産業構造審議会産業技術分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会 第40回合同会議 議事録

日時

平成27年5月18日(月) 10:00~12:00

場所

大手町サンスカイルーム A室

議題

  1. 1. 自動車リサイクル制度の評価・検討に当たっての論点整理
  2. 2. その他

議事録

○小松自動車課課長補佐  それでは、定刻でございますので、これより産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキンググループ及び中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の第40回合同会議を開催いたします。

 議事に先立ち、本日の委員の出席状況を報告させていただきます。

 本合同会議は、両審議会を合わせまして27名の委員で構成されております。本日は現時点で17名の委員にご出席いただいております。

 産業構造審議会自動車リサイクルワーキンググループにつきましては13名の委員にご出席いただいており、定足数である過半数に達していることを報告させていただきます。

 なお、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会につきましては、定足数の規定はございません。

 続きまして、委員の変更がありましたので報告させていただきます。

 三重県環境生活部廃棄物対策局廃棄物・リサイクル課長の和田委員にかわりまして、中川委員が着任されました。

 次に、欠席委員の報告をいたします。

 伊勢委員、久米委員、酒井委員、佐藤委員、杣谷委員、松八重委員、横田委員におかれましては、ご欠席の連絡をいただいております。

 なお、戸澤委員にかわりまして、上岡説明員に代理でご出席いただいております。

 引き続きまして、配付資料の確認をいたします。

 お手元に資料1から3までと参考資料として1から3までをお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

 それでは、早速議事に入らせていただきます。

 なお、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 これ以降の議事進行については、永田座長にお願いいたします。

○永田座長  どうも皆さん、おはようございます。お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速ですが、議題に入らせていただきます。

 本日の議題は資料1にございますとおり、自動車リサイクル制度の評価・検討に当たっての全体の論点整理でございます。まず、事務局より説明していただいた後に、質問、あるいはコメントをいただく時間を十分にとってございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、どうぞ。

○小松自動車課課長補佐  それでは、資料3をご確認下さい。自動車リサイクル制度の評価・検討に当たっての論点整理(案)です。

 最初に、自動車リサイクル制度のあるべき姿とあるべき姿実現のための考え方をお示しして、あるべき姿実現に向けた対応の方向性について、これまでの議論を踏まえたものをご提示させていただきます。

 まず、自動車リサイクル制度のあるべき姿についてです。

 我が国の自動車リサイクルシステムは、法律施行以前より、解体業者による有用部品等の回収、破砕業者等による破砕処理を通じた鉄・非鉄金属等の再生利用という市場を活用した処理ルートが確立されておりました。

 一方で、平成7年4月にASRの管理型最終処分場への埋め立て処分が義務づけられると、最終処分場の残余容量の逼迫とそれに伴う処分費用の高騰が発生し、また鉄スクラップ価格の不安定な変動により、使用済自動車の取引が逆有償化したため、従来の市場を活用したリサイクルシステムが機能不全に陥り、不法投棄・不適正処理が増大する懸念が高まりました。

 こうした状況を受けまして、自動車リサイクル制度では、特に処理に費用を要する3品目(フロン類・エアバッグ類・ASR)につきまして、既存の処理ルートから分離して、そのリサイクル料金を新車購入時にユーザーが負担し、関連事業者が適正な処理を行った上で、自動車製造業者等が引き取って再資源化することにより、使用済自動車がおおむね有価で流通し、従来の市場によるリサイクルシステムが機能する状況を創出することを目指しました。

 法施行後は、使用済自動車の取引の逆有償化は解消し、使用済自動車の適正処理が確保され、不法投棄等も大幅に減少し、その効果が発揮されていると考えられております。現行制度のもと、法制定当初の目的である不法投棄等の未然防止・ASR等の最終処分量の極小化がおおむね図られている現状を踏まると、今後は制度の特徴を踏まえて、自動車製造業者等の環境配慮設計などの取り組みの一層の促進や、使用済自動車のリサイクルの全体最適化の促進などを通じて、解体・破砕段階も含めて質の高いリユース・リサイクルを行っていく、それによって資源の有効活用と社会的コストの低減を同時に追求していくことが目指すべき姿だと考えております。

 これらの取り組みを通じて、自動車リサイクル制度のあるべき姿として、使用済自動車の発生が抑制され、全ての使用済自動車が可能な限り環境負荷が少ない方法でリユース・リサイクルされ、持続可能な形での資源の有効活用が行われ、リユース・リサイクルに関する社会的コストが最小化する。使用済みとなった場合にも自動車が市場価値を有して、経済的な理由から不法投棄が起こるおそれがないシステムを実現していくことが目指すべき姿だと考えております。

 1ページおめくりいただきまして、あるべき姿実現に向けた考え方を記載しております。

 自動車リサイクル制度では、先ほど申し上げましたように3品目の再資源化等を既存のルートから分離することによって、使用済自動車がおおむね有価で流通し、従来の市場によるリサイクルシステムが機能する状況を創出することを目指しました。

 こうした制度をつくり上げるメリットとして、3品目の再資源化等の状況のモニタリングが容易になり、それによって3品目の再資源化等が劇的に進んだことが挙げられます。ASRの再資源化を自動車製造業者等が実施するに伴って、ASRの70%の再資源化目標を通じて、使用済自動車全体で95%を目標とすることが設定されましたが、自動車リサイクル制度の導入時は約83%であったものが今は100%近い水準を達成している状況です。また、リサイクル料金の預託状況や使用済自動車の再資源化等の状況は、登録・届け出情報と連携することにより、情報を1台ごとに管理することが可能になっており、これは欧州の制度と比較しても大きく評価されるポイントだと考えております。今後はこの3品目だけではなく、自動車全体で3Rを推進していく、また質を向上していく観点で評価もしくは取り組みを行っていくことが重要であると考えております。

 また、3品目が自動車製造業者等によって再資源化等されることにより、自動車製造業者等による環境配慮設計や再資源化等に要する費用低減のインセンティブを生じさせることが可能になりました。ユーザーによる選択や、モニタリングを通じて、こうした機能を強化していくことが重要であると考えております。一方で、ASRについては、制度を導入する以前は解体・破砕業者がみずから産業廃棄物として処理していましたが、制度が導入されたことによって、自動車製造業者等がASRを引き取って再資源化等をすることになったので、解体・破砕段階においてASRの発生量を低減させるインセンティブが働きにくくなったということもございます。そうしたことから、自動車リサイクルの全体最適化を図ることでASRの発生量及び処理コストを引き下げることを目指していく必要があると考えられます。

 また、ユーザーがリサイクル料金を負担した結果として、使用済自動車の価値が向上しております。使用済自動車の価値は資源価格に大きく左右されますが、自動車リサイクル制度の導入後は基本的には有価での取引が実現しています。自動車リサイクル制度のロバスト性を高めるとともに、ユーザーのリサイクルに係る実質負担を軽減するという観点からは、使用済自動車の価値をユーザーに還元していくことが重要であると考えられます。

 また、自動車リサイクル制度に係る社会的コストを低減する観点では、3品目のうちの1つであるフロン類の冷媒転換が図られ、回収及び処理料金の負担が不要になりつつあることは象徴的な出来事であると認識しております。エアバッグ類についてもISO対応など、易リサイクル設計が進展するなどして、エアバッグ類の処理が容易になりつつある。また、解体・破砕段階における質の高いリユース・リサイクルが進み、ASRの発生量が低減すれば、自動車リサイクルに関する社会的コストが劇的に下がっていくことも想定し得ると思います。

 また、3品目の処理を既存のルートから切り離しし、自動車製造業者等が再資源化等をすることにより、ユーザーによるリサイクル料金の負担が発生したことだけではなく、その授受や管理・運用、情報管理等の業務が必要になってきております。こうしたことから、これらの業務の効率化を進めて社会的コストを引き下げていくという視点も重要です。その際、リサイクル料金の低減に向けて、リサイクル料金余剰分の効果的な活用を図っていくことが求められております。

 自動車リサイクル制度では、こうした既存の自動車処理ルートを活用した使用済自動車のリサイクルの円滑化に加えて、ユーザー、関係事業者、自動車製造業者等、自治体、国が適切に役割分担をすることで、安定的にリサイクル・適正処理が行われる体制を構築しております。引き続き、関係事業者の知識・能力の向上や、自治体業務の円滑化、不適正事案のモニタリングの強化等を通じて、自動車のリサイクルが適正かつ確実に行われる環境の整備を進めていく必要がございます。また、引き続き離島地域における自動車リサイクルの支援や不法投棄の解消に向けた対策を行うとともに、大規模災害・事故時等の非常時の対応の円滑化を図るなど、制度のロバスト性を強化していく視点も重要です。

 また、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車等の次世代自動車の増加や、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などのこれまで使用されていなかった素材が使われ始めるなど、自動車リサイクル制度は常に変化にさらされていいます。新たな部品や素材についても、自動車製造業者等はリユース・リサイクルを容易にすることが法律上責務とされておりますが、既存のリサイクルシステムにおいて処理が困難な部品や素材を使用する場合には、セーフティーネットを整備するなど主体的に役割を果たしていくことも求められると思います。また、制度としても将来の変化に備えて柔軟に対応を行うことが重要です。

 さらに、日本から多くの中古自動車が輸出されていることも踏まえまして、諸外国の自動車リサイクルに係る社会的課題の解決に向けて積極的に貢献していく姿勢も重要だと考えられます。自動車ユーザーや関係事業者の理解を得ながら自動車リサイクル制度を含む自動車関連制度を段階的に発展させてきた我が国の経験を伝えるとともに、我が国の自動車リサイクル事業者等の海外進出の促進や人材の育成などを通じて、我が国の自動車リサイクル事業者等の競争力の向上を図りながら、諸外国の自動車リサイクルに係る社会的課題の解決に向けて積極的に貢献していくことが重要であると考えられます。

 こうしたあるべき姿及びその実現に向けた考え方に対応する形で、その対応の方向性を次のページから記載してございます。4ページ目をごらんください。

 自動車リサイクル制度のあるべき姿の実現に向けて、1つ目が自動車における3Rの推進・質の向上、2つ目が自動車リサイクル制度の安定的かつ効率的な運用、3つ目が自動車リサイクルの変化への対応と国際展開の3つの柱に沿って、対応の方向性を整理しております。前回、前々回の資料の記述と重複する部分が多くございますので、施策となる部分を重点的にご説明させていただければと存じます。

○山口リサイクル推進室室長補佐  それでは、説明に移らせていただきます。

 1.自動車における3Rの推進・質の向上でございます。

 (1)環境配慮設計・再生資源活用推進による解体・破砕段階でのリユース拡大・リサイクルの質の向上でございます。

 解体・破砕段階でのリユース拡大やリサイクルの質の向上を持続的かつ自律的に進めるためには、より多くの部品や素材をリユース・リサイクルすることが解体・破砕事業の収益性を高めるためには重要でございます。一方で、さらに収益性を高めるためには、多くの部品や素材がリユースされる、リサイクルされる、こういったリユース拡大・リサイクルの質の向上と収益性向上の好循環を生み出すことが必要だと考えております。この好循環を通じて、ASR再資源化に係るユーザーの負担の軽減を図るとともに、自動車の3Rの推進・質の向上が図られると考えております。

