中央環境審議会循環型社会部会特定有害廃棄物等の輸出入等の規制の在り方に関する専門委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会有害廃棄物等越境移動ワーキンググループ合同会議(第4回) 議事録

日時

 平成29年1月31日(月) 14:00~14:50

場所

 経済産業省 本館17 階 第一共用会議室

議事録

1.開会

〇田村管理官 それでは、定刻となりましたので、ただ今から中央環境審議会循環型社会部会特定有害廃棄物等の輸出入等の規制の在り方に関する専門委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会有害廃棄物等越境移動ワーキンググループ合同会議の第4回会議を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。私は、本会議の事務局を務めさせていただいております、経済産業省環境指導室の田村でございます。合同会議の座長と司会進行は、専門委員会とワーキンググループで交互に務めることとしており、今回はワーキンググループ側で務めることとしております。議事に入りますまでの間、本日は私が進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。なお、本日はワーキンググループ委員の佐藤委員、村上委員から御欠席の御連絡を頂いております。また、専門委員会委員の島村委員、髙村委員、藤倉委員、森口委員が御欠席と伺っております。
 続きまして、配布資料の御確認をお願いいたします。議事次第に記載されております配布資料、参考資料はお手持ちのタブレットから閲覧できますので、それぞれ御確認をお願いいたします。操作に御不明な点などございましたら、いつでも事務局にお知らせください。また、資料1-1の報告書(案)につきましては、紙でもテーブルにお配りしております。よろしゅうございましょうか。
 それでは、議事に入ります。報道関係の方の写真撮影は、ここまでとさせていただきます。
 それでは、これ以降の議事進行は、本日は中村座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

〇中村座長 それでは、議事進行を務めさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いします。
 この合同会議は、特定有害廃棄物の輸出入等の規制の在り方について検討することを目的としております。今回のパブリックコメントの結果を踏まえて、報告書の最終案を取りまとめたいと考えておりますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは議事に入らせていただきます。議題1、報告書(案)について、事務局から御説明をお願いいたします。

