中央環境審議会環境保健部会(第52回)議事録

議事録

午後3時00分開会
○東條環境保健企画管理課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第52回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。
 環境保健部企画管理課長の東條でございます。議事の開始まで進行をさせていただきます。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の環境保健部会は、会議室とWEB会議の併用で開催いたします。WEB会議でご参加の委員におかれましては、音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議のチャット機能でお知らせいただければと思います。
 本日の会議は公開です。傍聴用のWEB会議システムを用意し、事前登録のあった方はどなたでも傍聴できるようにしております。
 続いて、委員の発言方法についてお知らせいたします。発言の意思のある委員におかれましては、会場にいらっしゃる委員には、お名前札を縦にしていただければと思います。WEB参加の委員には、お名前の横にある挙手アイコンをクリックしていただければと思います。部会長から指名を受けた後、それぞれご発言をいただきます。
 WEB参加の委員におかれましては、マイクのミュートを解除してご発言いただき、ご発言後は再びミュートにしていただきますようお願いいたします。機器の不具合等によりご発言できなかった場合には、お電話またはチャット機能でご意見をいただければと思います。後日、議事録に掲載させていただきます。
 環境保健部会委員及び臨時委員24名のうち、本日は、ただいま13名の方にご出席をいただいておりますので、定足数に達しております。本部会は成立いたしておりますことをご報告申し上げます。
 審議に先立ちまして、委員の任免についてご報告いたします。
 令和5年11月2日付で片山銘人委員が退任をされまして、同日付で山口博臣が新任をいただいております。退任された片山委員におかれましては、環境保健部会の審議等に多大なる貢献をいただきましてありがとうございました。
 続きまして、資料の確認をいたします。会場にご参加の委員には、お手元のiPadでご覧いただけます。WEB参加の委員には、事前にメールでお送りをしております。議事次第のほか、資料が1から11までございます。説明に当たりましては、事務局が画面上に資料を共有して進行いたします。傍聴されている方につきましては、環境省ホームページの環境保健部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご覧いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 資料の不足等がありましたら、WEB参加の委員には、事前にお知らせいただいた電話番号までご連絡いただければと思います。
 ここで事務局を代表いたしまして、環境保健部長の神ノ田からご挨拶を申し上げます。
○神ノ田環境保健部長 皆様、こんにちは。環境保健部長の神ノ田でございます。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、第52回環境保健部会にご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本年は、元旦早々、能登半島地震が発生をし、多くの方が被災されました。まずもって、この震災によりお亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 地震発生以来、政府の非常災害対策本部の下で、政府は一体となって被災地の支援に当たってまいりました。環境省としても、被災地に数十人規模の職員を派遣し、避難所のし尿・生活ゴミの処理や災害廃棄物の処理、被災ペットに関する相談対応などに取り組んできたところでございます。被災地支援は長丁場となることが予想されておりますので、引き続き、被災された方々に寄り添った支援に努めてまいります。
 さて、今年の環境保健部会の主な動きについてですが、この4月には改正気候変動適応法の全面施行が控えておりまして、現在、その施行準備を進めているところであります。これに関連し、4月には環境保健部の組織の見直しも予定されております。
 具体的には、環境保健企画管理課の名称を企画課に改め、その企画課の下に熱中症対策室を新設することとなりました。また、化学物質対策については、これまで化審法と化管法を所管する課が分かれておりましたけれども、環境安全課の名称を化学物質安全課に改め、化学物質対策を一つの課に集約することで、化学物質のリスク評価からリスク管理まで、また国内対策から国際対応まで、中長期的なビジョンの下で一体的かつ効果的に化学物質対策を推進する体制を構築したいと考えております。
 このほか、水俣病に関する訴訟について、3月には熊本地裁、4月には新潟地裁にて重要な判決が予定されております。
 本日の部会では、4件の審議事項を予定しております。審議事項の一つ目は、これは毎年の恒例となっておりますけれども、公健法に基づく障害補償標準給付基準月額等の改定についてご審議をいただきます。
 二つ目の審議事項として、施行後5年以上が経過しております水銀汚染防止法の施行状況について、ご意見をいただければと存じます。
 また、これに関連し、三つ目の審議事項として、水銀に関する水俣条約対応検討小委員会の廃止についてお諮りをいたします。
 四つ目の審議事項は、第五次環境基本計画の見直しについてです。これまでの検討状況についてご報告をいたしますので、ご意見を頂戴できればと存じます。
 このほか、最近の環境保健行政の動向として、6件のご報告を予定しております。委員の皆様には、大変盛りだくさんとなっておりますけれども、限られた時間ではございますが、ぜひ忌憚のないご意見をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
○東條環境保健企画管理課長 それでは、ここからは大塚部会長に議事進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 大塚でございます。本日におきましても、公害健康被害補償、水銀による環境汚染の防止の法律、それから第五次環境基本計画の見直し、組織変更など、様々な重要な課題を取り扱うことになります。どうぞ忌憚のないご意見をいただきまして、活発にご議論をいただければありがたいと思っております。
 それでは、早速、部会を始めさせていただきます。
 まず初めに、本日、国会対応の関係で、報告事項、化学物質の環境リスク初期評価(第22次取りまとめ)の結果についてを、議事の開始前にご説明させていただきたいという事務局からのご要望がございました。事務局、お願いできますでしょうか。
○清水環境リスク評価室長 環境リスク評価室の清水と申します。
 先生方、申し訳ありません。国会等対応のため、私、こちらの説明が終わりましたら中座させていただこうと思います。
 それでは、資料8のほうをご覧くださいませ。化学物質の環境リスク初期評価の結果になります。これは第22次取りまとめとなっております。
 次のページに移らせていただきます。本事業の概要を申し上げますと、環境汚染を通じて、人の健康や生態系に好ましくない影響が発生すること、これを未然に防止するために、化学物質は世の中にたくさんありますが、環境リスクが大きいと思われる化学物質をスクリーニングするということで、平成9年度から実施しております。こちら化学物質評価専門委員会における審議を経て、昨年12月に公表しております。
 具体的にどういった観点から評価をしているかと言いますと、この表にありますとおり、健康リスク、これは人の健康に対するリスク。また、二つ目、魚類、甲殻類、藻類の3種生物を中心に、得られたデータを基にしているんですが、生態に対するリスクの観点から、文献情報等を用いて、有害性・曝露に関する評価を実施しております。スクリーニング等を位置づけております。
 大体、毎年合わせて20程度実施しているんですが、今年度の第22次取りまとめの結果は、こちらに書いてありますとおり、健康リスクについては9物質、生態リスクについては13物質を対象としております。詳細な評価を行う候補ですとか、更なる関連情報の収集が必要ですといったような形で3段階に分かれるのですが、詳細については次のページに移らせていただきます。
 いわゆるMargin of Exposure、要は簡単に言いますと、有害性や曝露量を総合的に評価して、リスクが大きいと思われる化学物質は詳細な評価を行う候補としております。もう少し関連な情報が必要だというものに、次のカテゴリーとなっております。最後のカテゴリーとして、現時点では、更なる関連情報の収集といったような作業の必要性は低いのでは、と分類しております。
 今年度の評価結果ですが、健康リスク、生態リスクとも、いずれも詳細な評価を行うものには、どの化学物質も該当しておりません。
 唯一、健康リスクについては、更なる情報収集が必要というものは、吸入曝露のtert-ブチル=ヒドロペルオキシド等、生態リスクとして、ここに3化学物質を挙げております。
 そのほかのものにつきましては、ここにありますとおり、現時点では、更なる作業の必要性は低いということになっております。
 
 私からの報告は以上になります。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 ご質問に関しては、国会対応との関係で誠に申し訳ありませんが、1件ほどしか受け付けられないようですが、何かご質問はございますでしょうか。よろしいですか。
(なし)
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、議事に入りたいと思います。まず、議題の1でございます。議題1、公害健康被害の補償等に関する法律の規定による障害補償標準給付基礎月額及び遺族補償標準給付基礎月額の改定について(諮問)についてでございます。事務局からご説明をお願いいたします。
○黒羽保健業務室長 保健業務室の黒羽と申します。
 それでは、資料2に基づきまして説明させていただきます。
