中央環境審議会環境保健部会(第50回)議事録

議事録

午後3時00分開会
○中島総括 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第50回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。
環境保健企画管理課の中島です。議事の開始まで進行いたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の環境保健部会は、会議室とWEB会議の併用で開催いたします。WEB会議でご参加の委員におかれましては、音声が聞き取りにくい不具合等ございましたら、事務局までお電話またはWEB会議のチャット機能でお知らせください。
本日の会議は、公開です。傍聴用のWEB会議システムを用意し、事前登録のあった方はどなたでも傍聴できるようにしております。
続いて、委員の発言方法についてお知らせいたします。発言の意思のある委員について、会場にいらっしゃる方は、お名前札を縦にしていただくようお願いします。WEB参加の委員は、お名前の横にある挙手アイコンをクリックして青色に変えてください。部会長から指名を受けた後、それぞれご発言いただきますが、WEB参加の委員はマイクのミュートを解除して、赤色に変えた状態でご発言ください。また、ご発言後は再びミュートにしていただくよう、お願いいたします。機器の不具合等によりご発言できなかった場合には、お電話またはチャット機能でご意見ください。後日、議事録に掲載させていただきます。
環境保健部会委員及び臨時委員28名のうち、本日は20名にご出席いただいており、定足数に達しておりますので、本部会は成立しております。
続きまして、資料の確認をいたします。
会場でご参加の委員にはお手元のiPadでご覧いただけます。WEB参加の委員には、事前にメールでお送りをしております。
議事次第のほか、資料1から資料5-6でございます。
説明に当たっては、事務局が画面上に資料投影をして進行いたします。傍聴されている方につきましては、環境省ホームページの環境保健部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご覧ください。
資料の不足等ございましたら、WEB参加の委員は事前にお知らせした電話番号にご連絡をください。
ここで、事務局を代表いたしまして、環境保健部長の神ノ田からご挨拶を申し上げます。
○神ノ田環境保健部長 皆様、こんにちは。環境省環境保健部長の神ノ田でございます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、第50回環境保健部会にご出席をいただき、誠にありがとうございます。
2023年に入りまして、初めての環境保健部会となります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
本日は三つの審議事項を予定しております。
1点目は、先月の環境保健部会でもご審議いただきました熱中症対策の法制化についてでございます。前回ご説明させていただいたとおり、気候変動適応法を改正し、熱中症警戒アラートの法制化や閣議決定計画の創設など、熱中症対策に関する規定を追加する案を検討しております。本日、ご審議いただいた上で、1月26日に開催予定の中環審地球環境部会でもさらにご意見を伺い、来週開会する通常国会に法案を提出できるよう、準備を進めてまいりたいと考えております。
2点目は、毎年のこととなりますが、公健法に基づく障害補償標準給付基準月額等の改定について、ご審議をいただきます。
3点目は、化学物質審査規制法に基づく第二種特定化学物質の指定についてでございます。これまで進めてまいりましたリスク評価の結果を踏まえ、ノニルフェノールエトキシレートを第二種指定化学物質に指定することについて、諮問をいたします。第二種特定化学物質は、昭和61年の制度創設当初に、23物質が指定されておりますが、追加の指定は初めてのこととなります。また、生態影響の観点から指定される物質も初めてであり、さらに、我が国が開発した内分泌かく乱作用に関する試験法のデータをリスク評価で採用していることも意義深いものと捉えております。
これら審議事項以外にも、最近の環境保健行政の動向として、6件の報告事項を予定しております。
委員の皆様には、限られた時間ではございますが、ぜひ、忌憚のないご意見をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上、簡単ではございますが、冒頭の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
○中島総括 ここからは大塚部会長に議事進行をお願いいたします。大塚部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚部会長 部会長の大塚でございます。どうぞ本日もよろしくお願いいたします。
本日は、今後の熱中症対策の在り方についてという審議、さらに、公害健康被害の補償等に関する法律の規定による障害補償費、それから、ノニルフェノールエトキシレートにつきましては、2003年の化審法改正以来、初めての二特の指定ということが問題になっているところでございます。重要な議題がめじろ押しでございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
では、まず、議題1につきまして、今後の熱中症対策の在り方についてを審議いたします。事務局から説明をお願いいたします。
○髙澤環境安全課長 環境安全課長をしております髙澤でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料2、今後の熱中症対策の在り方について、ご説明をさせていただきます。
次のページに行っていただきまして、熱中症対策の推進のための法制度の基本的考え方(案)ということでございます。こちらは、前回の昨年12月の部会でもご説明させていただきましたが、その部会以降、内閣法制局との条文調整などを進めておりますが、基本的考え方に変更はございません。
一番上の囲みに背景、課題を書いておりまして、近年の我が国の死亡者数が高水準であり、年間1,000人規模で推移している、また、COP27でも適応が重要議題となりました。一方で、予防行動の浸透が不十分である、地域の取組もまだ差が大きく全国的に展開できていない。多くの府省庁にまたがる施策の推進体制が不十分といった課題がございます。これらの対応を進めるために、気候変動適応法の一部改正によりまして、熱中症対策の推進のための法制化を図るということでございます。
基本的な考え方について、大きく三つ書いておりますけれども、一つ目が、熱中症対策の法的位置付けということで、適応法に位置付けることによりまして、熱中症対策が重要であるという旨を明確に発信する。
二つ目が関係府省庁の連携強化ということで、現行の政府の行動計画がございますけれども、こちらを閣議決定計画に格上げいたしまして、具体的な計画の内容についてはしっかり関係府省庁と調整いたしまして、この計画に記載をしていくということでございます。
三つ目が、極端な高温時も見据えた熱中症対策の一層の強化ということで、まずは、現行の熱中症警戒アラートに加えまして、より国民の健康に重大な支障を及ぼす事態の場合には、より一段高い熱中症特別警戒アラートを環境大臣が発表する。二つ目が、クーリングシェルターの確保ということで、市町村長のほうで暑さから避けるための施設、エアコンを有する施設でございますが、こちらをあらかじめ指定いただきまして、特別警戒アラートが発表されている間には、施設を開放していただく。三つ目が、普及啓発体制の強化ということで、自治体の人員体制にも限りがございますので、地域の団体でありますとか、民間団体を指定して連携し、取組を進めていただく。最後、地方公共団体の支援ということで、独立行政法人環境再生保全機構は、地域モデル事業等の知見を有しているところでございますので、そういった技術的助言を行うといったことが内容となっております。
引き続き、今通常国会の法案提出に向けまして、作業を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次のページに行っていただきまして、前回部会での主なご指摘事項に対する対応ということでございます。6点ほど挙げさせていただきましたので、対応の概要について、ご説明いたします。
①が、アラートについて、全国一律の基準でなく、地域差を考慮して、地域別の基準を設けるべきということでございます。こちらのアラートの発表に関する基準の詳細につきましては、今後、この発表頻度の観点も含めまして、熱中症対策推進検討会を設置しておりますので、その中で、技術的な検討を進めてまいりたいと思っております。
②が、クーリングシェルターのアクセスについてでございますが、こちらも、クーリングシェルターの指定要件の詳細につきましては、①と同様に、検討会等で引き続き、技術的な検討を進めてまいりたいと考えております。
③地域モデル事業の成果についてでございます。こちらについては、例えば、高齢者への戸別訪問でありますとか、町内会での啓発といったモデルケースがございますけれども、このモデルケースの結果を見ますと、搬送者数の低下傾向が見られるといった効果が出ております。モデル事業の成果をガイドラインとして、今年度、取りまとめますので、取組の全国展開、周知を図ってまいりたいと考えております。
④が、オリンピックの省庁連携の取組などを参考に検討を進めていただきたいというご指摘でございますが、こちらにつきましては、情報発信、啓発活動などの連携事例が見られますので、参考にいたしまして、今後とも、関係府省庁と連携を取って、取り組んでいきたいと思っております。
⑤適応コンソーシアムや適応アクションプランを参考に、適応と保健部の連携をということでございます。こちらにつきましては、地球環境局気候変動適応室から関連の情報をいただいております。そういった情報をしっかりと共有しまして、課室間で連携を進めてまいりたいと思っております。
⑥介護の取組等、既存の仕組みと新しい取組の連携をしていただきたいということでございます。こちらは、ご指摘のとおり、既存の仕組みをできるだけ活用して、効率的な熱中症対策の取組を進めることが重要と考えております。例えば、高齢者への対応であれば、訪問介護でありますとか、ホームヘルパーを現場で活用するようなケースも見られておりますので、そういった取組を一層進められるよう、厚生労働省とも連携してまいりたいと思っております。また、福祉分野のみならず、防災、あるいは、学校、スポーツ、労働分野など、それぞれ既存の取組がございますので、関係府省庁とも連携を取って、進めてまいりたいと思っております。
