、改めて水銀もある意味含めて、この化学物質の管理というのが、ほとんど、日本国内だけでは閉じていない。輸出入であったり、もちろん廃棄物等の移動を抜きにしては語れないようなものになっているなという気がしておりまして、これを改めて認識したところでございまして、ぜひ、水銀に関しては、非常にしっかりした施策を組まれていると理解しておりますので、水銀の施策を通じて、化学物質管理の今後の施策にも役立つような取組を進めていただければと思いました。

 以上です。

○大塚部会長 ありがとうございます。

 では、高岡委員、お願いします。

○高岡委員 ありがとうございます。

 私からも、水銀汚染防止計画のところで一つ質問がございます。

 今回、点検をされて、よい点検結果であったということは、ご報告がありましたので、大変よかったと認識しておりますが、この点検は、今後、どういうスパンで、どのように行われるのかということが分かれば、もし、教えていただきたいと思います。

 それから、報告は、今回のこの審議会、それから経産省の審議会にされるということですが、一応、この結果に基づいて、何らかのアクションというか、フィードバックみたいなものを何らかのところに考えられているのかというところを教えていただければと思います。

 以上です。

○田中環境保健企画管理課長 高岡先生、ご指摘、二つ目のうち、一つ目のご指摘のところが、音声が乱れて事務局が聞き取れなかったので、一つ目の論点について、もう一度、ポイントのところだけお願いできますでしょうか。

○高岡委員 一つ目は、この点検は、年数は例えば5年に1回とか3年に1回とか、何か決まっていますでしょうかというのが一つです。

 あとは、点検の結果をどのようにフィードバックされますかという質問であります。

 以上です。よろしくお願いいたします。

○大塚部会長 浅見委員、お願いします。

○浅見委員 ありがとうございます。

 化学物質の管理のところと若干関係をするんですけれども、既にストックホルム条約で挙げられた物質だけではなく、今後、ストックホルム条約に入っていく物質ですとか、あと、今回新しく入った物質等で、環境対策が必要なものですとか、廃棄物対策が必要なものというのが出てくると思います。特に有機ふっ素化合物に関しましては、水道でも検出の状況がございまして、廃棄物の処分場から出ているのではないかとか、あと、排水から検出されたケースがあるのではないかというようなことも出てきているのですが、まだ全体像が分からないところもございます。こちらの会議のほうでは、基本的には化学物質管理ということなんですけれども、ぜひ、水環境ですとか、廃棄物の分野、それから製品で使われていくところとの連携をうまく取っていただいて、米国の方法等を参考とし、検出された場合は曝露の調査を行い、対策を考え、場合によっては基金を用いて環境回復をするような施策を考えるというようなことを、少し先んじてやっていく必要があるのではないかというふうに思っております。ぜひ、そのような対策につなげていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○大塚部会長 ありがとうございます。

 続々と出てきてありがたいのですが、この辺で1回切ります。

 事務局、回答をお願いします。

○吉崎水銀対策推進室長 ご質問、ご指摘ありがとうございます。水銀対策推進室の吉崎でございます。

 まず、鈴木先生から、国際協力の文脈で、水銀対策では国際協力を非常に進めている中、ほかの化学物質管理にも展開できないかというご示唆をいただきました。ご指摘のとおり、水銀分野での国際協力は、非常に活発に行っておりまして、今回、この施行状況の点検、実施状況の点検の中でも、水銀分野での途上国の支援、改めて条約発効後の取組を把握いたしまして、非常に多くのことがされているということを確認いたしました。その中では、例えばほかの国際機関、UNEPですとかUNIDOといった国際機関とも連携しながら、途上国向けのワークショップですとかセミナーとか、そういったこともいたしておりまして、そういった経験は、恐らくほかの化学物質管理の途上国部支援といったところでも活用できるのではないかというふうに考えております。そういった視点でも活動していきたいと思います。

