令和5年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会令和5年度化学物質審議会第1回安全対策部会第237回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会【第一部】議事録

開催日時

令和5年9月15日(金)13時00分~14時40分

開催場所

経済産業省内会議室 及び オンライン(ハイブリッド)

出席者

(五十音順、敬称略)
薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員
稲見 圭子   小野 敦      北嶋 聡
齋藤 文代   杉山 圭一     頭金 正博
豊田 武士   平林 容子(座長) 北條 仁
増村 健一   三澤 隆史
 
化学物質審議会安全対策部会委員
石川 百合子  小野 恭子      柏田 祥策
北本 幸子   金原 和秀      須方 督夫
瀬戸 洋一   東海 明宏(部会長) 永井 孝志
林 真実    森田 健
 
中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員
石塚 真由美  川嶋 貴治   菅野 純
小池 英子   小山 次朗   白石 寛明(小委員長)
鈴木 規之   山本 裕史   吉岡 義正
 
事務局
厚生労働省 稲角化学物質安全対策室長
経済産業省 内野化学物質安全室長
環境省   清丸化学物質審査室長  他 

議題

1.優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱについて
   審議物質 テトラメチルアンモニウム=ヒドロキシド(#17)【人健康影響】

2.優先評価化学物質α-(ノニルフェニル)-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(別名ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル)(#86)の第二種特定化学物質への指定等について

