中央環境審議会 循環型社会部会 廃棄物処理基準等専門委員会(第9回) 議事録

議事次第

1.開会

2.議事

(1)廃棄物処理におけるトリクロロエチレンに係る状況について

(2)トリクロロエチレンに係る処理基準等のあり方について

(3)その他

3.閉会

配布資料

資料1 中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理基準等専門委員会名簿

資料2 中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理基準等専門委員会の設置について

資料3 検討事項等

資料4 一般廃棄物最終処分場の放流水等に係る直近3カ年の実態調査結果

資料5 産業廃棄物最終処分場の放流水等に係る直近3カ年の実態調査結果

資料6 トリクロロエチレンを含む廃棄物の処理実態調査結果

資料7 廃棄物に係るトリクロロエチレンの検定方法

資料8 論点整理(案)


参考資料1 水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の見直しについて(第4次答申)

参考資料2 水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度額等の見直しについて(答申)

参考資料3 一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令等について

参考資料4 特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)の判定基準等について

参考資料5 廃棄物に係るトリクロロエチレンの検定方法の概要

議事録

午後 2時00分 開会

【水谷課長補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理基準等専門委員会第9回を開催させていただきます。

 私、しばらくの間、司会を務めさせていただきます環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課の水谷と申します。よろしくお願いいたします。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところご出席を賜り、誠にありがとうございます。

 まず、本日の出席状況についてご報告させていただきますが、全8名の委員中、5名の委員の皆様にご出席をいただいております。細見委員、益永委員、松藤委員におかれましては、本日はご欠席ということで、事前に連絡をいただいているところでございます。

 それでは専門委員会の開催に当たりまして、企画課長の山本より、一言ご挨拶申し上げます。

【山本課長】 それでは廃棄物リサイクル対策部企画課長、山本でございます。

廃棄物処理基準等専門委員会の委員の皆様方におかれましては、本当にお忙しい中ご参集いただきまして、また平素より廃棄物リサイクル行政の推進に関しましてご協力、ご指導賜りまして、厚く御礼申し上げたいと思います。

 本日の委員会でございますが、この委員会におきましては、廃棄物処理法に基づく再生処分場からの放流水の基準等について扱っていただいておりますが、これらの基準に関しましては、新たな科学的知見や廃棄物処理を取り巻く状況の変化を踏まえながら、適宜見直しを行っていくというものでございます。

 本委員会におきましては、昨年度カドミウムについて、環境基本法に基づく環境基準等が改正されたことを踏まえまして、処分場からの放流水の基準、それから特管産廃としての判定基準等の見直しについてご議論をいただき、報告を取りまとめいただいたところでございます。

 今般、トリクロロエチレンについても同様に、水質環境基準等が改正されたことを踏まえまして、本委員会におきまして同様の諸基準等についてご議論いただきまして、その結果を取りまとめていただきたいというふうに考えております。委員の皆様方におかれましては、幅広い視点からご見識を賜りますようにお願い申し上げ、冒頭のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【水谷課長補佐】 それではカメラの撮影につきましては、ここまでさせていただきますので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 続きまして配付資料の確認についてでございます。資料の一番上にございます議事次第に資料一覧を記載してございますので、ご確認いただければと思います。もし過不足等あれば、事務局にお申しつけいただければと思います。このほか委員の皆様には資料5-5及び6の参考といたしまして、机上配付資料をお配りさせていただいております。

 これらの専門委員会の資料につきましては、委員会限りの資料を除きまして、原則全て公開という扱いにさせていただければというふうに思っております。

 続きまして、議事次第の次のものでございます。資料1をご覧いただければと思います。

こちら本年度の委員会名簿でございます。昨年度から少し委員の方に変更がございまして、それについてご報告させていただきますと、これまで酒井委員長、それから中杉委員、野間委員が退任をされまして、新たに大迫委員、それから細見委員に専門委員会の委員としてご就任いただいております。また委員長につきましては、酒井部会長の指名によりまして、国立環境研究所の大迫委員に委員長をお願いしております。

 それからもう一つおめくりいただきまして、資料2でございますが、こちら本専門委員会の設置についてでございます。部会決定に基づきまして、本専門委員会が組織されているということになってございます。

 また、専門委員会終了後に発言名を明記した議事録の案を作成いたしまして、委員の皆様にご確認をいただいて、ご了解いただいた上で、議事録として公開をさせていただければと思っておりますので、あらかじめご承知おきいただければと思います。

 それでは、以降の進行につきましては、大迫委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【大迫委員長】 それでは、今回から委員長をさせていただきます、国立環境研究所の大迫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速議事に入りたいと思いますが、先ほど事務局からも次第のご紹介がありましたが、今日の議事はご覧になっていただいてわかるように、廃棄物処理におけるトリクロロエチレンに係る状況について、それからトリクロロエチレンに係る処理基準等のあり方についてという、この大きく二つの議題についてご審議いただきます。ご協力よろしくお願いいたします。

 それでは、一つ目の議題でございますが、議題(1)について、事務局から資料3~5を使ってご説明いただいて、ご議論いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【渡辺主査】 ありがとうございます。

 まずは資料3を用いまして、本専門委員会におきます検討事項等をご紹介させていただきます。私は産業廃棄物課の適正処理・不法投棄対策室渡辺と申します。よろしくお願いいたします。

 では、資料3をご覧ください。まず1.検討に至る背景でございますが、昨年9月11日に、トリクロロエチレンに関します公共水域の水質汚濁に係る人の健康保護に関する環境基準、以下「水質環境基準」とご紹介させていただきますが、この水質環境基準と地下水の水質汚濁に係る環境基準、以下「地下水環境基準」とご紹介します、この地下水環境基準が見直すということが適当である旨、環境大臣に中央環境審議会から答申がなされたところでございます。

 これを踏まえまして、昨年11月水質環境基準及び地下水環境基準が改正されております。またこの両基準の改正を踏まえまして、水質汚濁防止法に基づきます排水基準、以下単に「排水基準」とご紹介しますが、この排水基準が見直しされたというところでございまして、こちらの表にありますとおり、それぞれ新基準値に既に基準値が見直されておるというところでございます。

 この基準値見直しの検討状況について簡単にご紹介いたします。参考資料1をご覧いただきますでしょうか。参考資料1の3ページでございます。

 ページ中央に、3.検討結果とございまして、(1)水道水質基準の改定等を踏まえた検討というところでございます。

背景としましては、平成22年、食品安全委員会で耐容一日摂取量、これが見直されております。これを踏まえまして、水道水質基準、こちらがWHOの飲料水水質ガイドラインなども踏まえまして、0.03mg/L~0.01mg/Lへ強化されております。この水道水質基準の変更を踏まえまして、水質環境基準もあわせまして0.03~0.01に見直されておると、こういった検討状況が行われております。