 この好循環を実現するためには、自動車製造業者等による環境配慮設計の推進や再生資源活用の拡大を促進していくことが重要と考えております。

 自動車の解体性が向上することや再生資源の需要が拡大することにより、自動車の解体時のコスト低減や、部品リユースや取り外した素材の売却収益が向上し、より多くの部品や素材をリユース・リサイクルするインセンティブになると考えております。また、解体・破砕事業の収益性向上が使用済自動車の価値の向上につながり、結果的にそれがユーザーへの便益の還元になるという効果も期待されるところでございます。

 それに向けた施策としては、2点考えているところでございます。①が環境配慮設計の推進とその活用でございます。

 現状では、メーカーは法第3条の責務規定に基づき環境配慮設計に努めることとされておりますが、その定量化は困難な状況でございまして、また、十分な評価はなかなかされていないところでございます。また、メーカーによる環境配慮設計が進むためには、ユーザーがそういった環境配慮設計の進んだ車を優先して選択することも重要でございます。しかしながら、現状、ASRのリサイクル料金は、車両重量から金属類や事前回収物品等の重量を除いた重量をもとに算出されており、環境配慮設計により部品の取り外し性が向上し、仮に容易にリユース・リサイクルできるようになったとしても、ユーザーにとってわかりやすい情報であるリサイクル料金には直接反映されておらず、環境配慮設計の情報は活用が限定的な状況でございます。

 その上での今後の方向性でございますが、解体業者と自動車製造業者のコミュニケーションにより、リユース拡大・リサイクルの質の向上と収益性向上の好循環を実現する上で必要な環境配慮設計の効率的な導入や情報の提供を進め、また、そのフォローアップを継続的に実施していくべきと考えております。

 めくっていただきまして、5ページ目でございます。2点目の方向性でございます。環境配慮設計によって取り外しが向上し、容易にリユース・リサイクルを行うことができるようになった部品・素材について、例えばASR予測発生量からその重量を除外することでリサイクル料金を引き下げ、リサイクル料金の差別化を行う、このような形で環境配慮設計の進捗について評価、またユーザーにとってわかりやすい形での活用方法を検討していくべきではないかというところでございます。

 続きまして、②再生資源の需要と供給の拡大についてでございます。

 解体・破砕によって得られる再生資源については、再生資源の需要を喚起し、その付加価値を高めていくことが解体・破砕段階でのマテリアルリサイクルを促進するインセンティブとなり、それがリユース拡大・リサイクルの質の向上と収益性向上の好循環の実現につながるものと考えております。

 しかしながら、現時点では再生資源に対する需要は余り高くないと考えております。さまざまな理由がございます。自動車メーカーにとって自動車の燃費性能や安全性能のような理由は非常に重要なものでございまして、天然資源と同様の品質・コスト競争力、そして安定供給が求められているところでございます。ただ、これらの条件を満たす再生資源はやはり限られており、再生資源の価格優位性も乏しい中で、再生資源の利用によるコスト増をユーザーに対して価格転嫁していくことはなかなか受け入れられる状況ではなく、現時点において再生材の市場原理においての利活用は限定的な状況であると考えております。

 しかしながら、再生資源の需要拡大を通じてリユース拡大・リサイクルの質の向上と収益性向上の好循環を実現していくためには、再生資源が広域的に効率よく収集・供給される環境を整備することによって再生資源の付加価値を高め、自動車メーカー等が再生資源の利用を自発的に拡大させていくことが重要と考えております。

 その上での方向性でございます。2点ございます。1点目は、再生資源の活用について、需要面・供給面双方の課題を整理した上で、その課題を解決する方法についてまず検討をしていきましょうということでございます。

 その際でございますが、ユーザーが最終的に製品を選択する、また、使用済自動車として引き渡すことを踏まえて、自動車ユーザーが自動車リサイクルにおいて環境配慮設計や再生資源利用を行うことの重要性や社会的便益をよく理解していただいて、ユーザーが環境配慮設計や再生資源利用の進んだ自動車の積極的な選択を促すような情報発信であり、また、ユーザーに対しての例えば経済的なインセンティブなど、こういったインセンティブのあり方について検討していくべきではないかと考えているところでございます。

 続けて(2)2R(リデュース・リユース)の推進でございます。

 自動車における2Rの推進に当たっては、部品リユースを進めることが非常に重要でございます。安価なリユース・リビルド部品によって整備・修理することができれば、経済的な理由から例えば低年式の自動車を廃棄する可能性は低減されるなど、リユースそのものの環境的な意義だけではなく、リデュースの観点からも中古車として引き続き使用されることになるなど、2Rの観点から部品リユースが重要であると考えております。

 一般にリユースでございますが、素材としてリサイクルするよりも、部品リユースのほうが高く売却できるということでございまして、解体業者においてもリユースを優先するインセンティブが働いております。そのためこれまで自発的にリユースの取り組みは行われているところでございます。また、近年、自動車保険のほうでも動きがございます。めくっていただきますと、6ページ目でございます。自動車保険のノンフリート等級別の料率制度の改定がされたところでございますが、これによって自費修理の増加が見込まれているところでございます。保険料が増加する分との比較で、自費で保険を使わない修理がふえているところでございます。その際、安価なリユース・リビルド部品の活用が期待されているところでございます。さらに、業界団体でもユーザーに対するリユース・リビルド部品の信頼性向上や物流の高度化を図るために、例えば自動車補修用リサイクル部品の規格化の取り組みなど、こういった取り組みが関係事業者団体によって行われているところでございます。加えて、保険修理においても動きがございます。一部の損害保険会社ではございますが、解体業者・整備業者と連携して、修理の際にリユース・リビルド部品を使用することを保険契約者が事前に確約する。これによって保険料を割り引くリサイクル部品特約が商品化されているところでございます。このように一部の事業者ではございますが、リユース部品の取り組みの促進が自発的に行われているところでございます。

 しかしながら、そのような状況の下で部品市場は拡大傾向にあるものの、一方でその伸びが鈍化されているところも指摘されておりまして、普及拡大に向けてさらなる取り組みが必要になると考えております。

 方向性でございますけれども、リユース・リビルド部品の利用については、さらなるユーザーの理解の促進に取り組むとともに、部品の規格化の取り組み等を通じて、それぞれの部品を比較・評価しやすい環境を創出して、またユーザーがリユース・リビルド部品を選択しやすいような状況を構築していくべきと考えております。

 続けて(3)リサイクルの質の向上についてでございます。

 自動車リサイクルの全体最適化を通じたリサイクルの質の向上が1点目でございます。

 マテリアルリサイクルを実施するに当たっては、回収のタイミング、例えば解体段階で部品・資源をとるのか、破砕段階でとるのか、またはASRになってからとるのか、加えて、収集方法、再資源化方法によって、得られる再生資源の質、コストが大きく異なってくるものでございます。特にレアメタルやプラスチック、ガラスといった現段階ではリサイクルの収益性が乏しいと考えられるような素材については、どのようにビジネスとしてマテリアルリサイクルを進めていくかが課題でございます。これらについて、解体段階で回収すれば素材として取り出しやすく、また破砕するためエネルギー消費の低減、摩耗による設備負荷回避など、破砕段階にもメリットがあると考えているところでございます。ただ、これらに関しては、現状ではASRに含まれ、スラグ・燃料等の用途で再資源化されている状況でございます。

 このような素材の活用を進めることは、ASRの発生量を抑制し、ユーザー負担について低減することにつながるため、全体最適化を図っていくことで社会的コストの低減にもつながると考えているところでございます。

 方向性としては2点ございます。1点目としては、解体・破砕業者の取り組みについて、現状でも行っている業者がございますので、ベストプラクティスをまとめていく、またモデル事業の実施等を通じて普及を促進していくことでございます。

 2点目としては、法第31条で全部再資源化ということでASRを発生させない方法がございますが、こういった取り組みを活用して全体最適化の取り組みを促進する方法を検討すべきではないかということでございます。

 続けて、7ページ目でございます。②としては、リユース・リサイクルの推進・質の向上の把握・評価についてでございます。

 自動車リサイクル法においては、ASRの再資源化目標が設定されているところでございます。

 ただ、この目標だけでは解体・破砕段階での取り組みを把握できておりませんので、今後、自動車全体の3Rの進捗を評価するためには、解体・破砕段階の取り組みを評価する、また、ASRの性状・再資源化についても解体・破砕段階の取り組みに非常に左右されることになりますので、一体的に評価していく必要があると考えているところでございます。

 施策の方向性でございますけれども、ASRの再資源化率だけではなく、解体・破砕段階を含めた自動車全体の質の評価という方向に向けて定量的な評価方法を検討して、また状況把握をしていくべきではないかと考えております。またその際、自動車へどのような資源が使われているか、資源の利活用状況も踏まえた上での関係者が連携して行うリサイクルの最適化を図る取り組みを高く評価していくべきではないかと考えております。

 続けて、2.目でございます。安定的かつ効率的な運用についてでございまして、(1)が引取業のあり方でございます。

 引取業のあり方に関してでございますが、ユーザーとの接点となる引取業者においては、情報を適切に提供していくことで、その段階での中古車とするか使用済自動車となるかの判断が行われるわけでございます。入り口としての機能を果たしていくことが重要でございます。ただ、その際、ユーザーにきちんと情報を提供することによって、引取業者間の競争を通じてユーザーの実質負担軽減にもつながる。これはつまり使用済自動車の価値が向上することでユーザーに還元していくことが可能であるということでございます。

 一方で、これらに関しては、これまでのヒアリングを通じて多くの問題提起がなされたところでございます。

 その上での方向性が8ページ目でございます。

 1点目として、判別ガイドラインを踏まえて、どのような情報提供をユーザーに行うべきか整理し、引取業者はそれに基づく対応を進めていくべきというところでございます。

 2点目として、ユーザーが使用済自動車の価値に関して理解をより深めて、主体的に引取業者を選択できるように、関係者が連携して車の資源的価値などをきちんとユーザーへ情報発信していくべきと考えているところでございます。

 続きまして、(2)不法投棄・不適正処理への対応の強化でございます。

 大きく3点これまでの議論でもございました。制度の安定的運用のためには、関係者が役割を果たしていくことが重要でございまして、その役割を果たしていくことは自動車のリサイクルの担保だけではなくて、優良事業者が適切に解体・破砕を行っていく、そういった競争環境を整備することにもつながるものでございます。ただ、これまで3点主に問題提起がございました。