2.議題

(1)報告書(案)について

〇中嶋課長補佐 それでは御説明させていただきます。席上に配布している資料1-1が報告書(案)です。それから、資料2-1が第3回会議で、委員の皆様から御指摘いただいた事項に対して、どう対応したかということを整理しております。資料2-2はパブリックコメントの結果をまとめたものでございます。報告書を一部修正しておりますので、報告書の内容を紙で御覧いただいて、資料2-1、資料2-2については、タブレットの画面と照らし合わせながら御覧いただければと思います。
 まず、資料2-1ですが、第3回会議で御指摘いただいた事項については、第3回の会議で両座長に御一任いただいた上で、資料を修正させていただきました。修正した内容については、パブリックコメントの事前に各委員にも送付させていただいておりますが、一応確認のため、修正した内容を御説明させていただきます。
 では、資料2-1の左欄の番号順に御説明させていただきます。1番ですが、条約4条の一般的義務の趣旨について触れるべきということで、髙村委員から意見がございました。これについて、報告書の2ページの中段の辺りに、一般的義務の趣旨を入れさせていただいております。
 2番です。雑品スクラップの国内対応を進めるべきということで、もう少し詳しく書くべきではないかという御指摘を乗田委員、佐藤委員、寺園委員、島村委員。また、使用済鉛蓄電池についての国内対応を進めるべきという意見が清水委員や佐藤委員からございました。
 雑品スクラップにつきましては、報告書の8ページに若干書き加えてございます。一番下の部分ですが、「国内において雑品スクラップがぞんざいに取り扱われることにより、有害物質が飛散、流出する等のおそれがあり云々…検討がされている」ということを詳しく記載しております。それから、使用済鉛蓄電池の国内対応につきましては、前回も御説明させていただきましたが、現状では有価物として取引されているということで、一律に廃棄物として扱うかどうかは慎重な検討が必要だと考えております。少なくとも使用済鉛蓄電池については、技術基準が整備されていますので、こういった技術基準に従って処理が行われるかどうか等について、実態をよく把握した上で、必要に応じてさらに検討してまいりたいと考えております。
 3番、OECD 向けの輸出手続の簡素化。これは事前同意施設について簡素化すべきという提案でしたが、こちらの対応につきましては、10ページで「環境上適正な処理が行われる限りにおいて」と書き加えさせていただいて、何でもかんでも緩和するわけではないということを記載させていただいております。
 4番、廃電子基板の輸入手続の簡素化についてです。こちらは清水委員、出利葉委員からしっかりやるべきだという御意見を頂いたと思いますが、こちらについてはしっかりやっていきますということで、特に資料の修正はしてございません。
 5番、同じ廃電子基板のところですが、「慎重に」がどこにかかっているか分かりづらいという御指摘がございました。こちらは 11ページのところで若干修正しております。慎重かつさらに丁寧にというお話もございましたが、修正としては、これは「必要最低限の措置の在り方」を修飾するということだったので、若干てにをは等を直すとともに、「慎重かつ十分に」という記載にしております。
 6番、取締り現場における体制を整備すべきということで、これは森谷委員からお話がございましたが、13ページの今後の課題の総論のところで、一番上の方に「運用に当たっての体制の充実を検討するとともに」と記載させていただいております。
 次のページの7番ですが、「国際的な対話を行って、今後の見直しに生かせるような国際環境を醸成していくべき」ということで小島委員からございました。これも 13ページの課題の2行目、「新たな制度に関する情報発信も含め諸外国との情報交換を積極的に行うべき」という記載を加えております。
 8番は複数の委員からお話がございました、「定期的な見直しとともに、緊急な対応を迫られる場合には迅速に対応を取るべき」ということで、これも 13ページの(2)の上のところで、「ただし、具体的な事案に応じて、定期的な見直しを待たず迅速に制度見直しを行うことも検討すべきである」という記載を加えております。
 9番は「WTO とバーゼル条約の適合性を実施していく必要性がある旨を記載すべき」ということで、髙村委員、島村委員、崎田委員からございましたが、こちらについては、  13ページの(2)の見出しを修正しております。
 10番、11番は抑止力の確保について、寺園委員、島村委員から御指摘いただいたところで、10番は文章を二つに区切っております。11番につきましては、資料の修正は特にしておりませんが、今回の制度見直しで措置する、対象物の迅速な判断ができるような基準づくりや法的根拠の明確化によって、これらの効果も踏まえつつ、適宜適切な検証を行うべき旨を記載しております。
 12番はシップバックへの対応の部分で、こちらも島村委員、小島委員から御指摘がございました。今申し上げたような対象物認定の実現や、輸出先国の国内規制に応じた適切な輸出管理の効果に加えて、具体的なシップバック事案について、適宜適切な検証を行うべき旨を 14ページに記載しております。また、島村委員から御指摘がありましたが、輸出先の保税倉庫で管理されている貨物等についても、そのまま放置すれば近い将来に被害が発生するおそれがあるものですので、バーゼル条約対応のために必要な場合には、措置命令や代執行の実施を我々としてもしっかり進めてまいりたいと考えておりますが、その上でさらなる対応が必要な場合には、今回の合同会議での議論を踏まえつつ、検討してまいりたいと考えております。
 13番はリユース品のところですが、崎田委員からお話がございました。遠い将来の課題ではなく、現実的に早く情報を把握するなどの対応をすべきということで、14ページのリユース品の下の方、将来の課題という形ではなく、議論も踏まえつつ検討すべきであるということで、早急に対応することを記載しております。
 最後、14番ですが、廃棄物処理法との一体的な措置と、報告書の前の方にある3.(2) ②との関係がよく分からないということで、佐藤委員から御指摘いただきましたが、これは明確に記載してございます。
 第3回で御指摘を受けた内容につきましては、このように頂いた意見を踏まえて、報告書案を適宜修正させていただいたところです。
