中央環境審議会環境保健部会(第48回)議事録

議事録

午後1時00分開会
○中島総括 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第48回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。
環境保健企画管理課の中島です。議事の開始まで進行いたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。
令和2年7月に開催した第44回以降、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議形式で開催しておりましたけれども、本日は会議室とWEB会議の併用で開催させていただきます。
WEB会議でご参加の委員におかれましては、音声が聞き取りにくい不具合等ございましたら、事務局までお電話またはWEB会議のチャット機能でお知らせください。機器の不具合等によりご発言できなかった場合には、お電話にてご意見いただき、後日、議事録に掲載させていただきます。
本日の会議は公開です。傍聴用のWEB会議システムを用意し、事前登録のあった方はどなたでも傍聴できるようにしております。
続いて、委員の発言方法についてお知らせいたします。発言したい意思のある委員について、会場にいらっしゃる方は、お名前札を縦にしてお知らせいただければと思います。また、WEB参加の委員は、お名前の横にある挙手アイコンをクリックして青色に変えていただければ挙手の意思を表示することができます。部会長から指名を受けた後、それぞれご発言いただきますけれども、WEB参加の委員はマイクのミュートを解除して赤色に変えた状態でご発言いただきますようお願いいたします。ご発言後は再びミュートにしていただくとともに、挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるように操作をお願いいたします。
本日の環境保健部会委員及び臨時委員28名のうち、本日は20名にご出席をいただいております。定足数に達しておりますので、本部会は成立しておりますことをご報告いたします。
審議に先立ちまして、委員の任免についてご報告いたします。
令和4年5月10日付で川瀬正嗣委員が退任、同日付で中島一宗委員が新任されておりましたけれども、6月17日付でご所属部会に変更があり、同日付で飛戸正己委員が環境保健部会に新任されています。また、7月6日付で今村聡委員が退任され、細川秀一委員が新任されております。
退任されました川瀬委員や今村委員におかれましては、環境保健部会の審議等に多大なる貢献をいただきまして、ありがとうございました。
次に、事務局に人事異動がございましたので、ご紹介をいたします。
大臣官房審議官の小森でございます。
○小森審議官 小森でございます。よろしくお願いいたします。
○中島総括 環境保健企画管理課長の熊倉でございます。
○熊倉環境保健企画管理課長 熊倉です。よろしくお願いいたします。
○中島総括 環境安全課長の髙澤でございます。
○髙澤環境安全課長 髙澤です。よろしくお願いいたします。
○中島総括 石綿対策推進室長の木内でございます。
○木内石綿健康被害対策室長 木内でございます。よろしくお願いいたします。
○中島総括 リスク評価室長の清水でございます。
○清水環境リスク評価室長 清水です。よろしくお願いします。
○中島総括 続きまして、資料の確認をいたします。
資料は、事前にメールでお送りしております。議事次第のほか、資料1から資料5-3でございます。説明に当たっては、事務局が画面上に資料を共有して進行いたします。傍聴されている方につきましては、環境省ホームページの環境保健部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご覧いただきますようお願いをいたします。
ここで、事務局を代表いたしまして、環境保健部長の神ノ田からご挨拶申し上げます。
○神ノ田環境保健部長 どうも皆様、こんにちは。環境省環境保健部長の神ノ田でございます。
本日は、大変お忙しい中、第48回環境保健部会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
また、委員の皆様方におかれましては、日頃から環境保健行政の推進に格別のご理解、ご協力をいただいているところであります。この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。
本日の環境保健部会は1月に開催して以来となりますが、新型コロナの発生状況も踏まえまして、約2年ぶりに対面とWEB会議を併用して開催させていただくことになりました。
四つの議題を予定しておりますが、一つ目の議題は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、いわゆるPOPs条約の規制対象物質にPFHxSが追加されることになったことを受けまして、国内担保措置として、化審法に基づく対応についてご審議をいただきます。
二つ目の議題は、第五次環境基本計画の第二次点検についてでございます。昨年7月に開催された第46回環境保健部会において、点検報告書を取りまとめていただいたところでありますが、その後1年が経過し、施策の進捗もございましたので、本日はその報告書の時点修正についてご審議をいただきます。
三つ目の議題は、環境保健部会の下に設置されております七つの小委員会及び専門委員会のうち、化学物質対策小委員会及びPRTR対象物質等専門委員会の二つを廃止することについてお伺いいたします。
最後の議題は報告事項となりますが、化学物質関係の環境保健行政の最近の動きについて報告をさせていただきます。
委員の皆様にはぜひ忌憚のないご意見を頂き、有意義な会議となりますことを期待しております。
以上、簡単ではございますが、冒頭の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中島総括 ここからは大塚部会長に議事進行をお願いいたします。大塚部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚部会長 部会長を拝命しております大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
ハイブリッドの会議になりまして、久々の対面で皆様とお目にかかれてうれしく思っております。また、第7波も来ているようですので今後どうなるかは予断を許しませんが、引き続き対面を中心として開催できることを期待しております。
それでは、議事に入りたいと思います。
まず、議題の1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○久保化学物質審査室長 議題の1につきまして、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、いわゆるPOPs条約の改正に係る化審法での追加措置についてということで、化学物質審査室よりご説明いたします。
資料は2-1から2-3を使いますが、基本的には2-2と2-3でご説明したいと思います。
まず、先月、6月になりますが、ストックホルム条約の締約国会議がございまして、有機フッ素化合物の一種であるPFHxSというものが規制対象に追加されました。ということで、その対応について本日ご審議いただくというものでございます。
資料の2-1は、中環審への諮問、それから本環境保健部会への付議の文書ですので、説明は割愛いたしますが、先月6月27日付で諮問、同月29日付で付議という形になっております。
それでは、資料2-2の表紙を跳ねて2ページ目、ご覧いただければと思います。時間の制約もありますが、POPs条約について簡単におさらいいたします。POPsというのは、ここに書いてあるとおり、Persistent Organic Pollutants、残留性有機汚染物質の略でございまして、具体的には①から④の、つまり毒性があって、分解しない、で、生物中に蓄積されて長距離を移動する、そういった性質を持つ物質でございます。こういった物質につきましては、1か国にとどまらない、国際的な対策、廃絶、削減が必要であって、それをやりましょうと、そういう内容の条約になります。
次のページ、お願いします。こちらは現時点のPOPs条約の規制内容、つまり各国が講ずべきとされている対策になります。
対策内容によって、附属書A、B、Cという三つの附属書に分かれて、それぞれ対象物質が書かれております。この中でもメインパートと言っていいかと思いますが、附属書Aというところにつきましては、一部、年限付で適用除外が規定されるという場合もございますが、基本的には各国で製造・使用を禁止していきましょうと、そういう物質のグループになります。そして、今回、ちょうどこの赤字、下線で書いた物質になりますが、ペルフルオロヘキサンスルホン酸、略称でPFHxSまたは「ピーエフヘクスエス」と呼んでおりますが、この物質、それからその塩、それに環境中でこのPFHxSに変化するPFHxS関連物質という1群の物質、こういったものが今般、附属書Aに追加されました。
また、3ポツのところの下の下線、※で書いておりますが、附属書の発効は、国連事務局が各締約国に通報してから1年後、恐らくは来年の年末になるんじゃないかというふうに考えておりますが、そのタイミングまでに国内で担保するための所要の措置を各国で講じていくと、そういうことになります。
次のスライドをお願いします。PFHxSのPOPs条約における検討の経緯について簡単にご説明いたします。
まず、POPRC、「ポップロック」と読みますが、令和元年10月にPOPRCと呼ばれる専門家会合がございました。この中でこの物質について、特に個別の適用除外はなしで廃絶対象物質、いわゆる附属書Aですが、そこに追加する方向で締約国会議、COPのほうに勧告しましょうという話が決まりました。
これを受けて、間、ちょっと空いておりますが、下のCOP10、これ第一部、第二部とありますが、内容の議論したのは第二部のほうです。すなわち今年の6月にジュネーブで締約国会議がございまして、そこでPOPRCの勧告どおり、附属書Aに追加するということが決定されました。これが経緯です。
次のスライドをお願いします。こちらが条約上の規制内容になります。対象物質は今まで申し上げたとおりで、PFHxSとその塩、そしてPFHxS関連物質でございます。この物質の用途につきましては、もともとこれはPFOSの代替物質という形でいろんな用途に使われていたというもので、泡消火薬剤ほか金属メッキ、織物等々と、ここに書いてあるとおりのいろんな用途に使われていたものであるということです。
規制内容につきましては、繰り返しになりますが、製造・使用等の禁止、特定の用途を除外する規定は特に置かれていないという形になります。
次のスライドをお願いします。ここからは国内担保法である化審法についてのご説明になります。化審法につきましては、既にご案内のとおりと思いますが、昭和48年、随分昔にPCB汚染問題を契機に制定された法律でございまして、①②と書いておりますが、新規物質の事前審査、それから化学物質の性状等に応じた製造、輸入の規制などということが内容となっております。
次のスライドをお願いします。この中でも化審法でのPOPsへの対応ということで、難分解、高蓄積で、人または高次捕食動物への毒性を持つ物質ということで、ここに書いてある第一種特定化学物質というグループに指定されていくことになります。第一種特定になりますと、製造・輸入の原則禁止ほか、ここに書いてある①から⑤、まあ②から⑤ですね、こういった措置を講じていくことになります。そういうことで、今般も新たにPOPs条約の対象となったPFHxS等につきまして、この①から⑤の観点から化学物質審査小委員会のほうでご審議いただきまして、一特指定等の必要な措置を講じていくということを考えております。
最後のスライドをお願いします。最後、今後のスケジュールです。6月にそういうことで諮問と付議をしまして、本日7月8日が環境保健部会となっております。この後は、概ね9月以降を想定しておりますが、今年の秋以降、化学物質審査小委員会、こちらは化審法の共管省庁である厚労・経産省との合同になりますが、そういった形で、概ね2回程度かなと思っておりますが、審議を行い、その後、令和5年に入ってからTBT通報ですとかパブリックコメントを経て化審法施行令改正、一特指定という形で進んでいくことを想定しております。ただ、様々検討する内容ございますので、予定は前後する可能性はあるということでご承知おきください。
以上が資料2-2、PFHxSの関係のご説明です。
続きまして、資料の2-3で、こちらは報告事項になりますが、PFOA関連物質関係の最近の動きについてご報告いたします。