 1点目としては、自治体において指導の根拠明確化が必要であること。2点目としては、業界団体でも優良事業者の講習制度等が設けられておりますが、このような自主的な取り組みも進めて、この活用をどのように検討していくかでございます。3点目は、不法投棄事案が依然としてございますので、この対策を引き続き進めていくことが方向性でございます。

 枠囲みの中でございますが、1点目としては、適切なリサイクルの確保、競争環境の整備を図っていくためには状況分析を進めて、例えば再資源化基準ですとか標準作業書ガイドラインの見直しや自動車リサイクルシステムの情報提供、関係団体の連携を通じて指導の円滑化、その徹底に向けた環境整備を図っていくことでございます。

 9ページ目でございますけれども、2点目としては、質の高いリサイクルに向けた講習制度の活用を図っていくというところでございます。また、そのような質の高いリサイクルを行う優良事業者を差別化して、そのような情報について、例えば使用済自動車引き渡しの際の参考にすることや自治体での登録・許可業務への活用に関して検討していくべきではないかというところでございます。

 3点目、不法投棄の未然防止、解消に向けてでございますが、発生要因やその現状は複数のパターンがあると考えております。それらは使用済自動車の価値に応じて処理プロセスも変わってくるものでございまして、その対応方法の一般化などを図っていくべきと考えております。

 続けて(3)使用済自動車等の確実かつ適正な処理の推進についてでございます。

 1点目として、リサイクルの円滑化によるロバスト性の向上でございます。

 これらについては、離島地域での対策ですとか事故、震災対応に関してきちんと対応を進めていくべきではないかというところでございます。

 大きく方向性としては枠囲みの中でございますが、制度のロバスト性の向上に向けて、離島支援に加えて大規模災害時におけるセーフティーネット機能の構築や再資源化施設の事故に対する対応を進めて体制強化を図っていきましょう。また、その際、大規模災害時の対応に関する特預金の活用などに関しても検討を行いましょうというところでございます。

 続けて②自動車及び3品目の確実な再資源化のための監督等の強化でございます。

 めくっていただきますと、大きく方向性を挙げているところでございます。監督強化は使用済自動車の確実な処理のために必要でございますが、1点目としては、例えば移動報告――電子マニフェスト制度でございますが――に基づく処理も適切なモニタリングの必要性を挙げているところでございます。

 2点目としては、エアバッグ類についてでございます。エアバッグ類についても自動車メーカー等によるリサイクル容易設計が進んでいるところでございますが、依然として作動漏れですとか虚偽の移動報告のようなものがございますので、これらの監督強化が必要であるということでございます。

 フロン類についてでございますが、原則としては環境負荷物質であり、適切に管理され、破壊されることが必要でございますが、初期充填量に対しての漏えいや回収されている量が半分以下ということがわかっておりますので、これらの回収量増加に向けてメーカー等が協力して環境配慮設計を進めていくことや、抜本的な冷媒転換の取り組みを評価していきましょうということでございます。

 ただし、その際、フロン類の再生という観点がございます。これに関しては、フロン類の資源的価値や業務用冷凍空調機器からの再生需要への影響を踏まえて、フロン類の適正処理を進めていこうということが方向性でございます。

 枠囲みの中は繰り返しでございますが、3品目や自動車に関する監督・取り締まり強化をしていきましょうということ。

 特に、エアバッグ、フロン類に関して、その方法を検討していきましょうということでございます。

 続けて11ページ目でございます。③廃発煙筒への対応の強化でございます。

 廃発煙筒に関しましては、破砕業者からその危険性が指摘されているところでございます。一方で、解体業者のアンケートをしたところ、その対応に関してはまちまちであることがわかっております。1つの要因としては、破砕業者における設備対応の違いが考えられているところでございます。

 その方向性でございますけれども、廃発煙筒については、破砕業者の対応状況に応じて危険性が変化することがわかっておりますので、解体業者と破砕業者の交渉において、それらの取り外しが行われるような環境整備を行っていく。そのために、まずは解体自動車の引き取りを拒める理由に廃発煙筒の混入を位置づけて、破砕業者における安全性を確保していくべきものと考えているところでございます。

○小松自動車課課長補佐  (5)自動車リサイクル全体の社会的コストの低減についてです。

 最初に、①JARCの機能強化と効率化についてです。こちらはJARCの費用及び役割、チェック機能について記載している部分です。

 次のページをおめくりいただき、12ページ目の頭に施策について記載がございますので、ご確認下さい。最初に、役割についてです。自動車リサイクル制度においてJARCが果たすべき役割については、JARCのデータを活用して自治体と連携すべきという意見や、中古品流通における情報共有に関する意見などがございました。主に情報共有に関する意見をいただいたと認識しております。JARCの費用については、ユーザー及び自動車製造業者等が負担していることを踏まえながら、特に情報共有の観点から検討を行うべきではないかと考えております。

 2つ目が、費用についての記載でございます。JARCの費用に関しては、前回座長からも預託手数料や、人物件費の負担のあり方について発言がございましたが、JARCの業務運営が安定化、効率化してきている中で、その費用分担について、ユーザー及び自動車製造業者等が受ける便益やリサイクル制度において果たすべき役割の観点からそのあり方を検討するとともに、その費用についても十分に精査した上で、両者の負担が低減するように見直しを行うべきだと考えております。

 こちらで別紙をご確認いただければと思います。「指定法人の費用について」という別紙を添付しておりますので、こちらをご確認ください。

 まず、指定法人の費用について、どのように負担が行われているかということを記載しております。1.に現行の指定法人業務の費用負担の考え方について記載しております。

 指定法人業務に関する費用負担の基本的な考え方は、平成16年3月開催の第6回産業構造審議会・中央環境審議会の合同会議において整理され、指定法人業務に関する費用は、ユーザーが支払う資金管理料金と情報管理料金に加えて、自動車製造業者等が自主的に費用を負担するという形で整理されておりました。

 この費用分担の中身については、最初に、指定法人業務のイニシャルコストについては、自動車製造業者等が約142億円を全額負担しております。

 (2)資金管理法人のランニングコストについてです。

 自動車所有者には資金管理料金として負担いただいておりますが、自動車製造業者等はリサイクル制度における中心的な役割を果たすべき存在として基盤的コストを、リサイクル料金の払い渡しを受ける立場として一定のコストを負担することとされております。

 具体的には、①基盤的コストである人件費、施設管理費等は自動車製造業者等が負担、②情報システム機器のメンテナンス費などについては、自動車製造業者等も便益を受ける業務に必要な費用だということで、自動車所有者と原則折半して自動車製造業者等が一部負担することになっております。こちら、残りの折半部分に加えてユーザーは、③リサイクル料金の預託収受に関する費用と資金運用に要する費用、④資金管理法人の独立性・公開制の確保に要する費用を負担することになっております。

 (3)が情報管理センターのランニングコストについてです。

 こちらも資金管理法人と同様な考え方でですが、自動車製造業者等は中心的な役割を果たすということと、便益に応じて一定のコストを負担するという考え方から、①基盤的なコストとして人件費、施設管理費は自動車製造業者等が負担、②情報システムのメンテナンス費などについては自動車所有者と原則折半して自動車メーカー等が負担するという整理がされております。

 次のページに、こちらは前回の審議会でお示ししたものと同じですが、このような費用分担が行われていることによって、平成25年度決算ベースでどのように負担されているかということを記載しております。

 こちらを踏まえて、次の3ページ目、指定法人業務の費用分担について検討を行いたいと考えております。指定法人業務の費用分担、特に資金管理法人・情報管理センターについての費用分担についてですが、施行後5年目の見直しの際にも自動車製造業者等から費用分担の見直し、特に人物件費を折半することについて要望がございましたので、検討がなされておりました。その際、時期尚早という意見や、引き続き自動車製造業者等が中心的な役割を果たすべきという意見がありまして、最終的に報告書の中では、法制度の立ち上げ期を経た今もなお、この役割は変わっていないということで、引き続き現行どおりの負担とすべきである。ただし、その細部については、上記を原則としつつも、効率性の観点から実情に応じ判断されることとなるということでまとめられております。

 こうした費用分担の考え方に基づいて指定法人の業務運営は引き続き行われており、10年間の制度運営の結果、業務運営の安定化・効率化が図られてきております。こうした中、ユーザー及び自動車製造業者等が指定法人の業務運営における便益や自動車リサイクル制度において果たすべき役割を踏まえて、改めて費用分担はどうあるべきか、そのあり方を検討してはどうかと考えております。

 指定法人の費用項目について、ユーザー及び自動車製造業者等が指定法人の業務運営により受ける便益及び自動車リサイクル制度において果たすべき役割という観点から論点を示しております。

 下の表をごらんください。まず、ユーザーが全額負担している部分についてです。①新車購入時・引き取り時の預託手数料についてです。こちらの預託手数料ですが、これは法律上、ユーザーが資金管理法人に預託を行うことになっているものの、実際にはユーザーにかわってディーラーがこの業務を行っているということもございますので、ディーラー等にユーザーの料金から手数料が支払われているものでございます。こうした手数料は、ユーザーの利便性の観点から支払われているということもございますので、引き続きユーザーが便益を受け、ユーザーが負担すべき費用と考えられるかという点が論点でございます。一方で、この手数料額については、それが妥当かどうかという点は後ほど記載しております。

 次に、②登録情報、購入する費用についてです。これは情報管理を行うに当たって必須の費用だということもあり、適切な情報管理を通じてユーザー及び自動車製造業者等の双方が便益を受けているのではないか、双方が負担すべき費用と考えられるかという点が論点です。つまり、自動車製造業者等にも応分の負担を求めるべきか、という点が論点になっております。

 ③資金運用に関する費用です。ユーザーから受け取ったリサイクル料金を管理・運用するために必要な費用で、適切にリサイクル料金が管理・運用されることを通じて、ユーザー及び自動車製造業者等の双方が便益を受け、双方が負担すべき費用と考えられるかどうかという点が論点です。

 ④債権回収業務の関連費用です。こちらも③の資金運用の費用と同様に、ユーザー及び自動車製造業者等の双方が便益を受け、双方が負担すべき費用ではないか。この点について論点として挙げられております。

 ⑤監査・委員会運営等の費用についてです。こちらは独立性を保つための費用でございますが、指定法人業務が自動車製造業者等を含む自動車リサイクルにかかわる関係主体に対して中立的な業務運営を行うことを担保するための費用であり、その目的を達成する上では引き続きユーザーに負担を求める必要のある費用と考えられるかという点が論点です。

 次に、現在折半となっているものの費用についてです。こちらがシステム改修・保守費用です。こちらについては、情報システムの更新や管理に必要な費用で、適切な情報管理を通じてユーザー及び自動車製造業者等の双方が便益を受け、引き続き双方が負担すべき費用と考えられるかという点が論点です。