 続きまして、パブリックコメントの結果について、資料2-2を御覧ください。最初に意見募集の概要が書いてございますが、こちらは経済産業省と環境省のホームページ等を通じて、平成 28 年 12 月 26 日に第3回が終わった後すぐの 28 日から約1カ月、年末年始も挟んでおりましたが、1月 23 日まで意見募集を行いました。意見募集の結果ということで、2.に書いてございますが、17 個人・団体から御意見を頂いております。これは両省で意見募集しましたが、経済産業省には 10件、環境省には7件の応募を頂いたということです。属性等は記載しておりませんが、主にリサイクルの事業者さん、リユースの業者さん、一次精錬、二次精錬の事業者さん、あるいは、弁護士さんなど、多様な方々から御意見を頂いたところです。あと、整理された意見総数は 47件ですが、一人で複数の意見を頂いているところもあるので、ここは 47件と多めになっているということです。
 それでは順番に説明させていただきたいと思います。まず、「はじめに」のところですが、1番と2番が「はじめに」に対する御意見で、内容としては、今回のスコープをもう少し広く見た方がいいのではないかということで、アジア大での資源循環という視点も必要だったのではないかという御意見を頂いております。事務局としましては、今回、バーゼル法の見直しに焦点を絞って検討したので、アジア大での資源循環という視点については、国際的な資源循環政策を進めていく中で御意見も参考にさせていただければと考えております。
 2.の輸出入等の管理に関する制度の概要と施行状況です。こちらは文章の表現が分かりづらいので直すべきという意見を3番で頂いております。こちらは報告書の4ページで、バーゼル条約の附属書の何に該当するかが書いていなかったということもあったので、明確な記載に修正をしております。
 3.の基本的考え方のところですが、ここは4番と5番で御意見を頂いています。まず輸出の規制をやるよりも、輸出の評価方法の見直し、あるいは、当事国との間での対応、対話をもっとやるべきなのではないかという御意見がございました。もちろんこれは重要だと考えておりまして、審査基準の整備も進めていくということを報告するように書いておりますし、今後の課題のところでは、アジア地域、諸外国との情報交換を積極的に進めることも記載しています。
 3ページの(2)ですが、輸出に係る課題では、たくさんの御意見を頂きました。大きく分けて鉛蓄電池と雑品スクラップの二つの御意見がございまして、鉛蓄電池については6番から 11番までの6件。そのうち、6、7、8、10、11 に関しては、報告書の内容に賛成という御意見や、もっと厳しくするべきだという御意見でした。9番につきましては、その反対で、規制強化は慎重にやるべきなのではないかという御意見でした。両方の側面があると思っておりますので、制度の具体的な設計に当たっては、両方の御意見があることを踏まえて対応していきたいと考えているところです。
 12番以降が雑品スクラップの御意見になっていまして、12番から 33番まで全部で 22件、たくさんの御意見を頂いているところです。報告書の内容に賛成という意見が 14件。賛成した上で廃掃法との連携や税関、自治体との取締りの強化体制をしっかりするべきという具体的な御意見も頂いているところです。一方で、もっと慎重にやるべきなのではないかといった意見が8件ありました。具体的には、「リユース等への配慮をもっとしっかりした方がいいのではないか」とか、「現場の実態を踏まえた対応をすべき」「慎重な検討が必要である」、あるいは「過剰規制への配慮も必要なのではないか」といったような御意見を頂いたところです。
 その中で、31番を御覧いただければと思います。「中古品の流通を阻害させてしまうことを非常に懸念しています」「リユースに関する記載が少ない」といったような御意見があったことも踏まえて、合同会議の報告書を一部修正させていただいております。報告書の 14ページを御覧ください。リユース品の扱いの中段の部分ですが、「リユースは一般的に資源の滅失が少なく、その過程から発生する廃棄物等の量も少ないことから環境負荷の低減に寄与するとともに、適正なリユース品の輸出は、輸出先国消費者の生活水準の向上等輸出先国にもメリットのあるものであるが」ということで、リユース品全てが悪者であるかのような記載にはならないようにし、適切に行われていればメリットがあるものであるといった記載を書き加えているところです。
 輸入については、二つの御意見を頂きました。11ページの 34番、35番です。こちらは輸入手続の緩和をしっかりやってほしいといった御意見でした。
 それから4.今後の課題です。まず、総論のところは 36番で御意見がありました。こちらは報告書の内容に対する質問と慎重な対応をすべきという御意見です。
 37~39番が、(2)の WTO とバーゼル条約との関係の部分で、こちらについては、WTO との関係をしっかり踏まえた対応をすべきといった御意見が多かったところです。
 40番、41番は(3)抑止力の確保についての御意見で、こちらは未遂罪・予備罪の創設は有効なのではないかという御意見と、審議会では相反する意見があったので、今回は今後の課題ということで、仕方がないのではないかといった御意見がありました。
 (4)シップバックへの対応については、42番で「報告書の記載に賛成です」「国民の権利を制限し、義務を課すものであるので、措置命令や行政代執行は、慎重に検討すべき」といった御意見を頂いているところです。
 (5)のリユース品については、43番から 46番までの御意見を頂いております。43番、 44番、45番についてはリユースの重要性について御指摘いただいているところで、規制の強化につながるような対応は慎重にあるべきだといった御意見を頂いております。46番は、実態把握をもっとすべきなのではないかといった御意見がありました。こういったリユースに関する御意見を踏まえて、先ほども申し上げたとおり、報告書の 14ページでリユースのメリットを記載させていただいているところです。
 最後になりますが、15ページ、5.廃棄物処理法との一体的な措置については、47番で御意見を頂いておりまして、ここに書いてあるもの以外にも廃掃法の見直しが必要だといったことで、しっかり対応していきますという回答をさせていただいているところです。
パブリックコメントの結果を受けた資料の修正としては、今申し上げたように、14ページの部分と最初の制度の概要の部分について明確化を図ったということです。
 あと、事務局で確認したところ、一部直っていなかったところがありまして、そこはパブコメとは別に修正させていただいています。1ページの「はじめに」の一番最後のところで、第3回までの合同会議が開催されたと書いてあって、第4回のことを触れていなかったものですから、第3回の後の1月 31 日に第4回が開催されたということを付け加えようと思っております。以上です。