このPFOA関連物質、PFHxSの1個前にPOPs条約の規制対象となったものでございますが、この物質につきましては、PFHxSと同様に、PFOAそのものに加えて、PFOAの塩、それから、環境中でPFOAに変化するPFOA関連物質というものがまとめて条約の規制対象となりました。その関係で、化審法でもまとめて一特指定しようという方向で進めておったんですが、そういったことで第一次、第二次答申を頂いた後、パブコメをやりました。それで、パブリックコメントで出てきたご意見の中で、PFOA関連物質の物質指定範囲に疑義がある、その物質はPFOAに環境中で変わらないんじゃないのかというご意見があったということと、それから、当時、エッセンシャルユースとして国内で想定していなかった用途が実は使ってますよというようなお話があることが分かりまして、それを踏まえて、PFOAとその塩だけを先に一特指定をしまして、残りのPFOA関連物質については、令和3年7月から10月ということで改めて審議をするというようなことを行ってまいりました。その審議結果について、令和4年3月にパブリックコメントを行いまして、結果、この7月、ようやく第三次及び第四次答申としてまとまったということでございます。
次のスライドで変更点をご説明します。こちらが第三次、第四次答申の概要になります。
特に下線を引いた2か所が第一次答申及び第二答申からの変更点ということでございまして、まず、PFOA関連物質の指定範囲について再審議をして、改めて56物質を指定しまして、これらを一特指定すべきという内容になりました。
それから、第四次答申のほうになりますが、またエッセンシャルユースについても、侵襲性及び埋込型医療機器の製造を目的としたPFMAの製造のために8:2FTOHというものを使いたいと、そういう用途がありまして、この物質が欠かせないということが分かりましたので、リスク評価の上、この物質の使用を認めていくということになりました。
次のスライドをお願いします。これで最後になりますが、これら三次、四次の答申を踏まえまして、現在は政令の書き下しの作業などを行っておりますが、今後の予定としまして、本年の後半に改めて規制内容のパブコメとTBT通報を行いまして、来年、令和5年に政令の改正をするという方向で進めております。
以上で、資料2-1から2-3のご説明を終わります。ご審議のほどをよろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございました。
それでは、ご質問、ご意見がある方は、こちらの会場にいらっしゃる方は札を立てていただければと思います。WEB参加の方はチャット機能または挙手アイコンでお知らせください。挙手アイコンを押していただくとありがたいと思います。
それでは、こちらから順次お名前をお呼びしますので、お名前を呼ばれましたらミュートを解除して、あるいは会場の方はそのままでもちろん結構ですが、ご発言いただければと思います。よろしくお願いします。
浅見委員、お願いします。
○浅見臨時委員 ありがとうございます。浅見でございます。
今回、PFHxSの追加を検討いただくということで、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。私ども、水道の関係のお仕事をさせていただいておりまして、水源等でPFOSですとかPFOAですとか関連の物質、またPFHxSが検出されるということもございます。これらの物質は浄水処理で除去しにくいということもありますので、ぜひ対策をお願いしたいと思います。
また、PFOS、PFOAの消火器とか消火薬剤に関しましては、引き続きエッセンシャルユースということなんですけれども、町なかで使われているものですとか、そういった処分されるようなものに関しましても、ぜひ回収ですとか対策を講じていただけますようにお願いしたいと思います。例えば消火ですとか事故時等でどのようなことで出てくるかということももう少し分かるとありがたいなと、使用量も含めて情報がなかなか得にくいというところもございますので、ぜひ対策をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。幾人かお話しいただいてから事務局に回答をお願いしたいと思います。
崎田委員、お願いします。
○崎田委員 ありがとうございます。私も今のご発言とも重なるんですけれども、日本の中でもPFOAとPFOSが2年ほど前から都道府県のほうに要監視項目に追加されて、チェックなども水の環境のところでも始まっておりますので、実際の公共水域とか地下水の状況というのはかなり全国の状況というのが具体的に見えてきていると思いますので、やはり、特に過去に使っていた施設の周辺の地下水では大変強く蓄積性のデータ、値が出てくるというようなことも、やはりいろいろ出てきておりますので、その辺、しっかりと対策を取っていただくというのが今大事だというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○大塚部会長 ありがとうございます。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 鈴木です。ありがとうございます。
ご説明、よく分かりました。まず、今回の結果につきましては、しっかり実施されたのかなと思いました。なので特段、今の具体的なことについてということではないんですけども、今、浅見委員からもありましたが、今回、例外的に許容される用途が後から分かってきたようなことがありまして、そこは適切、それ自体はよかったことなんですけども、もう少し一般的に言って、今、いろんな物質がやっぱり非常に多様な組成を持って、しかし、それはどこでどう使われているかよく分からないという、あるいは聞いてみないと分からないというような状況自体は結構課題かなと私は思っていまして、できれば行政として今後そういうものを何かの形でもう少し情報を集約できるような仕組みってないかということを引き続き探っていただければありがたいかなと思いました。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
白石委員、お願いします。WEB参加の白石委員、お願いします。
○白石委員(部会長代理) WEB参加の白石でございます。
化学物質小委員会の委員長を仰せつかっているので少し質問なんですけど、PFOAのときにも意外に苦労したんですけども、酸及びその塩は大丈夫なんですけども、その関連物質について、どこまで今把握されているのかということをお伺いしたいと思います。POPRCの資料によると25ページにも及ぶリストがあるんですけども、ポリマーも含めてですね。この辺の整理はどうなっているんでしょうか。
○大塚部会長 ありがとうございます。
高岡委員、お願いします。
○高岡臨時委員 ありがとうございます。私も同じようなところですが、このペルフルオロヘキサンスルホン酸の関係の使用量とか存在量とか、その辺りが、最終的に廃棄物としての処分を考えないといけないときに大変重要になってきますので、もし今お持ちの情報等がありましたら教えていただきたいと思いました。
以上です。
○大塚部会長 5名の委員の方々からご質問、ご意見がございました。事務局のほうからご回答をお願いしたいんですけど、よろしいでしょうか。
○久保化学物質審査室長 ご意見、どうもありがとうございました。
まず、浅見先生からのご質問だったと思います。上水で採りにくいということで、上水だけが問題というわけではないんですが、やはりこのような性質を持つ物質ですので、基本的にはこれまでのPOPs条約対応のとおり、化審法においては製造・輸入禁止という一番強い措置を取っていくということで基本的な対応を取っていきたいと思っております。
それから、泡消火薬剤につきましては、エッセンシャルユースとして特に認めているというわけではなくて、過去に使われていたものが今なお市中在庫があるという状況で、新たに泡消火薬剤に使っていいというものではございません。その上で、過去に作って今も市中にあるものに対しては、これは技術基準省令というものを定めておりますが、その中で、早い話がみだりに環境中に漏らさないような、そういった対策ですとか、あるいは交換の推進ですとか、そういったことを求めているという形でできる対応を取っているところでございます。
崎田先生のご意見で、過去に使ったところの周りで出ているので対策をということで、これも、すみません、化審法を持っている私の立場ではなかなかそこについてのご回答は難しくて、水の対策のほうで引き続き今検討中というふうに認識しておりますが、我々のところでは、やはりできる対応として、とにかく製造・輸入禁止という、上流の蛇口をぐっと押さえるという、そこでまずは対応していきたいというふうに考えております。
それから、鈴木先生のご指摘、非常に難しいと思いつつ、我々も何とかしたいなと思っているご指摘です。こういったPOPsに限らない話ですが、確かにいろんな化学物質の用途情報というのはなかなかつかめていないし、それから、規制の制度のほうも、規制と言っちゃいけないですかね、とにかく制度のほうも用途に着目した形で何かというのが非常にまだできてないような制度になっておりますので、ちょっと何ができるか、そして、そもそもどんな問題が起こっているのかという辺りの探索も含めて、やはりちょっと今後の課題として認識させていただきたいと思います。
それから、白石先生からご指摘のあった関連物質の把握状況、すみません、ちょっと答えを持ち合わせておらないんですが、化審法の担当の3省の中では経産省さんが中心となって、実行部隊はNITEということになりますが、そちらのほうで今具体的な物質の書き下し、抽出作業をやっているという形で、なかなか難航しているとは聞いておりますが、それが、方向性が見えてきたら、また小委員会のほうでご審議いただきたいというふうに思います。
最後、高岡先生の使用や存在量の情報ですが、これはなかなか、ちょっとよく分からないところでして、少なくともPFOS、PFOAに関してはもう一特指定がされてますので、現時点では製造・輸入もないし、使用も一部のエッセンシャルユース、これから認めていくことなのであることはありますが、そこについては本当に使いたいという業者が厳格に必要な量だけを申請してきて、それに対して許可が出るという仕組みですので、使用量を抑えることは多分できると思います。やはり難しいのは存在量のほうでして、先ほど来申している、過去に作られたこの手の物質を含んだ製品の市中在庫、これがどれだけあるかというところになります。ここについては、PFOSを含む泡消火薬剤については存在量の調査というのをやっておりまして、ちょっと今、手元に資料を持ってきておりませんが、約300万Lだったかと思いますが、何か、そのような数字がありますので、そういった調査はこれからも引き続き継続していくという形になります。
以上、私からのご説明になります。
○大塚部会長 ありがとうございました。存在量とか使用量の話は、本当は化管法のところでも検討があるところですけども、なかなかうまくいっていませんが、引き続きご検討いただければと思います。ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
はい、ないようですので、では、ただいまご説明いただいた内容につきまして、さらにご意見がないと思いますので、今後、本日もご出席の白石部会長代理に委員長を務めていただいている化学物質審査小委員会で審議いただくように付託をしたいと思います。ご異議ございますでしょうか。
(異議なし)
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、白石部会長代理、どうぞよろしくお願いいたします。
○白石委員(部会長代理) はい、かしこまりました。よろしくお願いします。
○大塚部会長 ありがとうございました。
では、次に、議題の2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○熊倉環境保健企画管理課長 続いて、環境基本計画の関係になります。企画管理課長、熊倉でございます。
資料は3になります。最初、部長のほうから冒頭、ご説明いたしましたように、現在第五次環境基本計画の点検作業を行っておりまして、来年度、見直しをするという予定になっています。それに向けて、各分野ごとに各部会で第二次点検というのを行っていただいていまして、この保健部会では、昨年、取りまとめを既にしていただいておりますけれども、1年たちますので、その後の状況のご報告、ご意見を承りたいというのが今日の趣旨でございます。
今、スライド出ておりますけれども、保健部会が担当しているのは熱中症関係、環境保健対策関係、それから東日本大震災の放射性物質関係でございます。