 最後に、自動車製造業者等だけが負担している人物件費についてです。最初に、指定法人業務に係る人件費・施設管理費で純粋管理部門を除くということで記載しております。こちらは指定法人の管理業務でございます事務統括部の費用を除いたものとお考え下さい。こちらの費用に関しましては、指定法人の業務運営を通じて適切な資金管理、情報管理、問い合せへの対応など、ユーザー、自動車製造業者等の双方が便益を受けており、自動車製造業者等に加えてユーザーに負担を求めるべき費用かどうかという点が論点です。

 最後に、指定法人業務に係る人件費・施設管理費の純粋管理部門に関するものです。指定法人業務を支える純粋管理部門の人件費・施設管理費については、ユーザーに負担を求める指定法人業務ではないということもあり、引き続き自動車製造業者等の負担が必要な費用と考えられるかどうかという点が論点です。

 それぞれの費用については、金額を記載しておりますので、仮にこの項目を折半するとどうなるかなどは、こちらを計算していただければ、それぞれの負担額がどうなるかということは、平成25年度の決算ベースでわかるようにしております。

 次のページをごらんください。費用分担のあり方の検討を行うとともに、費用の精査及びチェック機能の強化をセットで行う必要があると考えております。

 制度開始から10年を経て業務内容が安定化・効率化してきていることも踏まえて、改めてJARCが支出すべき費用を精査するべきではないかと考えております。費用分担の見直しを行った場合にも、こうした費用の精査を行うことにより、ユーザー及び自動車製造業者等の費用負担が双方とも減少するような見直しを行うべきではないかと考えております。

 例えば、リサイクル料金の預託時の手数料につきましては、ディーラー等における預託業務の効率化や通信環境の変化などを踏まえて費用の見直しが可能ではないかと考えております。

 また、PDCAサイクルの強化を通じて全体のコスト低減を目指すとともに、関係主体間の情報共有の円滑化やデータ活用等の観点からサービス向上を図るなど、JARCが蓄積した情報・知識・能力を自動車リサイクル制度全体に還元していくべきではないかと考えております。

 以上が費用分担及びチェック機能に関する論点です。

 資料3にお戻り下さい。12ページ目の中段、特預金の使途についてです。こちらの四角囲みの中をご確認下さい。

 特預金の使途については、前回、どのような使途にどう優先順位をつけて出えんすべきか、という議論がございました。その上で、特預金は、ユーザーから自動車の再資源化等のために預託された公益性の高い資金であることを踏まえて、指定法人業務に必要な情報システムの改修等への使用などリサイクル料金の低減につながる使途への出えんを優先すべきではないかと考えております。

 その上で、指定法人業務への出えんのために留保すべきと考えられる特預金の額を超えてなお余剰するものについては、法に定められるとおり、リサイクル料金を割り引くことでユーザーに還元すべきではないか。その際、再生材を多く使用した車を中心に割引を行うなど、資源循環の促進等の観点から効果的な使途を検討すべきではないかと考えております。

 また、先ほども紹介がありましたが、大規模災害時の特預金の活用に関しては柔軟に対応しつつ、研究開発等については、国の予算や後述のメーカー等の黒字を活用することで行ってはどうかと考えております。

 次のページが③自動車製造業者等による再資源化等の効率化についてです。こちらも四角の中をご確認ください。

 自動車製造業者等がリサイクルに要する費用などの内訳を公表して、継続的に評価を行っていくべきではないかと考えております。

 また、ASRの再資源化については、チーム間の競争によるリサイクル率の上昇余地やコストの削減余地が減少しているということもありますので、中長期的な効率性、発展性の観点からチームを統合することも想定され得ると思いますが、前回審議会の中でもご意見がございましたとおり、リサイクルの質の向上や効率化の目標について十分に検討を行うことがセットになるかと思っております。

 次は④自動車製造業者等によるリサイクル料金の収支についてです。こちらも次のページをおめくりいただいて、四角の中をご確認下さい。

 自動車製造業者等におけるリサイクル料金の収支の黒字については、リサイクル料金を順次引き下げていくことによって中長期的に均衡を図るのが原則であると考えておりますけれども、一方で、これまで払ってきたユーザーによって発生した黒字だということもございますので、既存のユーザーに対しても広く還元するという観点も重要であると考えております。そうしたことから、自動車製造業者等の自主的な取り組みとして、自動車製造業者等に払い渡されたリサイクル料金の余剰部分を基金等、自動車製造業者等の外部に拠出することでリサイクルの高度化や新しいリサイクル技術の開発などを行う仕組みを検討してはどうかと考えております。

 制度設計に当たっては、成果が広く周知されて、リサイクル料金の低減やリサイクルの高度化等を通じてユーザーに還元されること、技術開発等が公平性・透明性をもって行われること、リサイクル料金が不足、赤字になった場合には自動車製造業者等の負担になるというような制度的な公平性も考慮する必要があると考えております。また、自動車製造業者等の努力による処理コスト削減を引き続き促進するような仕組みとなるよう制度設計を行っていくべきではないかと考えております。

 最後に、3.自動車リサイクルの変化への対応と国際展開についてです。

 最初に、(1)次世代車/素材の多様化への対応についてです。

 ①次世代自動車のリユース・リサイクルに関する課題の整理についてです。こちらも四角の中をご確認いただければと思いますが、次世代車については、レアメタル等の有用金属を含む新しい部品が含まれていることもございますので、将来的にリユース・リサイクルの双方が円滑に行われて、かつ戦略的に資源が有効活用されるような技術開発・体制の整備等をこれからも継続して行っていくべきだと考えております。

 特にリチウムイオン電池については取り扱いに注意を要することから、解体業者等への周知を強化するとともに、安定的・持続的に回収・リサイクルが行われるような体制の整備を検討していくべきではないかと考えております。

 次に、②素材の多様化への対応についてです。

 こちらも従来用いられてきた鉄だけではなくて、樹脂のボディーなどさまざまな素材が使われるようになったことへの対応についてですが、四角の中をごらんいただきますと、特にCFRPについては、その処理・リサイクル手法は官民で研究開発が行われている途上であることを踏まえて、現時点でCFRP製のボディーは、スクラップとしての経済価値が小さいことや従来の自動車と同様の処理が難しい等の理由で、解体・破砕が円滑に行われない可能性があることから、まずは自動車製造業者等の責任のもとでリサイクルを行うなど、セーフティーネットを構築するよう対応も現在いただいているところです。

 (2)自動車リサイクルの国際展開についてです。

 自動車リサイクル制度における取り組みは、資源の有効活用の確保や廃棄物の適正処理により生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に大きく寄与するものです。使用済自動車の処理コストが増大して、不法投棄・不適正処理の懸念が高まったことを受けて、自動車ユーザーや関連事業者の理解を得ながら自動車リサイクル制度を構築して課題の解決を図った我が国の経験を、今後同様の問題が発生し得る国々に伝えていくことには大きな意義があると認識しております。日本から世界各地に多くの自動車――新車・中古車を含めてですが――が輸出されていることを踏まえると、これは国際的な課題として捉えていくことも必要であると思います。

 また、現在でも中古部品の輸出業者を中心に海外への国際展開が図られております。高い技術をもつ我が国の関連事業者やリサイクルシステム構築に知見のある事業者が国際的に事業展開を行うこと、また、諸外国の人材を受け入れて技能を伝達するというものは、現地、海外における適正処理の拡大や資源の有効活用の促進の観点で、相手先国にもメリットがあるものと考えております。

 そうしたことから、発展途上国等の自動車リサイクルに関する社会的課題の解決に向けて我が国の知見を伝えていくなど積極的に貢献していくべきではないかと考えております。

 同時に、高い技能をもつ我が国の関連事業者等の海外進出を促進していくべきだと考えております。

 ここで、参考資料3をごらんいただければと思います。簡単な紹介とさせていただければと思います。参考資料3、「自動車リサイクルの国際展開支援について」です。

 最初に、本年2月からASEAN地域において実態調査、政策対話を実施しております。本年4月にも政策フォーラムを開いて、ASEAN地域の国々の自動車リサイクルの担当者に集まっていただいて、各国の状況に合ったリサイクルのあり方について議論を行いました。今後も政策ニーズなど対話を続けてまいりたいと考えております。

 次のページが現在海外展開をしている事業者の例を記載しております。

 最後のページが国際展開支援についてということで、現在、政府を挙げてインフラ輸出の取り組みを促進しておりまして、リサイクルの分野も注目されているところです。

 経済産業省の自動車課では、今後、タイにおける自動車リサイクル事業の実施可能性の調査や、モンゴルにおける次世代自動車のビジネスの調査などを行っていきたいと考えております。

 以上で説明を終わります。

○永田座長  どうもありがとうございました。それでは、この後は、ただいま説明のあった資料の内容等についてご意見、ご質問等を頂戴したいと思います。お手元の名札をまた立てていただきますと、順番にご発言をしていただくようにさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。それでは、赤穂さんのほうからまた回させていただきましょう。どうぞ。

○赤穂委員  ご説明ありがとうございました。論点が多岐にわたっていまして、なかなか難しいのですが、まず、リユース部品の拡大について、意義としては本当にすばらしいことだと私も思っております。ただ、この資料でも部品の規格化を進めるという書きぶりがありますけれども、今までのご説明を聞いた限りでは、品質をちゃんと担保するような仕組みがまだ不十分であると思っております。当然ながら物ですので、経年劣化は起こり得ますので、そこら辺の品質がいかに担保され、それに誰がどう責任をもっていくのかということをきちんとしたルールとしてつくっていって、それをユーザーに周知できるような仕組みがない限り、なかなかリユース部品の普及は難しいのではないかという思いはしております。

 その上で、特預金の問題につきまして、考え方が示されています。まず、情報システムの改修等、今後来たるべき大きな出費についてはそれを出捐するということは仕方がないかなと思っていますが、前回と同様ぐらいの金額が本当に必要なのかというのはもう少し精査していく必要があると思います。情報システムの費用は当然ながらもう少し軽減されていくべきだと思っています。

 その上でなお余ったものについては、一義的にはユーザーに料金の割引ということで還元するということは私も賛成したいと思います。その場合に、再生材の利用を図っている車を中心に割り引くというのも考えとしては賛成ですけれども、先ほどいいましたが、リユース部品の品質の担保が当然必要であろうと思っているということを申し添えたいと思います。

 以上です。

○永田座長  どうもありがとうございました。大塚先生、どうぞ。

○大塚委員  5点ほどありますけれども、簡単に申し上げさせていただきたいと思います。大変よくまとめていただきまして、ありがとうございます。幾つか個別の観点がありますので、ぱっぱっといきます。2ページの真ん中辺の第3パラグラフのところですが、これは現状認識としてどうかということが気になるということなのですけれども、3品目が自動車製造業者等によって再資源化等されることによって、製造業者の環境配慮設計とか再資源化に要する費用低減のインセンティブを生じさせることができたと書いてあるのですが、これは恐らくメーカーの方も必ずしもそのように思っていらっしゃらないのではないかというのは伺っています。3品目だけなので、残念ながらその中でフロンとかエアバッグとかという話になってきているので、ASRに関しても必ずしもこういうことは実際には余りなかったのではないかということがあって、環境配慮設計は自主的におやりになっていらっしゃると思いますけれども、インセンティブは残念ながら今の仕組みではなかなか発生しにくいということは構造的にございますので、申しわけないですが、現状認識としてはどうかなと残念ながら思います。