3.その他
 

議事録

○経産省事務局 定刻になりましたので、令和5年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会令和5年度化学物質審議会第1回安全対策部会第237回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会【第一部】を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
今回は3省合同の対面及びオンラインのハイブリッド会議形式での開催とさせていただいております。
なお、本合同会議は【第一部】と【第二部】に分けて実施し、【第一部】は公開の会議でありますので、会議の様子をYouTubeにてオンライン配信しておりますので、御了承お願いいたします。
化学物質審議会安全対策部会に委員の交代があり、山根委員に代わり瀬戸委員が就任されております。
また、本日はいずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることを御報告いたします。
各審議会から本日の会合への具体的伝達手続はそれぞれの省により異なりますが、化審法第56条に基づく諮問が大臣よりなされている審議会もございますので、よろしくお願いいたします。
審議に先立ちまして、夏季の軽装のお願いについて申し上げます。地球温暖化防止、省エネルギーに資するため、政府全体として夏季の軽装に取り組んでいるところでございます。これを踏まえ軽装にて対応させていただいております。
○厚労省事務局 本合同審議会を開始する前に、厚生労働省事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。
薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。
今回全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○経産省事務局 それでは、本日の合同審議会の進め方に関しまして御案内いたします。
13時から14時半までを【第一部】として、優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱについて、優先評価化学物質α-(ノニルフェニル)-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(別名ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル)(#86)、以降NPEと言わせていただきます。こちらの第二種特定化学物質への指定等について、そのほかの議事を公開にて審議いたします。
【第一部】終了後、休憩を挟みまして、15時を目処に【第二部】を開催する予定としております。
それでは、【第一部】を始めるに当たり、お配りした資料について確認を行いたいと思います。資料の読み上げは割愛させていただきますが、議事次第に沿って資料を確認いたします。資料は、資料1-1、1-2、1-2参考、1-3、1-4、参考資料1-1から1-3、資料2-1、2-2、参考資料2-1から2-6、最後に委員名簿でございます。過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
今回、3省合同の対面及びオンラインのハイブリッド開催としているため、スムーズな審議を行うため、議事に先立ち審議の進行方法について事務局より御説明させていただきます。
まず、対面にて御参加いただいている委員の皆様におかれましては、御発言を希望される場合、お手元のネームプレートを立てていただきますようお願いいたします。順に座長から御指名いただきます。座長から指名されましたら、お近くのマイクをお取りいただきオンにし、御自身の所属する審議会の省名とお名前を併せ御発言ください。御発言が終わりましたら、ハウリング防止のため必ずマイクをオフにお願いいたします。
続きまして、オンラインにて御参加いただいている委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュート、ビデオをオフにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問いただく際は、Webexのチャット機能を活用し、御自身のお名前、所属する審議会の担当省名を御入力ください。座長から順に発言者を御指名いただきます。
なお、チャットが使用できない委員におかれましては、発言前にマイクをオンにして、所属する審議会の担当省名及びお名前をお知らせください。
御発言のタイミングが重なるような場合は、座長から順に発言者を御指名いただきます。指名されましたらマイクとビデオをオンにしていただき、御発言が終わったらマイクをミュートに戻し、ビデオをオフにしてください。
会議中、マイクの調子が悪かった場合などは、チャットに御発言内容を御記入いただくようお願いする場合がございます。なお、チャット機能を御利用された場合、入力内容は会議参加者のみに共有され、YouTube Live上には公開されません。
システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡ください。
また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認をお願いいたします。
それでは、これより議事に入ります。本日の全体の議事進行につきましては、化学物質審議会安全対策部会の東海部会長にお願いしたいと思います。東海部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○東海部会長 東海でございます。それでは、ただいまより議事に移らせていただきます。
はじめに、本日の会議の公開の是非についてお諮りします。
各審議会の公開につきましてはそれぞれ規程のあるところでございますが、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすことがある場合、または特定の者に対し不当な益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とするべき場合には該当しないと考えられますので、原則公開と致したいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することを認めることと致したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
それでは、本日の会議は公開といたします。議事録につきましては、後日ホームページ等で公開されますので、あらかじめ御承知おきをお願いいたします。
それでは、議題1、優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱについて、に関わる審議に移りたいと思います。審議物質は、テトラメチルアンモニウム=ヒドロキシドの人健康影響の観点からの評価に関して審議を行います。
まずは資料1-1につきまして事務局から説明をお願いします。
○NITE それでは、資料1-1を御説明させていただきます。
まずは1ページ目を御覧ください。まず、1-1、評価対象物質の設定について御説明いたします。
優先評価化学物質通し番号17である「テトラメチルアンモニウム=ヒドロキシド」以下、「TMAH」と呼ばせていただきます。こちらの物質は、化審法運用通知の規定により、テトラメチルアンモニウム=ヒドロキシドの構成成分となっておりますテトラメチルアンモニウムを構造の一部として有するものについても優先評価化学物質の規定が適用されることになっております。その結果、下の表1-1にお示ししているように、hydroxide以外にもchlorideであるとかfluorideなど幾つかの塩が優先の17番として届けられております。
そこで評価対象物質を検討しました。こちら54行目に書いてありますように、環境排出量を推計したところ、CAS登録番号75-59-2、こちらはhydroxideの塩のことになりますが、こちらは環境排出量の99%以上を占めておりましたので、こちらを今回の評価対象物質としております。
以降ではこの評価対象物質について、物理化学的性状等を収載しております。
続きまして、3ページ目を御覧ください。表1-2に物理化学的性状等のデータをまとめております。リスク評価に特に関係する4項目について簡単に御説明します。
蒸気圧は2.44×10-5Paで、20℃での推計値となっております。
水に対する溶解度は1.0×106mg/Lで、水に混和するということから設定しております。
1-オクタノールと水との間の分配係数(logPow)に関しては-1.4で、20℃での測定範囲の上限値です。
ヘンリー係数は3.41×10-11Pa・㎥/molで、20℃における推計値となります。
あとの項目につきましては、こちらの表に記載されているとおりでございます。
続きまして、7ページ目に移ります。表の1-3に分解性のデータをまとめております。大気における半減期は、OHラジカル等の反応として3日、水中における半減期としては生分解の5日、こちらは分解度試験の結果から換算したものとなっております。土壌の半減期についてはデータがないため、技術ガイダンスに従い水中と同様で5日、底質の半減期についてもデータがないため、技術ガイダンスに従いまして水中の4倍の20日としております。
なお、ただいま御説明いたしました表1-2と表1-3に関わる全ての物理化学性状等につきましては、令和2年度第2回化審法リスク評価等に用いる物理化学的性状、分解性、蓄積等のレビュー会議にて了承された値となっております。
こちらからの説明は以上になります。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、事務局の説明につきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、続きまして資料1-2につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○厚労省事務局 それでは、資料1-2に基づき有害性評価について御説明いたします。16ページを御覧いただけますでしょうか。