〇中村座長 うもありがとうございました。ただ今の御説明に対しまして、御質問、御意見等あれば、よろしくお願いいたします。いつものように発言なされたいときは、お名前を立てていただければと思います。よろしくお願いします。今回は、直接的な御意見、ならびにパブコメを反映させて、このようにまとめていただいたような形になっていますが、何か、御質問御意見ございますか。では、崎田委員、よろしくお願いします。

〇崎田委員 ありがとうございます。今回、パブリックコメントで、リユースに関して、かなり多くの御意見が寄せられたと思います。それで、循環型社会のありようとしては、きちんとしたリユースをしっかりと広める。ただし、そこで不適正なことが行われてしまうと、それが非常に数が少なくても全体的な信用を損なってしまうというのもありますので、そういうような検討をしてきたわけですが、そういう流れの中で、今回の見直し案のところに、一応、文言として明確にリユースそのものは非常に重要だということを入れていただいたという修正に関しては、非常に適切な対応をしていただいたと思っております。最後の方に、「実効性の観点から更なる実態把握を行うべきである」ということで、ここをこれからできるだけ早くしっかり進めていただき、その対応を考えていくという流れをつくっていければと思っております。どうもありがとうございます。

〇中村座長 ありがとうございました。他に、どなたか、御質問、御意見ございませんか。
 どうぞ、寺園委員。

〇寺園委員 ありがとうございます。パブリックコメントで報告書案がおおむね理解をいただけたと考えておりますし、良かったのではないかと思っております。1点申し上げたいのですが、雑品スクラップについて、パブリックコメントでかなり多くの意見を頂いています。それに対して、取締り現場での迅速な規制対象物認定の実現や、規制対象物についての法的根拠の明確化に加えて、廃棄物処理法等の他法令と連携した総合的な対策を進めることが適当という御回答を頂いているので、報告書には大きな変更はないと思っているのですが、これは次の見直しのタイミングということではなくて、まさにここを迅速にやっていただく必要があると思っておりますので、できるだけ早く国民の皆様にスケジュール感が分かる形での対策を進めていただきたいと考えております。よろしくお願いします。

〇中村座長 ありがとうございました。もし他に、すぐ御質問、御意見がなかったら、今の寺園委員に対して、事務局から御回答されるようなことはございますか。頑張ってやりますとしか言いようがないような気がしますが。よろしいですか。

〇田中室長 環境省さんの方でも、昨日廃掃法の中間審の検討会があったと聞いておりますし、いずれにしても、バーゼル法を担当している部局と廃掃法を担当している部局がよく連携して、しっかり進めていきたいと考えております。

