02一般記事 議事録

1.日時

令和3年12月14日(火) 10:00~12:00

2.議事

                                       午前10時00分 開会
○太田環境安全課長  それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会環境保健部会第27回化学物質評価専門委員会を開催いたします。
 私、本日の進行役を務めさせていただきます、環境省環境安全課長の太田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、委員の先生方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、18名の委員の先生方全員御出席となっております。
 なお、平成26年度まで当委員会の委員でおられました中杉先生におかれましては、今年度も引き続き参考人として御出席いただいております。
 また、今年度から当委員会における新たな委員として、上田先生に御出席いただいております。
上田先生から一言、御挨拶いただいてもよろしいでしょうか。
○上田委員  北海道大学の上田と申します。よろしくお願いいたします。
 環境疫学を専門にしております。まだ慣れないところもございますけれども、よろしくお願いいたします。
○太田環境安全課長 上田先生、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、WEB会議とさせていただいております。また、当委員会は、運営方針に基づき公開とさせていただいておりますので、本日は、YouTubeを用いてライブ配信を行っております。
 WEB会議及びYouTubeライブ配信に当たっての注意事項を御説明させていただきます。
 WEB会議の開催に当たりまして、以下のことにつきまして御協力をお願いいたしたいと思います。御自身の発言以外のときはマイクをオフ、ミュートにしていただければと思います。
 また、御発言に当たっては、最初にお名前をおっしゃっていただければと思います。お聞きになっている音声が途切れがちの場合は、ビデオをオフにしてお試しください。回線負荷が軽くなり、音声の途切れが解消される場合がございます。なお、事務局はビデオを常時オフにさせていただく予定でございます。
 審議に当たりましては、お手元の資料を御覧いただければと思います。資料の画面共有は原則行いません。音声が全く聞こえない場合は、一度御退室いただき、再度御参加いただければと思います。お困りの場合は、Webexのチャット機能でお知らせいただくか、環境省環境安全課、電話番号は03-5521-8261になりますが、までお電話をいただければと思います。速記録作成のため、録音をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、開会に当たりまして、環境省環境保健部長の神ノ田より一言御挨拶を申し上げます。
○神ノ田環境保健部長 皆様、おはようございます。環境省環境保健部長の神ノ田でございます。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、化学物質評価専門委員会に御参加をいただき、誠にありがとうございます。会議の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 環境省では、化学物質が環境を経由して人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性を環境リスクと捉えまして、その科学的な評価とリスク低減のための取組を実施しているところでございます。そのための事業として、本専門委員会の御助言をいただきながら、化学物質環境実態調査と化学物質の環境リスク初期評価の二つの事業を実施してまいりました。いずれも長く続いている事業でありますが、化学物質管理施策のまさに基盤的な事業と位置づけられておりまして、直近の例で言いますと、この10月に公布された改正化管法施行令においても、これらの事業の成果物が重要な基礎資料として活用されたところであります。環境保健行政に密接に関わる大変重要な事業であり、この事業の実施に御尽力いただいております櫻井委員長をはじめ、委員の皆様には心から感謝を申し上げます。
 今年度も、本日の専門委員会を迎えるまでに多くの専門家に御協力をいただき、また、様々な検討会等の場で議論を重ね、その成果物の案を整理してまいりました。本日の専門委員会では、その公表に先立ちまして、最終段階の御評価をいただきたいと考えております。
 大変限られた時間ではありますが、委員の皆様には忌憚のない御意見、御助言をいただきますようお願いいたしまして、簡単ではございますが、冒頭の御挨拶に代えさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○太田環境安全課長  ありがとうございました。
 続きまして、事務局に人事異動がございましたので御紹介させていただきます。
 まず、1月1日付で環境リスク評価室長として田中が着任いたしました。
 また、7月1日付で環境リスク評価室室長補佐として草川が着任しております。
 また、4月2日付で環境安全課の調査係長として酒井が着任しております。
 続きまして、お手元に事前に送付させていただきました本日の資料につきまして確認をさせていただきます。議事次第を御覧いただければと思います。
 まず、資料1といたしまして、本専門委員会の委員等名簿でございます。資料2-1といたしまして、令和2年度化学物質環境実態調査結果(概要)でございます。資料2-2といたまして、同結果の報告書(案)でございます。資料2-3といたしまして、令和3年度化学物質環境実態調査の進捗状況でございます。資料2-4といたしまして、令和4年度化学物質環境実態調査の実施方針(案)でございます。資料2-5といたしまして、令和元年度化学物質環境実態調査結果の活用状況でございます。資料3-1といたしまして、環境リスク初期評価
の進捗状況でございます。資料3-2といたしまして、化学物質の環境リスク初期評価(第20次取りまとめ)の結果の概要(案)でございます。資料3-3といたしまして、化学物質の環境リスク初期評価ガイドライン(令和元年11月版)、化学物質の環境リスク初期評価(第20次取りまとめ)結果(案)でございます。
 参考資料の1といたしまして、ストックホルム条約第10回締約国会議(COP10)の結果概要でございます。
 お送りさせていただきました資料は以上でございますが、資料に不備等がございました場合は、大変恐縮ではございますが、別途メールにて御案内させていただいておりますWEBサイトの資料を御覧いただければと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。櫻井委員長、よろしくお願いいたします。
○櫻井委員長  櫻井でございます。議事進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最初の議題に入ります。化学物質環境実態調査の結果、進捗状況等について、ということで、令和2年度の化学物質環境実態調査、いわゆる黒本調査の昨年度の結果と、令和3年度調査の進捗状況等につきまして報告があるとのことですので、資料2-1から2-5に基づきまして、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○飯野環境安全課保健専門官  環境安全課でございます。
 それでは、資料2の各資料にのっとって、化学物質環境実態調査について御説明をさせていただきます。
 それでは、まず資料の2-1を御覧ください。こちらは令和2年度の調査結果の概要の資料となります。化学物質環境実態調査では、試料採取、分析を行った翌年度の1年間で、結果の精査、解析等を行っております。このため今回は、令和2年度の調査結果について、今年度に精査等を行った結果について御報告をさせていただきます。
 調査物質の構造式、調査地点等の情報を含めた令和2年度版の「化学物質と環境」、いわゆる黒本の原稿(案)については、資料の2-2になるのですが、こちらの資料は約500ページの資料になっておりますので、本日は概要について取りまとめました、この資料2-1に基づいて御説明をさせていただきます。
 まず、1ページ目、1.経緯の部分を御覧ください。本調査は、昭和49年度に「化審法」制定時の附帯決議を踏まえまして、一般環境中における化学物質の残留状況の把握を目的として開始されており、これまで40年を超えて行われてきた調査となっております。
 2段落目、中ほど以降にありますとおり、平成14年度以降、現在では環境省内の化学物質関連施策を所管する部署から要望があった物質を中心に調査を進めております。
 次に、2.のところに、調査の進め方について記載しております。
 まず(1)の調査対象物質になります。令和2年度の調査対象物質は、一昨年、令和元年度の本委員会を経て選定されたものとなっております。
 続いて、(2)調査内容についてですが、本調査は、それぞれの目的に沿って平成18年度より初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の三本立てで実施しております。
 まず、アの初期環境調査についてでございますが、本調査は、一般環境中の高濃度が予測される地域で調査を行い、主に化管法の指定化学物質の指定や、その他化学物質による環境リスクに係る施策についての基礎資料とすることを目的としております。
 次の2ページ冒頭の内容になりますが、令和2年度については、10物質(群)の化学物質を対象に調査を行っております。
 次に、イ.詳細環境調査についてですが、こちらは主に化審法の優先評価化学物質のリスク評価を行うことを目的に、一般環境中における曝露状況を検討する調査となっておりまして、令和2年度においては7物質(群)の化学物質を対象に調査を行っております。
 最後のウ.モニタリング調査につきましては、化審法の特定化学物質、ストックホルム条約の対象物質、またはその候補群を対象といたしまして、一般環境中における残留状況の経年変化を把握するために実施しております。
 令和2年度は、ストックホルム条約の対象物質に当たる10物質(群)と、同条約の対象物質へ追加を検討中の1物質を加えた計11物質(群)について調査を行っております。
 次に、3.として、調査結果の概要を記載しております。こちらについては資料の5ページ以降に、別表として物質ごとの検出状況をまとめた表を添付しておりますので、それに沿って御説明をさせていただきます。
 まず、別表1を御覧ください。初期環境調査における検出状況になります。
 各調査対象物質について、左から物質名、媒体、実施年度、検出頻度、検出範囲、そして検出下限値を記載しております。また、別名を有するものについては、括弧内にそれを記載させていただいております。
 表の中で文字が太文字になっているものが、令和2年度の調査結果でございます。
 また、過去に調査の実績がある物質については、今回の結果と併せて、その調査当時の結果も併記させていただいております。併記されていないもの、すなわち2020年しかデータが載っていないものについては、今回が初めて調査対象となった物質になります。
