令和5年度第7回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、令和5年度化学物質審議会第2回安全対策部会、第239回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会【第一部】議事録

開催日時

令和5年11月17日(金)13時00分~14時50分

開催方式

経済産業省内会議室 及び オンライン(ハイブリッド)

出席(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員
稲見 圭子      小野 敦      北嶋 聡
齋藤 文代      杉山 圭一     頭金 正博
豊田 武士      平林 容子(座長) 広瀬 明彦
北條 仁       増村 健一
 
化学物質審議会安全対策部会委員
石川 百合子     小野 恭子     北本 幸子
金原 和秀      須方 督夫     瀬戸 洋一
東海 明宏(部会長) 永井 孝志     林 真実
村田 里美      森田 健
 
中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員
石塚 真由美     梶原 夏子     川嶋 貴治
菅野 純       小池 英子     小山 次朗
白石 寛明(委員長) 鈴木 規之     吉岡 義正
 
事務局
厚生労働省 稲角化学物質安全対策室長
経済産業省 内野化学物質安全室長
環境省   清丸化学物質審査室長  他

議題

1.第一種特定化学物質に指定することが適当とされたメトキシクロル、デクロランプラス及びUV-328が使用されている製品で輸入を禁止するものの指定等について
2.一般化学物質のスクリーニング評価等について
3.その他

議事録

○環境省事務局 それでは定刻になりましたので、ただいまから令和5年度第7回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会令和5年度化学物質審議会第2回安全対策部会第239回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会の【第一部】を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。今回は3省合同の対面及びオンラインのハイブリッド会議形式での開催とさせていただきます。
 なお、本合同会議は【第一部】と【第二部】に分けて実施し、【第一部】は公開の会議であることから、会議の様子をYouTubeにてオンライン配信しておりますので、御了承お願いいたします。
 なお、化学物質安全対策部会の委員の改選がございまして、新たに村田委員が就任されました。村田委員より御挨拶いただけますでしょうか。
○村田委員 村田と申します。
 本日から、経産省のほうで委員をさせていただくことになりました。土木研究所に所属しておりまして、主に下水とか、環境化学物質の影響評価を水域生物を使って行っているところです。皆様、よろしくお願いいたします。
○環境省事務局 よろしくお願いいたします。
 また、本日はいずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることを御報告いたします。
 各審議会から本日の会合への具体的手続はそれぞれの省により異なりますが、化審法第56条に基づく諮問が大臣よりなされている審議会もございますので、よろしくお願いいたします。
○厚労省事務局 厚生労働省事務局です。
 本合同審議会を開始する前に、厚生労働省事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。
 薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○環境省事務局 それでは、本日の審議会の進め方に関しまして御案内いたします。
 13時から15時までを【第一部】として、第一種特定化学物質に指定することが適当とされたメトキシクロル、デクロランプラス及びUV-328が使用されている製品で輸入を禁止するものの指定等について、一般化学物質のスクリーニング評価等について、その他の三つの議題を公開にて審議を行います。
 【第一部】終了後、休憩を挟みまして、15時15分を目途に【第二部】を開催する予定としております。
 それでは、【第一部】を始めるに当たり、お手元にお配りした資料について確認を行いたいと思います。資料名の読み上げは割愛させていただきますが、議事次第に沿って資料を確認させていただきます。資料は議題順に、議題1関連として、資料1-1、1-2、参考資料1-1から1-7まで、議題2関連として、資料2-1-1から2-1-4、資料2-2-1から2-2-5、資料2-3、資料2-4-1から2-4-6、参考資料2-1となってございます。最後に委員名簿がございます。
過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。
 では続きまして、会議の進行方法について御説明させていただきます。
 今回、3省合同の対面及びオンラインのハイブリッド開催としております。スムーズな審議を行うため、議事に先立ち、審議の進行方法等について事務局より御説明させていただきます。
 まず、対面にて御参加いただいている委員の皆様におかれましては、御発言を希望される場合、お手元のネームプレートを立てていただきますようお願いいたします。順に座長から御指名いただきます。座長から指名されましたら、お近くのマイクをお取りいただき、スイッチをオンにし、御自身が所属する審議会の省名とお名前を併せて御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、ハウリング防止のため、必ずマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。もし手元にマイクがございませんでしたら、事務局よりマイクをお持ちしますので少々お待ちください。
 続きまして、オンラインで参加いただいている委員の皆様にお願い申し上げます。御発言時以外はマイクをミュート、ビデオをオフにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問をいただく際には、Webexのチャット機能を活用し、御自身のお名前、所属する審議会の担当省名を御入力ください。座長から順に発言者を御指名いただきます。
 なお、チャットが使用できない委員におかれましては、発言の前にマイクをオンにして、所属する審議会の担当省名及びお名前をお知らせください。
 御発言のタイミングが重なるような場合は、座長から順に発言者を御指名いただきます。指名されたら、マイクとビデオをオンにしていただき、御発言が終わったらマイクをミュートに戻し、ビデオをオフにしてください。会議中マイクの調子が悪かった場合などは、チャットに御発言内容を御記入いただくようお願いする場合がございます。
 なお、チャット機能を利用された場合、入力内容は会議参加者のみに共有され、YouTube Live上には公開されません。システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡ください。また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認をお願いいたします。
 それでは、これより議事に入ります。
 本日の全体の議事進行につきましては、中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会の白石委員長にお願いいたします。白石委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
○白石委員長 白石でございます。それでは、これより議事に移らせていただきます。
 初めに、本日の会議の公開の是非についてお諮りいたします。
 各審議会の公開につきましては、それぞれ規程のあるところでございますが、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、または特定の者に対し不当な益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とすべき場合には該当しないと考えますので、原則公開といたしたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することを認めることといたしたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○白石委員長 特に御異議ないということですので、本日の会議は公開といたします。
 議事録につきましては、後日ホームページ等で公開されますので、あらかじめ御承知おき願います。
 それでは早速ですが、議題1「第一種特定化学物質に指定することが適当とされたメトキシクロル、デクロランプラス及びUV-328が使用されている製品で輸入を禁止するものの指定等について」に移ります。
 まず資料1-1について、事務局より説明をお願いします。
○環境省事務局 環境省事務局でございます。
 では、資料1-1の説明に移らせていただきます。資料1-1、1ページ目を御覧ください。
 本年5月に開催されたストックホルム条約、COP11において、新たにメトキシクロル、デクロランプラス及びUV-328を同条約の附属書A(廃絶)に追加することが決定されました。これに対して、本年7月21日に、3省合同会合において、これらの3物質について、化審法の第一種特定化学物質に指定することが適当であるとの結論が得られました。
 本議題は、これを踏まえ、当該3物質を第一種特定化学物質に指定した際に講じるべき化審法上の所要の措置について検討するものでございます。
 まず、メトキシクロルについて御説明いたします。
 資料の3ページを御覧ください。「2-1.メトキシクロルの製造・輸入の規制のあり方等について」の項目を御説明いたします。