次、お願いします。おさらいでございますけれども、今回の第二次点検の視点として、横断的、複合的な効果というのを重視してまして、他の環境保全上の効果、経済・社会面での効果、それからイノベーションへの可能性、カーボンニュートラルへの貢献といったものが課題として上がってきてございます。
以降は、各担当の課室長からご報告したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○髙澤環境安全課長 続きまして、スライドの4でございます。環境省における熱中症関係の取組状況について、環境安全課のほうから説明いたします。
第五次基本計画におきましては、暑熱等の人の感覚に悪影響を及ぼす環境問題から生活環境を保全するため、暑さ対策のガイドライン等の作成・周知による各地方公共団体の取組の推進、人への影響に関する調査研究、熱中症予防情報など情報提供による普及啓発を実施することとしております。
政府におきましては、令和3年3月に策定しました熱中症対策行動計画を本年4月に改定をいたしました。改定の内容につきましては後ほどご説明いたします。
そのほか、昨年から全国展開を開始している「熱中症警戒アラート」につきましては、全国運用2年目を迎えているというところでございます。
次のスライドに参ります。スライドの5でございます。熱中症対策行動計画に基づいて、本年も関係府省庁が連携して取組を実施しております。例えば一番上のポツになりますけれども、経産省と環境省にてエアコンの早期点検の呼びかけを行っております。
また、上から5番目のポツでございますけれども、本年6月には厚労省、経産省と環境省、3省にて高齢者のためのリーフレットの作成・周知等を行っています。これについてはスライドの9ページにつけております。そのほか、スライドの6から9ページには、関係府省庁と連携して作成した普及啓発資料を示しておりますので、参考にご覧をいただければと思います。
すみません、飛びまして、スライドの10でございますが、地域循環共生圏の創造への貢献に関しましては、昨年度、今年度と、全国からモデル自治体を選定しまして、地域の熱中症対策に関する課題及び必要な対策を整理・検証を行っているところでございます。そこで得られました知見を全国の地方自治体向けに「地域における熱中症対策ガイドライン」、これは仮称でございますけれども、として今年度に整理をする予定でございます。このガイドラインの活用を推進することによりまして、全国各地において適切な熱中症対策が講じられることを目指してまいります。
また、イノベーション、ライフスタイルに関しましては、「熱中症警戒アラート」の引き続きの活用の促進、エアコンの初期費用が低減できるサブスクリプションを活用したビジネスモデル確立を支援する事業を行っているところでございます。
次のスライド11でございます。今後の施策の方向性等につきましては、スライド15の行動計画と併せてご説明をしたいと思いますので、次のスライド12に参ります。
昨年夏の熱中症による救急搬送人員は約4万8,000名、死亡者数は701名ということになっておりまして、近年の数字を見ていただきますと高い数字で推移しているということが分かります。
スライド13でございます。この死亡者の人数を5年移動の平均で見てみますと、死亡者数の増加傾向が続いているということが分かっていただけると思います。
スライド14でございます。昨年夏の熱中症死亡者の内訳を見ますと、やはり65歳以上の高齢者が多くを占めております。また、屋内で亡くなった方のうち、約9割がエアコンを使用していなかったという報告がなされております。
スライド15でございます。本年4月に熱中症対策行動計画の改定を行いました。そこでは中期的な目標としまして、熱中症による死亡者数ゼロに向けて、2030年までの間、死亡者数が年1,000人を超えないようにし、顕著な減少傾向に転じさせるということ、また、顕著な高温が発生した際に死亡者数を可能な限り減らすことを目指すとしております。
また、令和4年夏の目標としましては、「熱中症警戒アラート」による熱中症予防行動のより一層の定着を目指します。
さらに、熱中症対策行動計画の重点分野でございますけれども、スライド11の後段の次期基本計画に向けた論点・課題と重なりますけれども、特に高齢者等のエアコンの適切な使用をいかに促進していくか、地方自治体における取組をいかに強化していくか、また、顕著な高温のリスクが高まる中で、関係機関が連携して地域の住民の命と健康を守るための体制整備を支援する必要があると考えているところでございます。
スライド16は「熱中症警戒アラート」についてのご説明となります。
熱中症に関する説明は以上でございます。
○黒羽保健業務室長 続きまして、公害健康被害補償から環境保健サーベイランス調査まで、令和3年度の進捗についてご説明いたします。保健業務室長でございます。
資料、17ページをご覧ください。公害健康被害補償についてでございますが、計画の記載では、「公害健康被害の補償等に関する法律」に基づきまして、汚染者負担の原則を踏まえつつ、被認定者に対する補償給付や公害保健福祉事業を安定的に行い、その迅速かつ公正な救済を図るとされているものでございます。
令和3年度の進捗でございますが、赤字の部分で記載してございます。汚染負荷量賦課金徴収の手続の電子化についてでございますが、令和3年度の電子申告率は、件数で76%、金額で94.3%となりまして、前年度を上回っているものでございます。
18ページ目をご覧ください。認定患者への補償給付・公害福祉事業の実施でございます。平成30年度以降の進捗については変更ございません。
下の定量的な進捗の評価に、令和3年度の汚染負荷量賦課金、徴収率を記載してございます。収納率は99.986%で引き続き高い水準を維持してございます。
続きまして、19ページ目、上の表ですが、先ほどもご説明いたしましたが、汚染負荷量賦課金の申告区分別申告数・金額でございます。こちらはFD・CD申請も含めました電子申告では、それぞれ76%、94.3%で前年を上回ってございます。
下の表、ペイジーの利用件数、納付金額でございますが、こちらも前年を上回る数字となってございます。
続きまして、20ページ目、左上の補償給付等財源の推移、その下の表の補償給付等納付額の推移でございますが、被認定者の減少によりまして、補償給付に必要な額は年々減少しているところでございますが、令和3年度も同様の傾向となってございます。
上右の表でございますが、公害保健福祉事業の被認定者の参加割合でございますが、令和2年度には新型コロナウイルス感染症の影響で、その前と比べまして64.1%と大きな減少となってございましたが、令和3年度ではICTを用いた福祉事業の実施などの取組を取り入れた結果、67.6%と令和2年度に比べて幾分持ち直しているところでございます。しかし、コロナ前の令和元年度の数値にはいまだ達成しておりませんので、引き続きコロナ禍におきましても参加しやすい保健福祉事業が実施できるよう工夫してまいりたいと思っています。
続きまして、21ページ目、総括的な進捗状況の評価でございます。新型コロナウイルス感染症の影響でございますが、徴収手続の電子化の促進のため、令和3年度にはオンライン申告の解説動画や質問フォームなどを集めました汚染負荷量賦課金申告・納付特設サイトを開設いたしまして、届出及び問合せにICT化をするリニューアルを実施しているところでございます。
22ページ目からは公害健康被害予防事業の実施でございます。
計画の記載でございますが、環境再生保全機構に造成された公害健康被害予防基金の運用益等により、大気汚染の影響による健康被害を予防するための調査研究に必要な事業を行い、地域住民の健康の確保を図るとされているものでございます。
令和3年度の進捗でございますが、赤字の部分、環境再生保全機構が行う直轄事業の研修事業におきましては、令和3年度も前年度に引き続きましてオンライン形式により実施しているところでございます。
23ページ目に定量的な進捗の評価でございます。上左の研修の受講者数でございます。研修の種類は年度ごとに異なりますが、令和2年度と同等の受講者となっているところでございます。
上右の講習会でございますが、令和3年度は毎年2月に行われますアレルギーの日の関連事業による講演会をオンラインで実施しまして、168名の参加をいただいたところでございます。
下の表の電話相談助成事業の実施状況はご覧のとおりで、いずれも前年と同様になってございます。
引き続きまして、間を、資料を飛ばしまして、29ページ目から環境保健サーベイランス事業についての記載でございます。
計画の記載ですが、1987年の公害健康被害補償法改正に伴いまして、地域人口集団の健康状態と大気汚染との関係を定期的・継続的に観測し、必要に応じて所要の措置を講ずることを目的として、環境保健サーベイランス調査を実施するとされているものでございます。
平成30年度以降の進捗でございますが、そらプロジェクトの科学的知見の導入の検討においては、令和3年10月に局地的大気汚染を考慮するための今後の調査方法(中間報告その6)を公表しているところでございます。
その下の定量的な進捗の評価でございますが、サーベイランス調査につきましては、毎年、毎年度調査を行いまして、その翌年に解析を行い、さらに次の年に検討会でご評価を頂いた後に公表しているところでございます。令和3年度は10月に、令和元年度調査分につきまして、環境保健サーベイランス・局地的大気汚染健康影響検討会にご報告を行って、結果について公表しているところでございます。
30ページに、令和3年度分について記載してございますが、こちらは実質的には変更はございません。
最後、31ページに、総括的な進捗状況の評価でございます。先ほども申し上げましたが、令和3年10月に中間報告その6を公表しております。この報告書におきましては、対象地域の設定や屋外推計モデルに用いるパラメータなどの検討を行っておりまして、また、今後のスケジュールにつきましては、令和6年度を目途に公表を行うとされているものでございます。現在、局地的大気汚染を考慮したデータの解析を行っているところでございます。
本項目の説明は以上になります。
○海老名特殊疾病対策室長 続きまして、特殊疾病対策室でございます。
水俣病対策の推進につきまして、時点修正ということでございますので、赤字で記載されております昨年からの変更点を中心にご説明をさせていただきます。
右下のスライド番号の34ページをお願いいたします。改めまして、一番初めの箱の中ですけれども、環境基本計画における記載につきましては、水俣病対策については、「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」などを踏まえ、全ての被害者の方々や地域の方々が安心して暮らしていけるよう、関係地方公共団体等と協力して、補償や医療・福祉対策、地域の再生・融和等を進めていくとされております。この方針の下、昨年の環境保健部会以降も各種の施策を進めてきたところでございます。
次の施策の進捗状況・評価の箱の中でございますけれども、下のほうになりますが、令和3年度においても、水俣病慰霊式は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となっておりましたが、本年度5月にオンラインにより開催されまして、山口大臣に出席いただいたところでございます。
次に、認定審査の関係でございますが、新型コロナウイルス感染症の感染状況により、平成30年度、令和元年度よりも審査件数が減少しておりますが、オンライン会議の活用などにより、令和2年度・3年度におきましても可能な限り審査を進めていただいております。
また、水俣病被害者にかかる医療費の支給や、水俣病発生地域における振興・活性化事業の推進にも取り組んでまいりました。これらの事業の詳細につきましては、38ページ目以降の参考資料にございますので、ご参照いただければと思います。
次に、35ページをお願いいたします。定量的な進捗の評価でございますが、初めに、関係県市の認定審査会の開催などを通じまして、平成30年以降、新たに4名の方が公健法に基づく水俣病と認定され、令和4年6月現在、3,000名の方が認定を受けております。
なお、現在、処分をお待ちの方につきましては、臨時水俣病認定審査会では3名、各関係県市の認定審査会関係で1,572名となっております。
その他、水俣病資料館における入館者数や「水俣病資料館語り部の会」による講話回数などにつきましては、記載のとおりでございます。
次に、36ページ目をお願いいたします。時点修正ということでございますので、総括的な進捗の評価、今後の施策の方向性、次期計画に向けた論点・課題につきましては、基本的に昨年同様の記載としておりますが、公健法の認定審査の関係につきましては、34ページ目でもございましたが、平成30年度に約430件の審査、令和元年度に約500件の審査を行ってきておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和2年度・3年度は約170件の審査となっている状況もございます。引き続き関係県市と連携をいたしまして審査を促進し、申請者の方に結果を早期にお知らせできるように努めてまいります。