 なお、調査番号1、アンピシリンのように、個々の調査物質の名称の後ろに※印がついているものについては、PRTRによる届出排出量等の情報を考慮して選定した地点が含まれていることを示しております。こちらについては、表の下の注釈にも同様の説明をさせていただいております。
 それでは、別表の一番上にございます、アンピシリンから御説明させていただきます。
 調査番号1、アンピシリンでございます。今回が初めての調査となりますが、22地点中4地点で検出されております。
 続きまして、調査番号2、イマザリルについてです。こちらも今回が初めての調査となり、21地点中いずれの地点でも検出はされておりませんでした。
 続きまして、3、クロフィブラート及びその代謝物についてです。まず、クロフィブラートについてですけれども、こちらは23地点中いずれの地点でも検出されませんでした。また、その代謝物であるクロフィブリン酸についても、同様に23地点中いずれの地点でも検出されておりませんでした。
 続きまして、4、ヘキサクロロエタンについてです。こちらは今回で2度目の調査になりまして、22地点中いずれの地点でも検出されておりませんでした。
 続きまして、5、ベンゾフェノン-4(別名:2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸)でございます。こちらについては今回が初めての調査でございまして、21地点中6地点で検出されております。
 続きまして、6、ベンラファキシン及びその代謝物についてです。まず、ベンラファキシンについてですが、こちらは今回が初めての調査になりまして、23地点中19地点で検出されております。一方の代謝物、O-デスメチルベンラファキシンについても、同様に今回が初めての調査で、21地点中6地点で検出がされております。
 続きまして、7、トリエチレンテトラミンについては、今回が2回目の調査でございまして、26地点中いずれの地点でも検出がされておりませんでした。
 続きまして、8、1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(別名:1,3,5-トリスグリシジル-イソシアヌル酸)でございます。こちらは今回が初めての調査になりまして、20地点中1地点で検出がされておりました。
 調査番号の9、メタクリル酸2-エチルヘキシルについてです。こちらについては今回が2回目の調査でございまして、25地点中いずれの地点でも検出がされておりませんでした。
 最後、調査番号10、りん酸ジメチル=2,2-ジクロロビニル(別名:ジクロルボス)についてです。こちらは水質と大気で両方測定しており、水質については今回が3回目の調査になり、27地点中2地点で検出がされておりました。一方、大気は今回が2回目の調査になりまして、21地点中6地点で検出がされておりました。
 以上が初期環境調査の結果になります。
 続きまして、詳細環境調査の結果ですが、ページをめくっていただきまして、6ページ目、別表2を御覧ください。今回は7物質群について調査を行っております。こちらも初期環境調査同様、令和2年度の調査結果を太字にして記しております。また、過去の調査実績がある物質については、その調査当時の結果も併せて記載しております。
 こちらも同様に調査番号順に御説明させていただきます。
 物質調査番号1、アニリンについてです。こちらは過去に何度も調査がされており、今年度の結果は31地点中23地点で検出がされております。
 続きまして、物質調査番号2、[(3-アルカンアミドプロピル)(ジメチル)アンモニオ]アセタート類についてです。こちらについては、6物質のグループとして測定されており、水質と底質で両方測定しているのですが、今回が初めての調査になります。順に説明をさせていただきます。
 まず、[2-1][(3-デカンアミド-プロピル)(ジメチル)アンモニオ]アセタートについてです。こちらについては、まず水質については31地点中16地点で検出、底質については31地点中いずれの地点でも検出されていないという状況でございました。続きまして、[2-2][(3-ドデカンアミド-プロピル)(ジメチル)アンモニオ]アセタートについてです。こちらも水質については31地点中24地点で検出、底質については31地点中いずれの地点でも検出がされておりませんでした。続きまして、[2-3][(3-テトラデカンアミド-プロピル)(ジ
メチル)アンモニオ]アセタートについてです。こちらについては、水質については31地点中18地点で検出、底質については31地点中1地点で検出という状況でございました。続きまして、[2-4][(3-ヘキサデカンアミド-プロピル)(ジメチル)アンモニオ]アセタートについてです。こちらも水質については31地点中18地点、底質については31地点中6地点で検出がされておりました。[2-5][(3-オクタデカンアミド-プロピル)(ジメチル)アンモニオ]アセタートについてです。こちらについては、水質について31地点中27地点で検出、底質については31地点中9地点で検出がされておりました。最後、[2-6](Z)-{[3-(オクタデカ-9-エンアミド)プロピル](ジメチル)アンモニオ}アセタートについてです。こちらについては、水質について31地点中6地点で検出、底質については31地点中13地点で検出という結果でございました。
 続きまして、物質調査番号3、環状ポリジメチルシロキサン類についてです。こちらについては、昨年の本委員会においても御説明をさせていただいたとおり、2019年度にも調査を実施しているのですが、そのうち水質の分析結果については疑義が生じたため、2020年度の結果を踏まえて、その2019年度の結果を採用するか否かを改めて判断するということとして取扱いを保留しておりました。今回、2020年度の結果を踏まえまして、改めて2019年度の水質の分析結果を精査したところ、2019年度の測定値は2020年度のものと比較して、環境残留濃度と大きく乖離しており、機器測定で得られた数値への疑義を払拭できず、結果の信頼性が担保できないとされたことから、水質について2019年度の結果は全て欠測扱いとさせていただきました。その一方で、2020年度の結果については、そういった疑義というのは認められておりませんでしたので、その結果を本委員会において御報告させていただきます。
 なお、今御説明した内容については、この表の脚注にも同様に記させていただいております。
 それでは、改めまして、2020年度の結果についてです。
 まず、[3-1]オクタメチルシクロテトラシロキサンについてです。こちら、水質については26地点中19地点で検出されております。生物については、今回が2回目の調査でございまして、12地点中8地点で検出がされております。続きまして、[3-2]デカメチルシクロペンタシロキサンについてです。こちら、水質については26地点中16地点で検出がされております。一方、生物については今回が2回目の調査でございまして、12地点中全ての地点で検出がされておりました。続きまして、[3-3]ドデカメチルシクロヘキサシロキサン。こちらについては、水質については26地点中15地点、生物については今回が2回目の調査でございまして、12地点中7地点で検出がされておりました。
 続きまして、物質調査番号4、二硫化炭素についてです。こちら、今回で3回目の調査でございまして、水質において32地点中31地点で検出されておりました。
 続きまして、物質調査番号5、ビス(N,N-ジメチルジチオカルバミン酸)N,N’ーエチレンビス(チオカルバモイルチオ亜鉛)(別名:ポリカーバメート)でございます。まず、[5-1]N,N’ーエチレンビス(ジチオカルバミン酸)についてです。こちらについては底質で調査がされており、今回が初めての調査となります。28地点中2地点で検出がされております。続きまして、[5-2]N,N-ジメチルジチオカルバミン酸についてです。こちらについても今回が初めての調査でございまして、底質を対象に28地点中いずれの地点でも検出がされておりませんでした。
 ページをめくっていただきまして、7ページ目、物質調査番号6、フタル酸エステル類についてです。こちらも幾つもの物質をグループで測定しております。一つ一つ説明をさせていただきます。
 まず、[6-1]フタル酸ジメチルについてです。こちらについては今回が3回目の調査でございまして、水質を対象に34地点中5地点で検出がされております。続きまして、[6-2]フタル酸ジエチルについてです。こちらは今回で2回目の調査でございまして、水質を対象に34地点中5地点で検出がされております。続きまして、[6-3]フタル酸ジイソブチルについてです。今回が3回目の調査でございまして、水質を対象に34地点中2地点で検出がされております。続きまして、[6-4]フタル酸ジ-n-ブチルについてです。こちらは過去に何度も調査がされておりまして、水質を対象に34地点中7地点で検出がされております。続きまして、[6-5]フタル酸ジ-n-ヘキシルについてです。こちらは今回が初めての調査になりまして、水質を対象に34地点中いずれの地点でも検出がされておりませんでした。続きまして、[6-6]フタル酸ジオクチル類についてです。こちらも今回が初めての調査になりまして、水質を対象に34地点中8地点で検出がされておりました。続きまして、[6-6-1]フタル酸ジ-n-オクチルについてです。こちらは過去に何度か調査がされており、今回が4回目の調査になりまして、水質を対象に34地点中いずれの地点でも検出がされておりませんでした。続きまして、[6-6-2]フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)についてです。こちらについても過去に何度か調査がされておりまして、今回は水質を対象に34地点中10地点で検出がされておりました。続きまして、[6-7]フタル酸ジノニル類についてです。こちらは今回が2回目の調査になりまして、水質を対象に34地点中5地点で検出がされておりました。続きまして、[6-8]フタル酸ジデシル類。こちらは今回が2回目の調査になりまして、水質を対象に34地点中7地点で検出がされておりました。最後、[6-9]フタル酸ジウンデシル類についてです。こちらは今回が初めての調査になりまして、水質を対象に34地点中2地点で検出がされておりました。
 続きまして、物質番号7、N-メチルカルバミン酸2-sec-ブチルフェニルについてです。こちらは今回が3回目の調査になりまして、水質を対象に32地点中25地点で検出がされておりました。
 以上が詳細環境調査の結果になります。
 続きまして、ページをめくっていただきまして、8ページ目以降を御覧ください。こちらがモニタリング調査の結果になります。モニタリング調査につきましては、残留状況の経年変化、すなわち増加・減少傾向を把握することが目的の中心となります。8ページには、別表3-1として水質・底質の結果を、9ページの別表3-2には生物・大気の結果を取りまとめております。各物質の検出範囲、検出頻度と幾何平均値については、御覧のとおりです。
 また、それぞれ表の左側に調査物質番号を示しておりますが、これはストックホルム条約の対象物質ごとに固定の番号をつけておりまして、令和2年度に調査を行っていない物質については表に載せておりません。したがいまして、番号が連続していないというのはこういう理由となっております。
