中央環境審議会環境保健部会(第53回)議事録

議事録

午後3時00分開会
○鮎川企画課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第53回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。
環境保健部企画課長の鮎川と申します。議事の開始まで進行させていただきます。
委員の皆様におかれましては、ご多忙のところ、また、遠いところも含めまして、ご出席賜りまして、誠にありがとうございます。
本日の環境保健部会は、会議室とWEB会議の併用で開催いたします。
WEB会議でご参加の委員におかれましては、音声が聞き取りにくいなど不具合がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議のチャット機能などでお知らせいただければと思います。
本日の会議は公開でございます。傍聴用のWEB会議システムを用意し、事前登録のあった方はどなたでも傍聴できるようにしております。
続いて、委員のご発言方法についてお知らせいたします。会場にいらっしゃる委員は、お名前の札を縦に置いていただければと思います。WEB参加の委員は、お名前の横にある挙手アイコンをクリックしていただければと思います。部会長から指名を受けた後、それぞれご発言いただきます。WEB参加の委員は、マイクのミュート機能を解除してご発言いただき、ご発言後は再びミュートにするようお願いいたします。
機器の不具合等によりご発言できなかった場合には、お電話またはチャット機能でご意見をいただければ、後日議事録に掲載させていただきます。
本日、環境保健部会委員及び臨時委員24名のうち、ご出席は18名ということでございますので、定足数に達しております。したがいまして、本部会は成立いたしておりますので、そのことをご報告申し上げます。
それでは、審議に先立ちまして、臨時委員の任免についてご報告いたします。
令和6年6月13日付で一政都志夫臨時委員がご退任されまして、同日付で古川和成臨時委員が新任されております。また、令和6年8月15日付で飛戸正己臨時委員がご退任されまして、同日付で、新保尚文臨時委員が新任されております。
なお、退任された一政臨時委員及び飛戸臨時委員におかれましては、環境保健部会の審議等に多大なる貢献をいただきまして、改めて感謝申し上げます。
また、新任されました古川委員と新保委員におかれましては、これからどうぞよろしくお願いいたします。
では続きまして、前回の環境保健部会以降、特に4月、7月人事でかなり入れ替わっておりますので、環境保健部に着任した者をご紹介させていただきます。
まずは環境保健部長の前田でございます。
○前田環境保健部長 よろしくお願いします。
○鮎川企画課長 続きまして、オンライン参加でございますが、大臣官房政策立案総括審議官の中尾でございます。
○中尾審議官 中尾でございます。環境保健部も担当させていただきますので、よろしくお願いします。
○鮎川企画課長 続きまして、国立水俣病総合研究センター所長と、あと大臣官房審議官の伯野でございます。
○伯野国水研所長/審議官 よろしくお願いします。
○鮎川企画課長 私、企画課長と、化学物質安全課長を併任してございます鮎川と申します。
続きまして、保健業務室長も替わっていますが、用務の関係で遅参しておりますので、割愛させていただきます。
続きまして、特殊疾病対策室長の森でございます。
○森特殊疾病対策室長 よろしくお願いします。
○鮎川企画課長 石綿健康被害対策室長の辰巳でございます。
○辰巳石綿健康被害対策室長 辰巳です。よろしくお願いいたします。
○鮎川企画課長 熱中症対策室長の永田でございます。
○永田熱中症対策室長 永田です。よろしくお願いいたします。
○鮎川企画課長 化学物質審査室長の長谷川でございます。
○長谷川化学物質審査室長 長谷川です。よろしくお願いします。
○鮎川企画課長 環境リスク評価室長の市村でございます。
○市村環境リスク評価室長 市村です。よろしくお願いします。
○鮎川企画課長 ほぼ全員替わってございます。よろしくお願いいたします。
続きまして資料の確認をさせていただきます。会場でご参加の委員におかれましては、お手元のタブレット端末でご覧いただけます。WEB参加の委員には、事前にメールで資料をお送りしております。
議事次第のほかに、資料1から資料10までございます。説明に当たっては、事務局が画面上に資料を共有して進行いたします。傍聴される方につきましては、環境省ホームページの環境保健部会のページにアップロードしておりますので、そちらからご覧いただきますようお願いいたします。大部にわたる資料でございますが、資料の不足等ございましたら、対面の先生におかれましては、ご指摘いただければと思います。また、WEB参加の委員におかれましては、事前にお知らせした電話番号までご連絡いただければと思います。いかがでございましょうか。
特に不足ないということでよろしければ、事務局を代表いたしまして、環境保健部長の前田のほうからご挨拶を申し上げます。
○前田環境保健部長 環境保健部長の前田でございます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、第53回環境保健部会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
まず初めに、本年5月に開催されました環境大臣と水俣病関係団体の皆様との懇談の場におきまして、環境省の職員がご発言の途中でマイクの音量を切るという不適切な運営が行われたことにつきまして、大変申し訳なく思ってございます。
こうしたことを受けて、本年7月には、熊本県水俣市等及び新潟県新潟市におきまして、環境大臣と水俣病関係団体の皆様との再度の懇談が実施されました。計5日間にわたる懇談となりましたが、私自身も大臣とともに全ての懇談に参加し、関係団体の皆様のお話をじっくりと伺ってまいりました。
現在も、関係団体の皆様とは、実務者レベルでの意見交換を進めているところでございまして、環境省として、水俣病問題の歴史と経緯を踏まえつつ、水俣病対策を前進させるため全力を尽くしてまいります。
また、9月に入りまして少し暑さが落ち着いているところでございますけれども、報道等でご案内のとおり、今年の夏は全国的に猛暑ということでございました。
令和5年5月に閣議決定した「熱中症対策実行計画」ですとか、本年4月に全面施行されました改正気候変動適応法に基づき、熱中症対策を進めてきたところでございますが、今年の夏の状況や取組状況について分析や議論を行い、その結果も踏まえ、来年夏に向けた準備をしっかりと行ってまいります。
我が国の化学物質の管理については、化学物質審査規制法等の関係法令に基づき、そのリスクに応じた規制が講じられてきたところでございます。
とりわけ昨今では、PFAS、有機フッ素化合物につきまして、報道等で取り上げられることが増えてまいりましたが、昨年7月に専門家会議で取りまとめていただいた「PFASに関する今後の対応の方向性」に基づき、科学的知見に基づく対応をしっかり進めてまいります。
本日の部会でございますが、1件の審議事項と8件の報告事項を予定しております。
審議事項は、今後の化学物質対策の在り方について調査審議を行う「化学物質対策小委員会」の設置についてお諮りいたします。このほか、最近の環境保健行政の動向として、8件のご報告を予定しております。
委員の皆様におかれましては、限られた時間ではございますが、ぜひ忌憚のないご意見をいただきますよう、よろしくお願いいたします。本日はよろしくお願いします。
○鮎川企画課長 では、ここからは大塚部会長に議事進行をお願いします。部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚部会長 保健部会長を拝命しております大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は審議事項一つ、委員会の設置がございますが、それ以外は報告事項でございまして、先ほど前田環境保健部長からもお話がございましたように、PFASを含む化学物質の国内対策、GFCなど化学物質関係の国際会議、今年の夏の熱中症対策、水俣病の健康調査などめじろ押しでございます。忌憚ない活発なご議論をいただければ大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは早速部会を始めさせていただきます。まずは議事に入りたいと思います。
議題の1、中央環境審議会環境保健部会の小委員会専門委員会の設置についての一部改定についてでございます。事務局からご説明をお願いいたします。
○鮎川企画課長 それでは中央環境審議会環境保健部会の小委員会の設置につきまして、ご説明申し上げます。
資料2をご覧ください。
保健部会の小委員会、専門委員会の設置についてという部会決定の文書でございます。今回、本日付で一部改正ということで、お諮りをしたいと思います。