〇中村座長 他に何か、御質問、御意見ございませんか。よろしいでしょうか。どうぞ、齊藤委員。

〇齊藤委員 おおむね賛成という意見が非常に多くて、良かったなと思っています。これまでお伝えしたことの繰り返しになりますが、あらためて雑品スクラップへの意見がすごく多かった、その雑品スクラップ問題に対しバーゼル法で対処できることが水際対策と理解しています。第1回のときにもお伝えしましたように、判断基準の明確化が非常に大事で、かつ、それが非常に難しいのだろうとあらためて思っております。特に「目視による判断」は非常に難しいのではないか、公正公平になりにくいのではないかという具体的な御意見を頂いていて、「目視」がいいのかどうかは私には分からないのですが、厳しすぎない、緩すぎない、明確にすぐ分かるものをいかに作っていくのかといったところに手腕が問われているということと、それがきちんと運営されるように体制を強化していただくところに今後がかかっていると思いました。、報告書自身に修正を加えるという話ではないのですが、そこをあらためて思いましたのでコメントさせていただきました。ありがとうございます。

〇中村座長 どうもありがとうございます。他に。小島委員、どうぞ。

〇小島委員 11ページの輸入承認手続の簡素化に関連して一つコメントをしたいと思います。「事前の通告及び同意」手続を不要とするなどの手続の見直しを図るということが真ん中ぐらいに書かれていまして、それはその方向でいいかなと思うのですが、輸出国側から向こうの輸出承認に当たって文書が欲しいということもあり得るかと思いますので、適宜文書が出せるように、うまく体制を整えていただければと思います。

〇中村座長 ありがとうございます。他に何か御質問、御意見、よろしいでしょうか。
 それでは、この報告書案に関しましては、合同会議として了承させていただいたということで進めたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なしの声あり)