簡単ではありますが、私からの説明は以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございました。
それでは、ご質問、ご意見がある方につきましては、会場の方からまず名札を立てていただき、WEB参加の方は挙手アイコンにてお知らせいただければと思います。順次、お名前をお呼びいたします。WEB参加の方におかれましては、ご発言の際に、ミュート解除を忘れずにお願いいたします。
最初に、欠席の崎田委員から意見書が届いておりますので、事務局から紹介をお願いいたします。
○中島総括 崎田先生からのご意見でございます。
熱中症に関し、関係省庁連絡会議での取組を進め、具体策もアラートの強化、クーリングシェルターの仕組み導入、地域団体の活動促進を軸に、積極的に進める方向性に賛同し、今後に期待します。
クーリングシェルターに関しては、自治体の取組を軸に、企業にも関心を持っていただき、特に、百貨店やスーパーなど、人が集まることで、ウィン・ウィンになる業界は積極的に取り組んでほしいと考えます。その際、省庁連絡会で経済産業省にも関わっていただくなど、組織的に広げていただきたい。
地域団体の活動推進も普及啓発には重要で賛同しますが、福祉や清掃部署の見守りの仕組みとの連携だけでなく、各自治体に設置されている地球温暖化防止活動推進センターとも連携して、適応の普及啓発も進めていただきたいと考えます。
東京2020大会の際の具体策など、情報提供ありがとうございます。なお、今後の社会での定着に期待しますが、大阪・関西万博も2025年夏季が中心であり、アラートやクーリングシェルター、マイボトルと水道の給水ステーション、外国の方への情報提供などを含め、2025年段階で先進的な取組を社会に提示していただけるよう期待します。外部専門家として、万国博覧会協会の持続可能な調達や資源循環に関わっており、自身としても積極的に取り組んでまいります。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、浅野委員、お願いします。
○浅野臨時委員 ありがとうございます。
まず、今日の資料2では、前回の発言について、きちっとフォローしてくださっているので、ありがたいと思いました。法制化については、前回申しましたように、本当に必要なことですから、取り組む必要があると思います。
この暑熱対策での課題は、学校であるとか、作業現場であるとか、住宅内であるとか、イベント、スポーツ会場であるとか、いろいろな場が対象となり、とられるべき施策も多様性を持っているということが指摘できます。そして、教育行政、福祉行政、労働安全行政、そういったようなものとも深く関わりがありますから、省庁間の連携を強くするということが、本当に必要だと思います。市町村に全部任せればこれが解決できるという問題ではないと思うのですが、その辺のところに誤解が起こらないような準備が法律の改正とその後の準備に際してもなお必要だろうと思います。
対策の手法にしてみましても、例えば、まちづくりでの工夫といったようなことまで含んでおりますので、ただ単に危険性情報をしっかり伝えれば、それで済むというものでもないということがある。ですから、今、検討会でいろいろご検討になっていると思いますけども、先回もご指摘させていただいた、適応策の検討を行っている地球環境局の事業として、広域のアクションプランを進めておりまして、そこでは、広域協議会を使って、ある程度、その地域の共通の課題をそれぞれの自治体が自分のところで受け止めてやるようにというような動きをしておりますから、そういったような、もう既に動き始めている検討の動きが止まらないようにしてほしいということを、ぜひ、よろしくお願いいたします。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、奈良委員、お願いします。
○奈良臨時委員 奈良です。よろしくお願いします。
大きな方向性として、前回そして今回に続く議論について賛成です。熱中症対策は重要であり、この方針で進めてくださいというのが、まず前提にあります。その上で、三つあります。
まず1点目として、熱中症対策を進める際には、インクルーシブ防災を念頭に置いてくださいということです。熱中症を引き起こす近年の状況はもはや災害と捉えてよいと思います。その観点からすると、SDGsの精神である誰一人取り残さないといった原則に即してみても、インクルーシブ防災を熱中症対策でも行うべきだと思います。省庁間で連携し、特に、高齢者、体が不自由な方々への配慮をお願いしたいということです。
それから、2点目は、よい取組を行っているところには、例えば表彰制度を設ける、補助金をつけるといった工夫や支援をして、熱中症対策を進めていただければと思います。公共施設だけでなく、商業施設や学校など、グッドプラクティスを行っているところを評価することで、我が自治体でも、我が社でもやろうという機運をつくるようなことをしていただければと思いました。
それから、3点目について、これは、前回の議論にもありましたが、やはりまだまだ国民に熱中症のリスクの深刻さが伝わり切っていないように思います。そこで、例えば、クーリングシェルターを開設するにあたっては、大々的に「やります」といったアナウンスをして認識を高める工夫をするといいと思います。これは、リスクコミュニケーションです。熱中症に関しては、もはや個人で気をつければ足りるレベルではないのだと、公的にも対策が必要な段階で実際にやっているのだということを明確にアピールするのです。それにより、熱中症とは公が取り組むほどの深刻で大きなリスクだという気づきをもたらします。熱中症アラートを出すことに加えて、こうした工夫もしていただきたいと思います。
その意味では、今回、こういう制度、政策を打つということを、積極的にメディアを呼んで、プレスリリースを含めて、周知していただきたいと思っています。熱中症は国をあげて重視すべきリスクなんだということを、メディアからも発信してほしいので、そういったこともご検討いただければというふうに思います。
私からは以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、片山委員、お願いします。
○片山臨時委員 ありがとうございます。
私も、事業を進めていく上では、やはり省庁連携が重要だと思います。さらに、自治体レベルでも、様々な連携が必要だと思いますので、環境関連部局だけではなく、生活ですとか、商工などの関連部局が連携できるような体制とか、外部のメンバーも含め、進めていただけるようお願いします。このことは、前回も申し上げましたが、改めて、お願いします。
もう一点、参考資料の8ページのところに、関係府省庁の役割が書かれておりますが、ぜひ、ここにも、事業所での対策について、厚生労働省なのか、建設現場だと国土交通省なのかと思いますが、その点も含めていただけないかと思います。よろしくお願いします。
○大塚部会長 ありがとうございます。
岸本委員、お願いします。
○岸本委員 私は、前の会のときに、グレーディングとかを厳しく決めて、どれぐらい危険かというのを周知してほしいというふうに申しました。
それで、環境省や気象庁の取組についてよく調べてみたんですが、現在も、きちっとやっておられます。各地域についても、その地域の箇所を詳細に区分されて、アラートを出しているんですけども、それについて、一般国民の方、我々のような医師も、いろいろ私も聞いてみたんですけども、実際に、熱中症の多い時期でも、それがどのように、私の地元の岡山県でも知られているかということが周知されていないことを確認しました。先ほどの方もおっしゃいましたように、これだけ努力をなさっていますので、そのことを国民に周知徹底をしていくということであれば、アラートの段階を一段階高くしたということが、どれくらい重要な意義なのかということを国民に分かっていただけるんじゃないかなというふうに思います。
そのためには、メディア等を十分にお使いになって、熱中症というのは、現在の日本で非常に大きな社会問題なんですよということを国民の一人一人に分かっていただくということが重要ではないかなというふうに思います。
真冬のさなかに、ヨーロッパのリヒテンシュタインやポーランドは、異常な高温になっておりまして、19度とか20度になっている現状を見れば、この夏、日本でも、昨年カナダであったような猛暑になって、多くの国民の命が失われるというような可能性も十分にあると思います。熱中症の問題は、将来のことではなくて、喫緊のことだということを皆さん方によく知っていただくということが重要ではないかなというふうに思っております。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
ほかにはよろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 では、ここで、事務局のほうからご回答をお願いいたします。何か特にご回答ということではなかったところもあるかもしれませんが、コメントいただければと思います。
○髙澤環境安全課長 環境安全課、髙澤でございます。
貴重なご意見いただきまして、ありがとうございます。
それでは、ざっと順番に申してまいりますけれども、まず、崎田委員のほうから3点ほどご指摘をいただきまして、一つ目、クーリングシェルターでございますけれども、既に一部の自治体のほうで、百貨店あるいはドラッグストアなどを活用する事例もございますので、そういった取組をできるだけ広げるべく、業界あるいは経産省などとも連携を取って、対応していきたいと思っております。
二つ目、地域団体の活動推進ということで、地球温暖化防止活動推進センターとの連携ということでございますけれども、このセンター、まさに適応法の下で普及啓発など、活躍していただけるものと期待しておりますので、地球局ともよく連携して、進めたいと思っております。また、大阪・関西万博についてもそういった対応も念頭に置きまして、関係省庁とも協力を進めてまいりたいと思っております。
浅野先生から、広域アクションプランとか、広域協議会とかの動きとしっかり連携してということでございますので、まさに、地域の取組等で、熱中症、あるいは、暑熱の対策等も取り組んでいただいているということで聞いておりますので、そういったところとうまく連携して進めたいと思っております。