改正内容につきましては、先ほど前田のほうからも申し上げましたが、新たに化学物質対策小委員会を設置するものです。新たにとは言いますが、以前設置されていたものでございますが、それを一度廃止して、また立ち上げるというものでございます。
資料2の改正部分、アンダーラインを引いてございますので、読み上げさせていただきます。
2.化学物質対策小委員会。
(1)議事運営規則第8条の小委員会として、「化学物質対策小委員会」を置く。
(2)化学物質対策小委員会は、今後の化学物質対策の在り方について調査審議を行う。
(3)化学物質対策小委員会の決議は、部会長の同意を得て部会の決議とすることができる。
以上でございます。
今まで設置されておりました石綿健康被害判定小委員会と化学物質評価専門委員会につきましては、番号ずれをしているだけでございます。
こちらにつきましては、主には化審法が先年改正をされておりまして、その附則の規定に基づく見直しへの規定がございまして、それをきっかけに今後の化学物質の在り方についての議論をいただければということで、この小委員会を設置していただきたいということでございます。
私の説明は以上でございます。
○大塚部会長 はい、ありがとうございました。それではご質問、ご意見がございます方におかれましては、会場の方は名札を立てていただき、WEB参加の方は挙手アイコンにてお知らせください。順次お名前をお呼びいたします。WEB参加の方におかれましては、ご発言の際にミュート解除を忘れずにお願いいたします。ではよろしくお願いします。
ございませんでしょうか。特によろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 どうもありがとうございます。ご異議なしということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大塚部会長 ありがとうございます。そうしましたら、事務局案のとおり改定したいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
○大塚部会長 それでは議題の2の報告事項に移ります。8件の報告がございますので、事務局からまとめてご説明をお願いいたします。
○長谷川化学物質審査室長 それではまず資料3、化学物質の国内対策についてという資料から始めさせていただきます。
こちらの資料、主に3点扱ってございます。一つが化学物質審査法の最近のアップデートについて、二つ目がPFASについて、三つ目がエコチル調査についてでございます。
1ページおめくりください。まず化学物質審査規制法の状況のアップデートについてご報告させていただきます。
ご存じのとおり、化学物質審査法、化学物質による人の健康、動植物への影響を保護する、未然に予防するための法律でございまして、新たに市場に化学物質を上程する前には事前に審査が必要と、こういうスキームになってございます。
新規化学物質の届出件数、我々が審査している件数についてのグラフでございますが、例年、大体約合計200件から300件程度で推移してございます。これらについて、環境省、経済産業省、厚生労働省で新規審査を毎月行ってございます。
これは新規化学物質の中には様々な特例制度がございまして、物質によっては多少審査の手続を簡便にしてございます。
その一つが、3ページ目に参りますが、少量新規化学物質というものでございます。全国の排出量が1t未満のもの、少量のものについては、手続を簡便化しているというものがございまして、これが例年大体2万件から3万件程度で推移しております。これらについても、先ほど申し上げたとおり各省のほうで審査いたしまして、3省の審議会においてチェックをしていると、このようなスキームになってございます。
1ページおめくりください。
一方、制度の変更についての更新状況についてご報告させていただきます。
化学物質審査法の中で特定の有害性があるというものにつきましては、第一種特定化学物質、第二種特定化学物質として指定してございます。
前回の審議会以降の動向といたしまして、4物質についてご報告させていただきます。
一番上のPFOA関連物質、3番目のメトロシクロル、UV-328と、デクロランプラス、最後のPFHxS関連物質、この3物質に関しましては、第一種特定化学物質として、上から2番目のポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル、いわゆるNPEと呼ばれるものですが、これが第二種特定化学物質としての動きをしてございます。
それぞれ物質につきまして、審議会のほうでご審議いただきまして、答申をいただいております。ボールは私ども政府のほうに参っておりまして、それぞれの改正状況について、右のほうでそれを記載させていただいております。
この資料を作成いたしましてから上から2番目、NPEに関しまして、制度のところで改正作業中となってございますが、今週の火曜日、9月24日に閣議決定し、明日、9月27日に公布、そして来年の4月1日に施行というふうになってございます。
これら詳細につきましては、この資料の後ろ、参考資料として、各物質の細かい情報についても情報提供させていただいておりますので、ご参照ください。
○市村環境リスク評価室長 続きまして、リスク評価室の市村のほうから、PFAS関連とエコチル調査、そして最後はHBM事業についてご報告をさせていただきたいと思います。
まずPFASにつきましては、PFASに対する総合戦略検討専門家会議第5回におきまして、「PFASに関する今後の対応の方向性について」が策定されました。こちらのPFOS、PFOAについてと、PFOS、PFOA以外のPFASについて、そして科学的知見等の充実について、今回ご紹介をさせていただきたいと思います。
まずPFOS、PFOAについては、以下4点の継続充実を図ることが必要とされております。
一つ目としましては、PFOS、PFOAの管理の強化等。例えば在庫量の把握であるとか目標値の検討等。二つ目は暫定目標値等を超えて検出されている地域等における対応。そして三つ目はリスクコミュニケーション。四つ目が存在状況に関する調査の強化等が指摘されております。
PFOS、PFOA以外のPFASにつきましては、二つの物質群に大きく分類して対応していくべきと指摘されております。一つ目は、物質群1としましては、POPs条約等で廃絶対象となっているもの。POPs条約の廃絶対象(検討中含む)となっている物質の優先的な管理の検討、そして存在状況に関する調査の強化等が指摘されているところです。
物質群2につきましては、それ以外の物質ということで、当面対応すべき候補物質の整理だとか、存在状況に関する調査の強化等、そして適正な管理評価手法等の検討をしていくべきと指摘されております。
科学的知見等の充実につきましては、国内外の健康影響に関する科学的知見及び対策技術等の継続的な収集が必要とされておりまして、既存の知見の収集のみならず、国内において関連する研究を推進すべきと提言されております。
こちら、ページ1枚おめくりいただきまして、このPFASに関する今後の対応の方向性を踏まえた当面の主な取組についてご紹介させていただきます。
一つ目は、科学的・技術的知見のさらなる充実、二つ目は汚染拡大防止に資する取組です。一つ目の科学的・技術的知見のさらなる充実としましては、①としまして、子どもの健康と環境に関する全国調査、いわゆるエコチル調査を活用しております。このエコチル調査を推進することで、PFAS、PFOS等の健康影響に関する知見を充実させていこうと考えております。また、②としまして、化学物質の人へのばく露量モニタリング調査の本調査、こちらのHBM事業と呼んでおりますが、平成30年度からパイロット調査を実施しておりまして、現在、専門家のご意見を踏まえつつ、PFASを含む化学物質の一般的な国民のばく露量を把握することを目的とした本調査の設計について、検討中でございます。
そして二つ目、汚染拡大防止に資する取組としましては、①としまして、PFOS等の含有泡消火薬剤の在庫量の調査の実施をしております。PFOSを含有する泡消火薬剤について、関係省庁・関係団体と協力して、4年に一度在庫量調査を実施しており、令和6年度は、PFOSに加えまして、PFOA、PFHxSを含有する泡消火薬剤の在庫量について、現在調査中となっております。
また、②としまして、POPs条約を受けた対応として、PFOA関連物質の化審法第一種特定化学物質への指定を進めるなど、POPs条約での議論等を踏まえた対応を行っておるところです。
ページ1枚おめくりください。
エコチル調査の概要です。エコチル調査、ご存じかとは思いますが、一応目的と概要を改めて説明させていただきますと、エコチル調査の目的というのは、化学物質のばく露等が胎児期から小児期にわたる子どもの健康にどのような影響を与えるかというのを明らかにして、リスク管理当局や事業者への情報提供を通じて、適切なリスク管理体制の構築につなげるということが目的となっております。
このエコチル調査に関しましては、2010年度から約10万組の親子を対象としており、現在も参加者の多くが協力を継続していただいているところです。また、このエコチル調査の特徴としましては、その生体試料が560万検体とかなり大量にあるということと、あとは毎年質問票等による追跡調査をしっかりと行っているところでございます。当初、学童期までの予定でしたが、この基本計画を改定しまして、13歳以降の調査に向けて、現在も取組を進めているところです。