 それから、13ページの③の最後の四角のところでチームを統合するとかという話が出てきているので、これは法律の観点から申し上げておく必要があるかなと思っています。別に私は独禁法の専門家というわけではないですけれども、競争法とか独禁法が何のために存在しているかということはもうちょっと認識していただくとありがたいと思うのです。確かに重複していて効率化のためにできるだけ統合したいという気持ちはわかるのですけれども、完全に統合してしまうと、そこで世界がばっと変わるのです。競争がなくなってしまうので、独占的な体質でやっていくような方向に変わっていくのです。独禁法とか競争法というのはそのために存在しているので、完全になくしてはだめなのです。その辺は多分よくご案内だと思うのですけれども、できるだけ効率化することは私も賛成ですが、完全に統合はしないように、この辺は私の話よりも公取とかに聞いていただくといいと思うのですが、ちょっとお気をつけいただかないとまずいということを法律家として申し上げておきます。

 3つ目ですけれども、13ページの下から2行目のところで、法第34条第2項との関係で適正な原価を上回るものではなくということが指摘されていますが、この辺は家電リサイクル法でも問題になることですが、適正な原価が何かということに関して、主務官庁からメーカーのほうに情報を取り寄せるような仕組みが現在必ずしもできていないような気がします。仕組みではなくても実際にそういうことをしていただければいいのですけれども、第35条で主務省庁が勧告等をする権限がございますので、それとの関係でも情報の取り寄せをメーカーからできるような仕組みをつくっていただくとよろしいのではないかと思います。

 あとは、私自身も必ずしもそんなによくわかって申し上げるわけではないのですけれども、12ページの先ほどご説明があったJARCに関しての費用負担の見直しの件ですが、これで一般的、全般的な議論としてお伺いしておきたいのは、現在これを見直すということだと、普通こういうのは何か見直すのは理由があって見直すので、10年たってという話はお伺いしているのですが、特に見直しをする必然性とか必要性が必ずしも先ほどのご説明からは私はよくわからなかったものですから、それを教えていただけるとありがたいということがございます。

 第5点で最後です。15ページの下から4行目のところで、中古部品の輸出業者を中心に海外への事業展開が図られているということで、参考資料もお示しいただいて、大変結構なことだと思いますが、他方で、ちょっと前までは国際資源循環といっていて、有害物質とかも含めてリサイクル、日本にもってきて資源の循環をするという議論も結構あったと思うのですけれども、これだと完全に出ていってしまうことになってしまうので、これは環境法の問題ではなくて雇用とかという話になってくるので、私の専門外の話ではありますが、そういうことも考えられないのかということを意見として申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○永田座長  どうもありがとうございました。一わたりご意見を頂戴してから、また事務局のほうで答えてもらいます。どうぞ、河村さん。

○河村(二)委員  ELV機構・河村です。ありがとうございます。

 まず、資料3の8ページ、不法投棄・不適正処理への対応の強化の中の記述のことでございます。まず、自リ法の現在の課題は、ご存じのとおり無許可業者が都市部周辺から全国規模で地方にも拡散している。今や東北の果てまでも進出していることを伺っております。また、その中で、フロン、エアバッグなどさまざまな法令違反があり、既存の業者と不公平な競争が発生しておりまして、まさに悪貨が良貨を駆逐するゆゆしき事態であるということで、ここの大事なことは、行政機関には無許可業者の取り締まりの対策強化とあわせて、前回の審議会の千葉県のヤード条例など対策事例の記述を文言に盛り込んでいただければありがたいと思います。

 あと、後ろのほうの資料で参考資料2というところが1枚あります。その中で鉛バッテリーとタイヤの記述がございます。そこをみていただきたいと思います。このように現在、鉛電池の流通経路で発生する多くの廃バッテリーが海外輸出であるということであり、これは経済の上の安全保障問題でもあるということで、あわせてワイヤーハーネスの銅の海外流出も同様であるということで、先ほど来のお話の中で、国内資源循環の精錬業者を含めた強化対策の記載を要望するということをお願いしたいと思います。

 なお、廃タイヤの破砕のことですが、この記述で2013年には11万トンの破砕タイヤが輸入ということで、文章では初めてでありまして、その付加価値であり、ELV機構としても廃タイヤの付加価値の研究に取り組む考えであります。今後とも資源に関する情報はぜひお示しいただき、また国内の資源循環を強めていきたいと思います。よろしくお願いします。

○永田座長  どうもありがとうございました。お隣の河村さん、どうぞ。

○河村(真)委員  ありがとうございます。主婦連合会の河村です。

 11ページの下の(5)自動車リサイクル全体の社会的コストの低減のところの①にJARCの機能強化と効率化と書いてあるのですが、機能強化と効率化という題名の意味するところが文章からは私は余り受け取ることができなくて、効率化はわかるのですけれども、JARCの機能強化について、どうしてここに機能強化と書かれているのか。内容の中には主体的に業務を行っていくべきとの指摘もされているともあるのですけれども、今後制度がどのようになっていくかによって大きく変わっていくと思いますが、制度のあり方自体にJARCは多分縛られると思いますので、機能強化ありきということに私はちょっと違和感がありまして、つまり申し上げたいことは、機能強化というのは、中身、どういう方向性のことをここは意味しているのかというのが質問です。

 もう1つは意見なのですけれども、例えば13ページにありますように、④自動車製造業者等における収支のところで、黒字発生の要因は、廃車が発生する十数年後を見据えて料金設定することの困難さがありますが、このように、制度そのものが内包する問題があります。このような問題は、制度のその部分を見直すことによってJARCという組織が担う内容が変わることもあるはずです。ですから、JARCは機能強化するという方向にここで決めるのはどうなのか、というのが私の意見です。かねてから申し上げていますように、この制度ができたことで自動車のリサイクルがうまくいっているということは理解しております。これを、今より社会的コストをかけずに、柔軟なルールや組織の見直しによって、もっとシンプルな、エレガントなシステムになれる可能性があるのではないかと思うのですが、制度を根本的に見直すというところから考えないと、JARCの効率化ということだけでは限界があるように思います。制度そのものの効率化という点も言及されているといいと思います。

 次は質問なのですが、こう検討されていくべきという言葉で終わっている四角の中の文言がいっぱいあるのですが、何を検討するべきかを決めるのがこの会の目標だったのかどうかということと、その検討されるべきということが今後どういうスケジュールで、どういう場で、どのようにアウトプットというか結論が出されていくのか教えてください。

○永田座長  どうも。鬼沢さん、どうぞ。

○鬼沢委員  全体的にユーザーへの情報発信が大切というところが至るところにありますが、本当にそのとおりで、今まで自動車リサイクル制度のユーザーへの認知が低かったというところを考えますと、それは非常に大切なことで、それぞれのところが独自に情報発信をするのではなく、今後はいかに連携して進めていくかということがすごく大切なのだと思います。至るところにユーザーへの情報発信の部分が入っていてよかったと思っております。

 それで、まず、5ページの環境配慮設計の関連ですが、環境配慮設計を進めている車、あるいはメーカーに関しては、もう少しユーザーがわかるようにラベリングをするとかをこれからちゃんとしていかないと、ユーザーが選ぶための情報をなかなか得られないのではないかと思います。

 それから、6ページのリユース部品に関してなのですけれども、ここにいい事例が載っているのですが、保険業界全体がそのように動いているというのはまだこれからのような気がしますので、保険業界全体がもう少し全体的にリユース部品を使ったときのメリットを反映できるような形で進めていける体制を整えていく必要があるのではないかと思います。

 それから、11ページのJARCの費用の部分ですけれども、具体的に今どういう状況かという案を示していただきました。今度はユーザーの負担の部分が一部ふえている形になったり、あるいは双方での負担の部分ありという提案が今あったのですが、確かに10年たって施行当時に比べてかなり安定してきたということでの見直しは必要かと思うのですが、では、本当にこの割合や、こういう分担でいいのかということをもう少しちゃんと議論しないと、本日提案されてそのままというのはなかなかユーザーへの説明がし切れないと思います。ですから、本当に今どうなっていて、見直すことでどうなるかということを今説明いただいただけではやはり時間的にちょっと足りないと思いますから、施行時の負担の根拠の含め説明の機会があっていいのではないかと思いますし、それをもとに見直すのか、あるいはあと5年や10年はこのままでいくのか、そういう議論をする必要があるのではないかと思います。

 最後に、13ページのリサイクル料金の社内費用の内訳等の公表のルール化を図りというところなのですが、これは大切だと思いますし、それぞれの車のリサイクル料金が今幾らかかっているということは公表されていますけれども、それの内訳について、どこにどのように費用がかかっているのかというのはなかなかわからないので、少なくても国のほうでそれをちゃんと検証していくことは必要なのではないかと思います。

○永田座長  どうも。よろしいですか。では、小林さん、どうぞ。

○小林委員  ありがとうございます。私からは3点コメントさせていただければと思います。

 第1点は、12ページの上の枠囲いの2番目の矢印の点でございますが、費用分担についてはユーザー及び自動車製造業者等が受ける便益やリサイクル制度において果たすべき役割の観点からあり方を検討するとともに、その費用についても十分に精査して、両者の負担が低減するよう、見直しを行うべきということでございまして、この点につきましては、検討の視点としては基本的に理解可能と思います。ただし、リードタイムを含めましてさらに入念な具体的な検討が必要と考えます。これが第1点でございます。

 第2点は、13ページの中ほどの枠囲いの上の矢印でございますが、費用の内訳の公表のルール化を図り、リサイクル料金が適切に設定され使用されているか継続的に評価を行っていくべきということでございまして、この点につきましても、検討の方向、必要性については理解可能でございます。ただし、やはり制度設計の検討はリードタイムを含めまして入念に検討すべきと考えます。

 最後に、3点目でございますが、14ページの枠囲いの上の矢印でございます。この点につきましては、製造業者等の自主的な取り組みとして基金等に拠出して、リサイクルの高度化や新しいリサイクル技術の開発などを行う仕組みを検討すべきということで、この点も検討の方向については理解可能でございます。ただし、やはり制度設計については、リードタイムを含めまして入念な検討をお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○永田座長  どうもありがとうございました。細田先生、どうぞ。