また、次期計画期間中に、令和7年に新潟水俣病の公式確認から60年、令和8年に水俣病公式確認から70年になるという状況を踏まえまして、医療・福祉、再生・融和、振興・活性化の取組が地域づくりにつながるよう引き続き関係県市の考え方を丁寧に伺うなどし、しっかりと取り組んでまいります。
水俣病対策の推進についての説明は以上でございます。
○木内石綿健康被害対策室長 続きまして、スライドの右下の番号、41ページでございます。石綿健康被害の救済について、石綿室からご説明します。
まず、計画の記載でございますけれども、「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づきまして、健康被害者等の迅速な救済を図るということでございます。また、2016年12月に取りまとめられました石綿健康被害救済小委員会の報告書を踏まえて、必要な調査、さらなる制度周知等の措置を講じていくとしているところでございます。
その下、施策の進捗状況・評価につきましては、平成30年以降の状況を記載しておりますけれども、令和4年度、赤字の部分でございます。まずオンラインにより病理所見を含めまして医学的判定を行う、そのための判定情報管理システムの運用をこの5月から開始をしてございます。
また、議員立法によりまして、石綿健康被害救済法が改正をされまして、特別遺族弔慰金等の請求期限を延長しているところでございます。
また、建設アスベスト給付金制度が施行されたことに関しまして、石綿健康被害救済制度との連携を開始してございます。
また、2016年の小委員会報告書を踏まえまして、救済制度の施行状況の評価・検討を行うための石綿健康被害救済小委員会、これを6月に第1回を開催して、評価・検討を開始したところでございます。
次の42ページをご覧ください。定量的な進捗状況の評価でございます。認定状況でございますけれども、直近5年間、年5%程度ずつ申請数が増加をしておりまして、認定数もトレンドとしては増加傾向であったところでございます。
一方で、新型コロナの影響によりまして、審議会を延期したために、令和元年度の最後のほうから認定数が減少してございます。令和3年度は特別遺族弔慰金等の請求期限、これは法改正により延長されたところですけども、この請求期限が迫ってきたということで、広報・周知の強化をしたことから申請件数は増加をしているということでございます。認定数につきましても、令和3年度は回復をしているということでございます。
43ページをご覧ください。審議会の開催状況でございます。令和2年4月以降、実際に会議室に参集する委員を病理の担当医に限定する、そしてWEB会議のシステムを併用するなどによりまして審議会の開催を行っております。
また、首都圏近郊の病院等に在籍する委員を増員しまして審議会の開催数を増加、さらに、今申し上げましたとおり判定情報管理システムの本格運用によりまして、オンラインでの審議を行いまして、未審議案件の処理を加速してきたところでございます。
44ページをご覧ください。総括的な進捗の評価につきまして、記載のとおりでございますけれども、救済法に基づく認定の積み重ね、救済給付の確実な支給、健康被害に対する救済を着実に推進するということ。
また、小委員会の報告書に基づきまして、医学的知見の収集に努め、留意事項等の改訂を行い、また、既存検診の機会を活用して石綿関連疾患を発見できる、この体制の整備に資する調査や、被認定者の介護実態等に関する調査の取りまとめを行ってまいりました。
オンライン会議システムの運用等によりまして、今後、さらに滞留している案件の早期解消に向けて、迅速な救済のための取組を強化しているところでございます。
今後の施策の方向性としまして、引き続き、これらの調査等を行うわけでありますけれども、小委員会におきまして救済制度の施行状況の評価・検討を進めるとしているところでございます。
次期計画に向けた論点・課題としましては、引き続き迅速な救済に必要な体制のシステムの維持・強化、システムの安定運用、そして、救済制度の運用に資する医学的知見等の収集・調査の推進、そして、建設アスベスト給付金につきましては、こちらの環境省の救済制度の被認定者の中に重複して申請ができる方がいらっしゃるということでございますので、そうした方に対し周知を行うということでございます。
石綿については以上でございます。
○大塚部会長 放射線ですが、いかがでしょうか。
○鈴木放射線健康管理担当参事官 54ページから58ページの資料を用いて説明させていただきます。放射線健康管理担当参事官の鈴木でございます。
まず、我々ども、四つの柱をこの計画では頂いているわけですけども、線量の把握ということ、それから疾病罹患動向の把握、そして「甲状腺検査」の充実、リスクコミュニケーション事業の継続ということが書いてございます。これを進めるに当たって、現在、一番重点として置いているものは、少し資料が飛びますが、62ページ目の資料にございますが、放射線の健康影響に係る情報発信事業、ぐぐるプロジェクトというもので、風評というものに対する対策をしております。こちらにつきましては、具体的なことで申しますと、放射線の被ばくにおいて、次世代の影響が福島県民に出る可能性が高いという誤解が出ているということ、これを解消するために福島県内向けには不安対策、県外向けには気がつかないうちに人を傷つけるような情報発信するようなことがないようにという対応をしているものでございます。
この対応を行うに当たって、極めて重要なものは59枚目のスライドでございます。この59枚目のスライド、一番下のところに、UNSCEARというものの報告書がございます。こちらで福島におきましては、将来的な健康影響は見られそうにないという報告書が国連科学委員会から出ております。この報告書を書くに当たりまして、54ページにまた戻ってまいりますが、この54ページのところであります線量の把握で「データベース」と記載してありますが、この結果を報告書で引用していただき、このような結果が出てきております。このような結果が出ている中で、我々ども、甲状腺のこういった検査を行うということも行っているわけですが、心理的な要因や社会的な要因、コロナなどでもよくありますけれども、コロナを気にし過ぎてほかの病気がおろそかになってしまう、そういったことが、やはり福島でもあるのではないかということで、二つ目の疾病罹患動向というのを把握しております。こちらにつきましては、これまでいろいろと県内で活動してきている弘前大学や長崎大学というところを福島県立医大と融合させまして、引き続き強化していくというところでございます。
「甲状腺検査」につきましては、現在、検査を行って、38万人対象に行って、200数十名の甲状腺がんの方が原因のいかんに問わず見つかっております。この方々に対して、いろいろなニーズを把握することも必要でございますので、これまで以上に検査を行うことよりは、実際このような形で診断されている方々の悩みなどに寄り添うべく、ピアサポートというものを開始しており、こういった形をこれからも強化していきたいと考えております。
そして、最終的でございますが、リスクコミュニケーションという形で風評被害とか、そういったことに対応しております。そのときに県内で行うためには、放射線のリスクコミュニケーション相談員支援センターがいわき市にございます。こちらのほうの強化はこれからも行ってまいりまして、特にこれから帰還していくような土地、葛尾や大熊のほうは帰りはじめておりますが、こういったところの人たちに重点的に行うことで不安の解消というものをどんどん行っていこうと思っています。
県外につきましては、先ほどのぐぐるプロジェクトで風評の加害者とならないような対策をしていくこととしています。
以上でございます。
○大塚部会長 以上でよろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、ご質問、ご意見がございます方は、会場の方は札を立てていただき、WEB参加の方は挙手アイコンでお知らせいただければと思います。こちらから順次、お名前をお呼びいたします。
じゃあ、崎田委員、お願いします。
○崎田委員 ありがとうございます。熱中症と公害健康被害と最後の放射線の話で一言ずつコメントさせていただきたいと思います。
熱中症に関しては、やはり気候変動の進捗というか、進んでしまっている中で、年間1,000人以上の方が亡くなる、そして平成30年及び令和2年は1,500人を超えておられるというのは、やはり、言ってみれば今までの公害の影響から考えれば、非常に、大変大きな数字で、やはりここしばらく徹底していただくのは大変重要、しっかり期待をしたいと思います。拝見すると、施策として、それぞれ国とか国の各省庁ができる対策をしっかり取られ、その次はそれを自治体が地域という目線で連携して取るという、そういう戦略で今流れておられるのが分かりましたので、方向性としては賛成したいと思うのですけれども、例えば地域の中で、そういう、特に高齢の方を見守るときに、様々に高齢の方を見守る保健分野とか廃棄物分野とか、いろいろあるわけで、どういうふうに連携して、そういう情報が集約できるかという、その連携した先進事例などをしっかりと集約し、発信していただくように、効果を出していただければありがたいというふうに思っています。
2番目の公害健康被害に関しては、関連する委員会に入らせていただき、やはり長年、粛々と進めていただいているというのが大変、最近、理解をしておりますが、今日の資料で一つ気になったのは、やはりコロナの影響で公害の認定を受けている方がその事業に参加をするパーセンテージが、これまで80%超えてたのにこの2年間で60数%ということで、今、対応を、デジタル化などを活用してということがありますが、デジタルになじみの少ない世代の方が大変多くいらっしゃると思いますので、ちょっとこの辺の対応を強化していただければありがたいなというふうに思いました。よろしくお願いします。
最後に、放射線のことなんですけれども、今、お話しのように、今、福島、最終的な帰還困難区域の一時解除というのが進み始めていますので、そこに、基本的にお伝えするべきリスコミのポイントというのを踏まえながら、地域の方とちゃんと暮らしぶりを話し合えるような、リスコミにその辺の幅がないといけない状況で大変重要だと思いますが、その辺、しっかりとリスコミ、プラス地域の方との対話の場というのを強化してやっていただくことが本当に大事だと思っていますので、先ほどその辺、強化したいという話がありましたので、よろしくお願いしたいと思います。
なお、福島で私も最近は関わらせていただいておりますが、県内に避難しておられる方、あるいは県外に避難している福島の方、やはりその辺の皆さんへのリスコミというのが大変重要になってくるというふうに思っておりますので、最近、対象には入っておりますが、県外というと全国が視野になりがちですので、その辺の県外におられる福島の避難者の方、こういう方々への対応も十分踏まえながら進めていただければありがたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。
○大塚部会長 ありがとうございます。
青木委員、お願いします。
○青木委員 青木でございます。
一つが熱中症対策のことと、それからもう一つが公害健康被害予防事業のことについて、それぞれご質問とコメントを申し上げたいと思います。
まず、熱中症のことなんですが、個々の施策というのは非常に適切に進んでおられると思います。これだけ総合的な対策を取られたということで、非常にある意味敬服しております。
ただ、ちょっとこれはこういう審議会の話より少し大きいことを言わせていただければ幸いなんですが、私は結局、環境の研究の世界に入ったとき、80年代の後半なんですが、その頃をちょっと振り返ってみますと、今のような状況が起こるんではないかということは、多くの科学者の方が言っておられたと思います。それが現実になったというのは、私自身、非常にある意味ショックに思っています。つまり、気候変動という意味では、大きい台風が来るだろうとか、あと温暖化がいわゆる気候変動で都市の気温が上がれば、恐らく熱中症の具体的な数は出ていなかったかもしれないんですが、今の状況というのはある意味予測というか、そういうことを言われている方は非常に多かったような記憶が、専門家の中ではよく言われていたことだと思います。