左下のエコチル調査の実施体制は、全国15か所のユニットセンターが実施主体となってエコチル調査を推進しておりまして、そのコアとなるのが国環研にあるエコチル調査コアセンター、そして国立成育医療研究センターのほうで医学的なサポートをしていただいているところです。
研究成果につきましては、令和6年7月末時点で、全国データを用いた論文数は468点となっております。この中で化学物質に関する中心仮説に関するものは56点ということになっております。
次のページをご覧ください。
具体的にエコチル調査の成果の社会還元の例としましては、これまでPFAS、鉛等について食品安全委員会の評価書にエコチル調査のデータが採用されていたり、ガイドライン等のデータにエコチル調査の成果が使われているところです。左下が「評価書 鉛」の例で、右下が妊娠中の体重増加曲線に使われた例となっております。
次のページをご覧ください。
HBM事業についてとなっております。こちらは先ほどもお伝えしましたけれども、実践的な化学物質の管理に向けまして、人へのばく露実態を把握することが重要であると考えておりまして、実際に人の採血、尿を、生体試料を分析することで一般的な国民の化学物質のばく露を把握するということを目的としておりまして、今現在、パイロット調査を行っておりますが、来年度以降本調査を行うための、現在、設計を検討しているところでございます。
アウトプットとして想定される活用としましては、ストックホルム条約であったり水銀条約などの各種国際条約であったり、あとはリスク評価の精緻化などリスク管理政策にデータを使っていきたいと考えております。
本調査の設計につきましては、現時点の案でございますが、調査協力者につきましては150地域で約3,000名程度、そして生体試料は血液・尿・毛髪などの採取を想定しているところでございます。
以上が私からの報告となります。
○長谷川化学物質審査室長 続きまして、資料4、化学物質関係の主な国際会議についてという資料に移らせていただきます。化学物質関係の国際動向についてのご報告でございます。
1ページおめくりください。
前回会合以降の主要な国際会議についてリストアップさせていただいております。このうち青色部分、上の4件、あと下の2件が、前回以降、既に開催済みのものでございまして、黄色のものが今後開催のものでございます。黄色の上から二つ目、ストックホルム条約につきましては、今日現在開催中でございます。本日はこのうち青色部分、既に開催済みのところを中心にご報告させていただきます。
1ページおめくりください。
まず環境全体の動向としてのご報告から始めさせていただきます。
今、この分野におきましては、国際条例におきましては「3つの危機」という単語がよく使われております。その三つの危機は何かと申し上げれば、1行目に書いてございますが、気候変動の危機、生物多様性の損失の危機、そして汚染の危機でございます。この汚染の中には、当然化学物質による汚染、化学物質対策というものが含まれてございます。
これに関連する動きとしまして、本年3月の国連環境総会UNEA6におきましては、日本が、我が国が主導いたしまして、各国に2030年までのSDGs達成を促すということを目的とする、この三つの危機に対応するためのシナジー決議案というものを提出いたしまして、合意されたところでございます。
これに関連する動きといたしましては、昨年5月のG7広島サミット、こちらではネット・ゼロ、サーキュラーエコノミー、そしてネイチャーポジティブの統合アプローチなどシナジーの重要性というものが強調されたところでございまして、コミュニケ文書におきましても、気候変動、生物多様性、そして汚染と、こういうものの対応が必要である、それのためのシナジーが必要であると思う、このようなことがうたわれたところでございます。このようなことを念頭に置きながら、化学質関係での国際動向というものが動いてございます。
1ページおめくりください。
少し時計の針を戻しますが、昨年9月に化学物質に関する、今後数年間にわたる大きな合意というものがなされました。化学物質に関するグローバル枠組み、略してGFCと、我々は申しておりますが、これが昨年9月、ドイツのボンにおいて合意されました。今後数年間は政府のみならず産業界も含めて、2020年以降の化学物質と廃棄物の適正管理に関しての国際取組を進めていくというものでございます。
こちらは前回の審議会においても概要をご報告させていただきましたので、詳細は割愛させていただきますが、日本の化学物質政策に関しましても、このGFCに沿ったものとなるようこれから組み立てていきたいというふうに思ってございます。
1ページおめくりください。
5枚目でございますが、このGFC、化学物質に関するグローバル枠組みというものは、様々な大きな会合でも取り上げられてございます。その一例として、冒頭申し上げた三つの会議について述べさせていただきます。国連環境総会におきましても、このGFCについて、各国がそれを認識した上で適切に対応するようにということが合意されました。また、真ん中、G7気候エネルギー環境大臣会合、今年イタリアで開催されましたが、こちらにおきましても、GFCボン宣言などにつきまして、G7の間でそれを支持し、世界的にそれを取り組んでいこうということが合意されております。
また、OECDの閣僚級会合、今年に関しましては岸田総理が議長として参加されましたが、こちらにおきましても、合意文書の中で、GFCの実施支援をOECDとして進めていくと。そのためには基準やツールの開発、また指標の策定支援などをOECDとしてやっていこうということが合意されてございます。
1ページおめくりください。
少し話は変わりまして、それ以外の化学物質関係の動きといたしましては、化学物質・廃棄物の適正管理と汚染防止に関する科学・政策パネルに関しての議論というものが進んでおります。気候変動のIPCC、生物多様性におけるIPBESというものがございますが、それの化学物質・廃棄物のようなものというふうにお考えいただければと思っております。現在、第3回会合まで来ておりまして、来年の年明けぐらいに合意したいということを目指して、各国間で交渉をしてございます。
右側の真ん中に図がございますが、これまでの議論において、概ね大きな論点に関しては、既に合意が取れております。残りの論点がまだ幾つかございますので、来年1月の前の会議において、残りの部分について何とか合意を取りつけて、最終的なパネル設立に向けた取組を進めていきたいというふうに思っております。
我が国政府代表団として参加しておりますし、今日もご参加いただいている鈴木委員には、本件に対して様々なご支援、ご指導をいただいております。改めて感謝申し上げます。
あと、最初の1ページ、2枚目の資料に戻って恐縮ですが、会議資料のうち、本日ご報告していないものとして、下から四つ目、プラスチック汚染に関する政府間協議というものがございます。これは現在政府間協議中のものでございまして、ちょっとなかなかご報告する内容が難しいものでございますが、現在、第4回まで交渉が進んでおりまして、次回、第5回会合、これが最終回の予定でございますが、11月末に韓国で開催予定でございます。また結果がまとまり次第、こちらのほうにおいてもご報告したいというふうに思ってございます。
以上です。
○永田熱中症対策室長 続きまして、熱中症対策室より、資料5に基づきまして、今年の夏の熱中症対策などについてご報告を申し上げます。
おめくりいただきまして、スライド番号2でございます。
まず環境省といたしましては、気温のみならず、湿度や日射、輻射、風などを含めた暑さ指数、WBGT値に基づいて各種の施策を行っているところでございます。
2枚目左側でございます。我々、令和3年度より、熱中症警戒アラートというものを運用しております。こちらにつきましては、人の健康に係る被害が生ずるおそれがある場合に発表するものでございまして、WBGT暑さ指数につきましては、33以上と予測される場合に発表いたします。これまでの発表回数でございますけれども、令和3年度から年を追うごとに増えているところでございまして、令和6年度につきましては、まだ運用の期間の途中でございますけれども、史上最も多い1,494回を数えているところでございます。
続きまして、2ページ目の右側でございます。熱中症特別警戒アラートについてです。こちらにつきましては、令和6年4月、今年4月より運用を開始したものでございまして、熱中症警戒アラートよりも一段上の、人の健康に関わる重大な被害が生ずるおそれがある場合、暑さ指数としましては35以上が予測される場合に発表するものでございます。今年につきましては、幸いにして発表は一度もないというような形で夏を終えそうだということをご報告させていただきたいと思います。
続きまして、3枚目のスライドをお願いいたします。