メトキシクロルの主な用途は殺虫剤であり、農薬取締法においては、昭和35年に登録が失効しております。化審法においては、新規化学物質に該当し、新規化学物質としての届出、申出の実績はございません。
 メトキシクロルについては、ストックホルム条約において、特定の用途を除外する規定はないこと、また、前述のとおり、我が国においては製造、輸入等の実績が認められないことから、(2)の末尾にございますとおり、適用除外の対象を設けることなく、製造、輸入及びその使用を禁止する措置を導入することが適当であると考えられます。
 続いて、「2-2.メトキシクロルが使用されている製品の輸入の禁止について」御説明します。
 当該化学物質が使用されている主な製品の輸入の状況、及び、海外における使用の状況を調査したところ、化審法が対象とする用途としての製品の輸入及び使用は確認されなかったことから、メトキシクロルが使用されている製品について輸入禁止措置を講ずる必要性はないと考えられます。
 続いて、「2-3.その他の必要な措置について」です。
 第一種特定化学物質として指定された場合において、当該化学物質による環境の汚染の進行を防止するために特に必要があると認めるときは、必要な限度において、当該化学物質又は当該製品の回収又はその他の措置を命ずることができるとされておりますが、現在得られている情報からは、メトキシクロルの化学物質としての製造・輸入及び、メトキシクロルが使用されている製品の輸入実態は確認されていないこと、また、環境モニタリングデータに基づいてメトキシクロルの環境リスク評価を実施したところ、リスク懸念箇所は確認できなかったことから、現時点において、製品の回収等の措置を命ずる必要はないと考えられます。
 また、在庫のメトキシクロルやそれらが使用されている製品が廃棄物となったものについては、廃棄物処理法等の関係法令等に従って、適切に措置する必要があると考えられます。
 以上がメトキシクロルの説明になります。
○白石委員長 ありがとうございました。1物質ずつやっていこうと思います。
 それでは、今の事務局の説明について、御質問、御意見等はございますでしょうか。
 会場の方はいかがですか。よろしいでしょうか、特段御質問、御意見なしということで、それでは続きまして、次の物質について、事務局より御説明をお願いします。
○環境省事務局 では、デクロランプラスの説明に移らせていただきます。
 資料1-1の5ページ目を御覧ください。「3-1.デクロランプラスの製造・輸入の規制のあり方等について」御説明いたします。
デクロランプラスは、化審法第2条第7項に規定する一般化学物質に該当しまして、製造・輸入数量等の届出が義務付けられています。そのデータが表2となっておりまして、過去10年間の化審法輸入数量は30~220 tとなっております。なお、製造数量は確認されておりません。
 デクロランプラスは、電気・電子製品、樹脂やゴムなどの難燃剤として主に用いられておりますが、ストックホルム条約における議論の動向を踏まえ、関連業界では、代替物質への転換の検討が数年前より進められており、令和6年末までには代替は完了する見込みとなっております。
 こうした中で、国内の輸入事業者は、令和5年度末までには、デクロランプラスの輸入・使用を終了する見込みとなっております。
(2)に参りまして、ストックホルム条約の締約国会議で合意された用途については、製造、使用等の禁止の適用を除外する仕組みがあり、今般、デクロランプラスについては、航空宇宙、防衛産業、医療画像及び放射線治療に用いる機器及び整備などの用途を適用除外とすることが認められました。
 しかしながら、前述のとおり、我が国においては、条約で適用除外とされた用途を含めて、令和6年末頃までにデクロランプラスから他の物質・技術への代替が完了する見込みであることを踏まえると、適用除外とする用途を設ける必要はなく、デクロランプラスの製造・輸入及びその他の使用を禁止する措置を導入することが適当であると考えられます。
 続きまして、「3-2.デクロランプラスが使用されている製品の輸入の禁止について」です。
 国内におけるこれまでのデクロランプラスの使用状況及び当該化学物質が使用されている主な製品輸入の状況、及び、海外における使用の状況を調査いたしまして、その結果が表3でございます。
 樹脂に防炎性能を与えるための調整添加剤、シリコーンゴム、潤滑油、接着剤及びテープ、電気・電子製品の部品・ハウジング・電気配線・ケーブルなどにデクロランプラスが使われているという状況でございます。
 これらの製品については、今後とも輸入される蓋然性が否定できず、当該製品の輸入を制限しない場合には、使用の形態等から環境汚染を生じるおそれがありますので、輸入禁止製品にすべきと考えております。
また、これらを踏まえまして、表4におけるこれらの製品について、デクロランプラスが使用されている場合は輸入を禁じる措置を講ずることが適当であると考えられます。
 続きまして、「3-3.その他の必要な措置について」御説明いたします。
 環境モニタリングデータと人の有害性評価値に基づいて、デクロランプラスの環境リスク評価を実施したところ、現時点では、リスク懸念箇所は確認されませんでした。したがって、現時点において、製品の回収等の措置を命じる必要はないと考えられます。なお、高次捕食動物については現時点で有害性評価値等を導出するためのデータが存在していないことから、引き続き情報収集に努めることといたします。
 また、在庫のデクロランプラスやそれらが使用されている製品が廃棄物になったものについては、廃棄物処理法等の関係法令等に従って、適切に措置する必要があると考えられます。
 以上がデクロランプラスの説明になります。
○白石委員長 どうもありがとうございました。それでは、今の事務局の説明について、御質問、御意見等お願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、続きまして、次の物質について、説明をお願いします。
○環境省事務局 では、UV-328の説明に移らせていただきます。
 資料1-1の9ページ、「4-1.UV-328の製造・輸入の規制のあり方等について」を御覧ください。
UV-328は、化審法第2条第7項に規定する一般化学物質に該当し、製造・輸入数量等の届出が義務付けられています。過去10年間製造・輸入数量が表5に記載されておりますが、その数量としては平成27年度以降、減少傾向となっております。
UV-328は、塗料、プラスチックの紫外線吸収剤として主に用いられていますが、ストックホルム条約における議論の動向を踏まえ、関連業界では、代替物質への転換の検討が数年前より進められてきました。こうした中、令和6年夏頃までにUV-328の製造・輸入・使用は終了する見込みとなっております。
 (2)に参ります。ストックホルム条約では、UV-328について、自動車、工学機械、鉄道及び大型鉄製構造物の被覆などに使用する産業用設備、採血管の内部の機械的分離機構などの用途を適用除外とすることが認められました。
しかしながら、前述のとおり、我が国においては、条約で適用除外とされた用途を含めて、令和6年夏頃までにUV-328から他の物質・技術への代替が完了する見込みであることを踏まえると、適用除外とする用途を設ける必要はなく、UV-328の製造・輸入及びその使用を禁止する措置を導入することが適当であると考えられます。
 続きまして、「4-2.UV-328が使用されている製品の輸入の禁止について」です。
UV-328の使用状況及び当該化学物質が使用されている主な製品の輸入の状況、及び、海外における使用の状況の調査結果が表6になっております。塗料及びワニス、潤滑油、接着剤、テープ及びシーリング材の充填料、プラスチック用紫外線吸収剤等がUV-328が使用されている製品となっております。
 UV-328が使用されているこれらの製品については、今後とも輸入される蓋然性が否定できず、当該製品の輸入を制限しない場合には、使用の形態等からして環境汚染が生じるおそれがあるため、輸入禁止製品とすべきと考えられます。
これらを踏まえ、表7に掲げる製品について、当該製品にUV-328が使用されている場合は輸入を禁止する措置を講ずることが適当であると考えられます。
 続きまして、「4-3.その他の必要な措置について」です。
 環境モニタリングデータと人の有害性評価値に基づいて、UV-328の環境リスク評価を実施した結果、現時点では、リスク懸念箇所は確認できませんでした。したがって、現時点において、製品の回収等の措置を命じる必要はないと考えられます。なお、高次捕食動物については現時点で有害性評価値等を導出するためのデータが存在していないことから、引き続き情報収集に努めることといたします。
 また、在庫のUV-328やそれらが使用されている製品が廃棄物になったものについては、廃棄物処理法等の関係法令等に従って、適切に措置する必要があると考えられます。
 以上がUV-328の説明になりますが、最後に、「5.今後の進め方について」御説明させていただきます。13ページを御覧ください。
 今後、メトキシクロル、デクロランプラス及びUV-328を第一種特定化学物質に指定するとともに、本資料において検討した必要な措置を講ずるため、施行令の一部を改正する政令案について、今後の予定に示したスケジュールによりパブリックコメント等を実施した上で、政令の公布・施行を行うとなっております。
 以上で、UV-328と今後の進め方の説明を終わります。
○白石委員長 ありがとうございました。
 では、UV-328につきまして、今の事務局の説明について、御質問、御意見がございましたらお願いします。
 では鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
先ほどのデクロランプラスも併せてなんですけれども、まず、措置については、これで特段異論はありません。いいと思います。