 また、さきに説明いたしました初期環境調査及び詳細環境調査については、ナノグラムオーダーで結果を記載しておりましたが、モニタリング調査では、各媒体共にピコグラムオーダーとなっており、初期環境調査、詳細環境調査の1,000分の1オーダーで下限値が設定されております。こちらの対象物質が試料に含まれる場合には、可能な限り定量できるよう測定を実施しております。
 次に、10ページ目、別表3-3を御覧ください。2002年度から2020年度、すなわち令和2年度までの経年変化のうち、まずは水質の結果を示しております。モニタリング調査を実施したもののうち、数年間のモニタリングデータが蓄積された物質を対象に統計解析を実施しており、こちらはあくまでも環境濃度の比較でございまして、環境リスクの大小とは直接結びつくものではないのですが、モニタリング対象物質の濃度レベルは、総じて横ばい、または右下がりの減少傾向にあるという結果となっております。
 続きまして、11ページ、別表3-4についてです。こちらは底質の分析結果を示しております。こちらも水質と同様、横ばい、または減少傾向にあるという結果になっております。
 さらに進みまして、12ページ、別表3-5についてです。こちらは生物及び大気の経年変化を示しておりますが、いずれの媒体においても水質・底質と同様、横ばい、または減少傾向の結果となっております。
 最後に、13ページ、14ページを御覧ください。本調査結果を取りまとめるに当たって、こちらに記載しております各種検討会を開催し、専門家の先生方に結果の精査や解析等を行っていただきました。
 続きまして、資料2-2でございますが、先ほどの冒頭で御説明させていただいたとおり、各物質の詳細な説明は割愛させていただきます。こちらは約500ページにもわたる内容となっておりまして、令和3年度版の化学物質と環境、いわゆる黒本の現時点での案となっております。本年度の黒本では、令和2年度の調査結果について公表することを予定しておりますが、実際に製本する際には、この資料2-2に加えて、調査結果の概要やこれまでに調査を行った化学物質の調査結果一覧などが加わりますので、さらにページ数が増えることになります。
 また、一部の表現方法については、引き続き検討中のものもございますが、基本的に検出値等の情報に変更はございません。
 続きまして、資料2-3を御覧ください。こちらについては、本年度、すなわち令和3年度の調査の進捗状況についてまとめたものになります。
 まず、1ページ目、1.調査内容にありますとおり、本年度も初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査と三つの体系で調査を実施しているところでございます。
 その下、2.精度管理についてでございますが、初期環境調査及び詳細環境調査については、今年度も一部の地方環境研究所に分析を御協力いただいておりまして、複数の分析機関が同一の物質の分析を行っております。したがいまして、分析ごと、分析機関ごとに測定条件等が若干異なることが想定されるため、結果に差異であるとかばらつきが生じるおそれがあります。これを事前に把握し、必要な対策を行うため、実際の分析を行う前に、共通の標準物質などを配布して、ラウンドロビンテストを実施し、精度の担保を行っております。
 また、初期環境調査、詳細環境調査及びモニタリング調査については、共通して分析機関が毎年度代わる可能性があるという背景がございますので、昨年度に引き続きまして、調査の継続性を担保するために、国立環境研究所をはじめとした有識者の方々に御協力をいただきまして、分析機関の立入調査を行い、実施状況が適正であるということの確認に努めているところでございます。
 さて、今年度、調査を実施している物質及び媒体については、2ページ以降に記載しております。
 まず2ページの表1を御覧ください。今年度初期環境調査の対象物質は、こちらにお示ししている11物質群が対象になっております。媒体のところで◎で示しているものについては、今回初めて調査を実施するものでございまして、○で示したものが過去に調査を実施しているものになります。
 一番右側の要望施策の欄には、要望部署の名前を記載させていただいております。
 次に、3ページ目、表2を御覧ください。こちらは詳細環境調査の対象物質です。令和3年度においては6物質群について調査を実施しております。
 最後に、4ページ目、表3を御覧ください。こちらはモニタリング調査の対象物質ですが、今年度はストックホルム条約の対象物質に加えて、その候補群、1物質を加えた合計11物質群で調査を実施しております。
 これら初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の結果につきましては、来年度の本委員会において御報告をさせていただく予定としております。
 続きまして、資料2-4を御覧ください。こちらは令和4年度、次年度の化学物質環境実態調査の実施方針(案)でございます。御承知のとおり、要望部署からの要望をいただいたとしても、これを測定する分析法がなければ分析することができませんので、別添1においては、令和3年度、今年度に分析法の開発を行っている物質、別添2に、令和4年度以降、次年度以降に調査を実施するもののうち既に分析法がある物質、別添3では、令和4年度以降、次年度以降に調査をする物質のうち改めて分析法を開発する必要がある物質をそれぞれまとめております。これらの物質については、鋭意、分析法を開発中もしくは分析法を開発する予定のものばかりでございますが、準備が整ったものから、次年度以降の調査をさせていただく予定としております。
 続きまして、資料2-5でございます。こちらについては、令和元年度化学物質環境実態調査の活用状況に示したものです。令和元年度の調査については、昨年度の本委員会において御了承いただいたものでございますが、この結果については各要望部署にフィードバックをさせていただき、どのように活用したかということをまとめさせていただいたものです。
 ページをめくっていただきまして、2ページ目、別表1については令和元年度の初期環境調査の結果とその活用状況、7ページ目、別表2には令和元年度の詳細環境調査の結果とその活用状況をまとめさせていただいております。
 大変長くなりましたけれども、以上が資料2についての御説明となります。
○櫻井委員長  どうもありがとうございました。結果の取りまとめに当たっては、専門家から構成される検討会議で別途精査、解析等をしていただいたとのことですが、本委員会において評価等に入る前に、それぞれの実務者会議で座長を務められた白石委員、中杉参考人、柴田委員より補足説明などございましたら、一言ずつ御発言をお願いしたいと考えております。
 まず、化学物質環境実態調査結果精査等検討会及びモニタリング調査の結果に関する解析検
討会の座長を務められた白石委員から御発言をお願いできますでしょうか。
○白石委員 白石です。よろしいでしょうか。
○櫻井委員長 よろしくお願いします。
○白石委員 これ、毎年のことなのであまり細かいことは省略しますけれども、精査検討会は得られた報告書をベースに精度管理に関わる様々な項目について精査させていただいたということです。全部で3回ほど会議を開きました。13ページに委員の名簿がありますけれども、このそれぞれの方にそれぞれ担当する報告書を見ていただきまして、コメントをいただいたということがございます。その中でいろいろ懸念のあるものもありまして、それに関しましては、3回終わった後にもまだ懸念が残っているものがございまして、測定機関等に問合せ、あるいは、場合によっては再測定の依頼等を行いまして、懸念のあるものにつきましては、最終的には欠測ということにさせていただきました。黒本の本文にも欠測が幾つあったとか書いてありますけれども、様々な理由がありまして、欠測をつけざるを得なかったものがございました。結果的には、精度管理に関して満足できるものにつきまして数値を与え、それに対する同一検出下限値を定めたというところでございます。
 モニタリング調査に関わる解析検討会につきましても、これも例年のとおりなんですけれども、統計手法についていろいろ検討を加えました結果、大体まとまってきたということで、委員の方からもそのような評価をいただいております。結果につきましては、資料の10ページ目にございますけれども、ちょっと見にくいのですが、矢印、階段の印、点線の矢印、横棒の印がございますけれども、それぞれ統計手法が異なっております。一番、統計手法として半減期ですかね、減少、速度みたいなものが出せるのが実線の矢印で示したものです。それにつきましては、黒本の中は多分、半減期みたいなものも書かれると思います。これは2002年度から2020年度における経年的な変化ということで、実際の細かいデータを見ますと、途中で山があったりするものがございます。このモニタリング検討会の中では、全体としてこういう傾向を出すということは統計手法としてはよくできてきたという評価なんですけれども、細かい点について今後も少し検討する必要もあるかなという議論でございました。
 以上です。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
 続きまして、初期環境調査及び詳細環境調査の結果に関する解析検討会の座長を務められた中杉参考人より御発言をお願いいたします。
○中杉参考人  中杉ですが、よろしいでしょうか。
○櫻井委員長  よろしくどうぞ。
○中杉参考人  先ほど白石委員から御説明がありました精査検討会で出していただいた、検討していただいたデータを基に、初期環境調査、詳細環境調査の結果を解析するということで、先ほどの資料2-1の最後のページにあります委員の方に集まっていただいて、一度、1回だけですけれども検討しました。基本的には、過年度の調査があった場合に、過年度の調査と比べてどうであるか。POPsモニタリングみたいに統計解析手法を用いてということではなくて、見た目でどうかということを見ています。
 それと、あとは調査物質及び排出源との関係がどうか、何か見えないかということを二つ目に挙げたということでございます。
 それと、もう一つはいろんな成分が入っているものを同族体の中のどの成分が多いのかというようなことも少し整理をしてみました。
 まず、過年度の調査との比較においては、2物質が過年度に対して減少傾向が見られたというふうな評価をしております。これは資料2-2の50ページと51ページにあるんですが、この物質は農薬で、2012年までの登録が失効しているものです。それで見ますと、最近の、今回のデータは、過去に比べて比較できるところでは行っているだろうという判断です。もちろん検出下限が過去のものは高い場合がありますので、いずれもNDで比較ができないというものもありますが、比較ができるものを見て減っていそうだ。それから比較できない、両方ともNDの場合は矛盾がないかということで考えまして、このりん酸ジメチル=2,2-ジクロロビニルについては減少しているだろうと。これは農薬登録の失効ということも含めて、PRTR届出排出量が減少しているということも含めて低下しているのだろうというふうに考えました。