 それから、高岡先生からご質問いただきました2点についてですが、まず1点目、この計画の点検のスパンでございます。そもそも、今回、水銀汚染防止計画の実施状況をこのタイミングで点検した背景といたしまして、計画の本文に記載がございますけれども、条約の締約国会議が定める条約事務局への報告に先立って、その報告の間隔に合わせて行うことということとされております。その条約事務局への報告のタイミングというのが、昨年末であったということで、それに先駆けて、この水銀汚染防止計画の点検を行ったというところでございます。したがいまして、今後は、条約事務局への報告のタイミングにまた合わせて、その頻度で行っていくことになりますが、具体的には4年置きということになるかと思います。

 それから、二つ目のご質問、今回の点検結果を今後の施策にどう展開していくのかというご質問をいただきました。それにつきましては、今後は、水銀汚染防止法の施行状況の点検・見直し、そういった場面も出てくるかと思いますので、そういったところでも、水銀汚染防止計画、まずはこうなっているという点検結果を共有しながら、検討を進めていくことになるかと考えております。

 私からは以上です。

○大塚部会長 ありがとうございます。

 どうぞ、続けてください。

○太田環境安全課長 それでは、最初に崎田先生からご質問があったことについて回答させていただきたいと思います。

 PRTRの情報につきまして、どのように社会に還元してくるのかといったことの一つとしまして、令和元年6月の中環審の答申でご意見をいただいたものでございますけれども、災害時等へのこうしたデータの活用の件でございます。これへの取組状況でございますけれども、これにつきましては、まず、一つ目といたしましては、事業者向けの対応ということで、化管法の化学物質管理指針につきまして、こうした災害時の対応も加味したものに改正していくということを検討しておるところでございまして、今、関係省庁と、そういった調整を行っているところでございます。来年度には改正のほうに持っていけるのではないかなというふうに考えているところでございます。

 それから、もう一点でございますけれども、今度、自治体向けでございますけれども、環境省におきましては、平成21年に、「自治体環境部局における化学物質に係る事故対策マニュアル策定の手引き」といったものを策定しておりまして、これは事故時の対応だけだったんですけども、これに今回、災害のときにどのように対応するのかといったことも今検討しておるところでございまして、これにつきましては、今年度中に取りまとめて、公表させていただきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、浅見先生からのご質問の件でございます。化学物質管理で、POPs条約等に将来上がってくる物質に対する先んじた対応が必要なのではないかと、そういった件でございますけれども、これにつきましては、資料5-5の5ページに、来週開催されます残留性有機汚染物質検討委員会第17回会合(POPRC17)の記載がございますが、POPs条約で対象となる物質につきましては、まず、POPRCという、加盟国の専門家から構成される検討委員会におきまして、提案があった物質につきまして、スライドの真ん中、背景の二つ目のポツにございますけれども、Step1としてスクリーニング、それから、Step2としまして危険性に関する詳細検討、それから、Step3としましてリスク管理に関する評価の検討といった、3段階のプロセスを経た後に、締約国会議に勧告されると、こういった進め方をしているものでございます。このPOCRCの会合に、政府といたしましても、しっかり専門家と一緒に参加させていただきまして、政府はオブザーバーでございますけれども、どういった物質が今後こうしたPOPsになるかもしれないといった情報、その物質にどんな性質があるのかとか、それから、その物質は我が国ではどのように使われていたり、今後どうなりそうなのかといったことにつきましては、関係する部署とも共有させていただきながら、将来、こういった物質がPOPsとして対象となるということであれば、先々に向けて取組を進めていくと、こういうようなスキームで対応しているところでございます。

 以上でございます。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 浅見委員のご意見、ご質問に、例えば今後のPOPs条約の締約国会議での話というよりは、国内で、今後、日本はどうしていくべきかということが入っていたような気もしますけど、これは多分、保健部だけの問題ではないですが、ほかのところの部会とも関連する問題として、多分、検討していくことになると思います。

 では、赤渕委員、お願いします。

○赤渕委員 ありがとうございます。

 資料5-5の国際会議のスケジュールの1ページ目を拝見しておりますと、SAICMが、この資料からですと、2020年の3月、それよりも前から実際には動いていないような印象を受けております。SAICMにつきましては、皆様ご承知のとおり、多分、我が国の化学物質管理政策においても、それなりに、幾つかの箇所で、場面で、参照されたり、引用されたりしてきた、それなりに影響を持つ会議、そこでの議論というふうに理解をしておりますが、これがちょっとここ2年ほど動いていないといったところが多少気になっております。この辺り、何か今後動きの見通しなど、もし情報がございましたら、お教えいただけるとありがたいかなと思います。