輸入禁止措置というところで、実際に特に製品に、使われている製品の輸入というものをどの程度特定できるのか、私はよく分からないんですが、それを使っている製品の輸入禁止措置が実効性を持つように、しっかり検討していただければと思います。よろしくお願いします。
○白石委員長 これは事務局、回答をお願いできますか。
輸入禁止すべき製品について、実効性があるようにということで、事務局、お願いします。
○経産省事務局 経済産業省です。
まず今回、公電調査とか、あと委託事業によって、使用されたものを把握いたしました。今後も、製品として、仮にそういう物質が使われているものが見つかれば、それについては、環境の汚染を生じるおそれがあるかといったことを確認した上で、必要な措置があれば、速やかに検討したいという風に考えております。
○白石委員長 鈴木委員、よろしいですか。
○鈴木委員 よろしくお願いします。
○白石委員長 そのほか、追加で御意見、御質問等ございますでしょうか。
永井委員、お願いします。
○永井委員 経産委員の永井です。
これに限った話というわけじゃないんですけれども、今回のものですと、デクロランプラスとかUV-328については、製造・輸入数量が現在でも200 tぐらいあるもので、禁止措置の後に別な物質に代替が進むものと思われるんですが、結局、それが何に代替しているのかということも把握していかないと、結局、禁止したけど、よく似た違う物質に切り替わっただけで、それで本当に安全性が高まるのかどうかということが疑問になってきて、あと、結局それが今、話題になっているPFASとかで起こっていることだと思いますので、禁止されて、よく似た物質に代わって、それが禁止されて、またよく似た物質にというのが繰り返されて、最終的に物質群丸ごと規制しちゃえというような措置に、欧州のほうでなりかけているということじゃないかと思いますので、やはり、規制して終わりではなく、どういうものに代替されて、それのリスクがどれくらいかというのは、規制措置とは別にウオッチしていくことが必要なのではないかというふうに考えています。
 そういうのを把握するのは難しいということもあるんですけれども、例えば、農薬のほうでは、よく似た物質、類似の用途の農薬の使用量の推移なんかを見ていくと、突然きゅっと上がったりするものが出てきて、これに切り替わったなというのが何となく類推できたりするものがあったりしますので、それが化審法用途のほうでもそういうことができるかどうかちょっと分かりませんけれども、そういう類似物質の使用量の推移なんかを見ることで、どういう物質に切り替わっているのかをウオッチしていくとか、そういうことというのもやっていただくといいのではないかというふうに考えています。
以上です。
○白石委員長 どうもありがとうございます。
大変重要な指摘だと思いますが、今のシステムでいかがですか、代替について、何かウオッチできるようなものはあるんでしょうか。
○経産省事務局 経済産業省です。
 どの物質に代替するかにつきましては、個々の企業の情報でもありますので、差し控えさせていただきますが、いずれにしても国内で、新規化学物質を使うのであれば、事前審査制度に基づき審査することになりますし、既存物質に代替するということであれば、現行のリスク評価の枠組の中で評価をされると。あとは、POPs条約においては、またいろいろな物質が議論されておりますけれども、その議論につきましては公表されておりまして、企業においても、その議論は当然把握されながら、代替のほうを検討していただいていると思いますけれども、我々としても、そういった国際的な議論がなされているということの周知に努めてまいりたいという風に思っています。
以上です。
○白石委員長 ありがとうございます。
永井委員、よろしいですか。
○永井委員 分かりました。規制措置とは別に、そういうトレンドについてウオッチしていくということをぜひお願いしたいと思います。
○白石委員長 ほかに意見、御質問はありますでしょうか。
よろしいですか。3物質全体を通じてでも結構ですので、ございましたらお願いします。
特段ないようですので、以上で本件についての質疑を終わりたいと思います。
事務局より、本件の取扱いについて、御説明をお願いします。
○環境省事務局 環境省事務局でございます。
 本議題につきましては、3省の関係審議会で合同の開催、審議とさせていただきましたが、審議結果を踏まえた今後の手続、対応は審議会により異なります。各省の事務局から順次御説明いたします。
○厚労省事務局 厚生労働省事務局です。
 まず、厚生労働省より、薬事・食品衛生審議会の手続等について御説明させていただきます。
本日の調査会で御審議いただきました内容につきましては、化学物質安全対策部会において審議いただくことを予定しております。
○平林座長 ただいま説明のあった内容で、化学物質安全対策部会へ調査会から報告してよろしゅうございますでしょうか。
 (異議なし)
○平林座長 ありがとうございました。
○経産省事務局 続きまして、経産省事務局より、化学物質審議会の手続等につきまして御説明いたします。
 まず、先ほど御審議いただきました第一特定化学物質が使用されている製品で、輸入してはならないものの指定につきましては、経済産業大臣から化学物質審議会へ諮問されておりまして、化学物質審議会の運営規程において、諮問に係る事案を、本安全対策部会に付託することができることとなっております。また、その内容が技術的専門事項であると認められるときにつきましては、安全対策部会の決議は、化学物質審議会会長の同意を得まして、化学物質審議会の議決、すなわち答申とすることができると定められております。
 今回は、この技術的専門事項に該当いたしますことから、本安全対策部会の決議案を御相談させていただきたいと思います。
 化学物質審議会安全対策部会の委員の方におかれましては、資料1-2の決議案を御覧ください。2ページ目になります。
(案)としまして、「メトキシ[2,2,2-トリクロロ-1-(メトキシフェニル)エチル]ベンゼン(別名メトキシクロル)」、「1,2,3,4,7,8,9,10,13,13,14,14-ドデカクロロ-1,4,4a,5,6,6a,7,10,10a,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,4:7,10-ジメタノジベンゾ[a,e][8]アンヌレン(別名デクロランプラス)」及び「2-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(2-メチルブタン-2-イル)フェノール(別名UV-328)」を化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第2条第2項に規定する第一種特定化学物質に指定することに伴う同法第24条第1項に規定する当該化学物質が使用されている製品で輸入してはならないものの指定について(案)という件名で資料を作成しております。
 下には、表形式で左側に化学物質名を、右の欄に法第24条第1項に規定する政令で定める製品として記載をしております。
 この決議案につきまして、東海部会長から安全対策部会に諮っていただきたく、よろしくお願いいたします。
○東海部会長 ただいま説明のありました決議案をもって、化学物質審議会安全対策部会の決議としてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○東海部会長 ありがとうございました。
○環境省事務局 環境省事務局でございます。
 続いて、中央環境審議会の手続等について御説明いたします。
中央環境審議会では、化学物質審査小委員会での議決は、環境保健部会長の同意を得て部会の決議となり、さらに会長の同意を得て審議会の議決となるよう定められております。
資料1-2の報告案を基に所定の手続を経た後、審議会の第二次答申としたいと考えております。
中央環境審議会委員の方は資料1-2の4ページ、第二次報告案を御覧ください。
件名としては、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の附属書改正に係る化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく追加措置についてとなっております。
 先ほど御審議いただいた内容について、5ページ目の表のとおり、別名デクロランプラスについては、樹脂に防炎性能を与えるための調整添加剤、シリコーンゴム、潤滑油、接着剤及びテープ、電気・電子製品の部品・ハウジング・電気配線・ケーブルについて、別名UV-328については、塗料及びワニス、潤滑油、接着剤、テープ及びシーリング材等の充填料、プラスチック用紫外線吸収剤等について、輸入をすることができない製品として位置づけること。それから、また「2.」として、それらの物質の用途に、メトキシクロルについては、全ての用途について使用を禁止する措置を導入すること等について報告させていただきたいと思っております。
この報告(案)について、白石委員長から、化学物質審査小委員会に諮っていただきたくお願いいたします。
○白石委員長 ただいまの説明があった案について、実際の法制化作業における技術的な修正については事務局に一任いただいた上で、本委員会の議決として了承してよろしいでしょうか。
(異議なし)
○白石委員長 ありがとうございました。
先ほど事務局から、今後のスケジュールについて説明がありましたが、パブリックコメント等を踏まえて、実際に指定される製品の区分や表現方法等について変更される場合もありますが、その場合は部会長、委員長一任ということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○白石委員長 御異議なしということでありがとうございました。
それでは、本件の今後の取扱いについて、事務局から説明をお願いします。
○環境省事務局 環境省、事務局でございます。今後の予定を御説明いたします。
先ほどの決議・報告等につきましては、各審議会で定められた手続を経て答申となり、公表されます。今後の取扱いについて、よろしいでしょうか。
