中央環境審議会環境保健部会(第49回)議事録

議事録

                                           午後5時00分開会

○中島総括 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第49回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。
環境保健企画管理課の中島でございます。議事の開始まで進行いたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の環境保健部会は、会議室とWEB会議の併用で開催いたします。WEB会議でご参加の委員におかれましては、音声が聞き取りにくい不具合等ございましたら、事務局までお電話またはWEB会議のチャット機能でお知らせください。
本日の会議は、公開です。傍聴用のWEB会議システムを用意し、事前登録のあった方はどなたでも傍聴できるようにしております。
続いて、委員の発言方法についてお知らせいたします。発言の意思のある委員について、会場にいらっしゃる方は、お名前札を縦にしていただくようお願いいたします。WEB参加の委員は、お名前の横にある挙手アイコンをクリックして青色に変えてください。部会長から指名を受けた後、それぞれご発言いただきますが、WEB参加の委員はマイクのミュートを解除してご発言いただくようにお願いをいたします。また、ご発言後は再びミュートにしていただくようにお願いをいたします。機器の不具合等によりご発言できなかった場合には、お電話またはチャット機能でご意見をください。後日、議事録に掲載させていただきます。
環境保健部会委員及び臨時委員28名のうち、本日は20名にご出席いただいております。定足数に達しておりますので、本部会は成立いたしておりますこと、ご報告申し上げます。
続きまして、資料の確認をいたします。
会場でご参加の委員にはお手元のiPadでご覧いただけます。WEB参加の委員には、事前にメールでお送りしております。
議事次第のほか、資料1から資料3-3でございます。
説明に当たっては、事務局が画面上に資料を共有して進行いたします。傍聴されている方につきましては、環境省ホームページの環境保健部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご覧いただきますようお願いいたします。
資料の不足等ございましたら、WEB参加の委員は事前にお知らせした電話番号にご連絡をください。
ここで、事務局を代表いたしまして、環境保健部長の神ノ田からご挨拶を申し上げます。
○神ノ田環境保健部長 皆様こんにちは。環境保健部長の神ノ田でございます。
委員の皆様におかれましては、師走に入って大変お忙しい中、第49回環境保健部会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
例年、夏と冬の2回開催している環境保健部会ですが、本日は熱中症対策の法制化についてご議論をいただくために、臨時的に開催をさせていただきました。
地球温暖化に伴って、熱中症による死亡者数は増加傾向が続いており、ここ数年は1,000人を超える水準で推移をしております。
また、海外でも最大級とも言える熱波が発生し、医療水準の高い先進諸国においても、甚大な健康被害が生じております。
先月エジプトで開催されたCOP27においても、「ロス&ダメージ」や「適応」など、気候変動による悪影響への対応が重要なテーマとされたところであります。
政府においては、令和3年に環境大臣をヘッドとする「熱中症対策推進会議」を立ち上げ、「熱中症対策行動計画」を策定するなど、各府省庁が連携し、政府一体となって熱中症対策に取り組んでまいりました。
環境省としても、気象庁との共同による「熱中症警戒アラート」の発表や予防行動の啓発などに取り組んでまいりましたが、諸外国の熱波の状況等を踏まえると、一層の対策強化が必要であると認識をしております。
こうした中、先月30日に開催されました自民党熱中症対策推進議員連盟において、「熱中症対策に関する法制度の整備が必要である」といたしまして、政府に対し、閣法での法案の検討と、国会への提出を求める決議書が取りまとめられたところであります。
これを受けて、環境省としては、気候変動適応法を改正し、熱中症警戒アラートの法定化や閣議決定計画の創設などにより、熱中症対策の充実・強化を図る案を作成しております。本日は、この案の内容について、ご審議をお願いできればと存じます。
今後の予定としては、本日いただいたご意見を踏まえて、環境省において、さらに法案の検討を進めた上で、年明けの当部会において再度ご意見をいただき、次期通常国会への法案提出を目指したいと考えております。
委員の皆様には、限られた時間ではございますが、ぜひ忌憚のないご意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中島総括 では、ここからは大塚部会長に議事進行をお願いいたします。大塚先生、よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 最初に、私も一言挨拶を申し上げることとなっております。
本日の主要議題である熱中症対策につきまして、一言申し上げておきたいと思います。
今、神ノ田部長からお話がございましたように、熱中症による近年の搬送者数は毎年4.5万人を超えており、死亡者数が1,000人を超えるという状況が続いております。
IPCCの第6次の評価報告書によりますと、2度上昇の場合、10年に1回の極端な高温が起きる頻度は4.1倍になり、50年に1回の極端な高温が起きる頻度は13.9倍になるとされています。
熱中症対策は、多くの府省庁にまたがる中で統合調整機能が低いということがございますので、推進体制が必ずしも十分でないということがございます。
先ほどおっしゃっていただいたように、COPでも気候変動適応として熱波が注目されているところでございますので、ぜひ法的、制度的な対応が必要だということで、本日の審議を進めていっていただければ大変ありがたく思っているところでございます。
では、議事に入りたいと思います。
議題の1でございますが、今後の熱中症対策の在り方について審議をいただきます。
本日は、この審議に参考となるご意見をいただくために、国立研究開発法人国立環境研究所の環境リスク・健康領域客員研究員でいらっしゃる小野雅司様、熊谷市の環境部長でいらっしゃる髙橋秀之様にご出席をいただいておりますので、ご紹介いたします。お二人は、お話しいただくことになりますけれども、どうぞよろしくお願いします。
では、事務局から説明をお願いします。さらに、事務局の説明に併せて、小野先生と髙橋部長からもご発言をお願いすることにいたします。
○髙澤環境安全課長 それでは、環境安全課長、髙澤でございますが、私のほうから資料をご説明させていただきます。
まず資料の2-1からでございます。
1ページ目に、我が国の年平均気温の上昇の状況を書いております。右肩上がりでございまして、直近3年が最も高いという状況になっております。
2ページ目が、死亡者数の5年移動平均でございます。近年では1,000人を超える状況ということで、これも右肩上がりの上昇となっております。
すみません。数字を1点修正なんですけれども、一番右上の数字が1,134人となっているんですけれども、令和3年の確定値の関係で、1,145人が正しい数字でございますので、1,145と修正をいただければと思います。
続きまして、3ページ目でございますけれども、自然災害による死者数との比較でございますが、そちらとの数字の比較でも、熱中症による死者数のほうが遥かに上回っているという状況でございます。
4ページ目でございます。政府の取組といたしましては、熱中症対策推進会議を設置しておりまして、環境大臣を議長として、11府省庁で連携して取り組んでいるところでございます。これまで、熱中症対策行動計画を令和3年に策定しまして、4年の4月に改定するなど、取組を進めているところでございます。
5ページ目でございますが、IPCCの第6次評価報告書を見ましても、極端な高温等が起こる頻度、強度ともに増加するとの予測があります。
6ページ目でございますが、海外の状況を見ますと、これは昨年6月のカナダでございますけれども、宗谷岬よりも遥かに高緯度に位置するカナダのブリティッシュ・コロンビア州のリットン村で、最高気温49.6度を記録しているということでございます。
熱波による死亡者数も、1週間当たり、短期間で543人と、かなり多数の死亡者が出ているという状況でございます。
7ページ目でございますが、今年の夏の欧州の各国の状況でございます。こちらでも熱波が発生しまして、甚大な被害が発生しております。
各国の死亡者数も記載しておりますが、短期間で多くの死亡者が出ているという状況でございます。
8ページ目でございますが、これらの状況から、我が国の対策における課題についてまとめております。
まずは、海外の状況として、高緯度でも発生しているということで、我が国でも、寒冷地も含めて全ての自治体において対策が必要であると。
二つ目が、広域的に発生が見られるということで、国や他の自治体による支援には限界がございますので、各自治体における健康危機管理体制の強化が必要と考えているところでございます。
三つ目が、短期集中的に、甚大な健康被害が発生しているということで、救急医療等がキャパオーバーにならないような熱中症の発症予防が極めて重要と考えているところでございます。
9ページ目に、現状の課題ということでまとめております。
まず、地球温暖化に伴い極端な高温のリスクが増加しております。死亡者数も高水準で推移しております。海外では災害級の熱波も発生しているという状況が見られております。
COP27の状況でございます。参考資料の18から22につけておりますけれども、気候変動への「適応」というところが重要な議題となりまして、国連からも、激甚化する気象リスクを知らせる早期警戒システムの全世界への普及などの発表がございました。
一方、我が国での状況でございますけれども、熱中症予防行動の国民への浸透がまだ不十分という状況でございますので、理解や危機感を高める必要があると。また、地域における取組も、地域差が大きく、全国的に展開できていない状況と認識しております。
自治体の取組状況については、次の資料2-2でご紹介をいたします。
熱中症対策は、多くの府省庁にまたがりますので、推進体制が不十分といった課題があるものと考えております。
参考資料の説明は省略させていただきます。
続きまして、資料2-2でございます。
自治体の取組についてでございます。
まず、環境省のほうで、昨年度から今年度にかけまして、地域モデル事業を行っております。先ほども申しましたように、地域における取組にまだ地域差が大きいという課題がございますので、より地域の優れた取組でありますとか創意工夫に富んだ熱中症対策を促進するため、そういったものを全国へ展開するといったところがモデル事業の趣旨でございます。
2か年で、こちらの1ページ目の表に示しております10地域をモデル地域として採択しまして、取組を進めているというところでございます。
こちらの2か年の結果を検証いたしまして、今年度、全国の地方公共団体向けに、地域における熱中症対策ガイドラインとして取りまとめて公表する予定となっております。
2ページ目に、このモデル事業の取組事例の一部について紹介をしております。
まず、群馬県の上野村でございます。高齢化率も極めて高い村でございますけれども、高齢者をリスク評価いたしまして、よりハイリスクのグループと通常のグループの二つに分けまして、ハイリスク者である高齢者に対しては、より丁寧に居宅訪問でありますとか、クールスポットの誘導等の個別支援を行ったという事業内容でございます。
この結果、令和3年では、救急搬送者数はゼロ人となりまして、熱中症警戒アラートにつきましても、村内全域に浸透したといった効果が見られました。
続きまして、川崎市でございますが、こちらのほうも、特に高齢者に着目いたしまして、町内会会合でありますとか高齢者が集まるイベント等での普及啓発を行ったということで、特に高齢者の搬送の割合の減少が令和3年は見られたということでございます。
あと、岐阜県の多治見市、京都府におきましても、それぞれ、多治見市ではドラマとかYouTubeでの動画配信などの情報発信の工夫、また京都府でも、府内の全市町村と連携しての体制の整備といったところで、引き続き継続的に対策を講じるような体制が構築できたということでございます。
このほか、表にはありませんが、吹田市におきましては、高齢者等への声かけ活動を民間のボランティア団体などと協力して実施している事例もございます。
それでは、続きまして、地域モデル事業の実施の自治体の一つでありまして、熱中症対策に熱心に取り組んでいただいている熊谷市の取組の状況について、ご発表をお願いしたいと思います。
熊谷市様、よろしくお願いいたします。
○髙橋熊谷市環境部長 それでは、熊谷市の髙橋です。熊谷市の取組について報告をさせていただきます。
初めに、まちなかオアシス事業の資料をご覧ください。