 それから、詳細環境調査のほうでは、フタル酸ジ-n-ブチル、これは112ページになりますけれども、過去の調査と同一地点で実施した15地点中6地点で低くなっている。その他の9地点についても横ばいの値か、先ほど申し上げたような理由で比較できないですけれども、少なくとも減少がおかしいということを示すものではない。それから、PRTRの届出排出量と集計排出量は共に減少しているということで、この物質についても低下をしているということでよろしいのではないかというふうな判断をいたしました。
 それから、調査物質と排出源との関係につきましては、今年度も、いわゆるPPCPsを多く調査しております。5物質を調査しておりますが、そのうち3物質が下水処理場の下流地点で中心に検出されているということになります。結果が出ました。これを、全体を見て、委員の先生方から見ると、上流に下水処理場が存在するというのは、ほかの地点と比べて高濃度で検出される傾向にあったという評価になるかというふうに思っています。これは後で環境リスク初期評価のほうでもそういう例がございますのでお話をしたいと思います。これは、そういう意味では、PPCPsの測定については全体に、これは人の健康と動物、薬品とどっちをどう考えるかというのは後で初期評価のほうでお話ししますけれども、この辺のところでは黒本の調査でリスクの高い地点というのは明確に見えてきているような感じがいたします。そういう意味で、そこら辺を調査においてどういうふうに考えていくかということも一つの議論になるかなというふうに思っております。
 それから、同族体の主成分につきましては、詳細調査の2番と3番でそれぞれに炭素鎖が違ってきたりしているものですから、それらについて、どの物質が主に出ているか、どの成分が主に出ているかというようなことを本文中に記載するようにいたしました。
 以上でございます。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
 続きまして、POPsモニタリング検討会の座長を務められた柴田委員から御発言をお願いいたします。
○柴田委員  東京理科大の柴田です。POPsモニタリング検討会のほうの概要を説明させて
いただきます。
 POPsモニタリング検討会のほうは、資料2-1の最後にあります検討会の下に、さらに分析法分科会という分科会ができておりまして、そちらに分析に詳しい方を参加いただいて、詳しいデータの確認というのを2回行っております。その結果を踏まえて、最終的に検討会を1回開くという形で作業を進めました。
 作業のほうは例年と同じで、基本的には令和2年度にサンプリング及び分析が行われた物質について、採用されました前処理法とか分析法に関する確認をして、あと一般的な精度管理の項目でありますサロゲートの回収率ですとか、検出下限、定量下限を確認したり、ブランクレベルを確認したり、二重測定の結果を確認したと。さらに、クロマトグラムも確認をして、問題がないことを見ていくというような作業。それから、先ほども説明がありましたように分析担当機関の立入調査を行った上で、データの精度については問題ないだろうというような判断を行っております。
 それから、ストックホルム条約のほうで新しい物質の追加に関する審議がさらに進んでいるような経緯もありますので、今後の追加も少し考えながら現在までに分析法の開発が行われていたり、あるいは国内で、例えば初期調査や詳細調査が行われているかどうかの確認というのも行っております。ごく一部、審議中のもので、まだ行われていないものもありますけれども、そういったものについても、既に国内で研究者による調査なども行われている事例があるということも確認いたしましたので、基本的にPOPs条約に関しては、しばらく先をにらんでも、分析法については基礎的に検討が進められている状況というのが確認できたという状況です。
 あと、併せて今回の結果、全体のトレンドについては既に御説明がございましたので省略させていただきますけれども、この2-2のほうで、一番最後のほうに追加の情報としまして沖縄県の辺戸岬と、それから五島列島の福江島における大気の高頻度測定の結果というのがございます。こちらについても、先ほど言った精度管理をまず行った上で、データについてはストックホルム条約の条約有効性評価のための地域レポートというほうにまとめておりますので、その結果を簡単に紹介して議論を行いました。沖縄県のデータを見ますと、例えば過去10年にわたってDDTやその代謝物、分解物、あるいはヘキサクロロシクロヘキサンなどが有意な減少傾向を示しているという結果が得られております。こういったものについては、実は、お隣の韓国がチェジュ島でも同じようにバックグラウンド地点での大気の毎月のモニタリングというのをやっていますけれども、そちらのほうでもDDTなどはきれいに下がっているというような結果が得られておりまして、東アジア全体でバックグラウンド地点でDDTレベルがどんどん下がってきている様子というのが見えていることが確認できております。
 ただ、その一方で、先ほどの国内のデータでは大気中、きれいに減少傾向が認められていたPCBなどについては、どうも沖縄のバックグラウンド地点で見ていると、かえって増加しているのではないかと思われるような傾向もあって、引き続き監視をしていく必要があるであろうというような議論も行っております。
 POPsモニタリング検討会については以上です。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
 それでは、各委員からの補足説明も踏まえた上で、資料及び説明内容に対して御質問、御意見等がありましたら、どうぞよろしく御発言をお願いいたします。
○関澤委員  関澤です。
○櫻井委員長  どうぞ。
○関澤委員  資料、御説明ありがとうございました。資料2-1の別表2なんですけれども、6ページです。御覧いただけますでしょうか。[4]の「二硫化炭」と書いてあるのは「二硫化炭素」のミスプリではないかということと、[5]の「5-2」というのが二つあるんですが、上のほうが「5-1」ではないかという、ちょっとミスプリではないかなと思われたので、御検討ください。
 以上です。
○櫻井委員長  ありがとうございました。早速修正ということですね。
○飯野環境安全課保健専門官  環境安全課の飯野でございます。
 御指摘ありがとうございました。修正させていただきます。
○櫻井委員長  ほかに何か、どうぞ。
○遠山委員  遠山ですが、よろしいでしょうか。
○櫻井委員長  どうぞ。
○遠山委員  POPs関係に関しての質問です。一つは、POPsの、ページで言いますと3ページになるんですが、これは資料の2-1ですね。
○櫻井委員長  資料2-1の3ページですね。
○遠山委員  下から3行目辺りに、POPs全体でPOPs濃度レベルは水質・底質中で総じて横ばい、減少傾向にあるというふうな総括をなさっています。これは、もちろんここで測定をしたものに関してはそうなんですが、例えば御承知であれだと思うのですけれども、環境省の水・大気環境局のほうでPFOS関係の測定をした結果が、今年の、たしか6月に、あるいは5月28日だったかな、ぐらいに発表されています。それによると、全国で170ぐらいの地点を調べてみたら、かなりの地点、数十地点において暫定的に決めた目標値の50ng/Lを超えているという報告をしているわけです。ですから、その中身というのは河川水だったり、地下水だったり、湧水、湧き水ですね、こんなものが含まれているわけなので、この辺りと同じ環境省の中で調査をしているので、何かまとめるときには誤解を招かないような形にしたほうがいいのではないかというふうに思います。つまり黒本を見て、先ほどのように経年的な傾向が横ばいだったり、上がったり下がったりという、それはそれで、調べたことに関しては間違いないんですけれども、やはりほかのところでこういった問題が起きていると、問題が、この黒本の調査は一体どういう意味があるんだというようなことにもなりかねないので、やはりそこは総合的に取りまとめをしていただく必要があるだろうというのが僕の意見です。
 それから、もう一点、関係することとしては、先ほど下限値の部分で、ngではなくて、pg/Lにして表示をしているというふうにおっしゃいました。それはそれで、物によってはそれでいいと思うのですけれども、環境生物に対するリスクとか、あるいは人に対するリスクを考えたときに、明らかに影響が出ないようなレベルまで測定を、分析精度、感度を上げて測定する必要はないわけですよね。ですから、ng/Lでいいものは、むしろng/Lという表示にしたほうがいいのではないか。つまりPFOSの場合でも、一応の基準が今50ng/Lですから、何もpg/Lまで測定をする前に、もうちょっと別のことに注力をしたほうが何か資源の有効利用ということにもなるのかなというふうなことを思いました。
 以上です。
○櫻井委員長  ありがとうございました。お答えいただけますか。
○飯野環境安全課保健専門官  環境安全課でございます。
 遠山先生、コメントをありがとうございました。まず一つ目の御意見についてですが、遠山先生がおっしゃっておられるのは、水環境課が実施している全国調査のことかと思います。それについては遠山先生も御承知のとおり、黒本調査とその全国調査というのは、その目的が異なっておりまして、前者については、全国調査については調査地点の選定の段階で排出源となり得る施設を中心に調査を実施している一方で、黒本調査については、どちらかというとバックグラウンドを測定するという目的もありますので、そういった人の経済活動や産業活動の影響がない、もしくは少ない場所で調査をしているという点から、両者の調査というのは、そもそも目的が異なっているということについては御理解をいただかなければならないと思っており、我々としても、調査によって目的が異なっており、その結果が意味するところは違うということについて丁寧に御説明をしていく必要があるのかなというふうには考えておるところでございます。
 2点目の点についてですけれども、私の説明が舌足らずだったのか、モニタリング調査については、そもそもPOPs条約で規制されている物質が主な対象になりますので、そういったものというのは当然、製造もされていないという背景があるものですから、そもそも調査をしても検出されるはずがない、もしくはされたとしても減っているということを前提とした調査になりますので、より厳しいオーダーで調査をさせていただいているということでございます。
 また、モニタリング調査というのは、その単年でこうでしたということで終わるものではなくて、経年変化を見ていくという必要があるものでございますので、過去との一貫性の観点から、ピコグラムオーダーでの調査を今後も続けてまいりたいなというふうに考えております。
 私からは以上です。
○櫻井委員長  ありがとうございました。ただいまの御回答では、この概要そのものを修正する必要はないだろうというお考えと思います。当然、何らかの形でそれを明らかにするということは、例えば黒本のほうでお書きになるのかなとも思いますけれども、その辺り、遠山先生いかがでしょうか。
○遠山委員  今、僕、言ってもいいですか。中杉先生がまずその前に手を挙げていらっしゃるようですから。
○櫻井委員長  そうですか。中杉先生、どうぞ。