優先通し番号17番に含まれるTMAH等の化合物は、蒸気圧が低いため吸入経路での暴露は想定されず、経口経路の暴露が主であると考えられます。したがって、有害性評価値については、吸入経路は導出しないこととし、経口経路のみ導出することとしました。
人への影響については、有害性評価値導出に適した有害性情報はありませんでした。
実験動物への影響に関する有害性情報は、ラットを用いた反復経口投与による一般毒性と生殖発生毒性に関する試験情報を入手できたものの、その数は少なく情報量が限られていました。入手可能な毒性データをレビューしたところ、一般毒性については、TMAHの28日間試験では、20mg/kg/dayで投与後1時間以上継続して見られる流涎の発生頻度の増加が、TMACの90日間試験では、30mg/kg/dayで神経系に対する影響を示唆する臨床症状と肝臓への影響が、TMAHPの28日間試験では、75mg/kg/dayで臨床症状、体重増加抑制、肝臓への影響などが見られました。
生殖発生毒性については、TMAHまたはTMAHPを被験物質とし、生殖発生毒性の有無やその概要を検出する生殖/発生毒性スクリーニング試験(OECD TG421)がありますが、検査項目に限りがありまして、催奇形性などの胎児への影響や児動物の生後の発達などについて評価可能な試験ではありませんでした。
しかし、化審法における人の健康に係るスクリーニング評価手法に準じ、TG421毒性試験によるNOAELを不確実係数積で除した数値、すなわち有害性評価値を求めて、TMAH等の妊娠~出産の影響を受けた可能性がある母動物に対する生殖発生毒性について定量的なリスク評価を実施することは可能と判断しました。
発がん性については、ヒト及び動物の発がん性に関する情報がなかったため十分な評価はできませんでした。変異原性については、TMAH、TMAC、TMAHPのin vitro試験がいずれも陰性であったことから、遺伝毒性(変異原性)を有する可能性は低く、少なくとも変異原性が起因となる発がん性の懸念はないと考えました。
これらの情報により、定量的評価が可能であった一般毒性及び生殖発生毒性の試験結果から、それぞれの有害性評価値を求めることとしました。
一般毒性については、TMAH換算したときに最小のNOAELとなるTMACの90日間試験をキースタディとして選択しました。当該試験で見られた臨床症状と肝臓への影響を指標としたNOAEL10mg/kg/day(TMAH換算で8.3mg/kg/day)を基点としまして、不確実係数として種差10、個体差10、投与期間10の1,000で除した0.0083mg/kg/day(TMAH換算値)を一般毒性の有害性評価値としました。
生殖発生毒性については、最小のNOAELを示したTMAH生殖/発生毒性スクリーニング試験をキースタディとして選択しました。当該試験で認められた妊娠~出産の影響を受けた可能性がある母動物に対する影響を指標としたNOAEL(5mg/kg/day)を基点としまして、不確実係数として種差10、個体差10、試験の質10の1,000で除した0.005mg/kg/dayを生殖発生毒性(母動物に対する影響)の有害性評価値としました。
よって、経口暴露の有害性評価値は、最も低い値であった生殖発生毒性試験の母動物に対する影響に関するNOAELから得られた値の0.005mg/kg/dayが妥当であると判断し、その結果は18ページの表10にまとめております。
続きまして、資料1-2参考を御説明いたします。
1ページを御覧ください。この資料は、TMAHに係る評価可能な有害性情報が限られていたため、リスク評価Ⅱにおける有害性評価値を導出するに当たりまして、入手可能であった有害性情報を整理してお示しするものです。技術ガイダンスに示す評価手法に基づいて、専門家判断により設定される不確実係数について、入手可能であった少ない有害性情報より設定するため、慎重を期して御審議いただければと存じます。
まず、先ほど御説明した資料1-2の内容の前提を共有いたしますと、1つ目として入手できた有害性情報は、TMAH、TMAC、TMAB、TMAHPの4物質の情報であること、2つ目として解離して生じるTMAに関する有害性評価を行っていることという点がございます。各評価項目で入手できた有害性情報は、1ページの表にお示しするとおり、いずれも動物試験の結果であり、限られた情報量での有害性情報となりました。特に資料1-2の「2-1 経口の(2)実験動物」の項におけるTMAHのラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験において見られた心重量の低値及び流涎について、毒性影響の考え方を整理いたしましたので、御議論の参考としていただきたいと考えております。
2ページを御覧ください。表の左側、網かけ部分に「心重量の低値は毒性影響ではない」とした資料1-2に記載する考え方を、右側に同所見を「毒性影響である」とする考え方を示し、各々についてその判断根拠や考えられる機序、本所見に関するNOAELを示しまして、論点を表の下に示しております。
論点(1)について議論の参考にしていただくため、幾つかのデータを用意しました。
5ページの別紙1を御覧ください。こちらは、TMAHの28日間試験で見られた雄の心重量低値の原因として、対象群の心重量が背景値より高かったことが考えられたことから、当該試験の心重量データを背景値と比較するために用意したものです。各表の黄色で塗りつぶした行がTMAHの28日間試験の体重と心重量データ、試験番号1から6は、同じ試験実施期間で同時期に実施された同系統のラットを用いた28日試験の対象群データで、これらの平均値等を背景値として扱いました。赤丸で囲んだTMAH28日間試験の対象群の心重量データに着目してください。
左下の四角で囲みました雄の心臓の絶対・相対重量の背景値と比較しますと、TMAH28日間試験の雄の対象群の心重量は、絶対、相対ともに背景値を超えていることを御確認いただけるかと思います。
6ページに個体別データを示しており、対象群に心重量の高値を示す動物が集まっていることが分かります。対象群と比較した場合の各群の心重量の低下率は、個体別データの黄色の塗りつぶしで示した数値を御覧ください。
5ページに戻りまして、最高用量群の心重量を見ますと、左側、上から2つ目、3つ目の表に青字で示しておりますが、相対重量は背景値の範囲内であるものの、絶対重量は背景値を下回っていることを確認できます。なお、雌の投与群では投与による心重量の変動は見られておりません。
続いて、7ページを御覧ください。資料1-2の15ページ、474行目以降の作用機序の項にも示しておりますWu et alによる2012年の研究報告の概要です。TMAHによる心機能への影響がどの程度の用量で発現するかを確認するため、経口投与による同様の試験情報はないことから、Wu et alによる皮下投与の試験を参照しました。この研究では、TMAHを最高20mg/kg相当の用量でラットの皮下に単回投与した結果、投与用量に依存して心拍数、動脈圧、酸素分圧の低下や二酸化炭素分圧等の増加が見られました。つまり、TMAHの28日間経口投与試験と同等の用量で実施した単回皮下投与試験で心拍数等に影響が生じる可能性が示唆されました。
ただし、この皮下投与の試験では5mg/kg相当以上で急激な血中濃度の上昇によると思われる死亡例が出ておりましたが、TMAHの28日間経口投与試験では、試験終了まで死亡例はなかったことから、投与経路の違いにより血中ピーク濃度の変動に差がある可能性を考慮に入れる必要があると考えております。
2ページへお戻りください。以上を踏まえまして論点(1)での御意見をお願いいたします。心重量低値の機序については、論点(2)に示すとおり、雄のみに発生したことや、TMAC、TMAHPでは発生しないことをどう考察するかについても御意見をお聞かせください。併せて心重量低値に関するNOAELを幾つにすべきかも御提示いただけたらと思います。
続きまして、3ページを御覧ください。資料1-2に記載する事務局の考え方では、通常では生じない「投与後1時間以上の流涎」を毒性影響と考え、NOAEL10mg/kg/dayとしております。本試験では、「投与直後の一過性流涎」と「投与後1時間以上の流涎」が見られていますが、それらの個体別の発生状況を8、9ページの別紙2に示しております。8ページは雄、9ページは雌のデータです。白丸は「投与直後の一過性流涎」、黒丸は「投与後1時間以上の流涎」、黄色マーカーで示した投与日は、投与前から流涎が見られたことを示しております。御覧いただくと分かりますとおり、一過性の流涎は主に10mg/kg以上の群に、1時間以上継続する流涎及び投与前からの流涎は20mg/kg群を主体に見られております。同じ用量群内でも個体によってばらつきがあり、試験期間を通じて全く流涎が見られない個体や散発的に見られる個体もありました。
10ページの別紙3を御覧ください。参考としてTMAH28日間試験の予備試験の概要とpH情報を示しております。予備試験概要では最高用量を設定した根拠を御確認いただけるかと思います。
また、資料1-2の12ページ、424行目以降に示した単回経口急性毒性試験において、TMAHが35または50mg/kgの用量で、ムスカリン様作用の特徴とされる流涎、痙攣、振戦、運動麻痺、呼吸異常などが見られていることも示しております。さらにpH情報としてTMAH濃度ごとのpHやTMACのpHについても示しております。
3ページ目へお戻りください。別紙2、別紙3で示したデータを踏まえまして、各論点で御議論いただきたいと存じます。論点(2)ではWu et alの研究のほかに、資料1-2の8ページ、269行目に参考として示しましたTMAHを経皮投与した28日間試験では流涎が見られていないことも踏まえて、ムスカリン様作用の関与があるのか、アルカリ性が原因か、あるいは機序は特定できないのかについて御意見をお願いします。
論点(3)では、「投与直後の一過性流涎」も毒性影響と考えるべきか、論点(4)では、流涎に関するNOAELについても御意見をお聞かせください。
なお、本日御欠席の広瀬委員よりコメントを頂いておりますので、事務局にて代読いたします。