熊谷市は、平成19年8月及び30年7月に、当時の国内最高気温を2度更新するなど、日本一暑いまちとして知られていますが、同時に、暑さ対策日本一のまちでもあり、様々な施策を実施しているところです。
このまちなかオアシス事業もその一環で、夏の暑い日に市民が外出する際、一時的な避難場所として役立てていただくため、平成23年度から主要施設22か所を、クールシェルター機能を持ったまちなかオアシスとして開放しています。各施設には、休憩所として利用してもらいやすいように、PR用にのぼり旗を設置しているほか、体調を崩された方のため、スポーツドリンクや瞬間冷却剤などを常備しています。
実施期間は毎年6月1日から9月30日までで、利用者は、平成2年度が527人、3年度が457人で、猛暑となった今年度は859人の方に利用していただきました。
また、この事業とは別にクールシェア事業も行っており、公民館等の公共施設など48か所、一般事業所、店舗など76か所、計124か所が、クールシェアスポットとして場所やサービスの提供を行っています。
まちなかオアシス事業については、施設の閉館時間や休館日の扱いなどの課題もありますので、今後クールシェアスポットとの連携も含めて、開設時間の拡大なども検討していきたいと考えています。
続きまして、今年度、環境省のご指導をいただきながら、栃木県鹿沼市とともに事業を実施した、省エネエアコン定額利用制度について説明をいたします。
資料の2枚目をご覧ください。
近年、屋内において熱中症で救急搬送された方の多くがエアコンを使用していなかったということであり、本市においてもエアコンの設置や適切な利用促進などを推奨していますが、高額な設置費用やランニングコストなどが課題の一つになっていました。
今回のモデル事業は、当該ビジネスの経済性や効果を検証するとともに、新たな熱中症予防策の検討に資するデータ収集を行い、以て熱中症予防の一層の推進を図ることを目的として、市とエアコンの販売業者であるパナソニックコンシューマーマーケティング株式会社及び設置業者であるトラストワン株式会社の3者が包括連携協定を締結し、事業を実施しました。
それでは、事業の詳細について説明をします。
基本的には、市民の方とパナソニックが契約を結び、安価な金額で高性能な省エネエアコンを利用していただくというサービスで、契約期間は5年間、契約満了とともにエアコンの所有権が移転し、5年目以降については追加費用なしで継続して利用していただけるというものです。
実施に当たりましては、チラシを作成し、市報と同時に全世帯に配布したほか、主要施設各所における説明会、バス広告など、広く広報、周知を行いました。
熊谷市に用意していただいたエアコンは175台でしたが、それを大きく上回る444件の応募をいただきました。
なお、契約の際にはスマートフォンを使用する必要がありましたので、扱いに慣れていない方のために市内各所でサポートセンターを開設し、このため大きなトラブルもなく、当選者全員がスムーズに契約を完了し、その後、設置業者であるトラストワンがエアコン及び使用状況のデータを取得するためのWi-Fiルーターを設置いたしました。取得したデータにつきましては、環境省へ報告することになっています。
また、説明会ブースに足を運んでくれた方を対象にアンケート調査を実施したほか、当選者につきましては、ご自宅の現地調査を行うタイミングと、エアコン稼働後の9月下旬の2回、別途アンケートを行いました。
この結果については、現在集計中のものもありますが、全てのアンケートの内容を最終報告書に反映していただく予定になっています。
最後に、資料右側をご覧ください。
大まかなスケジュールを掲載させていただきました。
また、その下に、単年度当たりの効果を示させていただいております。この事業による1年間のCO2排出削減量は、鹿沼市と合わせると4万2,948kgであり、これは杉の木が1年間で吸収する量に換算すると3,067本分となるようです。
今後、このエアコンを10年間ご使用いただければ、杉の木換算で3万本以上のCO2を削減できるという計算になっています。
長くなりましたが、以上で、熊谷市の取組についての説明を終わります。ありがとうございました。
○髙澤環境安全課長 熊谷市様、ありがとうございました。
それでは、続きまして、資料2-4の説明をさせていただきます。今後の熱中症対策の推進についてでございます。
1ページ目でございますけれども、熱中症対策の推進のための法制度の基本的考え方(案)ということでございます。
背景につきましては、資料の2-1で説明したとおりでございます。このような背景を踏まえまして、気候変動適応法の一部改正によりまして、熱中症対策の推進のための法制化を図ることを考えておりまして、年明けの次期通常国会を目指して法案の提出を行う予定と考えております。
基本的考え方でございますけれども、まず一つ目が熱中症対策の法的な位置づけということで、熱中症対策は気候変動への適応策の中でも特に具体的な対策を推進していくべき分野であるということを明記し、重要な施策である旨を明確に発信する。適応策のさらなる具体化、強化を図るということでございます。このため、気候変動適応法の一部改正ということを考えているところでございます。
二つ目が、関係府省庁の連携強化についてでございます。
現行の熱中症対策行動計画がございますが、これを法定の閣議決定計画に格上げしたいと考えております。
計画案については、環境省が関係府省庁と統合調整して作成をする。関係府省庁による熱中症対策の連携強化の具体的な内容につきましては、当該閣議決定計画に記載をすることを考えております。
2ページ目でございます。極端な高温等も見据えた熱中症対策の一層の強化でございます。
一つ目が、熱中症特別警戒アラートの発表ということでございます。この特別警戒アラートといいますのは、現行のアラートよりも一段上のアラートということでございます。
環境大臣は、従来のアラートに加えまして、極端な高温現象により国民の健康へ重大な支障を及ぼす事態が生じる場合には、気象庁長官の協力を得て、熱中症特別警戒アラート発表し、都道府県へ通知し、報道機関やSNS等を通じて周知をするということを考えております。
二つ目が、クーリングシェルターの確保ということで、こちらのほうは、冷房を完備した暑さをしのげる施設で、先ほど熊谷市さんの事例でも紹介があったようなものでございます。
市町村長は、極端な高温時に暑さから避けるための施設を指定することができるものとします。熱中症特別警戒アラートの発表がされている場合、当該施設を開放し、住民が確実に利用できるようにするということでございます。
三つ目が、普及啓発体制の強化でございます。
市町村長は、特に独居老人など熱中症弱者への予防行動の呼びかけや安否の見守りを進めるため、地域の団体や民間団体を指定することができるものとするということでございます。
最後、地方公共団体の支援ということで、独立行政法人の環境再生保全機構を活用して技術的助言を行うといったことを考えているところでございます。
以上が、法制度の基本的考え方になります。
次のページから、熱中症対策推進検討会の検討状況ということで資料をおつけしております。
先ほど申しました基本的な考え方に関しまして、技術的な検討を行う機関、検討会といたしまして、学識経験者や自治体をメンバーといたしまして、この熱中症対策推進検討会を11月28日に開催いたしました。こちらに記載の三つの事項についてご議論いただいたところでございますので、こちらの第1回検討会の資料が参考になると考えますので、以下ご説明したいと考えております。
①一段上の熱中症警戒アラートの仕組みの導入についてでございます。
現状について、二つ目の丸でございますけれども、カナダや英国の例を見ますと、一定の気象条件下で自動的に情報発信するアラートに加えまして、その上位として総合的に緊急事態を判断し、アラートを出す体制が整備されております。
我が国では、現状、環境省及び気象庁におきまして、熱中症警戒アラートということで、暑さ指数33以上で注意を呼びかけ「自助・共助」のための情報発信をしているところでございます。
今後の検討の方向性といたしましては、極端な高温により、人の健康に重大な支障が生ずるおそれがある場合には、「自助・共助」の取組では限界があるということで、自治体等が市民を支援する「公助」が必要ではないかと。例えば、現行より一段上のアラートを発表し、それを受けてクーリングシェルターを開放する等の検討をしてはどうかということでございます。
6ページ目が、アラートの導入方針(案)でございます。環境省のほうで、暑さ指数、現行のアラートと同じく主な指標は暑さ指数になると考えておりますが、各省から提供される関係情報等を加えまして、総合的な判断をして、一段上のアラートを発表することとしてはどうかと考えております。
その総合的な判断の要素としましては、表のほうに書いておりますような、時期、地域差などを勘案することを検討してはどうかということでございます。
7ページ目が、新たな運用のイメージ案をつけております。
8ページ、9ページ目が、カナダとイギリスのアラートの概要でございます。それぞれでございますけれども、大きく二つの段階、2段階に分かれているというところでございまして、カナダであれば、まずは連邦政府共通といたしまして、地域別の気温でアラートを発出するのがございまして、もう一段上のものにつきましては、ブリティッシュ・コロンビア州の独自の運用ということでございますけれども、非常な暑さが観測、予想される場合には、州委員会の判断により発出されるもう一段上のアラートがあるということです。それに従って、クーリングセンターの設置も検討するような話がございます。
9ページが、英国のアラートの状況でございますが、5段階のレベルにはなっているんですけれども、Level3までは、あらかじめ定めた基準の温度に基づいて発令をされると。一番高いLevel4のアラートにつきましては、政府の横断的な評価等を踏まえ、国レベルで判断の上、発令とするということで、こちらも2段階の発令になっているという状況でございます。
続きまして、②のクーリングシェルターの仕組みの導入についてでございます。
11ページでございますけれども、現状のところで、米国のCDCによりますと、クーリングシェルターを活用し涼しい環境に滞在することが体温上昇を防ぎ、熱中症による死亡を減少させることが可能との報告がございます。
我が国でも、一部の自治体におきまして、公共施設等を休憩スペースとして利用できるよう、開放しているところでございます。
今後の検討の方向性といたしまして、冷房が整っている場所を地域であらかじめ確保することが熱中症リスクの低減につながるのではないか。特に、一段上のアラートの発表時には、地方自治体により準備されたクーリングシェルターの活用が効果的ではないか、こういった取組を全国的に確保していくことが必要ではないかということでございます。
12ページでございますけれども、こちらのほう、クーリングシェルターの導入方針の考え方ということで、基本的な考え方ということで表に書いておりますが、指定主体といたしましては、住民に最も近い市町村が適当ではないか。指定が想定される施設といたしましては、既存の公共施設でありますとか民間施設の活用を想定しており、一段上の熱中症警戒アラートが発表されている間は必ず開放してはどうかと考えているところでございます。
13ページが、クーリングシェルターの国内の事例ということで、先ほど熊谷市さんの事例のご発表がございましたけれども、アンケートの結果によりますと、市区町村数で21%の自治体に設置されているという状況でございまして、設置数の中央値は16か所といったところでございます。
また、品川区でも、公共施設の開放なりを行っているところでございます。
14ページはロンドンの事例ですので飛ばさせていただきまして、③が熱中症対策に係る地域団体の活動促進についてでございます。
こちらにつきまして、現状、二つ目に書いておりますが、特に高齢者における普及啓発戸別訪問、見守り活動等の強化が重要と考えておりますが、見守り人材の高齢化、あるいは人員不足等が深刻化しているという課題がございます。
地域によりましては、地元のNPO等の民間団体等の力を活用いたしまして効果を上げているような事例も見られますが、団体が個人情報等の入手でありますとか、地方自治体との緊密な連携という難しい面がございますので、改善していく必要があるのではないかということでございます。
ということで、今後の検討の方向性といたしましては、地方自治体と連携して適切な活動を行う民間団体を普及させる必要があるのではないか。見守り等の熱中症対策を促進し、活動しやすくするため、個人情報等を適切に扱える仕組みが必要ではないかということでございます。
17ページ目には、地域団体の活動の事例をつけております。
以上が、検討会の資料のご説明でございます。
本検討会の座長を務めていただいております国立環境研究所の小野先生に本日出席していただいておりますので、検討会での議論の状況などについてご説明いただきたいと考えております。