 1ページ目につきましては、環境大臣から中央環境審議会会長への諮問書でございます。
 2ページ目をご覧ください。こちらは諮問書の別記でございまして、これから説明いたします方法で計算されました、令和6年度の障害補償と遺族補償の標準給付基礎月額の案が記載されております。
 3ページ目をご覧ください。中央環境審議会会長から、環境保健部会長への付議でございます。
 4ページ目をご覧ください。障害遺族補償標準給付基礎月額につきましては、公害健康被害の補償等に関する法律におきまして、労働者の賃金水準、その他の事情を考慮して、審議会の意見を聞いて定めるとされているものでございます。
 5ページ目をご覧ください。具体的には、中央公害対策審議会答申によりまして、障害補償費につきましては、厚生労働省の賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスの労働者の性別及び年齢層別の平均賃金の80%と、遺族補償費につきましては70%と定められておりまして、春闘における賃金の引上げ状況も用いるということになってございます。
 6ページ目をご覧ください。実際の給付におきましては、特級から3級までの障害の程度の給付率を掛けて計算するということになってございます。
 7ページ目をご覧ください。今回の計算に用いました、令和4年の賃金センサスの数値でございます。
 次の8ページ目に、前年との差額と増減率を記載してございます。前年との比較でございますが、平均1.6%のプラスとなってございます。その前の令和3年につきましてはプラス1.3%、さらにその前の令和2年につきましては、新型コロナウイルス感染症の流行によりまして、マイナス2.2%となっておりましたが、今回は前年に引き続き、プラスとなっているものでございます。
 また、賃金センサスの男女の増加率では、この上のほうに示すとおり、女子は男子に比べて大きくて、前年比プラス2.3%となってございます。
 9ページ目をご覧ください。こちら過去10年間の賃金センサスと春闘のアップ率をグラフにしたものでございます。赤の線が春闘のアップ率、その下の三つの線が賃金センサスの男女別及び平均の増減率でございます。
 春闘の報告につきましては、資本金10億円以上、かつ従業員1,000人以上の大企業が調査対象となってございます。賃金のアップ率につきましては、全労働者の平均賃金である賃金センサスと比較して、春闘のほうが一般的に高くなってございます。
 また、今回の障害補償費に考慮されます令和5年の春闘のアップ率は3.6%、この下の表のところにございますが、3.6%と例年になく高い数値となってございます。これは、これ以前に3%を超えたのは平成6年でございまして、29年ぶり。2.5%を超えたのは平成10年でございまして、25年ぶりということでございます。
 また、先ほども説明いたしましたが、賃金センサスの増減率では、男子よりも女子のほうが上昇率が高くなっていることが分かるかと思います。
 10ページ目をご覧ください。年齢階層、男女別の賃金センサスのアップ率をグラフで示したものでございます。このグラフで上下に揺れている線、赤い線とグレーの線が目立つと思いますが、こちら赤い線は70歳以上の男性、グレーの線は70歳以上の女性の増減率でございます。特に高齢層で大きな増減を繰り返していることが分かるかと思います。
 続いて、11ページ目をご覧ください。今回の令和6年度(案)を含めました、過去10年間の男女別、年齢層別の増減率につきまして、後ほど説明いたしますが、2%激変緩和措置を行う前の障害補償費標準給付基礎月額の前年比を示してございます。
 黄色のセルにつきましては、前年比2%以上となっているところ。赤いセルにつきましては、マイナス2%以下となっているところを示してございます。
 下部に、春闘と賃金センサスの平均の前年比をお示ししてございます。春闘の数値につきましては、翌年度の障害補償費の計算に用いられまして、賃金センサスは2年後の障害補償費に反映されます。このため、例えば令和2年には、賃金センサスがマイナス2.2%で、翌年の令和3年の春闘の数値が1.86%で、例年になく低い数値でございました。この数値を反映する令和4年の障害補償費につきましては、ほとんどマイナス、赤いところが多くなっていることが分かるかと思います。
 その反対に、今回ご説明いたします令和6年度の障害補償費の計算値につきましては、前年の令和5年の春闘の数値が3.6%と高くなっておりまして、その前の令和4年の賃金センサスの平均も1.6%と高かったことから、ほとんどの年齢層で、黄色で示す2%以上の増額となってございます。
 12ページ目をご覧ください。障害補償費の具体的な算定方法が記載されてございます。
 1につきましては、先ほど説明いたしました、中環審の答申に記載されている内容でございます。
 2につきましては、先ほど説明したとおり、近年の賃金センサスの増加率は女子のほうが高いということですが、春闘の数値につきましては、男女別の数値が公表されていないということから、平成26年度の改正から、賃金センサスと春闘の増減率の比を用いて、男女別に賃金推計増減率を算定してございます。
 3の激変緩和措置でございますが、賃金センサスが、特に高齢者におきまして大幅に増減した場合、翌年にずれを戻す、マイナスのときは翌年プラスになりまして、プラスのときは翌年マイナスになるという傾向にございますので、平成14年度の改正より、賃金センサスが全体の推移と比べて2.5%以上乖離している性別、年齢階層につきましては、回帰分析法を用いて補正して算定することとしています。
 さらに、平成21年度改正からは、補正した後の額に、前年度額から2%以上増減している場合については、増減率を2%までにするという激変緩和措置が取られてございます。
 続いて、赤字のところでございますが、令和6年度の今回の改正では、先ほど説明したとおり、計算に用いる賃金センサスや、春闘のアップ率が例年にないほど高かったことから、増減を前年比2%までに限定いたしますと、実際の賃金との乖離が大きくなるということから、春闘のアップ率が2.5%以上であった場合については、増率の上限は春闘のアップ率まで、つまり今回は3.6%までとする案としてございます。
 なお、春闘のアップ率が2.5%以上を超えましたのは、先ほどの説明のとおり、激変緩和措置を設定する前の平成10年でございまして、25年ぶりということでめったに起こらないという事象でございます。
 また、賃金の上昇は引き続き継続して起こることが想定されますから、長期にわたる賃金との乖離が大きくなり過ぎるということを防止する観点から、今回の新たなルールが必要と考えてございます。
 13ページ目、14ページ目をご覧ください。先ほど説明いたしました、激変緩和措置の回帰分析についての相関図を示しているものでございます。詳細な説明は省きますが、このグラフの横軸は当該年度の乖離を示していまして、縦軸は、その翌年の解離を示してございます。青い点がこれまでの実績を示していまして、直線は、この点を模式的に直線で示した回帰直線でございます。
 横軸がマイナスであった場合、つまり前年より減少している場合については、縦軸で示す次の年はプラスになって、逆にプラスであったときには、次の年はマイナスになることが多いことが分かると思います。
 続きまして、15ページ目に、障害標準基礎月額の計算が書いてございます。15ページ目でございます。こちら黄色で示しているところです、男性が70歳以上、女性では65から69歳のところの黄色マーカーのところについては解離が大きいということで、回帰分析を用いた年齢層になってございます。
 また、右から2番目の上下2%緩和措置というふうに書いてあるところについては、前回までの増減2%ルールの激変緩和措置を適用されるところということで、今回の新たなルールを適用しますと、一番右の数値のところの青色のところと、あと真ん中の辺りの令和6年度標準給付基礎月額と書いてあるところの青いところになります。
 15ページ目は障害補償費の案でございまして、16ページ目につきましては、こちらは遺族補償費のほうの案でございます。遺族補償費については、賃金センサスの70%を用いるということで、計算の方法は同じなので、詳細については省かせていただきます。
 最後に、17ページ目をご覧ください。令和6年度の標準給付基礎月額を令和5年度と比較したものでございます。補償給付につきましては、男性が平均で2.6%のプラス、女性は3.5%のプラス、男女合計で3%のプラスとなってございます。
 本項目の説明は以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見がある方は、会場の方は名札を立てていただき、WEB参加の方は挙手アイコンでお知らせください。順次、名前をお呼びいたします。WEB参加の方は、ご発言の際にミュート解除を忘れずにお願いいたします。
 山口委員、どうぞお願いします。
○山口委員 連合の山口と申します。昨年より現在の部署に参りまして、前任の片山に代わって、今回から参加することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 今ほどご説明いただいた件に関して、2点ほどちょっと意見を申し上げさせていただければと思います。
 一つ目が、標準給付基礎月額の算定方法における激変緩和措置についてです。この標準給付基礎月額の算定における激変緩和措置として、令和6年度改定からは、賃金の大幅な上昇に対応するため、前年の春闘アップ率が2.5%以上であった場合には、増率の上限は当該春闘のアップ率までとすると今ご提案があったところです。そして、この補償の目的が逸失利益の補塡と慰謝料的な要素からするというと、政府を挙げて、昨今の状況として賃金が上がっていく社会を実現するとしている中にあって、賃上げ率の上限にキャップをかけること自体が妥当かどうか、慎重に検討する必要があるのではないかと考えます。
 これまで激変緩和措置は、主に減額される方に対してなされていたという理解をしているところです。この措置は継続すべきと考えますが、増額についてはキャップをはめなくてよいのではないかと考えます。