まず、TMAHのラットを用いた生殖/発生毒性スクリーニング試験をケーススタディとして分娩中に見られた母動物の影響を基にしたNOAEL5mg/kg/dayに不確実係数1,000を掛けまして、0.005mg/kg/dayを評価値とする案に同意いたします。
ただし、種差と個体差に追加した不確実係数は、生殖データの不足による毒性の質ではなく、妊娠中とは神経毒性作用に関連すると思われる死亡という重篤な毒性を招いているので、毒性の重篤性を加味した不確実係数、あるいは生殖データの不足の理由に追加してもよいですが、10を適用したもののほうが良いように思います。
心臓重量の減少については、ムスカリン作用による薬理作用ではないということが否定できないように思いますが、ムスカリン様の薬餌作用により心重量が下がるという一般的な事例は知られていないように思いますので、NOAELの根拠とするには困難な気がします。
ただし、90日試験では心臓重量に関しての優位な影響であるという言及がないことから、再現性がないことに関しての根拠にしていますが、90日試験の情報はECHAの登録情報に基づくもので、ECHAが評価したものではありません。
また、オリジナルのデータにたどり着けないので、有意差がなくても減少する傾向があったのかもしれないという情報の確認ができないので、他の試験で心臓重量の減少がなかったという根拠に使用するのは難しいと思います。
基本的に詳細なデータが確認できないECHAの登録情報から、NOAELを求めることや評価Ⅱのケーススタディにすることは、今回は最終的なPODの試験としては採用されていませんけれども、避けたほうがよいように思います。
一方、TMAHのクリティカルな毒性としてムスカリン様作用を反映した神経症状であると思われ、その作用の一部と考えられ、低用量から認められる流涎の影響を一般毒性NOAELの根拠としても良いように思います。理想的には心拍数の減少等を指標として評価できればと考えますが、一般毒性試験でその指標を捉えることはできないので、安全側の指標として流涎を採用せざるを得ないように思います。
事務局案では持続性のある流涎のほうを毒性採用していますが、TMAHの吸収と消失が極めて早いことから、一過性の反応についても毒性と捉えても良いように思います。ただし、5mg/kg/dayの一例は、実験期間中に1回だけで、かつ発現状況も他と異なっているようなので、流涎のNOAELは5mg/kg/dayでも良いように思います。
したがって、一般毒性の評価値の根拠としては、90日試験の結果ではなく、28日間試験のNOAELを採用したほうが良いように思います。その際の評価値は、種差と個体差に加えて、試験期間の不足による10を追加して、生殖発生毒性のデータに基づく評価値と同じになることになりますが、一過性の流涎を指標することの不確実性も考慮すると、総合的には非発がん影響の評価値は、生殖発生毒性試験で求めた評価値を採用することで良いように思います。
以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、今御説明いただいた資料の2ページ目に記載された雄のみに見られた心重量の低値の論点(1)について御意見等ございますでしょうか。北嶋委員、どうぞ。
○北嶋委員 ありがとうございます。厚労委員の北嶋でございます。
御説明がありましたように、多くの論点につき詳しい説明がされている中で、端的にコメントするというのは難しいことなのですが、できるだけ整理してお話したいと思います。
まず最初に、挙がりました心重量の変化についてなのですけれども、3物質に同所見が認められないから影響として認められない、ということについては、異論を唱えたいと思います。といいますのは、薬理学的な影響ではない影響も当然考慮しなくてはいけないはずで、まずは物質毎に独立して影響を考えていかなければいけない、と考えるのです。従って、3物質に共通ではなくても、当該物質により認められた心重量は無視できない影響と考えております。また、この変化への薬理的な影響が否定できないということからも、私としては有害事象としての心重量の変化は否定できないのではないかと、考えるのです。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 菅野です。
北嶋先生の御意見とかぶるところがあるのですが、最初の方針のところで3物質のうちのTMAのところの共通した属性をというところが語られたかと思うのですが、それは塩違い程度までしか許されないはずなのです。OHとClというのは塩違いとしては認められない範囲の違いであると考えます。
陽イオンのほうがナトリウムイオンだとして、残りがClとOHだったら、NaClとNaOHのNaプラスの共通の毒性について皆様、生物学的に同じであると考えられますか。単なる腐食性というようなことだけで片づけられない生体影響というのを考えざるを得ないということです。陰イオンに対する陽イオンの塩違いまでは本体のほうを共通で見ましょうというアイデアはあるのですが、OHマイナスとClマイナスで陽イオン側が共通という場合に、本体だけの影響で分離してみようということ自体に無理があると考えます。
次に、ムスカリン様作用でないであろうという結論など、いろいろ出されていますが、結局、皆様の見解は毒性メカニズムが分からないということは共通しているわけです。分からないから毒性ではないという方向に論議を振ることも毒性学的にはやってはいけないと思われます。ですので、私は有害性と取るべきだという立場にいます。
背景情報を見ましたけれども、ほかの6つの試験、どのぐらいの期間でどのようにやられたらいいか分からないですが、その程度の重量の実験も過去にあったわけです。用量相関性が取れているわけですから、背景データにあまり頼り過ぎるというのも毒性学的に間違いを犯す点でもあるということを考えると、やはり分からないから毒性にしないという方向にこの場合は走れないのではないかという立場で、この所見を採用すべきだと思います。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。そのほか御意見等ございますでしょうか。森田委員、どうぞ。
○森田委員 ありがとうございます。
心重量の低値に関しまして、私は毒性ではないと考えるのが適切ではないかと考えています。その理由は、背景データで高値であったことが1点。その理由はもちろん分からないわけですけれども、コントロールの値はかなり大きいものです。あと用量依存性をもって処理群が減っています。確かに統計上も減っていますし、見た目も減っていますけれども、この減り具合は単なるばらつきの範囲内でしかないと生物学的に捉えるのが妥当だと思います。したがって、統計学的に有利であっても、生物学的な妥当性はほぼないと考えています。
ですので、ムスカリン様作用も完全に否定できないのですけれども、その観点からいきますと、心重量の低下というのが一般毒性試験の評価の中でムスカリン様作用に対する感受性が一番高い指標なのでしょうか。それであればまだその可能性もありますけれども、ほかにムスカリン様作用が認められていないということが要点で、心重量の低下がムスカリン様作用を示す最も感受性の高いものかどうかということです。そうでなければやはりこの反応は偶然によるもの、あるいはコントロールにおける心重量が高いということに起因しているのではないかと思います。
あと菅野先生がおっしゃられたNaClとNaOHの違いですけれども、これは局所影響作用であって、吸収されたClやOHの影響ではないという観点から、直接的にはこの説明に当てはまるものではないと思います。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。オンラインから小野委員、よろしくお願いします。
○小野(敦)委員 厚労委員・小野です。ありがとうございます。
今問題になっている心重量の低下ですけれども、菅野先生も言っていたようにドーズレスポンスははっきりしていて、実重量、比重量ともにこんなにきれいに低下してくるケースはあまり見たことがなくて、偶発的な影響とは言えないのではないかと考えています。ただ雄にしか認められないということもあるし、メカニズム的にどうかと言われると、これがTMAの影響かどうかというのは判断できないのではないかと思っていて、試験を単品で見たときには毒性と捉えるべきなのだろうと。
最終的にTMAの影響だけを評価するという立場なのか、それともTMAHの毒性を評価するという立場なのかによっても違ってくるのですけれども、総合評価としてTMAの影響だけを見るというのであれば、そのときには心重量の影響というのはもしかしたらTMAの影響ではないのかなといった総合評価もあるのかなと思っています。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、大体御意見出そろったと思いますので、平林座長、おまとめいただけませんでしょうか。
○平林座長 平林でございます。
心重量の低下につきましては、皆様が御指摘のとおりでございまして、確かに小野先生がおっしゃるとおり有意差をもって低下しているというところは、明確な所見でございます。
また、菅野先生が御指摘のとおり、ほかの剤で認められなかったからといって、ここで評価できる情報は非常に限られているものでございますので、本当に網羅できたかというところを考えますと、必ずしも毒性がないとまでは言いがたいだろうとも感じます。
背景値との関係では、この値の範囲内に収まるということをもって毒性がないと判断することもございますが、これだけはっきりした変化が認められている、ただ機序が分からないというという状況で、少なくともTMAHの毒性影響であるというところまでは切らないほうがいいだろうと考えております。なのでTMAの毒性評価をするのか、TMAHの評価を含めて評価するのかというところが論点になろうかと考えております。
ただ、実態的には99.8%TMAHが使われているというところからすると、評価として機序は分からないけれども、こういったことがあったということは残しておいたほうがいいだろうと思います。