奈良先生からは、3点ほどいただきまして、まず、災害との対応ともう考えてもいいということで、弱者への配慮もしっかりということでございますので、そういった点も踏まえてしっかり対応していきたいと思っております。
また、よい取組をしていただいているところには表彰といった、そういった誉めるような取組をということでございますので、そちらのほうも念頭に置いて考えたいと思います。
また、メディアですね、クーリングシェルターを開くときに、しっかりと意義について、気づきを促すでありますとか、アラートなりのメディアを使って、しっかりと周知をするということでございますので、しっかりとメディアのほうにもうまく情報を伝えていただけるような工夫をいたしまして、周知を図りたいと思っております。
片山委員から、自治体の取組の中で、いろいろ環境以外の分野でも取組を連携してということでございますし、表のほうには、各省庁の代表的な分担ということで書かせていただきましたので、もちろん事業者への対策ということも含めて認識しておりますので、進めさせていただきたいと思います。
岸本委員からは、アラート等について、メディアを使って国民一人一人のご理解をということでございますので、こちらのほうも、気象庁と現行のアラートにつきましては連携して、なるべく発信の仕方等もラインとかホームページとか、あと、かなりテレビでも取り上げていただいて頑張っているところなんですけれども、より地方とか、そういったところにも届くように、しっかりとメディアの協力も得まして、多くの方に知っていただけるように努力したいと思っております。
私からは以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか、ほかには。
○松本委員 よろしいですか。
○大塚部会長 どうぞ、松本委員、お願いします。
○松本委員 職場とか学校では、それなりの取組をされていると思いますけれども、やはり問題なのは、現状で地域の活動かと思います。死亡者はこれまでも言われているとおり、8割以上が高齢者であって、屋内死亡者の9割はエアコンを使用していない、あるいは所有していないということがありますので、やはり、これから、5月、6月、7月、8月、9月と、熱中症が発生しやすい時期には、例えば、私ども、かかりつけ医の立場から申し上げますと、実際に高齢者の患者さんがたくさん見られますので、特に、そういった方にきちんと熱中症の怖さを伝えていくことが、非常に重要な観点かなというふうに思っております。
○大塚部会長 もうこれでおしまいということで、すみませんけど、では、青木委員でお願いします。
○青木臨時委員 ありがとうございます。
3ページのところです、①番と⑥番の連携というのが大切だと思います。せっかく、こういう特別警戒アラート、非常に健康にとって危険といっていいんでしょうか、状態が発生するというときに、実際に、既存の仕組みの中でいろいろな動きがあるということは、今言っていただいたんですけれども、やはり、そこにすぐ、例えば、訪問介護とか、ホームヘルパーといった、事業所がすぐに動けるような体制というのを構築していただくと、この冒頭の①のところですね、特別警戒アラートがより効果的になるものではないかなというふうに思います。ほかにもいろいろあると思うんですけど、ちょっと具体的に申したほうがよろしいかなと思って、具体例を申し上げた次第です。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございました。
では、今のお二人のご意見に関して、さらに回答をお願いしてよろしいでしょうか。
○髙澤環境安全課長 ご意見ありがとうございます。
やはり地域のきめ細かい取組を進めるためには、そういった地元のお医者さんでありますとか、あと、訪問介護の事業所等との連携がより一層重要になってまいりますので、なるべくこのアラートとうまく連携させて、予防行動をしっかりと取ってもらうようなことを普及啓発の中でも気をつけて取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございました。
では、活発なご議論をどうもありがとうございました。
環境省からの説明につきましても、ご了解いただけたものと思います。環境省におきましては、本日、各委員からいただきましたご意見を踏まえて、熱中症対策の法制化に向けて、遺漏なく準備を進めるようにお願いいたします。
では、議題1はこれで終わります。
次に、議題2、公害健康被害の補償等に関する法律の規定による障害補償標準給付基礎月額及び遺族補償標準給付基礎月額の改定についてを審議いたします。
事務局から説明をお願いいたします。
○黒羽保健業務室長 保健業務室長、黒羽でございます。
資料3に基づきまして、公害健康被害の補償等に関する法律による令和5年度の障害・遺族補償標準給付基礎月額につきまして、ご説明申し上げます。
まず、1ページ目は、環境大臣から中環審への諮問書でございます。
2ページ目をご覧ください。これから説明いたします方法で計算されました案が記載されているものでございます。
3ページ目は、中環審の会長から環境保健部会長への付議になります。
4ページ目をご覧ください。障害・遺族補償標準基礎月額につきましては、公害健康被害の補償等に関する法律で、労働者の賃金水準、その他の事情を考慮して、審議会の意見を聞いて定めるとされているものでございます。また、施行令で、性別及び年齢層別に区分して、毎年定めるとされてございます。
5ページ目をご覧ください。具体的な算出につきましては、中環審答申におきまして、厚生労働省の賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスの労働者の性別、年齢層別の平均賃金の障害補償費につきましては80%と、遺族補償費につきましては70%と定められておりまして、春闘における賃金引上げ状況調査報告も用いるということとされてございます。
6ページ目をご覧ください。実際の給付におきましては、この標準給付基礎月額に特級から3級までの障害の程度ごとの給付率を掛けて計算するということになってございます。
7ページ目をご覧ください。今回の計算の基礎となります令和3年度の賃金センサスの数値でございます。
8ページ目に、前年との比率を記載してございます。前年から平均4,200円、率として1.3%の増加となってございます。なお、前年の令和2年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の流行による最初の緊急事態宣言解除後の令和2年6月の賃金状況を調査していることから、この影響を受けまして、大幅に減少していましたが、令和3年度の調査では、増加しているところでございます。
9ページ目をご覧ください。性別、年齢層別の賃金センサスの増減をグラフで示したものでございます。特に、赤とグレーの線が上下に振れているということが分かりますが、赤が70歳以上の男性、グレーが70歳以上の女性で、特に増減が激しくなっているところでございます。
10ページ目をご覧ください。標準給付基礎月額の算定について記載してございます。1につきましては、先ほどご説明したとおり、基本的には賃金センサスの性別、年齢層別の平均賃金の障害補償費は80%、遺族補償費は70%に、春闘報告を基にしました賃金推計増減率を乗じて計算するものでございます。
2でございますが、この賃金推計増減率の算出につきましては、現実の賃金水準の変動につきましては、男女に差異がございますが、春闘の報告につきましては、男女別の数値が公表されておりませんので、賃金センサスと春闘の増減率の比を用いまして、男女別の賃金推計増減率を計算しています。
3のところですが、賃金センサスは、先ほどの資料にございましたように、増減が激しいところがございますので、激変緩和措置の仕組みがございます。賃金センサスが大幅に増減した場合、翌年にずれを戻す、例えば、マイナスのときは翌年プラスに、プラスのときは翌年マイナスになるという傾向がございます。このため、全体の推移と2.5%以上乖離している性別、年齢層では、回帰分析法を用いて補正して、算出することとしています。さらに、補正した後に、前年から2%以上増減している場合については、増減率を2%までにする激変緩和措置を取ってございます。
続きまして、11ページ目につきましては、男女別の賃金センサスのグラフと春闘のグラフでございます。
12ページ目、13ページ目は、先ほど説明しました激変緩和措置のうちの全体の推移と2.5%以上乖離した場合に用いる回帰直線を示したものでございます。
14ページ目からが、実際の計算の表になります。こちらの主に四つ表がございまして、左上のところに、賃金センサスの男女別の平均値と増減率が記載されてございます。その右側に春闘の数値を基にしました男女別の賃金推計増減率を示してございます。真ん中の大きいところが、そちらが、実際の計算の額になります。一番下に、回帰分析を用いた場合の増減率を記載しているものでございます。
真ん中の表についてご説明いたします。左から右に項目をご説明しますと、まず、男女、年齢層別に記載してございまして、次に、令和2年度の賃金センサス、その右側が令和3年度の賃金センサスの金額、続いて、令和3年度の令和2年度との比較した増減額、増減率というふうに記載してございます。こちらにつきましては、先ほどの資料の7ページ目と8ページ目に記載している賃金センサスの数値と同じものでございます。
その右の項目につきましては、左上の表に記載しました賃金センサスの男女別の増減率、男子1.1%、女子1.6%に対する男女別の年齢層別の増減の乖離率を示してございます。例えば、男子の35~39歳、一番上のところですが、増減率が1.7%でございまして、左上の表の男子の平均の増減率は1.1%でございますので、その二つの乖離は1.7%-1.1%で0.6%と、こういうふうに計算してございます。
この乖離がプラス・マイナス2.5%以上の場合、回帰直線を用いた激変緩和措置を行うということになります。今回、それが対象になるのは、黄色で示してございますが、70歳以上の男女のところが対象となります。
その次の右の項目につきましては、昨年3月末に告示されました令和4年度の障害補償費でございます。その右から、今回ご審議いただく令和5年度の障害補償費の原案になります。この計算方法でございますが、令和3年度の賃金センサスに0.8を掛けまして、さらに、その右上の賃金推計増減率を掛けます。例えば、男子35~39歳の例では、年齢層から三つ右の令和3年度の賃金センサスの数値、36万9,000円に0.8を掛けまして、右上の増減率の0.5%、つまり、1.005を掛けて29万6,700円という計算でございます。