 以上でございます。

○大塚部会長 では、青木委員、お願いします。

○青木委員 ありがとうございます。

 私の質問は、先ほどの崎田委員からのご質問のご回答で十分満たされているのですけども、ただ、一言付け加えさせていただきますと、やはり事故時あるいは災害時への対応ということを考えたときに、そこのところはしっかり検討していただいているということは、すばらしいことだと思うんです。ただもう一つ踏み込みますと、そこまで考えますと、やはり物質選定の考え方のところまで、ちょっと踏み込まなくてはいけない部分があるのではないかというふうに思います。その点について、次の改正に、物質の選定に向けて、もし可能ならば、いろいろ考えていただければと思うところでございます。

 以上でございます。

○大塚部会長 ほかにはよろしいでしょうか。

(なし)

○大塚部会長 では、今のお二人のご質問、ご意見に関しまして、事務局から回答をお願いいたします。

○太田環境安全課長 環境安全課長の太田でございます。

 私のほうからは、青木先生からいただいたご意見につきまして、回答をさせていただきたいと思います。

 事故時・災害時の対応につきましては、今、しっかり、課内でも検討をしているところでございますし、環境省といたしましても、環境保健部と水・大気環境局と連携いたしまして、この対応、省としても、どのように進めていくのかといったことにつきまして、検討を進めているところでございます。そうしたことも、こうした取組に反映させていただければというふうに考えております。

 それから、物質選定におきましても、次回に向けて考える必要があるのではないかというご意見につきましては、そのご意見を承りまして、次回の検討に向けて、しっかり考えていきたいというふうに考えております。

 それから、赤渕先生のご質問に関しましては、吉崎室長のほうから回答させていただきます。

○吉崎水銀対策推進室長 吉崎でございます。SAICMの交渉のほうも担当させていただいておりますので、私から現状をご説明させていただきます。

 赤渕先生ご指摘のとおり、SAICMの時期、枠組みについての交渉につきましては、2020年の会期間会合並びに国際化学物質管理会議が延期されて以降、現在、少し止まったような状況になってございます。

 具体的には、2020年に、コロナの影響で、2020年後半に会議を行おうということで、一度延期されたわけですが、さらにそれが期間を定めずに延期という形になりました。その後、2020年10月から2021年(昨年)の2月にかけて、オンラインでバーチャル作業グループというものを設けまして、各種テーマについて意見交換が進められたわけでございますが、そのバーチャル作業グループの中に参加していた国が、それほど多くはない、幾つかの国は、やはり時差があるとか、それからインターネットの接続が難しいとか、そういった関係で、こういったバーチャル作業グループに参加できない国がありまして、バーチャル作業グループの成果につきましても、それをどう扱うべきなのかということについて、疑問が呈されたというところでございます。したがって、現在、今後どういうふうなオンラインでの検討が進められていくのかといったことをビューローのほうでも検討している段階でございまして、今、今後の議論の進め方についての検討が進められているという状況でございます。

 今後の会議の開催の見通しでございますが、まだ確たる予定が定まっているものではございませんけれども、今年から来年にかけて、SAICM関係の動きが出てくるのではないかというふうに見込んでございます。

 以上です。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 青木委員は、これ、手を挙げていらっしゃいますけど、先ほどのものが残っていると考えてよろしいでしょうか。青木委員、よろしいですかね。

○青木委員 はい、すみません。間違いです。

○大塚部会長 ご意見、もうございませんね。

○青木委員 はい。

○大塚部会長 ありがとうございました。

 では、本日の議事は以上となります。事務局に進行をお返しします。

 どうもありがとうございました。

○田中環境保健企画管理課長 本日は活発なご審議をいただき、ありがとうございました。

 本日の議事録は、事務局のほうで原案を作成し、委員の皆様にご確認をいただいた後、環境省ウェブサイトに掲載する予定でございます。

 次回の日程につきましては、改めて調整させていただければと存じます。

 それでは、以上をもちまして、第47回中央環境審議会環境保健部会を終了いたします。

 本日は、どうもありがとうございました。

午後2時35分閉会