熱中症警戒アラートの発表状況についてでございます。まず上の部分でございますけれども、気象庁の発表資料によりますと、1ポツでございますが、今年の夏、2024年の夏につきましては、1946年の統計開始以降、夏として史上最も暑いもの、1位タイの暑さであったということが公表されております。こちらにつきまして、その熱中症警戒アラートという観点で見てみますと、3ページ目の下でございますが、月別に分析しましたところ、7月、8月いずれにつきましても、毎年よりもかなり多いところでございまして、令和6年度9月2日までの発表回数実績に見ましても、これまでで最も多い延べ発表回数、また発表日数としてもこれまでで最も多いものとなりそうだというところでございます。
10月23日までに熱中症警戒アラートの運用は継続いたしますが、その運用が終了次第、我々としてもしっかり内容について分析をして、来年夏以降に向けて備えていきたいというふうに考えております。
資料おめくりいただきまして、4枚目でございます。
これ以外にも、環境省では熱中症対策に様々に取り組んでいるところでございます。
まず1番目でございますが、本日ご説明をさせていただいております、私のところでございますけれども、環境省大臣官房環境保健部に、今年4月に熱中症対策室を新設いたしました。
続いて2番でございます。ただいまご説明を差し上げました熱中症特別警戒アラートの運用を開始しております。今年につきましては発表実績なしとなっております。また、熱中症警戒アラートにつきましても、史上最も多い数で発表させていただいております。
3番でございます。熱中症対策につきましては、市町村職員、あるいは都道府県の方々といった地方公共団体の方の取組が非常に重要であると考えております。我々独立行政法人環境再生保全機構におきまして、こういった市町村の方々、職員の方々向けの研修を実施しておりまして、これまで対面、オンライン、eラーニング等と併せまして、1,100人以上の方につきまして研修を行っているところでございます。
4番目でございます。熱中症関連につきましては、環境省を中心としまして、関係省庁連名の事務連絡、あるいは環境省の事務連絡なども発出しております。
5番目、普及啓発の取組でございます。まず環境省熱中症予防情報サイトというものを運用してございます。昨年に比べて約1.5倍以上、年間8,500万回以上のアクセスをいただいている、非常に関心が高いというような状況となっております。また、環境省での公式Xは35万人、LINEにつきましても約35万人の方にご登録いただいて、我々のほうから積極的に情報発信に努めているところでございます。また、今年につきましては、熱中症になりやすい、熱中症で亡くなることが多い高齢者を対象としまして、ラジオを中心とした呼びかけをしておりまして、ラジオの聴取率から算出しましたところ、2,800万人以上の方に伝えられるような形で熱中症予防の普及啓発を行ったところでございます。
続きまして、5枚目でございます。
指定暑熱避難施設クーリングシェルターの制度でございます。こちらの制度は、今年4月から始まった制度でございまして、市町村長が一定の要件を満たす施設を指定暑熱避難施設、クーリングシェルターとして指定するという制度でございます。
左下でございます。それぞれの市町村1,700以上の自治体のうちの約4割を超える自治体におきまして、この指定暑熱避難施設が指定をされているところでございます。施設数としては全国で1万2,000施設以上が指定をされたところでございます。環境省としては、こういった市町村による指定を後押ししているところでございますし、お示ししているようなリンク集という形で、国民の皆様に分かりやすいように伝えてまいりたいというふうに考えております。
私からの説明は以上です。
○海老名放射線健康管理担当参事官 それでは続きまして、私のほうからご説明させていただきます。放射線健康管理担当参事官の海老名でございます。
資料6でございます。ぐぐるプロジェクトについてご説明をさせていただきます。
右下のほうにスライド番号がございますけれども、おめくりいただきまして、2をお願いいたします。
平成23年に発生いたしました東日本大震災によりまして、東京電力福島第一原子力発電所事故がございました。これにより環境中に放出された放射性物質による健康影響が事故当時懸念をされたところでございます。これを受けまして、福島県では福島県民を対象とした県民健康調査が開始されたところであります。この県民健康調査の結果などを踏まえまして、UNSCEAR、原子放射線の影響に関する国連科学委員会などが、健康影響などについての見解をこれまでに示しているということでございます。緑色の箇所になりますけれども、一つ目の急性障害については観測をされず、二つ目の胎児発生障害については全国調査と差がなく、三つ目の遺伝的障害については将来的な健康影響は見られそうにないとされているところでございます。
おめくりいただきまして、3をお願いいたします。
こちらのグラフをご覧いただきますと、先ほど令和3年3月にこの調査を行っておりますけれども、遺伝的障害、先ほど申し上げたところでございますが、全国4,200人の方へアンケート調査を行ったところ、影響が見られそうにないというのが科学的な結論でございますが、それとは異なる認識でございますが、可能性があるという回答をされた方が、グラフにお示ししたとおり4割いらっしゃることが分かったところでございます。
この誤った認識は、福島の特に子どもたちが、就職、あるいは結婚といった際に、差別や偏見に直面することにつながり、さらには福島県への風評につながるものであると考えまして、この誤解を解消し、2025年度までに4割を半減させる取組を開始することとしたことでございます。
おめくりいただきまして、右下4でございます。福島第一原子力発電所、事故のことや放射線に関することはなじみが薄く、事故から10年以上が経過いたしまして、新しい情報に触れる機会は少ないこともございまして、事故当時の情報や知識のままの方が多いのではないかと考えまして、下のグレーのところになりますが、「学び・知をつむ”ぐ”」「人・町・組織をつな”ぐ”」「自分ごととしてつたわ”る”」ことによって、福島の情報のアップデートなどにつなげる、ぐぐるプロジェクトを令和3年度から開始をしたところでございます。
このぐぐるプロジェクトという名称につきましては、つむぐの「ぐ」、つなぐの「ぐ」、伝わるの「る」の文字に由来しております。具体的な取組の内容につきましては、後ほどご紹介をいたします。
おめくりいただきまして、右下5でございます。
本年、令和6年3月に、スライド番号3と同じアンケートを全国2,000名の方に行ったところ、遺伝的障害について影響は見られそうにないという方が41.2%から37.3%に減少している状況にあります。引き続き誤解の解消に努めてまいりたいというふうに考えております。
おめくりいただきまして、右下6でございます。
行動経済学ご専門の大阪大学経済学部の大竹文雄先生のご指導の下、情報提供の仕方により誤解が解消されるのかを、先ほどの調査の際に併せて検討しております。お示ししている四つのパターンの情報提供で、先ほどの遺伝的障害の認識が変化するのかを確認しているところでございます。
おめくりいただきまして、右下7でございます。提示なしというのはスライド番号5番と同じデータになりますが、最も認識が変化するのは一番下の環境省調査結果の提示となりまして、これは福島県出身の知り合いがいる人や福島県産食品に安心感を持つ人の70%以上は、福島第一原子力発電所事故の被災地における放射線について、次世代以降の人、将来生まれてくる子どもや孫などへの健康影響の可能性は低いと考えているという情報を提供したものになります。福島にゆかりのある人の多くが放射線による遺伝障害の可能性が低いと考えていることを伝えると、認識が変化しやすいという結果になっております。
おめくりいただきまして、右下8でございます。
こうした結果を踏まえまして、今年度より、福島に住む若者が自ら福島のことを情報発信する取組を開始することといたしました。ふくしまメッセンジャーズと名づけております。福島の方々の情報を受け止めた方が、福島に親しみを持ち、福島の今を知っていただくことで正しい知識を持つ方が増えていくことを期待しているところでございます。
おめくりいただきまして、右下9でございます。
詳細は割愛させていただきますが、ふくしまメッセンジャーズの活動予定となっております。今月末までメンバーの募集をしており、10月以降、年度末にかけて取組を進めていく予定でございます。
おめくりいただきまして、右下10でございます。
こちらが令和3年度から取り組んでおります、放射線の健康影響について学び、学んだことを情報発信する取組であるラジエーションカレッジの紹介になります。多くの方に学んだことを作品として応募いただいておりまして、資料の下のほうに作品例を掲載しております。これらにつきましては、ぐぐるプロジェクトのホームページからご覧いただくことが可能でありますので、ご関心がございましたらアクセスいただければというふうに思っております。
ぐぐるプロジェクトについてのご説明は以上でございます。
○森特殊疾病対策室長 続きまして、特殊疾病対策室の森でございます。