○中杉参考人  よろしいでしょうか。基本的に遠山先生が言われるとおりだろうとは思いますけれども、黒本調査は、土壌・地下水絡みの調査をやっておりませんので、そこのところは明確にしておく必要があるんだと思うんですね。これは前から黒本調査をやらない。こういう汚染物質というのは、やっぱり土壌・地下水というのはいつまでも残る。これが見られていないということは十分に説明をしておく必要があるんだろうというふうに思います。
○櫻井委員長  ほかに何かございますでしょうか。
○小山委員  すみません、小山ですけど、よろしいでしょうか。
○櫻井委員長  どなたですか。
○小山委員  小山です。
○櫻井委員長  小山先生、どうぞ。
○小山委員  詳細調査のことで伺いたいんですが、資料2-1の7ページ、フタル酸ジメチルについて、これは複数年の水質調査が行われております。通常であれば、だんだん検出下限値が下がっていくんですが、2020年の検出下限値が前回2007年の約6倍上がっているんですが、これはどうしてなんでしょうか。
 以上です。
○櫻井委員長  いかがでしょうか。
○飯野環境安全課保健専門官  環境安全課でございます。
 御質問ありがとうございました。こちらについては御覧いただいているとおり、物質調査番号[6]といいながらも複数の物質を同時に測るという分析法になっております。過去のものというのは、必ずしもここに載っている全てのものを網羅したものではない分析法でございまして、今回、より多くの物質を測定するということもあり、複数の物質の共通の下限値がそれに伴って上昇してしまったという点が1点と、あと、こちらは分析法開発の時点で分かっていたことなのですが、どうやらブランクで検出値が出てしまうということが分かっておりました。それに伴いまして、幾つかの物質については、2020年度の検出下限値が上昇してしまっている
という状況でございます。
 私からは以上です。
○櫻井委員長  よろしいでしょうか、小山先生。
○小山委員  ありがとうございました。
○櫻井委員長  そのほか、何か御発言ございますでしょうか。
○鈴木委員  鈴木ですけど、よろしいでしょうか。
○櫻井委員長  どうぞ。
○鈴木委員  ありがとうございます。調査結果をありがとうございました。一つ、今回だけではなく、この数年、複数の物質、特に類似成分を同時に測定するというケースが増えているように思いまして、これは私の見立てとしては、現在の分析化学の進歩を使っていくにはそういうことはぜひ積極的にやっていただきたいということで、これは引き続きやっていただくほうがよいかなと思っております。それによって同時にたくさんのデータが得られるというのがございますし、なかなかうまくいかないかもしれませんが、ある場合には黒本調査全体の効率化にもつながる可能性もあると思いますので、積極的に検討していただければと思っております。
 その上で、この同時分析のときに、多分二パターンあると思うんですけれども、一つは、単に関係ない複数の物質を同時に測っているというケースでありまして、ある場合には、そうではなくて、同じ物質の中の異性体、同族体の類いを、物質を測定しているという二つのケースがありまして、前者の場合は今でいいと思うんですが、後者の場合に関しては、何らかの形で、やっぱり合計値の評価というのはやっておいたほうがいいんじゃないかという気がしております。見たところ、対応するのは詳細環境調査の2番かなと思いますけれども、ちょっとよくは、違いは分かりませんが、恐らく要求部署は最終的には中身も、候補の異性体、同族体も見られるでしょうが、合計値も見られるんじゃないかと思いますので、結構、検出下限値が違っておりますし、検出地点がどのような状態か分からないので、一方で、こういう値を単に合計するというのは、それなりに分析化学的な素養というか知識を要することでもありますので、黒本の側で考える評価というものを与えておいてもいいのではないかなという気はします。今年はいいと思いますけれども、来年以降、恐らく何かやり方について検討してみるということは意義があるのではないかと思います。
 以上です。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
○飯野環境安全課保健専門官  環境安全課でございます。
 鈴木先生、コメントをありがとうございました。御指摘のとおり、今年度の調査結果を見ましても、1物質ではなく、物質群で測定しているものがかなりの数ございます。こちらについては黒本原稿をどう書くかというところの解析検討会でも議論になったのですが、単にこの物質群をそのまま載せるということに加えて、例えばこの中のうちこれが高かったとか、そういった個別の、より詳細な記載ぶりを書いてはどうかというコメントをいただいたところでございます。先ほどの中杉参考人からも御説明がありましたが、そういったことを黒本調査に盛り込んでいくということを、現在進行形で並行して検討しているところでございますので、そちらの、例えば複数物質の合計値の評価とか、そういったところについては次年度以降の課題とさせていただければというふうに考えております。
 以上です。
○櫻井委員長  そのほか、ございますでしょうか。そろそろよろしいでしょうか。
○谷口委員  谷口ですけど、いいですか。
○櫻井委員長  どうぞ。
○谷口委員  ありがとうございます。
○櫻井委員長  どうぞ。
○谷口委員  ありがとうございます。資料2-1の4ページの1行目なんですけども、「相対的に高い傾向を示す」という言葉が出ております。次のパラグラフの最後の部分ですけども、「高めの傾向を示した」とあります。ここで相対的にという意味が、いろいろ考えてみたんですけれども、もう一つ、この二つの例から相対的な意味がはっきりしないなというふうに思いましたので、もし何でしたら、ここ、もっとはっきり書いていただいたらいいんじゃないかなと思うんですけど、いかがでしょうか。
 以上です。
○飯野環境安全課保健専門官  谷口先生、ありがとうございます。そもそも、この二つの書きぶりに違いがあるかどうかということも含めて、ここの書きぶりについては、より分かりやすく記載するという観点で修正をさせていただければというふうに考えております。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
 いかがでしょうか。そろそろ時間の点で、特段、ぜひという御質問等なければ、このテーマにつきましては、これぐらいで収めたいと思いますけど、よろしいでしょうか。
 そして、ただいまの各コメントの中で小さな修正と、それから、最後の相対的云々に関しての表現についての若干の訂正等あろうかと思いますが、その点、委員長預かりとしてお任せいただきまして、会議後に修正を行いまして、ほぼこの資料2-1のものを令和2年度化学物質環境実態調査結果の概要として公表するということにしたいと思いますが、皆様、御了承いただけますでしょうか。
(異議なし)
○櫻井委員長  ありがとうございます。御異議ないようですので、そのようにさせていただき
ます。
 それでは、次の議題に入ります。
 化学物質の環境リスク初期評価、いわゆるグレー本の第20次取りまとめについてです。資料3-1から3-3に基づきまして、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○草川環境リスク評価室長補佐  環境リスク評価室です。
 それでは、化学物質の環境リスク初期評価(第20次取りまとめ)について御説明いたします。
 資料の3-1を御覧ください。環境リスク初期評価の進捗状況です。
 化学物質の環境リスク初期評価は、環境リスク管理のための施策を念頭に置きつつ、多数の化学物質の中から相対的に環境リスクが高い可能性がある物質をスクリーニングするために実施しているものです。
 環境リスクとしては、健康リスクと生態リスクを対象としており、健康リスク初期評価は、化学物質の人の健康に対する有害性の評価を行った上で、その物質の環境に由来する曝露が人の健康に及ぼすリスクについてスクリーニング的な評価を行うもの、生態リスク初期評価は、化学物質の水生生物に対する生態毒性の評価を行った上で、その物質の水からの曝露が生態系に及ぼすリスクについてスクリーニング的な評価を行うものとしています。
 環境省では、平成9年度から化学物質の環境リスク初期評価を実施し、これまで委員の皆様、多くの専門家の皆様に御協力いただき、健康リスクと生態リスクの両方を対象とする環境リスク初期評価として297物質、生態リスク初期評価のみ実施した物質として95物質、実施しています。
 評価書は、「化学物質の環境リスク評価」(通称「グレー本」)として公表し、環境省のホームページにも掲載しています。
 2ページ目を御覧ください。第20次取りまとめについてです。今回の第20次取りまとめでは、健康リスクと生態リスクの両方を評価する環境リスク初期評価を10物質、生態リスクのみ評価する生態リスク初期評価を5物質、取りまとめたいと考えております。
 3ページ目を御覧ください。表2が今回の環境リスク初期評価の評価対象物質と選定理由、過去の評価の実施状況をまとめたもので、表3が生態リスク初期評価の評価対象物質と選定理由をまとめたものです。
 これらの物質の選定に当たりましては、環境省内の関係部局から要望されたものや、環境モニタリングで検出されたものなどから、有識者の意見を踏まえて必要性が高い物質を選定しています。
 4ページ目を御覧ください。環境リスク初期評価の検討体制ですけれども、全体を総括する企画委員会、中杉参考人を座長とする曝露評価分科会、青木委員を座長とする健康リスク評価分科会、楠井委員を座長とする生態リスク評価分科会において検討しています。
 これ以外に、発がんリスク評価ワーキンググループ、生態毒性QSAR活用ワーキンググループも設置しています。
 7ページ目以降は、過去の評価結果の概要を参考としてつけたものですので、説明は次に移らせていただきます。
 資料3-2と3-3は、今後、グレー本として公表する冊子の原稿(案)としても考えているものです。
 資料3-2の2ページ目を御覧ください。評価結果の活用についてですが、リスク評価の結果は、リスクの大きさに応じて、3段階の評価結果に分けています。
 一番リスクが大きい区分である「詳細な評価を行う候補」となった物質については、大気環境課や水環境課などのリスク管理の担当部局において、より詳細なリスク評価の実施がなされるよう取り組んでまいります。2番目にリスクが大きい区分である「関連情報の収集が必要」となった物質については、継続的な環境濃度の監視であるとか、より高感度な分析法の開発等を図ることとしています。
 3ページ目を御覧ください。評価の方法ですけれども、健康リスク評価、生態リスク評価、それぞれについて評価対象化学物質の有害性と曝露の状況を比較することにより、リスクの判定を行います。具体的には、健康リスク評価についてはMOEまたは過剰発生率、生態リスク評価についてはPEC/PNEC比により判定いたします。その上で専門的な観点から、さらなる情報収集の必要性について総合的な判定を実施いたします。
 なお、初期評価においては、環境リスクが高い物質を見逃すことのないよう、安全側に立脚した取扱いを行うこととしています。