 もう一つが、公害健康被害への補償の算定基準についてです。公害健康被害者、被害に遭われた方々への補償の算定基準は昭和49年に制定されたもので、既に50年近くが経過しています。法律は、当時の経済・社会情勢を踏まえて策定されたものだと推察しますが、50年前と今とでは、世帯構成も働き方もかなり変化していると、こうした時代の変化に合っているのか検証する必要があるのではないかと考えます。
 特に、性別で差をつけるという現在の制度というのは、共働き世帯が片働き世帯を上回っているですとか、男女共同参画が当たり前になった現在において、果たして妥当なのかどうか、そういった議論をする必要があるのではないかと考えているところです。今後、検証の機会を設けていただければと思います。
 以上です。
○大塚部会長 はい、ありがとうございました。
 では、ほかにはいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
 では、事務局、お願いいたします。
○黒羽保健業務室長 ご質問ありがとうございます。まず、1点目の上限を設ける必要はないのではないかというお話がございました。今回、上限としているのは、春闘の数値を上限にしてはというご提案でございまして、春闘の数値につきましては、先ほど説明したとおり、資本金が10億円で、かつ従業員が1,000名というような大企業の数値となってございます。
 下限を設けて、なおかつ上限を設けないというのは、なかなかこちらの補償をしていただいている方、汚染者負担の原則で、工場等のところから賦課金という形でいただいているものを使って補償しているという観点から言うと、下限は設けても上限を設けないというのは、なかなか説明が難しい、ご理解が難しいのかなということもございます。
 先ほど言ったとおり、春闘の数値は大企業の数値ということでございますので、そこを上限にするのが、下限を設ける上からもバランスが取れているのかなというふうに思って、今回ご提案させていただいているものでございます。
 もう一点、女性と男性のほうの給付の額が別なのは検討すべきだというご意見もございました。先ほどご説明いただいたとおり、逸失利益を補塡する形での制度というふうになっておりますので、現状で男女別の統計があるということから、この制度ができて以来、それを用いるという形にしてございます。
 もちろんそういう制度の検討というのは必要もあるのかもしれませんが、そうした場合、男性のほうが平均値を用いるということになると、平均のほうが低い額になってしまうということもございますので、今給付を受けている方のご意見とかもいただきながら慎重に検討する必要があるのかなというふうに考えてございます。
 事務局からは以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。よろしいですか。
 一つ目の点については、下限を設けて、上限を設けないわけにいかないというお答えで、二つ目は、逸失利益の填補のためのものであるということで、これは不法行為の逸失利益に関する男女の関係についても議論があるところでございますが、裁判例においても今でも一致するところまでは行ってないところが多い状況です。悩ましいところではございますけれども、蓋然性に基づいて判断しているというのが現在の状況だということかと思います。
 よろしいですか。ほかにはございませんでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、さらにご意見がなければ、案のとおり改定するということで環境大臣に答申するよう手続を進めたいと思いますが、ご異議はございますでしょうか。
(異議なし)
○大塚部会長 では、異議なしということで、ありがとうございました。
 それでは、議題の2のほうの、水銀による環境の汚染の防止に関する法律の施行状況及び今後の方向性について、事務局から説明をお願いいたします。
○高木水銀対策推進室長 環境保健部水銀対策推進室長の高木から説明いたします。
 水銀による環境の汚染防止に関する法律の施行状況及び今後の方向性についてというお手元の資料3をご覧ください。
 まず、水銀汚染防止法の概要及び今回報告の背景についてです。本法律は、水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保するため、水銀等の環境への排出抑制、人の健康保護及び生活環境の保全を目的として、平成29年に施行されたものです。
 この附則第8条には、法律の施行後5年を経過した場合において、施行状況について検討を加え、必要がある場合には、その結果に基づいて所要の措置を講ずることが規定されております。
 当該附則の規定を踏まえまして、法律の施行後5年を経過した令和4年から、経済産業省・環境省合同にて、水銀汚染防止法に関する法施行状況点検検討会を設置しまして、今年度までに計5回の検討会を開催し、当該検討会により、今後の方向性についての報告書を取りまとめたところでございます。こちらについては、参考資料1として配付しております。
 次のスライド以降では、当該報告書を踏まえた法施行状況の点検結果、また、今後の方向性について報告いたします。
 初めに、水銀使用製品の製造等に関する措置についてでございます。これまで条約に基づきまして、計13種の水銀使用製品を特定水銀使用製品に指定し、製造や組込みを原則禁止。さらには、水俣条約COP4の決定に基づき、新たに5種の水銀使用製品の製造を原則禁止としてまいりました。
 今後につきましても、水俣条約のCOP4、5で、水銀輸出入の廃止期限が決定した製品について、特定水銀使用製品に規定していくこととし、また規定に当たっては、個別製品ごとに規制開始時期や対象範囲を検討していくこととしています。
 また、特に国民生活と関わりの大きい一般照明用蛍光ランプの規制につきましては、規制範囲を明確化するため、一般照明用の定義を行うとともに、分かりやすい広報に努めてまいりたいと考えています。
 続いて、水銀等の貯蔵及び水銀含有再生資源の管理に関する措置についてです。当該貯蔵・管理に関しましては、大半の事業所において、告示に基づく環境上適正な貯蔵管理に関する措置が講じられているのを確認しました。
 その一方で、一部報告の不備等も見受けられましたことから、今後、報告書式の改善や周知活動、チェックシートの作成等、運用上の改善に努めていくこととしています。
 また、歯科診療所等で保管されている歯科用アマルガムや時計屋等の小売店で保管されているボタン電池などは、その性状や取扱い形態から、生活環境上の保全上の支障がないことなどの理由から、運用上、報告書の提出を必ずしも求めないこととしています。
 続いて、水銀含有再生資源の定義についてでございます。先般のCOP5までにおいて、条約上の水銀廃棄物の閾値が決定されましたので、それを踏まえて水銀含有再生資源への該当要件を見直していくこととしています。
 また、下段については、水銀含有再生資源の管理の委託者についてです。現行制度においては、委託先での管理を含め、環境保全上、所有者が一括して責任を負う形となっていますが、委託先における適正管理を所有者、つまり報告者がしっかりと確認しているかについては、今後、実態把握を進めた上で、必要に応じてガイドラインの改正等で対応していくこととしています。
 続いて、その他の論点、特に適正分別・回収についてでございます。これまで水銀使用製品の製造または輸入の事業を行う者を対象とした、表示等情報提供に関するガイドラインを策定・公表いたしました。今後、実態調査等を進めて、引き続き、適正な水銀使用廃製品の分別回収の促進に努めるとともに、必要に応じてガイドラインも改定していくこととしています。
 加えて、主に自治体において、水銀使用廃製品の分別回収や、適正処理を推進するため、ガイドラインの改定や周知素材の作成等、各種施策を実施していくこととしています。
 最後のスライドには、参考として、水銀汚染防止法に関する法施行状況点検検討会の委員名簿をつけております。
 以上で、水銀汚染防止法の施行状況と今後の方向性案についての説明を終わります。
○大塚部会長 ありがとうございました。今のご説明からしますと、運用の改善を進めて、法改正の必要はないという理解でよろしいでしょうか。
○高木水銀対策推進室長 はい、仰るとおりでございます。
○大塚部会長 それでは、ご質問、ご意見がある方について、会場の方は名札を立てていただき、WEB参加の方は挙手アイコンでお知らせください。順次、お名前をお呼びいたします。
 最初に、欠席の鈴木委員から意見書が届いておりますので、事務局から紹介をお願いいたします。
○東條環境保健企画管理課長 事務局から紹介させていただきます。資料5枚目、全体で言いますと25ページになると思います。表の右側の一番下の箱のところですけれども、意見は、5枚目、「報告の提出が技術上の指針等の実施状況の把握等に資するとは考えられない水銀含有再生資源や水銀含有再生資源への該否の確認が困難である場合(歯科診療所等で保管されている歯科用アマルガム/貴金属回収事業者に譲渡されるまでの間、小売店等か保管しているボタン電池)については、報告の提出を必ずしも求めない」について、個々の現場における対応としては合理的と思われるので、対応自体はよいと思う。ただし、「把握等に資するとは考えられない水銀含有再生資源」、また、「該否の確認が困難など」の記述には不明確さが残るように思われるので、運用上の混乱や技術上の指針の適用に問題を起こすようなことがないように、正確、着実に対応していただくことを期待する、という意見でございます。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。では、それについても、後でご回答をいただきますけども、委員の先生方、どうぞご発言をお願いいたします。ございませんでしょうか。
 岸本委員、どうぞお願いします。
○岸本委員 今までの回収状況についてちょっとお聞きしたいなと思いまして、手を挙げました。例えば、我々、外来で血圧を測るのに、水銀血圧計を常時使用しておりました。これに関しては、かなり早くから回収しておられたと認識しています。水銀含有物ではなくて水銀そのものでございます。現在の日本では、もうほぼ完全に回収できたというふうに考えていいでしょうか。
○大塚部会長 ほかにはいかがでしょうか。
 では、事務局からご回答をお願いします。あと鈴木委員のものも、後でお願いします。