○金原委員 すみません、議題1の、先ほどの永井委員がおっしゃった、こういう物質が含まれているかどうかという件なんですけれども、実際はCOP11で、これは情報なので、ただお知らせするというだけなんですが、COP11で、どの、製品に含まれているラベリングを、そういうラベリング方法の技術を収集して、それをCOP12に報告するようにPOPRCに指令が出ています。簡単に言うと、デクロランプラスとかUV-328、プラスチック、いろんな製品に入っていますけれども、それに関してラベリングをして、明らかにしていただきたいというようなCOPからの指令があって、先月のPOPRCで、それに関して情報を収集するというような、来年までの、POPRCまでの間に、各国に向けて情報収集の指令が出ています。そういう意味で、どういう製品に入っているのかというラベリングをしようということを、今、進めておるところであります。
 ただ、その方法が収集されて、どこまで有効なのかというところまでやはり考えなきゃいけないところもありまして、なかなか難しい面もあるだろうというような議論になっています。だから、そういう意味では、徐々にそういう、どこに入っていて、それらが流通して、輸入されることになるかもしれないようなラベリングの手法というのを、現在、情報を収集して、COP12までには、どういう方法があるかというのを提案、提案というか報告することになってはおります。
一応情報ですけれども、以上です。
○白石委員長 情報提供ありがとうございました。ほかに、全体を通じてコメントはございますか。よろしいですか。それではお願いいたします。
○環境省事務局 では、環境省事務局でございます。
以上で、議題1に係る審議事項は終了とさせていただきたいと思います。
それでは、続いて議題2「一般化学物質のスクリーニング評価等について」に係る審議に移りたいと思います。
○白石委員長 では、まず初めに、優先度マトリックスにより優先度「高」となる物質及び専門家の詳細評価によるスクリーニング評価について審議を行います。
資料2-1シリーズ及び資料2-2シリーズを用いて御審議いただきたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いします。
○経産省事務局 それでは、資料2-1-1「令和5年度スクリーニング評価等の進め方及び評価結果(案)」について御説明いたします。
 まず「1.スクリーニング評価について」ですが、化審法では、一般化学物質等を対象としまして、スクリーニング評価によりリスクが十分に低いと判断できない物質を絞り込み、それらを優先評価化学物質に指定した上で、リスク評価を行うこととしております。
スクリーニング評価は、リスク評価手法を導入する法改正を行いました平成21年度の翌年度から毎年度実施しておりまして、図1のように、有害性クラスと暴露クラスからなる優先度マトリックスを用いまして、優先度「高」に区分される物質や、専門家による詳細評価に基づき必要性が認められた物質を、優先評価化学物質相当と判定しております。
有害性クラスは、長期毒性に係る有害性情報を、人健康影響、生態影響それぞれの観点から収集して付与しております。
暴露クラスは、製造・輸入・出荷数量と、その用途ごとの排出係数により排出量を推計し、分解性を加味して付与しております。
 次に、「2.これまでのスクリーニング評価の実施状況」ですが、スクリーニング評価は、これまで13回実施しておりまして、現在、合計218物質が優先評価化学物質に指定されております。
続きまして、「3.今回のスクリーニング評価の実施対象」ですが、今回のスクリーニング評価は、令和3年度実績の製造・輸入数量の届出におきまして、製造・輸入数量が10 t超であった一般化学物質等を対象として評価しております。表2のとおり、評価対象になる製造・輸入数量10 t超の物質は7,957物質です。
 続きまして、「4.今回のスクリーニング評価の基本方針」についてですが、有害性クラスの付与は、暴露クラス1~4の物質について、暴露量が大きい物質等から優先的に付与しております。暴露クラス5又は外の物質につきましては、暴露クラスの付与をもってスクリーニング評価を実施したこととしております。
 続きまして、「5.今回のスクリーニング評価の結果」です。暴露クラスは、こちらの資料2-1-2のとおりでございます。有害性クラスを付与している物質については、今年度の暴露クラスを踏まえて優先度の判定を行っており、詳細は資料2-1-3、2-1-4のとおりです。
 また、専門家による詳細評価が必要な物質の選定結果については、資料2-2-1から2-2-5にて、優先評価化学物質の指定の取消がなされた物質については、資料2-3にて、優先評価化学物質の指定根拠外項目については、資料2-4-1から2-4-6において後ほど御説明いたします。
暴露クラスごとの物質数は表3のとおりです。
 その下の表4では、評価の結果、優先評価化学物質相当となった物質数をお示ししております。優先度「高」物質は、人健康の観点から4物質、生態の観点から6物質、優先度「中」からの選定物質は、人健康の観点からのみ3物質ございました。
 6.及び別添は後ほど御説明させていただきますので、以上となります。
○厚労省事務局 それでは、人健康影響の優先度判定(案)について御説明いたします。
資料2-1-3を御覧ください。
基本的には、色分けして表示している優先度の列を御覧いただければと思います。
 資料構成としましては、1ページに今回新たに有害性クラスの付与を行う物質候補を、2ページ以降に平成22年から令和4年度に有害性クラスの付与を行った物質を掲げております。これらの物質について優先度判定を行った結果、1ページ目に戻りまして、優先度「高」に該当する物質は、番号の1から4番の4物質ございました。
 なお、公示前の新規化学物質につきましては、新規審査における毒性の情報と今回付与いたしました暴露クラスを用いて優先度判定を行ったところ、優先度「高」となる物質はないことを御報告申し上げます。
以上です。
○環境省事務局 続きまして、資料2-1-4「生態影響の優先度判定(案)について」御説明いたします。
 資料2-1-4につきまして、人健康と同様に、今回新たに有害性クラスの付与を行い優先度判定を行った物質、2枚目に、平成22年度から令和4年度の間に有害性クラスを付与した物質について最新の暴露クラスに基づいて優先度判定を行った物質、そして一部の委員に限り情報を提示させていただいておりますが、公示前の判定済み新規化学物質の優先度判定に分かれておりまして、公示前の判定済み新規化学物質については、公表されていない企業秘密に関する事項が含まれておりますため一部委員限りとさせていただいております。
1ページを御覧ください。こちらに今年度新たに有害性クラスの付与を行った物質を示しております。今回、赤く塗った№1から№3の物質が優先度「高」の判定になっております。
 続いて3ページを御覧ください。こちらには平成22年度から令和4年度に有害性クラスの付与を行った物質を示しております。こちらに関しましては、最新の暴露クラスに基づいて優先度判定を行ったところ、赤く塗った№1、№2の物質が優先度「高」の判定となっております。13ページには、暴露クラス4以上の公示前の判定済み新規化学物質を示しております。公示前の判定済み新規化学物質に関しても優先度判定を行ったところ、赤く塗った№1の物質が優先度「高」の判定となっております。
今回、新たに有害性クラスの付与をした物質について、資料2-1-4の別添にPNEC導出に用いた有害性情報を示しております。
資料2-1-4参考はQSARの予測結果となっております。
資料2-1-4につきましては以上です。
続きまして、資料2-2シリーズについて御説明いたします。資料を共有いたします。
まず、資料2-2-1を御覧ください。
 化審法に基づくスクリーニング評価では、資料2-1-1に記載されているとおり、基本的には、有害性クラス及び優先度マトリックスにおいて優先度「高」となった物質については優先評価化学物質相当と判定するとなっております。それに加えて、優先度「中」となった物質についても、専門家による詳細評価に基づき必要と認められた物質については、優先評価化学物質と判定することとしています。評価方法については、「1.」に記載しています五つの観点から評価することとなっております。専門家による詳細評価と判断基準については、資料2-2-1参考を御覧ください。
 では、まず、1つ目のPRTR排出量による暴露クラスの見直しから御説明いたします。資料2-2-2を御覧ください。化審法の優先度マトリックスの優先度が「中」又は「低」に区分された物質のうち、『物質範囲が、PRTRの政令物質と化審法の届出対象とで同じもの』についてPRTR排出量を用いて暴露クラスを付与し、化審法届出情報に基づく暴露クラスと比較をして、PRTR排出量による暴露クラスの方がより排出量の多い暴露クラスとなる物質を抽出いたしました。暴露クラスとして使用したデータは、化審法は令和3年度実績の一般化学物質の製造・出荷量情報に基づく推計排出量から設定した暴露クラス、PRTRは、令和3年度のPRTRの届出及び届出外排出量となっております。
 次のページを御覧ください。PRTR排出量による暴露クラスが化審法届出情報に基づく暴露クラスを上回った物質は、人健康影響において、図表1に示す1物質がございました。生態影響については図表2でありますが、今回はありませんでした。
見直しの結果、PRTR排出量による暴露クラスが化審法届出情報に基づく暴露クラスを上回った物質は人健康は1物質、生態影響は今回ございませんでした。見直しの結果、PRTR届出による暴露クラスが化審法届出による暴露クラスを上回る物質はあったものの、優先度「高」となる物質はございませんでした。
 続いて、資料2-2-3「環境中濃度による詳細評価について」御説明いたします。
 こちらの優先度が「中」又は「低」に区分された物質のうち、環境調査が行われた物質については、その結果から得られる環境中濃度とスクリーニング評価における有害性評価値を用いて詳細評価を行うこととしております。