小野先生、それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○小野国立環境研究所客員研究員 この検討会の座長を務めております国立環境研究所の小野と申します。よろしくお願いいたします。
最初に課長のほうからもお話がありましたように、まだ現時点では、細かい具体的なところというよりも、大きな方針ですね。そういったところについて、委員の方々からご意見をいただいております。
今ご紹介のありました三つの点ですね。一段階上の熱中症警戒アラート、それからクーリングシェルターの仕組みを導入すること、それから地域団体等で取り組んでいるそういった体制をどうやってサポートしていくかというようなところになります。
委員からいただいた意見の中で、大きなところを2、3ご紹介しますと、まず一段上の熱中症警戒アラート、現在は、暑さ指数33度ということで全国一律で出しておりまして、実際には、今年度も述べで880、全国でそれぐらい出ると。多いところですと、沖縄ですとか九州なんかは60日ぐらい出るというような状況がございました。
こちらのほうは、どういった基準を決めたかというと、取りこぼしがない、それから、あまりにも外れないというようなところで、全体的なバランスを取るという形でやっておりましたので、どうしても焦点が絞れていないということで、委員の先生方も、やはり一段階踏み込んだ第2段階の警戒アラートが必要ではないかというようなご意見をいただいております。
それから、今のアラートのところも、実際に、例えば学校ですとか事業所等に、特に拘束力等はございませんけども、そういったところもどういうふうにするのか検討してはどうかというご意見もいただいております。
それから、二つ目のクーリングシェルターについては、施設の準備というのは、これは当然必要だということですけど、あとその中にも実際に、2日、3日とか、比較的長くというようなこともありますし、日中繰り返しありますので、その施設内で、飲水ですとか、そういったようなものも当然、併せて考えておくべきだろうというような。
それから、あと、もう一つ大事なのは、高齢者が大きな対象になるんですけれども、本当に暑くなるというときに、じゃあ高齢者をどうやって移動させるのか。暑い中を歩いていって、かえって健康被害をもたらしてはということで、そういった高齢者の移動等をどうやってサポートするかと、そういったところも必要だろうというふうに言われています。
それから、最後の地域団体の活動の促進と。こちらについては当然、エアコンの普及等ございましたけれども、エアコンだけでなくて、実際に個別の対応として、水ですとかシャワーですとか、体温を下げるような、そういったものも並行して検討してはどうかというようなご意見をいただきました。
こういう形で、基本的には非常に前向きなご意見をいただきましたけれども、今日のご意見等も踏まえて、今後、具体的に、どういうふうに対応していくかということを議論していきたいと思っております。
以上です。
○髙澤環境安全課長 小野先生、ありがとうございました。
説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○大塚部会長 ありがとうございます。
それでは、ご質問、ご意見がある方は、会場の方は名札を立てていただきまして、WEB参加の方は挙手アイコンでお知らせください。順次お名前をお呼びいたします。WEB参加の方は、ご発言の際にミュートの解除を忘れずにお願いいたします。
では、どうぞ、よろしくお願いします。
では、崎田委員、お願いします。
○崎田委員 ありがとうございます。
まず、コメントと質問をさせていただきたいんですけれども、今、資料のご説明、そして委員長のご説明などで、私は、この熱中症に関して本格的に制度化して取り組むということに私も賛成いたします。
それで、どうしてかというと、やはり、熱中症で死亡される方の数が、ほかの公害などと比べて非常に実数が多い。やはり、多くの方にきちんと快適に暮らしていただくというのが、これからの持続可能な社会にとって大事ですので、この熱中症に関しても、しっかりとした制度化して対応するという方針に、私も賛成したいと思います。
それに関して、今のいろいろご説明で、3点ほど質問をさせていただきたいんですが、1点目は、やはり今後、制度化をするときに、どういう取組をするとどういう効果があったかというのが、ある程度定量的な効果というかデータがあったほうが、その辺の制度の仕組みづくりには効果的だと思うんですけれども、今日ご説明があった、先進的に取り組む自治体を、10の自治体を制度化された、あるいはこれまでも幾つかあったというところで、そういうところの成果として、どのくらい救急搬送の方が、どういう仕組みを定着させたときにどのぐらい減ったかというような、そういうデータが明確になるとありがたいかなというふうに思います。
2点目なんですけれども、先ほどの熊谷市のお話などでも、クーリングシェルターという意味のまちなかオアシス、非常に効果的というお話がありました。その中で、実数で公共施設が48か所、店舗などが76か所という数字がありました。
私も、こういう場の指定に関しては、公共施設だけではなく、ショッピングセンターとか百貨店とか、多くの人が集まりやすいところ、そしてみんなでいやすい場所、そういうところをどんどん増やしていくのが、まず初期の段階では大事なのではないかと思いますので、こういう公共施設だけではなく、民間と一緒に取り組むという、そういうような体制をしっかりとってはいかがかなというふうに思いました。
それと、最後に1点なんですが、すみません、今、民間の事業者だけではなく、もちろん民間の団体とか、そういう意味で、オールジャパンで、多様な方たちで力を合わせようという、そういう対策をつくっていく流れをつくっていくのがいいのではないかというふうに思いました。
最後に1点、もう一つ伺いたいのは、伺いたいというか、省庁が連携して取り組むことが大変重要だという課題が出てきました。
昨年のオリンピック・パラリンピックのときに、やはり熱中症対策は、観客の方と、あとアスリートの方と、両方にとって大切ということで、省庁連携の対応のプラットフォームができたというふうに思いますので、そういうときに、何が課題で、どういうふうなことが解決策として連携がうまくいったかとか、そういう実績があると思いますので、ぜひそういうことも調査をして、制度づくりのときに生かしていただければありがたいというふうに思います。
よろしくお願いします。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、片山委員、お願いします。
○片山委員 ありがとうございます。私のほうからは、ご意見ということでお話しさせていただければと思います。
熱中症対策行動計画を推進するに当たっては、実際には、自治体が協議体などを設置して計画立案を行うケースが多いものと思います。
その際、様々なターゲットが想定されると思います。例えば学校現場ですとか、外で作業する労働者などということになると思います。
そのため、対策の立案に当たっては、自治体等で、環境分野だけではなくて、先ほど省庁連携もありましたが、分野横断的な対応ですとか、あと労働分野も含めて、専門的な、専門分野の有識者の声も踏まえて進めていただければというふうに思います。
あともう一点、やはりこうした施策を推進するに当たっては、予算の裏づけも必要になると思いますので、そうした予算の確保もぜひお願いしたいと思います。
私のほうからは以上です。ありがとうございました。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、オンラインのほうの先生方、浅野委員、お願いします。
○浅野委員 よろしいでしょうか。音声は伝わっていますか。
○大塚部会長 はい、聞こえています。ありがとうございます。
○浅野委員 大丈夫ですね。
各自治体での「適応」の計画をつくるというようなことが盛んに行われておりますけれども、なかなか熱中症については取組が進展しないという状況にあります。
自治体へのアンケートを拝見しますと、やはりそこでも出てくるのですが、人員や予算の制約が非常に大きいというようなことがあって、どうもやらなきゃいけないことは分かっているのだが、取組が消極的だという状況が、はっきりしていますので、法制化をするということのもつ意味は、少なくとも自治体の取組を強化させるという意味でも非常に大きい。
つまり、法律にも書いてあるのだからやらなきゃいけないということを環境部局から財政その他部局強く主張できるようになりますので、法制化をぜひやっていただきたいと思います。今回の提案は私も大賛成であります。
アラートについてですが、今までのアラート、やはり地域によって、かなりその効果に疑問が生じる面があるように思われます。例えば、私がいるところなんかは、夏には毎日警報アラートがメールに届くのですが、もう毎日毎日、同じのが来ると、全然説得力がないわけです。
カナダの例についてのさっきのお話を聞くと、警戒警報は夏に1回か2回ぐらいという、そのぐらいであれば非常にインパクトがあるんですけども、今のやり方のように毎日警報が来るようなものでは駄目でありまして、どうすればいいかという議論も行われているわけです。例えば、6月ぐらいのときに、少し丁寧に細かく情報を流すというようなことをやって、暑くなってから後は、もうちょっと情報の流し方を変えた方がいいのではないかという議論もありました。
ですから、今回さらに高度なレベルのアラートを出すということについても、ぜひこれはやるべきだろうと思いますが、そのときに、やっぱり全国一律同じ基準でやるという考え方には問題があると思われます。寒冷地は、ちょっとした高温でも結構影響が大きいということがあるでしょうし、それから大体、常に暑いところでは、同じレベルでも、それはもう日常化されてしまっているということがあるわけですから、同じ基準でやるというようなやり方をすべきではないと思います。やはり、各地域の特性をしっかり踏まえたものができるように。ですから、国で基準を決めて、これでやるというようなことの警報のシステムだけですと、地域の状況には合わないということになると思いますから、この辺は、専門家がご議論になるときに、ぜひ、地域の特性をどう反映させて、誰がその判断をして警報を出せばいいのかいうことについて、細かく議論する必要があるだろうと思っています。
適応については、既に、かなり気候変動対策に関する政策としても、これまでに議論や積み重ねが行われてきているんですね。
2017年から2019年まで、地域適応コンソーシアム事業というのを環境省がやりまして、それを引き続いだ後継事業として、2020年から今年度まで、適応の広域アクションプラン事業というのが行われています。これは全国を六ブロックに分けて、そこで、環境部局だけじゃなくて国の関係機関にも入ってもらい、さらに都道府県や県庁所在市などの自治体と一緒になっていろいろな適応政策の課題に取組みましょうという、なかなか優れたプログラムだったわけですが、本日議題になっている。この熱中症・暑熱対策については、既に適応コンソーシアム事業のとき以来、関東ブロック、近畿ブロック、九州・沖縄ブロックでテーマとして取り上げてきています。
そして、今度の、この3年間やっております適応の広域アクションプランの中では、関東地域では、暑熱対策についてターゲットを七つぐらい選んで、その七つぐらいのターゲットごとにどのようなプランを展開したらいいかということが検討され、その報告が今年度中にまとまるということになっていますし、近畿では、これまた大変注目できるのですけども、観光イベントが行われるような場合に、その場での暑熱対策をどうしたらいいかということについてこれをアクションプランの中で取り上げるということで検討が進められていて、これも成果が上がっています。
それから、九州・沖縄地域では、特に高齢者の対策をどうしたらいいかということをかなり細かく議論をし、それに加えて、さらに教育現場であるとか作業現場であるとか、さらには避難所の暑熱対策といったようなことも考えなきゃいけないということで議論が進んでおり、これらをうけた。そのための広域でのアクションプランというのが今準備されつつあるわけです。
ですから、こういったような適応のほうの政策のほうでやっている仕事と、環境保健部でやられる仕事がちゃんとつながっていかなきゃいけないというふうに思うので、適応のほうでやっている事業の成果みたいなものを、ちゃんと、この中に取り込んでいただきたいということを強くお願いしたいと思います。
この事業に関しては、最初のほうのコンソーシアム事業には私も関与しておりましたが、続くアクションプランのほうは九州・沖縄の地域の部分だけしか関わっておりませんけれども、全体としての動きが分かっていますので、このことはぜひ大事にしていただきたいなというふうに思っているところです。
ほかに、まだ申し上げたいことがありますが、取りあえず、あまり長くなっちゃいけませんので、このぐらいにしておきましょう。
どうもありがとうございました。
○大塚部会長 大変有益なお話をありがとうございました。
この辺で、ちょっと一旦切って、事務局にお答えいただこうと思いますけど、よろしいでしょうか。お願いします。