資料7をご覧ください。脳磁計とMRI等を活用した水俣病の健康調査のあり方に関する研究班令和5年度研究報告書について説明させていただきます。
前々回の第51回環境保健部会におきましては、本研究班の採択をご報告いたしました。本日はこの1年目の研究結果をご報告いたしますが、その前に、既にご存じの内容にもなりますけれども、健康調査に係る経緯を改めて簡単にご説明いたします。
2枚目をご覧ください。
平成21年に成立しました水俣病被害者特措法の第37条におきまして、政府は健康に係る調査研究を行うこと、及びこのための手法の開発を図ることを規定しております。
環境省としましては、この規定も踏まえ、脳磁計及びMRIを用いて、メチル水銀による脳への影響を客観的に評価するための手法の開発に取り組んでまいりました。こうした研究成果につきまして、令和4年、国立水俣病総合研究センターにて報告会を開催いたしたところでございます。
3枚目をおめくりください。
具体的な研究成果になりますけれども、1ポツの二つ目、脳磁計とMRIの組合せにより、水俣病認定患者のうち約8割でメチル水銀による影響の可能性を示す反応検出、また、米印にありますように、健常者でも約1割で同様の反応を検出いたしました。
これらの結果を受けまして、脳磁計とMRIを用いた評価法のみで個別の判定を行うことは精度上の課題がございますけれども、メチル水銀による脳への影響をある程度客観的に評価でき、特措法の定める健康調査に活用できる可能性があると考えまして、評価法の精度として一定の段階には到達したものと整理したところでございます。
こうした結果も踏まえまして、2ポツにありますように、専門家の議論を十分踏まえながら、遅くとも2年以内、令和8年度を目処に健康調査を開始できるよう、必要な検討準備を進めることと考えております。
4枚目をおめくりください。
専門家の議論としまして、令和5年度に健康調査のあり方の検討について研究公募を行い、採択されました研究班の令和5年度研究報告書の概要が4枚目となります。
主任研究者は下にありますけれども、宇都宮市保健所保健医療監で自治医科大学名誉教授の中村好一先生。また、研究協力者は記載のとおりになりますが、健康調査を行う上での技術的な課題や手法等について、公衆衛生学、生物統計学、脳神経内科学等の観点を踏まえて、調査デザインの検討を行いました。
四角に囲んでありますけれども、調査実施の前提・留意事項としまして、脳磁計及びMRIを活用して地域間(群間)の比較を行う調査となること。二つ目、対象地域や被験者の抽出に当たっては、代表性の確保や適切な分析のための調査項目の設定の必要性。三つ目、統計学的な必要性の確保と検査キャパシティー等を踏まえた実現可能性を踏まえた検討の必要性。四つ目、各種バイアスへの配慮や、また、地域の実情を踏まえた慎重な検討や丁寧な調整、関連する倫理指針を踏まえる必要性等が挙げられております。
調査項目としましては、問診、脳磁計、MRIによる検査、神経学的所見、診察等が挙げられております。また、調査対象としまして、地域間の比較を行う観点から、水俣病認定患者の発生地域、その周辺地域、また、有機水銀汚染とは無関係の地域といったものが挙げられております。
検討課題としましては、調査項目、対象地域、対象者数等のさらなる検討が必要であること、また、除外する対象者や具体的な調査の実施方法等の検討等が挙げられております。
本研究班は今年度を2年目として継続をしておりまして、こうした議論も踏まえながら、健康調査の実施に向けて必要な検討準備を進めてまいりたいと考えております。
説明は以上になります。
○伯野国水研所長/審議官 続きまして、国立水俣病総合研究センターの所長で、環境省の大臣官房審議官を兼務させていただいております伯野でございます。
本日は、国立水俣病総合研究センターの所長としての立場から、資料8に沿ってご報告を申し上げます。
資料8の、めくっていただいて1ページ目をご覧いただければと思います。
長期目標及び中期計画というタイトルのものでございます。歴史的な背景を簡単にご説明させていただきますと、国立水俣病総合研究センターでございますが、1978年に熊本県の水俣市に設置されております。長期目標としましては、一番上にございますが、我が国の公害の原点と言える水俣病と、その原因となったメチル水銀に関する総合的な調査・研究、情報の収集、整理、研究成果や情報の提供を行うことにより、国内外の公害の再発を防止し、被害地域の福祉に貢献することを掲げております。
国水研でございますが、水俣病と水銀に関する研究機関ではございますが、調査・研究のみならず、国際貢献・地域貢献にも取り組んでいるところでございます。
本日は、長期目標の下で5年を単位として策定している中期計画2020というのがございます。その重点項目の一つである地域の福祉向上への貢献に関する取組について、ご説明をさせていただきます。
次のスライド、2ページ目をご覧いただければと思います。
水俣病被害者特措法第36条に基づきまして、政府は地域住民の健康の増進や健康不安の解消、地域社会の絆の修復、地域の振興等を図るための事業を実施するとされております。こちらは、国水研だけではなくて、本省の特殊疾病対策室と連携しながら各種取組を進めているところでございます。
まず、医療福祉政策の充実についてでございます。水俣病患者さんの生活の質の向上、QOLの向上を目的に、個々の利用者の症状をニーズに応じてリハビリテーションを実施しているところでございます。例えばB-SESによる下肢の筋力増強だとか、ACSIVE・aLQを用いた歩行能力の維持改善、腰の神経根の磁気刺激による筋肉のこわばりの軽減など、より多くの症状だとか、あるいはニーズに対応できるように、現在取り組んでいるところでございます。あわせて、こういった取組をしながら有効性のエビデンスのようなものを収集しているというような状況でございます。
また、水俣市と出水市の社協と連携をしました福祉支援活動についても、地域見守り活動等支援事業と申しまして、地域福祉コーディネーターを配置して、ふれあいネットワークの推進、ボランティア活動の推進といった事業を推進しているところでございます。
次のページをご覧いただきまして、3ページ目でございますが、地域社会の絆の修復についてです。
水俣においては、水俣病の発生が原因で、人と人との関係、自然と人との関係が壊れてしまい、水俣で水俣病と正面から向き合って対談し協働する取組を「もやい直し」と名づけて実施しているところでございます。
地域社会の絆の修復に向けて特対室のほうで、ご案内のとおり慰霊式等の行事、あるいは、語り部等による講話等を実施させていただいているところでございます。またあわせて、国水研としましては、水俣病に関する病理標本等の影響保存のためのデジタル化、あるいは、水俣病及び水銀に関する資料整備の推進、情報発信等に取り組んでいるところでございます。
最後に、地域環境資源を活用した産業基盤の強化、まちづくりを通じた地域振興についてです。
こちらは概ね国の事業でございますが、水俣市内に設置された水俣環境アカデミアという施設において、教育、研究、あるいは産学官民連携の推進、農業や肥料に頼らない環境配慮型の農業の実践、生態系に配慮した形での護岸整備を行うことによって、海藻等が繁茂する良好な水生生物の生育場を創出しまして、水産業の振興を図っているところでございます。
国としては、こうした取組の支援を通じまして、水俣病発生地域における地域づくりの推進を積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
資料8は以上でございます。
○辰巳石綿健康被害対策室長 続きまして、石綿健康被害対策室の辰巳から説明いたします。
公費負担医療制度等の電子資格確認の導入について、資料9によりご説明申し上げます。
公費負担医療制度や自治体が単独で設けた医療費等助成制度について、マイナンバーカードを受給者証として利用し、医療機関・薬局で受診できるよう、必要な取組が推進されているところでございます。これは情報連携基盤、PMHの構築・運用により実現されるものでございます。
下のフロー図についてご説明いたします。
フロー図の説明に入ります前に、石綿健康被害救済制度における医療費の支給についてご説明いたしますと、環境再生保全機構が、被認定者の方に対しまして、石綿健康被害医療手帳を発行し、被認定者の方が医療機関でこの手帳を提示することで機構は医療費を支給する、これが現行の流れとなってございます。
フロー図の方でございますけれども、右上のオレンジ囲みのところ、自治体等とあります中に、環境再生保全機構が含まれるものでございます。左上のブルー囲みの公費医療受給者が当制度における被認定者の方となります。また、黒矢印の公費医療受給者証が当制度における石綿健康被害医療手帳に相当します。
続きまして、真ん中の青い円柱のPMH・関連システムをご覧ください。公費負担医療制度等の電子資格確認における情報連携基盤、PMH、Public Medical Hubでございまして、このPMHを介することでマイナンバーカードを受給者証として利用できるようになるというものでございます。
本文に戻りまして、3ポツ目の環境保健部における検討状況についてご説明いたします。