○高木水銀対策推進室長 ご質問をいただき、ありがとうございます。私のほうで、今正確な統計、データ等は持ち合わせていないですけれども、そういった特に血圧計、非常に水銀濃度の高いものですので、その辺の回収については、これまでも促進しつつ進めてきているというところですが、まだ全て無くなった状態ではないという認識でございます。
 こういったものが不適正な分別で普通の廃棄物に混入されてしまうと、廃棄物処理場のほうで問題を起こしたりとか、そういう危険性もありますので、そういったところは、引き続き我々も適正な分別・回収の促進に、自治体とともに努めてまいりたいと思っております。ご質問ありがとうございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、鈴木委員のご質問、ご意見に対して、ご回答もお願いします。
○高木水銀対策推進室長 鈴木委員からのご指摘につきまして、承知いたしましたというところでございます。対応自体、合理的な対応ということで評価をいただいたものと思っておりますが、記述に少し曖昧さが残るというようなご指摘がございましたので、これは実際に実施する場合には、こちらのパワーポイントのほうにも記載していますとおり、通知や指針の発出等により対応としていますので、その辺の書きぶり等をしっかり明確にする。また、実際の運用上でも混乱が起きないようにするというところで、気をつけてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○大塚部会長 はい、ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 ありがとうございました。
 それでは、さらにご質問、ご意見はございませんので、次の議題に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、先ほどもちょっと申しましたように、説明と議論を踏まえますと、運用の改善を進めていただくということで、法改正の必要はないということだと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議題のほうに移りたいと思います。議題の3、「中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について」の一部改定に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○高木水銀対策推進室長 引き続き、私のほうから説明いたします。資料4のほうをご確認ください。「中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について」の一部改定についてでございます。
 こちらの1ポツにありますとおり、環境保健部会には四つの小委員会、または専門委員会が設置されております。このうち、③水銀に関する水俣条約対応検討小委員会につきましては、水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策及び水銀等による環境の汚染の防止に関する計画についての審議を行うために設置されております。平成26年5月から平成28年7月まで調査審議を8回開催しまして、法律や政省令に定める技術的事項、法に基づく計画について取りまとめてきましたが、その後の開催実績はございません。
 今般、先ほどの議題2(2)における法の施行状況確認におきましても、法改正事項はなく、運用の改善を進めていくとの結論をいただいたところでもありまして、また今後しばらく、当該小委員会を開催する見込みがないことから、当該小委員会の廃止についてお諮りするものです。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 それでは、ご質問、ご意見がある方は、会場の方は名札、WEB参加の方は挙手アイコンでお知らせください。特にございませんでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 はい、ありがとうございました。
 では、事務局の案のとおり改定したいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
○大塚部会長 はい、ありがとうございました。
 それでは、議題の4、第五次環境基本計画の見直しについて、事務局から説明をお願いいたします。
○東岡総合環境政策統括官グループ計画官 総合環境政策統括官グループの総合政策課計画官の東岡でございます。私からご説明をさせていただきます。
 資料5-1の2ページをご覧ください。まず、環境基本計画についてご説明をさせていただきます。環境基本計画は、環境基本法第15条に基づく環境の保全に関する総合的な計画でございます。地球温暖化対策計画、循環型社会形成推進基本計画、生物多様性国家戦略など個別の分野別の計画や方針に関する総元締めの計画でございまして、個別の環境政策に共通する指針ですとか、方針、思想や哲学などを与えることが大きな役割でございます。
 計画は約6年ごとに見直しをしておりまして、現在の第五次環境基本計画は平成30年に閣議決定をしておりまして、策定から5年が経過したということで、令和5年5月より、中央環境審議会で総合政策部会で審議を開始しております。
 スケジュールですけども、令和5年8月に環境基本計画の基本的な方向性や30年の振り返りを取りまとめた総論部分を中間取りまとめとして取りまとめておりまして、それらを10月からパブリックコメントにかけ、並行して、地方自治体、企業、関係団体などのヒアリングを経て、今年の1月29日の総合政策部会においてまとめたものが、資料5-2の素案というものになります。
 なお、今後のスケジュールですけども、令和6年2月26日に中央環境審議会の総合政策部会で、第六次環境基本計画の全体を提示しまして、そこで全体のご意見をいただいて、それらでパブリックコメントにかける案というものを取りまとめをいたしまして、その後パブリックコメントをかけて、今年の4月から5月の間に、中央環境審議会において答申、閣議決定を目指したいというものでございます。
 資料5-2の2ページをご覧ください。こちらは素案の目次部分でございます。
 こちら第1部となっているのは、先ほど中間取りまとめで、昨年パブコメをかけた部分でございまして、第1章が現状と課題認識、第2章が今後の環境政策の展開の基本的な考え方、第3章は環境政策の原則・手法というものでございまして、その次の第2部というのが、環境政策の具体的な展開ということで、第2章の部分が重点戦略ごとの環境政策の展開となっております。
 この重点戦略というのは第五次から作っているものでして、六つの横断的な分野、1番が経済、2番が国土、3番が地域、4番が暮らし、5番が科学技術・イノベーション、6番が国際という、それぞれの横断的分野の重点戦略を記載したものが第2部第2章というものでございます。今回提示をしている素案というのは、第2部第2章までを提示しておりまして、この環境基本計画の全体部分で見ますと、重要部分は概ね8割ぐらい今回お出しをしているものでございます。
 本日は時間もないものですから、第1部の基本的な考え方の部分の基本的な考え方を私からご説明をさせていただいて、その後で、この第2部第2章を含めた保健部会の関連する部分は、また保健部の、東條課長、高木室長からご説明いただけると聞いております。
 それでは、資料5-1の5ページにお戻りください。こちらの資料5-1の5ページが、この環境基本計画の基本的な考え方を取りまとめたものでございます。今回、環境基本計画は第一次計画から策定してちょうど、1994年からちょうど30年を経過したということを踏まえて、現状と課題認識につきましては、環境面と経済社会面の両面から振り返りを行い、30年の振り返りを行っております。
 特に、昨年、2023年は異常高温がございましたが、そういった気候変動の危機を踏まえまして、総合政策部会では、この環境面の振り返りにおいて、危機感が足りないんではないかというご指摘をかなり多くいただきました。そういったことから、この素案の1ページから15ページぐらいまでは、環境の危機に関する記述がかなり手厚く記載されております。
 ただし、先般、1月29日の総合政策部会では、大塚部会長、白石委員も含めて、汚染分野のところの記述が、ほかの分野の記述に比べて、化学物質の関係が、記述が薄いのではないかと、そういうご指摘をいただいておりまして、それはまだ今回提示している素案の中で反映できてないのですが、次回の2月26日の総合政策部会では、それらの意見を反映したものを提示したいと考えております。
 この第六次環境基本計画の基本的な考え方というのは、こちらの5ページの右下の部分でございます。第六次環境基本計画と書いてあるところですが、本計画におきましては、現在及び将来の国民のウェルビーイング、高い生活の質の実現を目指すということが大目的でございます。
 また、一つの環境負荷だけではなくて、全ての環境負荷を減らしていこうということで、環境負荷の総量削減と、あと環境の状態をマイナスからゼロに戻すだけではなくて、ゼロからプラスへ、環境の状態を良好な環境に創出していこうというコンセプトも記載をしております。
 また、その下でございますが、化石燃料などの地下資源依存から地上資源基調の循環した経済社会システムの転換が必要であるということも記載しております。
 その下でございますけども、市場的価値としては、経済成長、GDPなどが主に評価されてきたところでございますが、例えば環境の質ですとか、健康ですとか、安全・安心、心の豊かさなどの非市場的価値も引き上げるような、新たな成長を目指していこうというコンセプトを記載しております。
 また、基盤である自然資本、自然資本というのは、言わば環境そのものでございまして、それを支える資本システムへの大投資ということで、これは何を指しているかと言いますと、環境をよくするようなもの、例えば再エネですとか、省エネですとか、あとZEB、ZEHですとか、また汚染分野の対策ですとか、あと無形資産で言えば人や技術への投資、そういうものの投資を増やしていく必要があるということを記載しております。