先ほどの男女の70歳以上につきましては、男女平均の乖離が男性で2.6%マイナス、女性で4.8%マイナスとなって、2.5%以上の乖離がございましたので、賃金推計増減率に代えまして、一番下の表の回帰分析を用いました計算値を用いてございます。その結果が真ん中の表の令和5年度の障害補償標準基礎月額のうち、回帰分析後(補正後)というふうに記載している数値でございます。
最後に、令和4年度と比べた増減額、増減率の記載がございまして、増減率が2%を超えた年齢層には、2%までとするという数値を取ってございます。
次の15ページ目につきましては、遺族補償費の計算でございますが、こちらは、賃金センサスの70%にするということ以外は、先ほどの障害補償費と同様の計算方法なので、説明は割愛させていただきます。
次の16ページ目は、令和4年度の障害補償費との比較をしたものでございます。男性の平均では0.6%、女性では1.4%、男女平均で1.0%のアップとなってございます。
本資料の説明は以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございました。
それでは、またご質問、ご意見がある方につきましては、会場では名札を、WEB参加の方は挙手アイコンでお知らせいただければと思います。
欠席の崎田委員から意見書が届いておりますので、まず、事務局からご紹介をお願いいたします。
○中島総括 ありがとうございます。
継続的な算定方法に基づいて、ご提示いただいた内容ですので、賛成いたします。
なお、この補償給付だけでなく、賃金センサスの問題ですが、多様性を重視する時代の変化の中で、男性、女性という分け方から、例えば、事務職と総合職など、仕事の内容による算定への関心も今後も高まるのではないかと考えます。将来的な選択肢の検討も内部で進めていただくことを希望します。
以上です。
○大塚部会長 いかがでしょうか。
では、浅野委員、お願いします。
○浅野臨時委員 どなたのご発言もないものですから発言させていただきます。毎回毎回言っておりますように、今、崎田委員の事前意見にもあったように、給付額の点で男女差が大きいということは、この賃金センサスでやる以上はしようがないとは思うんですが、前からの課題であったと思います。しかし、現実には、もう既に、ほとんどの方がご高齢でいらっしゃいまして、若年層の方はものすごく減っていますから、そういう現実を考えてみると、この表でいかざるを得ないのかなという気がいたします。
それから、100%もらわれる方は本当に少数でありまして、多くの方が2級、3級ということで、この金額の30%とか50%という金額が現実に給付されている金額であるということは、よく理解される必要があるだろうと思います。
いずれにせよ、毎年のことですから、このような形で計算するということについては、致し方ないと思います。
○大塚部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、さらにご意見がなければ、案のとおり確定することで、環境大臣に答申するよう手続を進めたいと思います。ご異議はございますでしょうか。
(異議なし)
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、議題2につきましては、この案のとおり、改定することにしたいと思います。
次に、議題3のほうに移ります。議題3、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく「ポリ(オキシエチレン)=アルキルフェニルエーテル(アルキル基の炭素数が9のものに限る。)」の第二種特定化学物質への指定等についてを審議いたします。
事務局から説明をお願いいたします。
○久保化学物質審査室長 化学物質審査室の久保からご説明いたします。
資料は4-1と4-2に分かれておりますが、4-1は諮問と当環境保健部会への付議の文書となります。内容につきましては、4-2のほうでご説明いたしますので、4-2をご覧いただければと思います。
1ページ跳ねていただきまして、第二種特定化学物質の指定、本当に久しぶりの話ですので、まずは、化審法の第二種特定化学物質の制度について簡単におさらいしたいと思います。
化審法関係の審議ですと、近年は、POPs条約の新規対象物質をこの赤の部分、一番上の赤の部分の第一種特定化学物質に指定して、国内の製造、輸入、使用を禁止しましょうというような話が多いわけでございますが、今回は、その一番下の水色から青に至る、高蓄積性ではないけども国内で環境リスクがありますと、なので規制しましょうと、そういうグループのお話になってきます。
次のスライドをお願いします。第二種特定化学物質、スライドに記載のとおりですが、蓄積性はなくとも、人への長期毒性、または、生活環境動植物への長期毒性があって、環境中に広く残留して、いわゆる環境リスクがあると、そういう物質でございまして、現時点では、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどなど23物質が指定されておりますが、実は、これらは、平成の初め、元年とか2年とか、そういったタイミングで指定されたものでございまして、その後、30年以上にわたって新規指定はなかったと、そういう制度になります。規制内容としましては、次のところに書いてあるとおりで、製造・輸入量の届出あるいは変更命令、それから、技術上の指針をつくることとか、二特を使っている製品への表示の義務、そういった内容になってきます。
次のスライドをお願いします。ただいま二特につきましてはずっと新規指定がなかったというふうに申しましたが、指定すべきものがないのかどうか、リスク評価自体は、特にここの絵でお示ししたようなリスク評価の体系というのが平成21年の化審法の改正で導入されまして、その後、毎年、特に諮問手続とかは行わなかったんですが、この環境保健部会の下に設置された化学物質審査小委員会、そちらのほうで、化審法を共管している経産省、厚労省の審議会と合同で、毎年毎年、評価を行っておりました。
すなわち、一番上のところにありますが、一般化学物質ということで、国内に約2万8,000種類の物質があるというふうに考えておりますが、そこからスクリーニング評価という形で、優先評価化学物質というもの、二百数十、現時点では218ですが、こういった形で絞り込んでいって、それらについて、リスク評価(一次)という緑の箱になりますが、一個一個、詳細なリスク評価をやるということをやってまいりました。これまでに全部で64物質、生態影響につきましては47物質の評価を行ってきたという感じになっております。
このフローでは、下のほうに紺色の矢印が幾つかありますが、リスク評価(一次)の評価Ⅱあるいは評価Ⅲ、さらには、その下のリスク評価(二次)、これらのステップのいずれからも、第二種特定化学物質の指定の判断がなされ得る、そういう仕組みになっております。その上で、これまでの評価の流れでは、第二種特定化学物質相当のリスクを持つような物質というのは、幸いにして見つかってこなかったのですが、今般、今回、議題にしているちょっと長い物質の名称ですが、いろんな別名がありまして、ここから先では、ノニルフェノールエトキシレート、あるいは、NPEというふうに呼んでいきますが、この物質がこの緑のリスク評価(一次)の評価Ⅲという段階で、このリスク評価のスキームになって初めて、また、化審法に生態影響が入ってからという意味でも初めて、環境リスクがあって、第二種特定物質への指定が適当であるという方向性が出てきたということで、やや形式的ではあるんですが、今回の諮問に至ったというわけでございます。
このスライドは、リスク評価の具体的な流れを書いているものですが、説明は割愛します。
次をお願いします。ここまでが前置きで、ようやくここからが本題になります。
今回、ポリ(オキシエチレン)=アルキルフェニルエーテル(アルキル基の炭素数が9)ということですが、この物質、今後は、先ほども申し上げたとおり、ノニルフェノールエトキシレートというふうに呼んでいきたいと思います。物質の構造は、二つ構造式がある左のほうのものでして、こんな形をしていると。
この物質につきましては、一番上に戻りますが、実は、平成30年頃から延々とリスク評価をやってまいりました。ようやく今般、1月17日ということで、今週の火曜日でしたが、リスク評価書の審議が行われて、大体、中身が固まったという状況でございます。
この物質、主な用途は、工業用の洗浄剤ということで、繊維や金属製品などの洗浄に使われたり、プラスチック・ゴムの乳化剤、あとは、農薬の展着剤といったいろんな用途があると、そういうものになります。
二つ目の丸になりますが、この物質は、実は、環境中でO-CH2-CH2という部分になるんですが、ここが分解して切れていきまして、最終的には、構造式、右側に書いてあるノニルフェノールという形にまでいきます。むしろ、このノニルフェノールのほうが毒性の本体ということでもありまして、今回のリスク評価では、ノニルフェノールも併せて評価を行いました。
次をお願いします。リスク評価結果を簡単にお示ししております。NP、ノニルフェノールのほうが毒性の本体というふうに申しました。また、平成30年から延々リスク評価をやってきたというふうに申しましたが、ご覧のとおりで、ちょっとこれは変則的な話がありまして、通常は、ある一つの物質について、有害性評価値というのは一つの数字に固まっていくものなんですが、本件につきましては、有害性評価の根拠データの信頼性が随分議論になりまして、結果的には、最も厳しい評価値になるものと、その次に厳しい評価値になるものの二つを用いて、総合的にリスク評価をやりましょうと、そういう話になりました。具体的には、Aのメダカで0.30μ以下、Bのアミで0.39μ以下という、そういった数字になるわけですが、それらを使って、リスク評価しようということになったということです。
それから、このノニルフェノールという物質は、ご案内の方もいらっしゃるかと思いますが、実は、内分泌かく乱作用を持つということが知られております。このリスク評価では、内分泌かく乱作用に関して、当省でEXTENDというプログラムを持っておりますが、このEXTENDプログラムの下で開発して、OECDのテストガイドラインにもなった試験である、このA、メダカ拡張1世代繁殖試験です、この試験データというのが、実は、最終的にリスク評価のキーデータとなったことになります。
結論は、一番下にあるとおりで、どちらのPNEC値を使っても、直近5年間のモニタリングデータを見ると、もう2桁の超過地点があるというような状況でございまして、いずれにせよ、リスク低減の必要性が認められたということになります。