○細田委員  3点です。1番目は、再生資源の利用についてということで、4ページ、5ページあたりなのですけれども、自動車メーカーが再生資源を使うということは重要なことだと思いますが、産業というのは相互連関しているわけで、自動車から出たものがほかのところで使われたり、自動車がほかの例えば伸銅品などを多分いっぱい使っているわけです。銅などはわからなくなってしまっていますから。それから、プラはまだ少ないかもしれませんけれども、そのようにクロスインダストリーで産業間で動いていますので、その点を考慮することが大事で、自動車メーカーが自動車の再生資源を使うことも大事ですが、そのほかの資源を使うことによって、全体的に資源の効率性が高まるという発想が必要で、そのことに関しては、本当はもう1つ、国が日本の縦割りのリサイクルではなくて、個別リサイクル法全部を見渡して資源生産性を高めるという発想もどこかで入れておく必要があるのではないかな、ここでどれぐらい書けるかどうかは別として、将来はそういう広範な見方が必要だと思うのが第1点です。

 2つ目は、中古品、リビルド部品なのですが、恐らく私の理解に間違いなければ、解体業者さんの中で商社機能をもっているところがあって、それが流通のネットワークを組んで、いかに効率的に中古部品やリビルド部品を流通させるかという機能をもっていると思うのです。そこの機能を考えずに保険とかということだけ情報発信を考えてもどうかな、うまくいかない可能性もあるので、その辺の商社機能をもった方々の質的な向上と、もっと周知徹底が中古、リビルド部品を使うことに必要になってくるのだと思います。

 それから、ユーザーへの情報発信なのですけれども、私はもちろんこれは大賛成なのですが、物すごい難しいことがあって、費用を逐一計算しようとすると、解体業者さん、あるいはシュレッダー業者さんに減価償却を出してくださいと。例えばシュレッダー業者さんで、ほかのものをシュレッダーしている人がいるとすると、では、自動車とそれ以外の費目を分けて案分してください、その計算を全部出してください、原価計算してください、そこまで要求できますか。もう1つは、全ての情報を出した場合に、一体誰がそれをどうやって理解するのだ。よく情報情報と皆さんおっしゃいますけれども、莫大な情報が出てきたときに、私たちにそれを処理する能力がないということがあるわけです。ですので、ぜひ国に考えていただきたいことは、解体業者さんやシュレッダー業者さんに過大な負担をかけることなく、それでいて説明責任が可能なような情報を収集してユーザーに伝えるというそこを忘れてはいけないと思います。

 以上です。

○永田座長  どうも。武藤さん、どうぞ。

○武藤委員  資料3の1ページ目下段のほうの話ですが、使用済自動車のリユース・リサイクルという表現があるのですが、ここについて私的にちょっとぴんとこないところは、中古車を中古車として使うのはリユースなのですが、この文脈の中では恐らくリデュースだと思うのです。ということは、使用済自動車のリユースは何なのということになって、多分、全体をみて考えると、中古部品として利用することを指しているのではないか。ということでいくと、使用済自動車のリユースという言い方はちょっと紛らわしいのかなというのがここのところの私の意見です。

 続きまして、2ページ目の下から2番目のパラグラフで「さらに」から始まるところですが、さらに、ユーザーがリサイクル料金を負担した結果として、使用済自動車の価値が向上した。これはそのとおりなのですが、これはちょっと誤解があると思うのです。お金をユーザーが前払いしたから使用済自動車の価格が上昇するわけではなくて、この仕組みでは、メーカーが解体業者からの引き取りを行うときに、処理料金を払っていることが結果的に解体業者から最終所有者に至る過程で、価格の後転現象によって使用済自動車の有償化が行われているわけです。前回もちょっとお話ししましたけれども……

○永田座長  いや、武藤さん、それはみんな知っている。だからそれが払えるようになったのは、その前段でユーザーが費用負担しているから。

○武藤委員  いや、ここにいる方はわかるかもしれないのですが。

○永田座長  わかりました。余りそこをくどくいわないほうがいい。

○武藤委員  いっていることは、ここの表現の中にそのことを入れたほうがいい。これだけ書いたのでは伝わらないのです。要するに、目的は有償化なのですから、その有償化を実現しているのはユーザーが払っているからというよりは、そういう仕組みがあるということをここでちゃんと書いていただければと思います。

○永田座長  わかりました。

○武藤委員  続きまして、5ページの一番上のところの話ですが、これは、ユーザーに対するPR、情報発信にもなると思うのですが、この四角囲みの真ん中あたりに、ASR発生量からその重量を除外する。この除外率をメーカーが一台一台の車について発信する。その率が高いものは中古部品の利用が非常にうまくいっていると評価できると思いますので、そのことはユーザーがどの車を選択するかということにつながると思うのです。これを積極的に発進することはメーカーにとってもプラスでしょうし、あるいはユーザーにとっても適切な車を選ぶいい判断材料になると思いますので、ここは何か工夫が必要ではないかと考えています。まさしくそういうところは積極的に運用していくべきだと思います。

 7ページですが、引取業者のあり方について。これは全くここに書いてあるとおりなのですが、先ほどお話しした情報発信。引取業者が情報発信するときに一番重要なのは、使用済自動車にならないようにするという観点で情報を発信するということ。つまり法律の第5条を発信すべきだということを引取業者の義務に入れるべきだと思います。ここに書いてあるとおり、中古車の情報、使用済自動車の情報を両方発信するわけですが、その前提条件で、ここの「ユーザーとの接点となる引取業者については」の後に第5条の趣旨を入れた上で続きの文章をつくっていただければと思います。

 あとは、別紙の中の指定法人の費用。ここの議論はこのシステムそのものの基本的な部分になるかと思います。ユーザーが預託金制度を希望しているか。それは多分そうではないと思うのです。自分は新車を買ったときに預託金を払っているわけですが、それはリサイクル料金として払っているのです。預託金になるというのは、いわば業界の都合で、税金がかからないようにするには預託金にしないといけないというわけなので、預託に伴う発生費用、つまりここでいうと③とか④とかというあたりは、本来ユーザーが払わなくてはいけない費用かというと、若干疑問があるわけです。ユーザーの希望で預託金になっているのであったらそうもしれませんが、そうとはいえない。となると、この辺の見直しも当然考えなくてはいけない。しろという意味ではなくて、見直しを検討する必要はあるということになりますので、この辺の議論は今後やっていく必要があると思います。

 以上です。

○永田座長  村上先生、どうぞ。

○村上委員  村上です。

 大きくいえば1つだけなのですけれども、細かい話も含めて。割とたくさん全体最適化という書きぶりをされていて、それ自体は非常によくわかることではあります。ただ、何を目的関数に最適化するのか余りよくわからない、これも常にあることで、仕方ないと思うのですが、最適化しますとばしっと書かれてしまうことで、1回最適化してしまえばおしまいみたいなかたいイメージが出てくるとよくないと思いますので、割と柔軟にやっていくのだということを、全体として考えてよくしていくのだという言葉としての最適化という言葉自体はよろしいと思いますので、その辺の書きぶりを少しお気をつけいただければと思います。

 情報収集みたいな話もどこかに多少出ていたのかなと思いますが、だから、それも常に最適化を考えようとしたときに、情報をそのときから集めるのでは遅いので、経時的に情報が集められるようなスキームがあるといいなというつもりでこれまでも申し上げてきたつもりです。それを研究開発と呼ぶのか、JARCみたいなところがお集めになるのかというのは枠組みの話ですので、それは別途お任せしたいと思いますが、そういった視点で入れていただければいいかなと思います。

 最後にもう1つですが、海外の話が出てきていて、今までも何名かの委員の方がご指摘されていたと思うのですが、さっきの細田先生の話として、自動車だけでやるのではなくて、全ての部分を考えて全体でというお話が素材利用のほうであったと思うのです。そこまで広げるのであれば、海外の自動車リサイクルの話も、制度の中ではないのかもしれませんけれども、最後は日本の素材屋さんも含めて頭の体操をしてみて、別に日本の素材屋さんのために持って帰ってこいというつもりはないですが、日本の素材産業はありがたいことに技術力は割と高いほうだと思いますので、それをうまく活用するような形で海外の自動車リサイクルに例えば解体レベルでは支援してあげて、最終的に厄介者は日本に持って帰ってくるとかという類いの話も念頭に入れて、アジア全体でとか、その周辺域も含めて資源効率が上がるみたいな話にうまくまとめられるのであれば、それは制度よりスコープが広がってしまいますが、せっかく海外のことをお書きになるのであれば、そういった文脈でまとめられないものかなと思いますので、ちょっとご検討いただければどうかなと思います。

 以上です。

○永田座長  どうも。森谷さん、どうぞ。

○森谷委員  ありがとうございます。7ページの枠囲みの2つ目のところで、ASRの再資源化率に加えて、これこれ定量的な評価を行う方法について検討というくだりなのですけれども、どのようなものを重点的に例示するか、例を書き加えていただけたらありがたいと思います。ガラス、プラスチック、レアメタルなども先行して例として出ていると思いますので、ご検討いただければありがたいと思います。

 次に、9ページです。枠囲みの1つ目のところです。前回もこれからいうことに近いことを申し上げたのですけれども、ここでは解体業者等の優良事業者ということがいわれております。産業廃棄物処理業における優良化という中でもいつも議論になるのですが、どういうことをもって優良であるかという判断基準が大変重要だということを申し上げたいと思います。

 次はずっと後になります。14ページをお願いいたします。枠囲みの最初の矢印のところで、自動車製造業者等の自主的な取り組みとして、これこれ基金等に拠出しというくだりのところなのですけれども、どなたかも既にご指摘されていたところですが、基金等に拠出してということであれば、その運営管理の仕組みが次の段階では議論すべきことになるでしょう。私としては前回も申し上げたことなのですが、仮にリサイクルの高度化や新しいリサイクル技術の開発などを行う仕組みを検討する場合には、先ほどから出ている全体最適化というキーワードからすると、自動車リサイクルに関わる全ての人に裨益するような仕組みづくりが必要と私は思います。

 最後なのですが、申し上げていいかどうかちょっと迷っていたのですけれども、1ページ目に、あるべき姿の議論が簡潔にまとまっています。下から数えると最後の段落とその1つ前の段落のところなのですけれども、いいことが書いてあるので、重ねて書いてもいいことであると私は思いますが、リユース・リサイクル、資源の有効利用、社会的コストというキーワードが今申し上げた二つの段落では出てまいります。キーワードが共通なので、読み手にとっては重複感を感じるところがあります。そこである程度整理されたらどうかと思います。

 そして、これに関係してもう1つ申し上げますと、1つは、最後の段落に、「これらの取り組みを通じて」とありますけれども、「これら」というのが文章が長くなってしまって何であるかよくみえません。