 その下でございますが、環境価値を活用した経済全体の高付加価値化ということで、環境価値がさらに高く売れるものになっていく、また競争力を持つものになっていくと、そういうものを示しております。
 その下ですが、目標達成のためには、科学に基づく取組のスピードとスケールの確保が必要でございます。
 また、ネットゼロ・循環経済・ネイチャーポジティブなどのトレードオフを回避して、統合・シナジーを発揮していこうということ。
 また、そちらの下の政府、市場、国民の共進化というものですが、こちらちょっと分かりにくいと思いますので、10ページをご覧ください。
 こちらの10ページの図でございますけども、こちら左から行きまして、政府が国民に対してきちんと環境教育の強化や環境情報の整備・提供をする。そうすることによって、その下でございますが、環境意識が高い国民による、政府による環境政策の導入の後押しをするということですとか、あと右上のほうですけども、国民が仮に市場価値が高くなったとしても、環境価値の高い財やサービスをきちんと購入するということによって、企業による環境保全に関する投資、経済的な競争能力に関するような投資を、企業もきちんと投資をする。そういうような3者が共進化することによって環境も経済も社会もよくなる、ウェルビーイングを向上させるような関係を目指していこうというものが、政府・市場・国民の共進化というものでございます。
 また、すみません、5ページに戻りまして、その次が、世界のバリューチェーン全体での環境負荷の低減ということで、企業が情報開示をすることで、バリューチェーン全体での環境負荷が促進される、あと、その下については、地域循環共生圏については、環境・経済・社会の統合的向上の実践・実装の場として推進していくと、そういうことが基本計画の基本的な考え方を示すものでございます。
 以上でございます。
○東條環境保健企画管理課長 私の方から、資料5-2でご説明いたします。大部になるので、ちょっと駆け足になってしまいますけれども、例えば、15ページを見ていただきますと、第五次環境基本計画策定後からの大きな変化、環境の主流化という中で、27行目から28行目辺りで、環境保健部会で、保健という観点で健康という視点からになりますけれども、地球の健康と人の健康は一体不可分であるという、プラネタリー・ヘルスという考え方が活発化してきているというようなことが、まず、プラネタリー・ヘルスという言葉が基本計画に初めて入ったというようなことが一つのポイントになっているかなと思います。
 27ページに行きますと、今後の環境政策を考えるに当たって、振り返っている部分におきまして、環境汚染とか化学物質管理の分野にまだ課題がありますというようなことが、この辺で、27、28ページにかけて振り返りとして書いております。
 その上で、大分飛びますけど、76ページまで行きますけれども、地域のことを考える中で、水俣病の教訓も踏まえて取り組んでいかなくちゃいけないというのは何か所かに出てきますけども、特に水俣における、もやい直しの取組が、地域のことを考える上で一つの参考になるというようなことで、ここにかなり大きく記載してございます。
 その一番下の行のウェルビーイング/高い生活の質を実感できる安全・安心かつ健康で心豊かな暮らしの実現という、この重点的な考え方の部分が、環境保健という観点からは一番近いところかなと思っていまして、ここの部分のに、78ページのところで、10行目からの人の命と環境を守る基盤的な取組という中で、熱中症や感染症といったようなことが起こっていますということも記載しつつ、また、先ほど出てきました、22行目、23行目辺りにプラネタリー・ヘルスの視点から取り組んでいくことが求められるのではないかということを書いてございます。
 そのページの下には熱中症対策などもありまして、プラネタリー・ヘルス基本的な考え方を記載して、具体的な政策は、第3部、第4部のほうで書いていきたいと思っています。
 あと化学物質の部分については、高木室長のほうから補足をお願いいたします。
○高木水銀対策推進室長 引き続き、私のほうから、化学物質の部分について、簡単に紹介いたします。
 先ほど、東條のほうから、27ページに第1部第1章4の振り返りと課題認識のところで、引き続き課題が残る環境汚染及び化学物質管理の章の説明がありましたけれども、ここで、まず化学物質管理分野のこれまでの取組、国際的な化学物質管理のための新たな枠組みであるGFC、Global Framework on Chemicalsの採択などの新たな動き、また課題認識等について記述しているものでございます。
 続いて、大きく飛びますけれども、65ページをご覧ください。65ページにおきましては、第2章2、自然資本を基盤とした国土のストックとしての価値の向上という章の一部ではありますけれども、一昨年度設定されました、昆明・モントリオール生物多様性枠組のターゲット7を踏まえました、化学物質等による生態系へのリスクの最小化についてここで記載しておりまして、こちらは生物多様性、また化学物質、それぞれの交わる領域でのものでございます。
 続いて、78ページをご覧ください。こちらにつきましては、人の命と環境を守る基盤的な取組としまして、有害性のある化学物質による環境汚染に伴う健康及び生態系への影響も例示しつつ、地球の健康と人の健康の関連性と両者を一体的に捉えるプラネタリー・ヘルスの重要性を指摘している箇所でございます。
 これを踏まえまして、次の79ページにおきましては、プラネタリー・ヘルスの概念を踏まえた化学物質対策としまして、新たな枠組みであるGFCのターゲット項目に沿いまして、具体的な取組を進めていくということとしております。
 その他ですが、後半のところに行きますと、88ページにおきましては、科学的見地からの化学物質管理の適正化について記載している箇所もございます。
 また、92ページにおいては、国際的な化学物質管理の推進というチャプターがありまして、一つのパラグラフを構成しているところでございます。
 以上が、化学物質関係の記述の補足でございます。
○大塚部会長 よろしいでしょうか。先ほどは失礼いたしました。
 では、ご意見、ご質問がございます方は、名札または挙手アイコンでお知らせください。
 最初に、欠席の鈴木委員から、これも意見書が届いておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○東條環境保健企画管理課長 事務局から説明させていただきます。
 資料5-2の28ページをご覧いただければと思います。28ページの15から16行目に、国際的な潮流を踏まえた統合的な検討とあるが、記述を見ると、国際的な潮流のある事項に対して受身に過ぎるのではないか。15行から16行目に代わって、25から28行目辺りにおいて、例えば私が関わってきた活動が、このように活用すべきという考えも含めて、「ここに掲げられた、安全で健康的かつ持続可能な未来のために、化学物質や廃棄物による悪影響から解放された地球、あるいは、第1部に述べられたプラネタリー・ヘルスを達成するため、今後設立される化学物質と廃棄物の適正管理及び汚染の防止に関する科学・政策パネルなどでの国際的な科学的知見も基礎として、脱炭素、循環経済、サーキュラーエコノミー、さらに昆明・モントリオール生物多様性枠組みの目標にも貢献することを目指す。」というような計画とすることがよいと思う。
 以上になります。
○大塚部会長 ありがとうございました。これも後で、まとめてご回答をお願いいたします。
 そうしましたら、ご意見、ご質問がございましたら、お願いいたします。
 青木委員、お願いします。
○青木委員 一番最初でよろしいでしょうか。3点ございまして、第1点が、地下資源から地上資源への転換ということで、化石燃料のことでご指摘があったんですが、ちょっと私、これを見たときに一番最初に思ったのが、要するに、いわゆる金属資源をどうするかという問題だと、むしろ思いました。
 ご案内のとおり、多くのいわゆる公害問題から始まって、いわゆる人への健康影響というのは金属で起こっている問題があります。ですから、ある意味、これ以上どれだけ地下資源を活用していくのか、むしろ循環でやっていく社会を構築すべき、金属は循環で利用していくべき社会をつくっていくんではないかという意味に捉えたんです。そこら辺のところをどういうふうにお考えなのかということを教えていただきたいというか、むしろ、私は、より以上、金属の利用に関しては、地上にあるものを積極的に利用していくという社会をつくっていくのがより望ましいんではないかなというふうに思っております。
 それから、次が、先ほどの資料5-1の5ページの冒頭のところに、三つの危機というのが、気候変動、多様性の損失、汚染の問題という、この三つのことは、もうこれらは待てないことだと思います。
 先ほど冒頭ちょっとご説明がありましたとおり、確かに汚染ですね、特に化学物質の問題に関しては、ちょっと私も実は、そのトーンが薄れてきているのではないかというところを、実は以前、読ませていただいたときに非常に心配したところなので、それがさらに補強されているところは非常に重要だと思うんですが、ただ、そういう中で、同時にこの問題というのは、私は、プラネタリー・ヘルスですね、そこから考えてみますと、ちょっと前になりますが、いわゆるプラネタリー・バウンダリーという概念がありまして、ご案内の先生方もいらっしゃると思うんですけど、そういう中で、例えば大気中の二酸化炭素濃度というのはもう限界を超えているとか、たしかリンがそろそろもう限界に来ているのではないかと、そういう中にいろいろ書いてあるんですが、実は化学物質に関しては、よく分からないと書いてあるんです。
 ということは、ここは非常に危機だということは概念的に分かっているのだけど、危機であることは、いわゆる毒性とかそういう観点からは分かっているんだけれども、じゃあ、プラネタリー・ヘルスという観点から見たとき、どこが適切かということを実は科学のほうがもう少し頑張らなくちゃいけないんではないかというふうに思っているわけでございまして、その点について、少しいろいろまた、具体的にどの部分ということはまだ申せませんが、ぜひご検討いただきたいなというところでございます。