次をお願いします。こういった議論を、直近、今週の1月17日の化学物質審査小委員会で行いまして、リスク評価書がまとめられたということで、その結論部分をまとめたのがこちらのスライド及び次のスライドになります。
概要を申しますと、まず上から、排出源の関係ですが、工業的にいろんなところで使われますが、排水処理のやり方によっては、排水中にNPEが残っているという可能性がやっぱりありますねということ。それから、排出源について、排出源寄与割合の予測を行ったんですが、一部、農薬の寄与が25%ぐらいいくような地点というのも予測はされたんですが、多くの地点は、洗浄剤などの化審法用途、そちらの寄与であったよというような結論になっております。
こういったことを踏まえまして、NPEの今後の対策の在り方ですが、まず一つ、ちょっと細かい話ですが、有害性評価値が先ほど二つ出てきて総合的にというお話をしましたが、今後の対策に当たっては、より小さいほうのデータ、メダカのデータに基づく0.0003以下を採用するんですが、これはまた、以下というのがついていると、なかなかどこまで下げていいのやらという話になるもので、対策の目標としては、当面、0.0003を目指しましょうという話になりました。
NPEにつきましては、洗浄剤、その他の開放系用途で使われておりまして、これが分解してできるNP、ノニルフェノール、これがまさに「相当広範な地域の環境で、生活環境動植物の成育、生息に被害を生ずるおそれがあると認められる」という結論になりまして、次のページ。そういうことで、このNPEを第二種特定化学物質に指定して、リスク低減の対策を行うことが適当であると。リスク低減の対策としては、先ほども法律の制度をご説明しましたが、表示の義務づけですとか、開放系用途を対象に技術上の指針を定めて、指針に基づいて取り扱うよう促すといったことが適当だろうという結論になっております。
本日のこの環境保健部会におかれましては、まず、この上の赤字の部分、既に小委員会で結論は出ているということになるんですが、NPEを二特指定して、リスク低減対策を行うことが適当という結論について、ご確認をいただきたいなと考えていることと、二つ目の丸について、今後、さらに表示や技術上の指針の対象製品などについて、引き続き、検討を行ってまいりますが、その件については、引き続き、化学物質審査小委員会のほうに下ろしていくということについてご決定いただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
最後に、今後のスケジュールになります。不確定要素を含むため、前後、あるいは、項目自体が増えたり減ったりということもあろうかと思いますが、現時点で考えていることについてお話しします。
まず、3行目の令和5年春というふうに書いておりますが、この春にNPEの使用製品について、特に外国でどんなものに使われて、日本に入ってくるのか、入ってくる可能性があるのかという辺り、その公電調査ですとか、あるいは、国内でどんな産業で本当に具体的に使われているのかという調査、その辺をやらなければいけないというふうに考えております。その結果を踏まえまして、7月頃に、3省の合同の審議会、中環審については、化学物質審査小委員会になりますが、こちらを開催して、リスク削減に向けた措置ということで、まさに、表示や技術上の指針などについてご審議いただいて、答申案をまとめていく。そういった形で進めたいと思っております。その後、パブコメなどを経て、最短ではということになるかと思いますが、今年の冬以降に改正政令を公布する、そんなスケジュールを考えております。
以上で資料の説明は終わります。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございました。
それでは、ご質問、ご意見がある方は、名札または挙手アイコンでお知らせください。
今回も、崎田委員の意見書が出ていますので、事務局から紹介をお願いいたします。
○中島総括 ありがとうございます。
内分泌かく乱化学物質として、長く注目され、全国の公共水域で監視が続けられていましたが、その内容も踏まえて、NPEの第二種特定化学物質への指定には賛同いたします。今後、迅速に使用事業者や使用製品への対策を進めていただきたいと考えます。
以上です。
○大塚部会長 では、委員の先生方からどうぞ。ご意見、ご質問、お願いいたします。
では、鈴木委員。今日はそちらにいらっしゃったんですね。お願いします。
○鈴木臨時委員 ありがとうございます。
まず、化学物質審査小委員会のほうをお手伝いしていますので、そこで議論をお聞きしました。まず、お示しいただいたNPE、第二種特定化学物質の指定、その後の進め方については、基本的に賛同いたします。長きにわたりありがとうございました。
あと、意見ではないんですけども、長くかかったというのは、非常に議論があった、立場の異なる意見がたくさんあったからだと私は理解しております。このプロセスで、多分、いろんな考え方があることは、世の中で当然のことでありますので、その意見を集約するに当たって、例えば、二特指定の考え方そのものについても少し練られたと思いますし、意見を調整するための仕組みじゃないかもしれませんが、やり方、あるいは、そのときに起こり得ることについても、かなりご経験を積まれたかと思いますので、今後のこの制度の運用において、このNPEの今回のように、何年かかりましたかね、何年もかかるという、かかるものはかかっていいのかもしれませんが、できるものは、やっぱり迅速にしっかりした合意を取っていけるような経験として生かしていただくことを希望いたします。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
○浅野臨時委員 手が挙がっているようですが。
○大塚部会長 先生、浅野委員。
○浅野臨時委員 私じゃなくて楠井委員から挙手のマークが出されていますが。
○大塚部会長 すみません。楠井委員、お願いします。
○楠井臨時委員 よろしいでしょうか。
○大塚部会長 はい。
○楠井臨時委員 ノニルフェノールについては、既に水生生物を保護するための環境基準というのが設定されていて、非常に毒性があり、内分泌かく乱性もあるということが明らかです。今回のNPE、エトキシレートの指定の理由が、変化物も含めているということで、非常に進んだ内容と思います。逆に、過去にそのような変化物も考慮して、第二種特定物質が議論になった例というのは、あるのでしょうか。過去にも既にそういった例があったのかという点を質問したいと思います。
○大塚部会長 では、ご質問ですので、お三方の委員に関してのご回答をお願いします。
○久保化学物質審査室長 3人の先生方から今ご意見、コメントいただきましたので、まとめてご回答します。
まず、崎田先生につきましては、迅速にということで、非常に重要なご指摘と思っておりまして、早速、この春から、使用製品の調査を進めて、本当に最短のスケジュールで夏かなというふうに思っておるんですが、極力早く答申をまとめられるように進めていきたいと考えております。
それから、鈴木先生のご意見につきまして、鈴木先生からもとにかく長いというようなご指摘だったかと思いますが、確かに、なかなか今まで二特に指定するかどうかという詰めた議論をする物質がなかったということがあり、そこで、今回、本当にどうしましょうということで、1年近く関係省とも議論を繰り返したということでございました。
ここで、確かにおっしゃるとおりで、考え方が随分整理された部分もあり、今後、同じ考え方でいけるものについては、確かによりスピードを早く指定の議論ができると思いますし、そこから外れるものについても、やはり今回、整理された考え方というのがいろいろ参考になっていくと思いますので、極力早く指定すべきものは指定するという方向へ持っていきたいというふうに考えております。
それから、最後、楠井先生のコメント、変化物を含めて議論してきた例があるかどうかということで、現状で二特に指定されている23物質については、もう大昔の話で、かつ、環境省も入っていないしという感じで、ちょっと詳細は存じません。
ただ、最近、この平成21年改正以降のリスク評価をシステマティックにやっていきましょうという流れの中では、ちょっと具体的な物質名はぱっとは思いつきませんが、基本的には変化物として何か出てこないのかどうかという部分をきちんと評価して、変化物があれば、それについても評価をするという、通常の化審法の新規物質の審査でも同じようなことをやっておりますが、そういった形で、有害性リスクの評価をやってきております。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。特にございませんでしょうか。
山本委員、お願いします。
○山本臨時委員 参加が遅れてしまって申し訳ありません。国立環境研究所、山本でございます。
環境省ほか、他省等を含めて、長い間、議論いただいたことにまず感謝申し上げますとともに、一つ、少し気になったところで、化学物質審査小委員会のほうでも少しお話ししたところではあるんですけれども、今回、NPEの第二種特定化学物質の指定に当たって、少し環境基準との整合性であったりだとか、国外種の利用が少し制限されるようなお話がありましたので、化学物質の審査において、そういった国内種の利用に基づく試験法の整備というのがまだ十分できていないところもありますので、そういったところと、あと、海産種ですね、こういったところが十分進んでいないところもありますので、この辺りは、環境省とともに国際的な試験法の整備というのをぜひ進めていっていただければというふうに思いました。よろしくお願いします。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 では、事務局、ご回答をお願いします。
○久保化学物質審査室長 ご指摘どうもありがとうございました。
審査小委員会のほうでも同じようなご指摘があったところかと思いますが、なかなか簡単な話ではないところではあるんですけども、今後とも、環境省内の環境基準の担当のほうとも連携をして、できることをやっていきたいというふうに考えております。
ありがとうございます。
○大塚部会長 よろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 ありがとうございました。
今回、大分時間がかかったということで、お疲れさまでしたが、鈴木委員がおっしゃるように、今回、経験を積まれたと思いますので、迅速にできるものは迅速にしていっていただければと思います。