一方、広瀬先生も御指摘のとおり、これを毒性の評価値として採用するという点については、これから流涎の話に行きますけれども、そちらで評価値が導出できれば、それを採用するということがいかがかと思います。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。今、平林座長に一旦おまとめいただきましたけれども、いかがでしょうか。この議論を踏まえて、もう一点論点が残っております。先ほどの4ページの一般毒性の有害性評価値の論点1もぜひ意見交換させていただければと思っております。一般毒性の有害性評価値に関するところです。この論点についてはいかがでしょうか。北嶋委員、お願いします。
○北嶋委員 厚労委員の北嶋でございます。
流涎のほうもそうなのですが、先ほどの平林先生の御意見はごもっともで、私も同意したいと考えます。繰り返しなのですけれども、この3種類の物質をどうして比較したのかという最初のところに話を戻しますと、3種類を比較して一番低い評価値のものを当該物質の評価値としようという意図があったために比較した、と私は理解しております。そうでなければ、適切な選択理由でもって、最初から1物質での検討としてもよかったのでは、と思ってしまいます。この点、3種類全てに共通しているとか、ムスカリン様作用云々というところに焦点を当ててしまうと、どうしても物質それぞれの用量依存性といった観点が後回しになってしまいます。一番低い用量で有害影響が認められている物質は3種類のうちどれでもよい、という角度から見れば、3種類に共通していなくて単独の場合であっても、それは影響として見るべきではないか、と考えております。
以上でございます。
○東海部会長 ありがとうございました。関連いたしましてほかに御意見いかがでしょうか。菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 流涎につきましては、まとめていただいた別紙2の雄のほうの、広瀬先生も5mg/kgの1点は採用するのは難しいけれども、10mg/kgまではというコメントもあったと思いますが、白丸、黒丸、黄色マークが20ミリ、10ミリまで、これも用量相関性をもって出てきているということから、このデータからNOAELが5mg/kgと読めるのではないかと判断いたします。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、オンラインから小池委員、お願いします。
○小池委員 ありがとうございます。私もこの点については先生方と同意見でありまして、投与直後も含めて投与後1時間以上の留意点も見つつ、あとは5ミリのところで見られている1データについては含めないと考えて、そのほかにコントロールでは影響が見られていなくて、投与期間が広範かつ高用量群になるほど頻度が高くなって傾度が高いということから考えると、これは暴露による影響と考えますので、NOAELとして5mg/kg/dayで毒性として捉えるのでよろしいのではないかと思います。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。厚労の北條委員、お願いいたします。
○北條委員 北條です。私としては、生殖発生毒性の項目で流涎に関連する変化がありまして、コメントさせていただきたいと思います。
TMAHの生殖発生毒性では、原著に流涎はアルカリ性の刺激によるものだと書かれておりまして、詳細資料の行番号で言うと296から297に母動物5mg/kg以上の用量群では、親動物に流涎が観察されたと記載しております。原著ではアルカリ性だということで否定していたのですが、こちらの流涎は被験物質の毒性影響だとする場合には、結論としてのTMAHの生殖発生毒性のNOAELが今は5mg/kgとなっているのですけれども、これが5ミリ以上で流涎が出たのを毒性とするならば、NOAELが1mg/kg以上となってくるかと思いますので、その点も留意していただけるといいかと思います。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。森田委員、お願いします。
○森田委員 ありがとうございます。
生殖発生毒性の流涎につきましては、詳細なデータを見ておりませんので分かりませんけれども、一過性のものなのか、投与後1時間以上見られるのかというところを確認していただいて判断されればいいかと思います。
流涎によるNOAELは、最初10は毒性と取らなくてもいいかなと思っていたのですけれども、よくよくデータを見てみますと10ミリにおける流涎はやはり毒性と取るべきであって、少なくともこのデータの中では5mg/kgがNOAELではないかと考えています。皆さんとほぼ同様の意見でございます。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、ほかよろしゅうございますでしょうか。
それでは、時間も大分来ておりますので、この辺りで事務局、いかがでしょうか。
○厚労省事務局 厚労省事務局でございます。先生方、活発な御意見を頂き、ありがとうございます。
有害性情報の詳細資料をこれからまた直していくということを踏まえまして、確認をさせていただきたく思います。
心重量につきまして、先ほど平林座長からコメントがございましたけれども、機序は不明だけれども、用量反応があるなどから毒性と取るということだったと思います。ただ、有害性情報の詳細資料をまとめるに当たりまして確認なのですけれども、相対重量、絶対重量の両方が有意に低値を示したドーズから取るということでよろしいでしょうか。そして、心重量の機序としては、機序は不明だがというところでまとめさせていただいてよろしいでしょうかということがまず心重量に関する先生方への追加の問いになります。
そして、流涎につきまして先ほどから聞いておりますと、一過性の流涎も1時間以上継続して見られた流涎も毒性と取ったほうがいいということでよろしいでしょうか。そして、その場合28日試験につきましては、10ミリで見られたところまでを毒性と考えNOAEL5とする。そして、先ほど北條先生から御意見ありましたけれども、生殖/発生毒性スクリーニング試験については、実は詳細な発生状況は確認できない状況でございます。そういう状況からして、生殖/発生毒性スクリーニング試験の流涎を取ってLOAEL5とすべきか、あるいは一般毒性の試験の判断にならって5をNOAELとすべきか、その辺り御意見をお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○東海部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。1点目の心重量の件、2つ目の流涎に関するデータの取り方ですけれども。菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 心臓の絶対と相対で、実質的には相対のほうを取りましょうという結論だと思うのですけれども、その際には理由として肝臓の絶対重量と相対重量を見るとか、ここに出ている腎臓と肝臓の相対重量を取ったほうが群間のエラーが消えるであろうというロジックを書いた上で相対で行くとしていただければ、それでよろしいのではないかと思います。理由なく感度が低いほうという取り方はできないのではないかと思います。
NOAELが高いほうを取りましょうと聞こえるのはよくない。星がつくところが絶対重量と相対重量で1群ずれていますよね。両方有意差がついたから強いという判断が、相対だから絶対だからというので常にそういうことをやっていますか。そういうロジックで常に合わせ技でやっていましたか。
○厚労省事務局 今の臓器重量につきまして、絶対も相対も両方有意に変動していたら取る取らないというところは、ケース・バイ・ケースなのだと思うのですけれども、基本的には絶対も相対も有意に変化があったときは、その重量の変化の重みは増すと考えます。これは個人的な考えですけれども。
○菅野委員 その背景は、ほかの臓器で見てとか、群間の体重がどうかという附帯情報を加味してやるものなのではないかと思ったのです。一義的に両方星がつかないと取らないということではないですよねということを申し上げたかった。
○平林座長 そういう機械的な判断をすると事務局は言っていないかと思いますが、おっしゃる意味は、多分ほかのことも併せて、少なくとも組織学的な変化等は認められず、重量変化だけでございますので、それをどのように解釈するかというところで、ほかの限りがある情報の中で得られる限りにおいて判断できるところで判断したいということが事務局の申していることでございます。
なので、一律に片方しかついていないから取らないと申し上げているつもりではないという理解でございますが、もし何か誤解が生じているのであれば、そこは誤解がないような記載にさせていただきたいと思います。
○東海部会長 そのほか御意見ございますでしょうか。北嶋委員、どうぞ。
○北嶋委員 厚労委員の北嶋でございます。
少し観点が違うコメントになるかもしれないですけれども、私の理解としては体重の変化に対して、組織重量が非常に大きな影響を受ける組織、これは肝が代表的と思うのですが、他方、精巣や脳は痩せたからといって絶対重量(精巣重量や脳重量)が影響を受けるということは、まずは考えなくてよく、こういう臓器の場合は、体重変化を加味した相対重量よりも、むしろ絶対重量の変化を重くとるべき、と考えるのです。心臓も、そういう意味では、体重変化に、直接、影響を受けないということから、絶対重量だけの変化であっても、この変化を重くとるべきなのではないかと、私としては考えるのです。
○東海部会長 ありがとうございました。平林座長。
○平林座長 もちろんそれは加味してきちんとした記載にさせていただきたいと思っております。
○東海部会長 ありがとうございました。2つ目の流涎に関する点では何か追加の御意見等ございますでしょうか。森田委員、どうぞ。
○森田委員 一般毒性はあまり専門ではないので分かる先生方に教えていただきたいのですけれども、流涎が投与後1時間以上見られる個体と投与直後から見られる個体が詳細に示されています。その理由はムスカリン様作用なのか、あるいはアルカリによる影響なのかというところが議論になっているかと思うのですけれども、アルカリによる影響、あるいはムスカリンによる影響だとした場合に、いずれも流涎が認められたのは、少なくとも一過性のものは多くの動物が投与6日後以降ですか。その辺の理由は何か御説明できる先生、いらっしゃいますでしょうか。要するに投与初日、2日目では出ていなくて、投与後5日とか6日たってから一過性のものなり継続するものが出てくるということについて説明していただければ幸いです。