 4ページ目を御覧ください。この表は、環境リスク初期評価の10物質の評価結果をまとめたものです。評価の結果、リスクの大きさに応じて3段階に分けていますが、A、「詳細な評価を行う候補」が、一番リスクが大きい区分となりまして、黒判定と呼んでいます。後ほど説明します添付資料の表中では■で表記しています。
 次に、B、「更なる関連情報の収集が必要」が、次にリスクが大きい区分でして、グレー判定と呼んでいます。▲で表記しています。
 そして、C、「現時点では更なる作業の必要性は低い」は、有害性に対して曝露量が十分小さいといったことから比較的リスクが小さい区分でして、白判定と呼んでいます。○で表記をしています。
 今回の結果では、黒判定が健康リスク初期評価では1物質、N-ニトロソジメチルアミンが経口暴露と吸入曝露において該当します。生態リスク初期評価では該当はありませんでした。
 グレー判定は、健康リスク初期評価では3物質、生態リスク初期評価で4物質該当しました。
 なお、グレー判定のうち、物質名に*印がついている物質は、専門家による総合的な判定によりさらなる関連情報の収集が必要とされた物質です。
 これ以外は白判定となりました。
 なお、メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネートについては、加水分解性が高く、水生生物が本物質に曝露する可能性が考えにくいことから、健康リスク初期評価のみ実施し、生態リスク初期評価は実施しないこととしています。
 5ページ目を御覧ください。この表は生態リスク初期評価のみ実施した5物質の結果をまとめたものです。全て白判定となっています。
 それでは、個別の物質の評価結果について、黒判定またはグレー判定となった物質を中心に番号に沿って御説明いたします。
 7ページ目、添付資料1を御覧ください。これは健康リスク初期評価の10物質の結果をまとめたものです。
 この表の見方ですけれども、左から、曝露経路として経口、吸入それぞれについて、リスク評価の指標、動物、エンドポイント、曝露評価、MOE・過剰発生率、それから有害性の知見と曝露評価を用いた総合的なリスクの判定、過去のリスク初期評価の結果の公表状況を示しています。
 総合的な判定のところに幾つか注釈がついていますけれども、注2と注3は専門家による総合的な判断により判定されたものです。
 まず、上から環境2番、N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミドですが、経口暴露についてグレー判定としています。有害性の知見としては、エンドポイントを腎臓相対重量の増加、無毒性量等を0.38mg/kg/dayとしています。曝露の情報はありませんでしたが、PRTRデータを用いた環境中濃度のシミュレーション結果等を踏まえ、専門家による総合的な判断によりグレー判定とし、曝露情報の充実が必要としています。
 次は、環境5番、N-ニトロソジエチルアミンです。経口暴露と一般環境大気の吸入曝露でグレー判定としています。経口暴露については、発がん性のほうですが、エンドポイントが肝腫瘍、ラットの試験結果から求めたスロープファクターが1.5×102(mg/kg/day)-1としています。曝露については、淡水のモニタリング結果から算出した予測最大曝露量0.000064μg/kg/dayがあり、これらにより、がん過剰発生率が9.6×10-6となり、これがグレー判定としています。
 一方、吸入曝露のほうですけれども、こちらは有害性の情報が得られなかったことから、経口暴露の有害性の知見を吸入曝露に換算し、また、曝露については一般環境大気のモニタリングデータを用いることで、がん過剰発生率を算出しまして、その結果を基に専門家による総合的な判断によりグレー判定とし、有害性や吸入曝露に関する情報収集を行う必要があるとしております。
 次は、環境6番、N-ニトロソジメチルアミンです。これは第10次取りまとめ、平成23年の専門委員会で審議していただいた物質の再評価でして、再評価したものにつきましては、次の9ページ、添付資料2に詳しく記載させていただいていますので、9ページを御覧いただければと思います。
 この表は、左側に前回の評価結果、右側に今回の評価結果を並べています。第10次の評価のときは、経口暴露、吸入曝露共にグレー判定でしたけれども、今回、新たな環境モニタリングデータが得られたこと、また、外国機関において健康リスクについて吸入の知見による評価値が発表されたことから、改めて初期評価を行いまして、今回はいずれも黒判定としています。
 具体的には、まず経口暴露については、有害性については前回と変更がなく、発がん性についてエンドポイントが肝腫瘍、スロープファクターが5.1×10(mg/kg/day)-1となり、曝露については、今回新たに淡水域のモニタリングデータが得られていますので、それを用いまして、がん過剰発生率が1.6×10-5となり、黒判定としています。
 吸入曝露については、前回、第10次のときは有害性の知見がありませんでしたが、2021年に英国環境庁がエンドポイントを鼻腔の腫瘍とするラットの試験結果から、長期環境アセスメントレベルを設定しまして、そこからユニットリスクを5×10-2(μg/m3)-1と算出をし、また、曝露については、一般環境大気のモニタリングデータ、0.3μg/m3を用いて、がん過剰発生率が1.5×10-2となり、黒判定としています。
 なお、評価書のほうには詳細を記載させていただいていますが、この予測最大曝露濃度0.3μg/m3が、測定された年の2番目に大きい濃度が0.0028μg/m3でして、この場合のがん過剰発生率が1.4×10-4、また、この年の4年後の2019年にフォローアップ調査が全国でなされていまして、このときの最大濃度が0.0023μg/m3でして、この場合のがん過剰発生率が1.2×10-4と、これらの場合であっても黒判定となります。
 次が環境の9番、メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネートです。資料が行ったり来たりして恐縮ですが、8ページ目を御覧ください。吸入曝露についてグレー判定としています。エンドポイントが肺の間質線維化、細気管支肺胞上皮過形成などであり、無毒性量等が0.034mg/m3、予測最大曝露濃度から計算したMOEが6,300超となり、白判定相当となりましたが、PRTRデータを基に推計した結果を踏まえ、専門家判断による総合判定としてグレー判定とし、大気中の濃度データの充実が必要としています。
 これ以外は白判定となります。
 10ページ目、添付資料の3を御覧ください。生態リスク初期評価について、15物質の評価結果をまとめたものです。
 まず、表の見方ですけれども、左から、物質名、試験生物種、エンドポイント、アセスメント係数、予測無影響濃度PNEC、予測環境中濃度PEC、PEC/PNEC比、総合的な判定、過去の公表状況としています。
 今回、グレー判定となったのは4物質ですけれども、まず上から環境1番、クロロ酢酸エチルです。有害性については、生物種がオオミジンコ、エンドポイントが急性の遊泳阻害に関するEC50で、PNEC値が1.6μg/Lとしています。曝露についてはデータが得られませんでしたが、PRTRデータを用いた公共用水域への排出量の予測結果等を考慮しまして、専門家による総合的判断によりグレー判定としています。
 環境2番、N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミドですが、有害性については、緑藻類の生長阻害に関するNOEC、オオミジンコの繁殖阻害に関するNOECがあり、PNEC値が1.4μg/Lとしています。曝露についてはデータがありませんでしたが、PRTRデータを用いた公共用水域への排出量の予測結果等を考慮しまして、専門家による総合的判断によりグレー判定としています。
 環境4番、トリフルオロ酢酸ですが、有害性については、緑藻類の生長阻害に関するNOECがありまして、PNEC値を1μg/Lとしています。曝露については淡水と海水それぞれモニタリングデータがありまして、予測環境中最大濃度から得られるPEC/PNEC比が、淡水域で0.2、海水域で0.4となり、グレー判定とし、さらなる情報収集に努める必要があるとしています。
 環境10番、モノフルオロ酢酸ですが、有害性については緑藻類の生長阻害に関するNOECがあり、PNEC値を0.0024μg/Lとしています。曝露については、淡水域、海水域におけるモニタリング結果が検出下限値未満でしたけれども、検出下限値を用いまして、PEC/PNEC比としては0.3未満となり、専門家による総合的な判断によりグレー判定としています。
 これ以外は白判定となっております。
 生態リスク初期評価のみ実施した5物質については、全て水生生物への有害性に関する知見は得られましたが、モニタリング結果からしますと、有害性に対して曝露量は小さく、白判定としております。
 1枚おめくりいただきまして、11ページ目、添付資料4を御覧ください。環境3の2,4-ジクロロアニリン、環境6、N-ニトロソジメチルアミンについては、新しい水質調査結果を入手しましたので再評価をいたしましたが、両方とも白判定で、変わらずという結果でございます。
 最後に、資料の5ページ目に戻っていただきまして、今後の対応でございます。
 まず、結果の公表につきましては、インターネット上で評価書を公表する予定です。
 評価の結果、「詳細な評価を行う候補」となった物質、黒判定となったものについては、リスク管理部局等へ情報提供いたしまして、より緊密な連携を図ることによって取組を促してまいりたいと考えております。
 そして、評価の結果、「更なる関連情報の収集が必要」、グレー判定とされた物質については、新たな情報収集の上、改めて環境リスク初期評価の対象とすることなど検討してまいります。
 今後の課題ですけれども、諸外国の動向など、新たな知見を踏まえてガイドラインを逐次見直していくこと、QSARの活用などに取り組んでまいります。
 説明は以上です。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
 それでは、資料3-1の説明の中で、今回の取りまとめに当たっては、専門家から構成される分科会などで別途御議論いただいたとのことですが、本委員会において審議に入る前に、それぞれの分科会などで座長を務められた中杉参考人、楠井委員、青木委員から補足説明などございましたら、一言ずつ御発言をお願いしたいと思います。
 まず、曝露評価分科会の座長を務められた中杉参考人から御発言をお願いいたします。
○中杉参考人  よろしいでしょうか。
○櫻井委員長  どうぞ。
○中杉参考人  曝露評価委員会で3回検討して、その前の段階から検討を続けていったんですが、取りまとめをしました。昨年度の報告から少し変えたところがございます。これは、環境実測データの表記の仕方が、資料3の42と43ページを最初に見ていただくといいんですが、従前は、各媒体中の存在状況というのを、国による調査結果と国以外の調査結果というのを一緒に表示をしていました。その中で、一緒に表示している中から、国による調査結果を基に評価をしていこうというふうな整理をしていて、国以外の調査結果については、専門家の判断をするときに参考にするというふうな形で整理をしていたんですが、両者が混在しているのはまずいのではないかということで、一応それを分けましょうということにしました。