ただいまご説明いただきました内容につきまして、本日もご出席の白石部会長代理に委員長をお務めいただいている化学物質審査小委員会に本件の審議を付託したいと思いますが、ご異議はございますでしょうか。
(異議なし)
○大塚部会長 ありがとうございました。
では、白石部会長代理、よろしくお願いいたします。
○白石委員(部会長代理) 引き続き、審査小委員会で検討を進めさせていただきます。よろしくお願いします。
○大塚部会長 ありがとうございます。
それでは、議題4の報告事項に入ります。本日、6件の報告がございますので、事務局からまとめて説明をお願いいたします。
○黒羽保健業務室長 それでは、資料5-1に基づきまして、公健法に基づく公害保健福祉事業に禁煙の禁煙指導の促進を図る目的で、禁煙治療の費用の助成に関する事業を新設したいと考えておりますので、ご説明いたします。資料5-1をご覧ください。
まず、1の背景でございます。喫煙につきましては、気道の炎症等によりまして、ぜん息症状を増悪させること、また、ステロイドなどのぜん息治療薬の効果を弱めることから、被認定者に対する禁煙治療につきましては、健康の回復や認定疾病の被害の防止に資すると考えられるものでございます。また、一昨年1月の本環境保健部会におきましても、委員のほうから、禁煙指導というのをしっかり入れるべきというようなご意見をいただいているところでございます。
被認定者の禁煙指導につきましては、これまで、自治体の行う公害保健福祉事業のうち、リハビリテーションに関する事業及び家庭における療養の指導に関する事業におきまして、医師等の講演会、パンフレットの配布、保健師の指導等が行われているところでございます。
一方で、近年の禁煙治療におきましては、医師の指導による医薬品を用いました禁煙治療プログラムによる方法が一般的になってございますが、禁煙治療はぜん息の一部ではないということから、公健法の医療費の適用が受けられませんで、自己負担が生じるということになるということで、対応を求める声がございました。
続きまして、事業内容についてでございます。このような状況を受けまして、被認定者の禁煙を促進する目的で、公害保健福祉事業の対象に「禁煙に係る治療の費用の助成に関する事業」を位置づけることといたしまして、一定額を上限として、医療費の自己負担分を助成しようと考えてございます。
なお、健康保険が適用されます標準禁煙治療では、12週間に5回の治療を受けるプログラムによる貼り薬や飲み薬を使って治療する方法でございまして、治療に要する費用は自己負担で1万3,000円から2万円程度と言われているものでございます。
続きまして、開始時期でございますが、令和5年度中に本事業の詳細についての検討、告示の改正、予算の要求、関係自治体の準備等を行いまして、令和6年度から本事業を開始したいと思ってございます。
続く2ページ目は、制度のイメージを示してございます。こちらにつきましては、まず、①のところでございますが、事業の申請と承認を第一種地域の自治体と環境省のほうで行いまして、その後、第一種地域の自治体から被認定者の方に対して、制度の周知、広報をいたします。第一種の地域の被認定者の喫煙者が禁煙治療をして、領収書等をもらいまして、それを第一種地域の自治体に請求すると。実際の費用につきましては、環境再生保全機構のほうが支払いまして、被認定者に対する自己負担分を補助すると。そういう仕組みでございます。
この資料の説明は以上でございます。
○海老名特殊疾病対策室長 それでは、続きまして、水俣病の客観的評価法の成果の整理について、資料5-2に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
特殊疾病対策室の海老名でございます。
表紙をおめくりいただきまして、右下にスライド番号がございます、右下の1番目でございます。まず、背景を簡単にご説明させていただきます。
まず一つ目の丸になりますけれども、平成21年に施行されました水俣病特措法では、第37条に、第1項で政府は調査研究を行うという規定、また、第3項で、第1項の調査研究実施のため、手法の開発を図るという規定が設けられております。
二つ目の丸でございますけれども、環境省としては、このような規定も踏まえまして、脳磁計、MEGと呼んでいますけれども、その機械とMRIを用いて、メチル水銀による脳への影響を客観的に評価するための手法の開発に取り組んできたところでございます。
そして、三つ目の丸でございますけれども、先月、報道等でも取り上げられたところでございますが、12月16日に、熊本県水俣市にある国立水俣病総合研究センターにおきまして、客観的評価法に関する研究成果の整理の報告会を行ったところであります。
次のスライド、スライド2番でございます。報告会で行いました研究成果の整理の内容についてご説明させていただきます。
まず、1の研究の成果としては、一つ目の丸ですけれども、脳磁計とMRIを使って、メチル水銀による脳への影響をある程度客観的に評価できるようになりました。
具体的には、二つ目の丸ですけれども、脳磁計とMRIの組合せにより、水俣病認定患者のうち、約8割でメチル水銀による影響の可能性を示す反応を検出したところであります。また、米印にありますように、健常者でも約1割で同様の反応を検出したような状況もございます。
三つ目の丸でございますが、これらの結果を受けまして、この評価法のみで個別の判定を行うことは、精度上の課題がございますが、水俣病特措法第37条第1項の定める健康調査に活用できる可能性があると考えまして、評価法の精度として、一定の段階には到達したものと整理をしたところでございます。
今後でありますけれども、2.にありますとおり、この評価法などを活用した健康調査のあり方について、有識者の協力も得ながら、検討を進めることとしておりまして、引き続き、しっかりと取り組んでまいります。
資料5-2の説明につきましては、以上でございます。
○久保化学物質審査室長 引き続きまして、資料5-3について、化学物質審査室からご説明いたします。
ストックホルム条約の附属書改正に係る化審法での追加措置ということで、PFHxSとその塩に関する作業状況についてご報告いたします。
次のスライドをお願いします。PFHxS類につきましては、ストックホルム条約のほうでは、一番上の丸のところに書いてありますように、PFHxSとその塩及びPFHxS関連物質というものが規制対象というふうにされておりますが、昨年7月の環境保健部会の時点で、まずは、PFHxSとその塩の部分を先行的に審議して、PFHxS関連物質につきましては、一番下の米印にあるとおり、引き続き対象物質の検討を進めましょうということにしておりました。
そういう状況ですが、審議経過は、真ん中の辺りに書いてあるとおりでして、昨年の6月に諮問、付議、7月に保健部会というのがありまして、その後、実質的な審議は化学物質審査小委員会のほうで2回行いました。すなわち、昨年の11月にPFHxSとその塩を化審法の一特に指定しましょうということについて審議を行い、今年の1月、今週ですが、具体的な規制内容ということで、輸入禁止製品の指定などについて、ご審議をいただいたところです。
次のページをお願いします。審議の結果につきましては、ご覧のとおりになりますが、11月の審議のほうで、化審法に基づく第一種指定化学物質にPFHxSとその塩を指定しましょうということ。それから、1月の審議に移りまして、第一種特定化学物質への指定と併せて以下の措置を講じましょうということで、3点、決めていただきました。
まず、第一種特定化学物質が使用されている製品の輸入制限に関して。具体的に、こういう、ここに書いてある消火器、消火器用消火薬剤から始まって、4行、半導体用のレジストまでありますが、これら10品目について、PFHxSとその塩が使われている可能性があるということで、輸入禁止措置を講じましょうということでございます。
それから、二つ目の丸で、いわゆるエッセンシャルユースについてですが、こちらについては、エッセンシャルユースはなしという形でいきましょうと。
最後、国内に在庫があるようなものに関して、取扱いについての技術上の基準についてですが、対象製品として、消火器、消火器用消火薬剤、それから、泡消火薬剤と、こういったものを対象にしましょうという方向性を示していただきました。
最後のスライドになります。今後のスケジュールです。まずは、2月頃にパブコメとありますが、これまでの審議内容につきまして、パブコメを行いまして、春に答申を確定するということを考えております。その後、今年の夏以降にTBT通報、それから、政令案としてのパブコメを行って、秋以降に改正政令公布という流れで進めたいというふうに考えております。
化審室は以上になります。
○髙澤環境安全課長 それでは、続きまして、資料5-4でございます。
環境安全課、髙澤から説明いたします。
令和3年度化学物質環境実態調査の結果についてのご報告でございます。
次のページに行っていただきまして、令和3年度の調査についてでございますが、例年どおり、初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の3種類の調査を実施いたしました。調査結果につきましては、本部会の下に設置されております化学物質評価専門委員会での審議を経まして、昨年12月に概要版として公表させていただきました。詳細版の調査結果報告書、いわゆる黒本につきましては、本年3月末に公表する予定でございます。
調査結果の概要についてでございますが、初期環境調査では、医薬品などのいわゆるPPCPを中心に11物質群について調査を実施しました。詳細環境調査では、化審法の優先評価化学物質など6物質群について調査を実施しました。また、モニタリング調査では、POPs条約対象物質のうち11物質群を対象に調査を実施し、いずれの物質群も濃度レベルは総じて横ばい、または、漸減といった傾向が得られております。
具体的な調査物質名や検出状況につきましては、本資料の別添に示しておりますので説明は省略いたします。
以上でございます。
○清水環境リスク評価室長 それでは、資料5-5、化学物質の環境リスク初期評価の第21次取りまとめの結果について、環境リスク評価室の清水のほうから説明させていただこうと思います。
それでは、1枚おめくりください。こちらに取りまとめ結果と記された化学物質の環境リスク初期評価について、ご説明させていただきます。