各種環境調査から得られた環境中濃度を用いて、(A)人健康影響については、HQが1以上であるもの、(B)生態影響については、PEC/PNEC比が1以上であるものについて、優先評価化学物質に指定すべきか否かというエキスパートジャッジを行う候補物質となる物質を抽出いたしました。
 今回使用したデータは、18行目から25行目に示すとおり、大気は有害大気汚染物質モニタリング調査結果、化学物質環境実態調査結果、そして、水質は公共用水域水質測定結果、要調査項目等存在状況調査結果、化学物質環境実態調査結果となっております。
 環境調査として使用したデータは、いずれも平成29年度から令和3年度の直近5年のデータを使用しております。各物質については次のページの表にまとめておりますが、結論といたしましては、今回、優先度「高」となる物質はございませんでした。なお、次のページのほうの人健康の影響の表の中にある1,1-ジクロロエチレンについてはHQ1.4未満となっておりますが、水質モニタリング結果における検出下限値の0.1 mg/L未満だったという測定結果を用いておりますため、優先評価化学物質相当か判断ができないので優先判定しない、というふうに整理しております。
○厚労省事務局 続きまして、資料2-2-4を御覧ください。
今年度のスクリーニング評価において、「中」あるいは「低」に分類された物質について、資料2-2-1参考の「Ⅱ.優先評価化学物質に選定する際の判断基準」のうち、「2.人の健康に係る選定の判定基準」として挙げております(ア)発がん物質、(イ)有害性評価値が非常に低い物質、(ウ)生殖細胞への変異原性のある物質に該当する可能性があるかなど、詳細な検討が必要と考えられる物質を整理した資料になります。
 今回収集した情報からは、(ウ)に該当する物質はございませんでしたが、(ア)発がん物質については1物質、(イ)有害性評価値が非常に低い物質については2物質該当がございました。3物質の概要について説明いたします。
 (ア)に該当する1物質の有害性クラスについて、変異原性クラスが2、発がん性クラスが2であります。本物質は、Ames、in vitro染色体異常、及びin vivo小核試験が陽性であり、エポキシ基を有することから、変異原性を有する物質であると判断しました。また、マウスの2年間経皮試験において、局所だけでなく全身(肺や乳腺等)に腫瘍がみられたことから、暴露経路に関わらず遺伝毒性機序による発がん性を有する可能性があります。EUは、このマウス2年間経皮試験の結果を根拠として本物質の発がん性区分を1B(ヒトに対して恐らく発がん性がある)としています。
 続きまして、(イ)に該当する2物質のうち、№.1の物質については、ラットの13週間吸入試験において、1.1 mg/m3群の雌雄に刺激性による鼻腔及び喉頭の上皮化生が認められたことに基づき設定されたNOAEL 0.27 mg/m3、これを換算しまして、0.036 mg/kg/dayを不確実係数200で除した0.00018 mg/kg/dayを有害性評価値としております。
 次の№.2の物質についてですが、こちらは、資料2-4-3の「1.」にも掲載する優先通し番号219番と同一の情報となります。本物質は、ネコの90日間経皮試験において、1 mg/kg/day群の雄にみられた運動失調及び後肢の脱力等の神経毒性を基に設定されたTLV-TWA 0.02 mg/m3を、「体重50kg、呼吸量20 m3/day」として経口換算した値0.008 mg/kg/dayを、不確実係数100で除した0.00008を有害性評価値としております。なお、ネコの経皮試験に基づくTLV-TWAを採用したことについては、みられた神経毒性が暴露経路に関わらず発生すると考えられたことから妥当と判断しました。
 したがいまして、これら3物質の有害性クラスと、今年度付与した暴露クラスを用いて優先度判定を行ったところ、優先度「中」ではございますが、事務局としましては、優先評価化学物質に選定すべきと考えております。
 資料2-2-4の説明につきましては、以上でございます。
○環境省事務局 最後に、「生態影響に係る優先度「中」区分からの優先評価化学物質選定について」、御説明いたします。資料2-2-5を御覧ください。上段にPNECが非常に低い物質、下段に類似の物質の評価及び判定の例を参考にすると、PNECが非常に低いに該当する可能性があるなど、検討が必要と考えられる物質は、今回、該当がなく、生態影響に係る優先度「中」区分からの優先評価化学物質に相当すると考えられる物質はございませんでした。
 資料2-2-2から資料2-2-5を踏まえまして、資料2-2-1にお示ししたとおり、専門家の詳細評価によるスクリーニング評価からは、トリメチル(オキシラン-2-イルメチル)アンモニウム=クロリド、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル=イソシアナート、りん酸トリトリルの3物質が優先評価化学物質相当であると考えられました。以上です。
○経産省事務局 資料、お戻りいただきまして、資料2-1-1別添を御覧ください。
優先評価化学物質相当と考えられる物質をまとめております。人健康影響の観点から優先度「高」となった物質が4物質、生態影響の観点から優先度「高」となった物質が6物質、優先度「中」からの選定物質として、人健康影響の観点から3物質ございました。
資料2-1-1に戻りまして、4ページ「6.」からですが、今回の審議結果を踏まえまして、優先評価化学物質相当と判定された物質につきましては、優先評価化学物質に指定いたしまして、令和7年度届出、こちらは令和6年度の実績を届出いただくものですが、こちらの届出から、優先評価化学物質として、製造・輸入数量等を届出いただくこととなります。
 優先評価化学物質の指定に際しましては、取扱いの実態等を踏まえ、適切な優先評価化学物質の名称及び範囲となるよう、別途検討いたします。
 また、次年度以降のスクリーニング評価につきましても、引き続き、暴露クラス、有害性クラスの高いものに注力して進めてまいりたいと考えております。
資料2-1シリーズ、資料2-2シリーズの御説明は以上です。
○白石委員長 ありがとうございました。
 事務局から説明にありましたが、公示前の判定済み新規化学物質に関する判定(案)等につきましては、営業秘密等に該当する場合は秘匿することに該当しますので、本審議会においても取扱注意でお願いしたいと思います。このため一部の委員限りでお配りしている資料2-1-3、及び資料2-1-4の未公示新規化学物質に関する資料についてコメントいただく場合は、物質の名称は避けていただいて、資料の1番左に記載している番号でお願いします。以後の審議についても同様にいたします。よろしくお願いします。
それでは、事務局の説明について、御質問、御意見等はございますでしょうか。どこからでも結構でございます。
小野委員、お願いします。
○小野(恭)委員 御説明ありがとうございました。大変よく分かる案なんですけれども、資料2-2-2で、ジクロロエチレンが、暴露クラスがPRTR届出情報を参照して1つ上がったということになっておりまして、これはあり得ることですし、こういうステップは必要だと思うんですけれども、ざっくり言って、何で上がったかというか、これは化審法の排出係数の設定が非常に一般的で、実態に即していない部分があったから、PRTRの排出量よりも下回っていたというか、そんな理解でよいのでしょうか。まず、なぜこういうことが起こるのかということをざっくり説明していただければと思うんですけれども。
○白石委員長 では、事務局から御回答をお願いします。
○環境省事務局 そもそも化審法の届出とPRTRの届出で差があるということは問題がないことと思います。御懸念の化審法の排出係数が実態に即していないのではないかということですが、そういうことではなく、PRTRのほうは事業者のほうで把握して届出をしているものですので、そもそも性質が違うものですから、そこで差異が出てきているということかなと考えております。化審法の排出係数に不備があるとか、PRTRの差が大きいことに問題があるということではなく、それぞれ化審法と化管法で取り扱っている性質の違いによるものと理解しております。
○小野(恭)委員 とすると、PRTRの排出量が分からないものについては、ある程度の取りこぼしもやむを得ないみたいな感じを受けてしまったんですけれども、その辺については、こういう理解で合っていますでしょうかということについて何かお考えがあれば、スクリーニングというのは割と取りこぼしがないように設定するというふうに理解をしておりまして、形式上、前広に挙げるというものであるのに対し、PRTRの情報がないと、挙がってこなかったというふうに見えてしまったんですけれども、それはあまり問題とはならないのかという質問になります。
○環境省事務局 取りこぼしがないように設定しているものと思いますけれども、PRTR、化管法の条文までは把握しておりませんで、正確にお答えできず申し訳ありませんが、化管法においては特に注目すべき物質、有害性の懸念される物質を詳細に情報収集するという目的もあろうかと思います。化審法のほうでは製造・輸入数量1t以上の物質について幅広く届出されておりますので、化審法の推計排出量についても必要があると考えられた際には、また見直しの必要性があるかもしれませんので、求めるお答えにならない、及んでいないかもしれませんが、以上返答とさせていただきます。
○小野(恭)委員 大体のお考えについては理解をいたしました。また、今後とも、排出係数等の議論については注目しておりますので、今後ともよろしくお願いします。
○白石委員長 ありがとうございます。
 経産省さんはよろしいですか、排出係数についての御質問ですが。あるいは、用途の届出の誤りというのが時々あることもあるようですけれども、その辺のことも関係しているということはありますか。あるいは、排出係数の見直しという、時々やられているようにお伺いしているんですか、その辺はいかがでしょうか。よろしいですか、特に。