そう見てみますと、やはり科学的知見、予測性を持った科学的知見というのは、こういう環境保健行政の中で非常に重要な課題になってくるんではないかなと思います。ですから、そういう意味で、やはりよく先手、先手を打つという言い方をされます。それはそのとおりだと思うんです。やはりその先手を打つものの中に科学的知見というものを非常に現実的な問題として捉えて頂きたいと思います。今から考えてみれば、そういう温暖化の問題が話題になったときというのは、そんなことがあったら困るよねとか、そういうむしろ人を驚かせることを言うなみたいな雰囲気というのが当時(以前は)あったような記憶があります。
ですから、やはりそこは科学的知見としてあるものが出てきた場合、やはりそれは科学的知見を生かして施策というのを打っていって、今後ともやっていただけるかと思います。
それから、公害健康被害予防事業のちょっと非常に具体的な問題で恐縮なんですけど、23ページにちょっと私自身、あっと思ったんですが、アレルギーの日というものがあるのを私、全く知らなくて、不勉強で申し訳なかったんですけど、やはり市民の方はアレルギーという問題を非常にこういう、特に大気汚染の問題とやはり関連づけて今、認識されているということなんでしょうか。ちょっとその点が非常に、本来はもう少しそこのところを私自身も勉強しておかなければいけないところだと思うんですが、具体的にどのようなことを、可能な範囲でなのですけど、講演会のときに話していただけるかというようなことがもし分かったら、教えていただければと思います。
あと、当然、やっぱりアレルギーの問題というのは、科学として、つまり医学研究なんかと関連する中で、非常に分からない部分でございましたので、やはりそこは先ほど科学的知見で先手を打つという意味と関連してお話しさせていただきますが、やはり科学的知見というのはこういう環境施策と、環境保健施策のほうで大いに生かしていただくという意味で、このアレルギーということでちょっと注目していきたいなと思っているところでございます。
以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
片山委員、お願いします。
○片山委員 連合の片山と申します。よろしくお願いします。
東日本大震災からの復興再生及び今後の大規模災害、震災等時の対応ということで、いくつか発言させていただきます。
まず、やはり風評被害、我々、連合としては、やはりまだいまだに福島の災害に遭われた方との対話というのを重視しておりまして、その中でやはり聞こえてくるのは、風評被害というのがまだまだ大きいということですので、今後、政府一体となって風評被害に力を入れていただきたいということと、あと災害発生時のリスクコミュニケーションについては、職場とか事業所とかそういったところでも取組が重要だと思いますので、企業のBCPに取り組むとか、そういったところを普及に努めていただきたいということと、次回の点検時には、ぜひ次回の点検とか計画の中で反映させていただくよう、お願いしたいということです。
ありがとうございます。以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、松永委員、お願いします。
○松永委員 松永でございます。
私も放射線リスクのリスクコミュニケーションについて、ちょっと申し上げたいと思います。私、個人的なお話をしますと、20年ぐらいリスクコミュニケーションに関わっておりまして、今は食品安全委員会で食の安全のリスクコミュニケーション、それからジャーナリストとしてもいろんな場で関わっているわけですけれども、このところ、オンラインのリスクコミュニケーションというのが増えていまして、今、考えているのは、オンラインというのはなかなか可能性があるなと。対面できないからオンラインでやりましょうではなくて、オンラインのリスコミということで、方法論の進化を図ったほうがいいだろうと、もう少しいろんな試行錯誤をしてやってみたらどうかというようなことを今、考えているところです。
このぐぐるプロジェクトとかを見せていただいているのですが、もちろん多分県内の方たちにとっては、対面でのリスクコミュニケーションというのが非常に重要な要素になってくると思います。一方で、県外でちょっと情報から遠ざかっておられる人たち、こういう方たちに加害者とならないようにという非常に強いメッセージなんですけれども、もう一つ、なかなか情報がもう届かないという問題があります。最近、オンラインでいろんな取組をしておりますと、やっぱり今まで情報にアクセスできなかった方、わざわざ外出できないなとか、ちょっと時間取れないなというような方たちも、割と気軽にオンラインだとちょっとのぞいてみようという形になってくださっている方がかなりいらっしゃるような気がします。
特に子育て中のお母さんとかは、わざわざ子どもを預けてまではリスコミに参加できないけれども、聞きたいわという方たちが結構多いんですね。そういう方たちは子どもと家にいながら情報を得られるということで、歓迎されているように思います。
それで、最近は皆さん、使い方に慣れてきまして、かなり双方向性というアクションマークを出したりとか、それからチャットを活用して質問されたりというような方、慣れている方たちが大分増えてきました。やっぱりそういう点で、双方向性もあるし、可能性があるというふうに個人的には考えているところです。これはやっぱり風評被害対策としては非常に有用なものになってくると思います。
日本では、まだ役所はそこまでの取組にないんですけれども、WHOのオンラインの会議、国際会議とか、それから先日も欧州の食品安全機関がWorld Food Safety Dayとかでいろんな会議をしたりしましたけれども、それを見ると、やっぱりプログラムの作り方とかかなりオンラインに向けて特化して、オンラインでいかに情報を広げていくか、理解を深めていくかというところで、相当な研究が進んでいるというふうに思います。
ですので、私も食品安全委員会とかで考えていきたいと思っているんですけれども、環境省さんも今後の計画を立てる中で、どういうふうに進化させていって今まで情報が届いていなかった人たちとコミュニケーションを取るかというところの方法論を考えていただければというふうに思います。
以上です。
○大塚部会長 奈良委員、お願いします。
○奈良委員 ありがとうございます。私のほうからは、三つ目の3.11の後のやはりリスクコミュニケーションに続いて、1点感想と少しお願いを申し上げたいと思います。
過剰な人々のリスク認知、過剰な不安というのは、それ自体がQOLを下げますし、またほかの病気への相対的リスク認知を下げて、ほかの病気を招く、それへの配慮がおろそかになるといった、などなど弊害が大きいわけですよね。したがって、やはり科学的エビデンスにちゃんと基づきながらも、不安に寄り添う、そういった対策というのは大変重要であって、そういう意味でこちらの省のほうで3.11の後も一貫して不安対策を行ってこられた。その方針と活動はとてもよいというふうに思っています。まずこれは感想です。
特に、放射線リスクコミュニケーション相談員支援センターですか、これが活動を続けているというのはよいというふうに思っております。本当に見るべき社会装置だというふうに思います。
このとき、リスクコミュニケーションでは、信頼が重要である。これはもう周知のことなわけなんですが、その際にリスクコミュニケーションという営みそのものに対する信頼というのが、それを行う機関、国の機関なり専門家への信頼につながるということが分かっています。つまり、今、住民が参加しているリスクコミュニケーションは決してガス抜きではなくて、自分たちが対話などで述べた意見がちゃんと政策に反映されている。実際に自分たちの暮らしに生きている、よくなっている。そういうことを相手に認識してもらうことがリスクコミュニケーションそのものへの信頼につながり、ひいては行政機関への信頼につながるということなんですね。
その意味で、昨年度ですか、支援センター評価委員会というものを設置されたというのは、私は大変意味があるというふうに思っています。ぜひ、その行ってきているリスクコミュニケーション、または人材育成などの活動がアリバイづくりでは決してないんだと。こういった意味があるんだということを分かっていただくためにも、この評価委員でなされた評価、また何か課題が見つかったときには、それをこのように取組にさらに生かしたというようなことをきちんと公表といいますか、周知をする。これも重要なリスクコミュニケーションかなというふうに思いますので、そこをお願いできればというふうに思います。
私からは以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。私からも一言だけお伺いしますが、熱中症に関して、先ほど崎田委員もおっしゃったように、毎年、1,000名程度が亡くなっておられるというのは非常に重要なことでございますので、対応が早急に必要でございますが、今般、熱中症対策行動計画が改定されたわけですが、改定されたポイントについて特に先ほどご説明がなかったように思いますので、その点についてご説明いただければと思います。
以上でございますけれども、では、事務局から回答をお願いします。熱中症からですかね。髙澤様からですかね。
○髙澤環境安全課長 それでは、熱中症に関しまして、まず環境安全課、髙澤のほうからご説明いたします。
崎田委員から、大塚委員からもありましたけれども、年間の死者数が、1,000人を超えるということで、近年なっておりますので、非常にその辺り、地域と連携しての施策が重要と考えております。崎田委員のほうからも、保健分野とか廃棄物分野との連携、先進事例の発信等ございましたけれども、環境省のほうでも、昨年度、今年度とそういった先進的な自治体のモデル事業をやっておりまして、まさにそういったところできめ細かに高齢者の見守り等が行われてございますので、そういった事例を今年度、ガイドラインとして取りまとめて発信しようと考えておりますので、ご指摘を念頭に置いてしっかり進めてまいりたいと思っております。
また、青木委員のほうから、科学的知見に基づいて熱中症対策を進めるべきというお話がございました。気象庁などとも連携しまして、気候の予測なども格段に進歩しておりますので、そういったデータをしっかりと整理・分析しまして、熱中症対策の必要性を伝える上でもそういった科学的知見をベースに徹底してまいりたいと思いますので、引き続き各省とも連携して取り組んでまいりたいと思っております。
あと、大塚座長のほうからいただきました行動計画の改定のポイントということで、すみません、ページ数でいいますと15ページでございます。説明が不十分だったんですけれども、ここの赤い字で書いてあるところが昨年3月に策定した行動計画を主に改定したところでございまして、先ほど申しました目標のところの死亡者数の目標は、より長期的な観点で書いているということと、特に重点対象分野、1ポツのところで書いてある(3)と(5)のところが今回の計画で新たに項目として立ったというところでございます。(3)につきましては、まさに地方公共団体の取組強化ということで、関係部署、機関も環境のみならず、ほかの分野にもわたっておりますので、そういった連携の強化及び優れた取組事例の周知を行うといったところを新たに盛り込んでいます。
また、(5)のところで、顕著な高温の発生に備えた対応ということで、今年も6月でも40度を超えるような暑さということで、近年かなり高温のリスクが高まっておりますので、そういった一種の危機管理の観点からもしっかりと計画立てて地域で取り組める体制整備を支援するといったところが主に今回の行動計画で改定したところでございます。
私からは以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。では、公害健康被害補償に関しまして、黒羽室長、お願いします。
○黒羽保健業務室長 公害のほうのご質問をいただきまして、ありがとうございます。
まず、崎田委員から、コロナの影響について、保健福祉事業でデジタルによらないようなものの検討というご意見をいただきました。保健福祉事業の中でもリハビリテーションに関する事業とか、転地療養に関する事業、これはどうしても集まってやらないとできないようなものもございます。ただ、家庭療養指導、家庭に非認定者の方の状況を聞き取って、ぜんそく等の指導をするという、そういう事業があるんですが、そういうものについて、コロナで直接会いに行けない場合については、電話等で聞き取りをして、その上で指導するというようなことを令和3年度から行っているところでございます。
また、先ほどのリハビリテーションについては、画像を用いて、例えばユーチューブみたいなそういう配信を用いて見るということも可能かと思いますので、デジタルではございますが、そういうものも引き続き進めてまいりたいと思っております。