 それから、私が正しいかどうか必ずしも自信はないのですけれども、下から2つ目の段落の真ん中ぐらいから「自動車製造業者等の環境配慮設計等の一層の取り組みや使用済み自動車のリサイクルの全体最適化の促進等を通じて」という文章がありますけれども、私が理解しやすいのは、次のようにされたらどうかなと思います。「自動車製造業者等の環境配慮設計等の一層の取り組み、解体・破砕段階も含めて質の高いリユース・リサイクルを推進し、これらにより使用済自動車のリサイクルの全体最適化の促進を行ない、資源の有効利用と社会的コストの低減を追求する」と書かれたほうが私にはわかりやすいと感じています。

○永田座長  わかりました。

 とりあえず一わたりご意見を頂戴しました。質問もあったかと思いますので、では、どうぞ。

○小松自動車課課長補佐  それでは、質問にお答えさせていただきます。順を追ってお答えします。

 まず、大塚委員からございましたJARCの費用分担の話、あと、鬼沢委員からもございましたが、まず、見直すべき理由があるのかという点については、まず、喫緊で見直さないといけない理由があるかというと、そうとはいえないと思っております。一方で、10年経過したということもございますので、まず、見直す必要があるのかないのかについて、費用分担のあり方を検討することによって、今の費用分担が妥当かどうかということも一度この段階で整理しておいてはどうかと考えております。

 その中で、状況の変化としましては、最初の3年間は車検時預託がありましたが、それがなくなって費用が大分落ちついてきた、費用変動が少なくなってきたということもございますし、これは状況の変化ではないですが、今、現行の整理として、自動車製造業者が自主的に払っている理由は、中心的な役割を果たしている、あと、払い渡しを受ける立場という整理からなされておりますが、これは全体の整理の中でどうはめ込むべきものかということも1つ議論の対象になるのかなと思っております。

 議論の進め方についてですが、前回の資料の中で問題提起させていただいたところで、今回、こうした形で少し具体的に議論しないとなかなか議論が進まないのではないかということで、具体的な費用項目について、論点をお示ししているところです。ぜひご議論をいただければと思いますが、もしこういう観点で情報が足りないとか、こういう点は丁寧に議論すべきというアドバイスがございましたら、ぜひいただければと思いますので、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。こちらが1点でございます。

 大塚委員からございました海外展開のところですが、国際資源循環の観点、あと、細田委員、村上委員からもございました産業競争力の観点、素材屋さんというところも含めてということだと思いますが、こちらは今明示的な記載がないというところは不十分だと思いますので、そうしたところも配慮して記載していきたいと思っております。

 河村委員からございました機能強化と効率化に関するご質問ですが、まずは現行の制度の中でもっとできることがあるのではないかという観点から機能強化という言葉を使って、情報共有など、さらに求められる、今の制度の中でもやるべきことはあると思いますので、そうした記載をしているところです。JARCはかなり情報もございますし、能力もありますし、知見もたくさんありますので、それをしっかり還元していくという視点で機能強化ができればと思っております。

 検討するべきというのがたくさん並んでいるというのは事実でございまして、もう少し具体化しなければならないと思っているのですが、もう少し情報を集めないと政策として決定できないというところもございますので、まず、この審議会の場では方向性を定めるということを重視させていただいて、この方向性で後日検討すべきということで、例えば審議会のワーキンググループみたいなもの、もしくは私的な検討会をつくるという形で検討を進めて、政策として実現していくという形にさせていただければと思っております。

 細田委員と村上委員の情報の話にかかわってくると思いますが、情報収集で常に集められるように、その中で分析していこうということがございますが、細田委員からございましたように、過大な負担にならないようにということも意識しつつ、一方で、JARCの役割として、そこをつないでいくということもあると思いますので、そうした観点から情報のモニタリングを通じて質の向上、全体最適化を図っていくことが実現できればと思っております。

 小林委員と森谷委員から自動車メーカー等の黒字のお話で制度設計を慎重にということがございました。こちらはぜひご相談させていただきながら進めさせていただきたいと思っておりますが、基金等管理の仕組みなどについてはぜひしっかり検討したいと思います。あと、全体最適化をこういうところで使ってはどうかということもございましたが、質の向上という観点でもこういうものを使えるようにしようと考えておりますので、そうした視点もしっかりと反映させていただきたいと思います。

 とりあえず以上でございます。

○山口リサイクル推進室室長補佐  ありがとうございます。今いただいたものとしましては主にご意見が多かったと思っておりますけれども、一方で、今後検討しなければいけないところを多数指摘されたのかと思っております。特に再生資源とか、ほかとの産業との一貫性ですとか、海外との資源の観点でご意見があったと思いますので、引き続きこの辺に関しては情報を整理して勉強していきたいと思っております。

 以上でございます。

○永田座長  どうもありがとうございました。もう一わたり、あと30分ぐらいなのですが、手短にご発言いただいて、ご質問、ご意見を頂戴したいと思います。大石さん、どうぞ。

○大石委員  全体として先生方のご意見などを聞きながら、3つほど申し上げたいと思います。消費者の側としては自動車リサイクル法の中で幾つか責任があって、排出者としての責任として料金を支払っているというのはあると思うのですが、全体として自動車の長期使用というのも多分消費者、ユーザーの大事な役割だと思います。が、今回この中には長期使用については余り触れられていなかったかなということがありまして、消費者、ユーザーが貢献できる内容として、長期使用についての目標みたいなものも入れていただければいいかなと思ったのが1つです。

 あと、情報提供と関連するのですけれども、8ページの四角囲いの2番目の方向性ですか、ユーザーが使用済自動車の価値について理解をより深め、主体的に引取業者を選択できるようにするため云々、とあるのですが、消費者は費用負担の内容が、シュレッダーダストとエアバッグとフロンだけの処理費用であるという意識の人は余りいないと思うのです。それを知らないために、使用済自動車の資源的な価値までを持ち出す意識がないというのがすごく大きいのではないかと思います。ぜひそこのところの内容をどのように消費者に伝えていくか、もしかしたらこれはディーラーさんの役割もすごく大きいのかなと思いますので、入れていただけるといいかなと思いました。

 三番目に費用負担の分担についてですが、消費者はリサイクルにこれだけ必要なのだからと言われて、必要ならと何も疑問を持たずに払っていると思うのです。ですから、先ほどから問題になっている指定法人の費用負担についても、ここで細かい検討をしているわけですが、これだけ必要だからもっと払ってくださいと言われれば出すでしょうし、下げられるのならそれはそれでうれしい、ということになると思うのです。そういう意味では、ユーザーだけでなく、自動車メーカーの方も費用負担のことについてどのように考えておられるのかお聞きしてみたいと思います。5年前に一度検討されて、その場ではこのままで、ということになったというお話でしたが、数字の中身を明らかにして、どこについては負担感が大きくてどうしてほしいのかということをユーザーの側もメーカーの側ももっと具体的に話していく必要があるのではないかと思っております。

 あと、加えて、国際的な役割をこれからもっと日本が果たしていこうということについてはとてもいい方向だと思いました。

 以上です。

○永田座長  どうも。河村さん、立てていらっしゃる?

○河村(二)委員  時間がありますので、皆さんには恐らくわかっていない、これからやることなのですが、リユース部品の普及のために規格化という取り組みを経産省はしています。そのお話の骨子をちょっと話します。

 まず、まだ事業が始まったばかりなのですが、その内容は、規格化の骨子は、まず許可業者からつくられた商品だ。また、原産地証明、地産地消、どこでつくられたという所在がしっかりわかるもの。それは不適正な盗難車ではなく正規ルートの電子マニフェストルートに乗った商品であるということです。あと、車両情報の詳細を明記する、ラベリングというのです。その上に、各部品ネットワークの品質とか保証が乗っかって競争力を高めるという内容で今進めている最中でありますので、仮定の話で申しわけありませんが、やっている内容の骨子はこのような話ということを皆さんに理解していただければありがたいと思います。リユース部品普及の活動でございます。

 以上です。ありがとうございます。

○永田座長  どうも。お隣の河村さん。

○河村(真)委員  ありがとうございます。先ほどの武藤委員のご発言にも触発されたといいますか、賛成するところが多くありまして、改めて意見を申し上げます。資料3の1ページ目の3段落目の2行目の最後からのリサイクル料金を新車購入時にユーザーが負担しというところなのですが、ここにいらっしゃるような、制度のことをよく理解している方ではなく、この文書が公表されたときにこの文書を通じて国民一般、消費者一般がこの仕組みを理解するときに、新車購入時に負担する制度だからうまくいったと読めなくもないので、そういうたてつけをつくったことは事実ですが、新車購入時にということを書く必要はないのではないか。ユーザーが負担するというシステムをつくった……。

○永田座長  いや、ですから、制度の話はまた制度の話で理解していただくためにどういう情報を提供しなくてはいけないかという話はやりますというか、情報提供の中で誰がどうという話はやりますけれども、余りプリミティブな話で今の制度を説明するときに、それを入れてはいけない、これを入れたらどうだという話を書いていても余り意味がないので。

○河村(真)委員  済みません、ここのことかどうか忘れたので。

○永田座長  いや、ただ、事実として新車購入時から始めたのは制度の設計の中で非常に重要な点だったのです。

○河村(真)委員  その時点のことで私は何も意見を申し上げるつもりはありませんが、もう1つ申し上げたいのは、これを読むと新車を購入した人が負担していると読めますけれども、新車を購入したときに、制度としてはお金がJARCに入りますから、制度からみたらそうかもしれませんが、負担しているのは、もしこれが当てはまるとしたら、新車を購入して、そのままずっと乗り続けて……。

○永田座長  この間もそういう発言されて、中古車のときにもリサイクル券という形で、それを含めた形の売買が行われている。ですから、そういう制度のことをきちっと説明していかなくてはいけないのだという話は理解しています。ただ、それを全部ここに書き込むという話ではないと思うのです。

○河村(真)委員  ですから、読んだ人が誤解しないようにということを申し上げたいのです。通常、新車購入者は結果的に負担していない場合がほとんどなわけですから。新車を購入した人が負担する場合とは、新車が使用済自動車になるまで乗り続けて手放した人だけとなりますと、非常に少ない人しか当てはまらないのではないでしょうか。

○永田座長  ちょっと待ってください。この資料だけで全部を理解してもらうというのではなくて、そういう話が理解できないということもあるだろうから、そういう制度としての話は別途そういうものを読んでもらう機会をもっとふやしていかなくてはいけないということです。今おっしゃられた内容をここに書けという話ではないと思うのです。

○河村(真)委員  もちろんです。ですから、全体として誤解を招かないような表現を。

○永田座長  いや、誤解を招かないというか、事実は事実として書いてあるのです。新車購入時に費用負担を求めていますというのは制度設計のときに非常に重要な話だったのです。使用済みになった後に払うかという話だってあったわけです。

○河村(真)委員  その違いでいえば新車購入時という言葉になりますが、車を中古車で買っても、結局払っているのは一番最後にもっていたユーザー、あるいは中古車として買い受けたけれども、売れなかった中古車業者だって払っている可能性があるわけですから。