 続きまして参考資料2の2ページをご覧ください。参考資料2、2ページの上の2.地下水浸透規制等のあり方についてでございますが、(1)水濁法における排水基準の考え方でございます。中央にいきまして、排水基準でございますが、こちらは水質環境基準の10倍に設定されておりまして、これは排出水の水質は公共用水域に排出されると、少なくとも10倍程度に希釈されるという想定に基づいて設定されておるものでございます。

 これを水質環境基準の変更を踏まえまして、水質環境基準の10倍値としまして、新たに0.1mg/Lというものを排水基準とするということで検討がなされております。

 それでは資料3にお戻りいただきまして、資料3、ページ中央の2.検討事項でございます。

 以上の水質環境基準、地下水環境基準、排水基準の変更を踏まえまして、廃棄物に係りますトリクロロエチレンの各基準、これをどのように見直していくか、トリクロロエチレンを含みます廃棄物の処理実態等を踏まえまして、検討を行っていただきたいと考えております。基準に関しましては、まず廃棄物最終処分場に関します基準としまして、一般廃棄物最終処分場及び産業廃棄物管理型処分場におきます放流水、それから廃止時の浸出水の基準というものがございます。この浸出水ですが、集排水設備により集められた保有水等を「浸出水」という言い方で記載させてもらっております。

 さらに安定型最終処分場における浸透水の基準、それから各最終処分場に係ります廃止時の地下水の基準というものがございますので、これらの基準をどう見直しいくか、ご検討いただきたいと思っております。また産業廃棄物の判定基準に関しましては、特別管理産業廃棄物に該当するか否かの判定基準、それから埋め立てに至りまして遮断型最終処分場に埋め立てるものかどうかの判定基準というものがございます。また海洋投入処分できる産業廃棄物であるかどうかの判定基準もございまして、これらの判定基準の見直しを行いたいと思っております。

 また、各判定基準にはそれぞれ検定方法が定められておりまして、今回の基準の見直しに当たりまして、検定方法の見直しが必要でないかどうか、この点についても検討事項としたいと思っております。

 検討の進め方でございますが、本日第9回専門委員会ということでご議論いただきたいと思っております。本日のご議論の結果を踏まえまして、必要に応じて追加調査等を行った上で、最終的には検討結果について報告書という形で取りまとめいただきたいと思っております。

 ご参考で裏面にいっていただきまして、昨年度カドミウムに関して基準見直しのご議論をいただいて、報告書を取りまとめていただいております。このカドミウムの見直しの概要について、こちらの表でまとめております。各基準値に関しましては、右の新基準値案という基準値に変えるということで、検討結果いただいておりまして、検定方法に関しましても表の右下でございますが、新基準値の移行に伴いまして、定量範囲外になるものですとか、準備操作が新たに必要になるものというものがございまして、その点について検定方法の見直しも行うということで結論いただいております。

 資料3の説明は、以上でございます。

【西原課長補佐】 それでは続きまして、資料4の説明をさせていただきたいと思います。私、廃棄物対策課の西原と申します。よろしくお願いします。

 それでは資料4でございます。一般廃棄物最終処分場の放流水等に係る直近3カ年の実態調査結果というところでございます。

一般廃棄物の最終処分場の状況でございます。平成23年から23、24、25の3カ年について、全国の一般廃棄物最終処分場で調査をしております。こちら、浸出水及び放流水についてそれぞれアンケートで調査を行っておりまして、その調査結果についてご説明させていただきたいと思います。

 1ページの表1をご覧ください。表1のところでございますけれども、こちらは一般廃棄物最終処分場の浸出水の状況でございます。こちら処分場の数が23年~25年まで大体1,700件ございますけれども、回答がございましたのが870ぐらい、大体処分場の数の5割ぐらいのところからの回答をいただいております。

回答いただいた結果でございますけれども、現行の基準値0.3mg/L、それから環境基準の10倍値、0.1mg/Lともに、現行基準値、環境基準値の10倍値においても、その基準を超過している施設はございませんでした。ということで、表では3カ年それぞれ全てゼロというふうになっておるところでございます。

続きまして1枚めくっていただきまして2ページをご覧ください。2ページの表2でございますけれども、こちらは放流水の状況でございます。放流水につきましては、調査施設、回答した施設は大体1,300件前後というところで、全体の7割強ぐらいのところから回答いただいているところでございます。

こちらにつきましても、浸出水と同じく現行の基準値、それから環境基準の10倍値ともに、そちらの基準の値を超過している施設はなかったというところで、過去3カ年とも全てゼロだったというところで、いずれについても浸出水、放流水ともに基準値を超えている施設はなかったということで、トリクロロエチレンについては問題ないのかなというふうに考えております。

ちなみに3ページはそれをグラフにしたところでございます。3ページ、上の図1のグラフは浸出水のところのグラフでございます。ほとんどが0.01以下というところになっておるところでございます。図2、下のグラフにつきましては放流水でございますけれども、こちらも大半のものが0.01以下というところで、いずれも基準値をクリアしているというふうな状況でございます。

簡単ですけれども、以上で資料4の説明を終わらせていただきます。

【竹花課長補佐】 続きまして資料5の説明をさせていただきます。資料5につきましては、産業廃棄物最終処分場の放流水等に係る直近3カ年の実態調査結果となっております。こちらの資料では、産業廃棄物の管理型最終処分場の浸出水と放流水、あと安定型最終処分場の浸透水について、トリクロロエチレンの検査結果を取りまとめているものでございます。

 管理型の放流水につきましては、毎年度実施しております調査の結果を活用しておりまして、そのほか管理型の浸出水と安定型の浸透水につきましては、今回個別に調査を実施しているところでございます。

 まず1番目の管理型最終処分場の浸出水と放流水の状況になります。こちらにつきましては、全国の管理型最終処分場におけます平成23年度から25年度に実施されました浸出水と放流水の水質検査結果となっております。管理型の浸出水につきましては、排出基準における検査項目となっておりますので、埋め立て終了した最終処分場を対象としまして調査を実施しております。

調査の結果ですが、まず浸出水につきましては表1となっております。表1を見ていただきますと、中段の埋め立て終了した最終処分場の対象につきましては、112施設、そのうち回答につきましては下段の45となっております。結果としましては、現行基準0.3mg/L及び環境基準の10倍値、0.1mg/Lを超えるような施設はございませんでした。

続きまして表2が放流水となっております。表2を見ていただきますと、中段の対象につきましては、処分場数が大体670~680となっております。そのうち回答につきましては下段の370~390施設ということになってございます。結果といたしましては、放流水につきましても現行の基準及び環境基準の10倍値を超える施設はございませんでした。