 それから、3番目が、バリューチェーンの問題がどこかでございまして、やはりこれはちょっと非常に概念的なお話で申し訳ないですが、これは、やはりこの環境基本計画というのは、我が国でどうしていくかという問題だと思うんですけど、やはり今、国際的な取組というのが非常に環境問題として重要なときになってきております。我が国の立ち位置というのをやはり明確にしていくことが、特に、いわゆる環境保健に関わる問題に関して、我が国がどういうふうに国際貢献していくのかとか、そういうこともちょっと考えていただければよろしいんじゃないかと思うところでございます。
 以上の3点でございます。
○大塚部会長 はい、ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 そうしましたら、鈴木委員のご意見と青木委員のご意見に関して、ご回答をお願いします。
○東岡総合環境政策統括官グループ計画官 総合政策課の東岡でございます。
 まず、青木委員からご指摘いただいた一つ目のご意見でございますけど、まさしく金属資源も含まれておりまして、この資料5-2の33ページの12行目をご覧いただければと思います。こちらのほうに、循環を基調とした経済社会システムの実現が不可欠であり、環境収容力を守ることができるよう、いわゆる地下資源を基調とし、と書いております。資源循環を深め、化石燃料などから成る地下資源への依存度を下げるということで、88の地下資源の脚注においても、鉱物資源のような地下に埋蔵された枯渇性資源ということで、既にもう使われているものは地上資源という形で考えておりまして、そういったものを活用していくということで、青木委員からご指摘いただいたとおり、地下資源の依存度を下げていき、今使っているものをリサイクルして、循環をしていこうというコンセプトでございます。
 二つ目のプラネタリー・バウンダリーの関係でございますけども、そちらについては資料5-2の7ページの脚注12で、プラネタリー・バウンダリーの研究についても紹介をさせていただいているところです。化学物質についても、新規化学物質が不確実性の領域を超えて高リスクの領域にあるということで、こういった形でご紹介をさせていただいておりまして、前回の総合政策部会でも、白石委員からこのプラネタリー・バウンダリーについては、注釈ではなくて本文について記載をすべきじゃないかというようなご指摘もいただいておりますので、今回ご指摘いただいたことも踏まえて、どういう書きぶりが適切か、また検討をさせていただければと思っております。
 次、3点目でございますけども、バリューチェーンの考え方でございますけども、こちらは重点戦略の中で、バリューチェーンについても記載をしておりまして、5-2の59ページでございます。こちらでバリューチェーン全体の重点戦略としてどのように進めていくかということを記載しておりまして、社会的な環境危機を克服するためには、バリューチェーン全体で環境負荷を低減していくことが重要ということで、こういった企業の国際競争力を強化するという観点から、施策としてバリューチェーン全体での環境負荷の見える化ですとか、そういったことを記載しておりまして、そういった化学物質の観点も含めて、排出量削減に向けた取組について記載をしておるところでございます。
 以上でございます。
○青木委員 ありがとうございます。ちょっと一つだけ。
○大塚部会長 はい、どうぞ。
○青木委員 今のプラネタリー・バウンダリーに関しても、啓蒙書なんかにも、かなり具体的に書いている本が最近見つけましたので、やはりそこは市民の中の知識になり始めていますので、ぜひ書いていただければと思います。
○大塚部会長 鈴木委員のほうのご回答はいかがでしょうか。
○高木水銀対策推進室長 鈴木委員のご質問と、今のプラネタリー・バウンダリーに関しても、少し私のほうから発言させていただきます。
 三つの危機の中で、この汚染、特に化学物質の部分のプラネタリー・バウンダリーの部分がまだ不明確であって、ここは化学がもう少し頑張らないとというご指摘については、そのとおりかなと思っておりまして、これについては、特に三つの危機のうちは、気候変動についてはIPCCというしっかりした組織がありますし、生物多様性の損失についてもIPBESという組織が、しっかり科学・政策パネルが立っているというところですけれども、今般、化学物質・廃棄物の管理に関しましても、今、科学・政策パネル、IPCCの化学物質版といったようなものが、今設立のための準備をしておりますので、こういったところで科学と政策のインターフェースの強化というのをしっかりしていけるものと思いますから、日本としても、こういった議論に積極的に貢献して、そういった部分が補強、世界的に補強できるように取り組んでまいりたいなと思っております。
 また、鈴木委員の関係に関して、国際的な潮流となる事項に対して受身に過ぎるのではないかというご指摘については承りまして、私どもとしても、しっかり今申したように、こういった国際的な潮流に対して積極的に議論に加わり、また、リードしていく必要があると考えております。
 一方で、具体的な修文に関しましては、こちらについては、主に30年の振り返りと課題認識という章での記述ですので、その記述に合うような書きぶりで、いただいたご意見を踏まえて、うまく取り入れられるところがあれば、取り入れさせていただければと思います。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 すみません、私から一つだけ。先ほど59ページから60ページにかけて青木委員がおっしゃってくださったバリューチェーンのところの記述は、やはり化学物質の話があまり出てきていないような気もしますが。
○青木委員 というか、ごめんなさい。化学物質の部分と並べて言ってしまったので、申し訳ない。むしろ概念的なことで、ここで言うのも非常に恐縮なんですけれども、要するに我が国のことだけ考えてこの計画があるのではないと私は信じておりますので、そのことを少し分かるようなというか、一般の方が見ても分かるように書いていただければと思うところでございます。そういう意味で、ちょっと申し上げました。失礼しました。
○大塚部会長 私が言いたかったのは、バリューチェーンのところで温暖化のことが基本的に書いてあって、生物多様性のこともあるし、ネイチャーポジティブもあるんですけど、化学物質の話があまりないように思いました。
○青木委員 そうか、そうか。失礼しました。そうですね。
○大塚部会長 すみません、青木委員の話は、私にとってきっかけに過ぎなかったかもしれません。これは東岡さんに申し上げている感じになりますが、不足しているようです。
 それから、青木委員は、むしろ他国との関係をお考えになっているみたいなので、それは多分ほかのところには書いてあると思うんですけども、もし東岡さん、何かご回答をいただけるとありがたく存じます。
○東岡総合環境政策統括官グループ計画官 部会長のご指摘のとおりかと思いますので、今回、保健部会でいただいたご意見につきましては、今回、環境基本計画自体は、基本計画の付議は総合政策部会で出ておりますので、今回いただいた意見につきましては、部会長と、あと保健部の事務局で調整をさせていただきまして、次回2月26日の総合政策部会の中で、保健部会のご意見として、部会長から事前意見としてご提出をいただくことで調整をさせていただければと考えております。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか、よろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 どうもありがとうございました。では、ちょっと今も東岡さんに言っていただきましたけども、恐れ入りますけど、私のほうで、総合政策部会のほうで意見を提出させていただくということで、事務局と私のほうで取りまとめを、本日の意見に関して取りまとめをさせていただくということで提出させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、議題の5のほうの報告事項に移ります。6件の報告がございますので、事務局からまとめてご説明をお願いいたします。
○東條環境保健企画管理課長 企画課長の東條から、まず、環境保健部の組織再編についてご説明いたします。
 今年の4月1日に保健部の組織改正を考えておりまして、右のほうが新しい組織なんですけれども、真ん中辺りに熱中症対策室とありまして、熱中症は法律もできまして4月1日施行でございますので、それに合わせて新しい部屋をつくって、しっかり対策していこうと思ってございます。
 それに合わせる形で、左側が今の組織でも、オレンジの保健企画課と、もう一つ環境安全課という課があるんですけれども、企画課の中に今、青くしています化学物質審査室と水銀対策室と、化学物質の関係する規制をしている部署が企画課の中の室になっているんですけども、これを右側のほうを見ていただきますと、真ん中辺りに化学物質安全課(仮称)とありますけども、化学物質に取り組んでいる課室を一元化しまして、この中に化学物質審査室と水銀対策室も入れて化学物質を一元的に見ていく部署と、ぜんそくとか水俣病とか環境保健に関係するものを企画課にまとめるような形の組織再編を考えております。化学物質の規制、入り口の規制から排出のところまで、ライフサイクル全体で見ていくような体制にしていきたいと思ってございます。
 以上です。
○大塚部会長 次は、令和4年度の化学物質環境実態調査の結果についてでございます。
○高木水銀対策推進室長 失礼いたしました。それでは、令和4年度化学物質環境実態調査の結果について説明いたします。
 続いてのスライドをお願いいたします。資料7です。令和4年度の本調査におきましては、引き続き、初期環境調査、詳細環境調査、またモニタリング調査の3種類の調査を実施しまして、その結果については、本部会の下に設置されております化学物質評価専門委員会における審議を経て、昨年12月に概要版を公表したところです。具体的な調査対象物質や検出状況につきましては、本資料の最後に別表1から3としてお示ししています。
 簡単に概要を説明いたしますと、初期環境調査では、環境リスク初期評価で検討予定の物質など13物質、詳細環境調査では、化審法の優先評価化学物質など6物質群について調査を実施しました。モニタリング調査では、条約対象物質のうち11物質群を対象に調査を実施し、いずれの物質群も濃度レベルは総じて横ばい、またはやや下がっているといった傾向が得られております。