以上です。
○東海部会長 今の森田委員御指摘の点、先生方いかがでしょうか。北嶋委員、どうぞ。
○北嶋委員 厚労委員の北嶋でございますけれども、森田先生の御質問に的確に答えることになるかどうか分からないですが、私の経験では、毒性試験をする際に、ムスカリン様作用なのか、アルカリ性による作用なのかということは、頭の中で一旦括弧の中に入れ、現象論的に記述するわけです。また、現象論的ではありますが、投与を開始してすぐではなく、数日後にはじめて流涎が認められるということは、よくあることなのです。最初に述べましたように、それがムスカリン様作用なのか、アルカリ性の作用なのか、あるいはこれらの物質が例えば代謝されてその代謝物を介してなど、別の機序によって何らかの神経影響が出るかもしれない、といったところは、メカニズムベース、解析的な実験などを実施しておりませんので、すぐには分からないはずなのです。ただ、現象論的には、数日後にはじめて流涎が認められるということは、よくあることだと思います。
○東海部会長 ありがとうございました。
○菅野委員 これは強制経口でしたっけ。混餌ではないですよね。類似性があるかどうかですが、吸入のガスの場合の刺激性は、曝露開始直後が強くて、次第に動物が慣れていくのです。ですから、本当にケミカルな刺激だと、その類推からすると鼻から出るとか口から出るという粘膜反応は、むしろ慣れていくはずだ、と吸入の経験からはコメントさせていただきます。
○森田委員 ありがとうございました。
○東海部会長 それでは、予定していた時間を超過しておりますので……事務局、どうぞ。
○厚労省事務局 先生方、また御意見をありがとうございます。
度々で申し訳ないのですけれども、心重量と流涎につきまして、何を根拠にNOAEL、あるいはLOAELを判断するのかというところの御意見を頂きたく思います。心重量につきましては、先ほど比重量か絶対重量かというお話もあったところですが、背景値についてもお見せしました。そして、ほかの2物質との比較についても御意見いただきました。
総合的に考えまして、どのドーズの心重量低値から取るということを言えばよろしいかについて御意見いただけますでしょうか。お願いいたします。そして、流涎につきましても、先ほど申し上げたとおり、今までこの場で出た意見としては、一過性の流涎も取るべきという御意見が多かったかと思いますが、その際にNOAELはどこに決めるべきか、そして先ほど北條先生もおっしゃっていましたけれども、詳細が分からない生殖/発生毒性スクリーニング試験での5ミリ以上の流涎を取るべきかどうかについて、改めて御意見をお願いいたします。
○東海部会長 ありがとうございます。それでは、先生方からよろしくお願いします。
○平林座長 小野先生、御発言いただけませんでしょうか。
○小野(敦)委員 心重量に関しては、先ほどもどなたか意見をされていたように、実重量、比重量ともに有意なところから毒性とするという形でよろしいかと思います。NOAELは5となろうかと思います。
メカニズムについては、先ほど言ったように明確には分からないので、TMAの作用かと言われると疑問ですけれども、この評価書はTMAHをベースにするというのであればそれは毒性とするべきだろうと。
それから、流涎に関しては、私自身は1時間以上継続するような流涎を毒性としたほうがいいのではないかと思っていたのですけれども、これも10ミリは一過性の流涎はもしかしたらアルカリ性による部分は大きい気がするのです。
ただ、アルカリ性によるからTMAHの毒性ではないかと言われるとそんなことはなくて、これはTMAHの毒性であるわけです。TMAHはアルカリ性なわけですから、TMAHの毒性試験という評価の仕方をするのであれば、1時間以上だけではなくて一過性の部分も含めて10から毒性とするべきだろうと。こちらも無毒性量として5ということになろうかと思います。
先ほど森田先生が反復すると流涎が見られてくるようになるという話をしていましたけれども、特に1時間以上の流涎は試験の後半に頻発しています。こちらに関しては、例えば副交感神経に障るようなものの場合は、反復投与しているとだんだん神経が過敏になってきて、症状が悪化するという言い方がいいか分からないですけれども、症状が顕在化してくるようなケースがあるのです。私自身は1時間以上見られるような流涎、ムスカリン様作用とは言い切れないですけれども、そういった作用もあるのかなと判断しています。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、厚労の事務局からお願いいたします。
○厚労省事務局 厚生労働省事務局でございます。先生方、活発な御議論ありがとうございました。
本日は、こちらの物質につきましては、有害性評価値導出に至りませんでしたので、継続的に御審議いただくべく、引き続き事務局でも情報を整理いたしまして、改めて資料としてお示しできればと考えております。
以上でございます。
○東海部会長 ありがとうございました。手短に。
○菅野委員 北嶋先生が御指摘された脳の重量とか精巣の重量との比較ももしできたらありがたいと思います。
○東海部会長 オンラインから須方委員、お願いします。
○須方委員 1点確認させていただきたいのですけれども、流涎について継続審議ということですので、そういう意味では結構なのですが、流涎がいわゆるプライマリーな毒性なのかセカンダリーな毒性なのかという観点です。即ち、流涎が被験物質の投与による毒性影響であるかどうかを評価するにあたっては、例えばムスカリン受容体を介した神経系への影響として流涎が発現したと考えられるのか、被験物質の物性に関わる刺激性による胃粘膜への影響を介して流涎が発現したと考えられるのか、それを両方ともプライマリーな毒性として捉えていいのかというところについては問題があろうかと思いますので、今後注意しながら評価する必要があるのかなと思いました。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございます。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 毒性の議論は終わったということでよろしいですか。全然違う話なのです。資料1-2の16ページの冒頭で御説明いただいたところなのですけれども、TMAHは蒸気圧が低いため、吸入経路の暴露は想定されずと書いてあるのですが、一概には言えない。本当の吸入経路、暴露経路を想定してみないと一概に断定できないと思いますので、その可能性は低いということが言えるでしょうけれども、蒸気圧が低くても吸入暴露が大きな物質はたくさんあると思いますので、仕上げるときに慎重に書いていただきたいと思います。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。事務局、よろしくお願いいたします。
それでは、今しがた厚労省事務局にまとめていただきましたけれども、本日、資料1―3、1-4につきましては、今日の議論を踏まえて修正する必要が出てまいりましたので、次回、修正資料に基づいて改めて御審議いただきたいと思います。
それでは、時間が超過してしまいましたが、議題2に移りたいと思います。続きまして、議題2、優先評価化学物質NPEの第二種特定化学物質への指定等について、の審議に移りたいと思います。
資料2-1につきまして、事務局から説明をお願いします。
○環境省事務局 では、まず環境省より本資料について御説明いたします。資料2-1を御覧ください。
では、まず1ページを御覧ください。背景を記載しております。化審法は第2条第3項に規定する要件に該当する場合には、第二種特定化学物質に指定し、化学物質の製造、輸入、使用等について必要な措置を講じることとされております。
NPEについては、2018年3月より3省合同の審議会にてリスク評価が行われてきました。
2023年1月に開催された同審議会において、NPEについては、環境中で生分解して生成する化学物質が相当広範な地域の環境において相当程度残留しており、生活環境動植物の生息又は生育に係る被害を生ずるおそれがあると認められるとのリスク評価結果及びNPEを第二種特定化学物質に指定し、リスク低減のための対策を行うことが適当であるという方針について了承されました。
上記を踏まえまして、NPEを化審法第2条第3項で規定する第二種特定化学物質に係る要件に該当することを確認し、その上で、第二種特定化学物質として講じるべき措置について検討する必要がある、とさせていただいております。
次のページに移りまして、(2)化審法に基づく第二種特定化学物質に係る措置を記載しております。第二種特定化学物質に指定されると記載の措置をすることとされており、大まかに申し上げますと第二種特定化学物質の製造、輸入または政令指定製品の輸入に係る予定数量及び実績の届出義務、第二種特定化学物質等取扱事業者に対する技術上の指針の公表及び環境の汚染を防止するために取るべき措置に関する勧告、環境の汚染を防止するための措置等に関する表示の義務、製造・輸入に係る予定数量の変更に関する命令となっております。
2ページ目の下の37行目に移りまして、(3)審議会の審議事項ですが、化審法第56条におきまして、以下の点の政令の制定若しくは改正の立案をしようとするときには、審議会等で意見を聞くこととされておりまして、化審法第2条に係る第二種特定化学物質の指定、化審法第35条、36条に係る第二種特定化学物質が使用されている製品の指定、化審法第35条に係る第二種特定化学物質の製造数量等変更命令の必要性の認定となっておりまして、本審議会においては物質の指定と製品の指定について伺いたいと考えております。
では、3ページを御覧ください。2-1といたしまして、リスク評価結果について記載しております。こちらは、2023年1月17日に開催された3省合同審議会において審議され、了承されたNPEのリスク評価(一次)評価Ⅲ(生体影響)のリスク評価書の概要を記載させていただいたものでございます。