あと図1と図2にグラフをつけてございますが、こちらの図1でいきますと、浸出水、図2につきましては放流水ですが、全て0.03mg/L以下にあるという状況で、環境基準の10倍値、0.1を超えるような施設はございません。

続きまして2番目の安定型最終処分場の浸透水の状況になります。こちらにつきましては全国の安定型最終処分場におきます、こちらも平成23年度から25年度に実施された浸透水の水質検査結果となっております。調査結果ですが、表3になりますけども、対象としている処分場につきましては、中段の426施設ございます。回答につきましては、そのうちの315~320施設となってございます。

結果ですが、浸透水の現行基準値0.3mg/Lを超過している施設はございませんでした。ただし、環境基準値0.1を超過している施設につきましては、平成23年、24年度につきましてはそれぞれ4施設、25年度につきましては5施設ございました。この施設につきましては各年度重複していることもございますので、最大で5施設となってございます。この5施設につきましては、全て測定結果につきましては定量下限値未満、0.03未満ということですけれども、この定量下限値につきましては、環境基準の0.01より大きな値であるということから、新基準値を厳しくするということによる影響については、評価はできないという状況でございました。

ただこの5施設のうち3施設につきましては、直近の検査を確認したところ、定量下限値が環境基準値より小さい測定結果となってございますので、環境基準値を下回っているということは確認されております。

最後に図3になります。こちらもグラフ化しておりますが、先ほど説明した23年度、24年度、25年度、それぞれ4、4、5件ということで、環境基準値と現行基準の間にございます。参考にはなりますけども、この5施設につきまして地下水の直近の検査を確認したところ、こちらも全て定量下限値未満ということでしたが、2施設で浸透水と同様に定量下限値が環境基準より大きいという値になっているという結果になってございました。残りの3施設につきましては、地下水の定量下限値が環境基準より小さい、環境基準を下回っているということを確認しているところでございます。

産業廃棄物の処分場の水質検査の実態調査につきましては、以上でご説明を終わります。

【大迫委員長】 ありがとうございました。それでは今、最初で今回の検討事項ということのご紹介、それから一廃と産廃の処分場における実態調査結果ということでご紹介をいただきました。ご質問、ご意見等ございましたらよろしくお願いします。いかがでしょうか。どうぞ。

【小野委員】 仮になんですけど、安定型処分場でトリクロロエチレンが、痕跡でも検出されるという可能性というのはあるのでしょうか?もし、仮に。安定型処分場では通常ありようがないわけだが、もしあるとすると、どういうことが原因になるのでしょうか。

【竹花課長補佐】 通常は考えられないとは思いますけれども、あるとすれば安定型物以外のものが誤って入ってくるというような、処理基準違反のような場合が想定されるのかなというふうに考えています。通常はないのかなというふうに考えてはおります。

【小野委員】 安定型の場合だと、焼却灰が入ることはないだろうし、廃プラ関連の付着物についているものとか、ペイントについているものとか云々という話になってくるんだろうと思うんですけど、そういう事故事例はないということですか。

【竹花課長補佐】 これまでに、そういった事例は把握してございません。

【大迫委員長】 ありがとうございます。ほかに。松藤委員。

【松藤(敏)委員】 資料5について教えてほしいんですけども、表1の処分場数というのは、さっき言われたのは、埋め立て終了後のと言われたんですか。そうですか。管理型じゃなくて、そういう見方からすると、一廃は、これは埋め立て中なんですか。資料4ですか。

【西原課長補佐】 こちらは、埋め立て中でございます。

【松藤(敏)委員】 埋め立て中ですか。

【西原課長補佐】 はい。

【松藤(敏)委員】 資料5で埋め立て終了後だけやられたという意図は、どういうことですか。一廃とあわせるなら全部やらなきゃいけないと思うんですけど。

【竹花課長補佐】 今回につきましては、前回のカドミウムと同様に、浸出水ということでしたので、通常の維持管理中は測定していない項目、測定義務がないものになりますので。

【松藤(敏)委員】 そうか。廃止に向けて測定するから、これをやられたということですね。

【竹花課長補佐】 そうです。案件としては埋め立て終了となります。

【松藤(敏)委員】 わかりました。それが施設の数というのは、今はこんなものなんですか。管理型が600幾らで、安定型が400台と。もっと多かったような気がするけど、これが現在の数なんですか。

【竹花課長補佐】 直近で公表しているのが、行政組織等調査の数になるのですけれども、平成25年4月1日現在でいきますと、管理型につきましては753、安定型については1,164施設ございます。

【松藤(敏)委員】 そうですよね。この1,000幾らというようなところと400の違いは。

【竹花課長補佐】 こちらにつきましては廃止を含まないなど、調査等の対象になるものがちょっと違うというところになります。安定型につきましては稼働中のものです。

【松藤(敏)委員】 安定型が稼働中。

【竹花課長補佐】 はい。

【松藤(敏)委員】 ということは、埋め立てが終了していれば多いということですか。

【竹花課長補佐】 そうですね。

【松藤(敏)委員】 わかりました。

【大迫委員長】 よろしいでしょうか。

 それでは、大体処分場からの放流水の実態という面では、もちろん入り口でのきちっとした対応がとれているということがあろうかと思いますが、問題がない形で結果としては出ているというような状況が把握できたかと思います。

 それでは、またもし何かありましたら戻っていただいて結構なので、ひとまず先に進めさせていただいて、事務局から資料6と7について、ご説明よろしくお願いします。

【渡辺主査】 それでは、資料6について、ご説明いたします。

 資料6はトリクロロエチレンを含みます廃棄物の処理実態調査結果でございます。

 まず資料6に入ります前に、トリクロロエチレンに関します全体のマテリアルフローをご紹介させていただきたいと思います。

 参考資料2の10ページをご覧いただきますでしょうか。図としましてトリクロロエチレンのマテリアルフローが載っておる、参考資料2の10ページでございます。現状我が国におきますマテリアルフローでございますが、製造・輸入量がおよそ4万6,000tございます。そのうち国内供給量がおよそ3万3,000tございます。現行の用途でございますけども、代替フロンの合成原料として使われておるもの。または脱脂洗浄剤として使われておるもの、この二つが主な用途になっております。わずかながら工業用溶媒として使われておるもの、それからこの図の中で「その他」と書いてありますものは、試薬関係になります。これらの用途がわずかにあるといった状態でございます。