 以上で資料7の説明となります。
○大塚部会長 次は、主な国際会議についてお願いします。
○高木水銀対策推進室長 続いて、主な国際会議についての説明といたします。資料9でございます。
 では、初めに、国際的な動きの全体像としまして、化学物質関係の主な国際会議のスケジュールについてご説明いたします。環境全般の会議としましては、来年4月にG7気候エネルギー環境大臣会合が、また、2月には、今月には、第6回国連環境総会が予定されております。
 化学物質管理全般に関する会議としましては、第5回国際化学物質管理会議が昨年9月に開催されまして、SAICMの次期枠組みとなるGFCが採択されております。
 その他、先ほど発言いたしました、化学物質・廃棄物の適正管理及び汚染の防止に貢献する科学・政策パネルの設置に向けた議論を進捗しております。
 条約関連におきましては、ストックホルム条約のPOPRC19が昨年10月に開催されたほか、水俣条約の第5回締約国会議も昨年10月から11月にかけて開催されております。
 次のスライドからは、個別の国際会議についてご説明いたします。
 まず、第5回国際化学物質管理会議の結果についてです。国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ、通称SAICMの次期枠組みとしまして、Global Framework on Chemicals、GFCが採択されました。新たな枠組みは、多様な分野における多様な主体によるライフサイクルを通じた化学物質管理の枠組みとして、五つの戦略的目的、また、それにひもづく28のターゲットを設定しまして、その実施に当たっての支援プログラムや資金確保のアプローチ等も定めております。
 日本は、本会議におきまして個別の交渉会合の議長を務めたり、また、新たな進捗把握の仕組みを提案するなど様々な貢献を行いまして、これらが評価されて、アジア・太平洋地域の地域フォーカルポイントに選出されております。
 今後、この新たな枠組みGFCの適切な履行に向けて、国内外両面において、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 続いてのスライドは、水銀に関する水俣条約第五回締約国会合、COP5の結果報告です。ただ、審議事項の説明とも重複しますので、検討された事項は資料をご参照いただければと思います。
 なお、本会合におきましても、新たな水銀添加製品の規制に関する交渉会合の共同議長を務めるなど、日本としても積極的に合意形成に貢献したところでございます。
 続いてのスライドも詳細ですので飛ばせていただいて、続いて、昨年12月にケニアで開催されました、第二回科学・政策パネル臨時公開作業部会会合の結果についてでございます。こちらにつきましては、先ほどご説明しましたものですが、2022年のUNEA5.2におきまして、この分野においての独立した政府間科学・政策パネルの設置が決議されたことを受けまして、2024年末までに設立提案を用意すべく、作業部会での議論が進んでいるところです。
 この会合においては、事務局作成の提案草案というのを議論の土台としまして、それをたたき台とし、各国の意見を盛り込んだ改訂版の提案草案を作成するという形で、議論が大きく進捗したところです。
 日本としましては、本会合では、本パネルの設立提唱者の一人であられる、国立環境研究所の鈴木フェローにご同行いただきまして、トークセッションへの登壇等にご活躍いただくとともに、交渉会合の一つの共同議長を務めるなど、積極的に設立提案の作成に貢献したところでございます。
 今回作成された改訂版の提案草案については、6月に行われる次回会合にて、最終化に向けた議論がなされる見込みです。
 最後に、スライド7番目としまして、POPRC19、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の下での検討委員会の結果概要を紹介いたします。
 こちらは条約の規制対象物質の追加に当たり、候補物質の該当性の検討を行う専門家で構成された会議体でして、昨年10月に第19回会合が開催されております。
 主な結果としましては、中鎖塩素化パラフィン、また長鎖ペルフルオロカルボン酸の2物質群について、次回の締約国会議において条約対象物質の追加が勧告されることとなりました。
 以上で、ご説明を終わります。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、熱中症対策をお願いします。
○五十嵐安全課課長補佐 環境安全課の五十嵐と申します。熱中症対策について、ご報告申し上げます。お手元の資料10をご覧ください。
 表紙を1枚おめくりいただきまして、スライドの1枚目です。気候変動適応法の改正についてでございます。気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律が昨年の4月の国会で成立いたしまして、それにより気候変動適応法が改正されました。熱中症に関する政府の計画や熱中症の危険が高い場合に、国民に注意を促す特別警戒情報を法定化するとともに、特別警戒情報の発表期間中における、暑熱から避難するための施設の開放措置など、熱中症予防を強化するための仕組みが創設されたところでございます。
 今回の改正法に基づきまして措置された事項が、こちらの資料の下に記載してございますが、まず、熱中症対策実行計画につきましては、昨年の5月に閣議決定をされたところでございまして、関係府省庁一丸となって取り組んできたところでございます。
 また、その他の改正事項につきまして、熱中症警戒情報、熱中症特別警戒情報、また指定暑熱避難施設、熱中症対策普及団体につきましては、熱中症対策推進検討会において、運用に係る詳細について議論を行っていただいたところでございまして、そちらでの議論を踏まえまして省令、運用等に係る指針・手引きを整備するということで取組を進めてまいりました。
 次のスライドをご覧ください。熱中症対策推進検討会の概要についてでございます。まず、9月の検討会におきまして、熱中症特別警戒情報等の発表基準、発表の地域単位、指定暑熱避難施設の指定基準等についてご議論、ご了承をいただいたところでございます。その内容に沿って、気候変動適応法施行規則を制定いたしまして、今年の1月16日に公布したところでございます。
 また、第5回熱中症対策推進検討会については、今年の1月18日に開催されたところでございまして、こちらにおいて、熱中症特別警戒情報等の一般名称、表示の際の色、指定暑熱避難施設の一般名称や表示のマークなどにつきまして、ご議論、ご了承をいただいたところでございます。それに沿いまして、熱中症特別警戒情報等の運用に関する指針、指定暑熱避難施設の指定・設置に関する手引きを取りまとめております。
 次のスライドをご覧ください。熱中症警戒情報と熱中症特別警戒情報について、表に概要をまとめたものでございます。表の左の列、熱中症警戒情報につきましては、一般名称を熱中症警戒アラートとし、府県予報区等内のいずれかの地点で、暑さ指数が33に達すると予測される場合に発表すること。また、表示の色を紫色とすることなどとしております。
 表の右の列、熱中症特別警戒情報については、一般名称を熱中症特別警戒アラートといたしまして、都道府県内の全ての地点で暑さ指数が35に達すると予測される場合に発表すること。また、表示を黒色とすることなどとしてございます。
 次のスライドですが、こちらは熱中症特別警戒情報の発表基準でございます。暑さ指数35、過去に例のない暑さについての参考資料でお入れしているものでございますが、詳細については省略させていただきます。
 次のスライドについては、こちらは表示色のイメージということで、熱中症警戒情報を紫、また熱中症特別警戒情報については黒色で表示すると、このようなイメージになるということでお示ししているものでございます。
 次のスライドをご覧ください。指定暑熱避難施設につきましては、一般名称をクーリングシェルターといたしまして、住民の皆様がアクセスしやすいようにクーリングシェルターマークを定めまして、その施設をお示しする際に使っていただくことを想定してございます。
 また、地方公共団体が地域の実情に応じてクーリングシェルターを指定・運営するための参考になりますように、指定暑熱避難施設の運営に関する事例を取りまとめております。こちらにつきましては、現在、法の施行前ではございますけれども、地方公共団体のほうで、先んじてそうした涼みどころの設置など運営に取り組んでいらっしゃるところの事例を参考として事例集として集めたものでございまして、今後、施行後、そういったクーリングシェルターの運営指定に向けて、参考にしていただけたらということで作成しているものでございます。
 また、熱中症対策の普及啓発等のための熱中症対策普及団体につきましては、市町村が団体を指定する際の一助となるように、こちらも4月の施行までにと考えておりますけれども、指定における考え方や手続等につきまして、熱中症対策普及団体の指定に関する手引きとして取りまとめて公表する予定でございます。
 最後に、改めて、これまでの準備状況と今後の取組をまとめたのが、こちらのスライドでございます。改正された気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構の着実な施行準備、また、今年の夏に向けまして、特別警戒情報等の周知、クーリングシェルターと熱中症対策普及団体の指定促進ということで、取組をしっかり進めてまいりたいということを考えてございます。
 4月以降の円滑な施行のため、遺漏なきよう、引き続きしっかりと準備を進めてまいります。
 熱中症対策については、以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございました。
 では、花粉症に関する取組について、お願いします。
○五十嵐安全課課長補佐 続いて、花粉症対策について、引き続き、私のほうからご報告申し上げます。お手元の資料11をご覧ください。