○髙澤環境安全課長 環境安全課、髙澤でございます。
ご指摘等をいただきまして、ありがとうございます。
まず、崎田先生から、今後の制度化に向けて先進的な自治体の成果をしっかりと効果検証していただきたいというお話がございました。
これにつきましては、まさにモデル事業を実施している課題でもあるんですけれども、いろいろと事業を進める上で、効果をいかに検証するかという話も、いろいろと外から言われていることもございますので、しっかりと、できるだけ定量的な効果を示せるように、工夫をしていきたいと思っております。
また、クーリングシェルターにつきまして、ぜひ民間施設についても、もちろん、公共施設のみならず民間の施設もできるだけ活用ということで考えておりますので、協力的な民間の事業者ですとか団体もございますので、そういったところとしっかりと連携をして進めてまいりたいと思っております。
3点目が、省庁のオリパラのときのプラットフォームです。すみません、私もちょっとその状況について、あまり勉強不足で分かっていない部分がございますけれども、しっかり勉強して、課題なり、効果があった部分について、しっかりと把握をして進めさせていただきたいと思っております。
続きまして、片山先生のほうから、行動計画推進に当たって、ご説明いたしましたように、かなりの数の関係府省、かなりの広い分野で熱中症対策を進めておりますので、自治体が検討を進めるに当たっても、そういった、国のほうでもしっかりと連携を取って進めてまいりますし、自治体のほうでもそういった環境分野のみならず、ほかの分野との連携というのは極めて重要でございますので、労働分野も含めまして、そういった連携をしっかり取ってもらうように進めてまいりたいと思っておりますし、予算の確保も課題と認識しておりますので、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
また、浅野先生からいただきましたコメントでございまして、特に一段上のアラートで、全国一律の基準では、なかなか問題があるのではないかということにつきましては、先ほど小野先生からご説明いただきました検討会のほうでも、まさに同様の意見もいただいておりますので、ちょっと技術的にどこまで対応できるかというお話はあるんですけれども、しっかりと検討してまいりたいと思っております。
また、適応のほうの動きについても、教えていただきましてありがとうございます。こちらのほうも、地球局の適応室からいろいろと情報をいただきまして、勉強はさせていただいているところなんですけれども、引き続き、コンソーシアム事業でありますとか、アクションプランとか、そういったところをしっかりと情報を共有させていただいて、きちんと連携して進めさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ほかにはよろしいでしょうか。
では、またご意見、ご質問をいただくことを再開したいと思います。
上田委員、お願いします。
○上田委員 今回の提案について、私も賛成でございます。
3点ほどお話ししたいことがございます。
1点目が、浅野委員からの指摘もありました、地域別のガイドラインのクライテリアについても、ぜひご検討いただきたい。
というのは、やはり地域によって適応の程度が違う。そして、やはり暑さに対する適応の程度が違いますので、一律に当てはめるということ自体が本当にいいのか。例えば、北海道では比較的低い温度でも熱中症が増えたりするということが分かっておりますので、その辺り、地域別の基準についてもご検討いただければというふうに思います。
2点目につきましても、このアラートを実施する際に、効果的な運用について、ぜひ検討いただきたい。
というのは、こういったアラートをすることによって、恐らく死亡は減ることが期待される一方で、救急搬送などは、啓蒙の仕方によっては軽症がかなり増えて、救急搬送のキャパシティーオーバーというのが起こる可能性も十分あり得るわけです。
実際、私たちの解析でも、過去の、実際に熱中症の言葉が出始めて、そして啓蒙、特にメディアで取り上げられる年には、どちらかというと重症も多いですけれども、軽症もかなり増えるということが実際に観察されるということから考えると、実際のアラートの運用、そして啓蒙の在り方ですね。そういったことについても工夫が必要かなというふうには考えております。
そして、3点目ですけれども、これは、今までのこの話については、どちらかというと短期的な視点で、じゃあどのように対応するかということになるんですけれども、恐らく、今後、気温が上昇することは避けられないということを考えると、長期的な視点で、私たちの夏のライフスタイル自体を考える、検討する時期に来ているんじゃないかと思います。
例えば、夏の期間の働き方、労働環境、そしてもう一つはイベントの在り方、開催の仕方についても、すぐにというわけではないですけれども、検討していく時期ではないかというふうに考えております。
以上になります。
○大塚部会長 ちょっと電波の関係で聞こえにくいところがあったと思いますけど、後で議事録のときに、またお伺いさせていただくことにしたいと思います。
では、青木委員、お願いします。
○青木委員 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。
○大塚部会長 はい、大丈夫です。
○青木委員 いろいろ先生方のご意見をいただいて、私も非常に役立つところがあったのですが、参考になるところがあったのですが、私はちょっと少し具体的な問題について考えてみたのですが、やはり、新しい仕組みはもちろんここでつくっていくということが大切なんですが、どのように既存の仕組みを生かしていくかということが大切なのではないかなというふうに思います。それは費用対効果ということも考えたんですけど、例えば、今の介護の仕組みと、この熱中症対策がうまく連携できないのかなどということを考えます。
よく話に、話じゃなくて、実際に経験したことなのでありますけれども、例えば、お一人住まいの高齢者は、エアコンがあっても暖房を入れてしまったとか、これは実際、笑いごとではなくて、非常に大変なことなのであります。例えば、そういうものの見守りを、今の訪問介護の中で、例えば連絡だけでもするとか、あと、例えばそういうアラートが出た日は定められた訪問日以外も訪問するとか、ちょっと見るだけでいいわけですから、そういうような仕組みができたら、アラートを出す効果とか、そういうことがあるのではないかなと思います。
あと、それからデイケアセンターの活用とか、そういうこともあるのではないかなというふうに思います。
それから、あともう一つ、各自治体さん、自主防災組織を持っておられますので、そういうところと、例えば、実際に災害のときだけでなくて、もちろん高温も災害といえば災害なんですが、いわゆる、よくいう台風とか、そういうような災害のときだけですと、実際には、どこにどういう高齢者が、特にお一人住まいがいるかということが、意外と把握されていないので、そういうところの把握をする意味も含めて、例えば、そういう訪問なり声をかけたりとか、いろいろなセクター、今、自主防災組織を上げましたが、そういうところでやっていただくという、具体的な仕組みについて、既存の地域、地域ごとといったときに、やはり地域のシステムを、今あるものをどのように活用できるかということをまず考えていただいて、それと新しいものをどんなふうにつくっていくのかということを考えながらやっていただくと、より効果的なものになるんじゃないかと思っております。
以上でございます。
○大塚部会長 大変、実際上の話まで考えていただいて、ありがとうございます。
では、奥委員、お願いします。
○奥委員 大きく二つあるんですけれども、一つ目は、せっかく熊谷市の取組をご紹介いただいたので、ご質問させていただければと思います。
資料2-3の2枚目の右下になりますけれども、単年度当たりの効果ということで、こちらについては省エネとCO2排出量の削減効果、あとは電気代の節約効果といったところを上げていただいてはいるんですけれども、より直接的に、エアコンを入れていただいたことで例えば搬送者数が減ったとか、熱中症による死亡者数が減ったとかといったようなところの直接的な効果はまだ、今年度6月から9月にかけて工事をされたということなので、まだそういったところの数字は見えてきていないということでしょうか。
それから、この関連の辺りの効果というところも、これは省エネエアコンに切り替えた場合の効果ということなんだろうと思いますが、ちょっとベースラインがどこなのかということも、この資料からは分からなかったので、その辺をお聞かせ願えればありがたいというのが1点目です。
それから2点目は、適応法の改正についてですけれども、こちらはお示しいただいた資料で、4本、改正の柱があったかと思いますけれども、大きな方向性としては、私は賛成でございます。
その中の柱の一つに、市町村にクーリングシェルターの機能を担ってもらう施設の指定権限を付与するということがあったかと思います。これは、指定できるという、恐らく規定の仕方になるので、自治体にそれを義務づけるわけではなく、指定権限を法的にしっかりと付与してあげるということだろうと思いますけれども、その場合にクーリングシェルターとしては、先ほどもご説明がありましたけれども、自治体が所有している公共施設もありますし、それから、それ以外の民間の施設といったようなものも想定されているということでした。
特に、民間施設については、先ほどちょっと青木委員からもお話がありましたけれども、災害時に、応援協定ですとか支援協定、災害時を想定した協定を締結しているその地域の民間事業者が存在しているということが多くの自治体にありますし、それから、災害時に限らず包括協定を結んでいるような事例というのも常にありますので、恐らくそういった指定をするだけではなくて、具体的に、どのようにシェルターをしつらえて運営してもらうのかといったようなことの詳細は協定で定めていくのかなというふうに思っておりますので、それを、法的に協定書を位置づけるかどうかは別としても、そういった具体的な、指定するだけではなくて、その中身を担保するような、そういった措置についても少し検討しておく必要があるのではないかというふうに思っております。
加えて、公共施設の中には、市町村所有のもの以外にも、広域自治体所有のもの、国が所有しているものというものもありますので、そういった広域自治体や国の役割というところ、特に、国の国有地や国有施設といったようなものをどのように活用していくのかというところについては、併せて国のほうでもご検討いただいて、これも法的に明記できるのであれば、記述していただくとよいのではないかというふうに思っております。
以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、岸本委員、お願いします。
○岸本委員 岸本です。
私は四十数年医師をやっておりまして、その立場から、皆さんとはちょっと違う視点からのお話をさせていただこうと思います。
熱中症というのは、かつては、死に至るようなシビアな病態はほとんどなかったわけですね。でも最近は、今のカナダのブリティッシュ・コロンビアの例、日本の例もそうですけれども、たくさんの方がこの病気で亡くなっているというのは、非常に重要なことだと思います。
となると、イギリスではこのアラートがゼロから4段階あるんですけれども、死に至るようにシビアなアラートなのかどうなのかというのは、過去の死亡例等々の調査をやれば、気温がどうで湿度がどうであれば、どこの地区でどれぐらいの方が熱中症で亡くなっていたかというようなことが分かります。このアラートの基準をかなりシビアに、医学的に、統計学的に調べて基準をつくっていただきたいというふうに思います。
先ほど浅野先生がおっしゃいましたように、アラートが毎日毎日出ると、大したことはないから、シェルターなんかに行かなくていいというふうに、住民の方には思われないように。今日と明日は違うというように、ある意味、地震の震度と同じように、命に危険があるような、今日はそういうアラートですよということが判るようにすればよいと思います。今日は、ある程度、水を飲んでクーラーをつけておけばいいですよというような、そのレベルを、もう一度考えてください。イギリス等はやっていますけれども、グレーディングを考え直していただけるといいなというふうに思っております。アラートを出し過ぎると、ああ、またかということで、実際に病院に来ない、救急車にも乗らないという方がいて、そういう方が亡くなるケースも、私自身は、経験をしております。
かつて、山口県の周南コンビナートにいたときは、光化学スモッグというアラートが出るんですけども、注意報が出ても、ああ、またかということで、誰も、出ているだけで実際に何も対策をしないでは効果がありません。今後カナダのブリティッシュ・コロンビアであったようなことは、この日本でも十分私は考えられると思いますので、そちらのほうの観点も、ぜひ検討していただけると幸いです。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、赤渕委員、お願いします。