 まずこの代替フロンの合成原料でございますが、これはトリクロロエチレンを原料としまして代替フロンをつくる際に、まずトリクロロエチレンを別の有機物質、テトラフルオロエタンのような別な有機物質に変えて、代替フロンを製造しております。この製造過程におきましては、閉鎖系でトリクロロエチレンを別の有機物質に変えておるということでございますので、トリクロロエチレン、ないしはトリクロロエチレンを含みます廃棄物に関しては、この用途、この製造過程からは排出されないというふうに伺っております。

 脱脂洗浄剤の用途でございますが、これは機械部品や電子部品の脱脂洗浄剤として使われておるものですとか、あとは羊毛や皮革のようなものの脱脂として使われておるということで把握しております。こちらの用途に関しましては、洗浄剤として使われました廃洗浄剤が廃棄物として出てくるということでございます。また一部の施設においては、排水処理などを経ました後の排水汚泥にもトリクロロエチレンを含みまして、汚泥として出てくるといったような廃棄物の排出形態もございます。

 工業用溶媒に関しましても同様でございまして、廃溶媒としての排出があるところでございます。試薬関係に関しましても、廃試薬としまして、こちらは廃酸・廃アルカリといったような格好で排出されるというものがわずかながらあるというところでございます。なお、昔は衣料のドライクリーニング用にトリクロロエチレン、かなり使われておりましたが、現在はテトラクロロエチレンに代替されておりますので、衣料のドライクリーニング用には、ほとんどトリクロロエチレンというのは使われていないということでございました。

 それでは資料6にお戻りいただきますでしょうか。今回私どもで廃棄物の処理実態調査を別途行っておりますので、その結果をご報告したいと思います。

 まずは1.廃棄物の排出実態調査結果でございます。こちらのPRTR制度に基づきまして、トリクロロエチレンに関して廃棄物の移動量として届け出のあった265事業所のうち、82事業所を抽出してアンケート調査を行っております。調査事項に関しましては、廃棄物の排出施設の業種、種類、処理方法、また廃棄物中のトリクロロエチレン含有量または溶出量の測定結果、またトリクロロエチレンに係る特管廃棄物の判定基準値を下げる場合の影響について確認しております。

 おめくりいただきまして2ページが調査結果でございます。こちらの表が調査結果でございますが、各業種がございまして、化学工業ですとか、金属製品製造業ですとか、洗浄剤または溶媒として使っておる業種から回答を得ております。

 トリクロロエチレンを含みます廃棄物の処理方法でございますが、焼却または蒸留ということでございまして、フローとしましては汚れた廃溶剤、ないしは廃洗浄剤を蒸留過程にかけまして、きれいなトリクロロエチレンを取り除く。この回収されたきれいなものは再利用しまして、残った回収し切れなかった廃洗浄剤などに関しましては、基本的に焼却を行いまして、処理を行っているという実態でございました。

 3ページでございますが、廃棄物中のトリクロロエチレン濃度等に関しまして、測定事例はないか確認したところでございますが、基本的にトリクロロエチレンを含みます廃棄物に関しては、廃溶剤または廃洗浄剤として、トリクロロエチレンそのものを排出しているものですので、その濃度について測定はしていないというところがほとんどでございました。

 最後に、③で特管、特別管理産業廃棄物の判定基準値を下げる場合の影響でございますけども、こちらも回答があった20事業者から影響はないという回答を得ております。その理由としましては、廃洗浄剤、廃溶媒としてトリクロロエチレンそのものを排出しておるということで、特管の判定基準値にかかわらず、既に特管として扱っているために、影響はないということでございました。

 また、このアンケート調査とは別に、私どもでトリクロロエチレンを扱います各業界団体をヒアリングしておりますけども、影響があるといったような声は確認していないところでございます。

 続きまして、4ページでございます。こちら、トリクロロエチレンを含みます廃棄物の中間処理実態調査結果でございます。こちらに関しましては、トリクロロエチレンを含む特別管理産業廃棄物の許可を有します74事業所のうち、実際に処理をしているということが確認されました41事業所を対象にアンケート調査をしております。

 調査事項に関しましては、先ほどと同様に、廃棄物の種類、処理方法、または、トリクロロエチレンに関します濃度、または、特管判定基準、埋立判定基準値を下げる場合の影響などについて、アンケート調査をしております。

 調査結果が、4ページ下、表3でございます。こちらの廃油、また、汚泥のほかに、先ほどの試薬類としまして、廃酸・廃アルカリといったものを扱っておるという結果も得ております。それぞれ、廃油に関しては蒸留、汚泥に関しては焼却、廃酸・廃アルカリに関しては中和処理を行っておるという回答が一番多かったところでございますが、これはそれぞれの廃棄物に対して、まずどういった中間処理を行っておるかということの結果でございまして、最終的にトリクロロエチレンの廃棄物としての処理は、最終的にはもう焼却の選択肢しかないというふうに確認しております。

 続きまして、5ページでございまして、廃棄物中のトリクロロエチレン濃度について、測定結果をアンケート調査いたしましたが、こちらもトリクロロエチレンそのものを基本的には扱っておるということでございまして、測定事例はほとんどございませんでした。

 また、ご参考としまして、トリクロロエチレンを含む廃油、廃洗浄剤でございますけども、これを蒸留するという事業者から、蒸留前に80万mg/L、およそ80%のものが、蒸留後に5万mg/L、およそ5%まで、トリクロロエチレンを回収できているといったような濃度等の測定結果をいただいております。

 ③としまして、特管廃棄物の判定基準値または埋立判定基準値を下げる場合の影響について、回答を得ております。13事業所からは影響がないという回答を得ておりまして、2事業者からは、影響はあるかもしれないが、対応可能だという回答を得ております。この2事業所に関しましては、廃酸・廃アルカリを扱っておりますけども、トリクロロエチレンの濃度としては特管廃棄物に当たらない。低濃度のトリクロロエチレンを含む廃酸・廃アルカリを扱っている事業者でございまして、特管の判定基準値が下がりますと、新たにトリクロロエチレンとしても特別管理産業廃棄物に該当することになるかもしれないというところで、新たに特別管理産業廃棄物になりましたトリクロを含む廃酸・廃アルカリを自分たちで焼却処理するか、または、特別管理産業廃棄物を扱います業者に引き渡すか、そういった対応が新たに必要になるかもしれないが、対応可能ですということで回答をいただいております。

 資料6については、以上でございます。

【竹花課長補佐】 続きまして、資料7、廃棄物に係るトリクロロエチレンの検定法について、ご説明させていただきます。

 トリクロロエチレンの検定方法につきましては、資料の下にあります表1のとおりとなってございまして、①の特別管理産業廃棄物の判定基準の検定方法につきましては、特別管理、一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法に規定されておりまして、産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法、いわゆる13号告示を引用しているところでございます。