 まず、1枚目のスライドをご覧ください。花粉症対策につきましては、昨年の4月、関係行政機関の緊密な連携の下、政府一丸となって取り組むために、内閣官房長官を議長、農林水産大臣及び環境大臣を副議長とする、花粉症に関する関係閣僚会議が設置されまして、昨年の5月の関係閣僚会議において、今後10年を視野に入れた施策も含めて、花粉症という社会問題を解決するための道筋を示すものとして、花粉症対策の全体像が取りまとめられたところでございます。
 その後、昨年10月に、この全体像の想定する期間の初期の段階から集中的に実施すべき対策として、花粉症対策初期集中対応パッケージというものが取りまとめられまして、環境省においても、このパッケージに沿って関係する取組を進めているところでございます。
 次のスライドをご覧ください。環境省では、これまで毎年秋にスギ雄花花芽調査、こちらは林野庁と共同で実施しているものになりますけれども、そちらとスギ・ヒノキの花粉の飛散量の実測調査、また花粉症予防行動をまとめた環境保健マニュアルの作成を実施してきたところでございます。
 本パッケージに関する環境省の取組状況といたしましては、まず、飛散対策について、スギ雄花花芽調査の強化につきましては、令和5年度は山梨県を追加するとともに、来年度以降、できるだけ早期に全国に対象地域を拡大する予定でございます。
 また、民間事業者による花粉飛散量予測の精度向上の支援のため、提供する情報について、昨年12月から調査地点の情報の追加などの詳細化を図っているところでございます。さらに、花粉飛散量の標準的な表示ランクについて、日本花粉学会において昨年12月に改定されまして、こちらについて民間事業者の皆様にご利用いただいたり、民間事業者で花粉の飛散が多い日にテレワークを推奨したりといったような形で、ご活用いただけるよう周知を図っているところでございます。
 また、発症・曝露対策については、本年の1月に花粉への曝露を軽減するための花粉症予防行動を分かりやすくまとめたリーフレットを作成いたしまして、自治体、関係学会等と連携して、広く周知を図っているところでございます。
 こうした環境省の取組も含めまして、他の関係省庁も含めた政府全体の取組をまとめたのが、次のスライドでございます。
 環境省といたしましては、引き続き、民間事業者による予測精度向上のための情報提供の詳細化ですとか、予防行動の周知等を通じまして、国民の皆様に分かりやすい情報が届くよう取組を進めてまいりたいと考えてございます。
 こちら、次の地図のスライドですけれども、こちらは今年度のスギ花芽調査の結果ということで、ご参考でおつけしてございます。今年は35都府県で実施しておりまして、空白の県につきましては、来年度以降、順次拡大する予定でございます。
 そのほか、近年の飛散量の状況について、また、冒頭申し上げました、花粉症対策の全体像を参考としておつけしてございます。
 資料11については、以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見がある方は名札を立てていただくか、WEB参加の方は挙手アイコンでお知らせいただければと思います。
 最初に、欠席の堀口委員から意見書が届いておりますので、事務局から紹介をお願いいたします。
○東條環境保健企画管理課長 事務局からご紹介いたします。熱中症の資料になりまして、スライド15枚目。熱中症特別警戒アラート(熱中症特別警戒情報)の概要(キーメッセージ)ですが、警戒を呼びかけるメッセージの3番目、今まで普段心掛けている熱中症予防行動と同様の対応では不十分な可能性がありますので、今一度気を引き締めていただいた上で、準備や対応が必要です、の同様の対応が不十分ということは、今以上の何かを準備や対応と読み取れます。その内容は何なのか分かりづらいなと思いました。
 2番目のメッセージでは、管理者に判断を求めています。それからしたら、3番目のメッセージでは、身の危険を感じたら、自分でしっかり判断するということを指しているのでしょうか、という意見でございます。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。
 ほかに、ご質問、ご意見はございますでしょうか。ございませんでしょうか。ちょっと私のコンピュータの画面が消えちゃったので、そっちのほうにありますね。よろしいでしょうか。
 では、堀口委員のご質問、ご意見に関して、ご回答をお願いします。
○五十嵐安全課課長補佐 環境安全課でございます。こちら、特別警戒アラートのキーメッセージについてのコメントでございますが、熱中症対策として実施する、例えばエアコンの使用ですとか、水分・塩分の補給などといった行動自体につきましては、その暑さの程度に応じて大きく変わるものではないというふうに考えておりますけれども、その上で、熱中症特別警戒情報の発表に際しまして、この特別警戒情報等の運用に関する指針の中でも記載しているんですけれども、備えておきたいこととしまして、例えば涼める場所の再確認でありますとか、あと熱中症にかかりやすい方、ご自身、周りの方を含めて、そういった方々の準備の状況確認などの対応をお願いしたいという趣旨でございます。
 身の危険を感じたら、ご自身でしっかり判断するということはもちろんですけれども、身の危険を感じる前に、若い方々ですとか、あと健康な方々も決して楽観視することなく、全ての方々が自分事として捉えていただいて、事前の対策で備えていただけたらというふうに考えてございます。熱中症対策の備えといいますか、そういったものについては、熱中症特別警戒情報が発表されるときというのはもちろんですけれども、日頃からのその普及啓発といいますか、そういったところも非常に重要なところかと思いますので、分かりやすい情報発信というのを、引き続き、努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 ほかに、ご質問、ご意見はございますでしょうか。
 浅見委員、お願いします。
○浅見委員 すみません、ありがとうございます。最初のご報告の中で組織再編のところがございまして、そこと、あと、基本計画とも関連するんではないかと思いますが、今回の全体の見直しの中で、ばく露関係のところの情報が少ないのではないかという感じがいたしております。青木先生からもご指摘いただきましたような化学物質の対策ですとか、そういったものを考えるときに、ばく露をしっかりと把握して、どこを制御すると、どのようにリスクを下げていくことができるのかというところも非常に重要かと思いますが、その辺は、この組織の中では、どの辺が相当するものなのか、それとも、ほかの部署の扱いになるのかというところを教えていただければと思いました。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 では、今の浅見委員のご質問について、お答えをお願いします。
○高木水銀対策推進室長 ご質問ありがとうございます。化学物質関係の部署、化学物質安全課の中に、それにひもづく室も含めて一元化したところでございますけれども、化学物質のばく露評価に関しましては、例えば化学物質審査室においては、化審法に基づくリスク評価の中でのばく露の評価をしておりますし、リスク評価室においてのリスク評価の中でもばく露評価をしていく。また、安全課の中にあります、所管している化管法の中でのPRTRデータというのも、その化学物質のばく露情報の一部として使いますし、また、モニタリングをしているデータなんかも、そういったばく露の評価のデータ基礎となるものと思います。
 そういった課室が、これまでばらばらだったものが一つになるというところで、その課室の中で一元化することで、それぞれの法律の中でですとか、また何か事業の中で、それぞれリスク評価がありますけれども、その辺の情報共有ですとか、またデータの活用ですとか、そういったものは、より密になるのではないかなと思っております。
 以上です。
○大塚部会長 浅見委員、よろしいですか。
○浅見委員 ありがとうございます。継続的な調査と、それの評価ということで続けていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 はい、ありがとうございました。
○山本委員 すみません。関連して、浅見委員の……。
○大塚部会長 どうぞ、山本委員、お願いします。
○山本委員 ご質問に関連して、少しご質問したいんですけれども、というかコメントですが。先ほどお話がありましたように、この資料6のとおりの組織の再編については、非常にいい話かなというふうに思います。化学物質の入り口から出口までということで一体化して、この化学物質安全課という中で、化審法から化管法までやられるということ自体はいいと思うんですけれども、今日冒頭にありましたリスク初期評価事業です。これで出てくるところの出口としてあるのが、どちらかというと、この環境保健部ではなくて、環境管理課ですかね、水・大気局のほうでやられている環境基準のようなものがあると思いますので、そちらのほうでも、恐らく、先ほど浅見委員がおっしゃったばく露の評価なんかもやられると思いますので、そちらとの連携をさらに深めていただきますと、一体化して化学物質対策ができるんじゃないかなというふうに思いますので、その点もまた留意してやっていただければいいかなというふうには思いました。
 以上です。
○大塚部会長 はい、ありがとうございます。
 ご回答、いかがですか。
○高木水銀対策推進室長 ありがとうございます。まさに重要なご指摘と思いますので、その点しっかりと水・大気局のほうとも連携しつつ進めていければと思いますので、引き続きご指導のほどよろしくお願いします。
○大塚部会長 ありがとうございました。
 そうしましたら、さらにご質問、ご意見がございませんでしたら、本日の議事は以上となります。よろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 では、事務局に進行をお返しします。
○東條環境保健企画管理課長 本日は、ご審議をいただきまして、ありがとうございました。本日の議事録は、原案を作成し、委員の皆様にご確認をいただいた後、環境省ホームページに掲載いたします。
 また、次回の環境保健部会の日程につきましては、改めてご連絡をいたします。
 それでは、第52回中央環境審議会環境保健部会を終了いたします。ありがとうございました。
午後4時44分閉会