○赤渕委員 ありがとうございます。赤渕でございます。
今、直前にお話がございました、岸本先生や、あるいは浅野先生がご指摘のように、アラートに関する情報提供の在り方というのは、なお一層、工夫が必要なのではないかと考えております。
私が住んでおります名古屋市でも、夏期間になりますと、NHKのニュースで毎日のように熱中症アラートが表示されますが、ほぼ毎日のように出ておりますので、ほとんど感覚が麻痺しておりまして、また何か画面の右端に赤いのが出ているなぐらいのことしか思わないようになっております。その重要性、重大性というのが、なかなか認識されにくい状況になっているようにも感じておりますので、そこはぜひ工夫をいただきたいというふうに考えております。
幾つかお尋ねしたいこと、あるいはコメントがございます。
まず一つが、クーリングシェルターの設置につきましてですけれども、まず最初に、せっかく熊谷市の方がおいでということで、お尋ねしたいんですけれども、まちなかオアシス事業というのは大変先進的な取組というふうに伺っておりますが、これは、例えば今年度などで利用実態というか、利用状況というのが、新型コロナの影響等もございましょうが、どのようなものであったのかというようなこと。特に、体調不良の方がいらして、スポーツドリンクとか瞬間冷却材を常備されておられるというご説明でしたけれども、実際にそれがどのぐらい利用されたのかについて、情報がございましたら、お教えいただけるとありがたいかなというふうに考えております。
それに関しまして、今般、ご説明ではクーリングシェルターの仕組みの導入ということで、それの設置を考えていくということでございましたけれども、スライド12ページですと、指定が想定される施設として、民間施設も活用するということを想定されておられますところ、これに関して2点ございまして、一つはアクセシビリティについてどのように考えるかと。これは公共施設についても同様でございますが、特に、郊外に大規模なショッピングセンターとかショッピングモールが設置されることが多く、それらは通常、自家用車での利用を想定しているものが多かろうと思いますが、そういったところですと、暑い、暑くなって体調が悪い、あるいは避暑をしたいということで、行こうとしてもなかなか行くことができないというようなことがあろうかと思います。
公共施設もまたしかりでございまして、そのアクセシビリティについて、何か国のほうで、例えば、半径何km以内に一つ設置するみたいな形のガイドラインのようなものがもしあればよいかなというようなことを考えております。
あとは、民間施設に対して、こうしたクーリングシェルターとして指定することを考えますと、民間の負担をどこまで求めるかといったことが問題となってこようかと思います。
先ほど熊谷市さんでは、飲料でありますとか冷却剤を提供されることを想定されておられるようでございますけれども、これを民間施設の方に、そうした提供を同じように求めるのか。求めるとすると、その負担をどのように分担するのかといったことが、考えなければならない事項としてあろうかと思います。
あとは、もう一つ、これは先ほど浅野先生もコメントの中で触れられておりましたけれども、自治体に対するアンケート調査で、8ページ目辺りでしょうか。クーリングシェルター、クールシェアスポットの設置についてなのでしょうか。Qの5ですね。実施すべきだと考えているが、実施できていない理由として、人材不足とか、あるいは予算の不足と。予算の不足が一番多いと。それで、人材不足も多いということですと、今度、法制化するに当たりましては、自治体への支援ということで、このような予算面での支援といったことも何かしら考えておく必要があるのではないかというふうに考えております。
今般のご検討の中で、地方公共団体の支援として、環境再生保全機構による技術的助言ということがございましたが、それのほかに、何か金銭的支援といったことも考える必要があるのではないかと、このように考えた次第でございます。
以上でございます。
○大塚部会長 どうもありがとうございます。
松本委員、途中でお帰りになる可能性があると伺っていますけれども、よろしいですか。はい、どうもありがとうございます。
事務局にお答えいただくことになると思いますが、ちょっと私も一つだけ気になっていることがあって、先ほど小野先生のほうからお話をいただいて、高齢者の方で、クーリングシェルターからお帰しするときに温度が高かったりすると、そこで何か問題が起きても困るという問題が多分あって、そこは結構大変かなと。重要なところかなと、私自身はちょっと思っております。
ただ、宿泊ということは多分考えていないと思うんですけれども、二、三日ぐらいという話を、さっき小野先生でしたか、おっしゃっていただいたかと思いますけれども、というようなことを、ちょっと細かくいろいろ考えなくちゃいけないケースが出てくるかなと思いますので、すぐお答えになっていただけることではないと私も思ってはいるんですけど、一言だけ、ちょっと申し上げさせていただきました。
では、何人かの先生にお話しいただきましたが、事務局から、さらに熊谷市さんからもお答えいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○髙澤環境安全課長 環境安全課、髙澤でございます。コメントいただきまして、ありがとうございます。
まず、上田先生のほうから、アラートに関しまして、やはり地域によって暑さによる状況も違いますし、より効果的な運用の観点から、啓蒙の在り方等を考えたほうがよろしいというお話をいただきました。まさに、アラートにつきましては、検討会でもそういった地域において丁寧なアラートを出すべく検討するということが、課題にもなっておりますし、啓蒙の在り方についても、救急搬送の話もしっかりと考えていきたいと思います。
また、短期的な視点のみならず、長期的な視点ということで、そういった観点は非常に重要と思っておりますので、検討の課題として認識して進めたいと思っております。
青木先生のほうからは、特に既存の仕組みを生かすということでいただきまして、まさにそれは大変重要なことと思っております。
環境担当だけでやれる話というのも限りがございますので、介護の担当、分野でございますとか、防災の自主防災組織の関係でございますとか、そういったところと、特に高齢者の情報とか、確かに使えるような情報もたくさんある部分があるかなと思っておりますので、できるだけそういった既存の仕組みを生かしながら、効果的に熱中症対策も進められればと思っております。
奥先生のほうから、熊谷市さんへの質問につきましては熊谷市さんのほうからお答えいただければと思うのですが、適応法の改正につきましていただきました。特に、民間施設ですね。先生のおっしゃるとおり、実際上、協定等を結んで進めていらっしゃる自治体もございます。詳細について決めていただくというところは、しっかりしていただく必要があると思っておりまして、そういったところをうまく活用して、民間の施設のほうも、もう既に、災害時とかで協定を締結しているところは、特にこういった熱中症対策にも使っていただける施設の候補であると思いますので、そういったところをしっかりと生かしながら、施設を増やしていくようなことを考えているところでございます。
岸本先生のほうからは、アラートにつきまして、イギリスのほうでは4段階ということで、今、我が国では、既存の、現在のアラートは一つの状況でございます。
地域によっては、かなりずっと出ているような状況というお話もございましたが、しっかりとアラートの考え方については検討会を活用させていただいて、検討を進めたいと思っております。
赤渕先生のほうから、クーリングシェルターにつきまして、アクセシビリティとか、そういったお話がございました。大変重要な検討課題と思っております。
また、都市の規模、地域、大都市、あるいは地方のほうといったところでも状況はかなり違ってまいりますので、できればそういったガイドライン的な話をしっかり検討して出せればということは考えておりますが、地域の状況でありますとか、そういったところを踏まえて、どういった考え方をするかというのを引き続き検討してまいりたいと思いますし、民間の負担につきましても、なるべく負担がかからないような話が理想とは思いますけれども、しっかりと考えてまいりたいと思っておりますし、予算面での支援につきましても考えたいと思っております。
大塚先生からのご指摘につきましても、検討会でも極めて重要な課題となっておりまして、場合によりましては、クーリングシェルターに移動させないほうが、高齢者のためにもいいような話も状況によってはあるということも十分考えられますので、そういった細かいケースをしっかりと考えまして、進めさせていただければと思っております。
それでは熊谷市さん、すみません、お願いできればと思います。
○髙橋熊谷市環境部長 それでは、奥先生のほうから搬送者の関係のお話がありましたが、先生のおっしゃるとおり、今年度、6月の後半から設置は9月にかけてでしたので、今年特に暑かったのが、6月、7月の上旬が非常に暑かったということもありまして、まだ結果としては出ておりません。
実際の数値も、今年の搬送者数は非常に熊谷市も多かった。昨年の倍ぐらいの搬送者数がありました。ただ比較的、中等症以上の方は少なかったなというのは今年の傾向です。
ただ、先ほど申しましたとおり、エアコンの事業としては8月から9月が工事の集中しているところでしたので、その結果については、また来年度以降、検証していただきたいというふうに思います。
それから、1年間のCO2排出量削減の効果の話ですが、これは中間報告としてパナソニックから上がってきた資料の数値なのですけれども、先生のおっしゃるとおり、旧来型の機械と今のを比較して、このぐらいの削減効果があるという数字でございます。
それから赤渕先生の、今年度の簡単な状況ということでしたが、先ほど申しましたとおり、令和2年度が527人、令和3年度が457人でした。今年度はやっぱり猛暑でしたので、859人というふうに、少し人数が多くなっています。コロナ禍ということももちろんありますけれども、この859人の内訳なんですが、22か所に均等にばらけているわけではありませんで、一番多いところが252人、次が196人、次が104人というふうに、少ないところは一人もいらっしゃらなかったという、ばらつきがあります。
多いところに共通しているのが、近くに大きい公園があるんですね。熊谷市はスポーツ熱中都市宣言もしておりまして、市民の方が、ジョギングとかウオーキングとかをされる方が多いのですが、恐らくというか、傾向としては、午前中の涼しいうちにというふうにジョギング等をされて、その途中に暑くなって気分を悪くされたというようなことが多いのかなというふうに推定をしています。
それから、スポーツドリンクの数なのですが、実際そんなわけですので、割と水分をお持ちの方が多いですので、実際に出たドリンクの数字は5本です。859人いて、実際にドリンクを使った方は5人ということです。
それから、民間の協力ということで、これは、熊谷市もまだ、民間さんに負担をお願いしているというのはないんですけれども、参考になるかどうか分かりませんが、熱中症対策キットということで、ペットボトルとタオル、瞬間冷却剤、それから噴霧器、うちわなどを一まとめに箱に詰めまして、市内の147施設に常備をしております。こういったものを、民間さんの協力を仰ぐときに、これを置いてくださいということで置くというのも一つの形なのかなというふうに考えているところです。
お答えになったかどうか分かりませんが、以上です。
○大塚部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
先生方のご意見あるいはご質問は全て対応させていただいていると思いますけれども、ほかにはいかがでしょうか。
では、どうぞ、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
私はあまり、少し専門が遠いので、最後に時間があったらと思って伺っておりましたが、熱中症警戒アラートということにつきまして、外部的な関心からでありますけれども、環境省のものは10年に一度ぐらいなどのという例示があって、英国のものは10年に一、二回、しかし、これはヒートエマージェンシーということなので、必ずしも、多分、熱中症だけではないと思われるヒートエマージェンシーを言っていて、英国のほうは死亡リスクが何%増加という目安が書いてあるんですが、一体、日本の対策はどういうところを目標に定めようとされているのか、どういう範囲なのかということを一応確認したいなと思いましたので、発言させていただきました。お願いします。
○大塚部会長 ほかにはよろしいでしょうか。
どうぞ、浅見委員。
○浅見委員 申し訳ありません。
予報的なものというのもご準備されるご予定なのかどうか。例えば、先ほどジョギングのお話がありましたけれども、昼間には明らかに温度が高くなりそうなんだけれども、朝の段階である程度分かればそういったものを準備されるのかどうかというところも、今の鈴木先生のと併せて教えていただければと思います。
○大塚部会長 では、これで締めさせていただきますが、よろしいですね。