 ②の有害な産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の埋立処分基準、③の海洋投入処分に係る判定基準の検定方法につきましては、13号告示に規定されているというところでございます。

 また、④の一般廃棄物最終処分場及び産業廃棄物管理型最終処分場の放流水及び廃止時の浸出水の排水基準につきましては、排水基準に係る検定方法、⑤の産業廃棄物安定型最終処分場の浸透水及び廃棄物最終処分場の地下水の基準につきましては、地下水環境基準告示を引用しているところでございます。

 これら、排水基準に係る検定方法、地下水環境基準の告示につきましては、さきに行われております環境基準、排水基準の改正後も、従来どおりとされていることから、今回、見直しの必要はないものと考えてございます。

 今回、各基準の見直しに当たりましては、表1の①~③、網かけ部分になりますけども、こちらの13号告示に規定する検定方法について、検討するという必要があるものでございます。

 続きまして、現行の13号告示について、ご説明します。裏面の表2に検定方法をまとめてございます。また、検定方法の概要につきましては、参考資料5にまとめてございます。

 参考資料5をご覧いただければと思います。検定方法につきましては、表にありますとおり、トリクロロエチレンの検定方法としましては、13号告示の別表第2と別表第3のガスクロマトグラフ法、あと、JISのK0125、5.1のパージ・トラップ-ガスクロマトグラフ質量分析法、同じく、JISのK0125の5.2のヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析法、そのほか、JISの5.3.1、5.3.2、5.4.1、5.5のガスクロマトグラフ法の八つの測定方法が規定されているというところでございます。

 測定方法の概要につきましては、表の右側に書いてございますけども、13号告示の別表第2の注意書きにありますように、平成25年2月の告示改正によりまして、検液の調製におけるろ過操作は、揮発性有機物質の揮発の抑制する観点から、削除されているというところで、それ以外につきましては、従来どおりの検定方法ということになってございます。

 各検定方法におけます通常の定量範囲につきましては、右の欄に記載されておりますが、こちらも従来と変わるものではなく、今回、資料8、後ほど提案させていただきます各基準値案につきましては、全てこの定量範囲の下限を下回ることはなく、希釈などによって現行の定量範囲に含まれるものでありますので、現行の測定方法によることで支障ないものと考えているところでございます。

 簡単ではありますが、検定方法の説明につきましては以上となります。

【大迫委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ご説明いただいた資料6と7に関しまして、ご質問あるいはご意見等ございましたら、よろしくお願いします。いかがでしょうか。どうぞ。

【佐々木委員】 まず、確認させていただきたいのは、先ほどの資料5の4ページ、安定型最終処分場の場合に、今度、改定した場合、0.01mg/Lとしたときには、見かけ上、トリクロロエチレンがあるなしの判断がつかないようなグラフとなっておりますけれども、要するに、定量下限値の問題で、委託する側が、ここまでの定量範囲ということで委託した結果、こういう分析結果となったという判断でよろしいのでしょうか。

【竹花課長補佐】 今回の安定型の結果につきましては、この結果が出た後に各業者に確認したところ、また別の分析業者で行った測定結果については、定量下限を下回るということが確認されていますので、分析業者によって、定量下限値が変わっているという状況で、このような結果になっているということでございます。

【佐々木委員】 分析法ですけれども、水の環境基準を決めるときにも意見を出させて頂いたことがあります。ここに書いてある方法、汎用性ということも大切ですけれども、現在、分析機関の集まりなどで、外部精度管理として技能試験などを行っているときに、もうほとんど使われていない方法もかなり入っています。今回に関しましては、十分現行の方法で定量下限値が担保できるということであれば、このままで構わないと思うのですけれども、今後、水の基準が変わってきて、項目が増えていくなどというときに、分析法の改定も少し頭に入れて、検討していただければというふうに考えます。

【大迫委員長】 ありがとうございます。ただいまのご意見、よろしいでしょうか。

 今回のこの検討において、この検定方法を今日お示しいただいた分に関しては、使っていないものもあるけども、今の段階では、こういった形で使える状況ということの理解はそれで良いということで、今後、より効率的な適用に関しては、関連業界の方々もご理解を深めていただければというような課題がご指摘されたと思います。これはむしろ運用の中で、また今後、検討されるべきことかもしれないですね。基準の検討という面というよりは、今後の運用面において、テイクノートしていただければと思います。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【小野委員】 廃棄物の基準、排水の基準もそうなんですけど、考え方として、WHOのガイドラインで、お風呂に入ったときの蒸気の吸引暴露とか経皮暴露で基準が厳しくなったとすると、廃棄物の中間処理などでは特に蒸留などが行われるケースがありますよね、作業上として。そうした場合は、それは労働衛生部門が強化されるわけですよね。廃棄物部門ではどのように考えるのでしょうか?WHOの勧告を受けて、水道水の基準が変わったわけですが、人への曝露はそれと同じような状況ではなく、廃棄物はもっと厳しい状況の中にもあるのではないでしょうか。中間処理などはもっと厳しい状況にもあるわけですよね。放流水などは、常にそこで吸引しているわけではないし、ところが、中間処理施設などで蒸留なんかをやっていると常に室内暴露を受けているし、そうすると、もっと厳しくしなければならないのか、それは逆に言えば、労働衛生にもひっかかってくるので、労働衛生で厳しくするのか? この場合廃棄物の基準は、水道と同じような考え方でできるのか、論点がちょっと見えない部分があって、どう考えたらいいのでしょう。

【渡辺主査】 ありがとうございます。

 まず、今ご指摘いただきましたとおり、今回、トリクロロエチレンに関しましては、直接口から飲むときの暴露経由のほかに、お風呂などで皮膚から入ってくる暴露経由というのも考慮されております。これは参考資料の1の3ページにご紹介があるとおりでございまして、参考資料1の3ページ、3.検討結果、(1)でございますが、飲料水の直接経口摂取以外の入浴時における吸入暴露及び経皮暴露を考慮して、水道環境基準が決められております。

 今回、この水道環境基準の変更を踏まえまして、水質環境基準、こちらも一律、水環境系、水循環系におきまして、一律の基準を設けるという基本的な考えをもちまして、水質環境基準も全て合わせて水道環境基準と同じ数字にするということで、これは水質環境基準の議論の中で結論が出ておるところでございます。

 今回、私どものほうで考えております廃棄物に関する各基準に関しましては、すみません、後ほど資料8の論点整理でご紹介いたしますが、基本的に各環境基準、水質環境基準、地下水環境基準、排水基準というものを踏まえて、これに基本的にはどのように合わせていくかといったようなことで、廃棄物に関する各基準を決めておるものですから、水質環境基準が変わったということを踏まえた後の検討ということで考えておりますので、今のお風呂経由の暴露を、今回、新たに考え方として入っているといったような点に関しまして、直接的に何か議論するようなことは、今、ちょっと考えていないところでございます。基本的には水質環境基準が決まっていて、それを国内の環境中でどう達成するかという観点から、廃棄物に関する各基準をどのようにするかという観点で考えていきたいと思っております。