特に改めて御確認いただきたい部分につきましては、4ページの83行目から91行目の部分でございまして、背景部分で申し上げた結論が得られ、NPEを第二種特定化学物質に指定し、リスク低減のための対策を行うことが適当であると取りまとめられたところでございます。
では、5ページを御覧ください。2-2になりますが、ここから化審法における対応についての案について御説明させていただきます。
まず、(1)としてNPEの第二種特定化学物質への指定について御説明いたします。
2-1に示したリスク評価の結果から、洗浄剤等開放系用途に用いられているNPEについては、それが環境中で生分解して生成する化学物質が相当広範な地域の環境において相当程度残留しており、生活環境動植物の生息又は生育に係る被害を生ずるおそれがあると認められました。
それを踏まえまして、化審法第2条第3項の第二種特定化学物質に係る要件に該当しますことから、表1に掲げる化学物質を第二種特定化学物質に指定いたします。
これまで行われてきたリスク評価におきましては、表1の一番上の行に記載されている名前を使用してきましたが、第二種特定化学物質に指定後は2行目の名前に変わることを御留意いただければと思います。
当省からは以上です。
○経産省事務局 続きまして、経産省事務局より(2)から説明させていただきます。
(2)のNPEの第二種特定化学物質への指定に際しまして、NPE自体の製造・輸入事業者に対して講じる措置がございます。こちらですけれども、化審法第35条に基づく事前の製造輸入予定数量の届出及び事後の実績数量の届出義務、NPEの取扱事業者に対しましては、化審法第36条に基づく技術上の指針の遵守義務及び化審法第37条に基づく表示の義務が課されることになります。今申し上げました表示の義務及び技術上の指針の概要につきましては、参考1と参考2としまして、6ページに主な要素として掲げておりますので、御参照いただければと思います。
続きまして7ページになりますが、(3)NPEが使用されている製品の対応といたしまして、化審法第35条に基づき輸入予定数量等の届出を義務づける製品、また第36条に基づく技術上の指針の遵守義務、第37条に基づく表示の義務を課す製品を指定すべきかどうかについて検討いたしました。
①データや調査結果について、(ア)化審法の届出情報、また(イ)としましてPRTR届出情、(ウ)リスク評価時の排出源分析結果、8ページに入りますけれども、(エ)といたしまして排出実態調査等を参照しております。
9ページに入りまして、②技術上の指針及び表示義務対象の製品の指定というところですが、化審法届出情報よりも実態を反映していると考えられますPRTR制度に基づくNPEの排出量におきまして、PRTR届出によります水域排出量10トンに比べまして、PRTR届出外排出量(推計値)の合計は約600トンと非常に大きく、このうち化審法対象の工業用洗浄剤等及び業務用洗浄剤につきまして、裾切り以下事業者からの排出量の推計も含め100トン以上のPRTR届出外排出量が推計されている状況です。
また、リスク評価書のG-CIEMSを用いました排出源寄与割合予測によりますと、環境モニタリング調査におきましてNPEの濃度がPNECを超えた地点につきまして、PRTR制度に基づく届出外排出量の工業用洗浄剤等及び業務用洗浄剤の排出による寄与が大部分を占めることが示唆されております。
以上に加えまして、産業団体を通じたヒアリング等の結果を考慮しますと、多くの事業者は適切な排出処理や廃棄物処理をしていると考えられますけれども、裾切り以下事業者に該当するような小規模事業者の状況を網羅的には把握できていない可能性があると考えております。
また、NPE含有水系洗浄剤の取扱いに当たっては、NPEを含有する排水が出ることが予想されますので、特に適切な排水処理等が求められると考えております。
他方で各関係団体によりますと、家庭用洗浄剤にはNPEは使われていないことが分かっております。
以上を踏まえまして、NPEを含有する水系洗浄剤の取扱事業者に対しまして、適切な取扱いを求めるべく、水系洗浄剤を技術上の指針及び表示の義務の対象としまして、第二種特定化学物質の環境放出を防止するために取るべき当該措置等について周知徹底を図ることが適当と考えております。
具体的には表に掲げます製品につきまして、化審法第36条、第37条に基づく製品として、政令で指定する方向です。
11ページに続きますけれども、加えまして化審法35条に基づき輸入予定数量等の届出を義務づける製品について検討いたしました。
海外におけるNPE含有製品の製造・使用・輸出状況につきましては、在外大使館等を通じて調査しておりますが、現時点では国内で市販される海外製の水系洗浄剤にはNPEが含有されていることは確認できていないということもありまして、水系洗浄剤につきましては化審法第35条第1項に規定する政令で定める製品に含める必要はないと考えております。
最後ですけれども、12ページになりまして、今後の進め方です。NPEを第二種特定化学物質に指定し、またNPEを含む水系洗浄剤につきまして技術上の指針の遵守や表示の義務といった指定に伴う措置を講じるために、施行令の一部を改正する政令案につきまして、以下に示したスケジュールによりパブリックコメント等を実施した上で、政令の公布・施行を行う方向です。
今後、NPEの第二種特定化学物質への指定に係りまして、取扱事業者等に対して技術上の指針の遵守等、指定に伴う措置の周知を行います。また、引き続き環境モニタリング等におきまして、NPEの第二種特定化学物質指定後の環境への排出動向については確認していくこととしたいと思っております。
事務局より以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、事務局の説明に対しまして御質問、御意見等ございますでしょうか。永井委員、どうぞ。
○永井委員 農薬のところについてコメントしたいと思います。15ページの表7のところで、水系への排出量合計113トンと書いていて、一方の17ページの表9では農薬由来が462トンと出てきていて、これだけを見ると農薬で減らしてくれれば、かなり濃度が減るのではないかという期待を持つかもしれないのですけれども、実際PRTRの農薬の排出量は、イコール使用量と同じでして、これは水系排出量とイコールではないです。
この中で果樹とか畑で使うものがかなり多くて、そういうものは水系にはほとんど流出しませんし、水系に流出する用途としては水田での使用があって、これは23トンしかないと。さらにそのうち流出割合で見ると最大でも10%程度ですので、2.3トンぐらいにしかならないのです。そのように考えると、農薬で減らしても必ずしも濃度が減るとはあまり期待できないと思います。
18ページの水田の寄与率とかも出ているのですけれども、予測濃度で水田の寄与率がある程度、2割ぐらい高いところというのは、予測濃度自体がものすごい低いところになっており、基本的にはあまり田んぼばかりみたいなところで減らしても、全体の濃度の減少にはあまり寄与しないと考えられます。ですので、やはり化審法用途のほう、水系洗浄剤とかそういうところでしっかり対策を取っていかないと、濃度の減少はあまり期待できないのではないかと考えています。
以上、コメントです。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、小野委員、どうぞ。
○小野(恭)委員 経産委員の小野です。
ノニルフェノールエトキシレートは、発生源が化審法用途由来なのか農薬由来なのか、または底質への残留物流出由来なのかを特定することは困難でした。このような状況で二特にするということで、対策についても慎重に進めるのがいいと思っています。
今さらではあるのですけれども、裾切り以下事業者からの排出量を含め100トン以上のPRTRの届出外排出量がそもそも妥当な数字なのか、排出係数はどのようなものが使われているかを確認することは、この段階でも遅くないと思います。二特にすることによって、裾切り以下事業者に該当するような小規模事業者とのコミュニケーションが、今までより顔が見える形で取れるということですので、実態はどのように出ているのかということを把握しながら、本当に環境中に寄与があるのかということも含めて、真相に迫っていくアプローチになるといいのかなと思っています。
また、前の審議会でも申し上げたのですけれども、重ねて環境中モニタリングも継続してやっていただいて、この措置が本当に環境にとって効果があるのかどうかを検証していくという方向がいいのではないかと思います。
10ページの表2、表示義務の対象となる製品については、水系洗浄剤で適切かと考えております。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。そのほか御意見等ございませんでしょうか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。鈴木です。
まず、表示対象となる製品について、消費者的な用途はあり得るのではないかと思いますが、それを証明することは容易ではないので、今の時点で水系洗浄剤にするということはあり得るかと思いました。
措置につきまして、コンクリートと書いてあることがあるのですけれども、コンクリートからの溶出があるかどうかは可能性があるような気はしますが、コンクリート自体の製造過程があると思いますので、製造過程は樹脂、顔料等の製造工場とは少し違う形態であるような気がします。それらを含めて上のほうに書いてある排水処理を徹底するということを少し考えていただきたいということをぜひ技術上の指針の中に含めていただきたいと思っております。
排水処理につきましては、8割はあると書いてありますが、残り2割は違うものということであれば、そこでNPEが取れる保証がより低くなると思いますし、生物処理といってもいろいろだと思いますので、特に工場さんが扱っておられる生物処理はそれぞれの工場さんの特性とニーズに応じて使われているはずですから、多分NPE自身がそれに有効であるかということは、恐らく実際には個別に検証しないと分からないケースが多いのではないかと思っております。ですので、それは技術上の指針の中で有効な生物処理を使ってくれとしっかり書くこと、あるいはそれに対してできれば証拠をもってやってくれとしっかり書いておけば事業者は対応できると思いますので、その点を配慮していただくように、技術上の指針の中でしっかり触れていただくようにお願いします。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。そのほかお気づきの点等ございますでしょうか。石川委員、どうぞ。