公費負担医療制度である石綿健康被害救済制度及び水俣病被害救済制度等におけるオンライン資格確認の導入について、医療DX工程表に沿って、法整備も含めた対応を検討しているところでございます。
説明は以上でございます。
○堀内保健業務室長 それでは続きまして、資料の10でございますけれども、保健業務室長の堀内でございます。
公害保健福祉事業における新型コロナワクチン接種費用助成事業(仮称)の追加について、ご説明させていただきます。
資料2枚でございますけれども、冒頭1枚目の1ポツにございますように、公害健康被害の補償等に関する法律第46条に、公害保健福祉事業というものが位置づけられてございまして、被認定者の指定疾病による被害を予防することなどを目的に実施しております。
現在、この1ポツに、(1)番から(6)番までの事業が定められ、直近では今年度から禁煙治療の助成を開始させていただいておりますが、今回ご報告する新型コロナワクチンに関しては、既に呼吸器感染症に対するワクチンとして(5)にインフルエンザの予防接種費用の助成がございますが、これに引き続くものとして、旧第一種地域の認定、すなわちぜん息等の呼吸器疾患を罹患する高齢の被認定者に対し、認定疾病増悪防止のために新たに位置づけを検討しているものでございます。
2ポツに本事業の概要がございますけれども、新型コロナワクチンの予防接種につきましては、昨年度、令和5年度までは、全額公費による接種が行われておりました。今年度から65歳以上の高齢者等に対し、定期予防接種として、この10月から開始予定というところでございます。
3の今後の予定でございますけれども、今年度からの新型コロナワクチン接種体制についての決定につきましては、昨年度の後半に決定されましたことから、今年度の福祉事業等の予算措置は間に合わなかったということでございまして、現在、令和7年度から実施できるよう準備を進めるべく概算要求中でございます。
制度のイメージについてはその下にお示ししておりますが、流れといたしましては、これまでに実施しておりますインフルエンザ予防接種の助成事業と同一のスキームとなります。
簡単ですが、ご説明は以上です。
○大塚部会長 はい、ありがとうございました。それではご質問、ご意見がございます方につきましては、会場の方は名札を立てていただき、WEB参加の方は挙手アイコンにてお知らせください。順次お名前をお呼びいたします。WEB参加の方はご発言の際にミュート解除を忘れずにお願いいたします。
高岡委員、お願いします。
○高岡委員 ありがとうございます。私のほうからは、資料3の化学物質の国内対策についてというところの、エコチル調査のところについてお尋ねをしたいと思います。
エコチル調査は2010年から実施されて、非常に重要な研究をずっと続けていただいて、多くの成果が出ているということで、本日も社会還元の例が示されております。その次のHBMについてのところで、例えばアウトプットとして想定される活用として、ストックホルム条約や水銀条約などが書かれておりますが、既にこのエコチル調査で、そういった国際的なところに用いられているような事例があれば、ご紹介いただければと思って質問させていただきました。
以上です。
○大塚部会長 はい、ありがとうございます。
フロアのほうはほかにはいらっしゃらないですか。では鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。資料の3と4かな。ご説明ありがとうございます。特に個別にどうこうというわけではないんですけれども、UNEA等で決められた三つの危機というご説明をいただきまして、気候変動、生物多様性の損失、汚染という三つの危機、これ重要なキーワードと常に思っておりますけれども、私が感じる限りにおいて、これ説明いただいたところ、資料4かな。この3ページの絵とかを見ても、汚染の危機というものに対して、環境省の取組というのが、何かいまいち、いま一つ統一的に行われていないように見えるような気がするときがありまして、その前の資料3でのご説明でも、多分PFASに関しても、あるいはほかのことに関しても、当然ほかの部局とも、あるいは、他省庁ともお話をされているのであろうということはある程度伺ってはおりますけれども、多分この汚染の危機というものは、多分大事なことだと思いますし、そこに対して取り組むときに、これは私の観察でありますけど、どうもこの分野は公害から始まる伝統的な分野であるがために、ある意味実行する方々がたくさんのセクションがおられて、かえって話が難しくなっているという印象をずっと持っておりまして、それは特に、いろんな他の部局、他の省庁と連携というのはやはり今非常に重要なんじゃないかと思っております。ですので、もしその汚染の危機というものに関して、環境保健部は化学物質対策が中心であるということはおっしゃるとおりだと思いますが、どのように他省庁と連携をまとめていくかをお考えいただければありがたいと思いました。
以上です。
○大塚部会長 はい、ありがとうございました。
何人かまとめてご回答いただきたいと思っておりますが、では青木委員、お願いします。
○青木委員 フロアの青木でございます。
2点ございます。第1点は、まず先生方からお話がありました、化学物質の人へのばく露量モニタリング調査のことでございます。国際的に見て、我が国がちょっと遅れているというのは事実だと思いますので、ここで非常に大きなプロジェクトとして動かしていただけるということは非常にすばらしいことだと思っています。
ただ、環境施策としてやる以上は、環境からの化学物質のばく露、いわゆる環境中の存在量と、これはちょっと理想論かもしれないんですけど、やはり体内の蓄積量、あるいは存在量との関係が分かるような制度設計というか、研究のデザインをぜひしていただきたいと思うところです。ただ、なかなかそれは難しいので、ちょっといきなり理想論を言われても、とはよく分かるんですが、せっかく始めるからには、そこら辺のところをぜひ明確なイメージを持っていただきたいというふうに思うところでございます。
それから第2点が、福島の取組は非常にすばらしい取組だと思います。ぜひ進めていただきたいんですが、ただ、このようなリスクコミュニケーションのとき、私はリスクコミュニケーション専門家でもないんですが、いろいろな話を伺う機会というのは昔からあるんですが、そういうときに気をつけなくてはいけない、つまり、話を聞く側としていつも思うんですが、やはり上から目線のリスクコミュニケーションにならないように注意していただきたいというところでございます。確かに理解を促進するという意味で、なかなか理解を進めていただけていない、なかなか理解が広まっていないというところ、これは確かに問題だと思うんですが、それを強引にするものでもない。つまりやはり時間がかかるものであるということ、じわじわとやっていくものだと思いますので、そこら辺のところはぜひご留意いただきたいところでございます。
以上でございます。
○大塚部会長 はい。ありがとうございました。
ではオンラインで山口委員、お願いします。
○山口委員 連合の山口です。
今回取り上げられた事項の中から、3点について申し上げさせていただければと思います。
1点目は化学物質関係の国際的な動きについてです。昨年9月のICCM5でGFCが採択されたところです。今後、このGFCの国内実施計画に関する議論が進むというふうに伺っているところですが、連合として化学物質に関する視座は労働安全衛生ということで、この国内実施計画の検討において労働者の意見が反映できる機会を担保いただければというふうに考えております。
2点目は熱中症対策についてです。2024年は、皆さんご承知のとおり、気象庁が統計を取り始めた1898年以来最も暑い夏だったということで、熱中症を予防するために様々な取組がなされていることをご報告いただきました。こうした取組にもかかわらず、9月15日までの熱中症による救急搬送人数は、昨年を大幅に上回り、その半数は高齢者が占めているというような実態があります。高齢者は特に暑さを感じにくいというふうに言われておりまして、省エネとか節電の観点からもエアコンの使用を控える傾向にある。そうしたことも踏まえて、引き続き省エネや節電よりも自身の健康や生命を優先すべきということを一層強調し、高齢者に限らず効果的な熱中症対策をより分かりやすい形で周知啓発いただければというふうに思います。
3点目は、ぐぐるプロジェクトについてです。連合は、東日本大震災以降、毎年福島へ伺って、被災地でのヒアリングを行っています。そこで得られたご意見ですとか知見というものを踏まえて連合の政策や制度要求に反映するという取組を行っていまして、今年も現地へ伺ってきたところです。
報告にあったこのぐぐるプロジェクトやふくしまメッセンジャーズは、事故から13年たった福島の復興を後押しするすばらしい取組だと考えているところです。本格的な帰還がスタートした福島の復興は息の長い取組ですのでこうした若者の力が必須だと考えています。若者が主役となるふくしまメッセンジャーズの取組をさらに周知して、積極的に進めていただきたいというふうに考えています。
以上です。
○大塚部会長 はい、ありがとうございます。