 ほかに御質問、御意見があったらお願いします。では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 全体としてはいいと思いますが、物質が同じなのはたまたまなのか、よく分からないですけど、モニタリングデータの詳細評価のジクロロエチレンのところでHQが、検出下限値で1.1を計算上、上回るということで、判定結果はこれでいいのかなとは思いますが、こういうケースは過去にもあったんでしたっけというのと、1.4という数字はかなり小さいので、この場合はあまり問題はないかなと思いますが、これが、例えば検出下限値が高くて10というような数字になった場合ということがあるかもしれないので、こういうときの扱いについての考え方というのはどういうふうになっていましたっけ。すみません、私が忘れているのかもしれませんが。
○白石委員長 では、回答をお願いします。
○環境省事務局 以前もこのようなことがありまして、昨年度、同じ物質だったと思いますが、このような判定結果とさせていただいております。検出下限以下というものの取扱いについて、正式に取決めをしているというわけではなかったかと思いますけれども、今回検出されていないという状況ですので、優先評価に相当するかというところまでは言えないというふうに考えて、このような整理にさせていただいております。
 また、物質の下限値のほうについては別のところでも検討していたりする状況もありますので、そちらのほうも注視しながら確認していきたいと思っております。以上です。
○鈴木委員 ありがとうございます。例えば、これは1.4という数字なので、実際の数字は、恐らく、この半分以下である可能性が高いかなということを想像して、私としてはいいと思いますが、しかし、そういうケースが実際に出たときに考えればいいことなんですけれども、これが10とか100とかになった場合には、別に数字がないということが必ずしも懸念がないということの証明にはならないと思いますので、それは別な事項であると私は思います。今回に関しては1.4が比較的1に近いので、恐らく実際には、実際の数字がこれに非常に近いという可能性はあるかもしれませんが、そんなにその可能性は高くないかなと思うので、これは一応、私は了といたしますが、    この数字が違っていれば、同じ結論にはならない可能性はあると思いますので、それは御注意いただきたいと思います。
○白石委員長 ありがとうございます。
ほかにコメント、御質問、御意見は、お願いいたします。所存委員会とお名前をお願いします。
○北嶋委員 厚労委員の北嶋でございます。ありがとうございます。
教えていただきたいというか、確認させていただきたいのですけれども、資料2-2-1で、専門家の調査評価によるスクリーニングの観点というのがPRTRから始まって生態影響までの5点あるということだったのですけれども、他方、資料2-1-1のこのスクリーニング評価の2ページ目の表1の経時的な評価実績ですね、ここでは、結果的に優先評価化学物質と判断しているのは、人健康影響と生態影響の2つの観点からされていて、それぞれ数字が挙げられていて、観点が2つしかないように思えたのですが、この5点の観点だったことが、表にしたら2点になっている経緯について、私の勘違いなのかもしれないですけど、お教えいただければ幸いです。
○白石委員長 事務局、お願いします。
○環境省事務局 資料2-1-1に記載させていただいている評価方法の観点ですが5点と申し上げましたのは、評価方法の資料2-2-1で記載させていただいた14行目辺りから21行目辺りに記載されている四角囲みのところの1から5番でありまして、それに対応いたしまして、その下段22行目以下の優先度判定結果として、PRTR排出量の暴露クラスの見直し、環境中濃度による詳細評価、生態影響について、慢性毒性優先の原則によりがたいことによる有害性クラスの見直し、人健康影響に係る有害性の観点からの選定、生態影響に係る有害性の観点からの選定の5点の評価方法から見直したということでございます。私のほうの言葉遣いで誤解させてしまうところがあったかもしれませんが、そのように整理させていただいております。
○北嶋委員 私の理解が及ばなくて、まだ理解できていないのですが、端的には、当初は5点で見ているのだけれども、最終的に表にしたときには、2つにカテゴライズされているという理由についてです。
○環境省事務局 最終的には化審法のほうで有害性評価が人健康と生態影響ということで分かれておりますので、そこの2つに最終的にグループ分けしたと、どちらのほうで優先相当かということを組分けしたという様にしております。
○北嶋委員 ありがとうございます。ようやく理解できました。
○白石委員長 ほかにコメントございますでしょうか。お願いいたします。
○瀬戸委員 経産委員の瀬戸です。
既に鈴木委員から御指摘されているところのちょっと確認です。資料2-2-3の、先ほど御説明いただいた1,1-ジクロロエチレン、確かにこの表を見たとき、HQが1.4より小なりとなっているので、このスクリーニングの方法に従った形で評価されているかなと推察したところなんですが、いただいた御説明のようなところの内容が、もしどこかに記載されてあると、理解しやすいと思いましたので、何かそういったところの説明もどこかにあったかなと思いますので、書き方とは思いますが考え方みたいなものもちょっと記載いただけるとよいかなと思いました。
○環境省事務局 資料2-2-1の参考の6ページの143行目に、『(B)すべて不検出(N.D.)である場合には、最新測定年度での検出下限値を評価用濃度として用いる。ただし、評価に有効でない場合には用いない』としておりますので、今回は用いないということで整理しております。先ほど御指摘いただいた点については参考のほうに記載させていただいておりますので、ご確認いただければと存じます。
○瀬戸委員 分かりました。ありがとうございます。
○環境省事務局 また考えさせていただきます。ありがとうございます。
○白石委員長 ほかにコメント、御意見はございますでしょうか。
○石川委員 経産委員の石川です。
資料2-2-1の参考に書かれていることについてお伺いしたいと思います。
資料2-2-1で、6ページになりますけれども、この6ページというのは、前ページ、5ページに書かれております環境中濃度による詳細評価の考え方でして、6ページに書かれている②ですね、環境中濃度を用いる考え方ですけれども、下の枠に書かれていることについて、お考えをお聞かせいただければと思います。
 この1番下に書かれている、下の枠線の中の内容、つまり環境中濃度でないところの地点の、環境濃度を測ったところ以外の地点の濃度で、高濃度があるかないかということが分からない限り、本当のそのリスクというのは分からないのではないかということは以前から指摘されてきたと思います。今回はスクリーニング評価ということで、非常に大ざっぱな評価をするわけですので、その地点の詳細なデータは必要ないと思うのですけれども、ここに書かれている真ん中辺りでしょうか。環境モニタリング情報は調査数が限られているため、得られた最大濃度が日本全国で最大の濃度であるとは限らないことに留意する必要があるですとか、その1番下の、用いる環境モニタリング情報の地点が異なることも生じるため、このような点にも留意が必要であるというように、留意するということは書かれているのですけれども、これを実際、その方策に盛り込もうとすると、データがないので何ともし難いと思うのですが、その辺りはどのようにされることをお考えでしょうか。
○白石委員長 では、事務局、御回答をお願いします。
○環境省事務局 やはりスクリーニング評価という前提がありますので、最大の濃度を用いた選定を想定しているということがあるとに考えているところです。
それで、さらなる情報として、必要に応じて過去5年間の最大値だけでなくという様に書いておりますけれども、前提としては最大濃度を用いて選定をし、さらに情報が得られる場合においては、ほかの濃度とか分析結果も参照し得ると考えますが、ただ、これについては情報がある、なしということもありますので、物質によるというところと考えます。整理できるところについては、必要に応じて、より追いかけるということもあり得ると考える次第です。
○石川委員 分かりました。一般的に、こういう調査をされている地点というのは恐らく大きな川で、流量も多く、濃度は排出に対して低めに出るかと思うのですが、非常に小さな川では、もっと高濃度が出ている可能性があります。この化審法のスクリーニング評価においては、そのような小さな河川は置いておくという考え方であればよろしいように思いますので、ぜひ、またお考えを示していただければと思います。
○環境省事務局 また事務局においても考えさせていただきたいと思います。コメントありがとうございました。
○白石委員長 ほかに追加のコメントはございますか。
どうも、活発な御議論をありがとうございました。特段、資料の修正等を求める意見はなかったと思いますので、事務局から説明いただいたとおりの対応といたします。
 では続きまして、過去に優先評価化学物質指定の取消がなされた物質のスクリーニング評価、優先評価化学物質の指定根拠外項目のスクリーニング評価に準じた評価の審議に入ります。資料2-3、及び資料2-4シリーズで御審議いただきます。
 それでは、事務局から説明をお願いします。
○経産省事務局 経産省、事務局です。
 資料2-3「優先評価化学物質指定の取消がなされた物質のスクリーニング評価結果(案)」について御説明させていただきます。
「1.」ですけれども、背景及び目的といたしまして、リスク評価の結果、化審法第11条に基づき優先評価化学物質の指定の取消が過去になされた物質、以下「指定取消物質」といいますけれども、再び一般化学物質としてスクリーニング評価の対象となりまして、「化審法に基づくスクリーニング評価の基本的な考え方【改訂第2版】」に基づき、スクリーニング評価を実施しております。具体的には、通常のスクリーニング評価と同様に優先度マトリックスを用いた評価を行いまして、以下の点につきましては通常のスクリーニング評価と異なる扱いとしております。
 1つ目に、有害性クラス付けにはリスク評価段階あるいは優先指定の取消以降において更新・精査された有害性評価結果を利用します。