本調査は、化学物質による環境汚染を通じて、人の健康や生態系に好ましくない影響が発生することを未然に防止するため、科学的な知見に基づいて、多数の化学物質の中から相対的に環境リスクが大きいと想定される物質を抽出(スクリーニング)する環境リスク初期評価を平成9年度から実施しているものとなっております。昨年12月には、こちらの環境保健部会の下に設置されている化学物質評価専門委員会においてご議論いただき、第21次取りまとめ結果を公表いたしました。そちらの結果を2ポツのほうに掲載させていただいております。
健康リスクについては8物質、生態リスクについては12物質の評価を行い、そのうち、生態リスクについて1物質、殺虫剤等に含まれているジクロルボスといいますが、こちらについて、詳細な評価を行う候補とされております。今後、この結果を関係部局等に提供し、詳細なリスク評価の実施等への活用を図ってまいります。
なお、これらの結果を取りまとめた、この評価文書を取りまとめたいわゆるグレー本といいますが、この第21巻は今年の3月に発刊予定となっておりまして、環境省ホームページにも掲載する予定となっております。
資料5-5は以上です。
○吉崎水銀対策推進室長 続きまして、資料5-6に基づきまして、水銀汚染防止法の施行状況について、水銀対策推進室の吉崎からご説明いたします。
おめくりいただきまして、まず1枚目でございますが、昨年の7月、第48回の環境保健部会でもご報告いたしました昨年3月に開催された水俣条約第4回締約国会議での議論を再度ご紹介してございます。この会議では、条約の下で、製造・輸出入を規制する水銀添加製品の見直しについて議論がなされました。
その議論の結果、資料の下に掲げる8種類、電球形蛍光ランプ以下の8種類の水銀添加製品につきまして、2025年末までに製造及び輸出入を廃止するという附属書の改正を決定してございます。こちらの決議を踏まえて、今後、国内法令を改正する予定としてございます。
下段のほうに示しております8種類の製品につきましては、我が国では、水銀使用製品の削減が進んでおりまして、大きな影響はないというふうに見込んでございますけれども、各製品の製造や輸出入の実態、代替状況等を踏まえて、一部の製品、③、⑤、⑥、⑦、⑧と、米印を付した製品については、施行日の前倒しも検討しているところでございます。
そのほか、今年10月に開催される予定の第5回締約国会議では、前回、第4回の会議で決定できなかった幾つかの水銀添加製品、ボタン電池や直管形蛍光ランプ、こういった4種類の製品について廃止期限等を再度議論する予定となってございます。
続いて、2枚目でございますが、水俣条約の担保法である水銀汚染防止法につきましては、水俣条約の発効と同時に施行がされて、施行後5年を経過してございます。同法附則第8条において、施行後5年を経過した際に、施行状況について検討を行うということとしてございましたので、昨年、環境省とこの法律を共管しております経済産業省との間で、検討会を設置し、施行状況について、現在も検討を行っている最中でございます。
これまでに議論した議題は下表のとおりでして、水銀汚染防止法では、先ほどの製品の製造規制のほか、水銀等の貯蔵や水銀含有再生資源の管理に関する制度を運用しておりまして、そのデータの分析等を行っているところでございます。
今後の議論に向けた論点を整理していく予定でございまして、本日の経過報告とさせていただきます。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。
それでは、ご質問、ご意見がある方は、名札または挙手アイコンにてお知らせください。
欠席の崎田委員から意見書が届いておりますので、事務局から紹介をお願いいたします。
○中島総括 ありがとうございます。
ぜん息治療に有効な禁煙治療を公害保健福祉事業に追加することは、健康の面から結果的に重要であり、公健法に関連する福祉事業として、治療の支援に期待します。
また、PFHxSに関し、POPs条約の附属書改正に係る化審法に基づく追加措置を行うなど、世界的にも関心の高い問題に積極的に対応いただいており、化学物質リスク管理の強化に今後も期待します。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、ほかに、ご意見、ご質問ございますでしょうか。
浅野委員、お願いします。
○浅野臨時委員 禁煙指導についてです。この問題に関しては長年、認定審査会委員の研究会でも、そのことについては、たびたび意見が出ておりました。もともと公健法ではその43条に、他原因があれば、それを給付の額についても参酌できるという規定があって、喫煙が呼吸器疾患を悪化させ、あるいは、改善を妨げるということは前から分かっておりましたから、43条の適用はないものかというような議論も昔はしておりましたし、あるいは、禁煙指導を受けたにもかかわらず、それに従わない方に対しては、法42条に基づいて、医師の指示に従わないということで、給付制限をすることができるんじゃないか、こんな議論までやったことがあるわけですが、あまりにもドラスティックであるということで、これらの提言は結局のところ採用されておりません。その代わり、当初、禁煙指導のためのマニュアルづくりみたいなこともやったりしましたけども、なかなか強制力がないものですから、ただちには効果が上がらなかったといった過去の経緯があったと思います。
ようやく禁煙の重要性についての認識が高まってまいりまして、いろんな形で、制度上も考えられるようになったわけですが、今回、特に禁煙指導についての給付ができるというような、新たな取組がようやくできるようになったというのは、遅かりしという感じがしなくもないことですが、これまでの経過を知っている者から言うと大変うれしいことだというふうに思っています。
それから、水俣病のMEGの活用に関するご報告についてですが、これについてはもう10年以上、水俣病総合研究センターで熱心に実証的なご研究が進められてきており、患者さんの方々のご協力も得ながら情報がしっかり積み重なってきた結果だと思います。
ただ、これだけで判断するみたいなことになりますと、なかなか申請をしようと思っている方々のご理解を得ることができないということもあるかもしれませんから、これで全て決めるというようなことをあまりにも性急に議論することは少し避けたほうがいいかもしれないと思います。参考とすることが可能なデータを得ることができるようになったということは間違いないことでありますので、今後、慎重にこれについては進めていただければと思います。
以上です。
○大塚部会長 今までの経緯を披瀝していただきまして、ありがとうございます。どうぞ、今後ともよろしくご指導のほど、お願いいたします。
では、高岡委員、お願いします。
○高岡臨時委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料5-3、PFHxSに関連してお聞きしたいと思います。この物質、附属書Aの廃絶へ追加ということで結構かと思うんですけれども、廃絶ということですので、いわゆる、これは分解処理をしていかなければならないと思いますけれども、その処理方法の検討状況というものが分かっていましたら教えていただきたいというふうに思います。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
青木委員、お願いします。
○青木臨時委員 ありがとうございます。
資料、たしか5-5でしたか、初期リスク評価のこと、私も少しお手伝いさせていただいていますので、若干、その観点が入ってしまうんですが、資料を見させていただきますと、1と振ってあるパネルを見ていただければと思うんですが、かれこれ21次取りまとめまでまいりまして、2.の下の注のところにありますように、環境リスク初期評価313物質、それから、生態リスクの初期評価のみで100物質、現在まで評価をしていただいております。
やはり、結構、これだけの物質のデータベースというのは、国際的に見ても、比較的大きい、そろそろ大きいデータベースに入り始めているのかなと思います。
ところが、残念ながら、これは意外と環境省かいわいでしか知られていませんで、やはり、ぜひ積極的にこれをどのように使っていただけるかということまで含めていろいろ、広報とはちょっと違うのかもしれないんですけど、積極的に活用していただく方策を、そろそろ考えていただく時期に来ている、実はもうちょっと前からそうだったのかもしれないですけど、やはり21次を境に、そういう方向でも考えていただければと思います。
以上でございます。
○大塚部会長 では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木臨時委員 ありがとうございます。
多分、私は似たことを前に申し上げているかもしれないんですが、一番最後の水銀の施行状況検討についてご報告いただきました。どうもありがとうございます。
これを進めていただくのは非常に重要だと思うんですけども、水銀が、多分、ここで議論されている割合多くの化学物質の中で、昔から使われていたものがあり、それが市中に日本では存在していて、それから、流通が存在することも確認されているという、そうしたこともあって日本国内、国外、そういう状況が違っていたりするという、ある種、ストックがあって、フローと両方があるという物質だと思いますので、この施行状況点検検討会でその辺りをしっかり見ていただくことがまず極めて重要だと思います。
それから、あと、私の希望としては、これは、そういう意味で、水銀が全てあるんですけども、前のほうのところの新POPsであるとか、初期リスク、あるいは、環境実態調査で扱っているものは、もう少し新しいものが、今、現在進行形でつくられているものが多いのかもしれませんが、両者の管理には、恐らく共通な方法、手法として活用できるところがあると私は思いますので、水銀の対応で得た知見をほかの化学物質の管理にも応用していくようなことを考えていただければいいのかなと思いました。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、赤渕委員、お願いします。
○赤渕臨時委員 ありがとうございます。
すみません、資料の幾つだったでしょうか、水俣病の客観的評価法の成果の整理に関して幾つかコメントを差し上げたいと思います。
水俣病特措法の37条1項は、「調査研究を積極的かつ速やかに行い」と言っておりますが、今回、ご報告いただいた件につきまして、大変なご尽力が背景にあったかとは思いますけれども、執行の施行からはさすがに時間がかかり過ぎているのではないかというふうに見受けられ、この点は、率直に反省すべき点が残るのではないかというふうに見受けております。
また、37条3項におきましては、「効果的な疫学調査」についても、その「手法の開発を図る」とございますが、この点について、現在、どのような取組が実施されているのかについても気になるところでございます。