〇中村座長 はい、ありがとうございます。

(2)その他

〇中村座長 それでは、議題(2)その他ということです。これは事務局からの報告事項がございますので、御説明よろしくお願いいたします。

〇田村管理官 それでは、お手元の資料3を御覧いただけますでしょうか。「使用済鉛蓄電池等の輸出に関する環境上適正な管理の確保の審査に係る当面の対応について」という報告事項です。
 本日、御了承いただいた報告書にもありますとおり、我が国から大量の使用済鉛蓄電池が輸出されて韓国において不適正に処理されたことを踏まえ、特に、使用済鉛蓄電池の輸出に関する具体的な措置を「他の見直しに先駆けて講ずるべき」と御指摘いただいております。
 また、既に輸出承認がなされた案件についても見直しの方向性が示されました。下の点線の四角の中に、合同会議報告書(案)の抜粋から、バーゼル法見直しの方向性ということで書かせていただいておりますが、この中の1段落目の下に下線で引いてある部分が、「既に輸出承認がなされた案件において環境汚染防止措置の状況等に不適正処理が疑われるような場合についても、バーゼル条約上の権限のある当局が必要な情報収集を行うことで迅速に対応する」という、一つ目の指摘事項です。それから2段落目の一番下のところに線が引いてありますとおり、「使用済鉛蓄電池については、OECD 加盟国を仕向地とする輸出であっても、輸出先国における適正処理に関する確認を着実に実施するための具体的な措置を他の見直しに先駆けて講ずるべき」という御指摘になっております。
 これを受けまして、経済産業省と環境省では、今回このように示された方向性をできるだけ速やかに具体化したいということで検討を行ってまいりまして、他の見直しに先駆けて実施する当面の具体的な対応措置ということで、今から御紹介する二つについて、これから実施することとしております。
 一つ目が、「2 OECD 加盟国を仕向地とするリサイクル目的の使用済鉛蓄電池の輸出に係る措置」です。これまで OECD 加盟国向けリサイクル目的の輸出は、バーゼル法に基づく外為法の輸出承認に際して、環境大臣の確認を不要としてきました。これについて、① にありますとおり、環境大臣の確認を必要とする地域と対象となる特定有害廃棄物等を定めている仕向地省令を改正しまして、この確認の対象に OECD 加盟国を仕向地とするリサイクル目的の使用済鉛蓄電池を加えることを考えております。これにより、OECD 加盟国向けリサイクル目的の輸出であっても、事前に環境大臣の確認をすることが求められることになります。
 そしてもう一つ、②にありますが、この確認の基準は「基本告示」に定められておりますし、その確認のために必要な輸出承認の申請時に求められる添付書類は、輸出注意事項に規定されております。これを両方とも改正して、上の省令改正に合わせようと思っております。
 具体的には2ページ目にありますが、ここの三つのブレットポイントにあるような確認項目を新たにOECD加盟国向けリサイクル目的の使用済鉛蓄電池の輸出について確認事項として求めることにしたいと思っております。
 一つ目が、運搬者・処分者が鉛蓄電池を環境の保全上適正に運搬及び処分する能力を有しているかということ。そして、日本において環境保全上の観点から求められる水準、あるいは条約第4条2(e)に「締約国は環境の保全上の基準を定めることができる」とありますが、これを下回らない方法で運搬処分されることが確実であるということ。これが確認項目の一つ目です。
 二つ目は、輸入国あるいは通過国が輸入、運搬、処分について保険、供託金などの保証を義務付けている場合には、これがきちんと講じられているかどうかということ。そして、そういったものがない場合にも、輸出者、運搬者、処分者が使用済鉛蓄電池の輸出、運搬、処分を確実に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有しているということを確認することが二つ目の確認事項になります。
そして三つ目として、輸出者、運搬者、輸入者、処分者の間の書面による契約が締結されており、かつ、その中に環境保全上適正な運搬及び処分が行われることが明記されていること。そして、輸出された使用済鉛蓄電池の運搬や処分が契約等の内容に従って完了することができない場合には、代替的に運搬又は処分を行うのが誰であるか、あるいは、その費用負担がどうなっているかということが含まれていること。これが三つ目の確認事項です。
 これらは OECD 非加盟国向けの確認基準とほぼ同等で、こういったものを使用済鉛蓄電池の輸出については環境大臣の確認事項として新たに追加することを考えております。その際に、輸出注意事項に定める輸出承認申請に必要な添付書類もこの基準に合わせて改正して、輸出承認申請の際に必要な書類が私どもに提出されるようにすることを考えております。これらの措置を講じることで、OECD 加盟国を仕向地とするリサイクル目的の使用済鉛蓄電池の輸出についても、輸出承認の際に、輸出先国で環境上適正な処理がきちんとできているかどうかを事前に確認する。これによって、輸出先国における不適正処理事案の発生を未然に防止することを考えております。
 これらの措置については、仕向地省令、基本告示、輸出注意事項の改正ということで、この報告書が取りまとまった後、速やかに2月から3月にかけてパブリックコメントを実施、それから3月頃に交付して6月頃に周知期間を経て施行したいと考えております。
 なお、これらの措置は暫定的な措置として、使用済鉛蓄電池を対象としたものになりますが、別途合同会議の報告書において、特定有害廃棄物等の輸出における環境上適正な管理が確保されているかどうかの審査の在り方が提言されております。こちらはバーゼル法改正の全体の議論と連動する形で、引き続き私どもの方で検討していきたいと考えております。
 これが使用済鉛蓄電池に対する、見直しに先駆けて講ずる措置です。
 それから、既に輸出承認がなされた案件で不適正処理が疑われる場合の措置ですが、こちらも二つございます。一つが、①輸出注意事項の改正です。輸出承認自体の有効期間は通常1年間ですが、この輸出承認を与える条件の中に、こちらにありますとおり、「本輸出承認証により輸出する貨物が環境上適切な処理がなされないおそれがあるとして経済産業大臣から求めがあった場合には、速やかに経済産業大臣に報告し、その指示に従うこと」を条件として追加しまして、既に輸出承認がなされた事案についても、輸出先で環境上適正な処理がなされないおそれがある場合には、経済産業大臣が指示できるという形にしました。
 これと併せまして、②基本告示の改正です。条約上、権限のある当局というものが定まっておりまして、日本の場合は環境省ですが、条約の円滑な実施のために必要な事項を定めた基本告示の中で、「権限のある当局」という項目の中に「環境省は、特定有害廃棄物等の輸出、運搬又は処分に係り環境の汚染を防止するために必要な措置が適正に実施されないおそれがあると認められるとき」、すなわち、先ほどの承認条件に新たに追加した、経済産業大臣が指示した場合には、「輸入国又は加盟国である通過国の権限のある当局に照会する等の必要な情報収集を行うこと」ということを追加しました。輸出先で環境の保全上、不適正なことがあるのではないかということで、輸出既承認案件について経済産業大臣の指示があった場合には、環境大臣が相手国の権限ある当局から情報収集する。これによって両省がそれぞれの役割において協力して対応するということをここに明確化した次第です。
 これらの措置を講ずることによって、使用済鉛蓄電池に限らず、バーゼル法に基づく輸出承認を受けて、我が国から適切に輸出された貨物についても、輸出先で環境上、不適正な処理がなされたことが疑われる事案が発生した場合には、的確かつ迅速な対応を行うことを可能としました。これらの措置についてはこの1月中に公布施行済みで、これから承認される案件には、この条件が付されるということになっております。
 このように、報告書の中で他の見直しに先駆けて講ずるべきとされ、委員の皆様からもできるだけ早く対応するようにという御指摘を受けた措置については、私どもとしましても可能な限り早く取り組んだわけでございまして、本日はせっかくの機会ですので、その内容について皆様に御報告させていただいた次第です。私からは以上です。