では、事務局、お願いします。
○髙澤環境安全課長 ありがとうございます。
アラートにつきまして、まさに今、検討中ということでございまして、先ほどもお話がありましたけれども、あまり頻発するようなものでは意味が薄くなってしまいますし、かといって、全く、あまりにも出ないと言うとあれなのですけれども、その辺りをどう持っていくかという話を、死亡者数とか、搬送者数とか、そういったデータも解析しながら、まさに今、検討を進めているところではございますので、検討会の力も借りまして、引き続き検討したいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
浅見先生は、予防的なものの準備ということで、まさにアラートの発出のタイミングなりも、予測の精度というか、そういったものにも関わってくるのですけれども、できれば、暑さ指数で言いますと2日前ぐらいの予測から可能ではありますので、なるべく、早めに出せるものであれば、しっかり予告とかそういったものも含めてなんですけれども、事前のお知らせも含めて対応できるような方法、運用を考えたいと思っております。
以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
活発なご議論をいただきまして、誠にありがとうございました。本日、各委員からいただいたご意見を踏まえて、環境省におかれましては、熱中症対策の法制化に向けて検討を進めるよう、お願いいたします。
年明けに予定されております次回の環境保健部会におきまして、さらに議論できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、小野先生、髙橋部長におかれましては、審議にご参加いただきまして、どうもありがとうございました。
では次に、議題(2)の報告事項につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○山﨑環境保健企画管理課長補佐 それでは、資料の3-1に基づきまして、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応-EXTEND2022-」の策定について、ご報告申し上げます。
スライドの1ページ目でございますが、前のプログラム、EXTEND2016を策定して既に5年が経過しておりましたので、昨年度よりその振り返りを実施し、本年の10月に、同じ名称の下でEXTEND2022を策定、公表いたしました。
2枚目でございますが、EXTEND2016を含むこれまでのプログラムの成果として、この中では2段階の試験評価の枠組みとして、簡易な試験から、順次、長期の詳細な試験へと段階的に進める手順を定め、第2段階生物試験により確認された有害な影響に着目してリスク評価を行うという形で枠組みを構築いたしました。それに必要な試験法の開発を進めてきていて、代表的なものといたしましては、日米合同でメダカ拡張1世代繁殖試験ですとか幼生期両生類成長発達試験をOECDテストガイドライン化し、さらに、ほかの試験法も随時検討を進めているところでございます。
スライドの3ページ目は試験・評価の推進でございます。
この枠組みに従って、これまで200を超える化学物質を対象として、試験・評価を進めてまいりました。
このうち、ノニルフェノール等6物質については、最終的な第2段階生物試験でありますメダカ拡張1世代繁殖試験を実施し、その結果は、化学物質審査規制法における優先評価化学物質のリスク評価ですとか、あるいは環境省の事業であります化学物質の環境リスク初期評価において、活用を開始しております。
このほか、国際協力事業をイギリス及びアメリカとの間で進めてきており、その成果を試験・評価に反映させております。
スライドの4枚目は新しいEXTEND2022の概要です。少し期間が長くなりますが、令和12年度を見据えた新たなプログラムとして構築しました。構成そのものは、基本的には従来のEXTEND2016と同様です。
スライドの5枚目、新しいEXTEND2022における対応の方向性を挙げております。
既に構築した2段階の試験・評価の枠組みを踏襲して、基本的な考え方を維持しておりますが、以下、新たな対応の方向性を挙げています。
試験・評価の対象物質としいたしましては、これまで主に対象にしてきております工業化学物質に加えまして、農薬ですとか、医薬品を含むPPCPsという物質も積極的に採用いたします。
また、当省のプログラムの下で確立されてきた新しい試験法を用いて、順次、試験・評価を行うことにしており、この中には両生類を用いる試験法ですとか、今後さらに新たに確立されるスクリーニング試験法なども含まれております。
そのほか、欧米で研究が進んでおります動物を用いない新たな評価手法、New Approach Methodologiesと呼ばれるものですが、この活用方策を新たに検討することにいたします。
さらに、評価において、個別物質単位の評価だけではなくて、複数の物質をまとめて評価するという、複合影響評価の視点も考慮いたします。
さらに、リスク管理に係る既存の制度下の評価体系、化学物質審査規制法ですとか農薬取締法ですとか、あるいは環境基本法の下で環境基準を設定するですとか、そういった既存の制度の下での評価体系で、この化学物質の内分泌かく乱作用についてどう評価してもらうかという、それぞれの評価体系における活用を念頭に置いた評価の手法の提案を、このプログラムの中で目指していきます。
そのほか、英語による情報発信を重視していくと、こういった新たな方向性を挙げまして、具体的には来年度から、この下で順次、試験・評価を進めていく予定でございます。
資料は、それ以降には参考資料を何枚かつけております。
資料3-1は以上でございます。
○川原環境安全課長補佐 環境安全課の川原でございます。
そういたしましたら、資料の3-2について、ご説明いたします。
資料3-2をご覧ください。
化学物質排出把握管理促進法、いわゆる化管法に基づく指定化学物質等取扱事業者が講ずべき第一種指定化学物質等及び第二種指定化学物質等の管理に係る措置に関する指針、いわゆるこれは化学物質管理指針と申しますけども、それの一部改正についてということで、ご報告させていただきます。
1枚めくっていただきまして、右下のページで1ページ目でございます。
まず、おさらいも兼ねましてですけれども、本会で報告させていただいております化管法の動向でございますけれども、大きくは令和元年6月に「今後の化学物質環境対策の在り方について」ということで、制度に関する答申をいただいております。
また、令和2年8月になりますけれども、指定化学物質の見直しに係る答申をいただいてございます。
これらを受けまして、令和3年の10月に化管法施行令の改正を行ってございます。
続いて令和4年、本年の3月ですけども、こちらで化管法の施行規則の一部改正を行ってございます。
今回、本日ご報告させていただくのは、これに続きまして、令和4年の11月4日、これに化学物質管理指針の改正を行ったということでございます。
もう一枚めくっていただきまして、2ページ目をご覧ください。
本制度につきましては、さきに述べました「今後の化学物質環境対策の在り方について」という答申を受けたものでございまして、その答申の中では、「大規模災害をもたらす自然災害現象による化学物質の漏えい・それに伴う影響の発生に対応するため」ということで、指定化学物質等取扱事業者と地方公共団体との連携、それから、災害による被害の防止に係る指定化学物質等取扱事業者の平時からの取組、こういったものを化学物質管理指針に位置づけて一層促す必要があるという旨がまとめられてございます。
これを受けて、所要の改正を行うものでございます。
パブリックコメントにつきましては、こちらの資料に示させていただいたとおりでございます。
もう一枚めくっていただきますと、具体的な改正内容のところになりますけれども、本件に関しましては化学物管理指針に新設させていただいてございます。
場所といたしましては、第一のところの「一 化学物質の管理の体系化」というところの(5)の「その他配慮すべき事項」というところでございまして、アとして「地方公共団体との連携」。こちらにつきましては、「指定化学物質等取扱事業者は、事業所における指定化学物質等の管理の状況について、当該事業所の所在地を管轄する地方公共団体に適切な情報の提供を行うよう努めること。」とさせていただいております。
それから、イの「災害による被害の防止に係る平時からの取組」ですけれども、「指定化学物質等取扱事業者は、災害発生時における指定化学物質等の漏えいを未然に防止するため、具体的な方策を検討し、平時から必要な措置を講ずること。」ということをさせていただいてございます。
今後につきましては、これはパブリックコメントでもご意見をいただいておりますが、具体的な取組事例、こういったものに関しまして、好事例集、こういったものを公表させていただき、それの水平展開を図っていくと、こういったことを予定しているところでございます。
なお、この化学物質管理指針に関しましては事業者向けという位置づけが多うございますけれども、地方公共団体向けには、本年の3月に、「地方公共団体環境部局における化学物質に係る災害・事故対応マニュアル策定の手引き」といったものを公開してございまして、今これは地方公共団体と事業者、両方から、災害時の化学物質対応を図っているといったところでございます。
私からは以上になります。
○吉崎環境安全課長補佐 環境安全課の吉崎と申します。
私からは、資料3-3に基づきまして、化学物質関係の主な国際会議について、ご報告させていただきます。
おめくりいただきまして、右下1ページ目になっているスライドでございますが、こちらの表では、化学物質関係の主な国際会議について、前回の環境保健部会以降開催されたものと、それから現時点で見通しの立っているものを掲載してございます。
化学物質管理全般に関する会議といたしましては、SAICMの次期枠組みに関連する公式会合がしばらく中断されておりましたけれども、8月末に再開されました。
また、第5回国際化学物質管理会議の日程が、来年9月、こちらに記載のとおりの日程で確定してございます。
また、その下でございますが、今年2月の国連環境総会の決議を受けまして、化学物質廃棄物の適正管理及び汚染防止に関する科学・政策パネルの設置のための公開作業部会が開始されてございます。
一つ飛ばしまして、ストックホルム条約に関しましても、新規POPs候補物質の検討を行う委員会が9月に開催されてございます。
これらの会議の開催状況について、次のスライド以降でご紹介させていただきます。
次の2ページ目でございますけれども、SAICMの次期枠組みに関する議論の状況をご報告いたします。
SAICMというのは、上の青枠の中で、米印で記載してございますけれども、「2020年までに化学物質が人の健康や環境への著しい影響を最小とする方法で生産・使用されるようにする」という、いわゆる2020年目標を達成するための自主的な枠組みとなってございます。
SAICMの次期枠組みについては、当初、2020年に予定されていた第5回国際化学物質管理会議での採択が目指されてございましたけれども、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、2019年以来、この交渉プロセスが中断されてございました。
今般8月に、第4回の会期間プロセス会合が再開されてございます。
今次会合では、これまでの交渉プロセスでのテキスト、第3回プロセス会合での成果文書のほか、2020年から21年にかけてバーチャル作業グループで議論された内容、さらにその後の動向も踏まえまして、一つの交渉テキストを作成していくということが重要なテーマとなっておりました。
このスライドの中ほどに記載しております三つのテーマに分けて、1週間にわたって議論が行われまして、今後の交渉の土台となる統合版の交渉テキストというものが作成されてございます。
ただ、時間の制約上、複数の意見を併記した文章を作成するといった形にとどまっておりまして、来年9月、第5回の国際化学物質管理会議での円滑な採択のためには、さらに議論を重ねる必要があるということで、今回の第4回会期間プロセス会合については休会という扱いになり、来年2月末に再開会合(IP4.2)というものを開催することとなってございます。
次のスライドをお願いします。
こちらの3ページ目のスライドでは、現時点での共同議長の統合版交渉テキストの要素というものを示してございます。ほとんど全ての項目について議論が継続中、たくさんの両論併記の部分がまだ残っているという状態です。
次のスライドで、具体的に、テーマ別会合の1で議論された、次期枠組みの下での五つの戦略的目的の案と、その下に位置づけられるターゲットの候補というものを幾つかご紹介してございます。戦略的目的については五つ、ここに挙げているものがございますけれども、その下に、さらに、それぞれ5から10程度のターゲットを設けるということで、その候補の抽出というものが今回の会議では行われてございます。ただ、ターゲットについても、まだ並べていったというようなところで、まだ具体的なテキスト交渉には至ってございません。