 また、蒸留施設などでの作業環境でございますが、こちら、委員ご指摘のとおり、労働環境基準、作業環境基準といったようなところで、別途、定められる事項だと承知しておりまして、この廃棄物処理法の中での規制をかける部分ではないということで承知しております。

【大迫委員長】 よろしいでしょうか。

 松藤委員。

【松藤(敏)委員】 私も今のところがすごく気になっていたんですけど、結局、飲み水の話と河川等の話が一緒にされてしまったので、だから、水質環境基準に同じ値を使うということ自体が本当はおかしいと思うんですよね。だって、そこでシャワーを浴びるわけじゃないんですからね。今、説明があったように、決まってしまったので、それを踏襲するしか廃棄物側はないんですよね。という私は理解をいたしました。了解しました。

【大迫委員長】 廃棄物処理過程でのリスクの発現事象ということの厳密な議論というのは、ある部分は認識しているわけですが、今回に関しては、この水質環境基準、まずは環境との接点の中で決める基準であるという理解で、作業環境のところとは、ちょっと切り離された議論であるということのご理解と、それから、厳密にいえばさまざまなリスク事象はあるにせよ、基準をこれまでどおりの慣例というわけじゃないですが、強化に応じた廃棄物側の対応として厳しくしていくことによって、対応可能かということを総合的に考えて、今日はご判断をいただくというようなところですので、今のような認識を共有できたということは大変重要かと思いますけども、この議論の方向性としては、これまでの流れの中での基準強化というところを皆さんご理解いただければと思います。そのような形で松藤委員もご発言いただいたので、ご理解をいただいているかと思います。

 どうぞ。

【小野委員】 排水とか、そういう放流水やなんかについて、ある程度厳しくなるということは、逆に言うと、環境が安全側にフラッグが振れるという話なんですけど、中間処理業における、そういう廃油類やなんかの取り扱いというのが非常にラフで、労働衛生もさほどひっかかってこないとなると、廃棄物そのものの、今言った人体への暴露のリスクを強化、WHOやなんかでも強化されて、基準が強化されるとするならば、取り扱いのやっぱり労働衛生に関わる部分も、ある程度、廃棄物で、逆に言うと、強化してもいいのではないか。やっぱり取り扱い上の何かそういう溶媒のマニュアルなどを強化してはいかがでしょうか。廃棄物はいろんなガイドラインで強化されてきているのですが、やっぱりその辺も見直して、きちんと取り扱い上の注意点を付記する必要性があるでは思いますけれども。

【大迫委員長】 今の点は、事務局はいかがでしょうか。何かコメントございますか。

【渡辺主査】 ありがとうございます。

 中間処理における労働環境基準ですとか、そういった点でのご指摘をいただきました。廃棄物に関しましては、廃棄物処理法では、そういったところの手当ては直接的にはないところでございますけども、私ども、廃棄物処理業者ですとか、団体様ですとか、そういったところとふだんおつき合いがある中で、実際、現場でこういった問題が起きているですとか、そういった点については情報収集、交換しまして、何か問題になっているというようなことがあれば、例えばガイドラインのようなもので留意点を示していくですとか、そのような対応をこれからもしていきたいと思っております。今のはそういった点で、廃棄物側としても、行政側としても、そういった点もケアしていくべきだというご指摘として受け取らせていただきたいと思っております。

【大迫委員長】 よろしいでしょうか。特別管理産業廃棄物としての基準も、今回、強化という方向の中で、また後ほど、審議いただくわけですが、小野委員がおっしゃるように、安全側での対応になるということ自身で、この数値の強化の問題はご理解いただいているかと思うんですが、それ以外に、実態としてのいろいろな作業環境でありますとか、先ほど蒸留の過程は閉鎖系でというお話がありましたが、実際としてもう少しばらつきがあるのであれば、行政としても、その辺りはきちっと対応といいますか、あり方を考えていくということは重要な視点かと思いますので、課題として理解しておきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 それでは、よろしいでしょうか。ほかにございますか。

 それでは、大体状況について、今、ご確認いただいたということで、この後に、議題の二つ目の処理基準のあり方についてということで、事務局からご説明をいただきます。資料8に基づいて、よろしくお願いいたします。

【渡辺主査】 それでは、資料8で、論点整理(案)としてまとめておりますので、こちら、ご紹介したいと思います。

 まず、背景は、冒頭、ご紹介しましたとおり、水質環境基準、地下水環境基準、排水基準と、これらの基準が改正されておりますので、これに伴いまして、廃棄物処理法上の各基準に関してどのような見直しを行うべきか、こちらに論点のまとめをしております。

 まず、最終処分場における基準でございます。1.で一般廃棄物最終処分場及び産業廃棄物管理型最終処分場、これに関します放流水の基準、また、廃止時の浸出水の基準でございます。この基準に関しまして、従来の基準設定の考え方でございますが、一般環境中にこの放流水ないしは浸出水が排出されるということでございまして、そこを流れる河川などによって希釈されるということでございますので、少なくとも10倍程度に希釈されるのではないかという想定に基づきまして、これまで、この各基準に関しましては水質環境基準の10倍値が設定されてきております。今回、水質環境基準が0.03mg/Lから0.01mg/Lに変更されておりますので、この10倍値ということでございまして、現行0.03でございますが、これを0.1mg/Lに変更してはどうかと考えております。

 続きまして、2.でございます。こちら、安定型最終処分場の浸透水の基準でございます。こちらは安定型最終処分場を通過しまして、廃棄物層を通過した後、集排水管で集められた雨水など、これが浸透水という名前で書かせてもらっておりますが、これが満たすべき基準はどうかということでございます。

 従来の基準設定の考え方ですが、浸透水の検査の実施が盛り込まれた際に、水質の目標値に関しては、地下水環境基準とすべきではないかとされております。これに基づきまして、浸透水に関しまして、地下水環境基準と、これまで同値が設定されてきておりまして、今回、地下水環境基準の見直しがございましたので、これに合わせまして、0.01mg/Lに変更してはどうかということで考えております。

 続きまして、3.こちらは全ての廃棄物最終処分場に係ります地下水の基準でございます。これは処分場の周りで地下水を測定するということで廃棄物処理法上なっておりまして、この地下水の基準でございます。特に廃止時に関しましては、この地下水の基準を満たさないと廃止ができないというようになっておるものでございます。