 実際には、国による調査結果と、それから文献の調査による結果と、地方自治体による調査の結果等も、どういうふうに採用して評価をしていくかということに関しては検討を続けているんですが、なかなかうまく整理ができないので、考え方としては、従前のを今回も継続しております。ただ、表現の仕方として、そこら辺の扱いがはっきり分かるように、表を二つに分けましたということでございます。
 それから文献の調査の結果についても、今回いろいろ作業しているんですが、その中で、具体的には、生態の3番のトリメトプリムというのが一番問題になったんですが、これも環境の測定結果で評価をするということになりました。文献調査の結果を見ると、一番高い濃度が、名古屋市の新堀川というところで検出されたんですが、実際にこの地点を見てみると、この川は、どうもその最上流端が、測定地点の最上流端がすぐそばに下水処理場があることがわかりました。そこの排水の処理能力等を勘案すると、その川の水というのは下水処理場の排水に非常に近い形だろうということで、分析法が正しいとしても、リスク評価には適当ではないのではないかということで、今回はここを除外して、2番目のところを採用するという形にいたしました。そんなところが、少し今年の特別的なところです。
 個々の物質については、例えば、環境1番のクロロ酢酸エチル、44ページ、45ページのところですけれども、これについては下水道の移動量から予測した河川中濃度で、情報収集の対象とさせていただきましたけれども、この物質については、文献で加水分解による濃度減少があるということを書いてあるので、下水道からの移動量が、そのまま河川に出るというふうに考えていいのかどうかというのは、少し委員会の中で議論がありました。しかしながら、どのぐらい加水分解で濃度減少するかというのがあまりはっきりしないので、安全側を見て、ここでは下水道での除去、水に入ったことの分解の除去はないというふうに考えて、そのまま採用して、情報調査という結果になったというふうに考えています。
 それから、環境の4番のトリフルオロ酢酸については、これは非意図的生成物ということになっているんですが、どうもはっきり出るところが分かりません。一つ気になったのは、プロピレンオキサイドの生成時に本物質が生成するという記載があって、これが少し関連がするのかと考えて調べたんですけれども、よく分からなかったということでございます。
 それから、N-ニトロソジエチルアミンは、先ほど議論があったように、ちょっと高いデータがあって、そこで非常に高い発がんリスクが確認できるということになったんですが、この物質については、過年度の黒本調査の評価の際にも議論になって、データとしては問題ない、そこで再度調査を行うと、もう少し低くなるということであったので、次の濃度の曝露からリスク評価を考えていく。それでもリスクがあるということで判定をしたというふうに理解をしております。
 それから、もう一つ大きいのは、先ほどの黒本の調査の結果でも申し上げましたが、PPCPsは下水処理場の下流の地点で濃度が高い傾向があるということで、1から5まで、そういうところが最大濃度になっています。ただ、生態の3番のトリメトプリムについては、人健康だけではなくてブタ用の医薬品に多く使用されている可能性、そういうふうなデータがあるものですから、それについて、そこら辺とかの影響はどうなのかということで議論がなされました。ただ、文献調査によって、養豚場がある地域などの測定をした結果があるんですが、これは今回、そこら辺のところの、養豚場が多い地域で必ずしも一般的に測っているわけじゃありませんけど、文献調査で、そこのところの濃度は、そこら辺の濃度もそんなに高くないということが確認できたので、この国による調査の結果を、そのまま曝露評価のPECとして採用するということにさせていただきました。
 以上でございます。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
 続きまして、生態リスク評価分科会の座長を務められた楠井委員から、御発言をお願いいたします。楠井委員、聞こえておられないんですが。
○楠井委員  聞こえますでしょうか。
○櫻井委員長  聞こえます。お願いします。
○楠井委員  生態リスク評価分科会は、昨年度から4回、分科会を開催しております。その中で、毒性値についての信頼性評価を行い、今回の結果を述べております。結果につきましては、先ほど事務局のほうからありましたので、それは繰り返しません。
 今回、特に検討したことということですが、一つ、従来から行ってきたQSAR値の活用ということですが、今回につきましては、特にそれを活用するような物質がなかったということで、QSAR予測値については、評価文書にも全く出てこないという形になります。
 それから、従来から慢性毒性値ということについては、NOEC、つまり無影響濃度というものを採用してきました。しかし、最近、ECX、特にEC10といって10%の影響の値をもって、それを慢性値とみなすというふうな考え方も広く出ておりますし、海外では、そういったものも出ております。それを今までは採用してこなかったのですが、やはり、いろいろなそういうデータを活用していくということから、今回は生態の2のセルトラリンのところで、キーデータとして藻類のIC10というものを採用しております。今後とも、引き続きこういったECXという値について、藻類以外のものも含めて活用を検討する予定です。
 あとは、魚類の試験等では、胚を使った試験が、現在、非常に増えています。というのは、動物愛護の観点から動物を使わないで、胚を使った試験というのがどんどん増えてきておりまして、今後は、魚類を使った試験では、胚を使った試験がどんどん入れ替わって、代替試験として使われることが予想されます。従来は、胚を使った試験については、特に急性、慢性というのを区別しないで、今回の20次の報告の中でも、一応データとしては掲載しておりますが、キーデータとしては採用しておりません。しかし、今後は代替試験として、採用できるデータについては、急性、あるいは慢性というのをはっきりさせた形で使っていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
 続きまして、健康リスク評価分科会の座長を務められた青木委員、御発言をお願いいたします。
○青木委員  青木でございます。音声、聞こえますでしょうか。
○櫻井委員長  聞こえております。
○青木委員  ありがとうございます。
 評価結果は、先ほど事務局のほうから御説明がありましたとおり、詳細な評価を行う方法として、吸入、経口ともニトロソジエチルアミンが候補として挙がりました。更なる関連情報の収集が必要な物質として、計3物質が健康影響のほうでは出てきた次第でございます。それぞれの評価結果については、事務局のほうから御報告いただいたところなんですが、若干、審議の過程等について御報告を申し上げたいと思います。
 まず、健康リスク評価のこの分科会なんですが、都合3回行いまして、実際、実務的には事務局のほうから挙げていただいたエンドポイント、それから有害性評価値について、委員の先生の間で御議論いただいて、いわゆる無毒性量等を求めまして、それと曝露評価分科会のほうから頂いた資料ですね、曝露量を上げていただく。それから関連情報、PRTR等の関連情報を上げていただいて、評価結果を出したという次第でございます。
 若干細かいことを、詳細なことを申し上げますと、この6番目の物質の詳細な評価を行う候補に挙がったN-ニトロソジエチルアミンでございますが、これは再評価でございます。この評価を開始した時点では、新たな曝露評価の結果が出てきたということで評価を行ったのですが、実際、これは非常に、ある意味幸運だったところではございますが、本年、この物質、N-ニトロソジエチルアミンについて、英国環境庁において、吸入曝露の実験から、スロープファクターが算定されるということがございました。これは、いろいろリスク評価機関においてスロープファクター、あるいは、ユニットリスク等が算定された場合、このニトロソジエチルアミン
はユニットリスクがございますので、それを採用するという基本方針がございますので、それに従ってリスク評価を行ったという次第です。
 ただ、昨今、様々な情報、有害性については情報が上がってきておりますので、やはり、この元となったキーデータとなる、吸入曝露による発がん実験は、どの程度妥当なものかということは、発がんリスクを専門とする先生方にお集まりいただきまして、初期リスク評価としては、従来、通常はあまり行っていないんですけれども、詳細なデータの検討を行いまして、この実験では、曝露期間が生涯にわたること、それから曝露濃度が適切に測定されていることなど、十分信頼される知見だと判断いたしまして、この英国環境庁が出しましたユニットリスクですね、これを用いてリスク評価を行うこととしたという次第でございます。評価結果は、先ほど事務局から御紹介いただいたとおりでございます。
 もう一つ、加えまして、更なる関連情報の収集が必要な物質については、まずN-ニトロソジエチルアミン、これは5番目の物質でありますけれども、これについては、従来のリスク評価の方法に、初期リスク評価の手順に従って、確かに、いわゆるグレー判定が出てきたと。黒三角の判定ですね、この表にあります。更なる関連情報の収集が必要であるということを、発がんリスク評価のほうから明らかにしてきた次第でございます。
 それから、2番の物質、N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、それからもう一つ、9番の物質のメチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネートに関しては、これは、いわゆる従来の曝露データからするものでは、リスク懸念はというか、いわゆるMOEの算定からすると、あまり低い値は出ない。あるいは、そういうMOEの算出ができなかったものでございますけれども、PRTRデータ等を利用いたしまして、このリスク評価を行った次第でございます。漏れなく、その問題点を把握するという観点から、今後このような曝露データ、直接的な曝露データの測定以外からの情報を得て曝露を評価し、さらに、そのリスク評価を行うということは重要なことではないかと、改めて思った次第でございます。
 以上でございます。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
 それでは、各委員から、ただいまの補足の説明も踏まえた上で、御質問、御意見等ありましたらどうぞ。
 いかがでしょうか。特に御質問等ないようで、よろしゅうございますでしょうか。
○谷口委員  谷口ですけど、一言だけよろしいでしょうか。
○櫻井委員長  どうぞ。
○谷口委員  資料の3-2の5ページの上のほうに、表のすぐ下ですけれども、注とあって、メチレンビス何々については、生態リスク初期評価は実施しなかったとの注があるんですけれども、これは、お話を聞いていると、評価をしたけれども、できなかったという意味合いではなくて、初めから生態リスクについては、初期評価をしないということのようですので、それであれば、注として、この結果の注として書くのではなくて、例えば、4ページの3ポツ(1)の対象物質のくだりに、2行目ぐらいですかね、10物質という言葉があるんですけど、そこら辺に注釈とか、あるいは括弧書きで書くほうがいいのではないかなというふうに思ったんですけれども、いかがでしょうか。