以上で5名になりましたので、ちょっとここで一旦切っていただいて、ご回答をお願いしてよろしいでしょうか。
○市村環境リスク評価室長 はい。まず初めに、エコチル調査の成果が国際的に使用されたことがあるのかというところの高岡委員のご質問に対してなんですが、端的に申しますと、残念ながら今のところエコチル調査の成果そのものが国際的な委員会等で使われたことはないという状況でございます。
ただ、エコチル調査においては国際連携を非常に重視しておりまして、同様な出生コホートを行っている各国との連携ということで、ECHIGという国際的なアカデミアのグループがございます。これは毎年1回フランスで対面の会合を行っていたりとか、アカデミアの先生方が2か月ごとにWEBミーティングをしたりとかして、研究成果の共有等をしているところです。
2点目、青木委員のほうからのご指摘、HBMについて、ばく露量の評価と、血中濃度をしっかりと念頭に置いた制度設計があるべき、理想論としてはあるべきというところなんですが、確かにご指摘のとおりでございまして、我々としましては、スナップショット的なHBM事業なんですが、先生ご指摘のとおり、ばく露量の情報というのも、できるだけ追加で情報収集できるような制度設計としたく、同意書の中に、追加で健康情報であったり、ばく露の関係する情報を得る可能性がある、追加の調査の可能性があるというような項目を入れて、単なるスナップショット的なものではなく、ほかの研究でも使えるような同意書にして、HBMに参加していただいた方々を対象とした追加の研究ができるような仕組みを検討しているところでございます。ありがとうございます。
またあと、リスコミについては、我々としましてもリスコミの専門家の意見を聞きながら、丁寧なリスコミを行っていきたいというふうに考えております。ご指摘ありがとうございます。
○鮎川企画課長 続きまして、鈴木委員からのご指摘、叱咤激励というふうに受け止めておりますが、おっしゃるとおり、公害規制、非常に伝統があるがゆえに、いろんなところに部局があり、またその関係省庁も多岐にわたるという中で、連携がいまいちよく見えてこないというご指摘でございます。それは真摯に受け止めまして、部局連携、あるいは他省庁との連携含めてしっかりやっていきたいと思います。
その上で、一つ例を申し上げますと、報告の中にもございましたが、PFASが非常に大きな課題になっている中で、例えば省内の連携ということで申し上げますと、本日、国水研の所長としてこちらのほうに来ております伯野審議官は、水・大気環境局担当の審議官でもございます。PFASについての健康影響の調査とか、あるいは、化学物質審査規制法の運用は保健部がやり、水道の関係あるいは公害規制の関係については水・大気がやるというふうに部局が分かれておるんですが、保健部の部分も含めて全て伯野審議官の所掌であるという形で、人事含めて連携というものをやっていると。さらにこのPFASに関しては、食品安全委員会その他の府省庁と、非常に密に連携を取っております。
まだまだ不十分なところがあるかもしれませんが、そういった形で環境省の一つの部局だけで全てが解決するわけでは当然ございませんので、こういったことをさらに強化をしてまいりたいと思います。
以上でございます。
○長谷川化学物質審査室長 続きまして、山口委員からご指摘いただきました3点のうちの1点目、化学物質の国際枠組みの件について回答させていただきます。
ご指摘のとおり、グローバル枠組みの国内実施計画、これから作成する予定でございます。関係省庁間での議論を進めてまいる予定でございますが、ご指摘のとおり、労働関係の方々を含め、関係する方々が多数いらっしゃいますので、その方々との間でも政策対話という場を設けましてご意見をいただき、それを国内実施計画に適時適切に反映していきたいと、このように思っております。ご指導を今後ともよろしくお願いいたします。
○海老名放射線健康管理担当参事官 それでは私のほうから、福島の関係のご意見をいただきまして、ありがとうございました。また、青木委員のほうからもリスクコミュニケーションの進め方についてお話を頂戴し、ありがとうございます。
今日はぐぐるプロジェクトのみをご説明いたしましたけれども、実は福島にお住まいの方に対するリスクコミュニケーションもやっておりまして、例えばそういう場では車座という形で話しやすい雰囲気をつくって同じ目線で話をするとか、そういったリスクコミュニケーションする相手の方、あるいは、その方の持っているバックグラウンド、そういったものをいろいろ分析をしながら、また、相手の方のニーズを聞き取りながら丁寧なリスクコミュニケーションをやっておりますので、引き続き、上からの目線にならないように、相手の理解をいただきながら丁寧なコミュニケーションを、時間をかけながらでもしっかりやっていきたいというふうに思っております。
それから、山口先生のほうからは、ふくしまメッセンジャーズについての応援のメッセージをいただきまして、ありがとうございました。新しい取組でございますけれども、やはり福島の若い方たちの力を借りながら、福島の今を知っていただいて、それが風評、あるいは誤解、差別そういったものの払拭につながっていければというふうに考えておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。ありがとうございました。
○永田熱中症対策室長 熱中症対策室長でございます。
山口委員からの指摘の2点目、熱中症に関連しまして、普及啓発をしっかりしていきなさいというご意見についてでございます。
本日のご紹介は一部でございます。様々な、今日ご紹介を差し上げたもの以外にも、実際のイベント、物理的なイベントもいろいろやっておりますし、様々な情報発信なども努めているところでございます。一方で、伝えるということだけではなくて、高齢者の特性も踏まえて、実際伝わること、またその伝わった上で行動を変えていっていただくことということは非常に重要なことだというふうに我々も思っているところでございます。
2025年の夏、また、その先の夏も含めまして、様々にいろいろな方法で、我々も普及啓発を頑張っていきたいというふうに思っております。ご指摘ありがとうございました。
○大塚部会長 以上でご回答は終わったかと思います。ありがとうございます。ではまた質疑のほうに移らせていただきたいと思いますけれども、オンラインのほうで、石塚委員、お願いします。
○石塚委員 石塚です。よろしくお願いいたします。
2点あるんですけれども、まず1点目が、資料3のエコチルのほうの、最後のHBMのお話なんですけれども、ちょっと細かい質問になるんですけれども、その制度設計の中で、データベースの管理についてお尋ねしたいんですが、こちらは外部の研究者等が利用できるような体制を将来的に想定されているのか、それとも、かなりクローズドな形で進められることを想定されているのかについて、お伺いできればと思います。
2点目なんですけれども、ぐぐるプロジェクト、資料6なんですけれども、今回ご報告いただいたのが2023年度の調査というふうに書かれてありましたが、ホームページのほうは2024年度の実施分も公開されていると思うんですけれども、そちらのほうで、例えば年代であったり性別であったり都市であったり、いろいろなちょっと細かい情報等が出されているんですが、次世代以降への影響の可能性が高いと回答されている方がどんどん減っているかと思うんですけれども、こういう回答されている方がどういうような傾向があるのかというのがもしも分かることがあれば教えていただければと思います。
以上です。
○大塚部会長 はい、ありがとうございます。
では、奥委員、お願いします。
○奥委員 ありがとうございます。私も資料3のエコチル調査とHBMについてお尋ねしたいと思います。特にPFASが非常に化学物質管理政策の中でも重たい、そして重要かつ喫緊の課題として浮上している中で、まずエコチル調査において、2010年度から継続的に実施されているものでありますけれども、PFASについてどの程度その影響が把握され、フォローされてきたのかというところ、そこを切り分けて示すことがそもそもできるのかどうかというようなところをお伺いしたいというのが1点です。
それから、HBMについてなのですけれども、背景と目的の三つ目のポツに、PFASを含む化学物質の調査も今後されていくということで、検討中ということなのですが、ここに一般的な国民のばく露量を把握することを目的にというふうに書いてありますけど、一般的なというのが何を意味するのかということを確認したいと思っております。
本調査設計(案)という一番下のところの一番左側ですが、調査協力者募集をすると。150地域で3,000名程度というふうにあるのですけれども、ここと、多分一般的な国民のばく露量把握というところが関連しているんだろうと思うのですが、資料3の5ページでご紹介いただきましたPFASに対する総合戦略検討専門家会議においても、特に暫定目標値等を超えて検出されている地域等において今後しっかり対応していくと、これはPFOS、PFOAについてですけれども、それ以外の、PFOS、PFOA以外のPFASについても、やはり状況把握をしていくということが方向性として示されている中で、既に暫定目標値を超えてPFASが検出されている地域というものがある中で、そこについてのばく露量モニタリング調査というものをしっかりしていくということがまずは求められるのではないかというふうに思うんですけれども、それプラス、当然、それ以外の地域においての一般的な状況把握というものもなされるべきだと思いますが、そこをどういうふうに制度設計の中で考えられるのかというところを確認させていただきたいと思います。