 この地下水の基準でございますが、こちらも地下水基準、地下水を測定することということで規制が盛り込まれた際に、目標値に関しては、地下水環境基準にしましょうということで整理いただいておりまして、今回、地下水環境基準が見直されておりますので、これに合わせまして、0.01mg/Lに変更してはどうかということで考えております。

 以上が、処分場関係の各基準、また、それに係る論点でございます。

 続きまして、2ページでございますが、産業廃棄物の判定基準に関してでございます。

 1.は特別管理産業廃棄物の判定基準でございます。特別管理産業廃棄物でトリクロロエチレンに関しましては、これまで、廃酸・廃アルカリと汚泥に関しまして、トリクロロエチレンに関する濃度基準というものがございました。

 まず、特別管理産業廃棄物の指定についてでございますが、この従来の基準の設定の考え方ということでございまして、排出から処分に至るまでの間の危険・有害及びその間に本来予定されていた適正処理の流れからそれた場合の危険・有害性、これを考慮しまして、排水基準などを考慮して、これまで設定されてきております。

 まず、廃酸・廃アルカリに関しましては、濃度基準としまして、排水基準の10倍値が設定されてきております。今回、排水基準の見直しがございましたので、この新排水基準の10倍値ということで、1mg/Lに変更してはどうかと考えております。

 また、汚泥及びその処理物に関しましては、溶出基準としまして排水基準と同値が設定されてきております。よって、こちらも排水基準の見直しを踏まえまして、0.1mg/Lに変更してはどうかと考えております。

 続きまして、2.は産業廃棄物の埋立処分に係る基準でございます。こちらは基準を超過したものは遮断型最終処分場にしか埋め立てられないと。基準を守れるものは管理型処分場にも埋め立てられるというものでございます。これに関しましては、汚泥及びその処理物に関して溶出基準というのがございました。この溶出基準は排水基準と同値がこれまで設定されておりまして、この排水基準の見直しに合わせて、0.1mg/Lに変更してはどうかと考えております。

 続きまして、3ページでございますが、3.産業廃棄物の海洋投入処分に係る判定基準でございます。こちらの海洋投入処分をできるとしております産業廃棄物ですが、無機性汚泥と有機性汚泥、動植物性残さ、廃酸・廃アルカリ、家畜ふん尿というものが項目としてはございます。

 従来の基準設定の考え方ですが、無機性汚泥に関しましては、対象とする廃棄物が地質学的なものでありまして、海底に沈降した後も自然の地質と同等とみなされるものに限って海洋投入処分できるという考え方をこれまで考えてきておりまして、土壌環境基準を考慮して判定基準を定めておるというところでございます。

 残りの有機性汚泥等に関しましては、これまで、含有基準としまして、排水基準を守れるものに関して海洋投入処分を認めるということで考えてきております。

 3.、上に戻りまして、まず無機性汚泥に関してでございますが、これまで土壌環境基準を考慮して設定されてきておるところでございますが、土壌環境基準の見直し、こちらがちょっとまだ行われていないものですから、今回、土壌環境基準の設定の考え方を考慮しまして、この水質環境基準の見直しを踏まえて、基準値を変更してはどうかと考えております。

 この土壌環境基準の設定の考え方というのは、下の注釈5でございますが、溶出水が水質環境基準及び地下水環境基準に適合したものになるようにするという考え方でございますので、この考え方を考慮しまして、水質環境基準値の見直しを踏まえて変更してはどうかと考えております。

 また、有機性汚泥及び動植物性残さ、廃酸・廃アルカリ、家畜ふん尿に関してでございますが、こちらは含有基準として排水基準を考慮して設定されております。よって、排水基準値の見直しを経まして、それぞれ、0.1mg/kgまたは0.1mg/Lに変更してはどうかと考えております。

 最後に、検定方法でございますが、資料6の説明の中でご案内しましたとおり、この新基準値案がそれぞれございますが、この新基準値案が、現行の検定方法の定量範囲の中に基本的に入っているものでございますので、この試料の希釈などを行えば、現行の検定方法の通常定量範囲で測定できるということでございますので、検定方法に変更は必要ないのではないかと考えております。

 以上、こちらの今までご紹介しました見直し案をまとめたものが4ページの表でございます。それぞれ、現行基準値がございまして、これが3倍、より安全側、より厳しくなる方向で基準値案を見直すという、このように機械的に見直してはどうかということで、結論としてはそういうことで、こちらの資料でご提案させていただいております。

 下の検定方法に関しては、見直しは必要ないものと考えております。

 以上で、資料8の説明を終わります。

【大迫委員長】 ありがとうございました。

 資料8、論点整理いただいた上で、基準の見直し案ということでご説明いただきました。

 それでは、ご質問、ご意見等をよろしくお願いします。いかがでしょうか。

【佐々木委員】 基本的には、この考え方でいいのではと思っております。特に3.の地下水の基準についてですけれども、水のほうからだんだんに準用していくということですが、トリクロロエチレンは、地中では最終的に塩ビモノマーなどになっていくということで、水の環境基準は定められておりませんが、地下水だけ、実態から決められているというような物質でもあります。先ほど実態をお見せいただいた限りでは問題はないかと思いますが、引き続き、地下水汚染を引き起こさないということは非常に重要だと思いますので、この新しい基準値という0.01mg/Lでお願いできればと思います。

【大迫委員長】 ありがとうございます。

 ほかにご意見等ございますでしょうか。どうぞ。

【松藤(敏)委員】 今の資料8の3ページの従来の基準設定の考え方の一番最後の行なんですけど、「排水基準等を考慮し」という意味がちょっとよくわからなくて、排水基準だともう1桁上ですよね。じゃないですかね。数字としては排水基準はもっと上じゃないですか。すみません、同じですか。排水基準と同じ値を使っている。そうですね。すみません。ちょっと勘違いです。その排水基準と同じ値を使って0.1ということですね。すみません、わかりました。

【大迫委員長】 よろしいでしょうか。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【小野委員】 佐々木委員と同じなんですけど、例えば焼却炉などで、テトラとかトリとかを燃していくと、化学反応を起こして変化し、不燃物中に排出されることがあります。入れる前は違う物質があっても、意外と。完全燃焼していなかったりすると、化学反応を起こしてテトラとかトリクロロエチレンなどが排出される場合があります。バーナーやなどで廃油類などを燃やす場合、うまく燃せなかったりすると、違う物質に変わっていったりするんですよ。今言った土壌環境でもそうだけど、土壌中の微生物によって物質が変わっていったりするわけですよね。なので、土壌基準は決まらないんでしょうか?そうすると、廃棄物も、焼却炉やなんかで燃したときに、例えば違う物質を入れて、テトラになるということはあるのかもしれない。トリがテトラになったりする化学反応もね。この場合の廃棄物処分は、排出されたものに対しての基準ですよね。入れたものと出たものが違うときもあるので、排出されたものの処理として考えてよいのでしょうか。