○永田座長  ですから、リサイクル料金として払われたものがどう伝達されていくのかという話は別途また整理した形で書くべき話、あるいは情報提供するべき話だと思います。

○河村(真)委員  では、本来誰が負担しているかと書くのはそんなに難しいことではないので。

○永田座長  ですから、トータルではユーザーが負担。

○河村(真)委員  それが大事なことであるなら、どこかにもう少し書かれていたらいいかなと思います。

○永田座長  わかりました。ご意見として聞いておきます。

○河村(真)委員  もう1つよろしいでしょうか。そういう意味からいいますと、私は制度自体を何年かたった上でもう少しきちんと見直すべきだという意見なものですから、費用分担のところに細かい意見を申し上げなかったのですけれども、別紙の「指定法人の費用について」の3ページの表についてですが、武藤委員もおっしゃった意見に賛成なのですが、何を申し上げたいかといいますと、預託して登録して運用していくということに関してなのですが、今申し上げたように、本当にリサイクル料金を負担するのは最後に使用済みとして手放した車をもっていた人ですから、その人が払うリサイクル料金の中に、最初に新車を購入したときに預託されてずっとそれが受け渡されていくための資金運用の管理ですとか、そういうものを最後の人が払うという仕組みは少しおかしいのではないか。意見をいわせていただきますと、この部分はユーザー負担ではないほうが納得性、説得力があるのではないかと申し上げたいと思います。

○永田座長  意見として聞きますが、最初にいわれたこういうことなのですという、最終ユーザーが費用を負担しているのですというのは、私は断定的に聞こえているのですが、そうではないと思っているのです。ですから、ユーザーが負担しているというのは事実だと私は思います。ただ、それが新車購入したユーザーは負担していないのですという言い方はちょっと違うなと私は思っていますので、ご意見として聞かせていただきます。

 あと、ほかにはよろしいでしょうか。その議論はこの間のときからずっと発言されるのですけれども、皆さんのご意見もそうなのですが、発言されて反論がないからといって、そのまま通ったと思わないでいただきたい。それはほかの先生方は意見がまた違うかもしれません。ただ、原則、それだからといってここにいる全員がそれに対して賛同したわけではない。そういうところは理解しておいてほしいなと思います。この際だから。

○河村(真)委員  申しわけございません。誰からも反論されないから全員が賛成しているなどと思っておりませんので。

○永田座長  わかりました。ただ、何遍か繰り返してそれをいわれるものですから、そういう認識をもたれているかなと私も誤解したのかもしれません。

 どうぞ、滝田さん。

○滝田委員  2点ほど質問です。まず1つ、12ページ、②特預金の使途のところで、1行目の中古車の輸出を行ったもののリサイクル料金の返還請求がなかったものというのが特預金になるとありますが、これについては、本来だったらば最後のユーザーのところにリサイクル料金が戻ってくるのだけれども、中古車として輸出されたことを最後のユーザーはわからないから特預金になっていると考えればいいのか、もしそうであるのならば、これはユーザーが返還請求するということがテクニカルに難しいから、そのまま特預金になっていくしかないということなのか、本来だったら返すところがあるなら、それを返すための取り組みというのは実際されているのですかということが1つです。

 もう1つは、15ページの素材の多様化への対応というところで、CFRPについては、まずは自動車製造業者等の責任のもとでリサイクルを行うなどセーフティーネットを整備するべきとなっておりますけれども、これはメーカーさんが自社の開発研究の中でリサイクルについても検討するということなのか、それとも今14ページの枠囲みの中で提案されているような黒字の部分を基金化してリサイクルの高度化や新しいリサイクル技術の開発などを行う仕組みを検討されるとしたら、その中にこういった新しい素材への対応の研究も入っていくのかなというのが知りたいと思いました。

 と申しますのも、こういったCFRPなどの新しい技術は、大きくみれば燃費の向上、CO排出削減というような大きな環境問題に対する貢献としては重要だと思いますので、リサイクルの仕組みに乗らせることは大事ですけれども、それが乗りにくいので、研究開発がなかなか進まないというようなことになってしまうと、それはよろしくないので、それをもう少しエンカレッジするような仕組みがあるといいのかなと思っております。

 以上です。

○永田座長  よろしいでしょうか。どうぞ。手短にお願いします。

○赤穂委員  別紙の「指定法人の費用について」というところで質問がございます。3ページ目の一覧表の中のユーザー全額負担分の中の一番大きな金額がかかっている①新車購入時の手数料についてですが、これは金額だけあるのですが、例えばこれを1台あたりに割り返したときにどのぐらいの費用がかかっているのか。それに対して、実際業務をするディーラーさんの具体的な業務の内容がどういうものなのかというのがもしわかれば教えていただきたいと思います。

 以上です。

○永田座長  わかりました。河村さん、どうぞ。

○河村(二)委員  資料、6、7の件です。ここを開いていただきたいと思います。7ページに全部再資源化ということが書いてあります。まず、これは全部利用というのですが、私、当時11~12年前ですか、経産省の全部再資源化の技術委員でありました。そのことで全部利用は随分わかっているのです。それと質の向上で、現在、資源とかリユースを細かくやろう、あわせて全部再資源化も盛り込む中で、丁寧にやればやるほど工程数がかかる。そうなると、保管期間がもっと柔軟な運用がなされれば、もっとリサイクルが進むのではないか。今は期間が余りにも短い、また、販売会社によっては移動報告が先に来てしまうのです。これから1ヵ月もおくれて車が入ってくるというゆゆしき事態。これは別に問わないのですが、要は運用の期間がもう少し柔軟に対応できれば、もっと精緻なリサイクルができる。そんなこともどこかに入れていただければありがたい。全ての要件でなくても、ある一定の要件を満たすものであったら柔軟な対応ができるようなことを願えればありがたい、そんなこともちょっと思っておりました。私も全部利用は思いがございますので、しっかりここを伸ばしていきたいと思っております。

 以上です。

○永田座長  どうもありがとうございました。では、質問。はい。

○小松自動車課課長補佐  まず、大石委員から、長期使用というお話がございました。ここでは1ページ目に使用済自動車の発生抑制とだけ書いていて、長期使用という読み方は、同じことを意味しているのですが、書き方については、その前からも武藤委員などから意見がございましたので、配慮した書き方をさせていただきたいと考えております。

 あと、河村委員からございました新車購入時に負担ということは、考え方として家電リサイクルと対比して考えていただければわかりやすいと思いますが、排出時にリサイクル券を買って払うという形ではなくて、もっている段階でリサイクル料金を払ってある状態にしておくという対比で書いてあるということは、こういう書き方になっている理由です。

 あと、滝田委員からございました中古車輸出時の特預金についてですが、中古車輸出された際には、もともとリサイクル料金はリサイクルするための費用ですので、リサイクルしなかったという理由で最終所有者である輸出事業者に返すということがこの制度になっております。そういうことで、基本的には最終的に輸出事業者が申請してもらえればその方に返すということになっているのですが、実際にはその申請をしてこない場合もたまにございます。そうした場合には 返す先がないということで特預金になります。

 同様に滝田委員からご意見のございました素材の多様化の研究開発についてですが、まさしくメーカーの黒字を基金化して研究開発に使うといった場合には、こうした新しい素材のリサイクルの研究はいい使用先になるのかなと考えております。

 次に、赤穂委員からございました預託手数料の中身についてですが、預託申請やリサイクル券の発行に関する実務の手数料は、台当たり146円ということで、ここ10年間変わっていません。実際何をしているかと申しますと、預託申請の実務としましては、こういう車台番号にこういうお金を預託しましたということをリサイクルのシステムに打ち込むということや、あとはリサイクル券の発行などに伴う人件費やパソコンの回線を使うとかといったところで実際には手数料を支払っています。これは実際に何秒かかるとかということを10年前に積算した上ではじき出した数字ということになっておりますが、10年間見直しがなされずにこのまま続いているということもございますので、ここはしっかりと見直しをする必要があると考えております。こちらは費用分担の見直しを仮にした場合にも、そういうところをしっかりと見直していくことによって、全体として負担を引き下げるという方向性で見直しができればと考えておりますので、あわせてこちらの費用分担のあり方についても議論を引き続きお願いできればなと思っております。

 あと、河村委員からございました移動報告について柔軟にすべきというものは、理由があれば何か工夫するようなことができればと思います。

 以上でございます。

○永田座長  どうもありがとうございます。いいですか。2回目も大体よろしいでしょうか。発言あり?

○武藤委員  私の理解ですが、今運用している自動車リサイクル法は、最終所有者リサイクル料金負担システムで、新車ユーザーはリサイクル料金を支払っている仕組みだということと私は理解していますので、その旨わかっていらっしゃるとは思いますが、書き方を注意していただければと思います。

○永田座長  よろしいでしょうか。ちょっと私が皆さんにお伺いしておきたい。前回もそういう趣旨の内容でご質問させていただきましたが、12ページの先ほどから出てきます特預金の使途の話なのですが、特にこれは前の制度設計のときに決められた話で、残余の特預金については、リサイクル料金を割り引くことでユーザーに還元すべきという、最後の受け皿としてはこれがないとまずいのかなと思っているような形の制度設計になっているのだと思いますが、支払っているのは既にリサイクル対象となった自動車の持ち主、所有者であり、そこで得られたプラスの特預金が次の世代のリサイクルをやるべき車の販売時に使われるというのが公平性の観点からどうかなという意識も働いていて、最後の受け皿としてはやむを得ないのかもしれないけれども、その前段で、既に車を購入された方等がリサイクルするときに、お金としての話ではないですが、リサイクルの高度化であるとか、いろいろな形でお金が使われて、基本的には支払った人たちにメリットが返っていくような使い方を中心にできるだけ考えてほしいなと思っています。ですから、上段の書き方の中でそういう使われ方をできるだけ考えていただけるとありがたいなと思っておりまして、何かまたその辺のところでアイデアがあったらよろしくお願いしたいと思っております。

 よろしいでしょうか。――あとほかにはいいですか。事務局サイドのほうで。

 それでは、本日、お忙しい中、貴重なご意見を頂戴しましてありがとうございました。

 また、次回は、この議論を踏まえまして、事務局より報告書の案をお示しして、とりまとめに向けた議論をお願いしたいと考えております。

 最後に事務局から、資料の取り扱い、それから今後の日程について説明をお願いしたいと思います。よろしく。

○小松自動車課課長補佐  本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

 本日の資料につきましては、全て公開とさせていただきます。また、本日の議事録については、発言者を記名したものを後日各委員に配付し、事前に各委員のご確認をいただいた上で公開いたしますので、ご了承ください。

 次回は6月19日金曜日の13時から開催いたします。会場については、追って事務局から連絡させていただきます。

○永田座長  よろしいでしょうか。

 それでは、きょうはこれで終了とさせていただきます。どうもいろいろありがとうございました。

                                 ――了――