 2つ目に、スクリーニング評価の結果、優先度判定が「高」となった物質につきましては、化審法の届出情報、PRTR排出量、環境モニタリングデータ等につきまして個別に詳細な評価を行うことで、優先評価化学物質の該当性について改めて評価します。
「2.評価対象」ですけれども、今回、スクリーニング評価の対象といたします指定取消物質は、令和4年3月31日以前に化審法第11条に基づき優先評価化学物質の指定の取消がなされた物質のうち、令和3年度実績の製造・輸入数量の届出におきまして、製造・輸入数量が10 t超であった26物質としております。
○厚労省事務局 続きまして、「3.有害性クラスの見直し」について御説明いたします。
 優先評価化学物質の指定後のリスク評価段階、あるいは優先指定の取消以降におきまして更新・精査された有害性評価結果がある物質につきましては、それらの評価結果を反映させまして、有害性クラスの見直しを行っております。過年度において、優先評価化学物質の通し番号7番、12番、13番、20番の4物質の有害性クラスを見直しており、合同審議会にて御審議いただきました。4物質につきましては、いずれもリスク評価のⅡが行われた結果、最も感受性の強い指標となる有害性が発がん性でありまして、該当する有害性評価値を用いたリスク推計の結果、優先評価化学物質の指定が取り消された物質になります。
 指定を取り消した以降は、年度ごとに更新される化審法届出情報、PRTR排出量、環境モニタリングデータとともに再評価しておりまして、4物質のうち、今回優先度「高」となった優先評価化学物質の通し番号7番、13番、20番の3物質の再評価結果につきましては、4ページ以降の別紙2にまとめております。
以上でございます。
○経産省事務局 続きまして、「4.スクリーニング評価の結果(案)」ですけれども、「(1)優先度マトリックスを用いた評価の結果」といたしまして、スクリーニング評価の対象といたします指定取消物質について今年度の暴露クラスを付与し、別紙1のとおり、優先度判定を行いました。
その結果、人健康影響に関しましては、4物質が優先度「高」、6物質が優先度「中」となりました。
生態影響に関しましては、1物質が優先度「高」、5物質が優先度「中」となりました。
 (2)ですけれども、優先度「高」の物質に関する詳細評価の結果になります。(1)におきまして優先度「高」となりました4物質につきましては、リスク評価(一次)評価Ⅱの際に示された今後の対応に基づきまして、指定取消物質ごとに詳細な暴露評価を行った結果、いずれの物質も優先評価化学物質相当と判定しないこととしております。物質ごとの詳細評価結果は、別紙2のとおりとなります。
 例えば、別紙2、資料2-3の4ページにジクロロメタンの個別評価結果が載っております。ジクロロメタンですけれども、平成28年度の人健康影響に係るリスク評価結果といたしまして、優先評価化学物質指定の取消が行われております。
その際、今後の対応といたしまして、「一般化学物質として製造・輸入数量等を把握する」、また、「化学物質管理、大気汚染及び水質汚濁等に関する他法令に基づく取り組みを引き続き推進していくとともに、PRTR排出量・環境モニタリングテータ等を注視していく」とされております。
これらの今後の対応としてまとめられた内容を踏まえまして、今回、化審法の届出情報、PRTR排出量、環境モニタリングデータの3点につきまして、以下の観点で確認し、優先評価化学物質の指定を含めた対応の検討を行っております。
 1つ目ですけれども、化審法の届出情報といたしましては、評価Ⅱの時点と比較しまして、化審法の製造数量等の届出におきまして、排出量の増加を伴うような新たな非点源の用途分類の届出があるか、及び、暴露クラスが上がっていないか。
 2点目、PRTR排出量ですけれども、PRTRの届出排出量から算出する人の摂取量推計値とリスク評価Ⅱで算出した有害性評価値を比較してリスク懸念地点はないか。リスク懸念地点がある場合、広範な地域での環境の汚染により人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるか。
 3つ目に、環境モニタリングデータといたしまして、モニタリングデータと有害性評価値を比較してリスク懸念地点となる地点はないかという点を見ております。
5ページ目にその結果を載せておりまして、結論といたしまして、ジクロロメタンを優先評価化学物質相当と判定しないこととしております。
同様に、別紙1にございます優先度「高」となりましたクロロエチレン、また、1,2-エポキシプロパン、また、過酸化水素に関しまして、リスク評価Ⅱの際に示された今後の対応に基づきまして、詳細な本評価を行った結果として、いずれの物質も優先評価化学物質相当と判定しないこととしております。
「5.」ですけれども、今後の方針と課題への対応といたしまして、今回、いずれの物質も優先評価化学物質相当と判定されなかったことから、これらの物質につきましてはいずれも、一般化学物質として来年度もスクリーニング評価を行うこととしております。
なお、今後も指定取消物質が増加していくと考えられることに鑑みまして、スクリーニング評価における取扱いにつきましては、引き続き検討したく存じます。
続きまして、資料2-4-1に入ります。
 こちら、優先評価化学物質の指定根拠外項目の評価の進め方及び評価結果の案になります。
こちらの目的ですけれども、スクリーニング評価は、一般化学物質ごとに「人健康影響」と「生態影響」に係る2通りで行うこととしているため、以下の3通りの優先評価化学物質が存在します。
「人健康影響」のみが指定根拠の優先評価化学物質、2つ目に、「生態影響」のみが指定根拠の優先評価化学物質、3つ目に、「人健康影響」と「生態影響」の両方が指定根拠の優先評価化学物質。
 その結果、「人健康影響」のみが指定根拠の優先評価化学物質につきましては、「人健康影響」のリスク評価のみが進められまして、同様に「生態影響」のみが指定根拠の優先評価化学物質につきましては、「生態影響」のリスク評価のみが進められております。
 しかし、優先評価化学物質の指定根拠ではない項目につきましても、リスクがないとは認められないかどうかということを評価することが必要であると考えております。
 そこで、①と②の優先評価化学物質の指定根拠でない項目につきまして、毎年度、最新の有害性クラス及び暴露クラスを用いて、スクリーニング評価に準じた評価を実施し、優先評価化学物質に相当すると判定された場合には、優先評価化学物質の指定根拠に追加することとしております。
 2つ目の評価方法ですけれども、一般化学物質と同様に、事業者からの届出情報から推計しました排出量に基づく暴露クラスと、収集した有害性情報に基づく有害性クラスのマトリックスにおきまして、有害性及び暴露の程度が大きく優先度が「高」に区分される物質や、優先度が「中」に区分される物質のうち、専門家による詳細評価に基づき必要性が認められた物質につきまして、優先評価化学物質相当と判定しております。
 次の2ページですけれども、評価の実施対象といたしまして、令和4年度に優先評価化学物質としての届出がなされた物質のうち、「人健康影響」のみ、あるいは、「生態影響」のみが指定根拠となっているもの。優先評価化学物質への指定時期との関係で、令和4年度に一般化学物質としての届出がなされた物質につきましては、優先評価化学物質としての数量が把握できないため対象外としております。
 そのほか、算出方法におきましては、一般化学物質のスクリーニング評価と基本的には同じ算出方法としております。
「3.」ですけれども、優先評価化学物質の判定結果といたしまして、「2.」の評価方法に沿って評価を実施した結果、人健康影響に関しましては、専門家による詳細評価が必要な物質として優先度「中」のりん酸トリトリルが優先評価化学物質に相当すると考えられますが、生態影響に関しましては、優先評価化学物質に相当すると考えられる物質はありませんでした。
 優先評価化学物質の判定結果につきましては、以下のとおり、資料に載せておりますので、御参照ください。
 また、暴露クラスの付与結果につきまして、資料2-4-2に載せております。
○厚労省事務局 続きまして、資料2-4-3を用いまして、人健康影響に関する評価について御説明いたします。
 生態影響のみが指定根拠の優先評価化学物質につきましても、通常と同様の優先度判定を実施したところ、優先度「高」となる物質はございませんでしたが、専門家による詳細評価を要する物質として、優先通し番号219番が該当いたしました。この物質は、先ほど資料2-2-4にて御説明したとおり、優先評価化学物質に相当する物質に選定すべきと考えております。
資料2-4-3の説明につきましては以上でございます。
○環境省事務局 続きまして、生態影響について御説明いたします。
資料2-4-4を御覧ください。
 今回、新たに有害性クラスの付与を行う物質はありませんで、平成22年度から令和4年度に有害性クラスの付与を行った物質の一覧のみ示しております。これらの物質について優先度判定を行いました結果、今回優先度「高」となる物質はございませんでした。
続いて、資料2-4-5を御覧ください。片側のみ、既に優先評価化学物質に指定されている化学物質について、PRTR排出量による暴露クラスの見直しを行いました。人健康影響暴露クラスにおける見直し結果を次のページにある図表1に、生態影響用の暴露クラスにおける見直し結果を図表2に示しております。見直しした結果、PRTR排出量による暴露クラスが、化審法届出情報に基づく暴露クラスを上回った物質は、人健康影響及び生態影響において各1物質ずつございましたが、優先度「高」となる物質はございませんでした。資料2-4-5につきましては以上となります。
 続いて、資料2-4-6を御覧ください。片側のみ、既に優先評価化学物質に指定されている化学物質につきまして、環境濃度と有害性評価値による詳細評価を行いました。
 用いたデータは先ほど説明したものと同じになっておりまして、結果は、一覧表としては次の表にまとめてございますが、人健康及び生態で優先度「高」となる物質はございませんでした。資料2-4-6につきましては以上となります。