また、併せて気になりますのは、そもそも今回の、あるいは、特措法37条1項による「調査研究」というのが何を目的とするものなのかといったことでございまして、これが、いまだ認定されていない患者の掘り起こしを目的とするものなのであれば、今回のMEG等を用いた調査というのはかなり大がかりなものとなり、果たして、それが効果的に用いられるのかについては、さらにご検討いただく必要があるのかなと思います。
最後でございますが、健康調査につきまして、これもまた37条1項に基づくということとなると、やはり「積極的かつ速やかに」行うといったことが、法律上、政府に義務づけられているというふうに解されるわけでございます。評価方法の開発に時間を要しており、この間には、多くの認定患者、あるいは、未認定患者の方がお亡くなりになっているのではないかと推察いたしますので、政府といたしましては、いつまでに何をするかといった工程表を作成した上で、健康調査について、計画的に実施されることをぜひともお願いしたいと思います。
以上でございます。
○大塚部会長 どうも恐れ入ります。
ほかにはよろしいでしょうか。
(なし)
○大塚部会長 私も一つだけ質問します。資料の5-3のPOPs条約の今後の動きについてお伺いしておきたいんですけども、今回、PFHxSについてPOPs条約との対応が問題になりましたが、POPs条約自身において、PFASに関して、PFOS、PFOA、PFHxSについてのPOPs条約での対応がなされていますが、それ以外のPFASについて、まだたくさんあると思いますが、統合的なアプローチをするというような議論も出てきているようですけれども、現在、どういう議論があるかについて、あるいは、将来の見込みについて、教えていただければありがたいと思います。PFOSからほかのPFASの物質に代替していったら、またそちらのほうが毒性があったとかということになると、まずいところもあるかと思いますので、その辺を含めてお伺いしたいということでございます。
以上、いろいろ質問とか意見とかあったと思いますけど、それでは、事務局からご回答をお願いします。
この順番でお願いすることになりますかね。よろしくお願いします。
○黒羽保健業務室長 保健業務室長でございます。
浅野先生から、禁煙指導について、今までのいろいろなご意見いただいたというご指摘をいただきました。これまでの禁煙指導につきまして、昭和59年からの通知に基づきまして、保健福祉事業のほうで行っていたという説明どおりでございます。今回、禁煙治療を受けた時の自己負担についても保健福祉事業に導入することによって、一層、禁煙指導の充実感が図られるというふうに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
また、今の被認定者の方の喫煙の割合でございますが、通常の日本の平均では16.7%が喫煙率と言われていますが、こういう指導の結果かどうか分かりませんが、平成30年の自治体の調査では、被認定者の喫煙率は5.2%とされていますので、一定程度の指導の効果があったのかなというふうに思っております。これからも、ご支援いただければと思います。
私からは以上でございます。
○海老名特殊疾病対策室長 それでは、資料5-2の関係でご回答させていただきます。
浅野先生から、まず初めに、これだけで全てを決めることは難しいのではないかというご指摘、また、性急な議論をするのは望ましくないのではないかというようなご意見を頂戴しました。ご指摘のとおり、現時点ではこの評価法のみで個別の判定をすることは難しいというふうに考えております。
一方で、精度としては一定の段階に到達したというふうに整理をいたしましたので、健康調査のあり方につきましては、有識者のご意見をいただきながら、科学的な立場に沿って、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
それから、赤渕先生のほうから3点ほどいただきました。まず1点目が、時間がかかっているということに関してのご意見でございます。13年経過しているという事実につきましては、これは率直に受け止めているところでございます。
水俣病特措法では、ご案内のとおり、1項で健康調査を行うことの規定がございます。また、3項のところで、そのための手法の開発を図るという規定がございまして、これを踏まえて、環境省としては、まずは、この3項の手法の開発が必要であるというふうに考えて、取組を進めてきたところでございます。
それから、その3項につきまして、その他の取組がどうなっているのかというご質問がございました。この点につきましても、例えば、国立水俣病総合研究センターのほうで、社会学的な手法の観点で地域の調査等、そういったこともやってまいりましたし、また、メチル水銀のばく露について、水俣以外の地域の毛髪水銀の濃度の調査など、そういったこともしてまいりました。そういったことを総合しながら、しっかりと1項の調査につなげていければというふうに考えております。
それから、調査目的でございます。こちらにつきましては、この法律の中では、特段、調査の目的について、規定がされているものではございません。政府が健康調査を行うという1項の規定がございますとともに、3項で、そのための手法の開発を図るというふうに規定されていると承知をしております。この規定を踏まえまして、環境省として、まずは、3項の手法の開発を進めてきたところということでございます。
調査についてでございますけれども、先ほど浅野先生から性急な議論ということについては、慎重にというご意見もありましたけれども、一方で、赤渕先生からございましたとおり、それでも時間をかけずにというようなご意見もございました。こういったご意見も踏まえながら、有識者の協力も得て、しっかりと調査のあり方の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○久保化学物質審査室長 続きまして、化学物質審査室からお答えします。
まず、高岡先生からご指摘のありましたPFHxSが廃棄物になったものということでよろしかったかと思いますが、その処理の方法についてということで、現時点では、まだちょっと処理方法についての検討は、これから行うという段階というふうに伺っております。ただ、これまでも、PFOSを含有するような廃棄物についての処理のやり方などについては、検討がなされて、ガイダンスみたいなものが出てきてということでありますので、その流れで、廃棄物の部局のほうでもしっかり考えていくつもりであるというふうに理解しております。
それから、大塚先生からご指摘のありましたPFAS、その他のPFASについてのPOPs条約での議論ということですが、現時点で承知しているものとして、長鎖PFCAといいまして、PFOAが、あれは炭素8個なんですが、それがもっと長くなったもの、そういったものについて、POPsに指定して、規制対象にしていこうという議論がかなり煮詰まってきております。こちらでは、長鎖というふうに申しましたが、長さが単一物質ではなくて、たしかCが9から21というふうになっていたと思いますが、複数の長さのものをまとめて指定しましょうと。その際には、全ての物質について、有害性などのデータがあるわけではないんだけども、データのあるものから類推して、全体をまとめて規制していこうと。そんなような議論がなされているというふうに承知しております。
化審室は以上です。
○清水環境リスク評価室長 リスク評価室の清水です。
先ほど、リスク初期評価について、委員のほうからご指摘のありました、いいデータベースになっているものの、環境省かいわいでしかあまり知られていないということですが、貴重なご指摘ありがとうございます。ご存じのとおり、初期リスク評価については、長く続けており、既に第21次まで達しており、多くのデータベースがたまっているというのは、まさにそのとおりだと思っております。
私どもとしても、こういったデータベースを広く使ってもらうということが、また、知ってもらうということが大事だと思っておりますので、行政としても、多くの方々に対して、引き続き周知に努めていきますし、ぜひ、先生方におかれても、関係者に対して、周知をしていただければというふうに思っております。
今後とも、ご指導どうぞよろしくお願いいたします。
○吉崎水銀対策推進室長 そういたしましたら、鈴木委員から水銀についてご意見いただきましたので、私からご回答させていただきます。
昨年1月に開催された第47回の環境保健部会でも鈴木委員から、私から水銀汚染防止計画の実施状況の点検結果についてご報告した際に、途上国支援を水銀については非常によく頑張っていて、ほかの化学物質にぜひ展開していただきたいという、そういうご意見をいただいたと記憶しております。
それについても、現在、取り組んでいるところですが、本日いただいた水銀のストック、フローの把握の重要性というところにつきまして、ご説明させていただきますと、まさに、全体像を把握することが重要ということで、環境省では、水銀のマテリアルフローの作成というものを進めてございます。これまで2010年、14年、16年のそれぞれの年についてのマテリアルフローを作成して、環境省のホームページでも公表しているところです。一つのフローをつくるのに相当な作業、調査が必要だということで、現在、2019年版を作成して、公表に向けて取り組んでいるところでございます。このマテリアルフローの作成の経験というものをさらに途上国のほうでも普及していこうということで、幾つかの国でそういった事業もさせていただいているところです。
本日いただいたご意見は、その知見をさらにほかの化学物質にも展開してはどうかというご意見かと存じます。ご意見を踏まえて、省内でも情報共有してまいりたいと思います。
ありがとうございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
全てお答えいただいたと思いますが、よろしいでしょうか。
ほかにご質問、ご意見がなければ、本日の議事は以上となりますが。
(なし)
○大塚部会長 ありがとうございました。
では、事務局に進行をお返しします。
○中島総括 ありがとうございました。
ご出席の先生方、本日は、活発なご審議を誠にありがとうございました。
本日の議事録は、原案を作成いたしまして、委員の皆様にご確認いただいた後、環境省ホームページに掲載いたします。
また、次回の環境保健部会の日程につきましては、改めてご連絡したいと思います。
以上で、第50回中央環境審議会環境保健部会を終了いたします。
誠にありがとうございました。
午後4時43分閉会