それから、青木委員からご質問いただきましたアレルギーとぜんそくとの関係でございます。ぜんそくについてはアレルギーの疾患の方、既往歴がある方については、ぜんそくになりやすいという、そういうものがございます。また、環境省で行っている環境保健サーベイランス調査の中でも、オッズ比による検討の中で、アレルギーの既往がある方については、オッズ比が1.92から1.95とか、また親御さんがアレルギー疾患のある方については、1.78から1.79とかそういうオッズ比がついているところでございます。このため、アレルギー対策についてもぜんそく等の発症の予防になるということで、予防事業の中で取り入れているという、そういう経緯がございます。
令和3年度のアレルギー疾患の講演会については、アレルギー性皮膚炎と食物アレルギーという、そういう題名で、これはウェブで実施したものでございますが、直接小児科の先生、アレルギーの専門の先生にご相談をして、その回答を得るということができるという方法で実施しております。引き続き、アレルギー疾患についての予防の施策についても進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
最後、放射線のほうに行ってしまうことになりますでしょうか。また何かありましたら戻りますが、では、鈴木参事官、お願いします。
○鈴木放射線健康管理担当参事官 私のほうからお答えさせていただきます。
まず、崎田委員からの帰還困難区域への強化ということでございますが、こちらはまさしくその展開を今年からする予定でございます。県内、広くいろいろとリスクコミュニケーションすることも必要かと思いますが、やはり我々どもが強化していくところは、やはりそこで戻る方々、それから新たに来る方々というのもいると聞いております。この方々はフェーズとしては10年目のフェーズではなくて、もっと早い段階、ご指摘のとおり、福島で被災があった後の歴史の中でいろいろと繰り返されてきたリスクコミュニケーションをもう一回やらなきゃいけないかなと思っております。
それを行うに当たって、一時的に県外に移住されている方々、これを私ども、県外の方という認識はしておりません。県内という認識で、言葉の使い方も今までどうも県外と言っていたようですけど、そういったことも支援センター等で改めるようにし、そこの所属する自治体を通じてアプローチしながら、必要な人にしっかりと機会というのをつくっていこうかと考えております。
次に、片山委員からの風評対策ということでございますが、こちら今、非常に熱心にやっていこうと思っております。ただ、なかなかやり方というのが難しく、我々どもの戦術といたしましては、やはりこの風評対策、1点は特に県外ということで、非常に過激な言葉という形かもしれませんが、やっぱり風評加害者ということにならないようにする。このときに、そういった言葉で言うのもまた逆のものが生まれるといけません。続けていくことで偏見が生まれ、この偏見をあなたたちがしないようにするために、知らず知らずのうちにそういった立場にならないようにというメッセージを発信しながら、それが最終的な差別にならないようにしたいと考えています。ターゲットをよく見ながら、いろいろな方々がいらっしゃいますので、そのターゲット一つ一つに情報を丁寧に届けていくような取組、これを行うために、ぐぐるプロジェクトというのを立ち上げております。遺伝影響のことが具体例で出ていますが、これは一応具体例として出ていまして、具体的に申しますと、相馬市長の立谷市長がよくおっしゃっていることでございますが、これはあくまで例で、そういう風評をなくすということです。それから対象でございますが、ちょうど資料が昨年は、大学だけが去年の対象でしたが、今年からは職域を広げております。ぜひそういった機会を、私どもも求めて活動中でございますので、何かございましたらおっしゃっていただければ、そういった方向の展開をさらに進めていけるかなと考えております。
それから、松永委員からオンラインリスコミということでございますが、こちら非常に大切だと認識しております。我々どもオンラインの可能性は確かにそのとおりで、欧州等々に比べますと、研究、まだまだ進められない状況でございます。例えばで申し上げますと、役所はどうしても人を集めたシンポジウムとか好きですが、これはもうやめております、我々どもは。収録会という形でアーカイブ化するというような形で、その後、自由に見れるようにするというものでございます。
それから、公開講座とか、それからリスクコミュニケーションもハイブリッドで行ったり、特にぐぐるプロジェクトで中心にやっております。そうすることで、そのときの講義とかがアーカイブ化できますと、見たいときに見れるという効果がございますので、委員のご指摘のところも一部カバーできるのかと思っております。
とはいえ、いろいろとこの関心事項等は薄れているというところはご指摘のとおりだと思います。ですので、このぐぐるプロジェクトでも、差別偏見というところを立てつけのど真ん中に置かせていただいて、SDGsというところにも絡めながらやらせていただいております。誰一人取り残さない社会というような言葉、こういったことを前に出しながら、放射線のことは例示でやるという形です。放射線に関心がない方々がこれから学んでほしい人たちなので、その人たちに言葉はちょっと悪いかもしれませんが、ついでに学んでいただくということ、ここへの工夫、なかなか努力がどこまで成果に至るか分かりませんが、ここのところを取り組ませていただいております。食品安全委員会のほうがかなり進んだ取組をしていただいていると思いますので、いろいろ参考にさせていただきながら進めたいと考えております。
それから、奈良委員からのリスク認知ということでございますが、これはまさしくおっしゃるところは非常にあります。コロナの例示、委員からもしていただきましたが、これが実際どうなのかというところが研究のほうで少し進めております。今のところ、例えば、がん検診とかそういうのの受診率が落ちていたから、がんの発生が伸びているかどうかというような有意差は出ておりませんが、やはりこういったところをしっかりとフォローしていくようなことも大事かと考えております。
放射線の影響につきましては、UNSCEARの報告書等でも福島においては問題がないということになっておりますので、そういったことを踏まえながら、しっかりと我々のリスクコミュニケーションとかそういったところの場でも活用しながら、リスクというものを考えられるような場にしたいと思います。
リスクコミュニケーションは当然、決まったことを伝える場とは考えておりません。当然のことながら。我々のほうは聞きに来ている人とかの判断、意思決定というところが何か支援できればいいかなと思っておりますので、実際問題、こうあるべきとかそういうことではなく、いろいろ考えられること、そういったことをしっかりと正しい情報を出すことによって、そこから判断がその人なり、先送りという判断も中にはあるかもしれませんけども、こういったところを支援していく。そういった取組をこれからも強化していきたいなと考えております。
以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございました。熊倉課長、海老名室長、木内室長、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
そういたしましたら、この報告書で総合環境政策部会に報告いただくようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
では、次の議題に移りたいと思います。議題の3につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○髙澤環境安全課長 続きまして、議題の3でございます。資料4になりますけれども、「中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について」の一部改定について、ご説明いたします。
本日は、化学物質対策小委員会とPRTR対象物質等専門委員会の廃止について、お諮りいたします。まず、化学物質対策小委員会ですけれども、平成28年7月に設置されまして、化審法及び化管法の見直しに係る検討を行っていただきました。資料の記載のとおり、化審法、化管法それぞれ答申が取りまとめられまして、審議に一区切りがつきましたことから、一旦廃止をさせていただきます。
続きまして、PRTR対象物質等専門委員会でございます。化管法に基づくPRTR対象物質等の指定の見直しの検討のために、令和元年7月に設置をされております。こちらのほうは、令和2年8月に答申が取りまとめられまして、こちらも審議に一区切りがつきましたので、一旦廃止させていただきたいと考えております。
別添の資料になりますが、以上のことにつきまして、別添案のとおり、「中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について」の一部改定を行ってよろしいか、お諮りいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見がございます方は札を立てていただくか、挙手アイコンでお知らせください。お願いします。よろしいでしょうか。
では、お認めいただいたということで、ありがとうございました。
事務局案のとおり、中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置についてを改定したいと思います。
ありがとうございました。
では、次に、議題4の報告事項につきまして、事務局からまとめて説明をお願いいたします。
○髙澤環境安全課長 環境安全課でございます。
続きまして、資料5-1でございます。
化管法関係で、2点ご報告いたします。
一つ目は、令和2年のPRTRデータの概要等について。二つ目は、化管法施行規則の一部改正についてでございます。
1ページ目でございます。
まず、PRTR制度でございますけれども、化管法の中に位置づけられている制度でございまして、事業活動に伴う化学物質排出量及び移動量を年1回届出いただきまして、国が集計し、公表するという制度になっております。
2ページ目でございます。
令和2年度の対象化学物質の排出量・移動量データの集計結果でございますが、届出事業所数3万2,890事業所、届出物質数431につきまして、届出排出量は12万4,000トン、届出移動量は23万トンとなっておりまして、いずれも昨年度と比べて減少しております。
3ページでございます。
こちらが令和2年度の届出外の排出量の推計についてでございます。推計対象としました物質は337物質、合計排出量は19万4,000トンでございます。図に示している四つの区分のいずれも昨年度と比べて減少しました。
4ページ目でございます。
こちらの図は、平成13年から継続して届出対象物質となっています276物質の届出排出量・移動量の経年変化を示しております。届出排出量をオレンジ色、届出移動量を水色で示しております。経年的な変化といたしましては、排出量につきましては減少傾向でございます。一方で、移動量、水色のほうでございまして、廃棄物への移行の量でございますけれども、横ばいの傾向となっております。
この排出量・移動量の経年的な変化をどう評価するかということが課題となっておりまして、今後、有害性の強い物質の排出が適切に削減されているかなど、環境リスクの観点からの排出移動量削減に向けた評価等について、検討を行う予定でございます。
続きまして、5ページ目でございます。
こちらは平成20年の施行令改正により追加された対象化学物質についての排出量・移動量を示したものとなっております。
6ページ目でございます。
令和3年10月に改正施行令を公布しまして、対象化学物質の見直しを行いましたが、それに引き続きまして、施行規則の改正を令和4年3月に行いました。施行規則の改正では、特別要件施設のうち、廃棄物焼却炉について、水銀及びその化合物の排出量の届出の義務づけなどを行っているところでございます。
7ページ目でございますが、こちらのほうが改正政令と改正省令の施行のスケジュールとなっております。
こちらについてのご報告は以上でございます。
続きまして、資料5-2でございます。
化学物質の主な国際会議のスケジュールについて、ご報告いたします。
1ページ目でございます。
新型コロナの影響で、国際会議の延期やウェブ開催が続いておりましたが、対面会合が開催され始めております。このうちの幾つかをご紹介させていただきます。
環境全般の会議といたしまして、今年2月に第5回国連環境総会UNEAが、5月にはG7気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されました。また、化学物質管理全般に関する会議といたしましては、SAICMの次期枠組みに関連する公式会合が中断されておりましたが、本年8月に第4回の会期間会合をルーマニアにて開催することとなりました。また、第5回国際化学物質管理会議も2023年にドイツで開催の予定でございます。水俣条約につきましても、本年3月に第4回締約国会議がインドネシアで開催されました。
次のページでございます。