〇中村座長 ありがとうございます。ただ今の説明は報告事項ということになっております。ただ、何か御質問、御意見ございましたら、名札を立てて。では、清水委員、どうぞ。

〇清水委員 我々の非鉄精錬に非常に密接に関係している鉛蓄電池の輸出の問題ですが、迅速な対応をしていただいて本当に感謝申し上げます。昨年、皆さん御存じのように韓国での不法投棄事件が起きて、韓国の環境部当局の方から適正な処理が行われていると報告があったということで、また輸出が再開されると伺っております。今日の午前中、昨年の韓国の不法投棄の問題の件について、排出業者の5社が向こうの環境部から措置命令を下されたという情報が入ってきました。これは不法投棄されたものがまだきちんと処分されていなくて、恐らくヒ素が含まれる溶出水がまだ出ていて、それに対する措置命令が出されたということで、これから不法投棄されたものの処理案を出しなさいということで、これから動くという内容の情報が入ってきました。ただ今御説明いただいた3番の既に1月に公布済みという輸出注意事項の改正、承認の条件と照らし合わせて、我々としては問題解決していないのではないかという見方もできますので、いったん輸出を止めるようなことができないのか、御検討をお願いしたいと思っています。以上です。

〇中村座長 これに対して事務局から今すぐ何か御回答できますか。私も今のことを存じ上げなかったのですが、また措置命令が出たということですね。

〇清水委員 これは向こうの新聞記事のようですが、昨年 11 月、12 月、それから1月の記事で、向こうの環境部が措置命令を下したという情報です。

〇田中室長 すみません。詳細について把握していないので、まず事実関係を確認した上で、どういう対応が必要なのかを考えていきたいと思います。

〇中村座長 ありがとうございます。資料ナンバー3の御報告事項に関して、他に何か御意見、御質問ございますでしょうか。後半の部分は1月から既に実施ということですので、直接、報告書(案)とは関係ないものですが、何かございますか。もしなければ、これは御報告ですので、そういうことがありましたということで、これは淡々と進められていくのではないかと思っております。
 以上、本日の審議内容は全て終わりでございます。本日は直接的な御質問、御意見、審議という意味では比較的少なかったと思いますが、それまでに十分にエキストラを行ったという感じで、やっとここまで来たのかなと思っております。細田座長、何か御意見ございますか。

〇細田座長 皆様、非常に熱いといいますか、細に入った御議論を本当にありがたく思っております。皆さんの御意見はそれぞれ、いろいろ違うところがありましたが、非常に深い議論を重ねていくうちに、ある一定のレンジまで落ち着いて御意見を集約できたのかなと思っております。これからは多分、具体的な制度設計をして、どのようにこの報告書(案)を実現していくかということになると思います。そのときには皆さんのお知恵を拝借することがあると思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。
 それから、正直、はじめは環境省、経済産業省の間に御意見の違いがありましたし、皆さんの意見の違いがありましたが、本当に建設的な御意見を賜って、それを両省が率直に受け止めて、多分、かなりバトルをやったと思いますが、それを乗り越えて、100%とは言えないかもしれないけれど、満足に言える段階まで到達されたのは、本当に両省の御努力の賜物ではないかということで、私は今回、深く感じ入っております。この場を借りて、両省でこの案を取りまとめる至った御努力に関して、私は深い敬意の念を表させていただきます。ありがとうございました。以上でございます。