そして関連してなんですけれども、調査をした結果ですね。特にその血中濃度が暫定目標値を上回っているような、そういう結果が出た場合の被験者というんでしょうか、この協力していただいた方に対してのフォローをどのようにしていくのかということも、やはりしっかりと考えておく必要があろうかと思います。
地方自治体においても、特に暫定目標値を超えるような値が検出されているような地下水や井戸を有しているところにおいては、住民から血中濃度の健康調査が求められているという、そういう声が出ている中で、ただ、じゃあ調査した結果を踏まえてどういう対応が自治体としてできるのかというところがまだ十分に検討ができていないので、なかなかその調査に自治体としては踏み切れないなというところもございまして、国としてそこはしっかりと調査結果を踏まえた後のフォローアップというところもご検討いただく必要があるかなというふうに思っております。
以上でございます。
○大塚部会長 はい、どうもありがとうございます。
ほかにご質問、ご意見はございませんでしょうか。ここで打ち切ってよろしいですか。
ではどうぞ、白石委員、お願いします。
○白石委員 今、ご質問があったところと関連するので。HBMですけれども、これの対象物質ですね。対象物質はどのように選定されるのかということについて、今、PFOS、PFOAみたいな話がありましたけれども、POPsみたいなものは非常に簡単で、これまでも、これは本調査でやっていたけど、生物の、人体の試料が国際的には求められる状況下で必要だねという話がありますが、そのほかについて、様々で、HBMに向いている物質もあるし、向いていない物質もあると思いますので、どのように選定していくか、あるいは今基準の話が出ましたけれども、それの解釈について、何かお考えがあればと思います。よろしくお願いします。
○大塚部会長 はい、ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 ではこれで全て承ったというふうにさせていただきたいと思います。
ではご回答をお願いします。
○市村環境リスク評価室長 はい。初めに、エコチル調査、石塚委員からのご指摘ですね。エコチル調査、HBM、データベースは外部の第三者が利用可能なのか、あるいはクローズドなのかという件につきましては、こちらは同意書、本調査においては同意書の中で、しっかりと今後外部の先生、第三者の利活用が可能となるような同意書にしたいと考えているところです。現在、検討中でございます。
奥委員のご指摘につきまして、ご回答させていただきます。
エコチル調査において、これまでどの程度PFAS関連の研究成果が出たかということ、どの程度把握しているかということについては、母体のPFAS血中濃度、約2万5,000症例について、既にエコチル調査内で研究者には公表しているところです。その中で、今のところ3本の研究論文が発表されておりまして、2本がネガティブな結果でした。母体のPFAS血中濃度と子どもの健康影響についての相関はなかったものとしては、ぜん息と川崎病についてです。もう一本は、母体のPFAS血中濃度と染色体異常について、相関関係があるという結果が出ております。
ただ、エコチル調査自体のリミテーションとしまして、染色体異常が最も多く発生する12週以前の妊婦さんはリクルートしていません。基本的にはエコチル調査というのは12週以降の妊婦さんのリクルートになっていますので、これはもう出生コホート全体に言えることなんですが、妊孕性に係る疾患についての解析、その原因についての研究というのは、本質的に困難であり、リミテーションがある中での結果として出ております。現在、PFAS、PFOS関連について、十数テーマについて研究者が解析を進めているところでございます。
また、2点目のご質問、HBMにおいての、一般的な国民というのはどういった定義かということについては、その対比として、先ほど挙げられた高濃度汚染が危惧されるような地域というのが出ていましたけれども、そういった高濃度汚染が危惧されるような可能性があるような地域ではない一般的な環境にお住まいの国民のPFASの血中濃度を測定するということになっております。つまりこれは、今後いろいろな疫学研究がある中で、一般的な環境にお住まいの国民が、どの程度PFASにばく露しており、どのようなPFAS血中濃度の分布となっているのかを調べるものであり、基準値、標準値を提供するのがHBM事業の目的となっております。
一方で、高濃度汚染が指摘、危惧される地域においての疫学調査については、基本的には、まずは地域診断として既存統計の活用を、我々としては地方自治体に推奨しているところでございます。なおかつ、その後の健康フォローについては、現時点では健康影響、個々の健康影響、PFASと個々の健康影響というのは明確に明らかになっているわけではないので、既存の健診等でフォローをしっかりしていただきたいと考えているところです。
ただ、やはりこれは科学的に評価可能な疫学調査をしっかりすべきであると我々は考えておりますので、そういった地域においての疫学調査、科学的に評価可能な疫学調査については、我々としても推進していきたいと考えているところです。
あと最後に、白石先生ですね。HBM事業の対象物質をどのように選定しているのかということにつきましては、これはHBM事業の中で、そのHBM事業を進める専門家の会議がございます。その中で、その都度、測定すべき化学物質についてご議論いただいて、専門家のご意見を基に、HBMの期間ごとに、大体3年間で1期間になっているんですが、1期間ごとにどういった化学物質を測定するかというのを専門家のご意見を聞いて判断しているというところでございます。
以上となります。
○海老名放射線健康管理担当参事官 それでは続きまして、放射線の健康影響に関するアンケート調査の関係について、石塚委員からご質問いただきました。調査から分かる傾向というようなご質問だったというふうに理解をしております。
これは毎年、既にホームページ、石塚委員、ご覧いただいているということで、ありがとうございます。ホームページのほうでも過去のデータをずっと掲載しておりますけれども、これはもう各年度同様の傾向でございますが、男性女性で比べると女性のほうが影響が高いという認識をされている方が多いということ。それから、年齢が上がるに従って影響があるというふうに考える方が増えていくという傾向がございます。これはもう経年的に過去もそういったデータですし、今回も同様の経過でございました。
そういう意味では、今回のふくしまメッセンジャーズは、若い方が情報発信した場合、若い方が、先ほど申し上げたとおり受け止めやすいと。そうした中で、例えばご家族の中、あるいは親御さんとの会話の中で、そういった年齢が高い方に、若い方から生の声として、福島の子たちはこういうことを言っているよというふうに伝えていただくほうが、役所から直接的な、一方的な情報発信よりも効果があるのではないかというような期待もしておりまして、今回、ふくしまメッセンジャーズにはその傾向、いわゆる女性、あるいは年齢が高いに従って誤解が多いというところにも対応できるんじゃないかというふうに考えております。
このメッセンジャーズの実際の情報発信を経て、この調査がどうなるのかということについて、しっかり注視をしてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○大塚部会長 はい。ご回答は以上でよろしいでしょうか。
ではご質問、ご意見もほかによろしいでしょうか。今のご回答との関係でも何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 ありがとうございます。ではご質問、ご意見がないようでございますので、本日の議事は以上となります。ご担当の皆様におかれましては、大変ご苦労なさっていらっしゃると思いますけど、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
では事務局に進行をお返しします。
○鮎川企画課長 部会長、ありがとうございます。
本日は活発なご審議いただき、委員各位の皆様、ありがとうございます。
本日の議事録につきましては、原案を事務局のほうで作成いたしまして、委員の皆様にお送りしてご確認をいただきます。その後に確認が取れたものにつきまして、環境省のホームページに掲載をさせていただきたいと思います。
次回の環境保健部会の日程につきましては、改めてご連絡、ご相談を申し上げます。
それでは、第53回中央環境審議会環境保健部会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。
 
午後4時28分閉会