次のスライドをお願いいたします。
次は、UNEA、国連総会での決議を受けまして、化学物質・廃棄物の適正管理、汚染防止の分野において、独立した政府間科学・政策パネルを設置すると、これを目指して、臨時の公開作業部会というものが設置されているということで、2024年中の議論終了を目指して、10月に第1回の会合が開催されてございます。10月の会合というのは、1日限りのハイブリッドの会議となっておりまして、手続面の事項が主な議題でございました。実質的な議論は、来年1月末にバンコクで開催される第2部で議論されることとなってございます。
次のスライドをお願いいたします。
最後のスライドですが、残留性有機汚染物質検討委員会POPRC(POPRC)の第18回の会合の結果をご紹介してございます。
主な結果といたしましては、デクロランプラスといUV-328の2物質について、リスク管理に関する評価の検討を経て、次回の締約国会議に条約対象物質への追加が勧告されることとなってございます。
私からのご説明は以上でございます。
○大塚部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、ご質問、ご意見がある方は、会場の方は名札を立てていただき、WEB参加の方は挙手アイコンでお知らせください。順次お名前をお呼びいたします。
WEB参加の方は、ご発言の際に、ミュートの解除を忘れずにお願いいたします。
では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 鈴木です。ありがとうございます。ご説明ありがとうございました。
幾つか、私の思いみたいなものをお話しいたしますが、内分泌かく乱に関しましては、ぜひお願いしますというところですが、内分泌かく乱は私もある時期勉強していたことがありまして、ここに書かれた、かつてのSPEED'98の頃から見ておりましたけれども、SPEEDの時点でもう、私が思うに科学的知見はもう十分あったはずで、あれほどデータがあるものはなかったんじゃないかと思うぐらい僕はあったと思うんですが、今回、課題に、どこにあるんだっけ、何かその施策に生かす方法というのが、どこに行ったか分からなくなりましたが、リスク管理に係る既存の制度下の評価体系における活用を念頭にした評価手法の提案、これは多分、非常に重要なことだと思っていまして、これは、科学的知見だけではなくて、むしろ科学的知見ではなくて、社会的リスク管理の在り方そのものに対して、この知見がどう活用できるかという視点でやるということが重要だというのは、もうSPEEDの頃から思っていたことでありまして、それさえあれば、それがあるかないかがこの内分泌かく乱という、毒性学的には僕は非常に重要な視点だと思っているんですけれども、生かせるかどうかにかかっているかと思いますので、ぜひお願いいたしますというのがコメントです。
それから、化学物質管理指針に関しては、どうもありがとうございます。これは非常に重要な課題、決定だと思っていますので、ぜひお願いいたします。それで、事業者さんが自治体さんに情報提供を行うよう努めていただくに当たりまして、その結果を直ちに公表するとかいう話ではないのかもしれませんが、自治体さんに提供された情報が、自治体の間、あるいは政府との間でしっかり共有できるようにしていただくことが多分、この種の対応では、災害時以降の対応というのは県の、都道府県の境界でとどまってくれたりはしませんので、またがって、何か共有できる形で、しっかり事業者さんが自治体さんに提供できるように努めていただければありがたいと思いました。
あと、国際会議についてもありがとうございます。私は、特にこの科学政策パネルについては論文を書いたりしていましたので思い入れのあるところでありますが、SAICMもございまして、水俣もございまして、ストックホルム、バーゼル、この化学物質管理に関しては、科学的知見を提供する場所が、とにかくステークホルダーが多すぎて、ある種、小さな知見が散らばっているような状態になっていることが、一種、構造的な課題かなと私は思っておりまして、それを何とかして解決する、完全な解決は容易ではないとしても、何とか解決する一つの道筋として非常に期待しているところがありまして、それだけに、恐らくステークホルダーが多くて調整が物すごく大変なのではないかという想像もするんですけども、私はぜひ、私のできることは、科学者としてできることはやりたいことはやりたいと思いますし、ぜひ日本政府が難しいステークホルダーを束ねていくような役割を果たしていただければありがたいなと思って期待しております。よろしくお願いします。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
松永委員、お願いします。
○松永委員 松永でございます。
私、3-1のEXTENDのところ、意見というよりもお願いということですけれども、申し上げたいと思います。
今日ご説明いただいた成果というのは、これは本当にすばらしいものでして、どうしても社会的な関心というのは、化学物質内分泌かく乱作用があるかないかみたいなところでありますが、実は、この方法論を確立するというのは、非常に地道なことでありますけれども、ある意味、一番大事なところだというふうに私は思っています。ですので、そこをきちっと試験法を開発されて、しかもOECDのテストガイドラインまで持っていこうとされて、あるいは持っていって、これはもう本当にすばらしい成果でありまして、誇っていいことだというふうに改めて思いました。
それで、5ページ目に、リスク管理に係る既存の制度下の評価体系における活用という、これをぜひ早く進めていただきたい。例えば、農薬のリスク評価ですと、OECDのテストガイドラインに則った試験を企業に要求、データを要求して企業に出していただけると、そこでリスク評価ということがきっちりできますし、その企業がデータを諸外国に出せば、そのデータ自体が国際的な公共財になっていくのだろうというふうに私は思っています。ですので、非常に価値が大きいと。それには、やっぱり早く評価に活用できるような形にしていただきたいし、環境省さんも、組織の中で、部が違ってなかなか難しいところもあるんだと思うのですけれども、評価のところを持っているような部局と連携して、こういうよい取組、国際的な公共財になるようなものをどんどん取り入れて、より進んだリスク評価と管理につなげていただきたいというふうに思いました。お願いいたします。
ありがとうございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
崎田委員、お願いいたします。
○崎田委員 ありがとうございます。
今、最初のEXTEND2022に関しては、松永委員、非常に詳細にお話しいただいたので、そのコメントにお任せしたいというふうに思いますが、私自身、2050年ゼロカーボンという大きな時代の中で、今、化学産業の、新しい技術開発とか、そういうことが大変強く望まれているわけですが、だからこそ、その化学物質管理の徹底とかリスクを下げていくということも、同時に大変重要なことだというふうに思っていますので、これからの化学物質のライフサイクル全体の産業界から、化学品の消費・選択とか、そういうところまで含めて、やはり情報をつないでいくことなども含めて、あと管理を徹底することも含めて、しっかりと、この化学物質、化学品に関するリスク削減というのは、重要テーマとしてみんなで考えていかなければいけないというふうに感じています。
それで今、私が、じゃあコメント、2番目の化管法の一部改正に関してなんですけれども、ようやくここまで来たという感じで、非常に、これをしっかり取り組んでいただきたいという意味で発言をさせていただきます。
数年前から、私、化学物質と環境政策対話に参加をさせていただいておりますが、その中でもかなり、この話題は出てきていたというふうな印象を持っています。そういう意味で、産業会の皆さんも、そして社会や自治体も、やはり、単に地震というようなことがケースとして出ていますが、それだけではなく、温暖化に、気候変動による急激な大雨とか大災害がここ数年続いておりますので、そういう中で、こういう、どういうものを扱っているのかというのを事前に事業者さんと自治体が情報共有して、何かのときに、どういう対策をすぐに取るべきなのかということが、両者理解をしていくというのが、これから大変重要なことだと思っています。
ですから、今回の改正を、うまく実効あるようにしていただきたいというふうに思っております。それに関して一言、文言を拝見すると、やっぱり事業者さんは自治体に情報提供に努めるという、最後が「努める」という言葉なんですね。これをやはり、どこまで実効性を高めていくかということが、ぜひお願いをしたいところだと思います。自治体の皆さんも事業者の皆さんも、プラス思考で考えればいいことですので、ぜひこれを、実効性を高めるように運営していただきたいというふうに願っています。
よろしくお願いします。
○大塚部会長 ありがとうございます。では、片山委員、お願いします。
○片山委員 私からは要望を1点、お話しさせていただければと思います。
SAICMを議論するIP4の会合につきまして、連合が加盟しています労働組合の国際組織、ITUCも正式メンバーとして参加しているというふうに承知しています。労働組合としては、SAICMの議論につきましては、職場の安全衛生ですとか、あとディーセント・ワークの実現ということで重要な会合だと思っていますので、ぜひITUCの声も、次回SAICMの中に盛り込んでいただけるようお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○大塚部会長 ありがとうございます。では、石塚委員、お願いします。
○石塚委員 すみません、ありがとうございます。
EXTENDのところでなんですけれども、EXTEND2022、拝読させていただいているんですけれども、例えばなんですが、現行、通常ですと、内分泌かく乱化学物質の、基本的にはポピュレーションに関わる化学物質という定義がされているかと思うんですけれども、出口、エンドポイントとして、そういったところにはタッチされるかどうかといったようなこととか、あと、二つ目の質問になるんですけれども、今現在、内分泌かく乱化学物質というのは、定義的に、かなり広い意味の定義が海外で研究が進んでいるところですけれども、国内ですと割とホルモン関係とかに結構限定されている狭義の意味で使われているんですが、ポピュレーションに関わるようなところで、そういったところの見直しを今後される予定があるかどうかというところが2点目です。
あと、NAMsとか複合ばく露とか、かなりハードルが高いことも記載をいただいていて、ぜひこちらの結果を楽しみにお待ちしたいと思います。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。では、オンラインのほうではなく、ちょっとこちらになりますが、浅見委員のほうからお願いします。
○浅見委員 恐れ入ります。今、石塚先生、ポピュレーションとおっしゃったということでよろしいでしょうか。若干関係するのですが、全体資料の66ページ、67ページ辺りの部分で、EXTEND等を用いて今後評価を行っていく今後の方向性というところで、大分洗練された形に、だんだんまとまってきたと改めて感じておるところですけれども、海外の知見や、今、国内で問題になっているもの等で、既によく使われていた化学物質で、疫学的な知見が指摘をされることが多くなっていると感じております。海外の知見や、毒性の種類ですとか健康影響というものが評価をされている知見も収集して、ぜひフィードバックをかけていただくような仕組みも入れていただければと、コメントさせていただきたいと思います。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、オンラインのほうに戻って、赤渕委員、お願いします。
○赤渕委員 ありがとうございます。2点ございます。
まず第1点、EXTEND2022が新たに従来のEXTEND2016を引き継ぐ形で定められたのは大変喜ばしいことかと思います。
あわせまして、今後の期待といたしましては、リスク評価に加えて、リスク管理に向けた検討をさらに推し進めていく必要があるのではないかと思います。従来の議論ですと、評価の部分が恐らくは中心になっているような印象を受けておりますけれども、現行の法制度の下でどのような管理を行っていくか、これはEXTEND2022に関するスライドの5ページ目の下から二つ目のポツに関係するのかなと、一見するとそのような印象を受けましたけれども、そうした現行法下に基づいて、内分泌かく乱化学物質のリスク管理をどのような形で行っていくのか、場合によっては、現行法にどのような手当てが必要なのか、あるいは新法が必要となるのかとかいったようなことまで、より具体的なリスク管理体制に関する検討もそろそろ本腰を入れて進めていく必要があるのでないかと、このように考えております。