2ページ目以降では、個別の会議の結果概要を掲載しております。まず、UNEAでは、プラスチック汚染に関する条約に向けた決議のほか、化学物質管理につきましても決議が採択されており、その概要を3ページ目と4ページ目に掲載しております。
3ページ目でございます。そのうちの一つが科学・政策パネルに関する決議でございまして、これについて説明いたします。気候変動分野ではIPCC、生物多様性分野ではIPBESのように、化学物質・廃棄物の適正管理及び汚染防止の分野におきましても、独立した政府間科学・政策パネルの設置が必要との決議がなされまして、詳細については今年議論を開始し、2024年末の議論の終了を目指すということとされております。
スライド4は1枚飛ばさせていただきまして、5ページでございます。
G7会合についてご説明いたします。G7のコミュニケでは、化学物質に関する章が設けられまして、科学・政策パネル、第5回国際化学物質管理会議などが言及されております。また、特に環境中の鉛の削減に関連して、鉛の汚染とばく露を最小化するための活用分野を特定することとされているところでございます。
6ページ目でございます。
6ページ目以降が、水俣条約COP4の結果を掲載しております。主な決定は7ページ目と8ページ目をご覧いただければと思いますけれども、COP4では条約の有効性評価の役割分担や作業の流れ、また、科学グループの設置が決定されております。
また、スライドの8になりますけれども、電球型蛍光ランプなどの8種類の製品の製造・輸出入を2025年末までに廃止すること等に合意いたしました。国際的な議論がまた活発になり始めておりますので、引き続きしっかり対応してまいりたいと思っております。
私からは以上でございます。
○清水環境リスク評価室長 それでは、環境安全課環境リスク評価室から、健康と環境に関する疫学調査検討会報告書について、説明させていただきます。
資料は、5-3となっております。
それでは、2枚目からですが、まず当該報告書を説明する前に、エコチル調査、子どもの健康と環境に関する全国調査について、説明させていただきます。
概要となりますが、これは化学物質等の環境要因が子どもの成長において健康に与える影響を解明するために実施されている、いわゆるコホート調査となっております。約10万組の親子を対象としておりまして、2010年度から実施しており、現在も参加者の94%の方々に協力を継続していただいております。
参加者の方々からは、生体試料、すなわち血液、尿、毛髪等々を提供していただきまして、これを採取・保存・分析するとともに、質問票等による追跡調査も行っております。研究開始時点では、12歳までの研究計画を策定しておりました。なお、10万組というかなり大規模な人数になっていることから、全国のユニットセンター、多くは大学病院ですが、の方々には協力していただいております。北は北海道から南は沖縄まで、約20弱の大学等の方々に協力していただきながら、当該調査を実施しているところです。
成果としまして、令和3年12月末までにはこのエコチル調査から得られたデータを用いて作成された論文数が約235となっております。主な内容としては、妊婦の化学物質のばく露と子どもの体格やアレルギー疾患等との健康影響との関連について、焦点を当てております。
次のページに行かせていただきます。
先ほど申し上げましたように、当初の計画においては、12歳までとなっておりました。ただ、既に対象者は、昨年度の時点において7から10歳となっておりました。このため、13歳以降の調査の方針等を検討する必要があり、検討会を開催して、令和4年3月29日に報告書を取りまとめました。検討会は、16名の有識者で構成されておりまして、本日ご参加の浅見先生におかれては、この検討会にご協力いただき、誠にありがとうございました。
結論としましては、次のページのほうに移っていただきたいのですが、報告書の形でとりまとまっております。幾つも書いてあるんですが、ポイントとしては13歳以降も調査を引き続き展開することが必要だというふうに言われております。その理由としては、13歳以降、不妊症ですとか精神神経疾患、生活習慣病等について発病する疾病との関連については、12歳まででなく13歳以降調査していくことが大事だろうということに基づいて、大体おおむね40歳程度までに向けた調査の展開が必要だろうということで、報告書のほうをまとめさせていただいております。
一番下にありますとおり、この検討会の報告書を踏まえて、環境省のほうで基本計画を策定、今年度中に策定して、実際にエコチル調査の継続等をしていきたいというふうに考えております。
5ページ、6ページ以降につきましては、得られた結果がどのように還元されているかをまとめているものです。いろいろあるんですが、具体的な内容につきましては、原著のほうをご覧くださればと思っております。
私のほうからは以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見がある方は札を立てていただくか、挙手アイコンを押していただきますように、お願いいたします。では、片山委員、お願いします。
○片山委員 連合の片山です。
2点申し上げたいと思います。一つ目は化管法についてということで、やはり化管法に関して、中小企業において化学物質取扱管理者ですとか公害防止管理者など、こういった方、資格を持った人が必置になったわけですが、そうした人材の確保とか育成というのは、やはり難しいところがあるということですので、ぜひ支援をお願いしたいということと、もう一つこうした制度に関して、システムの整備とか導入とかが必要だということですので、そうしたところにもぜひ支援もサポートをお願いしたいということと、あと地方自治体においても、そうした専門人材というのが不足しているという声が聞こえておりますので、そうした人材の確保においても、政府の支援をぜひお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
あと、国際会議のスケジュールということで、SAICM、化学物質管理に関して、2020年までが目標年だったわけですが、それが達成できなかったということで、今後、新たな計画づくりが進むというふうに理解しておりますが、SAICMにつきましては、様々なマルチステークホルダーの枠組みがありますので、そういったところで労働組合も含めたマルチステークホルダーとの対話というのをぜひお願いしたいということです。
私からは以上です。ありがとうございました。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、青木委員、お願いします。
○青木委員 ありがとうございます。2点ありまして、エコチル調査とあと水俣条約のこととございます。
エコチル調査は非常に成果が上がってきたということは、すばらしいことだと思っています。ただ、そのような中で、やはりこれだけの10万人ですよね、一応、少なくともいろんなヒト試料が集まっているという状況から見ますと、ぜひいわゆる遺伝情報の活用というのを進めていただきたいと思います。ほかの大型の疫学調査では、遺伝情報の収集というのがかなり進んでいるものがございますし、例えば逆の言い方になるんですが、現在、ご案内のとおり、がんの治療のほうで遺伝情報というのはかなり重要な情報となってきております。そういうことを考えますと、この成果の社会的還元という意味も考えますと、やはり遺伝情報、それがどのような使い方をするかということはもちろんそれは個々の問題としてありますので、研究者の方に十分に考えていただかなくてはいけないと思うんですけども、大いに活用できるように、その遺伝情報の重要な情報源がそこにありますので、やはり活用できるような形にしていただければと思います。
それから、水俣条約は、先ほどの水俣病のときに発言すれば、お話があったときに発言すればよかったんですけど、やはりこの水銀に関する条約は、やはり日本は今後とも、議論はリードしていただきたいと思います。特に、水俣病の、ちょっとこれは残念なことなんですが、やはりそれは環境保健という中の研究ということでも非常に重要なマイルストーンになってしまっているのが現実でございます。やはりそういうことも踏まえて、我が国がリードしていくということを、水俣条約の議論をリードしていくことは引き続きしていただきたいなと思う、そういう次第でございます。
以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございました。
では、崎田委員、お願いします。
○崎田委員 それでは、2点ほど。一つがPRTRで、もう一つがエコチルのところでコメントさせていただきます。
PRTRなんですけれども、今回、データの集計で排出量・移動量が減っているということはいいことなんですが、コロナの影響があると思いますので、また今後、元に戻るということがなく、うまく今の状態の中でしっかりと産業の結果が出ていくとか、やはりそういうふうになるといいなと思って、これは拝見したんですが、実は発言したいのは、こういうデータを地域社会で活用しながら、化学物質に対するリスクコミュニケーションとか環境学習とか、広めていくのが大事ということでずっと言われていたんですが、ここのところやはりコロナのこと、あるいはゼロカーボン社会に向けた普及啓発とか、そういうことが表に立ってしまって、環境学習センターの運営を長くやっておりますが、なかなか化学物質のコミュニケーションをプログラムに入れるというのが機会がかなり減ってきているという、そんな感じが実感を持っております。そういう意味を考えると、やはり災害時にこういう化学物質を扱う工場とどう連携するか、あるいはこういう情報を地域社会がどう共有しておくかということで、安心感の醸成とか、どういうふうに避難経路を考えるかとかいうことにもつながってくると思いますので、そういう災害時の情報共有ということを考えて、自治体とうまく連携していただくとか、何かそういうようなこともあっていいんではないかなというふうに感じました。
よろしくお願いします。
最後に、エコチル調査なんですが、私はやはりこの調査は10万人規模のデータを10年以上続けておられる。なおかつ、続けておられる方が10万組で始めて、94%の方が継続しておられるというのは、本当にすばらしい取組だと思いますし、それまで継続されている様々な関係者の皆さんのご努力の成果なんだろうというふうに思います。
最近、それの中心仮説に関する研究などの論文が大変たくさん出てきたというようなことで、私はぜひ、こういうことをしっかり発信していただくことで、これの成果を産業界の方が自らうまく活用して、ご自分たちの製品の例えば使用ガイドのところの言葉の使い方を少し変えるとか、例えばですね、何かそういうようなことを皆さんが動かしていただくような、こういう成果をポジティブに活用していただくような、そういうような動きをぜひつくっていただければありがたいなというふうに最近思います。
よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、松永委員、お願いします。
○松永委員 松永でございます。
私も、エコチル調査について、ちょっと意見を申し上げます。まず最初に、期間を延ばしていただいて、今後も調査研究を続けていただけるということ、本当にこれはすばらしいことで、環境省さんもですけれども、いろんな関係してくださっている方、科学者も、それから参加者の方々にもこれまでのご努力、感謝申し上げたいし、これからも引き続きよろしくお願いしますということを申し上げたいです。
諸外国、ほかの国の中には、もうやめてしまったところもある中で、日本が続けられるということは、これは非常に貴重でありまして、やっぱりデータがないことにはエビデンスに基づく対策というのはつくれませんし、一方で安心するということにもつながりませんので、やっぱりデータが根幹にあるべきで、非常にすばらしいことだと思っております。
その上で、今回の資料、実は若干気になったところがありまして、以前の会議でも多分申し上げたのではないかなと思うんですけれども、エコチル調査、中心仮説の根拠となるような違いがでましたというデータも大事ですけれども、違いがありませんでしたというデータも非常に重要なんですね。もちろん、だから安全ですというようなことではなくて、違いがないというのはそれだけ検出できるほどの影響力がないということでしかないのかもしれませんけれども、それにしてもネガティブデータもやっぱりちょっときちっと情報提供していっていただきたい。今回の資料を見ると、参考資料の4ページ目ですかね、エコチル調査の中心仮説の成果の例と書いてありまして、確かに成果、研究からすると成果なんですけれども、いやいや、ここにはやっぱりこれをやって調べてみたけれども、ここは関係が出ませんでしたというようなところもちゃんと盛り込んでいただきたいし、そういうコミュニケーションを取っていただきたい。