〇中村座長 ありがとうございました。今、細田座長が言われましたように、なかなか大変だったと思いますが、やっとここまで来ました。これから実際に法案の改正ということになります。多分、今から先、なお一層皆様方のお力を借りて進まなければいけないかなと思っておりますので、これからもよろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日の合同会議での議事は終了させていただきます。それでは司会を事務局にお戻しいたします。

3.閉会

〇田村管理官 中村座長、ありがとうございました。本日の合同会議で御了承いただいた報告書(案)の今後の取り扱いについてですが、中央環境審議会側では、2月3日に開催されます中央環境審議会循環型社会部会において審議される予定となっております。また、産業構造審議会側では、追って産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会に報告される予定でございます。なお、報告書にあるように、今後、制度の詳細設計については、引き続き検討が必要でございます。どのような体制で検討するかはまだ決まっておりませんが、委員の皆様には再度、御協力をお願いすることもあるかと存じます。今後とも是非御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは事務連絡です。本日の議事要旨及び議事録ですが、産業構造審議会のルールでは、議事要旨を翌日までに公表することとしております。恐れ入りますが、本日の議事要旨につきましては事務局に御一任くださいますよう、お願いいたします。議事録につきましては、事務局にて原案を作成しまして、後日、委員の皆様に御確認いただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは閉会に当たりまして、両省から御挨拶を申し上げたいと思います。まず経済産業省大臣官房審議官の髙科から一言御挨拶を申し上げます。

〇髙科審議官 経済産業省の髙科でございます。着席で失礼します。本日は委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。また、約 25 年ぶりとなりますバーゼル法の見直しに係る検討を非常に短期間でおまとめいただき、心から御礼申し上げます。短期間ではありましたが、大変密度の濃い御議論を頂き、バランスの取れた方向性をお示しいただけたものと感謝しております。
 報告書でお示しいただいた方向性を踏まえまして、今後、環境省と連携して、早急に法改正を含めて具体的な制度化を進めてまいりたいと考えております。また、制度の詳細設計でございますが、引き続き検討が必要であり、委員の皆様方におかれましては、再度、御協力をお願いすることもあるかと存じます。今後とも御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 最後になりますが、大所帯となりました合同会議を取りまとめていただいた中村座長と細田座長には重ねて御礼申し上げます。本日はありがとうございました。

〇田村管理官 それでは続きまして、環境省廃棄物・リサイクル対策部の中井部長から御挨拶申し上げます。

〇中井部長 まず委員の先生方におかれましては、本当に御多忙の中、4度にわたり、大変精力的な御審議いただきましたことを心から御礼申し上げたいと思います。
 この合同会議の報告書につきましては、環境省の循環型社会部会の御了承を頂き、中央環境審議会からの意見具申を頂くという段取りを想定しております。そうした上で環境省としましては、この通常国会に、本日の議論の中にありました、廃棄物処理法とともにバーゼル法の改正を御提案申し上げまして、御審議を賜ろうと考えております。また、将来に向けた課題についても幾つか御提起を頂いております。環境省は今年の夏、「廃棄物・対策リサイクル部」が新たに「環境再生・資源循環局」という形で衣替え誕生するということです。頂きました貴重な御提言を受けまして、さらに廃棄物・リサイクル行政を充実させてまいりたいと考えております。
 会議自体は今日で一つの区切りということですが、今後、詳細な制度設計の検討が多岐にわたるところでございます。委員の先生方におかれましては、様々な機会でまた御協力、御指導を賜りたいと存じております。また、細田座長、中村座長、本当にありがとうございました。感謝の気持ちを述べまして挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

〇田村管理官 それでは、以上で第4回中央環境審議会循環型社会部会特定有害廃棄物等の輸出入等の規制の在り方に関する専門委員会、産業構造審議会有害廃棄物等越境移動ワーキンググループ合同会議を終了いたします。長時間御議論いただきまして、本当にありがとうございました。

以上