○石川委員 経産委員の石川です。
今回の二特の指定について、論理的なことは私も大まかに異存ございません。1つ意見があるとしましたら、今後の進め方につきまして、環境モニタリングも続けていくということですが、ノニルフェノールエトキシレートからノニルフェノールまでいろいろな変化物を含めて形を変えていくにしたがって物性も変わりますので、発生源と検出される場所を1対1で解釈するのは難しいと考えます。
特にノニルフェノールは底質に定着しやすい、残存しやすいということで、将来的にもまだ検出される可能性があると考えておりますので、底質のモニタリングもされるというお話は伺っておりますけれども、その際に河川水と底質をセットで見るですとか、どういう性状の底質なのかなど、もう少し底質について詳しいモニタリングがあれば、より詳しい動態とかが分かって、今後の解決に結びつくと思いました。
以上です。
○東海部会長 ありがとうございました。それでは、オンラインから吉岡委員、どうぞ。
○吉岡委員 吉岡です。
10ページの表2の製品の水系洗浄剤で先ほど御提案が出て、括弧の中は要らないのではないかという話がございました。ここで書いてある水系洗浄剤というのは、工業用とか業務用ということにとらわれずに、もしもNPEが家庭用洗剤等に入ってきた場合、それらも対象になるよという意味で水系洗浄剤という言葉を使っているのでしょうか。それと、アスタリスクに書かれた表現の仕方については今後変更があり得るというのは、どこを変更しようという意図がおありなのでしょうか。
以上です。
○東海部会長 事務局、いかがでしょうか。
○経産省事務局 ありがとうございます。経産省事務局です。
御質問いただきました表2の製品名ですけれども、今後検討するところでございますが、現時点では、水で希釈して使用する洗浄剤を対象とすることを考えております。なお、家庭用には現状NPEが入っている洗浄剤はないということで認識しております。
今後表現が変わると申し上げているのは、法令上これが表現として適切かというところを精査した上で変わるかというところです。よろしくお願いいたします。
○吉岡委員 了解いたしました。
○東海部会長 ありがとうございました。そのほか御意見、御質問等ございませんでしょうか。
それでは、活発な御議論どうもありがとうございました。以上で本件についての質疑を終わりたいと思います。
事務局より本件の取扱いについて説明をお願いします。
○経産省事務局 ありがとうございました。本議題につきましては、3省の関係審議会で合同の開催、審議とさせていただきましたが、審議結果を踏まえた今後の手続、対応は審議会により異なります。各省の事務局から順次御説明いたします。
○厚労省事務局 厚生労働省より薬事・食品衛生審議会の手続等について御説明させていただきます。
本日の調査会で御審議いただきました内容につきましては、化学物質安全対策部会において御審議いただく予定としております。
○平林座長 ただいま説明のあった内容で、化学物質安全対策部会へ調査会から報告してよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。
○経産省事務局 経産省事務局です。
続きまして、経済産業省より化学物質審議会安全対策部会の委員の皆様に対し、化学物質審議会の手続等について御説明いたします。
まず、今般御審議いただきました優先評価化学物質、NPEに係る法第2条第3項に規定する第二種特定化学物質の指定、法第35条第1項に規定する第二種特定化学物質が使用されている場合に、輸入予定数量等を届け出なければならない製品の指定及び法36条第1項に規定する技術上の指針の公表を行う第二種特定化学物質が使用されている製品の指定につきましては、経済産業大臣から化学物質審議会へ諮問されております。
また、化学物質審議会の運営規程におきまして、諮問に係る事案を安全対策部会に付託することができることになっており、付託されております。また、その内容が技術的専門事項であると認められるときは、安全対策部会の決議事項は、化学物質審議会会長の同意を得まして、化学物質審議会の議決、すなわち答申とすることができると定められております。
今回は技術的専門事項に該当することから、資料2-2の①の報告案を安全対策部会の決議としてよろしいか皆様に伺いたく存じます。内容といたしますと、今表示されておりますけれども、本日審議を行った結果、表1に掲げます化学物質を同法第2条第3項に規定する第二種特定化学物質に指定することが適当であること、及び表2に掲げる製品を同法第36条第1項に規定する製品に指定することが適当であるとの結論を得たため、御報告いたします。
なお、同法第35条第1項に規定する第二種特定化学物質が使用されている場合に、輸入予定数量等を届け出なければならない製品の指定については、当該製品を定めないとの結論を得たため、併せて御報告いたします。
このような形で考えております。
○東海部会長 ただいま説明のあった報告案をもって、化学物質審議会安全対策部会から化学物質審議会へ報告することでよろしいでしょうか。異議ある場合は御発言ください。
(異議なし)
ありがとうございました。
○環境省事務局 では、環境省より中央環境審議会の手続等について御説明いたします。
中央環境審議会では、化学物質審査小委員会での議決は、環境保健部会長の同意を得て部会の決議となり、さらに中央環境審議会会長の同意を経て審議会の議決となるよう定められております。
資料2-2の②の報告案を基に、所定の手続を経た後、審議会の答申としたいと考えております。中央環境審議会の委員の方は、資料2-2②の報告案を御覧ください。
資料中ほどから始まる資料2-2②の化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づくポリ(オキシエチレン)=アルキルフェニルエーテル(アルキル基の炭素数が9のものに限る)の第二種特定化学物質への指定等について、報告案と書かれているものを御覧ください。こちらを簡単に御説明させていただきます。
まず最初に経緯を記載しております。化審法においては、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止するため、その有する性状等に応じ、化学物質の製造、輸入、使用等について必要な規制を行うこととされています。
第231回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会において、標記化学物質のリスク評価の結果、当該化学物質から自然的作用による化学的変化により生成する化学物質(ノニルフェノール)が継続的に摂取され、またはこれにさらされる場合には生活環境動植物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれがあり、また、相当広範な地域の環境において当該化学物質が相当程度残留していることにより生活環境動植物の生息又は生育に係る被害を生ずるおそれがあると認められました。
ついては、以下のように、標記化学物質を第二種特定化学物質に指定するとともに、所要の措置を講じることが適当であることを報告するとしております。
これについて第1の法に基づく措置としまして、下表に示す化学物質については、以下の理由により、化審法第2条第3項に規定する第二種特定化学物質に指定することが適当であるとし、その理由としましては、第231回化学物質審査小委員会において、別添のとおり、当該化学物質が環境中で生分解して生成する化学物質が相当広範な地域の環境において相当程度残留しており、生活環境動植物の生息又は生育に係る被害を生ずるおそれがあると認められるとの結論が得られている。
この結論は妥当であり、上記の化学物質は第二種特定化学物質の要件に適合するものと認められるという形でまとめさせていただいております。
また、第2の法に基づく措置としまして、第二種特定化学物質が使用されている場合に技術上の指針及び表示義務の対象となる製品について環境汚染を防止する観点から、表2に掲げる製品について、当該化学物質が使用されている場合は技術上の指針を定め、取扱事業者に対し、指針に基づく取組を講ずるよう促すこと及び表示を義務づけることが適当であるという形で報告案とさせていただいております。
このような報告案を準備させていただいておりまして、この報告案について白石委員長から化学物質審査小委員会に諮っていただきたくお願いいたします。
○白石小委員長 それでは、ただいま説明のあった報告案について、本委員会の議決として了承してよろしいでしょうか。
(異議なし)
ありがとうございます。了承されました。
○東海部会長 先ほど事務局から今後の進め方について説明がありましたが、パブリックコメント等を踏まえて、実際に指定される製品の表現方法等について選考される場合もありますが、その場合は座長、部会長、小委員長一任ということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
ありがとうございます。
それでは、本件の今後の取扱いについて事務局から説明をお願いします。
○経産省事務局 今後の予定を御説明いたします。
先ほどの決議、報告につきましては、各審議会で定められました手続を経て答申されます。
○東海部会長 今後の取扱いについてよろしいでしょうか。
以上で議題2に関わる審議事項は終了と致します。
次に、議題3、その他として事務局から何かございますか。
○経産省事務局 特段ございません。御審議いただきまして、誠にありがとうございました。
なお、合同審議会【第二部】の審議につきましては、15時より開催したいと思いますので、【第二部】も御参加される委員の皆様におかれましては、開始時間までにお戻りいただけますようお願いいたします。
○東海部会長 以上をもちまして3省合同審議会【第一部】を終了いたします。

 
――了――