 以上です。
○楠井委員  楠井ですが、よろしいでしょうか。
○櫻井委員長  どうぞ。
○楠井委員  これは、先ほど事務局から説明もあったと思うのですが、要するに加水分解性が非常に高いということで、水中で、そういう実験を行ったとしても、加水分解物にすぐ転化するので、その本来この物質として評価することはできないということに生態リスク評価分科会の議論でなりました。事務局からは、提案された物質ということで分科会の議論の結果、こういう形にまとめたということです。
 細かいところは資料3-3という、ちょっと分厚いほうになりますが、その243ページ辺りに書いてあります。最初から外してというわけではなくて、一応、分科会で評価したら、このような結果になったということでございます。
○櫻井委員長  どういたしましょうか。概要として発表するとき、ここのところに、生態リスク評価の開示についてはの後に一言つけ加えるかどうか。
○草川環境リスク評価室長補佐  事務局でございます。
 メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネートにつきましては、初期リスク評価の手順によるものですが、大気環境課から要望物質として挙げられたものでして、要望物質として挙げられた時点では、健康リスクの評価と生態リスクの評価の両方を実施するということになり、表の、資料3-1の表2に評価の対象物質として載ることになります。その上で、楠井先生から御説明いただきましたとおり、生態分科会における検討結果を経て、この物質については、加水分解性が高いので評価は行わないという整理がされたということになりますので、このような資料の立てつけとなってございます。
 以上でございます。
○櫻井委員長  では、このままでよろしいですか。
○谷口委員  谷口ですけど、いいですか、発言よろしいですか。
○櫻井委員長  はい。
○谷口委員  今の説明は、中身はよく分かるんです。けれども、この資料を読んだ人が、10物質について、健康リスクと生態リスクをやったんだなと思いながら表を見ると、生態リスクについては合計9物質しか挙がっていないということで、一体これはどういうことかという疑問が生じて、その表の下に実施しなかったと書いてあって、そこで初めて、ああ、そういうことかというのが分かるんですね。すなわち、スムーズに読めないんですよね。読んだ直後に疑問が出て、後で答えが出てくるということなので、それだったら、答えをもっと最初に書いたほうが読む人にとって分かりやすいんじゃないかなと、そういう意味で申し上げたわけです。
 なので、なかなか難しいとは思うんですけど、何とか工夫できないかなという思いでいるということです。
○櫻井委員長  どうぞ。
○草川環境リスク評価室長補佐  事務局でございます。
 先生、コメントありがとうございます。それでは、資料の3-1の表の2の注釈に、先ほどの生態リスク初期評価は実施しなかったという趣旨を追記することで修正させていただければと思います。
○櫻井委員長  資料3-1。
○中杉参考人  よろしいですか、中杉ですけど。
○櫻井委員長  どうぞ。
○中杉参考人  楠井先生から御説明があったとおり、今年は最初、生態リスク評価分科会でやり始めたんですよ。やり始めたところで、こういうような議論になって、一度やめましょうという話になったんです。多分今後は、最初から生態リスク分科会に入る段階で、こういう判断がなされるんだろうというふうに考えます。今年は非常に特殊なケースなので、こうなってしまっているけど、谷口委員が言われるとおりのことが起こるだろうと思うので、そこは直してしまったほうがいいだろうというふうに私も思います。
○櫻井委員長  そうしますと、資料3-1のほうで直すということですか。それで、資料3-2の5ページの。
○中杉参考人  というか、先ほど、谷口委員が言われたとおり、4ページの表の前の段階のと
ころで、以下のとおりとなると。ただ、このメチレンビスについては水で分解しやすいので、
生態リスク評価の対象とはしなかったというふうに書くのは、今後のことを考えると、そのほ
うが正しいだろうというふうに思います。
○櫻井委員長  ただいまの案ですと、4ページの3の(2)のところですね。
○中杉参考人  そうです。
○櫻井委員長  表のすぐ上のところに追加してはどうかということですね。
 では、これ、事務局のほうのお考えもあると思いますので、時間もないので、委員長預かりとさせていただけませんでしょうか。何らかの形で修正をさせていただきたいと思います。
 御異存なければ、そうさせていただきたいんですが。
○谷口委員  谷口ですけれども。
○櫻井委員長  はい。
○谷口委員  今までいろいろ御発言あった中身が、今の中杉先生の修文案で反映されていると思いますので、  私は、委員長預かりでお願いしたいと思いますけど。
 以上です。
○櫻井委員長  どことおっしゃいましたか。中杉参考人のお考えの。
○谷口委員  谷口です。
 中杉参考人がおっしゃったように、この表の上に、以下のとおりとなるという言葉がありますけれども。
○櫻井委員長  その辺りということですね。
○谷口委員  この言葉と表の間に、なお、これこれについては、加水分解の関係があって、生態リスク初期評価は実施しなかったと書けば、大体いいんじゃないかなと、そういうふうに思うんですけども、いかがでしょうか。
○櫻井委員長  いかがでしょうか。
○草川環境リスク評価室長補佐  事務局でございます。
 ありがとうございます。では、その方向で修正をさせていただきたいと思います。
○櫻井委員長  では、そのようにさせていただきます。
 あと、ちょうど時間が、予定の数分前ということになりますから、ぜひこれだけはという御質問、何かあれば。
○鈴木委員  鈴木ですけど、よろしいでしょうか。
○櫻井委員長  どうぞ、簡単にお願いします。
○鈴木委員  資料3-2の6ページのところで、一番最後に、物質選定に関して、用途ごとの規制法の下では全体像の把握が困難と考えられるという記述を書いているんですけれども、これは、この種のことは、多分、環境省、あるいは場合によっては他省庁を含むという中で、なかなか、やる場が少ない場所かと思いますので、非常に重要な役割かと私は思いますので、引き続き、お願いしたいと思っております。
 ただ、その上で、今回は、恐らく該当するものがなかったのかもしれませんが、必ずしもそのとおりのことが評価書の中にはっきり書いてあるわけでもないような気もするので、これも、もしこういう事案がある場合には、何かコメントしてもいいのかなというような気がいたしましたので、御検討いただければと思いました。
 また、その6ページの上のほうですけれども、その他も含めて、ぜひとも初期リスク評価の結果を関連部局と連携して出していただくということが、各物質評価の役割として非常に重要な点かと思いますので、こちらについても、改めてよろしくお願いいたします。
 以上です。
○草川環境リスク評価室長補佐  事務局でございます。御指摘ありがとうございます。初期リスクの役割として重要な点ということで、今後とも、その点に留意しながら、取り組んでまいりたいと思います。
○櫻井委員長  ありがとうございました。
 それでは、これで取りまとめさせていただいてよろしいでしょうか。
(はい)
○櫻井委員長  それでは、御指摘のあった点、修正も、この会議後に修正いたしまして、資料3-2を、化学物質の環境リスク初期評価(第20次取りまとめ)の結果についてとして公表するということで、御了承いただけますでしょうか。
(異議なし)
○櫻井委員長  じゃあ、御異存ございませんので、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、最後、その他といたしまして、本日、配付されている参考資料1について、事務局から説明をお願いいたします。
○飯野環境安全課保健専門官  環境安全課でございます。
 参考1をお手元に御用意ください。POPs条約第10回締約国会議(COP10)の結果概要について御報告させていただきます。
 COP10につきましては、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けまして、今年度7月26日から31日にかけて、第一部が開催されたところでございます。今回は、その結果について御説明をさせていただきます。
 第一部の成果でございますが、主に委員の選出と予算関係に関する決議が了承されました。いわゆる規制対象物質の追加に関する議論については、来年6月6日から17日に開催される第二部において議論される見込みとなっております。現時点では、新型コロナウイルスの感染症拡大が予断を許さないという状況ではございますが、現時点では、第二部については、スイス、ジュネーブにおいて対面開催をするという連絡を条約事務局からいただいているところでございます。
 次回、すなわち第二部の議題についてですけれども、POPs条約関係で言いますと、規制対象物質に関する議題がございまして、具体的には「ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質」の附属書Aに追加するか否かの議論がなされる見込みでおります。
 事務局からは以上です。
櫻井委員長  ありがとうございました。
 ただいまの参考資料の説明は、この専門委員会に関連する内容についての最近の動きの紹介ということでありまして、これは報告を受けたということでよろしいでしょうか。
 もし何か質問があればお受けできますが、よろしいでしょうか。
(なし)
○櫻井委員長  特にないようでございます。それでは、この報告を受けました。
 以上で、予定していた議題は終了となります。
 事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○太田環境安全課長  本日はどうもありがとうございました。
 本日御報告させていただきました令和2年度の黒本調査と、第20次の環境リスク初期評価の二つの調査の結果の概要につきましては、本日いただきました御指摘箇所につきまして、櫻井委員長に御相談し、必要な修正を行った上で、近日中に公表する予定といたしております。
 また、いわゆる黒本、グレー本の本体につきましては、この後、さらに内容を精査した上で、年度内を目途に公表することを考えておりますので、御理解賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 また、次回の本委員会につきましては、来年度の同じぐらいの時期の開催を予定しております。時期が近づきましたら、必要な御連絡、調整等をさせていただくことになりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○櫻井委員長  それでは以上で、第27回化学物質評価専門委員会を閉会いたします。
 どうもありがとうございました。
                                        午後0時03分 閉会