○白石委員長 御説明ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見等をお願いします。よろしいでしょうか。
吉岡委員、お願いします。
○吉岡委員 環境委員の吉岡です。
 1つお尋ねしたいのです。資料2-4-4、先ほどの説明では、片方だけ優先に指定されていて、もう一方は優先に指定されていないものについて、優先的にちょっと中身を調べてみようということで行っていくという御説明がございました。そこの中で、この資料2-4-4を見てみますと、ちょっと困ったことに、毒性データの十分にそろっていないような物質というものがちらほら見かけられる。もしそういうことをするのであるならば、どちらか片方が優先になった場合には、ほかのほうの試験もやりなさいというような注意といいますか、促すといいますか、そういうようなシステムというものはないんでしょうか。以上です。
○白石委員長 御質問です。事務局、お願いします。
○環境省事務局 環境省でお答えいたします。
 現時点では、そういったシステムというのは存在していないのですが、今後も、毎年こういった形でリスク評価を運用していく中で、今御指摘のありました、そういった問題が顕在化するようであれば考えたいと思います。現時点では、そういったシステムは存在しないというのがお答えになります。以上です。
○村田委員 経産委員の村田と申します。
先ほどの2-4-4の資料を見ているんですけれども、例えば、魚類だと、急性毒性値の値が主に出ていて、慢性のほうが出ている結果が少ないというふうに思うんですけれども、実際のところ、慢性の方が、恐らく毒性値としては低くなってくると思うんですが、その辺で、急性しか得られていないときに、急性側を引用してしまうというところで問題はないんでしょうか。
○白石委員長 事務局、お願いします。
○環境省事務局 スクリーニング評価という前提もありますけれども、残念ながら得られていない情報については、今後も情報収集を進めていくという状況になっていると考えており、評価においては得られた情報を用いて実際にリスク評価を行っているという状況でございます。
○村田委員 じゃあ、もし、今後、慢性で出てきたときに、それで急性に比べて、かなり値が低いようなものが出てきた場合には、また考慮するような感じで進めていくということでしょうか。
○環境省事務局 慢性毒性の結果が得られましたら、その慢性毒性の結果も併せて、評価に用いて実施していきます。
○村田委員 ありがとうございました。
○白石委員長 ほかに御質問。お願いします。
○小野(恭)委員 経産委員の小野です。
 今の村田委員の御質問に重なる形ではあるんですが、資料2-4-4の魚類のデータを見ますと、急性毒性でLC50/UFs(ACR*種間外挿)という列があって、これは恐らく急性毒性値を100で割っているということになると思うんですけれども、この評価に、このスクリーニング段階における評価では、この列と、あと慢性毒性値の値というのは同列に扱うというようなルールがあるんでしょうかという質問になります。慢性が出てきたら慢性なのか、それで、慢性がないときは、この急性の値を100で割ったのが使われるのかというルールでしょうかという確認になります。
○白石委員長 事務局、お願いします。ガイダンスに書かれたとおりだと思いますね。
○環境省事務局 スクリーニング評価手法についてという参考資料で申し上げますと、参考資料2-3に記載しているとおりと申し上げるのが正しいところと思いますが、特に7ページ、8ページの辺りに記載がありまして、生態の有害性クラスの付与に用いる有害性データは、原則として水生生物3種に対する急性毒性試験結果もしくは慢性毒性試験結果とするという様にしております。
 慢性毒性がある場合には、同資料の9ページにPNEC導出のフローというのがありますが、慢性毒性から見ていくようなフロー図になっているかなというふうに認識しておりますが、このフロー図と、8ページに載っているPNEC導出に用いる不確実係数の計算の表のとおり作業をしているところでございます。
○白石委員長 ガイダンスどおりということで、それぞれアセスメント係数を掛けていくんですが、多分慢性優先になっているんじゃなかろうかと思います。よろしいですか。慢性優先でしたっけ。小さいほうを取るんですかね。
○村田委員 ありがとうございます。今言及いただきました資料の9ページのフローチャートを今確認させていただいているところでございますが、そのとおりでした。ありがとうございます。
○白石委員長 どうぞ。
○小山委員 私が答えることではないんでしょうけれども、生態影響のリスク評価では、有害性評価では、魚類は魚類でPNECを定めるということではなくて、3種の生態毒性試験の結果で、急性と慢性でそれぞれのPNECの案ですかね、候補値を定めた上で、最終的に最も小さいPNEC値を使って、有害性の根拠とするというふうになっていますので、それぞれの栄養段階ですかね、魚類とか、甲殻類とか、植物プランクトンで別々でPNEC値を定めるということはしていないはずです。
○白石委員長 ありがとうございます。
ガイダンスどおりということで、もう一度御確認いただければよろしいかと思います。
ほかに御質問等はございますでしょうか。
○瀬戸委員 経産委員の瀬戸です。
○白石委員長 お願いします。
○瀬戸委員 資料の2-3の件です。「5.」のところの丸の二つの丸なんですが、今後も指定取消物質が増加していくと考えられることに鑑み、スクリーニング評価における取扱いについて、引き続き検討するというふうな対応を記載いただいており、確かに、この数が増えていくということを考えると、何らかの対応、適正な評価手法というのが必要かなと思い、一方で数が増えるということになりますと効率的なというんでしょうか、そういったところが視点ということなのかなと思いまして、この内容に関しまして、もし何かお考えがあれば伺いたいと思いました。
○白石委員長 それでは事務局から御答弁をお願いします。
○経産省事務局 ありがとうございます。経産省事務局です。
 これから検討していくところで恐縮ですけれども、指定取消物質が増加していく中で、結構ボリュームのある資料を今お出ししていると考えておりまして、どこまで詳細な資料が必要かという点を引き続き考えていきながら、また、本当に必要な部分というのはどこかというところを御意見いただきながら進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○瀬戸委員 ありがとうございます。
○白石委員長 どうもありがとうございました。
ほかにコメントはいかがですか、よろしいですか。
どうも活発な御議論をありがとうございました。特段、事務局の案に修正意見はなかったと思いますので、事務局から。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 鈴木です。
資料2-3のクロロエチレンなんですが、モニタリングで今年は何か超えたということで、2個のうち1個が出たということなのかな。経年調査をされる地点のようですけれども、この地点はあれですか、経年的に、どういう濃度傾向だったんですか。経年1年でということで、今年ちょっとだけ増えたような状況なんですか。それとも、全くなかったのが突然ぽんと出たというか、そういう感じなんでしょうか。
○環境省事務局 経年的に高いということではなく、今年ぽっと出たというような形というふうに見ております。
○鈴木委員 分かりました。特に多分恐らく調べていないかなと思うけど、何か発生源があったんだろうかとか、何か考察はされましたかね。
○環境省事務局 いえ、そこまでは残念ながら見ていないという状況になっております。
○鈴木委員 分かりました。結果はこれでいいと思いますけれども、多分、行く行くそういうことを見ていく必要があると思いますので、データについては注意深く扱う必要が常にあると思いますので、お願いします。
○白石委員長 事務局、フォローバックが必要であろうということですが。
○環境省事務局 周辺のPRTR排出地点がないかどうかなど、改めて周辺状況も確認したいと思います。ありがとうございます。
○白石委員長 ほかに全体を通じてコメントはございますか。よろしいでしょうか。
特段の修正意見はなかったと判断いたしますので、事務局から説明いただいたとおりの対応としたいと思います。
それでは、今年度のスクリーニング評価結果について、事務局から説明をお願いします。
○経産省事務局 経産省事務局です。
 優先評価化学物質につきまして御審議いただきました結果、優先度「高」の物質につきましては、人健康影響4物質、生態影響6物質、専門家の詳細評価につきましては、人健康影響3物質となっております。全て合わせまして、13物質が優先評価化学物質相当の判定の対象となりました。
○白石委員長 優先評価化学物質の判定については以上となりますが、最終的に御確認いただきたいと思いますが、先ほど御審議いただきました優先度「高」の物質、エキスパートジャッジした物質について、優先評価化学物質相当と判定してよろしいでしょうか。
(異議なし)
○白石委員長 ありがとうございます。
それでは、先ほど説明いただいた物質について、優先評価化学物質と判定いたします。
これをもちまして、一般化学物質のスクーリング評価等について、終了いたします。
次に、議題3、その他として事務局から何かありましたらお願いします。
○環境省事務局 議題3については特段ございませんが、合同審議会【第二部】の審議につきましては、予定どおり15時15分より開始したいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 なお、【第二部】につきましては、新規化学物質の審査等でございますので、非公開とさせていただき、YouTubeによる配信は以上となります。第二部委員の皆様には、開始時間の15時15分までにお席にお戻りいただきますようお願い申し上げます。
○白石委員長 では、以上をもちまして合同審議会、【第一部】を終了といたします。御協力ありがとうございました。