エコチル調査で出るものは、あくまでも相関関係でありまして、因果関係に至るにはさらなる研究が必要なんですよね。どうしてもやっぱりメディアとか一般の方たちは、ここで一足飛びに因果関係に結びつけてしまう、そういうふうに考えてしまうというところがありますので、その辺りのコミュニケーションをやっぱりちょっと気をつけていただきたいです。
それから、もう一つ、これはなかなか難しいんですけれども、やっぱりリスクのトレードオフみたいなことがあって、例えば妊婦のときの殺虫剤、防虫剤の使用と出生体重、身長の増加・減少、こういうデータを見ると、一般の方たちはわあってやっぱりびっくりして怖がってしまうんだろうというふうに思います。一方で、論文を見ると、研究者の説明を見ますと、集団としての違いは出るけれども、個人としては非常に違いは小さいということがきちっと書かれているわけですね。
それともう一つ思うのは、例えば殺虫剤、防虫剤には、やっぱり理由があって使われるわけで、ベネフィットがあるわけです。そのベネフィットは感染症、ウエストナイル熱とかデング熱とか、そういう感染症のリスクを下げるというようなこともあって、実際にウエストナイル熱とかは、日本では数年前にやっぱりちょっと問題になったこととかもありました。そういうリスクのトレードオフみたいなこともあって、私たちはこれからどうしていくのということを考えていかなければいけない時代なわけです。ですので、もちろんこの資料からはそこまで伝えろということは申しませんけれども、実際にこれからこれを活用して、恐らく崎田先生がおっしゃったようにコミュニケーションも図っていかれると思いますので、そういうときに、そうした誤解・誤認を招かないような科学的に妥当性のある深いコミュニケーションを図っていっていただければいいなというふうに思います。
すみません、長くなりました。以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。一つは化管法について、まず改正が無事にされまして、動き始めたのは大変いいことだと思っております。あえて申し上げれば、改正の過程で、先ほど大塚部会長がちらっとおっしゃいましたが、取扱量や保管量であったり、あるいは報告に伴う情報の幾つかの要素であったり、多分かなり積み残した議題はあったのではないかと思っております。今の制度をしっかり運営しながらではありますが、次に向けてしっかりまた次の検討を進めていただければと思っております。
それからもう一つは、UNEA5.2で、科学政策パネルというものの決議がなされて、G7でも言及されたということで、大変これは重要なことだと私は思っております。これは私の思いでありますが、化学物質問題と書いてあるんですけれども、今日、この部会でも実は水俣病から始まってたくさんの報告、議論をいただいたところでありますけども、多分この分野、私が思うに、ある意味非常に環境問題における不幸な歴史の古くから一番取り組んできた分野であるがために、問題がある種細分化されているようなところがありまして、どれも多様な取組が必要であったので、いろんな部局がいろんな形で関わりまして、環境省においてもいろんな部局が関わっていると思いますし、他省庁さんも関わっておられますし、同じことが国際機関においても言えると。ということは、私はある種課題かなと思っておりまして、化学物質問題というのは多分今、UNでも三つの危機の一つに取り上げられてはと思うんですけども、その認識を改めて持つことは重要かなと思うのと、それをするに当たっては、化学物質問題という言葉に値するもう少し包括的な視点を持つ必要があるかなと僕は思うところがあります。
ですので、ぜひこのUNEAで決まった科学政策パネルが、それだけじゃないと思いますけども、そういうことの一つの契機として、ぜひ日本政府はうまく使っていただいて、リードして力を発揮していただくと、ぜひこれを果たしていただくことを期待したいと思っております。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。この独立した政府機関に関しては、鈴木先生も随分ご努力いただいていると思います。私もこういうものがIPCCとかと同じように、できていくことは非常に重要であると思っております。
ほかにはよろしいでしょうか。高村委員、途中で入られましたけど、何か、よろしいですか。
では、ただいまのご質問、ご意見につきまして、回答をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○髙澤環境安全課長 環境安全課、髙澤でございます。
まず、片山委員から、化管法につきまして、中小企業等人材の関係の支援でありますとか、またシステムの整備導入に係る支援、また地方自治体の専門的人材の不足といったところをご指摘いただきまして、いずれも重要なことと考えております。ご存じのとおり、PRTR制度は経産省とも連携して、取り組ませていただいているので、経産省とも相談して進めさせていただきたいと考えております。
また、国際会議のスケジュールにつきまして、ポストSAICMにつきまして、これまで中断していた議論が再開するという状況でございます。様々な主体による自主的な取組を進めるというところが大きな趣旨になっておりますので、引き続きいろいろとご相談や調整をさせていただきながら、進めさせていただければと思っております。
続きまして、崎田先生のほうからPRTR関係でご意見いただきまして、まずは地域との化学物質のコミュニケーションは重要というご指摘につきましては、実際のところ、やはりコロナの影響もございまして、若干、トーンダウンしてしまっているところもございますので、化学物質についてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
また、災害時の自治体との連携等につきましてもご指摘いただきまして、非常に重要な課題と認識しています。昨年度の末にガイドラインを策定しておりまして、それは地方自治体向けに災害時にどう対応するか、日常から地域の工場とかそういったところとも情報共有しながら、災害発生時にどういうふうな連携、取組をしていくかというようなガイドラインをちょうど出させていただいたところございます。
それに引き続きまして、今、災害対応につきまして、化学物質管理指針というものを改定、災害について盛り込むという方向で進んでおりまして、それにつきましては6月23日からパブリックコメントを実施しているところでございまして、8月に公布の予定でございます。そういった取組に加えまして、さらに事業者との取組を促すため、好事例集なども今後つくっていければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
あと鈴木先生のほうから、化管法につきまして、引き続き課題も残っているということで、しっかり対応させていただきたいと思います。また、UNEAパネル含めて化学物質問題に対してしっかりやれとのお話であると認識しておりますので、引き続きいろいろとご相談もさせていただきながら進めてまいりたいと思います。
水俣条約については、すみません、海老名室長からよろしくお願いいたします。
○海老名特殊疾病対策室長 特殊疾病対策室長でございます。
青木先生のほうから、水俣病の経験を踏まえて水俣条約の議論をリードしていってほしいというようなお言葉がございました。まさに水俣という名前のついた条約でございます。例えば条約に関連いたしましたユース、若者の取組では、地元水俣の高校生が活躍するなど、そういう取組もございます。また、地元の国立水俣病総合研究センターのほうでも国際協力に取り組んでいただいているような状況もございます。こうしたことも踏まえて、しっかりと水俣病の経験を踏まえて、水俣条約を初めとする各種の国際的な取組について、しっかり貢献していけるように我々としても努力してまいりたいというふうに思っております。
ありがとうございました。
○清水環境リスク評価室長 リスク評価室の清水です。
私のほうからも、先生の皆様からいただいた案件について、お答えさせていただこうと思います。
まず、青木先生のほうからいただきました遺伝解析につきまして、これは実は検討会でもまさに先生のおっしゃるとおり、その重要性については指摘されておりまして、ここはしっかり進めていくべきだという意見もあり、検討会報告書にはしっかり盛り込ませていただきました。当然、実施に当たっては、研究者の方々の意見を聞くことは非常に大事です。この遺伝子解析について重要であるという理由として、遺伝因子と化学物質の交相互作用についても指摘がありました。現在、遺伝子解析についての同意作業も進めているところで、研究計画書のほうも既にまとめております。
環境省としては、もちろん予算の確保については、今すぐ断言はできないんですけど、しっかりとこの遺伝子解析にかかる必要な予算については、確保すべく頑張っていきたいと思っております。
続きまして、崎田委員のほうからご指摘のありました、得られた中心仮説に関する研究等の成果についてしっかり発信していくべきだという考え、まさにごもっともだと思っております。当然、対話事業を行っておりまして、これは昨年度、崎田委員及び松永委員におかれましては、本当にご協力いただきまして、先ほどの対話事業検討会、本当にありがとうございました。この中で、昨年度は企業の方々にも入っていただいておりますし、私たちリスク室のほうにも業者の方から徐々にアプローチがありまして、エコチル調査の結果について、やはり興味を持っていると。いろいろな形で発表が出ると、少しセンセーショナルな部分もあって、企業の方々も少し気にされているところがあるのかもしれませんが、そういったところを通じてしっかりと私たちも得られた結果についてはこのエコチル調査の意義・内容も含めてしっかりお伝えさせていただこうと思っております。
また、最後に、松永委員のほうからありましたネガティブデータということについて、おっしゃるとおり、まさに結果の幾つかこういう出ている論文を見ておりますと、ポジティブなところ以外にも例えば妊婦の血中鉛濃度とうつ症状との間に関連は認められなかったという報告もあって、実は私もこういうデータは非常に医師として大事なデータだと思っております。ポジティブデータ、すなわち関連があったというデータのほうが何かすごいセンセーショナルで、報道関係者の方と仕事をしているときも、そのようなデータがあると皆さん興味がわかれているような印象を持っております。一方で、結果がなかったというと、そうだったんですかみたいに終わることもあります。結果がなかったというのはそれで一つの重要な成果だと私も思っております。環境省ではエコチル調査に関するシンポジウム等もまた毎年開いておりますが、徐々に徐々に報道関係者の方やいろんな関係者の方が参加していただいているので、そこはしっかりと先生もおっしゃったような形で情報発信させていただこうと思っております。
私のほうからは以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。ネガティブデータの重要性についてもぜひ、環境省としても積極的に発言していっていただければと思います。
あと、崎田委員がお話しいただいた災害時対応につきましても、化学物質管理指針で対応していただいているようですが、それで足りるかどうかについてもさらにご検討いただければと思います。
ほかにご質問、ご意見はございますでしょうか。
○川原環境安全課長補佐 1点よろしいでしょうか。環境安全課の川原でございます。
○大塚部会長 どうぞ。
○川原環境安全課長補佐 すみません。片山委員からもご発言の中に、マルチステークホルダーとの対話のお話がございました。こちらに関しましては、当課で政策対話というものをやってございまして、これはマルチステークホルダーの方々といろいろ環境問題、化学物質に関する問題に関して議論する場でございまして、そちらのほうでもいろいろと議論をさせていただいて、今後も進めていこうと、そういうふうに考えているところでございます。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
ちょっと時間が過ぎてしまって、誠に申し訳ございません。それでは、本日の議事は以上となります。事務局に進行をお返しいたします。
○中島総括 大塚部会長、ありがとうございました。
本日は、活発なご審議をいただきまして、ご参加の皆様、大変ありがとうございました。本日の議事録は、原案を作成いたしまして、委員の皆様にご確認いただいた後、環境省ウェブサイトに掲載する予定としておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、次回の日程につきましては、改めて調整をさせていただきます。
それでは、以上で、第48回中央環境審議会環境保健部会を終了いたします。ありがとうございました。