【渡辺主査】 トリクロに関しては、ご案内しましたとおり、特管産廃に当たるかどうかの判定基準と、埋め立てが、遮断型にできるか、管理型にできるかの境目であります判定基準がございますが、今ご紹介ありました焼却灰に関しては、基本的に焼却灰中にトリクロが入るということが想定されていないものですから、焼却灰に関して、トリクロに関する基準は現行はない状況です。もし、トリクロロエチレンが焼却灰に入っていたとしまして、処分場に入ったということであれば、処分場から出てきます放流水ですとか、そういったものには各放流水に関する基準がありますので、そういった出口では押さえられていると言えると思います。

【小野委員】 バーナーで、燃している場合があるじゃないですか。

【渡辺主査】 例えば汚泥なんかを。

【小野委員】 焼却灰中にトリクロロエチレンが混入しますよね。完全燃焼すればならないけど。

【渡辺主査】 焼却灰の中にトリクロが高濃度に残るということが想定されていないものなので、焼却灰に関するトリクロロエチレンの基準というのは、現行は置いていないところです。

【小野委員】 意外と測ってる場合もあるので。

【大迫委員長】 そうですか。特管物として、特管物の許可を得た施設、業者さんが、適正に処理をしていればもう大丈夫だという、そういう中で、最終処分場で、これまで、そういったものも一部、もちろん処分されていると思いますが、放流水とかの実態からみれば、適正にそれが機能しているのではないかという理解であるけれども、小野委員はいろいろな実態もご存じかもしれませんが、この基準というよりは、実際の指導とか、そういったレベルの話だとは思いますけどね。

【小野委員】 基準は基準として完全にオッケーなんですけど。今後の話として、やはり基準が下がってくると、バーナーで灰を燃してるところも結構ありますから、それが不完全燃焼で違う物質に変わったり、そのまま残ったりという場合のフォローアップをお願いしたいと思います。

【渡辺主査】 こちらも、現行、この処分場からの放流水関係は問題ないということで承知しておりますけども、何かトリクロロエチレンのようなものが排水から出てくるといったような事態ですとか、また、それに近いような予兆のようなものが確認された場合には、そういった焼却灰中のトリクロロエチレン濃度ですとか、これまで基準などを置いていない、あまり把握していないところに関して調査していくといったような対応が考えられると思いますので、その点は常に現状をウオッチしながら、対策が必要かどうかという点について考えてまいりたいと思います。

【大迫委員長】 それでは、ご指摘の部分は注意深く、また今後、見ていくということで、ほかにございますか。どうぞ。

【小野委員】 前にちょっとお話ししたんですけど、土壌環境基準が定まって、全く違う答えが出てきたときは再検討はするのでしょうか。

【渡辺主査】 今のは非水溶性の無機性汚泥に関する海洋投入処分の考え方のところのご指摘だと思いますが、今ご指摘いただきましたとおり、土壌環境基準を本来考慮しているものでございますので、そこの考え方の見直しというものがあれば、そこは合わせまして、再度、検討するといったことになると思っております。

【大迫委員長】 ほかによろしいでしょうか。

 佐々木委員、何かございますか。よろしいですか。

【佐々木委員】 今の小野委員のご意見については、土壌汚染は、特にこのVOCなどに関しては、飲料水の観点での摂取のリスクを考えて決めるものですから、やはり水を必ず準用していくので、多分違ってくるということはないと思います。

【大迫委員長】 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 土壌の基準等の部分というのは、また今後、検討されて、こちらで最終的に基準を変えるというところでは、確認事項はあるのかもしれませんが、この委員会としての基準の見直しの案の方向として、今日、数値として示していただいている部分は、こういった形で取りまとめるということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 じゃあ、一応これで、今日の議題に関しては、ご意見をいただいた上で、資料8でお示しいただいた取りまとめの方向、この基準の見直しの案ということで、この委員会としてはご了解いただいたということになります。

 幾つかご指摘をいただきました。重要なポイントもご指摘いただきましたが、この基準自身の議論というよりは、これをさらに運用していくに当たって、注意しなきゃならない点をご指摘いただいたというふうに理解しておりますので、そういった点の議論があったというようなことは、報告書の中に入れるかどうかというのは、また改めて判断できたらいいと思います。とはいえ、特に大きな宿題が残されたというわけではないようですので、今日、先ほど事務局からご説明がありましたが、報告書を取りまとめるということになっておりますが、この報告書を、改めてまたこの場を設けて議論を行うというよりは、今日の材料、また、今日の議論を淡々と取りまとめて、それを報告書の形にしていって、各委員に個々に説明、確認いただき、委員会を改めて場を開くということはなくてもいいかなと。あとは私、委員長のほうで、事務局と、最後、中身は調整しながら確定していくという方向でいかがでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、大体こんな形で、今日の議論は、ほぼ与えられたものは終了したと思いますが、その他として、事務局からはございますか。

【水谷補佐】 ご議論ありがとうございました。

 今、まさに大迫委員長がおっしゃった、今後のスケジュールについての確認でございますけれども、冒頭、資料3では、必要に応じて追加調査を行った上で、次回に報告書というような感じで考えておりましたけれども、先ほどのご発言のとおり、報告書に関する論点につきましては、ほぼほぼご了解をいただいており、また、基準の運用のところで、留意点等については入れるようにというご指示だったかというふうに思いますので、それを踏まえまして、事務局で報告書案をまずは作成させていただければというふうに思っております。その上で、各委員にはご意見をいただきながら、また、委員長ともご相談をさせていただいた上で、報告書の案の形にさせていただきたいと思います。

 その後なんですけれども、ご了解をいただいた上で、この上の循環型社会部会にご報告をさせていただきまして、その上でパブリックコメントをさせていただければというふうに考えております。

 いずれにせよ、今後の進め方、それから、報告書案の案につきましては、改めてご相談をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【大迫委員長】 ありがとうございます。

 今、スケジュール、今後の取りまとめの手順等について、ご説明いただきましたが、そういった形でご了解いただけますでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、これで今日の審議は終了いたしました。熱心なご審議、まことにありがとうございました。

 それでは、事務局にお返しいたします。

【水谷課長補佐】 それでは、本日の専門委員会、いろいろとご指摘等ありがとうございました。先ほど申し上げたとおり、それを踏まえて、報告書案を作成したいと思いますので、引き続き、ご指導いただければと思います。

 それでは、これにて専門委員会を終了させていただきます。本当にどうもありがとうございました。

午後3時15分 閉会