二つ目でございます。化学物質管理指針の一部改正によって、災害時への対応法に関する規定が新たに盛り込まれたことも大変評価すべき事柄だというふうに考えております。ただ、先ほど崎田委員からも恐らくコメントがあったかと記憶しておりますけれども、管理指針ですので、当然、法的拘束力はなく、またこの管理指針に関するスライド3ページ目にございますように、取扱事業者の情報提供についても、法的拘束力のない管理指針の中でさらに努力義務として課されているにとどまりますので、実効性をどのように担保していくかといったことは、先ほどのコメントにあるように、今後の課題となろうかと思います。
この点につきましては、例えばこうした取扱事業者において、実際にどのような取組が行われているのかといったことについて、何らかの情報の提供をいただき、どこかでそれについて評価する機会などがあれば、この管理指針間の中での実効性の担保に向けた仕組みになるのではないかと、このように考えた次第でございます。
以上でございます。ありがとうございます。
○大塚部会長 ほかにはよろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。
ちょっと私からも一言、コメントだけですけど、この資料3-2の化学物質管理指針の改正に関しては答申との関係で関わらせていただきましたが、ちょっと抽象的な言葉になっていることについては、崎田委員等がお話しいただいたように、まだこれから、さらに改善していっていただければと思っておりますが、取りあえず、こういうものが入ったことはよかったなというふうに考えております。
では、事務局からご回答をお願いします。
○山﨑環境保健企画管理課課長補佐 資料3-1のEXTEND2022の関連で回答申し上げます。
委員の先生方におかれましては、幅広いご意見をいただき大変ありがとうございます。大変多岐にわたっておりますので、評価に関することから申し上げます。
まず、評価のエンドポイントについて、石塚委員から、ポピュレーションに関するものかというご質問がございました。基本的には、従来のリスク評価のエンドポイントを念頭に置いてやっています。従来型のこういった生態リスク評価が、個体レベルの影響というよりは、ポピュレーションで見て、最終的にどうなるのかというのを念頭に置いたエンドポイントにしておりますので、ここで評価するエンドポイントも、例えば、魚類であれば、メダカ拡張1世代繁殖試験を行って、それによって得られる繁殖に対する影響ですとか、成長発達に対する影響等になりますので、そういう意味では、結果的にはポピュレーションに関するエンドポイントで見ていることになるのかなと考えております。
あと、内分泌かく乱物質の定義につきましてもご指摘いただきました。これは参考資料になりますが、スライドの6ページ目に内分泌かく乱物質の定義を挙げさせていただきました。我々行政サイトでは、WHOの報告書で言っております、ここにありますような定義を使っておりまして、実は我々に限らず、国際機関ですとか欧米の行政機関も基本的には同じ前提をしておりますけど、その下で我々は、試験・評価が実際に回すことができる、エストロゲン様作用ですとかアンドロゲン作用ですとか、甲状腺ホルモン様作用、そういったものからやっております。まずは試験・評価ができるものからということで、ちょっとまだほかの、いろいろ研究の裾野が広がっているところには、我々は直接は関与できておりませんが、欧米で進んでいる研究の動向も、このプログラムの中でウオッチしていき、必要なものは、これを進める中で、どう組み入れていくかを考えていくことになるかと思います。
あと、それから、浅見委員からは海外の知見を活用する重要性についてご指摘いただきました。ご指摘のとおりでございますので、このプログラムの中で海外の規制動向等もウオッチして、そちらで問題とされているような物質もなるべく優先して、ここの中で評価をしていくということを進めたいと思います。
あと、それから、鈴木委員、松永委員、崎田委員、赤渕委員、多くの委員の先生方から、リスク管理に対する期待についてご指摘いただきました。これまでのプログラムは、全くリスク管理を考えていなかったわけではないのですが、まずは評価を進めて、その中で問題となる物質をどんどん抽出していけば、おのずからリスク管理につながる方策が見つかるのではないかという、いわば評価をする中で管理につなげていくというアプローチでした。この新しいEXTEND2022の中では、それに加えて、スライドの5ページ目の下のほうにありますように、化学物質審査規制法ですとか農薬取締法ですとか、まさにリスク管理に関する既存の制度の中で、こういった影響をどう評価していくかというものを、現在、このプログラムで開発してきたツールだけではなかなかうまく回らないようなところもありますので、欧米で検討を進めております新たな評価手法(New Approach Methodologies)といったものもうまく組み合わせて活用することによって、何らかの形で、いろんな制度の中で評価をうまく回していけるような方法を設計し、提案していきたいと考えております。
ご指摘ありがとうございます。この関連では以上です。
○久保化学物質審査室長 すみません、発言よろしいでしょうか。化学物質審査室の久保と申します。
○大塚部会長 どうぞ、お願いします。
○久保化学物質審査室長 すみません、今のEXTENDに関する山﨑さんからのご説明に関連して、化学物質審査規制法のほうでの、この内分泌かく乱物質に関する取組についてご紹介したいと思います。
この資料の3ページにもありましたが、ノニルフェノール等6物質について、第2段階生物試験、メダカの試験が行われたという情報がございましたが、まさにこのノニルフェノールについて、化学物質審査規制法の中のリスク評価、これはリスク評価をした上で、リスクがあれば第二種特定化学物質に指定して規制していきましょうという枠組みになるのですが、そちらの評価の中で、ちょうどこのMEOGRTの試験データというのが取り上げられて、まさにそのリスク評価のキーデータとして使おうかどうかというところの議論をしておりますので、ご報告いたします。
やはり、松永委員からもご指摘がありましたとおりで、こういった試験手法がOECDのテストガイドラインになるということで、手法として非常に確立されたもの、信頼の置けるものであるという形にまで煮詰められたということで、それで、やはり我々、規制当局のほうでの議論でも非常に使いやすくなって、言わば産業界との議論にも耐え得る、そういったものになったというふうに、私もありがたく思っているところでございます。
それから、鈴木委員からご指摘がありましたが、科学的知見はまあまあ結構あるでしょうという、それよりも社会的にという部分につきましては、例えばヨーロッパの制度などを見渡しますと、SVHCみたいな形で発がん性があるものとか、生殖発生毒性があるものとか、そういったものはちょっと特別扱いするような、そういう仕組みがあって、その中で内分泌かく乱物質も特別扱いするようなカテゴリになっている、そんな制度があるのは承知しておりまして、日本には確かに、今のところそういう制度はないのですが、ちょっと今後の課題として、そういったものをどのように扱っていくのかというのをまた引き続き考えていきたい、また、いろいろとご知見も賜りたいというふうに考えております。
私から補足になります。以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。
ほかには。
○川原環境安全課長補佐 それでは、化学物質管理指針についてのコメントをさせていただければ。
鈴木委員から、情報伝達、事業者から地方公共団体、それから国のほうにということで、それをスムーズに行っていただきたいという、できるようにというご意見をいただいたかと思います。
それから、崎田委員から、今「努める」で終わっていると。その実効性をいかに高めるかというご意見、これは赤渕委員、それから座長の方から、大塚委員からもご意見をいただきました。まず、これらにつきましては、今後、好事例集、今、既に、先駆的に取組をされている地方公共団体さんでは、こういったことに関しまして、独自の条例等をつくっておって、実行しているところでございます。そういった好事例をできるだけ水平展開していくということで対応していきたいなというふうに思っているところでございます。
それから、崎田委員からご指摘いただきました、こういった災害時の際に、どこにどれだけ化学物質があるかというのを把握していくことによっても、迅速な対応だったりだとか、ある程度、その対応方策の予測だとか、そういったことが特に重要なのかなというふうに思ってございます。これは、化学物質の貯蔵量等の把握ということかと思いますけれども、実際、化学物質の貯蔵量に関しましても、地方公共団体さんによってはそれを届出いただいているという好事例は既にございます。
また、今の現行の化学物質管理指針の中にも、事業者さん自身でそういった貯蔵量だとかを把握するという文言は含まれておりまして、今回の管理指針改正に関してのパブリックコメントの改定の中でも、現行の化学物質管理指針に基づいて得られている情報、つまり貯蔵量等についても、地方公共団体との情報共有、こういったことを促進していくということも念頭に置かせていただいておりますので、こういったことを、まずはこの管理指針に基づいて進めていくということで、それが、どんどんその好事例を広げていくことによって、またさらに、必要に応じてよい方向に進めていくように努めていきたいと思っています。
以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
○吉崎環境安全課長補佐 大塚先生、私からも。
○大塚部会長 お願いします。どうぞ。
○吉崎環境安全課長補佐 資料3-3につきまして、国際会議関係ですけれども、鈴木委員と片山委員から、それぞれご意見がございましたので、ご回答させていただきます。
まず、鈴木委員からは、科学・政策パネルの交渉について、ステークホルダーが非常に多いという中での大変な交渉になるだろうというようなお話がございました。実際、鈴木委員が例示されたような、水俣条約のような条約のほかにも、化学物質の分野だけでも、UNEP、WHO、OECDなど、いろいろな国際機関が既に化学的な作業というものをしているという中で、さらに、今回の科学・政策パネルが、化学物質と廃棄物、そして汚染防止という、非常にスコープの広がった議論になっていくだろうということが交渉をさらに複雑にしていくのかなと考えております。
それで、第1回の会議の中でも、ステークホルダーを特定していくために、まずやっぱりスコープがしっかりと議論できないと、そこの特定もままならないといったところで、次回のバンコクでの会議においては、まずスコープの議論をしっかりやりましょうというようなことが強調されております。そうしたところも踏まえながら、交渉にしっかりと対応していきたいと考えております。
それから、片山委員から、労働分野から、SAICMの交渉を非常に重視していると、そして期待しているということでご意見をいただきました。SAICMの議論の中では、やはりマルチセクター、マルチステークホルダーという性質を非常に重視しておりまして、会議の場でも、政府代表者のみならず、NGOですとか産業団体、あるいは国際機関も含めて非常に幅広いステークホルダーがこちらにおいても議論に加わって、政府代表者と同等の発言権を持ってフロアでも発言されております。私の参加していたテーマ1の戦略的目的等を議論する場でも、片山委員もおっしゃっていたITUCの方も含めて多くの発言があったというふうに承知しております。
現時点では、それぞれが意見出しをしているというような形で、多くの論点で、まだ両論併記という形になってございますけれども、今後のIP4.2再開会合におきましても、我々としても、やはりマルチセクター、マルチステークホルダーの重要性というものを十分認識した上で対応していきたいと思っております。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。
そういたしましたら、さらにご質問、ご意見がなければ、本日の議事は以上となります。よろしいでしょうか。
私の不手際で、ちょっと遅くなってしまって誠に申し訳ありません。
では、事務局に進行をお返しいたします。
○中島総括 大塚先生、ありがとうございました。
本日は、活発なご審議をいただきまして、ご参加の委員の先生方、誠にありがとうございました。
本日の議事録は、原案を作成いたしまして、委員の皆様にご確認いただいた後、環境省ホームページに掲載をいたします。また、次回の環境保健部会の日程につきましては、改めてご連絡いたしたいと思います。
それでは、以上で第49回中央環境審議会環境保健部会を終了いたします。誠にありがとうございました。
                                                                                                                       
                                            午後7時07分閉会